令和 4年 9月 定例会(第351回)令和4年9月 第351回
定例奈良県議会会議録 第2号 令和4年9月22日(木曜日)午後1時1分
開議 -------------------------------- 出席議員(39名) 1番 小村尚己 2番 樋口清士 3番 植村佳史 4番 浦西敦史 5番 山中益敏 6番 亀甲義明 7番 小林 誠 8番 階戸幸一 9番 川口延良 10番 疋田進一 11番 池田慎久 12番 乾 浩之 13番 大国正博 14番 太田 敦 15番 佐藤光紀 16番 清水 勉 17番 松本宗弘 18番 西川 均 19番 阪口 保 20番 井岡正徳 21番 田中惟允 22番 中野雅史 23番 山本進章 24番 奥山博康 25番 小林照代 26番 山村幸穂 27番 尾崎充典 28番 藤野良次 29番 和田恵治 30番 荻田義雄 31番 欠員 32番 欠員 33番 米田忠則 35番 岩田国夫 36番 小泉米造 37番 今井光子 38番 森山賀文 39番 田尻 匠 40番 粒谷友示 41番 秋本登志嗣 43番 川口正志 欠席議員(2名) 34番 出口武男 42番 中村 昭
-------------------------------- 議事日程 一、当局に対する
代表質問 --------------------------------
○議長(岩田国夫) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。 --------------------------------
○議長(岩田国夫) ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、22番
中野雅史議員に発言を許します。--22番
中野雅史議員。(拍手)
◆22番(中野雅史) (登壇)皆さん、こんにちは。自由民主党、中野雅史でございます。岩田議長のご指名をいただきましたので、
自由民主党県議団を代表して、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 その前に、2か月余り前の7月8日、
参議院議員選挙の応援演説のため、本県を訪れておられました安倍元
内閣総理大臣が、
大和西大寺駅前において、本県在住の男性により銃撃されました。そして、お亡くなりになったわけでございますが、この痛ましい事件の報に接した際の深い悲しみの念は、今なお、私の心に留まっております。 安倍元
内閣総理大臣は、卓越したリーダーシップと実行力を持って我が国の憲政史上最も長い期間、
内閣総理大臣としての重責を担われ、
東日本大震災からの復興、日本経済の持続的成長、多方面にわたる諸外国との外交の展開など、そのご功績は枚挙にいとまがありません。 ここに謹んで、安倍元
内閣総理大臣に哀悼の誠をおささげいたしますとともに、残されたご家族の皆様に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。 それでは、質問に移らせていただきます。 まず初めに、大
規模広域防災拠点の整備について、知事にお伺いをしたいと思います。 近年、地震をはじめ、水害など、様々な自然災害が多発しております。本年においても、6月から8月にかけて、石川県、熊本県、
北海道宗谷地方で震度5弱から震度6弱の地震が発生しております。 また、大雨による災害は、6月に北海道、7月に宮城県などで発生し、さらに8月には青森県や新潟県の広い範囲にかけて記録的な大雨となり、複数の都道府県において合計で6,000棟以上もの家屋に床下浸水などの被害が発生しています。また、先週末から今週にかけても、台風14号が日本列島を縦断し、3名の死者をはじめ、多くの人的被害や、建物・農地等の被害が発生したところであります。この場をお借りいたしまして、被害に遭われた方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。 このように、今年だけでも、地震、水害などの自然災害が、絶え間なく発生しており、被災地に甚大な被害をもたらしております。 また、近い将来発生が予想されている
南海トラフ地震は、おおむね100年~150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震であります。前回の昭和21年の南海地震の発生から70年以上が経過した現在では、次の
南海トラフ地震発生の切迫感が高まってきています。30年以内の発生確率は70%~80%だと言われており、奈良県では約1万9,700人の死傷者が発生すると予想されております。 奈良県では、このような地震や水害など大規模災害に対応し、県民の安全性を高める大
規模広域防災拠点の整備を五條市で進めています。昨年6月に策定された
整備基本計画によりますと、整備はⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期と段階的に進められ、Ⅲ期整備完了後は2,000メートル級の滑走路を備えることで、大型輸送機による多数の人員や物資の受入れが可能となっていると伺っております。 国は、
南海トラフ地震が発生した際の活動内容について、
南海トラフ地震における具体的な
応急対策活動に関する計画を定めており、その中で、大規模な
広域防災拠点として全国で5か所を指定していますが、紀伊半島には、これまで指定された拠点はありませんでした。本年6月の計画の改定に際し、奈良県が整備する大
規模広域防災拠点が国の計画に位置づけられました。 また、本拠点の整備にあたって必要な用地については、地元の方々のご理解とご協力のもと、Ⅰ期・Ⅱ期の整備に必要なゴルフ場の土地の取得がさきの6月議会において提案可決され、契約を締結されたところであります。 そこで、知事にお伺いいたします。
南海トラフ地震等の大規模災害への備えとして、県が五條市に計画し、一部用地取得を行った2,000メートル級滑走路を備える大
規模広域防災拠点の整備について、今後、どのように進めていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、
大和平野中央田園都市構想について、2点、知事にお伺いいたします。 県が現在進めておられる、磯城郡3町をはじめとする
大和平野中央部における県の取組、
大和平野中央田園都市構想は、県の最重要課題である、多様な雇用の場の創出や
県内経済活性化に大きく寄与する
プロジェクトであり、強力に推進すべきものと考えております。さきの6月議会において知事は、我が会派の植村議員の代表質問に対して、国の制度の枠組みにとらわれることなく、本県独自の構想として進める旨、表明されておりました。この方針に、私も大いに賛同いたしております。 さて、この構想は、昨年11月に
キックオフ会議が開催され、地域経済、雇用、はぐくみ、交通、福祉医療、教育、農業など、県政の重要事項を網羅した15のテーマが示されました。その後、テーマごとに、順次検討会を実施されていると伺っており、構想が充実したものになることを大いに期待いたしております。 また、この
プロジェクトは、構想の検討と並行して、県と磯城郡3町が
まちづくりのテーマと対象地区に関する協定をそれぞれ締結し、拠点整備にも取り組んでいます。拠点整備に必要な用地取得にあたっては、これまでも丁寧に地元調整を図っていただいていると伺っており、今後も着実に取組を進めていただきたいと考えております。 そして、これらの拠点を核とした
まちづくりについても、関係者の様々な意見を聞きながら取り組み、
大和平野中央田園都市構想の取りまとめにつなげていただきたいと考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 県が磯城郡3町と協働して取り組んでいる
大和平野中央田園都市構想を、今後、どのように進めていかれるのか、知事の意気込みも含め、お聞かせいただきたいと思います。 次に、
大和平野中央田園都市構想のもとで進めておられる、
奈良県立大学工学系新学部の設置構想についてでありますが、以前、私がこの場で、
奈良県立大学工学系新学部に対する期待をお尋ねした際、知事は、県内で育った優秀な理工系人材の県外流出への対応や、
県内産業界の
デジタル人材の需要に応えるといった点への期待を述べられました。将来の地域社会を担う人材として、科学的、論理的思考に習熟し、企業の現場で課題を解決することができる
ソリューション能力を備えた人材の育成を目指したいとの決意を示していただき、私も大いに共感をしたところでございます。 世の中のあらゆる産業分野でデジタル化が進み、私たちの生活様式、まちの中で目にする光景、手元で使う道具などは、以前にも増して速い速度で、よりスマートで便利なものへと変化してきています。これまでの常識を覆し、誰もが見たことがないものを発想し技術として生み出すこと、技術革新を担うのは、やはり人であり、
奈良県立大学工学系新学部に対する
県内産業界の期待は日に日に高まっているのではないかと考えます。 一方、
奈良県立大学工学系新学部に期待される役割は、教育機関として工学系の知識・技能を持った人材を育成し、産業界に供給することだけではありません。高度な研究力を備えた研究機関として、企業との共同研究等に積極的に取り組むなど、
県内産業界の技術革新を伴走型で支援し、地域の産業競争力の強化を図ることで、優秀な人材が奈良県に残り、活躍したいと思えるような魅力ある雇用の場や、起業のチャンスの創出にまでつなげることが重要と思います。 このように、産業界と密接に連携・対話しながら企業の技術革新をサポートする役割を果たす上では、工学系新学部のみならず、博士課程まで備えた大学院を設置し、高度な研究体制を構築することが必要ではないでしょうか。また、県民及び
県内産業界の期待に応え、一日も早い設置の実現を目指す上で、構想の中心となる
リーダー人材の確保と、優秀な教員・研究者の確保が何より重要であると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。
大和平野中央田園都市構想のもとで進めておられる、
奈良県立大学工学系新学部の設置構想について、今後、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会の開催について、知事にお伺いいたします。
国民体育大会は、我が国最大のスポーツの祭典として、広く国民に親しまれるとともに、スポーツの振興・発展に大変重要な役割を果たしてまいりました。 昭和59年に本県で開催されたわかくさ国体では、選手団の目覚ましい活躍があり、当時、大変感動したことを今でも覚えております。県民が一丸となって大会を支えた経験や、スポーツへの憧れと感動が、この後の
競技スポーツや地域の
スポーツ活動の推進につながったと強く感じております。また当時は、
国民体育大会開催に合わせて、
スポーツ施設やその周辺整備が行われ、地域の活性化にも大きな影響を与えました。 本県での2巡目の
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会開催が、令和13年に決まり、トップアスリートのプレーを間近で見られること、また、多くの方々が来県されることによるにぎわいを、私も含め、多くの県民の方々が期待されていることと思います。 しかしながら、県内の
スポーツ施設は決して十分とは言えず、これまでも多くの議員からも指摘があったことと思います。このような中、一度断念された
県立橿原公苑と
橿原運動公園を活用しての
スポーツ施設の整備について、知事は、
定例記者会見において、改めて県と橿原市において協議をしたいと発言されました。私としても、協議が整うことを期待いたしております。 また、奈良大会の基本方針にも掲げられている、「だれもが、いつでも、どこでも」スポーツに親しめる環境づくりを推進するとともに、県民の健康づくりや、これからの本県の
スポーツ振興を図るために、県立だけではなく市町村施設も含め、県内広域において
スポーツ施設の整備が必要になると考えます。 そこで知事にお伺いいたします。 9年後の奈良県での
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会開催に向け、県内の
スポーツ施設の整備についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、保育所、幼稚園等における通園バスの
安全管理対策について、知事にお伺いいたします。 去る9月5日、静岡県内の
認定こども園において、3歳の女の子が通園バス内に約5時間にわたって置き去りにされ、熱中症で死亡するという大変痛ましい事故が発生しました。私には幼稚園に通う孫がいることもあり、今回の事故が人ごととは思えず、この事故について連日大きく報道されるたびに、つらい気持ちと激しい憤りを感じています。もし、自分の孫が同じような目に遭ったらと思うと、自分の気持ちをどれだけ冷静に保てるか想像もつきません。 今回の事故は、バスの乗降時に、乗車名簿と園児を照合して確認する園の決まりがあったにもかかわらず、職員が確認を怠ったこと、園児の下車後、複数の職員で車内を確認せずにバスを施錠したこと、乗車していた園児全員分をまとめて
登園管理システムに出席登録したこと、さらに、園児がいないことに気づきながら、担任が保護者に休みかどうか確認をしなかったことなどが複合的に重なり、事故発生に至ったと報道されています。どれか1つでも、誰かが気づいて実行できていたら、最悪の事態には至らなかったと考えられるだけに、本当に悔しい思いでございます。 同様の
置き去り事故は、昨年福岡県でも発生しており、本県にとっても決して対岸の出来事ではありません。今回の事故発生を受け、国から、通園バスを運行する保育所、幼稚園等に対し、緊急的に自己点検を実施すること、また、県及び市町村に対して、これらの施設の実地調査を行うよう要請があったと伺っております。 こうした悲惨な事故を今後二度と発生させないため、県は、保育所や幼稚園等に対し、再発防止に向けた対策が徹底されているか、確認・指導していただく必要があると考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 県は、今般の静岡県における
通園バス園児置き去り死亡事故の発生を受け、保育所、幼稚園等における通園バスの
安全管理対策について、どのような対策を講じておられるのか、今後の対応策も含めてお伺いをしたいと思います。 次に、奈良県
中小企業会館及び
奈良商工会議所会館の活用検討について、知事にお伺いいたします。 奈良県
中小企業会館と
奈良商工会議所会館は、近鉄奈良駅からも近い上に、近くに興福寺、東大寺、春日大社などの寺社があり、奈良公園の玄関口として非常にすばらしい場所に立地いたしております。 県の
中小企業会館は昭和53年に設置されました。同会館には、県内を統括する
中小企業関係団体が入居され、これらの団体とともに、中小企業の振興に寄与してまいりました。一方、隣接する
奈良商工会議所会館は、昭和49年に設置され、奈良県
中小企業会館と相互に連携しながら、商工業の発展に寄与してきました。両会館はともに老朽化が進んでおりますが、特に、
奈良商工会議所会館は、施設の老朽化の問題から
近鉄大和西大寺駅前に移転することを発表されました。 この移転に際し、新たな
商工会議所会館において、奈良県
中小企業会館に入居している
中小企業関係団体とともに、
中小企業振興の新たな拠点としての役割を果たしたいこと、及び、現在の
奈良商工会議所会館の活用については、奈良県
中小企業会館と一体的・総合的に、奈良公園の玄関口にふさわしく奈良の強みを生かした
地域活性化につながる事業に取り組んでいただきたいことといった、内容の提案がされたと聞き及んでおります。 県は、提案を真摯に受け止め、本年2月に、両会館の一体的・総合的な活用に関する取組を推進することを目的とした基本協定を
奈良商工会議所との間で締結されました。この基本協定を踏まえ、本年4月に奈良県
中小企業会館等活用検討委員会を設置し、先般、答申が出されたとお聞きいたしております。 この両会館の敷地を一体的に活用すれば、約3千平方メートルの区画となります。奈良公園の玄関口である好立地な場所に、このようなまとまった面積の敷地はなかなかなく、
地域活性化につながる取組を行うには絶好の場所でもあります。ぜひ有効に活用していただけることを願っております。 そこで、知事にお伺いいたします。 奈良県
中小企業会館及び
奈良商工会議所会館について、一体的・総合的な活用を検討しておられますが、その検討の経緯及び今後の取組についてお聞かせいただきたいと思います。 次に、
ガストロノミーツーリズム世界フォーラムについて、知事にお伺いいたします。 本年4月、JNTO(
日本政府観光局)は、往来再開を見据え、世界22市場の
海外旅行経験者を対象として実施した、
訪日旅行意向に関する独自調査の結果を公表いたしました。この調査によりますと、最も多くの
アンケート回答者が海外旅行の主要な目的になると回答した分野は、「
ガストロノミー・美食」で、その市場規模は、推計約1.5億人とのことであります。この調査結果は、食を通してその土地の歴史や文化に触れる
旅行スタイル「
ガストロノミーツーリズム」の推進が、誘客に有効との証左でございます。 かねてより知事は、UNWTO(
国連世界観光機関)が旗振り役として推進している
ガストロノミーツーリズムの考えに賛同され、誘客促進には、食の魅力向上と発信が重要な要素との信念のもと、なら食と農の
魅力創造国際大学校の設立や、今年9月にオープンした
附属セミナーハウスの整備、
ミシュランガイド掲載店のPRなど、奈良の食の振興に取り組んでこられました。 そのような中、いよいよこの12月、UNWTOが主催し、世界各地で開催され、今回で7回目となる
ガストロノミーツーリズム世界フォーラムが、日本で初めて、ここ奈良で開催されます。今月初め、政府は、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止と
社会経済活動の両立を図るため、水際対策をさらに緩和したところであり、今後も感染状況を見極め、さらなる緩和も検討する方針とのことであります。訪日の環境が徐々に緩和されつつある中、世界中の多くの食や観光に携わっている方々が、
ガストロノミーツーリズム世界フォーラム開催を機に、日本、そして奈良への訪問を積極的に検討されることかと思います。 これらの方々の期待に応え、日本、奈良に来てよかったと喜んで帰っていただくためには、充実した会議内容であることはもちろんのこと、開催地として、参加者が満足するおもてなしが欠かせないと考えます。 そこで、知事にお伺いいたします。 日本を代表し、奈良で本年12月に行われる、第7回
UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムの準備状況について、知事の意気込みも含め、お聞かせいただきたいと思います。 次に、まほろば
健康パークの整備について、知事にお伺いいたします。 まほろば
健康パークは、県内で初めてのPFI事業として、平成26年に整備され、今年で8年目を迎え、複数のプールとトレーニングジムなどを備えた
スイムピア奈良のほか、
ファミリープール、
テニスコート等が併設されております。 夏には、
ファミリープールに県内外から多くのご家族がお越しになり、連日歓声が響いていました。また、これから晩秋を迎え冬に向かっていくにつれ、夏のような子どもの歓声は減り、静かな公園へと移りゆくことで、自然に親しむために訪れる子ども連れの家族も多くなります。このような時期、周辺施設において子どもたちが思う存分走り回ったり、ボール遊びなどをしている姿を見ていると、夏とはまた違った姿をこのまほろば
健康パークは見せていると感じております。 思い起こせば、私たちが子どもの頃は、広場さえあれば自由に楽しく遊んでいましたが、今では公園といえども様々な禁止事項があり、子どもたちも、広場があるだけでは思いっ切り遊べる状況ではありません。 このような状況の中で、知事は、まほろば
健康パークに隣接する奈良県
流域下水道センター敷地を活用して、今までにないような子どもの発達段階に応じた遊びや運動が楽しめる施設をはじめ、すべての世代の人々が楽しく過ごせる公園を整備するとの方針を打ち出されました。本年3月末に公表した基本計画では、「みんなが憩い楽しみ、子どもが遊びや運動を通しで成長する公園」という
基本コンセプトが示されております。 さらに、子どもから大人、高齢者や障害のあるなしに関わらず、すべての人が一緒に遊ぶことができる公園整備をされるということを伺うと、どんなものが出来上がるのか非常にわくわくし、まほろば
健康パークの魅力がますます向上するものと大いに期待いたしております。 そこで、知事にお伺いいたします。 まほろば
健康パークの隣接地で計画されている、県営公園初の本格的な子どもの公園整備に向けて、今後どのように進めていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、着任にあたっての所信を
警察本部長にお伺いいたします。 県警察では、日本一安全で安心して暮らせる奈良の実現という運営指針を掲げ、犯罪防止や
交通事故防止を中心とした取組を推進しておられます。 その結果、昨年の
刑法犯認知件数は、戦後のピークであった平成14年の約3万2,000件と比べると、6分の1以下である5,000件余りにまで減少し、戦後最少の件数となったほか、
交通事故死亡者も39人と、戦後3番目に少ない数となりました。本年に入ってからも、
刑法犯認知件数や
交通事故件数は、ほぼ昨年並みで推移しており、県警察の各種活動によって、犯罪や事故の発生を抑え込んでいただいていると認識いたしております。そのご尽力に対しまして、県民の1人として深く感謝しているところでございます。 しかしながら、高齢者が被害者となる特殊詐欺や、子ども・女性など社会的弱者が被害者となる児童虐待や
ストーカー・DV事案は依然として発生しているほか、
サイバー空間上で行われる犯罪の増加も懸念されるところであります。また、交通事故で亡くなられる方の数は昨年に比べて増加傾向にあり、そのうち高齢者の方が占める割合も高い水準で推移していると聞いております。さらに、冒頭でも申し上げましたが、本年7月8日の安倍元
内閣総理大臣に対する銃撃事件の発生は、県民はもとより日本国民全体に対して非常に大きな衝撃と不安を与えました。今後、こうした凶悪な事件を二度と発生させないようにすることはもちろん、先ほど申し上げた様々な治安課題に取り組み、奈良県民の安全・安心を守っていくことは、県警察が果たすべき重要な使命と考えており、県民の期待しているところでもあります。 そこで、
警察本部長にお伺いいたします。 このような厳しい治安情勢の中、日本一安全で安心して暮らせる奈良を実現していくため、奈良県の治安を担う最高責任者として、どのように県警察を運営しようと考えておられるのか、
警察本部長着任にあたっての所信をお伺いしたいと思います。 最後の質問でございます。県の児童生徒の「学ぶ力」「生きる力」のはぐくみについて、教育長にお伺いをしたいと思います。 本県の児童生徒は、これまで学力や体力等に関する全国的な調査の結果において、学力や学習意欲、規範意識、体力や運動習慣等に課題が見られ、議会においても、様々な観点で議論が重ねられてまいりました。また、それらの課題は、県の教育指針である第1期奈良県
教育振興大綱でも取り上げられ、その解決に向けて取組を進めてこられました。特に体力については、昨年度の全国体力・
運動能力調査における体力合計点で、中学校の
男子女子ともに全国平均を上回るなど、ここ数年、児童生徒の体力は、ほぼ全国並みまで向上したと聞いております。 近年の人工知能の普及やインターネットの生活への浸透には目をみはるものがあります。科学技術の発展により、世の中は、今後さらに加速度的に変化していくことが予想され、そこでは、常に新しい未知のことに対応することが求められます。そんな時代を生きる児童生徒には、学校教育において、確かな学力、豊かな人間性、健康、体力、いわゆる知・徳・体をバランスよく育むことが大切だと考えます。 しかし、本年4月19日に実施された、全国学力・学習状況調査では、本県の児童生徒の国語、算数、数学、理科の平均正答率は全国平均よりやや低い結果となっています。また、児童生徒への質問結果からは、チャレンジ精神、物事をやり遂げたときに感じる達成感、規範意識や自尊心等に関する項目や、学習に取り組む態度に関する項目で、全国と比較して、かなり課題が見られる結果となったと聞いております。本県の児童生徒が、学力だけではなく、ペーパーテストではかることができない能力の育みに課題が見られることも、大変危惧いたしております。 現在、本県では、第2期奈良県
教育振興大綱が策定されております。そこで、本県教育が目指す方向性を「学ぶ力」「生きる力」のはぐくみと定めています。物事を知り、理解することに加え、みずから考え探求する「学ぶ力」や、自尊心や利他心、健やかな身体コミュニケーション力を基盤とした「生きる力」を育むことは、本県教育が抱える課題を解決する上で大変重要なことと考えます。そのためにも、学校関係者だけでなく、県内の教育に関わる者すべてが、第2期奈良県
教育振興大綱に基づき、児童生徒一人ひとりに「学ぶ力」「生きる力」をはぐくむ、本人のための教育をより一層推進する必要があると思います。 そこで、教育長にお伺いいたします。 これまでの全国学力・学習状況調査及び全国体力・
運動能力調査の結果を踏まえ、今後、県教育委員会では、「学ぶ力」「生きる力」を育むために、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。お尋ねいたしたいと思います。 以上、9問にわたって質問をさせていただきました。これで壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田国夫) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)22番中野議員からの質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、大
規模広域防災拠点の整備の今後の進め方というご質問でございます。 まず、これまでの経過についてご説明いたします。近い将来、発生が確実視される南海トラフ巨大地震をはじめ、大規模な自然災害に備えて、県では、救助要員の集結、救援物資の集積・配送などに優れた防災機能を有する大
規模広域防災拠点の整備を進めてまいりました。 本拠点の整備は、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期と段階的に進め、Ⅲ期では2,000メートル級の滑走路を整備することとしており、全体で720億円の事業費を見込んでおります。 そのため、本事業の財源として、事業費の100%に充当ができ、その償還額の70%が国からの交付税として措置される緊急防災・減災事業債の本事業への適用と、長期にわたる継続的な支援について、総務省などに要望してまいりましたが、一定のご理解を得ることができております。 この事業を確実に進めるためには、地元の皆様のご理解・ご協力が不可欠でございます。幸いなことに、Ⅰ期・Ⅱ期整備に必要な、五條市阪合部地区における、プレディアゴルフ場の土地の取得について地権者のご協力を得ることができ、6月議会においてご承認いただきましたので、早期の土地取得ができると思っております。 また、国が作成しております、
南海トラフ地震における具体的な
応急対策活動に関する計画の今年6月の改定の際に、ありがたいことに、本県の要望どおり、大規模な
広域防災拠点として位置づけられたところでございます。 これからの進め方についてもご説明を申し上げます。 まず、消防や警察などの関係機関から、平常時を含めて、本拠点の利活用方法について意見を聴取いたしました。併せて、奈良県広域防災に関する懇談会を開催して、有識者から助言いただきました。有識者からは、「整備段階においても、防災拠点として早期に効果が発現できるようにすべき。」との貴重な意見をいただいたところでございます。 それを踏まえまして、整備は3段階で行うこととしていましたが、整備の途中においても利活用できるように、運用の段階を、現状、Ⅰ期、Ⅱ期途中、Ⅱ期、Ⅲ期の5段階に分けることとし、各段階に応じた災害時と平常時の利活用を図ることとしてまいりたいと思っております。例えば、現状のゴルフ場のままでも、災害発生時には速やかにヘリの離着陸やベースキャンプ地等の防災機能を直ちに発揮できるように関係機関と連携して、その具体化に取り組みたいと思っております。併せて、本年度末の地域防災計画の見直しにおきまして、本拠点を
広域防災拠点として、他の4つの奈良県
広域防災拠点に追加して指定することとしたいと思っております。 引き続き、地元の皆様や、国の協力を得て、防災拠点としての早期効果発現を目指して、五條市と緊密に連携し、大
規模広域防災拠点の整備を着実に進めてまいりたいと思います。 次のご質問は、大和平和中央田園都市構想についての進め方でございます。 大和平和中央田園都市構想は、リニア中央新幹線「奈良市附近駅」設置と相まって、近い将来、奈良県を見違えるようによくしていく戦略の大きな柱になります。昨年来、取組を進めております。 今年度は、民間企業の参画を得たコンソーシアム形式の検討会を、これまで3回開催いたしました。 中心のテーマになりますが、1つは、子どものはぐくみに欠かせない就学前教育、また、地域における多様な人材育成・就労促進・再就職支援等を進める地域雇用戦略、また、ウェルネスとスポーツ、といったことでございます。検討会には、川西町、三宅町、田原本町の各町長、国内外の有識者をはじめ、毎回20社を超える民間企業にも参加いただきました。 さらに今後は、民間企業参加による構想の事業化を促すため、まずは、コンソーシアム参加企業が実施する先進的な取組を県が支援することとしており、先般、デジタル活用により、健康増進の実証実験を行う事業者など3者を選定したところでございます。 併せて、磯城郡3町におけるウェルネスタウンや奈良県立大学を核としたスタートアップヴィレッジをテーマとする拠点整備に必要な用地については、現在、用地測量を完了した地区から、順次、不動産鑑定などの作業を進めております。引き続き、早期の用地取得を目指して取り組んでまいりたいと思います。 また、これら拠点の施設整備や拠点を含む周辺の
まちづくりの基本計画策定に向け、民間企業からアイデアを募集いたしましたところ、十数社からご提案をいただきました。こうした民間企業の知見を生かした有益なアイデアを、
まちづくり基本計画に着実に反映していきたいと考えております。 これらの取組を踏まえまして、来月になりますが、県民の皆様にも参加いただけるフォーラムを開催したいと思います。磯城郡3町の各拠点の姿を含む、現在検討中の構想案をお示しして、その後、県議会はじめ関係者のご意見をいただいた上で、今年度内には構想として取りまとめ、将来の姿がより明確になるようにしていきたいと考えております。 引き続き、大和平和中央部における住民の暮らしの向上につながる
まちづくり、大和平野中央田園都市の実現に向け、磯城郡3町との連携のもと、精力的に取組を進めていきたいと考えております。 同じく、
大和平野中央田園都市構想の中で取り組んでおります、
奈良県立大学工学系新学部の設置構想についての取組の質問がございました。 地域の産学官連携の中核となります工学系新学部の設置に向けまして、本年1月に有識者会議を立ち上げ、これまで4回にわたり議論を重ねていただいております。各委員からは、企業との高度な連携体制を構築するとともに、社会人のリカレント教育のニーズにもこたえる観点から、高い研究力及び専門性を有する、大学院の設置が重要であるとの指摘もあります。また、構想実現の中心となる人材の確保が喫緊の重要課題である等のご意見もいただいております。 こうした議論も踏まえまして、県としては、高度な産学官連携を実現する上で、大学院が果たす役割を重視し、学部に先行して、大学院を優先して設置する方向で検討を始めております。また、構想実現の中核を担う人材として、京都大学名誉教授でおられ、元理事・副学長でおられます、産学官連携の豊富な知見をお持ちの小寺秀俊名誉教授に、8月から政策顧問に就任いただいて大活躍していただいているところでございます。 今後はまず、県内の既存施設等を仮キャンパスとして、早ければ令和8年度の大学院の設置を目指すなど、可能な限り早期に大学院を設置し、その後、三宅町におけるスタートアップヴィレッジの完成に合わせて学部を併設したいと考えております。 大学院の設置にあたりましては、優秀な教員・研究者の確保が何より重要でございます。そのために必要な、新たな仕組みを採用することを考えております。例えば、成果に応じたインセンティブ付与などの新たな給与報酬の仕組み、また、他機関との兼業を幅広く認める仕組み、また、定年延長を現在より高く設定する仕組みなどでございます。幅広い年代の優秀な人材が教員・研究者として活躍できる環境の構築を目指しております。 また、このように、産学官連携の中核を担う研究大学としての位置づけが明確になり、大学院の先行設置、柔軟な教員組織編成の在り方など、議論が深まる中で、地域に根づいた特色ある研究、教育を既に確立されております、奈良県立大学との関係が問題になってまいりました。両大学、今の現在の大学と新しい大学院としての関係では、組織としてのミッションや教員の働き方など、必ずしも一致しない部分があると認識されています。そのため、新大学院及び学部については、新たな大学として設置する方向で検討しております。奈良県立大学、奈良県立医科大学、奈良県立工科大学院大学部というイメージでございます。 県全体の発展に資する工学系新大学の設置に向け、引き続き有識者や
県内産業界などとの議論を重ねながら、着実に取り組んでまいりたいと思います。
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会開催についてのご質問がございました。 令和13年の本県での
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会開催に合わせまして、今後は本県の実情を見据えた
スポーツ施設の整備を進めていくことが大変重要だと考えております。 まず、第1種陸上競技場や多機能複合型のアリーナなど、大規模な施設の整備は、県の役割だと考えております。これまでおよそ3年間にわたり、橿原市エリアを対象に検討してまいりました
スポーツ施設の整備構想は、
スポーツ振興はもとより、地域の活性化、中南和の振興につながるものと今も確信しております。そこでこのたび、改めて
県立橿原公苑と橿原市立運動公園の一部を活用した新たなスポーツ拠点の整備について、橿原市との協議を進めることにしております。そのために当面必要な県予算も、今議会に上程をさせていただきました。県と橿原市が知恵を出し合い、おのおのの議会にもしっかりと説明していければと考えております。 これに加えまして、磯城郡においても、健康増進の
まちづくりの核となり、
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会の競技会場としても活用できる
スポーツ施設の整備を検討しております。川西町にはテニスコート、田原本町には球技専用スタジアムなどをその候補として考えております。 また、中野議員お述べのとおり、市町村の
スポーツ施設の整備・活用も、本県の
スポーツ振興にとって重要な要素でございます。特に
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会等の開催に必要とされる施設改修等につきましては、先に開催されました県の事例も参考にしながら、県からの支援を検討しております。
スポーツ施設は、子どもから大人まで、障害のある人もない人も、アスリートから健康志向の方々まで、様々な方々が利用される施設になります。両大会開催後の活用を十分考慮し、県民の皆様が日常的に使いやすく、地域のにぎわいづくりにも役立つ施設整備になるように、引き続き検討を進めたいと思っております。 保育園、幼稚園等における通園バスの
安全管理対策についてのご質問がございました。 昨年、福岡県で発生いたしました、
通園バス園児置き去り死亡事故に引き続き、その後、今月5日に静岡県内で同様の事案が発生したことは、極めて遺憾でございます。亡くなられました園児とそのご家族に謹んでお悔やみを申し上げたく存じます。 中野議員は、日頃から子どもは国の宝であると申されております。保育園などで子どもが安全に過ごせることは、子どものはぐくみの大前提だと考えております。 これまでの対応と現在の対応について申し述べさせていただきます。 県は昨年、福岡県の事故を受けまして、通園バスを運行している保育所等に対し、事故防止・事故発生時対応マニュアルの見直しを要請いたしました。 また同時に、通園バスの運行に係る具体的な安全対策として、運転担当職員に加えまして、園児の対応ができる職員を同乗させること、また、バスを利用する園児名簿と乗降チェック表により乗降確認を行うこと、また、園児がバスを降車した後に車内の座席確認を行うことなどを、保育所等に強く求めたところでございます。 今回、同様の事案が静岡県で発生したことを重く受け止め、この静岡県の事故の翌日、6日になりますが、通園バスの安全管理、事故防止について、保育所等に改めて周知徹底いたしました。 これに加えまして、通園バスを有する保育所、
認定こども園、幼稚園等を対象に、今月から順次、バス送迎の安全管理に関する緊急実地検査を集中的に実施することといたしました。対象となるすべての施設に対して、市町村とも連携を図りつつ、年内にこの検査を完了させたいと考えております。 これからも通園バスの安全管理をはじめ、施設や遊具の安全点検、散歩等園外活動等の安全確保など、子どもの安全対策にきめ細かく取り組んでいく所存でございます。 次のご質問は、奈良県
中小企業会館と
奈良商工会議所会館の活用検討の経緯及び今後の取組についてでございました。 まず、これまでの経緯について申し述べます。中野議員お述べのとおり、
奈良商工会議所からのご提案を受けまして、本年2月に県・商工会議所間で基本協定を締結いたしました。 その後、4月に設置されました、奈良県
中小企業会館等活用検討委員会に対しまして、奈良公園の玄関口にふさわしく、奈良の強みを生かし、
地域活性化につながる両会館の今後の一体的・総合的な活用方針について、諮問いたしました。 当委員会におきましては、7月まで4回にわたり活発な議論をしていただきました。その結果、「奈良県の観光の現状と課題を考慮すると、民間の創意工夫を生かした民設民営で、かつ、継続的な運営が期待できる上質なホテルの設置が望ましい。」との答申を7月29日にいただいたところでございます。 これを受けまして、県と
奈良商工会議所は、上質なホテルの設置に向けての具体的な取組を推進するため、両会館を一体的に民間に売却すること、事業者選定のための諸条件の設定や事業者選定を行う、有識者等で構成する事業者選定委員会を県が設置することなどについて、確認協定を8月29日に締結したところでございます。 この確認協定に基づきまして、今9月定例県議会に、事業者選定委員会の設置に必要な条例改正案を提出するとともに、事業者公募資料の作成業務、奈良県
中小企業会館の不動産鑑定など、事業者選定に向けて必要な経費を補正予算案として計上しているところでございます。 ご議決いただければ、事業者の選定に必要な準備、手続等を進め、来年度春頃に事業者公募、秋頃には優先交渉権者を選定できるよう取組を進め、奈良公園の玄関口にふさわしい良質なホテルの誘致を実現してまいりたいと思っております。
ガストロノミーツーリズム世界フォーラムの準備状況についてのご質問がございました。
ガストロノミーツーリズム世界フォーラムは、本年12月12日から12月15日にかけて開催されます。現在UNWTO本部や観光庁と最終決定に向けた調整を図っているところでございます。 本フォーラムでは、会議テーマ「人と地球のための
ガストロノミーツーリズム」のもと、様々なプログラムが展開されることになります。今月16日には公式ウェブサイトを開設し、参加登録の受付を開始いたしました。 このフォーラムでの奈良県の役割は、満足して滞在いただけるおもてなしが中心となります。会場におきましても、奈良及び日本の食や観光をテーマとしたブース展示も予定しております。 外国人招待者については、国内からも、各国大使ご夫妻での全員招待を予定しております。 海外からの参加者のおもてなしの一環として、関西一円を周遊していただける公共交通パスを提供することとしており、大阪・関西万博をはじめ、様々な機会に日本を再訪問していただく動機づけにつなげたいと思っております。 さらに、地元の盛り上がりも重要と考えております。 メイン会場の奈良県コンベンションセンター周辺等でも、歓迎バナーを掲げるとともに、奈良の食材を味わうことのできる飲食店等を紹介するマップを作成し、参加者に配付いたします。 この
ガストロノミーツーリズム世界フォーラムが、日本、とりわけ奈良の食や歴史・文化の魅力を国内外に発信する場となり、参加者の皆様には満足していただき、忘れがたい経験をお届けできるよう、着実に開催準備を進めてまいりたいと思っております。 次のご質問は、まほろば
健康パークの整備の現状、進め方についてのご質問でございました。 まほろば
健康パークの隣接地において計画を進めております、子どもの公園は、浄化センターの緩衝緑地を活用し、乳幼児から小・中学生までの子どもたちが、発達段階に応じて、遊びや運動を楽しめる施設を中心に、すべての世代の人々が楽しく過ごせる公園を目指しております。 今年度は、昨年に策定いたしました基本計画に基づきまして、具体的な整備内容等について検討を進めています。その中で、整備・運営の手法については、民間活力を最大限に活用することが効果的との考え方から、
スイムピア奈良と同様に、PFIの手法によることとし、民間事業者に要求する整備・運営の考え方を取りまとめたところでございます。 その主なポイントを申し上げます。1つは、公園は「遊び・スポーツのエリア」と「エントランスエリア」の2つで構成いたします。また、この「遊び・スポーツのエリア」には、子どもの発達段階に応じた3つのゾーンを設定いたします。また、各施設の整備規模は、幼稚園や学校単位での利用にも対応できるよう、収容人員を40人~60人規模にしたいと思っております。また、一部の施設を有料といたしますが、子どもたちが利用しやすい、廉価な、安い料金設定にしたいと思っております。また、遊具につきましては、運営事業者が利用者のニーズに応じて適宜更新することも要求したいと思っております。 このような工夫を凝らしたところでございますが、運営にあたって事業者の裁量の範囲を広くするとともに、事業収益が当初の計画を上回った場合、その一部を県へ納付する取組を新しく導入いたします。 今後、これら整備・運営の県の考え方を公表し、広くご意見いただいた上で、事業者公募資料として取りまとめて、来年3月に公募を開始する予定でございます。その後、来年12月には事業契約を締結の上、整備に着手し、令和9年の供用開始を目指して取り組んでまいることになります。 私に対するご質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 安枝
警察本部長。
◎
警察本部長(安枝亮) (登壇)22番中野議員から、私には、奈良県の治安を担う最高責任者として、着任にあたっての所信につきましてのご質問をいただきました。お答え申し上げます。 数多くの貴重な歴史的・文化的遺産を有し、豊かな自然に恵まれた奈良県におきまして、
警察本部長の任に当たることは大変光栄に思いますとともに、身の引き締まる思いでございます。 私は着任にあたりまして、職員に対して、中野議員お述べの、安倍元
内閣総理大臣に対する銃撃事件、これを深く胸に刻み、この事件により傷ついた信頼の回復に向け、全職員が総力を挙げて治安責任を果たしていかなければならない、こういうことを述べました。その道のりは容易ではございませんが、前を向いて地道に誠実に業務を行い、県民の信頼を取り戻していくことが何よりも重要であるというふうに考えております。 また、これまで県警察におきましては、運営指針といたしまして、「日本一安全で安心して暮らせる奈良の実現」を掲げ、治安確保のため、各種活動を推進した結果といたしまして、
刑法犯認知件数や
交通事故件数は減少傾向を示しております。 しかしながら、高額被害の特殊詐欺や、新たな手口によるサイバー犯罪など、件数だけでははかることのできない脅威に直面しております。加えまして、急速に変化する社会に的確に対応していく必要がございますことから、社会構造の変化や、科学技術の進展などを的確に把握した上で、これにあわせて、警察の対応を高度化させるなど、柔軟に適応していくとともに、個別の案件ごとの事情をよく吟味して、新たな目で検討を行い、対策を講じることによりまして、これらの課題に対処していく所存でございます。 県民の皆様はもちろん、奈良県を訪れる多くの方々にも、安全・安心を実感していただけますように、
警察本部長として、
県警察職員と一丸となり、全力を尽くしてまいりますので、警察活動への一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の所信といたします。 以上でございます。
○議長(岩田国夫) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)22番中野議員のご質問にお答えいたします。 私には、本県の子どもの「学ぶ力」「生きる力」を育むための取組についてお尋ねでございます。 本年度設置いたしました、学ぶ力はぐくみ課では、市町村教育委員会との「対話と協働」を通じまして、第2期奈良県
教育振興大綱が目指す、一人ひとりの「学ぶ力」「生きる力」をはぐくむ本人のための教育の実現を目指しております。この8月には、地教委の教育長会議と担当者会議を開催し、全国学力・学習状況調査の結果から、主体的・対話的に学ぶ力を育む授業の必要性を共有し、協力して取り組むことを確認いたしております。 また、「生きる力」を根底から支える子どもの体力は、昨年度の全国体力調査結果を見ると、全国平均並みとなりましたが、現在、学力との関係を調べるため、県内公立小学校の同じ集団となる昨年度の5年生の全国体力調査と、今年度の6年生の全国学力調査との分析を行っているところでございます。 分析結果の一例を申し上げますと、体力テストの平均体力点の下位20%の小学校におきましては、国語の読解力等を測る記述問題の無解答率が、これは全国平均が13.3ポイントでございますけれども、それよりも7.4ポイント高い、20.7ポイントであることが分かっております。体力の向上とともに解答率を上げていくためには、「諦めずに頑張れ」という精神論に頼ったり、子どもにできるできないの結果だけを求める授業では効果がないと思っております。質の高い課題をみずから考え、グループで話合いながら解決に迫っていく、子ども主体の授業の実施が望まれております。 そこで県教育委員会では、子ども主体の授業実践を通して、PISA調査(OECD生徒の学習到達度調査)でございますけれども、このPISA調査で課題となっている読解力の向上に、地教委と協働して取り組んでまいります。現在、大和郡山市教育委員会では、読解力向上
プロジェクト推進委員会を立ち上げ、そこで教材づくりに取り組み、県教育委員会はオブザーバーとして参加いたしております。また、県南部・東部地域においても、読解力の向上を目指した取組を推進したいと考えております。 本県の教育は、子ども本人はもとより、市町村、私立の学校関係者等とも対話を大切に推進をしてまいります。県教育委員会では、知事部局の教育振興課と協力をし、対話のツールとして、教育ジャーナルの発行を現在検討いたしております。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 22番
中野雅史議員。
◆22番(中野雅史) 知事、
警察本部長、教育長、大変的確、丁寧にご答弁いただきまして、ありがとうございます。 再質問はございませんが、ご答弁いただいた中身すべてにおいて、今後の奈良県の骨格を成す、あるいはまた、日本の骨格を成すと言っても過言ではない案件・事業が含まれていると思うわけでございます。どうぞ知事におかれましても、健康に十分に留意されまして、令和5年、6年、7年と、どうぞ奈良県発展のためにご尽力いただきますように、そして、一緒に仕事をさせていただきますようにお願いを申し上げまして、代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) しばらく休憩します。
△午後2時4分休憩 --------------------------------
△午後2時19分再開
○副議長(西川均) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、40番粒谷友示議員に発言を許します。--40番粒谷友示議員。(拍手)
◆40番(粒谷友示) (登壇)議長のお許しをいただきましたので、自民党連合・創生を代表して代表質問を行います。 まず、
新型コロナウイルス感染症への対応について、知事にお伺いいたします。 令和2年1月に、県内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されて以来、既に2年半にわたり、いわゆるコロナ禍が続いています。これまで、合わせて7度にわたる感染拡大の波が押し寄せ、その都度、新規感染者数が増加してまいりました。 これまで本県においては、20万人以上もの方が感染され、残念ながら500名を超える方がお亡くなりになりました。ご遺族の方々には、ここに謹んでお悔やみを申し上げますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。 新型コロナウイルスは変異を繰り返し、本年1月に始まった第6波以降は、オミクロン株が主流となり、現在の第7波においては、その一種であるBA.5系統が主流となってまいりました。オミクロン株は、それまでの株と比べウイルスの特性や感染状況等に大きな変化が見られ、感染された方は、症状の軽い方が多く、重症化リスクも低い傾向にあるとされております。 しかしながら、変異株による感染拡大が繰り返される中、現在、持ち直しつつあるものの、私たちの日常生活とともに、社会活動に多大な影響を与え続けているのが実情であります。
新型コロナウイルス感染症への対処にあたり、本県では、県民の命を守ることが最重点の目標と位置づけられ、何よりも、医療提供体制の整備に力を注いでこられました。感染防止対策等において、科学的根拠を重視され、これまで、県の実情に即した対策がとられてまいりました。 現在の第7波は、新規感染者数、病床の使用率等の指標を見ると、ピークを過ぎたと思われますけれども、今なお、少なくない新規感染者が連日報告されており、まだまだ警戒を緩めることはできません。 一方で、今月26日より、全国一律で新規コロナウイルス感染症の感染者の発生届の取扱いの変更、いわゆる全数把握の見直しが行われる予定となっており、
新型コロナウイルス感染症への対応が大きく変わりつつある状況であります。 そこで、知事にお伺いいたします。 第7波において、オミクロン株のBA.5系統が中心となった感染拡大に続き、今なお高い水準で新規感染者が確認されていますが、県の対応についてお伺いいたします。 次に、企業誘致について知事にお伺いいたします。 奈良県は、長年にわたってベッドタウンとして発展してまいりました。しかし、奈良県の人口は、平成11年をピークに減少に転じております。その要因として、若者の県外流出や社会減が大きなことと挙げられております。 このような課題に対応するためには、県内で働く場所を確保し、地域経済の活性化を図ることが必要であります。 知事が就任された平成19年以来、県は企業誘致が重要であると考え、京奈和自動車道をはじめとしたインフラ整備や、企業立地に係る補助制度の創設など、様々な施策の充実を図り、企業誘致に取り組んでこられました。このような積極的な企業誘致の取組が功を奏して、奈良県の工業立地件数は増加しており、全国順位も大変上昇していると聞いております。 企業誘致を推進することは、県内での雇用の場の確保に加え、税源涵養のためにも非常に重要であると考えております。若者が働きたいと思う企業に来ていただくことが、奈良県経済の好循環につながります。それにより、暮らしやすい奈良となり、人口減少に歯止めがかかることを切に願っているところでございます。 そこで、知事にお伺いいたします。 人口減少に歯止めをかけ、地域経済の活性化を図るには、県が精力的に取り組んでいる企業誘致が重要であると考えますけれども、これまでの実績についてお聞かせください。 次に、学研高山地区第2工区の
まちづくりについてお伺いいたします。 企業誘致が順調に進むと、産業用地の確保が必要となり、県内でのまとまった産業用地は不足ぎみであると聞いております。 そのため、県では、市町村と連携・協働し、まとまった産業用地の確保に取り組んでおられると聞いておりますが、我が生駒市は大阪に近く、アクセスがよいこともあり、企業からの進出希望が多い地域であります。先日の新聞報道でも、学研高山地区第1工区におきまして、NECの施設跡地を利用する事業者が決定し、すべての区画が埋まったとあります。隣接する第2工区につきましても、広大な面積を有し、企業立地に向けて大変ポテンシャルが高いことは論をまちません。 このような中、学研高山地区第2工区については生駒市が目指す
まちづくりの方向性等について、マスタープランという形で取りまとめるなど、
まちづくりを進める動きが始まっています。 先ほども申し上げましたように、私は、ベッドタウンとして発展してきた奈良県にとって、企業立地を推進することは大変重要であり、企業立地に高いポテンシャルを持つ学研高山地区第2工区の
まちづくりは、生駒市のみならず県にとっても非常に有益だと考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 学研高山地区第2工区の
まちづくりについて、今後、県としてどのように関わっていくのか、知事の考え方をお聞かせいただきたいと思います。 次に、県職員の勤務環境の改善について、知事にお伺いいたします。 奈良県においては、平成29年5月に県の職員が自死に至るという事件が発生しました。 この事件に関しては、県に損害賠償を求める訴訟が提起され、その判決が本年5月にありました。判決の内容は、県に損害賠償を命じるものでありました。 この判決の中で、長時間労働に起因する鬱状態を認識したのであれば、当時、所属長が行っていた早期の帰宅の呼びかけ等だけでは不十分である。長時間の残業をさせないための具体的な措置をとるべきであった、との指摘があったとのことです。この判決に対して県は控訴しなかったことから、判決は確定しております。 このことを受け、さきの6月議会において、本件を契機に、職員の健康管理や勤務管理のより一層の改善に努めたい、新たに職員の勤務管理や健康管理の一層の改善のためにより踏み込んだ対策を検討し、取りまとめてまいりたい、との知事の答弁がありました。 県では、これまでから、職員の働き方改革を進め、性別、年齢を問わず、様々なライフイベントの中で、柔軟に働ける職場づくりとして、在宅勤務制度の整備、職員のライフステージなどに合わせた研修の実施といった、働く環境の整備や、職員の心身の健康管理をサポートするシステムの導入、産業医の面接指導といった、健康管理の取組を行っております。 一方、地方公務員全般においても、平成30年の働き方改革関連法成立による、時間外勤務の上限規制制度の導入をはじめ、職員が心身の健康を維持し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら職務に従事できる環境を整備することが求められており、労働安全衛生や勤務環境について求められる水準は、年々高まっております。 そこで知事にお伺いいたします。 県の発展のためにも、職員の働く環境を整えることは重要であり、再発防止も含めて取組を強化していく必要があると考えます。本県においては特に、勤務時間管理や健康管理について、より踏み込んだ対策が必要であると考えておりますけれども、これらについてどのように取組を強化されようとしているのか、お聞きします。 次に、デジタル化の推進について、知事にお伺いいたします。 コロナ禍により、これまでの人口減少・少子高齢化などの構造的課題に加え、社会環境の大幅な変化による同時的、複合的な難局が地方を苦しめております。これらの課題を解決し、さらに成長につなげるには、デジタルを活用することが大変重要になっています。 例えば、ひとり親家庭などを含む子育て家庭が抱える課題は、保育や医療、仕事探し、生活資金の確保等、非常に多岐にわたるものとなっております。住民からすると、これらの課題はみずからの生活に関わる一体的な問題ですが、個々の支援サービスごとに窓口を設置し、いわゆる縦割りでの対応が図られてきました。デジタル化により、支援対象家庭の状況等を総合的に把握するとともに、関係者で共有した上で、スムーズに課題解決に行き着けるよう、サービスの統合化・一体化が進められるのではないでしょうか。 また、病院や福祉施設など、組織ごとにばらばらに記録されている医療や生活のデータを連携させ、住民一人ひとりに最適にカスタマイズされた食生活や運動等のサービスを提供できるとするならば、地域における医療や健康づくりの質を飛躍的に高めることができるでしょう。 さて、奈良県では、荒井知事を本部長とする奈良県地域デジタル化戦略本部会議において、本年3月に、奈良デジタル戦略が策定されました。行政のデジタル化に留まらず、地域のデジタル化を推進するとともに、住民・事業者の利便性を高め、デジタルの力で県民の生活向上を図ることを目的とされております。 住民が解決したい困り事や受けたいサービスを起点に、デジタル活用を進めることは、生産性を高めるだけではなく、県民のウェルビーイングを高めることにつながります。 誰一人取り残すことなく、すべての県民が幸せと豊かさを感じられるデジタル化社会を、私たちの奈良県で実現したいと思います。 そこで知事にお伺いいたします。 社会環境の変化に対応するため、行政や地域のデジタル化をさらに推進することが必要と考えますが、現在の取組状況と今後の方針について、お伺いいたします。 次に、音楽による文化振興について、知事にお伺いいたします。 言うまでもなく、本県には世界遺産をはじめ、豊かな歴史・文化資源があります。また、総務省が令和3年に実施した社会生活基本調査では、芸術・文化を行う県民の割合が全国第5位と高水準にあり、民間の調査では、世帯におけるピアノ保有率が全国1位とも言われております。 これらのことから奈良県は、文化振興を図る上で、非常にポテンシャルの高い地域であり、今後、県経済や地域の活性化を図る観点においても、文化活動の振興は大変重要と考えております。 つい先日も、なら国際映画祭2022が開幕しましたが、このような活動が県内各地で展開されることにより、本県の文化振興がますます盛り上がっていくよう期待しているところでございます。 しかしながら、文化芸術施策の効果発現には時間を要し、また、数量的な効果がはかりにくいこともあり、過去には、道路工事のように目に見える形で効果を生む施策が優先されてきた歴史があります。 本県でも、数十年前ではございますけれども、ある著名な音楽家が提案を出され、奈良県がお断りしたことがございます。その方は、別の県を本拠地として現在活動されることになってしまいました。 私は、文化振興の取組は、県民が心豊かな生活を実現していく上でも不可欠と考えております。長引くコロナ禍の中で、文化活動は、今も県民にやすらぎ・勇気・希望を与え続けております。 県では、荒井県政になり、文化振興施策、とりわけムジークフェストならをはじめ、音楽の振興に力を入れ、取り組んでこられました。また、令和3年には奈良県文化振興条例を制定し、文化の都としての奈良県を創ることを宣言されました。 このような中、昨年、奈良県にとっては大変喜ばしいことがありました。ショパン国際ピアノコンクールで反田恭平さんが2位に入賞され、様々な方面で、奈良県を日本の音楽の都にしたいと語っておられます。世界的な影響力のある反田さんがこのように奈良県を発信されたことは大変ありがたいことでございます。 グローバル化が進展する中、反田さんを中心に、奈良県の文化を世界に発していくことも可能であり、本県にとっては、音楽は非常に発展性がある分野と考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 本県文化の振興を図るため、音楽を活用した文化活動の取組を促進していくべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、なら食と農の
魅力創造国際大学校
附属セミナーハウスについて知事にお伺いいたします。 なら食と農の
魅力創造国際大学校、いわゆるNAFICは、平成28年の開校以来、7年目を迎えましたが、これまで多くの卒業生を輩出し、県内でオーベルジュやレストランを開業されたり、みずから農業をされるなど、各方面で活躍されており、食と農の担い手の育成について、大いに貢献されているところでございます。 そして、さらなるNAFICの教育機能の強化と、NAFICを核とした周辺地域のにぎわいづくりの一環として、かねてより整備されてまいりました、附属施設であるセミナーハウスが、先日、9月1日にオープンを迎えました。 9月3日にはオープン記念イベントが開催され、県内のミシュランガイド掲載レストランのシェフとこだわりの生産者とのトークセッションや、親子スイーツ教室など、大変盛況であったと聞いております。 本県の食と農については、豊かな食材や多様な食文化が息づき、特徴ある農産物や伝統的な加工品など、食と農に関わる様々なポテンシャルを有しており、今後も成長が期待される分野であります。 セミナーハウスを有効活用し、奈良県の食と農を県内外にPRすることは、NAFIC周辺地域の活性化だけではなく、本県の食の振興につながるものと期待しているところでございます。 また、セミナーハウスは、宿泊に対応できるホテル機能を備えており、県内の観光振興にも寄与できる施設ではないかと考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 NAFICの機能強化に加え、食と農の情報発信拠点として、今後、セミナーハウスをどのように活用されていくのか、知事のご所見を伺いたいと思います。 次に、信号機のない横断歩道における歩行者の安全確保について、
警察本部長にお伺いいたします。 先ほど、
警察本部長から、力強い、県民に対するメッセージを頂戴しました。県民130万人の生命財産を守るために、さらなるご活躍をされますよう心からご祈念を申し上げます。よろしくお願いいたします。 JAFが行っております、「信号機のない横断歩道での歩行者横断における車の一時停止の状況全国調査」では、1位が長野県であり、奈良県は、最下位と言われるぐらいの、相当悪い数字に陥っております。 長野県がなぜ一時停止をされるのか。それは小さいときからの子どもの教育にあると聞いております。小学校や幼稚園で、横断歩道では手を挙げる、そんな習慣が根づいているようでございます。そして、その方たちが大人になったら、ドライバーとして、信号機のない横断歩道では一旦停止をする。それが長野県が全国でもトップを取られるということでございます。 私は、昨年の12月議会の代表質問で同じ質問をさせていただきました。なぜ、あえて今回再度するかといいますと、実は今年の春に、私の家の本当にすぐ下のところにある横断歩道で、私の知っている女性が車にひかれました。横断中に事故に遭いました。彼女がもし手を挙げて横断されておれば、こんなことはなかったのかな、そんな思いもいたします。じくじたる思いで今回の質問とさせていただきます。 まず、横断歩道では手を挙げる、そしてドライバーにアイキャッチをする、そして、渡り終えればドライバーに一礼をする。そういうマナーがあってもいいのかな、そんな思いで、昨年の12月に当時の
警察本部長に質問させていただきました。
警察本部長からは、非常にポジティブな答弁をいただきました。新しくお越しいただきました安枝
警察本部長も、どのようなお考えなのかお伺いしたいと思います。 最後でございますが、民間人材の教員への活用について、教育長にお伺いいたします。 情報化・グローバル化が進展する社会においては、社会の変化が加速度を増し、様々な事象がより複雑になることで、先行きを見通すことがますます困難な状況となっております。 そのような中で、学校教育においては、一人ひとりの児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、多様な人々と協働しながら主体的に課題の解決に取り組むことができるよう、その資質・能力を育成することが求められています。 令和2年度から実施されている新学習指導要領では、社会に開かれた教育課程の実現を目指すことが示されております。それを実現するためには、学校教育を学校内だけに閉じ込めておくのではなく、よりよい社会を創るという理念を、学校と社会が共有し、優れた知識や経験等を持つ社会人など、多様な人材を取り入れることで、社会と連携・協働した教育活動を推進し、充実させることが必要であると考えます。 しかし、学校の職員組織は、同じような背景、経験、知識・技能を持った均一的な集団になりがちでございます。児童生徒の興味・関心等もこれまで以上に多様化している中、外部の多様な人材と関わり、外部人材を取り入れた組織になることで、個に応じた学習活動や学習課題に取り組む場が提供されると思います。 このことから、第2期奈良県
教育振興大綱で掲げられている、子どもたち一人ひとりの「学ぶ力」と「生きる力」をはぐくむ本人のための教育と軌を一にするものであります。 とりわけ専門的な知識や技能の習得を目指し、卒業後の進路が社会と直結する専門学科のある高等学校においては、より高度な専門性や実務経験を有する人材の活用が望まれると考えております。 そこで、教育長にお伺いいたします。 多様化する学校教育に対応するためには、優れた知識や経験を有する民間人材を教員として活用していくべきではないかと考えますが、現在の取組状況と今後の方向性についてお聞かせ願いたいと思います。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西川均) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)40番粒谷議員のご質問にお答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、
新型コロナウイルス感染症への県の対応についてでございます。 BA.5系統は感染力は強いものの、重症者の発生や
新型コロナウイルス感染症が直接の死因と認められた方の割合は低いことが分かってきております。毒性が低下した状況でございます。県ではこうした実態も踏まえ、次の4点を中心に取り組んできているところでございます。 1点目でございますが、
新型コロナウイルス感染症に感染された方の入院治療の要否をトリアージし、入院の必要な方に入院していただくことといたしました。そのため、4月には県独自の基準を定めましたが、現在まで支障なく運用しております。 2点目でございますが、治療の場が
新型コロナウイルス感染症対応病床だけでなく、方々に広がってきております。それへの対応になる医療提供の充実でございます。
新型コロナウイルス感染症治療と並行した基礎疾患治療やリハビリ、かかりつけ医での入院・治療、新たな医療機関の参加、自宅等で安心して療養していただく医療の充実、等の取組を多角的に進めてきているところでございます。 3点目でございますが、クラスター対策でございます。感染対策責任者に施設での対策を実践していただくとともに、大規模施設内における個別責任者の配置など、対策を強化しております。 4点目でございますが、ワクチン接種促進のため、広域接種会場を設置し、副反応やメリットなどの情報発信に努めてきましたが、引き続き、接種の加速化を図っていくつもりでございます。また、今月からのオミクロン株対応ワクチンの接種につきましても、着実に準備を進めているところでございます。 また、粒谷議員お述べのように、今月26日より、全国一律で発生届の取扱いが変更されます。65歳以上の方、入院を要する方、重症化リスクがあり
新型コロナウイルス感染症治療薬や酸素投与が必要な方、妊婦、のいずれかに該当する方のみ保健所に発生届を提出すればよいようになります。 今回の国の見直しでは、発生届の対象外となる方に対するアフターケアがおろそかになる懸念があると本県では思っております。本県では、死亡者を出さない、重症化をさせないため、新たに、新型コロナ自宅療養者フォローアップセンターを設置し、医療機関から報告していただいた情報をもとに、健康状態の確認を行うなど、発生届対象外の方も積極的に支援する、県独自の健康管理・フォローアップ体制を整えることとし、アフターケアに万全を期したいと考えております。プッシュ型の積極的な支援、サービスを届けるためには、ご本人の名前と住所、電話番号は欠かせませんので、その分だけは関係者にご報告をいただくことのお願いをしたいと思っております。 今後もウイルスの特性を踏まえた感染防止対策と、安心できる医療提供体制の両立・充実を図ってまいりたいと思っております。 2つ目のご質問でございますが、企業誘致についてでございます。 人口減少に歯止めをかける地域経済の活性化を図るための企業誘致が重要であるというご認識でございますが、私も全く同感でございます。 粒谷議員お述べのとおり、知事就任以来、県経済の活性化、特に県内の雇用創出を重要な課題として、企業誘致に力を注いでまいりました。若者の県外流出が全国でもトップクラスである奈良県におきまして、若者の県内での雇用機会の創出は、キーワードになっていると思います。 これまでの主な取組を申し上げますと、まず、平成19年度から令和3年度までの15年間で5,000社を超える企業への働きかけを行ってまいりましたほか、毎年、東京や大阪でトップセールスを開催し、私みずから参加企業のお考えをお聞きし、また、私自身プレゼンをしてまいりました。 また、工場、研究所などの立地について、本県独自の充実した企業立地促進事業補助金を整備してまいりました。これまでの実績は約80億円~90億円ぐらいまでの実績になっております。 こうした積極的な誘致活動を重ねてきた結果、経済産業省の令和3年の工場立地動向調査におきましては、奈良県の工場立地件数は31件でございますが、これは全国9位、近畿でも2位となっております。平成19年から令和3年までの15年間の合計では、424件の企業誘致を達成し、今後の採用予定も合わせますと、約5,900人の雇用が創出されることとなります。5,900人の新規雇用の意味でございますが、現在、奈良県製造業従業者数は6万1,560人でございます。その約9.6%に当たる、若者を中心とした雇用が、企業立地の促進で達成される見込みになってきております。 これからも、奈良県に立地していただく企業を増やすため、必要な産業用地の確保を図りたいと思っております。希望はまだ続いております。産業用地がまだ足りない状況でございます。引き続き、積極的な誘致活動を行い、子育て、医療充実、福祉の奈良モデルの取組と相まって、働きやすく、就業しやすい奈良県をつくってまいりたいと思います。これまで来られた企業の方には、奈良県は従業員の方々にとって大変魅力のある住みやすい場所だという話を聞いております。 次のご質問は、学研高山地区第2工区のまちづくりについてでございます。 これまでの学研高山地区第2工区の道のりを簡単に、まず申し上げたいと思います。生駒市北部の約288ヘクタールの山林地域に位置する学研高山地区第2工区でございますが、今から28年前、平成6年から、住宅・都市整備公団、現在のUR都市機構により、住宅を建てるための用地買収が開始されました。しかし、社会情勢の変化がありましたので、今から15年前になります、平成19年にUR都市機構が撤退いたしました。その後、土地の荒廃が問題になり、今から6年前になりますが、平成28年に生駒市が全体面積の約6割に当たるUR都市機構所有地を購入された経緯がございます。 そのまちづくりについてでございますが、UR都市機構の撤退後、今から14年前になります、平成20年に、県が
まちづくり計画を生駒市に提案いたしました。当時、市から積極的な姿勢が示されず、事業化を断念するに至りました。このような中、生駒市は、それまでの方針を撤回され、平成28年以降、今後の
まちづくりについての検討を進められ、本年6月に市が目指す
まちづくりの方針をまとめられました。 この方針におきましては、人口減少の進展や多様化する働き方などを踏まえ、産業機能の集積を中心として、都市機能や住機能を配置し、複合的な機能を持つまちを目指す、とされております。 県としては、大阪のベッドタウンとして発展した生駒市がUR都市機構の土地をみずから取得され、将来を見据え、地域の自立を目指した産業中心の
まちづくりにみずから主体的に取り組まれることについて、評価しているところでございます。 また、生駒市からは、県が策定いたしました「関西文化学術研究都市の建設に関する計画」の変更等について相談を受けております。これまでの計画では、学研高山地区第2工区についてUR都市機構が参加した当時の、住宅地を中心とした
まちづくりのままになっております。その変更は県としても必要性を認識しております。 この計画を変更するためにも、生駒市が
まちづくりの検討を、より具体的に示される必要があると考えております。引き続き、生駒市の取組に協力はしてまいりたいと思っております。 県職員の勤務環境の改善についてのご質問がございました。 職員が自死された事件の判決を踏まえ、ご遺族の願いである再発防止に向け、これまでからの取組に加えまして、勤務時間管理や健康管理の向上に向けた一層の取組を速やかに進めていく必要があると考えております。 また、労働力の減少や労働観の変容、社会・テクノロジーが急速に変化する中にあっては、よい人材が集まり、職員がよい仕事をし、ひいては本県のさらなる発展の実現につなげるため、職員が心身とも健康な状態で満足感を持って働くことができる、いわゆるウェルビーイングな労働環境が重要であると思います。 このため、職員の労働環境や人材・組織マネジメントのさらなる改善に向け、より踏み込んだ対策を検討するため、様々な分野の名高い専門家からご意見を伺ってきているところでございます。 有識者のご意見は大変貴重でございました。例えば、「健康は最大の基本的価値であり、長時間労働などで健康が損なわれている職場ではよい仕事はできない。」といった基礎となる理念や、「公務員は公共性の高い職場であるが、公共性の高い職場であっても健康が損なわれてはいけないことを明確にするべき。」といった、様々な角度からの貴重なご意見をいただいてきております。 こうしたご意見を反映した取組を県が率先垂範して実行するとともに、地域全体でウェルビーイングな労働環境が広がることを期待しつつ、条例による理念や施策の体系化の検討も併せて行っているところでございます。 なお、速やかに措置を講ずる必要がある勤務時間管理及び健康管理などに対するご意見を踏まえた取組については、来月の公表に向け、労働安全衛生に関する有識者との会議の中間整理を行っているところでございます。一部の取組については、今議会に提案しております補正予算に計上しております。これらを含め、中間整理として取りまとめた内容については、県議会にもご報告の上、速やかに実行していきたいと考えております。 次は、デジタル化の推進についてのご質問がございました。 本県では、本年3月に「奈良デジタル戦略」を策定し、行政サービスのユーザーであります、住民目線に立ったデジタルによる「できる化」を基本理念として定めました。現在、この目標の実現に向け取組を加速しているところでございます。 具体的な例でございますが、中小企業等の新たな取組を支援する補助金について、来月中にスマートフォンで入力フォームを使った申請が可能となり、大変便利になります。さらに審査におけるチェック時間の短縮化により、迅速な補助金の交付につなげてまいりたいと思います。今後は、他の各種補助金についても、順次デジタル化を図ってまいります。 また、雇用の分野でございますが、オンラインを活用して、直接雇用に結びつくリカレント教育がスタートしました。既に多数の事業者から参加希望があり、現在、事業者とリカレント教育を通じた就職希望者とのマッチングを行っております。リカレント教育と雇用を結びつける新しい仕組みをデジタルを使って実現しようとするものでございます。 今後も、県民の皆様が、デジタルで生活が便利になった、デジタルで事業が成長したと実感していただけますように、さらなる「できる化」を進めてまいりたいと思います。 例えば、粒谷議員ご指摘のように、ひとり親家庭が抱える様々な困り事を把握し、適切な支援につなげるサービスをデジタルで提供いたします。また、南部・東部地域では、自動運転や健康づくり、高齢者の見守り等のデジタルサービスを重点的に展開したいと思います。中小企業等につきましては、金融機関と連携し、デジタルを活用した経営改善を支援したいと思っております。 こうした取組を着実に進めるためには、連携が必要でございます。県と市町村等との連携はとりわけ不可欠でございます。県と39市町村で構成する協議会で、地域デジタル化に向けた共同検討を進めております。また、民間に対しましても、民間の人材や組織との強いネットワークをつくり、外部人材の積極的な登用も始めております。 さらに、地域におけるデジタル社会のビジョンを検討し、そのための原則や重点施策等を盛り込んだ条例についても、年度内の策定を目指し検討を進めたいと思っております。こうしたデジタル分野の体系的な条例はまだ国内に例がありませんが、奈良県が地域からモデルを示せるよう取り組んでまいりたいと思います。 これらの取組を通じて、今後さらに、住民目線に立ったデジタルによる「できる化」を加速してまいります。 次のご質問は、音楽による文化振興についてでございます。 粒谷議員お述べのように、文化は、豊かな人間性や感性、自尊心、創造性を育みます。また、他者に共感する心を通じて他人を尊重する精神や利他心を養うものと思います。さらに、より質の高い経済社会への転換を促す原動力にもなります。 県では、このような「文化の力」により地域の活力を高め、県民の皆様が心豊かに過ごしていただけるよう、様々な取組を展開してまいりました。 音楽について申し上げますと、「音楽で、奈良を元気に」との思いで取り組んでまいりました、ムジークフェストならでございますが、今年で第10回を迎えました。興福寺や金峯山寺での記念講演などが大変好評でございました。また、未来のトップアーティストを目指す子どもたちの県立ジュニアオーケストラも結成から10年を迎えました。県内外の多くの方々が、その演奏を楽しみされております。 また、粒谷議員お述べのように本年2月、反田恭平さんが代表を務めるジャパン・ナショナル・オーケストラ株式会社(JNO)と奈良県は連携協定を締結いたしました。県内学校での反田さんやJNOのメンバーによる楽器指導のほか、文化施設における演奏会など、積極的に展開されており、今後、本県における上質な音楽の裾野が広がる原動力になるものと期待しております。 さらに、施設面でございますが、奈良県文化会館が音楽による文化活動の拠点となりますように「音にこだわる」をコンセプトに、現在、リニューアルの実施設計を進めております。音楽系を軸とした舞台芸術の殿堂として、令和8年度のオープンを目指しております。 このような、ソフト・ハードの両面での取組をさらに充実し、四季を問わず、町中が音楽であふれる奈良県、できれば「音楽の都」奈良県と呼ばれることを目指してまいりたいと考えております。 次のご質問は、なら食と農の
魅力創造国際大学校
附属セミナーハウスの活用についてでございます。 いわゆるNAFICは、平成28年の開校以来、既に145名の卒業生が、食と農の担い手として、オーベルジュやカフェの開業、一流レストランへの就職や県内各地での就農など、様々な分野で活躍されており、大変うれしく思っているところでございます。 NAFIC
附属セミナーハウスは、NAFICの教育機能の強化や、本県の食と農の情報発信機能を持つ新たな施設として、今月1日にオープンいたしました。既に
ガストロノミーツーリズム国内フォーラムや各種団体の会合などにも活用いただいております。 このうち、教育機能の強化に役立つように、安価で利用できる学生用のシングルルームを整備いたしております。学生さんには、1か月、光熱水費を含んで2万5,800円でございます。また、1日の利用にいたしますと1,400円でございます。また、学生以外の方にも部屋に空きがあるときはご利用いただくように検討を始めております。このような、学生ルームにより、遠方から通われる学生の宿泊、これまでできなかった夜間早朝の実習などが可能になります。NAFICの教育力、カリキュラムの充実につながるものと思っております。 また、食と農の情報発信機能につきましては、食と農をテーマにした講演会や、農村体験プログラム等の実施の場となるほか、農村風景が広がるすばらしい奈良の眺望の中、県産食材を使用したメニューを提供することにしておりますが、それによりまして、本県の食と農の魅力のみならず、景観・文化・歴史などのすばらしさを十分に発信できると思っております。例えば、アスペンセミナーや
ガストロノミーツーリズムなどの学術的な会議や、中南部・東部への周遊観光の拠点となるリーズナブルな宿泊施設として、県内外の方々に気軽に利用、活用していただけることと思っております。 また、世界遺産を目指しております、飛鳥・藤原に大変近いところでございます。藤原宮跡が眼下に見下ろせる場所に建っております。観光施設としての有力な施設でございます。ホテル宿泊施設の利用料金も大変廉価でございます。ツインルームがございますが、2名が利用できますが、2名利用されますと、一室の料金が1人3,900円~6,000円と、大変廉価でございます。また、デラックスツインルームは3名まで利用できますが、3名利用されますと、1人4,400円~6,600円と、大変廉価な利用料でございます。 今後、地域の皆様のご協力を得ながら、このNAFIC
附属セミナーハウスを、本県の食と農の振興、中南部・東部地域の魅力の発信拠点として大いに活用してまいりたいと考えているところでございます。 私に対するご質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。
○副議長(西川均) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)40番粒谷議員のご質問にお答えいたします。 私には、学校教育における民間人材の活用の取組と方向性についてのお尋ねでございます。 粒谷議員お述べのとおり、学校の抱える課題が多様化、複雑化する中、これらの課題に適切に対応し、生徒の多様なニーズに積極的に応えるためには、教育内容の充実を図り、特色ある学校づくりをさらに進める必要がございます。そのため、様々な分野を専門とされる方にも学校教育に参画していただき、実学教育を推進する上でも、学校の教育力を高める必要がございます。 県教育委員会が実施する教員採用試験におきましては、高等学校の全教科・科目で社会人特別選考枠を設け、ネイティブ・スピーカーも含め、民間企業等での勤務経験者や博士号等を持つ研究者に対して教員の門戸を開き、積極的に任用いたしております。令和4年度に実施した教員採用試験では9名が受験をし、地理歴史科と福祉科で採用予定の2名が合格いたしております。 これらの人材は、工業科、商業科、国際科など、専門学科のある高等学校を中心に配置いたしております。民間企業での経験や専門的な知識を生かすことで、より実践的で高度な学びにつながるなどの教育効果を上げております。今後も、民間人材を計画的かつ効果的に任用し、教育現場の活性化に努めてまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○副議長(西川均) 安枝
警察本部長。
◎
警察本部長(安枝亮) (登壇)40番粒谷議員から、私には、横断歩道の安全対策につきましてのご質問をいただきました。お答え申し上げます。 県警察といたしましては、横断歩道を横断する歩行者の被害防止を図るため、運転者と歩行者の双方への対策が必要であると認識しております。 このため、県警察では、まず運転者に対して、横断歩行者優先が徹底されるよう、あらゆる媒体を活用した広報啓発活動、運転免許更新時等における教育、横断歩行者妨害違反の交通指導取締りを推進しているところでございます。 また、歩行者に対しましては、県警察で策定いたしました、交通安全標語「合図して ゆずってもらって 笑顔でお礼」といったことなどのもと、シミュレーター等の交通安全教育機材を活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を実施しているところでございます。 さらに、小学生から高齢者まで年齢層に応じた交通安全教室を数多く開催し、広く県民の方々に「自らの安全を守るための交通行動」が浸透、定着するように取組をしているところでございます。 県警察といたしましては、今後もこうした取組を一層推進し、横断歩行者の安全が確保されるように努めてまいる所存でございます。 以上でございます。
○副議長(西川均) 40番粒谷友示議員。
◆40番(粒谷友示) 何点か再質問と要望をさせていただきます。 ちょうど2年前の9月議会において、私も代表質問いたしました。そのときにこの
新型コロナウイルス感染症につきましては、まだ半年ぐらいしかたっておりませんから、どういうものかよく分からない状況でございました。このときに、私も質問するにあたりましては、よく分かりませんので、奈良県立医科大学の笠原教授、奈良県でも非常にお世話になっておりますけれど、私は遠縁に当たりますので、笠原教授に、この
新型コロナウイルス感染症について、どういうものなのかお聞きをして、勉強させていただく機会がございました。奈良県立医科大学の現場にもお邪魔いたしました。 その中で、いろいろな話が出てまいりましたけれども、一番の問題は、高齢者施設でクラスターが発生することが危惧されると。特に医療部門においてもそういうことが起こるので、これがこれからの1つの大きな問題点になるであろうと、このようなご指摘がございました。やはりそのとおり、クラスターが高齢者施設で多発しております。特に今回の第7波におきましても、クラスターが非常に発生した状況になっております。 先ほど、知事からご答弁がありましたが、4つの点について留意されるということがございましたけれど、さらにお聞かせ願いたいのは、このクラスターにつきまして、さらに具体的なお考えをお示しいただきたいと思います。
○副議長(西川均) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 今、奈良県立医科大学の笠原教授の話が出ました。笠原教授は大変優秀な感染症の対策家だと思います。大変お世話になったと思っております。特に笠原教授は、クラスターが発生した現場にみずから行かれて、それを観察して具体的な指導をされておられました。 笠原教授が行かれた現場では、当分、クラスターが二度と発生しない傾向がずっと続いておりました。それは、クラスター発生には、決められたことを確実にやっておれば発生しないことが実証されたものでございます。 特に、当初発生いたしました学校の部活クラスターでございますが、閉じ込められた部屋で着替えをするという従来からのやり方をしていたことが、笠原教授の目で見れば、これはおかしいよと、風通しのいいところで、換気のあるところで着替えをするように指導がございました。そのような指導を忠実に守っていただき、クラスターが再発しない状況が続いておりました。 クラスターが発生した後、改善されるのが通例でございますが、クラスターが発生する前でも、笠原先生の教えを忠実に守って予防的に実行していただきたいと考えております。 そのために、奈良県でクラスターが発生する施設において、火気の責任者と同じように管理責任者を決めていただき、現在、すべての施設での管理責任者が選定されております。 それらの管理責任者に対して笠原教授が、具体的にウェブで指導をするということを実行して、それを着実に実行していただいておれば、クラスターは発生しないわけでございますが、なかなか現場ではそうはいきませんので、いろいろな事由でクラスターが発生した傾向が続いております。 また、その感染者の年齢も、高齢から若年、または乳幼児にもなってきて、発生の主なところが施設から家庭へ移ってきている状況でございます。 また、施設でのクラスター発生の原因になるのは、そこの入居者ではなくて訪問者、あるいは職員、従業員であることが分かってきております。 そのような観点から、特に、施設でできる換気ということを中心に実行していただくために、個別責任者、例えば換気責任者を棟ごとに決めて棟が幾つもあると全体の管理責任者だけでなく、棟ごとの管理責任者を決めていただくことも実行しております。 このような現場での指導をやって、それでもなかなかなくなりませんが、県の全体の発生者数が、隣県と比べてやや抑えぎみであるのは、笠原教授のこのような指導のおかげかと思っているところでございます。
○副議長(西川均) 40番粒谷友示議員。
◆40番(粒谷友示) 知事から、笠原教授をえらくお褒めいただきましたけれども、遠縁に当たるのですけれども、大変うれしい限りでございます。非常に気さくなドクターですので、どんどんと奈良県のシンクタンクとしてお使いいただければありがたいと思います。 それと、先ほどお話ございましたように、いわゆる全数把握につきまして、奈良県は取り入れるということでございます。昨日のテレビでは、滋賀県や京都府など、近畿では全数把握はしないところが増えているけれども、知事は全数把握をするということで、いわゆるアフターフォローをするために必要であるというご認識でございます。大変結構なことだと思いますので、さらなる対応をよろしくお願いしたいと思います。 次に、先ほど、企業誘致につきまして、人口減少問題が大変行政の課題である。その中で、企業誘致は非常に有効でありまして、税と雇用を生むということで。大変、奈良県も、先ほどお聞きしたように、非常にトップセールスを含めてご努力いただいているということで、高く評価をするものでございます。 私の知人ですけれども、県外から奈良県にお越しいただいた企業の経営者の方とお話しすることがございました。何で奈良県に来られたのですかということを聞きますと、奈良県は安全だと、風水害について一番安全な県であるということをおっしゃいました。何でやねんいうたら、奈良県には1300年前の木造建築が現存している。地震や風水害に強い県である。それがまず条件だということで、お越しいただいたそうでございます。ただし、奈良県で適切な土地を確保するには大変苦労したと。マッチングするのになかなかいい土地がなかったということをおっしゃいました。 先ほど知事から、企業誘致はまだまだたくさんお越しいただくんだけれども、土地が少ないのだということをおっしゃいました。そういう意味では、私は、学研高山地区第2工区につきましては、企業誘致にとっては、うってつけの土地でございます。過去のお話もされましたけれども、全く私も、前生駒市長については怒りを覚える状況でございましたけれども、今の生駒市長はこの事業については、非常に積極的に取り組んでおられます。 今後、やはり生駒市からいろいろな要請もあろうかと思います。県の協力なくしてこの事業は成り立ちませんので、ぜひとも生駒市に対していろいろなご要望がございましたら、積極果敢に協力方を私からもよろしくお願いしておきたいと思います。 次に、音楽に対する反田さんの文化活動につきましてですけれども、先ほど、以前に、奈良県が有名な音楽家の要望に応えなかった、こう申し上げましたけれども、それは小澤征爾さんです。その当時、小澤征爾さんは奈良県に音楽のイベントを持ち込まれたのですけれども、奈良県がそのときに受けなかったということを聞いております。その後、小澤さんは、長野県に行かれまして、フェスティバルを開催されておりまして、世界的な有名なアーティストを呼んで非常に盛況にされております。大変残念な思いがいたします。 やはり、今回の反田さんのようにすばらしい音楽家が奈良県にお越しいただいて、そして奈良県を盛り立ててあげようということであるならば、ぜひこの反田さんの関係するJNOとの連携をさらに密にしていく必要があろうかと思いますけれども、その点について、知事のご所見を伺いたいと思います。
○副議長(西川均) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) 今、粒谷議員がおっしゃいました、大分古い話でございますが、小澤征爾さんが、奈良県で、サイトウ・キネン・フェスティバルとか、学校をつくりたいということを申し入れられたことがあると聞いております。上田知事の時代であったと思います。伝え聞くところによりますと、小澤さんはオペラハウスを造ってほしいということで、オペラハウスは少し豪華で予算的にも大変だから、上田知事がお断りになったという話で、定かでございませんが、伝え聞いております。その後、滋賀県にはオペラハウスができましたので、あるいは文化会館がオペラハウス化されていれば、今、奈良県文化会館の改修もなくて、改修ぐらいはしなければいけないかもしれませんが、施設の充実にはよかったのかと、冗談めいて思い出すところでございます。 物は考えようと私自身は思っておりますが、小澤さんが奈良県で活動されないかわりに、今、反田さんが来られております。反田さんは、オペラハウスのようなものは要求されておりませんし、ピアノでございますので、それの刺激も受けて、今の文化会館を音楽の殿堂にしようということに弾みがついたわけでございます。文化会館をそのような音楽中心の会館にしようということを検討しているところに反田さんがあらわれましたので、さらに弾みをつけて、充実した音楽の殿堂にしようと。ジュニアオーケストラも練習できるようにしよう、あるいは、反田さんのJNOが練習されるときには、その中でいつも、常時練習場所をつくろうと、そういう構想、楽しい話が進んでおります。反田さんが現れて、音楽の1つの拠点になる、JNO自身が奈良を拠点にしていただいていますので、このような施設整備と相まつのとともに、音楽活動、JNOが活動している場をつくっていただくということができると思います。 音楽の会館だけではなしに、中にオペラハウスというような、施設の中でなしに、外のオペラハウスというようなこともございます。かつて、大極殿の前で、さわかみオペラ芸術振興財団が来られて、トゥーランドットというすばらしいオペラをされました。来年の5月には法隆寺の境内で、吟遊詩人という、大変質の高いボローニャの音楽団が合唱団を数十名連れて来られます。外で、世界遺産の社寺という、得難いオペラハウス代わりもございますので、天候に左右されるところもあるのでございますけれども、奈良の世界遺産の前でオペラを行う、あるいはかつて、ホセ・カレーラスが法隆寺に来たこともございますので、そのような場所が提供できるのは、奈良のいいところでございます。 粒谷議員がるるお述べになりますように、文化と世界遺産、文化資源というのは、大変結びつく場でございますので、そのような活動は、奈良の有り難い資源と考えて、文化の力を、音楽だけではないと思いますが、機会を設けてイベントを展開する、あるいは屋内の施設を整備することを、この際、弾みをつけてやっていければと思います。反田さんが奈良に来て活動することは大きな弾みになっていることは間違いございませんので、奈良の、むしろ文化の伝道者という位置づけで協力して進めてまいりたいと思っているところでございます。
○副議長(西川均) 40番粒谷友示議員。
◆40番(粒谷友示) 今、知事から、いろいろと楽しいお話をいただきました。奈良を音楽のあふれるまちにしたいということでございます。しかも、世界遺産とともに音楽を広げるという。 過去に私自身、薬師寺さんで、ボランティアでお手伝いをしておりまして、そこで奉納ということで、いろいろアーティストが来られていました。例えば、女子十二楽坊でありますとか、片岡仁左衛門さんもご奉納されましたし、この秋の夜長に、東塔をバックグラウンドにしながら喜多郎さんのシンセサイザーが演奏されました。これはやはり奈良にとって最高の音楽イベントでございました。法隆寺さんやあるいは大極殿でも、音楽のアーティストとともになさるということですから、本当に奈良県中を上げて、いろいろなところで世界遺産とともにコラボするということ。反田さんにもいろいろご指導いただきながらですけれども、やることについては、大変楽しい夢があるのではないかと思います。 それには、少々のやはりハード面の整備も必要でございます。奈良県文化会館も、音響はかなりいいようでございますので、反田さんに気に入っていただけるような、そんなハード面の整備もぜひともしていただくと同時に、特に小さな子どもさんたちが、音楽で情緒教育に大変熱心でございまして、わが生駒市においても、小学生は金管バンド、中学生は吹奏楽部というのがありまして、全国でトップレベルでございます。また、奈良フィルハーモニー管弦楽団ともコラボしながら演奏もされておりますので、本当に奈良県中で音楽のまちと、そのようなまちになれば大変楽しいと思いをしております。ぜひとも頑張っていただきたいと思います。 次に、食と農ということでございますけれども、これは、私自身も要望するのですけれど、特に奈良県はうまいもんなしということを、昔、志賀直哉に言われたことがありますけれども、以来知事も、食について非常に一生懸命頑張っていただいて、おいしい店をということで、おつくりいただきました。 観光と食と経済というのは非常に結びつくという思いがあるのです。1つは、先般も私見たのですけれども、バームクーヘンで有名なクラブハリエというのが近江八幡にあります。このラコリーナ近江八幡というのは、年間に300万人の観光客がお越しになるようでございます。また、三田にあります小山ロール、パティシエのエスコヤマさん。ここの売上げというのは年間に15億円だそうでございます。 スイーツといえども、されどスイーツであります。15億円といいますと、奈良県の平群の小菊の生産が大体15億円です。奈良県の有名な月ヶ瀬のお茶で大体15億円の売上げです。となれば、このケーキですら15億円の売上げという経済効果があるわけです。しかも観光で300万人の観光客が近江八幡にお越しになっている。特に食の殿堂というのでしょうか、食に力を入れることは非常に重要なことだと思いますので、今後さらに、食と農の分野においても、ご活躍いただきますようにお願いを申し上げます。それにつきましては、また、今度予算審査特別委員会に入りますので、またそこで深掘りさせいただきますので、代表質問はこれで終わります。ありがとうざいます。
○副議長(西川均) しばらく休憩します。
△午後3時28分休憩 --------------------------------
△午後3時45分再開
○議長(岩田国夫) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、36番小泉米造議員に発言を許します。--36番小泉米造議員。(拍手)
◆36番(小泉米造) (登壇)岩田議長のお許しを得ましたので、自民党倭を代表いたしまして、私、小泉米造が質問を行います。 代表質問3番目でございますので、皆様方には大変お疲れでしょうから、お付き合いのほどをよろしくお願いを申し上げたいと思います。 質問に入らせていただく前に、一言申し上げたいと思います。 私たちは、8月25日に、新しく、会派、自民党倭を立ち上げました。新たに結成した自民党倭の名称について、なぜ倭にしたのかについて、申し上げたいと思います。 倭の名は、元は、現在の天理市付近の地名であり、日本のはじまりの国名であります。飛鳥時代の707年、第43代天皇である元明天皇のときに、国名は2文字を用いることが定められたため、今までの倭から、平和の和に、大の字を冠して、大和となりました。 倭は国のまほろばとうたわれていますが、倭はすばらしいところ、ということであります。私たち6名もすばらしい奈良県になるように頑張っていこうと決意をし、倭という名の会派を結成した次第であります。引き続き、皆様方のご理解をいただけますよう、よろしくお願いいたしたいと思います。 去る7月8日に、安倍晋三元
内閣総理大臣が、奈良市の
近鉄大和西大寺駅前において、
参議院議員選挙の応援演説中に銃撃され、お亡くなりになりました。2か月が経過した今も、なお、事件の衝撃は収まることなく、事件現場には追悼に訪れる方がおられます。 豊富な経験と卓越した政治手腕により、これからもご活躍が期待されていただけに、あまりにも突然の出来事で誠に残念でなりません。 安倍元
内閣総理大臣は、憲政史上、最も長く政権を担われ、強いリーダーシップと実行力により、内政・外交の両面にわたり、我が国の発展にご尽力されました。 ここに生前の大きなご功績に敬意を表しますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。 さて、荒井知事におかれましては、平成19年の就任以来、地域の自立を図り、くらしやすい奈良を創ることを県政の目指すべき姿として、その実現に向け、全力で取り組んでこられました。 医療分野では、総合医療センターの整備や、がん対策などの健康寿命日本一に向けた取組に積極的に取り組まれ、教育分野では高等学校等への空調整備や耐震化の推進などのほか、奈良県
教育振興大綱の策定によるライフステージ全般における教育の充実などに取り組まれました。 このような成果に加え、15年後に迫りました、リニア中央新幹線の全線開業に向け、奈良市附近駅の早期確定と、大
規模広域防災拠点の整備、リニア中央新幹線・関西国際空港接続線の
プロジェクトを進めるとともに、
大和平野中央田園都市構想の実現や、京奈和自動車道の全線開通、中央卸売市場の再整備などに向けて取り組まれておられます。 これまでの荒井知事の成果は多岐にわたりますが、地域の自立を図り、くらしやすい奈良を創るために、引き続き積極果敢に取り組んでいただくことを期待しております。 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。 まず初めに、リニア中央新幹線について、知事にお伺いいたします。 リニア中央新幹線については、現在、建設・営業主体であるJR東海により、東京・名古屋間の工事が進められており、本県区間を含む名古屋・大阪間については、国の財政投融資資金を活用することで、当初計画から8年前倒しした2037年に開業することとされております。 リニア中央新幹線の整備・開業は、本県経済の活性化、また、数多くの魅力的な観光資源を有する本県のさらなる観光振興に大きなインパクトが期待できる事業であります。 このリニア中央新幹線について、本年6月に政府が閣議決定した骨太の方針では、建設主体が2023年から名古屋・大阪間の環境影響評価に着手できるよう、沿線自治体と連携して必要な指導、支援を行うと記載されました。来年からの環境影響評価に向けて、国が明確な方針を示したことは、大きな動きであると考えます。 同じく6月には、岸田
内閣総理大臣から荒井知事に対し、駅、そしてルートの決定に向けて、強いリーダーシップを発揮していただければと、直接のご要請があったと伺っております。 このように、リニア中央新幹線事業をめぐる動きが最近活発になってきていると感じております。 また、直近では、今年6日、三重県で荒井知事をはじめ、名古屋以西の3府県関係者の参加のもと、三重・奈良・大阪リニア中央新幹線建設促進大会が開催され、2023年の名古屋・大阪間の環境影響評価の着手、そして、一日も早い全線開業の実現に向け、一丸となって強力に働きかけていくことを盛り込んだ決議が、採択されたと聞いております。 来年、環境影響評価の手続が開始されれば、いよいよ奈良市附近駅の位置とルートが決定することになります。そういった意味で、これからがまさに重要な時期であります。 岸田
内閣総理大臣からのご要請にもあったとおり、私といたしましても、これからのプロセスにおける荒井知事の強いリーダーシップに期待するところであります。 その際、リニア中央新幹線の中間駅として設置され、新しい時代の奈良の玄関口となる奈良市附近駅については、県内各地域を結ぶ高い交通結節性を有すること、また、これらのさらなる地域づくりの拠点になることなど、様々な観点を重視しながら、検討を進めていただきたいと考えています。 そこで、知事にお伺いいたします。 リニア中央新幹線に係る動きが活発になってきた中、奈良市附近駅の位置・県内ルートの決定に向け、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 また知事は、3か所を重点の候補と述べられていますが、奈良市附近駅が設置されることは、駅周辺の
まちづくりのみならず、紀伊半島全体にわたる公益的な活性化にもつながると期待されているところであります。この点についても、知事の所見をお聞かせください。 次に、ヤングケアラーについて知事にお伺いいたします。 ヤングケアラーは、本来、大人が担う家庭の介護や世話などを日常的に行っていることで、子ども自身がやりたいことをできないなど、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、自分自身の育ちや学業に影響を受けている18歳未満の子どもであります。 ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、家庭の状況を知られたくない、知られることが恥ずかしいという思いや、家族をケアすることは当然という気持ちによって、自分自身がヤングケアラーである自覚がないことなどから、周囲の人たちに伝わりづらく表面化しにくい特徴があります。 国においては、令和4年度から6年度をヤングケアラー認知度向上集中取組期間として、支援の取組が動き出しております。 この国の動きに先立ち、私は、昨年6月にも、本会議でヤングケアラーについて質問いたしました。1年が経過し、新聞報道やテレビ番組に取り上げられることも多くなり、ヤングケアラーに対する世間の注目度は高まってきておりますが、支援体制がまだまだ十分とは言えないのではないでしょうか。 県教育委員会では、本年6月に県内の公立中学校と公立高校の全生徒を対象に、ヤングケアラーの実態調査を実施されました。ヤングケアラーについては、聞いたことがあり、内容を知っている、と回答した生徒は、中学生で20.3%、高校生で32.1%でした。 また、家事や家庭の世話を日常的に行っている生徒のうち、その頻度が週3日以上である生徒は、中学生では8.8%の2,289人、高校生では7.4%の1,130人がおられ、そのうち平日3時間以上、世話をしている生徒は、中学生が207人、高校生が100人でございました。 そのうち、家事や家族の世話を行っていることに対して、身体的にきつい、時間的に余裕がない、精神的にきついなど、何らかのきつさを感じていると回答した割合は、中学生で38.2%、高校生で42%となっています。 今現在ヤングケアラーではない子どもであっても、家族が病気や不慮の事故に遭われて急に介護や世話が必要になるなど、家庭環境の変化により、突然ヤングケアラーになる可能性は誰にでもあります。 ヤングケアラーが孤立せず、誰かに頼ってもいいと思えるような社会にしていくためには、周りにいる方々がヤングケアラーの置かれている状況を理解し、その気持ちを尊重できる正しい知識を身につけていくことが大切であります。 そのために県の役割として、ヤングケアラーについての理解が広がるよう、認知度を高めていくことが必要ではないでしょうか。 また、実際の支援にあたっては、子どもや家庭に関わる機会のある周囲の支援者が、密接に情報共有や連携を図りながら、切れ目ない包括的な支援を行っていく必要があると考えます。 そこで知事に伺います。 県はヤングケアラーについて、これまでのどのような取組を行ってこられたのか、また、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、お尋ねしておきます。 次に、がん対策の現状と今後の取組について、知事にお伺いいたします。 奈良県議会では、会派の垣根を越えて、全議員が所属する奈良県議会がん対策推進議員連盟を結成し、がん対策の現状や患者の声を踏まえて、県のがん対策に対して積極的な提案を行ってまいりました。私自身も、連盟の会長として、がん対策に取り組んでまいった次第であります。 そのような中、昨年11月、奈良県のホスピスとがん医療をすすめる会顧問の馬詰眞一郎氏が逝去されました。106歳でありました。馬詰さんは85歳で勤務先を退職後、がん患者のためのホスピス、すなわち、緩和ケア病床の設立を目的として、同志を募り、平成14年には奈良県のホスピスとがん医療をすすめる会の前身組織を設立し、会長として勉強会や署名活動を実践され、平成17年、国保中央病院に県内初の緩和ケア病床開設につなげられました。 その後も、奈良県がん対策推進協議会の委員を務めるなど、お亡くなりになるまで、がん対策に係る提案を、関係者やメディアに向けて発信を続けてこられたわけであります。氏は晩年、奈良県立医科大学の移転後跡地など、県南部からもアクセスしやすい緩和ケア病床の設置を訴えておられました。 平成29年7月には、県議会において、県立医科大学附属病院に緩和ケア病床の設置を求める請願が採択されたところであり、緩和ケア病床の拡充を含め、がんと診断されたときからの緩和ケアを提供できる体制に、引き続き取り組まれるよう要請いたしたいと思います。 とりわけ、県立医科大学附属病院に緩和ケア病床を設置されるよう、併せて要望しておきたいと思います。 さて、荒井知事は就任後、がんで亡くならない県日本一を目指し、積極的にがん対策に取り組んでこられました。 平成30年3月に策定された、第3期奈良県がん対策推進計画を見てみましても、がんの75歳未満年齢調整死亡率を平成27年から令和9年にかけて27%減少させる目標を掲げ、その実現のために、予防・早期発見、がん医療の充実、がん患者等への支援等、柱立てのもと、系統立てた取組を進めてこられました。 そして、奈良県のがん死亡率は、知事就任直前は全国34位であったものが、就任後の15年間で大幅に低下し、令和2年度は全国7位。がん死亡率の減少率は31.8%と、全国一を記録していると聞いております。 第3期奈良県がん対策推進計画については、令和6年3月に計画の終期を迎えることから、次期計画の策定が喫緊の課題となっています。 私は、近年のがん死亡率の低下には、がん検診の受診率向上により、がんが早期発見される割合が高まっているのではないか、そして、その背景として、市町村におけるがん検診の受診勧奨が効果を現してきているのではないかと想像するのですが、次期計画を実効性のあるものとするためには、現行計画が、がん死亡率の大きな低下という成果にどのように作用したのか、しっかり分析・評価することが不可欠であり、その上で、がん政策の最新の動向を見ながら、足りない分を補い、また、がん患者や医療従事者等、各主体の納得が得られる内容としなければなりません。 その点において、私はとりわけ、予防・早期発見と、がん医療の充実は、次期計画の柱立ての根幹であると考えております。 予防・早期発見についてですが、今やがんは早期発見し、治療を行えば8割が治る時代となりました。しかし、早期発見につなげるためには、県民にがん検診を受けるという意識を醸成する必要がございます。 奈良県議会がん対策推進議員連盟としましても、毎年10月10日の奈良県がんと向き合う日に街頭啓発を行うなど、県と協力して、がん検診受診の普及啓発に努めてまいりました。また、がん患者団体による取組も盛んになってきております。 私の地元、大和郡山市においても、乳がん患者団体、あけぼの奈良の主催により、10月10日、大和郡山城の天守台をピンクにライトアップし、乳がんや、その予防・早期発見の啓発を行うイベントが開催される予定であります。次期計画策定に向け、予防・早期発見に向けた取組のさらなる充実が必要と考えています。 また、がん議論の充実については、がんゲノム医療が近年大きな注目を集めています。がん治療は、手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせた標準治療を行うことが優先されますが、標準治療がない種類のがんに罹患された方や、標準治療が終了したがん患者の方々にとっては、がんゲノム医療により最適な治療薬が早く見つかる可能性が高くなると言われています。本県においても、相談から検査、治療までを県内で完結できる医療体制が早期に整備されることを期待しております。 そこで知事に伺います。 がんで亡くならない県日本一を目標としてがん対策に取り組まれている中、令和6年3月に「第3期奈良県がん対策推進計画」の終期を迎えますが、第4期計画策定に向けた検討の方向についてお尋ねをしたいと思います。 また、奈良県立医科大学を中心として、がんゲノム医療に取り組んでいただいておりますが、現在の取組状況についてお尋ねいたしたいと思います。 次に、健康寿命日本一について、知事にお伺いをしたいと思います。 県においては、健康・医療・介護などの関連施設を総合的かつ統一的に推進するため、複数の関連する計画に横串を刺す形での計画として、なら健康寿命基本計画を平成25年度に策定をされ、10年後である令和4年度までに、男女ともに健康寿命を日本一にすることを目標に掲げ、様々な取組を行ってこられました。 最近の取組といたしましては、県が磯城郡の三町と協働して進めている
大和平野中央田園都市構想があり、ウェルネスに関するテーマなど、健康長寿の大和平野創造の分野についても検討を深めていると伺っております。 その中で、川西町・田原本町とは、ウェルネスタウンをテーマとした
まちづくりに取り組むとされています。 今後、これらの取組が大きく実を結び、県が目指す健康寿命日本一につながることを期待するところであります。 また、健康寿命の延伸に寄与する取組といたしましては、特に、1、減塩・野菜摂取の促進、2、運動・身体活動、3、たばこ対策、4、がん検診受診に重点を置き、取組を進めてこられたと認識しております。 その結果、本県の健康寿命は、計画策定時の平成25年に、男性17.67年で全国13位、女性20.26年で全国41位であったところが、令和2年度には、男性19.01年で全国3位、女性21.52年で全国25位と大きく改善しているところであります。 しかしながら、当初の目標である日本一となるには、引き続きの取組が必要かと思われます。 県において毎年実施されている、なら健康長寿基礎調査によると、1日30分以上の運動を週2日以上している人の割合は、令和元年まで堅調に増加の傾向を示していましたが、
新型コロナウイルス感染症が発生した令和2年には、50%を割り込んで減少するなど、令和2年1月から続いている
新型コロナウイルス感染症による県民の健康への影響も懸念されているところであります。 このような状況に鑑みると、今後も県民一丸となって健康づくりに取り組むことが必要と考えます。 そこで、知事にお伺いしておきます。 奈良県が目標に掲げる健康寿命日本一を達成するため、効果的な取組が必要と考えますが、これまでの成果と今後の県の取組についてお聞かせください。 次に、本県のGIGAスクール環境下における、体育授業の充実について、教育長にお尋ねいたします。 小中学校の学習指導要領は、平成30年から先行実施期間に入り、小学校が令和2年度から、中学校が令和3年度から全面実施になりました。 新学習指導要領において、学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実について明記され、本県では、
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、1人1台端末の整備が前倒しされ、県内の小中学校で、昨年度より1人1台端末の本格的な活用が始まったと聞いております。 しかし、現在の学校現場では、
新型コロナウイルス感染症への対応と、ICT端末の利用活用を同時に求められているという、大変苛酷な状況になっているのではないでしょうか。 教員の働き方改革が進められる中、未曽有の事態への臨機応変な対応と、新しい知識や技術を身につけ活用する、そして、児童生徒に活用させる指導を求めるというのは、教員にとって負担が大きく、働き方改革と逆行しているように感じている次第であります。 スポーツ庁は
新型コロナウイルス感染症の感染拡大等により、様々な活動が制限される中、子どもたちが運動やスポーツに親しむことができるようにするために、体育の授業において、運動の多様な楽しみ方を共有し、運動が苦手な子どもをはじめ、すべての子どもにできる喜びを味わわせていくことを求めております。 そのためには、ICT端末の利活用が必要であり、令和の日本型学校体育を実現するためには、従来の体育授業の在り方をそのまま引き継ぐだけでは不可能であると考えております。 これまでの体育授業では、運動ができるようになったり、心身の成長や健康な生活等に関する知識を身につけたりするために、実際に何度も繰り返し練習したり、教室で黒板を使って教えられたりすることを、そのまま暗記したりすることが少なくなかったと聞いております。このままでは、個別最適な学びと協働的な学びを実現するのは、難しいのではないでしょうか。 今現在の体育授業において、ICT端末を早い時期から使ったり、もともとICTに長けていたりする教員が指導する学級と、ICT端末の操作自体が苦手な教員が指導する学級で差が出ているのではないだろうかと心配いたしております。 そして、この状況を看過すると、今後ますます教員の利活用能力によって児童生徒の学びに影響が出ることを大変危惧しております。 そこで教育長に伺います。 県内の小中学校に1人1台端末の整備が行われ、昨年度より、本格的に活用が始まったと認識しております。学校の体育授業においても、個々の能力に適した指導を充実するために、1人1台端末を活用した授業の展開が必要と考えますが、県教育委員会として、県内の小中学校等にどのような支援を行おうとしているのか。そしてまた、考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。 最後になりましたが、中央卸売市場の再整備について要望しておきたいと思います。 中央卸売市場の再整備にあたっては、老朽化した市場施設の高機能化や効率化だけでなく、新鮮な食を扱う卸売市場の特性を生かしたフードホールやマルシェ、佐保川に隣接した河川テラスなど、華やかでにぎわいのある複合拠点の整備を目指して取り組んでおられます。 中央卸売市場の再整備に合わせてにぎわいを創出するという方針については、私も大いに賛同するところであります。 私も先頃、中央卸売市場で開かれました、開設45周年記念の感謝祭に参加いたしました。コロナ禍による入場制限の中、市場の新鮮な食を目当てに1万人を超える方々が来場され、食事や買物を楽しむ親子連れの姿や、接客をされる市場関係者で活気のある市場を目の当たりにしました。より一層、市場再整備を成功させていただきたいとの思いを強くしたところであります。 せんだっての2月議会におきまして、私の質問に対しまして、市場の持つ魅力を十分に生かし、にぎわい創出に向け、市場の再整備事業を着実に推進していく旨のご答弁をいただきました。 本年4月には、市場再整備についてのアイデア募集を実施し、現在は民間事業者から提案のあった内容を県において整理検討していると聞いております。 中央卸売市場が、新たなにぎわいづくりの拠点として、一日も早い整備に着手できますよう、民間事業者の提案や知恵も真摯に検証いただき、具体的な整備方法や要件となる実施方針、施設整備の要求水準等の策定を進めていただくよう要望しておきます。 また、中央卸売市場は、北側には国道25号、すぐ南側には西名阪自動車道が走り、南北には京奈和自動車道の整備が進むなど、主要道路の結節点に位置しております。周辺には法隆寺など斑鳩の文化財、先頃オープンしました、なら歴史芸術文化村もあり、佐保川沿いの京奈和自転車道は、まほろば
健康パークにもつながっております。 これらの施設との連携は、さらなるにぎわいを生み出すことも期待できると考えておりますので、この点についても十分検討を進めていただきますことを強く要望しておきたいと思います。 以上で、壇上からの質問を終わります。長らくの間のご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田国夫) 荒井知事。
◎知事(荒井正吾) (登壇)36番小泉議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問は、リニア中央新幹線、今後の取組方ということでございます。 リニア中央新幹線の整備は、これまで国土軸から外れてまいりました奈良県の活性化につながる国家
プロジェクトでございます。本県にとって大きな飛躍のチャンスだと思っております。 私はこれまで、15年後の2037年に全線が開業できるよう、名古屋・大阪間の環境影響評価手続を速やかに開始していただきたいと、繰り返しJR東海及び中央に要望してまいりました。 こうした中、今年になって大きな転機が訪れました。まず、6月に閣議決定されました「骨太の方針」に、来年の「2023年から、名古屋・大阪間の環境影響評価に着手できるよう、沿線自治体と連携して、必要な指導、支援を行う。」と国の方針が初めて明記されたところでございます。 また、岸田
内閣総理大臣からも、駅とルートの決定に向けて、知事が強いリーダーシップを発揮してほしい旨のご要望を直接いただきました。大きな変化であると思います。 リニア中央新幹線の駅位置やルートを最終的に決定するのは、事業主体でありますJR東海でございますが、このような姿勢を国が示されたことで、決定までのプロセスにおいて、地方の関与がより重要な意味を持つようになったことは、大きな変化だと感じております。 今後、奈良市附近駅の位置及び県内ルートの決定に向けては、大きく2つの分野の要素がございます。まず、工事に直接関わる事項でございますが、用地取得の確実性、発生土活用先の確保、文化財・環境等への配慮の3つだと思います。 また、地域として大きな関心を有する事項も3つございますが、交通結節性の確保、駅周辺の
まちづくり、地域全体の将来的な発展可能性だと思っております。 このうち、交通結節性につき、JR関西本線など在来線との接続や、広域的な移動を円滑にする高速道路との接続などを考慮いたしますと、事実上、JR平城山駅付近、JR新駅周辺、JR関西本線と近鉄橿原線が交差する場所付近、の3つの候補地が対象になると考えております。 奈良市附近駅の駅位置及び県内ルートの決定は、奈良県全体の発展にとって極めて重要な事項です。今後事業主体でありますJR東海とも緊密に協力し、今述べた6項目の課題の解決に向け、検討を進めてまいる所存でございます。 次に、リニア中央新幹線の整備を南部・東部地域を含む本県の発展や、小泉議員ご指摘の紀伊半島全体の活性化につなげる観点からは、交流人口の拡大や観光振興を図ることは極めて重要だと思います。 その観点から県では、リニア中央新幹線奈良市附近駅と関西国際空港を直結する接続線を整備する構想の検討を進めております。この構想を実現することで、インバウンド観光客やリニア中央新幹線利用者を、本県の世界遺産や近畿南部の観光地に誘客することが可能になり、より広範な観光ルートの形成が期待できます。 リニア中央新幹線建設の工事開始までには4つの段階がございます。基本計画の決定、整備計画の決定、環境影響評価、工事施工認可で、工事を開始することができます。名古屋・大阪間は、前の2つはできておりますが、後の2つがまだでございます。 この最初の基本計画の決定は、49年前にされたわけでございますが、当時、奈良県八木町出身の運輸大臣でおられました新谷寅三郎さんが、大臣告示において、経由地として奈良市附近駅を明記されたところでございます。49年前に奈良市附近駅が、既に新谷寅三郎運輸大臣のもとで明記されていたものでございます。来年、環境影響評価が開始されますと、新谷運輸大臣が投げられたボールが、50年ぶりに奈良の地に落ちてくる感じでございます。やっと来たかという感じでございますが、きちんと受け止めなければいけないとも思います。 来年からの環境影響評価の手続が開始されますと、駅位置及び県内ルートの決定が、事実上、同時に行われることも見通せます。大事な年を迎えることと思います。引き続き関係者と連携し、取り組んでまいりたいと思います。 ヤングケアラーの取組についてのご質問がございました。 ヤングケアラーと言われる子どもの状態は、本来は大人が担うような家事や家族の世話を、日常的に行っているため、遊びや学びなどを通じて健やかに育つ権利が守られていない状態にある子どもたちでございます。該当する子どもたちに寄り添った迅速な取組が必要と思われます。 現在の取組状況を申し上げますと、まず、身近な大人が子どものケア負担を見逃さず、市町村の子ども家庭総合支援拠点などの相談窓口へ確実につなげることが大事だと思います。また、福祉や教育など、関係行政機関が連携して対応していくことも大切だと思っております。 本県でも、昨年6月にヤングケアラー支援のための連携体制づくりや支援策の検討を目的とした庁内連携会議を立ち上げ、取組状態など、情報の共有を図っております。 次に、県内の学校現場におきましては、より多くの生徒がヤングケアラーについて理解し、自分自身で気づけるよう、昨年度は中学3年生と高校全生徒を対象に実態調査を行い、さらに、今年度は中学全生徒にも対象を拡大して実施し、より的確な実態把握に努めております。 また、県教育委員会では、週3日・平日3時間以上、日常的に家事や家族の世話を行っている生徒に対しましては、個別に相談を行うことができるヤングケアラー専用相談窓口、「ヤングミライ」を昨年度に開設いたしました。また、今年度には、学校とスクールソーシャルワーカーが連携し、対応に当たる体制を整備するなど、一人ひとりの状況に応じた対応を進めているとの報告を受けております。 このほか、相談支援体制を充実するため、昨年度から、身近な地域の中で子どもや家庭と関わる機会の多い市町村職員等を対象とした、対応力向上・関連機関連携のための研修会を実施するとともに、ヤングケアラー支援のためのマニュアルをはじめ、必要な情報を関係機関と共有しているところでございます。 また、家族や自分の将来について不安を抱えるヤングケアラー同士が悩みや経験などを共有し、語り合えるような集いの場の立ち上げと運営方法をまとめたマニュアルを今年度中に作成し、市町村等関係者、関係機関に配付したいと思っております。 県など、行政の取組は、まだまだ充実していく必要があると思っておりますが、今後、関係機関との連携を密にしながら、また、いろいろな経験を教えてもらいながら、着実に取組を進めていきたいと考えているところでございます。 次のご質問は、がん対策の現状と今後の取組方針についてでございますが、とりわけ、第4期がん対策推進計画の策定に向けた検討の方向、及び、がんゲノム医療への取組状況についての質問が含まれております。 本県では、第3期奈良県がん対策推進計画を実行中でございます。その終期は令和6年3月でございます。そこから第4期がん対策推進計画を策定する必要がございますが、「がんで亡くならない県 日本一」を、やはり引き続き目指していきたいと考えております。 がん死亡率を日本一低くするための取組でございますが、予防、早期発見、がん医療の充実を中心に進めてきております。また、分野別のがん対策に体系的に取り組んでいるところでございます。現在、第3期奈良県がん対策推進計画の中間評価結果や、がん対策の最新状況の動向を踏まえながら、医療従事者、行政はもとより、患者団体などの県民の方々も広く参画した「がん対策推進協議会」において活発な議論を行っていただいているところでございます。 第3期奈良県がん対策推進計画におきましても、がん検診受診率を上げることで、がん死亡率によい影響があると思われるところがございました。国の基本計画でも、5種類のがん、胃・大腸・肺・乳・子宮でございますが、検診受診率50%を目標に掲げておられます。 国・県とも、令和元年時点では、どの種別の受診率も50%を超えていない状況でございますが、奈良県のがん検診受診率は、統計をとり始めた平成19年から、5種類のがんすべてで大きく向上している実績がございます。 また、個別のがん罹患情報を集約した奈良県のがん登録データを分析いたしましたところ、がんが早期の段階で診断されている人の割合は向上しており、がん死亡率の低下と相関関係があることは分かってきております。 このようなことから、がん検診を受診する人が増えることが、がんの早期発見の割合を高め、ひいてはがん死亡率の低下に好影響を与えているものと考えております。 県では、県民一人ひとりに対するがん早期発見のための行動変容を促す取組が重要だと考えておりますが、市町村に対し、効果的な受診勧奨を行うための支援を行うほか、県民や事業者に対し、がん検診の大切さを伝えるための普及啓発活動として、毎年10月10日の「奈良県がんと向き合う日」に合わせて、「がん検診を受けよう」奈良県民会議を実施しております。併せて、地域別や年代別のがんのデータに基づき、地域・年代に合った効果の高い周知・啓発方法の検討を行い、次期計画を実効性の高いものにしたいと思っております。 次に、がんゲノム医療について申し上げます。本県においても、近年、大きく取組が進展いたしました。令和4年3月に、がんゲノム医療を行うがんゲノム医療連携病院が新たに指定されました。市立奈良病院でございます。これまでの奈良県立医科大学附属病院、奈良県総合医療センター、天理よろず相談所病院、近畿大学奈良病院に加えて5病院になったわけでございます。また、令和2年10月には、奈良県立医科大学にがんゲノム医療を担う、がん薬物療法専門医等の人材育成及び研究の場として、がんゲノム・腫瘍内科学講座が設置されたところでございます。その結果、県内のがん薬物療法専門医は、令和元年度の5人から今年度は12人に増え、体制が充実してきております。 このがんゲノム・腫瘍内科学講座では、医師だけではなく看護師、薬剤師、医学物理士などを対象とした他職種向けセミナーの実施や、看護師、相談員を対象とした、がんゲノム医療コーディネーター研修会の受講者公募など、相談から検査、治療までの一貫した医療体制の構築にも取り組んでいるところでございます。 がん対策推進計画は、がん対策推進条例の理念を実現するための、具体的な対策の取組指針です。がん検診受診率の向上や、がんゲノム医療の進展など、これまでの諸成果も踏まえ、実効性のある次期計画の策定に取り組んでまいりたいと思っております。 次の質問は、健康寿命日本一を達成するための取組についてでございます。 県では日常的に介護を必要とせず、健康で自立した生活ができる期間である健康寿命を日本一にすることを目標に掲げてきております。平成25年に「なら健康長寿基本計画」を策定いたしましたが、本計画は、医療や介護の関連計画と歯車の歯がかみ合うように連動することで、健康寿命日本一を達成できるよう、多角的に様々な取組を実施しているところでございます。 おのおのの取組に先行して、健康寿命の延伸に寄与する要因を分析する研究事業を、まず実施いたしました。その結果を踏まえますと、重点的に改善すべき健康行動として、2つ、まず挙げられたところでございます。減塩・野菜摂取の促進と、運動・身体活動の推進でございました。 減塩・野菜摂取につきましては、食生活に無関心な層も含め、自然に健康になることができる食の環境整備を図ることといたしました。スーパーマーケット等との協働で、中食と言われます、惣菜や弁当などの減塩と、野菜の増量に取り組む「やさしおベジ増し
プロジェクト」として、令和元年度から開始しております。現在52店舗のご協力をいただいているところでございます。 2つ目の運動・身体活動につきましては、健康づくりや病気予防に最適と言われます、少し汗ばむくらいの中強度の運動を、「おでかけ健康法」と名づけ、平成25年度から普及拡大に取り組んでおります。市町村においても取り組んでいただけるよう、活動の拠点となる健康ステーションの設置に対する補助制度を設け、これまでに、大和高田市、天理市、桜井市、明日香村にご活用いただいているところでございます。 県が毎年実施しております、なら健康長寿基礎調査によりますと、運動経験のある人の割合は、
新型コロナウイルス感染症の影響と思われます、令和2年の一時的な減少もありましたが、令和3年に再び増加に転じており、総じて増加傾向にございます。しかし、運動習慣のある人の年代別の割合を見てみますと、男女とも40歳代が最も低くなっております。働き盛り世代でもあるこの世代に効果的にアプローチするため、今後は事業所等とも連携した健康づくりの取組も進めていきたいと思っております。 令和6年度からの次期計画におきましても、エビデンスに基づいた施策展開を図るため、これまでの指標や取組の結果について、確認・評価・分析などを的確に行った上で市町村や関係団体等とも連携しながら、健康寿命の延伸につながる取組を進めていきたいと考えております。 私に対する質問は以上でございました。ご質問、誠にありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)36番小泉議員のご質問にお答えいたします。 私には、1人1台端末を活用し、体育の授業を充実させるために、小・中学校にどのような支援をしているのかとのお尋ねでございます。 GIGAスクール構想を基盤とした令和の日本型学校教育は、体育の授業におきましても、すべての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学びの実現を目指しております。 体育の授業における1人1台端末の活用の場面と効果につきまして、代表的な3点を挙げさせていただきます。 1点目は、体育の技ごとの動画を繰り返し視聴したり、スローで再生したりすることで、知識、理解が深まります。2点目は、過去の自分の記録や動きを確認することで、自己の変容を知ることができ、運動が苦手な子どもも「できる喜び」さらには自己肯定感につながると考えております。3点目は、団体競技の撮影動画を各自の視点で確認しながら個人で作戦を考え、それをもとにチームの作戦を話し合うことなどにより、協働的な学びが可能となります。 県教育委員会では、令和4年度より文部科学省委託事業「GIGAスクール環境下における体育授業の充実」を受託し、小学校2校、中学校1校、義務教育学校1校の指定による研究実践に現在取り組んでおります。各研究指定校は、校内の研究組織を設置し、これまでに大学等から講師を招いた研修や、ICT活用スキルアップ講習会を開催いたしております。2学期以降は、運動時間を確保するための「動きのポイントやつまずきの事例」、また、「児童生徒が選ぶ練習方法」などの動画を作成し、その動画を活用した授業実践などに取り組んでいく予定でございます。 また、小学校体育の授業力の向上を目指し、グーグルワークスペースを活用した20分程度のオンラインミニ研修会を開催いたしております。合計10回のうち、第4回、第5回では、1人1台端末の基本的な活用方法と、マット運動での効果的な活用についての研修を行っております。第6回は10月7日に端末の活用例について、参加者による情報交換を予定いたしております。 今後も、子どもの可能性を最大に引き出せるよう、体育事業における教員のICT活用能力の向上に努めてまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 36番小泉米造議員。
◆36番(小泉米造) 知事及び教育長、答弁ありがとうございました。 再質問することはないわけでございますけれども、特にリニア中央新幹線の問題は、当初、大変心配されておりました、京都の動きがなくなったと思うわけでございます。奈良に中間駅が来ることになったわけでございますので、ぜひとも、先ほど言われましたけれども、奈良県全体での、国土軸の一番大きなことになってくるわけでございますので、知事、このリニア中央新幹線中間駅を中心として、積極的に取り組んでいただきますように心からお願いしておきたいと思います。それで、私の代表質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。 --------------------------------
○議長(岩田国夫) 5番山中益敏議員。
◆5番(山中益敏) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。
○議長(岩田国夫) お諮りします。5番山中益敏議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。 (「異議なし」の声起こる)
○議長(岩田国夫) それでは、さように決し、次回、9月26日の日程は当局に対する代表質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。
△午後4時41分散会...