○議長(
安藤俊威君) 日程第四ないし日程第百二十六、議第百六十六
号議案ないし議第二百八
号議案及び報告第百十六号ないし報告第百九十五号を一括して議題といたします。 知事から提案理由の説明を求めます。知事
村井嘉浩君。 〔知事
村井嘉浩君登壇〕
◎知事(
村井嘉浩君) 本日、ここに第三百五十二回
宮城県議会が開会され、平成二十七年度
一般会計補正予算案を初めとする提出議案を御審議いただくに当たり、最近の県政の動きと議案の概要を御説明申し上げます。 説明に先立ち、天皇皇后両陛下におかれましては、今月十七日に我が県に行幸啓になられ、戦後パラオから引き揚げた方々が築いた蔵王町の開拓地などをごらんいただくこととなりました。県民の皆様とともに心からお待ち申し上げる次第であります。 それでは、御説明申し上げます。 初めに、平成二十八年度以降の復興事業についてであります。 平成二十三年度から本年度までの五年間とされる集中復興期間後の国の支援のあり方については、早期に方針を示すよう再三にわたり求めてきたところですが、先月十二日、国は、平成二十八年度から三十二年度までの復興・創生期間における財政支援の考え方を公表いたしました。 これによりますと、被災から十年以内での復興事業の完了に向け、現在の取り組みを着実に進めるとしておりますが、これまでと大きく異なるのは、被災地の自立につながる支援とするため、自治体負担を導入するとした点であります。国が示した事業区分の考え方は、現在、国の東日本大
震災復興特別会計に計上され、実質的に自治体負担なしで実施しているすべての事業について、三つの区分、すなわち、第一には、引き続き復興特会に計上して手厚く支援するもの、第二には、今後一般会計に計上して全国並みに取り扱うもの、第三には、本年度限りで予算措置を終了するものに分類いたしております。ここで、被災自治体が第二又は第三に分類された事業を今後も継続していくためには、相当額の一般財源負担をもって実施しなければならなくなります。また、第一の復興特会で継続する事業は更に三類型に細分され、基幹的な事業と原発事故由来の事業以外の多数の事業について、自治体負担を新たに求めるとしております。 これまでどおりの国の財政措置を強く求めてきたにもかかわらず、今般このように、自立の名のもとに自治体負担の方針が示されたことは極めて遺憾でありますが、私は、幅広い国民負担を前提に復興のあり方が議論されている側面も率直に受けとめるならば、負担を導入するとしてもなお、県と市町の復興が一歩たりともおくれることのない制度設計であることが、譲れない一線であると考えたところであります。 先月国から方針が示されて以降、市町の意見を伺いながら、国との意見交換会や復興推進委員会の場などにおいて、私は従来同様の財政措置の必要性を強く訴えますと同時に、不本意ながら自治体負担が導入されたとしても、その影響が最小限にとどまるよう、具体的な事業名などを挙げながら要望を続けてまいりました。その後、今月三日に示された国の自治体負担の考え方においては、三陸沿岸道路整備や任期付職員などに要する経費は全額国費で支援することが明記されましたほか、財政基盤の弱い市町に配慮した低い負担水準とされており、復興を推進するための安定した財政基盤の見通しが立ったという点では、我々の要望が相当程度反映されたものと評価しているところであります。 これまで県議会におかれましても、被災地の実情を踏まえ、特例的な財政支援の継続を一貫して強く国に働きかけてきたことが大きな力になったものでありますので、心からの感謝を申し上げる次第であります。 残る課題といたしまして、防潮堤の新設や復興支援道路に位置づけられたみやぎ県北高速幹線道路の整備、再建する企業の雇用確保など、復興の中心的な取り組みについて自治体負担導入の影響が生じますことから、事業や地域によって復興の進捗に差異が生じることのないよう、市町とともに要望活動を続けてまいりたいと考えております。 次に、水素エネルギーの普及促進についてであります。 私は、創造的な復興に向けた新たな重点施策として、東北における水素社会先駆けの地を目指すこととしており、本年四月に官民協働のみやぎFCV普及促進協議会を立ち上げ、燃料電池自動車の普及促進等に向けた検討を精力的に重ねているところであります。先月末には、協議会会員からの具体的な御提案に基づき、東北で初めて水素ステーションを整備するとともに、燃料電池自動車を公用車として一台導入することについて、国から補助採択の内示も得られました。 水素エネルギーは、利用段階で二酸化炭素を排出しないエネルギーとして、燃料電池自動車の販売開始を機に全国的に普及への機運が高まっております。今後、啓発活動などで幅広く活用し、本県はもとより東北全体における普及拡大の足がかりにしてまいりたいと考えております。 次に、このほかの
震災復興の状況についてであります。 プレハブや民間賃貸の応急仮設住宅については、先月末現在で二万六千戸余りに約六万人が入居されており、最大時の半分程度に減少しております。被災者の生活再建が本格化する一方で、再建先への円滑な転居を初め、入居者の高齢化や一人暮らしの世帯増加などへの対応が重要な課題となっておりますので、見守り活動や心のケア、生活相談などを充実させ、一人一人にきめ細かく対応してまいりたいと考えております。 災害公営住宅は約一万六千戸としている整備計画のうち、先月までに約一万四千戸に着手し、五千五百戸余りが完成しております。高台移転などの防災集団移転促進事業は百九十五の計画地区すべてで造成に着手しており、九十七地区において住宅等の建築が可能な状態となっています。 震災で被災し、新たな適地の選定を進めてまいりました防災ヘリコプター活動拠点については、仙台空港に隣接する岩沼市下野郷中坪地区において再建を図ることといたしました。県民の安全安心のため、一刻も早い復旧が求められておりますので、関係機関と調整を進め、平成二十九年度の復旧整備を目指してまいりたいと考えております。 石巻市立病院及び気仙沼市立病院の移転新築については、建設費の高騰などによる財源不足が課題となっておりましたが、地元の要望を踏まえて国から追加交付が得られました。被災地における地域医療機能の十分な回復を図る観点から、いずれも早期の供用開始に向け、県として引き続き支援をしてまいります。 復興を担う職員の確保については、今年度も全国から応援派遣を二百四十三人受け入れているほか、市町への派遣を含め任期付職員を三百五十一人配置しているところですが、震災の影響により、土木職などの技術職員の不足が続いており、採用活動の強化が喫緊の課題となっております。このため、今月、被災三県が初めて合同で任期付職員の募集説明会を東京で開催したほか、今月末には全職種にわたる大学卒業程度の採用第一次試験を九年ぶりに東京会場でも実施することとしております。これらの対応を通じて確実に人材を確保し、復興を加速させてまいりたいと考えております。 先月は、JR仙石線が全線で復旧し、これに合わせて仙石東北ラインが開通したほか、県内に立地した太陽光パネルメーカーの新工場が竣工するなど、待ちに待った大きな動きもありました。今後も県民の皆様が実感できますよう、復興の歩みを更に前進させてまいります。 次に、蔵王山についてでありますが、御釜周辺で小規模な噴火のおそれがあるとして、四月十三日に発令された警報を受けて、想定火口域からおおむね一・二キロメートルの範囲内で立入規制が行われたところであります。県では、今春に山形県と共同で設置した蔵王山火山防災協議会において避難計画の作成などを急ぐとともに、地元の市町や関係機関と緊密に連携しながら、住民や登山客などの安全確保には引き続き万全を期してまいります。また、温泉を含めた観光地を訪れることは全く心配する状況にないことから、今後も県内外への積極的な情報提供により不安や風評の払拭に努めるとともに、観光キャンペーンや宿泊費の助成、制度融資など、県としてできる限りの対応をしてまいりたいと考えております。 さて、このところの経済情勢については、一月から三月期の国内総生産が年率換算で実質三・九%増と、二期連続のプラス成長となり、消費税率引き上げで落ち込んだ個人消費が三期連続で上昇したほか、企業の設備投資は税率引き上げ後初めてプラスに転じました。東証一部上場企業の三月期決算は、純利益の合計が二十六兆円を超えて二年連続で過去最高を更新する見通しであり、この春の就職率は大学卒が九六・七%、高校卒は九八・八%と、いずれも高水準が続くなど、全国的に景気は上向いているものと受けとめております。 しかしながら、好調な統計数値とは裏腹に、景気回復の恩恵が県内隅々にまで浸透しているとは言いがたく、県民一人一人が豊かさを実感できるよう、経済成長をより確かなものにしていくことが重要であります。現在、県としての地方創生に関する総合戦略の策定に向けて、我が県の目指すべき方向性や具体策を取りまとめているところですが、復興への取り組みはもとより、景気回復の動きとも連動させながら、相乗効果を追求してまいります。 次に、今回の補正予算案の考え方についてであります。 今回御審議をお願いいたします補正予算案は、東日本大
震災復興交付金などの震災関連事業費を追加しますとともに、蔵王山の防災及び風評対策など、早急に対応すべき施策を措置することとして編成したものであります。 補正予算案の主な内容ですが、震災関連事業のうち復興交付金については、先月国に提出した第十二回申請分の全額を基金に積み立てるとともに、これを財源として被災農業者に貸与する施設や機械の整備費等を追加するほか、石巻市南浜地区に整備する復興祈念公園の基本設計、国道三百九十八号の道路改良、岩沼海浜緑地の整備を進めてまいります。 復興交付金以外では、水素エネルギーの利活用促進に向けて水素ステーションを整備し、燃料電池自動車を導入するほか、防災ヘリコプター活動拠点の復旧整備に係る実施設計を行います。また、国から追加交付された地域医療再生臨時特例交付金を基金に積み立てるとともに、これを活用して石巻市立病院への補助を増額いたします。更に、閖上漁港フィッシャリーナの復旧について国や関係者との協議が調いましたので、所要の予算措置を講じております。 次に、震災関連以外の事業についてですが、蔵王レストハウスにサイレン及び拡声器設備を整備するほか、蔵王ハイラインを一定期間無料化するとともに、宿泊キャンペーンなどを効果的に実施し、誘客の促進を図ってまいります。 また、農畜産業関係の施設整備への補助を追加するほか、消費税増収分が充てられる地域医療介護総合確保基金に介護分の所要額を積み立て、これを活用して施設整備や介護人材の確保を進めてまいります。 以上、補正予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、今回の補正規模は、一般会計、総会計ともに二百五十四億八千四百余万円であり、財源としては、国庫支出金百三十五億九千八百余万円、繰入金百二億九千五百余万円などを追加する一方、県債六億五千七百万円を減額しております。この結果、今年度の予算規模は、一般会計で一兆四千五百十四億二千二百余万円、総計で一兆八千百億三千三百余万円となります。 次に、予算外議案については、条例議案十五件、条例外議案二十六件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。 まず、条例議案でありますが、議第百六十八
号議案は、子供を犯罪の被害から守るため、子供の生命又は身体に危害を及ぼすおそれのある行為を規制しようとするものであります。また、議第百七十一
号議案は、地方税法の改正に伴い、法人事業税について外形標準課税を拡大するなど所要の改正を行おうとするもの、議第百七十二
号議案ないし議第百七十四
号議案は、
過疎地域等における県税の
課税免除等の適用期間を延長しようとするもの、議第百八十二
号議案は、基金の失効期日を延長しようとするものであります。 次に、条例外議案でありますが、議第百八十三
号議案は、
災害等廃棄物処理の事務の受託の廃止について、議第百八十四
号議案及び議第百八十五
号議案は、
仙台塩釜港
石巻港区における工業用地の処分について、議第百八十八
号議案及び議第百八十九
号議案は、
工事請負契約の締結について、議第百九十
号議案ないし議第二百三
号議案は、
工事請負変更契約の締結について、議第二百四
号議案は、宮城県ベンチャー育成ファンド出資金貸付事業貸付金に係る債権の放棄について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。また、議第二百五
号議案は、地方税法の改正に伴う
県税条例等の一部改正について、議第二百六
号議案及び議第二百七
号議案は、医療法施行令等の改正に伴う
事務処理の特例に関する条例及び
申請等の受理の特例に関する条例の一部改正について、議第二百八
号議案は、平成二十六年度宮城県一般会計予算の補正について、それぞれ
専決処分を行いましたので、その承認をお願いしようとするものであります。 以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。
○議長(
安藤俊威君) 補正予算案に係る各部局長説明要旨は、お手元に配布のとおりであります。 ただいま議題となっております各
号議案中、議第百八十二
号議案、議第百八十六
号議案、議第百八十八
号議案、議第百八十九
号議案及び議第百九十二
号議案ないし議第二百三
号議案についての質疑に入ります。 質疑はありませんか。--質疑なしと認めます。 議第百八十二
号議案、議第百八十六
号議案、議第百八十八
号議案、議第百八十九
号議案及び議第百九十二
号議案ないし議第二百三
号議案は、お手元に配布の議案付託表のとおり、それぞれ所管の委員会に付託いたします。……………………………………………………………………………………………… 議案付託表 第三百五十二回
宮城県議会(六月
定例会)平成二十七年六月十五日議案番号件名提出年月日委員会議第百八十二
号議案高等学校授業料減免事業等支援臨時特例基金条例の一部を改正する条例二七・六・一五文教警察議第百八十六
号議案工事委託契約の締結について(
主要地方道築館登米線佐沼等道路改築工事)同建設企業議第百八十八
号議案工事請負契約の締結について(
都市計画道路矢本門脇線新定川大橋(仮称)新設(下部工)工事)同建設企業議第百八十九
号議案工事請負契約の締結について(
南三陸町
志津川西地区災害公営住宅新築工事)同建設企業議第百九十二
号議案工事請負変更契約の締結について(
名取地区区画整理工事(その一))同環境生活農林水産議第百九十三
号議案工事請負変更契約の締結について(
岩沼地区区画整理工事(その一))同環境生活農林水産議第百九十四
号議案工事請負変更契約の締結について(
吉田南部地区区画整理工事(その一))同環境生活農林水産議第百九十五
号議案工事請負変更契約の締結について(
吉田西部地区区画整理工事(その三))同環境生活農林水産議第百九十六
号議案工事請負変更契約の締結について(宮城県
水産技術総合センター気仙沼水産試験場庁舎等新築工事)同環境生活農林水産議第百九十七
号議案工事請負変更契約の締結について(宮城県
水産技術総合センター種苗生産施設新築取水施設工事)同環境生活農林水産議第百九十八
号議案工事請負変更契約の締結について(
塩釜漁港桟橋等災害復旧工事)同環境生活農林水産議第百九十九
号議案工事請負変更契約の締結について(
閖上漁港護岸等災害復旧工事)同環境生活農林水産議第二百
号議案工事請負変更契約の締結について(
福貴浦漁港防波堤等災害復旧工事)同環境生活農林水産議第二百一
号議案工事請負変更契約の締結について(
桂島漁港物揚場等災害復旧工事)同環境生活農林水産議第二百二
号議案工事請負変更契約の締結について(
横須賀地区海岸護岸等災害復旧工事)同建設企業議第二百三
号議案工事請負変更契約の締結について(
仙台塩釜港
塩釜港区
桟橋災害復旧工事)同建設企業-----------------------------------
△散会
○議長(
安藤俊威君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時二十六分散会...