札幌市議会 2023-12-11
令和 5年(常任)経済観光委員会−12月11日-記録
令和 5年(常任)
経済観光委員会−12月11日-記録令和 5年(常任)
経済観光委員会
札幌市議会経済観光委員会記録
令和5年12月11日(月曜日)
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開 会 午後0時59分
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○村松叶啓 委員長 ただいまから、
経済観光委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、川田委員からは、欠席する旨、届出がありました。
最初に、議案第5号 令和5年度札幌市
病院事業会計補正予算(第2号)を議題といたします。
質疑を行います。
質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、討論を行います。
討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、討論を終了いたします。
それでは、採決を行います。
議案第5号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 異議なしと認め、議案第5号は、可決すべきものと決定いたしました。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時
再 開 午後1時1分
――――――――――――――
○村松叶啓 委員長 委員会を再開いたします。
次に、議案第1号 令和5年度札幌市
一般会計補正予算(第5号)中関係分及び議案第40号 令和5年度札幌市
一般会計補正予算(第6号)中関係分の2件を一括議題といたします。
質疑を行います。
◆三神英彦 委員 私からは、
プレミアム商品券の新規発行について質問させていただきます。
提案いただいた話の中で、この商品券というのは、市民に公平であるということと、協力いただく事業者にとって、ちゃんと協力いただける体制になっているということが大事だと思います。
私からは、どちらかというと
事業者目線で質問させていただきます。早速、最初の質問ですが、現事業において
事業者目線で工夫された点と、実際に事業者からどのような声が寄せられているかについて伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 現事業の工夫点と事業者からの意見についてお答えいたします。
令和2年度に実施した
商品券事業の課題を踏まえまして、現事業では、商品券1枚の額面を1,000円から500円にすることで、売上単価が小さい店舗でも利用されやすいよう配慮いたしました。
また、商品券の換金について、使用済みの商品券の回収受付日から送金までの期間を2週間から10日間に短縮し、事業者の資金繰りにも配慮したところです。
一方、商品券の発行枚数の増加に伴い、事業者からは、商品券のレジでの受け取りや換金手続に手間や時間を要するといったご意見をいただいており、これらの負担軽減が課題であると考えております。
◆三神英彦 委員 いろいろな改善点がある一方で、まだ課題が残っているというのは既に認識されているということですね。
次の質問ですが、今後、どのような考えの下、
事業者負担の軽減につながる手法としていくつもりなのか、その方向性について伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 事業者負担の軽減につながる事業手法についてお答えいたします。
事業手法を検討するに当たりまして、事業者の負担を軽減するという観点は重要な要素の一つであると認識しており、デジタル技術のさらなる活用も視野に入れながら、効果的な負担軽減策を検討していきたいと考えております。
事業者にとっても参加しやすい制度としていくことで数多くの店舗の参加を促し、市民の
利便性向上とともに、地域経済の活性化にもつなげてまいりたいと考えております。
◆三神英彦 委員 こういった商品券の発行というのは、多分、今後もいろいろ折を見て続くと思いますので、しっかり知見を吸収するということに務めていただけたらと思います。
本市で保福から出てきた
敬老健康パスの話ですとか、ほかの事業にも多分つながりがあることになっていくと思います。また、国が進めていくマイナカードの話にもこの知見はつながっていくものだと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
◆小口智久 委員 私からも、
プレミアム商品券の新規発行について質問をいたします。
我が会派では、令和5年11月24日に札幌市へ提出した物価高騰と経済再生に向けた緊急要望書の中で、
プレミアム商品券の発行について要望をいたしました。
要望後、札幌市からは、本定例会で商品券の新規発行に係る予算の提案があったことは評価いたしますが、その制度設計に当たっては、現在行われております
商品券事業の検証、本年7月31日から12月31日まで利用できる商品券のことですけれども、そのことが考えられますので、まずは現在の進捗状況について把握させていただきます。
現事業については、さきの令和5年第3回定例市議会の
決算特別委員会において、私から、商品券の購入及び利用促進に向けた今後の取り組み方について質問をしたところ、札幌市からは商品券を一冊も購入されていない方々に対して、商品券の購入及び利用期限が近づいていることをお知らせする通知を11月中旬までに郵送するほか、12月1日付の新聞広告や
商品券公式ホームページなどで幅広く周知していく予定との回答をいただきました。
そこで、質問ですが、現事業の購入及び利用促進に向けた取組結果について伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 現事業の購入及び利用促進に向けた取組結果についてお答えいたします。
商品券を一冊も購入されていない約6万人の方々を対象に、11月6日から11月13日にかけて、商品券の購入及び利用期限が近づいていることをお知らせする通知を郵送いたしました。
さらに、12月1日付の新聞広告や
商品券公式ホームページでも、商品券の購入及び利用期限が残り少ないことを幅広く周知してきたところでございます。
その結果、1日当たりの商品券の購入数は増え、さきの
決算特別委員会で購入冊数は約115万冊とお答えいたしましたが、直近の購入状況は約138万冊と20万冊以上増加し、購入に係る進捗率は約92%となり、商品券購入の促進が図られたものと考えております。
◆小口智久 委員 現事業の購入及び利用促進に向けた取組結果については理解いたしました。
達成率92%については、現在、まだ実施中ということでございますので、何とも言えませんが、事業終了時にも達成率に対する検証は続けていただきたいと思います。
また、新規発行の手法につきましては現在検討中と伺っておりますが、現事業においては、商品券の購入に時間がかかるといった声、一部の販売所においては混雑のため購入をためらったケースなど、商品券の購入に関する不満の声があったと聞いております。
今回の商品券の新規発行は
物価高騰対策の一環として実施されるものですので、市民の
利便性向上につながる事業手法を検討していくことが重要だと考えます。
そこで、質問ですが、商品券の新規発行に当たり、購入者にとってよりよい事業手法をどのように検討していくのかについて伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 購入者にとってよりよい事業手法についてお答えいたします。
現事業につきましては、公正に、かつ多くの市民の方々に購入していただけるよう事前の申込み制としたほか、市民のライフスタイルやニーズの多様化に合わせた手法とするため、24時間購入できるよう販売所を設置いたしました。
しかしながら、委員がご指摘のとおり、購入に時間がかかるなど、商品券の購入に関する不満の声もいただいたところです。
このようなことを踏まえまして、現事業の課題を整理し、他都市の事例も調査しながら、できる限り多くの市民の
利便性向上につながる手法を検討していくとともに、事業者への配慮も必要となることから、市民及び事業者の双方にとってよりよい事業手法の検討を進めてまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員
商品券事業において、早期実施、公平性、利便性、また、事務費低減など、全ての方々に納得いただく制度の構築は大変難易度の高い作業であることは認識しておりますが、様々なケースを想定した上で、事業手法の検討をしっかり行っていただきたいと思います。
また、周知に関しては、
プレミアム商品券が使えますと告知した
店頭ポスターを見て事業を知ったという方もおられますので、できることなら店舗の協力を得て商品券販売前にポスターを掲示いただけると広く知れ渡るのではないかと思います。
商品券事業により、多くの市民に
物価高騰支援策が届くよう要望して、質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、討論を行います。
討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、討論を終了いたします。
それでは、採決を行います。
議案第1号中関係分及び議案第40号中関係分の2件を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 異議なしと認め、議案2件は、可決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第6号 令和5年度札幌市
中央卸売市場事業会計補正予算(第1号)を議題といたします。
質疑を行います。
質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、討論を行います。
討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、討論を終了いたします。
それでは、採決を行います。
議案第6号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 異議なしと認め、議案第6号は、可決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第26号 札幌市
中小企業融資制度に係る
損失補償契約による回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例案を議題といたします。
質疑を行います。
◆三神英彦 委員
新型コロナウイルス感染症に続き、昨今は、物価高騰等の影響を受ける中、過剰債務により経営困難に陥る事業者の増加が懸念されているところです。
そして、このたび提案された条例に関しては、経営困難に陥った事業者のうち、事業再生や廃業後の再チャレンジの可能性が高いと認められるなど一定の要件を満たす場合に、ほかの
金融債権者による債権放棄と同時に、札幌市が持つ回収納付金を受け取る権利を放棄することができるように定めるとのことです。
債権放棄が事業者の再生や再チャレンジにつながり、ひいては地域経済の振興に資するとのことですが、まず、本条例制定の必要性について伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 条例制定の必要性についてお答えいたします。
本条例は、市内の
中小企業者が迅速かつ円滑に事業再生や再チャレンジなどに取り組むことができるよう支援し、もって地域経済の振興に資することを目的としております。
債権放棄に係る個別の議案を提出する場合には事業者名を公表せざるを得ず、そのことにより信用低下を招く可能性があり、経済的損失を防ぐためには匿名性の確保が重要となります。
また、原則として全ての
金融債権者が同時に合意しないと債権放棄ができないことから、機動的な対応も求められます。
さらに、感染症の流行も含めた大規模災害の場合には、同時期に多数の事案への対応も想定されるところです。
このように、匿名性の確保、機動的な対応、災害の備えという三つの理由から、個別に議決を経ることなく、本条例に基づき速やかな対応が必要となるものでございます。
◆三神英彦 委員 仮に同様の事案があった場合に個別の議決をもって判断することになっていたのが、条例を制定することによって、議決を経ず、市長の判断により債権放棄を行うということですね。
次の質問ですが、求償権の放棄を申し出る事業者に対して迅速な対応が必要となる理由について、改めて伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 迅速な対応の必要性についてお答えいたします。
求償権の放棄を申し出る
中小企業者は、再生支援等を行う専門機関や専門家の支援を受け、債務の免除を伴う再生計画や弁済計画を策定することとなります。
例えば、
計画策定過程において支援を表明する
スポンサー企業がいる場合、その企業が設定する期限内に全ての
金融債権者の合意が条件となることから、札幌市の権利放棄の承認が遅れることにより
計画そのものが頓挫する可能性があります。
再生や廃業の手続を支援する局面では、計画の頓挫だけではなく、時間の経過による計画実行の遅れやさらなる財務状況の悪化など、企業価値の低下を防ぐことが重要となります。
そのため、金融機関や、既に条例を整備している北海道など、対象事業者を取り巻く支援関係者が足並みをそろえた迅速な対応が必要となることから、本条例により体制整備を行うものでございます。
◆三神英彦 委員 多分、本市に限らず、民間のテンポ感に対して、いろいろな行政機関の手続だとかという部分が阻害する場合があるというのが今回のケースなのかなというふうに思います。
一方で、再チャレンジする会社というのが、価値があるのかないのかという見極めはすごく難しいと思うのです。それは、本市が、実際にこのまちの中でどんな経済状態になっているのかというのを見極める上でもすごく大事になると思いますので、そういった最初のきっかけを金融機関に任せるのではなくて、きちんと情報を取って、それもまた情報としてプールいただけるように、引き続きよろしくお願いします。
◆森基誉則 委員 私からは、いわゆる
求償権放棄条例について、条例制定が求められている理由と私的整理による廃業について伺わせていただきます。
昨今の報道でも、約30の都道府県が同様の条例を制定しているということでした。北海道も、昨年末に、国からの
ガイドラインに沿った改定を行っています。政令市においても、昨年度、福岡市や北九州市が制定しており、未整備の自治体においても制定の動きが出ていると聞いています。
このように、近年、条例制定の機運が全国的に高まってきているのが見てとれます。
そこで、質問です。
今、条例制定が求められている理由は何なのか、伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 今、条例制定が求められている理由についてお答えいたします。
国からは、自治体に対して、従前より条例を整備するよう依頼されておりましたが、
新型コロナウイルス感染症に加え、物価高騰などの影響により、廃業の増加が懸念されている中、令和4年3月策定の中小企業の
事業再生等に関する
ガイドラインにより、新たな事業再生及び廃業の私的整理が示され、国からも改めて条例制定の協力依頼が出されたところです。
このような現状を踏まえ、札幌市といたしましても、条例を制定することにより、
中小企業者の事業再生や再チャレンジなどに対する支援が迅速かつ円滑に図られるものと考えているところでございます。
◆森基誉則 委員 国においては、
ガイドライン等により私的整理による廃業も示されており、条例制定の協力依頼も来ていたというお話をいただきました。失敗しても、再チャレンジできる環境整備を推し進めていくということは非常に重要なことだと考えています。日本人の気質なのか、過度に失敗を恐れる、避ける、そういった傾向が強いように思いまして、ただ、人間というのは、失敗や挫折、時には屈辱みたいなものから得られる苦々しい感情も経験しなければ成熟しないというのは多くの人が知る事実です。努力の結果、失敗してしまった人が再度チャレンジしたいときには、札幌市としても応援できるような体制を整えるべきではないでしょうか。
北海道においても既に条例を整備している状況であり、本市も条例を整備することで市内事業者に対する環境整備が整うことになると考えます。様々な事情で再生に向かえない事業者もいると想定される中、事業再生のみならず、私的整理による廃業も対象とすることは、経営者にとっては非常に意味のあることだと思います。
そこで、質問です。
私的整理による廃業の地域経済に与える影響及び条例の対象として定めた意義を伺います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 私的整理による廃業についてお答えいたします。
破産や会社更生などの法的整理による廃業となれば、その時点で全ての取引が停止するほか、株価の下落や従業員の突然の解雇なども想定され、地域経済への影響が非常に大きなものとなります。
一方、私的整理の場合、取引先が有する債権や従業員の給与などの一般債権は、放棄の対象ではなく、廃業する
中小企業者の資産で弁済されることが前提となっており、取引先の連鎖倒産の回避や地域の雇用維持にも配慮されております。
このように、私的整理のほうが債権者及び債務者の双方にとって相当性や合理性があり、地域経済の安定に資すると認められることから、私的整理による廃業についても本条例の対象にするものでございます。
◆森基誉則 委員 債権放棄に伴う私的整理による廃業が地域経済の安定や振興に資することは理解しました。
確かに、規模や業種によっては連鎖倒産なども考えられますので、そういった対策を講じる必要があると私も思います。
本条例は、事業の再生支援のみならず、廃業後の再チャレンジの支援等を目的としている点でも重要であると認識しています。よく失敗は成功の母と言いますが、起業や経営にも当てはまることも多いと思います。新たな挑戦がしやすいまちとなるべく、各方面から再チャレンジがより一層許容されるような社会となるような環境づくりに引き続き取り組んでいただくよう要望し、質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からも、
求償権放棄条例について、簡潔に質問をさせていただきます。
コロナ禍に行われた実質無利子、無担保融資などの
新型コロナ融資によって、
過剰債務状態に陥った中小企業の出口戦略としても注目されております、先ほど庄中部長からもお話がございました中小企業の
事業再生等に関する
ガイドラインは、2022年4月の運用開始から1年半を経過しているところでございます。
直近の
民間調査会社の実態調査によれば、同
ガイドラインの活用は、運用開始から1年半で、全国で145件ということでございます。まだ件数や利用状況を評価するのは難しいところもありますけれども、徐々に広がっているものと推察いたします。
今後、事業者が経営困難に陥った場合、多くの企業や経営者がこのスキームを利用し、債務免除を望むものと考えますが、どの程度の事業者が求償権の放棄を申請すると想定しているのか、まず伺いたいと思います。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 求償権放棄の想定件数についてお答えいたします。
本条例の対象となる債権放棄は、単に債務を免除するものではなく、
中小企業者の事業再生や再チャレンジの可能性のほか、
経済合理性や地域経済への影響を考慮した上で中立的な立場の専門機関等が関与して策定された計画に基づき免除するものであり、法的整理によらない支援としては最終手段となるものでございます。
このようなことを踏まえると、物価高騰などの影響が続く中、
事業再生等の支援を必要とする
中小企業者が増えてくる可能性はありますが、北海道では、条例を制定した令和2年度以降、債権放棄の事例は2件であり、本条例の制定を契機として、
求償権放棄の申請が急増するものではないと想定しております。
◆丸山秀樹 委員 北海道の条例制定からでは2件であった、それで、このたびの条例制定によって申請件数が急増することは札幌市としても想定していないという答弁であったというふうに思います。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済活動や行動が制限をされ、業績が悪化した中小企業を支援する目的で2020年に始まった
政府系金融機関と
民間金融機関による
コロナ関連融資制度は、2022年9月に各金融機関での受付が終了しております。この利子補給によって、利払いが実質免除される融資実行から3年目を区切りにして返済開始となる企業が増えているかと思います。
そうした中、急激な物価上昇や人手不足で業績が思うように伸びず、債務に苦しむ事業者も昨今増えており、
民間調査会社による道内における国のゼロゼロ融資の借入残高を有する企業への意識調査では、今後、返済開始を迎えるに当たり、約1割の企業が不安を抱えていると回答いたしております。
借入金の返済に窮し経営困難に陥る事業者の支援として、本条例に係る債務減免を伴う再生や廃業支援は、先ほどもお話がございましたように、最終手段になるということから、事業者が借入金の返済に窮し経営困難に陥る前に、いかに相談対応や支援につなげられるかが大変重要であると考えます。
そこで、質問ですが、そこに至る前にどのような支援を行っていくのかをお伺いいたします。
◎庄中 経営支援・
雇用労働担当部長 求償権放棄に至る前の支援についてお答えいたします。
札幌市では、経営に不安を抱える
中小企業者への支援として、札幌市
中小企業支援センターにおいて、
中小企業診断士等による各種相談を行っております。
この相談の中では、売上げや利益の減少に対応する
景気対策支援資金や、国のコロナ借換保証を利用する
伴走型経営改善資金をはじめとした札幌市融資制度の活用をご案内するなど、資金繰りに対する支援についても併せて行っているところです。
また、
取引金融機関では、事業再構築や
経営改善指導といった伴走型支援がなされているほか、本条例に係る計画を策定する
再生支援機関等においても
経営改善支援などが実施されております。
このような支援を通じて、
求償権放棄に至る前に、関係する金融機関や
再生支援機関等と緊密な連携を図りながら、コロナ禍や物価高騰などで苦境に陥っている
中小企業者に寄り添った対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 事業の再生支援の局面にありましては、金融機関をはじめ、今、答弁がございましたように、
中小企業センターなどの各種機関との連携と伴走型の支援は大変重要であるというふうに考えます。
債権放棄を伴う支援の必要性については十分理解をするところですが、その前段においていかに事業者の声を受け止め、早期に必要な機関に引き継ぐことができるかが大変重要であり、ついては、ぜひとも、関係機関ともしっかり連携を取って、事業者の悩みに寄り添った事業者の救済、再生に取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、討論を行います。
討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、討論を終了いたします。
それでは、採決を行います。
議案第26号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 異議なしと認め、議案第26号は、可決すべきものと決定いたしました。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時29分
再 開 午後1時30分
――――――――――――――
○村松叶啓 委員長 委員会を再開いたします。
次に、札幌市
交通事業経営計画の改定案についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎川本 事業管理部長 本日は、札幌市
交通事業経営計画改定案につきまして、お配りしていますA3判の札幌市
交通事業経営計画改定版概要に沿ってご説明をさせていただきます。
なお、本日の委員会で皆様にご報告させていただいた後、パブリックコメントにかけて、年度内に完成させる予定でございます。
それでは、資料1ページ目の左上、1 経営計画の改定目的、考え方、位置づけをご覧ください。
10月2日の
経済観光委員会の際にご説明させていただいた骨子案と同様ですが、
新型コロナウイルス感染症などによる経営環境の変化を受け、後半5年間の取組を着実に実施するために、今後10年間の長期収支を改めて見直していくこととしております。
左下に移りまして、2 経営理念、経営方針、投資方針をご覧ください。
経営計画改定に当たりましては、経営環境が変わっても安全で確実な輸送サービスを提供するという交通局の責務をしっかりと果たしていかなければなりませんので、(1)経営理念、(2)経営方針の四つの視点は堅持していくとともに、社会情勢の変化に合わせて新たな取組を加えてまいります。
内容としては、建設改良費の(3)投資方針の1から4のとおり、安全・安心を最優先としながら施設設備を長寿命化していくことを基本として、環境負荷低減、一層のバリアフリー対応に注力してまいります。
また、増収に向けた取組も積極的に行ってまいります。
次に、資料の右側に移りまして、3 地下鉄・路面電車の現状をご覧ください。
上下の二つのグラフは、上が地下鉄、下が路面電車の乗車人員や収入の推計です。
両方とも、
新型コロナウイルス感染症の影響で令和2年度にかけ大きく落ち込み、以降、徐々に回復傾向となっております。これに札幌駅周辺の再開発や新幹線延伸の効果を加え、さらに積極的に観光需要を取り込むことで、新たに目指す乗車人員は、地下鉄では58万人、路面電車では2万4,000人としています。
続きまして、2ページ目、4 当初計画の進捗状況と評価をご覧ください。
現時点における当初計画の中間評価をしています。
1番目の地震対策の推進や、2番目の土木構造物の保全など、安全に関わる部分については、最も重要な取組として着実に進めてまいります。一方、上から6番目にある駅の美装化を図る地下鉄のリフレッシュのように、
新型コロナウイルス感染症による経営状況の悪化を受け一時凍結したものや、その下のトイレの洋式化など、入札不調の影響で進捗に遅れが見られるものもありますが、目標達成に向け、努力を続けているところでございます。
続きまして、右下の5 当初計画の収支目標の達成状況をご覧ください。
こちらは、コロナ禍の減収を受けて、いずれの指標も達成困難となっています。例えば、地下鉄、路面電車ともに、企業債残高については、令和4年度の経営計画値よりも抑制されていますが、入札不調などで事業が進んでいないことによるもので、進捗状況は丸とはせず、三角としております。
続きまして、3ページ目、6 長期収支の見通し【高速電車事業】の(1)長期収支、収支目標の上の表をご覧ください。
経常収支については、札幌駅周辺の再開発に伴う乗車料収入の増加や電気料金の一定期間の高騰を想定し、中ほどの差し引きの欄のとおり、黒字は維持できるものの、人口減少や減価償却費の増加に伴い、黒字幅は減少していく見通しとなっています。
また、黄色の企業債については、特別減収対策企業債は減少していきますが、南北線さっぽろ駅のホーム増設や車両基地の耐震改修等を進めていくため、全体の残高はほぼ横ばいに推移していきます。
その下の収支目標をご覧ください。
コロナ禍の減収や電気料金などの高騰を受け、例えば、三つ目の資金過不足額においては、改定前の「実質資金不足を2027年度に解消」から「資金不足を発生させない」に改めております。
次に、一番下の(2)主な取組をご覧ください。
南北線さっぽろ駅ホーム増設、南北線5000形車両更新、そして、車両とホームの段差隙間縮小といったお客様の
利便性向上や老朽更新などの取組を進めていきます。
続いて、資料の右側に移りまして、7 長期収支の見通し【軌道事業】の(1)長期収支、収支目標をご覧ください。
上下の二つの表は、上が交通事業振興公社が担っている軌道運送事業、下が交通局が担っている軌道整備事業の収支になります。その間のグラフは、上の運送事業者における運賃改定のシミュレーションでございます。
前回の
経済観光委員会の骨子案から変更はなく、青い線のとおり、現行の200円の運賃のままでは資金不足に陥る見込みで、持続可能な経営とするためには、オレンジ色の線の230円まで運賃を改定する必要があります。
上の運送事業者の表をご覧ください。
これは、230円の運賃改定を前提としたものですが、下から3行目の経常収支差引のとおり赤字が続きますので、バリアフリー化などにより利用者の利便性の向上を図り乗客誘致を進めるとともに、毎年の予算編成や予算執行の中で収支改善に取り組んでまいります。
また、下の整備事業者の表をご覧ください。
中ほどの経常収支差引のとおり、令和10年度に黒字となり、資料には数字を載せておりませんが、上下を合算しますと、軌道事業全体でもやや黒字となる状況で推移してまいります。
その下の収支目標をご覧ください。
これは下の軌道整備事業のものですが、先ほどお伝えした経常収支については、改定前の「令和8年度に黒字化」から「令和10年度に黒字化」に改めております。
一番下の(2)主な取組をご覧ください。
低床車両の導入とありますが、車両の老朽更新に併せて、バリアフリー対応の低床車両の導入を計画的に進めてまいります。
続きまして、4ページ目、8 計画期間の主な取組をご覧ください。
既に触れたものも含めて、計画期間における主な取組を一覧にしていますので、参考にしていただければと思っております。
○村松叶啓 委員長 それでは、質疑を行います。
◆森基誉則 委員 私からは、路面電車の運賃改定について伺っていきます。
10月2日の
経済観光委員会において、2019年に策定した
交通事業経営計画について、
新型コロナウイルス感染拡大など経営環境の変化を受け、後半5年間の取組を今後10年間の収支を見据えた上で見直すという説明をいただきました。
我が会派からは、路面電車の経営改善に向けた取組について質問させていただきまして、企業とのパートナー契約の締結や車両のラッピング広告、貸切り電車の販売促進など、乗車料収入以外の増収に向けた取組も積極的に行っていくという答弁をいただいたところです。
また、12月5日の代表質問においても、路面電車の安定的な運営について札幌市の考えを聞き、路面電車は市民の生活交通を守るもの、そして、まちの魅力を高める重要な都市基盤であるとの認識に加え、安定的な運営に向けては、改めて運賃改定への市民理解を得られるよう努めていくという見解を伺いました。
ただ、最近では、路面電車を見かけますと、コロナ禍前と変わらないくらい乗客がいるように見えまして、私の肌感覚で恐縮なのですけれども、経営状況が改善しているのではないかと感じています。
そこで、質問です。
直近の乗車人員と乗車料収入の状況について伺います。
◎川本 事業管理部長 路面電車の直近の乗車人員と乗車料収入の状況についてお答えいたします。
令和5年度の路面電車の1日当たりの平均乗車人員は、10月までの実績では2万2,511人、乗車料収入の累計は8億3,800万円となっております。
これは、コロナ禍前の令和元年度の実績と比較いたしますと、乗車人員では1.7%減、乗車料収入では、SAPICAポイントの見直しの効果もあり、4.1%増となっております。
なお、10月分のみを令和元年度と比較いたしますと、乗車人員では1.5%増、乗車料収入では7.6%増と、さらに回復している状況にございます。
◆森基誉則 委員 乗車人員については、10月時点で、コロナ禍前の水準まで回復してきているということでした。これは、まちの活気が戻ってきている一つの表れだと思うわけなのですけれども、乗車料収入についても、SAPICAポイントの見直しもあり、コロナ禍前を上回っているということでした。
となると、次の質問をさせていただこうと思うのですが、乗車料収入がコロナ禍前を上回っているというのであれば、なぜ運賃改定の必要があるのか、伺います。
◎川本 事業管理部長 乗車料収入がコロナ禍前を上回っているのに運賃改定が必要な理由についてお答えいたします。
現在の乗車料収入はコロナ禍前の水準を上回っておりますが、運賃改定をせずに収支が均衡する当初の経営計画と比較いたしますと、10月までの実績において3.5%減となっており、収支が均衡する水準には至っておりません。
これに加え、原油価格や天然ガス価格の高騰を受け、路面電車の動力となっている電気料金が値上がりし、さらに、資材価格や労務単価の上昇により、軌道の維持管理にかかる費用についても増えており、当初の経営計画と比べ、年1億5,000万円程度の経費が増加する見込みとなっております。
そのため、乗車料収入は回復傾向にあるものの、依然として厳しい経営状況であり、持続可能な軌道事業としていくためには、運賃改定により利用者の皆様にご負担をいただくことが必要であると考えております。
◆森基誉則 委員 電気料金とか資材価格、労務単価の高騰は確かにありますね。ただ、これは各家庭においても状況は同じような感じで、食料品、光熱費なども高騰している中、今回の運賃改定により、さらに市民の負担が増えることについては、我が会派としても大変憂慮しているところです。
一方、札幌市路面電車活用計画によりますと、利用者負担だけではなく、税負担も含め、事業の収支不足を解消していくとありました。
そこで、質問です。
路面電車に対する税負担の考え方について伺います。
◎川本 事業管理部長 路面電車に対する税負担の考え方についてお答えいたします。
路面電車事業に対する税負担については、札幌市路面電車活用計画によると、国の補助制度を有効に活用しながら、低床車両の導入や道路の拡幅に伴う停留場のバリアフリー化など、新たな設備投資に対して行うこととしております。
これによりお客様の
利便性向上が図られ、乗車人員の増加につながるとともに、交通局における設備投資負担が軽減し、企業債の発行も抑制されるなど、経営面においても税負担が大きな支えとなっております。
◆森基誉則 委員 今、ご答弁いただいた、低床車両の導入とか、バリアフリー化とか、新たな設備投資を税負担によって賄っているということ、また、先ほど質問した運賃改定の必要性や背景について市民理解を得るというのは、なかなか難しいのではないかなと感じております。
10月2日の
経済観光委員会でも要望をさせていただきましたが、特に大きな影響を受ける中央区民には、丁寧に説明し、理解をいただくべきと考えます。
そこで、質問です。
路面電車の運賃改定に係る町内会などの地域への説明について、今後どのように行っていくのか、また、もし既に行っているというところがありましたら、どのような意見が出ていたのか、伺います。
◎川本 事業管理部長 町内会などへの地域への説明をどのように行っていくのかについてお答えいたします。
運賃改定については、地域の理解を得ていくことが重要と考えていることから、12月5日に、中央区の連合町内会連絡協議会、行政懇談会において、運賃改定の必要性について説明を行ったところでございます。
その中で、地域の方からは、路面電車は都心活性化の鍵となるので、次世代にもつなげていってほしいとの希望とともに、運賃を今よりも安くして、もっと利用してもらうことによりまちの活性化に役立てるべきだとの意見がございました。
交通局としても、乗車人員を増やし、持続可能なものとしていくという思いは同じであることから、路面電車の歴史とともに歩んできた沿線住民の方々と一緒に、より一層、まちづくりへ活用していくことの大切さを改めて感じたところでございます。
今後とも、長年愛されてきた路面電車を日常的に利用していただくことのお願いも含め、運賃改定について、希望する町内会などに丁寧な説明を行っていきたいと考えております。
なお、令和6年12月からの運賃改定を目指し、現在、北海道運輸局への認可申請に向けた準備を進めているところであり、申請は4月頃を予定しております。
その際には、改めて、リーフレットやホームページなど様々な媒体を通じて広く周知をしてまいりたいと考えております。
◆森基誉則 委員 値上げではなく、値下げするというアイデアは面白いですね。
今回は30円の料金改定ですけれども、往復だと60円で、月20日ほど利用するとなれば1,200円、これが1年だと1万4,400円の支出増となるわけですから、利用者の立場に立った市民への丁寧な説明をお願いしまして、
交通事業経営計画の改定案に関連した質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からは、地下鉄の車内防犯カメラの設置についてと、新たな乗車システムの検討についてを伺いたいと思います。
最初に、地下鉄の車内防犯カメラの設置について伺います。
令和3年、東京の小田急線や京王線の車内で刺傷事件が相次ぎ、鉄道利用者の安全・安心が大きく損なわれる事態になったことは記憶に新しいところでございます。
令和5年9月には、国土交通省令が改正され、地下鉄などの鉄道車両に車内防犯カメラの設置が義務づけられました。この中では、今後、新造車両が対象となること、輸送密度が10万人未満の路線は対象外であることなどが規定をされたところでございます。
こうした中、JR各社では車内防犯カメラの設置が進められており、本市においても、札幌市
交通事業経営計画改定の骨子案の主な取組として、東西線・東豊線車内の防犯カメラ設置が記載をされているところであります。
そこでまず、質問ですが、地下鉄の車内防犯カメラの設置について、他の鉄道事業者の状況と本市における検討状況についてお伺いをいたします。
◎池田 技術担当部長 地下鉄の車内防犯カメラの設置について、他の鉄道事業者の状況と本市における検討状況についてお答えいたします。
他の鉄道事業者の車内防犯カメラの設置状況は、義務化となります東京メトロ、大阪メトロ、名古屋市、東京都、横浜市、神戸市、埼玉高速鉄道の7事業者に加え、義務化とはならない京都市、福岡市の2事業者でも設置が進められております。
また、新造車両への設置は義務化の対象とされてはおりますが、多くの事業者で既存車両にも設置が進められている状況にございます。
本市の地下鉄路線につきましては、南北、東西、東豊の3路線とも、車内防犯カメラの設置基準である輸送密度10万人未満であり、設置義務の対象外とはなっておりますが、車内での犯罪や迷惑行為、マナー違反を未然に抑止するためにも、車内防犯カメラの設置の検討を進めているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 本市の地下鉄につきましては、輸送密度の基準としては義務化対象外であるということでございましたが、多くの鉄道事業者でも車内防犯カメラの設置が進められており、本市においても、車内での犯罪や迷惑行為、マナー違反を未然に抑止する目的で設置を計画しているとのことでございました。
昨日の午後に、これは車内ではなかったですけれども、構内で喫煙をされた方が駅員の方を蹴り上げたというような暴行事件が起きたという報道があって、改めてお見舞いを申し上げるところでもございますけれども、こうした地下鉄3路線でも多数の車両がありますことから、車内防犯カメラの設置に当たっても、やはり計画的に着実に事業を実施していく必要があるものと考えます。
そこで、質問をいたしますが、本市の地下鉄の車内防犯カメラ設置に関する計画と設置スケジュールについてお伺いいたします。
◎池田 技術担当部長 本市の地下鉄の車内防犯カメラの設置に関する計画、設置スケジュールについてお答えいたします。
東西線、東豊線につきましては、現在の車両を改修し車内防犯カメラを設置する計画とし、令和10年度までに東西線、東豊線の全44編成248両に設置する予定でございます。
設置する車内防犯カメラにつきましては、録画機能を有するものとし、改修が容易となるよう車内の照明器具に設置するものとし、女性と子どもの安心車両の設定がない東豊線車両から設置することと考えております。
東西線車両につきましては、車内照明のLED化改修に併せて車内防犯カメラを設置する計画としております。
なお、南北線につきましては、現在の5000系車両の更新に併せて、新造車両に車内防犯カメラを設置する検討を進めているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 東西線や東豊線につきましては、令和10年までに既存の車両に車内防犯カメラを設置する計画であるということ、そして、南北線については、現在の5000系車両の更新に併せて新型車両に設置する検討を進めていくという答弁であったというふうに思います。
経営計画改定の骨子で示された計画を達成し、社会や乗客の要請に合わせ、経営状況も踏まえていただきながら、しっかりと取組を進めていただきたいと思います。
地下鉄の車内防犯カメラの設置に当たっては、個人情報保護の観点から、記録映像の保管、管理に慎重な配慮が求められるところでもあります。
また、市民理解を得るためにも、丁寧な周知も必要と考えるところです。
そこで、質問ですが、個人情報保護に配慮した取組とその考え方についてお伺いをいたします。
◎池田 技術担当部長 個人情報保護に配慮した取組の考え方についてお答えいたします。
地下鉄の車内防犯カメラにつきましては、プライバシーや個人情報保護に配慮し、札幌市防犯カメラの設置及び運用に関する
ガイドラインの内容に準じて管理基準を定めるなど、適正な運用を進めていきます。
また、車内防犯カメラの設置の趣旨を市民の皆様にご理解いただけるよう、丁寧な周知に努め、安心して地下鉄をご利用いただけるよう努めてまいります。
◆丸山秀樹 委員 地下鉄の車内防犯カメラにつきましては、個人情報保護に配慮をいたしまして、札幌市防犯カメラ設置及び運用に関する
ガイドラインの内容も考慮しながら運用を進めるという答弁だったというふうに思います。
ぜひとも、経営計画に合わせて着実に車内防犯カメラを設置し、車内犯罪の抑止と地下鉄を利用する市民の一層の安全・安心の確保に取り組んでいただくことを求めて、地下鉄の車内防犯カメラの設置についての質問は終わりたいと思います。
次に、経営計画の改定版にあります多様な決済方法の研究についてお伺いいたします。
公共交通の多様な決済方法の一つとして、クレジットカードのタッチ決済がありますが、このクレジットカードのタッチ決済は、現金や交通系ICカードを利用することなくクレジットカードによる乗車が可能になることから、特に海外からの旅行者などの利便性が図られ、観光時などの移動がスムーズになるために、サービス向上につながるものと考えられます。
札幌市におきましては、札幌市観光統計データとして、来札観光客数が速報で公表されておりますけれども、2023年度の4月から6月の来札観光客数は約334万人、前年度同時期の期間約267万人から比較すると約67万人が増加して、また、23年度の4月から6月の外国人宿泊者数は約22万7,000人、前年同時期の約5,000人から比較すると約22万2,000人も増加しているということで、インバウンドなどの影響もありまして、観光客は確実に増えてきているというふうに感じるところでもあります。
今後、観光などによる来札客は増加が期待されるところであり、一層、タッチ決済などのニーズは高まっていくものと考えます。
また、全国的なタッチ決済導入の動きとして、インバウンドが主に利用する観光用のバスや路面電車で導入が進められているほか、JR九州や南海電鉄、首都圏の東急電鉄などでも実証実験を開始したとの報道があり、本格導入に向けて検討する事業者は増えてきているところかと思います。
そこで、質問ですが、全国的にタッチ決済の実証実験などの動きが見られますが、交通局としてどのように捉えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
◎川本 事業管理部長 全国的なタッチ決済の実証実験について、交通局としてどのように捉えているのか、お答えいたします。
タッチ決済などの実証実験の導入状況については、JRや私鉄なども含め、広く公共交通機関を対象として情報収集を行っており、特に、他都市の公営地下鉄事業者については、実証実験の手法や効果など、より詳細な内容の把握を行っております。
具体的には、福岡市の地下鉄については、タッチ決済の実証実験を令和4年5月から、当初、全36駅中7駅で開始し、令和5年3月からは対象駅を全駅に拡大したことで、僅か3か月後の6月には利用件数が12万件を超え、現在、国内外の多くの方々に利用されていると聞いております。
ほかにも、神戸市の地下鉄においては、大阪関西万博などによる国内外の来訪者の増加を見据え、令和6年4月から地下鉄全26駅で本格導入すると聞いております。
タッチ決済などの乗車方法については、インバウンドをはじめとする利用者の
利便性向上や地下鉄への利用促進にもつながると考えており、その導入の必要性については認識していることから、今回の経営計画改訂版に記載したところでございます。
◆丸山秀樹 委員 ただいまの答弁からも、交通局でも本当に実証実験をされているところ等の情報収集にかなり当たられているという感覚も得ることができました。タッチ決済の導入の必要性について、かなり認識もされてらっしゃると感じるところでもございます。
現在、地下鉄に乗車する場合、現金のほかにSAPICAやSuicaなどのICカードを利用することとなっておりますが、このICカードの購入やチャージにも現金が必要であり、今後、インバウンドなどの増加により観光客が増えていくことを考えると、タッチ決済などの導入により、現金の使用や両替をすることなくキャッシュレスで乗車サービスを受けられることは、利用客の利便性の向上が図られる、よい取組であると考えます。
また、全国的に、今後さらに多くの事業者で多様な決済方法の検討、導入が進められていくことが予想され、札幌市においてもそのニーズが高まると考えられ、導入に向け検討を進めていく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、実証実験など、タッチ決済導入に向けた具体的な検討を進めていくことが必要と考えますがいかがか、お伺いをいたします。
◎川本 事業管理部長 タッチ決済導入に向けた具体的な検討についてお答えいたします。
交通局といたしましても、インバウンドをはじめとする利用者の
利便性向上は重要と考えており、札幌市デジタル戦略推進局と連携し、タッチ決済等の情報収集や研究を行っているところでございます。
一方、本年9月にデジタル戦略推進局において、民間企業の自由な発想による先進的かつDXにつながる実証実験の提案を受け付ける札幌DXラボが設立されたところでございます。先日、その札幌DXラボに、民間企業から市営地下鉄におけるクレジットカード等を用いたタッチ決済による乗車の提案があったことが公表されました。
交通局といたしましては、この提案内容を受けまして、タッチ決済に係る実証実験の実施時期や規模などの具体的な検討を始めたいと考えております。
◆丸山秀樹 委員 他部局とも連携をしながら、そこで得た情報なんかもしっかり反映させていく取組にしているというお話もいただくことができました。
最後に要望をさせていただきますが、タッチ決済の導入につきましては全国的にも広がりつつありますけれども、タッチ決済以外にも、例えば、JR東日本においては、2024年度下期からQRコードを使用した乗車券による新たな乗車サービスの導入が報道されているところであり、また、顔認証の実証実験をスタートした事業者も出てきております。
公共交通における決済手段が多様化している中、交通局としては、提案のありました実証実験について具体的な検討を進めていただく旨の答弁もありましたが、今まで以上に他の事業者の動きに対してアンテナを張っていただいて、現場をよく知る交通局の職員が現地に赴いて、じかに視察して情報収集に当たることが大変重要であるというふうに私は思います。
このことは、さきにお話をしました防犯カメラを推進するに当たっても必要なことだというふうに考えます。
まず、乗車システムの検討に当たりましては、実証実験の実施により利用状況や費用対効果等を検証した上で、本格導入に向け具体的な手法検討を進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時3分
再 開 午後2時4分
――――――――――――――
○村松叶啓 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2次札幌市産業振興ビジョンについてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎一橋 経済観光局長 札幌市におきましては、札幌市中小企業振興条例に基づきまして、企業、市民、行政が中長期的な視点から産業振興の方向性を共有するための計画として、平成23年に札幌市産業振興ビジョンを策定し、平成28年には、社会情勢の変化に対応するため、札幌市産業振興ビジョン改定版として改定をし、これまで、適時適切に産業振興を進めてまいりました。
しかしながら、昨今におきましては、人口減少や気候変動への対応など、社会経済情勢は大きく変化していることに加えまして、都心の再開発など札幌のまちの転機が控えており、こうした変化に的確に対応しながら札幌経済を持続的に発展させていく必要があることから、次なる10年の産業振興の方向性を示す第2次札幌市産業振興ビジョンを策定することとし、本日はその内容についてご報告をさせていただきます。
詳細につきましては、お手元に配付をいたしましたA3判の資料に基づきまして、産業振興部長からご説明をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◎坂井 産業振興部長 本日は、A3判のダイジェスト版に沿って、概要を説明させていただきます。
まず、資料の1ページ目、右側をご覧ください。
2 札幌市の特徴の中段より下、(3)経済の動向では、1人当たりにおける政令市の市内総生産のグラフを掲載しております。
数値を公表している政令市との比較になりますが、札幌市の市民1人当たりの市内総生産は、全国平均を下回っているほか、他の政令市と比較しても低い水準にございます。
第2産業振興ビジョンでは、この人口1人当たり市内総生産(名目)を数値目標として設定することとしておりますが、詳細は後ほどご説明させていただきます。
1ページおめくりください。
次に、2ページ、資料の右側中段の5 施策展開の方向性をご覧ください。
ここでは、産業振興ビジョン改定版から変更となった主な点として、(2)全産業を高度化するために必要な共通の手法となる横断的戦略について抜粋して説明させていきます。
赤枠で囲っておりますが、第2次産業振興ビジョンでは、持続可能な札幌経済の構築を新たな横断的戦略として位置づけております。
市内経済全体のデジタル化の促進、ゼロカーボンと経済活動の両立、そして、SDGsの取組の推進に横断的に取り組むことで、札幌経済を将来的にわたって持続的に発展させる好循環を生み出してまいります。
続いて、その下の6 数値目標についてです。
先ほど申し上げましたとおり、第2次産業振興ビジョンでは、人口1人当たり市内総生産(名目)を数値目標に位置づけ、令和元年度時点での386万円を令和14年度に430万円に押し上げることを目標としております。
新型コロナウイルス感染の拡大により、令和元年度以降は数値の落ち込みが想定される中、リーマンショック回復期である平成23年度から令和元年度の人口1人当たりの実質市内総生産の平均伸び率である0.8%を上回る年間1.0%以上の上昇を目指すこととしております。
この数値目標に加え、今後10年の間に国における150兆円を超えるGX官民投資の創出の動きや、道内における次世代半導体製造拠点の整備を好機と捉え、北海道、札幌市の強みを生かして、新たな投資の呼び込みや関連産業の集積等、取組を着実に推進いたしまして、幅広い産業分野にその効果を波及させることで、数値目標の早期達成はもちろんのことではございますが、令和14年度には全国平均値を上回る人口1人当たりの市内総生産額の達成を目指してまいります。
続いて、1ページおめくりください。
資料の3ページ、左側の第2編、施策編のリーディングプロジェクトについてご説明をさせていただきます。
このリーディングプロジェクトは、第2次産業振興ビジョンから新たに設けた項目になりますが、これは、従来の各施策を同列で網羅的にお示ししていた産業振興ビジョンから、より札幌らしさを分かりやすく示すとともに、産業振興ビジョンの特徴をお示しできるよう、特に重要な施策群をリーディングプロジェクトと位置づけたものでございます。
令和14年によりよい札幌経済の姿を描くためには、札幌の最大の魅力である観光、食を国内外に発信することで交流人口を増加させ、人、物、資金、情報といった資源の活発な流通を起こし、それらを活用するスタートアップ等によって創出されるイノベーションがさらなる経済成長を推進する鍵となると考えております。
このことから、観光、食、スタートアップの施策群をプロジェクトに位置づけ、各施策相互に連携を図りながら、持続可能な経済成長の実現を目指してまいりたいと考えております。
このリーディングプロジェクトについては、重点分野や横断的戦略で示す施策と異なる施策というものではなく、各プロジェクトを軸に効果的な施策展開を行うものとお考えいただければと思います。
また、リーディングプロジェクトに加えて、ページの右上になりますが、札幌経済の成長を促進させる重要な要素として、グロースファクターズという項目を掲げ、GXに加え、千歳市へのラピダス進出に伴う半導体関連産業の集積に向けた取組を着実に推進していくことで、新たな投資の呼び込みや関連産業の集積を図り、地域全体の発展につなげていくという札幌市の姿勢をお示ししております。
続いて、2、重点分野の振興施策と次のページの3、横断的戦略の推進の構成についてですが、重点分野についてはその分野ごと、横断的戦略については柱ごとに現状と課題を整理し、それらを踏まえた取組の方向性を基本施策にまとめ、本書には基本施策に関連する主な事業を掲載しております。
3ページの重点分野については、現行のビジョンからの変更点として、従来、重点分野に環境エネルギー分野を設定しておりましたが、国内外において脱炭素に向けて動きが進んでおり、持続的な企業活動を行う上では環境問題の取組が全産業横断的に必要であることから、横断的戦略のうち、新たな柱としてゼロカーボンと経済活動の両立を位置づけ、その中で取り組んでいくこととしております。
続いて、次の4ページをご覧ください。
3、横断的戦略の推進については、先ほど申し上げましたが、持続可能な札幌経済の構築を新たな戦略として位置づけ、全産業横断的にデジタル、ゼロカーボン、SDGsに取り組むことで、社会課題の解決をエンジンに、市内経済全体で持続可能な経済活動に取り組んでまいります。
○村松叶啓 委員長 それでは、質疑を行います。
◆三神英彦 委員 今年、第3回定例議会の代表質問における第2次札幌市産業振興ビジョンに関する質疑の中で、札幌市の人口1人当たりの市内総生産が全国平均を下回っているという状況において、ラピダスの進出だとか、GX、それから、環境投資への動きを素早く捉え、産業政策を打ち出していくことが肝要であるという観点を踏まえて、札幌市が特に重点的に取り組む施策について質問したところです。
それに対し市長からは、経済社会システム全体の変革となり得るGXなどを絶好の機会と捉え、国内外からの新たな投資を呼び込むことで強靱な札幌経済の構築を目指すという答弁がありました。
これを受けて、本委員会で報告された第2次札幌市産業振興ビジョンでは、GXの推進や半導体関連産業の推進に向けた取組を通して、札幌の地域経済全体の発展につなげていくことが打ち出されたものと考えられます。
加えて、このGXの推進や半導体関連産業の集積などにより、数値目標である人口1人当たりの市内総生産430万円の早期達成はもちろんのこと、全国平均を上回る人口1人当たりの市内総生産額を目指していくということを示しました。
質問ですが、全国平均を上回るという目標に関し、札幌市の経済成長の見込みをどのように考えているのか、お伺いします。
◎坂井 産業振興部長 目標達成に向けた札幌市の経済成長の見込みについてお答えいたします。
目標の達成に向けては、今後、全国の成長率を上回る経済成長が必要となりますが、そのためには、これまでの札幌経済の成長を牽引してきた重点分野の振興に加え、GXの推進や次世代半導体製造拠点設置に伴う新たな投資の積極的な呼び込みにより、関連産業の集積や成長を進めることが重要だと考えております。
また、GXについては、今後10年間で150兆円を超える官民からの投資が見込まれておりますが、そのうち、札幌、北海道には、おおよそ4分の1に相当する40兆円の投資を呼び込むことを目指しております。
これらは、令和元年度の札幌市の市内総生産額が約7.6兆円であることからも、札幌経済の成長に対し、非常に大きなインパクトを与えるものと考えております。
こうした新たな成長機会による経済効果をしっかりと取り込み、地域経済全体を発展させることで、全国の成長を上回る経済成長を目指し、第2次札幌市産業振興ビジョンにおける目標を達成していきたいと考えております。
◆三神英彦 委員 今後見込まれるGX関連の話、それから、ラピダスの話ですね。非常に波及効果が高いものと考えられますが、今後、これらの分野に参入、もしくは、そこから育っていって、今度は新規参入者を牽引するという人材が必要不可欠になるということですね。
第2次札幌市産業振興ビジョンでは、横断的戦略において、国内外からの人材確保を掲げています。海外からの高度な人材ももちろん必要ですが、国内、とりわけ札幌市内の人材育成にも両輪として取り組む必要があると思います。
質問ですが、GXなど新たな分野を含め、札幌経済を牽引する人材をどのように育成、獲得するのかを伺います。
◎坂井 産業振興部長 札幌経済を牽引する人材の育成、獲得についてお答えいたします。
委員がご指摘のとおり、GXの推進やラピダスの関連産業の集積だけではなく、これから波及する幅広い産業を含めた経済成長を支える人材の確保は重要な課題と認識しております。
そのため、人材の確保に向けては、道外、海外からの積極的呼び込みに加え、ITをはじめとした重点分野の発展を支える人材や国際的に活用できるビジネス人材の育成を図ってまいります。
また、GXの推進におけるTeam Sapporo−Hokkaidoや、次世代半導体製造拠点の設置に関する北海道半導体人材育成等推進協議会などの構成員である国、北海道、大学、金融機関や関係機関ともしっかり連携し、札幌経済を牽引する分野を支え、リードできる高い専門性を持った人材を育成、確保してまいりたいと考えております。
◆三神英彦 委員 GXという投資の市場という話になると、実際に札幌にどれだけのお金的なものを呼び込むかという部分に関しては、そこもテクニックが要るのではないかなというふうに思います。
それから、リーディングプロジェクトのところで、プロジェクト1、2、3とあるのですけれども、南区に住んでいると、これは1人の人が1、2、3を全部やるというイメージを持つのです。今、南区は、果物も野菜も、それこそ余市や仁木と同じぐらい、いい感じで育つわけです。そうすると、1人の人が、午前中は農業をやります、午後はそれこそITやGXといったパソコン仕事でお金を稼ぎます、それから、冬になったら、今度はスノーリゾートでの、どれぐらい貢献するかはあれですけれども、除排雪ですね。今、人が少ないですから、そこに対していろいろな人がそれもやりますということで、1人の人が、本業一つではなくて幾つもの仕事を掛け持つことで、かえって、その人にとって、一つの仕事をやるよりも年収が増えるということが南区では可能なのではないかというふうに思いますので、1人1業種というところから脱却したところで考えていただけたらと思います。
それからもう一つ、この間、
経済観光委員会の市内視察でセガさんに行きました。お話が出ていたのは、札幌の人、学生を採りたいと思っても、採れないという話がありました。その一つには、専門学校は2年制が多いという話も出ていました。本州は4年制が多い中で、セガさんを受けたいといったときに、しっかり準備万端整えてくる学生と、1年たったらもう就活しなければいけない2年制の学生という部分で、ひょっとしたら機会の喪失があるのかもしれないのです。
そういったところを包括的に捉えて、本当に札幌の学生たちが未来の人材になるように、いろいろなところに目を光らせながらやっていきましょう。よろしくお願いします。
◆森基誉則 委員 私からは、第2次札幌市産業振興ビジョンにおけるクリエーティブ分野にフォーカスして、今後の産業振興の方向性について質問をさせていただきます。
私は、これまで、ゲーム産業に関連するイベントにも関わってきたことなどから、クリエーティブ産業振興に関する思いもありまして、本市議会議員として市民からの負託を受けて以降、2回の定例会の委員会質疑において、クリエーティブ産業の振興に関する質問をさせてもらいました。
札幌市がこれまでクリエーティブ産業に係る人材育成や開発支援などに取り組んできた結果、多方面で活躍するクリエイターが育ってきたほか、クリエイターと市内企業の協業体制の構築も進んできているものと考えています。
それらの成果を測る指標として、札幌市では、ITやコンテンツを活用して高付加価値化を考えている企業について調査を行っていますが、2022年度の調査で33.6%となっており、その10年前の2012年からは10ポイント以上増加していました。
この結果、正直、まだ若干物足りないと感じる部分はあるのですが、企業がデザインやコンテンツなどを経営に取り入れようとする考えが着実に浸透してきているものであり、それは、産業振興ビジョンのベースで実施してきた各種施策の一定の成果であると言えるのではないでしょうか。
そういった動きを踏まえまして、今後一層、クリエーティブ産業の振興に注力していただきたいと考えていたところを、第2次札幌市産業振興ビジョンでは、前ビジョンでも重点分野であったIT、クリエーティブがそれぞれ独立した分野として産業振興を進めることになっていました。
そこでまず、質問です。
第2次札幌市産業振興ビジョンにおいて、クリエーティブ分野を引き続き重点分野とした理由、また、ITとクリエーティブに分けた理由について伺います。
◎坂井 産業振興部長 クリエーティブ産業を重点分野とし、かつ、ITと分けた理由についてお答えいたします。
札幌には、クリエーティブ産業が集積していることに加え、今後、市場の拡大が見込まれる分野であり、さらに他産業との融合により新たな価値を創出する可能性があることから、引き続き重点分野として産業振興に取り組むところでございます。
次に、ITとクリエーティブ産業を分けた理由についてでございますが、IT分野は情報通信技術の開発促進による競争力向上、クリエーティブ分野はクリエイター人材の育成とコンテンツ開発支援など、施策の対象が異なることから、それぞれの分野を独立させ、重点的な支援に取り組むことが必要と判断したところでございます。
昨今のデジタル化の進展や趣味嗜好の多様化、
新型コロナウイルス感染の拡大などにより、両産業分野の市場は拡大したところであり、さらなる成長に向けて支援を続けてまいりたいと考えております。
◆森基誉則 委員 クリエーティブ産業の今後の成長性や他産業との融合による新たな産業創出の可能性があり、継続的、重点的な支援が必要であることから重点分野として設定したというお話で、非常に心強い、力強い答弁をありがとうございます。
この答弁にもあったとおり、クリエーティブ産業は他産業との連携可能性が高いものであり、私はその中でも特に食産業との連携に注目しています。
今年7月の第2回定例市議会議案審査特別委員会で、私から、食産業とコンテンツ産業の振興について、それぞれ質問をさせていただきました。札幌市からは食のイノベーションの推進により札幌の地域特性を生かした新たな食産業を創出する旨の答弁をいただきまして、私からは、国内外から食のプレーヤーを引きつけられるような魅力や環境の構築をお願いしたい旨をお伝えしたわけなのですが、魅力や環境の構築においては、食のブランディングという観点が非常に重要であり、そのためにはクリエーティブ産業の活用が不可欠と考えています。
第2次札幌市産業振興ビジョンにおいては、引き続き、食を重点分野に設定しただけではなく、新たに設けたリーディングプロジェクトの一つとして、美食のまち・さっぽろに取り組むこととし、その中で食に関する映像等のコンテンツを活用した魅力づくりを掲げるなど、クリエーティブと食の有機的な連携を期待しているところです。
そこで、質問です。
第2次札幌市産業振興ビジョンにおいて、今後の成長が見込まれるクリエーティブ産業と札幌の強みである食産業がどのように連携した取組を行っていくのか、伺います。
◎坂井 産業振興部長 食産業との連携についてお答えいたします。
委員がご指摘のとおり、食産業とクリエーティブ産業の連携は重要であると認識しており、両産業の連携により、食を通じてまちの魅力やブランド力を磨き、新たな産業創出やイノベーションを推進することで、札幌市の産業全体への付加価値創出を目指してまいります。
そのための取組として、食に関する映像等のコンテンツを活用した魅力づくりなどに取り組むほか、食の魅力を生かした付加価値向上に向け、デザインやマーケティングなどの多岐にわたる専門人材を企業に派遣することなどにより、企業のブランド力向上を図ってまいります。
さらに、デザインを活用した経営の導入を支援し、デザインへの投資を促すことで、食産業とクリエーティブ産業の双方同時の成長につながるような取組を進めてまいりたいと考えております。
◆森基誉則 委員 札幌市といいますと、第3次産業の割合が高いというのは周知の事実だと思うのですけれども、持続可能な本市経済の成長には、これまでも、そして、これからも、札幌の強みである食がクリエーティブ産業の力によってブランドをより向上させ、新たなイノベーションを創出することで企業競争力をつけていくことが重要だと考えています。
食だけではなく、リーディングプロジェクトとして取り組む観光やスタートアップにおいても、その成長にはクリエーティブの力が不可欠です。今後とも幅広くクリエーティブの力を活用していくために、人材育成も含めて、クリエーティブ産業の活性化に努めていただきたいと要望しまして、産業振興ビジョン関連の質問を終わります。
◆小口智久 委員 私からは、本ビジョンにおける横断的戦略のうち、持続可能な札幌経済の構築について質問をいたします。
先ほど説明がありました本ビジョンには、新たな経済成長の原動力をつくり出す五つの重点分野の振興と、全産業を高度化させるために必要な横串である横断的戦略の推進がございます。
横断的戦略の中には、今回新たに持続可能な札幌経済の構築という項目が設けられており、具体的には、札幌経済におけるデジタル化の推進、ゼロカーボンと経済活動の両立、札幌経済におけるSDGsの取組の推進の三つの柱が挙げられております。
とりわけ、ゼロカーボンとSDGsの推進については、我が会派がこれまで重要課題と考え、議会で何度も指摘してきたところであります。
そこでまず、質問ですが、持続可能な札幌経済の構築を新たに加えた理由について伺います。
◎坂井 産業振興部長 持続可能な札幌経済の構築を設けた理由についてお答えいたします。
社会経済情勢の変化によるエネルギー転換の必要性の高まりや、ゼロカーボンに向けた取組を進める中で、これまで経済成長と相反するものとして捉えられていた環境問題等への対応は、経済活動においても重要な要素であるものと認識をしております。
また、企業が製品やサービスを調達する際には、環境的、社会的、経済的な持続可能性の観点を考慮するなど、SDGsへの取組が取引条件の一つとして求められる状況になってきているところでございます。
ゼロカーボンの推進をはじめ、社会課題の解決に向けた取組を継続することが将来にわたって札幌経済を持続的に発展させる好循環を生み出すものと考えられることから、持続可能な札幌経済の構築を新たな戦略として位置づけたものでございます。
◆小口智久 委員 市内企業による経済成長と環境問題を両立した取組やSDGsに向けた取組の推進によって、持続可能な札幌経済の発展につなげていくとのことで、そのとおりと私も考えるところでございます。
今後、千歳に次世代半導体の製造拠点、石狩、苫小牧市にデータセンターなど、大量の電力消費を伴う施設の設置が計画されておりますが、その使用電力として再生可能エネルギーを念頭に置くなど、まさに経済成長とゼロカーボンを両立させる動きがあることや、人口減少の局面を迎え、市場規模の縮小や人手不足が進み、社会経済情勢の不確実性の高まりを踏まえますと、各企業がSDGs経営に取り組み、様々な経済活動を持続可能性の観点から考え直していくことが今後の札幌経済を構築するに当たって不可欠と考えます。
一方、本ビジョン策定のための基礎調査として実施した1万社アンケートでは、市内企業がゼロカーボンに取り組む上でどのレベルまで対応が必要か分からないといった回答や、取り組むためのコストが高いという回答があり、課題に対応する必要性の理解はありつつも、そのノウハウや対応コストに関し、一歩踏み込めていない感じがあります。
COP28では、温暖化による健康被害について初めて審議されるなど、脱炭素対策の緊急性と重要性が改めて認識されたところであります。
また、札幌市が本年2月に実施した企業経営動向調査によりますと、企業活動において何らかのSDGsに関連する事項に取り組んでいると回答した企業は50.6%でした。
さらに、その意識を確認したところ、企業の社会的責任として重要であると回答した企業は71.5%に上るものの、新規事業の創出につながると回答した企業は14.6%にとどまっておりました。
このことから、各企業は、CSRの一環としてSDGsに取り組んでいるものの、SDGsへの取組自体が企業の経営改善に結びつくという認識はまだ弱いと思われます。
SDGsの目標自体は社会的ニーズでありますので、製品開発のヒントにもなります。製品化までの考え方や成功事例などを積極的に発信することが今後も重要ではないかと感じるところでございます。
そこで、質問ですが、第2次札幌市産業振興ビジョンにおいて、持続可能な札幌経済に掲げるゼロカーボンやSDGsの推進についてどのように取り組んでいくものとしているのか、伺います。
◎坂井 産業振興部長 ゼロカーボンやSDGsの推進の取組についてお答えいたします。
市内企業がゼロカーボンやSDGsに向けた取組を進めることは、経営基盤の強化のほか、企業の競争力強化にも寄与するものと認識しております。
まず、ゼロカーボンに関しては、省エネ、再エネ設備の導入に係る融資や補助制度のほか、ゼロカーボンに資する新たな製品、技術の開発への補助等により、新たな需要拡大や技術革新を促進してまいりたいと考えております。
また、SDGsに取り組む企業を見える化するSDGs企業登録制度や持続可能な観光の推進、SDGsの実現に寄与する商店街の取組などの支援等を通じまして、SDGs経営の普及啓発や新たにSDGsに取り組む企業が生まれる好循環を生み出してまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員 本ビジョンの計画期間中にSDGsの達成目標である2030年を迎えることになりますので、今後は、より一層、ゼロカーボンやSDGsへの取組を加速化していくことは喫緊の課題と考えます。
また、一定の経済成長や利便さを維持しつつもエネルギー消費を減少する、いわゆるデカップリング、経済成長とエネルギー消費を切り離すことの実現も必要と思われます。
資源エネルギー庁のデータより、これまで我が国は石油を2リットル使用することで1万円の付加価値を得てきたという歴史がございますが、転換していかなければなりません。これらの取組は、重点分野で定める業種だけではなく、札幌で事業活動を営むあらゆる企業が意識していかなければならないことから、幅広く周知・啓発に取り組んでいただくことを要望して、私からの質問を終わります。
◆太田秀子 委員 私から、2点質問をさせていただきます。
第2次札幌市産業振興ビジョンにおける産業振興の目的は、前産業振興ビジョンと同じように、雇用の場の確保・創出と企業・就業者の収入増加となっています。
これらの目的を達成するためには、胆振東部地震ですとか
新型コロナウイルス感染症といった有事の際への対応も考えておく必要があると思います。
コロナ禍のとき、職を失ったですとか、事業所がなくなったですとか、ああいうことはこの目的に逆行してしまうようなことになりましたので、特に本市の地域経済や雇用を支えています中小・小規模事業者の方への事業継続支援は欠かせないと強く思ったところです。
そこで、伺います。
第2次札幌市産業振興ビジョンでは、中小・小規模事業者の自然災害や感染症といった際の事業継続支援にどのように取り組んでいくのか、伺います。
◎坂井 産業振興部長 有事の際における事業継続支援についてお答えいたします。
北海道胆振東部地震や
新型コロナウイルス感染症の感染拡大といった未曽有の事態は、市内企業の事業活動に大きな影響を与えたものと認識をしております。加えて、国際情勢の悪化等に伴う物価の高騰といった社会経済情勢の不確実性が増す昨今においては、想定外のリスクにも耐え得る適応力を高めることが不可欠であると考えております。
第2次産業振興ビジョンにおいては、有事の際でも企業が事業活動を継続できるよう、円滑な資金調達による経営基盤強化のみならず、セミナーの実施や札幌市
中小企業支援センターにおける経営相談を通じて、引き続きBCPの策定や事業の再構築の取組を支援してまいりたいと考えております。
◆太田秀子 委員 そのような有事が発生しますと、
新型コロナウイルス感染症の際の例を見るまでもなく、やはり、そういう中でも一番影響を受けたのが非正規雇用の方たちでした。一番にお仕事がなくなりました。特に、本市における非正規雇用者は、不本意非正規雇用者の割合がほかの政令市と比較しても高水準となっていることは、このいただいた資料の中にも示されています。地域経済の活性化のためには安定した雇用の確保は欠かせませんから、正規雇用を望む方への支援が必要だと考えます。
そこで、伺いますけれども、第2次札幌市産業振興ビジョンにおいては、正規雇用を望む非正規雇用の方への支援についてどのように取り組んでいくのかを伺います。
◎坂井 産業振興部長 正規雇用を望む非正規雇用の方への支援についてお答えいたします。
求職者一人一人が希望する形での就職を実現することは、就労者にとって仕事の満足度向上に寄与することに加え、企業の人材供給にもつながることから、札幌経済の活性化のために重要なものと認識をしております。
就業サポートセンターにおいては、職業相談やスキルアップ講座などを通じて、求職者のニーズに合わせた就労支援サービスの提供を実施しているところでございます。
加えて、ワークトライアル事業では、正規雇用を望む非正規雇用の方に対して、座学研修や職場実習を通じて多様な職業観の涵養をするとともに、就職のミスマッチを防止することで安定した雇用の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
◆太田秀子 委員 ビジョンでは、経済の動向について、先ほどの説明にもありましたけれども、市民1人当たりの市内総生産が全国平均を下回り、市民所得についても他の政令市と比較して低水準であること、また、雇用、労働の動向では、就業率の政令市比で65歳以上の高齢者は最下位でしたし、女性は低水準です。市内企業の生産性も政令市と比較しますと低い、このような現状や課題が出されています。
私は、第2次産業振興ビジョンの雇用の場の確保・創出と、企業・就業者の収入増加、この目的が達成されることこそが、本市の安定した人材確保ですとか地域経済の底上げにつながるものと考えているところです。その達成のために、必要な場合は検証もしながら進めていっていただきたいということを求めて、質問を終わります。
◆山口かずさ 委員 私からは、札幌経済を担う人材への支援についてお伺いします。
まず、中小企業における人材確保への支援についてお伺いします。
報告を受けた第2次札幌市産業振興ビジョンでは、重点分野や横断的戦略において、様々な成果指標を設定しています。この成果指標を達成し、持続的に札幌経済を成長させていくには、経済活動の源となる人材の確保とその成長が不可欠であり、第2次札幌市産業振興ビジョンでも、横断的戦略の一つとして、札幌経済を担う人材への支援を掲げています。
札幌市では、大学や専門学校への進学時期や就職時期と重なる15歳から24歳の年齢層において、道内から札幌市への転入者が増加する一方で、20歳から29歳の年齢層においては、大学や専門学校等を卒業するタイミングで首都圏などに就職することなどから、ほかの年代と比べて道外への転出数が多くなっています。
少子化の進行や生産年齢人口の減少に加えて、道外への転出超過という課題に直面する状況において、市内の企業、とりわけ中小企業においては、経営上の問題として、私も様々な業種の方々と意見交換をしていますが、人材確保を掲げる企業が本当に多くて、人手確保対策は喫緊の課題です。
そこで、質問です。
市内中小企業における人材確保支援についてどのように取り組んでいるのか、お伺いします。
◎坂井 産業振興部長 中小企業における人材確保への支援についてお答えいたします。
第2次札幌市産業振興ビジョンの策定に当たって、市内企業に実施したアンケート調査では、市場の将来展望を踏まえた必要な対応策として、人材の育成、確保を掲げた企業が4割強で最も高くなっており、市内中小企業の採用力強化、人材確保への支援は重要であると認識をしております。
人手不足の状況において、市内中小企業が事業に必要な人員を確保するための人材コンサルタントの専門家派遣による採用力強化や、合同企業説明会の実施等により、必要な人材の確保、採用につなげてまいりたいと考えております。
また、市内中小企業に対して、就職活動時に多くの大学生が利用する民間就職支援サイトに情報を掲載する支援を行うなど、将来札幌経済を担う若者の地元企業への就職に取り組んでまいりたいと考えております。
◆山口かずさ 委員 市内中小企業に対する採用支援や地元学生に対する市内中小企業への就職促進事業を行うということで、その取組を注視していきたいと思います。
次に、女性の活躍推進についてお伺いします。
20歳から29歳の男女においては、就職を理由として道外へ転出する方が多いですが、一方で、女性においては同様に就職などを理由として、道内から札幌市に転入される方が一定数います。そうした傾向などから、札幌市では20歳以上の人口において女性の人口が占める割合が高くなっています。
その一方で、女性の就業率は、全国の政令都市と比較して低い水準となっていますが、就職活動を行わない理由の一つとして、出産、育児によるものが高い状況です。
少子化の進行、生産年齢人口減少の状況下において、市内中小企業が人材確保を進める上では、女性が活躍できる場の確保が非常に重要です。
そこで、質問です。
子育て中の女性や結婚・出産後も働き続けることを希望する女性に対して、どのような支援に取り組んでいくのかをお伺いします。
◎坂井 産業振興部長 女性の活躍の推進についてお答えいたします。
子育てをしながら就職活動や就労に不安や悩みを抱える女性や、結婚・出産後も働き続けることを希望する女性に対して、多様な働き方を提示し、個々に寄り添った支援を継続していくことが重要であると考えております。
札幌市では、ここシェルジュSAPPOROにおいて、キャリアカウンセラーによる就職支援や在宅ワークに関する相談に対応しているほか、仕事と育児の両立に関するセミナーを実施するなど、就労を希望する女性が安心して働けるためのサポートを行っているところでございます。
また、そうした就労者を受け入れる企業に対しても、個々のライフスタイルに応じた多様な働き方を取り入れることができるよう、テレワーク導入への補助や、働き方の相談窓口を設置し労働環境の改善を進めることで、女性の活躍や人材確保・定着を支援してまいりたいと考えております。
◆山口かずさ 委員 現行の出生率などを鑑みると、人口減少局面は、当分の間、続くものと考えられます。
そんな中でも札幌経済を成長させていくには、現在働いていない方の再就職への取組や、既に働いている方に対するキャリアアップ支援などによる労働生産性の向上が必要です。
女性を含めた多様な人材の活躍には、労働者、使用者の双方がその役割を理解して協力していくことが重要なので、引き続き、働くことを希望する方それぞれのニーズに沿った施策に努めていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、第2次札幌市観光まちづくりプランについてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎青山 観光・MICE担当局長 現在策定中の第2次札幌市観光まちづくりプランにつきましてご説明をさせていただきます。
第2次札幌市観光まちづくりプランにつきましては、平成25年度に策定した前プランの計画期間が令和4年度で終了しましたことから、次の10年間の観光に関する取組の方向性を示す計画として策定を進めているものでございます。
プランの位置づけとしましては、札幌市の長期的な総合計画であります第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンの基本的な方向性に沿った個別計画であるとともに、先ほどの案件にございました第2次札幌市産業振興ビジョンの観光分野の個別計画という性格を持つものでございます。
それでは、内容の詳細につきまして、観光・MICE推進部長から説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
◎北川 観光・MICE推進部長 お手元の資料、第2次札幌市観光まちづくりプランに沿ってご説明いたします。
まず、資料左上のプラン策定の背景と目的です。
観光を取り巻く情勢や観光振興の方向性をまとめております。
国では、今年3月に観光立国推進基本計画を策定、観光の質的向上を象徴する持続可能な観光、消費額拡大などをキーワードに、持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復などに取り組むとしており、より質の向上を重視した観光への転換が求められております。
経済的側面からは、高い付加価値の提供、滞在日数の長期化により、1人当たりの消費単価を増やすこと、社会的側面からは、環境負荷の低減、市民生活にも配慮した観光まちづくりを進めていくことが重要です。
そのためには、適切なマネジメントを行うための体制、財源の充実などに取り組み、持続可能な観光地経営を推進していく必要があります。
次に、観光振興の意義について、まずは、経済的側面から、1高い経済効果、2成長性、3人口減少期における重要性を記載してございます。
2成長性の表をご覧ください。
平成22年度から30年度にかけて、市内総生産は6.3兆円から7兆円に11.7%増加、同じ期間に観光GDPは2,500億円から4,200億円に69.2%増加しています。観光は、札幌の経済成長を牽引する産業であるとともに、今後も国際観光市場の拡大が見込まれることから、成長性の高い分野であると考えております。
3人口減少局面では、国内外から人を呼び込み、消費を獲得できる観光の重要性はさらに高まります。
4観光振興は、施設やイベントの充実など、市民にとっても過ごしやすい魅力的なまちづくりに貢献、市民の愛着や誇りの醸成につながるものと考えております。
5異なる文化の市民理解の促進や市民の創造性にも好影響を与えるものと考えてございます。
次に、第2章 将来ビジョンですが、「North Capital Backed by Nature 大自然とともにある北の首都」としております。
札幌は大自然を有する北海道の首都であり、大自然への接点、ハブであることや、札幌のまち自体も都市観光の魅力を楽しめるなど、札幌の特徴、魅力を表現しており、今後、札幌が獲得すべきブランドイメージを表しております。
また、旅行者、事業者、市民、地域という四つの主体から目指す姿も設定してございます。
次に、資料の右上、第3章 現状分析です。
入込客数と観光消費額の推移のグラフですけれども、コロナ禍前のピークだった2018年度を赤色で囲ってございます。
入込数1,585万人のうち、海外客は濃い青色の部分で272万人、全体の約2割、一方、右側の観光消費額5,780億円のうち、濃い青色の海外客は2,871億円、約5割を占めてございます。単価の高い海外客誘致の重要性が表れています。
その一方、リピーターが7割を占める安定的な国内客も大切であり、国内外問わず、高付加価値化、滞在日数の長期化を図り、単価を向上させていくことが重要であると考えております。
次に、来札観光客入込数について、夏が多く、冬が少ない、このデータをグラフ化したものでございます。
繁閑差が観光産業の安定性が低い理由の一つでございます。
しかし、その下の増減率のグラフをご覧ください。
夏よりも冬の伸びが大きく、特に、濃い青色の海外客の伸びが著しく、このため、繁閑差が縮小していたことを示しております。
このデータから、海外客の誘致は閑散期の底上げの面からも重要であります。
次に、第4章 施策展開です。
ソート分析を行い、強みとしましては、明瞭な四季、食の魅力、パウダースノー、高い満足度など、一方、弱みとしては、繁閑差のほか、消費単価の伸び悩みがございます。観光消費額は観光客の増加によって伸びてきましたが、1人当たりの単価は伸びておらず、課題の一つでございます。
また、2次交通に対する満足度の低さ、こちらは、郊外の観光スポットが遠く、移動に時間がかかる、交通機関で行ける場所が限られているといった声がアンケート結果からうかがえます。
次に、機会です。
国際観光市場の拡大はもちろん、国による観光地域づくりへの様々な支援が行われていることもチャンスです。
次に、脅威です。
国内市場の縮小、MICE誘致競争の激化、持続可能な観光に対する意識の高まりなどを挙げております。
次のページに参ります。
施策の実施に当たりまして、重視すべき横断的視点、実施すべき施策を整理してございます。
まず、横断的視点です。
視点1、持続可能な観光の実現です。
持続可能な観光は、環境やサステーナビリティーへの関心の高まりから、全てに通じる根底的な理念として浸透を図ることが重要です。
次に、視点2の量から質への転換、視点3の観光需要の平準化、これらは観光産業の発展に不可欠と考えております。
このほか、リピーター獲得につながる観光客満足度の向上、生産性や観光客の
利便性向上に向けたデジタル技術の活用も挙げてございます。
次は、施策と具体的な取組についてです。
方向性1、札幌・北海道の魅力を生かしたコンテンツの充実と付加価値の向上では、冬季の誘客、長期滞在が期待できるスノーリゾート、また、欧米豪中心の富裕層に人気が高いアドベンチャーツーリズムなどを推進してまいります。
次に、方向性2、戦略的な誘致活動の推進では、マーケティング、市場分析を強化し、コンテンツ造成、プロモーション、受入れ環境整備を一体的に展開してまいります。
方向性3、誰もが快適に過ごせる受入環境の整備とおもてなしの向上では、外国人観光客の受入れ環境整備として、ベジタリアンなど多様な文化、習慣への対応を行うほか、多言語対応やハイグレードホテルの誘致について進めてまいります。
次に、方向性4、MICEの推進では、観光閑散期における誘致を推進するとともに、受入れ体制強化のため、新MICE施設の整備を含めた施設機能の強化を検討いたします。
最後に、方向性5、持続可能な観光地経営の推進では、DMOの設立を含め、推進体制の強化、宿泊税の導入、観光人材の確保、育成などを進めてまいります。
次に、第5章 成果指標です。
経済効果に関する指標として、総観光消費額1兆円を目標に掲げるとともに、リピーター獲得、持続可能な観光の観点などから、観光客満足度、市民満足度を成果指標として掲げてございます。
最後に、第6章 推進体制の強化に向けてです。
本プラン策定のため、令和4年度に開催いたしました有識者会議におきまして、推進体制の強化を求めるものとして、DMOの設立が必要との提言がなされました。
現在、具体的な検討を進めているところですが、設立の目的を地域の集客、収益の最大化とし、観光関連事業者等の強固なネットワーク構築、専門人材による情報の収集・分析、分析に基づく効果的・効率的な企画立案、臨機応変でスピード感のある対応などの効果を上げられる組織を目指したいと考えてございます。
○村松叶啓 委員長 それでは、質疑を行います。
◆三神英彦 委員 私からは、総観光消費額の目標値について伺います。
政府においては、3月に閣議決定した観光立国推進基本計画において、人口が減っていたり、少子化、高齢化が進む我が国においては、観光は今後とも成長戦略の柱であり、地域活性化の切り札であるとしており、我が国の経済発展のため、国を挙げて観光振興に取り組むということになっています。
本市においては、今回のプランの第1章 観光振興の意義の中で人口減少局面における市内消費減少への対応として観光消費拡大の重要性に言及していますが、観光は、市外、国外から消費を獲得できる、言わば外貨を稼ぐための産業であり、札幌経済にとっても今後ますます重要度は増すものと考えています。
プランの都度設定している総観光消費額について、前回プランの推移を見ると、2012年度は3,743億円、コロナ禍前のピークである2018年度には5,780億円となっており、54%の伸び率でしたと、今回のプランでは総観光消費額の目標値を1兆円としているのですが、基準値である2018年度からの伸び率は73%となり、前回プランの期間中の伸びを大きく上回る目標設定になっています。
質問ですが、札幌市はこの1兆円という目標値をどのように達成しようとしているのか伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 目標値をどのように達成しようとしているのかにお答え申し上げます。
観光消費額は、観光客数と、観光客1人当たりの観光消費単価を掛け合わせた総額であることから、札幌市の観光消費額を増加させるためには、この二つの要素について、今後の市場の動向を踏まえて取組の方向性を定めていくことが重要でございます。
まず、観光客数について、国際観光の需要は、世界の人口増加と経済的な発展により、今後も拡大が見込まれます。一方、国内の観光事業については、人口減少、超高齢化の進展とともに、大幅な増加は見込めないものと考えられるため、海外客の誘致を強化しながら、国内客はリピーター獲得に向けた取組を推進してまいります。
さらに、1人当たりの観光消費額単価を向上させるためには、宿泊、飲食、アクティビティーといった消費そのものにおける付加価値の向上と滞在日数の長期化が重要であり、こうした考え方に沿った取組を強化してまいりたいと考えております。
このように、観光客数という量を確保しつつ、より質の向上を重視した施策の展開を図ることによりまして、総観光消費額の目標値1兆円を達成してまいりたいと考えてございます。
◆三神英彦 委員 そうなんですけれども、その産業だとか企業においても、単価を上げるということに関しては、本当にいろんなところが苦労しながら進めていることだと思います。このため、札幌市としてターゲットをしっかり定めた上で戦略的に施策を展開していくことが重要だと思います。
次の質問ですが、観光消費額の単価を向上させていくため、どのようなターゲットに対してどのような施策を展開していくのか、伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 観光消費額単価向上のため、どのようなターゲットに向け、どのような施策を展開していくか、お答えいたします。
観光消費額の単価向上に向けたターゲットとしては、国内客と比較しまして1人当たりの観光消費額が4倍近い海外客の誘客が重要であると分析しております。
とりわけ、札幌市を訪れる海外客は、全国と比べ、アジアからの割合が多く、欧米豪の割合が少ないという傾向を鑑み、地域的な偏りによるリスクを軽減する観点からも、特に滞在日数が長い欧米豪の観光客について誘致を強化してまいります。
具体的な施策としては、欧米豪の観光客のニーズが高く、かつ、本年9月のATWS2023の開催により、世界から北海道、札幌へ注目度が高まっているアドベンチャー・トラベルを推進する考えでございます。
さらに、パウダースノーを強みとするスキーをはじめとした冬の魅力、夜景やイベント、多様な食などの都市観光を組み合わせた札幌ならではのコンテンツの磨き上げは、欧米豪の観光客に対する訴求力を高めることにもつながることから、スノーリゾートシティSAPPORO推進戦略に基づく取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
◆三神英彦 委員 単価の向上に向けて海外客の誘致を強化するというのは分かりました。一方で、コロナ禍前の2018年の実績では、客数でいくと8割が国内客でしたということですね。絶対数の多い国内客の誘致にも引き続き注力すべきで、安定的な集客を維持するためには国内のリピーター獲得も重要です。
質問ですが、国内客のリピーター獲得に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
◎北川 観光・MICE推進部長 国内客のリピーターの獲得に向け、どのように取り組むのか、お答えいたします。
リピーターの獲得に向けましては、多様なニーズに対応した受入れ環境の整備、おもてなしの向上によって満足度を高めるとともに、観光地としての魅力向上により、観光客がまた来たいという再訪意欲を高めることが必要不可欠であると認識してございます。
まず、受入れ環境の整備につきましては、観光客の満足度が低い市内の移動しやすさについて、その改善に向けた取組を検討するとともに、バリアフリー化の推進、分かりやすい情報提供に努めることによって、誰もが快適に札幌観光を楽しめる環境づくりを進める考えでございます。
また、おもてなしの向上には、人材の確保、育成が重要であることから、人材不足が深刻な宿泊業における採用や人材定着のための支援に取り組むほか、ガイドなど観光人材のスキルアップに向けた育成プログラムを継続的に実施してまいります。
さらに、観光地としての魅力向上に資する取組として、民間事業者の創意工夫を生かし、札幌ならではの観光資源を活用した付加価値の高い観光コンテンツの造成を支援する取組みを重点的に進めてまいります。
このような取組を総合的に進めることによりまして、観光客の満足度、再訪意欲を高め、国内客のリピーター獲得につなげてまいります。
◆三神英彦 委員 ここまでの質疑、答弁を大体まとめると、まずは札幌に来ていない人たちに対してどうやったら来たいと思ってもらえるかというのが最初にあります。その上で、では、どうやったら喜んで札幌に来たときにお金を落としてもらえるかという話になって、1回の来訪で落としてもらえるという話になると客単価が上がるという話になりますし、2回目、3回目来たいですという話になると、今度はリピーターの戦略になっていくということですね。それをうまくやるためにはどうすればいいかというと、札幌に来ていない人たちに対してどうやって好奇心に刺さるかという話になると思うのですけれども、そういう考えは、本市に限らず、行政よりも民間のほうが向いていると思います。
このプランの中にDMOの話も出ていましたけれども、いろいろなやり方をして、民間から好奇心に刺さるという部分にうまく協力いただいて、札幌に来る人をもっともっと増やしていきましょう。
◆森基誉則 委員 私からは、第2次札幌市観光まちづくりプランについて、観光需要の平準化というポイントで伺います。
次期観光まちづくりプランにおける成果指標の一つとして、2032年度までに観光客数1,832万人を目指すとされておりまして、コロナ禍前の1,584万人から比較すると15%程度の増加が見込まれていました。
一方、札幌の観光客数の傾向としては、夏季は多いが冬季は少なく、つまりは繁忙期と閑散期の差があるということが長年の課題になっています。これまでも、観光需要の繁閑差を少なくするための取組は進めており、先ほどの説明にもありましたが、結果も一部付いてきている部分もあるようです。
ですが、今後も安定的に観光振興を進めていくために、より一層取組を強化する必要があるのではないでしょうか。
そこで、最初の質問です。
観光需要の平準化がもたらす効果をどのように捉えているのか、伺います。
◎葛西 観光地域づくり担当部長 観光需要の平準化がもたらす効果についてお答えをいたします。
繁忙期と閑散期の観光需要を平準化することは、観光関連事業者の経営、雇用の安定化や成長のほか、観光客に四季折々の札幌の魅力を楽しんでいただくことにつながるものと認識をしております。また、札幌市では大きな問題にはなっておりませんが、特定の期間に観光客の来訪が集中し、市民生活への影響が生じる、いわゆるオーバーツーリズムの防止にもつながるものと考えております。
このようなことから、観光まちづくりプランが掲げる将来ビジョンの一つであります多様な事業者が潤うまちの実現に向けまして、観光需要の平準化を重要な視点と位置づけているところでございます。
◆森基誉則 委員 観光需要の平準化が観光関連事業の安定化とか持続可能な観光地経営につながるということがよく分かりました。
さて、最近の北海道の観光を見てみますと、今年5月には、
新型コロナウイルス感染症による規制が緩和され、人々の旅行に対する欲求の高まりとか円安の影響もあり、国内外から多くの観光客が訪れてくれています。札幌では、ホワイトイルミネーションやミュンヘンクリスマス市が開催されているほか、11月30日には札幌国際スキー場がオープンしまして、ウインターシーズンが本格的に幕を開けました。今後、観光客数を安定的に確保していくためには、いかに冬季の需要の底上げを進め、繁忙期と閑散期の観光需要の平準化を図ることが重要であると考えます。
そこで、質問です。
冬季の観光客の誘客促進の取組をどのような考え方で行っていくのか、伺います。
◎葛西 観光地域づくり担当部長 冬季の誘客促進のための取組についてお答えをいたします。
札幌は、大都市でありながら積雪寒冷地というユニークな地域特性がありますことから、これを観光資源として最大限に生かした施策を展開していくことが効果的であると認識してございます。
そのため、スノーリゾートシティSAPPORO推進戦略に掲げますスキー、スノーアクティビティーなどの自然体験型観光と、グルメ、ショッピングといった都市型観光の掛け合わせなどによりまして、インバウンドをはじめとする観光客の増加や滞在期間の長期化による観光消費拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
これに加えまして、市民にも冬の観光の魅力をPRし、気軽に楽しんでいただくことで、市民による観光情報の発信を促進し、冬季の誘客につなげてまいりたいと考えております。
◆森基誉則 委員 観光誘客目的といっても、我々札幌市民自身も楽しめるような、そんな観光コンテンツを育てていけば、シビックプライドの醸成にもつながりますし、話題に上ることも増えますので、道内外から多くの耳目を集められるようになると考えています。
既存のコンテンツのさらなるブラッシュアップと、しっかりとアンテナを張って、まだ注目度が低いような新たなコンテンツなどを見つけ、時には、生み出し、育てていってほしいと要望し、観光まちづくりプラン関連の質問を終わります。
◆小口智久 委員 私からは、観光施策の推進体制の強化、いわゆるDMOの設立について、2点お伺いいたします。
我が会派は、令和5年第1回、第2回定例市議会の代表質問において、札幌版DMOの設立について質疑を行い、観光地経営を推進していく体制として最も有効な手法であり、今後、DMOの設立に向けた検討が進められることを確認したところです。
ただいま説明のありました本まちづくりプランの第6章の推進体制の強化におきまして、検討委員会がDMOの設立が必要との提言を提出した記述がございます。
その背景として、観光は地域経済全体に高い経済効果をもたらし、札幌の経済成長を牽引する重要な産業ですが、一方、旅行者の増加による自然環境や地域住民の生活への負担発生など、観光の負の側面に対応するための持続可能な観光の推進が重要と認識されております。
この負の側面に配慮しながら、正の側面である高い経済効果を推進し、取り組んでいくために、国は観光地経営の視点に立った観光づくりを推奨しており、そのかじ取り役としてDMOの登録制度を創設しております。
札幌市としては、北海道新幹線の札幌延伸、都心の再開発や外資系のラグジュアリーホテル、ハイグレードホテルの建設など、千載一遇のチャンスと捉え、観光を発展させ、観光関連事業者や関連団体、市民、行政などの多様な関係者が連携し、観光まちづくりを実践していく体制が必要であり、そのためにもDMOの早期設立が必要と考えます。
そこで、質問ですが、DMOの設立により期待される効果について、改めて伺います。
◎葛西 観光地域づくり担当部長 DMOの設立により期待される効果についてお答えいたします。
このたびの次期観光まちづくりプランの最大の目的は、地域の集客や収益の最大化を図ることであり、プランの施策を戦略的に推進するための司令塔、旗振り役はDMOが最も有効な手法であると考えてございます。
このDMOが施策推進の中心となり、観光関連事業者等が観光戦略を共有しながら主体的に関われるようになることで、継続的かつ強固なネットワークが構築され、各事業者間の情報共有の円滑化が図られます。
また、DMOの中に専門人材を持つことで、効果的・効率的な情報の収集分析と、それに基づく企画立案などのマーケティングが可能となりますほか、状況の変化に臨機応変かつスピード感を持った対応が可能となります。
加えまして、DMOによる観光地経営は、観光振興の枠を超えて広くまちづくりにも波及をすることから、市民の観光への理解促進やシビックプライドの醸成にもつながることが期待できるものと考えております。
◆小口智久 委員 DMOが指令塔、旗振り役となって事業者と連携しながら、専門的かつスピーディーに戦略を推進することが期待されるという答弁でございました。
観光産業は裾野が広く、様々な事業者が関わるため、DMOに求めるニーズも多岐にわたりますが、他都市で実施されているDMOの取組は大いに参考になると思われます。
観光まちづくりプランに掲げる将来ビジョンの実現や、持続可能で安定的な観光まちづくりの推進には、DMOがしっかり機能することが重要ですが、札幌版DMOの目的や、必要な組織体制、財源、人材について十分に検討することが必要であると考えます。
そこで、質問ですが、札幌版DMOの設立に向けた検討状況について伺います。
◎葛西 観光地域づくり担当部長 札幌版DMOの設立に向けた検討状況についてお答えいたします。
札幌版DMOの設立に向けた検討に当たりましては、市内観光関連事業者や関連団体へのヒアリング調査や先進DMOの事例調査を実施しているところでございます。
事業者や団体からのヒアリング調査においては、札幌版DMOが目指すビジョンを明確に掲げ、地域の事業者を巻き込むリーダーシップの発揮や観光客目線に立った戦略の策定、DMOが北海道観光を牽引する姿勢を示すことなどが重要であるとのご意見をいただいております。
先進事例の調査におきましては、マーケティングデータの積極的な利用促進や事業者間のネットワーク構築の場の提供など、ビジネスにつながる取組が地域から評価されていることが分かりました。
また、DMOには、専門性だけではなく観光に対する情熱を持ち、地域との関係性を築ける人材が求められているほか、自らの裁量で戦略を推進するための財源の確保が重要であるということでございました。
今後は、これらの調査結果や専門家の知見や助言などを踏まえながら、年度内に札幌版DMOの概要や方向性について取りまとめたいと考えております。
◆小口智久 委員 札幌への誇りと愛着を醸成する観光地経営の視点に立った観光地域づくりを推進するため、情報の収集や分析、マーケティング、また、有識者、事業者等の助言を参考にしたDMOの早期設立に向け尽力することを求めて、私の質問を終わります。
◆太田秀子 委員 私からも、3点質問いたします。
第2次札幌市観光まちづくりプラン案においては、観光振興の意義、経済効果として、雇用や税収などの貢献や市民生活の豊かさの向上などが挙げられており、プランが市民にとっても過ごしやすい魅力的なまちになることと、今後の本市のまちづくり全体へ波及することを期待するところです。
プラン案の経済効果には、雇用や税収と並んで道内全体の経済循環も盛り込まれており、目標として、観光客の滞在日数の長期化や来訪客1人当たりの消費単価の増大なども掲げられています。
私は、この道内全体の経済循環に貢献するためにも、まずは本市でどのように経済循環をつくるかがプランで具体化される必要があるのではないかと思うところです。
本市は、都心の時計台やテレビ塔のみならず、郊外にも魅力的な観光スポットがたくさんあります。目標の達成のためには、都市と自然が共存する札幌の魅力を最大限に生かし、観光客に市内を広く周遊してもらい、滞在日数の増加につなげていく取組が有効だと考えます。
ここで、伺います。
市内周遊の促進のためにはどのようなことが必要と考えているのか、伺います。
◎葛西 観光地域づくり担当部長 市内周遊の促進についてお答えいたします。
観光客の皆様に市内を周遊していただき、滞在日数の増加につなげていくためには、交通面での利便性や満足度の向上を図ることが重要と認識をしております。
例年、来札観光客を対象に実施をしております調査結果では、満足度の低い項目として、市内の移動のしやすさが挙げられております。そのため、これまで3回にわたり、市内に点在する観光スポットを周遊するバスの運行実証事業を実施してきたところでありますが、経費と収入のバランスといった採算面から判断いたしますと、事業化は困難であるという結論に至っております。
これを踏まえまして、別の角度から検討するため、観光客が感じる2次交通の不便さにつきまして改めて詳細な調査を実施する予定であり、より効果的な改善策を検討してまいりたいと考えております。
◆太田秀子 委員 2次交通については、第4章の施策展開の内部環境のところの弱みとして、先ほどお話にありました2次交通に対する満足度の低さというものがあって、具体的な取組としては、市内の移動のしやすさの改善が掲げられています。
実証事業などもしてきたというお話もありましたけれども、たしかこれは期間が決まっていてやっていたと思いますから、採算面では事業化は厳しいというお考えなのかもしれませんけれども、ちょっと本格的に期間も長めにして、そこを使ってもらうような工夫をしていくということが大事なのかなと思いますので、それも含めて検討していただきたいと思います。
新たな調査を実施するということも伺っているのですけれども、具体的にどのような調査を想定しているのか、伺います。
◎葛西 観光地域づくり担当部長 2次交通に関する調査につきましてお答えいたします。
まず、基礎的な事項といたしまして、市内の主要な観光施設までの移動に係る交通手段や所要時間の整理を行うとともに、国内外の観光地で実施をされています2次交通対策の事例について調査を行う予定であります。
また、実態調査といたしまして、観光客が郊外の観光スポットに行く際に利用している交通手段の状況や、なぜ市内周遊がしにくいと感じるかの理由につきまして、アンケートなどを用いて深掘り調査をする予定でございます。
これらの調査結果を踏まえまして、優先的に取り組むべき事項を整理し、具体的な取組の検討を行ってまいりたいと考えてございます。
◆太田秀子 委員 調査の結果はもちろんですけれども、プランに反映していただいて、そして、地域の皆さんにも喜んでもらえる、地域に還元されることも大事ですので、課題と同時に可能性を明らかにするような調査にしていただきたいと思いました。
観光客に周遊していただき満足度を高めるためには、2次交通と併せて、その地域や観光スポットについて観光客により魅力的に伝えることができるガイド人材も必要と考えます。
定山渓のかっぱバスは、紅葉スポットやアイヌ文化交流センターなどを巡るバスですけれども、ガイド検定を受け、資格を持ったボランティアガイドが十数人いて、それぞれ個性的で、その個性が発揮されるガイドがとても評判を呼んで、毎年、そのお目当てのガイドさんがいるバスに乗る、そういうリピーターがいるのだというお話も聞いています。
また、国内外の旅行を楽しむ方たちにお話を聞くと、ガイドつきの旅行や有償ガイドをお願いして旅行したときなどは、とても満足度が高い、満足感があるのだと言っています。
観光ガイドについては、人材育成プログラムなど、これまでも委員会などで質問が出ておりましたけれども、私からも改めて伺います。
ガイド人材の育成について、どのように考え、どのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
◎葛西 観光地域づくり担当部長 ガイド人材の育成に関する取組についてお答えいたします。
数ある観光地の中から札幌を選んでいただいた観光客の満足度を高めるとともに、今後も何度も訪れていただくためには、単に有名な観光スポット巡りをするのではなく、体験や地元の人との交流を通じて、その地域の魅力を深く実感していただくことが重要と認識をしてございます。
そのためには、地域の歴史やエピソードに関する専門的な知識を有し、それを観光客に魅力的に語り、価値ある体験を提供できるようなガイドの育成が必要と考えております。
現在、旅行会社や宿泊施設などの観光関連事業者を対象として実施をしております観光人材育成プログラム事業の中で、ガイド育成のためのワークショップを開催しているところでございます。
具体的には、ガイドに求められる基礎知識の習得や、まち歩きコースの検討、参加者同士でのガイドの実践などを通しまして、ガイド力の向上に取り組んでいるところであります。
◆太田秀子 委員 市内の観光スポットになり得るものとして、例えば、アートでは東区のモエレ沼公園のイサムノグチの遺作とか芸術の森の野外美術館とか、歴史の分野では厚別区の開拓の村とか北海道博物館とか、そして、アイヌ文化や地名の由来なども、多岐にわたって、地域にとってかけがえのない魅力となっています。プラン案の観光振興の意義にあるように、観光客が札幌の魅力に触れることで市民が価値を再確認する、愛着や誇りを醸成するということが掲げられておりますけれども、ここにつなげるように、市内周遊の強化をプランに盛り込んでいただきたいと思います。
世界を見ますと、ガイドで収入を得ている人たちもたくさんいるんです。お仕事にしているということです。本市も、観光のまちにふさわしいガイドの育成などで雇用にも貢献して、プランの充実を図っていただくように求めて、私の質問を終わります。
○村松叶啓 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
最後に、宿泊税の検討状況についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎青山 観光・MICE担当局長 宿泊税につきましては、令和2年第1回定例市議会の代表質問で市長から導入表明をいたしましたが、
新型コロナウイルスの感染拡大による著しい社会経済情勢の変化に伴い、検討を中断しておりました。
今年に入りまして、
新型コロナウイルス感染症の行動制限がなくなり、社会経済活動が着実に回復基調となってきたため、一時中断をしていた検討を再開し、宿泊事業者をはじめとする観光関連事業者などとの協議を行っております。
本日は、宿泊税の制度や税額、使途の考え方についての現段階における本市としての案についてご報告をさせていただきます。
詳細につきましては、観光・MICE推進部長からご説明いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◎北川 観光・MICE推進部長 お手元にお配りしました資料に沿いましてご説明をさせていただきます。
まず、札幌市の観光行政における宿泊税の必要性についてでございます。
札幌市が、今後激化することが予想される都市間競争に対応し、持続可能な観光を推進していくためには、来訪者が快適に過ごしていただける環境の整備、観光資源の磨き上げなどに取り組んでいく必要がございます。今後、より一層、こうした取組への投資を拡大していくため、これらの投資の原資の全てを市民からの税金だけに頼るのではなく、受益者となる来訪者の皆様にも一部をご負担いただくことが妥当であると考え、宿泊税の導入を検討しているものです。
続いて、現在検討しております宿泊税の制度につきましてご説明申し上げます。
まず、札幌市における宿泊税の税額は、宿泊料金5万円を境に、5万円未満の場合は200円、5万円以上の場合は500円と考えてございます。
この税額の設定に当たり重視した点として、まずは、納税していただく宿泊者にとっての分かりやすさでございます。これは、本市における宿泊者の99.8%の方が宿泊料金5万円未満に収まることから、今後、本市が求められる新たな課題への対応も見据えたものとして、200円という設定をいたしました。
続いて、重視した点は、実際の徴収をお願いする宿泊事業者の事務負担の軽減でございます。
5万円以上の料金の宿泊客は、現状において0.2%にとどまり、一律での税額設定と比較して多大な事務負担をお願いするものではないと考え、この金額を設定したところです。
なお、北海道が現在検討を進めております道税につきましては、宿泊料金1万円未満の場合100円、1万円以上5万円未満の場合は200円、5万円以上の場合は500円となっており、市税との合算額は資料に記載のとおりとなってございます。
次に、その他の制度内容についてです。
特別徴収義務者につきましては、旅館業法の許可を受けたホテル、旅館、簡易宿所の経営者と住宅宿泊事業法の届出をした住宅民泊の経営者と考えております。免税点及び課税免除につきましては設けないものと考えてございます。宿泊税とは直接関わりませんが、入湯税につきましては減額しないものと考えております。
制度の見直しでございますが、宿泊税条例の施行後、定期的に見直しを行うものと考えてございます。
なお、特別徴収義務者に対しては、事務負担を考慮した報奨金制度を設けることを検討しております。
また、修学旅行をはじめとする教育旅行への政策的配慮につきましては、北海道の宿泊税の使途として、道の懇談会において検討がなされております。
続いて、想定税収額についてです。
これまでで宿泊者数が最も多かったコロナ禍前の2018年度、延べ宿泊者数に税額を掛け合わせ、単年度で約27億5,000万円の税収を見込んでございます。
続いて、宿泊税の使途の考え方についてです。
まず、来訪者が快適に過ごせるため、受入れ環境の整備とおもてなしの向上に関しましては、宿泊施設や公共交通のバリアフリー化、観光施設、宿泊施設の受入れ環境整備の支援、2次交通の課題解決に向けた取組、観光バス対策、観光案内機能の充実などを想定しております。
次に、来訪者にとって、より魅力的な観光都市であるための観光資源の磨き上げと付加価値の向上に関しましては、観光コンテンツの高付加価値化支援、都市型スノーリゾートの推進、定山渓地区の魅力アップ、アドベンチャーツーリズムの推進、持続可能な雪まつりの運営、新たな観光コンテンツづくりなどを想定しているところです。
次に、持続可能な観光地経営の推進に関しては、宿泊業界の人材育成・確保、DXの推進、省力化、環境配慮、省エネ化のほか、観光関連施設の災害対策支援などを想定しております。
なお、これらの使途のさらなる具体化につきましては、宿泊税の導入に向けた関連業界の皆様への説明の場などを通じて丁寧な意見交換を行いまして、ニーズの把握に努めながら事業を構築し、来訪者の満足度向上、本市の観光産業の持続的な発展を目指してまいります。
また、今後は、観光関連団体の皆様との協議をさらに重ねまして、制度の案が固まりましたら、改めて議会にご報告をしてまいりたいと考えております。
○村松叶啓 委員長 それでは、質疑を行います。
◆森基誉則 委員 私からは、宿泊税の検討状況について、北海道との関連で伺っていきます。
道内における宿泊税は、2019年11月に倶知安町で導入されて以降、本市をはじめとする複数の市町村で導入の検討がなされていると聞いています。
市町村での宿泊税の導入検討と並行して、道による観光振興を目的とした新税の導入も検討されており、道議会における議論や有識者懇談会の様子などは新聞やテレビなどでも報じられているところです。
先日も、北海道が宿泊者へのアンケートを実施しているという報道がありまして、それにおいては、各市町村の宿泊税には触れていなかったようです。
道による新税の導入が行われることになった場合、本市のように宿泊税を独自に導入する自治体においては、道税と市税の両方が課税されることになるため、道との協議は重要なものになります。
そこで、質問です。
今年度に入って宿泊税の検討を再開して以来、北海道とはどういった協議を行ってきたのか、伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 宿泊税の検討を再開して以来、北海道とはどういった協議を行ってきたか、お答え申し上げます。
北海道とは、コロナ禍前から宿泊税の検討を進めており、協議を行ってございまして、今年度に入ってからも、税額をはじめとする制度内容について、事務レベルでの協議を継続して行ってきているところでございます。
また、本市と同様に宿泊税の導入を検討している函館市、小樽市など六つの市とも情報共有を行ってきており、北海道の担当者を交えて意見交換を行うなど、道との協議を共同で進めてまいりました。
加えて、北海道が主催する観光振興を目的とした新税に関する懇談会に出席しまして、道と市町村の役割分担や、道税と市町村税の総額に対する負担感について配慮を求めるなど、市町村との丁寧な協議、調整に努めるよう、道に対して要請してきたところでございます。
◆森基誉則 委員 コロナ禍前からやっていて、再開されて、道ともいい協力体制を築き上げているというお話でしたけれども、現在、北海道は、市町村を回って意見聴取を行ったり、市町村へのアンケートも実施しているという報道もありますから、本市からの要請も一定の効果があったのではないかと受け止めています。
本市の宿泊税については、先ほどの説明にもあったように、大まかな枠組みが固まってきているように見受けられますが、道の新税に関する検討内容は、有識者懇談会の資料や報道からは、まだしっかり固まっていないように思います。
本市としては、しっかりと議論を進めている状況にある一方で、道の動きが少々鈍いのではないかと感じています。
そこで、質問です。
北海道との検討状況に差ができている状況の中で、今後、道とはどういった点についてどのように協議を行っていくつもりか、伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 今後、どういった点について、どのように北海道と協議を行っていく考えか、お答え申し上げます。
宿泊税の導入に当たりましては、宿泊者や宿泊事業者の混乱を招かないために、導入時期とともに課税対象や課税免除など、税の制度が極力そろえられるよう、道と市町村が協議を行っていくことが重要と認識してございます。
また、宿泊事業者からは、札幌市と北海道の税の使途について適切な役割分担に基づき整理するよう強く要望をいただいているところでございます。
このため、ほかの導入検討自治体の検討状況や制度に対する考え方なども伺いながら、連携して北海道と協議を行ってまいりたいと考えてございます。
◆森基誉則 委員 宿泊税の導入に当たっては、宿泊者や宿泊事業者にとって分かりやすい制度とすることは必須だと考えます。
宿泊事業者などの意見にしっかりと耳を傾けながら、宿泊税の早期導入を成し遂げていただきたいと要望しまして、質問を終わります。
◆太田秀子 委員 宿泊税は、宿泊事業者が地方自治体に代わって宿泊者から税を徴収し、地方自治体に納めるという特別徴収制度によるものとして、これまで、東京都に始まり、大阪府、京都市、金沢市、福岡市、長崎市、北海道では倶知安町などで導入しています。
これは、総務大臣との協議を経て同意を得た場合に、地方自治体が独自に課すことができる法定外目的税であり、札幌市ではこれまでになかったものです。
本市においては、観光振興を目的とし、来訪者に快適に過ごしていただける環境づくりや目的地として選んでもらい、また、来てもらうための観光資源の磨き上げに使うということをおっしゃっています。
そして、これらの原資を、市民からの負担だけによるものではなく、一部を来訪者にも負担してもらうというものだそうです。
宿泊税は目的税であることから、使途が観光振興に資する事業となるのは当然のことですけれども、本市の観光振興に資する事業は、先ほど説明にありましたけれども、観光・MICE推進部の事業のみではありません。
伺いますけれども、宿泊税導入後、その使途となる事業をどのように組み立てていくのか、お聞きします。
◎北川 観光・MICE推進部長 宿泊税導入後、その使途となる事業をどのように組み立てるのかにお答え申し上げます。
宿泊税の使途は、現在策定中の第2次観光まちづくりプランで示す方向性の実現に向け、宿泊業界をはじめとする観光業界の皆様との協議を継続的に行いながら事業構築を行っていく考えでございます。
具体的には、毎年度の予算編成におきまして、全庁的な事業の中から宿泊税を充当する事業を計上し、議会の議決をいただいて事業化をすることとなります。
◆太田秀子 委員 観光振興目的といっても、幅広い事業が考えられ、例えば、先行する福岡市では、観光案内機能の強化などの経済観光文化局が実施する事業のほか、交通局による博多駅のエスカレーターの増設工事などにもこの宿泊税が充当されていました。
使途については、納税者や特別徴収義務者である宿泊事業者の皆さんの納得を得られるものでなければならないと思います。
質問ですが、宿泊税の使途について、納税者や宿泊事業者の納得をどのように得ていくおつもりなのかを伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 宿泊税の使途について、納税者や宿泊事業者の納得をどのように得ていく考えなのか、お答え申し上げます。
宿泊税を先行導入している自治体では、毎年度の予算編成に当たって、翌年度の宿泊税の使途を公表してございます。また、決算に当たっても、宿泊税を活用して具体的にどのような成果が上がったのか、公表しているところです。
本市においても、こうした先行自治体の事例を参考に、使途の公表を通じて、納税者や宿泊事業者にご納得いただけるよう、しっかり説明を行ってまいりたいと考えているところでございます。
◆太田秀子 委員 宿泊税の具体的な使途は、今のお話にありました毎年度の予算編成において、議会の議決を経て決めると。つまり、お金の流れとしては、宿泊事業者さんを経由して入ってくる宿泊税、税金ですけれども、一般会計に入って、毎年の予算のときのように、各部局が翌年度の事業予算として観光振興に資する予算を要求して、財政に認めてもらって予算がつくということですね。ですから、宿泊税として幾ら入って幾ら出ているか公表するというお話でありましたけれども、ちょっと分かりづらいかなと思ったところです。
では、次の質問に行きます。
次に、課税免除について伺います。
日帰り観光は別として、宿泊の目的を問わず、札幌市内に宿泊すれば誰でも宿泊税が課税されるものですが、課税免除は設けないとのことでした。札幌への来訪理由は、観光に限らないと思います。受験や通院や介護のほか、修学旅行など様々な理由があります。
先行事例を見ますと、倶知安町のように、修学旅行や学校行事に参加する児童生徒、学生、その引率者ですとか、町内で職場体験を行う生徒や学生さんは課税免除としている自治体があります。
ここで、質問しますが、このたびの制度案の作成に当たり、課税免除についてどのように検討されたのか、伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 制度案の作成に当たり、課税免除についてどのように検討してきたのか、お答え申し上げます。
課税免除の仕組みを運用するためには、宿泊者と宿泊事業者の間で、宿泊の目的を客観的に証明するための申請と、その受付、確認を行う事務が発生することとなります。
これまで、宿泊事業者の皆様との意見交換では、徴税事務における負担を極力軽減してほしいという声を多数いただいており、こうした事務負担が増す可能性がある課税免除は設けないものとして、現在検討を進めているところでございます。
一方で、道税と市税で課税免除の対象が異なることは宿泊者や宿泊事業者の混乱につながることから、課税免除の導入の是非や制度の内容については北海道と札幌市で合わせることが望ましいと考えてございまして、今後も北海道と協議を行ってまいりたいと考えております。
◆太田秀子 委員 宿泊事業者の負担軽減を考えると、なるべく簡素なものがいいなということはよく分かります。そうしますと、宿泊者は観光目的で宿泊していなくても税負担を強いられると。そうではない方法、課税免除もできるのだけれども、本市は
事業者負担の軽減を考えたということなのでしょうかね。
しかし、事業者にとっても、負担は軽減になるけれども、負担軽減にすぎないというふうに思うのですね。負担は増えるわけです。
そこで、質問します。
先ほど、特別徴収義務者、宿泊事業者の事務負担に関して報奨金制度を検討しているとの説明がありましたが、この特別徴収義務者への報奨金制度についてどのようなものを考えているのか、伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 特別徴収義務者への報奨金制度について、どういったものを考えているかということにつきましてお答え申し上げます。
宿泊事業者の事務負担に対しては、一定の配慮を検討する必要があるとしまして、令和元年度に諮問した札幌市観光振興に係る新たな財源に関する調査検討会議から答申を受けているところでございます。
先行自治体におきましても、宿泊税の申告と納入に要する事務負担を考慮し、あわせて、特別徴収制度の円滑な運用を図ることなどを目的に報奨金の交付を行ってございます。
その交付額につきましては、納入期限までの申告納入を条件に、申告納入された宿泊税額の2.5%に相当する額を交付している場合が多いことから、これらを参考に本市における制度を検討してまいりたいと考えてございます。
◆太田秀子 委員 やっぱり、納入による事務負担が増えることへの配慮だということであります。
この宿泊税は、インバウンドに限らず、宿泊する市民、国民にも税負担をしてもらうものですけれども、私は、質問の最初に言いましたし、資料の一番最初に必要性が書いてありますけれども、来訪者に快適に過ごしていただける環境づくりで、また来たいと思っていただけるための観光資源の磨き上げ、その原資の全てを市民からの税金だけに頼るのではなく、来訪者にも一部負担していただくことが妥当であると書かれています。
つまり、既に市民の税金でやってきたけれども、宿泊税の導入で、それはなくなるのかというとそうではなくて、市民の税金は使わないというわけではなくて、これまで使ってきたものと法定外目的税の宿泊税もある、これから導入されればあると。先ほど、宿泊税とは違うという説明がありましたけれども、温泉地の入湯税はそのままだというお話でした。
そして、北海道が宿泊税を導入するということであれば、もう二重にも三重にも税金がかかるんじゃないかというイメージです。観光振興目的で税金を払うことが二重にも三重にもなるというふうに私はイメージしました。税本来の在り方として、これでいいのかなと疑問も残るところです。やはり、何といっても納税者の理解が必要ですから、もっと議論を重ねることを求めます。免税ですとか負担軽減、そして、宿泊税によらない観光振興など、時間を十分かけていただいて検討すべきだと申し上げて、私の質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 1点だけ質問をさせていただきたいと思っているのですけれども、今回、私たち公明党としても、宿泊税については、代表質問の中にも盛り込ませていただいたところでございます。
その中で、このことにしっかり注意して、特別徴収目的税として進めるべきだという話を盛り込ませていただいたのですけれども、その一つは、やはり、目的がしっかりあるということ、その使途が明確であるということ、そして、そのことを理解が得られるように周知、広報もされていくということが大事なのだという話でございます。
札幌市は、約27億5,000万円ほどの大変大きな収入を特別税として得て、どういう利用をしていくかということを今回の資料の中でも示していただいているのですが、正直に申し上げると、道からのそうした情報が非常に不足していると私は思っております。
特に、今後もですけれども、札幌市と道との打合せをなされると思うんですよね。そのときに、札幌市がこの中で徴収される27億5,000万円というお金は決して小さなお金ではない、道だってこれと同じぐらいの金額を道税として得ていくということだとすると、札幌市に対してそれがしっかり還元されていかなければならないというところがあると思うんです。
なので、それが道全体で受け取ったものとして平準化されるのではなくて、札幌市に対してしっかりとした税の使い方を示してもらわなければいけないということを道に対しても働きかけていく必要があると思うんですけれども、その辺の道への対応と、具体的に札幌市に対して、そうした税を受け取った側の責務として還元していくというような話をしっかりとしていく必要があると思うんですけれどもいかがか、伺います。
◎北川 観光・MICE推進部長 北海道に対しまして、札幌市として道分の宿泊税の還元を求めていく、また、市の考えをどのようにお伝えしていくのかというご質問に対してお答え申し上げます。
北海道と宿泊税の協議を進めていくに当たりましては、常に観光部局それぞれの関係の深い部署、それから、スタッフを含めてやり取りをしているところでございます。
今ご指摘のありました市町村に対しての還元という部分につきましては、札幌市のみならず、ほかの導入を検討している市町村とも、やはり同じような考えで北海道に意見を提案しているところでございます。
今後、使途の明確化も北海道のほうで検討していくということを聞いておりますので、北海道の使い道の見える化に当たりまして、私どもは今までも要求しておりますけれども、同様に今のようなことを北海道に対して要求していきたいと考えてございます。
札幌市への還元ということにつきましては、まさに使途の部分ではっきりしていくことが表裏一体で重要かと思いますので、札幌市の使途はこうです、北海道庁の使途はどのようなことかと突き詰めていく、こういったことが大事かなと考えてございます。
○村松叶啓 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○村松叶啓 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時46分...