• "検診拒否"(/)
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  1. 熊本県議会 1986-02-01
    03月11日-04号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和61年2月 定例会┌──────────────────┐│  第 四 号(三月十一日)    │└──────────────────┘ 昭  和 六十一年  熊本県議会二月定例会会議録   第四号──────────────────────────昭和六十一年三月十一日(火曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第四号  昭和六十一年三月十一日(火曜日)午前十時開議 第一 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 代表質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十二名)                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 三 浦   哲 君                 藤 川 俊 夫 君                 花 籠 幸 一 君                 舟 津 正 光 君                 西 岡 勝 成 君                 阿曽田   清 君                 橋 本 太 郎 君                 三 角 保 之 君                 岩 永 米 人 君                 堀 内 常 人 君                 永 田 健 三 君                 山 本 秀 久 君                 深 水 吉 彦 君                 八 浪 知 行 君                 杉 森 猛 夫 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 魚 住 汎 英 君                 柴 田 徳 義 君                 林 田 幸 治 君                 広 瀬 博 美 君                 馬 場 三 則 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 米 原 賢 士 君                 久 保 一 明 君                 永 田 悦 雄 君                 宮 元 玄次郎 君                 甲 斐 孝 行 君                 今 井   洸 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 材   学 君                 岩 崎 六 郎 君                 水 田 伸 三 君                 今 村   来 君                 小 谷 久爾夫 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(三名)                 小早川 宗一郎 君                 木 村 健 一 君                 井 上 龍 生 君   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    藤 本 伸 哉 君          出納長    山 内   新 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 原 口 恒 和 君          福祉生活部長 松 村 敏 人 君          衛生部長   清 田 幸 雄 君          公害部長   中 川 公 道 君          商工観光労働          部長     道 越   温 君          農政部長   田 代 静 治 君          林務水産部長 古 閑 忠 治 君          土木部長   福 島 正 三 君          公営企業          管理者    八 浪 道 雄 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    伴   正 善 君          警察本部長  鈴 木 鎗 一 君          人事委員会          委員長    内 藤 省 治 君          監査委員   北 川 信 俊 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   富 田   毅          事務局次長  小 池 敏 之          議事課長   岩 井 祐二郎          議事課長補佐 山 下 勝 朗      ―――――――○―――――――  午前十時三分開議 ○議長(久保一明君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 代表質問 ○議長(久保一明君) 日程に従いまして日程第一、昨日に引き続き代表質問を行います。 日本社会党代表酒井善為君。  〔酒井善為君登壇〕(拍手) ◆(酒井善為君) 久しぶりの登壇でありますから、よろしく御清聴のほどをお願いいたします。実は、今回の代表質問に当たりまして、いろいろ項目を考えましたが、時間的な問題もありますから、知事に当初あげておった資料と少し――例えば新年度予算とかいろいろやっておったのが、細川県政重点施策と問題点ということで一括しての質問になりますから、よろしくお願いを申し上げたい、さように思います。 細川県政が誕生いたしましてから三年になります。いうところの総仕上げの段階に入った予算であると言われております。そこで、私なりに感じております県政の問題点につきまして、まず総論的に質問を試みたいと思います。 昭和五十八年二月に知事が就任されまして以来、三年の年月が過ぎました。この間、高度技術集積都市の実現――いわゆるテクノポリスであります、あるいは日本一づくりを目指した個性のある地域づくりなど、県民が関心を持つであろうと思われる問題を提起されてきたのであります。就任されたときの重点施策は、農林漁業の確立、産業振興、教育立県、成熟した福祉社会、活力と個性ある地域づくりを県民に第一回の記者会見をもって約束をされたのであります。それと対比いたしまして今日の状況はどうなんであろうかと、いろいろ関係づけてやってみたいと思います。 当初予算の知事説明を聞いた限りでは、今日における県民の苦しみに対して適切にはこたえていないのではないかと私は思います。重点施策でいうところの産業振興と――産業は物すごく振興いたしますと言いながら、今熊本県始まって以来の倒産なんですよ。中小企業の倒産が非常に激増いたしまして、これは熊本県政始まって以来の数だと言われております。後で詳しく申し上げたいと思います。 また、本年度予算で、県が農業経営再建特別対策事業として十億円を計上されておりますが、県下で、農業のうち不健全債権が非常に大きくて特別対策を必要とする農家が二千百三十二戸もありまして、そのうちの八百戸は百五億円の負債を抱え、まさに倒産状況、夜逃げであります。知事が農業振興をやったんだと――きのうも自民党の御質問では、知事は農業に非常に力を入れておられると言うけれども――非常に力を入れておられる反面、八百も千もの農民が、たくさんの負債を抱えて夜逃げしなければならない状況は何だろうか。このあたりも反省を込めた施策というものが必要ではなかろうかと思うのです。そうしないと、いいよいいよばかりじゃ世の中はよくならない。悪い点、陰も見なくちゃいけないわけです。さように思います。 その対象農家のほとんどは細川県政がいうところの中核農家ですよね。あるいは畜産、こういうところに多いようです。いうところの専業農家ですね。熊本県が一番育てなければならない専業農家、あるいは中核農家が食えなくなって逃げていく。この状況に対して、やっぱりちっとは厳しい目をもって見ていかぬと熊本県はよくならぬ。食糧基地熊本はどこへ行ったんだということになると思います。そういう点どのように考えるのか。 また一例といたしまして、百姓さんは米の減反ばかりではなくして、前は一万三千ヘクタールございました温州ミカンが、現在では九千五百ヘクタールに落ち込みまして、十年後には八千ヘクタール程度にまで減少することになっております。これで農林漁業は振興した、あるいは対策として確立したんだということが言えるんだろうかとどんどん減少しておるんですよ。やせ細っていっております。このあたりについてもっと厳粛な県政の態度が必要ではなかろうか、かように思います。 次に、福祉施策ですね。老人福祉あるいは児童福祉、こういうものは、各市町村等もあるいは県もそれぞれ知恵を絞ってやってはおりますけれども、国の段階では毎年福祉施策が後退していくわけです。それに対して知事は、成熟した福祉社会の実現とおっしゃっておられるのですが、予算をどんどん減らして、あるいは老人とか子供に対する今までの給付を削減していって、そして成熟した最もいい福祉社会とは一体何だろうかと思わざるを得ないのです。 なお、教育問題は、専門家の社会党の議員もおりますから、これは一般質問で十分にやりますので、まず私の方では、質問の第一点として、細川知事が就任されたときに約束されたことと今日的状況について、知事は、どう矛盾を感じ、どのようにそういう点を自分で節目をつけていくのか、ちょっと説明を聞きたいと思うわけです。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 県政運営の基本的な考え方に対するお尋ねでございますが、知事就任直後の昭和五十八年二月定例会におきまして、ただいまお話しがございましたとおり、五つの重点施策を掲げたわけで、そのことは今もいささかも変わっておりません。 御承知のとおり、一昨年九月、この五項目も踏まえて、「明日へのシナリオ」を明らかにしたところでございますが、提案理由説明でも申しましたように、今後これを着実に展開してまいりたいと考えております。 ところで、まず初めのお尋ねでございますが、本県の産業振興につきましては、地場産業の育成強化と企業誘致積極的推進を核としてこれを進めてまいったところでございます。 ちなみに、企業誘致につきましては、先端技術産業を中心に、昭和五十八年度からこれまでに五十数社の誘致を実現しているところでございます。また本県の製造品出荷額は、昭和五十九年度は一兆七千六百億円で、昭和五十八年度に比較いたしまして一四%と全国平均を大きく上回る伸びを示しておりますし、また県民所得につきましても、昭和五十八年度においては、対前年比で国民所得の伸び率を上回り、一人当たりの県民所得の全国格差も縮まるなど、産業の振興という点につきましてはそれなりの成果を上げてきたものと考えております。 ただ、御指摘の県内の倒産企業の増加という点につきましては、まことに憂慮すべきことでございますが、九州各県で見てみましても、福岡が一千一件、大分が三百五十件、次いで、熊本、長崎、鹿児島などが二百七、八十件台でございまして、各県とも増加の傾向にあるわけでございます。 倒産の主たる原因につきましては、民間の信用調査機関の調査によりますと、放漫経営や販売不振等であるとされておりますが、行政といたしましてもなお一層きめ細かな施策の充実を図っていく所存でございます。 何といいましても、県下の中小企業が厳しい経済の変動や技術革新の流れの中で、うまく対応し発展をしていくということが、本県産業の発展にとりまして重要なことでございますし、そうした観点から、中小企業の近代化・高度化、経営の安定、事業活動の不利の補正、小規模企業対策といった中小企業施策の総合的な展開をさらに進めますとともに、本県の技術レベルを高め、地元企業の活性化を図るため、企業誘致に引き続き積極的に努めてまいりたいと考えております。 それから次に、農家負債危機的状況農業振興との関連についてのお尋ねでございますが、農業を取り巻く環境は、米にしても、ミカンにしても、生産調整がなされるような厳しい状況でございますが、県としては、こうした諸問題を克服しながら、足腰の強い生産性の高い農業づくりを進めているところでございます。 本県の農業粗生産額は、ここ数年の三千六百億円から、五十九年、六十年と連続して四千億円にいま一歩まで迫り、また中核農家の一戸当たり農業所得も、五十九年度にはこれまで最高の三百四十五万円となったところで、全般的には比較的順調に推移しているものと受けとめているわけでございます。しかしながら、さきの農協中央会の調査によりますと、多額の固定化負債を抱えている農家も相当数見られるわけで、この固定化負債の多くはオイルショックのころから発生いたしているわけでございます。その原因は、農産物価格の変動、過剰投資等の事情によるものと分析をいたしているところでございます。固定化負債をこのまま放置いたしますと、就農意欲の減退、離農、農地の荒廃等を引き起こし、周辺農家までも巻き込んで、ひいては本県の農業の振興に支障を来すおそれがあると考えられますので、現行の制度資金に加えまして、六十一年度から農協中央会が実施する農業経営再建特別対策事業に対しまして、県としても十億円の預託を行うこととした次第でございます。 いずれにしても、機会あるごとに申し上げておりますように、農業は本県の基幹産業でございますし、負債農家経営再建指導には今後とも力を入れてまいりますとともに、各種の施策を総合的に推進することによりまして、内外の産地と十分競争ができる生産性の高い農業を育成してまいりたいと思っております。 それから三点目は、福祉施策についてのお尋ねでございますが、厳しい国家財政の中で、生活保護等に係る国庫補助負担率が引き下げられていることは事実でございますが、県としての福祉への取り組みは、むしろ年々充実しているものと考えております。 近年における取り組みだけをとってみましても、例えば高齢者の社会参加対策として、高齢者参加町おこし運動高齢者能力活用奨励金支給事業、あるいは痴呆性老人対策として痴呆性老人介護者教室の開催や痴呆性老人専用棟の建設などを行っておりますほか、心身障害者対策も、松橋町の「希望の里」に「希望の里ホンダ」を設立したり、全国初の施設としての身体障害者福祉ホームを建設するなど、各種福祉施策におきまして県民のニーズに沿った施策を展開しており、また本年度新たに在宅老人対策としてデーケアサービス事業給食サービス事業なども御提案をしているところでございます。 実際、予算面でも、大規模年金基地関係を除けば総予算の伸びを相当上回る伸びを確保しているところで、この上とも社会的にハンディをお持ちの方もそうでない方もともに生きる社会、いわゆるノーマライゼーションの理念の実現を目指して、その重要な柱であります地域福祉の推進を初めとする福祉施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。  〔酒井善為君登壇〕 ◆(酒井善為君) 知事の答弁書だれが書いておるのか知りませんけれども、質問者の意図は何だろうかということをよく踏まえて書かぬと――きのうも公明党の今井議員が、知事の立場に立って、もうこれ以上やると県政はきつかろうと、たくさんの負債を抱え、あるいはいろんなことで予算が縮小されていく、そういうふうな中で、基金を取り崩していかなきゃならぬということをやると、知事は、「いやまだ半分百億ぐらい残っておりますから、よそよりはよかです」と言う。何がよかろうか。もう来年は裸になるのですからね。だれが書くんだろうか。人が質問すれば、いやそうじゃないということを言いたいがために書くのであれば間違いなんです。やっぱりそれはそのとおりであれば、そのとおりであると素直に言っていいと思うのですよ。熊本県で百姓さんがやっていけぬようになっておるのが大分おるのが事実だから。それは、だれが悪いかというのは――何も細川さん個人が悪いとは言っていない。ただしかし指導も悪かったのは事実なんですから。百姓さんにコンバインは毎年変えるとか、あるいは耕運機はじゃんじゃん買え買えってですね。きょうはヰセキ、あしたは何とかかんとか言うてやれば、それは借金がどしこでも出てくるのは当たり前だ。普通の個人が自動車使うのでも三年や四年使うでしょうが。それを農民に限っては毎年買いかえさせるというような施策に間違いがあるんだ。非常に認識のあっとるところもあると思いますが、やはりそういうふうなことが全体的な問題としては言えると私は思うのです。それで、やはり指導の欠如というものがそういうふうなことになったということも一応は反省すべきだと思います。 なお、今倒産が多いと言いますと、いや企業誘致は五十数社やったとおっしゃっておられるのですが、それはそれなりに努力は認めますけれども、現在そういうふうなのが及ばないような倒産率ではないかと言っておるわけですから、そういう点も理解してもらいたいと思います。このことにつきましては、後で書いておりますから後で申し上げます。 新年度予算につきまして。 本年度予算といたしまして、中曽根内閣が策定をいたしました一般会計は五十四兆八百八十六億円でありまして、対前年比〇・〇%と四年連続の緊縮予算であります。地方財政は、補助金一律カット、高率補助のカット等によりまして、五千八百億円の負担転嫁が行われております。その額は六十年度では五千八百億円でありましたが、六十一年度では倍の額である一兆一千七百億円となっております。財源補てんといたしましては、不安定財源であるたばこ消費税の引き上げと、七九・四%は地方の借金である地方債の発行であり、これも一七%減の前年度とは異なりまして、逆に一二%の大幅増加となったのであります。いわゆる借金がどんどんふえてきよるということです。 高率補助負担率の引き下げに伴う熊本県の影響額は、経常経費で三十九億一千二百万円、投資的経費で二十四億四千万円、直轄事業負担金十六億一千二百万円、合計七十九億七千百万円となっておりまして、昭和六十一年度は百六十五億円の影響を受けることとなるのであります。財政基金は、昭和五十八年四百八十七億円でありましたが、昭和五十九年は四十億円の取り崩し、昭和六十年は百六十億円を取り崩し、昭和六十一年は百九十五億円でありまして、残額は百七十五億円くらいでありまして、来年すなわち、あと一年すれば裸になります。 このようにして、地方財政における借金依存度の高まりと財政硬直化の進行、特例措置による財政の複雑化、国の肩がわりの拡大と事務財源の配分問題、国の干渉の強まりと、地方自治をいかにして守るかという問題など、六十一年度の地方財政計画は、さまざまな地方自治の本旨にかかわる問題を提起しているものと思います。 地方自治体としてやらなきゃならない中心課題は、地方債発行につきましては、一般財源に対する元利償還、一定比率以下の自治体に対しては自由化をさせる、地方交付税につきましては、自治体の財政需要増の的確な把握に基づく措置を講じさせること、地方行革大綱の押しつけをやめ、地方行革は、住民福社の増進と自治体の自主性に基づき推進されるようにすること、財政的に富裕な自治体の意見と財政実態が反映をし過ぎる現行知事会などの組織機構を改めること――これは特に細川さんなんか困っておると思うのですけれども、金を持たない熊本県とか、あるいは佐賀県とか九州ほか一切、それと東京とか大阪と一緒にされたんじゃたまったもんじゃないんです。しかも、知事会の偉かつはほとんどああいう大都市ですから、銭持っとっとが政府と交渉するものですから、地方富裕論というのが生まれてくるわけです。ですから、そういう点につきましては知事も困っておると思いますから、やはり改めていかなきゃならぬと思うのです。 次に、補助金カットのエスカレートには、地方自治体一致して歯どめをかける、福祉の後退を許さない、地場産業を守るという立場を堅持し、振興策を図ること、内需拡大に積極的に貢献する県政とすること、最後に、地方自治確立の課題として、地方自治行政の推進力となる地方財政確立の問題、地方自治の根幹にかかわる機関委任事務の代執行問題、国は、実体のない地方財政富裕論をぶち上げまして、地方への負担転嫁の強行と永続化を図るなど、地方自治のあり方が改めて問われている今日的情勢の中では、地方の時代というのは言葉の遊びに終わってしまうのではないかと強く憂慮をいたします。 知事は、就任一期目の最後の年度を迎えるのでありますが、本県の行財政面を通じまして、地方自治地方行財政の確立を図る上から、どのような改革、どこにメスを入れるべきかについての決意も固められていることだと思います。知事の所見を求める次第であります。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 地方財政の確立を図る上から今後どのように対処するかというお尋ねでございますが、昨日の本会議でも申し上げましたように、地方団体は、国と同様に多額の公債残高を有し、毎年度公債費等義務的経費が増高していくなど、地方財政は極めて厳しい状況に置かれております。 地方財政の自立の基本は、もとより自主財源の拡充であり、特に地方税の増強にあるわけでございまして、これまでも地場産業の振興や企業誘致の推進等によりまして県経済の活性化に努めているところでございます。しかし、現実的には経済力の地域的不均衡のもとにおきまして、多くの地方団体におきましては、必要な財源の多くを地方税に求めるのは困難な状況下にあるわけでございまして、このため、各年度における地方財源の所要額が確保されるように、地方交付税の総額の拡充を図ることが最も緊要な課題になっているところでございます。 また、最近の景気の動向は、業種あるいは地域によってばらつきがあり、それに伴って地方税収入の状況も大きく異なってくることから、近年地方団体間の財政力の格差も、今お話がございましたように、拡大する傾向にあるわけでございます。このため、財政力の弱い団体でも財政運営に支障を生ずることがないように、適正な財政調整を図ることも必要であると考えているところでございます。 さらに、国、地方を通ずる行財政改革を進める過程で、今後国と地方との事務分担のあり方あるいは経費負担のあり方を抜本的に見直し、事務に応じた適正な財源賦与が行われることが肝要と考えております。そしてその際には、国、地方をあわせた全体としての行財政の簡素合理化の実現と、地方財政自主的運営の強化を基本として、単に負担のみを地方へ転嫁するような措置がとられるべきではないことは言うまでもないところでございます。 以上、地方財政の基本的なあり方について申し上げたわけでございますが、今後国に対しましては、今申し上げたような考え方に立ちまして、こうした措置が早急に講ぜられるように、特に類似の状況に置かれました団体との連携を図りながら、従来にも増して地方財政基盤の強化に向けて強く働きかけをしてまいりたいと思っております。  〔酒井善為君登壇〕 ◆(酒井善為君) 富裕自治体と貧乏自治体との関係について知事の答弁を期待しておったんですけれども、とうとう言わっさんだったです。本当は腹の中で思っとっとでしょうけれどもね。まあ、いずれかの機会に御開陳をお願いしたいと思います。 次に、地場産業の振興と不況対策の強化につきまして。後で詳しく言いますと言ったのはこれです。 新聞あるいはテレビ等の伝えるところによりますと、昨年の熊本県下における企業倒産は二百八十九件、負債総額三百五十六億二千五百万円でありまして、件数、金額ともに過去最悪でありました五十九年の二百七十四件を、十五件もふえ、金額で二十一億二千五百万円も上回っておるのであります。原因としては、不況倒産に多い販売不振、放漫経営などが挙げられますけれども、倒産企業の経済規模の統計では、県が宣伝をしておられる進出企業のそれをはるかにしのぐものであります。また企業誘致による採用人員もはるかにしのぐ数字になっております。業種別では、工事、建設、運輸、サービス、金融、食料品などが目立っておりますけれども、従業員数を平均四人といたしましても千人を超える人々が職を失ったことになるわけです。 県の施策により、ひなたにある一部産業の潤いより、それに倍する倒産、失業が多い熊本県の今日的状況を知事はいかに認識をしておられるのか。これらの不幸な事態を防止し、地場産業発展のための強固な施策を期待するものでありますけれども、以上の観点に立った倒産防止と地場産業の振興について、知事の所見を承りたいと思います。 私が千人以上と言ったら、ある県庁の役人は、「何の千人おろうかな」と言いましたから、参考のために申し上げますとね。ここに天草の――名前は失礼ですから、ある会社で出しましょう。造船・鉄鋼会社が倒産をされた内容があります。負債総額が十五億三千百万円です。これに対する債権者が八十四件、ほかに金利・債務が残っております。すると八十四の企業が影響を受けたということです。なお、従業員は六十名でありますから、一つの企業がぶっ倒れると、六十名の従業員とそれに関連する会社が八十ぐらい影響を受けるということなんです。そういうことから非常に連鎖倒産がふえてくるわけでありまして、おれはテクノポリスで百人ぐらい採用したからと言って威張っておったって、こっちは片っ端から失業しておったんじゃどうしようもないので、そのあたりはやるなとは言わぬけれども、このあたりもしっかり目をつけなさいと言いたいわけですよ。いいですね。わかったですかな。 次に、石炭政策につきまして。 政府・通産省資源エネルギー庁は、昭和六十二年度から始まる第八次石炭政策で、現行の第七次石炭政策対策の年間生産目標でありますところの二千万トン体制を放棄いたしまして、閉山を含む石炭産業の規模を縮小する方針を固めたようであります。減産理由としては、災害による減産、消費ニーズの転換、コスト高などであろうと思いますけれども、これを受けて現在石炭鉱業審議会――会長は稲山嘉寛さんでありまして、ここで審議を行っておりますが、私どもの見通しとしては、三百万トンも下回る千七百万トンという出炭計画と、それに伴う縮小予算が提示されるおそれがあると見ております。 さらに、東京サミット対策に向けた中曽根首相の私的諮問機関である国際協調のための経済構造研究会は、対外摩擦を解消させる国際的な産業調整の目玉といたしまして、石炭をやり玉に上げ、二千万トンの国内出炭目標を一千万トンに減少し、石炭鉱業審議会の第八次石炭答申に盛り込ませ、次の第九次答申では、石炭生産をゼロにして撤退させるという、日本の産業構造に深刻な悪影響を与える戦略が検討されております。 思うに、敗戦によりまして経済社会に大混乱を起こし、職を求める人々の群れ、食い物を求めてさまよう日本国民に、あすの生産活動に希望を与え、基本的食糧を確保した二本の柱は、石炭産業と大地に根をおろした農業でありました。今その農業と石炭が貿易摩擦のいけにえになっております。特に石炭は、スクラップ・アンド・ビルド政策によって政策が進展いたしましたが、ビルド面は余り評価をされずにスクラップ面のみ俎上にのせられ、次から次へと炭鉱が消え去ったのであります。資源小国日本にありまして、唯一のエネルギー源である石炭が危機的状況にあると言っても過言ではありません。 今日、現在三池炭鉱では約四千五百八十人の労働者が働いており、年間出炭量は四百六十万トンに上っております。これらの人々が第八次答申いかんによっては路頭に迷い、会社も何らかの経営転換を余儀なくされることとなります。最近の新聞に報道されたところでは、昭和五十九年度、大牟田市から熊本県へ千五百九人が転出をいたしまして、そのうち半数は荒尾市に移り住んでいるということが報ぜられております。要するに、荒尾市民の過半数は三井石炭を初めとする関係会社にかかわりを持っております。したがって、炭鉱の盛衰と荒尾市の行政は切り離せないものがあり、荒尾市自体の盛衰もまた三井石炭と運命共同体的な歴史をたどっております。そのため、地元である大牟田、荒尾市では超党派、今市民的な声が高まり、炭鉱を守るための対政府活動が日に増して盛んになっております。 荒尾市議会におきましては、産炭地を守り、現有炭鉱を維持発展させる意見書を満場一致で決議しておりますが、また、熊本県議会も昨年十二月二十二日の本会議で意見書を満場一致で採択をし、政府に県議会の意見を反映し、また、九州各県議会議長会におかれましても同様趣旨の決議を行ってきたところであります。県下におきましても、産炭地域振興法第六条指定地域として荒尾市、牛深市、苓北町、河浦町、第十条指定地域として玉名市、岱明町、南関町、長洲町などがあり、対岸の火災視すべきではないと思います。したがって、地元の要望してやまない現有炭鉱の維持存続、国内炭優先需要制度の強化、産炭地域社会の振興及び鉱害の適正な復旧、政府助成の強化と所要資金の確保などにつきまして、細川知事は、その若さとバイタリティーをもって全国知事会等に反映されるとともに、対政府活動を積極的かつ速やかに展開されるよう強く要望するものであります。 以上につきまして、知事の所見と決意をお伺いしたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 先ほども申し上げましたように、最近の厳しい経済情勢のもとで、企業の倒産件数がふえておりますことは非常に憂慮すべきことであると考えておりますが、このような中で、地場産業の振興を図ってまいりますことは、県政にとって極めて重要なことだと認識をいたしております。 そこで、まず倒産防止対策としては、資金対策が非常に重要であることから、新年度は、厳しい財政状況の中ではございますが、倒産防止のための中小企業金融制度として設けております不況対策資金、体質強化資金につきまして、新たに貸し出しを行う全体枠を、対前年比二倍と二・五倍にそれぞれ大幅な増額を図りたいと考えているところでございます。また、きめ細かな御相談に応じる体制を整えるため、倒産防止特別相談事業の充実を図り、商工会議所や商工会等とも緊密な連携をとって倒産防止施策の充実強化に努めてまいる所存でございます。 それから、産業構造の変化、技術革新の進展、さらには情報化社会の進展等、目まぐるしい経済環境の変化の中にあって、地場産業がその発展を図ってまいりますためには、先端技術の意欲的な導入、経営力の強化あるいは情報化への支援体制の整備を行い、競争力を持った産業基盤を形成していくことが基本的に重要であると考えております。そこで、まず技術力のレベルアップを図るために、地域フロンティア技術開発事業、地域システム開発事業、あるいは熊本ローカルテクノロジー振興対策会議等を活用いたしますとともに、工業技術センターの整備を進め、先端技術関連の研究指導体制を整えてまいりたいと思っております。また、本年度は昨年度を上回る数の企業を本県に誘致できる見通しでございますが、こうした誘致企業から地元企業への技術移転につきましても一層促進をしてまいりたいと思っております。 そのような観点から、昭和六十年度におきまして南関町に金型の工業団地を設置したところでございますが、そうしたことも影響して、昭和五十六年度には金型の県内での発注率は一二・八%でありましたものが、昭和六十年十月調査では一六・四%と、技術移転による成果も着実に上がってきているというふうに受けとめております。 さらに、企業を取り巻く環境が激しく変化する時代に適応できる経営基盤の強化を図るために、企業への経営診断、指導の強化充実、金融制度における融資枠の拡大等に取り組みますとともに、シンポジウム等を通じまして経営トップ層の意識の変革を促し、たくましい経営力の確立が図られますように努めてまいりたいと思っております。また、特に構造的不況の影響を大きく受けております地域の中小企業が、その対策として取り組む人材育成あるいは新しい商品の開発、需要の開拓等の事業に対しまして助成を行いますとともに、特に不況に悩んでいると言われる業種につきましては、構造改善事業に対する支援あるいは事業転換によって企業体質の強化を図ってまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、今後円高等の問題もございますし、経済環境もますます容易でなくなることが予想されるわけで、それに耐え発展していける地場産業の育成を図っていくことは極めて重要な課題でございますので、今申し上げましたような施策等を中心といたしまして、さまざまな角度から施策の推進に全力を傾注してまいりたいと思っております。 それから、石炭政策に関するお尋ねでございますが、まず第八次石炭政策関連についてお答えをいたします。 お話がございましたように、石炭鉱業の衰退は、関係者への影響、地域社会に与える深刻な打撃、地域経済のこうむる損失等さまざまな問題を抱えているわけで、今夏に予定されております第八次石炭政策に関する答申内容は、地域経済活性化のための資金確保等の面から非常に大きな意味を持ったものだと考えております。このため、産炭地域全国道県知事連絡協議会や石炭対策全国道県議会連絡協議会等で、産炭地域六団体、協議会を構成いたしまして、一体となって、昨年七月、十一月、あるいは十二月に、県議会ともども各大臣、各省庁に対しまして、石炭生産規模の現状維持等を中心として石炭鉱業の基本的な問題につきまして要望をしてきたところでございまして、さらに本年四月にも国に対しまして要望活動を予定いたしているところでございます。さらに、本年五月に予定されております九州知事会の議題として提案の上、九州知事会名での要望も考えている次第でございます。 いずれにいたしましても、石炭鉱業の経営安定等の観点から第八次石炭政策へ向けまして、関係道県、関係団体、関係市町と協力しながら、国に対する要望活動を積極的に行ってまいりたいと思っておりますので、各位におかれましても、今後とも御理解と御支援のほどをお願い申し上げる次第でございます。 次に、産炭地域の振興についてでございますが、御承知のように、本県には産炭地域振興臨時措置法で指定されました荒尾市、牛深市など十六市町の産炭地域があるわけでございますが、これらの地域につきましては、「産炭地域経済生活圏発展計画」を策定し、これに基づいて地域の発展を図っているところでございまして、さらに臨時交付金の交付、補助率のかさ上げ等によって、生活基盤の整備事業、産業基盤の整備事業等を実施しているところでございます。 いずれにしても、産炭地域の活性化を図ってまいりますためには、最近のエネルギー事情等を踏まえまして、今後の長期的な視野に立った総合的な施策の展開が必要でございますので、六十一年度には新たにビジョン作成などを内容とする産炭地域活性化支援事業に取り組む予定で、また石炭特別会計などの国庫資金の確保にも努めながら、産炭地域の活性化に前向きに取り組んでまいりたいと思っております。  〔酒井善為君登壇〕 ◆(酒井善為君) ありがとうございました。今の知事の答弁によりますと、本年の四月に石炭問題について中央行動を起こす、四月に九州知事会で反映をする、なお地元市町村とも一緒になって精いっぱいやっていくということでございまして、よろしくお願いしたいと思います。 最後に一点言われました石特会計の予算確保についてですね、これは熊本県内の仕事の上でも非常に重要なんです。これが産炭地振興のかぎを握っておると思いますので、よろしく御配慮のほどをお願い申し上げたいと思います。 次に、円高等によりますところの問題につきましては、経済環境の変化に伴う政策の推進、これは非常に難しいことですけれども頑張ってください。ちょっと内容を申し上げておきますと、私どもが住んでおる団地、それがもう二十軒以上空き家ができ出したわけですよ。今まではもう入れ入れで、抽せんして入った人がいなくなってしまうわけですよ。そのあいた空き家を調べてみますと、ほとんど日立造船の人ですよ。日立造船が五千人の人員合理化計画を出しました。そして忘れられたころ住宅が空き家になっていくわけですよ。みんな大阪とかよそへ行ってしまうわけです。これは非常に寂しいことです。その空き家も、前はまだ人がすぐ入ってきよりました。今なかなか入ってこないです。それで将来団地が過疎化するんじゃないかと心配いたしておりますが、事ほどさように、今産業界は非常に厳しい状況でございまして、特に円高の影響を造船あるいは非鉄産業が受けております。 その一例を申し上げますと、亜鉛の価格はトン当たり二十七万円でありましたが、昨年九月の五カ国蔵相会議で、我が国の円高政策が打ち出されまして、その影響によってトン当たり十七万円までに下落をし、円高と海外相場の下落が重なり致命的な悪影響を受けました。大牟田市にある三井金属を例にとりますと、昨年の海外建て値の下落と円高が与えた影響は、円高で六十一億円、海外建て値の下落で六十億円、合計百二十一億円の損失となったのであります。したがって、三池の堅型蒸留炉は休止せざるを得ない状況に追い込まれております。 政府は、素材産業不要論に基づいた政策を進めておりますが、アルミ、亜鉛、銅などの非鉄金属がすべて輸入品となり、製錬、加工までが外国任せの状況になりつつある今日、まさに一次産品産業が壊滅状態にあると言っても過言ではありません。自動車あるいはボートは言うに及ばず、我々の今日的社会で、鉄、亜鉛、アルミ、銅は絶対に欠かすことのできないものであります。円高誘導、貿易摩擦、日米皮革交渉の打開策として、金属や農業を犠牲にした政府のやり方は、日本国経済と日本国の将来を考えない反国民的行為としか思われないのであります。例を挙げると、二百六十名の従業員、八十社にわたる関連会社合わせて五百名近くの労働者の雇用をだれが保障しようというのでありましょうか。地元では、地場での吸収は困難であるということから、県を初めとする公共機関に対し、雇用確保の要請をせざるを得ない状況にもあります。これは福岡、熊本両県民にまたがる問題であり、私も頭の痛いところでございます。 参考のために、最近の新聞の切り抜きを私持ってきましたが、ちょっと気をつけて読んでみましても、「非鉄金属鉱山閉山の恐れ」「国内産炭一千万トン体制へ」「非鉄金属鉱山円高で採算割れ続出」「円高直撃の非鉄業界 相場安で四苦八苦」「アルミ二十六万円に暴落 アメリカ大手の増産発表響く」「三井アルミ三池事業所再建へ百八十人減員」「日立造船、住重、三井造船、川崎重工業今期赤字に転落」「負い目をつかれしぶしぶ譲歩」「日米皮革交渉決着の構図 報復恐れアルミ犠牲 実際の効果はなお不明」と書いてございます。だから、あとまたどんどんやってくるんでしょうが、こういうのを背景にいたしまして、今荒尾市から二百名を超す労働者が通勤をし、関連会社、下請業者などを合わせ合計すると六百名以上の市民が生計の場としておる。三井アルミ株式会社の三池事業所が今日的経済政策のあおりを受けまして、約五百億円以上の赤字損失で苦しむ中で、必死の再建策が講じられましたが、三月一日行われた会社の発表によりますと、三井アルミは、三月三十一日付で解散し、四月一日に新会社を設立するというものでありました。新会社は、一つ、従来の六万トン体制を四万トン体制とする――これは縮小するということです。二番目に、減産に伴う余剰人員百八十人を関連企業への配転、出向による合理化を行う、三、付加価値の高い部門の生産拡大を図ると言明していますが、前途多難なものが予想されます。日米貿易のいけにえとなりましたアルミ産業の行く末を見た感じがいたします。 いずれにせよ、現地は現地なりに労使の枠を超えて企業を持ちこたえさせるための努力が傾注されるものと思いますが、城北の県境にあるアルミ産業とアルミ産業に働く労働者に対し、知事の特段の配慮を切望するものであります。 以上、日本の非鉄金属問題につきましては、これは日本国の国政にかかわる問題であり、国際問題でもありますから、細川一県政の及ぶところではないと思いますが、地元市政あるいは市民の今日的状況を把握され、荒尾市等の経済浮揚、雇用対策などについて、熊本県として何かあれば前向きの知事の意見開陳をお願いしたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 円高によって深刻な影響をこうむっている産業についてでございますが、御指摘のとおり、軽金属等おのおのの産業全般につきましての施策は国政レベルの問題でございますが、そうした産業と深くかかわっている地域にとりましては、そうした産業の盛衰というものは地域の将来を左右するほどの大きな問題であることは、おっしゃるとおりでございます。県としても、今後における円高の推移を見守りながら、関係地方団体や関係企業とも連携をとりまして、地元の活性化対策を講じますとともに、職業安定機関や職業訓練機関等の機能をできる限り活用して雇用対策を進める等、地域の活力の維持に努めてまいりたいと考えております。  〔酒井善為君登壇〕 ◆(酒井善為君) もうちょっと念を入れた答弁があると思ったのですけれども、知事の答弁としてはその程度であろうとは思います。やはり、せっかく荒尾には政府の外郭団体ですかね、大きな職業訓練所がありますし、職安の窓口も相当強化をしていただきまして即応の体制をとっていただきたいと思います。 次に、ブラジル国・サンパウロ州との友好県州の締結をすることにつきまして、これは提案を申し上げたいと思います。これは私が提案するのではなくて、多数議員の連名で提案した方がよかったかなと思っております。 日本とブラジルの外交関係は、今から九十一年前、すなわち一八九五年、明治二十八年の日伯条約に始まると言われております。それから十三年後の一九〇八年九月四日、万里の波涛を乗り越えまして、五十一日間の航海を終えました六千トンの貨客船「笠戸丸」が七百八十一名の日本移民をブラジルのサンパウロ州・サントス港に送りつけて以来、七十八年の歴史を刻んだのであります。初期の段階におきまして、「筆舌に尽くしがたい辛酸をなめるがごとき日々であった」と移民史は伝えております。移民史におきまして特筆され、ブラジル移民の父とも言われる熊本県人・上塚周平氏などの卓越した指導と努力がありまして、今日を迎えたのであります。 現在、ブラジルにある日系人は約八十万人、熊本県人会の調査する熊本県にゆかりのある者約八万人とも言われ、世界の国々に分布している日本人移民の中では最高のクラスであります。また現地にある熊本県人会の活躍も目覚ましいものがあり、郷党の名誉のためという認識に立った活動が展開をされておりますことは、これはつとに知られているところでありまして、先生方の中にも相当数がブラジルに行かれましたが、感銘を持たれたものと思います。本県におきましても、意識ある人々の手によりまして日伯協会が設立をされまして、親善をさらに強固なものとされていることはまことに慶賀にたえないところであります。 私は、昨年十一月、議会代表の一員として渡伯いたしましたが、ある現地の方が私に「モンタナと友好締結をし、中国ともやられました。ブラジルはどうなるんですかな」と控え目に言われました言葉を私は忘れることはできません。熊本県人が最も多くお世話になっている国とどうして友好関係が具体的になかったのか、これは反省しきりであります。ヨーロッパ人が三人寄れば教会をつくり、日本人が三人寄れば小学校をつくり、熊本県人が三人寄れば県人会をつくると、こうなっとるわけです。そう言われるほど熊本県人の県民意識というものは絶大なものがあるわけです。 あと二年もしますと、ブラジルでは移民記念八十年というのが行われまして、我が国から外務大臣――この前のときは園田外務大臣が行っとられましたね――を初めとする政府代表、ひょっとしたら皇太子も行かれるかもわかりません。この前は行っとられました。熊本県からは知事を先頭に各界の代表が顔をそろえることになります。最近の外務大臣の発言、あるいは自治省の発表によりますと、地方の国際化を奨励し、援助する用意もあるということであります。また本議会におきまして知事が冒頭説明を行いました内容に、国際的な友好交流が強調されております。この際、熊本県はブラジル国のサンパウロ州と友好関係を結ばれるよう切望いたします。 私の質問、知事の答弁には八十万のブラジル日系人、八万の熊本県人がかたずをのんで耳を傾けていることを承知され、希望の持てる答弁を期待いたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) ブラジルのサンパウロ州との県州友好締結についてのお尋ねでございますが、ただいまお話がございましたように、我が国からブラジルへの移住は、一九〇八年すなわち明治四十一年に始まって、現在同国に在住する日系人は約八十万八、そのうち一割に当たる約八万人が熊本県人で占められておりまして、海外雄飛の県民性の象徴として内外に広く知られているところであります。こうした移住者の方々が、善良な市民として、ブラジルの経済社会開発、とりわけ農業分野の発展に大きく貢献し、極めて高い評価を得られていることは周知のとおりでございますが、近年二世、三世の時代を迎えまして、政財界等幅広い分野に進出され、日伯両国の交流、相互理解のよき基盤となり、両国の友好親善にも大きく寄与しておられることはまことに心強いことでございます。 しかしながら、我が国からブラジルへの移住は、昭和三十年代後半の高度経済成長を契機として漸減しておりまして、特に近年、ブラジル国政府における国内事情を背景とした移住者受け入れ政策の見直し等もございまして、ブラジルへの移住者が激減し、日系人を通しての友好基盤の将来に若干の懸念が持たれていることも事実でございます。そのような状況の中で、本県におきましても、昨年の一月に民間レベルにおいて熊本日伯協会が設立され、ブラジルとの友好のきずなの維持増進を図っていこうということになったものと伺っております。 お尋ねのサンパウロとの提携についてでございますが、さきにも申しましたような事情から、サンパウロが特に本県とゆかりが深い関係にあることでもあり、双方の友好関係を深めることは意義のあることと考えておりますが、一方、この問題は相手方の意向もございますでしょうし、さらには、これまで行ってまいりました各方面との友好交流の実績を踏まえた本県の国際交流の今後のあり方とも関連をする問題でございますので、各方面の御意見等も参考にしながら全体的な立場からさらに検討してまいりたいと考えております。  〔酒井善為君登壇〕 ◆(酒井善為君) サンパウロ州とは、三重県が一九七三年十一月七日、群馬県が一九八〇年八月二十五日、パラナ州と兵庫県が一九七〇年五月四日と、熊本県よりも移住者の少ないところがもうやっておるわけですよ。ですから私の方であえて申し上げておるのですが、ただ、今の熊本県の財政事情の中では――友好提携は案外金を食うんですね。知事も御心配と思いますが、私は、ブラジルの場合は今までの例から見ました以上の効果が上がると、かように見ておりますので、特に熊本県人があんなに世話になっとっとですから、そういうところとは議会とも相談をされて潔くやられた方がいいと思います。 なお、高度成長以降余り行ってないと言うんだけれども、熊本県人は割と行っておるんですよ。例えばアマゾンのアルバナスでしたよね、日本アルミ等が向こうで世界一のアルミ工場をつくっていますね。ボーキサイトを掘っていますよ。それには熊本県人が多いんです。あそこの県境のアルミ工場から、三井アルミさんからも行っておりますしね。ですから産業的にも今非常な提携をやっております。これは移民じゃありませんけれども、いわゆる技術者として行っておられますので、やられた方がいいと思いますし、特に熊本県人が八万人以上おったんだから、しっかり考えてやってください。 次に、国鉄余剰人員の受け入れ対策につきまして。 これは、昨日永田議員の御質問に対して、あれは昭和六十五年まで――とにかく五カ年計画で、警察本部も含めて百人、熊本県に入れるという御答弁がございました。それはそれなりに評価をしたいと思います。 昭和六十二年四月に予定されている国鉄の民営・分割に伴う余剰人員の転出計画によりますと、転出分は六万一千人となっておりまして、希望退職を除く四万一千人の受け入れにつきまして、公的部門の受け入れ分として三万人が閣議決定をされまして、決定に至る議論の中で、国が一万五千人、自治体一万一千人などの数字が上がったということであります。このような国鉄の余剰人員対策につきまして、企業への再就職もまた要求されなければならないと思います。しかし、九州にそれだけの受け皿があるのか疑問とするところでありますけれども、既に国全体の問題となっている本件について、前向きに対応する必要を知事も認められまして、きのうの質問に対しまして百名程度の採用を発表されたのであります。 この問題は、ひとり熊本県という立場だけではなく、民間等も含めた多角的な見地から検討されるべきものと私は思いますが、あり方としては、大量人員合理化を前提といたしました三井三池の三池争議のとき、当時副知事でありました現在参議院議員の沢田一精さんですね、あの人が、大量解雇に伴う離職者対策本部を当時の寺本県政でつくりまして、沢田さんが本部長になりまして、それで県庁ばかりじゃございませんで、ほかの民間企業あるいは同類の関係の組合事務所なんかも訪れまして、そして多角的に離職者対策をやられたことを私は記憶をいたしております。そのときに県庁にお世話になった人、あるいはあちこちの団体にお世話になった人は、いまだに熊本県政はよくやってくれたと言っております。だから、いいことをやればみんな褒めるんですからね、かたくなにならずにおやりになったらどうかと思います。 前の知事がやったことをまねすると大したことに見えぬと思ったら大間違いでございまして、細川知事もやはりここで――国鉄ばかりではないでしょう。今申し上げました日立造船の問題もあるし、あるいは金属の問題もある、アルミの問題もある、あるいは素材産業、今に大分いかれますよ。すると、何かの対策本部あるいはプロジェクトチームが私は必要だと思うのですよ。ですから、独創的なパフォーマンスというか知事の考え方をどんどん発表されることはいいと思いますけれども、現実は、そういう苦しい人間をどうするのかということをやっていただきたい。それを一つ一つの部門にゆだねるべき性格のものではないと私は思います。そういう立場で知事が精力的に努力されることを期待するものであります。答弁してください。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 国鉄余剰人員の受け入れ対策についてのお尋ねでございますが、政府並びに国鉄は、昭和六十年十二月十三日に閣議決定されました国鉄余剰人員雇用対策の基本方針に基づき、国の各省庁所管の特殊法人、地方公共団体あるいは一般産業界に対して、受け入れについての指導、要請等の働きかけを行っているところでございますが、県としても、一般産業界を含め、幅広く雇用の場を確保するため、国鉄、事業主団体、関係行政機関等との連携の強化を図りまして、再就職促進のための必要な対策を検討してまいりたいと考えております。 なお、県としての国鉄余剰人員の受け入れにつきましては、昨日の永田議員の御質問にもお答えいたしましたように、行革を進めているときではございますが、可能な範囲で対応してまいりたいと考えているところでございます。  〔酒井善為君登壇〕 ◆(酒井善為君) 次に、有明海のノリ、アサリの安定収穫対策の確立につきまして質問をいたします。 これは、担当の非常に人物でありました古閑部長が今度定年退職になり、あるいは担当の課長も定年退職になって、おられぬようになるから、ちょっと心配ですからね、今のうちに質問をいたしておきます。 本県の沿岸漁業の主力は、ノリ採取とアサリ採貝の事業であります。アサリ貝の場合、採取従事者は一万六十人に達し、経営体数は六千三百五十四になっております。これは熊本県漁業の経営体数の中では抜群に多い数であります。そのアサリ貝が、昭和五十三年におきまして六万トン採貝されていたものが、昭和五十八年度においては二万八千二百六トンと半数以下に激減をいたしております。これでは余りにも落ち込みがひどいのであります。 知事は、熊本県アサリの普及につきまして心を痛めておるようでありますが、安定供給と安定価格の保証ができない今日では、熊本アサリの他県への普及は困難ではなかろうかと私は見ております。荒尾市の高森興産株式会社の社長と県当局のやりとりを聞いておりましても、熊本県は銘柄を「熊本アサリ」にしてくれと言っておるわけです。ところが、業者は熊本アサリでは安定がないということで数字を並べておりましたが、なるほどなと思いました。片一方ではアサリ貝に対する暴力事件なんかがはっきりしましてね、これはもう大変だなと思っておりますが、県当局のやりとりを聞いておりましても、私は熊本アサリの限界を認識せざるを得ないと、こういうふうに思いました。 そこで、アサリ減少の原因といたしましては、ポンプじょれんによる密漁、これは漁場荒らしも伴います。また、アナジャコの大量発生、ヘドロ蓄積、底質悪化等と思われますけれども、現状打開のため特段の努力を要請するものであります。 本県特産のノリにつきましても、近年県の水産対策の向上とも相まって若干の上向きを見せておりますが、佐賀県におけるスミノリの異常発生によって、県北地先への悪影響、例年襲ってくる異常気象とそれに伴う病害菌等の被害などによりまして、これも安定せざる漁業の一面を見せております。困難な問題ではあると思いますが、ノリ、アサリをして熊本県を代表する海産物として真に位置づけることができるように願望するものであります。この問題についていかなる見解を持っておられるのか、意見を承りたいと思います。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 国際的な二百海里時代を迎えて、沿岸漁業の振興は、国民の食糧資源確保の上からも極めて重要な課題でございますが、ノリ、アサリは、本県の沿岸漁業の中では基幹漁業でありますため、県としては従来からその振興に力を入れてまいったところでございます。 まず、アサリの振興策についてでございますが、近年、アサリは、良質の動物性たんぱく源であることが見直されまして、また現代の食生活の嗜好ともマッチしているということで、昨今急速に需要が伸長してきておりますが、生産の基本となるアサリ種苗の大部分は、干潟に発生いたします天然の稚貝に依存しておりますため、天然稚貝の多少が生産を大きく左右しているところでございます。 そこで、県としては、アサリの再生産を促進するため、底質悪化に伴う漁場保全事業や生産増大のための漁場造成事業等を積極的に進めているところでございまして、今後とも可能な限り実施をしてまいりますが、アサリの再生産につながる生産管理体制を早急に確立する必要がございまして、漁連等ともよく協議を重ねながら、漁協と生産者の認識を高め、実行されるように指導徹底を図ってまいりたいと考えております。また、熊本県産ブランドとしての確立を図るため、共販体制の拡充強化等につきましても、さらに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 それから、密漁対策についてでございますが、最近のアサリの密漁は悪質巧妙化の傾向にありますため、夜間停泊取り締まり等実効のある取り締まりに努めているところでございますが、今後とも県警や海上保安庁と連携を密にして取り締まりの強化にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。 それから、ノリ養殖の振興についてでございますが、本県におきましては、最近ではやや安定した生産を維持いたしておりまして、価格面では昨年に比べて若干高くなっておりますものの、全体の傾向としては伸び悩みの状態で、燃油やもろもろの資材の高騰等と相まって相当厳しい状況に置かれているところでございます。また、生産の過程では病害対策等今後解決しなければならない問題が残されておりまして、品質面でもスミノリ等の問題も残されていることは御指摘のとおりでございます。 そこで、県としては、のり研究所を中心にこうした問題の早期解決に向けまして努力をしてまいる所存でございますが、今年度から異常気象対策の一つとして、生産者に対してノリ情報を毎日提供しているところでございます。さらに、今後は密植を避けまして、適正な漁場行使の励行と集団管理体制の確立について、ノリ養殖生産安定対策協議会を通しまして、漁協と生産者に対して積極的に指導を図ってまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、アサリとノリは熊本を代表する産物の一つでございますし、県産ブランドの確立に向けまして今後とも努めてまいる所存でございます。  〔酒井善為君登壇〕 ◆(酒井善為君) ただいまの問題は小さい問題のようですけれども、多数の沿岸漁民の死活にかかわる問題でありますから、前向きな施策を精力的にお願いしたいと思います。 次に、水俣病に対する医療費打ち切りにつきまして質問をいたします。 知事はうまいこと言っていますね、「検診拒否者への治療費の打ち切りじゃなくして補助金の適正執行である」と。腹の中はそうじゃなくても、やはり言葉としてこうして出ると、「うんそうかな」と思うような文章になってきますね。 そこで、水俣病の認定率が比較的に高かった解剖認定につきまして、昭和四十六年から五十八年まで二百六十二体、このうち認定は百四十四体で認定率は五五%であります。生存者に対する認定率は五十二年以降で六%ないし三二%と低いために、申請者のよりどころは、みずからの死亡に望みをかけるというすさまじくも悲しい状況となっております。それでも五十九年は解剖二十体中認定は一体で五%、六十年は二十三体中三体の一三%と落ち込んでおります。要するに死なないと認定してもらえない。それも認定が激減している昨今では、患者、審査会、県との間に不信感を増幅させる以外の何物でもないと思います。 私としては、水俣病待たせ賃訴訟の結論が出てから、また行政不作為の状況を解消してから、医療費打ち切り等につきまして論議をしても遅くはなかったんじゃないかと思うんです。まだ裁判の結論も出ていない、しかも県は行政不作為の状況にあるということで裁判所が認定をしておる、その中で打ち切りだけを前もってやるのは、これは政治じゃないなと思いました。やはり大前提となるものは、患者あるいは患者団体との信頼の回復が先決でありまして、医療費打ち切りのごとき刺激的な提案が先行すべきでないと、水俣病の早期解決は患者の立場に立った施策の展開以外にほかにはないと、かように思います。 簡単ではございますけれども、知事の答弁をお願いいたします。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) 水俣病に対する医療費打ち切りについてでございますが、昨日も今井議員のお尋ねにもお答えいたしましたように、この事業は申請から処分まで長くかかる場合もございますので、申請者の負担の軽減を図るため、その間に要しました医療費等の一部を助成しようとするものでございまして、申請者みずからの都合によって検診に応じない者にまで支給をするということは、この事業の趣旨から適当でないと判断をして六十一年度から実施することとしたものでございますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。 また、申請者あるいはその団体との信頼の回復が先決ではないかという御意見でございますが、それはもちろんそのとおりでございますが、県の置かれている立場をよく御説明をし、今後実施しようとするもろもろの施策につきましても、さらに御理解と御協力が得られるように真摯に努力をしてまいりたいと思っております。  〔酒井善為君登壇〕
    ◆(酒井善為君) すなわち、言うこと聞かぬやつには払わぬということなんでしょう。言うことを聞けばやると。ですから、それはそれとしても少ししゃばが落ちついてから話し合ってもいいじゃないかというのが私の意見です。知事も一部同意をされたんですね。努力をしてもらいたいと思います。 私は、きょうの新聞記事を見まして――水俣病関係なんですけれども、「相思社が独自調査 国、県に改訂求める」というやつがありますね。これは「ヘドロ採取六地点のうち五地点が第二工区の埋め立て地内にあたり、採取場所が不適切」「溶出率〇・〇〇〇一六四五の下二ケタを切り捨てて」云々となっておりますが、いずれにいたしましても、現在の〇・二五%ですが、あれの基準値はヘドロ除去の基準にしては少し高過ぎると、結果として水俣病の被害値はこんなもんじゃないというような数字が出ておるわけなんですね。それに対して、県は一発、県の方が正しかったから、そぎゃんこつはよかばいたという話をきのうしております。 私は思うのですよ。これも最初、県の公害審議会がありましたときに、私は公害審議委員でこれに出まして、この二五%というのが正しいかどうかわからぬ、現段階ではわからぬと――学者がわかるわかるて、学者もわかっちゃおらぬでしょうが。だれもわかっちゃいない。だから、何が水俣病なのか、何が原因なのか、どの数字が正しいのかということは後世にゆだねなくちゃならない。がしかし、その途中で事件が起きたり、あるいはこれは危ないと、あるいは数値以上に出てきたということになった場合には、直ちに工事を中止するかあるいは改定をすべきであるという意見を添えて、私は最初にこの今の基準について了解をしたわけです。 やはり患者団体といえ、あるいはほかの学者団体といえ、疑問が出てきた場合には、県も真摯にそれに対応して、最終的にやはり県の方が正しいんだと、あるいはあなたたちの方が正しかつならここまで寄りましょうかというふうにならぬとですよ、書類が出てきていきなり、いやこれは私の方が正しいですからということじゃどうしようもないと思うのです。いわゆる権力が考えていることは常に正しい、持っておるやつが考えていることは常に正しいという立場から水俣病が出てきたわけです。ですから、やはりもう少し真摯な姿勢というものが重要ではなかったんじゃなかろうかなと私は思います。そういう立場から、この除去基準値につきましては、私ももう少し勉強したいと思いますけれども、公害部ももうちょっと前向きに、水俣病というものはどうなのかということの検討を、こういう面からもしていただきたいと思います。 次に、要望を申し上げます。VLF潜水艦用超長波送信所建設反対につきまして。 アメリカ合衆国が保有をしておるロサンゼルス級の攻撃型原子力潜水艦の排水量は六千トンでありまして、水中速度は三十ノット強、乗組員百二十七人、静粛性に非常にすぐれておりまして、原子力戦争を想定した攻撃用原潜が日本の領海や近海を我が者顔に航行いたしております。横須賀の原潜岸壁には潜水艦第七四任務部隊総司令部があります。アメリカ軍の横須賀基地の基地新聞「シーホーク」の伝えるところによりますと、第七四任務司令部は月に三万件以上の通信を取り扱っておるそうです。その任務は、西太平洋、インド洋に展開しているアメリカ原子力潜水艦の作戦配置を決定し、作戦行動を果たすことであると伝えております。 アメリカ大統領と直結する全世界軍事指揮統制システム、すなわちWWMCCSの端末機器が入っておりまして、海中で作戦行動中のアメリカ原潜に愛知県刈谷市の米海軍超長波通信所を通じて、ここから指令を流しております。横浜市瀬谷区のアメリカ海軍上瀬谷通信施設にもアメリカ原潜の入港増に呼応する動きがあっております。ここには西太平洋配備のP3C対潜哨戒機の司令部と電子情報収集施設の通称「象のオリ」や、偵察衛星で探知したソ連の艦船情報が集まる海洋監視情報施設があります。アメリカ海軍はそうした機能を強化する計画を持っております。 その一環として計画されましたのが、人吉市に隣接する宮崎県えびの市に計画しております潜水艦用超長波VLF送信所であります。日本の防衛庁が必要としているもので、アメリカ軍とは関係ない、したがって賛成すべきであるという意見もありますが、日米安保体制下にある日本の防衛庁がアメリカの作戦と無関係であるという幼稚な意見は意見として取り上げるほどの価値もありません。したがって、戦争目的達成のための通信施設は、近代戦におきましては最も危険な施設と言わなければなりません。 正義と人道を愛する人吉市民は、永田市長を先頭に反対行動に立ち上がっております。また本年は国際平和年であります。戦争誘発の危険性のあるそういう施設につきまして我々は慎重な態度をとるとともに、反対すべきものは勇敢に反対しなくちゃならぬ、かように思いまして、知事の平和を愛する気持ちの中での行動を期待するものであります。 私の質問も少し散漫になったと思いますけれども、立場こそ違え、県会議員は県会議員として、あるいは各部局は部局として県民のためにやはりやっていかなければならぬ、そういう姿勢から今後とも政治というものは進んでいかなければならぬと思います。そのような立場からいろんな意見を交えながら質問をいたしましたので、この質問等につきまして知事の真摯な政策執行をお願い申し上げます。 なお最後に、各議員さんの御清聴に感謝申し上げまして、演説を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(久保一明君) 以上で通告されました代表質問は全部終了いたしました。これをもって代表質問を終結いたします。 明十二日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第五号のとおりといたします。 本日はこれをもって散会いたします。  午前十一時二十七分散会...