次に、医療連携型の発達障がい
児等療育支援事業についてお尋ねがございました。この事業は、発達障がい児を早期に発見をし、発達段階に応じた地域での生活を支援するため、医療機関の有する知見を活用し、発達障がいに関する療育指導、相談、
各種福祉サービスの提供にかかわる調整、援助、これらを行うものでございます。具体的には、訪問による療育指導、外来による療育指導、そして施設支援の指導の三つの事業を行っているところであります。その中で、
訪問療育指導でございますけれども、発達障がい児者の家庭に、定期的または随時に訪問、巡回をいたしまして、家庭の中でできる療育方法にかかわる相談、指導を行うものでございます。
外来療育指導は、施設内の設備や器具を使った
専門的療法や訓練を通じた相談、指導を行うものでございます。
施設支援指導、これは障がい
児通所支援事業所や障がい児保育を行う保育所等の職員に対しまして、発達障がい児者の療育に関する支援や指導を行うものでございます。
発達障がい
児等療育支援事業所の公募の結果についてでございます。ことしの十月、県南部、県北部二地域に分けまして県が委託する事業所の公募を行いましたところ、
事業説明会には四事業所が参加をされました。結果として、県南部について二事業所から応募があったところであります。この選定に当たりましては、県発達障がい
者支援拠点病院の医師、県発達障がい
者支援センターの
センター長などによります
評価委員会を設置いたしまして、療育支援に関する実績、従事する医師その他職員の体制、
療育支援事業の提案の内容、関係機関との連携体制などにつきまして、総合的に審査をさせていただきました。その結果、久留米市にある
聖ルチア病院を指定したところでございます。今後、県北部につきましても、
事業所指定に向けて再度公募を行う予定でございます。
5 ◯副議長(畑中 茂広君)
城戸教育長。
*
教育長答弁
6 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県の教育現場における
特別支援教育の対応と課題についてでございます。
特別支援教育は、従来の特殊教育の対象となる障がいだけでなく、知的なおくれのない発達障がいも含めて特別な支援を必要とする子供が在籍する全ての学校において実施されるものであります。このため、
県教育委員会では、
特別支援学校、
小中学校等の
特別支援学級、通級による指導、通常の学級における指導といった、連続性のある多様な学びの場の整備に努めており、今後、さらに就学前における支援の充実、教員の専門性の向上、
外部専門家との連携による
チーム学校の取り組みの強化などを進めていくことが必要であると考えております。
県教育委員会と
市町村教育委員会との連携についてでございます。
県教育委員会では、発達障がいを含む
幼児児童生徒が早期から一貫した継続性のある支援を受けることができるよう、
市町村教育委員会の要請に応じ、医療、心理、教育等の専門家を小中学校に派遣する
巡回相談事業を実施しております。また、保護者の意向を可能な限り尊重しつつ、本人の
教育的ニーズに的確に応える学びの場を提供できるように、
就学先決定に携わる市町村の担当者、教職員、指導主事や専門家に対する研修等の充実に努め、県と市町村の連携を図っております。今後とも、市町村の取り組みにできる限り差が生じないよう、その実情に応じた支援を行い、全県的な
特別支援教育の充実に努めてまいります。
7 ◯副議長(畑中 茂広君) 桐明和久君。
8 ◯四十一番(桐明 和久君)登壇 今、答弁をしていただきました。さきに知事も言われましたように、実態調査の中では、この二年間で二割の増加ということで、今回対策をとられております。ぜひ、これは要望とさせていただきたいと思いますが、やはり発達障がい児というのは十八歳未満であります。今回、幼稚園の先生が言われたように、相談したくても相談しにくいという中で言われるのは、子供を連れていくのに精神科に連れていくのか、小児科に連れていくのか、まずその窓口というふうに言われております。今回、選定されました
聖ルチア病院、その中でありますが、二校のうち一つの募集は八女の冨田医院というところでありました。ここの実例を申し上げますと、今でも約四十六名の子供さんたちが通われており、年間二千六百四十時間の相談を受けているという実績がございます。ぜひ、一度そこを視察していただきたいという要望であります。
また、もう一つは、現場の声として言わせていただきますと、家族からの意見としては、まさしく今回、問題提起されておりましたように、どこに相談したらいいかわからないという声がまだありますし、先ほど言われましたように、なかなか時間が外せないので、ぜひ家庭訪問していただきたい、まさしく今回の一つの問題提起のところであります。また、学校現場からも出ておりますが、どのように指導していったらいいかわからないので、ぜひ現場を見てほしい。そして、保護者の中で一緒にいろいろな相談に乗ってほしい、やはり、これがそれぞれの保護者の願いでございます。ぜひ、せっかくこういう設備をとられましたので、まだまだ本当に必要とされる方々がこの状況を知らない、要するにもう少し必要な方にPRをしていただきたいということを、しっかり要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
9 ◯副議長(畑中 茂広君) 野田稔子君。(拍手)
*
野田議員質問
10 ◯六番(野田 稔子君)登壇 皆様、おはようございます。国民民主党・
県政クラブ県議団の野田稔子です。発言通告に従い、本県における平成の
市町村合併の検証について、そして八女・
筑後保健医療圏における公立
八女総合病院の役割について、知事に質問します。
約三十年続いた平成の時代が来年四月をもって終わろうとしています。その平成の時代を象徴する出来事の一つに、
市町村合併がありました。そこでまず初めに、本県における平成の
市町村合併の検証についてお聞きします。一九九九年改正の旧
合併特例法に基づき、人口減少、少子、高齢化等の
社会経済情勢の変化に適切に対応し、地方分権の担い手となる
基礎自治体にふさわしい
行財政基盤の確立を目的として、国及び県主導で積極的に
市町村合併、いわゆる平成の大合併が推進されてきました。これは、自治体を合併し、行政組織のスリム化、効率化の向上などにより財政支出の縮減を図り、
行財政基盤を強化しようとしたものです。平成の大合併は、国の三位一体の改革による
地方交付税の大幅削減が続く中、
全国市町村長いわゆる首長を初め全国の
市町村議員は、
住民サービスの水準を現状維持するためにはこれ以上の
地方交付税の削減は財政がもたず、
自治体運営が不可能になるとの判断から、地方自治の存亡をかけ
自治体合併を決断し、みずから職を辞する覚悟で合併を推進されました。本県では、二〇〇三年三月末に九十七あった市町村は、二〇一〇年二月末には六十市町村へと再編され現在に至っています。
八女地域におきましては編入合併という形で推進され、まず二〇〇六年十月に旧八女市と上陽町が一緒になり、その後、二〇一〇年二月に黒木町、立花町、矢部村、星野村と合併し、一市三町二村による新八女市が誕生しました。その結果、総面積は北九州に次ぎ県内二位となっています。また、その当時六人いた首長は合併後には一人、また
市町村議員の数も合併前の二〇〇五年十二月時点では八十一人でしたが、二〇一八年四月現在で二十六人、さらには来年二〇一九年四月に行われる
統一地方選挙において、議員定数は四人減の二十二人となる予定です。職員数は、合併前の二〇〇六年四月時点で七百六十人でしたが、二〇一八年四月現在では五百六十七人となっています。合併により旧町村の顔であった役場は、合併後は支所という形で存続していますが、合併後の
マイナス面として以前から言われていた役場周辺を含む商店街等の衰退、また、現在は農協の統合化が進んでおり、
ユニバーサルサービスで郵便局だけが残っているというような状況も感じられます。また、旧町村の若い世代は、親世代を残し少しでも便利がよい八女市の中心部に移り住むという現状も見受けられます。
二〇一四年六月定例会において、我が会派の
原中誠志議員が
市町村合併の評価について質問した際の知事答弁によると、本県では、二〇一〇年に合併効果の検証を実施され、その結果、合併団体は非合併団体に比べて、一、職員数や議員数がより減少していること、二、財政規模の拡大に伴い財政運営の自由度が増していること、三、
合併特例債の活用により従来できなかった
投資的事業の実施や基金の積み立てが可能になったことなどの効果が認められたということでした。
そこでまず一点目に、現在、本県における
合併市町村の財政状況をどのように検証しているのか、また先ほど述べたように、県内では最も多い数の市町村が合併した八女市ですが、その八女市の合併による財政上の評価をどのように分析しているのか、あわせてお答えください。
二点目に、
合併市町村における合併後の
行財政運営に大きな影響をもたらす合併算定がえについてお聞きします。
合併市町村における、いわゆる合併算定がえは、原則として合併後十年間は合併がなかったものと仮定し、合併前の
市町村ごとに算定した
普通交付税の総額が交付されるため、合併後の
行財政運営に大きなメリットをもたらしてきました。が、この合併算定がえについては既に
段階的縮減の局面にあり、二〇二〇年をもって全ての
合併市町村において終了することとなり、合併効果の一部を失うことになります。私は、県が
市町村合併を積極的に推進させてきたという責任があると考えています。
そこで、この項の最後に、
合併市町村の
行財政運営や
地域活性化について、今後どのように助言していくお考えなのかお聞きします。
次の項は、昨年二〇一七年
決算特別委員会で質問しました八女・
筑後保健医療圏における公立
八女総合病院の役割についてお聞きします。知事も御存じのように、二〇一六年十月、
八女総合病院と
筑後市立病院に常勤医師を派遣している
久留米大学が、近い将来に起き得るであろう医師不足を見据え、両病院の統合を提案していたという新聞報道がなされ二年の月日がたちました。二〇一七年九月一日付の新聞によると、公立
八女総合病院を運営する自治体の一つである広川町が、同病院の慢性的な赤字運営などを理由に、民間譲渡を提案したと報道されました。また、本年二〇一八年八月二十五日付の新聞によると、筑後市は現状での統合は無理と八女市に伝えていたことが報道され、その後、同年九月二十二日付の新聞では、八女市長がこれまでどおり公立病院として存続させることを八女
市議会全員協議会で説明したと報道されました。これで、それぞれの自治体の方向性はおおむね示されたことになると考えますが、
久留米大学からの医師派遣が将来的にどのようになるかはいまだ不透明な状況です。公立
八女総合病院は、
年間外来患者数延べ十三万人、入院患者数九万人が利用する過疎地域を含む八女・
筑後保健医療圏にとって必要不可欠な病院です。そのことを踏まえ知事にお聞きします。公立
八女総合病院が今後も地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくためには、経営の健全化が不可欠と考えます。
そこで、公立
八女総合病院の決算状況の推移と経営指標から見て、県として公立
八女総合病院の経営状況をどのように評価しているのかお答えください。
また、公立
八女総合病院が八女・
筑後保健医療圏においてどのような役割を果たしていくことが期待されているのか、あわせてお答えください。
以上、知事の真摯な御答弁をどうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
11 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。
*知事答弁
12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
市町村合併の効果と課題でございます。県におきましては、非合併団体との比較という手法を用いまして、職員数、
普通建設事業費の額、地方債及び基金の残高など、これらを指標といたしまして、平成二十二年度に合併効果の確認を行い、また、昨年度からは毎年合併効果を確認しているところでございます。合併前の平成十四年度と二十九年度の指標を比較いたしますと、合併団体は非合併団体と比べまして職員数の減少率が五・六ポイント、議員数の減少率が四一・〇ポイント上回っている、
普通建設事業費の減少が九・五ポイント抑えられている、基金残高の増加率が二九・二ポイント上回っている、
標準財政規模の拡大率が二・四ポイント上回るとともに、
経常収支比率は二・六ポイント下回っておりまして、財政運営の自由度が増している、これらの合併効果が認められたところであります。また、八女市におきましては、非合併団体と比べまして職員数の減少率が一三・三ポイント、議員数の減少率が四八・六ポイント、基金残高の増加率が四六・〇ポイント、
地方債残高の減少率が二二・二ポイント上回っておりまして、これらにおいて県内十八
合併市町村の中でも顕著な効果があらわれているところであります。
今後の
合併市町村の課題といたしましては、分庁方式の見直しによります行政機能の一本化、複数の文化施設や図書館などの公共施設の再編、庁舎や施設の再編後の
空きスペースの有効活用、周辺部に当たります旧町村の地域の活性化、それらがあると認識をいたしております。
次に、合併算定がえ終了後の
合併市町村に対する助言でございます。県におきましては、合併算定がえの終了を控えまして、広域化した合併後の市町村の実態を反映した
交付税算定の方法の見直しについて、国に要望をしてまいりました。その結果、支所、旧
市町村単位の消防署、出張所や
保健センターに要する経費など、合併時点では想定をされていなかった財政需要を反映させた算定方式に見直されたところであります。これによって、国全体で当初減額となる見込みでありました約九千五百億円、この七割に相当する六千七百億円が改めて
基準財政需要に算入をされ、影響が緩和されているところであります。また、同じく国への要望の結果、
合併特例債は最長平成三十七年度まで、
合併推進債は最長三十六年度までそれぞれ起債の期限が延長されておりまして、県といたしましては、地域資源を生かした
観光物産施設、周辺部への文化施設、
地域間交流施設の整備、庁舎、公共施設の
空きスペースの
民間事業者への貸し出しなどについて事例を紹介しながら、
合併市町村が新たなまちづくりや地方創生の推進に取り組んでいただけるよう支援をしているところであります。今後とも、各団体の財政指標を注視しながら、合併算定がえ終了後も健全な財政運営が確保されるよう必要な助言を行ってまいります。
次に、公立
八女総合病院の経営の評価と期待する役割でございます。公立
八女総合病院は、入院、外来患者の減少や人件費の増嵩によりまして、平成二十六年度から二十八年度まで三年続けて約七億円の純損失を計上いたしましたが、昨年度は救急の受け入れ態勢を充実させるなどの御努力によりまして入院患者がふえ、収支が約四億円改善をし、財務状況は回復傾向にございます。公立
八女総合病院は、救急病院として入院が必要な重症患者に対する二次救急医療の機能を担うほか、地域医療支援病院としてかかりつけ医からの紹介患者に対する医療の提供、地域の医療従事者への研修等を実施していただいております。また、地域がん診療連携拠点病院といたしまして、専門的ながん医療の提供、また患者さんへの相談支援の役割も担っていただいております。安定した経営のもと、今後とも八女地域の中核的な医療機関といたしまして、地域の皆様から信頼され、良質な医療を提供していただくことを心から期待をしております。
13 ◯副議長(畑中 茂広君) 野田稔子君。
14 ◯六番(野田 稔子君)登壇 知事に御答弁いただきました。二点要望させていただきます。
まず一点目に、平成の大合併は、当時の三位一体の改革、いわゆる兵糧攻めという
地方交付税の大幅削減が続く中、首長を初め
市町村議員は
自治体運営が不可能になるとの判断から、みずから職を辞する覚悟で合併を推進されました。知事も政治家でいらっしゃいますから、みずから職を辞するという覚悟がどんなに大きい決断であるかはわかられると思います。ぜひ、当時の関係者がみずから職を辞して合併を決断してよかったと思えるように、これからもしっかりと国と連携して御支援をしていただきますように要望します。
二点目は、公立
八女総合病院に対する要望です。私が昨年二〇一七年
決算特別委員会で公立
八女総合病院に関しての質問をしたとき、三年続けて約七億円もの純損失を計上していました。しかしながら、昨年二〇一七年度の収支が約四億円改善したということは、関係者のたゆみない努力のたまものであると心から敬意を表したいと思います。県内二位の面積を有する八女市は、車により公立
八女総合病院までの移動時間が一時間以上かかる方も多く、一日がかりの受診となっています。公立
八女総合病院は、八女市を含む八女・
筑後保健医療圏にとって必要不可欠な病院です。この中核的な医療機関がなくなることは決してあってはなりません。今回の
久留米大学からの医師派遣が将来的にどうなるかは、いまだ不透明な状況ですが、八女市から県に何か今後相談があった際には、県が公立
八女総合病院に期待する八女・
筑後保健医療圏においての役割が果たせるように御支援いただきますように強く要望し、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
15 ◯副議長(畑中 茂広君) 壹岐和郎君。(拍手)
*壹岐議員質問
16 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、知的障がいのある子供の学びについて質問します。
十一月十四日、福岡県立
特別支援学校北九州高等学園で開催された合同技能発表会に参加してまいりました。合同技能発表会は、生徒たちの就職への意欲や技能をさらに高めるとともに、企業の皆さんに障がいのある方の能力や可能性を知っていただき、雇用拡大に向けた地域のネットワークを広げることを目的として開催されるもので、
特別支援学校の生徒たちが学習し、習得した技能を企業の担当者の前で発表します。ここでは、会場となった北九州学園と直方並びに築城
特別支援学校の三校合同で開催され、基本の手順どおりにきびきびと実施される清掃業務や木工、窯業などの作業の様子、制作した作品などを、参加した企業の皆さんと拝見させていただきました。生徒への作業の手順や用途、作業時間などの問いかけに対しても丁寧な受け答えがありました。率直に申し上げて、私が一番初めに感じたのは、本当にこの生徒たちは知的障がいがあるのか、という思いでした。その思いを先生に問いかけたところ、現場でもそのように感じることもあるようです。
また後日、二人の
特別支援学校に勤務されている教員の方と、以前
特別支援学校に勤務した経験のある一人の先生と懇談する機会がありました。現場で御苦労されている中で、気になる点などさまざまな御意見を伺いました。私が合同発表会で感じた疑問と重なるものもあり、そういった点も踏まえ、知的障がいのある子供の学びに関して、何点か教育長に質問します。
一点目に、
特別支援学校枠での教員採用に限ったことではありませんが、今後人材確保が重要な課題となってまいります。
特別支援学校枠の年間採用枠と応募状況についてお尋ねします。あわせて、応募状況に対する評価をお尋ねします。
二点目に、懇談した先生から指摘があった点ですが、例えば、子供の状況に合わせたケアをしながら通常の小中学校に通ったほうが子供の成長につながるのではないかと思える児童生徒も、時折在籍するそうです。そういった場面でも、
特別支援学校から通常校へ移るのは難しいというお話がありました。子供は日々成長していきます。知的障がいのある
特別支援学校児童生徒の通常校への転学実態はどうなっているのかお尋ねします。
また、転学実態についての教育長の見解をお尋ねします。本人、保護者、支援学校、受け入れ校のより緊密な連携が必要と考えますがいかがでしょうか。
三点目に、関連した質問となりますが、
特別支援学校においてもさまざまな理由から不登校になっている児童生徒がおります。例えば、授業のレベルが子供の考え以上に簡単で学校がつまらないという理由で不登校になっていくケースもあるようです。もちろん、入学する際には判定を行い、保護者、本人、学校と話し合いながら丁寧に対応していることとは思います。特に、軽度の知的障がいや発達障がいのある児童生徒は現場でも悩まれているものと推察します。知的障がいのある
特別支援学校児童生徒の不登校児童生徒の人数、理由、対応状況についてお尋ねします。
四点目に、県立高校と
特別支援学校との人事交流についてお尋ねします。県立高校から異動で支援学校へ赴任された先生のお話では、研修などで
特別支援教育のことは理解していたつもりでも現場では戸惑うことも多く、実際に飛び込んでみなければわからないことばかりだったようです。当然のことと思います。しかし今は、
特別支援学校での経験が、再び高校へ戻っても必ず役に立つとの確信があるそうです。それは例えば、そのときは気づかなかったけれど、そういえば過去に教えたあの生徒には発達障がいがあったのではないか、今であればもっと障がいに合わせた適切な対応ができるのではないかと考えるとのことです。公立高校は、通級指導教室を中心として
特別支援教育がスタートしました。この先生も、通級指導教室の取り組みが始まり、また二校から四校へ拡大したことについて大変喜んでおられました。通級指導の教員を育成することはもとより、公立高校における
特別支援教育のレベルアップを図り、全ての生徒に適切な指導ができる体制を整える上からも、計画的な人事異動が重要と考えます。現状と今後の方針についてお尋ねします。
五点目に、近年各学校において電子黒板の導入が進んでいます。子供が学びやすい環境を整える上から、特に障がいのある児童生徒には必要と考えます。本県の
特別支援学校における電子黒板の整備状況と今後の方針についてお尋ねします。
六点目に、県立高校通級教室の運用状況についてお尋ねします。現在四校で通級指導教室が実施されています。当初二校であったものを本年度から四校に倍増し、より広く支援が必要な生徒に指導の手が差し伸べられていることについては、大変すばらしいことだと考えます。現在何人の生徒が通学しているのか、担当教員の選任には
特別支援学校での勤務経験が生かされるなどの配慮がなされているのか、効果や人材育成、増設を含めた今後の取り組み方針についてお伺いします。
最後に、
特別支援学校高等部卒業者の学びの場についてお尋ねします。
特別支援学校高等部の卒業者の進学先としては、
特別支援学校に設置された専攻科という選択があります。しかしながら、全国専攻科研究会によれば、知的障がいが対象の専攻科があるのは全国で九校のみのようです。本県には知的障がい対象の専攻科を持つ
特別支援学校はありません。このような背景の中、十年ほど前から、民間団体により高等部を卒業した知的障がいのある若者の学びの場が各地にでき始めました。本県でも社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会から分社した株式会社ゆたかカレッジが全国で五カ所にカレッジを開設し、百四人が学んでいます。障害者総合自立支援法の自立訓練事業二年間と就労移行支援事業二年間を組み合わせ、四年間の独自のカリキュラムを組んでいます。
国もことし二月、学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を設置し、学校を卒業した後の障がい者の学びについて検討を開始しました。障がい児・者の学びを保障する会、大森梓代表理事は、ゆっくり発達するからこそ、より長い学びの場が必要、自分の人生をどう生きるかを決定するのは障がいの有無にかかわらずその人自身、その力を育むためにも生涯を通じた学びの場が全ての人に開かれてほしいと訴えております。リカレント教育の重要性が叫ばれ環境整備が進む中、
特別支援学校高等部を卒業した後の選択肢は就労だけでよいのか、子供の学ぶ意欲や保護者の願いを受けとめる必要があるのではないか、そのような取り組みにより就労の選択肢も広がります。知的障がい者対象の専攻科の新設を含め、学びの選択肢拡大について検討すべき時に来ていると考えますが、教育長の見解をお尋ねします。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
17 ◯副議長(畑中 茂広君)
城戸教育長。
*
教育長答弁
18 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇
特別支援学校教員の採用枠と応募状況及びその評価についてでございます。
特別支援教育に関する高い専門性と能力を有する人材を確保するため、
特別支援学校教諭の免許状を有する者を対象として平成二十三年度から別枠での採用試験を実施しております。本年度実施した採用試験においては、平成二十三年度の約四倍の百十人を募集し、百九十人の志願がありました。昨年に比べ採用者数をふやしたことなどによりまして、競争倍率が一・三ポイント減少しておりまして、今後受験者層の拡大と採用者の質の確保が課題と考えております。
知的障がい
特別支援学校から小中学校への転学についてでございます。平成二十九年度の県立
特別支援学校知的障がい教育部門からの転学は、小学校が四件、中学校が一件であり、知的障がいの程度が比較的軽い場合に小中学校での教科指導を希望するケースが多いと考えられます。転学に際しましては、
特別支援学校、
市町村教育委員会、転学先小中学校の間で協議がなされ、障がいの状態、必要な支援内容、転学先の体制整備の状況、保護者の意向等を踏まえまして、その適否が判断されております。
特別支援教育の理念に鑑みますと、今後、障がいの状態の変化に応じた学びの場の変更について弾力的に対応していくことが必要になってくるものと考えております。
県教育委員会におきましては、このような学びの場の見直しの必要性や手続について、
特別支援学校の教職員や市町村の担当者に対する研修などを通して、関係者の連携を図ってまいります。
知的障がい
特別支援学校児童生徒の不登校の人数、理由、対応状況についてでございます。平成二十九年度の県立
特別支援学校知的障がい教育部門における不登校児童生徒数は三十六名で、その割合は約一・七%であり、不登校の理由としては、転入学時の不適応や友人関係の問題が多くを占めております。不登校児童生徒に対しては、定期的に家庭訪問を行い、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携するなど、児童生徒一人一人の状態に応じた継続的な支援を行っております。
県立高校と
特別支援学校との人事交流についてでございます。今年度、高校と
特別支援学校との間において、四十四人の人事交流を行っております。
県教育委員会といたしましては、
特別支援学校を経験した教員がその専門性を還元することにより、高校における
特別支援教育の推進が期待されるため、今後とも積極的な人事交流に努めてまいります。
電子黒板の整備状況と今後の方針についてでございます。電子黒板は、県立
特別支援学校を含む全ての県立学校に一昨年度から毎年度一台、本年度までに各三台整備をいたしました。電子黒板等のICT機器は、児童生徒の障がいの状態や発達の段階に応じて活用することにより、学習上の困難を改善、克服させ、指導の効果を高めることに有効であります。このような観点から、今後も県立
特別支援学校におけるICT機器の整備に努めてまいります。
県立高校通級教室の運用状況についてでございます。現在、教室に通う生徒数は二十四人で、担当教員は
特別支援学校での勤務経験や通級指導の経験の有無及び人材育成という観点から選任をいたしております。通級指導により、コミュニケーション能力等将来の自立と社会参加に必要なスキルを習得するなどの教育効果が期待されます。
県教育委員会といたしましては、本年度の実施状況と教育効果の検証を踏まえまして、担当教員の研修の充実や指導体制の改善を図るなどにより、効果的な通級指導の実施に努めてまいります。
知的障がい者を対象とする
特別支援学校の専攻科の新設を含めた学びの選択肢の拡大についてでございます。本県においては、高等部本科の卒業生などに対して資格取得等に必要な指導を行う場として、視覚及び聴覚の
特別支援学校に専攻科を設置していますが、このようなニーズの少なかった知的障がい教育部門については設置しておらず、他県の公立
特別支援学校においても例がない状況でございます。一方、国における学校卒業後における障害者の学びの推進方策についての論点整理では、障がいのある生徒が学校を卒業した後に希望を持って活躍できる社会を形成すべきとの認識が示されており、このことは大変重要であると考えております。
県教育委員会といたしましては、今後、国の検討状況に留意しながら、当面、
特別支援学校の在学中に生徒が自立し、社会参加できる知識、技能を確実に身につけられるよう高等部本科の指導の充実にしっかり取り組んでまいります。
19 ◯副議長(畑中 茂広君) 堀大助君。(拍手)
*堀議員質問
20 ◯二十六番(堀 大助君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会の堀大助です。もうすぐお昼の時間です。福岡のおいしい食に思いをはせながら質問に臨みたいと思います。知事におかれましては、実りある答弁をいただきますようお願い申し上げます。
今回は、交通環境の整備、特に渋滞対策について伺います。国土交通省の資料によれば、国内での年間渋滞損失時間は、平成二十四年度プローブデータをもとにすれば約五十億人時間、一人当たり年間四十時間を渋滞により失っているということで、これは約二百八十万人分の労働力に匹敵するそうです。また、乗車時間のうち約四割が渋滞損失時間に当たり、これは欧米の主要都市における渋滞損失の約二倍になるそうです。これを貨幣価値に換算するのは簡単ではありませんが、国交省が以前示した試算によると、平成十四年の年間渋滞損失時間が約三十八・一億人時間で、年間十二兆円の経済損失だということです。また、この平成十四年試算では、本県の年間渋滞損失時間は約一・三億人時間、全国ワースト九位であり、貨幣価値換算では約四千億円の経済損失となります。渋滞は、精神衛生上よくないのはもちろん、今述べた経済的損失を含む広い分野での問題を引き起こします。いらいらによる冷静さの欠如や、迂回による生活道路への進入が原因で引き起こされる交通事故の増加、また速度低下による燃費悪化でのCO2排出増加などの環境問題など、住民にとって自動車はなくてはならない日常の足ですが、渋滞は誰も望んでいません。渋滞の解消は、県民幸福度日本一を掲げる小川県政としても、しっかり取り組むべき課題です。
そこでまず伺います。渋滞緩和のためには、交通容量の拡大や交通需要の調整などさまざまな方法が挙げられますが、本県では渋滞緩和のためどのような体系的施策を実施しているのでしょうか。
次に、数ある渋滞の中で、主要原因の一つでもある右折渋滞緩和について取り上げます。私の地元もそうですが、片側一車線の幹線道路などでは、交差点で右折する車や、対面にあるスーパーに立ち寄る車などにより、頻繁に渋滞が発生します。特に、買い物時間帯のスーパー付近では、右折して駐車場に進入しようとする車が相次ぎ、気がつくと後ろは大渋滞なんていうこともよくあります。また、右折信号や右折レーンのない交差点では、朝夕のラッシュ時などは何度か信号待ちをしなければならないこともあります。右折の車が多いときなどは、直進用の車線にまであふれ、直進車も前に進めません。
そこで、右折渋滞緩和についてどのように考えておられるのか伺います。まず、交差点外の場合です。国によっては渋滞を避けるために右折帯のようなものが設置されている道路もあります。例えば、以前訪れたグアムの道路では、これは日本とは左右逆なので、左折が日本でいう右折に当たりますが、中央分離帯のかわりに両車線の車が左折待ちをするスペース、いわゆるイエローレーンがありました。県では、このようなスペースの設置はあり得るのでしょうか。
次に、交差点の場合は、右折レーンの設置が何よりの対策ですが、整備についてはどのように進めておられるのでしょうか。
あわせて伺います。渋滞対策としての交差点改良に関しては、地元の意向などを踏まえ優先順位をつけていると思いますが、商業施設の新設などで交通環境が変化した場合、その変化をどのように反映させ、整備を行っているのでしょうか。
次に、都市部での渋滞緩和につながるバス停の適正配置について伺います。本県、特に福岡市などの都市部においては、バスが重要な市民の足です。特に本県はバス保有台数日本一を誇る西鉄グループが所在し、路線バス網も大変便利です。その一方で、町なかには時間帯によっては多くのバスが並び、道路も大変混雑します。このバスの流れを最適化することは、渋滞対策にとっても重要です。
先日、福岡市内の交差点で目にした光景です。交差点の手前にあるバス停にバスが停車していました。その後バスは発車し、片側三車線の一番左の車線から、一気に一番右の右折車線へと進もうとしました。これは交差点を右折する運行ルートだったからです。しかし、交通量が多く、なかなか右折車線へ入れません。当然バス後方の車線は渋滞します。真ん中の車線の車はスピードを出してどんどん通過します。私は、これを見て危ないなと思ったのと同時に、なぜ交差点を右折した先にバス停を設けないのだろうと疑問に思いました。何らかの理由があるのかもしれませんが、交差点手前の左車線にバス停を配置するより、交差点右折後のほうがバスの運転手にとっても運転しやすいし、道路交通上も安全であり、渋滞回避にもなると思ったのです。これは一例ですが、交差点手前にバス停があって、その後、交差点を右折するパターンは結構あると思いますし、ほかにも配置に改善の余地がありそうなバス停はあるかもしれません。配置を見直すことで渋滞緩和につながり、交通の安全に資するとすれば、県民の命を預かる知事として、ぜひ運行事業者に御提案いただきたいと思います。
そこで伺います。渋滞緩和のためのバス停の適正配置について、県の立場でも取り組んでいただきたいと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。
あわせて、渋滞緩和のため、バスの運行の流れを最適化するアイデアについても調査研究を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、踏切道での渋滞対策についても、あわせて伺います。国交省によれば、抜本的対策、即効性のある対策が二つの大きな柱としてあり、抜本的対策としては、本県も取り組み中の西鉄天神大牟田線連続立体交差事業などが挙げられます。これについては、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
今回ここでは、踏切道の改良について簡潔に触れます。昭和三十六年、踏切道の改良を促進することにより、交通事故の防止及び交通の円滑化が図られるよう踏切道改良促進法が制定されました。この法律では、鉄道事業者と道路管理者が改良の方法について合意した踏切を、改良すべき踏切道として国土交通大臣が指定していました。平成二十八年、この法律が改正され、危険な踏切道や渋滞の原因となる踏切道については合意がなくても指定が行え、指定された踏切道については道路管理者、鉄道事業者、地域の関係者が連携して対策方法を検討できるようになりました。今後は、地域の意見にも十分耳を傾け、踏切道での渋滞対策に取り組んでもらいたいと思います。
そこで伺います。法改正後、県内で指定された改良すべき踏切道は十八カ所で、そのうち三カ所が県管理道路と伺っています。この三カ所について、対応や進捗状況についてお聞かせください。
以上述べてきましたが、最後に、快適な交通環境整備のため重要な点について意見を申し上げます。インフラ等の整備はもちろん重要ですが、交通環境はドライバーの心遣い次第でも大幅に改善します。譲り合いの機運や精神が醸成されれば、交通環境は大きく向上すると思います。先ほど述べたように、渋滞による経済損失は約十兆円規模とも言われております。また、渋滞は迂回による生活道路での交通事故の原因にもなります。知事が本部長を務める交通事故をなくす福岡県県民運動本部では、横断歩道マナーアップ運動、交差点の交通事故防止など交通ルール、マナーの向上に取り組んでおられますが、渋滞もマナーの向上で改善できる部分があり、交通事故減少にも寄与します。県民運動本部などの場で、この問題についても取り上げ、これを県民に広く知らしめ、県民一丸となって渋滞を減らして、快適な運転環境を築き上げる機運を醸成してほしいと思いますが、この点は知事の力強いリーダーシップに期待し、要望申し上げて質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
21 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。
*知事答弁
22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
渋滞緩和のための体系的な施策でございます。本県におきましては、福岡県総合計画の交通部門の部門計画といたしまして、福岡県交通ビジョン二〇一七、これを昨年の三月策定をいたしまして、行政機関、県民、交通事業者など関係者が協働いたしまして、交通に関する諸施策を推進していくこととしております。この交通ビジョンにおきましては、渋滞対策といたしまして、交通の円滑化を図るため、鉄道と交差する道路の立体化、都市部の交差点の立体化、またバイパスの整備や道路の拡幅、踏切の改良や交通状況に応じた適切な信号制御、これらを行うことといたしております。また、マイカーの利用を抑制するため、バスや鉄道相互の乗り継ぎの利便性の向上、パーク・アンド・ライドによります公共交通の利用の促進、自転車利用環境の整備などの施策を掲げておりまして、関係部局がそれぞれ、またこれら連携をいたしまして、推進をしているところでございます。
右折レーンの設置についてお尋ねがございました。県におきましては、道路の構造の技術的基準であります道路構造令及び福岡県道路構造の基準に関する条例、その二つの法令に基づきまして、道路の構造を決定し、整備を進めているところであります。交差点における右折レーンにつきましては、国道は道路構造令第二十七条第二項、県道は福岡県道路構造の基準に関する条例第三十条第二項、これらの規定に基づきまして、安全かつ円滑な交通の確保というものを考慮しながら、その設置を進めております。
なお、イエローレーンにつきましては、双方向から来る車両が道路の中央部分で共用することになりますことから、交通安全上支障があるため、設置をいたしておりません。
次に、渋滞対策としての交差点の改良でございます。交差点の改良は、事故や渋滞の状況、地元自治体からの要望を踏まえまして、計画的に実施をしております。なお、商業施設の新設などによりまして、周辺地域の交通状況が変化をした場合には、その状況を調査し、地域住民や道路利用者からの要望も踏まえながら、交通管理者等の関係機関と協議の上、必要に応じて右折レーンの増設、また延伸などによります交差点の改良を行ってきております。
次に、バス停の適正配置についてでございます。バス事業者がバス停を設置するためには、道路交通法及び道路法に基づきまして、交通の安全や円滑化の観点から、交通管理者及び道路管理者の許可が必要となります。このため、現在置かれておりますバス停につきましては、それぞれの管理者によります安全確認等が行われた上で設置されている、そういうふうに認識をいたしております。しかしながら、その後の交通事情の変化などによりまして、バス停の位置が原因で渋滞、またそういった支障が生じている場合には、県、市、町村会などで構成をいたしております福岡県地域交通体系整備促進協議会、この場を通じまして、その状況を把握するとともに、必要に応じて改善についてバス事業者に対し働きかけを行ってまいります。
次に、踏切道の改良についてでございます。県が管理をしております道路で改良すべき踏切道は、御指摘のとおり三カ所ございますが、改良済みが一カ所、事業を進めているものが一カ所となっております。残りの一カ所につきましては、これから県、国、鉄道事業者及び関係市町村等から成ります協議会を立ち上げまして、その地域の実情に応じた対策というものの検討を進めてまいります。
23 ◯副議長(畑中 茂広君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。
午 後 零 時 七 分 休 憩
午 後 一 時 二十一分 再 開
24 ◯議長(井上 順吾君) 再開いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。山口律子君。(拍手)
*山口議員質問
25 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 日本共産党の山口律子です。
まず、消費税増税について質問します。安倍首相が消費税を来年十月に一〇%へ上げると表明しましたが、市民の間では不安が広がっています。消費税が二〇一四年、八%に増税された結果、四年半で実質賃金は十九万円も低下し、年間の家計消費は一世帯当たり約二十五万円も減少しました。内閣官房参与の藤井聡氏も、「「一〇%消費税」が日本経済を破壊する」という著書で、実質賃金が低いデフレ不況下での増税は、内需が縮小し、税収が悪化して、かえって財政再建できない、国民の貧困化がさらに加速し、日本は衰退途上国となると指摘しています。経済の六割を占めているのが家計消費です。消費税一〇%が実施されたときの日本経済への影響について、知事のお考えを伺います。
安倍首相は、万全の対策のため、二兆円もの対策費をつぎ込むとしていますが、キャッシュレスの場合のポイント還元や商品券では不平等な上、一時的で効果も期待できません。軽減税率という名の複数税率は、売る側も、買う側も、複雑な税率に悩まされる制度です。こんなやり方で増税分を戻すぐらいなら、最初から増税をやめるべきです。安倍首相は、社会保障のためと言いますが、安倍内閣の六年間で社会保障費は三・九兆円も削減されました。三十年間の消費税収が累計三百七十二兆円に達する一方、大企業の法人三税の減収額が累計二百九十一兆円ですから、結局大企業減税の穴埋めに使われました。財源確保で言えば、所得税の最高税率を上げ、大企業に応分の負担を求めるべきです。実質法人税率を中小企業並みにするだけでも四兆円の財源が生まれます。増税するなら富裕層と大企業です。逆進性の強い消費税の一〇%増税中止を求めるべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。
また、インボイス制度を計画していますが、導入されると、免税事業者が取引先から排除されないために課税業者とならざるを得ません。消費税増税に賛成している日本商工会議所も、インボイス導入反対を表明しています。インボイスで影響の出る事業者は五百万と言われ、存亡の危機に立たされます。福岡県における免税事業者数は、福岡国税局の統計から、個人、法人合計で十七万もあり、これらの事業者が廃業に追い込まれる危険性があります。事業者を守るために、インボイス制度導入中止を求めるべきだと思いますが、知事のお考えを伺います。
次に、九州電力の出力抑制について質問します。九電は十月、離島を除けば、全国でも初めて太陽光発電の事業者に発電停止を指示する出力抑制を行い、それは土、日曜日、毎週のようにこれまで八日間も実施されました。出力抑制された太陽光発電は、九州全体の二百四十万世帯分と言われます。燃料費もCO2もゼロ、核のごみも出さない自然エネルギーをそれだけ捨ててしまいました。一方で、九電は川内、玄海の四基の原発を再稼働し、フル出力で動かし続けました。電力は安定的な供給が必要ですから、需給バランスをとるのは当然です。問題は、なぜ再生可能エネルギーが抑制されるかということです。国も九電も制御の順番を定めた優先ルールがあるといいます。制御の順序は、まず火力発電の抑制、あるいは揚水発電の運転、そして他地域への送電、次にバイオマス、そして太陽光、風力の出力抑制となっています。原子力については、短時間での制御が困難だからと、抑制の最後にしています。つまり、再生エネルギーより原発という姿勢です。知事は、この九電の出力制御の措置についてどのようにお考えですか、お尋ねします。
三・一一の大震災と福島第一原発事故が起きて、国民世論は原発による発電をやめて、再生可能エネルギーに切りかえるべきだと大きく広がりました。再生可能エネルギーの活用を本格化させるために、電力の固定買い取り制度が二〇一二年に施行されました。これによって、日照時間の長い九州では、太陽光発電が爆発的に拡大しています。ところが、これに挑戦するように、九電は二〇一四年、太陽光を初め再エネ発電の接続を留保したのです。原発の再稼働のめどさえ立たない時期でしたが、あくまで原発再稼働ありきのあらわれです。それに応えるように、政府は二〇一五年、原発優先の再エネ接続可能量を九電が決定するという指定電気事業者制度を省令でつくってしまいました。九電が、一方的に再生可能エネルギーをとめる出力制御を無制限、無補償で行えることになりました。これによって供給量は、三・一一前の三十年間の原発平均稼働率を原発枠として確保し、その残り分しか再エネ接続しないのです。固定価格買い取りと言いながら、契約前の太陽光発電への接続義務を外すことは脱法行為ではありませんか。原発をとめて、再生可能エネルギーに転換すべきです。そのための接続義務をもとに戻すよう国に求めるべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
五月三日正午の九州電力エリアの電力需給を見ると、約八百万キロワットの需要を、太陽光で八一%、再生可能エネルギー全体で九六%も賄えていました。原発がなくても電気は足りているという時代が来ています。ヨーロッパでは再生可能エネルギーによる供給電力こそ優先して、原発を含めたほかの電源を出力抑制するようになっています。ところが、日本政府は電力会社と一体に原発ありきのエネルギー政策を強化して、再生可能エネルギーを抑制しています。県民が求めるのは安心、安全で、安価なエネルギー社会ではないでしょうか。再生可能エネルギーを抑制するのではなく、原発をとめることこそ重要と思いますが、知事の御所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
26 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。