17番 古 川 拓 哉
18番 兵 頭 竜
19番 大 西 誠
20番 松 尾 和 久
21番 欠 番
22番 欠 番
23番 木 村 誉
24番 石 川 稔
25番 梶 谷 大 治
26番 西 田 洋 一
27番 中 田 廣
28番 大 西 渡
29番 福 羅 浩 一
30番 三 宅 浩 正
31番 欠 番
32番 欠 番
33番 欠 番
34番 欠 番
35番 欠 番
36番 笹 岡 博 之
37番 黒 川 洋 介
38番 毛 利 修 三
39番 徳 永 繁 樹
40番 高 山 康 人
41番 渡 部 浩
42番 戒 能 潤之介
43番 鈴 木 俊 広
44番 欠 番
45番 横 田 弘 之
46番 越 智 忍
47番 村 上 要
48番 赤 松 泰 伸
49番 本 宮 勇
50番 欠 番
51番 西 原 進 平
52番 中 畑 保 一
53番 明 比 昭 治
54番 岡 田 志 朗
55番 森 高 康 行
――――――――――
〇欠席議員 なし
――――――――――
〇欠 員 3名
――――――――――
〇出席理事者
知事 中 村 時 広
副知事 神 野 一 仁
副知事 原 昌 史
公営企業管理者 兵 頭 昭 洋
総務部長 菅 豊 正
企画振興部長 西 本 牧 史
スポーツ・文化部長 土 居 忠 博
防災安全統括部長 福 井 琴 樹
県民環境部長 金 子 浩 一
保健福祉部長 山 口 真 司
営業本部長 八十島 一 幸
経済労働部長 田 中 英 樹
農林水産部長 田 所 竜 二
土木部長 杉 本 寧
会計管理者出納局長 岸 本 憲 彦
教育長 三 好 伊佐夫
副教育長 武 智 俊 和
人事委員会委員 大 内 由 美
公安委員会委員 曽我部 謙 一
警察本部長 松 下 整
監査委員 永 井 一 平
監査事務局長 山 本 亜紀子
――――――――――
〇
出席事務局職員
事務局長 内 田 万 美
事務局次長 山 田 裕 章
参事総務課長 北 川 謙 二
参事議事調査課長 松 本 賢 固
参事政務調査室長 西 田 洋 一
議事調査課主幹 井 原 重 喜
――――――――――
〇本日の会議に付した事件
定第100号議案ないし定第126号議案
午前10時 開議
○(
鈴木俊広議長) ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の会議録署名者に福羅浩一議員、梶谷大治議員を指名いたします。
―――――――――――――――――
○(
鈴木俊広議長) これから、定第100号議案平成30年度愛媛県
一般会計補正予算ないし定第126号議案を一括議題とし、質疑を行います。
○(本宮勇議員) 議長
○(
鈴木俊広議長) 本宮勇議員
〔
本宮勇議員登壇〕
○(本宮勇議員) (拍手)皆さん、おはようございます。
今
議会一般質問トップバッターで質問をさせていただきます本宮勇です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
質問に先立ちまして、今回の7月豪雨災害によりましてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
また、今回の災害におきましては、本県がこれまで経験したことのない未曽有の被害が発生いたしました。その復旧・復興に向けまして、全国各地から多くのボランティアの方々による支援をいただくとともに、多くの皆様から義援金を頂戴したほか、国の各省庁には専門的な見地からさまざまな支援を、他県自治体からは職員派遣等の支援をいただいており、県民の一人としても心から感謝を申し上げる次第であります。
理事者におかれましては、これまで豪雨災害からの一日も早い復旧・復興を目指して、スピード感を持って各種施策を展開していただいているところでありますが、今後とも中村知事を先頭に、引き続き万全を尽くしていただきますようお願いを申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、本県農業の担い手対策についてお伺いをいたします。
我が国の農業総産出額は2年連続で増加をし、平成28年は16年ぶりに9兆円台を回復するとともに、農家1戸当たりの農業所得も直近5年間で最高を記録しております。
本県の農業算出額につきましても、近年は柑橘類の価格が好調に推移していることなどから増加に転じ、平成28年には1,341億円と、平成20年以来8年ぶりに1,300億円台に回復し、このことだけを見れば農業の将来展望にも明るい兆しが見受けられるのであります。しかし、本県において農業を業としている
基幹的農業従事者は、平成27年の
農林業センサスでは約3万5,000人と、この20年ほどで約4割も減少するとともに、65歳以上の割合が69.5%と急速に高齢化も進んでおり、農業を取り巻く環境は大変厳しい状況であると思うのであります。
加えまして、今回の豪雨災害により、宇和島市吉田町を初め、松山市や私の地元今治市の島嶼部におきまして、柑橘園地の崩落など甚大な被害が発生をしており、被災された方々の営農継続への影響が懸念される事態ともなっております。
このまま担い手が減少の一途をたどり、各地で耕作放棄地が増加することになれば、豊かな農村景観を損なうだけではなく、野生鳥獣による農作物被害の拡大による生産量の減少など、地域の活力を低下させる要因となり、すぐれた愛媛の農業や産地を近い将来脅かすことになるのではないかと大変危惧をいたしておりまして、早急に何らかの対策を講じる必要があると思っております。
こうした中、県では、昨年度から地域農業の屋台骨であるJAを対象にした新たな担い手確保の取り組みをスタートするとともに、今年度からは認定農業者への支援の強化や、地域ぐるみでの集落営農の推進に向けた相談、指導体制の充実など、多様な戦略を精力的に展開していると伺っております。これらの取り組みはまことに時宜を得たものであると思っておりまして、その成果に期待をいたしております。
そこで、お伺いをいたします。
県では、本県農業の維持、発展に向け、意欲ある担い手の確保・育成や集落営農の推進について、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
次に、ため池の防災・減災対策についてお伺いをいたします。
今回の豪雨では、県内各地において樹園地や農道、農業用水路に加え、ため池でも数多くの被害が発生をいたしました。県内にある3,200カ所余りのため池のうち、187カ所で被害があったと聞いております。
私の地元今治市においては、大三島のため池が県内で唯一決壊したほか、40カ所を超えるため池で洪水吐きや堤体の損傷、上流からの土砂や流木による埋没などの被害があり、幸い人的被害はなかったものの、農地への土砂の流入や用水不足により農作物等に多大な被害が発生をしており、関係農家の皆さんに大きな打撃を与えております。
言うまでもなく、ため池は農業に欠かせない水を確保する目的でつくられたものであり、農家の方々が長年にわたって大切に守ってきた貴重な水源であるとともに、洪水の緩和や土砂の流出防止、地下水の涵養などの機能を有するほか、周辺農地や里山と一体となって、多様な動植物が生息、生育する場となるなど、地域にとってなくてはならない大切な財産にもなっております。
しかしながら、ため池は江戸時代以前に築造されたものも多く、農村地域の都市化、混住化が進んでいることにより人家が増加する中で、ため池の老朽化による損壊の危険性が高まれば、下流域の被害拡大が懸念されるところであり、現に今回の豪雨により、全国では広島県を中心として、32カ所のため池が決壊し、とうとい命が失われるともに、下流域では人家や道路が損壊するなど甚大な被害をもたらしております。
近年は、豪雨や大規模地震等が頻発しており、今回のような災害がいつ発生してもおかしくない状況の中で、貴重な農業用水源となっている本県のため池の安全性を確保するためには、管理者による日常点検や応急措置などの適正な管理に加え、適時適切な補修、補強、更新が必要となりますが、このまま農家の減少や高齢化が進めば、管理が十分に行き届かなくなるほか、改修工事にかかる地元負担もネックとなり、必要な措置が講じられなくなるおそれがあるのではないかと考えておりまして、行政がしっかりと支援をしていただきたいと強く願ってもおります。
そこで、お伺いをいたします。
今回のような豪雨災害に備え、ため池の防災・減災対策を積極的に進める必要があると考えておりますが、県としては、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
次に、
再生可能エネルギーに関する課題についてお伺いをいたします。
本年7月に閣議決定をされた国の第5次
エネルギー基本計画において、
再生可能エネルギーの位置づけは、現時点では安定供給面、コスト面でさまざまな課題が存在するものの、
温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、
エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、長期的な環境負荷低減を見据えつつ活用していく重要な低炭素の
国産エネルギー源であるとされております。
今回の計画改定では、
再生可能エネルギーの比率について、2030年の電源構成において、22%から24%程度を目指すとした従来の目標が据え置かれてはいるものの、
再生可能エネルギーの確実な主力電源化に向けて、引き続き導入を積極的に推進するとの方針が示されたところであります。
本県においても、これまで家庭用の
太陽光発電システムや蓄電池の設置に対する助成、企業等による発電事業の可能性調査に対する支援など、
再生可能エネルギーの導入促進に積極的に取り組んでこられたところであります。ことしのゴールデンウイークには、四国エリアや九州エリアで電力需要の少ない時間帯に太陽光発電の割合が80%に達する日もあったと聞き及んでおり、急速に普及が進んでいることを実感した次第であります。
その一方で、今回の西日本豪雨の影響により、山陽新幹線の線路近くに設置をされていた太陽光パネルが崩れ落ち、新幹線が一時運行を見合わせる事態が発生いたしましたが、こうした土砂災害の懸念や環境破壊等への危惧などから、発電設備の設置をめぐる地域住民とのトラブルが全国で相次いでおり、今後、さらなる普及拡大に向けては、地域との共生に十分配慮をした適切な事業実施を担保する仕組みが必要だと思うのであります。
また、先般の台風20号では、兵庫県淡路市において、風力発電施設の高さ約60mの風車が倒壊するという事故が発生いたしました。詳細については調査中とのことでありますが、今後、
再生可能エネルギーの
固定価格買取制度、いわゆるFIT制度による
買い取り期間終了後に老朽化した発電設備が放置されたままになる可能性も危惧されており、設置後の適正なメンテナンスや廃棄処理も含めた安全対策の徹底が求められております。
再生可能エネルギーは、資源の乏しい我が国にとって、
エネルギー自給率の向上に寄与する重要な
エネルギー源であり、
地球温暖化対策の観点からも、
温室効果ガスを排出しない低
炭素エネルギーとして引き続き積極的に導入を進める必要がありますが、同時に地域との共生や住民の安全・安心に十分配慮をした開発や運営が行われる環境をどう整えるかが重要な課題であると考えるのであります。
そこで、お伺いをいたします。
県では、
再生可能エネルギーの導入促進に向けて、地域との共生や住民の安全・安心確保にどう取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
次に、障がい者の雇用についてお伺いをいたします。
御案内のとおり、
障害者雇用促進法では、障がい者の雇用の確保や安定を図ることを目的として、国や
地方公共団体、民間企業に対し、一定割合以上の障がい者を雇用するよう義務づけられております。この法定雇用率の達成状況については、民間企業が約半数にとどまる一方、国や
地方公共団体は、これまで本県も含めて大多数が達成している旨、公表がなされてきたところであります。
しかしながら、先般、中央省庁において雇用率の算定方法の疑義を受け、昨年度の公表結果の再点検を行ったところ、新たに26機関が法定雇用率を満たしていないことが判明し、これを満たすためには全体として3,396人の障がい者雇用が必要であることが公表されました。実雇用率も2.49%から半減し、実際には1.19%であったということが明らかになったわけであります。
また、時期を同じくして、全国の
地方公共団体でも不適切な算定が行われていたことが明らかになっており、本県においても知事部局、
公営企業管理局、教育委員会で国と同様、不適切な算定が判明し、法定雇用率が守られていなかったことが公表されたところであります。
制度上、未達成の民間企業には、不足人数1人当たり月5万円の納付金の徴収や企業名の公表などのペナルティーが科せられる中で、障がい者の雇用や活躍の場の拡大を率先して進め、民間企業の手本となるべき国や
地方公共団体でこのような状況が長年にわたって続いていたということは、まことに残念であります。関係者には反省をしていただくとともに、この事態の改善に努めていただきたいと思うのであります。
そこで、お伺いをいたします。
今回の障がい者雇用に係る対応は、障がい者はもとより県民の信頼を損なう状況となっておりますが、障がい者雇用率の算定誤りについて、県における現在の対応状況はどうか。また、法定雇用率の達成に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
次に、ことし3月末の就航から半年が経過をいたしました
松山-札幌線の利用状況等についてお伺いをいたします。
路線開設が発表されて間もないころであったと記憶をいたしておりますけれども、地元紙に心温まるエピソードが掲載されておりました。記事によりますと、松山市にお住まいの女性には、戦中戦後のつらい時期をともに過ごされた姉妹同然のいとこが札幌にいらっしゃるのですが、松山から札幌に移動するには羽田空港を乗り継ぐ必要があり、その際の歩く距離や待ち時間が高齢の身には負担となるため、会いに行くのを諦めていたそうであります。そのような中で、
松山-札幌線が開設をされ、札幌に会いに行くことができるようになり、心の中に希望がふえたということでありました。
また、その記事に感動をされ、心を動かされた航空会社の支店長の御厚意により、航空会社から往復航空券がプレゼントをされ、この女性は松山発の第1便を利用していとことの再会を果たされたと後日、報道もございました。
このように乗り継ぎ便を利用する際にかかる労力や時間を省くことができる直行便の持つ魅力、地域と地域を直接結びつける大きな力を再認識した次第でもあります。
さて、御案内のとおり、県内で開催をされる北海道の観光物産展では、常に
全国トップクラスの集客数となっておりますように、県民の北海道への関心はとても高いと思われます。このことは、県が松山空港を利用される方々を対象に実施をした
アンケート調査におきまして、札幌線が他の路線を大きく引き離して
就航希望トップとなったということにもあらわれており、北海道への就航は特に期待される路線でありました。私自身も、雄大な自然や豊かな食など多くの魅力のある北の大地北海道には憧れもあり、北海道への直行便の就航を念願していたところであります。
県を初め関係者の方々の御努力により、待望の札幌線がことし3月25日に就航することとなり、1月の就航発表後からは新聞などにも大きく取り上げられ、県民の皆様方の喜びの声を多く聞くことができました。第1便は満席となるなど順調にスタートをし、その後も多くの方々に御利用いただいていると伺っております。引き続き多くの方々に年間を通じて御利用いただき、札幌線が定着することを心から願ってもおります。
その一方で、過去、
松山-札幌線は、平成3年から23年までの約20年間就航をいたしておりましたが、観光需要が中心であり、冬場の利用が低迷したことなどから、惜しまれつつ運休となった苦い経験もあります。今後、利用者の減少が懸念される冬場に向けまして、くれぐれも同じ轍を踏まないよう知恵を絞りながら、より一層の利用促進に取り組み、札幌線をしっかりと支えていく必要があると考えております。
そこで、お伺いをいたします。
就航して半年を経過した
松山-札幌線について、これまでの利用状況はどうか。また、冬場に向けた利用促進に、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
次に、移住施策の推進についてお伺いをいたします。
県の発表によりますと、昨年度の県外からの移住者数は前年度の約2倍、過去最多の1,085人となり、とりわけ私の地元である今治市への移住者数は、県内の市町の中で最も多い346人でありました。御案内のとおり、今治市は、
しまなみ海道を初めとする美しい自然や瀬戸内海でとれる豊かな海の幸、温暖な気候など、愛媛の特長を凝縮したようなすばらしい地域でありまして、県外の移住希望者にもこうした魅力を高く評価していただいているのではないかと思いますが、見知らぬ土地への移住を決断する上では、
地域おこし協力隊に代表されるような、地域で主役となって活躍する先輩移住者の存在も大きいと思うのであります。
地域おこし協力隊は、本年4月現在で県内19市町において導入をされており、82名の方がこの制度を活用して都市部から移住をし、協力隊員として移住促進や産業振興などさまざまな活動に従事をされております。中でも今治市では、県内でも最も多い12名の方が活動をされているほか、これまでに任期を終えられた27名のうち、実に21名の方が引き続き地域に定住をし、農業に従事をしたり、カフェやゲストハウスを経営したりするなどして、日々充実した生活を送られております。
しまなみ海道沿線の大三島地域において、この3月に
地域おこし協力隊を卒業され、定住をされた方の中には、農作物に甚大な被害をもたらし、その対策が地域の大きな課題となっているイノシシの骨や肉を素材として活用した
シシ骨ラーメン店を開業された方や、あんパンやメロンパンといった定番のパンのほか、大三島産の温州ミカンから酵母を起こしてつくった発酵種のパンを提供する、地域ならではのパン屋を開業された方がおられまして、いずれも地元で人気を博しております。また、先日の豪雨災害の際には、知人に呼びかけ、避難所において炊き出しを提供されたとの話も伺っておりまして、その活躍を大変頼もしく感じているところでもあります。
このように地域の魅力発信の一翼を担いながら、自分らしく生き生きと暮らしている先輩移住者の姿こそ、都市生活に疲弊をして地方への移住を希望している方々が理想とするようなライフスタイルなのではないかと思うのであります。県におかれましては、こうした先輩移住者の力もかりつつ、新たな視点でさらなる移住者の誘致を進めていただきたいと願っております。
そこで、お伺いをいたします。
本県への移住者が年々増加する中、さらなる移住・定住の促進に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
最後に、
サイクリングしまなみ2018についてお伺いをいたします。
いよいよ来月28日には、
しまなみ海道及びその周辺地域を舞台に
国際サイクリング大会サイクリングしまなみ2018が開催をされます。前回大会から2年、大規模大会としては4年がたちますが、供用中の高速道路を規制して行う国内唯一の大会でもあり、
サイクリストが高速道路を埋め尽くす姿はまさに圧巻で、この大会を契機に
しまなみ海道が
サイクリストの聖地として不動の地位を得たことを実感いたしております。
今大会は大規模大会であり、参加定員は前回の倍増となる7,000名で、コースも本格的な
サイクリストからファミリー層まで誰もが楽しめるように7コースが用意をされ、尾道市向島をスタートして今治市にゴールをする広島発の片道コースが新たに設定もされております。
今や、国内だけではなく、世界中に知られている
サイクリングしまなみはエントリーするにも一苦労であり、
大会オリジナルジャージや地元特産品等の特典がついた先着順の
プレミアムエントリーでは、最も人気の高い140キロコースが募集開始から4分で定員に達したと聞いておりまして、
しまなみ海道の魅力と本大会への期待感のあらわれであると思うのであります。
この
サイクリングしまなみをきっかけとして、本県が全国に先陣を切って進めてきた
サイクリング施策ですが、国においても、自転車の活用に関し総合的かつ計画的な推進を図るため、
自転車活用推進計画を6月に閣議決定をしたところであり、その計画の中では、新たな観光資源として注目度が高まっているサイクルツーリズムの推進による観光立国の実現が目標の一つに掲げられております。
また、先月発表された2020年
東京オリンピックの
自転車ロードレースのコースは、東京武蔵野の森公園をスタートし、神奈川県を経て、山梨県及び静岡県内の富士山麓を走り抜けるという大変雄大なものであり、世界中の人々に日本の
サイクリングコースのすばらしさを印象づけるに違いないと思うのであります。
今後も、ますます全国各地で
サイクリングを活用した観光客誘致の取り組みが進んでいくと思いますが、その中でも
しまなみ海道における多島美の中に雄大な橋がかかるその景観は、世界に類を見ないオンリーワンの魅力を有するものと確信をいたしております。
サイクリングしまなみは、本県の
サイクリング観光を全世界に発信する絶好の機会でもあり、大会の開催を通じて、国内はもとより、海外から多くの
サイクリストを呼び込み、地域経済の活性化に結びつけてほしいと願うものであります。
そこで、お伺いをいたします。
開催が来月に迫る
サイクリングしまなみ2018の準備状況はどうか。また、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
鈴木俊広議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 本宮議員に、まず、私の方から
松山-札幌線についての御質問にお答えをさせていただきます。
約6年半ぶりに復活しました
松山-札幌線は、就航前から航空会社等と連携しまして、県内での路線開設の周知や北海道での観光PRを積極的に展開したこともあり、3月末の就航から8月末までの搭乗率は、目標とした75%を上回り、84.6%と好調に推移しているところでございます。
しかし、こうした中、相次ぐ自然災害により、愛媛、北海道とも観光客が落ち込んでおりますが、
松山-札幌線を定着させるためには観光分野での相互交流の拡大が鍵であり、特に御指摘のように、冬場は北海道でのスキーや、また、本県でのゴルフなど、両地域の気候の違いを生かした魅力的な観光資源を積極的にPRし、利用促進を図ることが重要ではないかと考えます。
このため8月末に伊予観光大使のみかんさんと北海道庁等で観光プロモーションを実施し、温暖な気候や柑橘を初めとする豊かな食など愛媛の魅力をアピールするとともに、旅行会社へトップセールスを行ってきたところでございます。
また、年末から2月にかけましては、県内の需要喚起を図るため、北海道観光振興機構と共同して、県内のテレビやラジオで冬の北海道の魅力をPRする番組を放送することとしています。
今後とも四国で唯一の直行便の優位性を生かしつつ、愛媛DMOなど関係機関と緊密に連携しながら、両地域の観光地としての魅力をPRして、県民の利用拡大や北海道からの持続的な観光客誘致につなげるとともに、全国に誇る本県ブランド産品の販路拡大など経済交流も深めながら、一層の利用促進に取り組んでいきたいと思います。
次に、
サイクリングしまなみ2018の準備状況についての御質問でございますが、
サイクリングしまなみは、回を重ねるごとに知名度が向上し、今大会も総応募者数が1万人を上回りまして、人気コースは抽せん倍率が3倍を超えるなど、多くの
サイクリストが憧れる日本屈指の大会に育ってきており、現在、安全でおもてなしあふれる大会運営と海外誘客の強化に重点を置いて準備を進めています。
大会運営では、最大の課題であります高速道路本線での安全対策等の調整がおおむね終了したほか、地元市町によりエイドステーションにおけるボランティアの確保や地元食材を生かしたメニューづくりなどの準備が進んでいるところでございます。さらに、大会前日の受付会場及び当日のフィニッシュ会場で開催される
サイクリングイベントでは、両県の観光や地元特産品等のPRにも取り組んでいきたいと考えています。
また、海外誘客の強化では、26の国と地域から、4年前の大会を大幅に上回る約770人にエントリーをいただいたほか、今回初めての取り組みとして、大会前日にしまなみ
サイクリングサミットを開催し、著名な
サイクリング大会を主催する国内外の28団体が一堂に会し、
サイクリングの新たな魅力の創造に向けたしまなみ宣言を採択することとしており、
サイクリングをテーマとした世界規模の交流が愛媛から世界に向けて発信されていくことに大きな期待を寄せているところでございます。
7月の豪雨災害により大会コースにも被害が発生しましたが、現在は通行可能となりました。今後も関係機関等と連携を密にしながら、大会を成功に導くとともに、本県の
サイクリングの魅力を強力に発信することにより、観光振興や地域活性化につなげていきたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(菅豊正総務部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 菅総務部長
〔菅豊正総務部長登壇〕
○(菅豊正総務部長) 障がい者雇用率に関する御質問にお答えをいたします。
このたびの障がい者雇用率の不適切な算定によりまして、障がい者の皆様を初め、県民の信頼を大きく損なうこととなりましたことを大変申しわけなく、改めて深くおわびを申し上げます。
県では、既に厚生労働省のガイドラインに基づいた適正な方法によりまして、全職員を対象に、プライバシーに配慮しながら、障害者手帳の保有状況を確認するなど、慎重に再点検を実施しているところであり、今月中には結果を取りまとめ、平成29年度及び30年度の障がい者雇用状況の報告数値を修正し、厚生労働省に提出することといたしております。
障がい者雇用につきましては、これまで平成17年度から臨時職員、平成25年度から正規職員の採用試験に身体障がい者採用枠を設け、過去5年間では毎年5人程度の採用実績を上げてまいりましたが、再点検により法定雇用率を下回ることが見込まれますことから、障がいのある方々のさらなる雇用拡大に向けた検討に着手しており、今後は国や他自治体の取り組み等も参考に、障がい者が勤務しやすい職場環境の整備に取り組みますとともに、業務の洗い出しや雇用形態の多様化などを進め、障がい者の活躍の場を拡大することにより、できるだけ早期に法定雇用率を充足できるよう努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(西本牧史企画振興部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 西本企画振興部長
〔西本牧史企画振興部長登壇〕
○(西本牧史企画振興部長) 移住・定住促進の取り組みに関する御質問にお答えをいたします。
本県では、県外からの移住促進に向けて、平成27年度から積極的な情報発信や切れ目のない相談体制などの取り組みを強化してきた結果、昨年度の移住者数は初めて1,000人を超えるとともに、地方への移住を支援するふるさと回帰支援センターの移住希望地域ランキングでも過去最高の全国11位となるなど、確かな手応えを感じているところでございます。
全国各地で移住者の誘致が活発化する中、本県への新たな人の流れを加速させるためには、本県独自の訴求力の高い移住施策の推進が重要なことから、6月に東京で開催したあのこの愛媛移住フェアでは、求人募集中の地元企業も参加して、移住後の仕事の相談に応じるとともに、先輩移住者や
地域おこし協力隊が経験談を紹介したほか、今月から新たに女性の移住希望者をターゲットに絞り、愛顔のひめターンプロモーションを開始しておりまして、首都圏のFMラジオ局の番組内で移住体験者を公募して生の声を伝えるなど、実体験を踏まえた愛媛暮らしの魅力を発信したいと考えております。
今後とも、本県が移住先として一人でも多くの方々に選ばれるよう、市町や移住コンシェルジュに加えまして、先輩移住者や
地域おこし協力隊とも緊密に連携しながら、オール愛媛の体制で重層的かつ戦略的な移住・定住施策を展開してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(金子浩一県民環境部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 金子県民環境部長
〔金子浩一県民環境部長登壇〕
○(金子浩一県民環境部長)
再生可能エネルギーの導入に関する御質問にお答えさせていただきます。
再生可能エネルギーは、
温室効果ガスの削減等の観点から、積極的な導入が求められる一方で、FIT制度の開始による太陽光や風力発電等の急速な普及を背景に、全国的に環境面や防災面での懸念が顕在化しており、今後の導入に当たっては、住民の理解や環境との調和に十分に配慮しながら進めていく必要があると考えております。
これまで県では、発電施設の設置に際し、森林法や農地法の許可手続等を通じて、事業者に対する環境保全や災害防止面での指導を行っているところでありますが、昨年4月のFIT法の改正により、国が施設の保守管理や廃棄など計画全体を審査し、既設の施設を含めて安全管理等に問題がある場合、改善命令や認定取り消しを行う仕組みが導入されましたことから、悪質な事例については、県としても市町と連携し、積極的に国に情報提供を行い、改善につなげたいと考えております。
また、全国知事会を通じて、一定規模以上の発電設備を設置する事業者に対する地域住民への事前説明の義務づけや、事業計画への地元自治体の意見の反映などを国に要望した結果、本年8月に環境影響評価制度の拡充に向けた有識者の検討が開始されたところであり、今後とも国に対し、地域社会との共生に向けた実効性のある対策が早期に講じられるよう働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(田所竜二農林水産部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 田所農林水産部長
〔田所竜二農林水産部長登壇〕
○(田所竜二農林水産部長) 農業関係について2点お尋ねのうち、まず担い手の確保・育成などへの取り組みについてお答えをいたします。
本県の農業算出額は、平成26年度を底として上昇基調に転換いたしましたものの、人口減少や高齢化の進展等に伴う担い手の減少に歯どめがかかっておらず、荒廃農地の増加も懸念される状況の中で、営農活動を担う人や組織の確保・育成は、愛媛農業の将来を左右する最重要課題と認識いたしております。
このため、県では、新たな担い手の確保、認定農業者の経営発展、集落営農組織の育成の3つを担い手対策の柱に据えまして、昨年度から新規就農者の確保や育成活動に前向きに取り組むJAなどを強力に支援することで、この2年間に47名の研修生を育成しておりますほか、今年度新たに、認定農業者が規模拡大に必要な機械、施設を導入する際、拡大面積に応じて補助率を優遇する支援制度の創設や、農業経営サポートセンターの設置による集落営農の組織化・法人化の促進など、意欲や成果を重視した攻めの支援策を積極的に展開しているところでございます。
さらに、全農えひめとの人事交流により、担い手サポートセンターに県職員を配置し、JAグループと一体となった推進体制も構築したことで、地域JAの研修体制強化や首都圏での就農相談会の開催など新たな施策にも着手をしており、愛媛農業の魅力向上と情報発信を図りながら、関係者一丸となった担い手対策を進めてまいりたいと考えております。
次に、ため池の防災・減災対策についてお答えをいたします。
今回の豪雨では、被災ため池の約3分の1に当たる68カ所で堤体や洪水吐き、取水施設等が損傷するなどの被害が発生いたしましたほか、被災後に2,779カ所を対象に実施した緊急点検の結果、被災ため池以外にも67カ所で堤体等の応急措置が必要とされ、ブルーシートの敷設や低水位管理等による監視強化が求められるなど、これまでにない大きな被害規模となり、取水困難となった下流域では営農活動に支障が出るなど、地域農業も打撃をこうむったところでございます。
ため池の老朽化対策は、これまであらゆる被災リスクを一挙に解消できる全面改修を基本に取り組んできており、長い工期と多額の事業費を要しておりますが、今回の被災が洪水吐きや堤体の部分崩壊などの局所的なものが多かった状況を鑑みれば、部分的な補修、補強でも決壊リスクの低減など一定の防災効果が期待できると考えられますことから、今後は、全面改修に限らない柔軟で効率的な対策をスピード感を持って講じていく必要があるとの認識を強くしているところでございます。
このため、県では、地域の実情に応じ、部分改修や補強策など幅広い視点からの対策を検討し提案することで合理的な改修整備を進めていきたいと考えており、ハザードマップの作成、周知への支援など、ソフト対策とあわせまして、総合的な防災・減災対策を迅速に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
鈴木俊広議長) 暫時休憩いたします。
午前10時46分 休憩
―――――――――――――――――
午前11時 再開
○(
鈴木俊広議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(大石豪議員) 議長
○(
鈴木俊広議長) 大石豪議員
〔大石豪議員登壇〕
○(大石豪議員) (拍手)おはようございます。
自由民主党の大石豪です。
質問に先立ちまして、今回の豪雨では宇和島市や愛南町において、本県では初めてとなる大雨特別警報が発令され、7月の平年を大幅に超える降雨により県内各地で河川の氾濫や土砂崩れが発生し、災害関連死を含め29名ものとうとい命が失われるという甚大な被害を本県にもたらしました。また、痛ましいことに、さきの北海道地震においては41名もの犠牲者が出てしまうなど、近年の異常気象に割り切れない思いを抱いております。改めましてお亡くなりになられた方やその御遺族に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われ今なお苦しんでおられる方、避難所等で不便な生活を余儀なくされている皆様に対して、心からお見舞い申し上げます。
今議会の質問は、私を含め質問者の皆さんが、災害に対する思いをぶつけられていることと存じますので、重複する点も多くあろうかと思いますが御容赦いただき、適切な御答弁をいただけますようお願い申し上げ、質問に移らせていただきます。
まず、今回の豪雨災害への対応の検証等についてお伺いいたします。
県は、発災直後から、被災者の生活支援策や社会基盤等の復旧対策として矢継ぎ早な対策を実施し、被災者の不安や心配の解消に取り組まれており、関係する皆様の取り組みには敬意を表するところです。
仮設住宅の建設では、市町と連携した建設場所の事前調整や地元建設業者の協力など、本県の強みでもあるオール愛媛の取り組みにより、発災からわずか2カ月弱で入居開始につなげており、被災者の生活再建の後押しになっていると感じております。今後、復旧から復興へと歩みを進めていくこととなりますが、引き続き市町を人的、財政的に支援するとともに、調整役としての県の役割に大いに期待するところです。
被災地には、発災直後から善意の支援物資が届けられ、被災地の復興に向けて、ボランティアに全国各地からお越しいただいておりますし、各市町の社会福祉協議会ではボランティアセンターを設置、被災者のニーズに応じたきめ細やかな対応をされておられます。
本県の基幹産業であり、今回の豪雨で大きな被害を受けた吉田町のミカン農園でも、ボランティアの皆さんの協力により園地の復旧支援が行われ、全国の自治体からも応援の職員が駆けつけてくださり、県や市町の現場において、公共施設の復旧や罹災証明書の交付業務などを支援いただいております。
また、民間企業においても、大規模災害時の協定等に基づき、支援物資の搬送や避難所等の移動支援、被災地の土砂撤去支援、避難者への物資の提供、避難所等に整備された公衆無線LANの無料開放などが行われました。被災者の多くがスマホを通して情報収集や連絡を行う現代において、公衆無線LANの無料開放は、東日本大震災からの教訓を生かした先見性のある取り組みであり、これは今回の豪雨災害でも必要性が実証されたと言えるでしょう。
一方で、今回の災害でさまざまな課題が浮き彫りになりました。罹災証明の手続では、申請件数に対して市町の職員が足りず、災害発生後初期の段階では交付までに何日も待たされ、前を向こうと懸命に頑張っている被災者の妨げになりかねないといったものや、公衆無線LANの無料開放までには避難所開設から数日間要したところも残念ながらあったとお聞きしております。また、時間の経過とともに、ボランティアセンターと被災者のニーズのずれや支援物資の偏りといった避難者の不満などがあり、それらの橋渡し役となる人材も不足していると感じたところです。
御承知のとおり、本県では近い将来、南海トラフ地震が発生すると予測されており、だからこそ今回の災害の教訓を生かすための取り組みを行ってほしいと強く思うのです。
そこで、お伺いします。
被災者の生活再建のために必要な罹災証明の迅速な交付や速やかな情報収集のための環境整備など、今回の豪雨災害での対応を検証し、今後の防災対策に生かしていくべきと考えますが、県の見解をお聞かせください。
次に、公共施設の豪雨対策等についてお伺いいたします。
県では、昨年の九州北部豪雨災害や平成26年の広島豪雨災害などを教訓として、災害に強い愛媛づくりを進めてこられておられます。今議会にも、県の単独事業として、緊急防災・減災事業を盛り込む予算案を提案されていることは、県民の一人としてまことに心強い限りであり、引き続き県民の安心・安全に万全を期してほしいと思っております。
今回の豪雨による県が管理する公共土木施設への被害は、先月28日時点で1,287カ所、260億円となっております。これは平成以降で最大であった16年度の166億円を大幅に超えるものでもあり、主なものでは、河川施設が812カ所144億円、砂防施設が207カ所35億円、道路施設が249カ所76億円の被害です。公共施設のほかにも、肱川が氾濫した大洲市で2,500戸を超える家屋の浸水被害が発生するなど、その被害は甚大なものとなりました。
県では、これまで水害対策として河川堤防や護岸の改修を行い、越水が発生した場合でも堤防が決壊するまでの時間を少しでも引き延ばす対策工事を実施してこられました。
また、国の要請に基づき、全国的な動きとして、本県でも住民の避難手順などを定めたタイムラインの策定を進めてこられましたが、今回の災害では、肱川や岡山県の小田川などで想定を超えて水位が上昇し氾濫するなど、タイムラインが機能しない事例もありました。
また、土砂災害では、戦後最多となる17名もの命が犠牲に。宇和島市吉田町では急傾斜地だけでなく、比較的傾斜の緩い箇所でも斜面崩壊が発生したと聞いており、被災地の現状を見聞きするたびに、人的被害に直結し、いつどこで起こるかわからない土砂災害の怖さをまざまざと感じさせられた次第であります。
県は、土砂災害対策としても、その被害を軽減する砂防堰堤を整備するとともに、土砂災害の被害が及ぶ地域を指定し市町のハザードマップ作成を支援するなど、ハード・ソフト両面からの対策に取り組んでこられました。一方で、整備から時間の経過した砂防堰堤には土砂が堆積するなど、いざという災害の際に本来の施設の機能が十分に発揮できない公共土木施設が数多くあるのではないかとも感じるのです。
お聞きしますと、鹿森ダムでは昨年度の時点で、堆砂量が58万立米と、総貯水容量159万立米に対して36.5%にも上っているとのことです。県では、限りある財源を有効活用するため、優先順位をつけながら各種防災対策に取り組まれているということは十分理解できることではありますが、今回の災害を受け、今後の豪雨の備えとして、公共土木施設の適正な管理に最優先で取り組んでほしいと願うのです。
そこで、お伺いします。
今後の豪雨に備え、県が管理するダム、河川施設、砂防堰堤の適正な維持管理にどのように取り組んでおられるのか、お聞かせください。
また、ため池に関しても、今治市大三島で1カ所が決壊したほか、187カ所が被害を受けました。その中でも気にかかるのが、決壊した場合、下流域への被害が大きい県内に355カ所ある防災重点ため池であり、今回、そのうちの9カ所が豪雨で被害を受けたのです。
国によると、全国にはため池が約20万カ所あり、その約7割が江戸時代以前につくられたものとされ、老朽化により決壊のリスクが高まっております。平成19年から28年までのため池被害は8,776件であり、そのうち約7割が豪雨によるもので、残りの3割が地震によるものとされております。自治体は、日ごろからため池管理者と連携し、適正な点検と管理により異常を確認した場合は直ちに対策をとることができる体制を整えるとともに、計画的な改修を進めることが重要としております。
これまで国は、防災重点ため池のハザードマップ作成を自治体に指導してきましたが、ため池を多く抱える自治体の中には、十分に手が回っていないところもあるのです。そうした中で、今回の豪雨により、小規模ため池で決壊等が多発したことを受け、国は、これまで都道府県ごとに定めてきたため池の管理基準を見直し、下流に人家があるため池は、その規模にかかわらず防災重点ため池に指定するよう全国統一の基準を設定することを検討しているとのことなのですが、私は、ただでさえ十分な対応が困難な中で、これに各自治体がしっかりと対応できるのか懸念しております。むしろこの機会に、農業用水の利用者の減少に伴い使用されていないため池の取り扱いなど、まずは地域で議論する時期に来ているのではないかと思うのです。
こうした中、本県では、今回の災害以前から南海トラフ地震を見据え計画的に対策を進めてきており、防災重点ため池355カ所のうち244カ所でハザードマップが作成済みとなっているなど、ソフト面にも注力をして取り組んでいることとお聞きしておりますが、今後は、周辺住民に対する決壊の危険性の周知や避難時の呼びかけなど啓発に加え、国の方針次第で大多数の小規模ため池についても特段の対策を求められることが考えられます。これは県においても大きな負担となり、現在の取り組みにも影響を及ぼすことを危惧するものであります。
そこで、お伺いいたします。
こうした防災重点ため池の選定基準見直しなどの国の動きをどう受けとめ、今後の対応についてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただければと思います。
次に、脱炭素化の切り札となる新しいエネルギーとして期待されている水素の活用についてお伺いいたします。
水からつくることができ、燃やしてもCO2を排出しない水素は、究極のクリーンエネルギーと呼ばれております。
国は昨年、水素基本戦略を策定し、これは水素を
再生可能エネルギーと並ぶ新たなエネルギーに位置づけ、ガソリンやLNGと同程度のコストとすることで、水素の飛躍的な拡大を図ろうとするものであります。また、自国の技術を生かした中長期的な
エネルギー安全保障の確保と
温室効果ガスの排出削減の課題を同時並行で解決するとともに、水素利用において世界をリードするとの方針を示しており、国を挙げて水素利用に取り組み、世界に先駆けて水素社会を実現しようとするものでもあるのです。
国は東京都と連携して、開催まであと2年に迫った
東京オリンピックを水素社会の見本市とするべく、メーン会場となる新国立競技場や選手村に水素を貯蔵した燃料電池や燃焼装置を設置し、施設内の照明や冷暖房などの電力や温水供給を賄い、競技会場と都心を燃料電池で走るバスで結ぶ次世代都市システムの導入を計画するなど、さまざまな取り組みが予定されております。国は、これまでも水素の普及を強く後押ししてきましたが、今後においては、水素ステーションなどのインフラ整備でも大きな進展が期待できると感じるのです。
これまで水素の活用における課題とされてきた貯蔵方法に関しても、ニッケル水素電池で実用化されている金属に水素を吸着させて貯蔵する水素吸蔵合金を初め、大規模な貯蔵施設の開発も進められております。金属以外でも、カーボンナノチューブや非常に表面積の大きな分子に水素を吸着させて貯蔵する方法や、水素吸蔵合金の重量という問題をクリアするため、融解温度が低い錯体水素化物や有機化合物を利用して水素を貯蔵するという新たな研究も行われており、貯蔵技術は着実に向上しております。また、燃料電池が持つ、必要なときに容易に電気を取り出すことができ、送電ロスが極めて少なくエネルギー効率が高いなどのすぐれた特性によって、水素は災害時の電力の安定供給にもその役割を広げつつあります。
東京都が導入している最新の燃料電池バスでは、災害時に235kWhの大容量外部給電設備となり、これは一般家庭の約二十日の電力量に相当し、避難所であれば4.5日分の電力量を賄えるというのです。
ただ一方で、水素の活用には海外から調達するための貯蔵、輸送技術の向上やコストダウン、インフラネットワークの充実、規制の見直しなど、クリアすべき課題がまだまだ多く残されているのも事実です。
本県は、国を上回る
温室効果ガス排出量の削減目標を掲げるとともに、県内の環境保全活動者を対象として、平成13年度から毎年開催しているえひめ環境大学の開催、CO2を排出しない環境に優しい乗り物である自転車通勤を促進するえひめツーキニストクラブの立ち上げなど、全国的に見ても環境先進県であると認識しており、だからこそ水素の普及促進にもさらに前向きに取り組んでほしいと思うのです。
そこで、お伺いします。
大きな可能性を秘めた次世代エネルギーとして注目されている水素の活用に向け、県はどのように取り組んでおられるのか、お聞かせいただければと思います。
次に、外国人材の雇用についてお伺いいたします。
我が国では、少子高齢化に伴う人口減少が進行し、企業の生産現場を担う労働力が不足しております。約2年半にわたって、全ての都道府県で有効求人倍率が1倍を超え、全国規模で人手不足が顕著になっております。帝国データバンクによる平成25年以降の倒産要因の分析でも、従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産件数は、上半期の実績として3年連続で前年を上回っているとのことであります。
本県の基幹産業である農林水産業でも、担い手の高齢化に伴う人手不足は顕著であり、近隣の農家に委託するなど何とか耕作を継続しているところもありますが、耕作放棄地は増加傾向にあるのです。
今後、AIなどの最先端技術のさらなる技術革新によって、一定の労働力不足が補える可能性はあると思いますが、人口減少が続く現状を見れば、労働参加が進展しても生産年齢人口は減少し続ける可能性が高いのではないかと推測するのです。また、生産年齢人口が減少することになれば税収も減少しますし、高齢化の進行に伴って社会保障関係経費は急激に増加し、医療制度や年金制度が破綻するということもあり得ない話とは言い切れません。
このように、生産年齢人口の減少は、ひいては日本の社会全体を縮小させ、現在のさまざまな制度を崩壊させかねない深刻な問題であり、一日も早い現状からの脱却が切に求められていることは御承知のとおりです。
政府は、この慢性的な人手不足を補うため、本年6月、経済財政運営と改革の基本方針2018、いわゆる骨太の方針において、新たな外国人労働者の在留資格を創設することを掲げ、来年4月を目指し、外国人材の受け入れが必要と認められる業種の受け入れ方針等について、検討を進めていると聞いております。
これはまず、これまで禁止されてきた外国人労働者の単純労働にも門戸を広げるもので、一定の専門性や技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れる新たな制度とするとの方針を示すとともに、その受け入れと共生のための総合的な対策を進めるものであります。新たに受け入れる外国人材の保護や円滑な受け入れを可能とするため、受け入れ企業または法務大臣が認めた登録支援機関が支援の実施主体となりましたが、業界の実態に応じて、受け入れ企業等に対する巡回指導や就労状況の実態把握等を実施するとしているのです。
昨年10月の日本の労働人口は6,762万人、外国人労働者数は128万人と、労働人口の約50人に1人を外国人が担っているという計算になります。この議場の中にも、東京や大阪に出かけ、コンビニやレストランに入った際に見かけた店員さんが全て外国人であったという経験のある人もいらっしゃるのではないかと思います。愛媛では今のところ、そこまでの状況にはありませんが、既に外国人材の活用は特別なことではなくなっております。
政府の外国人材受け入れの方針を受けて、全国知事会では、先月、外国人材の受け入れ・共生に向けた国への提言として、地域の実情を踏まえ、人手不足が深刻化している産業を新たな外国人材の受け入れ業種として検討すること。また、新たに受け入れる外国人材及び在留外国人への日本語教育や安心して働き、暮らしていくための支援などを挙げられ、国に要望されました。国においては、地方からの切実な声に対して、責任を果たすように取り組んでいただきたいと強く思います。
本県はこれまで、本年1月に、中村知事立ち会いのもと、県外国人技能実習生受入組合協議会が協定を締結したカンボジアを初め、中国やベトナムなどから優秀な外国人技能実習生を多く受け入れており、建設業や製造業、小売業と幅広い分野で活躍していただいております。今後、在留資格の拡大により、外国人材の受け入れ数の増加が期待できる一方で、本県においても、新たに受け入れる外国人材の送出国の多様化に伴い、言語や生活習慣、宗教の違いによる新たな課題が生じるおそれがありますので、今後も引き続き優秀な外国人材を獲得し、県内企業の活動を支える担い手とするためには、国と連携して事前に受け入れの準備をしていかなければなりません。
そこで、お伺いいたします。
県内企業が必要とする外国人材の円滑な受け入れ環境の整備に向け、県は国と連携してどう取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
最後に、来年、東予東部圏域で開催されるえひめさんさん物語についてお伺いいたします。
えひめさんさん物語は、東予東部圏域では初めて開催される地域振興イベントであります。東予東部圏域は、別子銅山の開坑によって繁栄し、四国屈指の臨海工業都市の新居浜市、造船や半導体など四国屈指の工業集積地の西条市、日本有数の製紙産業地帯の四国中央市で構成される四国屈指のものづくり集積地であります。また、西日本最高峰の石鎚山を望み、高山植物の宝庫である赤石山系と登山道の滝など見どころの多い赤星山、コスモス畑で有名な翠波峰からなる法皇山脈などの自然や新鮮な海産物、西条のうちぬき、新宮茶、土居の里芋など、食文化を初めとして全国に誇れる地域資源が多くあります。
えひめさんさん物語は、これらの魅力を広く全国に発信し、一体的かつ持続的な発展につなげていこうとするものであり、地元住民や企業などが改めて地域資源の魅力を見詰め直す機会とするとともに、定住・移住の促進により産業を支える人材の確保を行い、観光まちづくりの拡大を図ろうとするものであります。イベントを通して、今ある地域資源がブラッシュアップされたり、新たな気づきにより地域資源が発見されたりすることを大いに期待しております。
今回のイベントを成功させるためには、情報発信が重要なのは言うまでもありません。これまで何度も松山に行き道後温泉には入ったことがあるけれども、それ以外のところには行ったことがないという観光客の声を耳にしました。愛媛の人でも、特に南予地域の人の中には、東予地域に足を運んだことがないという人も多いのではないでしょうか。えひめ町並み博やえひめいやしの南予博等を通して、東予地域の人が南予地域を訪れたように、今度は逆に、南予地域の人に東予地域に来てもらえるよう、さまざまな機会を通して、この圏域の魅力を伝えていただきたいと思うのです。
そのためには、広く県民にこのイベントを知ってもらえるよう、例えば知事と市長との対談などを通して、この圏域の魅力を伝え、誘客につなげていくことが重要であると考えますし、各種メディアを巻き込んでいく必要はもちろん、加えて、近年注目されている人気ユーチューバーなど外部からの情報発信にも力を入れる必要があるでしょう。
また、地元住民の盛り上がりも欠かせません。いやしの南予博では、滑床渓谷でのキャニオニングや愛南町のシーウォーカーなど、多彩ないやしのプログラムが南予全域で展開されるとともに、全国に向けて発信されました。今ではこのプログラムに参加するために、全国から観光客が南予地域を訪れるという人気のプログラムとなっているのです。イベント開催を契機として、地域資源を活用した新たなプログラムが生まれ、イベント終了後も自主的な活動として継続していくことは、住民が減少し高齢化が進むことで活力が低下し続ける地域の現状を打破し、活力を復活させる唯一の手段だと確信いたします。
今回のイベントでは、住民のグループやNPOなどがみずから企画し実施するチャレンジプログラムの実施が予定され、本年5月から募集されておられました。この圏域を訪れた人が、この圏域ならではの手づくりのプログラムを体験することでファンになってもらえるようなプログラムを多く生み出してほしいと願うのです。
そこで、お伺いいたします。
えひめさんさん物語の核となるチャレンジプログラムの現況と県民への周知方法についてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
以上で私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
鈴木俊広議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 大石議員に、まず、今回の豪雨災害での対応に関する御質問にお答えをさせていただきます。
甚大な被害が生じました今回の豪雨災害の初動・応急対応では、被災自治体単独では対応できないため、罹災証明書交付や避難所運営等の膨大な業務に対し、国や他県等から手厚い人的支援があったほか、国によるラジオの配布、携帯電話事業者による公衆無線LANの無料化や避難所への臨時開設など、情報収集の環境整備への支援も行われたところであります。
罹災証明書につきましては、まずは膨大な件数の被害調査を行う必要があったため、発災直後には申請から交付までに期間を要しましたが、熊本県などからの応援により迅速に処理できる体制を市町が確立したところでございます。
また、携帯電話事業者の負担による善意の支援によりまして、避難所を含む県下全域の公衆無線LANが被災後3日目までに無料開放されるとともに、未設置の避難所への臨時開設も順次行われるなど、被災者に寄り添った対応に感謝をしているところでございます。
県では、豪雨災害の初動・応急対応について、国や他県等、さらには民間やボランティアによるさまざまな支援や、県や市町の受け入れ体制の状況を含め、今後、検証委員会を設置して課題の洗い出しや改善点等の整理を行い、その結果を防災・減災対策の充実強化につなげていくこととしているところであります。
次に、えひめさんさん物語の御質問についてお答えをさせていただきます。
えひめさんさん物語の開催を持続可能な観光まちづくりにつなげていくためには、地元の方々の熱意と主体性が大きな鍵を握りますことから、東予東部3市で60件を目標に、住民グループ等がみずから企画して地域の魅力を発信するチャレンジプログラムの発掘に力を入れて取り組んでいるところであります。
これまで県と地元3市の広報紙や町内会に出向いての説明などにより募集の周知に努めるとともに、専門家を交えた企画相談会をこれまで10回開催し、アイデアのブラッシュアップを支援してきたところであります。その結果、今月9日には第1弾として、新居浜市沖でのシーカヤック体験や瓶ヶ森でのスタンプラリー、四国中央市の食品工場でのオリジナルコンニャクづくり体験など39件のプログラムを認定したところでございます。
また、県内外へアピールするため、今週末29日に新居浜市で開催するプレイベントで、来年のコアイベントやチャレンジプログラムの内容等を発表するほか、今後、PRキャラバンの派遣やSNS等による情報発信、人気旅行誌と連携したガイドブックの発行等も予定しているところであります。
引き続き、チャレンジプログラムの掘り起こしと誘客促進に向けた情報発信等に努め、イベントの成功、ひいては東予東部圏域の一体的な発展に向けて取り組むこととしています。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(金子浩一県民環境部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 金子県民環境部長
〔金子浩一県民環境部長登壇〕
○(金子浩一県民環境部長) 水素の活用に関する御質問にお答えさせていただきます。
水素は、さまざまな資源から製造が可能であり、利用時にCO2を排出しないことなどから、我が国のエネルギー構造を多様化し大幅な低炭素化を実現する可能性を有するエネルギーとして、国内では自動車等の分野で一部実用化されているほか、本格導入に向けた研究開発が行われておりますが、コストやインフラ整備などの面で課題が多く、国の水素基本戦略では、2050年までの長期的視点で戦略的な取り組みを進めることとしております。
このため、県といたしましても、まずは水素エネルギーに対する県民や企業等の理解を促進し、身近な分野から導入を進めたいと考えており、水素エネルギーの利活用等に関するセミナーや、国や市町、大学、関係企業等による情報交換会を開催するほか、水素エネルギーを利用した家庭用燃料電池の設置助成に加え、今年度から企業等による導入可能性調査も助成対象とするなど取り組みを強化しているところであり、今後、市町や企業の主体的な取り組みとの連携も視野に入れながら、導入促進を図ることとしております。
以上でございます。
○(田中英樹経済労働部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 田中経済労働部長