滋賀県議会 > 2016-02-29 >
平成28年予算特別委員会−02月29日-01号
平成28年 2月定例会議(第23号〜第31号)−02月29日-06号

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  1. 滋賀県議会 2016-02-29
    平成28年 2月定例会議(第23号〜第31号)−02月29日-06号


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    平成28年 2月定例会議(第23号〜第31号)−02月29日-06号平成28年 2月定例会議(第23号〜第31号)                平成28年2月定例会議会議録(第28号)                                       平成28年2月29日(月曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第6号                                         平成28年2月29日(月)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第1号から議第67号まで(平成28年度滋賀県一般会計予算ほか66件)の各議案に対する質疑ならびに質問  第2 議第1号から議第17号まで(平成28年度滋賀県一般会計予算ほか16件)(予算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任)            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件  第2 日程第2の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(42名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和
       7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳    11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    28番   生  田  邦  夫       29番   川  島  隆  二    30番   小  寺  裕  雄       31番   奥  村  芳  正    32番   野  田  藤  雄       33番   西  村  久  子    34番   佐  野  高  典       35番   家  森  茂  樹    36番   吉  田  清  一       37番   粉  川  清  美    39番   成  田  政  隆       40番   九  里     学    41番   清  水  鉄  次       43番   柴  田  智 恵 美    44番   今  江  政  彦       45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(1名)    27番   高  木  健  三            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育委員会委員長        藤  田  義  嗣               選挙管理委員会委員長代理    大  井     豊               人事委員会委員長代理      桂        賢               公安委員会委員長代理      堀  井  と よ み               代表監査委員代理        平  居  新 司 郎               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             池  永  肇  恵               知事公室長           宮  川  正  和               総合政策部長          堺  井     拡               総務部長            青  木     洋               琵琶湖環境部長         拾  井  泰  彦               健康医療福祉部長        藤  本  武  司               商工観光労働部長        福  永  忠  克               農政水産部長          安  田  全  男               土木交通部長          桑  山  勝  則               会計管理者           田  端  克  行               企業庁長            森  野  才  治               病院事業庁長          笹  田  昌  孝               教育長             河  原     恵               警察本部長           笠  間  伸  一            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            日  爪  泰  則               議事課長            太  田  喜  之               議事課課長補佐         吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(西村久子) おはようございます。これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(西村久子) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として大井豊委員が、また、人事委員会益川教雄委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、また、公安委員会小林徹委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として堀井とよみ委員が、また、北川正雄代表監査委員が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として平居新司郎監査委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(西村久子) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第1号から議第67号まで(平成28年度滋賀県一般会計予算ほか66件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(西村久子) 日程第1、議第1号から議第67号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、41番清水鉄次議員の発言を許します。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。  それでは、人口減少を見据えた滋賀県の移住、定住政策について質問します。  まず初めに、先週の金曜日に平成27年国勢調査滋賀県市町別人口の速報値が出ました。これによりますと、日本の人口は約1億2,711万人で、前回の調査から約94万7,000人減少しました。まさに人口減少時代に突入しております。  一方、滋賀県は前回調査に比べ2,407人増加しましたが、これは平成22年と比べての話で、人口減少は平成26年から始まっております。県内の市町に目を向けますと、長浜市が5,901人の減少、米原市は4万人を切り、最も減少率の高かったのは甲良町のマイナス6.19%でした。高島市においても2,467人減少し5万19人で、11年前の合併当初では5万6,000人以上あったのが、約6,000人以上減少したことになります。最近、市民の間から、このまま人口減少が進み、これから我がふるさとはどのようになるのか、大変心配する声がふえてまいりました。  さて、滋賀県は昨年の10月に人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略を策定されました。それによりますと、2040年には約130万9,000人に減少すると推計されている総人口について、人口減少を食いとめ、約137万人を目指すとしています。また、生まれてくる子供の数を2020年に現状より500人プラスして1万3,000人とし、その水準を維持することにより、合計特殊出生率を2040年に1.94、2050年に2.07とする。さらには、若者の社会増を2020年に現状より1,000人以上プラスするなどの2040年の将来の姿を展望されました。  一方、県内各市町におかれましても、既に総合戦略の計画を策定されたと仄聞しております。策定された時点の基準として、国立社会保障人口問題研究所の地域将来推計人口2040年は、県内の13市6町のうち、2040年に人口減少率が20%以上になっているのは高島市、米原市、竜王町、多賀町、甲良町、15%以上は長浜市、東近江市、甲賀市、湖南市などがあり、逆に増加しているところは草津市、守山市、栗東市の3市です。  このように滋賀県としては、県全体では平成26年10月の統計時点より人口減少の局面に入ったと言われておりますが、実はそれ以前から地方部では人口減少が既に始まっており、人口減少を見据えた総合戦略の計画を実現するために、課題対応しようとする市町ではさまざまな施策が既に講じられています。その中でも、人口減少対策としての中心的な施策である移住、定住促進という観点で、以下、知事にお伺いします。  まず、移住促進対策について。  移住、定住に関する相談件数は年々増加しております。それに応じて、実際に都市から地方への移住もふえています。昨年12月20日の新聞報道によりますと、2014年度は全国でも都市から地方への移住は1万人を超え、この5年間で4倍になりました。その中で、統計で明らかにされている数字は、岡山県や鳥取県は1,000人を超えていますが、滋賀県は62人ということになっています。この統計数字を見てどのように思われるのか、また全国的に都市から地方への移住を支援しているふるさと回帰支援センターによると、2015年の田舎暮らし移住先として人気が高いのは、1位は長野県、2位は山梨県で3位は島根県です。滋賀県は20番以内に入っていません。このような状況をどのように思われ、どこに原因があるのか、そして今後、どのように県として対策を講じられるのか、お伺いをします。  次に、中山間地域対策についてお伺いします。  人口減少地域では少子高齢化が進んでいる集落や自治会も多くあり、総合戦略において集落の再編や機能強化が方針として打ち出されております。特に中山間地域においての取り組みは重要です。中山間地域の担い手は、これまで戦後の長い間、昭和1桁世代が中心となってきました。しかし、この世代は2015年ごろを境に80歳代へと移行し、次の団塊の世代へと担い手の中心が移っていくことになります。しかし、この団塊の世代も10年後には後期高齢者へと移行することから、将来を見越して新たな担い手の確保が急がれます。  そこで、中山間地域対策として移住者を受け入れ、定住を促すためには、1、空き家の活用を含めた住まいの確保、2、雇用の確保、3、地域の受け入れ環境の整備が重要と考えます。主体は市町ですが、県も一緒になって取り組まなければ持続的、継続的な取り組みは厳しいと考えます。それぞれどのように取り組もうとされているのか、お伺いします。  次に、廃校施設の活用につきまして。  平成24年度に米原市で小学校2校と分校1校が廃校となり、新設が1校できました。また、中学校も1校廃校になりました。平成25年度には長浜市の小学校が2校廃校になり、1校新設になりました。平成26年度には高島市の小学校2校と分校1校が廃校になりました。今後も県内各地の人口減少地域は小中学校の廃校が増加すると予想されます。  昨年の夏、知事は田舎暮らし体験として高島市で移住体験の際、今回、平成27年度末に廃校予定の高島市安曇川町の広瀬小学校に訪問され、都市部からの移住者を含めた地域住民の皆さんと意見交換をされました。また、その直前の本年第3回県総合教育会議で、来年度の教育施策で取り組む重点項目として、廃校になった小中学校の利用など、6つの要点を挙げられたところです。廃校は地域の人口減少による少子化の結果であり、その活用は地域の将来にとっても重要な課題となっています。知事は、地元住民との意見交換では、県の施策として活用策に意見を反映させ、これから県内でも廃校がふえるので、先導的な例にしたいと答えておられます。  小学校が廃校となった後の地域の拠点として、U・Iターン者の受け入れや地域の担い手を育成する役割などでの活用策が考えられます。人口減少が進む地域における廃校の活用については、現在、関係市町において活用策を検討されているところですが、その取り組みに対しどのようにして対応されるのか、お伺いをします。  市町との連携について。  移住、交流促進事業として取り組んでいる市町にも温度差があります。積極的に取り組んでいる市町に対しては県も一緒になって汗をかかなければいけないと考えます。そのためにも、個別の市町で担うことが難しく、県全体として取り組むことで効果が発揮されると考えられ、首都圏や関西圏での移住セミナーの開催や定住相談窓口の設置を積極的に展開し、滋賀県の住みよさを市町と一緒になって情報発進すべきと考えるか、お伺いをします。  人口減少を緩和するにはさまざまな施策を総合的に実施することが必要ですが、その中でも移住、定住促進施策は目に見える形で具体的な効果が出ると考えられます。施策の実施主体はあくまでも市町ですが、ターゲットは全国的なエリアであり、情報発信や受け入れ体制の整備など、県が主体的に取り組むことで持続的な効果を発揮できるものであると考えます。  現状では、地方創生の交付金により市町においては財源を確保し、その取り組みが実施できますが、総合戦略の計画期間である5年間の終了後も普遍的な施策として県と市町が連携して取り組むべきと考えますが、お伺いをします。 ○議長(西村久子) 41番清水鉄次議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)清水議員、どうぞよろしくお願いいたします。  移住、定住政策について7点御質問をいただきました。  まず1点目、新聞報道および移住希望地ランキングにおける本県の状況に対する所見、原因および今後の県としての対策についてお答えをいたします。  新聞報道にありました移住者数につきましては、移住相談窓口などで移住者数を把握している自治体からのデータを集計されたものでございまして、本県については高島市と日野町から回答された人数と承知をしています。  また、移住希望地ランキングにつきましては、東京有楽町ふるさと回帰支援センターの来場者へのアンケートについて回答のあったものを集計されたものであるということでございます。これまで、本県におきましては既に人口が減少している市町もありましたものの、県全体としては増加傾向にあったことから、移住促進については他県と比較いたしましても十分ではなかったと思います。こうしたことがこれらのデータにあらわれたものと認識しています。  しかしながら、今後、本県においても人口減少が進む中で、特に、後ほどお答えいたしますが、中山間地域においては集落の維持、活性化が大きな課題となっておりますことから、県といたしましても総合戦略において移住促進プロジェクトを重点的施策として掲げ、積極的に展開していくこととしたところでございます。  今後、移住施策に取り組む市町等と十分に連携を図りながら、移住先としての認知度を高め、移住促進に全力で取り組んでまいりたいと存じます。  2点目、中山間地域対策ということでいただきましたまず1つ目、空き家の活用も含めた住まいの確保の取り組みについてです。  空き家の管理や活用について、県におきましては滋賀県建築士会と滋賀県宅地建物取引業協会で構成いたします滋賀県空き家管理等基盤強化推進協議会と協調いたしまして、相談体制の充実を図るとともに、国の支援事業──空き家対策総合支援事業の活用も促して、市町での空き家対策が円滑に進むよう、引き続き支援をしてまいります。  また、市町におきましては地域における空き家の実態調査や空き家バンクの整備、住宅助成などを実施されておられますが、こうした取り組みに当たって、一部の市町においては本年度から設けました県の自治振興交付金の提案事業を活用して取り組んでいただいております。  こうした取り組みにより、空き家活用も含め住まいの確保を支援してまいるとともに、市町の空き家バンクや施策等の情報を集約し、3月にリニューアルを予定いたしておりますポータルサイト等で積極的に発信するなど、市町と連携して取り組んでまいりたいと存じます。  3点目に、中山間地域における雇用の確保の取り組みについてです。  まず、中山間地域の有する豊かな地域資源を生かした魅力的な仕事づくりを初め、6次産業化などの取り組みによる農林水産業の振興や地域の魅力発信、グリーンツーリズム、エコツーリズムなどの観光振興により、新たな雇用の場を創出してまいりたいと存じます。  また、コミュニティービジネスソーシャルビジネス等の創業支援や、空き家や空き店舗を有効活用した事業支援にも取り組んでまいりたいと存じます。  さらに、各就労支援機関において滋賀労働局や各ハローワーク等と連携した就労支援を引き続き実施するほか、県外の都市部において求職者と県内企業のマッチングを促進するための合同企業説明会を開催するなど、U・I・Jターン就職の促進を図ってまいりたいと存じます。こうした取り組みを通じ、移住希望者の方々がやりがいを持って働くことのできる雇用を確保するとともに、仕事に関する情報についてポータルサイトで発信するほか、県外での移住セミナーや相談会において積極的に発信してまいります。  4点目に、同じく中山間地域における地域の受け入れ環境の整備に係る取り組みについてです。
     移住希望者に対する地域の生活環境などに関するきめ細かな相談につきましては、住民の思いなども含め、地域の実情をよく把握されている市町やNPO等が中心となって対応していただいているところです。加えまして、移住者が地域の中で安定した生活を送るためには、移住生活の中で身近な地域の風習や文化、暮らし方を伝え、移住者と地域の住民とをつなぎ、移住者の支えとなっていただけるような方の存在も大変重要であります。  私自身、昨年8月、高島市の安曇川町中野に約1週間の移住体験をさせていただきました。集落には、移住して以前からおられる方、最近新しく移住してこられた方もいらっしゃいましたが、いずれももともといらっしゃった地元の方々が温かく迎え入れられておられ、大変すばらしい、そういう取り組みが大事だと感じたところでございます。  こうしたことから、県におきましては市町からの御要望も踏まえ、今年度から地域において移住者と住民とのかけ橋役となっていただける人材を養成する研修事業を始めたところでございまして、具体的には11月に自治会の関係者や相談員など、地域の世話役的な方に御参加いただき、移住者を多く受け入れている地域での実情を学んでいただいたところでございます。今後も、こうした取り組みにより移住者を地域で受け入れる環境づくりを支援してまいります。  5点目、廃校活用についての市町の取り組みに対する県としての対応でございます。  議員御指摘のとおり、昨今の人口減少により小中学校の統廃合が行われる中で、廃校となりました学校施設をいかに有効に活用するかが重要になってきています。私自身も昨年夏に、今年度末に廃校となります高島市の広瀬小学校において地域の皆さんとお話しさせていただいた際に、活用策として多くのアイデアが出されており、地域の皆さんの思いをお聞かせいただいたところです。県内で平成14年度以降に廃校となった学校施設のうち、分校を除く廃校の活用状況につきましては、生涯学習センターや道の駅などの公的利用が33.3%、福祉施設や私立学校などの民間利用が58.3%、未利用が8.4%となっております。最近では6次産業化も視野に入れて、御案内のとおり旧マキノ北小学校のプールをナマズの養殖場として活用する計画が報道されるなど、ユニークな活用事例も出てきています。  県といたしましては、市町がそれぞれの地域の実情や地域の方の思いに応じた活用方法を検討できるよう、先進的な取り組み事例の情報提供を行うことや、市町の廃校施設についての情報発信を県ホームページから行うことを予定いたしておりまして、また、あわせて活用可能な交付金等について紹介を行うなど、必要な支援を行ってまいりたいと存じます。  次に、6点目、首都圏や関西圏で市町と一緒になって本県の住みよさを情報発信することについてです。来年度は首都圏における情報発信を一層強化するため、滋賀県関係者のネットワークを活用した移住セミナーを2回開催し、本県出身者等により滋賀の魅力をより具体的にイメージしてもらえるよう訴えてまいりたいと考えています。  また、年間1万人以上の来場者があります東京有楽町ふるさと回帰支援センターに新たに本県のポスターブースを設置するとともに、同センターで相談会を開催し、県内市町の情報を積極的にPRすることといたしております。  さらに、新たに雑誌とタイアップして、本県の暮らしぶりを発信するとともに、せんだっても伺いましたが、東京等での12県合同による移住フェアにおいても、移住先としての滋賀をしっかりとアピールしてまいりたいと存じます。  移住促進のためには、県と市町が一体となって情報発信することが重要でありまして、移住施策に取り組む市町としっかりと連携し、滋賀県の住みよさを積極的にアピールしてまいりたいと存じます。  最後に、7点目、総合戦略の計画期間終了後における移住、定住政策の取り組みについてです。  中山間地域などの集落においては、既に人口減少と高齢化が顕著でございまして、コミュニティー機能の低下、集落の維持、活性化が大きな課題となっております。このような状況において、総合戦略においては人口減少の流れを押しとどめ、豊かな滋賀をつくるため、本県の人口目標について2040年に約137万人、2060年に約128万人と設定したところでございます。  このため、移住促進プロジェクトにつきましては、KPIを県外からの移住件数を5年間で300件といたしまして、総合戦略の計画期間中、人口減少地域に対する直接的な効果が期待できる取り組みの1つとして重点的に展開することといたしております。そうした上で、本県の人口目標を達成していくためには、総合戦略の計画期間終了後も継続して移住促進に取り組んでいくことが不可欠であると考えています。  こうしたことから、移住施策に取り組む市町やNPO等と十分に連携を図りながら、移住、定住施策に全力で取り組んでまいりたいと存じます。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇)ただいまは知事から答弁をいただきまして、ほぼ思っている回答はいただけたかなと思っているんですけど、1つ、廃校活用に関しましては、まず、1つの小学校、中学校というのは、御存じのように地域と大変深いつながり、密着しておりまして、その地域にとりましては強い愛情があります。この学校がなくなって活気がなくなった、これからどうなるんやろうという方が非常に多くございます。そういった中で、その地域の状況に合った形の活用がいただければ非常にありがたいし、市町も必死でやっているところに対してはぜひ御協力いただきたいなと思っています。  それで、ただいまの移住、定住政策に関しては、今言いましたように県としては人口減少の局面に入ったのが26年ということで、一足おくれたような感じもしますけれど、先ほど言いましたように10年前、合併当初から人口減少が始まった地域に関しては必死でやっておられます。そういう意味でも、5年間で今、知事は300件とおっしゃったんですけど、私は県としてはこの施策は始まったばかりかもしれませんけれど、何とぞ市町とともに、一緒になってこの施策を進めていただきたいと、そう希望しておりますので、市町ではどうしても発信力が弱いので、ぜひ御協力賜りたいと思いますので、もう1回、再度御答弁をお願いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) この廃校活用を含め、今、清水議員がおっしゃった移住、定住促進のための取り組み、答弁させていただいたように、県は他府県に比べてやはりまだまだおくれていると思います。かつ、まだまだ取り組みが浅く狭い、これらをこれからしっかりと取り組みを強化してまいりたい。とりわけ危機感を持って、先行して取り組んでいただいております市町、この取り組みをしっかりとサポートできるように、また県は県の役割として、おっしゃったように広域的な発信機能でありますとか、マッチングでありますとか、制度的な補完でありますとか、そういったところで市町の取り組みをしっかりサポートしていけるように、力を入れて取り組んでまいりたいと思いますので、また引き続き御指導、御支援のほど、よろしくお願いいたします。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇)それでは、次の質問に移ります。  滋賀の林業、木材産業につきまして。  滋賀県の森林は県土面積の約50%を占め、近畿1,450万人の重要な水源であり、これまでから森林の保全、整備を初めさまざまな取り組みが進められてきました。  このような中、森林資源が成熟期を迎え、資源の循環利用による林業の振興や地域の活性化も期待されています。県では、今回の琵琶湖森林づくり基本計画の改定に当たり、戦略プロジェクトのテーマに県産材の安定供給体制の確立を掲げ、森林資源の循環利用の促進や次代の森林を支える人づくりを中心に施策を推進しようとされています。しかし、滋賀の森林、林業の現実を見ると、木材価格の低迷により森林所有者に還元される金額も少ないことから、森林所有者の意識や関心も山から離れているのではないかと懸念をしています。また、森林整備や木材生産の中核的な担い手と期待されている森林組合の経営状況についても、木材生産量の低迷など、より厳しい状況にあると聞いております。  このような状況の中で、1月に会派で秋田県国際教養大学に視察に行きました。秋田杉で建築されたこの大学の図書館は大変有名であり、落ちついた環境で学生が勉学に励んでおられました。  一方、滋賀県においても、平成24年に彦根東高校で、県立高校として50年ぶりに木材校舎を新築されました。また、多賀町でも多賀中学校のランチルームを初め、公共建築に県内産木材の活用が本格的に始まり、大いに期待をしておりました。また、東近江市では滋賀県森林組合連合会が平成24年7月に木材流通センターが開業されました。これは、県内産木材の生産量を増加するために、間伐材などの木材の利用拡大と、生産と流通の両面から木材の安定供給が必要になってきていることから、木材のストックヤードの必要性が高まり、木材流通拠点を整備されたと理解しておりました。  これらの状況を踏まえ、以下、全て琵琶湖環境部長にお伺いします。  まず1点目に、滋賀の林業は水源涵養を初め森林の多面的な機能を発揮させ、琵琶湖の保全を図るためにも重要です。そこで、本県の林業の状況をどのように捉えているのか、お伺いします。  2点目に、本県の林業の活性化を図るに当たり、森林組合が中心となって積極的に木材を生産していくことが重要であると考えますが、今後、森林組合にどのような役割を期待し、また県は森林組合に対し、経営の指導を含めどのように施策を講じようとされているのか、お伺いをします。  3点目に、平成24年度の木材流通センターの開業以降、木材流通センターの状況はどのようになっているのか、今後の運営についてお伺いをします。  4点目に、森林資源の循環利用を進めるため、川上で生産された木材を川中、川下で公共建築物を初めさまざまな施設で活用することは、地域経済の活性化を初め雇用対策など有効な手段であり、また、県民の皆さんが木に親しむ機会をつくり、木を使う機運を醸成することが大切であると考えます。そこで、公共建築への県内産木材の活用状況とハード、ソフトを組み合わせた需要拡大に向けた取り組みについてお伺いをします。  5点目に、木材の流通を促進するためには、良質材に付加価値をつけて販売をしたり、バイオマス利用を含めて無駄なく木材を使い切ることなど、木材の状況に応じた適切な使い分けが必要です。このように、県内産木材の販売を促進するためにどのように取り組んでいくのか、お伺いをします。  最後に、琵琶湖森林づくり基本計画では、素材生産量について平成26年度の5万6,000立方メートルから平成32年度には12万立方メートルを目標に掲げておられますが、そのためにも川上から川中、川下に至るまで、全体に木材が流れる仕組みをしっかりとつくり上げることが重要と考えます。そこで、木材の生産から流通に至る体制をどのように整備していくのか、お伺いをします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) (登壇)滋賀の林業、木材産業につきましての6点の質問にお答えをいたします。  1点目の、本県の林業の状況をどのように捉えているかについてでございますが、まず森林の状況につきましては、本県の森林面積の44%を占めます杉やヒノキの人工林の半分が木材として利用可能な10齢級以上に達しておりまして、本県の人工林は成熟期を迎えております。このような本県の森林資源を有効利用することが重要でありますことから、今後は木材の生産、流通、販売を中心として、生業としての側面を重視した取り組みを進めていく必要があると考えております。  木材の需要の動向につきましては、近年、合板、集成材、チップの需要が急増していますことから、大ロットで安定的な供給が求められております。また、平成27年度当初の本県の林業従事者は263名でございまして、平成17年度当初、10年前の497名から大きく減少している一方で、50歳未満の占める割合は29%から48%に増加しており、今後はこうした新規就業者の技能の習熟が望まれております。  このように、木材が本格的な伐採期を迎える中で、本県の林業におきましては水源涵養機能を引き続き発揮させますとともに、森林資源を有効利用する体制を早急に確立する必要があると認識をしております。  2点目の、森林組合にどのような役割を期待し、施策を講じようとしているのかでありますが、森林組合は本県の森林が伐採期を迎えるに当たり、施業の集約化を図りますとともに、大型機械を利用して木材を伐採、搬出し、需要に応じた木材の流通、販売を行うなど、本県林業の中核的な担い手としての役割が求められております。  そこで、県では森林組合による木材生産効率の向上を図るため、ハーベスタやプロセッサといった高性能林業機械の導入に対する支援を今後も継続していきますとともに、林業普及指導員による森林施業プランナーや伐採搬出のオペレーターなどの林業技術者の養成、技術指導を充実してまいりたいと考えております。  さらに、森林組合はこれまでの保育中心から木材の生産、販売を中心としたコスト感覚のある経営構造へと転換し、体質強化を図っていく必要がありますことから、県としては民間の専門家による経営指導を強化してまいります。あわせまして、来年度から森林組合役員の経営スキルの向上のための研修等を行います森林組合マネジメント強化事業に取り組むことによりまして、森林組合の経営基盤の強化についても図ってまいりたいと考えております。  3点目の、木材流通センターの状況および今後の運営についてでありますが、滋賀県森林組合連合会が運営します木材流通センターは、森林組合が生産した木材の選別拠点として、また県外の合板、集成材工場等への流通拠点として、さらに木材の需給調整機能を行う施設として、平成24年7月に開業したものであります。  県外の工場への木材の供給実績は、平成23年度の約5,000立方メートルから、木材流通センターの開業により平成24年度には1万300立方メートルへと大幅に増加をいたしました。しかしながら、平成26年度の供給実績は目標値であります1万2,500立方メートルに対しまして9,800立方メートルにとどまりますなど、伸び悩んでいる状況でございます。そのため、合板、集成材工場との需給調整や価格交渉等に取り組みますコーディネーターを設置すること、あるいはまた、木材流通センターへの木材の搬入促進や物流の合理化に対する支援などを行いまして、木材流通センターを中心とした木材の生産、流通体制の強化を図ってまいりたいと考えております。  4点目の、公共建築への県内産木材の活用状況と木材の需要拡大に向けた取り組みについてでありますが、県では平成23年度に公共建築物における滋賀県産木材の利用方針を策定し、県立施設における県産材の利用促進に取り組んでおります。また、市町に対しましても利用方針の策定を要請しておりまして、現在では16市町で策定されているところでございます。  公共建築物における木造、内装の木質化でございますけれども、この取り組み状況についてでありますが、教育施設としましては議員御指摘の彦根東高等学校特別教室棟の新築を初め、県立高等学校の教室の内装の木質化や多賀町の自然体験学習施設の整備を行っております。また、福祉施設といたしましては、日野町や愛荘町などにおける保育園の整備、高島市におけます介護老人保健施設などが整備されてきたところでございます。また、今年度からは新たに警察官駐在所におきましても県産材を活用した木造化の取り組みが始められたところでございます。さらに、ハードとしましては、学校への木製学習机、公共施設等への木製品の導入によりまして、木に触れ合う機会の創出を図っているところでございます。  一方、ソフトの取り組みについてでございますけれども、毎年開催しております森づくり交流会におけます展示や体験を通じまして、また企業との連携によります木育の取り組みを通じまして、木のよさの普及啓発を行っているところでございます。こうしたハード、ソフトを組み合わせた取り組みによりまして相乗的な効果を上げまして、県産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えております。  5点目の、県内産木材の販売を促進するための取り組みについてでありますが、まずA材と呼ばれます建築材についてでありますが、内閣府の平成23年の世論調査では、今後建てたい住宅としましては、消費者の81%が木造住宅を望んでおりまして、建築材につきましては潜在的な需要が高いものと考えられております。これまで県では、木の香る淡海の家推進事業により、木造住宅への県産材使用の支援を行ってきたところでございます。今後は、健康や環境などに対する消費者ニーズにも着目し、建築材としての利用促進が図れるよう、木材業界や住宅メーカーと連携した取り組みを進めてまいります。  次に、B材と呼ばれます合板、集成材用の木材についてでありますが、合板用の国産材の需要量は、平成17年に比べ平成26年では約4倍に増加しますなど、合板、集成材の需要は増加いたしております。こうした需要に対応するためには、大ロットで安定的に供給する必要がありますことから、木材流通センターを通じてB材を販売する取り組みをさらに強化してまいります。  また、C材と呼ばれていますチップ用の木材につきましては、近年、木質バイオマス発電施設の設置が進んでおりまして、今後の需要の増加も見込まれますことから、県では林業パワーアップ・木質バイオマス搬出促進事業によりまして、こうした需要に対して低コストで効率的に供給できる取り組みを始めたところでございます。  このように、A材、B材、C材など、用途に応じた木材の選別を適切に行い、それぞれの需要先に応じた販売を展開していくことが、木材を無駄なく使うとともに、本県の林業、木材産業の体質強化につながるものと考えております。  6点目の、木材の生産から流通に至る体制の整備についてでありますが、川上から川中、川下に至るまで木材がうまく流れるようにするためには、生産、流通、利用の各関係者が連携し、需要と供給のマッチングを行うことが重要でございます。このため、来年度は県森林組合連合会と各森林組合が森林資源や労働力、林業機械などの情報の一元化を図り、需要に応じた木材の安定的な生産を目指す県産材生産ネットワーク構築支援事業に取り組んでまいります。  また、各森林組合から集荷されました木材が、先ほど申し上げました木材流通センターを拠点として、製材工場、合板、集成材工場などの需要先へ効率的に供給できますよう、木材の選別や物流の合理化に対する支援を強化してまいりたいと考えております。  このような生産から流通、利用に至ります具体的な施策やその達成方策を盛り込みましたしがの林業成長産業化アクションプランを来年度策定し、プランに基づく取り組みを着実に進めることによりまして、川上から川中、川下に至るまで木材が円滑に流れていく仕組みをしっかりと構築してまいりたいと考えております。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇)ただいまは丁寧な説明を答弁いただきました。ただ、今現在において県内産木材の森林の伐採から生産から流通までは、私は円滑に行われていないというふうに思っています。  平成24年に、50年ぶりに彦根東高校が木材で活用された施設をつくられまして、そしてそれ以後、市町でも取り組みをされました。しかし、思っているほど進んでいないような気もいたしますし、また、流通センターの主に集成材、B材を中心に扱って、B材は単価が低いさかいに、そんなに業績にどうかということは詳しくはわかりませんけれど、集成材、B材が4倍になったということは評価いたしますけれど、実際に今後を見据えた場合に、取り扱い量も下がっているということで説明もありましたけれど、非常に頑張ってもらわなあかんなという気もいたしております。  ただ、希望は、A材の消費者ニーズが80%を超えていたと。これはどう生産から最後の販売につながるか、住宅なんか、ほとんど今は新しい新建材の住宅ばかりなので、どうその中で県内産木材を活用していかれるかが、私はこれは大変重要であり、滋賀県の経済にも、林業が活性化すると非常に盛り上がるんじゃないかなということを強く思っております。  そのためにも、今回も平成28年度に公共建築の予算を認定こども園3カ所、予算を組んでおられますし、これも県内産木材で対応するという体制づくりが、以前はできていなかったときもあったと思うんですけど、これもしっかりと体制づくりをしていただきたいと思っております。  そういう意味でも、これは現場でも必死で頑張っておられると思いますけど、県も本当にしっかりと、これからも長期的に応援をしていかなあかん、大事な産業だと思いますので、再度部長に答弁をお願いしたいと思います。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  ありがとうございます。最後に申し上げましたのですが、アクションプランをつくろうとしているわけでございますけれども、こうしたことを確実に実行するということにつきまして、今ほど御答弁申し上げました、来年度からしがの林業成長産業化推進事業に取り組むこととしているところでございますが、このアクションプランの実行に当たりましては、森林組合等、関係団体はもちろんのことでございますけれども、木材業界や住宅メーカーさんなど、関係者を広く巻き込みまして、皆が連携してしっかりと取り組む仕組みをつくりながら取り組んでまいりたいと思います。  本県の林業成長産業化に向けまして、スピード感を持って取り組んでまいる所存でございます。 ◆41番(清水鉄次議員) (登壇)ほな、よろしくお願いします。終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、41番清水鉄次議員の質問を終了いたします。  次に、4番佐藤健司議員の発言を許します。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇、拍手)それでは、発言通告に従いまして、小児保健医療センターに関して分割質問でお尋ねをいたします。  小児保健医療センターは、昭和63年の開設以来、地域の診療所や一般病院では対応が困難な疾患のある子供に対して、高度専門的な医療サービスを提供するとともに、精密検診、保健指導といった小児保健サービスを行う拠点となってきました。しかし、開設から30年近くが経過する中で、病院の再整備を含めたセンターの機能強化に取り組むべきだと提案し、昨年の2月定例会議、また今年度の厚生・産業常任委員会でも笹田病院事業庁長と議論を重ねてまいりました。  こうした提案に応えて、ようやくこのほど、センターの機能再構築に係る基本構想案がとりまとめられたと仄聞しております。新年度当初予算にも1,000万円が計上され、今後、基本構想を踏まえた基本計画が策定されることになっています。  今議会では、単なる再整備にとどまらず、地域の医療ニーズに的確に応える医療体制を目指すべきとの考え方から、以下、全て知事にお伺いをいたします。  小児保健医療センターの機能再構築に当たっては、一県立病院として病院事業庁の視点だけでセンターの将来像を考えるのではなく、全県を視野に入れ、本県として効率的で質の高い小児医療提供体制をどう構築し、その中で小児保健医療センターをどう位置づけていくのかという視点で検討を進めていくことが何より求められます。  初めに、本県の小児医療の置かれている現状と小児保健医療センターが抱える課題への認識、そしてこれらを踏まえた機能再構築の方向性について知事にお伺いをいたします。  また、小児期の疾患や障害を抱えたまま成人後も継続して治療が必要な患者が増加する一方で、このような患者が成人を対象とする医療機関に移行するのは難しく、子供から大人まで切れ目のない医療の提供が大きな課題とされています。このため、基本構想では小児保健医療センターと成人病センターの医療技術部門と事務局などの一体化、医療機器の共有化といった連携が打ち出されています。しかし、有識者や医療関係者などからなる機能再構築検討部会では、一体化ということになると吸収合併ありきに見える、一体化について、子供のためを第一に考えるべき、成人病センターの専門センター化することで、現在の小児保健医療センターが担っている機能をぶつ切りにしてしまうといった意見が数多く出されたということで、この機能再構築が病院運営の合理化、効率化を目指すものと捉えられかねないと危惧しております。  こうした懸念をどのように払拭していくのかも含めて、小児期から成人期への切れ目のない医療サービスを提供していく対応について、知事にお伺いをいたします。  あわせて、小児保健医療センターがこれまで培ってきた医療技術をどのように継承、向上させ、機能再構築につなげていくのか、お伺いをいたします。  増加する発達障害児や虐待を受けた児童に対する支援ニーズも高まっています。ただ、実際には小児保健医療センターだけで対応することは困難であり、精神医療センターを初めとする他の医療機関や児童福祉施設などとの連携が重要です。こうした発達障害や児童虐待への対応に小児保健医療センターとしてどのような役割を果たし、機能を充実させていこうとするのか、知事にお伺いをいたします。  基本構想では、機能再構築に向けた基盤整備も盛り込まれていますが、施設の狭隘化などの課題を解決しようとするならば、病棟の建てかえなど、小児保健医療センターの再整備は避けて通れません。小児保健医療センターの基盤整備についての考え方と今後の取り組みを知事にお伺いして、この項の質問を終わります。 ○議長(西村久子) 4番佐藤健司議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)佐藤議員、どうぞよろしくお願いいたします。  小児保健医療センターにつきまして、私に5問いただきました。  1点目、現状、課題および機能再構築の方向性についてでございます。  我が国の医学、医療はめざましく進歩し、その結果として新生児、乳児の死亡率は世界で最も低い値となり、このことはまことに喜ばしいことであります。しかし、時として重篤な疾患や難治性疾患、あるいは重度の障害を有するため、医療や支援を必要とする小児の数が増加しています。また、乳幼児、小児における疾患では、重篤な感染症が減少し、一方、発達障害児の数が増加する傾向にございます。  小児保健医療センターはこれまで、他の病院では対応が困難な難治慢性疾患を中心に、専門医療機関として機能してまいりました。そして、近年の小児の疾病構造や患者数の変化にも対応して、重要な役割を担ってきたところです。  しかしながら、今後とも増加すると予測される疾患や新たな小児疾患に対して、必要とする的確な診断、適切な治療、そして望ましい病院環境において改善すべき多くの課題を有しています。さらに、小児が生涯にわたり健康的生活を目指すためには、小児から成人まで連続した診療、支援の体制が不可欠であります。このため、小児保健医療センターにありましては、これらの諸点に関する機能を再構築する必要がございます。機能再構築の基本的な方向性としては、1つ、県立病院、病院規模、県内体制の視点から適切な機能を担当すること。2つ、患者さんと御家族にとって体と心に適切な診療と病院環境を構築すること。3つ、小児から成人、そして生涯にわたる一連の診療体制を構築すること、この3点を旨に考えているところでございます。  2点目に、その小児期から成人期への切れ目ない医療を提供するための対応策についてでございます。  患者さんを基軸とした医療を目指す立場から、小児から成人までの診療を連続的とすることがきわめて重要と考えております。そのために、患者さんを基軸とした診療体制、診療システムの構築、医療人材の交流を図ってまいりたいと考えております。  診療体制につきましては、小児保健医療センター、成人病センター、精神医療センターの3センターの連携、そして小児保健医療センターと成人病センターで分離しておりますリハビリテーション部門や検査部門等の一体化により、有効な体制の構築を図りたいと考えています。  診療システムにつきましては、小児期と成人期を連続とするため、受診手続の自動化、診療情報の共有を、また医療人材につきましては、小児と成人のいずれにも対応可能とするための人材交流を考えております。  あわせまして、地域においても小児期から成人期まで切れ目ない医療が提供されるよう、地域の医療機関との連携強化を図ってまいりたいと存じます。  3点目、これまでの医療技術をどのように承継、向上させ機能再構築につなげていくのかということについてでございます。  小児保健医療センターでは、これまで主に難治慢性疾患分野や小児整形分野において高度専門医療を提供してきたところであり、今後も引き続き提供していくとともに、新たな医療ニーズ等に対応するため、さらに発展向上させていきたいと考えております。今後、機能再構築のために小児医療の充実、高度化に向けての人材、機器、システムの一体的整備が重要と考えております。  人材につきましては、医師、メディカルスタッフを大学との連携とともに、小児保健医療センター独自の採用により確保し、また小児保健医療センター、成人病センターおよび研究所を活用して臨床実践、臨床研究により育成いたします。  機器ならびにシステムにつきましては、その運用人材を含めて新しい診断や新しい治療に必要な機器、システム整備を図ってまいります。こうした整備の推進により、小児保健医療センターのさらなる発展につなげてまいりたいと存じます。  このような体制整備は、限られた医療資源や医療経済の視点からもきわめて有効であり、このたびの機能再構築の重要な視点と考えております。  4点目に、発達障害や児童虐待についてのセンターの役割と機能充実についてでございます。  発達障害児に関しましては、早期発見、早期支援、社会的自立のために関係機関が連携して取り組むことが重要であると考えています。小児保健医療センターでは、多職種の連携による適切な診断、治療を初め、県下の発達障害児の支援技術向上にも努めているところです。今後、さらに市町の発達障害者支援センター、精神医療センター等との連携をより強化し、発達障害に係る診断、治療、指導の充実、向上に努めてまいります。  児童虐待への対応につきましては、子ども家庭相談センターや児童福祉施設、市町の福祉関係部局とさらなる連携を図り、被虐待児童のアセスメントや医療的ケアを必要とする児童の受け入れ等を強化してまいります。  最後、5点目、基盤整備についてです。  小児保健医療センターの基盤整備に向けましては、これまで果たしてきた役割や機能を踏まえつつ、課題に対応するための新たな機能を付加していくことが必要であります。そして、子供とその御家族にとって適切な医療、療養環境とするとともに、小児から成人まで連続した診療、支援体制とすることが大切であると考えます。このような機能再構築を実効性あるものとする組織、施設の整備を進めたいと考えています。  このため、組織の整備に関しましては、小児保健医療センターと成人病センターの機能的一体化を図るため、両センターをあわせて新たな病院組織とする方向で検討していきたいと考えています。  また、小児保健医療センターのあり方については、附属する療育部のあり方を検討するとともに、守山養護学校が隣接することから、教育委員会とも協議し、検討を進めてまいります。  施設整備につきましては、同じく機能再構築の実効性を担保するとの基本的な考え方のもとで、今後、基本計画において施設整備の具体的な内容をしっかり整理してまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、御答弁いただきました。いずれにしても新年度の基本計画の策定の中で具体化が進むことだと思っておりますけれども、いずれにしても成人病センターの一体化というのは一定理解しますけれども、やはり病院運営の合理化とか効率化というところに重きを置くのではなくて、やはり患者本位の機能再構築になるようにお願いをしておきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  次に、治水政策に関して知事に一問一答でお尋ねをいたします。  大戸川ダムをめぐっては国によるダム検証作業が再開され、先日、大戸川ダムを含む対策案と他の8つの治水対策案について、安全度やコスト、実現性などで比較した結果、最も有利な案は大戸川ダム案であるとの評価が示されました。検討の場において知事は、検討主体である国がダム検証の手続にのっとり予断なく検証した結果とした上で、大戸川沿川への効果も認められる、長年水害に苦労している関係市や地域の意向が重要と考えると発言されたことは一定評価したいと思います。
     しかし、昨年の6月定例会議では大戸川の河川整備に関する私の質問に対して、ダム検証の結果を見て検討してまいりたいとの答弁を5回も繰り返されたように、淀川水系河川整備計画の変更の有無にかかわらず、将来を見据え、県としても課題を一つ一つ解決に導いていかなければならない段階に入ったのではないかなと思っております。改めて国のダム検証の評価結果をどのように受けとめているのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  国の総合的な評価に対しましては、2月8日の検討の場で申し上げたとおり、検討主体である国がダム検証の手続にのっとり予断なく検証された結果と考えています。  一方で、自然環境への影響が懸念されますので、これについて十分御検討いただきたい旨申し上げたところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)知事はこれまで、大戸川ダムをめぐる議論の中で、財政面に繰り返し言及をされておりました。先般の北陸新幹線のルート問題でも、最も早く、最も少ない費用でできると米原ルートの優位性を訴える知事として、大戸川ダム案が他の治水対策案と比較した結果、概算事業費が最も安価となったことについての評価を知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 平成22年9月に国が定めたダム検証の要領に基づいて、検討主体である国が各治水対策案について完成までに要する費用や維持管理に要する費用を算出された結果であると受けとめさせていただいております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)再度お尋ねします。  先ほども引き合いに出しましたけれども、北陸新幹線のルート案で米原ルートの優位性を訴えるときにいつも知事がおっしゃるのは、最も早く、最も少ない費用でできると。この大戸川ダム案が他の治水対策案と比べて最も安価になったことについての率直な評価をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ◎知事(三日月大造) 費用という面で検証され、比較され、出された1つの結果であるというふうに受けとめております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)北陸新幹線も、そうすると1つの結果だと言われてしまうかもしれませんね。  大戸川の治水安全度は、これまでも県が示しているように、戦後最大相当の洪水を安全に流下させることを目標としています。具体的にいえば、黒津地点で毎秒850トンです。知事は昨年の6月定例会議で、当面は黒津地点で毎秒550トンに対応する河川改修を進めるが、戦後最大相当を達成する手法については、ダム検証の結果を見て検討すると答弁されておりますけれども、ダム検証における全ての治水対策案で大戸川の流量規模が戦後最大相当とされていることを踏まえて、大戸川ダムを建設することなく目標とする治水安全度を達成できるのか、改めて知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 議員御案内のとおり、現在進めております河川改修は黒津地点でおおむね10年に1度程度の降雨により予想される毎秒550トンの洪水を安全に流下できるようにするためのものでございまして、それだけでは目標とする戦後最大相当の洪水を安全に流下させることはできないと私も見ております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)重ねてお尋ねをします。  今も達成できないという御答弁でしたけれども、今回のダム検証において大戸川ダム対策案のほかに8つの治水対策案を示された。これはいずれも目標は戦後最大相当を安全に流下させるというところにある。その中で大戸川ダム対策案が最も有利だとされたという中で、大戸川ダムに頼らずに大戸川の治水安全度を戦後最大相当にする方法がほかにあるんですかということ、ほかに選択肢があるんですかということを改めてお伺いしたい。 ◎知事(三日月大造) 大戸川を含む淀川水系は下流淀川において計画規模洪水以下を流す、そして上流地域については戦後最大規模を流すということを当面の目標に、今、河川整備が行われております。  大戸川沿川については、今、まず河川改修を優先させるということで取り組んでおりますが、それだけで戦後最大規模の洪水を流すことはできないということでございますので、私も一定、そのダムの治水効果というものは認めさせていただいておりますが、それをつくるか否かは全体の上流、下流の流れの中で判断されるものと承知しています。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)つくるかどうかという話ではなくて、この目標を達成するためにほかに手法があるかどうかということを問いたいんですけれども、知事は平成26年7月定例会議において、大戸川ダムの必要性については、今後、ダム検証の中で判断されると認識していると答弁されています。今の御答弁も踏まえて、ダム検証の結果、治水安全度の目標を達成する上で将来的なダムの必要性について知事の御見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 将来的に大戸川の治水安全度の目標を達成することは重要であると考えております。  しかしながら、これまでから申し上げてきたとおり、ダムの必要性についてはダム検証の中で国が判断されるものと承知をしています。今回のダム検証では、最も有利な案は大戸川ダム案との総合的な評価が示されたところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)ここはいつも平行線なんです。河川管理者として県が大戸川の治水安全度というのを戦後最大相当に置いているわけです。今進めていただいている河川改修では、どうやったって10分の1しかない。いずれにせよ、長期的にはこの戦後最大相当を目指す、これはもう間違いない事実です。その中の手法として、今、河川改修は10分の1ですけれども、将来的にこれを戦後最大相当に持っていく上で、時間軸は別ですよ、将来的に大戸川ダムが必要かどうかということを問うているんです。もう一度お願いします。 ◎知事(三日月大造) 平成20年の11月、4府県知事合意でも大戸川ダムは一定の治水効果があるということで合意されており、私もそのように認識しています。ダムの有効性は検証の過程を経て国が判断をされる。最終的にダムの必要性、緊急性については、議員も御承知のとおり上流、下流事業の進捗状況を確認して、自治体の意見も聞いて国が判断されるものと承知をしています。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)大戸川だけのことを申し上げて恐縮ですけれども、大戸川の治水安全度をどうするかというのは、管理者である県が持っていかなければならない、そんなことは重々わかった上での御答弁ですので、次に移ります。  今も御答弁にありましたように、4府県知事合意についてはこれまでも再三見直すべきだと申し上げてきました。しかし、今議会の代表質問でも知事は、淀川水系の中上流部の改修の進捗状況が合意当時と大きく変化していないことから、4府県知事合意の考え方に変わりはないと答弁をされております。  国は、今回のダム検証に当たって、平成25年の台風18号災害を考慮して評価されたということですけれども、現実的に大戸川沿川に甚大な被害がもたらされているにもかかわらず、4府県知事合意にある施策の優先順位に全く影響しないのか、そう考えているのか、知事にお伺いをします。 ◎知事(三日月大造) 平成25年、台風18号により大戸川も含め淀川水系全体に甚大な被害があったため、ダム検証の中で国が検討された結果、台風18号の洪水は、淀川については目標とする流量以下であることが確認されたところです。大戸川については、県においても目標とする流量以下であることを確認いたしました。  したがって、4府県知事合意にございます施策の優先順位、これは河川整備計画に位置づける必要なしとの考えに変わりはないと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)検討の場が終わった後の取材に対しても、知事は4府県知事合意を現時点で変更する段階にはないという答え方をしております。  では、変更する段階とは具体的にどのような状況なのか、淀川水系の中上流部の河川改修がどこまで進捗したら変更する段階になるのか、知事にお伺いをします。一日も早いダム建設を求める大戸川沿川の住民の皆さんへの説明責任を念頭にお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ◎知事(三日月大造) お答えをいたします。  今も話題にしていただきました中上流部の河川改修の進捗については、桂川の改修においては整備計画全体の掘削量、これは約370万立方メートルでございますが、そのうち約70万立方メートルが実施済みという状況にございます。宇治川の改修や天ヶ瀬ダムの再開発は平成30年度完成に向けて実施されております。木津川上流の川上ダムについては準備工事であるつけかえ県道工事を現在実施中ということでございます。  今後、国においてさらに中上流部の河川改修の進捗が図られ、下流の安全性に影響を及ぼすことが見込まれる段階になれば整備計画の変更が検討されるものと考えています。  県としては、まず平成25年台風18号相当の出水による被害を少しでも軽減できる大戸川の河川改修を推進してまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今も河川整備計画の変更に言及をしていただきました。今回のダム検証、あくまでダム検証であって、河川整備計画の変更というのはこれからの議論です。そのためにも、検討の場でも知事は河川整備計画の変更の際には改めて県の意見を聞くこととされたいと述べておられますし、ここら辺についてはどこか他人事のようにも聞こえないこともないんですけれども、前から申し上げているように、準備工事の進捗に伴い、県としてもこの河川整備計画の変更を検討して、国と協議していく必要があると思っております。県としてもこの河川整備計画の変更が必要になってくる段階がこようかと思います。  中でも、以前指摘しました県道大津信楽線のつけかえ県道と現在の県道栗東信楽線におよそ26メートルの高低差が生じ、相互に乗り入れができない問題については、県が独自に道路予算で対応することは非現実的であり、ダム事業の継続の方向性が示された以上、河川整備計画を変更して新たな準備工事に位置づけるべきだと考えます。  知事もこれまで、新たなつけかえ県道との接続についてはダム検証の結果に大きく影響されることから、ダム検証の結果を待って検討し、判断していく、ダム検証による対応方針が決定された後、整備計画に位置づけられることが必要であると県として認識していると答弁されています。この点について、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) この道路の問題、今後ダム検証において事業継続の対応方針が決定された場合、県道栗東信楽線のつけかえ工事に関しては大戸川ダム本体工事と並行して行うこととされております。  このため、ダム本体工事に先立って全線の整備を国に求めるのは難しいと考えておりますが、まずはつけかえ県道大津信楽線との接続箇所を一部先行して実施する方策について国と協議してまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今御答弁にありました、先行して実施することについて国と協議するという御答弁でしたけれども、これは河川整備計画の変更なしにするおつもりなんでしょうか、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 今、私が答弁いたしました県道大津信楽線、これは東西の線と現在の県道栗東信楽線、南北の線、この乗り入れのための接続箇所の整備方法としては2つ。1つは、河川整備計画は変更せず、つけかえ県道大津信楽線の関連工事として県道栗東信楽線との接続箇所を整備する方法と、2つ目、河川整備計画を変更し、県道栗東信楽線を準備工事に位置づけ接続箇所を整備するとの方策が考えられるところでございまして、県としては実現可能な方策について国と協議、検討してまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)なかなか険しい道のりだと思いますけれども、方策を国と協議していただきたいと思います。  いずれにしても下流自治体との連携は不可欠だと思っております。例えば検討の場で京都府からは、京都府内における大戸川ダムの治水効果について、近年の気象状況の変化を踏まえて十分に説明願いたいとの意見が出されました。国任せにせずに、本県としても持っている知見を京都府に対して積極的に提供していく姿勢が求められると思いますけれども、下流自治体、特に京都府との連携について知事の見解をお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 大変重要だと思います。関西広域連合の琵琶湖・淀川流域対策に係る研究会において、平成25年台風18号による大戸川や琵琶湖の被害状況について、京都府を含む下流府県と相互に情報を共有するなど、これまでから下流府県と連携しているところです。  淀川水系における大戸川ダムの治水効果については、事業主体である国が説明されるよう要請するとともに、県としても引き続き下流府県に情報を提供するよう努めてまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)同時に、京都府はこの検討の場で、場違いとも言えるんですけれども、瀬田川洗堰の全閉操作の維持を求めました。  昨年2月の京都府議会で山田知事はこう答弁しています。ちょっと長いですけれども、引用させていただきます。「国が整備局のほうで大戸川ダムをつくるかわりに洗堰の全閉操作をやめると。洗堰の全閉操作による下流域の被害の検証や安全体制の整備などを全く顧みずにそういうものを突然出してきたというのが、実は私が大戸川ダムの凍結にかじを切る大きな原因となった」と述べておられます。  それ以前の府議会でも、滋賀県の希望に沿って洗堰の操作をやめますという話が出たために大変反発した。平成20年の4府県知事合意によって洗堰を全閉する現在の操作ルールについては基本的に変更しないことを前提に、塔の島の改修や宇治川の下流3川合流部の堤防強化や河道改修、そして天ヶ瀬ダムの再開発の完成を最優先するという意見を出した。これによって今も全閉操作が守られていると、再三、府議会の場で瀬田川洗堰の全閉操作と大戸川ダムのかかわりについて言及しております。  府議会の場の発言ですから、根拠があって山田知事はおっしゃっていることだと思います。4府県知事合意の背景に、この瀬田川洗堰の全閉操作を続けるといったようなやりとりがあったとは思いたくありませんけれども、こうした京都府の認識に対する見解を知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 大戸川ダムの検討の場はそのダム事業の継続または中止の方針を検討するものでございますので、この大戸川ダムの検証と瀬田川洗堰の全閉操作については、私は別の議論であると認識しております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)検討の場で言うこと自体がおかしいんです。知事がおっしゃるとおりです。その上で、こういった府議会での御発言を繰り返しておられることについて、京都府さんはこの洗堰の全閉操作と大戸川ダムの建設についてはかかわりがある、リンクしているということを再三府議会の場でおっしゃっている。このことについての御認識を知事に再度お尋ねします。 ◎知事(三日月大造) 過去の経過、議論の中でそういった認識が示されたということについては、私どもも認識しておりますし、ただ、一方でその上流と下流の対立の歴史の中で、この洗堰の操作の問題、そして下流の水害の問題等がリンクされて語られる事情があることも一定理解をいたします。いずれにしても、上流と下流のそういう事情をしっかりと伝え合って今後の治水政策を構築していくことが重要であると思いますので、先ほど答弁させていただいたとおり、私ども琵琶湖を預かる滋賀県の立場を伝えながら下流府県とも協議していきたいと思います。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)それでは、確認ですけれども、滋賀県としてはあくまで国に対してこの洗堰の全閉操作をやめるように求めるという立場は変わっていないということでよろしいでしょうか。今の御答弁に関して確認させていただきたいと思います。知事、お願いします。 ◎知事(三日月大造) 水位操作規則はいろんな影響を勘案して決められてきた、非常にある意味では重い規則だと思っていますが、この全閉操作に伴う滋賀県が受ける被害というものも同時にありますので、そういうことをしっかりと伝えながら、弾力的な操作でありますとか、水害を上流だけにいたずらにもたらさない、そういうあり方についてもこれは提起をしてまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)そうしますと、先ほど山田知事の発言の中にありましたように、4府県知事合意によってこの瀬田川洗堰の全閉操作が維持されているという発言があったわけです。守られているという発言があったわけです。しからば、国に対してこの洗堰の全閉操作の解消を求めている県の立場と、この4府県知事合意の立場と矛盾するんじゃないですか。知事、お伺いします。 ◎知事(三日月大造) 4府県知事合意は、当然、洗堰の水位操作も絡むかもしれませんけれども、直接的にはダム事業をめぐる、そして中上流部の河川改修をめぐる合意だと思っておりますので、その問題とはまた別の話ではないかと考えます。いずれにしても、この洗堰をめぐる滋賀県の事情、そしていろんな課題については、しっかりと下流にも伝え、国にも伝えていきたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)その上で、常々上下流の自治体で連携ということをおっしゃっておりますけれども、この洗堰の操作のあり方について京都府とどのように認識を共有するべきだとお考えなのか、知事にお伺いします。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来答弁をさせていただいておりますとおり、洗堰をめぐる歴史的にもさまざまな攻防があったことを踏まえつつ、滋賀県は滋賀県として、この洗堰の全閉操作があるがゆえに被ってしまう被害をしっかりと下流府県に伝えていくという役割があると思いますので、この全閉操作の解消も含めて、国に対しても下流府県に対しても伝えてまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)いずれにしても、大戸川ダムを建設したらこの瀬田川洗堰の全閉操作ができなくなるという京都府の認識は改めていただかなければいけないと思っています。今、しっかりと説明していくということをおっしゃっていただきましたので、その点、誤解なきように、しっかりと京都府にお伝えいただきたいと思います。  次に移ります。  ダム検証は国土交通大臣の対応方針の決定に至るまで、手続の途上にあるとはいえ、県としては引き続き検証作業が円滑に進むよう求めていくと言うのみです。  しかし、一昨日開催されました関係住民から意見を聞く場では、命と安全を守るため、一日も早いダム本体工事の着工を求める声が相次ぐとともに、知事が変わって建設の方針が変わり、住民は政治に翻弄されてきた、いまだにダムを建設するかどうか論じていること自体、憤りを感じている、平成25年の台風18号の被害が復旧していない場所もある、台風18号災害は人災だ、三日月知事は消極的だ、知事として住民の安全と安心を考えることは仕事ではないのか、県に対しても厳しい意見が寄せられておりました。  国によってダム事業の継続という方向性が示されたことを受け、大戸川の河川改修と並行して県として今後どのように取り組んでいくのか、地元住民との対話の進め方を含めて知事にお伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) 長年にわたり水害に苦しまれている関係市や地域の意向は大変重要で重いと受けとめておりまして、こうした方々の意向をしっかりと受けとめ、丁寧に進めてまいります。  まずは、県として平成25年台風18号相当の出水による被害を少しでも軽減できる大戸川の河川改修を推進してまいります。ダムの必要性については検証に基づき国が判断されるものでございますが、ハードだけでは守り切れない洪水も想定されますことから、本県としては滋賀の流域治水に取り組みが必要であると考えております。  このため、住民の皆様の理解と参加のもと、現在、国も進めております水防災意識社会の再構築ビジョンとも連携をしながら、重点的に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)時間も限られておりますので、それでは、次の質問に移ります。大戸川ダムについてはまた引き続き議論したいと思いますので、よろしくお願いします。  次に、県有地の活用に関して、県有地の目的外使用許可を中心に一問一答でお尋ねをします。  県庁周辺の利活用に関しては、県庁別館、第二別館、旧体育文化館武徳殿に加えて、教育会館を対象区域として医療福祉拠点の整備方針案が取りまとめられ、事業者の公募に向けた準備が進められています。  初めに、教育会館の建物所有者との協議の状況について総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(堺井拡) (登壇)お答えをします。  これまでに建物を所有する一般財団法人滋賀県教育会館の代表者に対しまして、医療福祉拠点の整備に伴う当該敷地の返還について御理解いただけるよう、総合政策部、総務部、健康医療福祉部の職員が昨年11月以降、継続的に協議を実施してきております。今までの協議では、当該敷地を医療福祉拠点として活用することについて、その趣旨は御理解いただいているものと認識しておりまして、当財団においてもどのように対応するかを現在検討されているところであり、これからも引き続き丁寧に交渉してまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、御答弁の中で今後も対応について検討して交渉していくということでしたけれども、そもそもこの教育会館の建物と駐車場を合わせて1,360平方メートルの土地は県有地です。建物所有者である一般財団法人滋賀県教育会館からの申請を受けて、毎年用途を定めて使用許可が出されています。平成27年度はこの土地の使用料として252万円余りが県に支払われていますが、これは単純に計算すると、坪当たり1カ月500円、破格の金額だと思います。行政財産使用料減免基準に基づいて大部分が減免されるとともに、一部は具体的な算定方法によって使用料を算出しているということですが、教育会館には政党の事務所や企業、飲食店も入居しており、妥当な金額なのかどうか疑問が残ります。教育会館の使用料の考え方について、総務部長にお尋ねをします。 ◎総務部長(青木洋) (登壇)お答えいたします。  御質問にありました土地につきましては、昭和35年3月から教育会館建築物の敷地として、当時の財団法人教育会館に使用を許可しており、昭和59年度までは100%減免を行ってきたところでございますが、昭和60年度以降、財団法人教育会館が入居団体から賃料収入を得ている部分について、その使用面積の割合に応じて使用料を徴収しているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)教育会館の場合、使用料減免基準のどの条件に該当するのか、総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。  県有地に教育関係者の教養向上、福祉増進、教育の振興、発展を目的に、自費を投じて教育会館建築物を建設した団体ということで、行政財産使用料減免基準の、県施設の効用を高めるために特別の投資をした者等を適用いたしまして、該当する部分について100%減免をしております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)先ほども総合政策部長が、これからも建物所有者と丁寧に交渉をということで答弁をいただきましたけど、交渉する必要があるのかどうかというのも疑問が残ります。  公有財産使用許可に係る一般条件書では、使用者は使用許可期間を満了したとき、または使用許可が取り消されたときは、自己の負担において知事が指定する期日までに物件を原状に回復して返還しなければならない。使用者が原状回復義務を履行しないときは、知事は使用者の負担においてこれを行うことができる。この場合、使用者は何らの異議を申し立てることができないと規定されています。  この規定によれば、確かに現在は教育会館の建物があるものの、医療福祉拠点の整備という公の目的を達成する上では、建物撤去に全く支障がないと考えますが、使用許可満了の見通しを総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。  教育会館建築物の土地につきましては、今御指摘がありました医療福祉拠点整備、この中での一体的な活用が予定されておりまして、現在、一般財団法人教育会館に対しまして、関係部局において協議をしているところでございます。  これにつきましては、事業スケジュールと整合性を図りながら、適切に許可期間を設定してまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)相手のあることですから、強引にというわけにもいかないでしょうけれども、現実的に言えば、県が使用許可を出さなければ、もう新年度から撤去してくださいということになるのではないでしょうか。その点について、総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。  許可を出さなければ、今、議員御指摘のとおりになります。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)ついでですから、もう1つそれに関してお伺いしますと、そもそも許可条件に現状の教育会館は違反しているんではないでしょうか。一般条件書では、許可条件に違反していれば使用許可を取り消すことができるとされ、例えば転貸の禁止が規定をされております。駐車場敷について見れば、使用許可されたものはあくまで一般財団法人滋賀県教育会館であって、教育会館の入居する第三者などが恒常的に駐車する場合は転貸に当たるのではないかと思っております。来年度も使用許可を出されるような御答弁でしたけれども、駐車場の使用実態を踏まえて転貸に当たるのか当たらないのか、総務部長の見解をお伺いします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。今、駐車場は会館の利用者が御利用いただいているということで、許可は適切だというふうに考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)それでは、許可条件に違反はしていないということですね。  ただ、使用許可の期間中であっても、公用または公共の用に供するため必要が生じたときは、使用許可の取り消しまたは変更をすることができる。この場合において、当該取り消しまたは変更によって生じた損失について、県に対して補償を求めることができないと規定されていることから、県から教育会館への移転補償や入居者に対する借家人補償、営業補償などは支払う必要はないと考えますが、総務部長の見解をお伺いします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。  行政財産の使用許可時に交付しております一般条件書には、使用許可の取り消し等によって生じた損失については、県に対して損失を求めることができない旨記載をされておりまして、各種の補償は必要ないものと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今回、私もこの質問をするに当たって、この目的外使用許可の条件というのはなんと厳しいことだと。県が使用許可をやめたら即刻出ていけと、しかも補償も出さないと。厳しいですね。  新年度には医療福祉拠点の整備に向けて事業者の公募を実施するとされています。医療福祉拠点の整備の進捗に鑑み、一般条件書で言う知事が指定する期日とはいつごろを想定しているのか。建物所有者との協議や建物の解体作業を踏まえて、県有地の原状回復が完了する具体的な時期について、総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。  現在、事業所管課におきまして予定をしております公募条件の内容、あるいはスケジュールが固まる中で、事業実施に支障が生じないよう、関係部局と連携を密にして、適切に期日の指定を行ってまいりたいと、こんなふうに考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、適切に許可期間をということでしたけれども、これは別に許可期間も1年でなくても構わないんですよね。1年以内でもいいわけです。柔軟に対応する考えがあるのかどうか、再度総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。  今、議員おっしゃるとおりで、必ずしも1年というふうに限っておるわけではございません。今後、事業のスケジュール案等を踏まえまして、適切な対応をしてまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今回、こういう県有地の目的外使用許可が出されている土地をほかにも調べておりましたら、同様に大津市唐橋町の瀬田の唐橋の中之島にある県有地4,857平方メートルも一般財団法人滋賀県青年会館に使用許可が出されています。県内における青年団活動の拠点として整備された青年会館は、本県の青少年の健全育成に関する施策を補完する事業を行っているとして、数十年にわたって使用料は100%減免、要するに無償で広大な県有地を使わせております。  これまで青年会館の果たしてきた役割は十分理解をしておりますけれども、今、現実には宿泊やレストラン、貸し会議室など、収益事業にも力が入っているのは紛れもない事実です。こうした現状を県としてどのように捉えているのか、琵琶湖環境部長にお伺いします。
    琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  使用許可基準に該当することにつきましては、青年会館が実施しております事業を所管している部局の意見を聞いて判断をしているところでございまして、そうした意見に基づき、青年会館につきましては青年を対象とした研修会、青年の交流の場づくり等、青少年の健全な育成を目的とした事業を展開しておりまして、宿泊および研修機能を兼ね備えた施設により、多くの青年団体等に利用されていると認識をいたしております。  一方で、こうした青少年のための活動に資するために、一般財団法人として運営を維持していくために一定の収入も必要となりますことから、貸し館、宿泊施設、食堂等の事業を行っているものであるということを聞いておりまして、そのように認識をしております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)何ら問題ないという御答弁だと理解しております。  青年会館については、県有地の敷地内にあった旧東海自然歩道滋賀県案内所の建物を平成17年に随意契約で売却されております。現在はギャラリーとして主に活用されているようですけれども、売却の際には利用計画として青年団活動などでの活用も提案されています。売却後10年間でこの旧東海自然歩道滋賀県案内所の建物が県内の青少年活動にどのように寄与したのか、琵琶湖環境部長にお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  所管部局の意見によりますと、青年会館が主催します若手芸術家を対象とした無料の企画展の開催、あるいは若手芸術家への貸し館、さらに県青年団体連合会への会議室利用など、現在におきましても本県の青少年の健全の育成に関する施策を補完する事業の用に供するものとして寄与しているものと認識しているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今、使用の実態について、あくまで本県の青少年の健全な育成に関する施策を補完する事業に用しているという御答弁でしたけれども、具体的に、じゃ、10年間で何日間それに費やされたのか、お答えいただきたいと思います。琵琶湖環境部長、お願いします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  青年会館が事業を所管しております部局からは、この間、若手芸術家の育成のための無料の企画展の開催、あるいは滋賀県青年団体連合会への無料の会議室の貸し出しなどを実施しまして、青年会館と同様に青少年活動に資する活動を行ってきたところであるというふうに聞いております。  また、一方で、東日本大震災以降につきましては、東北復興のチャリティー「KIZUNA展」、この3月にもあるようでございますけれども、全国のアーティストや美術愛好家からの出展を受けまして、その売上金の全額を震災遺児のために寄附しておりまして、ある意味、県内のみならず、県外の青少年の健全育成にも寄与する活動をされていると聞いているところでございます。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)この建物はもともと県が所有していたものとはいえ、譲渡されて青年会館が所有者となった以上、先ほど引用した公有財産使用許可に係る一般条件書に基づき、使用許可期間満了時や使用許可を取り消されたときには、他の建物同様、撤去して原状回復を求めることができると考えますが、確認の意味も込めて見解を琵琶湖環境部長にお伺いをします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  このことにつきましては、使用許可条件等から原状に回復していただくことになるものと認識をしております。  なお、あわせまして、使用許可期間の満了に当たりまして、次年度以降の行政財産使用許可申請書が提出され、青年会館が実施している事業を所管している部局から、本県の青少年の健全な育成に関する施策を補完する事業の用に供するものという意見があったときには、使用許可の更新を行うこととなるものと認識をいたしております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)今も御答弁にありましたように、中之島の県有地に関しては今年度で3年間の使用許可の期限が満了します。  一方で、地元からは周辺の旧東海道を散策する観光バスの一時的な駐車など、観光振興に資する県有地の活用も期待されております。  青年会館に係る使用許可の取り扱いの中で、こうした要望に県としてどのように応えていこうとされるのか、琵琶湖環境部長にお伺いをします。 ◎琵琶湖環境部長(拾井泰彦) お答えいたします。  唐橋に今、観光等で来ていただく方などにも親しんでいただける場所として、青年会館が実施している事業を所管している部局の意見をよく聞いて対応してまいりたいと考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)そもそも琵琶湖環境部長にこの答弁を求めていること自体がおかしいんです。幾ら琵琶湖環境部で所管している県有地だといっても、実態を本当に琵琶湖環境部でつぶさに把握できるかどうか、あくまで健康医療福祉部からの副申に基づいて判断せざるを得んという苦渋の御答弁だったと思いますが、その点、地元の意向に沿うような形でお取り扱いをいただきますようによろしくお願いしたいと思います。  最後に、県民の財産である県有地は、普通財産であれ、行政財産であれ、県民に資するよう有効に活用していくことが求められます。審査基準や使用料の算定における公平性や透明性、客観性を確保しつつ、今後どのように県有地の貸し付けや目的外使用許可などの活用を進めていくのか、総務部長にお伺いをします。 ◎総務部長(青木洋) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、県有地の有効活用は大変重要なことというふうに考えております。こうしたことから、将来にわたって利用計画がないもの、あるいは一定の期間、利用見込みがない未利用地等につきましては、売却、あるいは貸し付け等の可能性を積極的に検討し、引き続き有効活用に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆4番(佐藤健司議員) (登壇)終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、4番佐藤健司議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午前11時48分 休憩    ────────────────   午後0時59分 開議 ○議長(西村久子) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、24番山本進一議員の発言を許します。 ◆24番(山本進一議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、家森議員の後を受けて、しがエネルギービジョン(案)についてのパート2として一問一答で質問をさせていただきます。  本県のエネルギー政策を推進するための指針となるしがエネルギービジョン(案)を拝見して脳裏に焼きついたのは、原発に依存しない社会と化石燃料に依存しない低炭素社会を同時に満たすという基本理念でありました。そのとき、この理念と同じ考え方を持つ人たちと論争しているドイツの再生可能エネルギーに関する記事を思い出し、読み返してみました。そして、改めて本県の電力エネルギー論争も同じだなと思った次第であります。その記事のタイトルは、「ドイツの再生可能エネルギー」、しわ取りは高くつく──このしわ取りというのは電力需給調整のことでございます。しわ取りは高くつく、電力会社は火の車、経済を無視したグリーンエネルギー推進のリスクという話で、その一部を紹介しながら、それをもとに電力を対象に質問させていただきます。  自然エネルギーの太陽光や風力でつくる電気は、天候によって発電量が多くなったり少なくなったりします。それを見ながら停電しないように他の電気を増減させて、全体の電力量を安定させるために調整します。この電力調整、いわゆるしわ取りですけれども、このことで再生可能エネルギーを崇拝する人と懐疑的に思っている人との間で主張のすれ違いがあります。このことは本県でも同様でございます。もちろん両者とも再生可能エネルギーの開発に関しては異論はありませんが、ただ、再エネの電気をどの程度全体の電気にまぜることができるかという問題になると、賛否両論に分かれます。  再エネを崇拝する人たちは、いずれ再エネだけでほとんどの電力需給を賄うことができると言い、多くは原発反対派の人たちで、再エネ電気をどんどんふやして、早く原発をなくして、できれば空気を汚す火力発電もなくし、クリーンな社会に早くしようと言っています。この部分が原発に依存しないで、化石燃料にも依存しないで低炭素社会をつくるという本県の基本理念と同じなんです。  一方、再エネを懐疑的に思っている人たちは、再エネが30%にもなると安定した電力保証ができなくなり、コストも急増し、産業にも大きなハンデを負うことになると主張します。お金さえかければ再エネ電気を際限なくふやすことは可能ですが、太陽光や風力は発電設備を幾らふやしても天候によっては発電量がほぼゼロになってしまう可能性さえあります。このような不安定な電源に多くを託すことはまずいことになり、電力調整の問題はどうするのかというのが再エネ懐疑派の人たちの疑問であります。  ところが、再エネを崇拝する人たちは、天候が悪くなっても発電がゼロになったときの話は絶対にしません。だから当然、それに対する解決策も一切言わず、いつも電気は余っているの一点張りであります。確かに天候のよい日は電気は余っていることが多いので、それはうそではありません。しかし、再エネ懐疑派の人たちは天候の悪い日のことを心配しているのだから、答えなければならないと考えますが、議論にさえならないのが今日のドイツの現状なのであります。そのことから、電力エネルギー政策は現実を捉えて、それぞれの発電方式の特性を生かして、コストや効率を考えて電力のベストミックスをもとに計画するものであります。  そこで、しがエネルギービジョン(案)の基本理念についてお尋ねします。  原発に依存しない社会と同時に満たすとされる環境への負荷の少ない低炭素社会とはどのような状態にある社会を描いているのか、数値でお示しいただきたいと思います。知事公室長にお伺いいたします。 ○議長(西村久子) 24番山本進一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事公室長(宮川正和) (登壇)お答えをいたします。  ビジョン案の基本理念は、原発に依存しない社会を一方に掲げ、同時にもう一方で、社会、環境、経済の3つの側面からの要求を同時に満たす、そういった持続可能な新しいエネルギー社会を創造していくことといたしております。その1つの環境側面である低炭素社会への御質問でございますが、現時点の滋賀県低炭素社会づくり推進計画において、2030年の滋賀県の温室効果ガス排出量が1990年比で50%削減されている低炭素社会の実現ということを目標に掲げておりますので、そのことを念頭に置いたものでございます。  ただ、現在、その推進計画を来年度に改訂するべく作業が進められております。温室効果ガス排出量の削減目標については、今回のビジョン案で示されている電力需要の総量および基本目標との整合に努めながら見直しが進められるものと承知をいたしております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)ありがとうございます。多分、今、国のほうが13年度比で26%という打ち出しをされておりますから、ここが基本目標になるのかなと思っています。それでも今、1990年比、13年度の比ですけれども、7.1%増しです。前年度比でも0.9%増しで50%ですから、これは不可能に近いと思います。  それで、26%に持っていっても1,067万トンCO2ですから、375万トンCO2の削減をしていかな、これは大変なことだと思いますけれども、それで次の質問に移りたいと思います。  原発に依存しないというのは、原発がゼロという社会のことを言っているのか、知事公室長にお伺いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  この点については先日の家森議員の御質問に知事が答弁でお答えを申し上げましたとおり、原発依存度が永続的にゼロになるような状態であると、こういうふうに考えております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)ちょっとわからないんですけど、永続的にということは、ずっと永久的にゼロになるということなんですけど、僕が懸念しているのは、今すぐにやめるのか、我々がそうなんですけれども、時間軸が必要なので、徐々にやめていくというのの、僕はそこをちょっとお聞きしたかったので、再度お願いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  現在どうなのかといいますと、原発由来の電力は現にございまして、県民生活や産業活動において活用されております。ですから、時間軸をとってみれば、なるべく早くそういう状態を永続的に脱するというのが原発に依存しない社会であると、こういうふうに考えます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)次の質問に移ります。  同時に満たすということは、さきの答弁にありました環境負荷が少ない低炭素社会の数値、また災害等のリスク等に強い社会、地域内経済循環による地方創生が満たされるまでは原発に頼る、頼らざるを得ないということでいいのか、知事公室長にお伺いします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  先ほど答弁を申し上げましたとおり、このビジョン案の基本理念では幾つかの要素を同時に満たす、そのバランスを最大限追求すると、こういう考え方でおります。ですから、ビジョン案のどの要素が欠けても基本理念に遠いものではないかと、こういう御質問であろうと思いますが、それはそのとおりだと思います。  ただ、だからといってどれかが満たされないうちは原発に頼らざるを得ないのではないかというふうに考えてよいかどうか、これはちょっと私には考える手だてを持っておりません。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)室長のほうのお考え、わかるような気がいたしますけれども、次に行きます。  電力エネルギーの供給は、生活も産業にとっても安定供給が命であり、それこそがこのビジョンにうたわれている新しい豊かさの根本であります。再生可能エネルギーの供給量の増大を図るとしているが、本県のビジョンでありますので、県として安定的に供給するための電力需給調整を行えるのか、どのように行うのか、知事公室長にお伺いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  現時点での制度や技術のもとでは電力需給調整を実施し得るのは電気事業者であると理解をいたしております。県が行えるものではございません。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)そうであるかと思います。  次に、原発に依存しない低炭素社会だからできる限り化石燃料を少なくして、再生可能エネルギーでどのように安定的な電力供給ができるのかということについて、知事公室長にお伺いします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  ビジョン案では2030年の電力需要量を大規模電源と分散型電源とを合わせて調達をしようと、こういう考え方でございまして、分散型電源は本県でできる取り組みを最大限行い、再生可能エネルギー導入を154.1万キロワット、天然ガスコージェネレーション、燃料電池の導入を40万キロワットまで高めようとするものでございます。  同時に、御質問にもございましたように、再生可能エネルギーの導入の主力となっている太陽光発電につきましては、不安定な電源でございますので、蓄電技術等の向上による出力安定性の確保も踏まえながら導入拡大に取り組む必要があると、同時にそういう認識をビジョンでも示しているところでございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)それで、本県における再生可能エネルギーの推進は、地球温暖化を防止するための低炭素社会実現ではないのか、そのことについて知事公室長にお伺いします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  御質問のとおり、再生可能エネルギーの導入促進は低炭素社会の実現という側面に強く関連をいたしますけれども、同時にこのビジョン案では社会、災害等のリスクに強い安全、安心な社会を築くということ、それから経済、地域内の経済循環を起こしていこうと、こういう考え方と、根底的には原発に依存しない社会、これにつながるものとして位置づけをいたしております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)環境への負荷の少ない低炭素社会の実現のために再生可能エネルギーを導入促進することで、結果として原発への依存が少なくなる、そしてなくしていく方向のビジョンではないかと思うんですけれども、知事公室長にこのことについてお伺いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  今回、このビジョンの策定の出発点となりましたのは滋賀県基本構想、あるいは滋賀県産業振興ビジョンにおいて、安全を第一に課題である国民生活や産業活動を支えるエネルギーの安定的な確保とともに、今後、原発に依存しない新しいエネルギー社会をできる限り早く実現をしていくと、このように示したところからスタートをいたしております。  その上で、災害等のリスクに強い安全、安心な社会、あるいは環境への負荷が少ない低炭素社会、それから地域内経済循環による地方創生の各側面の要求を同時に満たす、こういうエネルギー社会を基本理念といたしております。この基本理念のもとに重点政策の方向性を4つ柱を立てまして、その1つに再生可能エネルギーの導入促進を示しているところでございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)ビジョンの原発に依存しない社会とは、原発に依存する度合いを見直す社会ではないかなと思っているんですけれども、違っているのであれば本県の考えている依存しない社会とはどうそれと違うのか、ちょっとお伺いしたいんですけど。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  御質問にございましたように、プロセスとしてはそういう依存度を下げていくということが当然あると思うんですけれども、今回、このビジョン案で掲げましたのは、先ほども申し上げましたが、原発依存度が永続的にゼロになるような状態を目指すと、こういうことでございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)僕は原発に、今言っている徐々になくしていくというのはわかるんですけれども、依存しないと言い切るから、そこでちょっと抵抗があるんですけれども、原発の停止は電力における温暖化効果ガスの排出係数を上昇することになります。これはもう皆さんわかっていると思います。原発に依存しない社会と化石燃料に依存しない低炭素社会を同時に満たすことは、これは現実的に本当に難しいと考えております。まずは2030年に国の言う13年度比の26%削減された社会の実現を目指して取り組み、それを達成することが優先すべきことだと思うんですけれども、ビジョンの今後の推移を見てもわかるとおりですけれども、原発の設備容量は徐々に少なくなっていくわけでございます。ですから、二兎を追う者は一兎をも得ずということわざでもあります。欲張らずに低炭素社会の実現を目指していくことを要望として、次の項に移ります。  それでは、2番目の、しがエネルギービジョンの電力供給の分類についてお尋ねいたします。  エネルギービジョンの電力供給の内訳の中で、大規模電源と分散型電源に分類して電力供給量をあらわしています。その大規模電源を電源の需要地から離れた場所で送電し、送電される規模の大きな電源としているが、現実は需要地の近隣で多くつくられていて、この定義は間違いで、関西でも中部首都圏でも大都市近郊に発電所があり、この需要地に近いほうが供給量ははるかに上回っています。  ちょっと実例を示しますと、関西圏は大阪湾と神戸沖、姫路沖、ここらに寄っていて、大阪のほうでは520万キロワット、兵庫では880万キロワット、両方足して1,400万ぐらいの電気を起こしているんです。特に神戸のど真ん中で神戸製鋼所が140万キロワットの発電所もやっております。  中部圏、伊勢湾沿岸ですけれども、ここは2,100万キロワット、西名古屋とか名古屋の変電所だけで430万とか、知多1、2とかありますけれども、2,100万キロワットです。首都圏、東京湾の沿岸部、3,100万キロワット、東京で品川の発電所とか大井でも220万キロワット、千葉で1,700万キロワット、神奈川県では川崎から横浜、あの大都市の一帯で1,150万キロワットで、3,100万キロワット、こういう状態があるわけです。  このことから、需要地から離れた場所とか近隣といった遠い、近いの問題で分類するものではないと考えますが、このことについて御所見を知事公室長にお伺いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  現在のビジョン案の中で遠い、近いという分類で分けたつもりはなくて、そのように受けとめられる部分があればちょっと考えていかないといけないと思うんですが、ビジョンでは大規模電源、あるいはその逆の概念として分散型電源、こういうふうな分け方をしておりますけれども、この用語は国のエネルギー基本計画の中でも記載をされておりますので、我々はそれを使わせていただきました。関連する資料では、分散型電源というのは比較的小規模で、かつさまざまな地域に分散している電源の総称ということになっておりまして、従来の系統電源といいますか、大規模電源に対する相対的な概念だと我々は受けとめております。  確かに本県、大規模集中型の電源は現在もありませんし、たちまちできるかというとそういう可能性は小さいので、そういう本県の置かれた状況を考えますと、こういう区分で物事を考えるのが適当かと思い、そういう記載をさせていただいております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)でも、このビジョンの用語解説の中に、大規模電源の具体例として原発と火力発電を挙げているんです。この中には、電力会社の水力発電はもとより、太陽光、風力、再生エネルギーも入っているんです、大規模電源の中に。そこで原発と火力発電の2つを挙げている。特に水力発電は近畿圏外の4つの水系、これはよく御存じな木曽川、黒部川、庄川、神通川とあるんですけど、この木曽川なんか、1つの水系で106万キロワットつくっているんです。全体で295万キロワット、外部から受けているわけです。近畿2府4県でも水力で38万キロワットと4つの揚水発電で488万キロワットで、近畿圏内でも525万キロワットの水力、それで合計で821万キロワットの電力容量があります。  御母衣なんかで有名なJ−POWERからも100万キロワット近くを関西へ受けております。それと、まだ太陽光で7.9万キロワット、これは関電ですけれども、風力で1.8万キロワットの自然エネルギーも10万キロワット近くあるんです。こんな現実があるのに、大規模電源というのはただ単に原発と火力発電とつけている理由がわからないので、そのことについて公室長にお伺いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  ビジョン案の用語解説で、今御指摘をいただきましたように大規模電源を火力発電と原子力発電に限っているではないかと、こういうことでしょうけれども、これは発電容量が特に大きいことから、代表例として挙げさせていただいたものでございます。御指摘のようにほかの電源も正確に書く必要があると思っておりますので、成案にする段階、次の段階で表現に工夫を加えてまいりたいと、こう思っております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)ありがとうございます。これは具体例と書いてあるので、この分類型電源の具体例もどのように書いているかというと、太陽光等の再エネと天然ガスコージェネを挙げられております。この火力発電は大規模電源に分類されているんです。熱利用はしているものの、天然ガスコージェネは火力発電で電力供給の分類では何ら変わることはないのに別扱いをされています。同じ天然ガスを使った火力でも、効率がよく、60%が電気エネルギーに変わって環境面でもすぐれている、今、最先端をいっているコンバインドサイクル発電もあるのに、この分け方はどうも不合理だと私は思っております。  また、大規模電源の中には水力や太陽光、風力などの再生可能エネルギーも含まれているのに、それには今言われたように触れておらず、基幹電源である大規模電源を悪いイメージに立てようとする意図があるんじゃないかなと、ちょっと感じているんですけれども、このことについて公室長の御見解をお伺いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  そのような意図はございません。ビジョン案では基幹電源としての大規模電源、そしてそれを補完する分散型電源という位置づけをしておりますので、大規模電源の重要性は十分認識をいたしているつもりでございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)この電力供給量の内訳表の中に大規模電源と分散型電源の分け方をされております。さきに質問したように、内容に不備があってこの用語解説で発電方式を示しているんですけれども、2つの電源に分けられるものではありませんので、誰が見てもわかるように、県外から供給されている電源と県内でつくっている電源に分けることを提案させていただきたい。それだったらすぐわかるんです。そしたら、我々、あ、滋賀県てこんなに少ないんだ、つくっているの。よそから賄ってもらっているんだというのがよくよくわかると思いますので、こういう、ちょっと失礼な言い方かもわかりませんけれども、意図的な操作をやるような感じを受けるような表現の仕方はなるべく避けていただいて、今のを提案させていただきますので、また考えていただければと思います。  次の項の質問に移らせていただきます。  3つ目の質問ですけれども、しがエネルギービジョン(案)の基本目標についてお尋ねいたします。  策定の趣旨に安定的な電力供給体制に寄与することがうたわれていますが、再エネ導入目標例を見ると、安定電源である小水力とバイオマスの導入目標が、水力発電は全体の1%にも満たさず、水力と同様に安定電源であるバイオマスも1%程度で、両方足しても1.8%でしかないんです。太陽光発電オンリーのほぼ100%近いエネルギーが不安定な電源となっています。  このように、策定の趣旨で言っていることとやっていることが違う政策、言いかえると、電力の安定供給を言いながら不安定な電源の導入拡大を図ろうとしていることについての御見解を知事公室長にお伺いいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  本県の地域特性に応じた再生可能エネルギーの導入ポテンシャルに基づき、現段階でビジョン案に盛り込めるものとして太陽光発電を主力としたところでございます。御指摘をされましたとおり、自然条件によって出力が左右される電源でありまして、先ほど少し申し上げましたが、蓄電技術等の向上による出力安定性の確保や技術開発による高効率化、あるいは低コスト化も踏まえながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。
     また、小水力発電につきましては、県営姉川ダム水力発電事業、それから農業水利施設における小水力発電整備事業を着実に進めるとともに、事業者や関連団体とも連携しながら、新たな導入ポテンシャルの発掘に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  そして、バイオマス発電でございますが、本県の木材流通加速化の施策としっかりと連携をしながらモデル開発に取り組むなど、積極的な導入拡大を図ってまいりたいと考えております。現在のビジョン案では数字が小さいではないかと、こういう御指摘でありましょうけれども、ビジョン推進の中で現実的に数字を上積みできるような取り組みを進めていきたいと、こう思っております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)今おっしゃっておられました姉川の小水力、バイオマスもそうですけれども、これは今現実、もうやれる可能性はわかっています。ただ、2030年度でこの数値ですから、やっぱりもうちょっと目標を持ってやってもらいたいと。  そこで、このビジョンの中の策定に当たっての趣旨の中でも、安定的な電力供給体制の整備に寄与するとともにと書いてあるんです。それで原発由来の電力を置きかえるべく取り組んでいくということも書いていますので、趣旨にも。やっぱりそこで安定供給する、そういう不安定な電源をつくるだけつくって、あとは知らん顔で電気事業者がやることやと、これはちょっとやっぱり無責任だと思います。それだったらこの趣旨に書く必要はないと思うんです。要するに、電気事業者に頼っているんだということを書いたらいいと思うんですけど、ここに全部書いてあるのがそうなんです。国の責務ですが、がと書いてこう書いてあるんです。だから、やっぱりもうちょっとそこを踏まえて、これは目標なので、結果はどうなるかわかりませんけれども、そういうバランスのいい計画をつくるべきだと僕は思っています。  電気というのはつくる電気と使う電気が一緒でなかったらだめなんです。だから不安定な電源というのは大変なことであって、先ほども言いましたけれども、自然エネルギーで風力とか太陽光は幾ら増設しても、これは要するに限度がないんです。天気の問題でゼロになる可能性がある。ただ、ちゃんとした安定電源というのは100万キロワットつくるんだったらつくるで、ずっとそれがつくれるから読めるんですけれども、読めないということが一番難しいことで、今それでドイツとかも困ってはって、調整電源もだんだん比率が高くなってくると、調整電源をどうするんだと。  しまいには、今、調整電源するために補助金を出さなあかんと。そうすると、太陽光も風力も賦課金、どんどんお金を出して、まだそっちにそのお金も出さなあかんと、これは一体どうなってんねんということでまた論争になっているんですけれども、そのときにちょっとよく出されるのがデンマークの事情で、デンマークは最先端、30%が再エネでやっていると。  これはまたいろんな事情がありまして、隣のノルウェーとスウェーデンという国から電気を買っているんです。ノルウェーとスウェーデンというのは水力発電の国ですから、電気をためているんです。ためているというのは、水力は水が命ですから、水をためているんです。要るときに使うと。だから、デンマークの安い電気を夜なんか買っといて、ちょっとでも水を使わんようにして、それで必要なときにそれを流して電気を起こす。それでお互いが成り立っているという、そういう事情もありますし、ドイツも今、原発が10基程度動いていますし、9カ国、周りの国からも供給を受けられますので心配は要らんですけど、日本はそういう状況ではないということをちょっと頭に入れておいてほしいなと思います。  そして、先週の22日に太陽光発電の買い取り価格が10キロワット以上の非住宅が27円から24円に、10キロワット未満の住宅用が33円から31円に引き下げられることが3月じゅうに正式決定される報道がありました。これは4年連続の引き下げで、非住宅については昨年7月に32円から27円になったばかりで、1年もたたないうちに3円も値下げになります。それでも欧米に比べて倍の価格ですから、まだまだ下がる可能性があると思われます。  その中で、2014年比の約4倍、148.8万キロワットの導入目標値をクリアするには111.5万キロワットの設備が必要になるので、現実は大変厳しい状況にあります。今議会でも取り上げられているように、景観の問題などの課題が指摘されておりますし、さらには買い取り価格が下がることが予想されるのに、戦略プランを上回る目標設定にしたことについて、知事公室長にお伺いをいたします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  ビジョン案では平成29年度の再生可能エネルギー振興戦略プランの導入目標は12.4万キロワットでございましたが、既に平成26年度末時点で23.6万キロワットと、大きく目標を上回る導入実績がありましたことから、今回のビジョン案の検討に合わせて目標の見直しを行ったところでございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)わかるんですけど、目標。現実、ほんまに下がっている状況ですわ。さっきも言っているように、まだ欧米よりも倍高い値段設定だと、いまだに。下がる可能性はもっともっとあるわけですから、そういうのを目標設定されて、それも不安定な電源ですね。そんな不安定な電源に高い高い目標設定を上げて、本当にこれはいけるのかなという、ちょっと心配をしております。また後で知事にこれはお伺いしますので、次に行かせていただきます。  東日本大震災前の原発由来の電力を置きかえるべく取り組みを加速していくとして、2030年の大規模電源を2010年比の36%減で設定し、2030年の電力供給量132.5億キロワット時から省エネと節電分14.8億キロワット時と分散型電源分41.1億キロワット時を明示され、ロードマップを示されました。しかしながら、原発由来の電力を美浜1、2号機の運転終了分を差し引いた値になっていますが、この当時の原発稼働分は977万キロワットでありますから、原発比率は40%減ではないのですか。  まだもう1つ言いますと、隣の日本原電の敦賀原発は152万キロとあるんです。これも関西で買っていたんです。これを入れたらもっと高くなるんですけど、それは言わないとしまして、この差し引くというのはちょっと、ここで体裁、今の廃炉にするという、運転終了分の84万キロワットを引いているわけですけれども、この差額だけでも5億キロワット時があって、これをさらに分散型電源とかに置きかえると、太陽光発電でいったら48万キロワット、天然ガスコージェネで10万キロワットのどちらかの導入目標をプラスせんなあかんような状態になってくるんです。このことについてちょっとお伺いしたいと思います。知事公室長によろしくお願いします。 ◎知事公室長(宮川正和) お答えをいたします。  この数値の設定といいますか、考え方は、やっぱり東日本大震災前に原発で調達をしていた電力相当分を省エネや分散型電源で確保しようと、こういう考え方をベースにしております。このビジョン案では、廃炉措置が決定している、すなわち今後、現実に動かないという原発分については除外をして考えたものでございます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)今の2010年度を基準としてやっている、ところが、全体の数値は2013年度でしているわけですね。それだったら、2013年度を基準にしてやったらこの終了分もとってやったらいいと思います。ただ、それをやるともっと大きくなってくるんですね、数値が。だから、これは本当に、僕はどうも数合わせやと思っているんですけれども、次に行かせていただきます。  時間もありませんので、知事にお伺いしたいので。今の太陽光や風力などの自然エネルギーが火力発電や原発に変わる基幹エネルギーとしてはまだまだ技術的にもコスト的にも代替できる、できない、これができるようになれば原発をなくしていけると思うんです。  しかしながら、この太陽光、風力発電は安定供給に不向きでありますし、地域における送電線が整備されていない問題など、現時点では本当に難しい現状がありますので、こういったことも踏まえて、地域でつくる電気の比率を高めて、安定的な電力供給体制をつくっていくことの要望をさせていただきまして、次、知事の質問のほうに移らせていただきます。  最後の質問でありますけれども、知事にお伺いをいたします。  震災前の原発由来の電力を代替するとして、省エネ、節電、そして天然ガスコージェネと燃料電池、また再生可能エネルギーで、この3つのエネルギーをもって大規模電源の削減をうたわれていますが、県レベルの取り組みで原発由来の代替はできるものではないと考えておりますので、この代替案についてどのように取り組んでいかれるのかをお聞かせ願います。  原発由来の電力の代替電源を電力供給量の内訳で数値で示されましたが、先ほど言いましたように代替電力量の数合わせにしか見えません。省エネと節電で14.8億キロワット時を打ち出されておりますが、このような大きな電力を発電してつくる電気ではなく、不透明で明確な数値が出しにくい、削減する電気を代替電源としたことで、私は本気度のない上辺を取り繕った代替案に見えるのです。このことについて御見解を知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) (登壇)山本議員、どうぞよろしくお願いいたします。大事な問題をお取り上げいただき、ありがとうございます。  先ほど来、公室長とのやりとりの中でお示しいたしておりますとおり、今回のビジョン案は原発に依存しない新しいエネルギー社会をつくっていこうということで、滋賀としてできることに取り組むということと同時に、滋賀県から国に対しても問題提起をしようといったことも込めてつくらせていただいているものです。  それで、さまざまな主体と協働しながら、県レベルで可能な取り組みを行いながら、東日本大震災前に依存してきた原発由来の電力量相当分を確保しようと。これはおっしゃっていただいたように省エネ、節電の部分と天然ガスコージェネ、燃料電池、さらには再生可能エネルギーの導入促進、大きくこの3つの柱でこの相当分を確保しようとすると同時に、今後の技術開発等の進展も視野に入れながら、また国に対してエネルギー政策の早期の転換を求めていくものでございます。  御質問の省エネ、節電につきましては、ビジョン案の重点政策編において8つの重点プロジェクトをお示ししておりますが、その最初に省エネ、節電推進プロジェクトというものを掲げさせていただいております。この省エネ、節電に取り組むことで原発由来相当分を代替しようというのは無責任ではないかといった趣旨の御指摘がございましたが、先ほどいみじくも山本議員がおっしゃっていただいたように、電気というのはつくることと使うことでバランスされているということで言えば、使うところを減らすことによってつくることを削減することができるという意味においては、私は大事な取り組みだと思っています。  その意味で、省エネ型のライフスタイル、ビジネススタイルの一層の定着を図りながら、省エネ性能が高い設備、機器の使用、これは滋賀県内の企業もさまざま開発されておりますので、そういったものの使用促進、ならびに住宅や建物の省エネルギー性能を高めること、こういったこともどんどん取り込みながら、むしろ全国、世界の最先端地域としてこういった取り組みを総ぐるみで進めていきたいというふうに考えております。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)知事、私も省エネとか節電は大事なことやから、どんどんやっていかなあかん、これもわかっています。ただ、この消費する電力というのはきちっとした計画が立てられないんですね。大体の予想でいきますので、これをやっぱり代替分て、やることはやったらいいと思うんですけど、その予測の余りつかないものにこれだけ大きい電力量、14.8億キロワット時です。これを置いたというのは、僕はやっぱりちょっと寂しいなと。それであれば、計画的に出せる電源、つくる電気を持ってくるべきだと思います。  次に移ります。  県の太陽光に偏った再エネ電力では、僕はこれは代替にはならないと思っております。出力が一定の供給量が読める電源でないと、そのための調整用の電力が必要になります。天候による出力変動や夜間の電力、これは夜間は全くつくれないんですから、この電力をどのように補完するのか、それを誰がやるのかといった問題が出てきます。ですから、安定的な電源でないと代替にはならないと考えますが、このことについて知事にお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 太陽光発電が現時点で議員がおっしゃるように技術的にも、また制度的にも十分な安定性を持っていない、言ってみれば安定性に欠ける、また調整電源が必要であることは承知していたしております。  県において原発由来の電力量相当分を確保する取り組みを進めていく主要な一翼を担わせようとする太陽光発電の導入拡大に向けては、この量的拡大とあわせて、社会において蓄電技術等の向上による出力安定性の確保、技術開発による高効率化や低コスト化を実現していくことが不可欠であると考えています。  この点では、国やさまざまな企業の研究開発というところも急がれているところでございますが、県としてもエネルギー関連産業の集積を生かし、工業技術センターを核として企業や国機関等とも連携しながら、関連産業の振興、技術開発の促進に取り組んでまいる所存であります。  また、新年度においては、この太陽光のみならず、木質バイオマスエネルギーを活用した先導的モデル地域の形成促進、戦略的な素材生産システム構築に向けた取り組みなども予定をしているところでありまして、森林の素材生産量の拡大、安定供給を図りながら、バイオマス発電に結びつけるといった取り組みを強化していきたいというふうに考えております。  いずれにしても、私ども、これまでどおり、これまで以上に原発に依存できない、そういう状況を見通しながら、原発に依存しない新しいエネルギー社会を実現していくためにも、るる今まで御指摘いただいたいろんな制度的課題を克服すべく、議員から御指摘いただいた観点も入れながら、太陽光発電を主とする再生可能エネルギー導入の安定性を高めていく努力をあらゆる主体と連携しながら、また関係部局の十分な連携のもとに取り組んでまいりたいと存じます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)決して、何回も言っていますけど、太陽光発電を拒否しているわけでも何でもありませんけれども、代替というのであれば、私はやっぱりきちっと電力供給できるものをある程度持ってこんと。というのは、夜、全くつくられないですね、太陽光は。何ぼ設備があっても、一番よく使う5時から10時あたり、電気をいっぱい使います。この間、一切つくれないんです。だから、設備があってもつくれない、そういうことも考えていかんと、ただ単に言うのは簡単ですけれども、ここはもうちょっと考えてほしいんです。昼間でも電力変動はありますから。夜は全くつくりませんから、つくらないときは誰が供給するんですかと、こういうことになりますから、これは幾ら設備があってもだめだということです。そういうことをちょっと頭に入れておいていただきたいなと思います。  次に進みます。  天然ガスコージェネはリスク分散等、主に産業用の自家発でありますし、不足分の電力を購入しておられます。売電目的でない電力を供給電力としてどのように取り扱うのか、代替用として考えるには、私は無理があるように思います。売電用の電源でないと代替とは言えません。そのことについてお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 今回のビジョン案は、売電分と自家消費分を含んで県レベルで可能な取り組みを行い、原発由来の電力量相当分を確保しようとするものでございます。また、コージェネレーションは、先ほど公室長のほうからも一部答弁がありましたように、国のエネルギー基本計画においても省エネルギー性に加え再生可能エネルギーとの親和性もあり、電力需給ピークの緩和、電源構成の多様化、分散化、災害に対する強靱性を持つとされておりまして、国でもその導入を推進されております。  こうしたことから、今日、分散型電源の1つとして位置づけ、現在の19.7万キロワットから約2倍の約40万キロワットの目標を掲げておりまして、その導入促進に積極的に努めてまいりたいと存じます。 ◆24番(山本進一議員) (登壇)今のコージェネの部分ですけれども、これは県民に出ていく電源じゃなくて、工場用でやっている、まだ足らんので買っているんですから、そこもちょっと考えていただきたいなと思います。  私はいいんですけど、本県は電源立地容量は全国で最も低く、使う電気のほとんどを県外から供給してもらっております。そのことも省みず、自前でつくることもせず、今までの恩恵を受けてきた電力システムを批判していますが、周りから見れば、僕もよそからちょっと言われているんですが、何もしないで文句を言っているんやったら自分でつくれやと、こういうことをよく言われるので、置かれている立場をわきまえて発信をしてほしいなと思います。  ちょっと言っておきますけれども、近畿2府4県の発電容量をお知らせします。兵庫県は火力で1,000万キロワット、水力で330、合計1,330、大阪で火力530、和歌山で火力420、水力で30の450万キロワット、京都、火力180万、水力71万で251万キロワット、奈良県でも水力175万キロワットです。滋賀県では2.5万キロワットぐらいです。隣の福井県、これは原発1,045万キロワットを除いて火力145万キロワット、水力26万キロワットの171万キロワット、自分のところで電源立地しています。隣の三重県、火力692万キロワット、水力で20万キロワット、712万キロワット、岐阜県、水力だけで400万キロワットあります。  こういって、みんな周り、これだけの電源立地して、滋賀県は条件的にそれはできない、これはわかっていますから、やっぱりそれは甘んじて受けていくべきだし、だからもうちょっとそういう過激な発言というか、そうではないですけど、周りの供給されています県に対してもうちょっと感謝の気持ちを持って、それを甘んじて受けてやっていかなあかんと。だから、ああいう発信は、僕はもうちょっと考えていただきたいなと思います。  そして、滋賀県はそれはできないんであれば、私は今の再生可能エネルギーの課題を解決するための電力貯蔵、これは一番難しい研究やらを電力会社と何で一緒になって、連携して研究開発をしていって、将来に向けて取り組んでほしいなと思っているんです。原発は悪い、悪いだけじゃなくて、それに変わっていく新しいものを開発していくべきだと。この間、山梨県なんかは超伝導で蓄電技術を、県でやっぱり研究、3年目やと言っていました。そういうことをやっていただきたいと、要望して終わらせていただきます。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、24番山本進一議員の質問を終了いたします。  次に、5番目片信悟議員の発言を許します。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇、拍手)それでは、引き続いてよろしくお願いをいたします。山本議員がさっさと終わると言わはったので出番が来るのかなと思ったら目いっぱい時間を使われたので、ちょっと心が中折れをしてしまいましたけれども、気を取り直してやらせていただきます。  それでは、早速でありますけれども、本県経済の振興とその課題について、発言通告書に従い、全て知事にお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。  さて、今議会では平成28年度予算案が上程され、さきの会派代表質問、これまでの一般質問でも活発な議論が展開をされております。いずれも県民生活の充実には欠かせない大変重要な課題であります。こうした中で、私は経済、また産業振興の観点から、本県経済をいかに活性化していくか、その一部ではありますけれども、伺ってまいります。  世間では株価や為替相場の変動に一喜一憂し、また原油価格も低水準で推移するなど、我が国経済においては目が離せない状況と言えるでしょう。アベノミクスによってある一定の経済効果は出ているものの、特に地域経済においては実感できるほどの恩恵があると言えないのが実情であります。  私は、地域における実態経済の強さ、すなわち製造業はもちろんのこと、地元の中小小売事業者、またサービス事業者など、あらゆる県内事業者が元気になり、いわゆる足腰が強い地元企業として内需を喚起させる会社やお店をより多く育てていくことが重要だと考えます。もちろん私が言うまでもなく、皆さん方は十分認識をしておられることと思います。  さまざまな県民へのサービスを向上させるためには、当然、その財源が必要です。そして、その原資をどのようにして生み出していくかを考えた場合、企業は業績を上げ、その上できちんと雇用を守っていける状況を継続させていかなければ、税収の安定的確保ができるはずもありません。  本県においてはどうでしょうか。ものづくり県を標榜する本県でありますが、例えば中国経済の悪化等による株価や為替相場の影響、また原油価格の変動など、さまざまな要因によって輸出産業などがダメージを受けた場合、本県企業への影響はどうでしょうか。まず、認識と課題を伺います。  仮に影響があった場合、その対策はどのようにされるのか、お伺いをいたします。来年度予算案を見ておりますと、工業立地指導対策費や工業技術振興対策費、また滋賀の新しい産業づくり推進事業費といった今年度と同様の事業を計上しておられます。なるほど、ものづくり県としては企業工場誘致に力を入れるのは当然かもしれませんが、先ほど申し上げました3つの事業だけでも今年度で16億2,000万余、来年度予算案を見てみますと、14億4,000万円余、これは決して少なくない金額だと思いますが、この投資によって今年度のその効果、また来年度にはどの程度の効果が見込めるのか、数字によってお示しをください。  次に、よく耳にするのが後継者不足と技術継承の問題です。例えば建設産業の中では、県内の専門工事業者においては、一部では技術者が確保されているものの、ある業種では後継者がいないため、廃業に追い込まれる会社も少なくありません。現に地元で対応ができる会社がなく、他府県から調達しているのが現状です。そのような場合、本県経済にとりましても雇用や企業収益に大きく影響してくるのは自明の理であります。  また、最近では技術系の高等学校が姿形を変え、なくなってきているようにも思います。これではますますものをつくる技術者が建設産業に限らず減少し、今後さまざまな業種において後継者不足等の問題が顕著になってくると考えられますが、その対策について具体的に何をどのようにしていくのか、伺います。  さて、本県議会でもたびたび取り上げている1つに観光振興があります。地方創生、また活性化の起爆剤として期待される観光産業ですが、本県においてはその可能性と課題も議論になっています。ビワイチなど本県ならではの観光資源の開発や、豊かな自然、歴史、文化など、大変魅力ある素材が数多くあります。知事も今議会の提案説明において、本県のさまざまな素材を磨き上げ、国内外に発信していくと言われました。  また一方で、メディア等では訪日する外国人観光客が1,800万人を超え、政府が目標としている東京オリンピック、パラリンピックまでに2,000万人という数字ももうすぐ達成するところまで来ています。確かに東京や大阪、もちろんお隣の京都などはインバウンド効果があらわれていると思われますが、同時に文化や考え方の違いによるマナーの悪さなどもたびたび指摘をされております。  本県においては、宿泊施設について稼働率が堅調に推移しているとも耳にしますが、その要因は、大阪や京都の宿泊施設が来訪客数に比べて供給不足のため、本県や周辺自治体に分散させているとも言われます。また、宿泊はするけれども寝るだけ、すぐに京都や大阪に戻っていくという状況もあると仄聞をしております。こうした状況は、本県における消費にどのようにつながっていくのか。そこで、昨年1年間において対前年度比でどの程度の経済効果があったのか、また今後の見通しについて伺います。  次に、外国人滞在施設経営事業、いわゆる民泊サービス事業について伺います。  民泊サービスについては、国家戦略特区で定められた対象地域、首都圏では東京都、神奈川県、千葉県成田市、関西圏では大阪府、兵庫県、京都府において保健所を管轄する知事らの認定で旅館業法の適用を除外し、特例的に宿泊ビジネスを営むことができるというものです。  また、既に農林漁業分野においては、体験型の宿舎を提供する場合、農山漁村余暇法、いわゆるグリーンツーリズム法によって、農林漁業体験民宿の営業が認められているところですが、現在では、先ほど申し上げた特区において外国人観光客に対し民家での宿泊を提供するビジネスが今人気を博しているというのが現状であります。  実際に私の知り合いが京都で民泊施設の整備、運営にかかわっている方がおられますが、話を聞いていると、昨年は70軒、今年に入って既に200軒を超える民泊施設を整備するとおっしゃっておりました。また、その会社だけでも次から次へと宿泊希望の外国人を含む観光客からの問い合わせ、予約が入るそうです。しかしながら、こうした民泊サービスにおいては、大変憂慮すべき問題やトラブルになることも報道等で指摘されております。  本県におきましては、法的に旅館業法による規制を受けることから、特区での営業のように簡単にというわけにはいきません。とは言うものの、現状ではその実態について非常に不透明と思われます。そこで、本県において旅館業法による許可を受けずに民泊サービスを行っている事例がどのくらいあるのか、伺います。  こうした民泊サービスでは、個人が空き家や空き部屋を使い、利用者を泊めることで収入を得られることから世界的にも広がりを見せており、そのマッチングサービスを行っている1つに、Airbnbという企業があります。以下A社と言いますが、A社だけで日本でも1万3,000件とも2万件とも言われる物件が登録をされております。私もサイトを拝見しましたが、本県においても大津市、高島市、近江八幡市など、各地で紹介物件が記載されております。中にはアパートの1室のようなものも見受けられましたが、今後万が一、問題やトラブルが生じた場合のことを考えると、何らかの対策を打つ必要があると考えます。また、このようなサービスを提供することは、既存の旅館、ホテル事業者に対して何らかの影響があることも考えなければなりません。  民泊サービス需要の高まりを受けて、政府は2015年6月に観光立国推進閣僚会議がまとめた観光立国実現に向けたアクションプログラム2015において、外国人滞在施設経営事業に関しては早期実施を図るため、宿泊者名簿の設置等を含めた適切な対応を検討し、当該制度に基づく事業の実現を図るとされ、民泊についてはインターネットを通じ宿泊者を募集する一般住宅等を活用した民泊サービスについては、新たなビジネス形態であることから、まず関係省庁において実態の把握等、検討を行うと明記されました。  そして、同月に規制改革実施計画が閣議決定され、その中で民泊サービスについては関係省庁が実態把握等を行った上で旅館、ホテルとの競争条件を含め、幅広い観点から検討し結論を得るとされております。仄聞するところでは、今年度中に何らかの結論が出されるとも伺っております。この民泊サービスについて、本県において事業をされている旅館やホテル事業者との間で協議はなされたのでしょうか。  また、先ほども申し上げましたが、現状のままでは近隣や、また貸し主、借り主との間で何らかのトラブルや問題が生じないとも限りません。きちんとした仕組みづくりを行い、快適で安心できる環境を整備していくことが来訪者をおもてなしする上で重要だと言えますが、今後、仕組みづくりを含めてどのように対応されるのか、見解を伺います。  また、民泊は移住を促進する上でも非常に有効な手段だと言われております。午前中も清水議員の質問にはございましたが、本県においても移住促進プロジェクトと銘打ち、市町と連携して推進することとされておりますが、残念ながらそれが形として見えてきておりません。例えば空き家、空き部屋対策について、民泊を有効に利用することで、単に話を聞くより実生活を体験することで、より確実な判断ができる効果があると思います。知事も実際、長浜や高島での生活を体験されて、生活実態を頭ではなく体で感じられたのではないでしょうか。  今、県内においても空き家や空き部屋問題が顕著にあらわれてきております。大津市では、来年度に空き家対策を本格化させるためにモデル地区を指定し、地域づくりに空き家を生かす方法を研究、また老朽化した空き家の安全対策のため、空き家適正管理条例案を2月市議会に追加提案するとも報道されており、この条例案では所有者に対して是正勧告を行う等となっております。県建築士会や県宅建協会は、連携してこの問題に取り組んでおられると聞いておりますが、民泊も視野に入れながら、きちんとした仕組みづくりを行った上で空き家問題に取り組んでいる両団体と連携し進めることが移住を促進する上で大変有利であると考えますが、見解を伺います。  次に、公共施設における利活用の観点から伺います。  さきの施設評価によって県有施設の見直しが行われました。以前から大変気になっていた1つに、シガインターナショナルハウスがあります。161号線を通るたびに利用者の姿はほとんど見かけず、建物自体も日に日に老朽化しているような感じさえ受けておりましたが、さきの評価で31年度以降に廃止という決定がされました。  まず、この建物について、廃止後どのようにされるのか、伺います。ここであえて聞いたのは、建物自体が耐震性能に問題なく、設備も利用可能であるならば、今後の民泊サービスの動向次第で新しい利活用の道があるのではないかと思ったからであります。もちろん、解体し、更地にして売却することも1つですが、売ってしまえばそれで終わり、不動産は有効に使えるならば、継続的に収入を得る可能性を探るほうが得策だと考えますが、知事の見解を伺います。  次に、観光振興の観点から、公共交通のあり方について伺います。  まず、本県に入ってこられる観光客の交通手段はどのようなものでしょうか、具体的に伺います。私は、やはり鉄道交通が今後の観光において大きな役割を果たしていくように思います。主だった観光地にある駅では、私が見る限り、多くの観光客が行き交っている印象がありますが、翻って本県はどうでしょうか。正直、寂しい限りであります。知事には、この滋賀の玄関口と言ってまず思い浮かぶのはどの駅でしょうか、お伺いをいたします。  また、ここに来て北陸新幹線のルート選定問題が大きくクローズアップされていますが、そのことを踏まえた上で本県観光振興についてあわせて考えるならば、新幹線新駅の設置を忘れてはならないと思います。素通りされてしまっては元も子もない。京都を過ぎて、また京都に着くまでにおろせる受け皿をつくらなければ明るい未来はないと思っています。これは私の私見でありますが、びわこ文化公園内および周辺において計画されている新生美術館や県立体育館、それに琵琶湖博物館についてはここ10年以内、合わせて100億円を超える投資をして整備されるわけですし、また、周辺には幾つもの大学が立地するこの大津南部瀬田、草津に新幹線新駅を設置し、より投資効果が上がる戦略を練ることが肝要と考えますが、知事の見解を伺います。  あわせて、観光客の囲い込みを目指す1つの方策として、関空特急「はるか」のせめて草津駅までの延伸を考えてみるのはいかがでしょうか。現在では、関西空港発京都方面行きのダイヤでは1日に2本、米原駅に21時台と22時台に到着する列車だけであります。午前、午後を含め、1日に何本か滋賀まで延ばせれば状況が違ってくると思いますけれども、見解をお伺いします。  本県はものづくり県としてこれまで著しい発展を遂げてまいりました。しかし、バブル経済からリーマンショックまで、経済の動向によって大きく影響されている本県経済のあり方が今問われているのではないかと考えています。物事には常にバランス感覚というものが必要になってきますし、また偏ってしまっていては、万が一の事態に陥った場合、大変危険な状態になると思います。観光産業にしかり、またほかの産業もしかりであります。これからどんな可能性があるのか、これは企業だけが追求するものでもなく、行政においてもイノベーション、あえて言うなら行政こそイノベートするべきだと思います。  三日月知事は固定概念にとらわれることなく、今後の政策課題に果敢にチャレンジしていただくことを期待し、私の質問を終わります。 ○議長(西村久子) 5番目片信悟議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)目片議員、どうぞよろしくお願いいたします。  本県経済の振興とその課題について15点御質問をいただきました。  まず1点目、外部要因による本県企業への影響についての認識と課題でございます。  本県の産業構造を見ますと、おっしゃるように第2次産業の割合が高く、大手メーカーを中心に自社製品の大半を海外へ輸出している企業もあり、輸出は重要な販路の1つとなっております。県内の中小企業を見ますと、こうした大手メーカーを主要な取引先としている企業も多いです。そのため、海外の景気の減速や急激な円高、株安等により景気が下振れした場合には、輸出を行う企業への影響はもとより、それ以外にも取引先となる中小企業の経営や雇用など、県内経済全体に影響を及ぼすものと認識しております。こうしたことから、中小企業の経営基盤の強化を図ることが重要な課題であると考えております。  2点目、影響があった場合の対策についてです。  まずは、先ほど申し上げた中小企業の経営基盤の強化に向け、将来において成長発展が期待される分野への参入や事業活動を促進するとともに、中小企業の新たな販路の開拓や生産性向上への支援等に取り組んでまいります。こうした取り組みを進めながらも、万が一、景気が大きく下振れするような場合には、経済団体等とともに情報の収集に努めるなど、状況をしっかりと見きわめながら、国等とも連携し、中小企業の経営の安定を図るための金融対策や緊急の雇用対策など、全庁挙げて、スピード感を持って必要な対策を講じていかなければならないと考えております。そのため、本県産業を取り巻く国内外の経済、社会情勢を注視し、常にその変化に備えるという意識を持って取り組んでまいる所存でございます。  3点目、3つの事業の効果についてでございます。  3事業の予算額のうち約8割を占めているのが企業立地助成金であり、その大部分は、平成26年度以前の助成金制度の中で既に助成対象として指定した企業に対し分割交付等を行っているものでございます。本年度交付を行った22社の過年度の指定日以降、これまでの投資効果として、約898億円の新規県内投資、1,381人の新規県内雇用が実現しているところでございます。  また、本年度新設いたしました「Made in SHIGA」企業立地助成金により、年度内に計6件の指定を行う予定であり、これにより、来年度以降、約76億円の新規投資と39人の新規雇用が効果として見込まれています。企業誘致は地域経済の活性化、雇用の確保および税収の安定的確保に資するものであり、来年度についても「Made in SHIGA」企業立地助成金を活用しながら、さらなる投資効果が得られるよう、積極的な誘致活動を進めてまいりたいと考えています。  その他の主な事業として、びわ湖環境ビジネスメッセ開催事業につきましては、今年度は302者が出展、3万3,080人が来場されたところでございます。出展者アンケートによりますと、今後のセールスにつながる見込みのある商談が2,652件、うち契約の成立または確実と思える商談が712件という成果に結びついています。19回目の開催となります来年度は、プレ20回の位置づけのもと、企画機能の強化や主催者展示コーナーの設置を通じてメッセの魅力強化を図り、商談件数の増加に結びつけることにより、今年度以上の実施効果が得られるように取り組んでまいりたいと存じます。  4点目、後継者不足の問題とその対策についてでございます。  議員御指摘のとおり、例えば建設業界においては若手入職者の減少や技術者の高齢化などにより、担い手の確保や技術の継承は大変厳しい状況にございます。このため、今年度より官民の連携により、滋賀建設産業魅力アップ実行委員会を組織し、滋賀けんせつみらいフェスタを開催するなど、建設産業の魅力を広く発信する事業を展開することで、建設産業の活性化を図り、中長期的な担い手の確保、育成に努めているところです。  また、長い歴史の中で地域経済を支えてきた地場産業におきましても、担い手の高齢化等により後継者不足が危惧されており、今後の地場産業を担う人材を育成し、すぐれた技術を次の時代へ継承していくことが必要だと認識しています。このため、国の補正予算で措置された地方創生加速化交付金を活用した滋賀の地域産業振興総合支援事業を実施する中で、各産地における後継者の確保、育成に係る取り組みを応援してまいりたいと存じます。  さらに、国においては建設業および製造業の112職種を対象に、一級技能士などの熟練技能者に登録いただき、中小企業や職業高校等で若年技能者の実技指導をいただくものづくりマイスター制度が実施されておりまして、本県では滋賀県職業能力協会が国から委託を受け、マイスターの派遣を行っているところです。  今後、さまざまな業種において後継者不足が予想される中、このような国の制度も積極的に活用し、効果的な技術の継承と後継者の育成に取り組んでまいります。  5点目に、本県観光産業の経済効果、対前年比でどの程度であったのか、今後の見通しも含めてということでございます。  平成26年の本県の延べ観光入り込み客数は4,632万余でございまして、対前年比110万人余の増となり、これに伴う観光消費額は約1,583億円で、対前年比約38億円の増となっております。  また、観光庁の平成27年宿泊統計調査の速報値におきましては、本県の延べ宿泊者数は540万人余でございまして、対前年比78万人余の増となっており、これに伴う観光消費額は約1,040億円で、対前年比約150億円の増となっております。今後は、本県への訪問が多く、リピーターが7割から8割を占めている台湾や香港、LCCの就航やビザ緩和を背景に急速に増加しているマレーシア、タイを初めとする東南アジアからの旅行客など、今後も外国人観光客が増加していくものと見込まれ、これを県内での消費に結びつけていくことが重要と考えております。  また、同時にインバウンドのみならず、やはり国内旅行の滋賀県への流入といったものが大事だと考えておりまして、本年4月から約半年間、JTBの観光キャンペーンの中に京都、琵琶湖、奈良が10年ぶりに位置づけられましたが、こういったキャンペーンも生かしながら、国内観光においても県内に流入され、消費される、そういう取り組みをしっかりと行ってまいりたいと存じます。
     本県における民泊サービスの事例数についてでございます。  昨年8月以降に民泊の営業について14件の相談が保健所にございました。うち1件が旅館業の許可を取得し、8件は指導中でございます。  なお、無許可で民泊の営業を行っている事例は把握しておりません。  7点目に、旅館やホテル事業者との協議についてでございますが、本県ではこれまで、こういった分野に関して旅館、ホテル事業者との協議は行っておりません。  しかし、今後の対応についてでございます。  本県における観光客への対応につきましては、しっかりとしたおもてなしを行い、満足して帰っていただくためにも、まずは既存の宿泊施設にお客様を誘導することが大切であると考えております。現在、国においては、訪日外国人観光客の宿泊需要への対応や空き家の有効活用などの要請を踏まえ、民泊サービスの適正管理と安全性を確保しつつ、その活用が図られるようなルールづくりが検討されていると聞いております。県といたしましては、国の検討状況を注視しつつ、県内の旅館、ホテル事業者の御意見を伺ってまいりたいと存じます。  一方、本県では、農家民宿や農家民泊の実績がございまして、県内各地で県外からの教育旅行や訪日外国人を受け入れ、心の通った交流活動を行ってきたところでございます。こうした経験や実績を踏まえ、今後の仕組みづくりの議論に生かしていただけるようにしてまいりたいと存じます。  9点目、県建築士会や県宅建協会と連携した空き家対策でございます。  少子高齢化が進む中で、本県においても空き家は増加傾向にあり、空き家対策は喫緊の課題であると認識しています。こうした中で、滋賀県建築士会と滋賀県宅地建物取引業協会で構成します滋賀県空き家管理等基盤強化推進協議会においてワンストップの相談窓口を設置し、所有者等からの空き家の利活用等に関する相談事業に取り組まれており、民泊に係る相談についてもその対応が可能と考えております。  県といたしましては、空き家の利活用が移住促進にもつながるもの、こうした両協会等との連携は有効であると考えておりまして、当協議会におけるこうした取り組みが円滑かつ着実に実施されるよう、引き続き当協議会との連携を強化してまいりたいと存じます。  10点目に、シガインターナショナルハウスの廃止後でございます。  シガインターナショナルハウスについては、海外技術研修員や県内の大学に通学する留学生のための宿舎として利用しているところです。建物の躯体、本体は耐震基準をクリアしているものの、老朽化が進んでおり、継続して利用する場合には外壁や屋内給排水管、給湯設備などの大規模な修繕が必要である状況でございます。このため、県ではこれを受けて検討した結果、平成27年10月の施設評価において、平成31年度以降に廃止する方針を打ち出しました。現在、廃止後の具体的な利活用、処分の方法は決定しておりません。  しからばどうするのかということについてでございますが、今後、廃止をする時点で庁内に設置している県有財産活用検討会議で十分検討し、決定することとしております。その際、施設の貸し付けも含め施設の財産的価値が十分発揮できるよう努めてまいりたいと存じます。  12点目、本県に入ってこられる観光客の交通手段でございます。  毎年実施しております県内10地点の観光地における平成26年度聞き取り調査では、自家用車が約70%と最も多く、続いて貸し切りバス、観光バスが約11%、JR在来線が約8%、新幹線が4%となっております。  13点目、滋賀の玄関口としてまず思い浮かぶのはどの駅であるのかということについてでございますが、滋賀県には各地域にすばらしい観光資源がございます。そういう意味では、何となく模範回答のようなことで恐縮でございますが、それぞれの観光客がまず滋賀を訪れて最初におりられた駅、そういった全ての駅が滋賀の玄関口であると考えております。  14点目、大津南部瀬田、草津に新幹線新駅の設置について御提言をいただきました。  議員御指摘のとおり、鉄道交通が今後の本県観光振興等にとって重要な役割を果たすことは私も同感でございます。しかしながら、東海道新幹線の米原−京都間の新駅の議論については、既存の米原駅の徹底活用、栗東地域の後継プランの完遂が前提条件でありまして、現段階では新駅の検討を行う段階ではないと考えます。しかし、同時に新幹線を初め鉄道で滋賀を元気にする志は大変大事なことだと考えておりますので、今後、そういった趣旨で取り組んでまいりたいと存じます。  関空特急「はるか」の滋賀県への運行本数の増便についてです。  議員御指摘のとおり、県内における「はるか」の運行をさらに拡大することは、今後もインバウンド誘客ならびに世界とのアクセス確保に取り組んでいく上で大変重要な視点であると考えます。そのため、JR西日本に対しましても、地方6団体として「はるか」の活用による観光誘客を要望いたしますとともに、今年1月にはJR西日本の御協力も得て、初めて湖西線への試験乗り入れを実現したところでございます。  今後も、JR西日本との包括連携協定の枠組みを生かしながら、外国人にとっても魅力ある観光地滋賀として磨き上げ、関西国際空港から鉄道利用による誘客に取り組み、実績を積み重ねていく中で、琵琶湖線における増便や湖西線への延伸運行の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇)ありがとうございました。  この質問を出したときに、答弁協議をするときに一体何人来はんのやというぐらいいろんな部局から来て、うちの控室が入れへんぐらい。ということは、こういう1つの課題についてそれだけの人がかかわってはるという反面、みんなそれぞれのところは知ってはんのやけれども、横に通ってない。例えば観光であるけれども、いわゆる交通政策、また商工政策、いろんな部局をまたいでいるんだけれども、それぞれ自分のところで多分この答弁を考えてはるから今のようなお答えになるのかなという印象を持ちます。特に駅の答えなんか、まさしくどなたにも配慮して、あんまり要らんことを言ったらまたというふうに思われるのかなというのは、これは正直、お立場としてはそうなのかもわかりません。  ちょっとその中で何点かだけ伺わせていただきたいというふうに思うんですけれども、私は特に観光産業、民泊というのは今、非常に問題になっています。東京でもそうでしょうし、大阪でもそう。特区の場合は旅館業法の影響は受けないものの、例えば宿泊は7日間以上であるとか、そういったいろんな制約があって、そういうことを真面目に条例も含めてつくって、きちんとやろうという自治体も今出てきておりますけれども、そういった整備がまだまだ追っつかない状況で、先ほど申し上げた、例えばAirbnbという1つの会社を例にとりますと、そういった会社がインターネットを使って登録物件を集めて、それを海外も含めていろんなお客さんに情報提供して宿泊を促していると。中には、違法というまでもいかないまでも、非常にグレーな中でやっているから今問題になっていると。  ここで言うと大阪、京都というところがもう既に民泊をそういう形で進めてきている以上、本県も観光をこれから気張ってやっていこうということになってくると、少なからずそういった登録件数がふえて、1つはトラブルがふえる、もう1つは、今既存の事業者とのあつれきが生まれるという、ここの課題がまずありますし、片やで利点とすれば、先ほど知事は既存のそういう旅館やホテルを中心にということをおっしゃっていましたけれども、もちろんそれぞれの海外から来られるツーリストもそうだと思いますけれども、これからネットを使った個人が申し込んで、個人がやってくるというような旅行形態にだんだん変わってくる、既に変わっているということがあると思います。  ですから、先ほど答弁されたようなところでは、こうしたことが顕著になってきて、問題の部分もよい部分もどちらもがプラスの方向になっていかんのと違うかなという気がするので、先ほど言った仕組みづくりというものをどうすればいいのかということを申し上げましたので、そこをもう一度ちょっと具体的に、もう少し踏み込んでお答えをいただきたいというふうに思います。  それからもう1点は、先ほど許可を受けずに民泊をやっている事業者というのを把握していないと、いみじくもおっしゃった。把握していないことについて、もう既に今のネットのサイトなんかでは、もうどこかのマンションの1室であるとか、どう見てもちょっと空いたような一軒家であるとかということが貸し出されているという現状があります。そういったことを把握していないで済ませていいのかと私は思うんですが、それをもう少し、今後どういうふうに対応されていくのかということをお伺いしたいというふうに思います。  それから、新幹線の駅については何ぼ聞いたって今おっしゃった米原駅と栗東の問題が終わらんことにはなかなか難しいやろうなということは理解しますけれども、それはそれとして、最初におりた駅が滋賀の玄関口というのは、本当にそれでいいんでしょうか。  私はどこか、やっぱりイメージとしてそれぞれ観光地と言われるところへ行ったときに、玄関口はどこですかと聞かれたら、そこの観光地の玄関口はどこと、みんながみんな同じところを言わんでも、大方の人がここというような知名度をつけていかないと、例えば大津駅でありますとか、草津駅でありますとか、八幡駅でありますとか、彦根駅でありますとか、長浜駅でありますとか、それぞれその地域に玄関口というふうにはなっておると思いますけれども、ここというところへ来て、ほかのところへうまく誘導していくというふうに考えていかないと、それぞれ玄関口です、さあどうぞ、好きなところでおりてくださいという観光地は、僕は、あまりそんないろんなところは行ってないですけど、見たことがないし、聞いたこともない。例えば石川といったら金沢とか、北海道といったら千歳とか、札幌とか、別に千歳とか札幌だけがいいというわけではなくて、そこへ来てからいろんなところへ皆さん行かはるという感覚なんです。それについて、最初におりた駅というところをもう少し踏み込んでお答えをいただければと思います。 ◎知事(三日月大造) 2点目にいただいた、把握すべきじゃないのかというのは、1度きちんとネットも見ながら、県内でどういった物件が出されているのか、またどういう条件で出されているのか、しっかりと確認をさせていただきたいと思います。なかなかインターネット上での取引、紹介ですので、全てを把握することは難しいのかもしれませんが、しかし、もう現実、ネット上で取引、紹介がされているとすれば、県としてもどういう状況なのか、確認をさせていただきます。  また、1つ目におっしゃった民泊の問題は、いずれにしろ安く泊まりたい、快適に泊まりたいというニーズと、空いてるから使ってほしいというシーズ、このマッチングの中でインターネット環境の改善で行われている取引でございます。  当然、規制、法律がございまして、安全面の配慮も必要でありますし、既存事業者との関係をどう整理していくのかという、こういう大きな問題もありますが、いずれにしても滋賀県の場合は、まず既存事業者等にしっかりとお客様を行っていただくということと同時に、この間、他の府県よりも先んじて取り組んできております農家民泊等のそういった部分で国の規制緩和の議論に参画をしていくということだと思っています、県の基本スタンスとしては。ただ、同時に、今、国で検討されている規制緩和の流れも注視しながら、滋賀県としてどう取り組んでいけばいいのかということを検討していきたいと存じます。  また、3点目に、県内の玄関口の駅をどう考えるのかという問題は、これは当局側の答弁協議のときにも、目片議員の意図がどういったところにあり、どう答えればいいのかということを随分議論した上でこの答えをさせていただきました。何かしゃくし定規な答えになってしまったところは恐縮なんですけど、広域自治体でどこが玄関口なんだと答えるのはなかなか難しいなと思っています。  ただ、唯一の新幹線の駅はどこだと言えば米原駅です。やはりこの米原駅に来ていただいて、サイクルステーションを含めて湖北を中心とする広域観光に行っていただきたい、これは1つの玄関口ですし、世界遺産、比叡山延暦寺に行く玄関口はどこだと言うと、JRの比叡山坂本駅と京阪坂本駅だと思うんです。そういったところを玄関口として、県なり市、協会なりがしっかりと御紹介し、アクセス、バリアフリー化も含めて、御案内も含めてきちんとできるような、そういった体制を今後、関係者の皆さんと一緒に協力しながら取り組んでいきたいと存じます。 ◆5番(目片信悟議員) (登壇)いろんな玄関口から、横から後ろから前から入ってきていただいて、要は入っていただければそれで結構かと思うんですけど、ブランドとか知名度というところから言えば、思い浮かばへんの違うかなと。よその遠方の方が本県を見たときに、イメージが浮かばへんの違うかなというのはあると思います、現実的に。大体どの都道府県も、ここと言ったらここというようなイメージを抱かせてもらうというようなところを逆に利用していくという、この発想だと私は思っているので、質問をさせていただきました。  それと、先ほど体験宿泊の話がありましたけど、1つあった事例で、佐賀市が定住のための体験型で民泊をしようとしたら、旅館業法に違反だと言われてストップになったと。例えば実費をいただくということであっても、言ったらお金をいただくともう旅館業法違反だというような事例があったということが2010年にございました。  ですから、そういったところもやっぱりしっかり研究して、自治体も含めていろんな形で、そういった問題が起きないように、今後、観光という視点から考えても非常に有力な方法、先ほども申しましたように、ネットを使った、これからは個人旅行というのもふえてきますので、そういった中でそういった問題が未然に防げるような取り組みをぜひともお願いしたいと思います。  終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、5番目片信悟議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後2時32分 休憩    ────────────────   午後2時59分 開議 ○議長(西村久子) 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、18番井阪尚司議員の発言を許します。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇、拍手)日野の玄関口は日野駅だと思っています井阪でございます。よろしくお願い申し上げます。  2項目、質問させていただきます。  初めに、環境、文化の創造と組織再編について、5点全て知事にお伺いいたします。  まず、新設県民生活部について伺います。  知事は新年度から、これまでの知事直轄を廃止して、新たに県民生活部を設置すると発表されました。これに関して、さきの代表質問でチームしが 県議団の九里議員が、再編により県庁力が高まることで、県民生活がどのように向上し、県民の暮らしが具体的にどう改善されるのか、またその狙いについて質問をされました。これに対して答弁は、行政課題への対応や行政サービスの提供に最適、簡素、効率的な組織であることを基本として、総合戦略プロジェクトの実施に当たり、政策立案や総合行政の機能強化、スポーツ行政や文化振興など、県民に身近な施策を推進していくことのできる体制の整備、これを進める旨の内容でございました。  これによりますと、部が所管する課は県民生活に関する課に加えて、新生美術館を所管する文化振興、また国体を推進されるスポーツ行政、さらに新エネルギービジョンを実現される課も所管されます。新設県民生活部はジャンルの違う分野が集まりながらも、これらの滋賀をデザインして、県庁力を発揮する大きな役割を担われることになります。再編は事業を進めるための割り振り作業ではありますけれども、夢をあわせ持つものでもあります。その夢を形にする道筋を示してほしいと願うものでございます。  そこで、この再編により県民生活がどのように向上し、県民の暮らしが具体的にどう改善されるのか、その狙いについて再度お伺いをいたします。  次に、滋賀県が全国に誇る環境学習とESDの推進について、環境創造の視点からお伺いします。  今、地球環境は地球温暖化に端を発する気候変動、また大規模災害、森林荒廃、生物種の減少、新型ウイルスの出現等によって危機的な状況にあります。私たちは持続発展する社会の実現に向けて、環境問題の解決に迫られています。そのためには、問題の解決に向けて実践力のある環境人を育成することが重要であり、県は他県に先駆けて環境学習を進めてきました。  滋賀県は平成16年に全国初の滋賀県環境学習の推進に関する条例を制定し、あわせて滋賀県環境学習推進計画を策定しました。その後、国では平成23年に環境教育等促進法が全面改定されて、県ではこれらを受けまして、本年度、第3次滋賀県環境学習推進計画の改定を行われ、このたび、その素案がまとめられました。さらに、平成27年には琵琶湖の保全および再生に関する法律が施行され、琵琶湖は国民的財産と位置づけられて、琵琶湖の自然環境に関する教育の充実がうたわれました。そこで、第3次滋賀県環境学習推進計画の主な内容と施策の力点についてお伺いをいたします。  次に、滋賀の持続可能な開発のための教育、冒頭申しましたESDについてお伺いをいたします。  ESDは、環境や貧困、人権、平和、開発などの現代社会の課題をみずからの課題と捉えて、解決に向けて持続可能な社会を創造できる学習や活動を行うことを目的としています。国内でもさまざまなESDプログラムが開発されていまして、滋賀県でもエコ・スクールを初めとして、各学校でも環境学習として取り組まれています。  また、滋賀県では環境省事業でありますESDプログラムの検証、その普及啓発、研修を学校教育課、また環境政策課の協力を得て進められておりまして、全国に誇れるプログラムも生まれてきました。さらに国では、平成28年度に国連ESDの10年後の環境教育推進費を予算として上げています。この中で、ESD活動支援センター(仮称)を設置される、また環境教育、ESD基盤強化、人づくり、拠点づくりを打ち出していまして、ESDをさらに進めていこうとされています。そこで、ESDに関するこれらの動きがある中で、滋賀県のESDをどのように展望されるのか、お伺いいたします。  次に、このESDの推進に当たって、市町連携について伺います。  ESDの推進については、最も身近な市町の役割が不可欠であります。滋賀県内でも環境学習を施策の重要な柱として位置づけて取り組まれている市町があると仄聞しますが、市町によってはかなりの温度差が見受けられます。今後さらにESDを推進するに当たり、市町との連携を強化するためにどのように働きかけられるのか、お伺いいたします。  次に、県民が利用しやすい環境分野のモール化についての考えをお伺いします。  環境学習やESDの推進に当たっては、多様な主体が集まって情報交換や協働活動などができるプラットフォームが求められます。今、県内に点在しています環境に関する諸機関、あるいは事業がたくさんありますけれども、県民の皆さんには見えにくい、ばらばらで活用しにくいといった声を多く聞きます。  そこで、自然系を重視した琵琶湖博物館環境学習センター、低炭素社会の実現を目指す地球温暖化防止センターとグリーン購入ネットワークなどの機関、また体験重視のしがこども体験学校、また地域の人々や企業、団体等が学校を支援する仕組みをしていただいていますしが学校支援センターなどの諸機関や諸事業を1カ所に集めて環境分野のモール化を図ってはどうか。ESD推進に向けた効果、効率的な取り組みにつながると思いますが、この仕組みをつくってはどうかと思います。これが進みますと、滋賀県の環境学習がさらなる厚みを増して、将来、アジアの拠点化にも弾みがつくのではないかと思います。そこで、県内環境系の施設、機関等の環境分野のモール化についてお考えを伺います。 ○議長(西村久子) 18番井阪尚司議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)井阪議員、どうぞよろしくお願いいたします。  環境と文化の創造と組織再編について、5点御質問いただきました。  まず1点目の、県民生活部新設の狙いについてでございますが、県民生活部は文化やスポーツの振興を初め、消費者行政や人権啓発、エネルギーなど、県民の日常生活にかかわる事項を一元的に所管するものといたします。こうしたことにより、各種施策や事業を総合的に展開することができ、これまで以上に効果的、かつ効率的に推進できるものと考えています。  特に基本構想に掲げる7つの重点政策のうち、「『文化とスポーツの力』を活かした元気な滋賀の創造」の実現を中心的に担う組織として各種施策を推進することにより、文化とスポーツが持つ、県民の皆さんの心身を元気にし、また地域を元気にする力を発揮できるものと期待しております。  2点目、第三次滋賀県環境学習推進計画の主な内容と力点についてでございます。  現在策定中の新しい環境学習推進計画は、基本目標を「『いのち』に共感して自ら行動できる人育てによる、持続可能な社会づくり」としておりまして、単なる人材の育成にとどまらず、学びを主体的な行動へと移していただくことで持続可能な社会づくりが進むことを目指しています。そのための考え方として、人育ての歯車と持続可能な社会づくりの歯車とがかみ合って回転するギアモデルのイメージを提唱しています。  また、環境学習を進めるに当たっての基本的な視点として、つながりを重視しておりまして、人々のつながりや上流と下流のつながり、世代間のつながりなど、多様なつながりが重層的に生まれる中で、環境学習が進み、持続可能な社会づくりが進むことを目指すものでございます。  また、重点的な取り組みといたしまして、暮らしと琵琶湖のつながり再生、低炭素社会づくり、生物多様性の保存、循環型社会づくりの4分野に係る環境学習を進めるほか、さまざまな主体の連携を促進し、つながりを広めるために、1、各地域で活躍しておられる人や施設をつなぐこと、2、学校と地域とをつなぐこと、この2つのつながりの強化に取り組むことといたしております。  3点目、滋賀のESDについての展望でございますが、持続可能な開発のための学習、いわゆるESDにつきましては、現在、国においても文部科学省や環境省などの関係省庁が連携いたしまして、国内実施計画の策定を進めているところです。先ほど申し上げましたとおり、県としても新しい環境学習推進計画において持続可能な社会づくりを目標としておりまして、環境学習の推進に当たりましても、ESDの視点を取り入れた施策の展開が必要だと考えています。  湖とともに暮らすライフスタイルの根づいた本県は、持続可能な社会づくりについて学ぶ教材の宝庫であると考えます。昨年12月に岡山市で開催された環境省主催の西日本ESDミーティングの場などにおいて、多様な主体の連携による環境学習の実践について、本県の先進事例の情報提供を行ってきたところでございます。  今後も、県民の皆さんやNPO、企業、市町や国などと連携をしながら、琵琶湖を初めとする地域の資源を教材に、ESDの趣旨を踏まえた滋賀らしい環境学習を推進し、持続可能な滋賀社会の構築に向けた取り組みを進めてまいりたいと存じます。  4点目、市町との連携の強化についてです。  ESDの推進に関し、市町により温度差があるのは議員御指摘のとおりでございますが、県内にはESDによる環境学習の先進事例として全国に発信できる取り組みが多数存在します。例えば草津市立渋川小学校では、全学年の児童が地域の調査を行い、自分たちの町の生物多様性を渋川生き物絵図として書きあらわし、60年前の様子と比較しながら、町がどのように変わってきたのかを学ぶ取り組みをされています。  また、議員の御地元であります日野町立日野小学校では、体操服を回収し原料にまで戻すリサイクルについての学習を軸に、家庭でのごみの削減や再生資源を活用したまちづくりなどとも関連した複合的な学習が進められています。  これらはいずれも、単に知識の習得にとどまらず、持続可能な社会づくりについて考え、子供たちの主体的な行動へとつながるものでありまして、まさにESDの視点による環境学習の事例であると考えます。  このような先進事例について、市町の環境学習担当者会議の場などを活用して発信することや、環境学習センターによる情報の提供、相談対応などにより、県内の各市町におけるESDの趣旨を踏まえた環境学習の推進を応援してまいりたいと考えています。  最後、5点目、環境系の施設、機関等のモール化についてでございますが、ESDの視点を取り入れた環境学習の推進に向けては、豊富な情報や経験、人のつながりを持つ環境関係機関がそれぞれの把握する課題や組織の長所などを共有し、連携、協力しながら取り組むことが非常に大切であると考えます。  新しい環境学習推進計画においても、重点的な取り組みの1つとして環境関連団体のつながり強化を掲げておりまして、団体同士の積極的な連携、協力体制の構築について記述しているところです。  議員御提案の環境系の施設、機関等のモール化は意義深い御提案であると考えますが、まずは関連機関同士の積極的な横つなぎにより、意思疎通や課題共有が図られるように、物理的に1カ所に集めるやり方ではなく、機能面の連携強化に力を入れてまいりたいと考えているところです。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ありがとうございます。  環境のモール化なんですが、県内施設、あちらこちらとばらばらで、しかも交通の便のいいところもあるし、悪いところにもあるということで、大変県民の皆さんに見えにくいという、これはもう10年近く前からの話なんですが、それがずっと来ていまして、なかなか改善されていない。  先ほどの目片議員の話ではございませんが、滋賀県イコール環境だと、こういう面では有名なんですけれども、じゃ、どこへ行けばというのはなかなかわかりにくい。そういった意味で、まずはモール化からというふうに提案をさせていただいたんですが、この議論は放っておきますと、また数年たっていつの間にやらこの議論はなくなりましたということになりますので、ぜひ滋賀県がアジアの拠点化を目指す意味でも、モール化をぜひ御検討いただければと思いますが、再度知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 議員おっしゃるように、私は御質問を聞いていて、なるほどなと、1カ所に集約すると、そこに行けばあらゆることが学べる、いろんな情報がとれる、共有できる、1つの意義を感じますが、そこに行かないとまたそういったものに触れられないということからすれば、やはり真ん中に琵琶湖があって、どこにそういうものを所在させるのかといういろんな課題もあるのかもしれません。  議員からは琵琶湖博物館が1ついいんじゃないかという御提案がございましたが、まずはこの環境に対する取り組み、学習の取り組みもさまざま分野もありますし、いろんな取り組みもございますので、それぞれの地域地域で活動していただいて、むしろ今はもうインターネットもありますし、いろんな機会を設けて集まって発表していただき、共有していただく、そういう場を設けることで団体間のつながりをつくっていくことが重要じゃないかなと考えて、まずはそちらを優先させていただきたいと思いますが、ただ、今後そういう可能性については、議員の御指摘を踏まえて、関係団体のいろんな御意見も聞きながら対応を検討してまいりたいと存じます。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ぜひ早い段階で御検討いただければと思います。  次の項目に移らせていただきます。  県民の意欲を県の施策を生かす仕組みづくりについてお尋ねさせていただきます。  国による地域創生事業が始まっていますが、多くは官主導で地域住民の参画の姿がなかなか見えてきません。地域づくりは風土とよく言われますように、その漢字に当てはめますと、ノウハウを持っている他地域の人を風の人と例えますと、地元のことをよく知っている方のことを土の人、地域活性化はこの両者の協働で進むと言われるんですけれども、これを行政と地域との関係で考えますと、予算化する国と企画する県、市町はまさに風の人、地域づくりに立ち上がるのは地元の人ということになります。  県は今まで、県民参加型の地域づくりについてさまざまな支援と提案をされてきました。その成果が地域で根づいたものもありますけれども、人口減少と少子化の時代の流れが余りにも激しくて、今日ではさらに多くの提案と県民の参画が必要だと思います。それには県民の意欲をどう引き出して支援するかにかかっています。  そこで、以下3点について全て知事にお伺いいたします。  まず、県民協働について伺います。  これからの地域づくりは、その主体者である県民等の一層の参画が求められています。それには行政、住民、NPOや事業所、大学、研究機関等が日ごろから情報交換したり、活動のノウハウを共有する場が必要であります。そこで、県は豊かな滋賀の地域づくりを進めるために、県民協働をどのように進めようとされるのか、その仕組みづくりについてお伺いいたします。  次に、地域活性化に取り組む人材の育成と支援について伺います。  今、地域の光として期待が持たれています地域おこし協力隊、この方々の活躍が注目されています。先日、東近江市奥永源寺地区で活躍されている地域おこし協力隊3人の方の報告会に参加してまいりました。  紹介させていただきますと、山形さん、女性の方でいらっしゃいます。「日本に政所茶あり」、これをテーマに、政所茶産地が日本の本来の姿を守る地域だと、独自の地位を確立したい、そして海外からの評価を逆輸入することで、政所茶の市場価格を10倍に上げたいと、こういう目標を掲げられて、茶の持っているもてなし文化に触れる体験活動ですとか、インバウンドにも目を向けたビジネスモデルを展開しようと取り組まれています。  前川さん、男性の方です。「森と水の共和国構想」をテーマに、奥永源寺のもの、人、こと、技、心を農村シーズ、あるいは資源として捉えて、都市住民のニーズに届けるビジネスプランにする奥永源寺丸ごとコンテンツを目標に掲げて、具体的には木地師のふるさとコンテンツと万葉ムラサキコンテンツを軸に体験活動ですとか体験ツアーを企画されています。
     もう1人、藤井さん、男性の方です。「奥永源寺アウトドアフィールド」をテーマに、五感で楽しむ場づくりと農山村体験や、実はUSJでダンスを踊っておられたそうなんですが、そのダンスを生かして奥永源寺を、体験と芸術を融合した地球ハートビレッジにしようと奮闘されています。行動力と夢のある地域づくり最前線の話に感動をさせていただきました。  日野町にも地域おこし協力隊の方がおられます。日野菜の商品化や伝統文化を生かした活性化に取り組まれています。また、甲賀市では宮村の教育、甲南町と三重県の境にある宮村の教育で有名な地を住み心地日本一にしようと、宮ブランドの開発に力を注いでおられます。  このように、県内にはたくさんの多くの地域おこし協力隊の方が活躍されていますけれども、国からの支援が3カ年で切れますので、その後は自活するか市町の支援をいただくか、事業を地域の方や他の方に引き継ぐ、あるいは断念するかという岐路に立たされます。地域創生事業は地域に入り、地域の人と一緒になって展開することで、地域に根づきます。県の地域振興策への支援もこのような考えで進められていると思います。  そこで、人口減少と少子高齢化が急激に進む中山間地域の地域創生を確実に実現するために、地域おこし協力隊が任期終了後も地域に定住、定着できるように県と市町が連携して取り組む必要があると考えますけれども、所見をお伺いいたします。  最後に、本日の清水議員、そして目片議員の質問と関連いたしますけれど、農家民泊、農家民宿の推進と地域活性化についてお伺いをいたします。  今、都市型消費生活から田舎のよさを体験しようと、田園回帰現象が起こっています。また、日本の生活文化や自然の原点に触れようと、田舎を訪れる海外旅行者もふえてまいりました。日野町では田舎体験や町家体験をしてもらおうと、教育旅行を受け入れていますけれども、年間約4,000人強が日野田舎体験を経験されます。東近江市、また甲賀市、湖西や湖北、湖東地域でも教育旅行の受け入れを行っておられます。参加者は非日常の暮らし体験を通して、自然や人のつながりを再認識したり、もの、こと、人の新たな発見をする人が多いようです。農家民宿、農家民泊事業は受け入れの地域の方を元気にするとともに、地域活性化につながっています。知事も就任以来、県内のあちらこちらにお出かけになられてプチ田舎体験をされたと思うんですが、いかがだったでしょうか。  滋賀のよさを知っていただき、滋賀の物産を暮らしに生かしてもらい、滋賀のファンになってもらうには、食と農、暮らしと文化に触れてもらえる農家民宿、農家民泊事業は効果的だと思っています。そこで、県として今後、農家民宿や農家民泊をどのように進めていこうとされるのか、お伺いをいたします。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。県民の意欲を県の施策に生かす仕組みについて、3点御質問をいただきました。  1点目の、県民協働をどのように進めるのか、その仕組みづくりについてでございます。  これまでから、滋賀県協働提案制度でありますとか新しい公共支援事業などにより、県民との協働による事業を実施してきています。今後、人口減少がさらに進み、地域課題は複雑多様化していくことが考えられますことから、多様な主体が目的を共有し、役割分担や責任を明確化した上で連携、協力して進める協働がより一層求められていると認識しています。  こうしたことから、今年度内を目途に、仮称でございますが、滋賀県協働推進ガイドラインの策定を進めておりまして、このガイドラインにおいて多様な主体が参加する協働プラットフォームの設置や、民間からの提案を事業化するための仕組みの構築などに取り組むことといたしております。この協働プラットフォームでは、県民、企業、NPO、行政等、多様な主体が構成員となって対話、協議を行い、各主体間で地域課題の把握や共有化を図ることといたしております。あわせまして、政策形成段階から協働を進め、事業化に向けて取り組む新たな仕組みの構築を考えております。  今後も、協働推進ガイドラインなどにより多様な主体との協働、連携を促進し、全ての人に居場所と出番が実感できる共生社会をともにつくってまいりたいと存じます。  2点目に、地域おこし協力隊の皆さんの地域での定住、定着のための取り組みについてでございます。  現在、県内では11の市町で36人の方々が地域おこし協力隊員として、地域資源を活用した特産品の開発やPR、獣害対策への支援など、さまざまな地域協力活動に取り組んでいただいております。私も大いに期待をしています。これまで県内においては、昨年3月末までに任期を終えられた隊員19名のうち、9名の方が同じ市町に継続して居住されておられますが、より多くの隊員の皆さんが任期終了後も地域にとどまって地域の活性化に寄与していただけることが重要であると認識しています。  このため、県においては、隊員の方々を受け入れている市町と連携いたしまして、昨年度から隊員の皆さんの交流会を開催いたしまして、活動状況について意見交換を行っていただくとともに、起業や就農に係る相談窓口やセミナーの紹介も行っています。また、隊員の皆さんが県立大学で養成された近江環人などの人材や、地域資源の発掘や商品化の経験のある企業関係者等から活動内容の充実や今後の起業に向けた専門的なアドバイスを受けられる場も設けているところでございます。  今後とも、市町と十分に連携し、隊員の皆さんが任期の終了後もそれぞれの地域で定住し、活動を継続して地域の活性化に貢献してもらえるよう、積極的に支援をしてまいりたいと存じます。  最後、3点目、農家民宿や農家民泊をどのように進めていこうとしているのかということについてでございます。  これまでから、歴史や文化、自然に恵まれた滋賀ならではの魅力を生かした都市農村交流を促進するため、平成20年4月に農家民宿開業の手引きを作成し、毎年講座を開催するなど、農家や地域の取り組みを支援しています。また、平成26年3月に、教育旅行における農林漁業生活体験ホームステイ実施に係る取扱指針を定めたところでもございます。こうした取り組みの結果、平成21年度から26年度までの6年間で80件、農家民宿が開業され、民泊と合わせ、累計約2万5,000人の方が県内の農村で宿泊体験をされました。  また、議員のお話にもありましたとおり、県内各地で市町などを中心に設立された推進協議会を窓口に、県外からの教育旅行、さらには訪日外国人を受け入れ、心の通った交流活動を展開されていると承知いたしております。私自身、田舎暮らし体験を通じて自然の豊かさや人との交流の温かさ、そこで育まれる伝統文化の大切さを体感してきたところでございます。  県としても、こうした取り組みがさらに広がるよう、市町や各地域の推進協議会などと構成いたしますしがグリーンツーリズムネットワーク連絡会の場を活用いたしまして、4,000人の方が来られているんですか、都市の子供たちを家族の一員として迎え入れ、感動を分かち合っておられる日野町の先進取り組み事例などにも学びながら、普及推進や情報発信などにより積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ありがとうございます。  日野町の農家民泊、受け入れておられる高齢者の方々の生きがいになっているんですね。いつ、次来てくれはるんやろうと。また、町の子供さんは子供さんで、ふだん体験できないことを体験されていまして、地域のお年寄りには健康寿命、あるいは文化体験の伝承につながっているんですが、町の子供さんにとっては新しい生き方に広がっていくという、そんな感想も聞いております。  地域おこし協力隊、ぜひその後のことを市町と連携していただいて、検討いただければありがたいと思います。何せ地域おこし協力隊の方々は課題意識を持ってこの地域に入ってくださっていますので、本当に優秀な方が多いです。3年間で切れるのは本当にもったいないなと思います。ぜひこの滋賀県でその優秀な人材が活躍できる、そんな仕組みをつくっていただければありがたいなと思います。  これで質問を終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、18番井阪尚司議員の質問を終了いたします。  最後に、30番小寺裕雄議員の発言を許します。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇、拍手)去る2月1日、グーグルの持ち株会社であるアルファベットの株式時価総額が5,540億ドル、日本円にして63兆円になり、アップルを抜いて世界一になったという記事を雑誌か何かで読みました。グーグルの提供するサービスは、私たちが利用するときには基本的に無料であるにもかかわらず、莫大な利益を上げています。一体どういう仕組みでもうけが出ているのでしょうか。  私は、こうした企業やある事業のもうかる仕組み、いわゆるビジネスモデルというものにとても興味があります。グーグルのビジネスモデルは、ヤフーやマイクロソフトのそれよりも圧倒的にすぐれた検索システムにより、ユーザーの期待に応え、インターネットの世界に入るときにはグーグルという扉から入ることが一番便利であるという仕組みをつくり上げたところにあります。そして、便利なサービスをどんどん提供して付加価値を創造することで、世界中から多くの人をグーグルに集めることに成功しました。そして、そういう人たちがネットの中で何を調べ、何に興味があるのかといった情報を検索結果から分析し、それらのビッグデータを解析し、マーケティングに役立つように加工して、必要とする企業などに販売してもうけているというわけです。これがグーグルのビジネスモデルです。  各企業や業種によってさまざまなビジネスモデルが存在し、何十年にもわたって変わらずもうけ続けられるような仕組みもあれば、最近はこういう仕組みが随分なくなりまして、わかりやすいところで言えば、米原駅前の駐車場はそれに当たるのではないでしょうか。時代の変化や技術革新により、業界そのものがなくなるようなものもあります。悪いほうのたとえで恐縮ですが、一時は液晶で大もうけしたものの、技術にこだわる余り液晶に特化したことが結果的に裏目に出て、価格競争に巻き込まれることとなり、台湾企業の傘下に入らざるを得なくなったシャープの例などはビジネスモデルが崩壊した一例です。  業種自体が厳しくなった例であれば、デジタルカメラの出現で写真屋さんは一番もうかる写真プリント業を失い、町でほとんど見かけることがなくなりましたし、カーナビゲーションの普及により、地図をつくっている出版社も一部を除いてはほとんどなくなってしまいました。さらには、いわゆる総合スーパーマーケットはユニクロやしまむらといった衣料専門店、あるいはニトリや家電量販店などの専門店などに顧客を奪われ、2階、3階の売り場の売り上げが減少し、赤字の店舗がどんどん閉店していく状態です。最近のスーパーが食品に特化しているのはそのためです。  さて、私は相も変わらず農業について質問をするわけですが、本県農業のビジネスモデルも米に特化して取り組んできたことから、米の価格が上昇しているときはよかったのですが、一旦下がり始めますと行き詰まりを見せてきました。この10年はどうにかこうにかやり繰りをしてきましたが、集落営農を基本とした米、麦、大豆に加えて、新たな収益源となる作物を栽培することで新しいビジネスモデルを構築しようとしているところですが、そのモデルが完成するのか、完成するまで持ちこたえられるのか、それで本当にもうかるのか、さまざまな疑問点があります。  今回は、そうした新たなモデルをつくり上げるために何が必要なのかといったところを提案しながら、以下、通告に従いまして質問をしてまいります。  それでは、農業の諸課題ということについて、知事ならびに農政水産部長にお尋ねをいたします。  滋賀県農業・水産業基本計画案が策定されました。この計画は、本県の農業、水産業部門の基本計画と位置づけられるもので、おおむね10年後のあるべき姿を目指しています。こうした背景には、平成23年の3月にしがの農業・水産業新戦略プランを策定したものの、その後、農業、水産業を取り巻く環境が大きく変化したことにあります。  とりわけ農業分野では、国において平成25年には農林水産業・地域の活力創造プランが取りまとめられ、農地中間管理機構の制度化による農地の担い手への集約化を加速化させること、民主党政権下でばらまき政策と評判の悪かった、いわゆる戸別所得補償制度の廃止、そして減反政策を見直し、主食用米偏重ではない、需要のある作物を生産するよう環境整備を進めること、さらには日本型直接支払制度を創設し、農村の構造改革を後押しすることなど、4つの改革プランが取り入れられました。  また、平成27年には、食料の安定供給の確保、農業の持続的な発展、そして農村の振興を柱とする食料・農業・農村基本計画が策定され、強力に農政改革が推し進められています。  冒頭に申し上げましたように、TPP対策もにらみながら、こうした背景から新たなプランを策定し、さらなる改革に取り組もうとしておられるところですが、本県農業が抱えている課題がそれほど簡単に解決、改善されるとは到底思えません。  そこでまず、本県農業の現状について幾つかお尋ねいたします。改めてお伺いいたしますが、本県の農業の強みと弱みについてはどのように認識をしておられるのでしょうか、農政水産部長にお伺いをいたします。  次に、稲作についてお尋ねをいたします。  農林水産業・地域の活力創造プランでは、平成30年度から米政策を見直し、行政による生産数量目標の配分に頼らない、自主的に需要に応じた計画的な生産が行えるような取り組みを目指すこととなっています。このプランが発表された翌年の26年度は米価が暴落し、農家の皆さんには随分と御心配をおかけしてしまいました。しかし、翌年、つまり昨年は初めて生産数量目標が達成され、米価も一定安定したと伺っておりますが、昨年の米価と生産数量目標の達成状況はどのようなものであったのか、農政水産部長にお伺いをいたします。  また、主食用米の生産を減らすということは、同じ水田を活用して非主食用米である飼料用米や米粉用米を生産したり、麦、大豆や地域作物をより積極的に生産していくこととなります。本県においてそれぞれの営農組織等における取り組みが平成30年度以降も着実な実施が見込めるのでしょうか、農政水産部長にお伺いをいたします。  農業を取り巻く環境と将来を考えると、好むと好まざるにかかわらず改革を推し進めていかなければなりません。そうした厳しい環境の中、意欲を持って農業に取り組んでおられる皆さんにとって今最も必要な支援は、私は、いわゆる普及指導員制度の充実ではないかと考えています。この制度は、昭和23年に制定された農業改良助長法に基づくものですが、何度かの制度改革を経て、現在はより専門性の高い普及指導員と農業革新支援専門員などを配置し、今日に至っています。しかしながら、聞くところによりますと、この普及指導員が年々減っているとのことで、私のところへも農家の皆さんから不安の声が届けられています。  確かに農家の数はこの10年間でも集約が進んだこともあり、1万戸以上減少しています。また、耕地面積も昭和45年には7万ヘクタール以上あったものが、平成24年には5万6,000ヘクタールを切ってしまいました。さらには、農業産出額も平成22年で底は打ったというものの、この20年で300億円以上も減少しています。しかしながら、改めて農業を地域を支える主要な産業と位置づけ、改革をさらに推し進めようとするならば、今こそこの普及指導員制度を充実していくべきではないでしょうか。  そこでまず、この普及指導員制度の実情についてお尋ねをいたします。普及指導員は、具体的にはどのような仕事を日常されているのでしょうか。そして、これまでの成果にはどのようなものがあるのでしょうか、お伺いいたします。  そして、最近の普及指導員の人数の移り変わりと年齢構成はどのようになっているのでしょうか、また、現在この制度で抱えている課題にはどのようなものがあるのでしょうか、農政水産部長にお伺いをいたします。  私が地元を回って肌で感じる感覚で申し上げますと、TPPがあろうがなかろうが、本当に真剣に改革に取り組まなければ、本県の水田を中心とする農業は10年以内に崩壊するだろうという心配をしています。それは農家の皆さんの心配でもあります。しかし、地域を守っていくためには、私が常々申し上げているように、農業を何とか維持していかなければなりません。そこで、いろいろ申し上げてまいりましたが、知事は本県農業に対してどのような認識を持ち、どのようにしていかなければならないとお考えになりますか、お伺いをいたします。 ○議長(西村久子) 30番小寺裕雄議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)小寺議員、どうぞよろしくお願いいたします。  農政に係る諸問題について6点御質問いただきました。後ほど、具体各論については農政水産部長からお答えさせていただきますが、私には6点目、本県農業に対する認識と今後の方向についてお問い合わせいただきました。  本県農業は、全国に先駆けて集落営農や環境こだわり農業を推進するなど、米を中心とする水田農業を展開してきましたが、今御指摘がありましたように、基幹作物である米の消費量の減少や価格の低迷など厳しい環境にございまして、農業従事者の減少や高齢化などにより、農村における集落機能が低下していると認識しています。加えまして、TPP協定の合意や国の農政改革の進展など、本県農業は大きな転換期に置かれていると認識しています。こうした状況を踏まえ、産業として競争力のある農業の確立と活力ある地域づくりを目指したいと考えています。  1つ目に申し上げました産業振興の視点におきましては、近江米について、これまでの栽培指導の努力等が実を結びまして、おかげさまで「みずかがみ」と「秋の詩」が食味ランキングの特Aを取得できましたが、さらに高品質な米づくりとブランド化を進めてまいります。  また、麦、大豆、飼料用米などの戦略作物による水田のフル活用を図るほか、野菜などの高収益作物を導入し、将来に向けて本格的な園芸産地づくりを検討してまいります。  一方、地域づくりの視点からは、農業を核として集落をいかに維持し、そして活性化させていくかが重要であると認識しています。このため、集落みずからが将来の姿を描き、その実現に向けた活動を地域農業戦略指針を活用し、支援してまいる所存であります。こうした取り組みを通じまして、これまで先人が育んでこられた琵琶湖を初めとする美しい自然、近江の文化、風土といった貴重な財産を守り、引き継いでまいりたいと存じます。 ◎農政水産部長(安田全男) (登壇)農政に係ります諸課題についての私にいただきました5点の質問のうち、1点目の、本県の農業の強みと弱みの認識についてでございます。  まず、強みといたしましては、集落営農組織が多く、法人も増加するなど、集落営農が進んでいること、近江牛などの認知度の高いブランド品目があること、環境こだわり農産物など、環境保全型農業が進んでいること、圃場整備率が高いことなど生産基盤が整っていること、こういったことが挙げられます。  また、弱みといたしましては、農家数の減少、高齢化の進行により集落機能の低下が懸念されること、稲作に特化しているため、農家経営が米価に左右されやすいこと、野菜、花卉、果樹といった園芸作物の生産量が少ないこと、近江米や近江牛を除いては県外での認知度が低いこと、農業水利施設が一斉に老朽化してきていることなどが挙げられます。  次に、2点目の平成27年産の米価でございますが、農林水産省が公表しております出荷業者と卸売業者等の取引契約価格では、滋賀県産コシヒカリで、今年の1月では60キログラム当たり1万3,970円と、前年対比で1,000円前後高く推移しております。  次に、平成27年度の滋賀県の主食用米の生産数量目標の達成状況でございます。3万970ヘクタール以下にする生産数量目標に対しまして作付実績は3万6,000ヘクタールであり、目標を達成している状況でございます。  3点目の、営農組織等における取り組みが平成30年産以降も着実な実施が見込めるのかについてでございます。  本県におきましては、県農業再生協議会を初め関係機関、団体と協議をしながら、平成30年産から始まる米政策の見直しに円滑に移行できますよう、事前準備の対応をしているところでございます。  まず、主食用米につきましては、みずからが需要の確保を図る必要があることから、環境こだわり米など特色ある近江米のPRを行うことにより、契約栽培を促進し、需要の確保に取り組んでおり、今後、この取り組みを一層強化する必要があると考えております。  次に、麦と大豆につきまして、集落営農の育成を通じ、ブロックローテーションによる本県独自の営農体制を確立し、現在ではいずれも全国6位の主産地となっております。事業者からは、今後も安定供給についての期待を寄せられていることから、農業団体と連携し、契約栽培を強力に推進しているところでございます。  今後も、地域農業戦略指針を活用しながら、集落における話し合いや実践活動を支援し、集落の持つ調整機能やブロックローテーションなどの営農体制の維持、さらには野菜など新たな作物の導入を図ることにより、30年産以降も集落における営農組織等の取り組みが継続していくよう取り組んでまいります。  4点目の、普及指導員の具体的な仕事と成果についてでございます。  普及指導員は、直接農業者に接して農業経営の改善や地域農業の振興等に関する技術および知識の普及指導、支援を行い、農業者の育成、地域農業の発展および農村の振興を図る取り組みを行っております。  また、普及指導員の活動成果についてでございますが、今般、「みずかがみ」と「秋の詩」が特Aの評価をいただけましたのは、農業者を初め関係者の皆様の御努力が実を結んだものでございます。その獲得に当たっては、高品質でおいしい米づくりに向けまして、普及指導員が県内各地域において直接生産者に接し、栽培指導を行った力も大きいと認識しております。  また、本県では園芸振興に向けまして、水田を活用した野菜の生産拡大を進めているところでございますが、この5年間で本県の野菜の生産額は8億円、栽培面積で371ヘクタールが増加いたしました。その野菜の作付推進に当たっては、生産者の発掘や栽培技術の指導など、普及指導員の果たした役割は大変大きいものがあるものと認識しております。  最後に、5点目の、普及指導員の人数の移り変わりや年齢構成および現在の普及指導員制度の課題についてでございます。  本県の普及指導員は、平成27年は100人で、5年前の平成22年の111人から11人減少しております。100人の普及指導員の年齢構成でございますが、20歳代が7%、30歳代が9%、40歳代が36%で、50歳代以上が48%を占めている現状でございます。  課題につきましては3つあると考えております。1つは、農業を取り巻く環境の変化に対応するため、地域農業の変革を進め、高度かつ多様なニーズに対応できる普及指導員のより一層の資質向上が必要であると考えているところです。2つには、これらに対応する人員の確保が必要であると考えております。また、3つは、これから普及指導員の大量の退職を控えており、次の世代への普及活動の手法や技術の確かな継承を行うための体制の確立が必要であると考えております。  議員御指摘のとおり、平成30年の農政改革ならびにTPPによる大変革のこのときにございまして、強い農業づくりを前提にした普及指導員のあり方が問われているものと認識をいたしております。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)それでは、知事に再問をお願いしたいと思います。  今、部長から、とりわけ普及指導員についていろいろ御説明がありました。今、知事はこれからあるべき本県農業の目的、目標なりお話をいただいたわけですけれども、今、部長から御答弁があったように、滋賀県は92%の水田率でありまして、今、野菜、花卉、果樹をこれからというお話、8億円伸ばしたというお話がありましたけれども、47都道府県でいきますと、野菜は全国で45位、花卉、花は44位、果樹に至っては47都道府県の47位、全国最低のレベルであります。それはもちろん今まで、先ほど私が申し上げたように、米が伸びていく時代にふさわしい、そうした水田に特化した形でいわゆる農家の皆さんの手を、土をなぶることから、工場へ働きに行っていただいて、機械の油にさわってもらうことで県民所得が非常に、全国的にも有数の県民所得になって、今日の豊かな滋賀県があるわけですけども、これはこれで今までよかった。ところがこの先、こうして米が下がってきて、今こうしてやっていこうとするわけなんですが、この強い農業を実現するためには、今言われるように、そうした分野にこれからもっと手を伸ばしていかないかん。  それから、水田についても水田フル活用と言われたように、主食用米をつくるのではなくて、飼料米なりそうした違う米をつくっていくということに目を向けていかないかんということを考えますと、今、課題として言われました、そうしたベテランの技術やノウハウを若い世代にどういうふうに継承していくのかということを思いますと、今の年齢構成比で100人のうち50代の方が48%、40代が36%といいますと、これはもちろん定期的な採用はしていただいたとしても、先細り感は否めない、ましてや技術の伝承であるとかノウハウというのは非常に継承が厳しいのではないかなというふうに思います。  新たな品種でありますとか、新たなそうした農業の改革を推し進めようとするならば、私自身は今こそ普及指導員の確保、充実にかじを切るときではないかというふうに考えるわけですが、このことに対する知事の御所見をお伺いしたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 私も今、議員が御指摘されたように、農業を取り巻く環境が大きく変化する中で、普及指導活動の重要性がますます高まると認識しています。したがいまして、この普及活動を保ち、高めることが必要だと認識しています。  特に重要な課題といたしまして、この間るる御指摘いただきましたように、本県農業を担う新規就農者に対する技術、技能習得でありますとか、経営安定のための濃密な指導、また先ほど私が答弁で申し上げました地域農業戦略指針を活用して、集落の実践活動を、これは現場に入って指導していく、支援していくということ、また、野菜、花卉、果樹、茶など、本格的な園芸産地づくりに向けた創意工夫を凝らした取り組みへのきめ細かな支援、こういった人づくり、地域づくり、産地づくりの活動を一層強化していく必要があると考えています。  このため、2つです。1つは、まず当面必要な人員の確保に努めます。加えまして、普及指導員の世代交代が進んできますので、少し40代、50代に偏り過ぎていますので、普及のノウハウや技術を速やかに継承できる体制、試験研究、行政部門との連携、協力のもと、一体的に普及指導を推進する体制の強化を図るとともに、来年度、強い農業づくりを目指すための普及指導のあり方について本格的に検討を開始したいと存じます。 ○議長(西村久子) この際、農政水産部長から発言を求められておりますので、これを許します。 ◎農政水産部長(安田全男) 先ほど私の答弁の中で、主食用米の生産数量目標の達成状況を、作付実績につきまして3万6,000ヘクタールと御答弁させていただきましたけれども、正しくは3万600ヘクタールでございます。おわびをいたしまして、訂正をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(西村久子) 続けます。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。  ただ、私が提案する普及員制度というのは、また従来の普及指導員よりも、先ほど言われた高度化、とりわけいわゆる経営指導、マーケティングにどれほど普及指導ができるのかなと。ともすれば、集落営農単位でいろんな野菜をされるんですけど、どこかがキュウリを成功しはったら、周りのところはみんなキュウリをつくり出さはって、結果的にみんながまた翌年は損をするというふうなことがあるわけなんです。  集落営農でも、これははっきり申し上げますと、守りの農業ですから、本来ならば専門性の高い意欲を持った認定農家が大規模な経営体で特産品づくりに取り組んでいただいて、高収益を上げていただくことができないから、地域でみんなで水田を守りましょうという農業をやってきたわけですから、その守りの組織の中で攻めの時代にどういうふうに経営を切りかえていくのかというのは、生産者の意識改革も含めて、そこに普及指導員が経営感覚をそうした組織やら農家の皆さんに説得して、こういうものをしませんかということをリードしてもらうというのは、本当になかなか大変なことであろうというふうに思います。そうした経営感覚を持って、なおかつ技術がある指導員の方が、今までの米、麦、大豆だけにとらわれず、こうした新たな、今低いということは、逆に言うとこれから伸びる可能性があるということの裏返しでもありますので、本当にそうした方面に普及指導をしていただけるような普及指導員の体制をつくっていただけるようにお願いをさせていただきながら、次の質問に移りたいと思います。  次に、原子力防災体制について知事にお尋ねをいたします。  去る1月25日、本県と関西電力は高浜原子力発電所に関する安全協定を締結されました。知事がいつも主張されている原発の再稼働が容認される環境にない中で、立地自治体並みの同意権が盛り込まれていない協定を結んだことで、今定例会議でも何かと御批判を受けておられました。私からも、なかなか大変ですねと、知事には率直にお見舞いを申し上げたいと思います。  私は、高浜原発の位置関係からすると、今回締結された安全協定の内容は、周辺自治体とのバランスからすれば至極当然のものではないかと考えます。実際、福井県の西川知事も、「40年以上原子力発電の安全運転に貢献してきた福井県には、立地県として他の地域との違いが厳然とある」とコメントをしておられます。しかしながら、知事は、今後も引き続き立地自治体並みの同意権を要望する意向で関西電力と協議していくと報道がなされておりました。福井県が結ばれている安全協定には、県民の健康と安全を守るために、事前了解、異常事象の通報、立ち入り調査の実施、適切な措置の要求などが盛り込まれております。  そこでまず、知事が言われるところの立地県並みの同意権とはどういうものなのでしょうか、お伺いをいたします。  ところで、ここで、先般、高浜原発4号機における管理区域で起きた水漏れについてお尋ねをいたします。今回の水漏れは、2月10日15時42分ごろ、1次系床ドレン注意警報が発信したことから判明をいたしました。その3分後には当該系統への通水を停止されるとともに、4号機の原子炉補助建屋内の床面に約8リットルの水たまり──8平米ぐらいだそうですが、を発見し、水をふき取り、安全を確認されたと聞いております。  この水漏れの報告に対して、一定協定を結んだ効果があったと、知事は過日の一般質問に対する答弁の中で答えておられましたが、新聞報道などによれば、関西電力から本県に連絡があったのは水漏れが発生してから約2時間もたってからのことだったと報道がされております。本県からは関西電力に対して、今後は迅速な連絡をしていただくように申し入れをされたと聞いておりますが、まず今回の高浜原発4号機の水漏れについてどのような報告を受けられたのでしょうか、お伺いをいたします。  また、なぜ連絡が約2時間もたってからになってしまったのでしょうか、そして、今後はどのように改善されるのか、さらに今回の水漏れにおける関西電力の対応について知事はどのように評価をされているのか、お伺いをいたします。  さて、私はさきに紹介した西川知事のコメントを読み、改めて福井県の原子力行政の組織体制について調べてみました。昭和32年に総合企画課で原子力行政としての取り組みを始められて以来、今日まで不断の組織改革に取り組んでこられました。昭和47年に施設設置者との間に初めて安全協定を締結されたのを機に、課の中に原子力対策室を設置され、原子力発電所の安全を確認するために行政部門では初めて原子力の技術職員を採用されました。そして、昭和52年には全国に先駆けて原子力安全対策課を創設され、さらなる技術職員の充実を図ってこられました。現在では、独立した安全環境部の中に本県の防災危機管理局に相当する危機対策防災課を初め、技術と系統別に5グループを要する、まさしく原子力発電所の安全対策を担う原子力安全対策課、環境影響評価の審査および指導を行う環境政策課、そして自然公園法による審査および指導を行う自然保護課など、一大専門組織を形成されています。  そのほかにも、万が一に備えるために緊急時の医療対策には健康福祉部の医務薬務課が、原子力発電所からの温排水の影響調査については水産課や水産試験場が関係業務を担当されています。電気事業者や国の説明をうのみすることなく、独立した組織で高い専門性を持ち、県民の安全性を確保する目的のために長年にわたって取り組んできたという自負が西川知事のコメントにあらわれているように思われます。  そこで、お尋ねいたしますが、本県には原子力に対する専門的知見を持った職員はどれくらいおられるのでしょうか。また、本県が立地県並みの同意権を求めようとするならば、どのような組織体制でどれぐらいの職員が必要になるのでしょうか、知事にお伺いします。  性悪説に立って、関西電力から原発再稼働時に提供される膨大な資料を読み込み、施設を調査し、独自に再稼働について判断を下すためには、相当な人材の確保と施設整備が必要となります。そのことからいたしますと、私は立地県の福井県に学び、連携し、その情報を共有するような体制づくりを目指すことのほうがよほど現実的で効果があるのではないかと考えます。  福井県では、行政組織以外にも原子力安全行政について独立的、専門的な立場から技術的な評価検討を行い、県に対して助言をする原子力安全専門委員会が設置されています。原子力や放射線化学はもちろんのこと、地震工学や地質学など、多くの専門家からなるこの委員会が定期的にその時々の課題に対して審議をしておられます。また、本県における原子力安全対策連絡協議会の位置づけと似た福井県原子力環境安全管理協議会には、県や関係市町などの行政関係者以外にも、議会関係者、医師会や商工会などの各種団体の代表で構成されており、四半期ごとに環境調査や発電所の運転管理状況などについて協議し、環境の安全を確認しておられます。  福島原発の津波に由来した電源喪失による事故発生以来、原子力発電所の安全性に対する不信感や不安が国民、県民にあるということは理解をいたします。しかし、過度に不安をあおり、必要以上の対応をすることも、そのこと自体がパフォーマンスであるなら仕方がありませんが、現実的な対応というものもあってしかるべきではないでしょうか。  本県に原子力発電所がない中では、立地自治体並みの組織も体制も必要としないことは明白です。広域自治体としての福井県と立地隣接している関係市町との協定関係を福井県と滋賀県で築き上げることができたならば、原子力防災体制としてはこれほどすばらしい関係はないのではないでしょうか。私は、御苦労いただいている福井県の神経を余り逆なですることなく、その知見を素直に学ぶ姿勢こそが本県にとって原子力発電所から発生するリスクを軽減することにつながるものと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(三日月大造) 原子力防災体制について7点御質問をいただきました。  まず1点目、立地県並みの同意権に関する御質問でございます。
     私自身も福井県、これは長年にわたり原発の立地を受任いただいております。また、後ほど触れさせていただきますが、長年にわたり他の県にはない防災体制を構築しておられます。そのことについては敬意を表し、またある意味では感謝の念を持っているところであり、西川知事にもその旨申し上げているところでございます。  同時に、これまでから原子力災害が発生した場合、その被害に県境はないということから、本県にも立地自治体並みの同意条件が必要だと申し上げております。立地並みの同意条件とは、発電所の新増設等に係る計画に対する事前了解、また発電所への立ち入り調査、原子炉の運転停止を含む適切な措置の要求、特別な措置を実施し、運転を停止した原子炉の運転再開の際の事前の協議の4つと考えております。  2点目に、そうした中、高浜発電所4号機の水漏れ事象について、県が受けた報告に関する御質問でございます。  水漏れ事象が発生しました2月10日には、17時55分の第一報を初め、当該事象の発生や放射能漏れの有無等の状況などについて、5回にわたり速報を受けました。その後、22日には関西電力の担当者から直接事象の報告を受け、また翌23日には高島市とともに原因と対策について説明を受け、安全対策に万全を期すよう、改めて要請したところでございます。  3点目、その報告に時間を要したことについての御質問でございます。  発生は2月10日の15時42分とのことですが、関西電力からは、原子力事業本部から滋賀支社を経て本県に報告を行う中で、結果的に約2時間、これだけの時間がかかってしまってしまったと聞いております。今後、通信方法の改善等により、本県へも速やかに連絡できるよう対応する旨の説明を受けているところでございます。  そうした関西電力の対応についての御質問でございますが、今回の水漏れ事象は再稼働に向けた使用前検査の際に発生したものでございますが、事象が拡大すれば重大事故につながり、広域にわたって長期かつ重大な影響が及ぶ可能性があったことを考えますと、県民に不安が広がるのは当然であり、私としてはこのような事態はあってはならないことだと思います。  また、本県への連絡に時間がかかったことは遺憾であり、関西電力には改善を促し、安全対策にも万全を期すよう改めて求めたいと存じます。  そうした中、先ほど休憩中に入った速報でございますが、本日、14時5分に4号機が発電機の故障によりトリップ、停止したとの電話連絡を受けたところでございます。発生が14時1分でございまして、連絡が14時5分ということからいたしますれば、今回、まず第一報の速報については前回の対応を機に、その反省は生かされているのではないかと存じます。  次に、5点目、原子力に対する専門的知見を持った職員に関する御質問でございます。  現在、担当部局には原子力に係る専門職員として採用した職員1名と、原子力事業にかかわった経験のある職員2名を配置したしております。また、担当部局に新規に配属された職員を国が主催する専門研修に派遣し、専門性の向上を図ると同時に、琵琶湖環境部を初め関係部署との連携、体制づくりに努めているところでございます。  そうした中、6点目、立地県並みの同意条件にかかわっての組織体制についてでございます。  議員御指摘のとおり、福井県には40年以上の長年にわたり原子力発電の安全対策に取り組んでこられました。この中で、専門性を持った組織をつくり上げておられまして、本県としてはこの取り組みに敬意を表しつつ、見習うべきはしっかりと見習うことが必要であると考えております。  本県では、本年1月25日に、若狭地域に立地する原子力施設のうち唯一未締結であった高浜原発所に係る安全協定を締結いたしました。しかし、現行の安全協定には立地自治体並みの内容は盛り込めておらず、まずは出発点として締結したものと認識しておりまして、今後、協定内容の充実を目指し、その都度組織体制についても検討し、必要な改善を行ってまいりたいと存じます。  7点目、福井県の知見を学ぶ姿勢についての御質問です。  実効性ある多重防護体制を構築するためには、国や原子力事業者のみならず、福井県を初め関係自治体との連携協力体制を構築することがきわめて重要だと考えています。そのため、これまでから福井県と連携した原子力防災訓練の実施や福井エリア地域原子力防災協議会での連携などの取り組みを進めています。また、今年度から福井県の防災部局に職員を派遣し、さらなる連携協力体制の構築に努めているところでございます。  このように、立地自治体の知見を得た上で、1,450万人の水源である琵琶湖とその集水域を預かる本県としての地域特性を踏まえ、原子力発電所に係る安全対策を積極的に進めていく必要があると考えております。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)ありがとうございました。  水漏れのことで私も報告を少し伺ったんですが、15時42分に発生し、福井県に一報が入っているのが16時55分、京都に17時15分、そして滋賀県は17時55分やと。滋賀県だけがなぜおくれたかというお話ですけども、知事が触れられたように、それぞれの支店を経由して、滋賀県には何でも、感熱紙のぺらぺらのファクスで入ってきて、そのファクスを一旦滋賀県庁へ送るためにコピー用紙に取り直して、それを送るのがどうのこうので2時間ほどたったということで伺いまして、大変アナログというのか、すごいことをしてはるものやなと。これからはタブレット端末等を使って、メールですぐに連絡できるようにしますと言うておられたお話が今、早速4分後に届いたということで、そういうことであるならば、もっとしっかりとした対応をしてもらいたいというお話はしていたんですけども、いずれにいたしましても、もちろん私もあってはならないことはあってはならないわけで、そうした関係性を事業者と自治体が築くことも大事であろうと思いますし、そのあたりは冷静に対応していただければというふうに思うわけなんです。  一応、今、そしてその後、体制等のことについてお話を伺いましたけれども、福井県は安全環境部の中に少なくとも19名の原子力の専門家を独自に抱えて、いわゆる、いわば電気事業者と国を性悪説に立った上で独自にそのことをきちんと調べられる体制を持たないと、立地県並みの同意権をいただいたところで、何でも聞くと膨大な資料が、そうして再稼働のときはあるにもかかわらず、果たしてこれを一体どこに間違いがあって、言うてることの整合性が取れていないのかというのは一体誰が判断するんやと、滋賀県の中で。  あるいはそうして施設を現実に調査させていただいたところで、専門的な知見のない者が単に機械が並んでいて、そこで作業してはる方々を見て、やっておられることが正しいことなのか間違っていることなのかというのを一体誰が判断するんやということを考えると、そうした体制を目指すためには莫大な費用がまた新たに滋賀県としてはかかるはずです。電源立地交付金もなければそうした補助金もない中で、滋賀県がそうしたものを独自にそこまでして築く必要が本当にあるのだろうかと。それならば、もっと福井県と連携をして、その知見なりノウハウを活用させていただくことのほうが、私にとっては随分滋賀県としては助かるんじゃないかなというふうな意味で申し上げているわけなんです。  そのためには、いろいろ御発言があろうかと思いますが、より福井県とよい関係を結ぶように常日ごろから協力をして、努力を知事にはしていただきたいというふうに願うところなんですが、私のこの意見に対して知事のお考えをお聞かせ願えればと思います。 ◎知事(三日月大造) ありがとうございます。私は重要な視点だと思います。原発は、もちろんある一面、これまで効率的な電源だったかもしれませんが、3・11以降、新たな局面に入っています。  先ほど来、安定性等をめぐる御議論もいただいておりましたが、果たして短期的にも中長期的にも安全で安定的な電源なのかという観点からは、これは冷静的で客観的な議論もしていかざるを得ないと思います。当座、現存する原発の防災対策をどう行っていくのかというときに、その立地している自治体であられ、長年、そういう体制も含めて知見を備えてこられた福井県と連携することは、私は大事だと思いますし、当然、電力事業者ともさまざまな連絡体制を含め、顔の見える関係づくり、これまでもとってきたつもりですが、よりそういう段階に入っているということを自覚して体制を構築するとともに、いろんな連絡がスムーズにできるように、また本県の事情が伝えられるようにしてまいりたいと思いますので、引き続きまた御指導のほどをよろしくお願いいたします。 ◆30番(小寺裕雄議員) (登壇)終わります。(拍手) ○議長(西村久子) 以上で、30番小寺裕雄議員の質問を終了いたします。  以上で、発言通告のありました発言は終わりました。  この際、関連質問はありませんか。    (「なし」)  なしと認めます。  以上で、質疑ならびに質問を終わります。    ──────────────── △議第1号から議第17号まで(平成28年度滋賀県一般会計予算ほか16件)(予算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任) ○議長(西村久子) 日程第2、議第1号から議第17号までの各議案を一括議題といたします。  お諮りいたします。  本件につきましては、41名の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、当委員会に付託いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長および副議長を除く全議員を指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── △議第18号から議第67号まで(滋賀県教育委員会の職務権限に属する事務の管理および執行の特例に関する条例案ほか49件)ならびに請願(各常任委員会付託) ○議長(西村久子) 議第18号から議第67号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。            ──────────────────────────────                   平成28年2月定例会議議案付託表                                        平成28年2月29日(月)  〇総務・企業常任委員会   議第18号 滋賀県教育委員会の職務権限に属する事務の管理および執行の特例に関する条例案   議第19号 滋賀県再就職者による依頼等の規制等に関する条例案   議第22号 滋賀県行政不服審査会条例案   議第26号 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案   議第27号 行政不服審査法の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案   議第28号 滋賀県部等設置条例の一部を改正する条例案   議第29号 滋賀県教育委員会の職務権限に属する事務の管理および執行の特例に関する条例および滋賀県部等設置条例の一部を改正する条例の施行に伴う関係条例の整備等に関する条例案   議第30号 滋賀県行政機関設置条例の一部を改正する条例案   議第31号 滋賀県附属機関設置条例の一部を改正する条例案   議第32号 滋賀県職員定数条例の一部を改正する条例案   議第33号 滋賀県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案   議第34号 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案   議第35号 滋賀県職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例案   議第36号 滋賀県職員退隠料および扶助料支給条例および滋賀県職員の分限に関する条例の一部を改正する条例案   議第39号 滋賀県地域の元気基金条例を廃止する条例案   議第40号 滋賀県使用料および手数料条例の一部を改正する条例案   議第60号 包括外部監査契約の締結につき議決を求めることについて   議第63号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳入の部 全  部     歳出の部 款2 総合政策費のうち           項1 秘書広報費          款3 総務費    第3条 地方債の補正   議第66号 損害賠償請求事件の和解および損害賠償の額を定めることにつき議決を求めることについて  〇政策・土木交通常任委員会   議第47号 滋賀県建築基準条例の一部を改正する条例案   議第48号 滋賀県消費生活条例の一部を改正する条例案   議第53号 契約の締結につき議決を求めることについて(余呉川総合流域防災事業賤ヶ岳橋架替および木之本長浜線改良事業国道8号取付工事)   議第59号 河川法第4条第1項の一級河川の指定の変更について意見を述べることにつき議決を求めることについて   議第61号 関西広域連合規約の変更につき議決を求めることについて   議第63号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款2 総合政策費のうち           項3 総合政策企画費           項5 文化費          款8 土木交通費  〇環境・農水常任委員会   議第46号 滋賀県国営土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例案   議第57号 一級河川鴨川およびその周辺における木くず不法投棄事案に係る損害賠償請求訴訟の提起につき議決を求めることについて   議第58号 琵琶湖流域下水道湖南中部処理区の管理に要する経費について関係市町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて   議第62号 滋賀県農業・水産業基本計画の策定につき議決を求めることについて   議第63号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款4 琵琶湖環境費          款7 農政水産業費    第2条 債務負担行為の補正のうち     1 追加 158 補助治山事業     2 変更 25 県営農地防災事業          26 県営地すべり防止対策事業   議第65号 滋賀県森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例案
     〇厚生・産業常任委員会   議第20号 滋賀県国民健康保険財政安定化基金条例案   議第21号 滋賀県中小企業支援資金貸付事業特別会計条例案   議第23号 滋賀県精神医療審査会の委員の任期を定める条例案   議第37号 滋賀県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例案   議第38号 滋賀県地域医療再生臨時特例基金条例の一部を改正する条例案   議第41号 滋賀県児童福祉法に基づく指定通所支援の事業の従業者ならびに設備および運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例案   議第42号 滋賀県障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業の従業者ならびに設備および運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例案   議第43号 滋賀県医療法施行条例の一部を改正する条例案   議第44号 滋賀県理容師法施行条例および滋賀県美容師法施行条例の一部を改正する条例案   議第45号 滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例の一部を改正する条例案   議第56号 権利放棄につき議決を求めることについて   議第63号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款5 健康医療福祉費          款6 商工観光労働費    第2条 債務負担行為の補正のうち     1 追加 159 滋賀県立信楽学園管理運営委託   議第64号 滋賀県子育て支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例案   議第67号 指定管理者の指定につき議決を求めることについて(滋賀県立信楽学園)  〇文教・警察常任委員会   議第24号 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案   議第25号 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案   議第49号 滋賀県市町立学校の県費負担教職員の定数に関する条例の一部を改正する条例案   議第50号 滋賀県教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例案   議第51号 滋賀県公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案   議第52号 滋賀県地方警察職員の定員に関する条例の一部を改正する条例案   議第54号 契約の締結につき議決を求めることについて(長浜北星高校実習棟新築その他工事)   議第55号 契約の締結につき議決を求めることについて(びわ湖フローティングスクール新船建造工事)   議第63号 平成27年度滋賀県一般会計補正予算(第4号)    第1条 歳入歳出予算の補正のうち     歳出の部 款10 教育費            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第1号 青少年健全育成基本法の制定を求める意見書提出について 請 願 番 号 第1号 受 理 年 月 日 平成28年2月19日 件     名 青少年健全育成基本法の制定を求める意見書提出について 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 加藤誠一 生田邦夫 川島隆二 吉田清一 付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  明日の社会を担う青少年の健全育成は、全ての国民の願いである。  しかし、相次ぐ少年の凶悪事件等に見られるように、青少年の荒廃は深刻な事態に直面している。その要因として、頻発する児童・幼児虐待事件等に象徴される家庭の崩壊や、「徳育」を忘れ人格形成の場としての役割を果たしてこなかった学校の問題、モラルが失われつつある社会の問題、そして何より性や暴力を誇張し刺激して利益を得てきた「欲望産業」の問題などがかねて指摘されてきた。この現状を見るとき、青少年の荒廃は我々大人が「青少年を見守り支援し、時に戒める」という義務を充分に果たせなかったゆえの結果と言わざるを得ない。  これらの問題に対して、滋賀県では「滋賀県青少年の健全育成に関する条例」で対処してきたが、今日では一地方の条例の限界が見受けられる。  その最たるものがIT(情報通信)関連技術の革新である。中でも高校生では83%、中学生でも47%もの所有率(平成25年度内閣府調査)となったスマートフォンは、大きな利便性を持つ反面、利用マナーが確立されておらず、学力低下やいじめ、さらには犯罪につながるケースも見られるなど、青少年に大きな影響を及ぼしている。  今、求められているのは、青少年の健全育成に対する基本理念や方針などを明確にし、有害環境から青少年を守る為の国や地方公共団体、事業者そして保護者等の責務を明らかにし、これによる一貫性のある、包括的、体系的な法整備である。  特に「健全な青少年は健全な家庭から育成される」という原点に立ち返り「家庭の価値」を基本理念に据えた「青少年健全育成基本法」の制定が必要であると考える。  以上の理由で、貴議会におかれては、国会、政府に「青少年健全育成基本法の制定」を求める意見書を提出されるよう請願する。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第2号 TPP協定を国会で批准しないことを求めることについて 請 願 番 号 第2号 受 理 年 月 日 平成28年2月23日 件     名 TPP協定を国会で批准しないことを求めることについて 請願者住所氏名 (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 環境・農水常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  TPP(環太平洋パートナーシップ)協定は2月4日に調印を終え、各国での批准作業に移った。政府は、交渉過程での秘密主義に続き、「大筋合意」後もその全容を示さないまま「TPP対策費」を含む補正予算を通し、約2,900ページとされる協定および附属書の公表も2月2日となるなどきちんと精査する時間も与えないで国会に批准を求めようとしている。国や地域、さらには国民生活に関わる重大な協定の可否を判断するには、このような拙速な手続きはふさわしくない。  一方、TPP協定は、少なくともGDPで85%以上6カ国以上の批准がなければ成立せず、米国と日本のいずれかが批准しなければ成立しない。今行われている米国大統領選挙の候補者のうち、TPP「大筋合意」支持は少数派であり、米国の批准は早くても11月の大統領・議員選挙後と見られている。米国の状況とは無関係に、今国会中に成立を目指すのはあまりにも拙速すぎる。  協定の内容も問題である。米麦での輸入枠の拡大、牛・豚肉での関税引き下げなど重要農産品5品目全てで大幅な譲歩を行い、加えて重要5品目の3割、その他農産品では98%の関税撤廃を合意している。さらには政府が「守った」としている重要5品目の「例外」も、7年後に米国など5カ国と関税撤廃について協議が義務付けられているなど、今示されている「合意」は、通過点に過ぎず、全農産物の関税撤廃が迫られる恐れがある。これでは地域農業は立ち行かない。  また、透明性や規制の整合性確保を理由に、医療を初め健康や暮らしを守るさまざまな規制・制度に関わる各種審議会に、参加国企業からも意見を表明できる規定さえある。TPPと並行して行われてきた日米二国間協議では、アメリカからの規制緩和要求を担当省庁が窓口になって規制改革会議に諮るという、主権放棄に等しいことにまで踏み込んでいる。  以上の趣旨から、下記の事項についての意見書を政府関係機関に提出することを請願する。 【請願項目】 1.国会決議に違反するTPP協定の批准は行わないこと。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第3号 避難計画や安全性の確保ができないまま、豊かな水源・琵琶湖と滋賀県民の生命をないがしろにして高浜原発3号機が再稼働したことに抗議し、稼働停止を求める旨の意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第3号 受 理 年 月 日 平成28年2月23日 件     名 避難計画や安全性の確保ができないまま、豊かな水源・琵琶湖と滋賀県民の生命をないがしろにして高浜原発3号機が再稼働したことに抗議し、稼働停止を求める旨の意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名  (略) 紹 介 議 員 海東英和 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 総務・企業常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  関西電力は、1月29日、高浜原発3号機を再稼働させた。高浜原発をめぐっては昨年12月末、再稼働を差し止めた4月の仮処分決定を、福井地裁が取り消したばかりである。それからわずか1カ月後の再稼働である。国の、原子力災害に対する指針は被ばくを前提としている。安定ヨウ素剤の配布・服用方法の具体化は進まず、要援護者などの逃げ遅れる人々についてどうするのか、避難において基本である避難先の具体的なマッチングもできていないなど、避難計画は不十分なままである。  福島原発事故から5年がたつが、収束も原因解明もなされていない。メルトダウンした核燃料の状況は全くつかめず、再臨界の恐れもある。高浜原発も重大事故の可能性は否定できない。万が一事故が起これば、広範囲に、そして長時間影響が及ぶことは明らかである。滋賀県による高浜原発に隣接する美浜または大飯原発の重大事故時のシミュレーションに基づく放射性物質の琵琶湖への影響予測(最終報告)の県検討会議(2014年1月21日)では、飲料水の摂取制限基準の超過水域が最大で北湖で30%、南湖で40%にも達し、10日から7日間以上続くことが明らかになっている。さらに、その飲料水対策が全くなく「各家庭のペットボトル」「自己責任」で結論付けられ、また山林を含む陸地に降下した放射性物質が河川、農地や琵琶湖に流れ込むことによる農作物の汚染や生体濃縮の危険性については検討されてもいない。琵琶湖は海とは違い、周りが山で囲まれていて、滋賀県内に降る雨や雪の水は全て琵琶湖に流れ込み、流出は琵琶湖疎水を除けば瀬田川に限られるため、汚染されれば放射性物質は拡散して薄まるどころかたまっていく一方である。漁業は大打撃をこうむるばかりか二度と出来なくなる可能性もある。事故時には、こうした琵琶湖の深刻な汚染が起きるにも関わらず、何ら対策がとられていない段階での再稼働は、滋賀県民、ひいては近畿1,450万人の命を事故時に死の淵に追いやるものといっても過言ではない。  よって滋賀県議会として、国に対し、避難計画や安全性の確保ができないまま、豊かな水源・琵琶湖と滋賀県民の生命をないがしろにして高浜原発3号機が再稼働したことに抗議し、稼働停止を求める旨の意見書を提出することを請願する。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第4号 沖縄県民の民意と地方自治を尊重し、国による代執行裁判の提訴を取り下げることと名護市辺野古の米軍新基地建設の工事について県民の理解が得られるまで一旦中止することを求める旨の意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第4号 受 理 年 月 日 平成28年2月23日 件     名 沖縄県民の民意と地方自治を尊重し、国による代執行裁判の提訴を取り下げることと名護市辺野古の米軍新基地建設の工事について県民の理解が得られるまで一旦中止することを求める旨の意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名  (略) 紹 介 議 員 藤井三恵子 杉本敏隆 節木三千代 付 託 委 員 会 政策・土木交通常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  政府は、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐって、翁長雄志沖縄県知事が行った埋め立て承認取り消し処分の法的効力を停止し、工事を再開した。さらにその一方で、知事の埋め立て承認取り消し処分を撤回させる代執行裁判で知事を提訴した。  これは、一方で政府機関が私人の立場で知事の処分に行政不服審査請求をしながら、もう一方で国家権力が地方自治体に行う最後の手段である代執行裁判で知事の処分を取り消すものであり、政権の都合に合わせた法解釈で地方自治体の権限を国が無効化するという、極めて重大な問題をはらんでいる。
     辺野古への米軍新基地建設に対して、当該の沖縄県民は一昨年4度の国政選挙・地方選挙の全てにおいて、明確に「反対」の意志を表明している。先日1月24日に投開票された米軍普天間飛行場のある宜野湾市長選挙においても、当選した佐喜眞淳氏は普天間飛行場の移設方法である辺野古新基地建設の賛否については明言せず、普天間飛行場の即時閉鎖と危険性除去を公約にして当選している。さらにその市長選挙の出口調査においては、辺野古移設「反対」が6割近くにのぼっており、宜野湾市民は辺野古への移設である新基地建設に賛成したのではないことが改めて明らかになっている。  翁長雄志沖縄県知事は、「沖縄県民はみずから基地を提供したことは一度もない」「銃剣とブルドーザーによる土地の強制接収によってつくられた」のに「普天間基地が古くて危険だからかわりの基地を提供しろ」では道理が通らないと訴えている。日本の政府なら、まずこの思いを受け止めることから始めるべきである。  我が国は法治国家、民主主義国家として、地方自治を尊重し、地元沖縄県民の理解を得ないままに辺野古への新基地建設工事を進めるようなことがあってはならない。そして、この問題は決して沖縄県のみにとどまらず、日本の民主主義と地方自治の根幹にかかわるものである。  よって滋賀県議会として、国に対し、沖縄県民の民意と地方自治を尊重し、国による代執行裁判の提訴を取り下げることと名護市辺野古の米軍新基地建設の工事について県民の理解が得られるまで一旦中止することを求める旨の意見書を提出するよう請願する。            ──────────────────────────────                    請  願  文  書  表 △請願第5号 TPP(環太平洋連携協定)交渉に関する意見書の提出を求めることについて 請 願 番 号 第5号 受 理 年 月 日 平成28年2月23日 件     名 TPP(環太平洋連携協定)交渉に関する意見書の提出を求めることについて 請願者住所氏名  (略) 紹 介 議 員 加藤誠一 木沢成人 小寺裕雄 粉川清美 付 託 委 員 会 環境・農水常任委員会 審 査 結 果 請 願 要 旨  10月5日、米国・アトランタで開催されていたTPP閣僚会合において、TPP交渉は大筋合意に至った。その内容は、農林水産物の重要5品目への特別輸入枠の設定や段階的な関税削減・撤廃となっており、国会決議の内容を逸脱しているとの懸念がある中、生産現場には不安の声が広がっている。  また、政府は、TPP大筋合意を受けて、与党の協議等を経て、11月25日に「総合的なTPP関連政策大綱」(以下、「大綱」という。)を決定した。  しかし、大綱では、米の需給悪化につながらないようTPPの輸入量相当の国産米を備蓄米として買い入れること、麦の経営所得安定対策を着実に実施すること、ならびに牛肉・豚肉についてマルキンを法制化すること等、早急に対策を示してほしいという生産現場の不安の声に対する最低限の国内対策は示されているが、到底、生産現場の不安の声に対して十分に応える内容にはなっていない。  さらに、TPPは、単に農業問題だけではなく、食の安全・安心、医療、保険、ISD条項など、国民の生活の根本に大きな不安を抱かせるとともに、国や地域の形を大きく変える重要な内容を含んでいる。  ついては、以上を踏まえ、地方自治法第99条の規定に基づき、下記の事項を内容とする意見書を政府および関係機関に提出されるよう請願する。            記 1.農業者のみならず消費者など広く県民に対して、TPP交渉の合意内容に関する全ての情報をわかりやすく説明すること。 2.TPPの影響に関する農業者の不安を払拭するための万全な国内対策を確実に実施すること。            ────────────────────────────── △休会の議決 ○議長(西村久子) お諮りいたします。  明3月1日から3月9日までは、委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。    (「異議なし」)  御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。    ──────────────── ○議長(西村久子) 来る3月10日は、定刻より本会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後4時21分 散会    ────────────────...