↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。阿部弘樹君。(拍手)
*
阿部議員質問
2 ◯四十八番(阿部 弘樹君)登壇
自民党県議団の阿部弘樹です。通告に従い、津屋崎千軒かきの養殖について質問いたします。
津屋崎のカキ養殖は、福岡県の
水産海洋技術センターの指導のもと、
宗像漁協津屋崎支所が地元の水産高校と連携しながら、約六年の歳月をかけて懸命に試験研究に取り組み、その成果が実を結び、一昨年から本格的な養殖が開始されたところであります。水産高校との連携については、以前、私が提案した取り組みですが、地元の水産高校の生徒が、生産者の収穫したカキを磨く作業を手伝うなど生産現場にかかわり、さらに水揚げしたカキの
販売促進イベントに参加するなど、まさに産業体験の場になっており、大変うれしく思います。
さて、昨年七月にポーランドで開催された
世界遺産委員会において、福津市北部に位置する新原・奴山古墳群を含む「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が
世界文化遺産に登録されることが決定したところであり、今後、国内はもちろん海外からの注目も大いに期待される中、その年に、この津屋崎のカキ養殖が始まったことも何かの縁であります。世界遺産の知名度とともに、さまざまな意味で、このカキも大きく育ってほしいと願っております。
さて、本県の水産物には、各地でさまざまな名称がつけられ、その特産品化が図られているところであります。同じ宗像漁協の
鐘崎天然とらふく、有明海の
福岡有明のり、豊前海の豊前本ガニなどが挙げられます。カキでは豊前海一粒かき、糸島かきが非常によく知られていると考えられますが、津屋崎のカキもこれらの地域に負けないよう、まず名称を津屋崎千軒かきと命名されたところです。この名称は、かつての塩の積み出し港として大変栄えておりました津屋崎の
にぎわいぶりが、家が千軒もひしめくようで津屋崎千軒と呼ばれたことに由来し、そのにぎわいを、このカキ養殖を契機に取り戻そうという漁業者の皆様方の願いのもとにつけられたものです。
私は、平成二十五年二月議会の一般質問において、筑前海にカキ養殖を普及させるための県の取り組みについて、さらに津屋崎千軒かきの名称も決定されていない、販売もまだ開始されていない二十八年十二月議会の一般質問において、津屋崎のカキの生育状況や販売に対する県の指導について知事にお考えを聞かせていただいたところです。知事からは、二十五年に試験を実施し、新たな海域でのカキ養殖が可能かどうか検討する、一昨年には、津屋崎のカキは成長、身入りとも良好で、生産拡大や販売に関する指導をしているところであるという答弁がありました。
そこでお尋ねします。まず、筑前海のカキ養殖に対する知事の認識をお答えください。また、津屋崎千軒かきの生産の拡大に対して、県ではどのような取り組みを行っているかお答えください。
次に、カキの販売促進についてお伺いします。幾ら生産が拡大したところで、それが商品として売れないことには養殖を行う意味もありませんし、漁業所得の向上にもつながらないことは言うまでもありません。冬が深まるこの季節に、豊前海一粒かきや
糸島かき目当てにカキ小屋や直売所に多くのお客さんが集まり、週末にはカキ小屋に長蛇の列ができて漁村ににぎわいをつくり出し、地域の活性化に大きく貢献しており、もちろん漁業所得の向上につながっております。地元のカキをPRするため、豊前海一粒かきの生産者は、毎年、北九州市で開催される
かき焼き祭りや行橋で開催される産業祭などのイベントに参加しています。また、糸島かきを提供するカキ小屋では団体客の受け入れのほか、定期的なツアーバスの受け入れなども行っており、昨年度の来客数は五十万人を超え、大変にぎわっていると聞いております。私の地元である
宗像漁協津屋崎支所は、冒頭に申しましたが、背後には昨年登録された
世界文化遺産を抱え、さらに大都市である福岡市から車で一時間程度と近い利便性を有しております。このような有利な条件を生かし、お客さんに津屋崎千軒かきを現地に来て、見て、買ってもらうためには、積極的に宣伝活動を行っていくことが必要であると思います。
そこで知事にお尋ねします。津屋崎千軒かきの販売を促進するため、県では漁協に対してどのような取り組みを行っているかお聞かせください。
最後になりますが、筑前海のカキの養殖の普及から始まり、津屋崎千軒かきの生産が始まって、わずか二年でありますが、今後、他産地のカキに負けないような特産品になりますよう、県としてしっかりと指導を続けていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
筑前海のカキ養殖に対する認識と、御指摘のありました津屋崎千軒かきの生産拡大でございます。カキ養殖は、漁場が近い、そのことから使用する燃料が少なく、大きな設備投資も必要としないために生産コストが低く、魚類の養殖に比べまして収益性の高い養殖業であると、このように考えております。筑前海は波が荒いために、県ではその養殖を希望される漁業者に対しましては、波の穏やかな適地を選定し、カキの養殖の導入を進めてまいりました。津屋崎におきましては、県の指導のもと漁港内に適地を選定をいたしまして、平成二十八年度からいかだ一台でカキ養殖が開始をされたところであります。県におきましては、この生産の安定を図っていくため、カキの餌となりますプランクトンの量、またカキの生育状況などについて調査をいたしまして、漁業者へ迅速にその情報を提供してまいりました。また、作業を省力化するため、漁協に対しまして、つるしたカキを巻き上げる機械の導入でありますとか、収穫したカキに付着したフジツボなどを落とすための作業場の整備について御支援をしてきているところであります。これらの取り組みによりまして、いかだの台数は昨年度の三台から、本年度は五台まで拡大をされておりまして、十トンを超える品質のよいカキの生産が見込まれているところでございます。
津屋崎千軒かきの販売促進でございます。カキの販売を進めていくためには、生産、出荷段階での衛生管理の徹底が重要であります。このため県におきましては、漁協に対し、カキに付着する細菌数の定期的な検査や紫外線で殺菌した海水を用いてカキを浄化する処理方法などについて指導するとともに、これに必要な装置の整備を支援をしてまいりました。また、その認知度を向上させていくため、一昨年度から、漁協が
県立水産高校と連携して行っておりますカキの試食、
販売イベントを支援しております。昨年度からは、福津市や観光協会によりまして、地元飲食店でカキを用いた料理を提供する津屋崎千軒かき巡り、これも開催されておりまして、県はこれらのイベントを
メールマガジンや情報紙などで広く広報に努めているところであります。さらに販路につきましても、漁協の直売所に加えまして、カキ小屋をつくって販売をしようということで、そのためその設置から運営方法まで指導を行いまして、その結果、昨年度からカキ小屋の営業が開始されているところでございます。
5 ◯議長(井上 順吾君) 原中誠志君。(拍手)
*
原中議員質問
6 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 国民民主党・
県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従いまして一般質問を行います。今回の質問項目は、
人口減少社会における本県の都市の
スポンジ化対策についてと、水道法の一部改正に伴う本県の対応についてであります。
最初の項は、
人口減少社会における本県の都市の
スポンジ化対策についてであります。私は、昨年二〇一七年二月定例会において、
人口減少社会における本県の住宅政策のあり方について質問し、人口や世帯数が減少していく中において、建てかえではなく新たな土地に住宅が建設される一方、都市部にあっては駅前や中心市街地、そして
高度経済成長期につくられた住宅地などで
スポンジ状態が進み、空き家も埋まらない、町の低密度化、都市の
スポンジ化が進んでいる現状について知事の認識を問うたところであります。さらに、その空き家の増加を抑制するためにどのような取り組みを行うのか、今後の
人口減少社会、超高齢化社会における本県の
都市づくりの課題についてどのように認識されているのかについても、あわせて知事の認識を伺ったところであります。この問いに対し知事は、市街地の拡散や低密度化など都市を取り巻く諸問題を踏まえ、本県では二〇一六年度、福岡県
都市計画基本方針を改定をし、拠点と
公共交通軸沿線に居住機能と都市機能の誘導を図っていく持続可能な
都市づくりに取り組んでいるとして、
土地利用規制や開発許可などの
都市計画制度を適切に運用するとともに、
市町村職員を対象とした制度運用に関する研修会や、市町村間で課題を共有し連携を図るための勉強会を開催していると答弁されたところであります。また、計画的に居住機能や都市機能の誘導を図るための
立地適正化計画の策定を市町村に促し、技術的助言や計画策定に向けた取り組みへの補助を行っていると答弁されたところであります。
そこで、この質疑応答を踏まえ、まず以下二点質問をいたします。
市町村職員を対象とした制度運用に関する研修会や、市町村間で課題を共有し連携を図るための勉強会は、具体的にどのように開催されたのかお聞かせください。
次に、市町村に対し、
立地適正化計画の策定について技術的助言や計画策定に向けた取り組みへの補助を行っているとのことでしたが、
県内市町村において
立地適正化計画の策定状況はどうなっているのかお答えください。
さきにも述べましたが、私は昨年の二月定例会において、町の低密度化、都市の
スポンジ化について指摘し、対策を講じるべきだと提言をしてきたところであります。国土交通省が指摘する
人口減少社会を迎えた日本においては、地方都市を初めとした多くの都市において空き地などの低未利用地がランダムに発生する都市の
スポンジ化が進行しており、生活利便性の低下や居住環境の悪化により、コンパクトな
まちづくりを進める上での重大な障害となっているということであります。この指摘については、私が質問した趣旨のとおりであります。
そこで知事に三点目の質問をいたします。改めて、本県内の地方都市における都市の
スポンジ化について、どのような認識をお持ちなのかお答えください。
国は本年四月に
都市再生特別措置法を改正をし、低未
利用土地権利設定等促進計画制度を創設して、低未利用地の地権者と利用希望者とを行政が能動的にコーディネートし、所有権にこだわらず複数の土地や建物に一括して利用権を設定をする計画を市町村が策定できるようにしました。また、
土地区画整理事業における
誘導施設整備区制度を創設し、例外的に従前の宅地の位置と離れた場所に換地することで低未利用地の柔軟な集約ができるようにするとともに、補助交付の面積要件を二ヘクタールから〇・五ヘクタールに引き下げました。このように、都市の
スポンジ化に対応して土地の再編や集約を通じて、低未利用地を有効に活用するためのさまざまな施策が講じられているところであります。
また、国土交通省は本年十一月二十日に、
誘導施設整備区制度を活用した
土地区画整理事業として創設された
空間再編賑わい創出事業などを含む、小規模で柔軟な
区画整理活用ガイドラインを策定し公表したところであります。この
ガイドラインは、地方都市を初めとした都市の
既成市街地で進行する都市の
スポンジ化について、その対策に取り組む
地方公共団体、
民間事業者等を支援するためのものであります。国土交通省は、都市の拠点となるべきエリアにおける都市の
スポンジ化対策として、
空間再編賑わい創出事業等のさまざまな区画整理の手法を組み合わせながら、小規模でも素早く空き地等を集約し、医療、福祉施設や子育て施設などの導入を図ることが有効であるとしています。
今回新たに導入された
誘導施設整備区と、
既成市街地の拠点エリアにおける代表的な手法である市街地再開発事業区と
高度利用推進区との違いは、空き地等の集約化による
誘導施設整備の促進を明確に示している点にあります。これまでの区画整理は、長年の
土地区画整理事業の実績の積み重ねの中で、事業地内のそれぞれの土地の位置や環境等が事業の前後で同じ状況を保つことを原則とする、いわゆる照応の原則など画一的な運用がなされてきたのが実情です。今後の
既成市街地の再生に当たっては、事業目的や地域の状況に応じた柔軟な区域設定と集約換地等、既成概念にとらわれない小規模、短期間、民間主導等のやわらかい区画整理の活用が求められています。しかしながら、その手法として、
敷地整序型土地区画整理事業、大街区化、
小規模連鎖型土地区画整理事業など幾つもの手法が示されており、実際にどの手法を適用すれば効率よく積極的に土地の集約、再編が行われるのか、市町村がわからないといったことにもなりかねません。
そこで知事に質問いたします。この小規模で柔軟な
区画整理活用ガイドラインについて、県内の市町村に対し周知を図り、活用を進めていくとともに、
土地区画整理事業を実施するに当たり、さまざまな手法のうちどれが当該地域にとって一番有効かつ効果が上がるのか、県として助言する必要があると考えますが、知事のお考えをお示しください。
都市の
スポンジ化の進行は、必要な
生活サービス施設が失われるなど生活利便性の低下、日常的な管理が行われない土地や建物がふえることによる治安、景観の悪化などを引き起こし、地域の魅力、価値を低下させるものであり、これによってさらに
スポンジ化を進行させるという悪循環を生み出す可能性があります。このことは、持続可能な都市構造への転換に向けたコンパクト・プラス・ネットワークの取り組みを進める上で重大な支障となっているところであります。このような負の連鎖を断ち切り、コンパクトでにぎわいのある
まちづくりの一層の推進を図るためには、従来の規制的な
土地利用コントロールに加え、低未利用地の利用促進や発生の抑制に向けた適切な対策を講じることが必要と考えます。
そこで知事に質問いたします。県として都市の
スポンジ化対策にどのように取り組んでいくのかお答えください。
次の項は、水道法の一部改正に伴う本県の対応についてであります。政府は、
人口減少社会の到来、上水道の管路等の老朽化の進行、更新のおくれ、自然災害による水道被害の多発、水道事業に携わる職員数の減少という国内情勢を受け、二〇一七年一月に開会された第百九十三回通常国会に
水道法改正案を提出いたしましたが、この国会では審議入りできず、審議未了、廃案となりました。その後、同年秋の第百九十四臨時国会で再び法案が上程されましたが、その日の午後に衆議院が解散をされたため、同法案は審議入りすらせずに、完全に廃案になりました。そして、本年一月召集の第百九十六通常国会に同じ内容の法案が提出されましたが、衆議院では、
衆議院厚生労働委員会で審議入りをし、本年七月四日に委員会での審査を終えて、七月五日に与党の賛成多数で可決し、参議院に送られていたところであります。しかし、第百九十六通常国会でも審議未了、継続調査とされ、本年秋に開会された第百九十七臨時国会に、閣法として参議院に水道法の一部を改正する法律案が提出されていましたが、十二月五日可決し、十二月六日衆議院本会議において採決が行われ、可決、成立したところであります。
今回の
水道法改正では、自治体が公共施設の所有権を持ったまま運営権を民間企業に売却できる
コンセッション方式というのがクローズアップされているところであります。この
コンセッション方式については、二〇一一年六月に民間資金等の活用による
公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法が改正をされ、
公共施設等運営権という権利が新たに創設されたことにより、自治体が公共施設の所有権を持ったまま運営権を民間企業に売却できる、すなわち
コンセッション方式が導入されたわけであります。
そこで知事にお聞きいたします。この
コンセッション方式では、具体的にどのような公共施設が対象となるのかお答えください。
この間、日本の
公共サービス分野では、欧米のように運営権を
民間事業者に設定をして事業を実施させる
事業実施形態、法制度はこれまで存在していませんでした。今回の
水道法改正では、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、五つの柱が示されているところであります。そのうち具体的に、都道府県の責務、講ずべき措置については、一つには
水道事業者間の広域連携の推進、そしてもう一つが
コンセッション方式の仕組みを活用をし、水道事業について
公共施設等運営事業を実施する権利として
水道施設運営権を設定をし、
民間事業者による水道の管理、運営を可能にするというものであります。すなわち、全国的に水道施設の老朽化が言われて久しいところであり、長寿命化等の
水道事業関連資産の適正な管理を行うとともに、官民連携を通じて民間の資本も活用しつつ施設の更新、運営等を行うことができるようにするというものであります。
このような経過を踏まえ、知事に二点目の質問であります。県として、
県内市町村及び
水道事業者の経営状況をどのように把握しておられるのかお聞かせください。
その上で、水道事業の経営が自治体財政を圧迫させるような実例があるのかないのか。あるとすれば、県はどのような指導並びに相談、協議を行っているのかお聞かせください。
今回の改正案では、経営悪化が懸念をされる水道事業の基盤強化が強調され、水道を運営する自治体などに適切に資産管理を求め、事業を効率化するために広域連携を進めるとともに、官民連携の推進を図る
施設運営権利制度が導入されたところから、水道事業の民営化が大きくクローズアップされ、国民、県民の間に、水道が民間に売り渡されるという不安の醸成につながっていっているわけであります。水道事業のポイントは、今後も安価で、安心、安定して水を供給し続けることのできる水道事業をいかに永続していくかということにあります。今回の
水道法改正こそ、こうした趣旨での議論であるはずだったと思います。今後の水道事業に当たり、営利を求める
民間事業者が受託することのできる
公共施設運営権の導入は、自治体が導入を判断し、厚生労働省または県の許可を受けるとされています。
そこで知事にお聞きいたします。今回の法改正の柱の一つである広域連携の推進について、本県としてどのような措置を講じるのかお示しください。
これまで
コンセッション方式については、下水道では本年四月に浜松市が初めて取り入れ、
ヴェオリア社日本法人などが参加する運営会社が、二十年間の運営権を二十五億円で手に入れています。水道ではまだゼロということですが、今回の法改正により、水道施設に関する
公共施設等運営権を
民間事業者が受託できる仕組みが選択肢として導入されています。そのことが、
水道民営化というステレオタイプ的な報道とも相まって、
公共施設等運営権を受託した
民間事業者は、自治体が技術や知識を失ってしまう中で、詳細な経理状況を開示せず、収支不足を理由に施設の維持修繕、改築更新を行わずに利用料金の値上げを迫るのではないか、過疎地の水道は切られてしまうのではないかといった住民不安につながっていると考えます。したがって、自治体並びに
水道事業者は安易に
コンセッション方式を選択するのではなく、まずは多様な広域連携による事業継続を模索することが住民の不安の解消や安心、安全、安定的な
水道事業運営につながると考えます。
そこで知事にお尋ねします。今回の法改正の肝と言える部分は、まさにこの
コンセッション方式にあると思いますが、この
コンセッション方式の導入について知事の認識をお聞かせください。
以上、知事の真摯な答弁をお願いいたします。(拍手)
7 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
持続可能な
都市づくりに向けた研修会等の開催でございます。県におきましては、毎年、
市町村職員を対象に、国の動向や県の取り組みを説明をいたします
実務基礎研修を年度当初に開催をいたしております。これとあわせて、最新の都市計画に関する情報提供や具体的な
まちづくりの事例紹介等を行います専門研修というものを年五回程度開催をさせていただいております。また、市町村の区域を越えた生活圏単位の連携を進め、町の
にぎわいづくりと
地域公共交通の維持、充実を図るために、県、市町村、
交通事業者による地域ごとの勉強会というものを開催をしております。今年度は行橋市、みやこ町、
地元交通事業者とともに
公共交通沿線の
まちづくりに関する勉強会を開催したところであります。今後とも、これらの研修会や勉強会を開催をいたしまして、
都市計画制度に関する
市町村職員の
スキルアップを図るとともに、市町村間の連携による課題の解決に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、
県内市町村の
立地適正化計画の策定状況でございます。県では、平成二十六年の
都市再生特別措置法の改正により位置づけられました
立地適正化計画について、他に先駆けて策定をする市町村を支援するため、平成二十七年度から二十九年度にかけまして計画策定のための
基礎調査費用の補助を行いました。現在、この補助を受けた市町を含め七つの市町が計画を策定し、公表を行っておりまして、このほか六つの市が策定に取り組んでいるところであります。
次に、県内の地方都市における
都市スポンジ化についての認識でございます。県内の多くの地域におきましては、既に人口減少が始まっておりまして、
既成市街地においても空き家、空き地これが増加をし、いわゆる都市の
スポンジ化の現象が見受けられるところであります。こうした状況は、医療、福祉、商業等のサービスの縮小、撤退によります利便性の低下、
行政サービスや
生活インフラの維持管理の非効率化を招き、さらには町なかに管理が放棄された空き家や空き地がふえることによります治安の悪化、災害時の危険性の増大などにつながるおそれがございまして、持続可能な
都市づくりに支障になるものと認識をいたしております。
小規模で柔軟な
区画整理活用ガイドラインについてお尋ねがございました。国では、都市の
スポンジ化対策といたしまして、新たに作成をした
ガイドラインをことしの十一月二十日にホームページで公表いたしております。今後は、全国で自治体担当者を対象に、その説明会を実施する予定でございます。このため県におきましては、市町村に対し、この国が開催する説明会への参加を呼びかけるとともに、毎年実施をしております
市町村職員を対象とした研修会を通じて、この
ガイドラインが活用されるようその周知をしてまいります。また、今後実施する
土地区画整理事業につきましては、市町村や事業予定者に対しまして、計画の段階から
ガイドラインを踏まえ、その地域の課題やそれぞれの個別の特性に合わせた技術的助言を行ってまいります。
県における都市
スポンジ化対策でございます。国は、
都市スポンジ化が持続可能な
都市づくりを進める上で重大な支障になる、その認識から、ことし四月、
都市再生特別措置法を初め関係法令を一括して改正をいたしまして、空き家、空き地等の集約などにより土地の利用の促進を図るためのさまざまな制度を創設したところであります。市町村がこれらの制度を活用するためには、まず
立地適正化計画を策定をし、居住誘導区域や都市機能誘導区域を定めることが必要になります。このため県といたしましては、市町村に対し、この新たな制度の説明を行いますとともに、引き続き
立地適正化計画の策定、これを促してまいります。また、県では今年度から、住民や事業主等が居住誘導区域内の空き家や空き店舗等を活用して行う
まちづくり活動、これにつきまして、市町村とともに支援する独自の事業を実施しているところであります。今後とも、都市の
スポンジ化に対応するため、研修会、勉強会におきまして国の制度の説明や全国における優良な取り組み事例の紹介を行うとともに、地域の個別の課題に応じた具体的な技術的助言を行うなど市町村を支援してまいります。
次に、
コンセッション方式の対象となる公共施設についてでございます。
コンセッション方式は、民間資金等の活用による
公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法と申しますが、この法律に基づきまして施設の所有権を公共主体が有したまま運営権を
民間事業者に設定する方式でございます。利用料金の徴収を行う
公共施設等がその対象になります。具体的には、PFI法第二条に規定をいたしております空港、水道、下水道等の公共施設、賃貸住宅、教育文化施設等の公益的施設、これらが対象となります。
次に、市町村及び
水道事業者の経営状況でございますが、県におきましては、毎年度、総務省の地方財政状況調査及び地方公営企業決算状況調査によりまして、それぞれの市町村の財政状況また水道事業の経営状況の報告を求め、把握を行っているところであります。平成二十九年度のこれらの報告によりますと、全ての水道事業において資金不足は生じておらず、良好な経営状況にございます。一方で、人口減少が進む中、利用者が思うようにふえないことなどを理由といたしまして、給水にかかる費用を料金収入で賄い切れず、市町村の一般会計から水道事業の損益勘定に繰り入れをしている例がございます。平成二十九年度は二市二町その例がございますけれども、いずれも当該市町村の財政は健全化判断比率の基準を満たしておりまして、健全な財政というものを維持しているところであります。県におきましては、これらの市町の
水道事業者に対しまして、適切な料金設定、料金収納率の向上等によります収入の確保、施設管理の委託、漏水対策によります費用の削減など、その経営の健全化に向けた助言を行っているところでございます。
次に、広域連携の推進についてお尋ねがございました。人口減少に伴う料金収入の減少、施設の老朽化に伴う対策費用の増大など水道事業の経営の悪化が懸念されております中、将来にわたって水道事業が持続的、安定的に水道を供給していくためには、水道の経営基盤の強化が必要であります。水道の広域連携の推進というのは、そのための有効な方策の一つであると、このように認識をいたしております。広域連携につきましては、これまでブロックごとの検討会の開催、個別の協議を通じまして広域連携に向けた具体的な検討を行うよう各
水道事業者に対し促してきたところであります。その結果、田川地域におきましては、田川地区水道企業団とその構成団体であります一市三町が平成三十一年度に統合する予定となっております。今回の水道法の改正によりまして、都道府県に広域連携推進の努力義務が明確化されたところでございまして、今後とも田川地域の広域化をモデルケースといたしまして、広域連携の動きが他の地域にも広がっていくよう、
水道事業者に対し助言や支援を行ってまいります。
次に、
コンセッション方式の導入についてでございます。
水道事業者が水道施設の所有権を所有したまま運営権を
民間事業者に設定をする
コンセッション方式につきましては、
民間事業者の経営上のノウハウや技術的能力を活用することによりまして、質の高い公共サービスの提供が可能となるなどの効果が期待されることから導入されたものであると考えております。水道事業への
コンセッション方式の導入は、経営の悪化が懸念される水道の基盤強化を図るために設けられた制度でございまして、
水道事業者にとりましては選択肢を広げるものであると、このように考えております。
9 ◯議長(井上 順吾君) 原中誠志君。
10 ◯三十六番(原中 誠志君)登壇 知事に今、答弁をいただいたところであります。最後に一件、知事に要望させていただきたいと思います。
今回の
水道法改正は、
人口減少社会が背景にあるということを示したところであります。人口減少に伴い日本の有収水量は二〇〇〇年をピークに減少に転じ、二〇四〇年には有収水量がピーク時より約四割減少、約百年後にはピーク時より約七割減少と。さらに水道事業は独立採算制を旨としており、原則水道料金で運営されているところでありますけれども、人口減少に伴い給水量が減少し、水道事業の収益が減少することによって水道事業の経営状況は厳しくなっていく。そして経営状況の悪化により、施設の更新など必要な投資が行えず、老朽化が進行する。また、過度なコスト削減に伴う水道職員の削減による体制の弱体化により水道施設の維持管理が困難となり、漏水等の事故が増加するなど水道サービスの低下が懸念されているところであります。
私は前段の質問で、人口減少が進む地方都市においては都市の中心地であっても、町の低密度化、都市の
スポンジ化が進んでいることを指摘いたしました。そうした中で、郊外の住宅地、中山間地、限界集落と言われる地域においても、そこに一軒でも、一人でも居住者がいる限り、自治体として上水道を通さなければならない、そういう使命があります。そうした行き届いた公共サービスがあってこそ、私たちは、日本に生まれ住んでよかった、日本はすばらしい国だということを実感するわけであります。
安価で、安心、安全、安定的な水の供給という地域公共サービスを守るためにも、今回の水道法の改正が地方や過疎地域の切り捨て、水道事業の安易な民営化につながらないよう、県として、県内の水道事業をしっかり守っていくという強い決意で今後も取り組んでいただくことを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)
11 ◯議長(井上 順吾君) 西尾耕治君。(拍手)
*西尾議員質問
12 ◯二番(西尾 耕治君)登壇 公明党の西尾耕治です。それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。
近年、大規模な自然災害が激甚化、そして多発化しております。ことしに入って、大阪府北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震などにより、各地に甚大な被害を与えております。私ども公明党は、以前より、防災・減災ニューディールを提言し、国土強靭化基本法の成立を初め、災害に強い国・地域づくりに、全力で取り組んでまいりました。党としては、九月三十日に行われた全国大会において、山口代表より、今こそ、命を守る防災、減災が、政治、社会の主流でなければならない、生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義を掲げる公明党は、防災の党として、その先頭に立ち、国、自治体、各地域での取り組みを前進させていくと述べられています。ことしの春には、百万人アンケート訪問・調査運動を行い、防災、減災の項目では、たくさんの皆さんが、地域の不備な点や危険な箇所の指摘や、改善希望事項をかなり触れられていました。また、近年では、防災、減災だけではなく、災害に備えるという意味の備災と言う定義が出てきております。このことについては、民間の企業がこの定義のもと、具体的に自治体と連携をとりながら進めているところも県内にあり、今後の大事な視点の一つだとも言えます。そこで、本県の防災、減災、備災対策について、何点かに絞って質問いたします。
初めに、総合治水対策についてです。ことしの平成三十年七月豪雨や台風二十一号などが各地に甚大な被害をもたらしました。総合治水対策とは、従来の河川対策に加え、さまざまな施策を組み合わせて被害を軽減する手法で、雨水を素早く安全に流す河川、下水道対策に加え、一時的にためる流域対策、あらかじめ備える減災対策を組み合わせた水害防止の考え方です。兵庫県では、この件についてかなり積極的に推進しております。県内の各市町村だけではなく、事業者、県民の協力を得ながら推進するために、条例を制定していると聞きます。本県においては、この条例に基づく取り組みには至っていないと思いますが、河川事業や下水道事業による、いわゆる流す対策と、洪水浸水想定図や洪水ハザードマップなどを避難判断情報として活用する、いわゆる備える対策が実施されております。また、ためる対策につきましても、学校グラウンドの一時貯留を行っているところがあったり、開発者に対して、開発行為により増加する雨水の流出を抑制するために、雨水を一時的に貯留する調整池の設置を求めたり、また一部自治体では、雨水貯留タンク設置への助成金により貯留対策を促していると聞いております。このように、総合的な治水対策を進めていくならば、民地や公共施設の面的な活用が必要となってくるため、法整備も必要だと考えられます。特に、近年の異常とも言える集中した降雨の状況から、あふれる可能性のある河川は多いとも思われることから、条例制定の方向性が望まれるところであります。
そこで、河川の計画において、総合的な治水対策の考え方を入れていくべきと考えますが、どのように考えておられるのか伺います。
次に、七月の西日本豪雨で、ため池の決壊被害が予想以上だったことから、農林水産省が、防災重点ため池に関しての対応策を発表しております。内容の一つは、その防災重点ため池の見直しを都道府県に促すものであります。今後、本県においても、この対応策に基づき防災重点ため池の選定など検討されるものと思われます。まずは、昨年に引き続き豪雨災害を受けた本県では、防災、減災、備災に対応したため池に整備していくことが必要と思いますが、今後、どのような考えでため池の整備を進めていくのかお伺いいたします。
次に、災害時における緊急給油体制についてであります。平成三十年七月に発生した豪雨災害の被害状況を見ますと、人的被害はもちろん、家屋、道路、河川、橋梁、土砂災害の被害内容は多岐にわたっております。現在では、八年前の東日本大震災以降、大規模災害発生時に応急対策用の緊急の車両の出動要請は重要であり、あわせて、その燃料供給体制の整備が求められていると思われます。茨城県では、東日本大震災における燃料不足の混乱を踏まえ、県、市町村、医療機関などが、あらかじめ災害応急対策車両を指定し、優先順位に応じたステッカーを備えておく取り扱いを定めています。
そこで、本県では、災害応急対策車両の事前指定は行っているのかお伺いいたします。
また、指定した車両には、順位に応じて色分けしたステッカーなどを支給して、災害時には一目でわかるように、車両につけたり、見やすいところに設置してもらうといったことを考えてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。県で行うことによって県内の各市町村も参考にできるし、県内の統一した形ができれば、県民の皆さんへの啓発と、明らかに緊急車両と認識できる警察車両、消防車両以外の、緊急物資や災害ごみの運搬車両などの災害応急対策の車両の存在に対しての御理解へとつながることになると思われますが、いかがでしょうか。県として、今後についての考え方をお伺いいたします。
また、災害応急対策車両に優先的に給油してくれる優先給油所の指定はあるのか伺います。
さらに、給油に関しては、優先給油対象や給油の順位などを系統立てて決めているのかお伺いいたします。
また、本県では、災害発生時に、県民の生命の維持、ライフラインの迅速な復旧を図るため、業務を継続することが必要な施設である重要施設への燃料供給体制の整備については、どのように考えているのかお伺いいたします。
次に、ソフト面での災害対策の充実の件で、マイタイムラインの作成についてであります。先々月十月十三日は国際防災の日でした。今、防災は、国際社会においては大きな関心を集めるテーマとなっております。そして、今や防災は、国だけではなくて、地域や民間の力が不可欠であり、私たち一人一人の課題でもあります。災害のたびに指摘されているのが、住民の逃げおくれです。このことは、逃げる気持ちが住民にあっても、実際の行動に移す難しさを示しています。そこで、逃げる力を育むために、他県では、災害時に個人がとるべき避難行動を時系列にまとめた計画、マイタイムラインづくりが進んでおります。これは、行政などで策定が進んでいるタイムラインの個人版と言えるもので、作成のポイントは三点あり、一つ目は、地域のハザードマップなどを参考にして、自分が住んでいる地域のリスク(危険性)を調べ認識する。二つ目は、自分がとるべき行動を時系列に沿って一覧表に書き込んでいくこと。三つ目として、地域の状況は、時間の経過と同様に変わっていくため、定期的に更新していくことが重要であります。また、茨城県においては、国の河川事務所が、子供たちに教育の場所で啓発するために、台風時における洪水を想定とした、小中学生向けの防災学習教材として開発した逃げキッドを活用しています。この逃げキッドを活用してのマイタイムラインの作成講座は好評を博しており、現在まで、七千四百人の子供たちがマイタイムラインを作成しているとのことです。
本県においても、二年連続の洪水被害を踏まえ、洪水に対するマイタイムラインの作成を初めとする個人の避難を促す取り組みを今後、推進していく必要があると考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
また、今後の課題として、このマイタイムラインを初めとする取り組みによって、広く県民へ洪水時に適切な避難行動がとれるよう啓発すべきと思いますがいかがでしょうか伺います。
また、今後は、学校の教育現場でも、子供たちへの防災教育の一つとして、このマイタイムラインを初めとする取り組みの必要性について啓発し、推進していくことが重要だと考えますがいかがですか、お伺いいたします。
河川工学の専門家として災害対策などの研究に励むとともに、行政の各種委員会の要職を歴任されておられる九州大学名誉教授の小松利光先生は、このように述べられておられます。依正不二という法理があります。人間を取り巻く一切の環境を意味する依報と、生を営む主体、人間を指す正報が、不二、すなわち分かちがたく関連しているということです。自然環境と人間は、互いに深いところで支え合い、結びついていると洞察します。また、自然と人間がつながり合っているということは、私たち人間の内なる一念の変革によって、自然環境に影響を及ぼし、そこに変革をもたらすことができるとも考えられるでしょう。地球環境の問題といっても、そこに暮らす人々の意識改革が何よりも必要であり、自然との調和と共生を目指す価値観を広げていかなくてはならないと私は思います。もちろん、公助は今後も必要でしょう。しかし、とうとい人命を守るためには、公助だけに頼るのでは不十分であることは、さまざまな災害の事例を見ても明らかです。これからは、私たち一人一人が主体的になり、それぞれの地域における自助、共助の仕組みを強化して、自助、共助の力をフルに発揮できる環境を地域社会に築いていかなければなりません、と言われております。
知事、職員の皆様におかれましては、自助、共助を支える公助にしっかりと取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
13 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
総合的な治水対策の考え方を入れた河川の計画でございます。総合的な治水対策には、河川、下水道の整備といったハードの対策、洪水ハザードマップの周知といったソフト対策だけではなく、流域内で雨水を貯留、浸透させ河川への流出を抑制する流域対策も必要でございます。例えば、本県におきましては、市街化が進んだ都市部を流れております樋井川において、農業用ため池を治水に活用するといった流域対策を計画に入れているところであります。河川の計画を策定する際には、市街地の密集度、過去の被害状況などを勘案しながら、関係自治体と協力をして、効果的な流域対策について検討を進めてまいります。
次に、豪雨災害を踏まえたため池の整備でございます。県におきましては、これまで、ため池堤体の形状変化や漏水度合いなどを踏まえまして、関係市町村と協議を行い、計画的にため池の整備を進めてまいりました。こうした中、昨年の記録的な豪雨により堤体が決壊、流失したことから、被災後の十一月に、国の研究機関や専門家などと意見交換を行いまして、豪雨時のため池の安全性の確保のためには、水位調整を行う洪水吐きの規模、構造、これが極めて重要であるとの意見をいただいたところであります。これを受けまして、県におきましては、ため池の整備に当たっては、堤体の形状変化などだけではなく、洪水吐きの規模、構造も十分考慮して改良していく考えで、現在それを進めているところであります。今年度は、十一カ所のため池で、これまでの堤体の改修に加えまして、洪水吐きを豪雨時に下流に水を流せる規模にするとともに、流木等がこれを閉塞しない構造に見直しをしまして、その整備を進めております。また、豪雨に備えた水管理を強化するため、IoTを活用しまして、ため池の水位等の情報を現地に行かずに随時把握できるシステムを開発をしているところであります。
次に、災害時における緊急給油体制でございます。県におきましては、災害発生時に、災害対策基本法に基づき災害応急対策に従事する車両を緊急通行車両に認定をいたしまして、法令に定められた様式の標章、いわゆるステッカーを交付することといたしております。緊急通行車両は、大規模災害の発生による交通規制が行われた場合でも、消防、警察車両と同様に、災害応急対策を行うため規制区域内を通行できることになります。本県におきましては、茨城県が行っているような災害応急対策車両の事前の指定や給油の優先順位の設定は行っていないところであります。緊急通行車両への燃料の優先供給につきましては、平成二十七年十一月に、福岡県石油商業組合との間で締結をしております災害時における石油類燃料の供給に関する協定において、これを定めております。また、この協定におきまして、災害対策本部となります庁舎、指定避難所、医療機関、社会福祉施設など災害対策上重要な施設への燃料の優先供給についても、この協定に定めているところであります。御質問にありました災害応急対策車両の事前指定や給油の優先順位の設定につきましては、他県の事例を参考といたしまして、また石油商業組合や車両を使用する関係機関などの御意見もいただきながら、今後、研究していきたい、このように考えております。
次に、洪水に対するマイタイムラインの作成を初めとする個人の避難を促す取り組みについてお尋ねがございました。あらかじめ自分の逃げ方を時系列で整理した行動計画でありますマイタイムラインの作成は、先駆的な事例として国土交通省関東地方整備局、茨城県、関係市町などで構成する大規模氾濫減災協議会において取り組まれております。住民一人一人が災害時に逃げおくれないためにも、個人の避難を促す取り組みというのは有効でございます。このため本県では、プッシュ型の防災メール・まもるくんの活用に加えまして、危機管理型水位計や監視カメラを増設をし、その情報をスマートフォンで確認できるようにすることなどによりまして、住民の皆さんの避難を促す取り組みを進めているところであります。今後は、さらに個人の避難を促すマイタイムラインといった取り組みについても情報収集に努めてまいります。
次に、適切な避難行動をとるための啓発についてでございます。本県におきましては、被災リスクに対する認識や防災意識の向上を図るため、県独自の自助行動のすすめというパンフレットを作成をし、県のホームページへの掲載、県や市町村が実施する防災イベントでの活用などによりまして、県民への周知を図っております。本県といたしましては、今後も、このような取り組みに加えまして、マイタイムラインといった先駆的な取り組みの状況を踏まえ、啓発活動の充実に努めてまいります。
学校教育におけるマイタイムラインを初めとする取り組みの必要性でございます。県内七圏域の大規模氾濫減災協議会におきましては、小中学校の防災教育を支援するため、河川氾濫などの仕組みや避難に当たっての注意点について、子供たちが興味を持つように、わかりやすいイラストを用いた教材を提供することといたしております。本県におきましては、今後も、マイタイムラインといった先駆的な取り組みについて情報収集を行いつつ、引き続き、子供たちが興味を持つような防災教育というものに努めてまいります。
15 ◯議長(井上 順吾君) 吉武邦彦君。(拍手)
*吉武議員質問
16 ◯三十二番(吉武 邦彦君)登壇 お疲れさまです。食と緑を守る緑友会・立志福岡県議団の吉武邦彦です。よろしくお願いします。
離島振興について質問をいたします。離島とは、離島振興法の基準に基づき指定された有人の島で、本県においては八つあります。このうち、私の地元宗像市の大島、地島は、どちらも神湊から二十分程度で渡れる島であります。大島は、周囲約十六キロ、人口約六百人の島で、基幹産業の漁業に加え、最近は観光スポットとしても注目されています。特に、釣りやプレジャーボートが楽しめる、うみんぐ大島、世界遺産を構成する宗像大社中津宮、沖ノ島を海を隔てて参拝するための沖津宮遙拝所など、世界遺産のファンや歴史好きな方など、多くの方が訪れています。地島は、周囲九キロ、人口は百五十人ほどであります。島には、ツバキが約六千本ほど群生しており、椿ロードと名づけられた遊歩道が整備され、展望台からは玄界灘、響灘が一望できます。特産品としては、このツバキを利用したツバキ油のほか、ワカメやメカブなども人気であります。そのほかの六つの島も、いずれも自然に恵まれ、それぞれに美しい景観を有しており、最も遠い福岡市小呂島でも船に乗って一時間程度と、気軽に行けるところばかりであります。このように、自然や景観に恵まれている離島ですが、人口の減少、少子、高齢化が、本土よりも急速に進行しています。また、離島の性格として、人の往来や生活に必要な物資等の輸送に要する費用が本土と比較して多額であるなど、厳しい環境にさらされています。
このような中、離島の活性化を図るため、県では平成二十五年に、計画期間十年間の離島振興について施策の方向性をまとめた福岡県離島振興計画を策定しました。私は、計画が策定された平成二十五年の六月議会代表質問で、この離島振興計画が、島民の声を反映したものになっているのか、また県として今後この計画に基づき離島地域の振興をどのように進めていくつもりなのかお尋ねしました。知事からは、アンケートや離島訪問などを通じ、島民の声を直接聞いて計画に反映したこと、また、安心して暮らせる住みよい島づくり、地域資源を生かした活力と魅力ある島づくり、交流と連携による島づくりを基本方針とし、定期航路の維持確保、水産業の振興、離島高校生の就学支援など振興施策を推進すると答弁いただきました。離島振興計画策定から五年が経過しようとしています。そこで、離島振興対策について、気にかかっている三点についてお尋ねいたします。
まず、一点目です。魅力ある島づくりのためには、島の将来を考え、地域の活性化を担う人材の育成が不可欠と考えます。そこで、人材育成のため、現在では、どのような取り組みを行っているのか、具体的にお聞かせください。
二点目は、島の活性化を図る上で、地域間交流は大変有効な手段と考えます。例えば、地域間交流の一つとして、離島留学があります。宗像市の地島では、平成十五年度から漁村留学が行われており、福岡市など島外から小学校四年生から六年生の子供が毎年五人、地島の子供たちと一緒に学んでいます。漁村留学の子供たちは、一年間、港のそばにある漁村留学センターなぎさの家で、自分でできることは自分で、自分たちでできることは自分たちでをモットーに、共同生活をしています。私も、なぎさの家を訪れたことがありますが、島の子供と見分けがつかないほど真っ黒に日やけした子供たちがいて、感動をいたしました。聞くところによると、一年たっても、帰りたくない、もう一年島にいたいと希望する子供が多いようです。この制度は、留学する子供たちや島の子供たちだけでなく、島全体の活性化にも大きく役立っています。地域間交流としては、離島留学のほかにも、島の行事やイベントの島外の方々の参加促進、島の魅力発信なども重要です。
そこで、島の交流人口を増加させるため、どのような取り組みを行っておられるのか、お答えください。
次に、三点目です。離島における基幹産業は、何といっても漁業であります。地島では、定置網でサワラ、イカ、スズキが、大島では、まき網でアジ、サバ、ブリが、また、両島ではアワビやサザエ、ウニなど、四季を通じて旬の魚介類が漁獲されています。近年、水揚げの減少に加え、魚価の低迷などにより、職業としての漁業の魅力が失われつつあります。このような状況に輪をかけて、社会情勢の変化により、平成二十八年三月には一リットル当たり三十七・三円であった燃油価格は、その後上昇に転じ、先々月には八十二・〇円まで上昇したことで、漁業を初め各産業への影響を大変危惧しているところであります。両島では新鮮でおいしい魚を県民の皆様に届けるため、とれた水産物を、主に福岡市の中央卸売市場に出荷していますが、漁獲物を出荷する際には、漁場から直接市場へ持っていくか、島内で一旦荷を集め、魚の運搬船で対岸の神湊や鐘崎などに運び、さらにトラックに移しかえ持っていかなければならないという不利な点も持ち合わせています。
そこで知事にお伺いいたします。地理的に不利な状況にある地島、大島に対する水産物の販売対策について、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをして、私の質問を終わります。
ありがとうございます。(拍手)
17 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。
*知事答弁
18 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、離島における人材の育成でございます。県におきましては、離島を有する四市一町、八つの離島の島民で構成をしております福岡県離島振興協議会におきまして、まず島の活性化の指導的立場を担うリーダーの育成、島づくり活動の実践を行う人材の育成、将来の島づくりを担う若手の育成、これらを目的といたしまして、人材の育成の取り組みを進めてきているところであります。まず、指導的な立場を担うリーダーの育成でございますけれども、島の漁業団体、青年部、女性部の代表を対象といたしまして、先進的な島づくりで成果を上げている全国の有識者から直接講義を受ける離島指導者研修会を行っております。次に、島づくりを実践する人材の育成につきましては、島の各団体の構成員を対象に、特産品の開発、その販路の開拓といった島づくりの活性化につながる実践的な研修を実施しております。また、将来の島づくりを担う若手の育成につきましては、若者の代表を事例研究やワークショップで意見交換を行います短期集中型の講座であります島づくり人材養成大学に派遣をいたしております。これらの取り組みの結果、小呂島におきましては、研修に参加した漁協の青年部と女性部を中心とした島づくりグループというのが結成をされまして、天然ブリを原料とした小呂島漁師のしまごはん、その開発につながったところであります。また、大島におきましては、研修で学んだ特産品の開発の手法を生かして、島の皆さんや地域おこし協力隊、民間企業との連携のもと、特産のアマナツを使った甘夏カステラ、これを開発するなど成果を上げておられます。今後とも、市町や関係者と連携をいたしまして、離島における人材の育成に取り組んでまいります。
次に、離島の交流人口を増加させるための取り組みでございます。県におきましては、離島を有する市町や島民の皆さんと連携をいたしまして、美しい景観、歴史、文化的な資産、豊富な海の幸といった島ならではの地域の資源を活用いたしまして交流人口を増加させる取り組みを行っております。具体的には、大島の、県が建設をいたしました海洋体験施設うみんぐ大島や
世界文化遺産を初めといたしまして、新宮町の相島の猫、地島のメカブ御飯や姫島のサバの押しずしといった食文化など島の魅力を発信するため、県と市町の連携でパンフレット「ふくおか島散歩」を作成をいたしまして、観光案内所やホテル等で配布をしているところでございます。また、県本土との交流を促進するため、中学生のガイドが島の歴史、文化、絶景スポットを案内をする新宮町相島ウオーキング、野村望東尼獄舎跡など歴史スポットを地元ガイドとめぐる姫島魅力発見ツアーを実施しているところであります。このほか、大島には県内最初のオルレコースが整備をされ、国内外から多くの方が訪れられています。これに加えまして、地元の小中学校やNPO法人などが行います北九州市の藍島での海の生き物観察やスナメリウオッチング、馬島でのワケギの作付やタコつぼ漁体験などのイベントの開催に対しまして支援を行っているところであります。今後とも、県内離島八島と連携をいたしまして知恵や工夫を凝らした取り組みを行い、その交流人口の増加に取り組んでまいります。
次に、地島、大島における水産物の販売についてお尋ねがございました。離島は、本土の漁港に比べまして卸売市場への出荷に時間を要することから、議員も御指摘があったわけでございますが、漁獲した水産物の鮮度保持がより重要になってございます。このため県におきましては、魚のしめ方や冷やし方の技術指導を行うとともに、製氷施設などの整備について支援を行っているところであります。また、地島は、お話がありましたが、ツバキ、大島は世界遺産など多くの観光資源に恵まれ、これらを求めて多くの観光客の皆さんが訪れられています。これらの方々に新鮮でおいしい水産物を直接買っていただき、食べていただくことも重要であります。このため県におきましては、漁協などに対しまして、地島のお食事どころなごみや大島の直売所さよしま、これらの施設整備などを支援しております。さらに、魅力ある商品づくりのため、地元水産物をふんだんに使った弁当、まき網で大量に漁獲されるアジ、海藻のアカモクなどを使った加工品の開発を支援しているところであります。これらの商品の販路につきましては、道の駅むなかたや鐘の岬活魚センターなど島外にも広がってきているところであります。県といたしましては、今後とも、このような市場出荷や直接販売の取り組みを通じまして、離島における水産物の販売の拡大を進めてまいります。
19 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。
午 後 零 時 十六分 休 憩
午 後 一 時 三十一分 再 開
20 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。高瀬菜穂子君。(拍手)
*高瀬議員質問
21 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。
日米合同委員会は、米軍再編ロードマップに沿った措置で、米軍普天間基地の機能を移転するとし、去る十月二十四日、日米両政府は、築城基地の三百メートル滑走路延長、米軍弾薬庫、二百人規模の米兵宿泊所、駐機場、燃料タンクなどの施設整備を行うと発表しました。普天間基地の代替としての築城基地強化について、県は、防衛省からいつ、どのような説明を受けたのか、明らかにしてください。また、県として、これをどのように受けとめ、どういう対応をしているのか、お答えください。
九州防衛局からの聞き取りによると、普天間と同様の二千七百メートル滑走路に飛来する戦闘機はF15、16、35、輸送機はC5、C17、KC135など普天間で運用されているもの全てであり、などの中にオスプレイも含まれるということでした。米軍機は墜落を含む重大事故を続発させています。普天間第二小学校では、落下物の危険から、授業中に七百回以上も避難する事態が続いており、二つの避難所までつくられました。対米従属の日米地位協定を見直さず、普天間基地の代替機能を受け入れれば、築城周辺が同様の危険にさらされるだけでなく、福岡県、九州全体の空域で騒音と事故の危険が予測されます。騒音や事故の危険についての知事の認識を伺います。
また、米軍弾薬庫は現在の自衛隊弾薬庫とフェンスの間、より民家に近い位置につくられる計画です。普天間基地の米軍機が現在弾薬を搭載している嘉手納弾薬庫には、劣化ウラン弾があります。また、米国務省が六月に公開した外交文書で、米側が沖縄返還の最低条件として、核兵器の緊急時の貯蔵、通過の権利を日本に求めていたことが明らかとなりました。その核の貯蔵施設が嘉手納と辺野古の弾薬庫だとされています。その嘉手納弾薬庫の機能を築城に移転するのかと防衛局にただしたところ、具体的にどう運用するかは、これからの日米間の協議と答え、これを否定しませんでした。核の貯蔵の可能性が否定できない米軍弾薬庫を築城に整備することについて、知事の見解を伺います。
あわせて、二〇〇七年二月二十六日に福岡防衛施設局と地元市町との間で結ばれた協定では、緊急時使用への対応について、その内容がわかり次第、速やかに地元に説明すると規定されていますが、この説明はどのようになされているのか、また、緊急時とはどんな事態を指すのかも、あわせてお答えください。
本年七月、全国知事会は日米地位協定の抜本見直しの提言を行いました。同協定は、安保条約に基づき、米軍のさまざまな特権を認めるものですが、全国知事会はこれに対し、航空法や環境法令などの国内法の適用、事件、事故の際の自治体職員の立ち入りの保障などの見直しを求めています。米軍は事故を起こしても、日本側の調査さえ認めません。先日、築城基地のF2戦闘機二機が訓練中に接触事故を起こしました。もし、これが米軍機であったなら、落下物があったとしても、調査もできないということになります。全国知事会の提言どおり、抜本見直しなしに基地強化は認められないと県として防衛省に表明すべきではありませんか。知事の見解を伺います。
次に、福岡空港の米軍使用について伺います。二〇一七年に米軍機が日本全国の民間空港に着陸した回数は三百二十四回に上り、発着回数が全国トップとなったのが福岡空港で九十四回を記録します。同空港は一九七〇年に住民の闘いで返還が実現しましたが、空港内には、地位協定第二条一項に基づく米軍専用区域が残っており、県、市、市議会などでつくる板付基地返還促進協議会は、福岡空港の軍事利用反対などを掲げ、基地の全面返還を求めてきました。しかし、報道によると、米国防総省幹部は、朝鮮半島に近く、今後も基地能力を確保する、平時は商業空港として活用すべきだが、有事には作戦拠点として機能を強化したいと明かし、日米共同使用区域である滑走路や駐機場なども軍事作戦に使う構想がある、としています。米軍の福岡空港使用は、何のために行っているのですか。防衛省を通じての情報提供は行われているのですか、お答えください。
本議会に、福岡国際空港への出資金の議案が出されていますが、県民と利用者の安全を守るためには、空港の米軍利用、軍事拠点化は断じて許されないとの立場から、全面返還を改めて強く求めるべきではないでしょうか、知事の見解を伺います。
最後に、築城基地が普天間、岩国の代替基地となり、福岡空港の米軍利用がふえ、オスプレイの佐賀空港配備が進められる中、基地問題について、専門に情報を集め、県民に対し発信し、対応する部署がいよいよ必要になっていると考えます。かねてから要求していましたように、基地対策の部署を県庁内につくることを改めて求めたいと思います。知事の見解をお聞きし、質問を終わります。(拍手)