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平成26年有明玄海・環境対策特別委員会 本文 開催日:2014年03月13日
平成26年有明玄海・環境対策特別委員会 名簿 開催日:2014年03月13日

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  1. 佐賀県議会 2014-03-13
    平成26年有明玄海・環境対策特別委員会 本文 開催日:2014年03月13日


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     午前十時一分 開会 ◯坂口委員長=おはようございます。ただいまから有明玄海・環境対策特別委員会を開催いたします。     ○ 会議録署名者指名 2 ◯坂口委員長=会議録署名者として、石倉秀郷委員、留守茂幸委員、内川修治委員、宮崎泰茂委員、以上の四名を指名いたします。  海洋環境の保全、水産資源の確保、環境対策に関する諸問題の調査に関する件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  通告に従い、順次発言を許可します。 3 ◯宮崎委員=私は質問に入る前に、本部長、あなたにちょっと問いただしたいことがあります。  この質問一覧表をごらんになっていただきたいんですけども、私のところの問いに、諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査、これだけになっていますけど、誰がこれをしたんですか。私はこれについての詳細についての項目を通告しとるんですよ。誰がいじったんですか。何のための通告ですか。そんなに勝手にいじくり回すなら、通告はせんでいいんじゃないですか。いかがですか、本部長。 4 ◯古谷くらし環境本部長=項目の整理につきましては、担当課のほうで委員といろいろとやりとりをさせていただいたということは報告を受けております。その上で最終的には確定できなかったということで、そういった整理にさせていただいておりますが、委員会は一問一答ということで、我々としても誠意を持って対応させていただきたいと考えております。 5 ◯宮崎委員=どこでどういうふうに確定できなかったという判断されるんですか。 6 ◯古谷くらし環境本部長=最終的に委員のほうに項目についてきちんとした形でお渡しできなかったというふうに伺っております。 7 ◯宮崎委員=私は四項目について通告はしているんですよ。ただ、答弁の取り扱いについて意見が調整できなかっただけなんですよ。そうなんですよ。そればこんなふうに一方的に質問者の趣旨を履き違えてやってもらっちゃ困る。こういうこと二度としませんか。 8 ◯古谷くらし環境本部長=委員のお考えについて我々が正確に把握できて対処していなかったということでございますれば、本当に私どもとしては今後そうしたことのないようにしていきたいと思っております。申しわけございませんでした。 9 ◯宮崎委員=委員長にもお伺いしておきます。  質問の通告はきちっとやっているんですよ。ただ、答弁をどうしましょうかという詰めの段階で、私は知事の答弁を求めますと言って、それはできませんという執行部とのやりとりで決まらなかっただけの話ですよ。質問の項目の四項目について、きちっと通告をしています。  その証拠に、ここに執行部はタイプ打ったとを持ってきているんですよ。だから、今後、このようなことがないことをひとつ委員長のほうからもきちっと注意しとってください。いかがですか。 10 ◯坂口委員長=わかりました。執行部の皆さんにおかれましては、委員の意に沿うような質問調整を願います。よろしいですか。 11 ◯宮崎委員=それじゃ、質問に入ってまいります。  まず、諫早干拓開門調査、今日まで開門されなかった国の責任について、古川知事の認識と見解をお伺いしておきます。古川知事だぞ。
    12 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=知事がどう思うかという質問だと思います。  今回の質問に対する答弁につきましては、昨日も知事と調整とりまして、知事の考えをしっかりお聞きいたしまして、知事の考えを踏まえた上での答弁ということで私のほうがさせていただきたいというふうに思っております。  まず、農水省の取り組みでございます。  開門調査につきましては、国は、平成二十二年十二月に福岡高裁の確定判決によりまして、昨年の十二月二十日までに開門しなければならない義務を負いまして、農水省におきましては、これまで三年間、次のような取り組みがなされたところでございます。  まず、開門による影響を回避、低減するための対策を検討するため、環境アセスメントを平成二十四年十二月まで実施されております。  その後、環境アセスメントの結果を踏まえまして、ケース三─二の制限開門による開門方法とその対策工事を関係者に示されたところでございます。  このうち農業用水対策におきましては、当初、地下水案が提案されたところでございますが、地元関係者の反対により断念され、最終的には海水淡水化案に変更されるなど、水対策、その対策方法について決定に時間を要されたという形になっております。  これらの対策工事等につきましては、平成二十五年度予算成立を受けまして、昨年の五月から順次入札などの手続が行われているところでございまして、県では昨年六月時点におきまして、農水省からは予定されている対策工事等がいつでも着手できるような状態での準備を行っているというふうに聞いていたところでございます。  また、地元の理解を得るために、昨年五月の予算成立以降だけでも三百回以上個別訪問を行い、また、長崎県、諫早市及び雲仙市からの百項目以上にわたる質問状が四回提出されておりますが、その回答もされているというふうに聞いております。  さらに、昨年八月におきましては、対策工事の説明会を諫早市内で開催するとともに、地元の各新聞紙の折り込みという形でパンフレットを昨年の八月と十月の二回、諫早市と雲仙市内で約四万戸配布されているところでございます。  そういったことで取り組んできたところでございますが、結果的には十二月二十日の開門期限までに開門できなかったということでございまして、いろいろ我々が見えないところでも努力はされているかもしれませんけども、結果として開門できなかったことについては、我々もそれは国はしっかりやっていただきたかったと、それはしっかりやる、これからも開門期限を過ぎていますけども、しっかりやっていってもらうべきだというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 13 ◯宮崎委員=たったそれだけですか。 14 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=十二月二十日の開門期限を過ぎまして、裁判も新たな裁判が数多く出てくるなど、いろんな長期、混迷長期化する様相も示しております。  そういった中で、国も裁判におきまして、相反する二つの判断と決定、そういったもの、板挟みという状況になって、三者には話し合いの提案をされております。そういったことについても、我々もそこは国がしっかりまずはやるのが第一だと、そこはしっかりやってくださいと、そういった上で、県としても協力できるところはしっかり協力しますというふうに、国に対して申し上げているところでございますが、いずれにしても、結果としてですね、いろんな対策工事を遅く取りかかったのではないかとか、あるいは水対策をもっと丁寧にやって、きちんとした対策をとって、地元にしっかり理解していただくようにもっと頑張るべきじゃなかったのかと、そういったことにつきましては、我々も機会あるごとに国のほうに申し上げておりまして、そこは国の責任を持ってしっかり長崎県のほうに理解を求めることを国がまず第一義にやるべきだと、そういう責任が国にあるというふうに思っているところでございます。 15 ◯宮崎委員=今、あなたが答弁された以前の問題ですよ。福岡高裁で判決が確定をして、昨年十二月二十日までの開門期限の間に、国は一体何をしたというんですか。 16 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=先ほどの答弁と一部繰り返しになりますけども、まずは、開門による影響、それで、いろんな漁業でありますとか、農業でありますとか、そういったことに被害を与えることをまず第一に避けなければならないということで、アセスメント、確かにアセスメントは時間かかっております。ただ、これは佐賀県側といたしましても、ただあければいいということじゃなくて、農業、あるいは漁業も成り立つ形で開門調査をやっていただきたいというふうに主張しておりましたので、そこはきっちりやはりアセスメントをやって、対策工事をきちっと提案して、長崎県が理解できる形で対策工事をしっかりやっていかなきゃならないと思っておりましたので、そこに時間を費やしたと。  しかも、水対策ですね、水対策が一番問題でございましたけども、これが地下水案は結局納得が得られなくて、海水淡水化施設になると、そういったことで時間を要していたと。これが我々はそれでよしとするわけじゃございませんで、やはりそういった中でもやっぱり地元の理解をもっと早い段階から、その対策工事だけじゃなくて、そもそもの理解をしっかり理解を得るような動きをもっと早い段階からやっていってほしかったと、それはそういう思いでいるところでございます。 17 ◯宮崎委員=まず、環境アセスメントの件についてお伺いしますけどね、国の農水省が行った環境アセスメントの調査の中で、漁業被害はあるというふうに結果になったんですか、ないという結果になったんですか、どちらですか。 18 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=アセスメントにおきましては、要するに排水門の近くの諫早湾近傍ですね、そこについては開門することによって、濁りとか、いろんな影響が出ると、対策をしなければですね。それに対して、その濁りとか、そういった被害が出ないような対策をアセスメントの中で示しまして、例えば、膜を張って、汚濁が広がらないようなとか、そういった対策が示されているというところでありまして、排水によりまして諫早湾近傍の漁業に何も対策をしなければ影響はあるというふうなことがアセスメントの中で述べられているところでございます。 19 ◯宮崎委員=だから、諫早湾干拓の開門をして、汚水が流れたときには漁業被害が出るであろう、だから、それが拡散しないように膜を張ってやるというふうなアセスメントなんでしょう。違うんですか。 20 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=漁業被害という表現されたかはちょっと済みません、今手元に持っていませんので(「いや、そこが問題なんよ」と宮崎委員呼ぶ)漁業被害といいますか、排水によります流れが急な流れが出ますので、さらにあけた最初は調整池内にたまった汚泥とかそういったものも流れ出す可能性がありますので、そういったものが、特に開門当初については濁りとか、そういったものが排水門近くに影響を与えるんじゃないかと。それを与えないような、対策の防止膜とかですね、そういったものをきちんとやりますということでありまして、漁業被害がいろんなところに起こるというよりも、そういった濁りによって何らかの影響を与えないような防止膜とかなんとかをしっかり対策をとるという意味でございます。 21 ◯宮崎委員=開門によって濁りの汚水が出てくる形になるということについては、漁業に被害が及ぶおそれがあるという認識でしょうもん。違うんですか。被害が及ばんというなら、何の認識なんですか。 22 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=特に開門当初、門をあけた直後は調整池内が海水になるまで一カ月ぐらいかかりますので、まず淡水が出るわけですよね。海水が入って落ちつけば、ある程度漁場に排水が出ても、海水になることで外海と同じような形になりますので、そう大きな被害といいますか、汚濁とかそういった淡水による影響というのは少ないかと思いますけど、やはり開門当初は一気に調整池内に入ったやつが海水交換とともに外に出ますので、濁りとかそういったやつが発生するのは予測されますので、そこはきちっと対策をしましょうということでございます。 23 ◯宮崎委員=調査のために開門すれば汚濁水が流れ出る。そうすることによって漁業被害が出るか出ないかの調査をする、環境アセスメントとはそこのところでしょうもん。  だから、開門調査によって、開門したら汚濁水が流れ出る。それが漁場に影響して漁業被害を及ぼすおそれがあるから、膜を張って拡散しないようにするという考え方でしょうもん。違うんですか。 24 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=まず、開門調査の目的でございます。  これにつきましては、国が説明しておりますのに我々が納得しているわけではございませんし、アセスにおいても(「開門調査の目的はよかさい、そやんかつは。聞いとらん」と宮崎委員呼ぶ)いや、そこと関係ございます。(「聞いとらんて」と宮崎委員呼ぶ)  まず、アセスの目的としましては、(「そやんかつは聞いとらんけん、よかさい。質問だけ答えてくださいよ」と宮崎委員呼ぶ)いや、質問に対する答えでございます。(「何ば」と宮崎委員呼ぶ)  開門前と後の環境変化の影響を調べる調査というふうに言っています。我々は、やはり開門調査によって諫早湾、あるいは有明海の湾奥まで、有明海全体にどういった影響があるかわかるかの調査をしてくださいというのを常々主張してまいりました。そこは正直言って受け入れてもらっていません。  先ほど申しました防止膜とかなんとかといいますのは、開門調査をする際にいろんなことで影響が出るであろう工事とかをしたことによって、本来の目的とは違うところで影響ですかね、そういった被害といいますか、影響が出るものを防ぐために対策工事をしましょうと。そうしたことで、本来の目的の調査をやるというところでございまして、そこは方法論といいますか、そういった調査をするときにいろんな支障が出ないように防止膜だったりするという意味でございます。 25 ◯宮崎委員=答弁者は、質問したことだけに答弁をしてくださいよ。私はそんなこと質問していないんですよ。  開門した段階で、内部にたまっておった汚泥が流れ出す。そのことが漁業に影響を及ぼすか及ぼさないか、これを調べるのが環境アセスですよ、そこまで調べるのが。だから、漁業に影響を及ぼすおそれがあるけん、膜を張って拡散せんように囲んでやるということだったんでしょう。違うんですか。 26 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=漁業被害ということで、私が先ほど答弁したのはなぜそんな答弁をしたかと申しますと、(「よかさい、そやんとは」と宮崎委員呼ぶ)いわゆる一般的に言われている諫早湾干拓の排水門が湾奥の漁業被害に影響を与えていると。そういったところで使う漁業被害とアセス上の漁業被害というのは別に考えなくてはならないものですから、(「何で別に考えん──ちょっと委員長」と宮崎委員呼ぶ) 27 ◯宮崎委員=何であなたが別に考えばせにゃいかんというふうに言うんですか。  環境アセスというのはね、開門をしなさいとこっちは言っているんですよ。開門したときに漁業にどういう影響を与えるかということを調査するのが環境アセスメントでしょうもん。違うんですか、どうですか。 28 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=環境アセスメントは、開門調査を行うことに当たって、漁業に限らず、農業であったり、いろんなものに対して支障が出ないように評価をして、それをきちんと対策をするために評価するものというふうに考えておりまして、直接的にあけたから漁業被害がどうなるかと、そういったことを求めるためにアセスをするというふうには考えていないところでございます。 29 ◯宮崎委員=いやいや、開門調査をしてほしいと言っている側は、今、潮受け堤防をストップしているから、潮が回流せんけん漁業に影響が出ているんだと。だから、開門をして、それがどのように漁業に影響を与えるのか、農業にどのように影響を与えるのかという調査をやってほしいというのが環境アセスメントでしょうもん。違うんですか。漁業にも農業にも影響を与えないような環境アセスメントってあるんですか。そんな考え方はないでしょう。いかがですか。 30 ◯古谷くらし環境本部長=済みません。答弁が的確でなかったという御指摘もいただいておりますけれども、まず、漁業被害との関係について副本部長が申したかったのは、まず開門調査そのものは、我々も開門調査によって潮受け堤防を閉め切っていることが漁業にどういった影響を与えているのかということを調べるためにぜひやってほしいと、(「そうじゃろもん」と宮崎委員呼ぶ)これが開門調査の目的でございます。  環境アセスメントは、その開門調査を実施するに当たって排水門を開放いたしますので、そのことによっていろんな影響が出ないように、そういった環境に対する調査そのものの影響というものについて調べるということでございますので、そこのところの漁業被害というのが意味合いが違うということを副本部長のほうからはお答え申し上げているところでございます。 31 ◯宮崎委員=その意味はわかるよ。わかるけれども、環境アセスメントを行う目的は、開門するに当たって漁業にも農業にも被害を与えないような環境の調査はどうしたらいいのかというのがあり得るんですか。あり得るんですか、そんな調査というのが。 32 ◯古谷くらし環境本部長=そのためにアセスの中で、今、開門方法について複数のパターンを示した上で、その際におっしゃるように農業なり漁業なり、あるいは防災上支障がないような対策というものにはどういったものが必要かということで、対策工事というものを国が開門調査を実施するに先立って行うという形にされているものでございます。 33 ◯宮崎委員=それじゃ、環境アセスの結果、どうなったんですか。 34 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=環境アセスメントにおきましては、それぞれの制限開門であったり、全開門であったりした場合の、それを行った場合に起こる被害に対しまして適切な防止対策を提示しまして、例えば、先ほど申しましたように、漁業側におきましては、制限開門をすることによりまして、排水門付近の流速を制限しながら、発生する濁りを抑制するために先ほど申しました膜を張るとか、そういった開門調査のケースごとにやるべき対策工事を提示しています。  ただ、それがまだ長崎県が十分でないとか、そういう意見も出されておりまして、それに対しては、これは百項目とかいう項目が出ておりまして、それをさらに意見を取り入れて、こういった対策を打ちますと。また、これから先もいろんな形で心配することがあれば、地元の意見を聞きながら対策工事はきちんと打っていきますと。さらに、最終的には万全の対策を打っても万が一被害が出た場合については、補償ということも考えているということまで述べられております。そういった開門調査を行うに当たって、漁業にも農業にも被害が出ないような対策をとるべきという方策を示したアセスという形で確定しているところでございます。 35 ◯宮崎委員=だからさ、農業にも漁業にも被害が出ないという環境アセスメントはどういう内容のものですかと言いよる。アセスメントは、開門した場合に汚泥が流出するから、それで場合によっては漁業被害が出る可能性があるから、膜を張って汚泥が拡散しないようにするというアセスメントの結果でしょうもん。違うんですか。 36 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=濁りの発生につきましては、あけることによって流速が急速に増加しますので、それが下を巻き上げて(「巻き上げてん何だろうがよかさい、そやんかとは」と宮崎委員呼ぶ)  漁業被害が生じることがないような対策というのもアセスにおいて示された後も、先ほど防止膜とかなんとか申し上げたのは、アセスが確定した後も地元の意見を聞いた上で追加したものだったと私認識しておりますけれども、アセスに限らず、アセスで対策を講じたものをするべきだと。アセスの評価に基づいて対策工事をされたんですけれども、さらにそれにとどまらず、長崎との話し合いの中で、こういった心配があるならばこういった対策をしましょうという中で、今言った防止膜であったり、ほかの対策も加えられていっているという状況でありまして、さらにまた不安があるならば、いろんな対策をする用意はあるということで長崎のほうに国は説明されておりまして、それでもまだ納得は得られているところではございませんけれども、我々が知る限りではそういった状況でございます。 37 ◯宮崎委員=だからさ、農水省が行った環境アセスの結果は、農業にも漁業にも被害が出ないようにやりますよという形でしょう。それが結論でしょう。違うんですか。 38 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=委員おっしゃるとおり、アセスにおいて開門調査をすることによって、漁業にも農業にも被害が出ないような対策をとるためにアセスメントというのが行われているというふうに考えております。 39 ◯宮崎委員=それがね、結果が出た後にああじゃない、こうじゃないとか言われてね、こうしましょう、ああしましょうと何でなるんですか。そんなもんですか。 40 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=その点につきましては、地元の声をしっかり聞くというところから、地元の声に対して不安があるのであれば、対策をさらにやっていきますということを表明されているところでございまして、アセスはもちろんベースでございますけれども、さらに万全を期してという形ではないかと思っております。 41 ◯宮崎委員=アセスを行って、環境影響調査をやって、それを閲覧させて、それに対して異議申し立てがあれば異議申し立て期間をとるわけでしょう。そのときにはなぜ聞かなかったんですか。環境アセスが終わった後にね、結果が出た後にああじゃなか、こうじゃなかということを何で聞くんですか。 42 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=それはアセスメントの途中途中で、これは長崎県側の話でございますけど、長崎県側はアセスに対していろんな意見をおっしゃっていますし、直接農水大臣とか、そういった形についても意見書といいますか、対策は不十分だということを申し入れたりとか、もちろんアセスが終わった後もされておりますし、それはアセスにおいてもされているというふうに思っています。 43 ◯宮崎委員=一体全体、農水省が行った環境アセスは何年何月の何日に結論を得たんですか。 44 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=ちょっと日にちまで覚えておりませんけども、平成二十四年の十二月で、日にちは済みません、ちょっと今頭の中にありませんけど、平成二十四年の十二月だったということです。 45 ◯宮崎委員=もう二年前に結論が出ているでしょう。二年前に結論が出たやつがいまだにああじゃない、こうじゃないという論点をなぜしなくちゃいかんのですか。 46 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=それにつきましては、国と長崎県で今どう話をされているかというのは正直言って承知していませんけど、どちらかというと、対策工事というよりも開門そのものに反対ということで長崎県が主張されておりますので、対策工事云々というところはなかなかやられていないんじゃないかと。まずは開門するしない、長崎県は開門は絶対しないというところですので、対策工事については、こうしましょう、ああしましょうという形で進んでいるというふうには思っておりません。 47 ◯宮崎委員=あなたは今の結果論だけを捉えて言っちゃいかんよ。  平成二十四年の十二月に環境アセスの結論が出たとするならば、出た時点から昨年の十二月二十日まで国は一体全体何をしていたというんですか。 48 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=先ほども答弁いたしましたけども、予算成立を受けて、五月から入札が行われております。そして、先ほど申しましたように、六月時点で、その時点におきましても、農水省から予定されている対策工事につきましては、いつでも着手できるような準備を行っているという話を聞いたところであります。  しかしながら、委員おっしゃいましたように、対策工事を着工しようとしても、三回、九月から十月にされておりますけれども、それについても着工できなかったということでございまして、それを我々はもちろんよしとしているわけではなくて、我々ももっとやり方があったんじゃないかとか、もっと早くからするべきじゃなかったのかとか、(「よかさい、そやんかつは。聞いとらんて」と宮崎委員呼ぶ)そういうふうに思っているところでございます。 49 ◯宮崎委員=僕が言っている質問の趣旨を的確につかんで答弁してくださいよ。私が質問しているのは、本部長、平成二十四年の十二月に環境アセスの結果が出た。そして、具体的に農水省が動き出したのは昨年の九月でしょう。この間何をやっておったんですか、農水省は。一体何をしておったんですか。 50 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=実際に対策工事の着工が九月になったということ、委員からありました。私たちもそれについてはもっとやり方があったんじゃないかと先ほども申し上げました。  やはり一番の大きな問題となったのが農業用水でございまして、ここは地下水で(「農業用水はよかさい、聞いておらんさ」と宮崎委員呼ぶ)だから、農業用水で理解を得ることに取り組まれてきたと。ただ、それが、やはり地元の理解が得られずに、農業用水をまた改めて考え直す必要があったと。そのためには、また新たな、かなり大きな予算でございますけれども、予算措置というのも必要になってきたと。そういうところで対策工事に取りかかるのが遅くなったというふうに、私が思うといいますか、そういうふうに見えているところでございます。 51 ◯坂口委員長=宮崎副本部長、質問の趣旨に沿って簡潔に答弁を願います。 52 ◯宮崎委員=今、あなたが農業用水の問題でと、云々とおっしゃったね。環境アセスの評価の中には農業用水も含まれていたんでしょう、取り扱いも。違うんですか。 53 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=はい、アセスメントにおいて農業用水の代替案についていろんな案が示されているところでございます。 54 ◯宮崎委員=その環境アセスメントの中で、農業用水について問題があるという指摘があったんですか。 55 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=農業用水について問題があるといいますか、農業用水の手だてをしなければならないと。そのために、地下水案でありますとか、余剰水を利用するでありますとか、ため池方式でしますとか、いろんな組み合わせによって水を代替するとか、そういう案が示された中で、地下水が工期的にも工費的にも安く済むということで、最初はまず地下水案が一番いいんじゃないかというふうにされたというところでございます。 56 ◯宮崎委員=そういう案を含めた環境アセスメントが平成二十四年の十二月に決着がついた。決着がついて、昨年の九月までの間、農水省は一体全体何をしたというんですか。何をしたんですか。 57 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=我々が直接受けたわけではありませんので、わかる範囲になってしまいますけども、それはやはり一番は長崎側の要するに工事を、あるいは開門調査をするために、長崎側の理解を得るために、長崎県の理解を求める取り組みをされたというふうに思っております。 58 ◯宮崎委員=そんなら長崎寄りのスタンスなんですね、農水省は。そう理解していいんですね。 59 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=そこは長崎寄りといいますか、これを開門調査するためには、必ず干拓地内に入っておられます営農者の理解、あるいは排水門近くの農業者の理解、それは不可欠でございますので、そこはまずそこを理解してもらわないと先に進まないということで、そこは重点的にされたというふうには思っております。 60 ◯宮崎委員=農水省は干拓地に入植されている農業者の方たちにどんな言葉をかけて入植を勧めたんですか。 61 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=その点につきましては、私がちょっとここで答弁するのは差し控えたいと思います。ちょっと承知しておりません。 62 ◯宮崎委員=なぜ差し控えたいの。承知していないの。どっちが本当。 63 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=申しわけございません。承知しておりません。 64 ◯宮崎委員=私が調べた結果では、農水省は干拓地に入植する農業者に対して、もう絶対開門調査はいたしませんという、だから、安心して入植してくださいということを言って勧誘しているんですよ。これは御存じないですか、本部長も。 65 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=伝聞という形では、これは長崎県側も主張されていますので、そういうことで入植したという話は伝え聞いてはおります。ただ、それが伝え聞いているところでございましたので、先ほどは承知していませんというふうな形でお答えさせていただきました。 66 ◯宮崎委員=そういうことが事実とするならば、あなた方は事実確認をすべきなんですよ。いかがですか。 67 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=そこは、やはり事業主体である国が責任持ってやるべきことだというふうに思っております。 68 ◯宮崎委員=いや、私が言っているのは、農水省が農業者にそういうことを言って入植を勧誘しているという事実をなぜあなた方は確認しないんですかと言っているんですよ。 69 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=やはり我々が直接干拓地内のことにおきまして正確な情報、あるいは事情というのを承知していない中で、直接的に我々は、やはり開門調査をするに当たって、そこについては長崎県側の営農者も漁業者も被害とか困ったことにならないように、(「違うさい」と宮崎委員呼ぶ)しっかりそこは国はやってほしいと。そこで我々としてはとどまるんじゃないかと思っていますけど。 70 ◯宮崎委員=なぜ私がそこを質問しているかということは、農水省が干拓地に入植する農業者に対して、条件として、もう今から二度と開門調査いたしませんから入植をしてくださいという言葉を使って勧誘しているんですよ。だとするならば、農水省そのものも開門調査に反対だということをわからんですか。そういう立場に立っているということを。そういう立場をしながらにも、裁判の結果、開門調査になった。これは渋々農水省は開門調査に動き出さざるを得んように追い込まれてきたわけでしょう。  だから、平成二十四年の十二月に環境アセスが終了してから昨年の九月まで、何ひとつ手を打ってこなかった事実でしょう。そして、終了間際の三カ月前になって、やっとちょろちょろっと小手先だけで開門調査をするような動きを、見せかけをしただけの話でしょう。だから、農水省も長崎県側も開門調査に反対のスタンスをとっておると言ってもおかしくないわけでしょう。いかがですか。 71 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=確かに委員おっしゃいますように、裁判が確定する前は、国におきましても開門しないという方向で裁判争っておられました。そこは事実でございます。ただ、やはり政府として、政府自身が福岡高裁の判決を最高裁に上告しない。そこでみずからが、政府みずからが開門するということを決断されたということでございますので、そこは国は責任を持ってやっていただけるものと、やっていただかなくては困るというふうな思いでございますので、国が開門する、しない、そういったことについては、開門するということで政府自身が決めた結果ですので、そこはしっかりやっていただけると、いただきたいというふうに思っているところでございます。 72 ◯宮崎委員=期限が過ぎたって、今、何をやっているんですか。あなたがおっしゃるようなことで国は動いてくれるんですか。動きがあるんですか。ないでしょう。国は、福岡高裁の判決、長崎地裁の仮処分判決、この両方が出たけん、ああ、助かったと思っているんじゃないですか。どっちとも動けん。動けんで、決着を見るまで何もせんでよかからいいというような立場をとっているんじゃないですか。そう思われてもおかしくないような国の姿勢なんですよ。いかがですか。 73 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=国におきましては、相反する判決、委員おっしゃいました。ただ、その後にまた間接強制をお互いからかけられております。したがいまして、今、国があけるにしても、あけないにしても、どちらかの方向で決めた瞬間に間接強制がかかるおそれがあります。それは国が望んでいた形ではないんじゃないかと思っております。  したがいまして、国は話し合いによる解決を模索したいということを言っておりますし、それについて我々も、国が本当にしっかりそこについて動いていただけるのか。それは大臣とかもはっきりおっしゃっていますので、そこはしっかり見きわめながら、そういった動きがなければ、さらに国は責任持って動くべきじゃないですかと。ちゃんと長崎の理解を得るような対策をとるべきじゃないですかとか、そういったことはしっかりウオッチしながら求めてまいりたいと思っています。 74 ◯宮崎委員=甘い。あんたの考えは甘いよ。平成二十四年の十二月の環境アセスが終わった途端に動き出しておるなら、長崎地裁の仮処分申請はなかったはずなんです。どうですか、その辺は。それを昨年の九月まで農水省は手をこまねいて何もしなかった。だから、長崎地裁に仮処分申請をしたんでしょう。いかがですか。 75 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=その点につきましては、仮処分の判断の要素の中に、対策工事がきちんと行えるというのが、確実にやるというのが見えないという要素になっておりますので、そこはやはり仮処分決定の大きな要素だったというふうに思っておりますし、我々もそれが国が今までちゃんとやった上でできなかったというふうに申し上げておりません。そこはやはりそういうことにならないように、きちっとした対策工事をもっと早い段階から、それに限らず、いろんなやり方を持ってやはりやるべきだというのは我々も思っているところでございます。 76 ◯宮崎委員=我々も思っていますと言うだけですか。それにとどまるんですか。 77 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=ただ、実際に地元の意向をしっかり受けとめて適切な対策をとるというのは、国しかできないことでもありますので、そこは国が責任持ってやるべきだと。そういうことを我々はしっかり求めていくということになるんじゃないかと思っています。 78 ◯宮崎委員=今に至って何を求めるんですか、国に対して。 79 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=先ほど申し上げましたように、対策につきましては、今、ちょっと動きがありません。ただ、先ほど申しましたように、関係者による話し合いについて、国はそこを求めていくということを言っておりますので、それに向けてきちんと動くように求めてまいるということでございます。 80 ◯宮崎委員=国は関係者に求めているということで、求めることが成立するんですか。成立するという見通しが立つんですか。いかがですか。 81 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=今の状況からいたしますと、成立する、しないによって、これをやめるというわけにはいかないと思っています。我々としては、その可能性といいますか、それは必要だと思っていますので、可能性がある限り、そこは粘り強く求めて、しっかり国に動いていただきたいということでございます。 82 ◯宮崎委員=あなたが可能性とおっしゃるのはどんな可能性ですか。 83 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=その可能性といいますのは、佐賀県側といたしましては、開門にこだわる条件をつけなくても、もちろん開門という形で協議ができれば一番いいんですけれども、それが支障となるならば、それは一旦条件としなくても応じますというのを佐賀県側としてはしています。あとは、だから、長崎県側がそれに応じてくれるかというところですので、その応じるかどうかというのは、やはり国が、やはり開門する、しないは国ですし、対策工事をきちんと打てる、そういったこともできるのは国でありますので、そこはやっぱり国が長崎県に理解を求めなければ物事は進まないと思っていますので、そこは国がしっかりやっていただきたいと。そこを求めるしかない。
     ただ、それとは別に、やはり我々としても、知事が答弁でも言っていますように、いろんなチャネルがありますので、周りからそういった環境、あるいはいろんな方法がありまして、我々が考えていることを伝え聞いてもらう形もありましょうし、ある程度近い方々でそういった佐賀県の思いもわかっていただいて、そういった環境というのが出てくれば、またそういうふうに話が進むということを期待して、さまざまなチャネルということも動いているところでございます。 84 ◯宮崎委員=来ればという仮定の段階で、仮定の段階を踏まえておっしゃるのはいかがなものかと思いますよ。今、あなたが答弁なさったのは、佐賀県側の言い分を言われただけのことです。長崎県側の言い分はまた違うんでしょう。もう開門調査は絶対だめですよという言い分でしょう。片方は、開門と言ったら同じテーブルには着いてもらえんかもわからんけんが、開門ということは棚上げしておって、何かいい解決法を探すために一緒に話し合いをしましょうと言ったって、片方はそういうテーブルに、いずれまた遅くとも、開門という言葉が出てくるから乗られんと言っているわけですから、話し合いのテーブルに着く根拠はないわけですよ。いかがですか。 85 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=話し合いの先に開門ということがあることが見えれば、乗ってこられないと思います。だから、そこはやはり条件をつけずにと言ったのは、今の段階でそういったことではなく、有明海再生のことについてだったら、長崎県も思いは同じだと思いますので、そこは話し合いのテーブルに着くというのは可能じゃないかと。  ただ、それをもって将来的に開門までつなげますというのは、もちろんそういったことで長崎側が話し合い自体に参加されないというのも困りますので、そこはそこできちんと、ここはもう有明海再生について、開門じゃなくて有明海再生について話し合いましょうというのをまず始める。それも委員おっしゃるように、可能性がどれだけあるかと言われると、可能性は低いかもしれませんけれども、そこはそこで開門とまたもう一方で水産業の振興、あるいは資源回復というのが大事ですので、そこもやっぱりやっていきながらお互い理解が深まっていけば、もちろんこちらから開門をいきなり申すことはしないと思います。それは信義則に反しますので、相手方がそういう話になっていくような環境になったときにはそういう話もできると思いますので、そこはきちんとやはり有明海再生は再生、開門調査は開門調査と、そこは分けていくべきだというふうに思っています。 86 ◯宮崎委員=もうそういう言い方をなされる時期はとっくの昔に過ぎたんじゃないですか。今あなたがおっしゃるような話し合いのテーブルを持ちたいというならば、平成二十四年の十二月に環境アセスメントが終わったから、長崎県が長崎地裁に仮処分申請をする前に、そういう提案をなぜできなかったのか、もう相反する判決が出ている。そして、それに対して何ですか、間接強制までなされておる。これは水と油ですよね。こういう状況の中において、今あなたが提案なされたような形が現実的に起こり得ると思いますか。いかがですか。 87 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=まず、国は仮処分決定といいますか、そういった昨年の押し迫った時期にそういった主張をされたということはそうでございます。ただ、佐賀県側としては、話し合いの申し出というのは相当前から主張していたということは御理解いただきたいと思います。  この可能性がどうかという話でございますけど、繰り返しになりますけれども、我々は可能性が少ないからといって諦めるわけにはいかないと。やはり漁業者の声を聞いて、我々は連絡協議会でも漁業者の声、市町の声を聞いて進めていってまいりますので、その可能性が低いからといってやめるわけにはいかない。ほかに方法があれば、もちろんその方法も模索しますし、今やれるのはそれが可能性がなかなか厳しい中でも効果的といいますか、その方法が今やるべきことだというふうに考えて取り組んでいるところでございます。 88 ◯宮崎委員=いや、相反する裁判の結論、そして間接強制が今双方から国に求められておる。そういう状況を踏まえて、今あなたがおっしゃるような有明海再生という、そのことだけで国、佐賀県、長崎県の三者がテーブルに着くことができるという判断をお持ちでしょうか。どうですか。 89 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=もちろん、我々も楽観視しているわけではございません。ただ、熊本県におきまして、一般質問のほうで知事が答弁された中で、ちょっと我々の思いとは少し違うかもしれませんけれども、水産資源の回復、資源ですね、そういったものに向けて熊本県も漁業者と、あるいは関係県と連携して、平成二十七年度以降の、知事が投入しました新たな平成二十六年度で終了する事業、平成二十七年度からの事業に向けて連携していきましょうと、話し合っていきましょうというやつにつきまして、熊本県知事も答弁の中で海底耕うんとかいう話で、水産資源ということでございましたけども、それについては関係県とも連携しましょうという話がございましたので、そういったことで水産資源とか有明海再生という形であれば、それは理解していただける部分というのはあると思っていますので、そういったところも糸口にしたいというふうに思っております。 90 ◯宮崎委員=海底耕うんということが出てまいりましたが、それは最終的には開門調査を行って、その結果が海底耕うんという形になるのか。今あなたがおっしゃった言葉の中には、開門調査をやらずに海底耕うんしていくという、それをやるということですか。どっちですか。 91 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=海底耕うんは水産課のほうが詳しいんですけど、私の知る限りでお答えいたしますと、海底耕うんにつきましては、開門とか別に、今、底質改善といいますか、そういったもので必要として行われている事業というふうに思っております。 92 ◯宮崎委員=いや、あなた方は最終的には諫早湾干拓の開門をして、調査をしていかなければ最終的な有明海再生はあり得んという観点に立たれて言われておるんですか、それともそうじゃないんですか。 93 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=開門調査は有明海再生に向けて、そういった有明海異変の原因究明、そういったもののための重要な手段といいますか、手だてといいますか、有明海再生にとって重要な調査だというふうに考えております。 94 ◯宮崎委員=だからさ、有明海再生のためには開門調査をするというのが最低限の条件だということでしょう。違うんですか。 95 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=佐賀県が目指していますのは、もちろん最終的には有明海の再生でございます。そのための一つの手段として有明海の環境変化の原因究明のための開門調査を実施することが必要じゃないかというふうに思っているところでございます。 96 ◯宮崎委員=だからさ、あんた使い分けちゃいかんよ。長崎県側を説得せんばいかんわけでしょう、開門調査をするためには。しかし、説得するためのテーブルに着かん、着いてもらえん、だから、佐賀県側は有明海再生という観点から話し合いをさせてくださいと、こう言っている。しかし、有明海再生というものを突き詰めていくと、最終的には開門調査をしなくちゃ、有明海再生の原因究明はあり得んというふうに結論はなるんじゃないですか。どうですか。 97 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=そこは開門調査を前提としないで話し合いをしてくださいというつもりではございません。先ほども申しましたように、我々としては開門を前提にした話し合いというのが望ましいと思っています。ただ、それにこだわって、協議とか話し合い自体ができないようであれば、そういったことを外してでも我々はテーブルに着く準備はありますということを表明しているところでございます。 98 ◯宮崎委員=開門調査を外してテーブルに着いてくださいということを提案するということは、開門調査はせんでもよかということの前提になるんですね。 99 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=それは開門を前提としないという──済みません、言い方が悪かったかもしれませんけれども、開門をする、しないという条件をつけずにということでございます。開門しなきゃならないという旗はおろすつもりはございません。 100 ◯宮崎委員=僕はその辺が全然理解に苦しむんですよ。開門調査をするということを前提にせず、有明海再生だけのテーブルに着いてくださいと、こう言う。しかし、有明海再生を行うためには、あなたが主張するように開門調査をやって、そして原因究明をしてやらなくちゃできんと、こうなる。だとするならば、有明海再生だけのテーブルに着いて話をしてくださいといって、そのテーブルの協議の過程において、有明海再生をするためには開門調査をしなくちゃいかんという結論に達するんじゃないですか。違うんですか。 101 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=繰り返しにはなりますけれども、我々としては開門調査を前提に話をしたいですけれども、それを言うことによって実現ができないようであれば、それをちょっと条件をつけなくて、有明海再生という純粋な形で話し合いに応じるということであれば、我々はそれでも構いませんと、まずは。それは必然的にお互い理解が深まって、じゃ開門について議論しましょうとなれば、そうなればいいですし、それはそういうふうに将来的にしましょうねという条件もつけずに、とにかくまずはそういう話をしながら、そして開門調査という形にまで進まなければ、それはそれでまた別の方法でさまざまなチャネルでまた求めていくと。それが全てで、全部話し合いによって開門調査の問題解決ができるという形までなると思っておりませんので、それはいろんなやり方で模索していくしかないと思っています。 102 ◯宮崎委員=開門調査を前提にしないで、有明海再生だけで話し合いをして、何も決まらんじゃないですか。何か有明海再生、開門調査以外の方法で有明海再生を道筋が考えられるんですか。考えられんでしょうもん。考えられんから開門調査をという形で裁判闘争に持ち込まれたわけでしょう。違うんですか。 103 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=確かに裁判が混迷、長期化しております。この点については、裁判の一つのポイントでありますし、それはしっかり見ていかなくちゃならないと思っています。  ただ、もう一つ、我々が有明海再生を目指す中で考えていかなければならないのが開門調査とあわせて水産資源回復の取り組みだというふうに思っておりまして、十二月二十日に開門ができなかった後、関係者連絡会、漁協、市町含めたところでございますけども、連絡会を開きまして、今後の取り組みについて協議したところでございます。その際にも裁判は裁判として、そこはある程度長期化するのを少し現実として見ていかざるを得ない分もありますよねと。  ただ、それを裁判の結果を待っただけで、裁判の結果が出て、ああ困った、ああよかったというだけじゃなくて、裁判だけに頼らずに話し合いによっていろんなものの解決ができないか、あるいはそうはいいながら、裁判の結果を待つまでもなく、今やれる水産振興、水産資源の回復、それをしっかりやってくれと。この声が漁協さんのほうからも大きく出てまいりまして、開門の旗はおろしてほしくないけれども、そこはそことして裁判を見守りながらも、水産資源回復に、ここはしっかりやってほしいという声を受けまして、今回の代表質問であったり一般質問であったりのところで水産資源回復についてより一層取り組んでまいりたいというふうな答弁をしたところでございます。 104 ◯宮崎委員=あなたがおっしゃるようなことが実現するためには、佐賀県も福岡県も熊本県も、行政、あるいは漁業団体が開門調査の旗をおろさなければ、実現できないんでしょう。片方じゃ、開門調査という旗を掲げておって、片方じゃ有明海再生だけでテーブルに着いて話し合いましょうて、誰が着きますか。そんな甘いものですか。 105 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=開門の旗をおろすというよりも、その話し合いの場では開門というのを(「何ば言いよるとね」と宮崎委員呼ぶ)持ち出さないということです。 106 ◯宮崎委員=その話し合いの場では開門調査は言わんだけの話でしょうもん。しかし、開門調査の旗はおろさんとでしょうもん。おろさんで、有明海再生だけで同じテーブルに着いてもらえると思うんですか。そんな甘いものですか。そんな甘いものだったら、いつのことテーブルに着いていますよ。違うんですか。 107 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=委員御指摘のとおり、簡単にできるものではないというふうには我々も認識はしています。ただ、だからといって、繰り返しの答弁になりますけども、それを諦めるというわけにもまいらないと、そこは可能性がある限り求めてまいるということになるかと思います。 108 ◯宮崎委員=あなたが答弁しておっしゃっているのは、先行きはどうなるかわからんけども、混沌としている。しかし、今の段階で、有明海再生という旗をおろすわけいかんと、開門調査という旗もおろすわけいかん。かといって話し合いの場を設けてもらわにゃいかん。一体どれを選択なさるんですか。どれをとっても無理な話じゃないんですか。ただ、佐賀県としてはそういうことを常々言っとかにゃいかんというだけのことじゃないですか。違うんですか。 109 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=繰り返しの答弁になってしまいますけども、我々も具体的に今こうすればこういった成果が得られるという具体案は、正直言って持ち合わせているわけではございません。今考えられるのは、愚直な努力を重ねるという形になるかもしれませんけども、そこはそこを(「やっぱり、そこて」と宮崎委員呼ぶ)いや、漁業(「いろいろ言うたっちゃ、何も見えたもんじゃなかやんね」と宮崎委員呼ぶ)ただ、今やれるのは話し合いだというふうに思っています。 110 ◯宮崎委員=今やれることは話し合いだというふうにおっしゃったけどね、話し合いだということじゃないんですよ。話し合いをしてくださいということだということですよ。あんまり間違わんごとしとってね。  間接強制がなされておる。これは福岡高裁の判決に対して、一方は長崎地裁の仮処分に対して、国は双方やっている。これについて国は意見書出しているね。これは取り下げてほしいという内容のものだと思いますけども。これが実現できますか。恐らく佐賀地裁、長崎地裁で、それぞれの判決が出た場合、これはどっちに転んだっちゃ、福岡高裁に控訴されるでしょう。福岡高裁で判決が出た暁は、これもどっちに転んだっちゃ、最高裁まで持ち込まれていくというふうに私は見ているんですよ。あなたたちの判断どうですか。 111 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=当事者でない県として、今見えているところからの見え方でございますが、やはりこれ以前に工事差しとめ、干拓事業の工事差しとめの事件がございました。そのときもかなり長期化しているということもございますので、こういった間接強制が判断されると思いますけども、これもお互い納得しないほうが上に上げていくというのはもちろん予想されるところでございますので、ある一定程度長期化するのではないかというふうに思っているところでございます。 112 ◯宮崎委員=あなたのおっしゃるとおり、私は最高裁まで争われて、一定の長期化をせざるを得んというふうに見ているんですよ。そして、最高裁の判決によって、最終的な判断がなされるものだ。もうそれしか道がないように閉ざされきつつある。  確かにあなたがおっしゃるように、長崎県側に、国に、有明海再生で、いわゆるテーブルに着いて話し合いをさせていただきたいということが実現するなら、ともかくとしても、実現したとしても、最終的に有明海再生を実現するためには、開門調査に行き届かなくちゃならないわけでしょう。そうすると、とどのつまりとしては、最終段階で破綻をするというふうに私は受けとめておるんですよ。いかがですか。 113 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=済みません、最終的に破綻するというのは(「話し合い、テーブルの話し合いが」と宮崎委員呼ぶ)はい。我々は裁判がもちろん大きな要素だと思っていますけども、ただ裁判で物事が全てが解決する(「違う違う、俺はそやんかと言うとらんさ」と宮崎委員呼ぶ)いや、だからこそ話し合いが必要だというふうに考えております。 114 ◯宮崎委員=あのね、ちょっと質問の趣旨をようと聞いとかんばいかんよ。  裁判は裁判としてこっちに置いといて、あなたが提唱する有明海再生のテーブルに国も長崎県側も着いたとする。そうすると、有明海再生の検証をするためにはどういう手段が必要ですかと、こうなる。第二段階、第三段階として。そして、行き着くところには、諫早湾干拓堤防の開門調査をして、それを究明するために行って、有明海再生のための手段を見つけていかにゃいかんという段階になるんじゃないですかと。開門調査をしなくちゃいかんという段階になったときに、話し合いのテーブルは破綻をするというふうに私は見ているんですよと言っているんですよ。それは長崎県の反対だから。そういうふうなことは考えられませんかと言っているんですよ。 115 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=それはお互いの主張があり、そういう可能性もございますけども、そこはやはり知事も申し上げていますけども、アカデミックな議論、例えば、うちで言えば、NPOの有明海再生機構、あるいは環境省の有明海・八代海等総合調査評価委員会、そういったアカデミックな議論もそこの場に加えて、そこは冷静にどうしたらいいのかと、そういったことを踏まえて、長崎、佐賀、熊本、福岡もですけども、そういったことを加えた上で、有明海再生のためにどうするかという議論になっていくんじゃないかと、そういったところを目指したいと思っています。 116 ◯宮崎委員=それで、今、あなたが提唱されている、提案されているものがどのくらいの確率で実行できるとお考えですか。 117 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=私が提案していますというよりも、国が話し合いを呼びかけて、県がそれは応じる構えがあるということでございます。  そこについてはやはり一番開門、あるいは対策工事をしっかり打てるのが国だと思っていますので、可能性というのを予測するのは難しゅうございますけども、そこは国がやると言ったからには、そこは国はしっかりやっていただきたいということをしっかり求めていくということになるというふうに思っております。 118 ◯宮崎委員=あなたね、国にしっかり求めていこうというお考えのようですけども、それが実現できなかった場合、どうなさるんですか。 119 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=もちろん実現ができなかった場合、また新たなことを模索するのか、あるいは引き続き、まずそれが一番その時点で有効ということであれば、引き続きやはりそこは粘り強く国に頑張っていただく、我々もその中でやれることはしっかりやっていくということしかないというふうに思っています。 120 ◯宮崎委員=あのね、粘り強く頑張っていかれるという気持ちは私は理解します。しかし、やっぱり限度というものがありますよ。今、長崎県側と佐賀県側は水と油に例えるならそのとおりです。相反するような状況でしょう。本来ならば、漁業者と国の問題ですよ。農業者と国の問題ですよ。ところが、それがすりかえられて、漁業者と農業者の問題にすりかわってきている。国は高みの見物になっている。そう思いませんか。 121 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=裁判の形でいいますと、今も漁業者と国、それから、農業者と国という形の裁判なり間接強制が争われていると思っています。  委員おっしゃったのは、多分営農者が漁業者を訴えたらどうかという裁判所からの示唆といいますか、があった話なのかなと思っていますけど、今、それについてはその動きはないというふうに我々としては認識しております。  これ、やはり実際の原告団に聞いても、それはもう漁業者と農業者が闘うというのは自分たちも望んでいないというふうにおっしゃっています。そういう形になっているとは思っておりません。それはやはり国と農業者、国と漁業者がしっかりそこは闘っています──闘うといいますか、理解を得るために国はそれぞれの農業者、漁業者に理解を求める取り組みをやっていっているというふうに考えているところでございます。 122 ◯宮崎委員=立派な御答弁ですな。私はそうは理解しませんよ。もう開門に賛成、開門に反対、このことだけでも漁業者と農業者の闘いになっている、すりかえられているというふうに見ざるを得んような状態が出てきておるというふうに私は指摘をしておきたいと思います。  今、あなた方が同じテーブルに着いてくださいというふうに申し上げられておりますけども、その見通しはどうですか。 123 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=見通しは、繰り返しになりますけども、かなり厳しい中で、今、そういったものを模索しているところでございます。可能性がどれくらいというような数値とか、期待できるようなお答えできるような状況じゃないところではございますけども、先ほど申しましたように、熊本県あたりからも、そういった漁業振興という形であれば連携しましょうという動きも出てきていますので、そういったところから何とか糸口とか、解決の糸口なんかを見出せないかと、そういったことを地道にやっていくしかないというふうに思っております。 124 ◯宮崎委員=厳しい、厳しいというふうに言っておられますけども、一体全体どのくらいの厳しさを持って判断されているんですか。熊本県が提唱している海底耕うんなんていうのは、開門調査せんでもやられるわけでしょう。テーブルに着かんでもやれるわけでしょう。違うんですか。佐賀県の有明海側でもやれるんでしょう。何もテーブルに着いて話し合いをせんばでけんという代物じゃないでしょう。いかがですか。 125 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=海底耕うんは事業の例でございました。それに限らず、今議会でも何遍か出ておりました平成二十六年度で終了し、平成二十七年度に新たにやっていく有明海再生関係事業でですね。これについては今のままでいいのか、過去のことを検証しながら、もっと大幅に予算なり、やり方なり、そういったことをもっと国に対してもっとやるべきだということを関係県で連携していけば、いろんな実現ができるんじゃないかと、そういったことでの答弁だったと思っています。確かにそういったことで我々も動いていくというふうに言っておりますし、まずはそれはやっぱり開門とは別という形でやっていきたいと思っています。  先ほどいろんなできないじゃないかという話も、長崎がどう思っているかという話もありましたけども、これが全て有明海再生と言いながら、開門調査に結びつけるんじゃないかと、佐賀県はと、そういった警戒が正直言って出てきている部分もございます。だからこそ、我々はこの部分については開門調査とは違います、切り離して、ここは純粋にいきます、ここは有明海再生に向かって、もし、将来的によかったらそういった議論もさせてもらえませんか、あるいは全くしませんとか、いろんな形で話し合いを模索しながらやっていかないといけない。  ただ、やっぱりそういう動きが出ている中で、警戒心というのが正直言ってやはり全部、有明海再生と言いながら、開門調査とセットじゃないかという警戒心も出てきているのは事実でございまして、より難しくなってきている状況もございます。だから、そこは我々はきちんと、そこは相手に信じてもらうような形できちんとそこは整理してから進めていかなければならないと思っています。  そういったことでありますので、状況的にはなかなか、今すぐできますとか、大丈夫ですとかいうところの状況までには正直いって来てはおりません。 126 ◯宮崎委員=大体いつまでそれを続けていこうという考えがあるんですか。 127 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=今の時点でいつまでという考えはございませんけども、それが今やるべきこととして一番効率的といいますか、一番やるべきということであれば、それをやっていきますし、また、違う時点で、いや、こういったやり方もということが出てくれば、佐賀県関係者連絡会の中でも協議しながら、また違うこともやっていくと。それだけに固執するということでなく、その都度、その都度、やるべきことを連絡会で協議しながらやっていくという形になろうかと思っています。 128 ◯宮崎委員=違うことをやっていくといったら、どういうことを考えられますか。 129 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=今の時点では、そういった関係者の話し合い、裁判を的確に見通しながら、分析しながら、予測しながら見ていくことと、水産振興をもっと積極的にやっていくこと、それから、今は話し合いを模索していくこと、それがやるべきことだと思っていますので、ほかにやるべきことというのは、今のところ具体的にはございません。 130 ◯宮崎委員=有明海再生をやっていきたいという思いがあるということは、開門調査で原因を究明せずに有明海再生ができるという認識を持っていらっしゃるんですか、どうなんですか。 131 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=今の科学的知見における段階におきましては、やはり開門調査が原因究明の一番重要といいますか、大きな役に立つ要素だと。ほかのことは──開門調査が一番だというふうに考えております。 132 ◯宮崎委員=だから、あなたが開門調査を意識せずに有明海再生だけでテーブルに着いていただきたいと幾ら言っても、それは無理なことだというふうに私は再三申し上げてきているんですよ。それはあなたも百も承知で答弁なさっておろうというふうに理解していますよ。  それで、あなた方が提唱されておる有明海再生で三者がテーブルに着くような段取り、これはどのようにして段取りをされようと考えていらっしゃいますか。 133 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=一つ考えられますのは、例えば、既存の水産振興を、先ほど申しました平成二十六年度に終了する事業等ございます。そういった事業をどうやって進めていくかというので、四県が集まったりする場がございます。  そういった場等を機会を捉えまして、各県にこうした形でやっていくことについてどうだと。そういった話し合いというんですか、そういったことを持ちかけていって、まずは開門調査とは別になりますけれども、そこの場というのはしっかりつくっていきたいと。  もう一つ、開門について向かっていくについては、先ほど申しましたように、具体的な案というのを持っているわけではございませんけれども、それはやはりさまざまなチャネルで、特に佐賀と長崎だけではございませんけれども、佐賀と長崎については隣県でさまざまな行き来があって歴史がございます。それはお互い隣県として、有明海再生ということであれば理解し合える部分があると思いますので、そういったチャネルを活用して、まず糸口を見つけて、そういった環境ができ上がっていった上で話し合いをどうですかとか、それだけではなくて、いろんな形でとにかく糸口を見つけていくしかないと。もちろんダイレクトに話し合いをしましょうということもやっていったりはするんですけれども、それに限らず、周りの環境から話し合わなくちゃならないよねみたいな環境をつくるようなチャネルを利用した活動といいますか、そういったこともやっていきながらという形になろうかと思います。 134 ◯宮崎委員=じゃあ、今までは何をやっていらっしゃったんですか。 135 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=今回、代表質問でも知事がお答えいたしましたように、昨年十二月の連絡協議会では三県だけじゃなく、福岡県、熊本県さんも入れて開門調査について連携できないかという提案が連絡会でございました。それに向けて直接動いたりしましたけれども、代表質問で知事がお答えしましたとおり、今、三者というか、福岡県、熊本県、佐賀県が足並みそろえて動けるような状況にはならなかったというのが正直なところでございます。  それはそれで動いたところですけれども、各県の事情とかがございまして、今すぐというわけにはならないという状況も現実ございます。だから、具体的にどうすればそれが実現するかというのは、正直言って、今具体的な案があるわけではございませんけれども、話し合いを直接持ちかける、あるいはいろんな方々の力をかりてそういった環境づくりを目指していく、そこしかないというふうに思っております。 136 ◯宮崎委員=古川知事は、代表質問や一般質問の中で、長崎県の中村知事の選挙も終わったし、これからというようなニュアンスの答弁をしましたね。この話し合いによる解決について、古川知事はどのような行動をとろうというお考えになっていらっしゃるか、いかがですか。 137 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=これも代表質問で知事がお答えをしたかと思いますが、知事自身も今までも長崎にいろんな形で知り合いがいるから、そういった方たちとチャネルを利用していろんな話をしてきたと。あるいは長崎県の県議会議員の皆さん方とも話をしたと。そういったことをさらに──今回、中村知事が当選されて、また四年間知事をされますので、自分も一人の政治家として直接今すぐ知事同士という環境はできないながらも、自分は政治家として引き続きさまざまなチャネルで動いてまいりたいという答弁をしたところでございます。  まさに知事だけじゃなく我々もそうですし、さまざまなチャネルを使って何とか(「俺は知事のことしか聞いとらん」と宮崎委員呼ぶ)はい。打破していくべきだというふうに思っております。 138 ◯宮崎委員=具体的にどのような行動をされるんですか。 139 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=先ほどのさまざまなチャネルということで、さまざまな関係者の方と会って、佐賀県はこういうことを思っている、ただ開門すればいいということじゃない、あるいは農業も漁業も成り立つ形での開門調査を望んでいるとか、そういったことを相手方に佐賀県の考えていることを理解していただくという形になろうかと思っております。 140 ◯宮崎委員=具体的に関係者というのはどういう方たちを指しているんですか。 141 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=知事自身がどういう人たちと話をしているかというのは私たちも承知しているところではございますが、やはり相手のある話でございますので、答弁は申しわけないですけれども、差し控えさせていただきたいと思っております。 142 ◯宮崎委員=委員長にお願いします。  ここで私、知事の話し合いによる解決に対する行動について質疑をしております。今、差し控えるというふうに、判断をしかねるという形でございますので、ここで知事の出席を求めたいと思います。 143 ◯坂口委員長=過去の議会運営委員会におきまして、知事は委員会へ出席しないものと申し合わせがあっておりますので、本部長に答弁を求めてください。 144 ◯宮崎委員=いやいや、出席をさせないということじゃないんですよ。理事会でその取り扱いを協議すれば出席することができるんですよ。だから、出席を求めるように理事会で協議をしていただきたいと思います。 145 ◯坂口委員長=まずは、本部長の答弁は知事答弁に十分かわり得る権利を有するということで申し合わせをされていますので、本部長に対して答弁を求めてください。 146 ◯宮崎委員=今ね、本部長も副本部長も同じと思いますよ。知事の行動については差し控えたいという答弁でございます。わからないということなんですよ。だから、私は知事の出席を(「本部長の権限てばい」と呼ぶ者あり)よかて、発言中やっかい。出席を求めるように理事会を開催していただいて、取り扱いを協議していただきたい。 147 ◯古谷くらし環境本部長=(「委員長、議事進行」と宮崎委員呼ぶ)先ほどの副本部長の答弁に(「委員長、それはおかしいさい」と宮崎委員呼ぶ)補足をさせていただきたいと思います。(「おかしいて」と宮崎委員呼ぶ)  宮崎副本部長は……(「委員長、ほら」と宮崎委員呼ぶ) 148 ◯坂口委員長=続行してください。(「委員長」と宮崎委員呼ぶ) 149 ◯古谷くらし環境本部長=知事がどういう行動をとっているかということは承知しているけれども、個別の動きについては相手のあることなので、この場では控えさせていただきたいと。これは知事とも話をした上で、そういったことになると、この場でそのことをお尋ねになってもそういうふうな答えになるということは確認をした上で御答弁をさせていただいております。御理解いただきたいと思います。 150 ◯宮崎委員=それは、相手がおるということは百も承知で質問しているんですよ。しかし、私が再三再四佐賀県の立場を質疑してきました。有明海再生の一点だけでテーブルに着いてもらうように努力をしてほしい。これは国に要請ですよ。片方は国に要請しながら、片方は佐賀県のトップとして、やっぱりそれが現実味を帯びるように行動を起こしていただかにゃならんわけでしょう。国にお願いするばっかりじゃならんわけでしょう。だから、その行動について聞いたところ、定かじゃないという答弁でしたので、知事の出席を求めて知事から直接お聞きしたい、質疑をしたいということですので、取り計らいをお願いしたいと思います。 151 ◯坂口委員長=今の本部長の答弁では、知事と十分協議をした結果答弁をされているというふうな話でありましたので、本部長に対して質疑を続けてください。 152 ◯宮崎委員=協議をしたならね、差し控えるという答弁は出てこないわけですよ。 153 ◯坂口委員長=宮崎委員に申し上げます。  差し控えるということは、相手がある問題であるから差し控えるということでありますので、答弁は変わりません。 154 ◯宮崎委員=ちょっと待って。相手が誰であろうと、私はそんなことを質問しているんじゃないですよ。佐賀県のトップとして、どう行動されるんですかということを聞きよる。相手がおるから、それが実現するかしないかわかりませんよ。それは百も承知をしているんですよ。しかし、有明海再生に向けてテーブルに着いていただくように国に働きかけていくということですので、だとするならば、提案者として、佐賀県知事のトップとしてどういう行動をとられるんですかということを問いただしているんですから、何もおかしくないんですよ。 155 ◯坂口委員長=さっき言いましたけども、本部長の答弁は知事の答弁に十分かわり得る権利を有する、知事の答弁と同等ということでありますので、本部長に対して答弁を求めてください。 156 ◯宮崎委員=差し控えるとおっしゃったわけですから、それ以上のことを何を質問するんですか。 157 ◯坂口委員長=宮崎委員に申し上げます。  差し控えるという答弁の意味については、相手があることですから差し控えるということでありますので。 158 ◯宮崎委員=相手がおるから差し控えるということは答弁になっていないんですよ。私は、相手が誰であろうと佐賀県のトップとしてどういう行動をとられていきますかということだけを質疑しているんですから、そのことについては、やっぱりきちっと知事の答弁を聞かせてくださいよ。お願いしますよ。 159 ◯坂口委員長=本会議場におきまして、知事はいろんなチャネルをもって取り組みをしていきたいと。(「よかさい、わかっとって、あなた言わんで」と宮崎委員呼ぶ)その内容については、本部長に対して答弁を求めてください。(「いや、本部長じゃだめじゃん」と宮崎委員呼ぶ)
    160 ◯古谷くらし環境本部長=まず、個別のことについては、相手があることだからこの場では控えさせてくださいと。  それから、知事がどういう行動をとっていくかということについては、本会議の中でも知事の答弁として、「やっぱり今このタイミングで私自身も一人の政治家として動いていかなければいけないと考えております。さまざまなチャネルとかあらゆるチャネルということを申し上げておりますので、自分として考えられる限りの動きをしていくことによって、何か見通しを具体的に持っているというわけではございませんけれども、話を重ねるときに何かしら解決の糸口というものがつかめるのではないか、そういったことを期待して、自分自身が動いていきたいと思っている」という答弁をしております。  この動きにつきましては、この場でその動きの具体的なものについても──この場というのは県議会という公開の場合でございます。そういう中で、開門に賛成の立場の方も反対の立場の方もこの内容については承知おきできる、そういった場所でございますので、そういう中で政治的な動きについて何をどうする、今何を考えているということをつまびらかにするということも含めて差し控えるべきことだというふうに我々としては考えておりまして、そのことについても知事と協議をした上でそういった対応をさせていただくことにしております。御理解をいただきたいと思います。 161 ◯宮崎委員=問題をそらしちゃいかんよ。古川康が一人の政治家として行動をとるということですか。これは責任を放棄したことにならないわけですか。佐賀県知事古川康として行動をどうとるかを聞いているんですよ。一政治家の行動を聞いているんじゃないんですよ。とんでもない話ですよ、そんなことを言ってもらっちゃ。 162 ◯古谷くらし環境本部長=知事は行政のトップであると同時に、政治家という立場でございます。そういった意味で、県政の課題に対して、行政としてのトップとしての動きだけでなく、要するに考えられるあらゆることという趣旨で申し上げているということでございます。 163 ◯宮崎委員=いや、あなたは一人の政治家として答弁したとおっしゃったじゃないですか。私は佐賀県知事古川康としてどう行動をとられるのかということを質問したいんですよ。答えてください。 164 ◯古谷くらし環境本部長=政治家として、政治的な行動というものを含めて、考えられるあらゆる取り組みを行っていくと、そういった趣旨でお答えをさせていただいております。 165 ◯宮崎委員=だから、具体的にどのような行動をとられるのかということをお尋ねした。 166 ◯古谷くらし環境本部長=先ほどもお答えいたしましたけども、この政治的な動きにつきましては、こうした場でつまびらかにするということはいろんな点で問題も生じてくる可能性もございます。そういったことで、つまびらかにすることについては差し控えさせていただきたいということでございます。御理解をお願いしたいと思います。 167 ◯宮崎委員=ここで明らかにすればどのような問題が生じるんですか。それを明らかにしてください。 168 ◯古谷くらし環境本部長=まず、相手のことについては、相手のあることでございますから、具体的な相手方をお答えするということはできない。それから、その動きについては、基本的に我々としては開門に向けての取り組みということになります。こういった公開の場で開門に向けての取り組みについて、いろいろ表面的に見える動きもあれば、そうでない動きもございます。そういったものを含めてつまびらかにするということは、これは反対の立場の方もごらんになれるこういう場でお答えすべきことではないというふうに承知をしております。 169 ◯宮崎委員=あなたたちは開門調査を使い分けちゃいかんよ。さっきからずっと私は話し合いのテーブルに着くためにどんな条件ですかという条件を聞いてきたら、開門調査を言ったら長崎県が着いてもらえんから、有明海再生という形の一点でテーブルに着いてもらうように国に申し上げていきたいと、そういうふうに言ったでしょう。今言ったら開門調査も云々という形であるから言えないと、そんなものじゃないでしょう。どっちが本当ですか。 170 ◯古谷くらし環境本部長=話し合いの場を求めるためにいろんな取り組みをしていくと、これはそういうことでございますけども、その具体的な中身について、全てをつまびらかにするということはできないということでございます。  そういうこととちょっと別に、開門についてという話し合いという条件をつけるということ、これも今議会に限らず、先般の議会でも知事も御答弁申し上げておりますけれども、要するに、有明海のこの開門の問題については、裁判の決着というのは決着として一つ、これはもう見ていかざるを得ないということはございます。しかし、それで白か黒かがついたときに、本当に同じ海を共有していく隣同士の地域に生きる人たちが、本当に通じ合うものを持っておかなければ、どちらに転んだからということで、それだけで気持ちの面も含めまして本当の解決にはつながらないんじゃないかという意味でも、ぜひ話し合いというものはしていきたいと。  ただ、その際に、話し合いのテーブルに着くということがまず大事だということを我々として考えた場合に、その条件、そのこと、開門調査について話し合うということが、まずテーブルに着くということのさわりになるのであれば、そこは条件をつけずに、まずは話し合いのテーブルに着くということで我々としては考えていますよということを国にもお伝えをしておりますし、対外的にもそういった表現をさせていただいているということでございます。  とにかくその具体的な話し合いに持っていくための糸口を見つける、そのための模索の取り組み、これについては先ほど来申し上げておりますように、いろんな形で動いていくということを知事も表明をしておりまして、それについて具体的にこの場でつまびらかにするということは差し控えていただきたいということでございます。よろしくお願いいたします。 171 ◯宮崎委員=私が質問しておる趣旨は、話し合いの中身の問題じゃないんですよ。話し合いのテーブルに着くためには、知事はどのような行動を起こすのかということを質問しているんですよ。それが一点。  それから二点目は、あなた方は話し合いの場に開門調査を持ち出せばテーブルに着くことが不可能になる。だから、とりあえず有明海再生だけの条件でという形になるわけですけれども、その言い方はわからんわけじゃない。しかし、有明海再生を実現させるためには、最終的には開門調査をせざるを得んわけでしょう。違うんですか。どうですか。 172 ◯古谷くらし環境本部長=まず、どのような行動をとるのかと。内容ではなくて、どういった行動をということでございますけど、これも一般質問で知事がお答えしておりますとおり、とにかく……(「具体的にさ」と宮崎委員呼ぶ)考えられる限りの動きをしていくということで、そこに今、何か見通しを持っているということではないけども、とにかく自分自身として動く中で解決の糸口がつかめるのではないかということで自分自身動いていきたいと。その内容について具体的にということは、先ほど来お断り申し上げているとおり、この場では差し控えさせていただきたいということでございます。  それから、話し合いについて、開門調査は必要ないのかという趣旨でのことだと思いますけど、それは決してそうではございません。私どもとしては、有明海再生を目指す上で、この開門調査によって、科学的なアプローチにより原因を究明し、そしてその対策を講じると。その道筋が一つ重要なことであろうという認識は変わっておりません。ただ、話し合いを関係者、特に長崎県の方とテーブルを持つについて、まずその姿勢は、今のところはもう開門に関しては強硬な反対姿勢という中で、テーブルに着くとすればどういったことが考えられるのかといえば、そこはまず条件をつけずにでもテーブルに着いていただくことが重要だという認識から、そういったお話をさせていただいているところでございます。 173 ◯宮崎委員=いつまで待ってテーブルに着いてもらおうというお考えになっていらっしゃるんですか。 174 ◯古谷くらし環境本部長=そこは、いつまでということを今申し上げるわけにいきませんけれども、そういったことに持っていくように、知事自身もいろんな形で動いていきたいということを申し上げているところでございます。 175 ◯宮崎委員=言えないでしょう。先が全く見通せないわけですからね。見通せないところにテーブルに着いてください、くださいと言っても、何ら具体性は見えてこないわけでしょう。具体的な対策をとるという手だてを持っていないからそういうことなんですよ。裏を返せば、いわゆる裁判結果が最高裁で判決が出るまで何ら手の打ちようがないということだけは確かですね。いかがですか。 176 ◯古谷くらし環境本部長=裁判は裁判として見ていく必要があるということはそのとおりでございます。そういった中で、我々としても今般、新たに法律家、法律の専門家の方も加えて、その裁判についても、その節目、節目といいますか、動きに応じて、佐賀県としてどういった対応をすべきかということについて、もう少し専門的な観点からの分析をし、予測をし、対応していくということも必要かと思って、そういったことを考えているところでございます。  また一方で、裁判以外に何も手はないじゃないかということですけれども、我々としては、先ほど来申し上げておりますように、この裁判の結果で全ての関係者の方が理解し合えるということにはなかなかならないのではないかと、本当の解決にはならないのではないかということも考えております。そういった意味でも、関係者が話し合いを持つということが持てるのであれば、そこは可能性を追求していく、これはこれでやっていかなければならないことだと思っております。 177 ◯宮崎委員=本部長、関係者の話し合いが持てればという仮定の話ですよ、あなたがおっしゃることは。仮定の話ば幾らしたっちゃ、何にもならんでしょうもん。具体性がない。それよりも、やっぱり知事がアクションを起こすことでしょう。それはここで御披露することは控えさせていただきたいと、こうおっしゃるから、それはいいでしょう、それで。しかし、どういうアクションを起こそうという考えをただす、起こそうとしているのかただすことぐらい、なぜいかんのですか。なぜ言えんのですか。相手はともかくとしても、国や長崎県にどういう具体的なアクションを起こすと思っているということがなぜ言えないんですか。何も手だてがないけん言えんとでしょうもん。いかがですか。 178 ◯古谷くらし環境本部長=そこはもう、先ほどから何度もお答えしておりますとおり、具体的な動きについては、表において行う行動ばかりではございませんし、こういった場でそのことについて具体的なことを求められてもお答えは控えさせていただきたいと考えております。 179 ◯宮崎委員=この公の場で公表いたしかねますというなら、どこで、どういう形で公表されるんですか。 180 ◯古谷くらし環境本部長=公表できないということを申し上げておりまして、どこで、この場で以外でなら公表できるということにはならないと思っております。 181 ◯宮崎委員=ならないと、そんなふうに言っているじゃないですか。どこで公にされるんですか。 182 ◯古谷くらし環境本部長=どうもちょっと先ほどからですね。この場でいろんな具体的なことをお答えするのは控えさせていただきたいということを申し上げております。それは、先ほど来申し上げているような事情でございますので、そうした事情がないという状況になれば、それはお話しできることはあるかと思います。 183 ◯宮崎委員=あなた方が言っている話し合いの場の提唱というのは、気休め的な、場当たり的な提案ですね。具体性もなし。誰とどのように具体的に話し合いをして詰めるということもなし。そんな手だてのないようなやり方を考えるよりも、もっとほかのことを考えてやるべき。私はそのことを申し上げて質疑を終わります。 184 ◯坂口委員長=暫時休憩します。午後一時を再開めどといたします。     午前十一時四十八分 休憩     午後一時一分 開議 185 ◯坂口委員長=委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 186 ◯土井委員=自由民主党の土井敏行でございます。有明玄海・環境対策特別委員会委員長の発言の許可を得ましたので、通告に従い、順次質問を行いたいと思います。  きょうの私の質問の柱は、大きく二本です。  一本は、諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査について、もう一本は有明海の漁業生産の安定についてであります。この二本につきましては、本議会の一般質問で知事にただしたところでありますが、ここでは改めてそれに基づいて、細部について質問をしたいというふうに思います。  まず、大きな問いの一本目の質問でありますが、諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査についてであります。  諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査については、昨年十二月二十日までに開門する義務を残念ながら国は履行せず、裁判はますます複雑になるなど司法上での決着は長期化すると考えられます。  そのような中、先月二十二日に開門派の原告弁護団を初め、有明海四県の漁業者や支援者と農水省との意見交換会が太良町の大浦で行われました。当日は、私と当委員会の委員長であります坂口議員、県民ネットワークの江口議員が出席をしました。  また、つい先日でありますが、今月の十一日にもこの意見交換会が行われましたが、残念ながら、議会の日程の都合上、参加はできませんでした。漁業者からは、赤潮による養殖ノリの色落ちなどの漁業被害が訴えられ、早期開門と当面の被害救済策が強く求められたところであります。  ここに、その海上で示された色落ちをしたノリのパネルがあります。一般質問のときにもお見せをしましたが、ごらんいただきたいというふうに思います。(パネルを示す)  上のほうが色落ちしたノリ、下のほうが普通のノリであります。これはことしの一月にとれたノリで、これは二月の頭にとれたノリであります。下のほうの黒いノリは、十三円から二十円ぐらいで取引をされたと。上のほうのノリは三円で取引をされたということであります。  ノリの共乾施設に漁業者の方が払わなければならない費用は、一枚当たり三円五十銭、これは五十銭の赤字になったということであります。大変厳しい状況が切々とそのときも訴えられました。  同時に、会場から、特に漁業者の方からですが、いろんな意見が出ました。諫早湾干拓の締め切り用にできた調整池からの排水が有明海の湾奥部に影響を及ぼしているという指摘。調整池で汚い水をつくるのはやめてほしいという要望。開門により調整池の淡水を塩水化し、調整池の水をかえてほしい、あるいは現在、調整池になっているところは、もともとは干潟が形成され、魚類などの産卵や生育の場であったが、諫早湾干拓の締め切り後に貝や魚等がとれなくなったなどなど、調整池の問題点についてさまざまな意見が出されたところであります。  発言されたある方は、長年この地域で四代漁船漁業を続けているというふうに言われましたが、漁業を営んできた方々の切実な意見でありました。胸を打つものがありました。魚がとれなくなった、貝がとれなくなった、被害が出ているんですと。長崎、国は、実は漁業被害が出ていることを認めていません。ここに、今まで非常に開門調査に時間がかかっているといいますか、開門調査に至らない大きな原因があります。  そして、長崎地裁で負けてしまった。あれは、まさに国が漁業被害を認めていないということが理由にされているわけであります。  ここにもう一枚パネルをつくってまいりました。(パネルを示す)これは、漁獲量の変化をあらわした図でありまして、福岡高裁でも多分使われたというふうに思います。  大きな棒グラフが三本ございますけれども、一番大きいグラフは、潮受け堤防工事が着工するまでの一九七二年から一九八九年までの平均を扱った数字です。平均の魚介類の漁獲量が八万八千六百六十九トンあります。それが潮受け堤防の工事が始まってから締め切るまで、平均で見ますと、この七年間の平均は五万四千八百六十二トンであります。大体三分の二に落ちています。  それで、締め切り後、あのギロチンがあった一九九七年から二〇〇一年までの平均ですけれども、二万五千七百四十一トン、前の平均の三分の一以下になっています。今はもっと減っているというふうに思います。  これはちゃんと、年次のこういった漁獲量の変化をさっきの区分で区切って平均値を出したところであります。何でそういうふうにやったかというと、有明海というのは非常に浅い海で、気候の変動を大変受けやすい海であります。ですから、年によって気候変動でかなり乱高下があります。ところが、乱高下があるといっても、それを平均で見直すとさっきのようにはっきりしてくるわけなんです。だから、漁業被害はあるんですよ。  佐賀地裁も福岡の高裁も漁業被害があるということを認定して、開門調査をせよというふうに言ったわけですね。だから、農水省が開門調査の責務はあるけれども、漁業被害については何も認めていないというのはおかしいわけですよね。  一般質問でも言いましたけれども、小学校の生徒がクラスの中で悪さをして、先生から廊下に立ちなさいと言われて、廊下に立つ義務は持っていますけれども、中で悪さしたことは知りませんと。これはどういうことかと。それと全く一緒のことではないかというふうに思うわけであります。  もう一つ、ついでにでありますけれども、これは長崎県が県民だよりの八月号で配布したやつを拡大コピーしたやつでありますけれども、(資料を示す)この中に、最初、長崎県と私たちが視察に行って議論をしたときに漁業被害の話をすると、佐賀県は漁業被害は出ていないじゃないですかと長崎県は言うわけですね。ほとんど漁獲量は変わりませんよと。そういうグラフを見せられました。  おかしいなと思って見たら、ノリの生産額が入っていたわけですね。僕はノリを外してくださいと。ノリを外さないとわかりませんよと。ノリは表面海洋栽培ですので、表面栽培ですから、技術の進化でいろんな努力によってある程度の生産額を確保しているけれども、魚介類はもろに自然の影響を受けていますよという話をしたわけです。ここは、ノリの生産と魚介類を分けて表が出ておりました。  ただ、御丁寧に、ノリはずっと連続日本一を佐賀県は続けていると書いてあって、魚介類については、ちょうどそのときに熊本新港の建設工事が始まったとか、筑後大堰の建設工事が始まった、三池炭鉱の海底陥没埋め戻し工事が始まったということで、こういうことで影響を受けているのではないかというようなことで言っていますけれども、これは全く科学的根拠はないんですよね。ただ、そういうふうなことがあるのではないかなと。  あるいは福岡県、熊本県の酸処理が始まった。あるいは佐賀県の酸処理が始まったということを書いてありますが、後で酸処理のことについても聞きますけれども、全く因果関係というか、科学的根拠がないままにこういうことを県民だよりに載せているということに私は非常に不満を持っていますし、こういうことはおかしいというふうに思っているところであります。  今申し上げましたように、さまざまな問題が出ているわけでありますけれども、一般質問でも申し上げましたように、私は論点をある程度整理して客観的にお話をしていく、話し合いをするためにはそこが必要だというふうに思います。そういう整理をする意味では、幾つかの点についてお伺いをしたいと思います。  まず、一項目めの質問は、諫早湾干拓調整池からの排水についてであります。  これについては四点に分けて質問をしたいと思いますが、まず一点目は、諫早湾干拓調整池の水質の状況についてであります。  調整池の水質の状況はどのようになっているのか、お伺いをします。 187 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=干拓調整池の水質の状況についてお答えいたします。  調整池の水質におきましては、長崎県が公表している平成二十四年度の調査でございますが、水の汚れの指標であります化学的酸素要求量、これをCODというふうに言っておりますが、これを環境基準と実際の数値と比較をしてまいります。  数字がいろいろ出てまいりますので、全て一リットル当たり何ミリグラムということで考えてもらって結構だと思います。一リットル当たりというのは省略して、ミリグラムだけ説明させていただきます。  CODの環境基準値が五ミリグラムに対しまして、実際は八・三ミリグラムということで基準を超過しております。  また、赤潮発生の一つの要因となっております富栄養化の指標であります全窒素及び全リンの測定結果でございますが、全窒素は環境基準値が一ミリグラムに対しまして、実際は一・一ミリグラム、全リンは環境基準値〇・一ミリグラムに対しまして、実際は〇・二一ミリグラムと、いずれも基準を超過している状況でございます。  さらにCOD、全窒素、全リン、いずれの項目も平成九年の潮受け堤防締め切り以降、経年的に見てみますとほぼ横ばいで推移しておりまして、環境基準値を超過した状態が続いているという状況でございます。  以上でございます。 188 ◯土井委員=少なくとも調整池の水質は、今言ったように水質基準は超えているし、富栄養化をしているというふうに見ていいと思うんですよね。数字で聞いた以上に、現地に行きますと嫌なにおいがしたり、汚い色が見えたりして、有明海の海のほうとは明らかに違うわけですね。  それと、当然のことながら、締め切られて淡水化をしております。淡水化をしているということは、海水と比重が違うわけですから当然すぐには交じりませんので、よくテレビや新聞の報道でも出ますけれども、汚い水が流れていく模様がよく見えるわけですね。  僕は、これは明らかに富栄養化した水というのはいろんな影響を与えていると思います。  そこで、二点目、諫早湾干拓調整池からの排水の状況についてでありますけれども、調整池からの排水の頻度や排水量などの状況はどのようになっているのかお伺いをします。 189 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=調整池からの排水の状況についてお答えいたします。  調整池からの排水状況につきましては、歴年で申し上げます。  平成二十五年におきましては、北部排水門から延べ八十五回、合計一億七千万トン、一回当たりにいたしますと約二百万トン、それから、南部排水門からは延べ八十六回、合計約一億三千九百万トン、一回当たり約百六十二万トンがそれぞれ調整池から排水されているところでございます。  以上でございます。 190 ◯土井委員=一回当たりの排水量はすごく多いと思いませんか。大体一番最初に排水門が締め切られて完成する前に、地元の漁業者と農政局と打ち合わせをしてあるんですよね。小まめに排水するとなっていたはずなんですよ。  そのときの小まめに排水の基準は、一回当たり三十万トンぐらいという話だったと思いますね。ちゃんとそれは覚書が取り交わしてあるわけです。それに対して、最近では一回百万トン以上というのが当たり前になってきています。時には二百万トン、三百万トン、もっと流しているときもあるわけですね。  そう流したときに、漁業者の方が海の色が変わると言われるんですよ。これは明らかに当初の約束とは違うなと思うんですけれども、このことについてはどのように思われますか。 191 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=先ほど申し上げました数字は一年間でございまして、梅雨時期とか台風時期の出水時期の数字も入った数字でございます。ノリ時期の数字におきましてはもうちょっと下がってきておりまして、平成二十四年度でございますけれども、一回当たり北部排水門からは百五十五万トン、三十八回、それから、南部排水門につきましては百六十四万トン、三十五回、平成二十五年度は途中経過でございますけれども、今までのノリ時期の十月一日から二月二十八日の試算でございますが、三十五回で北部排水門からは百二十九万トン、それから、南部排水門は二十六回で平均百十六万トンという数字になっております。  ノリ時期について、排水を小まめにという要請があっていることは承知しておりまして、ちょっと正確な年度は覚えておりませんけれども、確かに二百万トン、三百万トン流れた時期がございまして、少しでも小まめな排水をという要請がされたことを承知しております。  ただ、操作上、一センチあけたらどれくらい出ていくという微妙な量もあるもんですから、開門操作に支障のない範囲で、小まめな排水に努力されているということは聞いております。  実際に今、ノリ時期におければ百万トンから百五十万トンの一回当たりの排水がなされているというふうに認識しております。 192 ◯土井委員=その百万トンとか百五十万トンを流されている排水の拡散の調査についてですけれども、流された調整池の排水がどのように拡散しているのか、国は調査を行っているというふうに聞いておりますけれども、どういう調査を行っているのかお伺いします。 193 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=国が行っている排水の拡散調査についてお答えいたします。  調整池からの排水の拡散状況を把握するための調査においては、九州農政局が実施し、報告書にまとめられているところでございます。その報告書によりますと、調査は排水の濁りの外縁、境界といいますかですね、外の縁と書きます。外縁に沿って船を航行させ、目視により外縁の拡散過程を把握する外縁追跡調査と外縁の広がりに伴います定点での塩分と濁度の濃度変化を把握する定点鉛直観測を平成十年度以降、平成十七年度までに計二十二回実施されております。その調査結果におきましては、いずれの調査においても調整池からの排水の大部分は諫早湾の湾奥部、要するに諫早湾の堤防近くですね、諫早湾の中の湾の奥部にとどまり、諫早湾の出口のほう、湾口部まではほとんど到達していないとされているところでございます。 194 ◯土井委員=この間の大浦でもそういう説明を実は農政局はしておりました。それに対して、漁業者、出席者から随分異論が出ておりました。いろんな排出するときの量の問題ですね。前後の雨の問題とか、状況によって必ずしもそうではないんじゃないか。漁業者の抱いている実感と随分違うという意見が出ていたと思います。そういうふうなことでありますので、県では調整池からの排水の動きを調べるための調査というのは行っていないんですか。 195 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=調整池からの排水の動きを調べるための調査を県で行っていないかという質問でございました。  本県におきましては、西南部漁場で近年、赤潮によるノリの色落ちが多発しておりまして、漁業者からは、委員おっしゃいましたように、調整池からの排水が赤潮発生に関与しているのではないかという声が上がっているのは我々も承知しております。  そうしたことから、県では平成二十五年度から二カ年計画で西南部漁場の流況検証に取り組んでいるところでございまして、本年度は北部排水門からの排水の拡散状況について、まずは数値シミュレーション解析などを行っているところでございます。今のところ、解析をお願いしている佐賀大学の報告によりますと、まだ最終報告ではございませんけど、途中経過で聞いた話でありますと、調整池からの排水が西南部漁場への拡散、これは限定的と思われると。限定的というのは、ほとんど今のところ影響が見られていないということでございますけれども、そういう結果が報告されております。さらに、やはり詳細な検討が必要と考えておりますため、来年度も引き続き調査、解析等を行っていきたいというふうに思っているところでございます。 196 ◯土井委員=ぜひ継続して調査をしていただきたいと思います。先ほどからずっと調整池の水のことを聞きましたけれども、調整池の水は淡水なんですよね。だから、比重が当然ながら海水に比べて軽いわけですので、すぐまじらないんですよね。だから、滑るように流れていくわけです。調整池の水は淡水ですので、透明度が高いわけですよね。富栄養化しているわけです。透明度が高いということは、太陽の光の影響をすごく受けやすいんですよね。ということで、しかも富栄養化をしていると。これは赤潮の発生の原因に一番なりやすい、リスクを高めるわけですよね。その点を、別に素人の私が考えてもわかることですけれども、鹿児島大学の佐藤正典先生ですか、生物学の先生ですけれども、多くの学者がこれを指摘してあるわけですね。だから、それが影響ができないということはないんじゃないかというふうに思うわけであります。  そこはしっかりと調査をしていただいて、特に赤潮との因果関係ですね、ここが非常に大きいと思うんです。赤潮が最近、とにかく頻繁に発生するようになった。赤潮が出たときには、大概大量に排水された後というのが多いわけですね。そのことを漁業者は肌で感じてある。今、漁業者の方も、毎回、いつ何万トン排水しますよ、何百万トン排水しますよとデータをもらってあるわけですね。そのデータを見ながら、排水されたらやっぱり変わってくるということを痛切に訴えられておりましたので、そこはしっかりと調べていただきたいというふうに思います。  次に、二項目めの質問に移りますが、諫早湾干拓調整池が塩水化することによる効果についてであります。  開門調査によって、潮受け堤防が七キロメートルありますけれども、二百五十メートルだけを開門して、今の水門は南と北と合わせて二百五十メートルしかありませんので、有明海の、開門しても湾奥部までは流況の改善は見込めないかもしれないというふうに私も思っています。九州大学の経塚教授の論文を見ますと、シミュレーションをやられて、全体で七百五十メートルか八百メートルぐらいないと九割型の潮流の回復は見込めないというふうなことも言われておりました。ただ、開門によって調整池が塩水化すれば、調整池が魚類などの産卵や生育の場として再び戻ると、よみがえるというふうに考えているわけです。ひいては有明海全体に波及的な効果をもたらすんじゃないかと期待をしているところであります。このことは、鹿児島大学の先ほど言いました佐藤正典教授も指摘をしておられます。あそこが有明海の大きな子宮であると。この間の漁業者の方、先ほど四代続いた漁船漁業の方の話をしましたが、漁業者の方も昔からあそこは産卵場やったと。あそこがないと、幾ら種苗放流だ、何だかんだといっても育たないということを非常に力説をしてありました。  そういう意味で、有明海全体に対する波及効果を非常に大きく期待をしておりますが、県は調整池が塩水化することによる有明海全体の効果についてどのように考えておられるのかお伺いします。 197 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=今、委員が御紹介されました効果について、我々もそうだなと思う分が多々ございます。具体的に申し上げますと、まず先ほどアセスの話が宮崎委員のところに出てまいりました。このアセスにおきましても、調整池が塩水化することによる効果について述べられております。御紹介いたしますと、諫早湾では魚介類の産卵や生育、回遊の場としての生息環境に変化が生じる可能性があると。塩水化による効果のところでございますけれども、調整池では河口域や干潟域を利用する魚介類の産卵や生育、回遊の場となる可能性があると。今度は諫早湾のアサリに与える出水時の塩分濃度の低下の影響、これが緩和されるという可能性があると。そういったものが期待できるというふうに述べられております。また、NPO法人の有明海再生機構においても、同様の報告がされているところでございます。
     本県におきましても、諫早湾や調整池が魚介類の産卵や生育、回遊の場となることで、やがては有明海全体の水産資源の回復などによい効果を及ぼすのではないかと。その可能性に期待しているところでございます。  以上でございます。 198 ◯土井委員=本当は、開門して一番有明海の異変で皆さんが直接に感じてあるのは攪拌力の低下なんですね。流速が遅くなったと。流速が遅くなることによって、また透明度が増したと。透明度が増したということは、淡水化している、あるいは浮泥が沈降。流速が遅くなったので、攪拌力が弱くなって浮泥が沈降したり、浮泥がどこかに行ってしまって、気象条件の影響、光の影響も受けやすくなっているというようなことがあるわけでありまして、攪拌力の低下を、いわゆる流速を戻すことによって防ぐのが一番本当はいいんでしょうけれども、なかなか今の潮受け堤防の排水門をあけただけでは、堤防の間近のところは多分回復するだろうと思うんですけれども、有明海の我々のほうまでは、なかなか湾奥のほうまではそういう作用はないだろうというふうに思います。  ただ、塩水化することで大きく変わるなというのは非常に感じるんですね。我々、前に韓国にも見に行きましたけど、韓国でも締め切り堤防をあけたところあるわけですね。あけたらすごく、中の環境は著しく改善をされてよくなっております。昨年でしたかね、順天湾で庭園博覧会ありまして、我々も議会として行きましたけれども、順天湾もそういう干潟がたくさんありまして、そこの干潟を非常に大事にして、干潟に育っている底生生物を大事にしているわけですね。そこが環境に対して非常にいい影響を与えているというところを目の当たりにしてきましたので、ぜひこの塩水化によって、潮を入れることで私は大きく改善していくのではないかなと思っていますし、前回の短期開門調査のときも、あけたすぐの翌年はよかったんですよね。だから、効果は必ず出るだろうというふうに思っているところであります。  さて、塩水化するためにも、開門調査、こういう客観的な話をきちっと本当はしていかなければいけないんですけど、なかなかそうはできない状況になって、そこまでもたどり着かないというのが今の状況ではないかと思いますが、こういったことを積み重ねていろんな形で露出をしていかなきゃいけないと思うんですよね。  三項目めは、開門に関する裁判についてちょっとお伺いします。  まず一点目は、現在の裁判の状況についてです。  先ほど午前中の質疑でも裁判のことが出ておりましたが、開門に関する裁判については、開門派、開門反対派、国がそれぞれ訴訟を起こしていますが、非常にたくさん裁判が出てきまして、何が何かわからんような状況になってきました。現在、どういった裁判が行われているのか、改めて確認のためお伺いしたいと思います。 199 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=開門に関する裁判の状況について説明いたします。  この裁判につきましては、実際の裁判、あるいはそれに伴います間接強制等の、実際裁判でございませんけれども、裁判に伴うものも含めて説明したいと思います。  大きく訴訟を起こしている関係者ごとに、大きく三つに分けて説明させていただきたいと思います。  まず一つ目が開門を求める漁業者に沿った裁判でございます。これにつきましては、まず開門を求める漁業者が国を相手に起こしている開門請求訴訟。これにつきましては、御承知のとおり、平成二十二年十二月に福岡高裁において判決が確定いたしました佐賀諫早訴訟のほか、現在さらに三つの訴訟、これは長崎諫早一次、二次、三次と呼んでおります、が係争中でございます。このうち、長崎諫早一次訴訟におきましては、平成二十三年六月の長崎地裁判決におきまして、双方が控訴し、開門を認められませんでしたけれども、損害賠償は認められました。そういう判決が長崎地裁で行われまして、双方が控訴し、現在、福岡高裁におきまして控訴審裁判が行われているところでございます。  それに続きます長崎諫早二次、三次訴訟というのがございます。これはもう、今までは佐賀、長崎の漁業者でしたけれども、二次、三次になりますと、長崎県の漁業者だけになってしまいますけれども、その二次、三次訴訟につきましても、長崎地裁におきまして裁判が進められているところでございます。  その開門を求める漁業者が、さらに確定判決に定められた開門期限までに国が開門を履行しなかったということから、国に開門するまで制裁金の支払いを求める間接強制を佐賀地裁に申し立てております。  そして一方で、開門差しとめを求める営農者らが国を相手に起こしている開門差しとめ訴訟は、昨年十一月十二日に開門の差しとめを容認する仮処分の決定がなされ、その後、訴訟が進められているところでございます。ちょっと先へ進んでしまいましたけど、これが二つ目の開門差しとめを求める営農者が起こしている裁判でございます。  また、開門差しとめを求める営農者は、開門した場合に、今度は逆に開門した場合に国に制裁金の支払いを求める間接強制の申し立てをされているところでございます。  大きく分けた三つ目でございます。今度は国でございます。国におきましては、開門に対する国としての立場や考え方を司法の場において申し述べるため、長崎地裁に対しましては開門の差しとめを認めた仮処分への異議の申し出を行っております。今度は佐賀地裁のほうには、開門を求める漁業者側が申し立てた間接強制に間接強制をかけないでほしいという意味の請求異議の訴え及び強制執行停止の申し立てを行っているという状況でございます。  以上でございます。 200 ◯土井委員=たくさんの裁判が、今、説明ありましたように起こっているわけでありますけれども、全く真逆の立場で裁判の内容が展開されているというふうな形でありますけれども、知事が一般質問の答弁で言われましたけれども、県は法律の専門家を配置するということで、これらの裁判の行方について注視をしたいということでありましたが、法律の専門家の配置をどういうふうに活用していくのかお伺いをしたいと思います。 201 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=法律の専門家を配置してどう生かしていくのかという質問でございました。  県といたしましては、引き続き開門調査の実現に向けた取り組みにおいて、ただ、裁判がこれだけ混迷しているという中でございますので、やはりどうしても裁判の状況を見ざるを得ないという声があるのは事実でございまして、司法上の行方がどうなるかが一つのポイントだと考えております。このため、委員御紹介ございました、県に法律の専門家を配置いたしまして、専門家の視点で直接裁判の情報収集や争点等を分析していただきまして、裁判の状況をしっかり把握、予測していただくということをしていただきたいと思っております。そうした上で、今後の裁判において何が起こるのかを予想できれば、それに向けた準備を我々が進めていけるのではないかということで、法律の専門家を置くということを予定しているところでございます。  以上でございます。 202 ◯土井委員=法律の専門家を置いて注視していくというのは非常に必要なことだというふうに思いますけども、裁判のことを考えると、大規模な過去の歴史を振り返りますと、海の開発とか行われて、真っ先にここ被害を受けているのは漁民なんですよね。漁業者なんです。なりわいが海の自然が相手でありますので、当然のことでありまして、これ直結をしているわけであります。  過去のこのいわゆる被害を受けた弱者の最後の頼りといいますか、やっぱりこれは裁判ではないかと思うんです。例えば、水俣病などがありましたけども、水俣病などこれまでの歴史的なものを見ると、被害者の最後のよりどころ、どんな権力者であっても、確定した判決には従わねばならないと、こうルールがあるはずなんです。ところが、今回はこのルールが何か無視をされているような気がするわけですよ。だから、ここの視点は絶対忘れちゃいかんと思うわけであります。きちっと被害を受けている漁民の方がちゃんと飯が食えるようにしてあげなければいけないというふうに思います。  そういった意味で、この裁判の行方というのは非常に私も注視をしておりますけども、いろんな形でそれに対してサポートもしたいなと思っているところであります。  最後、この一本目の質問の最後ですが、四項目めは、開門調査の実現に向けた取り組みについてちょっとお伺いをしたいと思います。  私は開門調査の実現に向けては客観的、科学的データを積み上げて、関係者が冷静に話し合うことが重要だと考えています。  例えば、先ほど言いました漁獲量の変遷の問題とかありますし、最近、さっき言いましたけども、長崎県の県民だよりには、佐賀県側が主張していることについて随分反論的なことが出ておりました。でも、よく読んでみると、科学的でないことがたくさんあるわけですよ。そこら辺を科学的にきちっと詰めて、反論していかなければいけないと思います。  十八・六年周期のことがここにも出ておりました。環境省の調査結果、前、私たちがこの特別委員会で有明海再生機構を呼んだときも、この十八・六年周期のことが出ておりました。十八・六年周期の影響が大であるというのであれば、ただ、実際、十八・六年周期でいけば、一九七七年がその減少期の一番底であったと、それと、ノリの不作が重なったと言われるわけですね。でも、それから考えていくと、二〇一五年、一番最も流速速くならなきゃいけないんですよ。もう来年は物すごくよくならなきゃいけない、よくなってずうっといかなきゃいけない。どんどん悪くなっているじゃないですか。これは実態と全然違うわけですね。だから、その辺の反論はきちっとしなければいけないんではないかというふうに思います。現場の方も全然そうはなっていないという声が圧倒的に出ておるわけであります。  私は開門調査の実現に向けて、県が今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いしたいと思います。 203 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=県がどのように開門調査の実現に向けて取り組んでいくかということについてお答えいたします。  県といたしましても、先ほど申し上げました裁判は裁判としてきちっとそこは分析、予測しながら行っていくとともに、やはり開門調査を実現するためには、話し合いの場が必要であると、さまざまな機会を通して訴えてきたところでございます。このため国には関係者による話し合いを一日も早く実現するための努力をこれまで以上にしていただかなくてはならないと考えております。  一方、委員が今御紹介いただきました有明海に関する研究については、大学、あるいは国、県、いろんな研究機関で調査研究が進められております。データが蓄積されてきております。県としましては、委員御指摘のとおり、科学的知見に基づきながら、こういったものをしっかり分析・検討しながら、アカデミックな立場からの議論というのも重要であるというふうに考えて、そういうことを訴えてきたところでございます。  いずれにしても、佐賀県側としては、これまでさまざまなチャネルを通じて開門調査の実現に向けて取り組んできたところでございますが、引き続きこの問題の解決に向けた関係者の話し合いにつきまして、こういったアカデミックな議論も深めながら、しっかりと取り組んでいき、何とか糸口を見出していきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 204 ◯土井委員=それでは、大きな二本目の質問に移りたいと思います。  有明海の漁業生産の安定についてであります。  開門調査は開門調査で求めながらも、先ほど漁業者の方の声をちょっと紹介しましたけれども、もう切実な問題ですよ。あしたの飯が食われんかもわからんというようなことを言われる方もいるように、非常に困窮をしてあります。それくらい頼みのノリも今度はよくなかった。有明海全体ではノリはまた日本一になるかもしれません。きょう、ちょっと後でお伺いをしますけれども、しかしながら、地域的に見ると、かなり差が出ているわけなんですよね。諫早に近いほうはやっぱりかなり悪いというようなことも聞いております。  開門調査を求めながらも、今できることはとにかくやっていかなければいけないというふうに思うところであります。有明海の漁業生産の安定についてでありますが、先月二十二日の意見交換会では、調整池の問題に加えて、ノリの色落ちや水産資源が悪化している状況について意見が出されたところであります。開門調査と並んで、漁業生産を安定させることは喫緊の課題であると考えています。  こうした中、県ではノリ養殖の生産安定に向けた取り組みやタイラギ、アゲマキ、サルボウなどの資源回復に向けた技術開発に取り組まれているところでありますが、これらについてややちょっと詳細に聞いてまいりたいと思います。  一項目めは、ノリ養殖の安定生産についてであります。  今漁期のノリ養殖は、秋芽網においては、平成二十三年度のような大きな赤腐れ病の被害もなく、おおむね順調に推移したものの、冷凍網期では西南部漁場を中心に色落ち被害が拡大し、地区ごとの生産状況に差が出ていると聞いているところであります。  二月二十二日の農水省の意見交換に出席した漁協青年部の七浦支部のメンバーが、そのときにさっきのノリの色落ちのノリと両方持ってきて見せられましたけども、もう悲痛な叫びが私の耳から離れないんです。あすの飯の心配をせんといかぬと言われました。こういう状況において、何か動きを見せてくれと言われました。動きが見えないということも訴えられたところであります。  そこで、このノリのことについて幾つかお伺いをします。  まず一点目は、生産状況についてであります。  今漁期のノリ養殖の生産枚数、生産額はどのようになっているのか。また、地区別の生産枚数、生産額はどのようになっているのかお伺いします。 205 ◯伊藤水産課長=今漁期のノリの生産状況についてお答えします。  今漁期はこれまで秋芽網で三回、冷凍網で四回、計七回の入札が行われておりまして、現在までの生産枚数は前年同期の一〇二%に当たります約十六億五千万枚、生産金額は前年同期の一〇一%に当たる約百八十一億七千万円となっており、過去五年の平均と比較しましても、生産枚数で一〇三%、生産金額で一〇一%となっております。  この全体の生産状況を詳しく地区別に見てみますと、まず、諸富町支所から福富町支所までの、いわゆる東中部地区でございますが、ここにつきましては、生産枚数は約十三億五千万枚、前年同期比一〇五%、生産金額は約百五十二億九千万円、同一〇五%となっており、過去五年の平均との比較では、生産枚数で一〇五%、生産金額で一〇三%となっております。  次に、白石支所から大浦支所までの西南部地区におきましては、生産枚数は約三億万枚、前年同期比八八%、生産金額につきましては約二十八億円で、同八四%となっておりまして、過去五年の平均との比較では、生産枚数は九三%、生産金額につきましては八九%となっております。  このように今漁期は佐賀県全体で見てみますと、七回までの入札が終了した現時点におきましては、ほぼ平年並みの生産となっておりますけれども、西南部地区の、特に七浦地区や太良地区におきましては、生産枚数、生産金額がともに前年の七割程度にとどまっている状況となっております。  なお、今後につきましては、今漁期につきましては、全域で色落ちが発生した影響などによりまして、例年に比べ、ノリ網が早く撤去されております。このため現在では東部地区と中部地区の、いわゆる河口漁場に約一割程度の網が残る状況となっておりまして、最終的な生産枚数につきましては、前年をかなり下回りますことから、厳しい状況にあると認識しているところでございます。  以上でございます。 206 ◯土井委員=今、説明ありましたように、西南部地区は非常に厳しいわけでありますが、二点目は、この色落ち対策についてお伺いをします。  色落ち被害が発生しやすい西南部地区ですね、ここ数年、ずっとそういう状況にありますが、どのような対策を行っているのかお伺いします。 207 ◯伊藤水産課長=色落ち対策についてお答えいたします。  西南部地区では、珪藻赤潮の発生によるノリの色落ち被害が起こりやすい要因としまして、これまでに行ってきました海況調査や潮流、いわゆる潮の流れの調査の結果から、まず、同地区におきましては海水の動きが小さいため、一旦赤潮が発生しますと、滞留し、長期間継続しやすいこと。次に、大きな河川の流入がないことから、塩分濃度の変化が比較的小さく、珪藻の増殖に適していること。また、一旦赤潮が発生し、栄養塩が低下しますと、新たな栄養塩の供給が期待できないことなどが考えられるところでございます。  潮流の停滞を防ぐ対策の一つとしまして、今年度、鹿島市地先におきまして、県営事業として、漁場内に澪を掘る、いわゆる作澪事業を実施しまして、ノリ漁場の改善を図ったところでございます。  また、西南部地区におきましては、漁業者の皆さんの自主的な取り組みとしまして、流れを改善することにより、色落ち被害を可能な限り軽減するため、七浦地区におかれましては、流れが滞りやすい漁場について、冷凍網期にノリ網を他の漁場よりも、佐賀県全体では二割の減作を行っておりますが、さらに滞りやすい、いわゆる色落ちが起こりやすい漁場につきましては、二割の減作をさらにされております。  また、鹿島市の浜地区におかれましては、潮流調査の結果をもとに、ノリ網の配置を変えることなどの対策が実施されているところでございます。  以上でございます。 208 ◯土井委員=いろいろ対策をしていただいて、確かに秋芽はよかったんですけども、冷凍網期はよくなかったんですよね。この原因は何だというふうに見ておられますか。 209 ◯伊藤水産課長=冷凍網期の、いわゆる不漁といいますか、不作の原因につきましては、珪藻赤潮の発生によります栄養塩の低下に伴ったノリの色落ちということが第一と考えております。 210 ◯土井委員=直接的にはそうですよね。珪藻赤潮の発生で栄養塩が低下したということでありますけども、こういう珪藻赤潮が非常に長期間発生をする、その原因は何だというふうに考えておられますか。 211 ◯伊藤水産課長=珪藻が長期間発生する要因は何かということでございますが、今年度の漁期について振り返ってみますと、まずは、珪藻赤潮につきましては、種類別に見てみますと、この西南部地区を中心に見てみましたら、最初は小型の珪藻ですね、アステリオネラという種類が最初に出ております。これは一月六日に赤潮になっておりますが、その後、またさらに小型のスケレトネマという赤潮が発生しております。この小型の珪藻に加えまして、これは最終的には佐賀県全域で色落ち被害が発生した大きな最終的な要因となりました、いわゆる大型の珪藻赤潮ですが、ユーカンピアといった大型の珪藻が発生して栄養塩が低下したことが原因になります。  では、今回どうして長期間発生したのかということでございますが、一つには、やはり気象条件といいますか、赤潮の発生要因とか、期間、どれくらい発生するかといったことにつきましては、非常にいろんな要素が絡み合って、単純にはお答えすることは難しいとは思いますが、今漁期につきましては、一つには十二月下旬から一月にかけましての、いわゆる日射量が多かった、いわゆる天候がよかったといいますか、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、光がよく海の中に通ったという状況が長期間続いたということが一つ上げられます。  さらに、一月を中心としまして、雨の量が少なく、塩分も高目に推移した、こういったことも長期間の珪藻赤潮の発生につながった大きな要因になっているものと考えております。  以上でございます。 212 ◯土井委員=いろいろ対策してありますけども、そういった条件重なって、今の有明海本体、母体がですね、攪拌力が弱くなって、浮泥が少なくなっているというのがやっぱり大きな原因ではないかなと、こう思うわけですよね。いろんな学者もその辺を指摘してあるわけですけども。根本的にこの問題がどういうふうにしたら解決できるのか、やっぱりしっかりこれからも調査を続けていただきたい、研究を続けていただきたいというふうに思います。  ちょっとここで視点を変えますが、長崎県側がこの有明海のことについて、ノリの不作初め、いろんな魚介類がとれなくなったということについて、幾つか反論をしている中に酸処理のことがあります。この酸処理については私ももう随分以前、平成十六年ぐらいだったですかね、委員会で質問をしたことがありまして、そのときに適切に使うようになっているというような、多分御答弁いただいたと思いますが、いまだにこのことがさきの有明海の県民だよりにもしっかり書いてあって、長崎の方とお話しすると、酸処理しよっけん、いかんとやろうもんということ必ず出てくるわけですよ。ノリ養殖における酸処理については重要な養殖技術と認識を私もしております。長崎県からはその酸処理が有明海異変に関与しているんではないかという意見が出されているわけであります。  ついては、その酸処理の実施基準はどのようになっているのか、また、環境への影響はどのように考えておられるのかということ、改めてお聞きしたいと思います。 213 ◯伊藤水産課長=酸処理の実施基準と環境への影響についてお答えいたします。  まず、酸処理を行うに当たっての実施基準についてでございますけれども、酸処理につきましては、酸処理というのは一般的に食品にも用いられておりますクエン酸やリンゴ酸などの有機酸を主成分とする液体にノリ網をつけ込むことで、ノリに付着しました病原菌などを除去する技術であり、本県では平成五年度から実施されているところでございます。  実施基準につきましては、昭和五十九年に出されました水産庁次長通達をもとに毎年漁期前に学識経験者、県及び漁協で組織いたします活性処理専門部会におきまして指針となる使用基準をまず策定します。そして、さらにこれを受けまして、漁協において使用期間ですとか残液の回収などの詳細な項目を盛り込んだ実施要領を定めております。この実施要領の具体的な内容としましては、まず使用します酸処理剤は、全国漁業協同組合連合会並びに全国海苔貝類漁業協同組合連合会で認定した適格品の中から有明海漁協が選定したものに限ること、そして使用期間を冷凍網の入庫前約一週間と、冷凍網期に限ること、そして使用量削減のため、繰り返し使用を徹底し、使用済みの残液は責任を持って回収し、処分すること。  さらには実施要領の遵守のため、漁協は組合員との間で誓約書を交わし、違反した場合は持ち柵数の削減や出荷停止といった罰則を適用することなどとなっております。  これらの実施要領につきましては、漁期前に冊子にしまして全漁業者に配布されるとともに、県と漁協で連携しまして講習会等のあらゆる機会を通して周知を図っているところでございます。  次に、酸処理によります環境への影響についてでございますが、佐賀県では酸処理の導入に当たりまして、クルマエビなどの生物に与えます酸処理剤の影響について試験を実施しており、その結果、生物などへの特段の影響は確認されておりません。また、平成七年に水産庁が酸処理の海洋環境生態系に対する影響について研究成果を取りまとめられております。これにつきましては、酸処理の技術を導入するに当たりまして、ノリ養殖を行われている全国の県、それから国の研究機関等で、いろんなさまざまな実験が行われておりますが、そういったものを取りまとめたものでございますが、そういったものが平成七年に水産庁から出されております。  その後、平成十二年には国に有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会、いわゆる第三者委員会が設置され、その中で先ほど申しました平成七年に水産庁が取りまとめた酸処理に関する研究成果の再検証が行われております。その調査結果によりますと、環境への影響という点につきましては、陸域の河川からの流入量と比べて大きなものとは考えられないこと、それから赤潮発生の原因となっているとは考えられないこと、酸処理剤による生物への影響は考えにくいといった結論が出されたところでございます。  さらに、その後、環境省に設置されました有明海・八代海総合調査評価委員会は、平成十八年十二月の委員会報告におきまして底質、いわゆる海底の泥ですが、底質への影響については酸処理剤の使用によって有機物ですとか有価物ですとか硫化物が増加する可能性は少ないと思われるとの見解が示されております。  またさらに、県におきましても、現在行っておりますが、ノリ漁期中に海水中や泥の中のモニタリング調査を実施しておりまして、その結果におきましても、これまで酸処理剤の主成分でありますクエン酸ですとかリンゴ酸、乳酸などの有機酸は検出されていないといった状況にあります。  以上でございます。 214 ◯土井委員=今、詳しく説明いただきましたが、検出されていないということで、調査をしっかりやっているということですが、この調査はずっと継続的に今後もやっていかれますか、あと指導をきちっとやっていただけますか。 215 ◯伊藤水産課長=委員、今御指摘いただいたことにつきましては、やはりノリ養殖というのは佐賀県の基幹産業でございますし、そのためにも県としましても、しっかりとしたモニタリング、それから指導については徹底してまいりたいと思います。  以上でございます。 216 ◯土井委員=それでは、次に酸処理と同じように、これも逆に長崎県側から非難をされていることで、施肥についてちょっとお伺いをします。  ノリ養殖における施肥については、酸処理と同じく重要な養殖技術として認識しておりますが、施肥の実施基準はどのようになっているのか、また環境への影響はどのように考えておられるのかお伺いします。 217 ◯伊藤水産課長=施肥の実施基準と環境への影響についてお答えいたします。  まず、実施基準についてでございますが、施肥といいますのは、海水中の栄養塩が大きく減少し、ノリの色調が褪色する、いわゆるノリの色落ち、先ほど土井委員がパネルで示されましたような、いわゆる色があせた、黄色くなったような状況を色落ちと言いますけれども、色落ちに対する対策としまして、窒素塩、具体的には硝酸アンモニウムでございますが、窒素塩を船の上で溶かして、海の中へ流し込むことにより、栄養塩を補給する技術のことでございます。  施肥につきましても酸処理と同様、毎年漁期前に学識経験者、県及び漁協で組織いたします佐賀県有明海ノリ養殖漁場環境改善対策連絡協議会におきまして、指針となる実施基準を策定しております。  この実施基準の具体的な内容としましては、まずは施肥の実施に当たっては、海域の栄養塩の濃度が低下し、ノリの色調低下が著しく、生産の継続が困難と判断されたときに限ること、それから施肥の実施の決定は連絡協議会において栄養塩濃度と植物プランクトン、これは主に珪藻プランクトンでございますが、その動向などの資料を総合的に判断し、ノリの色調回復に効果が得られる場合に限ること、そして施肥の添加量は海域の栄養塩濃度で海水一リットル当たり七マイクロを上限とすること、さらには施肥の効果及び環境調査を実施し、事業終了後、これは施肥を終わった後ということでございますが、その終了後には連絡協議会に結果を報告することなどとなっております。  次に、施肥の環境への影響についてお答えいたしますが、施肥はノリ養殖におきまして最低限必要な栄養塩濃度となるように、先ほど申しましたけど、船の上で溶かして栄養塩を希釈しながら、海の中に流し込みますけれども、このことは降雨、いわゆる雨が降って川から漁場へ栄養塩が流れ込み、栄養塩濃度が一時的に高くなることと同じでありまして、環境への影響はないものと考えております。  ちなみに、今漁期の、いわゆる東部、中部地区での一回当たりの施肥の添加量は、筑後川の上流におおむね二十ミリ程度の雨が降ったときの河川から海に流れ込む窒素の量とほぼ同程度と試算しております。  また、県が施肥実施時に行っております海水中の窒素濃度のモニタリングにおきましても、通常の海域において計測される値の範囲内にとどまっております。さらに、室内実験におきましても、当然でございますけれども、魚や貝類やエビ類に対して影響がないことを確認しております。  以上でございます。 218 ◯土井委員=これ施肥も、さっきの酸処理もそうですけれども、使うもの、品質と量が問題だろうというふうに思いますし、時期もあると思うんですね。必要な時期にやると。  特に施肥については、施肥をしたけれども、効果がなかったというような、過去に例もあるようでありますので、それ専門家の方に聞くと、ノリが欲しているときにちゃんと施肥をしていないからそうなるというようなことで、条件が必要だと思います。そこら辺の指導は徹底をしていただきたいというふうに思いますし、あらぬ疑いを持たれぬようにきちんと環境に影響がないということは、その後もフォローをしていただきたい、きちっと調査をしていただきたいと思います。いいでしょうか。 219 ◯伊藤水産課長=先ほどの酸処理と同様でございますが、施肥につきましてもノリ養殖の安定には欠かせない技術というふうに確信しておりますので、この点につきましてもしっかりとしたモニタリングとしっかりとした指導を行っていきたいと考えております。  以上でございます。 220 ◯土井委員=わかりました。  多分今はきちっと指導してあると思うんですよね。多分最初に導入されたころがなかなか使われる方が個々人でまちまちで、同じようなやり方でやっていなかったというところが非常に問題になっていたんじゃないかというふうに思いますので、今はないと思いますけど、今後はきちっとこのまま指導をしっかりやっていただきたいということと、モニタリングをしっかりやっていただきたいというふうに思います。
     もう一点問題されているのに、ノリの切り流しがあるんですよね。ノリ養殖において、ノリ網を撤去する際に品質の落ちたノリを切って海に捨てる、いわゆる切り流しが行われていると聞いていますが、県ではこの切り流しについてどのように対応しておられるのかお伺いします。 221 ◯伊藤水産課長=ノリの切り流しに対する県の対応についてお答えいたします。  県といたしましては、特に漁船漁業者の皆さんから切り流されたノリが網にひっかかって、操業に支障が出ているとの声を聞いております。また、県の漁業取り締まり船や調査船が海上に漂っているノリを確認しております。  この切り流しという行為につきましては、有明海の漁場環境に負荷を与えることはもとより、海洋汚染防止法に抵触する違法行為でありますことから、従来から講習会、いわゆるノリの講習会ですが、講習会などあらゆる機会を通じまして、いわゆる最後のノリの摘み取りを行った後、ノリの撤去といいますか、最後に摘み取りを行った後に、網の撤去を行うよう指導するとともに、パンフレットを全てのノリ漁家に配布するなどして、切り流しの防止に努めてきたところでございます。  さらに、県では海上で切り流されたと思われるノリが確認された際には、速やかに漁協に対しまして指導文書を出すとともに、漁業取締船による巡回指導ですとか、三池海上保安部に対し取り締まりの強化をお願いしてきたところでございます。  以上でございます。 222 ◯土井委員=これは、先ほど課長が言われたように、まず法律違反であります。いいことでは決してありませんし、環境に負荷を与えるわけでありますので、取り締まりは厳しくやって、指導を厳しくやっていただきたいというふうに思います。  次に、ノリの養殖の六次産業化に向けた取り組みについてお伺いをします。  ノリ養殖においては、そのほとんどを各漁家において板ノリとして製造して、共販入札に出荷をされておりますけれども、単価が低迷している近年の状況において、これもやっぱり六次産業化に向けた取り組みが必要であるというふうに考えます。ノリも新たな付加価値をつけた製品化ができないかと思うわけです。  最近、関東のほうではノリ汁というのがメニューにあったりして、バラノリというのが使われておるようでありますけれども、こういった六次産業化に向けた取り組みについて、県はどのように考えておられるのかお伺いします。 223 ◯伊藤水産課長=ノリ養殖の六次産業化に向けた取り組みについてお答えいたします。  いわゆる製品となります板ノリの平均単価につきましては、ここ十年は一枚十円前後で横ばいが続いておりますが、二十年ほど前と比べますと、単価で約二割ほど下がっている状況にあります。  こうしたことから、ノリの付加価値を高め、所得の向上につなげる六次産業化の取り組みにつきましては、漁家経営を改善しますとともに漁村の活性化にもつながるものと考えております。  こうした中、ノリ養殖を行われている漁業者の皆さんの一部におかれましては、以前からみずから生産したノリを用いまして、塩ノリですとかノリのつくだ煮、ふりかけなどの加工品づくりに取り組まれてきたところでございます。  また、最近では摘み取ったノリをそのままの状態で干し上げ、そして焼き上げた、バラ干しノリと呼ばれるノリの加工品が県内では現在のところ福富町支所、それから、たら支所で製造されておりますけれども、このバラ干しノリにつきましては、ノリ本来の風味が味わえると評価されておりまして、ノリの新たな需要拡大が期待されるところでございます。  こうしたことから、県におきましては、来年度、有明海漁協が北鹿島地区に整備しますバラ干しノリ乾燥機につきまして、地元の鹿島市とも連携して本施設整備に対する支援を行うこととしております。  いずれにしましても、漁業者の方々を初め、市町や漁協、民間企業などとも連携を図りながら、ノリ養殖における六次産業化の取り組みが拡大していくよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 224 ◯土井委員=ありがとうございました。  六次産業化に向けて、積極的に今後とも支援をしていただきたいと思いますが、今現在、バラ干しノリというのは金額的にどのくらいの売り上げがあるかというのはつかんでいますか。 225 ◯伊藤水産課長=バラ干しノリの現在の金額でございますが、私、ちゃんと自前で買って食べますけれども、全体の金額については申しわけありません、把握しておりません。  先ほど私、福富町支所とたら支所と言いましたが、福富町ではなくて諸富町支所でございます。申しわけございませんでした。 226 ◯土井委員=六次産業化に向けて取り組むわけですから、やっぱりマーケティングをやらなければいけないので、きちっとマーケット調査をやって、今現在どのくらいの売り上げがあって、全国的にどのくらいの市場規模があるのかの予測といいますか、その辺はきちっと見定めてやらないと、ただ、どんどんいいから補助をやって、つくってつくってといってそのうち単価が落ちてというふうなことにもなりかねませんので、需要創造というのも必要ですけれども、そこはきちっとマーケティングをやっていただきたいというふうに思います。  次、有明海の漁獲量について質問を移します。  先ほどパネルで有明海の漁獲量について示しましたが、あれは以前の裁判のときの資料でありますけれども、有明海の魚介類のここ十年間の漁獲量というのはどのように推移をしているのか、また、主要魚介類でありますタイラギ、アゲマキ、サルボウ、クルマエビ、ガザミについて個別的にはどうかお伺いします。 227 ◯伊藤水産課長=ここ十年間の漁獲量の推移と主要な漁獲量の推移についてお答えいたします。  平成十四年から平成二十三年の十年間におけます魚介類全体の漁獲量の推移を佐賀農林水産統計年報で見てみますと、平成十四年には約一万トンであったものが五年後の平成十八年には約二千八百トンと減少しております。その五年後ですが、十年後の平成二十三年には若干回復し、約四千六百トンとなっております。  この漁獲量の変動につきましては、最も漁獲量が多いサルボウなどの増減によるものでございます。  次に、主要な魚種でありますクルマエビ、ガザミ、タイラギ、そしてアゲマキ、サルボウで見てみますと、まず甲殻類でありますクルマエビにつきましては、平成十四年には六トンであったものが平成十八年以降、〇・四トンから一トンの間で推移しております。  ガザミにつきましては、平成十四年には約七十トンであったものが平成二十二年、二十三年には三十トン前後となっております。  次に、貝類でございますが、タイラギにつきましては、平成十四年以降は平成十六年に、これは殻つき重量でございますけれども、二百四十二トンの漁獲があったものの、その後は漁獲がない年もあるなど低迷し、平成二十二年は千八百八十四トン、平成二十三年は五百五十トンと一時的にまとまった漁獲が見られはしておりますけれども、平成二十四年、そして平成二十五年は休漁となっております。  次に、アゲマキにつきましては、ここ十年間、漁獲が全くない状況が続いております。  最も漁獲量が多いサルボウにつきましては、平成十四年には殻つき重量で約八千七百トンであったものが平成十八年には約千三百トンとなるなど年による変動が大きく、平成二十三年は約三千百トンとなっております。  以上でございます。 228 ◯土井委員=改めて今、タイラギとかアゲマキ、サルボウ、クルマエビ、ガザミというのは、我々はすぐ頭に浮かんでくるぐらい有明海を代表するような魚介類でありますけれども、数字を聞いて改めてびっくりするぐらいに減っているというふうな状況でありますが、主要魚介類の資源回復に向けた取り組みについてお伺いをしたいと思います。  県では、有明海の魚介類の資源回復に向けて、平成二十一年度からタイラギ、アゲマキ、サルボウ等の主要魚介類を対象とした有明海水産資源回復技術確立事業に取り組まれていますが、その中で成果が少しずつ出てきて、実用化に近づいているものもあるというふうに聞いています。  これまでも何回も議会で質問のたびに、こういう成果が出ていますというのを聞いて楽しみにしていたんですけれども、ところが、その先がなかなか見えないんですよね。そのときは何かうまくいっているんだなと思いますけれども、それが本当に漁業者の方のところで、現場で回復しているかというと、決してそうではないような気がするんです。  そこで、個別にお伺いをしたいと思います。  まず、タイラギについてですが、タイラギにおけるこれまでの取り組み内容と成果はどのようになっているのか、また、得られた成果はどのように活用していかれるのかお伺いします。 229 ◯伊藤水産課長=まず、タイラギについてお答えいたします。  これまでの取り組みと成果についてでございますが、タイラギにつきましては、稚貝の着底を促進させるための底質改善技術や、生き残りを高めるための移植技術の開発に取り組んでいるところでございます。  具体的には、細かく砕いたモガイの貝殻を海底にまきつけてまぜ込むことによりまして、タイラギ稚貝の着底を促進させる取り組みを行っておりまして、その結果、試験漁場では周辺の漁場に比べ、タイラギ稚貝の生息数は多く、また、ゴカイなどの、これは餌となる生物でございますが、そういったものの数も増加するなどの底質改善効果が確認されているところでございます。  また、移植技術につきましては、貧酸素の発生しやすい沖合漁場に生息しますタイラギを貧酸素の発生しにくい砂干潟などへ移植し、生き残りを高める対策に取り組んでおりまして、移植した稚貝はへい死することもなく順調に成長し、移植したもとの沖合漁場のタイラギよりも貝柱が大きくなるといった成果も得られております。  これらの得られた成果の活用についてでございますが、底質改善技術につきましては、細かく砕いたモガイの貝殻を散布、耕うんすることにより一定の成果が得られましたことから、来年度以降、事業化することとしております。  一方、移植技術につきましては、これまでの成果を踏まえまして、今後は産卵母貝を確保するための母貝団地造成に努めていくこととしております。  以上でございます。 230 ◯土井委員=前回からタイラギをうまく育てて、盗難に遭ったりとかなんとかいろいろ聞きながら、楽しみにしていたんですけど、なかなか我々の食卓に上がってこないというか、そういう状況にあるなというふうに思っておりますが、今、試験漁場でやっている量というのはどのくらいの量がとれているんですか。 231 ◯伊藤水産課長=具体的に現在取り組んでおります試験漁場でのタイラギの漁獲ということのお尋ねだと思いますが、いわゆる成貝といいますか、口に入るといいますか、製品となる成貝、これは試験漁場として、例えば、貧酸素が起こりやすい場所ですとか、いろんな場所で実験をしておりますので、その過程の中で得られた結果、いわゆる試験技術開発ということで御理解いただきたいと思いますが、結果としましては、その漁場でタイラギがたくさんとれて例えば市場に出荷したとか、そういった状況にはございません。  以上でございます。 232 ◯土井委員=わかりました。まだそういう状況にはないということですが、今後はある程度目標を立ててこれからやっていかれると思うんですけれども、そういう計画はつくってありますか。 233 ◯伊藤水産課長=いわゆるモガイ殻をまきつけて漁場を造成するということでございますが、これにつきましては、先ほど御答弁いたしましたけど、来年度から事業化に向けて予算をお願いしているところでございますが、現在のところ、来年度から四カ年の計画で漁場を造成するようにしております。  この中での私どもが目標としております計画といたしましては、気象条件、海況条件、それから、タイラギの卵の産みぐあいとか、いろんな条件があろうかと思いますが、今のところ四年間の計画で、最終的には大きくなるのに年数かかって少しタイムラグがありますので、四年後にどうだということは言えませんけれども、その四年間をかけまして期待しておりますというか、計算上はじき出している漁獲量としましては、今のところ十数トンを計画しております。  以上でございます。 234 ◯土井委員=楽しみに待っております。  二点目はアゲマキについてですけれども、これも有明海を代表する貝でありますが、アゲマキにおけるこれまでの取り組み内容と成果はどのようになっているのか、また、得られた成果はどのように活用していくのかお伺いします。 235 ◯伊藤水産課長=次に、アゲマキにつきまして、アゲマキの取り組み内容と成果、そして、その活用についてお答えいたします。  アゲマキにつきましては、先ほど漁獲量で申しましたけど、天然資源がほとんど見られない状況の中で資源の回復を図っていくためには、稚貝、いわゆる生まれて間もない貝ですが、稚貝を大量に放流することで親となる貝の集団をつくり、そして、産卵を行わせる、いわゆる再生産サイクルを復活させることが重要であると考えております。  このため、まず、稚貝を大量に生産する技術の開発に取り組みまして、これまでに放流に適しました七から八ミリの稚貝を約百万個程度の規模で生産することができるようになったところでございます。  これにあわせまして、耕うん等による底質改善を行うとともに、稚貝の放流に適した漁場の環境条件を検討しました結果、これまでに大潮の干潮時の海水面から三メートル前後高い干潟であること、それから、干潟の水分含有率が六〇%前後であることなどが明らかとなっております。  さらに、これは大浦地区の試験漁場でございますが、この試験漁場につきましては、商品サイズにまで成長した放流貝の一部ではございますけれども、試験的に出荷した結果、漁業者や市場関係者から高い評価を受けたところでございます。  こういった成果の今後の活用についてでございますけれども、これまで開発してきました種苗生産技術を活用し、引き続き稚貝の大量放流ですとか、底質改善方法の改良などを進めまして、放流後の生き残りをより一層高めることによって親貝の集団形成によります再生産サイクルを回復させるとともに、漁業者さんみずからがアゲマキ稚貝を干潟にまきつけて育てる、いわゆる地まき式養殖にも取り組むこととしております。  以上でございます。 236 ◯土井委員=ぜひお願いをしたいと思いますが、アゲマキは私も大好きでありますけれども、ただ、アゲマキを以前、あれは韓国産だったと思いますけれども、漁協青年部が持ってきて育てたところ、大きくなったんですけれども、子供をはじかなかったんですよね。これは、今回は再生産のサイクルをつくっていくということですので、ずっと子供は生まれていくようになっているんですか。 237 ◯伊藤水産課長=今、再生産サイクルというか、子供が生まれていくようになっていくかということでございますが、これにつきましては、今ようやく百万個単位で種苗ができるようになりまして、それを一カ所に、現在のところ百万個を放流するといったことではなくて、先ほど申しましたような放流適地を探るために、放流場所を分散してやっておりますけれども、過去から──過去というか、ここ十年来、例えば、鹿島でいいますと七浦の飯田海岸の近くで放流実験を続けておりますけれども、こういった場所では、移植した貝は当然以前の天然貝と同じような成長をすることも当然わかっておりますし、育った貝が卵を持って生まれてといったことも全部確認しております。  その周辺に実際に、数は少ないんですが、いわゆる天然の稚貝といいますか、天然の稚貝というのはちょっと表現が妥当かどうかわかりませんが、放流した貝が育って、そこから生まれた子供が、育ったであろう貝が周辺海域、特に鹿島を中心として、数は少のうございますが、確認をされております。  以上でございます。 238 ◯土井委員=わかりました。  それでは続きまして、サルボウについてお伺いします。  サルボウにおけるこれまでの取り組み内容と成果について、また、得られた成果をどのように活用していくのかお伺いします。 239 ◯伊藤水産課長=次に、サルボウについて、取り組み内容と成果、そして、その成果の活用についてお答えいたします。  サルボウ養殖につきましては、採苗器で集めた稚貝を養殖漁場にまきつけて育てるため、生産安定のためには漁場環境を正確に把握しまして、その漁場に合った利用を行うことが重要であると考えております。このため、六角川河口域から太良町地先までのサルボウの養殖漁場におきまして、水温、塩分、溶存酸素などの水質ですとか、硫化水素、泥分率などの底質条件、そして、サルボウの成長や生残などの生息環境、それから、サルボウの漁場ごとの漁獲実態などについて詳細な調査を実施しまして、漁場ごとの生き残りやすさですとか成長の比較などを行ってきたところでございます。  これまでの調査結果から、生息密度を左右する貧酸素は、岸側の漁場よりも沖の漁場で発生しやすい傾向にあること、そして、貧酸素と低塩分が重なるとサルボウの大量へい死の危険性が高くなることなどが明らかとなってきたところでございます。  これらの調査結果をもとにしまして、へい死リスクをレベルごとに地図上に表示するハザードマップを作成しますとともに、それぞれのリスクレベルに応じました、いわゆる漁場管理マニュアルを作成したところでございます。  現在、この漁場管理マニュアルに基づき、へい死リスクの高い漁場からへい死リスクの低い漁場への大規模な稚貝の移植試験を実施し、マニュアルの効果の実証を行いますとともに、さらなるマニュアルの改良を行っているところでございます。  またあわせまして、漁業者、生産者の皆様へ漁場管理マニュアルの普及を図るため、有明海漁協主導によります、これは仮称でございますが、サルボウ養殖安定推進協議会の設立に向けた関係者との協議がスタートしたところでございます。今後、完成しました漁場管理マニュアルに基づく効率的な漁場の利用について、漁業者の皆さんに対し指導を行うことにより、サルボウの安定生産につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。 240 ◯土井委員=サルボウについて、大変期待をしておりますので、よろしくお願いします。協議会ができたということで、その協議会がしっかりと活動して、漁業者の方にしっかりその技術、ハザードマップもできているということですので、技術移転が進むようにお願いしたいと思います。  次には、クルマエビについてお伺いします。  クルマエビにおけるこれまでの取り組み内容と成果について、また、得られた成果をどのように活用していくのかお伺いします。 241 ◯伊藤水産課長=次に、クルマエビにつきまして、これまでの取り組みの内容と成果、そして、その成果の活用についてお答えいたします。  クルマエビにつきましては、資源の増大を図るため、現在、有明海四県が共同で放流技術の開発に取り組んでおり、本県では、放流効果の向上を図るために、放流場所ですとか種苗の大きさなどの検討を行ってきたところでございます。  これまでの五年間に十から二十ミリの大きさの種苗を三千六百十三万尾、三十ミリの種苗を四百四十万尾、五十ミリの種苗を四百二十四万尾、放流しまして、漁獲されたクルマエビのDNAを分析するなどして、放流後の成長や移動などの追跡調査を行ってきたところでございます。  その結果、最も放流効果が高い、いわゆる回収率が高い放流時期につきましては六月であること、それから、放流の時間帯ですが、昼間よりも夜間に放流したほうが放流効果が高いこと、それから、放流サイズ──放流するエビの大きさですが、放流サイズは、費用対効果などを考慮した結果、三十ミリの種苗が適していることなどが明らかとなってきたところでございます。  こうして得られた成果につきましては、平成十五年度から有明海四県が共同でクルマエビの種苗放流を実施しております、有明海クルマエビ四県共同放流事業の中で成果の活用を図っているところでございます。  以上でございます。 242 ◯土井委員=ありがとうございました。  では、最後にガザミについてお伺いします。  ガザミにおけるこれまでの取り組み内容と成果について、また、得られた成果をどのように活用しているかお伺いします。 243 ◯伊藤水産課長=ガザミについてのこれまでの取り組み内容と成果、そして、その成果の活用についてお答えいたします。  ガザミにつきましても、クルマエビと同様に、有明海四県が共同で種苗放流の技術開発に取り組んでおりまして、本県では、放流効果の向上のために、放流場所ですとか放流する種苗の大きさなどの検討を行ってきたところでございます。  これまでの五年間で、大きさ十ミリのガザミの稚ガニ、いわゆる種苗を二百六十八万尾、二十ミリの大きさの稚苗を四十八万尾放流しまして、漁獲されたガザミのDNAを分析するなどして、クルマエビと同じですが、放流後の成長や移動などの追跡調査を行ってきたところでございます。  その結果、ガザミにつきましては、放流後、早いものでは二カ月で甲羅の大きさですが、十五センチ程度の漁獲可能なサイズになること、放流サイズにつきましては、費用対効果を考慮した結果、十ミリサイズの種苗が適していることなどが明らかとなったところでございます。  さらに、有明海四県の追跡調査結果によりますと、放流場所としましては、福岡県の柳川地先及び長崎県の島原地先で放流したほうが回収効果が高いことも明らかとなってきているところでございます。  これらの得られた成果につきましては、これまでに各県で得られたデータを持ち寄りまして、有明海四県が共同で種苗放流を行う事業化に向け、現在検討を進めているところでございます。  以上でございます。 244 ◯土井委員=今、五つの種類についていろいろお伺いをしましたけれども、それぞれ着実にいろいろ研究は続けてあるようでありますけれども、これが現場の生産にぜひ結びつくように、成果の活用をお願いしたいというふうに思います。  それでは、四項目めですけど、種苗生産施設についてお伺いします。  有明海の魚介類の資源回復のためには、資源を直接ふやすための種苗放流を強化することも必要であると考えています。しかしながら、有明海の種苗生産の拠点として、ガザミを初め多くの種苗を生産してきた有明海漁協大浦栽培漁業センターの老朽化が進んでいるという声も、実はこの間、二十二日の意見交換会のときも聞きました。ついては、次の点についてお伺いをしたいと思います。  一点目は設置の経緯についてですが、有明海漁協大浦栽培漁業センターが設置された経緯はどのようになっているのかお伺いします。 245 ◯伊藤水産課長=有明海漁協大浦栽培漁業センターが設立された経緯についてお答えいたします。
     大浦栽培漁業センターにつきましては、有明地区の水産資源の維持増大を図るために放流用種苗を生産することを目的に、昭和六十三年から平成元年にかけて、当時の大浦漁協が事業主体となりまして、国や県などの補助を受け整備された施設でございます。  当センターでは、設立当初、クルマエビやガザミの種苗生産が行われておりましたが、現在では、ガザミやヒラメの種苗生産と、先ほど御答弁いたしましたアゲマキの技術開発に際しまして、県が委託しておりますアゲマキの中間育成が行われているところでございます。  以上でございます。 246 ◯土井委員=この施設の県の考え方についてお伺いしますが、有明海漁協大浦栽培漁業センターの今後のあり方について、県はどのように考えておられるのかお伺いします。 247 ◯伊藤水産課長=お答えいたします。  大浦栽培漁業センターは、施設整備後、二十五年を経過していますことから、かなり老朽化が進んでおります。具体的には、屋外の貯水槽、これは海水をためる水槽ですが──のひび割れですとか、屋内のコンクリート水槽、これは実際にガザミなどをつくる水槽でございますが、この水槽の鉄筋の腐食とかひび割れ、そして、揚水ポンプ、これは海水をくみ上げるポンプでございますが、これが二基ありますけれども、そのうち一基が使用できない状況になるなど、不良箇所がかなり多く見られる状況となっております。  このセンターを管理運営しております有明海漁協の話では、全体的な大規模な改修を行ったとしても、完全に修復することは困難と聞いております。現在、有明海漁協では、大浦栽培漁業センターで行っているガザミなどの種苗生産の今後のあり方について議論されているところであり、そうした検討結果を踏まえた上で、今後の施設の改修などの方向性が結論づけられるものと考えております。  県といたしましては、有明海漁協の検討結果を踏まえるとともに、地元の太良町とも十分に連携を図りながら、大浦栽培漁業センターの今後のあり方について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 248 ◯土井委員=漁業者の方からも、改修に際しては、今後どういう位置づけで持っていくのか、何と何をやるのか、あるいはロケーションもあそこでいいのか、海水の確保の問題とか、さまざまな問題あるようですので、十分の地元太良町含めて協議をしていただいて意見を聞いて、本当の漁業の生産の安定に向けた施設となるように取り組んでいただきたいというふうに思います。  それでは、五項目めですが、有明海の漁業生産の安定に向けた今後の取り組みについてお伺いをします。  これまで説明のありました水産資源回復のための調査や技術開発の取り組みは、国の事業を活用して実施されておりますが、これらの国の事業は平成二十六年度に終了すると聞いています。こうした情勢の変化の中で、有明海の漁業者の方々が漁業生産の安定を実感できるようにしていくためには、必要な予算をしっかりと確保するなど、これまでの取り組みをより一層強化することが必要であると考えます。  なぜ私はいろいろ細かに聞いてきたかといいますと、現場の漁業者の方には、やっぱり技術移転がまだ自分のところにされていない、なかなか自分たちが思い描いている生産に結びついていないという声があるわけであります。そのもどかしさもあって、多くの人が感じておられますし、一日も早く、実際現場の人たちが飯を食えるようなものにしていただきたいというようなことなわけであります。  今後は、実際の技術を移転していく加速化が必要だというふうに思います。そこをしっかり取り組んでいただくためにも、私は予算をしっかり確保していっていただけねばいけないというふうに思います。  ここに一般質問でも使いましたけども、予算のパネルがございます。(パネルを示す)私が質問したとき、有明海四県の予算の額が平成十九年度から二十四年度まで一覧表で出ております。福岡県の平成二十四年度の予算は三十九億九千四百万円なんですね。佐賀県は五億九千五百万円であります。熊本県は十一億六千七百万円なんですね。この質問しましたら、部長から答弁として、漁場改善事業として、福岡県は覆砂をやっているので、我々佐賀県は海底耕うんをやっているから単価が違うという御答弁がありました。それはわかります。わかりますけども、これだけの絶対額が違うわけでありますので、これはやっぱり漁業振興をやるというからには、それなりの予算額をして、さっき今まで取り組んでおられるようなさまざまな資源回復に向けた取り組みが、実際現場でやれるように、力をもっと本当に入れるべきではないかというふうに思うのであります。  今後、県では有明海の漁業生産の安定に向けてどのように取り組んでいかれるのか、生産振興部長にお伺いします。 249 ◯古賀生産振興部長=有明海の漁業生産の安定に向けた今後の取り組みについて御答弁申し上げます。  県では、今御指摘も受けましたけれども、有明海の漁業安定生産に向けまして、有明海漁協初め、漁業者の方々の声を踏まえながら、漁場環境の改善、クルマエビやガザミの種苗の放流技術開発、こういったのに取り組んできたところでございます。  ちなみに先ほどの漁場整備事業の取り組み実績ございまして、私も一般質問の折に単価が違うんで、御理解を賜りたいという御答弁申し上げましたが、もう一つ、水産資源回復に取り組んでいる技術開発の予算につきましては、これは水産資源回復技術対策確立事業というような形で、全体予算が国が七億円仕組んでおります。そのうち佐賀県では毎年一億六千万円、それにいただいておりますので、ほぼ四分の一、四県で分けているという形、そちらのほうは四分の一ということでございます。  ただ、覆砂と海底耕うんの違いございますので、必要な施設についてはもうできるだけこれまで取り組んできたところでございます。  それで、先ほど課長からも御答弁申し上げましたように、私どもの佐賀県の有明海海域はもともと泥の成分が多うございますので、海底耕うんという形を実施しておりますが、これについて海底耕うんでございますとか、これも先ほど御答弁させていただいたように、澪を掘ることで流れを改善させる作澪、こういったのに取り組んでございます。これは来年度もきちんと取り組んでまいりたいと思っておりますし、さらには、タイラギなどの二枚貝を食害するナルトビエイの駆除、さらには、種苗放流などにも力を入れてきたところでございます。  今、なかなか実感できるようにまだなっていないということを御指摘いただいておりますが、今、課長からも御答弁申し上げたように、かなり実用化のめども見えつつあるものも出てきておりますので、国の予算をこれまで以上にきちんと確保しながら、取り組みの強化、加速化を図ってまいりたいと考えております。  さらには、大学の研究者の御意見も聞きながら、漁場環境改善のための新たな取り組みができないかも現在検討を行っておりまして、そういった声も国にきちんと届けながら、できますれば、予算の確保までつなげていきたいと思っております。  委員からも御指摘受けましたように、一日も早く有明海の水産資源の回復が漁業者の方に実感していただけるように、関係者全力で取り組んでまいりたいと思っております。  以上でございます。 250 ◯土井委員=最後に、水産サイドも含めて、くらし環境本部長にも御答弁いただきたいと思いますが、有明海の再生について、きょう質問をしてまいりました。私、有明海の再生は開門調査の実施、これは欠かせないと思います。それと、水産資源の回復の二本柱で現実的には進めていかなければいけない。理屈で言えば、開門調査をやってということになるんでしょうけども、ただ、現場の漁業者はそれ待てませんので、水産資源のできるところの回復はやっぱりやっていかなければいけないというふうに思うところであります。  有明海を再生させるため、今後、県としてはどのように取り組んでいかれるのか、くらし環境本部長にお伺いします。 251 ◯古谷くらし環境本部長=委員御指摘のとおり、有明海の再生は科学的なアプローチとしての開門調査の実施と、それから、漁業振興の観点からのアプローチとしての水産資源の回復策の実施と、そういう二つの取り組みが柱であろうというふうに考えております。  まず、開門調査の実現に向けては、なかなかいろいろ厳しい状況はございますけども、そうした中でもこの問題の解決に向けた関係者の話し合いについて、しっかりと取り組んでまいります。何とか糸口を見出していきたいというふうに考えております。  一方、有明海の再生、これは特に漁業者の方々にとりましては待ったなしの状況でございます。くらし環境本部としましても、生産振興部としっかりと連携を図りながら、有明海の環境保全、それから、水産資源の回復等による漁業の振興について、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  いずれにしましても、有明海とその周辺で暮らしておられる全ての方たちが有明海が再生することによって豊かになるように、今できること、あるいはしなくてはならないことをしっかりとやっていくということで、今後とも開門調査の実施と水産資源の回復等による有明海の再生に向けまして、そういう強い決意を持って取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 252 ◯坂口委員長=暫時休憩します。午後三時をめどに委員会を再開します。     午後二時四十六分 休憩     午後三時 開議 253 ◯坂口委員長=委員会を再開します。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 254 ◯原委員=県民ネットワークの原でございます。きょうは三点にわたって質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、PM2・5の対策、特に注意喚起についてでありますけれども、質問させていただきます。  PM2・5は、特に昨年一月、中国の大規模で大変深刻な大気汚染の発生が大きく報道されまして、この問題について社会的な関心が高まったということであります。  特にこうして我々が住む西日本地域においては、環境基準を超える高濃度のPM2・5が観測をされておりまして、中国からの越境大気汚染による影響があったものと報告がされております。  特に日本への影響については、この時期、三月から五月にかけて大陸からの黄砂とともにPM2・5が飛来をして、影響が大きいと言われております。  環境省は、ようやく昨年二月に注意喚起のための暫定的な指針を取りまとめて、その後、多くの地方自治体で注意喚起のための体制整備がなされております。  そこで、本県のPM2・5対策について質問をしたいというふうに思います。  国では、各地方自治体と連携強化をして情報共有を図りながら、モニタリング体制の整備を図っております。  平成二十四年度末の目標、これは全国の目標測定局数ですが、約千三百というふうに聞いておりますけれども、平成二十五年度末現時点でも約八百程度と六割にとどまっているというふうなことも聞いております。  そこで、本県では昨年度までは四カ所設置をされておられましたけれども、現在は十二カ所と聞き及んでおります。この国の設置目標を前提とすれば、佐賀県内には十二カ所という測定局がございますけれども、本来どの程度の必要性があるというふうに考えたらいいのかお尋ねをいたします。 255 ◯小宮環境課長=PM2・5の佐賀県での測定局の必要数はどの程度かということでございます。  各自治体がPM2・5の測定局を整備するに当たりましては、国が定めました事務処理基準というのがございます。この事務処理基準に基づき整備することになってございまして、人口七万五千人当たりに一局ということが基本的な測定局数とされているところでございます。  環境省が目標として掲げております千三百カ所と申しますのは、この基準に基づきまして算定しました各都道府県の基本的な測定局数を合計したものでございます。佐賀県の場合は、その基準に従いますと十二局ということになってまいります。  したがいまして、今現在、佐賀県は十二局設置しておりますが、それは環境省が示しております千三百カ所という目標に沿った整備を行っておりまして、整備完了しているというふうに考えてございます。  以上でございます。 256 ◯原委員=先ほどおっしゃいますように、環境省が大気汚染防止法第二十二条に基づいて事務処理基準を算定した測定局数を設定しておるわけですが、先ほど御案内のように満足はしているというふうなことであります。  とはいえ、考えてみると大気ですから、七万五千人いるから一カ所だというのと面積の関係もあって、単純に七万五千人で割ると大都市で何カ所も必要になってくるというふうに理屈的にはなるわけですね。  そういう意味からすると、今の十二ポイントを地図で見てみると、これはイメージの問題ですが、例えば、唐津南部とか小城とか太良とか、そういう地区にあってもいいのかなというふうなことも思わないわけでもございませんけれども、いずれにしろ、そうした基準のもとで設置されているわけでしょうから、事務処理基準の体制強化ということの必要性もあると思いますけれども、今後も観測網の整備強化という意味ではしっかり図っていただきたいというふうに思います。  注意喚起の実施に当たってですが、国の暫定指針では一日平均値が一立方メートル当たり七十マイクログラムを超えると予想される場合となっております。  その後、昨年十一月に暫定指針の判断方法が改善をされまして、地方自治体が独自に注意喚起を行うことを妨げるものではないとされることから、注意喚起の出し方が自治体により異なる事態が発生をしております。  例えば、朝一時間でも暫定指針の値を超えれば注意喚起を出す自治体もあれば、日中の値も加味して注意喚起を出す自治体もあるなどであります。  そこで、質問でありますけれども、注意喚起の判断方法については、各自治体の実情に応じて柔軟に対応することが先ほど言いますように可能とされたわけですけれども、本県においてはどのような判断方法で注意喚起を行っているのかお尋ねをいたします。 257 ◯小宮環境課長=佐賀県におけますPM2・5の注意喚起の判断についてというお尋ねでございます。  佐賀県におきましては、昨年二月に環境省から示されました暫定指針に基づいて、PM2・5の一日平均値が一立方メートル当たり七十マイクログラムを超過すると予想される場合に注意喚起を行うこととしております。  その判断方法といたしましては、昨年の二月、暫定指針が示された当初は、測定局ごとに午前五時から七時までの一時間の平均値が一立方メートル当たり八十五マイクログラムを超過した場合に、その日の一日平均値が一立方メートル当たり七十マイクログラムという注意喚起の暫定基準値を超過することが予想されるということで県内全域に注意喚起を行うこととしていたところでございます。  注意喚起の判断に当たりましては、国の指針におきましては、複数の測定局の測定値の中央値を求めて判断するといったようなことが示されておるわけでございますが、本県におきましては、より安全側に立ちまして、複数の測定局のうち一局でも基準を超過した場合には注意喚起を行うということにしております。  先ほどおっしゃられましたように、昨年の十一月に環境省において、注意喚起の判断方法の見直しが行われております。これは、早朝の平均値で一立方メートル当たり八十五マイクログラム以下であったにもかかわらず、その日、注意喚起の基準を超過したという、いわゆる見逃しでありますとか、早朝の平均値で八十五マイクログラムを超過したにもかかわらず、その日は注意喚起の基準を超えなかったという、いわゆる空振りといったようなものがございまして、そういった事例がございまして、予測精度の向上が必要といったようなことで見直しが行われております。  この見直しが行われましたので、見直しに基づきまして県のほうでも判断方法の見直しを行っております。  昨年の十一月三十日からは、これまでの判断方法に加えまして、午前五時から十二時までの平均値がいずれかの測定局において一立方メートル当たり八十マイクログラムを超過した場合にも注意喚起を行うと、こういったことにしております。  以上でございます。 258 ◯原委員=いろいろ言われましたけど、簡単に言えば、午後の活動にも備えた判断ということで、これまで以上に日中の濃度上昇についても一定の対応をされておるということで、より精度の高い判断方法の充実を期待したいと思います。  また、先ほどおっしゃるように、幾分かの自治体で基本的な大きな違いはないんですけれども、注意喚起の判断方法が九州各県、全国もそうですが、あるいは福岡市など一部自治体で異なった扱いをされております。判断基準においてもですね。  もう一点、例えば、注意喚起を行った後にPM2・5の濃度がよくなったと、改善をされたとした場合に、そのこと自体を住民に改めてまたお知らせをする自治体がある、あるいは何もしない自治体もあるというふうなことでございますけれども、本県はどのようにされておるのかお伺いをいたします。 259 ◯小宮環境課長=注意喚起を行った後の取り消しについてということでございます。  佐賀県におきましては、注意喚起を行った後に濃度が下がってきて、一日平均値が一立方メートル当たり七十マイクログラムを下回ると予想される場合でございますが、そういった場合には注意喚起を取り消すということにしております。  具体的には、測定しております全ての局におきまして、三時間の平均値で一立方メートル当たり五十マイクログラムを下回った場合には注意喚起を取り消すというふうにしているところでございます。  以上でございます。 260 ◯原委員=私が持っている資料では全国四十五自治体なんですけれども、濃度改善が見られた場合、周知しているのが十一自治体だと。あと三十四自治体はしていないというふうなことでありますけれども、住民から見ると、やはり幅広い層にしっかりした周知がされないと意味がないというふうに思いますので、そういう意味では佐賀県の取り組みを含めて多くの方に正確な情報が早くいくようにお願いをしたいというふうに思います。  このように、判断方法とか周知の方法とか、あともろもろ各自治体において対応が異なるということになると、情報が複雑化をして、住民は移動もするわけですから住民が戸惑うというふうなこともなきにしもあらずと思うんですが、本県は、こうした各自治体で違った判断をされているということについて、どのように認識されておるのかお伺いします。 261 ◯小宮環境課長=注意喚起の判断方法で、自治体間で違いがあるということでどのように認識しているのかというお尋ねでございます。  九州各県につきましていいますと、注意喚起の判断方法が佐賀県と同じという県は五県ございます。  ちなみに隣接しております福岡県でありますとか長崎県というのは、いずれも注意喚起の判断基準というのは佐賀県と同じ判断方法でございます。  そういったことを考えますと、対応が違うといったことによって県民が戸惑うというか、困るというか、そういったことはないのではないかというふうに認識しております。  以上でございます。 262 ◯原委員=今の答弁を聞いていますと、一部は違う部分があるけれども、多くは変わらないのでということですが、主に佐賀県民は福岡市内に行ったり、よくあるわけですから、本来国がどういうふうに最終的に統一していくのかということになるのではないかなと考えるわけですが、先ほど言いますように、注意喚起の対応状況としては注意喚起を行う時刻自体が違ったり、あるいは注意喚起を行う際の区域割の判断方法がそもそも違ったり、全県で出したり、県内を区割りしたり、そういうこともありますし、注意の内容、メッセージの内容自体も違ったり、あるいは先ほどのように改善が見られた場合の周知や周知方法なども異なっております。  裏を返せば、新たな独自基準を適用して、それぞれの自治体が実情に応じて工夫をされているというふうにとればそういうことではありますけれども、例えば、光化学オキシダントのように大気汚染防止法に基づく注意報を出す数値を決めて、全国で統一的に運用されておりますけれども、そうしたあり方も含めて検討の余地があるんじゃないかなと。  いろんなことがありますので、環境省では早速、全国どこの都市に注意喚起が起きたか一目でわかるように、PM2・5のほか、光化学オキシダントや二酸化硫黄等の大気汚染物質の観測データを提供する「そらまめ君」というのがあるんですが、今月に充実をされるというふうなこともあるようです。  そうした中で、健康な大人では指針値を超える場所に例えば数時間いても、健康への影響はなかなか科学的に確認されるものでもないと。あるいは基本的には過剰な反応をするのではなくて、ふだんどおりの生活を呼びかけるということも適切だという声も聞くわけです。  県民には、やはりPM2・5の正確な情報を提供していただいて、冷静な対応をとってもらう必要があると思うんですけれども、県が注意喚起を行う際は県民にどのような内容をお知らせするのか、先ほどでいう行動の目安というのが国の暫定指針にあるわけですが、国に準じていくのか、独自の何かメッセージ等があるのか、その辺をお伺いします。 263 ◯小宮環境課長=注意喚起の内容についてということでございますが、PM2・5につきましては、おっしゃられましたように、県民の皆様が不安にならないように正しい情報をわかりやすく提供することが大事というふうに思っております。  ふだんから、先ほど判断方法とか注意喚起の内容等でございますけど、そういったものにつきましてもホームページのほうで県民の皆様にお知らせしているところでございます。もちろんぜんそくであるとか疾患がある、そういったもので不安に思っておられる方には、特に注意喚起の濃度以下でもそういったことがあらわれるかもわからないので、そういった方はより慎重に行動といったような内容のこともホームページのほうで御説明させていただいているところではございます。  ということで、注意喚起を行う際には、わかりやすい情報を提供することが大切ということでございますが、注意喚起を行う際は具体的な行動についてわかりやすい内容でお知らせするということで、それから複数の手段を用いて情報を早く広く提供するといったようなことを考えてやっております。  具体的に注意喚起の内容といたしましては、国が示していますようなことではございますけれども、不要不急の外出とか屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らしていただくことでありますとか、屋内でも換気や窓の開閉を必要最小限にするなど、外気の屋内への進入をできるだけ少なくしていただきたいということや、呼吸器系や循環器系の疾患のある方、それから小児でありますとか、高齢者の方は一般の方に比べて影響が出やすく、また個人差も大きいというふうに考えられますので、体調に応じてより慎重に行動していただきたいといったようなことを行動の目安としてお知らせすることにいたしております。  以上でございます。 264 ◯原委員=このPM2・5については、健康影響とか生成のメカニズムなどがまだ未解明な部分も多いと言われておりまして、健康被害に関する不安に対して目に見えないという部分では、何かしら放射性物質に似ている一面等があるような思いもします。特に福島の事故以来、こうした放射性物質とか大気汚染については皆様が過敏になっているという一面があるんではないかと思います。日本では中国からのPM2・5よりも、話は全然違うんですが、受動喫煙の影響のほうがはるかに問題であるというふうな指摘もございます。  ぜひ今後とも国内観測網の強化や健康影響に関する知見の集積とか、住民へのきめ細やかな情報提供、また幅広い層への確実に伝わる周知に努めていただくことを要望しておきたいと思います。  続いて、二点目でありますが、有明海の漁業生産の安定についてということで、先ほど土井委員のほうから詳しい質問もございましたので、答弁もなるべく簡潔にお願いできればというふうに思います。  まず、有明海の再生について質問をこの後するんですが、その前に近年のノリ養殖や貝類漁獲量などの実態について質問させていただきたいと思います。  せんだって、産業常任委員会の視察において有明水産振興センターからの説明をお聞きしたわけです。現在、タイラギの休業やノリ漁期中の珪藻赤潮の発生、さらには夏場にサルボウなどの貝類の大量死を引き起こす貧酸素水塊が発生をしていると。近年の有明海異変については、皆さんそうであると思うんですが、私を含めて多くの人が諫早湾干拓潮受け堤防の締め切りが関与しているんではなかろうかという疑念を持っておられるというふうに思います。この疑念を払拭させて、有明海の再生を図るためにも、我々は諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査を求めているところでございます。  しかしながら、これも先ほど土井委員のほうから指摘もありましたけれども、長崎県の県民だより、平成二十五年八月号、またホームページ等によりましても、こんなことが書いてあるんですね。ノリの生産は佐賀県では平成二十二年度に販売枚数が過去最高記録と、これは本当かもしれませんが、貝類漁獲量の減少傾向は、諫早湾干拓事業が開始されるずっと前から始まっているという記載がございます。近年のタイラギなどの漁獲量の減少や有明海西南部地区を中心とした珪藻赤潮によるノリの色落ち被害と諫早湾潮受け堤防締め切りとの関連については否定的な意見が長崎側からは述べられております。  まず、ノリの関係についてでありますが、長崎県の先ほどの県民だより、あるいはホームページによると、ノリの生産量は諫早湾潮受け堤防が締め切られた平成九年度以降も、平成十二年度の漁期を除けば、一貫してノリは増加傾向にあるというふうなことを書かれております。  そこで、この問題について本県の所見をお伺いしたいんですが、まず本県有明海におけるノリ養殖については、平成十五年度以降の生産枚数、生産金額ともに連続日本一となっておりますけれども、この間の生産状況がどのようになっているのかお伺いします。
     また、今年度の漁期のように珪藻赤潮による色落ち被害が発生をして、特に西南部地区では非常に厳しい状況と聞いておりますけれども、平成十五年度以降の各地区別の生産状況はどのようになっているのかお尋ねをいたします。 265 ◯伊藤水産課長=平成十五年度以降のノリの生産状況についてお答えいたします。  平成十五年度から平成二十四年度の十年間におけます佐賀県全体のノリの生産状況を見てみますと、生産枚数では平均で約二十億枚、生産金額は平均で約二百九億円となっており、十年連続して日本一となったところでございます。  このような十年連続日本一となった大きな要因としましては、やはり本県の特徴でありますノリ養殖の集団管理体制、これは漁協、漁業者、県が一体となった取り組みでございますが、その集団管理体制のもとでノリ養殖の協業化による作業の効率的な推進ですとか、先ほど御答弁させていただきました酸処理や施肥といった養殖技術の導入など、そしてノリ養殖業者の方々が懸命に努力されてきた結果であると考えております。  このように県全体の生産状況としては、比較的順調に推移しているように見えますけれども、次にこうした生産状況を地区別に見てみますと、東中部地区では生産枚数は平均で約十六億枚、生産金額では平均で約百七十一億円となっており、平均からのいわゆる振れ幅につきましては、枚数で一割から二割、金額で一割前後となっております。これに対しまして西南部地区におきましては、生産枚数では平均で約四億枚、生産金額は平均で約三十八億円となっておりまして、平均からの振れ幅につきましては、枚数、金額ともに先ほどの東中部に比べまして若干高く二割から三割とっておりまして、西南部地区の生産状況が東中部地区に比べてかなり不安定な状況になっているということが明らかになっております。  以上でございます。 266 ◯原委員=本県の水産業の基幹であるノリ養殖業ですね。昨年度まで十年連続で生産枚数、生産金額ともに日本一という大変ありがたいことであります。そして、一見大変順調であるように思いますが、地域によってはかなり状況が違っているということがわかりました。  また、経営体数という、要するに経営の数ですが、経営者の推移を見てみると、平成十五年度には実は千二百二十六経営体あったものが平成二十五年度では九百三十四経営体と、ここ十年で約七六%に減少しておりまして、漁船漁業とともに非常に厳しい状況にあると、ノリ自体もですね、そういうことがうかがえるというふうに思います。  この西南部地区のノリ養殖の生産が、先ほど言うように、不安定な原因の一つとして珪藻赤潮の影響が考えられます。この西南部地区における珪藻赤潮の発生はどのようになっているのか、そして発生要因についてはどのように考えておられるのかお伺いします。 267 ◯伊藤水産課長=西南部におけます赤潮発生状況とその要因についてお答えいたします。  西南部地区におけます赤潮の発生状況を見てみますと、平成十九年度から七年連続しまして十二月下旬から一月上旬という冷凍網期の早い段階から岸寄りの漁場中心に小型珪藻のアステリオネラによる赤潮が発生しております。この赤潮は一旦発生しますと、長期間継続しやすく、色落ち被害が長期化する傾向にあり、生産が不安定な大きな要因の一つとなっております。  さらには、今年度につきましては、先ほど土井委員の御質問の中でも御答弁いたしましたが、このアステリオネラに加えまして、栄養塩を極めて多く消費する大型珪藻のユーカンピアが例年よりも早く西南部地区を含む全域で増殖したために、このことが西南部地区の不作にさらに拍車をかけたところでございます。  それと、発生の要因についてでございますが、このようなノリ色落ちの被害をもたらす珪藻赤潮の発生につきましては、先ほど来、御答弁いたしておりますが、一般的には日射量ですとか、雨の量ですとか、いろんな気象、海況条件が複雑に絡み合って起こり得るものですが、現時点におきまして、その西南部地区における珪藻赤潮の発生要因というのは、これだということは特定はできませんけれども、これも先ほど御答弁いたしましたけれども、西南部地区では特に地形的に流れが滞りやすいことなどが赤潮の長期継続の要因になっているのではないかと推測しているところでございます。  以上でございます。 268 ◯原委員=先ほど私が御紹介したように、ノリ養殖業の減少要因ですね、さまざまなことがあると思います。もう高齢化もされている方もいらっしゃるし、一概に特定して言うわけにはまいりませんけれども、しかし、今年度の珪藻赤潮の発生による色落ち被害など、特に西南部地区における生産の不安定な状況というのが影響しているんではなかろうかというふうに感じるところでございます。  そこで、ノリ養殖の安定生産に向けて、今後どういうことを取り組んだらいいのか、その点についてお伺いしたいと思います。 269 ◯伊藤水産課長=ノリ養殖の安定に向けた今後の取り組みについてお答えします。  特に珪藻赤潮の被害を受けます西南部地区の色落ち被害の軽減に向けまして、アステリオネラ赤潮の予察に関する研究を水産総合研究センターと連携しながら、有明水産振興センターが実施してきております。これまでの研究成果としまして、海水の水温が十度を下回った後の初めての大潮期に続く小潮期に規則的に発生していることなどが明らかになってきたところでございます。  これらの研究成果を冷凍網期の張り込み時期の決定に活用しまして、冷凍網期のアステリオネラ赤潮による色落ち被害の軽減に努めることとしております。  さらに、今年度色落ち被害の拡大につながりましたユーカンピアにつきましては、これは沖合域に発生して沖合域から増殖しながら岸寄りに拡散してきますことから、関係します国や福岡、長崎、熊本の三県の研究機関とも緊密に連携しながら、発生場所ですとか、増殖の推移などの情報共有、提供に努めてまいりたいと考えております。  県といたしましては、引き続き赤潮発生予察技術の向上に努めますとともに、海況調査などに取り組み、得られた情報につきましては、漁業者の皆様に迅速に提供するなどして、ノリ養殖の安定生産につながるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 270 ◯原委員=ぜひそうした意味での調査研究を充実させていただきたいと思います。  もう一方、貝類の漁業生産についてでありますが、同じく長崎県の表現によると、貝類は諫早湾干拓事業が開始されるずっと前から減少をしておると、また、その時期は各県の大型公共事業やノリの酸処理使用開始時期と重なっているというふうなことが表現されておりますが、本県の貝類、特に漁獲量の大半を占めているサルボウとタイラギの漁獲量は、この諫早湾潮受け堤防が締め切られた平成九年前後にどのように推移しているのかお伺いをいたします。 271 ◯伊藤水産課長=諫早湾潮受け堤防が締め切られました平成九年前後のサルボウとタイラギの漁獲量の推移についてお答えいたします。  まず、サルボウの漁獲量についてでございますが、サルボウの漁獲量は昭和六十三年から平成九年にかけた締め切り前の十年間では、おおよそ一万トン台で推移しておりましたが、平成十年から統計があります平成二十三年にかけた締め切り後の漁獲量を見てみますと、約八千七百トンから千三百トンと、年による変動が非常に大きくなっております。  また、タイラギにつきましては、締め切り前の昭和六十三年から平成九年にかけては、大きな変動はあるものの、漁獲量は約百トンから三千トンとなっておりましたけれども、締め切り後につきましては、平成十年に五百トン程度、それから、平成十五年と十六年に百五十トンから二百数十トン、そして、平成二十二年前後にまとまった量がとれた年も見られますけれども、漁獲量が極端に少ない年も三年ほど、そして、統計には出ておりませんけれども、平成二十四年、二十五年、これは言うまでもありませんが、二年間続けて休漁となった年もあり、五年間休漁となっている状況となっております。  以上でございます。 272 ◯原委員=先ほどで言う長崎県の表現と佐賀県自体の状況が違うということだと思います。  本県の有明海の漁船漁業はタイラギ潜水器漁業が昨年に引き続いて二年連続で休漁になるなど、漁家経営は大変厳しい状況が続いております。  これも聞くところによるとではありますが、大浦支所の組合員数は平成十五年度には約三百五十名いらっしゃったのが、昨年度、平成二十五年には約二百五十名と、ここ十年間で当時の約七一%に減少しております。このこともやはり近年のそうした経営の厳しさを物語っているんではないかというふうに考えます。  そういうことで、次の質問ですが、近年のサルボウ、あるいはタイラギの漁獲量が減少している原因ですね。原因についてはどのように考えられておるのかお尋ねをいたします。長崎県側の指摘で、ノリ養殖への酸処理の使用が貝類の漁獲量減少に大きく影響しているというふうな指摘もされておりましたんで、その点についてもお聞きしようと思っていましたが、土井委員の質問の中でしっかり説明もしていただいておりますので、サルボウ、タイラギの漁獲量が減少している原因として、どのように考えているのかをお答えいただければと思います。 273 ◯伊藤水産課長=近年のサルボウとタイラギの漁獲量の減少の原因についてお答えいたします。  近年の貝類資源の減少原因を明らかにするために、県ではこれまで貝類のへい死が起きた海域の水温ですとか、塩分、溶存酸素などの海況、さらには降雨、雨の量ですとか、日射量などの気象条件などのモニタリング調査を実施してきたところでございます。  その結果、現時点で近年の漁獲量の減少につきましては、まず、サルボウにおきましては、夏場に頻繁に発生します貧酸素水塊や大雨による水あたり等による大量へい死や成長不良、そして、タイラギにつきましては、底質の悪化に伴う生息に適した漁場の減少ですとか、貧酸素水塊による大量へい死、さらには、原因不明の立ち枯れへい死などが関係していると考えております。  以上でございます。 274 ◯原委員=先ほど御案内のように、長崎県が出している資料を見れば、なるほどと思うし、佐賀県のほうの今の説明聞けば、ああなるほどというふうに当然思うわけですね。普通の県民の方はなかなかわからないというのが率直なところだと思います。  そういうためにも、また、有明海の再生を求めるためにも、潮受け堤防締め切りの影響を明らかにするための開門調査や、各地の被害状況の調査の実施などが必要だというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  この問題の最後ですが、貝類の生産回復に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、これもお伺いをしておきたいと思います。 275 ◯伊藤水産課長=貝類の生産回復に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。  有明海の貝類資源の回復を図るためには、まずは、その生息環境を改善していくことが重要なことから、引き続き平成十三年度から続けております海底耕うんですとか、貝類を食べるナルトビエイ駆除などの取り組みを進めていくこととしております。  また、こういった漁場環境の改善などの取り組みに加えまして、新たな技術の開発にも積極的に取り組んできたところでございまして、先ほども御答弁いたしましたが、アゲマキにつきましては約百万個の規模で稚貝の生産が可能となりまして、大量放流にめどが立ってきたところでございます。  また、タイラギにつきましては、これも先ほど御答弁いたしましたが、モガイ殻を砕いてまきつけて漁場をつくるといったことが明らかになってきておりますので、そういった取り組みによって、来年度から事業化を進めることとしております。  こうした取り組みをできるだけ、モガイ殻をまきつけて漁場造成を行うことにつきましては、来年度から事業化を行いますが、アゲマキにつきましても、少しでも早く漁業者の皆さんが漁獲できるように努力してまいりたいと思いますし、有明海の貝類の生産回復に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 276 ◯原委員=よろしくお願いしたいと思います。  何回も言って恐縮ですが、長崎県の資料は、有明海における魚介類が減少した時期は、熊本新港や筑後大堰など大型公共事業やノリの酸処理剤使用開始時期と一致をしているというふうに言われております。また、先ほども触れましたが、佐賀県ではノリについては二十二年度に販売枚数が過去最高だと、そして、二十三年度は過去五年平均の九割などと記載をされて、ノリについては増加傾向だというふうなことを言われております。  こうした長崎県側の主張に対して、佐賀県としてもやはり佐賀県としての主張、あるいは論点の整理をして県民や他県の方にも正しい情報を提供していただくことを要望しておきたいというふうに思います。  三点目の質問でありますが、諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門調査についてということで、前段、お二方からの質問もございましたけども、よろしくお願いしたいと思います。  まず、佐賀県という立場から見て、農水省に向けてできること、あるいは長崎県に対してできること、あるいは内輪の佐賀県でできること、そういう三つの考え方で質問させていただきたいと思います。  まず、農水省に対する対応についてであります。この諫早湾干拓事業の開門調査の問題についてでありますけれども、その前に、農水省に対する当委員会の参考人招致について要請をしましたけれども、一月二十五日に県で説明しておるんだとか、あるいは佐賀県議会のみの出席はできないと、要するに長崎もあるじゃないかというふうなことだと思いますが、そういうことで出席の打診を断ったことは、漁業者や佐賀県民を大変軽視しているとしか考えられません。と同時に、私は長崎県側の方から見ても、逆に不信を買う行動ではないかというふうに考えます。こうした態度を改めないと、真摯に向き合わない限り、この問題を解決することができないんではないかということをまず指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、本県ではこうした国の対応ですね、前回の意見交換会でも農水省の対応、あるいは水産庁が来なかったとか、いろんなことございますが、そういうことも含めまして、本県のこうした国の対応、姿勢について、どのように考えられるのかお伺いをしておきたいと思います。 277 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=農林水産省の対応についてお答えいたします。  開門調査につきましては、県政の重要課題といたしまして、これまで漁業者を初め、県内関係者、これは議会の皆様方も入ってございます。こういった県内関係者と連携を図りながら、その実現について取り組んできたところでございます。県といたしましては、議会に限らず、説明を求める地元の要請といったことにつきましては、農林水産省はできるだけ応えてほしかったという気持ちを持っておるところでございます。  以上でございます。 278 ◯原委員=できるだけ応えてほしかったと。同じ役所同士なんで、その程度の表現になっているのかどうかわかりませんが、ほとんどの方は、農水省の肩を持つ方は佐賀県でも長崎県でもいらっしゃらないんじゃないかというふうに思います。そういう意味では、いわゆる程度はありましょうけれども、しっかり物を言うべきときは言っていただきたいというふうに思います。  この開門調査をめぐって、福岡高裁が確定判決で国に義務づけた開門期限から、この三月二十日で三カ月を迎えることになります。現在、開門賛成、開門反対の両派は、相反する司法判断に基づいて国に巨額の制裁金支払いを求める間接強制を申し立てるなど、法的措置が乱立をして、事態はさらなる混迷を深めているというのが実態ではないかと思います。  三年前に振り返りますと、菅総理が福岡高裁の開門判決を確定判決とすることを政治決断したわけですが、ずっと農水省はやっぱり一貫して政治的な判断を極力避けて、裁判所任せというスタンスがあったんではないかと。あわせて、現政権においても開門には消極的だと感じざるを得ないわけです。  農水大臣は、判決は確定しているので、長崎地裁がいかなる判断であろうとも開門は国の法的義務というふうな発言もしてこられております。国はみずから義務を負うと言ってきたわけですから、その義務を果たせなかった現在において、開門という義務をぜひ果たしていかなければならないというのが基本だと思います。  福岡高裁の判決は確定しており、不変の事実だというふうに思います。長崎地裁の仮処分判決は、矛盾するようではありますけれども、差しとめ理由では、対策工事をしないと農業や周辺住民に被害が及ぶためとされており、福岡高裁で出された開門判決を基本的には前提とされておるというふうに理解をしております。さらに、国が漁業被害の存在を主張しなかったため考慮できなかったなどという理由説明をあえてされておるわけであります。  そこで、国は開門調査の対策工事に数度にわたって着工を試みたものの、地元の開門反対派の阻止によって、結果として着工ができませんでした。また、先ほど言いますように、長崎地裁においても開門差しとめ仮処分の申し立てを容認する決定をした判断理由の一つとして、国が漁業被害について主張されなかったことがあるということであります。  こうした農水省の対応とか考え方について、どのように思われるのかお伺いいたします。 279 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=開門調査に対する国の対応についてお答えいたします。  まず対策工事についてお答えをいたします。  農林水産省の対策工事に着手するための取り組みにつきましては、佐賀県側では見えない部分の取り組みもあるかもしれませんけれども、委員御紹介ございましたように、工事着手のため努力を三回されております。しかも、遅い時期という形になっております。そういった工事着手のための努力が三回で本当に十分だったのか、もっと早い時期からやるべきじゃなかったのか、あるいはほかのやり方もあったんじゃないかとか、そういった思いを持っているところでございます。  いずれにしても、結果的に工事着手ができなかったということにつきましては、やはりそれは農林水産省の取り組みが十分ではなかったというふうに言わざるを得ないと思っているところでございます。  それから、漁業被害の主張についてでございます。  これにつきましては、国は現在、今回の仮処分の決定が出された裁判とは別に、先ほど土井委員のところで御紹介をいたしましたけど、漁業者の方が長崎一次訴訟で即時の全面開門を求めて国を訴えた裁判、これが開門は認められませんでしたけれども、損害賠償の一部を認めている裁判がございまして、現在、福岡高裁で係争中でございます。この裁判におきまして、国は漁業者の方の損害賠償請求に対して現在、争っているところでございます。  こうしたことから、林農林水産大臣におきましては、長崎地裁での開門差しとめ訴訟におきまして漁業被害を認めれば、福岡高裁の裁判に影響する可能性もあることから、特に漁業者の漁業行使権につきまして言及することをしなかった旨の発言をされているところでございます。  しかしながら、長崎地裁みずからが述べられておりますとおり、福岡高裁判決と矛盾した今回の決定に至る非常に大きな要素の一つになっているというふうに考えられ、その意味では、国が漁業被害を主張しなかったことについては、率直に言って残念というふうに思っているところでございます。 280 ◯原委員=このあたりの農水省の考え方が一番尾を引いている原因ではないかというふうに思います。なかなか今の抱えている状況の中で農水省の考え方が変わるとは思いにくいとはいえ、農水省は長期間放っておいて、佐賀県側の漁業者や、また、こうした県議会の対応等も含めて、非常に不誠実であり、また、やる気が見えないというふうに考えるわけです。漁業者は一日も早い有明海の再生を望んでおられるわけですから、農水省は有明海再生に向けてもっと積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  今後、佐賀県として有明海再生に向けて、国や農水省に対してはどのような働きかけをしていこうとお考えなのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。 281 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=有明海の再生に向けて、国に対してどのように県として働きかけていくのかという質問でございました。開門問題の解決はもとより、有明海再生の実現のためには、やはり関係者による話し合いが必要であるというふうに考えております。林農林水産大臣におかれましても、話し合いの実現に向けた努力はこれからも粘り強く続けていくという旨の発言をされているところでございます。  このため、国は関係者による話し合いを一日も早く実現するための努力をこれまで以上にしていただかなくてはならないと考えておりまして、今後、国がこの発言に基づきましてどのような取り組みをしていくかというのを注視しながら、さらなる対応を求めていきたいと考えております。  県といたしましても、国に求めるだけではなく、引き続き開門問題の解決に向けた関係者の話し合いにつきましてしっかり取り組み、何とか糸口を見出したいと考えております。  一方で、有明海の再生ということでいえば、開門調査の実現とあわせまして、先ほど来から出ておりました水産資源の回復というものを重要な課題というふうに考えております。漁業者にとりましては待ったなしの状況であるということから、漁業者の経営安定が図られるよう、生産振興部と連携しながら水産資源の回復に向けた取り組みを強化して、必要な施策については国に対して強く求めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  以上でございます。 282 ◯原委員=今の状況から話し合いが必要であるということまではいいんですが、注視して対応を求めると。先ほど来、宮崎委員の話から出ていましたように、かなりあやふやというか、期待するだけだというふうなことにとりかねられないような答弁だと思います。なかなか具体的な策というのは難しさはわかるんですが、やはり国に対して何らかの取り組みをしっかり行動で示すと。そのことが見えないと、注視したいとか、注視したいというのは眺めておきたいというだけですから、そういう対策ではなかなか進まないのではないかというふうに思います。  今、開門をしないという作為の判断は、福岡高裁判決の本来の考え、本意に反する行為だと思うんですよね。ですから、この状態は、逆にとれば長崎県側の意に沿っているだけの結果に終わってしまうということになるわけですから、福岡高裁の不変の判決である開門調査を前提とすれば、こうした状況は一刻も早く解消していただきたいというふうに思います。  次に、佐賀県として長崎県に対して何らかの行動ができないかという意味で質問をさせていただきますが、佐賀県として長崎県側に対してできることがやっぱりあると思うわけですね。  長崎県は基本的に国に対して大きな不信感を抱いておられるということをよくお聞きをします。国は開門調査問題とは切り離して有明海の再生を沿岸各県の関係者で協議をする場を設ける考え方を示されてはおります。そのことが実行されれば大変結構なことだとは思うんですが、先ほどのように国への不信感が影響をして、進展するか、要するに国が音頭を取って進むのかどうかというのは甚だ疑問であります。また同時に、報道によるとではありますが、長崎県の中村知事は、開門方針を撤回しない限り司法決着しかないんだと。最高裁で結論を得るほうがベターだと言われているようであります。  このように、長崎県は、やはり行き着くところは最高裁だという話まで持ち出して、話し合いに対して否定的な姿勢を崩していないというふうに考えられますが、佐賀県としてはこの問題、どのように考えられるのか、お伺いします。 283 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=まずは長崎県の考えが今、どういう状況であるかということについてお答えいたします。  委員、今御指摘がございました。先月の長崎県知事選に再選された後、中村知事が、やはり裁判で一定の方針を得ていく以外に方法はないと、改めて話し合いに否定的な考えを示されたことにつきましては、報道等を通じまして県としても認識しているところでございます。中村知事も古川知事と同様、開門調査についてのこれまでの経緯や地元の思いというものを代表され、これまで行動してこられたため、現時点におきましては、客観的に見てみれば、両県で話をして開門問題が解決するといった環境が現在整っているということには今の状況ではなっていないというふうに思っているところでございます。 284 ◯原委員=話し合いじゃなかなかスムーズに行く状況にはないというようなことだと思いますが、長崎県側の考えについても、やはり残念ではあるんですね。こうした考え方がもう早々出るというのは。裁判裁判となると、やはり話とは別建てで、裁判上においても正々堂々とやることも考えなければならないというふうに思います。  ちょっとお尋ねしたいんですが、その延長線上に裁判とかいうものがあるという前提で、このたび法律の専門家の支援を求めたいというふうなことも、やはり裁判を意識されてということがまた大きくクローズアップされてきているという前提で、こうした専門家の支援をというふうになっているのかどうか、その辺お伺いしたいのと、あわせて今、裁判行われておりますが、今の弁護団の方ですね、弁護士の方あたりの支援になるのか、または全く別の方を考えられているのか、その辺いかがなんでしょうか。 285 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=まず法律の専門家を県に置くという件につきましては、これは弁護団との関係で申しますと、それとは全く別の問題といいますか、別でございまして、我々も弁護団の活動されていること、あるいは資料とか情報とかいただいております。  ただ、やはり裁判の当事者でありますので、裁判の状況というのは、やはり自分たちの主張が中心になってまいりますので、そういった情報だけでは、客観的なことが見えないんじゃないかということがありまして、そこは客観的に、そして、我々も専門家じゃございませんので、いろんな資料をもって法律相談でしたりしますけれども、やはり我々が専門家じゃないところで資料が足りていなかったり、あるいは直接裁判に携わった形での法律相談の方の意見じゃないということもございますので、そこは直接専門家の方を県の職員として配置させていただきまして、直接裁判を傍聴していただくとか、専門家の見地からいろんな資料を集めて、自分でその方が分析していろんなことを予測していくと。  そうした予測していく中で、そしたらこういった準備が県として必要じゃないかとか、そういったことが見えてくるんじゃないかという形で法律の専門家を置くということを決断したところでございます。  それからもう一点が──何ですかね。(「要するに、裁判を前提にそういう方を確保されるのかどうか」と原委員呼ぶ)そうですね、裁判前提といいますか、我々は裁判の当事者ではございませんけれども、やはり裁判のこれからの動きというのが大きな一つのポイントとなってまいりますので、そこは当事者でないながらも、その裁判がどう展開していくのかというのを予測するために、客観的に法律家の専門知識で分析予測していただく方を配置するという趣旨でございます。  以上でございます。 286 ◯原委員=私も裁判を大いに勧めるわけではありませんけれども、古川知事は現在、佐賀県の責任者として開門調査を前提とした考え方を当然持っていらっしゃるわけですよね。国からの要請、今の段階はそうですが、長崎県側に向けても有明海の再生の話をしたいんだと、いわば使い分けておられるというふうなことにもなろうと思います。  佐賀県は今、条件をつけずに話し合いに応じる考えを示しておられるわけですが、皆さんもそうかもしれませんけど、本質的には開門という部分がありながら、開門の話を前提とせずに純粋に有明海の再生の話し合いだけができると思われているのか、そのあたりをお伺いします。 287 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=純粋に有明海再生について話し合いができるかという質問でございました。  まず、話し合いに向けて、あらゆる条件をつけずにということをもう一回整理させていただきたいと思うんですけれども、この経緯といたしましては、昨年、林農林水産大臣から長崎県、佐賀県、国による三者の話し合いをしたいという申し入れがあったときに、長崎がなかなか開門前提では理解を示してくれないという発言があったことに対して、古川知事のほうから、もちろん話し合いについては開門問題の解決、佐賀県としては開門調査をやってほしいという形で話をしたいと、それはもちろんございます。ただ、それを言うことによって話し合い自体が実現できないようであれば、条件をつけなくても話し合いに応じる用意はありますということで、初めから外して話し合いをしたいということではなくて、そういったことも用意をしているという意味でございました。  そして、有明海再生を願う気持ちというのは、これは有明海で暮らす人々の共通の思いというふうに考えております。この思いは、国であっても、佐賀県であっても、長崎県であっても共有できると思います。  だからといって楽観視しているわけではございませんけれども、こうしたことから、もちろん開門調査を求める話し合いを模索するものもありますし、開門を前提としない有明海再生のテーマの話し合いというのも別途また求めていくと。そうした場合については、長崎県側がテーブルに着くことはできないことはないんじゃないかということも考えて、条件をつけなくても話し合いに応じる準備はありますということを発言させていただいているということでございます。  だから、そこはもう可能性があるものを求めていっているということでございます。ちょっとわかりにくい答弁になりましたけど。 288 ◯原委員=わかりにくいですよ。やはり今おっしゃっているのは、本当は開門の話はしたいんだと。したくてしたくてしょうがないんだけれども、ひとつ一回、会話の第一回の窓口をつくるためには、そのことの条件はやめておこうというだけの話であって、本質は、佐賀県側としては開門調査がないと純粋にずうっと先の先まで再生の話というのは、事務レベルでずっとやるのは大いに結構なことだと思いますが、先ほど御案内のように一政治家の立場という意味合いからしても、トップ同士の判断、考え方が伴わないと、この問題はなかなか厳しいんじゃなかろうかというふうに思います。  先ほど言うように、相手からすると──相手というか、長崎県側から見ると、そういうふうな話では、結局は二枚舌を使っているふうにとられても仕方ないんじゃないかと思います。
     古川知事は、実は長崎県の総務部長の経験があるということで、その当時は当然、長崎ですから開門問題に反対をされていたというふうなことも聞いております。そのことは今は立場が違うので問いませんけれども、今思えば、お互いの立場がわかる人でもあるのかなというふうに感じますし、しっかりと長崎県知事と話し合いができる人ではないかというふうに思います。  国に頼るという意味合いではなくて、やはり佐賀県として長崎県に対して何らかの働きかけというのも期待したいわけです。  佐賀県から有明海再生に向けた話し合いについて、前段話に出ていましたが、例えば、文書等で正式に長崎県に対して働きかけをする必要があるというふうに思うんですが、当然知事レベルという意味合いでどうお考えかお伺いをいたします。 289 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=長崎県知事に文書を送る方法もあるのではないかという質問だと思います。  これは直接、古川知事が中村知事と話すのと同じような形だろうと思うんですけれども、古川知事と我々もそういったいろんなやり方を模索していく中で、まず、中村知事と話をするということにつきましても、例えば、会議とかそういった同席された場でいきなり言うというのも、そういったことについてはできないと。そこは事前にちゃんと話をして、少しの時間でもいいからこのことについて話し合いをしませんかというアプローチをして、了解をしていただいてそういったことが実現できるんだということをおっしゃったことはございます。  それと同じような形で、文書につきましても、送るという方法もあるかもしれませんけれども、中村知事が現在、開門の話をするということであれば一切話に応じることはできないということを表明されておりますので、そういった状態で何の前ぶれもなく文書を送るということについては我々も慎重に考えながら、本当にそれをしていいのかどうかというのは慎重に考えねばならないと思っておりまして、現状でそういったことについてやるというのは、なかなか難しいのではないかといいますか、プラスに働くのか、マイナスに働く要素がないのかと、そういったことも慎重に考えなければならないというところでございます。 290 ◯原委員=そこがきょうの宮崎委員の話の論点の部分だと思うんですね。  今、農水省がしきりに協議を持ちたいというふうなこともおっしゃっていると思うんですが、今の状況からして、なかなかそれが見通せないと。要するに、国に不信感もあるというふうなことも含めて、なかなか展開できないんじゃないかと思うわけです。それは皆さんも理解されていると思うわけです。  じゃあ、佐賀県として、もしくは佐賀県知事として長崎県側にアプローチしない限りは、国がお膳立てして全部やってくれるというふうなことを期待されていても、そんなことは難しいと思うわけですよね。やはり国任せで事が進むということは厳しいのではないかというふうに思いますが、どうなんですか。やはり佐賀から行動を起こすということは、別に手紙を出さんでもいいんですよ、何らかのアクションを起こすということは考えられないのかどうか、改めてお伺いします。 291 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=今、佐賀県側から長崎県、特に知事に対して動くべきではないかという質問だと思いますけれども、もちろん今、中村知事に話し合いを申し入れて受けていただくという状況であれば、そういうふうにしたいと思っております。  ただ、先ほど申しましたように、今はそういう状況になっていないところでございますので、まずできることは、知事も答弁の中で言いましたけれども、長崎のほうにもいろんな形の知り合いの方々がいて、これまでもいろんな話をしてきたと。一人の政治家としても知事自身が動いていきたいという答弁をされております。  こういったさまざまなチャネルの中で動いていきながら、糸口をつかみながら、そして、そういう環境をですね、会って話し合いができるという環境になった場合は、中村知事のほうに話し合いを申し入れるという形になろうかと思っております。 292 ◯原委員=今おっしゃったことは受けとめさせていただいて、そして、遠くない時期にそうした形が見えてくるのではなかろうかというふうなことを期待させていただきたいと思います。  やはり本来あるべき姿というのは、話し合いによってお互いが理解し合うことが最終的には最善の方法になるというふうに考えるところでございます。  最後に、もう一点の視点で開門調査に係る機運の問題についてですが、実は平成二十五年六月十七日に諫早市において排水門開門断固阻止住民総決起大会が開催をされて、中村知事を初め、約二千二百名もの方が参加をされたと聞き及んでおります。  このように、長崎県側はこれまで総決起大会や抗議行動など事あるごとに開催をされてきておられまして、参加者数も約二千名規模と言われ、地域のある種の熱意が伝わってくるわけであります。  また、これまで国に対しても要請書、意見書、抗議書などの数多くの手法で国に意見を申され、さらには県民の方に対しては、PR活動、諫干ニュースとか、いろんなことで熱心な行動が目立っております。  これまで本県が取り組んでいないとは言いませんけれども、佐賀県民の意識が高いとは言えないんではなかろうかということを考えます。  そこで質問でありますが、長崎県側の各種集会や抗議行動の姿勢を見て、そして今、振り返ってみて、佐賀県民の機運の盛り上げが不足してはいなかったかなとか、あるいは知事としてリーダーシップが発揮できたのかなとか、今の時点で思われないですかね。そのような県民の機運を高めるための取り組みも必要ではなかったかなと考えるわけですが、このあたりの御所見をお伺いします。 293 ◯宮崎くらし環境本部副本部長=佐賀県におきましては、人によって温度差というのもあるかもしれませんけれども、開門調査の必要性、さらに貴重な財産である有明海を再生していくことの重要性、これについては一定の意識を共有していただいているものと思っております。  先ほど委員からも御紹介がございました決起大会とか、そういったものについてどうかと。過去には佐賀県においても開いたこともございます。  ただ、今話し合いを求めている状況の中で、我々佐賀県関係者連絡会の中でも、例えば、こういった抗議集会とか県民集会をどうするのか、したほうがいいのかと相談したこともございます。  そうした中におきましては、長崎側は開門反対、反対と、それに対抗するような集会になってしまえば、開門、あけろ、あけろという形の対立構造になってしまうと。今、それをするのがプラスなのかマイナスなのかと。そこは控えたがいいんじゃないかということもございました。  それもやっぱり、我々佐賀県が考えている有明海再生というのは、開門だけではなく、その先には有明海再生というのがあって、共有の財産として佐賀県も長崎県も福岡県も熊本県もみんな一緒の財産であると。そこを一定大事にしなくてはいけないという共有の意識を持ってやっていくと、そういったことに力を入れたほうがいいんじゃないかということで、現在、直接漁業などと関係ない方々も含めて、漁業者の暮らしや有明海の環境などについて理解を高めていただくことが必要だということから、いろんな啓発活動とか、そういったことをやっております。開門調査というだけではなく、有明海再生という観点からやっています。  ただ、やはり委員から御指摘がございました県民の意識というのを我々もしっかり様子を見ながら、有明海が大事だと、大切にしていかなくてはならないと、開門調査も必要だと、そういった有明海についての意識がさらに高まるようにしていきたいと思っておりまして、そういった取り組みについても、必要に応じまして追加も検討しながら進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。 294 ◯原委員=基本的に、佐賀県がとってきた行動と長崎県がとってきた行動はかなり色合いが違うと思うんですね。長崎県側は最高裁の話が出たり、話し合いに対する開門とつけばだめだとかいうふうなこと、また、県民に対する強烈な行動アピールということではないかなと。  逆に佐賀県は、よく言えば大人の判断というか、非常に冷静で粛々と対応したいというふうなことになるんでしょうけれども、このあたりの判断というのが、なかなか実は頭の痛い分岐点のところじゃないかなというふうに思うわけです。  残念ながら、佐賀県全体が有明海再生について、有明海沿岸部の自治体以外はさほど関心を持っていらっしゃらないというのが実態ではなかろうかと。長崎県側も平戸とか佐世保の方が一生懸命この問題をということもないかもしれませんけれども、そういう意味で今後の状況によっては県あるいは沿岸の自治体、漁協、議会や市民団体など一体となった行動の必要性もあるのではなかろうかというふうなことは思います。完全に否定するわけではなくてですね。  本来でいえば、集会の考え方等もお聞きしたいんですが、先ほどの答弁からすると、まだまだそういう状況にはないということだと理解しますので、長崎は今、長崎としてちゃんと自分たちの考えを主張して行動されておられるわけです。  佐賀県も冷静で常識ある行動をとりたいというふうなことで、そのこと自体は私も支持するわけでありますけれども、適切に県民や全国の方に有明海のあるべき姿を考えていただく機会の訴えはしっかりしていくべきだということを訴えまして、私の質問を終わります。 295 ◯坂口委員長=これにて質疑を終了いたします。     ○ 継 続 審 査 296 ◯坂口委員長=お諮りいたします。  海洋環境の保全、水産資源の確保、環境対策に関する諸問題の調査に関する件につきましては、重要な問題が残されておりますので、閉会中もなお継続審査に付する必要がある旨を議長に申し出ることにいたしたいと思います。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 297 ◯坂口委員長=御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたします。  これをもちまして有明玄海・環境対策特別委員会を閉会いたします。お疲れさまでした。     午後四時二十三分 閉会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...