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2013-12-02 平成25年第4回定例会(第2日目) 本文
2013-12-02 平成25年第4回定例会(第2日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2013-12-02
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    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    鶴 田 志 郎 君    まえの 義 春 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(池畑憲一君)代表質問であります。  鶴田志郎君に発言を許可いたします。    [鶴田志郎君登壇](拍手) 3 ◯鶴田志郎君 平成二十五年第四回定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して質問いたします。  昨年十二月の政権交代から一年近くが経過しております。政権発足以来、アベノミクスの強力な推進を背景に円安・株高の流れが定着し、企業収益の回復やデフレ脱却、景気回復への期待が高まる中、夏の参議院選において与党の圧勝により衆参のねじれが解消されました。
     安倍総理は、臨時国会の所信表明演説で、「三本の矢は世の中の空気を一変させた」と述べ、第三の矢である成長戦略の実行を前面に掲げ、産業競争力の強化策を初めとする戦略の具体化に全力を挙げる決意を表明し、デフレからの脱却と日本の再生を目指した取り組みをさらに充実・加速する考えを示しております。  しかし、内閣府が発表した七月から九月の国内総生産速報値では、物価変動を除く実質年率換算一・九%増と四・四半期連続のプラスになってはいるものの、前期の三・八%増に比較して増加幅は縮小し、成長に減速感が出ております。また、地域経済におきましても、日銀短観や各種指標等では「緩やかな改善が続いている」とされているものの、国民生活においてはいまだ景気回復を実感するには至っておりません。  このような中、来年四月からの消費税の引き上げが閣議決定され、消費税増税に伴う景気回復への影響が懸念されるとともに、大詰めを迎えているTPPへの対応など多くの課題に直面しております。  本県経済は、公共投資の増加や観光面での堅調な推移など持ち直しの動きが広がっており、有効求人倍率も改善傾向が見られるものの、依然として厳しい状況にあります。消費税の引き上げによる景気回復の流れを腰折れさせることなく、都市圏での企業収益の改善効果を地域経済や中小企業に波及させることが急務となっております。  安倍総理の言葉にあった「全国津々浦々まで実感できる強い経済」を取り戻すためには、第三の矢である民間投資を喚起する成長戦略を着実に推進し、企業収益の改善を設備投資や雇用の拡大、賃金の上昇につなげる官民挙げたさらなる取り組みを進める必要があると思うのであります。  それでは、通告に基づき質問してまいります。  まず、体育館機能をあわせ持つ総合的な複合施設、いわゆるスーパーアリーナについてであります。  県が本年五月末に明らかにした、ドルフィンポートのある県有地を整備予定地にするとの方向性につきましては、六月に鹿児島市議会からの慎重な対応等を求める意見書が、また、七月に鹿児島市長から県・市の十分な協議・連携等を求める要請文がそれぞれ提出されております。また、地元新聞社が七月に実施した世論調査で反対の意見が半数を上回る結果となるなど、各方面からさまざまな意見が寄せられたことなどから、本議会でもいろいろな議論がなされました。例えば常任委員会では、スーパーアリーナの整備について、「今後、検討の過程を公開して、県民の意見を聴取しながら、多くの県民が納得する形でやってもらいたい」、「鹿児島市議会の問題意識などを含め、さまざまな情報を把握する努力をお願いしたい」との要望がなされております。  第三回定例会において、県は、このスーパーアリーナについて、「将来の鹿児島市の都市構造に大きな影響を持つものであり、改めて地域や関係者の方々から十分な御理解を得ることが必要であると考えているので、施設の必要性や規模、機能、デザインなどそのあり方について、幅広く多くの方から意見を聞くこととしている。また、どのような形で意見を聞くかも含め、改めて検討を行うこととしており、整備スケジュール整備予定地につきましてもその中で判断していくこと、さらに、平成三十二年の国体開催に当たっては、既存施設の改修による活用も含めて検討を行うなど、競技の実施に影響のないよう対応したい」との考えを示しております。  また、知事は、「全体の構想について、そんなに遠くないうちに示さなければいけないと思っており、それを待った上で意見をいただければありがたい」と答弁されております。  県がゼロベースで再検討することとなったことを受け、複数の自治体から、候補地として体育館誘致を求める要望書が出されており、知事は、「今後整備すべき多種の施設について、地域分散の視点を忘れないようにしたい」との考え方を示されております。さらに、知事は、講演の中で県のアリーナ構想に関連して、「県有施設が鹿児島市に集中する傾向がある。どの県でも地域分散がテーゼである」とか、今後整備を検討する施設に、立派な会議ができる国際会議場、ハイレベルの音楽が聞ける施設、さまざまな物資の交流を促進させるための産業展示館を挙げ、「地域の都市構造を変え、活力を高める施設群を考えたい」と述べております。  そこでお尋ねいたします。  第一点、意見の聴取方法、整備スケジュール整備予定地の検討など、今後の進め方についてお示しください。  第二点、知事は、スーパーアリーナ構想に関連して、今後検討すべき施設として先ほど述べたような施設群を挙げられていますが、その真意についてお示しください。  次に、消費税増税・税制改正の本県財政への影響についてお伺いいたします。  国は、消費税率を来年四月一日に予定どおり五%から八%へ引き上げることを閣議決定しておりますが、これは、平成九年に三%から五%に引き上げて以来十七年ぶりのことであります。今回の八%への増税で国全体では年約八兆一千億円の増収が見込まれております。増収分の三%のうち、地方消費税が〇・七%、地方交付税の形で国から交付される〇・二二%、合わせて〇・九二%が地方自治体の収入となります。消費税の増収分につきましては、年金や医療、介護、子育ての社会保障四分野に全て使うことが、昨年八月に成立した社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律で定められました。毎年増加する社会保障費に悩む地方自治体にとって新たな財源となるわけであります。  一方、国では、リーマンショック後の景気対策で導入した歳出特別枠の廃止・縮小を行うことで地方交付税の削減を検討する動きがあると聞いております。また、地方の貴重な税財源である自動車取得税につきましても、消費税率が一〇%になる段階でこれを廃止すると明記されておりますので、地方財政に対する影響が懸念されます。  そこでお尋ねいたします。  第一点、消費税増税が県の財政に及ぼす影響についてお示しください。  第二点、消費税増税に伴う来年度の本県の地方消費税収入の見込みと地方交付税算定への影響についてお示しください。  第三点、従来の五%の消費税に係る収入は、使途が限定されない一般財源でありますが、今回の三%の増税に伴う増収分は本県でどのような経費に充てられるのかについてお示しいただきたいと思います。  そして第四点、自動車取得税の見直しが本県に与える影響についてお示しください。  次に、行財政改革の取り組み及び平成二十六年度当初予算の編成方針についてお伺いいたします。  県では、平成二十四年三月に、今後の行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示す行財政運営戦略を策定されました。平成二十四年度の県の一般会計決算の状況を見ますと、県債残高については前年度比約百七十七億円増の一兆六千七百十一億円となり、過去最多となりましたが、県債残高のうち、臨時財政対策債などを除く県が独自に発行した県債の残高は、前年度と比べ約二百六十三億円減の一兆二千八百九十六億円で、十四年ぶりに一兆二千億円台まで縮小しております。また、収入未済につきましては、県税などの収入未済額七十四億四千万円と四年連続の減少であり、十八年ぶりに七十億円台となった前年度末よりさらに四億円減少しております。  県では、十月に、平成二十六年度当初予算に対する予算要求の基本理念を示しました。そして、それに基づいた予算の要求基準として、公共事業、県単公共事業は一般財源ベースで前年度当初予算と同額とし、また、知事の三期目のマニフェスト「力みなぎる・かごしま」プロジェクト枠事業について、新規事業は所要見込み額などとする基準を示しております。  一方、国の平成二十六年度当初予算の概算要求につきましては、要求基準を示す段階で消費税増税の扱いがまだ決まっていなかったことから歳出の上限を定めなかったため、一般会計の要求総額で平成二十五年度当初予算を大きく上回る過去最大の九十九兆二千億円となりました。  なお、総務省の概算要求を見てみますと、総額は本年度当初予算比で一・八%増の十七兆五千億円、うち地方交付税の自治体への配分は一・八%減の十六兆八千億円となっております。歳出では、いわゆる特別枠を前年度同額計上し、社会保障の自然増を反映させる一方、歳入では地方税の二・二%増を見込んでおります。そして平成二十六年度の一般財源総額は、前年度と同水準を確保した中期財政計画を踏まえ、六十兆六千億円となっております。なお、前年度一億四千万円であった地域の元気創造プランに七十四億四千万円と、前年度比七十億円を超える増額の要求がなされました。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、行財政運営戦略に係るこれまでの主な取り組み状況についてお示しください。  第二点は、策定されて三年度目となる行財政運営戦略を踏まえて、平成二十六年度の当初予算編成にどう取り組まれるのかお示しください。  第三点は、平成二十六年度当初予算編成における歳入のうち、県税収入、地方交付税、国庫支出金の動向についてお示しください。  次に、川内原発一号機、二号機に係る安全審査の状況等についてお伺いいたします。  福島原発事故後にできた原子力防災指針防災重点区域が半径三十キロメートル圏内に拡大し、川内原発の場合は、対象の二市から九市町に関係自治体がふえております。  そのような中で、十月十一日から十二日にかけて、川内原発二号機を訓練対象施設として、国の原子力総合防災訓練が実施されました。国や県、関係機関のほか、三十キロメートル圏内の関係九市町と住民、九電などが参加し、過酷事故に伴い放射性物質が放出される事態を想定した訓練が行われたのであります。  訓練では、薩摩川内市及びいちき串木野市を住民避難の対象とし、避難訓練が実施されたほか、甑島住民の輸送実施訓練が行われました。また、鹿児島市など一部地域におきましても、独自の防災訓練を実施されたと聞いております。  現在、原子力規制委員会に新規制基準適合性に係る審査を申請している原子力発電所は、五電力会社で十四基であります。審査に当たりましては、十四項目の主要な論点が示されており、これを中心に審査が行われていると聞いております。  その審査の一環として、原子力規制委員会は、九月二十日に川内原発一、二号機の現地調査を実施いたしました。現地調査では、規制委員会の委員らが、全電源が喪失したときに使う移動式大容量発電機や代替緊急時対策所など重大事故発生に備えた設備などについて、機器の配置や地形などを確認したと聞いております。  なお、審査は半年程度かかるとされておりますが、再稼働に当たりましては、審査に合格した後、自治体の同意や住民説明会が必要になると聞いております。  そこでお尋ねいたします。  第一点、国主催の原子力総合防災訓練に係る評価についてお示しください。  第二点は、原子力規制委員会による新規制基準に関する審査の見通しについてお示しください。  第三点は、新規制基準適合性審査に係る審査会合での主要な論点とその対応状況についてお示しください。  第四点、再稼働に係る地元の合意と住民説明会についてお示しいただきたいと思います。  次に、TPPへの対応についてお伺いいたします。  TPP交渉は、平成二十一年三月の第一回交渉会合以来これまで十九回開催され、参加国は本年中の交渉妥結を目標としております。十月にインドネシアで開かれた首脳会合では、大筋合意を宣言する方向で調整を進めておりましたが、首脳声明には「大筋合意」という表現は明記されませんでした。  日本は、さきのブルネイ会合で、全品目の中で関税撤廃に応じる割合、いわゆる自由化率について、八〇%前後を示したと見られます。ただ、相手国から、改善の余地があるとの指摘を受け、交渉の現状を踏まえ、年内に九〇%超に引き上げることも視野に入れ、各国に提示するようであり、どの品目の関税を撤廃するかが焦点となっております。そして、今月には再び閣僚会合が開かれる予定でありますが、各国ともに国内事情を抱えて利害の対立が激しさを増しており、年内妥結の目標達成はますます厳しくなっております。  このような中、TPP交渉で聖域と位置づけてきた農業の重要五品目を含めて、関税撤廃した場合の影響などを検証すると報道されたことから、県内でも反発の声が相次いでおります。重要五品目の関税分類上の細目は五百八十六品目にわたっており、これらの品目について個別に精査するとの趣旨でありますが、交渉が正念場を迎えている中、誤解を招きかねない内容であり、国民に理解しやすい丁寧な説明が求められます。  政府は、交渉で守るべきものを守り、攻めるべきものを攻め、国益を追求する政府方針に何ら変更はないとしているものの、農業団体の間では農産品の聖域が守れないのではないかとの危機感を強めております。  また、TPP交渉は機密性が極めて高く、交渉の具体的な内容はこれまでもほとんど明らかになっておりません。しかし、秘密保持が厳格だとしても、政府は交渉で得た国益に係る最低限の情報提供に努めるべきであります。  農業は本県の基幹産業であり、平成二十三年の農業産出額は全国第三位であります。米、サトウキビ、でん粉原料用サツマイモ、肉用牛、豚など、関税撤廃により大きな影響を受ける品目の産出額は県全体の約七割を占め、関税が撤廃された場合、本県農業・農村に大きな影響が懸念されるところであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点、現在把握しているTPP交渉の内容についてお示しください。  第二点、本県への影響と今後の対応についてお示しください。  以上で、第一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)スーパーアリーナ構想についてのお尋ねであります。  ドルフィンポートの敷地におきますスーパーアリーナ構想につきましては、鹿児島市において、専ら南部に向かって発展しつつある都市構造を再構築し、中央北部地域における新たなにぎわい空間の形成を図りますため、コンサートホールや会議場、展示場としても使用できる大小のホールや飲食施設等を有し、集会、会議、体育館という三つの機能を持つ総合的かつ多目的で集客力の高い施設として提案したところであります。しかしながら、報道により総合体育館というイメージが先行し、各方面からさまざまな意見が寄せられたことから、一旦引いて再検討を行うこととしたところであります。  本県の将来を考える上では、大規模な国際会議が開催可能な会議場や多数の聴衆が音楽を楽しめる集会施設、環黄海経済圏との交流・物流などに対応するための産業展示館などは、時代の要請として整備が必要になってくる施設であると考えております。  こうしたプロジェクトの検討に当たりましては、本県の将来の発展可能性や地域の活性化などを念頭に置きつつ、施設の必要性や規模、機能などそのあり方や、整備のスケジュール等について十分な検討を行う必要があると考えており、関係者の幅広い意見の聴取方法を含め、今後の進め方につきましては着実かつ丁寧に検討してまいりたいと考えております。  原子力の総合防災訓練の評価についてのお尋ねであります。  原子力総合防災訓練につきましては、国の主催で百三十の防災機関、約三千四百人が参加し、十月に実施されたところであります。今回の訓練では、新たに、災害事象の展開を想定したあらかじめ作成された発言集に頼らずに、その場での対応を訓練する実時間実動訓練を実施したところであります。また、テレビ会議を通じまして、総理官邸や九州電力などと情報を共有し、対応を協議するなど、緊張感を持ちつつ臨場感のある有意義な訓練ができたものと考えております。  訓練結果につきましては、国や本県において研究会が開催され、避難の手順、広報・周知や情報連絡体制の明確化など、改善点について意見交換を行ったところであります。  県といたしましては、訓練の成果や課題を今後の県地域防災計画の見直しや次回の原子力防災訓練に反映させまして、原子力防災対策のさらなる充実・強化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  再稼働に係る地元の同意と住民説明会についての御質問がございました。  原子力発電所につきましては、安全性の確保が大前提でありまして、再稼働に当たりましては、まずは国が安全性を十分に保証いたしますとともに、公開の場で住民の方々に十分な説明を行い、理解を得ていく必要があると考えております。  原子力発電所の再稼働に当たりましては、これまでの経緯等を踏まえますと、鹿児島県と薩摩川内市の同意が必要であると考えております。また、地域住民の説明会につきましては、薩摩川内市など複数箇所で開催し、国による説明内容に理解が得られたかなどにつきましてアンケート調査を行いたいと考えております。  TPP交渉についてのお尋ねがございました。  TPP交渉は、十月に開催された首脳会合で確認された年内の妥結に向けまして、十一月十九日から首席交渉官会合が開催されたところであります。政府の発表等によりますと、今回の会合におきまして、物品市場アクセスや知的財産、国有企業改革など、交渉が難航している分野を含む多くの課題について議論されたところであり、これまで合意されなかった論点の多くについて整理がなされたとのことであります。  また、我が国といたしましては、今会合の期間中、物品市場アクセスについて十一カ国全てと二国間交渉を行ったところでありますが、市場アクセスについては、各国間において意見の隔たりが大きいと聞いているところであります。  今後も、交渉官レベルでの詰めの調整を行い、絞り込まれた論点につきまして、十二月七日から十日にかけてシンガポールで開催されますTPP閣僚会合において、決着に向けた議論がなされる予定となっております。  TPPは、高い水準の自由化を目標としており、本県の基幹産業であります農林水産業などに大きな影響を及ぼすことが懸念されますことから、去る十一月二十二日には、関係国との協議内容について国民に十分な情報提供と明確な説明を行うこと、また、重要五品目など農畜産物について、従来どおり関税撤廃の除外品目として取り扱うことなどを国に改めて強く要請したところであります。  今後とも、国会における議論や交渉の状況などを十分に注視いたしますとともに、県議会の皆様や県選出の国会議員、関係団体の方々とも連携いたしまして、本県として必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。 5 ◯総務部長(稲原 浩君)消費税増税が県の財政に及ぼす影響などについてでございます。  消費税率引き上げが本県財政に与える影響といたしましては、まず、歳入面では、地方消費税率が現行の一%から一・七%に引き上げられることによりまして、来年度の地方消費税につきまして、現行の清算基準に基づき、景気の動向等の影響を考慮せず平成二十四年度実績ベースで試算いたしますと、七十億円程度の増収が見込まれるところであります。  また、地方交付税の原資につきまして、現行の一・一八%から一・四%に引き上げられることになりますが、地方交付税は、基準財政需要額基準財政収入額の差を基礎として算定されるものでありまして、地方消費税の増収に伴って基準財政収入額が増加する一方で、社会保障の充実等に伴います行政需要がどの程度基準財政需要額に反映されるのか、現時点で不明でありますことなどから、本県の地方交付税について、その影響額を具体的に試算することは困難でございます。  一方、歳出面といたしましては、社会保障・税一体改革に伴いまして、子ども・子育て支援や医療・介護等の充実を図ることとされており、これらの社会保障関係費に係る県負担の増が考えられますほか、消費税の課税対象となる経費について、増税分本県の負担がふえることが考えられます。  消費税増税に伴う増収分の使途についてでございます。  引き上げ分地方消費税の使途につきましては、昨年八月に成立いたしました地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律において、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費、その他社会保障施策に要する経費に充てることとされているところでございます。  本県における引き上げ分地方消費税につきましても、法の規定を踏まえ、今後充実することとされている子ども・子育て支援などのほか、後期高齢者医療対策事業介護保険負担事業などの社会保障関係費に充当することになると考えております。  自動車取得税の見直しについてでございます。  自動車取得税の見直しにつきましては、平成二十五年度与党税制改正大綱において、消費税一〇%の時点で、安定的な財源を確保し、地方財政へは影響を及ぼさないことを前提に廃止することとされております。  廃止後の代替財源につきましては、総務省の自動車関係税制のあり方に関する検討会において、自動車税の環境性能等に応じた課税や軽自動車税の見直しなどにより確保することが提案され、現在、与党税制調査会で具体的な議論が行われているところであります。  本県の自動車取得税の税収につきましては、平成二十四年度が十九億七千万円余りで、そのうち約七割の十二億六千万円余りを市町村に交付しており、県及び市町村の貴重な財源となっておりますことから、自動車取得税の見直しに当たりましては、地方団体の意見を十分に踏まえ、都道府県及び市町村に減収が生じることのないよう安定的な税財源を確保する必要があることを、県開発促進協議会全国知事会等を通じ要望しているところであります。  行財政運営戦略に係る取り組み状況についてでございます。  行財政運営戦略は、国・地方を通じた厳しい財政環境や本県の自主財源に乏しい脆弱な財政構造のもとで持続可能な行財政構造を構築するため、これまでの県政刷新大綱に基づく取り組みに引き続き行財政改革を推進する必要があることから、今後における行財政改革の方向性を示すものとして平成二十四年三月に策定したものでございます。  これまでの主な取り組みといたしましては、歳出面では、人件費について、一般行政部門における職員数を平成二十四年度と平成二十五年度の二年間で百七十人程度縮減いたしますとともに、退職手当の引き下げなどを行ったところでございます。また、めり張りをつけた社会資本整備の推進や国の交付金の活用などにより、新規の県債発行額の抑制に努めたところであり、その結果、臨時財政対策債等を除く県が独自に発行する県債残高は、平成二十五年度末において、平成二十三年度末に比べ約六百七十八億円の減となる見込みでございます。  歳入面では、滞納縮減特別対策などによりまして収入未済の縮減や、核燃料税の課税期間を延長し、新たに出力割を導入するなど、県税収入の確保を図っておりますほか、未利用財産の売却や特定目的基金の有効活用などに努めております。  これらの取り組みの結果、平成二十三年度及び平成二十四年度は年間を通じて財源不足額を解消したところであり、平成二十五年度におきましても、おおむね収支バランスのとれたものとなっているところでございます。  行財政運営戦略を踏まえました平成二十六年度当初予算の編成についてでございます。  平成二十六年度の国の予算編成におきましては、地方財政対策、法人課税等の税制改正、公共事業関係費や農業関係予算の動向など、現時点において不透明な要素が多い状況にございます。こうした中、本県の当初予算編成に当たりましては、国の動向を注視しつつ、引き続き、行財政運営戦略に基づき、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組むとともに、地方交付税や国庫支出金等の財源の確保に努め、経済情勢の変動や各般の制度改正にも的確に対応しながら、従来の諸施策に加え、医療、福祉、介護、教育等の新たな行政需要への対応やマニフェストに基づく各種施策の推進が図られるよう、編成作業を進めてまいりたいと考えております。  県税、地方交付税及び国庫支出金の動向についてでございます。  平成二十六年度の県税収入につきましては、税率引き上げによる地方消費税の増収が見込まれているところでございますが、本年度の税収動向や経済情勢の推移、税制改正の影響や地方財政計画なども踏まえて、今後適切に見積もってまいりたいと考えております。  平成二十六年度の国の一般会計予算においては、中期財政計画に定める基礎的財政収支の目標を達成いたしますため、地方交付税や公共事業関係費等を含む基礎的財政収支対象経費について、概算要求額から三兆円程度抑制する必要があるとされているところでございます。  特に地方交付税につきましては、同計画において、歳出特別枠等のリーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めていく必要があるとされているところでありまして、また、国庫支出金につきましても、公共事業関係費の一層の重点化・効率化を図ることとするなど、今後厳しい調整が行われることが予想されております。 6 ◯危機管理局長(屋島明人君)原子力発電所の新規制基準に関する審査の見通しについてであります。  原子力規制委員会は、新規制基準適合性に係る審査会合において、原子炉設置変更許可申請等の審査を進めており、七月の第一回会合以降、十一月末までに計五十三回開催されております。  審査会合は、九州電力の説明に対し、同委員会が指摘やコメントを行う形式で進められておりますが、審査終了の見通しは現時点では明らかでありません。  審査会合での主要な論点と対応についてであります。  原子力規制委員会は、川内原発に関する審査の論点として、検討用地震の震源としている断層について、国の断層評価を反映し評価し直すこと、モニタリングの対象となる火山について、大規模火山活動の予兆を捉えるための観測方法を提示すること、緊急時対策所のスペース、居住性、運用方法等について説明することなど、十四項目を指摘しております。  九州電力は、指摘された論点を踏まえ、必要な資料を提出して説明を行っているところであり、今後、未提出の資料についても十二月中旬までには提出すると聞いております。県としては、今後とも審査状況等を注視してまいります。
       [鶴田志郎君登壇] 7 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁いただきました。  スーパーアリーナについてでありますが、八月以降の一連の知事の発言を聞いて感ずるところは、構想の内容がむしろ拡散化し、今後の方向性が県民に理解しづらいものになっているということであります。今後の検討に当たりましては、県議会はもとより、地元自治体、さらに県民に対して丁寧な説明を行い、幅広い意見の聴取に努めながら、県民の合意形成のもと、構想の推進を図ることを要請いたします。  消費税増税・税制改正の本県財政への影響についてでありますが、歳出特別枠や自動車取得税などの見直しについては、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、安定的な財政運営に必要な総額の確保と地域間の税源偏在是正の方策を的確に講じることが重要であります。そこで、国と地方の協議の場において慎重な協議を行っていく必要があると考えます。  川内原発一、二号機に係る安全審査の状況についてでありますが、このたびの防災訓練によって明らかになったさまざまな課題を検証し、今後の避難対策に生かしていただきたいと思いますし、再稼働につきましては、当面、新規制基準に基づく原子力規制委員会の審査の推移を注視してまいりたいと思います。  TPPでありますが、現時点では国から明確な情報が示されない中で、農林水産業を初めとして交渉の行方を懸念する声には深刻なものがあります。さきに提出した意見書のとおり、あくまで本県の基幹作物について関税撤廃の除外措置とするとともに、その他の部門についても守るべき国益を断固として守ることが基本であり、引き続き交渉の推移を注視するとともに必要な対応をとっていく必要があります。  それでは、農業の振興についてお伺いいたします。  世界の食料需給の逼迫傾向、我が国の農地面積の減少等、食料及び農業をめぐる諸情勢が変化する中で、国民に対する食料自給力を強化するためには、農業生産の基盤である農地の確保と有効利用を図っていくことが重要であります。  しかしながら、耕地面積は、住宅や工場用地等への転用、耕作放棄による壊廃のため減少傾向をたどっております。また、近年、鳥獣被害の深刻化が耕作放棄の要因ともなっております。耕作放棄地をどう解消するのか。近年、拡大に歯どめがかかってきたとはいえ、依然として耕作放棄地の解消は進んでいない状況があります。  政府は成長戦略で、今後十年間で担い手の農地利用を全農地の八割に引き上げる方針を打ち出しました。都道府県段階に設置する農地中間管理機構─仮称─を軸に担い手への農地集積を積極的に進め、耕作放棄地対策にも役立てることとしております。今後、貴重な生産基盤を放置しないで農地を再生利用し、農業振興に結びつくような耕作放棄地の解消・活用の促進が求められております。  また、農地法が平成二十一年に抜本改正され、一般法人のリース方式での参入規制の緩和など、農業への参入を促進し、農地を有効利用するための大幅な見直しがなされました。法改正により、企業が農地を借りて利用することが全国的に解禁されたことで確実に農地の有効利用は進んでいると考えます。企業の農業参入は、地域農業の多様な担い手として農業の活性化や耕作放棄地の解消はもとより、雇用の創出にもつながります。  このような中、政府は、五年後の平成三十年度に米の生産調整、いわゆる減反を廃止する方針を正式に決定いたしました。TPP参加を見据え、農業の中核である米農家の競争力を高める狙いがあると思われますが、昭和四十五年の実施以来四十年余りが経過した減反政策の見直しで生産現場に混乱が生じるおそれがあります。  また、近年、燃油価格が高水準にあることから、経営費に占める燃料費の割合が大きい施設園芸農家に大きな影響を及ぼしております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、耕作放棄地の現状と課題、解消に向けた取り組みについてお示しください。  第二点は、農地中間管理機構─仮称─の概要と期待される効果についてお示しください。  第三点、企業等の農業への参入状況と支援についてお示しください。  第四点、米の減反など米政策の見直しの状況と本県への影響についてお示しください。  第五点、燃油価格高騰に伴う施設園芸農家等への支援状況についてお示しいただきたいと思います。  次に、水産業の振興についてであります。  本県水産業の生産額は全国四位、うち海面養殖業の生産額が約七割を占め、ブリ、カンパチ、クロマグロの養殖生産量はともに全国第一位であります。しかしながら、本県の漁業を取り巻く情勢は、魚価の低迷や燃油価格の高騰、後継者不足、就業者の高齢化など厳しい状況にあります。  このように水産業を取り巻く状況は厳しいものの、水産物は体に必要な栄養をバランスよく含んでいることから、健康増進に寄与するとともに豊かな食生活を演出し、漁業は、新鮮で安全な水産物を安定的に供給していく役割を担っております。  そして、世界では魚食と日本食が普及してきており、水産物の需要がさらに高まると考えられ、今後も経済成長が見込まれている東アジアを初め、需要拡大が見込まれる国・地域へのさらなる輸出促進、新たな販路開拓が期待されております。  さて、漁船漁業者にとりまして水産資源の減少や魚価の低迷に加え、近年の燃油価格の高騰が漁業の経営悪化にさらなる追い打ちをかけております。漁船の燃料代がコストの多くを占める漁業への打撃は深刻となっており、この高騰がさらに長期化すれば、経営が成り立たなくなるなど水産業の衰退につながるおそれがあります。  また、国内有数の養殖ウナギの産地である本県は、十月から十二月まで下りウナギの禁漁を始めるなど、ウナギ資源の増殖・管理に取り組んでおります。養殖に使う稚魚「シラスウナギ」が四期連続の不漁となったためで、関係者はウナギの資源回復と価格高騰の歯どめの一歩と期待しているところであります。  そして、国におきましては、来年度の概算要求でウナギ対策関連事業に約四億二千万円が盛り込まれており、ウナギ資源の持続的利用とウナギの安定供給に、より一層力を入れる姿勢を示しております。  そこでお尋ねいたします。  第一点、本県産水産物の販売・消費拡大、輸出促進についてお示しください。  第二点、魚価の低迷や燃油価格の高騰等の課題に対する漁船漁業者への支援についてお示しください。  第三点、国のウナギ対策を見据えた今後の県の取り組みについてお示しいただきたいと思います。  次に、鹿児島県出身のブラジル移民との交流についてお伺いいたします。  去る十月二十日に、ブラジルの鹿児島県人会創立百周年がサンパウロ州議会議事堂で盛大にとり行われました。当日は天候にも恵まれ、ブラジル国内から多くの鹿児島県出身の移民の皆様方がお集まりになり、我が県からは布袋副知事や池畑県議会議長、県内の海外移住家族会の皆様など百名近い訪問団を加え、議場が大きな熱気に包まれました。このことはブラジルのテレビや新聞などのマスコミにも大きく取り上げられ、ブラジル鹿児島県人会の社会的評価の高さを改めて認識した次第であります。  我が県のブラジル移民は、一九〇八年の「笠戸丸」による第一回の移民に始まり、その五年後には他県に先駆けて鹿児島県人会が発足し、現在では約七千名の会員がいるということであります。  移民開始当時はコーヒー園の労働力不足を補うための事業で、労働条件も劣悪であり、マラリアなどの疫病や風土病などに悩まされ、苦労の連続であったそうであります。最初のころの移民は、労働力確保の観点から三人以上の家族でないと移民が認められないということになっており、当時の様子がうかがえる資料館には、カヤぶき屋根の粗末な小屋で家族が肩を寄せ合って厳しい生活に耐えた様子がうかがえ、大変に感銘いたしました。  しかしながら、厳しい労働に耐えても一向に報われない生活に見切りをつけ、大半の方はみずから農地を取得し、自作農として独立していきます。そして、持ち前の知恵と努力でブラジル農業の発展に大きく貢献してこられました。  例えば綿や茶、ジャガイモ、レタス、トマト、ニンニク、柿など、日本人が持ち込み、現地の気候風土に合うように改良し、それがブラジル国内に広まったとのことであります。また、広大なアマゾン川流域では自然条件が厳しく適した作物がないと言われる中、日本人がジュートとコショウの栽培を開発し大成功をおさめるとともに、現地農家の所得の向上にも大きく貢献したのであります。  そして、このたびの訪問の中で県費留学生との意見交換会を行う機会がありました。鹿児島県で学んだことのある六十歳代から二十歳代前半までのさまざまな職種の方がお集まりになり、いろいろな意見が出されておりました。彼らに共通した気持ちとして、鹿児島の風土や文化に触れることによってみずからのアイデンティティーを確かめたいという強いものを感じました。さらに、日本の高い技術やノウハウを身につけることにより、みずからの資質の向上を図り、ブラジル社会に貢献したいという意見も多く出されておりました。  私は、世界のどこにいても、みずからのルーツを知り、そのことに誇りを持って生きるということが人間には大切だと考えておりますので、遠く離れていてもそのことをしっかりと支えていくのが鹿児島県の重要な役割の一つと考えます。  そこで、知事にお伺いいたします。  第一点は、ブラジルの我が県出身の移民の皆様についてどのように考えておられるのか、所感をお聞かせください。  第二点は、交流の促進が重要と思われますので、そのことに対する今後の取り組みについてお示しください。  次に、世界文化遺産登録に向けた取り組みについてお伺いいたします。  政府は、今年度のユネスコへの世界文化遺産推薦案件として明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域を決定いたしました。本県を含む九州・山口の六県と静岡、岩手を含めた八県十一市に立地する二十八の産業遺産群で構成される本資産は、十九世紀後半から二十世紀初頭にかけて、我が国が製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業という重工業分野の急速な産業化をなし遂げた道のりを時間軸に沿って証言するものであり、北九州の新日鐵住金八幡製鐵所など、これまでに例のない民間企業による大規模な工業関連施設が含まれることが推薦の決め手になったと聞いております。  世界文化遺産登録に向けた一つ目のハードルをクリアしたことにつきまして、まずは世界遺産登録推進協議会の会長である本県の伊藤知事を初め、関係者の皆様のこれまでの労を大いにねぎらいたいと思います。  一方で、ユネスコへの推薦決定は、世界文化遺産の登録を保証するものではなく、登録に向けた課題も決して少なくないようであります。報道によりますと、構成資産の中には、長崎市の端島炭鉱いわゆる軍艦島など保全策が確定していない資産や、三菱重工業長崎造船所など所有企業との十分な協議が調っていない稼働資産もあるとされております。  来年夏ごろにはユネスコの諮問機関であるイコモスの現地調査が行われることとなっており、遺産登録に向けて、これまで以上に国や関係自治体等との緊密な連携及び一体となった取り組みが必要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点、世界文化遺産登録に向けた知事の決意についてお示しください。  第二点、世界文化遺産登録に向けた今後の課題と見通しについてお示しいただきたいと思います。  そして第三点、世界文化遺産登録が本県の地域活性化に与える効果についてお示しください。  次に、国際定期路線鹿児島・上海線についてお伺いいたします。  県職員・教職員を対象とする上海派遣研修事業や民間人を対象とする上海線利用促進事業は、県職員と教職員、民間から全十三組二百九十八名の派遣をもって九月に終了いたしました。  派遣開始以降の搭乗率は、七月が五八・八%、八月が六八・四%と、安定運航に必要とされる五〇%を上回り、この事業により搭乗率が一〇%程度押し上げられたとのことであります。また、当面の間は経済団体等が計千五百人規模で同路線を活用する計画があり、今後も五〇%を超える平均搭乗率が見込まれるとして、十月以降の派遣はされないこととなりました。  こうした中、県は鹿児島・上海線の需要拡大に向けた総合的方針の骨子案を公表し、需要喚起等に向けた現状と課題や今後の具体的取り組み等について示しました。  今回の事業や経済団体等の同路線の活用等により、鹿児島・上海路線廃止の危機的な状況は回避されましたが、来年度以降の動向は依然として不透明であり、路線の維持に向けてこれからがまさに正念場であります。それだけに、年明けに取りまとめられる同方針に基づき、これまで以上にあらゆる角度から官民一体となった具体的かつ実効的な取り組みが求められます。  そこでお尋ねいたします。  第一点、民間人の上海線利用促進事業及び県職員・教職員の上海派遣研修事業のこれまでの成果についてお示しください。  第二点、九月から十一月の搭乗率の推移及び来年三月までの搭乗率見込みについてお示しください。  第三点、鹿児島・上海線の需要拡大に向けた総合的方針の考え方及び平成二十六年度の取り組みについてお示しください。  以上で、第二回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 8 ◯知事(伊藤祐一郎君)本県出身のブラジル移民についてのお尋ねがありました。  ブラジル鹿児島県人会創立百周年記念式典には、県から県議会議長を初めとして鶴田議員を含む県議会議員の方々や副知事など八十五名の訪問団が参加し、関係者の長年の御労苦をねぎらいますとともに、友好親善を図ったところであります。  ブラジル鹿児島県人会は一九一三年の設立以来、故郷を遠く離れた移民の方々が生活環境や言語、文化の違いという壁に立ち向かい、たゆみない努力と強い郷土愛のもとに助け合って幾多の困難を乗り越え、百周年という輝かしい歴史を積み重ねてこられました。今日、鹿児島県人会の皆様がブラジル社会においてさまざまな分野で活躍され、高い評価を受けておられますことに深く敬意を表しますとともに、同じ鹿児島県人として大変誇りに思っているところであります。  世界文化遺産登録についての知事の決意についてのお尋ねであります。  明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域の世界文化遺産登録に向けた取り組みにつきましては、平成十八年に九州地方知事会の政策連合項目の一つとして位置づけられて以来、本県を初め、八県十一市から成ります世界遺産登録推進協議会を中心に、私も協議会の会長として関係自治体と一体となってこれまで取り組んできたところであります。  この結果、去る九月十七日に政府におきまして、本年度のユネスコへの世界文化遺産推薦案件とすることが決定され、推薦書暫定版がユネスコへ提出されたところであります。このことは、平成二十七年度の世界文化遺産登録を目指す私たちにとりまして極めて大きな前進であると考えております。  この資産は、日本が産業国家として発展を遂げました一連の道のりを証言する貴重な遺産群でありまして、私は、これらを世界文化遺産に登録することにより、貴重な産業遺産を後世に残し、その歴史的・技術的・文化的な価値を世界に発信できますとともに、産業国家日本の原点を見詰め直す契機となり、これからも成長・発展する豊かで強い日本経済の再生に大きく貢献できるものと確信いたしております。  今後とも、国や関係自治体等とより一層の緊密な連携を図りながら、二年後の平成二十七年度の世界文化遺産登録に向けて、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。 9 ◯農政部長(福田博史君)農業の振興について幾つか御質問いただきましたが、まず、耕作放棄地の解消についてでございます。  本県における平成二十四年度の耕作放棄地の面積は約一万八千四百ヘクタールで、このうち重点的に解消を進めている農用地区域内の面積は約四千ヘクタールと、前年度と比べ約四百ヘクタール減少しております。一方、耕作放棄地の解消に当たりましては、排水不良など土地条件が悪く再生経費の負担が大きいこと、所有者の保有意識が高いこと、不在地主や相続未登記により利用権の調整が困難なことなどの課題があります。  このため、県としては、農業委員会による耕作放棄地の改善指導や水土里サークル活動による農地の保全管理などの発生防止対策を促進するとともに、市町村の協議会を中心とした障害物除去など、農地への復元、耕作放棄地を含む農地を担い手へ集約する市町村の取り組みなどを支援しております。  今後は、農地中間管理機構─仮称でございますが─も活用しながら、関係機関・団体と一体となって耕作放棄地の発生防止や解消を図り、農地の有効利用に努めてまいりたいと考えております。  次に、農地中間管理機構─仮称─についてでございます。  農地中間管理事業の推進に関する法律案によりますと、県段階に農地の中間的受け皿として設置すること、農地の借り受けは効率的な利用が見込まれる区域を重点的に実施すること、貸し付けに際しては農地利用配分計画を策定し知事の認可を受けることや、必要な場合には基盤整備等を行うこと、業務の一部を市町村等に委託できることなどが明らかとなっております。  県としては、この機構が、分散した農地や受け手がすぐに見つからない農地を借り受け、必要に応じて基盤整備などを行い、担い手に集約して貸し付けることで、担い手農家の規模拡大や耕作放棄地の解消等が進むことを期待しているところです。  企業等の農業参入についてでございます。  本県において、農業参入している企業等は年々増加傾向にあり、平成二十四年十二月末現在百五十四社で、業種別には建設業が最も多く、次いで食品関連業となっております。  県としては、農業参入した企業等を新たな地域農業の担い手として位置づけていることから、相談窓口の設置や研修会、農業参入塾の開催のほか、参入方法や支援制度等の情報提供、基礎的な農業技術や営農計画の立て方などの習得を支援しているところでございます。  また、企業等農業参入相談員を設置し、農地のあっせん等を行う市町村と企業との具体的な橋渡しや参入後のフォローを行うとともに、普及指導員による技術・経営の現場指導や各種事業を活用した土地基盤整備等の支援を実施しているところであります。  次に、米政策の見直しについてでございます。  国は、需要に応じた米の生産を進めるとともに、水田を最大限に活用した生産性の高い農業を実現することを基本に、米政策を見直したところでございます。具体的には、米の生産調整については、飼料用米や焼酎こうじ用米などへの交付金拡充や、地域の創意工夫に基づく野菜等への転作など水田活用対策を進め、その定着状況を見ながら、平成三十年産を目途に米の生産数量目標の配分を廃止することとしております。また、米の直接支払交付金は、単価を減額した上で平成三十年産から廃止することなどとしております。  今回の見直しにおいては、米の直接支払交付金の減額による農家所得への影響が懸念されますものの、飼料用米や加工用米への交付金の拡充や、日本型直接支払制度が創設されますことから、これらの施策を活用し、水田の有効利用を図ることにより、一定の農家所得は確保できるものと考えております。  次に、燃油価格高騰に伴う農家への支援状況についてでございます。  近年の燃油価格の高騰に対応するため、国は、ヒートポンプ等の省エネ設備の導入支援や、燃油価格高騰時に補填金を交付するセーフティネットから成る燃油価格高騰緊急対策を講じたところです。本県における現時点での計画では、二百一戸の農家が九百五十七台のヒートポンプ等を導入するとともに、二百九十二戸の農家がセーフティネットに加入しており、これらに要する事業費約十億八千万円のうち二分の一が国から支援される見込みとなっております。  今後とも、これらの事業の推進を図りますとともに、生産コストの低減のための手引書に基づき、農家に対し、暖房機械等の効率的な使用方法や適切なハウス管理技術等を普及指導するなど、より一層のコスト低減対策を進め、施設園芸農家等の経営安定に努めてまいりたいと考えております。 10 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)本県産水産物の販売・消費拡大、輸出促進の取り組みについてでございます。  水産物は、世界的には需要が拡大しておりますが、国内では消費は減少いたしております。また、消費動向も、生鮮から加工・調理食品、外食にシフトしてきております。こうしたことから県では、魚食の新たな需要を喚起するため、鹿児島で食べられるおさかなBOOKの制作や漁協等が行うお魚まつりの支援、外食産業等とタイアップした鹿児島カンパチお茶しゃぶしゃぶやさつま恵方巻キャンペーンなどを実施しております。また、昨年六月に鹿児島県水産加工品販路開拓・ものづくり推進協議会を立ち上げまして、新商品開発等を支援してきておりまして、食の洋風化、簡便化といった消費者のニーズに対応した新たな商品が生まれてきております。  本県産水産物の輸出につきましては、これまで養殖ブリなどがアメリカを中心に輸出されておりまして、今後は所得水準が年々向上している東アジア等において需要はさらに高まるものと考えております。  県では、HACCPの導入など輸出相手国の衛生基準に合致した加工施設の整備支援を実施しております。また、今年度新たに、海外PR用のブリ・カンパチのパンフレットを作成いたしまして、これまで実施してきました香港等に加えまして、大連、ロサンゼルスにおける国際展示会・商談会等に出展いたしまして、輸出に係る諸条件の調査や調理法セミナーの開催により、輸出先の関係者とのネットワークの構築を図りますなど、一層の輸出促進に取り組んでいるところでございます。  今後とも、県漁連や関係団体等と一体となって、本県産水産物の販売・消費拡大、輸出促進等に積極的に取り組んでまいります。  漁船漁業者への支援についてでございます。  漁船漁業は漁業経営体の約九割を占めまして、地域を支える重要な産業でございますが、水産資源の減少や魚価の低迷、最近の燃油高騰などによりまして極めて厳しい状況に置かれております。  県といたしましては、マダイやヒラメ等の放流、藻場の造成、人工魚礁の設置などによります漁場の整備、販路開拓や消費拡大、漁協等の直売所の整備に対する支援などに取り組んでおります。また、新たな漁法の導入や新商品の開発、量販店でのイベント販売等の取り組みなど、各地域の特徴を生かした活動を支援いたしております。さらに、燃油の高騰や魚価低迷時の価格補填を行います国の制度への加入促進に県漁連と連携して取り組んでいるところでございます。  今後とも、これらの施策を推進いたしまして、持続的・安定的な漁船漁業が行われますよう県漁連等関係団体と一体となって取り組んでまいります。  国のウナギ対策を見据えた今後の取り組みについてでございます。  国は、ウナギ資源の持続的利用と安定供給を図りますため、平成二十六年度の概算要求で予算を拡充して要求いたしております。県では、ウナギ資源の保護・増殖を図りますため、親ウナギが産卵に向かう十月から十二月までを採捕禁止にいたしますとともに、シラスウナギの採捕期間を二十日間短縮する資源保護対策を講じたところでございます。  また、内水面漁協や養鰻業者、採捕業者等と連携いたしまして、効果的な放流手法や増殖手法の調査、河川や海浜の清掃活動への支援、ポスターやリーフレットによる遊漁者等への啓発活動などを行っているところでございます。  今後とも、国のウナギ対策を注視しながら、関係団体等と連携を強化して、資源の保護・増殖対策に取り組んでまいります。 11 ◯観光交流局長(武盛武士君)ブラジルとの交流促進の取り組みについてでございます。
     今回の百周年記念式典に知事の出席はかないませんでしたが、県では、五年の節目ごとに訪問団を派遣し、県人会の皆様との交流を深めています。また、県人会の活動に毎年度補助を行い、本県からの移住者の情報収集や子弟の育成などに取り組んでいただいているほか、これまで七十八名の県費留学生と三十六名の海外技術研修員を受け入れ、みずからのルーツである鹿児島になれ親しんでいただいているところです。  帰国後、鹿児島及び日本とブラジルとの橋渡し役となっている県費留学生などのOBと意見交換会を実施しましたところ、特に研修機会の拡充について強い要望がありましたことから、県費留学生の受け入れを一名から二名に増員することなど、さらなる未来に向けた交流促進の方策を検討してまいりたいと考えております。 12 ◯企画部長(古川仲二君)世界文化遺産登録へ向けた今後の課題と見通しについてでございます。  明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域につきましては、このたびの政府における推薦案件決定を受けまして、関係する全ての自治体及び資産所有企業等において平成二十七年度登録を目指すとの共通目標のもと、端島炭鉱や三菱重工業長崎造船所を含め、管理保全に係る個々の手続等を着実に進めることが改めて確認されたところでございます。  今後は、来年二月一日までに推薦書正式版をユネスコに提出するとともに、来年の夏ごろに予定されておりますイコモスによる現地調査に万全の態勢で臨むため、国から示されたスケジュールを踏まえながら、稼働資産を含むシリアル・ノミネーションとしての適切な管理保全策など所要の調整や手続等について、引き続き国や関係自治体等とより一層緊密な連携を図りながら、着実に進めてまいりたいと考えております。  次に、世界文化遺産登録が本県の地域活性化に与える効果についてでございます。  世界遺産は、本来、資産の所在地域において適切な管理保全策が講じられることが前提となりますことから、世界文化遺産に登録されますことにより、地域の貴重な遺産や文化財を保護し、後世につないでいこうとする意識が高まるとともに、児童生徒を初め、地域の方々がみずからのふるさとの歴史や文化に誇りと関心を持つ契機となり、地域全体として世界遺産登録にふさわしいまちづくりへの機運が醸成されるなど、教育・文化面での効果が期待されております。  また、今後は、国や関係自治体等との緊密な連携による広域的な視点に立った国内外での普及啓発、広報事業の拡充・強化や県内関連資産に係る観光振興の取り組みとの連携等によりまして、観光客が増加するなどの経済効果も期待されているところでございます。  次に、上海線利用促進特別対策事業におきます民間人の上海派遣の成果についてでございます。  同事業につきましては、鹿児島・上海線の利用促進と中長期的な両地域の交流を促進するため、教育、農業、経済の分野ごとに県民を派遣し、各分野に関する知見を深め、当該分野にかかわる方々との交流を促進するため実施したところでございます。  本事業及び上海派遣短期特別研修事業等の実施によりまして、同路線の搭乗率がおおむね六割程度に上昇し、民間企業等からの上海派遣の動きによる需要拡大も図られておりまして、当面安定的な運航に必要な搭乗率が確保できる見込みとなっております。  また、派遣後に提出されました報告書には、日中双方の教育制度のすぐれた点について再認識したといった意見、みずからの農業経営の規模拡大や農作物の輸出に向けた積極的な意見、観光客誘致や相互交流に向けた取り組みの必要性についての意見等が多く寄せられたところでございます。  次に、鹿児島・上海線の搭乗率の推移と見込みについてでございます。  民間の利用促進に向けた取り組みや団体旅行等への助成拡充による需要喚起によりまして、九月は六六・六%、十月は五九・五%、十一月は十一月二十七日現在の見込みでございますが、六八・五%となっております。今後の利用見込みにつきましては、引き続き経済団体等の民間における利用促進に向けた取り組みが続くこともございまして、来年三月までの安定的な運航は確保されるものと考えております。  次に、鹿児島・上海線の需要拡大に向けた総合的方針の考え方と来年度の取り組みについてでございます。  同方針につきましては、去る九月議会において骨子案を御説明したところでございまして、現在、いただいた御意見等を踏まえ、来年度以降における施策の検討等とあわせまして、最終案の策定に向けた取りまとめを行っているところでございます。具体的には、環黄海経済圏と上海の現状と重要性、上海線の位置づけ、上海線の需要喚起に向けた現状と課題を整理した上で、上海線の需要喚起に向けた今後の取り組みとして、イン・アウト双方からの需要喚起、貨物需要の掘り起こしのための方策等を盛り込むことを考えております。  来年度以降においては、需要動向や社会情勢等も勘案しながら、総合的方針に基づいた施策を着実に推進し、路線の維持・拡充に取り組んでまいりたいと考えております。 13 ◯総務部長(稲原 浩君)上海派遣短期特別研修の成果についてでございます。  本事業により、知事部局におきましては全五コースで合計百名の職員を派遣したところであり、研修を通じて得られた知見等をもとに具体的な取り組みに着手しましたほか、今後に向け、施策の検討を行っているところでございます。  具体的には、上海に所在する訪日観光を対象とした情報誌の出版会社の代表を薩摩大使に委嘱し、中国における本県の観光や特産品の紹介宣伝及びイメージアップを図ることとしたところでございます。また、中国からの修学旅行の誘致を促進いたしますため、上海の学校関係者の本県への招請に向けた調整を行っているところでございます。さらに、将来の日本産農産物に対する輸入規制の緩和を見据え、輸出に有望な品目の掘り起こしなどを行いますため、上海研修における調査内容も踏まえつつ、さらなる情報収集を行っているところであります。  また、県産材の輸出促進に関しまして、建築・家具用の切断面の直径の大きな木材や良質材のニーズが見込めることが把握できましたことから、中国向け輸出のための集出荷体制づくりなどについて、商社の方々も含め意見交換を行っているところであります。  本研修で得られた成果につきましては、引き続き各種施策の企画立案、実施に役立ててまいりたいと考えております。 14 ◯教育長(六反省一君)教職員の上海派遣短期特別研修の成果についてでございます。  教育委員会では、百名の教職員を学校、社会教育施設等に派遣したところです。派遣した教職員は、児童生徒の意欲・関心を高める指導、一人一人の個別的な対応などの学力向上の取り組み、指導方法を校内で共有する教職員の資質向上の取り組みなど、上海の多岐にわたる教育の取り組みに触れたところでございます。  現在、校内や地区の研修会を初め、教育シンポジウム等を通じて、上海の教育の取り組みを他の教職員に還元いたしますとともに、児童生徒に対しても、総合的な学習の時間等を活用し、上海の学校の様子を紹介しながら、日本と世界とのつながりを伝えるなどの取り組みを進めているところでございます。  今後も、さまざまな機会を通じて、研修成果が本県における教育活動の充実につながるよう努めてまいりたいと考えております。 15 ◯鶴田志郎君 自席より一点、ブラジルの移民の皆様との交流についてお伺いしたいと思います。  ただいまの伊藤知事の御答弁、ブラジルの移民の皆様方の御苦労、それから実績に思いをはせた大変に温かい御答弁をいただきました。  また、観光交流局長の御答弁によりますと、さらに県費留学生を拡充されるということでありまして、ブラジルの皆様方も大変に喜んでいらっしゃるんじゃないかなと思います。  そこで、今回県の代表として御参加されました布袋副知事におかれましては、ブラジル、そしてパラグアイへの訪問、どのような感想をお持ちかお聞かせいただきたいと思います。 16 ◯副知事(布袋嘉之君)ブラジル、それからパラグアイ訪問の感想をというお話でございました。  県議会議長初め、議会の皆様方と一緒に県人会の記念事業に参加する機会がございました。大変な歓迎を受けますとともに、多くの県人会の皆様とお会いした貴重な機会であったと思っております。  ちょうど地球の反対側、ブラジル、パラグアイの地において大変強い郷土愛を持ち続けられており、ふるさと鹿児島のことを母県、母の県・鹿児島と呼んでいらっしゃる方々がいらっしゃるということ、それから大変困難な過程はあったと思いますけれども、大変な努力をされていらっしゃって、幾多の困難を経て現在のブラジル社会、パラグアイ社会に大変貢献されていらっしゃることについて大変感銘を受けたところでございます。  この縁を機に、今後とも両国県人会との交流の促進に私自身も努めてまいりたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 17 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁いただきました。  まず、農業の競争力強化のための農地中間管理機構─仮称─でありますが、農地の集約化、米の生産調整の見直しなど、新たな農業政策の検討が進んでおりますが、地方の実情や生産現場の意見を十分に踏まえた、農業の再生につながる政策の推進を望むものであります。  水産業でありますが、消費者や市場ニーズに対応した水産物販売・消費拡大対策や輸出促進対策、経営安定対策にさらに本腰を入れていただいて、今後強力な取り組みをお願いするとともに、ウナギ資源の増殖・管理に向けましてもさらなる充実を求めるものであります。  世界文化遺産登録でありますが、今年度の推薦決定を受けて、産業界からも登録を支援するため産業遺産国民会議を設立したとのことであります。登録の実現に向け、関係自治体や経済界との連携により、さらなる取り組みを要望いたします。  鹿児島・上海線についてでありますが、今回派遣された職員や県民の皆様方には、ぜひとも研修の成果をそれぞれの分野において、県勢の発展に役立てていただくような取り組みをお願いしたいと思います。また、当面の危機的な状況は回避できたとはいえ、来年度以降のこの路線の安定維持に向けて、需要拡大に向けた総合的方針に基づく官民挙げた積極的な取り組みを要望いたします。  次に、高規格幹線道路の整備状況についてお伺いいたします。  東九州自動車道、南九州西回り自動車道など本県の高規格幹線道路の供用率は、平成二十五年十月一日時点で六一%と、全国平均七五%と比べ低い状況にあります。また、地域高規格道路につきましては、県において、都城志布志道路、南薩縦貫道などを整備中でありますが、その供用率は平成二十五年十月一日時点で二二%であり、全国平均三二%と比べ低い状況にあります。  国の平成二十六年度予算の概算要求では、優先課題推進枠を含む道路関係の要求額が対前年度比一五%増となっているほか、今国会では国土強靱化基本法案の動向が注目されております。  広域的な高速交通ネットワークを形成する高規格幹線道路は、地域間の交流連携の強化や産業・観光の振興、災害時における緊急輸送道路や代替道路の確保はもとより、九州の一体的浮揚に必要不可欠な道路であります。  こうした中、南九州西回り自動車道の川内─阿久根間につきましては、都市計画及び環境影響評価など事業化に向けた手続が進められておりますし、東九州自動車道で唯一事業化されていなかった日南─志布志間につきましても、国が三つのルート案を提示するなど、事業化に向けた検討に着手した旨の報道がなされたところであります。  今後とも、半島地域など地形的な制約を受け、移動手段を自動車交通に大きく依存している本県にとって、地域高規格道路などについても高規格幹線道路と一体となった早期整備が重要であります。  一方、国において整備が進められている鹿児島東西幹線道路については、去る九月二十九日に、新武岡トンネルを含む鹿児島インター─建部インター間が開通したところであり、トンネル内の交通渋滞は一定の緩和が図られたようでありますが、交通渋滞の抜本的な解消を図るためには甲南インターまでの早期完成が必要不可欠であります。  そこでお尋ねいたします。  第一点、高規格幹線道路の現在の整備状況及び今後のスケジュールについてお示しください。  第二点、地域高規格道路の整備状況及び今後のスケジュールについてお示しください。  第三点、新武岡トンネル開通による効果及び課題、東西幹線道路の全線開通に向けた今後の取り組みについてお示しいただきたいと思います。  次に、建築物の耐震化対策についてお伺いいたします。  本県における建築物の耐震化対策につきましては、平成十八年に施行された改正耐震改修促進法に基づき、平成十九年に策定した県建築物耐震改修促進計画を踏まえて、住宅及び不特定多数の者が利用する特定建築物等の耐震化に取り組んでおります。また、同改正法では、市町村においても耐震改修促進計画の策定が努力義務とされたところであります。  一方、会計検査院が実施した公共建築物の耐震化対策等に関する会計検査の結果によりますと、災害時に防災拠点となる庁舎施設や警察施設、消防施設の構造体の耐震化率が、平成二十四年末現在で都道府県で七九・七%、政令指定都市で八三%、政令指定都市を除く市町村で六六%となっており、市町村の耐震化対策がおくれている状況が明らかとなっております。  こうした中、さきの通常国会で改正耐震改修促進法が成立し、十一月二十五日に施行されました。今般の改正法により、不特定多数の者が利用する病院、旅館等や避難弱者が利用する学校、老人ホーム等のうち、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建てられた政省令に定める大規模な建築物につきましては、平成二十七年末までの耐震診断の実施とその結果の公表が義務づけられたところであります。  耐震診断、耐震改修に多額の費用が見込まれている中、他府県では、今回の法改正に伴い、補助制度の創設・拡充を行っているところもありますが、本県では、県、市町村とも補助制度を設けていないことから、多額な改修費用等による経営への影響を懸念する声が上がっております。  県当局は、さきの定例会において、こうした事業者への支援については、国の政省令や他県の状況を踏まえながら検討を行う旨の答弁をされたところであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点、県建築物耐震改修促進計画における本県の住宅、特定建築物、防災拠点の耐震化の状況についてお示しください。  第二点、全国と比較した本県における市町村耐震改修促進計画の策定状況及び策定促進に向けた県の取り組みについてお示しください。  第三点、今回の耐震改修促進法の改正に伴い、耐震診断が義務づけられる大規模な建築物の用途別内訳及び対象建築物の耐震診断・改修の実施状況についてお示しください。  第四点、耐震診断や耐震改修に要する費用への支援について、県の対応をお示しいただきたいと思います。  次に、県教育振興基本計画についてお伺いいたします。  本年六月に、平成二十五年度から二十九年度までの五年間を計画期間とする国の第二期教育振興基本計画が閣議決定されました。この計画では、少子化・高齢化の進展に伴う社会全体の活力の低下や、グローバル化の進展に伴う我が国の国際的な存在感の低下などを我が国を取り巻く危機的な状況と位置づけております。そして、この危機的な状況を回避するための社会の方向性として自立・協働・創造モデルとしての生涯学習社会の構築を掲げ、この実現に向けて、社会を生き抜く力の養成や未来への飛躍を実現する人材の養成など、教育行政の四つの基本的方向性を定めております。  本県においては、国の計画を受け、平成二十六年度から三十年度までの五年間を期間とする次期計画について、県教育振興基本計画検討委員会において協議が行われております。そして、この検討委員会の意見を踏まえ、今後、県の計画案が発表される予定であります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県の現在の教育振興基本計画の達成状況についてお示しください。  第二点、次期計画策定の考え方についてお示しください。  第三点は、今後の策定スケジュールについてお示しください。  次に、若手警察官の育成等についてお伺いいたします。  県警察では、豊富な知識・経験を有するベテラン警察官の大量退職により、組織に占める若手警察官の割合が大幅に増加し、警察力の低下が懸念されております。また、新規採用された警察官が必要な知識や技能、心構えを身につけるための授業や訓練を受ける警察学校では、平成二十四年度入校生百五十八人のうち、何と三十四人が卒業前に退職しております。退職の理由として、ほかの職種へ転職したいとか、体力不足で訓練についていけないといったこともあるとのことであります。  このように多くの退職者が出ていることについては、採用する側と受験する側のミスマッチが広がっているのではとの意見もあり、県警察では、オープンキャンパスの実施回数をふやす方向で検討するなど、その対策を講じるとしております。一方、警察学校卒業後は現場でも厳しい任務につくこととなり、そのための訓練や勉学に励むことは必要不可欠なものであります。  本年第二回定例会の一般質問において警察本部長は、「警察学校においては、教官との個々の面接を通じ、学生の不安解消に努めるなどの対策を適切に行ってまいりたい」と答弁されました。学生の指導に当たりましては、全体的な指導だけでなく、個々の学生に対するきめ細かな対応が必要であると考えます。県警察が掲げる「日本一安全で安心な鹿児島」の実現のためには、現場で働く若手警察官の早期戦力化を図るとともに、高い倫理観と職務執行能力を備えた優秀な警察官を育成する必要があります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、県警察学校における個々の学生に対する指導体制についてお示しください。  第二点、若手警察官の育成のための取り組みについてお示しください。  次に、木質バイオマスエネルギーの導入促進についてお伺いいたします。  本県におきましては、戦後植林されたスギ・ヒノキの健全な育成と県産材の利用拡大を図るため計画的に間伐を推進しておりますが、搬出されずに残された未利用間伐材も多く発生しております。今後、これらの資源を活用し、林業・木材産業、ひいては山村地域の活性化を図ることが重要な課題となっております。一方、近年の原油価格の高騰や再生可能エネルギー固定価格買取制度の創設などを背景として、木質バイオマスエネルギー利用に対する期待が高まりつつあります。  そこで、未利用間伐材等を原料とした木質バイオマス発電施設の整備等を支援するために、鹿児島県森林整備推進等基金の活用による木質バイオマスエネルギー導入促進事業に取り組むこととしております。そして、当事業においては、薩摩川内市及び霧島市の二事業者が木質バイオマス発電施設の整備を計画していると聞いております。しかしながら、さきの定例会で、同事業における原料の安定確保等を危惧する意見が出され、県当局に対しては、「事業実施に当たって、事業計画の精査をしっかり行っていただきたい」などの要請がなされたところであります。  そこで、木質バイオマスエネルギーの導入促進に当たりましては、原料の安定確保など、事業の計画性や採算性、継続性等を十分念頭に置いた取り組みが必要不可欠であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、木質バイオマスエネルギー導入促進事業の実施に向けた事業計画の審査状況及び今後のスケジュールについてお示しください。  第二点、木質バイオマス発電計画に必要な原料の安定確保に向けた取り組みについてお示しください。  次に、障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例─仮称─についてお伺いいたします。  障害者差別に関する条項が盛り込まれている障害者の権利に関する条約が、国連において平成二十年五月に発効されました。  国においては、この条約を批准するために、平成二十三年七月に障害者基本法を一部改正し、平成二十四年十月に障害者虐待防止法を施行し、本年六月に障害者差別解消法を公布するなど、国内法の整備を行ってきたところであり、現在開会中の臨時国会で条約批准の審議中であります。  知事は、国の法律成立に先立ち、昨年六月に障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例─仮称─を制定することをマニフェストに盛り込み、本年第一回定例会の施政方針においても、同条例の制定に向けた取り組みを進めていくと述べられております。  条例の検討に当たりましては、障害当事者や学識経験者などのほか、公募された委員などで構成される検討委員会を本年三月に設置し、現在、制定に向けた検討なども行われていると聞いております。  そこでお尋ねいたします。  第一点、これまでの取り組み状況についてお示しください。  第二点は、条例の概要についてお示しください。  第三点、条例制定に係る今後のスケジュールについてお示しいただきたいと思います。  以上で、三回目の質問といたします。 18 ◯土木部長(栗原淳一君)高規格幹線道路についてです。  東九州自動車道については、曽於弥五郎インターから鹿屋串良間において、平成二十六年度の供用を目標に鋭意工事が進められております。これに続く鹿屋串良から志布志間においても、用地買収や橋梁工事等が進められています。事業化されていない志布志から日南間については、国から複数のルート案が示され、現在、沿線住民等に意見聴取が行われるなど計画段階評価の手続が進められているところです。  南九州西回り自動車道については、薩摩川内都インターから薩摩川内高江インター間及び鶴川内から阿久根北間が二十六年度供用予定であり、阿久根北から出水間についても二十七年度から順次供用予定です。これに続く出水から県境間においては、今月、用地説明会を開催し、用地買収に着手される予定です。薩摩川内水引インターから阿久根間については、都市計画案及び環境影響評価準備書の公告・縦覧を行ったところであり、早期事業化に向け、できる限り早期に手続を終えたいと考えております。  県としては、本県の高速交通網が一日も早く完成するよう今後とも国に対して強く要請してまいります。  次に、地域高規格道路についてです。  地域高規格道路については、国において鹿児島東西幹線道路を、県において北薩横断道路など四路線十一区間の整備を進めています。このうち南薩縦貫道については、平成二十七年度の供用に向け用地買収や工事などを進めており、本年九月には知覧トンネルの本体工事に着手したところです。都城志布志道路については、本年度から末吉道路に事業着手し、全線にわたり事業を展開しているところです。また、大隅縦貫道の串良鹿屋道路については、平成二十六年度の東九州自動車道との同時供用に向け整備を進めています。  地域高規格道路は、本県の骨格をなす道路であることから、早期完成に向け引き続き重点的な整備に努めてまいります。
     鹿児島東西幹線道路についてです。  鹿児島東西幹線道路については、新武岡トンネルの開通後、トンネル内においては、交通量が開通前に比べ約一六%ふえているものの、四車線化されたことから渋滞が緩和されています。一方、曙陸橋付近の市街地向け車線や武町交差点等に流入する南北方向の車線においては、以前より渋滞が長くなるなど渋滞は解消されておりません。  このようなことから、当面の対策として中洲電停交差点において市街地向け車線をふやす工事に着手しており、武町交差点において交差点改良の検討を行っております。甲南インターまでの整備については、鹿児島東西道路整備検討会などが開催され、ルートや施工方法等が取りまとめられたことから、県において、年内の都市計画変更に向けた手続を進めております。  本県の建築物の耐震化状況についてです。  県建築物耐震改修促進計画においては、平成二十七年度までに住宅及び多数の者が利用する特定建築物の耐震化率の目標を九〇%と定め、これまで所有者に対する啓発や指導、県民への周知等に努めてきたところであり、耐震化率は、住宅が平成二十年十月現在で七一%、特定建築物が平成二十四年度末現在で八六%、また防災拠点となっている県有建築物が平成二十三年度末現在で八九%となっております。  次に、市町村耐震改修促進計画の策定状況等についてです。  市町村の耐震改修促進計画については、本年四月一日現在、全国の策定率は九三%であり、本県においては、四十三市町村のうち二十六市町村が策定しており、策定率は六〇%となっております。県では、個別に市町村を訪問するなどして計画の策定を要請しているところであり、引き続き市町村に対して助言や要請を行ってまいります。  耐震診断が義務づけられた建築物についてです。  耐震診断が義務づけられた県内の大規模な建築物は、旅館・ホテルが約二十棟、店舗が約十棟、病院が約十棟、小・中学校が約三十棟、その他が約二十棟の合計約九十棟と見込んでおります。これらのうち耐震診断の実施済みが約六十棟、未実施が約三十棟となっています。また、耐震診断の結果、耐震改修が必要と判断された建築物は約五十棟で、このうち約四十棟は耐震改修済みとなっております。  耐震診断等に要する費用への支援についてです。  法改正により、病院や旅館等の大規模建築物について、平成二十七年十二月までに耐震診断の報告が義務づけられたところであり、平成二十六年度当初予算に向け、県の支援のあり方等について、他県の動向も見きわめながら検討を進めてまいります。 19 ◯教育長(六反省一君)県の現在の教育振興基本計画の達成状況についてでございます。  県教育振興基本計画につきましては、十年後を見据えた教育の基本目標とともに、平成二十一年度からの五年間に取り組む三十六の施策を示しております。今年度は、これら三十六施策について四年間の実施状況を、継続・充実が必要なもの、一部見直しが必要なもの、大幅な見直しが必要なものの三段階で評価し、継続・充実が二十七、一部見直しが九、大幅な見直しがゼロとなったところでございます。  また、数値目標の達成状況につきましては、評価可能な三十一項目のうち、スクールカウンセラー配置校数やスクールガードの人数など二十三項目を達成し、全国学力・学習状況調査の平均正答率や児童生徒の体力など八項目が未達成という状況となっております。  次期計画策定の考え方及び今後の策定スケジュールについてでございます。  次期計画につきましては、十年後を見据えた教育の姿でございます、あしたをひらく心豊かでたくましい人づくりに基づき、後半五年間に取り組むべき施策を体系化することとしたところでございます。策定に当たりましては、いじめの状況やスマートフォンに係る問題など、その後の社会情勢の変化に対応いたしますとともに、「自ら学び、考え、行動する力」の育成など、国の第二期計画に示された内容を参酌し、現計画の各施策の実施状況や数値目標の達成状況等を踏まえながら、検討を進めているところでございます。  今後、パブリックコメントを実施して広く県民の皆様の御意見をいただきますとともに、県議会における御意見、御議論も踏まえて、来年二月を目途に次期計画を策定することとしたいと考えております。 20 ◯警察本部長(杉山芳朗君)県警察学校における指導体制についてであります。  県警察学校では、警察大学校において専門の研修を受けた教官等を配置し、法学、捜査、交通取り締まり等の実務、柔道・剣道等の授業を行うとともに、一人前の社会人、警察官として自覚を持ってもらうための指導を行っております。  指導体制としましては、クラスごとに担当教官及び副担当教官を指定しているほか、七人から八人の学生班を編成し、班ごとにも担当教官を置き、私生活面を含めた指導・助言に当たっております。また、個々面接で学生の心境を適宜把握するなど、きめ細かな指導を行っているほか、不安に感じている学生に対しましては、必要により家族等を交えた面談も実施しております。  次に、若手警察官の育成のための取り組みであります。  初任科を修了しました若手警察官の多くを大規模署に配置し、いろいろな事案処理を経験させているほか、直近の昇任試験合格者をその指導を行う上司として交番等に優先的に配置しております。  また、事件事故を想定した実践的な訓練、恒常的な柔剣道及び逮捕術訓練を集合形態で行っているほか、日常の業務においても、巡回連絡等を活用したコミュニケーション能力の向上、現場観察能力の向上、住民との触れ合い活動を通じての警察に寄せられる県民の期待と信頼の実感等に取り組んでおります。  今後とも、郷中教育を範としたきょで愛制度の運用等、温もりのある育成方策を講じてまいります。 21 ◯企画部長(古川仲二君)木質バイオマス発電事業の事業計画の審査状況等についてでございます。  霧島市において計画がある発電事業につきましては、平成二十六年六月に発電施設の建設着手を予定いたしておりまして、去る十一月二十日に事業者から霧島市へ事業計画の提出がなされたところです。現在、同市において、県へ提出する事業計画書を作成中であり、今後、同市からの事業計画書が提出され次第、事業実施要綱等に基づき国との協議を経た上で、事業の確実性、採算性、継続性について十分精査するなど、適切に審査を進めてまいります。  また、薩摩川内市において計画がある発電事業につきましては、木材を安定的に供給するための協議会の運営に対し支援することといたしておりまして、今後、同市から提出される事業計画書を適切に審査してまいります。 22 ◯環境林務部長(新川龍郎君)木質バイオマスの安定確保の取り組みについてでございます。  現在、県内で計画されている木質バイオマス発電に必要な原料は、原木で年間約四十万立方メートルとされております。県としては、これらの原料が安定的に確保されるよう、事業者ごとに林業事業体やチップ加工業者等とで組織する協議会を設けて、原料調達に関する調整や協定締結等を行うよう指導しているところでございます。  また、原木の供給量そのものの増大等を図るため、未利用間伐材等の低コストで効率的な集荷手法の普及定着や、間伐おくれの森林における搬出間伐を進めますとともに、原料となるチップの製造施設等の整備を支援することとしております。  今後とも、木質バイオマス発電に必要な原料が安定的に確保されるよう努めてまいりたいと考えております。 23 ◯保健福祉部長(松田典久君)障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例─仮称─制定の取り組み状況についてでございます。  条例制定に当たりましては、障害のある方々や配慮を求められる事業者などを含む県民の幅広い理解を得ながら進めていくことが重要であると考えております。このため、これまで十六の障害当事者や家族の団体と延べ三十一回意見交換会を実施し、また、配慮を求められる教育・商工・交通等関係の二十四団体とも意見交換会を実施したほか、県政モニターへのアンケート調査の実施や障害者団体が開催した差別禁止フォーラムへの参加など、県民からの幅広い御意見を聞きながら進めてきたところです。いただいた多くの御意見や、他県の条例及び障害者差別解消法の内容なども踏まえながら、条例検討委員会において検討していただき、条例素案を取りまとめているところです。  条例の概要についてでございます。  この条例は、基本理念に基づき、障害を理由として正当な理由なくサービスの提供を拒否する行為などを禁止すること及び障害のある方から求められた場合に、負担になり過ぎない範囲で必要な合理的な配慮をすることなどにより、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的としております。  このため、条例においては、差別の判断基準を公共的施設の利用や交通機関の利用など九つの分野で示すとともに、県及び県民の責務、障害のある方からの相談に対する助言や調整、また、あっせんなどを行う紛争解決の手続、条例の趣旨の県民への普及・啓発などについても定めることとしております。  条例制定に係るスケジュールについてでございます。  現在取りまとめている条例素案につきましては、パブリックコメントを実施し、平成二十六年第一回県議会定例会で条例案を御審議いただき、今年度中の条例制定と半年程度の周知期間を経てからの施行を目指したいと考えております。  県としましては、この条例の施行により、障害を理由とした差別をなくし、障害のある人もない人も一人一人の人格と個性が尊重され、安心して暮らすことのできる鹿児島づくりを進めていきたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 24 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁いただきました。  高規格幹線道路の整備についてでありますが、高速交通ネットワークの整備は本県にとって長年の課題であり、事業推進のスピードアップについて、これまで以上に国への働きかけを行うよう強く要望いたします。  建築物の耐震化対策でありますが、県建築物耐震改修促進計画の目標達成に向けて、建築物の耐震化の一層の促進を図るよう要望いたします。  さらに、今回の改正法により耐震診断が義務づけられたホテル・旅館等の耐震診断・改修でありますが、この費用負担ができないために廃業に追い込まれる、さらに、それによって地域の活力が低下するということが懸念されますので、財政支援につきましては積極的な対応を強く要望するものであります。  県教育振興基本計画は、将来を担う子供たちの教育の根幹となる極めて重要な計画であります。検討委員会の意見や議会での論議、パブリックコメントを踏まえ、実効性のある立派な次期計画が策定されるよう要望いたします。  若手警察官の育成についてでありますが、近年、若者の離職率の高さが指摘されておりますが、警察学校での実情に正直、驚きを覚えるわけであります。警察官として厳しい教育、訓練に耐えることは不可欠な要素でもあることから、警察学校での学生指導のあり方に加え、採用時点での人物、意欲の見きわめ等についてさらに留意した対応を要望いたします。  木質バイオマスエネルギーの導入事業につきましては、大いに期待するところでありますが、県森林整備推進等基金の活用による多額の助成を行う上では、事業の運営が確実になされることが前提であり、原材料の安定的確保など、事業計画の精査をしっかりと行うようお願いいたします。  最後に、障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例─仮称─により、さらなる障害者福祉に対する県民の幅広い理解に向けた普及啓発に取り組まれるよう要望いたします。  以上、県政の各分野について質問してまいりました。ことしも残すところ一カ月足らずとなりましたが、秋がなくて、もういきなり冬になったというように寒い季節であります。  また、国におきましては臨時国会も終盤となり、重要法案の審議が大詰めを迎えておりますし、TPP交渉も予断を許さない状況であります。  一方、中国による東シナ海での一方的な防空識別圏設定の問題は、相変わらずその横暴な姿勢に憤りを感じております。同様の問題を抱えるアジア諸国との連携のもと、我が国の国益を損なわないよう毅然とした対応が必要であると考えます。  内外の情勢は大きく変動する中、私ども自由民主党県議団は、鹿児島の発展と県民生活の安定向上のために最大限の努力を結集してまいる所存であることを申し述べ、代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 25 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十九分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 26 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。  まえの義春君に発言を許可いたします。    [まえの義春君登壇](拍手) 27 ◯まえの義春君 私は、平成二十五年第四回定例会に当たり、県民連合を代表して質問を行います。  さきの台風二十四号によって大きな被害を受けられた与論町など、奄美の方々にお見舞いを申し上げ、早期の復興を願うものであります。  また、大惨事をもたらしたフィリピンの台風被災者の皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、各国からの支援の輪が広がり、一日でも早く復旧が進むことを祈るところであります。  十一月二十六日の夜、特定秘密保護法案が強行採決されました。前日の福島市での公聴会では七名全員が反対意見を述べたばかりでした。そんな民意を踏みにじり、数の力におごって、慎重審議を求める野党や国民の声を顧みない権力の暴走に強く抗議するものであります。  秘密の指定は、実質的には官僚の裁量に委ねられ、知る権利に応えようとする公務員や、情報の闇に迫ろうとするマスコミと市民の前に、厳罰の大きな壁が立ちはだかる民主主義の基盤を否定する悪法であり、決して成立させてはならない法案であります。  それでは、通告に従って質問してまいります。  昨年十二月の衆議院選挙での徳洲会グループによる公職選挙法違反事件は、十一月十二日には徳田毅議員の姉二人を含むグループ幹部六人の逮捕に発展し、ほかの国会議員の選挙に際しても同様の手法が指摘されたり、陣営の関係者や地方議員などの事情聴取が報道され、猪瀬東京都知事への五千万円提供疑惑への拡大など、今後の捜査の行方を県民・国民は注目している状況にあります。まず、今回発生した一連の事件について、伊藤知事の所感を伺います。  徳洲会グループは、全国で六十六の病院や二百を超える介護・福祉施設を運営しておりますが、本県においても、地域医療や福祉の分野において大きな役割を果たしており、その中には県が認定している社会医療法人も存在しております。  県民連合は、ことしの第一回定例会の代表質問において、徳田毅議員が、女性との不適切な関係が明らかになり、国土交通・復興大臣政務官を辞任した際にも、徳洲会グループの役割と責任について質疑を交わし、特定医療法人や社会医療法人として税制の優遇措置を受ける一方で、出資持ち分の私的財産所有権の放棄、役員の同族支配の制限及び同一団体関係者の制限、役員に対する報酬等の支給基準の明確化などの要件があることを指摘しました。  また、国会での田村厚生労働大臣の一般論だとする「社会医療法人などの公益性の高い法人が不正経理をしたとするならば、認定の取り消しなども行われる可能性は十分にある」との答弁も紹介いたしました。  今回の公選法違反事件は、特定医療法人や社会医療法人の要件に触れるおそれのある行為が散見されますが、社会医療法人を認定する立場の県として、高い関心を持って情報収集等を行っていると思料するものですが、現時点における認識と今後の対応について伺います。  次に、同じく徳洲会グループの本県における展開についての質問に答えて、病院及び診療所については、離島に十四カ所で一千九十八床、本土に十一カ所で八百二十八床、介護保険施設等は、離島に二十二カ所で入所定員七百九人、本土に九カ所で三百五十七人との報告があり、これらの施設で働く職員数は、事務系を除く職員は、病院等が離島で八百人、本土で約六百五十人、介護保険施設等が離島で約四百五十人、本土で約二百人とされました。この数字だけ見ても、本県の医療・福祉の分野、特に離島における徳洲会グループの存在の大きさがはっきりわかります。  社会医療法人等が税制上、優遇措置がなくなれば、資金繰りの悪化は避けられず、信用の低下も重なり、医療従事者が流出することもあり得るとすれば、事件の今後の進展次第では、地域医療の質及び量を維持するための方策が必要になるのではないかと憂慮するものであります。  現時点では事態の推移が不透明なところではありますが、県民の健康と福祉、とりわけ離島を中心とする地域医療や福祉に責任を持つ県としては、あらゆる事態を想定して、その対応を準備しておかなければならないと思いますが、どのようなお考えかお答えください。  農業試験場跡地の売却については、九月末までに、関係すると思われる県医師会及び徳洲会にその考えを意見として求めているとの答弁でありましたが、両者からの意見はあったのか、また、その内容はどのようなものであったのか明らかにしてください。  当該跡地の売却は、当初、提案型公募によるものとされましたが、今年度に入り一般競争入札に変わったと承知いたしておりますが、そもそも自由な競争が大原則である一般競争入札において、県医師会や徳洲会といった特定の者の意見を聞く必要があったのか、強い疑問を持つものです。なぜこのような原則から外れた対応をとったのか、その理由を明らかにしてください。  ところで、今回の徳洲会グループによる公選法違反事件の捜査は、東京地検特捜部と警視庁、鹿児島県警などによるものとされております。鹿児島二区においては、これまでも徳洲会グループによる選挙違反がたびたび摘発され、徳洲会グループぐるみの選挙活動は周知の事実でありました。徳田毅議員の父親が選挙を戦っていた時代にも、今回違反とされた選挙活動が行われていたと証言する関係者もいる中で、東京地検特捜部が捜査を行うまでなぜ放置されていたのかが問われております。このことについて杉山警察本部長はどのように受けとめておられるのか、認識をお伺いします。  十月一日、来年四月からの消費税率八%への引き上げが閣議決定されました。その日の記者会見で安倍首相は、「消費増税による財政再建と経済再生の両立は可能。企業収益増加が賃金上昇や雇用拡大につながり、消費を押し上げてさらなる企業収益を生む好循環を実現する」と自信満々に述べております。  アベノミクスの成功は、経済の好循環を生み出すことにあると言えますが、消費税率引き上げに伴う国民の負担増は、さらに個人消費を落ち込ませ、企業の業績に大きく影響することが予想されます。消費増税への対応策として、公共投資、復興事業、低所得者への現金給付など、五兆円規模の補正予算案を編成し、先端設備投資をした企業への減税制度新設や、賃金を引き上げた企業への税優遇制度を拡充するなどを柱にしておりますが、増税後の景気悪化への影響を回避できるかが問われることになります。  七月から九月期のGDP速報値は、実質成長率が年率換算一・九%増で、前期三・八%増と比較すると半減しております。消費が〇・一%の微増、輸出は〇・六%の減少となっており、個人消費の鈍化、輸出減少にもかかわらず、それでもGDPが伸びたのは公共投資によるものであります。  連合は、来年の春闘で中小企業の労働組合の賃上げ要求を、月給ベースで九千五百円を目安に、ここ数年では最も大きな額を示しております。しかし、円安効果により収益を上げてきた大企業は、前向きな姿勢を見せながらも、ベア実施ではなくボーナスでの対応が多いのが現状で、中小企業においては、厳しい経営環境が改善されていないこともあり、慎重な姿勢となっております。政府は、アベノミクスによって景気回復が進んでいると評価しておりますが、地方に実感はありません。  本県における雇用拡大、賃上げの現状についてどのように捉えているか。また、国の経済対策にどのようなことを望まれるのか。さらに、県としても経済の好循環を生むための積極的な対応が求められますが、知事の見解をお聞かせください。  安倍首相は、十一月八日の全国知事会で、来年四月からの消費増税で、地方の大半の自治体は税収増に伴い地方交付税が減るのに対して、東京都などは大幅な税収の増となり、一段と財政力格差が広がることから、これを是正するために、地方税である法人住民税の一部を地方交付税の原資に繰り入れて、地方に再配分するとともに、消費増税までの暫定措置であった法人事業税の一部を国税化して地方に再配分している地方法人特別税制度について、当面継続するとの方針を説明しました。  これに対して東京都の猪瀬知事は、「自主財源を減らすのは地方分権に逆行する」と強く反発し、神奈川県や愛知県、大阪府も同調しております。税収が少ない自治体は、今回の方針を支持するところが多く見られますが、本来、税収の偏在による財政力格差の是正は、自治体間の財政調整のみに頼るのではなく、地方交付税の強化や国から地方への税源移譲が基本となるべきであります。その上で、全国知事会が提案している消費税と地方法人課税の税源交換や、地方共有税の創設などの抜本的な改革が必要であると思います。  知事の地方税制についての基本的な考えをお聞かせください。また、年末に決定される国と地方の税源の改正問題に対してどのように考えているのか伺います。  来年度の地方財政計画の策定をめぐっては、財務省が強く求めている歳出特別枠と交付税の別枠加算の解消が大きな焦点となっております。  地方税制審議会会長を務める神野直彦東大名誉教授は、「地方交付税が発足した時点では法定率は二〇%であったが、高度成長期には引き上げられていく。ところが、高成長が終わると交付税の総額不足は、一九七五年度に借り入れ方式が導入され、二〇〇一年度からは総額不足の二分の一を中央政府が、二分の一を地方自治体が臨時財政対策債の起債で補填することとなった。二〇〇八年度には福田内閣が歳出特別枠として地方再生対策費を設ける。二〇〇九年度には麻生内閣が、歳出特別枠の拡大に加え、交付税に別枠加算を設けた。リーマンショック後の危機対応モードで設けられたことを理由に、平時モードに切りかえるというのであれば、法定率の引き上げによって交付税総額を確保するという本来の秩序を取り戻す改革に踏み切るべきである」と主張しております。  知事の地方交付税総額の安定的な確保のための基本的な考えを伺います。  また、来年度の歳出特別枠と別枠加算の維持とともに、臨時財政対策債に頼らない財源確保についてどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。  十月十二日に新藤総務相と地方六団体代表による意見交換会が開かれ、新藤大臣は、国家公務員並みの給与削減を地方に求めた要請は今年度限りの措置であり、ペナルティーはないとしてきたにもかかわらず、来年度から導入予定の行革努力に対する地方交付税算定に関して、「国の要請に対する協力状況を交付税算定に反映させる」と表明したと報じられております。  これまで地方は、国に先駆けて独自に給与カットや人員削減に取り組んできたものであり、今後、国の人件費削減の地方への押しつけの道を残し、地方の自主的な行革努力ではなく交付税の算定で行革を誘導するようなやり方は、地方自治を否定することにつながるものであり、行うべきではないと考えますが、見解を伺います。  伊藤知事は来年度、知事就任十年目を迎えられます。知事は就任以来、財政再建に努力されてきましたが、依然として県債残高は多く、公債費は高水準で推移し、扶助費も増加傾向にあり、国の財政再建至上主義のもとで厳しい財政運営が続きます。  知事就任十年目を迎える来年度の当初予算編成はどのような基本的考えで臨まれるのか、来年度の県税収入はどの程度を見込んでおられるのか、お聞かせください。  また、女性の視点と感覚を県政に反映させるために設置された「かごっまおごじょ委員会」において議論が行われ、今後、知事へ提言される予定ですが、特徴的な提言はどのようなものがあるのか、その中から来年度の予算編成に反映されるものはどのようなものとなるのかお伺いします。  これで、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 28 ◯知事(伊藤祐一郎君)徳洲会グループの公職選挙法違反事件に対する所感についてのお尋ねがございました。  今回の徳洲会グループの公職選挙法違反容疑の件などにつきましては、現在捜査中であり、私がコメントすることは差し控えたいと考えております。  平成二十六年度の予算編成への対応についての御質問がございました。
     県の財政状況につきましては、高齢化の急速な進行や医療費の増による扶助費が引き続き増嵩する傾向にあることや、公債費も引き続き高水準で推移することが見込まれることなどを踏まえますと、今後とも厳しい財政状況が続くものと見込まれるところであります。  このような中、来年度の当初予算編成に当たりましては、国の動向を注視しつつ、引き続き、行財政運営戦略に基づき、歳入・歳出にわたる行財政改革に取り組みますとともに、地方交付税や国庫支出金等の財源の確保に努め、経済情勢の変動や各般の制度改正にも的確に対応しながら、従来の諸施策に加えまして、医療、介護、福祉、教育等の新たな行政需要に重点を置き、マニフェストに基づく各施策の推進が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。  また、来年度の県税収入につきましては、税率引き上げによる地方消費税の増収が見込まれているところではありますが、本年度の税収動向や経済情勢の推移、税制改正の影響や地方財政計画なども踏まえて、今後、適切に見積もっていきたいと考えております。 29 ◯保健福祉部長(松田典久君)社会医療法人を認定する県としての現時点の認識と今後の対応についてでございます。  社会医療法人については、救急医療や僻地医療など特に地域で必要な医療の提供を担う法人として、都道府県知事や厚生労働大臣が認定しているところであります。本県では、徳洲会グループの医療関係十六法人のうちの一つである鹿児島愛心会を、地域の救急医療を確保するという観点から社会医療法人として認定しております。現時点では社会医療法人の認定要件に違反する事実が確認されていないことから、捜査の進展を見守ることとし、今後の対応につきましては、医療法を所管する厚生労働省等とも連携しながら、検討してまいりたいと考えております。  離島を中心とする地域医療や福祉に責任を持つ県としての準備についてでございます。  徳洲会グループの中で県内の医療関係の法人は、医療法人徳洲会が七病院二診療所、特定医療法人沖縄徳洲会が一病院、社会医療法人鹿児島愛心会が四病院十診療所を開設しております。また、福祉関係の法人は十一法人百九の施設事業所となっております。  県としましては、徳洲会グループにおいて、これまでどおりの医療・福祉サービスの提供を継続されるよう努力していただきたいと考えており、今後とも情報を収集しながら、市町村、関係団体と連携して、離島を中心とした地域の医療と福祉が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。 30 ◯総務部長(稲原 浩君)農試跡地の売却に係ります関係者からの意見についてでございます。  医師会からは去る九月二十七日に、医療法人徳洲会からは十月一日に意見等が出されたところでございます。その中で、医師会からは当該医療法人が進出することに対する強い懸念などが、同法人からは、移転するとした場合の新病院の機能等が示されたところでございます。  一般競争入札に当たり、意見を聞く理由についてでございます。  農業試験場跡地三十二、二十五、二十六街区につきましては、一般競争入札による売却とすることとしておりますが、その売却方法を検討する過程において、医師会などを中心に、医療法人徳洲会が進出することに対し強い懸念が示されたところであり、こうした状況を踏まえ、双方より意見等を出していただき、必要に応じ調整を図ることとしたところでございます。  もとより、今回の売却方法は一般競争入札によることとしていることから、落札者については予測できないところでございますが、医師会等が当該法人の進出を懸念している以上、このような手続をとることもやむを得ないと考えております。  続きまして、地方税制についての基本的な考え方などについてでございます。  地方税は、地方自治体が地域に必要な行政サービスを確実に提供できるよう十分確保されることが必要であることから、消費税など偏在性が小さく税収の安定性を備えた税源を国から地方へ移譲するなどの方法により、その充実・確保を図ることが重要であります。その上で、地方税制の見直しのみでは、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、全ての地方公共団体が一定のサービスを提供するための財源を確保することは困難でございますことから、地方交付税の持つ財源調整機能と財源保障機能を強化し、自主財源に乏しく財政力が低い地方公共団体の財源を確保する必要があると考えております。  このようなことから、偏在是正の方策としては、本来、偏在性の小さい地方消費税の充実、または消費税に係る地方交付税法定率分の地方消費税化と、偏在性が大きい法人住民税法人税割の地方交付税原資化による税源交換によることが基本と考えておりますが、今回の税制抜本改革においては既に地方消費税の税率引き上げが決定していることを踏まえますと、法人住民税法人税割の一部の地方交付税原資化を図る必要があると考えております。  県といたしましては、同税の交付税原資化に当たっては、地方税財源の偏在是正が確実に図られるよう地方交付税が配分される必要があると考えております。  地方交付税総額の安定的確保についてでございます。  平成二十五年度の地方財政につきましては、十三・三兆円の財源不足が生じており、国の一般会計から九千九百億円の別枠加算や臨時財政対策債等による補填が行われているところでございますが、県といたしましては、地方交付税総額の安定的な確保を図るためには、このような毎年度の地方財政対策による措置ではなく、法定率の引き上げなどによる恒久的な措置が講じられる必要があると考えております。  また、地方財政計画における歳出特別枠は、地方公共団体が地域経済の活性化や雇用機会の創出を図るなど、地域の実情に応じた事業を実施することができるよう設けられているものであり、依然として厳しい地方の雇用・経済情勢を踏まえますと、引き続き地方が雇用・経済対策を講じることができるよう、その維持・確保を図る必要があると考えております。  こうしたことから、県としては、地方交付税の法定率の引き上げや歳出特別枠の維持・確保などを通じて、地方交付税を含む地方一般税源総額の確保が図られるよう、県開発促進協議会全国知事会等を通じて、国に対して強く要望しているところでございます。  行革努力を反映した地方交付税の新たな算定についてでございます。  地方交付税における新たな算定の仕組みにつきましては、国が本年六月に策定した「経済財政運営と改革の基本方針」において、新たに、行革努力と地域経済活性化の成果の観点から算定を行うこととし、平成二十六年度予算から取り入れることとされており、現段階で具体的な指標や算定方法について明らかにされていないところでありますが、同様の観点に立った算定の仕組みは、平成十九年度から三年間取り入れられていたところでございます。  県としては、地方交付税の算定に行革努力を反映することは、地方公共団体が標準的な行政水準を確保できるようにするという地方交付税の性格を踏まえ、地方が行革の取り組みを通じて、地域経済の活性化に要する経費などの財源を捻出してきていることを捉えて行われるものであると考えており、その算定に当たりましては、地方公共団体の地域経済活性化の取り組みに必要となる財政需要が的確に把握される必要があると考えております。 31 ◯警察本部長(杉山芳朗君)徳洲会グループの公選法違反事件に対する認識についてです。  お尋ねの件につきましては、そのような報道がなされていることは承知しておりますが、個別の案件についての答弁は差し控えさせていただきます。  なお、一般論として申し上げれば、警察は、刑罰法令に触れる行為については、法と証拠に基づいて適切に処理するものと承知しております。 32 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)雇用、賃上げの現状と県の対応についてでございます。  本年十月の有効求人倍率は〇・七一倍と、前年同月に比べ〇・〇五ポイント増加いたしまして、緩やかな改善状況にありますものの、全国平均を〇・二七ポイント下回っている状況にございます。また、来春の新規高卒者の十月末現在の就職内定率は七三・四%と、前年同月比三・二ポイント増となっておりますものの、依然として厳しい状況にございます。  県内労働者の賃金の現状につきましては、県が行いました夏季一時金調査におきましては、対前年比五・四%の増となりましたものの、県内企業における九月の一人当たり所定内給与は、国の毎月勤労統計調査によりますと、昨年の同時期と比べ〇・一%の減となっておりまして、賃上げといった動きが確認できる状況にはございません。  現在、国におきましては、消費税率の引き上げに当たって、デフレ脱却と経済再生に向けた取り組みをさらに強化するため、新たな経済対策の策定等に取り組んでおりますが、景気回復の動きが確実なものとなりますよう、金融財政政策と成長戦略の効果を全国に波及させ、地域経済の活性化と雇用の安定・確保が図られることを期待しているところでございます。  県といたしましては、国の経済対策にも呼応しながら、地域経済の好循環が生まれますよう、本県企業の九九・九%を占めます中小企業振興施策の推進に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 33 ◯企画部長(古川仲二君)「かごっまおごじょ委員会」の提言等についてでございます。  女性の方々の知恵や感覚を県政に一層生かすため、昨年十二月に、県内在住の女性四十一名による「かごっまおごじょ委員会」を設置し、県政全般に関する政策提言の取りまとめに向けて、「観光・文化」や「農業・食料」などの六つの分科会で熱心な御議論をいただき、先月末に開催いたしました第五回委員会におきまして、各分科会から提言案の報告とそれに対する意見交換が行われ、提言内容が了承されたところでございます。  提言案には、鹿児島をもっと元気にするために委員の方々からのメッセージとして、一つ目に、鹿児島の魅力をまず県民自身が知ることが大切、二つ目として、次世代に鹿児島の類いまれな自然や伝統文化などを引き継ぐためには、地域に根差した教育が大切、三つ目として、職場や地域において自己実現を図っていくために、鹿児島の女性がもっと強くしなやかになることが必要との三点が示されますとともに、郷土の食文化への関心を高め、次世代に継承していくための「鹿児島の食」の制定や、女性がキャリアを中断した際の職場復帰を支援するために「ならし運転」のような研修が必要であることなどが盛り込まれているところでございます。  県といたしましては、今後提出される提言を踏まえ、関係各部局と連携しながら、具体的な施策の展開に向けて検討を行うとともに、今後、さまざまな形で県政に生かしてまいりたいと考えております。    [まえの義春君登壇] 34 ◯まえの義春君 徳洲会の選挙違反事件については、残念ながら伊藤知事の所感も、そして杉山本部長の見解も聞かれませんでした。  徳田毅議員は、まずは国民有権者の前で説明責任を果たし、政治家としてきちんとした責任をとるべきであります。事件の展開次第では本県の医療や福祉に大きな影響が出てまいります。県としても、しっかりとした対応策を検討されるようお願いいたします。  予算編成に関してですが、国と地方の財政赤字は、歴代自民党政権下での借金による公共事業の推進と、小泉構造改革による交付税の大幅削減によるものであります。地方独自の財政再建の努力を否定し、国の責任を地方に押しつける税・財政制度ではなく、地方分権の立場に立った抜本的な改革を求めるものであります。  次の質問に移ります。  十一月十二日に開催された都道府県議会議員研究交流大会での主たる問題意識は、急激な社会のグローバル化の中における人口減少問題であり、特に労働力人口の減少は加速度的に進行する、その中で将来を見据えた地域社会をどのように構築していくかが問われているというものでした。  本県の実態に即した人材育成に重要な役割を持つ高等教育機関の一つが鹿児島県立短期大学であります。これまで県内唯一の県立大学として卒業生一万四千人を送り出し、県内外で活躍する多くのすぐれた人材を輩出し、県民からも高い評価を受けております。少子化の影響で学生の確保が困難になってきており、鹿児島の将来を担う人材育成のために県立短大がどのような役割を担っていくかが問われております。  そこで伺います。  鹿児島県内の高校卒業生の大半が県外に流出する現状を見るとき、我が県の特性を十分踏まえ、その発展に寄与する社会人・職業人を育成するためには、県立短期大学の充実・強化が必要であります。本県の教育振興計画の「教育内容の充実と魅力ある県立短期大学づくり」のために、以前に検討された四年制大学も含め、県立短大の将来をどのように構想されているのか、その認識をお聞かせください。  ことしの三月議会でふくし山議員が、奄振六十周年を機に、「奄美学」を学ぶ高等教育の拠点づくりとして、県立短大地域研究所での研究実績なども踏まえ、「奄美学科」の設置をも展望して、当面、公開講座の開設を提案しました。これに対して総務部長は、「その実施について検討する」と答弁されました。その後、どのような検討がなされたのか、開設に向けてのスケジュールも含めて伺います。  地域社会のニーズに合った高等教育の展開を図るためには、それを保証する財源が欠かせません。しかし、県立短大の教育研究費は、平成十六年度と比較すると平成二十五年度は五四・八%と半額となっております。また、研究のための旅費や備品購入費は半額以下であり、これでは県民の期待と地域のニーズに応える教育は困難だと考えます。この教育研究費の拡充が必要でありますが、見解をお伺いします。  グローバル化した世界の中で鹿児島県がしっかりとした地歩を築く上では、海外との交流は欠かせません。現在、県立短大では、ハワイ大学への語学研修や、南京農業大学とは交換留学協定を結び学生の派遣と受け入れを行っておりますが、全て自費とのことであります。このような交流はますます活発化しなければなりません。そのためには、留学に関しての経費を補助し、少しでも多くの学生が参加することによって国際人教育のレベルアップを図る必要がありますが、見解をお伺いします。  県立短大は、現キャンパスに移転してから六十三年経過します。図書館は近代的に整備されましたが、障害のある学生を受け入れる要約筆記者の配置などソフト面や、エレベーター設置、洋式トイレ化などハード面のバリアフリー化を進める必要がありますが、今後、どのように取り組んでいかれるかお聞かせください。  原子力災害対策特別措置法の見直し後、初の国主催の原子力総合防災訓練が、本年十月十一日、十二日に川内原子力発電所を対象に実施されたところです。今回の訓練においては、福島第一原発の事故の際、交通渋滞などで避難体制が混乱し、高齢者が避難中に死亡するケースが相次ぎ、情報がスムーズに届かず、避難がおくれて住民が被曝する地域があったことなどを教訓化した訓練が求められておりました。また、事故後の被曝及び除染の問題は、現状を見たときに極めて重たい課題として横たわっております。起こってはならない事故が現実に起きてしまったことを冷厳な事実として受けとめ、いつ事故が起きても対応できる体制を構築しておくことは最重要課題でもあります。  そこでお尋ねします。  今回行われた原子力総合防災訓練の結果と課題について、総括的な認識をお聞かせください。  福島原発事故において、課題として浮き彫りにされていた要援護者の避難について、今回の訓練はどのように対応され、明らかになった課題は何なのか。また、今回は川内原発二号機が事故及び被害発生原因として特定されておりますが、二号機に加え一号機の事故や、台風などと複合した事故も想定した訓練が避けられないと思いますが、認識をお聞かせください。  私は先般、福島原発事故による森林や農地の汚染土壌の除染が行われている現状を視察しました。遅々として進んでいないのが実態でありました。このことから、万が一放射能が放出された場合、汚染範囲とその程度の把握、除染の具体的方策、除染で生じる汚染土の中間貯蔵施設を検討しておくことが重要であります。見解を伺います。  知事は十一月八日の定例会見で、「川内原発の再稼働に際しては、国による住民説明会で、県による独自のアンケートを実施し、その結果を踏まえる」と表明されました。また、「住民に十分納得してもらうことが前提である。異論、反論が余りにも全体を占める場合には動かしようがない。薩摩川内市長や市議会も再稼働を判断できない」とも発言しておられます。これまでの主張から、より踏み込んだ内容となっておりますが、その真意とアンケートの質問内容、得られた結果への対応など、全体的なスキームをお示しください。  小泉元首相が「原発、即ゼロ」を主張しています。その概要は、「原発即ゼロに反対しているのは自民党だけ、安倍総理が原発ゼロにすると方針を決めれば誰も反対できない。放射性廃棄物の処理・処分方法は技術的には決着しているが、処分場が見つからない。政治の責任で見つけなさいというのは楽観的で無責任だ。多くの再稼働はできない。再稼働すると核のごみもふえていく。再稼働は中止する。原発に向けた費用をさまざまな再生可能エネルギー開発に振り向けていけばいい。日本の企業は技術を持っている。多少コストが高くても日本国民は協力する」というものであります。  いずれも私どもが主張してきたことと同様でありますが、伊藤知事は、この小泉元首相の主張についてどう認識されるか、お聞かせください。  県内の建設現場では人手不足が深刻化しております。特に建築関連の技術者や技能者が足りず、公共工事でも入札不調が増加し、民間工事では建設コストが高騰しており、人件費の高騰が主な原因と言われます。  ことしに入り、全国的に公共・民間とも建設投資が急増して、需給バランスが崩れている現状にあります。九月の建設労働需給調査によりますと、型枠工や左官、鉄筋工など六職種の過不足が九州では一四・九%の不足となり、全国で唯一、二桁となっております。  そこで伺いますが、今年度の公共事業発注においても入札の不成立が発生しております。県発注の公共工事における最新の入札不調件数を具体的に示してください。また、不調となった公共事業における今後の手続も含めてお答えください。  現場技術者不足の対応策として、発注者側の配置要件のさらなる緩和などが求められますが、現状を踏まえ、どのような対策を講じるのか見解を示してください。  建設業者間では、仕事があるのは今だけ、中長期的な建設投資の見通しが示されなければ、技術者の確保にも踏み切れないなどの声もありますが、伊藤知事はどのような方向性を持っておられるのか見解を伺います。  県職員の採用試験に平成二十四年度から新設された「上級・総合行政」について質問します。  これは、従来の土木技術職を対象としていた「上級・土木」の区分に、専門性を持ちながら県政の幅広い分野で活躍できる幹部を養成するためのものであると聞きました。  主な職務内容を見ますと、予算の作成、各種施策の企画立案、人事管理、県税の徴収、福祉の相談・指導など、従来行政の事務職が担ってきたあらゆる業務に従事することになっております。既に三名が採用されて、職名は主事として発令され、それぞれの職場で仕事に携わっております。  そこでまず、上級・総合行政として試験・採用された目的及び職場配置されて以降の職務内容は、将来にわたっていわゆる事務系の業務を担う行政職としての位置づけになるのか伺います。  公共施設の長寿命化や災害多発への対応など、ますます技術力の高度化と技術者の確保が重要になる中にあって、せっかく大学等で土木工学を学んだ専門性が、職名上も行政事務に従事していくことになれば、日々進歩する技術を学ぶ機会が失われ、専門性を発揮できなくなるおそれがあります。大変忙しい職場環境の中にあって、このような懸念を払拭し、向上する土木技術を習得させ、生かすための方策はあるのか、具体的にお示しください。  県内の市街化区域やDID区域内の道路整備手法として都市計画街路事業が幅広く活用され、整備が行われております。  小泉政権の三位一体改革のあおりを受けて、平成十六年度には本県の財源不足額が四百五十一億円に達するなど、地方交付税の減額は地方の財政状況を一層硬直化させ、さまざまな県の施策に影響が及びました。たしか平成十九年度事業分からと記憶するのですが、伊藤知事の決断で、全体事業費に占める用地補償費の割合、つまり用地補償費率が高い道路整備は当分の間、凍結する措置が行われました。  以来、既に七年を経過するわけですが、現在の社会資本整備は補助金制度から交付金制度へ移行し、地方施策の優先度、選択と集中など、より機動性が発揮しやすい制度へと変貌してきております。  そこで伺いますが、県内で平成十九年に事業見直し対象となった街路事業は何路線あったのか。その後、事業再開した路線数は何路線か。そして、現在なお事業化のめどが立たない路線数、具体的な路線名、未整備の延長、概算事業費もあわせて明らかにしてください。  一方、まちの二十年、三十年の大計に立った都市計画道路として、法的な制限も余儀なくされ、建築制限を受ける関係権利者の声は悲痛でもあります。事業化を進める上で、ほかの路線に比べて何が課題として残されているのか。地元自治体や関係者の努力すべきこと等はないのか。今後、事業化に向けた具体的な取り組み方針を示してください。  十月十日の自民党TPP対策委員会では、米など重要五品目の関税撤廃の可否について、細かく分類した五百八十六品目ごとに精査する方針を決めたとされております。さきの参院選で五品目を聖域として守ると公約してきたことに対して、高市政調会長は、「公約に全品目の関税を撤廃しないとは記されていない」との認識を示し、西川TPP対策委員長は、「五百八十六品目について私は切るとは言わない。それは政府の判断だ」、小里農水政務官は、「頭の体操をしようということだ」と述べております。この一連の発言は、明らかに、重要五品目のうち生産者への影響が少ない一部の品目の関税撤廃にかじを切ったものであり、公約の方針転換であります。  伊藤知事は十月の記者会見で、「五百八十六品目を聖域五品目として取り扱った以上、最大限尊重すべきだ。約束したことは守っていただきたい」と述べておられます。十一月二十二日の県開発促進協議会の政府等への要請行動では、「重要品目は従来どおり関税撤廃の例外品目として取り扱い、国益が十分に担保されない場合には、交渉からの脱退も辞さないこと」と主張されたと聞きます。  そこで伺います。  政府・自民党で検討されている方針転換について、知事はどのように評価されているのか、見解をお聞きします。  年内の交渉妥結に向けて、シンガポールなど十カ国とアメリカは全ての関税撤廃と猶予期間を提示したとの報道もありますが、政府・自民党の方針転換の中にあって、このような提示内容を受けて重要五品目を守る選択肢があるのか。守れない場合、脱退すべきとしてきた対応策は、交渉が大詰めを迎える中で判断できるのか、今後のTPP交渉への県としての方針をお示しください。  TPP交渉をにらんで、これまでの農業政策が大きく転換しようとしております。供給過剰によって値崩れを防ぐために導入されてきた米の減反政策を五年後に廃止するために、関連する補助金を段階的になくし、財源を飼料用米など転作支援に振り向ける。また、小規模の分散農地や耕作放棄地を借り受け、必要なら大区画の圃場整備を行うなど、農地の貸し借りを仲介し、担い手への集約を加速することを目的とした農地中間管理機構を都道府県に設置する制度導入であります。  これらは農業の大規模化を促進し、国際競争力のある農政への転換を図るものでありますが、本県では高齢化とともに耕作放棄地が拡大し、中山間地域と小規模農家が多く、大消費地に遠いなど課題が山積しています。このような現状のもとで、新たな政策転換に対応した本県農政をどのように推進していくのか、それぞれの課題とあわせて伺います。  平成二十四年三月策定された第四次土地改良区、統合整備基本計画では、農業水利施設等の老朽化が進み、施設の長寿命化や適切な維持・更新への対策も大きな課題であり、土地改良施設を適切に維持管理していくため、土地改良区の合併等、統合整備を積極的に推進し、組織運営体制の合理化・効率化による運営基盤の強化を図るとしております。平成六年を初年度とする土地改良区の統合整備計画は、現在の第四次計画内の来年度で二十年を迎えることになります。  そこで伺いますが、第一次計画から第三次計画までの計画年次別の実績とその評価を明らかにしてください。TPP交渉の行方とともに、減反政策を初めとした国の農業政策そのものが転換期を迎えますが、第四次計画における統合目標と、再編後の見込まれる効果、そして現統合再編計画の見直しを含めた今後の方向性と県の対応を示してください。  一方、本県における土地改良区の設立実態は、その多くは中山間地域を含み、比較的小規模な面積や組合員数で構成されております。しかし、再編を希望する小規模土地改良区では財政基盤も乏しく、国や県の助成に頼らざるを得ない現状であります。合併を推進する上で、補助対象要件である合併再編後三百ヘクタール以上の区域面積が大きな足かせとなり、合併が進まない実態があります。  そこで伺います。  再編を進める県の取り組みとして、本県の実態に即した補助対象要件の緩和は考えられないのか、見解を伺います。  以上で、二回目の質問とします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 35 ◯知事(伊藤祐一郎君)住民説明会でのアンケートの真意と全体的なスキームについてのお尋ねがございました。  原子力発電所につきましては、安全性の確保が大前提であり、再稼働に当たりましては、まずは国が安全性を十分に保証いたしますとともに、公開の場で住民の方々に十分な説明を行い、理解を得ていく必要があると考えております。  住民説明会におきましては、国による説明内容に理解が得られたかなどにつきまして、アンケート調査を行いたいと考えております。  再稼働を判断するに当たりましては、新規制基準適合性についての審査の結果、安全性に対する国の説明及び説明会での参加者の反応やアンケート結果、県議会、薩摩川内市議会、薩摩川内市長の意向などを総合的に勘案して、判断してまいりたいと考えております。  小泉元首相の主張いたします、原発即ゼロについての知事の認識についてのお尋ねであります。  国のエネルギー政策につきましては、現政権が六月十四日に閣議決定いたしました成長戦略におきまして、年内を目途に新しいエネルギー基本計画を策定し、中長期的なエネルギー政策の軸、方向性を明らかにすることとされているところであり、引き続きその議論の推移を見守ってまいりたいと考えております。  私といたしましては、今後のエネルギー政策は、原発即ゼロは難しいとしても、前政権において取りまとめられました「革新的エネルギー環境戦略」のとおり、基本的には、現行法令に基づき、原子炉の運転期間を原則として四十年とするとともに、新増設は行わないこととした上で、現在のエネルギー基本計画における目標期間であります二〇三〇年の時点において、脱原発を前提としつつ、エネルギーのベストミックスの観点から、将来のエネルギー基本政策を検討すべきであると考えております。その際には、再生可能エネルギーの普及状況や産業社会への影響、エネルギーの安全保障等を考慮し、どのようなエネルギーミックスが可能かを国を挙げて検討することが重要であると考えております。  また、放射性廃棄物の処理につきましては、国が長期的な視点に立って、しかるべき対策等を責任を持って樹立すべきであると考えているところであります。現在、国は、総合資源エネルギー調査会放射性廃棄物ワーキンググループ等におきまして、最終処分の取り組みの見直しに向けた検討を行っているところであり、今後の議論の動向を注視してまいりたいと考えております。  TPP交渉についてのお尋ねがございました。  TPP交渉につきましては、衆参両院の農林水産委員会で、米などの農林水産物の重要品目につきまして関税撤廃の除外または再協議の対象とすることや、農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先することなどを決議しており、林農林水産大臣は、「決議をしっかりと踏まえて、全力で交渉に当たっていきたいという考えは変わっていない」と、十一月一日の会見で述べられているところであります。私といたしましては、政府においては、国会の決議を踏まえ、しっかりと国益を守る交渉をしていただきたいと考えております。  本県におきましては、米やサトウキビ、でん粉用サツマイモ、牛肉、豚肉などの重要五品目に係る関税が撤廃されますと、地域経済に多大な影響を受けますことから、これらの農畜産物につきましては、従来どおり関税撤廃の除外品目として取り扱われるよう、これまでも繰り返し国に要請しているところでもあり、このような国益が十分担保されない場合は、交渉からの脱退も辞さないこととすべきであると考えております。  今後とも、国会における議論や交渉の状況などを十分に注視いたしますとともに、県議会の皆様や県選出の国会議員、関係団体の方々とも連携いたしまして、県として必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。 36 ◯総務部長(稲原 浩君)県立短期大学の将来構想についてでございます。  県立短期大学は、南九州唯一の公立の短期大学として開学して以来、数多くの人材を輩出し、卒業生も広く県内外で活躍するなど、教育水準の向上や地域の発展に大きく貢献してきていると考えております。
     四年制大学の設置につきましては、入学者の確保や他大学への影響、設置に当たっての初期投資や運営費に係る財政負担などの問題から、困難であると考えておりますが、県としては、今後とも魅力ある県立短期大学づくりのために、情報関連科目など教養教育と専門教育の有機的連携による質の高い教育、外国の大学との学術交流による国際感覚の醸成を進め、課題探求・解決能力を有し、地域社会に貢献できる人材の育成に取り組み、地域社会の発展に寄与できるよう努めてまいりたいと考えております。  奄美での公開講座についてでございます。  奄美地域での公開講座の実施に当たりましては、開催の時期や教員の確保、テーマの選定などの課題があり、現在、その解決に向けて検討を進めているところであります。具体的には、開催時期について、教員や在学生への影響を少なくするためには大学の夏期休業期間中に行うことも検討しておりますが、通常の公開講座よりも短期間で開催することとなりますことから、担当する教員の確保や地元の方々に魅力的な講座の内容について検討を行っております。  なお、県立短期大学におきます奄美に関する取り組みといたしましては、去る十一月二十日に、県立短期大学の学生や奄美出身者など一般の方々も含め、約百人が参加した奄美群島本土復帰六十周年に関する学術講演会を大学で開催し、奄美における米軍統治や復帰運動に関する講演のほか、学生が聞き取った当時の体験談の公表や、復帰を求めた当時の署名簿の紹介などを行ったところでございます。  教育研究費の拡充についてでございます。  平成十六年度以降、県におきましては、県政刷新大綱等に基づき、より効率的な業務の執行と経費の削減に努めてきたところであり、その中で、県立短期大学の教育研究費も含んだ一般政策経費の削減を行ってきたところでございます。  そうした中、厳しい財政状況にあることも踏まえ、本県の試験研究機関と同様に、国の競争的資金を最大限活用することとし、同大学では科学研究費補助金の積極的な獲得に努めているところでございます。その結果、平成二十四年度の教育研究費と科学研究費の総額は、平成十六年度比で約一四%減となっているものの、平成二十年度と比較した場合、約三〇%の増となってございます。  引き続き、厳しい財政状況にございますが、科学研究費を含めた県立短期大学の研究費の確保に努めてまいります。  海外交流の推進についてでございます。  県立短期大学では、ハワイ大学コミュニティカレッジにおける語学研修を実施しておりますほか、南京農業大学との間で交換留学を実施しております。学生が海外研修や留学を検討する際には、留学等に伴う在学期間の長期化や、留学先の治安情勢、また渡航に伴って必要になります旅費等の経済的負担を考慮しているものと承知しておりますが、同大学学生部では、特に経済的負担への支援を必要とする学生に対し、日本学生支援機構による奨学金制度を紹介しているところでございます。  県としては、学生に対し、海外留学に当たっての懸念を少しでも解消できるよう取り組み、今後とも海外交流の促進を図り、国際的な視野の広い人材の育成に努めてまいりたいと考えております。  バリアフリー化についてでございます。  現在、県立短期大学に在籍している聴覚障害のある学生に対しましては、講義時における前列の席の確保や、聞き取りが可能となるよう教員が発声するなどの対応により、授業に特段の支障が生ずることなく学生生活を送ることができていると承知しております。  施設整備につきましては、これまで、エレベーターや身体障害者用のトイレを設置いたしますとともに、車椅子用のスロープの設置に合わせました自動ドアの整備などを行ってきたところでございます。  厳しい財政状況のもと、施設等につきましては、今後とも必要性の高いものから整備を検討する必要がございますが、予算の効率的な執行により対応できるバリアフリー化につきましては、引き続き推進に努めてまいりたいと考えております。  土木の専門性を有する総合行政の採用等についてでございます。  土木行政の分野におきましては、社会資本が地域社会に与える影響が大きいことから、職務を遂行するに当たっては、かねてより、技術面の素養に加え、法制度の理解や他の行政分野との連携が必要とされてきたところでございます。特に昨今の複雑・多様化する県民ニーズに的確に対応していくためには、土木分野に加え、幅広い分野の業務に従事することで、総合的な行政能力を備えた職員を育成する必要があるものと考えております。  このため、平成二十五年度の採用から、従来の「上級土木」につきましては、「上級行政」とあわせて採用試験を行うこととし、新たな試験区分として「総合行政」を創設したところでございます。  新たに採用した職員は、今後、土木部門に加え、さまざまな部門に配置することにより、土木の専門性を生かしつつ、より広範な視野を持って幅広く活躍していくものと期待しております。  総合行政の土木技術の習得等についてでございます。  土木系の学科を修了し、総合行政として採用される職員は、今後、土木部門に加え、さまざまな部門に配置することとしており、専門的かつ総合的な行政能力を涵養する必要があると認識しております。このため、幅広い分野に関する研修の機会を提供することとしておりますが、御質問のございました専門分野に関する技術の習得に関しましては、土木部門に配置している間は、さまざまな研修への参加や業務を通じた技術習得の機会の確保などに努めることとし、他部門に配置している間におきましても、当該業務に関連する技術研修に参加させるなど、その能力の向上を図ることとしております。  引き続き、技術の進歩等も踏まえつつ、職員の育成に合わせた、より効果的な研修のあり方を考えてまいりたいと考えております。 37 ◯危機管理局長(屋島明人君)原子力総合防災訓練の結果と課題等についてでございます。  原子力総合防災訓練については、国の主催で百三十の防災関係機関、約三千四百人が参加して実施されたところであります。今回の訓練では、新たな取り組みとして、実時間実働訓練を実施したほか、テレビ会議による情報の共有や対応の協議など、緊張感を持ちつつ臨場感のある有意義な訓練ができたものと考えております。  また、要援護者の避難訓練として、PAZ圏内の病院、福祉施設、保育所や在宅の要援護者の避難訓練、UPZ圏内の福祉施設入所者の避難訓練なども実施しました。  訓練結果については、国や本県において研究会が開催され、避難の手順、広報・周知や情報連絡体制の明確化、要援護者避難の場合における避難先までの移動途中に発生し得る障害についての検討の必要性などについて、意見交換を行ったところであります。  複合事故等を想定した訓練については、県地域防災計画で定めている原子力発電所に係る複合災害時対策や、国、他県の状況等を踏まえて、今後検討してまいります。  県としては、今回の訓練の成果や課題を今後の県地域防災計画の見直しや次回の原子力防災訓練に反映させて、原子力防災対策のさらなる充実・強化に積極的に取り組んでまいります。  放射能放出による汚染範囲の把握や除染方策等の検討についてであります。  福島第一原子力発電所の事故を受け、放射性物質による環境汚染への対処に関する特別措置法が平成二十三年八月に制定され、現在、国の責任において、福島原発からの放射性物質により汚染された廃棄物及び土壌等の処理、除染等が行われております。  また、同特措法の附則においては、放射性物質により汚染された廃棄物、土壌等に関する規制のあり方や放射性物質に関する法制度のあり方について、国が抜本的見直しを含めて検討を行い、所要の措置を講ずるものとされております。  放射性物質による環境汚染への対応については、原子力政策を総合的に担う国において検討が進められるべきものと考えており、県としては、今後とも国の動向等を注視してまいります。 38 ◯土木部長(栗原淳一君)入札不調の件数及び今後の手続についてです。  本県発注の建設工事の入札において、入札参加者が全員辞退するなど、入札が成立しなかった入札不調の件数は、今年度は十月末時点で三十四件となっており、対前年度同月比では二十六件増加しております。これらの入札不調となった工事については、設計内容の見直しや指名業者の変更、発注時期を調整するなどの対応を図った上で改めて入札を行い、落札者を決定しているところです。  現場の技術者の不足対策についてです。  国の経済対策による大幅な公共工事の増で技術者不足が懸念されたため、当面の取り扱いとして、建設業法の運用を拡大し、本年二月に主任技術者の配置要件の緩和を行ったところです。具体的には、工事の対象となる工作物に一体性もしくは連続性が認められる工事、または施工に当たり相互に調整を要する工事であって、工事現場の相互の間隔が五キロメートル程度の近接した場所において施工されるものについて、同一の専任の主任技術者が原則二件程度の工事現場を管理することができるとするものであります。  なお、これまでに、この新たな取り扱いを適用し、十件の工事で兼務を認めたところであり、うち八件が大隅地域となっております。現在のところ、他の地域で著しい不足の状況はないと聞いておりますが、今後とも、現場の技術者の充足状況や建設業界等の要望も踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。  中長期の建設事業投資の方向性についてです。  国土交通省が取りまとめた建設総合統計年度報によりますと、本県における公共投資と民間投資を合わせた建設投資額は、平成十三年度の約一兆八百億円をピークに、平成二十四年度は約五千六百億円まで減少しております。中長期的な建設投資については、国が財政健全化を進める中、今後の地方財政や民間投資の動向が不透明な状況であることを踏まえると、見通すことは困難な状況であります。  このような中、本県の公共事業については、行財政運営戦略に基づき、めり張りをつけた社会資本整備を推進しつつ、国の経済対策も活用しながら、所要の事業量の確保に努めてまいります。  次に、平成十九年に事業見直しとなった街路事業等についてです。  街路事業については、平成十九年度の見直し対象となった六路線のうち四路線の一部区間が事業休止となり、このうち三路線について、計画見直しを行った上で事業を再開したところです。なお、一部区間が現在も事業休止となっているのは、鹿児島市の催馬楽坂線であり、また、各地域振興局における地元調整等を経た要望路線のうち、現在事業化を見合わせているのは、鹿屋市の吾平東西線、寿大通線などがあり、これらの延長はそれぞれ約百六十メートル、約六百六十メートル、概算事業費はそれぞれ約三億円、約二十五億円となっております。  街路事業の課題と事業化に向けた取り組み方針についてです。  平成十九年度の見直しにおいては、用地補償費率が二分の一を超えるものを対象に、事業の緊急性や残事業費等も踏まえながら、今後の整備のあり方を再検討し、一部の路線については休止としたところです。その後、平成二十二年度及び平成二十四年度の国の経済対策に合わせて、市町村と十分調整をした上で、片側歩道での整備や道路幅員を見直すなどさまざまな検討、工夫をし、用地補償費率の見直しやコストの縮減が図られた箇所については、事業を再開したところであります。 39 ◯農政部長(福田博史君)米の減反政策見直しについてでございます。  今回の米政策の見直しにおいて、国は、需要に応じた米の生産を進めるとともに、水田を最大限に活用した生産性の高い農業を実現することを目指しているものであり、本県におきましては、飼料米、加工用米等の生産拡大による水田の有効利用と、低コストで高品質な米づくり等を推進し、需要に応じた米の生産と稲作農家の経営安定を図ることが課題であると考えております。  このため、県としては、県内の畜産業や焼酎産業との連携強化及び流通・利用体制の整備等による飼料用米、焼酎こうじ用米等の生産拡大や、水田における野菜などの産地づくり等の一層の推進に努めるとともに、収量、食味等にすぐれた県民米「あきほなみ」の作付拡大による売れる米づくりなどに、関係機関・団体一体となって取り組み、稲作農家の経営安定と本県の特色を生かした生産性の高い水田農業の確立に努めてまいりたいと考えております。  農地中間管理機構の設置の課題と対応策についてでございます。  農地中間管理機構─仮称─につきましては、十月に農地中間管理機構事業の推進に関する法律案が示されたところであり、県段階に機構を設置し、耕作放棄地を含めて、分散した農地や受け手がすぐに見つからない農地を借り受け、必要に応じて基盤整備などを行い、担い手農家に集約して貸し付けることによって、規模拡大や耕作放棄地の解消を図ろうとするものでございます。  しかしながら、農地の集積・集約を図る上では、中山間地域などでは受け手となる担い手がいないこと、農地の保有意識が高く、出し手が少ないこと、耕作放棄地では不在地主や相続未登記により利用権の調整が困難であること、農地中間管理機構の予算や人材の確保が必要であることなど多くの課題があります。  このため、県としては、農業委員会による農地の貸借等のあっせんを初め、市町村農地利用集積円滑化団体による利用調整や農地集積協力金など、各種制度や施策を活用した取り組みを進めているところであり、今後とも、農地中間管理機構も活用しながら、関係機関・団体と連携を強化し、市町村を中心に策定している「人・農地プラン」に基づき、担い手の農地集積を積極的に進めてまいりたいと考えております。  土地改良区の統合整備計画についてでございます。  土地改良区につきましては、組合員の減少や高齢化による財政基盤や組織体制の脆弱化が課題とされていることから、運営基盤の強化を図るため、平成六年度以降、土地改良区統合整備基本計画を策定し、統合整備を進めているところでございます。  平成六年度を初年度として策定した第一次整備計画では、二百一地区あった土地改良区は平成十五年度までに百七十七地区に、第二次整備計画では平成十八年度までに百六十地区に、第三次整備計画では平成二十三年度までに百四十八地区となり、統合整備が進んできたものと考えております。平成二十四年度には第四次整備計画を策定し、平成二十八年度までに百三十地区に統合整備を進める計画となっております。これにより、県内の土地改良区が管理する区域の約九割を占める四十六地区の土地改良区において、運営経費の節減、運営の効率化などが図られることとなります。  県としては、今後とも、土地改良施設を適切に維持管理していくため、現計画に基づく統合整備を積極的に推進するとともに、必要に応じて計画の見直しも検討してまいりたいと考えております。  土地改良区の統合再編整備事業の補助対象要件の緩和についてでございます。  県では、土地改良区の組織再編整備に当たりましては、国庫補助事業である統合再編整備事業を活用し、その中で、合併協議会開催費や計画樹立費のほか、業務合理化のための施設整備費等を助成しております。  土地改良区の統合整備につきましては、運営経費の節減、運営の効率化など効果が十分に発揮されるよう、国は、おおむね三百ヘクタール以上の区域面積を基本に合併を推進しているところです。補助事業の要件につきましては国が基準を定めておりますが、地域からの具体的な要望があれば、国と協議してまいりたいと考えております。 40 ◯まえの義春君 自席から一点だけ土木部長に再質問してまいりますが、今、答弁にありましたように、やはり用地補償費率五〇%以上というのが大きな足かせになっているということであります。  ここで問題にしたいのは、私は、短区間で残ってしまっている街路について再度お聞かせいただきたいんですが、御案内のように、吾平東西線全長九百メートルあります。七百五十メートルはもう既に済んでいるんです。残り百六十メートルという区間について、これが凍結している状態にあるんです。  部長もぜひ現地を見ていただきたいんですが、カーブで、そして歩道がないんです。先のほうは歩道が両歩道あるんです。手前も街路で両歩道、整備されております。その百六十メートルについて、延長の長いところは、残事業がまだ多くあるところというのは、これはその関係の権利者とか、あるいは自治体とか、あるいは都市計画とかいったような見直しも必要だと考えるんですが、これらと、わずか百六十メートルの路線と一緒くたにした考え方というのは、これは改めてしかるべきと思うんですが、再度見解を聞かせてください。 41 ◯土木部長(栗原淳一君)先ほど申し上げましたけれども、まずは一つは、今後の社会資本整備を進めていくに当たって、国・地方ともに厳しい財政状況が現在も続いていますし、今後も同じような状況が予想される中、一層の事業箇所の峻別と重点化というのが重要になると考えております。  事業化に向けては、街路の延長を問わず、やはり貴重な税金を使うという意味では、地元の理解を得ながら、片側歩道の整備や道路の幅員を見直すなどの取り組みがやっぱり必要であると考えております。  議員が御質問されている箇所について申し上げれば、現地から報告を聞いていますけれども、裏の通りのところにも歩道に使えるような通りもあるということで、そういうようなことも現地の状況も考えながら、いろいろな工夫をして、地域の皆さんと相談してやっていきたいと考えております。    [まえの義春君登壇] 42 ◯まえの義春君 後ほどコメントはさせていただきます。  次の質問に入ってまいります。  鶴丸城の復元については、鹿児島経済同友会が中心となった鹿児島城御楼門復元検討委員会が発展的に復元実行委員会を立ち上げ、寄附金活動に向けて本格的に動き始めました。  ことし四月に復元検討委員会が取りまとめ、知事や鹿児島市長に提出した「復元に向けた方向性の提言」について、さきの六月議会の代表質問に対して伊藤知事は、「民間が主導する新たな官民連携の事業のあり方として評価する。募金口座に関しては必要な協力をしたい。事業主体や建設費用の負担のあり方は、実行委員会や鹿児島市とも協議し、具体策を検討する」と、県として復元への積極的な姿勢を表明されました。  これまで県は、楼門の復元は、「観光振興の面から復元すべき、完全復元でなければ意味がない、今のままで歴史的意義がある」などさまざまな意見がある経緯や、厳しい本県の財政状況から、県として取り組むことは困難であるとの立場をとってこられたのであります。  復元委員会の提言では、復元の意義について、「都市の風格を高め、城下町鹿児島の最高のシンボルとすることにある。また、その波及効果として、回遊性の向上と歴史・文化ゾーンの充実、景観・まちづくりへの寄与、歴史的建造物復元技術の伝承、学習の場として活用、新たな観光スポットの創造、木材の地材地建の促進などが期待される」としております。  そこでまず、県としては、楼門の復元について基本的にどのような認識に立って取り組んでいかれるのか伺います。  十月二十五日の第二回復元実行委員会において、復元の建築費用として見込まれる七億五千万円のうち四億五千万円を民間の寄附金で賄うとし、法人は十二月から、個人は来年一月から募集すること、税制上の優遇措置が受けられるよう、県に対して寄附金口座の開設を要請することなどを決めました。  県としては、この寄附金口座の開設についてどのような協力体制をとられるのか。また、楼門復元の意義を踏まえるならば、寄附金募集を成功させるために、県としても、県民の理解と機運の醸成を図るための協力も必要だと思いますが、どのように取り組まれるかお示しください。  建設主体については、史跡内での復元であるため、関係法令や各種補助金に習熟した行政に担ってほしいとされ、復元費用のうち寄附金で賄う残り三億円を県と鹿児島市に負担をお願いしております。私どもの会派ではこれまで、伊藤知事が楼門復元の意義を認識されるのであれば、鹿児島市とも連携して県主導で取り組むべきであり、経費については、魅力あるまちづくり事業費や地域振興推進事業費の一部を充てることもできると主張してきましたが、建設主体と費用負担のあり方については、鹿児島市とどのように協議を進め、どう対応されるつもりなのか明らかにしてください。  楼門復元のスケジュールについて、実行委員会では、鹿児島で国民文化祭が開催される二〇一五年着工、明治維新百五十年となる二〇一八年の完成を目標にしております。県と鹿児島市が積極的に協力すれば実現可能だと思いますが、今後の見通しをお示しください。  平成十九年、鹿屋中学三年生の女子生徒が、当時の男性校長からわいせつ行為を受け、心的外傷後ストレス障害になったとして、元校長と鹿屋市に約千七百万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷は、元校長個人への賠償を求めた上告は棄却し、鹿屋市に慰謝料の支払いを命じた福岡高裁宮崎支部の控訴審判決が確定しました。  これによって元校長は、国家賠償法上の賠償責任は免れる結果になりましたが、一審の鹿児島地裁、控訴審の高裁判決とも元校長の主張を全面的に退けており、わいせつ行為が認定されたことになります。  地元紙によると、鹿屋市は十月三十一日に女子生徒側に約百八十六万円を支払い、市は十一月六日、元校長に面談し、慰謝料の求償に応じることを確認、七日に入金されたとあります。鹿屋市教委は、控訴審において、わいせつ行為については不知と主張しましたが、最高裁決定をどのように受けとめ、女子生徒側にどう対応されたのか。また、元校長は女子生徒に謝罪を行ったのか伺います。  十一月二十二日に開催された県教育委員会で、元校長の退職金について返納を求める手続を進めることを決め、元校長や県人事委員会に意見を聞いた上で、返納を請求するか正式に決めると報道されております。  県職員退職手当支給条例第十四条は、在職期間中に係る懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められるときは、退職手当の全部または一部の返納を求めることができると規定しております。  県教委は、最高裁決定をどう認識しているのか。この事件の経過の重大性からして全額返納を命ずべきでありますが、いつまでに、どのように措置されるのか。元校長への意見聴取は何を目的に、どのようなことを聞くことになるのか、明らかにしてください。  この事件については、当時、県教委は、校長が約二時間にわたってドライブしたことは教育相談の方法としては不適切として、文書訓告を行っています。この訓告に当たっては、鹿屋市教委と県教委における校長や関係者からの事情聴取を踏まえたものでありますが、被害を受けた女子生徒の訴えを受けとめるのではなく、校長の主張を是認した結果、本来であれば、わいせつ行為をした職員は免職すべきところを訓告で済ませてしまったのであります。  元校長は、国賠法上の責任は免れましたが、事件の経過を見れば道義的責任は極めて重大であります。判決によると、事件当時、校長はわいせつ行為について、鹿屋中学の教職員や女子生徒の両親に対して、女子生徒の告白内容を明確に否定しなかったと認定しております。しかし、その後、一転して否定し始め、鹿屋市教委や県教委の事情聴取に対しても、公判中においても否定し続けました。その間、女子生徒は入退院や通院の日々を送り、誹謗中傷などによって進路変更を余儀なくされました。六年もの間の精神的苦痛の生活は私どもの想像以上に大変なものがあったと思います。  このような事態に追い込んだ元校長の態度は、教師としても人間としても断じて許されるものではありません。そして、そのうそを見抜かず、今日の結果に至った鹿屋市と県教委の責任は重大であります。そのことをどのように認識されているのか。どう責任をとられるのか。女子生徒及び家族に心から謝罪し、道義上の慰謝料を支払うべきと思いますが、お答えください。  二〇〇三年四月の県議会議員選挙をめぐって、県警が十五人を逮捕、うち十三人を起訴した事件では、公判中に死亡した一人を除く十二人全員が無罪となり、典型的な冤罪事件として、本県のみならず全国的にも大きな反響を呼びました。この事件においては、捜査員が強圧的な取り調べを繰り返し、架空の事件をつくり上げていったことが裁判等を通じて明らかになっていますが、元被告の方々の支援者がその真相を明らかにしたいと捜査資料の公開を求めております。  県情報公開条例に基づく資料の開示請求は、当初二〇一一年四月になされましたが、翌五月に開示された「本部長事件指揮簿」などの文書の大半は黒塗りされたもので、請求人はこれを不服として、同年七月に県警を管理する県公安委員会に対して審査請求を行っております。  県条例によれば、不服の申し立てを受けた行政機関は、その妥当性を判断するためには、大学教授等から成る県情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならないことになっており、県公安委員会は同年八月に同審査会に諮問しました。審査会は、県警や請求人の意見陳述を聞くなど審査を進めた結果、ことし四月八日に県公安委員会に答申しております。その内容は、「どのような支障があるのか具体的な説明がなく、不開示とした実施機関の判断には相当の理由があるとは認められない」と指摘した上で、黒塗りとした捜査資料の一部開示を求めたと報じられております。  そこで、まず伺いますが、県公安委員会は、県審査会の答申を受けて、請求人の不服申し立てに対してどのような判断を示したのか、明らかにしてください。  報道されたところによると、答申から五カ月以上たった九月末時点において、県公安委員会は、請求人の不服申し立てに対する判断を何ら示していないとのことでありますが、県審査会の答申を受けた行政機関は、これを尊重して結論を出すのが一般的であるとされる中で、答申に法的強制力がないとはいえ、いまだにこの件について判断が示されていない理由は何か、県公安委員会の明快な答弁を求めるものであります。  次に、警察本部長に伺いますが、審査会の答申から四カ月以上経過した八月二十日に県公安委員会に弁明書を提出しております。それによりますと、今回の捜査資料が情報公開の対象から除外されるべき訴訟に関する書類に当たるとする、これまでにない新たな主張が盛り込まれ、「審査会の答申内容をそのまま受容することは困難である」とされているようであります。  本来、審査会の中で主張すべきことを盛り込んだ弁明書提出は警察の時間稼ぎだとの意見もありますが、なぜこのような対応をされているのか、明らかにしてください。  さらに、県公安委員会は、この件について今後どのように対応していかれるのかもお示しください。  ところで、我が会派は、歴代の警察本部長に対して、事件の元被告人の方々に直接謝罪すべきであるとしてその対応を伺ってまいりましたが、杉山本部長の考えを改めてお聞きするものであります。  県教育委員会では、平成三十二年開催が内々定している第七十五回国民体育大会において、開催県にふさわしい成績をおさめることができるよう、次期国体に向けた競技力向上対策計画を策定しております。この計画では、第一期二十四年から二十六年を育成期、第二期二十七年から二十九年を強化期、そして終盤の第三期三十年から三十二年を充実期として、三カ年ごとの競技力向上計画を推進するとしております。  また、天皇杯、皇后杯の目標順位では、第一期で二十位台を確保しつつ十位台、第二期を十位台、第三期を平成三十年で十位台前半、三十一年で八位以内、そして三十二年の開催年に一位とする目標を掲げております。  第六十八回国民体育大会東京大会の反省会が先日行われ、今季国体で優勝するなどした個人や団体並びに優秀スポーツ選手の表彰も行われました。東京国体における本県選手団の成績は、男女総合で三十六位の成績でありました。  反省会では国体優勝や上位成績をおさめた監督さんの報告もあり、選手強化に取り組む苦労や、競技生活をともにして選手と分かち合うスポーツの魅力など、興味深い報告を拝聴する機会がありました。中でも、鹿児島国体まで「まだ八年ある。いや六年十一カ月しかない」と説かれる監督さんの言葉は、各競技連盟が鹿児島国体にかけるかたい意思の表明と当事者責任を強く自覚する関係者の決意として、強く印象に残るものでした。  そこで伺いますが、県教育委員会として、目標とした二十位台に届いておりませんが、東京国体の総合成績をどう評価され、この教訓を今後の競技力向上にどう生かしていかれるのか、明らかにしてください。  また、今後の具体的取り組みの中にある、推進体制の確立、指導体制の確立、選手強化体制の整備など、それぞれの推進計画に即した的確な取り組みが求められますが、考え方をお示しください。
     鹿児島国体県準備委員会は、本年八月、会場地となる市町村の第一次選定分十一市三町を決定しました。昨年秋から、県内市町村と競技団体への希望調査と個別聞き取りを行った上での選定と理解いたしますが、三十八競技のうち十七競技とライフル射撃の一部が決定しているのみで、残る競技の開催を希望する市町村や競技団体の早急な選定を望む声もあるところですが、今後のスケジュールと選定に向けた課題を明らかにしてください。  以上で、三回目の質問とします。 43 ◯県民生活局長(岡田和憲君)鶴丸城の楼門復元に対する県の基本的な認識についてでございます。  楼門復元につきましては、これまでさまざまな意見がありました中で、ことし四月経済同友会を中心とする楼門復元検討委員会がまとめた「御楼門復元に向けた方向性の提言」は、民間が主導する新たな官民連携の事業のあり方を示したものであり、楼門復元のための一つのモデルになると評価しております。  県としましては、楼門復元に関しては、その意義や波及効果等について県民の理解が深まることが何よりも必要であると考えております。このため、ことし九月に経済五団体等を中心に設立された楼門復元実行委員会に鹿児島市とオブザーバーとして参加するとともに、同委員会が行う募金活動や広報活動に必要な協力を行いながら、今後の楼門復元に向けた機運の盛り上がりの状況を見守ってまいります。  寄附金口座開設などの県の協力についてでございます。  楼門復元のための寄附金につきましては、復元実行委員会から、募金活動における信頼性と透明性の確保や税制上の優遇措置の観点から、県に募金口座を設けてほしい旨の要請がありましたことから、法人税における法人寄附金全額の損益算入等の措置が受けられるよう、法人からの寄附金につきましては、本日から県において受け入れるところでございます。  寄附金の募金活動は復元実行委員会が主体的に行い、県では、寄附申込者への納付書の送付や、税の申告に必要な寄附金受領証明書の発行等を行うこととしております。また、復元実行委員会から、寄附金の募金活動について広く県民への周知に協力してほしい旨の要請がありましたことから、その活動につきまして、県の広報媒体等を活用した周知などの協力を行うこととしております。  建設主体と費用負担のあり方についてでございます。  今回の楼門復元に係る取り組みは、経済同友会を中心とする復元検討委員会から提言された経緯があること、また、現在、復元実行委員会が主体的に楼門復元に向けた募金活動を行う中で、復元の意義や波及効果等について県民の理解を得る取り組みが行われていることなどから、県としましては、建設主体につきましては、これらの取り組み状況等を踏まえ、今後、復元実行委員会等と協議していくこととしております。また、費用負担につきましては、復元実行委員会が鹿児島市にも応分の負担を要請することとしており、今後、鹿児島市や同委員会と協議を行うこととしております。  楼門復元のスケジュールの今後の見通しについてでございます。  楼門復元に当たりましては、復元実行委員会の募金活動の期間や、復元場所が県指定史跡の区域内であることや歴史的建築物の復元であるため、県文化財保護条例や建築基準法等に基づく必要な調査や手続等に要する期間も考慮する必要があります。このため、現時点では、同委員会が行う募金活動が順調に進めば、必要な調査や手続等の期間も踏まえますと、おおむね同委員会が目標とする平成三十年度までに完成する方向で対応することになるのではないかと考えております。  県としましては、鹿児島市と連携しながら、今後とも楼門復元に関して同委員会に必要な協力をしてまいります。 44 ◯教育長(六反省一君)鹿屋市の元校長わいせつ事件についてでございます。  まず、鹿屋市教育委員会の認識と対応等についてでございます。  鹿屋市教育委員会は、最高裁の決定により、元校長のわいせつ行為を認めた高裁の判決が確定し、市が損害賠償金を支払うことになったことを重く受けとめていると聞いております。  学校設置者であり、服務監督権者である鹿屋市教育委員会は、判決の確定を受けて、市教育長が十月三十一日に保護者に対して、十一月十六日に生徒本人及び保護者に対して、学校教育への期待と信頼を大きく損なったことについておわびしたと聞いております。元校長が生徒へ謝罪したかどうかについては、現時点では、鹿屋市教育委員会、県教育委員会とも承知していないところでございます。  県教委の判決への認識、元校長への意見聴取等についてでございます。  最高裁の決定により確定した判決で元校長のわいせつ行為が認定されたことを、県教委としても重く受けとめております。  退職手当の返納については、十一月二十二日の教育委員会臨時会において、裁判で認定された元校長の行為は、県退職手当支給条例第十四条第一項第三号の懲戒免職等処分を受けるべき行為に該当するものであり、元校長に対し、退職手当の返納を求める手続を進めることとしたところでございます。今後、条例に基づき、本人や人事委員会への意見聴取の手続を経て、返納の内容等について改めて教育委員会で判断することとしております。  退職手当の返納命令処分に係る意見聴取については、処分を受けるべき者に意見陳述や質問等の機会を与えることを目的としており、条例において勘案することとされております生計の状況等を含めて、本人の意見等を聞くことになるものと考えております。  県教委の責任と謝罪等についてでございます。  元校長の事案につきましては、刑事事件で二度不起訴となったこと、元校長がわいせつ行為を否認していたこと、さらに民事訴訟の判決が確定していなかったことなどの理由から、わいせつ行為を認定するだけの確証が得られなかったものでございます。疑わしいという状況だけで懲戒処分を行うことは、不利益処分たる行政処分としての妥当性を著しく欠くことから、在職中に免職等の懲戒処分を行わなかったことは相当であったと認識いたしております。今回、最高裁の決定により、元校長のわいせつ行為を認めた高裁の判決が確定したことから、県教委としては、退職手当の返納を求める手続を進めることとしたところでございます。  県教委としては、一連の返納手続のめどがついた時点で、生徒及び保護者に対し、今までの経緯等について説明したいと考えております。慰謝料につきましては、県教委が裁判の当事者でも服務監督権者でもないことから、支払う立場にないものと考えております。  東京国体の総合成績の評価についてでございます。  ことしの東京国体では、総合成績である天皇杯順位は、各競技の選手・監督の皆様に大いに健闘していただきましたが、三十六位となり、残念ながら目標としていた二十位台に届かなかったところでございます。  ことしの国体に向けた九州ブロック大会においては、昨年よりも五競技・八種目多い出場権を獲得し、本県選手団の活躍が期待されたところでございますが、成年男子・女子の得点は前年を大きく上回ったものの、少年男子・女子の得点が大きく下回り、特に個人競技における入賞数も大幅に減少いたしました。また、高得点が期待された一部団体競技についても接戦の末敗退するなど、得点が伸び悩んだところでございます。一方では、これまでの競技力向上の取り組みにより、クレー射撃、銃剣道、剣道が久しぶりに入賞するなどの成果も上がっているところでございます。  今後は、成果を上げている青年男子・女子の取り組みを継続いたしますとともに、少年層の育成・強化の充実を図ることとしており、各競技団体と連携を密にし、本県選手団全体のチーム力向上が図られるよう努めてまいります。  今後の競技力向上対策の的確な取り組みについてでございます。  次期国体に向けた競技力向上の取り組みにつきましては、競技団体の組織強化等を図る「推進体制の確立」、指導者の計画的な養成を図る「指導体制の確立」、選手の発掘・育成・強化を計画的に行う「選手強化体制の整備」の三つの重点項目を掲げ、国体開催までの期間を育成期・強化期・充実期の三期に分け、それぞれ計画的・段階的に推進していくこととしております。  当面の平成二十六年度までの育成期における具体的な取り組みにつきましては、推進体制においては、各競技団体関係者や学識経験者から成る競技力向上対策本部を近く設置し、各競技ごとの強化計画等の充実を図ることとしております。  また、指導体制につきましては、国体の各競技における指導者の確保と指導力向上を図るため、中央研修会への派遣や優秀指導者の招聘による講習会の実施に取り組むこととしております。  あわせて、選手強化体制については、競技人口の拡大と選手の発掘に努めているところであり、スポーツ体験教室やジュニアスポーツ教室の開催を行っております。  なお、指導者養成と選手強化に共通する取り組みとして、高校の強化指定を七年間指定することとしており、当該校における長期的な選手強化や指導者養成につなげてまいりたいと考えております。  こうした三つの重点項目の取り組みについて、平成二十七年度からの強化期、平成三十年度からの充実期へと発展させていくことにより、本県の競技力向上が着実に図られるよう努めてまいります。 45 ◯公安委員会委員長(野田健太郎君)まず、不服申し立てに対する県公安委員会の判断が示されていない理由についてでありますが、平成二十三年七月八日の審査請求受理後、八月三日に県情報公開・個人情報保護審査会に諮問し、諮問から一年八カ月経過後の本年四月九日に答申を受け、審議に入っております。  その後、対象公文書に関する別事件における裁判所の判断が示されたことなどから、県警察へ弁明書の提出を、また審査請求人へ弁明書に対する反論書の提出を求めたところでありますが、現在まで反論書が提出されていない状況であります。  次に、今後の対応についてでありますが、県公安委員会といたしましては、同審査会の答申を尊重すべきことは承知しておりますが、対象公文書を取り巻く状況を踏まえ、答申、裁判例、弁明書、反論書等の内容を精査した上で審議を尽くした後、速やかに裁決したいと考えているところでございます。 46 ◯警察本部長(杉山芳朗君)県警察による弁明書の提出についてです。  県警察は、行政不服審査法二十二条の規定に基づく県公安委員会からの求めに応じ、弁明書を提出いたしました。  国家賠償請求訴訟に係る文書提出命令申し立て事件におきまして、答申受理後の本年五月八日、鹿児島地方裁判所より、「対象公文書は刑事訴訟記録等に該当する」といった決定がなされ、さらに本年九月二十四日、本件に係る抗告が棄却され、確定いたしました。裁判所の決定は尊重すべきものと考えておりますので、この裁判所決定の趣旨などを踏まえた主張等を弁明書に盛り込んだものであります。  次に、元被告の方々への直接謝罪についてであります。  直接の謝罪につきましては、元被告人の方々におきまして、県警察が犯罪の嫌疑がないことを知りつつ事件をつくり上げたものであると主張されている点など、本件捜査の経緯などについて、元被告人の方々と県警察との間で必ずしも主張が一致していないものと認識しており、元被告人の方々がこうした点について謝罪を求めているのであれば、県警察といたしまして、直接お会いして謝罪することは極めて困難であると認識しております。 47 ◯知事公室長(福壽 浩君)国体の会場地選定スケジュール等についてでございます。  国体の会場地選定に当たりましては、県準備委員会の会場地市町村選定基本方針に基づきまして、地域バランス、市町村の開催希望、実施競技団体の意向、競技施設の状況等を考慮して、去る八月に十八競技の会場地の選定が行われました。  現在、残りの二十競技につきましても順次調整を行ってきておりまして、おおむね順調に進んでいるところでございます。来年五月に開催予定の県準備委員会におきまして、調整の整った競技を取りまとめて第二次選定がなされます。  なお、市町村と競技団体との意向のすり合わせや、競技施設の状況等に関して課題が残る競技につきましては、引き続き必要な検討・調整を進め、早目の会場地選定に努めてまいります。 48 ◯まえの義春君 自席から一点だけ教育長に再質問しますが、鹿屋中学校の校長のわいせつ事件であります。  確かに退職手当支給条例第十四条は、当該処分を受けるべき者の意見を聴取して、生計の状況を勘案して返納を命ずることとなっております。六年間にわたって女子中学生と家族を苦しめてきておりながら、元校長の生計が苦しいことなどを理由として退職金の返納額を減ずることがあり得るのかどうなのか、お聞かせください。 49 ◯教育長(六反省一君)返納額につきましては、今後、条例に基づいて本人や人事委員会等の意見の聴取を経て、改めて判断することとしておりまして、現時点で明確なお答えを申し上げる段階でございませんけれども、さきの教育委員会において、元校長の行為は、現職中ならば退職手当不支給となる懲戒免職処分に相当する行為であると認められたところでありまして、そうしたことを念頭に置きながら、退職手当の返納を求める手続を進めることになるのではないかと考えているところでございます。    [まえの義春君登壇] 50 ◯まえの義春君 それぞれ答弁いただきました。  鹿屋中学校の校長のわいせつ事件でありますけれども、鹿屋中校長の退職金は、事件の経過の重大性からすれば全額返納すべきであります。また、女子中学生の苦痛六年間と、結果的に彼女らを苦しめてきた鹿屋市教委、県教委は、誠意を持ってきちんとした責任を果たすべきであります。  県立短大ですけれども、本県唯一の公立大学として誇るべき人材育成機関であります。その成果を発揮するには、それにふさわしい教育内容の充実のために、教育研究費等の拡充と施設整備が不可欠であります。ぜひ応えていただくように強く要望しておきたいと思います。  短区間の未整備街路についてでありますけれども、残りわずかで事業見直しを受けた計画路線上の権利者と、整備済みの区間との住民コミュニティにもあつれきが発生しているところであります。部長は、ほかにもルートがあるという話もありましたけれども、それでは都市計画決定をした幅員というのはどうなるのかということが極めて疑問であります。一日も早く、わずか百六十メートルでありますから、計画どおり整備を再開されることを強く望んで、私の質問を終わります。  御清聴いただきました。ありがとうございました。(拍手) 51 ◯議長(池畑憲一君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 52    △ 日程報告 ◯議長(池畑憲一君)十二月四日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 53    △ 散  会 ◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十六分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...