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  1. 福岡県議会 2018-12-10
    平成30年12月定例会(第10日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(畑中 茂広君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。桐明和久君。(拍手) *桐明議員質問 2 ◯四十一番(桐明 和久君)登壇 おはようございます。自民党県議団の桐明和久でございます。通告に従い、療育支援について質問を行います。  療育とは、障がいを持った子供が社会的に自立できるよう取り組む治療と教育、保育のことであります。言葉や身体機能など、発達におくれの見られる子供について生活への不自由をなくすよう専門的な教育支援、できないことに対してできるように、子供が生活しやすくなるよう外部からサポートすることが療育であります。療育は、早期療育が効果的であると言われており、早い段階からきちんとした治療と教育を行えば適応障がいの影響が少ない状態で成長することが可能と言われております。そのためには早期発見が重要であり、早い段階から子供の発達段階に合わせて行うことが大切でありますが、発達障がいは生まれつきの脳機能の障がいが原因とされ、外見では判断が難しいとされております。二〇一四年の文部科学省の調査によると、公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の六・五%、つまり、四十人一クラスの中に二人から三人に発達障がいの可能性があるとされております。また、厚労省によると、病院に通院している発達障がい児は二〇一一年度の約十一万二千人に対し、二〇一四年度は約十九万五千人に増加している状況にあると報告されております。  私は、平成二十八年度の二月議会一般質問で、未就学児に対する早期の療育支援について質問をしました。そのきっかけは、地元の医療法人障がい施設の先生から、ぜひ現場の声を小川知事に伝えてほしいとのことであり、その内容は、幼稚園や保育園の先生が、子供の様子がほかの子供と違うと気づいてもなかなか保護者の方に言いづらいこと、また、診察する医師も幼児に対してなるべく障がいがあるとして認定したくないこと、そして何より、保護者の方が自分の子供に対して認めたくないことなど、三者がお互いに悩んでいるという状況にあると訴えられました。そして今回は、地元の懇談会の中で幼稚園に勤めておられる先生からの質問があり、現場で子供たちと接していると、この子供はほかの子供とちょっと違うなと気づくのですが、なかなかそのことを保護者の方に話がしにくく大変悩んでいたところ、研修会の中で佐賀県での取り組みを聞き、ぜひ、福岡県でも身近に相談できるような取り組みをしていただけませんかとのことでしたので、再度、福岡県の取り組みについて質問をさせていただきます。  まず、前回の質問時に、県の療育支援事業においては、療育支援のニーズの高まりに必ずしも対応できていない状況にあり、来年度、未就学の発達障がい児にかかわる療育支援の状況等について実態調査を行うこととしておりますとの答弁を知事はされておりますが、その実態調査はどのような結果であったのか、まずお聞きいたします。  また、その実態調査の結果を踏まえ、発達障がい児への早期療育支援に向けての体制整備はどう検討されたのかお聞きします。  次に、福祉労働部の本年度の新規事業に、発達障がい児等療育支援事業がありますが、この事業の目的についてお聞きいたします。  また、この事業は、企画提案事業の公募により実施されておりますが、その結果についてお聞きいたします。  一方、文部科学省においても、障がい児教育体制について、旧来の特殊教育から特別支援教育へと理念を大きく転換しております。今後は、児童生徒一人一人の教育目的、ニーズに対応した一層の質の高い教育の実現を目指して、教員みずから指導面での専門的な知識や技能の向上に向けて努力することはもちろん、児童生徒の理解者という認識のもとで保護者の相談にも親身に対応していく努力が求められています。  そこで、教育長にお尋ねしますが、増加する要支援に対し、県教委としての現場での対応と課題についてお聞きいたします。  また、保護者の方からは、県内市町村で対応に大きな差があると言われてもおります。特に、障がいのある児童の就学先を決定する際は、保護者の意見も聞くことが法令上義務づけられており、県教育委員会からの指導と市町村教育委員会との連携が大変重要であると考えますが、教育長の考えをお聞きし、質問を終わらせていただきます。  どうぞ、よろしくお願いいたします。(拍手) 3 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  未就学の発達障がい児に対する療育支援の実態調査でございます。発達障がいに対する社会の認識が高まり、それに対する支援が強く求められるようになってきておりまして、御答弁いたしましたように、県では、一昨年度、県が委託をしております十三の療育支援事業所がどのくらい発達障がいに対応できているか、それを把握する調査を行わせていただきました。この調査の結果でございますけれども、療育支援の利用者数は平成二十五年度の一千二百五十二人に対し、同二十七年度は一千四百四十一人で、二年間で二割増加をいたしております。療育支援全体に占める発達障がいの割合でございますけれども四割でございました。そのうち未就学児がその約二分の一と非常に多いことがわかりました。療育に従事する職員の体制でございますけれども、発達障がいにかかわる知識を有しておられます臨床心理士が従事をしている事業所が六カ所にとどまっている状況でございました。  この調査結果を踏まえまして、県におきましては、医学的側面から支援を強化をするため、昨年の六月、九州大学病院子どものこころの診療部を福岡県発達障がい者支援拠点病院に指定をいたしまして、発達障がいの診療にかかわる県内医師の育成及びネットワークの構築を進めるとともに、県内の発達障がい者支援センターのスタッフや保育士、幼稚園教諭等の資質の向上に向けた研修というものを実施しております。  また、発達障がい児者や家族に対する相談、助言、発達支援、就労支援及び情報提供を行います県の発達障がい者支援センターにつきまして、それまでの筑豊、筑後の二カ所体制、これに加えまして昨年九月、北九州地域、ことしの一月に福岡地域、計二カ所を追加をいたしまして、県内四カ所体制に充実をさせたところであります。さらに、今年度新たに、医師の指導のもとで看護師、精神保健福祉士作業療法士の専門能力を生かして支援を行います医療連携型の療育支援事業所を開設することといたしました。
     次に、医療連携型の発達障がい児等療育支援事業についてお尋ねがございました。この事業は、発達障がい児を早期に発見をし、発達段階に応じた地域での生活を支援するため、医療機関の有する知見を活用し、発達障がいに関する療育指導、相談、各種福祉サービスの提供にかかわる調整、援助、これらを行うものでございます。具体的には、訪問による療育指導、外来による療育指導、そして施設支援の指導の三つの事業を行っているところであります。その中で、訪問療育指導でございますけれども、発達障がい児者の家庭に、定期的または随時に訪問、巡回をいたしまして、家庭の中でできる療育方法にかかわる相談、指導を行うものでございます。外来療育指導は、施設内の設備や器具を使った専門的療法や訓練を通じた相談、指導を行うものでございます。施設支援指導、これは障がい児通所支援事業所や障がい児保育を行う保育所等の職員に対しまして、発達障がい児者の療育に関する支援や指導を行うものでございます。  発達障がい児等療育支援事業所の公募の結果についてでございます。ことしの十月、県南部、県北部二地域に分けまして県が委託する事業所の公募を行いましたところ、事業説明会には四事業所が参加をされました。結果として、県南部について二事業所から応募があったところであります。この選定に当たりましては、県発達障がい者支援拠点病院の医師、県発達障がい者支援センターセンター長などによります評価委員会を設置いたしまして、療育支援に関する実績、従事する医師その他職員の体制、療育支援事業の提案の内容、関係機関との連携体制などにつきまして、総合的に審査をさせていただきました。その結果、久留米市にある聖ルチア病院を指定したところでございます。今後、県北部につきましても、事業所指定に向けて再度公募を行う予定でございます。 5 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 県の教育現場における特別支援教育の対応と課題についてでございます。特別支援教育は、従来の特殊教育の対象となる障がいだけでなく、知的なおくれのない発達障がいも含めて特別な支援を必要とする子供が在籍する全ての学校において実施されるものであります。このため、県教育委員会では、特別支援学校小中学校等特別支援学級、通級による指導、通常の学級における指導といった、連続性のある多様な学びの場の整備に努めており、今後、さらに就学前における支援の充実、教員の専門性の向上、外部専門家との連携によるチーム学校の取り組みの強化などを進めていくことが必要であると考えております。  県教育委員会市町村教育委員会との連携についてでございます。県教育委員会では、発達障がいを含む幼児児童生徒が早期から一貫した継続性のある支援を受けることができるよう、市町村教育委員会の要請に応じ、医療、心理、教育等の専門家を小中学校に派遣する巡回相談事業を実施しております。また、保護者の意向を可能な限り尊重しつつ、本人の教育的ニーズに的確に応える学びの場を提供できるように、就学先決定に携わる市町村の担当者、教職員、指導主事や専門家に対する研修等の充実に努め、県と市町村の連携を図っております。今後とも、市町村の取り組みにできる限り差が生じないよう、その実情に応じた支援を行い、全県的な特別支援教育の充実に努めてまいります。 7 ◯副議長(畑中 茂広君) 桐明和久君。 8 ◯四十一番(桐明 和久君)登壇 今、答弁をしていただきました。さきに知事も言われましたように、実態調査の中では、この二年間で二割の増加ということで、今回対策をとられております。ぜひ、これは要望とさせていただきたいと思いますが、やはり発達障がい児というのは十八歳未満であります。今回、幼稚園の先生が言われたように、相談したくても相談しにくいという中で言われるのは、子供を連れていくのに精神科に連れていくのか、小児科に連れていくのか、まずその窓口というふうに言われております。今回、選定されました聖ルチア病院、その中でありますが、二校のうち一つの募集は八女の冨田医院というところでありました。ここの実例を申し上げますと、今でも約四十六名の子供さんたちが通われており、年間二千六百四十時間の相談を受けているという実績がございます。ぜひ、一度そこを視察していただきたいという要望であります。  また、もう一つは、現場の声として言わせていただきますと、家族からの意見としては、まさしく今回、問題提起されておりましたように、どこに相談したらいいかわからないという声がまだありますし、先ほど言われましたように、なかなか時間が外せないので、ぜひ家庭訪問していただきたい、まさしく今回の一つの問題提起のところであります。また、学校現場からも出ておりますが、どのように指導していったらいいかわからないので、ぜひ現場を見てほしい。そして、保護者の中で一緒にいろいろな相談に乗ってほしい、やはり、これがそれぞれの保護者の願いでございます。ぜひ、せっかくこういう設備をとられましたので、まだまだ本当に必要とされる方々がこの状況を知らない、要するにもう少し必要な方にPRをしていただきたいということを、しっかり要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 9 ◯副議長(畑中 茂広君) 野田稔子君。(拍手) *野田議員質問 10 ◯六番(野田 稔子君)登壇 皆様、おはようございます。国民民主党・県政クラブ県議団の野田稔子です。発言通告に従い、本県における平成の市町村合併の検証について、そして八女・筑後保健医療圏における公立八女総合病院の役割について、知事に質問します。  約三十年続いた平成の時代が来年四月をもって終わろうとしています。その平成の時代を象徴する出来事の一つに、市町村合併がありました。そこでまず初めに、本県における平成の市町村合併の検証についてお聞きします。一九九九年改正の旧合併特例法に基づき、人口減少、少子、高齢化等の社会経済情勢の変化に適切に対応し、地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立を目的として、国及び県主導で積極的に市町村合併、いわゆる平成の大合併が推進されてきました。これは、自治体を合併し、行政組織のスリム化、効率化の向上などにより財政支出の縮減を図り、行財政基盤を強化しようとしたものです。平成の大合併は、国の三位一体の改革による地方交付税の大幅削減が続く中、全国市町村長いわゆる首長を初め全国の市町村議員は、住民サービスの水準を現状維持するためにはこれ以上の地方交付税の削減は財政がもたず、自治体運営が不可能になるとの判断から、地方自治の存亡をかけ自治体合併を決断し、みずから職を辞する覚悟で合併を推進されました。本県では、二〇〇三年三月末に九十七あった市町村は、二〇一〇年二月末には六十市町村へと再編され現在に至っています。  八女地域におきましては編入合併という形で推進され、まず二〇〇六年十月に旧八女市と上陽町が一緒になり、その後、二〇一〇年二月に黒木町、立花町、矢部村、星野村と合併し、一市三町二村による新八女市が誕生しました。その結果、総面積は北九州に次ぎ県内二位となっています。また、その当時六人いた首長は合併後には一人、また市町村議員の数も合併前の二〇〇五年十二月時点では八十一人でしたが、二〇一八年四月現在で二十六人、さらには来年二〇一九年四月に行われる統一地方選挙において、議員定数は四人減の二十二人となる予定です。職員数は、合併前の二〇〇六年四月時点で七百六十人でしたが、二〇一八年四月現在では五百六十七人となっています。合併により旧町村の顔であった役場は、合併後は支所という形で存続していますが、合併後のマイナス面として以前から言われていた役場周辺を含む商店街等の衰退、また、現在は農協の統合化が進んでおり、ユニバーサルサービスで郵便局だけが残っているというような状況も感じられます。また、旧町村の若い世代は、親世代を残し少しでも便利がよい八女市の中心部に移り住むという現状も見受けられます。  二〇一四年六月定例会において、我が会派の原中誠志議員市町村合併の評価について質問した際の知事答弁によると、本県では、二〇一〇年に合併効果の検証を実施され、その結果、合併団体は非合併団体に比べて、一、職員数や議員数がより減少していること、二、財政規模の拡大に伴い財政運営の自由度が増していること、三、合併特例債の活用により従来できなかった投資的事業の実施や基金の積み立てが可能になったことなどの効果が認められたということでした。  そこでまず一点目に、現在、本県における合併市町村の財政状況をどのように検証しているのか、また先ほど述べたように、県内では最も多い数の市町村が合併した八女市ですが、その八女市の合併による財政上の評価をどのように分析しているのか、あわせてお答えください。  二点目に、合併市町村における合併後の行財政運営に大きな影響をもたらす合併算定がえについてお聞きします。合併市町村における、いわゆる合併算定がえは、原則として合併後十年間は合併がなかったものと仮定し、合併前の市町村ごとに算定した普通交付税の総額が交付されるため、合併後の行財政運営に大きなメリットをもたらしてきました。が、この合併算定がえについては既に段階的縮減の局面にあり、二〇二〇年をもって全ての合併市町村において終了することとなり、合併効果の一部を失うことになります。私は、県が市町村合併を積極的に推進させてきたという責任があると考えています。  そこで、この項の最後に、合併市町村行財政運営地域活性化について、今後どのように助言していくお考えなのかお聞きします。  次の項は、昨年二〇一七年決算特別委員会で質問しました八女・筑後保健医療圏における公立八女総合病院の役割についてお聞きします。知事も御存じのように、二〇一六年十月、八女総合病院筑後市立病院に常勤医師を派遣している久留米大学が、近い将来に起き得るであろう医師不足を見据え、両病院の統合を提案していたという新聞報道がなされ二年の月日がたちました。二〇一七年九月一日付の新聞によると、公立八女総合病院を運営する自治体の一つである広川町が、同病院の慢性的な赤字運営などを理由に、民間譲渡を提案したと報道されました。また、本年二〇一八年八月二十五日付の新聞によると、筑後市は現状での統合は無理と八女市に伝えていたことが報道され、その後、同年九月二十二日付の新聞では、八女市長がこれまでどおり公立病院として存続させることを八女市議会全員協議会で説明したと報道されました。これで、それぞれの自治体の方向性はおおむね示されたことになると考えますが、久留米大学からの医師派遣が将来的にどのようになるかはいまだ不透明な状況です。公立八女総合病院は、年間外来患者数延べ十三万人、入院患者数九万人が利用する過疎地域を含む八女・筑後保健医療圏にとって必要不可欠な病院です。そのことを踏まえ知事にお聞きします。公立八女総合病院が今後も地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくためには、経営の健全化が不可欠と考えます。  そこで、公立八女総合病院の決算状況の推移と経営指標から見て、県として公立八女総合病院の経営状況をどのように評価しているのかお答えください。  また、公立八女総合病院が八女・筑後保健医療圏においてどのような役割を果たしていくことが期待されているのか、あわせてお答えください。  以上、知事の真摯な御答弁をどうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) 11 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  市町村合併の効果と課題でございます。県におきましては、非合併団体との比較という手法を用いまして、職員数、普通建設事業費の額、地方債及び基金の残高など、これらを指標といたしまして、平成二十二年度に合併効果の確認を行い、また、昨年度からは毎年合併効果を確認しているところでございます。合併前の平成十四年度と二十九年度の指標を比較いたしますと、合併団体は非合併団体と比べまして職員数の減少率が五・六ポイント、議員数の減少率が四一・〇ポイント上回っている、普通建設事業費の減少が九・五ポイント抑えられている、基金残高の増加率が二九・二ポイント上回っている、標準財政規模の拡大率が二・四ポイント上回るとともに、経常収支比率は二・六ポイント下回っておりまして、財政運営の自由度が増している、これらの合併効果が認められたところであります。また、八女市におきましては、非合併団体と比べまして職員数の減少率が一三・三ポイント、議員数の減少率が四八・六ポイント、基金残高の増加率が四六・〇ポイント、地方債残高の減少率が二二・二ポイント上回っておりまして、これらにおいて県内十八合併市町村の中でも顕著な効果があらわれているところであります。  今後の合併市町村の課題といたしましては、分庁方式の見直しによります行政機能の一本化、複数の文化施設や図書館などの公共施設の再編、庁舎や施設の再編後の空きスペースの有効活用、周辺部に当たります旧町村の地域の活性化、それらがあると認識をいたしております。  次に、合併算定がえ終了後の合併市町村に対する助言でございます。県におきましては、合併算定がえの終了を控えまして、広域化した合併後の市町村の実態を反映した交付税算定の方法の見直しについて、国に要望をしてまいりました。その結果、支所、旧市町村単位の消防署、出張所や保健センターに要する経費など、合併時点では想定をされていなかった財政需要を反映させた算定方式に見直されたところであります。これによって、国全体で当初減額となる見込みでありました約九千五百億円、この七割に相当する六千七百億円が改めて基準財政需要に算入をされ、影響が緩和されているところであります。また、同じく国への要望の結果、合併特例債は最長平成三十七年度まで、合併推進債は最長三十六年度までそれぞれ起債の期限が延長されておりまして、県といたしましては、地域資源を生かした観光物産施設、周辺部への文化施設、地域間交流施設の整備、庁舎、公共施設の空きスペース民間事業者への貸し出しなどについて事例を紹介しながら、合併市町村が新たなまちづくりや地方創生の推進に取り組んでいただけるよう支援をしているところであります。今後とも、各団体の財政指標を注視しながら、合併算定がえ終了後も健全な財政運営が確保されるよう必要な助言を行ってまいります。  次に、公立八女総合病院の経営の評価と期待する役割でございます。公立八女総合病院は、入院、外来患者の減少や人件費の増嵩によりまして、平成二十六年度から二十八年度まで三年続けて約七億円の純損失を計上いたしましたが、昨年度は救急の受け入れ態勢を充実させるなどの御努力によりまして入院患者がふえ、収支が約四億円改善をし、財務状況は回復傾向にございます。公立八女総合病院は、救急病院として入院が必要な重症患者に対する二次救急医療の機能を担うほか、地域医療支援病院としてかかりつけ医からの紹介患者に対する医療の提供、地域の医療従事者への研修等を実施していただいております。また、地域がん診療連携拠点病院といたしまして、専門的ながん医療の提供、また患者さんへの相談支援の役割も担っていただいております。安定した経営のもと、今後とも八女地域の中核的な医療機関といたしまして、地域の皆様から信頼され、良質な医療を提供していただくことを心から期待をしております。 13 ◯副議長(畑中 茂広君) 野田稔子君。 14 ◯六番(野田 稔子君)登壇 知事に御答弁いただきました。二点要望させていただきます。  まず一点目に、平成の大合併は、当時の三位一体の改革、いわゆる兵糧攻めという地方交付税の大幅削減が続く中、首長を初め市町村議員自治体運営が不可能になるとの判断から、みずから職を辞する覚悟で合併を推進されました。知事も政治家でいらっしゃいますから、みずから職を辞するという覚悟がどんなに大きい決断であるかはわかられると思います。ぜひ、当時の関係者がみずから職を辞して合併を決断してよかったと思えるように、これからもしっかりと国と連携して御支援をしていただきますように要望します。  二点目は、公立八女総合病院に対する要望です。私が昨年二〇一七年決算特別委員会で公立八女総合病院に関しての質問をしたとき、三年続けて約七億円もの純損失を計上していました。しかしながら、昨年二〇一七年度の収支が約四億円改善したということは、関係者のたゆみない努力のたまものであると心から敬意を表したいと思います。県内二位の面積を有する八女市は、車により公立八女総合病院までの移動時間が一時間以上かかる方も多く、一日がかりの受診となっています。公立八女総合病院は、八女市を含む八女・筑後保健医療圏にとって必要不可欠な病院です。この中核的な医療機関がなくなることは決してあってはなりません。今回の久留米大学からの医師派遣が将来的にどうなるかは、いまだ不透明な状況ですが、八女市から県に何か今後相談があった際には、県が公立八女総合病院に期待する八女・筑後保健医療圏においての役割が果たせるように御支援いただきますように強く要望し、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 15 ◯副議長(畑中 茂広君) 壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 16 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、知的障がいのある子供の学びについて質問します。  十一月十四日、福岡県立特別支援学校北九州高等学園で開催された合同技能発表会に参加してまいりました。合同技能発表会は、生徒たちの就職への意欲や技能をさらに高めるとともに、企業の皆さんに障がいのある方の能力や可能性を知っていただき、雇用拡大に向けた地域のネットワークを広げることを目的として開催されるもので、特別支援学校の生徒たちが学習し、習得した技能を企業の担当者の前で発表します。ここでは、会場となった北九州学園と直方並びに築城特別支援学校の三校合同で開催され、基本の手順どおりにきびきびと実施される清掃業務や木工、窯業などの作業の様子、制作した作品などを、参加した企業の皆さんと拝見させていただきました。生徒への作業の手順や用途、作業時間などの問いかけに対しても丁寧な受け答えがありました。率直に申し上げて、私が一番初めに感じたのは、本当にこの生徒たちは知的障がいがあるのか、という思いでした。その思いを先生に問いかけたところ、現場でもそのように感じることもあるようです。  また後日、二人の特別支援学校に勤務されている教員の方と、以前特別支援学校に勤務した経験のある一人の先生と懇談する機会がありました。現場で御苦労されている中で、気になる点などさまざまな御意見を伺いました。私が合同発表会で感じた疑問と重なるものもあり、そういった点も踏まえ、知的障がいのある子供の学びに関して、何点か教育長に質問します。  一点目に、特別支援学校枠での教員採用に限ったことではありませんが、今後人材確保が重要な課題となってまいります。特別支援学校枠の年間採用枠と応募状況についてお尋ねします。あわせて、応募状況に対する評価をお尋ねします。  二点目に、懇談した先生から指摘があった点ですが、例えば、子供の状況に合わせたケアをしながら通常の小中学校に通ったほうが子供の成長につながるのではないかと思える児童生徒も、時折在籍するそうです。そういった場面でも、特別支援学校から通常校へ移るのは難しいというお話がありました。子供は日々成長していきます。知的障がいのある特別支援学校児童生徒の通常校への転学実態はどうなっているのかお尋ねします。  また、転学実態についての教育長の見解をお尋ねします。本人、保護者、支援学校、受け入れ校のより緊密な連携が必要と考えますがいかがでしょうか。  三点目に、関連した質問となりますが、特別支援学校においてもさまざまな理由から不登校になっている児童生徒がおります。例えば、授業のレベルが子供の考え以上に簡単で学校がつまらないという理由で不登校になっていくケースもあるようです。もちろん、入学する際には判定を行い、保護者、本人、学校と話し合いながら丁寧に対応していることとは思います。特に、軽度の知的障がいや発達障がいのある児童生徒は現場でも悩まれているものと推察します。知的障がいのある特別支援学校児童生徒の不登校児童生徒の人数、理由、対応状況についてお尋ねします。  四点目に、県立高校と特別支援学校との人事交流についてお尋ねします。県立高校から異動で支援学校へ赴任された先生のお話では、研修などで特別支援教育のことは理解していたつもりでも現場では戸惑うことも多く、実際に飛び込んでみなければわからないことばかりだったようです。当然のことと思います。しかし今は、特別支援学校での経験が、再び高校へ戻っても必ず役に立つとの確信があるそうです。それは例えば、そのときは気づかなかったけれど、そういえば過去に教えたあの生徒には発達障がいがあったのではないか、今であればもっと障がいに合わせた適切な対応ができるのではないかと考えるとのことです。公立高校は、通級指導教室を中心として特別支援教育がスタートしました。この先生も、通級指導教室の取り組みが始まり、また二校から四校へ拡大したことについて大変喜んでおられました。通級指導の教員を育成することはもとより、公立高校における特別支援教育のレベルアップを図り、全ての生徒に適切な指導ができる体制を整える上からも、計画的な人事異動が重要と考えます。現状と今後の方針についてお尋ねします。  五点目に、近年各学校において電子黒板の導入が進んでいます。子供が学びやすい環境を整える上から、特に障がいのある児童生徒には必要と考えます。本県の特別支援学校における電子黒板の整備状況と今後の方針についてお尋ねします。  六点目に、県立高校通級教室の運用状況についてお尋ねします。現在四校で通級指導教室が実施されています。当初二校であったものを本年度から四校に倍増し、より広く支援が必要な生徒に指導の手が差し伸べられていることについては、大変すばらしいことだと考えます。現在何人の生徒が通学しているのか、担当教員の選任には特別支援学校での勤務経験が生かされるなどの配慮がなされているのか、効果や人材育成、増設を含めた今後の取り組み方針についてお伺いします。  最後に、特別支援学校高等部卒業者の学びの場についてお尋ねします。特別支援学校高等部の卒業者の進学先としては、特別支援学校に設置された専攻科という選択があります。しかしながら、全国専攻科研究会によれば、知的障がいが対象の専攻科があるのは全国で九校のみのようです。本県には知的障がい対象の専攻科を持つ特別支援学校はありません。このような背景の中、十年ほど前から、民間団体により高等部を卒業した知的障がいのある若者の学びの場が各地にでき始めました。本県でも社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会から分社した株式会社ゆたかカレッジが全国で五カ所にカレッジを開設し、百四人が学んでいます。障害者総合自立支援法の自立訓練事業二年間と就労移行支援事業二年間を組み合わせ、四年間の独自のカリキュラムを組んでいます。  国もことし二月、学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を設置し、学校を卒業した後の障がい者の学びについて検討を開始しました。障がい児・者の学びを保障する会、大森梓代表理事は、ゆっくり発達するからこそ、より長い学びの場が必要、自分の人生をどう生きるかを決定するのは障がいの有無にかかわらずその人自身、その力を育むためにも生涯を通じた学びの場が全ての人に開かれてほしいと訴えております。リカレント教育の重要性が叫ばれ環境整備が進む中、特別支援学校高等部を卒業した後の選択肢は就労だけでよいのか、子供の学ぶ意欲や保護者の願いを受けとめる必要があるのではないか、そのような取り組みにより就労の選択肢も広がります。知的障がい者対象の専攻科の新設を含め、学びの選択肢拡大について検討すべき時に来ていると考えますが、教育長の見解をお尋ねします。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手) 17 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 18 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 特別支援学校教員の採用枠と応募状況及びその評価についてでございます。特別支援教育に関する高い専門性と能力を有する人材を確保するため、特別支援学校教諭の免許状を有する者を対象として平成二十三年度から別枠での採用試験を実施しております。本年度実施した採用試験においては、平成二十三年度の約四倍の百十人を募集し、百九十人の志願がありました。昨年に比べ採用者数をふやしたことなどによりまして、競争倍率が一・三ポイント減少しておりまして、今後受験者層の拡大と採用者の質の確保が課題と考えております。  知的障がい特別支援学校から小中学校への転学についてでございます。平成二十九年度の県立特別支援学校知的障がい教育部門からの転学は、小学校が四件、中学校が一件であり、知的障がいの程度が比較的軽い場合に小中学校での教科指導を希望するケースが多いと考えられます。転学に際しましては、特別支援学校市町村教育委員会、転学先小中学校の間で協議がなされ、障がいの状態、必要な支援内容、転学先の体制整備の状況、保護者の意向等を踏まえまして、その適否が判断されております。特別支援教育の理念に鑑みますと、今後、障がいの状態の変化に応じた学びの場の変更について弾力的に対応していくことが必要になってくるものと考えております。県教育委員会におきましては、このような学びの場の見直しの必要性や手続について、特別支援学校の教職員や市町村の担当者に対する研修などを通して、関係者の連携を図ってまいります。  知的障がい特別支援学校児童生徒の不登校の人数、理由、対応状況についてでございます。平成二十九年度の県立特別支援学校知的障がい教育部門における不登校児童生徒数は三十六名で、その割合は約一・七%であり、不登校の理由としては、転入学時の不適応や友人関係の問題が多くを占めております。不登校児童生徒に対しては、定期的に家庭訪問を行い、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携するなど、児童生徒一人一人の状態に応じた継続的な支援を行っております。  県立高校と特別支援学校との人事交流についてでございます。今年度、高校と特別支援学校との間において、四十四人の人事交流を行っております。県教育委員会といたしましては、特別支援学校を経験した教員がその専門性を還元することにより、高校における特別支援教育の推進が期待されるため、今後とも積極的な人事交流に努めてまいります。  電子黒板の整備状況と今後の方針についてでございます。電子黒板は、県立特別支援学校を含む全ての県立学校に一昨年度から毎年度一台、本年度までに各三台整備をいたしました。電子黒板等のICT機器は、児童生徒の障がいの状態や発達の段階に応じて活用することにより、学習上の困難を改善、克服させ、指導の効果を高めることに有効であります。このような観点から、今後も県立特別支援学校におけるICT機器の整備に努めてまいります。  県立高校通級教室の運用状況についてでございます。現在、教室に通う生徒数は二十四人で、担当教員は特別支援学校での勤務経験や通級指導の経験の有無及び人材育成という観点から選任をいたしております。通級指導により、コミュニケーション能力等将来の自立と社会参加に必要なスキルを習得するなどの教育効果が期待されます。県教育委員会といたしましては、本年度の実施状況と教育効果の検証を踏まえまして、担当教員の研修の充実や指導体制の改善を図るなどにより、効果的な通級指導の実施に努めてまいります。  知的障がい者を対象とする特別支援学校の専攻科の新設を含めた学びの選択肢の拡大についてでございます。本県においては、高等部本科の卒業生などに対して資格取得等に必要な指導を行う場として、視覚及び聴覚の特別支援学校に専攻科を設置していますが、このようなニーズの少なかった知的障がい教育部門については設置しておらず、他県の公立特別支援学校においても例がない状況でございます。一方、国における学校卒業後における障害者の学びの推進方策についての論点整理では、障がいのある生徒が学校を卒業した後に希望を持って活躍できる社会を形成すべきとの認識が示されており、このことは大変重要であると考えております。県教育委員会といたしましては、今後、国の検討状況に留意しながら、当面、特別支援学校の在学中に生徒が自立し、社会参加できる知識、技能を確実に身につけられるよう高等部本科の指導の充実にしっかり取り組んでまいります。 19 ◯副議長(畑中 茂広君) 堀大助君。(拍手) *堀議員質問 20 ◯二十六番(堀 大助君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会の堀大助です。もうすぐお昼の時間です。福岡のおいしい食に思いをはせながら質問に臨みたいと思います。知事におかれましては、実りある答弁をいただきますようお願い申し上げます。  今回は、交通環境の整備、特に渋滞対策について伺います。国土交通省の資料によれば、国内での年間渋滞損失時間は、平成二十四年度プローブデータをもとにすれば約五十億人時間、一人当たり年間四十時間を渋滞により失っているということで、これは約二百八十万人分の労働力に匹敵するそうです。また、乗車時間のうち約四割が渋滞損失時間に当たり、これは欧米の主要都市における渋滞損失の約二倍になるそうです。これを貨幣価値に換算するのは簡単ではありませんが、国交省が以前示した試算によると、平成十四年の年間渋滞損失時間が約三十八・一億人時間で、年間十二兆円の経済損失だということです。また、この平成十四年試算では、本県の年間渋滞損失時間は約一・三億人時間、全国ワースト九位であり、貨幣価値換算では約四千億円の経済損失となります。渋滞は、精神衛生上よくないのはもちろん、今述べた経済的損失を含む広い分野での問題を引き起こします。いらいらによる冷静さの欠如や、迂回による生活道路への進入が原因で引き起こされる交通事故の増加、また速度低下による燃費悪化でのCO2排出増加などの環境問題など、住民にとって自動車はなくてはならない日常の足ですが、渋滞は誰も望んでいません。渋滞の解消は、県民幸福度日本一を掲げる小川県政としても、しっかり取り組むべき課題です。  そこでまず伺います。渋滞緩和のためには、交通容量の拡大や交通需要の調整などさまざまな方法が挙げられますが、本県では渋滞緩和のためどのような体系的施策を実施しているのでしょうか。  次に、数ある渋滞の中で、主要原因の一つでもある右折渋滞緩和について取り上げます。私の地元もそうですが、片側一車線の幹線道路などでは、交差点で右折する車や、対面にあるスーパーに立ち寄る車などにより、頻繁に渋滞が発生します。特に、買い物時間帯のスーパー付近では、右折して駐車場に進入しようとする車が相次ぎ、気がつくと後ろは大渋滞なんていうこともよくあります。また、右折信号や右折レーンのない交差点では、朝夕のラッシュ時などは何度か信号待ちをしなければならないこともあります。右折の車が多いときなどは、直進用の車線にまであふれ、直進車も前に進めません。  そこで、右折渋滞緩和についてどのように考えておられるのか伺います。まず、交差点外の場合です。国によっては渋滞を避けるために右折帯のようなものが設置されている道路もあります。例えば、以前訪れたグアムの道路では、これは日本とは左右逆なので、左折が日本でいう右折に当たりますが、中央分離帯のかわりに両車線の車が左折待ちをするスペース、いわゆるイエローレーンがありました。県では、このようなスペースの設置はあり得るのでしょうか。  次に、交差点の場合は、右折レーンの設置が何よりの対策ですが、整備についてはどのように進めておられるのでしょうか。  あわせて伺います。渋滞対策としての交差点改良に関しては、地元の意向などを踏まえ優先順位をつけていると思いますが、商業施設の新設などで交通環境が変化した場合、その変化をどのように反映させ、整備を行っているのでしょうか。  次に、都市部での渋滞緩和につながるバス停の適正配置について伺います。本県、特に福岡市などの都市部においては、バスが重要な市民の足です。特に本県はバス保有台数日本一を誇る西鉄グループが所在し、路線バス網も大変便利です。その一方で、町なかには時間帯によっては多くのバスが並び、道路も大変混雑します。このバスの流れを最適化することは、渋滞対策にとっても重要です。  先日、福岡市内の交差点で目にした光景です。交差点の手前にあるバス停にバスが停車していました。その後バスは発車し、片側三車線の一番左の車線から、一気に一番右の右折車線へと進もうとしました。これは交差点を右折する運行ルートだったからです。しかし、交通量が多く、なかなか右折車線へ入れません。当然バス後方の車線は渋滞します。真ん中の車線の車はスピードを出してどんどん通過します。私は、これを見て危ないなと思ったのと同時に、なぜ交差点を右折した先にバス停を設けないのだろうと疑問に思いました。何らかの理由があるのかもしれませんが、交差点手前の左車線にバス停を配置するより、交差点右折後のほうがバスの運転手にとっても運転しやすいし、道路交通上も安全であり、渋滞回避にもなると思ったのです。これは一例ですが、交差点手前にバス停があって、その後、交差点を右折するパターンは結構あると思いますし、ほかにも配置に改善の余地がありそうなバス停はあるかもしれません。配置を見直すことで渋滞緩和につながり、交通の安全に資するとすれば、県民の命を預かる知事として、ぜひ運行事業者に御提案いただきたいと思います。  そこで伺います。渋滞緩和のためのバス停の適正配置について、県の立場でも取り組んでいただきたいと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。  あわせて、渋滞緩和のため、バスの運行の流れを最適化するアイデアについても調査研究を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  次に、踏切道での渋滞対策についても、あわせて伺います。国交省によれば、抜本的対策、即効性のある対策が二つの大きな柱としてあり、抜本的対策としては、本県も取り組み中の西鉄天神大牟田線連続立体交差事業などが挙げられます。これについては、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  今回ここでは、踏切道の改良について簡潔に触れます。昭和三十六年、踏切道の改良を促進することにより、交通事故の防止及び交通の円滑化が図られるよう踏切道改良促進法が制定されました。この法律では、鉄道事業者と道路管理者が改良の方法について合意した踏切を、改良すべき踏切道として国土交通大臣が指定していました。平成二十八年、この法律が改正され、危険な踏切道や渋滞の原因となる踏切道については合意がなくても指定が行え、指定された踏切道については道路管理者、鉄道事業者、地域の関係者が連携して対策方法を検討できるようになりました。今後は、地域の意見にも十分耳を傾け、踏切道での渋滞対策に取り組んでもらいたいと思います。  そこで伺います。法改正後、県内で指定された改良すべき踏切道は十八カ所で、そのうち三カ所が県管理道路と伺っています。この三カ所について、対応や進捗状況についてお聞かせください。  以上述べてきましたが、最後に、快適な交通環境整備のため重要な点について意見を申し上げます。インフラ等の整備はもちろん重要ですが、交通環境はドライバーの心遣い次第でも大幅に改善します。譲り合いの機運や精神が醸成されれば、交通環境は大きく向上すると思います。先ほど述べたように、渋滞による経済損失は約十兆円規模とも言われております。また、渋滞は迂回による生活道路での交通事故の原因にもなります。知事が本部長を務める交通事故をなくす福岡県県民運動本部では、横断歩道マナーアップ運動、交差点の交通事故防止など交通ルール、マナーの向上に取り組んでおられますが、渋滞もマナーの向上で改善できる部分があり、交通事故減少にも寄与します。県民運動本部などの場で、この問題についても取り上げ、これを県民に広く知らしめ、県民一丸となって渋滞を減らして、快適な運転環境を築き上げる機運を醸成してほしいと思いますが、この点は知事の力強いリーダーシップに期待し、要望申し上げて質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 21 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  渋滞緩和のための体系的な施策でございます。本県におきましては、福岡県総合計画の交通部門の部門計画といたしまして、福岡県交通ビジョン二〇一七、これを昨年の三月策定をいたしまして、行政機関、県民、交通事業者など関係者が協働いたしまして、交通に関する諸施策を推進していくこととしております。この交通ビジョンにおきましては、渋滞対策といたしまして、交通の円滑化を図るため、鉄道と交差する道路の立体化、都市部の交差点の立体化、またバイパスの整備や道路の拡幅、踏切の改良や交通状況に応じた適切な信号制御、これらを行うことといたしております。また、マイカーの利用を抑制するため、バスや鉄道相互の乗り継ぎの利便性の向上、パーク・アンド・ライドによります公共交通の利用の促進、自転車利用環境の整備などの施策を掲げておりまして、関係部局がそれぞれ、またこれら連携をいたしまして、推進をしているところでございます。  右折レーンの設置についてお尋ねがございました。県におきましては、道路の構造の技術的基準であります道路構造令及び福岡県道路構造の基準に関する条例、その二つの法令に基づきまして、道路の構造を決定し、整備を進めているところであります。交差点における右折レーンにつきましては、国道は道路構造令第二十七条第二項、県道は福岡県道路構造の基準に関する条例第三十条第二項、これらの規定に基づきまして、安全かつ円滑な交通の確保というものを考慮しながら、その設置を進めております。  なお、イエローレーンにつきましては、双方向から来る車両が道路の中央部分で共用することになりますことから、交通安全上支障があるため、設置をいたしておりません。  次に、渋滞対策としての交差点の改良でございます。交差点の改良は、事故や渋滞の状況、地元自治体からの要望を踏まえまして、計画的に実施をしております。なお、商業施設の新設などによりまして、周辺地域の交通状況が変化をした場合には、その状況を調査し、地域住民や道路利用者からの要望も踏まえながら、交通管理者等の関係機関と協議の上、必要に応じて右折レーンの増設、また延伸などによります交差点の改良を行ってきております。  次に、バス停の適正配置についてでございます。バス事業者がバス停を設置するためには、道路交通法及び道路法に基づきまして、交通の安全や円滑化の観点から、交通管理者及び道路管理者の許可が必要となります。このため、現在置かれておりますバス停につきましては、それぞれの管理者によります安全確認等が行われた上で設置されている、そういうふうに認識をいたしております。しかしながら、その後の交通事情の変化などによりまして、バス停の位置が原因で渋滞、またそういった支障が生じている場合には、県、市、町村会などで構成をいたしております福岡県地域交通体系整備促進協議会、この場を通じまして、その状況を把握するとともに、必要に応じて改善についてバス事業者に対し働きかけを行ってまいります。  次に、踏切道の改良についてでございます。県が管理をしております道路で改良すべき踏切道は、御指摘のとおり三カ所ございますが、改良済みが一カ所、事業を進めているものが一カ所となっております。残りの一カ所につきましては、これから県、国、鉄道事業者及び関係市町村等から成ります協議会を立ち上げまして、その地域の実情に応じた対策というものの検討を進めてまいります。 23 ◯副議長(畑中 茂広君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後 零 時  七 分  休 憩           午 後 一 時 二十一分  再 開 24 ◯議長(井上 順吾君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。山口律子君。(拍手) *山口議員質問 25 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 日本共産党の山口律子です。  まず、消費税増税について質問します。安倍首相が消費税を来年十月に一〇%へ上げると表明しましたが、市民の間では不安が広がっています。消費税が二〇一四年、八%に増税された結果、四年半で実質賃金は十九万円も低下し、年間の家計消費は一世帯当たり約二十五万円も減少しました。内閣官房参与の藤井聡氏も、「「一〇%消費税」が日本経済を破壊する」という著書で、実質賃金が低いデフレ不況下での増税は、内需が縮小し、税収が悪化して、かえって財政再建できない、国民の貧困化がさらに加速し、日本は衰退途上国となると指摘しています。経済の六割を占めているのが家計消費です。消費税一〇%が実施されたときの日本経済への影響について、知事のお考えを伺います。  安倍首相は、万全の対策のため、二兆円もの対策費をつぎ込むとしていますが、キャッシュレスの場合のポイント還元や商品券では不平等な上、一時的で効果も期待できません。軽減税率という名の複数税率は、売る側も、買う側も、複雑な税率に悩まされる制度です。こんなやり方で増税分を戻すぐらいなら、最初から増税をやめるべきです。安倍首相は、社会保障のためと言いますが、安倍内閣の六年間で社会保障費は三・九兆円も削減されました。三十年間の消費税収が累計三百七十二兆円に達する一方、大企業の法人三税の減収額が累計二百九十一兆円ですから、結局大企業減税の穴埋めに使われました。財源確保で言えば、所得税の最高税率を上げ、大企業に応分の負担を求めるべきです。実質法人税率を中小企業並みにするだけでも四兆円の財源が生まれます。増税するなら富裕層と大企業です。逆進性の強い消費税の一〇%増税中止を求めるべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。  また、インボイス制度を計画していますが、導入されると、免税事業者が取引先から排除されないために課税業者とならざるを得ません。消費税増税に賛成している日本商工会議所も、インボイス導入反対を表明しています。インボイスで影響の出る事業者は五百万と言われ、存亡の危機に立たされます。福岡県における免税事業者数は、福岡国税局の統計から、個人、法人合計で十七万もあり、これらの事業者が廃業に追い込まれる危険性があります。事業者を守るために、インボイス制度導入中止を求めるべきだと思いますが、知事のお考えを伺います。  次に、九州電力の出力抑制について質問します。九電は十月、離島を除けば、全国でも初めて太陽光発電の事業者に発電停止を指示する出力抑制を行い、それは土、日曜日、毎週のようにこれまで八日間も実施されました。出力抑制された太陽光発電は、九州全体の二百四十万世帯分と言われます。燃料費もCO2もゼロ、核のごみも出さない自然エネルギーをそれだけ捨ててしまいました。一方で、九電は川内、玄海の四基の原発を再稼働し、フル出力で動かし続けました。電力は安定的な供給が必要ですから、需給バランスをとるのは当然です。問題は、なぜ再生可能エネルギーが抑制されるかということです。国も九電も制御の順番を定めた優先ルールがあるといいます。制御の順序は、まず火力発電の抑制、あるいは揚水発電の運転、そして他地域への送電、次にバイオマス、そして太陽光、風力の出力抑制となっています。原子力については、短時間での制御が困難だからと、抑制の最後にしています。つまり、再生エネルギーより原発という姿勢です。知事は、この九電の出力制御の措置についてどのようにお考えですか、お尋ねします。  三・一一の大震災と福島第一原発事故が起きて、国民世論は原発による発電をやめて、再生可能エネルギーに切りかえるべきだと大きく広がりました。再生可能エネルギーの活用を本格化させるために、電力の固定買い取り制度が二〇一二年に施行されました。これによって、日照時間の長い九州では、太陽光発電が爆発的に拡大しています。ところが、これに挑戦するように、九電は二〇一四年、太陽光を初め再エネ発電の接続を留保したのです。原発の再稼働のめどさえ立たない時期でしたが、あくまで原発再稼働ありきのあらわれです。それに応えるように、政府は二〇一五年、原発優先の再エネ接続可能量を九電が決定するという指定電気事業者制度を省令でつくってしまいました。九電が、一方的に再生可能エネルギーをとめる出力制御を無制限、無補償で行えることになりました。これによって供給量は、三・一一前の三十年間の原発平均稼働率を原発枠として確保し、その残り分しか再エネ接続しないのです。固定価格買い取りと言いながら、契約前の太陽光発電への接続義務を外すことは脱法行為ではありませんか。原発をとめて、再生可能エネルギーに転換すべきです。そのための接続義務をもとに戻すよう国に求めるべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。  五月三日正午の九州電力エリアの電力需給を見ると、約八百万キロワットの需要を、太陽光で八一%、再生可能エネルギー全体で九六%も賄えていました。原発がなくても電気は足りているという時代が来ています。ヨーロッパでは再生可能エネルギーによる供給電力こそ優先して、原発を含めたほかの電源を出力抑制するようになっています。ところが、日本政府は電力会社と一体に原発ありきのエネルギー政策を強化して、再生可能エネルギーを抑制しています。県民が求めるのは安心、安全で、安価なエネルギー社会ではないでしょうか。再生可能エネルギーを抑制するのではなく、原発をとめることこそ重要と思いますが、知事の御所見を伺い、質問を終わります。(拍手) 26 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
    *知事答弁 27 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、消費税税率が一〇%、これが実施されたときの日本経済への影響でございます。平成二十六年四月から実施されました前回の消費税率の引き上げにおきましては、引き上げ前の駆け込み需要の反動によりまして、一時的な内需が落ち込んだことや、実質所得の減少による消費低迷などによりまして、平成二十六年度の国の実質GDP成長率は、前年度比マイナス〇・四%落ち込みました。しかし、今回の税率引き上げ幅は二%と、前回より小幅でありますことに加えまして、軽減税率、需要変動を平準化するための措置が講じられることになっております。また、日本銀行の分析によりますと、今回の税率引き上げの影響というのは、前回に比べ小幅なものにとどまると、こういうふうにしております。以上を勘案いたしますと、日本経済への影響は、前回より小さいのではないかと、このように考えております。  消費税率の引き上げについてでございますが、少子、高齢化の急速な進展によりまして、社会保障関係費の増加が、今後とも続くと見込まれる我が国にとりましては、持続可能な社会保障制度を構築していくことは待ったなしの課題であります。このため、少子化対策や社会保障の安定的財源確保と財政健全化というのを目指し、現役世代に負担が集中することなく、国民全体で広く負担する消費税の税率引き上げというものは必要であると考えております。  インボイス制度についてお尋ねがございました。消費税及び地方消費税の税率引き上げに合わせまして、低所得者に配慮する観点から軽減税率制度というものが実施をされます。これに伴い、二〇二三年十月一日から、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度というものが導入されることになっております。この制度は、売り手であります課税業者が、みずからの申告する税額及び税率を記載した書類でありますインボイス、これを発行し、これに基づいて、買い手が仕入れ税額控除を行うという仕組みでございまして、複数税率のもと、適正課税の確保につながるものであります。制度の導入に当たりましては、事業者の準備にかかわる負担というものを考慮し、軽減税率の実施から四年間の準備期間が設けられるとともに、導入から六年間、免税事業者からの仕入れにかかわる税額控除の経過措置も設けられているところでありまして、事業者に配慮されているものと考えております。加えて、この制度の導入による事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性などを検証しつつ、かつ必要な対応を行うことが、国会の審議を経て、税制改正法の附則に定められていることを申し添えます。  次に、九州電力による再生可能エネルギー出力制御についてでございます。再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内生産が可能で、国際情勢に左右されにくいといった利点がございます。その一方で、天候に左右されやすいといった出力の不安定性、変動する出力を調整するための調整電源の必要性、さらには大量導入には送電網を増強することが必要であるといった課題がございます。電力の安定供給のためには、需要と供給のバランスを図り、周波数を一定に保つ必要がございまして、このバランスが崩れますと、広域で停電が起こる可能性がございます。このため国におきましては、出力制御にかかわる優先給電ルールを定めておりまして、九州電力はその国のルールに基づき出力制御を実施しているものと認識をいたしております。  再生可能エネルギーの接続義務についてでございます。再生可能エネルギーの導入促進によりまして、発電量が需要を上回る場合には、停電などの支障が生じないよう、電力会社には出力制御が認められておりまして、従前は、その上限を年間三十日とするルールが設けられておりました。しかしながら、再生可能エネルギーの導入が進み、気象条件や電力需要の状況によっては、年間三十日を超える出力制御が必要な事態が想定されるようになりました。このような状況下におきましても、再生可能エネルギーの最大限の導入を図るために、国は、平成二十七年にFIT法施行規則を改正をいたしまして、指定電気事業者である電力会社に無制限、無補償での出力制御を認めるとともに、引き続き接続義務、これを課すことによりまして、広く発電事業者の参入を促すこととしたところでございます。この取り組みは、今申し上げましたように、再生可能エネルギーのさらなる導入の促進と、電力の安定供給との両立を図るために必要な措置であると、このように認識をいたしております。  次に、再生可能エネルギーの出力制御ではなく、原子力発電所をとめることについてお尋ねがございました。電力は、県民生活及び経済活動の基盤でありますことから、低廉で環境に優しい電力を安定的に供給をしていくことが必要不可欠であります。現在のエネルギー需給状況を見てみますと、安全性の確保を大前提に、当面原子力に向き合っていかなければならないと、このように考えております。原子力は、その発電方式の性質上、発電量を短時間に調整することが難しく、出力の調整が比較的容易な火力のように、再生可能エネルギーの調整電源として位置づけることは現時点では技術上難しい状況にあります。このため国におきましては、原子力に先行して太陽光や風力の出力制御を実施しているものと考えております。 28 ◯議長(井上 順吾君) 山口律子君。 29 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 消費税率の引き上げについて知事は、日本経済への影響は小幅なものにとどまるとお答えになりました。しかし、消費税八%増税から四年半がたっても、家計消費は年二十五万円減と、消費不況が一時的どころか、長期にわたって続いています。一昨日、GDPは年二・五%減と発表されました。きょうの報道にも、九州主要企業でさえ景気足踏みとあります。こんなときに五兆円もの消費税大増税を強行すれば、ますます消費が冷え込み、日本経済に破滅的な影響を及ぼすでしょう。  また、政府の景気対策は、増税前の駆け込み需要と反動減をならすための一時的な対策にすぎません。商品券にしても、一回配るだけで、増税のほうはずっと続きます。来年十月からの一〇%増税はきっぱり中止するよう政府に求めることを強く要望し、質問を終わります。(拍手) 30 ◯議長(井上 順吾君) 野原隆士君。(拍手) *野原議員質問 31 ◯四十三番(野原 隆士君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の野原隆士であります。通告に従いまして、福岡県におけるマイクロプラスチック対策についてお伺いします。  私たちの生活の中でプラスチックは必要不可欠な存在となっており、さまざまな製品や包装資材として使用されています。しかしながら、今、世界的にこのプラスチックについての環境影響を問題視しております。国連環境計画が本年六月に発表したレポートによると、これまでに六十カ国以上でビニール袋の廃止や課金、そしてまたプラスチックストローの全廃、発泡スチロールの使用制限など、プラスチックの生産や使用を制限する政策や法律が施行されています。国内においても、民間企業がストローをプラスチックから紙製に変えたり、店舗のビニール袋を紙袋に置きかえるなどの取り組みが進められているところでもあります。特に、大きさが五ミリ以下となったマイクロプラスチックは、海水中の油に溶けやすい有害物質を吸着させる特徴を持っているとも言われており、人の健康や環境への影響が危惧されており、その対策が世界的な課題となっております。我が国においても、来年のG20に向けて、新たにプラスチック資源循環戦略を策定することとしており、現在、この案がパブリックコメント中でもあります。  私の住んでいる西区には、大原海岸、長垂海岸、生の松原海岸、小戸海岸と風光明媚な海岸が多くありますが、近年はプラスチック類のペットボトルやプラスチック製品などがごみとして流れ着いております。これがそのまま長期間放置されると、紫外線や波によりぼろぼろとなり、いわゆるマイクロプラスチックになります。それが、今度は風や海流により沖合に流され、海洋に漂い、小魚がマイクロプラスチックをプランクトンと思い、それを捕食して小魚の体内に蓄積され、食物連鎖の中で有害物質が濃縮されていきます。人の健康被害については、まだ完全に確認はされていませんが、マイクロプラスチックを取り込んだカタクチイワシや海鳥などの体内に濃縮されているとの報告もあり、海の生態系への影響を懸念する声も聞かれます。いずれにしろ、健康被害の発生するおそれのあるマイクロプラスチックの発生を防ぐためにも、まずは海岸に漂着したプラスチック類の回収を定期的に実施することが必要ではないでしょうか。  本県は筑前海、有明海、豊前海と面しており、海岸に面した市や町は早急にこの対策を実施していく必要があると思います。使用後のペットボトルを初め家庭などから出されるプラスチックは、一般廃棄物ということで市町村の対応かもしれませんが、海岸に漂着したプラスチック類の回収の効果を上げていくためには、やはり県の指導や助言が必要であります。  県は、プラスチック類などの海岸漂着物の回収について、海岸を有する市や町に対しどのような支援を行っているのか、またこれまで以上に市や町と連携していくことが重要だと考えますが、知事のお考えをお答えください。  よろしくお願いいたします。(拍手) 32 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 33 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  プラスチック類などの海岸漂着物対策における市町への支援と連携強化でございます。プラスチック類は細分化して、御指摘のありましたように、マイクロプラスチックになると回収は極めて困難になりますことから、漂着した海岸において速やかに回収することが大変重要であります。県におきましては、プラスチック類を含む海岸漂着物の回収、処理につきまして、海岸を有する市町に対し、国の海岸漂着物等地域対策推進事業、これを活用できるよう、制度に関する周知や助言を行ってきているところであります。あわせて、市町の負担軽減を図るため、国に対し補助事業の十分な予算の確保について、これを行うよう求めているところであります。また、県内各地の海岸におきまして、平成二十七年度からごみ拾いにスポーツの要素を加えたスポーツごみ拾い、これを地元市町と協力して開催をし、海岸環境の改善を図るとともに、参加者の意識の啓発にも取り組んでいるところであります。  今後は、これまでの取り組みに加えまして、県と海岸を有する全ての市町で構成する会議を立ち上げまして、定期的にこれを開催し、各市町のごみ回収にかかわる課題や対策についての協議、また先進事例の紹介というものを行ってまいります。これによりまして、市町が漂着ごみ対策により効率的に取り組むことができるよう支援を強化をしてまいります。加えて、この会議において、漂着ごみにおけるプラスチック類の実態を把握するとともに、その量、種類、発生源などの分析などを行った上で、国に対しマイクロプラスチック対策の強化について提言をしてまいります。 34 ◯議長(井上 順吾君) 野原隆士君。 35 ◯四十三番(野原 隆士君)登壇 今、知事のほうから、定期的な会議をしていただけるという言葉をいただきました。海岸漂着物ということで、私はお話をさせていただきましたが、この海岸漂着物を分析をしていくと、ハングル文字の製品もあります。そして、それ以上に多いのは、河川から流れ着いたおそれのある国産のプラスチック類、そういったものが多いんではないかと思います。したがいまして、当然海岸でのプラスチック類の回収はもとより、河川においてのそういったプラスチック製品、ペットボトル、そういう回収もあわせて実施をしていただきたいと思います。いずれにしろ、知事として、各市町村にきちっと指導していただく、そういった知事としての役割を十分に果たしていただくことをお願いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 36 ◯議長(井上 順吾君) 中村誠治君。(拍手) *中村(誠)議員質問 37 ◯三十七番(中村 誠治君)登壇 国民民主党・県政県議団の中村誠治でございます。通告に従って、ふるさと納税を活用した地域振興について一般質問をいたします。  実は、さきの決算特別委員会でもテーマに挙げましたが、知事答弁の機会を逸して、今回となりました。よろしくお願いしたいと思います。  さて、昨今ふるさと納税問題が世間をにぎわしています。返礼品に高価な物や地元産品ではない品を送るケースが後を絶たないとして、総務省が各自治体に対し、昨年とことしの二回、自粛要請を行いました。しかしながら、相当数の自治体が自粛に応じないため、今日までのお願いベースから、法改正を伴う制度見直しに着手した旨の総務大臣会見があったことは、既に御承知のとおりであります。  そこで、まず本県の返礼品の対応はどうなっているのか、知事にお尋ねいたします。  次に、さきの決算特別委員会の所管課長の答弁では、本県に行き過ぎた返礼品等、本来の趣旨にそぐわぬ地方自治体が十四団体存在する。そのような市町村に対し、国の通知を遵守するよう強く助言していくとのことでしたが、その後いかがなっているのかお教えください。  言うまでもなく、ふるさと納税は寄附を通じて地域振興に参加できる制度のことで、その理念は、都市と地方の税収の格差是正にあります。もちろん、そこでは第一義的には当該市町村の熱意と創意工夫を要しますが、その努力を逆なでする事案が起きています。それは、ふるさと納税のオレオレ詐欺とも言うべき、ふるさと納税のにせサイトの開設で、広がる兆しがあります。インターネットを使った新手の事案で、現在県内だけでも、にせサイトの数が十六市町村にも及び、県にもにせサイトに関する相談や問い合わせが寄せられていると聞いております。  そこで知事は、県民や各自治体に対してどのような対策をとられているのか、また県警本部等との連携をどのように進められているのかお尋ねいたします。  いいにつけ、あしきにつけ、昨今話題に事欠かないふるさと納税制度でありますが、本来の制度の趣旨を理解し、着実に実績を伸ばす自治体もあります。特に私が評価するのは、隣の佐賀県であります。佐賀県は、NPO等支援ふるさと納税制度という独自の制度を創設し、市民の公益活動を支えるとともに、産業振興も進める取り組みを始めています。仕組みの説明は省略いたしますが、総務省は、さまざまなNPO等が行う具体的な事業を選択できる仕組みを構築したとして高く評価しています。ただ、県がNPO等を寄附先に指定して、NPO等みずからが寄附を募る佐賀県モデルを、直ちに本県に焼き直すことは厳しい側面があるかもしれないと、私も思っています。それは、佐賀県に比べNPO等の数が桁違いに多いこと、その中で、指定の要件や手続、あるいは事業の実績確認などに公平性や透明性が確保しづらいことにあります。また、昨年実績で、本県のふるさと納税額約一億円に比べ、佐賀県は六億六千万と破格です。その大差の要因として、寄附額の多寡にかかわらず、本県の場合は一律二千円程度の返礼品とされています。しかし、佐賀県は限度いっぱいの三割内ルールです。十万円の寄附をすれば、佐賀県では三万円以内の返礼品が送られてきます。が、本県は二千円の返礼品にとどまります。つまり、本県では、佐賀県制度をそのまま導入すれば、本県指定のNPO等は、どの程度寄附を集めることができるのか疑問を持つからであります。  しかしながら、泣き言は言っておられません。我が国の人口減少は世界に比類なく急激に進んでいます。あわせて超高齢社会、子供の貧困、障がい者支援、災害対策、雇用と新たな産業の創出など、地域の社会課題は山積したままです。これをひとり行政の課題と押しつけて解決し得るものなのか、答えは火を見るより明らかです。やはりNPOやボランティアの力をかりなければ進めないと思います。  私の地元の久留米市に登録されている市民公益活動団体はおおむね三百十、それらの多くが、まちづくり等地域社会の再構築、社会福祉、保健医療、教育文化等で重要な役割を果たし始めています。例えば、久留米市は全国平均の六分の一を大きく上回る四分の一の子供たちが貧困家庭の子供と言われています。NPO法人わたしと僕の夢は、その貧困の子供たちの食事提供と学習支援を行う塾を運営しています。もちろん市より助成金を得てはいます。しかしながら、入塾希望者の増加、あるいは子供へのきめ細かな対応ができず、役員理事等が個人的に費用負担をせざるを得ない状況にあります。当然、他市での設立要望などにも応えることはできるはずもありません。  また、毎年増加する在留外国人が抱える諸問題に対応する認定NPO法人のワンストップリーガルネットは、その法律、経済問題等の解決に、三十名以上の司法書士、行政書士、税理士、弁護士のネットワークを構築し、大きな実績を上げています。問題は資金不足です。現在は会員の誠意に頼っての運営が続いております。このように、せっかくの善意の活動が活発化するどころか、持続可能となりにくい現実があります。  一方、こんな報道もあっております。これは久留米市ではありませんが、NPO法人の印象を悪くした事例として、県下にある休眠、放置状態にあるNPO法人が、いつの間にか暴力団関係者に乗っ取られ、暴力団の隠れみのになっていたのではないかと疑われたニュースがありました。しかし、これももとを正せば、資金や人材スタッフなど資源不足が休眠や放置の原因となっております。  そこで知事に伺います。地域貢献しているNPO等の課題をどう認識されているのか、また県としてNPOの財政基盤強化にどう取り組んでおられるのかお答えください。  さきに述べましたように、佐賀県はふるさと納税制度を活用して、NPO等支援ふるさと納税制度を創設しました。納税者がさまざまなNPOの行う事業を選択し、寄附するというものです。このことにより、さまざまなNPO、ボランティア団体に資金が集まり、地域課題に対応した公益的な取り組みが盛んに行われています。  私は、さきの決算特別委員会において、本県におけるNPO等支援ふるさと納税制度の創設を提案いたしました。ふるさと納税については、行き過ぎた返礼品に対して、総務省は返礼品の割合を三割以下にするよう強く求めていますし、私も過熱したふるさと納税の取り合いはいかがなものかと思っています。また、本県の場合は、寄附額の多寡にかかわらず、一律二千円程度の返礼品としていることも承知いたしております。しかしながら、人口減少に歯どめがかからず、都市部に比べ経済、財政状況が非常に厳しい、例えば県南地域の市町村にとっては、地域の課題を解決する担い手を育成、確保することは喫緊の課題であります。  ついては、本県の場合、NPO等支援ふるさと納税制度を市町村においてスタートすべきではないかと、私は考えますが、知事の所見をお伺いいたします。  何事も、言うはやすし、行うはかたしです。導入を検討している市町村も幾らかあると聞きますが、制度をつくれば資金調達ができるものではありません。団体の事業をいかにPRするか、地域振興に資する返礼品をいかに選定し調達するか、返礼した方々をいかにして継続的な応援者にするかなど、効果的な仕組みを構築し、実行しなければなりません。多分、このようなノウハウを県内の市町村やNPO等は持ち合わせていないものと思います。  ついては、地域活性化のため、NPO等支援ふるさと納税制度を導入し、県は地域の公益団体を育てようとする市町村をどのように支援するつもりでいるのか、知事のお考えをお聞かせください。  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 38 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 39 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、返礼品に対する本県の対応とその後の展開でございます。本県におきましては、寄附額に対する返礼品の調達価格の割合が高過ぎる市町村として、総務省から九月に十四の市町村が、十一月に新たに一町、合計十五の市町村が公表されたところであります。県におきましては、これらの市町村と協議を重ねまして、年内に十五全ての市町村において、国の指導であります三割以下の調達割合に見直すこととなりました。また、地場産品以外の返礼品を送っている市町村としまして、県内で、九月に四市町、十一月に新たな三市町が公表されたところであります。このうち三市は、既に全ての返礼品目を地場産品に変更いたしております。残る四市町につきましても、ふるさと納税の趣旨に反しないよう、必要な見直しについて助言を行ってまいります。  次に、ふるさと納税のにせサイト対策でございます。十二月四日、県は古賀市からにせサイトの存在について報告を受けました。早速国に報告を行うとともに、県のホームページ、SNSにおきまして、県民の皆様への注意喚起を行いました。市町村に対しましては、直ちに同様の事態がないか、その調査と報告を求め、ホームページ等による注意喚起の実施とともに、被害者がいる場合の警察への被害届の対応について要請をしたところであります。これまでに県内十六の市町村でにせサイトが存在をし、嘉麻市で被害が一件あったことを確認いたしております。警察におきましては、情報セキュリティー関連事業者の協力を得まして、にせサイトを閲覧する利用者のコンピューター画面上に警告、この表示が出る対策を講じているところであります。このため県におきましては、市町村に対し、ふるさと納税にせサイトを確認した場合には、地元警察署に直ちに届け出るよう通知をし、被害の発生防止を図っているところでございます。  次に、NPOの課題と財政基盤の強化であります。県内では、常勤の有給職員のいないNPO法人が約五割を占め、年間収入規模が五百万円未満のNPO法人が半数以上を占めている実態がございます。このようなことから、NPOの多くが人材や活動資金の不足といった事業運営に課題を抱えておられると、このように認識をしております。このため県におきましては、NPOの組織運営力や財政力を強化するための支援策を講じてきているところであります。  まず、組織運営力の強化といたしまして、NPOの立ち上げから団体運営、活動全般にかかわる相談に加えまして、実務能力向上のための会計、税務相談会や法人運営にかかわる研修会といったものを実施しております。財政力の強化につきましては、NPOがみずから資金調達をし、自立的に活動できるよう、福岡県共助社会づくり基金を設置をいたしまして、県民や企業の皆様から御寄附をいただく仕組みを設けております。これを原資にいたしまして、NPOが多様な団体と協働して行う公益的な取り組みに対し助成を行っているところであります。また、国が創設をしましたNPO法人への寄附を促し、その活動を支援する税制上の優遇措置であります認定NPO法人制度、これに基づいた認定も行っておりまして、これまで二十七団体を認定しているところであります。さらに、県のふるさと寄附金におきましては、施策を特定した寄附が可能となってございまして、不登校、中途退学者の支援や発達障がい者や保護者の集いの場づくり、これらを初めとするNPOの活動に対する支援に、この寄附金を活用させていただいているところであります。  次に、県内市町村におけるNPO等を指定し支援するふるさと納税制度、その導入と県の支援についてでございます。この制度を導入するかどうかにつきましては、市町村がそれぞれの地域の実情により判断されることになりますが、現在県内におきましては、導入を検討しておられる市町村が四団体、実施手法等がわかれば導入を検討したいと考えておられる市町村が十団体あると、このように把握しております。導入するに当たりましては、市町村がNPO等を指定する要件、申請手続、実績確認などについて、地域の実情に応じた制度のスキームを定める必要がございます。また、NPO等にとりましては、事業のPR、返礼品の選定など多くの資金を調達する手法というものを検討しなければならなくなります。県内の市町村が、NPOを指定し支援をするふるさと納税制度を導入するのは、今までありませんでしたので、初めての試みとなりますため、県といたしましては、導入を検討される市町村に対し具体的な制度スキームやその手法について助言し、支援をしていきたいと、このように考えております。 40 ◯議長(井上 順吾君) 中村誠治君。 41 ◯三十七番(中村 誠治君)登壇 市町村におけるNPO等支援ふるさと納税制度の導入を積極的に応援してくださるとの御答弁でありました。心から感謝を申し上げたいと思います。  ここで要望しておきたいと思います。この制度をうまく活用するためには、県の指導、支援が欠かせません。この制度の確立に向け、県の惜しまぬ協力を強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手) 42 ◯議長(井上 順吾君) 松尾嘉三君。(拍手) *松尾(嘉)議員質問 43 ◯十七番(松尾 嘉三君)登壇 皆様、こんにちは。自民党県議団の松尾嘉三でございます。今回の私の質問でございますが、県民幸福度日本一について、再度、知事並びに関係所管にお尋ねいたします。  二〇一一年より、小川知事の選挙時、政治ビジョンとして掲げられ、小川県政下での各政策の根本的なる指針でございます。ゆえに、我が自民党県議団におきましても、再三代表質問等で問いたださせていただいている次第でございます。  ブータン王国の国民に、幸せですかと尋ねますと、はいと答える人がほとんどだとお聞きいたします。これは、精神的、体験的なものに重きを置いているからだそうです。しかし、医療や教育は、全国民に無償かつ平等に提供されているという福祉の手厚さ、そして信仰心、一日三食食べられて、寝るところがあって、着る物があるという安心感、それだけで、みずからが満ち足りていて幸福だと思えるとのことで、私たち先進国に住む国民からすれば、信じられないくらい崇高な国のイメージでございます。  そもそも幸福度とは、二〇一二年より国連の世界幸福度報告から発信され、百五十カ国以上の国や地域を対象とし、それぞれの国の幸福度はゼロから一〇の値から成る各個人の回答の数値の平均値でございます。その幸福度調査内容は、一、人口当たりのGDP、そして二、社会的支援、困ったときに頼ることのできる親戚や友人がいるか、三、健康寿命、四、人生の選択肢の自由度、人生で何をするかの選択の自由に満足しているか、五、寛容さ、過去一カ月間にチャリティー等に寄附をしたことがあるか、六、腐敗の認識、不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか等の十点満点の数値であらわしておりまして、その数値で言うと、二〇一六年データでは、日本は五・九二一点で、世界百五十七カ国中第五十三位でございました。上位はデンマーク、スイスなどの欧州圏やノルウェー、フィンランドなどの北欧圏でございます。ちなみに、今年度の最新のデータでは、日本は第五十四位と、さらにランクを下げております。  本県では昨年、福岡県に生まれてよかったとの項目が、初めて一〇ポイント中八ポイントに達したということで、知事は大変お喜びになっているとお聞きいたしております。さらに、各会合にてそのことをPRされているようでございますが、果たしてそうでございましょうか。私に聞こえてくるのは、全体的に依然として向上してこない県民幸福度でございまして、来年で、知事も私も二期八年、任期満了を迎えようとしております。そろそろこの施策の評価が出されてもよろしいかと思われますので、質問をさせていただきます。  ここ近年の福岡県民の幸福実感度状況では、平成三十年度が、五十歳代男性の幸福実感数六・〇五と、昨年度よりマイナス〇・三一と下がっておりまして、ワースト一位。また、それに対して、三十歳代女性の幸福実感数が七・一六と、昨年度よりもプラス〇・四五と、大幅にアップいたしておりまして、ナンバーワンでございます。平成二十四年から過去七年間の調査におきまして、各世代の幸福実感点数を各年度の幸福度ナンバーワンとワーストワンを割り出して評価いたしますと、二十歳代の男女がナンバーワンゼロ回、ワーストワン一回。三十歳代の男女が、ナンバーワン五回、ワーストワン一回と、断トツのナンバーワンの幸福実感回数であります。四十歳代がナンバーワン一回、ワーストワン一回。そして、私と同じバブル世代の五十歳代の男女がナンバーワンゼロ回、ワーストワンが四回と、断トツのワースト回数でございました。六十歳代の男女は、ナンバーワン、ワーストワンともにゼロ回。七十歳代の男女は、ナンバーワン一回のみでございました。  今までの七年間のアンケート調査にて引き出されましたこれらの資料をもとに、幾度となく執行部と協議を行ってまいりましたが、いまだに福岡県民の皆様の幸福実感が目立って上がってこない状態で、全体把握に至っていない状況でございます。また、この幸福度とは、その国々の国民性や、また日本におきましては県民性、それから社会情勢、精神論的な項目や信仰心などの宗教的観点的な項目もうかがえるために、数値化すること自体に無理があるのではないかと、いまだに私は思っております。  そこで、いま一度、小川知事が県民幸福度日本一を政策目標の基本理念に掲げておられるお考えをお尋ねしたいと思います。  次に、日本一を目指すとうたわれました、この県民幸福度でございますが、近年では北陸の福井県が三年連続幸福度日本一に輝いております。その原動力とは、仕事分野と教育分野での充実でございまして、雇用領域の各指数が軒並み全国五位以内で、女性の労働力人口比率も全国一位と、雇用が非常に安定しております。教育分野でも学力、社会教育費、社会教育学級・講座数、余裕教室活用率が全て一位で、子供の運動能力も一位、子供のチャレンジ率も四位と、結果、大人も子供も心身ともに健全に成長、発展できる県となっていることが、その要因となっているものでございます。ぜひ、この先進県の施策なども調査、研究なさってはどうかと思われます。  本県の幸福度向上施策を間近に見させていただき、私が思いますことは、その年その年のワーストワンになった世代への事業予算を増額させ、充実させたとしても、前年のワースト世代へのことを捨ておいているような、いわば、その年その年のつけ焼き刃的な政策で終わっているような、そんな気がしてなりません。  今までの施策の評価をどのようにお思いなのか、知事にお尋ねいたします。  また、成果を代表する具体的な数値があれば、あわせてお示し願いたいと思います。  次に、県民の皆様の今後の幸福実感の向上に向けた取り組みをお尋ねいたします。 44 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 45 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答え申し上げます。  県民幸福度日本一の政策目標として掲げた考え方でございますけれども、私は、平成二十三年知事選挙に臨んでいた、その当時を思い出しますと、世界同時不況からの経済の再生、深刻な財政状況など課題山積でありましたこの日本の国に、未曽有の大震災による甚大な被害が加わりまして、我が国はこれまでに経験したことのないような大きな試練を迎えていたと思います。一方で、社会の成熟化によりまして人々の価値観が非常に多様化をし、幸福度の高い社会を実現しよう、構築しようとする動きが国内外で広がりを見せている、そういう時期でもありました。そのような状況のもと、福岡県は大きな可能性を秘めた魅力ある県となってきておりまして、私は、その基盤の上に立って、時代の変化と新しい課題に対応して、この福岡県をより一層発展させたいと、そのように考えたわけであります。そして私は、きのうよりきょう、きょうよりあしたはよくなる、将来に向かって希望が持てるような地域社会、福岡県をつくっていきたいと考えまして、この実現に向け、県民の皆様が福岡県に生まれてよかった、生活してよかったと実感できる県民幸福度日本一の福岡県、これを目指すこととしたものでございます。  その取り組みの評価でございます。これまで私は県民幸福度日本一の福岡県を目指しまして、県民生活の安定、安全、安心、この向上に全力で取り組んでまいりました。その主なものを幾つか挙げさせていただきますと、中小企業、先端成長産業、農林水産業、観光の振興など地域経済の活性化と魅力ある雇用の場の創出、出会い、結婚の応援、子育て支援など若い世代の夢と希望をかなえる社会づくり、豪雨災害からの復旧、復興、防災、減災、暴力団対策、性犯罪対策など安全、安心、災害に強い福岡県づくり、そして女性の活躍推進、七十歳現役社会づくり、障がいのある人の自立支援、医療、介護の充実など誰もが活躍できる社会づくり、また福岡空港の過密化対策、北九州空港との連携強化、道路ネットワークの整備といった生活の利便性、安全性の向上、産業の発展を支える社会基盤の整備、これらに取り組みまして、福岡県の就業者数は、平成二十三年から二十九年までの六年間で十二万二千人増加をいたしております。また、女性就業率は二十四年から二十九年までの五年間で四%上昇いたしまして、現在七四・三%となるなど、各分野におきまして着実に成果は上がってきていると考えております。一方で、保育所待機児童数、審議会等の委員における女性の割合、特定健康診査の実施率、にせ電話詐欺被害額などにつきましては、引き続き、それぞれの改善に向けて対策を強化する必要があると、このように考えております。  幸福実感の向上に向けた取り組みでございますけれども、今後、県民の皆様の幸福実感をより一層向上させていくためには、誰もが住みなれたところで働き、安心してお子さんを産み育て、長く元気に暮らしていくことができる、そういった地域社会づくりを、さらに進めていかなければならないと考えております。将来の不安、これを解消していくためには、何よりもまず、一つでも多くの魅力ある雇用を創出することが重要であります。このため、地域の中小企業の振興、将来の成長が見込まれますバイオ、水素エネルギー、IoT、航空機といった先端成長産業の育成、ブランド化など農林水産業の収益力の向上、地域の魅力ある資源を生かした観光の振興などに取り組んでいるところであります。また、出会い、結婚、出産、育児など若い世代の希望をかなえること、また地域の未来を担う子供たちが生まれ育った環境に左右されることなく、それぞれの夢を実現できること、女性、高齢者、障がいのある人など、誰もがそれぞれの個性を十分発揮して生き生きと活躍できる社会、これをつくっていくことも重要でございます。加えて、健康寿命を延ばすべく医療、介護の充実とあわせまして、県民お一人お一人がみずからの健康を維持、増進していくことに取り組んでいただく県民運動を着実に進めていく必要があると考えます。さらには、スポーツの力で県民生活、この県を元気にするスポーツ立県福岡、これに向けた取り組みも進めていくことが求められているところであります。引き続き、全庁挙げてこうした幸福実感の向上に向けた取り組みを進めてまいります。 46 ◯議長(井上 順吾君) 松尾嘉三君。 47 ◯十七番(松尾 嘉三君)登壇 知事から御答弁賜りましたけれども、毎年、県民幸福度向上へ向けての県民意識調査のアンケート結果、これを私なりに精査させていただいておりますが、以前から、県民の声を政策にきちんと反映させるためには、担当部局が司令塔としての役割を果たしていくことが最も大切なことだと思っております。県民の皆様との今までの会話の中で、私なりに解釈させていただきますことは、この幸福度の向上には、県民の皆様の現在の不安、そして将来に対する不安をいかに払拭するか、拭い去るかということが、必要不可欠なことだと思っておる次第でございます。  真に温かみのある福岡県の施策を、県民の皆様の幸福度向上への道を、何とか切り開いていただきますことを、小川知事に切に要望させていただきまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 48 ◯議長(井上 順吾君) 岩元一儀君。(拍手) *岩元議員質問 49 ◯六十一番(岩元 一儀君)登壇 皆さん、こんにちは。国民民主党・県政県議団、岩元一儀でございます。通告に従いまして、県内の観光振興の取り組みについて一般質問をさせていただきます。  年の瀬を迎えて、県内慌ただしさが増す中、博多駅周辺などで、家族連れでスーツケースを転がし、中国語や韓国語で話す観光客の皆様の姿を至るところで見かけます。それも年々その数がふえていると感じるのは、私だけでしょうか。それもそのはず、ここ数年のインバウンドの数を調べてみますと、福岡県の外国人入国者は、平成二十七年が二百八万六千人、二十八年が二百五十九万六千人、二十九年が三百十八万九千人と増加し、ことしも一月から十月までで二百七十万人超となっています。           〔井上議長退席 畑中副議長着席〕  国別では、二十九年は韓国、台湾、中国、香港、タイの順となっており、訪日外国人による旅行手配の手法も、年々個人旅行が団体旅行よりも増加しています。政府も二〇二〇年に四千万人の観光客を呼び込む目標を立てて、さまざまな施策が打たれているところであります。  県内では少子、高齢化の進展による人口減少により、特に地方経済全体の縮小が懸念をされています。その対策として期待されているのが観光であり、全国各地でさまざまな取り組みが行われています。そして、県内各地でも観光需要を取り込み、地域経済を活性化するため、観光客の県内各地への訪問、周遊促進を図られてきましたし、さらに進展が必要とされます。今後、福岡県では、今議論を呼んでいる宿泊税を生かして、地域の観光振興の取り組みを支援し、ソフト、ハード両面から、県を挙げて観光振興の取り組みを推進すべきだと考えます。こうした思いから、特に北九州・京築地域の観光振興を中心に、きょうは以下の質問をさせていただきます。  まず第一に、観光客の周遊促進には、県内各地にある魅力ある観光資源が必要です。幸い本県には歴史、文化、自然など、世界に誇る数多くの魅力あるさまざまな観光資源があります。私の地元北九州をとってみましても、世界文化遺産明治日本の産業革命遺産の一つである官営八幡製鐵所旧本事務所、漫画ミュージアムを中心としたポップカルチャー、新日本三大夜景の一つの皿倉山、CNNで日本の美しい風景三十一選の一つに選ばれた河内藤園、国指定重要無形民俗文化財であり、北九州から京築、大分にかけて保存、継承されてきた豊前神楽、関門海峡ミュージアムのある門司港レトロ地区など、例を挙げれば切りがありません。また、今月一日から無料化された若戸大橋も、夜間ライトアップが始まり、新たな夜景のシンボルになることが期待をされているところであります。  そこで、県は観光客誘客のため、これらの観光資源を活用し、これまでどのようなプロモーションを行ってきたのかお聞かせください。  次に、県では観光客誘客のため、観光資源の開発を初め、さまざまな取り組みを実施しているのは、議会質問などを通じ理解と評価をしているところであります。しかし、県内を訪れた観光客の多くは、福岡方面への観光が中心で、北九州、京築方面への観光は、まだまだ十分ではないように思います。  そこで、県は、北九州・京築地域の観光振興のため、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、またその成果についてお聞かせください。  次に、今後本県へのより一層の観光客誘客を図るためには、旅行者のニーズが、物消費から事消費へと変化していることを踏まえ、体験型観光を充実させることも大事であります。  そこで、北九州・京築地域と連携した体験型観光資源開発を行っているのか、また日本文化を体験する上で、多くの地域で取り組まれている京築神楽は有効だと考えますが、それらを活用し、誘客につなげる取り組みなどは行っているのかお聞かせください。  次に、全国でダム観光なるものが人気を博していると聞きます。ダム観光というと、私は黒部ダムをテレビで見たことを思い出します。大手旅行情報会社じゃらんによると、映画「黒部の太陽」で知られる黒部ダムは、富山県黒部川上流に建設された日本を代表するアーチ式コンクリートダムです。周辺は三千メートル級の山々に囲まれており、四季折々の自然の表情を楽しむことができる観光地です、六月下旬から十月中旬に限られているダムからの放水は、日本一の高さから毎秒十立方メートル以上にもなるもので、その迫力は見事の一言、晴れた日には放水に虹がかかることもあり、その美しい眺めも人気のようです。また、日本で最も高所、高いところで運航する遊覧船ガルベは、黒部湖を三十分かけて一周し、湖上からしか見ることのできない黒部の景色は、心地よいアルペンクルーズが満喫できると案内しています。  本県にも、たくさんの県管理ダムがあり、ダムやその周辺地域を観光資源として、黒部ダムとはいかないまでも、それぞれのロケーションやダムの特徴などを生かし、取り組むことが大事ではないかと思いますが、そこで、これまでの取り組み状況と今後についてお聞かせください。  次に、近年、北九州空港は国際線の就航が相次ぎ、昨年度の利用者数が百六十五万人を超え、過去最高を記録したと聞きます。平成二十八年度と比べ、昨年度の国際線利用者数は約十八万人ふえており、そのほとんどは外国人旅行客とのことです。北九州・京築地域の観光振興を進めていくためにも、北九州空港の国際線利用者数をふやすことは大変意義があることと考えます。
     そこで、北九州空港にさらなる国際線の誘致が必要と考えますが、県はこれまでどのような取り組みを行い、今後どうしていくのか、また北九州空港を利用する外国人には、ぜひ周辺地域に立ち寄ってもらいたいと考えますが、それに向けてどう取り組んでいくのかお聞かせください。  さらに、これまで議会も行政も、福岡空港との一体的運営に向けて、両空港の役割分担と相互補完を進める各種の取り組みが行われてきたと認識をしております。来年四月から福岡空港が民営化されると、これまで進めてきたこの方針に基づく両空港の連携が難しいのではないかという見方もあります。そこで知事は、この方針についてどう考えておられるのかお聞きします。  最後に、北九州・京築地域の観光振興に取り組んでいくためには、これまでの観光プロモーションだけでなく、観光素材の掘り起こし、体験型観光の充実など、観光事業のもう一段階のレベルアップが必要だと思います。そのためには、担い手となる地域の観光人材の育成が最も重要ではないかと考えますが、知事のお考えをお聞きいたします。(拍手) 50 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 51 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  観光客誘客のためのこれまで行ったプロモーションでございます。県におきましては、魅力ある観光資源を組み込んだ観光ルートをつくり、積極的にプロモーション活動を行ってきております。具体的には、全国各地における旅行会社を対象とした観光素材説明会での紹介、県の観光情報サイトクロスロードふくおか、これを通じた情報の発信、国内外のメディア、旅行会社、教育関係者を対象とした招請ツアーなどを実施してきているところであります。外国人観光客に対しましては、海外で開催をされます旅行博への出展、世界八カ国でとんこつラーメン発祥の地福岡のPRキャンペーンを行ったわけでございますが、このキャンペーンを通じて獲得いたしましたフェイスブックのフォロワー、これらに対する情報発信などを今行っておりまして、こういった形を通じて誘客に努めてきたところでございます。  次に、北九州・京築地域におけるこれまでの観光振興の取り組みでございます。北九州・京築地域には、明治日本の産業革命遺産の一つであります官営八幡製鐵所旧本事務所、旧蔵内邸、京築神楽、産業観光の一つでございます工場夜景など、魅力ある観光資源が豊富にございます。昨年度、北九州・京築地域の市町と連携をいたしまして、お勧めモデルコース、食、見どころなどを掲載したガイドブック「魅力発!見あなたの知らない福岡」、これを作成したところであります。また、北九州・京築地域の観光名所二十一カ所をめぐる、ふくおかよかとこパスポートスタンプラリー、これを実施したところであります。さらに、昨年度から、北九州マラソンの開催に合わせまして、ぞっこん北九州・京築フェア、これを開催をいたしまして、観光スポット、特産品、伝統文化など、この地域の魅力をPRしてきたところであります。同フェアにおきましては、二日間で四万八千人を超える来場者がございまして、今年度も引き続き実施することといたしております。加えて、旅行会社の商品造成担当者を対象としたモニターツアーを実施しておりまして、商品造成を働きかけ、今年度、十三府県ふっこう周遊割を活用したツアーの商品造成に結びついたところであります。これらさまざまなプロモーションを通じまして、多くの方が北九州・京築地域の魅力を認識していただき、実際に足を運んでいただいてきていると、このように考えております。  次に、北九州・京築地域と連携した体験型の観光資源の開発についてでございます。県におきましては、今年度北九州・京築地域の市町村、観光協会と連携をいたしまして、地域の観光資源を生かした体験プログラムを開発をしているところであります。具体的に申し上げますと、豊前市において、地元のそば粉を使ったそば打ち体験、みやこ町において、野草、山菜狩り、ジビエ料理を初めとした山里体験の開発などを進めてきております。加えて、インバウンド向けの体験型観光資源の開発のために、県内市町村、観光協会等で構成をしておりますサイクリング、トレイルの協議会を設立したところであります。北九州・京築地域におきましても、これらの協議会の部会を設置をいたしまして、サイクリングルートの検討を進めるとともに、森林セラピー、フットパスなどトレイルの情報を収集しているところであります。今後、県では新たなウエブサイトを構築をし、こうした情報を広く発信をしていきたいと、このように考えております。  日本文化の体験についてでございますが、京築地域で代表的な文化でございます京築神楽を観光資源として捉え、京築七市町や神楽の団体と連携をいたしまして、地域内での京築神楽の里フェスティバルなどの公演、地元神社での夜神楽鑑賞ツアーなどを実施しております。また、九州国立博物館におきましては、毎年東九州神楽人の祭展、これを開催をいたしまして、京築神楽の魅力を広くPRをしているところであります。こうした取り組みを通じまして、北九州・京築地域への誘客を図っていきます。  次に、ダム観光についてお尋ねがございました。ダムの周辺地域は、自然環境に恵まれておりますことから、南畑ダムや日向神ダムなどにおきましては、キャンプ場や公園もあわせて整備をいたしまして、レクリエーションや憩いの場として利用されているところであります。五ケ山ダムにおきましては、キャンプ場や公園に加えまして、レストランなどの商業施設の整備が今進められているところであります。また、ダムに観光客を呼び込むため、日向神ダムでは桜まつり健康マラソン大会、五ケ山ダムでは五ケ山クロスマラソンなど、地元自治体等が主催のイベントが開催をされてきておりまして、多くの方に参加をしていただいております。さらに、県や京築地域の市町で組織をいたしております京築連帯アメニティ都市圏推進会議におきましては、伊良原ダムやその周辺の観光スポットをめぐるバスツアー、これを企画いたしまして、この十月上旬、五十名の方の参加のもと実施したところであります。これらのイベントやダム周辺の観光スポットにつきましては、県の観光情報サイトでありますクロスロードふくおか等で情報発信をしているところであります。県といたしましては、今後ともさまざまな機会を捉え、ダムとその周辺地域を観光資源として生かすことができるよう、引き続きそれらの情報発信に努めていきたいと、このように考えております。  次に、北九州空港へのさらなる国際線の誘致についてでございます。県におきましては、北九州市、苅田町と連携をいたしまして、平成二十八年度から三年間を推進強化期間と位置づけ、北九州空港への新規路線の誘致活動を強化をしてまいりました。その結果、これまで国際線では仁川、釜山、台北など六路線が相次いで就航いたしまして、平成二十九年度の国際線利用者数は二十八万人を超え、北九州空港としては過去最高を記録したところであります。北九州空港は、東九州自動車道を活用した大分県や山口県へ至る広域観光ルートの起点として高いポテンシャルを有しておりまして、北九州・京築地域はもとより、本県、九州の観光振興を進めていく上で、その利用促進を図っていくことが重要であり、また必要であります。また、福岡空港の過密化や利用時間の制限といった課題がある中、旺盛なインバウンド需要に幅広く応えていくためには、この北九州空港に国際線を誘致していくことが重要であります。このため県といたしましては、引き続き新規路線の誘致に取り組んで、国際線のネットワークの拡充に努めてまいります。このような路線拡大が、北九州・京築地域を含めた県内の観光振興につながるよう、現在北九州空港を利用して県内に宿泊をするツアーに対し助成を行っているところであります。今後、就航先の旅行会社やメディアに対し地域の観光情報を発信をし、航空会社の機内誌、ホームページへの掲載についても取り組んでいきたいと考えております。  次に、民間委託後の両空港の連携でございます。福岡県の空港の将来構想におきましては、北九州空港において二十四時間空港の特徴を生かした早朝、深夜便、LCCの誘致、そして貨物拠点空港として発展させることによりまして、過密化あるいは利用時間の制約といった課題を抱える福岡空港と、この北九州空港との連携、相互補完を進めることで、今後とも増大し、多様化していく航空需要に幅広く応えていくことといたしております。  福岡空港の民間委託後におきましても、この県の空港の将来構想、これをしっかり実現していくため、平成二十六年十一月、国に意見書を出したわけでございますが、その中で要請をいたしまして、国の選定基準に、この将来構想への協力方針というものが提案項目とされたところであります。この国の方針を受けまして、福岡空港の運営会社からは、設立するエアライン誘致専門部署が行う営業活動において、早朝、深夜時間帯や福岡空港の発着枠を超えて就航を希望するエアラインの北九州空港への誘導に取り組んでいくことが提案されているところであります。県といたしましては、この空港運営会社において提案内容が着実に実行されますよう、業務執行上の意思決定を行う取締役会に参画をし、チェック機能を果たしていくとともに、定期的な協議の場を設けることによりまして、十分な意思疎通を会社と図りながら、両空港の役割分担と相互補完が進んでいくよう取り組んでまいります。  次に、観光の担い手となる地域の観光人材の育成についてお尋ねがございました。本県を訪れる観光客の皆様の満足度を高めていくためには、観光資源の磨き上げ、受け入れ環境の整備などに取り組んでいき、魅力ある観光地づくりを進めていく人材の育成が不可欠であります。このため県におきましては、今年度から観光団体等の職員を対象に課題解決型研修、ふくおか観光地域リーダー共創塾と呼んでおりますが、この塾を実施しているところであります。この共創塾では、塾生それぞれが地域の現状を分析いたしまして、その結果に基づき、その地域が取り組むべき課題を設定をいたします。最終的には、その課題の解決に向けた戦略というものを策定し、来年度以降それぞれの地域において、その戦略に基づく施策を実行していただくことにしております。この取り組みを着実に進めまして、観光地づくりの体制強化、人材の育成につなげていきたいと考えております。 52 ◯副議長(畑中 茂広君) 岩元一儀君。 53 ◯六十一番(岩元 一儀君)登壇 知事、御答弁ありがとうございました。何点か意見、要望を申し上げます。  まず、ダム観光の推進については、自治体などの取り組みやダム周辺などの取り組みは始まっていますが、ダム本体を利用したものは、まだまだこれからという印象であります。黒部の例をお出ししましたが、遊覧船は無理だとしても、カヌーでのダム湖観光はできるのではないかと思います。また、もちろんそのダムの果たすべき本来の役割を重視することは当然でありますけれども、安全基準を設けてのダムからの放水は、大変魅力ある観光資源になるのではないかと思いますので、ぜひ御検討をお願いをしたいというふうに要望をいたします。  次に、福岡空港の民間空港後の北九州空港との連携は、福岡空港の運営会社からは、設立するエアライン誘致専任部署が行う営業活動において、早朝、深夜時間帯や、福岡空港の発着枠を超えて就航を希望するエアラインの北九州空港への誘導に取り組むことが提案されているということがわかりました。評価申し上げたいと思いますし、これは、観光面や北九州、京築方面にも有益なものということを感じます。そして、これからもこのことで物を申すことができます。そうした意味で、今回の補正予算で上げられている福岡国際空港への出資は意義あるものと思います。  最後に、県内の観光振興の取り組みについて質疑をしてきましたが、こうした観光振興の取り組みを進め、県全体の観光の底上げを図り、県内地域の活性化やお客様への多種多様なおもてなしを行うためには、県において宿泊税を導入し、観光振興に必要な財源を確保していく必要があります。二〇一九年にはラグビーワールドカップ、二〇二〇年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。また、二〇二五年には大阪での万国博覧会が開催されることも決定されました。今議会の我が会派の宿泊税についての代表質問において知事は、現在、観光振興財源検討会議の報告書をもとに制度設計を行っているところであると答弁され、導入時期については明言を避けられましたが、こうした国際大会を契機に、これからますます多くの外国人観光客が本県に訪れることに期待が寄せられます。ぜひ、知事の強いリーダーシップをもって、観光客に過剰な負担にならない形で、できるだけ早く宿泊税を導入していただきますよう要望し、私の一般質問を終わります。  御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 54 ◯副議長(畑中 茂広君) 大田満君。(拍手) *大田(満)議員質問 55 ◯十一番(大田 満君)登壇 本日の最後の質問をさせていただきます、自民党県議団の大田満でございます。通告に従い、子供医療費支給制度と学童期の虫歯対策について質問いたします。  今、国難とも呼ぶべき人口急減、超高齢化の波が、我が国の社会、経済全体に深刻な影響を及ぼす中で、本県においても少子化の進行は克服すべき重要な課題であります。直近で県が行った、子供等に関する県民意識調査によれば、県民が少子化対策として県に求めるものは、子育てをしている家庭への経済的な支援の充実、これが二七・九%と最も多く、また子育ての悩みや不安の内容については、子供の教育費や稽古事などにお金がかかるが三四・二%と、経済的不安を訴える方が多くなっています。それゆえに子供の健康保持を図る上で、また福祉の増進を図るために必要な医療を容易に受けることができるよう、医療費の本人負担の一部を県と市町村が公費で助成する子供医療費支給制度は、子育て世帯にとって非常に大きな役割を担っていると言えるでしょう。  これまで、我が会派では少子化を食いとめる有効的な施策として、子育て世帯の負担を軽くするよう繰り返し訴えてきました。そのかいあって、本県では平成二十八年十月に制度改正され、それまで入院、通院とも、就学前までであった子供医療費の対象年齢を小学校六年生まで引き上げるとともに、自己負担分を定額とする新制度がスタートしました。これに伴い、当時見直しを図る必要があった県内の三十八市町村でも新たな制度が導入され、県内全ての市町村で対象年齢が小学校六年生まで拡大されました。それから約二年が経過したところですが、ここで、次の三点について、知事にお尋ねします。  まず一点目です。二年前の我が会派の代表質問において吉村悠議員から、子供医療費支給制度において新制度が導入された、その前後の医療費について分析調査を行うべきとの指摘があったところですが、今回の対象枠が拡大したことに伴う医療費等の推移を勘案して、この施策をどのように分析、評価するのか、知事の見解をお聞かせください。  次に、子供医療費支給制度については、実施主体が市町村であり、その対象や自己負担額はおのおのの市町村で決定され、県は一定の基準に従って財政負担をする仕組みとなっております。県内の市町村の状況を見ますと、本年四月時点で、入院については全六十市町村が、少なくとも中学三年生までを対象としておりまして、通院については、十八歳になった年の年度末までを対象としているのが二つの町、中学校三年生までが二十五市町村、小学校六年生までが三十三の市と町であります。このように、既に対象年齢を中学生以上にしている市町村もありまして、少子化対策のより一層の充実という観点から、本県において小学校六年生までである対象年齢を、さらに引き上げる、そのようなお考えがないのか、知事にお聞きします。  三点目に、少子化対策は縦割りで取り組むのではなく、あらゆる方面で連携し、横断的に対策を講じなければ、その解決の道筋が立たない難問でありまして、私は、その解決策として、子供医療費対策が果たす役割は大きいものと考えます。しかしながら、現在子供医療費は自治体が住民を呼び込むための手段として、対象年齢の引き上げや自己負担額の軽減が、各自治体の間で競争となっている側面が見られます。本来であれば、子供医療費は少子化対策の一環として、国家を挙げて国の責務で取り組むべき問題であると思いますが、果たして、国は子供医療費に対してどう考えているのでしょうか。また、現行の子供医療費に対する助成制度は、地方自治体の努力によって運営されているわけでありますが、このまま競争を続ければ、地方自治体の財政を圧迫しかねない、そのような状況に陥るのではないかと危惧されます。  こうした状況を踏まえ、全国都道府県議会議長会では、本年七月の定例総会の決議において、少子化対策、子育て支援の推進は、「国と地方が一丸となって、安心して子供を生み育てることができる環境づくりを強力に進めていく必要がある。」と決議しています。県も国に対して地方の厳しい実情を伝え、少子化対策としての子供医療費の必要性を訴えなければならないと思いますが、知事の見解をお尋ねします。  続いて、私は、これまでに学童期における虫歯予防対策の充実を取り上げ、たびたび質問させていただきました。その際に知事は、学校長や養護教諭などを対象としたフッ化物洗口に対する安全性や効果など、正しい知識の普及啓発の取り組みが進まなかった要因を、フッ化物洗口に対する安全性の理解が関係者の間で十分に得られなかった、このことから、新たに教育委員会と連携する中で、先行的な取り組みを検討することとし、また平成二十九年度からはフッ化物洗口の実施に意欲ある小学校をモデル校として、実際にフッ化物洗口に取り組むとの答弁がされました。  文部科学省の報告によれば、小学校における主な疾病、異常の被患率は、虫歯が五〇から六〇%と、突出した値を示しておりまして、小学生の病気のワーストワンを占めています。ちなみに十二歳児の一人平均虫歯本数は、平成二十九年度において、全国平均の〇・八二本に対し、本県では一・〇本と多く、また直近十年間の虫歯の本数の改善状況を見ると、全国では約五割の改善率であるところを、本県は約三割と芳しくない状況にあります。また、全国的に虫歯は減少傾向にあります。このことについて、厚生労働省では、幼児期から継続的に実施されている集団でのフッ化物洗口等のフッ化物応用の効果であるとしているものの、あわせて都道府県間における地域格差が継続して認められるとの評価もしております。九州各県では、いち早く佐賀県が平成二十五年度に公立小学校での実施率一〇〇%を達成したのに続き、平成二十九年度には長崎県が一〇〇%、熊本県が政令市を除く市町村で一〇〇%、宮崎県が六〇%、大分県が約五〇%の実施状況の中で、本県はわずか一・六%しか実施できていません。そのような背景の中で、全国保険医団体連合会が本年四月に取りまとめた学校歯科治療調査中間報告によれば、全国の小学校において歯科健診で治療が必要とされた子供の、何と五二・一%が未受診、虫歯が十本以上あるなどそしゃくが困難となった口腔崩壊の子供がいる学校が三九・七%という非常にショッキングな調査結果でありました。私は、本県の歯科口腔保健の推進に当たっては、幼児期から学童期までのライフステージにおいて、歯の喪失の原因である虫歯予防対策をより一層効果的に展開するべきと考えます。  そこで最後の質問です。これまでに、県下の小学校に対して、フッ化物洗口の普及啓発やモデル校を選定してフッ化物洗口を実施してこられましたが、モデル校での事業はどのように進められてこられたのか。また、その実施状況をどう評価しておられるのか。あわせて、モデル校でのフッ化物洗口事業が終了した後に、次の展開への取り組みも当然必要であると考えますが、知事の見解をお尋ねします。  以上、子供医療費支給制度と学童期の虫歯対策についてただしてまいりましたが、知事には、本県が抱える課題を確実に克服していくという強い姿勢をお示しいただくことを願い、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 56 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 57 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  子供医療費支給制度の改正に伴う分析、評価でございます。まず、医療費の動向でございますが、改正前後の一年間、その医療費データを比較いたしましたところ、小学生の年間受診回数は一人当たり七・六回から八・〇回にふえ、総医療費は九・五%増加をいたしております。医療費増加の内訳を見てみますと、小学生の医科通院が七・八%増に対しまして、歯科通院は二一・二%増と大幅に増加をいたしております。また、昨年八月、小学六年生までのお子さんを持っておられる保護者を対象にアンケート調査を実施いたしましたところ、制度に対する認知度は八七%、満足度は七九%と、それぞれ高うございまして、この制度が経済的負担の軽減、早期治療による子供の健全な成長の促進に役立っているとの回答をいただいているところであります。県といたしましては、今後とも定期的にデータを取得し、この制度の政策効果などについて検証を進めてまいります。  次に、対象年齢の引き上げでございます。一昨年十月の制度改正におきましては、県全体の医療費助成の底上げを図るため、対象年齢を就学前から小学校六年生まで引き上げるとともに、将来にわたって持続可能な制度といたすために、自己負担の一部を見直したところであります。この改正に伴う市町村への助成額は、平成二十七年度の約三十九億円から、昨年度は五十二億円と大幅に増加したところであります。仮に、小学生と同様の自己負担で、対象年齢を中学三年生まで引き上げた場合、県におきましては約七億円の追加財政負担が必要となり、市町村におきましても、小学六年生までを対象としている団体につきましては、新たな財源の確保というのが必要になります。また、他県における対象年齢を比較してみますと、本県の水準に達していない県が、入院については二十二の団体が、通院については三十二の団体が、私どもの水準に達していないということになってございます。こうしたことから、対象年齢の見直しにつきましては、財源確保の見通し、県内市町村のそれぞれの財政状況、他県の実施状況等も踏まえながら、慎重に検討していかなければならないと考えております。  次に、子供医療費支給制度に対する国の考え方でございます。国は、子供医療費の助成により、窓口負担が軽減されることで、医療機関での受診回数がふえ、医療費の増大につながるとして、窓口負担を軽減をしております市町村に対しては、国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置というものを講じてきておりました。こうした中、県では、市町村による独自の少子化対策の取り組みを支援する観点から、全国知事会等を通じまして、この減額調整措置を廃止するよう、国へ要望を続けてまいりました。その結果、今年度から未就学児への減額調整措置が廃止をされたところであります。子供医療費支給制度につきましては、社会全体で子育てを支援するという理念のもと、住んでいる自治体によって受けられるサービスに違いがないようにしなきゃいかんと思います。本来、国の責任において、全国一律に実施されることが望ましいことであると思います。したがいまして、国による、この制度の創設というものを引き続き働きかけをしてまいります。  次に、フッ化物洗口モデル事業についてお尋ねがございました。県におきましては、学校現場でのフッ化物製剤の調製方法や管理方法等に対する不安を払拭をし、安全性を示すため、実際にフッ化物洗口を行うモデル事業を昨年度から実施をしております。モデル校六校におきましては、学校ごとに設置した検討会におきまして、学校職員のほか保護者代表、市町村教育委員会、学校歯科医等によりまして、洗口液作成や実施の手順について協議を行ってまいりました。その上で、保護者説明会を開催し、同意を得られた児童九三%に対し、週一回の洗口を実施しております。このモデル事業の検証会議におきまして、保護者からは、安全性に対する不安や抵抗感はないとの意見が出され、また地域の歯科医師会、薬剤師会がフッ化物製剤の調製や管理を行うことで、学校側の不安も解消されております。さらに、モデル校におきましては、フッ化物洗口を継続したいと、そういう御意向もございまして、事業は円滑に実施できていると評価をいたしております。  これから先でございますけれども、県教育委員会と連携をしながら、小学校、市町村教育委員会を対象に、この報告会を開催をいたしまして、モデル事業での薬剤の調製方法や管理方法等を紹介をすることによりまして、フッ化物洗口を多くの学校で導入をしていただくよう促してまいります。 58 ◯副議長(畑中 茂広君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  三 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...