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6番 髙橋貴之君質問
○議長(森園秀一 君)6番髙橋貴之議員の質問を許します。髙橋貴之議員
〔6番髙橋貴之君登壇〕(拍手)
◆6番(髙橋貴之 君)おはようございます。令和2年12月定例会に当たり、きずなクラブの一員として、通告に従いまして質問いたします。
初めに、財政の推移と見通しについて伺います。
新型コロナウイルス感染症は、世界各国で感染が再び拡大しており、依然として収束の糸口が見いだせない状況にあります。一時感染が収束に向かった国々においても、経済活動の高まりとともに感染者数が増加し、医療提供体制の逼迫という危機的状況が発生しており、外出制限や飲食店の営業に対する制約が課されております。我が国においても同様に全国各地においてクラスターでの感染が増加し、1日の感染者数が相次いで最多を更新するなど、憂慮すべき状況であります。
また、感染経路を特定できない事例も増加傾向にあるものと認識しております。県内においても弘前市の飲食店で発生した大規模なクラスターによる感染に危機感が高まる中で、当市においても
小規模クラスターによる感染確認がされるなど、年末を迎えるに当たり厳しい状態が続いております。
一方で、ウイルスに対して有効なワクチンの開発を巡っては徐々に進展が見られ、世界の注目を集めており、そうした動きに連動するかのように市場では株価に大きな影響をもたらすなど、世界経済がウイルスとの戦況に翻弄されていると言っても過言ではない状況にあります。
昨日、内閣府が発表した2020年7月から9月期までのGDP――国内総生産の改定値は年率換算でプラス22.9%となり、比較可能な1980年以降で最大の伸び率となりましたが、
新型コロナウイルスの影響で、前の3か月が歴史的な急落になったことの反動という側面が大きく、GDPの規模は感染拡大前の水準には戻っていないのが実情であります。GDPの半分以上を占める個人消費は、前期4月から6月までのマイナス8.1%から、今回はプラス5.1%と大幅に改善しましたが、外食や宿泊のほか、スポーツ観戦や遊園地などの娯楽サービスの利用、それに自動車の購入が増えるなど
GoToキャンペーンなどの政府の需要喚起策によって持ち上げられた側面が大きいのが実情であり、
新型コロナウイルスの影響で下振れするリスクが十分に考えられます。
こうした経済状況は当市においても同様な傾向にあるものと受け止めておりますが、市民サービスを維持していく上で重要となる当市の歳入に与える影響がどの程度になるのか、危惧しております。県内他市においては、青森市が11月10日に2021年度の予算編成方針を公表し、
新型コロナウイルス感染拡大の影響による税収減を約20億円と見込みました。また、むつ市も11月27日、市税収入の2021年度の見込額が2020年度に比べ11億5600万円減る見通しを示しました。減税分については両市ともに国の財政措置である地方交付税と政策経費を前年度から一定の割合で削減する
マイナスシーリングで賄うとのことであります。
一般会計の歳入は、主に、市税、国庫支出金、地方交付税、市債、県支出金、
地方消費税交付金などで構成されておりますが、市税と市税収入の急減を補うための
財政調整基金の状況、地方交付税の算定に用いられる地方団体の財政需要を合理的に測定するために、地方交付税法第11条の規定により算定された
基準財政需要額について伺います。
アとして、歳入における市税の推移と次年度の見通しについて伺います。
イとして、
財政調整基金残高の推移と次年度の見通しについて伺います。
ウとして、
基準財政需要額の推移と次年度の見通しについて伺います。
次に、長根公園の整備について伺います。
平成25年2月に報告されました
長根公園再編プランには、はじめにと題して、このようにつづられております。
長根公園は戦後、八戸市の都市公園として整備が進められ、昭和25年にはスケート場が完成し、その後、体育館、陸上競技場、野球場などが整備され現在に至っています。特にスケート場は“氷都八戸”のシンボル的な存在として、市民や全国の競技者から親しまれてきました。しかし完成から年月が経ち、老朽化も目立つようになりました。
長根公園の
整備コンセプトは、平成16年に策定された「八戸市緑の基本計画」において
市民アンケート及び市内10地域におけるワークショップを実施した結果を踏まえ、八戸市の中心市街地に隣接する好立地を活かした“
セントラルパーク”として整備することを掲げています。また、今回新たに市民の方の意見を伺うために
パブリックコメントを実施し、その結果も踏まえ、最終的に「
長根公園再編プラン」報告書としてまとめるに至りました。今後、長根公園は
屋内スケート場の整備とともに、その立地条件を最大限に生かした中心市街地における交流拠点として、また、大災害時の安全安心に資する防災拠点としての役割を担う公園として、地域協働のもと、整備を進めてまいります。本計画は、
屋内スケート場の整備を契機とした長根公園再編の方向性を示すものとして、長期的なビジョンを持って策定したものです。今後、このプランを基本として、長根公園は運動公園から
セントラルパークへの転換を図っていきます。なお、今後、社会情勢の変化などに伴い、プランの見直しを図る必要が生じた場合には、必要に応じて見直しを図っていくものとします。
このようにつづられております。
その後、平成30年11月9日には、国の認定を受けました第3期八戸市
中心市街地活性化基本計画において中心市街地のエリアが長根公園まで拡大されていることから、長根公園内における体育施設の再整備に当たっては、
長根屋内スケート場や既存体育施設と中心市街地のはっち、マチニワ、新美術館など文化施設との回遊性の向上につながるような整備を行うこととされました。この時点では、体育館と武道館は複合して建て替えを行い、野球場やプールについては公園外へ機能移転する方針であったと認識しております。
しかしながら、体育施設については、平成31年3月に策定されました八戸市
体育施設整備に関する基本方針によって大きく修正がなされました。体育館の建て替えについて変更はないものの、機能移転する計画の施設については修繕によって継続して使用するとの方針です。令和元年9月には待望の八戸市
長根屋内スケート場が供用を開始し、当初の
公園再編プランでは中盤に差しかかったものと受け止めておりますが、最終形態が見えない状態となっております。また、八戸市体育館についても施設整備の方針が転々とする中で、建て替えの見通しが明らかになっておりません。
そこで、2点について伺います。
アとして、
長根公園再編プランの現状について伺います。
イとして、八戸市体育館の建て替えについて伺います。
最後に、
地域コミュニティーの振興について伺います。
9月の
決算特別委員会におきまして、
町内会等振興交付金の交付率が100%となっていない理由について質問させていただきました。466団体中452団体が申請し、14団体が未申請となっており、交付率は97.0%とのことです。未申請の14団体にアンケートを行った結果、高齢化で活動できない、世帯数が少ない、活動していないなどの理由によるものとのことです。また、活動に参加しない理由の多くは、仕事が忙しいというのが多くを占めたようであります。
町内会の加入世帯数は平成30年3月時点で5万9312世帯とのことでありますが、加入率は、平成29年が55.7%、平成30年が55.2%、令和元年が54.7%と徐々に減少傾向にあります。これは、
新型コロナウイルス感染症による影響が出る前の状況でありますので、今後はさらに減少していくことが予想されます。コロナ禍において町内会活動の多くは自粛をされ、結びつきが薄れてしまうなどの影響が出ないかと懸念しております。また、家計の状況悪化により退会を検討せざるを得ない方もおられるのではないでしょうか。
そこで、3点について伺います。
アとして、
地域コミュニティー活動に対する所見について伺います。
イとして、コロナ禍における町内会活動の現状と課題認識について伺います。
ウとして、今後の具体的支援策について伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
〔6番髙橋貴之君降壇〕(拍手)
○議長(森園秀一 君)市長
〔市長小林眞君登壇〕
◎市長(小林眞 君)おはようございます。髙橋貴之議員の
長根公園再編プランについての御質問にお答え申し上げます。
アの
長根公園再編プランの現状についてからお答え申し上げます。
長根公園再編プランは、
屋内スケート場の整備を契機とした公園再編の方向性を示すものとして、平成25年2月に策定したものであります。短期及び中長期の段階的整備を行うこととしており、これまでは、短期計画に基づき
屋内スケート場及びこれにつながる車路や周辺園路を整備してまいりました。現在は、八戸市
体育館建て替えに影響のない稲荷町口周辺を整備しております。
なお、本プランにつきましては、
体育施設整備の検討状況に合わせ見直しを図ってまいりたいと考えております。
次に、八戸市体育館の建て替えについてお答え申し上げます。
市では、平成28年8月に
公共施設マネジメントの推進に係る基本方針を策定し、市内公共施設の長期的な視点による更新、統廃合及び長寿命化に向けて計画的に取り組むこととしております。八戸市体育館を含む
体育施設全般につきましては、平成29年1月に市の附属機関として設置をした八戸市
体育施設整備検討委員会による体育施設の将来的な整備の方向性に関する調査検討を経て提出された意見書を踏まえ、平成31年3月に八戸市
体育施設整備に関する基本方針を策定いたしました。同基本方針におきまして、八戸市体育館は、建設から55年が経過をし、
耐震性にも課題があることや市内体育施設の中で最も利用者数が多いこと、また、
八戸圏域連携中枢都市圏内において最も規模の大きい体育館であること等から、建て替えについて最重点で取り組むこととしております。
一方、
体育施設全般につきましては、その多くが建設から30年以上経過している現状を踏まえ、計画修繕による予防保全と長寿命化のほか、市民ニーズと時代に適合した施設の質の向上やスポーツによるまちづくりの視点による施設整備の推進及び総量の適正化等についても基本方針に掲げております。
市といたしましては、引き続き、体育施設の総合的かつ計画的な管理運営に努めるとともに、八戸市体育館の建て替えにつきましては、そのスケジュールも含め、財政状況や社会情勢を考慮しながら検討してまいります。
次に、
地域コミュニティー活動に対する所見についてお答え申し上げます。
市では、複雑化、多様化する地域課題を解決し、魅力ある個性豊かな地域社会を実現するためには、
地域コミュニティーと行政が適切な役割分担の下に対等な立場で協力し合い、共にまちづくりを推進することが重要であると考えております。特に
地域コミュニティーの中心的な存在である町内会、自治会は、防犯や防災、交通安全、環境美化、高齢者の見守りや子育て支援、親睦活動など、地域住民の生活環境の維持向上に資する様々な活動に主体的に取り組んでいただいております。
このようなことから、市といたしましては、
地域コミュニティー活動が多くの住民の参加の下、活発に行われるよう、引き続き市民の意識啓発や活動しやすい環境づくりに努めるとともに、町内会、自治会の組織強化等を支援してまいります。
次に、コロナ禍における町内会活動の現状と課題認識についてお答え申し上げます。
今般の
新型コロナウイルス感染症の影響により、当市の町内会においては、夏祭りや運動会といった親睦活動や総会等の会合が延期、中止される事例が多々見られているほか、役員等からは活動することに不安を感じるとの声も寄せられており、当市の町内会の多くは活動が停滞している状況にあると認識しております。町内会活動は、地域に居住している住民同士がつながり組織として活動することで、生活環境の維持向上が図られるものであることから、住民の交流と活動の継続が大変重要であります。
このようなことから、コロナ禍においても、
感染症予防対策を講じながら、可能な範囲において町内会活動を行うことができるよう、安全安心に活動できる環境をどのように確保していくかが課題であると考えております。
次に、今後の具体的支援策についてお答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、市では、コロナ禍においても安心して地域活動を行うことができる環境づくりを目的として、八戸市「
withコロナ」
地域コミュニティ支援事業を実施しております。この事業は、感染防止に有効とされる物品を地域の負担が軽減されるよう市が一括購入し、八戸市
連合町内会連絡協議会を通じて、希望する連合町内会及び町内会、自治会に対し配布する物品配布型の支援事業であります。既に1回目の配布は10月中旬に終了しており、町内会への意向調査の結果、最も要望が多かった非接触型体温計と手指消毒液を市内全ての連合町内会及び町内会等に配布しております。また、マスクや除菌スプレーといった新たな要望品目にも柔軟に対応しながら、現在2回目の配布を行っているところであります。3回目につきましても、2月中旬までに実施する予定であります。
市といたしましては、国の財政支援や
新型コロナウイルス感染症の動向を踏まえながら、町内会などの
地域コミュニティー活動団体が必要とする支援についてできる限り対処してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
〔市長小林眞君降壇〕
○議長(森園秀一 君)財政部長
◎財政部長(品田雄智 君)続きまして(1)財政の推移と見通しについての3点の御質問にお答え申し上げます。
まず、歳入における市税の推移と次年度の見通しについての御質問ですが、市税の平成29年度から令和元年度までの推移は、平成29年度約304億7000万円、平成30年度約302億6000万円、令和元年度約304億1000万円となっております。また、今年度は、当初予算で297億円を計上いたしましたが、
新型コロナウイルスの影響により、国、地方ともに大幅な税収減が懸念されており、当市におきましても現時点で具体的な数字を示すことは難しいものの、相当な税収の落ち込みは避けられない状況であると考えております。
新年度の見通しについても同様で、具体的な数字を示すことは難しい状況ですが、総務省の令和3年度地方財政収支の仮試算では、地方税は前年度比マイナス6.8%の大幅な減収が見込まれており、仮に当市に置き換えた場合、20億円を超える税収減となります。
次に、
財政調整基金残高の推移と次年度の見通しについてお答え申し上げます。
財政調整基金残高の平成29年度から令和元年度までの推移は、平成29年度末約33億4000万円、平成30年度末約26億9000万円、令和元年度末約28億2000万円となっております。今年度の状況といたしましては、当初予算の6億円に加え、
新型コロナウイルス感染症対策として18億8000万円を繰入れした結果、残高は3億4000万円まで減少いたしました。その後、今般の12月補正予算において、
新型コロナウイルス対策支援金の歳出不用額の減額に伴い、財源である基金繰入金についても同額の7億4000万円を減額しており、補正後の残高は約10億8000万円となる見込みであります。
年度末に向けましては、例年であれば、市税や地方交付税などの収入状況等を見ながらさらに積み戻しを行っておりますが、今年度は歳入環境が大変厳しいことなどから、現時点で具体的に残高を見通すことが難しく、次年度についても不透明な状況にあります。
次に、
基準財政需要額の推移と次年度の見通しについてお答えを申し上げます。
基準財政需要額は、
普通交付税算定に必要となる各地方公共団体における標準的水準の財政需要を合理的に測定するために、人口、面積、世帯数等を基準として算定した額であります。当市における需要額の平成29年度から令和元年度までの推移は、平成29年度約406億6000万円、平成30年度約402億7000万円、令和元年度約408億5000万円となっております。また、今年度の需要額は、7月の算定結果を見ますと約418億3000万円となっております。
基準財政需要額は、毎年度、国の算定方法の見直しがあるほか、次年度の算定では本年実施された国勢調査人口の速報値が反映されるなど様々な要因に影響を受けることから、現時点で具体的に積算することは難しいものと考えております。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)髙橋議員
◆6番(髙橋貴之 君)丁寧な御笞弁、ありがとうございました。
長根公園の整備については長期的な課題としまして、そして
地域コミュニティーの振興については短期的な課題として、そして、財政についてはそれぞれの政策における裏づけとして捉えまして質問させていただきました。
まず、次年度の財政見通しについて意見を申し上げます。
地域経済の回復は、当市の財政にも大きく関わる重要な課題であります。また、地方交付金についても、国の財源が不足することは明らかであります。政府は2020年度に期限を迎える赤字国債の発行に必要な特例法について5年間延長する方針を固めました。これは、赤字国債を発行しなければ次年度の予算編成が事実上できないためであり、
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、安定した財政運営を確保するには複数年の延長が必要との判断からだそうであります。こうしたことからも、
臨時財政対策債が増加することが予想されます。
財政調整基金についても給付の余剰分ということで本議会に7.4億円戻し入れをするということで補正予算が提案されておりますけれども、現在の基金残高は3.4億円でありまして、年度当初の半分程度ということになると思います。
こうした厳しい財政状況がどこまで続くのか、現時点では見通せないわけでありますが、その一方で、少子長寿社会の進展には歯止めがかかっておらず、扶助費については堅調に増加していくものと考えます。
こうした状況下においても、最終防衛ラインとして死守しなければならないのは市民サービスの維持であると考えます。まずは喫緊の課題として、次年度以降の安定財源確保に向け、引き続き、全国市長会や県選出の国会議員を通じて国に対して働きかけを行っていただくとともに、予算の編成に当たっては必要な部分についてはしっかりと、そして、削減できる部分については削減をしていくということで、めり張りをつけて行っていただくことを強く要望いたします。
次に、
地域コミュニティーの振興について意見を申し上げます。
あえて短期課題として
地域コミュニティーの振興を取り上げましたのは、地域経済の回復は最重要課題であり、感染拡大の防止と両立をしていかなければなりませんが、その原動力となる
地域コミュニティーへの支援は後回しにされがちであると感じているからであります。しかし、私は、これは同時に行わなければならないものと捉えております。危機的な現状では、当然感染拡大防止や経済回復など足元の課題への対処が優先されるものと認識をしております。宿泊、飲食、タクシー等の事業者も早期の収束を願っているものの、しかしながら、経済活動との両立がなければ事業が立ち行かないという厳しい現実があります。
一方で、市民のニーズとしては、まずは収束を願う声が多いものと認識しております。9月定例会でも提言をいたしましたが、社会は支え合いの構造にあります。その中で経済活動を回復していくためには、このギャップを縮めていくことが大切であると思います。そのギャップを埋める力が
地域コミュニティーにはあると私は考えております。職業や年齢など多様な構成で組織された団体は、まさに小さな自治体であります。この小さな自治体の活動が工夫や支援によって従前よりも活気を取り戻すことができれば、当市もおのずと同じ方向に向かっていくものと思います。
考え方としては、地域が元気になれば、まちが元気なるということであります。決して、その逆である、まちが元気になれば、地域が元気になるという考え方は成り立たないと私は思います。前者がボトムアップ、後者がトップダウンの考え方でありますけれども、もちろんトップダウンが悪いというわけではありません。災害などの緊急時や今回の感染症対策などについては、トップダウンが有効に機能する事例であると考えます。しかし、震災復興においても数々の事例があるとおり、復興や回復期においてはボトムアップが重要な要素となります。単に
地域コミュニティーといっても、町内会だけではありません。文化芸術活動など多種多様な団体が存在しているものと受け止めておりますが、日本における代表例として今回は町内会を取り上げさせていただきました。
先週でありますけれども、12月3日に根城地区各種団体懇談会というものがありまして、根城公民館で開催をされ、私も出席させていただきました。例年は和室で開催しておりまして、各種団体の活動報告を行った後に、忘年会も兼ねて懇親会を行うのが恒例となっておりましたが、今年度は、現下の状況から、公民館での飲食ができないために懇親会は中止となりました。
また、出席者の検温や会場内でのマスクの着用及び人との距離の確保など感染防止対策を行って開催するためにホールでの開催となりました。出席者は、町内会長、子ども育成会、防犯協会、交番連絡協議会、交通安全協会、青少年育成協議会、社会福祉協議会、公民館長、さらには、根城小中学校、江南小学校の校長先生及びPTA会長、それから、地域担当職員の方でありました。報告をいただきました活動経過の多くは、コロナウイルス感染収束が見通せず、活動を自粛したというものがほとんどであり、例年実施している夏祭りや盆踊りのほか、公園の落ち葉拾いなどへの対応も苦慮していたそうであります。
そうした中、地域の方々が絶賛していたのが根城中学校の生徒による公園の落ち葉拾いでありました。この取組は、日頃よりお世話になっている地域の皆さんに恩返しをしよう、地域の活動に貢献しようとの思いで行ったものだそうであります。2年生は平日に中学校周辺の公園を、3年生は休日に自宅近くの公園を担当したとのことです。町内会でも活動に呼応して町内会会員に声がけをするなどして、共に汗を流すことができて非常に有意義だった、若い生徒との交流が楽しかった、ぜひ次年度も続けてほしいといった声が聞かれました。非常にすばらしい活動であると私も感じております。
一方で、ある町内では町内会会員で参加したのが14名で、平均年齢が74歳だったという報告があります。町内会の高齢化が大きな課題であると感じました。町内会の加入促進については市でも取り組んでおりまして、新規加入者数は、平成27年が122人、平成28年が132人、平成29年が138人、平成30年が149人、平成31年が108人と伺っております。さらなる加入促進が必要ではないでしょうか。
町内会への加入促進には、まず個人の理解が必要であり、町内会の意義や役割、自分との関わりなどについて啓発を進めていくことが大切です。しかし、併せて必要となるのが企業の理解だと思います。これは共働きの核家族世帯が増加していることが背景としてあります。加入促進や活動への理解、それから残業などへの配慮といったものなしには克服できない壁であると思います。これからの時代は、業績がよければいいという時代ではありません。子育て支援に関する取組や環境経営、地域への貢献など業績以外の部分が企業価値として評価をされる時代であります。当然企業にとってもプラスになるものと思いますので、企業に対する働きかけについても機会を捉えて行っていただくことを要望いたします。
次に、長根公園の整備について、1点再質問をいたします。
先ほど財政の見通しについて御答弁をいただきました。そうした厳しい財政状況を踏まえた上で、今後の長根公園整備の方針について改めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(森園秀一 君)市長
◎市長(小林眞 君)髙橋貴之議員の再質問にお答え申し上げます。
長根公園再編プランを策定した時点とその後の状況については、先ほど議員詳しくお話しされたとおりでございまして、
屋内スケート場を除いた部分を
セントラルパーク的にするようなことから、
体育施設整備に関する意見書を定める過程の中で随分いろいろな御意見がありまして、やはり見直す必要があるだろうと認識しております。そのため、これからは、最優先は八戸市体育館の配置方針を検討し、整備に向けていくわけでありますけれども、それを進める中で再編プラン自体の見直しにも取り組みたい。その際には、議員の皆様や市民の皆様の声を伺いながら進めていきたいと考えております。
以上です。
○議長(森園秀一 君)髙橋議員
◆6番(髙橋貴之 君)再質問に対しての丁寧な御答弁、ありがとうございます。
明確なビジョンが浮かぶような答弁は、やはり現段階ではまだ難しいと受け止めさせていただきたいと思います。長期的な課題については、やはりプランを実行するためのスケジュールとターゲットが必要になってくるのだろうと思います。市長はこれまで、将来負担比率であったり財政健全化指数について気を配りながら、国の補助金等の財源も活用し、中心市街地の活性化につながる施設整備を進めてきたものと認識しております。その手腕については評価する声もあります。一方で、そのような受け止めをしていない市民もおりますし、市民の負担となる維持管理費については想定よりも上振れしているものが多くあるのも事実だと思います。
市長は地元紙の取材に対しまして、箱物は空箱ではない、有効に活用されており、一定の効果が出ているという認識を示されておりますけれども、ただ、今後の施設整備に当たっては、市民の共感といったことにも配慮しながら進めていく必要があるのではないかと感じております。そうした観点からも、7年前に描いた
長根公園再編プランは当時と大分状況が変わってきております。第7次総合計画等にスケジュール等もしっかりと反映をさせるなど、ゴールに至るまでの道筋を示していただくことが非常に重要なのではないかと思います。
まとめとさせていただきたいと思いますけれども、
新型コロナウイルス感染症の影響で、今、経済も財政も大変な状況にあります。しかしながら、政治には足元をしっかりと支えること、コロナ対策に万全を期すことと同時に、10年、20年先を見据えた政策ビジョンについて市民と共有しながら前に進めていく必要があるものと思います。
一度傷ついたものは完全に元に戻ることがないと私は思いますけれども、経済も以前と全く同じ形で元に戻ることはないのではないかと考えております。ICTの活用であったり、テレワークであったり、以前は考えられないことがこのコロナ禍において様々出てきておりますし、以前はテークアウトというそれほど活発には行われていなかったものが感染症の拡大によって飲食店も苦渋の決断ということで、テークアウトが非常に多くなっているのも実情と思います。当然経済についても、回復しないということではなくて、同じ形に戻らないというだけであって、水準としては回復しなければなりませんし、それ以上になることを期待しているわけでありますけれども、やはり同様の構造では戻っていかないのではないのかと思います。
これはスポーツも同様なのではないかと思いまして、プロに限らず、スポーツ選手はある意味けがとの闘いでもあります。しかし、けがをした選手が将来活躍できないかといえば、そうではありません。けが以前と同様なプレーはできなくなるかもしれませんが、多くの選手が技術であったり、知識であったり、そういったものを高めつつ、これまでの経験を生かしながらパフォーマンスを向上させ、レベルアップしていく。これがスポーツの醍醐味であると思います。
そして、なぜそういったことが可能なのか。それは、やはり夢、それから明確な目標というものがあるからこそ可能なのではないかと思います。先ほどの答弁では、長根公園の整備方針について、八戸市体育館の配置方針を検討していく中で、合わせて
長根公園再編プランを見直すということでありましたので、新たなビジョンが示され、夢や目標を共有できる日が早期に訪れることを期待したいと思います。
最後に、1点だけ確認をさせていただきたいと思います。
長根公園再編プランを見直すということでありましたけれども、これは、併せて平成25年2月に策定した
セントラルパークとしての構想を断念するというふうな受け止めでよろしいのでしょうか。そこについて最後に市長の所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(森園秀一 君)市長
◎市長(小林眞 君)それでは、髙橋貴之議員の御質問にお答え申し上げます。
先ほども
長根公園再編プランについては、その後の
体育施設整備に関する基本方針等の策定経過の中で矛盾している部分が出てきているということの認識についてお話し申し上げました。断念するという言葉が適切かどうか、そこは分かりませんけれども、時代の流れとこの基本方針を踏まえて、そしてまた、議会の皆さんの御意見、市民の皆さんの御意見を踏まえて、現在の社会情勢等を踏まえた上で見直していくということについて、私もその方向性を持っているということでお答えにさせていただきたいと思います。
○議長(森園秀一 君)以上で6番髙橋貴之議員の質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前10時41分 休憩
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午前10時55分 再開
○副議長(三浦博司 君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
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17番 夏坂修君質問
○副議長(三浦博司 君)17番夏坂修議員の質問を許します。夏坂議員
〔17番夏坂修君登壇〕(拍手)
◆17番(夏坂修 君)公明党の夏坂修でございます。令和2年12月定例会に当たり、公明党の一員として、市長並びに関係理事者に質問をいたします。
1点目は、
新型コロナウイルス対策について伺います。
全国的に
新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが増し、特に11月に入ってからは1日の新規感染者が過去最多を更新する日が続くなど、流行の第3波に入ったとして警戒レベルが高まっています。青森県内においては、10月に弘前市の飲食店で発生したクラスターや当市内の通所型及び入所型施設でのクラスターを機に一気に感染者が増加し、昨日までに345人の陽性者が確認されています。一昨日は市内で職場での新たなクラスターが発生するなど、感染状況の変化は感染者数の増加とともに、飲食店のみならず、家庭や職場でも感染するなど感染の場が多様化し、また、無症状や軽症者が増えていることも対策の難しさを物語っています。
さらには、新型コロナはインフルエンザと同様に、気温が低い、湿度が低い環境で感染が広がりやすいとの研究結果があることから、冬に入り、今後徐々に寒さが厳しくなることを考えれば、より一層警戒心を強め、感染防止に一段と注意を払う必要があります。
こうした中、当市における一連の感染防止対策については、市保健所がボランチ的役割として対策を進めるとともに、PCR検査の体制強化をはじめ、医療体制についても、国や県及び医療機関とも連携を図りながら、最大限の手だてを講じてきているものと認識しています。とりわけ今後は、冬のコロナ対策としてインフルエンザとの同時流行に備えた体制整備を図るとともに、重症化しやすい高齢者の感染予防対策の強化に関係者が連携して取り組んでいくことが重要であると考えます。
こうした中、これまでの保健所を中心とした流れから、かかりつけ医などの身近な医療機関が発熱患者らに対応する新たな診療、検査体制が県内で今月1日からスタートしたところであり、保健所を介さないことで検査の間口が広がることで、感染の早期発見につながると期待されています。今後、市民にどう周知し、新たな体制に円滑に移行できるかが課題となると考えますが、そこで1点目として、当市内におけるインフルエンザとの同時流行に備えた体制整備についてはどのように進んでいるのか、市民への周知を含めた進捗状況についてお伺いいたします。
当市内の通所型、入所型施設において発生したクラスターは、施設の職員をはじめ、保健所や医療機関などが連携し、迅速かつ的確に接触者の確認や検査の実施に努めた結果、早期に封じ込めができたものと認識しています。しかしながら、通所型施設においては利用者の行動範囲が広いという性質上、感染者が出た場合の接触者の特定に時間と労力を要し、また、PCR検査の場所への送迎の仕組みづくりなど、マンパワー不足をどう補完するかといった課題が浮き彫りになったと考えます。
そこで、2点目として、高齢者施設における感染防止対策について、市としての支援策及び今般のクラスター発生を踏まえた課題と対応策についてお伺いいたします。
次に、新年度予算について伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大は、社会経済への影響とともに国や地方自治体の財政運営にも大きな影響を及ぼしています。9月に共同通信が実施したアンケートによると、
新型コロナウイルスの感染拡大により、全国の都道府県と市区町村の88%が財政悪化を見込んでおり、感染防止対策や冷え込んだ地域経済の活性化策の財政負担に加え、今後の税収減を懸念している自治体が大半を占めていることが明らかになりました。
政府はコロナ対策の自治体支援として総額3兆円の地方創生臨時交付金を配分しましたが、それでは賄い切れず、当市も含め多くの自治体が
財政調整基金を取り崩し、コロナ対策に充当し、加えて地域経済の停滞による税収減により、厳しい歳入環境に陥ることで行政サービスの低下につながりかねない状況になっております。
そこで、新年度予算の1点目として、
新型コロナウイルスの影響で、今年度及び来年度の税収減が見込まれている中での市税収入の見通しについてお示し願います。
コロナ禍での新年度の予算編成に当たっては、可能な限り歳入確保に努めるとともに、事業の必要性や優先度を十分に考慮し、真に必要な市民ニーズに応える重点的かつ効率的な予算編成を行うことが肝要であり、その上でポストコロナを見据えた感染防止対策と経済回復を図る施策の両輪をしっかりと動かしていく必要があると考えます。
先般、地元紙のインタビューで小林市長は、来年度の予算編成は市民生活の在り方や市政全般をゼロベースで見詰め直し、今後のまちづくりの基本的な考え方を定め、予算づけを進めていきたいと述べておられましたが、そこで2点目の質問として、税収減に伴う歳出抑制が想定される中での新年度予算についてはどのように予算編成に当たるのか、その考え方についてお示しいただければと思います。
次は、市道の路面下空洞調査について伺います。
道路は住民が社会生活を送る上で必要不可欠なものであり、災害時には避難路や物資の輸送路となるなど、命を守る重要な社会インフラであることは論をまつまでもありません。しかしながら、その命を守るはずの道路が上下水道などの埋設物の老朽化や施工不良などが原因となって路面下に空洞が発生し、それが道路の陥没につながり、命を危険にさらすような事案が全国で毎年のように発生しています。最近では、10月18日に東京都調布市の住宅街の道路で深さ5メートルにわたって陥没が発生した事案が大きく報道されましたが、国土交通省の調査によると、2018年度の道路陥没発生件数は、国道で128件、県道などの都道府県管轄で1314件、市道などの市町村管轄で9621件あり、合算すると年間1万1063件に上り、その中で約5000件が路面下の空洞が原因とされています。
こうした中、全国の自治体では、それぞれが管理する緊急輸送道路や避難路を中心に地中レーダーを搭載した空洞探査車を使用した路面下の空洞調査を実施する動きが加速しており、当市においても同様の調査を行うべきとこれまで議会質問で要望してまいりました。それを受けて当市では、約700キロメートルある幹線道路のうち、第1次緊急輸送道路、第2次緊急輸送道路、主要幹線道路を合わせた42.7キロメートルを調査路線に選定し、平成28年度から空洞探査車による調査を実施しているところであります。これまでの調査により、路線によって差があるものの、実際に空洞が発見され、陥没を未然に防ぐための対処を施しているようでありますが、そこで質問の1点目として、これまでの路面下空洞調査の実施状況と予定している今後の調査計画についてお示し願います。
道路の空洞調査は目視では分からない地中の空洞を探すという特殊な調査であり、空洞を発見する技術力とこれまでの調査実績が委託業者に求められると考えますが、質問の2点目として、現状の業務委託の発注方式について、また、これまでの調査結果の評価についてお示しいただければと思います。
最後に、小中学校教室への冷房設備の設置について伺います。
近年の記録的な猛暑により、全国で熱中症による健康被害が増加しており、一昨年の夏には災害級と言われるほどの暑さに見舞われ、小学生が亡くなる痛ましい事故も起こりました。猛暑が恒常化する中、児童生徒にとって安全な学習環境を整えることは重要な課題であり、また、学校は災害時に避難所として活用され、高齢者や病弱な人、乳幼児などが身を寄せることからも、暑さから身を守るための対策が必要となります。
こうした中、全国の自治体では2018年夏の酷暑をきっかけに創設されたエアコン設置のための臨時特例交付金を活用し、小中学校の教室へのエアコン設置を推進した結果、本年9月1日時点で公立小中学校の普通教室への冷房設置率が92.8%に達したことが明らかになりました。一方で、青森県の設置率は26.2%と北海道、秋田県に次ぎ全国で3番目に低く、寒冷地がゆえの設置に向けた消極性が数字に表れています。しかしながら、平成30年12月定例会で指摘させていただいたように、近年の青森県、とりわけ当市における夏の気温が上昇傾向にあり、加えて従来の夏休み期間ではない時期に30度を超える日が多くなっている状況にあります。さらに、今年の夏は
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学校の休業措置を受け、多くの小中学校で夏休みが短縮され、暑さが続く中で感染防止のマスクを着用しての授業を余儀なくされました。
こうした背景を踏まえ、改めて小中学校の教室への冷房設置に向け、早期に取組を進めていただくことを要望するものであります。
そこで伺いますが、1点目に、小中学校の教室で計測した温度状況調査や他市の設置状況の調査を実施されたことと思いますが、そうした基礎データ取得等の検討の経緯について、2点目に、設置費用や財源確保の算段、また、スケジュールなどの具体的な設置計画についてお伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。
〔17番夏坂修君降壇〕(拍手)
○副議長(三浦博司 君)市長
〔市長小林眞君登壇〕
◎市長(小林眞 君)夏坂議員にお答え申し上げます。
まず、
新型コロナウイルスとインフルエンザとの同時流行に備えた体制整備についての御質問ですが、
新型コロナウイルスに関する診療、検査は、これまでは、まず保健所内に設置した帰国者・接触者相談センターに相談をしていただき、症状の有無、海外渡航歴、国内流行地域への移動歴、患者との接触歴等を伺い、検査が必要な場合には帰国者・接触者外来を設置している医療機関において診療、検査を実施しておりました。
しかし、
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行が懸念されることから、地域の医療機関においても診療、検査ができるよう体制強化を図ることが必要とされ、県は県医師会及び各郡市医師会等と協議を重ね、
新型コロナウイルスに関する診療、検査を行う診療・検査医療機関の指定を進め、12月1日から新たな体制に移行したところであります。
新たな体制では、発熱等の症状があった方は、まず、かかりつけ医に相談し、かかりつけ医が診療・検査医療機関である場合は
新型コロナウイルスの診療、検査を受けることができます。かかりつけ医がない方は県が設置するコールセンターに相談し、案内された診療・検査医療機関を受診することとなります。また、これまで保健所に設置していた帰国者・接触者相談センターは受診・相談センターと名称が変更され、
新型コロナウイルス感染症患者と接触したなど、心当たりのある方は直接当センターに相談することとなっております。診療・検査医療機関の指定状況は、県全体で12月5日現在187医療機関で、うち八戸市内は45医療機関が指定されているところであります。
今後とも、県においては指定医療機関の充実を図り、県民が安心して診療、検査を受けられる体制づくりを進めていくこととしております。さらに、周知につきましては、11月27日に記者会見で私から市民にお知らせしたほか、市ホームページやほっとスルメール、公共施設へのポスター掲示などで行っておりますが、今後とも、市民の方に幅広く知っていただくため、広報はちのへ、SNSによる情報発信等、様々な媒体を活用し、周知を図ってまいります。
次に、高齢者施設における感染防止対策についてお答え申し上げます。
当市では、高齢者施設等の
新型コロナウイルス感染防止対策及び感染が発生した場合の対応等に関する国からの通知を市ホームページへ掲載し、事業者に周知するとともに、重要な通知については全施設へメールで直接周知し、注意喚起を図ってまいりました。また、マスクや使い捨て手袋等の衛生用品を配布するとともに、必要な物品の購入費用に対する補助制度を設けて、事業所の感染防止対策を支援してきたところであります。
こうした中、市内通所サービス事業所の利用者の感染が確認され、その後、利用者及び職員の計8名、利用者が居住していたサービスつき高齢者向け住宅においても入居者7名の感染が確認され、高齢者施設におけるクラスターが発生をいたしました。両施設においては、保健所の指導の下、関係者のPCR検査を実施し、陰性者にも2週間の健康観察期間を設け、外部との接触を避けたほか、施設の消毒等感染拡大防止策を講じた上で、現在はサービスを再開しております。
このたびの事案での課題としましては、陽性者と接触した者のリストアップや連絡調整に加え、利用者のPCR検査センターへの送迎が挙げられます。特に通所サービス利用者のうち独り暮らしの方等について、今回は事業所の御協力で検査センターへの送迎を行っていただきましたが、今後は、検体の採取場所、移動方法、衛生用品の確保について、関係者で協議し、円滑に対応できるよう取り組んでまいります。
さらに、職員のメンタルヘルスでありますが、職員の中には、自責の念にかられる等気持ちの落ち込みが見られる方がいらっしゃるとお聞きしております。今回の事案に対する誹謗中傷に起因するものと考えられることから、こうした行動は厳に慎んでいただくよう、今後も機会を捉えて市民の皆様に呼びかけをしてまいりたいと考えております。
全国的に感染拡大が続いていることから、保健所はじめ関係部署と各事業者が連携を一層強化することにより、感染防止対策のさらなる徹底に取り組んでまいります。
次に、市税収入の見通しについてお答え申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大は、国民生活に脅威を与えるとともに、経済的にも甚大な影響を及ぼしており、国、地方ともに大幅な税収減が懸念されております。当市におきましても、現時点で減収額の具体的な数字を示すことは難しいものの、相当な税収の落ち込みは避けられない状況であると考えております。
一例として申し上げますと、国が感染症の影響により納税が困難な事業者等に対しては、今年度特例として、無担保かつ延滞金なしで1年間納税を猶予する制度を設けておりますが、当市の納税猶予の実績は11月末現在で、個人、法人合わせて約2億4000万円となっております。今回の納税猶予に伴い生じる一時的な減収に対して、国では地方債の特例措置を設けており、当市においても、それらを活用しながら、当面の歳入確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、新年度の市税収入の見通しですが、今年度と同様、具体的な数字を申し上げることはできませんが、本年9月末に総務省が公表した令和3年度地方財政収支の仮試算では、地方税は前年度比マイナス6.8%の大幅な減収が見込まれており、仮に当市に置き換えた場合、20億円を超える税収減となります。市税の減収につきましては、普通交付税の算定上、基準財政収入額に反映されることになりますが、全て補完されるものではなく、今般のように大規模な減収が見込まれる場合は、財政運営に与える影響も大きくなることから、新年度の歳入環境は大変厳しいものと考えております。
次に、予算編成の考え方についてお答え申し上げます。
本年9月末公表の総務省の概算要求においては、令和3年度の地方財政について感染症拡大への対応と地域経済の活性化の両立を図ることを基本とし、安定的な財政運営に必要となる地方税や地方交付税等の一般財源総額について、令和2年度の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することが示されたところであります。一方で、先ほど申し上げましたとおり、現時点で具体的な減収額を示すことは難しいものの、市税をはじめとする当市の歳入環境は、例年にも増して大変厳しいものと予想されます。
このような中で、当市の予算編成の基本的な考え方といたしましては、コロナ禍においても市民サービスの低下を招くことなく、引き続き感染症対策を講じながら、一日も早く市民生活及び経済活動を平常の状態に戻すことを最優先に編成したいと考えております。そのためには、歳出面において、これまでの行財政改革における取組や東日本大震災等の経験を踏まえつつ、コロナ禍における事業の在り方という観点から、市政全般についてより効率的で実効性のある予算となるよう努めてまいります。
また、財源面では、国や県の交付金などの確保や財政的に有利な起債の活用はもとより、自主財源の確保及び活用についても積極的に検討する必要があると考えております。特に基金については、例年、当初予算において一定規模の繰入れを行っている
財政調整基金の残高が、今年度の感染症対策への活用により減少していることを踏まえ、その他の基金について、目的に合致する事業に対し積極的な活用を図りながら、財源の確保に努めてまいります。
いずれにいたしましても、過去のリーマンショックや東日本大震災などと同様、非常事態のさなかでの予算編成となりますが、今後、国の補正予算及び新年度予算の動向とともに、地域経済の動向等も十分注視しながら、限りある財源を有効に活用することを念頭に、新年度予算の編成を着実に進めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
〔市長小林眞君降壇〕
○副議長(三浦博司 君)建設部長
◎建設部長(八木田満彦 君)私からは、市道の路面下空洞調査についての2点の御質問にお答え申し上げます。
まず、調査の実施状況及び今後の計画についてでございますが、調査路線は、市道のうち重要度の高い第1次緊急輸送道路5.8キロメートル、第2次緊急輸送道路11.6キロメートル、主要幹線道路25.3キロメートルの合計42.7キロメートルを選定しております。調査方法としましては、空洞探査車に搭載した地中レーダーにより空洞の疑いがある箇所を抽出する1次調査、並びに1次調査の結果を基にハンディー型地中レーダー探査及びスコープ調査によって空洞内部の正確な状況を把握する2次調査を実施しております。
これまでの調査実施状況ですが、平成28年度は調査路線合計42.7キロメートルのうち19.2キロメートル分の1次調査及び2次調査を実施しており、その結果、5か所で空洞が確認され、既に空洞は充填済みであります。
令和元年度は、調査路線8キロメートル分の1次調査及び一部の2次調査を実施しており、その結果、26か所で空洞が確認され、この中で緊急性の高い5か所の空洞を優先して充填しており、残り21か所については経過観察といたしました。
令和2年度は、経過観察中の21か所について2次調査及び処置並びに調査路線2.2キロメートル分の1次調査を実施することとしております。
令和3年度以降の計画につきましては、調査路線の残り13.3キロメートル分の路面下空洞調査を引き続き実施していく予定であります。
次に、発注方式及び調査結果の評価についてお答え申し上げます。
当市がこれまでに発注した3件の路面下空洞調査業務委託の発注方式につきましては、全て指名競争入札で行っており、その指名は、当市の競争入札参加資格者名簿に登録されている業者のうち、空洞調査業務の実績を有する業者の中から選定しております。また、調査結果の評価につきましては、調査済み路線において発見された空洞箇所以外では陥没事故が発生しておらず、将来の陥没事故の未然防止にも大変有効であることから、特に問題はないと評価しております。
以上でございます。
○副議長(三浦博司 君)教育部長
◎教育部長(石亀純悦 君)続きまして、発言事項4、小中学校教室への冷房施設の設置についての2点の御質問にお答え申し上げます。
まず、基礎データ取得等の検討の経緯についてですが、市教育委員会では、夏期における学校の教室の状況を把握するため、今年度7月中旬から9月末まで、地域バランスを考慮し、小中学校12校を選び、普通教室等の温度調査を実施したところであります。その結果、12校全ての学校の最高温度が、文部科学省が定めた学校環境衛生基準で、健康を保護し、かつ快適に学習する上で維持されることが望ましいとしている学校の温度基準の17度以上、28度以下の上限を超えることが確認されております。
また、冷房設備を設置する際の参考とするため、今年度から供用を開始している弘前市及び盛岡市に、事業費、設置場所、エアコンの種類等について調査を行いました。その結果、事業費については、盛岡市が約33億円、弘前市が約8億2000万円で、盛岡市の事業費が弘前市の約4倍になっておりますが、これは、盛岡市の設置場所数が弘前市の約2倍であったことと、盛岡市が職員室での集中管理方式としたことなどによるものでございます。
次に、設置場所についてですが、盛岡市は、普通教室、職員室、校長室、事務室、保健室、弘前市は、普通教室、音楽室に設置しております。エアコンの種類については、盛岡市はつり下げ型の業務用エアコン、弘前市はつり下げ型または壁かけ型の業務用エアコンを設置しております。これらの調査結果を踏まえ、市教育委員会といたしましては、普通教室等への冷房設備は必要と判断し、業務用エアコンを普通教室、職員室、校長室に設置することにしたものであります。
次に、財源及び具体的な設置計画についてお答え申し上げます。
冷房設備設置に係る事業費は約25億4000万円を見込んでおり、財源としては、文部科学省の補助率3分の1の大規模改造空調設置工事に対する交付金を基本とし、残りに起債と一般財源を充てることとしております。起債につきましては、通常であれば充当率75%、交付税措置率30%の学校教育施設等整備事業債を活用することになりますが、事業期間が今年度までとされている防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債が延長された場合、充当率100%、交付税措置率50%の有利な起債の活用が見込まれることから、国の動きを注視しているところであります。
次に、設置スケジュールについてですが、防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債が延長された場合には令和3年度から3年間での設置とし、延長にならない場合には令和3年度から5年間での設置を予定しております。冷房設備を設置する際の各小中学校の優先基準についてですが、冷房設備設置に伴い使用電力が増えることから、学校の高圧受電設備、いわゆるキュービクルの改修が必要になる場合があります。キュービクルの改修費用は約9億円を見込んでおり、全事業費において約4割を占めておりますが、比較的新しく状態のよいトランスなどの部品を他校で活用することにより、改修費の抑制が可能となるため、キュービクルの新しい学校から冷房設備の設置を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(三浦博司 君)夏坂議員
◆17番(夏坂修 君)詳細にわたって御答弁いただき、大変ありがとうございます。順次要望を申し上げ、最後に1点だけ再質問をさせていただきたいと思います。
順番が逆になりますけれども、まず、小中学校教室への冷房設備の設置についてでございます。
小中学校教室への冷房設備の設置につきましては、私をはじめ、他の多くの議員がこれまで要望し、また、会派としても要望してきて、まさに議会の総意としての要望であることから、今回補正予算にこの設置に向けた実施設計委託料を計上していただきまして、先ほど答弁がございましたが、来年度から工事を始めていくと。
ただ、3年間か5年間というのが非常に気になっているところでございまして、3年でできるのは防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債が延長になった場合ということで、そうでなければ5年間ということなのですが、3年間と5年間だと全然違うと思うのです。本当は1年で工事できればいいのですけれども、財政負担の関係で国の有利な起債を使ってということで、それが活用できるかどうかは、延長になるかどうかは今月末に決定すると伺っていますので、その推移を見守って、ぜひ期待をして、長くても何とかこの3年間で全小中学校に設置できるように、ぜひとも御努力いただければと思っております。
以上でございます。
次に、市道の路面下空洞調査についてでございます。
先ほどの答弁で発注方式は指名競争入札だと聞いております。これは、いわゆる価格重視で業者を選定しているということであるかと思います。
ただ、私は、路面下空洞調査においては、業者選定において価格重視はなじまないのではないかと思っております。といいますのも、2016年の熊本地震があった際、国が熊本市内の国道の空洞調査を行ったわけなのですが、その際に発注した業者の空洞を見落とすなどのずさんな調査が発覚して、その業者が指名停止になっております。それを受けて、国が発注する国道の空洞調査は、価格重視から空洞発見能力を重視したコンペ方式に移行しております。同様に、大阪市や福岡市などでも価格重視からコンペ方式に変えている実情がございます。
当市においても、これまで市道における陥没というのは大なり小なり起きておるかと思いますが、私、非常に気になっておりますのが、平成29年3月6日に発生した沼館4丁目の市道日東通線の交差点で道路の陥没事故があったわけなのです。約30センチメートルぐらいの深さで陥没が起きて、気づかずに通った約10台の車両に損傷があって、市は合わせて約90万円の損害賠償を支払った事案がございました。陥没の原因は道路の下を通る排水路の上部が振動と老朽化で壊れたことになっているのですけれども、実は平成28年度の空洞調査、初めて市が空洞調査を行った際に、そのときの受注業者は空洞探査車でこの路線を走っているのです。間違いなく陥没のあった場所も通っているはずなのです。陥没の原因が空洞でなかったにしても、排水路の上部に何らかの異常を見つけることができなかったものかと、私は少し疑問に感じております。
といいますのは、空洞探査車は業者によって様々質の差があって、空洞だけではなくて、舗装や路盤、内部の劣化状況というのも見つけることができるのです。また、取得したデータやデータの解析力というのも業者で正直ばらつきがある現状であります。道路の安全管理は人の命がかかっていると言っても過言ではありません。そういう意味では、空洞発見のより精度の高い調査結果を得るためには、やはり価格だけではなくて、技術力にも重きを置いた業者選定を行うべきだと思います。
先ほど国道はコンペ方式になっているというお話をいたしましたが、今やほかの自治体の多くが技術力を重視した発注方式を採用しております。ざっと東北管内だけでも紹介いたしますと、まず、1者指名、随意契約を採用しているのは山形市、福島県相馬市、随意契約がいわき市、プロポーザル方式が仙台市、盛岡市、郡山市、総合評価方式が宮城県、青森県、そして三沢市となっております。
一方で、価格重視の指名競争入札は、福島市、秋田市、県内では、青森市、弘前市、十和田市、そして当市となっておりますが、そのうち秋田市、青森市、弘前市、十和田市は、指名競争でも空洞探査車を1台以上保有しているであったり、空洞発見率が80%以上などのいわゆる資格要件の縛りを設けているのですけれども、逆に縛りを設けていない完全な価格重視なのが福島市と当市だけになっております。
実は当市も平成28年度の発注、いわゆる初めての空洞調査を行ったときは、先ほどの縛りを設けておりました。ところが、次の令和元年度、そして本年度の発注でなぜかこの縛りをなくしております。入札要件には、自治体からの空洞調査の受注実績だけではなくて、データの収集方法や解析力などの中身の精度を求めるべきだと思っております。
以上のことから、路面下空洞調査の発注方式というのは、今後できれば総合評価方式に変えていただければと。もし難しければ、せめてその縛りを入れた指名競争入札に変えていくべきだと、このことを要望しておきたいと思います。
当市では、都市機能や居住の適正な立地を促進し、コンパクト&ネットワークの都市構造の形成と望ましい人口密度や生活を支える様々なサービスが維持されたまちづくりを推進するため、平成30年3月に都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画を策定いたしました。当計画では、自家用車を利用しなくても住みやすい、住み続けられるまちを目指し、公共交通を利用しやすい場所として、市内の主要な12の市内幹線軸のバス路線及び鉄道駅からの距離に着目し、積極的に居住の誘導を図る区域を居住誘導区域として設定しており、市街化区域5836ヘクタールのうち2583ヘクタールが居住誘導区域となっております。
当市の居住誘導区域における災害ハザードエリアについては、令和2年3月に公表された1000年に一度程度の発生確率である最大規模の降雨を想定した洪水ハザードマップにおいて、居住誘導区域の約3割が洪水浸水想定区域に含まれることが判明しております。また、近年、大規模に盛土造成された宅地において多くの住宅被害が発生したことを踏まえ、国では全国の大規模盛土造成地マップを作成し、令和2年3月までの期間に公表しており、当市では56か所が確認され、そのうち25か所が居住誘導区域に含まれることが判明しております。
1点目の御質問の居住誘導区域内の大規模盛土造成地の調査状況につきまして、市では今年度、大規模盛土造成地の造成年代調査や現地の目視調査等を実施しており、来年度以降は、今年度の調査結果を基に必要に応じて土質調査等を行い、安全性の確認を進めてまいります。
2点目の御質問の居住誘導区域における安全性確保につきましては、今年6月、都市再生特別措置法が改正され、災害ハザードエリアにおける立地規制や移転促進、災害ハザードエリアを居住誘導区域から除外することによる立地誘導、そして、ハード、ソフトの防災減災対策等を総合的に組み合わせて取組方針として記載する防災指針を立地適正化計画に定めることにより、安全なまちづくりに向けた取組を行っていくことが必要となりました。
つきましては、国の動向を注視し、関係機関との連携調整を図りながら防災指針の策定を検討し、立地適正化計画の見直しを進めてまいります。
次に、下水道事業における雨水対策についてお答え申し上げます。
雨水対策は主に市街化区域の内水排除を目的とし、ハード面の対策では、中心市街地や床上、床下浸水等の大きな被害が発生した地区を対象に整備を進め、現在は尻内地区及び八戸駅西地区で事業に取り組んでおります。また、ソフト面での対策といたしまして、平成22年度に供用を開始した下長雨水ポンプ場の整備に併せ、当該地区における内水ハザードマップを作成し、地区住民の方々に浸水と避難に関する情報の提供を行っております。しかしながら、近年、全国的に局地的豪雨による内水被害が多発していることから、ハード対策とともに大きな役割を果たすソフト対策の内水ハザードマップを活用し、人的被害の軽減を図ることの重要性が高まっております。
当市におきましても、近年の降雨状況を踏まえた内水ハザードマップの検証を行い、必要に応じて更新を図りながら、ハード、ソフト両面から総合的な市街地の雨水対策を進め、安全安心なまちづくりの実現に取り組んでまいります。
以上でございます。
〔市長小林眞君降壇〕
○副議長(三浦博司 君)中村議員
◆4番(中村益則 君)市長より詳細な答弁をいただきました。ありがとうございます。意見、要望を申し上げたいと思います。
集中豪雨による水害が各地で多発しており、特に大規模盛土造成地の被害が大きいことから、国は居住誘導区域内にある大規模盛土造成地の調査を各自治体に求めております。当市でも区域内に25か所存在していることから、該当する地域住民の安全確保のための調査を優先して進めることが重要だと考えております。あわせて、3月に全戸配布されました洪水ハザードマップ内にある居住誘導区域の3割が浸水想定区域であることから、安全確保のための立地誘導やハザードエリアの防災対策などを今後の立地適正化計画に生かす取組が重要だと考えております。
国土交通省が発表した全国の災害リスクエリアに居住する人口の割合が2050年には70.5%に達するとの試算結果を公表しております。改めて、今後の立地適正化計画に防災指針を生かした新たな安全なまちづくりを進めていただくよう要望いたします。
次に、市街地における雨水対策について、下水道整備事業とソフト対策の課題を伺いました。水害リスクを軽減する強化策として、下水道整備の着実な推進が求められております。都市浸水対策の課題として、国土交通省が調査した平成30年7月豪雨の被災自治体への浸水原因についてのアンケートによれば、内水氾濫による浸水戸数の9割が下水道整備の途上である地区で発生していることが明らかになっております。今後の対応として、国が示す強化すべき政策として、雨水管理総合計画を策定し、雨水整備の優先度が高い地区を中心に総合的な浸水対策を最大限に推進することと示されております。重点的に対策を実施する区域、整備水準、段階的な整備方針の設定の下で整備事業を進めていくよう要望いたします。
次に、ソフト対策として重要性が指摘されているのが内水ハザードマップです。国は策定に当たり、詳細なデータがない場合、地形などを基にした暫定的なハザードマップの作成を促しております。過去の浸水状況などに基づき、今年度末までに公表するよう自治体に求めております。現在市内では下長地区の1か所のみが掲載されておりますが、今後シミュレーションなどによる浸水リスクを把握し、再度、災害防止に加え、事前防災、減災につながる内水ハザードマップが不可欠だと考えます。
国土交通省は不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を事前に説明することを義務づける宅建業法を改正し、本年8月28日から施行されております。近年、大規模な水災害が多発しており、水害リスク情報が契約の意思決定の重要な要素となるからであります。改めて、水害リスクに対応する市街地での内水ハザードマップの策定、見直しを進めていただくよう要望いたします。
最後に、本年は予期せぬ
新型コロナウイルス感染拡大により、国難とも言うべき事態に直面する中、当市でも今日、現在も感染症と闘っている保健所、医療従事者、行政機関の皆様に感謝を申し上げたいと思います。また、小林市長には、感染症対策として、市独自の事業支援金をはじめ、経済対策としてプレミアムつきの食事券の発行、また、最速での特別定額給付金の給付、また、新生児への特別定額給付金の拡充、これについては今日現在で700人を超える申請があったようです。このように矢継ぎ早に対策を打ち出していただいたことに感謝申し上げたいと思います。
感染症と闘いながら、社会経済活動の両立が当面の政策の中心になりますが、今後も市民生活向上のために引き続き取り組んでいただくことを要望し、私からの質問を終わります。
○副議長(三浦博司 君)以上で4番中村益則議員の質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午後1時40分 休憩
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午後1時55分 再開
○議長(森園秀一 君)休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
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19番 藤川優里君質問
○議長(森園秀一 君)19番藤川優里議員の質問を許します。藤川議員
〔19番藤川優里君登壇〕(拍手)
◆19番(藤川優里 君)令和2年12月議会におきまして、登壇の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員に感謝を申し上げます。
年の瀬というと、江戸時代の庶民が今年のツケを無理して払い、暖を取るのも、年を越すための食料の確保も困難な年末の窮屈さや慌ただしさを、川の流れが勢いを増し急激に速くなる川の瀬に例えた言葉ですが、本年はまさに世界がそういった年の瀬を過ごすことになります。本年最後の登壇者となったのはくじ運の悪さですが、今定例会の16名の登壇者の発言が一丸となって、その川の勢いを緩やかにする一助となるよう、最後の締めに入らせていただきたいと思います。
初めに、財政について伺います。
昨日、政府が事業規模73.6兆円、財政支出40兆円の追加対策をまとめたと報道がありました。
新型コロナウイルスへの対応のための十分な額の予備費の確保や新たな成長のための突破口を切り開くという菅総理の方針に期待したいところであり、今年度の第3次補正予算と来年度予算を合わせた15か月予算を連続性と継続性を持っていかに運用していくのか、注目しております。現時点で国の情報などを把握し切れていない状況かと思いますが、新年度予算の編集に向けた基本的な考え方について御所見を伺います。
次に、公共交通について伺います。これまで交通系ICカードの導入について要望させていただきましたが、その経過についてお答えいただきたいと思います。
本年10月にJR東日本と八戸圏域における地域連携ICカード利用に関する基本合意が締結され、利便性に加え、データの利活用や
新型コロナウイルスがもたらすニューノーマルに対応したまちづくりを進める中で重要な役割を果たすものと大いに期待しているところです。
そこで伺いますが、地域連携ICカード導入について、(1)としてスケジュールについて、(2)として選定した理由について、(3)として導入効果や使い方についてお示し願います。
次に、児童虐待について伺います。
昨今、児童虐待の増加が取り上げられますが、実際の増加に加え、その背景には警察庁が警察白書に掲載するため児童虐待事件を集計するようになり、虐待の検挙や捜査に積極的に取り組むようになったこと、虐待死の4割を占める心中、いわゆる無理心中による虐待や虐待かどうか分からない疑義事例も集計するようになったこと、虐待死ではないと断定できない限り虐待として扱うことにしたなど、国や社会が虐待とみなす範囲を増大させたことも、その大きな要因と言えます。
加えて、通告件数が増えたのは、社会の関心が増大し、通告しやすい環境になった要因が大きいと思われます。しかしながら、通告された家族は、誤報だった場合でもその家庭に悪影響を与えたり、通告した側とのトラブルに発展することもあると伺っております。
そこで、以下3点について伺います。
児童虐待について、まず(1)として当市の現状と取組について、(2)として通告者への対応について、(3)として通告された家庭や通告後のトラブルへのフォローアップについてお答え願います。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。
〔19番藤川優里君降壇〕(拍手)
○議長(森園秀一 君)市長
〔市長小林眞君登壇〕
◎市長(小林眞 君)藤川議員にお答えを申し上げます。
まず、新年度の予算編成の基本的な考え方についての御質問ですが、本年9月末公表の総務省の概算要求においては、令和3年度の地方財政について、感染症拡大への対応と地域経済の活性化の両立を図ることを基本とし、安定的な財政運営に必要となる地方税や地方交付税等の一般財源総額について、令和2年度の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することが示されたところであります。
一方で、総務省の仮試算では、令和3年度の地方の財源不足は、前年度の4.5兆円から10.2兆円へと大幅に拡大すると見込まれており、その要因として、
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、地方交付税の原資となる国税の大幅な減収が挙げられております。同じく地方税についても、前年度比マイナス6.8%の大幅な減収が見込まれており、仮に当市に置き換えた場合、20億円を超える税収減となります。
このように、例年にも増して厳しい財政環境の中で、当市の新年度予算編成の基本的な考え方といたしましては、コロナ禍においても市民サービスの低下を招くことなく、引き続き感染症対策を講じながら、一日も早く市民生活及び経済活動を平常の状態に戻すことを最優先に編成したいと考えております。
また、地域経済のより力強い回復を目指し、守りの姿勢だけではなく、攻めの姿勢を持って、ウィズコロナからポストコロナへの転換を見据えた積極的な施策についても可能な限り盛り込みたいと考えております。そのためには、歳出面において、これまでの行財政改革における取組や東日本大震災等の経験を踏まえつつ、コロナ禍における事業の在り方という観点から、市政全般について、より効率的で、実効性のある予算となるよう努めてまいります。
また、財源面では、国や県の交付金などの確保や財政的に有利な起債の活用はもとより、自主財源の確保及び活用についても積極的に検討する必要があると考えております。特に基金については、例年、当初予算において一定規模の繰入れを行っている
財政調整基金の残高が今年度の感染症対策への活用により減少していることを踏まえ、その他の基金について、目的に合致する事業に対し積極的な活用を図りながら、財源の確保に努めてまいります。
さらには、今年度の国の補正予算で措置された地方創生臨時交付金の継続など、経済対策等に必要な財源については、全国市長会や中核市市長会などを通じ、国に対して引き続き強く要望してまいります。
いずれにいたしましても、過去のリーマンショックや東日本大震災などと同様、非常事態のさなかでの予算編成となりますが、今後、国の補正予算及び新年度予算の動向とともに、地域経済の動向等も十分注視しながら、限りある財源を有効に活用することを念頭に、新年度予算の編成を着実に進めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
〔市長小林眞君降壇〕
○議長(森園秀一 君)都市整備部長
◎都市整備部長(大志民諭 君)私からは、公共交通についてお答え申し上げます。
まず、地域連携ICカード導入までのスケジュールについてお答え申し上げます。
地域連携ICカードのサービス開始時期ですが、令和4年3月中旬を目指し、現在、バス事業者やJR東日本、運賃箱メーカーと仕様の詳細設計につきまして協議を進めております。具体的には、これまで実施してきた1日乗車券や回数券、高齢者等バス特別乗車証、まちパスといった既存のサービスを地域連携ICカードにどのように実装するか、そのほか交通ポイント等の地域独自の新たなサービスを実施するかなどの詳細について、今年度内をめどに検討を行ってまいります。
来年度は、バスへのICユニット機器の取付けや運賃表示器等との調整を行うほか、バス運転手や販売窓口職員の機器操作研修を実施し、スムーズに地域連携ICカードに移行できるよう努めてまいります。
次に、地域連携ICカードについてお答え申し上げます。
交通系ICカードには、当該エリアのみ利用可能な地域独自カードや、Suica、PASMO等の全国で相互利用可能な10種類のカード、通称10カードなどがあります。当圏域にはビジネスマンや観光客も多くいらっしゃることから、来訪者や地域住民の両方が使える環境を実現できる交通系ICカードの導入を目指し検討してまいりました。ただし、10カードは基本的に鉄道利用者向けにつくられているため、バスの場合には大都市圏のバス運賃のような均一運賃のみに対応しているものがほとんどであり、当圏域のように走行距離に応じて運賃が変動していく多区間運賃に対応している10カードは2種類のみとなっております。
以上のことから、その2種類のカードにつきまして、バス事業者とともに、実装できるサービス、導入費用、運営コストなどを比較検討した結果、決済手数料が安く、運営コストが抑えられること、また、将来的に当地域の鉄道にICカードが導入された際には1枚のカードで鉄道とバスの2種類の定期券が持てるなど、当圏域が求める機能を満たしていることから、地域連携ICカードの選定に至ったものでございます。
次に、導入効果や使い方についてお答え申し上げます。
地域連携ICカードの導入による効果としては、バス利用者は、バス運賃を気にしながら、小銭の準備や両替が不要といった運賃の支払いやすさなどの利便性の向上のほか、交通ポイント等の地域独自サービスを受けられることが大きな効果だと考えております。また、地域外からの来訪者にとりましても、既存の全国相互利用の10カードでバスを利用できることから、利便性が向上されます。
一方、バス事業者にとりましては、運賃支払いの時間短縮による定時性の確保やICカード利用により得られる利用者の乗降データを把握することにより、効果的、効率的な輸送を実現し、生産性の向上が図られます。さらに、回数券や定期券等の運用に関わる人的負荷の軽減及び人件費の削減などの効果が期待されます。また、利便性の向上等に加え、精算方法がキャッシュレスになることで、
新型コロナウイルスの感染症対策としても有効であると考えております。
地域連携ICカードは、バス事業者の営業所等の定期券窓口での販売を想定しており、カードへの入金につきましては、バス車内のほか、コンビニエンスストア等で行えるように考えております。
この地域連携ICカードの導入により、バスの利用方法等が変わることから、パンフレット等の作成や広報はちのへなどを活用し、利用方法の周知を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)健康部長
◎健康部長(佐々木勝弘 君)私からは、児童虐待について、3点の御質問にお答えを申し上げます。
まず、当市の現状と取組についてでございますが、当市では、昭和40年に福祉事務所に家庭相談員を配置して以来、児童虐待や家族間の不和など、家庭内の問題に関する相談に対応してまいりました。当市への児童虐待相談件数は平成29年度は33件にとどまっていましたが、平成30年度は68件、令和元年度は117件と増加傾向にあり、今年度は11月末時点で64件となっております。また、主な虐待者は両親が全体の9割以上を占めており、近年の傾向としましては、とりわけ児童が両親の暴力的言動を目撃する心理的虐待の事例が目立っております。
次に、虐待防止に係る取組についてでございますが、支援が必要な子どもや家庭にきめ細かく対応するため、今年度より健康部内にこども家庭相談室を新設し、市総合保健センターにおいて八戸版ネウボラとして健康づくり推進課の子育て世代包括支援センター、教育委員会のこども支援センターと連携し、虐待防止も含め、妊娠期からの切れ目のない支援を目指して体制強化を図ったところでございます。
また、児童福祉法に基づき設置している八戸市要保護児童対策地域協議会において、県八戸児童相談所、八戸警察署や教育委員会など関係機関が毎月集まり、実務者会議を開催し、虐待疑いのある世帯の情報共有に努めております。さらに、小中学校長会をはじめ、民生委員・児童委員やスクールソーシャルワーカーの会合に出向き、情報提供を依頼しているほか、認定こども園や児童館等の職員を対象にした研修会を開催し、児童虐待の対応方法や通告などについて最新情報の提供など、関係者の理解の促進に努めております。
このほか、普及啓発活動といたしまして、毎年11月の児童虐待防止推進月間には、市内のショッピングセンターにおいて、八戸警察署などと共同で児童虐待防止を呼びかけるチラシやパンフレットの配布を行っております。
次に、通告者への対応についてお答えを申し上げます。
児童虐待の通告につきましては、児童虐待防止法に定めがあり、虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに福祉事務所や児童相談所等に通告しなければならないこととされております。また、同法では、情報を得た自治体等は情報元を特定させるものを漏らしてはならないとされております。当市に寄せられる通告の多くは児童相談所や警察などの専門機関からのものですが、地域住民からの情報もあり、中には通告者が特定されることを危惧する方もおられます。このようなことから、機会を捉えて、リーフレットの配布等により通告の秘密は守られることを周知し、さらに、通告してくださった方には同法の規定や当市の対応の流れを説明し、通告者についての情報は漏えいする心配がないことなどをお伝えし、安心していただけるよう努めております。
次に、フォローアップ体制についてお答え申し上げます。
当市では、児童虐待の通告を受けた後、児童の安全確認や事実確認を行います。このとき、家庭訪問が主な手段となりますが、対象となる保護者に対しては、真偽不明の児童虐待に関する情報が入ったので訪問をした、事実確認に協力いただきたい旨を説明し、あくまで通告内容が事実ではない可能性があることを念頭に対応しております。また、誰が通報したのかとの質問を受けた際には、法律の規定によりお答えできない旨を説明しております。
当市におきましては、今後も、通告した側、された側、いずれにも配慮しながら、必要な事実確認や児童の安全確認を行ってまいります。
以上でございます。
○議長(森園秀一 君)藤川議員
◆19番(藤川優里 君)各般にわたりまして、御答弁ありがとうございました。
まず、新年度予算の編成について、1点御要望をさせていただきます。
御承知のとおり、国難と言われた東日本大震災から、早いもので間もなく10年。当時民間のフットワークの軽さと市長や市選出の国会議員、行政との連携による当市の復興のスピード感には励まされたものでした。本来であれば、小林市長を先頭に、一日も早い創造的復興の実現を目指したこの10年に一区切りがつけられるはずでしたが、現実はこの10年で2度目となる国難に立ち向かっております。
小林市長には、今回もリーダーシップを発揮していただき、御尽力いただきたいわけですが、市長が持つ特徴的スキルの一つに、様々な主要施策を推進する際、より有利な財源を確保できることがあると思います。しかし、今回のコロナ対策は地域を限定したものではなく、全国、世界共通の課題としてその対応が求められている状況です。八戸だけに有利な財源を引っ張ってくるというのもなかなか難しいでしょう。さらに、前段の議員にも答弁されていらっしゃいましたが、主たる自主財源の市税についても大幅な減収が見込まれるなど、歳入に明るい話題を見いだすことは至難の業だと思います。
さらに、
財政調整基金について、報道では、全国的に
新型コロナウイルスへの緊急対応でその残高が大きく減少しており、東京では9300億円あったものが8300億円以上を取り崩したということです。規模は違いますが、当市の場合も一時期3億円台まで残高が減少し、正直不安感を覚えました。平素からの小林市長への信頼がなければ、野党もどん引くレベルの追及を今ここでしなければいけませんでした。
さて、財調については、年度間の財源調整や大規模災害などの一時的な歳出増に対応するために積み立てているもので、コロナ対策への活用は正しく、その目的に合致したものだと理解しております。一方で、近年は全国的にも毎年のように大規模な自然災害に見舞われており、当市においてもさらなる不測の事態を想定し、一定規模の残高は必要不可欠ではないかと改めて感じております。さらには、当初予算の編成において、例年基金の取崩しにより対応していることからも、税収等の見通しが不透明なコロナ禍において、基金の必要性、重要性はますます高まるのではないかと考えられます。
そこで、財調について、積極的にその残高の確保に努めていただきたい。そのためには、今年度、感染症拡大に伴い事業実施を見送ったことにより留保された予算や、国の臨時交付金などを含め、いろいろと方策とか手法はあると思いますので、年度末に向けて積極的に検討していただくよう御要望申し上げます。
次に、児童虐待について、2点再質問をさせていただきます。
当地域では、県の児童相談所のほか、当市が設置するこども家庭相談室も窓口として、特に支援という部分では大変丁寧な対応で大きな役割を果たしておりますし、同室の新設に加え、御答弁いただいたとおり、切れ目のない相談体制を整備しておりますが、児童相談所が持つ法律に定められた役割や権限、義務などはまた別なものであると考えます。
しかしながら、当地域には児童相談所の設置はされており、当市のセンターとの連携や役割分担がうまくいっているのなら、その充実を進めることも一つです。どうなのでしょう。中核市でも児童相談所を設置するという議論について市長はどのようなお考えをお持ちなのでしょうか。中核市等における児童相談所の設置については賛否あることは承知の上で、当市にベストな体制について、確認のため、小林市長の考えをお聞かせいただきたいと思います。これが1点目です。
次に、2点目ですが、通告後のフォローアップについてです。
虐待の通告をすることは、やはりハードルが高くて、まず、虐待と疑われるケースを目撃した場合、通告するかどうか、その重たい問題に自分が介入するべきなのか、迷います。そこで背中を押してくれるのが児童虐待防止法第6条第1項や児童福祉法第25条第1項。ここでは通告は国民の義務であるということを規定しており、日本国民はやはり根が真面目ですから、義務という文言に背中を押され、虐待を通告する覚悟をします。
それでも、なお通告を思いとどまらせるのが、本当に虐待なのかどうかという迷いです。しつけかもしれない、自分の勘違いかもしれない。そんな方の迷いを断ち切るための決まり、それが、既出ですが、児童虐待防止法第6条第1項。ここでは、児童虐待を受けた児童ではなく、児童虐待を受けたと思われる児童と規定しております。これは、本当に児童虐待なのか分からないけれども、可能性も否定できないという程度でも通告していいという意味と解釈されます。
次なる心配、それは、私が通告したとばれたら逆恨みされるかもしれないという不安です。ここで思いとどまってしまいそうな方の背中を押すのが児童虐待関連の情報には漏れなく添えられている文言、通告、相談は匿名でも行うことができ、通告、相談した人、その内容に関する秘密は守られるという記載です。大変耳触りのいい文句ではありますが、実際誰が通告したかなんて、ある程度絞られてしまうものです。すぐ御近所の声が届く範囲の家、学校や子どもと仲のいい友達の家族。特に幼い子どもの外出先は限られていますし、例えばふだん衣服に隠れているあざを発見することは、病院や着替えを手伝う保育園等施設であると容易に憶測できます。虐待が誤報だった場合でも、その後の園と保護者の関係に大きなしこりや不信感が残ったり、当該保護者が威圧的にどなり込み、恫喝や暴力行為を行うようなケースもあります。保育園といえば、最近は男性保育士も増えてきて、いなくてはならない大切な存在として活躍しているものの、まだまだ女性の多い現場です。理性を失った男性保護者が殴り込んできた場合、刃物を持っていた場合、少ない職員数でたくさんの幼い子どもたちを守りながら、その対応をしなければならない。その危険や不安感は相当なものではないでしょうか。不審者と戦うための年に一度のさすまた教室で解決できるものではありません。通告したのが日中一人きりでお宅にいらっしゃる女性や高齢者の方であれば、その限りではないでしょう。