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令和2年11月定例会(第3日) 本文
令和2年11月定例会(第3日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2020-11-03
    令和2年11月定例会(第3日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(桃崎峰人君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。     ○ 議 案 提 出 2 ◎議長(桃崎峰人君) まず、知事から議案が提出されました。  これは      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  乙第百十一号議案 請負契約について      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ の議案であります。     ○ 議 案 上 程 3 ◎議長(桃崎峰人君) お諮りいたします。  乙第百十一号議案を本日の日程に追加して議題といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 4 ◎議長(桃崎峰人君) 御異議なしと認めます。よって、乙第百十一号議案を本日の日程に追加して議題といたします。  ただいま議題となりました乙第百十一号議案につきましては、既に上程中の議案と併せて審議することといたします。  お諮りいたします。  乙第百十一号議案につきましては、提出者の説明を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 5 ◎議長(桃崎峰人君) 御異議なしと認めます。よって、乙第百十一号議案につきましては、提出者の説明を省略することに決定いたしました。  次に、日程によりまして一般質問を開始いたします。
     通告に従い、順次発言を許可いたします。 6 ◎中倉政義君(拍手)登壇=おはようございます。今議会のトップバッターを務めさせていただきます自由民主党の中倉政義でございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず最初に、九州新幹線西九州ルートについてお尋ねをいたします。  この新幹線は、昭和四十八年に国が長崎ルート整備方針を決めてから今日まで四十七年間にわたり、先輩の方々から様々な議論が続けられてきました。  昭和六十二年に国鉄分割・民営化され、JR九州が発足をいたしました。そのとき、民営化に向けて中曽根内閣の下で、佐賀県議会の先輩であります伊万里市出身の山下徳夫運輸大臣が約二十八兆円にも及ぶ赤字国鉄の民営化について、当時の国鉄総裁と激論を交わされていたのを今でも覚えており、国鉄総裁が続けて辞任を余儀なくされるという大きな社会問題でありました。今なお、国がその負債を支払っている状況にあります。  そして、民営化となり、JR九州が民営化になると同時に、早岐経由では収支改善効果は出ないと表明され、スーパー特急方式の短絡ルートでの収支試算を公表されております。これは、博多─武雄間は在来線を利用し、肥前山口─諫早間は経営分離を前提とされておりました。  その後、フリーゲージトレインの実用化にめどがついたとして、国が西九州ルートへ責任を持って導入するとされたところでありますが、フリーゲージトレイン開発の遅れから、国が武雄温泉駅での対面乗りかえ方式、リレー方式による開発を提案され、佐賀県も合意をし、今、二年後の令和四年の開業に向けて鋭意取り組まれております。  一方で、平成二十九年に、JR九州は与党検討委員会フリーゲージトレインによる運営は困難として運用しないと表明をされました。同時に、長崎県も与党検討委員会にフル規格での要望をされております。  そして、翌平成三十年に与党検討委員会フリーゲージトレイン西九州ルートへ導入することを断念すると公表されたところであり、昨年には西九州ルートの整備の在り方はフル規格が適当と判断をされております。  しかし、佐賀県としては、武雄から東側は在来線を利用するとしていたことから、フリーゲージトレインまでの運用だけしか議論してきておらず、フル規格での議論をする立場にないとされてきました。  もともとフリーゲージトレインでの運用で合意をして進められてきた中で、JR九州が先に合意から離脱され、次に長崎県が離脱、そして、国が責任を持って運用するとされていたフリーゲージトレインを断念と公表されたところでありますが、順序が逆であり、フリーゲージトレインを断念された後、合意をした関係者が協議をすべきであったにもかかわらず、JR九州、長崎県が与党検討委員会フル規格要望を先にされておりますが、まず、合意をしている佐賀県に相談すべきであったと認識をするところであります。  佐賀県だけが駄々をこねているかのごとく言われており、まるで韓国か北朝鮮のようだとやゆされたところでもありますが、これはそっくりそのまま合意を破棄した長崎県やJR九州にお返しをするところであります。  しかしながら、県民の中にもそう思っておられる方は多いと聞くところであり、しっかりと説明し、理解をしていただかなければならないと思われます。  その上で、約束していたフリーゲージトレインができないとなれば、武雄─博多間の新幹線をどうするかはしっかりと議論していかなければならないと考えます。  二年後の令和四年秋には武雄での乗りかえ方式西九州ルート開業が迫っており、県民挙げてJR九州、長崎県とともに盛り上げる取組が重要であると考えます。  このリレー方式では、必ず武雄温泉駅で上りも下りも乗換えで降りることになりますが、駅のホームだけにぎわっていては活性化にはなりません。  嬉野にも見事な駅ができているところであり、新大村にもできております。これらの駅から降りていただき、どうやって鹿島、太良をはじめ、県内各市町に引き込むかの観光戦略が重要であり、長崎への通過点とならぬよう、リレー方式をチャンスと捉えて観光戦略を練る必要があると思います。  同時に、フリーゲージトレイン断念ということから、武雄─博多間を佐賀県の将来のためにどの整備方式でどのようにすればよいのかの議論をしていかなければならないと考えます。  これまで数十年かけて議論をしてきている新幹線であり、これからの議論もそう簡単なものではないと認識しており、それだけに早く協議は進めなければならないということから、自民党県議団としても速やかに協議に入るよう知事に要請したところであります。  また、さきの九月県議会でも国土交通省との協議を積極的に進めるよう強く要請する決議を可決したところであり、今、国との協議に臨まれており、直近では十月二十三日に鉄道局と協議をされております。その内容については地域交流部長から報告を受けたところであり、「幅広い協議」をしていくとされたと聞きます。  その「幅広い協議」とは、いわゆる五択と言われるスーパー特急方式フリーゲージトレイン乗りかえ方式、ミニ新幹線、フル規格の五つの整備方式ということでありますが、このうち、スーパー特急方式は現在、武雄─長崎間をレール幅一・四三五メートルで施工しているものを一・〇六七メートル幅の狭軌に敷設替えをしなければならず、二年後の開業を迎えて現実的ではないと思われます。  フリーゲージトレインは、全国のJRでは運用しないと鉄道局が断言されております。  武雄での乗りかえ方式は、将来にわたって乗換えのままでよいとは考えられません。  ミニ新幹線は、在来線にレールを一本増やして、標準軌の一・四三五メートル幅にしなければならず、工事の期間中、多くの人が利用している在来線を単線で運行することによるダイヤへの影響などが懸念され、利用者の利便性が低下することになるため、これも現実的ではありません。  フル規格においては、昭和六十年に環境アセスメントをしている現在の在来線の佐賀駅を通るルートしかないと県議会の新幹線問題対策等特別委員会で鉄道局から答弁がありました。  その理由として、ミニ新幹線やフル規格のほかのルートでの環境アセスメントは相当の年数を要するので、二年半で環境アセスメントが完了する佐賀駅を通って新鳥栖につなぐルートが適当ということでありました。  これは、北陸新幹線の金沢─敦賀間の開業が二〇二三年となっており、同時に敦賀から新大阪に向けて着工になるから、北陸新幹線と一体となって、それに間に合うよう環境アセスメントを完了して西九州ルートの事業着手に入らなければ、西九州ルートは大きく遅れてしまうことになるということでありましたが、北陸新幹線の金沢─敦賀の開業自体が加賀トンネルの補強工事の発生や敦賀駅部の建設工事の遅れから開業が大きく遅れることになりました。  当然、その次の敦賀から新大阪に向けての着工も遅れることになろうかと思われますが、これに合わせて西九州ルートの着手もしたいので、環境アセスが早く完了する現在の在来線ルートしかないと九月の新幹線問題対策等特別委員会で鉄道局から答弁があっておりましたが、北陸新幹線の加賀トンネル問題は今年三月の時点で分かっていたとのことで、福井、石川、富山の三県知事が遅れを隠していたと激怒され、不信感をあらわにされていたところであります。  国土交通省では、西九州ルートを北陸新幹線と一体として取り組むことができるよう急ぎたいと要請されていたところでありますが、現在、国は北陸新幹線と一体としてではなく、切り離して考えていかなければならないとされており、今後どのようになるか定かではありませんが、佐賀県としては新幹線を通して佐賀県の将来がかかる高速交通ネットワークを考えるとき、北陸新幹線がどうであろうと議論は進める必要があると考えます。  自民党佐賀県連からも、十月五日に国土交通省、与党検討委員会、自民党本部に対して国が責任を持って提案をしていただくよう要請をされたところであります。  そういう中で「幅広い協議」を行っていくとされており、「幅広い協議」には理解するところでありますが、整備方式の五択だけでなく、佐賀県の将来をどう発展させていくかという「幅広い協議」をしていく中で決めていくことが重要と思われます。  国土交通大臣も国土交通省も与党検討委員会も、佐賀県には佐賀県だけでなく、九州全体のことを考えてほしいと言われておりますが、まさにそのとおりであると認識するところであります。  全国の新幹線網は、北海道から鹿児島まで縦断する数千キロに及ぶ縦断新幹線は、いかに時間短縮して多くの人を遠くに移動させるかという大きな役割があり、それに横断する新幹線は、西九州ルートも同じく距離は数百キロしかなく、そういう新幹線であり、時間短縮も大事ではありますが、いかに利便性と快適性を確保するとともに、本州にどうつなげるか、本州から佐賀にどうつなげるかということにあろうかと思います。  「幅広い協議」をしていくという中で、国からは佐賀県から提案があればと言われており、佐賀県は提案する立場にない、国から提案をと言われており、それでは前に進まないところであります。  十一月二十日に与党検討委員会が開催され、佐賀県の財政負担の軽減策について、年明けの会合で与党検討委員会主導で具体的議論を詰めていくとされております。  フリーゲージトレイン開発失敗は国の責任であり、財源負担は従来どおりというわけにはいかない、改めてしっかり議論したいとされております。  また、与党検討委員会から、国土交通省とJR九州の協議に際し、国土交通省に内容を詰めるようにと指示をされております。そして、北陸新幹線と西九州ルートの財源問題は違うと考えているとも言われているところでありますが、財源問題だけでなく、在来線問題、整備方式やルート問題、多くの課題があり、整備方式やルートも決まらずに財源問題の議論にはならないと思われます。  整備方式においては、さきに申し上げたように、それぞれに問題があり、在来線との問題もありますが、国が考えているのはフル規格の佐賀駅ルートだけであります。  さきに行われた佐賀新聞の新幹線の世論調査では、リレー方式のままでよいという意見が多かったところでありますが、本州とどう結ぶかという点において、整備方式はフル規格が最適と私も考えます。しかし、フル規格といってもルートについては何通りもあると思っております。国が考えている佐賀駅─新鳥栖ルート、長崎自動車道沿いの北ルート、佐賀空港回りの南ルート、そしてもう一つは佐賀県と国との協議が調わなかった場合には、国の責任において武雄から脊振山の下を通って博多駅南の新幹線車両基地へ結ぶ直通ルートがあります。しかし、このルートは佐賀県にとってのメリットはなく、現状維持にとどまってしまうことになります。佐賀県の将来と九州全体を考えれば、佐賀空港回りのルートも、これは視野に入れておかなければならないと私も考えます。  その理由の一つとして、九州の中で福岡空港が発着許容制限の年間十六万四千回をはるかに超え、混雑空港に指定されており、佐賀空港を福岡空港の代替空港としての位置づけを考える必要があるということ、長崎空港は海の中にあり、熊本空港は山の中にあり、代替空港としては無理と思われます。今、福岡空港は全国で羽田、成田、関空に次ぐ四番目の空港であり、滑走路一本当たりでは全国一となっております。混雑空港を避けるため、第二滑走路延長二千五百メートルを今建設中であります。二〇二四年には完成する計画でありますが、空港自体が手狭であり、第一滑走路と建設中の第二滑走路との間隔が二百十メートルしかなく、稼働しても同時発着はできないとされており、それ以上の拡張は無理と思われます。  そして、新幹線と空港が一体として運用されている新幹線というのは全国にはありません。あるとすれば、それは福岡空港であり、空港地下鉄に乗り、五分もすれば新幹線博多駅に着きます。新幹線が発着する博多駅が福岡空港のすぐ近くにあり、利便性に富んでおり、広範囲から利用客を集めることができております。  一方、佐賀空港は後発空港として一九九八年、平成十年に開港しており、開港当初から数年間は利用客数は年間二十九万人から三十万人でありました。建設計画の需要予測は年間七十三万人でありましたが、県民の多くの人が佐賀空港の乗降客が七十三万人になるのかと疑っておりました。しかし、関係者の御努力により二〇一八年度、平成三十年度はその需要予測をはるかに超え八十二万人となっており、全国の空港が数ある中で需要予測を上回っている空港は佐賀空港だけであります。それだけポテンシャルの高い、伸び率の高い空港ということでもあります。  そして、今、JR東日本では新幹線を使った貨客混載が本格化されております。鹿児島ルートにおいても実証実験が始められております。福岡空港の代替空港や九州からの物流輸送を考え、佐賀空港回り新幹線ルートを考えた場合に、多くの物流倉庫も必要であり、インバウンド、アウトバウンドも考えれば、ホテルも必要になってまいります。海外から佐賀空港に降り立ち、佐賀を満喫してから新幹線で福岡、長崎に、そして関西、関東に行っていただき、帰りはまた佐賀空港から帰っていただくためには、佐賀空港周辺には物流倉庫やホテルなどの広大な敷地が必要になってくると思われ、私はそういう提案も必要と思われます。  しかし、国土交通大臣も、与党PT委員長も佐賀には九州全体のことを考えてほしいと言われてはおりますが、空港ルートはないと言われている状況でもあります。そして、佐賀県は提案する立場にはないと言われておりますが、国からの提案を待っていただけでは、県民が納得のいく提案は出てこないと考えます。  したがって、国との協議をやっていかなければならないわけでありますが、佐賀県での協議を、あらゆることを想定してやっておかなければ、国との協議はできないと考えます。  そこで、知事にお尋ねをいたしますが、まず一番目に、県議会の決議の受け止め方についてであります。  九月県議会で議会から佐賀県に、国土交通省との協議を、環境影響評価の実施をはじめ様々な可能性を想定しながら積極的に進めるとともに、西九州ルートの開業により影響を受ける長崎本線沿線地域の振興に尽力するよう強く要請する決議を可決いたしました。  議会の意思としての決議をしっかりと受け止めた上で、県民の利益と西九州全体の発展を見据え、議論を一層進めてもらいたいと考えておりますが、知事はこの決議をどのように受け止めておられるのかお尋ねをいたします。  二番目に、国との協議についてであります。  国との「幅広い協議」では、五つの整備方式それぞれのメリット、デメリットという観点だけでなく、佐賀県の将来を大局的に考えた場合に、どの整備方式が最も望ましいのかという観点で議論を深めるべきと考えております。  国は、佐賀県から提案があれば検討したいと言われており、佐賀県は提案する立場にないという姿勢でありますが、それでは前には進みません。博多─武雄温泉間の在り方に対する佐賀県としての考え方について、県内でしっかり議論した上で国との協議に臨むべきであると思いますが、県は今後、国との協議にどのような姿勢で臨むつもりなのかお伺いいたします。  最後に、開業に向けた取組についてであります。  西九州ルートは、二年後の令和四年秋に武雄温泉駅での対面乗りかえ方式により開業をいたします。  西九州ルートの整備は、鹿島や太良などの長崎本線沿線地域の皆さんの大変つらい思いの上に着工に至ったことを忘れてはならず、新幹線整備の光と影ということにならないよう、沿線地域の振興にしっかりと取り組む必要があります。  そして、新幹線駅が新設される武雄市や嬉野市をはじめ、県内の各市町において人を呼び込むための様々な取組が進められると思いますが、私は、地域振興は、まず地域がしっかりと取り組むことが重要であると考えます。そして、県には、こうした意欲的な地域の取組を積極的に支援することで、新幹線の沿線地域だけでなく、県内全域の振興を図っていただきたいと思います。  そこで、県は、開業に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  以上、新幹線問題であります。  次に、問いの二番目、新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねをいたします。  新型コロナウイルス感染症は、昨年十二月に中国武漢市で発生してちょうど一年となり、瞬く間に世界に広がり、いまだに収束を見ていない状況にあります。県内の医療機関、医療従事者におかれては、感染者の対応をはじめ、感染拡大防止に全力で取り組まれており、その御努力には敬意を表しますとともに、県内でも昨日までに感染されたお二人の方が亡くなられました。心から御冥福をお祈りいたします。  新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、県においては感染拡大の防止と社会経済活動の両立ということを強く意識しながら対応を続けていることと認識をいたしております。県議会としても早急な対応が必要との考え方の下、四月には総額約百二十一億円の予算について知事による専決処分を認めております。  その後も支援が届いていなかった調剤薬局の薬剤師や厳しい経営状況にある事業者、さらには高校総体などが中止になった高校生、感染による誹謗中傷に傷ついている方など、コロナの影響を受けている県民の声を伝えてまいりました。こうした声を背景に県議会として執行部に提案するとともに、チェック機能を果たしながら、感染防止対策、経済対策の両面から取組を進めてきたところであります。  高校生に活躍の場を与えたいと、佐賀県が全国に先駆けて開催を決定したSSP杯(カップ)は、その後、全国の多くの県で高校生のための大会を開催しようという流れを生むという成果にもつながったと考えております。  全国的には感染拡大地域が出るなど、都市部を中心に感染が広がっている中において、予断は許さないものの、現時点において佐賀県での感染拡大が抑えられていることは、何よりも県民の皆様の協力と医療従事者の頑張り、そして県などによる様々な取組の積み重ねによるものと考えております。  県が行う様々な取組については、コロナ対策に限らず、県民の理解を得ながら進めていくべきもの、総意ということは言うまでもありません。新型コロナウイルス感染症への対応はこれからも続くということ、今回のことを踏まえ、県民の誤解を解消し、納得感を得ながら取組を進めていけるよう、知事は説明責任を果たしていくことが重要と考えます。  そこで、交付金制度や活用に関する考え方を含め、コロナ対策に込めた知事の思いを伺っておきます。  次に三番目に、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてお尋ねをいたします。  国土防衛は国民の生命、財産を守り、我が国の独立と平和を守る礎であり、知事もその重要性は十分認識されていると承知しております。  陸上自衛隊オスプレイの配備については、前回の平成二十六年度から平成三十年度までの五か年の中期防衛力整備計画の中で南西諸島防衛の強化が示され、そのために防衛省が購入する陸上自衛隊オスプレイ十七機を佐賀空港に配備したいという要請がなされたところであります。  尖閣諸島周辺においては、中国の公船による断続的な領海侵入や海軍艦艇による恒常的な活動が行われるなど、我が国の安全保障環境は厳しさを増している状況にあり、石垣市周辺の漁業者の方々は常に身の危険を感じながら操業をされております。  一方、有明海漁協や地権者の方々には国土防衛のために貴重な財産の提供をお願いしている状況であり、長きにわたり御協議いただき、御苦労をおかけしているところであります。  知事は三年半以上にわたる検討結果を踏まえ、平成三十年八月に受入れの判断をされ、同日、有明海漁協を訪問し、組合長に対し、公害防止協定覚書付属資料の変更について協議の申入れを行われました。その後、昨年五月と十一月、さらに、本年七月にも知事が有明海漁協を訪問し、防衛省からの要請を受け入れていただくよう改めて申入れをされました。  こうした県の取組と並行して、令和元年八月には、事業主体である防衛省から漁協に対して計画の概要や環境保全対策などについて説明が行われ、翌九月から支所ごとの説明会が順次開催され、本年六月までに全ての支所で説明会が終了されました。  その後、本年九月に漁協内に設置された検討委員会が開催され、防衛省に地権者に対して説明をしてもらい、地権者の意向を確認した上で漁協として判断するとの決定がなされました。これを受け、十月二十六日に防衛省と地権者が属する関係四支所の代表者との間で地権者説明の時期や方法などについて協議が行われ、地権者説明については、今季のノリ漁期が明けた後に行うことが確認されたことと承知をしておるところであり、昨日のノリの初入札も過去五年間で枚数も一番多く、このコロナ禍の中で順調な滑り出しをされているとお聞きもいたしました。  このノリ漁期が明ければ、防衛省が地権者に説明することになり、計画を前に進めるためには、一義的には事業主体である防衛省が前面に立って頑張ってもらう必要がありますが、国防の重要性を踏まえると、県も防衛省に最大限の協力をして取り組むべきと考えます。  他方で、陸上自衛隊オスプレイをめぐっては、昨年十二月に、千葉県の木更津駐屯地において暫定的に受け入れることを木更津市長が表明をされました。その暫定配備期間については配備の開始から五年以内を目標にするとされております。本年七月十日には一番機の陸上自衛隊オスプレイ木更津駐屯地に到着し、暫定配備が始まったところであります。  確かに、木更津駐屯地への暫定配備期間を五年以内とするという目標は、木更津市と防衛省との合意事項であり、そのことに防衛省による地権者への説明、県と漁協との協議といったものが、時間的に縛られるものではないというふうには思いますが、防衛省は佐世保市の相浦駐屯地に配備されている水陸機動団との連携の観点から、陸上自衛隊オスプレイの最終的な配備先は佐賀空港が最適との考えを示していることから、こうしたことを踏まえて対応を考えていく必要があると思います。  今後、県はどのように対応していくつもりか知事の考えをお伺いいたします。  最後四番目に、太宰府事件の御遺族の申出に対する県警の対応についてお尋ねをいたします。  昨年十月に福岡県太宰府市において被害者の女性が暴行されて死亡した事件については、被害者の女性が亡くなる前に親族が、実家に近い鳥栖警察署に何度も相談をしていたが、県警は事件化するなどの対応を取らなかったとして新聞やテレビで取り上げられているところであります。  県警察としては、被害者の女性に直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められなかったとの見解を示されておりますが、被害者の女性が死亡するという結果が生じていることについて、私は一県民として心配に思わざるを得ないところであり、県警察には引き続き各種事件から県民を守るという強い意志で今後の警察行政に取り組んでいただきたいと考えます。  また、警察が全ての問題を解決できるわけではないというふうに思いますが、県民が何かのトラブルに巻き込まれて警察に相談した場合、警察は県民の安全・安心を守るよりどころとして的確に対応していただきたいと考えます。  そこで、お尋ねをいたします。  まず最初に、県警察における相談の対応についてであります。  御遺族が県警察に何度も相談をしたと報道をされておりますが、県警察における相談の対応がどうであったかお伺いをいたします。  二番目に、県警察における御遺族への対応についてであります。  御遺族が納得されておらず、また、県警察が御遺族への聞き取りを行わなかったとも報道をされておりましたが、県警察における御遺族への対応についてどのような対応をされてこられたのかお尋ねをいたします。  最後に、県警察における今後の対応についてでありますが、県警察における今後の対応について県警本部長の所感をお伺いして私からの質問といたします。(拍手) 7 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。中倉政義議員の御質問にお答えいたします。  まず、九州新幹線西九州ルートにつきまして、県議会決議をどう受け止めているのかというお尋ねでございました。  佐賀県は、新幹線整備による時間短縮効果がほとんど得られないという極めて特殊な状況の下、長崎県や西九州全体のことを考え、鹿島や太良など長崎本線沿線地域の大変つらい思いの上に、平成十九年十二月、当時は古川知事でございましたが、ぎりぎりの判断で肥前山口─諫早間の上下分離を合意し、多額の費用負担を伴う武雄温泉─長崎間の整備に同意したものです。  そして、これまでの関係した様々な皆さんの思いの上に思いを乗せて、令和四年の秋、いよいよ西九州ルートが開業いたします。開業の果実をしっかり得るとともに、西九州ルートの開業によりまして特急列車が大幅に減ることになります鹿島や太良などの長崎本線沿線地域の振興に、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えています。  そして、国との協議については、九月議会の決議後、十月二十三日に第三回の「幅広い協議」を行いました。鉄道局とは今後とも真摯に幅広く協議させていただきたいと思います。  この決議は、協議を積極的に進めることと長崎本線沿線地域の振興に尽力することとされています。決議を踏まえてしっかり取り組んでいきたいと考えています。  続きまして、国との協議に臨む姿勢についてお答えいたします。  西九州ルートの整備は、十一月二日の新幹線問題対策等特別委員会でJR九州の役員の方が答弁されたと思いますけれども、昭和四十八年に整備計画が決定され、現在に至るまで五十年近くにわたり議論されてきたものです。その中で新鳥栖─武雄温泉間は在来線をそのまま利用することを大前提とし、国が責任を持って実用化を推進するとしたフリーゲージトレインを導入するということで関係者で様々な合意を重ねながら前に進められてきたものです。  そして、今、フリーゲージトレインについては技術的に開発ができないということではなく、開発にまだ時間とコストがかかるので、国としては開発しないという判断をしたとされています。  フリーゲージトレインの導入を断念し、現在の状況を招いたのは国の責任であり、いつまでにといったような形で期限を切られて佐賀県から何かを提案して打開しなければならないものではないと思います。  西九州ルートの問題については、県議会においても議会ごとに様々な議論が行われています。議会からは、議論に必要な条件、数字があまりにも不足していて、議論できる状況には至っていないという御指摘もありました。事業主体として国土交通省が責任を持って示すよう改めて要請いたしました。  昨年十二月に赤羽大臣から私に、国土交通省としては佐賀県の意向を踏まえ幅広く協議するので応じてほしいとの呼びかけがありまして、本年六月から協議を行っています。
     県内には新鳥栖─武雄温泉間の在り方について様々な御意見がございます。ルートについては、国土交通省やJR九州が、佐賀駅を通るルートしか考えられないとされていますけれども、私も様々な皆さん方の意見を聞くことがありますが、佐賀空港を通るルート、これは中倉県議も今言及されました、そして、佐賀市の北部を通るルートなど、様々な御意見ございます。私は、県議会や県内での議論をしっかりと踏まえて時間をかけて議論をする必要があると思います。短期間のうちに方向性を求めるような、決めるような問題ではないと思っています。  これからの協議の場などにおいて、いずれかの段階でフル規格について協議する場合は、申し上げたように、ルートを含めて県内には様々な御意見がありますので、県内も含めてゼロベースから幅広く議論させていただきたいと思います。  続きまして、新型コロナウイルス感染症対策について、交付金に関する考え方も含めて、コロナ対策に込めた私の思いについて答弁申し上げます。  感染症への対応につきましては、今年三月に県内で初めての感染者が確認されて以降、先が見えない、相手の見えない、そういった不安の中で、チーム佐賀、オール佐賀で全力で取り組んできたと思います。そして、新たな感染が確認されるたびにマンツーマンディフェンスで感染経路の特定に努め、濃厚接触者のみならず、接触者を幅広く捉えて念のため検査を実施してきました。そして、極めて早い段階から「プロジェクトM」を立ち上げ、感染した全ての方を対象に速やかな入院、または県があらかじめ用意したホテルでの療養の徹底。そして、患者の状況も変わりますので、それに応じたオペレーション、いわゆる入院先の調整を行ってまいりました。そうしたことで、今、佐賀県の病床占有率は八・九%というところにとどまっております。  佐賀県は、保健業務を県一本で担っておりますので、今、三百件を超える感染事例の全てを把握しております。別の言い方をすると、一件一件の積み重ねの経験から多くのことを学んで、我々の中で、佐賀県としてどうあるべきなのかといったことを議論し続けて、その蓄積によって対策本部で御説明をさせていただいております。そして、九千件を超えるPCR検査などを通じてマンツーマンディフェンス、一つ一つに当たっていくという意味です。都市部はどこがどこに行っているのか分からない、ゾーンディフェンスという言い方を僕らはしていますけれども、ゾーンで戦わなければいけないことってあり得るわけで、ただ、僕らは、マンツーマンでやれている今の状況をできる限り続けていきたいと思っています。こうした経験の積み重ねが佐賀方式での感染防止対策を実効性あるものにしていると私は思います。  昨日は十人の感染の方が出られました。今朝も打合せをしました。十件いろいろつながっていますから、福岡由来があって、まだ追えているねという確認もしました。念のため検査をさらに広げて、頑張って追っていこうという確認もさせていただきました。  こういった取組で、本県では福岡都市圏に隣接しておるにもかかわらず、現時点においては感染拡大が抑えられていると思っています。様々な都市部の隣県が非常に厳しい状況にある中で、何とか佐賀県は、ほとんど県境がないようなところに唐津、基山、鳥栖、あるわけですけれども、そうしたところでも頑張って抑えていきたいと思っています。このことは首都圏、関西圏とは私は大きく状況が異なっていると思っています。改めて感染防止に御協力いただいている全ての県民の皆様、最前線で頑張っていただいている医療従事者の方々、そしてこれは県職員も含めてPCR検査に関わっている関係者など、全ての皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。  そして、我々は分かりました。コロナ対策、コロナ時代に必要なことは、誹謗中傷せずに、皆で一つになって取り組むことです。コロナは現代の闇に忍び寄ってきます。誹謗中傷、人が一定の地域に密集すること。そういったところをしっかりと踏まえながら、みんなで対応していきたいと思います。  続きまして、交付金の活用について申し上げます。  我々は、コロナへの対応に当たりましては、こうした感染防止対策とあわせて社会経済活動の回復に向けた取組も必要と感じました。そして、これまで事業者への支援、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えた取組も行ってきたわけであります。  コロナ対応の交付金というのは、大きく分けて二つあると思っていただいたらいいと思います。一つは厚生労働省所管の包括支援交付金があります。これが佐賀県で言えば二百二十九億円。もう一つが内閣府所管の地方創生臨時交付金というものがありまして、これは佐賀県には今九十六億円ということになっております。ですから、合わせますと約三百二十億円ということになりますけれども、その大半となります約二百五十億円、八〇%は医療提供体制の整備、そして最前線を支えていただいております医療従事者、福祉施設、介護施設などで働く方への慰労金など、医療、福祉を守る取組に使わせていただいています。まず、ここが当たり前のことですけれども、最重要ポイントです。  そして、約五十億円につきましては三年間無利子融資、これは九州ではうちの県だけ。こういったものに対する中小企業・小規模事業者支援などの経済対策。店舗休業したときのものもそうですし、花、肥育牛、それから薬剤師へも我々は独自に活用させていただいておりますし、さらにこれは県民、現場の意見とか、県議さんの意見も含まれて、はり、きゅう、あんまだとか、運転代行だとか、ウェディングだとか、そういったところについての支援もさせていただいております。  そして、残りの五%といいますか、十七億円でございますけれども、これは「新しい生活様式を踏まえた経済活動の回復」という交付金の一つのカテゴリーがありまして、それを使って観光誘客ですとかワーケーション、それからナイトテラスチャレンジ、それからSSP杯(カップ)での支援ですとか、陶磁器、家具産地等ものづくり支援、こういったものに使っているものがございます。その中には報道で言われているようなものも入っているわけであります。  私は、こうやって県民一丸となって感染の広がりを抑え込めているという状況だと思っていますけれども、だからこそ、新しい時代に向かって構想力を持ちながら必要な布石を打つことも大事だと思っています。やはり佐賀県の将来を考えて、今のうちに手を打っておくということも実行させていただいてもよろしいんではないかと思います。その際には、先ほど言いました、例えば、地方創生臨時交付金というのは幅広く使える交付金という立てつけになっておりますので、我々がやりたいと思っている仕事について、国がその交付金の対象と認めるのであれば、それを活用していきたいと思っています。  中倉県議のお話にもありましたように、県民と思いを共有していくということはとても大切だと思います。オール佐賀、チーム佐賀で取り組むことが大事です。ここで一点申し上げたいのは、今までいろんなコロナの陽性者と向き合ってまいりましたけれども、コロナに感染した方は病院から退院された後に誹謗中傷されることを非常に恐れています。我々の佐賀方式をやるためには感染経路を聞かなければいけない。そして、場合によってはそのお店の名前を公表させてくださいと訴えて、そこに行かれた方にPCRを打たなければいけない、検査しなければいけないと思っております。なので、そこについて、やはり誹謗中傷が怖かもんねというところというのはどうしても抑えることが、佐賀方式をうまく生かすための大きな力になると思います。都市部がどうか分かりませんけれども、我々、こういう人と人とのつながりの深い地域に暮らす者においては、そこがないということが大きなコロナ対策になるわけであります。  「誓いの鐘」の県庁正面への設置についてですが、今、県庁にコロナで県外に出られなかった小学生たちが多く訪れています。ハンセン病患者を差別してきたこれまでの過ちを繰り返さないという強い思いを、コロナ禍でマスクをつけながら非常に大変な思いをしている子供たち、そうしたみんなと、こういうコロナの中で人を傷つけるということ、そういった意味を考えてもらいたいという思いがあります。そして、子供たちが大人になったときの佐賀県は、できれば差別や誹謗中傷の全くない、そんな県をつくっていただきたいという願いを込め、それを県民の皆さん方と共有していきたいと思った事業でございます。  これまで全てを公開で行った対策本部会議があります。県民の皆さん方に我々のいろいろな思いを訴える、そこがなかなか難しいというところも痛感しておりますけれども、県民の皆さん方に県の取り組んでいることをできる限り知っていただいて、そして意見交換をしていくところというのは我々ももっと増やしていかなければいけないと思っています。できる限り県民の皆さん方の納得感を増やして、オール佐賀、チーム佐賀で進めていくという姿勢でいきたいと思っております。  細かい交付金の制度、活用につきましては、総務部長から答弁させます。  続きまして、佐賀空港の自衛隊使用要請への対応についてお答え申し上げます。  今回の防衛省の計画が実現されるためには、ポイントが二つあります。  一つは、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協に応じていただくこと、もう一点は、防衛省が地権者に土地の売却に応じてもらうことだと思います。  そして、この一点目の公害防止協定覚書付属資料の変更につきましては、有明海漁協さんは九月十日に開いた検討委員会において防衛省が地権者に対して説明を行い、地権者の意向を確認した上で漁協として判断すると決定されています。  したがって、今期のノリ漁期明け後に行われる予定の地権者説明が非常に大切なものになると認識しています。防衛省は、地権者の皆さんに対して真摯に向き合い、国防の重要性、必要性をしっかりと誠意を持って説明いただきたいと思っています。  県としては、計画の実現に向けて、防衛省による地権者説明が円滑に行われるとともに、有明海漁協内での議論が進むよう引き続き調整させていただきたいと考えています。 8 ◎脇山総務部長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症対策の関連で交付金の制度活用について御答弁申し上げます。  地方公共団体が新型コロナウイルス感染症に対応するために創設された二つの交付金の制度について御説明いたします。  まず、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金でございます。  これは厚生労働省が定めるメニューに基づきまして、医療提供体制の整備や、医療機関や社会福祉施設等における感染症拡大防止対策に活用できるものとなっております。  もう一つ、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金がございます。  これは感染拡大防止策、雇用の維持と事業の継続、こういうことはもとよりでございますが、地方創生という側面もございまして、新しい生活様式を踏まえた経済活動の回復、強靱な経済構造の構築までと幅広く活用できるものとなっております。  この臨時交付金を充当するに当たりましては、国が示しております活用事例、あるいは交付金に対する質疑応答を参照として、必要に応じて国に相談、確認した上で各事業の内容やスキームが交付金に適合するのかどうかということを判断しているところでございます。  この結果、国への申請手続が済んでいる分でございますが、九月補正までに計上した全事業につきましては、臨時交付金の対象と認められている状況にございます。こうしたことは県の財政を預かる身としては、一般的に国の交付金を使えるなら使うと、そういう作業でございます。  今後とも、臨時交付金の対象と認められるものについては充当をしていきたいと考えている次第でございます。  以上、お答えといたします。 9 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートについての御質問のうち、開業に向けた取組についての御質問にお答えを申し上げます。  令和四年の西九州ルートの開業によりまして、これまで鉄道の駅がなかった嬉野市に新たに駅ができ、武雄温泉駅に新幹線と在来線の全ての列車が停車することになります。一方で、鹿島や太良などの長崎本線沿線地域では特急列車が大幅に減りまして、在来線の利便性が大きく低下をいたします。  西九州ルートの開業によりまして、マイナスの影響を受ける長崎本線沿線地域につきましては、肥前山口駅での特急列車との接続をよくするなど、可能な限り利便性の高い運行ダイヤの実現をJR九州に要請いたしますとともに、引き続き沿線市町と一体となりまして、沿線地域の振興にしっかりと取り組んでまいります。  西九州ルートの開業によりまして、九州有数の温泉地であります武雄温泉や嬉野温泉と、年間約六百九十万人の観光客が訪れられております長崎市が鉄道で直結することになりますので、これは新たな交流を生み出す大きなチャンスであると考えます。そして、人の流れを呼び込むためには、多くの人がそこに行ってみたい、住んでみたいと思うような魅力ある地域づくりこそが何よりも重要でございます。  佐賀県では、地域の住民自身が地域の魅力に気づき、その地域ならではの本物の資源を創意工夫で磨き上げ、魅力ある地域づくりを行う自発の地域づくりに取り組んでおります。鹿島や太良などの長崎本線沿線地域や武雄や嬉野などの西九州ルート沿線地域はもとより、伊万里や唐津、佐賀、鳥栖など、様々な地域の取組をしっかりと支援していきますとともに、西九州ルートの開業に向け、それぞれの地域の取組をつなぎ、それが相乗効果を発揮して佐賀県全体の地域振興に広がっていくように取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 10 ◎杉内警察本部長 登壇=私からは、中倉政義議員の御質問のうち、太宰府事件の御遺族の申出に対する県警の対応についてお答えをいたします。  まず初めに、被害者の女性がお亡くなりになられたことにつきまして、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。  プライバシーの関係から具体的な相談内容については申し上げることができませんが、警察における相談の対応についてですけれども、被害者の御遺族から鳥栖警察署が八件の申出を受理しているところでございます。  一連のお申出の趣旨は、被害者の女性の身の危険を訴えるものではなく、被害者の女性をめぐる金銭貸借トラブルをどうにかしてほしいというものであり、それぞれの申出内容に応じた対応を行っていたところです。  このうち、事件の一か月ほど前には、被害者の夫の方から、御自身が被疑者から電話で金銭の支払いを要求されているとのお申出があり、証拠の確保として、会話の録音等を教示いたしました。その後、この方から、録音ができたので鳥栖警察署に来署したいとの連絡がありました際、来署時間として夜間の時間帯を希望されましたことから、刑事部門の当直警察官が対応する予定であるが、事件が発生すれば出動することから、刑事部門の警察官が対応できなくなる可能性があることをお伝えしましたところ、それでも構わないとのことで夜間に二度目の来署をされました。ところが、この方が来署された際、事件が連続して発生し、対応を予定していた刑事部門の警察官が出動して不在であったため、他の部門の警察官が代わりに対応することになり、その場で直ちに事件性の判断ができなかったことなどから、後日、刑事課に改めて申し出てもらうよう依頼をしたものの、再訪がなかったものです。  次に、県警察における御遺族への対応についてですが、本年六月に御遺族から県警察の対応に関する御質問をいただきましたことから、翌七月に御遺族側と面談をして、これに対する説明を行いますとともに、その際に、御遺族のお考えや御意見につきましてもかなりの時間をかけてお伺いをいたしました。  御遺族には、お尋ねがあれば何でもおっしゃってくださいとお伝えしますとともに、このときにお伺いしたお考えや御意見を踏まえて、さらに詳細な事実確認を行っておりましたところ、御遺族が納得されていないとして報道機関から質問状が提出されましたことから、事実確認を終えた上でこれに回答したところです。  御遺族から今後お申出があれば、引き続き御対応してまいりたいと考えております。  次に、県警察における今後の対応についてです。  当時、鳥栖警察署に対する一連のお申出の内容からは、被害者の女性に直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められませんでしたが、県警察といたしましては、結果として被害者の女性がお亡くなりになられたことは重く受け止めております。  本件を今後の教訓とし、お申出の内容からは、申出者の方のみならず、関係者にも直ちに危害が及ぶ可能性があると認められなかったとしても、結果として関係者がお亡くなりになるという重大な結果が生じることもあり得ることを念頭に、より丁寧な申出対応を心がけてまいりたいと考えております。  最後になりますが、改めて被害者の女性がお亡くなりになられましたことにつきまして、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。 11 ◎中倉政義君 登壇=知事に新幹線について再質問をいたします。  今、知事から答弁がありましたけれども、あくまでも佐賀から提案する立場にはないということであったわけでありますが、これは恐らく佐賀から提案すれば要望したような形になるので、それなりの財源負担もということもあるということを考えれば、恐らくそうかなというふうに思いますが、しかしながら、提案を待っていただけでは納得のいくような提案はないというふうに私は考えております。  そして、ゼロベースからいろんな形でどの分野でも検討はするということでありました。  先ほど申し上げました、その一つの空港回りについてでありますが、これは、福岡県に十五キロから二十キロぐらいかかるわけでありますから、勝手に議論をするわけにもいかないというふうに思います。  国に相談するにおいても、ここは福岡県と事前に話をしておかなければ、そういう話はできないというふうに私は考えております。そういうことは私が言わなくても分かっておられるかというふうに思いますが、それよりも、地域交流部長から今、二年後における地域振興ということの答弁もありました。  知事には、二年後のことだけではなくて、佐賀県としての新幹線を通しての地域振興という観点をお尋ねしたいわけでありますが、国としても佐賀県のことだけではなくて、九州全体のことを考えて検討してほしいということは言われておりますので、そういうことから考えますと、やはり九州全体となると有明海を考えただけでも四県またがっておるわけでありますし、そこから考えますと、九州各県の知事におかれては、観光振興については本当に強い熱意を持っておられる状況でありますから、有明海一つを取っても、湾の一番狭まっているところ、熊本県玉名、島原半島、私はここに大きな橋をかけてでも鉄道を通すというようなことも提案する必要があると思っております。  渡ったところは島原鉄道が諫早まで来ておりますし、玉名のほうは西鉄大牟田線が来ております。そして、在来線で一周するような計画も九州全体でやってほしいなというふうにも思っておりますし、今、有明海沿岸道路ができておりますが、これは今年、島原道路が諫早まで開通いたしました。高規格幹線道路であります。必ずこれは将来、鹿島から諫早につなぐということになると思いますし、福岡のほうも熊本に延伸する計画がありますから、湾を囲んで本当の沿岸道路ということになりますから、その外側を、外環状というものを新幹線ということになれば、有明海は大きな観光の一つになるというふうに思いますし、その真ん中に九州佐賀国際空港があるということになるわけでありますから、先ほど申し上げましたように、そういった意味では、非常にこれから観光も物流も、そしてインバウンドもと考えると、そういう対応はできていくと。  しかしながら、これは佐賀県だけの問題ではありませんから、ぜひ九州知事会等において提案をしてでも、そういう話合いの投げかけができるようにすることは、私は九州全体の地域振興ということでは必要というふうに思っておりますので、二年後の開業も踏まえて、九州全体、そして、佐賀県の地域振興について知事がどのように考えておられるのかということをお尋ねいたしておきます。  そして、先ほどの太宰府の事件については、警察本部長の答弁はそこまでかなというふうに思いますが、これは今、恐喝という部分で起訴されているという状況であり、傷害致死罪についてはこれからになるというふうに思います。恐らくこれは裁判員裁判ということになるのではないかというふうに言われておりますが、そうなると、おのずと一つずつ事実が出てくるというふうに思います。そうなると、これは福岡県での事件ということになりますから、佐賀県ではあまり表に出てこないということがあります。  今、一番県民が知りたいのはそこでありますから、そういう状況になったときには、佐賀県としても、県警本部長としてもしっかりと事実を県民に伝えるということはぜひやってほしいというふうに思いますので、このことについては、公判はまだこれからですので、要望ということに代えさせていただきたいと思いますが、知事にはその再質問をよろしくお願いいたします。 12 ◎山口知事 登壇=中倉議員の再質問にお答えいたします。  新幹線に関して再度お尋ねがございました。  分かりやすく答弁するために、短期的な視点と長期的な構想と分けてお話しさせていただきたいと思いますが、まず今、例えば、いついつまでに返事をくれとか、そういう打開策をというふうな話があります。  我々は提案する立場にないというふうに申し上げているのは、様々なこれまでの経緯も含めて、我々は長い間議論しながら、在来線を使う形でのものについて合意を積み重ねてきたということですので、今、もし仮にスーパー新幹線方式、特急を通す、それから、フリーゲージをしっかり開発していくということについては、合意する準備はもう既にありますと。その間、リレー方式をつないでいくということについてもやむを得ないと。  この三つについてはというお話を申し上げているのは、今、何かをするということであれば、この三つということ、これについてはこれまでの合意どおりやりますということです。  そして、問題は、特にフル新幹線の議論についてであります。これは、私は長期的な視点を持ってということで、今々すぐに決められる問題ではないと申し上げております。その考え方は、今、中倉議員が展開された考え方とおおむね一致するものだと思っています。  そういったものを新たにつくっていくということになりますと、じゃ、本当に駅前を通るというルートだけで、そんな短絡的に考えていいんだろうかと。もちろん空港を通るルートだって、山を通るルートだって、それはあるわけでありまして、そうした場合については、本当に多くの検討が必要。観光だって物流だって、そして今、コロナで大きく世界は変化をしています。グローバル社会がどうなっていくのかという観点もありますし、ですので、我々は未来を見据えて、創造力──創造というのは、イマジネーションしながら、それをクリエートしていく創造力といったものが大切になるのではないかということで様々な検討をしております。  そうした状況でありますので、私はこれから幅広い検討などを行って、骨太に、それこそ九州全体のことを考えれば、地域、隣県のこともあります。福岡県さんとどう考えを調整していくのか、長崎県さんともこれはあるわけでありますので、そういうとても大きな視点というものの中で佐賀県の構想、大きなこれからの在り方ということを考えることはとても価値があることだと思っているので、ずっとそれについては議論していきましょうと、それは消さないと言っているわけなんです。  ですから、そういう大きな視点と、もう一点は、これも申し上げておるように、大きな構想をつくるときには必ず小さい目というか、そこの地域地域がどうなっていくのかなというところもちゃんと見据えて検討した上で、それで、県民世論の方向性がある程度出てきて、県議会の中でもおおむね佐賀はこれでいこうじゃないかとまとまって、それなりの自信、確信に近づいたときにそういったところになっていくんだろうというふうに思いますが、それにはあまりにも今検討が足らないというふうに思うので、そこは一定しっかりと骨太の議論をさせていただこうと申し上げているわけでございます。  以上です。 13 ◎藤崎輝樹君(拍手)登壇=藤崎でございます。  令和最初の新年を迎えた今年は、十二支のサイクルが一巡して新しくなり、東京オリンピックの開催を控えるなど、日本にとって躍動の節目となるはずでした。ところが、新型コロナウイルスにより全てが一変しました。佐賀県も例外ではありません。  今年一年を振り返り、コロナ禍の影響と実情を明らかにする。そして、知事、執行部におかれては、新しき処方箋を立て、年末年始へ向けて県民の不安解消に努め、展望を描いていただきたいと切に思います。  そのための大事な十一月定例県議会開会の前日でありました。影響力のあるテレビ番組で、本県のコロナ対策に対する批判が放送されたことは本当に残念であります。  内容については、報道等で知り、驚きました。しかし、だからといって知事が反論すべきことであったとは思いません。このことがあり、改めて知事のリーダーたるゆえんを考えさせられました。  県の予算は全て県議会に提案されます。佐賀県に必要な事業と判断されたから昨年末のアリーナ予算のように覚悟を持って議会に提案されているわけであります。覚悟に勝る決断なし、名監督は教えています。ぶれずに取り組むことであります。大事なことは結果を出すことであり、ただし、批判も含め様々な意見に耳を傾け、時に甘んじて受け入れる勇気と寛容がリーダーには求められます。知事ほど孤独な仕事はそうありません。どんなに心血を注ぎ、身を削ってみても、自ら点数をつけることに意味はありません。山口県政の評価は県民が決めます。そうであればこそ、今回のような場合、批判された原因をよく分析して、今後の施策に生かす努力をすることに力を入れるべきであります。その上で、県の取組に疑問を持たれた県民に対して説明責任を果たすことであります。  そのような観点から、初めに新型コロナウイルス感染症対策について質問をいたします。  佐賀新聞社の県民世論調査によれば、新型コロナウイルス対策について、実に九割もの県民が知事を評価しております。これは総じて医療体制を整え、感染拡大を防止する県の取組が成果を出しているからにほかならないと受け止めています。知事のリーダーシップの下、結果が全ての危機管理において、県担当部局、関係機関、とりわけ保健、医療の現場の皆さんに県民は感謝をしております。  しかし、全国的には第三波の感染者数増加に危機感が大変高まっております。医療提供体制に支障が出るステージ3、医療提供体制が機能不全に陥るステージ4、これら感染急増爆発が現実味を帯びてきている東京都、大阪府、北海道などの感染拡大地域では、確保できる病床数に占める重症者患者の使用率が上昇していて、医療従事者の不足から医療現場が深刻な状況にあると聞きます。  そこで、感染拡大を防止するために飲食店への時短営業や休業の要請が行われ、観光支援「GoToトラベル」は、札幌市、大阪市からの出発も含めて一時除外となっております。コロナ感染状況を判断して対応するために国は医療提供体制等の負荷や感染の状況など、六項目の指標を踏まえた四つのステージごとに講ずべき施策を示しております。他県ではこの分類に応じて対応しているところでありますが、佐賀県においては「支え愛(合い)活動局面」、「巣ごもり局面」ということを明確にすることで、県民に取るべき行動を示しております。  現在、県内の感染状況は心配ないとまでは言い切れませんが、「支え愛(合い)活動局面」、そして経済活動が行われております。このまま緩やかながらも県内経済が回復に向かってくれればと願っておりますが、県内でも感染が拡大しないか、また拡大の程度によっては「巣ごもり局面」への切替えもあるのではと心配しております。  感染拡大防止と経済活動の相反する二兎を追うのは困難を極めます。それでも県民世論調査で明らかなように、医療、福祉と景気、雇用の対策に力を入れてほしいと県民は考えています。  この期待に応えるため、県は今議会分も含めて八回にわたるコロナ対応の予算編成を行っております。総額で約千三百五十一億六千二百万円、時間に追われ走りながらの予算編成であったろうと執行部の奮闘には敬意を表します。しっかりと取り組まれていることは予算からも見て取れます。しかし、大事なことは予算を執行した後の成果であります。冒頭述べた厳しい指摘もさることながら、取り組まれた事業を振り返り、検証を行い、新年度予算に生かしていただきたいと思います。  とりわけ注目を集めている国の地方創生臨時交付金の活用内容については、全国的に疑問の声が上がっていることから、事業化の経緯を含め、広く知っていただくことも大事と考えます。  そもそもこのような批判が全国的に見られる理由の一つは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の制度にあるのではないかと考えます。  令和二年度に創設されたこの臨時交付金は、新型コロナウイルス感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し、地方創生を図るため創設された交付金であります。また、自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、各自治体の判断により感染症対策等に自由に使うことができる仕組みとなっております。  このため、感染防止対策と経済活動支援、そして新しい生活様式の取組を通じて地方創生を実現しようと、二兎どころか三匹のウサギを追える制度と言えます。地方にとって大変ありがたい交付金でありますが、新型コロナウイルス感染症対応という割には、使える範囲も広過ぎるため、本来の目的が分かりづらい事業も多く、財政の厳しい自治体が予算獲得に動くのも十分想定できます。  それだけにコロナ禍の影響に思いをいたすのであれば、なおさら困っているところに直接支援が届く交付基準が国において必要でありました。  そこで、次の点について伺います。  新型コロナ対策に関する県民世論調査では、八七・四%が評価しておりますが、改めて新型コロナウイルス感染症対策への佐賀県の姿勢と取組について知事の見解を求めます。  そして、「誓いの鐘」の制作費などにコロナ交付金を使うことに疑問を呈したテレビ番組を通して、意図せず注目を集めた地方創生臨時交付金の活用については、なぜこの時期に、なぜこの事業なのかを県民が今疑問に感じていると思います。県民に対して丁寧な説明が必要と考えますが、地方創生臨時交付金の活用について知事の所見を伺います。  そして、「巣ごもり局面」への切替えの考え方についてであります。  今後、県内での感染が拡大した場合、現在の「支え愛(合い)活動局面」から「巣ごもり局面」へ切り替えざるを得ない事態も想定しておかなければなりません。外出自粛や営業時間短縮の要請などを伴う、社会経済に大きく影響する「巣ごもり局面」への切替えについて、知事の考えを伺います。  第二問目は、SAGAアリーナについてであります。  昨年十一月議会を思い起こせば、SAGAサンライズパークのアリーナ新築等六十五億円の増額補正に対する県議会の議決に多くの関心が寄せられました。国民スポーツ大会開催まで建設工期の余裕がないこともあり、附帯決議を可決したのは今から一年前になります。  装いも新たに国民スポーツ大会と名称を変えて、若楠国体から約半世紀ぶりとなるスポーツの祭典が佐賀県で開催されることもあり、スポーツを通じて未来を描く知事の思いに県民は好感を持てました。また、昨年夏には第四十三回全国高等学校総合文化祭が佐賀県内において開催されました。若者らしいさわやかさで、芸術文化に打ち込む姿勢は感動を呼びました。  芸術文化、スポーツは私たちの暮らしにあって、生きがいとなり、時に心の平穏や豊かさ、感動をもたらしてくれます。文化芸術、スポーツの振興は、社会の健全性を表すバロメーターとも言えるのではないでしょうか。そうであればこそ、芸術文化、スポーツに触れる機会を増やすため、池田学展、岡田三郎助アトリエ移設、佐賀県伝承芸能祭、SAGAスポーツピラミッド構想など、県は人と人とがつながる交流の促進に力を入れてまいりました。その交流の一大拠点としてSAGAサンライズパークがアリーナを中核として建設整備されています。総事業費約五百四十億円、SAGAサンライズパーク、とりわけSAGAアリーナの成否は、山口県政の真価が問われると言ってもよい一大事業であります。それだけに議会も集中的な議論を行いました。「さが躍動」の象徴となるアリーナ建設へ向けて増額補正を提案された折の激しい議論は皆さん記憶に新しいと思います。  そして、今年二月、建設を請け負う共同企業体も決定して、いよいよ着工へ動き始めた矢先でありました。未知のウイルスによる大きな不安が社会全体を覆いました。感染防止を日々意識しなければなりません。マスク姿で出かけることに違和感を覚えず、店舗入り口では手を消毒するなど、新しい生活様式に私たちは移行しています。これまで気にすることなく見過ごされてきた多くの習慣に変化がもたらされました。
     そして、感染防止の取組は意図せず人と人との交流を妨げ、文化芸術、スポーツの振興にも陰りが差しました。このような状況がいつ改善するのか分かりませんが、コンサートなどイベントの誘致はもともと福岡県側と競合するため、人口規模などからしても厳しいと思われています。県はアリーナ利用が想定されるイベント関係者などの民間事業者に対し、二〇一八年にニーズ調査を行い、それを基に現在の利用想定を計画されたと聞きますが、調査時期のコロナ禍前後では全く違った利用想定になるのではないかと考えています。  八千四百席を有する大規模施設は二〇二三年にオープンすることが確定しているものの、いまだ平穏な日常さえ見通せないままにアリーナを整備していくことには一抹の不安がよぎります。  一方で、SAGAサンライズパークの管理運営を担う指定管理者に株式会社SAGAサンシャインフォレストが決定しており、アリーナオープンへ向けて活動をしておられます。魅力的なイベントを行い、多くの方の交流の場として地域のにぎわいにつなげていただきたいと思います。そのための準備も必要ですが、整備が進むにつれて、周辺環境を含め、課題について、より実感が湧いてまいりました。  佐賀駅からアリーナまで歩くことを想定しておりますが、イベント開催時の天候やタイミングによっては決して広くない佐賀駅の混雑は大変なことになると思います。パーク全体の経済効果についても完成後十年間で千二百八十三億円と試算しておられますが、県外から訪れた人たちを受け入れる宿泊施設、買物、飲食店が少ないなどの課題もあります。  そこで、次の点について伺います。  民間事業者に対するニーズ調査についてでありますが、現在の利用想定の基となっている二〇一八年に行ったニーズ調査について、どのような調査結果であったのか改めて伺います。  コロナ禍はオンラインイベントへのシフトを加速させるなど、今後のアリーナ利活用に大きな影響を与えると思います。また、新たな課題を整理する必要もあると思いますが、コロナ禍の影響をどう見ているのか伺います。  経済効果を地域に波及させるための宿泊施設や買物、飲食店などの充実強化など、課題はたくさんあります。アリーナの来場者を地域のにぎわいづくりにつなげるため、どのように取り組むのか伺います。  コロナ禍におけるがん検診の受診促進について質問をいたします。  医療における県民の関心は新型コロナに集中していて、やはりそうならざるを得ません。それでもコロナ禍であろうと、がん検診はとても重要なことであります。当然ですが、がん対策に早期発見・早期治療が欠かせないことも県民はよく理解をしております。それにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大による検診の受診控えや、今年四月に政府の緊急事態宣言を踏まえた中止や延期などの対応を厚生労働省から要請されたこともあり、県内におけるがん検診受診者数の減少が危惧されています。  県内市町のがん検診のうち、今年四月から九月に公益財団法人佐賀県健康づくり財団が受託して実施したがん検診の受診者数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、例年と比べて大幅に減少しております。  胃がん、肺がん、乳がん、大腸がん、子宮頸がんの五つのがんの検診受診者数は、令和元年度一年間の約二五%から三六%にとどまっていると聞きます。がん検診の受診機会を逃せば、がんの発見が遅れ、その後の治療や生活にも影響が出てくると考えます。  がん対策は県政の重要課題の一つであり、コロナ禍においても県民の命や生活を守るため、がん検診の受診促進を図っていかなければなりません。  そこで、次の点について伺います。  今年度の市町が実施するがん検診の受診状況はどのようになっているのか。また、新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大している中、がん検診の受診促進に県はどのように取り組んでいくのか伺います。  コロナ禍における県内の雇用情勢についてであります。  県内の雇用情勢は、雇用調整助成金の特例措置や様々な経済対策の効果もあり、十月の有効求人倍率は一・〇四倍と一倍を超える水準を維持しています。  その一方で、厚生労働省による全国のハローワークに寄せられた解雇や雇い止めの相談等の取りまとめでは、新型コロナウイルス感染症の影響が原因と見られる県内の解雇や雇い止めの見込み数は、五月から十一月二十七日までの累計で六百六十五人に達していると聞きます。  また、佐賀労働局が公表した、来年春の令和三年三月の新規高卒者に対する求人の状況は、十月末時点で求人数は三千六百四十二人と、対前年同期と比べて一九・三%減少し、求人倍率は一・七倍と、前年同月と比較して〇・〇八ポイントの減少となっています。  こうした状況から、コロナ禍の影響が長引き、経済の回復が見通せない中、雇用環境についても、厳しい状況がしばらく続くのではないかと不安に思われる方も多いと考えます。  さきの六月議会では雇用情勢に関して産業労働部長から、全体としては雇用の維持が図られているのではないかとの認識が示され、佐賀労働局をはじめ、関係機関としっかり連携して事業の継続と雇用の維持が図られるよう支援に取り組むとの答弁がありました。  その後、約半年が経過して、国においては、現在の雇用情勢を踏まえ、十二月までとしていた雇用調整助成金等の特例措置を令和三年二月末まで延長されました。県においても、その時々の雇用情勢をしっかりと注視し、適宜必要な対策を講じていただきたいと考えます。  そこで、次の点について伺います。  県は、現在の雇用情勢をどのように受け止めているのか。また、雇用への不安が続く中、県としてどのように取り組んでいくのか答弁を求めます。  国の高収益作物次期作支援交付金の運用見直しについて質問をいたします。  新型コロナウイルスの感染拡大に伴うインバウンドの減少やイベントの中止、飲食店などの休業等により、農作物の需要が減少し、一部の品目では価格が下落するなど、生産農家の経営に大きな支障が生じています。  こうした中、国においては、新型コロナウイルス感染症の発生により売上げが減少するなどの影響を受けた野菜や花卉、果樹や茶などの高収益作物について、次期作に前向きに取り組む生産者を支援するため、令和二年度補正予算により、高収益作物次期作支援交付金が創設されました。  この交付金は、施設花卉であれば十アール当たり八十万円、施設果樹は二十五万円、その他の露地野菜などは五万円を作付面積に応じて支援する内容となっておりました。農業を取り巻く環境が厳しい中、生産者にとって意欲の出る次期作支援として期待をいたしました。  それが十月に突然、国において交付金の運用を変更して、交付対象を売上げが減少した品目に限定したり、交付額を前年産からの減収額までとする上限を設定するなど、交付金の取扱いを大きく見直されました。このことにより、支援の対象とならない生産者や、交付額が当初見込みよりも大幅に減額される生産者が数多く出ることとなり、現場は戸惑い、大混乱いたしました。  その後、国では、次期作に向けて機械、施設の整備や資材等の購入などを既に行った生産者に対する追加の支援措置が打ち出されたものの、多くの生産者からは、交付額の減額に落胆をした、追加の支援措置の内容がよく分からないなどの不満の声を聞きました。  この交付金は国の制度でありますが、次期作に前向きに取り組む生産者を支援する交付金として現場の期待も高かっただけに、落胆もされています。県としてもこうした生産者に寄り添って、運用見直しにしっかり対応していただきたいと考えます。  そこで、次の点を伺います。  運用見直しの背景と影響についてであります。  現場では、当初の要件に沿って準備をして国へ申請していた中での、突然の大幅な運用見直しとなりました。一体どのような背景で見直しが行われたのか。また、見直しによる影響は大きいと思いますが、どのように把握されているのか伺います。  最後に、今回の見直しに伴い、県としてはどう対処されてきたのか。また、今後どのように対応していくのか答弁を求めまして、以上、一般質問といたします。(拍手) 14 ◎山口知事 登壇=藤崎輝樹議員の御質問にお答えいたします。  私からは、佐賀県のコロナ対策につきまして、県の姿勢、取組について答弁申し上げます。  まず、姿勢でございますけれども、佐賀県では、三月に初めて感染者が確認されて以降、徹底した感染拡大防止対策、社会経済活動の維持回復に向けた事業者や生産者への支援を行ってまいりました。  感染の広がりが抑えられておりますのも、最前線で働く医療関係者、そして関係者の皆様、県民の皆様、一丸となって対策に取り組んできたからこそだと思います。改めて感謝申し上げたいと思います。何とか今の現状をしっかりと維持できるように、都市部の急増地域とかを見ると、予断を許せませんけれども、一日一日、丁寧に対応していきたいと思います。  我々は、これまでコロナ対策には大事にしてきた姿勢が二つあります。  まずは、現場に根差した対応をしていこうというものです。全国的にコロナがあるわけですけれども、四十七都道府県において状況は異なりますし、そうしたものをしっかりと都道府県が、そして知事が受け止めて、自分たちならではの考え方で県民に向かって発信するということが大事だと思っています。そうしたことをこれからも貫いていきたいと思います。  もう一つは、オープンで分かりやすい情報発信ということで、これは再三御指摘いただいているように、今日、藤崎議員からも御指摘いただいたように、県民の皆さん方に知っていただくということが何よりも大事なので、我々、会議は公開でオープンにやっているということなんだけれども、それだけではなくて、もっと積極的に知っていただく工夫が必要なのではないかという県議会の様々な御意見については、謙虚に耳を傾けていきたいと思っております。県民とのキャッチボールを心がけてまいりたいと思います。  コロナ対策の具体的な取組でございますけれども、三つの柱で取り組んでおりますが、まずは感染者を守るということであります。これは再三申し上げている佐賀方式ということでありまして、先手先手が合い言葉でございます。検査を国の基準の五・六倍の検査数で行うこと、そして、陽性者の方は入院、ホテルで療養していただくということで、いまだ佐賀県は自宅療養者ゼロでございます。やはり病床が逼迫するというのがみんな一番危惧するわけで、我々は、いち早くホテルを一棟借りしていて、それなりに大きなお金になるんですけれども、それでもやはりあそこにしっかりと入っていただくということが防波堤になるわけでありまして、これは必要な金額なんだろうと私は思っています。  そして、検査をしていくということに併せて病床確保の中で「プロジェクトM」というものをやっておりまして、症状に合わせたオペレーション、軽くなった方は軽いほうに、重くなった方は重いほうにというオペレーションを引き続き実施させていただいております。これにつきましても、佐賀県の医療関係者の皆さん方がとても連携をされております。大変誇りに思っております。こちらのほうも維持していきたいと思います。  そして、二番目の医療現場を守るでありますが、医療現場を守ることが生命線だという強い意識で対応したいと思います。慰労金でどうだと、それで十分だとは思っていないんですけれども、佐賀県の給付は本当に気持ちを少なくとも届けたいということでありまして、薬剤師さんも県単独で慰労金を出すことにさせていただきました。介護施設も障害者福祉施設も慰労金を出しております。そのほか、空床補償ですとか、医療資機材確保ですとか、それぞれの施設で感染防止対策への支援もさせていただいていて、例えば、感染症の先生に各介護施設についてチェックをしていただくような、そういうような巡回をしていただいたりするのも我々の特徴だと思っています。  そして、三つ目として経済を守るということでありまして、これまで七次にわたりまして、社会経済活動の維持回復に向けた予算も編成させていただいております。LiveS Beyondというのは、文化系の皆さん方はライブをやる機会を全く失われたということで、佐賀県は「佐賀さいこうフェス」ですとか、伝承芸能祭、ある程度思い切ってというか、開催させていただいて、あのときに本当にアーティストの皆さん方が、普通に参加できる喜びというのを多く語っていたのが印象的でありまして、このLiveS Beyondなどで何とか前を向いて行けているという声を私も直接伺ったところであります。  県では、慈しみ合う佐賀、支え合う佐賀という思いを大事にしてまいりました。決して誹謗中傷などは行わないでほしいと訴え続けてまいりました。誹謗中傷は本当に人を傷つけ、社会を痛めます。そして、それは分断を生むわけでありまして、私は誹謗中傷の対極にあるのがエールを送り合うことだと思います。様々なことに対してエールを送り合えるような佐賀県でありたいと思います。  そして、県民、医療関係者全員の努力で今頑張って抑え込んでいるわけですけれども、都市部との決定的な違いでありますマンツーマンディフェンスがやれているという佐賀県方式、これをみんなの力で実現していきたいと思います。  正直言って、先は読めません。しかし、一日一日を大切に、しっかりと急増しないような形で、医療資源に負担をかけないような形で、全力でガードしていきたいと思っております。  本当に今、佐賀県民の皆さん方は苦しんでいます。様々な立場でつらい状況にあるわけでありまして、そうした中で、どうしてもいろんな思いがほとばしるところは私もよく感じるところであります。そうした皆さん方に少しでも前を向いていただくような支援に取り組んでいきたいと思います。現場と向き合って、様々な声を聞きながら、幅広く取り組んでいきたいと思います。  県内経済は厳しい状況にありますけれども、一部には持ち直しの動きも見られております。有効求人倍率を見てまいりますと、幾らか兆しは見られるようなところもございますので、ぜひこれを広く行き渡らせていきたいと思います。  そして、県議会の皆様方におかれましては、四月補正の専決を含めまして、これまで一緒になって全力でコロナ対策に取り組んでいただきました。臨機応変に対応に当たることができたことは、改めて感謝申し上げたいと思います。  続きまして、臨時交付金についての所見でございます。  県では、これまで難しい両立に取り組んでいるわけでありますけれども、そうした取組の財源として、国では、包括支援交付金と地方創生臨時交付金と、二つのコロナ対策の交付金が大きく用意されているという認識です。  そして、本県では、この二つの交付金をこれまで三百二十億円程度活用させていただいておりますが、このうち八割に当たります約二百五十億円は、医療や介護の現場を守っていただいている方々への慰労金ですとか、医療機関の体制整備に活用しておりまして、医療を守ることを第一に考えております。  この慰労金につきましては、医療関係者、薬剤師、介護施設従事者や障害者福祉施設従事者など約九万人を対象に順次支給をしております。先日も、介護施設に清掃で入っている会社の社長さんから、我々は、これは十二月に支給することにしているという声も聞かれました。順次でありますので、まだだよという声もあるかと思います。いずれ皆さん方に届くものと思います。  続きまして、地方創生臨時交付金ですけれども、こちらのほうは、国が示す、例えば、経済活動の回復だとか、強靱な経済構造の構築とか、いろいろメニュー化されているようですが、そうしたものに該当すれば、原則として使途には制限がない、自由度が高い交付金であります。非常に自治体も痛んでいるだろうから、その中で創意工夫して頑張りなさいみたいな交付金かなと我々は認識しております。  県としては、感染拡大防止や社会経済活動の維持回復に向けた事業に最優先で取り組んでいることと併せまして、ウイズコロナ、アフターコロナの未来を見据えた取組についても、構想力を持ってチャレンジさせていただいております。  続きまして、「巣ごもり局面」への切替えの考え方についてお答え申し上げます。  まず、国が示す感染状況で、昨今、ステージ3と4と急増地域で議論がされますけど、私の考え方としますと、今の佐賀県はステージ2の心配をしつつも、ステージ1にあると思っています。このステージ1の中には特段の支障がないとか、いろいろ書いてあるものですから、そんなことはないやと思うので、1と言い切れないところがあるんですけれども、やはり2というものをしっかり意識しながら抑え込んでいくということが必要だろうと思っています。  それから、様々な知事が独自の基準で県独自の数値目標とか、数値でステージを表したりされているんですけれども、私はそういうことをするつもりはないんです。というのは、僕らは今、三百十件程度、全部一つ一つ丁寧にやっていて、我々の蓄積というものがとても大きいものだと思っているので、数字だけで判断するというのはゾーンディフェンスだと思います。なので、説明ができなくなると、数字でここに入っているんだよと。でも実際、世間で起きている実相というのは、一つ一つが個々の固まりなのであって、それを数字の中だけで判断していくというのは、私は誤りを犯すリスクがあるんではないのかなと思っております。ですので、我々は感染状況、そして、現場の実情を把握した上で、「支え愛」と「巣ごもり」の局面の判断をさせていただきたいと思います。  これまでの蓄積で申し上げますと、実際クラスターが発生して、一個一個やっているんですけれども、ちょっと数が多くなって、箇所が多くなって追えないなという、あっ、大丈夫かなというリスクがある局面が出てきます。そうしたときは、実施には至りませんでしたけれども、ちょっと場所を区切ってやる検討とか、いろんなことをぎりぎりのところで判断してきたところも正直ありました。  これまでは何とかそれで対応できて、みんなほっとして、また次頑張るということであったわけですけれども、そういう経験値を踏まえる必要があると思いますし、例えば、数字だけだと、十という数字が出てきたとしても、僕らが大事にしているのは、既陽性接触者といいますけれども、既に陽性が判明している人の周りを、我々は念のため検査でPCR検査を大きくかけますから、そこで出ることが最近増えてきました。ですので、追えている中での数が出てくるというところと、全く違う十件が新規に出てきて、それぞれどこから来たんだろうかというようなときというのは、同じ十でも我々にとっての受け止めが全く違う。次への対策も違うわけでありまして、そういった意味からしても数字だけでは判断できないので、そういった説明を我々がしっかりやっていくということが佐賀としては大事かなと思っております。  そして、やはり病床の逼迫具合など医療提供に関する数値については、十分注視しながら医療現場を守っていきたいと思います。  そして、今後、予断を許さないわけですけれども、いよいよ「巣ごもり局面」へ切り替えるというときについては、そういう状況について素直につまびらかに対策本部会議で明示して、影響が最小限に抑えられるように努力をしていきたいと思っています。  感染防止対策は、県民との共同作業になります。都市部の情報に惑わされることなく、これからも県民の皆さんにしっかりと情報を届け、キャッチボールをしながら、感染症に立ち向かっていきたいと考えています。 15 ◎大川内健康福祉部長 登壇=私からは、コロナ禍におけるがん検診の受診促進についてお答えをいたします。  まず、がん検診の受診状況でございます。  市町が実施しております胃、大腸、肺、乳、子宮、この五つのがん検診について、四月から九月までの延べ受診者数を見ますと、集団検診と医療機関で実施されている個別検診、これを合わせて昨年度は十一万一千五百七十六人でございました。これに対し、今年度は五万五千三百四十三人となっておりまして、昨年度の約半数、四九・六%にとどまっている状況にございます。  このうち、四月から七月までの延べ受診者数は、昨年度の三割程度でございます。一方、八月、九月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が少し落ち着いてきたこともございまして、昨年度並みの水準には戻っております。ただ、一年を通すと、例年よりも受診率は下がるというふうに見ております。  次に、受診促進に向けました今後の取組でございます。  がんの発見の遅れや、がんの進行を防ぐために、定期的ながん検診の受診が重要であることを県民の皆様にしっかりと理解していただくことは大変重要でございます。  そのため、定例記者会見の場を活用した知事からの呼びかけや、県民だより、あるいは新聞、SNSなど様々な媒体による情報発信のほか、イベント会場での啓発などによりまして、コロナ禍においても定期的にがん検診を受診していただくよう、県民の皆様への働きかけを行ってきているところでございます。  市町においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止や延期となった集団検診の代替日の確保に努められております。  これによりまして、年度当初に予定されていた全市町におけます一年間の検診延べ開催日数、これは市町数掛けるの部位数でございますが、この検診延べ開催日数の約九割の日数が確保されておりまして、現在、順次実施をされております。  今後、十二月以降について見ますと、年度当初の計画では市町の検診延べ開催日数は約百六十日の予定でございましたが、代替日の確保によりまして、当初計画の三倍を超えます約五百日の開催が予定をされております。  また、市町においては、検診会場におけます感染防止策といたしまして、会場での手指消毒やマスク着用の徹底などのほか、受付時間の分散化、あるいは検診時間の延長、さらには屋外テントの設営、こういった密を避ける工夫などを行われておりまして、また、個別検診においても、各医療機関において感染防止策が強化をされております。  今年度もあと四か月となりましたが、引き続き県民の皆様にがん検診の重要性をしっかりと周知するとともに、検診会場においては安心して受診できる環境が整備されている、こういったことも伝えることによりまして、市町と一緒になって受診を呼びかけてまいります。  以上、お答えいたします。 16 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、コロナ禍における県内の雇用情勢について二点お答えをいたします。  まず、現在の雇用情勢についてでございます。  本県の雇用情勢につきまして、有効求人倍率を見ますと、昨年十二月までは一・二倍台の後半で推移しておりましたけれども、今年になりまして一月から六か月連続で低下し、六月には一・〇一倍まで低下いたしました。それから、六月以降は一・〇倍台の前半で推移し、直近の十月では、議員からも御紹介がございましたが、前月よりも〇・〇二ポイント上昇し、一・〇四倍となっております。  次に、離職者の状況を雇用保険の受給資格決定件数で見ますと、八月以降、各月で前年同月より増となっており、直近の十月は百二人の増となっております。  一方、雇用されている人の数、雇用者数を雇用保険の被保険者数で見ますと、こちらも各月で前年同月より増となっておりまして、直近の十月は千十五人の増となっているところでございます。  このようなことから、県内ではこれまでのところ、失業者が大幅に増加しているという状況にはなく、例えば、国の持続化給付金ですとか、累計で八千件を超える支給決定がなされた雇用調整助成金、そして、本県が全国に先駆けて創設をした三年間の全額利子補給を行う融資制度、こういった支援策を活用されるなどによりまして、事業者の皆様の懸命な御努力により、全体としては雇用の維持が図られているというふうに認識をしております。  今後につきましては、現在、都市部を中心に新型コロナウイルス感染症の感染が拡大していることですとか、雇用調整助成金の特例措置が来年二月末までは延長されるというふうにされましたけれども、その後は休業者数、失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、段階的に縮減を行っていくというふうにされていることなどから、引き続き緊張感を持って雇用情勢を注視していく必要があるというふうに考えております。  次に、今後の取組についてお答えいたします。  県といたしましては、引き続き企業の事業継続と雇用維持のための支援にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。  事業継続につきましては、新型コロナウイルス感染症対策資金による資金繰りの支援ですとか、今議会に予算案を提案させていただいております、いわゆる三密の回避や、非対面型、非接触型の接客のための設備整備等を支援する「ウイズコロナ対策支援事業」など企業の事業継続を支える取組を行ってまいりたいと考えております。  また、雇用につきましては、引き続き佐賀労働局など関係機関と連携いたしますとともに、ただいま申し上げましたような支援策などを活用し、企業内での雇用維持が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。  その上で、長引くコロナ禍の中にありまして、企業内での雇用維持に不安を持たれる企業があります一方、人手不足で人材を確保したいといった企業もありますことから、在籍出向や転籍といった失業なき労働移動を支援することにより雇用の維持を図っていくことも重要になってきているというふうに考えております。  こうしたことから、先月二十五日に、県、佐賀労働局及び企業間での在籍出向や転籍を支援する公益財団法人産業雇用安定センター佐賀事務所、この三者で連携協定を締結いたしまして、在籍出向等の失業なき労働移動支援に関する情報発信ですとか、ハローワークにおける相談窓口の開設、また、受入れ企業の丁寧な掘り起こしとマッチングなどに連携して取り組むこととしたところでございます。  今後とも、雇用動向を注視いたしますとともに、企業や経済団体など現場の声をしっかりと聞き、状況に応じて必要な対策を行い、事業の継続と雇用の維持を図ってまいりたいと考えております。  以上、お答えいたします。 17 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、国の高収益作物次期作支援交付金の運用見直しについてお答えをいたします。  まず、運用見直しの背景とその影響について申し上げます。  国の高収益作物次期作支援交付金の見直しに関する資料によりますと、交付金の創設当時は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けられた農家が、営農を断念することなく次期作に前向きに取り組めるよう、要件を簡素で弾力的にするなど、困っておられる方が申請しやすい仕組みとされていたところでございますが、その結果、申請の中には要件には該当するものの、必ずしも新型コロナウイルス感染症拡大の影響があったとは言えない申請も含まれていたこと、また、このまま交付金を支払うことになれば、影響を受けていないのに交付金が支払われているなどの批判を受けかねないことから、交付の対象を減収のあった品目に限定し、減収額を超えない範囲で交付金を支払うなどの運用見直しがなされたところでございます。  こうした運用見直しの結果、国が行った需要見込み調査によりますと、見直し前には本県から約三十三億五千万円の申請が見込まれていたものが、見直し後には直近の十一月三十日時点で約十億七千万円の申請見込みと減少するなどの影響が出ているところでございます。  次に、運用見直しに伴う県の対応について申し上げます。  議員御指摘のとおり、本交付金は、今回の運用見直しにより交付要件が大幅に変更されたこと、また、国への申請に向けた事務作業が既にかなり進んでいたことから、現場では大きな混乱が生じたところでございます。
     このため県では、市町やJA、生産者の不安が少しでも解消され、新たな事務作業ができるだけ円滑に進むよう国への要請を行ってまいりました。  具体的には、今回の運用見直しに関する本県での説明会の開催を国に申し入れ、市町やJAの関係者の方々が国に直接、質問や意見ができる場を速やかに設定したところでございます。  また、その説明会に出席された農林水産省の幹部に対しまして、次期作に向けて、既に機械や資材の購入に取り組まれている生産者が見られること、また、市町やJAから、申請に当たって追加となる事務作業が多く、締切りに間に合わないという声を多く聞くことなどの現場の実情を伝えますとともに、既に投資を行った生産者に対する救済措置や、十一月三十日とされている申請期限の延長を要請したところでございます。  また、既に先行投資を行った生産者に対する救済措置として国から追加の支援策が打ち出された際には、詳細な情報収集に努めますとともに、国と連携して、改めて市町やJA等を対象とした説明会を開催し、追加措置の迅速な周知を図ったところでございます。  十一月三十日までとされておりました申請期限は十二月二十五日まで延長されましたので、今後とも申請の進捗を確認するなどしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けられた生産者に交付金が行き渡るよう、引き続き市町やJAに対し、申請に向けた助言をしっかりと行ってまいります。  以上、お答えいたします。 18 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、SAGAアリーナにつきまして三点お答え申し上げます。  まず、民間事業者に対するニーズ調査についてでございます。  SAGAアリーナに関する民間事業者へのニーズ調査につきましては、SAGAアリーナの利用想定などを計画するため、首都圏や福岡などのイベント企画会社など十八事業者を対象に平成三十年一月から二月にかけまして聞き取り調査を実施いたしました。  その調査の中で民間事業者からは、福岡の大型イベント施設は需要が高く、土日は予約ができないことも多いと。平日に福岡で開催するよりも土日に佐賀で開催するほうが魅力的であるという声が複数ありました。  また、コンサートだけではなく、アイスショーとか展示会、おもちゃ博などの子供向けイベントや陶磁器イベント等の開催など多目的な利用が考えられるのではないかとか、さらに主催者が会場を選ぶ際、地域の魅力も重要な要素になるので、佐賀には嬉野温泉などの地域資源があることから、アーティストに対しては案内しやすいので魅力的だという意見もございました。  また、アリーナに多くの方が集まることを考えると、エントランスとかロビーが広いほうが望ましいというハード面の意見もございました。  そのような期待の声がある一方で、例えば、大都市ツアーでは芸能事務所が東京公演とか福岡公演とか、そういう開催地名を気にすることから、福岡が取れない場合には北九州を選ぶということもあるのではないかとか、「東京公演インさいたまスーパーアリーナ」とうたうこともありますことから、佐賀においては「福岡公演インSAGAアリーナ」といった開催もあるのではないかという声もございました。  こうしたソフト、ハード両面での様々なヒアリング結果を参考にいたしまして、アリーナの利用想定を行うとともに、施設計画に反映いたしまして、SAGAアリーナの整備や指定管理者の選定を進めてきたところでございます。  次に、コロナ禍におけるアリーナ利活用の影響について御質問がございました。  コロナ禍におきまして、コンサートなどエンターテインメント業界への影響につきましては、SAGAアリーナの指定管理者の中に業界最大手のイベント企画会社が入っていることから、指定管理者との意見交換の中で様々な情報を得ておりまして、関係業界におきましては、このコロナ禍の中にあっては、ウイズコロナ、アフターコロナにどう対応していくのかという様々な取組を模索されているものと認識しております。  例えば、音楽ライブとかコンサートにつきましては、当初は公演が中止になったり延期が続きましたが、最近では実際のアリーナを会場とした無観客ライブのオンライン配信とか、入場客数を制限したライブとオンライン配信を同時に行うコンサートの開催など、コロナ禍の中にあって、様々な新たな取組が行われております。  このように、オンライン配信への取組が加速しておりますが、このことは一方では新たなファン獲得のチャンスでもございまして、コロナ収束後に実際にライブへ来ていただく呼び水にもなるのではないかという見方もあると聞いております。  また、展示会とかイベント等につきましては、現時点においては、ファミリー向けのイベントの再開はまだ少ないというふうに聞いておりますが、ビジネス展示会とかは感染予防を徹底いたしまして少しずつ再開がなされておりまして、今後の動向を注視していきたいと考えております。  新型コロナウイルスの影響が今後どのように進んでいくのか、現時点ではまだ見通せない状況が続いておりますが、SAGAアリーナのオープンまで約二年余りとなりました。コロナの動向を注視しつつ、県としては業界の動きを的確に捉まえまして、指定管理者と力を合わせて各種イベント主催者への働きかけとか関係構築などに取り組んで、従来型のコンサートやイベントのみならず、ウイズコロナ、アフターコロナに対応した新しい形態でのコンサートやイベントにも対応できるように準備を進めてまいりたいと考えております。  最後に、アリーナの来場者を地域のにぎわいづくりにつなげる取組についてお尋ねがございました。  議員御指摘のとおり、SAGAアリーナに来場された方々の交流の効果を最大限に拡大し、消費活動をはじめ、様々な地域のにぎわいづくりにつなげていくことが最も重要であると考えております。  プロスポーツの試合やコンサートなどのイベント開催時には、イベント前後のわくわく感とか高揚感が購買意欲を高めまして、飲食などの消費活動にもつながっていくと考えております。そのためには、アリーナ周辺を楽しみながら回遊していただくような取組が重要だと思っております。  そのようなことから、まずは佐賀駅とSAGAアリーナをつなぐ市道三溝線を楽しく歩いて来場いただくための工夫を行いまして、それについて佐賀市との連携会議とか、「SAGAアリーナ×歩く」と題した、県や佐賀市の若手職員を中心としたワーキングなどにおきまして、これまで意見交換を重ねてまいりました。  その中で、例えば、アリーナイベントに合わせてのオープンエアを楽しめるようなマルシェの開催とか、子供を含めまして家族連れでも楽しめるような町なかイベントの開催など様々な意見がありまして、来場者が楽しみながら消費活動につながるような様々な仕掛けを検討しているところでございます。  また、これまで実施されている町なかイベントなどとアリーナイベントを結びつけて同日に開催するなど、点から面に広げていくことで回遊性を高めていく効果もあるというふうに考えておりまして、このような取組によりまして、地域のにぎわいづくりについて様々な相乗効果が生み出せるように検討していきたいと考えております。  さらに、イベント時はもちろんのこと、日常的にもスポーツをする人とか、新たに設置するテナントゾーンの飲食店に来場される方など、アリーナ周辺でそれぞれの人がそれぞれのスタイルで楽しめるような心地よい空間として整備していきたいと考えておりまして、サンライズパークを核としたエリア一帯が、日常的にも人々が集い楽しめるようなエリアとなりますように取り組んでまいりたいと考えております。  今後とも、佐賀市や指定管理者などと連携し、様々な関係者を巻き込みながら、交流の効果が地元佐賀市はもとより、県内全域へと広域的に拡大していきますように、オール佐賀でしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 19 ◎藤崎輝樹君 登壇=再質問させていただきます。もう時間ですので、端的にお尋ねをいたします。  地方創生臨時交付金の活用についてであります。  「誓いの鐘」等について、今、大変反響があり、いろんな声が各議員の下にも届いているかと思います。知事も恐らく今回提案するに当たって、こういった反応が出てくるというのは想定されていなかったんではないかなというふうに私は思っておりますけれども、やはり政策を前に進めていくためには県民の協力というものが必要でありますし、また、そうでなければ意味をなさないというふうに考えております。  そういった意味で、一点、今回提案されました各事業について、こういった反応が出ていることについて、まず、どういうふうに受け止めてあるのか。  二点目に、大変大きな厳しい意見も聞いております。そういった声に対して、もちろん議会でこれから一般質問、委員会、ここでまさに議論を交わしていくわけでありますけれども、知事としてどういうふうに県民に対して説明責任を、議会にもになりますけれども、どういうふうな形で果たしていきたいというふうに、今後の対応についてどういうふうに考えているのか、二点お尋ねをしておきたいと思います。 20 ◎山口知事 登壇=藤崎議員の再質問にお答えいたします。  私は今回、このように様々な皆さんが関心を持っていただいて、佐賀県がこの予算を使ってどういうことを考えているのかということに関心を持っていただいたということは、ある部分ありがたいことだと思っています。だからこそ、しっかり私も説明責任を果たしていきたいと思いますし、私もコロナ対策をずっとやっていく中で、信念を持って提案した事業であります。それを県議会の中でしっかりと議論していただくということについて、ぜひ関心を持っていただきたいと思っています。  その上で大事なのは、県民の皆さん方がどうお考えになっていくのかということが佐賀県の事業に魂を入れることにもなりますので、そこにしっかりと私も着目して、しっかり努力を積み重ねていきたいと思いますし、コロナ対策には何があっても、ここについてはチーム佐賀、オール佐賀、みんなの力の協力によってしっかりと戦っていきたいと思いますので、そういったところをしっかりと心がけて努力を積み重ねていきたいと考えております。 21 ◎議長(桃崎峰人君) 暫時休憩します。     午後零時二十分 休憩 令和二年十二月二日(水) 午後一時二十一分 開議  出席議員    三十五名     一番  一ノ瀬 裕 子     一五番  古 賀 陽 三     二九番  徳 光 清 孝     二番  古 賀 和 浩     一六番  川 崎 常 博     三〇番  中 倉 政 義     三番  下 田   寛     一七番  定 松 一 生     三一番  石 井 秀 夫     四番  古 川 裕 紀     一八番  八 谷 克 幸     三四番  木 原 奉 文     五番  中 村 圭 一     一九番  江 口 善 紀     三五番  藤 木 卓一郎     六番  冨 田 幸 樹     二〇番  藤 崎 輝 樹     三六番  石 倉 秀 郷     七番  弘 川 貴 紀     二一番  向 門 慶 人     三八番  土 井 敏 行     八番  井 上 祐 輔     二二番  坂 口 祐 樹     九番  木 村 雄 一     二三番  宮 原 真 一    一〇番  中 本 正 一     二四番  原 田 寿 雄    一一番  野 田 勝 人     二五番  岡 口 重 文    一二番  西久保 弘 克     二六番  大 場 芳 博    一三番  池 田 正 恭     二七番  武 藤 明 美    一四番  井 上 常 憲     二八番  稲 富 正 敏 欠席議員    二名    三二番  留 守 茂 幸    三七番  桃 崎 峰 人 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   脇  山  行  人          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       大川内   直  人          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    杉  内  由美子          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       横  尾  重  信          議事課副課長       花  島  良  直          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同    議事担当主査  池  田  陽  介     ○ 開     議 22 ◎副議長(岡口重文君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き一般質問を行います。 23 ◎中本正一君(拍手)登壇=皆さんこんにちは。公明党の中本正一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今回、県政が抱える諸課題につきまして、大きく五項目について質問をさせていただきます。執行部の皆様には明快かつ前向きな答弁をいただきますようよろしくお願いをいたします。  それでは大きな項目の一つ目として、新型コロナウイルス感染症対策について質問をいたします。
     新型コロナウイルスの国内の感染者数は、十一月に入り、一日の感染者数が過去最多を更新するなど、都市部を中心に急増しています。七月初旬から東京を主な起点として拡大した感染の第二波では、八月七日に千六百五人とピークを迎え、その後減少に転じ、五百人前後で落ち着いていましたが、十一月に入り、急激に拡大し、十一月二十八日には二千六百七十四人となり、既に第二波のピークを大きく上回っています。また、国内の重症者数も十一月三十日には四百九十三人となり、わずか一月で三倍に増加をしたことになります。特に北海道、東京、愛知、大阪の四都道府県では、飲食店等に対し時短営業や休業の要請が行われており、政府も爆発的感染拡大を表すステージ4となれば、緊急事態宣言が視野に入るとして緊迫度が増しているところであります。  本県においては、初めての感染者が確認された三月以降、県と医療関係者との連携の下、佐賀方式と言われる検査体制や医療体制等の充実が図られ、徹底的に封じ込めが行われてきたところであります。  十一月上旬に県では初めてとなる高齢者福祉施設でのクラスターや、福岡市の専修学校でのクラスター関連の感染が確認されたものの、そこから感染拡大は防ぐことができており、現時点では落ち着いている状況にあるとしています。  しかし、隣県の福岡県では十一月二十六日から二十八日にかけ、一日五十件を超える感染者が出ており、またこれから本格的な冬が到来し、新型コロナと季節性インフルエンザが同時流行ともなれば、一気に状況が悪化することになります。県には引き続き関係機関との緊密な連携の下、より一層の緊張感と危機感を持って感染拡大防止に努めていただきたいと願うところであります。  さて、本県においては、新型コロナ感染症の影響を受けた事業者や生産者を守り、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るため、今回上程分も合わせ、八次にわたる予算編成を行い、様々な県独自の対策が実施されてきたものと評価するところであります。  しかし、新型コロナ感染症の影響は長期化しており、一部には持ち直しの動きがあるものの、県内経済は依然として厳しい状況にあり、業種によっては年末を前に資金繰りや事業継続に向けた不安の声も聞き及ぶところであります。  政府も感染拡大を受けて、まずは雇用調整助成金の特例措置を延長するなど、支援の継続に努める考えであり、本県においても新型コロナの感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るため、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと考えています。  そこで、次の三点についてお伺いいたします。  まず、佐賀県の感染状況に対する認識についてお伺いいたします。  山口知事は十一月定例会初日の演告において、新型コロナウイルスが全国に感染拡大する現状について、佐賀県は「現時点では落ち着いている状況にあると考えています。しかしながら、全国的には感染が拡大している地域があるなど予断を許さない状況が続いていることから、一瞬で状況が悪化することが十分にあり得るという危機意識と緊張感を持って臨んでおります。」と述べられています。  知事が述べられたように、その後も状況は刻々と変化しており、より深刻度が増してきています。政府の分科会が示した感染状況の六つの指標では、感染者数とともに、病床使用率や重症患者数、感染経路不明な者の割合が増加しており、今後どのように推移するのか懸念されるところであります。  政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「個人の努力に加えて、飲食店の営業時間の短縮、感染拡大地域とそうでない地域の行き来を控えるのは必須」、さらに「当事者意識を持って危機感を共有することが極めて重要だ」との見解を示されています。  そこで、改めて佐賀県の感染状況に対する知事の認識についてお伺いをいたします。  次に、福祉施設におけるクラスター対策についてお伺いいたします。  十一月三日に県内で初めて高齢者福祉施設でのクラスターが発生し、施設の入居者や職員など十二人の感染が確認、そのうち入院中の九十代の女性が誤嚥性肺炎で亡くなられており、コロナ関連では県内で初めての犠牲者となられました。故人に対し改めて心から御冥福をお祈りいたします。  高齢者や障害者などが入所する福祉施設でクラスターが発生すると、重篤化するリスクが高く、またエッセンシャルワーカーと呼ばれる職員の方々にも大きな負担を強いることになることから、これまでも細心の注意を図りながら施設運営が行われてきたものと考えます。  福祉施設でクラスターが発生したことを受け、県老人福祉施設協議会の会長は、「施設同士の情報交換をさらに進め、感染防止に役立てたい」と施設間の連携の必要性を強調されたと伺っております。  福祉施設においては、これまで感染防止のため、徹底した取組が行われてきたところでありますが、今回のクラスターの発生を踏まえ、福祉施設におけるクラスター対策にどのように取り組んでいく考えか、健康福祉部長にお伺いいたします。  次に、飲食・観光事業者への支援についてお伺いいたします。  新型コロナ感染症の甚大な影響を受けた飲食店は、六月に入り、客足が戻ってきたものの、七月末から八月にかけての第二波がたたり、宴会などの団体客が入らなくなることで現在でも厳しい経営環境の中で営業を続けられています。  飲食業界の皆様にとって国の「Go To Eatキャンペーン」は、年末を前に大きな期待が寄せられており、感染拡大の動向にも十分注意をしながら、飲食業を支えていく必要があるものと考えます。  また、観光業についても同様に、四月中旬に全国を対象とした緊急事態宣言による自粛要請がなされ、稼ぎどきのゴールデンウイークを中心にキャンセルが続き、開店休業状態だった事業者も多くあったと伺っています。まさに悲鳴を上げるような厳しい状況が続く中、県や市町による独自の支援策が始まり、さらに七月から始まった国の「GoToトラベルキャンペーン」の効果もあって、徐々に観光地への人の流れが戻り始め、現在では客室の平均稼働率が前年同月を上回り、年明けまで予約が埋まっている施設も多いように伺っています。  先月、直接お話を聞かせていただいた富士町古湯の旅館や太良町の観光ホテルの女将さんも、年末まで予約がいっぱいで、客足が戻りほっとしている、むしろ従業員の確保に苦労している状態で、できれば来年のゴールデンウイークまで「GoToトラベルキャンペーン」を延長してもらうことができれば大変ありがたいと述べられておりました。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  まず、県内飲食事業者の現状についてどのように受け止めているかお伺いいたします。  また、飲食事業者の中には、コロナの影響が長期化する中で経営体力も限界に来ている事業者もあることから、新たな資金繰りや事業継続に向けた支援も必要になってくるものと考えます。そうした手当ても含め、飲食事業者の支援について、今後どのように取り組んでいくのか、産業労働部長にお伺いいたします。  次に、県内観光事業者の現状についてどのように受け止めているのかお伺いいたします。  また、「佐賀支え愛キャンペーン」は年内で終了し、「GoToトラベルキャンペーン」も明年一月末をもって終了することになります。  そこで、アフターコロナを見据えつつ、支援策のさらなる延長も含め、観光事業者への支援について今後どのように取り組んでいく考えか、文化・スポーツ交流局長にお伺いいたします。  次に大きな項目の二つ目として、九州新幹線西九州ルートについて質問いたします。  九州新幹線西九州ルートの新鳥栖─武雄温泉間の整備の在り方については、九月定例会において一般質問で七人、所管の常任委員会で二人の議員が質問に取り上げており、また、県議会の新幹線問題対策等特別委員会でも九月に国土交通省鉄道局、十一月にJR九州より参考人を招致した閉会中審査が行われ、延べ二十二人が質問するなど、活発な議論が行われてきたところであります。今議会においてもさらに議論が深まることを期待し、早速質問に入らせていただきます。  さて、先月、佐賀新聞社による県民世論調査が行われ、西九州ルートの新鳥栖─武雄温泉の整備方式についても調査が行われています。調査結果を見ると、どの方式が望ましいかという質問に対し、対面乗りかえによるリレー方式の回答が最も多く二五・一%、以下、フル規格が一四・九%、フリーゲージトレインが一三・七%、スーパー特急が一一・三%、ミニ新幹線が一〇・四%、また分からないが二四・六%となっており、さらに、知事の新幹線問題への対応に関しても六四・二%が評価するという結果になっています。  この中で、分からないという回答が昨年と比較して六・二ポイント増えており、県民に向けた分かりやすい説明が求められているものと考えるところであります。  調査結果を受け、山口知事は「『分からない』が増えていることに関し、『フル規格で整備する場合、在来線の利便性低下や上振れする可能性が高い財政負担の問題について、もっと説明していかなければならない。説明すれば分かってもらえる方が多いという実感だ』」とコメントされており、同様の受け止めではないかと思うところであります。  一方で、今回の調査は過程や条件が示されたものではないことから、フル規格で整備する場合の在来線の利便性低下や県の財政負担といった課題について、仮に国やJR九州が県民が納得できるような明確な条件を提示することができれば、結果も変わる可能性もあるものと考えるところであります。  いずれにしても、世論調査では山口県政への評価は八一・八%と依然高い水準にあります。高い評価の要因については、災害やコロナ対応等、危機管理能力への評価が大きく反映しているといった分析もありますが、高い支持率だからこそ、知事にはこれまでにも増してこの問題に真摯に向かい合っていただくことを求め、次の三点についてお伺いいたします。  まず、県民への情報提供についてお伺いいたします。  九月定例会では、九州新幹線西九州ルートに関わる県民への正確な情報提供について議論となり、県の広報ツールを使った県民への情報提供について検討していくと答弁されています。  そこで、今回の世論調査の結果等も踏まえ、県民への情報提供についてどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  次に、課題解決に向けた与党検討委員会等の動きについてお伺いいたします。  十一月二十日に行われた与党九州新幹線(西九州ルート)検討委員会では、佐賀県の財政負担の軽減を図るため、フル規格の場合の財源スキームについて交付税措置の引上げや、JR九州が支払う貸付料の支払い期間の延長などについて試算し、年明けに提示する方針が示されており、また、十一月二十六日には国土交通省とJR九州との間で協議が開始され、並行在来線の取扱いについて検討していくこととされています。  こうした動きは、九月定例会で可決された地方負担や在来線の問題等について具体的な数字や条件の下、積極的な議論を進めることを求める決議を踏まえたものであり、十一月二十一日に開催した公明党佐賀県本部の勉強会でも与党PTの委員長代理を務める江田康幸衆議院議員と秋野公造参議院議員から報告があったところでもあります。  しかしながら、仮にこうした財政負担の軽減策が取られたとしても、事業費が上振れした場合にはこれまでと同様、県の負担が増加することになります。それでは県の不安は払拭できないことから、財政負担や在来線の課題解決に当たっては、整備新幹線のスキームの抜本的な見直しについて議論することが必要ではないかと考えるところであります。  そこで、こうした与党検討委員会や国土交通省の動きについて、知事はどのように受け止めているかお伺いいたします。  次に、国との信頼関係についてお伺いいたします。  九月定例会の一般質問において、西九州ルートをめぐる国土交通省と佐賀県の立場の違いが他の公共事業に影響を及ぼすのではないかとの心配の声に対し、知事は、「官僚組織が新幹線を念頭に置きながら、(中略)佐賀県に不利益なことをほのめかすなんてことがあれば、これはもう官僚の矜持を失うに等しい」と答弁をされています。  十一月十八日に行われた令和三年度予算に関わる国への政策提案では、臨時国会の会期中ということもあり、大臣に直接お会いすることはできなかったものの、佐賀空港の滑走路延長などの予算確保について大臣政務官に要望するとともに、六月に就任された鉄道局長にも面会をされたと伺っています。私は、整備方式をめぐる国と県の立場の違いがあったとしても、国土交通省と佐賀県の信頼関係を損ねるようなことがあってはならないし、これまでどのような経緯があったとしても佐賀県が孤立するようなことがあってはならないものと考えます。  そこで、九州新幹線西九州ルートをめぐるこれまでの経緯の中で、国土交通省との信頼関係について知事はどのように考えているのかお伺いいたします。  また、国土交通省との「幅広い協議」のきっかけとなったのは赤羽国土交通大臣と山口知事の信頼関係によるものであります。しかしながら、コロナもあり、様々な経緯があったとはいえ、昨年十二月の面談以来、大臣と知事が会う機会は持たれていません。実務者レベルでの協議も大事でありますが、私はトップ同士が要所要所で直接会って話すことも成案を得るためには大切なことではないかと考えます。タイミングもあるかとは思いますが、できるだけ早い時期に赤羽大臣との面会の機会をつくるべきではないでしょうか。  そこで、知事は大臣との信頼関係についてどのように考えるか改めてお伺いいたします。  次に大きな項目の三つ目として、児童虐待防止対策について質問をいたします。  厚生労働省では、毎年十一月を「児童虐待防止推進月間」と定め、家庭や学校、地域などの社会全般にわたり、児童虐待問題に対する深い関心と理解を得ることができるよう、児童虐待防止のための広報・啓発活動など様々な取組を集中的に実施をされています。  この取組は、栃木県で起きた幼い兄弟の虐待死事件をきっかけに二〇〇七年から始まったもので、本県においては佐賀県児童養護施設協議会が児童虐待のシンボルとなっていますオレンジリボンたすきリレーをつなぎ、自転車で県内二十市町を巡りながら虐待防止の啓発に取り組む姿がメディアでも紹介をされていました。しかしながら、本来守られるべき子供の命が奪われる悲惨な事件は後を絶ちません。  また、そうした事件が報道され、虐待に関する社会の関心の高まりを反映し、児童虐待に関する対応件数は毎年増加をしています。令和元年度において全国の児童相談所が児童虐待として対応した件数は十九万三千七百八十件に上ることが厚生労働省のまとめで明らかになりました。前年度と比較し、件数で約三万四千件、率にして二一・三%も増加をしたことになります。  本県においても、令和元年度、前年度と比較し約二倍の七百十七件となり、過去最多を更新したことが公表をされています。  そこで、次の四点についてお伺いいたします。  まず、コロナ禍における虐待の傾向と児童相談所の対応についてお伺いいたします。  新型コロナウイルスが感染拡大した三月以降、学校が長期間休校となり、その後も外出自粛が要請され、巣ごもり状態となることが続きました。そうした中で仕事がなくなり、収入が減るなど、親のストレスがたまっていった結果、児童虐待につながるケースも増加したのではないかと懸念されるところであります。  そこで、改めてコロナ禍における児童虐待の傾向についてどのように考えるのかお伺いいたします。  また、ステイホームで巣ごもり状態になると、近隣の方々と接触する機会が少なくなり、児童虐待の兆候に気づきにくくなると言われています。さらに、虐待に気づいて家庭訪問をしようとしても、保護者からコロナの感染が不安だから家に来てほしくないと言われることもあると伺っています。そうした場合においても子供の安全のためには直接会って確認することが必要であり、会おうとしない保護者にも粘り強く理解をいただく努力をしていただき、感染防止に十分配慮しながら、子供の安全確認を行っていただかなければなりません。  そこで、児童相談所は、コロナ禍の中、こうした虐待事案にどのように対応されてきたのかお伺いいたします。  次に、児童相談所の体制強化についてお伺いいたします。  昨年六月の児童虐待防止法の改正により、児童相談所の体制が、虐待を受けた児童の一時保護など家庭への介入を担当する職員と、保護者への指導、支援を担当する職員が分けられることになり、介入と支援の分業制に移行されたと伺っています。  また、児童福祉法施行令が改正され、児童福祉司の配置基準についても令和四年度までに現在の人口四万人に一人の割合から三万人に一人の割合での配置が必要になると伺っています。  そこで、増加する児童虐待に対応するため、児童相談所の体制について、今後どのように強化していく考えかお伺いいたします。  次に、地域における児童虐待防止体制の強化についてお伺いいたします。  平成二十八年五月に成立した児童福祉法の一部改正では、市町は児童虐待対策を含む子育ての支援拠点として「子ども家庭総合支援拠点」の整備に努めなければならないと規定されています。現在、県内市町において「子ども家庭総合支援拠点」を設置している自治体は佐賀市と嬉野市の二市にとどまっていますが、身近にこのような相談拠点があると、保護者も安心して子育てができるものと考えます。  そこで、「子ども家庭総合支援拠点」の設置も含め、地域における児童虐待防止体制の強化についてどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  次に、虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」の周知についてお伺いいたします。  本県の令和元年度における児童虐待の相談経路別の対応件数は、一番多いのは警察で三百八十件で五三%、次いで学校等が七十一件で九・九%、県が六十六件で九・二%、市町が五十九件で八・二%、近隣・知人が五十五件で七・七%、家族・親戚が四十九件で六・八%となっており、家族以外からの相談が大半となっています。児童虐待を早期に発見するためには、虐待に関する情報提供が、近隣住民から相談しやすい環境整備が重要となってまいります。  国では平成二十七年七月一日から虐待かもと思ったときなどすぐに児童相談所に通告・相談ができるよう、全国共通の電話番号「189(いちはやく)」を設置しており、この189に電話をかけると、近くの児童相談所に無料でつながることになっていますが、県民の認知度がまだまだ不足をしているのではないかと考えるところであります。  そこで、児童虐待を早期に発見するため、この相談ダイヤル「189(いちはやく)」について、さらに県民の皆様への周知に努めるべきではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。  以上四点、男女参画・こども局長にお伺いいたします。  次に大きな項目の四つ目として、コロナ禍における妊娠・出産に向けた支援について質問をいたします。  全国の小児科医で構成される日本小児科医会は、本年九月、日本の小児地域医療を崩壊から守るための緊急メッセージを発表されています。メッセージには、妊娠・出産控えにより、国立成育医療研究センターの二〇二一年初旬の出産予約は三分の二に減少したことが明らかにされており、これにより、日本の少子化の進行が十年早まり、小児科医療全体が立ち行かなくなる可能性があるとして、子供の健康状況の確認や相談対応を電話やLINE、メールなどで行う、「かかりつけ小児科医コロナ子どもの遠隔健康相談」の臨時創設や、財政的な支援、小児科外来診療料の大幅増額を求める緊急要望を行われています。  また、厚生労働省が十月に公表した令和二年度の妊娠届出数の状況については、新型コロナウイルス感染症の流行が本格化した本年五月から七月において前年同月比で一一・四%、全国で二万六千三百三十一件減少していることが明らかになりました。本県においても前年同月比で一〇・六%、件数で百六十九件減少をしています。新生児の出生数はこれまでも減少傾向に歯止めがかからず、二〇一六年に初めて全国で百万人を割り込み、昨年は八十六万五千人まで落ち込んでいます。  ウイズコロナが長期化すると、今後も妊娠控えが続き、来年の出生数は一気に七十万人台になる可能性も指摘をされています。本県においては二〇一九年の合計特殊出生率は一・六四と全国で五番目に高いところでありますが、コロナ禍におけるこうした動向も注視し、必要な対策を講じるべきと考えます。  妊娠中に感染した場合の胎児への影響についてはまだ明らかになっていないものの、妊娠後期に感染した場合、妊婦の症状が重くなる割合が高くなるといった調査結果もあり、母子への感染リスクを考えて妊娠を控えたり、妊娠の時期を先延ばしするケースが増えていることが考えられます。  また、妊娠することを強く望み、不妊治療や不育治療を行われている方も感染への不安から治療から遠のいてしまうことが現実にも起きているようであります。不妊症や不育症への公費助成は年齢制限があり、検査や治療を中断している間に公費助成の対象年齢の上限を迎えてしまうことも起こり得る話であります。  「子育てし大県”さが”」に取り組む本県においても、不妊症や不育症に対して検査や治療に対する費用助成に取り組まれており、せっかくの支援策が無駄になることがないよう、十分な配慮が必要と考えます。  さらに、既に妊娠されている方においても、感染リスクへの不安などから、全国的には妊婦健診の受診件数が減少しており、また、市町の母子保健事業がコロナの影響で一時中止となったことで十分な支援が受けられず、不安を感じていた妊婦もいると伺っているところであります。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  まず、コロナ禍における県内の妊娠、出産や妊産婦への支援の現状についてどのように認識をされているかお伺いいたします。  また、コロナ禍においても、これまでにも増して安心して妊娠、出産できる環境整備や支援の充実が必要になってくるものと考えますが、今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  以上二点、男女参画・こども局長にお伺いいたします。  最後、大きな項目の五つ目として、介護人材確保に向けた県立高校福祉科の設置について質問をいたします。  いわゆる団塊の世代と呼ばれる方々が七十五歳以上の後期高齢者となる二〇二五年に向けて、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していくことが予測されています。本県においても二〇二五年には高齢者数が約二十五万人とピークとなることが見込まれており、高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築が急がれるところであります。そのためには介護サービスの充実は必要不可欠であり、その基盤となる介護人材を安定的に確保していくことが極めて重要であります。  厚生労働省が二〇一八年五月に公表した第七期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数によれば、現状のペースのまま高齢者人口が増加した場合、二〇二五年には全国で約三十四万人、佐賀県でも約六百人の介護人材が不足すると推計をされています。これを受け、本県では「第七期さがゴールドプラン21」において「医療・介護人材の確保」が初めて主要施策として位置づけられており、さらに令和元年度から介護を学ぶ高校生へ教材費等を支援する「将来を担う介護人材の支援事業」を新たにスタートさせておられます。  先日行われた決算特別委員会で、厚生労働省の認可を受けた介護福祉士養成校となる嬉野高校、神埼清明高校、北陵高校の三校で福祉を学ぶ生徒の進路は、令和元年度、就職者十九名のうち十七名が県内の介護施設に就職するなど、県内就職率は高い水準で推移しており、また定着率も高く、就職先の施設からも高い評価を受けていることが確認できました。  不足する介護人材の確保に向けて、外国人の技能実習生の受入れも大変大切ではありますが、介護現場はこれからますます複雑化、多様化、高度化すると言われており、そこに対応できる福祉人材を県内で育成する取組、介護分野においても佐賀で学び、佐賀で働く子供たちをしっかり育てていくことが求められるものと考えます。しかし、県内で介護福祉士を養成することができる課程を持った高校はさきの三校だけで、県立高校の二校はいずれも総合学科の中で福祉系のカリキュラムを持った、いわゆる福祉系列となっており、九州、沖縄の八県で県立高校に福祉科が設置されていないのは佐賀県だけとなっています。  例えば、大分県では平成二十四年に大分市内の進学校である県立大分南高校に福祉科が新設をされています。二クラス八十人の定員で、新設後三年目には福祉科の生徒七十七人全員が介護福祉士の国家試験に合格されるなど、大きな成果を出されています。また、卒業生の進路についても、半数近くが資格を生かして介護職員として地元の福祉施設に就職されており、また大分大学福祉健康科学部をはじめ、県内外の大学で福祉の学びをさらに深めるために進学した生徒も多くいるようであります。そして、将来、大分南高校の卒業生が、高齢者の介護だけでなく、障害や独り親家庭、生活困窮、ひきこもりといった地域課題に包括的に取り組むことができる福祉専門職となって、行政職も含めて、大分県内で活躍していくものと期待をされているようであります。  そこで、本県においても、佐賀で学び、佐賀で働く介護人材の確保に向けて、県立高校に福祉科を設置することについてそろそろ検討を始めるべきではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。  それぞれ明快かつ前向きな答弁をお願いし、質問を終わります。(拍手) 24 ◎山口知事 登壇=中本正一議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。  本日、先ほど昼休み中にうれしいニュースが飛び込んでまいりました。それは我々の「さがウェディング祝福プラン事業」が「結婚・婚活応援アワード2020自治体部門」を受賞したとのことでした。  新型コロナウイルスの影響で予定していた結婚式ができなかったという声を現場でお聞きしまして、結婚式ができずに苦しんでいるカップルに幸せになってほしいとの思いを込めて十万円の支援金と花のギフト券、これを四百組以上に贈った事業でありまして、結婚式はもともと御本人たちだけでなくて、実はそれを支えている食材を提供する皆さん、花の生産者、料理人、プランナーなどと、多くの皆様方が祝福している事業なのに、みんな痛んでいるという声を聞いたので、そこに対応するという予算でございました。  これもコロナ地方創生臨時交付金を活用した事業であります。結婚支援を積極的かつ独自に行っている取組として評価いただいたということは、素直にうれしく思っております。  さらに、中本議員のお許しを得て、テレビ情報関係についての補足をさせていただきたいと思います。  実は私、朝、見ておりませんでした。というのは、議会対応とか、あとはコロナ対応とか、非常に忙しく、そして今日は実は出演依頼もあったわけですけれども、さすがにそういうわけにもいかず、県民に向き合うことがまず大事だと思っております。
     それで、質問も幾つか受けたんですけれども、なかなか昨日は、それでも夜になって一つ佐賀県としてお伝えしたいことということを一枚お出しして、円グラフと一緒にというところまでさせていただいたところです。  今日は、ここは県議会の皆さん、そして県民の皆様方の前なので、佐賀の状況については分かっていらっしゃる方ばかりなので、簡単に話をさせていただきたいと思います。  まず、徹底的な封じ込めをさせていただいているのは申し上げているとおりで、医療の逼迫、占拠率は八・九%にとどまっているというお話はさせていただいております。そして、二つのコロナ交付金の中で八〇%、二百五十億円は医療・介護関係に使っておりまして、一五%は事業者などへの支援。そして、残りの五%は、その他ですが、いろいろ文化、いわゆるLiveS Beyondだったり、オープンテラス、それからオープンエア、DXだとか、先ほどのウェディングだとか、そういったものに使わせていただいているわけです。  そして、今回四つのことについて指摘されています。ちょっと時間がありませんので、簡単に申し上げたいと思います。  まず、鐘については、申し上げているように誹謗中傷の問題であります。佐賀県が今、自宅療養ゼロとなっているのも、誹謗中傷というものが基本的に少ないからということで、これが多くなってまいりますと、自宅にとどまってしまうということになるので、結局感染症対策にならないといったこともありますし、本当にこれは全ての知事が誹謗中傷対策というのに頭を痛めております。こういった関係だということは分かっていただけるのかなと思います。  空港の宇宙の関係ですが、単に宇宙と言われておりますけれども、皆さん御案内のとおり、我々武雄には宇宙科学館がありまして、そしてJAXAとの連携事業というものも、特に昨年は山川理事長にも来ていただいて、子供たちに夢を与える形で進んでおりますので、そういった関係ということで御理解いただきたいと思っております。  電光掲示板についても御指摘いただきました。皆さん方はもう分かっていらっしゃると思います。SSP杯(カップ)のときに無観客試合でやらざるを得ない中で佐賀県は決断をしてやりました。いろんな関係者が実際に、特に保護者の皆さんとか見たかったけれども、ライブで見るしかなくて、これは四十万人見ていただいたんですけれども、その中で最初いろんな御指摘もいただきました。もっと分かりやすくしてほしいとか、そういったものというのは我々自身、佐賀県が一番気づいたことであるので、そういった整備というのは早く手をつけたいなと思ったということです。  トイレのことも御指摘を受けたというふうに聞いております。これは、報道では県立体育館のトイレというふうに出ていましたけれども、和式トイレを洋式トイレに替えるという単純なものではなくて、皆さん御案内の勤労身体障害者教養文化体育館のトイレです。ですので、障害者用のトイレです。ですから、車椅子で入るということなんだけれども、様々接触関係というのが、いろいろ車椅子の関係もございまして、床全体から全て入れ替えるというもの、配管も入れ替える。タイル式から乾式に変更してというような形で全てやり直すということなので、確かにトイレが和から洋に六千万円と言われたら誰でもびっくりするんだけれども、全て入れ替えてやり直して、障害者の皆さん方に、我々また全障スポもありますので、そして、コロナにも感染リスクが少なくて、清潔に利用できるような優しいトイレを我々としてしっかりつくっていくということについて分かっていただいたらなというふうに思っております。  一つ一つぱっと言われて、ばくっと簡単に返すというのはなかなかできないことでありますので、ぜひしっかりと見ていただいたらなというふうに思います。  県議会の皆さん方からはいろいろ御指摘もいただきましたので、私としてはしっかり県民の思いと共有できるように、このコロナ禍でありますので、しっかりと真摯に、真剣に私として努力を積み重ねていきたいと思っております。  続きまして、全国の状況に対する認識についてお答えします。  国内の感染者数は、十一月に入り、連日のように過去最高を更新するなど都市部を中心に感染が拡大し、重症者も増加傾向にございます。  特に首都圏、関西圏、中京圏、そして、札幌を中心とした北海道で急激に感染が拡大しておりまして、それが全国的な感染の広がりにつながっていると認識しています。  一方、本県では、十一月上旬に県内で初めて福祉施設でクラスターが起きました。  さらに、福岡市の専修学校でのクラスター関連の感染が確認されましたものの、いわゆる幅広検査によりまして封じ込めを行って、そこからの感染は防ぐことができたと思っております。  グループホームのときは、一人陽性が出ますと二百三十名ぐらい検査をすると、大きく大きく幅広に検査をして、その中に陽性者もぱらっと出てきますので、またその先を封じ込めるというやり方をしております。  このほか、十一月以降、県内では散発的な感染が確認されております。昨日は十名の感染が確認されました。今日も打合せをいたしましたけれども、そのほとんどは県外への訪問者、県外感染症との接触者、ちょっと福岡関係が増えてまいりました。その家族など感染経路が判明しておりまして、現時点においては、県内で感染が蔓延している状況にはなく、落ち着いている状況と認識しています。  医療提供体制につきまして、「プロジェクトM」によりまして、医療機関に二百八十一床の病床、そして、療養ホテルを二百三十室確保しておりますけれども、十二月一日の時点でありますと、医療機関に二十一人、ホテルにお二人という状況であります。こういった状況をしっかり守っていきたいと思います。  今後の取組でございますが、今、冬場を迎え、しかも、重症率がちょっと上がっているという全国の報道、これは非常に危惧しております。我々としても、しっかりと予断を許さないという思いを持って、九州全体、それから、全国といったところを注視しなければいけないと思います。  大規模なクラスターなどが発生しますと、一瞬で状況が悪化することがありますので、引き続き危機意識と緊張感を持って臨んでいきたい、頑張っていきたいと思います。  続きまして、九州新幹線西九州ルートについてですが、課題解決に向けた与党検討委員会、そして国土交通省などの動きに対する所見について申し上げます。  与党検討委員会の求めに応じまして、私自身が三回のヒアリングに出席して、佐賀県はフル規格での整備を求めておらず、受け入れられないなどの意見を申し上げました。  しかしながら、佐賀県の意見には触れることなく、フル規格による整備が適当とされて、関係者で協議を行い、検討を進めていくべきという基本方針が示されました。  我々佐賀県は、フル規格を前提とした協議には応じられないという考えにいささか変わりもありません。  一方、佐賀県は将来の在り方について、様々な可能性を議論することは閉ざしておらず、現在、国土交通省から呼びかけがあった「幅広い協議」に入って、真摯に協議を行っていきたいと思っています。  その中で、議論に必要な数字や条件を示していただくよう求めていますので、鉄道局からも協議の場で提示いただければと思っています。  例えば、フル規格につきましては、建設費負担だけの問題ではなくて、特急列車がなくなることによります在来線の利便性の低下、そして、中倉議員のときにも申し上げたルートの問題、様々な課題がございます。佐賀県の将来に大きく影響するものでありますので、しっかり幅広く議論していきたいと思います。  続きまして、国土交通省との信頼関係について申し上げます。  新幹線の問題に限らず、国には国の、そして、自治体には自治体の役割と責任がありまして、それぞれ国益や国民のこと、地域や住民のことを考えながら、互いに協力して様々な取組を進めております。  国鉄民営化後の新幹線整備は、地元の自治体が整備したいと手を挙げて進められるものと認識しています。ということもあって、西九州ルートは在来線を利用するという大前提の下で、関係者と合意を重ねながら進められてきたわけです。  ですので、在来線を利用する方式でありますと、我々も一緒になって手を挙げてきた、言うなれば合意仲間であったわけですけれども、異論はありません。しかし、それ以外の方式ということになりますと、県民生活に大きく影響するものでありますので、しっかり骨太に議論したいと我々は思っています。  鉄道局とは、佐賀県の立場で主張し、引き続き互いに敬意を持って信頼関係を築きながら、協議を行っていきたいと考えています。  続きまして、国交大臣との信頼関係についてお答え申し上げます。  赤羽大臣とは、政治家同士、トップ同士、一対一で二回面談いたしまして、率直に様々な意見交換をさせていただきました。  お互いそれぞれ背負っているものが違いますので、当然意見が異なる場合もございます。ただ、私は、赤羽大臣と長い時間話す中で、政治家として大変信頼申し上げております。  そして、昨年十二月に赤羽大臣のほうから私のほうに、幅広く協議するので応じてほしいと申入れがありましたので、本年六月に「幅広い協議」に入って、鉄道局と当方の地域交流部で協議を行ってございます。  大臣とは、様々な機会を見つけて、今後とも西九州ルートの問題にかかわらず、様々なことについて率直に意見交換をさせていただきたいと思います。 25 ◎南里地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートについての御質問のうち、県民への情報提供についての御質問にお答えを申し上げます。  九月議会の質疑におきまして、県民に対して分かりやすく説明する取組ですとか、県民への正確な情報提供が必要という御意見をいただいたことを踏まえまして、現在、県民の皆さんに分かりやすくお伝えする方法を検討しているところでございます。  また、九月三十日の県議会の決議におきまして、「現状では、議論に必要な数字や条件があまりにも不足しており、議論ができる状況には至っていない」とされましたことから、十月二十三日の鉄道局との三回目の協議におきまして、私のほうから、議論に必要な数字や条件について、事業主体である国が責任を持って確約できるものを示していただくよう改めて要請をしているところでございます。  県民の皆様への情報提供につきましては、ただいま申し上げましたように、議論に必要な確定した数字や条件を示していただくよう国に求めておりますが、状況を見ながら、分かりやすくお伝えすることを考えているところでございます。  私からは以上でございます。 26 ◎大川内健康福祉部長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症対策のうち、福祉施設におけますクラスター対策についてお答えいたします。  十一月三日に県内で初めて福祉施設でのクラスターが発生いたしまして、十二名、これは利用者が六名、職員が四名、御家族等が二名でございますが、この感染者を確認いたしました。  福祉施設は、施設の性質上、感染が蔓延するリスクが高いとともに、高齢者など重症化リスクが高い方も多いことから、これまで県では、感染予防のためにマスクや消毒液などの配布、マニュアルや手引などの情報提供のほか、感染症の専門家の方に主要な施設を巡回いただきまして、感染防止についての指導をしていただいたりしてきております。  また、感染者が確認された際には、濃厚接触者に限らず、幅広に徹底してPCR検査を実施してきておりまして、今回の福祉施設では当初一名の感染でございましたが、二百三十名の接触者を検査いたしまして、その結果、十一名の陽性者を確認し、さらに四十三名の検査を行いました。こういったことで、現時点で封じ込めができてございます。  このような佐賀県が当初から行ってきた幅広の検査方法は、クラスターが発生した際の封じ込め対策としても有効であるというふうに考えております。  また、クラスターが発生した際には、直ちに感染症の専門家による現地確認を実施し、感染拡大防止対策について指導、助言を行ってきております。  今回の福祉施設につきましても、関連施設を含め、二回現地調査を行っていただきました。施設に対して手指消毒液の配置箇所を増やすことでございますとか、居住区画と職員詰所の境界におけます交差感染に対する注意事項、こういったものについて具体的な指導が行われているところでございます。  今後、こうした事例における課題でございますとか改善点、こういったものをほかの施設にも共有いたしまして、福祉施設における日頃の感染症対策について指導、助言を行っていくことなどによりまして、クラスターの発生を防止していきたいというふうに思います。  また、利用者や職員などに感染者が確認された場合には、迅速かつ徹底した調査や幅広の検査、こういったものを行いまして、できるだけ早期に感染の拡大を封じ込めるよう引き続き取り組んでまいります。  以上、お答えいたします。 27 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症対策についての御質問のうち、県内飲食事業者の現状及び今後の支援についてお答えいたします。  まず、県内飲食事業者の現状についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、また、先が見通せない状況の中で、飲食事業者の方々は大変厳しい状況にあり、また、大きな不安を抱かれていることと思います。  飲食事業者の方々からは、店舗によって状況は異なるようではございますが、全体としては、四月、五月は大変厳しかったが、六月から七月中旬まではお客様が戻ってきた感があった。  しかし、七月下旬からの県内での感染者の発生などで、八月まで大きく落ち込んだ。九月以降、十月、十一月と徐々に回復傾向にあるというふうにお話を伺っております。  また、書き入れどきでございますこの十二月は、忘年会の開催を見送る動きですとか、開催をするにしても少人数である、あるいは二次会、三次会は見込めないといったことなど、年末に向けて厳しい見通しを立てておられます。  また、最近の都市部を中心とした感染拡大の報道を受けて、消費マインドの低下を感じているというふうな声もお聞きしているところでございまして、依然として飲食事業者は大変厳しい状況にあるものと認識をしております。  次に、飲食事業者に対する支援についてでございますが、現時点におきましては、県内で感染が蔓延している状況にはなく、落ち着いている状況ということでございますので、引き続き「支え愛(合い)活動局面」ということでございます。  この「支え愛(合い)活動局面」におきましては、厳しい状況に置かれている飲食店を、県民の皆様に支え合いのお気持ちで利用し、応援をしていただきたいというふうに考えており、県といたしましても、そのことを呼びかけをしておるところでございます。  そして、このことに御賛同いただきました商工会議所、商工会、中小企業団体中央会の三つの商工団体におかれましても連携をして「CHANGE THE MOOD!」プロジェクトというふうに銘打って、リレー方式で各企業に県内での会合、会食を呼びかけ、取組の拡大を図られているところでございます。  また、議員からも御紹介のございました国の「Go To Eatキャンペーン」は、県内飲食店で利用できる二五%のプレミアムつきの食事券を六十万冊、総額七十五億円分発行するという事業でございまして、飲食店の皆様にとって非常に大きな支援になるものと県としても期待をしているところでございます。  実際、飲食事業者の方々からも、「Go To Eatキャンペーン」の開始後、例えば、家族連れでの来店が多くなったですとか、オンライン飲食予約でも客数がかなり増えており、食事券にも期待している。また、週末に少年野球などの団体客の利用が増えたなど、事業効果を実感しているといったお話も伺っております。  この食事券の予約販売実績は、十二月一日現在で約十五万冊、全体の発行からしますと、約四分の一ということでございます。県民の皆様がより購入しやすいように、十一月二十一日からは事前予約が不要というふうにされておりまして、また現在、十六か所ある販売箇所を順次、二倍の三十か所以上に増やそうということで調整をされているというふうに伺っております。  県民の皆様には、ぜひ支え合いのお気持ちで飲食店を利用し、飲食業の皆様を応援していただきたいと思っております。  これから年末年始、春先にかけて行事、イベントが増えるシーズンを迎えますことから、それに向けて飲食事業者の方々などが取り組む三密回避、あるいは非対面型、非接触型の接客などの対策を支援するウイズコロナ対策支援事業の予算を今議会でお願いしております。本事業により、コロナ禍の中で前向きに取り組まれる事業者を支援してまいりたいと考えております。  また、これから年末年始に向けての資金需要に対しましては、三年間全額利子補給、保証料ゼロ、上限四千万円でございますが、そういった融資制度、新型コロナウイルス感染症対応資金により対応をいたします。  県民の皆様に支え合いのお気持ちで飲食店を御利用いただき、オール佐賀で飲食店を支えていただけますよう、県といたしましても、飲食店における感染防止対策の支援を行いますとともに、引き続き県民の皆様に飲食店の積極的な利用を呼びかけてまいります。  私からは以上でございます。 28 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、新型コロナウイルス感染症対策のうち、県内観光事業者の現状及び今後の支援についてお答え申し上げます。  まず、県内観光事業者の現状についてでございます。  コロナ禍の影響で人の動きが止まりまして、甚大な影響を受けた県内観光事業者に対しまして、これまで県では五月下旬から当面の備えとなるよう、ホテル、旅館、貸切りバス、タクシー、その他観光施設に対しまして給付金を給付いたしました。  次に、観光事業者等への感染拡大防止対策への支援を行いながら、徐々に人を動かし、観光需要の回復を図るため、県内、九州域内の方を対象にいたしまして、「佐賀支え愛宿泊キャンペーン」と称しまして、七月から県独自の誘客キャンペーンを展開してまいりました。  さらに影響が長引くことを想定いたしまして、観光事業者が再び人の流れが止まっても収益の確保が可能となるように、そのきっかけとなるような食や物産等の魅力を詰め込んだ「お届け佐賀観光ボックス」、そのようなものの開発につきましても支援を進めてきたところでございます。  こうした県の独自の取組と並行いたしまして、七月下旬から国の「GoToトラベル事業」が開始されまして、そのこともありましてかなり追い風となり、観光庁の宿泊旅行統計調査では、本県に泊まった日本人宿泊者数は延べで、最も厳しかった五月につきましては対前年同月比一三・三%だったのに対しまして、最新の調査結果であります九月につきましては、対前年同月比七〇・九%まで回復していると聞いております。  また、議員御指摘のとおり、県内宿泊施設へのヒアリングでも、十月から十二月につきましては、平日、週末ともに客室稼働状況は順調でございまして、年明けの一月まで予約で埋まっているところもあると聞いております。  ただ、この回復の程度にはばらつきがありまして、一部の宿泊施設ではコロナ対策のため、客室数を減らして営業したり、食事利用が減少したことなどによりまして、売上げが前年実績に届いていないという情報も入っております。また、貸切りバスとかタクシーの運送収入はまだ低い水準で推移していると聞いておりまして、観光業全般にわたって回復しているわけではないと認識しております。  次に、今後の支援についてでございます。  議員御指摘のとおり、国の「GoToトラベル事業」は、現時点では一月末までとされておりまして、県の宿泊キャンペーンにつきましても、一旦十二月末で終了するとしております。  情報によれば、国では「GoToトラベル事業」を来年のゴールデンウイークまでの延長について検討に着手されたという新聞情報等がありますが、県ではその辺の動きを視野に入れつつ、「GoToトラベル事業」が一月末以降も実施される場合につきましては、他県との差別化を図るため、また、「GoToトラベル事業」が延長されない場合は、県単独での誘客促進につなげるため、既存予算を活用いたしまして、県内、九州域内の方を対象とした宿泊キャンペーンを、当面、来年二月末まで延長したいと考えております。また、感染の拡大防止対策を徹底しながら、県内への誘客促進に取り組んでいきたいと考えております。  また、交通事業者や観光施設など、「GoToトラベル事業」の恩恵をまだ十分に受けられていない観光事業者もおられますことから、引き続き県単独の施策であります屋外でのアクティビティー体験料等の割引とか、「OPEN─AIR割引キャンペーン」といいますが、市町観光協会等が企画されます貸切りタクシーとかを使った地域の周遊ツアーの造成の支援などに取り組みまして、県内観光事業者を引き続き支えていきたいと考えております。  私からは以上でございます。 29 ◎甲斐男女参画・こども局長 登壇=私からは大きく二つの問いにお答えをいたします。  初めに、児童虐待防止対策についてです。  まず、コロナ禍における虐待の傾向と児童相談所の対応についてです。  今年三月から七月までの本県における児童虐待相談対応件数は合計で三百四十六件となっており、昨年度の同時期の合計三百十六件より増加しておりますが、今のところ、新型コロナウイルス感染症の影響により増加しているとまでは言えないと考えております。  ただ、これまで児童相談所が関わった虐待事例の中には幾つか影響を受けたと思われる事案もありまして、例えば、仕事が減少してストレスのたまっていた親が、子供を叱る際に暴力を振るってしまったというケースや、妻が県外の実家に帰省しようとするのを、感染を心配する夫がとめて、子供の前でけんかとなり警察が介入した、いわゆる面前DVのケースがございました。  また、これは虐待事案ではありませんが、今年三月から五月にかけては、子供のゲーム依存や不登校についての相談も多かったとの報告を受けております。  学校が休校だった時期には虐待が見えにくくなる傾向にあることから、児童相談所では学校と連携し、子供の状況確認を行ってきました。  また、コロナ禍にあっても子供の安全確認が必要な場合は直接行うことが基本であり、感染リスクを理由に会うのを避けようとする保護者に対しても説得し、粘り強く対応を行っているところでございます。  次に、児童相談所の体制強化についてです。  まず、児童相談所の職員体制についてですが、児童福祉法施行令で基準が定められておりまして、令和四年度までに児童福祉司を現在の二十三人から三十一人へ八人増員するとともに、児童心理司を現在の十一人から十五人へ四人増員することとしています。  児童福祉司の増員により、初期の段階での対応、重篤な虐待の未然防止に、より一層つなげてまいります。  また、児童虐待防止法の改正により、今年度から虐待を受けた児童の一時保護など家庭への介入を担当する職員と、保護者への指導、支援を担当する職員とを分けております。これにより、緊急を要する状況が発生した際の、子供の安全確保のための迅速で円滑な介入と、その後の保護者への指導、支援に当たっての関係構築がしやすくなったところでございます。  また、現職の警察官の児童相談所への配置や警察との連携のほか、経験の浅い児童福祉司の指導、教育を行うスーパーバイザーを配置するなど資質の向上を図っております。  今後も、児童福祉司の適正な配置と専門性の向上に努め、児童相談所のさらなる充実強化を図ってまいります。  次に、地域における児童虐待防止体制の強化でございます。  児童虐待は発生予防と早期発見が大切であり、児童や保護者に身近な市町において体制や取組の充実強化を図っていくことが重要です。  児童福祉法改正により、妊娠期からの育児不安に対応する母子保健の拠点である「子育て世代包括支援センター」、そして、児童虐待対策を含む子供、子育てに関するソーシャルワークの拠点である「子ども家庭総合支援拠点」、この二つについて、市町に設置の努力義務が課されております。  「子育て世代包括支援センター」については、今年度末までに県内全市町での整備が完了する見込みであり、「子ども家庭総合支援拠点」については、御紹介がありましたとおり佐賀市と嬉野市において整備がなされたところです。
     令和四年度までに県内全市町の整備を目指しまして、県として引き続き先進事例の紹介や助言を行いながら、働きかけを行ってまいります。  また、市町の要保護児童対策地域協議会におきましても、児童相談所や学校、警察などの関係機関が相互に連携し、地域ぐるみで支援や対応を行っているところです。  今後も、各市町に対して体制や取組の充実強化を働きかけるとともに、市町職員の専門性の向上のため、県主催の児童虐待防止研修の実施、市町に対する支援の充実を図ってまいります。  次に、虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」の周知についてでございます。  県ではこれまで関係団体と協力し、十一月の児童虐待防止月間に大型商業施設で街頭キャンペーンを行い、全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」のチラシやグッズを配布するなど周知を行ってまいりました。  今年度は、街頭キャンペーンを行う代わりに、県内全域をカバーする子育て世代向けのタウン情報誌に掲載したり、大型商業施設において館内放送やポスターの設置、公的機関などに対し幅広にポスターやチラシの配布を行ったところです。  また、報道機関でもよく取り上げていただいており、テレビや新聞の児童虐待をテーマとしたニュースや特集の中で御紹介をいただくことも多うございます。  児童虐待の通告、相談は匿名でも可能で、内容に関する秘密も守られます。虐待かもと思ったら、児童相談所に御連絡をいただきたいと思っております。  今後とも、様々な広報ツールを活用し、また、関係機関の御協力をいただきながら、一人でも多く「189(いちはやく)」を知っていただけるよう、周知に努めてまいります。  続きまして大きな問いの二つ目、コロナ禍における妊娠、出産に向けた支援についてでございます。  初めに、県内の妊娠、出産や妊産婦への支援の現状についてです。  妊婦や母子への直接的な支援については、市町が取り組んでおり、今年四月から五月、緊急事態宣言が出された期間を中心に、やむを得ず乳幼児健診を中止または延期したり、保健師や助産師による訪問支援を控えていたところもございましたけれども、現在は全ての市町で健診や訪問が実施されております。  乳幼児健診を集団で行う場合は、検温による健康確認やマスク着用、手や指の消毒など個別の感染防止対策はもちろん、健診の回数を増やしたり、広い会場で一方向に流れる設営にしたり、受付時間まで車で待機してもらうなど、各市町がしっかりと三密を避ける取組を行っておられます。  また、これまで集団で行った乳児健診を医療機関へ委託して実施する個別健診に変更したところもあります。  保健師や助産師、母子保健推進員による訪問支援についても、訪問する側も受ける側も安心できるよう、感染予防対策を徹底して実施されており、オンラインによる相談を導入されたところもございます。  県におきましても、子供を望む方への支援や、感染を心配する妊産婦に対する相談支援など行っています。  不妊症や不育症についても、感染への心配から治療を延期された場合でも、今年度においては助成対象年齢の上限を一年引き上げるなど緩和措置を設けているところです。  また、御指摘のございました妊婦健診でございますが、産科医療機関や市町に確認したところ、県内においては妊婦が感染を心配し、妊婦健診を控えているような状況はないと聞いております。  また、妊娠届出数については、御指摘がありましたとおり、五月から七月の本県の件数は、前年同月と比較して一〇・六%減少していましたが、その後、八月から十月の件数については、暫定数値ではございますが、前年同月と同水準程度まで回復しております。  本県では、新型コロナウイルス感染防止対策をしっかり行っており、市町においても現状に応じて妊産婦や乳幼児に寄り添った支援を行っていただいているものと認識しているところでございます。  次に、支援の充実についてでございます。  コロナ禍においても安心して妊娠、出産、子育てができる環境の整備や支援を充実させることは、非常に大切であると考えております。  県では、子供を持ちたいと望む方から、妊娠中の方、出産後子育てをされている方まで切れ目ない支援ができるよう、引き続き子育てに悩む方への相談支援や、不妊・不育症の治療支援などに取り組むとともに、市町が行う産前産後サポート事業や産後ケア事業が、県全域に広がるよう環境づくりを行ってまいりたいと考えています。  また、子育て相談アプリを活用した、いつでも寄り添える相談支援の充実についても、先日、企業と連携協定を結んだところであり、今後、市町と連携して体制づくりに取り組んでまいります。  このような取組を通して佐賀県で子育てしたいと思っていただけるよう、コロナ禍においても気軽に相談ができ、安心感を持って出産や子育てができる環境を市町や関係機関の皆様と連携して整えてまいりたいと考えております。  以上、御答弁申し上げます。 30 ◎落合教育長 登壇=私からは、介護人材確保に向けた県立高校福祉科の設置についてお答えをいたします。  まず、現在の状況について御説明いたしますと、議員からも御紹介ありましたけれども、県内には国の指定する福祉系の高校というのは三校ございます。私立の北陸高校が生活文化科介護福祉コースというものを設置していただいておりまして、県立では嬉野高校、神埼清明高校が総合学科の福祉系列という位置づけで設置をいたしております。  名称は福祉科ではございませんけれども、この三校ともいずれも国の介護福祉養成校の基準に合致した施設設備や教育課程を持っておりまして、卒業時に介護福祉士の受験資格を得るという点では、他県でいうところの福祉科と変わりない学科となっております。  そこでの教育ですけれども、県立の二校に関して申し上げますと、介護福祉士国家試験の合格率で申し上げますと、過去三年間に受験したのが二校合わせて七十三人、そのうち合格したのが七十二名ということで、九八・六%の合格率を誇っておりまして、三年のうち二年は合格率一〇〇%という状況であります。そういう意味で、大分南高校にも決して負けないレベルだというふうに考えております。  また、高校生の介護技術コンテストの全国大会があるんですが、これまで八回開催されておりまして、うち四回は佐賀県内の高校が最優秀賞、優勝というんでしょうか、最優秀賞を獲得しています。嬉野高校が三回、神埼清明高校が一回、昨年、神埼清明高校が全国一位になり、山口知事のほうにも報告に見えたところでした。  今年は残念ながら全国大会はなかったんですけれども、先日、十一月十五日にスポーツでいうところの新人戦がありまして、一、二年生の大会を私も見学させてもらいましたけれども、非常に真剣な取組で、感銘を受けました。引き続き今後もそういう高いレベルで教育をしていっていただけるものと期待が持てたところであります。  そういうことに加えて、神埼清明高校においては、県内の、特に中部から東部にかけての介護施設を対象に国家試験の対策講座を開催されております。これは高校生だけではなくて、施設で働きながら国家試験を受験される人たちも対象に試験対策の講座を開くなど、そういった意味で、高校生だけではなくて介護人材育成にも県立高校として貢献をさせていただいていると、こういう状況に対しては胸を張らせていただきたいと思っております。  また、これは福祉系とは位置づけられていないんですけれども、県立三校、私立三校では、介護の基礎知識とか技術を学ぶことによって、介護職員初任者研修修了者として卒業後に介護業務に従事できるという学校も六校ございます。  こういう状況の中で、先ほど議員のほうからは、県立の福祉科の設置をそろそろ検討すべきではないかという御指摘をいただきました。  私たちが学校の中に学科を設置する場合に、学校としては、教育委員会としては入り口と出口というのが非常に気になります。出口に関しては、就職先だったり進学先に関しては、介護人材の不足、人材確保が課題になっておりますので心配要らないとして、入り口のほう、高校で学科を設けたときに定員を満たすだけの人材が集っていただけるかというところは気になるところです。現状のさっきの三校において、定員にはまだ満たっていない状況というのがちょっと気になるところです。  今後、学科を設置するかどうか検討していくに当たっては、今後の介護人材の確保の状況だったり、県立で設置するかどうかについては、私立の北陸高校での取組、あるいは高校ではありませんけれども、県内の西九州大学、西九州短大、あと佐賀女子短大にも福祉系の学科がございます。そういうところでの取組も併せて、県立学校という視点だけではなくて、全体的な視点を持って介護人材をどう確保していくのか、その中で県立高校はどう役割を果たしていくのか、そういう観点で考えていく必要があるというふうに考えております。  以上です。 31 ◎中本正一君 登壇=最後の県立学校への福祉科の設置のところでありますけれども、今の時点としては教育長の答弁はああいう感じなのかなというのは大体想定をしていたところであります。  ただ、今、福祉系の高校が三校ありますけれども、以前は平成二十三年まで、たしか多久高校が福祉系の高校ということでありましたけれども、先生方の配置が難しいということで福祉科が廃止になったという経緯も聞いております。  それで、いろいろ関係者の方にお話を伺わせていただきましても、佐賀県の場合、他県から介護職で佐賀に入ってこられるというのはまずあり得ないと、こういう話を聞いています。ですから、やはり佐賀県の中で介護職員を育てていくしかないというのが一点。  それと、県立高校の二つの学科については、総合学科の中に福祉系のカリキュラムがあるということで、一年生のときは割とフリーなんですね。二年、三年で本格的に介護職を勉強するということになっています。ただ、一年生の段階で、当初福祉を目指していたけれども、やっぱりちょっと嫌だなということで他の系列に行かれる、こういう子供たちも結構いらっしゃるという話を聞いています。  そうした意味からすると、福祉科というのは定数四十名ということで、確かにハードルが高いようにも感じますけれども、初めからこの福祉科のほうに入っていただきますと、先ほどお話がありましたように、県内における介護施設の職員になっていただく、また、さらに進学をして、より高い福祉専門職を目指すという方も、大分県の事例からもはっきりしているわけでありますので、そうした意味では、今、教育長からお話がありましたように、県立高校も含めた私学、そして短大、大学も含めて佐賀県として福祉人材をどう確保していくかという視点と、さらには、その中で県立高校としてどういう役割を果たしていくか、これを真剣にぜひ御検討いただきたいなというふうに思います。  第七期の「さがゴールドプラン21」を策定されたときの介護職員のベースは、二〇一六年のベースと第六期のときの二〇一三年のベースから見ますと、実は介護職員というのは約五百人増えています。五百人増えたけれども、二〇二五年の高齢者のピークには六百人足らないと。ですから、第六期も第七期も不足する人材は変わっていない。でも、現実には介護職員を五百人増やした。ということは、それの倍する取組を今からしていかないと、二〇二五年の高齢者のピークのときには介護人材が不足すると。そういう現実をしっかり見据えた上で、これは教育部門だけでなく、知事部局におきましても一緒に介護人材の確保対策についてはぜひしっかり御検討いただくことを求めておきたいなというふうに思います。  私のほうから一点、再質問でございますけれども、九州新幹線西九州ルートに関わる質問の中で、県民への情報提供について、南里部長からは、国のほうから「幅広い協議」等を通して具体的な数値、条件等があった際に考えていくという御答弁だったと思います。  ただ、御案内のように、今回の県民世論調査におきましては、分からないというのが六ポイント増えていると。この分からないというのは、情報がないから分からないという方と、逆にいろんな情報を聞いても判断できないと、この二つのパターンがあると思います。  しかしながら、現実には情報が今不足しているというのは事実でありますし、そうした中では、一回情報が来て、それをぽんと出して終わりということじゃなく、この新幹線というのは、まさに佐賀の未来を担うような大きな課題でありますので、昨年八月の与党の方針決定からの動きもある、また、その前からの長い歴史がある、そうしたことをしっかりときめ細かく、回数を分けても情報提供していくことが大事じゃないかというふうに思いますので、この点について、もう一度御答弁をいただきたいと思います。 32 ◎南里地域交流部長 登壇=中本議員の再質問にお答えをさせていただきます。  私の先ほどの答弁で、議論に必要な確定した数字や条件を示していただくように国に求めているけれども、状況を見ながら分かりやすくお伝えすることを考えておりますということで申し上げましたが、これは国から情報が来るのを待ってという意味ではございませんで、そういう中ではございますが、状況を見て分かりやすくお伝えすることをしっかり考えていきたいという趣旨でございます。どういった形でやるのがいいのかというのは今いろいろ検討しておりますので、ただいまの御意見も含めまして考えていきたいと思っております。  以上でございます。 33 ◎井上常憲君(拍手)登壇=自民党の井上常憲です。  久しぶりの登壇になりました。二年間のがん治療を終えて先月退院しまして、今は幸いに免疫治療を受けながらの議会活動となっております。表現は少し悪いですけど、今日はリハビリを兼ねて一般質問をさせていただきたいというふうに思っております。  今日は四項目についてお伺いいたします。  菅首相ですけど、就任後初めての所信表明演説の中で、二〇五〇年までに温室効果ガス、CO2の排出量を全体としてゼロにすると宣言されました。私も脱炭素社会の実現については賛同しますし、多くの国民の合意も得られているということで、支持率も非常に高い数値を示しているようです。  また、山口知事は、これまでの定例県議会において、再生可能エネルギーを中心とした社会の実現を目指し、様々な取組を推進していると述べられておりまして、唐津市等沖への洋上風力発電事業の誘致はその取組の一つというふうに考えております。  その唐津沖の漁場ですけど、対馬暖流の影響下にあり、壱岐水道の外洋性の漁場、それから、唐津湾や仮屋湾などの内湾性の漁場、さらに、七つの離島やリアス式海岸が続く中に砂丘が点在する漁場など、多様な漁場を有しております。  しかしながら、近年は玄海地区の漁業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあるというふうに認識しております。平成二十年からの十一年間で漁獲量が約一万二千トンから約四千八百トンと、実に三分の一に減少しておりまして、漁業就業者数も千五百六十六人から九百九十三人と、これもまた実に三分の二に減少しております。また、その減少幅も非常に大きく、看過できない非常に厳しい状態となっております。  こうした中、馬渡島周辺海域は、玄海地区の中でも大きな漁獲量が今後も続いていくということを期待される豊かな漁場となっているところです。そこでは、小型底引き網が全体で百二十一件、それから刺し網漁が五十八件、五智網漁が三十五件などの許可漁業が営まれております。  本県の漁場は、お隣の長崎県と比べて非常に狭いのが現状です。佐賀県の東は浜玉町、玉島川になっておりまして、その先は福岡県。西は、そこから車で四十分行った肥前町で、これもお隣の松浦市の鷹島町と橋で隣接しておりまして、海洋調整区域の中での漁場が非常に狭くて、それに比べてお隣の長崎県は五島列島や壱岐・対馬を保持しておりまして、非常に広い漁場を有しております。  そんな中、今回、玄海沿岸地区におきまして洋上風力発電が設置されていることによる漁業への影響について、一部の漁業者からは不安の声が聞かれております。  私は、開発を進める際には、地域住民、特に漁をなりわいとされております漁業者の理解が重要であり、地域と共生した形で進めていく必要があるというふうに考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  まず、これまでの取組の経緯についてお伺いいたします。  新聞報道では、最初はこの風力発電事業は唐津市神集島周辺海域での計画と発表されていました。それが馬渡島周辺、玄海町北西に絞られ、また、唐津市議会においては、今回、神集島周辺と小川島周辺の事業追加の要望書を出されております。  洋上風力発電事業の誘致について、これまでの国及び県の取組の経緯についてお伺いいたします。  次に二番目に、洋上風力発電事業の取組の現状についてお伺いいたします。  事業者の動向及び県の取組は、どのような状況なのかをお聞かせください。  三番目に、玄海地区における漁業者への対応についてお伺いいたします。  五智網、底引き網などは、量をとるため、網を五十メートル、百メートルと延ばして、広い範囲に展開する漁でございます。それをまた引き回さないといけませんから、着床式にしても浮体式にしても海上に距離を十分に取っているということですけど、構造物が建てば、波や風、それから、ほかの船の航路などで、漁法が非常に困難だと思われます。  玄海地区、特に馬渡島周辺海域の漁業者の懸念については、県はどのように捉えていますか。また、そのような漁業者に対して、今後どのように取り組んでいこうとされているのかについてお伺いいたします。  次に、二項目めについてお伺いいたします。玄海沿岸における漁港の高潮・波浪対策についてお伺いいたします。  近年、毎年のように地球温暖化によります気候変動などが原因と考えられる集中豪雨、それから台風により、全国各地で大規模な自然災害が発生しております。  本県におきましても、線状降水帯と言われる集中豪雨によって、三年連続で大雨特別警報が発令され、今年七月には記録的な豪雨によって、山間部を中心に土砂崩れなどの被害が発生しているのが現状です。  また、特に今年は、日本近海の海水温が高かったため、台風が多く発生しまして、九月には強い勢力を保ったまま、台風九号、十号が相次いで本県に接近し、幸い、途中の気圧の変化で大災害を受けるのは逃れることができましたけど、このように、近年、局地的な集中豪雨や大型の台風による自然災害は、明らかに多発化、激甚化の傾向にあるのではないかと心配しております。  こうした中、私の地元である唐津市肥前町の高串漁港においては、現在、県営事業によりまして、魚の陸揚げなどに必要な浮き桟橋の設置、それから、防波堤の補修など水産業の振興に必要な整備が実施されておりまして、非常に感謝しているところです。  しかし一方で、月平均潮位が高い九月の大潮のときには、潮が押し寄せ、漁港の物揚げ場の岸壁を越え、標高の低い道路や、また、田野小学校の体育館の付近が一部浸水するところもあります。満潮時に海岸道路を通ると、非常に妙な圧迫感といいますか、恐怖感も感じるものであります。  このように、沿岸地域に位置する漁港は、特に、大型の台風が本県に接近、上陸し、大潮のときと重なった場合は、住民の多くは、高潮・波浪による浸水に対する不安や恐怖を感じております。  漁港区域内の住民の生命や財産を守るために、漁港の計画的な高潮・波浪対策を進めていく必要があるというふうに考えております。  そこで、次の点について伺います。  漁港の高潮・波浪対策のこれまでの取組についてであります。  県はこれまで、玄海沿岸における漁港の高潮・波浪対策についてどのように取り組んできたのか。  次に二番目に、漁港の高潮・波浪に対する今後の取組についてであります。  県では、玄海沿岸における漁港の高潮・波浪対策について、今後どのように取り組んでいくのかについてお伺いいたします。  次に三項目め、小学校における英語教育についてお伺いいたします。  「その時、佐賀は世界を見ていた。そして今、佐賀は未来を見ている。」、「肥前さが幕末維新博覧会」のスローガンであります。幕末・維新期、国内最先端の科学技術を有し、明治維新の鍵を握っていた佐賀。このような偉業を残した先人たちの志を受け継ぎ、未来の佐賀を築いていく子供たちが世界で活躍するためには、外国語によるコミュニケーション能力の向上は必要不可欠であります。  その先見性、必要性から、藩校による外国語教育に力を入れた当時の藩主とそれに応えた家臣たちの歴史に感動したものでした。  国もグローバル社会の到来を受け、その必要性を認識し学習指導要領の改訂により、本年度から小学校の三、四年生で外国語活動、五、六年生で国語や算数と同じ教科である外国語科となり、これまで以上に子供たちが、小学校の早い段階から英語に触れる機会が増えたというふうに聞いております。  私は小学校での英語教育は大いに必要と期待しているところであり、学校では、子供たちが興味を持って学ぶことができるような授業を行ってほしいと考えております。  各学校においてはコロナ対策に追われ、子供たちが興味を持って学べるような工夫をすることは難しいかもしれませんが、狭い佐賀県だからこそできるようなこともあると思います。  既に独自の取組として、オンラインで外国とつなぎ、小学生に直接外国の講師と会話をする経験をさせたり、ALTを活用して授業に参加させたりする活動が行われている市町もあるというふうに聞いております。  また、英語教育導入に当たって、小学校の教員を対象とする研修会などを行い、指導力の向上に取り組む必要もあると考えます。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  小学校への英語教育導入から現在に至るまでの経緯はどのようになっているのかお伺いいたします。  次に、県教育委員会の取組についてお伺いいたします。  現場の力を引き出し、特色ある小学校英語教育の充実のために、県教育委員会としてどのように取り組んでいくかについてお伺いいたします。  次に最後の四項目め、犯罪率低下への取組についてお伺いいたします。  コロナ騒動前は、インバウンド効果で多くの外国人が日本に来ていました。その多くの観光客が日本に来て感動する点として、礼儀正しい、きちんと列をつくって並ぶ、それから、電車や地下鉄が時間どおりに来る、清潔、そして治安がよいなどが挙げられています。  我々日本人から見たらごく当たり前の光景でも、訪日外国人から見ればすばらしいと称賛されることがたくさんあるようです。  私も若い頃から、海外を旅した経験や各種の国際交流事業、国際支援活動を続けてきました。日本のように個人個人が豊かで自由で、社会保障が充実した福祉国はないと私は思っております。  こうした我が国と佐賀県のすばらしさは、一朝一夕にできるものではなく、先人たちが苦労して礎を築いたものでありまして、これに感謝すべきであるというふうに思っております。また、これをさらによくすることが我々に課せられた義務だというふうに考えているところです。
     最近、ネットを見たら、横断歩道で止まってくれた車に、わざわざ振り返って深々と礼をする子供を見かけました。一般道路でも譲ってくれた車には、わざわざパッシングしてお礼を返しています。我々の若い時代はそんなことはなかったのに、今どうしてこんな道徳の広がりが行われているのかな、誰が推進しているのかなと考えたりもします。  我が国が誇るべきものの一つに、治安がよいことが挙げられております。佐賀県の刑法犯認知件数は、平成十五年には戦後最悪となる一万四千件となったものですが、年々減少し、昨年中は三千四百件と約四分の一にまで減少したと聞いております。このように大幅に減少したのは、県警察と県民の努力のたまものであると思っておりますが、今後も安全で安心な佐賀県を県民が誇れるよう県警察に牽引してもらいたいというふうに考えております。  そこで、次の点についてお伺いします。  過去五年間の犯罪率の低下の推移についてお伺いいたします。  人口十万人当たりの刑法犯認知件数を表す犯罪率について、佐賀県の過去五年間の推移についてお伺いいたします。  二番目に、犯罪率が低下した要因についてお伺いいたします。  五年前に比べ佐賀県の犯罪率が低下した要因について、本部長はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。  今後の取組についてであります。  今後、県警察では治安をさらによくするためにどのように取り組んでいくのかについてお伺いいたします。  以上、四点について御回答をよろしくお願いいたします。(拍手) 34 ◎寺島産業労働部長 登壇=井上常憲議員の御質問にお答えいたします。  私からは、玄海地区での洋上風力発電計画について三点お答えをいたします。  まず、これまでの国及び県の取組の経緯についてでございます。  平成二十八年度にNEDO──国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構というところから全国の風況マップが公表されたことを受けて、複数の事業者が唐津市等沖の海域が洋上風力発電に適した風況を有しているとして唐津市等沖での事業化の検討を開始し、県にも様々な相談が寄せられるようになりました。  県といたしましては、再生可能エネルギーを中心とする社会を構築していくために、洋上風力発電の導入を進めていく必要があると考えておりますとともに、産業としての裾野が広く、設備のメンテナンスなど雇用を伴う経済効果が長期間継続することも期待されますことから、平成二十九年度から唐津市等沖への洋上風力発電事業の誘致について検討を開始したところでございます。  一方、平成三十年十二月に「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」、いわゆる再エネ海域利用法が制定され、一般海域において洋上風力発電事業を実施する事業者の選定や海域の占有など、洋上風力発電の事業化に関する環境が整ったところでございます。  こうしたことから県におきまして、平成三十年度に風況、航路の状況、景勝地からの眺望、洋上風力発電事業の実施に要する面積などを考慮し、誘致を具体的に検討する海域として馬渡島周辺、玄海町北西、小川島東、そして神集島東の四海域を抽出いたしました。  さらに、令和元年度には、唐津市等沖で洋上風力発電事業の実施を検討されている事業者の検討状況を確認いたしますとともに、旅客船の航路や海砂採取海域などの状況を踏まえて検討いたしました結果、馬渡島周辺及び玄海町北西の海域を優先して検討を進めることとしたところでございます。  次に、洋上風力発電事業の事業者の動向及び県の取組の現状についてお答えいたします。  洋上風力発電事業につきましては、再エネ海域利用法に基づき実施されることとなっております。  具体的には、都道府県が発電事業の候補地となる海域の情報を国に提供し、その提供を受けた海域から国が有望な海域を選定し、選定した海域を対象に国が法定協議会を設置いたします。そして、その法定協議会における議論を踏まえ、発電事業を認める海域を国が促進区域として指定をいたします。そして、その指定した促進区域における発電事業の計画を国が公募し、実際に発電事業を実施する事業者が国において選定されると、こういった手順で進められることとされております。  したがいまして、洋上風力発電事業の具体的な誘致に向けましては、この法定協議会の設置が実質的なスタートラインとなりますが、唐津市等沖につきましては、まだこの法定協議会の設置には至っておりません。  法定協議会の設置は、利害関係者がこの法定協議会に参加することについて同意していることが要件とされていることから、現在、県では説明会等によりまして、洋上風力発電事業の概要や意義、また、課題などについて丁寧に御説明をし、この事業に対する様々な御意見をいただき、それらへの対応について検討を進めているところでございます。  なお、唐津市等沖において洋上風力発電事業を検討されている事業者は、現時点で十八グループあるというふうに私どもでは把握をしております。  そのうちの二つのグループが馬渡島周辺や小川島東の海域などで合計四件の環境アセスメントを実施されておりますが、いずれもまだ法定協議会が設置されていない段階でございまして、事業実施に至らなかったときの経済的なリスクがあることを承知の上で、事業者の判断で実施されているというふうに認識をしております。  次に、玄海地区における漁業者の懸念及び対応についてでございます。  これまでの漁業関係者との意見交換を通じ、特に議員からも御紹介がございましたけれども、五智網漁を操業される漁業者の方々からは、風車が設置されると網が引っかかるなどして漁ができなくなるのではないかといった懸念が示されておりますほか、海底ケーブルは漁に支障がない深さで埋設されるのかといったことですとか、複数の風車が建つことによる潮流への影響などについて懸念が寄せられております。  他方で、洋上風力発電設備による漁礁効果ですとか、発電設備の警戒目的の用船など洋上での新たな仕事の創出に期待する声も寄せられているところでございます。  このような状況の中、洋上風力発電事業の誘致を行うに当たりましては、漁業関係者の方々に対し、洋上風力発電事業の意義や必要性、そして、効果や課題などについて丁寧に説明し、幅広く御意見をお伺いすることが重要だというふうに考えております。  そして、漁業関係者の方々が懸念される点につきましては真摯に受け止め、再エネ海域利用法の趣旨に沿って漁業との協調を基本方針とし、漁業と洋上風力発電事業が共存共栄できる、地域にとって望ましい洋上風力発電事業の実現に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 35 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、玄海沿岸における漁港の高潮・波浪対策についてお答えいたします。  まず、これまでの取組について申し上げます。  玄海沿岸には、県や市町が管理します二十七の漁港がございまして、県はそれらの全てを海岸法に基づく海岸保全区域に指定をしております。  そのうち、堤防を有します二十五の漁港につきましては、平成二十七年度に策定いたしました松浦沿岸を対象とする海岸保全基本計画におきまして、漁港の背後にあります人命や財産を高潮・波浪から防護するための計画堤防高を設定しているところでございます。  この基本計画に基づきまして、県管理であります高串、名護屋、呼子の三つの漁港と、唐津市管理でございます浜崎漁港などの九つの漁港、合わせて十二の漁港につきましては、これまでに計画堤防高までの整備を終えておりまして、現在は唐津市管理であります相賀漁港において高潮・波浪対策として、波返し工の整備等が行われているところでございます。  一方、現時点で基本計画に基づく高潮・波浪対策に未着手であります市町管理の十二の漁港につきましては、既存の防波堤や護岸等によって大きな災害が発生していないことなどから、浮き桟橋の設置や漁港施設の老朽化、長寿命化対策を優先されているところでございます。  次に、今後の取組について申し上げます。  議員から御指摘がございました県管理であります高串漁港につきましては、基本計画に基づく堤防のかさ上げは完了しているところでございますが、物揚げ場等の一部におきまして、漁業者の荷さばきなどの支障になりますことから、今のところはかさ上げの計画はございませんで、高潮・波浪の対応がなされていない状況でございます。  このため、まずは台風時の高潮・波浪に対応した避難場所や避難経路を記載しましたハザードマップを策定し、沿岸域の住民の方々が迅速に避難ができるよう備えていくことが極めて重要と考えております。  そうした中で、平成二十七年に水防法が改正されまして、県は今年度、県内の沿岸域全てにおきまして、想定最大規模の高潮による氾濫が発生する区域につきまして、高潮浸水想定区域図を作成する作業を進めておりまして、この区域の高潮ハザードマップが策定されるよう市町に対し働きかけてまいります。  今後とも、背後地の高潮・波浪対策が講じられていない漁港につきましては、計画堤防高までの整備でありますとか、物揚げ場等のかさ上げの工法などにつきまして、漁協や市町と十分協議を行いますとともに、市町に対しハザードマップの作成支援などに取り組みまして、漁業の振興と住民の安全確保に努めてまいります。  私からは以上でございます。 36 ◎落合教育長 登壇=私からは、小学校における英語教育についてお答えをいたします。  まず、小学校への英語教育導入の現在までの経緯についてお答えします。  小学校における英語教育は、外国語を通じて言葉や文化に対する理解を深め、積極的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を身につけることなどを目標に、平成二十三年四月から小学校五、六年生の外国語活動として導入をされております。  このような外国語活動によって英語に興味を持って、英語や身ぶり手ぶりを用いて友達と自然にコミュニケーションを取ることができるようになったとか、あるいは積極的にALTに英語を用いて話しかけて会話を楽しむと、そういったような成果が認められるところでございます。  しかしながら、その外国語活動については音声中心で学んでおりましたけれども、その後、中学校に進んだときに、その時点で文字が加わった、いわゆる教科として勉強するわけですけれども、そこがなかなかうまくいかなくて英語が苦手になると、そういう課題も指摘されているところであります。  こういった成果と課題を踏まえて、段階的に中学校につなげていくことを図るために、今年度四月から小学校における新しい学習指導要領がスタートするのに合わせて、小学校三、四年生で音声中心の外国語活動を導入して、五、六年生で外国語科として、教科として文字による学習を含めて英語学習に取り組むことになったということでございます。  次に、教育委員会としての取組についてお答えいたします。  小学校においては、担任の先生がほぼ全ての教科を教えるということですので、英語を小学校で教えるということになると、今まで英語を教えてこなかった小学校の先生たちが英語を教えるということになります。  そういった意味において、小学校教員の英語の指導力向上を図ることが大きな課題としてありますし、それに取り組んできたところであります。  先ほど平成二十三年度から外国語活動が導入されたと申し上げましたけれども、それに備えて、平成二十年度から小学校教員を対象に外国語活動の研修を行ってきております。  また、今回、教科として小学校で英語が取り組まれるということになるのに備えて、平成二十七年度から県教育委員会としては英語教育推進リーダーの任命とか育成、あるいは平成二十九年度からは小学校英語指導力向上研修、また、英語教育の研究指定校に英語教育専科指導教員を配置したりするなど、小学校における英語指導力の向上に努めてまいっております。  先日、三田川小学校で研究授業の発表があって、それを参観させていただきましたけれども、小学生は非常に楽しそうに勉強しておりました。ALTも入った授業でしたけれども、今後、三年生から活動を開始し、五年生から教科として英語を勉強するようになっても、そういう楽しい状態で英語を勉強してもらいたいなと改めて感じた次第です。  佐賀県としては、佐賀県はICT教育トップランナーだという強みも生かしまして、小・中・高の英語の担当教員から選出された推進リーダーが中心になって、ICTを活用した指導方法、あるいは教材の開発を行って、そういった取組を行ってきております。  また、今後、小学校における英語教育が進んでくると、それを踏まえた中学校、高校での英語教育というのも変わっていかなければならないわけですけれども、小・中・高の先生の、そういった意味での連携、あるいは情報共有だったり、情報交換というのは非常に重要になってくると思います。  ここでもICTを活用して、オンラインを用いた情報共有だったり、交換だったり、あるいは子供たちの英語能力、その時点での英語能力をはかるような指標というのをつくっていって、先生たちの指導が統一的に行えるように、そういう仕組みをつくっていきたいなというふうに考えております。  いずれにしましても、佐賀県で育った子供が小学校から高校まで英語を勉強して、将来、国際舞台でも活躍できるような人材、あるいは外国人と物おじせずに積極的にコミュニケーションができるような人材に育っていけるよう英語教育の充実に努めてまいります。  私からは以上です。 37 ◎杉内警察本部長 登壇=私からは、井上常憲議員の御質問のうち、犯罪率低下への取組についてお答えをいたします。  まず、過去五年間の犯罪率の低下の推移についてですが、人口十万人当たりの刑法犯認知件数を表す犯罪率につきましては、佐賀県では平成二十七年が六百五十一件であったものが、その後、平成二十八年には六百十四・三件、平成二十九年には五百二十五・八件、平成三十年には四百三十七・二件と毎年低下をし、令和元年には四百十七・六件となっており、いずれの年も全国平均を二〇〇ポイント前後下回っております。  次に、犯罪率が低下をした要因についてですが、県内の刑法犯認知件数は戦後最悪となった平成十五年をピークに減少傾向にあります。  これは全国的にも言えることですが、官民一体となった総合的な犯罪対策の推進や防犯機器の普及、その他の様々な社会情勢の変化等を要因として、刑法犯認知件数の減少につながったものと考えられます。  佐賀県では、県民が安全に安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とした「佐賀県犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくり条例」が平成二十六年四月に施行され、県、警察、県民、事業者、防犯ボランティア団体等が連携をして、犯罪の防止のための自主的な活動や犯罪の防止に配慮した環境の整備等に取り組んできたところであります。  県警察の主な取組といたしましては、子供の見守り活動等を行う防犯ボランティアに対する各種支援や、日常の生活の中に防犯の視点を取り入れた「ながら防犯」への参加促進のほか、身近な犯罪の被害防止に関する情報の県民の皆様への積極的な提供などのソフト面、そして、通学路等における防犯カメラの設置促進等のハード面の対策に努めてきたところであります。  こうした取組によって県内の刑法犯認知件数が減少し、犯罪率の低下につながったものと考えております。  次に、今後の取組についてですが、県内の刑法犯認知件数は減少傾向にありますものの、凶悪犯罪の前兆となり得る子供や女性を対象とした声かけ・つきまとい事案や、高齢者等を対象としたニセ電話詐欺の発生が後を絶たず、予断を許さない状況にあります。  また、刑法犯認知件数の約七割を占める窃盗犯においては、県内の特徴として、住宅侵入窃盗、自転車盗、車上狙いの無施錠による被害の割合がそれぞれ八〇%前後あり、全国平均を大きく上回っている状況にあります。  このような犯罪情勢を踏まえ、県警察といたしましては、関係機関や自治体等と連携をし、さらなる被害防止対策を講じているところであります。  具体的な施策といたしましては、今年度は子供や女性に対する声かけやつきまとい事案の対策として、小城市における防犯カメラモデル地区事業、県民に対する「ながら防犯」の周知に向けた高校生出演による演劇動画の作成、企業等への「ながら防犯」への参画促進等を行っております。  また、ニセ電話詐欺対策につきましては、従来の対策に加え、新たな取組として、コンビニエンスストア全店に対する高額電子ギフト券購入時の警察への全件通報、NPO法人などと連携した高齢者を守る被害防止対策事業、タレントの「コロッケ」さんを起用したCMの放映といったことを実施いたしております。  さらには、無施錠による窃盗被害を防止するため、様々な媒体を活用した情報発信を行っており、生命保険協会と連携したチラシの配布も行うなど、広く県民の皆さんに無施錠による被害の実態について周知をするための広報活動を行っているところであります。  県警察といたしましては、今後もこれらの被害防止対策に引き続き取り組んでまいりますとともに、地域における犯罪情勢を的確に分析した上で、その実情等に応じて関係機関・団体等と協働した犯罪防止に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。 38 ◎副議長(岡口重文君) 暫時休憩します。     午後三時二十七分 休憩 令和二年十二月二日(水) 午後四時一分 開議  出席議員    三十六名     一番  一ノ瀬 裕 子     一五番  古 賀 陽 三     二九番  徳 光 清 孝     二番  古 賀 和 浩     一六番  川 崎 常 博     三〇番  中 倉 政 義     三番  下 田   寛     一七番  定 松 一 生     三一番  石 井 秀 夫     四番  古 川 裕 紀     一八番  八 谷 克 幸     三四番  木 原 奉 文     五番  中 村 圭 一     一九番  江 口 善 紀     三五番  藤 木 卓一郎     六番  冨 田 幸 樹     二〇番  藤 崎 輝 樹     三六番  石 倉 秀 郷     七番  弘 川 貴 紀     二一番  向 門 慶 人     三七番  桃 崎 峰 人     八番  井 上 祐 輔     二二番  坂 口 祐 樹     三八番  土 井 敏 行     九番  木 村 雄 一     二三番  宮 原 真 一    一〇番  中 本 正 一     二四番  原 田 寿 雄    一一番  野 田 勝 人     二五番  岡 口 重 文    一二番  西久保 弘 克     二六番  大 場 芳 博    一三番  池 田 正 恭     二七番  武 藤 明 美    一四番  井 上 常 憲     二八番  稲 富 正 敏 欠席議員    一名    三二番  留 守 茂 幸 欠  員    一名 地方自治法第百二十一条による出席者
             知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   脇  山  行  人          地域交流部長       南  里     隆          県民環境部長       原     惣一郎          健康福祉部長       大川内   直  人          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    山  下  宗  人          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   甲  斐  直  美          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    杉  内  由美子          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    稲  冨  正  人 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          議事課長事務取扱     杉  谷  直  幹          総  務  課  長   吉  田     泰          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       横  尾  重  信          議事課副課長       花  島  良  直          政務調査課副課長     金  武  隆  守          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同    議事担当主査  池  田  陽  介     ○ 開     議 39 ◎議長(桃崎峰人君) これより会議を開きます。  休憩前に引き続き一般質問を行います。 40 ◎武藤明美君(拍手)登壇=日本共産党の武藤明美でございます。  新型コロナ感染症による感染拡大はとどまることなく、今、全国で第三波とも言われるような状況になっています。佐賀県においては全国に先駆けての「プロジェクトM」を立ち上げ、念のため検査を行うことや軽症者のためのホテル借り上げ、PCR検査拡大などに取り組んできました。数次にわたるコロナ対策及びコロナ関連の予算をつけるなど、努力もしておられます。  私ども日本共産党は九月の補正予算には反対したものの、そのほかのコロナ対策関連に賛成をし、県民みんなでこれを乗り越えなければならないという思いをいたしております。  県内における地域経済の落ち込みや足踏みなども見られます。医療、暮らし、産業など、さらなる取組についても求められています。それについては、私は文教厚生常任委員会で関連することに質問をしたいというふうに思います。ここでは予定している五つの問題で一般質問を行いたいと思います。  まず、九州新幹線長崎ルートです。  新幹線長崎ルートの二〇二二年暫定開業に向けて、もともと長崎新幹線建設に対して反対をしていた人も、賛成をしていた人たちも差し迫った問題として、新鳥栖─武雄温泉の運行方法をどうするのかが問われています。その点では山口知事が六者合意の立場を貫こうとしておられる点は頑張っていただきたいと思っています。  さて、報道によりますと、新幹線長崎ルート問題の与党検討委員会は、佐賀県が新鳥栖から武雄温泉間をフル規格にしていくことを渋っていることについて、単に財政負担が問題であるかのように考えているようで、交付税措置を最大に生かした負担軽減策を持ち出しています。しかし、この提起はあくまで単純計算であると同時に、借金払いは長く続くという形になり、全体的に見て負担軽減にはなり得ません。  また一方で、貸付料五十年説も、支払う期間が延びるだけで、実質の負担軽減にはなりません。痛みが長期化するだけではないでしょうか。  知事はこういう財政負担軽減説についてどうお考えでしょうか。また、こういう形で受け入れられるとお思いでしょうか。  北陸新幹線の金沢─敦賀間の延伸事業についても、事業が長引くために事業費は膨らみ、昨年三月の増額からまた今回二千八百八十億円も膨らむこととなりました。こういう実例があるように、長崎ルートも事業費が増嵩することは明らかです。新鳥栖─武雄温泉が六千二百億円の事業費中、佐賀県負担は六百六十億円とも言われておりますが、これだけにとどまらず、それよりも大きくなることは目に見えています。  事業費負担額についての国土交通省の試算についてどのように受け止めておられるでしょうか。  お金の問題だけではありません。在来線の利便性の低下についても問題です。新鳥栖─武雄温泉間がフル規格になると、これまでの武雄─博多間の従来の在来線について、現時点では国土交通省もJR九州も方針を明確に打ち出してはいません。県民からは、武雄から博多間ではなく、武雄から新鳥栖間なのかどうなのか、また、経営分離や上下分離になるのかどうか、あるいは特急がなくなるのではないかと不安の声が上がっています。  在来線の利便性低下は通勤通学をはじめとする県民生活に大きな影響を及ぼします。長崎ルートの整備により、これ以上、佐賀県が犠牲にされることは我慢できません。  県は、新鳥栖から武雄温泉は在来線利用が大前提だとこれまで言ってこられましたが、在来線の利便性低下に対する県民の不安の声に知事はどう答えるのでしょうか。  次に、有明海再生について質問いたします。  この十二月で福岡高裁による開門調査判決が確定してはや十年になります。諫早干拓事業潮受け堤防の開門と開門調査の実現による有明海の再生は、漁業者の悲願であると同時に、四県沿岸住民にとっても地域経済や環境の面からも大事な課題です。  平成元年十一月の干拓事業の着工から三十年以上、平成九年四月の潮受け堤防締切りから二十年以上、そして、開門判決の確定から十年という節目に当たって、宝の海・有明海の再生をと願い質問いたします。  これまでは有明海の状況を見て現地の声を聞くために、歴代農水大臣は就任後一か月前後で佐賀県へも来訪されていました。地元自治体の長や漁業者、原告とも会い、意見交換をしておられたのです。  ところが、菅政権発足後二か月になりますが、野上農水大臣はまだ有明海の視察にお見えではありません。コロナ禍とはいえ、ほかの県や市に出かけ、農業団体、漁業者たちとも会っておられるようですので、有明海にもぜひ来ていただき、現状を見て被害を訴えている漁業者にも会っていただくように、知事からも来訪を要請していただきたいのですが、いかがでしょうか。  国は福岡高裁の開門判決を守るどころか、非開門を条件として百億円の基金案を基調とした和解案を出しています。これは実際に裁判を闘っている漁業者が当事者ではなく、沿岸四県の自治体と漁業者団体、つまり、佐賀で言えば、佐賀県と有明海漁協を中心とした組織で運用し、有明海再生事業に取り組めというものです。  でも、どうでしょうか。十五年以上にわたって四県で五百億円以上が投入されながら、有明海再生はなかなか目に見えてこないという経緯があります。百億円つぎ込んだからといって、有明海が急速に再生できるというのでしょうか。  福岡高裁での確定判決を履行してもらうのは原告漁業者の権利であり、それを引き延ばすことはあってはならないことです。また、県も漁業者団体も、原告抜きで、開門抜きの百億円の和解案を簡単に受け入れるわけにはいかないのではないかとも思います。  原告の方たちは開門を前提とした和解を希望されています。知事は開門を前提とした和解による解決についてはどのようにお考えでしょうか。  今シーズンのノリ養殖については、種つけ直後に栄養塩が低下したため、成長が芳しくなく、大変な時期もありました。漁業者の方たちは調整池からの排水についてはらはらしておられます。南北両排水門からの排水は百万トンを超えないようにと要請していても、実際には百万トンを超えることもあり、小まめな排水が履行されていないように思います。漁業者の苦しみを思えば、県は小まめな排水が確実に行われるよう国に強く求めるべきではないでしょうか、いかがでしょうか。  有明海の漁業者は漁獲量が減っていることは肌身に感じています。有明海の再生は待ったなしです。  一方で、国は漁獲量は増えていると繰り返しています。増えているとしたら、エビ類、クラゲ類ではないでしょうか。佐賀県における有明海の漁獲量の現状についてどのように変化しているのかお示しください。また、漁獲量の回復に向けてはどのように取り組んでおられるのでしょうか。  次に、種苗法の改正について質問いたします。  国会では種苗法改正の問題が急浮上し、せんだって衆議院を通過、昨日は参議院でも委員会で論議され、何と今日の参議院本会議で可決したとのことです。  平成三十年の主要農作物種子法の廃止のときも、当時の安倍政権では国民的議論は行われず、僅かな審議時間で強行をされてしまいました。理由は国の研究機関や各地の農業試験場などの公的機関があると、民間の種苗会社、つまり、多国籍企業のようなところが参入できないというものです。全国の農業者や自治体が公共の種子を守ろうとの動きにつながりました。そして、今回の種苗法改正です。  本来、種苗法は、米や野菜などの新品種を開発登録した場合、開発者の知的財産を保護する法律で、育成者権という生産、販売する権利が与えられています。国の研究機関や各県の農業試験場などでは長い年月をかけ、労力をかけ、農作物の品種改良や開発に取り組まれています。それを農家が求め、種や苗を育て、収穫して、翌年、再び自分の農地で種苗として、つまり、自家増殖して使うことが認められていました。ところが、種苗法が改正されると、登録品種については自家増殖を原則禁止として、登録期間の二十五年ないし三十年間は育成者権者に許諾料を払い続けなければならなくなります。農家の人たちは毎年許諾料を支払うことにより、農家の経営が圧迫されてしまうのではないかと心配の声があります。  国会の論議では、世界的には多国籍である農業関連企業、アグリビジネスによる種子や種苗の支配が広がり、モンサントやシンジェンダなど上位四社で種苗市場の六割を握っているとも言われ、遺伝子組換えやゲノム編集による種苗販売とセットで除草剤などの化学薬品、化学肥料の販売をしているとも言われています。種苗法改定はこの多国籍企業の市場参入を見越しているのです。そういう販売のやり方がまかり通るのではないでしょうか。  種苗法改正は、農業者がお金を出して種子、種苗を買うという負担が増えるだけでなく、消費者にとって大問題です。  昨日の国会では、遺伝子組換え作物ではないという表示も三年後にはできなくなるとのことです。ゲノム編集は今でも表示の義務はありません。食の安全が脅かされることになってしまうのではないでしょうか。どうなっていくのか不安です。  そこで、次の点について御答弁ください。  一つ、種苗法改正について、県はどのように受け止めているのでしょうか。  次に、佐賀県内で栽培されている登録品種はどのようなものがあり、この法改正によって本県農業にどのような影響が出てくるのでしょうか。  次に、種苗法改正によって農家経営が成り立たなくなるのではないでしょうか。県はどんな対策、対応をしようとしているのかお示しいただきたいと思います。  次に、教育行政について質問いたします。  一つは校則問題についてです。  十一月十三日に県教育委員会は佐賀県弁護士会から中学校の校則に関して見直しの提言を受けています。  提言の一つは、校則の中には不合理なものや時代にそぐわないものがあるので、内容を精査して真に必要で重要なものか、規制目的とその手段との間に実質的、合理的な関連性があるのかどうかという観点からの見直しを求められました。  提言の二つ目は、子供の権利について明言すべきだという点です。  提言の三つ目は、校則の策定や変更手続の際、子供や保護者の意見聴取や協議など、子供を関与させる仕組みづくりが必要だというものです。  これまでもスカート丈を物差しで測られた、制服に名札を縫いつけるのは個人情報が見える状態になってしまう、髪型に対して厳しいといった声もありました。  県弁護士会は、二十二の中学校、県立四、佐賀市立十八の校則を精査し、中学生や学校関係者からの聞き取りをした上で、詳細に分析して指摘しておられます。  また、法律の専門家として子どもの権利条約を重んじ、1)生命への権利及び生存発達の確保、2)あらゆる差別の禁止、3)子どもの最善の利益、4)意見表明権という基本原則を基に、子供の権利と自由の観点から、学校がその教育目的を達成するためにも改めて校則について考え、見直していこうという提言です。  この提言を読ませていただきましたが、私は子供の人権を大切にして、こういう豊かな内容を、広い視野に立った提言を出してもらったことをとてもありがたく思いました。  県教育委員会に質問いたします。  この提言をどのように受け止めておられるのか伺います。  また、県教育委員会としては、これまでも校則の見直しに取り組まれてきたと思いますが、どんな取組をされてきたのかお示しください。  県教育委員会としては、佐賀県弁護士会の提言を踏まえ、今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。  次に、制服問題についてです。  私は、一昨年と昨年度も性的マイノリティーの問題を取り上げ、その対応も質問してきました。  女子生徒とか男子生徒などや性別に関係なく、自由にスラックスもスカートも選択できる制服については、年々取組が進んでいて、引き続き取り組んでいくとの答弁でした。  県内の公立学校における選択制制服の導入状況についてどうなっているのか。また、今後の見通しについても具体的にお示しいただきたいと思います。  次に、特別支援教育の在り方についてです。  この問題は、九月議会の文教厚生常任委員会でも質問いたしましたが、今日は予算をつける立場の知事も座っておられるこの本会議場の場において、ぜひ考えていただきたいと思い、改めて質問いたします。  県内では、特別支援教育を必要とする児童生徒たちが増えています。  増加する特別支援学級の児童生徒たちの四九%から五〇%が自閉症や情緒に障害を持つ子供たちです。個々の特性に応じた、よりきめ細やかな指導が行われる必要があります。  文科省に置かれている「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」では、教育環境を改善するために、国は特別支援学校に備えるべき設置基準を策定することが求められていると議論整理の文書にも記し、また、答申素案においても教育環境を改善するためにと記しています。  十一月の国会で萩生田文科大臣は、音楽室や理科室などを潰してまで特別支援学級に転用することが前提ではない、きちんと環境を整備していくことが必要だと述べています。近隣校の空き教室を利用するようなものではありません。これまで小中学校にはあった設置基準がようやく特別支援学校にも必要だという認識に立ってもらったと、私は胸が弾む思いがいたしました。  全国的にも問題になっている教室不足の象徴とも言えるカーテンを仕切っただけのカーテン教室が県内にも存在しています。この解決が急がれます。  現在、一クラス八人で編制されていますが、病気ケアの必要な生徒が四人もいれば、担任が一人だと生徒の命の保障ができない状態に置かれます。何度も指摘してまいりましたが、情緒に障害がある子供たちの教室の場合、一人の生徒が外に飛び出すと先生が追いかけ、残された子供たちがパニックになるなど何をしでかすか分からない状況になってしまうんです。  一人一人の子供が教育を受ける権利を持ち、その発達を保障していくためにも、心を注がなければなりません。  特別支援学校の設置基準については、教育環境の改善につながるよう国に強く要請すべきではないでしょうか、県教育委員会はどのように対応していかれるのでしょうか。  次に、県内の小中学校の特別支援学級の学級編制については、国で標準を八人としていますが、県によっては国の標準を引き下げ、基準を六人にしているところもあるようです。
     佐賀でも運用などの独自努力で特別支援教育の学級内の基準を引き下げていただきたいのですが、いかがでしょうか。  また、県内では障害のある児童生徒が増えていることから、特別支援教育支援員の配置もしておられますが、それも十分とは言えません。一クラスに一人ではなく、三、四クラスに一人しか配置されていないような現状です。  特別支援教育支援員のさらなる拡充配置を求めますが、いかがでしょうか。  次に、県東部地域においては、特別支援学級や特別支援学校の児童生徒数が増えていることから、この前の九月議会で私は、東部地域に特別支援学校の整備が必要ではないかと求めました。特に鳥栖市内や、その周辺地域で必要だと思います。  県教育委員会は、その対応策を検討しているとのことでしたが、父母も先生たちもこのことは願っています。具体的にどう進めておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。  最後に、警察行政についてです。  警察本部長に質問いたします。  これは太宰府事件についてです。亡くなられた高畑瑠美さんの御冥福をお祈りし、それとともに御遺族の皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げます。  事件は昨年、二〇一九年十月に起きました。高畑瑠美さんの遺体が福岡県太宰府で発見されたのです。  いわゆる高畑瑠美さん傷害致死遺体発見から遡ると、三か月ほど前の二〇一九年七月から、佐賀県内にある瑠美さんの実家の家族から、瑠美さんに関して不審なことが起きているという相談や、トラブルに巻き込まれているのではないかといった心配の相談が鳥栖警察署に持ち込まれていたそうですが、鳥栖署では金銭問題に関わる家族間のトラブルと受け止め、具体的対策を示さず、話を聞きおくだけにしていたようです。  ヤミ金から脅されていることについては、家族に対し、電話に出るな、何かあったら一一〇番するようにと言ったものの、鳥栖署が具体的に動くことはないまま、御家族の心配を真摯に受け止めもせずに、まともな対応もされずに放置されてきました。その結果、高畑瑠美さんは被害に遭って亡くなられ、遺体として発見されました。  県民から言えば、県民生活の安全・安心を守るべき県警が県民からの相談事をまともに受け止めず、しかも、何度も何度も相談していたのに事件性があるとは結びつけることもせずに放置するとは何事でしょうか。この件により、佐賀県警は県民からの信頼を損なっているのではないでしょうか。  県警本部長はこのような事態になっていることをどう受け止めておられるのでしょうか。  次に、この相談を受けた鳥栖署の対応です。  一回目くらいは家族間の問題としか受け止め切れなかったかもしれませんが、御家族はその後も何度も同じような相談をされています。  県警は八回相談を受けたと言いますが、それだけの回数の相談を重ねて聞くならば、内容の全体像が浮かび上がってくるのではないでしょうか。そういう全体像をつかむような能力が欠けているのではないでしょうか、どうですか。それとも、全くやる気がなかったかのどちらかではないでしょうか。とても生活安全課とは言えないのではないでしょうか。  一体何回の相談を受けたのでしょうか、はっきりさせてください。  私の十一月上旬の聞き取りに対し、県警は今年十月から内部調査を行ってきたと言われました。それはどのぐらいの期間を要し、どういう範囲の内部調査をされたのでしょうか。その内部調査で全容がつかめたと言えるのでしょうか。肝腎の御遺族の言い分を聞いていないのではないかと心配です。そうであるなら、極めて不十分な調査ではないでしょうか、いかがでしょうか。  今回の問題は、県警に対し不信感が残ります。県民の多くの人もそういうお気持ちです。  瑠美さんのことから発生した家族への脅しについて鳥栖署に相談しても、御家族が被害届を出したいと言ったときに、鳥栖署は受け取りを断っています。なぜ断ったのでしょうか。県民は守ってくれるべき警察に被害届も出せないのでしょうか。  別の日には、被害届を出したいのであれば、録音していた電話の文字起こしをして、どれが脅迫か、どれが恐喝か、強要かを示して持ってくるようにとも言ったとのことです。こんなことを県民にさせるのでしょうか。これではまともに被害届は出せないのではないでしょうか。被害届が出せないような県警察の対応でいいのでしょうか。  先ほどのどなたかの質問に対しても、安全・安心のための条例をつくったり、有名タレントを使って県民生活を守るような広報活動をやっているというふうにおっしゃっていましたが、肝腎の県民の相談を受ける立場の人たちがこういう状況では、幾らお金を使った広報をしても、あるいは条例をつくっても同じではないでしょうか。  そのことも含めてどのように反省しておられるのかお聞かせいただきたいと思います。(拍手) 41 ◎山口知事 登壇=武藤明美議員の御質問にお答えいたします。  まず、九州新幹線西九州ルートにつきまして、与党検討委員会における佐賀県の財政負担の軽減に向けた検討に対する所見についてお答えいたします。  佐賀県は、フル規格を前提とした協議には応じられないという考えにいささかも変わりはありません。そして、フル規格は建設費負担だけの問題ではありません。  一つ例を挙げますと、鹿児島本線の博多─熊本間では、鹿児島ルートの開業前は約九十本の特急列車が運行されておりましたけれども、現在、特急列車はなくなっています。  フル規格は、特急列車がなくなることによる在来線の利便性低下、そして、ルートの問題など様々な課題がありまして、佐賀県、佐賀県民の将来に大きく影響するものです。  現在、国土交通省から呼びかけがあります「幅広い協議」を行っておりますので、様々な可能性について幅広く議論していきたいと考えています。  続きまして、国土交通省の試算に対する私の所見について申し上げます。  現在も試算の問題が議論になっていて、その試算がどういったものになるのかといったことが議論の前提になるのではないかという議論になっています。  具体例を挙げてみたいと思います。  博多─鹿児島中央間の新幹線については、試算段階では八千七百億円でありましたが、着工認可時には一兆二千五百億円、そして、増嵩後は一兆五千三百二十億円と、試算のときに比べますと一七六・一%になりました。  我々の武雄温泉─長崎間については、平成十一年の試算の段階では四千百億円でありました。着工認可時には五千九億円になりました。そして、増嵩後は六千百九十七億円ということで、試算をいただいたときに比べますと一五一・一%となりました。  もう一つだけ例を挙げます。北陸新幹線です。  事業費が昨年と今年と二年連続上振れをしました。こちらのほうは、試算額は約一兆百億円でありました。それが認可のときには一兆一千八百六十億円となり、昨年の変更認可で一兆四千百二十億円、そして、また今年の上振れで一兆七千億円ということになりましたので、試算のときに比べますと一六八・三%ということになっています。  いわゆるフル新幹線は、事業費が増大していくことが常態化していると思います。  これまでのこうした例から見て分かりますように、新幹線の事業費は先行きが見通せず、どうなるのかも予見できないものでありまして、新鳥栖─武雄温泉間につきましても、少なくとも一千億円単位で巨額な上振れをする蓋然性が高く、試算段階から着工認可、変更認可と段階を踏むごとに大きく跳ね上がるのではないかと考えています。  続きまして、在来線の利便性低下についてお答え申し上げます。  そうしたこともあって、西九州ルートの整備は、新鳥栖─武雄温泉間は在来線をそのまま利用することを大前提として、関係者との間で様々な合意を重ねながら進められてまいりました。  佐賀県にとって在来線は、佐賀駅には一日上下八十六本の特急列車が停車し、そのほかに普通列車も停車しています。多くの県民の通勤通学などの生活の足となっているわけでありまして、一時間に三本、四本来る極めて大切な列車であります。  せんだって心配な議論がありました。  先月行われました県議会の特別委員会におきまして、列車運行のサービスレベルに関してJR九州は、長崎本線の上下分離後の普通列車について、合意文書では運行本数しか記載されておらず、佐賀方面への──これは鹿島からですかね──直通運行について約束していないので、運行本数は確保するというような説明をされたようですけれども、利便性とは本数だけのことなのでしょうか。  そういったことも含めて、しっかりと我々はこの問題に向き合わなければいけないと思います。  フル規格による整備は、県民生活や佐賀県の将来に大きく影響するものでありますので、しっかりと骨太に議論させていただきたいと考えております。  続きまして、有明海の再生について、農林水産大臣の来県要請についてお答え申し上げます。  十一月十八日に行った国への政策提案で、農林水産省の熊野政務官と面談させていただいた際には、有明海の現状や再生に向けた思いを伝えて、野上大臣の御来県をお願いさせていただきました。  大臣が来県される際には、漁業者の方々をはじめ、有明海の再生に携わる関係者の切実な声を、ぜひ直接聞いていただきたいと思います。  続きまして、和解による解決について申し上げます。  国と原告の皆さんは、和解に向けたそれぞれの考え方を示されています。  国は、開門を前提としない、そして、基金による和解が問題解決の最良の方策と考えています。  一方で、原告の皆さんは、開門調査の実施と開門による被害防止のための対策工事の実施、開門に伴う被害補償や干拓地の農業振興のための基金の創設を内容とする和解案を提案されておりますので、和解による解決が最良という認識はそれぞれお持ちなんだと思います。  もちろん、大きく開門、非開門の違いはあります。  県といたしましては、有明海の現状を踏まえ、漁業者の皆様方の思いを受け止めた審理が行われるように期待しており、今後の裁判の状況を注視していきたいと思います。  続きまして、調整池からの排水状況について、小まめな排水についてお尋ねがございました。  今季のノリの採苗前後の海況は、栄養塩の濃度が低く、漁業者の方々は調整池からの排水を非常に気にしておられました。  我々は、以前から国に対して、ノリ漁期の小まめな排水を求めております。せんだっての国に対する要望のときもこの話はさせていただきました。  昨年度は、防災上の観点から、降雨のタイミングで排水されたものを除き、小まめな排水は履行されたと思っています。  これは我々も理解しなければいけないのは、本明川の下流というのは、やはり洪水の危険性があるので、注文はつけるにしても、やむを得ない場合は致し方ないという意識が我々にとっても必要なのかなと思います。その上でもしっかり小まめにやってほしいということで、これは再三申し上げる必要があると思っています。  例えば、今年度のノリの十月十八日の採苗開始直後の時期には、二百万トンを排水するという九州農政局からの事前連絡がありましたので、県は農政局に対して有明海の海況が厳しいことをお伝えしました。小まめな排水にしてもらえんかと配慮を求めたところ、結果として排水実績は七十二万トンということにとどまったわけでありまして、こういった連絡体制を維持していくということはとても大事なことだなと思いましたので、こうしたチャンネルは維持して、常に漁業者のために働いていきたいと思っています。  県としては、そういった大雨前後などの防災上やむを得ないところはやむを得ないとしても、それ以外のときにはできる限りの時期を利用して、しっかりと申入れを行って、漁業者の不安が少なくなるように、機会あるごとに国に対して求めていきたいと考えています。 42 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、有明海の再生と種苗法の改正の二つの問いにお答えいたします。  まず、有明海の再生のうち、漁獲量の回復について申し上げます。  有明海におけるここ十年間の漁獲量の推移を佐賀農林水産統計年報で見てみますと、魚類、甲殻類、二枚貝類などの総計では、平成二十一年の三千七百九十五トンから平成三十年には五千百七十七トンに増加しております。  これを魚種別に見てみますと、主にシバエビなどのエビ類が百四トンから二千百二十八トンへ、また、主にクラゲなど、その他の水産動物が六十三トンから二千百二トンへ増加をしております。  一方で、魚類のコノシロが六百四十九トンから四百七十五トンへ、二枚貝類のサルボウが二千二百三十三トンから三百七十七トンへ、アサリが二十七トンから二トンへそれぞれ減少しております。  このように、魚種によって漁獲量の増減は大きく異なっておりますが、漁船漁業者の方々が強く望まれているのは、何といいましても二枚貝の復活でございます。  有明海再生のシンボルで、今季を含め、九年連続の休漁となっておりますタイラギをはじめ、収入の柱として長年漁業者の営みを支えてきましたアゲマキやサルボウなどの二枚貝につきましては、厳しい状況が続いているところでございます。  県といたしましては、今後とも国と有明海沿岸四県が協調した漁場環境の改善や人工種苗の放流を引き続き行いますとともに、タイラギやアゲマキにつきましては、貧酸素や低塩分になりにくい環境のよい漁場への稚貝の移植、また、サルボウにつきましては、稚貝が付着いたします採苗器を設置しまして、育ちやすい環境をつくるなど本県独自の取組を加えながら、漁業者が実感できる水産資源の回復に向け、しっかりと取り組んでまいります。  次に、種苗法の改正についてお答えいたします。  まず、種苗法改正の受け止めについてでございます。  種苗法は、法に基づき登録された登録品種と、その品種を育成した育成者権者の権利を保護することで、新品種の育成を促進することを目的とした法律でございます。  今回の改正は、例えば国の研究機関が育成しましたブドウの品種、シャインマスカットの苗木が海外に流出した事案などを受けて、主に我が国の優良品種が海外に流出することを防ぐために行われたものでございます。  主な改正点は、これまで栽培する国や地域につきましては、法令による制限ができなかったものが、今後新たに登録する品種につきましては、育成者権者が栽培する国や地域を指定することにより、それ以外への種苗の流出を制限することが可能となること。  また、農家が自ら収穫物の一部を種子や苗として利用する、いわゆる自家増殖した種苗の海外流出などを防ぐため、登録品種について自家増殖を行う場合には、育成者権者の許諾が必要となることなどとなっております。  これまでの農林水産省の調査において佐賀県が育成したイチゴの品種「さがほのか」の種苗につきましても、中国での無断販売が疑われる事例が報告されています。  このように、今回の改正につきましては、今後育成される優良品種の海外や他県への流出防止対策が強化され、国産や県産農産物のブランド維持、そして、輸出拡大などにも寄与するものと考えております。  次に、本県農業への影響について申し上げます。  県内で栽培されている主な登録品種には、米では、佐賀県が育成しました「夢しずく」や「さがびより」、小麦では、国の研究機関が育成しました、パン用のミナミノカオリ、あるいは、イチゴでは佐賀県が育成しました「さがほのか」や「いちごさん」、果樹では、国の研究機関が育成しましたシャインマスカットや、佐賀県が育成しました中晩成かんきつ品種の佐賀果試三十五号などがございます。  今回の改正によりまして、登録品種の自家増殖が許諾制となりますが、一部の農家からは許諾料が高額になるのではないかとの懸念が国に寄せられていることは承知をしております。  しかしながら、大豆や多くの野菜、果樹などにおきましては、法律の規制を受けず、利用や自家増殖が自由にできる一般品種の栽培がほとんどであること。  また、本県が育成しました「いちごさん」や「さがびより」などの登録品種では、生産者の負担軽減のため、県内生産者からは許諾料を徴収しておらず、今後もその方針に変わりはないこと。  さらに、国におきましても、公的機関が育成した品種につきましては、営農の支障となるような高額の許諾料を徴収することは通常なく、種苗会社も公的機関の許諾料を参考としているため、高額になることは考えにくいとの見解を示されていることなどから、県内で生産されております多くの品目につきましては、生産者への影響はほとんどないのではないかと考えております。  最後に、今後の対応について申し上げます。  改正種苗法が本日成立し、来年四月一日に施行予定となりましたので、自家増殖が許諾制となりますが、それは登録品種に限られていること。また、県では、農家負担の軽減を図るために、これまでと同様に許諾料を徴収することは考えていないことなど、法改正の内容や県の対応の考え方などにつきまして、国と連携しながら、農業団体や農家に、なるべく早期に周知していきたいと考えております。  また今後、新たに県が育成した品種を登録する際には、栽培する国や地域を法に基づき限定することによりまして、県産農産物の国内や海外でのブランディングを図ってまいります。  さらに、懸念の声が上がっております、自家増殖の許諾料につきましては、種苗会社が販売する種苗の価格の動向を注視いたしまして、必要な場合には、適切な対応を国に求めてまいります。  今後とも、県内農家の経営を第一に考えまして、品質や収量に優れた新品種の育成と、その適正な管理・利用を推進することによりまして、県産農産物の国内や海外での有利販売を図り、生産者の所得や農業産出額の向上にしっかりと取り組んでまいります。  以上、お答えいたします。 43 ◎落合教育長 登壇=私のほうからは、教育行政について、大きく三点お答えをいたします。  まず、校則の見直しについてです。  先日、弁護士会から御提言をいただきましたけれども、その受け止めについてお答えをいたします。  次のこれまでの取組と併せてお答えしたいと思いますけれども、先日、佐賀県弁護士会から、先ほど議員のほうからも御紹介がありましたように、校則の見直しに係る御提言をいただきました。  実は昨年十一月、知事と教育委員会との意見交換の場である総合教育会議において、この校則の問題をテーマとして取り上げられました。知事と私、及び教育委員との議論だったわけですけど、校則についてかなり突っ込んだ議論をいたしました。  やはり今の視点で見ると、佐賀県内の校則を確認しても、どうかなと思うものが散見されると。それは、県弁護士会からいただいた御提言の中にもあるとおりであります。  そういった総合教育会議での議論も踏まえ、また、その後、報道などでも指摘、そういったことを受けて、県教育委員会としても、この県内の校則について、改めて見直す必要があるのではないかという問題意識を持ち、今年三月、各県立学校に対して、「校則の見直しについて」の通知をいたしました。  その中で、県教育委員会から各学校のほうに「見直しの視点」として提示したのは五つありまして、「児童生徒の人権を保障したものであること」、「社会通年上合理的と認められる範囲になっていること」、「必要最小限の規定となっていること」、「実社会で必要となる規範意識醸成のための内容であること」、「教育目標の達成のための内容であること」、この五点を提示し、そういった観点で、自分の学校の校則が適正なものかどうかというのをしっかり見直して、必要であれば改正していくようにという通知を出させていただいているところです。  そういった観点で見ると、今回、県弁護士会のほうから御提言いただきましたけど、その内容を確認いたしまして、私たちが各学校に求めていたものとかなり重なり合うのではないかというふうに考えておりまして、この通知に基づく取組というのを各学校では進めてもらいたいと思っているところです。  今回、県弁護士会から御提言いただいたことで、改めていろんな報道で取り上げられ、校則についての注目が今集まっております。各学校における問題意識というのも改めて高まって、この見直しが進むものと期待しているところです。  今回のこの見直しの中で求めているのは、やはりその見直しのプロセスにおいて、児童生徒だったり、あるいは保護者だったりとしっかり議論した上で考えてほしいということを求めております。
     したがって、それなりに時間がかかるだろうということで、今年度中の見直しというのを求めておりまして、現在、各学校ではその作業中というふうに思っているところです。  今後、年度末に向けてどういう改正を考えたかというのを我々としては確認してまいりますけれども、それでもどうかと思う内容であれば、改めてまた県教育委員会としても各学校にこちらの意見を伝えていきたいというふうに考えております。  ただいま申し上げましたように、今後の取組については、年度末に向けてしっかりと各学校の取組を確認し、また今回、弁護士会からは市町立の中学校に対しても問題提起をされております。県教育委員会のほうからこういう県立学校での取組についてしっかり情報提供し、県教育委員会の考え方については、市町の教育委員会にもお伝えをして、校則が今の視点で見て適切なものになるよう、しっかりと促していきたいと考えております。  次に大きな点で、選択制の制服についてお答えいたします。  まず、導入状況についてですけれども、毎年私立を含む全ての小中学校及び特別支援学校を対象に調査をしておりますけど、それによりますと、昨年度の調査では、公立の小学校一校、中学校一校、高等学校一校の計三校で、性別に関係なく自由に選択できる制服を導入しておりました。  そして、一年後の今年十一月、これは県立学校長会の際に確認したものですけれども、今年十一月時点で導入しているのは、本年度新たに導入した学校は七校ですので、県立学校における導入済みは現在八校となっております。残りの学校についても、課題がないかどうか、そこは課題を整理して検討を進めているというふうに聞いております。  また、市町立の学校におきましては、本年度新たに二校導入されておりますので、昨年導入済みと併せて、四校が導入済みというふうになっております。  次に、今後の見通しですけれども、先ほど申し上げましたように、県立学校においては、導入していない学校についても検討中とされています。その検討中の中身については、学校によって程度は様々でありまして、検討を始めたばかりのところもあれば、既に来年度以降の導入を決定している学校もさらに三校ございます。  市町立の学校においても、検討を進められているという学校があるというふうにお聞きをしております。  制服につきましては、教育委員会が一律に各学校にこうだと求めるというよりも、各学校において、生徒や保護者の理解を得た上で着用化していくような性質のものだというふうに理解をしておりますけれども、どの学校にも性的マイノリティーと言われる児童生徒、その中には、トランスジェンダーの当事者である児童生徒もいるということを前提に学校運営を考える必要があるというふうに思っております。  男女別の制服が、そういう児童生徒にとって、自分らしく安心して学校生活を送る上での阻害要因になることがないように、適切に対応する必要があると、県教育委員会としては考えております。  県立学校については、制服も含めて児童生徒たちが自分らしく安心して学校生活を送る上での課題がないか、検証を促すとともに、課題がある場合には改善策を検討していくように求めていきたいと考えております。  市町立学校に対しましても、市町教育委員会との情報交換や連携を行いながら、そういった検証、適切な対応ということを助言してまいりたいというふうに考えております。  最後に、特別支援教育の在り方についてお答えいたします。  まず、特別支援学校の設置基準についてですが、先ほど議員から御紹介がありましたように、今回、「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」の報告素案において、特別支援学校の設置基準を策定するよう提言がなされております。これを受けて、文部科学省において検討が進められているというふうに認識しております。  本県におきましては、特に知的障害の児童生徒数の増加が著しいという状況がございますので、知的障害を対象とする特別支援学校の教室不足が喫緊の課題となっております。  国から設置基準が示されることになれば、本県における今後の特別支援学校の施設整備に大きな影響がございますので、今回の国の動きについては、我々も注視しているところであります。  県教育委員会といたしましては、文部科学省において、今後新たに設置基準が設置されることになれば、それを踏まえた適切な施設整備ができるよう、財政支援の拡充について国に対して提案していきたいと考えております。  次に、市町立小中学校の特別支援学級の学級編制について、現在、標準は八人になっておりますけど、他県では六人というところもあると、そういった取組をやるべきではないかという御提言をいただきました。それと併せて、特別支援教育支援員についてもお答えをいたします。  まず、学級編制につきましては、本県における特別支援学級の学級数は小中学校を合わせると八百四十四学級ございます。そのうち、児童生徒が七人の学級が百四学級、八人の学級が六十学級で、合わせると七人以上の学級は百六十四学級ということになっております。全体の二割を占めておりまして、これを基準六名を実現していくというためには、非常に大きな財政的な負担と人的な手当てが必要となるということになります。  県教育委員会といたしましては、義務教育に関わることですので、国がしっかりと財源措置も含めて制度設計し、構築すべきものと考えておりまして、県や市町の財政事情によって体制が異なることがあってはならないというふうに考えております。  また、特別支援教育支援員の経費については、地域の実情に応じた柔軟な対応ができるように、市町に対して交付税措置がなされております。毎年度拡充はされておりますけれども、多くの市町で国からの交付税措置だけでは十分な配置ができない状況であるということは私たちも認識をしております。  そこで、今年度の国への政策提案において、特別支援学級の学級編制標準の引下げや、それに伴う教職員定数の改善を図ること、特別支援教育支援員の配置に係る地方財政措置をさらに拡充することについて提案を行いました。  特に、特別支援教育支援員については、文科省だけではなくて、交付税措置が絡みますので、総務省に対しても提案を行っております。  今後とも、引き続き国に対して強く働きかけを行ってまいります。  最後に、県東部地区における県立特別支援学校の整備について、具体的な検討は進んでいるのかというお尋ねがございました。     ○ 時 間 延 長 44 ◎議長(桃崎峰人君) 時間を延長します。 45 ◎落合教育長(続)=県東部地区に現在所在しています中原特別支援学校の児童生徒数は、具体的なデータに基づいて推計すると、今後数年は増加傾向が続くものと考えております。それに対する教室数不足も深刻になってきておりますので、しっかりと対応していく必要があるというのは以前お答えしたとおりです。  これにつきましては、今議会で具体的にこういう方策を取ると御答弁するのは難しいですけれども、来年度に向けて様々な方策をしっかり検討して、事業化を検討してまいりたいと考えております。  私からは以上です。 46 ◎杉内警察本部長 登壇=私からは、武藤明美議員の御質問のうち、警察行政についての御質問にお答えいたします。  まず、太宰府女性暴行死事件の御遺族からの申出に対する受け止めについてですが、初めに、被害者の女性がお亡くなりになられましたことにつきまして、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。  一連のお申出は、被害者の女性をめぐる金銭貸借のトラブルについてのものであり、当時、鳥栖警察署におきましては、御遺族からのお申出に応じた対応を行っていたところでありますが、一連のお申出の内容からは、被害者の女性に直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められませんでした。  しかしながら、県警察といたしましては、結果として被害者の女性がお亡くなりになられたことは重く受け止めており、本件を今後の教訓としてまいりたいと考えております。  次に、相談への対応についてですが、御遺族からの鳥栖警察署への一連のお申出の趣旨は、被害者の女性の身の危険を訴えるものではなく、被害者の女性をめぐる金銭貸借トラブルをどうにかしてほしいというものであり、被害者の女性に直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められませんでした。  しかしながら、県警察としましては、結果として被害者の女性がお亡くなりになられたことは重く受け止めており、本件を今後の教訓とし、申出の内容からは関係者に直ちに危害が及ぶ可能性があると認められなかったとしても、結果として関係者がお亡くなりになるという重大な結果が生じることもあり得ることを念頭に、より丁寧な申出対応を心がけてまいりたいと考えております。  次に、相談回数ですが、県警察におきましては、被害者の女性をめぐるお申出を御遺族から八件受理いたしております。  次に、県警察が行った内部調査についてです。  昨年十月の事件の発生を把握しました後、警察本部や鳥栖警察署において、お申出への対応状況等の確認を行いましたが、それぞれの申出対応に問題は認められませんでした。  その後、本年六月に御遺族から県警察の対応に関する御質問をいただきましたことから、警察本部や鳥栖警察署において関係書類の確認のほか、申出対応職員等への確認を行い、翌七月に御遺族と面談をして、これに対する御説明を行いますとともに、その際に御遺族のお考えや御意見につきましても、かなりの時間をかけてお伺いいたしました。  その後、このときにお伺いしたお考えや御意見を踏まえて、さらに詳細な事実確認を進め、十月に事実確認の結果を発表したものです。  次に、県警察の被害申告に対する対応についてです。  御遺族からの一連のお申出のうち、傷害致死事件の一か月ほど前に被害者の夫の方から、御自身が被疑者から電話で金銭の支払いを要求されているとのお申出がありましたことから、証拠の確保として会話の録音等を教示いたしました。  その後、この方から録音ができたので鳥栖警察署に来署したいとの御連絡があった際、来署時間として夜間の時間帯を希望されたことから、刑事部門の当直警察官が対応する予定であるが、事件が発生すれば出動することから刑事部門の警察官が対応できなくなる可能性があることをお伝えしましたところ、それでも構わないとのことで、夜間に二度目の来署をされました。  ところが、この方が来署された際、事件が連続して発生し、対応を予定していた刑事部門の警察官が出動して不在であったため、他の部門の警察官が代わりに対応することになり、その場で直ちに事件性の判断ができなかったことなどから、後日、刑事課に改めて申し出てもらうよう依頼をしたものの、再訪がなかったため、事件性の判断をするに至らなかったものです。  最後になりますが、改めて被害者の女性がお亡くなりになられたことにつきまして、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。  県警察といたしましては、結果として被害者の女性がお亡くなりになられたことは重く受け止めており、本件を今後の教訓とし、申出に対しましては、より丁寧な対応を心がけてまいりたいと考えております。 47 ◎武藤明美君 登壇=再質問を行います。  新幹線長崎ルートに関してですが、財政負担の軽減には決してつながらないこと、交付税措置などしていただいても、負担軽減にはならなくて、毎年毎年は少なくて済むかもしれないけれども、単なる平準化であって、支払う額は変わらないということ。  さらには、事業費が増嵩することによって大きく増えていくという認識だと思いますが、知事が「幅広い協議」について、部長が今実際には行っておりますけれども、そういう場で、財政負担の軽減の国からの提案だとか、今後の事業費の増嵩だとか、それから在来線の利便性の問題だとか、そういった本当に大きな問題が横たわっていることを認識された上で、すぐにでも結論が出る問題ではないんだ、大きな問題だから時間を取ってゆっくりと検討していく必要があるんだという立場に立っておられること。  それは、今後の佐賀県の行く末を決めていくわけですから、簡単には結論を出せないのは当然だと思いますので、そういう立場をしっかり貫いていただきたいというふうに思っています。  先ほどの答弁の中で、国から示されている財政負担の軽減などについてはどう思うのかということについては、はっきりと聞けなかったと思うので、事業費の増嵩についてはちゃんと言っていただきましたし、そういう点では佐賀県だってどんな負担になっていくのか分からないということを私自身大きく受け止めておりますので、その辺りの実質的な財政負担の軽減にはならないんだという、一番目の問いについて、もう少し明らかに見解をお示しいただきたいと思います。  有明海の問題については、知事も大臣の来県を要請されたということですので、今後、ぜひとも来県していただきたいというふうに願っております。  漁獲量の減少のことも先ほどお示しいただきましたけれども、エビ類が増えている。そして、その他というのでいえば、クラゲ類が増えていると。これは漁業者の人たちが本当に肌身に感じておられることそのものなんですね。総量、全体の漁獲量は結果的には増えていたとしても、シバエビだとかクラゲとか、本当にこれまでの豊かな有明海が、宝の海と言われていたような状況にはなっていないということを数字的にも示していただきました。  ある漁業者の方は、こう言っておられました。以前は、冬はタイラギやアサリ、春から夏にかけてはアナゴ、そして、夏はシャコとかカニとか甲殻類、そして、お盆過ぎにはクルマエビ、その後は外海からサワラが上ってくる、スズキもとれている、そういった本当に豊かな海だったと。しかし、シバエビはキロ二百円にしかならない。量が幾ら増えているというふうに数字が示していたとしても、収入が上がるわけではない。タイラギはキロ二千円から三千円していたということでおっしゃっていました。  だから、漁獲量が上がっている、増えているというような国の言い分は、全く漁業者の暮らし、なりわいを思っていない、単に数字的なごまかしにすぎないんじゃないかというふうにも思います。  しかも、大牟田とか荒尾の漁場にも行ってシバエビなどをとるわけですから経費とか油代もかかるということで、今、漁業者の暮らしは逼迫していると、その認識を持つわけですが、知事もこういった漁獲量を部長からお聞きになって、そして、漁業者の方たちが言っている言葉を私はお借りしてそのまま伝えるわけですけれども、そういう漁業者の暮らしにぜひ思いをはせていただきたいというふうに思います。それについては、いかが受け止めていただいたでしょうか。  それから、原告は開門を前提とした和解を求めています。ところが、国は非開門という形で和解を求めています。原告は、開門を望むだけでなく、さらに被害に対する対策工事をしてほしいとか、干拓地の農業者に対する対応もちゃんとやっていくことだということで、漁業者のことだけでなく農業者のこともしっかり考えた上での案を示しているわけです。  本当に有明海の漁業者の人たちは、自分たちがこれまで苦しんできたから、それに対して、ほかの人たちも同じような苦しみを味わわないでいいようにという対案をきちんと示している、ここを私は敬意を持って受け止めていきたいというふうに思っておりますので、そういう苦しい漁業者の思いもしっかりと受け止めた上で知事もいろんな対応をしていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、教育問題です。  教育長からは、校則の問題、きちっとした受け止めをお示しいただいて、今後も子供たちの人権のこともしっかり考えていくということや、市町にもいろいろと助言もしていきたいというふうなことをおっしゃっていただきました。  本当に校則の見直しに当たっては、やはり児童生徒たち、保護者たち、当事者の人たちの意見をしっかり聞くということが大事ではないかと思いますので、改めてそれについてのお立場をお示しいただけたらというふうに思います。  それから、特別支援教育についてです。  国が学級編制などは決めていくことだということで、いつも佐賀県の教育行政ではそこにぶち当たるわけですけれども、今、実際に障害を持っている子供さん、特にその半分は自閉症や情緒障害の子供さんたちが増えているということ、これを現場の先生たちもそことの対応の中で大変だと思いますので、学級基準、学級編制は国がすることではありますけれども、何とか運用で、特に情緒障害児のいるクラスを考えていただけたらというふうに思うんです。  例えば、少人数学級の問題のときに、いろいろ長いこと言い続けてまいりましたけれども、加配で皆さんたちは工夫しながら運用していただいて、実現もしております。そういうことからいえば、県独自の努力というのができないのか、そういうことも思いますので、改めてそれについても考えていただきたいということをお願いしたいのですが、いかがでしょうか。  それから、特別支援教育支援員の配置も、総務省に財政措置も求めていくということではありますけれども、やはり県独自のこういう支援員さんの配置ということを考えていただけたらと思いますので、県の努力で、ここは裁量でできるんではないかというふうにも思いますので、よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  東部地区の特別支援学校については、今ここでは言えることではないというふうにおっしゃいましたので、また地域の皆さんたちも先生たちもそのことを願っておられますので、今後、引き続いての課題ということにしておきたいと思います。  それから、警察本部長にお伺いします。  今、県警本部長は、瑠美さんが亡くなられたことを重く受け止め、今後の教訓にしていきたいというふうにおっしゃったわけですが、教訓にするとは具体的にどのことを示すのでしょうか。  安全・安心の存在としての県警であるはずですが、なのに県民からの信頼を損なったということを示しているのか。それは具体的にもっと言えば、県民と接する窓口にいる警官の対応がまずかったというのか。事件のどこを教訓にするのか、もう少しはっきりとお答えいただければと思います。  それから、私が全体像をつかむ能力が欠けていたのではないか、もしくはやる気がなかったのではないかと言ったことについてですが、金銭トラブルという認識だったというふうにおっしゃって、身の危険を訴えるものではなかったと理解したというふうに言われておりますけれども、これは単に、御家族の方が金銭トラブルということだけの角度から相談をしておられるわけではなくて、ある被疑者の一人の存在に気づいて、その人と切り離さないと大変なことになっていくというふうなことで、瑠美さんをそういう人たちから守ってほしい、切り離して引き離してほしいんだということを訴えたのも、その八回の中に入っていると思うんですけれども、そういうふうには捉えていなくて、金銭トラブルだけの認識だったのか。だったら、それを聞いていながら事件性に結びつけなかったということは、明らかに認識不足、職務怠慢と指摘せざるを得ません。それについてどのように思っておられるんでしょうか。  御遺族は十一回相談したと言っている。しかし、県警は八回というふうに答えられました。この違いは何なのか。八回しか記録に残っていないということなのかどうなのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。  それから、内部調査の期間ですが、御遺族に対して、内部調査が始まってからは聞いておられないんじゃないかというふうに思うんですが、普通なら、内部調査を始めているのでという趣旨を言って、改めて御家族の方はどうだったんですかというふうな話を聞いていくべきだと思うんですが、その認識を持ってもらって話を進める、これができていなかったと思うんですね。家族から内部調査に関して話を聞いたというふうに県警は言えるんでしょうか。  福岡県ではこれを立件しているというふうに聞いているんですけれども、佐賀では結局、被害届も受け取ることがなくて、ほかの刑事事件があったので対応する人がいなくなったということなんですけど、御家族の方が夜しか来れないというのであれば、やはりそういう求めに応じた対応もすべきだし、ほかの事件に追われているということで誰も聞く人がいなかったというのは納得いかないんですが、それについてどうなんでしょうか、お示しいただきたいと思います。  以上です。 48 ◎山口知事 登壇=武藤議員の再質問にお答えいたします。  まず、九州新幹線西九州ルートの問題に関しまして、貫いてほしいというお話がありました。私の考え方は一貫して申し上げております。しっかりと自分の考えを、これからも県議会はじめ、様々な場面で説明させていただきたいと思っております。  その上でですが、交付税措置率のアップですとか、三十年から五十年の平準化のお話がありました。基本的にこれは、例えば、国だとかJRさんとかいろんなところで検討されているということを私、報道を通じて聞いているだけなので、ここでコメントするというのはどうかと思っています。  それとあわせて、何か新しい話があればお伺いしますということも言っておりますので、しっかりと話があったときに、そういったことに対するお話を、コメントをさせていただきたいと思っています。  二つ目の有明海再生の話について、るるお話をいただきました。  今、これは裁判の中で、様々な和解協議に関する上申書が提出されたりとかいうことで、これはどのように審理されるか、これは裁判所の問題とは思うんですが、私の意見とすると、もともとの高裁の判決も、漁業権がなくなったという、たまたま失効してということだったので、最高裁が差し戻したわけですけれども、漁業権ってそんな形式的にという話もここでさせていただきましたし、判決自体も、確かに魚類だとかシバエビとかクラゲとか、そういったものが増えているけどという、そこが判断基準だからと、分からなくもないんだけれども、ぜひ関係者の皆さん方に分かっていただきたいのは、これまで有明海でずっと営んでいた皆さん方の思いというのは、例えば、二枚貝というものが、タイラギなんかはみんなの誇りであって、それを目指して漁業をやってきていたわけだし、ノリだって十七年連続ずっと日本一だけれども、箇所箇所によっては非常に厳しい状況で、生産が安定しているとは必ずしも言えない状況の中でみんな苦労しているわけだから、そういうところを分かった上で様々な議論をしていただきたいなというのが私の気持ちです。  そうした中で、これから漁業者のそうした立場に立った上での審理がなされることをぜひ期待したいと思いますし、我々はこれからも引き続き漁業者の声を聞きながら、我々の有明水産振興センターも頑張っています。漁場環境の改善、そして、増養殖技術の開発やノリの色落ち対策など、そうした課題に対して、国も様々なメンバーみんなで積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。 49 ◎落合教育長 登壇=私のほうには二点再質問があったかと思います。  まず、校則につきましては、先ほど議員のほうから、児童生徒や保護者の意見を十分聞きながら考えることが大事だという御指摘をいただきました。  先ほどの答弁で御紹介いたしました県教育委員会から各県立学校へ出した校則見直しの通知、その中で、その見直しのプロセスとして、「児童生徒、保護者等が話し合いをしながら合意形成の上で策定するという過程が大切です。」ということを述べておりますし、また、その合意形成の具体的方法まで示させていただいております。そういうことで、各学校ではそれを踏まえて、そういうプロセスを経て検討しているものと考えております。  今後、しっかりと校則見直しの過程も含めて、確認をしていきたいと考えております。  次に、特別支援教育の学級編制だったり、あるいは支援員の配置だったりについて、県独自の努力をという御質問がありました。  我々としては、まず、県全体で増えている特別支援学級に対して、しっかりと教員を配置していくということで努力しておりますし、また、今年度からはエリアリーダーという形で、各学校を支援する教員の加配というのも行いました。また、県内各地に県立の特別支援学校を設置しておりますけれども、その県立の学校が、その地域の特別支援教育の中核となって、各学校を支援していくという体制を取っております。  そういう形で、佐賀県教育委員会としても、県独自の取組を様々やっていると。先ほど議員からお話のありました編制基準とか支援員については国に対して求めていくという姿勢ですけれども、我々ができることは精いっぱいやっているという認識でございます。  以上です。 50 ◎杉内警察本部長 登壇=私からは、五点ほど御質問いただきましたので、これにお答えしたいと思います。  まず一点目は、教訓にするとはどういうことかという御質問でございました。  当初、被害者をめぐる金銭貸借トラブルとして申出を受理し、申出の内容からは、申出者のみならず、関係者に直ちに危害が及ぶ可能性があると認められなかったとしても、結果として関係者がお亡くなりになるという重大な結果が生じることもあり得ることを念頭に、より丁寧な申出対応を心がけていきたいというものでございます。  次に、金銭トラブルだけではなく、被害者の方の身の危険を御遺族が訴えていたのではないかということに関しての御質問ですが、被害者の女性とも、申出で来署をされた際など、二度ほど接触をする機会がございまして、その際に話を聞くなどいたしましたけれども、不審な点や異常等は認められなかったところでございます。  しかしながら、結果としまして、被害者の女性の方がお亡くなりになられたことにつきましては大変重く受け止めており、本件を今後の教訓として、申出に対しましては、より丁寧な対応を心がけてまいりたいと考えております。  三点目といたしましては、八回と十一回の御遺族の方がおっしゃっている相談回数との違いについてですけれども、県警察におきましては、御遺族から八件の申出を受理いたしているところでございます。  ただ、そのほかに、要請によりまして臨場した警察官が現場で対応したものや、電話や来訪によりますお問合せや連絡等に対応したものもございましたので、これらが御遺族がおっしゃっている十一回には含まれている可能性があるのではないかと考えております。  次に、調査につきまして、御遺族に聞き取りをしていないのではないかという御質問でございますけれども、調査を開始したのは、六月に御質問をいただいてから本格的に調査を開始したところでございますけれども、その結果を御遺族に七月に御説明する機会を通じ、そのときに、確かに聞き取りという形では御遺族のほうには申し上げてはおりませんけれども、そのお考えや御意見を把握しており、それを踏まえて、関係書類の確認のほか、申出対応職員等への確認を行うなど、慎重に事実を確認いたしましたので、御遺族の御意見やお考えというものも踏まえた形で調査をさせていただいているところでございます。  最後に、立件をしていないというのは、もう少し対応ができる余地があったのではないかということでございますけれども、先ほど申し上げたように、当直時間帯で、どうしても刑事部門の警察官が事件が発生してしまって現場に臨場してしまいましたので、他部門の警察官が対応することとなったということをお答え申し上げましたけれども、この警察官が御家族等と一緒に録音データの冒頭部分を確認したのですけれども、脅迫と受け取れる文言を確認できませんでしたので、申出者にその他の部分の脅迫的な文言について、どんな文言がありましたかと確認をしましたけれども、ちょっとこのときに判然といたしませんでした。
     また、録音データの確認にはかなりの時間が必要で、当直体制の限られた人員で対応していることに加え、録音時間が約三時間に及ぶとのことでありましたので、その場で全て聞くことが困難であったことから、対応したこの警察官は事件性の判断をする上で、直接事件を担当する刑事課で最初から申出者の方の話を聞いてもらって、録音された音声を確認したほうが脅迫文言等も的確に確認することができると考えて、後日、改めて刑事課に申し出てもらうように依頼をしたものでございます。  以上、お答えします。 51 ◎武藤明美君 登壇=警察本部長に質問いたします。  内部調査の期間、規模、それについては明らかな御答弁はいただいていないんですね。  そして、先ほどお聞きした遺族の話をそのときに聞いたのかというと、六月に質問状をもらったので、七月に面談して、それを踏まえて事実確認をして、それを基に内部調査に生かしたみたいな、そういう話だったと思うんです。また、それについては内部調査そのものがどういう規模で行われたのか不明です。御家族にちゃんとお話も内部調査でも聞くということも含めて、きちんとやるべきじゃないのかなというふうに思っております。  そして、被害届を出す出さないの話でいえば、当直時間帯によって、ほかの部門の人が受けたと。担当の人はほかの事件で応援に行かなきゃいけなかったから、そっちに行っているというようなことだったんですけれども、じゃ、担当の方ではなかったとしても、やはりきちっと話を聞くということが必要だったんではないかというふうに思うんですね。  先ほどから何度も金銭トラブルだと思っていたと、身の危険を訴えるものではなかったというふうに思っていたということを繰り返しておられますけれども、いろんな相談事があったときに、最初は金銭トラブルというふうに受け止めるかもしれないんですけれども、何度も話を聞きながら、私たちだってそうだと思うんですけれども、いろんな方の相談を受けたときに、一回聞くんじゃなくて、何回も聞くうちに全体像が見えてくる、そういうことで判断できることもあるわけですから、鳥栖署の聞き方というのは、本当に県民の相談事、安心・安全に寄り添う気持ちがあったのかなというふうに指摘せざるを得ません。  そして、先ほどから何回も言ったように、そもそも内部調査が非常に不透明です。内部調査は不十分だというふうに思いますけれども、やり直すべきではないでしょうか、いかがでしょうか。 52 ◎杉内警察本部長 登壇=武藤議員の再質問にお答えいたします。  内部調査の期間、それから、規模ということでございますけれども、内部調査の期間につきましては、御遺族から御質問状を頂きました六月から、それから十月までかけて行っております。  また、規模ということですけれども、調査をした内容としましては、御遺族からお伺いしたお話を基に、関係書類ですとか、それから、申出に対応した職員等への確認等を行いました。そして、調査の体制としましては、本部のほうの、ちょっと人数は申し上げられませんけれども、関係する部署の職員を集めまして調査等を実施いたしているところでございます。  また、当直の体制とはいえ、もう少し何か聞けたことがあったのではないかという御質問でありますけれども、当直の時間帯につきましては、本当に事件、事故があった際に対応するための限られた職員で対応しておりますので、どうしても事件が発生すれば、刑事の当直員は現場に出動しなければならなくなります。  また、そのために、他の部門の警察官が対応したところですけれども、先ほど申し上げたように、冒頭の部分は一緒に確認をしたんですけれども、そこには脅迫と受け取れるような文言がございませんで、申出者の方に、そこのほかの部分に何かどういった文言がありましたかということも御質問いたしましたけれども、ちょっとどういう文言だったかが判然としないというような状況でございましたので、やはり確実に事件ということになれば、確実な対応をさせていただく必要がありますので、後日の来署をお願いしたということでございます。  それから、再調査をするべきではないかというお話でございますけれども、御遺族のお話も、聞き取りということでは申し上げておりませんけれども、相当のお時間をかけて御遺族の皆さんのお考えや御意見というのは伺っております。その後、それに基づきまして関係する書類等、それから、申出に対応した職員のみならず、関係する職員全てに対しましてかなり詳細な調査を慎重に進めてまいりましたので、県警といたしましては、改めて調査を行うということは予定はしておりません。  以上です。 53 ◎議長(桃崎峰人君) 本日の会議はこれで終了いたします。明日三日は引き続き一般質問を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後五時三十七分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...