滋賀県議会 > 2017-06-30 >
平成29年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月30日-05号

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  1. 滋賀県議会 2017-06-30
    平成29年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月30日-05号


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    平成29年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月30日-05号平成29年 6月定例会議(第2号〜第8号)                 平成29年6月定例会議会議録(第6号)                                       平成29年6月30日(金曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第5号                                         平成29年6月30日(金)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第76号から議第81号まで、諮第2号および諮第3号(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第2号)ほか7件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(43名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳
       11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    27番   高  木  健  三       28番   生  田  邦  夫    29番   川  島  隆  二       30番   小  寺  裕  雄    31番   奥  村  芳  正       32番   野  田  藤  雄    33番   西  村  久  子       34番   佐  野  高  典    35番   家  森  茂  樹       36番   吉  田  清  一    37番   粉  川  清  美       39番   成  田  政  隆    40番   九  里     学       41番   清  水  鉄  次    43番   柴  田  智 恵 美       44番   今  江  政  彦    45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             青  木     洋               選挙管理委員会委員長代理    大  井     豊               人事委員会委員長代理      西  原  節  子               公安委員会委員長代理      大  塚  良  彦               代表監査委員          北  川  正  雄               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             池  永  肇  恵               総合政策部長          宮  川  正  和               総務部長            村  上  浩  世               県民生活部長          福  永  忠  克               琵琶湖環境部長         高  砂  利  夫               健康医療福祉部長        藤  本  武  司               商工観光労働部長        江  島  宏  治               農政水産部長          高  橋  滝 治 郎               土木交通部長          池  口  正  晃               会計管理者           辻  井  弘  子               企業庁長            廣  瀬  年  昭               病院事業庁長          笹  田  昌  孝               警察本部長           渡  邊  国  佳            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            青  木  幸  一               議事課長            入  江  建  幸               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大井豊委員が、また、人事委員会益川教雄委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として西原節子委員が、また、公安委員会小林徹委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大塚良彦委員がそれぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第76号から議第81号まで、諮第2号および諮第3号(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第2号)ほか7件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(奥村芳正) 日程第1、議第76号から議第81号まで、諮第2号および諮第3号の各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、17番冨波義明議員の発言を許します。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。本日の1番バッターとして、通告に従いまして、一問一答で知事ならびに県民生活部長および商工観光労働部長にお伺いをいたします。  去る4月21日から4月30日の10日間の日程で、ワールドマスターズゲームズ2017オークランド大会がニュージーランドで開催されました。御存じのとおり、ワールドマスターズゲームズは、国際マスターズゲームズ協会が4年ごとに主宰する、原則30歳以上のスポーツ愛好者であれば誰もが参加できる生涯スポーツの国際競技大会であります。ワールドマスターズゲームズは、1985年にカナダのトロントで第1回大会が開催されて以来、オークランド大会で9回を数え、第10回記念大会は2021年にアジアで初めての大会として関西地域で開催され、本県でもドラゴンボート競技など6種目が行われます。  2021年第10回大会の開催地の選定に当たっては、国際マスターズ協会がこれまで採用していた複数の立候補都市による入札方式から、開催能力を持つベストな都市に開催を呼びかける交渉方式に変更され、関西地域に決定されたと仄聞をしていますが、海外では一つの州に匹敵する関西という地理的範囲の中で、これだけのスポーツ施設や観光資源、交通網がコンパクトに集約された地域はほかに類がなく、まさに関西はスポーツツーリズムを実践できる理想的な開催地と言えます。  この2021関西大会の開催を4年後に控え、先般、知事もオークランド大会を視察に行かれたとお聞きをしていますが、私も滋賀県ドラゴンボート協会の役員として、去る4月27日から4日間にわたり、ドラゴンボート競技、カヌー競技を中心に現地での開催状況などをつぶさに調査してまいりました。  そこで、ワールドマスターズゲームズの開催について、これまで本県議会でも議論をされてきた内容や今回の現地視察を踏まえ、いよいよ4年後に迫りました2021関西大会に向けた本県の準備状況や課題について、知事ならびに県民生活部長および商工観光労働部長にお伺いいたします。  大きな1点目として、2017オークランド大会への参画と視察についてお伺いをいたします。  まず、2017オークランド大会を現地視察された知事の感想をお伺いいたします。 ○議長(奥村芳正) 17番冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  私は、今回、オークランド大会の調査に参加する中で、世界の人々のスポーツを楽しむ姿、スポーツと観光の親和性など、まさに生涯スポーツの祭典の雰囲気と盛り上がりを肌で感じながら、改めてスポーツの持つ力を実感したところでございます。2021年の本県での開催は、豊かな自然や歴史、文化などの本県の有する資源を生かしながら、スポーツを通じた観光や交流による地域活性化につながるものであると改めて確信しています。試合等は、レベルに差やばらつきがある中でのゲーム、また、これまで、また、オークランドとは異なる広域開催という課題等を乗り越えて、可能性をしっかり伸ばして、効果、成果を得ていきたいと存じます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  まずは開催自治体の長が実際に現地で自分の目で見る、感じるということが大変大切だと思います。この成果を踏まえまして、知事の強力なリーダーシップも期待をしているところです。  それでは、次に、2017オークランド大会への本県の参画状況および視察報告について伺います。  本県は、どのような体制を組みオークランド大会に参画されたのか、また、現地視察を踏まえたオークランド大会の開催、運営状況についてどのように分析されているのか、県民生活部長にお伺いします。 ◎県民生活部長(福永忠克) (登壇)お答えします。  県内からは、県、市、競技団体の担当者20名が関係競技の開催に合わせましてオークランドを訪れまして、競技運営のあり方、会場周辺やまちの盛り上がり等について調査を実施したところでございます。競技参加者や現地スタッフの声も聞き取りながら、競技ごとの状況や本県での開催に向けた課題について、大変有用な情報を得ることができたところであります。  調査結果を分析しました結果、特に考慮すべき点として、1、スポーツをおおらかに、そして安全に楽しめる環境づくりを重視すること、2、ボランティアスタッフの役割が大きく、あらゆる世代がさまざまな分野で競技運営に深く関与すること、3、会場と隣接して飲食が可能な場所を設けるなど、参加者同士が交流を楽しめる環境を用意することの3点が挙げられます。こうしたことを念頭に置きまして、本県における開催に向けて着実に準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございます。今おっしゃいましたおおらかに安全にという観点、それから、ボランティアの活用ということについては、後ほどお尋ねをさせていただきたいと思いますが、私、オークランド大会を見た限りでは、ちょっと地域に偏りがございまして、全世界の大会というよりもオセアニア地方の大会かなというようなとこで、その参加をされる方の層、参加者層については、ちょっと今回、本県で開催する、あるいは関西大会として開催するには参考にはならなかったかなというふうに思うんです。関西大会は、2021年5月の15日から30日までの16日の間に、参加目標数として国外参加者約2万人、国内の参加者を約3万人、合計5万人を来ていただける方として見込まれているようなんですけれども、ここはひとつ、もう一度この数については精査し直すべきだと、改めてリサーチをして精査をしてやらなければいけないというふうに感じました。大会の成否がこの参加者の方にかかっているということが言えますので、参加される選手、あるいは観客の方、特に東南アジアからの方が非常に多くなると思いますので、できるだけ早急にリサーチと、それから精査を求めたいというふうに思います。  次に、大きな2点目として、2021関西大会に向けた滋賀県実行委員会の現況についてお伺いいたします。  1点目に、2021関西大会の開催の基本的な考え方についてお伺いいたします。  2021関西大会の招致は、高齢社会における生涯スポーツの普及、振興という本来の目的以上に、参加者の旺盛な消費活動に期待したスポーツビジネスとして捉まえる必要があると考えます。スポーツツーリズムスポーツコンベンションなどのキーワードで表現される2021関西大会は何を目指しているのか、2021関西大会開催の目的や意義について、改めて県民生活部長に伺います。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  大会の基本理念として、「一人ひとりの挑戦と多様な交流の和をつなげ、地域の独自性や日本の伝統・文化を世界に発信し、次世代に夢をおくる生涯スポーツの祭典を創出する」と掲げています。本県としても、この大会は、県内における生涯スポーツへの関心を高め、さらなるスポーツ活動の普及、発展、県民の皆さんの健康づくりにつながると考えております。また、本県の歴史と伝統、芸術文化、豊かな自然などの魅力を世界へ発信する絶好の機会であり、観光などによる地域の活性化が図れるものと考えているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  2021関西大会の開催は、一過性のイベントに終わらせることなく、生涯スポーツの先進地でもあります関西の豊富なスポーツ資源と観光資源とを融合させ、日本が持つおもてなしの精神をもって、世界の人々が感動するスポーツツーリズムの体験を提供することなどによって、我が国の生涯スポーツの転換期と言うべき大きな大会になりますことを期待をしております。  2点目に、本県実行委員会の組織体制および2021関西大会の組織委員会との連携についてお伺いをいたします。  現在、滋賀県では、県、関係市、競技団体および経済団体などで構成する実行委員会が組織をされていると聞いております。一方、2021関西大会の組織委員会は、本県も含む12府県政令市の経済団体、体育関係団体等が連携を図り、企画調整事務の役割を担い、具体的な検討を進めていくと仄聞をしています。  そこで、本県実行委員会と2021関西大会の組織委員会との役割分担および連携の現状について、県民生活部長にお伺いをいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  県実行委員会と組織委員会との業務分担につきましては、本年6月2日に策定されましたワールドマスターズゲームズ2021関西第1次総合実施計画におきまして、組織委員会は広域的な業務推進の基本となる計画および指針の策定ならびに当該計画の実施および推進に必要な総合調整に関する業務等を担いまして、県の実行委員会は公式競技種目の準備運営等を行うと整理されたところでございます。  今後、組織委員会と各府県政令市の実行委員会で構成します連絡協議会で相互に連携を図りながら準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)先日、県の組織委員会の第1回の幹事会が開かれまして、私も出席をさせていただきました。競技開催においても、これから質問させていただきます観光施策においても、関西各地でばらばらに開催している、あるいは県内でもばらばらに開催しているという、そういう印象にならないように、関西は1つとしてのまとまり、県内は1つとしてのつながりをしっかりと目に見える形で開催できるようによろしくお願いをいたしたいというふうに思います。本県実行委員会が中心となってその役割を果たしていただきたいと思います。  3点目に、競技別実施要項概要作成の進捗状況についてお伺いします。  現在、12府県政令市実行委員会には、競技日程や競技会場、競技形式、参加資格など、大会運営の基本計画でもある競技別実施要項概要の作成が求められていると聞いております。本県実行委員会競技別実施要項作成の進捗状況について、県民生活部長に伺います。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  競技別実施要項概要の作成に当たりましては、今ほど議員からもお話がございました去る6月13日に県の実行委員会の幹事会を開催いたしまして、オークランド大会の調査結果等について情報を交換し、競技ごとに運営等の具体的な課題について共有し、整理をしたところでございます。これを受けまして、現在、各競技団体において、競技ごとの特性などを踏まえた競技別実施要項概要を作成中であり、競技日程、競技会場、競技種目・参加人数、参加資格等11項目について検討が進められているところでございます。  今後、この競技別実施要項概要を組織委員会に提出しまして、その後、組織委員会におきまして競技日程等の調整が行われた上で、本年度末には全競技の日程等、競技に関する基本的な事項が決定される予定でございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)先ほどもオークランド大会のことで触れさせていただきましたんですけども、この競技別実施要項概要の作成については、参加国、あるいは参加人数、参加者の年齢構成、それから競技志向など、その情報がまだ不足しているようなことをお聞きをしています。そのことで、大会の基本的なフレームをまずつくり上げることが難しいなというお声を聞いているところです。特に外国からの参加者についてのリサーチは、このこともありますので、早急に行う必要性を感じておりますので、その点も十分よろしくお願いいたしたいと思います。  4点目に、2021関西大会でのスポーツボランティアの活用についてお伺いいたします。  先ほど部長からも、オークランド大会ボランティア活動が大変盛んだったというお話も聞いておりますが、私がオークランド大会を視察をした中で感激したことの一つに、形式にこだわらないフランクな競技運営が挙げられます。あんまりぎすぎすせずに、はい、次の人、どなたですかというような、本当にフランクな格好で競技を開催されておられました。ちょっとそこは日本のやり方とは違うなというふうに感じたことなんです。でも、その原因は何かと申しますと、やっぱりこの競技運営にかかわられますスポーツボランティアの存在が大きかったと思います。競技に参加するだけではなしに、積極的に大会運営に参加をし、大会を支えることで、生涯スポーツの祭典マスターズゲームズに参加するという、これも大きな大会のコンセプトだと感じたところです。
     スポーツボランティアは、2007年に開催されました東京マラソンを契機として広く社会に認知されるようになりましたが、近年ではスポーツイベントの成否にこのスポーツボランティアの活動が大きな役割を果たしていると考えられています。2014年に笹川スポーツ財団が行いました2020東京オリンピック・パラリンピック、以下、東京オリ・パラと略しますが、へのボランティア参加の意向調査というのがございまして、これによりますと、過去1年間にスポーツボランティアを経験した人の約66%が東京オリ・パラへぜひ参加をしたい、そういう意向を示されたそうです。また、ボランティアをしたことがない方でも、その中の4人に1人、約25%が東京オリ・パラへのスポーツボランティアの参加を希望されていると、こういうふうなデータがございました。このような状況から、2021関西大会を控えまして、今後、国内あるいは県内で開かれます各種スポーツ大会において、このスポーツボランティアを活用すること、そのためにスポーツボランティアの人材を育成することは重要かと思います。  そこで、2021関西大会で本県が開催する競技でも積極的なスポーツボランティアの参画を期待したいと思いますが、このことにつきまして県民生活部長の所見をお伺いいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、ワールドマスターズゲームズは、まさにボランティアによって支えられる大会であると認識しております。本県では、これまでからスポーツボランティアの登録制度を設けて、県民の皆様に積極的に呼びかけ、登録の拡大を図ってきたところであり、本年5月末時点で376名の方に登録をいただいているところでございます。特に、この大会は、アジア初で、関西一円の広域開催という特徴のある国際大会であり、競技運営のみならず、観光や通訳等、多種多様なボランティア人材が不可欠でございます。こうしたことから、早くから企業や大学等に協力を仰ぐとともに、広く県民の皆様に周知するなど、十分な人材の確保に努めますとともに、大会に多くのボランティアに参加いただき、県内におけるスポーツ活動を支えますボランティア文化の醸成、これにもつなげていきたいと考えているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ボランティア文化の醸成、よい言葉を教えていただきました。特に日本では高齢社会が到来しておりますので、特にこのスポーツボランティアに高齢者の皆さんの長年の経験と知識を活用させていただくということは、さまざまな意味で有効な手段だと感じていますが、特にこの高齢者のスポーツボランティアへの参画について、再度、県民生活部長にお伺いいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  本県にお住まいの高齢者の中には、豊かなスポーツ経験を有する方、あるいは、海外での生活経験から外国語に堪能な方などが多くおられます。こうした方々が大会ボランティアとして御参加いただき、これまで長年培ってこられた経験や知識を十分に生かしていただき、多種多様な分野で活躍いただくことは大変有意義でございます。本県といたしましても、こうしたボランティアの方々の参加が進むよう、関係団体等とも十分連携して、積極的に参画を呼びかけてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。ぜひ早くから、直前では間に合いませんので、もう早ければことしからでもそれに取りかかるぐらいの気概でお願いいたしたいと思います。  それでは、次、5点目に、国際マスターズゲームズ協会による本県開催予定競技予定会場の視察状況についてお伺いをいたします。  2021関西大会では、本県でも、大津市のびわこ競艇場でドラゴンボート競技県立琵琶湖漕艇場でボート競技、彦根市で陸上競技の100キロメートルロードレース、草津・守山・東近江市でソフトボール競技、守山・東近江市で軟式野球競技、長浜・米原市でホッケー競技が行われます。このことから、去る6月12、13日の2日間にわたり、国際マスターズゲームズ協会の事務局長が県内の各種競技場予定地を視察されました。この視察において、本県の競技場などの状況について、事務局長はどのように評価され、どのような課題の指摘があったのか、県民生活部長にお伺いいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  今回の視察は、本県では、予定会場のうち、ドラゴンボートの会場となるびわこ競艇場、ソフトボール、軟式野球の会場となる守山市民運動公園、ボートの会場となる琵琶湖漕艇場、10キロロードレースの会場となる彦根城周辺、そして、ホッケー会場となる伊吹運動場を視察いただいたところでございます。  国際マスターズゲームズ協会からは、各会場について、施設のメンテナンスが行き届いており、十分な競技環境であるとの高い評価をいただいたところでございます。また、会場周辺において、参加選手や観客等、誰もが飲食等のサービスを楽しめる交流の場を充実すべきとの御意見もいただいたところでございまして、今後、こういった御意見を十分参考にしながら取り組みを進めていきたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)視察後、事務局長さんからは、東京オリ・パラからのこの流れ、これは21年ですので、2020年の東京オリ・パラのよい流れを引き継ぎたいとの意欲が語られたともお伺いをしております。本県も、この2021年から2024年の国民体育大会、全国障害者スポーツ大会に向け、このよい流れを引き継いでいけるように、よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、大きな3点目として、2021関西大会に向けた本県の観光戦略についてお伺いいたします。  まず、関西全体の経済効果および本県への波及効果についてお伺いいたします。  2019ラグビーワールドカップ、2020東京オリンピック・パラリンピック、そして、2021ワールドマスターズゲームズ関西と続く国際スポーツイベントの開催は、関西の観光、文化の魅力を発信するまたとない機会となります。このため、関西広域連合では、2021関西大会が開催されるまでの期間の観光・文化振興計画を策定され、関西への訪日外国人の旅行者数を2013年の345万人から2020年には1,800万人に、また、関西での消費額は2013年の4,700億円から2020年、3兆円へと上方修正されたと仄聞をしています。  そこで、2021大会が関西全体にどのような経済効果を及ぼすのか、また、本県への波及効果はどのぐらいと見積もっているのか、県民生活部長にお伺いします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  ワールドマスターズゲームズ2021関西では、国内外から全体で5万人、本県開催の6競技には9,000人余りの選手の参加を見込んでいるところでございます。さらに、参加者はもとより、その御家族、友人等の同行者にも本県に御宿泊をいただき、観光を楽しんでいただくことで、大きな経済効果につながるものと考えております。  平成25年のスポーツコミッション関西の試算によりますと、開催事業費や観光消費額に基づく経済波及効果は、関西全体で140億円、本県では24億円程度が見込まれているところでございます。  現在、組織委員会におきまして、直近の観光客実態調査等に基づく経済波及効果を試算中でございまして、この結果も踏まえながら、今後、より多くの経済効果が生まれるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)これら2021関西大会の波及効果をいかに関西全体への経済や観光の底上げにつなげるか、そして、どのように本県経済へとその波及効果を呼び込むのか、大変重要なことでありますので、これは行政、あるいは我々に求められている責任でもあると思います。よろしくお願いします。  次に、2021関西大会に向けて、本県に特化した観光戦略についてお伺いいたします。  2021関西大会は、スポーツツーリズムを通じた地域の活性化や国内外へのアピールなど、滋賀の魅力を世界に発信する絶好の機会となりますので、本県開催競技に参加される多くの方々が、競技に参加しながらも滋賀を楽しんでいただけるような、本県独自の仕掛けづくりが重要と考えます。  2021オークランド大会では、選手、大会関係者、観光客に対して大会参加料が徴収をされましたが、これに対して、このような写真入りのICカードが発行されました。(資料掲示)これです。これを首からかけるわけなんです。ここに個人の顔写真を張るわけですけれども、これで競技のエントリーの簡易化を図るとともに、市内観光での公的施設の無料化や割引などさまざまなサービスが提供され、私も便利に有効に使わせていただきました。2021関西大会を県内各所で開催するに当たり、このような工夫も含め、滋賀ならではの観光戦略にどのように取り組んでいくのか、以下、少々細かいですけども、具体的な観点からお伺いをいたします。  まず1点目に、ビワイチの活用について伺います。  滋賀県では、2016年度をビワイチ元年と位置づけ、自転車のレンタルや整備ができる拠点づくりを始められるなどに取り組まれ、自転車文化とスポーツを結んだ施策の展開によりビワイチ人口は近年急増しており、ビワイチ達成の際に、達成しましたよと申請する方に発行するビワイチの認定書の数は、5年前と比べると約3倍増の1,250件にも達しているとお聞きをしております。生涯スポーツの愛好者が集う2021関西大会のときに、関西各地の競技場に集うアスリートたちに本県でのビワイチ体験を御案内をするということは極めて意義のあることと考えますが、ビワイチの積極的な活用について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)お答えいたします。  海外には我が国以上に自転車文化が生活に根差している国も多く、御質問にありましたように、ワールドマスターズゲームズは、ビワイチ推進に向けた大きなチャンスであると認識しております。多くのアスリートにビワイチを通じて滋賀、琵琶湖の魅力を体感いただけるよう、ウエブサイトなどを通じ、国内はもとより海外もターゲットとしてビワイチの魅力発信を行うとともに、受け入れ環境整備として、多言語サイクリングマップ、サイクルサポートステーションへの多言語案内シートの配布のほか、今後、多言語対応ができるサイクルツアーガイドの養成も検討してまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  今はビワイチに対するさまざまな工夫をおっしゃっていただいたと思います。琵琶湖一周約200キロを自転車で走っても、なかなか1日でビワイチを達成することは難しいこともあると聞いておりますので、通常は、県内各所に宿泊しながら、二、三日かけて楽しんでおられるというふうにお聞きをしていますが、実は、その際に、琵琶湖周辺道路をただ単に走るだけではなしに、県内各所のスポットを湖周する道路から外れてでも行っていただく、そこをめぐっていただいたり、あるいは農業体験や、あるいはものづくり体験、このような体験をセットにして組み合わせるような体験型観光、ビワイチに体験型観光を加えるというのも一つのアイデアではないかなと思います。  このようなスポーツと観光体験、そして宿泊をセットにした滞在型スポーツを売り出し、多くの観光客を滋賀県に呼び込むことは、京都や大阪での観光との差別化を図ることにもつながり、スポーツ立県滋賀のブランド構築にも寄与することになるのではないでしょうか。本県での開催種目に参加をされたマスターズゲームズ等のアスリートたちを県内にとどめるだけではなしに、関西各地、京都や大阪に来られたそのアスリートたちを積極的に本県に呼び込む観光施策として、このような滞在型、宿泊型のビワイチの活用を期待をいたしたいと思いますが、再度、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  もとより、ビワイチとさまざまな体験等を組み合わせることにより、京都や大阪など都市型の観光地と差別化を図ることは重要であると認識しております。県としては、ビワイチと他のコンテンツとの連携にも力を入れており、例えば、琵琶湖から離れたスポットをテーマごとにサイクリングコースとしてつなぎ、それぞれの地域の魅力を体感するビワイチプラスのコースも設定しているところです。また、県内29カ所にあります日本遺産に指定された構成文化財をめぐるルートも魅力的な観光ツールになると期待しているところであります。  このように、ワールドマスターズゲームズで関西を訪れるアスリートに、ビワイチを通して滋賀の持つ自然環境、歴史遺産、伝統文化、食や地域の人々の暮らしなど、多彩な魅力に触れていただけるよう、その情報発信に努め、本県への来訪を促進してまいりたいと存じます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)これに関連をいたしまして、次に、民泊の活用について伺います。  関西大会では、ともすれば、この県内開催競技の参加者、滋賀県に来ていただいて競技に参加した人たちの観光や宿泊を京都や大阪などに取られるのではないかというふうな心配もしております。本県を訪れた国内外の選手の方々に県内で宿泊をしてもらうためには、積極的なホテル、旅館もそうですけれども、民泊案内や観光PRの誘客活動が必要と考えます。そこで、民泊を普及するための制度的な整備状況について、現在、どのような状況にあるのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  大会に向け、県内に宿泊していただくために、さまざまな選択肢を用意することが重要と考えております。  御質問の民泊につきましては、さきの国会で住宅宿泊事業法が可決成立しましたが、これは、届け出の義務づけや年間提供日数の制限などの一定のルールのもとで、一般住宅に有料で旅行者を宿泊させるものであります。今後、政省令が制定されることになっておりますので、情報収集に努めますとともに、通常のホテルや旅館、民宿、さらには農家民泊やイベント民泊などとの組み合わせも念頭に、大会に向けた宿泊サービスの提供のあり方について検討してまいります。  さまざまな選択肢を用意することで、一時的な宿泊需要に対応するとともに、その地域の暮らしぶりを体験していただくような機会ともなれば、来訪者にさらに高い満足をいただけるものと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  次、3点目に、スポーツツーリズムの推進についてお伺いいたします。  近年の健康志向の高まりやスポーツ人口の増加などに加え、2015年に設立をされましたスポーツ庁のスポーツによる地域・経済の活性化支援により、スポーツツーリズムの市場というのは大変大きな期待が寄せられています。先ほど触れましたビワイチもそうですが、スポーツイベントの参加者や観戦者と開催地域周辺の観光を融合させて、交流人口の拡大や地域経済への波及効果を目指す取り組みでもありますこのスポーツツーリズムは、国でも推進する観光立国戦略の一環でもあります。本県でも、観光交流振興指針の基本目標に「滋賀ならではの素材や強みを活かした特色あるツーリズムの展開」が掲げられているところです。本県でのスポーツツーリズムの推進状況と今後の取り組みについて、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  ビワイチやマラソン、トレイル、湖上スポーツなど体験型のスポーツツーリズムの推進は、滋賀の特色と強みを生かした観光であり、積極的に取り組んでいるところであります。自転車のロングライドや市民マラソン、ヨットレースなどの大会が開催され、多くの参加者を集めているほか、特にビワイチは、琵琶湖一周体験者が平成27年度の約5万2,000人から28年度は約7万2,000人と大幅に増加しております。  2021関西大会の参加者にも、ぜひ滋賀のスポーツツーリズムを体験いただき、SNS等を通じて国内外に発信いただけるよう、体験プログラムの準備に取り組みたいと思います。例えば、ビワイチ体験の際に地域の観光地に自転車で回っていただくプログラムであるとか、ツアーの一部に登山やカヤックなどの湖上スポーツを組み込んだプログラムを造成するなど、本県らしいスポーツツーリズムを提案できるよう取り組んでまいりたいと存じます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。十分一生懸命尽力いただいていることはよくわかりました。  そこで、このスポーツツーリズムの成否は、この地域を訪れてもらうためのまずは工夫、きっかけとなります情報発信、広報、セールス活動が重要と考えております。本年10月には、首都圏発信拠点として東京日本橋で「ここ滋賀」が開設されますが、ぜひ「ここ滋賀」でも積極的にこのような滋賀の取り組みを発信していただきたいと思います。  4点目に、滋賀のおもてなし精神の醸成について伺います。  本県ならではのおもてなし精神を考えるキーワードとして、滋賀県「観光交流」振興指針では観光・三方よしが掲げられています。近江商人の経営理念である三方よしは、営利が第一目的ではなく、常に相手のことを第一に考え、商いは社会の幸福につながるべきである、利益は正しく得た利益でなければならないとする考え方でございます。訪れてよし、迎えてよし、地域よしをうたう観光・三方よしのおもてなし精神を今後どのように醸成していかれるのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  滋賀県「観光交流」振興指針は、基本方針を、観光交流を通じて、活力ある地域社会の実現を目指すとし、訪れてよし、迎えてよし、地域よしの観光・三方よしの推進を掲げております。県内各地の豊かな観光素材を訪れる来訪者に対し、それぞれの地域で迎え入れる仕組みづくりが重要と考えており、今年度、来年度にかけて実施する観光キャンペーンを通じまして、市町や地域の皆さんと観光素材を磨き上げるワークショップなどを実施するとともに、その検証結果を踏まえ、地域での来訪者を案内する体制の整備などに取り組んでまいります。そして、その成果を、その後に続くラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、ワールドマスターズゲームズにつなげていくことにより、おもてなしの精神をさらに醸成し、定着させてまいりたいと考えております。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)三方よしの精神は、これは現代にも通じる企業理念というだけでなく、私たち日常生活の行動規範でもあります。近江商人の商い上の心得には、センギコウリサカエと読むんですかね、先に義理の義、後に利益の利、そして栄える。この読み方というよりも、義を先にして利益を後にすれば、おのずと栄える。富を好とし、その徳を施せと、こういう格言もございます。まずは商人としての利益よりも、先にまずは商人としての信用、信頼を得ること、そうすればおのずと後に利益が生まれてくる。これは、他国での行商をなりわいとしていた近江商人独特の知恵と申しますか、心意気ではないでしょうか。  滋賀の観光・三方よしの施策の中に、近江商人が大切にしてきたこの信用、信頼を大切にする心、これを滋賀ならではのおもてなし精神の中にぜひ含めていただいて醸成をしていただきたいというふうに思います。そのことが、結局、遠回りになるかもわかりませんけども、後々のリピーターですとか、観光だけじゃなしに滋賀県人の一つの誇りとして残っていくんじゃないかなというふうに考えております。  最後の質問として、2021関西大会を含む国際大会開催のレガシーの継承についてお伺いをいたします。  2024年に本県で開催されます国民体育大会、全国障害者スポーツ大会までの今後7年間に、日本はこれまでに経験したことのないような国際的なスポーツイベントを連続して開催することになります。2019ラグビーワールドカップ、2020オリンピック・パラリンピックはチャンピオンスポーツのイベントでございます。2021ワールドマスターズゲームズ関西は生涯スポーツにおける最高峰のビッグイベントであり、これらの大会が同一国で連続して開催されるというのが史上初の出来事だそうです。これらの国際大会を通じて、トップアスリートの卓越性を観客として「観る」ことによって得られるこの感動を、次はいかに市民レベルで「する」スポーツの文化にまで拡大し、高めていくこと、これら国際スポーツ大会のレガシーをどのように次世代につないでいくのかが行政に問われております。  2021関西大会を含む国際大会のレガシーを、今後、本県ではどのように継承していくのか、知事の所見を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、こうしてお取り上げいただいたとおり、日本は各種国際スポーツ大会が連続して開催されるゴールデン・スポーツイヤーズと称される時期を迎え、スポーツを通じた地域の活性化がこれまでになく期待されていると考えております。特に、ワールドマスターズゲームズ2021関西の開催地である本県には、先ほど来御紹介いただきましたように、国内外から多くの集客が見込まれるとともに、多くの県民や企業の皆さんがさまざまな形でこの大会にかかわることにより、地域を盛り上げていくことができると認識しています。こうした大会を契機に生まれますスポーツへの参加意欲の高まりですとか、国際交流を通じた地域づくりを初め、スポーツツーリズム等スポーツを通じた経済効果がまさにレガシーとして大会後も継続され、地域活性化の好循環を生み出せるよう一丸となり努めてまいりたいと存じます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。今回、私がこのワールドマスターズゲームズ2021関西大会の開催についてと題しまして質問をさせていただきましたのは、ちょっと構えて言いますと、スポーツの持つ社会的な意義を再確認することと、このようなスポーツ大会の開催が県民生活にどのように資するものかという点を明らかにしたいということからでございます。  スポーツの持つ社会的な意義ということにつきましては、1995年にリスボンで開催されましたヨーロッパ・スポーツ閣僚会議で採択されましたリスボン宣言が有名でございまして、その中に次のように書かれております。  スポーツは、社会の健康と福祉の向上を促す、スポーツは活力ある市民による民主社会の発展と維持に寄与する、そして、スポーツは諸国の経済活動に重要な役割を果たすことなど、個人の健康の保持増進の観点にとどまらず、社会全体の健全化に寄与することがうたわれておりまして、スポーツは我々の社会に欠くことのできないパートナーであり、政策決定、特に健康、教育、福祉のなどの社会問題、経済政策に関する分野において不可欠の要素として重視すべきであると結ばれています。  2021関西大会を含む国際的なスポーツイベントの開催が、我が国や関西地域、また、本県の健全な社会構築に寄与するものとなることを切に期待をいたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、17番冨波義明議員の質問を終了いたします。  次に、41番清水鉄次議員の発言を許します。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇、拍手)皆さん、こんにちは。どうぞよろしくお願いします。  冨波議員と読む文章が似ておりますけど、質問の内容は全く違いますので、御容赦いただきたいと思います。  それでは、1つ目です。県道西浅井マキノ線の災害復旧と隣接した東山について。  琵琶湖を自転車で一周する、いわゆるビワイチは、近年、大いに盛り上がりを見せているところです。さまざまに移りゆく琵琶湖の風景を臨みながらのサイクリングは、健康、環境、観光といった面で、滋賀県ならではの楽しみが多くのサイクリストの共感を呼んでおります。1周約200キロメートルのルートは、ほぼ平地で走りやすいルートとなっていますが、その中でも海津大崎は、竹生島の見えるビワイチの絶景のポイントとして知られており、多くのサイクリストを魅了しています。  最近、土日になると、滋賀県も積極的に推進に取り組んでいることから、ビワイチを楽しむサイクリストの方々を多く見かけるようになってきました。今後、ビワイチを走られる方々は、さらに増加することが予想されます。  また、御存じのように、この一帯は日本のさくら名所100選に選ばれ、800本余りの桜並木で有名で、毎年、桜のシーズンになりますと、多くの観光客が訪れ、大変なにぎわいとなっております。  また、マキノ町は、カタカナのまちとして本県を代表する観光地の一つであり、自然環境に恵まれ、メタセコイア並木、海津大崎の桜、高島トレイル、スキー場、サニービーチなど、風光明媚な観光地として多くの雇用と地域の経済が成り立っています。  さて、ことしの桜も散り始めた4月18日に、高島市マキノ町海津の海津大崎におきまして、それほどの大雨ではなかったにもかかわらず、海津大崎を通る県道西浅井マキノ線で土砂崩れが発生しました。現在も約2.3キロメートルの間は通行どめになっております。ちょうど桜の満開の期間が終わった後で、観光のピークが過ぎていたことで人災がなかったことは幸いでもありました。  海津大崎を通る県道西浅井マキノ線が通行どめとなったことから、ビワイチを楽しまれるサイクリストの方々は、琵琶湖を左回りで走行した場合、国道303号から国道161号の山越えルートを迂回路として通行されている状況です。迂回路となっている国道303号の奥琵琶トンネルを通過するときは、トンネル内の歩道が狭く、滑りやすい箇所もあるため、徐行をするか押して歩くなど苦慮しておられ、また、ビワイチの走行を控えておられる方もおられます。地元の人や長浜方面などからも来られる方を初め、一日も早い復旧と開通を望んでおられます。  そこで、1点目に、県道西浅井マキノ線は、毎年の4月には海津大崎の桜でにぎわい、また、ビワイチコースになっているため早期の開通が望まれます。遅くとも来年の桜のシーズンまでには通行できるようにする必要があると考えますが、土砂崩壊箇所の復旧の工事の進捗状況と開通のめどについて、土木交通部長にお伺いします。  2点目に、県道西浅井マキノ線は、東山と琵琶湖の間に位置しており、過去に何度か土砂崩壊が発生しております。平成16年5月には大雨、平成18年1月には凍結融解、平成22年7月は山腹崩壊、平成23年5月は大雨、平成25年9月は台風18号、平成27年7月は台風11号、そして平成29年4月は降雨、以上、近年に7回の土砂崩壊が発生している状況です。  そこで、パネルを見ていただきたいと思います。(資料掲示)  まず、この線が長浜市と高島市の境界の線であり、県道西浅井マキノ線はこの道でございます。そして、今言いましたように、これだけの箇所で土砂崩壊が6カ所あるんですけど、ちょっと1カ所忘れてまして、ちょっとこれは新たに出す資料なんですけど、新たにというか、ここに大崎寺というのがあるんですね。この大崎寺が、平成22年7月に山腹崩壊しまして、そして、平成27年に森林保全会によりまして治山工事で修復をしていただきました。これはお礼を申し上げたいと思います。そのように、これだけ多くの、この山が東山です。これだけ土砂崩壊が今まで起こっているわけであります。そして、今現在、ビワイチは、この奥琵琶トンネルを通られて、これは国道で、こっちへ行くと、こっちから国道から県道へ行くとメタセコイア並木に行けますし、ここが急な坂になっておりますので、こっちへ行かれる方もおられます。本来なら、ビワイチの方は、琵琶湖を見ながらこの道を通られて、そして、こう来られて、この湖岸の市道を通られる方が非常に多いというのが今までのビワイチで、現在はそういう状況です。目片議員は御存じだと思いますけど。  それで、発災当初、4月には、すぐに現場に行きまして、こういうような状況で、これはドローンから撮った写真で、ここはトンネルがありまして、ここに土木の職員がおりまして、ここにトンネルがありまして、こういう形で土砂崩壊が発生したと。これが今まで何カ所か、何回か起こったということで、東山という山がそういうようなことに今までなってきました。  この東山は標高595メートルあり、地元では通称峰山と呼ばれています。比較的に急勾配の山で、地層の大部分は花崗岩、石灰岩等を主としている岩山です。保水性が悪いため、鉄砲水が起こりやすく、今後もこのような土砂崩壊事故が発生すると予想されます。  そこで、土砂崩壊した場所だけでなく、東山全体の調査の実施と、その調査結果に対する抜本的な対策を講ずるべきと考えますが、土木交通部長に伺います。  最後に、この県道は5カ所のトンネルがあります。この緑の色が5カ所のトンネルなんですけどね。完成後80年経過していると聞いており、また、平成27年度には、トンネルにクラックが発見され、応急的な補修をされたと伺っています。私自身の目測で調査しても、多くのクラックと継ぎはぎになった補修箇所が多く見受けられます。昨年度には調査設計を行い、本年度は残りの隧道を含めて本格的な長寿命化に向けた工事を実施すると聞いておりますが、その工程について土木交通部長にお伺いします。 ○議長(奥村芳正) 41番清水鉄次議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎土木交通部長(池口正晃) (登壇)県道西浅井マキノ線の災害復旧と隣接した東山について、3点の御質問をいただきました。  1点目、土砂崩壊箇所の復旧工事の進捗状況と開通目途についてお答え申し上げます。  これまでに、崩壊土砂の撤去、斜面に残っている浮き石、立木の除去などの応急復旧工事を終え、まずは片側交互通行ができるよう落石防護柵を設置しているところであります。工事中は、安全確保のため通行どめとせざるを得ませんが、片側交互通行の準備が整った段階で、8月20日までの夏季レジャーシーズンにおいて、本復旧へ向けての工事を一部とめまして、平日、休日とも片側を通行可能としたいと思います。なお、8月21日以降は、平日に工事を再開して、土曜日、日曜日、祝日のみ通行可能としたいと思います。本復旧工事は、3月末に終え、全ての交通規制を解除したいと考えております。  2点目、東山全体の調査実施と対策についてですが、まずは、落石や崩土など県道西浅井マキノ線に影響が及ぶ範囲での調査を今年度実施する予定であります。この調査結果をもとに必要な対策を検討してまいります。  3点目、隧道の長寿命化に向けた工事工程についてですが、7月より第5隧道から順次着手して、5カ所全ての隧道の修繕工事を来年1月末に完了する予定です。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇)再質問をさせていただきます。  今、8月20日までに片側通行というような答弁があったような気がするんですけど、そして、8月21日から土日を片側通行というような答弁があったんですけど、その都度、現場に行って、その都度、担当の方といろいろとお話をさせていただいて、やはり地元からもいろんな御意見も賜り、ビワイチの愛好者からもさまざまな御意見をいただく中で、やっぱり早くしてほしいと。特に7月に入りますと、夏休みの中で家族でビワイチを楽しもうという方もふえてまいりますので、もう少し早い段階で、この片側通行、琵琶湖を見ながらの海津大崎、西浅井マキノ線を走行するというような、早い段階で通行できないでしょうかということで、再度答弁を求めたいと思います。 ◎土木交通部長(池口正晃) お答え申し上げます。  7月中に片側交互通行の準備を整え、遅くとも8月1日から通行していただけるよう進めたいと思います。ただし、先ほども申し上げましたとおり、8月21日からは、工事中の安全確保のため、平日は通行どめとなりますが、土曜日、日曜日、祝日は通行いただけるようにしたいと思います。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇)今、遅くとも8月1日という答弁をいただいて、8月21日から土日、祭日を片側通行という答弁やったと思います。今言いましたように、できるだけ、遅くとも8月1日とおっしゃったんで、何とか7月にできればということをお願いしてこの質問は終わらせていただきます。  次に、観光振興とJR湖西線について、知事に質問させていただきます。  この質問は提案型の質問です。いろんなことを考えさせていただいて、ぜひ県のほうで取り組んでいただきたいということの初めての質問ですので、聞いていただきたいと思います。  5月27日に特急はるかを活用した貸し切り列車の運行が実施されました。これは、滋賀県、大津市、高島市、長浜市の推進している湖西線利便性向上プロジェクト推進協議会の取り組みによるものであります。当日は、関西空港駅10時29分に立ち、おごと温泉行き13時12分に到着する列車で、京阪神を中心に242名の観光客がお越しになり、湖西の旅を楽しんでいただきました。  特急はるかを活用した貸し切り列車の湖西線への乗り入れは、これで2回目のことで、2022年度末までに予定されている北陸新幹線敦賀開業を見据え、湖西線から京都、大阪を経由し、関西空港駅までつなぐことは、湖西線の利便性と関西空港に来られる世界の観光客を滋賀県に誘客する大きなチャンスであり、今後、敦賀開業時をめどに目指すことが必要かと考えます。  関西広域連合の関西観光・文化振興計画の概要では、関西ワールドマスターズゲームズ2021が開催される2021年までに、関西への訪日外国人旅行者数は2013年の約345万人から2020年に1,800万人、関西での外国人延べ宿泊数は2013年の約793万人から2020年に3,700万人に、そして、訪日外国人旅行者消費額は2013年の約4,700億円から2020年に3兆円に増加すると計画されております。それ以外にも、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、そして、2021年の関西ワールドマスターズゲームズなど、国際的なイベントの開催が決まり、今後、さらに外国人観光客の増加が見込まれるなど、国際観光を取り巻く社会情勢は大きく関西が伸びようとしています。このように、国際的なイベントを通じて、関西の観光や文化の魅力を発信する絶好の機会です。  しかし、外国人観光客全体の訪問先の約45%が大阪、約33%が京都で、滋賀県は1%未満にしかならない状況です。このような状況の中で、外国人観光客の目標数値を検討し、外国人観光客を誘客するための具体的な戦略をつくる必要があると考えますが、知事の所見をお伺いします。
     次に、先ほど述べました2020年度末に予定されている北陸新幹線敦賀開業に伴い、特急の運行形態が変わることにあわせて、国内外から観光客を運ぶ関西空港から湖西線を経由し、敦賀方面へ直通列車を検討されてはどうかと考えます。現在、大阪駅から金沢駅までサンダーバードが1日24往復、そのうち滋賀県内では、堅田駅と近江今津駅には1日数本、大阪行きが3本と金沢行きが4本、停車しているところです。一方、特急はるかは関西空港駅から京都駅まで運行しております。2022年までに予定されている北陸新幹線の敦賀延伸開業した時点で、北陸本線は、敦賀駅から福井方面に向けては、並行在来線として福井県による第三セクターとしてJR西日本から経営分離される予定です。このため、大阪から金沢間の267キロメートル走行している特急サンダーバードは敦賀駅で折り返すことになり、走行距離が136キロメートルと現行の約半分の距離となります。これでは、運行主体のJR西日本にとっても、車両の運用効率が低下してしまうので、この機を捉え、関西と北陸のアクセスを担う特急サンダーバードに、特急はるかが持つ関空アクセス機能を兼ね合わせた、湖西線を経由した関空と敦賀を結ぶ新たな特急列車の実現を推進すべきと考えます。これを実現すると、関空を窓口とした海外や京阪神を出発点に、滋賀を経由して敦賀、北陸までの大規模な観光振興につながるとともに、新たな特急列車が大津市と高島市に1駅ずつ停車できれば、滋賀県への外国人誘客にもつながると考えますが、知事の所見をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)観光振興とJR湖西線について、2点御質問いただきました。  まず1点目、外国人観光客を誘客するための戦略についてでございますが、平成29年度滋賀県「観光交流」振興指針アクションプランにおきまして、外国人観光入り込み客数延べ50万人の目標を掲げています。具体的には、観光客数の上位を占めておりますアジア市場を中心に、海外プロモーションや、海外の旅行社、メディアの招請を引き続き積極的に推進するとともに、新たな市場を開拓するため、歴史、文化への興味が高く、滞在日数も多いとされる欧州での本県認知度向上に取り組んでいるところでございます。その結果、観光入り込み客統計調査によりますと、平成27年の外国人延べ観光客数は約48万人と、平成23年の約13万人に比べ3倍以上となっています。  しかしながら、議員からも御紹介いただいたとおり、関西全体の訪日外国人観光客数と比べて、まだまだ低位でございます。その分、伸びしろと可能性があるということでもございますので、今後、さらなる誘客活動の強化が必要であると認識しています。そこで、今年度、現状の把握や課題の分析を進め、さらなる訪日外国人誘客につながる戦略を検討いたしまして、平成30年の次期観光指針の改訂に反映してまいりたいと考えています。  2点目、新たな特急列車についてでございますが、議員御指摘のとおり、北陸新幹線敦賀開業が本県にとって湖西線活性化の好機、とてもいい機会だと認識しています。さらに、北陸新幹線敦賀開業と同じ2022年度末には、大阪駅に直結いたします、仮称でございますが、北梅田駅開業も予定されており、JR西日本が特急列車の運行体系を見直す可能性がございます。本県もこの機を生かし、議員御提案の単に通過だけではなくて湖西地域の活性化に資する新たな特急列車の実現に向け、研究を重ねながら、本県選出の国会議員や沿線市、そして県議会議員の皆様と連携し、国や運行主体であるJR西日本にあらゆる機会を通じ、積極的に働きかけてまいりたいと存じます。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇)何とぞよろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、41番清水鉄次議員の質問を終了いたします。  次に、5番目片信悟議員の発言を許します。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇、拍手)それでは、午前中、3人目、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  早速でありますが、大きく2つの項目、1点目に滋賀における地方創生の取り組みについて、2点目に将来を見据えた学校のあり方とその課題について、それぞれ通告書に従い分割方式で伺ってまいります。どうぞよろしくお願いをいたします。  まず初めに、今年度、地方創生・しがブランド推進対策特別委員長を拝命をいたしました。ことし1年、滋賀のブランド力を高め、地域に活力をもたらすことができますよう、議員各位のお知恵をいただきながら、地方創生・しがブランドの推進を図ってまいりたいと思います。  さきのお二方がビワイチに触れられましたので、本家ビワイチとして私も一言触れさせていただきたいと思います。  実は、私がビワイチを申し上げたのは、平成23年の6月議会でございました。その当時は、観光ブランド、観光マテリアルとして、その素材を磨く、それを全体的なイメージとしてビワイチというような答弁でございました。いや、私は違うだろうと。ビワイチは、琵琶湖一周を自転車で走るのがイメージができるし、その言葉を聞いたらぱっと思い浮かぶ、そういうものがやはりないとぼやけてしまうのではないのかということをずっと言い続けてまいりまして、実は昨日、平成27年の9月定例会議の会議録を見ておりましたら、当時、これは福永商工観光労働部長の御答弁でしたけれども、平成26年度、ビワイチをされた方は何人ですかとお聞きしたら、3,000人とおっしゃいました。平成26年の数字で3,000人。当然、集計をされておりませんから、実際はもっとおられたというような御答弁でしたが、平成27年度の数字が5万人という発表があって、どうやって集計をされたんだろうと大変不思議に思っておりました。それが昨年度は7万人。こういったビワイチということが実際に自転車で琵琶湖一周をするというようなイメージに変わったのは、多分、知事がかわられたからだという風に思います。当時、三日月知事は、最初は当局の答弁を読んで、観光素材がどうの、そういうふうにおっしゃってましたけども、平成27年の9月の答弁では、私も走ってみたい、息子がビワイチ行ってみたいと言ったからどうなんだろうというような、そんなお話をいただきながら、自転車で琵琶湖を一周するということを、明確にその方向づけをされた。やはりそういったブランドというもの、また、皆さん方に理解をしていただくということは、そういった明確なリーダーシップのもとに施策の展開を図られてこその、やはりブランドの発掘、また、ブランド力が高まるということではないかというふうに思います。そういうことを最初に申し上げながら、以下、本題に入らせていただきます。  私は、いま一度、この地方創生について、過去において議論されたことも振り返りながら、その実効性がより早く出るように考え、提言をしてまいりたいと考えております。  3年前、2014年9月議会において、ちょうど三日月県政が誕生してすぐの定例会議でありましたが、私は、滋賀の活性化についてという項目で知事の考えをただしました。地方創生という概念が言われ始めたのはこのころからではなかったかと記憶をしております。まさしく地方創生イコール滋賀の活性化であると思います。県内の経済が活性化し、雇用が創出され、活気あふれるまちづくりこそ地方創生であります。  知事は、先日の我が会派の代表質問における答弁で、自然景観、歴史的資産、美術館や博物館等々、本県の多彩で特色あるとされたさまざまな観光素材をおっしゃいました。まず、ぜひ聞いておきたいのは、知事がおっしゃいましたこの観光素材は、他の地域のそれとどのような違いがあるのか、また、他の地域のものを上回る魅力は何なのか、そして、その集客力はどの程度なのか、お伺いをいたします。  その上で、3年前に伺ったことを踏まえながら、その折には大変抽象的な表現で答弁をいただきましたけれども、再度、滋賀における地方創生の取り組みについて、3つの視点から具体的に伺いたいと思います。  まず1点目に、これまでから滋賀において歴史上さまざまなえにしが諸外国との間にございました。最近では、インバウンドとして日本に来られた外国人観光客をいかに集客をするかという視点でさまざまな議論がなされてきましたし、また、ウォーターバレー構想、水環境ビジネスにおいては、諸外国とのパイプもつないでこられました。また、従来から、琵琶湖を通じての姉妹都市交流や、知事のトップセールスによる新たな交流など、今では国際化は避けては通れない課題であります。  こうした中、今、大津事件が大変注目をされております。大津事件は、今さら説明するまでもなく、当時の日本を震撼させた大事件であると同時に、日本の司法制度が世界的にも認められるきっかけとなった大変意味あるものであったということは言うまでもありません。その舞台が本県であります。そして、現在、大津市の歴史博物館においては、大津事件にかかわりのある書簡などの展示が行われておりますし、ロシアのサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館においても、11月に大津事件にちなんだ展示会が開催され、県内のNPO法人を通じて、現在のところ、非公式ではありますが、本県や大津市において保管されている史料の展示依頼のオファーがあるとも仄聞をしております。  こうした歴史や文化を通じての交流は、当事者、いわゆる行政間だけにとどまらず、双方にとってあらゆる可能性があると考えられます。さきの大戦で戦ったアメリカや中国等との間においても、今ではさまざまな交流が図られている昨今、改めてこうした歴史や文化を通じた国際交流についての見解を知事に伺います。  次に、今回の大津事件に関する一連の動きについては、県内のNPO法人が大きな役割を果たしておられます。行政が主体となって進める国際交流だけでなく、県内においてさまざまな活動をされている法人や団体の人脈の活用に目を向けなければ、これからの時代、より密接な国際交流が進まないのではないかと思います。例えば、この大津事件に関するエルミタージュ美術館での展示に本県ゆかりの史料展示が実現した場合、大きなつながりができると思います。その縁を、今度は本県が今後整備を進めている新生美術館においてエルミタージュ美術館の収蔵品を展示させていただけないかなど、さまざまな展開が考えられると思います。こうした民間の人脈や情報、また、行動力を生かすこと、これはこれからの地方創生、活性化に確実につながっていくと思いますが、知事の見解を伺います。  次に、県内にはさまざまなスポーツ団体や選手がおられます。そして、今後、2020年東京オリ・パラ、先ほども話題に上りましたが、関西ワールドマスターズゲームズ、2024年2巡目滋賀国体、全国障害者スポーツ大会など、スポーツイベントがめじろ押しであります。また、県内では、外国チームのキャンプ地、ホストタウンとしての縁を結ぶ地域もあります。以前、サッカーの日韓ワールドカップが開催された折、カメルーン代表がキャンプ地として訪れた大分県中津江村とは現在でも深い親交があると聞いております。ホストタウン誘致については、それぞれの自治体が今現在も取り組んでおられますが、未来を見据えたとき、例えば、本県では米原市が全国レベルにあるホッケーのジュニア選手のレベルアップを図るため、世界ランキングで上位に位置するニュージーランドと交流を図るという取り組みを進めておられます。今回は東京オリ・パラという絶好の機会を通じてこうした交流が図られましたが、何らかの縁でつながった交流は、それぞれの国民を巻き込んだ大きな交流につながると思いますし、こうした可能性を継続的に探り実現していくことは、本県独自の取り組みとして注目されるのではないでしょうか。競技団体とも連携する必要がありますが、知事の見解を伺います。  次に、地域の歴史素材活用の観点から伺います。  以前、知事に紹介しました、タイトル「これでいいのか滋賀県 地味〜な滋賀の意外な発展!?」という雑誌のことを覚えておられますでしょうか。そして、先日、「三成さんは京都を許さない」という漫画を知人から勧められ、読ませていただきました。どうも本県は、今紹介した雑誌や漫画のようなイメージということでしょうか。  以前、本県の現状をどう感じているかと知事に質問させていただきましたが、知事は答弁で、松尾芭蕉の句を引用しながら、滋賀の魅力を発信したいと言われました。3年たって、どのように滋賀の魅力発信に取り組まれ、その結果、どのような成果が上がったのか、具体的にわかりやすく御説明をいただきたいと思います。  以前の質問で、坂本城、安土城、長浜城をつなげて近江戦国時代絵巻としてストーリーをつくりビワイチをと申し上げました。知事に対し、具体的なストーリーはと伺いましたが、さまざまな本県の可能性について御答弁をいただきました。このストーリーというものは、単純に誘客、集客を図るだけでなく、それに伴い、県内のあらゆる産業振興を目指すものでなければならないと考えています。改めて3年経過した現在、本県にどのようなストーリーが完成し、それに伴い具体的にどのような成果があったのか、知事に伺います。  歴史的資産の活用で重要なことは、少なくともそのランドマークがあるかどうかは大きな要素であります。天空の城と言われる竹田城は、雲海にそびえる写真が全国に有名になったことがきっかけで、まち全体がまるで変わったと地元の方がおっしゃっておりました。天守もない、石垣が残るこの城は、ブレークする以前は雑草が生え、地元の人さえ足を入れることがなかったそうであります。  先ほど近江戦国時代絵巻と申し上げましたが、そこで私は坂本城に注目をいたしました。坂本城は、石垣と天守を持つ城としては安土城より以前に建造され、日本で最初の城と言われており、水城としても極めて重要な城であります。そして、この後に続くさまざまな城の建築に大きな影響を与えました。また、発掘調査により一部の建物跡、井戸跡などが発掘されており、本丸の位置までは確定されていますが、天守の位置などはいまだに確定されておりません。また、琵琶湖内部には遺構も残存しているようで、滋賀県立大学の中井先生が、琵琶湖湖上運送の研究のため、潜られて調査された模様が、明日7月1日のびわ湖放送45周年特番「発信!琵琶湖新時代」で紹介されると仄聞をしております。時間は4時40分から5時10分だそうです。  史料等によりますと、天守は現在、民間施設の敷地内にあるとされており、今後、開発等の危険にさらされる可能性があり、そのような事態になると、本県の宝が後世につないでいけなくなることが危惧されます。また、戦国時代における坂本城の歴史的価値が非常に高いにもかかわらず、注目度が低いようにも感じます。確かに坂本城址の石碑は建っておりますが、県は坂本城という歴史遺産の活用をする気があるのか疑問に感じ、私は何らかの手を打つべきと思っております。そこで、坂本城という歴史遺産の保存と活用について、知事の見解を伺います。  そして、どうしても気になるのが、道路などにある案内表示板や個々の遺跡、史跡の説明銘板が十分かどうかであります。目に触れることで認識し、興味を持ってもらえるものだと思いますが、現状と県、また各市町での取り組み状況について知事に伺います。  それでは、3点目、また違う視点、地元の企業等の育成と県発注案件の統一性の考え方について伺います。  地方が元気になるということは、地元の企業が元気であることだと思います。観光産業やその関係先だけでなく、本県の強みである製造業や、また建設関連産業など、あらゆる業種の企業業績を上げていく必要があります。その中で、昨年度、総務・政策・企業常任委員会において、建設工事における県内事業者優先発注とその事業者育成について意見や提案を申し上げましたが、どうも本県では地元業者への対応が不十分であるということであります。  建設事業の発注については、委託業務および建設工事において、土木交通部が大枠の基準や運用方針、登録業者名簿の作成など制度設計を行っておりますが、起案ならびに入札執行、契約締結などは各所属部局が独自の基準を設け運用しておられます。私は、これが地元企業参入に大きな問題、障壁になっていると考えています。特に設計などの委託業務については、ある所属部局では、県外大手のみの参入できる基準を設け、プロポーザル方式を行ったにもかかわらず、1者を除く全ての業者が参加辞退、後に数者追加で募集したものの、これも皆辞退、結局1者のみで応募し、決定されたのですが、同じ業者が同様の状況で3件受注をされました。この業者は、ほかにも3件、プロポーザル方式で受注しています。地元業界では官製談合ではないのかという声を上げております。  ぜひ、地元企業に門戸を開いて県発注業務への参加を促し、技術力を競争させてはどうでしょうか。そのためにもこうした業務発注の統一性が求められると考えますが、知事の見解を伺います。  次に、昨年、馬渕浄水場八幡安土バイパス送水管破損による漏水事故が発生したのは記憶に新しいところであります。その原因についても所管の常任委員会で説明がありましたが、県外大手の設計者による技術的ミスであったため、全面的に設計者の責任であり、復旧にかかる費用全て設計者が負担するとのことでありました。一方、この事故に対する設計者に対する処分はありませんでした。当然、処分規定に基づいてのことであろうと思いますが、手続としては問題ないのかもわかりませんけれども、どうも後味が悪い気もします。あのような大きな事故を起こしても、費用さえ弁償すればおとがめなしという印象を与えかねません。知事はどうお考えでしょうか。  他方、県の外郭団体であります滋賀県建設技術センターにおいて、平成27年度から各市町の橋梁点検業務が指名競争入札により発注されています。平成28年度は8件の発注、入札が県内16者を指名して行われました。平成29年度は9件の発注、このうち5件においては県外大手業者を指名メンバーに入れられました。以前から県は県内事業者育成を掲げられ、2016年10月には、西嶋副知事名において、建設工事等の発注における県内事業者の受注機会の増大と育成のための取り組みについてとの通知を出されました。現に、業務レベルに応じて県内事業者に対して発注、また契約もしてこられました。しかし、先ほど申し上げた橋梁点検業務では、県内14者で当初行っていた指名に、今年度途中から県外11者を加え、21者で発注されました。なぜ県外業者を、それもランクが違う業者を指名に加えられたのか、また、通常、業務Cランクの案件であるにもかかわらず、部門別ランキング上位の業者にわざわざ参加させたのは、明らかに副知事通達に相反するものだと考えますが、建設技術センターを所管する土木交通部長としての見解を伺います。  加えて、意見としてですが、非常に裾野の広い建設関連産業については、専門業者の育成も同時に進めなければなりません。県内業者の下請参入もあわせて推進するためにも、総合評価での今以上の加点、また、竣工検査においても、その成績により高い評価をつけるなど、より一層県内事業者の育成に資する施策を望むものであります。  以上、御答弁よろしくお願いをいたします。 ○議長(奥村芳正) 5番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)地方創生の取り組みにつきまして、11点御質問のうち、私には10点御質問いただきました。順次お答えをさせていただきます。  まず1点目、本県の観光素材についてでございますが、他の地域にない本県の観光素材の魅力とは、何より日本最大の湖であります琵琶湖に根差したものであることは論をまたないところだと考えます。  この基本的な認識を踏まえつつ、本県の観光素材の特徴として、大きく次の4点が考えられます。1つ目に自然でございまして、琵琶湖周辺に広がる田園や里山、それらを取り巻く山々などの自然と四季折々の美しい景色があること。2つ目に歴史でございまして、彦根城、安土城、御紹介いただいた坂本城初め、主に戦国時代を中心に歴史上の舞台となり、重要文化財の指定数は全国でもトップクラスであること。3つ目に文化でございまして、近江八幡の水郷、高島市針江のかばたなど、水をめぐる生活文化、祈りの文化があること。4つ目に食でございまして、近江牛、琵琶湖八珍、近江の地酒など、滋賀ならではの食と食文化があることでございます。これらが密接に関連し合うことで、滋賀ならではの魅力が生み出されており、その魅力は他の地域を上回るものであると自負しています。だからこそ、松尾芭蕉は最も多くの句を読まれたのではないかと考えますし、司馬遼太郎先生は「街道をゆく」を近江から始められたのではないかと考えています。  集客という点で、特に自然や歴史につきましては、平成28年度に実施した本県への来訪者に対する来訪目的の調査におきましても、自然の風景を見るため、琵琶湖を訪れるため、寺社仏閣、旧跡を訪れるためが上位3位を占めておりまして、本県観光に大きく寄与していると考えます。また、平成27年の延べ観光入り込み客数は過去最高の約4,794万人となり、平成28年はさらに上回る見込みであることも、本県の観光素材の潜在力を一定示しているものと認識しています。  2点目、歴史、文化を通じた国際交流についてでございます。  御案内のとおり、本県には、湖を通じたゆかり、御縁で、ミシガン州、ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール州、中国湖南省の姉妹友好州省がございます。また、分野を絞った形で、台湾の台南市との経済・産業分野等の交流に関する覚書、ベトナムホーチミン市人民委員会との経済・産業分野の協力に関する覚書や、JICA国際協力機構を通じたベトナムクアンニン省への支援等、いろいろな分野、テーマで交流が進んでいるところでございます。  一方、歴史や文化は、まさに地域の人々の暮らしが色濃く反映するものでございまして、これにかかわっての交流は、県民一人一人が参加しやすい、幅広い交流に結びつく魅力的なものであると認識しています。  なお、議員が御紹介いただきました大津事件にちなみました史料展示への依頼につきましては、まさに滋賀ならでは、大津ならではの交流に結びつくものでありまして、関係機関と連携しながら前向きに検討を進めていきたいと考えております。  3点目、民間の方々の人脈や情報等を生かすことについてでございますが、現代は、世界的に人々が行き交う時代でございます。本県におきましても、個人やさまざまな団体がそれぞれに外国との関係を築いておられ、非常に心強く感じています。県といたしましても、民間で築いてこられた関係、ネットワークを大切にしながら、行政ができることを支援するという姿勢で取り組んでまいりたいと存じます。  そうした民間主導の交流から、経済交流や文化交流等、さまざまな分野に展開され、地域活性化や、ひいては真の地方創生に結びついていくことに期待をしています。  4点目、スポーツ交流の可能性、継続的に探り実現していくことについてでございます。  スポーツの活用につきましても地方創生、地域活性化につながるものであると認識しています。これからの数年は、2020年の東京オリ・パラを初め、スポーツのビッグイベントが連続して開催される好機でございます。例えば、現在本県では、滋賀ならではの特性を生かし、東京オリンピック・パラリンピックに向けましたホストタウンの推進を市町と連携して戦略的に取り組んでいます。具体的には、1つは湖上スポーツを主眼に、ボートで大津市とデンマークが、2つ目は、昭和56年国体のレガシースポーツを主眼に、ホッケーで米原市とニュージーランドが、そして3つ目は、障害者スポーツを主眼に、ゴールボールと視覚障害者柔道で守山市とトルコが、それぞれ親和性を生かしたスポーツを端緒として、文化や教育、経済等さまざまな分野における交流の拡大を図っています。  このように、さまざまな交流に当たりましては、市町が中心となって取り組むことが重要であると考えており、さまざまな企業や競技団体との連携を通じた取り組みがまさに継続するよう、本県もさまざまな可能性を探り、呼びかけ、そして支援をしてまいりたいと存じます。  5点目、滋賀の魅力発信の取り組みや成果についてでございます。  本県は、先ほど来申し上げておりますように、琵琶湖を初めとする豊かな自然、戦国武将・忍者などの歴史的遺産、地域の食材など、滋賀ゆかりの素材について、市町や民間等と連携して魅力を磨き上げてまいりました。特に、この3年間、御紹介いただきましたビワイチや日本遺産、「みずかがみ」などに精力的に取り組んできたところでございます。  ビワイチは、これまで市町との連携を図りながら、県内132カ所のサポートステーションなどの環境整備や誘客促進に積極的に取り組んできたところでございます。本年4月に公表されましたサイクリストに人気のサイクリング旅行先ランキングでは、本県の湖東エリアがしまなみ海道に次ぐ全国2位に入れていただくなど、全国的な認知度も高まってきていると感じています。  日本遺産につきましては、県内の豊富な地域資源を活用したまちづくりとして、県と市町が連携してきたところであり、これまで3つのテーマで認定をいただいております。  「みずかがみ」につきましては、テレビコマーシャルの放映や県内外PRイベントなど関係者が一体となった魅力発信、平成27年産から2年連続で特A評価を受けたことなどにより、近江米を牽引するブランドとして着実に需要が増加しているところでございます。  本年10月29日にオープン予定の「ここ滋賀」におきましても、こうした成果を活用しながら、全国、世界へ発信をしていきたいと考えています。  6点目、本県のストーリーについてでございます。  これまで、地域に伝わる観音信仰、本県が舞台となった映画とのタイアップ、ビワイチの推進など、観光素材をストーリーで結び、周遊につなげていく観光振興に取り組んでまいりました。とりわけ日本遺産につきましては、本県が琵琶湖とともに育んできた水の文化のストーリーが、構成文化財29点とともに「琵琶湖とその水辺景観─祈りと暮らしの水遺産」として平成27年に認定されたところでございます。この認定には、単に地域の歴史や文化財の価値を解説するのではなく、地域の魅力として発信する明確なテーマが設定されている必要がございまして、まさに本県の水を取り巻く素材が結びついた一つのストーリーとして完成したものだと考えています。  成果という点では、日本遺産認定後となります平成27年の構成文化財が所在する7つの市の宿泊者数が前年比12%増の約309万人となっておりまして、当該認定が一つの増加要因となっているものと認識しています。また、この10月から開催いたします水の文化ぐるっと博におきましては、構成文化財を核としたまち歩きや体験プログラムが70を超えて展開されるなど、地域が主体となってストーリーを活用し、地域振興に結びつけようとする取り組みにつながっていることが何よりもこれからにつながる大きな成果であると考えています。  7点目、坂本城という歴史遺産の保存と活用についてでございます。  坂本城跡は、議員御指摘のとおり、本県の重要な歴史遺産と認識しています。こうしたことから、開発の動きを適宜把握いたしまして、文化財保護の観点から適切な調整、保護を図りますとともに、現在確認されている城跡につきましては、ガイドブックの作成や坂本城を題材とした講座や探訪を開催するなど、さまざまな取り組みを通して情報発信に努めてまいりたいと考えています。  8点目、遺跡、史跡の説明銘板の現状と取り組みについてございます。  まず、国・県指定の史跡につきましては、法律や条例により説明板を設置することが義務づけられており、所有者もしくは管理者が設置しています。その他の遺跡につきましては、所有者の御意向を伺いながら、必要に応じて県もしくは市町においてその設置に努めています。  一方で、観光客へのおもてなしの視点に立った場合、これらの案内板などは、来訪者に対して、必ずしも当該施設やその周辺地域の魅力を包括的にわかりやすく伝えられていない場合もあると認識しています。  現在、日本遺産の認定を機に、構成文化財を持つ7つの市と連携いたしまして、文化財の解説のみならず、先ほど来答えました日本遺産のストーリーを説明する案内板を、長命寺、三井寺、日吉大社など15カ所に整備したところでございます。また、観光客が立ち寄りやすい駅、道の駅、案内所など27カ所に、構成文化財を中心に周辺の観光情報を紹介する案内板を設置するなど、関係市と連携し周遊観光を促す取り組みをしています。今後も、ICTの活用も含めまして、来訪者の視点に立ったおもてなし環境の整備を進めてまいりたいと存じます。  9点目、業務発注の統一の確保が求められることについてでございますが、県内企業の受注機会が増大し、県内企業の技術力が向上することは、県の経済発展にも重要であると認識しています。業務の発注に当たりましては、技術的難易度が高く県内企業では対応が困難な特殊な場合を除き、原則として県内企業への発注に努めています。入札制度や発注方針につきましては、毎年度、県関係機関を対象に説明会を開催し、徹底を図っています。  また、昨年10月以降には、建設工事等の発注における県内事業者の受注機会の増大と育成のための取り組みの徹底を図るため、改めて副知事から通知を行ったところでございます。発注基準の詳細につきましては、業務の内容により、部局独自の基準を設けている場合がございますが、副知事通知の趣旨から逸脱した運用がなされないよう、関係部局で構成する入札制度検討委員会を十分活用して、引き続き発注事務の統一的な運用に努めてまいりたいと存じます。  最後、10点目、大きな事故の要因となった企業に対して罰則規定等がないことについてでございますが、不適切な設計などを行った事業者の処分やペナルティーについては、3月の予算特別委員会でも御質問をいただいており、現在、国の知見も参考にしながら、建設工事や業務委託における入札参加停止基準の見直しを進めております。  なお、業務委託における成績評定が不良であった業者に対する入札への参加を一定期間制限する扱いを4月以降開始いたしているところでございます。 ◎土木交通部長(池口正晃) (登壇)私に御質問いただきました建設技術センター発注の業務において、ランクが異なる県外企業を指名に加えたこと、これが副知事通知に反するのではないかということでお答え申し上げます。  県の外郭団体である滋賀県建設技術センターにおいても、県と同様の入札手続を行っておりまして、指名競争入札によらなければならない場合、競争性確保の観点から、原則10者以上を指名することとされております。  議員御指摘の件については、競争性を確保するため県外企業を加えたものでありまして、今年度については、県内企業育成に向け、今後のお手本となるような成果も期待して、上位ランクの県外企業を指名したものであったと聞いております。しかしながら、業者の選定に当たって、県内企業の受注機会を確保するという観点での配慮は十分ではなかったということから、今後、副知事通知の趣旨の徹底をセンターに対して要請してまいります。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございました。要するに、地方創生とかブランドというのは、やっぱり一つのものを長く続けていくことによって、そういうものがつくり上げられていくものだと思いますし、ばくっとしたような話をいつまでもしていても、なかなかブランドにはならない、ある程度絞り込んだ中で、どういうものが果たしていいものなのかどうか、そういうことを皆さん方でいろいろと議論をしながら、この1年、委員会を進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、土木のほうにつきましては、やっぱり県内企業が元気にならないと地域も元気にならないというふうにも思いますので、そういった意味で、法令にのっとって県内企業の育成をさらに進めていただければというふうに思います。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  将来を見据えた学校のあり方と課題について、知事および教育長に伺います。  本県において、平成24年12月に、魅力と活力ある県立高等学校づくりに向けて、滋賀県立高等学校再編基本計画が策定されました。これにより、新しいタイプの学校の設置、統合による新しい学校の設置、地域に根差した学校づくりなど、大きく7つの方策を講じるとともに、これに伴う必要な施設や設備の整備を行うとされました。そして、この実施計画は、平成25年度からおおむね5年間の再編の具体的内容を示しておられます。今年度、計画のおおむね最終年度となるわけですが、今後、県立高等学校の新たな再編に向けて、具体的に何か検討されているのか、教育長に伺います。  また、再編計画に基づき、平成26年度には新しいタイプの学校設置、地域に根差した学校づくり、職業系学科の改編など5つの方策が実施され、また、平成28年度には統合による新校設置がなされ、1年余りが経過いたしました。改めて、この再編計画によって本県の県立高等学校がどのように変わり、どのように評価されているのか、教育長に伺います。  次に、本県では、高校再編計画を策定するに当たり、平成25年度から平成38年度までの中学卒業、また、卒業予定者数を推計されました。来年度以降の数字についてはあくまで予想値ですが、現状では、平成29年度を100とした場合、平成38年度では約6ポイント減少するとされています。これは人数でいうと800人が減少するというものであります。これに加え、毎年700人程度が県外の私立高校へ進学していることを考えると、約1,500人、県内中学卒業生が県内の高校へ進学しないということになります。県内高校への進学者数の減少は、学校経営という観点からすると大変大きな問題であると考えますが、県教育委員会としての見解を教育長に伺います。  また、県内には私立学校もあります。公費が投じられる県立学校と違い、中学卒業生の減少、そして他県への流出は、私立学校にとってもより大きく経営に影響することになります。将来を考えた場合、こうした事態を知事はどう考え、対処されるのか、見解を伺います。特に県外高校に進学される子供たちを何とか県内に引きとめる必要があると考えますが、何か方策をお考えでしょうか、知事に伺います。  次に、県内私立学校に対する支援について伺います。  現在では、高等学校への進学率が約99%、そして、その中で約80%が公立高校、約20%が私立学校であり、いわばほとんどの子供たちが高校進学いたします。  2月定例会議において今年度予算案を審議する際、同じ公教育を担う私立学校に対する支援について議論をさせていただきました。本県では、平成20年度において財革プログラムにより極端な補助金見直しが行われ、私学振興補助金は、生徒数が増加したため、補助金総額は前年度より増となりましたが、1人当たりの単価は大幅に減少しました。私学支援に対する国の財源措置があるにもかかわらず、県は予算措置に対し十分な対応をしていないのが現状であります。そもそも教育に対する投資をためらうこと自体、本県の教育に対する姿勢が問われるものと考えます。また、公私学の格差が増大することは学校選択の幅を狭めるものと思いますし、やむを得ず私立に通わせる家庭にとっても大変負担が大きいものと考えます。  改めて、本県の私立学校、また、私立学校に通学させている保護者に対する支援をなお一層拡充することを求めますが、知事の見解を伺います。  次に、10年先を見据えたとき、県立高校と私立学校の姿は知事の目にはどのように映っているでしょうか。もっと言うならば、30年先はどうでしょうか。本県の高等学校のあり方について、知事が描くものを伺いたいと思います。  最後に少し、近ごろ何かと話題に上るPTAについて伺いたいと思います。  最近、保護者の間では、PTAは不要という声が以前にも増して耳にするようになりました。小中学校における保護者の、ひょっとすると教員もかもわかりませんが、PTA活動に対する意識も低下してきていると感じています。  当然のことながら、PTAの加入は任意となっております。大半の方は仕方なくと思いながら参加しておられるかもしれません。しかし、任意といいながら半ば強制的にというような風潮であるとも言われております。中にはPTAをぶっ潰すと過激な発言をされる方もいると仄聞をしております。  そもそもPTAとは何か、その存在意義はと問われることが多いのですが、PTA活動に対する県教育委員会としての見解を教育長に伺います。  また、任意加入であるがゆえに、会員と非会員の区別をどのようにするのか、例えば、会員から集めた会費についての使い方で悩む役員さんも多いと思います。ほかにもさまざまな課題もあります。そして、学校や地域によっても温度差がありますが、近い将来、PTAという組織が機能しなくなる可能性が考えられます。  私自身は、小学校の6年間、中学校3年間、そして、高校も今3年目の会長をさせていただいております。長年PTA活動に従事してきた経験から、意義ある役割をPTAは担っていると思っております。学校運営の立場からPTA活動がどのような役割を担うのか、見解を教育長に伺います。 ◎知事(三日月大造) 将来を見据えた学校のあり方というテーマで、私には4点御質問いただきました。  まず1点目、将来を考えた場合、私立高校についてどう考え、対処するのかということについてでございます。  私立高校は、公立高校とともに公教育の一翼を担う重要な存在であると認識しています。したがって、これまでから、私立高校の経営の健全性の確保や保護者の負担軽減を図り、生徒が安心して学べるよう必要な支援を行ってきたところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、生徒数の減少が進めば、私立高校の経営に大きな影響を与えるものと認識しており、こうした事態に対処するためにも、これまで以上に保護者や生徒から選んでもらえる魅力ある学校づくりにそれぞれの学校をして努力いただくとともに、県としても必要な支援を行い、将来にわたって学校を安定的に維持、運営できるようにすることが重要であると考えています。  2点目の県外高校に進学する生徒についてでございますが、県外の高校に進学を希望する生徒について、県内の高校も進路先の選択肢として考えていただくことは、将来にわたって重要な課題であると認識しています。そのためには、公立私立を問わず、教育内容はもとより、スポーツ振興、芸術指導などの充実も含めて、その学校でしか学べないもの、習得できないことなど、特色ある学校づくりを一層進め、生徒が滋賀で学びたいと思えるようなオンリーワンの高校を目指すことが必要である考えています。こうした県内高校の特色ある取り組みや魅力について、県内の中学生やその保護者に対して、しっかり伝わるよう工夫を重ねるとともに、滋賀総合教育会議や滋賀県公私立高等学校協議会などの場で、さらに議論を深めてまいりたいと存じます。  3点目、私立高校および保護者への支援についてでございます。  まず、保護者に対しましては、国の就学支援金に県独自の特別修学補助金を上乗せすることにより、経済的負担の軽減を図っております。特に年収350万程度までの世帯には、実質授業料が無償となるよう支援を行っております。
     一方、私立高校に対しましては、私立学校振興補助金により私立高校の安定的な経営を支援しておりますが、全国平均や近畿府県平均と比較し低位にあることも承知いたしており、課題であると認識しています。その格差の是正を含めてどのようなことができるのか、私立高校の公教育に果たす重要な役割等を踏まえ、財政状況が非常に厳しい中ではございますが、必要な検討を行ってまいりたいと存じます。  4点目、10年先、30年先の本県の高等学校のあり方についてでございます。  グローバル化の進展や人工知能の飛躍的な進化など、社会が加速度的に変化する時代の到来が予想されます。生徒たちには、社会の変化にのみ込まれることなく、まず自分らしさを大切に、周りの人とも仲よく、また、命あるものとも仲よく、広い視野を持って、高い志を持って生きていく、未来をつくり出していく資質や能力が求められると考えます。そのために、学校や教員が生徒一人一人に寄り添い、それぞれの個性を生かし創造性を伸ばす高校教育を進める必要があります。また、豊かな滋賀の教育資源を生かしまして、特色ある高校づくりを進めることにより、滋賀に誇りや愛着を持ち、将来の滋賀を担える人材の育成にもつながっていく、また、つなげていきたいと考えているところでございます。 ◎教育長(青木洋) (登壇)将来を見据えた学校のあり方と課題についての御質問のうち、私にいただきました5点の質問にお答えをいたします。  まず、1点目の新たな再編に向けて具体的に検討しているかについてであります。  平成24年度に策定をいたしました滋賀県立高等学校再編実施計画では、次期以降の計画について、今後の社会状況の変化や生徒数の推移、再編の進捗状況などを見きわめながら必要に応じて策定するとしております。こうしたことから、現在、これまでの取り組み等の状況の把握に努めておるところでございまして、今後、その状況を見きわめて判断してまいりたいと考えております。  次に、2点目の、県立高校がどのように変わり、どのように評価されているかについてお答えをいたします。  再編計画に基づき、新しいタイプの学校の設置、学校統合、学科改編などを実施をし、生徒の主体的な進路選択につながる魅力と活力ある学校づくりを進めてまいりました。  例えば、総合単位制に生まれ変わりました能登川高校では、多様な学びの場が提供され、一般的には4年間の昼間定時制課程の生徒が、全日制課程の単位もあわせて修得するなどの頑張りにより、この春、3年間で卒業するなどしております。また、統合新校の長浜北高校では、本県の高校として初めてコミュニティ・スクールの仕組みを取り入れ、地域の皆さんの御意見も伺いながら学校運営を進めたり、生徒が地域に出かけて貢献するなど、地域と一体となった学校づくりを進めているところでもございます。さらに、もう1つの統合新校、彦根翔西館高校では、県内最大の総合学科高校として、生徒がスポーツ科学系列や家庭科学系列などで特色ある学びを進めるとともに、学校行事や部活動にも活発に取り組んでおるところでございます。  生徒からは、統合によって多くの人と出会い、それぞれが考えていることがみんな違うのでおもしろい、学校行事などでも盛り上がる気持ちが倍増するといった声、また、地域の方からは、中学生の進路選択に新しい道が開けたという声もいただいているところでございます。こうしたことから、再編を行ったこれらの学校では、一定所期の目的を果たしていると考えております。  次に、3点目の県内高校への進学者数の減少についての見解についてであります。  進学者数が減少する中で、学校規模を維持し、魅力と活力ある学校づくりを実現していくことは、これまで以上に難しいことと考えております。そうした中にありましても、生徒一人一人が社会で生きていくために必要となる力を身につけさせるとともに、進路に応じた多様な選択肢を確保することは必要と考えております。そのためには、まずは個々の学校が特色ある学校づくりを進めることはもちろんのこと、これまで以上に互いの連携を深めること、例えば、互いが得意な分野を生かし、補完し、一つのことをなし遂げる、あるいは、強みを持ち寄ってさらに一段高いところを求めたりと、形はさまざまではありますが、このような連携を深めることで、個々の学校の力を高めていくとともに、本県全体の教育力が高まるよう、教育委員会と学校が一体となって取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。  次に、4点目のPTA活動に対する県教育委員会の見解についてお答えをいたします。  まず、議員には長年にわたりましてPTA活動に役員として携わっていただき、ありがとうございます。  さて、そのPTA活動ですが、PTAは、子供の健全な育成を図ることを目的とし、保護者と教職員が協力をし、学校および家庭における教育に関し、理解を深め、会員相互が学び合い、活動を行う団体でございます。各校PTAにおかれましては、子供の安全や健康づくりに関する取り組み、また、学習環境の整備や地域行事への参画など、地域や学校の実情に応じたさまざまな活動が行われており、大変有意義なものと認識をしております。  最後に、5点目の学校運営の立場から見たPTA活動の役割についてお答えをいたします。  地域における教育力の低下、家庭の孤立化などの課題、また、学校を取り巻く問題の複雑化、多様化に対しまして、社会総がかりで対応することが求められており、地域と学校が連携協働して子供の育ちを支えていくことがより重要になってきております。PTA活動は、こうした家庭、地域、学校を結ぶかけ橋として、学校運営を支えるための重要な役割を担っていただいていると考えております。県教育委員会といたしましては、今後ともさまざまな教育課題に対し、PTAと連携した取り組みを進め、子供たちの健全な育成に努めてまいりたいと考えております。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇)再問はしません。1つだけ知事に申し上げたいと思うんですが、350万までは無償化になっているというお話ですが、じゃ、400万はどう違うのか、450万ならどうなのか、今のそれぞれの御家庭の状況も踏まえて、設定されているボーダーが、果たしてそれがいいのかどうか、それをもう一度お考えをいただければというふうに思います。  終わります。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、5番目片信悟議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時5分 休憩    ────────────────   午後1時9分 開議 ○副議長(小寺裕雄) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、10番下村勳議員の発言を許します。 ◆10番(下村勳議員) (登壇、拍手)議長のお許しをいただきましたので、私は、一般質問として、誰もが希望を持って生きていける社会に─虐待の連鎖を断ち切る支援を─をテーマに、健康医療福祉部長ならびに知事に一問一答方式で質問させていただきます。  睡魔が襲う時間帯でありますけれども、私も睡魔に負けないように頑張りますので、最後までよろしくおつき合いお願いいたします。  先日、NHKの特別報道番組を見ていたときに驚いたことがありました。全国の小中学生に「自分の将来に希望が持てるか」というアンケートの問いに、「希望が持てる」と答えた子供は38.4%で、それ以外の子供は「持てない」、あるいは「ほとんど持てない」と答えていたことです。これは先進7カ国の中でも突出して低い結果となっています。しかし、もっと驚いたことに、私たち大人が「子供たちが将来に希望が持てる社会に変えられる」と答えた人は全体の48.4%、「難しい」と答えた人は51.6%でした。つまり、半分以上の大人が子供たちの将来を悲観的に見ているとも受け取ることができます。  子供たちが将来に希望が持てない原因はさまざまであると思います。自分が置かれている生活環境や学校環境、また、社会状況などに起因していると考えられますが、いずれにいたしましても、日本社会の置かれている状況は決して楽観視できないと認識しておく必要があると思います。今日まで、先進科学技術の進歩や経済成長が人々の生活の豊かさにつながると信じて歩んできた日本でありますが、決して人の心の豊かさや幸福感を満たすまでには至りませんでした。子供たちが生まれてきてよかった、将来に希望がある、地域社会に貢献したいなどと積極的な思いを持って生きてもらえるために、私たち大人が今できることは何なのか、先ほどのアンケートに示した子供の将来に希望が持てる社会に変えられることを、私たち大人の責任として、ぜひ皆さんと議論していきたいと思っているところです。  私は、学校や職場、地域であれ、その中でも厳しい状況にさらされている人を周囲で見守り、支える仕組みが充実すればするほど、その周囲の人たちにも安心感が醸成されていくことを体験してきました。反対に、厳しい状況にさらされている人に対して、努力が足りない、自己責任といった理由で結論づける人に対しては、その人自身に心のゆとりや安定感がないように感じました。  日本の社会保障制度は、今、さまざまな制度改正を迫られ、厳しい状態にありますが、それでも、人が人として最低限度の生活が保障されている世界に誇れる制度だと思っています。ただし、まだまだこの社会保障が充実していないために、厳しい環境から抜け出せないでいる人たちがいることを紹介していきたいと思います。  虐待という言葉が社会に認識されてから幾久しいと思います。虐待の虐の語源を御存じでしょうか。虎と爪なんです。虎が爪をむき出しにした状態が虐であり、虎に爪をむき出しにして襲いかかられるような待遇がすなわち虐待なのです。  先日、報道にもありましたが、滋賀県内の子ども家庭相談センターなどが昨年度に受けた児童虐待の相談件数は、6,062件と過去最高でした。虐待の種別は大きく4つに分けられており、心理的虐待、身体的虐待、ネグレクトと言われる保護の怠慢、性的虐待があります。昨年度の傾向を見ますと、心理的虐待と身体的虐待はいずれも100件近くふえており、ネグレクトや性的虐待は減っている状況にあります。また、年齢別に見ると、小学生2,280件が最も多く、次に、3歳から就学前の子供1,136件となっています。ゼロ歳から3歳未満も926件と決して少なくありません。  そこで、健康医療福祉部長にお伺いいたします。このような虐待を引き起こす要因はどのようなものがあるのか、お示しください。 ○副議長(小寺裕雄) 10番下村勳議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)お答えをいたします。  日ごろ、各子ども家庭相談センターで虐待ケースの相談支援に当たっております職員が把握している現状から原因を分析いたしますと、大きく4つの点が考えられます。1点目は、養育能力や社会的な未熟などの保護者自身の問題、2点目は、発達課題や育てにくさなど保護者から見た子供の問題、3点目は、経済的困窮や育児の過重負担などの家庭内の問題、4点目は、親族や地域との関係の希薄化に伴う社会的孤立の問題でございます。実際には、こうした家庭の状況や社会的な背景が複雑に絡み合い、児童虐待が生じているものと考えております。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。  本題入る前にちょっと整理しておきたいんですが、しつけと虐待の区別といいますか、しつけと虐待の境界線はどこやという、そういうような議論がよくあります。よくテレビ報道などで、親が子供に大きなけがを負わせて、しつけのつもりでやったというような言いわけをしている場合があります。しつけというのは社会のルールとかマナーを教えることです。虐待というのは、感情的に物事を、それに対して向かうことです。社会のルールやマナーを教えるために感情的に接することは、これはしつけではありません。これはあくまでも虐待というふうに、そのことを押さえてお話ししたいと思います。  ただいまお示しいただいた要因である保護者の養育能力、あるいは子供の発達上のおくれ、それから貧困、地域での孤立、そういうものが重複すればするほど虐待に至る可能性が高いと思われます。これらの要因を改善していくための施策がそれぞれに必要だと考えられますが、特に経済格差による貧困、相対的貧困と言われる年間所得が200万から300万円という福祉制度のはざまにある人たちへの支援の必要性を感じます。苦しく厳しい生活環境の中で、その不安やいら立ちを子供にさまざまな形でぶつけてしまう。子供は親を選べません。我慢をしながら、あるいは、自分が悪いのではないかと自己否定しながら、何とかそれでも親についていこうとする、そのような事例が多いことを知りました。これは決して自己責任では片づけられません。  引き続き健康医療福祉部長にお尋ねいたします。虐待を受けた子供が受けるダメージ、衝撃ですが、これは後の成長にどのような影響を及ぼすのか、お示しください。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  虐待を受けた内容や程度、時期によっても異なりますが、子供の心身に多岐にわたってマイナスの影響があると考えております。具体的には、暴力を受けたことによる身体的な障害やトラウマ、そこから派生する不安、情緒不安定といった精神的な症状、十分な食事が与えられなかったことによる発育障害などでございます。また、安定した愛着関係が経験できなかったことによる緊張や乱暴、引きこもりといった対人関係障害が生じたり、自尊感情が低い、他人への信頼感が欠如するなど、その後の成長に影響を及ぼすと考えられます。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)今お示しいただいたように、虐待が子供たちの後の成長にどれほど悪影響を及ぼすかということをお示しいただきました。  皆さんもぜひ振り返っていただきたいんですが、自分の人生において、例えば、子供のときにいたずらをして、あるいは人に迷惑をかけたり、あるいは親の言うことを聞かなかったりして、木に縛られたり、暗い部屋に入れられて外から鍵をされたりとか、あるいはほうきを持って追い回されたりとか、そういう経験はないでしょうか。私はあるんです。これね、覚えてるんですね、ずっと。絶対忘れへんのですよ。これが虐待やなと思うんです。ほんで、私の場合は、それが頻繁ではなかったと思うんですけれども、これが頻繁に毎日のようにやられると、かなり心理的にダメージを受けるんじゃないかなというふうに思っているところです。  今の御答弁にもありましたように、虐待が子供のその後の成長に影響を及ぼすことは多大なものであり、その子供の人生をも変えてしまうと言っても過言ではありません。私は、このような相談がふえることを決してマイナスだとは思ってません。家族の問題としてかかわることを拒むよりも、御近所や地域、親戚などが、泣き声や悲鳴が絶えない、子供だけが家にいる、また、子供が家に入れないなどの状況を、県内に3カ所ある子ども家庭相談センターや市町の相談機関、警察などに情報として知らせていただくことは大変重要であり、それが子供や家族を守り、支援することにつながると思います。ただし、それを受ける側としては、電話での対応で終わることはほとんどないと思います。  滋賀県では、現在、39人の児童福祉司が対応されていると聞き及んでいます。そこで、健康医療福祉部長にお伺いいたします。さまざまな事例があって、その対応も一律ではないと思いますが、児童福祉司が通報や相談を受けた場合に、次に進めることは何でしょうか。これもケースによって一律ではないと考えられますが、その対応に当たって、センターとして特に大切にしていることは何かわかるように御説明ください。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  センターで通告や相談を受けた場合には、速やかに所長などの幹部職員や各係長、担当者による受理会議を開催いたしまして、初動対応の方針を決定した上で、遅くとも通告から48時間以内に、センターの児童福祉司、あるいは市町、保育所、学校などの関係機関が家庭訪問を実施し、実際で目で見る、目視による安全確認を行っております。その結果、在宅では子供の安全が確保できないと判断される場合は、一時保護により保護者等からの分離を行っております。こうした対応において、特に重要と考えておりますことは、まずは目の前にいる子供に生命の危機が差し迫っているかどうか確認することでございます。また、その後の対応におきましては、子供への心のケアや保護者への面接指導によりまして、親子関係の再構築に向けた支援に努めているところでございます。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。迅速に、しかも丁寧に、かつ慎重に、子供の生命を守るという使命のもと、日夜努力しておられることに敬意と感謝を申し上げます。  次に、児童福祉司についてお尋ねします。  年々ふえる相談件数に対応するため、その人員もふやしておられるとは思いますが、子供や保護者に寄り添いながら、あるいは支えながら適切な方向へと導いていかなければならないといった専門性と経験が要求される職種であります。そして、何よりも、子供のいる現場に赴き、時には深夜まで保護者と向き合うこともあろうかと思います。また、関係機関にも赴き、連絡や調整を図ることも重要な役割です。  健康医療福祉部長にお伺いいたします。児童福祉司の定員の充足状況はいかがでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県内3カ所の子ども家庭相談センターの児童福祉司は、平成28年度から2名増員をいたしまして、現在39名を配置しております。さらに、来月、あすからですけれども、1名の追加配置を行う予定でございます。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。2名増員されたということで、またあすからも1人ふえるということで、大変その勤務の厳しさ、あるいはその重要さを考えての配慮やと思います。ぜひとも今後も充実していただきたいと思います。  先ほど、県として大切にしているということとして、子供の命を守ること、あるいは子供と保護者の関係がよくなり、虐待に至ることのないような環境をつくることを目標としていることと御答弁いただきました。しかしながら、どうしても子供を守るために保護者と切り離すケースもあろうかと思います。特に施設養護、すなわち乳児院や児童養護施設に入所する子供もいます。あるいは、家庭養護、すなわち里親やファミリーホームに預けられる子供もいます。  引き続き健康医療福祉部長にお伺いします。今現在、施設養護として県内の乳児院と児童養護施設に入所している総人数をお示しください。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県内の養護施設に入所している子供は、本年6月1日現在で、乳児院に28名、児童養護施設に136名で、全体では164名でございます。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)それでは、この施設入所、どうしても入らざるを得ない場合、どういうようなことが検討されるのか、あるいは決定されるのか、そのあたりについてお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  施設入所を検討、決定する場合の理由につきましてですが、平成27年度に本県の乳児院と児童養護施設に新たに入所した子供29名について見ますと、その主な理由は、父母による虐待、父母の精神障害、逮捕拘禁、経済困窮など、保護者の事情によるものでございます。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)滋賀県内には、現在164人の子供たち、乳児も含むんですが、その子供たちが入所しているわけです。また、その理由についてもお示しいただきました。  いずれにせよ、厳しい生活環境にありながら、また、課題を抱えながら、ほとんどの子供たちは親元を離れてみずから望まない施設に入っているわけです。私がかかわっている入所施設の子供たちは、その7割が虐待を受けて入っている子供たちです。そのことが原因しているのか、大人に対する不信感は相当根深く、私自身も苦労したことを覚えています。そのほかにも、無気力や協調性の欠如、集中力や学習意欲の低下、そのことから引き起こされる発達障害などが顕著になっています。そういう子供たちを、息長く心のケアを目的に向き合う職員さんも大変だと思います。そういう職員さんの状況も大変厳しく、大学を卒業した専門性を持った職員さんであっても、2年から5年目における離職率は、他の職業に比べても圧倒的に高い数値を示しています。それが現状であります。  また、現在の児童福祉法においては、施設入所は18歳までが原則となっており、20歳までの延長措置はあるものの、よほどの理由がない限りは難しく、施設側の受け入れも難しい状況にあると聞き及んでいます。  再び健康医療福祉部長にお伺いします。過去5年間、18歳まで県内の施設入所していた子供たちの総数をお示しください。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県内の児童養護施設におきまして、平成24年度から平成28年度までの5年間で満18歳に到達した子供は39名でございました。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)それでは、その子供たちの進学ならびに就職率についてもお示しください。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  大学や専修学校へ進学した子供は14名で36%、また、就職した子供は21名で54%でございました。残りの4名は、就職に向けた実習訓練を受けた子供が3名、実家庭に戻った子供が1名という状況でございました。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。特に進学率を一般の18歳、高校を卒業した子供たちと比較しますと、圧倒的に低い状況にあります。  私の知人に、小学校4年生から中学校3年生まで施設で過ごした人がいます。彼から、その生い立ちや、入所したときの経緯や心境、施設内の環境などを聞くたびに、その厳しい現実に驚かされました。まず、寝食をともにする集団生活になじめないこと、対子供、対大人との関係が築きにくいこと、落ちついて学習できる環境になかなかないこと、また、施設に入所して、18歳までに親元に戻れたり、あるいは養子縁組などで退所できたりできる子供は幸運で、18歳まで退所できずに就職や進学をしても、ほとんどがドロップアウトしているケースが多いこと。その彼は今45歳ぐらいだと思うんですが、同級生が15人ほどいたそうです。今現在どうしているかと聞くと、ほとんどが消息不明でわからないという回答でした。場合によっては亡くなっている人が多いんじゃないかなというような彼の推測でした。  働くことや学ぶこともできない、まして家族を築いて自立していくことは極めて難しい、社会からはじき出され、自暴自棄になり、生きていくことさえ諦めてしまう、このような人生を歩まなければならない人に対して、自己責任とか努力が足りないという言葉で片づけることはできません。  県内で養護施設を18歳で退所した子供が就職や自立に向けて準備する施設、いわゆる児童自立援助ホームが大津と守山にそれぞれ1カ所ずつあります。学業や就職活動の援助を受けながら共同生活をしていると聞き及んでいます。私は、このような自立援助ホームの役割がとても重要と考えているんですが、健康医療福祉部長にお伺いします。このようなホームは、現状の数で十分対応できているのでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、県内の自立援助ホームは、現在、大津市と守山市にそれぞれ1カ所ずつ設置をされております。大津市のホームは定員5名で、現在2名の利用、また、守山市のホームは6月から定員を5名から9名に増員をされまして、現在4名が利用しているところでございます。年間を通じて、利用者数の増減はありますものの、現状の体制で一定のニーズに対応できているものと考えております。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)現状では何とか足りているという御答弁であったようですが、私は、そこにさえなかなか行きにくい子供もいるんじゃないかなというふうに思っているんです。ですから、やはりそういう子供たちをしっかりと救っていくという、そういう体制が必要であって、やはりこのような自立援助ホームが充実していくことは、この人たちが福祉の対象者であったのが、周囲の支援によって自立を果たして、やがて社会の担い手となって納税者になり得る可能性は高いと確信しています。しかし、もっと重要なことは、自立援助ホームを巣立った、あるいは離れた子供たちも多分成人になっているんですけれども、そういう人たちへの支援です。自分は不幸にも家族に恵まれず、つらい子供時代を過ごしたけれども、大人になった今、働くことの喜びを得て自立を果たすことができたと、もし自分が家庭を持てたら、温かい家庭を築きたい、また、地域社会にも貢献していきたい、このような姿になってもらうことは、今に生きる私たち大人の責任として取り組む必要性を感じています。  誰一人として取り残さない、これは、知事が滋賀から始めようとされている国連の17項目から成る開発目標であるSDGsの理念でもあります。まず、このような子供たちを誰一人として取り残さない。具体的な行動として、自立援助ホームを巣立った、あるいは離れていった子供たちに対しての支援、ここから始めようじゃありませんか。知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  議員がお取り上げいただいた課題を共有したいと思います。  御指摘の誰一人取り残さないという考え方は、SDGsの最も基本的な理念であります。自立援助ホームを初めとする社会的養護を受けて育つ子供たちへの支援は、まさにこの考え方に合致するものであると考えます。  施設を退所した子供たちの多くが就職する中、平成25年度に行われました滋賀県児童福祉入所施設協議会の調査によりますと、退所後1年以内に約半数の子供が転職をしたり、離職により無職になっており、退所後の生活が不安定になっているという実態がございます。こうした状況を踏まえまして、県では、これまでから施設退所後に就職や生活への助言などのアフターケアに努めており、さらに昨年度からは、子供たちが早くから職業観を身につけられるよう、入所中から複数回にわたって就労体験や生活マナー等の研修会を実施してきたところです。子供たちを受け入れていただいた企業等からは、子供の頑張る姿や生き生きとした表情に励まされた、従業員自身が子供に教えることで成長でき、職場の雰囲気も明るくなったといったお声をいただいており、昨年度は96社が協力企業として御登録をいただき、延べ47人の子供たちが就労体験を行うことができました。  県といたしましては、引き続き、施設を初め企業や地域の皆さんと一緒になって、社会全体で子供たちの自立を応援する取り組みを進め、誰一人取り残さない社会の実現を目指していきたいと考えています。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)ありがとうございます。  自立援助ホームというのは、いわゆる施設を18歳で退所した後、行くところなんですが、その自立支援ホームの職員さん、あるいは、それにかかわっておられる関係者に聞くと、自立支援ホームから巣立っていった人たち、それが心配なんだと。なかなか本当にちゃんとやってるやろうかと。連絡をとろうとしたら、もう電話がつながらなかったり、どこに行ってるかわからないというような状況がよくあると。私は、この自立支援ホームも充実は当然大事なんですが、そこからその人もそこを巣立っていって、しっかりとしっかりと自立していく、そこまでをしっかりとやっぱり見守っていく、支えていく、そういうようなことがこれから必要になってくるというふうに思うんですが、知事、再質問ですが、よろしくお願いします。 ◎知事(三日月大造) さきに申し上げたとおり、児童養護施設や自立援助ホーム入所中においては、子供たちが職業観を身につけられるよう、就労体験や生活マナー等の研修会を行うと。退所後、出ていかれた後は、就職や生活への助言などのアフターケアに努めています、現時点。しかし、今、議員からも御指摘があったように、関係団体の皆さんからは、今のまさにおっしゃったとおり、退所後、困ったことがあったときに、気軽に寄れて相談できる居場所が必要ではないかといったような御意見もお聞きしているということでございまして、今後、県としてどのような支援ができるのか、現場の皆さんの御意見をお聞きしながら考えてまいりたいと思っています。 ◆10番(下村勳議員) (登壇)前向きな御答弁ありがとうございます。  知事が掲げられたSDGs、私も大賛成です。あるいは、琵琶湖新時代、それも一緒に進めてまいりたいと思います。ただ、余りにも理想が高過ぎて、本当に目の前に救える人はいないのか、今、本当に取り残されそうな人はいないのかというようなことを見たときに、そういう方はいらっしゃると思います。私は、SDGsを実践するのであれば、本当に今、私たちが見える救わなければならない人、その人が安心して勉強できたり暮らしたりできるような、そういうような支援を形としてやっぱりやっていかないことには、理想は高いけれども、知事、あんなええこと言うてはるけれども、言うてはることと実際やってはったり言うてはること違うやないかというふうに言われることがありますので、そのようなことがないようにぜひよろしくお願い申し上げまして私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、10番下村勳議員の質問を終了いたします。  次に、11番藤井三恵子議員の発言を許します。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇、拍手)日本共産党滋賀県議団の藤井でございます。  通告に従いまして、大きく4点、今議会におきまして質問をさせていただきます。  まず初めに、琵琶湖の保全再生の具体化についてお伺いいたします。  琵琶湖の保全及び再生に関する法律が2015年9月制定され、昨年2016年4月に国の基本方針が策定をされました。そして、その具体化として、本年3月に滋賀県が琵琶湖保全再生施策に関する計画を発表されました。今年度からその計画の具体化が進められてまいりますが、今回、現状と課題について、この計画を推進するに当たって、今後の取り組みについての県の見解を伺います。  第1点目は、オオバナミズキンバイの駆除対策の強化についてです。  この外来水生植物オオバナミズキンバイは、2009年から琵琶湖の赤野井湾で初めて確認をされて以来、毎年生育面積が広げられ、2014年度には15.7万平方メートルまで拡大。県は、重機や水草刈り取り船で約3分の1まで縮小されましたが、さらに2015年度は大規模に再生をし、最大前年度比1.72倍の27.1万平方メートルまで拡大。その後、20万平方メートルまで一旦減らしましたけれども、生息する範囲が広がり、昨年度も駆除とともに地域の監視体制の強化、生育面の流出や拡大を防ぐ対応をされていると聞いています。ことしも赤野井湾では、先日25日に地域住民や漁連関係者などがボランティアでオオバナミズキンバイの刈り取りを行ったと報道されていました。  しかし、一方、6月16日付京都新聞には、宇治川や琵琶湖疏水を経て、京都のほうへオオバナミズキンバイが確認されたとの報道もあり、広がりを見せています。県は、このオオバナミズキンバイの駆除対策費として、毎年3億円を超える予算を使われていますが、今後、早期に手だてを進め、初期段階で刈り取ること、さらなる巡視体制の強化など対策が必要と思いますが、オオバナミズキンバイの駆除対策の強化について知事の所見をお伺いします。
    ○副議長(小寺裕雄) 11番藤井三恵子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  オオバナミズキンバイ対策につきましては、昨年度、補正予算も活用して最大限の駆除に取り組み、生育面積を年度初めの約20万平米から年度末には約13万平米にまで縮減させましたものの、依然として予断を許さない状況と認識しています。  本年3月に策定いたしました琵琶湖保全再生施策に関する計画におきましても、外来植物対策といたしまして、取り残しのない駆除や駆除済み区域の徹底的な巡回監視、効果的で効率的な防除手法の確立などを位置づけているところです。今年度は、前年度よりも予算を増額して、年度当初から駆除や巡回監視に取り組んでおりますほか、流出防止ネットや侵入防止フェンスの設置などの予防的対策についても実施を予定いたしております。  一方、宇治川や鴨川などの琵琶湖下流域におきましてもオオバナミズキンバイの生育を確認したため、国や河川の管理者に対する情報提供や早期対応の注意喚起を行ったところでございます。これまで国に対しましては、直轄事業の抜本的強化や交付金等による財政支援の拡充を機会あるごとに要望しており、その一つの成果といたしまして、直轄事業については駆除箇所の追加や予算枠の拡大、交付金については昨年度途中の追加交付をいただいたこと、今年度からの新たな交付金の活用が認められたといった、そういった前進がございます。  今後も、あらゆる機会を捉え、国に対して働きかけるとともに、琵琶湖での対策に全力を挙げてまいる生存でございます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ただいま、いろいろ県の駆除、防除策についてお示しをいただきました。何分精力的な外来種の繁茂です。国の予算も確保をしっかりとしていただきまして、さらなる改善を求めたいと思います。  知事は、あす、南湖のクリーン作戦のために、草津市山田漁港に来られるとお聞きをしております。しっかり私どもも地域の皆さんとともにこの問題解決のために頑張っていきたいと思いますので、引き続きお願いをいたします。  次の質問であります。琵琶湖の水環境の調査についてです。  琵琶湖の水環境は、1905年に大津市南郷の洗堰ができ、1964年の天ヶ瀬ダムの建設や、1940年から50年にかけて内湖の85%が干拓整備をされたことや、琵琶湖総合開発での湖岸堤の整備などで大きく琵琶湖の水の流れも変わりました。加えて、1960年から80年に外来魚や外来水草が増加をし、家庭や工場からの排水の増加により富栄養化が原因の赤潮やアオコの発生が見られ、その後、水質を守ろうということで、先日も質問もありました石けん運動が始まって、1979年、琵琶湖の富栄養化防止条例が施行されました。また、下水道整備も促進をされ、琵琶湖の水質は透明度もよくなり、窒素濃度が低下をしたことを受けて、逆に栄養塩の削減により生物生産の低下を招くことにつながったのではないかと危惧する御意見も聞いております。これまでの県が行ってきた調査実績や大学等の調査も含めて、さらなる調査研究が進められていると聞き及んでおりますが、早急に琵琶湖の水質の状況把握と対策について示すことが琵琶湖の保全につながると思います。その点で、現状について、琵琶湖環境部長にお伺いをいたします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) (登壇)お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、琵琶湖の水質は一定の改善が見られる一方で、漁獲は回復しないなど、生態系に課題が見られる状況にございます。  水質につきましては、その改善と魚介類との関係につきまして、琵琶湖研究推進機構において、水質からプランクトン、そして魚介類へのつながりを視点にしました餌環境の視点で研究を進めたところでございます。これまでの研究から、魚の餌となります動物プランクトンの現存量は、経年的な増加傾向の後、近年は減少傾向であることが明らかになっております。さらに、現在、湖の中の、湖内の有機物に着目いたしまして、食物連鎖を解析し、水質の保全と生態系の保全を総合的に把握するための新たな水質管理手法に向けた研究を、国立環境研究所琵琶湖分室等と共同で実施をしているところでございます。こうした研究によりまして、琵琶湖におきまして、生態系に望ましい水質管理のあり方を全国に先駆けて確立してまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。  本当に今、琵琶湖を取り巻く環境の変化が急速に広がっているなというふうに思っています。これまでの開発等がどう琵琶湖に影響してきたのか、また、湖岸堤のあり方の再検討や琵琶湖の水位操作の問題、また、地球温暖化防止と琵琶湖の水質保全との関係、流域河川からの環境負荷の軽減と地下水の汚染源の調査分析など、あらゆる多岐にわたってのこの取り組み課題、しっかりまた計画にのっとって進めていただきたいなというふうに思っております。  次に、ハスの群落の消滅後の対応についてお伺いします。  昨年夏、全滅した草津市烏丸半島沖から守山の赤野井湾へのハスの生息についてですが、その後のこれが全滅したというところの原因調査をした結果が先日明らかにされました。ことし4月20日に赤野井湾沿岸全域にあったこのハスの群落の基礎調査ですが、その全滅の要因結果が次の2つの要因だということが発表されました。1つには、増殖した面積が湾内の75%を占めた中で、毎年茎などの枯死体、枯れたものが蓄積をされて、湖底がヘドロ化したことでメタンガスが発生、よって酸素不足が生じて植物の成長が困難となったということ。2つには、本来、ハスなどは泥状のところに生息するんですけれども、この間、約40センチ泥が洗い流されて、砂状になっていて生息しづらい状況であったといいます。このことを受けて、再生は困難ということで明らかになったわけですが、この結果を受けて、県は関係する市町との話し合いなど、今後どう対応されていくのか、琵琶湖環境部長にお話を伺いたいと思います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  赤野井湾内の群生ハスにつきましては、平成28年度に大規模な生育不良が生じました。これに対しまして、県と草津市が合同で潜水調査を含む原因調査を行いまして、専門家の意見を聴取し、湖底の酸素不足が一つの原因であるとの意見を得たところでございます。また、この後に、議員御紹介いただいた調査ですが、草津市がさらに追加で実態調査等をされ、ハス群落再生の可能性に関する調査としてまとめられているところでございます。  赤野井湾内の当該場所は、ヨシ群落保全条例に基づくヨシ群落保全区域に指定しておりますとともに、ハスは重要な観光資源であります。その一方で、過剰な繁茂はエリ漁業への支障を生じさせたり、湖流の停滞による水質悪化の原因にもなりますことから、一定の管理が必要というように認識をしております。  平成28年度には、県、草津市、守山市で関係者会議を開催いたしまして、調査結果の共有と赤野井湾のハスの望ましいあり方につきまして、今後、話し合いを継続していくということで合意をしているところでございます。今年度も、関係者会議を開催いたしますとともに、専門家や、また地域の方々の意見を伺いながら、望ましいあり方を検討していく予定としております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。  消滅した要因が明らかになった中で、このハスの一連の消滅も含めて、周辺の琵琶湖の環境や水質、湖底の状況など原因が絡まり合って起こっているのではないかなというふうに思っております。その中で、やはり先ほども知事もおっしゃられましたけども、さらに全域の、南湖だけではなくて、琵琶湖全体の保全と再生について、しっかりと調査をいただきたいというふうに思っているんですが、さきの報道で、県の調査船が7隻あるうち、1隻がそういう水草とかいろんなことを調査されているのに使われているけれども、2015年度は年間18日しか動かず、多い月でも5日しか動かなかったと外部監査が明らかにされたということでありました。滋賀県の独自の調査、琵琶湖の保全再生のために日夜努力をされているとは思いますけれども、こうした調査船も十分活用されて、巡視隊、そういうものも強化をしていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。  次の質問に入らせていただきます。憲法を守ることについてであります。  2015年7月16日、高島市今津町の民家に饗庭野の演習場から銃弾が直撃をされ、寝ている頭の横に銃弾が落ちてきて、少しずれていれば死んでいたと、恐怖と怒りが住民の中に大きく広がりました。我が県議団は、二度とこうしたことが起こらないように、県に対して申し入れも行った経緯があります。  2015年9月19日成立した安保法制のもとで、昨年末には自衛隊の南スーダンへの海外派兵が行われました。今、自衛隊を憲法第9条3項に加えて明記するという安倍首相の9条改正案が示され、そのことについて、去る27日に、自民党の石破茂元防衛相が、読売のインタビューで、憲法9条1項、2項を残して自衛隊を明文で書き込むことについて問われ、どう書こうと、9条2項の陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないとは矛盾し、むしろ2項を空文化させると指摘をされました。また、そういうことになれば、無制限に海外武力行使に道を開くと批判をされています。こうした中で、さらなる自衛隊の基地強化や海外派兵に対して、さきの県民の体験も含めて不安が広がっております。  日本国憲法は、1、民主主義、2、自由主義、3、平等主義、4、福祉主義、5、平和主義の5原則をもって戦後70年余歩んでまいりました。世界からも宝と言われる憲法の中身について、改めて学ぶことが大事ではないかなというふうに思っております。  かつて、京都の蜷川知事は、憲法を暮らしに生かすと言われ、府政の隅々に行き届いた施策を推し進められていたということも有名です。  そこで、三日月知事は、県政推進に当たって憲法をどう捉えておられるのか、また、第9条、99条の所見とあわせてお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 憲法を守ることについてでございます。  憲法第9条の平和主義を初め、国民主権、基本的人権の尊重の三大原則は極めて重要な理念であり、県政推進に当たりましても、憲法の理念を尊重することは当然のことと認識しています。以前から申し上げておりますように、我々公権力を行使させていただく立場の者は、憲法第99条の憲法尊重擁護義務を負っていることをしっかりと強く自覚し、実践することが肝要だと考えます。  その上で、この現行憲法をどう変えるか、どう守るか、どう加えるかということにつきましては、国会を中心に国民全体で真摯に幅広く議論されるべきことであると考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。知事の思い、わかりますし、それを生かしていただくというところで、今後、国民的な課題として議論がされていくということで今お話がありました。  そういった中で、今、3点目の質問に入らせていただきます。道徳の教科化についてであります。  2015年3月27日、文科省が道徳を教科化する学習指導要領を告示することについて、日本共産党はこれに対して談話を発表しました。また、これまで戦後教育の中で、民主的な市民道徳を培うことの重要性を主張し、国民的な討論と合意によって形成されるべき内容であるということを引き続き充実を求めてまいりました。しかし、この改訂によって、価値観や規範意識の押しつけにつながる、戦前の道徳教育に対する総括や反省がない、偏狭なナショナリズムにつながるなどの御意見が寄せられ、国民からも批判が上がったものの、一方的な国の価値観を押しつけるという教育については反対であります。  しかし、道徳の教科化は、この間、議論をされましたけれども、2015年4月に学習指導要領の改訂がされたことから、来年4月には小学校全学年で、再来年4月からは中学校で実施をされます。これまで副読本などを使った道徳の時間が一つの教科とされ、道徳科になり、授業時間が確保され、個別に評価をされることになります。ことし3月、道徳が教科になることで、戦後初めて小学校の道徳教科書がつくられ、8社から66冊の教科書が検定をされて、全て合格したということです。その教科書が、現在、県内8カ所で教科書展示会に出されています。県民の閲覧できるのは7月の初めの1週間までですが、その後は各選定委員会で精査され、報告書が提出をされます。そして、各区域の選定委員会で9月1日には選定されるというふうに聞いています。  そこで質問の1点目ですが、教科書展示会の公開場所について、区域として県内8カ所で開催されておりますが、この範囲で妥当だったのかと考えておられるのか、より多くの方に閲覧をしていただきたいという思いから教育長に質問をさせていただきます。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えをいたします。  県内には、今、議員も御紹介いただきましたように、教科書を展示してある教科書センターが8カ所あり、教科書展示会の会場となっております。来場された方からは、会場をふやしてほしいというよりも、教科書展示会を広く周知してほしい、毎年楽しみにしているといった御意見もいただいており、こうしたことから会場数は妥当であると考えております。  一方、現在、展示会の場所や時間はホームページ上に掲載しておりますが、いただいた御意見等を踏まえ、今後は「教育しが」への掲載なども含め、広く一般の方へ広報することを市町教育委員会に依頼するなど、引き続き情報提供に努めてまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。いろいろ周知徹底してほしいという御意見があったということをお聞かせいただきました。  それでは、2点目の質問ですが、その開催されている時間帯、時間のあり方についてお伺いします。  開催場所は公的な場所ということから、図書館や市役所が多く、そうすれば時間帯は昼間に偏っていますし、市役所であれば土日は休日であります。図書館も夜はやっていないところもあり、仕事帰りに間に合わないということから、行きたくても行けないという声も私どもにも届いていました。この開催時間について、どのようにお考えなのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  今年度の展示会場8カ所のうち6カ所で、休日も開催できるよう、また、場所によっては最長21時までの夜の時間の開催が行えるよう、公立図書館等で実施をしているところでございます。今後も、開催日や開催時間等について、より多くの方々に教科書を見ていただけるよう、市町教育委員会に協力を依頼してまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)今おっしゃられたように、改善点はあるというふうに思いますので、しっかりやっぱり対応していただく、やっぱり見ていただける方の立場に立って整備をしていただきたいなというふうにお願いをしておきたいと思います。  3点目は、この特別な教科となった道徳の内容について、項目について質問をいたします。  内容項目と言われてるそうですけれども、区分が4つに分かれ、1つに、自分自身のことについて、2つに、人とのかかわりに関することについて、3つに、集団や社会に関することについて、4つに、生命や自然、崇高なものとのかかわりについてということで4つに分かれていますが、小学校低学年では19項目、小学校高学年から中学校に対しては22項目となって、全部を網羅しておられないといけないということであります。そのため、文章内容が合わない記述とか、非科学的な内容があるというふうに聞いているんですけども、私も閲覧に行かせていただきましたけれど、本当に各社いろんな特徴あるんですけれども、問題がある箇所もあったかなというふうに思います。こういった点で、子どもの権利条約や日本国憲法にのっとり、個人の尊重や人権、平和、共存といった文言が見られずに、これまでの教育内容が大きく変えられたのではないかという御意見も上がっています。県教育委員会としまして、滋賀の将来を担う子供たちに、こうした内容項目の教科書の教育についてどのようにお考えになっておられるのか、お伺いします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  道徳科におきましても、他教科と同様に、文部科学大臣の検定を経た教科書を使用して授業を行うこととなります。あわせまして、子供たちが身近な話題から道徳的価値について考えられるよう、教科書だけでなく、県教育委員会が作成をいたしました「近江の心」などの地域教材を活用するなど、各校の実態に応じた多様な教材を使用して指導することも必要だと考えております。道徳科におきましても、教科書や地域教材を有効に活用することで、子供たちの主体的な学びが実現できるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)主体的にということでありましたけれども、本当に一人一人を大事にする教育ということを私は望んでおりますし、後でも言いますけれども、そういうことについてしっかりと対応いただきたいということで、4点目の質問に入ります。評価のあり方についてであります。  これまでは教科ではなかったので評価はなかったのですが、これからは道徳性のあるなしを評価されるようになり、成績評価の一つとなるということです。このことから、教育する側としての教師の評価次第で大きく進路がゆがめられるのではないかという不安が出されています。教育現場で日夜頑張っておられる先生方が、さらに今後評価をするということで苦しめられているのではないか、現場の御意見を十分聞いていただき、検討されるべきだと考えますけれども、この評価について、県教育委員会の考えを教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  道徳科の評価は、児童にとって、みずからの成長を実感し、さらに意欲的に取り組もうとするきっかけとなるものであり、他者と比較するものではないと考えております。また、数値による評価ではなくて、個人の成長を確かに認め、励ましにつながるような評価であり、その内容は記述で行うこととなります。今年度実施をしております小中学校への学校訪問、あるいは教員研修等で、研究校の事例を示すなど、適切な評価のあり方について周知を図っていきたいと思っております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)ありがとうございます。一人一人を大事にということで、私は、これから担う子供たちが、本当に伸び伸びと個人が尊重されて、誰もが安心して発言ができて、人の動向に左右されない一人の人間としての成長を支え得る滋賀の教育を求めたいと思います。  しかし、大津市でいじめによる生徒が自殺をされた悲しい事件がありました。それに端を発して、全国のいじめ対策の強化、その中で、道徳の教科書全てにいじめ対策、いじめの文言が入っているということでありますけれども、今後ますます個人の内心まで探ったり発言を統制するような教育に道を開くのではないかというふうに思ったりします。滋賀はそうではないということでありますけれども、そういった点で、しっかり先生方も毎日子供さんに向き合って、大変残業も多い、さきの質問の中でもありましたけれども、働き方改革、そういうような中で、先生の現状の実践の中で、本当にお困りの点もたくさんあるわけで、その点でも、この点についても改善が求められるのではないかなという思いがしましたので、今回取り上げました。よろしくお願いいたします。  最後に、大きな4点目の質問を行います。県立栗東体育館の備品整備について、県民生活部長に一問一答でお伺いをいたします。  滋賀県は、これから2024年開催の国体に向けて、約400億円を超える莫大な予算を組み、施設整備を進めようとされておりますが、県内の体育施設で活動するスポーツ団体や個人の利用される施設に目を向け、充実を図っていただきたいと今回質問をさせていただきます。  皆さんも御承知のように、県内には2カ所の県立体育館があります。県立体育館と県立栗東体育館。今回、栗東体育館は、利用されている利用者から要望をいただきましたので、4月12日に地元栗東市議とともに調査をさせていただきました。中でも、体操競技をする体育館はこの栗東体育館しかなく、地元体操クラブや中学校体操部などももとより、遠く関東からも練習に使っておられるということで、専門の体育館だということをお聞きしました。開館日は年365日のうち322日、ほとんど毎日利用されています。県立体育館よりも稼働率が高く利用がされているということです。こうした中で、体操競技についても、国際規格基準、FIGがあり、それに合わせて競技備品も更新をされているそうです。しかし、2006年から床マットが、スプリングの入った弾力のあるマットが公式試合に使われるようになっている中で、現在、この栗東体育館では、以前の古いウレタン式のマットを利用されており、床の感触は全く違うということを実感しました。本来、公式試合で使われているそうした基準のものを使うのが望ましいわけですけれども、管理者は毎年更新の予算要望をしているけれども、県は財政難ということも含めて、高額なので予算どおりつかない、だから我慢しているということで、何とかならないかというお話でした。滋賀県は、スポーツ推進条例を制定し、さらに健康増進、スポーツ振興を図ると先日の知事答弁でもおっしゃられております。また、地域の未来の体操選手を輩出する上でも早急に改善が求められていると思います。  そこで、体育館施設内の備品の管理状況の把握について、県はどのようにされているのか、県民生活部長にお願いをしたいと思います。 ◎県民生活部長(福永忠克) (登壇)お答えいたします。  スポーツ施設内の備品の管理につきましては、管理運営に関する基本協定によりまして、指定管理者が行い、必要に応じて修繕等の対応を行うこととなっているところでございます。県は、指定管理者から、毎月提出されます月例業務報告書や年2回の実地調査によりまして、備品の現況について確認をしているところでございます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)協定でそういうふうに指定管理者のもとで管理されているということで、県もちゃんとチェックしてますということでありますけども、毎年更新はどのように進めておられるのか、その基準についてはどうなのか、県民生活部長にお願いいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  備品の更新についてでございますが、まず、備品の状況を把握した上で、更新が必要なものにつきましては、先ほど申し上げました管理運営に関する基本協定によりまして、見積額が1件当たり100万円以上のものについては県が、また、100万円未満のものにつきましては指定管理者が、優先度等を見きわめながら、適時適切に行っているところでございます。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)適時的確に更新をされているということなんですけれども、しかし、先ほども言いましたように、それは残っていたということですから、更新も必要な年次計画が必要ではないのかなというふうに思うんですけども、その点はいかがでしょうか、県民生活部長にお伺いします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答え申し上げます。  栗東体育館を初め、県立スポーツ施設における備品につきましては、先ほども申し上げましたとおり、指定管理者において必要な保守点検を行い、県に報告をしていただいております。県は、指定管理者からの報告などを通じて、その状況を確認しているところでございます。その上で、県および指定管理者におきまして、それぞれの緊急度、あるいは重要度等などを見きわめながら、更新する時期を決定しているところでございます。今後とも、指定管理者からの聞き取りなどを通じまして、各施設における備品の状況をしっかり把握しながら、適切に更新に努めてまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)見て、必要性があればということなんですけれども、先ほども言いましたように、4点目なんですけど、日本体育協会では、この推奨されている国際規格というのがあって、それに合わせて備品も更新が必要なんじゃないかなというふうに思うんです。公式試合をされているところ、インターハイとかそういうものについては、ほとんどそれに変わってきているということでありますので、ぜひ、滋賀県のレベルアップということからも含めて、これは基準に合ったものを使われたほうがいいのではないかなというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  県立スポーツ施設におけます備品の更新につきましては、指定管理者だけでなく、施設を御利用いただいております競技団体の御意見も伺いながら、その更新を図ってきたところでございます。  こうした中、議員御指摘の栗東体育館の体操床マットにつきましては、日本体操協会が推奨される規格に適合しなくなったことから、これを補完するため、競技団体からの要望も踏まえまして、タンブリングトランポリンの整備を平成28年11月に行ったところでございます。今後とも、利用者のニーズを踏まえた上で、優先順位を見きわめながら、適切に備品の更新を行ってまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)床マットは二の次ということで、先ほどトランポリンと言われていました。それも見せていただきましたけれども、本当に随時そういう必要性、いろんな今種目も変わってきているし、そういうことも大事かなというふうに思います。国体整備の多額の予算を使うよりも、こうした毎日、また毎年使われている、そうした利用する備品を整備するほうが先ではないかな、大事ではないかなということで、この点で質問をさせていただきました。ぜひ県の考えを変えていただきたいなと思うんですけども、随時ということでありましたら、年次計画で上げていただいて進めていただきたいと思うんですけれども、最後に県民生活部長に、このお考えがないのかどうかお伺いをいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) 県立スポーツ施設において利用される備品につきましては、いずれも競技力の向上に資するものでございまして、今後、国民体育大会、全国障害者スポーツ大会の開催に向けまして、その更新には十分配慮していく必要があるものと考えております。  議員御指摘の栗東体育館につきましては、県内唯一の体操競技専用設備が常設されている施設であり、多くの選手が練習拠点として活用していただいておるということは承知しておりまして、その機能の充実を図ることは大変重要であると認識をさせていただいております。こうした認識を踏まえまして、限られた財源を最大限有効に活用し、最少の経費で最大の効果が得られますように、指定管理者、競技団体の御意見も伺いながら、適切な備品更新に今後も努めてまいりたいと考えております。 ◆11番(藤井三恵子議員) (登壇)何度か出てきました本当に国体、多額なお金が使われるということで、今、本当に随時、そういう問題が、あちこちで待ってねということであるというふうに思うんです。指定管理者に、100万以上超えたものについては県が調査をして、それを随時緊急性にのっとって、基準を備えたものを備品として整備していただきたい。経年劣化で、本当にあちこち行きますと、テープとか張ってるようなものが、県外から来られた方が見てどうなのかなというふうにも思いますし、また、毎日使われているお子さんが、先ほども言いました中学生とか、ちっちゃいお子さんとか、やっぱりクラブでやっておられる、そんな日常ふだんに使われている会場ですので、ぜひそういった子が競技をどんどんそこを使って鍛えられて選手に育成されるということ、やっぱりあると思います。本番でも使えるように、これは3,000万っておっしゃっていたんですけれども、100万の基準でするとすごく大きなお金ですけど、国体には先ほども言いましたように約400億ということで、1,000分の1ぐらいの予算でできるわけですよね。だから、年次計画を持ってぜひ整備をしていただきたい。何よりも利用者のけが等があっては困りますので、関係者とも協議をしていただきまして、早急に整備をいただきたいことを強く求めて私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、11番藤井三恵子議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後2時27分 休憩    ────────────────   午後2時49分 開議 ○副議長(小寺裕雄) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、19番木沢成人議員の発言を許します。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇、拍手)それでは、早速、通告に従いまして、分割方式と一問一答方式で大きく2項目質問をいたします。  初めに、民具の活用について、分割方式で伺います。  社会が大きく発展し、さまざまな場面において機械化が進展する中で、これまで人々の衣食住等の日常生活を支えてきた道具としての民具の多くは、その本来の役割を失いつつあり、地域の人々がこれまで紡いできた歴史、伝統文化を伝える文化財としての側面が強くなってまいりました。しかし、その一方で、天然、自然の資源をうまく活用し、また、その製作の過程においても、実用の過程においても、さまざまな知恵にあふれる民具と手仕事について、地方創生の動きにも関連しながら、改めて見直す動きが生じているところでもあります。  日本民芸運動の父と称される柳宗悦氏は、終戦直後に記されたその著書「手仕事の日本」の中でこう述べています。「自然と離れては、また、自然に背いては、どんなものも美しくはなりがたいでしょう。一つの品物をつくるということは、自然の恵みを記録しているようなものであります。そうしていかに日本がそういう自然に恵まれた国であるかを反省することは、日本を正しく見直すゆえんになるでありましょう。」と。  県では、現在、滋賀県基本構想「夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀」に基づき、施策を推進していますが、その柱は新しい豊かさの追求であります。この新しさの追求とは、まさに柳氏が70年以上前に提唱したように、温故知新の精神を抱きながら、身近な生活や自然を顧みることなしにはなし得ないと思います。  そこで、以下伺います。  初めに、知事に伺います。本県の歴史上も、さまざまな場面において製作され、使用されてきた民具の収集、保管、展示ならびにその活用についての県の基本的姿勢についてお伺いをいたします。  柳田氏は同書の中でこうも述べています。「そもそも手が機械と異なる点は、それがいつも直接に心とつながれていることでもあります。機械には心がありません。手はただ動くのではなく、いつも奥に心が控えていて、これが物をつくらせたり、働きに喜びを与えたり、また、道徳を守らせたりするのであります。そうしてこれこそは品物に美しい性質を与える原因であると思われます。それゆえ手仕事は一面に心の仕事だと申してもよいでありましょう。」と。  時代は大きく変わり、柳氏が述べる機械化はさらに大きく進展しましたが、それでも、ものづくりのさまざまな場面においては、この手仕事の伝統は受け継がれ、また今後も受け継いでいかなくてはなりません。  県では、現在、さまざまなものづくり人材育成施策を実施しているところですが、そうした中で、手仕事によってつくられたさまざまな民具を活用し、ものづくりの基本や歴史伝統、さらには自然との関係について学ぶことは有意義であります。こうしたものづくり人材育成分野における民具の活用について、知事の所見をお伺いいたします。  次に、回想法における民具の活用について、引き続き知事に伺います。  回想法とは、1960年代に、アメリカ合衆国の精神科医バトラー博士が提唱した心理療法であります。高齢者の方が、子供のころの楽しかったこと、つらく大変だったことなどの記憶を思い出して、言葉に発する、また、身ぶり手ぶり等の身体表現をすることによって、脳機能が活性化し、認知症等の予防、改善に効果があるとして、医療・福祉分野で注目されている薬に頼らない心理療法であります。欧米では既に広まっており、日本国内においても、少しずつではありますが、実践事例がふえてきております。特に、この回想法のノウハウを活用し、地域に住む健康な高齢者の認知症予防や生きがいづくりに結びつける取り組みは、地域回想法と呼ばれており、県内では東近江市立能登川博物館や高島市地域回想センター等での実践が知られております。昨日、井阪議員の質問にありましたふるさと絵図の取り組みもその一つであります。  ブリで有名な漁師まちであり、漁労具を初めとしたさまざまな民具の収集と展示について定評のある地域博物館として35年の歴史を持ち、平成23年度からこの地域回想法の取り組みを実践されている富山県氷見市立博物館を先般訪問し、館長からお話を伺いました。市の福祉関係者等との積極的な連携のもと、介護施設等からの見学者をふやし、また、介護施設等への民具の貸し出し、介護施設等でのグループ回想法の実践、若い介護職員等への民具についてのレクチャーなどを通じて、これまで6,000名以上の方に回想法を体験していただいたとのことでありました。介護施設等において、お年寄りに以前より笑顔がふえた、言葉を発してくれる機会がふえた、昔のことを思い出して話してくれるようになった、身体動作がふえたという定性的な効果のみならず、富山福祉短期大学との共同研究では、民具を活用したクローズド式グループ回想法の継続実施により、認知症行動障害尺度──DBDの数値が減少するという定量的なデータも得られ、今後に大いに期待が持てるとのお話もいただきました。何より、地域回想法を通じて、高齢者と子供や若者との交流機会がふえ、双方に学びの機会が生まれ、そのことがさらに地域の紐帯を再構築しつつあるという点も、地域づくりの点からは大きな効果であるとも伺いました。  平成23年12月20日に、博物館の設置及び運営上の望ましい基準が文部科学省により示されましたが、その第10条では高齢者も含めた利用者に対応したサービスの提供がうたわれ、また、第11条では学校、家庭および地域社会等の連携がうたわれております。こうした点も加味し、これからますます高齢化社会が進展する本県においても、高齢者の健康づくりの観点から、また、世代間交流の一層の促進の観点から、琵琶湖博物館を初め、市町の博物館や福祉関係者等と連携しながら、民具を活用した地域回想法の取り組みをさらに進めてはと提案するものですが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、教育分野における民具の活用について、教育長にお伺いいたします。  県内の小学生に対する自然体験学習としては、現在、全ての5年生を対象としたびわ湖フローティングスクールうみのこ事業、全ての4年生を対象とした森林環境学習やまのこ事業、また、農業体験学習であるたんぼのこ事業が、県教育委員会、各市町教育委員会の連携のもとに実施をされています。こうした体験事業は、文字どおり、身体を使った体験、作業が組み込まれており、それは主として手仕事になるわけですが、そこには本来的に民具であるさまざまな道具が介在することになります。  現在、こうした体験活動の一部については、各種の地域ボランティアの皆様に支えていただいており、例えば、たんぼのこ事業においては、田植えや稲刈り時には、昔の衣装や農機具、また、収穫後の調理の際には、伝統的な調理器具や食器等の民具が活用されている事例もあります。民具の多くが天然資源に由来し、素材感とともに、もとの自然を体感できるものでもあることから、こうした自然体験学習において積極的に民具の活用を願うものですが、教育長の御所見をお伺いいたします。
     県では、現在、「滋賀県食育推進計画(第二次)〜まるごと“おうみ”いただきますプラン〜」に基づき、各世代の食育を総合的に推進しているところでありますが、上記の自然体験学習とも関連し、その中で大きな役割を占めるのが学校現場における給食であります。もとより、食育については家庭での実践が最重要ではありますが、計画において、生きた教材としての給食は、健康とのかかわりや食事のマナー、食への感謝の気持ちを育むものとしての位置づけされており、また、子供同士や教職員と子供が心を通わせることにより、豊かな心や望ましい人間関係を築き、地域の食文化や郷土への関心を深めることもその教育目的とされています。その中で、地場産物の積極的利用が進められているところですが、今後は、この食材のみならず、食べるという行為に介在する箸やわんを初めとした各種の食器等の民具の活用についても、市町の教育委員会との連携のもと、総合的な食育の観点から、身近な自然素材に触れ、そのよさを体感する木育等の観点から、また、学習指導要領に定める生活の学習効果を高める観点から推進を求めるものですが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ○副議長(小寺裕雄) 19番木沢成人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)民具の活用について御質問のうち、私には3点いただきました。  まず1点目、民具の収集、保管、展示およびその活用における県の基本的姿勢についてでございますが、民具は、私たち県民の祖先が日常生活の必要から製作、使用し、世代を超えて伝承されてきた道具や衣服などの生活用具でございます。県としては、昭和53年から平成7年にかけて、漁具、農具、生活道具を初めとする民具の収集を集中的に進め、現在、約1万点の資料を琵琶湖博物館に収蔵し、保存と活用を図っているところでございます。これらを初め、県内各地に伝えられる民具について、市町や博物館、資料館とも連携しながら、県全体として保存と活用が図れるよう取り組んでまいりたいと存じます。  2点目、民具を活用したものづくり人材育成に関する御質問についてでございます。  本県には、手仕事の技術を色濃く伝える産業として、例えば彦根仏壇や近江上布、高島の扇骨などの地場産業がございます。いずれも、長い歴史や独特の風土、文化の中で生まれ、固有の生産技術や方法を継承し、今日に至っておりますが、こうしたすぐれた技術や技能はこれからも確実に継承していかなければならないと思っています。そのためにも、ものづくりに興味を持ち、将来的にものづくりの現場に携わってもらえるよう、児童や生徒など若い世代に体験の機会を提供することは重要であると考えます。例えば、しごとチャレンジフェスタにおいて、小中学生にものづくりの体験の場を提供したり、陶芸の森を中心に実施しております、つちっこプログラムでは、小中高生等に対して、ろくろを使って器をつくるなどの体験プログラムを実施しています。民具を使った手仕事からものづくりの基本を学ぶといった視点は大変重要であり、体験の機会をどのように工夫できるか研究してまいりたいと存じます。  3点目、地域回想法の取り組みについてでございます。  議員御指摘のとおり、高齢者にとって、昔の暮らしぶりや、今は廃れてしまった作業、道具の使い方、手仕事のコツについて語ったり、思い出したりしていただくことは、生きがいづくり、世代間交流といった福祉的価値があるものと考えます。  琵琶湖博物館におきましては、生活用具や農業、漁業用具などの民具を収集しており、その一部は、昭和30年代の農家の生活情景を再現した冨江家などの展示にも生かしているところでございます。また、市町の博物館や福祉関係者等に対して、所蔵する民具や、それを生かした展示の情報を提供し、それらを活用いただくとともに、可能な範囲で民具を貸し出すなど、連携に努めてまいりたいと存じます。  福祉の現場などで民具を使い、地域回想法を効果的に導入されている事例については、機会を捉え、活用例を関係者で共有できるようにしたいと考えます。 ◎教育長(青木洋) (登壇)民具の活用についての御質問のうち、私にいただきました2点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の自然体験学習における積極的な民具の活用についてお答えをいたします。  民具につきましては、小学校の社会科や総合的な学習の時間で、古くから残る暮らしにかかわる道具として、これらが使われていたころの様子とともに学んでおります。例えば、唐箕、千歯こきといった民具を集め、特別教室等に展示をして教材として活用したり、たんぼのこ事業で千歯こきの使い方を地域の方に教えていただいて、実際に稲の脱穀を体験したりしている小学校もあります。また、昨年度、びわ湖フローティングスクールの新たな学習プログラムの研究航海で、かごあみを使った漁法体験を取り入れ、今年度の航海から正式なプログラムとして実施をしております。これらの民具を活用した体験的な学びは、子供の活動意欲を高めたり、郷土を愛する心の育成につながることなどから、今後も滋賀らしい教育として大切にしてまいりたいと考えております。  次に、2点目の食育、木育、また、生活科の学習効果を高める観点からの民具の活用について、お答えをいたします。  箸やわんといった各種の食器等の民具は、先人が日常生活の必要性から長く継承してきたものであり、使いやすさや耐久性において工夫が凝らされたものであります。こういった民具に子供たちが実際に触れることで、素材の持つよさや先人の知恵を感じたりすることは、手づくりの品物のよさが見直されている時代にあって、大切なことであるというふうに考えております。例えば、自然環境学習やまのこ事業においても、森の恵み利用学習として、間伐材を利用した箸づくりにも取り組んでおり、木材への親しみや木の文化への理解を深めることにつながっております。民具を活用した学習にはこうしたさまざまな効果があることから、そのよさについて今後もしっかり伝えてまいりたいと考えております。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。  幾つかちょっと再質問をさせていただきたいんですが、まず、知事に、1点目の質問と3点目の質問の答弁、合わせた形で答えていただいたら結構だと思うんですが、1点目で活用の基本的姿勢ということをお伺いしたんですけども、これをあえて聞いたのは、後のほうで文科省の新しい基準のことを示させていただいたんですけども、そこで、10条の中で高齢者、高齢者だけではないんですけど、さまざまな利用者の中に高齢者ということがしっかり位置づけされているということは、今の今日的な状況を反映しているのかなと思うんですけども、そういう中で、現状のその活用方針ということじゃなしに、高齢化社会を迎えている中で、そういうより多くの方に単純に博物館を見てもらうというだけではなしに、今、1期のリニューアルが、間もなく1年ですけども、これから相当なお金をかけて、さらにまた投資をしていくわけなので、よりその活用の中で、3点目に問いました回想法を含めて、利用者としての高齢者の方、それを取り巻く人たちにとってより効果のあるような使い方ということで、さらに踏み込んだ利用、活用ができないかなという思いで1点目も聞かせていただいているんで、今現況のさまざまな取り組みを共有したいということは3点目の答弁でも答えていただいたんですが、もう一歩前に進めないかなという思いで1点目と3点目がセットで聞いているような部分もありますので、ちょっとその辺のところについて、再度思いを聞かせていただきたいなというのが知事への再質問でございます。  それから、教育長さんには、自然体験のところで、フローティングスクールに触れていただきました。今までは、どちらかというと環境学習の、例えば琵琶湖の水質調査したりとか、純粋に環境の部分に重きを置いてたのかなと思うんですけども、やはりうみのこということの名称からしても、先ほどちょっと漁業との関係を一部プログラムに取り入れていただいているということを伺ったんですけども、今、新船を建造している中で、新船自体を使った次のプログラムの中に、今おっしゃった漁業とのかかわりというのをもう少し積極的にプログラムとして取り入れていただくというお考えでよろしいのか、それとあわせて、できれば、その収蔵している品々が琵琶湖博物館を初めいろんなところにあるんですけれども、うみのこの新船自体にも、その中にそういうものを子供たちが見れるような工夫というのが何かプログラムとあわせてできないのかという、その辺のところについて再度御答弁いただけたらと思います。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。  活用という視点で私の思いということなんですけれども、御指摘いただいたように、こうして昔から使われている民具、漁具、農具、こういったものを、その使われていた世代の方々がいろんな思い出を持ってお話をされるということは、先ほども答弁しましたように、福祉的な効果もございますし、教育的な効果、こういったものもあるということでございます。例えば、先ほど答弁で取り上げました琵琶湖博物館につきましては、65歳以上の来館者については無料にして、展示をしておりますそういった民具につきましても、その時代時代に応じて展示をさせていただき、その中で、その世代同士が、また、お子さんやお孫さん方に話されている様子なども私も見たこともございますので、そういったことでさらに活用を図ってまいりたいと思いますし、何も県が収蔵しているものだけではなくて、市町にも、それぞれの御家庭にもまだまだ、今ならまだ残っている、そういったものものもあろうかと思いますので、そういったものをどう連携しながら活用していけるのか、今あるものだけではなくて、今後さらに活用可能性があるものについても、先般のあのふるさと絵図のことも含めて活用していけるように検討していきたいと思います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  新船のプログラムにおきましても、今御紹介したようなことをするかというようなまず御質問だと思います。このプログラムにつきましては、新船に向けても研究をしたものでございますので、新船に当たってもそうしたプログラムをやりたいと思っておりますし、もちろん環境というのは大事でございます。そういったものとあわせまして、やっぱり文化というものをしっかり学ぶという、そういった意味で新船においても実施をしていきたいと思っております。  それと、2点目は、新船のほうにそういう民具を置いていくという、そんなことでしたでしょうか。今、新船のほうは建造しておる最中でございますが、正直なところ、今まだそんな発想はございませんでした。今、そういう御提案をいただきました。そうしたものが可能かどうか、少し研究をさせていただきたいと思います。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございました。  知事のほうから、高齢者の利用については、例えば入館料の65歳以上の無料ということもおっしゃっていただいたんですけども、実際、改めてこの質問するに当たって、再度何回か博物館に行ってみたんですけど、そういう高齢の方の視点から見ると、逆に物すごく広過ぎて、これをずっと回るというのを見ていくと、各展示室をだっと回ると、これはかなり、若い方はいいのかもしれないですけど、なかなかそれも大変なのかなということも、そういうバリアフリー的なところも思いましたので、そういう意味で、高齢者の方が使いやすく、そしてまた、そこから気づきや学びが一層できるようなまた工夫をお願いしたいと思います。  それでは、2項目めの質問に移らせていただきます。  次に、琵琶湖ハンドブックにつきまして、一問一答方式で質問させていただきます。  琵琶湖の姿を幅広くわかりやすく紹介し、知識や情報を共有することで、琵琶湖への理解や関心を深めていただくことを目的として、平成19年3月に初版が発行されました琵琶湖ハンドブックでありますが、当初の目的に照らし、この10年間でいかなる成果があったと評価されるのか、まず知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  この琵琶湖ハンドブックは、琵琶湖に関する基本的な情報、専門的な知識などわかりやすくコンパクトにまとめ、琵琶湖の解説書として活用いただくため作成されました。平成19年に初版3,000部、平成24年には改訂版3,000部を発行、その後、2,000部を増刷されたということでございます。また、ハンドブックの英語版を平成26年に3,000部発行したところでございます。これら日本語版、英語版ともにホームページにも掲載し、効果的な発信に努めているところでございます。  ハンドブックは、主に、環境保全活動団体や学校での学習教材、地域の勉強会のテキストなどとして活用いただいており、琵琶湖とその環境に対する理解と関心を深める一助になっているものと考えております。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)今、実際の利用されている方々を具体的に述べていただいたんですけども、よく140万滋賀県民という言い方をされるんですが、ひとえに140万滋賀県民という言い方をしても、まさに琵琶湖を生活のフィールドとされている漁業者の方や琵琶湖の研究者の方から、日々の暮らしの中で全く湖面を見たり接したりすることがなく、したがって、ある意味、強く琵琶湖を日常の中で意識をすることがない方まで、さまざまな方が本県には暮らしておられます。この琵琶湖ハンドブックが目的とする県民とは具体的にどのような方なのでしょうか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) このハンドブックは、おおむね高校生以上の県民が利用することを想定して作成しております。主に、環境保全活動団体、環境学習に取り組む関係者、そして、琵琶湖保全にかかわる市町を初めとした行政職員を中心に広く活用いただいているところでございます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)発行から10年を迎えまして、この間、先ほども言及いただきましたように、平成24年に改訂がなされたところでありますが、本年度、再編、改訂を行うための予算措置がなされているところであります。今回の再編、改訂の必要性について、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 再編、改訂する必要性は大きく2つございます。1つは、琵琶湖保全再生法の制定や計画の策定、琵琶湖の日本遺産の認定など、琵琶湖や本県行政に係る新しい動きがあったこと、もう1つは、改訂版の発行から5年が経過いたしまして、侵略的外来水生植物オオバナミズキンバイの繁殖や森林等における獣害等、琵琶湖に関する新たな課題が生じていることから、内容や情報の更新が必要となったためでございます。なお、今後、改訂に向けましては、SDGsなど本県行政の新しい動きでありますとか、オオバナミズキンバイなど琵琶湖をめぐる新たな課題をしっかりと盛り込み、琵琶湖への理解と関心をより深めていただけるような構成、記述としてまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)先ほど、初年度版が3,000部、それから、改訂が3,000部、その後、増刷を2,000部されたということが示していただきましたけれども、発行部数が限られております中で、効率・効果的に当初の目的を達成するためには、ターゲットというものをより絞り込む必要があるのかと思います。先ほども言及があったんですけれども、その中で、県内の県庁の職員さん初め、市町の職員さんもそうなんですが、あと、我々を含めた議員さんという方々もそうなんですけども、自治体関係者の方からは、琵琶湖と本県に係る基礎的事項を理解するのに、このハンドブックは非常にわかりやすいというお声も聞いております。県庁も含め、こうした県内自治体関係者における活用の状況と、今後のさらなる進展について、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) わかりやすいという御評価をいただけているとするならば大変うれしゅうございます。  この琵琶湖ハンドブックは、県内市町、小中高等学校、図書館を初め、県内関係行政機関などを中心に配付しております。その活用について、本ハンドブックが琵琶湖に関するさまざまな事項を網羅しておりますことから、環境学習や地域での学習などの参考資料として、あるいは、辞書的なものとして活用いただいているということでございます。今後、改訂に当たりましては、県内自治体関係者の皆さんから御意見を伺うなど、利用者の目線に立った使い勝手のよい内容とすることにより、多くの自治体関係者にさらに御活用いただけるよう工夫してまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)自治体の職員さんの関係で、ちょっと今のところの部分の再質問なんですけども、市町までわからなければ結構ですが、例えば、県庁の新採の職員さんの研修とかそういうところで、前もちょっと知事、別のところで議論したかもしれませんが、ここに、県庁に入庁される方も、必ずしも滋賀県出身の方ではない方がたくさんいらっしゃるとも聞いていますし、特に琵琶湖環境部さん含め、そういう琵琶湖の環境とか、そういう分野については、ここでそういうことをやりたいという思いで入庁されてこられる方もいらっしゃるというふうに伺っているんですけども、その方を含めて、新採の職員さんの研修等で具体的にこの琵琶湖ハンドブックというのが積極的に活用されているのか、ちょっとわかれば教えていただきたいんですが。 ◎知事(三日月大造) 今、この場で確認しましたところ、新採の職員に対しても、これを活用して研修に使っているということですので、さらに有効に活用していきたいと思います。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)それでは、次、5問目の質問に移ります。教育長にお伺いいたします。  先ほども一部知事から答弁があったんですが、その内容の分野の網羅性と、効率・効果的な活用という面では、集団で学ぶ場としての学校現場における琵琶湖ハンドブックの活用も有効であると考えるところであります。小中高校、各段階における活用の現状について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  小中高等学校において、琵琶湖ハンドブックは各校に1冊配付されており、児童生徒が図書室で閲覧をしたり、教員が指導の参考として用いたりしております。一方、日々の授業の中で琵琶湖について学ぶために、琵琶湖ハンドブックに記載されている内容を発達段階に応じてわかりやすく解説した副読本、小中学校では「あおい琵琶湖」、高等学校では「琵琶湖と自然」を作成して配付をし、各教科の学習や総合的な学習の時間等での活用を図っております。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)先ほど知事からも、琵琶湖ハンドブック自体が高校生以上というような内容ということなので、直接的には、小中学校ではそれをそのままというのはなかなか難しいという中で、「あおい琵琶湖」という副読本を使っていただいているということなんですけども、次、ちょっと6番目、高校生というところに絞って質問させていただくんですが、以前に私、この場で、自然災害や地球温暖化を初めとするさまざまな環境問題等への理解を深めるための理科教育の推進についてという質問をさせていただきました。教科書のキーワードとともに、マスコミの報道などで日々目にし、耳にする地震災害、台風災害、地球温暖化の問題、先ほども出ていました外来生物の問題、エネルギー問題等を、抽象的でなく、より地域に根差した具体の事例として理解し、教養を深めるため、また、歴史、伝統文化といった人文社会科学分野における教科書的知識をさらに一層具体として深めるためにも、この琵琶湖ハンドブックの活用は、特に高等学校の教育課程において有効と考えますが、さらなる活用について、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  琵琶湖ハンドブックは、琵琶湖の地形や生き物、人とのかかわりについての歴史や科学的な内容から構成をされております。また、生物多様性や石けん運動、和歌と俳句といった項目について、一つの項目が見開き2ページで簡潔にまとめられたものでございます。  これまでは、先ほどお答えいたしましたように、主に「琵琶湖と自然」を副読本として活用してまいりましたが、議員御提案のハンドブックの利用につきまして、理科や社会、あるいは国語等の授業の中で一つの項目を取り上げて学習すること、また、スーパーサイエンスハイスクール指定校などにおいて研究課題のテーマを設定する参考資料として活用するなど、その活用方法を研究してまいりたいと考えております。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)先般、本年度第1回目の滋賀県総合教育会議、傍聴させていただきました。本年度、どういうことをテーマにして進めていくかということを、知事含め委員の皆さんで御議論いただいていたんですけども、そこの中で滋賀の地域性を生かした学びの創出ということを挙げられております。第2回以降の総合教育会議の進め方ということで資料もいただいているんですけども、その第4回、滋賀ならではの文化財や歴史を通じた滋賀の魅力を発信できる力の育成ということで、滋賀への興味関心を伸ばす学習機会の充実、滋賀の魅力の情報発信力育成ということを記載いただいています。こういうところをしっかりやるということを知事も言及されていたと思うんですけど、そういう場合に、私もこれ、ハンドブック、通算でいったら6回ぐらいは通読させていただいているんですけども、読むたびに私としてもすごい発見がありますし、非常にまとまっていていいなというふうに感じております。午前中も目片議員が坂本城のその辺の歴史資源の活用ということを言及されていましたけども、お近くの例えば瀬田の唐橋なんかについても、すごくその唐橋の歴史について扱ったページなんかもありますし、そこなんかも、やっぱり教科書の、例えば日本史の授業をさらっと受けているだけではなくて、例えば壬申の乱にしてもそうですし、さまざまな本県を舞台とした大乱の際に必ず瀬田の唐橋が舞台になったということも琵琶湖ハンドブックの中には記載がありますので、先ほど来申し上げている自然科学分野だけではなく、人文社会科学分野についても非常に有効かなと。そういう意味では、現況、その副読本が「琵琶湖と自然」というのがあるということですが、こちらはどちらかというと、やっぱり環境学習に特化した内容ですし、ちょっとハンディーというところで大きさも大きいので、なかなかふだん使いとしても活用できないかなと、しにくいかなと思いますので、そういう意味では、それこそ滋賀県の高校生ならば、3年間の卒業する中で、やっぱりしっかりハンドブックの内容ぐらいを一通り学び通せるというような、そういう機会をつくっていただけたらなと思います。  それでは、再び知事に伺いますけれども、先ほどもちょっと言及ありました英語版のほうのハンドブックの話でございます。琵琶湖ハンドブックにつきましては、その英語版である「Lake Biwa Guidebook」も作成をされております。今日までのその活用状況の具体について、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 英語版であります「Lake Biwa Guidebook」につきましては、琵琶湖について包括的に海外に紹介するガイドブックとして平成26年3月に発行したところでございます。活用の具体例といたしましては、イタリアやインドネシアで開催された世界湖沼会議ですとか、韓国で開催された世界水フォーラムにおけるPRブースにおいて配付したりしたところでございます。その他、県やILECにおいて、海外からの来客や研修生に配付いたしまして、本県の環境保全の取り組みや琵琶湖の持つ多様な価値などを海外に向け発信してきたところでございます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)本年度の日本語版の琵琶湖ハンドブックの改訂の後に、今述べましたこの「Lake Biwa Guidebook」も改訂、再編の作業が必要になってくるように思われます。琵琶湖新時代、サステナブル滋賀を掲げ、また、国連の持続可能な開発目標──SDGsの県レベルでの取り組みを推進していく本県として、どのような方針のもとに改訂、再編を行い、また、どのような形で活用していくのか、滋賀らしい次世代の人づくりの観点も踏まえ、知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) この英語版ガイドブックについては、策定から3年程度しか経過しておりませんので、現時点では改訂は予定しておりませんが、今後、改訂に際しては、県として率先して取り組みを始めているSDGsに関する記述をしっかりと盛り込みたいと考えています。SDGsが目標とする誰一人取り残さない持続可能な社会を構築していくためには、それを支える次世代人材の育成が不可欠であると考えます。このため、ガイドブックを海外からの来客や研修生等への発信ツールとしてだけではなくて、県内の高等学校等において、英語で滋賀、琵琶湖を学ぶ探求学習のテキストとして活用できないか、教育委員会や関係機関等と研究をしてまいりたいと存じます。 ◆19番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございました。午前中の目片議員の教育関連の質問の答弁の中でも、生徒が滋賀で学びたいというオンリーワンの高校づくりが大事だという御答弁があったかと思います。先ほど申し上げた日本語版での学びでも、やはりこれだけの内容を高校3年間で、もし滋賀県の生徒が全員学び終えたとしたら、それは、その後どういう、社会に出られる方、そのまままた上級の学校なり目標に進まれる方、全ての高校生にとっても非常に大きな力になるかなと。ある意味、自分自身も、県内の公立高校を出て、その後、さまざまな社会体験をして、今、現実、滋賀に戻ってきて、こういう仕事をさせていただいているんですけれども、そういう体験からも非常に有効かなと思います。そして、さらには、国連を含めたそういう国際的なグローバルな時代の中で、そういう人材を育成するという観点からしても、この英語版のほうのガイドブックの活用というのは非常に大きいのかなと思うんですけども、この前、SDGsのシンポジウム、あちらも傍聴させていただいたんですけども、今、高校の授業、英語の課程の中等でも、教育委員会と連携して研究していくというような御答弁があったと思うんですが、ちょっと最後に知事にお伺いしたいんですけども、せっかくこの前、トーマス・ガスさんも来ていただいて、あれは打出中学の生徒さんだったと思いますが、ああいうお話もし、ああいう体験のプログラムをしていただいたということでいくと、その辺の何らかのSDGsの取り組みの中で、国連というような国際的な組織を意識した中で、高校生とつながるようなプログラム、その中でこのガイドブックを使っていくみたいな、その辺のちょっと野心的な何か取り組みをしていただけないかなと思うんですが、ちょっともし思いでもありましたら、その辺、最後に聞かせていただきたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 私も改めてこの「Lake Biwa Guidebook」、英語のほうを見ても、大変、ああ、こういう表現で述べるのかとか、とても勉強になる、さらには、単に日本語でPR用だけではなくて、私たち県民自身がこういう切り口で、例えば英語という言語で学び直すことというのも大変意味のあることだと思っておりますので、私自身も実践してみたいと思いますし、先般、中学校で国連のトーマス・ガス氏の講演を急遽入れて、入っていただいて行いました。国連のSDGsの取り組みについて、非常にわかりにくくて、例えば中学1年生に大丈夫かなと当初思っていたんですが、意外や意外といいますか、実は物すごく子供たちにとっては、将来のこととか身近なものと世界とのつながりということに、ある意味、新鮮な興味を持ってくれたのかなという印象を現場で持ちました。意外という言葉の使い方自体が、そもそも私の認識違いだったのかもしれません。その意味で、こういう英語版で、英語で琵琶湖や滋賀のことを世界の人たちに表現するということは、これからの生きる力を養うという意味においても大変重要な取り組みだと思いますので、先ほど申し上げたように、教育委員会ともよく研究をして、今後の活用方探っていきたいと思います。 ◆19番(木沢成人議員) 終わります。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、19番木沢成人議員の質問を終了いたします。  最後に、24番山本進一議員の発言を許します。 ◆24番(山本進一議員) (登壇、拍手)皆さん、お眠りのところ恐縮ではございますが、きょう最後の質問となりました。皆さん、お疲れのようですので、もう少し我慢していただきたいと思います。私の背丈に合わせて時間を短くしたいと思いますので、あと少し聞いていただきたいと思います。  それでは、琵琶湖の水辺を生かした湖岸エリアのまちづくりについて、3点質問させていただきます。  まず初めに、琵琶湖文化館の将来的な活用についてお尋ねします。  琵琶湖文化館は、1961年、昭和36年に開館し、一時代を築いた湖国のシンボルでありました。その文化館は、47年目の2008年、平成20年に休館して早くも9年がたち、3年後の2020年、平成32年には新生美術館が完成し、それに伴い、収蔵する約9,000点の仏教美術品は移され、琵琶湖文化館は役目を終え、空き館となります。  その琵琶湖文化館の将来的な活用についての新聞記事で、県流域政策局河川・港湾室は、文化館として許可がおりた以上、その機能で使うのが原則と説明されており、使えないことを前提にした行政マンらしい答えで、活用には高いハードルが待ち受けていると記されていました。また、琵琶湖の占用許可改正について、河川とみなされる琵琶湖の水辺空間を生かしたまちづくりを検討している大津市や守山市の基準見直しの要望もあり、県は国に沿った形で琵琶湖の占用許可を改正し、今年度より適用することを示されました。この改正の適用方針を示したときでさえ、県の担当課の話として、基準改正後も治水や景観の面から湖岸への建物で許可を得るのは難しいと新聞で指摘されています。  このような対応を見ていると、消極的で夢もなく、新しい時代に向かって切り開いていこうという気概がないのかと疑いたくなります。改正しても、柔軟な運用ができなければ、かわりばえのしないことになります。この前向きでない現状を知事はどのように捉えているのか、また、占用許可の改正は、琵琶湖の水辺を生かしたまちづくりができるようにするものであると思いますが、今回の改正について知事の見解をお伺いします。  現在の琵琶湖文化館の活用に当たっては、耐震診断がなされていませんので、建物の利用には建築基準法等の既存不適格が多数想定されていますし、琵琶湖の占用期間が満了し、廃止の場合は原状回復が原則で、土地でないため場所の譲渡はできず、用途を変更するときは新たな占用許可が必要であることは承知しています。  しかしながら、そのような課題があるからだめだというのではなく、その前に使えるようにするにはどのようにしたらよいのか検討し、琵琶湖上にある利点を見出し、知恵と工夫をもって水辺空間を生かした活用策を考えるのが先決ではないでしょうか。さまざまな課題がある中、湖岸エリアのまちづくりの観点から、知事は文化館をどのように捉えているのか、お聞かせ願います。また、手を打たなかったら、原状回復が待っているだけで、壊すのにもお金がかかります。うまく活用して再生のシンボルとして活用すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。  今、大津市中心市街地活性化協議会の湖岸デザインプロジェクト会議では、琵琶湖文化館をメーンに湖岸エリアを一体的に捉え、美をテーマにランドスケープデザインを考え、地域イメージを向上させることによって集客力を高め、にぎわい創出を図ることを目的に、大津港側のおまつり広場からびわ湖ホール側のなぎさのテラスまでの水辺空間において、人々が水に触れ、憩いを感じ、人と自然が共生する水空間の活用策を考えています。  これまでプロジェクト会議では、滋賀県立大学、成安造形大学との連携による湖岸エリアのランドスケープの検討や、湖岸での公共空間を活用したソフト事業によるにぎわい創出などに取り組んできました。それらを踏まえて、水辺の公園にビワイチ拠点施設を初め、琵琶湖に浮かぶ湖上ステージやなぎさのマルシェなどの市が容易にできるイベントブースの基盤整備など提案されています。プロジェクトの目玉となる琵琶湖文化館については、大津港、びわ湖ホール側両側に橋を渡し、文化館本体の上部を解体撤去し、下部を土台に展望デッキや文化館サテライトなどを設け、その周囲に木製デッキや桟橋を設置し、琵琶湖と触れ合う場として水空間デザインを作成中です。今後、整備に当たっての協議、調整を行い、湖岸デザインプロジェクト案を年末を目途にまとめる予定で取り組まれています。  この大津市の中心市街地活性化協議会の提案に対して、知事はどのようにされるおつもりなのか、そして、役目を終え、かつては湖国のシンボルで県民の思い出の詰まった琵琶湖文化館を、知事はどのように締めくくろうと考えているのか、お聞かせ願います。  次に、学習船うみのこ引退後の活用についてお尋ねします。  現在の学習船うみのこは、本年度で引退し、新しいうみのこは、当初の計画よりおくれましたが、年度内に完成し、2018年、平成30年5月から新造船が運航する予定です。それに伴い、現在のうみのこをどうするのか、将来を見据えて判断しなければなりません。  ところで、過去、つくりかけたものを取りやめる理由に「もったいない」を使われた知事もおられましたが、あるものを単に壊すのはそれ以上にもったいないと思います。知事は元鉄道マンでありますから、長浜駅西口にある鉄道の博物館である長浜スクエアをよく御存じだと思います。日本の鉄道交通のかなめとして役割を終えた現存する日本最古の旧長浜駅舎とともに、かつて活躍したD51型蒸気機関車などを展示して、明治の鉄道の姿を今に伝える歴史遺産として、また、観光面でも広く県民に開放するとともに大切に保存されています。  私が申し上げたいのは、長浜の鉄道、機関車のように現在運航中の初代学習船は、琵琶湖環境学習の歴史そのものであり、民間の力を含めて何らかの形で残すことを真剣に考えるべきではないかと思います。今、全国には、退いた船が十数隻、博物船として使用されていますが、知事は現在のうみのこをどのようにされようとしているのか、また、学習船うみのこに対する知事の思い入れをお伺いします。  そのうみのこをそのまま船舶として使用するには、維持費や改造費に多額の費用が必要となり、現実的ではありません。その一方で、単に廃船にして解体するにも、スクラップ買い取り費を差し引いても1億円以上は必要とのことであります。また、琵琶湖の玄関口である大津港には、集客施設がなく、お土産を買うにも心もとない状況で、琵琶湖観光の拠点として寂しい限りです。現状は、琵琶湖観光を終えて船をおりると、バスが横づけで大変便利でよいのですが、すぐにバスに乗ってお金を使うことなく去っていかれます。こうした状況を鑑みると、少なくとも集客できる観光施設があってしかるべきと思います。  そうした中、湖岸エリアの活性化を踏まえ、河川法などの規制等ありますが、うみのこの母港である大津港に係留し、湖上のモール、湖の駅として、また、52万人の児童の思い出の残るうみのこの琵琶湖環境学習の歴史を振り返る記念館としてリニューアルし、新生うみのことしてよみがえらせ、湖岸エリアのにぎわいを創出する施設に再生してみてはどうかと考えますが、知事の所見をお伺いします。  最後に、琵琶湖疏水を生かした水空間整備についてお尋ねします。  琵琶湖疏水は、1890年、明治23年の完成からことしで127年を迎え、その疏水の通船は、1951年、昭和26年に姿を消し、66年がたちます。3年半前の2013年、平成25年12月に、京都市の門川市長と大津市の越市長が疏水の通船復活の可能性を求めて疏水を下り、それを受けて、年が明けた2014年、平成26年1月に、大津、京都両市の検討プロジェクト会議が立ち上げられ、疏水通船に向けて協議が始まりました。振り返ると、1987年、昭和62年7月に、京都と滋賀の4首長が通船の可能性を探る目的で三井寺の第一トンネル前から京都蹴上まで疏水を下り、下船後、都ホテルにおいて疏水サミットが行われました。その会談で、地震等によるトンネル崩壊やテロなどからの水質安全確保、経済的な課題などが話し合われ、通船に前向きな意見もあったそうですが、実現に向けての具体的な進展には至りませんでした。  それから30年を経て、2年前から始まった試験運航は、この春、桜の下に京都から琵琶湖に向かって上り便の試験運航が行われ、メディアも取り上げられ、定期運航への期待が高まっています。事業化に向けて、ことしじゅうに来年就航する新しい船2隻が建造されるとのことで、大変喜ばしく、通船事業化は大津市のみならず滋賀県の観光にも寄与するものと思います。しかしながら、この事業をもって疏水通船の復活が完了したことにはならないと思います。京都のインクラインの復活、そして、琵琶湖からの発着ができて初めて本格的な通船の復活になると考えます。  そこで、知事は、琵琶湖を起点にした疏水通船の復活をどのように捉えているのか、また、疏水は平安京と大津京を結ぶ水の道であり、古都をつなぐ水の歴史街道になるのではないかと思うのですが、この水の道を生かした観光振興について、知事の所見をお伺いします。  この琵琶湖疏水は、明治の粋の結晶で、自然と歴史を取り込み、格調高い遊びとゆとりの空間に満ちていて、洞門の出入り口には伊藤博文や山県有朋などの明治の著名な政治家たちの揮毫した扁額が掲げられ、その意気込みが感じられます。また、当時、日本最長のトンネル工事を含む琵琶湖疏水の建設は、全て日本人の手で行った我が国最初の大土木工事で、若き技師、田辺朔郎など、これにかかわった人々のドラマがあり、第一トンネルの竪坑方式や日本初の鉄筋コンクリート橋、れんが造りのレトロで格調高い建物など、明治の香り漂うすばらしい近代産業遺産であります。  京都市の門川市長は、琵琶湖疏水を世界産業遺産として登録、運用したいと構想を掲げられています。そのことから、世界遺産にふさわしい明治のコンセプトをイメージするため、また、琵琶湖との出会いを考えると、大津側の乗船所は、疏水入り口の旧三高の艇庫のある三保ヶ崎に木造建築の発着場を設け、北国橋にある水位を調整する閘門の開閉を電動化する必要があります。これにより琵琶湖に迎え入れ、琵琶湖から京都へ下がることができることになります。  京都蹴上のインクライン、傾斜鉄道ですが、疏水通船復活の最大の見せ場であり、目玉であると思いますが、閘門を開閉して琵琶湖への乗り入れは大津側の見せ場であり、おもしろい目玉になると思います。これらのことから、三保ヶ崎の京都市水道局所有地をお借りし、そこに明治風の乗船所と桟橋を設置し、北国橋の閘門電動化などの琵琶湖側の環境整備をすることが本格的な疏水通船につながります。  そこで、本格的な疏水通船に向けての提案に対し、知事はどのように考えているのか。これを進める上で、北国橋の閘門も三保ヶ崎の乗降場も京都市の所有ですので、うまく連携して進めなければ実現できません。この京都市との協働した取り組みについての知事のお考えをお伺いします。 ○副議長(小寺裕雄) 24番山本進一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)琵琶湖の水辺を生かした湖岸エリアのまちづくりについて、9点御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  1点目の、議員は前向きでないという御指摘をされながら、今回の改正についてお尋ねいただきましたが、ことし4月には、琵琶湖敷地の占用許可基準を改め、協議会等による地域の合意が得られた場合には、営利目的である民間企業においても占用ができるようになったところでございます。しかし、同時に、異常気象による浸水リスクが高まる中、議員の御質問にもありますように、治水上の技術的な課題もございます。現在、にぎわいの創出を求める地域の御要望に対して、どのように課題を乗り越えていけるのか、関係市とともに検討を進めているところでございます。  2点目、湖岸エリアのまちづくりの観点から文化館をどう捉えているのかということについてでございますが、琵琶湖文化館は、建物の老朽化等に伴い、平成20年4月から休館しておりますが、もともとは昭和36年3月に、本県の豊かな文化財保護と産業文化の発展、琵琶湖観光に寄与することを目的に開館した施設でございます。開館当初から、博物館、美術館、水族館、植物園、プール、レストランなど、総合レジャーの中心的な施設として、湖岸エリアを含め、県内外の多くの皆様に愛され、親しまれてきたところでございます。  このように、琵琶湖文化館を含みます湖岸エリアは、文化や観光などの面で多くの人々を集めてきた一等地でありますことから、大津市の中心市街地活性化の基本方針の一つでもございます「琵琶湖を生かす観光と環境共生のまちづくり」に基づく、大津市らしい個性ある観光面での琵琶湖の活用を目指す湖岸エリアのまちづくりを考える上で重要な場所であると認識しています。  ならば、3点目、文化館の活用についてでございますが、琵琶湖文化館の活用に当たりましては、昨年度、大津市から大津市中心市街地活性化協議会湖岸プロジェクト会議の審議結果を十分尊重されたいとの御意見をいただいたことから、その後、大津市と本格的に意見交換を始めたところでございます。本年度に入りまして、大津市としても中心市街地活性化を図る取り組みの中で、琵琶湖文化館の敷地を含め、その活用を検討しているとの見解が示されたところでございます。県といたしましても、大津市が地域の合意形成を図りながら進められる湖岸エリアの一体的整備の中で活用されることが望ましいと考えます。今後、琵琶湖の水辺空間を生かしたまちづくりの中で有効活用が図られるよう、大津市と鋭意意見交換を図ってまいりたいと存じます。  4点目、大津市中心市街地活性化協議会の御提案についてでございます。  水空間デザインを作成中という御紹介いただきましたが、大津市中心市街地活性化協議会の御提案につきましては、その提案を受けられる大津市のお考えもお聞きしながら、敷地も含めて琵琶湖文化館が有効に活用され、湖岸エリアのまちづくりにつながるよう考えてまいりたいと存じます。  5点目、琵琶湖文化館の締めくくりについてでございますが、半世紀以上にわたり、湖国の地域文化を支え、先人が守り伝えてきた文化財を後世に受け継ぐという役割を果たしてきた琵琶湖文化館、その機能はしっかりと新生美術館に受け継いでいきたいと存じます。また、湖国のシンボルでありました琵琶湖文化館につきましては、その存在を次代に、次の時代に伝えていける方策がないか検討してまいりたいと存じます。  6点目、学習船うみのこをどのようにするのかについてでございますが、今後の現船、今の船の取り扱いにつきましては、解体や係留して活用する場合などが考えられるところであり、現在、びわ湖フローティングスクール運営懇話会や、びわ湖フローティングスクール新船建造協議会などの場においても検討を行っております。これらの意見も踏まえながら、今後の方向性を判断したいと考えております。  また、うみのこに対する私の思いについてでございますが、現在のうみのこは、昭和58年の就航以来、約52万人の児童が乗船し、子供たちが環境に主体的にかかわる力を育むとともに、他の学校との友達づくりができる滋賀県ならではの学習の場でございます。私も、これは子供のときではなくて、大人になってから乗船したときは、船上で楽しむ子供たちの笑顔が印象に残っており、最近では親子2代で乗船された家庭もふえ、世代を超えた県民の皆様の思いが、思い出が込められた存在であると認識しております。  7点目、湖岸エリアのにぎわいを図る施設に再生してはどうかと、このうみのこをですね。その御提案についてでございますが、こうした議員御提案の湖岸エリアのにぎわいを創出するため現船を活用することにつきましては、湖岸エリア活性化のための一つの手段であると考えられます。しかしながら、現船の取り扱いについては、湖岸に係留し、記念館として活用する場合、平成26年度の試算では、リニューアルのために必要な経費に加え、今後の維持費や人件費等で年間1億2,000万円程度の経費が見込まれており、現在のうみのこに係る運営管理費と同程度の金額が必要になるということでございます。このため、現船の取り扱いを考える場合におきましては、今後必要となる経費をしっかりと意識するとともに、庁内や県内市町、また企業等の活用意向も確認しながら、現船の取り扱いの方向性を決めてまいりたいと存じます。  8点目、水の道を生かした観光振興についてでございます。  琵琶湖疏水の通船の復活は、かねてから大変夢のあることだと考えておりましたが、御紹介いただいた試験運航を経て、今や夢からまさに現実のものになろうとしていると考えています。私自身も、昨年春、試験運航に乗船させていただき、この通船事業の魅力や観光誘客などへの可能性について、身をもって実感させていただきました。琵琶湖疏水の通船の復活は、疏水を生かした観光振興や周辺地域のにぎわいの創出、さらには京都を訪れた多くの観光客を琵琶湖へいざなう仕掛けとして有効であると認識しています。そのためにも、安全はもとより、採算性や他の観光資源との連携など、想定される課題を克服されることが重要であると考えています。  最後、9点目でございますが、本格的な疏水通船の提案についてでございます。  先日、山本議員と一緒に、長年にわたり通船の復活を夢見て活動されてきた琵琶湖疏水とさざなみの道の会の皆さんや、大津市長、運航事業者が集い、通船復活に大きな功績を残してこられた元京都市水道局長の水田雅博氏を招いた勉強会に出席させていただき、これまでの御苦労話や経過、課題や今後の方向性など、それぞれの立場からお話を聞くことができました。議員から御紹介のありました京都蹴上のインクラインや、琵琶湖側での乗船施設、水位が異なる疏水と琵琶湖を行き来するための閘門の電動化についても、この勉強会で話題になり、大変夢のあるプランであると感じたところでございます。これまで、京都市水道局と大津市、運航事業者が中心となって取り組まれてきたこの事業に、県としても一定の役割を果たしてまいりたいと考えておりまして、今後、両市等との意見交換や庁内での検討を重ねてまいりたいと存じます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)今の3つの質問に対し、1点ずつちょっと再質問をさせていただきます。
     まず、1点目の文化館についての活用ですけども、大津のまちづくり会社は、このびわ湖ホール横に商業交流施設としてオープンカフェをつくり、また、公共空間を活用して、昨年から店舗前の公園を利用してビアガーデンを行うなど、琵琶湖の水辺の活用と琵琶湖観光の促進を図っていますが、その横にある文化館は湖岸エリアのまちづくりの観点から重要な位置にあります。そういったことから、やっぱり大津市と早く意見交換していただきまして、早く活用策の方向性を示してほしいなと思います。その活用策の方向性、いつごろをめどに知事は考えておられるのか、少しお聞かせ願います。  2点目のうみのこの引退後の活用についてでありますが、うみのこは、来年5月にはもう引退します。結論が急がれていますが、まだどうするかは決まっておりませんので、早く決める必要があると思います。コンサルの船の評価はゼロであり、廃船することになれば、解体撤去費用が1億2,900万円もかかり、課題はいろいろありますが、うまく活用すれば維持費は節減できると思いますので、民間の力をかりて再生するお考えを再度お聞きしたいと思います。  3点目の琵琶湖疏水の通船復活についてでありますが、私、JC時代、疏水を生かしたまちづくりを行おうと活動してまいりましたが、疏水は大津にあって大津ではない治外法権的なところがあって、ことごとく京都市の水道局に潰されてきて、歯がゆい思いをしてきました。ところが、ここ数年、大きく変わって、むしろ京都市のほうが積極的に感じます。これをチャンスと捉え、京都市と協働して早く本格的な疏水通船を図るための環境整備を進めてほしいと思います。知事はこのチャンスをどのように捉えているのか、お聞かせ願います。 ◎知事(三日月大造) 3点の御質問にお答えいたします。  まず、文化館のある場所の活用について、いつごろまでにというお話がございましたが、おかげさまでようやく今年度に入って本格的な協議ができるようになりまして、お互いその考え方を共有できる、さらには占用基準の改正も一定行いましたので、その意味で、できるだけ早くこれからの方向性を大津市との協議の中で見出してまいりたいと存じますので、またお力添えをよろしくお願いいたします。  また、うみのこについても、よくよく議員御案内のとおり、新しい船が次の4月に就航します。今の船がもう役割を終えて引退します。その後どうするのか、使うのか解体するのかということなんですけれども、おっしゃったように、うまく活用すれば、思い出をいっぱい持っている方もいらっしゃるし、海辺の空間としての活用方策も私はあると思っていますが、かかる費用との見合いをどう計算し、上回る効果をどう上げられるのかということについて、これまで十分オープンに議論できていたかというような反省もございますので、さらに多くの方々の知恵、力が集まるような、そういう検討を教育委員会ともども行ってまいりたいと存じます。  また、疏水についても、私はまだ最近になってからこのことを勉強しておりまして、議員のように長くこの疏水の活用方策にかかわっているわけではありませんが、おっしゃったように、この間、学べば、随分京都市のほうも積極的に協力的にこの疏水の活用に取り組まれておられますし、何より運航事業者が大変な熱意を持って、何とかこの中を観光客等に楽しんでいただこうということで、船の製造ですとか、また運航ですとか、単に下りだけではなくて、上りについても今試行されているということでございますので、その意味で大変大きなチャンス、好機だと思っております。この好機をしっかりと生かすべく、大津市、京都市との間に入って滋賀県も役割を果たしてまいりたい。おっしゃったように、琵琶湖とのつなぎをどうするのかといったようなことも、課題ではありますが、可能性としてあると思いますので、しっかりと取り組みを進めてまいりたいと思います。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)どうもありがとうございました。できれば積極的に前向きに活用していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、24番山本進一議員の質問を終了いたします。  以上で、本日の質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── ○副議長(小寺裕雄) 明7月1日および2日は、県の休日のため休会であります。  来る7月3日は定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後4時5分 散会    ────────────────...