青森県議会 2010-11-22
平成22年第264回定例会(第1号) 本文 開催日: 2010-11-22
環境保健費については、
公害対策費において、
大間オフサイトセンターの整備に係る
調査検討に要する経費五百八十万円余を計上いたしました。
以上が
歳出予算の概要であります。
次に、歳入について申し上げます。
補正予算の主なる財源といたしましては、歳出との
関連等において、
国庫支出金、諸
収入等について、それぞれ
増減額を調整の上計上したほか、
普通交付税九千三百二十万円余を計上いたしております。
また、
公共工事の施工時期の平準化を図るため、
道路事業を中心とした
県費単独事業について
早期発注を行うこととし、
限度額二十億円の
債務負担行為を設定いたしました。
以上が議案第十四号「平成二十二年度青森県
一般会計補正予算案」の概要であります。
このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
議案第十五号から議案第十八号までは、
特別会計三件及び
企業会計一件の
予算補正に係るものであります。
その主なるものとして、議案第十七号「平成二十二年度青森県
鉄道施設事業特別会計補正予算案」については、青森市
筒井地区に設置する新駅の
詳細設計に要する経費五千四百万円を計上いたしました。
条例案については、議案第十九号から議案第二十一号までの三件を提案いたしております。
その主なるものとして、議案第二十号「外国の
地方公共団体の
機関等に派遣される職員の
処遇等に関する条例の一部を改正する
条例案」は、外国の
地方公共団体の
機関等に派遣される職員の
派遣期間中の給与の
支給割合等を改めるものであります。
その他の議案は、議案第二十二号から議案第三十二号までの十一件、
報告案件は八件であります。
その主なるものとして、議案第二十四号「権利の放棄の件」は、
東北デバイス株式会社から提出された
再生計画案について、その内容を慎重に検討した結果、雇用の確保及び債権の弁済の観点から、
当該再生計画に同意することが望ましいとの判断に至り、
工業用水の
使用水量に係る
給水料金の請求権の一部を放棄するものであります。
議案第二十五号から議案第三十号までの「公の施設の
指定管理者の指定の件」六件は、いずれも公の施設の
指定管理者を指定するものであります。なお、それぞれの
補正予算案において、
指定期間内における
委託料総額について、所要の
債務負担行為を設定いたしております。
議案第三十二号「青森県
教育委員会委員の任命の件」は、青森県
教育委員会委員清野暢邦氏の任期が来る十二月十九日をもって満了いたしますので、後任の委員として同氏を再任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
次に、
専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明いたします。
報告第一号「平成二十二年度青森県
一般会計補正予算」は、先ほど御説明いたしました
陸奥湾ほたてがい高
水温被害対策として実施するほたてがい
母貝確保緊急対策事業に要する経費について早急に
予算措置を講ずる必要が生じましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において
専決処分をいたしたものであります。
以上をもちまして、
提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職を初め
関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
何とぞ、慎重御審議の上、
原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。
なお、この機会に、議長の
お許しを得て、
社団法人青い
森農林振興公社の
経営改革及び第十一回
核燃料サイクル協議会の結果について御報告申し上げます。
まず、
社団法人青い
森農林振興公社の
経営改革について申し上げます。
社団法人青い
森農林振興公社は、県が五割出資する
公益法人であり、昭和四十年代からこれまで、農地の利用集積による経営の効率化や、国の拡大造林を推進する施策に呼応した公的造林資本の導入による森林資源の計画的造成等、本県農林業の振興に大きな役割を果たしてきたところであります。
しかし、その後の農地価格の低下や農業の担い手の減少、輸入木材の増加に伴う国産材の価格低迷等、社会・経済情勢の急激な変化により、当該公社の経営状況は厳しい状況にあります。
また、当該公社は、その性格を考えますと、
公益法人制度改革における移行期日の平成二十五年十一月末までに公益認定を受け、新
公益法人として事業を展開すべきであるものと考えておりますが、これに当たっての課題整理が必要となっております。
このことから、県では、本年九月に、国が示した第三セクター等の改革に関するガイドラインに基づき、大学教授や公認会計士、弁護士等の有識者から成る
社団法人青い
森農林振興公社経営検討委員会を設置し、公社全体の抜本的な
経営改革について御検討いただき、去る十一月四日に報告書の提出をいただいたところであります。
この報告書では、分収造林事業以外の事業については、新たな公社を設立して事業を移管し、経営の効率化やサービスの向上に努めながら継続して実施すること。分収造林事業については、企業的経営の視点では再生が困難であることから、分収林の持つ地域経済の振興や公益的機能の発揮等、県民共通の公共財としての性格を考慮して県に移管すること。県への移管により必要となる株式会社日本政策金融公庫に係る債務の処理に当たっては、県民負担の最小化を図る観点から、平成二十五年度までの措置となっている第三セクター等改革推進債を活用すること。県に移管した後の取り組みとして、分収割合や契約期間延長の変更協議を進めることにより県の収入確保に努めることを検討することとされております。
私としては、今回受けた提言に加え、
議員各位、関係市町村等、さらには有識者からの御意見等を踏まえ、当該公社の
経営改革、とりわけ分収造林事業について、分収林が持つ公益的機能の保全はもちろんのこと、県民負担を可能な限り軽減できるよう検討した上で改革の方向性を決定したいと考えておりますので、
議員各位の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
次に、第十一回
核燃料サイクル協議会の結果について申し上げます。
核燃料サイクル協議会については、去る九月十日、直嶋前経済産業大臣に対し、その開催を要請していたところですが、去る十一月十五日、仙谷内閣官房長官、海江田科学技術政策担当大臣、松本防災担当大臣、高木文部科学大臣、大畠経済産業大臣、清水電気事業連合会会長の御出席のもと、第十一回
核燃料サイクル協議会が開催されました。
協議会の席上、私からは、
一つ、核燃料サイクル政策について。
一つ、特定放射性廃棄物の最終処分について。
一つ、我が国の総力を結集した原子燃料サイクル事業への取組について。
一つ、原子力施設の立地を活かした試験研究・人材育成について。
一つ、地域振興策について。
の五項目に係る確認及び要請をさせていただきました。
一点目の「核燃料サイクル政策について」は、私から、改めて確固たる国家戦略としての核燃料サイクルの推進について確認するとともに、使用済みMOX燃料や中間貯蔵された使用済み燃料の再処理の必要性を踏まえ、第二再処理工場の検討及びその円滑な実現に向けた研究開発に関する取り組み強化について要請したところ、仙谷内閣官房長官から、核燃料サイクルの国内における確立は、我が国原子力政策の基本である。本年六月に閣議決定されたエネルギー基本計画にもあるとおり、核燃料サイクルを中長期的にぶれない確固たる国家戦略として着実に推進していくことは政府の方針である旨の発言がありました。
大畠経済産業大臣からは、核燃料サイクルを中長期的にぶれない我が国の強固な国家戦略として着実に推進していく。第二再処理工場については、二〇一〇年ごろからの検討に先立って、二〇〇六年から経済産業省を含めた関係五者に学識経験者を加えた研究会のもとで技術的検討を進めてきており、今後も、研究開発計画の検討など、第二再処理工場の実現に向け、さらに議論を深化させる旨の発言がありました。
高木文部科学大臣からは、核燃料サイクルは、エネルギー資源の少ない我が国の基本的方針であり、安全確保を大前提に、引き続き堅持すべきものである。第二再処理工場については、文部科学省としても、関連する研究開発を推進する立場から積極的に議論に参加する旨の発言がありました。
二点目の「特定放射性廃棄物の最終処分について」は、私から、平成二十年代中ごろを目途に精密調査地区を選定するとしている中で、いまだ文献調査の対象となる自治体がなく、県民の不安、懸念は払拭されない状況であることから、一刻も早く処分の実現が図られるよう、引き続き、国民の理解を得るための広聴・広報活動に積極的に取り組むとともに、研究開発も含め、これまで以上に国が前面に立ち、不退転の決意での取り組みを図ることについて要請したところ、仙谷内閣官房長官から、これまで、関係閣僚と青森県知事との間でなされた約束については、現内閣においてもしっかりと継承し、国が前面に立って処分事業を着実に推進していく旨の発言がありました。
大畠経済産業大臣からは、自分としても処分地選定を重要な課題と受けとめ、今後とも国が前面に立って、文献調査の着手に向けた最大限の努力をする旨の発言がありました。
高木文部科学大臣からは、現在、日本原子力研究開発機構において地層処分技術の基盤的な研究開発を実施しているところであり、引き続き、研究開発を着実に推進する旨の発言がありました。
三点目の「我が国の総力を結集した原子燃料サイクル事業への取組について」は、私から、日本原燃株式会社のガラス溶融炉運転方法の改善に関する検討の経緯からも、六ヶ所再処理工場の竣工のためには、今後とも日本原子力研究開発機構による全面的な協力、支援が必要不可欠であると受けとめていることを申し述べた上で、国においても、核燃料サイクルの確立は我が国の原子力政策の基本であることにかんがみ、改めて、我が国の総力を結集して、原子燃料サイクル事業の着実な推進を図っていただきたい旨、確認・要請したところ、仙谷内閣官房長官から、六ヶ所再処理工場の竣工など核燃料サイクル事業の確立に向け、政府としても必要な支援を行っていく旨の発言がありました。
松本防災担当大臣からは、国としても安全確保に万全を期していきたい。原子力安全委員会が、今後とも六ヶ所再処理施設などの核燃料サイクル事業の安全確保に一層万全を期すべく取り組んでいくよう後押ししたい旨の発言がありました。
高木文部科学大臣からは、ガラス溶融炉におけるふぐあいの解決に向け、引き続き、最大限の支援を行う旨の発言がありました。
大畠経済産業大臣からは、核燃料サイクルを進めていく上で六ケ所再処理工場の竣工は必要不可欠なものであり、事業者など
関係者と一体となり、再処理工場の安定運転技術の確立に向けた支援を進める。六ヶ所再処理工場のアクティブ試験の実施に関しては、日本原燃からガラス溶融炉の運転方法の改善に関する報告書を受領しており、専門家の意見を踏まえつつ、国として、鋭意、評価、確認を行っていく旨の発言がありました。
清水電気事業連合会会長からは、六ヶ所再処理工場について、新たなスケジュールに沿って確実に竣工できるよう、電気事業者も日本原燃株式会社と一体となって最大限の努力を傾注する。今後とも、再処理事業の着実な推進に全力を挙げて取り組む旨の発言がありました。
四点目の「原子力施設の立地を活かした試験研究・人材育成について」は、私から、本県が原子力分野において大きなポテンシャルを有する地域であるという特性を生かし、原子力及びこれに関連した放射線利用を活用した試験研究・人材育成を進めることにより地域の発展を図っていきたいので、財源確保を初め国の支援をいただきたい旨、要請したところ、高木文部科学大臣からは、青森県は試験研究・人材育成の大きなポテンシャルを有している。こうした地域の特性を生かした取り組みについて、青森県の具体的な考えを伺いながら、支援、協力の方策をしっかり検討していく旨の発言がありました。
五点目の「地域振興策について」は、私から、先月に行われた電源立地対策費に係る事業仕分けにおいて、文部科学省所管の四事業について、一から二割をめどに全体として予算の圧縮を図るとされたところであるが、電源立地地域対策交付金について、経済産業省所管分はもともと対象ではないにもかかわらず、経済産業省所管分も含め同様に精査との評価がなされたが、このような評価により予算が圧縮されることは極めて遺憾であり、立地地域と国との信頼関係に悪影響を及ぼしかねないと考えていること、また、青森県は全国の原子力発電所の運転を支える原子燃料サイクル施設が立地する国の原子力政策への貢献度がとりわけ高い地域であり、核燃料サイクル政策に占める青森県の重要性、特殊性にかんがみ、原子燃料サイクル施設の実態に見合った交付金制度の充実が不可欠であることを申し述べた上で、立地地域の振興方策もまた、揺らいではいけない原子力政策の大切な側面であることを十分しんしゃくの上、電源立地地域対策交付金を維持、充実するよう要請いたしました。
これに対して、大畠経済産業大臣からは、地元からの要望に可能な限りおこたえして地域振興につながるようしっかり対応する。原子力発電の推進を円滑に行うに当たっては、電源立地地域対策交付金を活用して立地地域の住民や
地方自治体との相互理解を促進することが不可欠であると考えている旨の発言がありました。
私からは、最後に当たり、核燃料サイクルの確立が我が国の原子力政策の基本であることにかんがみ、我が国の総力を結集して原子燃料サイクル事業の着実な推進が図られるよう、国みずからが政策を実現していく責任ある当事者として、今まで以上に主体的に取り組んでいただくよう改めて要請したところです。
また、仙谷内閣官房長官からは、これからも青森県との協議を重ねる機会を持ちたい旨の発言がありました。
私としては、今回の
核燃料サイクル協議会における仙谷内閣官房長官を初めとする関係閣僚、また、清水電気事業連合会会長からの誠意ある発言内容を重く受けとめるとともに、県民の安全・安心を守る立場から、引き続き、政府一体としての対応を厳しく見きわめ、慎重かつ総合的に対処してまいります。
以上、御報告といたします。
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◎ 決算特別委員会審査報告
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19
◯議長(
長尾忠行) 決算特別委員長から委員会審査報告書が提出されましたので、お手元に配付してあります。
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◎ 決算特別委員長報告
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20
◯議長(
長尾忠行) 第二百六十三回
定例会において継続審査に付されました議案第二十五号から議案第二十七号までを
一括議題といたします。
決算特別委員長の報告を行います。決算特別委員会委員長、二十八番
清水悦郎議員の登壇を求めます。──清水議員。
21 ◯決算特別委員会委員長(清水悦郎) 決算特別委員会の審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
当委員会は、十月一日、第二百六十三回
定例会において委員二十二人をもって設置され、付託された議案第二十五号から議案第二十七号までの決算議案は閉会中の継続審査に付されました。閉会中の委員会は十月十二日から十四日の三日間にわたって開催され、採決の結果、議案第二十五号及び議案第二十六号の二件は多数をもって、議案第二十七号は満場一致をもって認定することに決定いたしました。
以下、審査の過程における質疑の主なるものについて、その概要を申し上げます。
「財源不足額としての基金取り崩し額の推移と、これに対する県の認識について伺いたい」との質疑に対し、「財源不足を補てんする財政調整用の基金としては、財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金及び地域振興基金の四つがあり、財源不足に相当する取り崩し額について、その合計で、当初予算ベースでは、平成十九年度は百九十八億円、平成二十年度は百八十七億円、平成二十一年度は七十一億円となっている。これに対し、各年度における歳入確保努力や経費の効率的執行などによる財源の増額確保により、決算ベースでの取り崩し額は、平成十九年度は百六十九億円、平成二十年度は約百三十億円、平成二十一年度は約三十億円となっている。この推移については、平成十五年度以降の財政改革プランに掲げた取り組みの徹底、加速、そしてまた、平成二十一年度からの行財政改革大綱に基づく取り組みなど懸命の改革努力を着実に積み重ねてきた結果と認識している。しかしながら、県税、地方交付税とも限られた現下の厳しい歳入環境にあっては依然として基金の取り崩しが続いており、基金に頼らない持続可能な財政構造の確立に向け、引き続き、行財政改革全般にわたる取り組みを進めることが必要と考えている」との答弁がありました。
次に、「本県の経常収支比率が高水準にある要因と、改善に向けた取り組みについて伺いたい」との質疑に対し、「経常収支比率が高水準にある要因として、社会保障関係費が高水準で推移していることに加え、臨時財政対策債の償還が本格化したこと等による公債費が
増加傾向にある中で、本県財政の生命線である地方交付税を初めとした経常一般財源がこれらの歳出増に見合う形で増加していないことが最大の要因と認識している。したがって、歳出面では、これまで取り組んできた職員数、給与の適正化等による人件費の抑制、県債発行の抑制、公債費の平準化による公債費負担の低減などの義務的経費の改革を続けていくとともに、歳入面では、社会保障関係費や公債費の増加に見合った地方交付税の増額確保、臨時財政対策債に依存しない真水での地方交付税の交付について国に強く要望していきたいと考えている」との答弁がありました。
このほか
一つ、幼・保・小連携推進事業の内容と成果について
一つ、分収造林事業の概要と債務の状況について
一つ、高度救命救急センター施設整備費補助の内容について
一つ、県営住宅家賃の収入未済の状況について
一つ、本県の自殺の現状及び原因について
一つ、環境公共ステップアップ事業の取り組み内容について
一つ、本県の試験研究機関において取得した特許の状況とその活用状況について
等の質疑があり、それぞれ答弁がありました。
以上、審査の概要を申し上げ、報告を終わります。
22
◯議長(
長尾忠行) これをもって決算特別委員長の報告を終わります。
ただいまの報告に対して質疑を行います。質疑はございませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
23
◯議長(
長尾忠行) 質疑なしと認めます。
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◎ 決算議案に対する討論
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24
◯議長(
長尾忠行) これより討論を行います。
討論は議題外にわたらないよう簡明に願います。
一部反対討論、十番安藤晴美議員の登壇を許可いたします。──安藤議員。
25 ◯十番(安藤晴美) おはようございます。日本共産党の安藤晴美です。
議案第二十五号「決算の認定を求めるの件」と議案第二十六号「青森県
工業用水道事業会計の決算の認定を求めるの件」について反対いたします。
平成二十一年度の
一般会計の歳入に占める県税等の自主財源の割合は、三三%と前年度より三・九ポイント下がり、地方交付税、
国庫支出金、県債等の依存財源の割合が前年度の六三・一%から六七%となり、県民及び企業の置かれている事態の深刻さが示されています。三位一体改革による税源移譲が実施された個人県民税に係る収入未済額は、前年度より三億三千六百二十六万余円増加しています。
なお、歳入の
国庫支出金には、原子力関連試験研究
機関等立地対策費三十億三千五百万円、電源立地地域対策費八十七億四千二百十万円、原子力発電広報安全等対策費二億二千五十四万円など原子力関連だけで百三十億四千四百万円に達しており、それに加え核燃料物質等取扱税百十一億二千万円と、原子力事業関連の収入を当てにしなければやっていけない体質に陥っていることを示しています。
環境や安全を揺るがす原子力施設に依存しなくてもやっていける国の地方交付税の増額、地方においても税収が伸びるような国の経済対策が求められます。そして、国民の暮らしを守るための福祉の充実と雇用の確保、子供にまで及ぶ深刻な格差と貧困の解消を図ることは喫緊の課題です。ましてや国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険及び消費税の負担増は、決して認められません。
平成二十一年度における
一般会計の公債費比率は二一・三%となり、公債費負担比率でさえも二〇%を超えると危険水準と言われており、青森県の財政が危機的な状況だということを示しています。県債は、平成二十一年度千百四十一億三千六百万円で、県債残高は一兆二千九百七十八億円に膨れ上がっています。その要因の一つに臨時財政対策債など赤字地方債の発行が挙げられますが、借金依存体質の脱却が求められます。
こうした厳しい財政状況の中、いよいよ本年十二月四日の新幹線新青森駅開通を迎えます。市町村と連携した取り組みで利用客をふやし、青森のよさを県外の方々に大いに発信し、地域経済活性化につなげることを期待するとともに、大いに提言もしていきたいと考えています。
しかし、冷静に見なければならない現実として、平成二十一年度における東北新幹線建設対策費百三十一億九千百六十九万円、北海道新幹線建設対策費三十三億八千三百万円が支出され、新幹線建設における負担規模は総額二千五百七十億円が見込まれるなど、本県財政を圧迫する要因となっていることは軽視できません。
それらに加え、並行在来線をJR東日本から分離することによって、青森県は初期投資に百六十四億円、毎年十六億円を超える負担が予想され、本来JRのやるべき仕事を押しつけられようとしています。特に、沿線における利便性の後退が危惧されます。
平成二十一年度における核燃料サイクル事業では、再処理工場の竣工予定を同年八月としていたものを、さらに一年二カ月先延ばしにする十七回目の竣工延期を発表した年でした。そして、新たな試運転スケジュールによって高レベル放射性廃液の漏えいに伴う洗浄作業を九月上旬に再開し、十二月までにガラス溶融炉の底に落ちた耐火れんがを回収、炉内の溶融ガラスを抜き出す予定としていたものが、洗浄作業はわずか一日で中断し、結局、スケジュールどおり進まず、技術的な困難さを露呈するに至りました。
建設費用は当初の三倍、二兆二千億円に膨れ上がり、技術的に未確立な工場であることが明確になった以上、六ヶ所を核燃の実験場にすることは許されません。高レベル放射性廃液の最終処分場についても、文献調査にさえも行き着かない状況で、核燃料サイクル政策そのものについて国や事業者は見直すべきであります。
六ヶ所
工業用水道については、当年度の純損失が九百五十三万三千七十二円となり、平成十四年四月の事業開始から連続して純損失が生じ、累積欠損金が七千九百十四万二千五百六十九円となり、さらに給水先二社のうちの一社である東北デバイスが民事再生法による再生手続開始の申し立てをするなど、当事業が危ぶまれると同時に、クリスタルバレイ構想の破綻が明確になりました。
国の経済・財政政策を初めとするいわゆる国策が県政のあらゆる分野に深刻な影響をもたらしていることについて、本県から県民を守る毅然とした政策提言と県民運動が求められています。
以上をもって、議案第二十五号と議案第二十六号について不認定を表明し、一部反対討論といたします。
26
◯議長(
長尾忠行) 一部反対討論、十二番奈良岡克也議員の登壇を許可いたします。──奈良岡議員。
27 ◯十二番(奈良岡克也) 十二番、奈良岡克也でございます。社民党・県民クラブを代表して、平成二十一年度決算に関する一部反対討論を行います。
反対する議案は、第二十五号と第二十六号であります。
第一点目は、県財政についてであります。
平成二十一年度青森県普通会計決算につきましては、知事は、これまで財政改革プランや行財政改革大綱に基づき取り組みを進め、県財政の健全化に取り組んできたことについて、事あるごとにその成果を主張しています。確かに、基金の取り崩し額の圧縮につきましては、次第に漸減しており、評価できる点も見受けられますが、県債残高については依然としてふえる傾向にあります。地方交付税の代替といえども臨時財政対策債も県債の一つでありますし、今の時代は一寸先はやみであり、将来が見通せない時代でありますので、地方交付税の動向を踏まえれば、将来世代に負担を残す県債残高が増嵩している決算については問題であり、賛成できません。
また、行財政改革大綱に沿い、県職員の数が減員し、一般行政職を見れば、間もなく四千名を割り込む状況となっています。そして、県職員の賃金は、
一般職の賃金カットはやめましたけれども、管理職の賃金カットは依然として継続され、昨年の期末・
勤勉手当も削減されています。職員の数が削減され、労働強化が進み、賃金も
引き下げられる状況が続けば、職員の業務に向かうモチベーションが低下することは避けられません。そのことにより、県民が受けるべき行政サービスが低下することにつながるのではないかと思います。
さらに、県財政に占める核燃マネーについては、年を追うごとにその比重を高めていることです。これについて社民党・県民クラブは、機会あるたびに警鐘を鳴らしてきているところであります。原子力施設が有する放射能の危険の代償として支払われているこの原子力マネーは、県事業のほぼすべての分野に及び、並行在来線に係る財政にまで入り込んでいます。
核燃マネーが地域振興の名目で、県だけではなく、広く地域の隅々にまで行き渡り、今後もこれが続いていくとすれば、
地方自治体財政の健全性が損なわれ、青森県全体が核燃マネーに侵されてしまうことが心配されるところであります。
核燃サイクル計画の二本の柱と位置づけられる福井県もんじゅのトラブルと、十八回目を数える六ヶ所再処理工場の竣工二年延期の内情を考え合わせれば、核燃サイクル計画が破綻の方向に向かっていることは明らかであります。
核燃サイクル計画をめぐる昨今の状況を踏まえれば、同計画がストップし、核燃マネーが入らなくなる事態をも想定しておく必要があるのではないか。そうなったときの財政的な落差感により、県、市町村の財政はより厳しい状況に立ち至るのではないかという懸念は高まるばかりであります。いいかげんにして、原子力マネーに依存する県財政のあり方は、市町村財政をも含めて、いびつな構造になっているものと危惧せざるを得ません。
第二点目は、新幹線と並行在来線の問題であります。
来る十二月四日には、県民待望の
東北新幹線全線開業と、同時に開業する並行在来線青い森鉄道が青森まで開業することになります。ここでやはり考えなければならないのは、東北新幹線盛岡以北の建設にこれまで投入された多額の負担金と、並行在来線青い森鉄道の維持、存続に係る諸経費の膨大なことであります。
これら新幹線建設と並行在来線に要した平成二十一年度までの投入県費は、本来であれば、すべて国の責任で措置されるのが当然の姿ではないのか、県民の多くはそのように考えていることと思います。
とりわけ、並行在来線をJRから経営分離することにより、地方に降りかかる負担は、並行在来線問題を抱える関係
地方公共団体の共通する課題であります。しかしながら、この問題は一向に改善される気配はありません。
このことは、現代において公共交通の利便を享受すべき国民の交通権を侵害するものであり、国による地域差別につながるものであることを強調したいと思います。並行在来線に対する国の支援策については、平成二十一年度中においても多様な運動が取り組まれてきたにもかかわらず、十二月四日を目前に控えた現段階においても、なお実現の見通しが立たないという厳しい状況にあります。
いずれにせよ、これから先も、並行在来線に関係する
地方自治体や青森県民のいたずらな負担が続いていくことは大きな問題であり、県民は到底納得できるものではありません。
三点目は、青森県の基本計画未来への挑戦にも基本方針として位置づけられている産業・雇用の分野についてであります。
雇用の創出、拡大については、ふるさと再生雇用対策事業や緊急雇用対策事業等を柱として、企業への融資対策を織りまぜながらそれぞれ事業化をして対処されてきましたが、なかなかその効果を引き出すまでには至らず、失業率の推計値、
有効求人倍率ともに低迷を続けているのが現状です。もっと根本に迫る有効打、思い切った財政出動を伴う雇用対策が求められています。
本年度に入り、桔梗野工業団地、金矢工業団地造成事業の問題が表面化しました。
県議会九月
定例会においても議論の俎上に上りましたが、平成二十一年度を含むこれまでの長期にわたる期間、県として事業内容を把握できる立場にありながら、漫然として、適切な対策を講ずることもなく、事業の状態を悪化させた責任は大きいものがあるのではないかと思います。莫大な県費をつぎ込みながら、その責任の所在はいまだに不明ということは、県民感情からも許されないところであります。
また、むつ小川原開発に始まるクリスタルバレイ構想も、六ヶ所村の広大な用地にわずか二つの企業だけの進出にとどまり、しかも、そのうちの一つの企業が民事再生手続を申し立てるところとなりました。幸いにして救いの手があらわれたために最悪の事態は回避されてきています。しかし、依然としてクリスタルバレイ構想における危機的な状況は続いており、これについての抜本的な見直しの必要に迫られています。
さらに、これに関連する形で六ヶ所
工業用水道の問題があります。この
工業用水道は、平成十四年の事業開始から連続して赤字続きで、累積欠損金が七千九百万円余りに達しています。これを使用している二つの企業の経営状況が悪化すれば、直ちに危機的な状況を迎えることは容易に想像がつく話です。
こうして見ると、産業・雇用の分野における県の諸施策は、さしたる成果を見出すことが難しく、来年六月の知事の任期切れを目前に、ほころびだけが目立つ状況であり、県の基本計画未来への挑戦は早くも見直しが迫られているのではないかということを指摘せざるを得ません。
最後は、県が進める原子力行政についてであります。
六ヶ所再処理工場は、もはや瀕死の重篤患者と言わなければなりません。高レベルガラス固化体というふんを出すことができない異常な生理状態、総延長が千数百キロメートルで二万カ所の継ぎ目のある配管が強度の動脈硬化を来し、これが原因で耐震強化対策が施せないという指摘がなされ、工場直下の六ヶ所断層が走るという指摘には有効な反論が行われないという状況が続いております。
このような六ヶ所再処理工場には早急に安楽死を与えるべきではないかと思います。そして、核燃サイクル計画ときっぱりと決別し、再生可能自然エネルギーの開発にエネルギー政策の方向転換を図り、第一次産業をベースに、第六次産業の興隆に向け、全力を傾注することが新幹線時代にふさわしい青森県の進むべき道であります。
以上を申し上げ、平成二十一年度決算に対する一部反対討論といたします。
以上であります。
28
◯議長(
長尾忠行) これをもって討論を終わります。
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◎ 決 算 議 案 採 決
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29
◯議長(
長尾忠行) これより議案の採決を行います。議案第二十五号「決算の認定を求めるの件」及び議案第二十六号「青森県
工業用水道事業会計の決算の認定を求めるの件」、以上二件は委員長報告どおり認定することに賛成の方は御起立を願います。
〔賛成者起立〕
30
◯議長(
長尾忠行) 起立多数であります。よって、本件は認定されました。
議案第二十七号「青森県病院事業会計の決算の認定を求めるの件」、本件は委員長報告どおり認定することに賛成の方は御起立を願います。
〔賛成者起立〕
31
◯議長(
長尾忠行) 起立総員であります。よって、本件は認定されました。
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◎ 議 会 報 告
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32
◯議長(
長尾忠行) 議会報告として、第一号「例月出納検査の結果について」、第二号「職員の
給与等に関する報告及び勧告について」、第三号「意見書の処理の結果について」、第四号「新幹線・鉄道問題対策特別委員会経過報告書」、第五号「議員派遣の結果について」をお手元に配付してあります。
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◎ 本 会 議 休 会 提 議
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33
◯議長(
長尾忠行) 本職より提議があります。
お諮りいたします。二十四日から二十六日までの三日間は議案熟考のため休会いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
34
◯議長(
長尾忠行) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお、明二十三日、二十七日及び二十八日は、県の休日ですから休会であります。
以上をもって本日の議事は終了いたしました。
十一月二十九日は午前十時三十分から本会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午前十一時三十七分散会
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