令和 5年 9月 定例会(第389回) 第三百八十九回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)令和五年九月十三日(水曜日) 午後十時開議 午後二時五十一分散会 議長 菊地恵一君 副議長 池田憲彦君出席議員(五十八名) 第一番 金田もとる君 第二番 佐々木奈津江君 第四番 石田一也君 第五番 佐藤剛太君 第六番 伏谷修一君 第七番 松本由男君 第八番 柏 佑賢君 第九番 福井崇正君 第十番 大内真理君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 三浦ななみ君 第十三番 枡 和也君 第十四番 佐藤仁一君 第十五番 渡邉重益君 第十六番 わたなべ 拓君 第十七番 伊藤吉浩君 第十八番 八島利美君 第十九番 瀬戸健治郎君 第二十番 櫻井正人君 第二十一番 村上久仁君 第二十二番 高橋宗也君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 三浦一敏君 第二十五番 佐々木功悦君 第二十六番 境 恒春君 第二十七番 太田稔郎君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番 横山のぼる君 第三十番 高橋 啓君 第三十一番 庄田圭佑君 第三十二番 遠藤隼人君 第三十三番 渡辺勝幸君 第三十四番 横山隆光君 第三十五番 佐々木賢司君 第三十六番 守屋守武君 第三十七番 外崎浩子君 第三十八番 池田憲彦君 第三十九番 熊谷義彦君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 渡辺忠悦君 第四十二番 菅間 進君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 仁田和廣君 第四十六番 吉川寛康君 第四十七番 伊藤和博君 第四十八番 佐々木幸士君 第四十九番 高橋伸二君 第五十番 菊地恵一君 第五十一番 佐々木喜藏君 第五十二番 石川光次郎君 第五十三番 中島源陽君 第五十四番 本木忠一君 第五十五番 中山耕一君 第五十六番 安藤俊威君 第五十七番 畠山和純君 第五十八番 藤倉知格君 第五十九番 中沢幸男君欠員(一名) 第三番
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君
公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・危機管理部長 千葉 章君 企画部長 武者光明君 環境生活部長 佐々木 均君 保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君 水産林政部長 吉田信幸君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君 総務部参事兼秘書課長 村田俊顕君 総務部参事兼財政課長 高橋寿久君 教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君
選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 後藤和隆君 人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 北沢康一君 公安委員会 警察本部長 原 幸太郎君 総務部長 横山 裕君 労働委員会 事務局長 中村今日子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 小林一裕君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 大場則昭君 参事兼議事課長 菅原敏彦君
政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼
総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 副参事兼
政務調査課総括課長補佐 千葉恵子君
議事課長補佐(班長) 我妻則之君
議事課主任主査(議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第三号 令和五年九月十三日(水)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号第三 一般質問 〔吉川寛康君、渡辺勝幸君、八島利美君、境恒春君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号三 日程第三 一般質問 〔吉川寛康君、渡辺勝幸君、八島利美君、境恒春君〕
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△開議(午前十時)
○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(菊地恵一君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、五十九番中沢幸男君、一番金田もとる君を指名いたします。
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△諸報告
○議長(菊地恵一君) 御報告いたします。
監査委員成田由加里君から本日から九月十五日まで欠席し、
監査委員吉田計君が代理出席する旨の届出がありました。
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△議第百十号議案ないし議第百三十二号議案
△報告第二十五号ないし報告第三十号・一般質問
○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。四十六番吉川寛康君。 〔四十六番 吉川寛康君登壇〕
◆四十六番(吉川寛康君) おはようございます。今任期最後の
定例会一般質問の
トップバッターを務めさせていただきます。よろしくお願いします。 初めに、七月の梅雨前線による記録的な大雨により、九州北部や秋田県など、各地で河川の氾濫や土砂災害が発生し、甚大な被害が生じました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大綱二点について、順次質問をさせていただきます。 大綱一点目、海外との連携強化についてお伺いします。 明治二十八年十一月五日、
日伯修好通商航海条約がパリで締結され、その十二年半後の明治四十一年四月二十八日、ブラジルに向けて第一回目となる移民七百八十一名を乗せた笠戸丸が、神戸港からブラジルのサントス港に向けて出港しました。以来、本県を含む多くの日本人が、新たな開拓地を求めてブラジルの地へと渡っていきました。ブラジルでの生活は必ずしも想像していたとおりの状況ではなかったと思いますが、こうした
日本人移民者の方々は、ある意味退路を断って日本からブラジルへと渡り、ほかの国々からの移民者とは違い、厳しい環境に挫折して帰国することもなく、粘り強く、移民者同士で互いに協働し合いながら、開拓地で懸命に努力してきた経緯にあるため、現在では、全世界の日系人のほぼ半数となる約二百万人が暮らすに至り、ブラジルは、世界最大の
日系移民コミュニティーが存在する国となっております。また、日本からの多くの移民の方々は、新たな土地で原始林を開拓して農業を振興し、自分たちで新たな町をも興していった歴史があり、特にブラジルで生まれた二世、三世への教育については、一貫して大切に取り扱われてきたため、現在では、こうした日系人の方々が、政界や官僚をはじめ、医師や弁護士、教員、芸術家など、広範な分野で活躍するようになり、経済の成長とともにブラジルの人口も増加を続け、現在では二億一千四百八十三万人で、世界第七位の規模となっております。また、前述のとおり、多くの
日本人移民者の長年にわたる尽力により、大豆、砂糖、コーヒー豆、各野菜などの生産が盛んであり、鉄鋼石や石油、レアメタルの生産量も
世界トップクラスを誇り、資源的にも大変豊かな国であるとともに、広大な土地を背景に、サトウキビの植物油を原料としたバイオ燃料による発電が世界第一位、大きな川などでの水力発電も充実していることから、
ブラジル国内での総発電量に占める
再生可能エネルギーの割合は八五%以上を誇っており、中国、アメリカに次ぐ規模となっております。そのほか、サトウキビの植物油をエタノールとして自動車の燃油にも用いており、ブラジルでは、ガソリンとエタノールのどちらの燃料も使用可能なエンジンを積んだ
ハイブリッド車が主流となっている特徴を有しており、
自動車生産台数も
世界トップテンになっているとともに、
小型ジェット市場でもエンブラエルが世界上位のシェアを誇っていることなどから、GDPも世界第十位と、工業面でも年々成長を遂げ、充実した経済大国になっております。このような背景の中、去る六月四日に、
サンパウロ市内にある
ブラジル宮城県人会館において、
ブラジル宮城県人会創立七十周年記念式典が開催されることとなり、安藤団長をはじめ四名の議員団として、村井知事、菊地議長とともに参加してまいりました。記念式典には、桑名在
サンパウロ日本総領事をはじめ、
原ジェトロサンパウロセンター所長、
市川ブラジル都道府県連合会会長など、多くの御来賓にも御出席いただき、上利会長をはじめ多くの宮城県人会会員の皆様方とともに、七十周年というこれまでの歴史に触れながら、大きな節目を迎えられたことへの喜びを共に分かち合ってまいりました。また、今回の視察では、
ブラジル宮城県人会のほかにも、
アメリカカリフォルニア州の南加宮城県人会、ハワイ州のハワイ宮城県人会の方々ともそれぞれ現地でお会いをし、これまでの各県人会としての取組経過や現状についてお伺いするとともに、現地から求める今後の宮城県としての海外での取組要望などについて話を伺うとともに、有意義な意見交換を行ってまいりました。改めて、海外生活の中で、
ふるさと宮城の力強い応援団として、日頃から尽力いただいているブラジルをはじめとする海外の各宮城県人会との連携の重要性を再認識するとともに、各県人会の皆様との定期的な意見交換を図りながら、海外でのイベント開催や、宮城県の観光や食材などを広くPRする場を積極的に創出していく具体の取組を行っていく必要性があることを強く感じました。そして、今回の海外視察を通じ、改めて、百聞は一見にしかずであるということ、そして、郷に入りては郷に従えと言われるとおり、現地のことをよく知るためには、まずは現地の人との信頼関係を構築しながら、現地の文化に触れ、現地の人の話をよく聞くことが大切であり、国際交流の原点はまさに「人」であることを、改めて強く認識させられた今回の視察となりました。こうしたことを踏まえ、今回の海外視察を今後の県勢発展につなげていく観点から、次の三点について御所見をお伺いいたします。 一点目は、海外に拠点を置く各宮城県人会との今後の更なる連携強化の必要性についてお伺いします。 去る六月一日からの議員団視察で、
カリフォルニア州の南加宮城県人会、サンパウロ州の
ブラジル宮城県人会、そしてハワイ州のハワイ宮城県人会にそれぞれ訪問し、慰霊碑を訪れて新たな土地に移られ、様々な課題に尽力されてこられた故人の御霊に哀悼の誠をささげるとともに、それぞれの県人会の方々と意見交換をさせていただきました。三つのそれぞれの宮城県人会ともに、
ふるさと宮城に対する思いは共通しており、十二年前の東日本大震災の際にも様々な形で義援金を募っていただくなど、大変お世話になった経緯にあります。意見交換の中では、それぞれの現地の人が好む日本の食材や伝統・文化などについて率直な話をお伺いするとともに、地域によっては買物をする際に割と高級志向で、販売側が意識する商品コストはあまり関係なく、むしろ商品のクオリティーや更なる付加価値の向上を強く望むユーザーが多いなど、現地に暮らしている人たちだからこそ知り得る現地のマーケットの特性など、貴重なお話も伺うことができました。
ふるさと宮城を大切に思っていてくれるからこそなし得るこうした貴重なアドバイスを今後しっかりと生かしていく取組も必要であり、引き続き、海外にある各宮城県人会の方々との定期的な情報交換を積み重ねながら、
海外マーケットへの販売戦略や観光PRなどを積極的に行っていく必要があると考えます。特に、
ブラジル宮城県人会は、今回訪問した南加宮城県人会やハワイ宮城県人会とは違い、日本との距離が遠く、日本への直行便もないことから、
ふるさと宮城への帰省はあまり行われていない様子であり、今の世代となっている三世、四世の方々も、日本への訪問機会がないため、日本語も片言でしか話せず、会話は専ら母国語であるポルトガル語となっており、今後の
ブラジル宮城県人会との良好なつながりを考えた場合、かつて行政の支援制度で行われていたような
ブラジル宮城県人会の方々の本県への帰省・訪問、そして、宮城の自然・文化に触れながら、宮城県への関心をより高めていただく具体の取組も必要ではないかと感じました。ブラジルには、各都道府県の県人会も存在し、どの県人会も同様の課題があると推察されるため、各県人会で構成された
ブラジル都道府県連合会が組織化されて相互の連携も図られてきていることから、本県だけの取組が難しいのであれば、こうした
ブラジル日系人の今の世代となっている三世、四世の方々を対象とした日本訪問の取組が実現できるよう、国にも強く働きかけていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、海外の各宮城県人会は、それぞれの国と宮城県の橋渡し的な役割を担っていただいており、今後も引き続き、頼もしい存在として地域で頑張っていただくためにも、それぞれの国の実情に沿った各宮城県人会へのフォローと更なる連携強化を積極的に図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。併せて御所見をお伺いいたします。 二点目は、海外での県産品販売、イベント交流などの強化の必要性についてお伺いします。 今回の議員団視察で、ホノルルにある
カメイ株式会社の
海外企業グループである
ミツワマーケットプレイスワイキキ店を訪問し、ハワイにおける日本食ニーズの現状、日本食の供給体制の課題などについて、伊妻社長をはじめ
ミツワマーケットプレイス役員の方々と意見交換を行ってまいりました。昭和五十四年に、
ヤオハングループ傘下の
ヤオハンUSA社が、
アメリカカリフォルニア州のフレズノ市に
スーパーマーケットを開業し、その後、全米各地に店舗を拡大し、事業拡大を図っていたものの、平成九年にヤオハンジャパンが経営破綻し、一旦は
ヤオハンUSAの幹部社員が会社を買収して事業継続が図られましたが、平成二十四年十二月に
カメイ株式会社が事業経営を引き継ぐ形となり現在に至り、
カリフォルニア州に七店舗、イリノイ州、ニュージャージー州、テキサス州、そしてハワイ州に各一店舗の合計十一店舗にて、北米事業の中核企業として、日本食料品の
スーパーマーケットを中心とした事業を展開しております。今回訪問した
ミツワマーケットプレイスワイキキ店は、平成二十九年五月にホノルル市内の中心部にあるインターナショナルマーケットプレイス内にオープンし、日本食品や総菜などを販売するとともに、日本企業をフードコートテナントとして招聘し、視察した際には、ハワイで人気のラーメン店を提供するなど、現地における日本食の潜在力を引き出しながら、日本食の更なる普及にも積極的に取り組んでいる様子を拝見してまいりました。ハワイをはじめアメリカでは、現在、日本食が大変な人気らしく、
ミツワマーケットプレイスワイキキ店では、宮城県産米ひとめぼれが人気であるとのことであり、潜在需要はまだまだありそうであるとの話も伺ってきたところであります。また、ハワイ宮城県人会の方々からも伺ったとおり、ハワイに住む人々は高級志向な人が割と多く、輸出の際の単価設定などで値段のハンデはあまり考える必要がないといった現状の特徴があることを伺い、同時に、これまで現地の
スーパーマーケットでは、他都道府県の地元食材のPRなどが積極的に展開されているものの、宮城県としての取組はあまり見かけたことがないと厳しい指摘も伺ったところであり、こうした貴重なアドバイスなどを生かしながら、ハワイをはじめ日本食が人気となっている海外への販路拡大の取組について、県としても積極的に仕掛けていく必要があることを強く認識したところでございます。そして、海外では日本の祭りが大変人気であるとともに、海外の人たちの認識としては、まずは日本であることが重要なのであって、日本の中の都市の規模や海外からの認知度といったものはあまり重要な要素ではなく、むしろ、現地に行ってどんどんアピールしたものが勝つといった要素が大きいとのことでもありました。したがって、海外での様々なイベントの場などを通じて、仙台のすずめ踊りや県内各地の伝統舞踊など、宮城の伝統・文化を海外でも積極的に発信し、「日本の宮城」を強くアピールしていくべきだと考えます。そして、海外の人たちの多くがそうであるように、イベントを見たことを契機として、「今度は実際に宮城県に行って、本物をぜひ見て体感したい」といった欲求をかき立てるような
イベントプロデュースも積極的に仕掛けていく必要もあります。特に、毎年三月にハワイで開催されている
ホノルルフェスティバルには、東北のねぶたや竿灯、花笠踊りなども参加しているとのことであり、後れを取っている面は否めませんが、それでも、今後の開催時には宮城県としてもしっかりと参加し、宮城の伝統・芸能、食や観光などを積極的に広くアピールすべきと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 三点目は、
ベンチャー企業の海外進出支援についてお伺いします。 今回の議員団視察では、在
サンパウロ総領事館と
ジェトロサンパウロセンターにも訪問し、ブラジルの国の情勢や特徴、今後の日本との連携の可能性などについて、貴重なお話を伺ってきました。ブラジルは大きく五つのエリアに区分され、サンパウロ州やリオデジャネイロ州が含まれる南東部が最も発展し、国全体のGDPの半分を占めており、
ブラジル国内の所得水準においては、国の最低賃金の約二十倍以上の平均賃金月額である、いわゆる高所得者層は、国全体で約三%と限られてはいるものの、最低賃金の約五倍から二十倍までの中間層は年々拡大してきており、こうした新たな所得者層のマーケットが新たに注目されている現状を伺うとともに、ブラジルは、かつての奴隷制度を廃止し、それに代わって移民の労働力確保にかじを切った歴史経過にあり、さきにも述べたとおり、多くの日本人も海を渡ってブラジルに入り、以来、日本人の誠実さと勤勉さなども相まって、土地の開拓や町の振興をはじめ、現地での野菜の普及や様々な事業の拡大などで成功を収め、ブラジル人にとっては、現在も含め、日本人並びに日系人に対する尊敬の念が強いといった特徴があるため、市場規模や成長性の圧倒的な高さに加え、ほかの国には見られない、日本人駐在員の生活環境面の待遇のよさが大きな特徴として挙げられ、これまでトヨタやホンダ、ヤクルトや日清食品など、多くの日系企業も進出している状況にあります。また、ブラジルは起業が進んでいる国の一つであり、創業十年以内で評価額十億ドル以上の未上場企業、いわゆるユニコーン企業は、
ブラジル国内に二十三社も存在しており、日本企業にも大きなチャンスが潜在しているため、現在、
ジェトロサンパウロセンターでは、イノベーションに力を入れ、ブラジル企業と日本企業との連携強化をはじめ、日本企業のブラジルでの起業なども推進しているとの話も伺ってまいりました。本県でも現在、テック系企業のスタートアップ事業の取組を支援しておりますが、今後は海外進出も視野に入れながら、特にブラジルを市場とした取組は大きな可能性を秘めているとの認識の下、本県に設置されているジェトロ仙台を窓口として、
ジェトロサンパウロセンターとの連携を図り、ベンチャーも含めた県内企業のチャレンジのフィールドをグローバル化していく取組についても前向きに検討していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に、大綱二点目、コロナ禍後の観光戦略についてお伺いします。 仙台空港は、平成二十八年に全国初となる民営化を実現し、その後、民間活力などにより民営化の効果を大いに発揮しながら、着実に成長を遂げ、コロナ禍前の就航便数は、国内線が一日当たり六十往復、国際線が一週間当たり三十三往復にまで拡大、利用者数も過去最高を記録するまでに至りました。また、コロナ禍前の令和元年における東北各空港の国際線乗降客数を見てみると、仙台空港の乗降客数は約三十九万人であり、東北に九つある空港全体の約七割を占めており、名実ともに東北の玄関口としての役割も果たしてきた経緯にあります。新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類見直しにより、長らく中断していた国際線もようやく、昨年十二月にタイ国際航空のチャーター便が就航したのを皮切りに、今年に入ってからは、一月にはエバー航空の定期便、三月にはタイガーエアの定期便がそれぞれ再開するとともに、四月にはスターラックスが新規就航し、アシアナ航空の定期便も再開、七月には中国国際航空の定期便も再開するまでに至りました。こうした各航空会社の国際線再開は、当然、仙台空港だけの事象ではなく、ほかの各空港でも随時再開の動きを見せており、コロナ禍に伴う行動制限緩和後の各空港間の国際線再開に向けた競争が激化している状況にあります。観光庁の令和元年旅行・観光消費動向調査によると、国内全体の旅行消費額は二十六兆七千四百四十七億円にも上り、その内訳として、邦人国内宿泊旅行が約六四%に当たる十七兆千五百六十億円、邦人日帰り旅行が約一八%に当たる四兆七千七百五十二億円、そして外国人旅行客が約一八%に当たる四兆八千百三十五億円になっており、今後も外国人観光客の入り込み数の増加が期待されております。また、邦人観光客に比べ、外国人観光客は一回の旅行で消費する額が大きいことも知られており、外国人観光客の一人当たりの旅行支出額は、邦人国内旅行の約四・二倍に当たる十五万八千五百三十一円という試算も出されております。したがって、国際線再開の今だからこそ、インバウンド競争に後れを取ることなく、富裕層の取り込みも含め、大胆かつ戦略的に観光施策を展開していく必要があると考えております。こうした視点に立ち、コロナ禍後の観光戦略について、次の三点について御所見をお伺いいたします。 一点目は、アウトバウンド対策の強化についてお伺いいたします。 交流人口の拡大の観点からも、インバウンドの取組が重要であることは論をまちませんが、新規就航路線の誘致実現を目指していく上で、アウトバウンド需要の強化は欠かせない要素であると考えております。各航空会社は、限られた機体数の中で採算性や今後の需要見込みを綿密に考えて路線決定をしている性格上、従来のインバウンド対策と同時に、これまでも課題となっているアウトバウンド対策の更なる強化が必要不可欠であると考えます。これまで、若者への新規パスポート取得への助成などは行われてきましたが、コロナ禍後の新規就航路線誘致が激化している今だからこそ、海外への教育旅行機会の創出や、旅行代理店とも連携した仙台空港発着の海外旅行メニューの充実など、仙台空港からのアウトバウンド実績を着実に伸ばしていくことにも、汗を流していくべきと考えます。また、若者の新規パスポート取得の助成後の再度の海外旅行への特典など、海外旅行した人たちが時間を空けずに再度の旅行行動につなげていく取組なども検討していく必要があると考えます。今後の仙台空港のエアポートセールスを優位に働かせていくことを目指した、今後のアウトバウンド対策の強化の必要性について、御所見をお伺いいたします。 二点目は、ビジネス層対策の強化についてお伺いします。 仙台空港の国際路線拡大には、安定した乗降客数の見込みが立つことが極めて重要であり、観光面だけに依存することなく、ビジネス面におけるエアポートセールスにも十分配慮する必要があります。こうした中、来年度に完成が予定されている次世代放射光施設ナノテラス関連のビジネス層の本県への入り込みが期待されており、特に海外からのビジネス層やアカデミック層の着実な仙台空港利用に誘導していく必要があると考えます。ナノテラスの中心的な役割を担っている東北大学の先生方をはじめ、こうした海外の関係者へのタイムリーな情報発信の仕方などについてもアドバイスを頂き、ナノテラスだけではなく、ナノテラスに到着するまでの交通手段や宿泊情報など、ナノテラスに関わる全てのものを産学一体となって情報発信含めた受入れ環境の整備を図っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 三点目は、東北エリア全体としての広域観光の充実についてお伺いいたします。 仙台空港を玄関口とした東北各地の周遊ルートについては、東北観光推進機構を中心に、これまで検討が進められてきた経緯にあります。広域観光の難しいところは、東北各県ともに、総論としては賛成するものの、各論になると、自分の県にとってのメリットの有無へのこだわりがけんかする形となり、なかなか具体の結果につながっていかない部分が多く見受けられております。世界から日本を見たとき、各県の魅力度を高めることの重要性はもちろんですが、外国人観光客へ東北エリアの魅力を発信していくためにも、また、外国人観光客の長期滞在を安定的に確立していくためにも、東北エリア全体としての観光ポテンシャルを高めていくこともまた、重要であると考えます。損して得取れという言葉もあるとおり、自分の県にとってのメリットの有無議論は一旦封印し、あくまで観光分野における東北エリアの認知度向上、仙台空港の更なる活性化、そして、外国人観光客の東北エリアでの滞在期間の長期化など、戦略性を持って東北エリア全体としての観光魅力度向上を目指す総論議論ができるよう、大きな志を持ちながら、粘り強く取り組んでいく必要があると考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 吉川寛康議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、海外との連携強化についての御質問にお答えいたします。 初めに、
ブラジル宮城県人会との更なる連携強化についてのお尋ねにお答えいたします。 私は、六月に開催されました
ブラジル宮城県人会創立七十周年記念式典に参加するとともに、我が県との交流のかけ橋となっていただいている県人会の皆様との関係強化を目的として、併せて米国
カリフォルニア州とハワイ州を訪問してまいりました。今回の訪問を通して、改めて県人会の皆様の
ふるさと宮城に対する思い、そして宮城の伝統や文化の普及に大変な御尽力をいただいていることを認識した次第であります。御質問をいただきました日系三世、四世の方々に我が県にお越しいただくことにつきましては、若い世代の日系人の方々と日本との関係の希薄化が懸念される中で、大変重要なことであると認識しております。現在、外務省において、中南米地域の日系社会との連携を一層強化していくため、日系社会のネットワークづくりの支援や、次世代を担う若手日系人の方々を日本に招待する事業などを予定していると伺っていることから、こうした国の事業を積極的に活用していくことを含め、日系三世、四世の方々の日本訪問について検討してまいりたいと思います。 次に、海外の各宮城県人会との連携強化についての御質問にお答えいたします。 海外県人会は、地元イベントでの郷土料理や伝統工芸の展示等を通して、現地の方々との交流を積極的に行っていただいており、我が県の橋渡し役として重要な役割を果たしていると認識しております。このような中、県では、県産品の提供や観光パンフレットの送付のほか、国策により移住した方々が設立した県人会に対して運営費を助成することで、県人会活動の活性化を支援してまいりました。私は、今回の訪問におきまして、県人会の皆様から、運営に当たり様々な課題に直面していることを伺いました。各地域の県人会により、その課題も多様であり、例えばブラジル県人会からは、魅力ある運営のために他の県人会がどのような行事を行っているのか参考にしたいといった要望を頂いたところであります。そのような要望に対しまして、県といたしましては、各国の宮城県人会同士のネットワークを構築し、オンラインを活用して意見交換するといった具体的な提案をお示ししながら、県人会の運営を支援するなど、県人会の皆様の御要望を丁寧に伺い、更なる連携強化を図ってまいります。 次に、
ホノルルフェスティバルを活用した観光PRについての御質問にお答えいたします。
ホノルルフェスティバルは、日本をはじめ各国から例年百団体近くが参加し、開催期間中十万人以上の来場者が訪れる、ハワイ最大の文化交流イベントであり、現地の方々に日本各地のお祭りをはじめ、文化・芸能などを体感していただくとともに、参加する日本人にも、ハワイの国際色豊かな多民族社会の文化に接する機会となっております。ハワイでは、日本の食や祭りなどが人気であるほか、高級志向の割合が比較的高いと伺っており、我が県への誘客による経済的な効果は大きいものと考えております。このため、来年三月に開催予定の
ホノルルフェスティバルには、我が県も初めて参加する予定であり、七夕飾りの設置などによる観光PRをはじめ、食、文化等の紹介や伝統芸能の披露などを検討しているところであります。県としては、今回の
ホノルルフェスティバルへの参加を契機として、宮城の魅力をしっかりと発信し、ハワイとの相互交流を深めるとともに、インバウンド誘客も含め、今後とも更なる連携の強化に努めてまいります。 次に、
ベンチャー企業の海外進出についての御質問にお答えいたします。 人口減少・少子高齢化が進行する中、県内経済を安定的に成長させ、豊かな宮城を実現するためには、海外へ目を向け、海外市場の活力や成長力を取り込んでいく必要があると認識しております。県内企業の海外展開支援の一例として、宮城県では、ジェトロと連携し、ドイツで開催される世界最大級の医療機器見本市であるMEDICAにブースを確保し、県内企業の出展を支援しており、今年度も東北大学スタートアップを含む三社が世界各国の企業との商談に臨むこととしております。また、
ベンチャー企業を含め、海外企業との商談に要する渡航費や海外で開催される商談会への出展経費に対する補助、専門のスタッフによる貿易相談など、企業ニーズに沿った支援も行っているところであります。県といたしましては、今後も県内企業のニーズの把握に努めるとともに、ジェトロなどの関係機関と連携し、海外展示会への出展や海外企業との商談機会の確保を通じて、県内
ベンチャー企業等の海外への挑戦を支援してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、コロナ禍後の観光戦略についての御質問にお答えいたします。 初めに、アウトバウンド対策の強化についてのお尋ねにお答えいたします。 国際線における新規路線の誘致や航空需要の拡大を図っていくためには、インバウンドのみならず、アウトバウンドも含めた双方向の需要拡大を促進していくことが重要であると認識しております。このため県では、将来にわたってアウトバウンド需要の創出を図るため、平成二十八年度から仙台空港発着の国際線を利用する若者を対象として、パスポート取得費用の一部を助成してきたところであり、今年度からは、昨年度好評を頂きました国内旅行代金の一部を助成する若者向けのキャッシュバックキャンペーン事業に、新たに海外旅行も対象に加え、支援の充実を図っております。更に、仙台空港を利用した海外修学旅行を促進させるため、仙台空港国際化利用促進協議会と連携し、事前の現地調査費用の一部を助成する事業を実施しているほか、各種関係団体と協力して、旅行セミナー等を開催するなど、アウトバウンドの需要喚起に努めてきたところであります。県としては、引き続き、仙台国際空港株式会社や関係機関と緊密に連携し、更なるアウトバウンドの需要拡大に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、東北エリア全体の広域観光の充実についての御質問にお答えいたします。 私も従前から話しているとおり、インバウンドの誘客につきましては、我が県単独ではなく、東北全体が一体となって戦略的に観光振興に取り組んでいくことが大変重要であると認識しており、第五期みやぎ観光戦略プランにおいても、「東北各県や東北観光推進機構等と一体となった広域周遊観光の促進」を施策の柱の一つに位置づけたところであります。このため、東北観光推進機構や東北各県とも連携し、台湾やタイなどの重点市場を対象とした現地PRイベントや旅行会社向け商談会の開催、インフルエンサーの招請による情報発信などに取り組み、東北への周遊促進を図っているところであります。全国知事会会長就任にあたり、物産や観光のPRにつきましては、各都道府県単独の取組では限界があり、全ての都道府県が協力して日本のよさをPRした上で、各ブロック単位で魅力を発信していくべきであるとお話ししたとおり、引き続き、東北一体となって、東北の食や自然、文化などの魅力発信のほか、体験型コンテンツの充実や、広域周遊ドライブルートの造成などに取り組み、広域的な観光振興を推進してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱二点目、コロナ禍後の観光戦略についての御質問のうち、ナノテラスに関わる海外からのビジネス層に向けた情報発信と受入れ環境の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 現在、東北大学青葉山新キャンパスで整備が進んでおりますナノテラスは、国内には例がない、都市部に立地する放射光施設であり、仙台空港からのアクセスにも優れていることから、国内外を問わず、多くの研究者やビジネス関係者が我が県を訪れることになると考えております。県といたしましては、共に地域パートナーとなっている仙台市や東北大学、東北経済連合会とも連携し、交通手段や宿泊情報のみならず、食や観光をはじめ、幅広く宮城の魅力を発信するなど、地域パートナーそれぞれの持つ機能に応じて、受入れ環境についても整備を進め、この地を訪れる多くの皆様に満足いただけるよう努めてまいります。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 四十六番吉川寛康君。
◆四十六番(吉川寛康君) 御答弁ありがとうございました。 海外との連携強化について、再質問させていただきます。 六月一日からの海外視察で、ハワイ観光局にも表敬訪問し、ジョン・デ・フリーズ社長兼最高責任者と、今後の宮城県との連携の可能性などについて意見交換もさせていただきました。ハワイ観光局は平成十年に創設され、ハワイ州のホテル税を財源として、ハワイ州全体の観光旅行業を管理しており、経済目標や文化価値、自然資源の保護、地域社会との協調、観光需要に対応した持続可能な観光戦略などに取り組んでおります。席上、ジョン社長からは、ハワイにはカメハメハ大王がおり、宮城県には伊達政宗公が存在すること、そして、ハワイにはパワースポットで有名なマウナケアがあり、宮城県の蔵王山にも同じように強いパワーを感じられることなど、ハワイと宮城県には文化的にも地形的にも共通性があると興味を示していただいてまいりました。また、ハワイには毎年世界各国から多くの観光客が訪れますが、日本人だけが唯一ハワイ人の自然や祖先を大切する思いに共感してくれるという認識があるようで、日本人を大切なパートナーとして受け止めており、再び多くの日本人観光客の訪問を期待しているとの話も伺ってまいりました。ハワイと宮城県との今後の交流について、改めて知事の御所見をお伺いします。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私も御一緒いたしましたけれども、ハワイは日本人にとって非常に身近な観光地であります。戦前戦後の移民も非常に多くて、調べたところ、現在は人口の五分の一を日系人が占めているということでございまして、非常に身近な場所でございます。我が県の魅力を売り込んでいくためには、非常に可能性の高い地域であるというふうに思います。これまで、現地の人も家族ぐるみで参加するオハナフェスティバル--このオハナというのは家族という意味だそうですけれども、オハナフェスティバルにハワイ宮城県人会がブースを出展するなど、県人会と連携しながら交流を推進してまいりました。今回訪問したハワイ宮城県人会の皆様からは、我が県の伝統的な祭り、イベントなどを現地のイベントを通してPRすることが、ハワイとの交流を進める上で非常に効果的であるということを教えていただいたわけでございます。今年度は、さきに答弁したとおり、
ホノルルフェスティバルに初めて参加いたします。また、東北経済連合会が実施いたしますハワイでの観光フェアに県産品を出品するなど、今後も県人会と連携しながら、我が県のPRを強化し、ハワイとの交流について深めてまいりたいなというふうに思っております。どちらかというと、ハワイの場合は我々よりも若いぐらいの世代の人たちが新たに移民をして、そして一世ということになっていますので、ほかのブラジルなどと比べると、ブラジルは三世、四世ということになっているのですが、ハワイは一世の方たち、若い人たちがこれからということでありますので、そういった意味でも、非常に交流がしやすいという面もあろうかと思いますので、力を入れてまいりたいというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 四十六番吉川寛康君。
◆四十六番(吉川寛康君) ありがとうございました。ハワイと宮城県の交流を今後しっかりと推進していくためには、当然のことながら、多くの県民の方々にもハワイへと足を運んでもらう取組が必要であると考えます。また、本年五月の感染法上の分類見直しにより、新型コロナウイルス感染症のPCR検査義務もなくなり、国際線、国内線共々、コロナ禍前水準に戻りつつある現状の中、インバウンド需要を増やしていく施策として、仙台空港の海外路線を増やしていく取組を進める一方で、日本の玄関口でもある成田空港との結節点を維持していくことは必要不可欠であると考えます。したがって、コロナ禍前の就航路線の中で唯一運休のままとなっている仙台成田便について、今後のインバウンド対策を充実させていくためにも、ぜひとも県を挙げて本路線の早期復活を全力で取り組んでいくべきと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いします。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) 仙台成田線につきましては、コロナ禍前までは一日三往復しておりましたが、令和二年四月九日から運休となっておりまして、運行再開に向けては、国内におけるアウトバウンドの需要回復等を見極めながら判断したいというふうに伺ってございます。成田空港は国内最大の国際路線数を有する日本の玄関口でございますので、我が県のみならず、東北各県から欧米などの世界各国への円滑な移動を可能とする観点から、仙台成田線は非常に重要な路線であるというふうに認識してございます。県といたしましては、運休している上海線、バンコク線の運行再開、また、二十四時間運用が可能となった空港の強みを生かした新規路線の誘致を目指すとともに、一日も早い成田線の運航再開に向けて、引き続き、仙台国際空港株式会社や関係者と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(菊地恵一君) 四十六番吉川寛康君。
◆四十六番(吉川寛康君) 早期の復活、期待しております。よろしくお願いします。 日本からハワイを含めたアメリカへの輸出においては、イチゴ、メロン、柿以外のフルーツが現在も輸出規制の対象となっており、課題を残している現状にあるようでございます。一方、日本の置かれている現状とは大きく異なり、お隣の韓国では、これまでも国を挙げて積極的なロビー活動を行ってきている経過にあり、輸出品目においても韓国と日本の差がかなり大きくなっているとの話を、今回の視察の中で、ミツワマーケットプレイスの伊妻社長からも伺ってまいったところでございます。こういったところにまで国の関わりが現地の市場などにも大きく影響を及ぼしている現状を目の当たりにするとともに、早急にこうした事態の改善を図っていく必要があると強く認識してまいりました。ハワイを含めアメリカとの現状の規制緩和の解消に向けた本格的な対応を強く国のほうに働きかけながら、そして一方で、県としても、県産品の海外での潜在ニーズなどをしっかりと調査していただき、県産品の今後の海外輸出がより一層進むこととなるよう、その環境整備にも全力を尽くしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いします。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 今後も我が県の農林水産業や食品産業が発展していくためには、更なる輸出拡大が必要であり、宮城県農林水産物・食品輸出促進戦略に掲げる輸出基幹品目に限らず、海外市場で販路開拓に向けた環境整備は重要であると認識しているところです。輸入規制については、輸出先での残留農薬基準や検疫条件が未設定の品目があるほか、既に検疫条件が設定されている品目であっても厳しい条件が課されているものがあるため、全国知事会を通じて、国に対し、輸入解禁や条件緩和の早期実現のため、積極的に二国地域間協議を行うよう要望しているところです。引き続き、輸入規制の緩和に向けた取組を国に求めていくとともに、県としても、輸出先の各種規制に関する情報提供や、残留農薬基準をクリアできるような栽培技術指導、輸出に必要な国際認証の取得支援を行うなど、輸出に取り組む生産者や関係機関と連携しながら、県産品の輸出拡大に向け取り組んでまいります。
○議長(菊地恵一君) 四十六番吉川寛康君。
◆四十六番(吉川寛康君) 御対応よろしくお願いいたします。今後の宮城県勢発展に向けまして、今後の海外との連携強化でありますとか、そしてまた、積極的な観光戦略、こうしたところの分野についても、知事を先頭に頑張っていただくことに御期待申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。 〔三十三番 渡辺勝幸君登壇〕
◆三十三番(渡辺勝幸君) 自由民主党・県民会議の渡辺勝幸でございます。議長のお許しを頂きましたので、通告に従い、大綱三点について質問いたします。 大綱一点目、知事の全国知事会会長就任への期待と懸念についてお伺いいたします。 村井知事におかれましては、九月三日より全国知事会会長に就任されました。宮城県知事が全国知事会の会長に就任されるのは、史上初めてとのことであり、宮城県民の一人として大変うれしく心よりお祝いを申し上げます。全国知事会は、地方の声を国に届ける諸団体の中でも上位に位置づけられており、かねてより国に対して地方の要望や政策提言を行ってきました。私自身も、この県議会において、三位一体の改革による弊害として、新生児聴覚検査事業、学校図書館図書標準、新聞配備などを挙げながら、地方税財政の在り方について議論をしてきましたが、地方が元気になるような活動を更に進めていただきたく、大いに期待をするところであります。全国知事会会長として、知事が進めていきたいことについて、その思いや岸田政権に対してどのように対峙していくのか、抱負、その決意や志についてお伺いいたします。 一方で、全国知事会の方向性と宮城県の方向性が必ずしも一致するとは限りません。また、知事が全国知事会会長という重責を担われることにより、ますます多忙を極められることとなり、これまでのように、県政の課題の細部にわたって直接指揮を執ることが困難になってくるのではないかと懸念されます。そこで、歴代の全国知事会会長が二足のわらじを履いた後に、県政がどのようになっていったか各県議会の議事録等を読んだところ、ある県では、県知事の知事会長就任により、その後、業務が多忙を極める余り地元を不在にすることが増え、県議会において、「県政に影響はないのか、知事会長としての活動が県にとって本当にメリットがあるのかといった声がある。」という指摘がありました。特に、村井知事はこの十八年間、よかれあしかれトップダウンで物事を決めていかれることが多かったように感じます。今後、政策決定の形成過程において、知事不在により、県政の重要課題について物事が決められないというようなことは、何よりも避けなければならないことであると考えます。今後、知事が物理的に宮城県を不在にすることが増える中で、県政の政策決定過程をどのように進めると考えておられるのか、副知事に大きな役割を与えていくということも重要であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 さて、この県議会定例会が県議会議員今任期の最後の議会となり、私も、これが最後の質問であってもおかしくないとの覚悟を持ちながら、この議会に取り組んでおりますが、県議選は、この十月二十二日に投票日を迎える日程となっております。この県議選は、震災以降、ちょうど宮城県知事の任期の折り返しである時期に行われ、県政運営の是非が争点となる知事選挙の中間選挙的な意味合いがあるものと考えられます。七月に行われた仙台市議選をはじめ、ここ最近の選挙は全国的に自民党に厳しい結果となっており、新しい政党などへの支持が高まっているとの報道もあります。仮定の話ではありますが、この十月に実施される予定の宮城県議選で自民党公認候補の選挙結果によって、県議会において自民党が単独過半数割れとなった場合、村井知事に対する県民の信任が損なわれたと捉えることもできると思いますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、大綱二点目、富県宮城と経済安全保障についてお伺いいたします。 村井知事が就任以来進めてきた富県宮城を看板とする諸政策は、大きな成果が出ているものと感じております。数字としてもその成果は出ていると言え、村井知事就任当初は、県議会からも現実的ではないと厳しい声が上がっていた、県内総生産十兆円を平成三十年度に達成、また、県税収入の伸びを見ると、村井知事就任の平成十七年度には二千五百二十億円だったその税収は、令和四年度には三千五百十三億円へと大きく伸びており、他県に比べても大きな成果が出ていると言えます。その要因としては、トヨタ自動車東日本や東京エレクトロン宮城などの企業誘致、東日本大震災からの復興などが挙げられると思いますが、一方で近年、チャイナリスクによる製造業の国内回帰が大きな傾向となって現れているところです。近年のチャイナリスクは、我が国にとどまらず、令和元年頃からは欧米においてもその動きが顕著となっており、世界各国では、中国との貿易や投資に規制をかけ、半導体などの重要品目の供給網を中国から分離し、強靭性を高めるため、巨額の補助金を使って生産拠点の国内誘致を進めています。製造業の企業誘致が世界的に、そして全国的に大きな流れとなっている中で、経済安全保障の観点も含め、半導体はじめ製造業の宮城県への誘致を更に進めるべきであると考えますが、県としての見解をお伺いいたします。 更に、ヘルスケアやクリーンエネルギー、航空宇宙関連産業といった分野の誘致も今後重要であると考えますが、その見解をお伺いいたします。 今年八月の福島第一原発処理水放出に関連して、本県の水産業界にも大きな影響が出ております。農林水産省の発表によりますと、今年七月の中国向けの水産物の輸出額は七十七億円と、前の年の同じ月を二三・二%下回りました。大変厳しい状況になっていますが、これを機に中国に依存しない輸出体制の強化を図ることも重要なテーマであると考えます。国と連携しながら、中国以外の国への輸出・販路開拓を推進すべきと考えますが、その見解をお伺いいたします。 去る六月、村井知事、菊地議長とともに、
ブラジル宮城県人会創立七十周年記念式典にお招きいただき、県人会の方々と意見交換する機会を頂きました。宮城県の県人会は、首都圏を中心に様々ありますが、海外の県人会の活動も活発であります。地縁を中心につくられたネットワークであり、距離は離れていても宮城県を思う気持ちは強く、世界各地の宮城県人会の方々は、七夕飾りを美しく作って、現地の方々に宮城・日本の文化を伝えています。更には、宮城県の県産品を売り込む意欲も大変強いということを感じており、それぞれの県人会の方々の職業も様々ではありますが、こうした強みをしっかりと生かして、県産品の海外販路開拓に生かしていくべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。 次に、県道十号線の観光道路としての活用についてお伺いします。 宮城県道十号塩釜亘理線は、古くから浜街道と呼ばれ、東日本大震災時には大変厳しい状況にありました。現在は東部復興道路として、仙台空港-仙台港をつなぎ、その沿線の仙台東部沿岸地域には、果樹園や大型商業施設もオープンし、にぎわいを取戻しつつあります。観光の視点から、この道路を戦略的に活用し沿線の県内市町村と連携をとりながら、地域経済の活性化を今まで以上に促進していくことは、県内の観光ルートの一つとしても重要であると考えます。県の見解をお伺いいたします。 にぎわいを取り戻しつつある県道十号線の沿線ではありますが、一方で渋滞が発生し、生活道路として利用していた地域住民からは不満の声が上がっています。とりわけ、閖上大橋南部の名取市閖上交差点を中心とする渋滞は、朝夕の車の交通量が多く、田んぼの真ん中の抜け道も渋滞するという状況にあります。にぎわいを取り戻し地域が活性化することは大変重要なことではありますが、地域住民の皆さんの生活の向上と足並みをそろえることが必要です。県の見解をお伺いいたします。 次に、大綱三点目、四病院再編問題への懸念等についてお伺いいたします。 八月三十一日の精神保健福祉審議会は、報道で大きく取り上げられたところであり、各種報道を見ていると、知事と審議会の対立、かみ合わない議論、知事の審議会軽視ともとれるように見受けられました。その後、三時間半にわたる議論の議事要旨、六十四ページの全てを拝読しましたが、知事のかたくなな姿勢に挑発と感じた委員の方々も、感情的な議論になっており、最終的には、知事の新たな提案は認められないという意見を取りまとめたようであります。今回のように、県行政と審議会に政策判断の乖離があることは、そもそもまれではありますが、それでも乖離があった場合、まずはその乖離を埋める努力を知事はするべきなのではないでしょうか。更に、政策判断の乖離を放置したまま政策を進めるということは、この精神保健福祉審議会にとどまらず、宮城県があまた設置している、おのおのの審議会に参加をされている専門家の先生方も、だったら審議会は要らないだろう、勝手にやってくれという心情になりはしないでしょうか。審議会とはそもそも何なのか。知事は審議会の位置づけや審議状況をどのように認識しているのでしょうか、お伺いいたします。 さて、そもそも公約とは一体何なのでしょうか。県議選を前に考えさせられるものがあります。一般的に政治家は公約を掲げて選挙戦を戦い、その公約を実行できなければ、力のない政治家、また時には、うそつきの政治家と言われ、次の選挙では落選することもあるでしょう。その点においては、政治家村井嘉浩は二年前の知事選において、四病院再編を公約として掲げ選挙に勝利し、公約を実行しようとしている政治家としてあるべき姿であり、ある種の敬意をもって私は見ております。しかし、しかし、有権者の側から見れば、渡辺勝幸の公約を見て、ある公約には賛成だけれども、この公約はどうかと思う。けれども総合的に判断して勝幸君に期待して一票を投じよう、そんな方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。一方でまた、当選した後に、選挙時には想定できなかった事件が発生し、掲げた公約を一時的にとどめ置いて、異なる政策を先行実施しようということもあるのだろうと思います。政治は生き物でありますので、それがベターな判断であるということもありうるでしょう。つまり選挙時の公約とその実行には、厳密性が求められておらず、法的に公約が実行できなければ罰則があるわけでもありません。なぜ今回、この四病院再編問題について、とりわけ厳密性を打ち出しているのかという疑問を多くの県民が持っています。公約実行の厳密性について、知事の考えをお聞かせください。 そもそも四病院再編問題は、宮城県における政策医療の課題解決のために、そして急激に進行する少子高齢化社会の到来や人口減少、財政課題などを踏まえ、地域医療のあるべき姿を模索した結果、進めていかなければならないテーマであり、私もその問題意識は共有するところであります。しかし、今回の審議会での議論も含め、そもそもの議論から離れた議論になってはいないだろうかという懸念を感じると同時に、県民の間には、本来の議論の是非ではなく、知事の強引な政治手法や、その聞く耳を持たないかのような姿勢に対する大きな批判が巻き起こっているように感じているところです。こうした現状を見るにつけて、この四病院再編問題について、県議会に議案がいつどのように上がってくるのかは分かりませんが、正直に申し上げれば、現時点で私としては、賛成することがはばかられる心境であり、自民党会派内でも私と同様に感じている議員が少なくないものと思います。改めてもう一度、この四病院再編を通じて目指すもの、再編の必要性は何かということを確認したいと思います。 次に、COPDについてお伺いいたします。 COPDとは、慢性閉塞性肺疾患、たばこの煙などの有害物質が原因で肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなる病気とされ、肺の生活習慣病とも言われています。世界では死因の第三位に挙げられており、様々な合併症の併発が大きな問題となっているところです。今年五月に厚生労働省が打ち出した健康日本21(第三次)においては、COPDの死亡率の目標値が設定されました。本県の次期健康増進計画、第三次みやぎ21健康プランにおいて、県民へのCOPDの認知度向上等普及啓発や、健診で把握できたハイリスク者等への受診勧奨強化を取り入れるなど、健康寿命の延伸という観点の政策を推進していくべきであると考えますが、県の見解をお伺いいたします。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴いただきまして誠にありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 渡辺勝幸議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、知事の全国知事会会長就任の期待と懸念についての御質問にお答えいたします。 初めに、会長としての思いや決意についてのお尋ねにお答えいたします。 地方行政を取り巻く環境が厳しさを増す中、私は全国知事会会長として、四十七都道府県が力を結集し行政のパフォーマンスを向上させ、国内外に積極的に働きかけていくことが重要であると考えております。このような考えのもと、他の都道府県と連携して海外でのプロモーション活動、行政のスリム化や分権型社会の実現に向けた国民的議論の喚起、大規模自然災害への備えに積極的に取り組んでまいります。また全国知事会の活動には、都道府県の意見を取りまとめ、強いメッセージを発して国を動かすという大きな役割があると考えております。国と地方は対等・協力の関係であるとの認識のもと、様々な団体と力を合わせながら国を巻き込んで、結果を残す知事会となるよう邁進してまいります。 次に、知事不在の中での政策決定と副知事の役割についての御質問にお答えいたします。 私はこれまでも、出張などで不在となった場合には、デジタル技術を活用しながら、副知事や関係部長らと連絡を密にし、円滑な県政運営に努めてまいりました。全国知事会会長に就任したことに伴い、今後県外などに赴くことが多くなり、副知事に任せる業務も増えてくると考えておりますが、これまで以上に庁内の連携をしっかりと図り、適切な政策形成に努めてまいります。 次に、宮城県議会議員選挙の結果についての御質問にお答えいたします。 私は一昨年の五期目当選以来、新型コロナウイルス感染症対策、次世代育成・応援基金の設置による少子化対策、公的関与の日本語学校設立や人口減少などに立ち向かっていくためのDXの推進など、様々な県政課題に取り組んでいるところであります。県議会議員選挙は、それぞれの選挙区ごとに課題や争点等が異なるものでありますし、それぞれの候補者の方が御自身の政策を訴えられ、投票が行われるものと承知をしております。県議会議員選挙であって、知事選挙ではございませんので、その結果のみをもって、私に対する県民の信任と直接関係があるかは判断が難しいところでありますが、私の様々な県政運営に対する一つの目安にはなるものだというふうに考えております。 次に、大綱二点目、富県宮城と経済安全保障についての御質問にお答えいたします。 初めに、半導体をはじめとした製造業の誘致についてのお尋ねにお答えいたします。 私は、知事に就任して以来、産業振興による経済の成長を通じて、福祉・教育・社会資本等の充実を図る富県宮城の実現を目指し、企業誘致をその大きな柱とし積極的に取り組んでまいりました。近年、米中貿易摩擦の激化やデジタル社会の進展など、国際情勢や社会環境は大きく変化しつつあり、国においては、経済安全保障の観点からも、半導体や蓄電池などの重要物資について、国内における生産基盤の整備を積極的に後押ししております。特に半導体分野については、我が県には世界最先端の研究開発を行う東北大学や、世界的な大手半導体製造装置メーカーが立地していることから、関連産業の誘致に向けて、大きな強みになるものと認識をしております。経済安全保障上、半導体をはじめとした重要な製造業は、世界各国で激しい誘致競争が行われておりますが、本県産業の発展に大きな効果が期待できることから、国とも連携を図りつつ、今後も私自らが先頭に立ち、積極的な誘致を展開してまいりたいと考えております。 次に、中国に依存しない輸出体制の強化についての御質問にお答えいたします。 県産品の海外販路拡大については、宮城県農林水産物・食品輸出促進戦略において、水産物のほか、米、牛肉、イチゴ、日本酒の五品目を輸出基幹品目と定め、積極的な輸出促進施策を展開しております。福島第一原子力発電所事故に起因した県産品の禁輸措置等が、中国をはじめ一部の国や地域で継続する中で、今般処理水の海洋放出により、新たに香港での禁輸措置が講じられたことは、海外販路の開拓や輸出に取り組んできた県内事業者に大きな影響を与えるものと認識をしております。これまで県では、禁輸措置を継続している中国以外への販路開拓を図るため、水産物を中心とした東南アジア地域へのマーケティング支援をはじめ、近年では、欧州向けの日本酒、タイ向けのイチゴなど、海外市場のニーズを踏まえた商品づくりや新しい商流の構築支援に取り組んでまいりました。将来にわたって県内企業の成長を促し、豊かな宮城を実現するためには、既存の販路の強化にとどまらず、不断の販路開拓が必要であることから、今後とも、国やジェトロなど関係機関と連携をしながら、新たに輸出に取り組む事業者や品目の掘り起こしを積極的に行い、県産品の輸出拡大に取り組んでまいります。 次に、世界各地の県人会と連携した県産品の海外販路開拓についての御質問にお答えをいたします。 海外において活発に活動されている県人会の皆様には、海外各地と我が県の橋渡し役として重要な役割を果たしていただいているものと認識をしております。県産品の販路開拓は、世界各地に宮城のファンを獲得していく取組にほかならず、長年にわたり海外から宮城県を思い、現地において愛着を持って我が県の食や文化を伝えていただいている県人会は、みやぎの応援団であり、心強い存在であると考えております。県としてもこれまで、海外県人会がある
カリフォルニア州やハワイ州において、東北経済連合会等と連携し、米や乾麺、水産加工品など宮城県産品の輸出拡大に取り組んでまいりました。今回初めて参加する
ホノルルフェスティバルについては、ハワイ県人会の多大なる御協力を頂くこととしており、今後は世界各地の県人会の皆様と連携を強化しながら、より多くの方に宮城県産品の魅力を届けられるよう、海外への販路開拓に強力に取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、四病院再編問題への懸念等についての御質問にお答えいたします。 初めに、審議会の位置づけや審議状況についてのお尋ねにお答えいたします。 審議会とは地方自治法に定める附属機関であり、法律や条例に基づき、執行機関からの諮問に対して答申を行うほか、執行機関に対して意見を述べるなどの目的で設置される合議体の組織であります。判断や施策の実施に対して責任を担う執行機関においては、審議会からの答申や意見の具申などを踏まえた上で、自らの責任において最終的な意思決定を行うものと認識をしております。なお、県立精神医療センターの移転については、これまで精神保健福祉審議会に対して、三回にわたり報告・説明を行い、各委員から多数の御意見を頂いております。民間病院を公募するという今回の提案は、審議会をはじめ患者の皆様などからの御意見を踏まえ、慎重に検討を重ねた上で提示したものであり、実現可能性に関する疑問など、様々な御意見を頂いたところでありますが、その内容等につきましては改めて審議会において説明を尽くしてまいります。 次に、四病院再編に対する公約実行の厳密性についての御質問にお答えいたします。 私は選挙における公約とは、有権者の皆様に対する約束事であり、当選した政治家は公約実現のために全力を尽くすべきでありますが、必ずしも公約実行の厳密性が全てに求められるものではないと考えております。一昨年の知事選挙において、私は最大の争点となった四病院を統合・合築させ、名取市及び富谷市に開院することを公約に掲げ、対立候補の方はそれを白紙撤回することを公約にされ、その結果私が当選いたしました。したがいまして、四病院再編は他の公約とは重みが違うものであり、日本赤十字社または労働者健康安全機構から再編は難しいとの申出があれば別でありますけれども、県側からできないということになれば、私の政治的な責任が問われるものだというふうに思っております。 次に、四病院再編を通じて目指すべきものや再編の必要性についての御質問にお答えをいたします。 少子高齢化や人口減少が進む中で、我が県の地域医療を取り巻く環境変化に対応していくためには、将来的に必要となる医療機能等を見据え、地域の医療機関の補完・連携を一層進めることが不可欠であります。今回の病院再編は、このような状況を踏まえ、老朽化に伴う建て替えの時期に合わせて、限られた医療資源を最大限活用しながら、政策医療の課題解決を図るとともに、将来にわたって持続可能な医療提供体制の確保を目指すものであり、方向性は一貫して変わっておりません。県としては現在課題となっております県立精神医療センターの移転後の対応も含め、病院再編の目指す姿や必要性について、県民の皆様に丁寧に説明をしながら、実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱三点目、四病院再編問題への懸念等についての御質問のうち、COPDの認知度向上に向けた普及啓発等により、健康寿命の延伸という観点の政策を推進すべきとのお尋ねにお答えいたします。 COPDは肺の生活習慣病と言われ、我が県における男性の死因の第十位となっており、大きな健康課題の一つと考えております。このため、現在策定作業を進めている次期みやぎ21健康プランにおいては、健康寿命延伸の観点から、生活習慣病である、がん・循環器病・糖尿病に加え、COPDについても重要な取組として位置づけて、対策をより強化する方向で検討しているところでございます。COPD対策のためには、認知度向上をはじめ、予防、早期発見・介入、重症化予防等の取組を総合的に行うことが重要と認識しております。今後、みやぎ21健康プラン推進協議会委員等の有識者の助言を頂きながら、より実効性のある取組を推進することにより、県民の健康寿命の延伸を図ってまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱二点目、富県宮城と経済安全保障についての御質問のうち、ヘルスケアやクリーンエネルギー、航空宇宙関連産業などの誘致についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の基本的な誘致戦略といたしましては、大規模な設備投資や雇用が見込める高度電子機械、自動車、食品関連産業を最重点分野に位置づけ、また、将来の成長が見込まれる医療、健康、環境、航空宇宙関連産業など五分野は重点分野として企業誘致に取り組んでいるところです。ヘルスケア、クリーンエネルギー、航空宇宙関連産業については、近年その重要性が増しつつあり、市場規模の大幅な拡大も期待されることから、重視すべき分野だと認識しております。これまでも情報収集や企業訪問を重ね、立地を進めてまいりましたが、仙台都市圏を中心とした人材確保の優位性や東北大学の研究開発力など、我が県の強みをより積極的にアピールし、生産拠点や研究開発拠点の更なる立地に向けて一層の努力を重ねてまいります。 次に、県道十号線の観光ルートとしての活用についての御質問にお答えいたします。 県道十号線については、沿線に海を望む美しい景観や海産物を中心とするグルメスポットを有するとともに、東日本大震災後には、荒浜小学校などの震災遺構や震災復興伝承館が整備されるなど、復興を象徴する観光ルートであると認識しております。県ではこれまで震災により大きく減少した観光需要を回復し、地域経済及び地域社会の活性化を図るため、沿岸部交流人口拡大モデル施設整備事業により、アクアイグニス仙台やJRフルーツパーク仙台あらはまなど、沿線六施設の整備を支援してまいりました。また、誘客の促進に向けては、沿岸市町や大型商業施設等と連携したイベントの実施や、商談会を通じた伊達なバス旅での商品造成のほか、SNSや各種広報媒体を活用した積極的な情報発信を行っているところでございます。県といたしましては、国内外に発信力のある企業をはじめ、沿線市町や観光施設等とも連携しながら、宮城を代表する観光ルートとなるよう、更なる魅力の向上に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、富県宮城と経済安全保障についての御質問のうち、県道十号の渋滞対策についてのお尋ねにお答えいたします。 県道十号である塩釜亘理線は、東北唯一の国際拠点港湾である仙台・塩釜港や東北のゲートウエーである仙台国際空港へアクセスするなど、我が県沿岸部の産業・経済活動を支える重要な幹線道路であります。このうち東日本大震災で甚大な被害を受けた仙台市や名取市の沿岸部においては、復興まちづくりによる新しい市街地が形成され、集客施設や産業団地等の立地が進んだことで、近年交通量が増加しております。特に、名取市の閖上交差点から仙台市藤塚地区までの区間では、慢性的な渋滞が発生しているほか、その影響が周辺地域の生活道路にも及んでいることから、早期の渋滞緩和が喫緊の課題であると認識しております。このため県では、昨年度閖上交差点において、交通量や渋滞の長さなどの調査を実施するとともに、今年度は調査範囲を拡大し、渋滞原因の分析を実施するほか、仙台市においても、藤塚地区で周辺道路を含む交通量調査を行うと伺っております。県といたしましては、道路利用者のみならず、地域住民の円滑な交通の確保に向けて、引き続き仙台市や名取市と緊密に連携しながら、周辺道路も含めた効果的な渋滞対策について検討してまいります。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) それでは、順次再質問をしてまいりたいと思います。 まず大綱一から、改めて知事の全国知事会会長就任おめでとうございます。ぜひとも御活躍いただいて、村井嘉浩らしい発信力を持って、地方の声を岸田総理に、また、いろんな方々に届けてほしいと思います。この全国知事会の会長就任に当たって知事のコメントを読んだんですが、国と協力できることは協力し、厳しい意見を申し上げることは申し上げると、また処理水放出の風評被害対策についても、国や東京電力に対して知事会長として物申していくと、心強いコメントをされております。お祝いはこの程度にしまして、私も村井知事を見習って、知事に遠慮なく厳しい意見を申し上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 この二足のわらじについては、前例のないことでもありまして、ちょっと私も、またいろんな方々が懸念をされているという声もありますので、先ほど御紹介したある県の知事は、全国知事会長の退任後の知事選で残念ながら落選されています。知事が次出るかどうかはちょっと分かりませんが、この任期の二年間は非常に重要な二年間であるというふうに私は思っておりますので、先ほど御答弁もありましたけれども、県庁内のコミュニケーションと県議会側のコミュニケーションは、やはり知事でないとできない部分もあるのではないかなと思いますので、ちょっと心配していますが、この点いかがでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 全国知事会事務局が都道府県会館の中にございます。六階にあるんですが、そこに各県から優秀なメンバー、そしてプロパーの優秀な職員がいて、事務総長がおられて次長がおられて、また、宮城県の東京事務所の副所長が今回一人つなぎ役で入りました。そういったようなことがありまして、もちろん宮城県庁はすごく忙しくなりますけれども、全国知事会とうまく調整をして、できるだけ全国知事会の仕事は、全国知事会の事務局のほうでできるだけやっていただいて、各県との連絡調整などもやっていただく。そして、県としてお手伝いできることをお手伝いするというような形にして、バランスをとっていきたいなというふうに思っております。早速定例的な会議を東京で開くことにしているんですが、その際も、私と事務総長と次長とそして東京事務所副所長から行った部長と、そして一部から三部まで調査部というのがあるんですけど、各部長が入って、とにかく風通しよく、意見交換をしながら、そしてすぐ何かあった情報を全て県のほうにというふうにしてやっていきたいなと思っております。ただ、かなり仕事の量が増えることは間違いないというふうに思いますので、その分県職員にも負担はおかけしますけれども、非常に職員、みんなやる気を持っていただいています。あと今いろんな情報、デジタル技術を使って情報交換、やり取りできますので、移動中でも飛行機に乗っている以外は、大体情報交換できますので、そういったツールを使って、しっかりと連絡調整をしたいというふうに思います。また副知事二人、非常にしっかり頑張っていただいていますので、お任せできることはできるだけ副知事に任せてやっていこうと思います。県議会との調整は非常に重要ですので、できるだけ、私が出るべきところは出ていって、副知事や部長にお任せできることはお任せしながらですね、しっかりと我々がやっている政策について御理解いただけるよう、最優先で努力していきたいというふうに思ってます。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) ではその体制をしっかりと進めていただきたいと思います。 県議選の話なんですけれども、昨日も外崎会長からありましたが、私もちょっと外崎会長と同じ意見で、七月三十日に行われた仙台市議選は、自民党としての票数は前回より約二〇%、二万四千票減って、維新の会が二万千票増やしているんですね。単純に計算して、やはり自民党に対する厳しい御批判が新しい政党に流れたと見ることもできるのではないかなと思うんですが、知事の発言には私も違和感を持ちまして、何で違和感を持ったかというと、やっぱり維新の躍進というのは、現状の政治に対する批判なんですよね。既成政党に対する批判であり、岸田政権に対する批判であり、郡さんに対する批判であり、村井嘉浩に対する批判なんですよ。四病院も含めた。村井県政に対しての厳しいメッセージであるにもかかわらず、そういう認識だというのはちょっとおかしいかなというふうに思いました。中間選挙に対する県議選の評価というのは、恐らく厳しいものがあるんだろうなというふうに私は思っています。県民の新しい政党に対する期待というのは、裏返すと知事への厳しいメッセージになるおそれが十分にあるというふうに思っているんですが、知事の認識いかがでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私は、県議会議員、市議会議員、この間市議会議員でしたけども、市議会議員は市民から選ばれた代表であります。したがって、どの政党であってもですね、維新に限らず、どの政党であっても、私は、しっかりと正しく評価をして、そして、市民の負託に応えてもらいたいというエールを送るというのが、やはり首長として大切なことだというふうに思っています。私も議員であればですね、自民党の県議会議員であれば、同じような発言をするというふうに思うんですけれども、逆に、首長として、全ての県民、全ての市民のことを考えなきゃいけない立場としては、有権者、市民から選ばれた、あるいは県民から選ばれた議員がどの政党に属していようが、それはしっかりと評価をして、尊重して、尊敬をしていかなきゃいけないというふうに思っています。それは知事になってからずっと一貫してやっていることですので、今回の市議会議員選挙だけではないということは御理解いただきたいというふうに思っております。自民党に対する厳しい批判ではないかなということでありましたけれども、これは、既存の政党に対する批判と私は受け止めていいのではないかなというふうに思っておりまして、これは与党・野党限らず--知事与党・野党ではないですよ。国政の与野党に限らずですね、やはり今の政治に対する閉塞感というものに対して新たな風、これ今までどの歴史を見ても、常に選挙のときに新しい風が吹いたらそちらのほうに期待票が流れていくというような、常でありまして、それが今回維新なのかなというふうに思っております。ここにおられます方で、引退なされない方は皆さん選挙に出るわけですから、全員の方が当選して、この議場にまた戻って来ていただけるということを期待しております。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) とはいえ、やはり厳しいメッセージは、知事に対する厳しい御批判もあるということを、私は思っております。 それでは大綱三に関連してですけれども、公約とは一体何かという話をしました。答弁の中で、一つの目安という言葉を頂きましたが、公約を厳密に守らなければいけないっていうのが、あまりにもちょっと今回出すぎているんではないかなということを、これは私だけでなく多くの方々からも、いろんなそういう声を頂いています。公約を厳密に守らなきゃいけないと考える、公約は守らなきゃいけないんだって考えるとですね、私も村井ファンの一人として、村井政策集二〇二一を読んでいますけども、この二〇二一、この前の知事選の公約の中に、衆知を集める県政というのが入っています。「物事を決めるときには周囲の意見をよく聞き、皆の知恵を生かすことが大切です。」(発言する者あり)そうなんです、ずっと入っているんです。私は更に「衆知を集め」というキーワードで、県議会の議事録を全部検索したら、村井知事は就任以来、衆知を集めるということは非常に大切にして、言葉を使っていらっしゃるんです。これ五、六十件あって、浅野知事、山本知事、本間知事、一回、二回ぐらいしか使ってないですよ。それぐらい衆知を集めるということをですね、もう就任以来大切にされてきて、就任当初、平成十八年二月の定例会では、安部孝議員の代表質問に、「私の政治スタンスは、一言で申し上げれば、今お話ありました、衆知を集めるということになろうかと思います。私自らが現地、現場に足を運びまして、できるだけ多くの皆様から生の声やお知恵を頂き、政策に反映をしていく、そうした県政運営を目指してまいりたいと考えております。」。この衆知を集めると松下幸之助が言って大切にしていた有名な言葉で、私もすごく大事だと思っているので、もちろん知事がお話しされているのも知っていました。私自身も大切にしたいと思っているんですが、県の審議会というのはまさに衆知を集める場なのではないでしょうか。この点についてどう思われますでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 衆知を集める政治というのは衆愚政治ではないということです。今回私が出した案というのは当初なかった案、全く考えてなかった案ですよね。私は、まずは精神医療センターを北に移せばそれでいいだろうというふうに思っていました。そうすると、患者さんが非常に困るという声があったので、その声を受けて、いろんな人の声を受けて、それではということで県庁でいろいろ協議をして。それでは、日赤に、日赤とがんセンターの新しくできる病院に、精神科の外来機能、通院機能を設けようということで、日赤さんにも御理解いただいて発表しました。今度は、そうすると審議会で、それでは足りないんだと。特にやっぱり入院機能がなくなる--急性憎悪のときに対応できなくなる、訪問看護がおろそかになる、デイケアがおろそかになると、そういう声があったので、そういう声を受けて、また県庁内でいろいろ議論をした上で、そして新たな案としてまた出したということです。ですから、私としては、ほんと審議会の意見をしっかり受け止めて、患者さんの意見を受け止めて対案を出していっているということなんですね。ですから、それについては、私としては、いろんな御意見を聞いて、それに対して、県としてやれることをどんどんで提案していっているということです。恐らく、もし病院が、まだ何も決まっていないし、公募もしていないんですけども、公募して、仮にですよ、病院が決まれば、今まで出てた課題は、ほぼ全てクリアできるというふうに思います。したがって、それがまずどうなるか分からないので、ここで議論がなかなか前に進めないんですけれども、まずそれをやってみたいなというふうに思っています。 それと、この公約の問題で、公約ってそんなにこだわらなくていいと言われるんですけど、逆にですね、私ではなく、私の対抗馬であった方が当選されました。白紙撤回と言っていて当選されました。その方がもし、やっぱり私は四病院はやるべきだと思いますと、ころっと方向変換したときには、恐らくこの辺に座っている人たちは、公約違反だって大騒ぎすると思いますよ。絶対公約違反ってなっちゃう。同じことだと思うんですよ。だから、私がこれやるって言っててやらないってのが今度は公約違反だ。私は、そこが一番重要な、一番肝になっていた公約、そしてそれが最大の争点で、マスコミもそれ争点でしたから、それを取りやめるということになると、これ私は非常に大きな問題になるかなというふうに思って、それぐらいの覚悟で臨んでいますということを、お話をしたということでございます。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) 分かりました。まず衆知を集めるというのは、ちょっとずれてるなというふうに思いましたけれども、ちょっと中身の話に入りたいと思います。今回の新提案ですが、名取の新病院のほかに、「にも包括」に関する事業、予算の大幅拡充、精神保健福祉に関する県の組織体制の強化、この点についてはやはり評価するべき内容だというふうに思っていますし、まだまだ不安な点が出てきておりますので、その点を払拭するための課題解決は更に進めていただきたい。ここで終わりにしないで更に進めていただきたいと思います。病院再編、富谷移転に係る審議を議事録、六十四ページで長いもの、かなりすばらしい内容の議事録を読んでみましたが、しかしですね、今年二月から通算四回開催されていますが、審議会の意見を反映すること、また、ちょっと効果的で円滑な協議というようには見えない部分がありますが、この効果的で円滑な協議に努力されているのかどうかというのを伺いたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 御指摘のとおり、今年の二月から四回にわたり開催をさせていただきまして、私どもの考え方について、その都度その都度、丁寧に御説明を申し上げてきたつもりではございます。ただし、そもそもの今回の病院再編に伴い、精神医療センターを富谷にということに関する、反対の立場の御意見をお持ちの委員の方々が多くいらっしゃったということが現実的にございまして、その立場から厳しい御指摘を頂いてきました。特に五月の審議会では、一応名取市内の移転先について種々検討したけれども、富谷のほうがスケジュール感、老朽化が著しいセンターの移転に対するスケジュール感等も含め、最も最適であるというような御提案をしたことに対しても、それは現時点では審議会としては認められないといった決を採られた経緯もありました。 その後、前回の八月までの間にですね、どうして反対なのかといったようなことを一つ一つ丁寧に反すうしながら、また、審議会以外の障害者の方々、医療従事者の方々、様々な方々の御意見等をひざ詰めでヒアリングの形でお伺いすることも併せまして、そういった方々から出てきた不安とか意見も併せて、この対案にする形を八月の前回の審議会でお示ししたところでございます。これをいかにすれば、御指摘もございましたとおり、一部の委員の方からは、アイデアとしては分かる、だけども実現・実効性はどうもないんじゃないかといったような、イエス・バットのような御意見もございましたし、ちょっと今日提案聞いたばかりで、もうちょっと掘り下げる必要があるので、継続審議にしたらどうだといったような御意見もあったところでございました。 結果的に、議事録にもございますような結論になりましたけれども、今回、そういったこともとらまえまして、期間を設け改めて今回の御提案の趣旨を再度私どもとしても説明を尽くし、それに対する中身についての御議論を深めることによって、何とか御理解を賜れるような場に持っていければなというふうに、今思いでおります。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) 精神医療センターの富谷移転ですけれども、本当に様々な懸念、不安の声があります。名取市での建て替えが不可能と判断した理由をですね、もう少し詳細にお伺いをしたいと思います。審議会の先ほど読んだ議事録を読みますと、現在の精神医療センターの老朽化が非常に激しいという現場の声、あと、つい最近ですね、天井が自然に落下して、けがをした方もいると。名取での建て替えの土地を探し続けても場所が見つからないと、これ繰り返しお話いただいていますけれども、時間的要素、早急な解決が必要だという御意見は理解できるんですが、名取市でなぜ建て替えができないのか、これはやはり多くの方が疑問に思っているところだと思うんですが、この理由をお伺いしたいと。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 審議会の場等でも、具体的にこの場所を想定してといった形で名取市内での移転といったことも提案されておりましたので、そういったことについてお答えしたいと思いますけれども、まず、大きかったのはがんセンターの西隣の山林地、元は、もともとここが候補地ということで検討を進めた経緯が過去にはあったわけですけれども、地権者の方々との意見交換の結果等もありまして、一度断念したといったことがありました。 その後、今年に入りまして改めて、代替わりをしたとか事情の変更もあるので、そこについてもう一度検討してほしいといった申し入れも受けましたので、名取市当局等も含めて、改めて私どもとしては真摯に検討させていただきました。結果一番ネックとなっているのはやはり、文化財の埋設が想定されるということは、前回の時点でも分かっておりました。これを本格的に調査していくとなると、山林地、また、非常に傾斜地でございます。山側の傾斜しているところでございますので、そういったことにちょっと時間を要することが想定されるということ、少なくとも三年くらいは、これだけかかるんじゃないかといったような、目安の御意見も当局から頂いたところでございます。加えて、申したような山林地でございますので、造成にかかる時間、切土、盛土、樹木の伐採、伐根、そういったものを丁寧にやっていったら、やっぱり四、五年以上、少なくとも四、五年、現状の富谷の移転よりはかかってしまうということが容易に想定されるといった結果になりました。となりますと、現在のセンターの院長先生が、やはりもう、富谷の移転を前提にした残り五年間で動くといったことでも、何とかぎりぎり持たせられる状況だし、建物そのものの老朽化に加えて、機能の陳腐化というか、個室化にも対応しきれていない部分があって、病院経営の中でも非常に問題が出てきている中で、そういったものにも一刻も早く対応することを考えると、やはりそういったものは対象地として含めることは難しいといったことでした。以下、現地での建て替えということで、少しずつ、今のセンターを壊しながら、ちょっとずつ建て替えていったらいいんじゃないかといったような御意見もありましたけども、これは、現在入院している、通院している患者さん、二十四時間三百六十五日の救急を受け入れているといった現状に鑑みて、現実的ではない御意見だということでございます。 また、その道路向かいに所有地がございまして、仮設住宅で使っていた土地がございますが、あちらについては、住宅地が周辺に張りついていて、そのアクセス道路が非常に狭隘、狭い部分でございます。加えて、狭隘なところで二十四時間三百六十五日救急を受け入れるような体制にすると、非常にそこは難しい部分があるので、道路から、県道から取付けをすることになると思うんですけれども、そこが非常に高低差があって、スロープとか、取付けのところに非常に技術的な問題がある。結果、狭隘な部分も、敷地に狭隘な部分が結果的に出てしまうだろうと。加えて、上下車線に高低差があるので、右折、左折が一方向からしかできないといった現状もあるので、こういったことも、問題あるということでございました。そういったことでありますけれども、一つ一つつぶさに検証した上で、これはちょっと対応が難しいといった結論を私どもでやったので御理解賜れればと思います。長くなって恐縮でございます。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) 質問しようと思ったものが答弁されておりました。 民間病院の誘致の検討結果について、次お伺いしたいと思います。審議会以外にも関係者の皆様との意見交換を重ねているというようには聞いておりますけれども、今回の民間誘致に関して、相手方、内容とか議論の相手はどうなのか。民間誘致に今回の提案に反映されているのかどうか、お答えできる範囲でお答えしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 正直申しまして、本当にどういった公募の意見が上がるかどうかといった見通しも含めて、そこは未知数だといったことが私担当としては申し上げざるを得ないところでありますが、具体的な公募の要綱案、こういったものを先には別の医療審議会のほうにもお示しをし、御意見を賜りまして、様々な御意見を取り上げて整理をしているところでございます。そういった具体的な公募案を提示することで、イメージを更に深めていただいて、それが公募後も公募のタイミングに合わせて、県内の各病院等にも、お話を聞いていただきまして説明の機会を設けさせていただくことによりまして、何とか御理解を賜るような方向にいければなと考えてございます。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) とはいえですね、議事録読んで、専門家の先生方が、やはり実現可能性について疑問の声をかなり持っていらっしゃいますが、仮の話ばかりで恐縮ですが、仮に応募がなかったときはどうされるのか、その対応策はもう考えていらっしゃると思いますが、お答えください。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) もし手が上がらなかったらどうするのかということですけど、その際はですね、また別な案を考えなければならないというふうに思っていますが、現時点においてですね、この案ということを決めているわけではありません。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) 決めてないということでこれ以上は言いませんが、普通、民間でできなければ県でっていう話になるのかなあというふうにも思いますので、その場合、結局議論、何だったのかなという状況にもなりかねないところありますので、ここのところはしっかりと詰めていただきたいと思いますが、公募の問題ですね。今回の病院公募について、私はあの日、ネットニュースで知ったんですけれども、年内に実施をして決定されるということですが、そもそもこの公募の実施の、実施自体の可否については、法的に議会にかけられるべき、賛否を問われる類いのものになるのでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) これは議会に諮る--現時点においてですね、公募をやるかやらないかということについては、議会に諮る案件ではないです。今後、何らかの、例えば財政支援をするといったようなことになれば当然予算が出てまいりますので、議会に諮る案件になるということになります。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) 恐らくそうだろうと私思いまして、今まで県の公募、ほかの分野もですね、要綱、行政規則の類いのものだと思いますので、議会にかけられるべきものではないんだろうなというふうに思うんですが、知事はですね、これ何回も言っていますが、審議会で「どのような意見が出ても私の考えに変わりはない。私を止めることができるのは県議会だけだ。」というふうにおっしゃっているんですが、結局ですね、全体の賛否を諮る前に、この公募だけが行政裁量の範囲内で進んでしまったら、全体の議論の賛否決める前に、もう進んでしまったら、反対しづらいですよね。もちろん村井知事の政策には全て反対だという方は反対すると思いますけれども、公募提案して、公募が実現した病院がですね、病院があったとして公募を実施します。手上げますと言った後に、議会が反対したら、これ損害賠償になってしまうと思いますので、これはやっぱり、実はこれが一番私は問題なのではないかなと思っていまして、議会にかけるべき重大な案件である四病院再編の全体の賛否を問う前に、公募自体で、もう一部進んじゃってる。これ行政裁量の部分で進んでしまっているっていうのは、これはやっぱり議論の運び方として、これは逆に、議会側がちょっとなめられているんじゃないかなというぐらいの問題ではないかなというふうに思いますが、いずれにしましても、この議論は白熱をしているわけですが、精神科病院協会からはですね、対案が出ていると。この対案については、若干説明ありましたけれども、この対案は、県は実現性が低いというふうにおっしゃっています。この理由について改めて伺いたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 現時点において、またいろんな案が出てるのかもしれないですけども、私が現時点において知っている限りにおいては、現在の精神医療センターの向かいの、先ほど部長が答弁した、仮設住宅が建っていた駐車場というか空き地ですよね。そこに建てたらどうだろうかということだったんですけれども、ごめんなさい、間違えました。富谷の土地に民間の病院を建てて、そして県の精神医療センターを名取のほうに造ったらどうだということだったんですけれども、名取に造るときには県の協力を仰ぐということですので、県の看護学校の跡地を無償で貸与する。土地代はただと、固定資産税だけ払っていただくということで、富谷になりますと、当然、民間が自分で病院を建てるということですので、土地の手当ても自分でやっていただくということになります。それでなくても経営が大変だから難しいということでありましたので、より土地を富谷の一等地にですね、買い求めて、民間が建てるというのは、より実現性がないと言われている案よりも、更にハードルが高くなるんじゃないかなというふうに思って答えたということであります。
○議長(菊地恵一君) 三十三番渡辺勝幸君。
◆三十三番(渡辺勝幸君) 更にハードルが高くなるということであれば更にいろんな支援を進めていくという案もあるかと思いますが、どれぐらい費用がかかるのかっていうとまた難しい判断になってくると思いますが、ただ、多くの県民は、知事の新提案、この病院の新提案に対して、だったら名取で建て替えて富谷に民間病院つくればいいんじゃないかって、すぐ出てくると思いますので、この点はしっかりと説明をしていただかないといけないと思います。いずれにしましても課題は多くありますが、時間が来てしまいましたので、しっかりと議論を進めてよりよい形で進めていただきたいというふうに思います。 以上で終わります。ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩
----------------------------------- 午後一時再開
○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十八番八島利美君。 〔十八番 八島利美君登壇〕
◆十八番(八島利美君) 自由民主党・県民会議の八島利美でございます。議長のお許しを頂きましたので、通告に従いまして、大綱五点について、一般質問させていただきます。 それでは、大綱一点目、防災・減災、国土強靱化の推進についてです。以下五点について伺います。 一点目ですが、尾袋川・小田川流域の流域治水の推進についてです。角田市では、令和元年東日本台風の浸水被害発生要因の検証の上、角田市防災・減災構想を令和三年五月に策定いたしました。その中に、令和元年東日本台風で甚大な浸水被害を受けた阿武隈川水系尾袋川・小田川流域の流域治水の推進計画がありますが、今後、特定都市河川指定、流域水害対策計画策定、流域治水の本格的な実践へ進行していくと聞いております。早急に整備促進が必要だと思いますが、現状と今後の整備計画について伺います。 二点目ですが、小田川河川改修事業の整備促進についてです。角田市の小田川につきましては、現在、阿武隈川合流点から阿武隈急行線までの区間について、事業に着手し築堤の整備が進められています。令和元年東日本台風では、上流の山間部に降った大雨により、大量の水が未整備の堤防を越水し市街地に流れ込み、七百四十八戸で床上・床下浸水し、家屋の推定被害額五十九億七千万円もの被害が発生しております。現在、工事区間の築堤整備の早期完成、及び阿武隈急行線から小田地区の地蔵堂橋までの未整備区間について、早期の河道拡幅と築堤整備が必要だと思いますが、現状と今後の整備計画について伺います。 三点目ですが、雉子尾川河川整備の促進についてです。一級河川阿武隈川水系雉子尾川は、令和元年東日本台風により甚大な被害を受けました。発災以来今年度まで、災害復旧工事はもちろんのこと、防災・安全交付金事業、国土強靱化事業による樹木伐採・河道掘削工事、県単独事業による河道掘削工事、大規模特定河川事業による築堤・河道掘削等の工事が進められていますが、近年の豪雨の状況を考えると、残事業の早期完成が望まれています。現在の進捗状況と今後の事業計画、及び上流区間である三代河原橋から上流部の事業化の予定について伺います。 四点目ですが、国営土地改良事業角田地区、国営施設応急対策事業による、江尻排水機場の整備促進についてです。現在の江尻排水機場は、平成四年に完成し、角田市の農業基盤全般を浸水被害から守り、農業経営の安定に資するとともに、中心市街地の浸水被害を防ぐ地域排水効果も発揮し、市民の生命と財産を守る大変重要な施設となっております。令和元年東日本台風では、農業・土木・商工の被害総額が百億円を上回るなど、未曽有の大災害が発生したことから、機能強化等大水害に耐え得る施設整備の改修が急務となっております。現在も改修工事が進められておりますが、現在の江尻排水機場の整備状況と今後の事業促進に向けた取組について伺います。また、排水先である江尻排水機場下流の尾袋川の整備も喫緊の課題となっていますが、現状と今後の整備計画について伺います。 五点目ですが、内水排除のための排水機場の新設及び機能強化についてです。角田市の坪石幹線用水路は、丸森町内の阿武隈川から取水し角田市まで通じていますが、大雨時には、丸森町内から大量の雨水が角田市の野田地区に流入することで、以前から問題視されており、近年の豪雨災害でも、野田地区内において住宅や農地等に甚大な浸水被害をもたらしました。早急に排水機場の新設及び機能強化が求められています。また、角田市枝野地区の沼尻排水機場については、近年の豪雨災害において、隣接する丸森町小斎地区等で、阿武隈川の樋管閉鎖に伴い、排水ができなくなった大量の雨水が沼尻排水機場に流れ込み、排水し切れなくなり、枝野地区において住宅や農地に甚大な被害をもたらしました。こちらも早急に排水機場の機能強化が求められています。堀切排水機場並びに沼尻排水機場の現状と、排水機場新設を含めた今後の整備計画について伺います。 次に、大綱二点目、県南地区の道路整備促進についてです。以下、五点について伺います。 一点目ですが、白石・角田・山元間広域幹線道路の整備促進についてです。宮城県社会資本再生・復興計画の基本目標では、県土の骨格となる高速道路網の整備をはじめ、広域道路網の整備、県際道路や郡界道路の整備促進などを進めることとしています。一昨年六月に策定された宮城県新広域道路交通計画では、白石・角田・山元間について、一般広域道路に位置づけられていますが、将来、太平洋側と日本海側を結ぶ重要幹線道路にもなり、災害等により路線が遮断された場合においては、東北縦貫自動車道及び国道四号と常磐自動車道及び国道六号を連結し、重要な役割を担うことになります。更に、一級河川の阿武隈川が南から北へと流れており、主要な幹線道路との河川交差部には、六百メートル以上の長い橋梁が数か所架設されております。特に緊急輸送道路として、昭和三十五年に架設された六十年以上が経過する角田橋や、昭和四十三年架設の枝野橋などは老朽化が顕著で、幅員が狭く近年の大型車両の増加に伴い、安全性・定時性・快適性の面で十分な機能が確保されていない状況であることなどから、現在、角田橋の長寿命化事業が実施されておりますが、新たな橋梁架設も視野に入れて、地域高規格道路の整備を促進する必要があります。白石・角田・山元間の常磐自動車道から東北縦貫自動車道へ接続する広域的な高速サービスを提供する広域道路の整備は、沿線市町の振興発展と沿線住民の安全・安心の確保、そして、新たな物流や企業活動等、様々な面での活性化が図られ、その効果は極めて大きいので、地域高規格道路として早急に整備促進を図るべきだと思いますが、改めて所見を伺います。 二点目ですが、国道三百四十九号道路整備の促進についてです。本路線は、仙台方面と角田市・丸森町を結ぶ最重要路線であるほか、災害時の第二次緊急輸送道路にもなっており、地域の重要な幹線道路です。本路線の角田市江尻から小坂地区については、平成十一年度より交通安全施設等整備事業を実施し、一期工事、約千メートルが平成二十一年度に完了し、現在、二期工事に着手しておりますが、遅々として工事が進んでおりません。現状と今後の整備計画について伺います。また、令和元年東日本台風では、江尻字谷地前地内において、住宅の浸水被害が発生しました。この約千八百メートルの区間は、阿武隈川と並行して、県管理の尾袋川が阿武隈川合流地点まで流れております。この区間は、阿武隈川堤防より低く、阿武隈川の水位上昇により合流部から逆流し、兼用堤である国道三百四十九号から越水、五十四戸が床上・床下浸水、家屋の推定被害額五億二千万円に及ぶ被害が発生しました。早急にこの区間の道路のかさ上げが必要だと思いますが、改めて所見を伺います。 三点目ですが、主要地方道丸森柴田線の整備促進についてです。本路線は、丸森町金山地区の国道百十三号から分岐し、角田市東部の隈東地区を縦断し、槻木大橋を渡って柴田町の国道四号へ至る約二十三キロメートルの広域交通を担う重要な道路です。角田市の平貫地区において、平成二十九年十月発生の台風二十一号や令和元年東日本台風などの大雨の際には、道路が約千五百メートル区間で冠水し全面通行止めとなり、幹線道路としての機能が発揮できず多大な影響が出ました。この約千五百メートル区間の道路のかさ上げ工事を早急に実施すべきと思いますが、所見を伺います。また、島田地区の角田大内線との交差点、通称三月殿の交差点から丸森町との境までの約八百メートル区間は、幅員も狭く道路縦断も波打っている状況で、低い箇所では冠水が度々発生し通行に支障を来しているため、早急に整備が必要だと思いますが、所見を伺います。 四点目ですが、福島県境の道路整備促進についてです。国道三百四十九号、福島・宮城県境部における道路整備で、山側への別ルートについては、県境部を起点として着々と整備を進めており、このたび、福島県が県境部の未整備区間を整備することになり、今後は、福島県側と県境を越えた一体的な整備を進めていくと聞いておりますが、宮城県側の工事の進捗状況と福島県側の今後の整備計画について伺います。 五点目ですが、主要地方道白石丸森線の整備促進についてです。本路線は、丸森町大張地区から角田市の小田地区を経由して、丸森町舘矢間地区までの約四・九キロメートル区間について、改良工事を進めておりますが、おかげさまで丸森町側はほぼ完成に近づいております。引き続き角田市側も早急に整備促進が必要ですが、現在の工事の進捗状況と角田市側の今後の整備計画について、改めて伺います。 次に、大綱三点目、持続可能な農業振興についてです。以下八点について伺います。 一点目ですが、生産資材高騰対策についてです。肥料・飼料・燃料・電気料等の生産資材高騰・高止まりについては、いまだ収まらず、農家の皆様は危機的な状況にあります。県として、適宜、生産コストや価格動向等を踏まえ、生産者負担が急増する場合には、十分な支援策を機動的に講じる必要があると思いますが、今後の対策について、所見を伺います。 二点目ですが、多様な担い手確保対策についてです。食料自給力・農業生産基盤の維持・強化のため、中小・家族経営などの多様な担い手、人材の育成・確保が必要です。また、新規就農者の確保や事業継承支援、集落営農の活性化、労働力の確保支援、農作業受託組織などの育成促進が必要だと思いますが、多様な担い手確保対策について、所見を伺います。 三点目ですが、女性農業者の活動支援についてです。女性農業者が働きやすい就労環境を整備し、自らが事業を創出できるよう、六次産業化、農家レストラン、農家民泊、直売所等の支援を通じ、女性農業者の起業をサポートする体制を充実させる必要があると思いますが、女性農業者の活動支援について、所見を伺います。 四点目ですが、食料・農業・農村への理解醸成対策についてです。食料・農業・農村に関する県民理解の醸成を図り、県産県消、地産地消の啓蒙を通じ、県民・消費者等の行動変容に向けた対策を促進する必要があります。とりわけ、小中高校及び大学の各段階における食農教育を促進し、学校給食や公共調達では、県産農畜産物の積極的利用を推進する必要があると思いますが、今後の対策について、所見を伺います。また、生産者と消費者、学生等の多様な交流機会による関係人口を創出し、互いに農村を支え合う機運醸成が必要です。特に中山間地における農業振興、農地維持、資源保全が必要ですが、今後の対策について、所見を伺います。 五点目ですが、水田農業・畜産酪農・園芸の品目別の対策についてです。まず水田農業については、県農業再生協議会が設定する主食用米生産の目安に基づき、需要に応じた米生産と水田フル活用に関する産地交付金、県枠予算を確保し、土地利用型園芸作物や大豆・麦・飼料作物等の生産拡大と生産者の所得確保が必要だと思います。特に輸入依存度の高い小麦・大豆・飼料トウモロコシ等については、増産・利用拡大が進むよう、輪作体系の導入を促進させ、機械・関連施設等の整備・導入・更新など、生産・保管・流通に係る支援が必要です。あわせて、県産米の消費拡大が必要だと思いますが、それぞれの対策について、所見を伺います。 次に、畜産酪農については、中小規模・家族経営の生産者を含めて、生産基盤を維持・拡大が図れるよう、畜産クラスター事業や経営安定対策の活用を促進し、畜産振興に取り組む必要があります。特に、子牛の安定生産に向け、キャトル(ブリーディング)センター、コントラクターなど、公共共同利用施設の設置を促進する必要があります。また、生乳の需要拡大対策として、学校給食以外の集団飲用の促進が必要ですが、それぞれの対策について、所見を伺います。 次に、園芸については、計画的・継続的に露地園芸に取り組めるよう、機械化一貫体系・保管・乾燥・調製等の流通関連施設の取得、整備等の支援が必要です。また、施設園芸については、多額の初期投資を軽減する観点から、補助事業等の活用支援が必要ですが、それぞれの対策について、所見を伺います。 六点目ですが、持続的農業対策についてです。環境負荷低減生産力向上の両立を目指した環境保全型農業を推進し、農業の持続性を高める生産体制を構築する必要があります。とりわけ有機農業の推進や化学農薬・化学肥料の使用量削減等を通じ、温室効果ガスの排出量削減が必要ですが、それぞれの対策について、所見を伺います。 七点目ですが、鳥獣被害対策についてです。市町村が実施する有害鳥獣対策の効率性を向上させ、隣接市町村との広域捕獲を強化し、有害鳥獣捕獲の担い手の確保、技能向上、ICTを活用した捕獲活動に対する支援等が必要です。また、侵入防止柵の設置、効果的な捕獲等を推進する専門家の育成等が必要ですが、それぞれの対策について、所見を伺います。 八点目ですが、災害対策についてです。自然災害が多発する中、災害に強い農業づくりと、被災状況に応じた速やかな復旧・支援対策等が必要ですが、今後の対策について、所見を伺います。 次に、大綱四点目、建設産業振興のための職業教育拠点校の在り方についてです。 建設業は、インフラ整備や維持管理のみならず、豪雨・地震・家畜伝染病といった災害発生時には、最前線で昼夜なく対応する、言わば地域の町医者であると同時に、地域経済と雇用を下支えする重要産業でもあります。仙南地域では、東日本大震災、令和元年東日本台風災、令和四年福島県沖地震災、加えて令和三年一月に県南で初めて角田市の農場で鳥インフルエンザにより、アヒル五百十七羽を埋却処分、同年十二月に大河原町で県内初の豚熱が発生し、昼夜交代で一万二千頭の埋却処分を行いました。また、その一週間後に、今度は丸森町で立て続けに豚熱が発生し、クリスマス、年末年始の休日を返上し、かつ、年越し寒波襲来で、極寒・苛酷な環境下の中で、種豚を含む九千頭の埋却処分に当たりました。更に、本年一月に角田市の農場で鳥インフルエンザが発生し、大寒の中、アヒル一万羽の埋却処分を行っております。地域住民の生活・安全確保のため、宮城県建設業協会仙南支部会員の皆さんに、最優先で対応していただきました。今後も地球温暖化によるゲリラ豪雨や豪雪災害が頻発すると思われますし、高い確率の北海道・東北沖地震、更に蔵王山噴火、豚熱や鳥インフルエンザの家畜伝染病も、いつ発生してもおかしくなく、地域の町医者である地元建設業者が果たす役割が大きくなるばかりです。しかし、我が国では高齢化が進んでおり、仙南地域はほかより高齢化率が高く、建設業界も例外ではありません。宮城県建設業協会仙南支部建設企業従業員の年齢構成も六十歳以上が約四割を占めており、会員企業全体の毎年の新卒、新規入職者が三名程度で、ここ二年は高卒新規入職者がいない状況であります。十年後には、技術・技能者不足で地域を守れなくなるという危機感を抱いております。そんな中、本年四月、職業教育拠点校として、大河原産業高校が誕生しましたが、森林環境学を含む農業科学科は、前より定員が半減しました。柴田農林高校には、昭和三十五年に農業土木科が編成され、平成七年、土木科、平成十八年、森林環境科に改編しましたが、多くの卒業生が建設業に就職し、仙南地域の町医者の一員として活躍しております。今後の仙台以南のインフラ整備は、高速道スマートインターチェンジ化や工業団地造成、農地整備、橋梁やトンネル等の長寿命化・耐震化など、まだまだたくさん残っており、また、道路・河川・上下水道の維持管理や豪雨・地震等の災害対応など、地域の町医者・担い手として必要とされております。これからの若い担い手を確保・育成するために、大河原管内の実業高校に土木建設教育の拡充及び新設が不可欠であります。そこで、次の二点について伺います。 一点目ですが、大河原産業高校の農業科学科に、土質・土木構造・土木実験等の土木カリキュラムを拡充・充実する考えはないか、教育長の所見を伺います。 二点目ですが、白石工業高校に土木科もしくは建設環境科を新設する考えはないか、教育長の所見を伺います。 最後に、大綱五点目、子育て支援、アクティブ・チャイルド・プログラムの推進について伺います。 まずは、パネル及び配布資料を御覧ください(パネルを示す)。こちらが令和五年度のかくだ版アクティブ・チャイルド・プログラムの参加募集パンフレットの表紙をパネルにしたものでございます。皆様のお手元に資料が配布されていると思います。三つ子の魂百までと言いますが、実際には、六歳までに育った心と体が百歳まで影響すると言われています。一般的には、運動神経や手先の器用さリズム感などは、三歳で六割形成、六歳で八割形成されると言われております。感情のコントロールも三歳では、まだ衝動的で身体的な感情の表現が多いのですが、六歳では言語的に表現でき、感情をコントロールできると言われております。しかしながら、ライフスタイルの変化により、六歳までに体を動かす機会や人と関わる機会が減少しています。そこで角田市では、全ての乳幼児に楽しみながら積極的に体を動かす運動遊びを提供する角田市独自の継続的な取組として、かくだ版アクティブ・チャイルド・プログラムを実施しています。笹川スポーツ財団や仙台大学の専門的なアドバイスを頂き、元気な子供の育成を目指す取組で、令和二年度から実施しています。目的は、この取組により元気な子供を育て、更には、その後の豊かな人生を送るための基盤づくりを目指しています。具体的な取組としては、乳幼児健診、子育て支援センター、保育所、幼稚園等の協力を頂いて、運動遊びの出前講座等を実施しています。また、零歳、一歳児を対象にした赤ちゃんママのヨガ&ストレッチ、年十回、二、三歳児を対象にした、ちびっ子ママのリフレッシュ体操、年十回、一、二歳児を対象にしたちびっ子運動遊び、年十回、三歳から未就学児を対象としたキッズ運動遊び、年十回など、年齢に応じた親子で楽しむ運動遊びを実施しています。運動遊びを導入する理由としては、一、乳幼児期の生活に運動する時間の占める割合が高いこと。二、できた・できないの成果が分かりやすく、成功体験を得やすいこと。三、運動遊びは、集団活動でルールがあることが挙げられます。運動の得意・不得意にかかわらず、運動が楽しいという経験を重ねることで、運動の継続が期待できます。また、乳幼児期において、継続的な取組、発達や学びの連続性が大切なので、家庭と保育所・幼稚園等の御協力を頂き、一貫性のある取組を行っています。子育て支援の一環として、成果を上げている角田市の取組をモデルにして、アクティブ・チャイルド・プログラムを県全体で推進すべきだと思いますが、実施市町村への支援等、現状と今後の取組について、所見を伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 八島利美議員の一般質問にお答えいたします。大綱五点ございました。 まず、大綱一点目、防災・減災、国土強靱化の推進についての御質問にお答えいたします。 初めに、尾袋川・小田川の流域治水の現状と今後の計画についてのお尋ねにお答えいたします。 尾袋川、小田川を含む、阿武隈川流域では、令和二年度に取りまとめました、阿武隈川水系流域治水プロジェクトに基づき、河川改修とともに避難路となる道路のかさ上げやハザードマップの作成など、関係者が連携し、ハード・ソフトが一体となった取組を推進しております。更に県では、流域治水の実効性を高めるため、尾袋川・小田川流域において、年度内の特定都市河川の指定を目標に準備会を立ち上げ、現在、国、県、市町などで具体的な検討を進めております。県といたしましては、今後、特定都市河川浸水被害対策法に基づき設置する流域水害対策協議会において、流域水害対策計画を策定し、尾袋川、小田川流域の浸水被害軽減に向けた取組を着実に推進してまいりたいと思います。 次に、江尻排水機場整備の状況と今後の事業促進に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 角田市の農地や市街地の排水を担う重要な施設である江尻排水機場につきましては、老朽化による機能低下が見られたため、令和元年度から国営施設応急対策事業角田地区により、機能保全対策と耐震化対策が行われております。今年度末までに四台あるポンプのうち一台の整備と除じん機八基全ての改修が完了する予定であり、令和八年度の事業完了に向けて計画どおりの進捗が図られております。県としては引き続き、必要な予算の確保を国に働きかけるなど、地元関係機関と連携しながら、事業が推進されるよう取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、県南地区の道路整備促進についての御質問のうち、国道三百四十九号の角田市江尻地区から小坂地区までの現状と今後の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 角田市江尻地区のアイリスオーヤマ角田工場入り口から小坂生活センターまでの歩道整備につきましては、これまで二百メートル区間の整備が完了し、残り約九百メートル区間については、国の河川堤防整備と併せて設置することとしており、来年度からの事業着手に向け国と調整を進めております。また、令和元年東日本台風で甚大な浸水被害が発生した江尻地区についても、河川堤防と一体的に道路をかさ上げすることとし、具体的な整備内容について検討を進めているところであります。県といたしましては引き続き、国や角田市と緊密に連携しながら、早期に整備が図れるよう鋭意取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、持続可能な農業振興についての御質問にお答えいたします。 初めに、生産資材高騰対策についてのお尋ねにお答えいたします。 資源高や円安等による、資材価格の高止まりにより、県内農業者の経営は大変厳しい状況となっております。そのため県では、これまで飼料、肥料、燃料等の掛かり増し経費や自給力向上に貢献する取組等を支援したほか、今年度六月補正予算の活用により、特に影響の大きい畜産や園芸に対し、追加支援を行っているところであります。県といたしましては、今後も資材価格の動向を注視し、個々の農業者の経営状況や、これまでの事業効果なども把握しながら、国に対して必要な財源措置を要望していくとともに、農業者の負担軽減が図られるよう、適時適切に対策を検討してまいります。 次に、女性農業者の活動支援についての御質問にお答えいたします。 我が県の基幹的農業従事者に占める女性の割合は約四割となっており、女性農業者の活動を支援し、地域農業の活性化を図ることは重要であると考えております。このため県では、みやぎのキラリ輝く女性応援事業により、女性用トイレや更衣室等の就労環境整備と併せ、農産加工や販売など新たな部門の創出に向けた取組を支援しております。また、農山漁村発イノベーションサポートセンターを設置し、女性農業者などの六次産業化等の取組を支援しております。県としては、引き続き女性農業者が働きやすい環境の中で主体的に活動し、農業農村の新たな魅力づくりに向けて活躍できるよう取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱五点目、子育て支援アクティブ・チャイルド・プログラムの推進についての御質問にお答えいたします。 県では、第二期スポーツ推進計画において、幼児期からの運動遊びの普及促進に取り組むこととしており、アクティブ・チャイルド・プログラムの推進のために、県スポーツ少年団等と連携しイベントを実施しているほか、研修会等へ講師を派遣する制度を設けているところであります。かくだ版アクティブ・チャイルド・プログラムは、角田市と総合型地域スポーツクラブ等が連携し、乳幼児健診などの場面で運動遊びを通して運動習慣を身につけさせる優れた取組であり、他の市町村の参考になるものと考えております。今後、角田市のようなプログラムの普及方策の検討を進めるに当たり、市町村のスポーツと子育て担当課の両方から意見を伺い、働きかけるとともに、プログラムを指導できる人材や団体の育成などを図ってまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱一点目、防災・減災、国土強靱化の推進についての御質問のうち、堀切排水機場及び沼尻排水機場の現状と排水機場新設を含めた今後の整備計画についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、今年五月に、堀切排水機場の機能強化や小田排水機場の新設などの一体的な整備について、国営総合農地防災事業
角田丸森地区として、地区調査を国に申請し、八月末に公表された来年度の概算要求に盛り込まれたところです。また、沼尻排水機場は、平成二十六年度から水利施設整備事業により機能保全対策に取り組み、今年度で完了することとなっております。なお、排水機場等の整備計画については、今後、地域の声を聞きながら、国、県、市町等で構成される名取川・阿武隈川下流等流域治水協議会において検討してまいります。 次に、大綱三点目、持続可能な農業振興についての御質問のうち、多様な担い手確保対策についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、地域農業を支える多様な人材を確保・育成するため、国庫補助事業の対象から外れる家族経営体等が、新技術導入や新たな園芸品目等への取組を実施する場合に、機械等の導入支援を行う、オーダーメード型多様な農業人材支援事業により、市町村と連携し支援を行っております。また、農業経営・就農支援センターを設置し、新規就農者の確保・育成や、円滑な事業継承等の様々な経営課題に対して、専門家を活用しながら支援しております。県といたしましては、地域農業の持続的な発展に向け、引き続き多様な人材が活躍できるよう取り組んでまいります。 次に、食料・農業・農村への理解醸成対策についての御質問にお答えいたします。 県では、みやぎの食の魅力を発信する、食材王国みやぎ伝え人の小中学校等への派遣や、高校生地産地消お弁当コンテストの実施などにより、子供の頃から宮城の食について学ぶ機会の創出に努めるとともに、学校給食について、地場産農林水産畜産物の利用品目数の割合を、令和七年度までに四〇%に引き上げることを目標として、利用促進に取り組んでいるところです。また、県内の農山漁村と県内の大学生が、丸森町のころ柿作りなどの農作業体験を通じて交流する、INAKAゼミや中山間地域と県内大学の継続的な関係づくりを支援するパートナーシップづくり助成事業などにより、農山漁村のファンづくりと関係人口の創出に取り組んでおります。県といたしましては、引き続き関係機関と連携しながら、食と農に関する県民の理解促進と、地産地消を通じた県産品の消費拡大や農村を支え合う機運の醸成に努めてまいります。 次に、水田農業についての御質問にお答えいたします。 水田農業の推進については、引き続き各地域農業再生協議会と連携し、需要に応じた主食用米の生産に取り組むほか、国の交付金や各種補助事業を有効に活用しながら、作付転換や生産体制の整備を支援してまいります。また、畑作物の輪作体系の確立に向けた実証試験などに取り組み、その成果の普及を図ることで、生産拡大と所得確保につなげてまいります。県産米の消費拡大については、宮城米マーケティング推進機構等との連携によるPRのほか、販売拡大等に取り組む事業者の活動を支援してまいります。 次に、畜産の生産基盤拡大及び生乳の需要拡大についての御質問にお答えいたします。 県では、畜産の生産基盤の拡大や経営安定を図るため、畜産クラスター事業や、牛マルキン制度などの活用により畜産振興に取り組んでおります。また、子牛の安定生産のためには、公共共同利用施設が農家の負担軽減につながるものと認識しており、丸森町などに設置された施設を今後の運営モデルとなるよう支援をしてまいります。牛乳の需要拡大については、国等の消費拡大対策と連携し、より多くの方々に牛乳を飲んでいただけるよう、引き続き県としても飲用促進に努めてまいります。 次に、園芸振興のための補助事業等の活用支援についての御質問にお答えいたします。 大規模化に対応した農業機械の導入や先進的園芸施設の整備には、多額の投資が必要であり、今般の資材価格の高騰により、産地の負担は一層大きなものとなっております。そのため県では、初期投資が軽減されるよう、国庫事業等の活用に向けて、事業計画や体制整備などの支援を行ってまいりました。県といたしましては、これらの支援を継続し、園芸産出額の倍増に向けて、計画的に園芸産地の育成を進めてまいります。 次に、持続性を高める農業などの推進についての御質問にお答えいたします。 県では、今年三月に宮城県みどりの食料システム戦略推進ビジョンを策定し、温室効果ガス排出量の削減に向けた具体的な目標値を掲げ取組を推進しております。県といたしましては、この目標の実現に向けて、有機農業指導員の育成や有機JAS認証取得費用の支援等による、有機農業の取組拡大、みやぎの環境にやさしい農産物認証・表示制度の一層の推進による化学農薬・化学肥料の削減などに努めることで、持続可能な農業の実現に取り組んでまいります。 次に、鳥獣被害対策についての御質問にお答えいたします。 県では、鳥獣被害対策の効果を高めるため、侵入防止柵の設置状況をホームページで可視化するとともに、鳥獣被害防止の様々な取組について、各圏域に設置する地域連携会議の中で共有するほか、ICTを活用した省力化実験結果の周知を図るなど、効率的な捕獲活動を推進しているところです。また、鳥獣被害対策は、集落ぐるみで取り組むことが効果的であることから、希望する集落に専門家を派遣し、現地点検やワークショップによる技術力の向上を図っており、引き続き鳥獣被害の軽減に努めてまいります。 次に、今後の災害対策についての御質問にお答えいたします。 県では現在、農村地域の防災・減災対策として、排水機場等の整備補修計画や、ため池の防災工事を進めているところです。また、豪雨等による災害発生時には、査定前着工の制度を積極的に活用し、応急仮復旧工事による被害拡大防止に取り組んでいるほか、排水機場などの重要施設の災害復旧では、施設管理者からの要請を受け、県が事業主体になることで、被災市町村等を支援しているところです。県といたしましては、引き続き市町村や土地改良区と連携しながら、災害に強い農業・農村づくりに向けてしっかりと取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 土木部長橋千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、防災・減災、国土強靱化の推進についての御質問のうち、小田川河川改修事業の現状と今後の計画についてのお尋ねにお答えいたします。 小田川については、阿武隈川合流点から阿武隈急行線までの約一・五キロメートル区間において、国土強靱化予算を活用しながら、令和七年度の完成に向け、現在、沼南橋架け替え工事や築堤工事等を進めております。また、阿武隈急行線から上流の地蔵堂橋までの約二・三キロメートル区間については、河川の流下能力を確保するため、支障木伐採や河道掘削を計画的に実施したところであり、今後、河川改修の在り方について、角田市と意見交換をすることとしております。県といたしましては、引き続き国土強靱化予算を最大限活用しながら、まずは阿武隈急行線から下流区間の完成に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 次に、雉子尾川河川整備の進捗状況と今後の予定などについての御質問にお答えいたします。 令和元年東日本台風により甚大な被害を受けた雉子尾川では、中流部の石神橋から三代河原橋までの一・六キロメートル区間について、令和二年度から国の補助事業である大規模特定河川事業を活用し整備を進めており、今年三月に中平橋が完成したところです。現在、排水樋管や築堤工事等を実施しており、引き続き必要な予算を確保しながら、令和九年度の完成を目指して鋭意整備を推進するとともに、上流区間についても、中流部の整備完了後、河川改修に着手する予定としております。県といたしましては、雉子尾川沿川の住民の皆様が安全に安心して暮らせるよう、今後も河川整備を着実に進めてまいります。 次に、尾袋川の整備の現状と今後の計画についての御質問にお答えいたします。 令和元年東日本台風で甚大な被害が発生した尾袋川については、河川堤防と国道三百四十九号を一体的にかさ上げすることとしており、現在、今年三月に国、県、市町等で立ち上げた尾袋川・小田川流域水害対策準備会の中で、特定都市河川の指定も含め、具体的な整備内容について検討を進めているところです。県といたしましては、尾袋川の浸水被害が軽減されるよう、引き続き国や角田市と連携しながら、治水対策に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、県南地区の道路整備促進についての御質問のうち、白石・角田・山元間広域幹線道路の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 白石・角田・山元間を結ぶ広域的な幹線道路の整備については、内陸部の東北縦貫自動車道と沿岸部の常磐自動車道を結び、防災道路ネットワークの構築に加え、富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進と、地域産業や観光振興等に大きく寄与するものと認識しております。このため県では、令和三年六月に策定した宮城県新広域道路交通計画において、主要な幹線道路である国道百十三号などを一般広域道路に位置づけ、現道の機能強化を最優先に進めていくこととし、現在、国道百十三号蔵本工区の道路改良工事や県道角田山元線角田橋の長寿命化対策工事を実施しております。県といたしましては、地域高規格道路の指定については、今後の周辺道路の交通状況や社会情勢の変化などを見極めるとともに、広域道路ネットワークの再編等、国の動向にも注視しながら判断してまいります。 次に、主要地方道丸森柴田線の道路整備についての御質問にお答えいたします。 主要地方道丸森柴田線の角田市平貫地区については、令和元年東日本台風で平貫排水機場が被災し内水氾濫により道路が冠水しましたが、昨年三月にポンプ施設の機能強化を含む復旧工事が完了したことから、今後、大雨時の排水状況を確認するとともに、沿道の土地利用を十分考慮しながら、道路のかさ上げも含めて検討してまいります。また、島田地区については、これまで道路利用者の安全を確保するため、交差点の改良などを実施してきたほか、視線誘導標や路面標示等の安全対策を実施してきたところであり、引き続き角田市や地域の方々の御意見を伺いながら、必要な安全対策を実施してまいります。 次に、国道三百四十九号の福島県境部における道路整備についての御質問にお答えいたします。 国道三百四十九号は、災害時における緊急輸送道路としての機能はもとより、宮城・福島両県の産業や観光振興等に寄与する重要な幹線道路であります。このうち、国の直轄権限代行により整備が進められている山側への別ルートについては、現在、橋梁やトンネルなど大規模な構造物の工事に着手しており、福島県側の兜橋までの区間も含め、一体的に整備が進められております。また、兜橋から福島県側の約二・二キロメートル区間については、福島県において今年度から測量に着手し、順次、道路設計などを進めていくと伺っております。県といたしましては引き続き、国をはじめ、丸森町や福島県などと緊密に連携しながら、一日も早い工事完成に向けて鋭意取り組んでまいります。 次に、主要地方道白石丸森線の現在の進捗状況と今後の計画についての御質問にお答えいたします。 主要地方道白石丸森線は、白石市の国道四号と丸森町の国道三百四十九号を東西に結び、県南地域の産業や観光振興に寄与する重要な路線であると認識しております。このため県では、特にカーブが連続し道路幅員が狭隘となっていた、丸森町側の約二・二キロメートル区間について重点的に整備を進めており、これまで約一・二キロメートル区間が完成し、残る一キロメートル区間についても、年度内の完成・供用に向けて、道路改良工事を推進しているところであります。また、角田市側の約二・七キロメートル区間についても、安全で円滑な交通の確保に向けて、引き続き角田市や地域の方々の御意見を伺いながら、事業化に向けた検討を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱四点目、建設産業振興のための職業教育拠点校の在り方についての御質問にお答えいたします。 建設業は、インフラの整備や自然災害からの復旧等、地域の暮らしを支える産業であり、そこで働く土木技術者を育成することは重要であると認識しております。現在、南部地区では、大河原産業高校の農業科学科と、白石工業高校の設備工業科において土木に関する科目を設け、学びの機会の確保に努めているところです。近年、南部地区における土木の学びの社会的ニーズが高まっているという御意見等を踏まえ、今年三月に策定した第三期県立高校将来構想第二次実施計画において、南部地区における土木の学びの充実に向けた検討を進めることとしております。県教育委員会といたしましては、今後、対象とする学校の選定やカリキュラム編成等について更なる検討を重ね、実現に向け努力してまいります。 以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) 丁寧な答弁ありがとうございました。大分前向きな答弁だったかなというふうに感じております。その中でも再質問させていただきたいと思うのですけれども、時間もないので、まず道路のほうからお話しさせていただきます。 主要地方道の白石丸森線、先ほどの答弁のように、丸森地区に関しましては、今年度中に完了する予定になっておりまして、本当にこれは急ピッチで進めていただきまして大変ありがとうございました。ただ残りの角田市分、二・七キロメートル部分、これがまだ、大分狭い道路、あとは歪曲のある道路ということで、非常に危険な道路でございます。大張地区から小田地区を通りまして、丸森町の舘矢間地区まで結んでいただくのですが、この角田市分がかなりひどい状況ですので、何とかこれをつなげていただかないと、道路としての役割が果たされないというようなこともありますので、こちらの角田市分の道路整備について、先ほど答弁ありましたけれども、できるだけ強力に進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。
◎土木部長(千葉衛君) 先ほど御答弁させていただきましたが、角田市側につきましては、その先線の部分が市道にもなっているところもございまして、まずは市道を含めた路線の再編が必要でございます。それをまずは角田市と調整をしながら、できるだけ早く道路改良事業に着手してまいりたいと思っています。ただ、なかなかどういうふうに再編するかということもありますので、しっかりと地域住民のお声も伺いながら検討してまいりたいと考えております。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) それでは、角田市のほうでも、県のほうと協議をしてどんな形で進めるのがよいのか、協力して進めてもらうようにお話ししておきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 それから、学校関係でございます。教育長、先ほどの答弁のように、ちょっと前向きなお話を頂いたので少し安心したところもあるのですが、ただ先ほども申したように、現実問題として、かなり土木の業者の皆さんは、危機感を抱いているんですね。ですから、早めに--人を育てるということには時間がかかりますので、そういった学びの場を、できるだけ早く設定していただきたいと思うのですが、具体的にこれからどのぐらいの期間の中で検討して、実現に向けてできるのか、答弁をお願いします。
○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 県教委といたしましては、地域の人材は地域で育てるということが大変重要だというふうに考えてございます。また、今後学校と地域、また地域の企業の皆様との連携というのも非常に大切になるというふうに思っております。今般あえて私も業界の団体の方からですね、地域の現状ですとか、業界の現状も直接お伺いしたところでございます。こういったことも踏まえまして、現在学校のほうにも、検討を進めるように指示をしておりまして、県南部地区における、土木の学びの充実について、よく学校とも相談しながら、できるだけ早期に、よりよい形で実現できるよう、しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) 本当に喫緊の課題でありますので、どうぞよろしくお願いします。 最後に、アクティブ・チャイルド・プログラムについてお話をさせていただきます。先ほど紹介させていただいたように、角田市では、子供たちの運動遊びについて先進的に進めておるのですが、非常にいい効果を上げているんですね。こういった取組が、スポーツ庁長官から表彰を受けたというような実績もありますので、ぜひとも、こういった取組を県内に広めていただきたいなというふうに思います。具体的にどんな形で進めていくか、もう一声お願いしたいのですけれども、お願いします。
○副議長(池田憲彦君) 企画部長武者光明君。
◎企画部長(武者光明君) お子さんが小さいときから運動を習慣づけていく、それを、また、スポーツだけではなくて、保健福祉の分野とともに、そういった場を設定していくということ。非常によい取組だと興味深く思っています。まずは、市町村の、先ほど申し上げましたけれども、スポーツ担当と、それから子育てを担当するところの、両方のセクションのお話をお伺いし、また、小さなお子様に対するプログラムをやっていただける人材というのも探してみて、マッチングとかそういったところもやっていかなければいけないと思っておりました。まずそういったことで、事業をしていただける市町村、それから、プログラムをやっていただける人材の方々のお話をよく聞いて、どういった形で進めることがよいか、まずは、いろいろと検討させていただきたいと思っております。
○副議長(池田憲彦君) 十八番八島利美君。
◆十八番(八島利美君) ありがとうございました。終わります。
○副議長(池田憲彦君) 二十六番境恒春君。 〔二十六番 境 恒春君登壇〕
◆二十六番(境恒春君) みやぎ県民の声の境恒春でございます。 東日本大震災が発生した二〇一一年に初当選し、震災からの復旧・復興や新型コロナウイルス感染症対策に取り組みながら、三期十二年間、皆様からの御指導のもと、県議会議員を務めさせていただきました。至らぬ点も多々あったかと思いますが、皆様に支えられて多くのことを学ばせていただきましたことに、心より感謝を申し上げます。 本日は、初質問以来、代表質問を含め通算二十回目となる登壇となります。前向きな御答弁を頂けることを御期待申し上げ、議長よりお許しを頂きましたので、通告に従い、大綱三点について質問をさせていただきます。 大綱一点、気仙沼市と南三陸町の諸課題について伺います。 (一)海岸防潮堤復旧工事の進捗について伺います。 震災後、気仙沼市内での県管理漁港海岸の防潮堤事業は、七漁港十三地区で行われましたが、本年度末に完了できるめどが立った鮪立を含め、未完了となっている大浦、浪板、魚市場前、日門の四地区は、国の復興予算の活用期限である昨年度末までに工事が終わらず、本年度に持ち越しとなっております。国による通常予算での一般事業に移行したことで財源確保の見通しが立っていないため、知事は、今後全地区を対象にした住民説明会を本年度中に開催する方針を打ち出しました。大浦と魚市場は今月下旬、日門は十月下旬に、工事の進捗状況や工程等を説明するとのことですが、浪板地区の説明会の日程をお示しください。また、現時点における未完了箇所の進捗状況をお示しください。 気仙沼市の菅原市長が県に提出した要望書においても、復興事業の中で最も重い防災事業の根幹をなすものであり、復興まちづくりの前提となる事業であるとして、一刻も早い完了が望まれております。防潮堤工事の見通しが立たないことで、市民は不安を抱えております。万が一、未完了のまま津波が発生した場合、甚大な被害が想定されますが、県として、どのような避難対策を講じるつもりなのかを伺います。 (二)震災の風化防止について伺います。 県は、令和五年三月、震災からの復旧・復興に関する県民意識調査の結果を公表しました。震災の風化を実感すると回答した方々の割合は、気仙沼・本吉圏域では約八割との結果が示されました。コミュニティーの再生や雇用の面でも復興の遅れを感じている方々も多いようです。県の復旧・復興が遅れていると感じる取組についての質問では、雇用の維持・確保が四三・一%、地域コミュニティーの再生が三七・一%、情報発信が三六・六%。暮らしに関する質問では、仕事の状況や収入の満足度で不満と回答した割合が三〇・二%と最も多く、やや不満と合わせると全体の五六・九%となりました。県は、調査の結果をどのように捉えて分析しているのか。また、今後の対策や事業推進にどのように生かしていくのかを伺います。 (三)気仙沼市における風力発電計画について伺います。 気仙沼市の市民の森周辺で計画されている東急不動産による大規模な風力発電計画について、同社の計画は、市民の森周辺を候補地に最大十基の風力発電機を設置し、設置予定範囲は七十一・五ヘクタールで、十基合わせて約二万世帯分の発電量に相当する最大四万三千キロワットの出力を計画しております。プロペラの回転域の高さは最大百八十メートルで、騒音や景観、動植物などへの影響を調べる環境アセスメントの結果を踏まえ、二〇二六年度の着工、二〇二八年度の運転開始を目指すとしております。 そのような中、今年三月に同社が行った住民説明会では、市民の憩いの場である市民の森が設置予定範囲に含まれていること等から批判の声が上がり、計画の中止や情報開示を訴える意見が相次ぎ、今年六月には、計画に疑問を持つ市民有志の団体も立ち上がっております。このようなことを踏まえながら、気仙沼市の菅原市長は、同社が提出した環境アセスメントの第二段階手続となる環境影響評価方法書に対する市長意見を知事宛てに提出しました。市長意見では、風車設置の想定区域から最寄りの住居までの距離が約一キロと極めて近いことを指摘するとともに、騒音や低周波音、電波障害による生活環境への影響について調査や予測をした上で、影響を回避または低減できるよう想定区域の絞り込みを行うように求めるとともに、生態系においても、希少な動植物の生息や生育環境への影響、保水機能の低下、森林伐採による日照条件の変化等について、適切な調査や評価を行うことを要請しております。 本計画をめぐっては、県の環境影響評価技術審査会も住民への積極的な情報提供により理解を得ながら進めることを求める方法書の答申案を了承し、今月五日には、取りまとめた意見を村井知事が西村経済産業大臣宛てに提出しております。 気仙沼市における風力発電計画に対する知事の所感を伺いますとともに、知事が取りまとめた意見について、重要なポイントをお伺いいたします。生態系評価について、配慮書では、評価対象を重要な自然環境のまとまりの場としているのに対して、方法書では、特定の指標を基に評価をされており、配慮書と方法書の記述が整合性を図れていないことについて、知事の見解を伺います。 大綱二点、Society五・〇の実現に向けてについて伺います。 (一)遠隔医療の推進について伺います。 Society五・〇とは、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会であり、遠隔医療とはスマホやパソコン、タブレット等の情報通信機器を利用し、インターネット上で診療を提供するシステムです。患者が来院しなくても診療できるため、離島やへき地、遠方に住む方々にも適切な医療を提供することができ、本県が直面する少子高齢化や医師が不足する地域の課題解決を見込めます。 本県への遠隔医療の導入を進めるに当たり、東京都港区にある日本最大級のオンライン診療システムを誇る株式会社メドレーを視察し、執行役員で事業連携推進室室長の豊田氏等と面会をして、本県の現状を伝え、意見交換をいたしました。同社が展開するオンラインで予約から診療、会計、アフターフォローまでを実現するオンライン通院システム、CLINICSの導入状況と課題、利用実績等について意見を交わすとともに、同社が山形県、高知県、福井県等で行ったへき地におけるオンライン診療モデル事業の成果と課題についてヒアリングをいたしました。また、昨年四月には、離島地域が抱える課題解決を目指し、国土交通省が実施するスマートアイランド推進実証調査のモデル地区である長崎県五島列島を訪問し、意見交換をいたしました。五島市は、人口約三万五千人で高齢化率四〇・八%、二十歳代の若者が極端に少ない少子高齢化が進む地域であり、有効求人倍率は一・八倍を超え、人手不足が顕著で、特に、医療、介護、福祉関係の人材が不足しております。医療体制においては、医師や看護師が不足しており、専門医が少なく、機器や人員不足によって、新型コロナの重症患者への対応や治療もままなりませんでした。また、十一ある離島の中には、住民が少ないことを要因とした通信インフラの不採算地域も存在し、通信環境格差が問題となっておりました。そのような中、同市は様々な課題解決に向け、五島スマートアイランド構想を策定。事業を実施した二〇二〇年度は、遠隔医療とドローン技術による地域医療モデルの構築をテーマとした二次離島を結ぶアバターロボットを活用したオンライン診療と服薬指導、ドローンを使った処方薬配達の実現性を検証。その成果として、アバターとiPadを活用し、遠隔診療や遠隔服薬指導とドローン配送の有効性は確立され、日本初の事例として実現性は立証されたそうですが、患部の細かな視診や触診への対応、往復三十キロの飛行ができる高品質・低コスト機体の確保、安定的な運航のための風況把握の必要性、住民のITリテラシーの醸成が必要との認識が示されました。 翌月には、香川県三豊市にある粟島を訪問し、粟島スマートアイランド推進事業を視察しました。粟島は、香川県西部瀬戸内海に浮かぶ周囲十六・五キロ、人口百五十四人、高齢化率約八五%の島で、本土からは航路で十五分。人口減少や高齢化が著しく進む粟島において、医療物資輸送を目的としたドローンにおける目視外無人航行に向けた飛行実験、粟島診療所を活用したIoT医療機器を使ったエビデンスに基づくオンライン診療及びオンライン服薬指導、また、粟島診療所を拠点として患者が看護師と一緒に受けるオンライン診療や服薬指導の実証、そして医療提供体制の在り方等の成果をヒアリングした一方で、ドローンによる実証実験中に、計器の誤作動と見られるトラブルによって、海上に出て間もなくドローンが墜落する事故が発生し、海上保安庁からの指示によって沈んだドローンを捜索・回収をしなければならず、サルベージに係る概算費用五十万円の負担が発生したことや、患者宅への訪問型オンライン診療の場合の人員確保や、オンライン診療の本格実装、初診への対応等についての課題も示されました。 国土交通省による各実証調査は、離島やへき地を抱える本県の医療政策においても参考にすべきところが多く、本調査が離島地域が抱える課題の解決につながる一歩となることは間違いなく、実装に向けた今後の展開が期待されます。 以上を踏まえ、本県が抱える医療従事者の不足及び偏在の解消、高齢化による患者増加への対応、医師の働き方改革等の様々な課題の解決、医療人材の効率的な活用はもとより、へき地や離島に住む方々への医療提供を活性化させ、医療の地域格差解消を図るため、本県が策定を進める第八次宮城県地域医療計画において、遠隔医療の活用を計画に盛り込むべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 (二)メタバースの活用について伺います。 今年四月、京都府を訪問し、京都府ものづくり振興課とメタバース共創プロジェクト等について意見交換をいたしました。京都府は全国初となる、メタバース・トラスト・ステートメント京都宣言を策定し、全国に先駆け、メタバースを活用した取組を進めております。様々ある取組において、京都府では、対面でのコミュニケーションや外出することが難しいひきこもり状態にある方が安心して気軽に参加できるよう、インターネットを活用したオンライン居場所を開設しております。インターネット上でアバター操作やチャット機能、音声通話機能を活用し、ひきこもり状態にある方が自宅等で安心して気軽に交流支援や学習支援、相談支援等を受けられるというシステムであります。京都府の取組を参考にし、本県としても、ひきこもり支援の一環としてメタバースを活用したオンライン居場所を検討すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、京都府は、不登校の中学生や高校生をメタバース内で支援する取組を進めております。VRゴーグルを生徒が着用し、不登校経験者の講話やクリエーターの講演などに参加するそうで、空間内では生徒同士で自由に会話もできます。不登校生徒数が増加の一途をたどる本県において、メタバースを活用した不登校対策も検討すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 (三)環境センシングの導入について伺います。 先月、東京都墨田区にあるエイターリンク株式会社を視察いたしました。二〇二〇年設立の同社は、ワイヤレス給電技術によって、配線のないデジタル世界を実現するスタンフォード大学発のスタートアップ企業です。心臓ペースメーカー等の医療ニーズに基づくインプラントデバイスの開発や、温度、湿度、照度、CO2、人感センサーなど各種センサーへのワイヤレス給電技術によるビルマネジメント等についてヒアリングをいたしました。その中でも、ワイヤレス給電における環境センシングは画期的であり、オフィス空間にセンサーをメッシュ状に配置し、人がいて暑いと感じている人にだけ最適な空調制御を行うことで電気代は三〇%程度削減され、温度、湿度、照度、CO2濃度などの環境センサーや、ドアの開閉センサー、漏水センサーなどを一括してワイヤレス給電で稼働させることで、トータルコストの削減、個人差による温度の不快感の解消、タッチレスによる感染症対策にもつながり、SDGsの観点からも有効であると考えます。本県庁舎において、一区画又はワンスペースのみでも試験的に環境センシングの導入を検討すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 (四)IoE社会への対応について伺います。 IoEとは、Internet of Everythingの略で、あらゆるモノがインターネットにつながり、相互に連携することを意味しております。これまでのIoT、いわゆる、Internet of Thingsの概念を拡大したもので、ヒトやプロセス、データ、モノ等の全てを結びつけることを指します。本県が進めているDXとIoEは、我々が生きている世界において既に活用され、定着しつつあるデジタル化、そしてデジタル技術同様に、我々の生活に大きな影響を与えているという点で共通していると考えられますが、県民の生活の質の向上をもたらすIoEに対する認識と、その可能性について県の見解を伺います。 IoEが相互連携によるデータ収集と情報共有によって、新たな価値を創出することを目指す一方、DXは、デジタル技術を活用して、業務の効率化や新しいビジネスモデルの創出、組織戦略の変化による企業の競争力強化をはじめ、新たな方法を追求していくことであります。したがって、IoEはDXの実現になくてはならないものであり、IoEとDXがクロスすることによる新しい社会的価値の創出こそが、Society五・〇の実現につながると考えられます。Society五・〇の目的は、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心社会の実現ですが、全ての人が安心してサービスを利用できる社会を実現するためには、セキュリティーが担う役割は大きいと考えます。デバイスが増えるほどハッキングやデータ漏えいのリスクが高まるため、個人情報の取扱い等の規制を含め、サイバーセキュリティー対策が必要不可欠です。しかし、サイバーセキュリティーの世界はいたちごっこです。サイバー攻撃を防ごうと対策を講じても、攻撃者は新たな手法を用いて、防御の網をかいくぐって侵害してきます。今後も、脆弱性を完全になくすことは不可能であり、いたちごっこは続くと思いますが、発生した脆弱性に対して適切及び迅速に対応しながら被害を最小限に抑え、Society五・〇を実現し、我が国、そして本県の経済的な発展や課題の解決につなげていかなければなりません。Society五・〇の実現に向けた本県の認識と取組について伺います。 大綱三点、県政の諸課題について伺います。 (一)逆参勤交代による地方創生について伺います。 逆参勤交代とは、地方での期間限定型リモートワークを通じて、働き方改革と地方創生の同時実現を目指す構想です。江戸の参勤交代では藩邸が建設され、全国には街道や宿場町が整備され、江戸には地方から新たな人の流れが生まれ、経済・文化が大きく発展しました。逆参勤交代はこれを逆の発想で捉え、東京から地方に人の流れをつくることによって、地方にはオフィスや住宅、ITなどのインフラが整備され、ひいては関係人口の増加につながることを意図しています。 先日、都内にて、逆参勤交代の提唱者である三菱総合研究所未来共創本部で主席研究員を務める松田智生氏とお会いしました。松田氏は、二〇一七年から逆参勤交代を提唱し、多くの自治体や企業でアドバイザーを務める地方創生分野の第一人者です。松田氏によれば、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、日本が抱える東京一極集中やインバウンド頼みのリスク等、様々なリスクが露呈され、この厳しい状況下を打破し地域活性化や観光振興を図るには、これまでにない発想でシティープロモーションを考案しなければならないとおっしゃっておりました。 江戸時代の参勤交代は、地方の大名に負担を強いた一方で、地方から江戸へ人の流れをつくりました。これとは逆に、東京から地方への人の流れが生まれれば、地方にオフィスや住宅が整備され、関係人口は間違いなく増加します。また、逆参勤交代によって地方で働く社員は、ゆとりのある環境で週に数日は本業、残りの数日は地域のために働くことで担い手不足も解消できます。したがって、逆参勤交代を導入することにより、地方創生と働き方改革を同時に実現できます。新型コロナ対策により高まったテレワークやリモートワーク需要と、地方創生を両立させる切り札となり得る逆参勤交代について、知事の御所見を伺います。 今年三月、長崎県における関係人口の創出に資する取組の推進を目的として、三菱地所株式会社と一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会は、三者連携協定を締結しました。ワーケーションの促進、まちなかにおける交流促進の場の創出、農と食を通じた地域と都市の豊かな関係づくり等について連携し、地域活性化や地方創生につながる取組を進めていく予定で、逆参勤交代の長崎県での実施を計画しているそうです。 これまで、民間の力を活用したドラスティックな改革を進め、富県宮城を実現し、宮城県の地方創生に尽力してきた村井知事との面会を松田氏は希望されておりました。全国知事会の会長も務められ、大変お忙しいこととは存じますが、知事の目指す地方創生には理想的なアイデアかと思いますので、一度面会していただくことをお願いいたしますが、知事の所感について伺います。 (二)県職員宿舎へのエアコン設置について伺います。 記録的な猛暑が続く中、県職員宿舎へのエアコン設置に関して、未設置の部屋に入居する職員が自費で費用を負担し、エアコンを設置しているとの情報を受け、先月、担当課である職員厚生課にアンケート調査を依頼いたしました。回答率一〇〇%の調査結果では、在仙宿舎、地方宿舎、災害対応宿舎合わせて十五棟八百八十七戸のうち、入居数は三百六十四戸で入居率は四一%。エアコンを標準装備していたのは、東京及び災害対応宿舎のみで、宿舎のエアコン標準装備率は、職員住宅で一一%、職員寮で二一・五%。エアコンを設置していない宿舎のうち、入居者によるエアコン設置率は、職員住宅で九二・二%、職員寮で五二・八%でした。宮城県の消防課のホームページを見ると、「熱中症の危険が予想される場合は、熱いと感じていない場合でも、室内ではエアコン等を活用し、身体に負担のない環境に保つよう御注意願います」と県民に対し熱中症についての注意喚起が記されております。また、先月には、環境省が宮城県に幾度となく熱中症警戒アラートを発出し、外出をなるべく避け室内をエアコンで涼しくして過ごすなどの対策を求めています。宿舎にエアコンがない四七・二%の職員寮の方々は、対策するすべがありません。職員の健康を守り、働きやすい環境をつくる責任を担う県として、入居者が費用を負担しエアコンを設置している、また、費用を負担できずに耐え忍んでいる職員の現状をどのように捉え、今後、改善していく余地はあるのかを伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 境恒春議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱二点目、Society五・〇の実現に向けての御質問にお答えいたします。 初めに、メタバースを活用したオンライン居場所についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、ひきこもり状態にある方々に対して、ひきこもり地域支援センターや各保健福祉事務所による個別相談のほか、ひきこもり居場所支援モデル事業により、県内三か所に他者との交流の場を提供する居場所を設置しておりますが、対面でのコミュニケーションや外出が困難な方への支援も大変重要であると認識しております。このため、県では、他県の取組も参考にしながら、アバターやチャット機能を使用した交流支援や相談支援、学習支援などのプログラムをウェブ上で提供するオンライン居場所について、今年十月から開設する予定としております。県としては、引き続き、市町村や民間の事業者等と連携しながら、ひきこもり状態にある方が社会とのつながりを持つ一歩を踏み出せるよう、支援体制の充実に努めてまいります。 次に、IoEに対する認識と可能性についての御質問にお答えいたします。 IoEは、ヒト・モノ・プロセスなどの全てがインターネットでつながることで、新たな価値を創造しようとする概念であり、住民生活の改善やインフラ管理等への貢献が期待されているものと認識しております。現在、県のDX施策として進めておりますデジタル身分証アプリにつきましても、アプリを通じていつでも特定のヒトとつながることができる機能を有しており、防災、地域経済の振興、インフラの維持保全など、県民サービスの向上に貢献できると考えております。引き続き、県民の暮らしや地域の産業など、あらゆる分野でデータ・情報がつながり合うIoEの考えを踏まえたDXの推進に取り組んでまいります。 次に、セキュリティーが担う役割についての御質問にお答えいたします。 Society五・〇では、実社会における様々なデータがサイバー空間にビックデータとして蓄積され、AI等を通じて創出された新たな価値やサービスによって、経済の発展とともに、現代社会が抱える様々な課題を克服することが期待されております。そのため、膨大な情報を安全かつ迅速に処理することが必要であるほか、サイバー攻撃に備え、官民を挙げてセキュリティー水準の底上げ等を図ることが重要であると認識しております。現在、県では、国の標準要件を満たす自治体情報セキュリティークラウドの導入や、産学官連携によるサイバーセキュリティー対策に取り組んでいるところであり、引き続き、Society五・〇の実現に向けたセキュリティーの強化に努めてまいります。 次に、大綱三点目、県政の諸課題についての御質問のうち、逆参勤交代についてのお尋ねにお答えいたします。 地方でリモートワーク等をしながら、地域住民と一緒に地域の潜在的価値を発見し、課題解決するとともに、関係人口を増加させる取組については、地方創生と親和性が高いものと認識しております。地方公共団体が、三大都市圏の企業等の社員を一定期間受け入れ、地域の魅力や価値の向上等につながる業務に従事していただく、国の支援制度を活用している県内市町村がありますことから、県としては、こうした取組を更に進めてまいりたいと考えております。また、提唱されている方が所属するシンクタンクからは、これまでも、震災復興をはじめとして様々な御助言を頂いており、まずは担当部局を向かわせまして、話をよく伺いたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 総務部長小野寺邦貢君。 〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕
◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱二点目、Society五・〇の実現に向けての御質問のうち、環境センシングの導入についてのお尋ねにお答えいたします。 執務環境の快適性の維持向上と省エネルギーの推進は重要課題と考えており、ワイヤレス給電や環境センシングによる執務環境の制御も優れた先進技術の一つであると認識しております。県庁舎の空調設備は、近年、更新したところであり、直ちに提案のありましたシステムの導入は困難ですが、今後、老朽化した県有施設の建て替えや設備の更新に当たっての検討課題とさせていただきます。 次に、大綱三点目、県政の諸課題についての御質問のうち、県職員宿舎へのエアコン設置についてのお尋ねにお答えいたします。 県職員宿舎では、エアコンを含めた家電製品は、基本的に入居者本人が必要に応じて設置することとしております。一方で、近年、記録的な猛暑が続いており、適切な休養を取り健康を保つためには、時代のニーズに合わせて居住環境の改善を図っていくことが必要であると考えております。県としては、入居者の声はもとより、各宿舎の設備の状況、国や他の自治体の対応状況などを踏まえ、望ましい在り方を検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 復興危機管理部長千葉章君。 〔復興危機管理部長 千葉 章君登壇〕
◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱一点目、気仙沼市と南三陸町の諸課題についての御質問のうち、防潮堤事業未完了箇所の避難対策についてのお尋ねにお答えいたします。 津波発生時の避難対策については、学識経験者や関係機関で構成する宮城県津波対策連絡協議会を設置し、沿岸市町等における津波避難計画の指針となる津波対策ガイドラインを策定しており、東日本大震災の教訓等を踏まえて改定を重ねながら、その被害の軽減に取り組んでまいりました。気仙沼市の地区津波避難計画においては、津波対策ガイドラインに加え、防潮堤等のハード整備の完了まで時間を要することを考慮し、各地区の住民等とワークショップを行うなどして、指定避難場所等を検討し策定されたものと承知しております。県としては、今後も津波対策ガイドラインの見直しを行い、沿岸市町における津波避難計画の改定を支援するとともに、防災指導員の養成や自主防災組織を対象とした研修等を通じて、住民の避難意識の向上につながるよう取組を進めてまいります。 次に、震災からの復旧・復興に関する県民意識調査の結果についての御質問にお答えいたします。 令和四年県民意識調査結果報告書によりますと、復旧・復興が遅れていると感じている取組として、コミュニティー再生や雇用の維持・確保を挙げる方の割合が高く、コミュニティー再生などのソフト面での支援や産業振興策などが求められているものと分析しております。また、震災の風化が進んでいると感じる時として、報道の機会の減少を挙げる方の割合が高く、震災の教訓や復興の積極的な伝承・発信が必要であると考えております。県としては、これまで地域コミュニティー再生支援やNPO等が行う地域復興支援、復興特区などの優遇制度を活用した企業誘致、震災の経験や教訓を伝え継ぐ伝承活動の推進に取り組んでおり、引き続き、復興の完遂に向け、関係する市町や団体等と連携しながら取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 環境生活部長佐々木均君。 〔環境生活部長 佐々木 均君登壇〕
◎環境生活部長(佐々木均君) 大綱一点目、気仙沼市と南三陸町の諸課題についての御質問のうち、気仙沼市における風力発電計画についてのお尋ねにお答えします。 仮称宮城気仙沼風力発電事業については、脱炭素社会の実現の観点からは重要な事業であると考えますが、地域の自然そのものを楽しむ市民の森に風車を建設する計画であり、自然環境や生活環境などに対する影響が懸念されることから、地域との十分な協議、調整が必要であると認識しております。このため、知事意見では、特に市民の森に風車を建設した場合の影響を踏まえて、気仙沼市と協議するほか、地域住民等に対しては、環境影響に関する情報を、科学的根拠を踏まえ分かりやすく積極的に提供することを求めております。また、生態系評価に係る配慮書と方法書の記述の整合性については、環境影響評価技術審査会から、配慮書における生態系影響の評価結果と方法書における生態系影響の調査や評価方法の記述が、技術的にかみ合っていないとの指摘があったことから、次の準備書においては、記述の整合性を図るように求めたものです。県としては、風力発電などの
再生可能エネルギーの導入に当たり、今後とも地域の理解と、周辺環境との調和に十分に配慮して進めるよう、事業者に対し指導してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、Society五・〇の実現に向けての御質問のうち、遠隔医療の推進についてのお尋ねにお答えいたします。 医療の地域格差を解消する上で、ICTによる診療支援は有効であり、特にへき地での積極的活用が国の指針で求められております。現在、我が県には離島や山間部などに十六か所のへき地診療所がありますが、これらの診療所では遠隔医療の活用により、高齢患者や医師の移動の負担軽減につながるとともに、悪天候時や感染症流行時でも速やかな医療の提供が実現する可能性があるものと認識しております。そのため、現在策定中の第八次宮城県地域医療計画においては、へき地医療の施策の方向として、遠隔医療を活用した診療体制の整備支援について記載することとしております。一方、オンライン診療では、患者に直接触れて行う診療ができないなどの課題があることから、関係者の意見を十分に聞きながら、遠隔医療の具体的な活用方策について検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 水産林政部長吉田信幸君。 〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕
◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱一点目、気仙沼市と南三陸町の諸課題についての御質問のうち、防潮堤整備に係る説明会の開催時期と工事の進捗状況についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災に伴う復旧・復興事業のうち、県管理漁港海岸の防潮堤整備において未完了となっている四地区については、今年度の工事の実施に併せて説明会を開催する予定としておりますが、浪板地区については、現在、地元の代表者と情報提供の手法なども含めて調整しているところであり、決定次第実施してまいりたいと考えております。また、工事の進捗状況については、先月末現在、進捗率が四九%から八七%となっております。県としては、引き続き、地元への丁寧な説明に努めながら、一日も早い防潮堤事業の完了に向けて取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱二点目、Society五・〇の実現に向けての御質問のうち、メタバースを活用した不登校対策についてのお尋ねにお答えいたします。 県教育委員会では、学校に登校していない児童生徒一人一人の状況に応じた教育機会を確保するため、校内に設置している学び支援教室などの別室での支援や、学校以外の学びの場となるみやぎ子どもの心のケアハウスの運営支援など、様々な施策に取り組んでいるところです。学校に登校していない児童生徒へのメタバースの活用は、児童生徒の居場所を創出し、多様な他者との関わりの中で、社会的自立を図る支援の一つとして期待できるものと捉えております。今回、保健福祉部において、ひきこもり状態にある方々を対象としたオンライン居場所が開設されることから、学校に登校していない児童生徒への支援についても、保健福祉部と連携し検討してまいります。 以上でございます。