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平成29年9月定例会(第11日) 本文
平成29年9月定例会(第11日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2017-09-11
    平成29年9月定例会(第11日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(守谷 正人君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。浦伊三夫君。(拍手) *浦議員質問 2 ◯八番(浦 伊三夫君)登壇 おはようございます。自民党県議団の浦伊三夫でございます。通告に従い、スポーツチームとの連携による地域振興について質問いたします。  先日、福岡ソフトバンクホークスが二年ぶりのリーグ優勝を過去最速の速さで決めました。昨年は残念な結果であっただけに、地元福岡県民にとって大変うれしい瞬間でありました。この圧倒的な強さの原動力には、熊本地震や九州北部豪雨の被災地と交わした優勝の約束があり、監督や選手たちは球団の復興支援スローガン、ファイト!九州のワッペンをつけて今シーズン戦ってきたそうです。勝つことで被災地に元気になってもらいたいという被災地への思いが、優勝という形で実を結びました。この勢いでクライマックスシリーズに勝ち抜き、日本一に輝いていただきたいと思います。  県内には、福岡ソフトバンクホークスのようなプロ野球チームから地域のスポーツ少年団まで、プロ、アマ、年齢問わず多くのスポーツチームが存在します。そのスポーツチームと県が連携することにより、スポーツチームと地域がともに振興できるウイン・ウインの関係になれるのではないかと考えます。  本年六月に、岩手県が県内のトップスポーツチームであるバスケットボール男子Bリーグ二部の岩手ビッグブルズサッカーJグルージャ盛岡ラグビートップチャレンジリーグ釜石シーウェイブスの三チームと業務委託契約を締結しました。県の認知度向上と交流人口の拡大、地域活性化、県民の健康づくりなどを目的としております。委託料は三チーム合わせて二千五百万円、事業内容は試合会場における県PRブース設置や県のイベントでのチームPRブース等の出展、県外から観戦に訪れるアウエーファン向け観光パンフレットの製作、配布、スポーツ少年団を対象としたスポーツ障がい等の予防クリニックの開催、高齢者を対象とした運動教室の開催等、スポーツを通じた地域活性化に資する活動を委託されています。本県には、プロ野球を初めさまざまな競技のトップスポーツチームが本拠を置いて活動しています。  そこで知事職務代理者にお伺いします。県はこれらのトップスポーツチームをどう捉え、これまで県のスポーツ振興や地域振興に活用してきたのか、またこれらのトップスポーツチームを今後どのように活用していこうと考えておられるのかお伺いをいたします。  県内には、トップリーグ下部リーグに所属し、トップリーグ参入を目指して活動しているチームが幾つもあります。女子サッカーの福岡J・アンクラスやフットサルのボルク北九州、ハンドボールのフレッサ福岡などです。どのチームも選手のレベルは高く、競技を愛し、トップリーグ入りを目指し日々努力をしています。トップリーグ入りのためにはさまざまな障壁があり、それを乗り越えていかなくてはなりません。これらのチームには運営していく資金が足りないとか、練習や試合会場の確保が難しいなどの課題があります。一方で、これらのチームには非常に高い運動技術や知識もあり、このようなチームと福岡県が連携することにより、スポーツの振興だけでなく観光振興や健康の維持増進などにもつなげることができるのではないかと考えます。県がトップリーグ入りを目指しているチームに支援し、チームが県民のためにできることを組み合わせることで相乗効果が生まれるのではないでしょうか。  そこで知事職務代理者に質問します。これらのチームを今後どのように支援していくのか。また、スポーツを通した地域振興にこのようなチームを活用できないかお答えください。  スポーツに対する社会的機運の醸成を図るため、スポーツ庁においてスポーツエールカンパニーを、東京都においては東京都スポーツ推進企業認定制度を実施しています。これらの制度は、スポーツに理解があり、スポーツの実践や支援を推進している企業をスポーツ推進企業として認定し、特にすぐれた取り組みを行っている企業には表彰を行うなど、スポーツに理解のある企業を広く県民に周知する制度です。スポーツ活動の推進やスポーツ分野における社会貢献活動を実施している企業にとって、県のお墨つきを得られることは企業のPRにも活用でき、まだそのような活動を実施していない企業にとっては支援を始めるよいきっかけになると考えます。また、先ほど述べたトップリーグ参入を目指すスポーツチームやアスリート、監督、コーチ、スポーツ団体に対して企業が支援しやすい環境をつくることができると考えております。  そこで知事職務代理者にお伺いします。このように企業と連携したスポーツ推進企業制度のような取り組みを実施することが、本県のスポーツ振興や地域振興にもつながると考えますが、県のお考えをお伺いします。  二〇一九年のラグビーワールドカップや二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックが開催され、スポーツに対する機運が高まるこの機会を利用して、さらにスポーツが振興するような、そのような答弁を期待して質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯副議長(守谷 正人君) 知事職務代理者服部副知事。 *知事職務代理者答弁 4 ◯知事職務代理者・副知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず初めに、県内に本拠を置くトップスポーツチームの活用によるスポーツ振興についてでございます。浦議員から御紹介ありましたように、このたび福岡ソフトバンクホークスが二年ぶりにリーグ優勝を果たしましたが、こういった本県に本拠を置くトップスポーツチームの活躍は、県民の皆さんに夢や希望、そして元気を与えるものでございまして、こうしたチームは、県にとりましてスポーツの振興を図る上での大きな資源であり、財産であると認識をいたしております。これまで、これらのチームに、子供たちを対象にスポーツ教室を行いますスポーツ夢体験事業や、スポーツになじみの余りない方を対象としてスポーツを体験していただきますイベントでございます生涯スポーツセミナーなど多くの本県が主催する事業に、所属する選手などを派遣していただきまして、参加者の皆さんが夢や目標を持つ大きなきっかけをつくっていただいております。また、県民の健康増進に向けた事業にも御協力いただくなど、スポーツの振興のみならずさまざまな取り組みに御協力をいただいておるところでございます。今後も、県民の皆様を対象としたスポーツイベントプロモーション活動トップスポーツチーム所属選手の皆様にも参加いただくことによりまして、県民の皆様のスポーツへの関心が高まるよう、また地域の活性化につながるよう、各トップチームとの連携を深めてまいりたいと考えております。  次に、トップリーグ参入を目指すチームの支援と活用についてでございます。県内にトップスポーツチームがふえることは、本県の競技力向上はもとより県全体のスポーツ振興につながるものであると認識をいたしております。議員からも御紹介がありましたが、現在、県内では、トップリーグ入りを目指して七つのチームが活動をいたしております。これらのチームがトップリーグ参入を果たすためには、練習会場やホームゲームを行うメーン会場の確保、ホームタウンとしての登録など地元の市町村の協力が必要となります。このため県といたしましては、地元市町村に対しまして、チームに協力いただけるよう働きかけますとともに、各チームに対しましても、地域行事への積極的な参加を促すなど、地元市町村とチームとの協力関係を築くことにより、トップリーグを目指すチームを支援してまいります。  一方、トップを目指すチームに所属する高い競技力や指導力をお持ちの選手を、県内の市町村が行うスポーツ教室に派遣していただくことによりまして、そのチームの知名度の向上につなげるとともに、それぞれの競技の普及や競技力の強化を図り、地域スポーツの振興、地域の振興に努めてまいりたいと考えております。
     最後に、スポーツの実践や支援を推進している企業を認定するスポーツ推進企業認定制度についてお尋ねがございました。現在、県内の多くの企業では、地域の中で清掃活動や青少年の健全育成などさまざまな社会貢献活動に取り組んでおられます。こうした企業の社会貢献活動の一環として、スポーツ分野における取り組みを行っていただきますことは、本県のスポーツ振興につながるものであると考えております。御紹介のありましたスポーツ推進企業認定制度などを創設することも一つの方策であると考えますが、県といたしましては、まずは県内の企業の皆さんが、それぞれスポーツ分野においてどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、企業の業種や規模などによります取り組み内容の違いはどういったものがあるのかなど情報を収集いたしまして、その実態を把握してまいりたいと考えております。その上で、スポーツによる地域振興に向けた県の効果的な取り組みについて検討をしてまいります。 5 ◯副議長(守谷 正人君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 6 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 民進党・県政クラブ県議団の渡辺美穂です。通告に従いまして、本県小中学校の環境整備について教育長にお伺いいたします。  まず一点目は、臨時免許の発行についてです。二〇一五年度の予算特別委員会で私が取り上げ、教育委員会は、教員免許を持たない大学生に臨時免許を出し教壇に立たせていることを認めました。その年の本県の臨時免許の発行数は小学校二百二十二件、中学校百四十六件で、最大人口を抱える東京都ですら小学校はゼロ件、中学校は一件だったという数字を見ると、その差は余りにも大きく、小学校では全国で五番目、中学校は四番目に多いという実態は看過できないものでした。本県では、二〇一一年度と二〇一五年度を比較すると臨時免許の発行数が小学校では二倍以上増加しています。あれから二年たちましたが、まず本年度、本県の臨時免許の発行数は小中学校それぞれ何件で、二〇一五年度と比較してどのように改善しているのか御説明願います。  本来、臨時免許は、どうしても教師が足りない場合に限り、言葉どおり臨時に発行するものですが、本県では全く経験のない大学生にも発行するなど臨時免許の発行が常態化し、またその数も多く、問題はより深刻であると言わざるを得ません。このような現状について県教委はどのような見解を持っておられるのかお伺いいたします。  また、ことしも大学生など教員免許を持たない人に臨時免許を出した例があるとすれば、その件数と内容もお答えください。  次に、講師不足に対する県の考え方についてお伺いいたします。現在、県教育委員会では正規職員の数をふやし講師を減らす努力をされていますが、先日の新聞報道でもありましたように、ことし筑紫地区の市では、学校の保護者に対し、市教育委員会から、講師を紹介してほしいという一斉メールが流れるなど、市町村や学校現場では毎年講師の確保が大変大きな課題になっています。そして、ついにことしは県内四つの中学校で一学期開始時に先生が見つからず、うち一つの学校では一学期中授業ができなかったということも報告されています。これは子供の学びを保障しなければならない教育委員会としては、あってはならないことではないでしょうか。  そこで、このことについての経緯を説明いただいた上で、県教委としての見解、及び今後こういう問題が起きないための具体的な対策をどのように進めていくのか、授業ができなかった学校については当然定期試験も行えなかったということになりますが、二学期以降どのように対応しているのかお答えください。  ことし四月から県教委では、市町村の枠を越えた学校間兼職を実施し、講師不足の解消に向けて努力をされています。この制度は、教員の欠員が生じる中学校一校を拠点校として位置づけ、この学校に正規職員を配置し、周辺の教員の欠員が生じる学校を含めて授業を行うというものですが、実際に取り組んでいる市町村と学校数をお聞かせください。また、もし問題点や課題があれば、あわせてお示しください。  次に、学校の閉庁についてです。今、教職員の長時間労働がマスコミでも多く取り上げられています。中学校では実に約六割の教職員が過労死ラインを超えて働いていることが、文科省が十年ぶりに実施した調査で明らかになりました。そして、労働時間に占める授業時間の割合がOECD加盟国最低レベルで、労働時間の三分の二近くが授業以外に充てられていることもわかりました。中央教育審議会においてもその答申の中で、教員の長時間労働の是正を求めています。  解決するためには多方面からのアプローチが必要ですが、まずほとんど予算がかからない具体的な方法として、中教審でも学校の代表番号に留守番電話を設置することを推進しています。生徒が帰宅した後、教師は授業計画やさまざまな事務作業を行いますが、静かな校内で集中して作業を行いたい時間帯の緊急性のない電話対応が教職員の業務を阻害しているという実態があります。もちろん、事故や事件などの緊急時には連絡がとれるようにしておかなければなりませんが、翌日対応でも十分な案件がそのほとんどだということです。役所など公共団体、民間企業や銀行などでも通常決められた時間以外の対応は行いません。学校だけが夜間も対応しなければならない合理的な理由はありません。地域の方にも、学校には閉庁時間があるということを認識していただくためにも、緊急体制を構築した上での留守番電話の設置は、先生方にとって非常にありがたいという声を聞いています。機材一つですが、学校がばらばらに対応する場合と、自治体や県で一斉に導入するのでは、そのコストや周知の度合いがかなり変わってきます。この留守電設置についての教育長のお考えをお聞かせいただくとともに、ニーズ調査をかけるなど県として具体的な取り組みを実施するおつもりはあるのかお聞かせください。(拍手) 7 ◯副議長(守谷 正人君) 城戸教育長。 *教育長答弁 8 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 小中学校の臨時免許状の授与件数についてでございます。本年度の臨時免許状の授与件数は、七月末現在、小学校三百十四件、中学校八十六件となっておりまして、二〇一五年度の同時期と比べると、小学校百四十件の増、中学校二十六件の減となっております。  臨時免許状授与の現状についてでございます。近年、講師数の増加に伴い臨時免許状の授与件数が増加し、本年度はここ十年間で最も多い件数となっております。臨時免許状は、普通免許状を有する者を任用することができない場合に限り臨時的に授与するもので、あくまで緊急避難的な措置であるため、授与件数の増加は好ましいことではないと認識しております。なお、今後は正規採用者数の増加に伴い授与件数は減少すると考えております。  教員免許を持たない者への臨時免許状の授与についてでございます。本年度、普通免許状を所持していない者に対する臨時免許状の授与件数は、小学校二十二件、中学校五件でございます。主な例は、免許取得のための単位を履修中で免許取得が見込まれる者、英語の教科について海外での留学経験があり、英語を教授できる知識、技能を持っている者などでございます。なお、臨時免許状は、学校長や教育委員会が、教員としての適格性や教科指導力があると認めた人物について任用する際に申請されるものであり、県教育委員会が申請に基づき人物、学力に関する証明書等を審査の上、授与をしております。  本県の公立中学校において講師が見つからず、一学期に授業が行われなかったことについての見解と対策及び二学期以降の対応についてでございます。中学校は教科担任制であり、教科によっては講師志願者が少ないため、任用が困難な場合もあります。そのため任用に当たりましては、大学での広報や新聞への掲載等幅広く広報活動に努めてまいりましたが、結果的に、今年度、一つの中学校において美術の教科で、一学期に授業が行われない事態が生じました。この中学校においては、既に非常勤講師を確保し、夏季休業中や二学期開始早々に美術の授業を実施しており、その学習をもとに一学期分の評価を行う予定としております。今後、このような事態が起こらぬよう、教員志望者の層の拡大に努めながら正規教員の増員を図ってまいります。  本県の公立小中学校における市町村を越えた兼職の実施状況及び課題についてでございます。今年度において、市町村を越えた兼職は該当がございません。なお、同一市町村内においては、主に初任者研修の指導教員や小中学校連携のため三百七十四人の教員が学校間兼務を行っております。市町村を越えた兼職の問題については、異なる市町村の服務監督のもとで職務に従事することとなるため、職員の勤務形態など市町村間において協力していくことが必要であります。このため本県教育委員会といたしましては、市町村間の調整が進むよう、市町村教育委員会と連携を図ってまいります。  学校に留守番電話を設置することについてでございます。学校に留守番電話を設置し、勤務時間外に留守番電話に切りかえることにつきましては、教員の負担軽減に寄与する面があると考えます。しかしながら、保護者、地域の理解、緊急時の体制整備などの問題もあることから、今後、他県の取り組み状況や学校現場のニーズ等の把握に努め、市町村教育委員会適時情報提供をしてまいります。 9 ◯副議長(守谷 正人君) 渡辺美穂君。 10 ◯五番(渡辺 美穂君)登壇 御答弁ありがとうございました。今の答弁の中にもありましたように、臨時免許の多発、そして常態化している講師不足、それに伴う教師の多忙化、精神疾患罹患率の高さを見ても、教師が疲弊していることは明らかであり、子供にとってもよい環境であるとは言えません。県教委も努力はされていますが、その最大の原因は、教師の数そのものが不十分であることを指摘しておきます。今後、少子化が予想されているという事情は理解していますが、少なくとも今在学している子供たちに対し、授業ができないという事態が二度と起こらないように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 11 ◯副議長(守谷 正人君) 高橋雅成君。(拍手) *高橋議員質問 12 ◯六十二番(高橋 雅成君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の高橋雅成です。ヒアリ対策について伺います。  南米原産で強い毒を持つヒアリが、六月九日、兵庫県尼崎市のコンテナで確認されて以来、この夏は全国の港湾などで相次いで発見されました。多くは中国の南沙港からのコンテナで発見されたものですが、蛇口港など他港湾からのものもありました。福岡県におきましても七月二十一日、福岡市東区のアイランドシティコンテナターミナルでヒアリ数十匹を確認。その後、同月二十七日には同市博多区の事業所で、コンテナからの荷おろし中にヒアリ約三十匹を確認しました。このときは作業員がヒアリに刺されるという、国内初めての刺傷事故が起こりました。また、九月十五日には北九州港のコンテナヤード内に設置したトラップでヒアリ七匹が確認されています。  こうした事態を受け、私たち公明党福岡県議団は先月、福岡市と兵庫県でのヒアリ対策について話を聞きに行ってきました。国は、国土交通省ヒアリ生息地との定期航路を持つ全国六十八港湾でのヒアリの調査、防除、コンテナヤードのアスファルトの亀裂の補修をしているほか、環境省がヒアリ確認地点の周辺二キロメートル程度に規模を拡大した調査を順次実施しております。このような国のヒアリ対策に加え、福岡市においては、コンテナターミナルにおける忌避剤、ベイト剤散布、トラップの設置のほか、特定コンテナの外観、周辺舗装の継続的監視港湾空港局で実施。保健福祉局では、市民への情報提供や市民、事業者からの相談に対する現場対応などを行っております。これに対し、国内最初のヒアリ確認地である兵庫県のヒアリ対策はさらに徹底しています。ヒアリ発見と同時に神戸市は災害対策本部を設置、兵庫県は防災監をトップに各部局の連絡会議を設置しました。兵庫県は、コンテナが港湾から出ていった先は把握できないため、全県を対象とした輸入貨物荷受け企業等への目視調査を要請しています。私たちが調査した時点において、コンテナ取り扱い業者神戸通関業会加盟社二十九社四十一事業所から回答を得、ヒアリ発見はなく、継続した目視調査を要請中です。また、輸入貨物荷受け企業からは県商工会議所県商工会加盟等の企業百九社百二十二事業所から回答があり、同じくヒアリの発見はなかったとのことです。さらに、県管理港湾輸入貨物コンテナの取り扱いがなかった二十八施設についても、二十九年度に外国から原材料などをばら荷で輸入した三港湾について目視調査。空きコンテナを使用し、製品を神戸港経由で輸出している県管理港湾での目視調査も実施しています。そのほか、市町や関係機関への情報提供やホームページ等を通じた県民への注意喚起、市町や庁内連絡体制の整備、県民局への殺虫剤等の配備など対策に余念がありません。また、神戸市は名古屋市、沖縄県とともにヒアリの防除対策マニュアルの策定に努めており、今年度中の完成を目指しています。  ヒアリ生息数が世界で最も多く、最大の被害国とされるのがアメリカです。米農務省によると、ヒアリに刺される人は年間延べ三千七百万人に及び、このうち百二十五万人がアレルギー反応を起こして重症化をするおそれがある人たちだとしています。死亡例も、わかっているだけで八十五件が報告されています。農業被害やインフラ被害などもあり、こうした対策にかかるコストも含め、被害額は年間約七千億円に上ると推計されています。外来種が生態系に与える影響などに詳しい、ふじのくに地球環境史ミュージアムの岸本年郎准教授は、ヒアリの蔓延後に根絶できた国はないとし、ヒアリ対策の鉄則は早期発見、早期根絶であると指摘しています。そして、行政が港湾などで展開している水際対策に加え、その先の監視を民間運輸業者や荷主にお願いするべきだと強調しています。これを実際に実行しているのが兵庫県です。  そこで伺います。本県は、ヒアリ対策として何を実施してきたのか説明してください。本県独自の対策があれば、それも教えていただきたい。  なお、コンテナやコンテナヤード以外のもの、例えば航空貨物からヒアリが侵入してくる可能性はないのでしょうか。対応も含めてお答えください。  ヒアリの根絶に成功したニュージーランドは、その対策のポイントとして、一つに早期発見、早期駆除、そして二番目のポイントとして情報、指揮系統の一元化を挙げています。我が県においても、オール福岡として対策に取り組むべきであり、福岡市、北九州市との協力体制と指揮系統の一元化が不可欠です。両政令市との連携についてお答えください。  仮に、本県でヒアリの定着が見られた場合、県民の健康上の問題はもちろん、農業、工業、商業、観光業など、あらゆる産業に悪影響があることは明らかです。水際対策はもちろん、兵庫県のように政令市と歩調を一つにしてコンテナの荷主に目視調査を要請する必要性を感じるものですが、知事職務代理者は現行のような対策で十分と考えるのか、ヒアリ対策についての知事職務代理者の御所見を伺います。  以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 13 ◯副議長(守谷 正人君) 知事職務代理者服部副知事。 *知事職務代理者答弁 14 ◯知事職務代理者・副知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、ヒアリ対策における県の取り組みについてでございます。本年六月九日に、国内で初めて兵庫県においてヒアリが確認をされました。県内では七月二十一日以降、博多港、博多区の輸入貨物の取り扱い事業所、北九州港の三カ所でヒアリが確認をされております。県では、国内でのヒアリの確認を受けまして、六月十五日に、県のホームページを通じまして、県民の皆様に対する注意喚起を行いますとともに、市町村や害虫駆除業者に対しまして文書で情報の提供を要請してきたところであります。また、県が管理者でございます三池港と苅田港では海外からの貨物の取り扱いがございますことから、県の職員が、陸揚げされた貨物や港湾施設の目視点検を実施をいたしております。さらに、両港を利用する荷主や運搬事業者百四十八社に対しまして、ヒアリに関する情報を提供し、発見時は報告を行うよう求めております。特に、中国からのコンテナを取り扱います三池港では、殺虫餌でございますベイト剤や調査用のトラップの設置を実施しております。さらに、県内でヒアリが確認された際には、その都度、市町村、害虫駆除業者、両港を利用する荷主や運搬事業者に対して一層の注意を呼びかけてきております。  なお、ヒアリは港湾以外にも航空貨物を通じて空港からも侵入するおそれがございますことから、福岡空港と北九州空港におきましては、国際貨物施設の管理者でございます福岡空港ビルディング株式会社と北九州エアターミナル株式会社によって、調査用トラップの設置や施設とその周辺での目視点検が行われているところでございます。  北九州市、福岡市との連携強化についてお尋ねがございました。県では、先ほど申し上げましたように、県管理港湾でのヒアリの早期発見と防除等に取り組んでまいりました。また、北九州市、福岡市におかれましても、両市が管理しております北九州港、博多港において同様の取り組みを実施してこられたところでございます。県と両政令市はこれまで、それぞれが管理する港湾における点検状況につきまして情報交換を行いますとともに、ヒアリが発見された場合には、速やかに情報の共有を図ってまいりましたが、今後はこれに加えまして、県と両政令市の合同会議を開催いたしまして、ヒアリの調査手法や荷主の皆さんへの効果的な周知方法について共同で検討を行うなど、県と市の連携を強化いたしましてヒアリ対策に取り組んでまいる考えでございます。  ヒアリ対策の強化についてでございます。ヒアリを定着させないためには、その侵入をできるだけ早期に探知をし、ヒアリが広がる前に駆除していくことが肝要でございます。このため県では、これまでの取り組みを継続して実施いたしますとともに、今後は他県の取り組み事例も参考にいたしまして、行政の職員、県民、荷主などの事業者がそれぞれ日ごろから注意すべき事項、ヒアリ発見時にとるべき行動などをわかりやすく示したマニュアルを策定するなど新たな取り組みを検討いたしまして、ヒアリ対策の強化を図ってまいります。 15 ◯副議長(守谷 正人君) 高橋雅成君。 16 ◯六十二番(高橋 雅成君)登壇 前向きな答弁で、ありがとうございます。  兵庫県、神戸市は、非常に危機感と緊張感を持って、この対策に取り組んでおります。その理由ですけれども、もちろん国内で初めてヒアリが確認されたということはありますけれども、六月九日にヒアリが確認されたわけですけれども、実は、これは五月二十六日に兵庫県尼崎市の倉庫のコンテナ内部から、ヒアリではないかという疑いを持ったアリが発見されております。それを二週間ぐらいかかって、ようやくヒアリであると確認されたわけです。さらに、この五月二十六日のヒアリの中には、女王アリがいたということが後ほどわかっております。この五月二十六日に発見されたヒアリは、さらに五月二十日には神戸港に入港しておりました。つまり、七日間にわたって国内のコンテナで女王アリを含むヒアリが生息していたということであります。したがいまして、非常に危機一髪といいますか、発見されなければ定着していたということが十分考えられる、そういう事案であったということでございます。  福岡県におきましても、福岡市とか北九州市、港湾の管理者は違いますけれども、そこから入ってくればヒアリが定着する、そういう危険性があるということを十分認識しまして、危機感と緊張感を持って対策に当たっていただきたいということを再度要望しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 17 ◯副議長(守谷 正人君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時といたします。           午 前 十一時 四十一分  休 憩           午 後 一 時  一 分  再 開 18 ◯議長(樋口 明君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。小河誠嗣君。(拍手) *小河議員質問 19 ◯一番(小河 誠嗣君)登壇 食と緑を守る緑友会・立志福岡県議団の小河誠嗣でございます。  初めに、今回の九州豪雨災害により朝倉市、東峰村を中心に甚大な被害が発生しましたが、お亡くなりになられた方に心からの御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。  それでは、通告に従いまして質問いたしたいと思います。  農産物の輸出について質問をいたします。まず初めに、福岡県の農林水産物の輸出は年々増加しているとのことでありますが、状況はどうなっているのでしょうか、お聞きしたいと思います。  今回の九州豪雨災害により被災された朝倉市及び私の地元であるうきは市は、果樹生産とりわけ柿の一大生産地として農業経営がなされているところであります。私の地元うきは市においては、地元の柿生産者十一名が、昨年より富有柿をタイに輸出を始めました。ことしは五十トンを出荷予定とのことであります。農産物の輸出については、国によって検疫や農薬基準も違うし、それぞれの品目によっても対応の仕方が違うので、取り組みが難しい面があると思います。県として販路開拓のため農産物のそれぞれの品目について国によっての検疫、農薬基準の違い等について把握されておられると存じますが、県内の生産者、JAに対し農産物の輸出等における検疫条件について、どのように周知されているのかお聞かせください。  先日、新聞によれば、農林水産省がアメリカ向け柿輸出を、早ければ年内にも解禁との発表がありました。柿の産地である和歌山県では、昨年より輸出解禁に向けて準備を進めてきて、今年産から輸出予定とのことであります。このことについて、アメリカへの柿輸出の解禁に向けた国の動きについてまずお伺いします。また今後の対応についてどうお考えでしょうか。  現在の農業は、就業人口の減少、高齢化など厳しい状況であります。本県の農業の発展は後継者がふえるような農業経営にあります。農林水産物の輸出は国内の少子、高齢化による国内需要の縮小にも対応する重要な施策と考えます。そこで、今後の農林水産物輸出の拡大についての取り組みをお聞かせください。  朝倉地域の一日も早い復旧、復興がなされ、明るい展望が見える果樹園経営がなされることを願い、この項の質問を終わりたいと思います。  次に、中小企業、小規模事業者の人材確保についてお尋ねをいたします。この件については、さきの六月議会で、我が会派の代表質問において見解をお聞きしたところでありますが、状況がなかなか改善されず、再度、県としての対応策を講じていただきたくお伺いしたいと思います。  国内では、第二次安倍内閣発足後、雇用者数は二百万近く増加、失業率は四%から三%近くまで低下し、賃上げ等についても三年連続で二%以上になるなど、雇用、所得環境が改善し、景気は緩やかに回復基調が続いていると言われております。知事は、二十九年の当初予算の説明で、景気の回復と魅力ある雇用の場の創出を述べられました。確かに本県の経済は緩やかに回復しており、有効求人倍率は統計をとり始めて以来、過去最高水準で推移しております。反面、県内雇用の八割を担い商工業の九割以上を占める中小企業、小規模事業者は人材不足のため、安定した事業の展開が厳しい状況が生じております。このことについて知事は、さきの議会において、中小企業において人材を募集してもその確保が難しいとの認識を述べられております。事実、大企業においては来春卒業予定の大学生、高校生の採用活動が終了しても、中小企業においては知名度が低いために求める人材の確保が厳しく、また、就職、採用活動の時期も遅く、若者に対する対策として中小企業の魅力を伝える機会をふやす会社説明会を開催しても学生が集まらなく、年中続けなければ人材の確保が厳しいとの声が聞かれ、企業経営にも苦慮している現実があります。  知事は、県としての取り組みについて、若者に地元中小企業の魅力を知ってもらうよう地元経営者による特別授業や会社見学会を開催し、加えて高校、大学の就職指導担当者と中小企業の人事担当者との就職情報交換会を実施し、また、若者サポートセンター、三十代チャレンジ応援センターにおいて各種セミナーの実施、ホームページによる企業情報の発信、正規雇用促進企業支援センターを開設し、人材確保や定着に関する相談、正規雇用を促す助成金の案内などを実施して企業の人材確保を支援していると述べられておりますが、これまでにどのような効果が上がっているのでしょうか。このような中小企業、小規模事業者の実情を踏まえ具体的に推進しながら、県として、さらに人材確保の強化を図るべきと思いますが、知事職務代理者のお考えをお聞かせください。  今後とも、知事の掲げる県民幸福度日本一のために、中小企業の持続的な事業展開が行えるよう、人材確保について、さまざまな観点から支援体制を関係機関と密に連携し強力に支援をお願いしまして、この項の質問を終わります。  最後に、高齢者の健康づくりについて質問をさせていただきます。先日、秋田県で開催された第三十回全国健康福祉祭あきた大会ねんりんピック秋田二〇一七に、スポーツ議連の加地会長、井上事務局次長と開会式に参加させていただきました。本県からも県の選手団、福岡市、北九州市両政令市の選手の方が参加をされ、本県の選手の方方に健闘を祈り声援を送ったところでございます。六十歳を超え健康でいろんなことにチャレンジする方々は、生き生きとして楽しく年齢を重ねていてすばらしいことであります。本県では、高齢化が急速に進行しており、本年四月の高齢化率は二六・二%で、四人に一人が高齢者の時代を迎えています。特に、介護が必要となる人の割合が大きく高まる七十五歳以上の高齢者が増加しており、七十五歳以上の高齢者の全人口に占める割合は一二・八%となっています。また、本年六月末の要介護認定率は一九・二%となっており、高齢者の五人に一人が介護を受けている状況です。このような中、高齢者が生き生きと楽しい人生を過ごすためには、年齢を重ねても日常生活を問題なく過ごすことのできること、つまり健康寿命を延ばし、平均寿命との差を少なくすることが大事であり、高齢者の健康づくりが重要と考えます。  そこで知事職務代理者にお伺いします。県として、健康寿命を延ばすための取り組みについてお聞かせください。  また、住民に身近な市町村においても健康づくりの取り組みが行われておりますが、市町村によってその取り組みが十分でないところもあると聞いております。県全体の健康寿命を延ばすために、市町村に対する積極的な支援が必要であると考えますが、県としてどのような指導、支援を行っているのか、また今後どのように進めていくのかお聞かせください。  今後とも、県民のために的確な政策遂行をお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございます。(拍手) 20 ◯議長(樋口 明君) 知事職務代理者服部副知事。 *知事職務代理者答弁 21 ◯知事職務代理者・副知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず初めに、福岡県の農林水産物の輸出の状況についてでございます。現在、主な輸出品目は農産物ではイチゴのあまおう、八女茶、ブドウ、ミカン、そして議員から御紹介もありました柿、博多和牛、植木など、水産物ではヌタウナギやニシキゴイなど、林産物では木材となっておりまして、その輸出先は香港、台湾、タイなどのアジア地域が中心となっております。昨年度の農産物の輸出額は二十四億二千万円、水産物は五億八千万円、林産物は五千万円でございまして、全体では三十億五千万円となっております。これは、一昨年度に比べまして五億二千万円、二一%の増加でございまして、過去最高額となっているところでございます。  次に、県内の生産者、農協に対する輸出の検疫条件等の周知についてでございます。農産物の輸出におきまして重要となります動植物検疫条件及び残留農薬基準は、輸出時に検疫証明書が必要な国、あるいは園地の認可取得が必要な品目、また日本で登録されている農薬でも相手国で登録がない場合は使用できないことなど、輸出先の国や品目ごとに異なっておるところでございます。こういったことに対応いたしまして、輸出向け農産物の生産を拡大していくために、県では、生産者や農協、食品製造業者に対しまして、各国の現状や県内の先進的な取り組み、HACCPなどの国際的な認証制度、さらに相手国の嗜好性などにつきましてのセミナーを開催いたしますとともに、輸出に関心のある生産者組織の勉強会に赴きまして、説明の上、周知を図っているところでございます。  米国への柿輸出の解禁及び今後の対応についてでございます。米国への柿の輸出解禁に向けましては、一九八六年から二国間の協議が進められまして、米国側において検疫条件についてのパブリックコメントが昨年十月末に終了をいたしました。こういった状況を受けまして、本県では二国間協議の進展を見据えて、本年度、米国における柿の販売状況や価格帯などにつきまして、市場調査を実施をいたしておるところでございます。このような中、日米両国の協議が調いまして、本年十月に柿の輸出が解禁されることになりました。その際の主な検疫条件は、植物防疫所による生産園地及び選果こん包施設の登録、適切な病害虫防除や栽培管理の実施、園地検査を受けることとなっております。なお、その具体的な登録手続や検査の時期、期間などの詳細につきましては、国において来年の三月ごろに各県に対し具体的な説明会が開催されると伺っております。このため県といたしましては、生産者や農協との協議を行いながら、輸出に向けた園地の選定などの取り組みを進めてまいります。  農林水産物の輸出拡大についてお尋ねがございました。県では、県産の農林水産物の輸出拡大のため、アジアを中心に販売促進フェアの開催や国際的な商談会への出展、海外の料理教室を活用したPR、インバウンド観光の増加を踏まえた海外マスコミの観光農園への招聘、佐賀県、長崎県、そして本県の三県合同によります中国、韓国向けの木材の輸出実証などを実施しておるところでございます。また、今年度からは、アジアでの農産物の加工品や業務用原料のマーケット(市場)を開拓する、それからドイツで開催されます国際見本市で日本庭園をキーワードとした植木や八女茶などの一体的なPRを行う、米国での市場調査を踏まえたあまおうの販売促進フェアの開催、東南アジアに販路を持つ水産物の輸出業者と漁業者とのマッチングなどによりまして、新たな輸出先や輸出品目の拡大に取り組んでいるところでございます。県では、今後とも各分野において、このような幅広い取り組みを積極的に実施をし、より一層の輸出拡大を図ってまいります。  次に、中小企業の人材確保支援策の効果とさらなる強化についてでございます。県では、地元中小企業による高校生、大学生向けの会社見学会や高校、大学の就職担当者との就職情報交換会などを実施いたしております。参加した学生さんからは、進路選択の参考になった、見学先の職場の雰囲気がよくわかったといった声をいただいております。また、就職の担当者からは、生徒に就職を勧めたい、新たな多くの企業と出会えたといった声をいただくなど好評をいただいておりまして、企業の魅力や情報を伝えることができたものと考えております。若者しごとサポートセンターや三十代チャレンジ応援センターでは、求職者お一人お一人のニーズに応じたきめ細かな就職支援を行いまして、昨年度は七千七十三名の方を就職に結びつけ、その八四・五%が正規雇用となっております。さらに、正規雇用促進企業支援センターでは、昨年度、利用企業から千百八十二件の御相談をいただきまして、若者に対する企業のPR方法に関する助言などの支援を行いました結果、八百八十人の正規雇用を実現いたしております。  また、近年は若者が就職先を選択するに当たってワーク・ライフ・バランスを重視する傾向が強くなっておりますことから、中小企業の人材確保に当たりましては、働き方改革を通じた魅力ある職場づくりが重要であると考えております。県では、今月、働き方改革推進大会を開催いたしましたが、この大会には定員の五百名を大幅に超える来場者がございまして、働き方改革の実現に向けた機運の高まりを感じたところでございます。県といたしましては、この機を逃さず今年度から新たに働き方改革に取り組む企業へのアドバイザー派遣や職場でのコミュニケーション能力の向上、管理者の指導力の向上などに関します研修の実施などによりまして、働き方改革や若者の定着を図るなどの人材確保に向けた中小企業の取り組みを支援をしてまいります。  次に、高齢者の健康づくりにつきまして、健康寿命を延ばすための県の取り組みについてお尋ねがございました。本県では、健康寿命を延ばすため、健康づくりと介護予防に取り組んでおります。まず、健康づくりにつきましては、高齢者を含む全ての年代を対象といたしまして、大型の商業施設など人が多く集まる場所で福岡県健康ポータルサイトを活用した健康チェックを体験していただいたり、毎年開催いたします健康二十一世紀福岡県大会や、マスコミが主催しておりますが、すこやかフェスタなどのイベントにおきまして、健康情報の提供を行っているところでございます。また、ふくおか県政出前講座を通しまして、地域の老人クラブの会合など高齢者の皆様が集まる場において、栄養バランスのいい食事、生活習慣の改善などについての講話を行っているところでございます。  次に、介護予防につきましては、平成二十六年度からロコモティブシンドロームの予防のための簡単な運動、いわゆるロコトレの普及を行いますロコモ予防推進員を養成いたしますとともに、昨年度はロコトレを紹介するDVDを作成し、市町村へ配布をしたところでございます。養成をいたしましたロコモ予防推進員の皆さん、約千名いらっしゃいますが、この推進員の皆さんは自身が所属されます老人クラブやボランティア団体、あるいは市町村が主催するイベントなどにおきまして、このDVDを活用するなどロコトレの普及活動に取り組んでいただいております。県といたしましては、これらの事業を通じ、高齢者を初め、県民の皆様の健康意識を高め、みずから健康づくりを実践していただくよう努めているところでございます。  最後に、健康寿命を延ばすための市町村に対する支援についてでございます。県では、市町村における健康づくりの基本方針でございます市町村健康増進計画につきまして、未策定の市町村に対しまして策定を働きかけますとともに、計画策定に当たっては、県の保健師などが計画策定委員会の委員として参画をいたしまして、市町村ごとの年齢調整死亡率など、県が作成いたしました健康に関連する各種のデータを御提供するなどの支援を行ってまいりました。こうしたことによりまして、平成二十六年度末での計画策定市町村数は三十一でございましたが、本年度末までには五十四となる見込みでございます。また、市町村の保健師や栄養士を対象に保健指導の技術向上に向けた研修などを実施いたしますとともに、市町村が実施いたします住民ボランティアを対象とした研修に、県の保健師、栄養士などを講師として派遣するなど、健康づくりに携わる人材の育成を支援しております。さらに、市町村が行う健康づくりの取り組みの支援といたしまして、市町村のイベント等に血管年齢測定器などの健康測定機器を貸し出しまして、測定者を派遣するなどの支援を行っております。今後は、市町村のニーズや問題に対応した研修を実施するとともに、健康測定機器の活用事例を広く情報提供いたしまして、より多くの市町村での機器の活用を促進するなど、市町村の健康づくりに対する支援を一層充実してまいります。 22 ◯議長(樋口 明君) 岳康宏君。(拍手) *岳議員質問 23 ◯九番(岳 康宏君)登壇 自民党県議団の岳康宏です。通告に従って、大濠公園日本庭園と西公園について一般質問させていただきます。  大濠公園は、昭和四年三月に開園し、二〇一九年には開園九十周年となります。園内の日本庭園の横にある福岡市美術館は、二〇一六年九月から二〇一九年三月まで閉館し、リニューアルする計画になっております。この日本庭園は、昭和二年にできた県営プール跡地に、大濠公園開園五十周年を記念して昭和五十九年につくられたと伺っており、近年インバウンド観光客の増加により、国内のみならず海外からの観光客の来訪者も多く見られます。実際、私が二百四十円の来館料金を払って見に行ったときも、中国、韓国、欧米の観光客がお見えになっていて、結婚式の和装の衣装を着たカップルが撮影を行っていました。庭師のお話では、毎日手入れをなさっているそうで、それは見事な庭園で、指定管理者としてお勤めの女性からもたくさんのお話を伺うことができました。  そこで、まず、大濠公園日本庭園への来訪者数並びにその中で外国人観光客の数が近年どれほど伸びているのか、お答えください。  日本政府は、観光先進国への新たな国づくりに向けて、平成二十八年三月三十日、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議──これ議長は内閣総理大臣ですが──において、新たな観光ビジョンを策定いたしました。世界が訪れたくなる日本を目指し、観光は真に我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱であるとの認識のもと、観光先進国の実現に向け、政府一丸、官民挙げて常に先手を打って攻めていくとしています。その明日の日本を支える観光ビジョンの中で、魅力ある公的施設を広く国民、そして世界に開放し、文化財を保存優先から観光客目線での理解促進そして活用へと導いていくことを提言しています。  二〇一九年はラグビーワールドカップが行われ、大会開催期間も長く、多くの欧米を中心とした訪日観光客が見込まれます。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを通じて行われる文化プログラム(ビヨンド二〇二〇プログラム)、ホストタウンでの相互交流などを契機として、福岡県の歴史、文化、芸術、食文化などの魅力を大いに海外に向けて強力に発信し、訪日プロモーションの高度化を図っていかなければなりません。先日、九月十四日のアメリカの「ウォールストリート・ジャーナル」の記事で、初心者のための日本、最も気軽な都市と題して、福岡推しの記事を掲載し、豚骨ラーメン、屋台、太宰府の光明禅寺、筥崎宮に舞鶴公園など福岡の魅力を紹介していました。このように、福岡県の観光の魅力が積極的に海外紙面に取り上げられることが今後もふえていくことを望みます。  また、島根県に足立美術館という横山大観の作品などを多く所蔵する美術館があります。この足立美術館の日本庭園は、アメリカの日本庭園専門誌数寄屋リビングマガジン「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」というような名前ですが、二〇一七年まで十五年連続で日本一に選ばれた最も美しい庭園であり、ミシュラン・グリーンガイドでは、三つ星を獲得、ほかに三つ星を獲得しているのが富士山、明治神宮、日光東照宮、金閣寺ですから、観光地としてはすばらしいステータスを得ています。年間五十万人が訪れ、庭園も一幅の絵画であるという信念のもと、広大な庭園の細部にまで維持管理が行き届いている点が高く評価されています。入り口で音声ガイド日本語、英語、北京語を借りると、それぞれの庭園に合わせて見どころを解説してくれます。ちなみに、レンタル料金は、日本語、英語が五百円、中国語が三百円です。  私がここで強調したいのは、大濠公園日本庭園を設計なさった人物とこの足立美術館の日本庭園を作庭なさった人物は同一で、中根金作さんという方であることです。ほかには、大濠公園日本庭園の冠木門とそっくりなボストン美術館の天心園日本庭園など、中根金作氏による日本庭園はすばらしい世界観があり、このことも、もっと福岡県としてアピールしていくべきであると感じます。このように、日本文化への理解を深めていただく場所として、大濠公園日本庭園は大きなポテンシャルを有しており有効に活用すべきで、すばらしい財産であるのに生かし切れていないのではないか。指定管理者に丸投げではなく、指定管理者の自主性は重んじてもよいと思いますが、例えば、定期的なお茶の野だてによるイベントの開催、大濠公園日本庭園の夜間ライトアップ、指定管理者が作成しているホームページを写真中心に構成し、今はやりのインスタ映え、SNS映えする写真を多く取り入れ、外国人向けに多言語対応した発信力のある独自のポータルサイトにするなどの戦略的マネジメント、積極的なインターネット広報などの取り組みを執行部側も管理者と一緒になって考えるなど、いろいろアイデアはあると思います。  現在の大濠公園、西公園のホームページは、英語、中国語、韓国語の部分をクリックするとPDFでパンフレットが出てくるだけで、現在どんな催しが行われているかなどの観光客が最も知りたい情報が掲載されていません。また、「福岡市政だより」では友泉亭などの催しの情報がよく掲載されていますが、県だよりには大濠公園日本庭園の催し、情報が載っていないなどの意見もございます。  そこで質問いたします。この大濠公園日本庭園をどのように認識し、そして活用について今後どのように取り組むおつもりか、知事職務代理者の御見解をお聞かせください。  我々の先達は事業を進めていくに当たり、節目、節目でその目標年次を定め、スケジュールを組み、着実に事業を完遂なさってきたように思います。我々も今を任された責任世代として、後世に恥ずかしくない形でバトンを次世代に渡す責務があります。ハード面としての施設整備はもちろん、その後の施設に、ドラマやストーリー性のある企画を付与しながら、ソフト面でのレガシーをつくり上げていかなければならないと考えます。ソフト面でのレガシーとは、日本の文化を世界へ発信することができたという達成感や、誰もが訪れたくなるような快適で親水性豊かな自然環境が整った都市空間を創造していくことなどです。  福岡市美術館との連携や芦屋釜の里など福岡県内の施設や星野産八女茶などの産物とのコラボ、さらに、将来的には海外の日本庭園との友好提携など、日本文化を味わえる公園として多くの外国人観光客も訪れる、夢のあるレガシーへと発展していくきっかけとして、大濠公園の充実を図っていただきたいと思います。  次に、大濠公園にも近く、同じ管理者の所管となっています西公園についてもお尋ねします。平成二十七年六月議会の一般質問で、知事より、西公園は眼下に博多湾、遠くに玄界灘を眺望でき、平成二年に日本さくら名所百選に県内で唯一選ばれた自然豊かな公園、一方で、整備されてから相当の期間が経過しており、今後、樹木の専門家による調査をし、計画的に桜の再生を行う予定、さらに、展望台からの眺望の確保や施設の更新、改修により、西公園の特徴である桜と眺望を生かした広報にも取り組んでいくとの答弁をいただきました。地元からは、桜の再生については地元との協議に入り、その再生に向けて取り組んでいると伺っていますが、地元の声としては有名になってほしいが、余り騒がしくなってほしくないという二律背反する意見も出ていることも聞いております。  一方で、かなり改善してきていますが、樹木の伸びが早く、生い茂って昼間でも暗く、特に、夜間は照明も行き渡らず、女性一人が歩くにはかなり不安な状況です。園内にあるお店は午後十時まで営業しており、女子学生が部活から帰る時間がおくれるとホームレスの人がいて怖い、上級のランニング愛好家が西公園のトレイルコースを夜間試したいが、一人では男でも暗過ぎて危険といった声が聞かれます。このような現状、意見を踏まえ、大濠公園のように夜間でもランニングやウオーキングを楽しみ、園内にある飲食店を安全に利用できるような施設に改善していくべきと考えます。  そこで最後に質問いたします。公園利用者が安心して利用できるように、西公園の施設に対して、安心、安全にかかわるニーズに合わせた改善を行っていくべきと考えますが、知事職務代理者の御見解をお尋ねします。(拍手) 24 ◯議長(樋口 明君) 知事職務代理者服部副知事。 *知事職務代理者答弁 25 ◯知事職務代理者・副知事(服部 誠太郎君)登壇 お答え申し上げます。  初めに、大濠公園にございます日本庭園への来訪者数についてでございます。昨年度は、約四万九千人の方々に訪れていただきました。このうち、外国人の来訪者は約一万七千人となっておりまして、外国人来訪者は、十年前は約八百人でございましたが、約二十倍に伸びているという状況でございます。
     次に、この日本庭園に対する認識とその活用についてでございます。この日本庭園や茶室は、日本の四季折々の美しさを感じ、伝統文化としての茶道に親しんでいただく施設として、また議員から御紹介いただきましたように、庭園、茶室とも大変著名な方の設計によるものでありまして、アメリカの日本庭園専門誌におきましても上位にランキングされるなど、インバウンドの観光資源として高い価値を有するものと考えております。これまで、外国人向けに英語、中国語、韓国語のリーフレットを作成し、ホームページへ掲載しておりまして、月に一度の抹茶の提供や紅葉のライトアップなど各種イベントも開催をしているところでございます。今後、日本庭園の魅力を生かしたイベントの拡充を図りますとともに、外国人向けのホームページの充実などに取り組みまして、観光資源としての魅力の向上に努めてまいります。  最後に、西公園についてお尋ねがございました。県では、夜間も安心して西公園を利用していただけますよう園路、駐車場、広場等に一定間隔で照明灯を設置いたしておりますが、繁茂した樹木などによりまして十分な明るさが確保されていない場所も見受けられます。昨年度から、眺望を確保するために樹木の整理に取り組んでおるところでございまして、今後、照明灯周りの樹木の伐採、剪定もあわせて進め、必要な明るさが確保されているか調査を行ってまいります。 26 ◯議長(樋口 明君) 岩元一儀君。(拍手) *岩元議員質問 27 ◯六十番(岩元 一儀君)登壇 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブ県議団、岩元一儀でございます。通告に沿いまして、質問をさせていただきます。  まず、警察官採用試験の見直しについてお聞きをいたします。近年では、凶悪犯や粗暴犯が減少する一方で、詐欺などの知能犯が増加してきています。また、グローバル化の進展やIT社会の到来などにより、従来の犯罪と質的に異なる新しい形態の犯罪が出現していることから、警察官に求められる資質も変化してきています。  そこで、警察官採用試験の見直しについて四点、警察本部長にお聞きいたします。  一点目に、体格基準についてであります。本県の警察官の採用試験では、現在、体格基準が、男性については身長百六十センチ以上、体重四十七キロ以上、胸囲七十八センチ以上となっています。女性については、一昨年度は身長百五十五センチ以上、体重四十五キロ以上でしたが、昨年度、身長百四十八センチ以上、体重が四十一キロ以上に基準が緩和されました。  そこで、なぜ女性だけ緩和したのか、その経緯についてお聞かせください。  さて、現在全国の都道府県警察においては、警察官採用試験の体格基準の撤廃がふえています。長野県では全国に先駆けて二〇〇八年度に体格基準を撤廃し、お隣の熊本県では二〇一五年度、佐賀県警も二〇一六年度に撤廃するなど、今年度までに十五府県警で撤廃となっています。また、業務の中身を見ると、必ずしも体格に関係ないものも多くあり、専門能力があるにもかかわらず、体格だけで受験すらできない人も少なからずいるのではないかと思われます。しかも、警察官は採用試験に合格すると、高校卒業で十カ月、大学卒業で六カ月間警察学校においてさまざまな訓練を受け、心身ともに鍛錬されます。このようなことからも、体格基準にとらわれない採用を検討すべき時期に来ているのではないかと考えます。  以上の点から、身長、体重、胸囲の体格基準の撤廃について県警本部長のお考えをお聞きをいたします。  二点目に、年齢制限の緩和についてであります。本県の警察官採用試験における受験年齢は、現在男女とも三十歳未満とされています。この受験年齢は、一九九四年に二十七歳未満から引き上げられた後、二十三年間改定されていません。一方、警視庁は今年度の採用試験から、これまで三十歳未満だった受験年齢を三十五歳未満に引き上げると発表いたしました。今年度の採用試験までに、三十一都道府県で三十歳を超える受験年齢に引き上げられ、そのうち六都県は、三十五歳まで可能となりました。  そこで、本県の五十代以上の警察官がことし四月一日時点で条例定員一万一千百十五人に対し、千九百十八人、一七・三%である現状を考えると、多様な人材の確保のため、年齢制限の引き上げを行うべきと考えますが、警察本部長のお考えをお聞きします。  三点目に、本県の専門捜査官についてであります。昨年度の本県警察官採用試験の合格者は四百二十二名で、このうち専門捜査官は八名でした。その内訳は経済枠二人、情報工学枠一人、北京語枠三人、英語枠一人、韓国・朝鮮語枠一人となっています。この専門捜査官として採用された人は、捜査部門において捜査員として経験を積み、サイバー捜査や悪質商法を初めとする経済犯、収賄事件などの知能犯、外国人が関係した犯罪等、それぞれのスキルを生かした部門で仕事をしているとのことです。また、昨年はサイバー犯罪の検挙件数が三百四十九件、闇金等の金融犯罪の検挙数が十二件となり、この種の事件の相談件数は年々増加しています。  そこで、こうした新たな形態の犯罪に対応するため、年齢制限を設けず、専門知識や経験を生かした専門捜査官を採用すべきと考えますが、警察本部長のお考えをお聞きします。  四点目に、本県での勤務を希望する他都道府県警の現職警察官の採用試験についてであります。近年、都市圏に就職した人が親の介護などの理由により地元福岡にUターンする現象がふえています。このような状況を考慮し、福岡県教育委員会は県外で正規教員として勤務している者を対象にした選考試験を、今年度関東地区で初めて実施いたしました。受験の際は、一般の教員採用試験で実施されている教職教養や専門教科、実技の試験は一切免除となり、年齢制限もありません。しかし、本県警察では、他都道府県警の現職警察官などが本県での勤務を希望する場合、特別な取り扱いは全くなく、一般の受験生と同じ採用基準で同じ試験科目を受験しなければなりません。  そこで、本県での勤務を希望する場合は、本県の教員採用試験のように、一次試験の教養試験や論作文試験、体力検査、身体測定などを免除するとともに、年齢を撤廃した採用試験に改善すべきと考えますが警察本部長のお考えをお聞きします。  次に、徘回高齢者等の対策の充実についてお聞きをいたします。去る九月十八日は敬老の日でしたが、総務省が十七日に発表した人口推計によると、九月十五日時点で六十五歳以上の国内の高齢者は前年より五十七万人多い三千五百十四万人となり、総人口に占める割合は二七・七%、人数、割合とも過去最高となりました。そのうち九十歳以上は二百六万人となりました。元気な高齢者も多く、二〇一六年の統計では、六十五歳以上の就業者は七百七十万人と二〇一三年の約二倍となっています。  一方、認知症などの病気にかかる高齢者もふえていると聞きます。おかげさまで私も、県議になりまして十五年を迎えたわけでございますけれども、この間、後援者などから、その家族の認知症高齢者の行方不明の相談を三度受けたことがございます。それらの相談の声は、次のようなものでした。三日前から父がいなくなりました。警察には届けは出しましたが、何かほかに捜す手だてはないでしょうか。自宅で一緒にいたのですが、私がちょっと目を離している間に出ていったようで、心配でどうしたらよいのでしょうか。また、ある相談者は、電気自転車に乗って出たようでお金は持っていないと思いますし、事故に遭っていなければいいんですが。今も御家族の悲痛な思いを聞いたことを思い出します。三人とも六十五歳以上の認知症のある男性の方で、二人は御不幸にも亡くなられ、自転車の方は若松の高塔山で無事に発見されました。御家族などと一緒に捜したこともありますが、不幸を知ったとき、無力感とともに、救えた命ではなかったか、何とかしなければならないという思いになりました。  そこで、平成二十四年六月の議会で、こうした認知症徘回高齢者などの行方不明者を地域ぐるみで捜索しようという取り組みが県内の行政や市民、ボランティア団体が中心となって筑後地域や北九州地域で広がり、効果を上げている高齢者等徘徊SOSネットワークを拡大することを提案し、知事から拡大する旨の答弁をいただきました。また、当時の警察本部長には、こうした組織に協力し、迅速な行方不明者の発見につながるよう要望いたしました。  そこでまず、高齢者等徘徊SOSネットワークに対する県警としての取り組みはどうなっているのか、それにより、近年の県内における認知症高齢者の行方不明の相談状況等はどうなっているのか、そして、その対応結果はどうなっているのか、さらに今後行方不明の届け出がなされた認知症高齢者を早期発見、保護するため、県警としてどのような活動をしていくのか、警察本部長にお聞きします。  先ほど述べたように、平成二十四年六月定例議会で、認知症高齢者等の徘回者を早期に発見し保護するための徘徊SOSネットワークを早急に構築すべきという私の質問に対し、知事は、全ての市町村でネットワークが構築されるよう支援していくと答弁されました。現在、構築が進んでいない小規模町村では、まだ地域コミュニティーが機能しているのでネットワーク構築の意義が感じられないといった声があると聞いていますが、そうしたコミュニティーが機能している今からネットワークの構築に着手することが重要であると考えます。  そこで、知事職務代理者にお尋ねいたします。まず、前回答弁以降、県としてどのように取り組みを進め、その結果どのくらいの市町村でネットワークの構築が進んだのかお答えください。  また、ネットワークが構築されても機能しなければ意味がありません。構築されたネットワークにおいて日ごろどのような活動がなされているのかあわせてお答えください。また、徘回は市町村域にとどまるとは限りませんので、近隣市町村との間でのネットワークの広域化が必要であります。さらに、市町村間の広域化の次のステップは、県境を越えた連携であると考えます。  そこで知事職務代理者にお尋ねします。県内市町村のネットワークの広域化は、どこまで進んでいるのかお答えください。  また、県境を越えた連携を進めるため、県としてどのように取り組んできたのか、県境を越えた連携の状況はどうなのか、お答えください。  この項の最後に、県内の認知症高齢者は平成二十二年の約十七万人が、二〇二五年(平成三十七年)には三十万人に達する見込みとされています。このような状況を見ると、認知症高齢者等の徘回者を早期に発見し保護するといった取り組みを近隣市町村、県境を越えた連携を進めていっても、どうしても徘回高齢者による事故は発生してしまうのではないかと考えます。平成十九年に愛知県内の認知症高齢者が線路内に入って事故に遭い、その後、高齢者を在宅で介護していた監督責任を問われ、家族が鉄道会社から高額の賠償を求められたという問題が起こりました。これを受けて神奈川県大和市では、認知症の高齢者が徘回中に事故を起こし、家族が高額の損害賠償を求められた場合に備え、市が掛金を全額負担して民間保険に加入するという取り組みを始めると聞いています。これは、認知症高齢者を在宅で懸命に介護している家族に、監督義務、賠償責任を負わせること自体適当かといった議論はあると承知していますが、仮に大和市の制度のようになった場合に、家族の負担の軽減につながるのではないかと考えます。  そこで知事職務代理者にお尋ねします。県として、神奈川県大和市の取り組みを参考にしながら、今後、徘回高齢者対策をどのように進めていくのか、お答えください。  次に、花粉症対策強化に向けた森林施策の推進についてお尋ねいたします。花粉症は、杉やヒノキなど約五十種類の花粉が引き起こすと言われます。中でもスギ花粉症の増加が目立っており、その理由として、言うまでもなく花粉の増加があります。杉は植林後四十年ほどで成木になり、花粉が飛散します。現在、県内でも樹齢三十年から四十年以上となり、活発に花粉を飛散する時期を迎えています。花粉症患者は、国民の二割から三割、いやそれ以上とも言われ、花粉症は国民病と言われています。かく言う私もスギ花粉症なのでございますが、議員各位、また御家族、そして後援者の中にもスギ花粉症でお悩みの方、あると思いますし、またヒノキの花粉症でお悩みの方もあるかと思います。杉の場合は冬の終わりから春先、ヒノキの場合は春の終わりから初夏までといったところで悩まされるわけでございますけれども、私は、花粉症の発生源対策として、平成十七年、二十一年、そして平成二十六年の議会において、花粉の発生が一%以下の少花粉杉や少花粉ヒノキの開発や植えかえなどの取り組み状況や、今後の計画について質問をし、答弁をいただきましたが、最後の質問から三年が経過しておりますので、知事職務代理者に改めてお聞きいたします。  まず一点目は、少花粉杉についてであります。前回の答弁では、平成二十五年度には約六万本の苗木が出荷されたところですがとありましたが、その後、増産に向けてどのように取り組まれ、現在出荷状況はどうなっているのか、お答えください。  二点目として、少花粉ヒノキについてのお尋ねであります。本県では、民有林のうち約四割はヒノキが植えられておりますので、以前からその対策も必要であると考え、少花粉のヒノキの苗木生産に向けた取り組みについて質問し、現在、親木となるものを大事に育成しているという答弁をいただきましたけれども、現在の状況と今後の取り組みについてお答えください。  三点目は、花粉症対策苗木への植えかえ促進についてお尋ねをいたします。林業の新たな技術として、コンテナ苗を活用した伐採と造林の一貫作業システムの導入が進められていると森林・林業白書で知りました。これは、木を切った後には、また苗木を植えかえなければなりませんが、その再造林コストを低減するためのシステムのことであります。木材価格が低迷している現状で、少しでもコストを削減し、森林所有者により多くの利益を還元させていく取り組みは非常によいものであり、植えかえの促進にもつながるものではないでしょうか。ただ、このシステムでは、伐採と同時期に植栽を行うため、時期を選ばずに植栽できるコンテナ苗の利用が欠かせないとされています。今後、このシステムを活用し植えかえが進んだとしても、コンテナ苗が少花粉品種でなければ花粉症対策にはつながりません。  そこで県では、花粉症対策苗木への植えかえを促進するための対策にどのように取り組まれているのか、少花粉品種によるコンテナ苗の出荷状況とあわせてお答えください。  最後に、我が会派が代表質問でも、防災の観点から針葉樹と広葉樹のまじり合った針広混交林の整備など、災害に強い森林づくりをさらに進めるべきと訴えました。こうしたことは杉やヒノキの花粉を減らすことにもつながると思いますが、これから被災地なども含め、施策の推進を図ることが大事だと考えます。また、国の森林・林業白書でも花粉症対策苗木への植えかえや針広混交林への誘導など、花粉の少ない森林への転換等の推進がうたわれています。こうした国の動きとも連動して、針広混交林化を花粉症発生源対策として進めることが大事と考えますが、知事職務代理者のお考えをお聞かせください。  以上で、私の質問といたします。(拍手) 28 ◯議長(樋口 明君) 知事職務代理者服部副知事。 *知事職務代理者答弁 29 ◯知事職務代理者・副知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず初めに、認知症高齢者等徘徊SOSネットワークの構築とその活動についてでございます。県は、市町村でのネットワークの構築が円滑に進むよう、研修会の実施や先進事例の情報提供を行いますとともに、警察、消防といった行政機関、医療、福祉、介護の関係団体、交通、金融、流通等の事業者団体をメンバーといたします認知症高齢者等徘徊SOSネットワーク推進連絡会議を平成二十四年の十二月に設置をいたしまして、市町村を支援してまいりました。その結果、県内でネットワークを構築しております市町村は、二十四年六月には十九でございましたが、現在は四十六と大きく増加をいたしました。それぞれのネットワークでは、徘回のおそれがあるとして登録された方に関します情報の共有、徘回高齢者の発生を想定した模擬訓練の実施、実際に発生した事案を題材といたしました改善すべき点の検証などに取り組まれておるところでございます。  このネットワークの広域化の取り組みについてでございます。ネットワークの広域化のために協議会を設置をいたしまして取り決めを行った市町村は、平成二十四年六月の二地域十七の市町から現在は六地域三十八の市町へと拡大をいたしました。  県境を越えた連携につきましては、昨年の九州地域戦略会議におきまして、九州・山口九県の県境を越えた捜索協力に関する取り決めを行ったところでございます。この取り決めに従いまして、平成二十八年の六月からこれまでに本県で発生をいたしました三件につきまして各県に対し捜索協力を依頼をいたしました。また、他県からは四件の依頼を受けまして、県内の市町村に対し捜索協力を要請いたしました。この七件のうち、五件につきましては無事に発見をされたところでございます。  今後の徘回高齢者対策についてでございます。電車事故で鉄道会社から認知症高齢者の御遺族に対し高額の損害賠償が請求されたことを受けまして、国は認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議におきまして、事故等が起こった場合の損害への対応等について検討を行っております。国におきましては、個人の賠償責任を補償する保険につきましては、今後の商品開発の実態を注視するとともに市町村や関係団体と連携しつつ、必要に応じて紹介、普及等を行うことといたしております。県といたしましては、先ほど申し上げましたネットワークの構築とその広域化をさらに進めまして、認知症高齢者の見守りを充実させることによりまして、事故の未然防止に努めてまいる考えでございます。  次に、花粉症対策強化に向けた林業施策についてお尋ねがございました。まず、少花粉杉についてでございます。本県では、苗木生産者と連携をいたしまして、平成二十一年度から少花粉杉の苗木の生産に取り組んでおるところでございます。苗木を増産いたしますためには、親木から苗木のもととなる挿し木の採取量をふやすことが必要でございますため、県では、施肥や剪定作業などを福岡県樹苗農業協同組合に委託いたしまして、親木の管理に努めてまいりました。この結果、平成二十八年度の少花粉杉苗木の出荷量は約二十万本まで増加をいたしておりまして、二十五年度の約三倍となったところでございます。  少花粉ヒノキについてでございます。苗木の生産には、杉と同じく挿し木でふやす必要がございますことから、県では、平成二十四年度に親木となる苗木を植栽したところでございます。苗木から挿し木が十分にとれるまで成長するには十年程度の期間を要しますことから、施肥などの管理を行い、その苗木を今大事に育成をしております。また、苗木の安定的な生産に向けまして、親木から成長のよい挿し木が多くとれますよう、県の資源活用研究センターでは本年度から発根にすぐれた挿し木のサイズの特定や親木の仕立て方法などの研究に取り組んでおるところでございます。  花粉症対策苗木への植えかえ促進についてでございます。杉の花粉症を軽減するためには、森林所有者に少花粉杉での植えかえを理解していただく必要がございますことから、県では少花粉杉の特徴あるいは材質の優良性、コンテナ苗のメリットなどを示しましたパンフレットを作成いたしまして、その普及を図っておるところでございます。さらに平成二十八年度、昨年度からは、主伐後の再造林を少花粉杉の苗木で行う場合には、国の補助にさらに県独自で上乗せ補助を行うことといたしまして支援を強化しておるところでございます。このような取り組みによりまして、少花粉杉での植えかえを促進しているところでございます。なお、県内の少花粉杉のコンテナ苗の出荷量につきましては、平成二十八年度、約五万六千本でございまして、杉のコンテナ苗全体の九割以上を占めているところでございます。  最後に、針広混交林化の推進についてでございます。針葉樹と広葉樹が混在いたします森林への誘導につきましては、平成三十年度以降の森林環境税のあり方を検討いたしました福岡県森林環境税検討委員会の報告書におきまして、森林の有する土砂災害防止機能等を確保していくためには、この取り組みを進めていくことが必要とされたところでございます。また、県といたしましては、針広混交林化を進めることは、杉やヒノキ花粉を減らすことにもつながるものと考えております。森林環境税を活用した具体的な取り組みにつきましては、検討委員会の報告を踏まえますとともに、今回の災害の要因や防災対策を検証いたしました上で検討を進めてまいります。 30 ◯議長(樋口 明君) 高木警察本部長。 *警察本部長答弁 31 ◯警察本部長(高木 勇人君)登壇 まず、警察官採用試験に関するお尋ねについてお答えをいたします。平成二十八年度の警察官採用試験から女性警察官のみ体格基準を緩和いたしましたが、これは、それまでの本県の女性警察官の体格基準の設定が全国の中でも厳しい基準であったことなどから見直しを行ったものであります。  警察官の採用に当たっては、被疑者の逮捕、制圧等強制力を行使するという警察官の職務の特殊性に鑑みて、一定の体格基準を設定してきているところでありますが、最近、他県において受験者の裾野を広げる等の観点から、体格基準を撤廃した事例があるということも承知をしております。警察官の採用に際して体格をどのように勘案すべきかについては、体格基準を緩和ないし撤廃した他県における状況を参考としつつ、今後総合的に検討していく必要があるものと考えております。  また、警察官採用の際の年齢制限につきましても、他県において受験者の裾野を広げる等の観点から、その上限を引き上げた事例があるということも承知しております。一方で、採用した人材に対しては十分な教育訓練を施し、また、さまざま経験を積ませるなどして育成を図り、優秀な警察官として長く勤務してもらうことが現場執行力の維持、強化等に有効であるとも考えております。御指摘の年齢制限につきましても、さまざまな観点からその効果や課題等を見きわめながら総合的に検討していく必要があるものと考えております。  次に、専門知識などを有する捜査官の採用についてお答えをいたします。これまでも例えば財務捜査官については、公認会計士の国家資格または税理士としての一定の経験年数を有することなどを資格要件とする一方で年齢制限を緩和するなど、弾力的な採用を行ってきたところであります。今後とも、専門的知識、能力を有する多様な人材を弾力的に確保するという観点から、職種に応じた資格要件を設定するとともに、年齢要件についても検討してまいりたいと考えております。  次に、他の都道府県の現職警察官が本県警察を受験するに当たっての試験などのあり方についてお答えいたします。本県におきましては、他県の現職警察官であっても一般の受験者と同様の採用試験を実施しているところでありますが、最近、他県において一般の受験者と異なる試験を実施し、他の都道府県の現職警察官を採用した事例があるということも承知をしております。他県の現職警察官を採用するに当たっての試験のあり方については、全国における情勢なども踏まえつつ、今後、総合的に検討してまいりたいと考えております。  次に、徘回高齢者等への対策についてお尋ねがありました。初めに、高齢者等徘徊SOSネットワークとの協働についてお答えをいたします。高齢者等徘徊SOSネットワークは、行方不明の高齢者等を早期に発見、保護するために自治体等の関係機関、団体等において構築された有効な仕組みであり、本年六月にも北九州市において徘回中の認知症高齢者がネットワークの情報により早期に発見されたものと承知をしております。県警察といたしましては、高齢者等徘徊SOSネットワークへの行方不明者情報の迅速な提供のほか、ネットワーク協議会、捜索訓練等への積極的な参画や認知症高齢者の家族等に対するネットワークへの事前登録促進のアドバイスなどの取り組みを行っているところであります。  次に、県内における認知症高齢者の行方不明者届け出の状況等についてお答えをいたします。平成二十八年中における県警察に対する行方不明者届け出の受理件数は三千九百十四件で、そのうち認知症が原因と思われる六十五歳以上の高齢者につきましては五百四十三件となっております。年々、これは増加傾向にあります。昨年受理した五百四十三件への対応結果につきましては、発見、帰宅が五百二十六件、九六・九%でございますが、死亡発見が十四件、未発見が三件となっております。  最後に、行方不明者である認知症高齢者を早期に発見、保護するための活動についてお答えをいたします。県警察では、認知症高齢者の行方不明者届を受理した際には、高齢者等徘徊SOSネットワークなど関係機関、団体はもとより、全ての都道府県警察に対しても手配を行うとともに、関係警察署において必要に応じて署員を招集するなどして態勢を確立し、迅速な捜索活動を実施し、早期の発見、保護に努めているところであります。今後とも関係機関等と連携を図りながら、行方不明の認知症高齢者の早期発見と保護に努めてまいります。 32 ◯議長(樋口 明君) 岩元一儀君。 33 ◯六十番(岩元 一儀君)登壇 知事職務代理者並びに警察本部長、御答弁ありがとうございました。  ここで、意見、要望を述べさせていただきます。  まず、警察官採用試験の見直しについてでございます。体格基準の緩和、年齢制限の撤廃など本部長からは全国的な動きは承知した上で、今後、課題や効果を総合的に検討したいとの回答をいただきました。そこには、受験者の裾野を広げ、優秀な人材を確保したいという思いを感じました。大いに検討を進めていただきたいと思いますし、急がれるのは専門捜査官の分野ではないかと思います。職種に応じた年齢制限の新たな見直しなど、弾力的な採用を進めたいという点は評価したいと思います。  この項の最後に、他県の現職警察官を採用するに当たっての試験のあり方について慎重なお答えがあったと思います。日本の警察職員の能力は、私は全国ほぼ均一であると思っておりますし、本県教育委員会が行ったようなやり方や、他県の例を参考にして受験しやすい試験にしてほしいと重ねて要望をしたいと思います。  さらに、こうしたことを行えば、福岡県の場合は、育て上げた人材の流出が懸念されることもあるかもしれませんが、本人の強い希望や家庭などのやむを得ぬ状況を配慮したルールや、本県を希望する警察官と資格や技能などほぼ同質的な人材で我が県の現職警察職員が相手の県を希望する場合に、言葉は悪いかもしれませんけれどもトレードできるような他県との話し合いや全国的な制度を提案してみてはいかがかと思います。  次に、高齢者等徘徊SOSネットワークについてでございます。認知症が原因と思われる行方不明者について、警察との協働がうまくいき、発見など九七%になっていることは高く評価したいと思いますし、広域的なネットワークも広がっていることも評価したいと思います。確かにここ数年、こうした相談を受けたことはありませんので、こうした効果なのかなと実感していますけれども、気になるのは認知症が原因と思われる六十五歳以上の高齢者の行方不明者が増加傾向にあるということと、死亡発見や未発見があることでございます。県内のネットワーク未設置市町村をなくし、さらなる県警の積極的な対応を要望いたしておきます。  最後に、花粉症対策強化に向けた林業施策の推進についてでございます。私が最初に質問した平成十七年から十二年が経過し、福岡に合った少花粉杉の育種を行い、苗木の増産が図られ、平成二十八年度にはその出荷量が約二十万本になり、植えかえが着実に進んでいることに対し、知事初め担当部局や関係団体に深甚なる感謝と敬意を表する次第でございます。しかし、県内の森林面積は二十二万二千ヘクタールあり、そのうち民間の所有の杉やヒノキなどの人工林は約十二万ヘクタールで、そのうち杉だけでも六・六万ヘクタールあります。植えかえには一ヘクタール当たり約二千七百本の杉の苗が要ると考えますと、一億七千八百二十万本が必要になります。単純で年間二十万本供給したとしても、八百七十一年かかることになります。息長い対応が必要であるということであります。  戦後の林業政策のひずみとして生まれた杉などによる国民病と言われる花粉症、少花粉種の植えかえを進めなければまた三十年後、その花から花粉が飛び散り花粉症は猛威を振るい続けることになります。たとえいい薬ができても医療費は上がり続けるでしょう。後世に苦しみや憂いを残さないためにも、今こそ花粉症対策強化に向けた林業施策の推進が必要であります。来年度以降に向けて、しっかりとした方針や予算の確保と施策の充実を要望し、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 34 ◯議長(樋口 明君) 吉武邦彦君。(拍手) *吉武議員質問 35 ◯三十二番(吉武 邦彦君)登壇 お疲れさまです。食と緑を守る緑友会・立志福岡県議団の吉武邦彦でございます。文化財の保護について教育長に質問をいたします。よろしくお願いいします。  文化財は、我が国の長い歴史の中で生まれ、育まれ、きょうまで守り伝えられてきた貴重な国民的財産です。このため、文化財はその価値を継承していくため、文化財保護法や文化財保護条例のもと、国や県、市町村が指定して、現状変更などに一定の制限を課すとともに修理や公有化などに助成が行われ、その保存が図られているところであります。  一方、社会の中で適切に活用されなければ継承が困難な文化財もありますし、そもそも文化財の大切さを多くの人に伝えるためには積極的に活用することも重要であると考えています。そして、活用するためには、しっかりと保存されていることが前提となるため、保存と活用は対立するものではなく、よい影響を及ぼしながら好循環をつくる関係であることが求められています。また、文化財の保存、活用は、心豊かな県民生活の実現に資することはもとより、個性あふれる地域づくりの礎ともなるため、近年は、地域振興、観光振興などにも貢献することが期待されています。  その点では福岡県は、我が国の政治、外交、文化の歴史において大陸、韓半島と近く古来より重要な位置を占めてきたことから、全国に誇るべき多くの文化財があり、非常に恵まれております。去る七月に実現した「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界文化遺産登録は、まさにこのことを世界に証明したものであり、この場をおかりして、長きにわたり登録に向けて御支援と御協力をいただいた関係者の皆様に、改めて心からお礼を申し上げます。  私たち福岡県民は、この貴重な財産をしっかりと守り、適切に活用し、地域の活性化に生かしつつ、次世代に確実に継承していく責任を負っています。この「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の保存と活用については、先日、自民党、公明党、緑友会の代表質問に対して知事職務代理者から答弁がありましたが、ここでは文化財の保存、活用を所管する教育長にお尋ねします。  今後、県教育委員会は、世界文化遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の保存、活用にどうかかわっていくのかお答えください。  次に、文化財保護法は、法隆寺金堂の火災により大切な壁画が焼損したのをきっかけに、文化財の保護についての総合的な法律として、昭和二十五年に議員立法として制定されたものです。先月八月、この文化財保護法の改正を視野に入れた、これからの文化財の保存と活用の在り方についてと題する文部科学大臣の諮問に対して、文化審議会の調査会で中間まとめが出されました。この中間まとめには、市町村が域内の文化財の総合的な保存、活用に係る基本計画を策定することや、文化財ごとに保存活用計画を作成すること、地方公共団体の体制充実、訪日外国人旅行者への適切な対応などが盛り込まれています。新聞では、文化庁は歴史的な建物や史跡などを生かした地域振興が進めやすくなるよう文化財保護法を大幅に改正する方針を固めたとか、従来の文化財行政は保護に重点を置いていたが、政府として訪日外国人の大幅増や地方創生に取り組んでいることを踏まえ、積極活用に一歩踏み出すなどの関連報道がありました。さらに、法律の名称を文化財保護法から文化財保存活用法に改めるという記事もありました。  ここで、この中間まとめに対して教育長はどのような所感をお持ちになったのかお答えください。  さらに、文化財を適切に保存、活用していくためには、まずその現状の把握が不可欠と考えます。文化庁が平成二十七年に公表した国指定の文化財美術工芸品一万五百二十四件の所在確認調査では、国宝三件を含む百八十件が所在不明となっています。中間まとめにおいても、地域に所在する文化財を総合的に把握することや、個々の文化財の種類や性質に応じた保存、活用の取り組みを整理することの重要性がうたわれています。  そこで、県内の文化財の状況把握の現状はどのようになっているのか教育長にお尋ねします。  さて、七月の九州北部豪雨では、文化財も深刻な被害を受けました。文化財は地域の宝でありシンボルであります。したがって、被害を受けた文化財の復旧は復興の旗印になるものであり、復旧から保存、活用、継承へと確実に進んでいかなければなりません。  そこで最後に、被災地域の文化財の被害はどのような状況なのか。また、復旧に向けてどのように取り組んでいくのか教育長にお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 36 ◯議長(樋口 明君) 城戸教育長。 *教育長答弁 37 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 世界遺産の保存、活用に果たす県教育委員会の役割についてでございます。県教育委員会といたしましては、今後新たに設置される予定の「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の保存、活用に関する協議会に参画し、沖ノ島や宗像大社、新原・奴山古墳群などの文化財の価値が確実に保存、継承され、適切に活用されるよう、学術的な調査研究や史跡の景観の維持、建造物の保存、修理について、引き続き地元の宗像市、福津市に対して支援を行ってまいります。  国の文化審議会企画調査会の中間まとめに対する所感でございます。今回の中間まとめは、社会の変化により文化財の消滅の危機や担い手の不足が進行する一方で、文化財の活用による地方創生や地域経済活性化への期待が増大しているという現状認識のもと、文化財の次世代への確実な継承のための方策が取りまとめられたものと理解しております。中間まとめで示されました文化財やその周辺環境を総体として保存、活用に取り組み、まちづくりや地域の活性化などに生かしていくこと、あるいは所有者とともに文化財の保存、活用を支える支援者層を形成していくことが必要であるとする方向性は、適切なものであると考えております。  県内文化財の現状の把握についてでございます。本県には現在、千三十件の国及び県指定の文化財があり、県の担当職員が現地確認を随時行うとともに、県内に十七名配置している文化財保護指導委員がそれぞれ担当地区の文化財を定期的に巡視しております。これにより、本年度は現時点で延べ四百件の現地確認を終えた結果、建造物の瓦が落ちているなど軽微な事案が十一件判明しております。  豪雨災害の被災状況と復旧の取り組みについてでございます。指定文化財については、うきは市、朝倉市、川崎町及び東峰村で復旧に費用を要しないものも含めまして十三件の被害が出ており、未指定文化財については十七件の相談を受け付けております。今後、被災文化財の一日も早い復旧に向けて、地元自治体が行う復旧措置や関係部局との調整に対して必要な支援や助言を行ってまいります。 38 ◯議長(樋口 明君) 渡辺勝将君。(拍手) *渡辺(勝)議員質問 39 ◯七番(渡辺 勝将君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の渡辺勝将でございます。通告に従い、学校における専門スタッフの活用について一般質問いたします。           〔樋口議長退席 守谷副議長着席〕  私は、昨年九月議会の一般質問において、運動部活動における外部指導者の効果的な活用と指導体制の充実について質問し、教員の超過勤務の議論のみにとらわれるのではなく、学校教育において教員が本来担うべき役割を十分に果たしながら、地域の外部指導者と学校をつなぐ仕組みづくりの必要性を提言いたしました。その際、国においては、教員の多忙な勤務実態も踏まえ、教員以外の多様な専門スタッフが学校運営に参画し、教員と専門家がそれぞれの専門性を発揮することで学校の組織力を高め、教育活動の充実を図ることにより、教員が子供と向き合う時間を確保する方向性が打ち出されていることを確認いたしました。  このような中、現在、本県では運動部活動の外部指導者以外にも、児童生徒をサポートする専門スタッフとして、心理の専門家でもあるスクールカウンセラーを全公立中学校及び県立高校三十一校に配置し、それぞれ必要に応じ小学校や他の県立高校に派遣しており、また福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを十六市町村に配置するとともに県立高校八校に配置し、必要に応じ他校に派遣しているとお聞きしています。一方、社会経済の変化が子供や家庭環境、地域社会にも影響を与え、学校の抱える課題が複雑化、多様化する中、小中学校では、保護者などからの要望や生徒指導上の問題行動などが発生した際の対応が極めて困難な状況も生じており、教員の負担も大きくなっているのではないかと考えます。  このような学校現場で発生するさまざまな緊急事態に対応するに当たっては、心理や福祉の専門家の配置だけでは不十分であり、警察官OBなどの危機管理に対応する専門スタッフを活用し、学校をサポートする体制づくりが重要と考えます。  そこで教育長にお尋ねします。県教育委員会として、保護者対応や生徒指導上の問題などについて、学校を支援する専門スタッフの活用にどのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。  次に、県が直接の設置者である県立高校における専門スタッフの活用などによる教員の負担軽減策についてお伺いいたします。県立高校においては、小中学校に比べ事務室の体制は整っているとはいえ、私が認識している学校の状況は、それぞれの担当にもよりますが、県などからの調査物への対応、生徒募集のための広報物やホームページの作成、中学校などへの広報活動、PTAや地域と連携した取り組みを実施するための各種調整、就職先の開拓など業務に時間を割かれ、教科指導や生徒指導といった本来担うべき業務に専念しづらい状況も生じているように伺っています。また、パソコンが苦手な教員にとっては資料づくりにも時間を割かれ、生徒と向き合う時間が少なくなっているとも伺っています。  そこで教育長にお尋ねします。市町村立学校のお手本となるべき県立高校において、スクールカウンセラーの配置などのほかに、専門スタッフの配置など負担軽減策が講じられているかお尋ねいたします。  専門スタッフの活用は、教員の負担軽減を初め雇用の創出という観点からも、私は大変意義のあることだと考えます。  最後に、現在、教員の負担軽減及び指導体制の充実策が講じられているのであれば、それをどのように評価し、また今後、その取り組みをどう強化していくのか教育長にお尋ねし、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
    40 ◯副議長(守谷 正人君) 城戸教育長。 *教育長答弁 41 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 学校を支援する専門スタッフの活用についてでございます。昨年度から、家庭環境や生徒指導上の課題が大きい筑豊地区の三中学校区に、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー及び警察官OBを配置し、小中学校の連携を図りながら、保護者等への対応や児童生徒の問題行動に対する学校の組織的な取り組みを支援しております。また、こうした専門スタッフの配置とは別に、弁護士を講師とした危機管理に関する小中学校の管理職研修も実施しております。  県立高校における教員の負担軽減策についてでございます。県立高校では、生活困窮世帯の生徒を支援する進路支援コーディネーターを十校に、障がいのある生徒の介助等を行う支援員を七校に、生徒募集用の広報資料やホームページ作成を行う臨時職員を七校に配置するなど、専門スタッフを活用した業務の専門性や効率の向上を進めております。また、全校に各二台の電子黒板を配備し、指導方法の改善と授業の効率化を進めるとともに、教員に配付している校務用パソコンに電子掲示板やスケジュール管理といった職員間の情報共有が容易にできるソフトウエアを導入するなど、ICTを活用した事務の効率化にも取り組んでおります。  教員の負担軽減化策への評価と今後の取り組みについてでございます。現在、警察官OB等を配置している中学校区では、専門性を生かした指導、助言や警察等の関係機関との連携強化により、児童生徒の問題行動が減少し、県立高校においても生徒への支援と教育活動の充実が図られております。また、こうした業務に関する教員の負担も軽減されております。県教育委員会といたしましては、教員が子供たちへの指導や教材研究等により注力できるよう、専門スタッフの効果的な配置や活用に努め、全県的に指導上の課題等を抱える学校への支援を強化してまいります。 42 ◯副議長(守谷 正人君) 仁戸田元氣君。(拍手) *仁戸田議員質問 43 ◯二十一番(仁戸田 元氣君)登壇 お疲れさまでございます。民進党・県政県議団の仁戸田元氣です。通告に基づき、介護福祉士養成の委託訓練についてと、本県の多文化共生についての二項目を知事職務代理者に質問します。よろしくお願い申し上げます。  職業能力開発法により、国や都道府県には労働者が職業訓練を受ける機会を確保する責務があるとされており、国や都道府県等の公共機関の設置した公共職業訓練施設において職業訓練を行っています。県内には、本県が管理運営する七校の高等技術専門校や一校の障害者職業能力開発校のほか、国が設置する職業能力開発促進センター二校、職業能力大学校一校があります。県は、専修学校等民間の教育訓練機関では、初期投資も大きく実施しにくい物づくり分野を中心とした企業や地域のニーズに沿った職業訓練を中心に実施しており、地域の実情に応じた産業人材を育成する役割を担うとともに、県の産業政策と一体となって雇用の創出や安定に向けた取り組み及び専門人材の育成を行っています。国が設置する職業能力開発促進センターでは、離職者の早期就職を図るため、主に物づくり分野の職業訓練を行うとともに、在職者に対しては、事業主等のニーズに基づき、産業の基盤を支える高度な職業能力を有する人材を育成するために訓練を実施しております。さらに、九州職業能力開発大学校では、主に新卒の普通高校、工業高校生を対象に技術革新に対応できる高度な知識と技能、技術を兼ね備えた実践技能者の養成を行うとともに、将来の技術、生産管理分野のリーダーとなる人材を比較的安価な授業料で二年から四年かけて養成をしております。  また、ここまで説明してきた公共職業訓練施設内で行う訓練のほか、事業委託した民間の教育訓練機関が行う訓練もあります。委託訓練といいまして、この委託訓練とは、離転職者を対象とし、八カ月以内の訓練期間を設定し、民間の教育訓練機関でも実施可能な介護、医療事務、一般事務等の訓練を実施しています。ただし、保育士養成科、介護福祉士養成科は二年の訓練期間で、対象も離転職者、学卒者のどちらも含んでいます。  今回は、公共職業訓練の中でも民間の教育訓練機関への委託訓練、その中でも介護士養成の委託訓練について以下七点質問します。  まず、県立高等技術専門校で行う職業訓練と民間の教育訓練機関へ委託して行う職業訓練について、どのように役割分担をしているのかお聞きをします。  次に、介護福祉士養成を目的として委託で行っている職業訓練については、国の制度改正によりコースの内容等が変更になると聞いていますが、いつから、どのような理由で変更となるのかお答えください。  次に、国の制度改正により、次年度委託事業者採択要件として正社員就職率八〇%以上の実績を有することとされましたが、この数年の状況を考えると、この基準を満たせず、委託訓練を受託できない民間教育訓練機関が出て、人材確保が今後ますます困難になるおそれがあります。また、長期高度人材育成コースの対象となることによって資格数はふえますが、そのことによって介護分野に進む訓練生が少なくなるのではないかと考えられます。一方で、公費を使って訓練を行う以上、一定の就職率が求められると考えられますが、正社員就職率八〇%を達成するために、県はどのような取り組みを行っていくのかお答えください。  次に、介護福祉士養成を目的とした職業訓練については、定員の充足率がこの二年間、約六割にとどまっています。その原因は何であると考えているのか、また次年度、コースを委託する条件として、この定員充足数が六五%以上あることとされていますが、緩和措置はあるのかお尋ねします。  次に、ハローワーク、民間教育機関と高等技術専門校は、訓練生の募集のために、どのように連携しているのか。また今後、さらに委託訓練生確保に向けてどのような連携を行っていくのか、お答えください。  次に、毎年国の事業採択が十月であるため、実質的に民間教育機関が訓練生の募集をするのに一月末から二月末までの一カ月間の募集期間となっています。訓練生確保に苦労していると認識しておりますので、訓練生確保のため募集期間を改善できないかお答えください。  最後に、保育士の有資格者は、介護福祉士養成の二年過程のうち一年間だけ訓練を受講すれば介護福祉士の資格を取得することができます。委託訓練では保育士有資格者を対象とした一年間の訓練課程を行うことはできないのか、お答えください。  次に、本県の多文化共生について質問します。雇用対策法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的に、全ての事業主に外国人労働者の受け入れ、離職時に氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークへ届けることが義務づけられています。そして、この届け出制度により、福岡労働局は外国人雇用について届け出状況を取りまとめ公表をしています。本県の特徴としては、在留資格別に見ると、留学が全体の約五〇%を占めていること、技能実習が五千五百九十二人と前年度比で約五〇%増加していること、そして外国人労働者を雇用する事業所の八割は中小企業、小規模事業者であるということであります。国の法改正、制度改正により増加すると予想される本県の外国人労働者が、地域社会の一員として実力を発揮できる社会にしていくという観点で、以下三点質問させていただきます。  まず、本県の留学生に対する就労支援についてお聞きします。本県留学生の約七割が日本での就職を希望していますが、現実はそのうち約二割しか就職できていないと聞いています。これまで県は留学生サポートセンターの無料職業紹介所や、九州の企業と留学生をつなぐマッチングサイトを通して留学生の支援をしてきていると認識しています。特に、九州の企業と留学生をつなぐマッチングサイトでの就職支援において、大学、短大、高専生と対象を限定していますが、専門学校卒の留学生で専門士または高度専門士の称号を付与された者には在留資格が認められる可能性があります。この専門学校卒の留学生についても、このマッチングサイトの対象に加えるべきと考えますが、県はどのような考えを持っているのかお答えください。  次に、共生社会を実現するための取り組みについて質問します。在住外国人にも住民票が発行されており、市町村が転出入の手続や国民健康保険の手続を行っているほか、基礎自治体として住民相談や支援を行ってきているところです。県は、在住外国人に対してどのような相談窓口を持ち、生活支援を行っているのかお答えください。  また、県では日本人向けの多文化共生の理解を進化させるための取り組みについてどのようなことを行っているのかお答えください。  最後に、外国人労働者への県の支援について質問いたします。本県では、約三万二千人の外国人の方が労働者として働いています。そのうち最も多いのは、先ほど申し上げましたが留学生で約一万三千人、次いで外国人技能実習生として働いている方が約五千六百人となっています。これらの方々は、地域社会の一員として活躍されている方々であります。多文化共生社会を実現していく上で、こうした方々が実力を発揮できる社会としていくことが必要です。国においても、本年十一月から新たな外国人技能実習制度が施行されるなど、外国人労働者の活躍と技能実習を通じた国際貢献は重要な政策課題となっています。技能実習制度が具体的にどのように変化するのか、また外国人労働者の方も、勤め先との関係や労働条件、職場での人間関係など労働に関する悩み事を抱えていることがあります。県として、外国人労働者の労働に関する問題について、どのような支援を行っているのか支援内容を御説明ください。  以上でございます。よろしくお願いします。(拍手) 44 ◯副議長(守谷 正人君) 知事職務代理者服部副知事。 *知事職務代理者答弁 45 ◯知事職務代理者・副知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず初めに、県立高等技術専門校で行います職業訓練と民間教育訓練機関に委託して行います職業訓練の役割分担についてでございます。県立高等技術専門校では、学卒者と離転職者を対象といたしまして、訓練設備の整備に多額の費用を要するなどの理由から、民間では実施することが困難な機械科、建築科、溶接科といった物づくりを中心とした比較的長期の職業訓練を実施をいたしております。これに対し委託訓練は、原則として離転職者を対象に短期間で資格が取得でき就職に結びつきやすい医療事務、経理事務、パソコンといった分野で実施をいたしております。  専門人材の育成を目指す二年間の委託訓練の職業訓練コースの制度改正についてでございます。これまで、国からの委託訓練でございます資格取得コースは、介護福祉士と保育士の資格取得のみを目的とした二年間の職業訓練とされてきたところでございます。今般国は、非正規雇用の方が、企業が求める国家資格等の高い職業能力を取得いたしまして正社員として就職できますよう、従来の資格取得コースを長期高度人材育成コースに見直す改正を本年六月に行ったところでございます。これによりまして、介護福祉士、保育士に加えましてIT技術者、社会福祉士、精神保健福祉士等の資格取得を目指す新たなコースの設定が可能となったところでございます。  制度改正に伴います介護福祉士養成コースの就職率向上のための取り組みについてお尋ねがございました。国が定めます委託事業者の採択要件では、委託事業者が資格を生かした正社員の就職率八〇%以上を達成した実績を有することとされております。県では、委託先の選定に当たりましては企画提案方針をとっておりまして、訓練計画の提案内容や訓練生に対する職業相談や求人情報の提供、面接の指導など、就職支援体制等の内容を十分に審査をいたしました上で、高い就職率を達成できる委託先を選定いたしております。さらに、訓練開始後におきましても、計画どおりに訓練の内容と質が確保できているかを随時確認いたしまして、確実な訓練の実施を促しますとともに、高等技術専門校に配置いたしました巡回就職支援等指導員によりまして、新規開拓をいたしました就職先や就職面談会の情報を提供することによりまして、訓練生の正社員としての就職をしっかりと支援してまいります。  介護福祉士養成の職業訓練の定員充足率についてでございます。本県における介護福祉士養成の職業訓練の定員充足率は、平成二十四年度の九七%をピークといたしまして低下傾向にございまして、平成二十九年度は六四・六%となってございます。これは、介護について、きつい、あるいは大変といった画一的なマイナスイメージが広がっていること、雇用情勢が改善いたしまして職業訓練を経なくても就職できる分野が広がっていることなどが要因と考えられます。  なお、長期高度人材育成コースの採択要件でございます定員充足率六五%以上という基準につきましては、国の実施要領によれば、当面の間、適用されないこととされております。  訓練生の募集に当たりましての高等技術専門校とハローワーク、民間教育訓練機関との連携についてでございます。高等技術専門校が実施をいたします訓練を受けるためには、ハローワークによる受講指示が必要でございます。このため訓練機関名、訓練の内容、定員、募集期間等の情報を、これまでもハローワークに提供してきたところでございます。また、高等技術専門校では、訓練情報を県のホームページに掲載いたしますとともに、市町村の広報紙を活用した広報を行っております。また、県と委託先が共同して募集チラシを作成いたしまして、ハローワークや訓練の実施場所の近隣にございます駅へ配布しております。今後、求職者の方に対する委託訓練についての説明会を新たに県、ハローワーク、委託先の三者で行うことといたしまして、さらなる連携強化を図りながら訓練生の確保に努めてまいります。  訓練生の募集期間についてでございます。議員からもお話がございましたように、国による訓練コースの採択は十月となっておりますことから、その採択決定後に訓練定員やコース内容等を盛り込んだ実施計画を策定し、委託先の募集、選定を経まして、例年一月末から二月末までの一カ月間を訓練生の募集期間としているところでございます。より多くの訓練生を確保いたしますためには、長期の募集期間が必要でありますことから、国に対し、採択時期を早めるよう要望してまいる考えでございます。  保育士の有資格者を対象といたしました一年間の介護福祉士の養成訓練についてでございます。国の制度改正によりまして、ことし六月から介護福祉士養成訓練につきまして、保育士の資格を持っていらっしゃる方を対象に、一年間で資格を取得できるコースを民間教育訓練機関により実施することが可能となりました。委託訓練のコース設定に当たりましては、地域における求人の動向や訓練のニーズを踏まえまして、福岡労働局やハローワークと協議を行っているところでございます。御指摘の一年間の介護福祉士養成コースの必要性につきましても、同様に福岡労働局やハローワークと協議をしてまいります。  次に、多文化共生についてお尋ねがございました。まず、九州の企業と留学生をつなぐマッチングサイトの対象者の拡大についてであります。このマッチングサイトワークイン九州は、九州各県と九州経済産業局、九州経済連合会で構成いたします九州グローバル人材活用促進協議会がことし一月にスタートさせたものでございます。その目的は、九州で学ぶ留学生の地元企業への就職を促しまして、九州の企業のグローバル化を支える人材として育成、活用していくことでございまして、大学、短大、高専の在学生及び卒業生を対象としております。専門学校の留学生の方を対象に加えることにつきましては、国における外国人労働者に関する施策の動きでありますとか、九州経済界における企業のニーズを注視しながら、この協議会において今後の課題として検討してまいりたいと考えております。  在住外国人に対する支援についてでございます。本県では、日本語による意思疎通が十分ではない在住外国人の方が地域で安心して生活できるよう、福岡県国際交流センターにおきまして、仕事、教育、医療など生活全般の相談に多言語で応じております。さらに、行政書士会と連携した在留手続等の相談会や法務局と連携をいたしました人権相談会を定期的に開催をいたしまして、専門的な支援も行っております。また、県民の皆様の異なる文化や価値観への理解を深化させるため、県内の小中高校等に外国人留学生や青年海外協力隊の経験者を講師として派遣いたします国際理解教室や、各国・地域の文化や生活を紹介するアクロス福岡のこくさいひろばでの交流事業などさまざまなイベントを開催をしているところでございます。今後とも、在住外国人の皆さんが言語や文化の違いを超えて安全、安心に暮らせる環境の整備に努めてまいります。  最後に、新たな外国人技能実習制度と、技能実習生を初めとする外国人労働者への支援についてでございます。外国人技能実習制度は、実習生の保護強化のため、受け入れ企業やその指導、監査を行う監理団体に対する規制を強化する、また企業や監理団体の指導や検査を行う外国人技能実習機構を創設する、対象の職種に介護職を追加する、受け入れ企業や監理団体が優良と認められるなどの一定条件のもとで、その受け入れ期間を三年から五年に延長する、こういった制度改正がことしの十一月から施行されることとなりました。県では、県内四カ所の労働者支援事務所におきまして、外国人技能実習生を含みます外国人労働者からの、賃金や解雇などの労働問題に関する相談に、必要に応じて通訳を手配して対応できるようにしているところでございます。昨年度は百五件の相談を受けております。これまでの相談を見ますと、業務中にけがをしたが保障はないのかといった相談に対しましては、傷病手当金制度の紹介を行いました。また、上司のパワーハラスメントに遭っているといった相談に対しましては、当事者双方の意見を聞いた上で、当該企業に解決策を提示をいたしました。こういったことで問題の解決に努めてまいったところでございます。 46 ◯副議長(守谷 正人君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日、取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  二 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...