令和 5年 9月 定例会(第389回) 第三百八十九回宮城県議会(定例会)会議録 (第五号)令和五年九月十五日(金曜日) 午後十時開議 午後二時四十九分散会 議長 菊地恵一君 副議長 池田憲彦君出席議員(五十八名) 第一番 金田もとる君 第二番 佐々木奈津江君 第四番 石田一也君 第五番 佐藤剛太君 第六番 伏谷修一君 第七番 松本由男君 第八番 柏 佑賢君 第九番 福井崇正君 第十番 大内真理君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 三浦ななみ君 第十三番 枡 和也君 第十四番 佐藤仁一君 第十五番 渡邉重益君 第十六番 わたなべ 拓君 第十七番 伊藤吉浩君 第十八番 八島利美君 第十九番 瀬戸健治郎君 第二十番 櫻井正人君 第二十一番 村上久仁君 第二十二番 高橋宗也君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 三浦一敏君 第二十五番 佐々木功悦君 第二十六番 境 恒春君 第二十七番 太田稔郎君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番 横山のぼる君 第三十番 高橋 啓君 第三十一番 庄田圭佑君 第三十二番 遠藤隼人君 第三十三番 渡辺勝幸君 第三十四番 横山隆光君 第三十五番 佐々木賢司君 第三十六番 守屋守武君 第三十七番 外崎浩子君 第三十八番 池田憲彦君 第三十九番 熊谷義彦君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 渡辺忠悦君 第四十二番 菅間 進君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 仁田和廣君 第四十六番 吉川寛康君 第四十七番 伊藤和博君 第四十八番 佐々木幸士君 第四十九番 高橋伸二君 第五十番 菊地恵一君 第五十一番 佐々木喜藏君 第五十二番 石川光次郎君 第五十三番 中島源陽君 第五十四番 本木忠一君 第五十五番 中山耕一君 第五十六番 安藤俊威君 第五十七番 畠山和純君 第五十八番 藤倉知格君 第五十九番 中沢幸男君欠員(一名) 第三番
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君
公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・危機管理部長 千葉 章君 企画部長 武者光明君 環境生活部長 佐々木 均君 保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君 水産林政部長 吉田信幸君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君 総務部参事兼秘書課長 村田俊顕君 総務部参事兼財政課長 高橋寿久君 教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君
選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 後藤和隆君 人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 北沢康一君 公安委員会 委員 及川雄介君 警察本部長 原 幸太郎君 総務部長 横山 裕君 労働委員会 事務局長 中村今日子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 小林一裕君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 大場則昭君 政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 副参事兼
政務調査課総括課長補佐 千葉恵子君 議事課長補佐(班長) 我妻則之君
議事課主任主査(議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第五号 令和五年九月十五日(金)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号第三 一般質問 〔櫻井正人君、太田稔郎君、石川光次郎君、岸田清実君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号三 日程第三 一般質問 〔櫻井正人君、太田稔郎君、石川光次郎君、岸田清実君〕
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△開議(午前十時)
○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(菊地恵一君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、五番佐藤剛太君、六番伏谷修一君を指名いたします。
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△諸報告
○議長(菊地恵一君) 御報告いたします。
公安委員会委員長庭野賀津子君から本日欠席、
公安委員会委員及川雄介君が代理出席する旨の届出がありました。
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△議第百十号議案ないし議第百三十二号議案
△報告第二十五号ないし報告第三十号・一般質問
○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第百十号議案ないし議第百三十二号議案及び報告第二十五号ないし報告第三十号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。二十番櫻井正人君。 〔二十番 櫻井正人君登壇〕
◆二十番(櫻井正人君) 自由民主党・県民会議の櫻井正人であります。議長のお許しを頂きましたので、一般質問を行います。大綱二点について質問させていただきます。 その前に、一期で当選し、これまで二年半、様々な事情がありまして、いろいろ考えた結果、今期限りで引退を決断いたしました。まさに、この決断に一遍の悔いはありません。違う道をしっかりと歩んでまいりたいなというふうに思っております。 今回、二点の質問でありますけれども、まず初めに、大綱一点目でありますが、宮城県の観光政策についてお伺いいたします。 まず、み
やぎ観光戦略プランでありますが、これまで県政運営の基本指針である宮城の将来ビジョンを策定し、「富県共創!活力とやすらぎの邦づくり」を基本理念として県政を推進しておりますが、この中で、観光の果たす役割が極めて重要であるという認識に立ち、平成十八年十二月にみ
やぎ観光戦略プランを策定し、平成二十三年三月と平成二十六年三月に二度の改定が行われてきました。その後、平成三十年三月に、その指針となる第四期プランを策定し、関係者と連携しながら観光振興への取組を推進した結果、
外国人観光客宿泊数、沿岸部の観光客入り込み数及び宿泊観光客数については、一年前倒しで目標を達成したところでしたが、令和元年末に海外で初めて確認され、世界中で感染の流行が継続している
新型コロナウイルス感染症による大幅な観光需要の落ち込みにより、観光を取り巻く環境は一変し、宿泊業者、旅行業者をはじめ、地域の交通事業者や物産販売業といった多くの
観光関連事業者が多大な影響を受け、第四期計画期間を一年半延長せざるを得ない状況となりました。令和四年十月からの第五期プランについては、
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、世界の観光の
在り方そのものが大きく変わっていく中で、これまで以上に県民や観光関係者と行政が一体となって、新しい観光需要を受け入れる体制を整備し、優位性を打ち出す取組を強化していく必要性が強調されておりますが、改めて、ここ最近の現状をどのように認識し、今後どのような取組を進めていくのか、お聞かせ願います。 (二)特色ある観光資源と仙台空港等のインフラについて。 本県の特性として、日本三景松島をはじめとする雄大な自然環境等の特色ある観光資源と、東北の
ゲートウエー機能を持つ仙台空港等のインフラについてですが、まず、日本三景の
一つ松島湾エリアは、湾の自然やその景観、古くからの信仰や伊達政宗公を中心とした伊達家などにまつわる歴史・文化、松島湾の海の恵みを素材とする食の魅力など、一級の観光資源を有し、宮城県のみならず東北を代表する観光地であります。宮城県観光統計概要によると、松島湾エリア三市三町の平成二十八年観光客入り込み数は、八百二十二万人でありました。その後、
新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、未曽有の減少幅を記録しましたが、感染罹患者の減少等により、本年五月の第二類から第五類への変更、規制緩和がなされたことによって、観光客の増加が見受けられる状況にはなりつつも、まだ
コロナウイルス蔓延前までには完全に回復できていない状況で、個人旅行若しくは
旅行エージェント企画の募集旅行が主流を占めていた旅行形態も、コロナ前に比べると大きく様変わりしております。今後、このエリアにおいては、更なる観光客誘客の増大のみならず、観光客の満足度と観光消費額を高めることで、観光産業全体の成長を促進し、地域経済全体の活性化につなげるべきであると思いますが、今後の計画とともに、課題点とその対応策がありましたら、お聞かせ願います。 (三)今後の
インバウンド増加に対応するための取組についてお伺いします。 昨年十月の水際対策緩和をきっかけに、訪日外国人数は順調な回復を続けており、
日本政府観光局が七月十九日に発表した訪日外客数は、本年一月から六月は千七十一万二千人と、一千万人の大台に乗せ、コロナ前の一九年同期、約千六百六十三万人の約六割まで回復しております。特に六月は、コロナが急拡大した令和二年二月以降、初めて二百万人を超える二百七万三千三百人であり、国・地域別では韓国が五十四・五万人と最多であり、次いで台湾が三十八・九万人、アメリカが二十二・七万人となっております。また、観光庁が同日に発表した、今年四月から六月期の
訪日外国人消費動向調査によると、同期の消費額は一兆二千五十二億円で、コロナ前の一九年同期と比べて九五・一%となっており、訪日外国人の消費額、いわゆる
インバウンド需要は、コロナ前の水準をほぼ取り戻しつつあります。訪日外国人数に比べて消費額の回復ペースが速いのは、訪日外国人一人当たりの消費額がコロナ前よりも大きいためであり、実際に、四月から六月期の一人当たりの消費額、旅行支出は二十・五万円であり、一月から三月期の二十一・一万円から僅かに減少したものの、コロナ前令和元年の十五・九万円を大きく上回っています。その理由としては、近年の円安が大きく影響していると考えられますが、コロナで三年間もの間日本への旅行ができなかったリピーターを中心とする訪日外国人が、この間の支出を遅れて行う繰越需要、ペントアップ・デマンドが生じたことや、外国人観光客が日本の観光資源を再発見し、そこにより大きな価値を見いだしたことが大きな要因と言われております。一方で、県内に目を転じると、仙台空港における国際定期便の再開状況は、今年一月十八日の台湾便を皮切りに、四月二十八日にはソウル便、七月二十五日には大連・北京便が復便しており、残すはタイのバンコク便、上海便のみとなっております。特に台湾便は週で十七便と、ピークであった令和元年の週十九便に迫る状況となっております。国際線の利用者数も、国土交通省の調べによると、今年四月から六月は六万二千百三十人と、コロナ前令和元年の八万五千百二十一人の約七三%まで回復しており、特に六月を比較すると約九二%となっており、順調に回復しております。また、県内における外国人宿泊数は、観光庁の調べによると、今年四月から六月は十三万四千三百八十人と、コロナ前二〇一九年の十三万三千三百六十人の約一〇二%と、コロナ前の水準に回復しております。こうした中、先月十日には、中国政府が日本への団体旅行を解禁したところであり、今後ますます外国人観光客の増加が想定されますが、観光業界はコロナ禍において売上げが低迷し、離職者が相次いで穴を埋め切れていない状況であり、人手不足による受入れ体制の整備が大きな課題となっております。県内においても、観光地のホテルや旅館では従業員が不足しているほか、観光バスのドライバーも不足し、対応に苦慮しているとの声も聞かれます。こうしたことを踏まえ、観光業界における人手不足解消に向けた支援に加えて、単に観光客の数を追い求めるのではなく、
外国人観光客に観光資源を再発見させることで、一人当たりの支出額を増やす観光商品の拡充など、持続的な高付加価値化に取り組むことが重要と考えますが、県の見解をお聞かせください。 (四)今後の更なる
アウトバウンド拡大に向けた取組について。 一方で、回復が堅調なインバウンドと比較して、日本から海外に出かける
アウトバウンドは、回復が遅れている状況にあります。そもそも日本の海外出国者数は、令和元年に観光庁が取りまとめた資料によると、世界で十四位、アジアで四位でありますが、先進七か国においては最下位となっているほか、人口当たりの出国率も先進七か国で最下位。更に、隣国の韓国や台湾にも大きく差をつけられており、日本の
アウトバウンドはいかに弱いかが分かる結果となっております。このうち、日本国内での
地域別海外出国者数は、東北地域は全国ワースト二位、全国に占める割合は僅か二・五%であり、これはワースト三位の中国・四国地域四・八%にも倍近い差をつけられ、トップの関東地域四八・四%との差は約二十倍となっております。また、各地域の総人口の影響を受けない人口当たりの海外出国率を見てみると、東北地域は北海道地域に逆転され、全国ワースト一位の出国率五・四%となり、日本において最も海外に行かない地域となっております。このことはパスポートの保有率にも現れており、令和四年末時点で保有率の全国平均は一七・一%でありますが、東北地域各県はいずれも平均以下であり、特に
ワーストスリーを東北勢が占め、一桁の保有率となっております。宮城県は一一・一%で、東北地区においてトップの保有率であるものの、他地域における主要県と比較すると、保有率はまだまだ低い状況にあります。更に、東北地域の空のゲートウエーである仙台空港における出国者数の日本人・外国人の利用割合を見てみると、民営化以降、日本人の旅客数があまり変わらないものの、交流人口の拡大に向けてインバウンドの誘客に力を入れたことで、外国人の旅客数が増加したため、外国人の利用割合が大きくなっており、コロナ前の令和元年度は、外国人が約六五%を占めております。国際線が再開した今年一月から六月まで見ると、外国人利用者が約八六%となっており、日本人の
アウトバウンドがいかに低調かが分かるかと思います。こうした傾向は東北地方に限ったことではなく、全国的にも大きな課題となっております。
アウトバウンドの推進は、国際交流を促進するだけではなく、
航空ネットワークやインバウンドの更なる拡大にも寄与することから、観光庁は、今年三月に
アウトバウンドの本格的な回復に向けた
政策パッケージを発表し、出国日本人数の令和元年水準越えを目指すとしております。こうした状況を踏まえ、本県の更なる観光振興に向けては、双方向の交流が大事であり、インバウンドのみならず、
アウトバウンドの促進に向けた取組が重要と考えますが、県の観光戦略においてどう取り組むのか、お聞かせください。 (五)といたしまして、海外教育旅行及び海外研修の拡大についてお伺いいたします。 昨今の
アウトバウンドの伸び悩みには、特に若者の海外旅行離れが大きいと考えております。法務省の出入国統計によると、日本を出国する二十代の数は、平成八年の四百六十三万人をピークに減少し、平成二十九年には三百五万人まで落ち込んでおります。更に、観光庁が作成した資料「若者旅行振興について」の中では、二十代の
パスポート取得率の低下も指摘されております。その理由としては、十分な休みが取れない、金銭的な余裕がないなど、行きたくても行くことができないこともあるでしょう。また、インターネットの普及によって海外の情報が容易に取得できること、海外旅行以外にも魅力的な体験ができる環境が多いことなど、趣味や関心の多様化も影響していると思われます。一方で、海外旅行未経験者は、
パスポート取得の手続、航空機・宿泊先の手配など、旅行の事前準備に関する懸念が強い傾向があると言われております。次世代を担う若者の海外旅行、
アウトバウンドの促進は、今後の宮城・東北を担う若者世代の国際感覚を涵養し、国際相互理解の増進に多く寄与するものであり、異
文化コンピテンスを習得した人材を多く育てることで、今後の宮城・東北が進めるべき経済活動や地域全体のグローバル化に対し重要な意義を持つとともに、他地域に対してアドバンテージを得ることになると考えております。このため、若いうちから海外に触れる機会として、特に高校生をターゲットとして、海外修学旅行や海外研修等を積極的に推進すべきと考えます。県内の高校における海外修学旅行や海外研修の実績を見ると、私立高校は数多くの実績がありますが、公立校では海外修学旅行が平成三十年度八校八百六十六名、令和元年度七校六百三十八名と、まだまだ少ない状況にあります。このことは、各学校において教育目標等の実現に向けて必要な教育課程を組んでいるため仕方ありませんが、海外修学旅行が難しいのであれば、希望者を対象とした語学研修等の海外研修旅行に力を入れるべきと考えます。こうしたことを踏まえ、県教育委員会として、今後、海外修学旅行や海外研修旅行の促進に向けてどう取り組むのか、考えをお聞かせ願います。 大綱二、
県道仙台松島線、利府街道の機能強化についてお伺いいたします。 先月二十一日に、知事から今年度も松島町交通社会実験を開催する旨の発表がありました。今年は、十月十四日の土曜日と十五日の日曜日の二日間が予定されております。午前十時から午後三時まで、松島海岸地区の国道四十五号のJR松島海岸駅交差点から松島第一駐車場交差点までの約七百メートル区間で大型車両の通行規制を行い、うち二百五十メートル区間は緊急車両を除く全車両を通行規制し、車道をにぎわい空間として活用して、
オープンカフェやイベント等を開催するほか、今年は、更なる
にぎわいづくりに向けて、本県の絆大使である本郷奏多さんの
トークイベントや着物のファッションショーなどのほか、新たにグリーン広場を活用し、周辺市町が特産物などの物販販売やお振る舞いを行うなど工夫を凝らしており、昨年以上の盛り上がりが期待されます。また、昨年は松島海岸付近の店舗から「お客さんが減った」「売上げが減少した」などの意見が寄せられたことから、今年はシャトルバスの運行ルートの見直しや、それを補完するために、四人から七人乗りの電気で走るグリーンスローモビリティを八台導入し、松島海岸から離れた地区まで運行するなど、観光客の広範囲な周遊を促すとともに、体の不自由な方への配慮をはじめ、カーボンニュートラルへの取組も強化するなど、全国のモデルとなるような交通社会実験になっております。昨年度の実験では、国道四十五号の迂回路として、
県道仙台松島線、通称利府街道、県道小牛田松島線などを迂回路として活用いたしましたが、事前の周知や警察が渋滞状況を確認しながら手動で信号サイクルを調整した結果、周辺道路では目立った渋滞は発生しませんでした。今年は、迂回路への円滑な交通誘導と周辺道路の渋滞対策として、AIやIoTなどのデジタルトランスフォーメーション技術を取り入れ、周辺道路にリアルタイムカメラやセンサーを設置し、道路の渋滞状況や観光施設の混雑状況をスマートフォンなどのウェブサイトに表示する「みやぎデジタルマップ」の導入や、国道四十五号線に並行して走る三陸自動車道仙台松島道路において料金割引を実施するなど、昨年以上に渋滞対策に力を入れていると聞いております。しかし、迂回路となる
県道仙台松島線、利府街道は、特に利府町の松島海岸インターチェンジ付近から松島町高城の国道四十五号線に接続する区間は、一万台近く交通量があるにもかかわらず、一部カーブがきつく、路肩幅員も不足しているなど、大型車両同士のすれ違いに支障を来しているほか、松島中学校付近のJR東北本線と交差する箇所は、高さ三・九メートルまでの車両しか通行できないなど、迂回路としては課題があると考えております。昨年の交通社会実験後に県が実施した道路利用者へのアンケートにおいても、特に大型トラックのドライバーからは、利府街道は幅員が狭く、急カーブ等の解消を指摘する意見が多く寄せられたと聞いております。国道四十五号を規制する交通社会実験は、昨年と今年の二か年で終了する予定であり、今後の対応については、今回の実証実験を踏まえて、松島町や観光協会など松島町交通社会実験協議会で議論すると思いますが、昨年度、知事は「将来的には国道四十五号を付け替えて、定期的に歩行者天国を実施したい」とお話しされております。今後の日本三景の更なる魅力向上に向けて、国道四十五号線を規制しての
にぎわいづくりは、大いに効果があるものと考えております。そのためには、国道四十五号の迂回路となる利府街道、特に松島町桜渡戸地区から高城地区までの更なる機能強化が必要と思いますが、県の考えをお聞かせください。 以上、大綱二点について御質問いたしました。御清聴ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 櫻井正人議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 大綱一点目、宮城県の観光政策についての御質問にお答えいたします。 初めに、県内の観光の現状認識と今後の取組についてのお尋ねにお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ観光需要は、着実に回復してきておりますが、コロナ禍を経て、アウトドアやワーケーション等への関心の高まりや、マイクロツーリズム、個人旅行の増加などの新しい観光需要が生じているものと認識しております。また、県では、令和二年度に宿泊・観光事業者や交通事業者、学識経験者などをメンバーとする「みやぎ観光振興会議」を立ち上げ、地域観光の現状や今後必要な施策について意見交換を行い、第五期み
やぎ観光戦略プランに反映したところであります。県では、今後プランに基づき、回復戦略として、インバウンド誘致に向けて、東北一体でのプロモーションやバスなどを活用した旅行商品の造成等を行い、宿泊観光客数をコロナ禍前の水準まで早期に回復させてまいります。更に、成長戦略として、新しい観光需要にも対応した、宿泊・観光施設の収益性向上のための改修支援や、インバウンド向け体験型コンテンツの造成などを実施し、プランに掲げる宿泊観光客数等の成長目標達成に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、松島湾エリアの活性化に向けた対応策についての御質問にお答えいたします。 県ではこれまで、平成二十八年度に策定した松島湾ダーランド推進計画に基づき、松島湾周辺市町内のサイクリングコースの造成や、多言語による観光案内看板設置、ウェブサイトの開設等に取り組んできたほか、松島水族館跡地を活用した体験型観光施設、宮城県松島離宮の整備支援を通じ、松島湾エリアのにぎわい創出を図ってまいりました。一方、地元の事業者の方からは、エリア内の滞在時間が短いことや、街歩きや体験型観光などの魅力をよりアピールしていく必要があるといった御意見を伺ってきたところであります。このため、令和二年度から昨年度までに実施した松島湾周遊体験観光地整備事業において、水上輸送を活用した周遊モデルルートの造成等に取り組みました。また、今年度は、新たに観光庁事業の採択を受け、国宝瑞巌寺における政宗が育んだ伊達な文化体験をテーマとして、富裕層を対象とした特別な文化、自然、食等の体験を伴うコンテンツ造成を行っているところであります。来年度以降につきましては、第六期み
やぎ観光戦略プランの策定に向けて、宮城観光振興会議等において地元事業者の方々の御意見を伺いながら、松島湾エリアの活性化にしっかりと取り組んでまいります。 次に、
インバウンド増加に対応した持続的な高付加価値化に取り組むことが重要と思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
外国人観光客の受入れ推進に当たっては、御指摘のありました人手不足の解消や、観光地等の高付加価値化による消費額の拡大を図ることが重要であると認識しております。県といたしましては、人手不足の解消に向け、今後、関係団体の協力を得ながら、就業体験を伴うマッチングの実施や、外国人材の一層の活用、更に、業務効率化に係る機器等の整備への助成などを検討してまいります。また、観光地等の高付加価値化の推進については、今年度、観光庁の観光再始動事業の採択を受けた、松島エリアでの「国宝瑞巌寺における政宗が育んだ伊達な文化体験」のほか、蔵王エリアでの樹氷観覧ヘリコプタークルージングツアー、利府町での新幹線総合車両センター特別公開ツアーなど、富裕層向けの高い誘客・消費拡大効果をもたらすコンテンツの造成が行われているところであります。県としては、今後も、我が県が国内・世界に誇る食、自然、歴史、文化等の地域資源にストーリーやテーマなどを持たせる取組を進めることで、高付加価値化の実現を図ってまいります。 次に、
アウトバウンド促進に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 今後の観光振興に当たっては、インバウンド誘客に加え、
アウトバウンドの促進による海外との双方向の国際交流を推進していくことが重要であると認識しております。県では、仙台空港発着の国際線利用者を対象とした、
パスポート取得費用や海外旅行代金の一部を助成するキャンペーン、仙台空港を利用した海外修学旅行の促進のための取組により、
アウトバウンドの需要喚起に努めてきております。また、国では、諸外国との観光分野における覚書の締結や、海外教育旅行専用サイトによる情報発信、旅行会社・航空会社等と連携したキャンペーンに取り組み、イン・アウトを両輪として双方向の交流拡大を図っています。県といたしましては、引き続き仙台国際空港株式会社等と連携した
アウトバウンド促進に取り組むほか、在日大使館との交流機会を活用し各国のPRに努めるなど、イン・アウト双方の交流拡大につなげてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、
県道仙台松島線利府街道の機能強化についての御質問にお答えいたします。
県道仙台松島線、通称利府街道は、仙台市中心部から利府町を経由し、松島町高城地区の国道四十五号を結び、仙台都市圏において広域的な道路ネットワークを構成する、極めて重要な幹線道路であります。このうち、昨年度から実施している松島町交通社会実験において、国道四十五号の迂回路として設定した、三陸自動車道の松島海岸インターチェンジ付近から松島町高城地区までの区間については、一部カーブがきつく、道路幅員も狭いほか、JR東北本線愛宕駅南側のガード部は高さが三・九メートルに制限されているため、特に大型車の安全で円滑な交通の確保が課題であると認識しております。このため、県では、これまで部分的な道路拡幅や県道大和松島線との交差点整備など、優先度の高い箇所から整備に取り組んできたところであり、現在、県道大和松島線の交差点から愛宕駅南側ガード部を含む国道四十五号までの区間において、新しい道路整備計画の検討を行っております。県といたしましては、本路線の機能強化が松島地区の渋滞緩和に大きく寄与することから、来月実施予定の松島町交通社会実験における課題等を踏まえながら、引き続き、国や松島町などと緊密に連携し、検討を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、宮城県の観光政策についての御質問のうち、高校生を対象とした海外修学旅行等の推進についてのお尋ねにお答えいたします。 急速にグローバル化が進展する中で、高校生が直接海外を訪問し、他国の文化や価値観に触れ、国際的な視野を涵養することは、次世代を担う人材を育む上で大変重要であると認識しております。こうした観点から、台湾やオーストラリア、シンガポールなどへの海外修学旅行や、欧米等の高校との姉妹校交流も進めており、今年に入ってからは、スーパー・サイエンス・ハイスクール指定校から生徒を募り、アメリカの高校や大学等において、日頃の研究内容について意見交換する機会を設けたほか、海外研修旅行も複数の学校で計画されております。県教育委員会といたしましては、海外交流事業の好事例の紹介や、海外研修旅行に参加する高校生への財政的支援などを通して、海外修学旅行等の促進を図っているところです。今後更に、台湾教育省に紹介された国際交流プラットフォームを有効に活用し、学校間交流を積極的に推進するとともに、海外の高校とのオンラインによる交流を、対面での交流へと発展させるなど、高校生の海外への意識を高める機会を拡大してまいります。引き続き、これらの取組を通じて、グローバル社会の中で主体的に活躍できる人材の育成に積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 二十番櫻井正人君。
◆二十番(櫻井正人君) 答弁ありがとうございました。これから再質問させていただきます。 まず初めに、第五期み
やぎ観光戦略プランでありますけれども、先ほど知事が申し上げましたように、宮城県だけではなくて、私が思うのは、観光客の分捕り合戦ではなくて、そろそろもう東北全体とか、この連携を保ちながら進めていかなければ、やはりどうしてもその地域だけになってしまうと、いろんなこれからの策定にもえらい支障が出てくると思いますので、今回、全国知事会の会長になりましたので、その辺は東北エリアと、ほかの地域はやはりそのエリアの中でというふうな、全体的な見渡し、周遊をしっかりと考えるような、そんな観光プランでありたいなというふうに思っていますが、いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) おっしゃるとおりだと思います。特に、宮城県は仙台国際空港を持っておりまして、これは間違いなく、さきの質問でもありましたけれども、東北全体の飛行機を利用する方の六割以上、七割近くが仙台空港を利用だということでございますから、そういった意味では、東北のハブ空港の役割があると思います。そういったこともあって二十四時間化を進めたわけでございます。来たお客さんを宮城県で囲い込むのではなくて、やはり東北全体に行き渡らせる、また東北のほうにほかのところから入ってきたお客さんに宮城に来ていただくようにするというのは、非常に重要なことだと思っております。北海道・東北ブロック知事会議などでもその辺の話をしたいと思いますし、今回、知事会長に就任いたしまして、私の出しました一つのテーマの中に、全国の知事会がみんなでまとまってどこかの海外に行って、そして、それぞれの県では行かないようなところに行って、まず日本の物産なり観光のPRをして、そのあとにブロックのPRをして、なるべく日本に、そしてブロックにお客さんを呼び込むように、みんなで協力していきたいということをお話いたしました。そういう方向性を持って取り組んでまいりたいというふうに思います。
○議長(菊地恵一君) 二十番櫻井正人君。
◆二十番(櫻井正人君) なぜ申し上げたかというと、この間、仙台空港のほうに一期生で研修に行きましたが、あそこを見ていましたら、岩手県のバスとか結構多いんですね。ですから、本来は仙台空港に降り立って松島を回ってとかいうふうな感じはあったのですが、もう空港に岩手のバスとか山形のバスが止まっていて、そこから皆全部そちらにというふうな旅行のパッケージみたいなのがあると思うのですけれども、やはりそういうのがありますので、ですから基本的に、それをなくせとは言わないのですけれども、いかにこれから、いろいろ考えながらぐるっと回ってくれるような、そんな策定ができれば、もう分捕り合戦ではなくて、全体がよくなるという考えで取り組んでいってほしいなと思っています。今も大体松島に来ると泊まらないで、岩手の金色堂に行って泊まるんですね。それがもうパッケージになっているというようなことも聞きましたので、それはそれでいいのですけれども、やはり今から戦略を練っていく場合には、単県ではなくて、いろんな周遊というのを考えれば、皆がよくなると。皆がよくなると言うと語弊はあるかと思いますけれども、これからはやはりそういう感覚で取り組んでいかなければならないのだろうなというふうには思っております。 それから、インバウンドに向けての取組についてでありますけれども、外国の方を呼んでくるということで、今はだんだん回復しておりますけれども、その一つの策として、これは教育委員会に入るのか観光のほうに入るのか分からないのですが、基本的に、台湾の学生を呼んできていただいて、瑞巌寺の座禅と、そしてまた精進料理や説法やということでの取組も一つの対策かなと思っています。なんで言うかといいますと、今、瑞巌寺では、開かれた瑞巌寺ということで、昔よりもかなり門を広げています。そしてそこの中で、今、仙台の私立学校でこれをやっております。今は、何て言うんですかね、試験的なという部分があるので、どうやってどこを持っていけばいいかなというふうに試行しておるのですけれども、やはり瑞巌寺があるから松島だということはもう捨てて、皆でこの松島を盛り上げていこうという感覚で今変わってきておりますので、外国人の学生を呼んできて、そこからまた日本の学生と一緒になって体験をするというような取組がこれから必要になってくるのではないかなと思いますが、いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 国際交流という観点からも、教育という観点からも、重要な視点だと思います。特に外国人の方にとりましては、日本の文化というのは非常に関心があります。そういう意味では、座禅をしていただき、精進料理を食べて、説法を受けると、当然通訳が必要だと思うのですけれども、そういったものを日本の学生と一緒に行うことによって、日本の文化を知っていただき、学生間の交流も深まっていくものだと思いますので、そういったようなこともしっかりと検討してまいりたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 二十番櫻井正人君。
◆二十番(櫻井正人君) ありがとうございます。本当にいろんなやつを策定していかないと、通例、慣例の観光事業と言ってしまうと遅れてしまいますので、常に先々を見ていく。私、コロナになったときには、コロナが過ぎたときにどうするかでは遅いので、そのときにこれをやっていこうということを策定してくださいということは多分一般質問でも言っているはずなので、今まさにちょっとコロナが増えているような状況でありますけれども、これ以上増えなければいいなというのを願うわけですが、やはり前もって先を見ながらの策定というのはこれから必要になってきますので、その辺も考慮しながら政策を進めてほしいなと思っています。
アウトバウンドなのですけれども、やはり基本的な感覚でいいますと、今までは観光地においてはインバウンドで来てもらって、それがよしと。松島もそうなんですけども。松島の方々に言わせますと、黙っていてもお客さんは来るわと。これがコロナになってきて全部来なくなりまして、電信柱が客に見えたというくらい、かなり精神的にも追い込まれたような状態でありましたけれども、やはりこの
アウトバウンドというのが今までちょっと置き去りになっていましたので、その辺のところをしっかりとやっていかないと、「来てください」だけではなくて、まずこちらから出向くということで、コロナ前に松島の町議の方と話しましたら、松島の議員と町長と、それから観光協会なり交ぜて、台湾に行きたいと。行くまでの段取りを、どうか県のほうで旗振りしてくれないかと。知事も一緒に行けたらこんなにうれしいことはないという話がありましたが、コロナで全部白紙になりましたので、これからどういうふうな方向性でいくか分かりませんが、やはりその辺もしっかりと考えた
アウトバウンドというふうに、ただ行くだけではなくて、何か目的を持ってこっちから出向いて「来てください」と言うのが筋ではないかなと思っていますので、その辺いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 観光はインとアウト双方整って初めてお互いの交流が深まるものだというふうに思っております。当然、我々としてはインバウンド大歓迎なのですけれども、同時にやはり
アウトバウンドも成立するように、先ほども答弁いたしましたけれども、いろんな施策を組み合わせて、特に若い人たちに海外に行ってもらって海外の異文化を知っていただくというのは重要だと思いますので、若い人たちに出ていただけるようなことをしっかりと考えていきたいなと思っております。
○議長(菊地恵一君) 二十番櫻井正人君。
◆二十番(櫻井正人君) そうしてありとあらゆる政策を確立しながら対応していっていただきたいというふうに思っております。 それから、海外研修でありますけれども、申し上げたとおり、かなり少ないなと思っています。なおさらコロナ禍だったものですから、今からどういうふうにやっていこうかという部分があると思います。やはりこれから宮城、そしてまた東北、日本を背負っていく若者たちでありますので、その辺はグローバル的な感覚をしっかりと学生のうちから植え付けて、種をまいて、今後花が咲いて実がなるというところまでしっかりと策定しながら、この海外との交流は一回耳で聞くよりも「百聞は一見にしかず」ということで、やはり海外との方々の交流というのがこれから必要になってくると思いますので、しっかりと、いろいろ学校によってはあると思いますけれども、その辺を精査しながら、これを増やすということに向けて努力していっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 今お話がありましたとおり、若いときから実際に海外に行って国際感覚を涵養するというのは大変重要であるというふうに考えてございます。残念ながら、コロナ禍において、ここ令和二年、三年、四年と全てこういった計画が中止になっておりまして、今年に入ってまた取組を始めたというところがございます。先ほど御紹介申し上げましたけれども、新たに今、台湾との交流について新しい動きが出てきておりまして、プラットフォームを活用して、高校同士の交流も活発にしていこうというふうに考えているところでございます。県内の高校でも登録するところも出てきておりますので、更に取組を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(菊地恵一君) 二十番櫻井正人君。
◆二十番(櫻井正人君) 大変いい答弁を頂きました。これからしっかりとやりながら、やはりその交流、台湾の学生は基本的に日本のほうは結構よく思ってくれる国でありますので、その辺から少しずつ広げていければいいかなというふうに思っています。せっかく学生の方々にやって、大学生になったりとか大人になってから東京に持っていかれては困るので、もし仮に行っても、宮城でお世話になった、ああいうことがあったということでまた戻ってこれるような、そういう仕組みもやはりつくっておかないと、ただ持っていかれるだけではなくて、いつかは宮城に帰って宮城のために頑張りたいというような子供たちが増えてくれればいいかなというふうに思っております。 私の一般質問、大変、今日で終わりですけれども、もう二度とこの席に立つことはないと思いますが、知事の--一番最初に私がなったときに、宿泊税でありました。松島を抱えていて、議員になって「何じゃこりゃ」と思いましたね。なんていうことを条例化するんだと。もう頭の中がどっちに向けばいいのかなと思いましたが、今考えてみると、美術館も、今の四病院も、あの当時の手法がまだ直っていないなというふうに思います。どうか突っ走っているばかりではなくて、一度立ち止まって後ろを振り返り、脇を見ながら、一歩ずつ着実に進んでいっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 以上で一般質問を終わります。
○議長(菊地恵一君) 二十七番太田稔郎君。 〔二十七番 太田稔郎君登壇〕
◆二十七番(太田稔郎君) ハワイの山火事、そしてモロッコの地震、リビアの水害、多くの方々が、こうした天災に悩んでおります。心よりお見舞いを申し上げたいと思います。 みやぎ県民の声の太田稔郎であります。議長のお許しを得ましたので、通告に従って、大綱三点について質問を行ってまいります。 大綱一点、農業の振興について伺います。 農家や法人経営者を訪ね経営課題を聞き取ると、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、円安など、燃油や農業資材価格が高止まりして、資材コストが大きいと切実に訴えてきます。資材の高騰を価格に転嫁できていないという課題も見えてきました。次に出てくるのが、高齢化による労働力不足、後継者がいない。子供に私たち同じ苦労させたくないから、農業を継がせたくないという話が出てきます。私たちの苦労を子供にさせたくないという言葉に声が詰まってしまいます。どうしてこういう状況になってしまったのでしょうか。農業は本来、自由でやりがいや喜びに満ちた職業です。作物の栽培、家畜の世話など、農家が農業経営を続けられるよう、収益の安定・向上や作業コストの削減などに取り組み、農家だけの努力でなく、規格外野菜を有効に活用し、農産物を適正な価格で販売できるよう、地域社会や宮城県、そして消費者を巻き込んだ取組が、日本の農業の根深い問題を解決していくのではないでしょうか。 先日、NHKのクローズアップ現代で、全国の農業法人に緊急アンケートを行ったところ、経営の状況が赤字だと答えた割合が四八・五%、黒字と答えた割合が三六・八%と出てきました。調査対象の法人の売上げは、平均で収入が三億八千万円ということで大きな法人が対象のようであります。大規模な経営であっても、半分の法人が赤字ということは、小さい農家を含めると、かなり赤字が広がっているものと推察されます。食材王国みやぎとして、国内の食料の安全保障の確保が急務です。全国の知事たちと、食料そして農村部の衰退の解消に向けて働きかけをお願いするところであります。今こそ農業法人、個別農家への支援が急務です。知事のお考えを伺います。 有機農産物の学校給食への誘導について伺っていきます。 国は二〇五〇年までに、有機農業の取組面積を二五%、百万ヘクタールにする方針を、みどりの食料システム戦略で示しました。有機栽培は雑草との闘いと言われるように、栽培面から有機農業の難しさがあります。宮城県にはエコファーマーが令和四年度末で五百八十九人おり、国・県が認定をしていましたが、エコファーマー制度が終了し、また違ったシステムになってしまい、この方々をぜひ誘導していただき、県が消費者や飲食店などのマッチング、そして学校給食へのオーガニック給食へと誘導することも必要ではないでしょうか、知事と教育長の考えをお伺いいたします。 人材の確保です。 農林水産省が発表した新規就農者がかつてない勢いで減っており、二〇二二年は前年から一二%減少し、後継者の存在の危機に来ております。新規就農者の中でも、親元就農の減少が大きく、前年比一五%減となっており、親が子に継がせたくないというのが顕著に出ております。昨年まで増えていた法人等への新規雇用就農者も九%の減となっております。国では、四十九歳以下の農業従事者を二〇二三年までに四十万人にするという目標を立てていましたが、二〇二二年の従事者は二十二万人、約半分であり、農林水産大臣は、新規就農者が激減したことについて、非常にショックだと驚いていたようです。宮城県は昨年度より新規就農者が増えておりますが、この全国の傾向の波が宮城県にも押し寄せる可能性があります。ウクライナ侵攻で食料安保が叫ばれる中、その確立には後継者の育成が欠かせません。今まで以上の支援が必要ではないでしょうか、知事にお伺いいたします。 農林水産物の輸出の奨励について伺っておきます。 農産物の輸出は、前年同期比一四・六%増の、八千八百二十六億円と伸びました。円安の影響など輸出側のメリットも大きかったようです。輸出額の大きな品目は、ホタテ貝五二・九%増をはじめ、乳製品、日本酒、イチゴとなっており宮城県の品目が並んでいるようです。主な輸出先は、中国、アメリカ、香港、台湾となっております。輸出促進法が令和四年十月一日に施行され、更に、放射性物質輸入規制が十二か国で撤廃されたことも大きく影響しているようです。しかしながら、福島原子力発電所の処理水放出により、最大の輸入国が日本の水産物を輸入しないとなり、宮城の加工会社も難しい対応を取らざるを得ない状況になっております。品質が高いホタテは世界でも高く評価されておりますが、最大の輸入国が禁輸すると水産物がだぶつく恐れがあります。また、イチゴも各種資材の高騰から価格に転嫁できていない状況にあります。円安の影響を受ける今こそ輸出のチャンスです。こうした県内の農林水産物の輸出を奨励すべきと思われますが、対応について、知事の考えを伺います。 難防除雑草対策について伺っていきます。 作物の生育阻害要因の雑草がひどく、収穫が大きく落ち込んでいるというお話を聞きました。古川農業試験場が宮城県内で行った調査で、優占雑草は、アメリカセンダングサ・オオイヌタデ、田畑共通の雑草であります。シロザ・イヌホオズキなどの畑地雑草、アメリカネナシカズラ・アレチウリ等の雑草が甚大な被害を与えているという報告です。雑草繁茂の原因は、大豆の生育不良・排水不良の土地、三年以上の連作が雑草繁茂の原因として挙げられます。また、畑地雑草の増加がかなりのスピードで広がっているとのことであります。畑地化によって増えてくる雑草は、総じて難防除雑草であることが知られております。難防除雑草対策は、水田の輪作が有効と思われますが、試験場の成果を含めて、対応をお伺いいたします。 特に多く見られるのが特定外来生物に指定されているアレチウリであります。アレチウリは種子が非常に大きく、一センチから一・五センチぐらいあり、一株から八万個ぐらいの種子を作り、発芽すると一気に大きくなり収量に影響を及ぼします。大豆の作付面積が北海道に次ぐ宮城県としては、新たな侵入を防ぐ水路や畦畔の整備も必要ではないでしょうか。雑草防除には特効薬はなく、雑草の特性を研究機関で調査を行い、雑草の生態や発生特性を調査し、農家に情報発信を行っていくことが重要になってきます。大豆などの収穫に大きく影響する難雑草対策について伺います。 大綱二点目、中学校の部活動地域移行について伺います。 日本の体育や文化活動がここまで伸びてきたのは、中学校の部活動教師の指導のたまものと言っても過言ではないと言えます。中学校の先生方の献身的な指導により、生徒たちは、多くのスポーツ・文化活動に取り組むことができました。豊かなスポーツ・文化ライフを実現すべき、中学生たちは競ってスポーツや文化活動に取り組み、生涯の趣味とされた方も多くおります。こうした仕組みが大きく変わります。公立中学校の部活動指導を各校近隣のスポーツ団体に委ねる改革が、四月から国が掲げる中学校部活動地域移行推進期間に入りました。スポーツ庁と文化庁は、自治体に対しスポーツ団体や保護者らとの協議会の設置、そして推進計画や手引をつくるように求めておりますが、どこまで進んでいるのか、知事と教育長にお伺いいたします。 地域の方々が部活動の指導をするに当たって重要なことは、指導者の資格制度の活用が必要になってきます。地域クラブを支援する日本スポーツクラブ協会は、二〇二一年度に、学校運動部活動指導士の資格を創設いたしました。学校運動部活動指導士は、学校部活動でスポーツの楽しさを伝える地域の指導者です。こうした資格を活用することも、学校現場が求める即戦力になるのではないでしょうか。資格を取るのに様々な課題が多く、資格取得の支援も必要ではないでしょうか。学校運動部活動指導士について伺います。 多くのスポーツクラブの指導者たちは、日本スポーツ協会の公認資格や各競技団体の指導者ライセンスを取得しております。しかしながらスポーツ団体の指導者たちの中には、中学生の年代に対する知識が乏しく、心身ともに発達中の中学生と接する場合、技術面の指導だけではなく、教育的なアプローチも大切になってきます。そうした人材をどのように育成されていくのか伺います。 誰もがスポーツ・文化に取り組むことについて伺います。 生徒の部活動移行の試算として出てきた数字があります。一人当たり週一回の練習で月五千円、週二回で一万円の会費が徴収されるということが話題として出ております。現在の部活動は、ほぼ無報酬の教員が献身的な部活動に励んでおり、地域移行後は会費制が前提となるため、会費を払えない家庭は部活動に参加できなくなるという、格差を生む危機的な状況になってきます。誰もが取り組むことのできる部活動をどのように考えているのか、知事と教育長にお伺いいたします。 大綱三点目、県政の課題について伺います。 二〇一九年の前回の統一地方選挙は、五十九市長選、二百八十三市議選、東京特別区の二十区議選、六十六町村長選、二百八十二町村議員選の全てにおいて過去最低を更新しました。令和四年七月に行われた参議院議員選挙では、全体が五二・〇五%でしたが、十歳代は三五・四二%、二十歳代が三三・九九%にとどまっております。衆議院選の昭和四十二年の二十代の投票率は六六・六九%、令和三年時は三六・五%と落ち込んでおります。宮城県議会議員選挙でも、二〇一一年の四一・六九%、一五年、四〇・〇三%、一九年、三四・八%と落ちてきております。一五年には一つの選挙区が三〇%を割り込み、一九年には二つの選挙区が三〇%を割っております。若者の投票率が低いことを問題化する報道もなされております。少子化が加速する中、投票に行かない若者の政治離れが進むことは、政治に若者の声が反映されない状況をつくってしまう懸念があります。なぜ投票に行かなかったのかを、総務省が調査した十八歳選挙権に関する意識調査では、今住んでいる市町村で投票することができなかった。選挙にあまり関心がなかった。投票所に行くのが面倒だった。どの政党や候補者に投票すべきか分からなかった。自分のように政治のことがよく分からないものは投票しないほうがいい。私一人が投票しなくても世の中は変わらない。目の前のことで精いっぱいだった。などが上位を占めます。こうした投票率の低下を、知事・
選挙管理委員会委員長は、どのように捉えているのでしょうか。 若者の投票率を上げる対策について伺います。 期日前投票所の拡大、商店街、ショッピングセンター、大学などが考えられます。選挙割というのがありまして、大学生がつくった、投票に行った方が自分で写真を撮り投票済書を提示することによって、商店のサービスが受けられるというイベントです。主権者教育の普及・推進は、国が若者を中心に推し進めております。移動投票所の設置は、投票箱を各高校に持っていく方法、インターネット・スマホでの投票の導入は、セキュリティーの観点から課題がありますが、取り組んでいく対策でもあります。投票率を上げる対策について、
選挙管理委員会委員長に伺います。 マスコミの報道について伺います。 投票が終了した瞬間に当選をマスコミから発表されます。見ていて違和感を覚えるのは私だけでしょうか。投票箱はまだ投票所にあり、開票所にも運ばれていない。マスコミの事前調査はすばらしいものだということは分かります。投票する方々は自分の投票が生かされていないと感じるのではないでしょうか。投票から足が遠のく、投票しなくてもいいという要因になっていないでしょうか。せめて選管の一回目の発表後に、マスコミは当選を打ち出すべきではないでしょうか。知事、そして選挙管理委員長の考えを伺います。 人口減少対策について伺います。 人口減少は二〇〇八年から始まり、二〇二三年三月で前年比五十三万五千人減少し、二〇四〇年には七十八万一千人減少し、加速度的に人口が減っていくと見られております。二〇七〇年には人口が八千七百万人になると言われており、高齢化率も三八・七%と推計されており、労働力人口も大幅に減少していきます。地方では、若い世代が東京圏に流出し出生率が伸びず、地方ほど人口減少の波にのまれてしまいます。人口減少は、地域経済にとって大きな重荷になり、甚大な影響を与えます。人口減少への対応は待ったなしの課題と言えます。宮城県から若者を出さない、就職できる企業の誘致、地域の産業・雇用創出をマネジメントする産官学金労の連携した組織づくり。若い世代の就労・結婚・子育ての支援活動、育児しやすい環境の整備。地域で子育てしやすい環境づくりなど、様々な施策を打ち出し歯止めをかけるべきと考えます。知事の所見を伺います。 フランスやスウェーデンのように一旦出生率が下がって、そこから回復してきている国もあり、適切な施策を施すことができれば、少子化に歯止めをかけることが可能ではないでしょうか。宮城県での子育ての優位さをアピールし、宮城県に人が集まる施策を知事の講演シリーズの宮城版地方創生で、女性の活躍や医者を育成することが、少子化対策の一つとして訴えております。安心して地域で生活する社会づくりと少子化対策について取り組む姿勢の意気込みをお伺いいたします。 障害者対策について伺います。 生活する上で家庭や支援者やボランティアに頼ることの多い障害者にとって、新型コロナウイルスは、障害のある方々にとって大きな影響を及ぼしました。日常を支える支援者の確保もできないなど、地域生活、日常生活が危機にさらされた方もあり、こうした状況を把握できないのが現実でした。障害のある方が地域で生活するための社会づくりが望まれております。自立できる施策が必要であると考えます。施設や病院にいる方々の地域移行をどのように図るのか伺います。 障害を持った方々が安心して地域に移行するためには、障害者の地域移行に対する不安を減らし、地域生活を支援するコーディネーターを配置し、安心して地域に移行できるようなシステムをつくり上げていかなければなりません。そして、障害を持った方々が地域で生活を行う移行体験学習も必要ではないかと考えます。障害の特性に配慮した住宅の整備などを行い、一人暮らしができる環境づくりが大切と考えますが、知事の考えをお伺いいたします。 障害を持った方々が、親亡き後の生活も、一人暮らしの体験が大事であり、早めの地域移行生活を体験すべきです。一人暮らしを行う際に必要な資金援助、グループホームやアパート等の賃料の補助などを行っていくべきではないでしょうか。 今回の補正予算に視覚支援学校校舎改築工事費が債務負担行為として計上されております。これは、視覚障害を持った方々にとって朗報と言えます。こうした視覚支援学校卒業後の就労促進のためには、企業における福利厚生の一環としてのヘルスキーパーや介護施設における機能回復訓練指導員を雇用できるスキームづくりが必要であり、特別支援学校と関係機関が連携し、現場実習先の開拓や新たな職域の拡大なども図るべきであります。教育長が率先して取り組むべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。 道路対策について伺います。 都市計画道路の見直しについて。 都市計画道路に指定されてから何十年にもわたって手のつかない県道が残っております。地域住民は、道路が拡張され車歩道分離の歩道ができ、二車線の安全な道路ができると期待しております。しかし、何年たっても一つも進まない。住民はいらいらしながら待っています。こうした原因は、当時国道であった道路が都市計画で拡張し整備をしようとしていたが、国道が県道に変更され、更に市町村道になり手がつけられなくなった道路のようです。長年にわたってそのままの都市計画道路の見直しを、市町村と連携し行ってはいかがでしょうか。 県内の県道の在り方について。 県道に指定されて久しい道路があります。その一つは県道仙台岩沼線です。岩沼市の国道四号から名取市の愛島、高舘を右折し南仙台駅前を通り中田の国道四号線に行く道路です。しかし、高舘交番を右折し、仙台市柳生地区に入ると、県道がどこなのか分からない状況にあります。昔の交通状況と大きく変わり、県道を右折する車はほとんどなくなり、直進し、ゆりが丘地区を経由し国道二百八十六号に入ります。国道四号から県道そして市道を経由し国道二百八十六号に入る、交通量の非常に多い重要路線であり、見直しを図るべきと考えますがいかがでしょうか。 子供・歩行者を守る道路について伺います。 児童生徒が通学に危険なセンターラインのない県道愛島名取線が、地域住民、町内会、契約会、交通安全協会、婦人会、学校、PTA、警察、宮城県など、多くの方々と何度も何度も話合い、狭い道路にガードパイプを造り、県道の一・五キロメートルの間に九か所のハンプと横断歩道を造り、車が交差するのが難しい道路が出来上がりました。児童生徒の安全を前提とした道路です。地域の方々と宮城県と宮城県警に造り上げていただきました。出来上がった当初はガードパイプに車をぶつけるドライバーが多く、岩沼署の交通事故の半分は、この道路の事故ではなかったかと思われます。今は止まって譲り合う姿が見られます。この道路の改修の意義と有効性・安全性について、知事、そして県警本部長に伺います。 以上で、壇上からの一般質問を終了いたします。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 太田稔郎議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、農業の振興についての御質問のうち、農業法人や個別農家への支援についてのお尋ねにお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症拡大による需要の低迷に加え、国際情勢等を背景とした資源高や円安等による資材価格の高騰により、農業者の経営は大変厳しい状況にあると認識をしております。県では、国の支援策の活用に加え、肥料や飼料に対する国の支援措置への上乗せなど、県独自の対策を実施し、営農の継続と経営の安定に向けて支援をしているところでありますが、農畜産物は、コスト上昇分を価格転嫁し難い構造となっております。このため現在、国において、農畜産物等の適正な価格形成について議論されておりますが、当面は激変緩和措置の継続が必要と考えております。県としては、全国的な課題でもあることから、今後、各都道府県の意見も伺いながら、国に対して必要な財源措置を強く要望していくとともに、関係機関と一体となって、農業者に寄り添ったきめ細やかな支援に努め、引き続き、活力と魅力ある農業・農村の構築に向けて取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、宮城県政の諸課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、若者の投票率低下への認識についてのお尋ねにお答えいたします。 選挙は民主主義の基盤をなすものであり、国民一人一人にとって、よりよい社会を築くための代表者を選ぶ重要な政治参加の機会であると考えております。近年の選挙においては、国政選挙、地方選挙のいずれにおいても、特に若年層の投票率が低くなっておりますが、民主主義が実効的に機能するためには、あらゆる年齢層の多様な民意ができるだけ政治に反映されることが必要であり、若者を中心として、投票率の向上は重要な課題であると認識をしております。県といたしましては、
選挙管理委員会と連携を図りながら、主権者教育や臨時啓発の取組とともに、期日前投票所の設置など投票環境の向上を図ることで、投票率の低下に歯止めをかけられるよう努めてまいります。 次に、投票終了後のマスコミの発表についての御質問にお答えいたします。 報道各社において、選挙当日、
選挙管理委員会の開票より前に、当選確実などの発表を行うことがあるのは承知をしております。これは各社の責任において、独自の判断を発表しているものであり、取材、報道の自由の下、現行法において許容されている範囲内だと考えております。 次に、人口減少に歯止めをかけるための施策についての御質問にお答えいたします。 人口減少対策については、結婚・子育て支援や若者の県内定着に向けた取組など、総合的な対策を講じることが重要であると認識をしております。このため、新・宮城の将来ビジョンにおいて、子供・子育て分野を新たな柱として独立させ、結婚、妊娠・出産、子育てのライフステージに応じた切れ目のない支援に取り組んでいるほか、政策効果の高い施策をタイムリーに実施できるよう、次世代育成・応援基金を創設し、社会全体で子育てを支える機運醸成や女性が活躍できる環境の整備などを進めてまいりました。また、ものづくり産業の集積等による質の高い雇用の創出を図るとともに、若者のライフスタイルに合わせた働き方の普及や、DXによる中小企業の生産性向上など、若者が県内で活躍できる環境づくりに向けて取り組んでおります。県としては引き続き、市町村や関係団体とより一層緊密に連携をしながら、自然増と社会増の両面からあらゆる手だてを講じて、人口減少対策に力を尽くしてまいります。 次に、安心して地域で生活する社会づくりと少子化対策の取組への意気込みについての御質問にお答えいたします。 急速に進む少子化や、それに伴う人口減少は、地域経済やコミュニティーの在り方だけでなく、行政サービスの提供などにも大きな影響を与えるものであり、今年六月に閣議決定された「こども未来戦略方針」では、こども・子育て施策の抜本的な強化に向け、こども家庭庁を中心に国を挙げて取り組むことが示されました。合計特殊出生率が低位にある我が県においても、少子化対策は最優先に取り組むべき喫緊の課題の一つであり、次世代育成・応援基金を活用し、産前産後ケア等の拡充を目的とした市町村への支援を行うなど、地域の実情を踏まえた独自の取組を進めているところであります。今後とも、子供を産み育てやすい社会環境の実現に向け、結婚支援や子育て支援、仕事と子育ての両立など、様々な観点に沿った施策を強力に推進してまいります。 次に、県道愛島名取線における児童生徒の安全を前提にした改修の意義や有効性などについての御質問にお答えいたします。 名取市館腰地区の県道愛島名取線は、道路幅員が狭く朝夕の交通量が多いため、児童を含む歩行者の安全確保が課題であったことから、県では令和二年度から、地元町内会や地域の方々などと協働し、歩行者の交通安全対策について検討を進めてまいりました。特に当該地区は、沿道に人家が連檐し、歩道整備等の抜本的な道路拡幅が難しいことから、現道の路肩を有効に活用し、道路片側に歩行空間を集約し車両防護柵を設置したほか、県警と連携をしながら、横断歩道部を盛り上げ、通過速度を抑制する「スムーズ横断歩道」を県管理道路では初めて導入し、昨年一月に整備が完了したところであります。整備後は、歩行者が巻き込まれる人身事故は発生しておらず、地域の方々からは、「安心して歩ける」などの声を頂いており、歩行者の安全性確保に大きな効果があったものと認識をしております。県といたしましては、今回の取組を道路幅員が狭隘な箇所におけるモデル事業として、県内に展開していきたいと考えており、引き続き市町村や地域の方々などの御意見を伺いながら、安全で安心な道路空間の整備に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱二点目、中学校の部活動地域移行についての御質問のうち、資格取得の支援についてのお尋ねにお答えいたします。 部活動指導員の導入や部活動の地域移行を進めていくに当たっては、正しい知識を持ち、適切な指導ができる人材の確保が重要な課題であると認識しております。御質問のありました、日本スポーツクラブ協会により創設された学校運動部活動指導士については、全国的にも資格取得者はまだ少ないと伺っていますが、今後、部活動や地域スポーツクラブなど、地域の指導者として活躍していただけるのであれば、大変ありがたく思っています。また、国の学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインにおいて、日本スポーツ協会や日本パラスポーツ協会は、指導者資格取得を促進するための制度設計に取り組むこととされているところであります。県としましては、国やこれら協会の動きを踏まえ、スポーツ団体や市町村の御意見を伺いながら、資格取得に対してどのような支援をしていくべきか考えてまいります。 次に、人材育成についての御質問にお答えいたします。 部活動を地域移行していくためには、専門性や資質・能力を有する指導者をできるだけ多く確保することが重要であることから、県では地域での指導ができる人材を広く募集し、地域スポーツクラブとのマッチングを行う人材バンクの設置を進めているところです。更に、指導者の質を確保するに当たっては、技術面だけでなく、中学生の発育・発達を考慮した指導ができる人材が必要であることから、県では現在、中学生を受け入れる地域スポーツクラブの指導者を対象とした研修会を新たに開催することを検討しております。県としましては、今後とも関係団体等と連携し中学生を適切に指導できる人材の育成・確保に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱三点目、宮城県政の諸課題についての御質問のうち、施設や病院にいる障害のある方々の地域移行についてのお尋ねにお答えいたします。 障害のある方々が地域で安心して生活していくためには、障害に対する理解を促進するとともに、グループホーム等の住まいの確保や、訪問・通所による障害福祉サービスなどの充実が必要であると認識しております。県では、宮城県障害福祉計画において、施設入所者の地域生活移行を成果目標として設定するとともに、重度障害や精神障害のある方を対象としたグループホームの整備や、緊急時の一時受入れなど、地域における居住支援の推進に取り組んでおります。引き続き市町村や関係機関と連携しながら、障害のある方が地域の一員として自分らしい暮らしができるよう、関係施策の充実に努めてまいります。 次に、コーディネーターの配置や移行体験学習、一人暮らしができる環境づくりについての御質問にお答えいたします。 地域で自立した生活を希望する障害のある方が円滑に地域へ移行するためには、住居の整備のほか、移行等に関する相談、グループホームを利用した移行体験学習など、地域で生活できる環境づくりが重要と考えております。このため、重度障害者等を対象としたグループホームや、コーディネーターの配置による居住支援の機能を備えた地域生活支援拠点の整備に対しては、国庫補助が不採択の場合でも、県が国負担分を肩代わりして補助を行い、整備促進を図っております。また、一人暮らしを希望される方に対しては、居宅を訪問して支援する自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援などの障害福祉サービスを提供しているところです。県としましては、障害のある方が地域で安心して暮らせるよう、今後、住宅確保要配慮者の居住支援の担い手として指定する、居住支援法人等の関係機関と連携し環境づくりを進めてまいります。 次に、地域移行生活に向けた資金援助についての御質問にお答えいたします。 障害のある方の親亡き後を見据え、早期に地域生活へ移行することは、自立と社会参加の促進を図る上で大変重要であると認識しております。このため県では、グループホームや一人暮らし等への生活の場への移行に向けて、相談、体験機会の提供、緊急時の対応、地域の体制づくりなど、居住支援のための機能を備えた地域生活支援拠点の整備促進を市町村に働きかけてまいりました。また、国の地域生活支援事業を活用し、体験的宿泊居室の確保やサービス提供体制の総合調整を行うコーディネーター配置など、地域移行のための安心生活支援事業を実施している市町村もあるほか、グループホームに居住する低所得者に対しては、家賃を軽減するための給付も行われているところであります。県としましては、引き続き市町村と連携し、地域生活移行の促進に向けた環境整備を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、農業の振興についての御質問のうち、円安の今こそ、農林水産物の輸出を奨励すべきとのお尋ねにお答えいたします。 農林水産物の輸出促進に向けては、宮城県農林水産物・食品輸出促進戦略において、水産物のほか、米、牛肉、イチゴ、日本酒の五品目を輸出基幹品目と定め、海外市場のニーズを把握しながら、積極的な販路拡大を進めております。国内外で高い評価を得ている我が県の日本酒については、韓国や香港を中心とした輸出に加え、新たに欧州への販路開拓を進めており、昨年度において新たにイタリアで構築した販路を糸口に、日本酒の一層の浸透と輸出拡大を図ってまいりたいと考えております。また、東北一の生産量を誇るイチゴについては、タイに向けて空輸による定期・定量の輸出を開始したところであり、今年度、全国で初めて年間を通した輸出の仕組みを構築したところです。更に、カキやホヤを含む水産物につきましては、これまで東南アジア地域へのマーケティング支援に取り組んでまいりましたが、県としては今後とも、国やジェトロなど関係機関と連携しながら、県産品の新たな販路開拓や輸出に積極的に取り組む事業者の支援を行ってまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱一点目、農業の振興についての御質問のうち、有機農業の拡大についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、今年三月に策定した宮城県みどりの食料システム戦略推進ビジョンにおいて、令和十二年度までに、県内の有機JAS取組面積を五百ヘクタールに拡大する目標を掲げております。この目標の実現に向けて、エコファーマーなど意欲のある農業者に対して、有機農業アドバイザーの派遣や、有機JAS認証取得費用の支援等を行うことにより、有機農業への誘導と取組の拡大を図っております。また、販路拡大支援の一環として、百貨店等でのPR販売会や直売所などでのプレゼントキャンペーンを通じ、消費者や飲食店等とのマッチングの一層の推進を図っております。なお、国においても、みどりの食料システム戦略推進に向けて、有機農業産地づくり推進事業などを創設したところであり、県といたしましては、これらの事業も有効に活用しながら、有機農産物の生産から消費までを一貫して行う、地域ぐるみの取組を支援することで、我が県の有機農業の拡大に努めてまいります。 次に、新規就農者の確保についての御質問にお答えいたします。 農業の持続的な発展や県民に安全で安心な食料を安定的に供給するためには、将来の地域農業の担い手となる新規就農者を確保・育成していくことが大変重要であると認識しております。このため、県では、就農相談をはじめ、就農に向けた研修資金や経営開始資金の助成、就農後の経営発展に必要な機械・施設の導入等の取組を支援してまいりました。また、各農業改良普及センターでは、みやぎ農業未来塾を開催し、栽培技術研修や仲間づくりに向けた交流を行っております。この結果、我が県における昨年度の新規就農者数は、目標とする百六十人を上回る百九十人となり、令和三年度から大幅に増加しました。更に、今年度からは、就農に関する総合的な案内役として、コンシェルジュを新たに配置し、多様化する就農相談や関係機関との調整にも対応しております。県といたしましては、今後とも、市町村や関係機関と連携し、就農前から就農後まで切れ目のない支援を行うことにより、次世代の地域農業を担う人材の確保・育成に取り組んでまいります。 次に、難防除雑草対策についての御質問にお答えします。 大豆圃場でのアレチウリやクサネムなど、通常の管理では防除が困難ないわゆる難防除雑草は、収量に大きな影響を及ぼすことから、その対策は重要であると認識をしております。雑草の防除対策の一つとして、水田と畑の輪作がありますが、難防除雑草の多くは、種子の寿命が長いという特徴を有しており、輪作だけでは十分な効果が得られない場合もあります。このため、県では、難防除雑草の分布実態の把握や、より効果の高い除草剤の散布方法などの研究成果を、「普及に移す技術」として取りまとめ公表しております。県といたしましては、生産現場において、こうした研究成果が有効に活用され、難防除雑草の発生が抑制されるよう取り組んでまいります。 次に、アレチウリ対策についての御質問にお答えします。 県内における昨年度のアレチウリの発生面積は横ばい傾向にあり、大豆作付面積約一万一千ヘクタールのうち一割ほどとなっております。アレチウリは防除時期が遅れると対応が難しくなることから、早期発見と早期防除による圃場に入れないこと、広げないことが基本的な対策となります。古川農業試験場では、農業者向けにウェブサイト、みやぎの雑草防除ポータルを開設し、写真を交えながら、アレチウリを含めた雑草の種類ごとの特徴や防除方法について、分かりやすく情報発信をしております。県といたしましては、引き続き、アレチウリなど難防除雑草の発生状況を調査するとともに、農業者が迅速に侵入・拡散防止対策を実施できるよう、技術指導を徹底するなど、被害防止に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱三点目、宮城県政の諸課題についての御質問のうち、都市計画道路の見直しについてのお尋ねにお答えいたします。 近年の人口減少や土地利用などの社会情勢の変化を見据えた、今後の都市の将来像を踏まえると、長期未着手となっている都市計画道路の中には、その必要性や実現性に変化が生じ、見直しが必要となっている路線もあると認識しております。このことから県では、平成三十年三月に都市計画道路見直しガイドラインの改定を行い、市町村とともに、仙塩広域都市計画区域をはじめとする各区域において、都市計画道路の見直し作業を進めており、これまで都市計画道路を有する三十一市町村のうち、名取市など十五市町村で作業が完了し、現在、七市町村で作業を行っているところです。県といたしましては、今後も更なる人口減少社会の進展が見込まれることから、各市町村におけるまちづくりの在り方や、将来交通量などを十分踏まえながら、引き続き適切な都市交通網の形成に向けて、市町村とともに取り組んでまいります。 次に、県道仙台岩沼線のルートの見直しについての御質問にお答えいたします。 県道については、生活者の豊かさを支え、活力ある地域づくりのための道路整備を推進するという基本的な考えの下、地域相互の広域的な連携強化等を考慮して、道路法に基づき路線認定を行っており、周辺地域の開発状況や利用形態などが変化した場合、同法に基づく要件を踏まえ、路線変更等を検討することとしております。県道仙台岩沼線は、仙台市太白区中田の県道仙台名取線を起点とし、名取市西部を経由して岩沼市南長谷の国道四号までを連絡する、仙台都市圏南部の重要な幹線道路であり、このうち名取市内においては、新たに市道熊野堂柳生線が全線開通したことにより、交通の流れに変化が生じております。県といたしましては、周辺道路の交通量や利用形態の変化等を見極めるとともに、道路管理者である仙台市や名取市の意見を伺いながら、県全体の道路網の見直しの中で検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、農業の振興についての御質問のうち、学校給食のオーガニック給食への誘導についてのお尋ねにお答えいたします。 有機栽培された食材を給食に活用する、いわゆるオーガニック給食を学校に導入することについては、より安心で安全な給食の提供につながることはもとより、環境保全と関連づけた食育の生きた教材としての活用も期待されるところです。県教育委員会としましては、農政部とも連携し、有機農産物を更に活用した学校給食の提供について研究してまいります。 次に、大綱二点目、中学校の部活動地域移行についての御質問のうち、県内の進捗状況についてのお尋ねにお答えいたします。 県及び県教育委員会では、昨年十二月に策定された国のガイドラインを受け、今年三月に、学校部活動と地域のクラブ活動等のガイドライン第一版を作成し、市町村及び地域スポーツ・文化芸術団体に対して、県としての考え方や方向性について示してまいりました。更に六月から市町村を訪問し、進捗状況や地域の課題を把握しながら、協議会設置への働きかけや推進計画策定に必要な情報提供を行ってまいりました。協議会につきましては、今年度中に二十八の市町村が設置する予定であり、来年四月から十三の市町において、段階的に移行が始まる予定となっております。今後は、各圏域の取組を共有するために、市町村や地域のスポーツ・文化芸術団体を集めた説明会を行うとともに、生徒や保護者への周知や地域クラブ活動の指導者に対する研修会の開催など、関係各課と協力して、必要な支援を行ってまいります。 次に、誰もが取り組むことのできる部活動についての御質問にお答えいたします。 移行後の地域のクラブ活動においては、国から受益者負担の考え方が示されており、会費や保険料など、保護者の新たな経済負担が課題の一つとなっていると認識しております。県のガイドラインでは、運営団体は可能な限り低廉な会費とすること、市町村は施設使用料の減免を行うことにより、経済的負担をできる限り少なくするよう示しております。更に、経済的に困窮する家庭に対しては、市町村等が地域クラブ活動への参加費用の支援等の必要性を検討するよう促しております。県教育委員会としましては、将来的な平日も含めた完全移行も見据え、希望する全ての生徒が参加できる持続可能なスポーツ・文化芸術環境を整えるため、引き続き必要な財政支援について、国に対して求めてまいります。 次に、大綱三点目、宮城県政の諸課題についての御質問のうち、視覚支援学校卒業後の就労支援についてのお尋ねにお答えいたします。 視覚支援学校の理療科及び保健理療科の卒業生は、あん摩マッサージ指圧師や、はり師、きゅう師の受験資格を取得するため、その資格を生かした就労先の拡大が重要であると認識しております。視覚支援学校では、進路指導担当者による、事業所との情報交換や新規事業所訪問等により、就労支援に取り組んでおります。加えて、障害者就業・生活支援センター等と連携した就労定着支援や障害者雇用プラスワン事業における企業との情報交換会などにより、実習先の開拓や新たな職域の拡大に努めているところです。県教育委員会といたしましては、引き続き関係機関と連携しながら、企業や事業所への障害者雇用に対する理解促進を図り、障害のある生徒の自立と社会参加につなげてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君)
選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。 〔
選挙管理委員会委員長 皆川章太郎君登壇〕
◎
選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 大綱三点目、宮城県政の諸課題についての御質問のうち、若者の投票率低下への認識についてのお尋ねにお答えいたします。 投票率は、その時々の社会情勢や政治的課題、有権者の意識、当日の天候など、様々な要因が影響するものと考えておりますが、近年の選挙においては、若者の投票率低下の傾向が如実に示されており、民主政治の健全な発達の上でも、若者の投票率向上は重大な課題であると認識いたしております。 次に、若者の投票率向上についての御質問にお答えいたします。 県
選挙管理委員会では、これまで機会を捉えて、各市区町村
選挙管理委員会に対して、期日前投票所の効果的な配置を働きかけてきたところであり、来月予定している県議会議員一般選挙でも、気仙沼市や富谷市において、大型商業施設への期日前投票所設置が新たに予定されるなど、利便性向上の取組は着実に広がっているところです。また、選挙意識の高揚のため、学校向けの出前講座を積極的に実施しているほか、県教育委員会でも、発達段階に応じて主権者として求められる資質・能力の育成に努めていると伺っており、関係機関と連携して主権者教育に取り組んでおります。なお、投票を済ませた人を対象に、商店等で割引などのサービスを提供する、いわゆる選挙割の取組については、学生やNPO、商工団体による活動によるものも含め、県内の商業施設や商店街などで実施された例があることは承知しております。選挙権は、有権者本人の自発的意思によって行使されるべきものではありますが、投票率向上に一定の効果があるものと考えられることから、各方面の取組を注視してまいります。今後とも、市区町村
選挙管理委員会など関係機関と連携を図りながら、投票しやすい環境の整備と、若者をはじめとする選挙意識の涵養に努めてまいります。 次に、投票終了後のマスコミの発表についての御質問にお答えいたします。 選挙当日、
選挙管理委員会による速報の前に、報道各社が独自の取材に基づき、当選確実との報道を行うことがあることは承知しておりますが、こうした報道が有権者の投票行動に与える影響については、慎重な検討、分析が必要と考えております。取材、報道の自由により行われている各社の対応について、規制や働きかけを行うことは、現行法では困難であると考えておりますが、今後の社会的な議論を注視してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 警察本部長原幸太郎君。 〔警察本部長 原 幸太郎君登壇〕
◎警察本部長(原幸太郎君) 大綱三点目、宮城県政の諸課題についての御質問のうち、県道愛島名取線における交通安全対策についてのお尋ねにお答えいたします。 県道愛島名取線については、国道四号の抜け道として交通量が増加傾向にあり、また車道幅員が狭く、通学児童生徒の安全確保について地域住民から要望が数多く寄せられていました。そこで、地元関係者の尽力と地域住民の理解の下、道路管理者と連携を図り、信号機やスムーズ横断歩道を設置するなど、所要の安全対策を行いました。対策以降、児童生徒を含む歩行者が死傷する交通事故の発生はなく、この安全対策は通学路における安全確保に有効であったものと考えています。県警察といたしましては、今後とも地域住民の意向を踏まえつつ、自治体や道路管理者等と連携を図りながら、通学路など生活道路における交通安全対策に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 二十七番太田稔郎君。
◆二十七番(太田稔郎君) 答弁ありがとうございました。まず農業の振興で、法人そして個別農家への支援、なぜこれを私が訴えるかというのは、実は、現在価格に変えて米価を算定してみると、いつの時代が一番高いのか調べてみました。一番高いのは昭和二十五年、そこからもうどんどんどんどん落ちてきている。現在の価格に換算すると落ちてきている。逆に、給料というのは、昭和四十五年で四万円。五十六年で八万円。令和四年で四十万円。十倍になっているんですよ。こういう中で規模拡大をして、やっていっても、結果的にコスト削減しても、そのコスト削減が米価につながっていってないという実態があるんですね。クローズアップ現代でも調べて、こういう状況の赤字が出ているということはね、本当に危機的状態にある。この法人が潰れたら一体宮城の農業はどうなるんだというくらいの危機感を私は持っていると思っています。ですので、ぜひここのところをね、もっと実態を調査し、そして法人・個別農家を支援していくシステムをつくってほしいということをお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 農政部長橋本和博君。
◎農政部長(橋本和博君) ただいま米価に例えてお話をいただきました。米価については、昔は公定米価ですね、国のほうが価格を決めておりましたが、近年は市場価格での設定となっておるというふうなまず状況がございますけれども、いずれ今回クローズアップ現代のほうで紹介されたアンケートについては、日本農業法人協会が行った経営状況と価格転嫁のアンケートになってございます。約二千法人に対して、調査をし回答率二二%だったというふうなもので、これだけ規模の大きい法人に対するアンケートですので、今の経営状況を示しているものというふうに捉えております。その中で、赤字経営が四八・五%というふうな状況にあります。これに対してやはり法人の方々、今何を求めているかというと、価格転嫁したいんだけれどもできないと。それを何とかするためには、公的な仕組みが必要だというふうにおっしゃられているようなところでございます。この解決に向けて今、国のほうでは食料農業農村基本法の見直しを進めておる中で、その中に適正な価格の形成、農家側からすると再生産可能な価格を公的な支援でつくってほしいというふうなことを望まれておるところでございますので、県といたしましてもそこについては、国のほうに要望してまいりたいと思います。いずれ現状ですね、私も先週の土曜日に、繁殖農家、共進会のほうに行ってまいりました。お話を聞いてきましたけれども、やはり今の支援でも厳しいというふうな状況でして、これ以上の支援についてぜひ望みたいんだと。しかも時期的に、今のままですと、なかなか年を超えてというのが難しいので、そこはぜひお願いしたいということがありましたので、そういったことも含めて県としましては、国に対して必要な財源措置の継続を強く要望してまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(菊地恵一君) 二十七番太田稔郎君。
◆二十七番(太田稔郎君) 部活の地域移行についてです。教育長、クラブで指導すると、どうしても会費が生じてくるというようなことがあって、逆に一つはスポ少の延長みたいな形のシステムづくりも必要なのかなあというふうに思うんですが、この辺いかがでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 部活動の地域移行につきましては、大変大きな改革であるというふうに認識しておりまして、これまで部活動が果たしてきた役割を考えると、例えば単なるスポーツとか文化活動にとどまらず、生徒自身の成長にも大きな影響を与えてきたものというふうに認識しております。そうした中で、この部活動の地域移行をどのような形にしていくかっていうのは、地域も交えて、しっかり議論をしていくということが非常に大切かなというふうに思っております。その中で各家庭の費用負担ですとか、金銭的負担によって生徒間で格差が生まれないようにするということに配慮していくというのは、非常に大切なことだとは認識しておりますけれども、そういった形でよく丁寧に議論を進めながらですね、方向性を見出していくことが大切かと思っております。地域によって一つの形ってなかなか決められないと思っておりまして、それぞれ地域の指導者の状況ですとか、種目によっても違いがございますので、そういったことも踏まえて、地域に合った形を見出していく必要があるのかなというふうに感じております。
○議長(菊地恵一君) 二十七番太田稔郎君。
◆二十七番(太田稔郎君) 移動投票について知事にお伺いしたいと思います。大学での投票も始まったと。高校での投票、これも必要なのかなと。例えば名取北高ですと名取市の選管しか入れないみたいな形になっている。仙台市の選管の箱を借りて、名取市の選管の職員がね、岩沼市のも借りてやるというシステムをね、全国知事会で変えながらやれないのかなという思いがあります。結局大学でも同じなんですよね。一つの市町村しか入れないんじゃなくて、ほかの市町村の投票もできるというシステムを、知事会の中で検討なされてはいかがかなと思うんですけど、いかがでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 全国知事会で協議というよりも、私の勉強不足なんですけど、現行の法律でできるかどうか調べてみたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 二十七番太田稔郎君。
◆二十七番(太田稔郎君) ぜひお願いをしたいと思います。それから県警本部長に、実はこの道路、ハンプとかを造っていただいて、非常にスピードが落ちたなという感じがするんです。ここの中にゾーン三十プラスという設定がされました。ゾーン三十プラスということになって、地域の人たちがこれは何なんだというようなことで、よく質問されるんですけど、ゾーン三十のもう一つプラスなんだよという、わけの分かんない説明になっちゃうんですけど。やはりこうした地域を、子供たちを守るシステムづくり、こういうものをきちんと構築していく必要があるのかなと。ぜひ、ハンプとかそういうものを造りながら、地域で守るんだというシステムを警察を中心として、地域住民を巻き込んだ話合い、こういうものをやっていくべきと思うんですけれどもいかがでしょうか。
○議長(菊地恵一君) 警察本部長原幸太郎君。
◎警察本部長(原幸太郎君) 地域の交通安全対策については、地域住民の皆さんの御要望を踏まえつつ、対策を講じる必要がありますので、常時、いい関係を保ってですね、情報収集をしながら、交通安全対策、議員が御指摘をされたゾーン三十プラスとかですね、ハンプなども用いつつ、進めてまいる所存でございます。
○議長(菊地恵一君) 二十七番太田稔郎君。
◆二十七番(太田稔郎君) ここのガードパイプを造るときも、警察の方々が本気になって住民との意見交換をやっている姿、見せていただきました。やはり行政だけがやるというんじゃなくて、地域を巻き込んだ地域づくり、そういうものをやっていくべきというふうに思うんですけども、この辺、知事いかがでしょうか。行政も一緒になって。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) そのとおりだと思います。
○議長(菊地恵一君) 二十七番太田稔郎君。
◆二十七番(太田稔郎君) ぜひね、この出来上がった姿、こういうものをうまく使いながらモデルとしてね。やっていきながら、狭い道路をどう生かしていくか、狭い道路をどのように造っていくか、そういうものについて県警そして宮城県と一緒になってやってほしいなと思います。私自身、最後の一般質問になりました。残る宮城県議会議員の人たちが、この議場で活発な意見を出し合ってですね。そして、県民の福祉向上のため、知事も県民のために、現場に出向いて意見を聞きながら、すばらしい宮城をつくられることをお祈り申し上げ、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩
----------------------------------- 午後一時再開
○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
選挙管理委員会委員長皆川章太郎君から発言の申出がありますので、発言を許します。
選挙管理委員会委員長皆川章太郎君。
◎
選挙管理委員会委員長(皆川章太郎君) 先ほど、太田稔郎議員から大学等への期日前投票場の設置について、所在市町村に限らず他の市町村でも校内に設置できるよう、全国知事会を通じて働きかけるべきと思うが等の御質問がございましたが、公職選挙法においては、区域外に投票場を設置することについて、禁止する規定はありません。過去においても、東日本大震災の影響により内陸部へ避難した有権者の利便性向上のため、女川町や南三陸町が別の市町村に投票場を現に設置した事例もあります。 以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 質疑、質問を継続いたします。五十二番石川光次郎君。 〔五十二番 石川光次郎君登壇〕
◆五十二番(石川光次郎君) 宮城野区の石川光次郎でございます。ワールドカップの当たり年の本年、バスケットボール、ラグビー、バレーボールと続きます。うだるような猛暑が続く毎日、バスケットボール男子が胸のすくような快進撃を続け、決勝トーナメントには届かなかったものの、自力で来年のオリンピック枠を獲得するなど、日本のバスケットの新しいシステムが世界の強豪に通用することを証明いたしました。結果は十九位でしたが、来年のパリオリンピックでのアカツキジャパンの活躍を期待したいと思います。そして、いよいよラグビーワールドカップフランス大会の幕が切って落とされました。前回日本開催の第九回大会の日本代表のベスト八進出の健闘が、日本国民を熱狂の渦に巻き込み、大きな勇気を与えた大会であったと思います。十日の開幕戦は、初出場のチリとの対戦で開幕戦の緊張もあったようですが、しっかり勝ち抜き、今後、強豪国のひしめくブロックでの戦いで厳しい試合が続くことが予想されるところでありますが、前回以上の健闘と感動を国民に与えていただきますよう期待するところでございます。 それでは、池田副議長のお許しを頂きましたので、大綱二点について一般質問をさせていただきます。 まずは、大綱一点目、仙台塩釜港の諸課題についてお伺いいたします。主に仙台港区を中心にお伺いしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 東北唯一の国際拠点港湾である仙台塩釜港が石巻港と松島港と統合されて十年の月日が経過いたしました。平成二十三年の東日本大震災により仙台塩釜港も大きな被害を受け、仙台港区のコンテナ貨物取扱量が激減する中で、県当局や関係皆様の御努力もあり、五年を待たずして震災前の最高値を超過するなど、予想以上のスピードで港勢の復調をなされてこられたことは、宮城県ひいては東北地方の経済活性化にとって大変意義深いものであると心より敬意と感謝を申し上げるところでございます。また、ここ数年は
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、港の取扱貨物量や乗降人員数は減少の一途をたどり、地域経済に大きな打撃を与えてきましたが、感染症拡大の収束に向かうにつれ、回復の兆しはあるものの、ロシアのウクライナへの軍事侵攻により、燃油高騰や物価の高騰など地域経済への影響も大きなものがあり、仙台塩釜港においてもロシアとの定期コンテナ船の航路につきましては、いまだ寄港が見送られている状況にあり、県内の経済活動にも少なからず影響を与えているところでもございます。このような社会情勢の中でコロナ禍以前に、仙台塩釜港を利用していた顧客や荷主が、現在では、他の港を利用しているケースもあると聞いているところでございます。東北地方の経済の中心地である仙台都市圏を背後に抱え、東北のゲートウエー港湾を自負している仙台港区は、仙台市による蒲生北部地区の整備も進められており、今後更なる利用拡大を図っていくためにも、引き続き、集貨促進と産業基盤整備を進めていかなければならないと考えるところであります。以前、私の一般質問において、仙台港区の発展のため、仙台市との連携強化をただしたところ、県と仙台市が港を支える両輪となるよう連携を努めるとの答弁を頂きました。いまだに両輪とは言えない状況に見えるわけでありますが、宮城県内経済、東北経済を牽引していくためにも、港湾管理者である宮城県のみならず、仙台市を含めた周辺自治体からも積極的な公的支援を求めていくべきだと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。 また、阪神淡路大震災の被災により、神戸港が多くの顧客・貨物を失い、港湾復旧後もそれらを取り戻せなくなったと伺っております。近い将来、首都直下型地震や東南海トラフ地震が高い確率で起こると言われているところですが、様々なことを想定した場合、地政学から考えますと、京浜港や名古屋港、阪神港の機能が停止になった場合の代替港湾としての役割を仙台塩釜港も果たさなければならないと考えるところでありますが、今すぐにスーパー中枢港湾を目指せとは言いませんが、最低限、緊急時の代替機能を備える整備を図っていくべきだと考えますが、もちろん、国の支援がなければできることではありませんが、国への要望も含めて知事のお考えをお示しください。 港湾の港勢拡大を図っていくためには、港湾の安全性、港湾機能の充実、使い勝手のよさやインセンティブ、背後地を含めた周辺の環境整備など他の港との差別化を図っていかなければなりません。これら全てがあって、ポートセールスが生きてくると思いますが、幾つかの観点から県の所見を伺ってまいります。 まず初めに、港湾の安全性の観点からお伺いいたします。 平成二十二年、仙台港区において大型LNG船の入港が始まり、港内における船舶航行の安全確保の課題が顕在化してまいりました。その後、仙台港区の港湾利用者で組織する仙台塩釜港振興会より、入出港船舶安全航行を支援するポートラジオの早期導入が要望されました。仙台塩釜港振興会では、私も同行させていただきましたけれども、既にポートラジオが導入されていた清水港と横浜港を視察し、導入の必要性を強く感じていたところであり、県への要望につながったと思っております。翌年に東日本大震災が発生し、港湾の復旧・復興が優先されたところでありますが、復旧が進捗し、仙台港区の入港船舶数の増加や大型化に伴い、航路においてふくそうが頻発化し小さな事故が発生してきました。私自身、平成二十八年九月議会の一般質問や平成三十一年二月議会の代表質問、常任委員会などにおいて、港湾の安全性からポートラジオの早期導入を提案してまいりました。その都度、前向きに検討する旨の答弁を頂いてまいりましたが、なかなか導入実現とまではいかなかったわけであります。しかしながら、仙台港区における入港船舶数は、十年前と比較して約八百隻増え、平均船型で約千総トン大きくなっておりますし、新たなコンテナ用バースが令和六年度に供用開始が予定されており、二〇二四年問題による国内貨物のモーダルシフトによる海上輸送への転換が見込まれるところであります。また、仙台港区の特徴として、中央航路の最も狭いところで四百メートルであり、大型貨物船は中央航路付近の航路・泊地以外では回頭できないなどの理由から、船舶のふくそうが生じているところでもあります。航行支援機能を導入していかなければ、重大事故が起きるリスクが高く、それによりポートクローズをせざるを得ない状況を生み出す結果となり得るところでもあります。十八港ある国際拠点港湾のうち、十一港で導入されている現状を鑑みましても、早期の導入が望まれているわけであります。このような中、今般、予算議案において仙台港区の無線局導入・運営費の債務負担行為が計上され、いよいよ導入に向けての環境が整ったのだなと思うところでありますが、現在の状況並びに導入に伴う費用負担、導入後の課題と今後の主なスケジュールをお示しください。利用者が安心して安全に航行できる港の構築に向け、更なる御努力をよろしくお願いいたします。 次に、仙台港区向洋地区において、台風や低気圧などにより越波が生じることがあり、臨港道路の通行に支障が生じることがあり、また、コンテナターミナルの駐車車両に飛沫があるなどの状態が出ているようです。港湾利用者が安全に業務を行える環境を構築していかなければなりません。仙台港区の南防波堤・南海岸線に越波対策を早急に行う必要があると考えますが、当局の見解をお伺いいたします。 次に、港湾の機能強化についてお伺いしていきます。 さきにも述べましたが、仙台港区のコンテナ貨物取扱量は、大震災という大惨事を乗り越え、二〇一五年に震災前の取扱量を超過し、二〇一九年には過去最高値であります二十九万百六十TEUを記録し、全国第十一番目の取扱量を誇り、取扱貨物量で見ますと、東北経済を支える国際物流拠点として東北全体の約三割に上ります。完成自動車の輸送拠点として六百十五万トン、東北管内で唯一の製油所を有する港湾として、エネルギーの供給拠点としての役割を果たしております。今後もアフターコロナに入り、コンテナ貨物量の増加も見込めるところであると考えるところでありますが、高砂三号岸壁の供用も間近だと聞いておりますし、他の港との競争力を高めていくためにも、高砂三号の早期供用と、ガントリークレーンの増設を提案するものでありますが、当局のお考えをお伺いいたします。併せて、港湾の電子化を進めて、使い勝手のよい港湾環境をつくっていくべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。 また、入港船舶の大型化や、定期船に対応するために、航路・岸壁の公表水深維持も重要なものと考えます。計画的なしゅんせつ作業を行い、大型船舶の入出港の安全確保と、大水深バースの設置も将来的視野で計画を進めていくべきと考えます。併せて、バース不足に対応するために高松二号埠頭の東側岸壁の整備を行うべきと考えますが、当局のお考えをそれぞれにお伺いいたします。 続いて、インセンティブについてお伺いいたします。 港の利用拡大・港勢発展のためには、ポートセールスが重要なところを占めてくると考えております。そのためには、今まで述べてきたところの港湾機能の強化や、港内の安全性、使い勝手のよさなどがしっかりと確立されていなければならないと考えるところであります。利用者側から見れば、港湾施設利用料の減免などのインセンティブが大きな意義を持ってくるものと考えます。平成二十一年に、塩釜港区における機能分担を推進するために水産品バラ貨物を対象にした震災復興特別交付税を活用したインセンティブ制度を導入し、令和二年度末に終了したと伺いました。この制度を利用し貨物が集まってきたとのことでしたが、制度終了後には、また、塩釜港区を離れていったと聞いております。インセンティブ制度の効果がはっきりと分かる事例であると思いますが、塩釜港区におけるインセンティブ制度の再度導入と仙台港区におけるインセンティブ制度の創設を提案いたしますが、県のお考えをお聞かせください。新規貨物の開拓や輸出入品目の拡大を図る上において重要な施策であると考えますし、競争力の強化に必ずつながるものと考えますので、前向きに御検討いただきますようよろしくお願いいたします。 また、貨物船の誘致は、大変大きな力になると思いますが、大型クルーズ船の寄港もまた地元経済にもたらす効果は大きなものと考えます。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、ストップしていた大型クルーズ船の寄港が再開し、昨年十一月のぱしふぃっくびぃなすが石巻港区に寄港したのを皮切りに、本年は、仙台港区に延べ七隻、石巻港区に延べ五隻と、仙台塩釜港に延べ十二隻が寄港する予定であります。観光振興や交流人口の拡大に寄与するばかりでなく、港や周辺地域のにぎわいと地域経済の活性化につながっていると考えますので、寄港誘致にもお力を尽くしていただきたいと思いますが、県のお考えをお聞かせください。 次に、周辺の環境整備について伺ってまいります。 コンテナ取扱量や取扱貨物量が増加してきますと、必然的に、物流車両が増加してまいります。周辺道路の渋滞が常態化しているところでもあります。特に、仙台港区背後地を走る県道十号線、県道塩釜亘理線の渋滞は、対策を必要とする主要渋滞箇所として位置づけられていると伺っております。道路管理者は仙台市であると認識はしておりますが、港湾利用により起因しているところもありますので、県としても検討いただきますようお願いするところでありますが、所見をお聞かせください。 次に、にぎわいのある港湾を形成する視点からお伺いいたします。 仙台港区の港湾区域内や隣接地には幾つかの公園や緑地があり、県民の憩いの場所として親しまれているところであります。蒲生干潟を筆頭に、港中央公園、七ヶ浜の湊浜緑地、向洋海浜公園などであります。蒲生干潟では野鳥が飛び交い、日本一低い山、日和山を登りながら穏やかな海を見ることができます。中央公園では釣りやテニス、高台からは仙台港区を一望できます。湊浜緑地ではビーチバレーが行われたり、年に一回、七月の第一日曜日にトライアスロンの国際大会が開催されております。向洋海浜公園は言わずと知れたサーフィンの全国でも有数のポイントであり、北日本選手権や仙台新港マスターズ大会が開催され、県内外から多くのサーファーが訪れているところであります。特に今年は第四回ジャパンオープンが開催され、日本のトップサーファー男子十三名、女子八名が来仙。世界大会の日本代表の座をかけて、熱い戦いが繰り広げられました。このように、一般の県民からオリンピック種目のトップアスリートや、それを観戦する人たちが集うにぎわいある港湾に一役買っているところでもございます。そのような中で、中央公園や湊浜緑地ではネーミングライツを活用し、整備費用の一部負担や公園、緑地の魅力を発信することにその役割を担っております。向洋海浜公園においては、公園内のトイレの管理や斜面の草刈り、公園内、海浜の清掃など、サーファーの皆様の御協力を頂きながら進めてきたところでありますが、あずまやや海までの階段の劣化が激しく、限られた予算の中で期間を要しながら順次工事を進めていただいているところであります。公園内を見渡してみますと、駐車場のアスファルトに亀裂が入っていたり、階段や斜面に危険な箇所が散見されるところでもあります。限られた予算の中で、その都度その都度時間をかけながら整備していくよりは、向洋海浜公園においてもネーミングライツを採用して、スポンサーの募集をしてはいかがでしょうか。県の考えをお伺いいたします。るる、現在の課題を尋ねてまいりましたが、早急に対応していただくようにお願いを申し上げるところでございます。 次に、仙台塩釜港の今後の課題についてお伺いいたします。 人口減少化社会の進展に伴う社会構造が著しく変化する現況に加え、新型コロナウイルス感染拡大などによるサプライチェーンの変化、脱炭素社会実現に向けた取組が加速している社会の中で、仙台塩釜港を取り巻く社会情勢は大きく変化してきているところでございます。そのような中、さきにも述べましたが、物流の二〇二四年問題や、カーボンニュートラルの加速を受けて、モーダルシフトが進展することに伴う貨物取扱量の増加への対応や、国の農林水産物・食品の輸出目標が二〇三〇年までに五兆円を目指すことを踏まえ、県内・東北地方における農林水産品の輸出拡大への対応を進めていかなければなりません。また、地球温暖化・脱炭素社会の実現に向け、カーボンニュートラルポート形成への対応や、防災・減災の視点からのハード整備による港湾の強靱化も図っていかなければならないと考えます。昨年五月に官民一体となって戦略的に取り組んでいこうということで、明日の仙台塩釜港を考える懇談会を立ち上げ、有識者や経済団体、港湾関係者と国の行政機関と県内関係市町と一体となって、仙台塩釜港の将来に向けての取組を開始したと伺いましたが、港湾計画の改訂に向けて、どういったビジョンの下で、どのような港湾を目指していくのか。また、そのために県の果たすべき役割をどのように考えているのか、お聞かせください。 特に、港湾において、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す、カーボンニュートラルポートの形成については、非常に時機を得た意義深い取組であると考えますが、こちらも昨年六月に仙台塩釜港カーボンニュートラルポート協議会を立ち上げ、港湾脱炭素化推進計画策定に向けて検討が始まっていると伺っておりますけれども、こちらも港湾利用者をはじめとした関係企業などの協力なしでは達成できないものと思いますが、現在の議論の進捗状況と県がなすべき役割について、お聞かせください。社会情勢や産業構造が大きな岐路を迎えているこういうときだからこそ、でき得るものがあると思いますので、仙台塩釜港の輝かしい未来に向かって大胆に取り組んでいっていただきたいと思いますし、港湾計画の改訂も楽しみに待ちたいと思います。 次に、大綱二点目、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 まずは、村井知事、全国知事会会長就任、誠におめでとうございます。全国地方政治のリーダーとして、ますます御活躍されることを心より御祈念申し上げるところでございます。本年五月末日に、全国知事会の副会長に就任されたばかりで、その時は大きなニュースにもならず、約三か月での会長就任、無投票での当選ということで、知事会の中での人望もさることながら、その経験と実績、そして何より発信力の強さが評価されたものと思っております。結果を残す知事会を目指す方針を示されたそうでありますが、人口減少化社会に対応した地方が主役の政治の実現のため、力を尽くしていただきたいとエールを送らせていただきます。知事五期目の折り返しを迎えるこの時期に全国知事会会長就任ということで、様々な臆測が飛び交っていると聞くこともあるわけでありますが、この困難な時期に一日一日を大切にしながら、奮闘されますことを願っております。 さて、本題に移りますが、昔話から入ってまいります。 私が村井知事と出会ったのは、平成七年四月に地方統一選挙を控える半年前頃だったと思います。私は当時、自民党県議会議員の秘書で、村井さんは自衛隊OBで松下政経塾出身の県議会議員選挙無所属立候補予定者でした。二十七歳と三十四歳でした。当時はちょうど選挙制度改革で、次期衆議院選挙は中選挙区制ではなく、小選挙区比例代表並立制で行われることが決定しており、夏には参議院議員選挙が控えているという時期でありました。我が党の国政選挙の候補者がなかなか決まらない中で、県議選の公認も年明けまで延ばされたと記憶しております。自民党公認が出たのが一月末、それから来る日も来る日も二人で挨拶回りを繰り返し、選挙区に親戚一人もいない、同級生も一人もいない四月の選挙戦を迎え、演説で政策を語れば、「新人はお願いだけをしていればいいんだ」「おまえの政策なんて誰も聞かないよ」などと、信じられない言葉を浴びせられながらも、真摯に政経塾で学んだ政策を丁寧に訴えておられました。地域課題に偏らず、当時から少子化社会の到来への危惧と、それに対応する施策の重要性を説き、十年先、五十年先を見据えながら、今やらなければいけないことを真剣に訴える姿をそばで見ておりまして、ある意味感動すら覚えたところでもありました。県議会議員になってからも三期十年の間、会派の事務局長や県連の幹事長で組織の中で汗をかきながらも、政策通の議員として活躍し、平成十七年に宮城県知事に当選されました。知事に就任後も、岩手・宮城内陸地震や東日本大震災などの自然災害に対応する施策、みやぎ発展税や宿泊税導入に向けた対応、美術館の移転や県民会館の建て替え、広域防災拠点の整備など、時には賛否を二分するような課題であっても、最初は強行であっても議会をはじめとする周りの意見に冷静に柔軟に対応して、押すところは押し、引くところは引く、時には撤回するという勇気ある決断もしてきたと思います。そこには常に説明責任を果たしながら、聞く耳をある程度持っての行動、決断だと思っております。三十年近く比較的近い位置から政治家村井嘉浩を見てきた者として、まさに村井流だと思っておりますし、政治を志した村井知事の原点だと思っております。しかしながら、今回の四病院問題については、本来の村井流が発揮されていないような気がしてなりません。決して感情的にならず、十年後五十年後を見据えながら、今やらなければならないことに対する説明責任を果たし、結果を残す宮城県を目指していただきたいと思うわけでありますが、知事の所見をお伺いいたします。 関東大震災から百年、東日本大震災から十二年の節目の年を迎えました。災害からの教訓に学びながら備えをしていかなければなりません。一昨年六月に、感染症と自然災害に強い社会をつくるため、全国組織として、ニューレジリエンスフォーラムが、横倉日本医師会名誉会長、松尾九州経済連合会名誉会長、河田関西大学特任教授を共同代表として、医療界、経済界などの賛同を得て設立されました。緊急事態の現場からの声を集める、国民の命と生活を守るための提言をする、広報活動を通じ賛同の輪を広げる、建設的な国会論議・国民的論議を呼びかけるの四つの活動方針を掲げ、全国各地で活動を広げ、政府に対し三度提言するなどの活動を行っております。緊急時に適切な緊急医療体制の整備と支援のために、迅速な経済支援を実施するために、災害対策の実効性確保のために、平時から緊急時へのルールの切替えのために制度整備が必要と考えておりますが、東日本大震災の最大被災県の知事として、緊急時の制度の在り方をどう捉えているか、お考えをお聞かせください。 今議会が終わりますと、知事の任期も残り二年となります。今まで以上の活躍を祈念いたしながら、県勢発展にお力を尽くしていただきますようお願いをしまして、壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 石川光次郎議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、仙台塩釜港の諸課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、仙台市を含めた周辺自治体からも積極的な公的支援を求めるべきとのお尋ねにお答えいたします。 東北唯一の国際拠点港湾である仙台塩釜港は、仙台都市圏のみならず我が県全体の経済を牽引する極めて重要な物流・産業拠点であることから、更なる発展を図るためには、仙台市をはじめ周辺自治体との協力・連携が不可欠であると認識しております。このため、関係市町で構成する仙台塩釜港管理・運営協議会において、地域が一体となった港湾の管理運営に関する課題について継続して議論を重ねており、県では、港湾管理者の業務や他港の一部事務組合方式による共同運営事例の紹介などを通じて、港湾運営に関する市町の理解促進を図ってきたところであります。県としては、仙台塩釜港の更なる発展により、周辺地域においても、産業集積による雇用創出や交流人口の拡大など、大きな経済効果が見込まれることから、引き続き、協議会等を通じて、仙台市をはじめとする周辺自治体に、港湾の管理運営への参画を強く働きかけてまいります。 次に、緊急時の代替機能を備える整備を図るべきとの御質問にお答えいたします。 仙台塩釜港は、東日本大震災の教訓を踏まえ、大規模災害時においても安定的な物流機能を確保することはもちろんのこと、他地域が被災した場合においても、代替港湾として機能できる体制を構築していくことが極めて重要であると認識しております。このため、県では、昨年五月に学識経験者や港湾関係者で構成する、明日の仙台塩釜港を考える懇談会を立ち上げ、切迫性が指摘されている首都直下型地震などの大規模災害により、京浜港などの港湾機能が停止した場合に備え、仙台塩釜港がこれらの港湾を支援する広域的な防災港湾として機能できるよう検討を行っているところであります。一方国では、今後の広域的な自然災害の発生に備え、東北地方の各港湾管理者と災害発生時における包括協定を締結するとともに、港湾における広域的なBCP計画を策定し、港湾機能の復旧による相互連携など、大規模災害時の体制構築を図っております。県としては、安定的な物流輸送や他地域被災時の代替港湾としての機能確保が図られるよう、仙台塩釜港の更なる防災機能の強化に向けて、引き続き、国と緊密に連携しながら、鋭意取り組んでまいります。 次に、仙台港区の無線局導入についての御質問にお答えいたします。 仙台港区では、近年、船舶の大型化や入出航隻数の増加により混雑が発生しており、今後、高砂三号岸壁の供用や、物流の二〇二四年問題に起因したモーダルシフトの進展により、更なる船舶の増加が見込まれ、船舶間のふくそうが懸念されるなど、港内における安全対策の充実・強化が喫緊の課題であると認識しております。そのため、県では、無線等により船舶の入出港の情報を一元的に管理し、岸壁の利用調整や航行調整を行うポートラジオの導入に向けて、港湾利用者等で構成するポートラジオ設置協議会を開催し、課題となっていた導入後の管理運営や費用負担などの在り方について協議を重ねるとともに、無線設備の設置に向けた具体的な検討を進めてまいりました。その結果、管理運営費につきましては、港湾施設使用料を活用することとし、受益を受ける船会社等に、入港料の一部を新たに負担いただくことを了解いただいたことから、令和七年四月の運用開始を目指し、今定例会に、無線設備及び運営に要する費用の債務負担行為に関する予算案を提出するとともに、来年の二月の定例会においては、入港料改定の議案を提出する予定としております。県としては、引き続き、仙台塩釜港振興会をはじめとする関係者と緊密に連携しながら、無線局の円滑な導入に向けて、しっかりと準備を進めてまいります。 次に、港湾計画の改訂に向けたビジョンや目指すべき方向性と県の果たすべき役割についての御質問にお答えいたします。 県では、平成二十五年に改訂した港湾計画に基づき、東北の産業を世界に導くグローバル港湾の実現や、東北の経済を支える産業・開発拠点港湾の実現などを目標に掲げ、港湾機能の充実・強化に向けて、計画的に整備を進めてきたところであります。一方、昨今のカーボンニュートラルの推進や、物流の二〇二四年問題に起因したモーダルシフトの進展など、港湾を取り巻く状況は大きく変化しており、こうした動きに的確に対応する必要があると認識しております。このため県では、今後の港湾計画の改訂に向けて、昨年五月に学識経験者や港湾関係者で構成する、明日の仙台塩釜港を考える懇談会を立ち上げ、モーダルシフトの進展など物流の変化を見据えた東北・宮城の港湾取扱貨物の増加や、観光振興・交流人口の拡大、防災・減災対策などの観点から、今後の仙台塩釜港の在り方について議論を進めており、今年度中に仙台塩釜港が目指すべき姿・ビジョンを取りまとめることとしております。県としては、我が県のみならず東北地方の暮らしと経済を支える拠点として、高い競争力を有する港づくりを目指し、仙台塩釜港の更なる発展に向けて鋭意取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、知事の政治姿勢についての御質問にお答えいたします。 初めに、四病院再編についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台医療圏の病院再編につきましては、少子高齢化や人口減少を見据え、県民に適切な医療を持続的に提供するために、将来あるべき姿を考えながら取り組んでいるものであります。現在、関係者との協議を進めているところでありますが、協議過程においても、県民に対し、できる限りの情報提供に努めるとともに、患者や家族、医療従事者や地域住民の方々などから様々な御意見を伺ってまいりました。私としては、病院再編が地域医療の課題解決に大きく寄与するものであると信じておりますので、引き続き丁寧な説明を行い、説明責任を果たしていくとともに、病院再編の実現に向けて力を尽くしてまいりたいと考えております。 次に、緊急時の制度の在り方についての御質問にお答えいたします。 我が国は、これまで東日本大震災をはじめとする大地震や津波、台風などの風水害に幾度となく見舞われてきたほか、令和二年一月に国内で初めて感染が確認された
新型コロナウイルス感染症には、約三年にわたる対策を余儀なくされました。こうした経験を踏まえ、国では、災害対策基本法において、緊急の必要がある場合に、内閣が政令を制定し、迅速に必要な措置をとることができるよう規定したほか、次の感染症危機に備え、平時・有事の司令塔機能を有する内閣感染症危機管理統括庁を今月一日に設置したところであります。緊急時の制度の在り方については、我が国において、早急に検討すべき重要な課題であり、国会において議論が進められていくと承知しておりますが、これに加え、広く国民的な議論が進むことを期待しております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱一点目、仙台塩釜港の諸課題についての御質問のうち、向洋地区の臨港道路における越波対策を早急に行うべきとのお尋ねにお答えいたします。 高砂コンテナターミナルが南側に位置する臨港道路南海岸線は、コンテナターミナル入り口と向洋埠頭野積場を結び、物流活動を支える重要な幹線道路であります。このうち、コンテナターミナル入り口付近から管理棟前までの約三百四十メートル区間は、将来のターミナル拡張計画を踏まえ、防波護岸が暫定整備となっているため、台風などの荒天時には、護岸からの越波により臨港道路の通行に支障が生じているほか、波しぶきがターミナル内の駐車場まで及ぶなどの影響が発生しております。このため、令和三年度に、管理棟駐車場南側に高さ八メートルの飛沫防止フェンスを設置したところであり、県としては、円滑な港湾荷役や港湾従事者の安全確保が図られるよう、暫定整備となっている護岸のかさ上げの早期事業化に向けて、引き続き、検討を進めてまいります。 次に、高砂三号埠頭の早期供用と、ガントリークレーンの増設及び港湾電子化による利便性の高い港湾環境をつくっていくべきとの御質問にお答えいたします。 東北を牽引するグローバル港湾の実現に向け、県では、向洋地区において、コンテナ貨物の増加への対応や、埠頭の混雑解消と効率的な荷役業務の促進を図るため、今年度末の完成供用を目指し、国が実施している三号岸壁の整備とともに、埠頭用地の拡張工事を鋭意進めております。また、これらの工事と併せて、ガントリークレーン三号機については、船舶の大型化に対応した更新工事を進めております。一方、近年のカーボンニュートラルの推進や、物流の二〇二四年問題に起因するモーダルシフトの進展に伴い、今後、更なる船舶の大型化や貨物取扱量の増加が見込まれることから、そうした動きに的確に対応していく必要があると認識しております。県としては、明日の仙台塩釜港を考える懇談会での議論や今後のコンテナ貨物の動向などを踏まえながら、ガントリークレーンの増設を検討するほか、利便性の高い港湾環境の整備に向けた電子化については、国の港湾DXの取組状況を踏まえながら導入の検討を進めるなど、引き続き、国や港湾関係団体等と緊密に連携し、更なる競争力を有する港を目指して、鋭意取り組んでまいります。 次に、計画的なしゅんせつ作業による安全確保と大水深バースの将来的な設置計画及び高松二号埠頭の東側岸壁の整備についての御質問にお答えいたします。 仙台港区及び塩釜港区では、潮流や波の作用等による漂砂現象などにより、航路・泊地の一部において、入港する船舶に対応した水深が確保されていない箇所があることから、船舶の安全な航行を確保するためには、航路・泊地の適正な水深の維持・管理が重要であると認識しております。このため、県では、公表水深の確保を図るため、定期的に水深の測量を実施した上で、岸壁の使用頻度などを考慮し、優先順位をつけながら、計画的にしゅんせつを実施しており、引き続き、船舶の安全で安心な航行に向けて、航路・泊地の水深確保に鋭意取り組んでまいります。また、県では、近年のバルク船の大型化等に対応するため、水深マイナス十四メートルの高松二号埠頭岸壁を整備し、平成二十九年度に供用を開始したところであります。県としては、高松二号埠頭東側岸壁や大水深バースの整備については、明日の仙台塩釜港を考える懇談会での議論や、今後の港湾貨物の動向を踏まえながら、引き続き、検討してまいります。 次に、塩釜港区へのインセンティブ制度の再導入と、仙台港区への同制度の創設についての御質問にお答えいたします。 取扱貨物量の更なる増加に向けては、船舶の大型化に対応する大水深岸壁等の整備による港湾機能の強化に加え、積極的なポートセールスやインセンティブの付与など、ハード・ソフト両面において、その効果を見極めながら実施することが重要であると認識しております。このため、県では、港湾機能の更なる強化に向けて、塩釜港区では、今年四月に貞山一号埠頭岸壁を供用したほか、仙台港区においては、現在、今年度末の完成供用を目指し、高砂コンテナターミナル拡張工事を進めております。また、今年二月には、
新型コロナウイルス感染症により中止していた仙台港首都圏セミナーを三年ぶりに再開したほか、仙台空港と連携した仙台港・仙台空港視察セミナーを開催するなど、県内外において精力的なポートセールスに取り組んでいるところです。県としては、物流の二〇二四年問題などにより、海上輸送へのモーダルシフトが進展したことが見込まれることから、まずは、集貨・創貨の拡大に向けて、引き続き、官民一体となったポートセールスに全力で取り組むとともに、塩釜港区や仙台港区へのインセンティブ制度の導入については、他港の取組状況を参考にしながら検討してまいります。 次に、大型クルーズ船の誘致についての御質問にお答えいたします。 大型クルーズ船の寄港は、
新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ交流人口の回復・拡大や、今後の観光振興に向けて力強い後押しになるものと認識しております。県では、これまで、Wi‐Fi設備や多言語観光案内板の設置など、受入れ体制の強化に努めてきたほか、寄港時には関係団体等と連携し、歓迎セレモニーの開催など、おもてなしの充実も図っております。仙台塩釜港においては、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、運航が停止されていた外国クルーズ船については、今年五月から順次再開しており、今年度は、過去二番目となる延べ十二隻の寄港が予定されております。県としては、更なるクルーズ船の寄港に向けて、引き続き、東北経済連合会や仙台市等の地元市町と緊密に連携しながら、おもてなしを含めた受入れ体制の充実・強化を図るとともに、クルーズ船社や旅行会社に対して、我が県ならではのオプショナルツアーの提案を行うなど、積極的なポートセールスに取り組んでまいります。 次に、県道塩釜亘理線の渋滞対策についての御質問にお答えいたします。 県道塩釜亘理線は、塩竈市と亘理町を結び、東北誘一の国際拠点港湾である仙台塩釜港や、東北のゲートウエーである仙台国際空港へアクセスするなど、我が県沿岸部の物流活動を支える重要な幹線道路であります。このうち、仙台港インターチェンジに接続する仙台港背後地周辺では、近年、仙台塩釜港の貨物取扱量の増加に加え、物流施設や商業施設などの立地に伴い交通量が増加し、慢性的な交通渋滞が発生していることから、早期の渋滞緩和が喫緊の課題であると認識しております。このため、国、県、関係市町村や県警などで構成する宮城県渋滞対策連絡協議会において、県道仙台塩釜線、通称産業道路と交差する中野石橋交差点や、臨港道路が交わる蒲生二本木交差点から蒲生前通り交差点までの区間を主要渋滞箇所に位置づけ、渋滞対策について検討しているところであります。これまで、道路管理者である仙台市では、高砂橋交差点で信号現示の調整や、高砂橋南側の交差点で右折車線の設置を実施しており、今年度は、これらの対策についての効果検証を行い、今後の対策について検討を進めていくと伺っております。県としては、引き続き、協議会において、仙台市や関係機関と緊密に連携しながら、円滑な交通の確保に向けた効果的な渋滞対策について取り組んでまいります。 次に、向洋海浜公園へのネーミングライツ制度の導入についての御質問にお答えいたします。 港湾施設のネーミングライツについては、一定の応募が見込まれる利用者が多い施設を中心に導入することとしており、これまで、仙台港区の中央公園、湊浜緑地、栄船だまりの三施設において導入しております。向洋海浜公園は、海を身近に感じられる公園として、多くの市民に親しまれており、近年は、サーフィンの全国大会が開催されるなど、社会的な認知度が高まっております。また、公園の環境整備については、地元のサーフィン団体等から、ごみ拾いやトイレ清掃の御協力を頂きながら、官民が連携して取り組んでいるところです。県としては、県有財産を有効活用する上でも、向洋海浜公園へのネーミングライツ導入は、効果があると考えており、早期の導入に向け検討してまいります。 次に、カーボンニュートラルポート形成に向けた協議会の現在の検討状況と県が果たすべき役割についての御質問にお答えいたします。 火力発電所や工場等が立地している国内の港湾地域は、二酸化炭素排出量の約六割を占めていることから、脱炭素社会の実現には、港湾の果たす役割が非常に重要であると認識しております。このため、県では、仙台塩釜港におけるカーボンニュートラルポート形成に向けた具体的な検討を進めるため、昨年六月に、学識経験者、港湾立地企業や関係団体等で構成する仙台塩釜港カーボンニュートラルポート協議会を設置し、脱炭素化推進計画の策定に向けて、議論を重ねております。これまで、仙台塩釜港周辺から排出される温室効果ガスの排出量に加え、仙台塩釜港における水素等次世代エネルギー需要量の推計を行うとともに、削減目標を設定し、温室効果ガス削減・吸収に関する事業等について整理検討しており、年内に計画素案を取りまとめ、パブリックコメントを実施した上で、今年度末までに計画を策定し、公表することとしております。県としては、引き続き、港湾立地企業や関係団体等と緊密に連携し、港湾脱炭素化推進計画を着実に推進しながら、県が掲げる二〇五〇年カーボンニュートラル社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。 以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 五十二番石川光次郎君。
◆五十二番(石川光次郎君) ポートラジオ、ありがとうございました。令和七年の四月運用ということで、本当にありがとうございます。これからも取組よろしくお願いしたいと思います。 また、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。説明をした、お話を聞いているという部分はあるわけでありますが、議論を重ねていけばいくほど、ちょっと乖離しているなというような思いを物すごく強く持っています。しっかりとした歩み寄りができるような形での、やはり相手の思いというかそういったものもしっかり酌み取りながら進めていかなければ、将来を見据えて必ず必要な施策だというような思いでやられているというのは十二分に分かっている上でありますけれども、せっかくのそういった思いというものが実現できなければまた意味がないわけでありまして、そういった意味ではしっかりと聞く、そしてしっかりと歩み寄るという部分をしていただきたいと思いますが、知事から一言お願いします。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) そのつもりでやってはきていますけれども、まだ足りないということでありますので、更に肝に銘じて、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
◆五十二番(石川光次郎君) 終わります。
○副議長(池田憲彦君) 四十番岸田清実君。 〔四十番 岸田清実君登壇〕
◆四十番(岸田清実君) 初めに、四病院統合・合築問題について伺います。 昨夜のテレビ、今朝の新聞で四病院再編に関連して、東北労災病院の山下事務局長が市民団体に対して「精神保健福祉審議会の合意が基本合意の絶対条件」と述べたと報道されました。それに対して知事は「労働者健康安全機構の理事長は、基本合意の前提ではないと話していた」とコメントしています。今回の報道について、知事の所感をお示しください。 二〇二〇年八月に突然県立がんセンター、仙台日赤病院、東北労災病院の連携・統合問題が発表されて以降、その後の四病院問題と併せて県政における大きな課題として議論が継続されてきました。常に突然の政策決定であり、付きまとうのは説明の不十分さと、患者、地域医療従事者の不安が解消されない現実であります。知事はこれまで四病院再編について、県民に支持いただいた公約だから実現させると県議会をはじめ、八月三十一日の精神保健福祉審議会でも繰り返し述べました。公約に記載されているのは、「名取市と富谷市に新たな総合病院として開院させることを目指して検討をスタートさせます」と検討スタートであり、これがなぜ辞職まで口にするようなかたくなな態度につながるのか、不思議でなりません。医療の在り方の議論は、患者への影響を第一に考えることが基本であり、なおかつ公約はその実現にあたって、更に丁寧な説明と合意形成に向けた努力が伴わなければならないはずです。この点について、改めて所見をお聞かせください。また、患者、地域、医療関係者の幅広い意見に耳を傾けるべきと思いますが、知事の所見を併せて伺います。 県は今年四月に、コンサルタントである日本経営が提出した報告書を公表し、四病院再編の根拠や方向性を示しました。特にそれぞれの具体的な方向性を示した資料では、再編の必要性として四つの項目を立て、その一つは、経営状況の悪化であり、がんセンターや精神医療センターにおける運営費負担金が、あたかも赤字補填のように取り扱われています。運営費負担金は、毎年の総務省からの通知「地方公営企業繰出金について」で繰出基準が定められています。具体的には、病院事業の各項目について、地方交付税の単価で積み上げられることになっており、環境福祉委員会での私の質問に対して、保健福祉部長は、調整の余地のないものと答弁しています。運営費負担金には県独自分もあり、こちらは政策的医師配置分や、廃止された循環器・呼吸器病センターの栗原市移行職員の給与補償分など、内容が明確なもので、こちらも赤字を補填するものではありません。運営費負担金は、県の政策医療を支えるための県の負担金であり、赤字補填ではないと考えますが、知事の所見を伺います。そのとおりだとすれば、運営費負担金があたかも赤字補填であるかのように取り扱っている日本経営報告書は不適切であると考えますが、所見をお示しください。運営費負担金総務省基準分は、交付税単価を単純に積み上げたものになっていますが、実際の交付税措置額は、何段階にもわたって補正係数が掛けられて減額されます。二〇二〇年度分について、財政課に補正係数を掛けて試算してもらった結果、当該年度の県立病院機構分の交付税措置額は約九億五千六百万円で、総務省基準額二十三億五千万円の四〇・七%、運営費負担金全体約三十七億七百万円の二五・八%になりました。日本経営の運営費負担金は、全額が県の持ち出しであるかのごとく取り扱われていますが、収入である交付税交付金は、どこにも計上されていません。地方財政制度に対する無理解か、赤字額を大きく見せたかったかのどちらかだと考えられますが、いずれにしても大きな誤りです。この点について、知事はどう考えるでしょうか。 精神医療センターと東北労災病院の合築については、患者や家族、宮城県精神科病院協会などの精神科医療関係者から幾つもの問題点が指摘されています。そして、その課題に答えるために、八月三十一日の県精神保健福祉審議会で、知事は、名取市に官民連携で新たな精神科病院を設置したいとの提案を行いました。知事はこれまで、仙南の通院患者が富谷に通うのには困難があるとの指摘が相次いだのを受けて、がんセンターと仙台日赤病院が統合してできるとされる新病院に精神科外来を置くと提案をしました。それに対して更に「外来に来て入院の必要があった場合に富谷までどうやって移動するのか」「名取市を中心とした地域包括ケアシステムが崩壊するのではないか」との指摘があり、今回の新たな提案となりました。しかし、当初の通院の困難性にしても、外来のみ設置の場合の問題点であれ、精神科医療の当事者や関係者であれば、容易に想定しうるものであります。このほかにも、富谷移転による県北部地域での精神科急性期医療の競合の指摘による新精神医療センター入院患者の仙南限定など、実態を理解しないまま発想しているための迷走であると指摘せざるを得ません。この点についての所見を伺います。 今回の新提案に関わって幾つか伺います。 名取市の新精神科病院は、県内で実績のある法人を対象に公募するとし、現在の病院から一部の病床を名取市に移し、精神医療センターの減床分八十八床と合わせて上限百二十床の規模にするとしています。精神保健福祉審議会において「名取市の新精神科病院をなぜ県立でやらないのか」という質問に対して県は「二か所に分かれることで、人事管理などに非効率・無駄が生まれる」と答えています。それに対して委員から「非効率のために県ではできないものを民間にやらせようというのか」と指摘がありました。私はもっともな指摘だと感じましたが、知事はどう考えたでしょうか。 次に、治療の継続性についてです。 現在の精神医療センターは、特に県南地域からのかかりつけ医療機関として役割を果たしてきました。病状の重い患者にドクターだけではなく、外来、入院、リハビリ、訪問看護、地域連携と多職種によるチーム医療を提供してきました。長く入院していた人が退院して症状が悪化した場合に、入院中に接してきたスタッフが訪問することもあり、職種を超えて柔軟に対応し、患者を支えてきたわけであります。今回の提案では、名取市に新設される民間精神科病院がデイケア、訪問看護ステーション、地域連携機能を持つとともに、患者との関係が軌道に乗るまでは、精神医療センターから職員が出向をするとされています。一方、作業療法士やワーカー、心理士の職種は、それぞれの職員数が限られており、センターが富谷に移転し、名取の新病院にも職員が出向するとなれば、同一職種での互いのカバーや多職種によるチーム医療が困難になるとも考えられますが、所見をお示しください。多職種の連携とともに、一つ一つの職種が専門性を高めていることが精神医療センターの財産です。現在デイケアでは、認知矯正療法が提供されていますが、過去には、治療で認知能力を改善することはできないとされていました。現在では、認知矯正療法に基づいたリハビリが行われ、会話がスムーズにできて前向きになったなどの改善が見られ、一般就労につながる成果を出しています。このリハビリ提供は、専門研修の受講と試験に合格しなければ行うことができず、精神医療センターでは一人の作業療法士と一人の公認心理士が資格を持っています。全国的に広がりを見せている先進的な取組ですが、県内でこのリハビリを提供しているところはほかにないと聞いています。県は、南の新病院にも訪問看護やデイケアを置き、精神医療センター職員を出向させると言っていますが、認知矯正療法の資格を持った職員が限られている中で、同療法でのリハビリ提供は難しくなるのではないか。更に、リハビリテーション科以外のスタッフの協力があって運営されているため、限られた職種のスタッフが更に富谷と名取に分かれることにより、対応が難しくなることが想定されます。このことについては、どう考えるでしょうか。 児童精神科について伺います。 これまで県南の患者は、精神医療センターに通院し、仙台市北部や県北地方はせんだんホスピタルに通院するという自然な役割分担があったようです。精神医療センターが富谷市に移転し、児童精神科が全県対応を行った場合に、これまでの役割分担が崩れることにならないか。また、県南の患者は、中学生までは子ども総合センターに通えますが、それ以上は県南の通院先がなくなるのではないか。しかも、日本経営報告書では、外来が三十人の想定となっており、児童精神科について全県対応のシミュレーションが見えません。これらの点について見解をお示しください。 日本経営報告書での役割分担について伺います。 精神医療センターが富谷市に移転した場合の県北精神科基幹病院との競合回避のために、入院は原則太白区以南とするなど、入院及び通院対象について、エリアごとに対応を分けていました。名取市に新たな精神科病院を新設し、入院機能も付加するとなれば、従前のエリア別の対応区分は見直しになると考えるのが妥当ですが、所見をお聞かせください。日本経営報告書では、入院患者を百五十三人と想定していますが、宮城県精神科病院協会は、百五十三人の入院患者を確保するための年間入院患者数を推計しています。精神医療センターの二〇二二年度末入院患者の半数程度は、三か月未満であり、半年以上の長期入院患者は七十人です。この七十人が名取市の新精神科病院に入院し、富谷市の新精神医療センターに移らないと仮定した場合には、年間六百人を確保することが必要になります。名取市の新精神科病院が太白区以南の入院を受け持つと仮定した場合に、センターへの救急での入院は、二〇一九年から二〇二一年度平均で百三十人程度であることから、残りは太白区以外の仙台市と仙北の一般入院になります。名取市に新精神科病院を設置することにより、県北の精神科基幹病院との競合問題が再浮上するのではないかと考えますが、御所見を伺います。同様なことが外来でも言えます。日本経営報告書では、富谷市の新精神医療センターの外来は三十人とされ、これは現在の通院患者のうち、太白区を除く仙台市以北の居住者の数字です。環境福祉委員会で「想定されている黒川郡以外の患者が新規で来院した場合に断るのか」と質問したのに対して「来た場合は断ることはしない」と答えています。県立病院ですから当然のことですが、精神科病院は、通院と入院の繰り返しや急性憎悪対応などのために、病院に通院しやすいエリアの患者が増えることになります。報告書での三十人からの増加をどう見通しているのか、県北の精神科基幹病院との競合についてどう考えているか、所見をお示しください。多くの課題が生煮えのまま、精神医療センターをはじめ四病院再編を進めるのは大きな問題だと申し上げておきたいと思います。 大綱二点目に、原子力災害時避難計画について伺います。 女川原発二号機の再稼働について、宮城県議会が推進を求める請願を採択する形で意思表示し、その後、知事及び石巻市長、女川町長が再稼働に同意してから間もなく三年になろうとしています。この間、二〇二二年度中としていた安全対策工事完了が遅れ、再稼働予定が二〇二四年二月にずれ込み、再稼働予定まで半年を切るところまで来ましたが、避難計画については、その実効性が高まったとは到底思えないのが実態であります。 まず、避難計画に対する県の関わりについて伺います。 知事は昨年来、それまでの訓練で渋滞が見られた避難受付ステーションを通らずに避難場所に行けるようアプリの活用を提起し、アプリが十分普及した段階で避難元自治体の避難計画を改定し、避難先自治体との協定も改定して、受付ステーションを最終的には廃止しようというものです。避難計画のネックの一つが受付ステーションですから、計画の弱点を修正しようとするものでしょう。これまで、避難計画の実効性について知事は、国の女川地域原子力防災協議会において決定されていることから、実効性は担保されていると繰り返してきました。避難所受付アプリの導入は、宮城県が避難計画の実効性の担保に国とともに責任を持つという意味でもあると考えられます。その認識で間違いないか伺います。 昨年度、県は、避難計画の実効性改善に向けて三つの事業を実施しました。一つは、避難退域時検査等場所における円滑化対策調査業務であり、混雑が予想される退域時検査等場所のハード、ソフトの改善を市町とともに目指すものです。二つ目は、避難退域時検査等場所レイアウト作成業務で、検査等場所内の検査レーン配置をどのようにするかの検討です。三つ目は、宮城県原子力災害時避難行動周知促進調査事業で、新たな避難時間シミュレーションを行うものであります。このうち、新たな避難時間シミュレーションは、二〇一九年度の避難経路阻害要因調査に代わるものと考えられ、住民に対して適切な避難行動の周知と理解促進のための基礎情報を得ることを目的とするとされています。本来は、二〇二二年度末、すなわち今年三月末までには報告書が提出される予定でしたが、六月三十日まで延期され、更に、十二月二十八日まで再延期されました。目的は、避難行動の周知と理解促進のための基礎情報を得るためとのことですが、女川原発二号機が来年二月に再稼働とも言われている中で、基礎情報とする避難時間シミュレーションが間に合いません。また、退域時検査等場所のハード、ソフトの改善事業にしても、二〇二二年度からの三か年事業で、初年度は県が主体の課題調査になり、実際の測量・設計は今年度、工事は来年度になります。いずれも、再稼働に間に合わないのは、住民の安全確保の観点から問題と考えますが、知事の所見を伺います。再稼働ありきで、住民の安全が二の次になっていると指摘しておきます。避難退域時検査等場所レイアウト作成業務では、各検査等場所について二レーン設定と最大可能数での設置について想定がなされています。以前の避難時間シミュレーションである避難経路阻害要因調査では、九十三レーンを想定してシミュレーションが行われています。今回のレイアウト案では、使用予定場所と予備の場所を合わせて合計百九レーンが最大数とされ、以前の想定数をクリアはしています。しかし、担当課からレイアウト案の説明を受けた際に「最大数の想定では、検査で汚染が検出されず通過する車両と、汚染が判明して一時保管場所に移動する車両の動線の交錯が発生する」とのことでした。これでは、汚染していない車が検査場所内で新たに汚染することになりかねず、検査の意味がありません。二レーンの想定では、交錯が回避されるようですが、各検査場所二レーンのみであれば合計は四十二レーンであり、阻害要因調査の想定と比較して半分以下です。このシミュレーションでは、各検査場所での最も適切なレーン数が読み取れないと思うのですが、いかがでしょうか。退域時検査等場所のハード、ソフトの改善事業でも検査場所内のレイアウトを独自に想定して、会場内の道路改修などの改善課題を報告書にまとめています。こちらの報告書では、汚染が判明した車はレイアウト作成事業とは異なり、一括した一時保管場所に移動させるのではなく、除染レーン内に一時保管場所を設定することにしていますが、示されている図では、一レーン当たり二ないし三台の保管場所です。緊急事態の推移や汚染車両の偏りによって、除染レーンの保管場所が埋まってしまう場合も十分に想定されるのであり、他の除染レーンの保管場所に移動しようとすれば、汚染していない車との交錯が発生します。想定通りでなければ機能しないものになっていると思いますが、いかがでしょうか。検査会場内のレイアウトについて、レイアウト作成業務と検査会場改善事業とでそれぞれ独自のレイアウト案が報告され、汚染車両の一時保管場所等相違があります。県としては、最終的なレイアウト案をどのように描くのでしょうか。また、それがまとまるのはいつになるのか、お示しください。来年二月に女川原発の再稼働が想定されている中で、避難計画の重要な位置を占め、なおかつ、弱点ともなっていると考えられる退域時検査等場所の運営が適切に行えるのか、その準備が十分なのか不安を覚えざるを得ませんが、所見をお示しください。女川原発二号機の再稼働まで半年を切ったこの時点で、原子力災害時避難計画の実効性は、あまりに不十分と言わざるを得ません。それにもかかわらず、再稼働の準備が進んでいることは、住民の安全をないがしろにしているということだと強く指摘をしておきます。 最後に、私事ですが、一言申し上げます。 私は、今期をもって議員を勇退することにいたしました。議員の皆さん、執行部や関係の皆さん、支えていただいた地域の皆さんや家族に感謝したいと思います。二〇〇〇年四月に地方分権一括法が施行され、それまで自治体が国の下請機関として指揮監督の下に置かれていた機関委任事務が廃止され、国と自治体は対等の立場とされました。分権論議が高まった時期に、一連の分権改革は、明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革とも言われました。しかし、その後、地方の独自財源である地方交付税が地域総合整備事業債の交付税措置優遇など政策誘導の手段とされ、中心市街地活性化法や地方創生でも自治体の計画を国が認可するなど、国と地方が上下、あるいは指導・被指導の関係を強めつつあると感じています。しかし、住民と自治体の創意と努力が、例えば富山型デイサービスが共生型施設として全国に広がったように、地方こそ先進性を生み出してきたのだと言えるでしょう。宮城県議会が二元代表制の一翼として、広域自治体の役割をしっかりと担っていくことを期待し、今後は一県民として注視していきたいと思います。 以上申し上げて、壇上での発言を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 岸田清実議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、四病院統合・合築の問題点についての御質問にお答えいたします。 初めに、精神保健福祉審議会に関する東北労災病院の考えへの受け止めについてのお尋ねにお答えいたします。 昨日、東北労災病院が市民団体から県立精神医療センターの移転反対の要望書を受け取った際、病院職員から「精神保健福祉審議会での承認が基本合意の絶対条件である」という発言があったとの報道がございました。このことから、労働者健康安全機構の有賀理事長に直接私が確認したところ、機構としては、審議会の承認の有無にかかわらず、精神医療センターの移転を県が決めた場合は、基本合意に向けて協議を進めるとのお話がございました。基本合意の具体の条件等につきましては、今後の協議の中で決めていくことになるものと考えております。県としては、精神保健福祉審議会の承認が得られなければ、基本合意ができないものではないと認識しております。 次に、公約の実現にあたっては、丁寧な説明と合意形成に向けた努力、患者や地域、医療関係者の意見に耳を傾けるべきとの御質問にお答えいたします。 病院再編については、これまで仙台医療圏の市町村長会議や地域医療構想調整会議などで説明を行うとともに、関係者との協議過程においても、新病院が目指す主な機能など、県民に対しできる限りの情報提供に努めてきたところであります。また、県では、今年二月に労働者健康安全機構と取り交わしました協議確認書を踏まえ、県立精神医療センターの患者や家族をはじめ、医療・保健・福祉の関係者の方々から御意見を伺うとともに、精神保健福祉審議会での御指摘も踏まえ、今回、県南部の精神科医療提供体制の確保に向けた対応策を提示させていただいたところでございます。私としては、公約の実現に向けて、様々な御意見を伺いながら、関係者との協議を進めているところでありますが、引き続き丁寧な説明に努めてまいります。 次に、精神医療センターの移転に伴う県の提案についての御質問にお答えいたします。 県立精神医療センターの移転につきましては、令和元年度のあり方検討会議の提言も踏まえ、老朽化した施設の早期建て替えや、東北労災病院との合築による身体合併症の対応能力の向上などを目指して取り組んでいるものであります。これまで、県では委託業務などを通じて現状分析を行い、具体的な病院機能の検討を進めてきたところでありますが、特に移転の影響が大きい県南部の精神科医療提供体制の確保につきましては、様々な御意見を踏まえ、にも包括も念頭に置きながら、より適切な対応について慎重に検討を重ねた上で、今回、新たな対応策を提案したものでございます。 次に、精神保健福祉審議会での指摘についての御質問にお答えいたします。 名取市への民間精神科病院の公募につきましては、県南地域の精神科医療を確保するため、財政負担など、県立病院機構の今後の運営も考慮した上で提案したものであります。県立精神医療センターからの職員出向等の支援を行い、両病院の相互協力を図るという官民連携による病院の開設を目指しており、民間に全てを任せるというわけではございません。 次に、大綱二点目、原子力災害時避難計画についての御質問のうち、アプリ導入について、県が国とともに責任を持つかとのお尋ねにお答えいたします。 県では、避難計画の実効性を高めるため、昨年度から県の責任において避難支援アプリの開発を進めてまいりました。これまでの実証試験や訓練では、避難時間の短縮、避難時の住民負担の軽減が図られるなど、その有効性が確認されたことから、アプリの運用開始に向け準備を進めております。県としては、アプリの導入について、関係市町の避難計画に反映されるよう支援するとともに、女川地域の緊急時対応として取りまとめられるよう、引き続き、国、関係市町と連携し、アプリを活用した避難計画の具体化に取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 復興・危機管理部長千葉章君。 〔復興・危機管理部長 千葉 章君登壇〕
◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱二点目、原子力災害時避難計画についての御質問のうち、事業の完了が再稼働に間に合わないことについてのお尋ねにお答えいたします。 原子力災害時の避難計画については、令和二年六月に、女川地域原子力防災協議会により、女川地域の緊急時対応として取りまとめられており、国において原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であると了承されております。県では、この緊急時対応が策定された後、女川原子力発電所の稼働状況にかかわらず、原子力防災訓練の実施や、避難支援アプリの検討など、避難の円滑化に取り組んでまいりました。県としては、原子力災害への備えに終わりや完璧はなく、新たな知見を取り入れながら、不断の見直しを行っていくべきものと認識しており、引き続き、国、関係市町と連携しながら、原子力防災体制の強化に努めてまいります。 次に、各避難退域時検査等場所での最も適切なレーン数についての御質問にお答えいたします。 昨年度実施いたしましたレイアウト作成業務においては、国の避難退域時検査等の資機材の整備に関する基本的な考え方に基づく、一検査場所当たり車両検査二レーンのレイアウト案と、検査場所において設置できる最大レーン数のレイアウト案を作成したものです。原子力災害時においては、災害の規模や緊急性に加え、風向・風速、発生時刻、季節、天気などの条件により、検査場所の開設場所やレーン数をはじめ、数多くの場合分けが生じることから、最大レーン数の範囲内で、状況に応じてレーンを配置することとしております。 次に、検査場所内のレイアウトが想定どおりでなければ機能しないのではないかとの御質問にお答えいたします。 原子力災害時には、災害の状況等に応じて、検査場所を開設することになりますが、想定を超えて一時保管場所が必要となる場合には、当該検査場所において、基準値を超えた車両の動線が基準値以下の車両の動線を妨げないよう配慮しながら、空きスペースに的確に誘導するほか、検査場所を追加で開設するなどの対応をとってまいります。 次に、検査場所内のレイアウトの最終案についての御質問にお答えいたします。 レイアウト作成業務については、全二十一か所の検査場所の現状に合わせ、最大レーン数を設置する場合のレイアウト案を作成したものです。一方、円滑化対策調査業務においては、特に渋滞が予想される登米総合体育館、鷹来の森運動公園、涌谷スタジアムの三か所の検査場所について、ハード整備を含めたレイアウト改善案を作成したものです。このため、ハード整備を行う三か所の検査場所については、円滑化対策調査業務のレイアウト案を用いることとし、それ以外の検査場所においては、レイアウト作成業務で作成したレイアウトを用いることとしており、各委託業務は昨年度で完成しております。 次に、避難退域時検査等場所の運営についての御質問にお答えいたします。 今回作成した避難退域時検査等場所のレイアウト案については、今後、関係市町と協議しながら、訓練等を通じて定期的に確認を行うことが必要であると認識しております。また、検査等に使用する資機材等の整備を進めるとともに、検査場所要員となる県職員の名簿化を図り、毎年度実施する研修や訓練を通じて、要員の技能向上を図っているところです。県としては、円滑な検査場所の開設準備、運営ができるよう、引き続き適切なレイアウトについて検討を重ねるとともに、資機材の充実化、要員の技能向上を図り、絶えず検証・改善を行い、原子力防災体制の強化に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、四病院統合・合築の問題点についての御質問のうち、運営費負担金及び報告書についてのお尋ねにお答えいたします。 運営費負担金は、住民の福祉の増進という公共性の観点から、地方独立行政法人法に基づき、事業収入をもって充てることが適当でない経費について、設立団体である県が負担するものであり、赤字補填を目的としたものではありません。昨年度実施した委託業務の報告書では、県立精神医療センターの経営状況として、近年、医業収支の赤字が続いていることや、運営費負担金を含めた経常利益の推移を示し、経営上の課題を指摘しておりますが、運営費負担金を赤字補填として取り扱っているものではないと認識しております。 次に、運営費負担金の取扱いについての御質問にお答えいたします。 県立病院機構に対する県の運営費負担金については、国の基準に基づくものに対し、その一部が地方交付税等において考慮されておりますが、昨年度実施した委託業務の報告書では、県立精神医療センターの経営状況を明らかにするために、運営費負担金の推移等を記載したものであり、特定財源ではない地方交付税等の県の収入を記載する必要はないものと考えております。 次に、精神医療センターからの職員の出向についての御質問にお答えいたします。 今回の民間精神科病院の公募では、富谷市に移転する県立精神医療センターとの官民連携による病院の開設を目指し、精神医療センターからの医療スタッフの出向などにより、県南地域での精神科医療の継続性と患者との信頼関係の維持に努めることとしております。県としては、多職種によるチーム医療をはじめ、県南地域に必要な機能が維持されるよう、応募事業者の人員計画等を踏まえながら、出向者の職種や人数などの具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、認知矯正療法に基づくリハビリについての御質問にお答えいたします。 認知矯正療法については、主に神経認知機能のリハビリテーションとして、県立精神医療センターにおいて県内で先駆的に実施しているものであり、このような高度・専門的な機能については、対応できる職員が限られることもあり、富谷市に移転後の精神医療センターで引き続き担うことを想定しております。 次に、児童精神科医療についての御質問にお答えいたします。 我が県における児童思春期精神科医療の提供については、県立精神医療センターと仙台市内のせんだんホスピタルが全県を対象に実施しており、富谷市に移転した後も、精神医療センターは県南地域も含め、全県を対象とした役割を担ってまいります。なお、委託業者のシミュレーションでは、一日当たり八・九人の入院患者を見込んでおり、施設の使いやすさや将来のニーズを見据えて、児童思春期病床を整備する想定ですが、外来患者数については、全県の医療需要などを踏まえ、改めて精査を行っているところでございます。 次に、精神医療センターの入院及び通院患者のエリア別の対応区分についての御質問にお答えいたします。 富谷市に移転後の県立精神医療センターにおいては、措置入院や児童思春期患者の全県対応を行うとともに、当初は、仙台市太白区や名取市以南の入院患者の受入れも考えておりましたが、名取市に民間精神科病院が開設された場合を想定し、エリア別の対応区分を含めた両病院の役割分担について、改めて精査を行っているところであります。 次に、入院患者に関する県北の精神科基幹病院との競合問題についての御質問にお答えいたします。 富谷市に移転後の県立精神医療センターの入院患者の需要については、主に措置入院や夜間救急、身体合併症への対応が必要な患者、そして、現在の精神医療センター入院患者の一部の引継ぎなどを想定しております。このため、基本的には県北の精神科基幹病院との大きな競合は生じないものと考えております。 次に、外来患者数の見通しや県北の精神科基幹病院との競合についての御質問にお答えいたします。 富谷市に移転後の県立精神医療センターの一日当たり外来患者数の見込みについては、委託業務による分析を踏まえ、現在の精神医療センターの外来患者のうち、太白区を除く仙台市以北の居住者数である三十人を見込み、検討を進めております。今後、病院機能の具体的な検討を行う中で、改めて精査を進めてまいりたいと考えておりますが、新規受診の際に長期の待機期間が生じている方々の需要や、精神医療センター退院後に受診先とする患者数等が加わっていくものと想定しており、基本的には、県北の精神科基幹病院との大きな競合は生じないものと考えております。 以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 四十番岸田清実君。
◆四十番(岸田清実君) 再質問いたします。夕べから今朝の報道の件ですけれども、私も東北労災病院の山下事務局長とは電話で直接お話ししました。報道されていることについて、やはり伝聞ではなく直接確認しなければならないと思いまして電話しました。間違いなくそのとおり話をしたというのが山下事務局長のお話でした。今、知事は、機構の理事長と直接お話をして、県が決めたら基本合意に向けて努力をするというお話だった。そのことがもしそうだとすれば、労働者健康安全機構の中で現場と本部と温度の違いといったらいいか、受け止めの違いといったらいいか、こういう違いがあるということです。その上で、実際に患者と接して医療を提供し、地域を支えているのは、現場ですよね、病院。その現場が今、不安を抱えているということを山下事務局長は率直に述べたのだと思います。だから、地域を支えて患者を支えているその現場の声こそ、本当に大事にしなければならないのではないでしょうか。この点についてはどうですか。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 今の御指摘は、労働者健康安全機構の問題でございますので、そのような御意見があったことは、機構の本部のほうにお伝えしたいというふうに思います。
○副議長(池田憲彦君) 四十番岸田清実君。
◆四十番(岸田清実君) 県が提起している四病院再編、精神医療センターと東北労災病院の合築です。五月二十九日に初回面談。日本経営と精神医療センターと、それから東北労災病院も入ってやっていこう、今までワーキングで三回、あと病院長なども入って顔合わせも一回やっています。ここが言わば、今の再編問題の少なくとも労災病院と精神医療センターの協議の主なステージです。ここで、要するに山下事務局長はメンバーです。この協議の中で、この不安について率直に申し上げているのだというふうに言っています。だから、労働者健康安全機構の内部の問題ではないです。協議の中で東北労災病院を代表して臨んでいる病院の事務局長が、精神保健福祉審議会への理解と合意、地域住民の理解、こういうものが必要だ、これが前提だという話を協議の場でしているわけです。これは知事、届いているのですか。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 私はその会には参加していないのですけれども、担当に確認をいたしましたら、これまでの事務レベルの協議において、労働者健康安全機構からは、機構としての公式見解ではなくて、出席者の意見として、審議会の一定の理解が得られるようにしてほしいというような発言があったというふうに承知しています。これは当然のことでありまして、しっかりとやってほしいという、そういうエールという受け止め方をしているということであります。
○副議長(池田憲彦君) 四十番岸田清実君。
◆四十番(岸田清実君) なぜその出席者の個人的な意見になるのかよく分からないですけれども、私は昨日、山下事務局長と電話で話しました。労災病院の正式な出席者として、こういう問題提起をしたということでした。なぜ個人的な意見ということになるのか、ちょっと理解ができません。病院の現場として、そういう問題提起をしているわけです。しかし昨日、労働者健康安全機構の理事長に電話をして、要するに、お墨つきをもらったというようなお話ですよね。現場が問題提起をしていることは、意見が相違しているというだけに切り捨てられて、それで、新聞報道だと、本部と協議をしているのだということですよね。本部と基本協定に向けて協議をして、基本協定を結ぶのだということです。だけど、実際に基本協定まで至るプロセスというのは現場の話なのであって、それは現場を切り捨てるということになりませんか。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 現場の病院の事務局長というのは、一番現場のことをよく御存じの方でございますので、その方がそういうふうなお考えを持って発言されているということは、我々といたしましては、より慎重に精神保健福祉審議会の皆さんに接しなければいけないなということは当然のことだというふうに受け止めますけれども、どの組織でもそうですけれども、最終的な意思決定をする方がどう考えているのかということが当然一番重くなります。これはどの組織でもそうですよね。各政党でもそうですし、各会社でもそうですし、どのような団体でもみんな同じでございます。我々宮城県でいうと、例えば私になります。どう考えているのかということを、やっぱり私の意思が最終的に反映されるということだということを私は申し上げたまでであって、決して現場の声を切り捨てるべきだとか、そんなことは全然申しておりませんので、事務局長さんなり病院長さんも恐らく同じような問題意識をきっとお持ちだというふうに思っておりますので、その辺は、今までの我々のプロセスに対しての説明というのも、労働者健康安全機構だけではなくて、労災病院にもしっかりと説明していくということも重要であろうかなというふうに思います。決して我々が一方的にマスコミに報道されているようにやっているわけではなくて、職員を挙げて、県を挙げて丁寧に説明をさせていただいているということについて、労災病院のほうにもしっかりとこれから説明していかなければならないなというふうに思っております。
○副議長(池田憲彦君) 四十番岸田清実君。
◆四十番(岸田清実君) 昨日、労災病院との電話で話を聞いたときにこのようなことを言っていました。例えば、今回の再編問題。労災病院が赤字で、建て替え移転ができないので、今回の話に乗ってやりたい。これは、労災病院がやりたくてやっていることのように言われていると。あるいは、移転するからということで、普段紹介してもらえている民間のクリニックも紹介してもらえなくなっている。病院側としては、マイナスも既に発生しているということです。そういうことも含めて、現場の事務局長の話を聞いたらすぐ理事長に話してお墨つきを得たという話だけでは済まないわけで、こういうことはしっかり受け止めて、やっぱりもうちょっときちっと丁寧に……。精神保健福祉審議会もそうです。私の権限だからやりますというふうにたんかを切るような話ではなくて、しっかり時間もかけるということが必要なのではないかと思います。非常に突貫工事です。八月三十一日に新しい病院をつくるという提案が知事からあって、それで十三日にそのことでいうと二回目の審議会があって、応募要項ができて、年内に公募を終えたいという、タイムスケジュール感としてはそういうことです。それはなぜかといえば、結局来年度の予算措置、あるいは、重点支援区域に間に合わせて、助成率の上増しをしたいというタイムスケジュールが前提になってこういうことが進んでいるわけでしょ。あまりに突貫工事です。これはもうちょっとしっかり意見を聞くところは聞いて、歩みを一時止めて聞くということが必要なのではないですか。どうですか。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) この病院再編問題が出てからもうかれこれ二年やっておりまして、当然、大きな方針を出して、そのたびにいろんな意見があって少しずつ修正をしていってここまで来ておりますので、私としては、決して拙速ということにはならないのではないかなというふうに思っております。まず公募をやって、病院が見つかるかどうかは正直分からないですけれども、そこまではやってみないと、病院が見つからなかったときに、では次というのは分かるのですけれども、新たな病院を探すことすらできないということは、ちょっと私としては理解ができないというか、そこまではまずはやるべきではないのかなというのが私の率直な気持ちです。できるだけ早くそういうことを進めていって、その結果をもって次のいろんな御意見をまた賜っていきたいなというふうに思っております。
○副議長(池田憲彦君) 四十番岸田清実君。
◆四十番(岸田清実君) 知事が分からないように、例えば、百七十床を今度新しく精神医療センターに造るわけですよね。百七十床分を富谷に名取から移して、新たに百二十床を名取に造る。それで何のために移転するのかという、これが大きな疑問になっています、今。むしろそのことのほうが分からない。例えば、新しい精神医療センターの向かいだって十年近く前の検討の話を延々と繰り返ししています。例えば、その敷地に合わせて高層化だって考えられるのではないでしょうか。再検討を求めますが改めてどうですか。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) ですからこの問題は、何回も話しているように、精神医療センターの移転の問題だけではなくて、仙台医療圏の全体を見て、今後の三十年五十年先を見越して、仙台医療圏をどう再編すればいいのか、そして救急医療をどうすればいいのかというそういう全体の見直しの中で、精神医療センターを富谷に持っていくという話になっているわけなのです。ですから、精神医療センターのただ土地がないから富谷にと安直に決めたわけではなくて、全体の見直しの中でやった。名取の中でずっと土地を探してきたものの見つからなかったのも一つ大きなきっかけですけれども、総合病院と一つにして身体合併症にも対応できる、そして県の中央に持っていく、そして速やかに病院が建てられる。そして富谷、黒川郡は救急搬送時間が非常に長いので、それを早く短くできるように少しでも命を救えるようにすると。そして仙台市内に集中している病院を少し分散させることによって、全体としてのバランスをとっていくという、そういう全体の中で話しているのです。それがだんだんだんだん、精神科の病院の移転問題だけに今集中しているということでありまして、私としては、基本的なところから話をもう一回よく考えていただきたいというふうに思います。 岸田議員には、県議会のときから私より先輩でおられたのでずっと御一緒で、本当に真面目な方で一生懸命いろいろ一緒に行動してきました。お辞めになるということでありますけれども、今後一県民として、温かく見守っていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○副議長(池田憲彦君) 四十番岸田清実君。