▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(内田博長君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、県政に対する代表質問であります。
これより、代表質問を行っていただきます。
16番安田由毅議員
◯16番(安田由毅君)(登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
鳥取県議会自由民主党の安田由毅でございます。本日は、会派を代表して代表質問する機会を頂戴いたしました。心より御礼を申し上げたいと思います。
我々の任期も残り1年を切りました。知事の任期も1年を切りました。このコロナ禍の中で、大変に苦しむ県民の皆様、そしてそれを必死に支える行政の皆様、そして我々、2年半にわたりしっかりとコロナについても議論をしてまいりました。そうした中で、本日は、これからの鳥取県の進むべき道、我々は県民の幸せのためにどこにこの鳥取県、鳥取丸を進めていくのか、しっかりと議論をさせていただきたいと思います。
まず最初に、環日本海交流を礎とした本県の将来展望について伺います。
平井知事は、平成19年の就任以降、環日本海をはじめとする大交流新時代を掲げられ、本県は、人、物の西日本における
北東アジア地域への玄関口、北東アジアのゲートウエーを目指し、これまで様々な成果を上げてこられました。
古来、我々の住まう地域は、環日本海諸国との交流を礎に、文化や生活様式など相互に影響し合い発展する歴史をたどってきました。しかしながら、幾度かそれが途絶えたときは、いつも戦争がありました。現代に至っても交流の妨げとなったロシアによる
ウクライナ侵攻で多くの貴い命が失われていることは誠に残念であり、一日も早く平和が戻ることを祈るばかりであります。我々鳥取県議会としても3月9日に全会一致で非難決議を可決し、強い意思を示したところであります。
一方、
新型コロナ感染症の甚大な影響は、世界中の常識や価値観を一変させるほどのすさまじい大きなうねりとなり、我が鳥取県にも襲いかかりました。コロナとの闘いに、県民の命を守るため昼夜を問わず御尽力いただいております医療・福祉関係者、また、平井知事を先頭に懸命に対応される執行部、教育関係者の皆様には、この場をお借りいたしまして改めて感謝の意を表したいと思います。そして、コロナ禍に翻弄されながらも日々歯を食いしばっておられる多くの県民の皆様にも、もうしばらくの辛抱、共に乗り越えましょうという思いを致すところであります。
本日は、この目まぐるしく変化する世界情勢、コロナとの闘いの中で起きた、そして起きるであろうパラダイムシフト、まさに時代の転換期を迎えた社会の価値観変容を捉えながら、新たな大交流時代を展望し、将来の鳥取県のあるべき姿について、知事、教育長、そして警察本部長と議論をさせていただきます。
それでは、初めの質問に入ります。
日中国交正常化から50年の節目を迎えた今年、韓国では、新たな大統領が就任されました。その一方で、領土問題や長年未解決となっている拉致被害、さらにはミサイル発射など武力によって平和と安定が脅かされている国家レベルの緊張状態もある今、冒頭にも述べましたが、本県においては、就任以来、環日本海交流をテーマに、韓国、中国、ロシア、モンゴルなどの地域と交流、連携され、大きな成果を上げてこられた平井県政であります。私が住む境港市も多くの交流事業、また境港湾を利用した交易、そして、残念ながら現在は運休となっていますが、米子空港からのソウル便、香港便に中国吉祥空港による上海便と、まさに北東アジアのゲートウエーと言える充実、集積した地域となりました。私も2年半前にウラジオストクを訪れた際には、現地の方に歓迎していただき、厚いおもてなしを受け、国境を越えて草の根レベルで人と人の心がつながっていることを実感した次第であります。
大きく変容する世界情勢や価値観の中で大交流新時代を掲げられた就任当初以降、知事はこれまでの環日本海交流を振り返ってどのように自己評価されるのか、また、本県の将来のありようとも重ね合わせながらどのような羅針盤で今後の交流を展望されるのか、所見を伺います。
次に、新たな時代を開く県政の推進に向けて、まず、今任期における公約達成見通しについて伺います。
4期目となった今任期も令和の幕開けとともに始まり、いよいよ総仕上げの残り1年となりました。我々県議会議員としても、任期途中からは
新型コロナ感染症に翻弄され、いまだその闘いから抜け出せず、もどかしく思うところであります。
知事におかれましては、改選前に掲げられた「安心」、「しごと」、「ひと」、「暮らし」、「ふるさと」の新たな時代を展望し、55の公約を掲げられました。今、その達成状況についてどのように認識しておられるのか、現在地と達成見通しについてどのように評価され、いかに進捗を図っていくのか、お聞かせください。
また、このたび、部局横断での情報共有や取組推進のプラットフォームとなる「令和4年度令和新
時代プロジェクトチーム」を発足されました。4期目スタートから、まるで短距離走者のような勢いをもって走り出された平井知事が、いよいよ任期のゴールに向けて最終コーナーで加速するべく、つくられたチームだろうと推察しておりますが、この
プロジェクトチームが何を目指し、どこを到達目標として、どこまでできれば及第点とされるお考えか、知事に伺います。
次に、健全性を伴った機動的財政政策について伺います。
新型コロナの感染拡大は、半導体や輸入木材など世界規模での供給停滞を招きましたが、折からの燃油高騰に加え、2月下旬に始まったウクライナ危機による食材、飼料用穀物などの供給難、また、ロシアへの経済制裁に伴うエネルギー不足への懸念、さらには約20年ぶりの急速な円安進行で、輸入依存の我が国においては家計や企業経営に多大な影響を及ぼすような状況となりました。
政府においては、事業者の資金繰りや原材料供給の安定化、あるいは生活困窮世帯への支援などに対して13兆円規模の物価高騰対策を取りまとめ、これを受けて本県においても5月補正予算案として104億円にも上る総合緊急対策が提案されたところであります。
県内経済をコロナ禍から回復させ、成長基調に乗せていくに当たって、このたびの物価高騰は大きな障壁であり、
平井県政最大規模となった今年度当初予算3,640億円に加え、昨年度からの繰越し、そしてこのたびの補正予算を合わせて、当面は積極的で機動的な財政政策で下支えし、苦境に立つ事業者や生活困窮者が自立、再生していけるよう誘導すべきであることに異論はありません。
ただ、その一方で、例えば、当初予算においては製造業などの好調な業績見通しを受けて県税収入を前年度比33億円余りの増額として歳入計上されましたが、円安基調を含め、ここまでの原材料・物価高騰が今年度の早い段階から幅広い業種に影響し、長期化する様相もあることを踏まえれば、今般の総合緊急対策のように今後も適時補正予算を編成するなどさらなる財政出動が必要となる可能性もあります。これまで臨時交付金など国からの手当てで賄われてきた財源も、4月の財務省の発表で国の長期債務残高が史上初めて1,000兆円を超えたことで、国としても地方財政への配慮を切り詰めていくおそれもあり、今後の財政規律の健全性確保に向けて懸念を抱くところであります。知事は、現下の経済情勢を踏まえて、本県財政の現状と今任期における見通しについてどのように認識しておられるのか、所見を伺います。
次に、
新型コロナ対策に係る基本姿勢について伺います。
新型コロナの感染状況について、昨年の第四波、第五波と異なり、今年1月からの第六波は学校や児童関連施設などを中心にかつてない感染爆発のような状況でありました。その後、ピークアウトしないまま感染者が漸増する中で、オミクロン株はBA.2変異に置き換わりながら、大型連休に入り第七波に至るような急拡大も心配されましたが、連休後は医療の逼迫が懸念されるような急拡大に至らず、少し留飲を下げたところであります。
この間、知事は、大型連休に入る直前に
感染防御型ウィズコロナとして、ある意味ではこの歴史的な
新型コロナ対策の転換点にもなるようなメッセージを打ち出されました。従前どおりの感染拡大防止を図りながら社会経済活動を回していくということで、大きな決断であったのではないかとお察ししますが、私はこれを支持する思いでお聞きした次第であります。マスク着用のめり張りや人混みを避けるなどの意識啓発、県外から帰ってきた際の検査受検などを県民に求めながら、一方では連休明けから
安心対策認証店などの
プレミアム付食事券に支援して県内消費を喚起するなど、県民に広く理解の得られやすい発信の仕方だったように思います。
改めて、第六波以降の漸増状態と大型連休を挟んだ県の
新型コロナ対策について知事はどのように総括され、地域経済の回復を念頭に今後、
感染防御型ウィズコロナを進めていくに当たっての課題をどのように認識しておられるのか、お尋ねします。
また、県内の
ワクチン接種状況について、4月中旬時点では1回目が44万回、2回目が43万回と、県民の4分の3が2回目までの接種を終え、さらに、3回目接種は半数を超える状況となり、順調に進めておられるように思います。
一方で、先行するイスラエルやヨーロッパ各国などの知見を踏まえて、我が国でも高齢者や重症化リスクのある方に向けた4回目接種に着手するところとなりました。この4回目接種については、県民、国民の全員が対象だったこれまでの3回と異なる取扱いとなることから、重症化リスクの評価や通知方法、対象外となる方への説明などが今後の課題であろうと思います。これについてどのように対応していかれるのか、知事の所見を伺います。
次に、新たな時代を拓く県民生活の基盤づくりに向けて、支え愛の社会構築に向けた取組について伺います。
まず、自立につなげる生活再建支援の取組の必要性についてです。コロナ禍の長期化に加え、ロシアの
ウクライナ侵攻に伴う食料や
エネルギー価格高騰に直面し、二重、三重の影響を受けている生活困窮世帯においては、未来への希望どころか日々の暮らしもままならない状況であり、まずは生活の維持と再建に向けた支えが必要であります。これまでの国を挙げての
新型コロナ対策の中で、生活福祉資金の特例貸付けなどで生活困窮者に対する
セーフティーネットが機能し、本県の
生活保護世帯数は若干減少している状況とのことですが、半年後、まさにこれからその債務償還が始まる時期を迎えるに当たって、いかに自立を促す支援を行っていくかが重要であります。
報道によれば、生活福祉資金の返済に向けて既に自己破産や返済困難な状況に陥っている方が全国で少なくとも5,000人、本県においても債務整理の手続に入る通知が4月の段階で49件あったとのことであります。本県の
生活福祉資金特例貸付けの利用者は今年2月末時点で約4,500人、飲食業や観光業などを中心に、半数が30代から40代の働き盛りの世代とのことであります。間接的ではありつつも、生活困窮者が従事する業務の傾向を踏まえて所得向上につなげるため、県内消費喚起も対策の一つではありますし、就労機会を望む方に対しては
県立ハローワークなどとも連携して、安易に自己破産の道を選ぶのではなく、自らの力で自らの生活を再建していくよう伴走支援すること、また、そのための県、市町村、関係団体による強固な体制構築が図られるべきだと考えますが、この待ったなしの状況で今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の所見を伺います。
次に、医療的ケアの現場を支える環境整備の必要性について伺います。
令和2年4月、世間がコロナ禍に覆われ始める中、鳥取県看護協会が主体となり、鳥取県×
日本財団共同プロジェクトの一環として、鳥取市の協力を得て、
重度心身障害児者や家族の方が安心して生活できる環境を確保するため、ナーシングデイこすもすが開所されました。先日、私も同僚議員と共に現地を視察させていただきましたが、開所後2年経過し、利用者も増加する中で、現状、大変手狭になっているとの感想を持ちました。実際にもそのとおりだそうで、重度心身障害の方の車椅子は通常のものよりも大きく、コンパクトに収納しようにも腰の角度など御本人に合わせてあるので、むやみに折り畳むことも難しく、玄関口に所狭しと並べてある状況であります。サービスを提供するスペースもしかりであります。
また、
放課後デイサービスとして利用された医療的ケア児の方が高校などを卒業された後に引き続き生活介護として利用される場合、施設側においては同じケアを提供する中で、成長によって利用者の方は体が大きくなられ、また、利用する時間も長くなるにもかかわらず、サービスの移行に伴って運営する看護協会では賄えないほど収益が落ちるという課題も見えてきております。この医療的ケアの拠点であるナーシングデイこすもすが抱える課題について知事の所見を伺います。
本日は、鳥取県看護協会、松本会長をはじめ、関係者の皆様も傍聴にいらしております。それだけ切実な問題であります。今後のことを考えますと、将来的には
障害者グループホームのニーズの高まり、そして拡充が必要という認識ではありますが、まずは日中利用できる施設の拡充が急がれます。県は、今年度、ニーズ把握のための調査をされると伺っていますが、私が県内各地の方からお聞きする限り、足りていないと感じております。知事の現状認識を伺います。
次に、看護師の特定行為研修について伺います。
本県の将来人口推計において、約20年後の2045年には県人口が45万人を割り、15歳から64歳までの生産年齢人口が50%を下回るような人口減少、高齢化が進むとされる中、政府は、
社会保障制度改革推進法に基づき、
地域包括ケアシステムを柱とする効率的かつ質の高い持続可能な医療提供体制の構築を目指して、平成26年には
医療介護総合確保推進法を制定されました。そして、看護師が医師などの判断を待たず、手順書によって一定の診療補助を行えるよう、特定行為に係る研修制度が新設されました。団塊の世代の方々が後期高齢者になっていく時代の中で、地域包括ケアや在宅医療を含め、チーム医療において、いかに看護師の存在が大切であるか、看護師が担う役割の大きさがクローズアップされたものであり、診療補助にも対応できる看護師の養成、確保は、社会のニーズとして地域医療の向上に欠くことはできません。県内の多くの看護師の皆さんが高度にレベルアップされることに期待するところであります。
しかしながら、県内でこの研修を行っているのは
鳥取大学附属病院と鳥取赤十字病院の2か所であります。研修機関は厚生労働大臣が指定することとなっておりますが、鳥取県として、これを県立病院などへ拡充することはできないものか、知事の所見を伺います。
次に、安心安全な暮らし確保の取組について、まず、島根原発稼働を前提とした安心担保の必要性について伺います。
3月25日、本県は中国電力に対し、原子炉等規制法の改正に伴い新たに施行された規制基準に係る安全対策について、安全を第一義として、条件付で了解する旨を回答し、国に対しても必要な申入れを行いました。また、4月8日には安全協定の改定も行われました。ここに至るまで、この議場でも長年にわたり、多岐にわたり、議論が行われ、それをもって粘り強く交渉に当たられた平井知事、執行部の皆様には改めて敬意を表したいと存じます。
原子力発電は、逼迫する国内電力需給や2050年
カーボンニュートラルのための国策として不可欠で急がれるものであります。一方で、確実な稼働のためには、UPZ域内をはじめとする地元住民の安心安全の確保が必須であり、取り組むべき課題は、避難計画の実効性向上と米子-境港間の高規格道路整備などの避難経路の整備促進であります。行政が今まさに果たすべき役割は、地元周辺住民の不安を低減させること、そして万々が一の際の避難路を今よりも補完していくよう早急に方向性を示すことであると考えますが、今後の見通しについて知事の所見を伺います。
次に、日常を支える持続可能なエネルギーの必要性について伺います。
脱炭素社会の実現に向けて、本県では、この3月に令和新時代とっとり
環境イニシアティブプランを改定され、2030年の
温室効果ガス削減目標を2013年度比60%と設定されたところであります。特に太陽光発電については、全体の削減目標に対して寄与度は小さいものの、県民にとっては日常的に
太陽光パネル畑を目にすることもあり、屋根に設置して日々の光熱費の助けにするなど一番身近な存在ではないかと思います。
太陽光発電が急速に広まったのは今から10年前、平成24年に
再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、いわゆるFIT制度が導入され、20年間の売電収入が保障されることをきっかけとしたものでありますが、太陽光パネルの耐用年数も約20年であることを考慮すれば、FIT期間の満了とともに非住宅の
事業用太陽光パネルが大量に廃棄される時代が来ることは想像に難くありません。
国は、この対策として、早ければこの7月からFIT期間の終了時期に合わせてそれぞれ10年間にわたり太陽光発電の売電収入から強制的に廃棄費用を積み立てる制度を導入し、事業者においては将来適切な廃棄方法を取らなければ積み立てた廃棄費用が使えない仕組みになるようにも伺っていますが、果たして太陽光パネルの不法投棄が横行するような事態が本当に生じないのかと懸念が残ります。また、
FIT期間終了と同時に事業撤退する可能性もゼロではなく、事業撤退後は管理が行き届かず、土地の荒廃や土砂災害などの不安を生じることも懸念されます。
そうした背景の下、昨年12月に岡山県美作市で全国初となる
事業用太陽光発電パネルに課税する条例が制定され、来年度からの導入に向けて総務省と協議中であるとのことです。本県において、直ちにこの制度の是非を論じるべきと言うつもりはございません。しかしながら、美作市で条例制定に至った経緯は理解できるところであります。
そうした課題がある中で、2050年
カーボンニュートラル達成を見据えれば、FIT制度に頼らない太陽光発電の導入が図られることこそ解決の糸口であろうと思いますが、
FIT期間終了時に向けた対策を含め、太陽光発電の普及促進に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
次に、不当要求行為から県民の暮らしを守る必要性について伺います。
かつて、本県では、暴力団同士の抗争によって暴力団事務所に拳銃が発砲されるといった、県民の安全と平穏な暮らしが脅かされる事態を生じたことがありましたが、暴力団対策については、県民の安心安全の確保と治安維持はもちろんのこと、県民や事業者に対する暴力団員からの直接的な不当要求行為を抑制するとともに、コンプライアンスに基づき反社会的勢力との関係は一切排除すべきという観点での取組が求められるところであります。本県の
暴力団排除条例は、そのような機運の高まりを受けて平成23年に制定され、それから10年余りが経過した現在、県民の間にも暴力団排除の意識はかなり浸透、定着してきているように思います。
そうした中で、さきの2月定例会では、暴力団事務所の開設や運営の禁止区域を拡大するとともに、鳥取市や米子市の繁華街を特別強化地域として、暴力団員と飲食店などとの利益授受の禁止を含め、さらなる規制強化を図るよう条例改正することとなりましたが、罰金規定の新設を含めたこのたびの条例改正は、暴力団排除に向けて一歩踏み込んだ警察の覚悟と決意の見える内容だと感じています。警察本部長はこのたびの条例改正の意義と期待する効果についてどのように認識し、今後いかに運用していこうとお考えであるのか、所見を伺います。
以上で、本日前半部分についての壇上からの質問を終えます。
◯議長(内田博長君)16番安田由毅議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田議員の代表質問にお答えを申し上げます。
安田議員からは、冒頭、現状の日本やこの県、また、世界の認識としてコロナ禍にあるということを述べられ、これからの鳥取丸、どのようにかじ取りをしていくのか、国際情勢などにも触れられながら、非常に厳しい中であるけれども、私たちは残り1年切ったこの任期を大切にして、県民の負託に応えていかなければならないという決意を述べられたわけであります。
まさに同感でございまして、非常に今厳しい状況があると。コロナにつきましては、後ほどまたございますが、まだ感染がやまない状況があり、ただ、片方で経済とか社会を回していくべきタイミングにも入っていると思います。それは現状、コロナのオミクロン株が根絶するというのがなかなか従来と違って難しいかもしれない。若干、今空気感が変わりつつあると思うのですが、それでも非常に厳しい感染例も出てきていると。そういう中で、経済や社会をいつまでも遠慮しがちにやるわけにもいかないわけでありまして、促進策も含めて組んでいく必要が出てきている。これは世界中にそうした流れができ始めていると思います。
また、他方で
ウクライナ情勢が影を落としておりまして、このロシアの侵攻がやまないどころかドンバス地方については強化をされてきている状況がある。これが穀物をはじめとした食料事情に影響したり、またエネルギーに影響したり、これがもとで経済も沈滞ムード、あるいは物価上昇、こういうことになってきているところでございます。
我々鳥取県でいえば、その以前から中山間地の課題を抱えていたり、少子高齢化の進行であったり、またどうやって経済の活力をつくり上げていくか、そういう奮闘をしていたところでありました。私たちが求めていた地勢的に優位な条件であります西日本の中で大陸との関係性を保ちやすいのではないか、そういうことを夢を描きまして、様々な交流を通した経済や社会の振興を図ってきたわけでありますが、コロナでその流れが完全に押しとどめられてしまったという苦しい状況にあります。
ただ、議員も先行きの話をおっしゃいましたけれども、決して悲観するだけではなくて、突き通すような信念で私たちは動いていかなければならない、それが残り1年を切った任期を任されている私たちの務めではないかというふうに思います。
そういう意味で、これから、今日御質問いただいた様々なテーマについて、一つ一つ解きほぐしながら対策を取っていく必要があるということかなと思いますが、「大鯉の押し泳ぎけり梅雨の水」という山陰の原石鼎という方の句があります。大きなコイが梅雨で増水をして水かさが増し、速まっている川の中を押し泳いでいる、押し出すように力強く、力いっぱい動いていると、そういう状況でございます。我々、多分、そうしなければいけないのだと思います。
現在、コロナの問題、あるいは国際情勢の問題、あるいは少子高齢化をはじめとした社会情勢、そうした、まるで梅雨によりまして増水したかのような厳しい流れの中で、それにあらがい、乗り越えて先へ進まなければならない。ただ、そうした我々から見たら小さなコイであっても、魚であっても、泳ぎ切りながら上昇していくわけであります。今、アユ釣りのシーズンが解禁をされましたけれども、そのアユも産卵をするために一生懸命になって川を遡っていくわけであります。私たちに残される道というのは、その一つになるだろうと思っております。そういう意味で、県議会と力を合わせて、この荒波の中、鳥取丸というものをかじ取りしてまいる必要があると考えております。
そういう中、まず第一のテーマとして、大交流時代を考えるべきだった環日本海交流、これについてこれまでの営みをどういうふうに評価し、そして今後、どういうような国際的な対応を取っていくべきなのか、こういうようにお話をいただいたところであります。
先ほど申しましたし、議員も認識としてロシアに行かれたときのお話も述べられましたが、私たち、特に境港は港町であり、国際空港も抱えているところでもございまして、過去の歴史を遡ってみても重要なポジションをアジアとの間に取っていると思います。これを生かすことが、恐らく鳥取県の地域戦略なのだろうと思います。
私自身も平成19年に、この鳥取県に就任をさせていただきまして申し上げたのが、北東アジアゲートウェイ構想ということであり、こうした東アジアの大交流時代をつくっていく。それによって、大都市との違いを出していこうという戦略でありました。
今、弥生人ブームにちょっとしたにぎわいを示しておるわけでありますが、なぜああいう弥生人が生まれたかといえば、渡来してきた人たち、大陸からやってきた方々と日本にいた縄文系の人たちが混血をしまして、それで青谷弥生人が生まれたわけであります。では、東京や大阪でそれができたかというと、多分できなかったと。当然、船を一生懸命こいでやってくるわけでありますが、地政学的に向こうにたどり着くことはないわけですね。東京や大阪が大きな顔をしていますけれども、あれはアメリカのほうを向いている、太平洋に面している、あるいは瀬戸内海に面しているからでございまして、ただ、そのアメリカは、はるかかなたでございます。プラクティカビリティーとして日常の交流をして地域の振興を図れるとしたら、むしろ日本海側のほうにメリットがあるはず、それはそうした我が国の歴史でもあったはずであります。
このことが生かせれば、弓なりに伸びた日本列島の中でかつて裏日本という言葉さえ往々にして語られた日本海側にこそそのチャンスがあり、特にここ鳥取県は、地図を眺めていただければ分かりますが、ちょうど手のひらを差し伸べるかのように大陸に向かって伸ばしている、その手のひらのところであります。そこに境港がある。ここを生かすことによれば、この近い距離で航路を開いたり、あるいは、近いので、言わば楽でありますから、同じ飛行機に乗ってもやってこれる人たちも楽であろうと。これはコンパスで円を描いてみても分かるのですけれども、同じように、ロシアとか中国、そうした北東アジアの国々ともつながりやすい地形にあると。これを生かすべきだという基本戦略でやってきたわけであります。
平成19年10月に北東アジア地方政府サミットが開催されました。私も就任してまだ半年のときであります。金振先先江原道知事がこちらにお見えになる。それから、ロシアの知事としては当時初めてだったのですが、沿海地方のダリキン知事がこのサミットに参加されるということになりました。そういうお二人をはじめとした北東アジアの首脳を迎えるに当たりまして、私たちはひそかに戦略を持ったわけです。それは、境港に船が寄り、この地域を結ぶ、そういう構想を合意できないかということでありました。
夢みなとタワーで会議を続けまして、いろいろと議論はございましたが、最終的には金振先先江原道知事、ダリキン沿海地方知事も賛成をされまして、当時のウラジオストク、それから束草、それから私たちの境港の名前を明記して、こうした地域を結ぶ航路というものを考えようと、そういうことによって、経済的な結びつきを強めようということを記したわけであります。取りまとめにはちょっと時間がかかりまして、夕方のレセプションも開会が遅れるということになるぐらい、結構白熱したやり取りとなりました。
その結果、どうなったか。その後、DBSクルーズフェリーができたわけであります。これによりまして、ほかの地域では撤退モードだった日本海を結ぶ航路というものが誕生することに至りました。
また、米子-ソウル便につきましては、当時、アシアナ航空でありましたが、私が就任した頃というのは非常に厳しい時代でございまして、それまでの鳥取県の状況は、江原道との友好交流をやめてしまったということでありました。これはこっちがやめたのではなくて、江原道から交流は断絶するという通告が来ていた。これは国際的な情勢についての当時の鳥取県の発言によって、韓国で波紋が広がってしまったことによったものでありました。同じサミットでやってきた金振先先知事に、皆生のつるやさんだったと思いますが、そこの一室で二人きりで話をしたいと。金振先先知事に語りかけまして、我々は長いことかけてこの交流を続けてこようとしたではないですかと。ぜひ、私も交代をしましたので、この機会に交流の復活ということをお願いできないだろうかということを強く申し上げたものでございました。金振先先知事は、お好きなたばこをくゆらせながら、しばらく宙を見ておられましたが、分かったと、アルゲッスムニダというふうにおっしゃいました。ただ、時間が欲しいと、ちょっと帰ってから相談したい、そういうようなことでありまして、その後、金振先先知事は11月だったと思いますが、交流を再開するという宣言をされ、12月には県議会の皆様と一緒に江原道を訪ねまして、交流の再開を果たしました。その際、議会側も向こうの道議会と話をされて、江原道議会と鳥取県議会との交流につきましても当時、道筋を開くきっかけになったわけであります。
こういうようにして、この15年余りにわたりまして北東アジアとの関係性というものを結び直してきたときでありました。この間、ロシアとは平成22年に向こうに参りましたときだったと思いますが、ダリキン知事と姉妹交流についての協定を結ばせていただいたりしたものでございます。
こういうようなことをやりながら、片方で、例えば、まんが王国をモチーフにした国際まんが博というのをやりました。これをきっかけにして、最終的には香港-米子便の航空路線が開設をされることになりました。また、上海、中国とも関係をつくろうということで、たび重ねて議会の御協力もいただきながら、航空路線の開設を呼びかけたわけでありますが、これについては最終的には令和2年1月に上海吉祥航空の就航を見たわけであります。その上海吉祥航空の就航ができて、いよいよ交流が本格化するぞという矢先だったわけでありますが、新型コロナの発生、パンデミックということになり、これによって、残念ながら、いずれの航空路線も休航してしまい、DBSクルーズフェリーも終止符を一旦打つということになったところでございます。
これで非常に厳しい状況にはあるわけでございますが、幸いなことに、このようなある意味一つのドラマを通して、私たちは様々な地域と交流を開いてきたことによりまして、信頼関係だけは残っていると思っております。ですから、そのチャンスを見て、そうしたものをまた活発化させていく、そういう絆というものは大切にしていくべきではないだろうかと思います。
残念ながら、ロシアについてはこういう状況でありますので、ロシアについては凍結をしたという状況にはございますが、それ以外のところを取ってみますと、江原道においては昨日夜判明をしたところで、新たな金鎮台知事が誕生することになりました。従来の崔文洵知事が属していた「共に民主党」ではなくて、「国民の力」のほうでございます。そちらのほうに政権交代をしてということになりますが、金振先先知事と同じ流れの人ということになります。新しい金鎮台知事は検察官の出身でありまして、尹錫悦大統領と同じような形でありますが、ソウル大学の法科を卒業されまして、検察の道に入られて、それで道知事になられたということであります。恐らく中央政府とも関係性がいい形でスタートされるのではないかなというふうに思われるわけでありますが、また新たに向こうもメンバーが替わりますので、関係性を今後考えていくことにいたしてまいりたいと思います。
また、航空路線につきましては、それぞれネットを通じまして交渉を続けてきております。香港便を除きまして、ほかの2つにつきましては、この夏、国交省のほうに航路を復活させるという免許申請を出しておられます。実際に新型コロナの関係で国自体が空港を開くかというのは分かりません。したがいまして、まだ未知数なところはありますけれども、そういう意味で意思を残してくれているというふうに理解をいたしております。
ぜひ、そうした意味で地政学的な状況というのは変わることはないと思いますから、鳥取県の基本戦略として、北東アジアの中のゲートウエーを我々としては考えていくと。それが境港にとっても重要な地域振興の鍵になると考えております。
次に、公約につきましてお話がございました。55の公約についてどういうような状況なのか、また、この達成等どういう目標を持ってやっていくのかと、こういうお尋ねでございます。
この公約、55ありまして、「ひと」、「しごと」、また、「安心」、「暮らし」、「ふるさと」、それぞれの新時代を開いていくという公約でございました。ただ、55のうち、例えば外国人の観光客の数など、コロナでどうしても実現することができない環境にあるのが3つあります。残り52のうちの51につきましては、ほぼ達成の方向性が出てきております。議員がおっしゃった
プロジェクトチームというものを駆使しまして、この公約を達成していくことをぜひ目指してまいりたいというふうに思いますが、それのみならず、現在のこのコロナ禍における状況を脱却をしていくこと、また、今申し上げました、例えば、ゲートウェイ構想が一旦閉じられた格好になっていますが、これを徐々に回復をしていくことなどを目指していかなければならないと考えております。例えば、国内のRORO船などは可能なわけでありまして、現に昨年の11月ですか、フィーダー船が境港から神戸のほうに入ることが実現しています。
今、船社側にも働きかけて、まずは国内の航路のつなぎをつくって、そこから出ていくような航路ということもあるのではないかと思いますし、こうしたことをいろいろと展開して巻き返しを図っていくと。そういう意味で、達成できなかったものにつきましても再び再開に向けて道筋をつけていくのもこの
プロジェクトチームとして目指しているところでございます。
例えば、達成した公約の中でも東京オリパラ、それからその後を目指すアスリート、そうした者を応援しようということが入っていましたが、境港はこの3年間のうちに東京オリパラということもあり、世界のセーラーたちを集めて世界選手権をレーザー級で行い、JKモルナルのキャンプ地に決まるということなど、赫々たる状況もあったと思います。瀬川選手も活躍をされまして、実際に出場を果たされました。種目は変わりましたけれども、立派だったと思います。これを支えたセーリングの関係者の皆様も大変な大奮闘をされたわけであります。それぞれの分野の方々が頑張られたおかげで、ある程度の公約達成に今結びついているということでありまして、感謝を申し上げたいと思います。
次に、物価高騰など非常に厳しい状況がある中で、本県財政、今任期通して同様に見通しを考えていけるのだろうかというお話がございました。
これにつきましては、まず、現在の状況ですけれども、物価の上昇など非常に厳しい状況がある。ただ、アメリカとかヨーロッパが8%という物価上昇率でございますが、我が国は今2.1%と公表されていまして、上昇は確かにあり、毎月のように値上げの報道がありますが、まずは欧米のように急激に上がっている状況ではないと。だから、国会でそういう議論もあるようでありますが、単純なインフレという定義には当たらないと思います。ただ、物価上昇の兆しがかなり出てきていて、これに対する対策は必要だという状況であります。
そういう意味で、昨日、県議会を挙げて御賛成をいただきまして、総合緊急対策を成立させてくださいましたことは、本当に感謝を申し上げたいと思いますし、こうした対策を取りながら、税収の確保、あるいは経済の再生などを果たして、ある程度の物価上昇だとか原油、円安水準ということはあると思いますが、そういうものを乗り越えていく道筋をやはりつけていかなければなりません。ですから、今回の104億円もそうでありますが、思い切った対策も取りながら、財政健全化を確保しつつ、次の期に引き継いでいくというのが今の目標なのだろうというふうに思います。
そういう中で、悪いことばかりでもないということはやはり分析しておく必要があるのかなと。例えば、税収におきましては、法人事業税が134億円ということになりまして、27億円、前の期よりも上回った格好で今来ております。これに加えて、地方消費税収のほうでも265億円で、21億円、前の期を上回ってきております。ですから、非常に厳しい状況のものは確かにあり、例えば、飲食等ですね、対前年から落ち込んでいるところもありますが、実は金融だとか製造業だとか、そうしたところは決算が好調であります。ですから、これは実はうちの県だけでなくて、大都市は物すごく今税収が増えていると思いますね。ですから、こういうような経済環境というのは、決してパンデミックで全て失われたということではなくて、逆にそこをきちんと乗り越えつつある力強さというのも我々は持ち合わせていると思っております。
ですから、ある程度積極的な財政態度を取ることは可能だろうというふうに思います。大切なのは、将来に向けて大きな借金を残さないということでございまして、これについては、大体3,500億円程度の交付税除きの借金残高、実質的な公債残高ということを見込んでおりまして、これは以前よりも1,200億円ほど減らしてきております。また、貯金のほうも220億円程度積んだ形で残すことは、ほぼ確実な情勢になってきました。ですから、これも予定どおりということであります。プライマリーバランスも25億円確保しましたので、我々としては財政の健全化についての責任は果たしつつあると思います。果たす範囲内におきまして、これからまだ1年弱ありますが、適切な対策を取っていくというのがあるべき姿なのではないかと考えているところであります。
次に、新型コロナの状況につきましてお尋ねがございました。第六波以降の漸増状態、大型連休を挟んでどのように現在の状況を分析しているのか、また、
感染防御型ウィズコロナというものをどういうふうに対応を取っていくのか、さらには、ワクチン接種につきまして4回目接種という段階に入っていますが、どういうふうに対応していくのかというお話がございました。
現状、足元のところを申し上げますと、昨日は全県で52件の陽性が確認をされております。2桁の確認がこのところ続いているところでございます。その52件の中の西部が25件、東部が24件、中部が3件となっております。これは水曜日のデータでありまして、大体うちの県は月、火、水と増えていく傾向にあります。これは非常に検査結果を出すのが早いということもあるのだと思いますが、平日に入りまして医療機関も検査しますので、そういうものの結果が出てくることがございまして、大体増えてくるものでありますが、52件というのは一定程度抑制されている方向性を感じております。
ただ、心配されることはいろいろあります。例えば、クラスターの状況でありますけれども、全部で今、5月の連休以降25件のクラスターがありまして、このうち10件が学校関係、それから保育園、幼稚園関係が5件、それから医療とか福祉が3件ずつ、そのほかが4件ということでありまして、合計25件のクラスターがあります。この中で15件が学校とか幼稚園、保育園でございますので、低年齢ですね。学校の年齢以下のところがやはりクラスターを起こしやすい状況が変わっていないと。ただ、高齢者とか医療が3件ずつということがございまして、この辺の注意は要するということです。現に今も非常に心配しているケースもありまして、西部のほうで医療の中の広がりがあるのではないか。先般は東部で、結構深刻だと我々受け止めました病院のクラスターも発生をしておりまして、ある病棟だけでなくて、ほかにもどんどん広がっていく、そういうことがありました。やはり早く手を打たないと大変なのですね。
現在、ちょっと大きな闘いを行っているのが東部における学校クラスターでございます。この学校クラスターが65件の陽性が昨日までに見つかっておりまして、学校当局とも話がようやくまとまり、全校生徒に対策を取るということになりました。今日、残りの全校生徒を検査するということでありますが、もしかすると鳥取県では過去最大規模のクラスターになるかもしれません。やはり早めにぜひ手を打っていただくように関係者の皆様には御協力をいただきたいと思います。
オミクロン株なので広がるのは非常に早い。ですから、その対策を取るタイミングが非常に重要でございまして、我々保健所サイドにぜひ早めに御協力をいただく、どうしても少しずつ、ぼちぼち検査を広げていこうとしたがる現場もあるのですが、そういうのはかえって逆効果になって、感染者を広げていろんな活動に影響してくるということがあります。
この傾向は、恐らくあまり変わっていないので、徐々に全国的に低下傾向にある。それは恐らくウイルス側の事情が何かあると、私は思っています。ですから、傾向としてはこうなっていきますが、ただ感染力は依然として強いので、広がり始めたときにすぐに遮断をしていけば、限りなく小康状態へ持っていける可能性も出てきているのが現在だと思います。
ところが、ここで、BA.4、BA.5についての東大などのレポートが公表されまして、これが今報道されています。ちょっと心配なのは、感染力が強いというふうに従来言われていましたが、重症化も引き起こす、そういう度合いがBA.4、BA.5は強いのではないか、その可能性があるというふうに言っています。これはオミクロン系の話でありますが、また武漢系、デルタ系、こうした今までずっとはやっていた系統は肺のほうに入りやすい系統でありまして、これがまたよみがえってこないとも限りません。ですから、依然としてやはり注意をしていかなければいけないということであります。
そういう意味で、感染防御型のウィズコロナでいこうと、この連休明けから呼びかけをさせていただいており、片方で、議員もおっしゃいました飲食店だとか、あるいは観光の支援策を取りながら、片方でワクチン接種をやっていったり、保健所の体制のところをしっかり取ったり、県民や事業者の皆様にも何とか御協力をいただいて、感染が広がらないようにということをやりながら、経済社会を回していこうという、そういう呼びかけが非常に重要だと考えております。
感染防御型ウィズコロナで、我々として今促進策を取っています。その中で、飲食店のプレミアムクーポンのお話がございました。これについてはかなり好評をいただいておりますし、それからエリアごとにゾーンを決めまして、そこでプレミアムを上げたクーポン、3,500円で5,000円分使えますよというクーポンお食事券を出させてもらっています。これは当初想定したよりも、やはりかなり反響がございまして、西部ですと皆生とか、それから角盤町エリアでございますが、東部でも2件、それから中部でも3件、そうしたエリアをつくっていただけるようになりました。これは実は感染防御をお互いのお店同士で監視し合う。それで、このエリアは安心ですよということで打ち出していこうということでありまして、それに合意をしていただきながら入ってきているわけです。こういうエリアがだんだんと増えてくること自体、プラスに働くと思いますし、それから、そこを目指してお客様も来ていただける流れができてくれば、いい傾向になるのではないかなというふうに思います。
また、観光につきましても、広島県の湯崎知事も度々話をしておりました、このたび、一緒にやろうという合意がございまして、広島県、兵庫県も含めて6月1日から中四国と兵庫県で観光の相互支援が始まりました。こういうように、大分オープンに開いてきつつあります。幸いなことに、先ほど申しましたように、今、クラスターが起きているのは子供たちの世界が中心で、あと心配な高齢者や医療施設ということがありますが、飲食系では起きていない。観光系では感染の連鎖も認められません。ですから、
感染防御型ウィズコロナにそれぞれの事業所なども御協力をいただきながら、今、経済のほうも普通に動き始める、軌道に乗りつつあるのかなと思っております。
そういう中、議員のほうからお話がございましたワクチンでありますけれども、これは今、約6割の方が3回目接種を終えられている状況でございます。ただ、他の都道府県と同じように、若い方々の3回目接種がまだ進んでいない。そこで、比較的働き盛りや若年層に打っていただこうと、ワクチンバスというものも始めることにいたしました。これは予算のほうでもお認めをいただいたところであります。現在、例えば山陰合同銀行さんだとかJCBエクセさんのような事業所でまとまって、ワクチンバスでワクチン接種しましょうという協議が調ったところも出始めております。
片方で、こうした若年層などのことをやりながら、議員が御指摘の4回目の接種もスタートしようと。今、鳥取市が先行で始まりました。また、鳥取県のほうでもこの週末、米子しんまち天満屋で県営接種会場での4回目接種が始まります。議員御指摘の基礎疾患のある方でありますが、これはなかなか市町村の役場では分かりません。ですから、今回、私どもの県は、市町村は60歳以上には送付しますが、それ以外は言わば手挙げ方式的になっております。ですから、ぜひ基礎疾患のある方は、その先生と相談をしていただいて、それでワクチン接種に向かっていただければと思います。
今回、こういうような基礎疾患とか60歳以上というふうになっているのは、恐らくオミクロン株に対するワクチンの適性の問題があると思います。私も分科会に出席をさせていただいたりしていろいろと話もさせていただきますが、専門家のお話を伺っていますと、分析としては、残念ながらオミクロン株に対して感染を予防するほど強烈なワクチンの効果というのは認められないかもしれません。しかし、大切なのは、それが命に関わらないようにする、重症化を防ぐという効果はかなりの程度あると。そういう意味で、重症化予防のほうに多分重点を置いた4回目の接種の考え方になっているのだと思います。
あと、3回目までのところは、やはり免疫の獲得ということが一定程度あります。しかも、今後の波がどういう形で来るか分かりません。一旦、今回が静まりかけたとしてもこの次がありますので、今、若年層の方も含めて3回目接種までは何とか済ませておいてもらうと。どうしても感染の状況が変わってきますと、ワクチン接種のインセンティブが下がりますので、今のうちにやはりワクチン接種を進めるということは戦略的に重要だというふうに考えております。
次に、生活福祉資金の償還が始まるということから、どういうふうに寄り添うように生活再建に協力をしていくのかと、こういうお話がございました。
生活福祉資金につきましては、総額で46億円を超える非常に大きな貸付額になってきております。これは、空前のことと言ってよろしいかと思います。御活用いただいていることのゆえに、一定程度の生活支援になってきたということであって、このこと自体は悪いことでも何でもありません。令和5年の1月から償還が始まる予定になっております。そういう意味で、ここのところの対応を考えなければなりません。
実は、今、社会福祉協議会、県の社協などが中心となりまして、いろいろとコンタクトを取ってきておりますが、そういう中で、これは肌感覚と考えていただいたらいいと思うのですが、恐らく1割、2割の方は住民税非課税世帯ということになって、その要件によって償還しなくてもいいという人たちが出てくるのではないか。ただ、それは実は1~2割程度にとどまるというふうにも見込まれています。そういうような方々は、生活を整えながら、ウィズコロナからアフターコロナに向けて生活を取り戻していくということを伴走型でやっていく必要があるということでありまして、そういう意味でかなり大がかりな仕掛けが必要ということになります。
今、こうした意味で、私どものほうでそうした自立相談支援を行うサポート機関をワーカーズコープさんのほうに依頼しまして、こちらのほうで今動かしております。2名の支援員を設けて、今、動き始めていますが、今回の補正予算をいただきましたので、これでもう1名増やすことになると思います。
また、市町村のほうで、特に都市部を中心に生活保護なども含めた支援策を整えていく必要があって、そういう体制づくり、これは当初予算の中で9名、従来よりも増員した形の助成制度を取らせていただきましたが、今回の補正が成立したところで、昨日、さらに2名追加するというところに来ております。
まだ年明け以降、そうしたことに本格的になってくるわけでありますが、今からやはり、そうした支援のネットワークを組んでいかなければならないのだと思います。例えば、ワーカーズコープさんが動かれまして、我々の
県立ハローワークだとか、国のハローワークとも協議をしながら、そうした方々に寄り添いながら相談に回るというようなことも始まってきておりまして、こういうことを地道にやっていくことで対応していくのかなと思いますが、これから注意深くフォローアップをさせていただき、現場の市町村だとか
県立ハローワークも総動員をしながら、対策を取っていきたいと思っております。
次に、ナーシングデイこすもすにつきましてお話がありました。放課後デイの課題、生活介護等々いろんな課題がございますが、どういうように対応を取っていくのかということであります。そして、障害者のグループホームのニーズが今後高まってくるというふうに考えられるわけでありますが、それについて現状認識はどうなのか、不足感があるのではないか、こういうお話がございました。
これらにつきましては、議員がちょっとまだ不足感があるというお話でありますが、これは調査をさせていただきたいと思っております。その上で、いろいろと把握をしていく必要があるかなと思います。
実は、本県、特に重度の心身障害児者、その対策で他県とはちょっと違ったアプローチをこれまでも取ってきているところでございます。例えば、重度の心身障害児者のサポートのため、生活介護などを行う。議員もおっしゃるところで、ここはちょっとサポートが弱いということがありまして、これは2,900円の単価を上乗せをしようと。それを県、市町村で折半をしながらやるという制度を平成19年から始めてきているところであります。
また、平成26年には、そうした方々向けの施設についての支援事業をやってきておりまして、19年から始めた施設整備、26年からの2,900円の単価の上乗せ、こういうようなことでそれぞれハード面、ソフト面での支援を組む。さらには、医療機関に福祉の介護の人が行くような場合なども含めた、そういう受皿づくりをやることなどをやってきました。
こういうことを、例えば西部のぴのきおさんだとか、そうしたところにもお話を伺いながら、対策を順次、カードを切ってきたという実情があります。そこに日本財団さんが乗っかってくださいまして、日本財団さんもかねて、特に医療的ケア児の対策に力を入れておられたものでありますので、平成27年から日本財団の支援を得て、例えば、鳥取大学に人材養成だとか、こうした対応のセンター機能を持つところをつくりました。その後、さらにそうした受皿を具体的にやるところとしてナーシングデイこすもすさんを日本財団が支援して出来上がり、また、西部で博愛病院さんがその受皿として動くようになってきております。
こういうように、私どもとしては、こういうものを増やしてきたり、グループホームにつきましても、平成19年には17個だったものが今53個でありまして、3倍以上に増えてきているということでございます。
こういうように、やはりそうした不足感があるので、増やしてきたということではございますが、今後もここは展開をしていかなければならないと思います。先ほど申し上げた施設整備、平成19年からやっているようなことを受けて、最近も養和会さんが上後藤のほうでつばさというところを立ち上げられたり、それから境港でも、さかい孫の手という、そういう活動が始まってきている。こういうのは、実はそうした仕組みの中で動かしてきているわけです。これは今後とも展開していきますが、まずはアンケート調査を大規模にやって、対応を考えていく必要があると思います。
そういう中で、ナーシングデイこすもすさんの件でありますけれども、これはぜひ現場の松本会長をはじめ、看護協会の皆様とも相談させていただきまして、どういう出口がふさわしいのか、オーダーメードで考えていく必要があるかなと思います。例えば、先ほど申しました、例えば2,900円単価を上乗せして、これは成人の生活介助のほうと単価が違うではないかということですが、この穴埋めができますので、それを活用していただきながら、恐らく看護師さんと介護士さんではちょっと制度が違いますので、その辺も考慮しながら、そうした看護師さん中心のところの単価設定というものも今後考えてもいいのかなというふうに思ったり、いろいろと対応案があるのではないかと思います。
スペースの問題につきましても、先ほど施設整備の補助金があるとお話し申し上げましたが、そういうことにとどまらず、実情を見た対応が取れるように御相談もさせていただきたいと考えております。
次に、
医療介護総合確保推進法、平成26年にできたもので、看護師の特定行為の研修のお話がございました。これにつきましては、詳細、健康医療局長のほうからお話をさせていただきたいというふうに思います。
例えば、呼吸器系の気道確保であるとか、胃瘻カテーテルであるだとか、一定の行為については特定行為としてやれるということになったわけであります。さらに今、規制緩和で先月末から急に報道が出ていますが、薬剤師さんなどについても一定の行為ができるような緩和措置を取ったらどうかと今政府が打ち出されたりしていまして、恐らくこの特定行為のようなことが看護師の世界、薬剤師の世界でだんだんと変わってくるのではないかと思います。
この研修というのは、実は結構厳密な研修がありまして、簡単にはセッティングしにくいところもあるのですが、そういう薬剤師さんも含めた国のほうの制度変更が多分今年いっぱいで見えてくるのではないかと思いますので、それをにらみながら適切な研修のシステムというものを整備してまいりたいと思います。
次に、島根原子力発電所につきましてお話がございました。避難計画の実効性向上や避難経路の整備促進ということがあり、避難路を今よりも補完していくということで、境港米子線というようなことなど、早急に方向性を出す必要があるのではないかと、こういうお話がございました。
この島根原発につきましては、ちょうど今日、私どもと同じ時間帯で開会をする島根県議会におきまして、丸山島根県知事が態度表明をされているはずであります。報道によれば、今日、島根県として周辺地域の意見なども踏まえながら、再稼働について同意する方針を表明するというふうにされておりまして、私もそれをフォローしてチェックをしてまいりたいと考えております。
これ自体、島根県知事の御判断でありましょうから、それを我々としてもうかがいながら、どういう御判断を今日示されるかでありますが、我々はこの議場で、全員協議会で議論した幾つかのポイントがございますので、これについてはぜひ島根県が中国電力に一定の回答をされる時期が来ると思いますが、そのときに鳥取県議会で議論した7つの項目がございました。これもぜひ含めてもらうように、また国に対しての要望項目もございますので、こうしたことも島根県も協力していただけるように我々としてぜひ今後話をしていく必要があるかなと思いながら、ニュースを拝見しておりました。そこで議論したことにやはり避難計画等をさらに向上させていくこと、それから米子、境港の道路のことなども入っていたわけでございます。
この避難計画等については、実効性をつくるということでありますが、昨年の9月7日の西部のほうの原子力防災会議でこれは認証されておりまして、一定程度実効性はあるだろうというふうに考えられるところでありますが、ただ、これを不断の努力で見直していかなければならないと思います。それを実際に担保する意味でも、例えば避難用の車両の確保であるとか、様々なことを取っていったりする必要があります。本県では、これまでも信号の制御によって交通の流れをつくる、あるいは道路についての電光掲示板の設置によって適切な誘導に資するようにするとか、対策も取ってきているところでございます。
その中で、議員が御指摘されたこの米子-境港の道路というのは、非常に大きな意義があるものだろうというふうに思います。そういう意味で、議員もこの全協で発言をされて、我々もそれをいずれ2市1村と一緒に国土交通省にきちんと要請活動をしたいと思っております。関係者の日程が合わないので、今日現在まだできていませんが、近々させていただきたいと思っております。
この道路は、昭和41年に計画が定められました。それで米子北を通って境港に抜ける路線が予定路線として示されたわけでありますが、平成18年に米子北までのルートが凍結をされるということになり、米子北から境のところも完全に宙に浮いてしまうという格好になったまま今日に至っているわけです。何とかこれをひっくり返そうと私どもはやってきたところであります。
そういう中、米子市長、日吉津村長が交代をされまして、新しいメンバーで私のほうでも働きかけをさせていただき、令和元年に、時の国土交通副大臣になった青木副大臣のほうに、「こうやって2市1村と県と完全にまとまりましたよ。だから、ぜひこの道路を。」ということを申し上げに行きました。そのとき、青木副大臣は、「2市1村と県が意見の一致を見たことは、今日十分に理解をした。」と。それで、言い方としては、「国土交通省も入ってルート選定をする必要がある。」とおっしゃいました。その後の話としては、昨年の11月だったと思いますが、斉藤国土交通大臣のほうにも同じように要請をさせていただいたとき、「今、重大な局面に入っている。」というような表現をされました。ですから、かなり具体化に向けて動き始めてきているのではないかと思っておりまして、今、原子力発電所対策で避難路問題もあり、改めてこれについては働きかけをすべきタイミングではないかというふうに考えております。
こうした鳥取県側の考え方も、今日、どういう御判断をされるか分かりませんが、島根県のほうにも十分に理解をしてもらって、我々として共同歩調が取れればというふうに考えております。
次に、太陽光発電につきましてお尋ねがございました。不法投棄の横行の懸念ということもあり、
カーボンニュートラル2050年ということを考えれば、FITに頼らない太陽光発電の導入が必要ではないか、こういうお話がございました。
これにつきましては、原子力発電所の福島県の事故もございまして、本県は緩やかなエネルギー革命を志向すべきではないかというふうに私も考え、そういう
再生可能エネルギーで一定程度電力を生産できる県になろうというように打ち出したところでありました。平成23年にソフトバンクの総帥である孫正義氏とも面談をさせていただき、孫社長のほうで、ソフトバンクとしてソーラーパークをやるという表明が全国で初めて米子を名指ししてございまして、これは現実に26年にできておりますが、こうしたことが一つシンボルになり、今、急速に
再生可能エネルギーの生産が、県内でも太陽光発電が広がってきたところでございます。
ただ、FITの値段というものは、かつての40円を超えた頃から今17円まで下がってきておりまして、採算性という意味では非常に難しくなってきている。ですから、もう乱造するという時代では多分ないだろうと思うのですね。ですから、ビジネスとしてどういうふうに成立させるかということもにらみながらやっていく時代であり、そこに政府も方針転換をされて、太陽光発電、これからは、20年もつとした後半の10年分については、解体等の積立てをしておくというようにして、不法投棄を防止しようというように動いてきました。私ども鳥取県でも議会の御理解を得て、盛土対策の条例を制定させていただきました。このたび施行されましたが、この中には太陽光発電の斜面の利用ということも入っていまして、自然災害の危険の防止ということでは、本県も1つ手は打ったというところでございます。
こういう意味で、一定の措置、歯止めはかかっておりますが、問題はやはり循環できるように、経営が回るような対策であって、そういう意味で鳥取方式のPPAということをやっていこうと。その研究会もつくりまして、今動き始めたところであります。モデル的に県のほうでもやっていこうと。余子の団地とか、それから県の消防学校とか、そうしたところをサイトにしてこうしたPPA方式の導入も含めた太陽光発電の整備というのを今モデル検討していますが、あと民間の住宅などでもそうしたことができるように支援の予算措置もつくりまして、今向かおうとしているところでございます。
脱炭素に向けましては、やはり本県も決して不利ではない。かつてソフトバンクの孫社長に申し上げて、孫さんもびっくりして目を見開いていたのを今でもよく覚えていますが、タブレットを持っていって、それで当時のNEDOのデータを見せたわけです。そのNEDOのデータによると、日本地図がございまして、米子辺りというのは東京と変わらないほどの日射量があると。これが非常にトリッキーでありまして、世間の人は当時、山陰というのは影だろうと。だから、日が当たらないという、何か何となく漠然とした了解があったのですね。だから、これは名前のせいだと思うのですが、山陰で太陽光発電などをやってもというのがありまして、山陽はやるけれども、山陰はやらない。確かに山陽、岡山のほうが日射量は多いと思うのですが、意外なところで実は日射量というのは多いのですね。だから、長野なども多いですし、決して先入観にとらわれずにデータに基づいてやっていただければ、鳥取県も太陽光発電の適地であることは東京辺りと変わらないということであります。
そうしたこともあり、昨日、環境大臣のほうから境港市長、それから米子市長、さらには中海テレビさん、山陰合同銀行さんが入られまして、そういう先行地域として本県も指定されることになりました。具体的には、議員御案内の公共マリーナなども含めて、夢みなとタワーだとか公園とか、あの辺一帯のところでそうした民間の活力も導入をしながら太陽光発電をやっていくと。こういうことによって、その地域の一つのエリアの電力を賄うということをやっていこうと、そういう先行地域であります。そういう意味で、境港も一つのスポットが当たる地域として、こういう太陽光発電を活用したエネルギー需給というものを目指していくということだと考えております。
◯議長(内田博長君)丸山健康医療局長
◯健康医療局長(丸山真治君)看護師の特定行為研修につきまして補足の答弁をさせていただきます。
この看護師の特定行為研修ですけれども、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けまして、在宅医療等を支える看護師の計画的養成を目的に、2015年に創設された制度でございます。当初、国のほうでは、2025年まで10年間かけて10万人養成するという計画でしていたところですけれども、前年度末現在で全国でも4,800人と、全国的に見ましてもなかなか進んでいないといった状況がうかがえるところでございます。
本県におきましても、この特定行為研修、看護師の皆様が受講しやすいように、平成29年度から助成事業を始めておりまして、現在までに50名の看護師の方が研修を受講されている状況でございます。県内にあります
鳥取大学附属病院、鳥取赤十字病院にこの研修の話を聞きましたところ、やはり指導医の確保がなかなか難しいといった問題であったり、研修受講に必要な症例数の確保もなかなか難しいといった話を聞いているところでございます。実態としましては、鳥大附属病院につきましても赤十字病院につきましても、自院の看護師の養成にとどまっているのが現状だということでございます。
県立の中央病院、厚生病院につきましても、中央病院は平成30年から今まで5名の方、厚生病院につきましては令和3年度から1名の方がこの研修を受講されている状況ですけれども、いずれも他県、近隣県の研修施設のほうに行きまして、実習等については協力機関、協力施設として自院で研修、実習をしているといった状況でございます。
病院局のほうにも話を聞きますと、今現在、なかなか指導医の確保が難しいといったこともございます。今、両病院で合わせて6名の実績が上がっております。今後、この実績が増えていくことも踏まえまして、どんな形で現場の負担軽減ができるのか、こういったことも病院局と話をしまして、引き続き検討していきたいというふうに考えているところでございます。
◯議長(内田博長君)服部警察本部長
◯警察本部長(服部準君)
暴力団排除条例の改正の意義、期待する効果、今後の運用についてお尋ねをいただきました。
まず、2月定例会で改正していただきました改正の内容でありますけれども、一つには、繁華街を暴力団排除特別強化地域に指定いたしまして、その地域内で暴力団が飲食店や性風俗店等の営業者から金銭を受け取ることなどを禁止するもの、いま一つは、暴力団事務所の新設等を禁止する地域を拡大するものでありました。
現在、六代目山口組と神戸山口組が対立抗争を継続しており、暴力団員による拳銃を使用した殺人事件が発生するなどしております。令和2年5月には、米子市の六代目山口組傘下組織幹部による拳銃を使用した殺人未遂事件が発生しております。こうした対立抗争や事件から改めて明らかになったということは、暴力団が手段を選ばない、人の命を何とも思っていないのではないかということであります。こうした暴力性であるとか凶悪性といったものが、暴力団のまさに本質であります。暴力性、凶悪性と申しましたけれども、言うことを聞かないと最後は何をするか分からないという恐ろしさと言い換えてもいいかもしれません。そういったことを背景に、暴力団は違法行為を行い、一般の方から金銭を収奪しております。
その典型的な場面が、繁華街において飲食店などの営業を暴力団が容認する見返りとして、あるいは営業上のトラブルを処理する見返りとして、いわゆる、みかじめ料であるとか、用心棒料などと称しておりますけれども、こういったものを徴収していくものであります。県内におきましても、こうした実態が少なからず残っていると承知しております。
しかしながら、暴力団に本意ならずも金銭を支払ってしまうことは、結果的に暴力団の活動に手を貸してしまうことでもあります。また、暴力団を利用して何かを実現したように見えましても、結局は暴力団に利用されて、金銭を吸い取られていくものであります。
今回の改正によりまして、暴力団がみかじめ料等を受け取ることだけでなくて、一定の営業者がみかじめ料等を支払うことも禁止されることになります。禁止されたということで、みかじめ料等の支払いを要求されている飲食店などの皆さんが断るきっかけになるのではないかというふうに考えております。また、罰則もありますけれども、営業者側につきましては、自ら申告して自首した場合には、刑を減刑したり免除することができることとなっております。積極的な申告を促しまして、警察としても、暴力団と決別しようとする飲食店などの皆さんを積極的に支援してまいりたいと思っております。
一方で、暴力団や暴力団と癒着する営業者につきましては、取締りを徹底いたします。今回の改正は、こうしたことを通じまして、暴力団の資金源を絶ち、暴力団を弱体化しようというものであります。あわせて、暴力団事務所の新設等を禁止する地域を拡大しておりますけれども、暴力団事務所は、その存在自体が地域の方々に怖い思いをさせるものでありますし、対立組織による襲撃の対象となります。また、暴力団の活動のまさに拠点になっております。今回の改正は、繁華街や住宅地等への暴力団事務所の進出を阻止しまして、県民の皆さんの安全と平穏を確保するとともに、暴力団の活動を制約することにつながるものであろうと思っております。みかじめ料等の受け取りの禁止と相まって、暴力団の弱体化につながるものであると考えております。
今後の取組でありますけれども、暴力団排除特別強化地域におけるみかじめ料の受け取り等の禁止が8月1日に施行されますので、当該地域の飲食店などを個々に伺いまして、改正内容の周知を図ってまいりたいと思っております。
県警察といたしましては、改正条例をはじめとする様々な取組で健全な経済活動から暴力団を排除するとともに、違法行為、とりわけ資金源となっているような違法行為の取締りを徹底いたしまして、暴力団の壊滅、弱体化を目指してまいります。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)るる御答弁をいただきました。服部本部長の力強い決意と覚悟を受け止めさせていただきました。本当に、一般の人にとっては怖いのです。中には怖くないという人もいるかもしれませんけれども、私は怖いですよ。やはりお付き合いしたくないですし、あるべきではないと思っていますので。
しっかり地域の飲食店やそういった風営法関連のお店以外、地域住民の方々にもしっかり広げていただいて、この地域はこういう条例で守られているのだということを周知、徹底をしていただきたいと思います。引き続き、県民の平穏な暮らしを守っていただくようにお願いをさせていただきます。
いろいろと御答弁をいただきました。環日本海交流の今後について、現状のところをしっかり、今まで信頼関係を築いてきたことを、絆を大切にされて、これからも結び直してきた絆をしっかりとつなぎ止めていくという御答弁でした。私はもうちょっと広げていくのかなとか思ったりもしたのですけれども、それは午後の部分に回していきたいと思います。
いろいろいただいたのですが、全部を話していると時間がなくなりますので、ナーシングデイこすもすの件です。しっかりとしたいい答弁をいただいたと思っております。本当にこれは、県内のこれからのモデルケースになり得る施設だとも思っておりますので、しっかり細かいところを支援しながら、お話合いを持っていただいて、伴走していただきたい、そう思うところであります。
あと、看護師さんの特定行為研修です。これが思ったよりやはり進んでいないのが現状だと。それも、全国でそういう状況だということがお聞きして分かりました。ただ、我々、鳥取県は医者の数は多いとよく言われますけれども、特に過疎地域、中山間地においては、この特定行為研修を受けられた看護師さんのニーズというのは、間違いなくこれから高まるものだと思っております。何とかできないものかと、ぜひちょっと前向きにもう少し検討をいただきたい。全国の中でも先取りをしていただきたいと思いますが、この点について知事に御答弁を伺いたいと思います。
道路についてですが、これは後ほど追及をさせていただきます。
まず、この部分、知事、お願いできますか。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねて安田議員からお尋ねがございました。
環日本海交流についてはということがございましたが、恐らくこれから世界は少し多様化してきて、従来の我々が15~16年前に見ていた世界観と変わってくるかなと思います。少しちょっと踏み込んで申し上げれば、世界の二極化が進むかもしれません。ですから、この辺はやはり注意深く考えていく必要があるのかもしれません。そうした意味で、単なる環日本海交流だけでいいのか、そこは議員がおっしゃるように、付け加えるべき視点というのもあっていいだろうと。地政学的には環日本海交流はやはり大事にしたほうがいいと思うのですが、そうではない視点もやはり大切にする必要があるだろうと。
例えば、台湾との交流につきましては、今、我々、台中市とこの間、同じように姉妹提携をさせていただきました。やはりそれに基づいて、例えば、航空便につきましてもチャーターをするとか、これも1年間に30件以上飛ばすことも成功できていた時代がありました。ここも今アプローチをさせていただいて、復活に向けていく必要があるかなと思いますし、アメリカのバーモントは、平成20年に覚書を結び、平成30年に姉妹提携をさせていただきました。こことは今、コロナの中ではありますけれども、あちらの学校とこちらでは、例えば鳥取商業高校とか鳥取東高校とか湯梨浜学園高校、こうしたところでネットでの交流をさせていただいているなど、パイプを保っているところであります。
こういう日米の関係というのは、基本的には、やはり重要性は高いのではないかなというふうに思います。距離は離れていて、簡単に行き来ができるかというとそうではないかもしれませんが、せっかくこうした縁もできましたので、大切にする必要があるのかなというふうに考えております。
また、あわせまして、そのほかジャマイカもやはりカリブ海諸国の一つですが、鳥取県が初めて全国でカリブ海諸国との姉妹交流を始めたわけであります。これについても、やはり戦略的に、恐らく仮に二極化が進んだ場合には重要な地域の一つになるのかもしれません。これについても陸協のほうでパイプをつくっていただいたところがあるわけでありますが、その陸協の会長さんとかとも協力をさせていただきながら、ジャマイカナショナルデーが9月にあるのですが、昨年は秋に、その際に交流事業をさせていただいたりしましたが、今、コロナがほどけてくれば、少なくともそういう在日本の大使さんとの交流などもあるでしょうし、場合によっては、2025年に世界陸上が日本で開かれるかもしれないと。ジャマイカも、日本の中なら鳥取県ということを、やはり考えられるでありましょうから、それを確実なものにしていくなど、対策を取る必要があろうかというふうに考えております。
特に、看護師の特定行為につきましてお話がございましたが、これは先ほど申しましたように、多分、薬剤師も含めて、看護師の規制緩和をやって特定行為ということがありました。薬剤師も今、この骨太の方針も含めて入ってくるのだと思います。この間、規制緩和の審議会のほうでまとまりができましたので、こういうようなことで議員がおっしゃるように、中山間地だとか、医療が比較的少ないところで一定の医療行為に踏み込んでいくというのはあり得るだろうと思うのですね。
あと、あわせてこの規制緩和の中で言われているのが、今回、コロナで大活躍をしているオンライン診療であります。こうしたことなどを含めて、やはり、どこに住んでいても安心して医療サービスを一定程度受けることができる、そういう体制をつくることが重要でありまして、国が今、多分、今年の年末に向けて制度の改革に動いてくると思いますので、それを横にらみしながら、議員がおっしゃる特定行為の研修の充実も含めて対策を考えてみたいと思います。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)続きまして、孤独・孤立対策について伺います。
新型コロナの感染拡大が人と人との関係性を希薄化させていると言われる中に、4月に公表されました孤独・孤立の実態把握に関する全国調査では、実に回答者の3分の2が新型コロナの感染拡大で人と直接会ってコミュニケーションを取ることが減ったと回答し、中でもこの調査において、孤独感がしばしばある・常にあると回答された方が4.5%、時々あるが14.5%、たまにあるが17.4%と、合わせて約4割の方が少なくとも孤独感を感じており、年代別には30代が最も多かったとのことであります。
コロナ禍が既に孤独・孤立問題に拍車をかける大きな要因となっているだけではなく、当面は完全終息が期待できないウィズコロナの社会において、高齢者だけでなく、子育て世代や働き盛りの年代がこのような状況にある実態を鑑み、対策が急がれるのは明らかであります。
政府においては、重点政策に沿って2月に孤独・孤立対策官民連携プラットフォームが設立されました。本県においても部局横断の
プロジェクトチームを立ち上げられていますが、県民一人一人が社会の中での居場所を持ち、人とのつながりを実感でき、必要なときに助けてと声を上げやすい世の中にしていくために、今後、どのように孤独・孤立対策に取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田県議から重ねてのお話がございました。
孤独・孤立は、議員も今データを示されましたように、我が国でも深まってきている課題だと思います。やはり格差社会的なことが広がってきている、新自由主義的な傾向があり、恐らく今の岸田政権は、それに一定の修正をしようとしているのだと思います。
そういう一環だと思いますが、孤独・孤立対策についても強化をしようと考えておられて、年末に重点対策というものを取りまとめをされました。それに基づいて、2月25日に政府のほうで孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを立ち上げられました。実は、私も全国知事会長の立場で加わらせていただいていただいております。やはり、この孤独・孤立対策というのは、行政だけでも全部賄い切れない。それで、NPOさんだとかいろんな活動をされているところと結び合いながら、プラットフォームをつくってやっていくということなのだろうと思います。
本県でもこの
プロジェクトチームをつくりまして、孤独・孤立対策を今進めているところでございます。一つ鍵になる、多分、市町村は重要な役割を果たすと思っています。ですから、市町村における孤独・孤立対策が進むように、その中枢メンバーというものを県も支援して設置してもらうと。さらに、専門家のチームを編成しまして、そうした現場の充実に当たっていただく。これが予算措置も含めて今動き出したところです。
さらに、そのほかにも、そういう相談窓口をつくるとか、包括的な支援の体制を市町村のほうで整えてもらう、お助けをするとかいうことがあります。そこに今、議会のほうにも御提案申し上げましたが、「家庭あんしん支え愛条例」を我々もつくって、それぞれの当事者だとか家族が取り残されないような対策をもう一度根っこから検討し直して、組み直していってはどうかというふうに考えております。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)本当に、私もこの間まで孤立、孤独とか感じていまして、今、おかげさまで結婚ができまして、大分感じることも減りましたが……。(発言する者あり)ありがとう、すみません。でも、本当に変な話ですけれども、よわい50にして結婚できるとも正直思っていなかったのですが、今日は妻も傍聴に来ておりまして、幸せに暮らしております。
私は幸せと本当に今感じているのですけれども、ただ、やはりそういう幸せという方を増やしていくことも一つの手だと思いますし、市町村としっかり連携を取ってやっていただければと思います。大切なことだと思っております。
次に、原発に関して追及をさせていただきます。
避難が必要となるような万々が一の有事の際には、避難計画に沿って行動することが前提であり、避難計画に示されている県東部を中心とする避難先に我々は移動するわけですが、県西部の住民にとりまして、県東部はなじみが薄いことも考えられます。避難元、避難先の交流や土地カン醸成など、平時だからこそできる取組が大切だと考えますが、知事の所見をお聞かせください。また、今後の取組についても併せてお聞きします。
それとあわせまして、先ほど知事からもお話がありました。くしくも本日、島根県知事が再稼働容認との報道を私も拝見しております。今後、この件に関して、両県で協議する機会があると思います。米子-境港高規格道路は、鳥取県民、弓浜半島に住む我々UPZ内の7万人、そして、島根県民最大9万人が避難に利用する可能性がある道路でございます。ぜひ島根県、そして立地自治体である松江市、この協力を得て実現に向けて動いていただきたい。
また、事業主体である中国電力に、何らかの形で協力を求めることも私は可能ではないかと思っております。併せてお願いしたいと思いますが、所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田議員から重ねてのお話がございました。
原子力発電所島根原発2号機につきましては、先ほど丸山島根県知事が議場におきまして、再稼働について容認する、という発言をされたという第一報が入ってまいりました。私どもとして、先ほど申しましたが、しっかりと周辺とはまた違った事情があると思います。ですから、鳥取県側の事情も丸山知事にも理解をしてもらって、一緒になって動いていただくことを求めていく必要があるだろうと思います。
そういう意味で、後段おっしゃいました境港-米子間の道路というのは、島根県のほうにもお話をさせていただき、地理的にはうちの問題なのかもしれませんが、全体としては八の字道路というふうに言われている道路があり、これはやはり島根原発の避難と一致をしているだろうというふうにも思います。国道431号で島根半島の間を行くわけですね。あと、真ん中のくにびき大橋だとかがあって、全体をつないでいくと八の字になると、宍道湖、中海周りですね。それの一つとして今位置づけているのが米子-境港の道路でございまして、それについては島根県側の理解も今後求めていきたいと思います。ちょっとこれからどうなるか分かりませんが、丸山知事と私とは、いろいろ折に触れて協議を重ねてまいりましたので、今回、そういうことで話すチャンスがあれば、この議場での議論というのはお伝えをしてまいりたいと思います。
また、中国電力をはじめ、関係者の皆様にも、こういう要請活動をやはり国に対して我々はやらなければいけないのだと、このことはそれぞれに理解を求めてまいりたいと思います。
あわせまして、避難につきましてのお話がございました。万が一のことでございますが、仮に避難をするということになった場合は、本県の場合、それぞれその行き先というものをマッチングさせていただいております。例えば、境港の中浜地区であれば、八頭とか岩美とか、そうしたところに行き先がございまして、向こうのほうでも、そういうものだということでマッチングはできているわけです。これまでも、そういう平時において理解をお互いに深めていただく必要もあって、9回ばかり、そうした実地に、避難先のほうを訪問してもらう訓練も行わせていただいております。今日も御指摘がございましたので、今後ともそうした交流というものをしっかり図りながら備えていくことにいたしたいと思います。
こうした避難の内容につきましては、原子力防災アプリを開発し、これは政府のほうでも非常に評価されているのですが、それを活用して見ていただくこともできます。それからハンドブックを配布をさせていただいたり、説明会などでも折に触れてお話も当然させていただいております。これに加えて、境港の伊達市長も熱心におっしゃっておられることもあり、今回の補正予算の中にも入れさせていただいていますが、地区別の避難マップ、こういうものを今回作成する予算をお願いしております。これは自分たちの避難について、それぞれの地域ごとに、また理解を深めていただきたいというふうに考えておりまして、これも今議会で御議論をお願いしているところであります。
いずれにいたしましても、今日、局面が動くかなと思います。島根県知事が表明されたということで、原子力発電所島根第2号炉は再稼働へ歩みをされるのだと思いますが、我々周辺としては、この議場でも申し上げましたが、この再稼働というか、今回の中国電力からの協議に対する回答として、今の安全対策を了とするだけで終わらないと思っていまして、これは恐らく次の出発点だと思います。今後、工事の認可であるとか、保安規程の改定であるとか、折に触れて我々としては協議をするように求めていますので、そうした機会を捉えながら、本当に我々が要求をしている安全を担保する対策というのが取られるかどうか、今後も引き続き監視の目を怠らずやってまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)御答弁をいただきました。
万々が一の際の避難で、避難先が決まっていて、我々はそのマニュアルを見て、僕はたしか郡家にお世話になる予定になっていると思うのですけれども、遠方の地域との姉妹協定とかそういったのはあるのですけれども、それがふだんから県内で、例えば新屋町と郡家西小学校だと思いますけれども、その辺りとかと顔と顔が見えるような、例えば雪害であったりとか何かあったときにお互い大丈夫かなと心配できるような関係性づくりというのが重要ではないかと思うのです。この小さな県だからこそできる、そういった顔と顔が見える交流に今後、最終的にはそうなれば一番いいのではないかなと思っていて、ぜひ模索していただきたいと思います。
午前中最後の追及になります。
米子-境港間高規格道路もさることながら、弓浜半島の肋骨道路整備も不可欠であります。周知のとおり、江島大橋、境港水道大橋を通り、多くの島根県民が弓浜半島を使い避難する計画となっており、境港市内から米子市方面に抜ける道路は大変な混雑が予想されます。その中でも、江島大橋から内浜産業道路へのルートは、平時でも大変に交通量が多く、この冬、積雪があった朝にたった数百メートル、夕日ヶ丘から幸神町に進むこの道が大きな交通渋滞となっていました。現在、渡余子停車場線から江島大橋入り口交差点までの拡幅工事が着工したところで、この効果も期待されるところではありますが、やはり江島大橋から直進で橋を下りて、真っすぐ県道米子空港境港停車場線、中央産業道路ですね、こちらまで抜ける弓浜半島の肋骨となる道路が必要であると考えております。
また、この道路は産業集積が進み、一体感ができつつある中海宍道湖圏域の中心である境港の利便性向上にも大きく寄与し、経済的効果も大きいものと考えております。地元の強い願い、それに対して、例えば、今任期中に方向性を出すなどの早急な対応が必要だと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田議員から重ねて道路につきましてのお尋ねがございました。
いざというときの避難のことを考えたり、また、平時においては地域の振興に欠かせないものとして、道路を要はマトリックスで南北東西に区切って造っていくことは重要であり、論をまたないところだというふうに思います。そういう意味で、今回御提起いただきました案件につきましては、安田優子議員もそうなのですけれども、これまでも長く議論を大分重ねてきたところであります。
そういう意味で、これまで議場で申し上げて議論しながら我々が方向性をつくってきたのは、先ほどおっしゃった渡余子停車場線であります。本来は、あれは跨線橋で結んでやれればよかったのですが、ちょっと地元との協議が調わずに、そういうことはなかなか難しい環境がまだございます。
ただ、江島架橋ができて、その江島大橋との接続でいくと、やはり、今はまだちょっと渋滞が発生しやすいということがあり、それで、まずはその右折レーンだとか、そうしたことも含めた拡幅をやって、境港、米子の県道とこの渡余子停車場線と、ここのところを改良しましょうということを考えてきたところです。今、これが着手されまして、動き始めたところでございます。
実は、前の中村市長は、これはこれでやりながら、さらに、そのバイパス路線をちょっと一部分造ることによって通過交通が通りやすいようにしたらどうかというアイデアをおっしゃっておられて、それについては、お互い今後また協議をしていきましょうと、まずはこの拡幅といいますか、改良工事でやっていきましょうということでありました。
その後、伊達市長になられるなどして、境港のほうの考え方が大分変わってきたところもあります。今の都市のマスタープランでいいますと、一つのイメージ路線としては、この江島架橋を下りて、真っすぐ東のほうに抜けていく、実はそういう絵を描いていまして、これが今、多分、伊達市長などの境港側の地元の考え方に近いのだろうと思います。これは、実は、全部県道ではなくて、線路をまたいだ後は市道のほうになります。そのことは、どういうふうにするのだろうかということがございまして、今、マスタープランの中に一応絵は描かれていますので、我々はこれからまた議論しようということになろうかと思っています。
そこで、先ほど来、議員のほうからも提起をいただいている、米子-境港の高規格の高速道路が重要であります。これが仮にできることの方向性が出たら、一体どこに、例えばインターチェンジができるのかというようなことが、いずれ問題になってくると。それで、恐らくこの肋骨道路と言われるような東西の道路以上に、この南北のところをどうセッティングするかが非常に重要でありまして、このセッティングの議論が決まってくるときに、ではこれに接続するような、例えば島根松江方面へ抜けていく道路を、どうアクセスを考えるのか、そのときに、今マスタープランで考えているような、そういう新しい法線ということも検討されることになってくるのかもしれません。ですから、ここは多分セット物になっていまして、まず今、我々が重点的に米子-境港のところの道筋を何とか、今は造る、造らないはまだ凍結された状態ですが、これをひっくり返していくと。これを今年度はぜひ重点的にやっていって、それとあわせて、この肋骨道路についての考え方というのを地元でまとめていくということになるのかなと思っております。
したがいまして、そうした意味で、今日は原子力発電所について、一つの局面が変わるモーメントを迎えましたけれども、その避難のことも真剣に議論するという意味で、この道路については我々の任期の間に一定の方向性を出せるように努力してまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、1時10分より再開いたします。
午後0時06分休憩
────────────────
午後1時10分再開
◯副議長(広谷直樹君)再開いたします。
引き続き、代表質問を行っていただきます。
16番安田議員
◯16番(安田由毅君)(登壇、拍手)午後の部を開始させていただきたいと思います。午後からも結構ボリュームがありますので、お付き合いいただければと思います。
まず、新たな時代を切り開く持続可能で活力ある社会構築に向けて、地域経済の復活に向けた取組について、そのうち、まず逆境を乗り越える中小企業・事業所支援について伺います。
昨年10月、岸田総理は、その就任時の所信表明演説で「新しい資本主義」を掲げ、成長と分配の好循環を図る経済政策に取り組むと述べられました。そして、このほど経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針2022」骨子案において、重点施策として、人への投資を打ち出されました。
かつてバブル崩壊以降、人件費はコストとして、安価な労働力を求めて製造業などの生産拠点が海外に移転する産業の空洞化が進み、国内労働市場は正規から非正規へ、不安定な就業形態が主流となっていくことに伴い、高度経済成長期を支えた終身雇用、年功序列の人材育成の成功モデルとも言える日本型経営は瓦解しました。
その後、今に至る30年、地震や豪雨などの度重なる自然災害やリーマンショック、コロナ禍、底流には人口減少、少子高齢化、生産年齢人口の減少など、閉塞感から抜け出せない状況に陥った日本経済は、誤解を恐れずに言えば、90年代に始まった経済戦争の敗戦国になってしまったかのように思わずにはいられません。
そうした中で岸田総理は、持続的な所得向上とそれを支える持続的な成長の促進、さらに、その成長のバックボーンとなるデジタル化や脱炭素化の推進を図ると宣言され、それは全て人への投資を前提にするものだと表現されました。私もこの政策には共感するところであり、本来企業を支えるのは人材であって、人はコストではなく資産であるべきだと思います。
本県においても、技術人材の成長分野への労働移動と、一方では裾野の広い労働参加による産業構造の強靱化、地域経済のレジリエンスを高める取組として、求職者に対する就業に向けたスキルアップや在職者に対する企業内外での職業能力向上の機会が用意されるべきであり、まずは県内中小企業がコロナ禍から脱却できるよう、当面の資金繰りを支え、経営安定化と収益性・生産性の向上を目指した事業再生を図っていくための逆境を乗り越える支援を行うとともに、そこから成長軌道への投資につなげていく経済政策が必要だと考えます。知事は、本県の成長性をどのように捉え、人への投資について、今後どのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。
次に、新たな局面に向かう農畜水産業の展開について伺います。
鳥取県農業生産1千億円達成プランが昨年12月に改定されました。プランの進捗は、園芸や畜産などの生産関係はおおむね計画どおり、一方で、担い手の育成や農地集積などが、やや遅れぎみとなっている状況とお聞きしています。改定内容は、基本方針などの大枠は変えずに、情勢変化に応じた目標指数などの見直しが中心であるとも伺いました。改めて、今任期中の到達目標をどこに置かれるのか、また、現状800億円に届いていない中で、2025年に900億円達成の見通しと、達成のための戦略について、知事の所見を伺います。
また、そのうちの米部門として、今年度の米価下落対策、特に飼料用米への転換で収益性を確保しながら、農業経営の安定化を図る取組をいかに進められるか、お考えをお伺いします。
そして、プラン達成に向けて、一番大きなインパクトが期待されるのは畜産業ではないかと思いますが、この秋に鹿児島県で開催される和牛全共に向けた準備、手応え、また、その後のブランド化や販売戦略をいかに描いておられるのか知事に伺います。
次に、水産業であります。水産業については、漁獲量の減少、魚価下落、燃油高騰といった中、生き残りに向けた生産性向上が必須であります。スマート漁業の推進や6次化の攻めの支援と漁業収入安定対策、魚価下支えなどの守りの支援に期待する声が多いと聞いておりますが、今後いかに取り組まれるお考えか知事に伺います。
次に、コロナ後に向けた販路開拓と港湾整備について伺います。
先ほど触れた鳥取県農業生産1千億円達成プランでは、2025年輸出目標を33.1億円とされています。RCEPやCPTTP発効などの新たな国際貿易の市場原理は、米、果樹などには間違いなくチャンスであると考えます。生産基盤強化による収量確保を前提に、輸出に向けた物流ルートに乗せる仕掛けづくりが必要で、この物流ルートの鍵を握るのは港湾整備であります。
報道発表によれば、令和2年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画において、農林水産物・食品の輸出額を2030年までに5兆円とする目標値が設定されたことを受け、国土交通省と農林水産省が連携し、産地が取り組む大ロット、高品質、効率的な輸出を後押しするため、産地と港湾の連携を促進するとともに、港湾やその近傍において、現状では不足している輸出機能を強化することとされています。これに向けて農林水産物、食品の輸出産地による海外への直航サービスを活用した輸出を促進するための港湾として、特定農林水産物・食品輸出促進港湾、通称「産直港湾」を支援する事業を始めたとのことであります。対象となる事業者は、生産者や卸売事業者、物流・港湾関係者、新たに輸出に取り組む事業者などの民間事業者のほか、港湾管理者を含め、間口は広く様々であり、施設整備やトライアル事業に活用できる支援となっています。実際に昨年度から対象になった静岡県の清水港は、施設整備が行われ、農水省の職員が山梨県や長野県の農家を回って清水港からの輸出を働きかけているともお聞きしました。
また、農林水産省は、農林水産物・食品輸出プロジェクト、略称でGFPにも本腰を入れています。一例として、サイトに登録した者を対象に、農林水産省がジェトロや輸出の専門家と共に産地に直接出向いて、輸出の可能性を無料で診断する輸出診断を平成30年から開始しているもので、本年4月末時点で全国6,200件を超える事業者が登録をしています。
一方、これを一歩進めて、輸出に向けた産地形成に取り組むグローバル産地づくり推進事業の採択産地には、残念なことに、令和3年7月時点では、本県からの登録はありません。全国で採択されている事業者や品目を見ても、本県事業者、産品が決して見劣りするものではなく、事業規模、生産量、後継者不足問題などの見地からもしかりであります。補助金を受けることが全てではありませんが、輸出事業計画をつくり、産地形成を展望するかどうか、やる気のバロメーターではないかと思います。
私は、この輸出強化について、政府は本気だと感じており、これに本県が取り残されることに大変危惧を持っております。令和3年12月に改定された「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」に基づいて、先ほど述べました産直港湾事業、また農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)を最大限活用し、本県の農林水産物・食品の輸出促進を図るべきであり、それが本県農林水産業の未来の礎をつくることになると考えますが、知事の所見を伺います。
次に、コロナ後に向けた観光誘客推進の取組について伺います。
コロナ禍が続く中で、観光・飲食業界で働く皆さんも必死に歯を食いしばって頑張ってこられました。政府のGoToトラベル、県による#WeLove山陰キャンペーンによる下支えはあったものの、観光需要の乱高下が繰り返され、その不安定な流れの中で、人材育成がうまく進まないなど、観光業の重要な力である、おもてなし力が弱まっているのではないかと危惧するところであります。
2年前の2月に東京で行われた日本コンシェルジュ協会定例会では、平井知事が講演に立ち、鳥取県の観光についてプレゼンをされました。日本中の著名なホテルコンシェルジュをはじめとした出席者の皆さんが、スタンディングオベーションを送ったことは、今も鮮明に私の脳裏に焼きついております。
観光客の満足度を高め、リピーターを増やすため、おもてなし日本一鳥取づくり推進事業が本年度予算で計上されています。この予算を有効に活用するためにも、いま一度日本コンシェルジュ協会と協力体制を構築し、本県のおもてなし力向上に御協力いただくこと、また、2025年の関西万博に向け、回復するであろうインバウンド需要を取り込む準備としても、特に関西圏のホテルコンシェルジュの方々向けに本県の観光素材を知っていただき、外国人富裕層の誘客を強化すること、この2点が必要だと考えますが、知事の所見を伺います。
続いて、スポーツリゾート構想と競技力向上策について伺います。
昨年の9月議会の一般質問でも取り上げましたが、東京オリパラでの本県ゆかりの選手の活躍は大変目覚ましいものでありました。女子ボクシング金メダルの入江選手を筆頭に、水泳、セーリング、ボート、陸上競技にパラリンピックを含めて選手を輩出できたこと、県民にとり大変に誇るべき快挙でありました。県民は、スポーツの力が県民に元気や誇りを与えることを実感したところであり、成果を出すまで長期間を要するアスリート育成強化に理解を示され、地方創生の柱の1つとして真摯に取り組んでこられた知事のお考えに、改めて敬意を表するところであります。
これに続けと今年度も、いざパリへ!トップアスリート育成事業をスタートされました。2年後に迫ったパリ大会に向けた今後の展望について、知事の所見を伺います。
また、今後のジュニアアスリート育成については、12年後の2巡目国体にも関わってくることが考えられる中で、中学校部活動の地域移行推進が具体的に示され、県内でも事例が出てきております。今後は、各競技団体の役割と責任が高まっていくことが考えられます。私は、体制構築や県の側面支援が喫緊の課題と認識しておりますが、知事の所見を伺います。
関連しまして、境港公共マリーナや倉吉体育文化会館、そして布勢陸上競技場など、東京オリパラの優れたレガシーを観光資源として活用し、スポーツの聖地化とスポーツツーリズムに結びつけるべく、このたびスポリゾ元年として掲げられましたが、具体的には何にどのように取り組んでいかれるのか、併せて伺います。
次に、能動的な社会参画推進の取組について、まず、共助意識に基づくボランティア活動の推進について伺います。
人口減が進む社会においては、行政もスリム化せざるを得ないことは必然であろうと思います。そのような中で持続可能な地域をつくっていくため、また地域課題の解決を図るためには、地域住民相互の支え合いが不可欠であります。本県は、ボランティア活動参加率が全国的に見ても上位に位置している、言わばボランティア先進県であります。その活動を支え、前進させるために、平成26年に県と19市町村の拠出により公益財団法人とっとり県民活動活性化センターが設立されました。現在ではSDGsの推進やコロナに負けない地域づくり相談窓口など、活動の幅も大変広がっていると聞いております。また、本年4月には本県として新たに鳥取県協働連携ガイドラインを策定され、こういった取組を一層推進されると伺っております。これからの未来を見据え、県内のそれぞれの地域社会の持続可能性を高めるためにも、とっとり県民活動活性化センターの支援制度を県民により広く知っていただき、さらに活用していただくよう啓発を進めるべきと考えます。
また、センターから市町村へのパイプ、そして市町村から住民へのパイプ、ここを目詰まりしないよう情報を整理し、かつ地域のために思いを持って動こうとする、県民に届かせることが非常に重要であると考えますが、知事の所見を伺います。
また、このとっとり県民活動活性化センターでありますが、行政と地域の中間支援という役割を担っています。人口減少が続く中で、これまでは当たり前だった行政の役割を、今後はセンターの支援を受けながら地域が担っていく流れをつくっていく必要があると強く感じていますが、現状の事務局体制の脆弱さは否めません。行政と地域住民とのつなぎ役となるコーディネーターなどの増員を含めた組織強化が必要と考えますが、併せて知事の所見を伺います。
次に、政治参加を促す投票率向上と参議院選合区解消について伺います。
いよいよ第26回参議院議員通常選挙が行われますが、残念ながら、今回も鳥取県と島根県は合区での選挙となります。6年前の2016年から導入されたこの合区制度に対して、知事にも継続して解消に向けた活動を行っていただいており、また、我が党としても、青年局長である松田議員を先頭に要望活動を行ってきました。先日、知事からも、「今回合区が解消できなかったことは痛恨の極みである」とのお言葉をいただいたところであります。
先日の新日本海新聞社のアンケートでは、回答者の75.8%が明確に反対しているということが明らかとなりました。その理由として、「人口比だけを基準とする選挙制度はおかしい」が33.4%、「都道府県単位で代表を選ぶべきだ」が33.3%だったとのことです。こうした県民の考え方は、まさに我々の主張と一切異なるものではありません。自由民主党は、憲法改正の条文イメージの中に合区の解消も提示しており、国民の幅広い理解を得て、今を生きる日本人と次世代への責任を果たすとしています。
また、県内で行われた各級選挙においても、投票率の下落に歯止めがかからない状況が続いています。これまでコロナ禍での外出自粛要請と時期を同じくした選挙もありましたが、コロナ禍の中で、政治は人の生き死にと直結する根源的なものである、ということを広く県民の皆様に認識していただかなければならないと、自分を戒めるところであります。実際に、対話の中で私の話に耳を傾けていただいた住民の方からは、政治や行政が身近になったという感想をいただいたことも多く、そのことを改めて実感した次第であります。
参議院選挙の合区制度は投票率の下落の一因であり、政治離れに直結するものであり、決して看過できるものではありません。引き続き解消に向けて声を上げていかなければなりません。また、県内各級選挙においては市町村選管と連携を図り、コロナ禍においても不要不急の外出ではない、ということはもとより、参政権の尊さをしっかりと県民に認識していただくことが大切だと考えますが、知事の所見を伺います。
次に、森林環境保全税に見る受益者負担の在り方について伺います。
本県の森林環境を取り巻く歴史的背景として、かつて太平洋戦争の戦中・戦後の木材供給とそれに伴う山林荒廃の反動から、大規模な造林事業が展開され、その人工林の多くが10齢級を超え、本格利用期として間伐時期を迎えている状況にあります。特に杉、ヒノキの人工林は約7万ヘクタールにも広がり、水源涵養や土砂災害防止、温室効果ガスの森林吸収などの多面的機能を十分に発揮するには、適切な森林管理を行わなければならず、また、間伐だけではなく、皆伐再造林により山林の若返りも必要とされていながら、採算性に見合う木材価格となっていない現状において、路網整備や機械化の遅れ、担い手不足などで森林管理がままならない構造的な課題を抱えている状況でもあると伺っています。
こうした実態において、平成17年に創設された本県独自の森林環境保全税が極めて重要な財源として機能しているものと認識していますが、今年度末に第4期目の適用期限を迎えるタイミングとなりました。
一方、国においては、平成31年度の税制改正により、国税と併せて森林環境税が創設され、令和6年度から個人住民税と合わせて1人年額1,000円を賦課徴収されることとなりました。
「森は海の恋人、川は仲人」という言葉がありますが、本来、森林の公益的機能は、森林の所有者や山間に暮らす方々のためだけのものではなく、適切に森林整備、森林管理が図られていることで、山から遠く離れた平野部や、私のような海沿いに暮らす住民も受益者の一人であることは、紛れもない事実であります。今年度は本県独自の森林環境保全税について、存廃を含めた検討がなされているところであり、また一方で、国の森林環境税について、適切な運用が図られるよう議論されているところですが、私としては、国と県の税制のそれぞれ財政需要の異なる要素を踏まえて、広く県民に対して、森林保全に対する当事者意識の醸成と受益者負担の認識を共有しながら、実態に即した適切な税制運用を継続して図っていくべきだと考えます。これについて知事の所見を伺います。
新たな時代を開く未来につながる人づくりに向けて、まず、地域に学び地域で育む学校教育・人づくりについて伺います。
先頃総務省において、全国の15歳未満の子供の推計人口が、41年連続の減少で1,465万人となり、比較可能な1950年以降、過去最少を更新したとの発表がありました。団塊世代の孫に当たる世代の出生増加が見られなかった我が国の人口ピラミッドは、少子高齢の逆三角形構造がさらに鋭角に進み、人口減少にますます拍車がかかるような状況にあります。
本県の未来のためには、本県の子供たちがふるさと鳥取県に誇りと愛着を持ち、地域社会を支える人材となることを目指した教育を行うことに尽きるものと思いますが、そうした意味で、やはり令和元年度にスタートしたふるさとキャリア教育が担う役割と期待は大変大きく重要なものであります。
とりわけ、このふるさとキャリア教育において、学習記録ツールとして使われるキャリアパスポートは、子供たち一人一人が幼児期から小・中・高等学校と、それぞれの学校種や学年ごとに何を学び、感じ、考えたか、振り返れば過去の自分と対話することのできる人生記録であり、生き方を形づくり、未来の自分を創造する土台、財産にもなるものではないかと思います。令和2年度のキャリアパスポート導入から3年目を迎えた今、子供たちの進学や進級に伴って、学びの深化や発展につなげられているか、思い出で終わらせない活用ができているか、これまでの課題と今後の活用策について、教育長はどのように認識しておられるのかお尋ねします。
また、一方で、かつて寺子屋や教会のような場が地域の中心、交流拠点でありました。この人口減少時代において、改めて学校を地域づくりの核とするコミュニティ・スクール、保護者だけではなく、地域住民が協働して学校運営に関わる取組が本県でも順次導入されているところであります。ふるさとキャリア教育を一歩前進させ、地域としてどのような子供たちを育てていくのか、学校と地域住民とが、将来の地域を担う人材育成の在り方と地域づくりのビジョンを共有し、地域住民においても将来のふるさとに責任を果たそうとするこのコミュニティ・スクールに対して、今後の展開や未来への展望について、教育長はどのように期待をお持ちであるのかお尋ねします。
続いて、高校魅力化と県内就職・定着促進について伺います。
昨年10月、県教育委員会において、令和8年度以降の県立高等学校の在り方について基本方針を策定するに当たり、先ほどのふるさとキャリア教育をはじめ、デジタル時代における学び、普通科高校や専門高校のそれぞれの在り方など、魅力ある学校づくりとはいかにあるべきか、県教育審議会から多岐にわたって示唆に富んだ答申がなされました。
とりわけ専門高校においては、これまでにも大学等と連携を図り、高度技術人材として地元就業を目指すスーパー農林水産業士制度のほか、今年度からは工業高校においても、デジタル技術による製造や生産現場の高度化や新たな物づくり実現を図る人材育成を目指したスーパー工業士制度を創設し、民間企業での研修を含め、高校在学中から本県の基幹産業である製造業などの即戦力育成に取り組まれるところであります。
人口減少社会の中で、地域産業の担い手育成は切実な問題であり、デジタルネーティブとしての技術・技能を早くから身につけた若手人材が本県産業の高度化・効率化を図り、生産性向上をリードしていくよう、専門高校に対して大きく期待を寄せるところであります。そうした産業人材育成機関としての高校の魅力化、そして卒業後の県内就職・定着促進に向けて、言わば労働市場におけるマーケットインの視点で、産業界が求める人材を輩出するためのインターンシップや技術の習熟、カリキュラム設定などの柔軟な学校運営を図っていくことも必要ではないかと思いますが、知事及び教育長におかれては、現状をどのように認識し、将来に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか所見を伺います。
以上で、本日後半部分についての壇上からの質問を終わります。
◯副議長(広谷直樹君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田県議の代表質問にお答え申し上げます。
まず、骨太の方針2022年の骨子案が今、示されつつあるところであり、原案がこの間報道されたところでありますが、そこでの人への投資ということがあると、本県の成長性、これをどういうふうに捉えて、人への投資、こういうものをどういうように図っていくべきなのかと、こういうようなお話がございました。
このたびの政府、岸田政権としては、初めて本格的に予算編成を行うという、そういう夏に向かうこととなりました。そこで骨太の方針が示され、さらには新しい資本主義についての考え方も示されたところであります。
また、あわせて、デジタル田園都市国家構想実現会議につきましても、昨日は私もネットで参加させていただきましたが、その考え方、基本方針を昨夜取りまとめたところでございましたが、総理の非常に熱のこもったお話もあったところでございます。今、新年度に向けまして大きく動き始めているところであり、コロナ禍を打破しながら新しい方向性を出していく、その際に、社会の一つの指針というものを大きく変えようではないかというのが多分、今の岸田政権が考えていることではないかと思います。
そのうちの1つが、人への投資ということでありました。これについては、先般の骨太の方針の骨子案、原案におきましても幾つかポイントが示されていました。例えば、出世払いの奨学金をつくっていくのだということであるとか、あるいは100万人に及ぶ再就職、その技能開発、こういうことをやっていこうとか、昨日のデジタル田園都市国家構想についての会議におきましては、2万人のデジタル支援の人を全国へつくっていこうと。さらに、そのデジタル人材も数年にわたりまして、20万人を超えるものを全国で用意していこうと。
総理の考え方は、そういうデジタル化というものは地方でも十分進めなければならないと、これが一つの牽引役になって、地方創生というものを実現していく、地域づくりを実現していく、産業雇用というものをつくっていくという、こういう考え方であります。私どもの地方側としては、おおむね違和感がない、ある意味ぜひやってもらいたい、そういう内容ではないかなと思います。したがいまして、議員のおっしゃったように、人への投資ということに、やはり我々も率直に政策も投入してやっていくべきだろうということだと思っています。
成長性というのは、本県の場合、今、国が重点に置いているデジタル化、あるいは脱炭素化、こういうものに関連したところで成長分野をつくっていくことは十分に可能であると思います。そういう意味で、産業政策として、例えばトヨタさんと連携をしながら、脱炭素に向けた新しい車づくりを、工場の生産性向上なども一緒に入れてやっていこうと。これは大体トヨタのほうとも話がつながってきておりまして、いよいよ動き始める、例えばこういうようなことをそれぞれ成長性のあることとしてやっていく、当然のことだと思います。
それ以外にも、議員も若干触れておられましたけれども、食品産業とか、本来その第一次産業のようなこと、そうしたことも含めて、大都市とはまた違った、我々の成長分野というものもあるのではないかなというふうに思っています。これが人づくりと密接に絡むわけですね。
例えば、角屋食品さんがございますが、こちらは社長さんが張り切って、今、いろいろと商品開発をして、アジフライのナンバーワン企業を目指すのだというふうにされていますが、御本人と一緒に、この間、若い方々、これからビジネスに入っていこうという方を中心とした、オンラインを交えたセミナーに一緒に出させていただいたのですが、実はMBAを取得されて、それで経営学に目覚めたわけですよね。それで、いろいろと境港の地で実践できるような、そういう全国のリーディングカンパニーをつくっていこうということです。やはり、こういう人の力というのは大きいのだろうというふうに思います。そういう意味で、本来私も電気電子、あるいは素形材産業などがありますが、こういう食品関係も、一つ成長性のある分野としてやっていく必要があるのではないかと思います。
そういう意味で、こうした人材育成について、Udemyという会社のものを使いまして、オンラインの学習をこのコロナ禍でも展開し、これは結構お客さんもついて、利用されている企業さんや個人の方も増えてきておりますし、そういうようなことなどをいろいろと展開していくということだと思います。例えば、AIというものを基軸に置いた、これからの未来型の産業に携われるような人材、こういう方々もこれから、言わば学齢期の方から含めてつくっていく必要があるのではないかなというふうに思います。
以前の経営学というのは、どちらかというと人が機械の歯車のようなイメージで、例えばどうやって組織論を組んだら効率的にいくのかとか、そうしたことを考えるわけです。それで、マックス・ウェーバーなどもそうですが、要はハイアラーキーの組織、軍隊型の組織をつくって、それで効率的に回そうと。しかし、結局人間がつくる組織なので、これではうまく回らないということもあるわけです。それで、経営学の世界もだんだんと変わってきて、人間というものを一つの基軸に置くということがあるわけです。最近の主流はヒューマン・キャピタル・セオリー、人間資本論みたいな理論みたいなことになってきていて、企業の評価にも人への投資、こういうものの厚みというものが評価対象になってくるように変わってきています。こうした流れの中で、総理も人への投資を今回の政策の基本に据えようとされているのではないかなというふうに思っておりまして、本県も、今これからまた変わってくると思いますけれども、そうした政策の流れを捉えながら、私どももやっていければというふうに思います。
そういう中で、今、何というか、ちょっとコロナで難しいところがあって、場合によっては局面展開を図っていかなければいけないところだと思うのです。例えば、ぶっこん亭さんなどもありますが、これもメダカの商売に手を出し始めるわけですね。こういうようなことを、要は食事だけではない、別分野に挑戦していくと、こういうものをやはり応援するというのが、これからの成長戦略としても重要になってくるのではないかと考えております。
次に、農業生産につきまして何点かお尋ねがございました。農業生産額1千億円達成プランが改定されたけれども、これから当座は900億円に向けて、どういうような戦略で臨むのか。また、飼料用米への転換、こういうことで収益性を確保しながら、どういうふうに農業経営を安定化させていくべきか。また、特に畜産業のお話がございました。和牛全共というものを活用しながらどういうふうに攻めていくのかと、こういうお尋ねでございました。
議員が今おっしゃられたように、1,000億円を目標にするのですが、当座は2025年に900億円というのを目標にしようと、今、改定をしながら動いているところです。
現在の足元は、令和2年の数字ですが764億円でありまして、まだ130億円強増やさなければいけないということです。ですが、ここは非常に今、狙いがいのある状況でありまして、例えば、最近ではブロッコリーが伸びているのですね。このブロッコリーは、議場でもいろんな議論がこれまでもございましたけれども、今、中部と西部で合わせて野菜のセンターを造ると、これを実は仕掛けて、出来上がりました。これと相前後しながら、今そのブロッコリー農家さんの機械化の支援をやっているわけですね。若い方々も参入が続いているところがございまして、今その耕作面積においても865ヘクタールと最大規模に広がってきています。当然ながら生産量も増えてくると。こういうような野菜系のところで、数十億円は稼げるのではないかと。それから、あとおっしゃるのは畜産ですね、こうしたところでも数十億円。こうやって乗せていくと、130億円強のところというのは、狙いがいのある射程の中に今あるだろうと思います。ただ、かなり努力をしなければいけないのは事実でございまして、今ブロッコリーでこうやって生産を上げてきましたし、また、スイカも2年連続で最高単価を取ってきているわけですね。梨もそこそこ、今動いてきていると。コロナの下ではありますけれども、ある程度堅調に動いている。
生乳も、生産量的には上がってきていますが、これは今、価格の問題などがあって厄介でありますけれども、いろいろと行ったり来たりということはあると思いますが、その辺の効果的な対策というものを、それぞれのジャンルごとに組んでいって対策を取るのだろうというふうに思います。
そういう意味で、昨日お願いをいたしました総合経済対策の中でも、今、当座のこの肥料の値段が上がっていることや、あるいは餌代の問題など、そうしたことに対する対策を取れる予算を成立させていただきました。ああいうことをいろいろと投入しながら図っていくのだろうと思います。
お米につきましても、本来であれば主食用米、星空舞などで稼いでいくということであり、星空舞の作付面積の拡大も、今、JAグループも協力しながら進めてきているところではありますけれども、何せ今、年間10万トンずつ需要が減ってくるという趨勢の中で、コロナ禍まで起きてしまいまして、外食産業の需要が急減するということで、米がだぶついて米価が下がるというような状況が生まれてきているわけです。そういう意味で、飼料用米への転換は、議員がおっしゃるように、米という分野では、一つの今、通らなければならない道筋なのだろうと思います。
これも、私どものほうが当初予算でお願いをしましたが、上乗せ単価のところを5,000円にすることになりました。これは農家さんのほうでも飼料用米への転換を進める材料になっていまして、こういうことでまた生産体制を組んでいくのだろうと思っております。
例えば、米子の柳谷ファームさんでは、もともと大規模な米作をされているわけですね。今回のこうした対策なども受けて、その耕作面積の半分は飼料用米に向かわされることになりました。そういう意味で、大分協力をいただいているわけですね。もちろん柳谷ファームさんの場合は、そのほかにも野菜であるとか牛とか、その複合経営をされていまして、若い方々も雇いながら、大規模な営農をしていただいています。
こういうようなことを進めたり、お米以外の大豆だとか、先ほどのブロッコリーだとか、そういうところに転換していくということも当然あるわけですね。西部で言えば、箕蚊屋での大豆作りであるとか、そうしたことなどへ転換を図っていく、そのためには機械の導入が必要、では、その機械を県のほうでも助成しましょうと、こんなことでぐるぐると、いい循環で回していければという対策を取っているわけです。
それで、私どもの一つの希望の道筋というのは、畜産、特に和牛のところだと思いますし、その意味で、これから秋に向けては重要なタイミングに入ってきたと思います。先般の、言わば1次審査の選抜をしまして、和牛全共、鹿児島全共に向かう牛を今、選び始めたわけでありますが、これについては、5月18日に種牛の区で42頭、それから肉牛のほうで50頭をまずは選抜し、この夏に最終的な選抜に向かっていくということになります。5年前の宮城全共では、私どもの長年の苦労が実りまして、花の7区と言われた総合評価群の肉牛のほうにおいて、言わば、肉質が全国で一番いいという首席をいただいたわけです。これが基になりまして、現在本県の和子牛市場が、昨年は平均で83万円で全国のトップになりましたし、その前の年に続いて2年連続ということになりました。また、和子牛市場は、昨年は890万円という、1頭当たりにしたらちょっと考えられない値段のものまで出てきまして、全国がやはり鳥取に注目することになりましたが、それは白鵬85の3という種牛が基になりまして、前回の全共で第7区を制したからであります。
今回は、我々もいろいろと話し合って作戦を立てているわけですが、特に重視しようと皆さんが共通に思っておられるのが第6区、これがかつての第7区の総合評価群です。ここにつきましては、肉牛と種牛と両方ありますが、種牛のほうについては、今回、全県で選抜をするというやり方をしようと。前回は地区で絞っていたのですが、それをもっと広げて、しっかり取っていこうと。それから、超音波を使った肉質審査、そういうようなものも組み合わせていこうと。当然ながら、計画交配もやっていく。
我々は、鹿児島とか宮崎に比べると、全然その牛の数が違いますので、少数の精鋭になります。ですから、そこで勝負できるような牛をきっちりと選抜していけば、選抜された牛の限りでは十分闘えるという状態を何とかつくりたいと。そのためには、やはりいい牛を重点的にこしらえていくというのが私どもの戦略でありまして、今そうしたことを進めております。
これで第6区でよい評価を取り、さらに、そのほかに脂肪の質という分野がございまして、こちらのほうも気高号の伝統がある鳥取県は、オレイン酸の含有量が比較的有利でありまして、その脂肪の質というところでオレイン酸に基づく勝利を得られないだろうかと、ここも重点的に考えていこうということにさせていただいております。今、そういう意味で、関係者が非常に苦労しながらやってきております。
今回は、前回以上にゲノムの評価というものを加えておりまして、科学的なアプローチを強めております。これは、畜産試験場のほうの研究を進めて、機材なども導入をして、ここ10年ぐらいで大分積み上げてきて、ある意味、全国にも冠たるものも出てきました、これを活用していこうという作戦であります。
ちなみに2区、3区のところでは、私どもの出品する中に大山雲という種雄牛、これも候補牛としてございまして、その産子を今、選ぼうとしています。ほかの種雄牛と2つあるのですけれども、この大山雲は、かつてここで議長をされていた小谷さんの牛でございまして、非常に張り切っておられると、こういうことでございます。
水産につきましては、スマート漁業、あるいは6次化漁業の収入安定対策、魚価の下支えなどをやっていくべきではないかと、こういうようなお話がございました。これにつきましては、今、議員がおっしゃるようなポイントを捉えて、対策を取っていければと考えております。
ちなみに、現在、マイワシの漁が非常に好調であります。3月は4倍に膨れ上がるというような状況がございました。今もって好調でございまして、今、漁獲が3万トンレベルに上がってきております。割とイワシの漁というのは、通常であれば、もう少し続いていくものでございますので、10万トンという、かつての境港の勢いというものも今、射程の中に入りつつあると関係者も期待をしています。ここに来まして、アジやサバも好調に取れるようになってきており、この間は第八十八天王丸が入港しまして、クロマグロの初競りも行われたところでございました。いよいよ、にぎやかな季節に入ってきたということであります。
イワシは、こういうように漁が好調な時期と不漁の時期を繰り返す傾向がございまして、今、様々な自然要因が重なってだと思うのですが、好調さを取り戻しており、そういう意味では攻めどきなのではないかというふうに思います。本県としては、一つはスマート漁業を広げていこうと。九州大学と連携をしながら海の天気予報を今、普及させてきております。有料サイトのものなども今、テスト的に県のほうで助成をしまして、漁業者に無料で使っていただけるようにいたしております。それから、県独自にも、漁業者、船のほうの応援もいただきながら、潮流データを共有化しようとしております。こういうようなことをやって、実は漁業者の皆さんも、不要に海に出る必要はなくなったと、今日出ても油代のほうが高いだけだなというときは、やめられるわけでありまして、そういう意味で非常に評価もいただいています。スマート漁業と確かに言える部分なのかなというふうに思います。
また、6次化でも、川口商店さんをはじめ、そうしたところで最近も加工の向上を図っていただいて、これは県も含めて支援策を講じまして、今進めているところでございます。先ほどの角屋さんもそうでありますけれども、こういう水産加工6次化というのも重要なところであります。
また、漁業収入とか魚価という意味でも、売出しどころが来ていると思うのですね。境港の魚の市場も、このたび第2号上屋ができることになり、この夏の完成を迎えるわけであります。こういうような機会を捉えて、今、水産関係者と一緒に、それぞれの四季に応じた県の魚というものを皆さんに考えてもらいながら、PRをそれでやっていこうとしております。また、出かけていって、車ごと境港を宣伝するような仕掛けも考えていこうとか、今いろいろとこの市場ができる時期にプロモーションをかけようということで一致しております。
先般は、さんまきさん(山陰まき網の組合さん)のほうで経営をされています直売センターが完成しました。これには議員の皆さんも駆けつけていただきまして、非常に好天にも恵まれ、いいスタートを切られたところでございました。今回出来上がったあの直売センターは、非常に広く造ってありまして、それも非常に清潔で、前はちょっと水たまりがあったりしましたが、そういうものも大分解消されてきていますし、イートイン的に食べるスペースもできて、さんまきさんもそうですけれども、入居しているところの幾つかのところが海鮮丼を提供したりして、観光地としても面白いところになってきています。言わば、魚のショーケースである市場の中で、境港の水産物の価値というのを知っていただき、例えば、これが魚価の下支えだとかイメージづくりに進んでいければありがたいというふうに考えております。今の油の高騰も含めて、省エネの船の導入など、昨日は支援も強化をしていただくなどございました。ぜひ水産の振興に向かってまいりたいと思います。
次に、農林水産物食品の輸出拡大実行戦略につきましてお尋ねがございました。
これにつきましては、令和3年12月に改定されまして、今、そうした対象の農林水産物・食品輸出プロジェクトも広がってきています。平成30年から本県の様々な企業さんも参画されるようになってきておりまして、例えば、丸京製菓さんなどもそうであります。そのほかにも、例えば酒造メーカーとかいろいろ入っておられるし、もちろん水産加工などもあるわけであります。そうしたところなどがいろいろと加入をされながら、国のほうの支援、PR等も受けて、今、売出しを強化するということです。
例えば、丸京さんなどは、具体的な補助制度なども適用できるモデル企業のほうに入ってまいりました。そうした申請などを我々もお支えをしながらやってきたわけでありますが、これによって今、アメリカなどで急速にその販売を伸ばしてきております。ああいうどら焼きだとか、どら焼き以外のお菓子も含めてなのですが、やはりそうしたものは、アメリカなどは割とチャイニーズも多いのですね、そういうこともあるのだろうと思いますが、結構伸びやすい分野でございます。
最近では、例えば千代むすび酒造さんなども1.6倍に伸ばしてきているのですが、これもアメリカとかオーストラリア、そうした輸出で伸ばしてきていると。
今度、境港の竹内に展示スペースも設けると発表されました澤井珈琲さんもこのプロジェクトに関わるのですが、1.1倍に伸ばしてきていまして、台湾とか香港とか、そうしたアジア圏での販売を伸ばしてきています。いろいろと効果もあるプログラムでありまして、議員もおっしゃるように、積極的に我々も企業さんにもお勧めをし、我々のほうのそのプロモーション手段もありますので、それも含めて展開を図っていければと思います。
そこで、産直港湾のお話がありました。これも非常に興味深いものでありまして、こうした関係者の皆様とも、境港も含めて、その対策を考えていければと思っております。ただ、一つは、意外にこうした業者さんが境港以外の、神戸とか別の港を使っておられることがあったりして、制度的にうまく乗れるかどうかというのはあります。
それから、産直港湾自体は、補助制度は確かにあるのですが、農林系のものが中心であったり、重点採択の形なので、実は今回、私どもは結構その港の辺りを整備していますし、これまでも昭和岸壁も含めてやっているわけです。例えば、リーファーコンテナの関係での充電設備だとかもこれで対象になるのですが、我々の場合、それはもう実はつくってあるのですね、ですから、どういうようなメリットがあるかなということもあると思います。せっかく御提案もありましたので、また関係者と話をしてみたいと思います。
次に、日本コンシェルジュ協会のお話をいただきました。こうした方々に向けて、観光素材を知ってもらう機会をつくれないか、また、あわせて、外国人富裕層の誘客、こうしたものの強化が必要ではないか、2点にわたってお話があったところでございます。
この日本コンシェルジュ協会さんは、ホテルで、言わば、お泊まりのお客様の相談にあずかるコンシェルジュ機能を持っているわけですが、例えば交通機関の利用だとかはありますが、あわせて、こういうところをお勧めしますよということがあるのですね。お泊まりのお客様が「こういうところで、どこかいいところがあるかしら」と聞いてこられたときに、外国語を交えて御案内されるという御職業、職種の方々であります。特に、高級なホテルにそうした方々がいらっしゃるのが世界の標準になっていまして、その協会であります。ですから、議員がおっしゃる富裕層などに向けて、いい発信源にもなるところであります。
この日本コンシェルジュ協会の、帝国ホテルにお勤めの秋本さんを、令和元年末に安田議員に御紹介いただきまして、一緒にお話を始めさせていただき、先方のほうの考え方もあって、議員も行かれましたけれども、翌令和2年2月にプレゼンテーションをさせていただくという大会での機会をいただいたわけであります。残念ながら、そのとき既にコロナの動きが始まっていた頃でありまして、まだそう深刻ではなかったのですが、ただ、ホテルのお客様がどんどん消えていった時期でありました。だから、そういう意味では最後のタイミングだったのかもしれませんが、そこでお話をさせていただき、意外に鳥取県のことを御存じないということもありまして、興味を持っていただけたと思います。
そこで中断してしまいましたので、今日も御提案がありましたから、また再開をさせていただければありがたいと思います。関係の皆様ともよく話をさせていただいて、例えば、関西中心に、鳥取のほうにファムトリップで来ていただけること、もうそれもかなう状況になってきたと思いますので、企画をさせていただいて、1泊2日でも来ていただいて、この辺を見て回っていただくということを考えていければと思います。そういうことは、実際に有効だということをおっしゃっていました。あのときは、ハイアットリージェンシーですかね、京都の方々も来られていました。やはり外国を中心とした富裕層の方が多いのですが、外国の方は、スーパーはくとに乗って、3時間で鳥取に行くというのは、あまり苦にならないのだそうでありまして、我々だとちょっと遠いかなと思いますが、ホテルへ行って、またホテルへ帰ってきてもらえばいいと、そういう優雅な時間の使い方をされるわけでありまして、非常に有効ではないかということもおっしゃっていました。また、もちろん、巡り歩いていただく旅ということもおありでしょうし、ぜひそうしたものを組んでいければと思います。
そういうこととあわせて、富裕層向けにどうターゲットを持っていくのか。これは、一つは、やはり宿のこともあると思うのですね。しかし、最近宿の中でも、例えば皆生に紫苑亭という宿ができたりして、残念ながら今、コロナになってしまったのですけれども、ハイエンド層を狙ったものもでき始めていると。それから、県のほうでも助成金を大分出しましたが、コロナの間にそれぞれのお宿が改造されて、温泉旅館さんでも自分の部屋でお風呂を楽しむようなこと、あるいはバリアフリー仕様やベッドを置くなど、こういうものがかなり普及し始めておりまして、外国の方をお迎えする環境も整ってきているのではないかなとも思います。そういう意味で、こういうハイエンド層を狙っていければと思います。
まずは、今、外国人観光客はちょっと入れられない状況でありまして、日本人の、どちらかというとアッパーの方々といいますか、高所得層を狙った、そういうツアーをテスト的にやっていってはどうかということであります。これについては、ANAさんですね、最近我々のところに移住してこられた方も多いですけれども、木村さん──やはりグランドオペレーションをされていた方が今、観光の要で本県へ入っていただきました。御本人の厚意で、今2年目に入ったのですけれども──、金井塚さん──やはりCAでこちらのほうに副業で来られる方になっていますが──、こういう全日空の方々で株主さんのツアーがあると、そういうものをこちらのほうに呼んでこようと。今月の末に2泊3日でこの辺を回るということでありまして、例えば、レザーの今度できました美術館、井上靖のところでありますけれども、そういうようなところなどをいろいろと回られるということでございます。実は県庁にも来られるそうでして、その中で知事公邸にも来るということを言っています。そういう、ちょっとユニークなツアーを組んで、いろいろとテストをしてみて、どういうようなコースが今後に使えそうなのかというのを考えていければと思います。来られる方は15人ぐらいだと思うのですが、実は約130人も集まっていまして、抽せんでということになっているようであります。
次に、スポーツのことについて何点かお尋ねがございました。いざパリへ!トップアスリート育成事業の展望はどうか、またジュニアアスリートの育成について、体制の構築、側面支援についてどう考えるか、また境港の公共マリーナをはじめとして、スポーツの聖地化にどういうふうに取り組んでいくのかというお尋ねがございました。
このたび、東京オリパラの成果を受けまして、いざパリへ!トップアスリート育成事業をスタートさせていただいたところです。早速、三上選手とか瀬川選手だとか、そうした狙っている選手の皆さんにもこれを活用していただくということになりました。三上選手や武良選手などは、このたびの水泳の選手権のほうに出られたりしていますし、また、本当にジュニアの育成ということでありますが、河上選手、林選手という、これはクライマーですね、スポーツクライミングの選手、こういう方々も日本の選手権で優勝されたということもあって、海外への遠征ということになりました。これも、こうしたトップアスリートの養成事業によって、その経費というものを県のほうでも応援していると、早速これは動き出しているところであります。
特に、今後の可能性を秘めた観光需要として、食のバリアフリーが考えられます。これは、一般的なアレルギー対応といったものから、糖尿病対応だったりとか、ベジタリアン、ビーガン対応、さらに刻み食、ミキサー食、減塩食、軟らか食といった宿泊者の事情に寄り添う食を提供し、高齢、障害の有無、食に対する信条や宗教観の違いにかかわらず楽しめる旅行として、今後需要の高まりが予想されています。
先般、県において県内宿泊施設に対してアンケートを実施していただき、結果を拝見したところ、多くの宿泊施設がお客様に寄り添った食事提供に努力されている一方、対外的、例えばホームページなどの情報発信はしていないことも分かりました。これが非常にもったいないと感じています。
ちなみに、先ほど述べましたけれども、糖尿病は減りつつあるのですけれども、国内で329万人、世界で見ますと、5億3,700万人。高血圧性疾患が993万人、これは塩分の制限ですね。心疾患、これも塩分ですけれども、173万人。慢性腎臓病は39万人、たんぱく制限、塩分制限、カリウム制限ですね。嚥下障害は83万人、軟らか食やミキサー食を必要とされる方々です。いずれも厚生労働省の調査による数字でございます。これだけの方々が国内にも、世界にもさらにおられるということです。
食事を楽しむことが旅行需要の一つでもあるのは、もはや当たり前で、日常、食に制約のある方へのおもてなしとして、施設への啓発、勉強会の開催など、今後広がるであろうユニバーサル食提供を、本県観光の柱の一つとして育てていくのも観光戦略の在り方ではないでしょうか。これに対する知事の所見をお聞かせください。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田県議から重ねてのお尋ねがございました。
ユニバーサルツーリズムというのは非常に重要であります。特に議員も御指摘ございましたが、本県、今、あいサポート運動だとか、そうした障害者対応というものを一つの柱に据えています。平成18年に障害者権利条約が国連で制定をされ、平成28年に差別禁止法が国内でもできているところでありますが、そういう流れを一つ実際の運動としてつくったのが、あいサポート運動であり、その中でユニバーサルツーリズムもいろんな形で生まれてきました。フレンズさんとか、そうしたところで障害者ツアーというのを実際にやる、それを応援するということをしたり、Bmapsさんというサイト、アプリを活用しまして、それで障害者の訪ねられたところ、そこの評価を実は地図上で表現をしたりしまして、それでユニバーサルツーリズムというものをやっていこうということをさせていただいたところであります。
かつて、安田議員からも御紹介をいただいて、江寿会の皆さんに来ていただき、バリージョシュアさんとか、あるいは来栖さんと一緒に来ていただきまして、いろいろとお話をさせていただく機会もいただきました。やはりユニバーサルツーリズムというのは、そういう議論の中でもございましたけれども、ある意味、観光サイドというか、受皿サイドとしては成長力のあるマーケットの話にもなりますし、また実際、人間性ということを考えたときに、誰でも同じように人生を楽しむ、旅をしたい、旅ができる、というのが重要だということであります。鳥取県内でもOriHime、ロボットを活用しまして、それで大山登山を病室にいながら楽しまれるというようなことを実践させていただいたりして、いろいろとそうした例もできてきました。
また、おかげさまで、コロナということもあったと思うのですけれども、いろいろと施設側の整えも進んできました。典型的には、なにわ一水さんが松江でされたのが基になりましたけれども、それをこちらのほうでもということで、こぜにやさんがされ、このたびは望湖楼さんが東郷湖畔でされておられますが、そうした新しいコンセプトのバリアフリーな、そういうお迎えできる宿というのがだんだんと増えてきています。そこに至らずとも、このコロナと併せて、バリアフリー仕様の改装をされたところというのは数多くございまして、ある意味、環境は整いつつあるのだろうというふうに思います。ぜひ県としても、今年、アプリを開発をしようとしていまして、それでバリアフリーツーリズムのマップを作ろうと。それで、施設の改善にも役立てるし、利用者の方にも旅を楽しむためのものにしようということを今、やっております。こうしたことなどの展開を図っていければと思います。
食べ物もそうでありまして、典型的にはアレルギーみたいなことがありますし、世界中見渡してみますと、今、ベジタリアン、あるいはビーガンということが増えてきています。日本に来られる訪日客で見ても、インドとか、意外ですけれども、台湾がそういうベジタリアン、ビーガンを要求されるということがあります。これはある意味、健康志向のことだと思いますが、欧米でもそういう方々が増えていて、日本でもそういう好みが広がってきています。そういう意味で、先般アンケートをしましたが、多くの宿がアレルギー対応、あるいはベジタリアン対応、ビーガン対応ということに取り組まれ始めていまして、そうしたことの広がりは大分、県内もついてきたようであります。ただ、おっしゃるように、それをホームページに書いていないということはあります。これは、実はお伺いをしてみますと、結構手間がかかったりして、本音で言うと、普通のお客様だったら、要求されないほうがいいということなのかもしれません。それで、リクエストがあったときにやる、というところが実は多いようでありまして、決してやっていないということではないのですが、もう少しPRも必要かなとも思われます。
逆に、そこを売りにしているところも出てきました。こういうのを育てていけばいいのではないかと思うのですが、このたび、倉吉セントパレスさんが、ジャパンフードコンテストで金賞を取られたのですが、その金賞を取られたのがビーガンチーズケーキであります。ビーガンは単なるベジタリアンだけでなくて、牛乳とかも使わないものですから、生クリームとかを使うわけではないのですよね、チーズも使わないと。ただ、チーズケーキのようなテーストに仕上げて、同じように楽しめるもので、これは鳥取県のほうで昨年、実は有名なシェフを招いてそういうセミナーをやったのですね。それに非常に感化されて、作ってみようということで、どうもされたようです。これを製品化するに当たりまして、例えば、小麦粉で周りのビスケット部分みたいなものを作る。中のところは豆乳で作られるわけです。それで、味つけとして、ちょっとチーズケーキ風というか、ちょっとおいしさも感じるという意味なのでしょうが、そこで野花梅のジャムを使うわけですね。それでちょっと甘酸っぱい感じで、上品な味わいに仕上がって、食べた触感はチーズケーキ風なものに十分なりますし、こういうことをやると。これ以外にも、実はビーガンのコースを作り、今、お泊まり客が少ない、宴会が少ないので、それを通信販売で売っておられるわけです。普通のものよりも単価は非常に高いです。単価は高いけれども、ビーガンなので、それを買ってくれると。こういうような商売につなげて、むしろ、言わばカミングアウトして、ビーガン対応というものを前面に出しているお宿までできているということですね。こういう意味で、そういう食のバリアフリーということを、また我々としても応援をさせていただければと思っております。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)御答弁をいただきました。お話の中へ出てきました松江しんじ湖温泉の、なにわ一水さん、このコロナ禍の中でさらにまた改築をされて、バリアフリールームを増やされたと。1泊4万円を下らないお部屋ですが、私も泊まってはいないのですけれども、見せていただいたことがありますが、本当にすばらしい、気配りの行き届いた、心のバリアフリーが通った宿でありました。先ほど倉吉セントパレスさんのビーガン用のケーキが高いというお話があったのですけれども、高くても、来る人は本当にいるのです。ニッチを狙うと、そこに集まるお客さんはおられるということをぜひ御理解いただいて、そこを狙うような鳥取県の観光であってほしい、そう思う次第であります。
次に、スポーツのほうの追及に入ります。
この4月より、鳥取大学医学部附属病院にスポーツ医科学センター、略称でT.S.Aが開設されました。高気圧酸素治療を安価に受けられるなどの特徴や、アスリートの故障に小児科、婦人科なども含め、トータルサポートができる体制を整えられておられます。先日、私も同僚議員有志で視察をさせていただき、榎田センター長と膝を交え、意見交換をさせていただいたところでありますが、地方において、このT.S.Aを拠点に、スポーツ医療の充実が図られることに大変期待を抱かせる施設でありました。ぜひ県としても、このT.S.Aと連携を取り、県内アスリートや競技団体と医療連携を図っていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
また、その中でのお話でもありましたが、アスリートの治療は何よりもスピード、早く適切な治療を行うことが重要だそうです。しかしながら、ジュニアアスリートに関しては、特に成長期でもあり、慢性的なスポーツ疾患が将来の日常生活にも影響しかねないのに対して、どうしても学校を経由して受診に進むとなれば、手続など機動性に欠くおそれがあるとの認識を共有をしました。将来的に、中体連や高体連よりも各競技団体が、選手のけがの状況や態様、分類を整理し、例えば故障者リストのようなものを作るなり、管理して、県やスポーツ協会主導でアスリートサポートの在り方を構築してはどうかと考えますが、知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)重ねてお尋ねがございました。
T.S.A、鳥取大学のスポーツ医科学センターということでございますが、こちらのほうは高酸素のそういう施設を活用しまして、新たにそうしたスポーツ医科学センターをオープンさせたというものであります。榎田センター長を中心にしまして、林先生とか、それから小児科のほうの美野先生とか、また、女性診療のほうの佐藤先生とか、いろんな先生方が関わられて、多様なスポーツ需要に応えられるような施設がセンターとして動き出したということであります。こういう医療分野というのは実は各地に、そんなに数は多くないですが、少しずつでありますけれども、ございまして、そういう意味では、山陰の一つの拠点になると思いますし、例えばスポーツ合宿であるとか、それからプロスポーツの方のオフシーズンにやってくるところだとか、いろんなことでの需要は多分あるだろうというふうに思います。鳥取のほうでも、市内の鉄道の近くのところにトレーニングジムがありますが、こういうところにやはり有名なスポーツ選手がやってくるということになるわけでありまして、そうしたしっかりとしたサービスを提供できるということであれば、そういうプロの方が、むしろお金を使ってでもやってこようということになるわけであります。ぜひこれを応援することで、そうした医療のみならず、スポーツ界の振興にもなるのではないかと思います。
議員がおっしゃるように、これはいろんな意味で、故障というか、けがとか不調というのはあるわけでありまして、それをどういうふうに回復させるかというのはとても重要です。特に先ほどおっしゃったように、人間は成長するのですけれども、オリンピック選手などを見ても、かなり若い、まだ学校に通っているような子供たちも含めて、いるわけでありまして、そこに負荷がかかるものですから、どうしてもそうした故障とか危険もあるわけですよね。そうしたときに、すぐにでも早めの治療ができることが重要であります。このような競技団体の方々とか、もちろんそうしたアスリートの皆さんなどにもよく周知をさせていただいたり、比較的他の地域にあるこういうスポーツ医科学センターよりは、若干リーズナブルな値段に抑えてありますので、そうした意味で御推奨させていただくことも十分できると思います。関係者とよく故障者リストのようなものも含めて話し合ってみたいと思います。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)T.S.Aが面白いのは、部活動とかだと、ちょっとけがしたりとか具合悪いと、まず顧問の先生だったり指導者が勧められるのは、東洋医学のほうなのです。西洋医学に行けというのは、なかなかならないということで、榎田先生は、県内の東洋医学の体の分かっている先生方との連携をもう組んでいると。これは西洋だと思ったら、すぐ回してもらうような連携も取っていらっしゃるというふうにおっしゃっていました。本当にこれはすばらしいことで、なかなかそこの間というのは、ふだんはうまくいかないことが多いと思うのですけれども、山陰に本当にいい施設ができました。しっかり応援していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、ボランティア活動に関してです。
ボランティア活動に参加することを通じて、奉仕の精神や自己肯定感を高めることは、青少年健全育成や居場所づくりにも効果が期待できると考えております。県民がボランティア活動などで活躍したいと思ったときに、その受皿となる機会が既に確保されているという共助意識の中で、支え合いが実現できるような成熟した社会を目指すべきだと思いますが、これについて知事はどう捉えておられるのか伺います。
特に昨今、性別役割意識を解消しようとする取組には、私は行き過ぎを感じざるを得ません。女性活躍の推進については、活躍したい女性が活躍に向けて挑戦できる環境を整えることは大変重要であり、私も賛同するところですが、これはもはや当たり前に取り組まれるべきことであり、例えば家庭内の夫婦の役割分担に対して、県があるべき姿を推奨するような取組は、私としては過干渉ではないかとも感じています。本来は性別の違いだけではなくて、個々の人間関係の中でお互いを補完し合おうとする共助精神を尊重し、支え合いの意識を啓発する方向性であるべきと考えます。性別に関係なく、県民一人一人に寄り添って、希望をかなえる機会が当然のものとして与えられる環境を整えるのが県の役割ではないかと思いますが、併せて知事の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)あわせてお話がございました。ボランティアのこと、女性の活躍等のことにつきましてお話がございました。これらは、社会の基本的な構造に関わることかなというふうに思います。
かつてノーベル物理学賞を取られたガーボル・デーネシュさんがおっしゃっておられましたけれども、やはり人間の文明というのは、どんどん進化をしていくものでありますが、自然との調和ということが求められると。そういう中で、やはり人々の活動、こういうことが重要だということです。実は日本のことも評価されていまして、日本人が持っている支え合う構造、それから、少ないものを大切に使う、「もったいない」というのが今の言い方かもしれません。そうした心の使い方ということが非常に重要ではないかというようにおっしゃっておられました。こういうようなことで、やはりボランティア活動など、恐らく日本の中に根づいたものであるものが日本らしく発展してきて、西洋のボランティア活動と結びついているのかなというふうにも思います。
このボランティア活動の意識調査をしてみますと、やはり多いのは、まちづくりなどの活動でございまして、これはもう山陰であれば、自分たちが普通にやっているボランティア活動なわけであります。こういうようなことが市民社会として成熟してくる、それが議員がおっしゃる成熟した社会という意味かもしれません。もともと日本の場合、ボランティアというのは、あまりはやらないようにも思われていました。しかし、阪神・淡路大震災が平成7年1月17日に起きまして、あれがボランティア元年だというふうに関係者は言っています。あのときに放っておけないということで、全国からいろんな方々が集まりまして、復旧支援を行ったり、復興支援を行ったりというふうになってきます。最近も、例えば真備であるとか、そういう災害のたびにボランティアが出かけるのが通常になってきました。こういうのは、もともと多分日本の中でもあった助け合いの精神だとか、そうした支え合う地域の中にあったのだと思います。
もともと、恐らく地縁的な結びつきによる地域社会の中の無償の労働提供ということがあったと思うのですけれども、これにテーマとか理念に基づいて結集してくるような市民社会型のボランティアというものが生まれてきていると。今、そういう意味で、展開し始めている時期になってきたのではないかと思います。ここに、例えば資金面でのボランティアと言っていいようなクラウドファンディング、こういう欧米で基本的にやられてきたようなチャリティー文化というのも今、広がり始めていまして、おっしゃるような成熟した社会に向けて、確かに我々は今、ようやく動き始めているのかなというふうにも思います。
この鳥取県内でも、例えば平成23年の正月のときに国道431号の松がぼきぼきに折れまして、「弓ヶ浜・白砂青松そだて隊」というのを我々のほうで提唱したのですが、あっという間に皆さんが集まってきまして、40団体以上集まって、それで、今でも植林の活動をされていると。大分よみがえってきました。大きな力だと思います。同じようなことは、竹内の緑地がございますけれども、そこでもその緑地支援のためのボランティアの皆さんが活動されまして、これが、皇嗣殿下、妃殿下がお見えになったときの「みどりの愛護」のつどいのとき、国土交通大臣賞を受賞されるに至りました。こういうことが県内でも実際に起きてきているし、それは我々が誇るべき流れではないかなというふうに考えております。ぜひこうした活動を、今後も私どももサポートしていきたいと思っております。
男女共同参画についてお話がございました。
先ほど、家事シェアの手帳のお話がございましたけれども、何かの価値観を押しつけようということで担当の部局がやっているわけではなくて、それぞれの自分たちがやっていることなどの分析をしてもらう、それで、また問題意識を持ってもらうということなのだろうと私は思っています。実は同じようなこと、近いことなのですが、家事シェアボードというのを、これは若い方々が昨年提案をされてこられました。これは学生さんだとか、そうした方々なのですけれども、ボードに書いて、今日は私はこれをやりますよというのを書いていくことで、子供も含めて何となく家の中の役割分担をしていくと。こういうようなことが先ほどのボランティアのお話と同じようなことで、人間の言わば一つの本性として、支え合う家庭の在り方というものをつくっていくのかなと思っています。その個性というのは、多分、家庭によってあったりするのでありましょうけれども、それについて問題提起をしながら、一緒に考えていこうという趣旨なのだろうと思っております。
大切なのは、議員のほうからお話がありましたが、恐らく、私は環境づくりではないかと思っています。女性が活躍できる環境をつくるために、いわゆる子育て環境を整えるとか、家庭内でのこと、あるいは企業における男性も含めた育休の取り方とか、そうした社会システム自体を改めていきながら、徐々に恐らく意識が変わってくるのだと思うのです。それをサポートしていくのが我々行政であって、何か取決めをするということでは多分ないのだろうと思います。
そういう中で、鳥取県は、やはりよく動いていくのですね。この間もジェンダーギャップ指数がございました。これは国際的に見ると、日本は121か国中120位ということで、これは残念ながら、あまり自慢できることではなくて、やはり我々が何か考えなければいけないことはあるのだと思うのですね。今、ウクライナ問題で注目されますけれども、フィンランドだとかスウェーデンだとか、女性のリーダーが歴史をつくろうとしていることに直面するわけです。こういうことは、世界では全く何の不思議もなく起こっているのですが、日本はもう少し考えるべきところといいますか、我々の在り方自体を、我々自体がどう展開していくかということは、私は議論されてもいいのだろうと思っています。ただ、結論を決めるのは国民みんなであったり、家庭の中であれば、家庭の方々がみんなで話し合ってということなのだと思うのですね。それぞれにそうする中で、そういう判断を重ねていく中で、徐々に世の中が動いていく。
これは鳥取県はある意味、得意な分野かもしれないと思っていまして、そのジェンダーギャップ指数を都道府県別でされたレポートがこのたび出ました。これで、鳥取県の行政部門は全国でナンバーワンになったのですね。そのほかにも10位になった、11位になったということで、上位に結構入ってくる、そういうところが見られました。これは有識者の方々にも評価していただきましたが、男性の育児休業が、鳥取県庁はずば抜けていたのだそうです。そういうようなことがあって、それからあと、管理職の登用もぬきんでています。この辺はやはり多くの方々の理解をいただきながら、自立的に変えていったことですね。こういうようなことが、あちらこちらで起きてくることで、やはり社会というのは成長していくのだろうというふうに思います。そういう意味で、今年は日本女性会議inくらよしが開催されるわけでありまして、全国の皆様にも、この鳥取県の在り方というのを見ていただきながら、我々自身も我々の社会の在り方を考える契機になればと考えております。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)答弁いただきました。私は女性差別主義者でも何でもなくて、この質問をする前に尾崎議員ともちょっとお話をさせていただきましたけれども、我々のような男性議員がこの問題にしっかりと問題提起をして、議論をしていく。これが、これからの日本にとって必ずや必要なことであると信じている次第でございます。
本当に女性がいないと生きていけないのは、もう男はみんな分かっております。ですよね。ええ、そうですよ。それでうんちゃらというのもありますけれども、本当に私などは、母がいないと生まれていないわけでありまして、そして、境港の女性の皆さんがおられないと、ここに立っていることもできない。ですので、本当に例えば、うちの母の親の世代、おばあさんの世代などというのは参政権もなかった。そういう時代を日本は経て、そして、尾崎議員や浜田議員の活躍によって、どんどん女性の価値が社会的に高まっていったという言葉でいいのでしょうか、分かりませんけれども、ただ、僕らの世代、今、今年51歳になる世代ですけれども、女性を下に見るとか、そういう感覚って全くないのですね。やはりそれは、先人の皆様の活動があって、そうなってきていると思うのです。我々の子供の世代になると、私自身、もう女性のほうが強いことがほとんどではないかと感じることが多いのです。だから、やはり世の中はどんどん変わってきている。そういった中で、しっかり男性もその議論に参加して、世の中の悪い部分は正していくと。いい方向に進めていくという方向でやっていきたいと思います。鳥取県は、本当にいい方向に行っていると思っていますので、引き続き続けていただきたい、そう思う次第でございます。
次に、教育長に追及質問をさせていただきたいと思います。大変お待たせをいたしました。
ふるさとキャリア教育、これは知識として蓄えるものでも、考える力を育むのでもないとすれば、その成果目標として何を目指すのか。なかなか実態を捉えづらいものであろうと思います。壇上でも申しましたとおり、進級するごと、進学するごと、さらには将来、大人になってから、ふるさと鳥取県に育てられたという自らの生い立ちを振り返る機会にもなるものとして、子供たちには大切に学んでほしい、教員の皆さんには、そういう思いで子供たちと接してほしいと思うところであります。
ただ一方で、本県でも従来から取り組まれる地域探究は、地域社会の課題発見と解決を目指して、地域の大人たちと意見を交わしながら学習を進めていくものであり、小中学校でのふるさとキャリア教育を土台にするべきものであるとも思います。そうした意味で、今進められている高校入試の制度改革、あるいは今後の高等学校普通科再編を念頭に、県立高校入試問題において、より、ふるさとキャリア教育の成果を見いだすような、本県ゆかりの設問として出題するのもあり得るのではないかと考えますが、教育長の所見を伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
足羽教育長
◯教育委員会教育長(足羽英樹君)安田議員から、ふるさとキャリア教育に関連して、高校入試についても、本県ゆかりの問題を出題すべきではないかというお尋ねをいただきました。
高校入試につきましては、まずもって、中学校の学習指導要領の内容に基づきながら出題すること、これが大前提となっております。ただ、その中で、国のほうからも、知識の量だとか程度を問う、そういうことに偏ることなく、今必要とされる力、思考力だとか判断力、そして表現力を問うような問題をバランスよく出題する、この両点におきまして、本県の高校入試も工夫しながら取り組んでいるところでございます。
そういう中で、御指摘のありました本県ゆかりの問題も、これまでも毎年出題をしてきているところでございます。例えば社会科の問題の中では、最近、住民が考えるSDGsに基づくまちづくりで鳥取県が2年連続で全国1位になったという資料を基にしまして、住み続けられるまちづくりとはということについて考えさせる、このような問題も出題したところでございます。一昨年の国語の問題につきましては、地域を活性化させるために私たちにできること、中学校のクラスでのディスカッションを交えながら、鳥取県に関して魅力的な部分、大山、ジオパーク、砂丘、境港、様々なそうした資料を基にしながら、鳥取県の魅力について、自分にできること、自分がどうしていきたいかを記述する、そういうふうな問題も出題しているところでございます。ストレートに鳥取の知識を問う、こうした問題は指導要領においては難しいところでございますが、そうした鳥取ならではの出題をしながら、おっしゃるような、ふるさと教育につながる、そういう仕掛けは今後も続けたいと思っております。
さらに、入試改革のことも御指摘いただきました。
今年度の入試から、これまでの学校長が推薦する推薦入試は廃止いたしました。新たに、生徒自身がこれまで学習で取り組んだこと、興味、関心を持ってやってきたこと、これを自分を自己PRしていく特色入試に変えることとしております。その意味でも、先ほど質問もあったキャリアパスポートなど、こうした学びの積み重ね、これが生きる入試として、今年度から取り組んで、生徒たちのプレゼンを楽しみにしているところでございます。
先ほど議員さんのほうからも、ふるさと鳥取に育てられたという、自らの生い立ちを振り返る機会だ、温かい言葉をいただきました。オリンピック金メダリスト、入江選手がまさしく、鳥取に生まれてよかった、感謝の言葉を度々申しておられました。あのような言葉が自然と出てくる、そんな子供たちの育成につながる。高校入試においても、そうした視点を持って今後も工夫、改善に努めてまいります。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)教育長、ありがとうございました。
かつて、元県議であります安田優子、私の母でありますが、この議場において、幕末から明治維新の動乱期、ふるさとに学び、時代を牽引するリーダーを養成した藩校尚徳館が、今の鳥取県に必要だと述べました。私は、その一方で、国や地域の成り立ちやありよう、古事記や万葉集をひもとき、ふるさとの本質について、門地を問わず、誰でも受け入れた境港の景山塾のような教場、精神こそが現代に必要ではないかと思います。日本人の日本人たるゆえん、鳥取県に生まれ育ったからこそ、鳥取県たるを知る。そのことが本県における、ふるさと教育、ふるさとキャリア教育の真髄であり、そして、その学びによって育まれた確固たるアイデンティティーを基に、環日本海、そして、グローバルな国際社会に打って出る人材がこの鳥取県からどんどん育っていくことを願うものであります。
将来を見通しづらく、ともすれば、コロナ禍に希望を見失い、競争社会の中で支え合う慈しみの心を忘れてしまいがちな、この混沌とした現代社会において、鳥取県の子供たちが新たな時代を切り開いていくために、何を信じ、何を目指して生きていくべきか、知事のお考えを伺います。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田議員から、これからの子供たちに向けましたメッセージなり、地域の人材育成、あるいは私たちの生き方についてのお話をいただきました。
非常に大きなお話でございまして、どう私のほうで申し上げたらいいのかなと思いながら、今、ここに来たわけでございますが、やはり子供というのは無限の可能性を持っているのだと思います。それは、ドロシー・ロー・ノルトが「子供は自分の成長の設計図を持っている」というふうに言ったように、それぞれの子供の世界というのは多分あるのだろうというふうに思います。
水木しげる先生におかれましても、これは御自身で書かれていることでありますから、別によろしいのだろうと思うのですが、4歳までは言葉をしゃべらなかったと言われているというのですね。それで、尋常小学校に上がられたのも、ほかの子供よりは1年遅く上がったということであります。それで、園芸学校という、絵を志したのだろうと思いますが、それも51人受けて50人しか合格しなくて、受からなかったのは私だけだとか、いろいろと書いておられます。でも、ああいう世界が認める漫画家になられるわけですよね。それで、先生の言葉で印象的なのは、「好きの力を信じろ」という言葉であります。やはり自分が打ち込むべきことというのが、それぞれの子供なり、人生に与えられているのではないだろうか。それをやはり追求していくことで、生まれるものというのはあるのだろうと思います。
入江選手のお話が、先ほど教育長からありましたが、入江選手も、「がんばれ元気」という漫画を読んで気に入ったから、それでシュガーナックルに行ってボクシングを始めたと。女の子が、というふうに思う人は周りにいっぱいいたと思うのですけれども、ただ、これで自分はボクシングをやって大きくなるということを決めて、オリンピックに行くぞと宣言をしたとおりに、オリンピックに行って金メダルも取ると。まさにそうしたサクセスストーリーの裏には、そういう夢を追求する子供の姿というのがあって、それを私たちはやはり大事にすべきなのではないかなというふうに思います。
それとあわせて、何を子供たちに見詰めさせるかというのはあるし、そのときに、やはり今の時代の中で、私たちの社会の抱える、あるいは未来が抱える課題を解決する人間として、戦ってもらえるような人になってほしいと私たちは思うわけでありまして、このふるさと鳥取、あるいは日本の国、あるいは世界というものをできればしょって立つ、あるいは、立たなくてもいいかもしれませんが、その大きなムーブメントを起こす一人として動いていただく、こういう志を持った人を育てるというのが、やはり重要なのではないかなと思います。
そういう意味で、議員が今おっしゃった景山塾のお話がございました。景山粛というお医者さんがいて、なかなか分限者でいらっしゃいましたが、その景山家に伝わるところでは、その御先祖は、例えば後鳥羽上皇を家にお泊めしたとか、後醍醐天皇も立ち寄られたとか、だから、昔からのそういう家で、景山粛自身は養子で入ったと思います。それで、京都のほうに出て医術を学び、地元で医業をやりながら、後進を育てようと。おっしゃるような教育の景山塾を開かれるわけであります。これは伯耆の国にとどまらず、その名声を聞きつけて、隠岐の国とか、あるいは出雲の国からも塾生が集まる。そこで生まれてきたのが、幕末の志士たちでありました。ですから、境港というまちの中に、そういう時代を変えるエネルギーを与える人がいて、それで、みんなでこの国を何とかせねばというふうに動いていく原動力というのをつくったということだと思うのですね。
私たち、例えば今、SDGsということでいえば、鳥取県はこのたび、SDGsの先進的な地域として国のほうからも未来都市に指定をされるわけでございます。それで、このたび御提案も申し上げたところではありますが、子供アンバサダーというのをつくろうと。SDGsというのはいろんなテーマがありまして、これからの共生社会をこしらえていくと、持続可能な社会をこしらえていく、世界的な視点を持ってもらう。こういうことを、例えば海外の子供たちともネットで交流をするプログラムを含めて育ててみたいというのが、今回の予算の中に実は入れてあります。こうしたことで、未来に向けて、どうやったら、今、我々が抱えている問題が解決できるかというのを考えて、そして歩んでいただくような、そういう人材というのをつくっていかなければいけないのではないかと思っております。ですから、そうした環境を整えたり、そういうテーマを私たちも共有をしながら、そういう若い世代と向き合っていくことが必要なのだろうというふうに思います。
これは、家庭の中でもそうなのだろうと思うのですね。このたびは、本当にいい御縁をおめでとうございました。それで、そういう愛ということで、よく結婚式などで言われる話でもありますが、「星の王子さま」のサン・テグジュペリさんの言葉の中に、「愛する、それはお互いに見詰め合うことではなくて、同じ方向を一緒に見詰めることだ」というふうに言っているわけです。家庭も、そうやって歩んでいくわけですね。恐らく社会もそうなのだろうと思います。そうした意味で、若い世代を一緒に私たちが連れていかなければいけない世界があって、それを提供していくのが今を生きる私たちの務めなのではないかなと思っております。
◯議長(内田博長君)16番安田議員
◯16番(安田由毅君)未来の鳥取県民、子供たちへのメッセージをいただきました。ありがとうございます。
最後になります。私は専門外のことで、失礼とは存じますが、知事の今日までの取組や現況について思い浮かんだ歌がありますので、この場を借りて披露をさせていただきます。
「からごろも 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ」、古今集や伊勢物語で知られる在原業平の作とされる、広く知られる歌があります。表面上の意味は、長年連れ添ってなれ親しんだ妻と別れて、はるばる遠くまで旅に出てきたということですが、多くの言葉が掛け言葉になっていて、長年着続けたために、萎えて、しわになって傷んでしまった衣の裾を張る張る、つまり、手で引っ張って整えながらここまで旅をしてきたという意味が背後にあります。私は、まず冒頭の唐衣という句について、駄じゃれのようで恐縮ですが、唐コロナ、つまり、中国が発生源とされるコロナ禍を連想してしまいました。そして、このコロナ禍で苦しむ県民のために日夜奮闘されている知事のお姿を身近に拝見し、このはるばるを克服、打開のために苦労されていること、及びその長い道のりをはるばる歩んでこられたという2つの重なった意味に理解し、強い感慨を持ったわけでございます。さらに4期にわたる知事在任の今日、全国知事会の会長となられ、県民のみならず、全国民の動向にも影響力を持たれるに至った道程も、はるばると遠い道筋を真摯、誠実に力強く歩んでこられた結果であると受け止めております。
最後の質問になりますが、残り任期1年を切りました。最後の意気込みを、短くお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
◯議長(内田博長君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)安田議員から非常に過分なお言葉をいただき、恐縮に存じ上げます。
皆様と一緒に、残り1年弱の任期となりました。しっかりとこれを務め上げなければいけないのだと思います。考えてみますと、悪い条件が幾つも重なってきました。感染症もあれば、海外の情勢もある。そして、そこに産業だとかいろんなものの停滞感もある中で、我々はそこを乗り切っていかなければならないわけでございます。そういう意味で、私たちはそれをはね返す力が必要なのだというふうに思います。梅雨で地面がぬかるんでいると、弾まぬ球は投げ上げろと、こういうように中村草田男は詠んでいるわけであります。梅雨の地面でじめじめして、いくらついても球が上がらないというのであれば、跳ね上げる、そういうようなことを言っているわけでございます。そういうような心境が、やはり今に通じるところがあるのかなと。なかなか難しい状況ではありますけれども、必ず乗り切れるめどは、私は見えてきているのではないかと思っています。そういう意味で、皆様と今日もいい議論をさせていただきましたけれども、残り任期を大切に、しっかりと務めさせていただきながら、今の課題、これを投げ上げてまいりたいと思います。
◯議長(内田博長君)これをもって、県政に対する代表質問を終了いたします。
本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後4時18分散会
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