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平成30年2月定例会(第11日) 本文
平成30年2月定例会(第11日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2018-02-11
    平成30年2月定例会(第11日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(守谷 正人君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。吉村悠君。(拍手) *吉村(悠)議員質問 2 ◯十四番(吉村 悠君)登壇 おはようございます。自民党県議団の吉村悠です。本日の一般質問の第一……番手を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。  早速、通告に従いまして、太陽光設備の老朽化とその対策について質問を行います。太陽光発電設備は、皆さんも御存じのように、環境意識の高まりとともに、平成二十四年七月の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入を受けて、急速かつ大幅に導入が進みました。大量に導入された太陽光設備は、今後、使用済み設備となって排出されることになります。国の推計によれば、太陽光パネルが廃棄物となった場合の全国の排出量は、二〇二〇年に約三千トン、二〇三〇年には約十倍の二万九千トン、二〇三九年には約七十八万トンと加速度的に増加する見込みであるということです。  こうした状況を踏まえ、私は、平成二十五年二月議会の一般質問で、太陽光パネルリサイクルについての研究の必要性、重要性を指摘しましたが、それに対し知事は、将来的に廃棄される太陽光パネルの処理は課題になるだろうという考えを示し、太陽光パネルリサイクルの研究は有意義との認識を示しました。さらに、当時、研究の先駆けを行っていた北九州市との連携を提案したところ、具体的な事業化の検討に入る平成二十七年度以降、今後の研究開発の進捗を見ながら北九州市と協議をしていきたい旨を答弁されました。その後、北九州市の協力もいただき、同年四月には県と市で太陽光パネルリサイクル実証研究施設を視察。連携については、当時から進み始めたと考えています。その後、おととし三月、環境省が、将来的に大量に太陽光パネルが廃棄された場合に混乱が生じないように備えておくことが重要との認識のもと、太陽光発電設備リサイクル等の推進に向けたガイドラインを策定し、関係者に周知を図ったことからも見られるように、太陽光発電設備リサイクルに向けた動きは国レベルの大きなものとなっております。  太陽光発電設備の扱いが問題になるのは老朽化のときだけではありません。災害等で破損した太陽光パネルは、故障したまま発電を行うため、感電の危険性が高まる上に、雨で含有物質が流出して土壌汚染につながるおそれもあるなど、まさしく二次災害の様相を見せることもあるそうです。  以上のように、処分の際にはさまざまな問題を引き起こしかねない太陽光発電設備ですが、九州一円の太陽光発電設備リサイクルを福岡県下で行うことになれば、雇用の創出も当然見込めるようになるはずです。先駆けとして研究を行っている北九州市と、より具体的に連携していくべきであると考えます。  そこで最初の質問です。今後、老朽化や災害により使用できなくなった太陽光パネルが廃棄物となって多量に出てくることが想定され、これらを適正に処理していく必要があります。県は、処理を行う業者に対してどのような指導を行っているのでしょうか。  二つ目の質問です。知事の答弁から五年が経過いたしました。この間の研究開発により、太陽光パネルリサイクル技術が確立されたと聞いておりますが、これまでの進捗状況はどうなっているのか、県の北九州市との連携状況を含めてお答えください。  最後の質問です。せっかく技術開発がなされても、事業化が実現できなければ意味がありません。事業化に向けてどのような課題があり、また県としてどう取り組んでいくのか、考えをお聞かせください。  太陽光パネルの大量廃棄の時期に向けて、これからの北九州市との連携についての知事の力強い答弁を期待して、質問を終わります。(拍手) 3 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、廃棄される太陽光パネル適正処理でございます。太陽光パネルにつきましては、二〇三〇年以降、老朽化に伴い大量に廃棄をされることが見込まれております。また、災害時におきましては、一度に大量の廃棄物となるわけであります。このパネルには鉛などの有害物質が含まれておりますことから、また感電のおそれもありますことから、その適正処理が大きな課題であります。このため環境省におきましては、平成二十八年三月、太陽光発電設備リサイクル等の推進に向けたガイドライン、これを策定いたしまして、太陽光パネルを廃棄する場合の撤去、運搬、処分を行う関係者の責任や留意事項をまとめております。本県におきましては、このガイドラインを速やかに県内の産業廃棄物処理業者に周知をするとともに、昨年九月にも改めて県産業廃棄物協会を通じてその周知を図ったところであります。また、本年度、県内三カ所で開催をいたしました県主催の産業廃棄物処理業者講習会県産業廃棄物協会主催の研修会におきまして、このガイドラインに基づく適正処理について指導を行ったところであります。今後とも、こうした講習会等の機会を活用いたしまして、太陽光パネル適正処理の徹底を図ってまいります。  次に、太陽光パネルリサイクル技術についてお尋ねがございました。太陽光パネル廃棄物リサイクルにつきましては、リサイクルコストの低減化にかかわる技術開発、回収の効率化を含むリサイクルシステムの構築といった課題がございます。このため、国は民間事業者と協力をいたしまして、全国五カ所で低コストのリサイクル技術を開発する実証実験、これを実施してまいりました。その一つとして、北九州市におきましては、民間事業者公益財団法人北九州産業学術推進機構と連携をいたしまして研究と実証を行い、リサイクル率九五%の技術を開発したところであります。さらに、回収システムを検証するため、北九州市など十八カ所に回収ボックスを設け、広域収集のモデル事業というものを実施したところであります。これらの取り組みにつきまして、県におきましては、議員の御指摘をいただいた後、平成二十五年三月から北九州市との連携を行ってきたところでございまして、モデル事業の研究会に参画をするとともに、県、市、それぞれの研究、事業化機関でございますリサイクル総合研究事業化センター北九州産業学術推進機構との間でも情報交換を積み重ねてきているところでございます。  太陽光パネルリサイクルの事業化でございます。太陽光パネルリサイクルにつきましては、これまでの研究により、技術それ自身は開発をされたものの、事業化に当たりましては、使用済みの太陽光パネルが廃棄物として最終処分されることなく確実にリサイクル事業者に引き渡されること、また太陽光パネルを効率よく回収、運搬できる回収のスキームというものを確立し、回収コストを低減していくこと、そういった課題を解決していくことが必要であります。国におきましては、太陽光パネルを適正にリユース、リサイクル、処分をするための施策のあり方について法整備を含めた検討の動きが今出てきております。県といたしましては、その動向にも注視しつつ、新年度からは新たに北九州市と連携をし、発電事業者リサイクル事業者など関係事業者等によります協議会、これを設けまして、課題解決に向けた検討をスタートさせたいと思っております。 5 ◯副議長(守谷 正人君) 原田博史君。(拍手) *原田議員質問
    6 ◯三十八番(原田 博史君)登壇 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブ県議団の原田博史です。通告に従い大きく二点について質問をさせていただきます。  まず一点目は、福岡県における生物多様性戦略についてです。地球上の三千万種とも推定される多様な生命は、誕生から約四十億年の歴史を経てさまざまな環境に適応して進化してきました。それらは、地球生態系という一つの輪の中で、つながりとその相互作用の中で生きており、その生物の多様性がもたらす恵み、生態系サービスは、人間が生態系から受ける恵沢、便益であり、私たちの生活は生態系サービスに支えられています。しかし、その生物の進化の過程で多様化していった生物の種の中には人間活動によって絶滅の危機に瀕しているものがあり、国際自然保護連合が二〇一二年にまとめたレッドリストによると、評価対象にした脊椎動物約三万六千種、無脊椎動物一万三千種、植物一万五千種のうち三〇%以上が絶滅のおそれがあるとされています。第六の大量絶滅時代とやゆされる現代は、過去と比較し種の絶滅速度が速く、その原因は人間活動による影響であることが特徴です。  現在、生物多様性の損失速度を減少させるためにさまざまな試みがなされていますが、その試みは、部分的、地域的には達成されたものの、地球規模で達成されたものはありません。このまま生物多様性の損失が継続し、生態系がみずからの回復力を超え不可逆的な状態へと至った場合、生物多様性の劇的な損失とそれに伴う広範な生態系サービスの低下が生じる危険性に私たちは直面しています。人類が過去一万年にわたって依存してきた比較的安定していた環境条件が来世紀以降も続くかどうかは、現在の私たちにかかっています。また、現在の日本の消費活動は国際間貿易を通じて、アメリカに次いで世界で二番目に多くの数の絶滅危惧種に影響を与えているとされています。つまり、今の日本の繁栄は、国内の生物多様性の損失と国外からの生態系のサービスの供給によって成り立っていると言っても過言ではなく、海外の生物多様性にも大きな影響を及ぼしています。  世界環境における日本の責任は、日本を構成する地方自治体の一員である福岡県の責任でもあります。その福岡県は、福岡県固有の生態系や生物相等の自然的、社会的条件に応じたきめ細かい取り組みを進め、生物多様性を保全し、持続可能な社会を目指し、自然共生社会、低炭素社会、循環型社会の構築に向けた取り組みを統合的に展開していくという重要な役割でもあります。  以上のような視点から、福岡県における生物多様性戦略取り組みについて以下三点、知事に所見をお伺いいたします。  まず一点目に、希少種保護条例の制定についてお伺いします。日本は南北に長く、複雑な地形を持ち、湿潤で豊富な降水量と四季の変化もあることから、既知のものだけでも九万種以上、まだ知られていないものまで含めると三十万種を超える生物が存在すると推定されています。また、日本の生物相は他の地域に見られない固有種の比率が高いことが特徴ですが、淡水魚類相が豊かな九州の中でも、ひときわ福岡県は多様な土地であると言えます。例えば、博多の名前を冠するハカタスジシマドジョウは、世界中で博多湾流入の二河川のごく一部の区間のみしか生息をしていません。ほかにも局所的分布する淡水魚や止水や流水の湿地環境に生息する甲虫類や水生半翅類などの水生昆虫も点在して残存しており、福岡県が多様性の豊かな地域であるあかしとなっています。  生物多様性という言葉は言葉自体がわかりにくく、そのことが理解の進まない原因の一つになっていると言われていますが、それぞれの地域で長い歴史を経て受け継がれた固有の生態系や生物相の違いを周知し、保全していくことが、生物多様性の理解を深めることにつながるのではないでしょうか。福岡県のレッドデータブックに記載された希少生物の数は千種を超え、生物多様性の危機が高まっています。福岡県は五百万人を超える県民が暮らす一方で、九州の中でも生物多様性が豊かであった土地だったと思われ、現在でも点在とはいえ残存しています。その自然財産や地域資源を後世に引き継いでいくために、県民への意識づけとして、希少種保護条例の制定が有用な手段の一つとして考えられます。全国的に見ると、三十四都道府県が既にこの希少種保護条例を制定しています。また、九州、中国、四国地方で見ると、福岡県、沖縄県のみが条例未制定ですが、沖縄県は既に条例制定に着手したと聞き及んでいます。結果的に、現在条例が未制定で準備にも着手していないのは、九州、中国、四国地方では福岡県のみとなります。  このような現状を踏まえ、何よりも福岡県の豊かな生物多様性を後世に引き継いでいくために、希少種保護条例を早期に制定するべきだと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。  二点目に、福岡県の生物多様性戦略の第二期計画についてお伺いいたします。熱帯雨林の急激な減少、種の絶滅への進行への危機感、さらには人類存続に欠かせない生物資源の消失への危機感などが動機となり、それらの保全と持続可能な利用に関する包括的な国際的枠組みを設けるために、一九九二年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議地球サミット)に合わせて、生物多様性条約が採択をされました。この条約は、現在では世界最大級環境条約として生物多様性が直面する主要課題に対して方向性を示すとともに国際協力の進展を促すなどの効果を上げています。日本は一九九三年に十八番目の締約国として同条約を締結し、以降、生物多様性条約に基づく国家戦略として、一九九五年、二〇〇二年、二〇〇七年、二〇一〇年に生物多様性国家戦略を策定しています。二〇一〇年に策定された生物多様性国家戦略では、二〇二〇年を目標年とする短期目標が設定され、二〇一一年から二〇二〇年までの生物多様性の保全と持続可能な利用を進めるに当たっての地方自治体の役割や、生物多様性地域戦略の策定などの地方自治体に求める行動が示されております。  生物多様性国家戦略の策定を受けて、福岡県でも二〇一三年三月に福岡県生物多様性戦略を策定し、十年間の行動目標と二〇一七年度までの五年間を対象にした第一期行動計画を定めています。第一期行動計画では、十三の重点プロジェクトと二百の施策が計画されていますが、今年度で第一期行動計画が終了することから、来年度からの五年間を対象とする第二期行動計画の策定が進められていると聞いております。戦略では、計画期間終了後に、五年間の取り組みによる行動目標の達成状況について数値目標やその他の指標の動向、重点プロジェクト等の実施状況などにより点検、評価をするとされています。第二期行動計画をより実効性のあるものにするためには、この点検、評価をしっかり行う必要があると考えます。  そこで二点目として、第一期行動計画をどのように点検し、評価されているのかお伺いいたします。  また、先ほど生物多様性条約の採択や生物多様性国家戦略の策定について少し触れましたが、生物多様性の問題は年々深刻さを増していることもあり、国際社会でも次々と新しい考え方が示され、国においてもそのような国際社会の動きに応じて取り組みを強化しているところです。第二期の行動計画には、そのような国際社会の動向や国の取り組みを踏まえた新たな視点を導入していくことも重要と考えます。  そこで、最後に三点目として、新たにどのような視点を導入されようとしているのかお伺いをいたします。  二点目は、商店街の活性化についてです。  まずは、既存商店街の活性化に向けた取り組み事例として、北九州市小倉北区の中心市街地に位置する旦過商店街の再整備事業について、その歴史や現状について少し触れさせていただきます。小倉の都心部に位置する旦過市場は、大正時代の初め、隣接する神嶽川を上る船が荷揚げ商売を始めたことに端を発し、昭和三十年を前後して戦後の闇市的な建物から現在の店舗へと建てかわり、市場組織も旦過商業協同組合小倉中央市場協同組合が設立をされ、かつては市場として最盛期を誇った時期もありました。川面上空にせり出た店舗の独特な形状や、百軒以上軒を連ねるさまざまな個性ある店舗、昭和の雰囲気を残す風情ある空間と対面販売、何よりも新鮮、安い、安心を売りにするこの市場は、市民の台所としてだけではなく、多くの観光客を呼び込む貴重な観光資源としての役割も担ってきました。また昨今は、ホームページの開設や北九州大学との共同による大學堂でのさまざまな取り組みなど、商店街としては先進的な取り組みも行ってまいりましたが、消費者のライフスタイルの変化や人口のドーナツ化、さらには大型店舗の郊外進出などの外部環境の変化や後継者不足等により、市場としての機能や魅力に陰りが見えてきました。また追い打ちをかけるように、平成二十一年、二十二年の九州北部豪雨により二度の浸水被害に遭うなど、河川改修の必要性や建物の老朽化、店舗の密集化による狭隘通路など防災等の積年の課題が露見すると同時に、存続の危機に直面していました。  このような状況の中でも、決して商店街の再整備と未来を諦めなかった市場関係者は、全国商店街支援センター北九州商工会議所と協働した新たな事業の取り組みが、モデルケースとして日本商工会議所事業表彰を受けるなどの不断の努力を積み重ねています。あわせて、旦過地区まちづくり勉強会の設置を皮切りに、五十回にも及ぶ再整備に向けての検討会を実施しています。しかしながら、工事期間中の仮設店舗用地の選定、仮設店舗での営業や休業、廃業した場合の生活の不安や商店主の組織志向から個店志向への意識の変化は、再整備への大きな障壁となっており、膨大な作業を迅速に処理することが求められている中、困難に直面をしています。市場関係者や商店主の高齢化を勘案すると、この機会を逸すれば、旦過市場再整備計画断念へとつながりかねない状況のもと、実務作業に携わる人材不足と人材を雇用するための資金不足という現状に、中心を担っている市場関係者は精神的にも肉体的にもぎりぎりの状況で奮闘をしています。  福岡県下には、地域を支えてきたたくさんの商店街が存在し、さまざまな地域事情や外部環境の変化により困難に直面している商店街が存在します。私たちは、天災地変や社会環境の変化により、地域コミュニティー機能の重要性を再認識いたしました。地域経済の担い手としてだけではなく、コミュニティー機能の担い手としても役割が期待される商店街の支援は、地方行政の重要な役割であると考えます。以上のような視点から、福岡県における商店街の活性化の取り組みについて以下二点、知事に所見をお伺いいたします。  まず一点目に、行きたくなる商店街づくり事業についてお伺いをいたします。福岡県には商店街の自主的な取り組みに対し、市町村と一緒に補助する事業として、行きたくなる商店街づくり事業があり、安全、安心で快適な買い物環境づくりのための施設整備や、にぎわい創出のためのイベント、空き店舗の活用など、県内商店街の活性化に向けたハード、ソフトの取り組みに対して支援を行っています。このような補助メニューも活用されてこそ初めて有用な意味のある支援となるわけですが、この事業の活用を促すためにどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。  また、その結果、どのくらいの商店街がこの事業を活用して取り組みを行っているのか、また事業実施後の具体的な成果についてもお伺いいたします。  二点目に、商店街の活性化とまちづくりの連携についてお伺いいたします。前述したように、商店街には地域経済の担い手としてだけでなく、コミュニティー機能の担い手としての役割も期待されています。商店街の衰退には、大店法撤廃による大型の競合商業施設の進出やコンビニなどの多業態施設の増加、ネットビジネスの台頭など外的要因が大きく影響していますが、個店経営者の商住分離による地域コミュニティーの一員でなくなっている実態や商店街内の連携の弱体化など内部要因に加え、住民の地域に対する帰属意識の希薄化、地域と商店街との連携低下などが考えられます。期待される役割と商店街を取り巻くさまざまな状況を見たとき、商店街の活性化には、市町村が進める町なか居住の推進や町なか集客力の向上等のまちづくり施策と一体化した取り組みが非常に重要だと考えます。  まちづくりと一体になった商店街の活性化について、福岡県ではどのように取り組まれるのか、また具体的な支援メニューや実施事例があればお答えください。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 7 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、希少種保護条例の制定でございます。本県におきましては、これまで希少種の保護のため、英彦山犬ヶ岳地区での絶滅危惧植物の調査、保存、朝倉市黄金川でのスイゼンジノリの保全事業、県の希少野生生物を取りまとめたレッドデータブック、この発刊などに取り組んでまいりました。希少種保護条例の検討に当たりましては、まずもってその前提となります最新の県内の実態についての把握が必要となります。このため、新年度に、全県的に希少種の生息、生育状況を調査をし、その結果に基づき保護が必要な種、地域、そして保護方針について専門家による検討を進めていくことといたしております。  次に、生物多様性戦略第一期行動計画の評価でございます。第一期行動計画におきましては、地域が自立的に生物多様性の保全に取り組むことができる環境の整備、これを目指しまして、十三の重点プロジェクトと二百の施策を定め、十六の数値目標を設けて取り組んでまいりました。その結果、重点プロジェクトにおきましては、レッドデータブックの改訂、県が公共工事を実施する際に配慮すべき指針の策定など十二のプロジェクトが実施済みとなってございます。残る生物多様性の保全上重要な地域の抽出プロジェクトにつきましても、そのシステムの構築は完了いたしておりまして、現在、これに入力をする希少種の分布情報を収集をしているところでございます。また、二百の施策につきましては、外来生物の防除に関する市町村への支援、環境教育の推進など、その九割に着手をいたしておりまして、そのうち七割が実施完了しております。数値目標につきましては、希少野生生物ホームページアクセス数生物多様性戦略を策定をいたしました市町村数など十一の項目が達成し、また着実に前進をしているところであります。一方、一部後退をしております平尾台自然観察センターの入館者数、これらの項目につきましても、例えば今の問題につきましては、夏休み中の休日開館や新たな集客イベントの実施を行いまして、その達成に向けた取り組みを進めているところであります。こうしたことから、一部の項目を除きまして、第一期行動計画は着実に進捗しているものと考えております。  次に、第二期行動計画に導入する新たな視点についてお尋ねがございました。本県の生物多様性戦略第一期行動計画の策定後、国内外で環境に関連する新たな考え方、動きというものがございました。平成二十七年に開催をされました国連サミットにおきましては、経済、社会、環境、この三つの側面を調和をさせつつ、世界を持続的な発展に導くための開発目標でございますSDGs、これが採択をされました。サステーナブル・ディべロップメント・ゴールズというSDGs、これが採択をされたところであります。また、国におきましては、平成二十八年に生物多様性国家戦略二〇一二-二〇二〇、その達成に向けて加速する施策が取りまとめられました。そこでは新たに防災、減災等の観点も踏まえた自然再生の取り組み、その推進を図ることとされたところであります。このような国内外の動向を踏まえまして、今回の第二期行動計画におきましては、各施策とSDGsとの関連性を明らかにするとともに、森林の整備に生態系を活用した防災、減災の考え方を盛り込むなど、新たな視点、これを加えて策定することといたしております。  次に、行きたくなる商店街づくり事業についてお尋ねがございました。本事業は、消費者が行きたくなるような魅力ある商店街づくりを促進するため、商店街の自主的な取り組みについて支援を行うものであります。県におきましては、この事業活用を促していくために、市町村や商工会議所、商工会などを通じまして、各商店街に対し、この事業を活用した取り組み事例等を紹介をしているところであります。また、商店街の店主を中心に、商工会議所、商工会、市町村及び私ども県の職員が参加をして、商店街活性化のための事業アイデアを出し合う意見交換会というものを平成二十六年度から開催をいたしております。今年度は川崎町、豊前市、そして柳川市、この三つの商店街で実施したところであります。  行きたくなる商店街づくりの活用状況についてでございます。この事業を開始いたしました平成二十一年度以降、これまでに県内五十三の商店街がこの事業を活用され、さまざまな取り組みを行ってこられました。例えば、黒崎の商店街におきましては、創業希望者十六人に空き店舗を安価な家賃で提供し、一年程度、実践的な販売を経験していただいた結果、そのうち六人が当該商店街で創業をされました。また、八女の商店街におきましては、事件、事故を防止するため防犯カメラを設置いたしましたところ、商店街を訪れたほとんどの方が安心して買い物ができるようになったと評価をいただいておりまして、成果が上がってきているところであります。  まちづくりと一体となった商店街活性化の取り組みについてでございます。県におきましては、まちづくりによって生まれる新たな居住人口、交流人口を商店街に呼び込んでいくため、平成二十五年度から、久留米市におきまして、中心市街地活性化基本計画に基づく取り組みを重点的に支援をしてきております。具体的には、新規出店者の改装費、店主が専門的な知識やコツを客に伝えるまちゼミの開催に必要な経費の一部補助を行っているわけでございます。特に、まちゼミにつきましては、ふだん商店街を利用されない方に足を運んでもらうきっかけとなりまして、新規顧客の獲得につながっているところであります。昨年末に実施をいたしました第九回まちゼミにおきましては、平成二十五年度の第一回と比べまして、参加された店舗は約三倍の八十九店舗になり、参加者は一番最初の第一回に比べて四倍の千五百四十八名の方と、大きく増加をしているところであります。さらに、今年度からは、商店街に繁盛店をつくり出すため、まちゼミ参加店を中心に十店舗を選定をいたしまして、これに重点的な支援を行っているところであります。具体的には、商店街の店舗指導の専門家がそのお店を訪問し、来店者の動線や客層、これを踏まえまして、店内のレイアウトの変更やチラシの作成などについて具体的な助言、指導を行うとともに、必要となる改装費や印刷費などの経費の一部を補助しているところであります。その結果、昨年六月のこの支援の開始からことし一月までに、既に半数の店舗が二割以上の売り上げの増加を果たしております。 9 ◯副議長(守谷 正人君) 壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 10 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、ジビエ活用について質問します。  先日、ジビエについて先進県である鳥取県の取り組みを調査するために、鳥取県庁にお邪魔しました。責任者である商工労働部兼農林水産部市場開拓局食のみやこ推進課の塗師木課長が、鳥取県の取り組みについて熱く語ってくれました。  ところで、日本農業新聞によれば、二〇一六年度都道府県別ジビエ利用では、鳥取県は鹿とイノシシの合計頭数で北海道、兵庫県、和歌山県、長野県に次ぎ全国五位に位置し、エゾシカジビエが盛んな北海道は約二万九千頭、ぼたん鍋で有名な兵庫県は約六千四百頭、鳥取県は三千頭となっています。ちなみに、鳥獣被害が二〇一六年度全国で二番目に多い本県では、利用頭数千二百二十二頭で鳥取県の四割、被害額は鳥取県の約十倍です。  まず、鳥取県の課長が強調されたことは、鳥取県において、ジビエの取り組みの推進役は、関連事業者が平成二十四年五月に組織した、いなばのジビエ推進協議会で、ジビエ取り扱い店舗二十三店舗、処理施設七施設、その他十四名から成り、川上である狩猟者、処理施設から川下である飲食店、小売店まで連携した体制を整えていることです。なお、同協議会はことし二月二十七日に開催された全国鳥獣被害対策サミットにおいて、利活用部門の最高賞を受賞されています。  協議会の主な事業は、一、視察研修の実施、二、解体処理技術の向上、安全、安心なジビエの推進、三、ジビエの情報発信、販路拡大であり、解体処理研修の開催による衛生管理の向上などを進めるとともに、県内外での販路拡大、PRを実施し、ジビエの消費拡大に取り組んでいます。具体的には、一般社団法人日本ジビエ振興協会主催の第一回日本ジビエサミットを平成二十七年に誘致を実現させ、ホンシュウジカの解体処理施設では全国初の県版HACCPを取得し、ジビエ利用率を平成二十三年の六%から平成二十八年には一五%まで大幅向上させるなど大きな成果を上げています。なお、日本ジビエサミットは、内閣府、農林水産省、厚生労働省など各省庁、在日フランス大使館、全国農業協同組合中央会などが後援する全国規模の大会です。第二回は本県で開催され、その際には初めて全国ジビエ祭りを開催し、県民ヘジビエ料理を提供するなど、PR効果も大きい大会です。なお、四回目となることしは、鹿児島県において開催されました。  他の鳥取県の取り組みとして、平成二十八年二月、鳥取銀行、東京三菱UFJ銀行と地方創生に関する包括連携協定を締結し、ジビエ活用では、自治体や民間企業、各種団体、教育機関が参加し、捕獲後の処理方法や肉質保証制度の確立、流通を含めた安全性の確保など、ビジネスプラン実現のための課題や解決策を検討しています。県内料理人団体等の協力により、調理講習会を開催されるなどして学校給食での提供を推進。平成二十九年度は、県内十九市町村のうち九市町村がジビエ料理を提供、また児童生徒向けにジビエのリーフレットを作成しています。県版HACCPを取得した解体処理施設わかさ二九工房は、年間処理頭数約千八百頭と全国トップクラスで、解体処理技術も非常に高く、全国の有名レストランシェフも視察に多く訪れ、特に首都圏、関西圏のレストラン約百店舗で使用されているようです。平成二十九年五月には、業界最大手の辻調理師専門学校と連携協定を締結、料理のオリンピックと言われるボキューズ・ドール国際料理コンクール二〇一九への日本代表を決める決勝大会での課題食材に鳥取県産鹿肉が選ばれるなど、ブランド力強化にも注力しています。  視察の後、鳥取駅近くのジビエを扱うレストランに寄り、鳥取県のジビエ推進の中心者でもあるオーナーに話をお聞きすることができました。その中で、質のよいジビエのためには、まず食用とすることを前提に狩りをすることが重要で、狩猟者の質の大切さや、最近では質のよい鹿肉が首都圏に供給されるため、地元で手に入りにくいことなど、現場の様子を教えていただきました。  鳥取県のジビエの取り組みについて述べてきましたが、全国的にも鳥獣被害、特に獣類による被害が大きい都道府県ほど、ジビエの活用が進んでいるようです。農林水産省の二〇一六年度野生鳥獣による都道府県別農作物被害状況によると、ジビエ利用頭数がトップの北海道は被害額四十四億四千七百万円で一位、利用頭数二位の兵庫県は被害額が九位、利用頭数四位の長野県は被害額三位となっています。被害額が全国二位で利用頭数が九州でも最も少ない福岡県は、もっとジビエ活用の余地があるものと推察します。  そこで知事に質問します。本県は、鳥獣被害の大きさに比べ、ジビエの活用が進んでいないように思います。本県の現状について知事の見解を求めます。  二番目に、本県ではジビエに関する県の窓口は農林水産部畜産課です。当然、商工部など他の部局とも連携されているとは思いますが、川下から川上までのジビエ推進体制を確立するためにも、ジビエに関する横断的な組織化や、獣肉処理業者、狩猟者、飲食店などとの組織強化、さらに民間企業など他の業界との連携も必要と考えます。国も専門家チームによるワンストップ相談窓口をつくるなど、ジビエ利用拡大に向けた官民連携支援体制を強化いたしました。今後の取り組みについてどのような方針で取り組まれるのか、知事にお尋ねします。  また、子供のころからジビエに親しむことや、裾野の拡大のためにも、給食でのジビエ活用は有効と考えます。この点についても関係機関との連携が重要と考えますが、本県の取り組みについてお伺いします。  次に、鳥取県では、推進協議会の協力を得ながら、ハンター養成スクールも開催しています。また、茨城県城里町では鳥獣被害の増加を受け、狩猟免許取得を女性らに呼びかけ、費用を助成。二〇一六年に四人の女性ハンターが誕生。最近では関西地方を中心として、女性ハンターがふえているようです。本県の狩猟者の現状並びに狩猟者の高齢化や人材不足の観点からも、女性ハンターも含めた人材育成に取り組んでいくベきと考えますが、現状とあわせてお伺いします。  最後に、同町では、女性ハンターでつくる狩りガールを中心に、イノシシの肉や皮で新しいメニューやキーホルダー、名刺入れ、ネームホルダーなどの商品開発を進めています。ジビエを通した地域振興のためにも、このような取り組みは重要と考えます。知事の見解をお伺いし、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 11 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 12 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、利活用でございます。県内で捕獲されたイノシシや鹿の肉は、地域の魅力的な資源の一つでありますことから、ふくおかジビエという名称で県民に広く味わっていただきたいと、このように考えております。これまでの取り組みによりまして、県民の皆さんにも認知が進んできていると、広く認知されてきているというふうに思っておりまして、今後さらにジビエの利用を進めていく必要があると考えております。  次に、関係者との連携による取り組みについてでございますが、県におきましては、飲食店、小売業店などで構成をしておりますふくおかジビエ研究会を平成二十五年に設立をいたしまして、飲食店でジビエ料理を提供するふくおかジビエフェア、これを毎年開催をいたしております。今年度の参加店舗は八十三店舗となっておりまして、これをスタートしたときは二十店舗、それから大きく増加をしているところであります。また、ジビエを取り扱う業者などの情報について、庁内の関係部署でそれを共有することによりまして、ふくおか町村フェアなど他のイベントにおきましても、このジビエ研究会の会員や観光協会がジビエのPRや販売を行うことができるよう、またその地域の特産物としての利用拡大を進めているところであります。  イノシシと鹿の処理頭数でございますけれども、公設の獣肉処理施設が二カ所でありました平成二十三年度は年間百頭程度でございました。処理施設が二十五年度以降、四カ所になってございます。それ以降、大体千三百頭程度で毎年処理をしているところであります。今年度からは、県、市町村、獣肉処理加工施設の運営者で構成しておりますジビエ流通促進協議会、これを設立をいたしまして、各施設で過不足が生じたジビエを相互に融通し合う、そのこととともに、解体処理者に対しまして、技術向上のため、熟練をした講師がその実技講習を実施し、処理頭数をふやす取り組みというものを進めておるところであります。県といたしましては、今後とも関係者と連携をしまして、ジビエの利用拡大、そして必要な量の確保に取り組んでまいります。  給食での活用につきましては、平成二十六年度に宗像市が小中学校でモデル的に実施をし、現在も三校でジビエが提供されているところであります。この点につきましては、まずはジビエ流通促進協議会におきまして、獣肉処理施設を有する市町に対しまして、この取り組み事例を紹介してまいりたいと思っております。  次に、狩猟者の現状と人材の育成であります。狩猟者は、鳥獣保護管理法によりまして、免許取得が必要とされております。平成二十八年度現在の本県の免許保有者数は四千八百四十三名となってございまして、そのうち六十歳以上の方が六割を超えております。このため県におきましては、新たな狩猟者の方々を確保するため、狩猟免許の取得経費を助成するとともに、狩猟試験の回数を年二回から、二十六年度以降は四回までふやしているところであります。この結果、二十八年度の狩猟免許の合格者数は四百二十七名となってございまして、最も合格者が少なかった二十二年度百八十四名に比べまして大幅に増加しているところであります。このうち女性の二十八年度の合格者数を見ますと二十五名いらっしゃいます。現在、女性の免許保有者数は全部で百二十九名となっておりまして、年々増加傾向にございます。また、免許取得後一年から二年目の方を対象にいたしまして、福岡県猟友会の会員の皆様が講師となりまして、わなや猟銃の安全な取り扱い方法、また射撃技能などについての基礎的な研修会、これを開催をしているところであります。加えて、経験の浅い狩猟者に対しましては、現地でベテラン狩猟者が一緒になって、ついていって指導をすることによりまして、狩猟者の技術の向上とその育成が図られるよう支援をしているところであります。  イノシシなどの肉や皮を使った商品の開発であります。県におきましては、家庭でのジビエ料理を普及させていくため、平成二十八年度のジビエ料理コンクールにおいて優秀作品として表彰されましたイノシシ肉のミートボール、シューマイなど六つのレシピを県のホームページで紹介をしております。さらに、毎年開催をしておりますジビエフェアにおきましては、全ての参加飲食店がイノシシ肉のホイコーローや鹿肉赤ワインソース煮込みといったオリジナルメニューを開発をしていただき、これまで五年間で延べ二百四の店舗におきまして、それらを消費者に提供いただいているところであります。また、これまで野生鳥獣の皮革、これにつきましては、なめし加工業者に一度に提供できる量が少ないために、その受け入れが難しいといった理由で利活用がなかなか進まない状況がございましたが、先ほど申し上げました関係者で構成するジビエ流通促進協議会、ここにおきまして、まとまった量を提供できるようになりましたことから、かばんや財布などを試作をし、商品化に向けて検討をしているところであります。今後もこうした取り組みを通じまして、ジビエなど地域の資源の活用を図ってまいります。 13 ◯副議長(守谷 正人君) 壹岐和郎君。 14 ◯三十四番(壹岐 和郎君)登壇 どうもありがとうございました。要望を一つ。  今、鳥取県は人口五十七万人、本県は五百十万人、市場規模だけを考えても、まだまだジビエ活用は確実に伸びる事業と思います。本県の行政評価レポートによれば、平成二十八年度、本県の鹿の捕獲頭数は六千二百八頭、日本農業新聞によれば、利用頭数は百九十六頭、率として約三%。鳥取県が今一五%ということを言っていますので、それに比べてもまだまだ、現状の捕獲頭数でも利用、活用は伸びる余地は十分あると思います。県が適切に手を打って、しっかりとした事業に育て上げなければもったいない話だと思います。  また、ジビエの活用を推進する上で、やはり目標設定が大切と思います。平成二十四年度から取り組まれている獣肉等利活用推進事業の成果指標に、獣肉取り扱い店舗数を設定されています。今後とも、店舗数拡大を図っていかなければならないんですけれども、今後は利用頭数もぜひ成果指標に含めるべきと考えます。よろしくお願いします。  今年度から、ジビエ流通促進協議会を中心に利用拡大を図っていくということですが、処理施設を確実に整備して、飲食店や小売業者などと連携を強化すれば、必ず成果は上がるものと私は確信しています。少なくとも、早く九州で一番になるよう取り組みを加速させていただくようお願いし、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 15 ◯副議長(守谷 正人君) 神崎聡君。(拍手) *神崎議員質問 16 ◯三十一番(神崎 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会・立志福岡県議団の神崎聡です。  「しょく」と緑の季節となりました。すなわち、新たな芽吹きの新緑の中、就職の季節であります。高校や専門学校、大学などを卒業した生徒や学生が、社会人として人生の新しいスタートを切ります。一方で、三月一日には就職説明会が解禁となり、来春の新規学卒予定者の就職戦線が一斉にスタートいたしました。六月上旬には多くの大手企業で内定が出始めますから、まさに短期決戦ということになります。  私の入社は昭和六十年(一九八五年)であり、バブル経済へと走り出す前年という時期でありました。就職活動を振り返りますと、学生時代のさまざまな活動の中での出会いが就職に結びついたんだと思います。入社した会社の企業訪問では、東京で、いきなり会社のオーナーにお会いすることから始まりました。そして帰福するなり、社長、重役面接でありました。会社の受付に到着いたしますと、人事部の方が部屋に案内してくれました。張り切って、失礼しますとドアをあけますと、その人事部の方が、緊張しなくてもいいですよと、ここは控室ですからと、そう言われました。今でもそのときの記憶がはっきりとよみがえり、私にも実に初々しかったころがあったんだと思い出されます。就職は、一生を左右する人生の節目であります。学生の皆さんには、自分の大きな夢と高い志を実現するため、志望する職につけるように、ここ一番、頑張ってもらいたいものだと思います。  我が会派の代表質問で、労働力確保、働き方改革、若い世代の移住、定住促進について知事から答弁いただきましたが、もう少し掘り下げて、新卒に絞った質問をいたします。  さて、国の景気回復も着実に進む中で、文部科学省の昨年十二月末の調査によると、本年三月の卒業予定で就職を希望する高校生の就職内定率が九一・五%と、前年同期比で〇・六ポイント改善していることがわかりました。大学生の就職内定率は、十二月一日現在で八六・〇%、前年同期比で一・〇ポイント増となっています。本県の場合、高校新卒者の求人数は一万七千五百十五人となり、求人倍率は二・五一倍、就職内定率は八九・六%と平成六年度以降で最高となっています。また、大学など新卒者の内定率は七五・七%で対前年比五・四ポイント上昇し、平成七年度以降で最高となっています。  そこで知事にお尋ねいたします。バブル崩壊後、高水準となっています内定率ですが、今後、人手不足が進行する一方で、担い手となる就職希望者が減少してくることを受け、地域に若者を残すためにはどうしたらよいのか、人材確保の観点から、雇用確保の取り組みについてお聞かせください。  また近年、学生の就職先が保護者の意向も大きく反映しているんじゃないかと推察いたしますが、今後、保護者も含めた相談会の開催も考えてもよいのではないかと思います。その有効性をどのように認識されているのかお尋ねいたします。  地方経済は、業種、企業規模、地域によってはいまだ厳しい状況にあります。地方の隅々まで経済の力強さを浸透させ、地方創生を実現させるためには、中小企業、小規模事業者の持続的な成長が不可欠であります。まず、中小企業、小規模事業者の生産性向上と人材確保に向けて、知事はどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。  私は、平成二十八年六月定例会代表質問で、UIJ就職について質問いたしました。九州・山口各県が一体となった合同会社説明会、面談会の実施や、さらに首都圏の大学生を対象に、九州・山口各県が一体となってUIJターン就職応援フェアを都内で開催、首都圏の大学生などを対象に、九州・山口各県の企業へのインターンシップを開始しています。これらの取り組みによって、首都圏から若者人材の還流を促進していると聞いております。確かに、インターンシップによる学生と企業のマッチングは時代のニーズに即していますが、依然として学生の大手志向は強く、県内企業の九九・八%が中小企業でありますから、技術力のすぐれた中小企業も県内にはたくさん存在していることを考えると、もっといい知恵はないものかと思います。例えば、受け入れ企業と学生のマッチングを迅速にできるように、県がインターンシップシステムの構築や、単なる職場体験から、より長期のインターンシップを促したり、あるいはグローバルな視野を持つ人材を地元に定着させるため、積極的に海外展開している県内中小企業へのインターンシップの推進に取り組むことで、県内企業の魅力発信を支援できるのではないでしょうか。知事の御所見をお聞かせください。  また、首都圏や関西圏への若者の流出を防ぐため、福岡県内の成長産業分野の中小企業に就職を促したり、起業家を目指す若者に対しての支援策など、地元福岡で就職する新たな施策も必要です。チャレンジ精神旺盛な学生の本県への確保のための知事のお考えをお尋ねいたします。  次に、地方公務員の新規採用についてお尋ねいたします。景気の回復を背景に、民間企業の求人活動はますます活発になっており、県としても民間企業に負けないよう、一人でも多くの優秀な人材をいかに確保していくか考えなければなりません。福岡県民の約五百十五万人の暮らしを支えているのが県職員の仕事であります。職員の皆さんは、それぞれ働く環境での役割と強い責任感、何よりも県民の皆さんが、福岡県に生まれてよかった、生活してよかったと、知事の目指される県民幸福度日本一に近づけるように懸命に働いているんだと、私はそう思っています。  そこで知事にお尋ねいたします。これからの本県のさらなる飛躍のため、本県職員の新規採用に際して、知事はどのような人材を求めようとお考えなのでしょうか。求める人物像と期待される職員について知事の御所見をお聞かせください。  次に、今後も少子化の影響により若年人口の減少が見込まれる中、より多くの受験者を確保していくことが優秀な人材を採用するための課題です。多くの受験者を確保するため、福岡県の魅力と県職員の仕事のやりがいをどのように発信しているのか、採用試験を担当している人事委員会事務局長にお尋ねいたします。  また、公務員志望者に対しては、国や他の自治体と競争関係にあることも考えなければなりません。現在、本県の採用試験は、九州各県や北九州、福岡、熊本などの政令市と同一日に実施していると聞いています。このことは、受験者からすると選択肢が狭められているという意見もあります。一方、別の日程にすれば、昨年の北海道の採用試験において合格者の六割を超える採用辞退者があったように、併願受験者がふえれば採用辞退者が増加するという側面も危惧されてきます。  そこで、国や他の自治体に負けないように優秀な人材を確保するためには、採用試験における受験者の負担軽減を図るとともに、真に公務員としての高い資質を有する人材を選択できるような試験方法の検討も必要ではないかと考えます。人事委員会として、これまでの取り組みと今後の対応についてお聞かせください。  また、知事にお尋ねいたします。採用された職員は、公務員としての規範意識や心構え、心身ともにバランスがとれるよう常に研さんを積まなければなりません。新規採用職員に対して、どのような職員研修や新人教育を実施し、そのための予算はどのくらい確保しているのかお尋ねいたします。  私は、職員採用とその後の教育、人材育成こそ最大の投資だと考えます。知事は、県職員の人材育成を今のままでよいとお考えでしょうか、御所見をお聞かせください。  最後に、将来の福岡県の発展と県民生活の向上には、より高度で質の高い、そして幅広い優秀な人材を確保できるかが重要です。福岡県のトップリーダーは知事でありますので、本県の新規採用に向けた知事の情熱あふれる決意なりスピーチをお願いし、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 17 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 18 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  若者の就業、まず中小企業の雇用確保でございますが、県におきましては、主に若者に地元中小企業の魅力を知ってもらうために、地元経営者による特別授業や会社見学会を開催をしてきたところであります。加えて、高校、大学の就職指導担当者と中小企業の人事担当者、これらの間で就職情報交換会というものを実施してきております。また、若者と人材を必要とする企業との間のマッチングを行うため、若者しごとサポートセンターや三十代チャレンジ応援センターにおきましては、求職者一人一人のニーズに応じたきめ細かな就職の支援を行っております。昨年度は、七千七十三人の方を就職に結びつけることができました。さらに、正規雇用促進企業支援センターにおきましては、昨年度、利用企業から一千百八十二の相談がありまして、若者に対する企業のPR方法に関する助言等の支援を行いまして、八百八十人の正規雇用を実現いたしました。  卒業を控えた学生の保護者の方に県内企業の魅力を伝えていくことは、学生の県内就職を促進していく上で効果があるものと考えております。県におきましては、若者しごとサポートセンターが、大学生とその保護者の方に対しまして、メールなどを活用しながら地元企業についての情報提供、また相談支援に取り組んでいるところであります。今年度から、県と就職協定を結んでおります東京圏等の大学が福岡県内で開催をしておられる保護者会にアドバイザーを派遣をし、保護者の方々に県内の企業の情報提供や就職活動に対する助言というものを行っております。今後とも、こうした取り組みを通じまして、若者の県内企業への就職促進に取り組んでまいります。  次に、中小企業、小規模事業者の生産性向上と人材の確保であります。生産性を向上させていくためには、高効率の設備の導入や人材の育成、ITの活用による業務の効率化というものが重要であります。このため県におきましては、生産性向上に関するセミナーの開催、県や国の補助金を活用した高効率設備の導入の支援、アドバイザーによる改善指導、そしてデジタル技術を活用した設計開発技術者の育成、これらを行ってまいりました。今後は、IoTの活用によります業務の効率化を図るため、工業技術センターによる技術支援、中小企業とIT企業とのマッチング支援に取り組んでまいります。また、生産年齢人口が減少していく中で人材を確保していくためには、女性、高齢者、若者、障がいのある方々なども、誰もが活躍できる社会、その実現をしていくことも必要でございます。このため県におきましては、今後も年代別、対象別のセンターによるきめ細かな就職の支援を行ってまいります。また、長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを満たす魅力ある職場を構築することによりまして企業の働き方改革を促し、中小企業における人材の確保を支援してまいります。  インターンシップについてお尋ねがございました。インターンシップは、学生にとりましてはキャリアに関する考え方を身につけ、職業観を形成するよい機会となります。また、企業にとりましては、学生に向けたそれぞれの企業の魅力の発信の場にもなるわけであります。現在、県が参画をしております一般社団法人九州インターンシップ協議会、ここにおきまして、県内の大学生を対象に、海外展開をしている企業も含め幅広い業種でのインターンシップを実施をしております。昨年度は、県内二百八十九の企業に八百九十九名の学生が参加をいたしました。また、九州地域戦略会議で本県のほうから提案したものでございますけれども、九州・山口各県共同で、東京圏等の大学生に地方での就職や暮らしに目を向けてもらうために、おおむね五日間のインターンシップの受け入れ事業を実施しているところであります。昨年度は、九州・山口四十五の企業に対しまして、東京圏等の学生七十二名が参加をしたところであります。今後とも、インターンシップにつきまして、海外展開をしている企業や東京圏等の大学生の参加の拡大を図っていくとともに、大学との連携を強化しまして、大学生に対し、県内企業や地域の魅力というものをしっかり伝えていきたいと考えております。  次に、意欲的な学生の地元福岡での就業の促進でございます。県では、バイオ、ロボットシステムなど、今後成長が期待される分野の産業振興に産学官連携して取り組んでおります。そして、すぐれた技術力を持つ企業が数多く生まれております。このような企業へ地元学生の就職を促進していくためには、その企業の存在というものを多くの学生の方に知ってもらうことが重要であります。そのために、すぐれた技術力を有しておられる県内企業を紹介する冊子であります「福岡県ものづくりモノ語り百」これを大学や高校などに配布いたしまして、県内企業の魅力を伝えているところであります。また、学生の起業、その意欲を高め、地元福岡での起業を促す観点から、県内大学と連携をいたしまして、ベンチャー起業家出前講座、これを実施するとともに、起業後におきましては、フクオカベンチャーマーケットによる支援を行っているところであります。今後もこうした取り組みを進め、多くの学生が地元での就業につながっていくよう努めてまいります。  次に、職員採用についてお尋ねがありました。人物像でございますけれども、厳しい行財政状況の中で、私ども福岡県がその役割を果たしていくためには、職員一人一人が公務員としての倫理観、使命感を自覚をし、情熱を持って積極的、意欲的にそれぞれの職責を果たしていくことが求められております。また、地方創生が極めて重要な課題となっております中で、自主、自立的な行政の運営の必要性というものがますます高まってきております。職員の皆様には、県政全般から、この県民一人一人の生活に至るまで、幅広い観点から政策の企画立案、そして課題の解決に積極果敢にチャレンジしていただくことを期待をしているところであります。  そのための研修や教育でございますけれども、新規採用職員研修は、職員研修所におきまして、入庁直後と半年後にそれぞれ約一週間実施をいたしております。公務員としての意識、役割を自覚をし、仕事の基本を理解するとともに、職務を円滑に遂行できる知識、能力を習得することを目的といたしております。  公務員としての資質や高い倫理観が問われております中、公務員生活のスタートとなりますこの新規採用職員への教育、これが非常に重要であると考えております。そのため、その内容について、新年度から見直すことといたしております。まず、前期研修におきましては、基本的な知識を身につけるため、公務員としての心構えの基礎となります公務員倫理、また県行政の仕組みなど、それについて充実強化をすることといたしております。また、後期研修におきましては、ストレスへの対処方法などを学ぶメンタルヘルス対策を新たに導入するとともに、業務遂行能力の向上を図るため、財務会計制度また文書事務の研修を強化をすることといたしております。また、この職員研修所とあわせて、各職場の日常業務の中で行われますOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が、公務員としての資質向上や職員の能力の開発を図っていく上で極めて重要であります。このため、各職場におきまして指導担当職員を指定いたしまして、新規採用職員が実務上不明な点や日常的なことを含め指導し、また気軽に相談できる体制を整えております。この指導担当職員は、仕事の進め方をきめ細かに指導するなど、人材育成の役割を担っております。  なお、新規採用職員研修にかかわる予算でございますけれども、先ほど申し上げました見直し、また職員数の増加に伴いまして、今年度の予算計上額一千万円余に対しまして、新年度は約五百万円の増となります一千五百万円余の予算計上をお願いしているところでございます。今後とも、必要に応じ、研修内容の不断の見直しと職場での教育、これによりまして人材育成を図ってまいります。  次に、私の決意でございますけれども、県政を取り巻く環境は急速に変化をいたしております。一方で、地域間競争もますますその厳しさ、激しさを増しております。これからも福岡県を元気に発展をさせていくためには、次代を担う優秀な人材を確保していくことが極めて重要であります。本県は非常に今、元気であります。多様な産業集積と快適な生活環境、豊かな歴史、文化といったこの強みを生かして、もっと福岡県を元気にし、この県を日本海側の、かつアジアを向いた一大拠点として成長させ、我が国のバランスのとれた発展に貢献をしていくこと、これを今、目指しているところであります。こうした本県の状況と仕事のやりがい、これらを理解をし、目指している方向に共感をしてもらい、私とともに一緒に頑張っていただける優秀な人材の確保に、これからも努めてまいります。 19 ◯副議長(守谷 正人君) 梶原人事委員会事務局長。 *人事委員会事務局長答弁 20 ◯人事委員会事務局長(梶原 公徳君)登壇 まず、職員採用試験の受験者確保のための情報発信等についてでございます。人事委員会では、県のホームページやパンフレットのほか、大学が行います就職説明会や民間主催の合同会社説明会などにおいて、県が取り組んでいる重点施策や県が担う役割の重要性、そして職員採用試験に関する情報などを広く発信しております。また、県職員の仕事に興味を持つ学生との直接対話の場といたしまして、実際に業務に携わっている職員が業務内容の紹介などを行う職員採用ガイダンスや、女性職員と女子大学生が小グループで仕事と家庭の両立やキャリア形成について語り合う女性のためのジョブトークなどを開催しているところでございます。引き続き、多くの受験者を確保できるよう、任命権者と連携しながら、さまざまな機会を捉えて情報発信に努めてまいります。  次に、職員採用試験の実施方法についてでございます。近年の職員採用におきましては、特に技術系職種の受験者が減少傾向にあり、採用予定者数の確保が困難となる状況も生じております。そのため、平成二十九年度から、獣医師の採用試験におきまして受験上限年齢を引き上げるとともに、受験者の負担軽減を図るため、教養試験の廃止を行ったところであり、人材の確保が困難な職種につきましては必要に応じて試験の実施方法の見直しを行ってまいります。また、受験者の性格や人柄、公務員としての適格性を把握するために、個別面接や集団討論なども実施しておりますが、県職員に求められる資質や倫理観をより一層見きわめることができるような人物試験のあり方について、他県の状況も参考としながら研究してまいります。
    21 ◯副議長(守谷 正人君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時  十七分  休 憩           午 後 一 時 三十一分  再 開 22 ◯議長(樋口 明君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。高瀬菜穂子君。(拍手) *高瀬議員質問 23 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い一般質問を行います。  まず、憲法九条改定について伺います。安倍首相は、昨年五月、憲法改正の期限を二〇二〇年と区切り、九条一項、二項を残して、自衛隊を明記する考えを表明しました。これを受け、現在さまざま議論が進められています。安倍首相は、自衛隊を書き込むだけで何も変わらないなどと説明していますが、憲法に明記されようとしている自衛隊は、安保法制、戦争法の成立により、もはや専守防衛の自衛隊ではありません。海外での武器使用が認められた自衛隊を九条に位置づければ、後からつくった法律が前の法律に優先するという法律の世界のルールから、九条二項を空文化してしまうことになるのは明白です。そもそも自民党改憲草案は、二項を削除し、戦力としての国防軍を位置づけることを目指していました。二項削除に対する国民の反対をかわし、二項を残した上で死文化するのが目的と言えます。  歴代の政権は、自衛隊は自衛のための最小限度の実力であって戦力ではない、だから憲法違反ではないと説明し、その結果、海外派兵、集団的自衛権の行使、武力行使を伴う国連軍への参加はできないと言ってきました。これを安倍政権は安保法制で崩し、それでも九条二項が無制限の集団的自衛権の行使を縛っているため、縛りから解き、米軍とともに海外で戦争できる国に変えようというのが九条改定の狙いであります。これに対して各界の著名人が呼びかけ人となり、独裁的な安倍政権のもとでの九条改憲を許さないと、全国統一署名が取り組まれています。日本共産党もその趣旨に賛同し、憲法九条を守り抜くため全力を挙げているところです。  国の根幹を変えようとする安倍政権の九条改定について知事はどのようにお考えでしょうか、見解を伺います。  次に、医療、介護改革について伺います。社会保障予算の自然増削減を掲げる安倍政権のもと、公的医療、介護制度を土台から変質させる改悪が次々と具体化されています。医療保険改革法は、都道府県が策定する国保運営方針、医療費適正化計画、医療計画、地域医療構想、介護保険事業支援計画について、互いに整合性を確保するよう明記しており、これら計画が一斉に始動するのが、新年度、二〇一八年度です。国保の財政管理と国保行政の指導、医療給付費の総額抑制、基準病床数の認定と管理、病床機能の再編、淘汰、これらの権限を全て都道府県に集中し、国の指導のもとで給付費抑制を一体的に推進するのが安倍政権の医療、介護改革の核心です。  このような中で、必要な医療、介護サービスを確保し、県民の命と健康を守る県の責任はいよいよ重要となります。新たな制度が始まるに当たって、幾つかの点について質問します。  まず、国保の滞納処分についてです。本県の滞納世帯は二〇一七年六月現在、十万一千五百十三世帯、滞納率は一三・四%に上ります。そのうち短期保険者証交付世帯が約四万九千世帯、窓口十割負担となる資格証明書交付世帯が約一万八千世帯で、交付割合は全国でトップレベルです。国保の被保険者は高齢者や低所得者の割合が高く、払いたくても払えないのが実態であり、そうした中、受診抑制や手おくれ事例につながる深刻な事態も発生しています。しかし、国は医療費削減や収納率向上を進めるため、保険者努力支援制度をつくり、新規滞納処分をふやした自治体に予算を重点配分するなど制裁の強化を行っているため、全国で生存権を脅かす差し押さえが横行しています。我が党の倉林明子参議院議員がこの問題を取り上げ、昨年夏、厚生労働省は、国保の滞納に関する差し押さえ禁止の基準や滞納処分の執行停止における生活困窮の基準について都道府県に資料配付しています。  そこで知事に伺います。この資料の内容、つまり給与等の差し押さえ禁止の基準を明らかにしてください。また、市町村に対しどのように周知したのかも、あわせてお答えください。  本県の二〇一六年度の差し押さえ件数は前年を上回る一万四千九百九十八件、三十二億八千三百万円に上りますが、基準が守られているのか甚だ疑問であります。  次に、新たに策定された福岡県国民健康保険運営方針に、国保法四十四条が位置づけられていない問題です。昨年の予算特別委員会で私は、国保法四十四条に基づく一部負担金減免が県下全体でも年間二百件に満たない件数であり、疾病や失業等で必要な医療を受けられない経済状況の方々の医療保障にはほど遠い状況であることを指摘しました。国保の制度改革に当たって、国保法四十四条をどのように位置づけ、活用するのか、見解を伺います。  一方、無料低額診療制度は年間四十三万人を超える方々が活用しており、民間医療機関の努力で医療保障が行われています。この無料低額診療について、私は昨年の予算特別委員会で県民への周知をお願いしました。北海道では、道教育委員会教育長が市町村教育長に通知を出し、就学援助とともに無料低額診療について丁寧な周知を行うよう求めています。沖縄県でも、医療実施機関一覧も添えた周知を教育委員会が行っています。本県ではどのような周知が行われたのか答弁を求めます。  最後に、介護保険についてです。介護保険は、保険料のたび重なる引き上げとともに、介護報酬の引き下げ、二〇一五年度には要支援一、二の訪問、通所介護に関する保険給付が外され、市町村が行う地域支援事業に移行されました。昨年の改正では、利用料三割負担が導入され、ことし八月、実施に移されます。さらに、今回は見送られましたが、要介護一、二を介護給付から外すなど、軽度者に対する給付のあり方が検討され、二〇一九年に結論を出すとされています。介護保険は改悪に次ぐ改悪で、これでは必要な介護は受けられません。これ以上のサービスの切り捨ては許されないことを、国に対して厳しく求めていただきたいと考えます。知事の御所見を伺い、質問を終わります。(拍手) 24 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 25 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、憲法第九条の改正でございます。日本国憲法第九条の平和を希求する理念、これは非常に大切なものであると考えております。また、日本国憲法の改正につきましては、国会が発議をし、国民に提案をして、その承認を経なければならない、このようにされているところであります。このため、憲法改正の必要性、そしてその内容、発議の時期等につきましては、我々国民の代表であります国会議員の皆さんが国会の場で、国民の思いも踏まえて御議論をいただくものである、このように考えております。  次に、滞納処分の差し押さえ禁止基準についてお尋ねがございました。昨年の八月、国の会議で配付されました資料は、差し押さえの基準等を説明したものでございまして、その内容は、従来から国税徴収法等に定められているものでございます。具体的には、給与等の支給の基礎となりました期間一月ごとに、滞納者本人につき十万円、滞納者と生計を一にする親族がある場合は、これらの者一人につき四万五千円を加算した金額までは差し押さえすることができないというふうにされております。県におきましては、この資料を全市町村に配付をし、改めてその周知を図ったところであります。なお、毎年実施をしております市町村担当職員を対象とした研修会におきましても、この差し押さえ禁止の基準を示しながら、市町村において適切な滞納処分を行うよう助言をしているところであります。  次に、国保の制度改正に伴う国保法第四十四条の位置づけでございます。国保法第四十四条の規定は、被保険者が疾病や失業等により一部負担金の支払いが困難となった場合に、医療機関受診の際に、その窓口負担を市町村及び組合が減額または免除する、そういうものでございます。国保の制度改正後もその取り扱いには変更はございません。県といたしましては、引き続き市町村に対しまして、一部負担金の減免制度の運用につきまして、実情に配慮したきめ細かな対応を行うよう、市町村に対し助言をしてまいります。  次に、無料低額診療事業の周知でございます。無料低額診療事業は、社会福祉法の規定に基づき、医療機関が低所得者またホームレス等の生計困難者に対しまして無料または低額な料金で診療を行う事業でございまして、県内二十七の医療機関で実施をされております。本事業につきましては、その内容と、実施をしております施設の一覧を県のホームページに掲載をし、その周知を図っているところであります。なお、県内の自立相談支援機関に対しまして、生活に困窮された方々への支援がしっかり行われますよう、無料低額診療を含む公的な制度について研修を実施したところであります。  次に、介護保険制度の見直しに関する国への要望でございます。介護保険制度の見直しは、今後の高齢化の一層の進展に伴いまして、医療や介護ニーズの増加が見込まれております中、地域における介護体制の確保、介護保険制度の持続可能性、その観点から行われてきております。こうしたことから、要支援の方に対する訪問介護と通所介護については、地域住民の皆さんらの力をかりまして柔軟にサービスを提供できるように、平成二十七年度から市町村事業に移行され、実施をされてきているところでございます。今後、国におきまして、その移行状況等を把握、検証した上で、要介護二以下の軽度の方に対する各種給付について、市町村事業への移行を検討することとされておりますけれども、私ども県といたしましては、必要なサービスの提供に支障が生じることがないよう、その国による検討状況を見守っていきたい、このように考えております。 26 ◯議長(樋口 明君) 高瀬菜穂子君。 27 ◯三十番(高瀬 菜穂子君)登壇 差し押さえ禁止基準について知事から御答弁がありました。一月につき一人十万円、親族がいる場合には一人につき四万五千円の加算です。二人家族ならば十四万五千円までは差し押さえてはならないわけです。ところが、夫婦二人で二カ月十五万円の年金のうち、六万円が差し押さえられたなど、まさに国税徴収法違反の事例が県内でも見られます。市町村への周知を重ねてお願いいたします。  また、資格証明書について、世帯主の疾病や失業等の特別の事情がある場合には交付しないとされていますが、その手続の際にも滞納分を払うことが条件とされ、医療を受けられない例が発生しています。収納第一ではなく、医療第一となるよう指導していただくこともあわせてお願いをし、質問を終わります。(拍手) 28 ◯議長(樋口 明君) 大田満君。(拍手) *大田(満)議員質問 29 ◯十番(大田 満君)登壇 皆様、こんにちは。自民党県議団の大田満です。通告に従い、本県の無電柱化の推進に対する取り組みについて質問いたします。  全国には、道路上に林立する電柱が約三千五百万本、削減に取り組んでいるにもかかわらず毎年七万本のペースでふえ続けていると言われています。電柱が道路空間に乱立し、電線の束が道路上空を覆っている状況は、電線による病、文字どおり電線病に冒されているという表現がぴったりで、そんな日本の空を取り戻そうと、昭和六十年代の初頭から本格的に電線類の地中化、無電柱化が進められてきました。しかし、その水準はロンドン、パリなどのヨーロッパの主要都市のみならず、香港、シンガポール、台北といったアジア各国の都市と比べても大きくおくれをとっています。近年、災害の激甚化、頻発化、高齢者、障がい者の増加に加え、インバウンド観光需要の増加により、道路から電柱、電線をなくすべきという要請がより一層高まってきまして、国では平成二十八年十二月施行の無電柱化の推進に関する法律に基づき、無電柱化推進のあり方検討委員会を設置、幅広く検討が進められた中で、このほど無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進を図るため、無電柱化推進計画案が作成されました。  この推進計画案では、無電柱化の進め方について、やみくもに実施するのではなく、必要性の高い区域を重点的に進めるとし、その対象道路は防災また安全で円滑な交通の確保、景観の形成、観光振興の観点から、まずは緊急輸送道路や避難所に通じる道路、次に生活道路や商店街、通学路で高齢者や障がい者が電柱を避ける際に車道にはみ出す道路、続いて世界、日本遺産など歴史的な趣きのある観光地、そのほかにも、これはオリンピック・パラリンピック関連で本県では該当しないものでありますが、首都高速中央環状線の内側のセンター・コア・エリア、以上が対象になっています。また、計画の実施期間は二〇一八年から二〇二〇年までの三年間、この間に一千四百キロメートルを無電柱化するとの目標が掲げられておりまして、これを率換算で見れば、都市部、いわゆるDID地区における第一次緊急輸送道路の無電柱化率を三四%から四二%へ、バリアフリー化の必要な特定道路では一五%から五一%へ、世界文化遺産周辺の地区を代表する道路では三七%から七九%へと無電柱化率を引き上げることになります。また、この推進計画案に関しては、現在パブリックコメントが実施されておりまして、今年度内に正式決定する見通しであります。  無電柱化の推進については、これまで我が会派の井上順吾議員、中牟田伸二議員から繰り返し質問をしてきたところでございます。あいにく私は無電柱化の第一人者ではございません。しかし、今回は改めて無電柱化の整備を加速させたい、そういう思いから質問いたします。  まずは、現在までの本県の実績について、無電柱化の整備延長をお示しください。また、これは全国的に比較するとどのような水準にあるのか、あわせてお尋ねします。  ところで、無電柱化がなかなか進まないのは、さまざまな要因が挙げられまして、まずは何よりもコスト面での障壁が考えられます。これまで我が国の無電柱化の整備手法は、広幅員歩道の地下に電線を収納する電線共同溝方式が主に採用されてきました。しかし、この方式では、幅員が狭い道路では埋設が困難であること、一キロメートル当たりおおむね五億三千万と整備コストが割高であるといったデメリットもあって、電線共同溝方式に偏重した手法は既に限界が来ています。他方、世界の先進都市では、安価で空間上の制約を受けない直接埋設が主流でありまして、今後は従前の基準より浅く埋設する管路の浅層埋設や小型ボックス活用埋設などを含め、低コストの手法を適材適所に導入するとともに、必要な整備や工事などについては従来のやり方を徹底的に見直し、コスト縮減を進めなければなりません。  そこでお尋ねします。本県の無電柱化を進める上で、整備手法やコスト縮減について知事はどのような見解をお持ちなのかお聞かせください。  続いて、無電柱化を進めるに当たっては、ほかに費用負担の見直しや税制面からの誘導方策についての検討も必要でありますし、とりわけ地域レベルで合意形成を図ることは非常に重要であります。また、その体制の構築や充実に対しては、県が担う役割が大きくなっていくと思われます。現在、道路管理者、電線管理者、警察などで構成する協議会において、無電柱化の推進のための各調整が行われているようですが、地域の実態やニーズがしっかり反映されるよう体制の強化が必要であります。また、無電柱化の関係者は多岐にわたるため、例えば地元住民からの要請の声を橋渡しするワンストップ窓口の設置も必要かと考えます。ほかにも、効率的な工事の調整や民地への引き込み設備の集約など、課題を解決するためにさまざまな施策を講じなければなりません。  そこでお尋ねします。無電柱化の迅速な促進を図るためには、国、県、市町村、電線管理者の間で適切な役割分担をして、その体制のもとで取り組みを大幅に拡大していく必要があります。無電柱化推進法では、都道府県は無電柱化の推進に関する施策について計画を定めるように努めなければならないとなっており、これについては県での取り組みと県民の理解や協力を促すためにも有効と考えます。無電柱化の必要性について知事はどのようにお考えなのか、あわせて無電柱化推進計画の策定についても同様にお尋ねします。さらに、計画の策定に向けてどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。  最後に、どうしてもコスト面がネックであるがゆえに、これまで先送りにされてきた感がある無電柱化、この事業を県の主導のもとでしっかり推進していくとの強い意気込みが感じられる、そのような御答弁をお願いし、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 30 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 31 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  本県の無電柱化の状況でございます。県内の道路におきまして、電線類の地中埋設などにより無電柱化を行った延長距離でございますけれども、平成二十八年度末時点で約三百二十キロメートルでございます。道路延長のうち電柱のない延長の割合は、すなわち、いわゆる無電柱化率でございますけれども、これは福岡県は一%でございます。全国平均の一%と同じ水準でございますけれども、東京都の五%などと比較いたしますと、本県は低い水準となってございます。  無電柱化の整備手法やコスト縮減についてお尋ねがありました。これまでの無電柱化というのは、電線類を集約して地中化をいたします電線共同溝方式、これが主流でありました。そのために、コストが高いなどといった課題がございまして、なかなか整備が進まない、進捗が伸び悩んでおったところであります。現在、国の策定中の無電柱化推進計画におきましては、建物の軒を活用して電線類の配線を行う軒下配線、裏通りへ電柱を移設する裏配線方式など地中化以外の整備手法、また地中化による場合でも浅層埋設方式といった低コストの手法などについて、それらを活用することとしております。県といたしましては、他県の先行事例やこれらの技術開発の動向というのも踏まえながら、こうした地中化によらない多様な整備手法、またコスト削減策というものを活用していくことが重要であると、このように考えております。  今後の取り組みでございます。無電柱化につきましては、災害時の電力、通信等のライフラインの確保、電柱の倒壊による道路の寸断の防止、安全で快適な歩行空間の確保、景観の向上、それらの面から非常に有効であると認識をいたしております。しかしながら、一方でコストが高い、大きな課題がございます。今後、県におきましては、現在国で策定が進められております無電柱化推進計画、その内容にのっとりまして、県内道路を対象とした福岡県無電柱化推進計画を策定をしてまいります。その策定に当たりましては、県といたしましては、電力事業者、通信事業者、市町村など関係者の方々と十分調整を図りながら、実効性のある計画となるよう努めてまいります。 32 ◯議長(樋口 明君) 原中誠志君。(拍手) *原中議員質問 33 ◯三十五番(原中 誠志君)登壇 民進党・県政クラブ県議団の原中誠志であります。発言通告に従い、一般質問を行います。  まず、初めの項は、福岡県地域防災計画を初めとした防災に関する各種計画の見直しについてであります。昨年七月五日に発生した九州北部豪雨から八カ月が過ぎました。この豪雨により、県内では死者三十七名、行方不明者二名、被害額は県の積算で約一千九百四十一億円と未曽有の大災害となっています。朝倉市、東峰村を初め、被災地の一日も早い復旧、復興を願うとともに、昼夜を問わず復旧に尽力されている本県職員、関係市町村の職員、ボランティアの方々に改めて感謝申し上げます。  さて、我が会派は、二〇一六年六月議会代表質問において、熊本地震を踏まえた福岡県地域防災計画の改定をただし、知事は、地域防災計画の見直しを行ってまいると答えられたところであります。その後、本県は庁内において関係課で構成する熊本地震プロジェクトチームを設置し、昨年三月、平成二十八年熊本地震の課題等に係る検討結果報告書を作成しました。また、国は昨年四月、熊本地震を踏まえた国の防災基本計画の修正を行い、都道府県に対して国の修正内容に基づいた地域防災計画の見直しを求めているところであります。しかしながら、本県は二〇一六年三月を最後に現在まで地域防災計画を改定しておりません。その後、昨年には九州北部豪雨が発生をしており、本来であればこのことの教訓も含め早期に地域防災計画及び防災に関する各種計画を改定しなければならないと考えます。  そこで、以下知事に質問いたします。一点目に、これまで平成二十八年熊本地震の課題等に係る検討結果報告書に加え国の防災基本計画の修正が行われたにもかかわらず、なぜ、これまで地域防災計画を初め、防災に関する各種計画の改定がなされなかったのか、その理由をお答えください。  二点目に、平成二十八年熊本地震の課題等に係る検討結果報告書に示された内容のうち、地域防災計画や防災に関する各種計画において、その改定が必要となる主な項目についてお示しください。  三点目に、平成二十九年七月九州北部豪雨における災害対応に関する検証を行っていると聞き及んでいますが、現在までの進捗状況及びいつごろを目途に検証結果を取りまとめるのかお聞かせください。  四点目に、地域防災計画や防災に関する各種計画については、できるだけ早期に改定すべきであると考えますが、改定のめども含め知事の所見をお聞かせください。  次の項は、福岡県の明治維新百五十年の取り組みについてであります。本県では、沖ノ島と関連遺産群、明治日本の産業革命遺産に関連した観光振興のための新年度予算が本議会に提案されています。しかし、明治維新百五十年の取り組みに関する予算立てはありません。政府は、本年が一八六八年の明治元年から起算して満百五十年の年に当たるとして、明治以降の歩みを次世代に残すことや明治の精神に学び日本の強みを再認識することは大変重要なこととして、明治百五十年に向けた関連施策を推進することとしています。しかし、明治維新百五十年については、全国的に見れば開明派──維新・明治新政府による、いわゆる薩長土肥、そして京都、江戸ではお祭りのような雰囲気にあります。しかし、福岡といえば、明治維新百五十年のお祝いどころか、明治維新と福岡って何か関係あるの、という声さえ聞かれる次第であります。そうした要因の一つには、幕末から明治維新にかけ、例えば坂本龍馬、高杉晋作、勝海舟、吉田松陰、伊藤博文、西郷隆盛などといった、いわゆるNHK大河ドラマに取り上げられるような人物が福岡から輩出されていないということもあり、本県においては明治維新への関心、盛り上がりはいま一つのように感じられます。  そして、この明治維新を牽引したのは薩長同盟で、その薩摩と長州を結びつけた、いわゆる薩長同盟の立て役者は坂本龍馬となっていますが、実は、その薩長同盟文を起草したのは黒田藩士の月形洗蔵という人物であります。一八六五年二月十三日、京から追われた尊攘派の五卿は太宰府の延寿王院に入ります。以来、太宰府は勤王派の策源地となり、幕末政局の表舞台に登場することになります。そのとき、秘密の会合場所は、薩摩藩定宿松屋でしたが、この松屋は、太宰府天満宮参道の梅ヶ枝餅屋として今も残っています。そして、この松屋で月形は西郷隆盛と会合を重ねます。そして、この年の五月二十五日、坂本龍馬がこの松屋にやってくるのですが、坂本龍馬や西郷隆盛が太宰府に来たことは余り知られておりません。さてここで、龍馬は月形から薩長同盟を提案され起草文を提示されます。明治維新への大きな転換点は薩長同盟と言われますが、この下交渉である薩長和解は黒田藩の筑前勤王党が主導した結果で、加藤司書、早川勇などもその代表的人物であります。そして、その後の歴史は御承知のとおりであります。  このように、黒田藩士、または筑前勤王党には尊王攘夷、維新をリードする人物が多くいたのですが、同年一八六五年十月、黒田藩による勤王派への弾圧が始まり、切腹、斬首、流刑、その他を含めて処罰は百四十名に上り、高杉晋作を平尾山荘でかくまった野村望東尼は姫島へ投獄となります。いわゆる佐幕派による勤王派弾圧、乙丑の獄です。薩長同盟の路線を築いた筑前勤王派はここに壊滅してしまうわけであります。  その後、歴史は福岡県に不遇を強いてまいります。明治維新当時、福岡藩、豊津藩、中津藩、久留米藩、柳川藩、三池藩の六つの藩がありましたが、筑前勤王党を弾圧した黒田藩は、贋札事件があったとはいえ明治新政府から全国に先駆けて藩取り潰し、まさに見せしめのように廃藩置県が断行され、一八七一年(明治四年)十一月十四日、福岡県、小倉県、三潴県となり、一八七六年(明治九年)に現在の福岡県境が確定をした次第であります。幕末には筑前勤王党の志士たちを処刑し、維新になると、今度は佐幕派の人たちが責任をとって切腹、解職されるなど、次々に優秀な人材を失ってしまう。結果的に福岡県は維新にも新政府にも乗りおくれることになります。我が国においては小中学校、高等学校においては、日本史は大体幕末か明治維新で終わり、そのときも坂本龍馬、高杉晋作、勝海舟、吉田松陰、西郷隆盛といった有名人の話で終わります。したがって、幕末期の黒田藩や諸藩の動向、明治期の福岡県の史実について県民に広く知られておらず、そのことが福岡は明治維新とは関係がないと思われているのではないでしょうか。  我が福岡県にも明治維新に関する史跡は多数あります。福岡市中央区の県営西公園には平野國臣の像が建っておりますし、平尾には野村望東尼の居宅であった平尾山荘が残っています。宗像市には早川勇の像が明治百年事業で建立されており、佐藤栄作元総理の手跡が残っております。また、太宰府天満宮延寿王院には五卿遺跡碑のほか、山門前には七卿西竄記念碑があり、北九州市八幡西区黒崎には五卿上陸の碑が建っており、宗像市赤間には五卿西遷の碑が残っています。さらに、福岡で最後に築城された宮若市の犬鳴御別館、筑紫野市には月形洗蔵幽閉の地、朝倉市には穂波半太郎殉職の跡、小郡市には彼岸土居古戦場跡の碑、糸島市には野村望東尼像と歌碑が建立されています。  このように、県内各地に幕末期から明治維新期に歴史に痕跡を残した偉人、先達者たちの足跡が各地に多く残っています。昨日の一般質問では、自民党の片岡議員が明治日本の産業遺産に関連して質問されましたが、本県内の構成資産はいずれも明治の殖産興業以降、明治中期から後期以降につくられたもので、残念ながら本県においては幕末期から維新期、明治中期までは歴史の空白期となっております。  そこで以下、質問いたします。福岡県といっても黒田藩だけではありません。幕末から維新期、いわゆる県内には六つの藩があったわけですが、それぞれの藩が幕末、御一新、廃藩置県の時期に何が起こっていたのか、それぞれ地域の歴史家のお力もかりながら歴史化すべきだと思います。地域における偉人の功績を明らかにし、広く知らしめていく顕彰活動は、地域の青少年育成のみならず、まちづくり、地域振興など、本県にとっても意義があるものだと考えますが、このことについて知事の御所見を伺います。  次に、郷土史教育について教育長にお伺いいたします。福岡県における歴史の空白期とも言われている幕末から明治中期までの歴史について、本県独自の視点から発掘、記録し、体系化することが必要だと考えます。明治維新百五十年に当たり、本県としても記念すべき事業を取り組むべきだと考えますが、教育長の見解をお聞かせください。  さらに現在、小中学校においては学習指導要領において郷土の歴史、郷土の偉人については授業として取り上げられています。この件については、今議会、緑友会の代表質問でも取り上げられましたが、それぞれの地域、いわば旧藩時代の歴史、郷土の偉人、先達者など、郷土の歴史を次代に引き継ぐための教育をどのように進めるのか改めてお聞きします。  加えて、公立高校についてもお聞きします。公立高校においては学習指導要領で郷土の歴史を取り上げることが余りないことから、また大学受験の日本史では、いわゆる通史が取り上げられるということから、郷土史が授業で取り上げられるということは余りないと聞いております。県内には、黒田藩の修猷館、柳川藩の伝習館、小笠原藩の育徳館、久留米藩の明善堂と藩校時代の歴史を引き継ぐ高校もあることから、この際、一年次、二年次に、それぞれの公立高校が所在する地域の郷土の歴史を学ばせるというのは必要なことではないかと思います。このことについて、教育長の見解をお聞きします。  以上、真摯な御答弁をお願いいたします。(拍手) 34 ◯議長(樋口 明君) 小川知事。 *知事答弁 35 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、地域防災計画等の改定でございます。熊本地震につきましては、昨年の三月に県が検討結果を取りまとめ、四月に国が防災基本計画を修正をし、五月に地方知事会が検証、評価の最終報告を行いました。県としましては、これらを踏まえ関係機関との調整を行った上で、昨年中に地域防災計画の改定を行うことといたしておりました。その最中、昨年の七月、九州北部豪雨災害が発生をいたしまして、そのことから、地域防災計画等につきましてもこの豪雨災害への対応に関する検証結果も踏まえた上での改定を行うべきであると、このように考えまして、現在、その検証作業を急いでいるところでございます。  熊本地震を踏まえた地域防災計画等の主な改定事項でございますが、県におきましては、平成二十八年の熊本地震の課題等に係る検討結果報告書を取りまとめまして、地域防災計画の改定や災害時受援計画の策定などを行うこととしたところであります。まず、地域防災計画につきましては、被災地支援を迅速かつ効果的に行うため、私をトップとする全庁的な支援体制を創設する、災害発生時に直ちに被災地へ派遣し応急対策に従事をする福岡県災害時緊急派遣チームの創設を行う、そういった点について新たに盛り込むことといたしておりました。また、本県が被災した場合に、国や他県等からの支援を円滑に受け入れるため、新たに策定をする災害時受援計画におきましては、支援物資の集積拠点、あるいはその搬送方法などについて定めることとしていたところであります。  次に、九州北部豪雨における災害対応の検証でございますが、県におきましては、今回の豪雨災害対応を検証し、その経験や教訓を今後の防災対策の充実強化につなげていくため、昨年の十一月、庁内関係部局で構成しております九州北部豪雨災害対応検証委員会を設置しました。この委員会におきましては、初動対応、被災自治体への行政運営への支援、避難者対策、被災者の生活の再建支援、商工農林水産業者の事業継続の支援、公共土木施設等の応急復旧、これら六項目について検証作業を行っているところであります。具体的には、発災直後からの対応について評価できる点及び課題をそれぞれ抽出をいたしまして、国の検討結果等も踏まえ今後の対応策について検討をしているところであります。これらの検討結果につきましては、三月末を目途に取りまとめ、公表させていただく予定でございます。  次に、地域防災計画の早期改定についてでございます。県といたしましては、今申し上げたとおり、昨年の熊本地震における県の検討結果、国の防災基本計画の修正、九州地方知事会の検証、評価を踏まえまして、我々の地域防災計画等の改定作業を進めていたところであります。今後、これまでのこの作業に加えまして、現在進めております九州北部豪雨における災害対応に関する検証結果も踏まえた上で関係機関との調整を行い、新年度できるだけ早い時期に地域防災計画の改定を行ってまいります。  次に、地域における偉人の顕彰活動についてお尋ねがございました。議員もいろいろ御説明をいただきましたけれども、幕末維新期の偉人を初めとする地域の先達につきまして、その功績を明らかにし、県民の皆さんに広く知らせていく顕彰活動というのは、青少年を初め県民の皆さんが自分たちの歴史や文化に関心を持ち、ふるさとに対する愛着が増し、誇りを持つことができる、そういう効果が期待できます。このように、郷土への愛着と誇りを育んでいくことは、地域で活躍する人材の育成にも寄与すると考えております。また、地域の歴史や文化は、新しい観光資源として活用することで地域振興につなげていくこともできると、このように考えております。 36 ◯議長(樋口 明君) 城戸教育長。 *教育長答弁 37 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 明治維新百五十年の取り組みについてでございます。県教育委員会では、平成二十五年度に、九州歴史資料館において幕末期の太宰府に関する企画展を開催いたしました。現在は、県立図書館の郷土資料コーナーにおいて、福岡の幕末維新についての関連図書を紹介する取り組みを行っているところです。今後とも、市町村や郷土の歴史を研究している団体等と連携しながら取り組みを検討してまいります。  小中学校における郷土史教育についてでございます。小中学校においては、社会科や道徳、総合的な学習の時間などで身近な歴史上の人物を取り上げ、先人の働きへの理解と尊敬の念、郷土の歴史に対する愛情などを深めております。こうした学習に活用するために多くの市町村教育委員会で作成されている郷土資料においては、例えば早川勇、野村望東尼などそれぞれの地域にゆかりの深い人物が取り上げられております。  高校における郷土史教育についてでございます。高校では、小中学校教育で培った基礎を踏まえ、地理歴史科などの授業において世界の歴史と関連づけながら我が国の歴史の展開を大きくつかませることになっております。その上で、地域や各学校の実情に応じ学校設定科目やホームルーム活動、部活動において地域社会の歴史や先人たちの業績などに関する探求に取り組んでいる高校もあり、今後ともこのような活動を通して、高校生の郷土の歴史についての興味、関心を喚起してまいる考えでございます。 38 ◯議長(樋口 明君) 岳康宏君。(拍手) *岳議員質問 39 ◯九番(岳 康宏君)登壇 自民党県議団の岳康宏です。通告に従って、本県における女性活躍推進について一般質問させていただきます。  知事は、今議会の議案説明の中で、県民幸福度日本一の福岡県を目指すに当たり、平成三十年度の当初予算の重要な柱の一つとして、誰もが活躍できる社会を掲げています。その中でも私は、女性が生き生きと働き活躍できる社会をつくることが重要であると考えます。人口構成を男女で比較した場合、全国的には五十歳代から女性の割合が男性を上回っていますが、福岡県では二十歳代から女性の割合が男性を上回っています。つまり、福岡県は男性より女性が多いという特性があり、本県の強みでもあります。近い将来、日本は人口減少社会を迎え、生産年齢人口が減少して経済力の低下や地域の担い手不足をもたらすことが懸念されています。そんな中、引き続き地域社会が活力にあふれ福岡県が成長発展していくためには、男性だけでなく女性がそれぞれの感性や発想を生かして躍動できる環境を整備していくことが肝要であると考えます。           〔樋口議長退席 守谷副議長着席〕  一方、知事は、出会い、結婚、出産、育児、就職、仕事など若い世代の希望をかなえ、子供たちがそれぞれの夢をかなえることができるように施策を総動員すると述べてあります。安心、安全で誰もが生きがいを持ち、長く元気に暮らしていくことができること、それが県民生活の基本であるともおっしゃっていますが、そのような中で、出産、育児により退職を余儀なくされる女性がまだまだ多くいらっしゃいます。子育て中の女性にとって、勤務時間や勤務場所に拘束を受けやすい働き方では、仕事と生活の両立が難しいことが多いようです。また、私の周りにも退職前のスキルを生かして職場復帰したいと希望する女性も多くいらっしゃいますが、一旦、結婚、出産、育児をきっかけに仕事を離れると、日本では希望どおりの仕事への再就職がかなり厳しいのが現実です。このことは、女性個々人の生活の満足度、モチベーションを下げるだけでなく、社会的にも女性が多い福岡県にとって大きな損失であり改善していかなければならない課題であると感じています。福岡県に住む女性が子育てしながら働き続けることができる、また、再び働きたいと希望する福岡県の女性が希望に沿った再就職をすることができる環境となるよう、県内の企業に根気よく働きかけていきたいものです。  期せずして、本日三月八日は、国連が定めた国際女性の日であります。イギリスのエコノミスト誌は、この日に際してガラスの天井指数のランキングを発表しました。ガラスの天井とは、女性の社会進出を妨げる見えない障壁のことを指し、二〇一七年のランキングではOECD(経済協力開発機構)加盟国二十九カ国が対象となっていました。果たして女性にとって日本は働きやすい国なのか。結果は二〇一六年から一つランキングが下がって、二十九カ国中二十八位でした。このことは、経済参画には大きな格差があること、そして一二・五%という女性管理職の割合の低さが起因しています。  また、内閣府男女共同参画局のページを開きますと、世界経済フォーラムが平成二十九年十一月、ザ・グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート二〇一七において各国における男女格差をはかるジェンダーギャップ指数を発表しています。この指数は、経済、教育、政治、保険の四つの分野から作成され、二〇一七年の日本の順位は、百四十四カ国中百十四位、前年が百十一位ですから、三つ下がってしまいました。  ガラスの天井指数ランキングでも、ジェンダー指数ランキングでも上位に位置している国は、アイスランド、フィンランド、ノルウェーなどの北欧諸国です。それらの国の共通点は、待機児童がほぼゼロであり、そもそもイクメンという概念がないほど男性の育児が当たり前である点です。アイスランドでは、父親専用の育児休暇が最も多く、育児休暇を取得する前の給与の八〇%が育児休暇中に支給され、逆に、育児休暇を取得しないとその支給を受ける権利がなくなってしまうため、約九割の男性が育児休暇を取得するそうです。また、フィンランドでは、全ての子供たちに保育施設を用意することが自治体の義務となる法律、保育園法があり、誰でも保育園に入れる権利が子供に与えられています。ノルウェーでは、およそ二十五年前から育児休暇を両親合わせて五十四週、うち十週は父親が取得しなければならないというパパクオータ制が導入されており、法律で育休を理由とした職務や減給処分は禁じられているため、育休を取得する前と同じ職場、同じポジションに戻ることができるそうです。最後に、スウェーデンは、両親合わせて四百八十日の有給育児休暇を取得でき、休暇中の三百九十日間は休暇前の八〇%の給与が支払われ、父親は最低三カ月の育児休暇を義務づけられる世界最長の育児休暇となっています。  つまり、出産、育児は仕事から離れることになり、働く女性にとってはターニングポイントです。北欧のように家事、育児、仕事は男性も女性も行うものという意識変化を促し、福岡県としてもその意識を助長するような発信、啓発を行うことが大切だと思います。  そこで知事に質問いたします。女性が、出産、育児などライフステージに応じて活躍できる環境をつくっていくため、企業の従前の考え方に刺激を与えていくことが肝要だと思いますが、県内企業に対してどのような女性活躍推進の取り組みを行ってきたのか、また今後、さらにどのように広めていくのかお答えください。  次に、事業主としての福岡県における女性の活躍についてお尋ねします。本県の管理職に占める女性の割合は、知事部局、教育委員会、警察本部を合わせた割合では、平成二十年では全国四十四位とかなり低かったですが、平成二十九年には十四位と九年で三十位も上昇しています。長い間、女性管理職比率が最も高かったのは東京都でしたが、平成二十八年には鳥取県がトップになりました。その要因は、片山知事時代、情報公開、女性登用、現場主義の三点を徹底することを職員に訓示し、庶務中心であった女性の仕事を見直し、現在の平井知事も女性登用を踏襲して継続的に女性の活躍や関連施策を進め、トップから県庁の改革へ、県庁から県全体へと取り組みを進めていったことが理由として挙げられると思います。先日、女性警察官の採用について、県警本部長から採用拡大を加速化させるという御答弁もございました。  そこで知事にお尋ねします。知事部局においては、女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画で、課長相当以上の管理職に占める女性の割合を平成三十二年度までに一五%にする目標を掲げています。しかしながら、この目標は東京都、鳥取県は既にクリアしております。知事はこの目標をどう評価し、目標達成に向けて今後どのように取り組まれるのかお答えください。  それでは最後に、女性が生き生きと働き、活躍できる環境を整備することをきっかけとして、女性だけでなく高齢者を初め誰もが活躍できる環境を創出し、社会全体の活性化につなげていかなければなりません。このように県民幸福度日本一を目指す上で、女性が多い福岡県で生き生きと活躍している女性がふえることが県民幸福度アップにもつながると思います。そのためにも、働き方の見直しやワーク・ライフ・バランスの実現など、知事のリーダーシップのもと強力に推進していくことが重要です。女性が活躍できる福岡県の実現に向けて知事の決意、意気込みをお聞かせください。(拍手) 40 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 41 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県内企業に対する女性活躍推進の取り組みでございます。県におきましては、二十八年の六月、働く場における女性活躍を一層進めていくため、行政、経済団体等で組織をいたしております福岡県女性の活躍応援協議会、これを設立をいたしました。この協議会で課題や優良事例というものをお互いに共有をし合い、各構成団体みずからがそれぞれの取り組み目標を定め、女性の能力が十分発揮できる環境整備などの取り組みを進めているところであります。県といたしましては、企業が活用できる女性活躍推進のための手引を作成するとともに、女性の登用や環境整備を進めておられる企業へ専門家を派遣し、企業における女性活躍の取り組みを支援をしてきたところであります。さらに昨年の十二月、女性の活躍推進ポータルサイトを開設をいたしまして、企業の取り組み事例や県や国の支援策、これらについて企業や県民の皆さんに広くお知らせをしているところであります。新年度は、新たに経営者や人事労務担当者を対象といたしまして、女性活躍の意義、そしてその効果的な進め方についてのセミナーを開催をし、その後希望される企業に対しまして専門家を派遣するなど支援を充実することといたしております。あわせて、これらの取り組みで得られました優良事例やノウハウ、これらについても先ほど申し上げましたポータルサイトにアップして、積極的に発信をし、県内企業における女性活躍への取り組みを広く促してまいります。  次に、特定事業主行動計画の目標であります。本県におきましては、目標設定に当たり、各年代層に占める女性職員の割合、過去の女性登用の伸び率、これらを総合的に勘案をいたしまして、本県の女性管理職を平成三十二年度までに一五%以上とする目標を掲げております。これは、二十七年度の女性登用率九・一%を五年間で一・五倍以上にするものでございまして、我々としては高い目標を設定しているものであります。目標達成に向け、女性職員につきましては男性職員と同じように事業部門、企画部門といった多様な業務に配置をしまして、幅広い分野の経験を積ませることによって人材の育成に努めているところであります。あわせて、時間外勤務の縮減など、仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備にも努めているところでありまして、これとあわせて将来を見据えて課長補佐、係長への登用を拡大してきているところであります。これらを通じまして、県の女性管理職の登用を積極的に進めてまいります。
     次に、女性活躍に向けた決意でございます。人口減少を迎える中で地域が活力を維持していくためには女性の活躍が不可欠であります。このため、まずは県みずから率先垂範をいたしまして、県庁において積極的に女性管理職の登用を続けてまいります。また、子育て応援宣言企業の登録の拡大や子育て女性の就職の御支援、働き方改革の推進など、女性が活躍できる環境の整備もあわせて進めてまいります。今後とも、女性が仕事と家庭を両立しながらそれぞれの個性と能力を最大限発揮し、元気に生き生きと活躍される、その福岡県の実現に向け、官民挙げて全力で取り組んでまいります。 42 ◯副議長(守谷 正人君) 浦伊三夫君。(拍手) *浦議員質問 43 ◯八番(浦 伊三夫君)登壇 自民党県議団の浦伊三夫でございます。通告に従い、健康増進計画の見直しと今後の健康づくりの取り組みについて質問します。  知事は、県民一人一人が幸福を実感できる県民幸福度日本一を掲げ、県民が安全、安心に暮らせる社会づくりに取り組んでおられるところでありますが、県民が幸福を実感できるには、まずは県民の皆様が生涯を通して健やかで心豊かに過ごせることが何より重要であると考えております。我が国は、平成二十八年の平均寿命が男性八十・九八年、女性八十七・一四年と世界でもトップクラスの長寿国となっています。しかし、豊かな老後生活を送るためには、単に平均寿命を延ばすだけではなく、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間とされる健康寿命を延ばすことが非常に重要であると言われております。  本県における健康寿命を見てみますと、平成二十二年の男性六十九・六七年で全国四十位、女性七十二・七二年で四十四位であったものが、平成二十五年では男性が七十・八五年で三十五位、女性が七十四・一五年で三十三位と、いずれも延びてはいるものの、全国の男性七十一・一九年、女性七十四・二一年と比べるとまだまだ短い状況にあると言えます。県では、健康寿命の延伸を目指し、生活習慣病対策の充実強化を図っていくため、平成二十五年度から平成三十四年度までの十年間を計画期間とした福岡県健康増進計画を策定され、この計画に基づき、これまで働く世代の健康づくり、健診受診率の向上、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防などを重点的にさまざまな施策に取り組んでこられているところです。この健康増進計画を見ると、基本的な方向として生活習慣病の早期発見、重症化予防の推進、生活習慣の改善の推進など五つを柱として、それぞれに栄養、食生活、運動などの施策の柱を定め、その柱ごとに食塩摂取量、野菜摂取量、一日の歩数などの七十を超えるさまざまな数値目標を設定しておられます。そして、これらの数値目標について、目標設定後五年をめどに中間評価を行うとされており、その五年が今年度、平成二十九年度ということになっております。この計画を策定されてからこの五年間、さまざまな事業を展開され、策定当初に定められた数値目標の達成を目指してこられたことと思います。指標によっては既に達成できたもの、達成していないが改善しているもの、また逆に目標値との差が広がってきたものなど、それぞれの指標によって計画の進捗度合いも異なると思います。これから計画の後半期に入るわけですが、今後、計画期間の後半において県民の健康寿命の延伸を進めるため、改善が進んでいない指標については原因を分析し、その数値の向上に向けたさらなる取り組みを進めていくことが必要ではないかと思います。  一方で、健康づくりの分野は多岐にわたります。それぞれの目標値を改善するために各分野ばらばらに事業を強化、拡大しても、健康寿命の延伸という大きな目標には届かないのではないでしょうか。今後、健康づくりの取り組みを総花的に行うのではなく、本県における健康づくりの現在の課題を絞り込み、その解決のための重点的な取り組みを進めていくことが必要であると考えております。  そこで知事にお伺いします。計画の中間年度となる今年度は、計画の中間見直しを行うこととされています。今回の中間見直しに際しては、設定した数値目標の達成度について現時点での評価を行っていることと思います。その結果はどうだったのか、未達成の指標があれば原因も含めてまずお伺いします。  次に、健康増進計画の見直しは、行政だけでなく幅広い関係者から意見を聞きながら行うことが大事だと考えます。この中間見直しは、どのように進めてこられたのかお聞かせください。  県は五年前に健康増進計画を策定され、その計画に基づき指標の目標値を設定し、さまざまな事業を展開されてこられたわけですが、その目標値をどうにかして達成し健康寿命の延伸をなし遂げようという気概が、私には感じられません。今回の中間評価の結果を踏まえ、今後、県民の健康寿命の延伸を図るために健康づくりにどのように取り組んでいくのか、知事の考えと決意をお聞かせください。  我が国の平均寿命は今後も延びていくと言われています。豊かな人生を送るため、これからも知事には県民の健康づくりにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。知事の前向きな答弁を期待しまして質問を終わります。(拍手) 44 ◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。 *知事答弁 45 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、健康増進計画の中間評価でございます。この中間評価に当たりましては、計画に定めております七十四の指標について、国の健康日本21の評価方法を参考にいたしまして、私どもの県民健康づくり調査の結果、また国の統計データ、これらを活用いたしまして、計画策定時の値と直近の現状値との間で比較をさせていただきました。この結果、改善をいたしました指標は全体の約七割、五十一指標、悪化した指標は約三割の二十一指標とそれぞれなっております。主な内容を見てみますと、改善した指標のうち自殺死亡率、がんの年齢調整死亡率などは目標値を達成しております一方で、特定健診実施率、野菜摂取量などは数値はよくなっておりますものの目標とはまだ差があります。また、食塩摂取量、日常生活における歩数、運動習慣者の割合などは数値が悪化している状況でございます。目標との差が広がっている状況であります。こうした数値の改善が十分でないもの、また改善が見られなかったものにつきましては、県民お一人お一人、健康づくりの取り組みを行っていただけるような働きかけが十分に行き届いていなかったものと考えております。  計画の中間見直しの進め方についてでございます。中間見直しに当たりましては、学識経験者、関係機関、関係団体の代表者、公募による委員等で構成をしております、いきいき福岡健康づくり推進協議会におきまして幅広く御意見を聞いてまいりました。この協議会におきましては、計画の進捗状況、指標の評価などにつきまして、計三回にわたり御意見をお聞きし、その見直しを行ってきたところであります。  今後の取り組みでございます。今回の中間評価におきましては、健診受診、栄養・食生活、運動習慣といった分野におきまして改善が十分でないもの、また改善が見られなかったものがございました。これらにつきましては、県民一人一人がその重要性を理解をし、それぞれが行動に移していくことが必要となります。このため、行政、医療保険者、保健医療団体等の関係機関だけではなく、企業経営者団体、地域団体、マスコミ等さまざまな団体から成りますふくおか健康づくり県民会議、仮称でございますが、これを新たに設置いたしまして、これまでの県民の健康づくりの取り組みを県民運動として展開することによりまして、県民一人一人の自主的な健康づくり、これにつなげていきたいと、このように考えているわけであります。この県民会議におきまして、健診受診率の向上、食生活の改善、運動習慣の定着、これらを柱といたしまして、官民挙げて健康づくりに取り組んでまいります。 46 ◯副議長(守谷 正人君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 四十五分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...