愛知県議会 2016-12-13
平成28年建設委員会 本文 開催日: 2016-12-13
それぞれの工事目的物に応じた技術レベルや工事の規模により、これらの評価項目を組み合わせて、価格以外の加算点を算出している。
5: 【
水谷満信委員】
新規参入しようとする企業は施工実績や工事成績を持っていないため、総合評価落札方式では不利になると思うが、そういう企業はどうすればよいのか。
6: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
施工実績は、土木関係工事では、国や市町村、道路公社などの特殊法人等が発注する公共工事の施工実績も対象となる。また、建築関係工事では、これらの公共工事に加え、民間工事の施工実績も対象となり、県以外の工事の施工実績も評価している。
工事成績は、建設部の発注工事に限定している。
建設部が発注する全ての工事のうち、総合評価落札方式の件数は3割弱であり、残りの約7割の指名競争入札や総合評価落札方式以外の一般競争入札等による発注工事で良い成績を取れば評価される仕組みとなっている。
なお、工事の実績に関する評価項目として、優良工事表彰がある。これも建設部発注工事で表彰されたものに限定しているが、5,000万円以下の比較的小規模な工事でも数多く授賞しているので、これについても、総合評価落札方式以外による発注工事で受賞することが可能である。
企業の国際的な品質マネジメントシステムに関する規格であるISO9000認証の取得や、配置予定技術者のCPDの実績、ボランティア活動や雇用実績等の地域精通度・地域貢献度等については、県発注工事の実績とは関係がなく、企業や技術者の努力により評価されるものと考えている。
7: 【
水谷満信委員】
評価項目の中に県発注工事に限定される工事成績等の項目があるとのことであり、新しい企業が参入しにくくなっているのではないかと感じる。できる限り多くの新しい企業が参加しやすい入札制度とするよう、これからも心がけてほしい。
8: 《一般質問》
【
南部文宏委員】
県営住宅の家賃徴収について伺う。
県営住宅は、公営住宅法で定められているとおり、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としている。現在、県内43市町村に297の団地があり、管理戸数は約5万9,000戸、入居戸数は約4万9,000戸となっている。
県営住宅の管理は愛知県住宅供給公社が行っているが、公社は何を根拠として管理を行っているのか。
9: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
県営住宅の管理は、公営住宅法第47条で事業主体の同意を得た場合に地方公共団体又は地方住宅供給公社が事業主体に代わって公営住宅を管理することができる管理代行制度が規定されている。
本県では、この規定に基づき愛知県住宅供給公社が管理代行者として
県営住宅の管理を行っている。
10: 【
南部文宏委員】
公営住宅法に基づく管理代行制度と、地方自治法に基づく指定管理者制度の違いについて説明を求める。
11: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
指定管理者制度は、公の施設について、県の指定を受けた者が包括的な管理業務を行うものであるが、
県営住宅の管理では、その業務は入居申込みの受付や入居者からの各種申請の受付等の事実行為に限られている。
一方、管理代行制度では、入居者募集や入居決定、申請に対する承認等の事業主体が持つ権限を住宅供給公社が代行して行使できる。これにより、申込みや申請の受領から決定等に至るまで一体的に住宅供給公社が行い、迅速なサービスの提供が可能となっている。
12: 【
南部文宏委員】
本年6月議会の委員会での答弁によると、所得月額が10万4,000円以下の世帯が入居者の約7割に上るとのことであった。このように低所得の方が入居者の多くを占めており、また、高齢者や外国人を含む様々な人が入居している。入居者の中には、家賃を滞納する者もいると思うが、入居者の家賃の徴収状況はどうなっているか。
13: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
昨年度に発生した家賃の総額は約133億9,400万円である。このうち、同年度内に約97パーセントの約130億1,900万円を徴収し、同年度決算では約3億7,500万円が収入未済となっている。
14: 【
南部文宏委員】
昨年度に発生した家賃のうち、約3パーセントの家賃は徴収できていないのか。
15: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
徴収できていなかった約3億7,500万円の家賃の中には、本年2月分や3月分の家賃を納付期限内に支払うことができなかった分も多く含まれており、決算後に徴収できなかった入居者への督促等を行い、本年11月末現在、約2億3,600万円を徴収した。この結果、昨年度分の家賃の徴収額は約132億5,500万円、徴収率は約99パーセントとなっている。
16: 【
南部文宏委員】
残り1パーセントの滞納家賃の徴収について、どのような取組を行っているのか。
17: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
県営住宅の家賃の納付期限は月末であるが、期限を1か月過ぎても未納の場合には、住宅供給公社の職員が戸別に住宅を訪問し、入居者に督促状を手渡している。不在の場合には、連絡依頼とともに督促状を玄関ポストに投かんし、入居者に渡るようにしている。あわせて、電気メーターの確認等のライフラインの調査を行い、生活状況も確認している。
3か月を超える滞納者については、督促に加え、長期の滞納者とならないよう家賃の納付意識を持っていただくため、面談を行い、納付指導も行っている。面談できなかった入居者に対しては、訪問時間の変更や連帯保証人を介しての連絡等の対応を取っている。
さらに、6か月を超える長期の滞納者については、夜間訪問や連帯保証人への納付の協力依頼を行っている。
まずは、家賃を滞納している入居者と会って納付を求め、新たな滞納が生じないよう指導を行うことが重要であると考えているが、納付の意思が見られないなど、納付指導等では納付が困難であると判断される場合には、長期悪質滞納者として県が提訴し、住宅の明渡し及び滞納家賃の支払を求めている。
このほか、賞与の支給時期である6月及び12月を滞納整理強調月間とし、県職員も一緒に滞納家賃の徴収にあたっている。
18: 【
南部文宏委員】
既に住宅を退去してしまった滞納者の家賃の徴収はどのようにしているか。
19: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
退去者の滞納家賃については、平成22年度より、退去者の居所調査や債権回収のノウハウ等の専門知識を有する弁護士事務所に徴収を委託し、その徴収に努めている。これにより、現在までに滞納家賃等約4,500万円を徴収した。
20: 【
南部文宏委員】
住宅供給公社の経営改善計画によれば、平成20年度の職員数135名を平成30年度までに約20パーセント削減するとのことである。職員の削減は、公社の経営改善を進める中で必要なことだとは理解するが、これにより
県営住宅の家賃徴収に影響が出ていないか危惧している。
住宅供給公社の家賃徴収体制はどのようになっているか。また、職員削減により家賃徴収に影響は出ていないのか。
21: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
住宅供給公社による
県営住宅の家賃徴収体制については、県内8か所に公社の管理事務所等を設け、各々が管理する
県営住宅の戸数に応じた数の職員を配置し、住宅の管理と家賃の徴収を行っている。職員の配置に際しては、主に家賃徴収を行う者を置き、徴収体制の強化に努めている。
公社の職員数は、公社の自主事業である分譲事業からの撤退や事務の合理化などにより、分譲事業部門を中心に削減を進め、平成20年度に135名であった職員数は現在115名となっている。
県営住宅の管理部門については、管理業務に支障が出ないよう職員を配置している。
なお、職員の採用に際しては、建築の専門知識のある者や徴収業務の経験のある者を採用するなど、組織体制の強化を図っている。
22: 【
南部文宏委員】
県営住宅には様々な人が入居している。入居者を取り巻く環境はそれぞれ違い、その状況に合わせた対応が求められる。実際に家賃を徴収する住宅供給公社の職員の苦労は大変なものであると思う。限られた人員、予算の中で、県と公社が知恵を絞り、今後も適切な
県営住宅の管理を行うよう要望する。
23: 【山田たかお委員】
橋りょうの修繕等の工事における占用者との
調整について伺う。
以前、私の地元にある笹子橋の塗装工事が行われた際、橋桁の中央に添架されている水道管が塗装されず、現在もさびたままになっている。管理者が本県ではないからであろうが、常識的に考えれば一緒に塗装するものだと思う。橋の塗装時に非常に手間のかかる足場が設置されていたが、これを水道管の塗装のためだけにまた設けるのは無駄に思える。
工事目的物に本県以外の者が占用する設備が付いている場合、どのように
調整を行っているのか。
24: 【道路維持課主幹(管理・技術)】
平成25年度の道路法等の改正により、長寿命化対策の一環として5年に1回の橋りょうの近接目視点検が義務化され、本県でも平成26年度から計画的な点検を開始した。その結果、コンクリートの剥離による鉄筋の露出や主要部材のさびが起こるなど早期に措置が必要な段階にある橋りょうについては、集中治療として修繕工事を実施するなど長寿命化に努めている。また、鉄製の橋りょうの場合には、点検の中で、さびの有無だけでなく、内部の腐食による塗膜の浮きや剥がれ、劣化の範囲と割合等を詳細に確認し、再塗装工事を実施している。
これらの工事のために足場の設置が必要となる場合には、橋りょうに添架された電気やガス、水道等の設備の管理者である占用者と、予定される工事の時期等についての情報の共有に努めており、占用者の準備期間を考慮しながら、共同で足場を使用するなどしてコスト縮減や効率的な工事の実施ができるよう
調整を行っている。今後も、各占用者と情報共有をしっかりと行い、工事が無駄なく実施されるよう努めていく。
質問のあった笹子橋については、前回の塗装から27年が経過し塗膜の劣化が進行していたことから、平成26年度に再塗装を実施した。この橋りょうには中部電力株式会社の電気管と西尾市の水道管が添架されており、各占用者と事前に
調整を行ったところ、電気管はFRP管であるため塗装不要であり、水道管は、今後ルート変更等の検討を行うことから今回は塗り替えを実施しないとのことであったため、橋の再塗装工事を単独で実施した。
25: 【山田たかお委員】
工事を行うに当たっては、
調整期間を長く取って、無駄のない工事を行ってほしい。
次に、道路占用者の工事における掘り返しの規制について伺う。舗装を直してから行う再工事の規制はどのようになっているか。
26: 【道路維持課主幹(管理・技術)】
道路占用者による掘り返し工事については、アスファルト舗装では工事完了後3年、コンクリート舗装では5年、オーバーレイ工法であれば2年から3年の期間は、原則として掘り返しを規制している。
規制期間内に新たな掘り返し工事が極力発生しないよう、建設事務所管内ごとに、所轄警察署、道路管理者、占用者である電気、ガス、水道等の公益事業者による道路占用地域連絡会議を年2回開催し、道路工事及び占用者による埋設工事に係るおおむね5か年の長期計画等の作成や前年度以前の施工箇所についての掘り返し規制図を作成し、規制箇所の周知を図っている。
さらに、建設事務所の地域担当ごとに適宜打合せの場を設け、道路工事、埋設工事の施工箇所や施工時期、工事の方法等の
調整を図っている。
今後も各占用者と情報を共有し、道路利用者に迷惑が及ばないようにしっかりと
調整していきたい。
27: 【山田たかお委員】
舗装を直すよう求める地元からの陳情が多く、何年も待ってもらっている。やっと自分の家の前が舗装されてきれいになっても、二、三年の規制期間を過ぎると再工事できるようになる。この規制期間は舗装を待っていた期間に比べて短く、改善を求める声が多く寄せられる。できる限りこのようなことが起きないよう、しっかりと
調整してほしい。
28: 【丹羽洋章委員】
浜松三ヶ日・豊橋道路について質問する。
本年、新東名高速道路の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクションまでが開通し、東三河の東西軸となる道路は随分良くなったが、一方で南北軸の道路の整備が遅れており、東三河が抱える大きな課題だと思っている。
浜松三ヶ日・豊橋道路の整備は知事が選挙公約の一つとして掲げており、国土交通大臣も直轄事業で行うとの趣旨の
発言をしている。今日までの調査状況はどのようになっているか。
29: 【道路建設課主幹(
企画)】
平成20年度から平成24年度までの5年間で実施した三遠地域連携支援調査によると、地域の新たな連携軸の必要性が確認され、その連携軸を、三ヶ日ジャンクションから弓張山地の東側の山裾を通り国道23号の県境付近に接続するルート帯とした。
平成26年3月には、本県、静岡県、浜松市の2県1市をメンバーとする静岡・愛知県境道路に関する連絡会を設置し、連携軸の具体化に向けた検討に着手している。
なお、国も平成26年度から調査を開始し、広域的な道路ネットワークとしての役割・機能等の検討を実施している。
30: 【丹羽洋章委員】
本年度は、具体的にどのような調査や協議を行ったのか。
31: 【道路建設課主幹(
企画)】
昨年度、連絡会が概略設計に着手し、おおよそのルートや道路規格等について調査を始め、産業、観光、防災等の観点から課題整理を行った。
本年度は、複数のルートについて概略検討を行い、計画段階評価の手続に必要となる資料の整理を進めていく予定である。
32: 【丹羽洋章委員】
浜松三ヶ日・豊橋道路は静岡、愛知両県をまたぐ道路であるため、本県と静岡県と浜松市、場合によっては、湖西市、豊橋市も加わって話合いがなされていると思う。この道路は、本県の県境をまたぐほかの道路と比較しても整備が難しいという話も聞いている。これまでの協議や調査によって、どのような課題が浮かび上がっているか。
33: 【道路建設課主幹(
企画)】
2県1市それぞれ道路整備の事情がある中で、道路整備の必要性を
調整しながら、合意できる部分について話し合っているが、
調整に時間がかかっている状況である。
34: 【丹羽洋章委員】
今後どのように協議、調査を進めていくのか。
35: 【道路建設課主幹(
企画)】
国による三遠地域を含む広域的な視点での調査と連携しながら検討を進めていきたい。また、地域の状況の把握、課題整理等では、地元の豊橋市、田原市、湖西市とも協力していく予定である。
今後とも、2県1市が連携し、国や関係市等と協力しながら調査を進め、浜松三ヶ日・豊橋道路の早期実現に向けて取り組んでいく。
36: 【丹羽洋章委員】
知事が整備を選挙公約として掲げ、南北軸が弱い東三河地域において必要な道路として、地元からの整備の要望も積極的になされているので、県当局もしっかり取り組んでほしい。
37: 【石井芳樹委員】
路面の陥没事故について質問する。
愛知万博が開かれる1年ほど前に、名古屋市の広小路線で陥没事故があった。地下水が流れたことによって地盤がえぐり取られて陥没したとのことであった。工事による陥没は防ごうと思えば防げるかもしれないが、こうした自然の現象や様々な劣化によって起きた陥没は、今後、県が新たな課題として考えていかなければならない大きなポイントではないかと思う。
本年7月には豊橋駅前の豊橋停車場線で、先月には岡崎市の岡崎幸田線で路面陥没が発生したと聞いている。本県におけるこうした路面陥没の発生状況及び現時点で明らかになっている情報、空洞が発生する主な原因について伺う。
38: 【道路維持課主幹(管理・技術)】
路面の陥没は、何らかの要因により舗装を支えている路床土に空洞が発生し、自動車の荷重等によって舗装面にくぼみが生じたり、舗装板が割れて落下することにより発生する。空洞が発生する主なメカニズムを四つ紹介すると、一つ目に、道路下に埋設された下水道管や排水管の破損やずれによる土砂の吸い出しによるもの、二つ目に、地下構造物の周辺や路床土の亀裂等を通じた土砂の流出によるもの、三つ目に、河川や海岸沿いの路側護岸等の損傷による背面土砂の吸い出しによるもの、四つ目に、地下構造物を設置した際の転圧不足等による路床土の沈下や緩みによるものが挙げられる。
本年度の県管理道路における路面陥没の発生状況は、くぼみや小規模な穴も含め車道部で5件、路肩部で5件、歩道部で5件の合計15件となっている。このうち、原因を特定できなかった4件を除くと、地下埋設管の破損やずれによる土砂の吸い出しによるものが8件で全体の約7割、地下工作物周辺等の亀裂等による土砂の流出によるものが2件で約2割、河川沿いの路側護岸の背面土砂の流出によるものが1件で約1割となっており、いずれも工作物の損傷や周辺土砂の緩みが要因である。
その代表的な事例として、本年度発生した豊橋市と岡崎市での路面陥没について、復旧作業の経過を含めて説明する。
まず、豊橋市の一般県道豊橋停車場線では、本年7月7日午後3時頃、路面に小規模な陥没が発生し、一般利用者からの通報を受け直ちに交通規制を行い復旧作業を行った。これは豊橋市が昭和初期に布設した直径800ミリメートルの下水道管が破損し、周辺の土砂が吸い出され、長さ1メートル、幅2メートル、深さ1.5メートルほどの空洞が発生したことにより発生したものであり、コンクリート管の破損部を防護した後、埋め戻しと舗装復旧を行い、同日午後9時30分に交通を開放した。
また、岡崎市の一般県道岡崎幸田線では、本年11月25日午前11時15分頃、岡崎市の水道管敷設工事を行っていた作業員が路面に50センチメートル四方の陥没を発見した。この通報を受けて直ちに通行規制を行い、埋設されていた下水道管の外観を確認した後、埋め戻しと舗装復旧を行い、同日午後10時45分に交通を開放した。この時の路面下の空洞は、長さ5メートル、幅1.5メートル、深さ2メートルに達しており、陥没箇所には岡崎市が昭和41年頃に布設した直径900ミリメートルの下水道管があったが、外観上破損等は確認できず、引き続き、岡崎市が検査用カメラを用いて管内部の腐食や破損の有無を詳細に調査することとしている。
比較的規模の大きかった豊橋市、岡崎市での陥没を含めたこれらの15件の路面陥没では、幸い物損事故や人身事故は発生していないが、早期の措置の必要性を痛感している。
39: 【石井芳樹委員】
道路のかしによって県が訴えられ、損害賠償請求される事例は毎年のようにあり、請求額が大きいものでは4,000万円を超えるものもある。訴えられれば県の管理責任を問われる。今後、陥没事故防止対策にどのように取り組んでいくか。
40: 【道路維持課主幹(管理・技術)】
現在、県管理道路約4,650キロメートルの全ての区間で、週1回以上、道路施設の損傷や倒木等の通行障害が発生していないか確認するパトロールを行っており、路面の陥没についても、兆候となる路面のくぼみ等の早期発見に努めている。
また、道路利用者から道路の異常を発見した際に一報をもらうことも対策の有効な手段となるため、建設事務所への情報提供のほか、直轄国道や市町村道についての情報提供を含めた統一的な連絡窓口として道路緊急ダイヤル#9910を運用しており、24時間体制で情報を受け付けている。
さらに、監視体制の一層の強化に向け、本年7月7日に一般社団法人愛知県トラック協会、国土交通省中部地方整備局、本県、名古屋市の4者で覚書を締結し、道路緊急ダイヤルを活用した協力体制を整えた。
これらの道路パトロールや道路利用者からの情報提供により路面の損傷や異常を確認した場合には、道路修理機動班や防災安全協定業者に指示し、速やかに原因の確認や復旧作業を行うこととしている。
41: 【石井芳樹委員】
路面監視だけでよいのかという問題もある。
例えば、下水道に起因する道路の陥没は、全国で年間約4,000件発生しているそうである。その9割は50センチメートル以下の浅い陥没だが、大きいものもある。管の布設後30年を超えると、劣化により陥没する確率が一気に上がるとのことである。布設後40年になるとさらにそれが倍以上になる。高度経済成長期に布設された下水道管の全てが、今後対象になってくる。どこが陥没してもおかしくないような現状において、いつも路面を見ているだけでは、不十分な気がする。
名古屋市では一部で空洞監視も行っているとのことである。そういった新しい対応策により、今後は、今までに造ったものを事故のないようにしっかり管理していかなければならないと思うが、どうか。
42: 【道路維持課主幹(管理・技術)】
従来、路面の陥没に対しては、道路パトロール等で路面の異常を監視して早期に措置する取組を行ってきたが、くぼみ等の兆候もなく路面から深い位置で徐々に土砂の流出が進行して空洞が生じ、これにより陥没に至る場合もある。交通量が多い路線では重大な事故につながる危険もあるので、予防的な措置として空洞を発見し、未然に陥没を防ぐ対策を講じていくことが必要だと考えている。
路面の陥没対策は全国的にも課題となっており、近年では車両に搭載した地中レーダーを用いた空洞調査技術が開発され、国や複数の自治体で活用が始まっている。探査精度は徐々に向上が図られているものの、空洞の厚みや埋設管の損傷状況等の特定は困難であるため、空洞が路面に近く早期の対応が必要なものについては、二次調査としてボーリングを行い、空洞の内部にスコープを挿入して詳細に状況を確認する必要がある。
本県でも地下埋設物の老朽化が進行しており、これに起因した空洞による路面陥没のリスクも徐々に高まっているので、空洞の監視体制を構築していくことが必要だと考えている。
国の調査結果では、下水道管の布設後30年を経過するとその路面の陥没が発生する件数が急激に増加することが明らかになっている。本県でも、布設後数十年を経過した古い下水道管に起因すると思われる路面陥没が発生しているので、下水道管理者と連携し、まずは布設後30年以上経過した下水道管が埋設されている区間から空洞の調査を開始することとし、そのほかの調査の優先順位は交通量や沿道の土地利用状況等を勘案して定め、来年度から順次調査に着手していきたいと考えている。
43: 【石井芳樹委員】
古い箇所は率先して対応してほしいが、仮に空洞が見つかった場合はどうするのか。
44: 【道路維持課主幹(管理・技術)】
空洞の路面からの深さや大きさ等により、陥没が発生する危険性は異なる。路面からの深さが浅く平面的な広がりが大きい場合には、陥没につながる危険性が高いため、速やかに補修を実施する必要がある。一方、路面からの深さが深く広がりが小さい場合には、陥没につながる危険性が低いため、継続的な調査により経過を観察するなど、優先順位を付けて対応していきたい。
地中レーダーによる一次調査の結果、補修の必要性があると認められた箇所については、スコープによる二次調査を行い、詳細な状況を確認して補修工法を検討する必要がある。基本的には、路面を開削して空洞の発生原因を特定した上で、埋設管の補修等の空洞再発防止対策を実施し、埋め戻し及び舗装の復旧を行うが、交通量や埋設管の深さから路面の開削が困難な場合には、空洞部に発泡モルタルやセメントグラウトを充填することとなる。
路面下の空洞対策では、関連する工作物の管理者との協力が不可欠となるため、優先的に調査を行うべき区間の設定、段階的な調査、経過観察、埋設管を含めた補修工法の
選択等について、関連する工作物の管理者と緊密に連携し、路面陥没の防止に向けた取組をしっかりと進めていきたい。
45: 【石井芳樹委員】
これはしっかりと受け止めていかなければならない大きな課題であると思う。今後は橋や建物だけでなく道路についても、昔布設されたものもあることを踏まえて、維持管理だけでなくしっかりメンテナンスをしていかなければ、地下から崩れ去ることもあるということを肝に銘じてほしい。
この約10年間、道路の維持管理費はおおむね170億円程度で変わっていない。道路の維持管理費は義務的経費ではなく政策的経費、ともすると投資的経費になるという見解もあるが、道路の維持管理費は、ある意味で絶対的な義務的経費である。生活も産業も、道路がなければままならない。県民の真の安全・安心のため、是非とも建設部で予算要求をしっかりと行うことを要望する。
46: 【渡辺 靖委員】
道路内民地について伺う。私人の名義の土地が道路の中にある場合があるが、この場合どのように対応しているか。
47: 【道路維持課主幹(管理・技術)】
道路内民地が生じた経緯は、現在の道路法制定後間もない昭和30年代頃に何らかの原因により移転登記が未了となっているもの、借地によるもの、また、戦前に請願道路を整備する際に地元でまとめて用地を取得したものの登記漏れとなっているものなど、様々である。
民地の所有者から申出があると、県が一つ一つ経緯を調査し、登記漏れの場合には、土地所有者にその経緯を説明して了解を得た上で登記移転手続を進めている。また、登記漏れ以外の場合でも、土地所有者の理解が得られれば、県への所有権移転手続を進めている。
一方で、どうしても移転手続に理解が得られないことや、相続の発生により所有権移転に必要な相続人全員の登記承諾書が得られず、移転手続が滞ることも多くなっている。こうした場合は、土地の名義人に租税公課がかからないように固定資産税の非課税措置を市町村に依頼している。
今後も、県道路事業や区画整理事業、土地改良事業の実施を通じて、道路内民地の解消を図っていきたいと考えている。
48: 【渡辺 靖委員】
道路内民地の所有者の中には、構造物を置いたり、交通の妨げをする人もいる。県管理道路ではそういう事例はないか。
49: 【道路維持課長】
県道は、道路法の手続にのっとりその機能を維持していく責務があるので、そのような事例が生じないようにしっかりと管理に努めている。
50: 【渡辺 靖委員】
近隣住民のための道路騒音対策は、どのようにしているか。また、騒音の基準はどうなっているか。
51: 【道路建設課主幹(
企画)】
道路の騒音は、例えば名豊道路沿線では、4車線化に伴い増加した自動車による騒音への対策を実施してほしいとの苦情が、地元の市を通じて国道事務所等に寄せられていると聞いている。県管理道路では、交通量の増加に伴う騒音への苦情もあるが、大型車両の通行時に舗装の継ぎ目や橋りょうの伸縮装置部で発生する騒音への苦情が中心であり、その苦情に対しては適切に対応している。苦情の多くは電話で各建設事務所や市町村に寄せられている。
環境の基準は、道路交通騒音に関する法令として環境基本法と騒音規制法がある。環境基本法には騒音に係る環境基準があり、騒音規制法には自動車騒音に対する措置をとるべき要請限度がある。
環境基本法における騒音に係る環境基準では、道路に面する地域に係る環境基準が定められており、この中で、第1種低層住居専用地域や近隣商業地域等の沿道の土地利用状況により、昼間、夜間のそれぞれについて騒音の基準値が設定されている。なお、幹線道路に近接する空間に係る環境基準は、別途定められている。
騒音規制法における自動車騒音に対する措置をとるべき要請限度は、自動車騒音により道路の周辺地域の生活環境が著しく損なわれていると認められるとき、市町村長が県公安委員会に対して道路交通法の規定による措置をとるよう要請する際の基準として定められている。
52: 【渡辺 靖委員】
道路が完成すると交通量は必ず増加するが、建設する時の事前調査では、それも見込んで調査しているのか。また、防音壁は事前調査に基づいて設置され、道路完成後は交通量が増えても設置しないのか。
53: 【道路建設課主幹(
企画)】
道路を新設する場合、騒音の予測を行い、騒音が環境基準を上回る場合は防音壁を設置する方向で設計を進めている。例えば名豊道路の場合、2車線で暫定供用している間は交通量が予測を下回るため、事前に壁高欄にボルト等を埋め込んで将来的に防音壁を設置できる構造にしている。その後に4車線化したり全線開通して交通量が増加し、騒音が大きくなった場合には、事前に埋め込んだボルトに防音壁を設置すると国から聞いている。
54: 【渡辺 靖委員】
場所により防音壁を設置できない場合、大型車の走行車線を規制するなどの対策はとっているのか。
55: 【道路建設課主幹(
企画)】
騒音が騒音規制法の要請限度を超えている場合は、市町村が県公安委員会に規制を要請し、それに基づいて公安委員会が検討することとなる。事例として、名古屋市南区の国道23号では大型車両は中央車線寄りを走行するよう規制している。
56: 【筒井タカヤ委員】
本年11月6日、県営高針住宅の集会所で、
県営住宅自治会連絡協議会と高針住宅自治会の役員、県の
県営住宅管理室及び愛知県住宅供給公社の職員が集まって会合が開かれ、私も参加した。
県営住宅自治会連絡協議会は、県内の幾つかの
県営住宅自治会を構成員とする任意団体で、住みよい
県営住宅づくりに向けて様々な活動を自主的に行っている。
高針住宅自治会は連絡協議会のメンバーではないが、高針住宅の様々な問題、特に自治会の役員が抱えている多くの問題を話し合う場がほしいということで、今回、連絡協議会と連携して情報交換を行うとともに、県や公社の担当者にも参加してもらい協議することとなった。
まず、土曜・日曜日に、こうした
県営住宅の自治会との話合いの場はこれまで何回開かれたか。
57: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
休日に自治会の方々との意見交換のための会合や自治会ごとの要望のための会合を行った回数は、昨年度は11回である。このうち7回は住宅供給公社の職員だけでなく
県営住宅管理室の職員も参加した。
また、本年度は4月から11月までに12回の会合が行われ、そのうち8回の会合には
県営住宅管理室の職員も参加した。
このほか、自治会の都合により、平日の夜間に住宅供給公社の職員が自治会へ出向いて開かれるケースが、昨年度は12回、本年度は11月までに6回あったとの報告を受けている。
58: 【筒井タカヤ委員】
11月6日の会合では、まず
県営住宅の連絡員の問題が取り上げられた。
昨年の6月議会の委員会での答弁によると、連絡員は住宅供給公社が実施している
県営住宅の管理業務を補助するものとして配置されており、その7割が60才以上であるとのことだが、11月6日の会合では、ある自治会の役員から、「自治会と連絡員の連携がうまくいってない」、「連絡員が高齢化して本来の役割を果たしていないので、本来は連絡員がやるべきことを自治会が代わりにやらなくてはいけない」との現状が示された。
連絡員制度は時代遅れになりつつあるので、住宅供給公社の職員が直接連絡員の業務を行ったり、連絡員の業務そのものを自治会へ委託することも検討してはどうか。
また、連絡員の業務、役割についても説明してほしい。
59: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
県営住宅の連絡員は、愛知県住宅供給公社が行う
県営住宅の維持管理業務を適切に実施するために配置しており、適任と認める者を住宅供給公社理事長が委嘱している。
連絡員の主な業務として、新たに住宅に入居する者への鍵の交付、入居関係書類の経由、不正入居の連絡、退去者からの鍵の受領等の入退去等に係る業務がある。また、住宅等の修繕を要する箇所を発見したとき、あるいは入居者からの修繕の申出があった場合の対応等の維持修繕に係る業務も行っている。連絡員は住宅の管理者の一員であるので、これらの業務は、自治会の業務とは区別されるものである。
なお、住宅によっては、自治会が推薦する方を連絡員に委嘱する事例もある。
現在選任されている連絡員の方々には、業務を誠実に行っていただいているが、県、公社、連絡員と自治会が密接に協力していくことが適切な住宅管理につながると考えているので、今後も、連絡員の在り方については柔軟に検討していく。
60: 【筒井タカヤ委員】
次に、
県営住宅の駐車場の管理について伺う。
昔は
県営住宅には入居者用の駐車場がなく、昭和40年代から50年代にかけてのモータリゼーションの進展に伴い、来客者等のための駐車場を設置するようになった。
そのため入居者用の駐車場は、ほとんどが自治会管理で有料駐車場として料金を徴収し、そのお金を基に付近の民地を借りて、団地内で不足する駐車場の確保に努め、周辺住民に不法駐車で迷惑をかけない配慮をしてきた経緯・歴史がある。
しかし、年月が経過すると数百万円から2,000万円以上のお金が内部留保されるようになり、団地で使い込み等の不祥事が発生したこともあった。
平成8年になって公営住宅法が改正され、ようやく入居者用の駐車場が共同施設として位置づけられた。本県では平成10年に愛知県
県営住宅条例に駐車場を共同施設として明記して駐車場を有料化し、その後、不祥事は解消した。
現在では、1戸に1台を原則に、県が順次有料駐車場を整備するようになっているが、駐車場の有料化の進捗状況はどうなっているか。
61: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
本年12月1日現在、駐車場の設置が可能な290団地のうち243団地で駐車場の全部又は一部を有料化しており、3万9,356戸の住宅のうち3万6,455台の駐車場を県管理としている。有料化率は団地数で83.8パーセント、管理戸数で73.5パーセントとなっている。
62: 【筒井タカヤ委員】
高針住宅でも、平成25年に駐車場の整備に合わせて有料化を行い、県が管理する駐車場に移行した。しかし、県が管理するとはいえ、実際には駐車場1台、月当たり308円の委託料を自治会に支払って管理を行わせており、県や住宅供給公社はほとんど何もしていないのが実態ではないか。
今、自治会の役員の方々が悩んでいることの一つに、マナーの悪い者の迷惑駐車の問題がある。昼夜を問わず、入居者から自治会の役員のところへ迷惑駐車の苦情が寄せられている。これでは県管理の駐車場とは名ばかりで、県は月数千円もの駐車料金を徴収しておきながら、たったの308円で自治会に管理を押し付けていると批判されても仕方ない。自治会の役員も高齢化している。また、役員のなり手も少なく、毎年の役員の改選時期になると、自治会の中でもめるのが年中行事となっている住宅も多い。
大阪府営住宅では、駐車場管理会社等に24時間対応を委託している例もあるとのことである。自治会の負担軽減のためにも、駐車場の管理を自治会に行わせるのではなく、大阪府のように、県が民間企業に外部委託をするなどの方法を考えるべきではないか。
63: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
本県では、駐車場の日常的な維持管理は自治会に委託しているが、迷惑駐車に対しては、自治会からの要請に応じて、住宅供給公社でも適宜対応している。
大阪府では、府営住宅駐車場の管理を指定管理者から委託されていた自治会から、入居者の高齢化により管理業務を行える者がなかなかいないことと、巡回、清掃、除草の業務を行うのが体力的に限界であることの申出が多くなってきていたことから、平成24年度に一部の団地で試行的に駐車場管理業者の公募を実施し、平成26年度から全面的に公募制としている。
大阪府の制度では、駐車場管理を自治会自らが行いたい場合、民間事業者だけでなく自治会も入札に参加することができ、半数以上の団地で自治会が落札していると聞いている。
本県では、現時点では駐車場有料化の途上であるので、まずは駐車場の設置が可能な団地について、自治会と協議の上で有料化を進めていくが、今後の駐車場管理の在り方についても引き続き研究していきたいと考えている。
64: 【筒井タカヤ委員】
次に、
県営住宅の耐震性について伺う。
まず、
県営住宅の耐震改修の内容及び大規模地震が発生した場合の安全性の判断の根拠について説明を求める。
65: 【公営住宅課主幹(計画・建替)】
共同住宅は、一般的に壁が少ないはり間方向で構造耐震指標であるIs値が低くなる傾向にある。
しかし、
県営住宅では、各住戸界に比較的狭い間隔で耐震壁が配置されており、耐震壁は最上階から最下階まで連続している。このため、耐震診断では、外部の学識者からなる委員会で、その住棟が地震により人命に影響を及ぼすような倒壊や崩壊をする危険性が低いとの評価をもらい、その結果を県のホームページで公表している。耐震改修については、ピロティなど耐震壁が連続していない部分がある住宅について、その部分に耐震壁を追加したり、柱に鋼板を巻くなどの補強を行っている。こうしたことから、用途廃止が予定されている1住宅を除き、
県営住宅の全ての住棟について、一定の耐震性が確保されていると考えている。
66: 【筒井タカヤ委員】
県のホームページでは、
県営住宅の耐震化の状況が公表されている。阪神・淡路大震災後すぐに、しっかりと耐震性の調査を行って対応し、その結果を公表していることは評価したい。
しかし、以前建築関係の仕事に従事していたという県営高針住宅の入居者が、実際に行われた同住宅の耐震改修工事を見て、これで本当に大丈夫なのかと思ったとのことである。
入居者が不安に思う場合には、ホームページで耐震性の情報を公表しているから十分だということではなく、入居者の不安を解消するように対応すべきだと思うが、どうか。
67: 【公営住宅課主幹(計画・建替)】
本年度発生した熊本地震後、
県営住宅の耐震性についての問合せは電話で2件あり、個別に説明して理解を得た。
今後も、個別の問合せには丁寧に対応するとともに、耐震性に関して入居者の心配の声が上がるようなことがあれば、耐震状況の説明方法等を自治会と相談、
調整していきたいと考えている。
68: 【筒井タカヤ委員】
次に、
県営住宅の長寿命化改善について伺う。
今定例議会に提出された補正予算案で長寿命化改善費が約1億8,000万円計上され、新たに名古屋市港区の県営当知住宅で長寿命化改善工事を行うとの説明があった。
長寿命化改善とは、何のためにどのような工事を行うのか。また、どのような住宅を対象にしているのか。
69: 【公営住宅課主幹(計画・建替)】
長寿命化改善は、住棟を耐用年限まで安全に使用するために、外壁や屋根の仕上げ材を耐久性を高めるため更新することや、給排水管の敷設替え、バリアフリー化やく体の耐久性の向上等の改修工事を行うものである。昭和50年代前半に建築されたエレベーター付きの住宅を中心に、屋上防水や外壁等の劣化状況を考慮して実施することとしている。
70: 【筒井タカヤ委員】
今回の補正予算案における要望額、対象工事について伺う。
71: 【公営住宅課主幹(計画・建替)】
今回の補正予算は、国の経済対策に伴う補正である。
長寿命化改善の対象は、本年度当初、北平部住宅、小本西住宅、西前田住宅の3住宅を計画していたが、新たに当知住宅を追加することとした。補正額は1億8,768万円であるが、国との
調整の結果、このうち2分の1は国費を充当することとなっている。
72: 【筒井タカヤ委員】
次に、共益費について伺う。
県営住宅の共益費は自治会が徴収しているが、この方法は既に限界に達している。何度お願いしても共益費を払わない入居者が増え、その分を真面目な入居者が負担しているという不公平な状況である。民間の賃貸住宅では大家が家賃とともに共益費を徴収するのが当たり前なのに、
県営住宅だけが自治会に徴収を押しつけているのは理不尽である。自治会は、この共益費の問題で疲労困ぱいしている。
県議会でこの問題が取り上げられるようになってから、既に10年が経過している。私もこの問題を繰り返し取り上げてきた。県当局は、共益費は県では徴収できないとの硬直的な姿勢であったが、昨年の9月議会の委員会で、県が共益費を直接徴収する方法の検討に真剣に取り組んでいく方針が示された。本年の2月議会では、一般質問に対する答弁で、自治会に対して共益費についての実態調査を実施したことと、その調査の結果、自治会ごとに共益費の内容や徴収の方法が大きく異なることが明らかになったことが述べられた。また、県による共益費の徴収について引き続き検討を進めるとの答弁がなされた。
現在、共益費を県が徴収することについて、どこまで検討が進められているか。
73: 【
県営住宅管理室主幹(
県営住宅)】
共益費は、各自治会で徴収している項目が大きく異なることから、現在のところ、県で徴収、管理する共益費は、エレベーター、汚水処理場の保守点検代や給水ポンプの電気代等のライフラインの維持に関するものと、廊下灯、階段灯や駐車場の防犯灯の電気代等の安全・安心に関するものとすることを考えている。また、県が共益費の一部を徴収、管理することによって必要となる金融機関の振替手数料等の経費負担の在り方等についても検討を行っている。
現在、全自治会に対し、共益費の一部を県が徴収することについての意向調査を行っている。この意向調査に対しては自治会の方々からの多くの問合せを頂いており、回答も集まってきているので、その集計結果を踏まえ、実施に向けた検討を更に進めていきたいと考えている。
74: 【筒井タカヤ委員】
11月6日の会合でも、この共益費の問題が大きく取り上げられた。
県営住宅管理室の担当者からは、現在建築局内で県による共益費徴収の検討を進めているが、相当な財政負担が必要となることから、実現までには相当な時間が必要であるとの説明があったと記憶している。事情は分からぬわけではないが、困っている自治会にとっては切実な問題である。先ほどの駐車場の問題でも、自治会が自主的に運営する駐車場から県が管理する有料駐車場への移行を進めてきたのだから、共益費でもできるはずである。
例えば3年、5年といった実施までの期限を示すとか、同意が得られた自治会から順次実施していくといった、ある程度計画的な移行スケジュールを自治会に示すべきではないか。
75: 【
県営住宅管理室長】
県が共益費を直接徴収することは、現在建築局内で検討を進めているが、共益費の徴収項目、経費負担、電算システムや組織体制等の様々な課題が明らかになってきている。
このため、今の段階ではっきりとした実施時期を示すことはできないが、現在行っている意向調査でも共益費徴収をめぐる自治会の方の切実な声を聞いているので、できる限り早い時期に実施できるよう努力していきたいと考えている。
76: 【筒井タカヤ委員】
自治会は、県による共益費の徴収に本当に大きな期待を持っている。できる限り早く実現しないと自治会自体が崩壊してしまう。そうなってはおしまいである。
問題は、実現しようにも財政当局との折り合いがつかないことにある。これについては、担当の室に任せるのではなく、建築局長自らが部下に示しをつけ、範となるよう取り組むことを強く要望する。
77: 【建築局長】
昨年度の各自治会に対する実態調査では、個別に様々な実態を聞かせてもらった。これを踏まえて、本年度は県の考えをまとめ、自治会に示して意向調査を進めている。一足飛びに徴収開始というわけにはいかないが、実施に向けて着実に進んでいる。
また、
県営住宅の老朽化対策、維持管理が大きな課題だと考えているので、長寿命化改善等の老朽化対策にも積極的に取り組んでいきたいと考えている。
78: 【筒井タカヤ委員】
そのような強い姿勢で臨んでほしい。
次は、計画修繕についてである。
これも過去に何度も取り上げてきたことだが、外壁の塗り替え、屋上防水、電気・給排水設備の更新、建具・台所設備の取替えといった、大家が予防保全的に実施しなければならない計画修繕は、公営住宅法の改正による応能応益家賃制度への移行によって、平成10年度から家賃収入が大幅に減少したとの理由により、ずっと行われていない。
数字で示すと、応能応益家賃制度に移行する前の平成9年度の修繕費は全体で82億円であったのが、平成24年度には34億円にまで激減した。その結果、計画修繕どころか一般の修繕費にも事欠くようになり、空き家の修繕もできず、十分な募集もかけられず空き家が蓄積する事態にまで陥っている。その後、議会での議論や県当局の努力もあって、徐々に修繕費は増え、本年度は45億円まで増額された。
しかし、これでも平成9年度の82億円に比べればまだ半分程度である。これでは計画修繕に回せる予算はない。住宅は確実に老朽化し、空き家が増え、さらに家賃収入が減少するという絵に描いたような悪循環に陥っている。
本委員会でも、この問題はしっかりと考えておく必要があると思う。建築局は、しっかりと財政当局との議論を重ねてほしい。来年度予算編成に臨むに当たり、共益費を県で徴収するためのコンピュータープログラムの変更、人員増のための予算、計画修繕や空き家の解消に向けた修繕費等の増額のため、財政当局と交渉してほしい。
県営住宅が県民のセーフティーネットであることを考えれば、これは最優先課題である。
79: 【建築局長】
県営住宅を適切に維持、管理していくために、計画修繕が非常に重要であることは重々承知している。
このため、本年度は、財政当局へ
県営住宅の現状や本来必要な修繕の在り方、計画修繕の必要性等についてかなり早目に説明してきた。
来年度の県税収入は厳しいといわれているので、財政当局との厳しい交渉を強いられるかと思うが、
県営住宅の現状等をしっかり説明し、必要な予算を確保できるよう努めていきたい。
80: 【筒井タカヤ委員】
国土交通省中部地方整備局は、意欲と技術力はあるが当該工種の実績が少ない企業の受注機会を増やすため、過去の受注実績にとらわれない一般土木工事チャレンジ型の試行を始めている。当面は本年度補正予算で執行する一般土木工事を対象に、工事成績や表彰実績を評価せず、施工計画を加点評価する施工計画評価型等を実施している。
今回の試行は、総合評価落札方式による執行が増えたために、一部で受注実績偏重の傾向が見え始めていることによる措置である。国土交通省中部地方整備局によると、地域に根差し実力と意欲のある企業が挑戦できる門戸を広げることが試行の目的であり、実績づくりにチャレンジしてほしいとのことである。
国も大きく制度の改善に取り組んでいるので、本県も来年度に向けて、同様の目的、趣旨により改善を考えるべきであると考えるが、どうか。国の取組の把握状況も含め、答弁を求める。
81: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
国土交通省中部地方整備局の一般土木工事チャレンジ型は、本年度の補正予算で発注する工事のうち比較的小規模の工事において、工事の施工実績は評価しつつも、工事成績や表彰実績を評価の対象とせず、近年受注実績の少ない業者に工事へのチャレンジを促す手法として試行されるものであると理解している。
国土交通省中部地方整備局では、原則として全ての工事で総合評価落札方式を採用していると聞いており、そのためこうした試みを行っていると考えられる。
82: 【筒井タカヤ委員】
本県では、本年度より低入札対策の強化のため価格据置型総合評価落札方式が導入された。この方式の導入以前は、実績はないがチャレンジしたい技術力のある業者は、価格を下げて評価値を上げることにより受注しようとした。しかし、価格据置型総合評価落札方式では据置価格までしか入札価格を下げられないため、その方法では明らかに限界がある。このような業者はどうしたら受注できるのか。
83: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
総合評価落札方式は、平成17年の公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法の制定を契機として、公共工事に導入された。その主たる目的は、公共工事の品質確保を図るために、価格だけでなく、工事の品質に直結する企業の技術力や配置予定技術者の能力等を含めて総合的に評価し、落札者を決定することにある。
建設部では、一定規模以上の技術力を要する工事について総合評価落札方式を採用しており、年間約2,000件の発注工事のうち3割弱の工事に適用している。
評価は、技術提案を含めた最大17の評価項目の加算点を加えて評価するが、評価項目のうち、いわゆる実績に関係する主なものは、施工実績、工事成績、優良工事表彰である。
施工実績は、土木関係工事では国や市町村、地方公社等の特殊法人等が発注した工事の実績も評価対象としている。建築関係工事ではこれらに加えて民間工事の実績も評価対象としている。工事成績及び優良工事表彰は建設部発注工事に限られるが、年間の発注工事の7割強を占める指名競争入札や総合評価以外の一般競争入札での工事で良い成績を取れば、きちんと評価される仕組みになっている。
84: 【筒井タカヤ委員】
価格以外の評価点は、その企業の実績で決まっている。価格据置型総合評価落札方式では、価格を下げて評価値を上げようとしても据置価格までしか下げられないので、技術資料が提出された段階で、発注者はその入札者の最大評価値が分かるため、ほぼ落札候補者の目安がつくのではないか。
85: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
建設部の総合評価の手続は、入札前には技術提案に関する評価のみを行い、入札後に価格と技術提案以外の項目を合わせて評価値の計算を行うこととしている。
価格も、全ての応札者が据置価格で入札するわけではないので、入札後に価格以外の評価も含めた各社の評価値を算出して
一覧にするまでは、落札候補者は判明しない。
86: 【筒井タカヤ委員】
評価する項目の内容や配点を変えることにより、発注者は幾らでも結果を操作できるのではないか。最近の国土交通省の例のように、官製談合につながるリスクがあるのではないか。
87: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
総合評価の評価項目の内容や配点を落札者決定基準と呼んでいる。この基準は、法の規定に従って、学識経験者等で構成する愛知県建設部総合評価審査委員会で審議の上、決定している。
また、評価項目や項目ごとの加算点は全て入札公告文に記載し公表した上で入札参加を求めており、入札契約の手続中に評価項目等を変更することはない。
88: 【筒井タカヤ委員】
この方法は、本来あるべき競争入札の原理から外れていないか。
89: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
総合評価が導入された背景は、平成7年頃からの公共投資の減少に伴い、行き過ぎた低価格競争が手抜き工事や下請業者・労働者へのしわ寄せ等による公共工事の品質低下を招いたことにある。
品確法の基本理念では、「公共工事の品質は、価格および品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」と規定されており、価格だけでなく、品質確保のための技術力等も含めて総合的に競争させることができる方式として、建設部でも、特に技術力を要する工事について総合評価落札方式を導入している。
平成26年には品確法が改正され、新たな目的として、将来にわたる公共工事の品質の確保と、その担い手の中長期的な育成・確保の促進が追加された。これにより、発注者には、担い手の育成・確保のため、企業が適正な利潤を確保できるようにダンピング受注の防止等の対策が求められ、本県も、過度な価格競争を防止するために、価格据置型の導入により低入札対策の強化を図ったところである。
90: 【筒井タカヤ委員】
現行の価格据置型総合評価落札方式になったことにより、入札者が入札金額を約1億円下げても受注に至らなかった例がある。昨年度までの方式であれば、落札されていたと思われる。1億円も余分に払ったことになり得ることについてどう思うか。
91: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
入札価格の基準となる予定価格は、最新の調査に基づいた積算基準と、人件費や資材価格を基に算出した適正な価格である。
また、地方自治法施行令第167条の10の2第1項は、価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとって最も有利なものをもって申込みをした者を落札者とすることができると定めており、総合評価落札方式はこれにも合致した入札方式である。
さらに、同法施行令第167条の10の2第2項は、最低の入札価格の者であっても、当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めるときなどには、その者を落札者としないことができると定めており、建設部ではこれを踏まえて低入札調査制度等を活用している。
価格据置型総合評価落札方式を導入した本年4月より前の低入札調査の結果によると、工事に使用する資機材の調達の工夫や工期短縮による労務費の工夫といった直接の経費削減に加え、ほとんどのケースで、企業の継続運営に必要な費用である一般管理費を削減している。一般管理費には、例えば従業員の保険等の事業主負担額、機械等の維持修繕費、福利厚生費、調査研究費等がある。
個々の工事契約では、一般管理費の削減による工事品質への影響は低く、当該入札が不適当であるとまでは判断できないが、一般に、一般管理費等が削減されると企業の経営環境が悪化し、担い手の不足や高齢化を招き、ひいては将来にわたる公共工事の品質確保や災害対応を含む地域の安全・安心の確保への懸念が生じるといわれている。さらに、学識者等からは、価格と品質を総合的に評価するとは言いながら、過度のダンピング入札があると、結果的には価格の影響で業者が決まっている例もあるとの指摘もあった。
こうした中、品確法が改正され、ダンピング受注は公共工事を施工する者が担い手を育成・確保するために必要となる適正な利潤を確保できないおそれがあることから、必要な措置を講ずることが発注者の責務として新たに明記された。
今回の強化対策は、価格を据え置くことにより企業に対して適正な利潤の確保が図られることで、将来にわたる品質確保の向上等がこれまで以上に期待できるとともに、地域の安全・安心を担っている地元建設業者の担い手の育成にもつながる制度である。
92: 【筒井タカヤ委員】
発注者として、余分な税金が1億円も支払われたという考え方には立てないのか。
93: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
これまで答弁したとおり、総合評価落札方式は、品質確保の観点から、価格と技術力等の両面から業者を選定する方式である。また、価格据置型は、ダンピング対策として、品確法改正の主旨を踏まえて、将来にわたる公共工事の品質確保、担い手の育成・確保のために導入したものである。したがって、委員の指摘は当たらないと考える。
94: 【筒井タカヤ委員】
総合評価落札方式では、実績のある業者と、業務内容は良いが実績のない業者とでは、評価点はどちらが高いのか。
95: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
一定規模以上の技術力を要する総合評価落札方式では、工事を施工する能力に関しては、施工実績や工事成績等のいわゆる実績とともに、技術提案についても評価項目としている。
96: 【筒井タカヤ委員】
業務内容が良いのに実績がない、すなわち評価点の悪い業者は勝ち目がない。そうであるならば、業務内容が良いが実績のない業者は、入札に参加したとしても落札することはできない。発注者たる愛知県が門戸を閉ざしているのではないか。
97: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
総合評価落札方式は、工事の難易度等により技術提案を評価するものもある。
また、価格以外の評価には、建設部発注工事の実績と関係ないものも幾つかある。例えば、企業のISO9000認証の取得や配置予定技術者のCPDの実績、地域でのボランティア活動や雇用実績等の地域貢献度・地域精通度等がある。これらは、企業や技術者の努力により評価される項目となっている。
また、建設部発注工事の実績も、全工事の発注件数の7割強を占める指名競争入札や総合評価以外の一般競争入札等の工事に参画して良い成績を取っていけば、きちんと評価される仕組みとなっており、決して門戸を閉ざしているということはない。
98: 【筒井タカヤ委員】
新規企業の参入を阻害し、入札価格が高止まりする価格据置型総合評価落札方式は、改善すべきであると考える。
国土交通省が試行している一般土木工事チャレンジ型は、現状を改善しようとしている方式だと思う。県はどう思うか。
99: 【
建設企画課主幹(
企画・
調整)】
さきに答弁したとおり、国土交通省中部地方整備局は原則として全ての工事で総合評価落札方式を採用しているため、こうした試みを行っていると考えるが、建設部では、総合評価落札方式は全工事発注件数の3割弱であり、指名競争入札や総合評価以外の一般競争入札も組み合わせて、受注機会の確保に努めている。
100: 【筒井タカヤ委員】
価格据置型総合評価落札方式では、価格の評価が行われないことにより、請負金額が上がる傾向にある。競争性も完全に損なわれ、その結果、受注が特定の企業に偏る傾向が極めて大きくなる可能性がある。これを解消するには、この制度を即刻改善又は廃止し、企業の競争性を高めつつ、請負金額が上がる方式とすることが必要だと考える。請負者の偏りが生じる原因となる過去の実績・表彰の有無の評価は、余り評価として考慮せず、競争性を高めていく等の改善も必要ではないか。それによって、実績は少ないが技術力のある企業が挑戦できる門戸が広がるはずである。また、地域に根差した実力と意欲のある企業が育つ状況になると思う。さらには、将来の大災害発生時に備え、地域企業の能力向上とその絶対数を確保できることになると思う。
価格据置型総合評価落札方式は見直すべきであると思うが、どうか。
101: 【建設
企画課長】
建設工事は、物が出来上がり、供用を開始して初めてその品質が評価される。また、工事に当たっての地形条件、社会条件は個々の工事で異なる。こうしたことを踏まえて、経済性にも配慮しつつ、価格以外の施工者の技術力等の要素も加味して、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることが重要である。
建設部で一定規模以上の技術力を要する工事に適用している総合評価落札方式は、価格と品質を総合的、客観的に評価する方式として、学識者等の意見を伺い、また社会の動向や品確法改正の主旨も踏まえつつ、将来に向け社会インフラの建設・維持管理を現場で担う建設業界の維持も念頭に置き、不断の改善を図りながら制度の運用を行ってきた。
地元には、県と防災や緊急修繕・雪氷対策の協定、いわゆる防災安全協定を締結し、日夜県民の安全・安心のために尽力してくれている建設業者や、大きな工事ではないが維持修繕など県民の生活に身近な仕事を受注してくれている建設業者も多くある。こうした担い手を将来に向けてしっかりと確保・育成していくことも極めて重要であり、そういう企業を支える仕組みも必要なので、今後も、総合評価落札方式を含めたより良い入札制度の運用に取り組んでいく。
102: 【筒井タカヤ委員】
価格据置型総合評価落札方式も改善策の一つだという主旨の県の答弁は理解したが、この方式の最大の欠点は、入札金額を下げても評価値を上げることができず、落札実績を重ねたことにより評価点が大きい事業者が入札に応募してしまうと、事業内容が良くても実績不足で評価点が小さい事業者は落札できないということである。さきの事例でも、一般県民から見れば1億円もの血税が無駄に業者に支払われたとしか思えない。
価格据置型総合評価落札方式は、税金を納める県民の立場から見ると違和感がある。建設部長の所見を求める。
103: 【建設部長】
我々が整備を行う公共社会基盤は、県民の安全・安心の確保や日常の生活及び経済活動を支える上で極めて重要な基盤となるものであり、将来にわたり品質を確保することが求められている。これは我々の責務である。
公共社会基盤を整備する公共工事については、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約を行うことが必要であり、その趣旨から入札の価格だけではなく、工事を行う企業が有する品質に直結する技術力を評価する総合評価落札方式を採用している。
施工技術の維持・向上が将来にわたって継続的に実施でき、その担い手が育成・確保できなければ公共工事の品質も確保できない。また、県内各地で災害時に公共社会基盤がきっちりと機能し、維持・復旧できる体制の確保が不可欠である。このため、過度なダンピングを防止し、公共工事が適切に執行でき、かつ継続的に技術を確保・維持することができるように、企業の技術力の評価ウエイトが高くなる価格据置型を導入することで、将来にわたる品質確保がこれまで以上に期待できる。こういった観点から、価格据置型総合評価落札方式の導入を図ったところであり、これは改正品確法の趣旨にのっとった措置であると認識している。
改正品確法の基本方針によると、ダンピングにより工事中の事故や手抜き工事の発生、下請業者や技能労働者等へのしわ寄せや現場の技能労働者の賃金の低下を始めとする就業環境の悪化に伴う若手就業者の減少、さらには建設生産を支える技術・技能の継承が困難となっているなど、深刻な問題が発生しており、本県ではこうした問題に対応するためにダンピング防止の措置を導入している。予定価格は公共工事をきちんと施工するために必要な金額を積算しているので、過度に下げることは適切でないと考える。
また、企業の技術力の評価項目については、これまでも様々な意見を伺いながら不断の見直しを行ってきている。
これからも優れた公共社会基盤を将来に残すことが我々の使命であるため、それに必要な入札制度は、いろいろな意見を伺いながら積極的に見直していきたいと考えている。
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