ツイート シェア
  1. 熊本県議会 1986-02-01
    03月13日-06号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和61年2月 定例会┌──────────────────┐│  第 六 号(三月十三日)    │└──────────────────┘  昭  和  六十一年  熊本県議会二月定例会会議録   第六号──────────────────────────昭和六十一年三月十三日(木曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第六号  昭和六十一年三月十三日(木曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(四十九名)                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 三 浦   哲 君                 藤 川 俊 夫 君                 花 籠 幸 一 君                 舟 津 正 光 君                 西 岡 勝 成 君                 阿曽田   清 君                 橋 本 太 郎 君                 三 角 保 之 君                 岩 永 米 人 君                 堀 内 常 人 君                 山 本 秀 久 君                 深 水 吉 彦 君                 八 浪 知 行 君                 杉 森 猛 夫 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 柴 田 徳 義 君                 林 田 幸 治 君                 広 瀬 博 美 君                 馬 場 三 則 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 米 原 賢 士 君                 久 保 一 明 君                 永 田 悦 雄 君                 宮 元 玄次郎 君                 甲 斐 孝 行 君                 今 井   洸 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 材   学 君                 岩 崎 六 郎 君                 水 田 伸 三 君                 小 谷 久爾夫 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(六名)                 小早川 宗一郎 君                 永 田 健 三 君                 魚 住 汎 英 君                 木 村 健 一 君                 井 上 龍 生 君                 今 村   来 君   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    藤 本 伸 哉 君          出納長    山 内   新 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 原 口 恒 和 君          福祉生活部長 松 村 敏 人 君          衛生部長   清 田 幸 雄 君          公害部長   中 川 公 道 君          商工観光労働          部長     道 越   温 君          農政部長   田 代 静 治 君          林務水産部長 古 閑 忠 治 君          土木部長   福 島 正 三 君          公営企業          管理者    八 浪 道 雄 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    伴   正 善 君          警察本部長  鈴 木 鎗 一 君          人事委員会          事務局長   藤 門 豊 明 君          監査委員   山 本 俊 一 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   富 田   毅          事務局次長  小 池 敏 之          議事課長   岩 井 祐二郎          議事課長補佐 山 下 勝 朗      ―――――――○―――――――  午前十時四分開議 ○副議長(金子康男君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 一般質問 ○副議長(金子康男君) 日程に従いまして日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 広瀬博美君。  〔広瀬博美君登壇〕(拍手) ◆(広瀬博美君) おはようございます。公明党を代表しまして一般質問を行います。執行部の明快なる答弁を期待しまして、早速質問に入ります。 まず最初に、農業におけるバイオテクノロジー開発推進についてお尋ねいたします。 ことしはバイオ製品一般消費者の体内に入ってくる実用化時代の幕あけと言われています。バイオテクノロジーは、生物の持つ機能を人工的に操作、植物の品種改良や医療に応用するハイテクで、遺伝子組みかえや細胞融合、細胞培養などがあります。バイオの応用範囲は、農業、食品、薬品などから、廃棄物処理バイオセンサーに代表されるエレクトロニクス、コンピューター分野まで幅広く、バイオ植物が二十世紀の食糧危機を救い、がん、難病を治す新薬が生まれると期待されています。 このバイオテクノロジー世界的レベルあるいは全国的視野でこれを見てみますと、既に医療品の生産やアミノ酸の生産などに実用化され、遺伝子操作も動物細胞を利用する段階に達し、今後は、動物や植物個体の遺伝子操作や、たんぱく設計技術の開発により、農林水産業に多大な影響を及ぼすものと期待され、現在順調に発展しているように思われます。 一方、都道府県の取り組みについてみますと、遺伝子操作は別として何らかの試験研究に取り組んでおり、バイオテクノロジーに対する関心は高まっております。秋田県の調査によりますと、バイオテクノロジーの影響は、最終的には農業関係が一番大きく、また、行政としても重点的に取り組むべき部門と考えている都道府県が多いということであります。そして大部分の都道府県では、胚培養、葯培養、成長点培養等の技術により、果樹類やイチゴ、里芋等のウイルスフリー苗の供給を実施したり、受精卵移殖、胚移殖等の技術による優良家畜の大量生産のための研究も行っています。また、花卉類などの特産品の販路拡大のための品種改良や稲等の品種改良に長い年月を要する作物の改良期間の短縮にもこれらの技術が期待されており、このほかにも農業関係ではいろいろな利用方法が考えられております。一方、本県においても、四十七年からカーネーション無病苗生産を初め、試験研究中の施策も入れて、現在七つの研究を行っているところであります。 特徴的なものを挙げますと、家畜の受精卵移殖技術、また、牛に双子を産ませる技術の実用化などは全国のトップクラスであります。県もハイテク農業の育成普及に取り組むため、新年度予算でバイオ関係試験研究開発に五千二百万円を計上して積極的な取り組みをしているところであります。バイオテクノロジーの応用は二十一世紀をめどとされていますが、技術開発の進展は近年かなりテンポの速いものがあり、また、国家レベルにおいてのみならず、地方のレベルにおいても、農林水産業を初め、そのほかの地域産業に多大な影響を及ぼすものと考えられております。 そこで知事にお尋ねします。今後、県行政の中に農業におけるバイオテクノロジーを、どのように位置づけ、どう方向づけるのか、知事に基本的な考えをお聞きしたいと思います。 次に、バイオテクノロジー研究体制についてお尋ねします。 現行のバイオテクノロジーの研究は、各試験場個別の体制、研究課題で取り組んでおり、しかも研究者は、ほかの研究業務と兼務をしております。したがって、現行の体制では、バイオテクノロジー研究の急速な進展、共通的な取り組みへの対応はできないものと考えます。 そこで提案でありますが、現在県には六十三年度設置の農業研究センターの構想がありますので、その中にバイオテクノロジー専門の研究所の設置を提案するものであります。また、バイオテクノロジーの研究には知的研究レベルの労働力が多く必要でありますが、人材の確保と養成は、予算面、定数などの面で容易ではありませんが、ある程度計画的に進める必要があると思います。その辺についてどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。 次に、産学官の協力体制と連携についてお尋ねします。 専門家の話を総合しますと、バイオテクノロジーに関しては、今後熊本県は全国的に見て一番注目されている県と言われております。その理由としては、昔から酒、しょうちゅうの醸造技術がすぐれていたこと、二番目は、化血研のB型肝炎に象徴されておりますワクチンの製造技術、家畜の受精卵移殖技術バイオテクノロジーでメタンガスをつくる技術など、まさに熊本はバイオの宝庫であります。そのほか指導者の面でも、バイオテクノロジーの権威として、熊本工業大学に本江教授、熊本大学に小野教授がおられます。大変恵まれた環境にあります。 今後、特に産学官の協力体制と連携が重要になってきますが、どのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 本県の農業振興につきましては、革新的技術の開発、導入を図り、内外の産地と十分競争のできる足腰の強い生産性の高い農業づくりを推進しているところでございますが、生産性の高い農業を確立するために、バイオテクノロジーは、画期的な品種の育成、無病苗の生産、あるいは土づくり、資源の有効利用あるいはまた病害中の安全防除等技術革新の基本として極めて重要であると考えているわけでございます。 本県におきましては、既にカーネーションウイルスフリー苗の生産あるいは牛の受精卵移殖等の技術が実用化されまして、組織培養による果樹、野菜、花卉等の品種改良、さらにはまた農薬の無毒化等微生物の利用、あるいはまた受精卵の凍結保存や分割移殖技術等の分野でも研究を推進していることはお話があったとおりでございます。現在の研究は、専門場所ごとに研究を進めておりまして、その円滑な推進を図るため、昭和五十八年に学識経験者研究者等を構成員とする熊本県バイオテクノロジー開発研究会を設置しまして、研究推進の方向の検討、知識・情報の収集あるいは研究者の資質向上等を図ってまいっているところでございます。 今後におけるバイオテクノロジーの研究の進め方につきましては、農家に役立つ実用技術の開発を基本としながら、本県独自の特産物等につきましては基礎的な研究もあわせて取り組んでまいりたいと考えております。 御提言がございました研究体制の整備につきましては、農業研究センターを設置する段階で組織を一元化し、バイオテクノロジーの開発、応用に関する研究に積極的に取り組めるように、研究組織、施設の充実強化を図ってまいりたいと思っております。 それから、人材の確保、資質の向上につきましては、現在、県で研究に携わっております若手研究員を対象に、大学、国立研究機関への派遣研修を実施するなど鋭意研究員の養成を行っているところでございますが、今後、高度な技術を有する研究員を県内外からも広く求め、計画的に研究陣の一層の強化を図っていくことができればと思っております。 さらに、研究を効率的に推進するためには、産学官の連携が必要でございますし、共同研究、遺伝資源の交流、施設の相互利用等が図れるように、そうした面からの取り組みも積極的にしてまいりたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま知事より、バイオテクノロジーの開発と推進については積極的に取り組んでまいりたいという答弁がございまして、農業研究センターも設置される構想でございます。その中にぜひひとつバイオテクノロジー研究の専門の研究室あるいは研究所といったものをつくってしっかりひとつ取り組んでいただきたいと、このように思います。よろしくお願いしたいと思います。 次に、バイオテクノロジー教育の推進についてお尋ねします。 本県でも新しい時代の産業構造への対応が見られる中で、農林業は、産業の一つの柱として、足腰の強い高生産性農業づくりの一環として、バイオテクノロジー研究開発に意欲的な取り組みが進められているところであります。このような新しい時代に対応するため、人材の育成が重要な課題となってまいりました。 昨年答申された理科及び産業教育審議会の「高等学校における今後の職業教育のあり方について」の中でも、今後の改善方向として、バイオテクノロジーを中心とした技術革新の進展に対応できるよう、新しく取り入れる教育内容について検討を行うように指摘しております。聞くところによりますと、関東及びその周辺の関係高校におけるバイオテクノロジー導入は、昨年二月現在約二〇%の学校で実現し、約四〇%の学校で導入のための積極的な検討が進められていると伺っております。 本県の場合も、これからの時代を担う関係高校の生徒に、バイオテクノロジーの基礎的な知識、技術を施し、これを実践していくことが、新しい時代に即応したこれからの農業教育の一つのあり方だと考えるものであります。そして、このことは「明日へのシナリオ」実現の面からも重要な意味があり、地域とのかかわりの中で、バイオテクノロジー教育の推進を図るべきだと思うのであります。このことについてどう考えておられるのか、教育長にお尋ねしたいと思います。  〔教育長伴正善君登壇〕 ◎教育長(伴正善君) バイオテクノロジー教育の推進につきましては、熊本県高等学校教育研究会農業部会で、その導入、実践のための研究を進めているところでございます。例といたしまして、玉名農高では、地域のイチゴ栽培に伴うウイルスフリーの培養や、畜産科を置く学校では牛の受精卵移殖技術の導入、食品加工分野では熊本農業高校でのバイオリアクター研究など、関係学科の教職員が一体となりまして、校内プロジェクトチームを編成しまして、意欲的に取り組んでいる現状でございます。 御指摘のとおり、このことは、農業教育の充実、活性化を図る上で最も重要なことでございまして、関連教科の中にどのように取り入れられるか、そのための指導者養成をどうするかなど、地域とのかかわりや学校の実態を踏まえながら、今後バイオテクノロジーの教育の推進に取り組んでまいります。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま伴教育長から取り組みについての意欲的な答弁がございました。新しい時代の農業後継者を育てるためにも、今後ひとつバイオ教育に力を入れていただきたいと、このように要望しておきたいと思います。 次に、九州新幹線の問題についてお尋ねいたします。 九州新幹線は、九州の交通体系整備の一環として、昭和四十七年に基本計画が決定され、五十九年三月には路線の概要が発表されたところであります。それによると、熊本県内では熊本、八代、水俣に駅ができる予定であります。そして昨年一月には、九州新幹線の工事に関する所要の準備作業及び調整を実施する着工準備作業所が熊本市に設置されたのであります。その間、熊本県では、知事を先頭に財政の健全性を損なわない範囲で、地元負担に協力するという前提で国に対し要望してきたところであります。 そこでお尋ねしたいのは、新幹線の建設財源の問題についてであります。 新幹線建設促進特別委員会の案によりますと、建設費の一〇%が地元負担になっております。この案で試算してみますと、全体の工事費が五十九年度価格で約八千九百億円となっています。そこで、熊本県の場合は、総延長二百五十七キロのうち、県内が百十五キロで計算してみますと約四百億円の負担になります。さらには、運営についても将来の県民負担が危惧されるところでありますが、知事の言われる交通体系の整備充実は本県にとって確かに重要な問題ではありますが、地方財政が厳しくなっていく中で、果たしてこれだけの膨大な費用が負担できるのかどうか大変心配されるところであります。県として、この建設費四百億円の負担をする考えがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。 次に、熊本、八代、水俣駅の周辺整備事業計画についてでございますが、聞くところによりますと、三月中には何らかの事業計画を出すようにと言われているようでございますが、どのような進捗状況にあるのか、どういうふうな計画がされているのか、明らかにしていただきたいと思います。 次に、新幹線が熊本に来た場合の経済的な波及効果についてどう受けとめておられるのか。 以上の点についてお尋ねしたいと思います。  〔企画開発部長原口恒和君登壇〕 ◎企画開発部長原口恒和君) 九州新幹線についてのお尋ねでございますが、御案内のように、九州新幹線鹿児島ルートにつきましては、六十一年度の予算編成におきまして、その進捗状況に応じて、本年八月を目途に、工事実施計画認可申請を行うこととされ、また、東北新幹線と合わせまして百億円の建設費が初めて計上されるなど、建設に向けて大きく前進を見たところでございます。また、国におきましては、昨年八月の政府・与党間の申し合わせにより設置されました整備新幹線財源問題等検討委員会におきまして、財源問題あるいは国鉄の分割・民営化後における建設主体、運営主体のあり方など具体的内容等につきまして、六十二年四月に予定されております国鉄の分割・民営化のスタートまでを目途に結論を得ることとされているところでございます。 ところで、御質問の第一点の建設費の地元負担についてでございますが、御指摘のように、昭和五十九年五月の自民党の整備新幹線建設促進特別委員会から、整備新幹線の建設につきまして、公共事業方式で行うとともに、財源は建設国債を充てる、あるいは建設費の一〇%は地元負担とするとの一つの案が出されているところでございますが、今後この案を含めて財源問題等検討委員会におきまして検討が行われ、その後結論が出されることとなるというふうに考えております。その際には、極力地元負担の伴わない方向でルールが確立されるように期待しているところでございます。 次に、質問の第二点の新幹線駅周辺環境整備事業についてでございますが、駅周辺の環境整備事業につきましては、昨年八月の政府・与党の申し合わせで、地域の実情等により、駅舎改良及びそれに伴う駅前広場再開発事業等を実施することができることとされているところでございまして、既に東北・北陸新幹線におきましては、認可申請を終えた後に、青森市、長野市、富山市、金沢市で実施されているところでございます。九州新幹線鹿児島ルートにつきましても、今後駅周辺環境整備事業を、県、市、国鉄の三者で協議の上進める必要があると考えておりまして、鋭意取り組んでいきたいと考えております。 次に、質問の第三点の新幹線開通に伴う経済的波及効果についてのお尋ねでございますが、新幹線の整備が図られますと、熊本から福岡、鹿児島あるいは北部九州大都市圏ないしは中国、近畿地方に対しましての時間距離が大幅に短縮されることとなりますこと等によりまして、地域間の交流の促進、企業の立地、観光・レクリエーションの需要の増加など、地域経済の発展に大きく寄与するものと考えております。また、その際には九州の中心的位置にございます熊本の特性が、現在以上に生かされるものと期待しているところでございます。また、建設段階におきましても、建設投資により地域経済への大きな波及効果をもたらすことが予想されております。 いずれにいたしましても、新幹線の整備は地域に大きな経済効果をもたらすものでございますので、県といたしましても、九州新幹線鹿児島ルートの一日も早い着工、完成を実現するため、今後とも関係県と連携して取り組んでまいりたいと考えております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま部長より答弁をいただいたのですが、第一点の建設費の一〇%地元負担、熊本県で試算しまして約四百億ぐらいになるんですが、それも今中央の方で検討されておるということで、それをまってということなんですが、仮に、この新幹線建設促進特別委員会の一つの案が今示されておりますが、その案に沿った一〇%負担という結論が出た場合、県としてその四百億を負担する考えがあるのかどうか、再度部長にお伺いします。  〔企画開発部長原口恒和君登壇〕 ◎企画開発部長原口恒和君) 御質問の点でございますが、地元負担の問題、これは、県あわせて自民党の出された試算によりますと、これは県及び関係市町村あわせての問題でございますし、国の方の財源措置がどういう形になるか、ないしはまた、地元負担になった場合のその際の裏打ちの財源措置の問題等、いろいろな問題を総合的に考える必要がございます。もちろん新幹線の建設促進のために地元としてもいろいろそれなりの協力をしていかなきゃいかぬということは基本的に考えておりますが、まだ具体的なはっきりとした正式の案というふうには我々聞いておりませんので、いろいろその辺を含めながら、また関係のところとも御協議しながら考えていかなきゃいかぬ問題でございますので、現時点では、先ほどお答えしたような答えにとどめさせていただきたいと思います。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) なかなか部長が答えにくい問題でございますが、やはり地元としては四百億もの財源をどう確保するかと。恐らく県は、交付税あるいは起債というような期待をされておるわけですけれども、そういった国の決定待ちというような漠然とした考え方じゃやっぱりいかぬのじゃないか。やっぱり県としてもきちんとした、そういった新幹線建設の一〇%地元負担ということについては、これは国に任せていいという問題じゃないと思います。県としても、きちっとした財源対策というものは考えておかなきゃいかぬのじゃないか。 この問題は、なかなか詰めても詰まらないとは思いますが、いずれにしても、東北・北陸新幹線につきましては、もう既に青森駅につきましては新しい駅がつくられておると、それから北陸についても六十一年三月には着手すると、こういうふうに東北あるいは北陸においては非常に進んでいるわけですね。九州はどうかといいますと、一歩も二歩もおくれていると、こういうような感じだと思います。六十一年度の予算もついているけれども、これはしばらく結論が出るまで凍結と、こういうような状況。それからもう一つは、城北の方に駅を設けたいと、こういう要望も出ているんですけれども、これもなかなか進んでいないと、非常に一歩も二歩もおくれていると、こういう感じもいたします。そういうことで、この新幹線問題については国に対しても、財源の問題、また城北駅の問題についても、ひとつ積極的な働きかけをやっていただきたいなと、こういうふうに思います。 次に、情報公開制度の取り組みについてお尋ねします。 県行政における情報を広く県民に公開しようとするこの問題につきましては、既に数年前から、本議会におきましてたびたび論じられてきたところであります。知事も昨年十二月議会における答弁の中で、情報公開のための検討委員会を早速設け、意見を聞き、制度化への検討を行い、六十一年度中にもできるものから実施に移すよう作業を進めたいと答えておられます。県民が直接行政に参加することによって、より一層、行政への理解が進み、信頼が深まるならば、県行政が複雑化、専門化していく中で、これは大きな前進の糸口になるものであり、大変喜ばしいことであろうと賛意を表するものであります。 しかしながら、情報公開制度についての県民の意識調査によりますと、昭和五十七年八月「情報公開は行うべきではない」という人が三・一%であったのが、二年後の五十九年八月には四・七%とふえております。また、県政モニター調査でも、やはり昭和五十七年二月の調査で二・五%であったのが、昭和五十九年十月には九・三%とふえていることはどういうことを意味するものであろうかと思います。同調査で「問題点を解決し、慎重に検討した後でよい」という意見につきましても、昭和五十九年度の意識調査では四三・五%、同年度のモニター調査では六三・六%となっており、いずれをとってみても慎重な対応を促した調査結果が出ていると思うが、知事はこの意識調査の結果についてどうとらえられているのか、お伺いしたいと思います。 二点目に、県情報公開検討委員会が発足し、既に何回かの会合が行われているところでありますが、新聞報道等によりますと、余りにも一方的なお役所ペースで進められているやに聞きます。委員会の意見は、ただ参考に聞くだけといった取り組み方では大変まずいのではないか。ここはあくまで十分な検討と慎重な対応も必要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 お断りしておきますけれども、私は一刻も早く制度ができ上がることを望む一人であります。ただ、いろいろと専門的に難しい問題もあり、せっかくでき上がった情報公開制度が県民の要望にこたえ得ないものでは困るわけで、万全を期していただくよう要請いたす次第であります。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 情報公開制度の取り組みのうち、まず、情報公開に関する先ほどの意識調査の結果をどうとらえているかという御質問でございますが、この調査結果は、情報公開制度を実施するについては、個人のプライバシーや企業秘密等の問題もあるので慎重に検討すべきであると、そういう県民の意向が表明されたものと受けとめております。 情報公開につきましては、既に昭和五十五年当時から議会において問題提起がなされているところでございまして、県民の多くが求めている事柄であると認識いたしております。このため、庁内においては、昭和五十七年には行財政改革委員会に情報専門部会を、また五十九年には情報公開研究会を設け、他県の制度や運用状況を調査し、これまで四年間にわたりまして慎重に検討してきたところでございます。昨年十月には、同研究会で一応の研究成果をまとめたところでございますが、広く県民から御意見を求めるため、情報公開検討委員会を設けて現在検討をお願いしているところでございます。 次に、情報公開検討委員会に関してのお尋ねがございましたが、既にこれまで四回会議を開催し、活発な御意見をいただいているところでございます。 本県におきます情報公開制度は、その安定性、永続性を確保する点から、条例にその根拠を置くことを考えておりますが、法技術的問題や文書管理、文書検索といった極めて実務的な問題とも複雑に絡んできますので、検討委員会でいただいた意見は、制度を専門的、技術的に検討するために、庁内に設けました情報公開制度準備会議で、十分に参考にさせていただき慎重に検討してまいりたいと考えております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 部長より答弁をいただいたわけであります。やはり検討委員会に検討をお願いしておるわけでございますので、十分その検討委員会の意見を尊重してもらいたいと、こういうふうに思います。行政主導型とか、余りにも性急であるとか、批判の声も上がっているわけでございまして、県民の要望に十分こたえられるようなものにしていただきたいと、こういうふうに思います。 次に、地元の問題で大変恐縮でありますが、立田山の林野火災について総務部長にお尋ねしたいと思います。 幸い、総務部長は消防庁の出身ということもございまして、私の質問に十分答えていただくことを期待しまして質問をしたいと思います。 三月八日の午後四時九分ごろ、火災警報が出ている熊本市の立田山で、林野火災が発生しました。火災の現場は、熊本市清水町万石の立田山西側ふもとにある宅地造成現場付近から出火し、火は、枯れ草から、立田山の山林に飛び火、瞬く間に山頂方面に燃え広がり、火は約二時間後に山林五ヘクタールを焼いて鎮火しました。早速、私と我が党の永田県議で現場に急行し、救援活動に当たったのでありますが、消火作業は、道路が狭く、消防車が現場に近づけないため、消火に手間取り、一時は住宅密集地に火の手が迫り、住民が避難する騒ぎとなりましたが、幸い、けが人もなく、民家への類焼もなく、大事には至りませんでしたが、今回の林野火災についていろいろと反省する点が多々あったように思いますので、この点についてお尋ねしたいと思います。 熊本地方は、先月から十六日間も連続して異常乾燥注意報が出され、十六日間に二十四件もの火災が発生して、まことに憂慮すべき状態であります。県は、連続して異常乾燥注意報が出されている異常な状況下で、万一に備えてどのような防災体制をとっていたのか、お尋ねしたいと思います。 次に、住宅地に近い空き地の草刈りについてお尋ねします。 今回の火災は、空き地の枯れ草が導火線の役目を果たし、五ヘクタールの山林を焼いたのでありますが、山林の防火また消火対策の上からも空き地の草刈りについては、条例か何かつくってきちんと義務づけてはどうかと、こういうふうに思います。今のところ市町村に草刈りのいろいろ指導はやっているということでありますけれども、罰則がないためになかなか効果が上がらないと、そういうやさきの火災であったとこういうふうに思います。したがいまして、条例か何かつくってきちんと草刈りをするように義務づけてはどうかと、このように思います。 次に、火災の現場は、道路が狭く、水利等火災現場周辺の立地条件が悪く、地上での防御活動が困難でありましたので、当然ヘリコプターによる空中消火を実施する必要があったのでありますが、消火剤が阿蘇にあるため使用することができませんでした。今後、必要に応じて直ちに使用できるように熊本市のヘリポート近くに保管してもらいたいと、こういうふうに思います。 次に、現場指揮本部の体制づくりについてでありますが、今回の場合、指揮が一本化されていないため、消防車が来ても何をしていいかわからない消防車を何台も見かけました。また、住宅に火が接近したときの的確な指示がなされていないし、人員の配置等もなされていなかったのであります。また、連絡体制についても不備な点が多く、山の裏側には無線車が一台も配置されていないために、山の裏側の情報は全然つかめていないという状態でございました。次に、付近一帯に対する広報活動が全くなされていなかったということであります。もし、火災が広がった場合どうするつもりだったのか。以上の点についてお尋ねします。 最後になりますけれども、今度のような住宅密集地が隣接した林野火災についての防災体制を今後どのように考えていかれるのか。以上の点についてお尋ねいたします。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) 林野火災の関係します数点の御質問がありましたが、以下逐次御質問に答えていきたいと思います。 まず、立田山の林野火災の概況を御報告させていただきますが、火災は午後四時九分、一一九番電話にて覚知いたしまして、六時一分に鎮火いたしております。その間、熊本市消防局においては、火災警報発令中の火災ということでもあり、第一出場、第二出場、さらには住宅への類焼防止のための特命出場をかけ、自衛隊の協力を得ながら消火活動を行ったところでございます。 当日の出場消防車両は、消防署二十三台、消防団六台、また出場人員は、自衛隊員等を含めまして六百二十三名、また火災による損害は、熊本市消防局調べによりますと、先ほどお話しがありましたが、国有地二・六ヘクタール、県有地〇・二ヘクタール、民有地二・九ヘクタール、合計五・七ヘクタールの面積を焼失し、その損害額は五十二万一千五百円となっております。 御質問の異常な気象状況における防災体制についてでございますが、熊本地方気象台は、空気が異常に乾燥し、火災の危険が大きいと予想される場合は、異常乾燥注意報を発令し、さらに、気象の状況が火災の予防上危険であると認めたときは、消防法に基づきまして、直ちにその状況を知事に通報することとなっております。 今回は、異常乾燥注意報が二月二十一日から三月十日まで、火災気象通報が三月五日及び三月九日に発令され、県は、県地域防災計画に基づき、直ちに市町村、消防本部等に伝達を行うとともに、注意を喚起したところでございます。 熊本市におきましても、消防法に基づく火災気象通報を受けまして、三月五日から三月十日まで火災警報を発令して警戒体制をとるとともに、住民に対する警戒喚起を行ったところでございます。 次に、燃焼のおそれのある枯れ草等の存する空き地の火災予防上の管理についてでございますが、熊本市及び県下全消防組合におきまして、火災予防条例を制定いたしまして、必要な措置を講じているところでございます。 熊本市におきましても、毎年、火災発生シーズンを前に空き地の現地調査が行われておりまして、空き地の所有者等に対し、適切な指導がなされているものと思っております。 県といたしましては、今回の火災を踏まえ、各消防本部に対し、火災予防条例に基づいて空き地の適切な管理が行われるよう、さらに指導の強化を図ってまいりたいと考えております。 次に、林野火災空中消火資機材及び消火薬剤の配備についてでございますが、現在は、消防学校に資機材を、また、阿蘇、球磨、天草の三広域消防本部に消火薬剤を配備し、林野火災に備えているところでございますが、今回の立田山火災を契機といたしまして、配備計画の見直しを行い、御要望の趣旨を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。 次に、現場指揮本部の体制づくりでございますが、今回の火災においては、四時十六分の現場到着と同時に、室園ニュータウン内に指揮本部を設置いたしまして、住宅への類焼防止のため、タンク車等の特命出場を要請、さらに、四時三十分ごろ東側山林に飛び火、延焼したため、指揮本部を立田山山頂に移動し、各消防隊の指揮をとっているところでございます。 山林火災の場合、飛び火警戒まで含めますと、消防活動が広範にわたり、特に無線の備えのない消防団の車両については、指揮下に入るまでの間、御指摘の点があったのではなかろうかと思っております。 また、付近住民に対する広報活動についてでございますが、今回の場合は、特命出場隊の活動によりまして、住宅への類焼は防止できると判断いたしましたが、さらに山林へ飛び火した火勢の拡大が速く、消火活動に専念する必要があったため、広報まで行えなかったということのようでございます。しかし、住民の不安を解消するための広報活動は大切なことでございますので、指揮本部の点を含め、スムーズな活動ができるよう警防計画の見直しについて、熊本市消防局を指導してまいりたいと考えております。 最後に、住宅密集地が隣接した林野火災についての防災体制についてでございますが、以上申し上げましたとおり、警防計画の見直し、住民に対する広報活動の充実及び空中消火剤の配備等の見直しを進めるほか、林野火災訓練の実施や防火施設の整備を図るとともに、市町村、消防機関及び自衛隊等とさらに連携を密にし、防災体制に万全を尽くしてまいるつもりでございます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま部長より答弁をいただきまして、やっぱり油断があったと思うんですね。まさかこの熊本市のど真ん中で山火事があろうなんてゆめゆめ思ってなかったと、そういうふうに思います。その証拠に林野火災における空中消火の準備を全くしていなかったと。私が電話したときには、今から阿蘇に取りに行きますということでございまして、これはちょっと油断したなという気がいたしまして、どうかひとつ、林野火災の空中消火の薬剤は熊本市に設置していただいて、すぐ即応できるように態勢をとっていただきたいと、こういうふうに思います。 それから空き地の草刈り、今部長が徹底しますと言ったけれど、今までも徹底してきておるわけですね。しかし、なかなか効果が上がらないと、こういう実態をひとつよく部長見ていただいて、私がさっき提案しました条例等もぜひ考えていただきたいと、こういうことを要望しておきたいと思います。 次に、七十一年国体の施設整備計画についてお尋ねします。 国民体育大会の本県誘致につきましては、これまで数回質問がなされておりますが、その必須条件の一つとして教育長にお伺いしたいと思います。 国民体育大会は、本年の山梨県、来年の沖縄県開催を最後に一巡目が終了することになるわけですが、申すまでもなく、我が国におけるスポーツの一大祭典として、地方スポーツの振興、地方文化の発展はもとより、明るく豊かな国づくりに大きく寄与してまいりましたことは皆さん周知のところであります。また、二巡目の第一回大会となります昭和六十三年の京都国体から、広く国民の各層が参加できるようにということで、初出場選手を対象とした二部制の導入やボーリングの正式競技への加入、中高齢者に定着しておりますゲートボール、家庭婦人の健康づくり、仲間づくりのためのバレーボールなど、四競技がデモンストレーション競技として実施されるとお聞きしておりますが、いよいよ生涯スポーツとして、幼児から高齢者まで幅広くすべての国民を対象とした、いわゆる開かれた国民体育大会開催が間近に迫っております現況ではないかと考えます。 このような状況下におきまして、本県では、昭和五十年から積極的に展開されております県民総スポーツ運動や、活力・個性・潤いを県勢発展の基調とした「熊本・明日へのシナリオ」の中でも、力強い熊本づくりの戦略の一つとして、国民体育大会本県招致が大きく取り上げられるとともに、昨年六月、県スポーツ振興審議会から、国体誘致に伴う施設整備の基本構想の内容で建議されて以来、夏季大会、秋季大会合わせて三十七競技を実施するための会場地決定、特に秋季大会のメーン会場となります陸上競技場の建設が当面緊急の課題と思うものであります。 国におきましても、地方におきましても、スポーツ振興のためには、指導者、施設、組織の三要素とも言われるものが不可欠となりますが、特に施設の整備充実は、その後の地域スポーツの振興はもちろん、物質文明の目覚ましい発達の中で、高齢化社会、核家族化など激変しつつある現代社会におきまして、地域住民の連帯意識の高揚、健康増進や触れ合いの場の確保等、地域の活性化に大なるものがあると思われます。 百八十六万県民の四人に一人が、スポーツの生活化を目指して、健康づくり、体力づくりに汗を流している今日、我が国最大のスポーツ大会であります国民体育大会のメーン会場整備は、県民総スポーツ運動のより以上の推進と、活力と潤いのある個性豊かな郷土づくりを目指す本県にとりまして、各種産業の拡大、豊かな自然を基盤とした観光振興など、県勢発展に広く寄与するものと考えます。 本県では、総合運動公園や総合体育館が完成し、県下各市町村でも逐次体育施設が整備されつつある中、将来、アジア大会等国際大会の誘致や県民が効率的に活用できるような長期的、全県的視野に立った施設整備計画を進める必要があると考えますので、メーン会場建設の構想を教育長にお伺いしたいと思います。  〔教育長伴正善君登壇〕 ◎教育長(伴正善君) お尋ねの主会場建設の構想につきましては、昨年六月、県スポーツ振興審議会から、国体誘致に伴う施設設備の基本構想についての建議をいただいておりますが、主会場の陸上競技場については、将来、国際規模の大会が誘致可能な条件を整えた総合競技施設が必要と考えられております。したがいまして、主会場の建設に当たりましては、三万人以上に及ぶ関係者を収容する大規模なものになるため、輸送に伴う諸事情や宿泊施設等諸条件を含めて総合的に検討する必要があります。 今後、国体誘致に伴う施設検討委員会を中心に、県体育協会や関係者の御意見を聞きながら、国体開催に向けて長期的展望に立ちまして総合的整備計画を考えて取り組んでまいります。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 伴教育長より答弁をいただきまして、七十一年国体の施設整備の計画については、どうかひとつ準備には万全を期していただきたいと、こういうふうに思います。 次に、福祉施設整備基金の創設についてお尋ねします。 我が国では、欧米諸国にも例を見ないほど急速に高齢化が進行しており、六十五歳以上の高齢者は、現在の国民十人当たり一人から、三十年後には五人に一人を上回るという高い水準に達するものと推定されています。急速なテンポで進む高齢化と核家族化の中で、低経済成長基調のもと、増大する福祉ニーズにこたえていくことは容易ではありません。特に地方行政は、国に比べ景気の変動などによる財政事情に左右されやすい体質であります。このため、巨額の予算を要する長期的かつ整合性のある行政、例えば福祉の充実などを計画的に実施するのは実に至難のわざであります。一方、高齢化社会の急速な接近に備えて、町づくりの面でも、行政施策の面でも、福祉型社会への転換は行政の急務となっているのであります。 ここに、これから熊本県の福祉対策にどのくらいの財政負担が必要かということで、古閑部長が社会課の課長の時代に貴重な資料をつくっておられますので、それをもとに質問をさせてもらいたいと思います。本県は、高齢化が非常に全国と比べますと十年ぐらいは早く進んでいるという基本的な考えのもとにつくられた資料でございますので、それを紹介してみたいと思います。 今後、特に養護老人ホームの施設整備あるいは運営費負担、それから特別養護老人ホームの運営、施設整備、それからホームヘルパーの増員、老人医療費の負担、こういった主なものを、今後熊本県はこのくらい財政負担がありますよという指標でございますけれども、それによりますと、財政負担の見通しを見てみますと、この四つの主な老人対策でどのくらいの負担が必要かといいますと、昭和六十五年で四百六十五億円、七十年に六百億円、七十五年には約八百億円の財政負担を必要とすると、こういうデータが出ております。そのほか、老人向け住宅の整備、生きがい対策など諸般の老人対策を進めるとすれば、老人福祉対策のみでも昭和七十年段階で一千億円を超え、これに身障者、母子、児童等の諸対策を加えれば膨大な財政負担を必要とし、現行制度をこのまま進めるとすれば、これに耐え得るかどうかは疑問であると、こういう非常に貴重な――本県にとりまして、高齢化がどんどん進んでいきます。二十一世紀を展望しても、こういった財政負担というものが行政にかかってくるわけでございまして、やはり福祉施策というのは長期展望に立って進めていかなきゃいけないんじゃないかと。これは貴重な古閑部長の労作でございますが、ひとつこういった面を踏まえて答弁をいただきたいと思います。 熊本県が毎年一回行っております世論調査で、いつも上位にランクされるのが福祉の充実であります。しかし、多様化、高度化する福祉のニーズにこたえようとしても財源がネックになってきています。そこで、財源難のときでも福祉施策が着実、円滑に進められるよう、あらかじめ基金を創設して計画的に推進できるように、福祉施設整備基金の創設を提案したいと思うのであります。 本県の六十五歳以上の老人が二十四万人に達し、高齢化が急速に進む中で、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備が特に立ちおくれ、また障害者の社会復帰のための施設づくりも求められております。さらには総合福祉センターの建設もあり、今後、福祉施設づくりを長期的な視点に立って進めるためには、福祉施設整備基金の創設がぜひとも必要であろうと考えるものであります。この点につきまして部長の答弁をいただきます。  〔福祉生活部長松村敏人君登壇〕 ◎福祉生活部長(松村敏人君) 福祉施設整備基金の創設についてのお尋ねでございますが、高齢化が進行いたしまして、将来五人に一人が高齢者という時代に備えて、老人福祉を初めとした各種福祉対策の強化は県政の重要課題の一つでございます。県が実施しております県民意識調査や、昨年実施いたしました県民ニーズ調査でも、母子、老人対策など社会福祉への要望が上位にございまして、福祉に対します県民のニーズが強いことも御指摘のとおりでございます。 そのような県民のニーズに対応いたしますために、従来から各種の福祉施策を展開しているところでございまして、施設につきましても地域性を考慮しながら計画的に整備を進めているわけでございまして、既に養護老人ホームについては、いつでも需要に応じられるという状況にございますし、また、特別養護老人ホームにつきましても全国上位の整備率であります。障害者の社会復帰のための施設につきましても、五カ年計画に基づきまして、地域性を考慮しながら計画的に整備を進めているところでございます。 しかしながら、現在検討中のいわゆる総合福祉センターを初めといたしまして、今後とも福祉関係施設の整備は引き続き重要でございますし、これに要する財源確保が重要な課題であるということも先生御指摘のとおりでございます。 したがいまして、このような観点からの基金創設の御指摘と思うわけでございますが、県の施設につきましては、必要に応じまして、現在既に設置してございます県有施設整備基金の活用が考えられますし、それから民間施設に対します補助につきましては県で対応できない状況ではないと考えておりますので、御提言の趣旨はよくわかりますけれども、現在のところ新たに基金をつくることは考えていないというのが正直なところでございます。  〔広瀬博美君登壇〕
    ◆(広瀬博美君) 福祉生活部長より答弁をいただいたわけですけれど、施設整備については県有施設整備基金を使いたいという答弁がありました。これから、今私が申し上げましたように、毎年一つずつか二つずつぐらいは施設をつくっていかなきゃ間に合わないというような状況で、県有施設整備基金――これは県政全般にわたって施設をつくる場合、この基金を使うわけですから、とてもじゃないけど、福祉に下さいなんて言っとったって回ってこない、よそに持っていかれてしまうと思うのですよ。やはり、少なくとも福祉生活部長は、福祉については長期的視点に立った福祉対応策というのを考えとってもらわないと困るわけです。今のような答弁をしとったって、これは福祉生活部長の答弁じゃないなと思うような答弁でありまして、やはり福祉というのは県政の最重要施策でありますし、施設整備には相当の財源が必要であります。長期的な財政見通しの中で、広く福祉増進につながる施設整備の財源確保対策をぜひ今後も検討していただきたいということを要望して、次の質問に入ります。 次は、多獲性魚、いわゆるイワシの有効利用についてお尋ねします。 最近、牛深でもイワシの漁獲量が急増しております。五十九年度の実績で見ますと、熊本で水揚げされる総漁獲量九万八千トンのうち約二万四千トン、二四%をイワシが占めております。しかし、水揚げされたイワシのほとんどが、ミール原料や養殖魚の餌料となってしまい、生鮮品や加工品として食卓に上るのはわずか二割程度で、大漁であっても魚価が低迷し、燃料代にもならないときがあると聞きます。こういった傾向は全国的な傾向ではありますが、やはり今後漁業振興を図っていく見地から、また漁業経営の観点から見ましても、食用として普及し、供給をふやしていくことが重要な課題であると考えます。そこで、食用普及の仕方でありますが、例えば、最近、イワシを初めサンマ、アジ、サバなどの青魚を食べて元気に暮らそうという青魚健康法が世界的に広がっております。これらの青魚には、体調を整える各種ビタミンやミネラル、カルシウムなどが豊富な上、血液中のコレステロール濃度などを下げさせたり、心臓病や高血圧など成人病の予防に役立つEPAとDHAが非常に多く含まれているからであります。中でもイワシは、成人病予防の成分含有量がトップクラスの上、安価で漁獲量も多く、健康食品のナンバーワンと言われておりますが、最近、栄養や健康面からもイワシが再認識されてきています。 そこで、この価値あるイワシの消費拡大を図るために、例えば「イワシの日」というものを定めて、県下の魚小売店で販売促進キャンペーンを行ってはいかがでしょうか。そのほか料理教室などを開催して、主婦にイワシの料理方法を普及してはいかがでしょうか。イワシの有効利用について提案したいと思います。 また、イワシを見直し、有効利用を促進するために、漁業団体、加工業団体、流通業者団体、それに県も加わって、これは仮称ではありますけれども、熊本県多獲性魚食料普及協議会といったようなものを設置してはいかがかと思います。これは林務水産部長に答弁をお願いしたいと思います。  〔林務水産部長古閑忠治君登壇〕 ◎林務水産部長(古閑忠治君) お答えいたします。 イワシ類の多獲性魚類は、御承知のように、主として天草周辺の漁場で漁獲されまして、ほとんどのものが牛深港に水揚げされ、そして生鮮魚あるいは加工用原料として出荷されておりますほか、お話がありましたように、養殖の餌料として利用されているものでございます。 特に近年、食生活の洋風化でございますとか、あるいはまた簡便化、または住宅事情の変化等の影響もございまして、いわゆる刺身等の生で利用されるものにつきましては中高級魚が非常に根強い需要があるわけでございまして、反面多獲性魚類につきましては、例えば焼き魚でございますとか、あるいはまた煮魚に利用されるとかいうことでございまして、消費が低迷しておるような状況でございます。しかしながら、イワシ類には、今お話がございましたように、コレステロールを減少させる作用があるなど、最近は健康食品としても見直されてきつつある状況でございまして、今後の需要拡大に期待しているところでございます。 そこで、第一に、イワシを生鮮食品として消費者に供給するための「イワシの日」を設けてキャンペーンを図ったらどうかという御提言でございますけれども、現在牛深市におきましては、沖合漁場でのイワシ操業を見学してイワシを食べるいわゆる体験観光や、あるいはまた旅行業者主催のイワシツアーが実施されておりますほか、県内外の方々からの申し込みによります新鮮なイワシを自宅等まで届けるいわゆるイワシ宅配便と、そういったことが行われて消費宣伝活動がなされているところでございます。 今後も、これらのイベントが継続されることを期待するものでございますが、地域的なイベントだけでなく、さらにこれを進めまして、全県的ないわゆる「イワシの日」といったものの設定等による消費の拡大につきましては、関係機関、団体といろいろと協議いたしてまいりたいと考えております。 次に、イワシ料理の研究開発と料理教室につきましては、現在でも県内各地の、例えば婦人会でございますとか、あるいはグループ等で開催されていると伺っておるわけでございますが、まだ数としてはそう多くないのが実情のようでございます。さらに、県の鮮魚販売組合連合会が現在料理教室や講演会等を実施しておりますので、その際にぜひこのイワシも取り上げていただくよう働きかけるとともに、イワシ料理の研究開発や料理教室について、県内の専門家の御意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。 最後に、イワシ食品普及協議会的な組織を結成し、イワシに関する販売促進を図る検討会を行ったらどうかという御意見のようでございますが、さきの御意見とあわせまして、キャンペーンや料理の普及を通じて、消費の拡大を図るとともに、生産から消費に至るまでの関係者によります組織化を図り、多獲性魚類の普及推進方策を進めてまいりたいと考えております。 なお、県の水産試験場におきまして、現在イワシ類等の多獲性魚類の付加価値を高めるための研究を進めておりますけれども、一定の成果を得ておりますので、来年度におきましては、例えば削り節や干物等の規格化に取り組むことといたしておるわけでございます。また、多獲性魚類の有効利用を図るために、牛深市に水産物流通加工拠点総合整備事業を実施いたしまして、今後は水産加工品につきましてもその販路拡大を図ってまいりたいと考えているところでございます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) ただいま部長より答弁をいただきまして、市内でもイワシを食べたいという希望があってもなかなか魚屋さんにもないというような状況でございます。また、魚屋さんにとっても、イワシは安くて経営的にもなかなか売りづらいと、それよりも高価なものを売っとった方がいいということもあろうと思います。ただ、県民――やっぱり全般的には、時たまイワシも食べてみたいなと。私も非常に好きでございますし、西岡先生の御専門で恐縮でございますが、イワシを練り物にして、イワシからかまぼこをつくるのがありまして、ゆうべも私、食べたのですが、非常においしいし、臭みもほとんどなく、夜一杯飲むのには、酒のさかなとしても非常にいいんじゃないかと。いろいろイワシの付加価値を高めるという点では、料理を研究するということ――郷土料理の専門家なんかにいろいろ研究費なんかも出してもいいんじゃないかと思うのです。そして、イワシのおいしい食べ方といったものを県民にひとつPRしていただいて、どうか県民の食卓にもイワシが上がりますように御努力方お願いしたいと思います。これはもう西岡先生の専門で本当に恐縮でございますが、よろしくお願いしたいと思います。 次に、エイズの対策についてお尋ねします。 アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどで猛威を振るうエイズ――後天性免疫不全症候群は、人体の免疫能力を低下させ、あらゆる微生物に対して無防備な状態となる恐ろしい病気で、人間生存の大きな脅威となっております。エイズは、一九八一年六月にアメリカで初めて死亡例が報告され、以降患者数は倍々ゲームで急増し、昨年十二月中旬現在で一万五千五百八十一人に達しています。そのうち八千二人が死亡、今後一、二年のうちに患者数は十万人を突破するとの予測も出ています。ヨーロッパでも、フランスで三百九十二人、西ドイツで二百十一人、イギリスで二百六人の患者が発生するなど、アメリカと同様の増加カーブを描いています。 そこで、エイズとはどんな病気でどのように感染するかといいますと、エイズは、エイズウイルスに感染して起こる後天性免疫不全症候群と呼ばれる難病でありますが、免疫能力を低下させるから、それまで体内にあったカビなどの微生物によって、カリニ肺炎やカポシ肉腫といった日和見感染症にかかり死んでいます。現在のところ治療法が確立されていないので、三年以内に患者の九割が死亡という高い死亡率の恐ろしい病気であります。 次に、感染でありますが、国内のエイズ患者は十四人ですが、潜在患者は五千人と推定されています。当初は、アメリカから輸入してきた血液製剤に含まれていたウイルスから感染したと見られる血友病患者が多かったわけでありますが、最近は、男性の同性愛だけでなく、男女間の性交によるもの、また家庭内感染による二次感染が報告され、ある学者は「エイズは今や性病である」とまで言っております。アフリカでは患者の男女比率が一対一のところもあるといいます。梅毒などの性病がいまだに消えないことを思うと、今のうちに徹底して抑えておく必要があると思います。 次に、治療法でありますが、欧米でも必死に取り組んでいますが、現在のところ失敗しており、治療法の決定打はありません。エイズの潜伏期間が二年から五年と長いので、この間に手を打つ必要があると思います。そこで、一つのポイントは、抗体陽性者が発病しないようにすること。もう一つは、血液のスクリーニングを徹底して持続しながら、これ以上広がらないようにすることの二点が大事なことだと思います。 そこで、治療法については専門の学者にお願いして、拡大を防ぐという点については、行政がエイズ対策に本腰で取り組んでいかなければならないと思うのであります。 幸い、本県では一例の報告も上がっていませんので、今のうちに対策を講じるべきだと考えます。そこで、県における現状と今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。  〔衛生部長清田幸雄君登壇〕 ◎衛生部長(清田幸雄君) エイズについて大変詳しくお勉強しておられることに対してまず敬意を表します。 お述べになりましたように、米国を初め諸外国で急増している状況にかんがみまして、我が国への上陸の可能性も十分考えられますので、厚生省の指示もございまして、昭和五十九年の九月に患者を早期に発見する監視体制をとることといたしまして、県内の五つの公的医療機関にその協力を依頼したところでございます。その後、昭和六十年の三月、我が国にもエイズ患者が初発しまして、お述べになりましたように、今までに十四名の患者の発生が報告されております。 幸い、本県にはまだ発生を見ておりませんものの、御指摘のとおり、まだ治療法も解明されずに、かかればまず助からないという恐ろしい疾病でございますので、その予防に万全を期す必要がございます。このため、本県といたしましては、エイズを早期に発見し、治療するための協力医療機関としまして、さきに述べました五つの医療機関に継続してさらにお願いすることにいたしております。また、エイズウイルスの検査体制の整備及び県民の健康不安を取り除くためのエイズ相談体制の強化、衛生教育の普及啓蒙に努めてまいる方針でございます。 エイズウイルスの検査体制につきましては、県衛生公害研究所でスクリーニングテストと確定検査を実施することといたしておりますし、また相談体制につきましては、本年四月から県内の全保健所に相談窓口を設けまして、一般住民からの間い合わせや相談に対処することといたしております。 本疾病の感染につきましては、お述べになりましたように、特別な状況に限られるようでございますので、これらを避けることにより二次的な感染を防ぐことができますので、エイズに関する正しい知識の普及啓蒙にさらに今後とも努力してまいる所存でございます。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) それでは最後の質問をさせていただきます。 痴呆性老人対策についてお尋ねします。 高齢化社会の急速な進展に伴って痴呆性老人問題がますます深刻化してきています。現在痴呆性老人は全国に六十二万人がいると推定されています。このうち、病院に三万人、施設に四万人、あとの五十五万人については、家庭で家族が死に物狂いで介護していると言われております。本県の場合も痴呆性老人が三千五百七十二人おられますが、介護者の三人に一人が病気ぎみで、家事に手が回らないという悩みを抱えていますが、そういう中でも、介護者の多くが家庭で介護を続けたいと希望しておられます。したがって、今後の課題は、いかにして介護者の負担を軽減してやるかにあります。そのためには在宅福祉のサービスを充実させる必要があるわけであります。 その一つとして、ホームヘルパーを増員して派遣事業を強化することでありますが、特にお願いしたいのは、痴呆性老人専門の増員を図っていただきたいと思います。 二番目には、介護用のビデオを作成して、応対の仕方や介護の方法など、介護研修等に使えるように介護用のビデオを作成していただきたいと思います。 以上、二点について質問をいたします。衛生部長と福祉生活部長にお尋ねします。  〔衛生部長清田幸雄君登壇〕 ◎衛生部長(清田幸雄君) 痴呆性老人に対する介護につきまして、介護読本を作成いたしまして、家庭における介護につきまして啓蒙普及に努めておるところでございますが、御提案になりました介護読本をさらにビデオにつくりかえて普及啓蒙に役立てたらどうかという御提案でございますが、御指摘のように、この周知徹底を図るためには、ビデオもまた大変効果的であろうとこう考えられますので、その実施につきましては十分検討させていただきたいと思っております。  〔福祉生活部長松村敏人君登壇〕 ◎福祉生活部長(松村敏人君) ホームヘルパー派遣事業は、緊急の課題でございます在宅福祉対策の主要な事業といたしまして、これまでもその増員あるいは派遣対象の拡大、サービスの充実など努めてきたところでございまして、六十一年度予算におきましても増員等図るべく予算措置をお願いしているところでございますが、今後とも実施主体であります市町村と密接な連絡をとりながらその充実に努めてまいりたいと思っております。  〔広瀬博美君登壇〕 ◆(広瀬博美君) 用意しました質問はこれで全部終了いたしました。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(金子康男君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時三十一分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時三分開議 ○議長(久保一明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 野田将晴君。  〔野田将晴君登壇〕(拍手) ◆(野田将晴君) 自由民主党の野田将晴でございます。ただいまから第三回目の一般質問を行います。 質問に入ります前に、昨年の十一月六日、東京の日本武道館で行われました全国警察剣道大会で見事優勝されました我が熊本県警チームの栄誉をたたえたいと思います。 全国大会は一部、二部と分かれておりまして、一部は、全国最強の八チームで覇を競う方式になっておりますが、本県チームは、この一部に出場いたしまして、一回戦で、東京警視庁を四対三で、二回戦は、神奈川県警を六対一、三回戦は、兵庫県警を四対三で連破して、決勝で京都府警と対戦し、五対二で圧勝して見事初優勝の栄冠に輝いたのであります。いずれも警察官の定員では大人と子供ぐらいの差がある相手であります。並みいる指定府県の強豪を抑えて熊本県警が一部で優勝するなど、とても考えられないことでありました。剣道、柔道を問わず、一部の優勝旗が関門海峡を渡ったのは史上初の快挙でございます。まさにこのことは熊本県民の誇りであります。武道王国・熊本の名を全国に高からしめ、警察への県民の信頼をますます高め、さらに警察官の士気の高揚に果たされた功績はまことに大であります。本部長さん初め関係者各位に深甚の敬意を表する次第であります。とりわけ、監督以下選手各位に改めてその労をねぎらい、今後一層の御精進をお願いしたいと思います。(拍手) それでは、質問に入りたいと思います。 天皇陛下は、御即位されまして、ことしが満六十年をお迎えになります。このことに関連した質問からまずさせていただきたいと思います。 朝日新聞の二月二十七日付の朝刊に、フィリピン大統領選挙を風刺した連載漫画が載っておりました。三つのこまから成る漫画でありましたが、一番目の絵は、フィリピンから亡命していくマルコス前大統領と親類、そして側近の将軍や財閥の乗った飛行機がかいてあります。二番目の絵は、舞台が変わって昭和二十年の日本であります。天皇陛下がマッカーサー元帥に対して「私はどうなってもいい 国民が助かれば…」とおっしゃっているところであります。三番目は、現代の日本であります。皇居前で日の丸の小旗を持って御在位六十年を祝っている人々の姿がかいてありました。実は、私もこのフィリピンの政変劇をテレビで見ながら、この漫画と全く同じ感情に駆られていました。 昭和二十年の九月二十七日、今上陛下は初めて連合軍最高司令官・マッカーサー元帥と会見され、「自分の身はどうなってもいいから国民を救ってほしい」と仰せられた話は余りにも有名であります。マッカーサー元帥は初め、諸外国の歴史が示すとおり、敗戦国の元首が戦勝国に命ごいに来たと思っておったそうでありますが、「国民に罪はない。みずから進んで絞首台に上るから国民を救ってくれ」という天皇のお言葉を聞いて深く感動したと、そのように後日回想しております。 諸外国の元首と日本の天皇との根本的相違を如実に感じさせられたのが、このたびのフィリピンの政変劇でありました。「爆撃にたふれゆく民の上をおもひいくさとめけり身はいかならむとも」「身はいかになるともいくさとどめけりただたふれゆく民をおもひて」陛下の身を捨てられての御聖断によって、大東亜戦争は終結し、祖国日本は存亡の危機から救われたのであります。しかし、その後には深刻な食糧危機が国民を待ち受けておりました。一千万人が餓死すると言われるほどだったのであります。陛下は、アメリカからの食糧援助の代償として、皇室の御物、すなわち財産を提出することを申し出られました。政府が何度申し入れても取り合ってくれなかったマッカーサーは、陛下のこの国民を思われる気持ちに感動して、本国政府と強硬に交渉した結果、食糧援助が実現したのであります。そして国民は飢餓から救われたのでありました。 そして、二十一年の二月九日を皮切りに、敗戦に打ちひしがれた国民を直接会って励ましたいという陛下の強い御意思で、全国御巡幸の旅が始まりました。四十六都道府県、千四百十一カ所、延べ三万三千キロにわたって、雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も、戦災で焼け野原と化した中に、陛下の御足跡がしるされていきました。「戦のわざはひうけし国民をおもふ心にいでたちて来ぬ」陛下のこの御心が通じないはずがありません。各地であらしのような感動が巻き起こり、国民は戦後の復興に立ち上がっていったのであります。御巡幸後、その地方の農業、漁業の生産あるいは工業生産高などは実際に急上昇していきました。我が国の今日の繁栄の基礎はまさに天皇陛下によってもたらされたのであります。 その今上陛下の御代が六十年を迎えたということは、日本の歴史上かつてなかった一大慶事であります。天皇様への限りなき感謝の誠をあらわし、祖国の平和と繁栄を祈念する意味においても、国民挙げて御在位六十年をお祝いしたいと思うのでございます。既に政府は、四月二十九日、天皇誕生日に記念式典を挙行することを決定しております。本県においては、記念式典についてはどのような御計画でしょうか。 さらに、知事の提案理由説明にもございました御在位六十年記念事業としての植樹、さらには建設省が決定しております御在位六十年記念の健康運動公園建設の構想の具体的内容について、お伺いをいたします。 そして、これらのほかに県独自の記念事業として、御製碑の建立並びに天皇陛下御行幸時の関係者各位の感動の体験文集の発行など実施するお考えはないか、お尋ねをいたします。 特に、陛下におかれましては、御来県に際しまして三首の御製を賜りました。「阿蘇山の この高原に 人ひと丶苗植ゑをへて ともに種まく」そして、本年の元旦御発表になりました「なつかしき 雲仙岳と天草の 島はるかなり 朝晴れに見つ」でありまして、あと一首は、高森の野草園でお聞きになった尚絅高マンドリン部の演奏の御感想をお詠みになったものであります。「はなしのぶの歌 しみじみ聞きて生徒らの 心は花の如くあれと祈る」この御歌は、まことに異例のこととして尚絅高に賜ったものでありまして、知事から既に伝達をされているのでございますが、同時に、今日の荒廃した青少年の心を思うときに、私どもの心に、この御製を通して、陛下の深い深い御心が伝わってくるのであります。花のように美しく、そして明るく清らかな心を青少年の心の中に取り戻すことが急務である今日、まことにとうとき御製であり、尚絅高関係者の名誉のみにとどめず、ぜひとも御製碑として建立し、御在位六十年の記念として残していきたいと、そのように念願するものであります。 そしてまた、写真集としての行幸誌は立派なものを既に作成していただいております。そして、さらにビデオとしての記録も編集していただいておるのでありますが、御行幸時に陛下を御案内された方や、あるいは御説明役に当たられた方、お言葉を賜った方などの当時の感動は大変なものがございました。その感動の体験文を集めまして、文集としての行幸誌を発行していただきたいのであります。 そして、御在位六十年に関する最後のお願いでございますが、小中高の各学校でも、その意義について徹底するようひとつ指導していただきたいということであります。 日本国憲法第一条にいう日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である天皇について、学校教育の現場ではほとんど教えられてなかったり、あるいは一部の教師によって反天皇的な教育がなされているのであります。 福岡県のある小学校の先生・品川順子さんと申しますが、その方から、すばらしい実践記録を寄せていただきましたので、その一部をちょっと御紹介したいと思います。 教職九年目。この年に天皇陛下御在位六十年の歴史的な慶賀の年をお迎えすることができました。私が教師になって、このような国家的奉祝の契機に恵まれたことは、この上もなくありがたいことであります。ささやかであっても、この教室から「天皇様おめでとうございます。六十年ありがとうございます」という声を陛下に捧げたいと思いました。幼い小学校二年生の子供達ではありますが、授業の中で、陛下を、そしてこの六十年の尊さを語っていきました。 終戦の御聖断、敗戦後のマッカーサーとの御会見、九年にわたる全国の御巡幸、そして陛下の御日常の様子など、二年生の子供達にもわかるように、言葉をやさしくしたり、御巡幸時の同じ年代の子供の作文や写真を加えたりして、四日間にわけて話していきました。まずい語り振りの中にも、心をこめた私の話に子供達は静まりかえって聞き入り、今まで知らなかった事実や陛下の御心一つ一つに頷き乍ら聞いておりました。 そして、私の話しが終るや、子供達は「先生、ぼく日本の国に生まれて良かった」「先生、天皇陛下様は偉いお方だね、優しいお方だね。ぼくのおじいちゃん、おばあちゃんの命の恩人だ」と次々に感想を述べてくれました。 陛下の御心、陛下の御事蹟を語りゆけば、どんな子、どんな幼い子でも、心を動かさぬ者はいないと確信いたしました。 私は、その時、同じ昭和の御代に生きる誇りと悦びを子供達と共にすることができ、二十七人の幼な子たちと「天皇様、六十年おめでとうございます」と声を合せてお祝いすることができました。 品川さんは、次に、子供たちの感想文を幾つか紹介しておりますが、その中から二つだけ紹介します。 天皇陛下様、ありがとう。これからも元気になって下さいね。天皇陛下様はとてもやさしいですね。私もそんなにやさしくなりたいです。日本を助けてくれてありがとう。 天皇様、日本を守ってくれてありがとうございます。日本のみんなが元気になったのは、全部天皇様のおかげです。天皇様体に気をつけて下さい。 この品川先生のような先生に教えられる子供たちは本当に幸せだなと私は思いました。どうか本県におきましては、学校で御在位六十年の意義を十分理解させるような指導を徹底していただきますよう心からお願いをする次第であります。 御答弁をいただいて再登壇いたします。(発言する者あり)  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 天皇陛下御在位六十年記念式典につきましては、お話のとおり、政府は、去る七日の閣議で、四月二十九日の天皇誕生日に東京・両国の国技館で記念式典を挙行することに決定されたところでございます。式典には、天皇陛下御臨席のもと、国民各界各層代表の参加を得て実施される計画と伺っておりますが、国民挙げてお祝い申し上げる機会ができましたことは、まことに喜ばしいことだと思っております。 お尋ねの本県における記念式典につきましては、五十九年十二月議会におきましても野田議員からの御質問にお答えをしたところでございますが、このことにつきましては、既に県内諸団体参加による奉祝会が結成され、奉祝事業が進められようとしておりますので、県としてもできるだけの御後援を申し上げてまいりたいと考えている次第でございます。  〔企画開発部長原口恒和君登壇〕 ◎企画開発部長原口恒和君) 記念植樹についてお答え申し上げます。 天皇陛下御在位六十年の記念植樹についてでございますが、国の提唱によりまして、全国で慶祝都市緑化記念植樹祭が四月から六月にかけて実施されます春季における都市緑化推進運動及び十月の都市緑化月間の中の行事として実施されることになっております。この中で、十月の都市緑化月間中の行事を含めまして、慶祝都市緑化記念植樹祭の内容、実施方法等についての詳細は現在国において検討されておりますが、熊本の都市緑化フェアの会場が全国の中央会場として位置づけられることになるものと考えておりまして、「都市緑化くまもとフェア」がまことに意義深いものになるものと期待しているところでございます。 いずれにいたしましても、具体的な決定を見次第、全国の中央会場にふさわしい慶祝都市緑化記念植樹祭になるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 天皇御在位六十年記念事業のうち、健康運動公園建設についてのお尋ねでございますが、建設省は、昭和六十一年度に都市公園等整備事業予算の中で、新規施策の一つとして健康運動公園の整備構想を打ち出しました。この健康運動公園のうち、都道府県に一カ所ずつを天皇陛下御在位六十年を記念する健康運動公園として設置することとしております。 この健康運動公園は、市町村が策定をいたしました健康運動推進計画に基づきまして、緑豊かな環境の中で、だれしもが日常的に健康運動を楽しみながら行いますために、コミュニティー体育館あるいはコミュニティープールの設置を条件といたしまして、これを中心にジョギングコース、広場、テニスコート、ゲートボールコート、こういった健康運動施設を整備していこうとするものでございまして、着手後おおむね五カ年を目途に整備を進めることとしております。 本県といたしましては、熊本市が昭和五十四年に健康都市宣言を行いまして、熊本市スポーツ振興審議会の答申を受けられて昭和五十九年度から整備を進めておられます田迎公園を、この健康運動公園として採択いただくよう建設省に対して要望しておるところでございます。  〔総務部長佐藤達三君登壇〕 ◎総務部長(佐藤達三君) まず、御製碑の建立についてでございますが、昨年五月十二日、阿蘇みんなの森で行われました第三十六回全国植樹祭を中心とした行幸にちなんだ御製は、お話のとおり三首でございました。天皇陛下がみずから植樹をされたそのときのことをお詠みになられました御製と、阿蘇のお泊まり所から雲仙岳と天草の島を望まれてお詠みになられた御製、それに先ほどもありましたように、尚絅高校マンドリンクラブの「花しのぶ」の演奏をお聞きになられてお詠みになられた御製がございます。これらの御製碑につきましては、既に建立の話が進められているところもありますので、県といたしましても植樹祭を記念いたしまして対応を進めたいと考えております。 次に、植樹祭、行幸にかかわった関係者の文集の編さんや映像としての御巡幸録を作成したらどうかとのお尋ねでございますが、まず写真集といたしましては、行幸誌あるいは全国植樹祭記録等幾つか編集発行いたしております。また、ビデオにつきましても、県で編さん収集した数本につきましては、県立図書館に提供し、県立図書館で一括管理し、広く県民の希望に対応できるようにいたしておりますので、御趣旨の点を踏まえまして、さらにその活用を図ってまいりたいと考えております。 なお、関係者の文集作成につきましては、いま少し検討させていただきたいと思います。  〔教育長伴正善君登壇〕 ◎教育長(伴正善君) 天皇御在位六十年はまことにおめでたいことでございまして、各学校におきましては、既に天皇誕生日を初めとする国民の祝日について、児童生徒にその意義を十分理解させるよう指導を行ってきているところでございます。 このたびの天皇御在位六十年の学校の取り組みにつきましては、具体的には国の通知等を踏まえながら進めてまいります。  〔野田将晴君登壇〕 ◆(野田将晴君) やじるときには堂々とはっきり言ってくださいね。 知事初め各担当部長、そして教育長から御答弁をいただいたのでありますが、記念式典につきましては、その意義にふさわしい最もよい方法について、なお一層御研究をいただけるものと確信をいたします。 文集としての行幸誌でありますが、予算的措置もあることですし、いま一度御検討いただくということは、発行するということを前提としてのことであろうと、このように思うわけでございます。 学校における指導でございますが、例えば民間団体で既に作成していらっしゃいます御在位六十年の立派な映画もございます。これをひとつ活用させていただいてPTAも一緒になって映画会を各学校で実施するということとか、先ほどの体験文集ができましたならば、それを各学校に寄贈してこれを活用するとか、いろんな方法があろうかと思います。今後その辺は個別にひとつ交渉を進めていきたいと思います。次に移ります。 新しい教育立県を目指して力強く前進しておられます細川県政の中にありまして、伴教育長におかれましては、就任当初から、本県教育再建のために昼夜を問わず御奮闘いただいており、大きな成果が上がりつつありますことはまことに喜ばしいことであります。しかしながら、本県教育界に巣くう病巣は余りにも根深く、容易ならざるものがあります。といって、ため息をついておる暇はございません。伴教育長時代にやれるだけのことをやっておこうというのが我が党の文教部会の方針でもありますし、大変御苦労とは存じますが、本日もまた具体的な提言も含めて質問をいたしますので、県政の緊急課題ともいえる教育正常化のために、快刀乱麻を断つがごとき歯切れのいい答弁をお願いする次第であります。 さて、本県教育の現状でありますが、まず第一に指摘しなければならないことは、中学、高校を問わず全般的に学力が低下しておりまして、特に高校生の学力が他県に比べ著しく劣っているという点であります。この点につきましては五十九年十二月県会でも指摘したのでありますが、状況は全く好転しておりません。 六十年度の国立大学合格者数は、熊本県は千六百四十六名でありましたけれども、九州各県と人口一万人比で比較してみました。すると次のようになります。熊本が一万人に対して九・〇九、福岡十・〇四、佐賀十・〇六、鹿児島十二・五七、大分十二・六五、長崎十三・九九、宮崎十五・四六。ちなみに、全国一は富山の十六・二九人であります。熊本だけがすとんと落ち込んでおります。もちろん、このような人口比だけで単純に比較することは危険かもしれません。しかし、それにしても余りにも極端過ぎる結果であります。どこか大事なポイントがずれているような気がしてならないのであります。 このような状況では、「熊本・明日へのシナリオ」に基づいて力強く県政が推し進められたとしましても、人材が育たない限り二十一世紀の熊本は九州の落ちこぼれになってしまいます。人材育成こそ県勢浮揚の柱であります。この際、徹底的に分析し、原因を把握して、下手な妥協を排して再建に取り組まなければならないときを迎えたと思うのであります。 伴教育長に具体的質問をいたします前に、細川知事に本県教育の現状についての御所見と御決意についてお尋ねをいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 教育の諸問題について御意見を交えてのお尋ねでございましたが、私は、就任以来、産業や学術、文化など各方面にわたって活躍することのできる人材を育成するということは、これからの県政の中にあって最も重要なことの一つであると申し上げ、特に二十一世紀を担う児童生徒の教育につきましては、教育委員会を初め関係各位にもお願いをしながら、新しい教育立県を目指して努力を続けているところでございます。 御指摘のとおり、生徒の個性を生かし、能力を伸ばすことが教育の基本でございますが、そのために必要なもろもろの教育環境を少しでも改善、向上するように整備するということも極めて重要な課題だと思っております。今お話がございましたような点につきましても現在教育委員会で懸命に取り組んでおられますので、その成果は着実にあらわれてくるものと期待をいたしているところでございます。 教育の現状を十分認識をし、今後とも教育委員会と連携を密にしながら、本県教育の活性化と向上のため、最善の努力を払っていきたいと考えておりますので、この上とも適切な御指導を賜りますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。  〔野田将晴君登壇〕 ◆(野田将晴君) 知事の御決意を伺いまして大変心強く思いました。私は、本県教育が、とりわけ高等学校の教育が、ここまで低迷している原因は、この前も申し上げましたが、まず第一に、受験体制打破を運動方針としております高教組にあると断言してはばかりません。そして第二に、定員割れ高校の出現と厳し過ぎる学区制による中学校全体の活力の低下ではないかと思っております。 まず、高教組の問題でありますが、学校現場を知れば知るほど唖然となります。よくもこんなことが今まで許されてきたなと感心させられるほどであります。しかし、国鉄の次は日教組と言われる時代になってきました。もはや、今までのようなことは国民世論が許しません。幾つか具体的事例を挙げながら、その対策について教育長にお尋ねしたいと思います。 まず、勤務規律についてであります。 本県の名門校と言われます一部の学校で、驚いたことに、みずからの授業時間に合わせて出勤したり、帰宅したりしておるということであります。びっくりいたしました。これらの学校の学校長さん方は正常化のために大変頑張っておられることは私もよく存じておりますし、それなりに効果も上がってきてはおります。しかし、依然としてこの点は改善されていない。一部の先生たちは、この無断遅刻・無断早退の理由を、生徒の自主自発の精神を尊重するためとか、管理する必要はないとか言っているようでありますが、冗談ではありません。生徒が担任を職員室に訪ねてきても、担任はまだ出勤しとらんかったり、あるいはもう既に帰宅しておる。そして、俺は管理しないから、おまえたちは勝手に勉強しろと、こんなことで生徒にやる気を出せと言っても無理な相談であります。これは地方公務員法第三十五条の職務に専念する義務の重大なる違反行為ではないでしょうか。これは、即刻実情を調査して、法の精神に基づいて厳重なる処分をするべきだと思います。また、教師にとって勤務時間とは授業時間だけなのでしょうか。そうでないならば、無断早退や無断遅刻を繰り返してきたその時間はどうなるのか。勤務をしていないから、事実に照らして賃金をカットすべきだと思います。 二点目は、夏休みなどの長期休校時の勤務の実態についてであります。 この期間は、児童生徒にとっては休業日でありますが、職員にとっては勤務を要する日のはずであります。ところが、職員は自宅研修とかで出勤してこない。しかも、授業日に年休をとって日教組大会などの組合活動に参加するならば、子供たちの授業時間は確保できないのではないでしょうか。児童や生徒にも学習する権利があります。学習権を保障する上からも、年休などは、やむを得ない場合を除いて、夏休みなどの期間中にのみ許可されるよう指導すべきだと思いますが、いかがでしょうか。そして、教育委員会が主催する研修会などの行事はいつ行われておりますか。授業日にされているならば、これも夏休みなどの期間中にすべて計画されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 また、教師の服装の乱れもひんしゅくを買ってきましたが、教育委員会の御指導によって随分よくなってきました。しかし、まだトレパンやジャンパー、あるいはジーパンやサンダル履きで出勤している事例もあるようであります。このようなことで生徒に校則を守れとは言えるはずがありません。校則も結構ですが、その前に教師のための校則が必要だと私は思うのであります。今後ともさらに強い御指導をお願いする次第であります。 次に、主任制拒否闘争及び任命制教頭拒否闘争に対する対策についてお尋ねをいたします。 高教組及び日教組による主任制拒否闘争は、主任を主任と呼称せず、連絡係とか窓口とか呼称しまして、主任制に反対しているのでありますが、問題は、主任手当を組合に拠出させている点であります。 実は、ゆうべ私はこういうビラを入手いたしました。「熊本教育新聞」速報、発行元は熊本県教職員組合、これは県教組の機関紙であります。三月一日付になっております。この左側に「「主任手当」のネライと拠出闘争の意義」と書いてあります。ずっと書いてあって、その中に「「主任手当」は正当に支給される「賃金」とはいえません。」だから「当然受け取ってはならない「手当」なのです。」と書いています。そして右側に「各組合員のみなさまへ」という通達になっております。 この中で、「八五年度の拠出状況は、全体の約五五%で組合員の場合はほぼ一〇〇%を維持してきました。」こうなっています。そして「主任制反対のたたかいは、手当の拠出だけでなく、「主任」を機能・実動させないことが重要です」というふうな文章なのですが、そして、同意書を三月末日まで全教職員に対してとってくれという通達であります。ところが、五五%拠出していると書いています。高教組はもっと高いという話も私は聞いております。そうしますと、本定例会に主任手当が総額で一億七千五百六十六万七千円、当初予算として提案されておるわけでありますが、このうちの五五%が昨年同様拠出されたとしますと約九千六百六十二万円、こういう莫大な予算が県教組にいくことになるわけであります。これはもう大変なことだと私は思います。主任制に反対しながら、そしてその主任手当を拠出させて組合の活動資金にする、とんでもないことです。まことに卑劣きわまりないやり方であります。県民の血税がこのような形で組合に流れていくならば、まことに重大な問題であります。断固たる処置をお願いする次第であります。 この点についての教育長の御見解をお聞かせください。そして、主任はどのようにして選任しておられるのか、あわせてお尋ねをいたします。 任命制教頭拒否闘争も同様に高教組によって、教頭とは口をきかない、教頭とは呼称しない、あるいは甚だしい例は、教頭の机を廊下にほうり出すなどの陰湿きわまりない方法で行われておりまして、教育現場を混乱させておることは先生方先刻御承知のとおりであります。社会問題となっているいじめの手本を先生たちがしてみせているのであります。 主任制にしても、この任命教頭の件にしましても、高教組による低次元のこれらの行動が、職場倫理、職場秩序の乱れを招いておりますし、さらには、教師と生徒のけじめがつかないという結果をも招いているのであります。 教頭の任命に当たっては、これらの高教組の不当な圧力に屈しない人格、識見ともに優秀な人材を登用していただきたいのはもちろんでありますが、学校現場において教頭が孤立して苦しんでおられるようなときには、教育委員会も親身になって、ともに対策を考えるようなきめ細かさが必要だと思うのであります。 さて、高教組対策についての質問は、以上にとどめますが、要望をいたします。 ここに一枚のビラがあります。自民党の先生方よく御存じのビラであります。これは「日の丸 君が代 なぜ?学校に押しつけてくるのでしょう。」と書いてあります。このビラは、卒業式を間近に控えた二月の末日ごろ、矢部町で配られておったビラでありまして、「熊本県高等学校教職員組合」という字が、ここに一番下に書いてあります。 この件につきまして、教育長におかれましては迅速に対応していただきました。そしてその結果、ことしの卒業式は例年になく評判がよかったと聞いております。各学校とも、国旗掲揚はもちろん、先生方も全員服装を整えて、起立して国歌斉唱をされたそうでございまして、大変喜んでおるところでございます。今後とも、この問題につきましては引き続き強力なる御指導方をよろしくお願いをする次第であります。先に進みます。 次に、学力の地域間格差を是正する方策についてお尋ねをいたします。 六十年度の高校入学者選抜学力検査の郡市別の結果を見ますと、中学生の学力が地域間でかなり格差を生じていることが一目瞭然であります。例えば受験者全員の五教科の平均点――二百五十点満点でありますが――は百三十八・九点であります。一番高いのが熊本市で、熊本市の平均は百七十点、次に、八代市で百四十八・四、飽託郡百四十五・二、宇土郡百三十九・一、このあたりが平均を上回っておりますけれども、最も低い地域は百七点とか百九点でありまして、百十点台も三地域ほどあります。 この地域間格差の原因についてはいろいろな要素があると思われますが、地元高校の定員割れ現象と相関関係があることは否定できないようであります。すなわち、定員より入学志願者の方が少ない定員割れの高校は分校を除いて十七校ございますけれども、そのうちの十三校が、先ほど申しました学力の特に低い五つの郡市に集中しております。これらの高校では数が足りませんから、必然的に全入制となっておりまして、受験生はますます努力をしなくなってしまうわけであります。したがって、その地区の中学生全体のレベルが低下していく結果となっております。さらに、現在の入試制度は学区制でございまして、学区外からの入学は、御承知のとおり五%と厳しく、中学生の高校選択の自由は大きく制限されていますから、優秀な生徒までもやる気をなくして、せっかくの伸びる芽を摘み取ってしまうような結果ともなっております。 これら二つの事情が重なって、中学生全般、とりわけ郡部の中学生の向上意欲が薄れ、あり余るエネルギーは、校内暴力やあるいは非行に向けられているのであります。さらには中学校全体の学力を低下させ、ひいては公立高校全体の低レベルでの平均化となっているのではないかと思うのであります。そこで、この学力の地域間格差是正の方策を検討することが必要であるというふうに思います。 教育長の御所見をお尋ねいたします。  〔教育長伴正善君登壇〕 ◎教育長(伴正善君) 勤務規律、主任制・任命制教頭問題等について逐次お答え申し上げます。 一部の先生方に勤務の規律について、高等学校の中には無断遅刻や無断早引けがあるのではないかということでございますが、お尋ねのとおり、勤務時間については、公務員は法律により職務専念の義務がございます。当然守らねばならないことでございます。ただ、幾つかの学校で勤務時間が守られていない実態があるとすれば、それは十分な指導が必要であるとともに、万一違反があれば当然処分の対象となることでございまして、今後実態を把握してしかるべき措置を講じます。 次に、夏休み期間中の自宅研修でございますが、研修制度は、教育公務員特例法第二十条で「授業に支障のない限り、勤務場所を離れて研修を行うことができる。」となっております。学校長の判断で認めているのが現状でもございます。現実には、各学校とも長期休業中といえども多くの先生方は学校に出勤し、現在では何らかの教育活動を行っております。 教職員の研修につきましても、その必要性から年間を通じ計画的に実施しておりまして、夏休み、冬休みなどは、特に集中的に県立学校経験者六年目研修会、公立学校教員三年目研修会等を中心とした研修を行っております。これを引き続き実施してまいる所存でございます。 また、教師の服装については、徐々に改善されてきておりますが、今なお十分でない面もありますので、教師としての品位を汚すことがないよう、今後とも自覚を促してまいります。 主任の任命につきましては、校長の具申を受け、県教育委員会が適当と判断する者について任命しております。なお、主任の選出に当たっては、適材主義をもって当たるよう、常々から学校長に対し指導しているところでございます。 また、主任手当の拠出につきましては、一たん本人が手にした後、みずから拠出しておる現況でございまして、昭和五十八年一月の文部省初等中等教育局長通知で、主任等が手当を拠出することは、主任制度及び主任手当の趣旨に反するものであり、国民の教育に対する不信を招くことになると述べております。このことからも主任手当は拠出すべきものではないということでございまして、その趣旨を十分指導してまいります。 任命制教頭拒否闘争につきましては、県民の信頼を裏切ることのないよう常々から指導しておるところでございまして、現状ではほぼ正常化されておると認識しております。まだ一、二の学校にそういう状況があるということは聞いておりますけれど、大体正常化されてきておると聞いております。 いずれにいたしましても、教師という職は、身はたとえ労働者であっても、その職は、子供にとっては聖職であるということの自覚を十分促して指導してやっていきたいと思いますとともに、なお、学校運営の正常化が教育に対する県民の信頼を取り戻す最重要な要件であると認識しておりますので、校長を初めとする学校の管理職と県教育委員会が一体となって一生懸命頑張ってまいりますので、よろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。 次に、学力の地域間格差を是正する方策についてでございますが、公立高等学校入学者選抜学力検査の郡市別結果については、地域間で大きな格差があることは御指摘のとおりでございます。その原因についてはいろいろと考えられますが、御指摘のような定員割れ等による周囲からの刺激の有無が、向上意欲と深くかかわりを持っていることも否定できない事実と思います。したがいまして、県下各地域において、生徒たちが、明るい展望を持って進学し、意欲的に学習に取り組めるよう、日常的に切磋琢磨し合える学習環境をつくり、適切な進路指導、教職員の研修の充実強化による指導法の改善など、学力の向上のために、教育に携わる者が一丸となってさらに努力して地域間格差の是正を図ってまいる考えでございます。  〔野田将晴君登壇〕 ◆(野田将晴君) 御答弁ありがとうございました。御答弁のとおり、最近はかなり正常化されてきておるようであります。しかし、私どもの知る限りにおきましては、まだまだ現場は相当乱れております。ここで気を抜いては何にもなりません。大変御苦労も多いかと思いますが、安永教育委員長、伴教育長を中心にされまして、幹部の方々あるいは職員の方々、今後一層の御奮闘を心からお願いを申し上げる次第であります。 地域間格差の是正策としましては、今積極的な御答弁をいただいたわけでありますが、その原因の一つが全入制にあるということは否定できないという御答弁でもございました。でありますならば、難しい問題ではございますけれども、やはりこの全入制というものの見直しも今後必要ではないかと思うわけであります。受けさえするならだれでも通るということでは、やっぱり子供たちは勉強しなくなってしまう。やはり、例えば最低の合格点を何点とかいう形で決めて、それ以下は、きついけれども、ひとつ次頑張ってもらうというぐらいの、そういうことをしなければ、決して私はこの地域間格差の問題は解決しないというふうに思っておりますので、今後の検討課題としてよろしくお願いを申し上げたいと思います。次の質問に移ります。 熊本都市圏の整備についてお尋ねをいたします。 熊本市は、昔から行政、経済、文化の中心として栄えてまいりましたが、特に最近はテクノポリスの指定を契機として、先端技術産業などの立地も進みまして、技術情報都市、国際交流都市へ向けて力強い歩みを続けております。この点に関し、細川知事の時代を先取りする先見性と、これを実現に導くたくましい行動力が非常に大きな力になっていることは万人の認めるところでありまして、深甚の敬意を表するものであります。しかし、一方で、都市の均衡ある発展という視点から、熊本都市圏の現状を見ますときに、果たしてこのままでよいものかどうか疑問に思うものであります。すなわち、これまでの都市発展が東部、北部に重点が置かれ、西部、南部がおくれぎみになった点であります。二十八年の大水害後、人口が東部台地に定住の地を求めたということもあるでしょうし、さらには、空港も県庁も東部に移転し、九州縦貫道も東を回りました。また、テクノポリスセンターも東部であります。加えて、人口が東部、北部の郊外に移動するにつれまして莫大な公共投資がこれらの地区になされてきたのであります。 私は、決してそのことを非難するものではありません。それなりの理由と必然性があったがゆえのことであります。しかし、結果的に生じておる今日の不均衡をいかに解消していくかということが、今後の都市整備上の重大なる課題となったのであります。 熊本市の人口は過去三十年間で実に一・六七倍となりました。しかし、その一方、かつての熊本の中心でありました城東・慶徳・一新・五福・春日校区などは、逆に三十年間で二分の一弱に減少しております。これらのいわば旧市街地は、学校、道路あるいは上下水道、交通機関などの都市施設の整備された利便性の大変高い地区でありながら、若者が住まない過疎地的様相を呈しております。その結果、商店街の衰退、高齢化、家屋の老朽化、小学校の児童数の激減などの深刻な事態を招いております。都心人口を回復させ、旧市街地を活性化していくことは、都市経営政策の上からも大変重要と思われるのであります。 また一方では、熊本港の建設が着々と進められておりまして、新幹線も現実のものとなりつつあり、さらには、白川、加勢川、天明新川等の河川改修も進みまして、かつての水害常襲地帯というイメージも改善されつつあります今日、西南部の開発は喫緊の課題となってきたのであります。そして、これらによって同地域の開発のポテンシャルは飛躍的に向上することになります。東北部に偏した熊本都市圏の構造がバランスを取り戻す絶好の機会であると思うのであります。 既に、最近幾つかのシンポジウムが地元で開催され、地域住民の危機感と、専門家の知識と、さらには有識者の斬新な発想などが活発な意見として出されました。地域住民の意識は徐々に盛り上がりつつあります。さらに最近、地元経済人の方々によって、熊本市西南部市街地活性化協議会の結成に向けた具体的動きもスタートいたしました。 今後は、西南部開発に関する基本的な方針が明らかにされまして、さらに、これに基づいた具体的シナリオが必要であると考えますが、知事の御所見を伺います。 さらに、熊本駅前再開発事業の現状、米屋町、呉服町、唐人町などのいわゆる五福校区一帯の再開発についての取り組み方、流通業務団地及び南部第一区画整理事業の今後の見通しについて、土木部長のお考えをお尋ねいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 熊本都市圏の特に西南部開発に関する基本的な考え方についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、市西南部の開発は、熊本都市圏の均衡ある発展という見地から大変重要な問題であると考えております。 もちろん、この問題への取り組みには、地元熊本市の主体的な対応が必要でございますが、県としても県市連絡会議等を通じまして、その抱える問題点につきまして、熊本市と意見の交換を続けてまいっているところでございます。先ごろ開催いたしました第七回目の県市連絡会議におきましても、熊本港建設関連あるいは熊本駅周辺の整備開発構想の推進、あるいはまた熊本城三の丸の整備等、市の西南部の問題につきまして、今後の方針を話し合ったところでございます。 九州新幹線建設に向けての動き、あるいはまた熊本港建設、白川、加勢川、天明新川、そういった河川改修の進展等、西部の開発活性化のポテンシャルというものは高まってきておりますし、また、経済界を含む地域の方々の活力ある町づくりに向けての新しい動きも芽生えてきておりますので、こうした盛り上がりを生かしながら、また、今後県としても、熊本市と一層の連携を図りながら、西南部の開発に積極的に対応してまいりたいと思っております。  〔土木部長福島正三君登壇〕 ◎土木部長(福島正三君) 熊本都市圏の整備に関連をいたしまして、具体的問題といたしまして三点ほどお尋ねがあったわけでございますが、まず第一点の熊本駅前再開発事業についてでございますが、この駅前再開発につきましては、昭和四十四年八月に熊本駅周辺開発期成会が発足をして以来、幾多の検討が重ねられてきたところであります。この中で、熊本市は、昭和五十七年度に熊本駅前地区の面積十六・五ヘクタールにつきまして市街地再開発基本計画を作成いたしました。今回、その一部であります十三番街区と十二番街区の一部が市街地再開発事業としてスタートする運びとなりまして、熊本市長から申請が出され、現在建設大臣の認可申請を行っておるところでございます。 今後は、都市再開発法に基づく組合が設立されることになりますが、今あります準備組合とされましては、六十一年度にも事業計画書を作成された上、家屋移転の補償等について話し合いを始めたいという御意向でございます。そして、シティーホテルを核といたしました大型ビルの建設は昭和六十四年度に完成を見込んでおるところでございます。 いずれにいたしましても、今回事業化されます地区は駅前地区の一部でございまして、これを契機に周辺の地区についても再開発のPRに努めまして、再開発事業が促進されるよう、熊本市及び地元の方々といろいろ話し合いを進めてまいりたいというふうに存じます。 第二点の米屋町、呉服町、唐人町など五福校区一帯の再開発についてでございますが、この地域は、熊本駅と現在の中心商業業務地域でございます上通り、下通り、あるいは新市街、こういったところに挟まれたところでございまして、戦前までは市の中心的繁華街であったところでございます。しかしながら、現状は、家屋の老朽化と人口のドーナツ化現象、さらには高齢化と、こういったことによりまして活性化が求められるような状況になってまいりました。 御指摘のとおり、この地域でも最近は、いろいろのシンポジウムなど活力ある町づくりへ向けての動きが出ておりますし、さらには、熊本駅前再開発のスタートを契機といたしまして、より一層地域の活性化の芽が育つことを期待しておるところでございます。これらの地域は、歴史と伝統並びに古い町並みを生かしながら市街地住宅の供給を図るなど、近代的な町へと脱皮を図る必要があるというふうに存じておりまして、地域の盛り上がりを踏まえまして、熊本市とともども、地域の皆さん方ともお話し合いを進めてまいりたいというふうに存じます。 第三点の流通業務団地及び南部第一区画整理事業についてでございます。 まず、流通業務団地でございますが、これは流通業務施設として卸売、倉庫、運輸施設、これを三十三ヘクタール、公共施設、公共公益施設を二十ヘクタール、合計五十三ヘクタールの団地を、熊本市が田迎・御幸・近見地区の国道五十七号東バイパスの北側に接して整備しようとするものでございます。 この事業は、昭和五十八年度に着工されておりまして、熊本市としては、六十一年度末供用を目指して現在鋭意整備中でございますが、完成の暁には、熊本市はもとより県内の産業経済の発展に大きく寄与するものと期待をしておるところでございます。 次に、南部第一組合区画整理事業でありますが、これは昭和五十五年に着手をされました百十七ヘクタールの事業でございまして、武蔵ケ丘団地の約三倍の広さを持っております。これは、流通業務団地の北側に接して国鉄豊肥線との間に位置しております。昭和六十年度末現在の進捗率は三〇%と見込まれておりまして、六十七年度完成の予定でございます。 この事業の完成の暁には、区域内にございます都心計画道路本荘犬渕線、新土河原出水線、平田田迎線や近隣公園、児童公園等が整備をされまして、市南部地域の新興住宅地として都市の活性化に大きく貢献をするものと期待をいたしておるところでございます。  〔野田将晴君登壇〕 ◆(野田将晴君) 大変有意義な御答弁をいただきました。何か西南部開発の新しい時代が来たようであります。とにかく、駅前にしましても、旧市街地にしましても、そして池ノ上、あるいは谷尾崎、高橋、城山あたりにしましても、東北部と比べますとすっかり取り残されてしまっております。用地は西部地区にまだまだ十分ございますから、公共施設など今後は西の方にどんどん持ってきていただけるものと、ただいまの御答弁で確信いたしました。例えばゲートボール人口は圧倒的に西部地区が多いにもかかわらず、ゲートボール場がなくて困っております。これなど早速取り組んでほしいと思う点であります。 いずれにしましても、町づくりは、県と市、そして地域住民が一体となって協力し合って初めてできるのであります。県、市の協力体制は三年前から比べますと隔世の感がいたします。住民側の意識を高め、かつまとめていくのは、私ども議員の使命と心得まして全力を尽くしていきたいと存じます。西南部開発に大いなる期待を持ちながら、最後の質問に移ります。 技術情報拠点づくりに伴う国際シンポジウムなどの開催についてお尋ねをいたします。 知事は、本議会冒頭の提案理由説明の中で、技術情報拠点都市づくりの一環として、国際的な経済、文化などの交流を促進するため、アジアクラブによる国際シンポジウムの開催と、国際社会に生きるテクノポリスづくりの一環としての国際テクノポリス協会総会を開催する計画を明らかにされております。国際間の相互依存がますます深まり、国際化への対応は地方レベルでも極めて重要な課題となっている今日、国際シンポジウムなどの開催はまことに時宜を得た計画であると評価するものであります。 我が国は、申すまでもなく、アジアの一員として、またアジア諸国のリーダーとして、アジアの発展に貢献していく使命を持っているのであります。アジアの国々は東洋文明という共通の基盤の上に立つ最も身近な同胞なのであります。しかしながら、相互の理解はまだ十分とは言えず、近くて遠い国となっているのが現状であろうかと思います。そういう意味で、アジア諸国の代表者による国際シンポジウムの開催は、アジアの人々の連帯感を深めることが期待でき、また本県の国際交流の一助となるなど、極めて重要な意味を持つものと思うのであります。また、本年十一月に開催を予定されております国際テクノポリス協会総会につきましては、本年一月にテクノポリス建設の中核施設ともいうべきテクノポリスセンターが着工されるなど、テクノポリスの建設も順調に進んでいる中で、世界の人々が熊本に集まり、中小企業の国際技術交流問題などについて討論されるやに聞き及んでおり、国際交流都市づくり、技術情報資源都市づくりの上からまことに意義深いものと思います。 そこで、アジアクラブ国際シンポジウムと国際テクノポリス協会総会の開催時期及び趣旨などについてお尋ねするととともに、積極的な取り組みをお願いするものであります。 なお、このような国際的な見本市や国際会議など国際的なイベントを開催するためには、受け皿として展示場とかあるいは会議場などの整備が必要であります。準備を進めておられます国際産業展示場の建設計画を早急に具体化されるよう要望するものであります。御答弁をいただきます。  〔商工観光労働部長道越温君登壇〕 ◎商工観光労働部長(道越温君) お答えいたします。 我が国の経済社会が、技術革新、情報化、国際化など大きく変革している中で、研究開発機能あるいは情報機能、文化機能の集積を図りますとともに、全国さらには世界各国から人々が集まる国際交流都市、情報拠点都市づくりを推進していきますことは、本県の活性化を促し、ひいては地域間の競争に打ちかち、本県の発展につながっていくものと考えております。 そこで、技術情報拠点づくりと国際シンポジウムの開催についてのお尋ねでございますが、まず、アジアクラブ国際シンポジウムにつきましては、ただいまお話がございましたように、国際的レベルでの経済、技術等についての討論など、人と人との交流を通じまして、本県中小企業の国際化を促進しますとともに、ひいてはアジアの人々の連帯感の確立を目指しますとともに、また、先端技術産業の集積や、豊かな観光資源を中心に熊本のイメージを国際的に売り込むことを目的として開催するものでございます。 当シンポジウムは、アジア諸国を中心として約十カ国から経済人、学者、ジャーナリスト等各界の有識者を招きますとともに、県内中小企業関係者約二百名の参加のもとに、地方レベルでの国際交流をメーンテーマといたしまして、熊本とアジアとの技術や、文化の交流につきまして専門的な立場から自由な意見の交換を行い、国際化の方向を探ろうとするものでありまして、ことしの秋の開催を予定いたしておるところでございます。 次に、国際テクノポリス協会総会についてでございますが、同協会は、技術開発研究開発を核にさまざまな形態で展開しております開発地域から成る国際的連合組織でございまして、相互の情報及び技術の交換、交流等を通じまして、広く関係各界の理解と関心を高め、また、それぞれの経験等を活用して一層の地域の発展を図っていこうとするものでございます。ただいまお話のありましたように、本年は中小企業における国際間の技術交流をメーンテーマとしまして、本年十一月十一日から十二日までの二日間総会を開催する予定でございます。 総会には、いまだ確定はいたしておりませんけれども、約十カ国二十地域から、テクノポリスやサイエンスパークの代表者約五十名、その他国内テクノポリス開発機構代表などの参加を見込んでおりまして、さきに述べましたメーンテーマ等についての活発な意見交換等を期待しているところでございます。また、工場見学会あるいはレディースツアー等を通じまして、熊本のイメージアップと交流にも努めていきたいと考えております。 いずれにいたしましても、国際会議や国際見本市などの各種コンベンションの役割は開催地域に大きな経済的な波及効果が期待できるなどその重要性が増大しているのは、ただいまお話にあったとおりでございまして、今後とも本県の国際化の推進につきましては、国際産業展示場、会議場などの整備も含め、受け入れ態勢の整備充実に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  〔野田将晴君登壇〕 ◆(野田将晴君) 私もかつて多感な青年時代の一時期を東南アジアで過ごしましたが、アジアの人々は心から日本との友好を願っております。かつての不幸な戦争のことも、かえって長い欧米列強の植民地支配から解放されたということでの認識が圧倒的でありましたし、我が国の安全保障面から見ましても、例えばマラッカ海峡、フィリピン海域、台湾海域、極めて重要であることは言うまでもございません。そのような意味からも、ひとつこれらの計画がアジアの国々との相互理解を深めるために大きな役割を果たすことを期待するものであります。 以上をもちまして私の質問は終わるわけであります。 最後に、建築技能士の後継者育成について御要望をいたしたいと思います。 建築技能士、とりわけ建築と左官の技能士の後継者が激減しておりまして、業界で大変危機感を深めておられることは御存じのとおりであります。例えば県下の認定職業訓練校の入校生の推移を見ますと、建築科と左官科の合計が、昭和五十年度が八百二十二名でございましたが、年々減少の一途をたどりまして、昭和六十年はわずか百五十名でございます。十年間で一八%余りに激減したのであります。 昨日、花籠先生、そして中島先生の御質問にもありました、職業訓練校が行革のあおりで廃止の憂き目に遭っておると、風前のともしびであるということで認識を深めたわけでありますが、廃止することよりも、やはり廃止せぬでいいように、技能士の後継者を育成するという視点が必要であろうかと思うわけであります。熊本市の事業内高等職業訓練校におきましては、さらにひどく、五十年の四百八十三人から六十年は、その一二・二%の五十九人となっております。そして、この傾向は年々進んでおりまして、このまま推移するならば、近い将来、公共事業にしましても、あるいは民間にしましても、受注はしても現場で仕事ができる者がいないという事態が予測されるのであります。 このような現象を来している要因は、まずは汗を流して働くということよりも、格好よく、より楽にという社会の風潮があります。そして、技能士という職業の経済的な不安定さと、低賃金、将来への不安などがその要因であろうかと思われます。例えば十年前の大工さんの日当が大体八千円くらいでありましたが、現在の日当も九千円から一万円と、この十年間ほとんど変わっていない。業界では、例えば型枠工業同業者組合などを結成したりして、真剣にこの問題の解決のために努力をされておられますが、元請、下請という我が国独自の業界システムの中で、その解決策は暗中模索の状態であります。県当局におかれましても、いろいろとこの問題について御研究いただいておるようでありますが、なお一層深刻に受けとめていただきまして、解決への糸口がつかめますよう御尽力のほどを切にお願いを申し上げる次第であります。 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。知事初め執行部各位には大変積極的な御答弁を賜りまして心から感謝を申し上げます。先生方の御清聴、心から感謝を申し上げまして、これをもちまして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(久保一明君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十四日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第七号のとおりといたします。 本日はこれをもって散会いたします。  午後二時十五分散会...