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  1. 福岡県議会 2018-06-13
    平成30年6月定例会(第13日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(井上 順吾君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。江頭祥一君。(拍手) *江頭議員質問 2 ◯七番(江頭 祥一君)登壇 皆様、おはようございます。三月に実施されました嘉麻市補欠選挙にて初当選させていただきました自由民主党福岡県議団、江頭祥一です。長年にわたり県議会議員として、ふるさと嘉麻市のため、そして筑豊のため、そして福岡県のために尽力してきた、おじである故吉原太郎議員の思いを引き継ぎ、私も粉骨砕身努力してまいる所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  私の地元嘉麻市は、市全体の約七割を農地と森林が占めており、農業や林業が盛んな地域であります。こういった緑豊かな地域で育ち、医師として活動してきた故吉原太郎議員は、森林・林業・林産業活性化促進議員連盟いわゆる林活議連の会長や、自由民主党福岡県議団農政懇話会の顧問を長年にわたり務めるなど、食を支える農業や、私たちが生きていくために欠かせない水を育む森林や林業に対し、人一倍強い思いがあったものと思われます。私自身も、薬剤師そしてケアマネジャーとして人の健康に携わる中で、健康で長生きする第一の条件は、栄養面でバランスのとれた食事をすることであり、お米を基本に魚介類、野菜、果物、牛乳を組み合わせた和食を規則正しく食べることであり、そのためには、その食材を生産する農林水産業を振興していくことが極めて重要であると常々考えてきたところであります。しかしながら、私の地元でも農林業に従事する方の高齢化が進展しており、将来の担い手をどのように確保し、育成していくかが大きな課題であります。このことは嘉麻市を初め農林業の盛んな市町村の共通する課題であり、今回、農林業の担い手対策について質問させていただきます。  それでは、初めに林業の担い手についてお尋ねいたします。嘉麻市馬見山の山中にその源を発し、穂波川や彦山川など多くの川と一緒になり響灘へと注ぐ遠賀川は、古来よりその流域に稲作文化を形成し、近代になってからは筑豊炭田からの石炭の輸送路として石炭産業を支えてきました。この川が豊かな水をたたえ、人々の間で母なる川と呼ばれてきたのも、川の上流に豊かな森林があり、その森林を健康で健全な状態に維持するため、林業者の皆様が間伐など山の手入れをしっかりしていただいているおかげであります。これは遠賀川に限ったことではなく、筑後川を初め多くの川に共通することであり、森林は林業によって守られていると言っても過言ではありません。  しかしながら、林業を取り巻く状況は、木材価格の低迷や林業従事者の高齢化など厳しい状況であり、地元の森林組合の方々からは、林業の担い手はどうなるのであろうか、非常に心配だという声を耳にします。また、昨年の九州北部豪雨では、多くの森林で表層崩壊が起き、多量の流木が発生しました。今回の災害は、朝倉市、東峰村を中心に発生いたしましたが、隣接する添田町、嘉麻市においても甚大な林地被害が発生しております。この森林が崩れた大きな要因は、森林の有する土砂災害防止機能の限界を超える記録的な豪雨が大きく影響したと言われていますが、仮に林業が衰退すれば、もっと大きな災害になっていたのではないかと大変危惧しております。こういった意味でも、林業の振興を図っていくことは、単に産業振興にとどまらず、県民が安心して暮らしていく上でも重要なことであります。  こうした中、今国会において、新たな森林経営管理制度を創設する法律が成立し、森林所有者が管理できない森林を、林業経営者に集積、集約化する仕組みが来年四月から運用開始されます。これを契機に、森林の経営管理が促進され、林業の持続的な発展につながるのではないかと大いに期待しているところであります。  そこで知事にお伺いいたします。森林を支える林業、林業を支えるのは人であります。林業の現状を鑑みれば、簡単にいくものではないと理解しておりますが、担い手対策は待ったなしの状況です。特に、私の地元筑豊地区を初め県内で林業が盛んな地域では、担い手の高齢化など将来の担い手不足が懸念されております。県では、林業の担い手の確保、育成にどのように取り組まれているのかお答えください。  次に、農業を支える重要な担い手である女性農業者についてお尋ねいたします。国の資料によりますと、本県の農業就業人口の四九%が女性農業者であり、私の地元嘉麻市でもその割合は全く同じであります。一方、販売農家に占める女性経営者の割合は、県全体の八%に対し、嘉麻市は一ポイント高く九%となっており、若干ではありますが女性農業者が活躍している町と言えるのではないでしょうか。しかしながら、その割合はまだまだ低く、私自身、行政が後押しすれば、女性農業者は地域の中で今以上に活躍できるものと考えております。  そこで、まず嘉麻市のPRを兼ねて、女性農業者がかかわった取り組み三つを紹介させていただきます。嘉麻市といえば観光リンゴ園を思い浮かべる方も多いと思います。この取り組みは、そもそも、ほかの地域にない観光農園をつくろうと、ペンションりんご村の初代オーナーの声かけにより、昭和四十四年に初めてリンゴを植えたことが始まりであります。最初はなかなかうまくいかず、長野のリンゴ園へ研修に行ったり、指導者にこちらへ来てもらったりしながら、苦労に苦労を重ね、ようやく全国に誇れるおいしいリンゴが安定して生産できるようになったそうです。現在では八種類もの品種が栽培されており、どこよりも早く完熟リンゴが味わえる九州りんご村として広く知られるようになりました。毎年九月には、九州りんごフルーツフェアが開催されており、県内外から家族連れやカップルなど多くの方においでいただいております。特に、女性部がつくるリンゴや梨を使ったスイーツなどは、お客様からも大変好評を得ており、新たな特産品の一つとなっております。  次に、県内の直売所の先駆けとなったカッホー馬古屏であります。県内には現在百八十カ所の直売所があるそうですが、平成九年に常設の直売所としてオープンしたカッホー馬古屏は、県内各地から直売所を開設したいと考える多くの行政や生産者などが、その運営の仕組みを学ぼうと視察に訪れたと聞いております。直売所には、嘉麻市自慢のおいしいお米、新鮮な野菜や果物のほか、加工品などが並んでおり、それを出荷されている約三百名の出荷者のうち半数は女性の方だと聞いております。嘉麻市においでいただいた際には、ぜひお立ち寄りいただければと思います。  最後に、小野谷地区むらづくり活動であります。小野谷地区は、行政区、営農組合、環境を守る会など七つの組織が一体となり、農作物や加工品の生産に加え、獣害対策、伝統文化の継承、都市住民との交流などの取り組みを行われております。これら活動の中心的な組織として農事組合法人小野谷の郷が設立されておりますが、この法人には、設立当初から女性農業者が役員として運営に参画されており、また組織の中に女性班が置かれるなど、女性の意見が運営に反映される仕組みとなっております。具体的には、シンテッポウユリやタカナの栽培は女性の発案で始まり、栽培も女性が中心となって行われております。また、女性の方がつくるあんこ餅などは、集落の内外で開催されるイベントで販売されていますが、それを目当てに来られるお客様も多いと聞いております。  今、御紹介させていただいたような女性農業者が活躍されている事例は、嘉麻市に限ったものではなく、皆様の地域でもさまざまな場面で活躍されておられるのではないでしょうか。しかしながら、女性農業者農業就業人口の約半数を占めている状況からすれば、今以上にもっと活躍すべきであり、またその能力からすれば活躍できるものと私は確信しております。そのためには、先ほど申し上げましたとおり、行政がしっかりと支援していくべきだと考えております。  そこで知事にお伺いいたします。女性農業者の活躍を推進するための取り組みをこれまでどのように進められてきたか、また今後どのように進めていかれるのかをお尋ねし、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
     まず初めに、林業の担い手の確保と育成でございます。県におきましては、持続可能な林業経営、これを確立をするため、主伐の推進、路網の整備、高性能林業機械の導入などによりまして、原木生産の拡大と効率化に取り組んできているところであります。これらの取り組みを進めるに当たりましては、伐採あるいは搬出の専門的な技術を有した人材を安定的に確保、育成していくことが必要でございます。このため県におきましては、林業労働力の確保の促進に関する法律に基づきまして、林業労働力確保支援センターに指定をしております公益財団法人福岡県水源の森基金と連携を図りながら、新規就業者の確保や就業された方の育成を行っているところであります。具体的に申し上げますと、新規就業者を確保していくための相談会を開催をするほか、就業希望者に対する林業の基礎的な知識やチェーンソーの使い方などを学んでいただく講習会を実施をいたしております。また、雇用先におきまして、三年間で林業就業に必要な実務を学ぶOJT研修オン・ザ・ジョブ・トレーニング研修)を実施をしているところでございます。このほか、造園業など他の業種から林業への参入を促進していくため、伐採に必要な技能講習の受講などについて支援をしているところであります。この結果、平成二十四年度から二十八年度までの五年間で、新規就業者は筑豊地区の二十七人を含めまして、県全体で二百十八人となってございまして、それ以前の五年間と比べまして二割の増加となってございます。また、就業された方の技術をさらに高めていくため、高性能林業機械を活用した伐採技術の習得や、その際の事故防止についての研修なども行っているところであります。今後とも、こうした取り組みを通じまして、林業の担い手の確保と育成を図ってまいります。  次に、女性農業者対策についてお尋ねがございました。女性農業者の活躍を進めていくためには、女性農業者の経営の参画また起業の促進が重要であります。このため、女性の発想や視点を生かした農業経営が展開できるよう、経営ビジョンの策定を支援をするとともに、その実現に向けまして中小企業診断士フードコーディネーターから成る専門家チームを派遣をして、その経営の多角化や販路の拡大など個々の課題の解決というものを図ってきておるところであります。また、起業に意欲的な女性農業者に対しましては、商品づくりや商慣習を学んでいただく女性起業家育成塾を開催をし、また安定した商品製造のため、業務用機器の整備を支援しているところであります。さらに、本年度から新たに、積極的に経営にかかわる女性農業者を対象といたしまして経営コンサルタント社会保険労務士、先進的な女性経営者の方々を講師といたしまして、雇用管理、財務管理などを体系的に学んでいただく農業女子のための経営発展塾、これを開催をいたします。今後とも、こうした取り組みを通じまして、女性農業者のより一層の活躍というものを進めてまいります。 5 ◯議長(井上 順吾君) 岩元一儀君。(拍手) *岩元議員質問 6 ◯六十一番(岩元 一儀君)登壇 皆様、こんにちは。民進党・県政クラブ県議団、岩元一儀でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。  まず、ドローン利用IoT普及促進について知事にお聞きいたします。我が県は、これまで不適正処理や廃棄物の不法投棄を行い産業廃棄物を放置したまま事業を投げ出した処理業者に対して、二〇〇三年度以降、七件の行政代執行を行ってきました。県のこうした甘い対応に対し、我が会派は、産業廃棄物の監視、指導の高度化などを代表質問で取り上げてまいりました。それを受けて県では、今年度から問題がうかがえる処分場などに対し、小型無人機ドローンを活用して産業廃棄物最終処分場における埋め立て容量の確認や中間処理施設における過剰保管をつぶさに確認するとともに、赤外線カメラを搭載することで表面温度を確認することとしております。このことは、これまで広範な最終処分場の測量が安全で効率的に行われるほか、温度を把握することで火災の防止にも活用できるもので、大変よいことであり、大いに期待するものであります。そして、翻ってほかの公務においても、例えば危険を伴う橋や建物の点検作業などで、こうしたドローンを利用して仕事の効率化や安全性を図れるものがあるのではないかと思います。  そこでまず一点目に、産業廃棄物の監視、指導におけるドローンの活用について、改めてどのような効果が得られるのか、また県職員の皆様が操作するとのことですが、研修や安全対策についてはどのように考えているのか、さらに導入時期についていつごろになるのか、お聞きいたします。  二点目として、公務などでは、例えば災害現場などでの調査活動は有効であると思いますが、今回の朝倉や東峰村の被災地で、県としてドローンを利用したのか。県独自のものでなかったとすれば、今後その導入を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。  三点目として、徳島県では民間企業とタイアップし、測量機器と誘導ソフトを活用してドローンで橋の点検を行っている町もあります。また、関東では大型の下水管の点検などに衝突防止のセンサーをつけたドローンで腐食状況調査などを行い効果を上げている例もあります。さらに農業分野でも、鳥獣被害対策にドローンを活用しているところもあるようです。公務において、こうした例を参考として、業務の効率化や県職員の皆様の安全確保を図る上からも、特に徳島県の例なども参考にして、橋などの土木施設の管理におけるドローン利用促進について検討してみてはいかがかと思います。  次に、IoT(物のインターネット)の普及促進について知事にお聞きをいたします。今、地域では、超高齢化社会が到来し、生産年齢人口の減少に伴う担い手不足といった課題を抱えています。私の地元北九州市は、政令市の中で最も高齢化が進んでいる地域です。特に八幡西区は、物づくりの町としてすぐれた技術を持つ中小企業も数多く立地していますが、労働者不足熟練技能者の技術伝承といった課題を抱えています。県内を見ますと、課題を抱えているのは製造業だけではありません。農業や漁業も同様に、従事者の高齢化や後継者不足に悩んでいます。  こうした地域課題を解決するツールとして注目されるのが、IoT、AI(人工知能)、ロボット、ドローンなど、いわゆる第四次産業革命の技術であります。中でもIoT、つまり物のインターネットは、あらゆる物がネットワークでつながり情報のやりとりを行うことで、新しいサービスや課題解決に生かそうというものであり、AIやロボット技術などさまざまな技術の組み合わせにより実現されるものであります。我が県はこれまで、この分野で産学官連携組織の福岡県ロボット・システム産業振興会議や福岡県Ruby・コンテンツビジネス振興会議を中心に産業振興を行っており、例えばセンサーや無線通信などIoT関連の高度なハード技術ソフトウエア関連技術を持つ企業が数多く集積をしています。また、技術的シーズも豊富であります。こうした強みを高く評価され、平成二十八年七月に経済産業省から、福岡県IoT推進ラボ地方版IoT推進ラボの第一弾として選定され、IoT普及に向けた取り組みが開始されており、産業振興という観点から大いに期待されているところであります。そして、平成二十九年六月には、副知事をトップとして、福岡県IoTプロジェクト推進会議も組織され、これに取り組んでいる福岡県ですが、現在までのその取り組み状況や成果について、まずお聞きいたします。  そして、特にIoTは、今や大手企業を中心に急速に普及し、各企業や産業と結びついて著しく発展をしています。例えば、建設機械メーカーのコマツが開発したIoTシステム、コムトラックスは、重機の稼働状況を遠隔で把握し、オイルや部品交換の時期を自動的に利用者に通知することで計画的に保守点検を促し、故障による稼働停止を防止すると聞きます。また、東証一部上場会社で佐賀市に本店を置くコンピューターソフト会社のオプティムは、医療分野で、事情があって病院に行けない患者さんのために、スマートフォンで診察を行うポケットドクターを開発し、全国の五百の病院で導入されています。また同社は、農業分野でもスマート農業というシステムを開発し、例えばドローンに四Kカメラを搭載し、クラウド技術などを活用し、キャベツ畑を上空七メートルから撮影して、害虫の青虫のいる場所を赤い色で表示し、ここにピンポイントで農薬を散布することで農薬コストなどの経費削減と減農薬につながり、農家に喜ばれているということです。さらに漁業でも、同社は有明海のノリ養殖などで漁業者と提携し、生産に成果を上げているようです。  このように、IoTは生産性やサービスの向上に寄与していますが、今後は我が県に集積するIoTのハードやソフト技術を持つ企業を中小企業にもつなげて、農業、介護、物づくりなど、いろいろな産業分野にこれらの先進的かつ革新的な技術を普及させるべきと考えます。  そこで知事に、今後どのようにして県内の産業にIoTを普及させていくのかお聞きします。  さらに、産業育成という観点から、公務分野でのこうしたシステムや製品などの導入も積極的に行うべきと考えますが、知事の御所見とその意気込みをお聞かせください。  次に、ネット依存トラブル防止に向けた取り組みの充実についてお聞きをいたします。今、国内外でパソコンやタブレット、スマートフォンなどの普及による情報収集、発信が容易となり、友達などといつでも気軽にコミュニケーションができるようになり、便利になりました。同時に、特にスマートフォンなどでできるSNSや動画サイト閲覧など、子供たちにとって魅力的であることから、長時間にわたるネット利用により健全な生活が送れないなどの危険性が増大をしています。また、SNS等を通した対人関係トラブルや、自画撮り映像の流出、拡散、ゲームやショッピングでのお金にかかわるトラブル、詐欺や犯罪に巻き込まれる事件が県内で多発しています。生活のさまざまな部分にインターネットサービスがある今日、その危険性を知り、適切に利用できるようになることは社会の一般的な素養の一つであり、その基盤は子供のときから育むべきと考えます。そのため、学生時代を含め、適切なインターネット利用のあり方を教育などに取り入れ、生涯においてネット依存トラブルに巻き込まれない状況をつくり出すことが大事であると思います。  我が県においては、平成二十六年度から、福岡県青少年インターネット適正利用推進協議会が発足し、ネットの適正利用に向けた本格的な取り組みが始まりました。また、昨年には青少年、保護者を対象としたインターネット利用実態調査が行われたところであります。この調査によれば、小学六年生では約三割、中学二年生では約六割、そして高校二年生になるとほぼ全員がスマートフォンを所有しており、平日のスマートフォンの平均使用時間は約三時間に及んでいる、青少年の三人に一人はインターネットで知り合った友達がいる、家庭におけるネット使用のルールについて、ルールはないと回答している青少年は三割を超えているなど、青少年のインターネットをめぐるさまざまな実態が明らかになりました。  そこで、今やインターネットを利用しないで生活することは考えられない時代となっていますが、今後、児童生徒のネット依存症対策トラブル防止について、その対策の充実に向けて、以下教育長に質問をいたします。  まず一点目に、ネット依存トラブル防止についての学校教育における課題認識とこれまでの県教育委員会取り組みについてお聞かせください。  次に、先ほどの調査からは、長時間にわたって子供たちはスマートフォンに触れていることや、誰にも制限されず多くの青少年がネットを利用している実態がわかるものの、児童生徒が依存症に陥っているかは見えてきません。ネット依存対策のため、岡山県教育委員会では昨年から小中高に、依存状態が判定でき、専門機関で活用できるチェックシートを配付して、その対策に乗り出しています。我が県でもこうしたものを参考にして導入してはと思いますが、御所見をお聞きいたします。  また、この調査では、インターネットトラブルや困ったことがあったときに相談する相手は、保護者が一一・二%で最も多く、次に友達が一〇・一%となっていますが、先生は一・二%となっています。先生が一・二%しか相談がない、こういう少ない実態が見えていますが、いろいろと研修を受けた先生に相談が少ないというのは、いかがなものかと思います。早期に適正な対応をするためにも、こうした点での改善を図る試みが必要ではないかと思いますが、その御所見と、こうした問題に取り組む意気込みをお聞かせください。  次に、北九州地区における森林施策、特に放置竹林対策と少花粉杉への植えかえについてお聞きをいたします。まず一点目は、放置竹林の増加を防ぐためには、タケノコや竹材を生産している竹林、生産をやめ管理が放置された竹林、放置竹林から周辺の森林や農地に拡大している侵入竹など、それぞれの竹林の状況に応じた対策が必要であります。県において、これまでも放置竹林や侵入竹の対策に取り組んでこられたと思いますが、これまでの取り組みとその成果について、まずお聞きいたします。  二点目として、北九州といえば合馬のタケノコが有名ですが、北九州市の民有林における現在の竹林面積は、ここ五年間で二〇%、三百十九ヘクタール増加し、千九百五ヘクタールとなっており、県内市町村では二番目に多く、北九州市の民有林面積の一二%を占めています。このように、北九州市においては、放置竹林に対する対策は喫緊の課題であり、増加率が県平均の五%と比較すると大幅に多くなっていることを踏まえると、北九州市では放置竹林対策がなかなか進んでいない状況であると思います。放置竹林の対策が進まないのは、北九州市特有の課題もあると思いますが、県下でも竹林が多い北九州市の課題は、県全体での課題でもあると思います。県としても、北九州市としっかり連携し、放置竹林対策を取り組むべきと考えますが、知事の認識と今後の取り組みに対する意気込みをお答えください。  最後に、森林における花粉症対策についてお聞きします。ことしも猛威を振るった花粉症。その対策として、私は、この演壇から少花粉杉の植えかえの促進を訴えてまいりました。これまでの答弁によって、福岡県として少花粉杉苗木の生産拡大や植えかえの促進、針広混交林の推進を進めていることはわかりますが、県内の森林の約一割は国有林が占めていますので、国としっかりと連携していくことが必要ではないでしょうか。  そこでお聞きします。北九州市において、少花粉杉による植えかえはどうなっているのか、また今後、国や北九州市との連携を含め、少花粉杉の植えかえ促進などをどのように進めていくのか、御答弁をお願いいたします。  前向きな御答弁を期待し、私の一般質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 7 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、ドローンを活用した産業廃棄物の監視、指導における効果とその安全性の確保でございます。立入検査にドローンを導入することによりまして、最終処分場中間処理施設における埋立量、保管量、さらには表面温度を正確かつ迅速に把握することができるようになります。このことは、不適正処理の早期発見、また早期是正につながり、その抑止効果も期待できるものと思っております。また、火災事故の未然防止にも効果があるものと考えております。  次に、ドローンを安全に利用するためには、航空法や国土交通省が定めております無人航空機の安全な飛行のためのガイドライン、これらを遵守するとともに、その操縦に習熟をする必要がございます。このため県におきましては、ドローンを操縦する職員に対しまして、事前に必要な知識の習得、操縦訓練、緊急時や事故発生時への対応などにつきまして専門業者による研修を実施することとしております。また、運用及び操作マニュアル、これを作成することといたしております。また、ドローンの運用に当たりましては、ヒューマンエラーをできる限り排除するために、GPSシステムによりあらかじめ設定したルートを自動操縦で飛行させる予定でございまして、その安全性は高いものと考えております。なお、万が一の事故に備えまして、対人対物賠償保険にも加入することといたしております。現在、事前研修の準備を進めているところでございまして、安全対策を十分に行った上で、ことしの八月ごろには導入をしたいと、このように考えております。  次に、災害現場におけるドローンの利用でございます。昨年の九州北部豪雨災害の際には、県におきましてはドローンを保有しておりませんでしたが、国土地理院、九州地方整備局、そして大規模災害時における災害復旧支援業務等に関する協定を結んでおります民間事業者がドローンで撮影をしました映像を捜索活動や復旧活動に活用することができました。今後も、大規模災害が発生した場合には、これらの機関や民間事業者と連携をいたしましてドローンを活用してまいります。また実際に現場で捜索活動などを行う県警察は、今ドローンを二機保有をいたしております。消防におきましても、今後導入が進められることとなっております。  土木施設の管理におけるドローンの利用についてお尋ねがございました。土木施設の管理を初め建設現場におけるドローンの活用は、人が入りにくいところでも容易に上空からさまざまな角度で撮影ができ、職員の安全性も確保できるため、有効な手段であると、このように認識をいたしております。県におきましては、これまでも急斜面の測量、被災地を上空から撮影するなどドローンの活用を図ってきたところであります。土木施設の点検につきましては、例えば橋の点検におきましては、国の基準によりますと、人による近接目視、これが基本となってございます。その際、発見した変状箇所を直接さわったり、たたいて音を聞いたりして異常の有無を判断する必要がございます。このため県におきましては、現在のところドローンは使用しておりませんけれども、国の事業を活用して、ドローンによる橋梁検査システムの実証実験を県の工業技術センターも参加して産学官で行っているところでございます。引き続き、土木施設管理へのドローンの活用につきましては、今述べました実証実験を初めとする技術開発の動向、そして国の点検基準の動向を注視をしてまいります。  次に、IoT普及に向けた取り組みでございます。本県におきましては、福岡県IoT推進ラボを核にいたしまして、ニーズの掘り起こしや可能性調査の実施、プロジェクトの構築、さらには人材育成など一貫して支援を行ってきているところであります。ニーズの掘り起こしにつきましては、昨年六月に設立をいたしました全庁組織、福岡県IoTプロジェクト推進会議によりまして、各部局の課題を掘り起こしてシーズにつないでいき、プロジェクトに結びつける取り組みというものを行っております。可能性調査につきましては、昨年度、公共サービスにIoTを導入する糸島市の取り組みを支援したところであります。これは、同市全域を無線通信技術でありますローラワン通信網を整備いたしまして、子供や高齢者の見守り、コミュニティーバスの運行管理などにIoTを生かそうとするものでございまして、ことしの四月からその運用を開始しているところであります。  プロジェクトの構築につきましては、これまでリハビリをゲーム感覚で行うことができるリハビリ支援システム、運転手の呼気を検知し、会社にその異常を通知をします飲酒運転防止システム、熟練農家の勘や経験というものを数値化をいたしまして、AIを活用して高品質、高収量生産を実現する、あまおう農作物栽培支援システムなど六つのプロジェクトを推進してきております。このうちリハビリ支援システムは既に販売を開始しておりまして、二十三の病院や施設に導入をされておりますほか、飲酒運転防止システムにつきましても、ことしの十二月にその販売が開始される予定でございます。人材育成につきましては、技術者向けの講座、IoT導入を考えております企業や団体を対象にして啓発セミナーというものを開催をしているところであります。  次に、IoT普及に向けた今後の取り組みでございます。IoTを普及させていくためには、導入する側の、IoTでできることがよくわからない、また一方で提供する側の、現場の真の課題、ニーズがわからないといったミスマッチを解決していくことが重要であります。このため今年度から新たに、先進事例の紹介やビジネスマッチングを行いますIoTビジネスフォーラム、それから県内IT企業が現場を訪れ課題やニーズを把握をし、プロジェクトの具体化に結びつけていく現場見学会というものを開催することといたしております。公務分野へのIoTの導入につきましては、IoTプロジェクト推進会議、先ほど申し上げました庁内の会議でございますが、ここで検討をしてきておりまして、今年度は豪雨災害を未然に防ぐための、ため池の水位管理システムの開発を行う予定でございます。また、先ほど申し上げました国の事業を活用したドローンによる橋梁検査システムの実証実験を今産学官で行っているところであります。今後とも、こうした取り組みを通じまして、公務分野を含め県内の事業者の生産性の向上、そして課題の解決に向けIoTの導入を促進をしてまいります。  次に、放置竹林対策と成果でございます。これまで県におきましては、市町村や森林組合などが実施する放置竹林における他の樹種への植えかえ、杉などの人工林へ侵入した竹の伐採などにつきまして支援を行ってきたところであります。また、一昨年度から市町村との連絡会議を開催をいたしまして、放置竹林の解消に向けた取り組みなどについて情報を共有し、その連携を強化してきたところであります。これらの取り組みによりまして、ここ五年間では放置竹林と侵入竹を合わせまして、毎年二百ヘクタールを超える伐採が行われてきているところであります。  北九州市における放置竹林対策でございます。北九州市におきましては、所有地の境界が不明確な放置竹林や里山での管理放棄された竹林が多うございまして、また伐採した竹材を有効に利用できていないことから、なかなかその整備が進みにくいという課題がございます。このような中、県におきましては、今年度から新たに、市町村が実施する境界確認や所有者の同意取得に対し支援をすることといたしております。また、森林環境税を活用いたしまして、竹の伐採や竹から他の樹種への植えかえを支援することによりまして、県民が触れ合える森林というものを整備することといたしております。これらの事業を北九州市においても積極的に活用していただくよう働きかけを行っているところであります。さらに、伐採した竹の利用を進めるため市と連携をいたしまして、割り竹を束ねてロール状にした土木資材を製作する業者と、その竹材を供給する森林組合とのマッチングも進めているところでございます。県といたしましては、今後とも市と連携をしまして、こうした取り組みをしっかり進め、放置竹林の解消に努めてまいります。  次に、北九州市における少花粉杉の植えかえでございます。県におきましては、主伐を推進するため、主伐経費を一部助成するとともに、主伐後の再造林を少花粉杉で行う場合には、国の補助に加えまして県独自の上乗せの補助を行っております。この事業によりまして、北九州市における平成二十八年度の少花粉杉による植えかえ面積は一ヘクタールとなってございます。県といたしましては、この事業をさらに活用していただくために、地元の森林組合に対し働きかけを行っているところであります。また、国は国有林での花粉発生源対策を進めているところでありまして、市内の国有林においても、この少花粉杉への植えかえを進めていただくよう、市と連携して、国に対する働きかけを行ってまいります。今後とも、このような取り組みによりまして、少花粉杉の植えかえというものを促進してまいります。 9 ◯議長(井上 順吾君) 城戸教育長。 *教育長答弁 10 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 ネット依存等に係る認識と取り組みについてでございます。情報機器の急速な普及に伴い、スマートフォンの長時間利用による生活習慣の乱れや学業への影響、さらには不適正な利用による犯罪被害等の発生が指摘されており、児童生徒にインターネット等の適正な利用の仕方についての理解を促すことが大切であります。このため学校では、情報教育を行う教科や道徳、特別活動など教育課程全体を通して、情報モラルや情報手段を適切に活用できる力を育成することに努めております。また、県教育委員会においても、県PTA連合会との連携によるスマートフォン使用のルールづくりの取り組みを進めるとともに、ネット利用に伴う依存やトラブルの問題について児童生徒と保護者がともに学ぶ機会の充実を図るため学校に専門家を派遣するなどの支援を行っております。  インターネットの適正利用に係る取り組みについてでございます。ネット依存の改善、防止については、自身の使用状況に対する本人の気づき及びゲームやSNSなど個々人の状況に応じた対応が必要であります。今後、岡山県の取り組みも参考に、学校、家庭が一体となったスマホやインターネットの適正な利用の促進について指導を工夫してまいります。  ネットのトラブル等における相談相手についてでございます。子供たちがネット上でのトラブルや困ったことがあった際、教員や家族、専門家等を含む幅広いチャンネルを通じて気軽に相談できる環境を構築しておくことが大切であります。今後、学校においては、教員が児童生徒や保護者に寄り添い、アンテナを高くして、悩み等を早期に把握し速やかに対応できるよう理解、啓発に努めてまいります。 11 ◯議長(井上 順吾君) 大城節子君。(拍手) *大城議員質問 12 ◯六十四番(大城 節子君)登壇 公明党の大城節子でございます。通告に従いまして、特定行為研修指定研修機関の拡充について質問いたします。  国は、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向け、今後の急性期医療から在宅医療等を支えていく特定行為を行う看護師を計画的に養成するため、平成二十六年六月に保健師助産師看護師法を改正し、平成二十七年十月より特定行為に係る看護師の研修制度を創設しました。在宅医療を推進していくためには、患者の状態を見きわめて、タイムリーな看護の提供が必要であり、個別に熟練した看護師のみでは足りない実態があります。そこで、厚生労働大臣が指定する指定研修機関において特定行為研修を修了した看護師が、医師があらかじめ作成した手順書に沿って、患者の状態等を判断し、必要があれば一定の診療の補助である特定行為の実施が可能となります。今後、在宅医療等を支える看護師を地域で養成していくため、都道府県には、地域の実情を踏まえ、看護師が特定行為研修を地域で受講できるよう、指定研修機関及び実習を行う協力施設の確保等研修体制の整備を図ることが求められています。  先日、福岡県ナースプラザを訪ねたところ、施設内に掲示された大きなポスターが目に飛び込んできました。それは、日本看護協会が特定行為研修制度の活用を推進しているとのお知らせでした。特に際立つ内容として、顔写真入りの現役看護師たちが、特定行為研修制度を活用した結果、働く病院や訪問看護ステーション、介護施設などにおいて、よりよい医療、看護の提供ができているとのコメントが掲載され、それぞれの就業現場の報告が紹介されていました。そこには看護師が患者の安全性の観点から、難易度の高い診療の補助行為である特定行為を行う責任感と医療に従事する使命感、充実感が伝わってきます。見る者は自然に感動を覚える瞬間でした。患者に寄り添う看護の取り組みは、看護師の日々の研さんに裏打ちされている成果のたまものであります。本県においても平成二十九年六月の時点で十九名の研修修了者がいると聞いています。研さんを積みたい看護師が、特定行為研修を地域で受講できるよう、指定研修機関及び実習を行う協力施設の確保につながる研修体制を整備することが、優先すべき本県の取り組みと考えます。  以下、質問します。私は、平成二十八年十二月定例会で、特定行為研修に係る看護師の研修について質問した際、本県の研修機関について、知事は、県として県内の看護系大学などに研修機関の設置を働きかけている、受講のニーズの把握、指導に当たる医師の確保、実習を行う協力施設の調整などの問題が多く、設置に至ってない県内の状況について述べられました。そのため県内の医療機関や訪問看護ステーション等に対する受講ニーズを把握するアンケート、他の都道府県の研修機関の調査を行うとの答弁でした。その結果、知事の英断に端を発し、県行政は、医療機関との連携や本県看護協会の提言等に真摯に取り組まれ、県内での研修機関の設置が実現したと伺いました。改めて敬意を表します。  まず一点目、初めに、厚生労働大臣が指定する指定研修機関について、本県の指定の状況についてお聞かせください。  次に、本県の医療機関や訪問看護ステーション等に対する特定行為研修の受講ニーズについて伺います。県が実施されたアンケート調査からどのような傾向が見えてきましたか。調査の結果についてお示しください。  また、知事は、小規模事業者の訪問看護師の特定行為研修受講に係る代替職員確保の費用助成について、他県の制度の運用の実態と効果についても調査すると答弁されました。結果についてお尋ねします。その結果に対して、知事の所見をお聞かせください。  本県は、約五百万以上の県民の命と健康を守る医療体制を構築する重責があります。特に、患者に寄り添い、手厚い看護を本分とする看護師の確保は、地域偏在に苦心して取り組んでいる医療現場にとっても重要な課題です。特定行為研修指定研修機関での看護師養成が実現すれば、近い将来、看護のエキスパートを軸に看護師の地域の偏りを改善する制度になると考えます。国は、二〇二五年に向けて特定行為研修を修了した看護師の養成を十万人以上目指しています。その実現には、全国で毎年約一万二千四百人単位の養成が必要となり、研修機関の確保は喫緊の課題であります。研修機関の確保に向けて、平成三十年二月現在、全国で三十四都道府県、六十九機関で特定行為研修が実施されており、一年半前の二・五倍にふえています。研修機関の内訳を見ると、大学院は九機関、大学、短大も九機関、大学病院は六機関、病院は三十五機関、医療機関、団体等は十機関となっています。  本県では、従来から県内の看護系大学などに研修機関の設置について働きかけてこられていますが、懸案の福岡県立大学大学院の特定看護師養成課程の設置については、現状では実現していません。福岡県立大学は、保健、医療、福祉を担う看護系大学として、学術的な幅広い知識を兼ね備えた看護専門職の育成をミッションとしています。本来ならば、同大学設立の趣旨を熟慮すれば、県行政としては、研修機関の設置について率先して働きかけ、断行すべきと考えます。今後とも、大学と協議を重ね検討されることを、再度、提案させていただきます。  さて、国は指定研修機関の確保を図るため、看護師の特定行為に係る研修機関支援事業を実施しています。大別して、研修機関導入促進支援事業と指定研修機関運営事業です。前者は、指定研修機関の設置準備に必要なカリキュラム作成や備品購入に必要な経費に対する補助で、指定前の支援です。後者は、指定研修機関の運営に必要な指導医に係る経費や実習施設に対する謝礼金で、指定後の支援です。このような国の助成事業をもっと周知していけば、これまで手が挙がらなかった病院や施設も指定に向けて取り組んでいくのではないかと考えます。  最後に知事にお尋ねします。国は、看護師が特定行為研修を地域で受講できるよう、都道府県が研修体制の整備を図る役割を明確にしています。指定研修機関をふやすため、県としてどのように取り組んでいくのかお尋ねします。研修機関を増加するには、国の助成事業の活用について周知を図る必要があると考えます。知事の責任ある答弁を求めます。(拍手) 13 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、看護師の特定行為研修を行う指定研修機関の指定状況でございます。本県におきましては、昨年の八月、筑後地区の二つの病院が県内で初めて厚生労働大臣の指定を受けました。また、ことしの二月には北九州地区の一つの病院も指定を受けたところでございます。現在、この三つの病院におきまして十一名の看護師の方が研修を受講されているところでございます。  私どもが行いました特定行為研修の受講ニーズ調査でございます。県におきましては、昨年の二月、特定行為研修の受講に関するニーズや課題を把握をするため、県内の病院及び二十四時間対応の訪問看護ステーションに対しましてアンケート調査を実施をいたしました。調査の結果、六九・二%の施設が特定行為研修は必要であると回答されておりますけれども、一方で、受講させることを検討していると回答されたのは八・一%でございました。また、受講の支障といたしましては、代替職員の確保を挙げられた施設が七五・三%と最も多く、次に受講にかかる費用を挙げられた施設が五一・五%となっております。また、七九・二%の施設が通信教育やeラーニングを利用した、就業しながら受講できる研修というものを望んでおられることがわかりました。  また、他県において行われております代替職員確保費用の助成制度、これについての調査結果でございます。昨年度、この助成制度を有しております六つの都府県に対しまして、その補助対象、補助率、利用実績につきまして聞き取りの調査をやらせていただきました。補助対象でございますけれども、医療機関、訪問看護ステーションと老人保健施設となってございます。また、代替職員の任用に関する経費のほか、研修の受講料を含めている県もございました。補助率につきましては、一施設当たりの定額補助、また補助経費の二分の一から三分の二までの補助率と、そういう幾つかに分かれております。これまでのそれぞれの利用実績でございますけれども、二つの県にそれぞれ三施設、それから一施設の利用があったとのことでございました。このように、利用実績はまだ少ないことから、引き続きこれらの制度の運用の状況、効果、課題等を把握しながら、代替職員にかかわる助成の必要性について検討をしてまいります。  次に、指定研修機関をふやす取り組みでございます。県が実施をいたしました受講ニーズ調査の結果では、多くの施設が就業しながら受講できる研修というものを望んでおられ、身近な場所での研修が受けられる環境というものが求められていると思います。一方で、研修機関として指定を受けるには、指導に当たる医師の確保、実習を行う協力施設の調整、研修に要する施設整備、運営費用の負担などの問題がございます。このため国のほうでは、助成事業が行われているところでございます。県といたしましては、この研修機関の設置を検討しておられます医療機関等に対しまして、受講ニーズの調査で得ました求められる研修の内容でありますとか、またその方法についての情報を提供するとともに、国が用意しております助成制度、これについても紹介を行いながら、その設置というものを促してまいります。 15 ◯議長(井上 順吾君) 大城節子君。 16 ◯六十四番(大城 節子君)登壇 答弁をいただきまして、法律はあっても、制度を形づくっていくのは遅々として進まないもの、時間がかかるなと、じくじたる思いで聞いておりましたが、今知事が述べてくださった調査の結果について、いわゆる特定行為の研修が必要であると、そうやって確認されたのが七割の方たち、施設の中でいらっしゃる。そしてなおかつ、七割いる割には検討しているんですというのが八・一%という、その実態がわかったわけでありますけれども、その背景にはやはり、特定行為看護師の活躍が期待される場である訪問看護ステーションでは代替職員の確保が非常に困難であり、研修を受ける期間に職場を離れることが、また環境として難しいと、このように聞いております。しかし、訪問看護ステーションが実習を行う協力施設になれば、代替職員の確保の必要はなくなります。しかも、働きながらの受講が可能となるわけです。先ほど述べました、国の補助事業であります指定研修機関運営事業には、訪問看護ステーションが協力施設になり、実習を行う際の経費に対する助成も含まれており、この事業を周知していけば、協力施設の確保につながるものと考えます。また、本県の指定研修機関との連携システムが構築できれば、大学病院を持たない福岡県立大学にとって、検討すべき指定研修機関の指導医の確保や、病院、介護老人保健施設など実習ができる協力施設についても段階的にクリアしていくと確信します。この事業を活用して、県立大学との協力体制に取り組まれることを強く指摘しておきます。  県民が住みなれた地域で安心して暮らすため、地域包括ケアシステムの構築に向けて、県行政として、質の高い看護のエキスパートとしての特定行為を行う看護師を養成するため、協力施設の確保を含めた研修施設の拡充について、ぜひ取り組んでいただくことを知事に要望し、私の質問を終わります。(拍手) 17 ◯議長(井上 順吾君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後 零 時  六 分  休 憩           午 後 一 時 二十一分  再 開 18 ◯副議長(畑中 茂広君) 再開いたします。  休憩前に引き続き、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。堀大助君。(拍手) *堀議員質問 19 ◯二十六番(堀 大助君)登壇 皆さん、こんにちは。食と緑を守る緑友会・立志福岡県議団の堀大助です。今回は、移住、定住促進のための取り組みについて質問いたします。  さて、先日の代表質問では、井上忠敏新会長が、知事に対し大きな視点でかつ鋭い指摘をしたところです。井上会長の加入で緑友会に新たな風が吹いております。今後は、移住はもとより定住してもらうための取り組みを積極的に推し進めてまいりたいと思います。来てみてよかった、住んでよかった、緑友会福岡県議団、今後とも頑張りますので、よろしく御指導をお願い申し上げて質問に入らせていただきます。  平成二十七年国勢調査において、大正九年の調査開始以来、我が国の総人口は初めて減少しました。この傾向は今後も続くと考えられ、これから人口減少社会を迎える中、どのようにして地域の活力を維持していくかが大きな課題です。核となるのは言うまでもなく、地域の人口をどのように維持していくかということですが、その取り組みの一つとして移住、定住の取り組みがあります。  本県もさまざまな取り組みを行っていると思いますが、まずはその内容についてお聞かせください。  次に、移住、定住のための具体的アプローチについて伺います。まず、移住、定住の候補者がもともと持っている縁を活用すること、今回は同窓会の活用について伺います。おととし、私が卒業した県立京都高等学校は創立百周年を迎え、同窓会や記念式典が行われました。仁戸田県議や山本幸三代議士、松山政司大臣なども見えました。岡本農林水産部長も私の先輩に当たります。同窓会という器があったおかげでさまざまな先輩ともつながりを得、同級生と再会し旧交を温めることができました。松下幸之助さんは、会社は社会の公器であると述べられましたが、学校の同窓会も地域にとって非常に重要な公器であると思います。  一方で、同窓会組織の維持には厳しい現状があると聞いております。卒業生の高齢化、若い卒業生の不参加等で先細りしている同窓会もあると聞きます。せっかく地域に根を張ったすばらしい組織ですので、地方創生や移住定住の観点からも、ぜひとも活用すべきと思います。同窓会には大きなポテンシャルがあります。もともと知り合いなので呼びかけもしやすいですし、SNSなどを活用して呼びかける場合でも、信頼度も高く参加率も上がると思います。学校が基礎になるので公的機関も関与しやすいと思います。  そこで伺います。移住、定住促進のため学校の同窓会を活用すべきと考えますが、知事はどのようにお考えか、お聞かせください。  次に進みます。知事は、二倍成人式、二度目の成人式あるいはセカンド成人式という言葉を耳にしたことはありますか。先日、SNSのある投稿に目がとまりました。四十歳を迎えた人たちが、二十歳の二倍ということで再び故郷に集まり、二倍成人式という取り組みをしているものでした。少し前に、十歳のときに学校で行う二分の一成人式という取り組みも話題になりましたが、これと逆の発想です。四十歳という年齢に、私は絶妙な感じを受けました。  北九州市で二度目の成人式を行う実行委員会のホームページにもこうありましたが、四十代といえば社会において責任ある地位を占める世代であり、経済的にも存在感の増す年代です。今後、地域においてリーダーとしての役割が期待されるこの世代の入り口、四十歳のときに自分の育った地域コミュニティーの仲間たちと再び会う機会があれば、昔話に花が咲くことはもちろん、社会人、経済人としてのつながりも生まれ、地域社会にとってもよい方向の変化を与える可能性があります。つながりが生まれ、仕事が生まれ、故郷に戻ってくる人もふえる。そのきっかけになる可能性が大いにあると感じました。  なお、都道府県の事業としては、富山県において四十歳ではなく三十歳の同窓会という事業に取り組まれたそうです。三十代の若い世代は地域の中に新しい風を吹き込む存在であり、また、三十歳を過ぎるあたりの年代は第一子の平均出産年齢にも当たり、子育て世代とも重なります。これら三十歳から四十歳にかけての世代は、社会人経験がおよそ十年以上あり、即戦力として働くことができる一方でまだまだ若手の部類で、将来その地域でリーダー的存在になり活躍できる世代です。年を重ね、例えば五十代を過ぎてから親の介護でのUターンなどになると、遠慮もあってなかなか地域の中心的存在として前面に出にくいのもまた事実です。そのため、この三十歳から四十歳にかけての世代に働きかけるため、二倍成人式や三十歳の同窓会の取り組みを活用することは大変意義があると考えております。ちなみに、調べた範囲では、県内では北九州市、筑後市、うきは市、みやま市などでこれらの取り組みが行われているようです。  そこで伺います。移住、定住の促進の観点から、二倍成人式や三十歳の同窓会の取り組みを行うことについて、知事はどのように受けとめていますか。また今後どのように対応していくのか、お聞かせください。  次に、関係人口について伺います。最近、関係人口という言葉を耳にする機会がふえました。たとえその地域に住まなくても、移住、定住しなくても、地域と継続的な関係を持つような人々をふやしていこうという考えです。国も取り組みを始めており、総務省は本年度、国民が関係人口として地域と継続的なつながりを持つ機会、きっかけを提供する取り組み、関係人口創出事業のモデル事業に取り組むと発表しました。多くの自治体は移住、定住に悪戦苦闘し、近年は自治体間での移住、定住補助メニュー合戦の様さえ呈しています。そのような中で、移住、定住と最初から大上段に構えるのではなくて、地域と緩やかな継続的関係を持ち、地域のよさにゆっくり触れてもらい、関係人口として将来にわたってその地域の一員になってもらう。そして将来的に移住、定住につながることも期待できる。そのような考えには非常に共感できます。先ほど述べた同窓会や二倍成人式でよみがえった縁を、この関係人口を取っかかりとして、徐々に太くしてもらうことも可能だと思いますし、もともと縁のない人でも、まずは関係人口としてならということでハードルも低くなることが期待できます。  そこで伺います。近年新たに生まれたこの関係人口という考え方について、知事は率直にどのような認識をお持ちでしょうか。また、これから国が行う関係人口に着目した取り組みについては、本県としてはどのように受けとめ、対応すべきとお考えでしょうか、国のモデル事業の本県における採択状況とあわせてお聞かせください。  以上で一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 20 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 21 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、本県の移住、定住の取り組みでございます。本県におきましては、平成二十八年七月、東京有楽町と福岡市天神にそれぞれふくおかよかとこ移住相談センターを開設をいたしました。このセンターにおきましては、市町村の仕事、住宅、子育て支援等に関する情報をワンストップで提供をいたします。またあわせて、専任の移住相談員が、移住希望者お一人お一人のニーズに応じてきめ細かな対応を行いまして、首都圏等からの移住促進を図っているところであります。このセンターの開設からことしの五月末までの移住相談件数を見ますと三千三百七十四件に上っておりまして、そのうちセンターを利用して移住された方が百九十四名おられます。またセンターにおきましては、市町村と連携して仕事、住宅事情といったテーマ別のセミナー、また相談会を開催をするとともに、九州・山口・沖縄IJUフェアやふるさと回帰フェアなど、首都圏や関西圏で開催をされます移住イベントに出展を行っているところであります。  次に、学校の同窓会の活用についてでございます。首都圏で開催をされます県内の高校、大学の同窓会は、本県への移住のPRの場として効果があると、このように考えております。このため、首都圏におけるこうした同窓会の開催状況を把握をしております東京福岡県人会と連携をいたしまして、同窓会に参加されている方々にUターンに関心を持っていただくとともに、本県への移住を知り合いの方々にも広くPRをしていただけるよう、ふくおかよかとこ移住相談センターの取り組みについて紹介をしてまいります。  次に、二倍成人式、三十歳の同窓会の取り組みでございます。二倍成人式や三十歳の同窓会、これには首都圏などから参加される方々もおられまして、本県への移住、定住に関心を持っていただくよい機会であると考えております。また、この世代の方々がふるさとに戻ってくれば、地域活動の担い手としての役割も期待され、地域活動の活性化にもつながると考えられます。このため、二倍成人式や三十歳の同窓会に県外から参加される方々の本県へのUターンにつながっていきますよう、開催地の市町村とも連携をいたしまして、移住、定住に関する情報について提供していきたいと考えております。  次に、関係人口の取り組みでございます。関係人口とは、御指摘がありましたように、その地域にルーツのある人、過去に居住をしていた人、ボランティアなどで行き来をする人など、地域外に居住しながら地域の人々と継続的にかかわり合いを持っておられる人のことを指します。過疎化、高齢化が進んでおります地域におきましては、この関係人口と呼ばれる地域外の人材が、伝統文化の保存、継承、荒廃森林の整備、また棚田の保全といった事業に参加をすることで地域の活性化につながっている事例もあると、このように認識をいたしております。本県におきましては、これまでも都市住民による農山村地域での活動支援、また体験ツアーの実施などに取り組んでまいりましたが、今後も市町村と連携いたしまして、この関係人口を拡大していく取り組みを進めてまいります。  また今年度から国が取り組んでいますモデル事業におきましては、本県においては、うきは市がその採択を受けております。うきは市におきましては、首都圏のうきは市出身者等をふるさと応援団として登録をしまして、また福岡都市圏での企業、団体等をパートナー団体として登録をすることを通じまして、情報の発信、フルーツなどの特産品の販売、体験ツアーの実施などを予定しているところであります。こうした国のモデル事業の成果についても、他の市町村へ情報提供を行ってまいります。 22 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。(拍手) *高瀬議員質問 23 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。LGBTなど性的少数者に対する取り組みについて伺います。  性的少数者をめぐっては、本議会でもたびたび取り上げられ、また近年、行政的にも社会的にも大きな進展があります。東京都渋谷区で同性カップルを結婚に相当する関係と認定する条例が制定され、その後同様の動きは拡大し、福岡市でもパートナーシップ宣誓制度がスタートしました。また、IOCがオリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込むとしたことを受け、先日東京都は、性的少数者への理解やヘイトスピーチ規制などを盛り込んだ条例を制定すると発表しました。経団連も調査や提言を行うなど積極的にこれに取り組み経済産業省は、多様性を重視した企業表彰にLGBTの観点を取り入れました。  そこで知事に伺います。アジアの玄関口を標榜し、オリンピック・パラリンピックについても積極的にキャンプ誘致に努めている本県としても、性的少数者への差別禁止、権利保障の条例を制定するなど、県の姿勢を示すときではないでしょうか。先日の民進党・県政クラブの代表質問に対し、国の法整備を見守る旨の答弁がありましたが、各自治体が急速に施策を広げ、また理解を深めるにも最適のこの時期に、本県としても条例制定や男女共同参画プラン等の見直しを行うべきだと考えます。知事の見解を伺います。
     条例制定以前にも、公的書類における不必要な性別欄を撤廃することや、相談窓口の充実、企業や地域における啓発などやるべきことはたくさんあります。本県のホームページには、ガイドブックの紹介はされていますが、相談窓口やイベント、関係団体などの紹介は一括でなされていません。他県で工夫されているように、LGBT当事者や関心を持った方が一目でわかるサイトをつくるべきではないかと思います。現在、また今後の取り組みについて、お尋ねします。  教育現場においては、文部科学省から通知が出されていますが、現在本県ではどのような取り組みがなされているのか、教育長にお尋ねします。  私は、かつて、しっかり者の女子だと思っていた教え子が、爽やかな青年男子となって目の前にあらわれたとき、セーラー服姿とのギャップに驚くとともに、当時の苦悩に思いをはせ、ともに過ごした者として胸が痛みました。必要以上に男子、女子に分けるのでなく一人一人違う人間として接することが教育の場で重要だと痛感します。その意味でジェンダー平等の観点から広がっている男女混合名簿は、LGBTなど性的少数者に寄り添う観点からも重要だと考えます。文科省通知には、児童生徒が自認する性別の制服、体操服などの着用を認めるとありますが、男女混合の教育活動の中でその選択も容易になるのではないかと考えます。  そこで教育長に伺います。現在、小中高校における男女混合名簿の実施率はどうなっているでしょうか。入学式、卒業式の並び方なども含め、必要以上に男子、女子を分けない考え方を教育活動に生かしていただきたいと思います。教育長の見解を伺います。  また、私学においては、文科省通知を受け、どのような取り組みがされているでしょうか。男女混合名簿の実施率についてもあわせて知事に伺います。  次に、木曜会について伺います。今回、県職員が業務上横領で福岡県警に逮捕されたことは、まことに遺憾であり、知事が繰り返し述べられているように、県庁挙げて再発防止に取り組むべきことは言うまでもありません。私が今回お聞きするのは、職員が会計を担当していたという木曜会という任意団体そのものについてです。職員逮捕を受け、県は先月八日、記者会見を開き、木曜会の名簿と運営要綱を公表されました。それによると、福岡県知事、福岡県警察本部長のほか、ほとんどの国の出先機関の長、福岡高等裁判所長官、福岡高等検察庁検事長、自衛隊福岡地方協力本部長、陸上自衛隊第四師団長など三十八団体が構成員となっており、運営要綱には「会員相互の親睦を図ることを目的とし、兼ねて行政諸般の研究及び事務連絡を行うものとする。」と規定があります。会議は、会員以外の代理出席を認めておらず、さらに、その会議録なども存在していないとのことでした。そこで、構成メンバーである知事と県警本部長に伺います。  第一に、県知事、市長など政治権力を行使する側、公安、警察、検察、自衛隊など権力を行使しつつ取り締まる側、高裁など権力を裁く側、さらにJRなど公益企業のトップが一堂に会し、親睦、研究、連絡しなければならない理由、必要性は何でしょうか。明確な答弁を求めます。  第二に、このような親睦会は、三権分立の基本理念に反し、不祥事をもみ消しチェック機能を形骸化させるための面識を持つ場ともなる可能性もあり、権力の腐敗を招かないかという疑問が県民から上がるのは当然と考えますが、この点についての見解を伺います。  第三に、親睦会のメンバーのほとんどが公職にある上、会議運営の補助として部下の職員を参加させることを要綱で認めていることから、会議で話し合われる内容に、公的な事案が含まれていることを示しており、会の運営に公金が使われている以上、過去の研究、連絡の中身を公開すべきではないかと考えます。見解を伺います。  五十年にもわたって、秘密裏にこのような会議が続いてきたことは極めて重大であります。他県でも二十以上のところで同様の組織が存在しているとも聞き及んでおり、この組織には国が関与していると考えざるを得ません。その成立と経緯について明らかにしていただきたい。木曜会組織の主役が県政トップの知事であることは明白であり、この際、木曜会は解散すべきではありませんか。最後に、知事に見解を求め、質問を終わります。(拍手) 24 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 25 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、性的少数者にかかわる条例の制定、関係するプラン等の見直しでございます。条例の制定につきましては、国の性的少数者に関する法整備の動向を十分注視する必要があると、このように考えております。また、関係するプラン等につきましては、次期策定の際に、今後の法整備の状況、社会状況の変化を踏まえまして性的少数者に対する取り組みの位置づけ方、これについて検討をしてまいります。  次に、性的少数者に対する県の取り組みでございます。県におきましては、これまで性の多様性をテーマとする特別展、県民講座の開催、人権啓発ラジオ番組の制作、放送、性的少数者の人権問題を専門とする研修講師の派遣など、さまざまな手法によりましてその啓発を行ってまいりました。昨年度は、性的少数者の当事者を含む支援団体と協働して性的少数者の方々への配慮事項をまとめたガイドブックを作成をいたしまして、これを活用した企業関係者や県民向けのセミナーを経済団体、あるいは市町村と連携をして開催をしたところであります。さらに、ことしの三月には、福岡県人権教育・啓発基本指針を改定いたしまして、性的少数者を女性、子供、高齢者などと同じように個別の人権分野として新たに位置づけを行い、その教育、啓発の施策の基本的方向について定めました。また、今年度からは、企業の公正な採用選考を促すための冊子でございます「企業と人権」これに性的少数者に関する解説と配慮すべき点を追記したところであります。今後ともこのような取り組みに加えまして、情報の発信方法を工夫しながら、性的少数者の皆さんに対する県民の皆様の理解が深まっていくよう、広く啓発を進めてまいります。  次に、私立学校における性的少数者の児童生徒に対する取り組みでございます。県におきましては、性的少数者の児童生徒へのきめ細かな対応の実施に関する国の通知、これを受けまして、各私立学校にこれを周知をしているところであります。現在、私立学校におきましては、この国の通知を踏まえまして、みずからが認識する性別の制服の着用、更衣室としての保健室の利用など、必要に応じた配慮がなされているところでございます。また、私学団体におきましては、性的少数者の児童生徒に対する適切な理解を進めていくため、学校の教職員等を対象とした研修が実施をされております。  男女混合名簿の実施率でございますけれども、小学校が七五%、中学校が五八・八%、高等学校が四八・九%とそれぞれなっております。  次に、木曜会についてでございます。木曜会は、県内の政府出先機関の長などを会員といたしまして、各機関が進めておりますそれぞれの政策や事業に関する情報を共有するとともに、各機関の業務の円滑な推進を図るため会議を開催しているものでございます。  権力の腐敗を招くのではないかという御意見でございますけれども、今述べましたとおり、木曜会は各機関が進めておりますそれぞれの政策や事業に関する情報を共有する場であり、各機関の業務の円滑な推進を図るための場でもあります。面識を持つことによって御指摘のような権力の腐敗を招いたりすることはないと、このように考えております。  過去の会議についてでございます。毎月の会議は各会員が輪番で当番幹事となりまして、当該機関の業務や政策の説明が行われるほか、会員がそれぞれ進めております施策に対する他の機関への協力要請などが行われております。それぞれの会議におきましては、当番幹事である機関が、一般的にその政策を説明する際に用いている資料やパンフレットを使って説明が行われているところであります。  次に、設立経緯でございます。これまでの会議も、秘密裏に開いてきたという意識はございません。国が関与したとは思えませんが、昭和三十八年に設立をされまして、何分五十年以上前のことでございまして、当時の資料も残っていませんので、そのときの具体的な設立の経緯についてはつまびらかにすることはできません。  次に、木曜会の解散についてお尋ねがありました。木曜会は、会それ自身は有益な、大事な会だと考えておりますので、今後も継続をしていきたいと、このように考えております。 26 ◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。 *教育長答弁 27 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 教育現場におけるLGBTなど性的少数者に対する取り組みについてでございます。  まず、性的少数者に対する教職員の適切な理解の促進が必要であることから、教職員の研修用資料にLGBTに関する国の通知や指定校における研究内容を掲載するとともに、管理職の研修会や各学校の校内研修などの機会を捉えて、通知内容の説明や児童生徒への具体的な支援について演習、協議等を実施しております。  また、児童生徒への対応につきましては、県立高校では個別の事案に応じて自認する性別の制服等の着用を認めたり、職員用のトイレや更衣室の利用を認めたりするなどの配慮が行われております。なお、ことし三月に改定されました福岡県人権教育・啓発基本指針において、新たに性的少数者への教育活動や施策の方向性を示したところです。  男女混合名簿の使用とそのあり方についてでございます。現在、名簿を男女混合で編成している学校の割合は、公立小学校で九六・五%、公立中学校で九六・一%、県立高校では三三・一%となっております。申すまでもなく、学校教育活動につきましては、一律に男女別とするのではなく、その目的や内容等に応じて、適切に実施すべきものでございます。その際、使用する名簿につきましても、目的、用途に応じるほか、性同一性障がい等への配慮など、近年の社会的情勢を踏まえまして、各学校においてそのあり方を検討する必要があると考えております。 28 ◯副議長(畑中 茂広君) 高木警察本部長。 *警察本部長答弁 29 ◯警察本部長(高木 勇人君)登壇 木曜会に関してお答えをいたします。  警察といたしましては、県民の安全、安心の確保のための各般の取り組みに当たりまして、治安関係機関以外も含む国、県、市町村の多くの機関や民間の方々との連携、協力を行ってまいることが不可欠なものと認識をしております。お尋ねの木曜会への参加については、参加各機関等との連携、協力を推進する上で有益なものと考えております。  また、木曜会に対して、権力の腐敗を招かないかという疑問が県民から上がるとの御指摘がありましたが、いずれにいたしましても、警察業務の運営に当たりましては、法令を遵守し、不偏不党、公平中正を旨としているところであり、警察本部長が木曜会へ参加することに問題があるとは考えておりません。  最後に、過去の会議の公開についてであります。警察本部長が最近において当番幹事を務めたのは、平成二十八年七月でありますが、その際のテーマは暴力団対策の現状についてであり、既に公表されていた資料に基づき報告を行ったものであったものと承知をしております。 30 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。 31 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 木曜会について知事に再質問いたします。知事は、この会において政策の説明、情報の共有、協力の要請を行うと答弁されました。三権分立の法のもとで互いに緊張感を持つべき機関の長が、毎月一堂に会して協力の要請まで行う、しかもその内容が不透明であることに県民は疑問を持つと思います。必要性があるから継続するとの答弁でしたが、その必要性に説得力はありません。なぜ、必要なのか、再度お尋ねいたします。 32 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 33 ◯知事(小川 洋君)登壇 必要性について再度のお尋ねがありました。先ほども御答弁いたしましたとおり、私どもとしては秘密裏に会議を開いてきたという意識はございません。木曜会は、各機関が進めておりますそれぞれの政策や事業に関する情報を共有をする、また、各機関の業務の円滑な推進を図るために開催をしているものでございます。参加するそれぞれの機関のトップが、直接他の機関のトップに対しまして、その業務や政策を説明をするとともに、それぞれが進めている一般的な施策に対する協力要請、これを行うことに意味があると、そういうふうに私は理解をしております。必要な会議だと思います。 34 ◯副議長(畑中 茂広君) 高瀬菜穂子君。 35 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 お答えになっていないと思います。議事録もないんです。情報公開と説明責任は民主主義の基本です。このような不透明な権力の親睦は不必要です。解散すべきだということを再度申し上げ、質問を終わります。(拍手) 36 ◯副議長(畑中 茂広君) 吉村悠君。(拍手) *吉村(悠)議員質問 37 ◯十五番(吉村 悠君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の吉村悠です。通告に従いまして、若者の自立支援について、爽やかに質問を行わせていただきたいと思います。  現在、就職戦線において売り手市場と企業による優秀な人材の争奪戦が話題になっている一方で、仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、六カ月以上続けて自宅に引きこもっている状態の人、いわゆるひきこもりと、それを支える親世帯の高齢化が社会問題となってきています。また、福岡県の若年無業者は、推計で三万六千人と言われていますが、このような若者がふえていけば、人手不足に拍車をかけ、さらに働けないままの状態が続けば生活保護を受給せざるを得なくなるなど、経済的な損失も大きなものとなってまいります。少子、高齢化が進行する日本社会において就職できない、つまりは自立できない若者への対策を早期に打つ必要性は、ますます重要になってきております。  例えば、北九州市には、県立ひびき高校があります。この高校では、高校中退者等を対象に、多様な就学条件や学習歴または学習希望を有する生徒が、みずからの学習計画に基づき幅広い科目の中から授業を選択し、主体的に学習することができるようになっております。しかしながら、入学者の約四分の一が卒業までに中退しており、高校がかかわらなくなった後に、速やかにアプローチしていく対策も、今後、必要とされていると思います。  そのような中で、福岡県では本年度からの新規事業として、若者自立相談窓口の設置に要する経費を計上しています。県の自立支援に向けた取り組みが期待されるところでありますが、その一方で、十五歳から三十九歳までの若年無業者、ニート等の職業的自立を支援する施設である若者サポートステーションにおいて就職や進学等、早期の進路決定を図るための若者自立支援事業費として三千七百万円強が三十年度当初予算に計上されております。この若者自立支援事業費の中には、新規事業として四十歳から四十四歳の就職氷河期無業者に対する支援分が含まれているという説明がありましたが、当該事業費のほとんどは十五歳から三十九歳までの若者をターゲットにしております。今年度、新規に窓口を設置する予定の若者自立相談窓口の対象者も、高校中退、若年無業、ひきこもり等困難を抱える若者であり、この二つの事業は、対象者はほとんど同一であると言えます。  さらに気になることは、これらの事業の担当課が異なる部局となっていることです。つまり、若者自立相談窓口の担当課は人づくり・県民生活部私学振興・青少年育成局青少年育成課であり、若者自立支援事業の担当課は福祉労働部の労働局労働政策課です。せっかく成立した本年度予算による事業が効果的に成果を発揮し、困難を抱える若者に対してしっかり支援がなされるように望むところですが、縦割りである県行政において有機的、効果的な部局間連携が不可欠です。そこで、この点に関して知事にお尋ねします。  まず最初に質問です。新規設置予定の若者自立相談窓口は、既に設置されたのか、まだ準備中であるとすれば、準備の状況はどこまで進んでいて、いつごろ設置が完了するのでしょうか。  次に、若者自立相談窓口は県内一カ所に設置予定であり、コーディネーター一名と相談員の計三名体制で県内全域をカバーする予定と聞いております。また、その支援の内容は、高校と若者自立相談窓口が高校中退者等の情報を共有し、退学後速やかに適切な支援機関につなぐこと及び相談機関まで来ることのできない若者の家庭等に相談員が出向いて相談支援を行うこととされております。そこで質問ですが、県内全域の高校等中退者等への訪問相談を行うに当たり、三名体制で十分と言えるのでしょうか。  また、ひきこもりに近い状態にある高校中退の若者を、若者サポートステーションのような来訪を待って支援を行う機関とつなぐには、ただ利用を促すだけでは不十分であると考えます。具体的にどのようにつなげていくのかお答えください。  最後の質問です。若者が対象となり得る県の相談窓口としては、現在、若者サポートステーションのほかにも、こども支援オフィス、教育センター、ひきこもり地域支援センター等、十六窓口五十一カ所が存在し、所管課も多岐にわたっております。これら多くの機関が既に存在する中で、新規に設置される若者自立相談窓口が有意義なものとなるためには、これら若者が対象となり得る全ての支援機関が有機的な連携を行っていくことが不可欠です。また、それぞれの支援機関がその役割を果たし、すき間なく支援を行っていくことが重要であると考えます。若者自立相談窓口は、これらの関係支援機関と、どのようにして連携を図るつもりなのでしょうか、お答えください。  今回、この質問を行うに当たり、困難を抱える若者を支援する子ども・若者応援センターエールを設置している北九州市とも話をいたしましたが、困難を抱える若者に対する訪問相談の取り組みは画期的なものであり、北九州市としても相互連携を行っていただきたいとのことでした。その点も踏まえた上で、関係支援機関との連携についてお答えください。  知事の若い世代の自立に向けた熱意ある答弁を期待し、私の一般質問を終わります。(拍手) 38 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 39 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、若者自立相談窓口についてでございます。高校中退した若者が就学も就業もしていない状態にならないよう、高校から中退者の情報を収集いたしまして、速やかに適切な支援機関につなぐ若者自立相談窓口を今年度新たに設置することといたしております。この窓口の対象となります若者は、人口推計でいきますと福岡地域が最も多いと見込まれます。また、この窓口は来所、電話、メールによる相談に加えまして高校中退者の自宅を相談員が直接訪問いたしまして、相談に応じることといたしております。このため、設置地域につきましては、より多くの若者に対し、効率的な訪問相談を行うため交通の利便性を勘案し、福岡地域に設置することといたしております。また、その福岡地域の中でもひきこもりや発達障がいなどの支援機関と連携するための利便性、これを考慮して選定をした場所に開設をしたいと、このように考えております。現在、九月初旬の開設を目指しまして準備を進めているところでございます。この窓口は、臨床心理士や社会福祉士など専門のスタッフを抱え、適切な相談対応ができる団体からの提案を受けまして、その運営を委託することにいたしております。今月下旬に、その公募を開始する予定でございます。  若者自立相談窓口の体制についてでございます。この窓口には、ひきこもり地域支援センターなど関係機関との支援調整を行うコーディネーターを一名、訪問相談を中心に高校中退者や保護者からの相談対応を行いますスタッフ二名を配置をいたしまして、計三名体制で運営していくことといたしております。この窓口の対象でございますけれども、進路が決まらない高校中退者になりますけれども、国の調査によりますと、このような若者が高校中退者全体に占める割合が四%となっております。この調査を参考にして、窓口の対象者を見込んで三名体制で運営することといたしたものであります。まずはこの体制で窓口を開設をし、事業運営をし、その後の相談者のニーズや状況の変化を踏まえ、相談体制について検証作業をしていきたいと思っております。  次に、支援機関へのつなぎでございます。進路が決まっていない高校中退者の多くは、将来に不安を抱え、どこに支援を求めてよいかわからない状況にございます。このため、本人の進路希望や心身の状況などを把握をいたしまして、ひきこもり地域支援センターや若者サポートステーションなど、適切な支援機関につないでいくことが必要でございます。まずは、進路が決まらないまま中退する生徒に対しまして、各高校から窓口の利用について促していただくとともに、本人や保護者の同意を得た上で各高校から窓口へ情報提供していただくことといたしております。提供された情報を踏まえまして、窓口のスタッフが速やかに連絡をし、訪問相談を行った後、必要に応じてスタッフが同行して適切な支援機関につないでまいります。  支援機関との連携についてお尋ねがございました。この窓口と支援機関との連携に当たりましては、各支援機関の役割分担と高校中退者の進路希望や心身の状況などの情報の共有というものが必要になります。このため、高校中退者に対し効率的な支援が図られますよう、この窓口を中心に関係機関の実務者との協議をする場を設けることといたしております。この協議の場に、御質問のありました北九州市の子ども・若者応援センターエールなど、県内の関係機関についても参加をしていただきたいと考えております。今後、この協議の場におきまして、関係機関との連携を深め、きめ細かな支援に取り組んでまいります。 40 ◯副議長(畑中 茂広君) 堤かなめ君。(拍手) *堤議員質問 41 ◯三十五番(堤 かなめ君)登壇 民進党・県政クラブ県議団の堤かなめです。新生児里親委託の推進について、知事にお聞きします。  昨日、福岡県警は、北九州市小倉北区の住宅で四歳の男児優斗ちゃんをテレビ台の引き出しに閉じ込め窒息死させたとして、二十七歳の父親を殺人容疑で逮捕しました。また、吉松議員が一般質問初日に言及されました優愛ちゃん事件を初め、幼い子供が命を失う痛ましい事件が続いています。近年では、虐待による死亡事例がほぼ毎年五十件を超え、一週間に一人の子供が命を落としています。また、日本小児科学会によれば、虐待は見抜くのが難しいほか、医療機関、児童相談所、警察の間で虐待死と判断するかどうかの見解にずれがあるため、実際の虐待死はもっと多く、国による集計の三倍を超える可能性もあるとされています。いずれにせよ、虐待により死亡した十八歳未満の子供の半数近くはゼロ歳児であり、新生児里親委託は虐待死の防止という点からも、重要な施策として全国的に取り組みが始まっています。  新生児里親委託とは、さまざまな事情から実の親が育てることができない子供を、新生児段階、出産直後から里親に委託するという仕組みであり、赤ちゃん縁組とも呼ばれています。二〇一五年二月議会において、この赤ちゃん縁組の推進について一般質問させていただき、知事からは、研修の実施、指針の策定、医療機関との連携づくりなど、その条件の整備に取り組んでいきたいとのお答えをいただきました。実際に本県は、翌二〇一六年に、赤ちゃん縁組のマニュアルを策定し、県内の産科医療機関とも連携してこられたと聞いています。赤ちゃん縁組は愛知県が先進県として知られていますが、都道府県がマニュアルをつくって率先するのは全国でも珍しいということで新聞報道もされました。  そこで、改めて赤ちゃん縁組を広げるための、この二年半の本県の取り組み状況についてお聞きします。  次に、三歳未満の乳幼児の家庭養育の重要性についてです。全ての年齢の子供にとって家庭養育は重要ですが、とりわけ、愛着形成に最も重要な時期である三歳未満の乳幼児において、施設ではなく家庭での養育を行うことは、既に国際的な潮流です。その背景には、三歳までの発達は極めて重要であって、その間に養育者と愛着関係を結び正しい刺激が得られなければ健常な発達が望めないことがあるなどの、脳科学的知見が積み上げられてきたことがあります。ちなみに、これは三歳までの子育ては母親がすべきという、いわゆる三歳児神話ではなく、近年の研究によれば、愛着関係を築くためには、父親であれ母親であれ里親であれ、愛着対象となる養育者が少なくとも数人に固定されていることが重要であるとされています。ユニセフと国連人権高等弁務官事務所は、二〇一一年に行動喚起、三歳未満の子供の施設養育を終わらせようとの声明を出しています。さらに翌二〇一二年、国連人権高等弁務官事務所は、報告書の中で、施設の環境や衛生状態が改善されたとしても、三歳未満の子供にとっては特に、五歳から八歳未満の子供においてでさえ、その悪影響の根本的な解決にはつながらないと述べています。アメリカやイギリスでは、既に三歳以下の子供が施設で暮らすケースはほぼなくなり、ルーマニア、ブルガリア、チェコなど東ヨーロッパ諸国でも三歳未満の子供や障がい児の家庭移行が急速に進んでいると聞いています。  日本においても、厚生労働省が、昨年八月に新しい社会的養育ビジョンを発表し、三歳未満の乳幼児については原則として施設への新規の措置入所を停止し、おおむね五年以内に里親委託率を七五%とするなどの極めて高い数値目標を掲げました。このビジョンについては、昨年九月議会において佐々木允議員が一般質問で取り上げ、これらの目標はこれまでになかった数値目標であり、県行政においてはビジョン達成に向け児童相談所を中心にさらなる体制整備や各種施策の充実が必要となると指摘しています。  そこで、この新ビジョンにより、日本でも乳幼児期を最優先とする家庭養育の推進がようやく本格的に着手されたことは高く評価すべきと思いますが、知事はどのような認識をお持ちなのか、あわせて本県における乳幼児期の家庭養育の現状についてお聞かせください。  最後に、今後の取り組みについてです。大阪府は二〇一五年から、福岡市は一昨年度から、新生児を含む乳幼児の一時保護について、可能な限り里親に委託する方針を強化し、スーパーやショッピングモールなどの身近な場所で乳幼児専任の養育里親を募集するなどの取り組みを行っていると聞いています。  そこでまず、大阪府や福岡市による、このような取り組みを知事はどう評価しているのかお聞きします。  また、佐々木議員も指摘したように、三歳未満の乳幼児里親委託率を五年以内に七五%とするなどの数値目標を達成するには、県内の産科医療機関だけでなく、にんしんSOS福岡を運営する看護協会や市町村保健センター、学校などとの連携を図る、児童養護施設の里親の募集、育成、支援などの機能を強化したり、児童相談所内に里親委託や特別養子縁組を促進する専門の部署を設置するなどが必要となると考えますが、知事の考えをお聞きします。  以上、小川知事の子供たちへの愛情あふれる御答弁を期待いたします。(拍手) 42 ◯副議長(畑中 茂広君) 小川知事。 *知事答弁 43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、新生児里親委託の取り組み状況でございます。本県におきましては、望まない妊娠をされた女性への支援の選択肢の一つとなりますよう、一昨年度から、新生児を退院直後から里親に委託をする新生児里親委託に取り組んでいるところであります。これまで、児童相談所職員向けに新生児里親委託マニュアル、これを作成するとともに、新生児里親を希望される方々のために啓発DVDを作成し、これを用いた研修を行ってきております。また、平成二十八年七月には、赤ちゃん縁組推進フォーラムを開催をいたしまして広く県民の皆様にその周知を行ったところであります。加えて、昨年度、予期しない妊娠でお困りの方、赤ちゃんの子育てを望まれる方、これらの方を支援する関係機関向けの三つの種類の啓発チラシというものを作成をし、市町村、学校、医療機関、各種相談窓口やコンビニなどに配布をいたしまして、改めてその周知を図ったところであります。こうした取り組みによりまして、新生児里親委託の研修を受講された里親は、昨年度までに三十九世帯となってございまして、新生児里親委託はそのうち二件成立しているところであります。  三歳未満の乳幼児の家庭養育の重要性についてでございます。家庭は、子供の成長、発達にとって最も自然な環境でございまして、特に乳幼児期というのは安定した養育環境で愛着関係の基礎をつくる大切な時期であります。このため、もし家庭で養育できない場合には、里親のような家庭と同様の環境で育つことが、お子さんたちの心身の健やかな成長や発達のために大変重要なことであるというふうに認識をしております。しかしながら、里親委託を進めるに当たりましては、まず、実親の同意を得ることがなかなか難しい。また里親側においても、虐待などにより心身に問題を抱え専門的なケアを必要とするお子さんを受け入れる里親というのが不足しております。これらのことから、乳児院にかえて里親委託を早急に進めていくことはなかなか難しい、そういう状況にはございます。こうした理由によりまして、本県における三歳未満の里親委託率は社会的な養護が必要なお子さん六十四名のうち、里親に委託されている子供は六名でありますことから、九・四%にとどまっているところでございます。なお、乳児院を退所されるお子さんのうち、約半数がそれぞれの御家庭に復帰をされております。  次に、大阪府や福岡市の取り組みについてお尋ねがございました。国の里親委託ガイドラインによりますと、新生児につきましては、特定の大人との愛着関係のもとで養育されることが子供の心身の成長や発達に不可欠であり、今後の人格形成に多大な影響を与える時期でもあることから、委託の期間が限定される場合でありましても、里親委託は有用であると、このようにされております。これらの考え方のもと、両自治体、大阪府、福岡市におきましては、新たな里親の開拓に取り組むため、乳幼児期でかつ短期間の里親委託を重点的に進めておられます。この取り組みは、短期間であることが前提であるため、里親の負担が少なく、対象児童も乳幼児でありますことから、里親がより愛着を持って子供との関係を築く可能性がございます。里親と子供の相性が合えば、その後の里親委託の継続にもつながっていきますことから、里親を確保していくための一つの試みとしてこの試みは意義あるものだというふうに認識をいたしております。  里親委託推進に当たっての児童養護施設、児童相談所の体制強化でございます。里親委託につきましては、平成二十四年度から児童相談所に里親専任の職員を配置をし、児童養護施設の里親支援専門相談員と連携をしながら里親制度説明会や研修、里親との交流会、委託後の家庭訪問などに取り組んでまいりました。こうした中、昨年八月の新しい社会的養育ビジョンにおきまして、非常に高い里親委託率の目標が示され、それを達成するため、新たな社会的養育推進計画の策定が求められたところであります。このため、県におきましては、ことしの五月から社会福祉審議会の施設入所児童権利擁護部会におきまして、児童養護施設や児童相談所の役割、あり方など里親支援体制の構築に向けた施策の検討を始めたところであります。今後、この部会での議論を踏まえまして、国が示すことといたしております都道府県計画の策定要領、また自治体への支援策、これらを注視するとともに、他の自治体の施策も参考にしながら、里親委託推進のための体制について検討してまいります。 44 ◯副議長(畑中 茂広君) 堤かなめ君。 45 ◯三十五番(堤 かなめ君)登壇 御答弁いただきました。  県では、先月五月から里親支援体制の構築に向けた施策の検討を始めたとのことですが、最も多いゼロ歳児の虐待死を未然に防止するためにも、新生児里親委託を推進するための施策を最優先するよう重ねて要望させていただきます。  また、実効性ある施策とするには、人員と予算の確保が不可欠であることは言うまでもありません。国が非常に高い里親委託率を示したこと自体は評価するものの、この高い目標を短期間にどうやって達成するかが問題であり、全国知事会なども、国に対して、きちんと財源を確保するよう求めていると聞いています。しかし、虐待死という悲劇をこれ以上繰り返さないためには、本県として独自に、人員と予算を十分に確保していただきますよう、知事のリーダーシップを心からお願いし、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 46 ◯副議長(畑中 茂広君) 山口律子君。(拍手) *山口議員質問 47 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 日本共産党の山口律子です。米軍と一体となった自衛隊基地再編強化、九州・福岡の出撃拠点化について質問します。           〔畑中副議長退席 井上議長着席〕  二〇一五年九月に安保法制が強行可決され、きょうでちょうど二年九カ月がたちました。今、自衛隊は米軍との一体化が進み、危険な軍事行動に踏み出しています。二〇一七年八月、航空自衛隊のF15戦闘機は、日本海に進出した核兵器搭載可能の米空軍戦略爆撃機B52を護衛する作戦を秘密裏に行いました。十一月二十日付の琉球新報は、政府関係者の話として、核兵器が搭載できるB52が接近したことがわかれば、北朝鮮は強いプレッシャーを受けると報じています。つまり、米軍と自衛隊が一体となって軍事圧力をかけたわけです。同年三月からほぼ毎月、グアムの米空軍B1B戦略爆撃機は、北朝鮮との国境近くまで軍事威嚇飛行を行ってきました。自衛隊は、日米共同訓練と称し、築城基地のF2、新田原基地のF15戦闘機を参加させていますが、紛れもなく護衛作戦です。これまでできないとされてきた、戦時下にある韓国軍との連携も行っています。これは明らかに、武力による威嚇または武力の行使を永久に放棄した憲法九条に違反する行為です。その行動に本県に所在する築城基地から出撃していますが、知事はどうお考えですか。知事の御所見を伺います。  自衛隊は、これまで憲法上持てないとされた攻撃型の装備を次々と導入し、戦争できる軍隊への整備を進めています。ヘリ空母「いずも」を改修した攻撃型空母、敵基地攻撃能力を目指す長距離巡航ミサイル、敵国の奥深くに侵攻するためのステルス機能を持つF35A戦闘攻撃機、上陸作戦を行うためのAAV7水陸両用車、オスプレイMV22の配備も戦地に兵員を輸送するためのものです。九州では、沖縄の軍事基地強化と連動して米軍と一体となった自衛隊基地の大増強と出撃基地化が行われています。  三月二十七日に陸上自衛隊は、全国五つの方面隊を束ねる統一指令部として陸上総隊を創設しました。海外派兵部隊の司令部である中央即応集団の機能も吸収し、米軍との一体化を加速するために日米共同部を神奈川県のキャンプ座間に置いています。さらに同日、水陸両用作戦能力を大幅に拡大した上陸作戦専門の水陸機動団、日本版海兵隊を佐世保市の相浦駐屯地に発足させました。佐賀空港へのオスプレイ配備計画は、この部隊の兵員輸送のためのものです。水陸機動団は今後も増強し、一個連隊をキャンプ・ハンセンかキャンプ・シュワブに配備する案も検討されています。米軍との一体化がここまで進み攻撃能力を格段に高めた自衛隊は、もはや専守防衛を任務とした、かつての自衛隊と大きく性格を異にします。九州・福岡は今、その日米共同の出撃拠点にされようとしているわけですが、そうなれば当然、紛争相手国の攻撃目標にもなり、基地あるがゆえの被害も起こり得ます。県民の生命、財産を守る立場にある知事としてどのようにお考えですか。  本年三月三十日、米海軍は空母艦載機を厚木基地から岩国基地へ移駐完了させ、岩国は嘉手納基地と並ぶ極東最大の基地となりました。米海兵隊の岩国基地運用マニュアルによると、緊急用の代替飛行場として第一に築城、第二に新田原が挙げられています。この条項に緊急時が何を示すのかは明記されていませんが、軍事用語辞典によると代替飛行場について戦術的な作戦を用いる場合に要求され得るとの記載もあり、作戦上必要とあれば、いつでも出撃及び訓練のために築城基地を使用される可能性は十分に考えられます。緊急事態とはどういう事態のことか、どのように代替使用されるのか、防衛省に築城基地の運用について具体的に明らかにするよう求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。  また、同マニュアルには、岩国基地の滑走路を空母に見立てた着艦訓練タッチ・アンド・ゴーを昼間、夜間も行うなどの記載もあり、こうした訓練が代替基地の築城にも及ぶのではないかと危惧するところです。築城基地での危険な着艦訓練は行わないよう求めるべきではありませんか。お答えください。  航空自衛隊芦屋基地は、現在の滑走路千六百四十メートルを千八百十七・五メートルに拡張する計画を進めています。防衛省は、目的を訓練機の安全性向上、救難機の救難範囲拡大などとしていますが、爆撃機や戦闘機などの実戦配備が可能となり、米軍機の使用対象となる可能性も否定できません。基地の機能強化が最大の目的ではないでしょうか。市街地に隣接する同基地の周辺住民は、低空飛行や住宅地上空での訓練など、航空機の爆音や事故の不安に長年さらされており、これ以上の危険や住環境の悪化は受け入れがたいものがあります。また滑走路の延長には海岸線の松など保安林六千三百本を伐採する必要があり、三月二十六日、防衛省は本県に保安林解除の申請を提出しました。地元からは、塩害など農作物への影響を懸念するとともに、江戸時代から防風林として大事に育成されてきた三里松原を伐採することに反対の声も上がっています。滑走路の延長はやめるべきだと考えます。知事は国に中止を求めるお考えはありませんか。お伺いいたします。  以上、四点、前向きな答弁をお願いいたします。(拍手) 48 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 49 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  初めに、航空自衛隊と米空軍の共同訓練また築城基地所属の戦闘機の運用についていろいろお尋ねがございましたが、これらの点につきましては、安全保障にかかわる問題でございまして、憲法九条との関連性も含め、国において適切に判断されるべきものだと考えております。
     次に、水陸機動団の発足を初め、自衛隊の体制が強化されているのではないかと御指摘でございます。これにつきましても、自衛隊体制というのは安全保障にかかわる問題であります。国の専管事項であるために、国において適切に判断されるべきものであると考えております。  次に、築城基地の運用についてお尋ねがございました。築城基地が米海兵隊の岩国基地に対して、どのように位置づけられているのか、国または米軍から情報提供は受けておりません。しかしながら、築城基地の運用につきましては、国家、国民の安全保障にかかわる問題でありますために、国において適切に対応されるべきものであるというふうに考えております。  なお、築城基地は、日米地位協定に基づきまして米軍が使用できると位置づけられております施設のため、本県を含め基地を抱える都道府県で構成をしております渉外関係主要都道府県知事連絡会議、いわゆる渉外知事会といたしましては、国のほうに対しまして騒音軽減、飛行運用の制限等に関する条項の新設など、日米地位協定の改定を求めているところでございます。  次に、芦屋基地の滑走路の延長についてでございます。これは、国におきまして基地周辺の環境に十分配慮した上で、法令にのっとり実施されるものと、このように認識をいたしております。 50 ◯議長(井上 順吾君) 山口律子君。 51 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 知事は、全く私の質問に答えていません。  日米一体の軍拡、再編強化は、日本が攻撃を受けていなくてもアメリカが起こす戦争に武力で対処する集団的自衛権行使の準備にほかならず、九州・福岡はその戦略上の拠点にされようとしています。知事は国任せの姿勢に終始されますが、そういうことで県民の生命、財産を本当に守ることができますか。  安倍内閣の軍拡路線は改憲と一体であり、近隣諸国との緊張と戦争に巻き込まれる危険性を高めるだけです。憲法九条の精神に立った対話と外交による平和構築こそが、国民多数の望みであり、最大の安全保障になります。軍事対軍事の危険な道と決別し、平和外交の戦略に踏み出すよう強く国に求めていただくことを要望し、質問を終わります。(拍手) 52 ◯議長(井上 順吾君) 渡辺勝将君。(拍手) *渡辺(勝)議員質問 53 ◯八番(渡辺 勝将君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の渡辺勝将であります。質問の前に、昨日、大阪府北部を震源とする地震でお亡くなりになられました方々の御冥福を心からお祈りするとともに、全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。  通告に従い、想定される最大規模の降雨について質問をいたします。  昨年の九州北部豪雨から一年がたとうとしております。また、近年は全国的に時間雨量が五十ミリを上回る豪雨が増加しているなど、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しております。我がふるさと那珂川町においても、平成二十一年の豪雨災害にて那珂川が氾濫し、甚大な被害が発生しました。防災拠点となる役場や多くの家屋が浸水被害に見舞われ、基幹道路である国道三百八十五号も多数ののり面崩壊を起こすなど、多大な被害が発生しました。県においては、被災直後より道路や河川の災害復旧に取り組んでいただき、特に那珂川につきましては、床上浸水対策特別緊急事業が採択され、平成二十七年度までに事業が完成し、さらに昨年度末には五ケ山ダムが完成したことから、平成二十一年と同様の雨が降っても洪水被害が発生しない地域になりました。しかしながら、昨年の九州北部豪雨では、線状降水帯の形成から局所集中的に今までに経験したことのないような豪雨が発生し、洪水とともに大量の土砂と流木が流出することにより甚大な被害が発生しました。気候変動の影響による昨今の降雨の状況を踏まえれば、今後このような豪雨は県内のどの市町村で起こってもおかしくないと言えるのではないかと思っております。  このような状況の中、県では、新たに想定される最大規模の降雨に基づく浸水想定区域図を作成し公表しております。この公表を受け、市町村は地域防災計画の見直しやハザードマップの作成、周知などに取り組んでいくと聞いておりますが、市町村が今後これらの取り組みを行う際には、県からの支援がぜひとも必要であると考えております。  そこで知事にお尋ねいたします。今回どのような経緯で、想定される最大規模の降雨に基づく浸水想定区域図へ見直すことになったのか、また見直しするに当たり、市町村へどのような説明を行ったのかお尋ねいたします。  現在、市町村が指定する避難所の中には、想定される最大規模の降雨が発生した場合、浸水してしまう箇所があると聞いております。そのため市町村は、新たな洪水浸水想定区域に対応する避難所の検討及び地域防災計画を改定する可能性があるとも考えますが、県は市町村に対し、どのようにかかわっていかれるのかお尋ねいたします。  想定される最大規模の降雨により浸水すると公表された地域の住民の皆様の中には、大雨が降った場合に、どうしたらよいのか不安に感じておられる方も多いと思われます。このような住民の不安を取り除くには、地域の防災を担う市町村と、その支援を行う県による説明が必要と考えますが、地域住民あるいは市町村からそのような要望があった場合、県としてどのように対応するのかお尋ねいたします。  次に、避難所運営に必要な資機材の備蓄についてお聞きいたします。昨年の九州北部豪雨の直後、私は自民党県議団の現地調査団の一員として、被災地を視察いたしました。その際に気になったのが、避難所にパーティションが設置されていないということでありました。女性の着がえなど、パーティションが必要なのではないかと思い確認したところ、更衣室は別途確保されており、今のところ避難者からパーティション設置の要望は出ていないというお答えでありました。避難所を運営するために必要な資機材はいろいろあると思います。災害が起こってから資機材を調達しようとしても間に合いません。あらかじめ備蓄しておく必要があると思いますが、県は、市町村に対してどのように指導をされているのかお尋ねいたします。  本来、避難所運営は市町村が行うものであり、それを補完するために県としても備蓄に取り組まれているとお聞きしております。私が先日確認したところ、県備蓄品の詳細について、市町村には知らせていないということでありましたが、その後どのように対応されたのかお尋ねいたします。  最後に、昨日の朝の大阪府北部を震源とした地震に関してお尋ねいたします。我が会派の西元議員も昨日の一般質問の中で発言されたところでありますが、昨年の九州北部豪雨で全国から温かい支援を受けた福岡県としては、今回の地震で被災された方々に対して、県民を挙げてしっかりと支援していかなければならないと考えております。  そこで知事にお尋ねいたします。今回の地震の概要と被害状況についてお尋ねいたします。  次に、県として、被災地に対する支援についてどのように考えられているのかお尋ねいたします。  また、福岡県でこのような地震が起きた場合は、どのように対応していかれるのかお尋ねいたします。  さらに、今回の地震では、小学校プール横のブロック塀が倒れて小学生が亡くなられたほか、小学校の登下校の見守りを行われていた高齢の方も、同じくブロック塀の倒壊により亡くなられており、そのブロック塀は違法建築物であったとの報道もされております。  そこで本県は、ブロック塀対策にどのように取り組まれているのかお尋ねし、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 54 ◯議長(井上 順吾君) 小川知事。 *知事答弁 55 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、想定される最大規模の降雨でございます。近年、河川の改修計画を定める際に想定しております計画規模降雨を上回る降雨が全国的に頻発をしております。このような降雨により浸水が発生した場合でも、住民の皆さんが適切に避難行動がとれるようにしていくことが重要でございます。国は、平成二十七年に法令を改正をいたしまして、洪水浸水想定区域の設定に当たりましての対象降雨を、それまでの計画規模降雨から想定最大規模降雨に見直しを行ったところであります。その後、二十八年に、中小河川を対象とした手引が国のほうで策定されましたことから、これを踏まえて、県におきまして見直しを進めているところでございます。その見直しに当たりましては、所管の県土整備事務所が対象となる市町村を個別に訪問させていただきまして、区域を見直すことになった趣旨と浸水範囲などの内容について丁寧に御説明を行っております。  新たな洪水浸水想定区域図に合わせた指定避難所等の検討に対する支援でございます。県におきましては、先月開催をいたしました副市町村長会議、市町村防災担当課長会議におきまして、今回発表いたしました新たな洪水浸水想定区域を踏まえて、必要に応じ避難所やハザードマップの見直し、地域防災計画の改定等について検討を行うよう市町村に対し要請を行いました。洪水浸水想定区域のあります市町村におきましては、現在これらについての検討が進められているところであります。消防防災指導課におきましては、今年度から、市町村ごとに担当者を決めて市町村を適宜訪問しながら災害対策を支援することといたしておりまして、その中で新たなこの洪水浸水想定区域への対応についても指導、助言を行ってまいります。  次に、地域住民の方々の不安についてでございます。県におきましては、新たに見直しをしました洪水浸水想定区域図を公表するに当たりまして、今回の見直しの趣旨を理解をしていただくため、市町村への説明に加え、市町村からの求めに応じまして地元区長さんへ直接説明を行ってきたところであります。今後、市町村が地域住民の方を対象にした説明会を開催する際には、県といたしましても要請に応じて出席をいたしまして、新たな洪水浸水想定区域図を説明するとともに、日ごろからの災害の備え、大雨発生時にとるべき避難行動などについて情報の提供をしていくことで、地域の住民の皆様の不安の解消に努めてまいります。  次に、避難所運営資機材の備蓄についてお尋ねがございました。福岡県備蓄基本計画におきまして、市町村は避難所運営資機材につきまして、避難者の生命、身体を守るもののほか、良好な生活環境の確保に配慮をし、必要と判断される物資を備蓄するよう努めると、このように定めております。このため、市町村に対しましては副市町村長会議及び防災担当課長会議の場におきまして、備蓄の考え方、そして備蓄品目の具体例などを示しながら、計画の内容を説明をし、市町村による備蓄というものを促してきているところであります。また、市町村による備蓄を補完していくために、県としても仮設トイレ、先ほど話がありましたパーティション、段ボールベッドなど避難所運営資機材を備蓄をしているところであります。今回、渡辺議員の御指摘も踏まえまして、災害時にこれらを有効に活用できるよう、市町村に対しまして県の備蓄物資の品目、数量、そしてそれぞれの保管場所について既に通知をしたところであります。  次に、昨日の大阪北部を震源とする地震についてお尋ねがございました。昨日七時五十八分ごろ、大阪府北部を震源とするマグニチュード六・一の地震が発生をいたしました。大阪市北区、高槻市、茨木市、箕面市、そして枚方市の五市で震度六弱が記録をされております。本日六時三十分現在、人的被害といたしましてブロック塀の倒壊などによりまして死者四名、負傷者は三百七十六名と速報されているところでございます。火災は七件発生をしておりますけれども、昨日の十六時の時点で全て鎮火をしております。このほか、建物の一部損壊が二百五十二件発生をしているところであります。改めまして、お亡くなりになられました方々の御冥福を心からお祈りを申し上げるとともに、全ての被災された皆様にお見舞いを申し上げる次第であります。  本県の対応でございますけれども、地震発生後直ちに防災危機管理局長をトップといたします災害支援連絡室を設置をし、情報収集に当たってきております。また、九州地方知事会におきまして、関西広域連合との間で災害時の相互応援に関する協定を締結しておりますことから、現在、九州地方知事会事務局でございます大分県が、関西広域連合との連絡をとっているところであります。今後、関西広域連合から応援の要請があれば、直ちに対応できる体制をしいているところであります。  昨年の九州北部豪雨災害に際しましては、本当に県外から多くの温かい御支援をいただいたところでございます。そのことも思いをいたしまして、我々としては、今回の被災地の方々にできる限りの支援をやっていきたいと、このように考えております。県内でこういう地震が起こった場合には、直ちに私を本部長とする災害対策本部を設置をいたしまして、災害時緊急派遣チームを被災地に派遣をし、被害情報の把握に努めていきます。そして、まず人命を第一として、被災者の救命、救助に全力を挙げてまいります。そして、さらに災害の拡大防止、ライフラインの確保、住民の皆様への正確な情報の提供、それから被災者の皆様の支援、それらに取り組んでいきたいと考えております。  なお、今回の地震におきましては、ブロック塀の倒壊により、二名の方がお亡くなりになりました。ブロック塀対策につきまして、本県におきましては平成十七年、福岡県の西方沖地震を受けまして、関係機関と連携して小学校の通学路等のブロック塀の点検を行い、所有者に対し適切な維持管理を行うよう指導してまいりましたが、その実施から十年以上が経過をし、経年劣化も進んでいるところもあることから、二十八年度からその再点検を進めてきているところであります。また、自己点検用のリーフレットの配布や耐震改修セミナーの開催などを通じまして、適切な維持管理についての啓発を行うとともに、補強方法など個別の相談に対応する窓口を設置しているところであります。今回の地震を受けまして、今進めておりますこの再点検につきまして、その対象を小学校から中学校へ拡大するとともに、この再点検をできるだけ早く終了することといたしております。また、その結果を踏まえて改善を要する所有者へのさらなる指導に取り組んでまいります。 56 ◯議長(井上 順吾君) 以上で一般質問を終わります。 *議案及び諮問審査付託  次に、提出議案等審査のため、さきに上程いたしました第九七号議案から第一一八号議案までの二十二件及び諮問第一号を、お手元に配付いたしております議案及び諮問付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。      ────────────────────────────────────────── *議案の委員会付託省略 57 ◯議長(井上 順吾君) 次に、議案の委員会付託の省略についてお諮りいたします。  さきに上程いたしました第一一九号議案については、委員会への付託を省略いたしたいと思いますが御異議ありませんか。           〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 58 ◯議長(井上 順吾君) 御異議がありませんので、そのように決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 五十三分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...