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平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月10日-04号

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  1. 滋賀県議会 2016-06-10
    平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月10日-04号


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    平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月10日-04号平成28年 6月定例会議(第2号〜第8号)                平成28年6月定例会議会議録(第5号)                                       平成28年6月10日(金曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第4号                                         平成28年6月10日(金)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第103号から議第113号までおよび諮第1号(平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか11件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(43名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳
       11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    27番   高  木  健  三       28番   生  田  邦  夫    29番   川  島  隆  二       30番   小  寺  裕  雄    31番   奥  村  芳  正       32番   野  田  藤  雄    33番   西  村  久  子       34番   佐  野  高  典    35番   家  森  茂  樹       36番   吉  田  清  一    37番   粉  川  清  美       39番   成  田  政  隆    40番   九  里     学       41番   清  水  鉄  次    43番   柴  田  智 恵 美       44番   今  江  政  彦    45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               選挙管理委員会委員長代理    中  原  淳  一               人事委員会委員長        益  川  教  雄               公安委員会委員長        小  林     徹               代表監査委員          北  川  正  雄               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             池  永  肇  恵               総合政策部長          宮  川  正  和               総務部長            日  爪  泰  則               県民生活部長          拾  井  泰  彦               琵琶湖環境部長         村  上  浩  世               健康医療福祉部長        藤  本  武  司               商工観光労働部長        福  永  忠  克               農政水産部長          高  橋  滝 治 郎               土木交通部長          桑  山  勝  則               会計管理者           大  谷  雅  代               企業庁長            高  砂  利  夫               病院事業庁長          笹  田  昌  孝               教育長             青  木     洋               警察本部長           渡  邊  国  佳            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            丸  尾     勉               議事課長            入  江  建  幸               議事課課長補佐         吉  田     亮            ──────────────────────────────   午前10時 開議 ○議長(野田藤雄) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(野田藤雄) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として中原淳一委員が出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(野田藤雄) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第103号から議第113号までおよび諮第1号(平成28年度滋賀県一般会計補正予算(第1号)ほか11件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(野田藤雄) 日程第1、議第103号から議第113号までおよび諮第1号の各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、27番高木健三議員の発言を許します。 ◆27番(高木健三議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。自民党の高木でございます。議長のお許しをいただきましたので、ただいまから一般質問を行います。  まず、質問に先立ちましておわびの御挨拶を申し上げたいと思っております。昨年11月、思いがけない病気が発覚して、その事前処置として12月から3月まで治療を行い、3月末に手術を受け、4月15日、退院いたしました。大変大事な2月議会を全休させていただきまして、本当に申しわけないと思っております。今後は再発防止の治療を行いながら、病気に負けることなく議員活動に取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  ありがとうございます。  それでは、質問をさせていただきます。  まず、日野川改修の取り組みについて、分割方式で全て知事にお尋ねをいたします。  日野川は、鈴鹿山系の綿向山に源を発し、流域約207平方キロメートルの河川です。支川の佐久良川と合流した後、雪野山の南側に沿って流れますが、このあたりから典型的な天井川となります。堤防の高さは約10メートル、家屋の屋根よりもはるかに高く、河道は幾度もと言えるほど蛇行しています。蛇行を右、左数えますと約12回で、現在の改修が進められています古川橋あたりにたどります。この蛇行した天井川は、有史以前も含めて今までに洪水が幾度となく繰り返されたことを示しています。皆様も御承知のとおり、昭和28年、34年と災害など多くの水災害に見舞われました。  平成25年9月の台風18号時には、日野川では近江八幡市浄土寺地先や竜王町の弓削地先、また日野川支流の祖父川で堤防の崩落が発生しており、日野川水位観測所の安吉橋では計画高水位6メートルを超える6.39メートルを記録し、桐原橋では氾濫危険水位5.1メートルを超える5.58メートルを記録しました。堤防決壊、越水が危惧されるため、沿川住民に対して避難指示が発令され、逼迫した事態でありました。絶えず破堤の危険性にさらされ、生命や財産が脅かされている状況であることなどから、一刻も早く上流への抜本改修を熱望されております。  日野川改修につきましては、全体計画では河口から出雲川合流点までの延長25キロメートルでありますが、そのうち広域基幹河川改修事業として延長7.38キロメートルが採択され、当面の目標であった下流第1工区4キロメートルの区間につきましては平成24年度におおむね完成し、平成25年度から第2工区に着手されたところです。  河川整備計画の策定に当たっては、地域住民による日野川みらい会議において、地域住民とともに個性豊かな川づくりが進められてきました。このような経過を踏まえ、沿川住民は全体計画で定める日野川の下流25キロについて、早期の抜本的改修を強く望んでおるところでございます。改修の努力は評価いたしますが、事業は遅延しています。平成10年度から平成27年度までの事業費を見ておりますと平成10年から平成21年までの12年間は10億円が、平成19年度13.6億、おおむね10億以上の推移をされておりますけれども、平成22年度から平成27年度までの事業がやかましく言われている中でこの6年間は10億を切っておりまして、ひどいときには平成25年の5.5億、平成23年度の6億と大変低く、これでは改修は当然おくれがちであり、地元は大変心配をしております。  まず、計画達成およびその計画より上流部の改修見込みはどうなのか、お尋ねをいたします。  現在、古川橋下流の掘削、低水、高水の護岸約300メートルを整備されております。日野川の整備計画規模は、本来は50年に1回の災害が起きたときの事業ということで50分の1ですけれども、河口から大畑橋までは計画規模どおり進められていたんですけれども、上流は段階的にということで、暫定20分の1で進められています。当面、どこまでを暫定20分の1で行った上で、改めて本来の50分の1で整備するのか、またその年次はどのように想定しているのか、お尋ねをいたします。  地元古川町の方からお話を聞かせていただいておりますけれども、この日野川の桐原学区におきましては、古川橋、桐原橋、JR琵琶湖線、ふるさと農道、東海道新幹線など、多くの橋梁部があります。中でも古川橋、桐原橋は昭和38年、40年につくられ、築後50年が経過し、大変老朽化しております。県は国道477号に沿って斜めにかけると言われておりますけれども、地元ではそれが荷がかかり過ぎて考えられない。今の古川橋を新たにつけかえるほうが安全面、経費面で合理的と考えますということで、見解をお尋ねいたしたいと思います。  豊かで美しい河川環境の創出を目指し、地域の意見を反映して河川整備の推進をお願いしたい。県は50年もたった橋を補強すると言われています。どのような対策をされるのですか、お伺いいたします。  いずれにせよ、暫定20分の1で行った上で改めて本来の50分の1で整備する場合、橋を含め、特にJR琵琶湖線の橋梁部の改修に出戻りが生じないのか、どのような想定なのか、お伺いします。  また、河川敷には今日まで墓地がいろいろあり、その都度整理していただいておりますけれども、例えば竹町、東横関の墓地には隣接している中でなぜ別々に進められるのか、一対として当然整理すべきと考えますけれども、なぜそれができないのか、お伺いします。  また、上流部の改修まで時間がかかり、東横関や竜王町の地域の上流部の堤防強化策やしゅんせつ工事などの計画はどうされるのか、お伺いします。  最近の6年間は大幅な予算削減につながり、これでは早期抜本改修の推進にはならず、平成28年度の大幅な予算アップをしていただきたい。大幅な予算アップについての見解をお伺いします。  平成28年5月16日、今年の5月16日ですけれども、3市2町を貫流し、その日野川改修期成同盟会の総会がございました。その決意の中で、地元では過去から直轄編入の要望を行っております。県はようやく平成25年度から要望を行っていると言われておりますけれども、今日も続けているということでございますが、本当に進んでいるのか一向に見えてこない中で、直轄に絡んで国が進めようとしている直轄ダムである大戸川ダムへの判断を県は保留しており、矛盾しています。日野川の直轄編入を促進する意味からも、大戸川ダムに関しての県の独自の判断を明らかにし、前向きな姿勢を速やかに表明すべきと考えますが、どうでしょうか、お伺いします。  また、国の直轄を促進し、国に対して平成29年度の大幅な予算確保をお願いしたいと思います。知事の決意をお聞きします。 ○議長(野田藤雄) 27番高木健三議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)高木議員、どうぞよろしくお願いいたします。  日野川の改修の取り組みについて9点御質問をいただきました。日野川につきましては、東近江圏域河川整備計画や河川整備5ヶ年計画に基づきまして、これまでから重点的に整備を推進しているところであります。私からは、8点目の日野川の改修の取り組みに対する大戸川についての御質問と、9点目の予算確保についての御質問に答弁させていただきます。1点目から7点目までの日野川の改修に関する具体の御質問につきましては、事業の詳細に関しますことから、お許しだければ後ほど土木交通部長より答弁させていただきますので、よろしくお願いをいたします。  8点目、大戸川ダムについてでございます。  日野川の直轄事業化と大戸川ダムについては、それぞれで判断すべきものと考えております。大戸川ダムにつきましては、現在、国でダム検証が行われておりまして、2月8日の検討の場におきましては、最も有利な案は大戸川ダム案との総合的な評価が示されたところであります。国の総合的な評価に対しましては、検討主体である国がダム検証の手続にのっとり予断なく検証された結果と考えていると申し上げたところでございまして、引き続き手続を円滑に進めていただくようお願いしているところであります。  また、ダムの必要性については、今後、このダム検証の中で国が判断されるものと承知しております。  9点目、直轄化の促進と平成29年度の予算確保につきましてです。  去る5月24日に私みずからも国に要望に行かせていただいたところです。その中で、治水予算の拡大を初め、日野川の直轄化などについて要望させていただいたところです。引き続き機会あるごとに国にも要望いたしまして、しっかりと予算確保に努めてまいりたいと存じます。 ◎土木交通部長(桑山勝則) 日野川改修の御質問のうち、日野川の計画達成および上流の改修見込みについてでございますが、平成22年度に策定しました河川整備計画に定めている近江八幡市小田町地先の大畑橋から善光寺川合流点までの6.6キロをおおむね20年間に整備することとしてございます。今後、JR横過部の対策などの課題はありますが、目標達成に向けて重点的に事業を進めます。  また、善光寺川の合流点より上流部につきましては、現時点で改修の予定は定まっておりませんが、改修を実施するまでは当面Tランク河川として堤防の浸透対策である堤防の水抜き工や遮水矢板工といった堤防強化を推進してまいります。  次に、当面どこまで暫定20分の1で行い、そして改めて50分の1で整備するのか、そしてまた、その年次の想定についてでございますが、現在、治水効果を早期に発現するため、20分の1の暫定計画で整備を進めております。その区間は、先ほど申し上げた河川整備計画の整備実施区間であります大畑橋から善光寺川合流点までとしております。20分の1の暫定整備が終わり次第、速やかに下流から50分の1の改修に着手し、先ほど申し上げたとおり、整備計画の期間内であるおおむね20年間で整備を進めてまいります。  古川橋に関して、新規にかけかえたほうが合理的ではないかということと補強対策についてでございますけれども、古川橋のかけかえにつきましては、国道477号の道路改良計画と整合を図りながら検討をしていく必要がございます。現在、アクションプログラムでは事業化検討路線ということになってございます。  それと、補強対策についてでございますが、平成24年度の橋梁点検結果から、一部部材の損傷は認められるものの、橋全体としては比較的健全な状態で、かけかえの必要はないと判断してございます。橋の修繕工事につきましては、平成29年度の河川改修工事に引き続き行う予定としております。  また、河川改修に伴う補強対策については、河床の掘削に伴い橋脚の周りに新たな杭を設置し、橋脚を強固にするとともに、橋脚の周囲に護床ブロックを設置することとしております。  次に、JR琵琶湖線の橋梁部の改修につきましては、将来の計画を踏まえましてJRと協議を進めているところでございます。このため、こういった手戻りが生じないよう計画をしていくこととしております。  次に、隣接する竹町と東横関町の墓地移転についての一体整理ということでございますが、両地先の墓地につきましては一対として整理することは市や地元との調整が必要であり、現時点で判断することは難しいと考えております。  次に、上流部の堤防強化策やしゅんせつ工事などの計画についてでございますが、日野川の上流部につきましては、河川整備5ヶ年計画において堤防強化対策とあわせ重点的に維持管理に取り組む区間として位置づけております。堤防強化対策につきましては、近江八幡市東川町から浄土寺町までと竜王町西横関から林までの7.1キロ区間において、必要な箇所について順次実施していきます。  しゅんせつ工事などの維持管理につきましては、巡視点検を行い、緊急性の高いところから順次対応をしています。  最後に、平成28年度の予算についてでございますが、日野川の改修につきましては重点的に取り組む河川としており、現在、厳しい予算の中ではございますが、前年とほぼ同額を確保しているところでございます。先ほど知事が申しましたとおり、今後も予算確保にしっかり努めてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆27番(高木健三議員) (登壇)1点だけ再問させていただきたいと思っています。  日野川は、私は県では最も危険な川じゃないかと思っているわけでございますけれども、国の直轄につきましては、どうも聞いておりますと、いろんな目で見ておりますと、ブレーキとアクセルが同時に踏み込んでなかなか進んでいないというような思いを持っておりまして、大戸川の例もございます。本当に進められているのかなという思いでございまして、今、桐原学区におきましては、先ほど申しましたとおり、いろんな橋がたくさん橋梁部の工事がございます。
     その中の一つは、今言われたJRが相手でございます。知事は前、JR出身でもございますし、それとあわせまして、三日月知事は国会議員を10年以上されているというようなことでございます。そういう中で政権与党もされました。そういう中で、国土交通省の政務官とか副大臣も経験されておりまして、国に対しては恐らく顔はきくんじゃないかなと思っています。  そういう中では、特に桐原学区の工事がいろんな面でお金が要る中で、もっともっと上流の竜王とか、新巻とか、浄土寺とか、その辺まで行くのでは、本当に大雨が降れば沿川住民の方はおちおち寝ておられないのではないかなと思っています。そういう面では、一刻も早く上流に行きたいという中では、桐原学区における工事を今までの6年間の予算、5億か6億ぐらいの予算ではなかなか進まない、1つの橋をかける工事をするのも本当に多くのお金が要るというようなことでもございますし、JRはなかなか賢いというのか、鋭いというようなことで、なかなか相手も相当きついと思っていますし、その辺のことを含めますとどうしても大幅な予算が必要になってまいります。  そういう面では、再度知事のほうで、先ほど言われましたけれども、国のほうへしっかりと言ってもらって、国直轄になるような大幅な予算を29年度以降は確保していただきたいと思いますけれども、再度決意を述べていただきたいと思っています。 ◎知事(三日月大造) 議員からお取り上げいただき、また御質問いただいたように、日野川は大変広い流域面積を持っていて、また天井川部分も多く、蛇行もしておりますので、大変治水上も難しい川でございます。したがって、着実に下流から順次整備をしていくということに現在取り組んでおります。この方針は引き続きしっかりと持ちながら予算確保、事業進捗に努力をしてまいりたいと思います。  その意味で、いよいよJRの線路のところを広げていくという段階に入りまして、その間、線路、列車がとめられればいいんですけれども、活線でやるということであるがゆえに非常に難しさが伴うんですが、ぜひ安全に、かつできるだけ早期にこういった事業が完遂されるよう、県としてもできるだけの協力をしてまいりたいと存じます。  そういう中にありまして、この難しい河川、また長期にわたる長い区間にわたる河川整備でございますので、国の直轄事業で何とかお願いできないかということもさせていただいております。  もちろん、地方にできることは地方でやりますと言いつつ、そういった権限移譲が進まない中で、国に役割分担の中でお願いしていると、そういう状況でございますので、それはそれ、これはこれでしっかりとお願いもしつつ、その地域の事情をお伝えしていきたいと思っております。  ただ、なかなか国の予算も県で厳しいのと同様に、潤沢にあるわけではなく、次々起こる災害に対応しているという状況もございますので、厳しいんですけれども、しかし、この地域の事情をしっかりと伝えながら、そういった直轄事業化でありますとか、予算の増額していただけるように、私自身も関係部局と一緒になりまして、また市町と一緒になりまして取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひお力添えをよろしくお願いしたいと存じます。 ◆27番(高木健三議員) (登壇)終わります。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、27番高木健三議員の質問を終了いたします。  次に、22番大野和三郎議員の発言を許します。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇、拍手)おはようございます。それでは、通告に従って、包括的課題解決のためのセーフコミュニティー推進について質問します。  知事も御存じだと思いますが、先月5月4日、島根県の県道で落石事故があり、通りかかった車を直撃して、若いとうとい命が奪われました。同じ場所で過去にも同様の落石事故があったことから、県は道路管理者としての責任を認めたとも報じられました。  事故やけがなど、日常生活を営む上で私たちの安全や健康を阻害する要因というものが必ずあります。しかし、あることがわかれば、それは予防することが可能なはずであります。今回の事故は、過去のデータから予見し、予防できたものの、その対策を講じることなく今日に至ったことがやはり原因の一つにあると言えます。すなわち、予防措置を怠っていたと言えます。そう考えますと、私は地方自治法における地方自治体の目的とされている住民福祉の増進というものは、地域における住民の生活のさまざまな阻害的な要因をいかに取り除き、予防することが重要なのではないかと思うのであります。  実はこの考えに関して、私は前知事にも質問をしておりますが、今回、改めて現知事の考えを問いたいと思います。私たちの身の回りにはいろいろな危険があります。みずから、あるいは地域の力でこれらの危険から自身の身を守ることは非常に大事なことであります。WHOが提唱したセーフコミュニティーは、生命や身体の安全を損なう原因やけが、事故の発生状況などをデータで明らかにし、何が必要かを分析し、その分析に基づいて安全なまちづくりを進める取り組みを、しかも地域に根差した組織で進めていこうとするものが、既に完全に安全な状態であるコミュニティーではなく、体系だった方法によって安全の向上に取り組んでいるコミュニティーのことであります。このことは知事も御承知のことと思います。  こうした考えは、大なり小なり行政を進める上では既に行っているのでありますが、残念ながら職員にそうした意識があるか、組織的にはシステマティックな取り組みが機能しているかが課題であろうかと思います。  そこで初めに問いますが、県行政においてセーフコミュニティー的取り組みというのは、本県ではどの程度できているとお考えでしょうか、知事に問います。  前知事は当時、私の問いに対し、今年度内にセーフコミュニティーの考え方も踏まえた課題の掘り起こしや整理を行い、市町や住民参加のもと施策展開が図れるよう、部局横断的な横串でつなぎながら全庁的な方向性を定めてまいりたいと答弁されました。  そこで、この課題の掘り起こしはどうであったのか、全庁的な方向性はどうなっているのか、これまでの取り組み、具体の実績があればお示しをいただきたいと思います。  ところで、平成15年、「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例が制定されています。この前文にこのようにあります。「すばらしい環境に恵まれたこの滋賀において、犯罪に対する不安を取り除き、安全に暮らすことかできる地域社会を実現することが、私たちの強い願いであり、喫緊の課題である。私たちは地域での着実な取組の重要性にかんがみ、一人ひとりが自らの安全を守るための意識を持ち、警察をはじめ、県、市町、県民、事業者等の一体となった取組」というところですが、まさにこの部分がセーフコミュニティーの考え方であります。不安を取り除くため、さまざまな立場の者や組織が一体となって取り組むことになっております。  条例に明文化されていることで組織も動き、当然、その成果も大きいと思うのでありますが、セーフコミュニティー的な側面からこの条例の成果をどのように評価しているのか、知事ならびに県警本部長に問います。  また、教育現場でのセーフコミュニティーに関して、当時の教育長にも問いました。子供の健全な成長のための施策推進において、事故やけがは偶然ではない、予防できるものであるという考えのもと、科学的なデータと行政や地域住民など多くの主体と協働でプログラムに取り組むことが重要だと思いますが、教育現場でのセーフコミュニティーについて、教育長のお考えを問います。  当時、大津市のいじめ問題も予防できるという考えで取り組むべきと提案もし、関連して体験学習の重要性も取り上げました。それは、体験は知識ではなく、五感で物理的、心理的に体験することで、犯罪や暴力、いじめを予防し、結果としてこうした課題の解決へつながるものと考えているからであります。県の基本構想でも、学ぶ力、豊かな心、健やかな体を育むとしてさまざまな事業を行っていますが、多くが体験をさせる事業であります。  そこで、教育長に体験学習をセーフコミュニティー的に取り組むことと、これまでの体験学習からその課題や対応をどのように考えているのかを問います。  さらに、県民運動として展開している早寝・早起き・朝ごはんであります。これは、朝食をきちんと食べる習慣のある児童生徒ほどテストの正答率が高い傾向があることから、その取り組みが進められているのであります。すなわち、正答率が低い原因の一つが朝食をとらないことにあるという、その原因を排除する取り組みであります。平成28年2月の県内小学生の朝食摂取率は平均88.5%で、前年から少し下がったとのことですが、目指すは当然100%であります。朝食をとらないという原因を完全に排除する、すなわち朝食を100%とることであります。  教育長に、朝御飯をとらないという、その原因の排除についてのこれまでの取り組みの課題と今後の対応を問います。  一方、知事にも問いますが、朝食摂取率100%に向けての取り組みは教育委員会だけではありません。むしろ、教育委員会だけでは不可能だと私は思っています。さきにも述べましたが、平成28年2月の調査時点で、本県の各市町とも朝食摂取率は約81%から92%で、伸び悩んでいる状況だと言えます。既に朝食をとることが日常化している児童生徒へは、変化がないか見守ることが大事であります。  課題は、朝食摂取がされていない児童生徒への対応であります。10人に1人から2人が朝食をとっていないということは、滋賀県として健全な青少年育成においても大きな課題であります。この問題は、教育現場だけでなく、教育施設の設置者、すなわち知事や市町の長がともに真剣に検討、議論すべき課題であると思います。  そこで、知事として滋賀県が朝食摂取率100%を目指す考えと、県内の市町を挙げて取り組む姿勢を問います。  ここで、福井県美浜町の取り組みを1つ紹介します。眠育、つまり睡眠時間をしっかり確保する取り組みであります。スポーツ少年団等に対して夜の活動を、小学生は午後8時まで、中学生は午後9時までとするよう協力を求め、睡眠時間の確保を図ってきた結果、家庭での生活リズムも改善し、不登校児童もゼロとなったとのことであります。これもマイナスとなる原因の排除という視点での取り組みが功を奏した一例であると思います。  知事に問いますが、子供の健全な成長を図るためのマイナス原因の排除を推進するというセーフコミュニティー的取り組みについては、朝食摂取の問題でも述べましたが、県が見本となるよう率先して見える形で取り組むべきではないでしょうか。その考えを問います。  さきにも述べましたが、セーフコミュニティーのすばらしい点は、地域住民も含めた多様な主体が1つの危険を排除するために協力することであります。その点、介護や子育てなどは地域住民がお互いを補い、助け合いながら、そして支え合う、まさにセーフコミュニティー精神が重要であろうと思います。  少し前になりますが、平成15年度から6年間にわたって県が民家や空き店舗を活用し、高齢者や子供、障害者も、誰もが地域、家族のような関係を保ちながら、多様な地域サポートで支え合う協働のまちづくり拠点の整備を進めるあったかほーむのモデル事業がありました。  また、引き続きその事業を発展させたあったかたうんというモデル事業もありました。今思えば、この事業も体系だった方法で取り組むセーフコミュニティーであります。この事業では、全部で17の団体が生まれ、それぞれの地域で活動いただいておりますが、セーフコミュニティーを推進する新たな視点として、既存の自治会で取り組む滋賀発のセーフコミュニティーを進めてはいかがでしょうか。  ここにきて空き家対策が各自治体でも大きな課題となっています。その活用を促しながら、地域の安全確保のための課題、この安全の阻害要因は地域によってさまざまでありますから、地域提案型のセーフコミュニティーの取り組みを促進するための制度を検討してはと思いますが、知事の所見を問います。  そして、これも御承知のように、セーフコミュニティーには認証制度があり、現在、日本の地方自治体として、甲賀市を含めて13の市や町が認定を受けて取り組んでいます。その中には、職員の意識と姿勢が変わってきたと感じているトップの声があります。具体的には、包括的に地域の安全課題に取り組むために、庁舎内で分野を超えた組織を設置することで縦割り意識がなくなってきたというものであります。  さきの知事は部局横断とか横串という言葉をよく使われましたが、やはり言葉だけで、実態は部の垣根はなかなか超えられていないように思います。そこを超えるためにも、包括的に地域の安全課題に取り組むという職員の意識改革が重要であります。  そこで最後に、知事に、地域の安全課題に常に包括的に取り組むという職員の意識改革、セーフコミュニティー的対応への実践について、目標も含めてその具体を求め質問とします。 ○議長(野田藤雄) 22番大野和三郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)大野議員、どうぞよろしくお願いいたします。  包括的課題解決のためのセーフコミュニティー推進について10点御質問を賜りましたうち、私には7点いただきましたので、順次お答えをいたします。  1点目、県行政においてセーフコミュニティー的取り組みがどの程度できているのかということについてでございますが、地域の課題に対し、予防という視点からあらゆるデータを活用してその要因等を分析し、多様な主体との協働により安心、安全なまちづくりを進めるというセーフコミュニティーの考え方は、私も重要な視点であると捉えております。  県では、平成27年3月に策定いたしました基本構想において、目指す姿の一つとして将来への不安を安心に変え、安全・安心に暮らせる滋賀を掲げまして、具体の取り組みといたしまして、まず1つ目、不登校児童生徒在籍率を平成30年度に小学校、中学校、高等学校ともに全国平均以下とすること等を目標に、子供のたくましく生きる力を育む教育の推進。また、健康寿命を平成30年度に男性80.13年、女性84.62年まで伸ばすこと等を目標に、予防を重視した健康づくりの推進。また、人口1万人当たりの刑法犯認知件数を平成30年に全国平均以下とすること等を目標に、犯罪の起きにくい社会づくりと事故のない交通環境の構築等の施策を位置づけているところでございます。  また、公共施設等の老朽化対策や総合的、計画的な管理の推進を図ることにより、中長期的な観点から公共施設等の質、量の最適化や長寿命化等に取り組んでいるところでございます。  現在、この目標達成に向け、これらの施策を展開しているところでございますが、その進捗状況は道半ばであり、基本構想の計画期間の折り返しを迎える中、こういった施策を効果的、かつ効率的に進めるための部局間連携や職員の意識改革を含め、今後、より一層強力に推進していく必要があると認識いたしております。  2点目、課題の掘り起こし、全庁的な方向性、これまでの取り組み、具体の実績等について御質問をいただきました。  平成27年3月に現在の基本構想を策定するに当たりまして、前の基本構想を点検、評価いたしましたところ、例えば安全、安心なまちづくりの分野におきましては、少子高齢化の進行に伴う地域の防災、防犯力の低下や高齢者の安全、見守り対策などの課題が浮き彫りになったところでございます。  こうしたことを踏まえまして、現在の基本構想では重点政策の一つといたしまして、人やものが行き交う活力ある県土づくりと安全・安心社会の実現を掲げたところでございます。この基本構想を推進するために策定いたしました人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略では19のプロジェクトを掲げまして、昨年12月にはプロジェクトごとに推進チームを設置したところでございます。この推進チームには、知事部局や教育委員会事務局、警察本部等から全体で関係する67課等、延べ約220名の職員が参加して、それぞれ施策の検討等を行っております。  その一つであります地域の防災・防犯力向上プロジェクトにおきましては、人口減少と高齢化が進行した地域におきましても人々が安全で安心して暮らすことができるよう、地域の実情に応じた自助、共助による防災や防犯の対策を進めることといたしております。  これまでの取り組みといたしましては、例えば防災施策においては、自助、共助による地域防災体制の確立に資するよう、地域防災力の中核となる消防団活動への理解促進を図るための取り組みを行うとともに、平成28年1月に供用開始いたしました危機管理センターを核といたしまして、県民や自主防災組織の皆さんを対象に、地域防災力の向上を目指した研修や交流事業を実施しているところであります。  また、交通安全対策におきましても、高齢者の交通事故発生が予想される地域を思いやりゾーンに設定いたしまして、その地域の住民の皆さんに対し交通事故防止を図ってまいりますほか、市町と連携して交通安全教室の実施や反射材の普及促進等、総合的な取り組みを行っているところです。  さらに、防犯施策におきましては、「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり推進本部におきまして、犯罪情報を共有した上で犯罪抑止アクションプランを策定するなど、部局横断的に連携を図っているところです。  そのほか、平成26年度に創設いたしました地域の防犯力の活性化を目的とする補助制度を5つの市で活用され、防犯ボランティアや地域住民の皆さんだけでなく、小学生も参画して地域安全マップを作成したり、犯罪警戒情報を受けた自治会がいち早く地元住民に情報提供するため防犯のぼり旗を掲出するなど、官民一体となった取り組みを推進してきたところでございます。  3点目、こうした「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例の成果についての御質問でございます。  犯罪発生件数がピークでありました平成14年、この年は3万2,183件、この件数の半減を目指すべく、平成15年4月に「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例を施行し、条例に基づきます「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり実践県民会議において県、市町、県民、事業者等が相互に連携し、安全に安心して暮らすことができる社会の実現に向けて取り組んできたところでございます。  こうした取り組みにより、県内の自主防犯活動団体は条例制定当初21団体でありましたものが、平成27年度末には276団体にまで増加いたしまして、現在、1万9,000人余りの防犯ボランティアの方々に地域における積極的な自主防犯活動を推進していただいているところでございます。  さらに、県内各地で地域の防犯ボランティアの皆さんや市町と協力し、県や県警の3体のマスコットキャラクターを効果的に活用した街頭啓発活動、ゆる3プロジェクト防犯キャンペーンでありますとか、行政、自主防犯活動団体の皆さんによる青パト活動など、目に見える防犯活動等を推進してきたところでございます。  その結果、平成27年の犯罪認知件数は1万1,308件とピーク時の約3分の1にまで大きく減少するとともに、さきにも述べたように、地域における自主防犯活動の輪が広がり、安全なまちづくりに対する取り組みが着実に広がっていると評価しているところです。  また、昨年からは「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり実践県民会議で採択いたしました犯罪抑止のための行動指針の中に再犯防止の視点も新たに取り入れ、さらに本年2月には、過ちにより罪を犯した人が再チャレンジできる社会を目指したフォーラムも開催するなど、取り組みを充実させているところでございます。  本年は犯罪抑止目標を、「さらなる減少を目指して」〜みんなでチャレンジ!アンダー11,000件〜と掲げておりまして、目標達成に向けた県民総ぐるみによる安全、安心なまちづくりの活動を継続して展開してまいる所存であります。  4点目、朝食摂取率100%を目指す考えでございます。  朝食を毎日食べることは基本的な生活習慣を身につけることにもつながるものであり、健全な青少年の育成という観点からも、朝食摂取率100%を目指す姿勢を持つことはとても重要であると認識しています。子供のころの食習慣は大人になったときの食習慣に大きな影響を与えることを考えますと、次代を担う子供を育てるためには、議員から御紹介いただいた福井県美浜町の取り組みのように、子供の生活リズムの改善につながることを考え取り組んでいく必要があると考えております。  県では、食育にかかわる幅広い関係者が地域の特性や課題について共通認識を持ち、地域の目標を共有、連携し食育を推進するため、平成25年3月に滋賀県食育推進計画、これは第2次でございますが、この計画を策定するとともに、市町の食育推進計画の実施に当たりましては、各保健所が市町食育推進会議等に参画し、計画の進捗管理や評価等の技術的支援を行っていく中で現状や取り組みを把握し、先行事例などの情報も提供しているところです。  今後、学校の設置者であります私と市町長との間においてもこの重要性について機会を捉えしっかり意見交換を行ってまいりたいと存じます。また、この意見交換等を通じて意識改革に向けた取り組みの必要性を共通に認識し、地域全体で家庭の教育力や子供の育ちを支える社会的機運を盛り上げ、県、市町、教育関係者等、多様な食育関係者と連携を密にしながら、朝食摂取率の向上を目指して取り組んでまいります。  5点目、県が見本となるよう率先して取り組むべきではないかということについてでございます。  るる御紹介いただきましたセーフコミュニティー的な取り組みについては、家庭、地域、学校、関係団体など多様な主体の参画を得ながら進めることが大変重要であると認識しています。  例えば青少年の非行防止の観点では、県では滋賀県青少年育成県民会議等への活動支援を通じまして、各市町の学区で行われておりますパトロール活動や挨拶活動、街頭啓発等の取り組みがPTAや民生委員児童委員、教員等、さまざまな主体の参画を得ながら、地域ぐるみで行われるよう推進しているところです。  また、子供の貧困の連鎖を断ち切るという観点からは、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されないよう、生きづらさやしんどさを抱える子供を地域で支える子供の居場所として、淡海子ども食堂を県内全域で展開できるよう取り組みを開始したところであります。これまで22カ所で取り組みが始まっておりまして、平成30年度には100カ所を目指しているところです。  さらに、県教育委員会では市町教育委員会と関係機関等が連携いたしまして、滋賀県子どもの安全確保に関する連絡協議会を立ち上げて、交通安全教育などの充実を図り、通学路における子供の安全の確保に努めているところです。これらの取り組みを通じまして、セーフコミュニティーの視点をしっかりと踏まえ、子供の健全な成長を図ることができる地域の環境づくりを県としても率先して取り組んでまいりたいと存じます。  セーフコミュニティーについて6点目の地域提案型セーフコミュニティーの取り組み促進制度についてでございます。  あったかほーむ、あったかたうん事業は、地域のさまざまな主体による支え合い、助け合いのモデル事業として地域の課題をみずからが解決し、安心な地域をつくり上げる健康福祉セーフティーネットを目指して県と市町で取り組んだものでございます。  モデル事業は終了いたしましたが、その後も引き続き地域のお年寄りや子供が集う場として、また大学生などの協力も得ながら運営されている団体がございまして、現在も県内17カ所で取り組みが行われております。いずれもその地域独自に、また多様な活動を通じて支え合う地域の拠点として発展継続されておりまして、地域の人たちが地域の資源を活用して地域の困り事をみずからの力で解決するという、非常に重要な意味を持つ取り組みであると認識しております。  今、高齢者の単身世帯や子育てに不安がある1人親世帯の増加とともに、子供の貧困や虐待、さらに空き家問題といった社会問題など、地域の安全、安心な暮らしに懸念のある課題はさまざまございます。これらの課題を解決するためには、それぞれの地域にある資源を活用しながら、既存の自治会を初めまちづくり協議会などの自治組織やNPO法人など、あらゆる主体の参画、協働のもとで、既存の枠にとらわれない新たな地域福祉の視点を持った取り組みが必要であります。  こうしたことから、県では昨年度、滋賀県地域福祉支援計画を策定し、今年度、この計画に基づきまして、地域福祉による共生社会の構築に向けまして、自治会等による自主的な地域の助け合いの事業を市内一円で進めている県内の自治体の好事例を紹介するDVDの作成やフォーラムの開催により、地域における自主的な取り組みが進められるよう情報提供を進めることとしております。  あわせまして、地域福祉アドバイザーの派遣ですとか人材養成講座の実施等により、地域課題を解決する地域のリーダー人材をふやすことなどで、全ての地域住民のために全ての地域住民で支える、新たな地域福祉のモデルとなる仕組みづくりを支援することとしております。  さらに、滋賀の縁創造実践センターなど民間の福祉関係者との公私協働により、淡海子ども食堂など地域福祉の新たな実践にも取り組んでおります。県といたしましては、こうした地域の課題を自分たちで解決しながら安心して暮らせる地域をつくろうとされる主体的で持続的な取り組みが県内で広く展開されるよう、その機運醸成や人材養成に力を入れてまいりますとともに、市町から地域の安全、安心を確保するためのすぐれた事業提案を募り、支援する仕組みについて、自治振興交付金の提案事業の活用も含め検討いたしまして、年度内に県としての考え方をまとめてまいりたいと考えております。  最後に、職員の意識改革とセーフコミュニティー的対応への実践についてでございます。  議員御指摘のとおり、まず職員の意識改革が重要であると認識しております。施策の推進や政策形成を通じまして、職員一人一人が意識を持つことを徹底してまいりたいと考えます。  現在、県では基本構想推進のエンジンと位置づけております人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略におきまして、高齢者の社会参加・健康長寿実現プロジェクト、持続可能な県土づくりプロジェクト、地域の防災・防犯力向上プロジェクトといったプロジェクトに着実に取り組むこととしておりまして、平成31年度までの計画期間において、高齢者の健康づくりの活動団体数を年60増加させることや、道路、橋、上下水道の長寿命化計画を34計画策定すること、自主防災組織率の全国トップ10入り等を重要業績評価指標として掲げているところです。  これらの目標の実現に向けては、政策形成の段階から県民の皆さんや市町など、さまざまな方面からの御意見を伺い、新たな発想や考え方を取り入れて施策立案を行ったり、産官学金労言を初めとする関係団体で構成する協議会を活用するなど、多様な主体との一層の協働、連携を図ってまいります。  また、総合戦略に掲げるプロジェクトの着実な推進のために設置いたしました部局横断的な推進チームにおける施策の検討など、庁内横つなぎによる取り組みを一層推進してまいります。こうした実践を通じて、セーフコミュニティーの考え方についてあらゆる施策の基本に据えながら、職員の意識改革と組織的な取り組みにつなげてまいりますとともに、そうした視点を来年度に向けた施策の検討においてもしっかりと反映し、県民の皆さんの御期待に添えるよう、全庁挙げて具体の取り組みにつなげてまいりたいと存じます。 ◎教育長(青木洋) (登壇)包括的課題解決のためのセーフコミュニティー推進についての御質問のうち、私に対する3点の御質問にお答えをいたします。  まず1点目の教育現場でのセーフコミュニティーについてであります。  教育現場でのセーフコミュニティーとは、安全、安心を脅かす原因や発生状況を分析し、地域、関係機関等との協働による取り組みを通して、児童生徒が安全に、そして安心して学校生活を送れるような環境を整えるものと認識をしております。また、いじめや不登校といった課題はもとより、学校管理下における事件、事故を未然に防ぐ点からも重要であると認識をしております。  例えば本県では、小学校において社会科の学習として地域の方々と一緒に校外へ出かけ、地域安全マップを作成する取り組みを進めております。この活動を通して、子供たちみずからが危険を予測する力を身につけるだけでなく、地域の方々とのつながりができ、登下校時の安全確保のための見守り活動につながっております。  このように、児童生徒が事件や事故の被害に遭わないよう、予測される危険を回避するような活動に取り組んでおり、今後も教職員等の危機管理意識を高め、学校、家庭、地域が思いを同じくし、連携した取り組みを進めていきたいと考えております。  次に、2点目の体験学習のセーフコミュニティー的取り組みとこれまでの課題や対応についてであります。  児童生徒の直接体験が不足をしている現状から、体験学習により全身で感じ、考えながら学びを深めることはきわめて重要であると認識をしております。小学校ではうみのこ、やまのこ、たんぼのこ、ホールの子などの体験学習において、仲間とともに力を合わせることを学びます。また、中学生チャレンジウィークでは自分の生き方について考え、自立する力を育みます。さらに高等学校では、就業体験やボランティア活動等により、一人一人の社会的、職業的に自立する力を育んでいます。これらのさまざまな体験学習は、安全への意識の高揚、自尊感情の育成、さらには豊かな人間性の形成などに役立っているものと考えております。  しかしながら、うみのこ体験学習では、寄港地ならではの地域のよさを感じ、また、そこでの人々との触れ合いから学ぶ活動が十分でないこと、また中学生チャレンジウィークでは、生徒がみずから安全について考える行動にまでは至っていないことなど、課題も見受けられます。  今後は、これらの課題を解決するため、活動全体を検証し、その結果を県ホームページで公表してまいります。また、地域の多様な人々との交流の機会を取り入れていくことや、社会の中でさまざまな安全への配慮がされていることに気づき、体得することを目指し、体験学習の一層の充実を図ってまいります。  次に、3点目の朝御飯をとらないことの原因の排除についてのこれまでの取り組みの課題と今後の対応についてであります。  これまで、県教育委員会では学校現場に対し、児童生徒が朝食の大切さについて理解するための指導を行ってきたところであります。こうした中、市町、教育委員会における調査によりますと、朝起きられない、食べたくない等の理由で朝食を食べていない場合があり、全ての児童生徒、家庭の理解を高めるところまで至っていない状況であると認識をしております。  この課題を改善するためには、児童生徒に対しては食べていない理由に応じて生活習慣を改善することの大切さを個別に丁寧に指導していく必要があります。また、家庭に対しては、食べていない状況を改善するため、早寝早起きを実践することで朝食を食べることにつながり、学習やスポーツなどで自分の力を最大限発揮したり、心や体もよい状態になったりする効果などについて啓発をしてまいりたいと思っております。  具体的な取り組みといたしまして、今年度から新たに子供の生活習慣の改善を目指した湖っこ健やかげんきUPプラン事業において、ぐっすり睡眠・しっかり朝食をテーマとした取り組みを推進しており、学校や図書館等にポスター、チラシを掲示し、より多くの人への啓発と協力を促してまいりたいと考えております。  さらに、個別の生活リズムチェックシートを活用し、毎日の睡眠時間や朝食を食べたかについて記録し、体調の変化を意識することで、子供と保護者がともに朝食と睡眠の大切さについて理解し、行動できるようにしていくことを予定しており、年度後半には事業実施できるよう、現在、準備を進めているところであります。  今後、各市町、教育委員会の皆さんと意見交換させていただく機会に、先進事例の一つとして、議員が御紹介いただきました美浜町での眠育の取り組みなども紹介をしながら、朝食摂取についての現状や課題を共有し、連携を図ってまいりたいと考えております。 ◎警察本部長(渡邊国佳) (登壇)セーフコミュニティー的側面から「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例の成果をどのように評価しているのか御質問いただきましたので、お答えをさせていただきます。  平成15年の条例制定を契機として、県内各地域におきまして犯罪抑止対策を推進する機運が盛り上がり、数多くの自主防犯団体や防犯ボランティアが結成されるなど、県民の皆様と県、市町、県警察等が一丸となった各種の取り組みを推進してきております。  刑法犯の認知件数はピークを記録した平成14年の翌年以降、おおむね減少傾向が続き、本年に入りましても減少傾向が続いていますことなどから、条例制定を契機とした各種の取り組みは本県の治安回復、維持に大きな役割を果たしているものと考えております。  他方、県民の体感治安を考えますと、平成26年の条例改正により新たに盛り込まれましたように、高齢者等を狙った特殊詐欺、子供や女性を狙った性犯罪等の発生が高どまりの状態にあるなど、重要課題への取り組みが必要な状況にございます。
     県警察におきましては、今後も条例を踏まえ、けいたくんの防犯情報メールや犯罪現場緊急レポートを初めとした各種広報媒体によるタイムリーできめ細やかな情報発信、地域見守りカメラの整備、さらには「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり実践県民会議の皆様と連携した啓発などの各種取り組みを推進し、安全、安心な滋賀の実現に向けて、地域の実情に応じた県民総ぐるみによる自主防犯活動のさらなる活性化につなげてまいりたいと考えております。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇)まず、児童生徒の朝食の摂取について、知事から県下市町長との意見交換等を通じて意識を高めていただくといった答弁がございましたが、私が申し上げたいのは、子供、児童生徒には全く責任がないということなんです。したがって、例えば具体の提案、ブレイクランチ等の、県下の市町の首長さんからお叱りを食うかわかりませんが、市民、町民である以前に滋賀の子供、滋賀県民ですので、具体の提案をしていただきたい。しっかりと議論を深めて、一日も早く朝食摂取率100%を目指していただきたい、そのためのリーダーシップを発揮していただきたい、そのことをまず1点申し上げておきたいと思います。  なお、セーフコミュニティーの取り組み、現在までの取り組みもございます。また、先ほど教育長も本部長も含めてですが、それぞれ総合政策、県民生活、健康医療福祉と、教育委員会等、またそれぞれの部局で、繰り返しになりますが、今までのセーフコミュニティー的取り組みとこれからの新たな取り組み、今答弁いただきました。適宜モニタリングを行っていただいて、速やかに県民の皆さんにアナウンスをしていただくこと、これが必要かつ大切なことだと私は考えるんですが、知事の所見をお願いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 朝食摂取率の課題は、これは教育委員会等にも確認をしていただきますと、やはり学力テスト等の結果等とも、とっている子ととっていない子の差との一定有意なデータがあるなど、非常にいわゆる私たちが目指している学ぶ力向上にも直結する課題だと思いますので、もちろん議員もよく御承知のとおり、県と、そして市町と各御家庭と、それぞれの役割分担はありますが、しかし、県がさまざまな旗振り役をすることによって取り組みを促していきたいと思いますし、いろんな先進事例をぜひ我々もつかみながら県内に波及をさせてまいりたいと存じます。県でも今、既に先ほど教育長から答弁がありましたように、湖っこ健やかげんきUPプラン等でも取り組みを進めておりますので、具体を進めていきたいと思います。  その上で、安全、安心なまちづくり、いわゆるセーフコミュニティーの取り組みは、もちろんその名こそ冠していないとはいえ、さまざまこの間も取り組んでまいりましたが、同時に、より高齢化が進んだり、よりお一人で住まれる方がふえたり、また先ほど県警本部長から御答弁がありましたように、いろんな体感上の課題もありますし、災害などのいろんな問題もございますので、逐次モニタリングをしながらアナウンスをして、そしてまた新たな施策構築に結びつけていくという、このプロセスは非常に大事だと思いますので、しっかりとその点、意を持ち施策構築等につなげてまいりたいと存じます。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇)最後に1点だけ申し上げておきたいことがございます。  少なくとも9年間の義務教育、これだけは、それぞれの市町でさまざまな環境、背景が異なりますが、少なくともそれぞれの市町の小学生、また中学生、9年間が極力等しく、同じ環境の中で過ごせるよう、そういった意味で、もちろん教育委員会の責任もございますが、首長としての責任を果たしていただきたいと思います。  終わります。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、22番大野和三郎議員の質問を終了いたします。  次に、6番海東英和議員の発言を許します。 ◆6番(海東英和議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、琵琶湖周航の歌誕生100周年に向けて、それから熊本地震を受けての琵琶湖西岸断層地震対策について、それから大型予算の決定プロセスについてという3点について、分割形式で御質問をいたします。  まず、1番目の琵琶湖周航の歌100周年に向けてを御質問申し上げます。  失礼します。「われは湖の子」で知られる、これぐらいにしておきます。琵琶湖周航の歌は、実はこの6月28日で誕生99年を迎えます。来年、2017年6月28日が琵琶湖周航の歌が誕生して100周年でございます。大正6年、今から99年前に三高のボート部のクルーが琵琶湖周航の中で作詩をし、当時、若者に愛唱されていた吉田千秋の作曲した「ひつじ草」という歌に乗せて歌ったことが始まりであったと、愛好者たちの研究で明らかになっています。  文部省の唱歌でもなく、また有名歌手が大ヒットを飛ばしたのでもなく、歌い継がれて100年を迎えるこの歌、これは日本国民としても、そしてまた、特に滋賀県民としてもすぐれた誇り高い財産であると思います。我々は特に愛着を持って喜ぶべき出来事であると思いますが、知事はどう思われますか。  それから、これから関係自治体ならびに民間の企業や団体でいろいろなことを企画されると思いますが、県も主体者となって文化行政、教育行政、観光行政、またびわ湖ホールや琵琶湖博物館など、他分野にわたって100周年を生かすアイデアが期待されます。どのように県民の誇りや喜びを増進、発揚しようとされるか、知事にお尋ねをいたします。 ○議長(野田藤雄) 6番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)海東議員、どうぞよろしくお願いいたします。  琵琶湖周航の歌誕生100年について、2点御質問をいただきました。  まず1点目の、琵琶湖周航の歌が来年誕生100年を迎えることに対する所感についてでございますが、失礼いたします。「今日は今津か長浜か」ですとか、古い伝えの竹生島など、県内の地名が数多く登場する琵琶湖周航の歌は、私たち県民にとって大変親しみやすく、長きにわたり多くの方々に歌い継がれてきた名曲であると私も認識しております。音楽や絵画などのすぐれた作品はいつの時代においても人々の心を豊かにし、我々に感動や元気、勇気を与えてくれる財産でもございます。  私自身、この琵琶湖周航の歌を聞いたり歌ったりするたびに、ふるさとに愛着を感じますとともに、ふるさとを大切にしようという気持ちを強くいたしますし、これまでも強くしてきたところでございます。  来年、この琵琶湖周航の歌が誕生し、ちょうど100年を迎えるということは、大変うれしく、喜ばしいことであり、今後とも県民の皆様とともに大切に歌い継いでいきたいという、こういう所感を抱いているところです。  それでは、2点目、琵琶湖周航の歌誕生100年を生かすアイデアについてでございます。  県におきましては、これまで琵琶湖周航の歌をさまざまな機会を通じて取り上げてきております。例えば本年5月、ラ・フォル・ジュルネびわ湖2016におきましては、びわ湖ホール声楽アンサンブル用に編曲した琵琶湖周航の歌を披露したところでございます。また、本年8月、滋賀県芸術文化祭が開催されるんですが、そのオープニングにおきましても琵琶湖遊覧船ミシガンの中で琵琶湖周航の歌をみんなで歌うことを予定いたしているほか、琵琶湖一周健康ウオーキング2016におきましても、そのコースの中に琵琶湖周航の歌資料館を取り入れる予定となっております。  一方、来年の誕生100年に際しましては、まさに御地元、高島市におきまして準備委員会を立ち上げられ、一過性のイベントに終わらない事業を検討されると伺っているところでございます。  また、今後、民間での盛り上がりも大いに期待しているところです。県といたしましても、100周年というこの節目を生かしまして、滋賀県芸術文化祭などの文化振興の取り組みを活用するとともに、観光振興の視点からも関係市と連携しながら、日本遺産にも絡めて取り組むなど、県全体として琵琶湖周航の歌が盛り上がるように、機運の醸成に積極的に努めてまいりたいと存じます。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)知事から歌を返していただきまして、ありがとうございました。  また、琵琶湖周航の歌はよく3番で終わってしまうんですけれど、とか4番の瑠璃の花園までは行くんですが、その後に矢の根は深くと彦根城のことを歌ったり、比良も伊吹も夢のごととか、そしてまた、矢橋のあたりをこいでいるんでしょうか、黄金の波の情景とか、まさに琵琶湖の上から若者たちが私情豊かに歌った、そしてまた、はかない恋に泣くとかやという、恋という言葉を戦争に向かう中で口にすることができた数少ない歌なんだそうで、特に女学生たちにも歌い継がれてきたことで全国に広がっているんだということも教えられたことがあります。  これから、やはり全国の人がより琵琶湖周航の歌を愛し、琵琶湖を愛し、そして滋賀県民を好感を持って受けとめてもらえるように、この琵琶湖周航の歌100周年を生かして、ぜひこれから皆さんとともによききっかけになることを願うものでございますし、きのう、近江鉄道120周年ということで、県は旗振り役と調整役と、県外に対するPRを頑張ってやるぞとおっしゃいましたので、ぜひこの分野においても、琵琶湖汽船が120周年を迎えられるということも聞いております。ですので、滋賀県に住む以上、飲む水も出す水も琵琶湖にお世話になって命を育んでおりますので、みんなで育てていけますように議員各位にもお願いを申し上げまして、2問目に移らせていただきます。  さて、2問目を申し上げます。熊本地震と琵琶湖西岸断層地震対策についてでございます。  熊本地震によって、知事がいち早く余震が続く中での屋内避難の難しさを感じとられ、5月24日には速やかに国に対して提言をされたことは、まことに的確な御判断と存じます。ついては、滋賀県が率先して見直しの先例となっていかなければならないと思います。  しかし、5月26日の総合交通・防災対策特別委員会では、知事の反射神経と防災部局職員との間に温度差といいますか、タイムラグがあるように感じました。屋内避難が有効でない場合の避難計画、防災訓練の見直し等、知事のミッションはいつ動き出し、いつごろ対策として整うのか、総合政策部長にお伺いいたします。  知事には、滋賀県から熊本に職員を派遣され、熊本地震から学ぶべき3点について代表質問の答弁で触れられましたが、課題の洗い出しをして対策の変更等を議論すると、のんびりしたニュアンスに動きが受け取れるようにも思います。  知事はいつ起こるかわからないタイトな出来事、問題であるとお考えになっていると拝察しますが、違うのでしょうか、総合政策部長にお伺いします。  屋内避難が有効でない事例を熊本で見せつけられたわけでございます。滋賀県の原子力防災の避難計画では、さらに深刻に受けとめ、再稼働の動きにおくれることなく実効性あるものに見直していかねばならないと思いますが、どうでしょうか。  引き続き総合政策部長に、南海トラフと琵琶湖西岸断層帯の危険性が改めてクローズアップされることとなりました。熊本のひずみにも警鐘を発しておられた京都大学の防災研究所のホームページで公開されているひずみのベクトル図では、関西でも特に琵琶湖西岸断層の危険度が高いことを示しています。県はどのような受けとめ方をされていますか。  さらに、活断層があり危険性が指摘されているエリアで40年を超える原子力発電所をさらに20年動かすという、またその隣は危険なMOX燃料を使うという老朽原発の安全性確認は誰もしたことがないのに、余りにも安易に進んでいるように見受けられます。人災の可能性が高まることに県は国と事業者にどう対峙していくのか、熊本地震を踏まえてお答えをいただきたいと思います。  次に、知事にお尋ねします。琵琶湖西岸断層の発生確率は大変高いのだそうです。原発事故と複合災害も検討されていると存じますが、湖西地域においては特に避難路が課題とされています。今回の熊本地震では、断層によって道路や橋が通行不能となり、寸断されました。避難路の確保について、多重であることを求めるとよくおっしゃっていますが、熊本地震の直後の特例で、知事は職員さんに対してどのような指示をされましたか。  土木交通部長にお伺いします。琵琶湖西岸断層を案ずると、安曇川にかかる常安橋は特に脆弱に見受けられます。本定例会議の債務負担行為に計上されていますが、その計画内容を問います。  続いて、琵琶湖西岸には県の管理する港がありませんが、湖上輸送は防災上も重要な政策であります。高島市からは、今津港を耐震補強して、いざというときに使えるようにとの要望がされてまいりましたが、県は民間の施設であるので難しいと回答されたと聞きます。災害時には民間とか公とか言っていられないと思いますが、熊本地震を経験して、その後の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 熊本地震と琵琶湖西岸断層帯地震対策について8点御質問をいただきましたうち、私には2問いただきましたので、お答えいたします。  まず1点目、議員御指摘のとおり、本県は琵琶湖西岸断層帯を初めとする多くの活断層に囲まれておりまして、いつ熊本地震のような大地震が発生してもおかしくない状況であると認識しております。このため、これまでから阪神・淡路大震災、東日本大震災などの教訓を踏まえ、地域防災計画の見直し、関係機関や地域と連携した訓練の実施、地域防災力の充実強化など地震対策を推進するとともに、災害対応の拠点となる危機管理センターを整備したところでございます。  また、県民の皆様方に対しましても、平時からしっかりと地震への備えをしていただくよう、広報紙、広報番組、ホームページ等により啓発に努めております。私たちもこの熊本地震の教訓をしっかり、できるだけ早期に検証し、本県の対策に反映してまいりたいと存じます。  2点目、避難路の確保の指示についてでございます。  これまでから避難路の確保に向け、まずは既存の道路を最大限活用し、複数ルートの確保が可能となる代替性の高い避難経路のネットワーク構築について、各部局による検討を指示しているところであります。  さらに、今回の熊本地震の経験を踏まえ、本県に生かせる課題を抽出するよう各部局長に指示もしているところでありますので、しっかりと取りまとめをした上、進めてまいりたいと存じます。 ◎総合政策部長(宮川正和) (登壇)私にいただきました4点の御質問にお答えをいたします。  まず1点目、熊本地震後の知事のミッションはいつ動き出し、いつごろ対策として整うのかと、こういうことでございますが、既に全庁挙げて熊本地震における課題等の洗い出しを進めているところでございます。その精査をした上で、どのような対策が可能か考えまして、できることから要綱やマニュアルに反映させるなど、早急に取り組んでまいりたいと思っております。  例えば具体的課題の一つとして、今回、支援物資が避難所まで届かなかったという課題が明らかになりましたが、今年度の総合防災訓練におきまして、実際に物資を各市町の指定避難所に輸送するまでの訓練を新たな取り組みとして計画に組み込んだところでございます。  また、地域防災計画の改定につきましては、現在、国レベルにおける地震対策の見直しが行われているところでもございますし、市町との意見交換も踏まえやっていきたいと思っておりますので、そうしたことを踏まえて速やかに行う予定でございます。  次に、原子力防災に係る避難計画の見直しについてお答えをいたします。  今回の熊本地震では同一地域で震度7の地震が続き、その後も大規模な余震が繰り返し発生したことから、建物内にとどまることに懸念を抱き、屋外で過ごす方がたくさんいらっしゃいました。この経験から、まず屋内退避を実施するという現在の仕組みが大規模地震との複合災害時にも最適であるのか、国とともに研究を行うことが必要と考え、国へ政策提案を行ったところでございます。  今後、研究の結果を踏まえまして、また関係市町の意見をしっかり聞きながら、避難計画について必要な見直しをしてまいりたいと思っております。  次に、京都大学防災研究所が公表したひずみの調査結果に対する県の対応についてでございます。  本県では、東日本大震災等を踏まえ、平成24年度から平成25年度にかけて南海トラフ地震および県内の主要な5つの活断層について地震被害想定を見直して、その上で地震対策を講じているところでございます。地震対策については常に最新の科学的知見に基づいて不断の見直しを行っていく、これが重要だと考えております。  そこで、御質問の京都大学防災研究所の調査結果につきまして、その研究所に内容等を確認したいと思っております。その上で、内陸で起こる地震の評価の見直しにつながるのかどうか、そういったことを判断してまいりたいと思っております。  次に、原子力発電所に係る国や事業者への対応についてであります。  原子力発電所の安全については国が責任を持って最大限の対策を講じるべきものと認識をいたしております。これまでから政府への政策提案などにおきまして、国には新規制基準適合性審査等の慎重かつ厳格な審査を求めてきているところであります。  あわせて、滋賀県原子力防災専門会議および県と県内市町で構成をいたします滋賀県原子力安全対策連絡協議会におきまして、国や事業者から安全対策等について報告、説明を求め、専門家や各市町と情報を共有しつつ、安全対策に関与しているところでございまして、今後ともしっかりとそういう安全対策を進めてまいりたいと思っております。 ◎土木交通部長(桑山勝則) (登壇)私にいただきました2問の質問のうち、まず1点目でございますが、安曇川町常磐木と新旭町安井川を結ぶ常安橋の計画についてでございますが、幅員が狭く老朽化も進んでいると、こういったことから、現常安橋の下流に新たな橋をかける計画をしております。  新常安橋は全長が97メートルの1号橋と、全長が248メートルの2号橋の2つの橋からなります。今年度着手する2号橋の下部工事を平成30年度に完了する予定です。その後、上部工事および1号橋を施工する予定であり、完了にはさらに3年程度を要する計画でございます。  2点目、今津港の耐震補強の要望についての熊本地震後の見解についてでございますが、熊本地震におきましては熊本港などの港湾が支援物資や支援部隊の輸送拠点として機能していたと聞いており、災害発生時の湖上輸送については有効なものと認識しているところでございます。  高島市においても、地域防災計画の中で広域湖上輸送拠点として近江今津港と今津漁港の2港、地域湖上輸送拠点として5つの漁港を指定し、防災拠点として耐震性を強化した施設整備を検討するとされております。  県においては民間が所有する近江今津港の耐震補強を実施することは難しいところでございますが、こういった位置づけも踏まえて、輸送拠点の確保についてどういった解決策があるのか、平成27年度から防災部局と高島市とともに設けている協議の場で引き続き検討してまいりたいと考えております。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)ちょっと不適切な言葉を使ったらお許しください。  何か勉強すればするほど物事を複雑に考えはるのかなと思いまして、県のいわゆる被害想定調査結果では、高島市で、琵琶湖西岸断層帯でマグニチュード7.8、震度7の地震が起こった場合、1,455棟が全壊もしくは全焼で、避難者が1万1,444人とあるんですね。熊本ではこのとおりで、家が倒れたところはまさに家に入れないわけですから屋外で、ましてや余震があるので安全ないわゆる建物の中にもよう入れないと。怖くて怖くて、それで車の中にいはるとかいうことで、いわゆる屋内避難ということが実に役に立たないということを見せつけられたわけで、それで4月19日、地震直後の記者会見では、知事や防災関係の職員さんのテンションは結構高いんです。すぐにでも見直すようなニュアンスで、新聞社もそのことを報道しています。そちらにも当然コピーがあると思います。  いつの間にやら、国に要望するときにはこれが有効かどうか、国と一緒に考えなあかんという話になっております。それは国に対して決めつけというのは失礼かもわかりませんが、県はやっぱり目の前で自分らの想定したとおりのことが熊本で起こって、屋内避難ができない人たちがあれだけあふれているわけです。どうするのか。  そして御存じのように、いわゆる国道303、367は活断層のところを走っていますので、恐らく直下型地震なり西岸断層や花折断層が動いたら道路は通れなくなると思います。近江舞子のところの、いわゆる大津市の一番北部のところ、あそこにも活断層が道路を横断していまして、山が横に迫っているので、あそこが崩れたらもう通れなくなります。マキノから敦賀へ抜ける道も路原断層という断層が国道を横に走っています。  ですから、孤立する可能性が最も高いというのは県の防災計画でも折り込み済みで、だから港が必要だとか、空からの避難が必要だとかいう話があるわけで、そのしっかりとした事実確認をしておきながらその対策を打たない、手をこまねいて時間をいたずらに過ごすというのは不作為ではないかと思えてしまうのでございます。  ということで、ぜひこの熊本地震の教訓をもっと真摯に受けとめていただいて、知事がすぐに見直せというミッションを関係部局も頑張って受けとめていただいて、早く見直しに着手していただきたいと思いますし、先ほどの港の話も、建前は建前ですが、実際の県の避難物資は民間の運送会社の倉庫にあるじゃないですか。どなたかの都合ではなくて、県民の困る人が出る場合の想定をもとにして、いわゆる決め事を決めていってほしい、検討してほしいと思うのですが、いかがでございましょうか、知事にこのことについて再質問をさせていただきます。 ◎知事(三日月大造) 今回の熊本地震は、直下の断層が動き大きな震災が起こった。同時に、複数の断層が連動して起こると、30時間以内に2度、震度7クラスの地震が起こったと。さらには、余震が千数百回、2,000回近くも起こり、屋内退避が非常に困難な状況になる方々が大勢いらっしゃったということでございまして、我々が生きている間に記録される震災の中でも初めてと言われる、そういうケースでございます。  したがって、まず被災地の復旧支援が第一であると言いながら、同時に直下に複数断層を抱える本県の対策をしっかりとこの震災を教訓に再構築していこうということで、震災発災直後から指示をしているところでございます。  もちろん指示をするだけで、まだ具体の動きが見えないのではないか、また、県はそうやって言っておきながら、国に対するトーンが弱いのではないかというような御懸念があるのかもしれませんが、しかし、県として、行政として具体の対策をとるに当たっては、その熊本震災の被害の状況もしっかりと検証することが必要でしょうし、滋賀県だけでそういった避難計画等も全てがつくれるわけではございませんので、関係当局ともしっかりと調整をしてつくっていくということだと思います。  しかし、知事が言うだけではなくて行政組織が動かないということがないように、しっかり私としてもこの部局の取り組みを検証するとともに督励をしてまいりたいと存じますので、また議会のほうからも後押しやチェック等、よろしくお願いいたします。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)あした起こるかもわからない。6月11日、午後3時46分、マグニチュード7.8、想定どおり起こったらどうするんでしょうか。やっぱりそれを考えるのが、いわゆるいざというときに考えているという、県民に呼びかけるといって担当者が新聞にでかでかと書いとかはりますので、人に考えと言う以上は、やっぱり県としても全力を尽くして対策を考えていただくと。福祉避難所といっても、いわゆる県立の新旭養護学校は、恐らくあそこの周りは液状化で集まれないと思います。高島は特に水が豊富で、安曇川の扇状地は液状化が大変心配されまして、道路の通行避難とかそういうものも既に御存じのとおりですので、どうか親身になってお考えをいただきたいということをお願い申し上げます。  次に、大型予算の決定プロセスについてお尋ねをします。  美術館整備の47億円については議会で議論もされました。先日、二回りほど大きな全体予算の説明がありました。国体に向かう局面で体育施設の整備、そして特産品販売やプロモーションに関するアンテナショップなど、生活実感の及ばない大変高額な予算提案や事前説明が続いています。細かいことには目くじらを立てて、大きな予算には適切なチェック機能が働かないでは困ります。  県議会に対しても90億円の県立体育館移転新築計画が2月にいきなり切り出されたと思いますが、経営計画や専門家の関与、市町からの意見聴取、関係機関との協議などはきちんとなされず、最終段階で内部検討のみで結論に至ったと説明を受けました。なぜ他の政策では当然踏むプロセスを踏まずに最終決定とされたか、納得ができません。ミッションとして与えられた条件と熟慮された内容を聞かせてください。  彦根総合運動場でもJリーグとの間にそごがあったことは、検討段階での未熟さを露呈し、国体に向けての施設整備に冷や水をかけましたが、よき警告であったと受けとめたいと思います。  3月のスポーツ振興議連でプロバスケットボールチームの代表が、経営を考えると文化ゾーンでは集客上の課題が大きく、経営が成り立たないと断言され、私はびっくりしました。うまく話をされていると思っていたんです。集客上の課題が大きく、経営が成り立たないと断言されました。そのことについて、プロバスケットボールチームとの協議経過や、そしてまた、Jリーグからもそう言われたということで、県のチェックのアプローチの仕方等も自問されたと思います。この協議経過について県民も注視されています。協議経過はどういうものでありましたでしょうか。  それから、2つのプロスポーツ団体が集客が困難としたリサーチ結果を十分に参考にした上で今回の県立体育館の話は決定されたんでしょうか。  次に、県立体育館の整備については、財政難の県がプロスポーツクラブ……。 ○議長(野田藤雄) 海東議員、それぞれの項目ごとに答弁者を指名してください。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)通知に書いてあるとおりでございますが、大きな部分は知事さんで、部分については県民生活部長であります。  1点目は知事、2点目は県民生活部長、3点目、総務部長について、御質問をこれから読みます。  県立体育館の整備については、財政難の県がプロスポーツクラブが経営が難しいというところに建設をするとの決定は、起死回生の経営計画ができたか、相当の税金投入を決断されたか、どちらかだと思われます。財政部局はどのような視点で可とされ、財政計画に位置づけ、内部決着をされたのか、県民にわかるように御説明をお願いします。  健康医療福祉部長にお尋ねいたします。健康づくりの拠点とするということが説明にあります。健康医療福祉部はどのような関与をし、提案をされているか、御説明をお願いします。  次に、5点目、県民生活部長にお尋ねします。「滋賀プラスワン」で知事と対談された東レアローズは、滋賀県民が誇りとするチームであり、オリンピックのチームの中でも日本を代表する憧れの選手たちであります。オリンピックのメダリスト県民でもあります。チームも選手も公益財産といっても過言でないと思います。  東レアローズの体育館は観覧席がないと聞きますが、エリアも重なることもあり、協力共栄をテーマに何らかの協議はされましたか。滋賀県は何とかカップという大変熱心なママさんバレーの大会もあり、ママさんバレーが大変盛んでございます。女子バレーの聖地となるような体育館を構想することも戦略ではないか、岩手に事例があるんですが、いかがでしょうか。  次に、県民生活部長に、僣越ですが、大津市と体育館の共同経営などの検討はされなかったんでしょうか。滋賀県体育協会の会長は国体やオリンピックの合宿も狙い、競泳プールも含め戦略的に整備し、地域の活性化や経済波及効果を述べられておりました。競輪場跡地やJIAM周辺など、広い土地があるようにも思います。それらを視野に入れ協議するほうが大津も滋賀も栄えるのではないかと思いますが、どうでしょうか。  次に、県民生活部長にお尋ねします。市や町、そして民間企業や団体ともっと新しい時代を開く協働が模索されるべきではないでしょうか。文芸会館など、持て余して市に受けてもらった経緯もあります。県立体育館が必要なのではなくて、県民のための体育館が必要なのでございます。PFIや県立で建てるかわりに市町に建ててもらい、維持管理をしていただき、県立としてやや規模が大きくなる分を県が財政負担するという方法もあり得ると思いますが、いかがですか。  次に、知事にお伺いします。大きな観点から、グランドデザインを描く段階で条件設定が狭くて、先々が窮屈になり、部分部分が一生懸命頑張ってくださるゆえに全体の効用、効果が減退しているのではないかと気になります。県民は滋賀県が豊かに暮らせるように、県も市町も力を合わすことを願っておられます。市町長さんの首長会や経済界から県立体育館の問題について懸念や慎重論が上がっています。このまま推し進めることは相互の信頼感も協働の理想も損なうことになると見受けられます。立ちどまって総合的に狙いと戦略を練り直すべきときだと思えてなりません。体育館について耳を傾けず進むのならば、県民が納得いく説明を知事からしていただきたいと思います。  次に、総合政策部長に。次に、首都圏で拠点整備について、アンテナショップでありますが、賃料として年間1億円が予算計上され、日本橋の物件を交渉中であると聞いています。しかし、肝心の経営計画はまだないと説明がありました。経営責任者も未選任であるとの説明です。1億円も資金があれば、シンガポールや台湾に出店することもできます。オリンピックに向け目まぐるしく変わる首都圏で、そもそも日本橋にアンテナショップを出店することの狙いはどこにあるのでしょうか。  次に、知事に。その実行部隊は総合政策部とされ、ゆめぷらざの経営やちゃばらの管轄をしてこられた商工観光労働部の蓄積したノウハウが生かされない部局、と言っては申しわけないんですが、別の部局になっています。  今回、3つ目の大勝負に、さきの2店舗の取り組みの検討成果や分析は共有されていないのではないかと心配します。ましてやその分野の実行部隊であるびわこビジターズビューローや産業支援プラザに任せないという理由もわかりません。さらに、ココクールは商工観光労働部、MUSUBU SHIGAは広報、美の滋賀は文化振興、日本遺産がまた新しくそれに乗っかかってきて、いろいろ大変新しい魅力も折り込もうと御努力いただいていますが、32億円もかけて細々としたPR事業はされています。相乗効果を発揮する前に、県職員でさえ説明ができないほど散漫になっていると感じます。他の部のことには関与、口出しをしない不文律が県庁の力を発揮できなくしているように心配しますし、その人に備わってきたノウハウが生かされないのではないかと心配します。このアンテナショップを生かす総合的な滋賀県の作戦とKPIをよくわかるように説明をお願いします。  ちなみに、他県の事例に目をやると、池袋駅前の宮城県や有楽町の駅前の鹿児島県のアンテナショップが参考になるのではないかとお伝えしましたが、比較検討されましたか。坪単価での家賃の相場と比べて妥当と言えますか。公益法人に助成し運営委託する形態などが行われていますが、どう思われましたか。  次に、知事にお伺いします。首都圏出店の成果を上げるための方法として、滋賀県のコンセプトに合致する進出企業を助成支援する方法で目的を達成する道もあると思います。  商工観光労働部所管の販路開拓事業でも、9つの助成制度があるということでございます。そのパンフをいただきました。最も経験を蓄積してきた商工観光労働部や産業支援プラザやビジターズビューローの知恵が生かされにくく、口出ししにくい空気で関与が薄いまま進んでいくことは、全庁挙げてとよくおっしゃる形から遠ざかる心配があります。出だしの時点での業務の想定や条件設定に課題があったのではないかと感じています。船頭多くして船山を登るとのことわざが頭をよぎりますが、遺漏なきように、どのような県庁の庁内体制で進めていかれるのか、御質問をします。  それから、総合政策部長に。日本橋に滋賀県みずからが戦場に立つことで他県を上回る成果をもくろんでおられると思いますが、そもそも出店に際し、もうかる計画、とんとんの計画、赤字の計画というものを考え得るとして、一般財源でわざわざ家賃丸抱えの赤字前提のアンテナショップに挑戦する正当性はどこにあるのでしょうか。滋賀のPRができ、お客さんが喜び、栄えてもうかる計画を懸命に立てるのが今の仕事ではないのでしょうか。  一昨年からか、日本橋に出店することがテーマとなって、近年の東京の変化に目を向けず、視野が狭くなっているのではないかと思えてなりません。出店準備室もなく、ターゲットも曖昧で、専任担当者も置かず、家賃は1億円を何と10年も支払い続けるとの見込みは、通常の経済活動や行政行為とは思えません。成功させる準備が足りないと思いますが、知事でないと見直し、再チェックの発令はできません。政府の地方創生交付金などを計上するうちに、行政のあるべき財政規律や最少の費用で最大の効果を発現せんとする地方公務員の工夫の醍醐味を忘れかけているのではないかと危惧してしまいます。  また、言葉がすぎますが、市町、県民から見ると、じゃぶじゃぶの予算計上に見えるのではないでしょうか。指定管理者には乾いた雑巾を絞るように予算を削り、正常なコストで施設の維持管理もできないと悲鳴を上げる人たちの目から見ると、そう見えるのではないでしょうか。今や国でさえ事業ごとに事業レビューシートをつくり、狙いや手法、投入予算を、実現したい成果などを明らかにするようになっています。
     市町長や経済団体の警告に耳を傾けられ、特に大型規模の大規模予算の場合にはしっかりとコンセプトを研ぎ澄まされ、チェックし直すことをいとわない県政運営をお願い申し上げたく、言上つかまつるものでございます。 ◎知事(三日月大造) 大型予算の決定プロセスについて、大きく13点御質問いただいたうち、私には4点承ったと承知しておりますので、順次お答えをさせていただきます。  まず1点目、与えられた条件と熟慮した内容ということ、これは県立体育館についてでございますが、まず条件については、平成26年度に実施いたしました県立社会体育施設の最適な管理についての調査研究におきまして、県立体育館につきましては大規模改修、建てかえ等の検討が必要だとされたところでございます。  調査結果を踏まえて、県立体育館の整備の基本方針として、1つ、県民のスポーツ・健康づくり、文化活動の中核施設とすること。2つ、全国規模の大会を開催するにふさわしい施設とすること。3つ、スポーツ文化のする、みる、支えるに参画することができる誰もが使いやすい施設とすること、以上3点としたところでございます。この基本方針を踏まえまして、老朽化に加え敷地が狭隘で工事期間中の利用ができないことから、現地での建てかえは困難であると判断いたしまして、移転整備については買収等に時間を要することなどを考慮し、県有地を念頭に検討を重ねたところでございます。  また、これと並行いたしまして、平成27年度に昨年度実施いたしましたびわこ文化公園都市(仮称)スポーツ・健康づくり拠点等調査検討におきましては、交通アクセス等に課題はありますものの、スポーツ・健康づくりに関する拠点の立地可能性があると整理したところでございます。  こうした条件や調査を踏まえまして、整備場所といたしましては人口集積地に位置し、高速道路の結節点に当たり、公共交通の充実により広域からのアクセスが容易になる場所であること、また大学、医療機関、福祉施設などの連携により、スポーツや健康づくりの拠点として幅広い機能発揮が期待できる場所であること、加えまして十分な広さの用地確保が可能な場所であることから、熟慮の結果、多くの県民の方が将来にわたり継続的に利用できる場所であるびわこ文化公園都市に移転整備するべきと考えたところでございます。  この間、国体を見据えたスケジュールがある中、2月県議会ぎりぎりまで議論した上で判断し、表明させていただいたところでございます。  2点目、その県立体育館について、その整備について説明をいかにということでございますが、国体を契機に幾つかの投資が集中することになりますが、まさに半世紀に一度と言ってもいい大きな投資に見合う効果をどのように発現させていくのかということが肝要であると考えているところでございます。  今回の体育館整備につきましては、単に社会体育施設の整備と捉えるのではなく、今後重視される健康寿命延伸ということを考えますと、スポーツを生活に取り入れる健康づくりの拠点を志向すべきであると考えているところであります。  そこで、新県立体育館を核としたスポーツ・健康づくりの拠点については、競技スポーツだけでなく、生涯スポーツや健康づくりの拠点であること、大学を初め周辺施設、機関と連携した全県への機能発揮、全ての人に利用しやすく、交流できる場の創出、多機能、多目的な利用への対応、緑豊かな環境の活用、整備、運営への民間活力の導入などを念頭に、整備の検討を進めてまいりたいと存じます。  交通アクセスにつきましては、びわこ文化公園都市の持つ機能を十分発揮させる上で重要な課題であると認識しておりまして、しっかりと検討し、改善をしてまいりたいと存じます。  整備の検討に当たりましては、市町、経済界、競技団体など幅広く御意見を伺いながら、今年度実施いたします施設整備検討懇話会での議論や基本計画策定業務の中で民間からの提案をいただくことなどを踏まえ、新県立体育館の魅力を高められるよう具体的に検討してまいりたいと存じます。  首都圏での拠点整備について、2点御質問をいただきました。  総合的な県の作戦とKPIについてでございますが、県の基本構想を定める総合戦略において、滋賀の素材・魅力磨き上げプロジェクトを掲げまして、首都圏での情報発信拠点の整備を位置づけさせていただきました。2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、情報、人、ものがさらに集中する首都圏に、滋賀を体感でき、首都圏での発信と滋賀への誘引の役割を担う拠点整備を行おうとするものでございます。  その総合戦略の中には、観光宿泊者20%増、観光入り込み客数6%増、観光消費額7%増をKPIとして設定しております。これは首都圏の情報発信拠点だけで担う、達成するというものではございませんが、その一つとしてこの首都圏の情報発信拠点についても取り組みを進めるものでございます。  当然のことながら、これまで展開してまいりましたゆめぷらざ、ちゃばら等、これまでの取り組みの成果と課題についても検証し、反映をさせてまいりたいと思いますし、これまでそういった施設等を担っていただきました関係者の皆様方ともしっかりと意見交換を重ねながら、まさに情報発信や飲食を含めた魅力の体感、また販売、営業、相談等を含めた水先案内等の機能を担える、そういった施設を整備していきたいと考えているところです。  個別のブランドにも磨きをかけながら、多くの方々が集い、また行き交われる首都圏で総合的なプロモーションを行い、KPIの達成を目指してまいりたいと思います。  2点目に、庁内体制についても御質問をいただきました。  そういった首都圏の拠点の整備は、平成26年5月に庁内プロジェクトチームを設置し、物件調査と並行して必要機能等の検討を進め、同年、平成26年12月に基本的な考え方を整理いたしました。昨年度、平成27年度には私自身を本部長といたしまして、全庁挙げてブランド推進に取り組むための滋賀県ブランド推進本部を設置したところでございます。今年度は、本部内に総合政策部次長をトップといたします首都圏情報発信拠点推進チームを設置いたしまして、部局一丸となり、現在、最終交渉中の物件に合わせて機能や運営のあり方について詰めを行っているところでございます。  こうした部局横断の取り組みのため、庁内横つなぎの政策形成でありますとか、魅力発信を担当する総合政策部が中心となりまして、観光や食を担当する商工観光労働部や農政水産部等を軸に、全庁を仕切って取り組んでまいりたいと存じます。 ◎総合政策部長(宮川正和) 私には、首都圏での拠点整備に関して3点の御質問をいただきました。  まず、1点目の日本橋に出店する狙いでございます。  日本橋は江戸幕府が開かれた当時に近江商人が出店の誘致を受けた地域でございまして、日本橋高島屋を初め、今日も滋賀と深い縁で結ばれている地域でございます。また、日本橋は五街道の起点でございまして、そのうち東海道と中山道は近江で再び交わる、こういう歴史上、滋賀と東京を結ぶストーリー性にあふれたエリアでございます。  現在の日本橋は、高島屋を初め再開発が進み、町全体の魅力が高まっている地域でございます。また、本社オフィスが多く、ビジネスパーソンが行き交い、高島屋を初め上質な品を求めて女性客が集まるという立地特性を持っております。さらに、周辺には他県のアンテナショップが集積をしておりまして、そうしたところとの連携、あるいは相乗効果が期待できると思っております。  このように歴史経過、あるいは将来性といった観点から、滋賀・びわ湖ブランドを発信するにふさわしい地域であると、こういうふうに考えたところでございます。  2点目の他県のショップとの比較検討、そして家賃の妥当性、公益法人に助成する運営形態に関する御質問でございます。  まず、物件の検討に際しましては、各都道府県のショップの情報収集や関係部局合同の現地調査を行ってまいりました。特に近年は、私どもも目指すような総合プロモーション型のショップが相次いで開設をされておりまして、そうしたところからはヒアリングなども実際行いまして、比較検討をしてまいりました。  それから次に、賃借条件の件でございますが、現在、最終交渉中でございますので、この場で申し上げることはできませんが、賃料の妥当性については予算の範囲内で日本橋の物件価格等を考慮して判断をしてまいりたいと思っております。  それから、運営形態についてでございます。近年開設されたものの多くは民間から事業者を公募しているというふうな形がありましたり、あるいは観光協会のような発信の核となる団体が運営する、こういうふうな事例がございます。県としては拠点の運営に民間のノウハウを最大限生かしてまいりたいと思っておりまして、総合プロモーションを効果的にしていくためにはどういった方法が最善なのか、そういったものを今後詰めてまいりたいと思っております。  それから、3点目でございます。県がこういった施設に挑戦をする正当性はどうなのかという御質問でございました。  食やもの、あるいは恵まれた環境や豊富な人材など、滋賀にはたくさんいいものがございますが、残念ながら認知度が低いという状況がございます。この認知度をしっかり高めて、県外から人や投資を呼び込む、こういったことで活力ある滋賀をつくっていくことが必要であると、こう思っております。ですから、このために情報、人、ものが集中をいたします首都圏で、滋賀を体験できる窓口となり、首都圏での発信と滋賀へ確実に誘引をすると、こういうふうな役割をあわせ持つ拠点を県が整備しようとするものでございます。  地域の魅力を発信し、ブランド価値を高めていくことは、個々の個別の企業活動、あるいは事業支援といったものを超えて、滋賀全体を前に進める取り組みでございますので、こうしたことは県が担うべき事業であると、こういうふうに考えておりまして、この事業の着実な推進が県民益にかなうものと、こういうふうに考えております。 ◎総務部長(日爪泰則) (登壇)私にいただきました県立体育館の整備について、どのような視点で可としたのかについての御質問についてでございます。  大規模事業に限らず、事業の実施を検討するに当たっては、その必要性や効果、後年度負担も含めた事業費などを総合的に勘案して判断しているところでございます。  御質問の県立体育館の整備については、現施設の老朽化が著しく、平成36年の国体開催を見据えますと建てかえによる整備が必要となります中で、財政運営上の観点から、過年度の調査で示されました整備費用や維持管理費用を参考としつつ、国庫補助金の獲得や県債の活用などによる財源の見通しや、他の大規模事業のスケジュール、また年度ごとの事業費などを勘案して判断したところでございます。  今後とも、限られた財源の中ではございますが、県民の皆様や将来の滋賀にとって真に必要となる施策を展開できますように、スクラップ・アンド・ビルドや選択と集中の徹底など、歳出面の取り組みに加えまして、県税収入の確保や国庫補助金、外部資金の獲得など、歳入確保対策にもより一層取り組むことといたしまして、県立体育館の整備運営に当たりましても民間活力の導入を検討するなど、さまざまな取り組みを重ねることによりまして、持続可能な財政基盤の確立に努めてまいります。 ◎県民生活部長(拾井泰彦) (登壇)大型予算の決定プロセスについての御質問のうち、私に対する4点の御質問にお答えをさせていただきます。  まず1点目の、プロバスケットボールチームとの協議経過についてでありますが、滋賀レイクスターズとはこれまで、新県立体育館の整備に関し、Bリーグの1部リーグにおいて求められる基準の対応等について協議を続けてきたところでございます。そうした中で、滋賀レイクスターズからは、現状では公共交通機関による交通アクセスに課題があり、プロバスケットボールの試合については十分な集客が見込めないという御指摘を伺っているところであります。  交通アクセスにつきましては、びわこ文化公園都市の持つ機能を十分に発揮させる上で重要な課題であると認識をいたしておりまして、こうしたプロスポーツ団体からの新県立体育館への御指摘につきましては、率直に受けとめ、今後の交通アクセスの改善に向けてしっかり検討してまいりたいと考えております。  2点目の東レアローズとの協議についてでございますけれども、東レアローズは全国的に知名度が高い女子バレーボールチームでございまして、本県では競技力向上に関するプロジェクトチームへの参画、しがスポーツ大使としての滋賀のスポーツの魅力発信などに御支援、御協力いただいているところでございます。新県立体育館の利用も含めまして、滋賀のスポーツの振興等について一層しっかりと連携を図ってまいりたいと考えております。  また、ママさんバレーにつきましても、平成27年度には本県で全国家庭婦人バレーボールいそじ大会が開催されるなど、県内で盛んに行われているところでございます。新県立体育館の整備を契機に、バレーボール等を通じて県民のスポーツ・健康づくりの機運が盛り上がるよう、競技団体などと連携して取り組んでまいります。  3点目の大津市との検討についてでございますけれども、大津市からは平成26年8月および平成27年8月に、第79回国民体育大会開催に向けた取り組みについて要望をお受けしたところでございます。その中で、国体後の県内におけるスポーツ観光や交流機会の創造を図るためにも、人口が集積し、近接する多くの大学等との連携が容易で広域交通ネットワークの充実したびわこ文化公園都市で新体育館を整備するよう要望があったところであります。  本年2月にはびわこ文化公園都市への移転整備につきまして御説明に伺いました際には、大津市からは全面的に協力する旨の回答をいただいているところでもございます。  4点目の建設整備に当たっての市町との協働等についてでございますけれども、県立体育館には先ほどもお話がございましたが、全国規模で行われる競技大会やイベント会場等としての利用が求められているところであり、一方で市町立の体育館には地域の協議会、学校の部活動、あるいはまたスポーツ少年団の活動など、基本的に地域住民の皆さんの利用が優先されておりますことから、利用形態や必要な規模は異なるものと考えております。県立体育館につきましては、そうした利用形態、あるいは必要となる規模を考えまして、県として整備すべきものとしたところでございます。  また、PFIなど民間活力の導入につきましては、今年度、民間活力の導入可能性調査を実施する予定でありまして、こうした結果も踏まえまして検討してまいりたいと考えております。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)県立体育館の整備に当たり、健康づくりの拠点として健康医療福祉部はどのような関与をし、提案をしているかという御質問にお答えをいたします。  当部におきましては、今年度、びわこ文化公園都市における新県立体育館整備等検討会議の構成員として参画をし、県民の健康づくりの視点から、設備、機能の検討について議論をしているところでございます。  基本的な考え方といたしまして、滋賀医科大学、立命館大学、龍谷大学を初めとする立地施設との連携による事業展開について、例えばスポーツ医科学等に基づく専門指導などの競技力の強化、支援、2つ目に、健康づくりに関する県民向け講座やセミナー等の開催、3つ目に、スポーツや健康づくりの普及活動を行う人材の養成、研修、4つ目に、スポーツによる健康づくりプログラムの作成などについて提案をし、議論をしているところでございます。  また、近隣に整備されています障害者のためのスポーツ施設でありますとか福祉施設と連携した取り組みについても提案をしてまいる考えでございます。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)まず、知事の御答弁の中のKPIについて、大変曖昧な指標で、実際1年1億、10年10億の家賃をもってやるということの直接的なKPIが必要でないかと。民間企業やったら、例えば飲食やったら、1億の家賃やったら10億あげんなんというのが当たり前のことで、しっかりそこの場でどういう成果を上げるのかということが明らかにされなければ、これはやっぱり県民に対する説明にならないと私は思います。もう一度お考えいただきたいと存じます。  それから、全庁挙げてという話でございますが、水色いちばん滋賀と言っていたのに、このごろココクールやらMUSUBU SHIGAは白ばっかりで、いつから白になったんやろうなと思うんですが、知事、どう思われますか。  それから、日本橋、五街道の起点であったことが魅力となって近江商人があそこにお店をつくられたのは歩きとかそういう交通の時代で、今は変わっていると思います。  それから、予算の範囲内でやるというのは、大変、もう既に1億円、どう使ってもいいんやみたいに聞こえます。やっぱり県民の一般財源ですから、しっかりと見詰めていただけなければ、安易な支出は戒めていただきたいと思います。  それから、民間からの事業者募集をするという話でしたが、民間からの事業者を募集するのやったら、端から民間事業者に自由なところに出店して、もうけていただいて滋賀県をPRしていただくほうがいいんじゃないんでしょうか。そして、総合プロモーションする人も選任せずに県の人が物件を先に決めて、物件はまだ内緒やし言えませんというて進めていることに何か違和感を覚えますが、県民の皆さんは納得されるでしょうか。  認知度を上げるとか人、投資を呼び込むということであれば、県内のすぐれた企業がたくさんあって、県民所得も高い滋賀県ですから、その御縁からたどるほうがよっぽど信用力もあって、成果も上がりやすいのではないでしょうか。そして、そういうことにたけたビジターズビューローがGMOでさらに県庁から人を6人出して、強化して、能力を高めている機運ですので、そういうところに委ねるのがいいんじゃないんでしょうかと私は思いますが、私は総合政策は防災頑張ってほしいと思いまして、あえてこんなことを言っております。  それから、民間の活力を得るのもタイミングがあると思います。90億の枠を決めてから民間募集と言っていてはだめなんじゃないでしょうか。ここにどういう未来が描けるのか、設計会社も施行会社も管理会社も、こぞってチームをつくって提案してくる枠組みで工費か何ぼかかるのかというのがコンペでして、最初のやり方に失敗があるのではないかと思いますが、どうですか。  それから、バレー専用の体育館をつくられた地域があります。 ○議長(野田藤雄) 答弁者を言ってください。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)全て知事です。  最後に、交通アクセスの問題を申し上げます。(発言する者あり)それなら、どうしましょう。ちょっと時間が過ぎるので、一遍目聞いた人が答えていただければ幸いです。  それから、交通アクセスの問題は大事にしていただきたいと思います。県は便利だという位置づけから始められておりますが、例えば鏡岡中学校の子供、マキノ中学校の子供、西浅井中学校の子供が朝早く起きて瀬田駅へ来るんです。そこからバスで、何千人集まるときにバスがうまいこと運べますか。車椅子の人が大会にやってきて、公共交通の大事さというのを民間のプロチームが一生懸命言っているのに、一番障害者や弱い人たちの声を聞かなければならない県が本気で聞いていないんじゃないか、このことを受けとめて御答弁をいただきたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 1問目に聞かれたことをそれぞれが再質問で答弁をという御指定でございましたが、総括的なことでもありますので私のほうからお答えをさせていただければと思いますが、首都圏の発信拠点の問題は、これまでからこの議場等でも御提案等、御質問等いただいて取り組みを進めてまいりました。もちろん首都圏だけではありません、全国各地からもそうですし、また世界からも滋賀を見てもらいたい、また来ていただきたい、買っていただきたいということがございますが、特に多くの方々が集われ、またセンター機能もある、さらに東京オリパラもあるこの東京地区において、滋賀のゆかりをしっかりと生かす形でこの発信拠点を整備しようということで、この間、進めてきたところでございます。  もちろん、物販等、整備をすれば一定の数字等は出せるかもしれませんが、しかし、この物販だけ、数字だけということではない指標等も行政で整備する以上は必要だと考えますので、例えば広告の掲載でありますとか、さらには県内の事業者との商品開発につながった件数でありますとか、そういった行政が整備する広告、広報、発信拠点ならではのこういった指標も持ちながら、県民の皆様方の検証に付してまいりたいと思います。  また、県立体育館の整備に際しまして、交通アクセスの問題につきましては、私は今のびわこ文化公園都市は、他の地域に比べると随分恵まれた地域であると思います。高速道路もある、またバス路線もあるということで恵まれた地域にあると思いますが、さらにこういった医療機関や新たな体育施設を整備することによって、より多くの方に利用していただこうとすればさらなる改善の余地があるということで、今おっしゃったような全県からより来ていただきやすい環境の整備でありますとか、また体のいろんな障害のある方々についても、より御利用しやすい環境づくりのためにこれからさまざまな課題解決を図ってまいりたいというふうに思っておりますので、また引き続きの御指導等、お願いをいたします。 ○議長(野田藤雄) 6点ぐらい質問があったと思うんですが。 ◎総合政策部長(宮川正和) お答えできる範囲でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、まず、ちょっと聞き間違いだったら申しわけありませんが、拠点整備の検討にそもそも最初から専門家を入れるべきではないかと、こういうふうな御指摘があったと思いますけれども、これまで賃貸というのをベースに考えるということもありまして、物件調査を東京事務所が中心になって進めてまいりました。  今後、やはりそのノウハウは必要でございますので、出店事業者といいますか、そういうのをどういうふうな選考をするか、あるいはどういった方に来ていただけるかということを考える中でやっていきたいと思っております。  それから、日本橋については、先ほども申し上げました、ちょっと歴史のことを言い過ぎたかもしれませんけれども、現在がやっぱりビジネスパーソンの町であるというふうなことに重きを置いておりますし、しかもあそこに他府県のものもたくさんありまして、いろんな発信の意味では相乗効果が得られるのかなと、こういうふうな考え方でございます。  それから、そもそも運営事業者はどうやって決めていくかということも幾つか御指摘をいただきましたけれども、これは確かに既に県内の事業者で東京に出店をしておられて、そういう実績のある方がどうかというふうなこともございましたけれども、やはり税金を使ってやっていくということもありまして、透明性のある形でしっかりと選考過程がはっきりわかるように、最善の方法をやっていきたいと思っております。 ◆6番(海東英和議員) (登壇)特に体育館の交通アクセスについては、十分に弱い方のことも考えて再度検討いただきたいとお願い申し上げまして、終わります。(拍手) ○議長(野田藤雄) 以上で、6番海東英和議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時18分 休憩    ────────────────   午後1時20分 開議 ○副議長(奥村芳正) それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、17番冨波義明議員の発言を許します。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、大きく2つの項目について質問いたします。  まず、農地中間管理事業の進捗状況と課題についてお伺いします。  平成25年6月14日に閣議決定をされました日本再興戦略の中では、日本の農業が10年後に目指す姿を達成するための政策目標として次の3点が挙げられています。  1つは、担い手が利用する農地面積を全農地の現状5割から8割に拡大すること。2つには、新規に就農し、定着する農業者を倍増し、40代以下の農業従事者を現状20万人から40万人に拡大すること。そして3つには、法人経営体を現状の1万2,500法人から5万法人に拡大することの3点であります。  この戦略目標に基づき、国では平成26年に農地の面的集積と農業の規模拡大を同時に達成するために、農地中間管理事業推進法を策定し、同年中に全国の都道府県で農地中間管理機構が設置され、現在、鋭意本事業に取り組まれているところです。  農地中間管理事業推進のポイントは、皆様既によく御承知のとおり、農地中間管理機構が農地の出し手と受け手との間を仲介することにより、分散し、錯綜している農地を整理して集約化を図り、まとまった形で農地の担い手への貸し付けを実現することであります。具体的には、農業経営の規模拡大、農地の集団化、新規就農者の促進などを進めることで、農地の効率的な利用推進を図り、あわせて農業の競争力強化を目指すこととされています。  そこで、本年度で3年目を迎えた農地中間管理事業の進捗状況と課題について、以下3つの観点から、全て農政水産部長にお伺いします。  まず1点目に、本県における農地中間管理事業の進捗状況についてお伺いいたします。  本県では、農地中間管理事業を推進する中心的な組織として、平成26年4月1日に公益法人滋賀県農林漁業担い手育成基金が、県から農地中間管理機構としての指定を受けて本事業を実施されています。そこで、本県における農地中間管理事業の平成26年度から2カ年の事業実績についてお伺いをいたします。  次に2点目として、農地中間管理機構の課題についてお伺いをいたします。  農地中間管理事業は、各市町において農地の貸し付け希望者が機構へ利用権を設定する農用地利用集積計画の公告を行うプロセスと、この計画により機構へ集積された農地を担い手へ貸し付けるために、機構から県へ農用地利用配分計画の認可申請を行うプロセスの2つに大別できます。この2つのプロセスによって、機構は農地の貸し付け希望者から農地を借り受け、これを農地の集団化や担い手の農業経営の規模拡大を促進するために、機構として公平な立場から貸し付けることができるようになりました。また、新規就農者や農業参入を考えている企業に対しても、農地の借り受けに際して機構として公平な貸し付けを行うことが可能となりました。  農地中間管理事業は本県の力強い農業の確立に向けた重要な仕組みの一つであると認識していますが、しかし一方では、従来の農地法や農業経営基盤促進法に基づく農地の貸借の仕組みと比較しますと、新たに提出が必要となってくる書類も多く、これまで以上に事務手続が煩雑になったと仄聞しています。例えば農地中間管理機構における農地の貸し付けは解除条件つきの契約とされており、機構から農地を借り受けた農業者などは毎年農用地等の利用状況報告書を機構へ提出することが義務づけられており、これに伴い、これらの書類を受け付ける機構側もその事務処理量やコストが膨れ上がる可能性が懸念をされるところでございます。  そこで、農地中間管理事業を推進するに当たり、農地中間管理機構の組織運営上の課題をどのように認識され、どのように対応していこうとされるのか、お伺いいたします。  最後、3点目として、機構集積協力金交付事業についてお伺いします。  農地を農地中間管理機構に提供する出し手に対する支援として、機構集積協力金交付事業があります。これは、国の政策目標である10年後に担い手が利用する現状5割の農地面積を全農地の8割までに拡大するため、農地流動化の促進を図ることを目的として交付されるものであり、農業者においては大変関心の高い事業となっております。  そして、この機構集積協力金交付事業には、1つとして個人に対する支援として、農業の担い手が経営転換したりリタイヤする場合に交付される経営転換協力金と、隣接する農地を提供するなど農地の集積や集約化への協力に対して交付される耕作者集積協力金があります。また、地域に対する支援としては、地域がまとまって機構に農地を貸し付けた場合に交付される地域集積協力金、以上の3つがあります。  しかしながら、この3つの協力金の交付のもととなる国の実施要綱では、事業の初年度となる平成26年度から28年度まで、毎年交付基準が変更されており、このことに対して農地の出し手である農家の皆様方から戸惑いや不満の声が上がっているところです。  例えば初年度の平成26年度では、この機構集積協力金の交付対象者となるものの、その要件は国の交付条件を満たす者および地域とされておりましたが、翌平成27年度にはこれに国予算の制限が加わり、国予算の範囲内において国の交付条件および県が定めた配分基準に従って交付を実施すると改正され、さらに平成28年度には、国予算の制限が細かく規定をされ、国から県に交付などを行う額は担い手の新規集積農地面積に5万円掛ける10アールを乗じて算出する額となり、県はその範囲内で事業を実施すると改正されたところです。つまり、本年度は、国は都道府県に対して担い手への新規集積農地面積に応じて算出した額を交付することとされており、都道府県はその範囲内で事業を実施すべく、その交付額、交付要件および交付対象の選定方法を含んだ交付基準を定めた上で、再び国の承認を得るということになったと理解されます。  そこで、このような国の実施要綱の改正に当たり、県では交付条件をどのような考えのもとに立ち定められたのか、お伺いをいたします。 ○副議長(奥村芳正) 17番冨波義明議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎農政水産部長(高橋滝治郎) (登壇)農地中間管理事業の進捗状況と課題についての3点の御質問にお答えをいたします。  まず、1点目の農地中間管理事業の平成26年度から2カ年の事業実績についてですが、貸し付け申し出のあった農地と借り受け希望者を農地中間管理機構においてマッチングされた結果、平成26年度の貸し付け件数は303件、貸し付け面積は1,863ヘクタール、平成27年度の貸し付け件数は378件、貸し付け面積は1,749ヘクタールとなりました。このうち、担い手への新たな農地の集積となった面積は、平成26年度が110ヘクタール、平成27年度は495ヘクタールと、農地の集積が進みました。これは、集落営農組織の法人化を機に、機構から新たに農地を借り受けることにより、これまでの麦、大豆を中心とした経営から稲作部門も加えた経営へと拡大が進んだ結果などと考えております。  また、分散した農地の集約化も進みました。例えば彦根市本庄町では、担い手同士で利用権を交換することにより徹底的な集約化が図られ、連続して作付ができる圃場の平均面積が従前の3ヘクタールから5.8ヘクタールへと約2倍に拡大するなど、農地の団地化が図られ、担い手の生産性向上に寄与する取り組みにつながっております。
     2点目の農地中間管理機構の組織運営上の課題への認識とその対応についてですが、農地中間管理機構の事務は従来の農地の貸し借りの仕組みと異なり、公募して担い手へ農地を集積する仕組みとなったことから、貸し付け先のマッチング、契約交渉、農用地利用配分計画の作成等、その内容は多岐にわたっているところです。このため、現在、市町やJAに協力をいただきながら業務を進めておりますが、議員御指摘のとおり、事務量の多いことも課題であると認識をしております。  こうしたことから、農地中間管理機構では円滑な業務推進に向け、事業開始年度である平成26年度の14人体制から、3年目となる本年度は県内6カ所の地域窓口を中心に組織の充実を図り、20人体制とされたところです。  また、県としましては、機構の業務がより効率的に推進されるよう、事務作業の進め方の見直し、改善等、さまざまな面で指導や助言等の支援をしてまいりたいと考えております。  3点目の交付基準をどのような考えのもとで定めたのかについてですが、交付基準の策定に当たっては、事前に県内6カ所で開催した全市町、全JAとの意見交換の内容を反映し、次の3つの視点に基づき検討をしたところです。  1点目は、担い手への新たな農地の集積、集約に寄与する農業者や地域に予算を適切に交付できるよう基準を設定いたしました。例えば地域集積協力金では、地域内の新たな集積と集約面積の増加率が5%以上となる地域を交付対象といたしたところです。  2点目は、昨年度、個人に交付する経営転換協力金等はみずからが耕作を行っている農業者等のみに交付したことから、事業の継続性を考慮し、今年度も同様に、みずから耕作を行っている農業者等に交付をすることとしたところです。  3点目は、協力金の交付につきまして、新たな農地の集積に限らず、機構に農地を貸し付けた農業者や地域も広く交付の対象としたことです。例えば農地を集約するために、担い手同士で農地を交換する場合なども地域集積協力金の対象といたしました。  これらの考え方で策定した交付基準は、県として制度がわかりやすいチラシの作成や、各市町、JAで開催される説明会に参画するなど、市町等と連携しながら農業者への周知に努めているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。御丁寧に説明をいただきまして、大変よくわかりました。今回、私がこの質問をさせていただいたのは、実は農地の出し手である農家の皆様方から毎年のように変わる機構集積協力金の基準について御質問や御相談を受けたからでございます。  2013年の冬に決まりまして、そして14年からたちまち始まった。ちょっとわかりにくいなというふうにちゅうちょしたり迷ったりしているうちに、じゃ、次の年にやろうかと思ったらまた基準が変わった、その次の年にはまた変わったということで、ちょっと農家の方に、特に出し手の方に戸惑いがあったということがありましたので聞かせていただきました。  その理由が、機構の人員的なことも今お聞きをしまして、大変よくわかりました。ただいま農政水産部長から御回答いただきましたように、今年度の交付基準の作成に関しては、農業者の皆様方にとって近い存在であるJAや、あるいは市町の皆さんの意見をしっかりと聞かれて、耳を傾けられて事業の継続性の面ですとか、あるいは協力金をできるだけ広く、多くの皆様に交付できるようにというふうに配慮された、工夫されたということがわかりました。  この基準に基づく協力金については、今後も農業をやられる方に丁寧に説明をしていただくとともに、農業者の皆様方がこの協力金を上手に、うまく活用されて、担い手の農地集積、集約が進み、本県の農業が生産性の高い農業になりますことを期待して、この項の質問を終わらせていただきます。  次に、地方創生に係る交付金のあり方と地方分権についてお伺いします。  平成26年11月に成立いたしましたまち・ひと・しごと創生法では、国はまち・ひと・しごと創生総合戦略を定めることが規定されるとともに、地方自治体にも総合戦略策定の努力義務を課したものとなっており、国は平成27年度を地方版総合戦略の策定年度、平成28年度を具体的事業を本格的に推進する段階年度と位置づけ、地方創生を推進されているところです。  そして、全国の地方自治体が地方版総合戦略に示す方針を踏まえて、産業振興や移住、定住、少子化対策や新たな地域社会形成など、地方創生に係る施策を具体化するために、国ではこの財政的支援として、平成26年度、27年度は補正予算で地方創生に係る交付金を創設するとともに、平成28年度予算でも新型交付金が創設をされたところです。  ちなみに、平成26年度は地方創生先行型交付金の基礎交付分として約6億8,000万円、平成27年度は上乗せ交付分として約3億5,000万円、また地方創生加速化交付金として7億円余りが交付されたところです。そして、本年、平成28年度は国の当初予算で地方創生推進交付金が創設され、約1,000億円が盛り込まれています。  そこで、これら地方創生に係る交付金のあり方について、以下6点、全て知事にお伺いをいたします。  まず1点目に、地方版総合戦略の策定について、改めてその意義をお伺いいたします。  昨年2月に共同通信社が、安倍政権が掲げる地方創生に関する全国首長アンケート調査を実施されたところ、全国の首長99%から回答があり、これを日本総合研究所が分析したデータがございます。これによると、人口減に備え、国に見直しや拡充を要望したい項目、その1位は地方交付税の充実、2位は財源移譲、そして3位が地方創生に係る新型交付金だったそうです。中でも、地方創生に係る新型交付金については、補助金のようなひもつきでなく、自由度が高く、人口減対策に幅広く使える交付金を想定しておられ、自治体としても知恵の絞りどころと、大きな期待が寄せられたところでございます。  しかし、一方では慌ただしい中で平成27年度中の地方版総合戦略の策定が実質上義務づけられたことについては、約半数の首長のほうから戸惑いと反対の意見が寄せられたと仄聞しています。  その主な意見としては、自治体では従来から地域の実情に即した独自の総合計画を策定しており、改めて自治体側に既存の総合計画と重複する計画を立てさせることへの疑問、また国の枠をはめられた地域の実情に合わない計画づくりを強要されたことへの不満、さらには政府の施策方針と異なる事業の切り捨てや選定基準が十分に示されていないことへの戸惑いが挙げられています。  私はそもそも、このように重要な地方自治の総合戦略を国主導でわずかな期間に策定させるということ自体、いかがなものか、もう少し地域の実情を踏まえてじっくりと取り組むべきではなかったのかと感じています。このような観点から、本県が独自に策定している滋賀県基本構想と国主導で慌ただしく策定しなければならなかった人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略について、果たしてその整合性や統合性にそごは生じなかったのか、少なからず心配をしているところです。  そこでまず、滋賀県基本構想と滋賀県総合戦略との整合性、統合性について、知事の率直な所見をお伺いいたします。  2点目に、地域消費喚起・生活支援型交付金についてお伺いいたします。  平成26年度の補正予算に盛り込まれた地域住民生活緊急支援のための交付金のうち、いわゆる地域消費喚起・生活支援型交付金の使い道は、全国自治体で約97%が購入時に一定額を上乗せした分の買い物ができるというプレミアムつき商品券の発行事業でした。過去にも地域振興券や定額給付金などの消費喚起策が実施されましたが、定額給付金についてはその多くが貯蓄に回るなど、目立った消費刺激効果は見られなかったと仄聞しています。地域商品券や定額給付金などが支給という形であったのに対し、今回のプレミアムつき商品券による消費喚起策は、所得対策を伴った支給ではなく、消費者による購入が前提となっており、あくまで発行支援であった点で以前の事業とは決定的な違いがありました。  さらに、約2兆円規模の国費が投入された定額給付金対策に対して、今回は2,500億円と約8分の1の財政規模だったこともあり、当初から今回の地域消費喚起・生活支援型交付金による消費刺激は過去の策よりその経済効果が小さくなるのは明らかであることも指摘をされていました。  このような観点から、ほとんどの市町が実施されたプレミアムつき商品券事業については、ほんの一時的には地域の消費を喚起したのかもしれませんが、一過性の税金のばらまき事業だったのではないかとの批判も上がっているところです。  そこで、知事は各市町が取り組まれた本事業についてどのような効果があったと考えておられるのか、所見をお伺いいたします。  3点目に、平成28年度の新型交付金である地方創生推進交付金についてお伺いをいたします。  平成28年度に国の当初予算で1,000億円が盛り込まれ、創設された新型交付金である地方創生推進交付金は、まち・ひと・しごと創生法ではなく、地域再生法に位置づけられております。このことは、総合戦略とは別に地域再生法に基づく地域再生計画を新たに策定する必要があるということになりますが、総合戦略を準備してきた全国の自治体にとっては、まさに寝耳に水だったのではないでしょうか。地域再生計画を策定するならば、総合戦略を策定する必要性はどうだったのかと、つい考えてしまいます。  また、平成26年度の交付金は国の補正予算総額で約1,700億円が計上されましたが、平成28年度は全国知事会など地方自治体側がこの金額を上回る規模を要求されたにもかかわらず、当初予算でこれを大きく下回る1,000億円にとどまっています。加えて、平成26年度、27年度の国補正予算による地方創生関連事業の費用は全額国の負担であったのに対し、平成28年度予算の新型交付金を活用した事業費用は国と自治体の折半とされています。全額国負担でなく、国と自治体の折半となればその魅力も半減し、大胆な施策構築、事業推進にも大きな影響が出ることは必至だと考えられます。  政府は、地方創生はやる気のある自治体を支援する施策だと、知恵を出させ、汗をかかせて自治体間の競争をあおりましたが、その一方で十分な予算を確保しないのであれば、政府の本気度が疑われ、地方のやる気も失せるのではないでしょうか。  そこで、このような平成28年度の新型交付金の規模縮小化と事業費用の折半というダブルパンチを知事はどのように捉まえておられるのでしょうか、所見をお伺いいたします。  4点目に、地方創生応援税制についてお伺いいたします。  本年4月20日に一部改正され、施行された地域再生法では、地方税制応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税が創設されています。この制度は、地方創生を実現するためには、いわゆる産官学金労言を初め、各界各層の参画と協力のもとで進めていくことが必要であり、特に産業界、民間企業の役割が重要と位置づけ、これに基づき、民間企業から積極的に寄附を集めるため、平成28年度の税制改正において創設されたものと仄聞しています。  しかし、そもそも企業版ふるさと納税は、納税する企業側の恣意的な財源移転につながるのではないかとの意見や、公共サービスから得られる便益に応じて租税を負担するという地方税の応益課税の原則に反するのではないかとの指摘もあります。さらに、自治体と企業の関係のゆがみや癒着が生じたり、企業に評価される自治体づくりへの傾斜が起きてくるのではないかとの懸念もあります。企業に寄附する余剰資金があるのならば、法人税の引き下げなど行わず、きちんと法人税を納めていただき、その分、地方交付税を増額すればよいのではないでしょうか。  そこで、知事はこの地方創生応援税制をどのように捉まえられ、これをどのように進めていこうとされるのか、お伺いします。  5点目に、生涯活躍のまち構想についてお伺いします。  地方創生法では、地方創生の観点から、中高年が希望に応じて地方や町なかに移り住み、地域の住民や他世代と交流しながら、健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療、介護を受けることができるまちづくりを目指すことを目的として、生涯活躍のまち構想、いわゆる日本版CCRC構想も策定されています。  しかし、住み慣れた土地で暮らし続けたい、介護を受けたいという高齢者の希望にこたえることが政治の役割であるにもかかわらず、大都市圏で介護サービスが足りなくなるから高齢者を地方に移住させようという考え方自体に疑問を感じざるを得ません。  学生時代までは地方が育て、社会人となり都会で働き、都会に税金を納め、そして老後の医療、介護は地方で担えというのは、これこそ地方から人や金を吸い上げた一極集中のつけ回しであり、余りにも身勝手な発想ではないかとの指摘が上がっております。  そこで、知事はこの生涯活躍のまち構想をどのように捉まえられ、これをどのように進めていこうとされているのか、お伺いします。  最後、6点目に、地方創生に係る交付金全般の評価についてお伺いいたします。  国では、頑張る地方を応援するとのキャッチフレーズのもと、さまざまな交付金制度を創設され、地域の取り組みを国が審査するという形で進められてきましたが、そもそも地方創生の意義は、自治体がそれぞれの地域特性を生かすために知恵を絞り、工夫を凝らし、独創的で大胆な発想や施策を展開すること、そのことを国は尊重し、支援するというのが原点ではなかったでしょうか。私は、各自治体が頑張っているかどうかは国が評価するものではなく、そこに暮らす地域住民自身が評価するものだと考えています。  しかし、このような上から目線の発想で、国の意向に従えとばかりの制度や交付金で地方自治を操る姿勢そのものが地方分権に逆行するのではないかと感じられてなりません。号令をかけて計画をつくらせ、国の方針に従うものには金をつけてやるが、早く持ってこないと面倒見ないというのは、地方創生とは対極の考え方だ、これは鳥取県知事を務められたこともある片山善博元総務大臣の言葉ですが、まさに我が意を得たりと感じたところです。  もちろん国から交付金をいただくという制度ですから、お上に盾突けばもらえるものももらえなくなるという実情は十分に理解をしておりますが、第一線で汗を流して頑張る地方の職員の皆様にとってはじくじたる思いもあったのではないでしょうか。  そこで、知事自身は地方創生に関するこのようなさまざまな交付金制度をどのように評価し、どのように活用されようとされているのか、知事の率直な御意見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)冨波議員、どうぞよろしくお願いいたします。  地方創生に係る交付金のあり方と地方分権について6点御質問をいただきました。順次お答えさせていただきます。  1点目、基本構想と総合戦略の関係についてでございます。  昨年10月に策定いたしました人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略は、滋賀県基本構想の基本理念であります夢や希望に満ちた豊かさ実感・滋賀の実現を目指し、人口減少の視点から課題を深掘りするとともに、基本構想に掲げております重点政策を推進するためのエンジンとして位置づけているところです。  この総合戦略につきましては、人口減少に関連する施策を掲げている他の計画とも整合を図りながら、人口減少の観点から横串を刺す戦略となるよう策定をさせていただいたところでございます。  2点目、地域消費喚起・生活支援型交付金事業の効果についてでございます。  この交付金につきましては、県内市町に総額で約16億2,300万円が交付され、このうちプレミアムつき商品券には約13億4,800万円が充てられ、19の市町全てで実施されたところであります。商品券の発行に当たりまして、短い準備期間の中で商工関係団体など関係者に御苦労いただくことになりましたが、多くの市町で一定額を中小店舗での利用に限定されるなど、地域内での消費喚起に留意し実施されたと認識しております。こうした取り組みの結果、総額で59億4,500万円の商品券が発行され、99.7%に当たります59億2,800万円がそれぞれの地域内で利用されたということでございます。  利用実績に関し、市町からは中小店舗での利用割合が比較的高く、中小店舗での消費喚起に効果があったとする評価が報告されておりますほか、住民の皆様が地元店舗を利用するきっかけにつながったとの御報告を受けているところでございます。  こうした市町の評価から、プレミアムつき商品券事業につきましては地域内での消費喚起や地域外への消費の流出抑制、地元店舗の利用などに一定の効果があったものと考えております。  3点目、新型交付金の規模の縮小等に対する受けとめについてでございます。  議員御指摘のとおり、今年度創設された地方創生推進交付金は全国総額で1,000億円となっておりまして、平成26年度の地方創生先行型交付金の1,700億円という予算規模と比較しますと減額となっております。また、事業費の2分の1が地方負担とされたところでございますが、当該負担につきましては全額地方交付税措置がされることともなっております。  今後におきましては、地方創生の本格的な推進に向けて事業費の十分な規模を確保し、補助率の引き上げを行うなど、さらなる拡充が図られることが必要であると考えているところであります。  4点目、地方創生応援税制に対する認識についてでございますが、総合戦略の実現に向けた事業の実施に当たりましては、民間資金の新たな流れを巻き起こすことが必要であります。民間企業の皆さんが今回の仕組みの活用により、地域創生の取り組みへの理解を深めていただくとともに、寄附を通じて積極的に貢献いただくことを期待しています。  今後におきましては、制度の周知を図るとともに、滋賀ならではの魅力ある施策立案を行うことにより、企業の皆さんに御協力いただけるよう取り組んでまいりたいと存じます。  5点目、生涯活躍のまち構想についてでございます。  今回法制化された生涯活躍のまち形成事業の目指しますところは、都会の元気なシニアを呼び込むことだけでなく、シニアが多世代とともに健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて同じ地域で医療、介護を受けることができる地域づくりを進めることにあると理解をしています。こうした方向性は、地域の高齢者の暮らしのあり方を考える上でも大変参考となるものでございまして、この事業は地域の活性化や課題解決に向けた有効な手段の一つとなり得ると捉えております。  そこで、県では総合戦略に滋賀らしいCCRCの検討というものを位置づけさせていただいて、昨年度、庁内関係課で地域特性を踏まえた3つの累計別イメージを取りまとめたところでございます。今年度は、昨年度の成果をベースに市町を初め経済界や大学、まちづくりや福祉など、多様な分野で活躍されている皆さんとともに滋賀らしいCCRCの目指すべき方向性や実現可能性について検討していく予定であります。この検討を通して、市町や民間の取り組みが進むよう機運醸成を図ってまいる所存であります。  最後、6点目、交付金制度の評価と活用についてでございます。  これまでの上乗せ交付金や加速化交付金、そして今回の地方創生推進交付金におきましては、国が評価し、その評価に応じて交付額が決定される仕組みとなっております。また、地方創生推進交付金については、地方の意見を踏まえて交付決定前の事前着手、翌年度への繰り越しについて、当初は認められていなかったんですが、それが一定認められるという要件緩和がありましたものの、依然として申請事業数や交付金額に対する上限の設定でありますとか、交付事業を予算に計上済みのものに限定されることなどの制約が依然としてございます。  これらのことにつきましては、地方公共団体の自主的、主体的で先導的な取り組みを支援する交付金という、この交付金の趣旨に沿って、より自由度が高い制度に改善されるべきであると考えているところであります。  一方で、複数年度にわたる地域再生計画の作成を通じて、地方公共団体が安定的、かつ継続的に事業に取り組めることとされたことから、この仕組みを最大限活用し、中期を見据えた滋賀ならではの施策を展開していく必要があると認識しています。このような考えに立ち、今月予定されております第1回目の申請期日に向けて、具体の内容の最終的な検討を進めているところでございます。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  私のほうも6点について、言いたいことは質問の中で全て言わせていただいたんですけれども、先ほど共同通信社の首長アンケートのことをちょっと触れさせていただきました。やっぱり地方の首長さん、自治体の本音は、あんまりひもつきのものではなしに、きちっと十分な交付税をつけてくれ、あるいは財源を移譲してくれというのか本音じゃないかなというふうに思うんです。  そこで、首長さんのアンケートがこれだけ出ている以上、ひょっとしたら知事が出席されておられる全国知事会ですとか、あるいは関西広域連合の場でこのような制度への批判というか、御不満の声、そういうようなものは会議の中では上がっていなかったんでしょうか。  問6に関して再質問を知事にさせていただきます。 ◎知事(三日月大造) 今回の地方創生の推進交付金、これは法律の改正によって法律に位置づけられて、この交付金が措置されることになったという意味においては一定の前進であるという捉えがございました。  また同時に、まだ全国知事会は開かれていないんですけれども、関西広域連合等では、先ほど申し上げましたように、交付が決定されるまでにやっちゃだめだという、事前着手というものが認められていなかったり、9月に交付は決定されるんだけれども、今年度中に使いなさいよ、9月に決まったのに今年度中に使って繰り越しは認められないのかという、そういう課題がありまして、そういったこと等も関西広域連合の場で話題になりまして、これは早速改善に向けて要望を上げようということで要望を上げさせていただき、今般、直近で伺いまするに、こういった要件についてはもう我々の要望どおり認めることにしようということに改善されたと伺っておりますので、一定の意見集約があり、改善も行われています。  ただ、まだ事業数に上限があったり、対象事業については予算に計上してあるものに限るといったような制約もありますので、なおこういった地方公共団体の声を集めて、よりよい制度に改善していく必要があると思います。  来月、また全国知事会等も行われますので、こういった場でもしっかり地方公共団体の意見を集約できるようにしていきたいと思います。 ◆17番(冨波義明議員) (登壇)ありがとうございました。  これは国予算の中でも一部ですので、これによって地方自治が云々ということではないんですけれども、やっぱり一部であろうが地域の持つ独特のそういう事情、いわゆる地方自治に対してちょっと違う観点から私は切り込まれたのかなというふうな感じを持っております。  今後も滋賀県の地方自治、そして草の根自治を守るために、知事の一層の奮闘、滋賀の存在感を示していただくことを期待しまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(奥村芳正) 以上で、17番冨波義明議員の質問を終了いたします。  次に、33番西村久子議員の発言を許します。 ◆33番(西村久子議員) (登壇、拍手)私は、今期定例会議、4問全て分割で質問させていただきます。  長らく御無沙汰でございました一般質問ですので、うまく話せるかどうか非常に不安でございますけれども、温めてきた思いを訴えて誠意ある御答弁を求めたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず、地方創生─滋賀を元気にする交通施策について知事にお尋ねをさせていただきます。  地方創生花盛りで、いよいよ実践段階に入ってきました。お出会いした機会に三日月知事にはお話ししておりますので、御理解はいただいているものと思いますけれども、改めて提案し、ぜひ実現に向けて努力していただきたいと取り上げました。  人口減少局面に入ったとは言いながらも、滋賀県内においては今後も人口の伸び続ける地域が予測されております。そうして、現実的に人口の伸び続けることは間違いないでしょう。人々が住みたいと思える町、どんな条件が必要でしょうか。それらを満たせば新しい住人を引き寄せる魅力が生まれてくると思うのです。  昭和40年代後半、70万滋賀県民といった時代から、今では142万人、栗東町にトレセンができ、従前の栗東町民より多くの新住民で町が変わると大騒ぎの時代がありました。特に滋賀県の南部地域は一気に人口がふえました。滋賀県北部の人々が住所を移したり、また県外からも多くの人々が滋賀に移り住んでこられました。滋賀県南部はなぜそんなに住むにふさわしい条件を満たしていたのでしょうか。  まず、通勤に便利であったと思われます。勤務地へのアクセスが何よりもよかった。次に、家を建てるには比較的地価が安く、環境がいいこと、自然環境はもちろんのこと、生活環境も他県よりすぐれていたのだと思います。福祉施策も比較的充実しているのでしょう。大きな災害も少なく、安心して暮らせる地域として居住地に選ばれることは、何よりもうれしいことです。  こういったことを県の南部と北部と比較して、決定的な違いは交通アクセスにあると思うのです。昭和40年代より愛知川の河口部に開けた新海浜という自治体があり、人々は琵琶湖を1周して、こんなにすばらしいところがある、ここに住みたいと、今なおふえ続ける戸数のかたわらで、「しばらく左記へ転居します。また帰ってきます。」と張り紙。琵琶湖畔というすばらしい環境は離れがたいものがあるけれど、通勤、通学の不便は現実のものなのでしょう。滋賀県南部の通勤圏は京都、大阪、そこへは米原、彦根からも始発で通勤される方もあります。乗りかえしなくても目的地まで行けます。  一方、仕事場は京阪神だけではありません。滋賀県の隣接地には中京経済圏があります。名古屋に働いておられる方もおられるはずですが、通勤者は大阪方面に比べて格段に少なく、JR米原駅での乗りかえを余儀なくされています。名古屋−大阪の中間点はと考えると、米原、彦根以北では確実に名古屋のほうが近いのです。しかし、名古屋方面への通勤での大きな隔たりは、米原駅での乗りかえがあります。乗りかえすることなく目的地まで行けたなら、もっと多くの人が中京と滋賀を結んでくれることと思います。滋賀県での南部と北部の人口状況での決定的な差は、このJRでの直行便の有無にかかっていると思うのです。  名古屋方面に働く人々が、自然災害が少なく、琵琶湖を中心にした温暖な盆地、家を建てるには地価が比較的安く、教育環境や福祉施策もまずまず。それに、何よりも通勤に便利となれば、湖北、湖東に必然的に人は移り住むようになると思うのです。住むにふさわしい滋賀を県全域に拡大するには、ぜひとも中京方面への滋賀から乗りかえなしの鉄道便の確保が必要と考えます。  そこでまず、この提案に対する知事の所見、さらに実現することへの課題、全く可能性のないものなのか、お尋ねをしたい。元JR西日本職員であった三日月知事だからこその可能性にかけて提案するものです。阪神、中京の文化経済の結節点としての滋賀の新しい繁栄が開けるものと期待し、お尋ねをいたします。 ○副議長(奥村芳正) 33番西村久子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)西村議員、どうぞよろしくお願いいたします。  中京方面への滋賀から乗りかえなしの鉄道便の課題と可能性についてでございます。もうよくよく御案内のとおり、鉄道は多くの人々を安全に、早く、定時性を持って輸送できる、環境にも優しい交通手段であるとともに、沿線地域の潜在的価値を高める力を有しているすぐれた社会資本であり、議員御指摘のとおり、滋賀県はその地理的優位性と鉄道ネットワークの充実改善により、大きく発展してまいりました。  こうした中、平成3年9月には新快速電車が長浜駅まで延伸されたことで、これまでの米原駅での乗りかえが解消され、直接京阪神と結びつくことにより、湖北地域が京阪神の通勤圏に入ったことからも、中京方面への直通便の必要性については西村議員の御意見に私も大いに共感するところであります。  御提案の米原での乗りかえなしでの名古屋方面への直通便の実現の課題につきましては、この区間の旅客需要が少ないこともございますが、米原駅はJR東海とJR西日本との境界駅でありまして、ここを境にして鉄道路線の輸送体系が異なることが最も大きな課題であると認識しております。彦根から名古屋駅間は距離約86キロでございまして、近江八幡から大阪駅間の距離にほぼ相当しますことから、名古屋方面への直通便や新快速電車の設定等により、中京圏が通勤圏に入ってくることの可能性があるものと私も考えます。  しかし、その実現に向けては、今後、リニア中央新幹線の名古屋開業により、この区間での鉄道旅客需要が高まることを展望し、県議会や関係市町の皆さんと連携協力して、JR東海、JR西日本に対して粘り強く要望活動等を行い、その必要性を強く訴え、簡単ではございませんが、そうした課題を乗り越えてまいりたいと考えております。 ◆33番(西村久子議員) (登壇)共感はいただいたということで、要望は続ける、本当にできるかな、してほしい、そのように思います。だって、考えてみてください。つい先日、県民所得、国民所得が表になって新聞報道されてございました。1番、2番、3番、4番目、滋賀県です。東京、愛知、それから静岡、そして滋賀なんです。我々が今まで経済圏と思っていた、頼りにしていた京、大阪、13、14で続いているわけなんです。名古屋にはそれだけの活力があります。そういったところと行き来するということは、やはり収入が、もしこちらに住んでいただいたら、当然、滋賀県に入ってくるわけですし、いろんな効果を考えると、これはどうしても実現すべきだなと思うんです。  そこで、知事にお尋ねしたいんです。この春まで大垣行きが何本かありました。夕方遅くでもあった。あ、大垣行きというのがあるんやと思って利用させてもいただきました。ところが、今、何にもなくなりました。JR西日本、東日本、経営体が変わりました。だからそこで、じゃ、方針が変わった、今まであったものが変わった、それであったら、今あるものも変えることができるんでないかなと思うんですけれども、そこは元職員としてどうですか。それは全然だめですか。可能性としてあるのなら、知事に頑張っていただきたい。知事の今までの経験の中から、そういった方針変えがこれからもできる可能性があるのなら、ぜひともこの案件は粘り強く申し入れをしていただいて、実現するように御努力いただきたいと思います。
    ◎知事(三日月大造) 可能性はあると思います。可能性はあるんですが、国鉄改革、JR分割民営化の、大きな効果もたくさんありましたが、私は1つの弊害がこういったところにも出ているんだと思います。  今回、ダイヤ改正の前にいろいろと伺いますと、会社が変わり、分かれたことによって、いろんな安全対策等に違いが出てきて、片方が持っている車両を片方のエリアに入れていくことに対するいろんなそごが生じ始めてきているのでという理由も説明されたようでございますが、それを上回るだけの、例えば旅客流動、お客様がこれだけ移動されます、需要がありますといったことの証明を、例えば滋賀県だけではなくて、岐阜県、愛知県と一緒に行うことでありますとか、この間、どちらかというと南部を中心に京阪神に向きがちであり、JR西日本と非常に強い結びつきがございましたが、JR東海という会社との結びつきが若干持てていなかった、そういったことを改めることによって、私は、非常にハードルは高うございますが、可能性はあると思っておりますので、引き続きいろんな地域の方々と連携して、これは私だけではなくて、むしろ議会議員の皆様を含めて市町とも連携しながら取り組みをつくって進めてまいりたいと存じます。 ◆33番(西村久子議員) (登壇)これを思いついたのは、湖西線の強風対策の防風ネットを設置する、嘉田知事の折に連綿と続けてきた要望が、何回も何回も挫折しながらここまで進んだ。ところが、7月に知事が就任されて、あっという間、9月には延伸しますよということが決定されました。年度内には完了したというすばらしい実績、それを買って、ぜひとも、これは三日月知事でないとできないことだと思って要望させていただいております。  需要を提示しなきゃならないということですけれども、不便だから需要が少なかったのであって、どっちが先かということになります。あとは知事の手腕に期待申し上げて、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  次の質問に入ります。女性職員活躍推進について、総務部長にお尋ねをさせていただきます。  国政策である一億総活躍社会の実現を目指し、まず女性活躍推進が大きく取り上げられています。女性活躍推進法が4月より施行され、それぞれの事業主において行動計画が策定され、現状分析の上に数値目標が設定されました。まずは一般事業者のお手本的存在である滋賀県庁において、その現状と課題につきお尋ねをいたします。  さらに、それらに対する今後目指すべき数値目標と取り組みについてお示しください。  男性も女性も、老若にかかわらず生き生きと輝いて社会に貢献できる社会づくりは、今の時代、当然求められるべきものであります。我々女性にとって、長い間手を伸ばせば届くものであるはずなのに、一歩引いた姿勢の常識がなかなか乗り越えられない現実が続いてきました。  昨年、思いもかけずに滋賀県議会初の女性議長を誕生させていただいて、多くの女性職員の方々より、希望が持てたと、微力な私にその存在だけで喜びを伝えていただきました。正直、女性がという覆い被さるような威圧感はしんどいものがありました。そんな時代ではないと何度も言い聞かせても、余りにも知らない現実が多過ぎました。考えるに、人に交わっている、社会参加していると思ってはいても、生まれてから今日まで、男性に比べて知る機会は限られていたと思っています。  県庁職員さんの中でも女性の管理職への登用は進められてきてはおりますものの、まだまだ少ない状況です。この雛壇にお並びの中でも歴然としておりますが、本年より女性が1名お並びいただきましたし、前列には別格池永副知事がお座りいただいていることはまばゆさも感じ、実力を認められた女性の登用をうれしく思います。  今後、女性の登用を進めていただくためにも、実力を上げてこなければなりません。今、学歴までは全くの平等になりました。とすると、社会に出てから男性と女性、実力はどこで差がつくのでしょうか。管理職を目指す、目指さない、人それぞれの考え方があって、強制されるべきものではありませんが、挑戦する姿勢にちゅうちょするのは、どんな状況かわからないことに恐れがあるのだと思います。  例えば、この議会に関連の各常任委員会において、説明の仕方、あるいは事前通告なしに飛び出す議員の質問に、的確に内容を把握し答弁することの難しさ、大変な重圧であろうと思います。それができて当然視される県庁職員さんではありますが、あの緊張を知る職員の数はごくわずか、まして課長でない担当職員がその場に居合わせる機会はほとんどありません。若手男性職員でさえ少ない中で、女性職員が居合わせることはさらに少ない状況が続いてきました。  委員会の場については、これまでからの経緯で多くの職員が入室できないのは理解しておりますが、日ごろの職務の中で、議会以外でも審議会や県民に対する説明会など、このような場があると思います。こうした場合の雰囲気を知り、人の話を聞き、わかりやすい説明の仕方など、その場に居合わせて体験することが大きな勉強になると思うのです。管理職になるビジョンを描けるような経験を積ませることは、県政経営者の責務ではないでしょうか。  人は場を得て成長していきます。管理職に必要な能力の養成や不安の解消を図るための取り組みがぜひ必要であると考えます。小さいときから女性という漠然とした社会の枠の中に閉じ込められてきたと思い込んでいる私の経験から、人の体験されることは自分も参加してみる、まずは雰囲気を知るということが大きな学びの機会でもあり、意欲も湧き、自信にもつながります。ぜひ意欲ある職員さんに体験していただくことを要望するものですが、総務部長のお考えはいかがでしょうか。  私もできるかもと密かに思われる女性職員さんはきっといらっしゃることと思います。もちろん男性職員さんも含めてですが、県民サービスがおろそかにならない配慮をしながら、実体験の場を与えていただけることをお願いして、質問させていただきます。 ◎総務部長(日爪泰則) (登壇)女性活躍推進についての3点の御質問にお答えをいたします。  滋賀県庁では女性活躍推進法の施行に先駆けまして、昨年3月に女性職員の活躍推進のための取り組み方針を策定し、取り組みを進めてまいりました。その後、本年4月に法律が施行されることとなったことから、ことし3月にこの方針を改定いたしまして、内容の充実を図った上で特定事業主行動計画として位置づけをしたところでございます。  まず、1点目の滋賀県庁における現状と課題についてでございますが、採用試験受験者に占めます女性の割合については、平成27年度で25.4%、これは近畿府県に比べて低く、女性の受験者をふやすための取り組みが必要であること。管理職への登用につきましては、参事級以上の管理職に占める女性の割合が平成28年4月1日現在で6.9%ということになっておりまして、より積極的な登用が必要であること。また、平成26年度に実施いたしましたアンケート結果によりますと、将来、管理職として活躍を希望する割合が、男性の56.4%に対しまして女性は24.3%と低く、若いうちからの多様な業務の経験を積むなどして、管理職を目指す動機づけが必要であること。  また、職場環境面では、女性職員の勤続勤務年数が男性職員と比べましてやや短く、女性が活躍できていないと思う理由として、育児や介護の時間的制約を挙げる者が多く、誰もが活躍できる職場づくりとあわせまして、時間外勤務の縮減や年次有給休暇の取得促進等の働き方の改革が必要であるというふうに考えてございます。  次に、2点目の今後目指すべき数値目標と取り組みについてでございます。本県の特定事業主行動計画では、平成30年度を目標年度といたしまして課題の解決に向けて取り組むこととしてございます。  まず、女性職員の採用につきましては、採用試験の受験者に占めます女性の割合が30%以上となることを目標に掲げまして、大学等において本県の女性職員の活躍をPRする取り組みとか、インターンシップの充実などを進めてまいります。  また、女性職員の育成、登用に関しましては、参事級以上に占める女性職員の割合は平成30年度に8%以上に、また、係長に占める女性職員の割合は15%以上にといった内容の目標を掲げてございます。これらの目標達成に向けまして、若いうちから本庁での企画立案とか、中央省庁との折衝等、幅広い業務を経験するなど、中長期的な視点での人材育成につながる人事配置を進めますとともに、係の責任者として組織マネジメントの経験ができます係長への登用を積極的に行ってまいります。  あわせまして、係長級の女性職員を対象といたしましたキャリアアップ研修や、課長補佐級以上の女性職員を対象といたしました女性職員リーダー交流研修を昨年度から実施いたしておりますが、これらを通しまして、女性職員が管理職を目指す動機づけにも心を配ってまいりたいと考えてございます。  また、誰もが働きやすい職場環境を目指しまして、昨年度よりイクボス宣言に基づく取り組みも進めておりまして、さらに今年度からは、働き方改革に向けた取り組みを全庁的に進めているところでございます。  次に、3点目の意欲ある職員に学びの機会を体験させることについてでございますが、管理職には問題の本質を捉え、適時適切に対応する判断力、また実行力を初め、組織をまとめるリーダーシップ、また組織の方針をわかりやすく相手に伝え、理解を得る折衝・調整力などの能力が求められてございます。  こうした能力は、若いときから計画的にキャリアを積む、言いかえますと、場を踏まなければ身につかないと考えてございます。そういう意味から、議員御指摘のとおり、審議会や県民に対する説明会などの場に、女性、男性にもかかわらず若い職員を臨場させまして、さらに出席されている皆様方にわかりやすく説明する機会を積極的に与えることは、職員の成長に大変効果があると認識をしております。  加えまして、女性や若手の職員を係長に積極的に登用しましてマネジメントの経験を積ませることは、管理職に必要な判断力、実行力や統率力などが身につきまして、将来、管理職につくことへの不安も解消していくものと考えてございます。  本県では、期待する、機会を与える、気づきを支援するの3つの「き」を大切にしながら、実務を通じて成長を促すOJTを人材育成の柱に据えて取り組んでいるところでございます。  今後とも、職員にさまざまな実体験の場を積極的に与えることに意を用いまして、管理職となる職員の養成に努めてまいりたいと考えております。 ◆33番(西村久子議員) (登壇)今、この質問は池永副知事に聞くべきだったなと、ちょっと反省いたしております。女だからといってそんなに甘えるんじゃないよというような指摘が来そうで、そしてまた、後ろの席からは、男も同じやでというような声がかかりました。本当にそうだと思うんですね。  でも、総務部長に1つだけお尋ねをさせていただきたいと思います。係長までという、その数値目標を示していただいて、ここの登用を頑張りますよというお話でした。係長になった人は常任委員会に出られるんですか。それを後でお答えをいただきたいと思います。  常任委員会に前もたくさんの方が来られた。そしたら議員の中から、「何や、こんなぎょうさん出てきて。県民サービスをおろそかにするな、帰れ」というような話も出ていましたけれども、やっぱりあそこはすごい勉強の場だと思うんです。男性職員さんも同じだと思います。何を質問されるか全くわからない状況の中で、その前の晩はきっと課内の一番課題となるようなことを念入りに、入念に、今までのことから将来のこと、チェックを入れて勉強してきていただいた。本当に質問が出なければ申しわけなかったなと思うんですけれども、でも、そういったことを積み重ねることが県政の課題に対する前向きな姿勢、それにとっても大事なことだと、貢献度が高いと思うんです。そういう機会を踏むということは非常に大事なこと。だから、一定のルールがあって、多分そこはそういった人は出られないんだと思いますけれども、改めるにはばかるなかれですので、その辺でもう一遍思案してみようやというところへお考えが寄せていただけたらありがたいと思うんですが、いかがでしょうか。 ◎総務部長(日爪泰則) 再質問にお答えいたします。  議員からは、係長になったら常任委員会に出られるのかというお話でございます。常任委員会の説明員なり、あるいはそれに参加といいますか、出席いたしますことにつきましては、当然、委員会の運営に係りますことでございますので、議員の御指摘といいますか、御意見、おっしゃることも理解はできますが、また議会の皆様と御協議をさせていただいて、よりよい方法があればまた御教示いただければと思います。 ◆33番(西村久子議員) (登壇)ということでございますので、議員の皆さん、また御協力をお願いしたいと思います。  次の問題に移らせていただきます。3世代同居、近居がしやすい環境づくりをまず滋賀から、知事ならびに健康医療福祉部長にお尋ねをさせていただきます。  「保育園落ちた、日本死ね」、何てことでしょう。これ、お母さんの発する言葉でしょうか。匿名ブログが大きな反響を呼んだ待機児童問題、働く子持ち世帯にとってはきわめて大きな問題です。政府は、急場しのぎに保育枠の緩和を打ち出しました。大都会に高層マンションが建つ、若い世代の暮らしに便利な都心部に一気に子供がふえる、保育所を新たに建設しようにも、土地はない、保育士は足りない、保育枠の緩和策も焼け石に水の様相。待機児童は都心部に集中していると推測しますが、滋賀県での状況はどうなのか、まず健康医療福祉部長にお聞きします。  学校では、生徒数が減って空き教室がどんどんふえる、この人口減少社会、子供の数がふえなくて困っているのに、保育所のみが不足しているのです。こんな矛盾が起きるのは、低年齢児、ゼロ歳から2歳児の入所希望が多いからです。保育所は保育に欠ける者を大前提として入所を許可します。核家族、共働き、必然的にそうならざるを得ないのでしょう。子育ては夫婦でするものとは言っても、母子の関係は第一義、せめて乳児の間は母乳で育てるのが自然の摂理というものだと思っています。  お腹の中で聞きなれた母の心音、そして生まれて後は母の胸で聞くお母さんの心音で、赤ちゃんは安心して眠ることができるのだと聞いてきました。お母さんの腕の中でしっかりと抱きとめて、母子ともに情緒の安定を図る、この期間こそがその人格形成に大きな影響を与えることは周知のことであります。  暮らしの形態がほとんど変わり、3世代同居の家は珍しい存在となりました。核家族になったところで赤ちゃんが生まれ、母子ともに不安の中で子育てをする間にいろいろな事件を生み出しているのも社会的な大きな課題であります。  三つ子の魂百までのとおり、満2歳までの乳幼児期に、一人一人にしっかり向き合って育てなければならない大切な時期、やむなしとはいえ、みなし化された保育園において本当につきっきりのケアができるのか、疑問を感じます。  状況は保育だけに限らず、介護においても同じことが言えると思います。日本の家族制度のよさを再度問い返し、この際、2世代、また3世代同居、あるいは近居を進める政策に手をつけてはと思います。  政府は、女性がキャリアを大切にし、仕事と子育て、家庭を両立させるためにも、3世代同居、近居しやすい環境づくりを提案しております。まず滋賀から具体的な取り組みを検討されてはと考えます。  何度も申し上げるようですが、子供を育てるのは、まず親を初めとする家庭から愛情をいっぱいに注ぐこと、社会での子育てはその次であると思います。古い考えかもしれませんし、非難を受けるやもしれませんが、ひいては年老いた両親が介護の必要になったとき、人の心をつなぎとめてくれるのは今日までの心を込めたつながりであると思います。  保育園で大きくしてもらったと言わしめるような子育てはあってはならないと考えますし、手がかかるから施設でお世話をという老後も非常に寂しいものを感じます。これらは極端な例ではありますが、まずはできるところから、この3世代同居、近居の支援を実施されたいと提案します。  知事の見解を求めるとともに、今後の取り組みの方向性についてお尋ねをいたします。 ◎知事(三日月大造) 3世代、今では4世代もあるかもしれませんが、多世代が同居、近居しやすい環境づくりについてお答えをいたします。  内閣府が平成25年に行われた家族と地域における子育てに関する意識調査というものがございますが、これによりますと、約8割の人が、子供が小学校に入学するまでの間、祖父母が育児や家事の手助けをしてくれることが望ましいと回答されている。また、約3割の人が祖父母との近居、近くに住まいすること、また約2割の人が祖父母との同居を理想と回答もされておられるということでございます。  一方、核家族化の進展がございますし、経済の変動に伴う保護者の就労状況の変化などにより、必ずしもこうした理想どおりの状況になりにくい実態もございます。こうした中、保育ニーズは高まり、また家庭における子育てニーズも多様化してきております。  県といたしましては、教育や保育の提供を希望する人がそのニーズに応じた施設を利用できるよう、また家庭での子育てを希望する方が地域子育て支援拠点や一時預かりなどの多様な施策の中からニーズに応じて選択できるよう、施設整備や施策の充実に努めているところでございます。  今後、国の動向もございますし、保育、子育てのニーズも動きますので、それへの対応を踏まえまして、3世代同居、または近居を望む方がその思いを実現できるよう、市や町などと意見交換をしながら、御意見を聞きながら考えてまいりたいと存じます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)待機児童の滋賀県での状況でございます。本年4月1日現在の県内の保育所、認定こども園の待機児童数は339人でございまして、前年度の346人と比べ若干下回りました。このことは、就学前児童数が前年に比べ約600人減少した中、施設整備等により保育所や認定こども園の利用児童数が約1,200人増加したものの、潜在的な保育ニーズが顕在化してきたこと等によりまして、待機児童の大幅な減少には至らなかったものと考えております。  また、市町別に見ますと、3つの市において国が緊急対策の対象としております50人以上の待機児童が生じておりまして、県全体では依然10の市町で待機児童が生じております。  こうした中、議員御指摘の都市部における待機児童の状況につきましては、保育ニーズは高いものの、各市町の状況に応じた施設整備等の対応によりまして、本年度当初は大津市や草津市で待機児童がゼロとなっておりまして、必ずしも都市部に待機児童が集中している状況ではないと認識をいたしております。 ◆33番(西村久子議員) (登壇)待機児童の状況は質問を書いた後に新聞報道がありましたので、申しわけなかったと思っております。でも、言っていただくように偏在がありまして、彦根なんかはだめですよね。八幡もだめでした。東近江もだめでしたということ。何でそういうところに足りないのかと思うのは、私はやっぱり今まで比較的大都会でなくて田舎田舎してきた、そういう地域の中で、本当は何世代も集まった中で暮らしていた、そういう状況の中から、もちろん時代は核家族化になってきました。女の人が働く時代になった。さあ、働きに出ましょうで、それが一気に必要になってきたんだと思う、そういう土地的なバックがあったんだと思います。  そういうことを思いながらですけれども、ここは知事に1つお伺いしたいんですけれども、三つ子の魂百までという言葉があります。これはしつけの面で言われる言葉なんですけれども、子育てに対する愛情のかけ方、母と子、父と子、前に京大総長で霊長のマウンテンゴリラの研究をされていた山極先生の話を聞いたことがあるんですけれども、知事も多分御存じだと思います。愛情をかけて育てる、愛情をかけたそのつなぎがぴたっと一体となったところに親子のきずなというものがしっかり結ばれて、間違いのない人生、猿ですから人生とは言わないんだけれども、そういったものが育まれるんだというような話の内容であったと思います。  そういうことを思いますと、そこの大切な時期、3歳までのその時期にがっしりと結ぶ、その部分、それを信じられますか、どうですか。そこだけお答えいただきたい。 ◎知事(三日月大造) 私の母の世代の西村先生からそういうお話を承りまして、私も今伺いながらずっと考えておりましたが、親から子へ、とりわけ生まれたとき、生まれた直後の愛情というものは、私は大事だと思っています。ただ、その愛情のかけ方というのは人それぞれですし、その親と子の関係それぞれだと思いますので、いずれにしてもいろんな人の愛が、とりわけ親の愛が子供たちに注がれるような環境を行政として、社会として整備していくことが必要だというふうに考えております。 ◆33番(西村久子議員) (登壇)いろんな子育てがあるとしながらも、そういうことは大切だということをお認めいただいたということで、ほっといたしました。  ということを前提にしてですけれども、じゃ、その近居というものを考えた折に、どうしたらいい、何かの支援というとお金を出すことばかり思っているけれども、そうじゃないんですよ、例えば彦根なら彦根、みんな働きに出たけれども、自分ところの近くで、じゃ、親がいる、じいちゃん、ばあちゃんがいる、核家族が町の中へ出てきて暮らしかけた。一緒に暮らしたくても、その実家の近くに家を建てることもできない、そういう状況が往々にしてあるわけなんです。近居するにふさわしいやだちを求める土地が、土地利用の規制によってどうにも動かない、そういう状況がある、そういうことも考え合わせて、やっぱり一定のルールはあるわけなんですから、規則の上ではできないことだけれども、県政のかじ取り役としてこういうことも必要だよという思いで、これは要望としておきます。ぜひともお考えいただきたいと思います。  最後の質問に入ります。児童相談所の職員体制について、健康医療福祉部長にお尋ねをいたします。  待望の児童相談所増設が実現しました。これはもろもろの相談業務の多いこと、また地域的な偏在を是正する意味において、早期実現が待ち望まれてきたものであります。年々ふえ続ける児童虐待、DV等々、どれも命にかかわる、それも緊急な対応を要する案件ばかり、非常に大切な業務を担当する職場であることは承知していますが、事の判断次第によっては、救えた命を何していたと、厳しい批判にさらされることになります。人命にかかわる苛酷なストレス、ふえ続ける困難な相談件数、こたえたい重圧感から体のリズムを崩し、働く意欲を失って、心ならずも職場を去っていく人はまれではございません。  こうした状況は全国的な傾向であり、この職場は慢性的な人員不足が続いて、滋賀県においても例外ではなく、児童福祉司の採用募集が追加され、人手不足の過酷な状況を仄聞するに、新しく児童相談施設が増設されはしたもののと心配が重なります。前年度までと新しく開所したものも含めて、まず滋賀県における児童相談所の現状や課題をお尋ねします。  不足する児童福祉司の退職に歯どめがかからず、応募する人が極端に少ない状況は、よほど仕事が敬遠される過酷な状況と考えます。しかし、ないから仕方がないでは済まされない、命にかかわる、声を上げられない人々がおられることから、放置することはできません。さりとて、現にその持ち場で奮闘いただく職員の健康も限界を考えるとき、口先ばかりでないワーク・ライフ・バランスの徹底した取り組みが求められます。  インターネットで検索した児童福祉司1人当たりの虐待などの担当件数は驚異的なもので、きょうは無事か、その確認だけで手いっぱいと記されていました。虐待への対応は迅速さや関係機関との連携を求められるため、専門家の間では1人当たりの担当件数は20件程度が望ましいとされていますが、滋賀県においての状況はいかがでしょうか。  現実に不足の状況を受けて、その担当者をふやさなければなりませんが、任用に当たってどのような条件が必要なのでしょうか。不足の児童福祉司はどうすればその資格を取得することができますか。仕事にゆとりがなければ丁寧な対応や判断が困難になり、その担当者自身も健康を損なうことになります。なぜ足りなくなったのかの解決も必要であります。原因はどこにあるのでしょう。  これはある児相の例ですが、全国的に同様と言われています。月曜の朝、児童相談所に出勤したばかりの女性職員は、10分おきに鳴る電話の対応に追われた。相手先は学校、保育所、役所、担当する家庭。机には日曜に受けた虐待通報のメモ2枚が引き継ぎとして置かれていた。「今から職権保護に行きます」。突然、上司の声が響いた。乳幼児2人がパチンコ店の駐車場の車に置き去りにされているとの通報が入ったのだ。立ち上がった瞬間、次の電話がまた鳴った。ああ、もう出かけるのに。  職員1人当たりの虐待担当数が平均90件に上るこの児相に、女性職員が昨春配属された。勤める自治体の事務系職場からの定期異動で、希望したわけではなかった。着任から1カ月ほどで夜眠れなくなり、自分が受け持った子供の顔が浮かぶようになった。ある夜は面談した少女の顔、母親から家事を押しつけられ、うまくできないと、食事を与えられない虐待を受けていた。なぜこんな目に、どんな対応がよいのか、考え出すととまらない。同じ時期に異動してきた男性職員も眠れなくなり、3カ月で体重が7キロ減った。机の引き出しに並んだ児童記録のファイルを眺めながら、きょうは無事かとため息をついた。  1つの判断ミスが子供の死につながるストレス、通報等で雪だるま式にふえる仕事量、ゆとりがあるとは言えない環境で体のリズムを崩し、働く意欲を失っていく職員たちをバーンアウト、いわゆる燃えつきと呼び、約4割が経験しているという。夫からの暴力や望まぬ妊娠、薬物依存、貧困など、虐待の起きる背景はさまざまだ。複雑な事情を抱える家庭に介入し、危険性の判断や具体的な支援策を身につけるには最低5年の経験が必要と言われている。慢性的な人手不足に加え、職員がバーンアウトで次々と職場を去り、ベテランが育たない、そんな悪循環が全国の児相で起きている。  これらの引用文から、現実がほぼ理解いただけたことと思います。滋賀だけ特別ではないでしょう。私自身もここまでとは思っていませんでした。崇高な精神で頑張っていただくと尊敬しながらも、事件に発展するたびに、なぜ情報を得ていながらもう一歩踏み込めなかったのかと考えることもありました。足りない児童福祉司を充足するためにいろいろの提案を模索しましたが、この引用文で期待の持てないことがわかりました。それでも何かを講じなければの思いで提案したいと思います。  今回の追加募集では年齢制限がかかっていました。35歳です。極端に不足している職場において、この年齢制限が必要なのでしょうか。その職場でキャリアを積んできた方が何らかの理由で退職されているとしたら、年齢にかかわらず、再雇用の道はいかがでしょうか。育児が終わった女性であるなら、1度中断した仕事も継続されるとするなら、キャリア継続で今の女性の持てる力を存分に発揮するにふさわしいとお感じになりませんか。また、定年退職された方に対しても、この児童福祉司に対しては再任用もあっていいのではないでしょうか。特例として踏み込んだ対策が望まれます。  また、一般職から配属された職員さん、いわゆるその分野で初心者さんに徹底したサポート研修をし、責任を1人に任せない、ゆとりを持った職員数を配置することはいかがでしょうか。一般的には人員削減が叫ばれるところですが、この部署ではむしろ適正配置にするために、まずは加配する必要があると考えるのです。現実の厳しさをこれ以上放置することはできません。検討を願って、当局の所見を求めます。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) 児童相談所の職員体制に関する6点の御質問にお答えをいたします。  1点目の、県における児童相談所の現状や課題についてでございますが、子ども家庭相談センターにおける児童虐待相談件数につきましては、平成21年度の745件から、平成26年度は1,685件と2倍以上増加しております。こうした状況に対し、迅速かつ適切に対応するための体制整備とそのための人材確保が課題と考えており、本年4月より中央子ども家庭相談センターの管轄区域を分割し、大津・高島子ども家庭相談センターを設置し、子ども家庭相談の体制強化を図ったところでございます。  また、緊急かつ重篤な児童虐待ケースへの対応に当たって、児童福祉司など専門職は子供の命を守るため日々重責を担いながら支援に当たっております。しかしながら、議員が質問で触れていただきました全国的な傾向と同様に、本県におきましても児童福祉司等の専門職の退職に伴う欠員が生じております。これにつきましては喫緊の課題と認識をいたしておりまして、現在、職員の追加募集を行っております。  2点目の県における児童福祉司の虐待相談対応件数の状況についてでございます。  県における平成26年度の児童虐待相談件数、先ほど申しましたように1,685件でございます。両子ども家庭相談センターの児童福祉司33名が対応いたしました件数は1人当たり平均約50件でありますが、今年度から児童虐待の疑いのある全ての事案について警察署から子ども家庭相談センターへ通告されるという扱いとなりましたことなどから、対応すべき件数はさらに増加することが見込まれます。  3点目の児童福祉司の任用の条件および資格取得についてでございます。  児童福祉司はいわゆる国家資格ではなく、児童福祉法第13条第2項に規定をする項目のいずれかに該当する者を任用することとされております。具体的には、大学において心理学、教育学、社会学のいずれかの学科を卒業した上で、児童相談所や児童養護施設などで1年以上の相談、援助業務に従事した者、または医師、社会福祉士、あるいは社会福祉主事として2年以上児童福祉事業に従事した者などがその要件となってございます。  4点目の児童福祉司が欠員となった原因についてでありますが、職員の採用につきましては退職予定者や定数増などを考慮いたしまして計画的に採用を行っているところでございますが、現在、4名の専門職の欠員が生じております。早急に追加募集を行い、人材確保に努めているところでございます。  この欠員となった原因といたしましては、児童福祉司は休日や夜間など、通常の勤務時間以外においても虐待事案や緊急一時保護などへ対応する必要があることなど、心理的、身体的な負担を抱えながら業務に当たることが多く、体調不良を引き起し退職に至ったことなどがございます。  5点目の児童福祉司の再雇用や再任用についてでございます。  議員御指摘のとおり、人材確保は大変大事な課題として認識をいたしております。児童福祉司は、さきに申し上げた任用の要件のみならず、幅広い経験や識見も必要であるということから、今後、年齢要件の緩和や再任用など、職員採用のあり方について関係部局と協議をしながら検討をしてまいりたいと考えております。  6点目の新たに児童福祉司となった職員に対するサポートと職員の配置についてでございます。  新たに児童福祉司となった職員に対しましては、基礎研修や面接技術の演習などを体系的に実施し、児童虐待に関する基礎知識の習得や現場における対応力の向上のための取り組みを行っているところでございます。  また、各子ども家庭相談センターにおきましては、児童や家庭の支援の方針を所内の会議で決定し、共有するほか、経験豊かな職員が同行して児童や保護者の支援に当たるなどのサポート体制をとり、決して職員1人に責任を負わすことのないよう努めているところでございます。  しかしながら、近年、児童虐待相談の件数が増加し、その内容も深刻化する中、子ども家庭相談センターはさらに高度な知識と技術が求められる状況にございますことから、チームで対応する体制づくりが必要であると考えておりまして、そのための増員も含めた職員の配置数について、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆33番(西村久子議員) (登壇)ありがとうございます。  いろんなところでいろんな事件が報道されるたびに、情報はそこまで届いていたのにというような後悔を何度も経験してきました。県内においても、死亡した事例も既にございます。そういったことを考えると、職員さんの過酷な状況をこのまま放置するわけにもいきませんし、手をこまねいて見ているわけにもいきません。検討するとおっしゃっていただくのなら、早急な改善策を講じていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(奥村芳正) 以上で、33番西村久子議員の質問を終了いたします。  最後に、43番柴田智恵美議員の発言を許します。 ◆43番(柴田智恵美議員) (登壇、拍手)2日目、最後の質問となりました。1件のみですので、しばらく御協力をお願いいたしたいと思います。  それでは、通告に従いまして、森林における太陽光発電の設置について質問をさせていただきます。  本県では、本年3月にしがエネルギービジョンを策定し、エネルギーを減らす、創る、賢く使う、そしてこれら3つの取り組みを支えるとの4つの基本方針を掲げ、現在、それに基づき各種の取り組みが進められようとしているところであります。  このうち、創る取り組み、つまり再生可能エネルギーについてですが、今後とも導入促進に向けた取り組みをより一層進めていくことが求められますが、平成24年7月からの固定価格買取制度の開始以降、これまでの間、県内でも太陽光発電設備の設置が進み、平成28年1月末現在では平成23年度末に比べて約7倍の約50万キロワットが導入されている状況であります。このうち10キロワット未満のいわゆる住宅用太陽光発電は15万2,000キロワット、それから10キロワット以上のいわゆる事業用太陽光発電については34万7,000キロワットとなっております。  平成23年度までは、ほとんどが住宅用太陽光発電で占められていました。固定価格買取制度の開始以降、事業用太陽光発電の導入が急速に拡大し、現時点における導入量は住宅用と事業用でおおむね3対7の比率となっています。さらに、固定価格買取制度に基づく事業用太陽光発電の設備認定容量が平成28年1月末現在で約74万キロワットに上ることを勘案しますと、今後も事業用太陽光発電の導入量は一定拡大していくものと推測されるところです。  ところが、昨年12月の報道記事でありましたが、再生可能エネルギーであります太陽光発電設備の設置を規制する動きが全国の自治体に広がっている、環境に優しいはずの施設が迷惑視される皮肉な現状があるとの内容でありました。  また、先般、我が会派の成田議員の景観への影響についての質問に対して知事は、太陽光発電が景観面で支障とならないよう、全国の先進事例を参考に景観への配慮事項や基準を検討したいとの考えを示されたところであります。  滋賀県の県土のおよそ2分の1を占める森林は、琵琶湖やそこに住む私たちにとっても大きな役割を果たしてくれているにもかかわらず、昨今、一部森林での太陽光発電設置に伴うトラブルについて聞き及んでいるところです。
     まず、ここ3年ほどの県内の太陽光発電の設置に関係した林地開発許可および樹木の伐採届の件数と面積の実績値および届け出状況の傾向について、琵琶湖環境部長にお伺いします。  また、森林法により開発されようとする森林の面積が1万平方メートル以上か以内かによって、県としての指導ができるか否かが決まってくるとお聞きしました。このような法的な面積要件などの背景がある中で、今回、地域住民の方から、近くの森林が開発され、そこに太陽光発電が設置されようとしているが、その山の麓に住んでいる地域住民としてはとても不安であるとの声が寄せられ、相談の機会が設けられました。地域住民の皆さんの災害に対する不安の声は、その山の成り立ちを知るがゆえに、またこれまでの水害の経験から、深刻な状況でありました。  相談後、市の担当者、そして県の専門的、技術的知識のある担当者との連携の上で、現場に出向いての助言により適切に対応がなされた結果、行政、地元、事業者との協力の中で、現在は事業者側も順調に地元要望に対応していただいているようです。  今回、法的な処置でない形で問題解決のために対応していただいたことではありますが、今回の対応を振り返りどのような課題を認識していただいたのか。また、県として対応したことをきっかけに改善された点について、琵琶湖環境部長にお伺いします。  今回、地域住民の皆さんから森林開発が新たな災害の発生につながるのではないかといった不安の声が上がってからの後手の対応になりましたが、改めて市と県の日ごろの連携を含めた関係、協力がいかに重要かを認識させていただきました。  また、しがエネルギービジョンにおいて再生エネルギーであります太陽光発電を推進する一方で、琵琶湖の水源涵養やCO2吸収源、土砂災害防止などの大きな役割を持つ森林を保全する観点や、琵琶湖保全再生法でも重要な位置づけがなされています森林の役割の両面があり、これらをいかにバランスよく県土の発展につないでいくのがよいのかを改めて考えさせられました。  またさらに、ことし4月、これまで地域で決められた電力会社としか契約できませんでしたが、電気の自由化で新たに参入する電力会社とも電気を契約できることとなり、今後、電力事業への参入事業者がふえるのではないかとも言われています。  滋賀県が再生可能エネルギーとして太陽光発電導入によって目指す電力量を確保する上において、しがエネルギービジョンの中に、考え方の一つとして太陽光発電設備の急激な増加に伴う景観や自然環境、生活環境等への影響にも配慮し、円滑な導入が図られるよう努めますと示されていますが、この円滑な導入に対する具体的な規制等がないのが現状であります。  今後、滋賀県として、森林を守る観点から、太陽光発電の設置を含む開発に伴う森林機能低下に対して、市町との連携で対応していく必要があると思いますし、何らかの手だてを講じていくための検討を始めてもよいのではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いし、この質問を終わります。 ○副議長(奥村芳正) 43番柴田智恵美議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)柴田議員、どうぞよろしくお願いいたします。  3点御質問いただいたうち、私には3点目、森林の機能低下に対し何らかの手だてを講じる必要性についてでございますが、議員御指摘のとおり、本県の森林は琵琶湖の水源涵養を初めとした公益的な機能を有しておりまして、将来にわたり適切に保全、管理することか重要であると考えております。  そのため、本県としては森林法に基づきます林地開発許可制度を適切に運用するとともに、昨年4月より県独自条例として施行いたしました滋賀県水源森林地域保全条例に基づきます事前届け出制度により、森林の土地取引等に関する情報や実態を事前に把握し、市町と連携しながら適正な土地利用に向けて指導、助言を行っているところであります。  今後ともこのような取り組みを継続することで、とりわけ太陽光発電による森林開発に際しましては、早い段階から関係部局の連携のもと、例えばエネルギー関係部局に相談があったときにきちんと情報共有するなど適切な対応を図りますとともに、再生可能エネルギーによる森林開発の全国的な動向も研究しながら、琵琶湖の水源である森林の保全に努めてまいりたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(村上浩世) (登壇)私にいただきました2点の質問のうち、まず1点目の森林における太陽光発電の実績についてお答えいたします。  平成24年4月からの固定価格買取制度の開始以降、森林法に基づき本県が定めております地域森林計画区域内の森林においても太陽光発電施設の設置が進められています。森林法では、事業者等が地域森林計画区域内で開発を行う場合、1ヘクタールを超える開発については林地開発許可申請を県知事に提出いただき、許可を得ることが必要とされております。また、1ヘクタール以下の開発については市町に伐採および伐採後の造林届け出、いわゆる伐採届を提出することが必要とされております。  議員お尋ねの太陽光発電に係る本県への林地開発許可申請および県内市町への伐採届の合計件数と合計面積につきましては、両者合わせまして、平成25年度は19件、8.08ヘクタール、平成26年度は21件、42.05ヘクタール、平成27年度は45件、25.84ヘクタールとなっており、件数で見ますと毎年増加の傾向が見られております。  続いて、2点目の課題の認識および対応を改善した点についてお答えいたします。  伐採届の受理は市町の権限であり、届け出を受けた市町からの本県に対する報告は、これまで年1回としておりました。このため、県としては年度途中では伐採届による1ヘクタール以下の開発を事前に把握することができず、市町への助言や支援に支障を生ずることがございました。このため、ことし3月より、転用に係る伐採届が市町に提出された際にはその都度県の森林整備事務所にも情報提供を行うように依頼し、常時情報共有を行う方式に改めたところでございます。  また、昨年度から県の水源林保全巡視員を県の各森林整備事務所に配置しまして、林業関連施設や林地開発現場の巡視を強化しておりましたが、今年度からはさらに市町からの伐採届の情報提供に基づきまして、1ヘクタール以下の開発現場にも巡視に回ることとし、現状把握や問題の早期発見に努めております。  こうした取り組みを通じまして、今後とも市町に対し適時適切な助言、支援を行いながら、市町とともに住民の皆様に安心していただけるよう努めてまいります。 ◆43番(柴田智恵美議員) (登壇)御答弁いただきありがとうございました。  琵琶湖環境部長からは今の林地開発の状況、それから伐採届の状況をいただきまして、本県の森林の面積は約20万ヘクタールですので、見れば非常にわずかな数値だと思いますけれども、その数値だけ見てわずかだなということではなく、今までになかった目的の森林開発が行われていることに対して、ある意味の危機感を持ってこれからも臨んでいっていただきたいというふうに思いますし、また今回、いろんな事案を対応していただいた結果、いろいろと改善していただきました。ぜひこの改善も今後、県土を守るという意味では各市町との連携を強めていただけるというふうに私のほうは理解しておりますので、今後の対応をぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、知事のほうからの御答弁もありがとうございました。ことし3月に高知県が太陽光発電施設の設置、運営等に関するガイドラインというのを実際県でつくられておりますし、こういった関係のいろんな規制といいましょうか、太陽光発電、自然エネルギーを進める中においてもバランスをとらないといけないというので、各市が結構こういったガイドライン、それから規制にかなり力を注ぐようになっておりますので、ぜひ先進県をもっともっと研究していただいて、本県にふさわしいあり方を今後とも研究していただきたいと願いまして、質問を終わらせていただきます。(拍手) ○副議長(奥村芳正) 以上で、43番柴田智恵美議員の質問を終了いたします。  以上で、本日の質疑ならびに質問を終わります。  明11日および12日は、県の休日のため休会であります。来る13日は定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後3時8分 散会    ────────────────...