愛知県議会 2014-09-01
平成26年9月定例会(第2号) 本文
質問の第一は、行財政運営についてであります。
初めに、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
まず、県税収入の見通しについてであります。
先般、内閣府が発表したことし四月から六月期の実質の国内総生産は、ある程度の予測はされていたものの、前期比一・八%減、年率換算で七・一%減と二四半期ぶりのマイナス成長となり、特に国内総生産の六割近くを占める個人消費については、消費税率引き上げ前の一月から三月期まで六四半期連続で前期比プラスであった反動から、実質で前期比五・一%減となり、前回の消費税率引き上げ直後の平成九年同期における前期比三・五%減を上回る落ち込み幅でありました。
一方、企業収益を見ますと、上場企業のことし四月から六月期の連結経常利益は、新聞報道によれば、消費税率引き上げ後の反動減などから、非製造業では前年同期と比べて七%の減益となったものの、外需の取り込みが好調な製造業では九%の増益となり、全産業ベースでは二%の増益と底がたい状況でありました。
こうした中、足元では、消費者心理は持ち直しており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動も和らぎつつあることから、今後、各種施策の効果が発現する中で、雇用・所得環境がさらに改善し、個人消費が持ち直すとともに、設備投資も再び増加に転じて、日本経済が成長軌道に戻ることが期待されるところであります。
そこでお尋ねをいたします。
このような経済情勢などを踏まえ、本年度及び来年度の県税収入について、どのように見通しをされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
景気の緩やかな回復基調が続く中にあって、県政運営においては、地域が一体となって県民ニーズに的確に応えるとともに、地域の活性化に向けた取り組みや将来の税源の涵養に向けた取り組みを着実に推進することが求められております。
リーマンショックによって急激かつ大幅に県税収入が落ち込んでからというもの、本県は大変厳しい財政運営を強いられているところでありますが、県政に対する県民の期待に応えていくためには、景気の回復局面というこの機会を捉えて、財政の健全化に一層努め、県政をしっかりと支え続けられるような財政基盤をつくり上げていかなければならないと考えます。
そのためにも、税源涵養の努力がこれまで以上に求められておりますが、こうした中での大きな懸念材料の一つが地方法人二税の一部国税化であります。
平成二十六年度の税制改正においては、地方法人特別税の三分の一が法人事業税に復元されたものの、新たに法人住民税法人税割の一部が国税化され、地方法人税が創設されました。
そもそも、地方法人二税の一部国税化は、受益と負担の原則に反し、地方分権改革に逆行するものであり、撤廃されるものであります。
しかしながら、消費税率一〇%段階においては、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進め、また、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに、他の偏在是正措置を講ずるとされており、今後もこのような動きが強まっていくのではないかと心配せざるを得ません。
そこでお尋ねをいたします。
現下の財政状況を踏まえ、今後、財政運営にどのように取り組んでいかれるのか、また、年末の税制改正に向け、地方法人二税の一部国税化に対し、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、次期行革大綱の策定についてお尋ねをいたします。
次期行革大綱につきましては、去る九月十一日に中間取りまとめが公表され、十二月の策定に向けた作業が進められております。次期行革大綱の策定に際しては、これまでの成果や課題をしっかりと検証し、次の取り組みにつなげていくことが重要と考えます。
こうした中で、今後の行革の取り組みには、単なる事業の廃止、縮小ではなく、真に必要な施策に財源や人材を集中していく視点がより一層大切になってくるのではないかと考えております。
我が党がさきに提出した県の重点施策に関する要望の中でも、限られた財源を真に必要な事業に重点化し、活力ある愛知を取り戻す積極果敢な政策展開を行うことを知事に要望したところであります。
今回公表された中間取りまとめでは、限られた経営資源を最大限に活用していく、あるいは県が果たすべき役割を常に根源的に問い直し、真に必要な事務事業に経営資源を集中していくといった方向性が示されておりますが、これらの方向性は、これまで我が党が主張してきた考え方と合致するものでありますので、評価をしたいと思います。
今後は、こうした方策に沿って具体的な取り組み内容を詰めていくことが重要でありますが、その中でも、私は、政策実行のための組織をいかに整備していくかは課題の一つではないかと考えております。
県は、本年三月にあいちビジョン二〇二〇を策定し、来るべきリニア時代を見据え、世界の中で存在感ある大都市圏づくりを目指して、意欲的な戦略、政策を示されました。去る九月二日には、その当面三カ年の実施計画も公表されたところであります。
こうした政策を具体化し、積極果敢に実行していくためには、本庁の組織を適切な組織体制へと見直す必要もあるのではないかと考えます。
今回の中間取りまとめにおいても、あいちビジョン二〇二〇に位置づけたこれらの地域づくりを推進するため、本庁の組織体制を整備するとされております。
そこでお伺いをいたします。
次期行革大綱を検討する中で、どのように本庁組織の見直しを行っていく方針か、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、活力と魅力あふれる愛知の実現についてであります。
まず、ESDユネスコ世界会議の開催地としてのアピールについてお尋ねをいたします。
持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議の開催まで残り一カ月半となりました。
二〇〇二年に南アフリカで開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議での日本政府からの提案に基づき、同年の国連総会での決議を経て、二〇〇五年から国連ESDの十年が始まりました。
そして、ことし二〇一四年までの十年間、ユネスコを中心に、国際機関、各国の政府機関、企業、NPOなど、多様な主体によるESDの取り組みが世界中で展開され、本年十一月に本県で開催されるESDユネスコ世界会議において、その成果が披露されるとともに、今後の方策が議論されることとなっております。
ESDの重要性が認識されるに至った原点は、やはり地球環境問題にあろうかと思います。この地域では、二〇〇五年の愛知万博や二〇一〇の生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)などを経て、県民や企業の間に環境に対する高い意識が培われております。
異業種の企業グループによる環境学習講座の開催や生物多様性、愛知ターゲットの達成に向けた生態系ネットワークの形成、全国有数の普及状況となっているエコカーや太陽光発電の導入など、持続可能な社会づくりに向けたさまざまな取り組みが、企業、NPO、行政など多様な主体により展開されております。
さらに、愛知万博やCOP10では、多くの県民が参加し、地域を挙げて、おもてなしの心を持って世界の人々を迎えた実績があります。
ESDユネスコ世界会議には、世界百九十五カ国から閣僚級を含む政府代表、教育関係研究者など、各国で指導的な地位にある多くの方々がこの愛知で一堂に会することとなり、国内外の注目が集まることになります。まさに、本県を世界にアピールする絶好の機会であろうかと思います。
そこでお尋ねをいたします。
当地域のこれまでの実績を踏まえ、ESDユネスコ世界会議の開催地として、国内外に対し、何をどのようにアピールしていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、観光振興についてお尋ねをいたします。
観光は、旅行業や宿泊業はもとより、小売業や飲食業、レジャー産業など、関連する産業の裾野が広く、また、国内に限らず海外からの旅行者を呼び込むことで、地域ににぎわいをもたらすものであります。
国は、力強い日本経済を立て直すための成長戦略の一つとして、観光資源等のポテンシャルを生かし、世界の多くの人々を地域に呼び込む社会の実現を掲げており、そのための施策を効果的かつ総合的に推進するため、昨年、観光立国推進閣僚会議を立ち上げたところであります。
さらに、ことし六月には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催という絶好の機会を捉え、二〇二〇年に向けて、訪日外国人旅行者数二千万人を実現するためのプランとして、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四を決定し、世界に通用する魅力ある観光地域づくりや外国人旅行者の受け入れ環境の整備など、観光立国の実現に政府一丸、官民一体となって全力で取り組んでいくこととしております。
こうした状況の中、本県としても、あいちビジョン二〇二〇に掲げております存在感を発揮できる中京大都市圏の実現に向けても、東京オリンピック・パラリンピックの開催やリニア開業を見据えて、観光振興に一層積極的に取り組んでいく必要があると考えられます。本県の観光資源を発掘し、その魅力に磨きをかけるとともに、その魅力を国内外に発信していくことが求められております。
また、大規模な国際会議やイベントの開催などを通じて、この地域を世界にアピールし、国内外から観光客やビジネス客を呼び込むことも非常に大切であり、例えば、国際的な展示会や会議の開催に十分対応できる国内最大規模のコンベンション施設を新たにつくることも考えてみたらどうでしょうか。
県としては、こうした施設整備を含めて、これまで以上に観光振興に力を入れていく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
今後、県として観光振興にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、全国都市緑化あいちフェアの開催に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
二〇〇五年、二十一世紀になって初めて国際博覧会が愛知県で開催がされました。自然の叡智をテーマとした愛知万博には、延べ二千二百万人もの方々が来場され、世界の自然や文化への関心を高め、地球環境の大切さを認識されたと思います。
その後、本県では、二〇一〇年にCOP10、本年十一月にはESDユネスコ世界会議が開催されるなど、人と自然との共生を目指した万博の思いを受け継ぐさまざまなイベントが実施されております。
こうした中、本年秋には、愛知万博十周年のメモリアル事業として全国都市緑化あいちフェアが開催されます。
愛知万博では、市民も企画、運営に参加する新しい手法がとられました。ボランティアセンターはその一つでありまして、延べ十万人を超える方々がボランティアとしてエコツアーガイドや会場案内などに参加されております。都市緑化あいちフェアにおいても、多くの方々に企画、運営にかかわっていただける仕組みづくりを進めていただきたいと思います。
また、愛知万博では、環境に配慮した新しい取り組みが数多く見られました。土地の改変を最小限に抑えるために設置されたグローバルループや、暑い夏を涼しく感じてもらうような工夫をされたドライミスト、また、竹かごで覆われた日本館は、自然との共生を営んできた我々日本人の生活を思い起こさせるすばらしいデザインでありました。都市緑化あいちフェアにおいても、一層進歩した環境に配慮した取り組みが見られることを期待しております。
さらに、愛知万博では、一市町村一国フレンドシップ事業が行われるなど、全県的な事業展開が図られました。都市緑化あいちフェアにおいても、多くの方々に花や緑の力を知る、感じて、体験していただくようなメーン会場であるモリコロパークだけではなく、より身近な市町村においても参加できる場を設けるなど、全県的な展開が必要であると思います。
そこでお尋ねをいたします。
愛知万博の成果を全国都市緑化あいちフェアにどのように継承し、何を発信していくのか、また、全県的な盛り上げを図るため、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、ユネスコ無形文化遺産登録候補である山車祭りの保存、継承についてお尋ねをいたします。
本県で行われている尾張津島天王祭の車楽舟行事、知立の山車文楽とからくり、犬山祭の車山行事、亀崎潮干祭の山車行事、須成祭の車楽船行事と神葭流しの五件の祭礼は、去る三月、全国三十二件の祭礼で構成する山・鉾・屋台行事として、政府からユネスコ無形文化遺産の候補に提案されました。一つの県で五件という多くの祭礼が提案されるのは愛知県だけであります。
ユネスコでの手続が順調に進めば、平成二十八年十一月ごろに審査を受け、十二月ごろに代表
一覧表への記載が決定すると聞いておりまして、今から決定の日が待ち遠しくてなりません。
このうち、私の住む地元の津島天王祭は、戦国時代、織田信長が賞賛したという記録も残る由緒ある祭礼であります。今回、ユネスコに提案された本県の五件の祭礼の中でも最初に国指定を受けていることもあり、私自身、大変誇りに感じております。
さて、これら五つの祭礼は、重要無形民俗文化財として常に国の保護措置がとられておりますが、ユネスコ無形文化遺産の代表
一覧表に記載されることになれば、世界中から注目されることになり、より一層適切な保存、継承が必要になります。
しかしながら、全国の山車祭りは、過疎化、少子・高齢化に加え、生活様式、生活意識の変化により、地域社会の急速な変容に伴い、担い手の減少が大きな課題となっており、山車などの維持管理は地域社会の大きな負担となっております。このような状況の中で、保存団体、地域の方々は、誇りと気概を持って、現在も山車祭りを支え続けておられます。
民俗文化財は、地域社会のきずなの象徴だと言えます。地域社会のきずなを守るためにも、国、県、市町村を問わず、行政が積極的に山車祭りを支援していく必要があると考えます。
とりわけ愛知県は、山車祭りが盛んな地域でありますので、山車祭りの主役は保存団体、地域の方々ではありますが、県も地域と一緒になって保存、継承に取り組んでいかなければならないと考えております。
そこでお伺いをいたします。
県内の山車祭りがユネスコ無形文化遺産の登録を目指している中で、山車祭りの保存、継承について、県としてどのような取り組みや支援をされていくおつもりか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、新しい時代に飛躍する愛知づくりについてであります。
まず、リニア中央新幹線建設に対する本県の対応についてお伺いをいたします。
リニア中央新幹線に関しては、八月二十六日にJR東海が全国新幹線鉄道整備法に基づいた工事実施計画の認可申請を行い、国土交通大臣の認可を得ればいよいよ着工という段階になってまいりました。
また、本年七月に国土交通省が公表した国土のグランドデザイン二〇五〇では、リニア中央新幹線は、その超高速性により国土構造の変革をもたらす国家的見地に立ったプロジェクトであり、建設主体であるJR東海が、国、地方公共団体等と連携、協力しつつ、整備推進するとされ、地方公共団体も整備促進の担い手となることが求められております。
現在、リニア中央新幹線のターミナル駅となる名古屋駅の周辺については、名古屋市が中心となって開業を見据えたまちづくり構想をまとめております。今後、この構想に基づいて、各交通機関の乗りかえ利便性の確保や名古屋駅周辺の面的整備など、さまざまな取り組みを具体化していくために、県、市、鉄道事業者、国といった多くの関係者の連携、協力が不可欠と考えます。
また、リニア名古屋駅は、東海道新幹線駅とほぼ直角に交わる形で地下約三十メートルに設置されます。駅の延長は約一キロメートル、最大幅六十メートルと大きく、地上から掘り進める開削工事で行われることとなりますが、建物等が密集する名古屋駅周辺での用地取得は、事業の進捗を左右する最も大きな課題であると考えられます。
さらに、本県内のリニア中央新幹線の路線延長は、約二十五キロメートル全てが地下構造であり、駅やトンネルの掘削に伴う建設発生土は、約十年間で約六百五十万立方メートルと見込まれており、建設発生土の活用においても、沿線自治体の協力が必要になるものと考えられます。
そこでお尋ねをいたします。
リニア中央新幹線の工事実施計画の認可後、JR東海からは、用地取得や建設発生土の公共事業等での活用などについて、本県にも協力要請があると思われます。県としては、リニア中央新幹線の整備促進に関してどのように対応していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、グローバル化への対応についてお尋ねをいたします。
本県では、これまで一九八〇年に友好提携を結んだオーストラリア・ビクトリア州及び中国・江蘇省とのそれぞれ親善交流を進めてきました。また、ここ数年では、二〇〇八年にベトナム及び中国・江蘇省と経済連携協定を結び、両地域に本県進出企業を支援する拠点となるサポートデスクを設置するなど、経済面でも連携を深めておりますし、一昨年七月にはタイ・バンコクと相互協力の覚書を交わすなど、さまざまな交流、連携を進めてきたところであります。
さらに、本県では、昨年三月に策定したあいち国際戦略プランに基づいて、アジアパートナーシップ戦略を打ち出し、さまざまな事業が展開されており、昨年十一月には、中国・広東省との間で友好交流及び協力関係の発展について合意しております。
ここ数年、積極的に取り組んできた中国や東南アジアのベトナム、タイといった成長を続けるアジアの国々と交流、連携は、成長著しい国、地域の活力を取り込み、本県が持続的な発展を目指すためにも重要な取り組みであると考えます。
一方で、海外の国、地域との連携関係づくりは、特定の地域に限定することなく、経済の動向や企業の意向などを踏まえ、グローバルな視点で適宜拡大していくことが必要とも考えております。
こうした中で、海外の国、地域との連携関係の強化、拡大を進めていくに当たっては、常に国際情勢の把握に努め、適切な対応をしていく必要があります。
企業活動は、世界の政治経済の動きに敏感に反応し、グローバルな視点で迅速に展開されており、本県も的確に国際情勢をつかみ、関連施策に速やかに反映させていくことが肝要であると考えます。
そこでお伺いをいたします。
国際情勢に的確に対応し、海外の国、地域との連携関係の強化、拡大を進めていく必要があると考えますが、県として、今後、国際戦略をどのように進めていかれるおつもりか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、安心・安全な暮らしの実現についてであります。
まず、交通安全対策についてお伺いをいたします。
愛知県の交通事故死者数は、昨日現在で百三十四人と前年対比で二十四人減少しているものの、全国ワースト一位となっており、依然として大変厳しい状況にあります。
平成二十三年度に策定された第九次愛知県交通安全計画では、平成二十七年までに交通事故死者数を百八十五人以下にするとの目標が掲げられております。まずは、この当面の目標を達成し、最終的には交通事故のない愛知の実現を目指して取り組みを進めていただきたいと考えます。
交通事故を抑止するための対策には、車に対するもの、道路に対するもの、人に対するものなど、さまざまなものがあります。
車に対するものとしては、自動車産業が集積するこの地域の特色を生かして、産学行政が連携し、先進技術でドライバーの安全運転を支援する先進安全自動車や、事故の防止と被害の軽減につながる安全技術の開発など、積極的に取り組んでいくべきと考えます。
また、道路に対するものとしては、交差点改良や歩道設置、標識、標示や信号機を初めとした交通安全施設の整備など、交通事故が起こりにくい安全な道路環境の整備を着実に進めていく必要があると思います。
さらに、こうした車や道路に対する対策とともに、人に対するもの、つまり、道路を利用する方々の意識を高め、交通事故の危険を予測し、安全な行動をとっていただくための施策が欠かせないものと思っております。
この九月議会に提案された愛知県交通安全条例案は、交通事故の抑止に今まで以上に本気で取り組んでいくという県民の強いメッセージがあろうかと思います。
これから年末にかけて交通事故が多発する時期でありますので、さらに気を引き締めて交通事故対策を進めていただかなければなりません。
そこでお伺いをいたします。
今後、愛知県の交通事故死者数を減少させるためにどのような対策を講じていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。あわせて、警察本部長にも御所見をお願いしたいと思います。
次に、ゼロメートル地帯の浸水・津波対策についてお尋ねをいたします。
本年五月に愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査結果が公表されました。さきの六月定例議会の我が党の代表質問においてもお尋ねしたところでありますが、今後の本県の防災・減災対策を進める上で非常に大切な課題であると認識しておりますので、改めて質問をいたします。
今回の県の被害予測調査における建物被害につきましては、国が平成二十四年八月に公表した最大クラスの地震・津波に基づく全壊・焼失棟数の約三十八万八千棟に対し、県の理論上最大想定モデルでは約三十八万二千棟となっており、ほぼ同様な被害量となっております。
ただし、要因別の被害量を比較しますと、大きく異なっているのは、浸水、津波による全壊棟数であります。国の最大クラスで約二千六百棟に対し、県の理論上最大想定モデルでは約二万二千棟と十倍近い数字となっております。
また、人的被害につきましても、国の最大クラスに対し、本県の理論上最大想定モデルでは約二万九千人と約六千人増加しており、建物被害と同様に浸水、津波による死者が増加する結果となっております。
浸水、津波によって犠牲となる場合は、浸水、津波からの逃げおくれ、あるいは建物倒壊や家具転倒等により建物内に閉じ込められて自力脱出が困難となった人が、浸水、津波に巻き込まれて犠牲となるケースが想定されております。
これらの大きな被害予測は、六月定例議会の答弁で明らかとなったように、今回の県の調査が地震の揺れや液状化により堤防等が沈下したり、倒壊したりするという条件のもとで行われたことによるものであります。
地震による浸水、津波がいつ発生するかを予測することはできません。県民のとうとい生命、財産を何としても守り抜くという強い思いで、総力を挙げて、ゼロメートル地帯を中心とする浸水・津波対策を進めていかなければならないと考えております。
そこでお伺いをいたします。
今回の被害予測調査結果に基づいて、浸水・津波対策に今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、第六期愛知県高齢者健康福祉計画についてお尋ねをいたします。
我が国においては、世界に例を見ない速いスピードで高齢化が進んでおり、今後さらに団塊の世代と言われる方々が年齢を重ねていくことから、介護を必要とする高齢者が急増することが予測されております。
こうした中、内閣府が公表した平成二十六年度版高齢社会白書によりますと、日常生活を送る上で介護が必要となった場合にどこで介護を受けたいかという質問に対し、自宅で介護をしてほしいと答えた方の割合が一番多くなっております。
御自身は住みなれた自宅で介護を受けられることを望んでおられますが、実際に自宅で介護を行う場合、主な介護者の六割以上が同居をしている人となり、いわゆる老老介護のケースが相当数存在しております。さらに、家族の介護、看護のために離職、転職する方も十万人以上に上る状況となっており、御家族の介護に対する負担が増大してきております。
こうした中、二十四時間三百六十五日安心して介護が受けられる特別養護老人ホームなどへの入所を希望する方が多くおられます。本県の特別養護老人ホームの入所待機者数は、平成二十六年四月時点で、一年以内に入所を希望している要介護認定者が一万一千七百七十一人で、このうち、入所の必要性がより高いと考えられる要介護三以上の方は七千二百八十五人との調査結果が発表されております。
本県では、これまで計画的に施設の整備を行ってきたとは思いますが、残念ながら、まだまだ大勢の方が入所を待っている状況となっております。
また、現行の第五期愛知県高齢者健康福祉計画においては、平成二十四年から始まった定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービスの整備がおくれていると聞いており、事業者の参入をより積極的に推進していく必要があります。
そこでお尋ねをいたします。
本年度策定する第六期愛知県高齢者健康福祉計画において、介護が必要となった高齢者が安心して生活ができるように、どのように介護サービスの基盤整備を進めていくのか、また、特に特別養護老人ホームの入所待機者調査の結果を踏まえ、この待機者の解消をどのように図っていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
私からの最後の質問になりますが、県知事選挙における知事の考え方についてお尋ねをいたします。
来年二月の任期満了に伴う愛知県知事選挙まで残り五カ月ほどとなりました。平成二十三年二月に大村知事が就任されて以来、我が党県議団は、県民のためにを第一に考え、本県の施策について、知事と是々非々で議論を重ねてきたところであります。
県立学校の耐震化を初めとする地震・防災対策や、円高是正の取り組みを初めとする中小企業支援では、我が党の要望に応えた事業が進められております。また、設楽ダムの建設についても、我が党の考え方に沿った判断がされております。
我が党県議団といたしましても、こうした知事の御判断やこれまでの経緯などを踏まえた団員の意見を十分に考慮するとともに、この代表質問で大村知事の意思を確認し、今後、知事選挙への対応方針を検討していくこととしております。
また、新聞報道では、先日、愛知県町村長協議会及び愛知県町村議会議長協議会が知事の一期目の県政運営を、産業、医療、福祉などで積極的かつ着実に施策を遂行してきたと評価し、大村知事に出馬要請をされ、政権与党と連携した県政運営を行うよう求めたとのことであります。
平成二十四年十二月の衆議院選挙において、自由民主党は政権与党に復帰しております。国においては、今後も我が党政権のもとで、地方にも大きな影響を与える国土強靱化や地方創生など、さまざまな施策が展開されてまいります。
愛知県政が、南海トラフ巨大地震等を想定した地震防災・減災対策の強化や、少子・高齢社会に対する医療・福祉対策など、待ったなしの諸課題に迅速かつ適切な対応をしていくためには、国政との緊密な連携が欠かせません。
愛知県知事には、ぜひとも国政の政権与党であり、県議会最大会派でもある我が党と歩調を一つにして、県民の安心・安全な暮らしの確保や将来の展開につながる愛知づくりなど、地域の切実なる声を反映した施策を、パフォーマンスではなく、あくまでも県民のために推進できる方に御就任いただきたいと考えております。
また、大村知事は、前回の県知事選挙のマニフェストで、県民税一〇%減税、そして、中京都の創設という二つの施策を掲げられておりました。
このうち、県民税一〇%減税につきましては、我が党との議論などを経て、法人県民税減税は産業空洞化対策減税基金という形に、個人県民税減税は子育て支援減税手当及び障害者福祉減税基金という形にされたところであります。
そこでお伺いをいたします。
県知事選挙は、これからの愛知県の四年間を左右する極めて重要な選挙でありますが、大村知事は、御自身の去就についてどのようにお考えかお尋ねをいたします。
また、県議会の最大会派であり、かつ国政の政権与党でもある我が党に対するスタンスについてどのようにお考えか、さらに、前回の県知事選挙のマニフェストで掲げた県民税一〇%減税及び中京都の創設についてどのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。明快な御答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔知事
大村秀章君登壇〕
4:
◯知事(
大村秀章君) 自由民主党県議団の
中野治美議員の御質問にお答えをいたします。
初めに、県税収入の見通しについてのお尋ねであります。
主要税目であります法人二税につきましては、全体の約七割を占める三月期決算法人の本年三月決算の業績が好調でありましたことから、現時点では順調に推移をしているところでございます。
こうしたことから、本年度の県税収入の見通しにつきましては、今後、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が和らいで景気の回復基調が続けば、当初予算額の確保は見込めるものと認識をいたしております。
しかしながら、日本経済の先行きにつきましては、駆け込み需要の反動の長期化や、海外経済の下振れなどの景気下押しリスクに留意する必要があると指摘されておりますので、今後の景気や企業収益の動向に十分注意を払いながら、引き続き県税収入の確保に全力で取り組んでまいります。
続いて、来年度の県税収入の見通しについてでございます。
法人二税の税収に影響を及ぼします今後の企業収益につきましては、国内外の景気の不透明感を背景に減収減益を見込む企業もありますことから、平成二十七年三月期の上場企業の業績予想は、全産業ベースでは一%の増益にとどまっております。
また、足元では、個人消費や設備投資の回復に足踏みも見られることなどから、来年度の法人二税収入への影響が懸念されるところでありますが、今後の経済情勢や税制改正の動向等を注視し、来年度の税収を慎重に見きわめてまいりたいと考えております。
続いて、今後の財政運営についてであります。
近年の財政状況は、扶助費や公債費などの義務的経費が増加を続けており、平成二十六年度当初予算におきましても、基金を活用して財源対策を講じざるを得なかったところであります。
こうした中、財源対策に活用可能な基金残高は減少を続けてきていることから、今年度の地方財政措置の決定増に加え、年度内のさらなる財源確保に可能な限り取り組み、基金残高の回復に努めてまいりたいと考えております。
また、健全な財政運営の観点から、将来に向けては臨時的・緊急避難的措置である特定目的基金からの繰入運用に可能な限り頼らない予算編成ができるよう努めてまいりたいと考えております。
一方、地方法人二税の一部国税化につきましては、受益と負担の原則に反し、地方分権改革に逆行するものであり、また、企業誘致や経済活性化のインセンティブを損なうものでもあることから、これまでも一貫して廃止を主張してまいりました。
七月十五日に開催をされましたさきの全国知事会議におきましても、東京都、神奈川県とともに、こうした地方分権改革に反する税制改正には反対である旨、強く意見を申し上げ、税源の偏在性の是正に関する提言について修正がなされたところであります。
年末に向けまして、国において、平成二十七年度税制改正の議論が本格化をしていくこととなりますが、地方法人特別税及び地方法人税を廃止し、地方税として復元するよう、あらゆる場面を通じて引き続き強く国に働きかけてまいります。
次に、次期行革大綱の策定に関連をいたしまして、本庁組織の見直しの方針についてのお尋ねをいただきました。
今月十一日に公表いたしました次期行革大綱の中間取りまとめでお示しをしておりますように、私は、今後五年間の行財政改革の目標を、あいちビジョン二〇二〇を推進する行財政体制の確立としたいと考えているところでございます。
この目標を実現するための組織体制面での取り組みといたしまして、本庁組織につきましては、ビジョンに位置づけた重要施策をスピード感を持って戦略的に推進するにふさわしい組織体制にしていく必要があると考えております。
その際には、大きく三つの観点から検討をしてまいりたいと考えております。
一つ目は、東京オリンピックの開催やリニア中央新幹線の開業を見据え、観光、スポーツなど、世界から人を引きつけるための重要プロジェクトを相互の連携を図りながら総合的に推進するための組織体制の強化であります。
二つ目は、世界の中で存在感を発揮できる中京大都市圏づくりやグローバル展開などの政策を全庁挙げて戦略的に推進するための組織整備であります。
三つ目は、産業の革新・創造拠点の形成に向けて、自動車産業の高度化、次世代産業の育成、振興、企業や研究機関の国内外からの誘致促進など、本県の産業競争力をより高める政策を重点的に推進するための体制強化であります。
この三つの観点から本庁の関係部局のあり方を検討し、年内に取りまとめる次期行革大綱において具体的な見直し内容を盛り込み、平成二十七年度から本庁組織の一部を見直してまいりたいと考えております。
次に、ESDユネスコ世界会議についてのお尋ねであります。
ESDユネスコ世界会議は、愛知万博、COP10の開催を経て、県民の皆様とともに積み重ねてきた環境への取り組みや地域づくりの成果などを世界に広くアピールする絶好の機会であります。
このため、企業、NPO、学校、行政など、多様な主体による持続可能な社会づくりに向けたさまざまな活動や本県の物づくり産業が誇る最新の環境技術、さらには、当地の歴史や伝統文化などを、会議場内での展示や、現地を訪れ体感をしていただくエクスカーション、いわゆる視察旅行を通じまして、各国の閣僚、政府関係者等の会議参加者の方々にしっかりアピールしてまいります。
また、世界会議にあわせて、名古屋国際会議場と栄地区であいち・なごやESD交流フェスタや交流セミナーを開催し、多様な主体によるESDの取り組みを広く発信してまいります。
加えて、語学が堪能な約二百名のボランティアによりきめ細かく会議をサポートしていただくとともに、レセプションにおいて、なごやめしなどの独自の食文化を紹介するなどして、海外から来られた方々をしっかりおもてなししたいと考えております。
こうした取り組みによりまして、持続可能な社会づくりに貢献する魅力あふれる愛知を世界に広くアピールすることで、本県のさらなる発展につなげてまいります。
続いて、観光振興についてであります。
愛知には、自然、歴史、文化、食などの観光集客の要素となる資源が豊富にあり、また、新幹線、高速道路、空港など、交通ネットワークも充実をいたしております。
他方、首都圏や関西圏に比べて海外での知名度が余り高いとは言えず、当地を訪れる外国人観光客の数は多くないことから、現状では、観光資源や交通インフラの強みを十分には生かし切れていない状況にあると考えます。
世界的な都市圏間競争の中で、今後、本県が大きく飛躍していくためには、その重要な戦略の一つとして、観光振興により一層積極的に取り組んでいくこと、さらには、国際観光都市としての魅力を高め、国内外から一層人を呼び込むための仕掛けづくりが重要であります。
そのため、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催などを見据えて、国内外からの観光客を引きつけるイベントや大規模な国際会議を誘致し、当地域を盛り上げてまいりますとともに、独自の観光資源の魅力をさらに磨き上げ、さまざまな機会を捉えて国内外へ積極的に発信をし、愛知のブランドイメージ向上に取り組んでまいります。
また、議員御指摘のように、コンベンションも含めた施設整備などについても御提言をいただきました。こうした点も踏まえつつ、民間事業者との連携も積極的に図りながら、観光拠点づくりや基盤整備についても強力に推進してまいりたいと考えております。
次は、全国都市緑化あいちフェアについてお答えをいたします。
愛知万博は、人と自然が共生していける社会の実現を目指して開催をされ、新たな緑化技術としてバイオラングの展示を初め、よりよい環境づくりに貢献するさまざまな取り組みが行われました。また、市民参加にも積極的に取り組み、市民一人一人がみずから行動を起こすことの大切さを感じていただけたと考えております。
今回のフェアでは、万博から受け継いだみどりのチカラを改めて体感していただくため、花や緑の壁面緑化を用いた屋内空間を創造するなど、新しい環境づくりの提案をしてまいります。
また、万博で開花をした市民協働の輪を広げるため、ボランティア活動の企画立案から運営までをNPOの方々が緑はつなぎ手として活躍をしていただくなど、万博の成果を継承、発信してまいりたいと考えております。
次に、全県的な盛り上げのための取り組みについてでありますが、フェアでは、県内三十一市町及び民間団体等の協力を得て、サテライト会場を五十四会場といたしました。メーン会場と県内に広がるサテライト会場がPRなどで連携を図り、より多くの皆様にお越しをいただきたいと考えております。
開幕まで一年を切りましたが、引き続き愛知万博十周年にふさわしい花と緑にあふれた愛知の魅力を広く発信するフェアとなるようしっかりと取り組んでまいります。
続いて、山車祭りの保存、継承についてであります。
議員御指摘のとおり、民俗芸能や祭礼等の民俗文化財は、地域社会のきずなやにぎわいの象徴であり、その保存、継承につきましては、行政も積極的に支援をしていく必要があると考えております。
中でも、山車祭りにつきましては、本県は、ユネスコ無形文化遺産の候補である五件の祭礼を初め、質量ともに全国有数の祭礼が所在をする地域でございます。特に議員御地元の津島の天王祭、また、からくり人形を載せた山車の分布、そうしたものは本県に集中をいたしておりまして、まさに山車王国愛知と言っても過言ではないと考えます。
このため、県では、これまでも山車の保存修理等の支援や後継者の育成に努めてきたところでありますが、さらに今後は、ユネスコ無形文化遺産登録を契機といたしまして、山車文化を愛知の文化のシンボルの一つとして位置づけ、その振興を一層図っていかなければならないと考えております。
そこで、まずは、保存団体、地域の方々、市町村と協力を図りながら、県内全ての山車祭りを対象としたネットワークづくりに取り組んでいきたいと考えております。その上で、愛知県全体が一丸となって愛知の山車文化の魅力を国内外へ発信しながら、山車祭りを支える人々に自信と誇りを喚起するイベントを開催するなど、山車祭りの振興を図り、地域の活性化や観光振興にも寄与してまいりたいと考えております。
次に、リニア中央新幹線建設に対する本県の対応についてお尋ねをいただきました。
工事実施計画の認可後、用地確保や建設発生土の活用などについて、JR東海から具体的な協力要請が想定をされております。
本県では、JR東海が名古屋駅の乗りかえ利便性の向上や駅周辺のまちづくりなど、地域の意向に応えていただくことを踏まえて、これらの協力要請には的確に対応してまいりたいと考えております。
用地取得につきましては、名古屋駅付近は高度な土地利用が行われている地区で、地権者も多いことから、事業推進に向け一層の理解を得られるよう、しっかりとした組織体制と進め方をJR東海や名古屋市と協議し、取り組んでまいります。
また、建設発生土に関しましては、発生の抑制や現場利用を徹底した上で、できる限り他の事業での有効活用を図ることが重要でございますので、愛知県だけではなくて、国、市町村と連携、協力をいたしまして、公共事業等での利用に関する情報提供を行うなど、有効活用を図ってまいりたいと考えております。
リニア建設工事を進めるに当たりまして、JR東海には、これまで以上に地域住民の方々に対し、事業や工事の内容等に関する情報公開と丁寧な説明を行うとともに、環境保全に万全を期すことにより、住民生活や自然環境への影響を回避、低減させるよう、引き続き強く求めてまいる所存であります。
続いて、グローバル化への対応についてであります。
あいち国際戦略プランの主要な柱でありますアジアパートナーシップ戦略の一つとして、今月初めに相互協力の覚書を締結しておりますタイ・バンコクにおきまして、観光プロモーション、経済交流会、エアポートセールス、県産農産品の販売促進などの事業を関係部局が連携して戦略的に実施をいたしました。
さらに、タイ政府の工業省との間で経済連携協定を結び、今後互いに協力をして中小企業のサポートやセミナー開催などの経済交流事業に取り組むこととしたところであります。
こうした海外諸地域との連携、交流につきましては、グローバルに展開する地元企業の動きや訪日外国人観光客向けビザ緩和など、政府の動きなども注視しながら、愛知ならではの特性を生かした経済や人の交流拡大を図る取り組みが必要であると考えております。
一方、国際関連施策の実施に当たっては、世界経済、国際政治などの動向からも影響を受けますことから、今後とも、国際情勢に関する情報を的確に把握をし、適宜戦略の見直しを行うなど、柔軟かつ機動的に本県の国際戦略を進め、世界と闘える愛知を実現してまいります。
次に、交通安全対策についてのお尋ねであります。
本県の交通事故死者数は減少傾向にあるものの、依然として厳しい状況が続いております。このため、事故死者数の半数以上を占める高齢者への対策として、現在、ラジオコマーシャルの放送や広報車による巡回啓発を実施中であり、これに引き続いて、事故原因の八割を占めるドライバーへの対策として、危険な運転の防止を呼びかける集中的な啓発キャンペーンも展開をしてまいります。
さらに、今議会に提案をいたしております交通安全条例の制定を契機として、啓発活動の実施などのソフト面の対策と、歩道や信号機の整備などのハード面の対策を一層推進するほか、自動車安全技術の研究開発の促進、警察による取り締まりの強化など、さまざまな取り組みを進めてまいります。
また、県民の皆様や関係機関とも一体となって交通安全対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
なお、あわせて提案をいたしております補正予算案では、緊急交通安全対策として二億七千万円余りを計上いたしました。信号灯器のLED化や道路標識、道路標示の整備とともに、条例の周知と交通安全意識の一層の高揚を図る県民総ぐるみイベントの開催や、飲食業界、タクシー業界と連携をした飲酒運転防止や子供、高齢者の事故防止の呼びかけなどの対策を強化してまいります。
今後とも、このようなさまざまな対策を講じて、交通事故のない安全・安心な愛知の実現を目指してまいります。
続いて、被害予測調査結果を踏まえた浸水・津波対策についてであります。
大規模地震により発生をする浸水、津波から県民の皆様方の生命、財産を守ることは、現在策定中の第三次あいち地震対策アクションプランや今後策定をする愛知県としての国土強靱化地域計画におきましても最重要課題と位置づけまして、しっかりと取り組んでまいります。
浸水・津波対策におきまして人的被害を軽減するためには、早期避難の実現が重要であります。このため、八月三十一日に碧南市で津波避難訓練を実施したところでありまして、こうした機会を通じて早期避難の意識づけを図ってまいります。
さらに、弥富市をモデルといたしまして津波避難シミュレーションを実施し、市町村が津波避難計画を策定する際の参考となる指針を年内に作成することといたしております。
また、液状化等により堤防が沈下した場合にありましても、津波到達前の浸水を防ぐため、堤防の耐震化を進め、さらに、津波が乗り越えても堤防が流失しにくくするのり面補強など、粘り強い構造へ強化を図ってまいります。
こうしたハード整備には膨大な費用を要することが予想されるため、関係市町村などと河川・海岸堤防等の地震・津波対策を促進するための協議会を立ち上げ、七月三十一日には、私が先頭に立って国土交通省へ支援要請を行い、太田大臣から、しっかりやっていくとの力強い
発言をいただいたところであります。
このように、ソフトとハードを組み合わせた総合的な対策によって、県民の皆様方の生命、財産を浸水、津波から守る取り組みを全庁挙げて進めてまいりたいと考えております。
次に、第六期愛知県高齢者健康福祉計画についてであります。
第六期計画では、基本理念として、高齢者の自立と自己実現を地域で支える健康福祉を掲げ、介護保険サービスの充実や認知症高齢者支援対策の推進など、七つの項目を基本目標といたしまして、喫緊の課題である地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めることといたしております。
このうち、介護サービスの基盤整備につきましては、住みなれた地域で安心して生活をしていただけるよう、引き続き訪問介護や通所介護などの充実を図るとともに、昼夜を問わず対応できる在宅サービスの提供にも力を入れてまいりたいと考えております。
また、施設の入所が必要になった場合には、できる限り希望する介護保険施設を利用していただけるように、市町村計画に基づき、県として適切な整備目標を定め、計画的な整備に努めてまいりたいと考えております。
中でも、特別養護老人ホームにつきましては、本年度、事業者に対する整備費予算額を大幅に増額させたところでございますが、まだまだ市町村から多くの要望が寄せられておりますので、できる限り整備促進を図り、入所待機者の解消に努めてまいりたいと考えております。
そして、私のマニフェストや県政運営などにつきまして御質問をいただきました。
まず、県民税減税についてのお尋ねでございます。
減税は、大胆な規制緩和とあわせて実施することによりまして、経済と産業を活性化させるための重要な政策の
ツールでありまして、これまで議会の皆様方と真摯な議論、協議を重ねつつ、着実にその取り組みを進めてまいりました。
まず、法人県民税減税につきましては、平成二十四年度に産業空洞化対策減税基金を創設し、毎年度五十億円を基金に積み立て、日本一の企業立地補助制度として運用をしてまいりました。
現在までに企業立地・再投資分野で百六件の補助対象案件を採択し、総投資額二千二百六十億円余、二万四千人余りの雇用維持・創出効果が見込まれ、研究開発、実証実験についても、継続案件を含め、合計百九十六件を採択いたしております。
次に、平成二十四年一月以降に新車登録をされたEV、PHVの自動車税及び平成二十五年度からは、航空宇宙産業に係る不動産取得税について免税措置を講じました。
さらには、本県の基幹産業である自動車産業の空洞化懸念を払拭し、本県経済の活性化、雇用を確保するため、平成二十三年度以来強力に取り組みを進めてまいりました車体課税の見直しにつきましては、平成二十四年度税制改正において、エコカー減税の継続拡充、自動車重量税について負担軽減が行われることとなったほか、エコカー補助金が創設されることとなりました。
また、平成二十五年度与党税制改正大綱に消費税率一〇%時点での自動車取得税の廃止、自動車重量税に係るエコカー減税制度の恒久化等の方針が明記をされ、平成二十六年度税制改正において、自動車取得税の税率が引き下げられるとともに、エコカー減税の拡充など、成果を上げることができました。
また、個人県民税減税につきましては、県議会各会派からのさまざまな御意見、御提言等を踏まえ、子育て支援減税手当と障害者福祉減税基金を創設することといたしました。
子育て支援減税手当は、平成二十六年四月からの消費税率の引き上げが子育て世帯の負担を重くし、次代を担う児童の健全育成に悪影響を及ぼすことがないよう、特に子育て世帯を支援するために創設をし、平成二十六年度に百万人の児童を対象に約百億円を給付することといたしました。
給付に当たりましては、県民の皆様の御負担を軽減するため、身近な市町村に実施主体となっていただき、現在、市町村の皆様の御尽力を得ながらその手続を進めているところでありまして、既に多くの市町村において給付が開始をされております。
また、障害者福祉減税基金は、介護者の高齢化が進む中、身近な地域で医療や療育などの支援が受けられる体制づくりが喫緊の課題となっておりますことから、民間による重症心身障害児者の施設整備を短期集中的に進めるため、平成二十六年度に三十億円を原資に創設をしたところであります。
既にこの基金を活用し、一宮市及び豊川市において、社会福祉法人により重症心身障害児者施設が建設される計画となっているところでございます。
以上のように、県民税減税の施策につきましては、自民党県議団を初め議会の皆様と真摯な議論を積み重ねる中で、形は少し変わりましたが、県民生活と社会福祉の向上を第一義とした施策として実現することができたものと考えております。
次に、中京都構想についてでございます。
経済のグローバル化の進展を背景に、アジアはもとより、世界的なレベルで都市間競争が激しく繰り広げられる中、大都市こそが成長のエンジンとなって我が国を引っ張っていく必要があります。
中京都構想は、日本屈指の産業集積地である愛知と大都市機能を有する名古屋市が一体的にベクトルを合わせて機能強化を図り、自立した大都市圏としての発展を目指すものであります。
その具体化に向け、中京独立戦略本部において、政策面、行政体制面の両面にわたりまして四つの分科会も設置をしながら、五回にわたる本部会議で幅広い議論をしてまいりました。
この間の第二回本部会議では、県、市合意のもと、中京都創設の基本的考え方や実現に向けた取り組みイメージをお示ししているところであります。そして、ことし三月の第五回本部会議で、当地域の目指すべき姿、取り組むべき政策、行政体制に関する基本的な考え方とともに、今後の進め方を取りまとめたところであります。
また、本年三月に策定をいたしましたあいちビジョン二〇二〇では、本県を中心とする広域エリアで国内外から人、物、金、情報を呼び込み、世界の中で存在感を発揮できる中京大都市圏という姿をお示しし、その中に中京都構想も位置づけております。
今後につきましては、これまでの議論、経過を踏まえながら取り組んでまいりますが、私ども愛知県だけで進めていけるものではありませんので、名古屋市と連携、協調しながら、できることから着実に一つ一つ進めていきたいと考えております。
以上、るる申し上げましたように、これまでも自民党県議団を初め県議会の皆様とは、日ごろから県政における諸課題につきまして十分に御説明をし、御理解と御支援を賜りながら、また、時にちょうちょうはっしの議論を闘わせながら、愛知のさらなる発展に向け、建設的な議論を重ねてまいりました。
こうした中で、先ほども申し上げましたように、法人県民税減税につきましては、一ドル八十円を超える未曽有の円高に対処して、本県産業の空洞化を食いとめるという喫緊の課題に対応するため、産業空洞化対策減税基金を設け、日本一の企業立地、設備投資促進の補助制度という形で実現をし、着実に実績を上げているところであります。
また、個人県民税減税につきましても、消費税増税の負担を和らげ、子育て世帯を支援するため、子育て支援減税手当を設けるとともに、重度の心身障害児者に対する施設整備を一気に進めるため、障害者福祉減税基金という形で実現をし、それぞれ県民の皆様に還元をすることとしたところであります。
このほかにも、次世代自動車、航空宇宙産業を初めとする産業競争力の強化や南海トラフ巨大地震への対策など、県民の暮らしの安心・安全の確保に向けた取り組み、医療、福祉、教育の充実や地域振興など、愛知の総合力を高める数々の施策を精力的に進め、着実に成果を上げてきたと考えております。
これらは、自民党県議団の皆様と十分議論、協議しながら実現を図ってきたものであり、私の県政の取り組みに対する御理解と御支援には感謝を申し上げるものであります。
私は、これまでも常に愛知県民の生活と社会福祉の向上を第一に考え、これを実現するため、愛知県の発展につながる施策に邁進をしてきたところでありまして、日本一の産業県愛知が、日本の産業首都愛知が発展することが日本の発展にもつながるものと考えております。
このように、愛知の発展につながり、愛知県民の生活と社会福祉の向上に結びつく施策を実現していくとの観点からは、これまでも自民党県議団や国会議員の皆様とも協議、連携をしてきたところでありまして、今後とも、これまで以上に複層的に協議、連携を図り、愛知県政発展のためにともに力を合わせてまいりたいと考えております。
そうした中で、県民の皆様の御理解、御支援が得られるのであれば、県民の皆様から与えられた任期をしっかりと十全に全うし、さらに、未来の愛知へも責任を担っていきたいと考えております。そして、皆様とともに日本一元気な愛知の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
以上、御答弁を申し上げました。
5:
◯警察本部長(
木岡保雅君) 交通安全対策についての御質問にお答えをいたします。
愛知県では、例年、秋口から年末にかけて交通死亡事故が多発しておりますことから、これらのことを念頭に置いて街頭活動を一層強化するなど、各種対策を強力に実施してまいります。
具体的には、高齢者にかかわる死亡事故が過半となっておりますことから、高齢者にみずからの交通安全行動について考えていただき、その実践を促す工夫をした交通安全教育等を実施してまいります。
また、道路横断中の歩行者がはねられる事故が多発しておりますので、歩行者優先の意識を徹底するため、横断歩行者妨害を初めとした交通違反の取り締まりを強化いたします。
道路交通環境の整備につきましては、交差点における交通事故抑止に向けて、視認性の高いLED式の信号灯器の整備や、摩耗した横断歩道など路面標示の更新を進めることとしており、こうした交通安全施設整備に係る予算を九月補正予算案に計上させていただいております。
また、議員お示しの交通安全条例の施行により県全体の交通安全意識の向上が期待されますことから、愛知県を初めとした関係機関・団体と連携して、条例の効果的な運用等に努めてまいります。
さらに、先進安全自動車の開発のため、私どもが保有する交通事故に係るデータを関係機関・団体に提供しておりますが、こうした連携を一層強固なものとして総合的な対策を積極的に講じ、交通事故死者数のさらなる減少に向けて全力を尽くしてまいります。
以上でございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
6: ◯三十九番(
須崎かん君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
7:
◯議長(
三浦孝司君)
須崎かん議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
8:
◯議長(
三浦孝司君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時十八分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
9:
◯議長(
三浦孝司君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
西川厚志議員。
〔五十六番
西川厚志君登壇〕(拍手)
10: ◯五十六番(
西川厚志君) それでは、民主党愛知県議員団を代表いたしまして、県政の諸課題について質問をさせていただきます。
まず、土砂災害対策についてお伺いいたします。
広島県においては、先月八月十九日からの記録的な集中豪雨により、特に広島市内では大規模な土砂災害が発生し、七十四名のとうとい命が失われてしまいました。お亡くなりになられた方々には心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
報道によれば、特に被害が甚大であった地区では、本来であれば、土砂災害防止法に基づき警戒避難体制が図られるべき危険箇所であったにもかかわらず、広島県が作成したマニュアルに不備があったことが原因となり、警戒区域への指定がおくれ、住民の危機意識が広く周知されていなかったとの指摘がありました。
我が愛知県でも、地形的には山地、丘陵部が県土の六割を占め、地質的にも複雑で脆弱な地域が広く分布し、本県の災害年表をひもといてみると、古くは西暦一七六七年、明和四年十月に瀬戸の赤津、猿投山に山津波が起こり、死者二千百五十四人、流失家屋千五百十六戸という記述が見受けられます。近年では、昭和四十七年七月豪雨、平成元年恵南東加茂豪雨、平成十二年東海豪雨、これらの際の崖崩れや土石流が県内各地で大きな爪跡を残し、死者を伴った土砂災害のすさまじい鮮明な記録が残っています。
そして、今日、本県の調査によれば、人家や公共施設等に被害が及ぶおそれのある土砂災害危険箇所は一万千弱点在し、また、人家等はないけれども、同様の危険性のある約七千カ所を合わせた一万八千弱が県内の土砂災害危険箇所としてカウントされています。
土砂災害防止法は、こうした災害から住民の方々の生命を守るため、おそれのある区域についての危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転の促進等の対策を推進するものであり、この法にのっとって各都道府県は基礎調査を実施し、それぞれの土砂災害危険箇所を警戒区域や特別警戒区域に指定することとなります。
この指定済みの区域の数が、本県の場合、直近の統計で見ると五千八百八十九カ所、すなわち、県内の危険箇所総数約一万八千に対して約三三%が既に県民の皆さんにも周知をされ、警戒避難体制が整ったと考えることができます。
そこでまずはお尋ねいたします。
この三三%という指定率ですが、全国的に見ると三十四位となり、また、都府県によっては指定率一〇〇%を超える自治体もある中で、愛知県の現状はおくれぎみの感が否めません。
特に、市町村別に見ると、県内でも指定率の濃淡の差は明らかとなり、東郷町に至っては、指定すべき危険箇所が五十三カ所あるにもかかわらず、実際に指定された箇所はゼロというありさまです。低い順に、次いで尾張旭市が指定率一・五六%、武豊町二・〇〇%、豊明市二・八六%、東浦町四・〇八%と見てとれます。
あくまでも指定作業は県の仕事ですので、制度上、こうした市町には何の責任もないと考えられます。今日まで県としてどのような姿勢で土砂災害警戒区域の指定に取り組まれてきたのか、また、今お示しした市町等で極めて指定率のおぼつかない要因は何ゆえなのか、明らかにされたいと存じます。
そして、今後の取り組みについてであります。
聞くところによれば、本県でも、今回の広島の災害が発生する以前から、既に指定のおくれについて危機感を抱き、今年度からは予算も増額し、まずは人家や公共施設に被害の及ぶおそれのある危険箇所を優先して、区域指定のスピードアップを図られているようであります。
ただし、それでも最も支障となるのは、警戒区域に指定されることによって既存住宅や地域の資産価値が目減りし、よって住民の側から待ったの声がかかるケースが挙げられるともお聞きいたしました。いかにも悩ましい問題であります。
県として、この局面をどう乗り越えるのか、ぜひお考えをお示しいただきたいと存じます。
国のほうでは、土砂災害防止法について、今後、警戒区域の指定がしやすくなるよう、全国の知事の背中を後押しするような法改正の必要性が検討され始めたところでもあります。この際、今後の取り組みにかける知事の覚悟を県民の皆さんにお示しください。
次に、愛知県と名古屋市の今後のあり方について、大村知事が前回の知事選挙で河村市長と共同公約とされた減税及び中京都に絞ってお尋ねをいたします。
まずは減税について思い返しますと、知事は就任直後、真っ先に産業振興に着手をされ、従来の先端工場や研究所の立地を促進するための補助制度を大幅に拡充させるとともに、新たに産業空洞化対策や東日本大震災を受けてのサプライチェーンの回復支援、また、次世代産業の研究開発にも補助の枠を拡大し、これらの財源として、当初の法人税減税分を基金に積むことを決断されました。議会対応を考えられてのことであったかともお察しいたしますが、今日の着実な投資や雇用の効果を見れば、臨機、賢明な判断であったのは明らかですし、結果として、法人税減税の恩恵を受けることがかなわなかった県内企業の皆さんからも、決して不満の声は上がらないものと考えます。
そして、個人県民税についても、当初の一〇%減税からさまざまな議論を経て、最終的に子育て支援手当と障害者施設整備へ至った結論に対し、改めて評価させていただきます。恐らく河村市長からは、幾らかの恨み言があったかもしれませんが、都度、議会の意向を尊重された知事の姿勢は、我々としても重く受けとめたいと思います。
一方、その名古屋市では、現在、平成二十四年度から実施された五%減税の検証作業が行われており、既に個人市民税のアンケート調査結果が公表されたところであります。間もなく調査の結果が判明するマクロ計量モデルに基づくシミュレーション分析と、法人を対象としたアンケート調査結果を総合的に見定め、今後の施策に反映される運びとなるそうです。
知事も、この公表結果をごらんになっていらっしゃることと思いますが、賛否両論、さまざまな意見が出されております。
そうした中、私の印象に残ったのは、市民アンケートの中で、五%減税を実施していることを知らないと答えた方の割合三四・三%、また、本人が減税の対象であることを認識しつつも、その額を把握できていない方の割合が三分の一程度いらっしゃったという結果です。河村市長の看板施策の割には市民の認知度が余り高くないというのが私の率直な感想です。
私どもとしては、本県財政の状況の中で、議会の意向を酌み取り、最優先で取り組むべき課題を見きわめられた知事の政治姿勢こそ、二元代表制にのっとった首長のあるべき姿と映ります。
そこで、改めて、愛知県のとられた減税にかかわる施策についてどのようにお考えか、知事にお尋ねいたします。
そして、中京都についてです。
本年三月に策定されたあいちビジョン二〇二〇では、目指すべき愛知の姿として、リニアインパクトを最大限に生かし、国内外から人、物、金、情報を呼び込み、世界の中で存在感を発揮できる中京大都市圏が掲げられております。
そして、中京都構想は、この中京大都市圏の実現に向けた取り組みの一つとして位置づけられました。また、中京独立戦略本部で柱立てされた四つの政策分野、産業活力、都市基盤・防災、魅力創造・発信、若者・女性、こうしたそれぞれの視点もビジョンに網羅されております。
しかしながら、私としては、これまでの私と知事の議論を踏まえれば、中京都構想という大きな構想は、ビジョンとは別に、中京都構想そのものとしてお示しいただきたかったと思えてなりません。なぜそうならなかったのか。それは、行政体制面の議論が深まらなかったからではないでしょうか。
中京都構想の議論を振り返りますと、名古屋市長からは、周辺の市町村と連携する尾張名古屋共和国などが提案されましたが、私にとっては、これは県、市を合体する中京都のイメージから随分遠いものと思われました。
一方、知事からは、愛知、名古屋が一体となって自立、独立を果たし、強力で唯一の司令塔のもとで世界と闘える大都市圏として発展する中京都の将来像を実現するため、県と市を現行のまま存続させながら、県、市を包含する中京都ホールディングスをつくる、いわゆる大村私案が示されました。これは、本来の中京都の狙いに沿って、行政体制面での考え方をお示しいただいたものと受け取ることができます。
いずれにしても、県、市が一体化していく議論を進めようとすれば、相手のある話であります。これまで愛知県と名古屋市は、良好な関係を保ち、特に空港、万博の成功などは、県、市両組織のきずなをより強めてまいりました。大村知事におかれましては、共同公約にとらわれず、まずは、従来の県、市の協調関係を継承し、愛知、名古屋の発展に向けての方向性を県、市が協調して取り組んでいかれるべきと考えます。
そこで、改めて、中京都構想について、知事のお考えをお伺いいたします。
三番目の質問は、十一月に開催される技能五輪・アビリンピックあいち大会についてであります。
技能五輪全国大会と全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)の二つの大会の開催までいよいよあと二カ月ほどとなりました。開催県として、本県の選手はもちろんのこと、全国から参加される選手の皆さんにベストな状態で大会に臨んでいただけるよう、最適な競技環境を提供し、物づくり王国愛知の名に恥じない大会となるよう、国や関係機関、会場となります名古屋市初め八つの市と連携を密にし、万全の準備を進めておられるものと存じます。
両大会の本県開催については、若者の物づくり離れが懸念される中、次代の物づくりを担う人材育成や、障害者の雇用に向けての理解を深める絶好の機会であると考え、国等に誘致を働きかけたものであり、平成二十一年九月議会において、本県での開催誘致の意向が表明され、その翌年の平成二十二年十月に開催が決定されたと聞いております。
あいち大会の目標として、見学者十八万人以上を掲げ、特に次代の愛知の物づくりを担う小中高生に御来場いただくよう、団体見学の実施や競技解説ガイドの配置などにも取り組んでいると伺っております。
しかしながら、このあいち大会は、単に一過性のイベントとして終わらせるだけでなく、今後の愛知の発展のためにどのようにつなげていくかが大変重要であると考えます。
そこで、今回の大会の成果を今後どのように生かしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
そして、あわせて、国際大会の誘致も視野に入れていただければと存じます。既に我々の会派からも要望させていただいておりますし、私が国へ問い合わせたところ、大会規模が拡大傾向にあり、例えば、面積要件としてメーン会場は十万平米以上を確保することや、主要国での開催サイクルはおおむね二十年前後で調整されることなどなどを踏まえながら、国としても重大な関心を持って臨みたいとのコメントをいただきました。
ぜひ本県としても、国の動向を慎重に見守りながら、四度目の日本開催の可能性を探り、タイミングを逸することなく関係機関への働きかけを期待するところです。
直近の成績を見ても、日本選手が獲得した十二個のメダルのうち八個を本県選手が占め、ここ近年、韓国勢優位の中にあっても、愛知県の技能水準の高さは決して揺らぐものではありません。もはや、その意義は改めて申し上げるまでもありませんが、国際大会の本県誘致について、知事のお考えをお聞かせください。
四番目は、働き方という大きな観点から二点お尋ねしたいと思います。
国内経済では緩やかな回復基調が続いていると言われておりますが、多くの勤労者がそれを実感するまでに至っていないというのは、厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査で、いわゆる実質賃金が、昨年七月以降、十三カ月連続で前年比マイナスとなっていることからも明らかです。何よりも、国の成長戦略で光を当てるべき個人消費の底上げのためのこの大宗が、今、逆に国の法によってより働きづらい、働きたくても働けない状況にさらされようとしています。
こうした切実な声を聞き漏らすまいと、愛知県でも労働相談窓口を設け、雇用形態を問わず、正規、派遣、パート、アルバイト、全ての働く方々からあらゆる相談を受け付けておられます。
ここ最近の相談件数を見ると、平成二十三年度二千八百六十四件、二十四年度三千百件、二十五年度三千三百四十八件と明らかな増加傾向にあり、労使別の割合は、二十五年度でほぼ三千百対二百、ほとんどが働く側からの相談であったそうです。
そして、相談内容の内訳はというと、多い順に、一、残業代未払い等の賃金に関するもの、二、実際の労働条件が当初の内容と異なるなど、労働契約に関するもの、三、解雇、退職に関するものとなっているそうであります。
ただし、県の窓口では、解決のための権限を持ち合わせていないため、関係法令の説明や適切な情報提供、問題解決に向けたアドバイスが限界であり、より専門的な案件等は、必要に応じて最適な紛争解決機関を紹介されております。
そこで、まず最初にお聞きするのは、求人倍率等のデータや数字はここでは別として、相談窓口に寄せられるこうした生の声から県内の労働環境をどう分析し、県としてどんな取り組みが有効であると考えるのかお尋ねいたします。
二点目は、ワーク・ライフ・バランスについてであります。
本県の産業労働政策の基本的な方向性と重点施策が示されたあいち産業労働ビジョン二〇一一─二〇一五の中では、仕事と生活の調和の推進が重要プロジェクトの一つとして位置づけられ、その行動計画によれば、働き方を見直すことは、生産性の向上をもたらすだけではなく、優秀な人材の確保や定着につながるものと説かれ、五カ年の数値目標が七つの項目で立てられています。
ここでは、具体的にそのうちの二項目を紹介したいと思いますが、一つは、年次有給休暇の取得目標です。
県内の常用労働者の有給休暇取得日数、平成二十二年度は年間十・一日、これを五カ年で十一日に引き上げようとする目標ですが、実態は、二十三年度八・〇日、二十四年度八・四日、二十五年度八・二日と推移し、むしろ、景気がよくなればなるほど休暇がとりづらくなるようでもあり、痛しかゆしの相関関係が浮かんできます。
そして、もう一つは、ファミリー・フレンドリー企業の登録数です。
平成二十二年度の七百二十一社を年間二百社ずつふやし、二十七年度末には千七百二十一社の登録を目指す目標であります。これについても、県の発注工事における入札参加資格審査の優遇策により、建設業種ではある程度の広がりを見せるものの、二十六年八月段階で千百五社にとどまり、目標は実現困難な現状となっております。
結局のところは、日本の企業風土や日本人の美徳観とワーク・ライフ・バランスの精神とを融合させ、働き方の意識改革をすることこそが求められるのだと思います。
そこでお尋ねするのは、官民一体となって取り組むべきワーク・ライフ・バランスの進め方について、本県の役割と実効性ある民間企業等への働きかけをどのように考えておられるのかお示しください。
五番目は、県立病院事業についてお伺いいたします。
まず、愛知県がんセンターについてお聞きいたします。
愛知県がんセンターは、昭和三十九年十二月に、地方公共団体としては我が国で初めて病院と研究所をあわせ持つがん医療の専門施設として設置され、本年度で五十周年を迎えることとなります。既に今月からさまざまな記念行事が展開され、来月四日の記念式典では、厚生労働省を初め大勢の関係者が集い、我が国のがん医療を文字どおりリードしてきた足跡が再確認され、今後のさらなる飛躍が誓われる場となることを心から期待したいと思います。
既に十年前の報道にあったように、愛知県がんセンターががん治療実力全国ナンバーワンの地位まで上り詰めたという記事にしても、その背景には、併設されたがんセンター研究所の研究成果の積み重ねが大いに後押しをしてきたことでしょうし、常に現場での臨床に有用な研究を心がけてこられたあかしであります。
実際に、例えば、研究員一人当たりの論文発表数で見たとき、国立がん研究センターと比較してもその差は圧倒して上回り、また、文部科学省の科学研究費についても、毎年コンスタントに四十件程度の新規研究課題を応募しており、毎回四〇%以上の採択率を誇る研究機関は全国屈指であります。
一方で、有能な若手研究員の補充や最新機器の整備等、対応すべき重要課題は幾つも横たわり、特に近年では、お隣の静岡県立静岡がんセンターが昨年四月に、高機能、高度な能力を備える特定機能病院として厚労省の承認を受けるなど、台頭は著しいとのことであります。
五十周年を迎えられたがんセンターには、今後とも病院と研究所が一体となって、互いが互いを高めていく関係をさらに深められ、県内の皆さんはもとより広く全国から高い評価を受け続けられることを強く願うものであります。この契機とすべき年、愛知県がんセンター、特に研究所の現状課題をどう整理し、今後のあるべき姿をどう描くのか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、県立病院のあり方についてお伺いいたします。
県立病院の使命は、民間病院では採算のとれない結核や僻地への医療支援などの政策医療を担うこと、先端的ながん医療などの専門的な医療サービスを提供することであります。
現在、我が国の医療は大きな転換期を迎えようとしております。過去における七対一看護基準の導入により急性期病床の拡充は想定以上に広がり、医療費の高騰の原因とも言われております。その解消のため、平成二十六年度の医療法の改正では、地域包括ケア病床等の制度を設け、病床機能を再編するとともに、在宅での医療や介護を充実させる地域包括ケアシステムの整備に向けて、全国的な取り組みが進んでいるところであります。
こうした状況にあって、本県の県立病院においてもその動向を的確に捉え、県民の健康を守るために、民間病院では手の出しづらい分野について、多少不採算となることは覚悟の上で取り組むべきことはあるかと思います。
そこで、こうした役割を担うために県立病院職員の定数管理をどのように考えるかであります。これまでは、第五次行革大綱において、病院職員を含め県職員定数に関し、目標値を定めて削減を行ってきました。しかし、県立病院が政策医療や専門医療を担い、また、日々進歩している医療技術に応じて改定される診療報酬にも的確に対応し、県民に必要な医療を提供していくためには、臨機応変に病院職員の体制を変えていかなければなりません。
そのための一つの方策として、全国的に見ると、都道府県立病院を地方独立行政法人へ変更する動きがあり、本年四月一日現在で、神奈川県や静岡県を初めとして十九の法人が設立をされており、実際、独法化後の大幅な職員の増員が診療機能を強化させ、結果、経営改善に成功した多くの例が見受けられます。
本県でも、第二次県立病院経営中期計画や次期行革大綱策定に向けての中間取りまとめでも、病院事業の望ましい経営形態を検討する旨が述べられておりますが、一方で、独法化については、現在の病院職員の身分切りかえなどの課題もあることから、慎重な検討が必要であることも認識をしております。
そうした中で、当面の課題である小児センターにおける小児三次救急の実施や、城山病院における精神科救急医療などのための体制整備に向けては、大幅な職員の増員は避けては通ることができません。
次期行革大綱を進めていく中で、こうした病院職員の定数についてどのように考えておられるのかお伺いをいたします。
質問の六番目は、マイナンバー制度についてお伺いいたします。
昨年五月、国民一人一人に固有の識別番号を割り当てて、社会保障や税の分野で利用できるようにする、いわゆるマイナンバー法が可決されました。社会保障と税の一体改革のための情報基盤を構築し、国と地方自治体の情報システムを大規模に連携させるということになります。
この制度の導入により期待されるのは、まず、住民側にとっては、各種手当の申請の際、必要書類を取り寄せる面倒な手間が大幅に省略できるという点です。
例えば、現在、年金事務所やハローワークに提出する書類として、勤め先から源泉徴収票を、税務署や市町村から納税証明書を発行してもらう必要がありますが、行政機関の連携によりこうした書類は原則不要となり、免許証などの身分証明書の提示のみ、ワンストップで事が足りるということになります。
同時に、行政側にとって大きなメリットは、昨今、市役所を悩ます生活保護の不正受給対策が挙げられます。年金などの社会保障の給付状況や、他市町村が把握する固定資産の状況などをオンラインで照会できるようになることから、かなりの期待が寄せられることとなるそうです。
そして、この新たな制度の導入で行政に求められるのは、プッシュ型サービスの提供です。すなわち、行政は単なる制度対応で終わるのではなく、市民サービスを、待ち、消極の姿勢から、プッシュ、積極の姿勢に変えられるのかどうかが重要であると指摘されています。それは何よりも県民の皆さんが利用可能な手当の諸制度について、常にあらかじめ県から電子的に情報を提供する姿勢であります。
そこでお尋ねいたします。
マイナンバー制度の導入が県民生活にもたらす影響と、愛知県が県としてとり得るプッシュ型サービスの提供について、知事の見解をお示しください。
次に、現在の準備状況についてお伺いいたします。
もう来年十月には、いよいよ皆さんのお手元にも、個人番号及び法人番号の通知が始まり、平成二十八年一月には、社会保障、税、災害対策の行政手続で個人番号の利用が可能となり、二十九年七月からは、地方公共団体を含めた個人情報の連携がスタートする運びとなります。
しかしながら、綿密なスケジュール管理の一方で、先行きが怪しいのが予算措置の状況です。当然、制度導入に当たり、県庁内の各システムには新たな構築や改修が必要となってまいります。
愛知県では、国が示したスケジュールに対応するために、今年度当初予算では、情報連携基盤の整備費として約六千七百万円が計上され、財源内訳は全額国庫の補助となっておりました。
しかしながら、急遽、国の負担額が当初予定の二〇%程度の提示となり、県としては、予定したシステム改修などの財源が不足し、事業の実施に支障が生じている状況となっております。国の見積もりでは、システム全体の構築費として、初期投資だけでも全国で二千七百億円、年間運用費三百億円程度と言われ、やみくもに多額の負担のしわ寄せを地方が受けることになってはかないません。
マイナンバー制度の導入、運用に向けて、県としてどのように対応されるお考えか、知事の見解を求めます。
最後に、危険ドラッグ対策についてお伺いいたします。
昨今の新たな社会問題の一つに、危険ドラッグの蔓延による事件や事故の急増が挙げられ、愛知県では、一昨年二月に名古屋市内のマンションで危険ドラッグを吸引した二十四才の男性が死亡したケースを皮切りに、ことし六月までの統計で、危険ドラッグの使用後に救急搬送された案件が三百七件に上り、若い男性を中心に乱用されている傾向が明らかとなりました。
使用後に本人が命を落とす危険性があるばかりではなく、最も許すことができないのは、使用者による常軌を逸した行動が二次的に何のかかわりもない第三者の生命にまで危害を及ぼすというケースであります。
今月一日、警視庁の発表では、危険ドラッグを所持し使用した疑いのあるドライバーには、事故の発生や交通違反の有無を問わず、最長六カ月の運転免許停止処分を行うこととされました。愛知県警察としても、全国に先駆けて、危険ドラッグ使用運転者には現行犯逮捕を視野に入れた捜査方針を打ち出し、免許の行政処分についても警視庁と同様の方針で取り組むこととされ、こうした姿勢は率直に評価したいと考えます。
ただし、報道によれば、免停処分の要件として、一、常習性、二、危険性の認識、三、ドラッグに運転の影響が伴う成分の含有、四、ドラッグを使用しての運転のおそれ、これら全てに該当する場合にのみの適用となり、立証のハードルは決して低くはありません。
それでもなお警察本部長には、危険ドラッグ使用者による二次的事件・事故の未然防止、この場合は特に道路交通法の観点からとなりますが、厳格な姿勢をお示し願いたいと思います。
また、もう一つの対策は、今議会で提案された薬物の濫用の防止に関する条例の一部改正です。そのポイントは、従来まで一部の行政職職員にのみ付与されていた危険ドラッグ販売店への立入検査権限を警察職員まで拡大し、監視及び指導の強化に努めることができるようになることと説明されています。
平成二十四年度以降、愛知県警では、医薬安全課との合同で、今日まで延べ約八十店舗の危険ドラッグ販売店に立入調査を実施し、本年七月十五日には、本部長をトップとする愛知県警察危険ドラッグ総合対策本部を設置し、総力を挙げての対応に取り組んでおられます。
対策本部設置後間もない一週間後の七月二十二日には、東海北陸厚生局麻薬取締部、麻取との合同捜査により、指定薬物販売の疑いで名古屋市西区の雑貨店経営者を逮捕し、早速にも徹底した取り締まりぶりを示されました。
また、先月八月二十七日には、やはり麻取や医薬安全課と合同で、危険ドラッグを扱う県内の店舗に対し立入検査を行い、麻取により、そのうち三店舗に対して初の検査命令と販売停止命令が出されました。
しかしながら、ドラッグを売る側にも法の網の目をかいくぐる余地は依然として残され、そもそも取り締まる側は、麻取、医薬安全課、警察の三者がそろって初めて機能するというような現状であります。
我々としても、十一月一日予定の今回の条例改正は大いに期待を込めて、その後の警察の皆さんの取り組みを後押ししたいと思いますし、あわせて、より幅広い情報収集の体制整備と定期的なローラー作戦等、ぜひこれらを要望させていただきたいと思います。
かつて、栄のテレビ塔下から覚醒剤密売にかかわる不良外国人集団を見事に一掃された愛知県警の本気ぶりを再びお示しいただくことを強く願いながら、危険ドラッグ対策の取り組みについて、県警本部長のお考えをお聞きいたします。
以上で質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
11:
◯知事(
大村秀章君) 民主党県議団の
西川厚志議員の御質問にお答えをいたします。
初めに、土砂災害対策についてのお尋ねであります。
区域指定の対象となる土砂災害危険箇所につきましては、地形図をもとに約一万八千カ所を特定してまいりました。そのうち、人家等に被害が及ぶおそれのある約一万一千カ所につきまして、おおむねの区域が判別できる土砂災害危険箇所マップを作成し、市町村を通じまして住民の皆様に周知を図ってきたところであります。
さらに、人家等のない約七千カ所を加えた全箇所を本県のホームページで県民の皆様が確認できるようにいたしております。
今回、広島市での甚大な土砂災害を受けまして、改めて市町村に対し、広報紙や回覧等により危険箇所を周知していただくよう緊急要請をしたところでございます。
御質問のありました土砂災害警戒区域につきましては、避難時に手助けが必要な方の利用する施設がある箇所や人家戸数が多い箇所など、より緊急度の高い危険箇所から順次現地測量など詳細な調査を実施した上で指定を行ってきております。
指定に当たりましては、私権の制限を伴う部分もありますので、住民の皆様に丁寧に説明をし、理解を得られるよう努めてまいりました。
これまで緊急度の高い箇所を優先してまいりましたので、現時点では指定率の低い市町村もございますが、今後も関係市町村と協議、相談をしながら、着実に指定を進めてまいりたいと考えております。
次に、今後の取り組みについてであります。
土砂災害による被害を最小限にとどめ、住民の皆様の生命、財産、さらには社会経済活動を守るためには、まずは土石流をとめる砂防堰堤の整備などのハード対策を引き続き着実に進めていかなくてはならないと考えております。
加えて、住民の皆様の避難行動を支援するソフト対策も大変重要であります。
その柱の一つが市町村の警戒避難体制の整備を促す土砂災害警戒区域の指定でありまして、今年度は、その指定のため、調査費を前年度の約一・八倍となる四億八千万円としたところでありまして、今後も一層推進を図ってまいります。
指定に当たりましては、住民の皆様に御理解をいただくことが重要でありますので、一斉に住民の方々にお越しをいただく従来からの説明会方式に加えまして、今年度から、随時来場することができ、自由に情報を得られ、個別に説明を受けられる、いわゆるオープンハウス方式を新たに取り入れているところであります。
これからも、住民の皆様への周知や説明の方法を工夫しながら、着実に指定を進めてまいりたいと考えております。
今後とも、安全で安心な県民の暮らしを守るため、土砂災害による犠牲者を出さないを目標に、ハードとソフトの両面から総合的な土砂災害対策にしっかりと取り組んでまいります。
次に、減税についてのお尋ねであります。
減税は、大胆な規制緩和とあわせて実施することにより、経済と産業を活性化させるための重要な政策の
ツールでありまして、これまで議会の皆様方と真摯な議論、協議を重ねつつ、着実にその取り組みを進めてまいりました。
西川議員からも評価をいただいたところでありますが、まず、法人県民税減税につきましては、平成二十四年度に産業空洞化対策減税基金を創設し、毎年度五十億円を基金に積み立て、日本一の企業立地補助制度として運用をしてまいりました。
現在までに、企業立地・再投資分野で百六件の補助対象案件を採択し、総投資額二千二百六十二億円余、二万四千人余りの雇用維持・創出効果が見込まれ、研究開発、実証実験につきましても、継続案件を含め、合計百九十六件を採択いたしております。
次に、平成二十四年一月以降に新車登録をされましたEV、PHVの自動車税及び平成二十五年度からは、航空宇宙産業に係る不動産取得税につきまして免税措置を講じさせていただきました。
さらに、本県の基幹産業であります自動車産業の空洞化懸念を払拭し、本県経済の活性化、雇用を確保するため、平成二十三年度以来強力に取り組みを進めてまいりました車体課税の見直しにつきましては、平成二十四年度税制改正におきまして、エコカー減税の継続拡充、自動車重量税について負担軽減が行われることとなったほか、エコカー補助金が創設をされることとなりました。
また、平成二十五年度与党税制改正大綱に消費税率一〇%の時点での自動車取得税の廃止、自動車重量税に係るエコカー減税制度の恒久化等の方針が明記をされ、平成二十六年度税制改正において、自動車取得税の税率が引き下げられるとともに、エコカー減税の拡充など、成果を上げることができたところでございます。
また、個人県民税減税につきましては、民主党県議団を初め県議会各会派からのさまざまな御意見、御提言等を踏まえ、子育て支援減税手当と障害者福祉減税基金を創設することといたしました。
子育て支援減税手当は、平成二十六年四月からの消費税率の引き上げが子育て世帯の負担を重くし、次代を担う児童の健全育成に悪影響を及ぼすことがないよう、特に子育て世帯を支援するために創設をし、平成二十六年度に約百万人の児童を対象に約百億円を給付することといたしました。
給付に当たりましては、県民の皆様の御負担を軽減するため、身近な市町村に実施主体となっていただきまして、現在、市町村の皆様の御尽力を得ながらその手続を進めており、既に多くの市町村において給付が開始をされております。
また、障害者福祉減税基金は、介護者の高齢化が進む中、身近な地域で医療や療育などの支援が受けられる体制づくりが喫緊の課題となっておりますことから、民間による重症心身障害児者の施設整備を短期集中的に進めるため、平成二十六年度に三十億円を原資に創設をしたところであります。
既にこの基金を活用いたしまして、一宮市及び豊川市におきまして、社会福祉法人により重症心身障害児者施設が建設される計画となっているところでございます。
以上のように、県民税減税の施策につきましては、民主党県議団初め議会の皆様と真摯な議論を積み重ねる中で、形は少し変わりましたが、県民生活と社会福祉の向上を第一義とした施策として実現することができたものと考えております。
続きまして、中京都構想についてお答えをいたします。
愛知と名古屋の連携に関しましては、私が就任して以降、これまで以上に密接な関係を築いてきたところでありまして、県、市共同による観光プロモーションや企業立地セミナーの実施、本庁舎の開放、あるいは県、市が共同提案をし、採択を受けました国土強靱化モデル調査の実施など、新たな取り組みをスタートさせながら、着実な成果も上げてきたところでございます。
中京都構想は、アジアはもとより、世界的なレベルで都市間競争が激しく繰り広げられる中、大都市こそが成長のエンジンとなって我が国を引っ張っていく必要があるとの考えから、日本屈指の産業集積地である愛知と、大都市機能を有する名古屋市がベクトルを合わせて機能強化を図り、自立した大都市圏としての発展を目指すものであります。
その具体化に向けまして、中京独立戦略本部におきまして、政策面、行政体制面の両面にわたりまして四つの分科会も設置をしながら、五回にわたる本部会議で幅広い議論をいたしてまいりました。
この間の第二回本部会議におきましては、県、市合意のもと、中京都創設の基本的考え方や実現に向けた取り組みイメージをお示しいたしております。そして、ことし三月の第五回本部会議で、当地域の目指すべき姿、取り組むべき政策、行政体制に関する基本的な考え方とともに、今後の進め方を取りまとめたところでございます。
また、本年三月に策定をいたしました愛知ビジョン二〇二〇では、本県を中心とする広域エリアで国内外から人、物、金、情報を呼び込み、世界の中で存在感を発揮できる中京大都市圏という姿をお示しし、その中に中京都構想も位置づけております。
今後につきましては、これまでの議論、経過を踏まえながら取り組んでまいりますが、私ども愛知県だけで進めていけるものではありませんので、名古屋市と連携、協調しながら、できることから着実に一つ一つ進めていきたいと考えております。
次に、技能五輪全国大会・全国アビリンピックについてのお尋ねであります。
技能五輪全国大会の開催は、四十一の職種につきまして全国トップレベルの技能を競うものであり、今回は特に地元での開催ということで、例年にも増して本県の選手や関係者の意気込みも大きく、より高いレベルを目指した取り組みが本県の技能の継承、振興につながるものと考えております。
また、小中高校生の団体見学、工業高校生による競技解説ガイドの実施などにより、本県の次代を担う若年層に技能のすばらしさや物づくりへの関心を伝えることができるものと考えております。
そして、本年八月には、産業人材の育成確保を促進する方策を検討するため、森岡副知事をリーダーとするプロジェクトチームを設置しておりまして、技能五輪全国大会の成果も踏まえて、本県の技能振興や次代を担う人材の育成などの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、全国アビリンピックの開催は、障害のある方々に職業能力の向上への意欲を高めていただくとともに、企業や県民の皆様に障害者に対する理解と認識を深めていただくために大変有効であると考えております。
今後も、障害者を対象とした職業訓練など、職業能力の向上に向けた取り組みを行うとともに、障害者雇用促進トップセミナーを初め、企業等の理解を深めていただくための取り組みを進め、障害者の技能向上と雇用促進につなげてまいります。
続いて、国際大会についてであります。
技能五輪国際大会は、ワールドスキルズインターナショナルという国際機関が実施するものでありまして、それぞれの国を代表して、世界の青年技能者がその技能を競う大会でありまして、二年に一回開催をされ、我が国では、一九七〇年の東京、一九八五年の大阪、そして、二〇〇七年の静岡と過去三回開催されております。また、直近の二〇一三年のドイツ大会では、五十二カ国・地域から約千名の選手が参加をいたしております。
国際大会の開催は、物づくり技能者に対する社会的評価・関心を飛躍的に高めることができるとともに、国際交流にも大きな効果が期待できるものと考えます。
一方で、国際大会は、国初め関係団体の調整や全国的な機運の醸成など、多岐にわたる準備が必要であります。また、国際大会の場合、議員も御指摘のように、会場集約型で実施をされておりますことから、最近では十万平米以上という大規模な競技会場が求められておりまして、こうした会場設営や実施経費の負担の問題、国際的な受け入れ体制の整備や運営体制といったさまざまな課題や、クリアしなければならない多くの論点があるところでございます。
いずれにいたしましても、今回、西川議員から代表質問をいただき、また、その前、ことしの二月には、西久保県議からの質問もいただいておりまして、議員からは、こうした将来を見据えた夢のある御提案をいただいたということでしっかりと受けとめさせていただきますとともに、こうした趣旨を踏まえまして、まずは当面のテーマといたしまして、二カ月後に迫りました技能五輪・アビリンピックあいち大会二〇一四の大成功に向けまして、全力を注いでまいりたいと考えております。
次に、県内の労働環境と取り組みについてのお尋ねであります。
本県労働相談は、産業労働センター十七階の労働総合支援フロアを初め県内八カ所で実施をいたしておりますが、その窓口では、長時間労働や残業代不払いなど労働条件に関する相談が七割近くを占めております。
また、この夏の県内企業一時金妥結状況によりますと、大企業が一五%を超える大幅な伸びとなった一方で、中小企業では六%程度と大きな差が見られるところでございます。
こうしたことから、労働者をめぐる環境はまだまだ厳しいものがあり、今後は、景気回復に伴う企業収益、賃金上昇、労働環境の改善といった流れが中小企業の労働者にも波及していくことが必要であると認識をいたしております。
そのためには、産業空洞化対策減税基金の活用などを初めとした産業振興策により本県産業の競争力を確保するとともに、きめ細かな中小企業支援を行うことで、地域経済の活性化と労働環境改善の好循環を促進することが重要であると考えております。
また、一方で、企業経営者や労働者等に対しての労働に係る法制度の周知啓発や、身近な相談窓口の整備など、働きやすい職場づくりに向けまして、一人一人に寄り添った施策も必要と考えております。
今後とも、各種産業振興策とともに、県内各地での労働相談、企業経営者、労働者向けの労働講座、大学生など若者向け労働法制リーフレットの作成、配布等、国や労使関係団体との密接な連携を図りつつ、きめ細かな取り組みにより労働環境の改善を図ってまいります。
続いて、ワーク・ライフ・バランスについてお答えをいたします。
愛知県では、労働団体、経済団体、行政等で構成をするあいちワーク・ライフ・バランス推進協議会におきまして、あいち仕事と生活の調和行動計画を策定し、県内一斉ノー残業デー等に官民一体となって取り組んでまいりました。
少子・高齢化が進む中、愛知県が今後も持続的に発展をしていくためには、多様な人材が最大限に能力を発揮し、活躍できる社会の実現が不可欠でありますので、引き続き行動計画の目標達成に努め、ワーク・ライフ・バランスをより一層推進していく必要がございます。
県といたしましては、協議会の設置者として、女性の活躍促進やイクメンの普及など、社会的な機運を醸成するための官民の取り組みを先導して進める一方、育児休業給付金のさらなる充実や、介護休業給付金の給付率の引き上げ等、企業や労働者を支える制度の改善を国に働きかけるなど、労使団体等の連携、協働のかなめとしての役割を今後も果たしてまいりたいと考えております。
そして、民間企業などには、ワーク・ライフ・バランスの推進は、企業のイメージアップや従業員の士気向上、健康保持・増進に効果があり、ひいては優秀な人材の確保・定着、生産性・競争力の向上につながる重要な経営戦略であることをしっかりとお伝えしながら、ワーク・ライフ・バランスへの積極的な取り組みを働きかけていく所存でございます。
次に、愛知県がんセンターと研究所についてであります。
愛知県がんセンターは、昭和三十七年に設立をされました国立がん研究センターの二年後に、都道府県立として全国で初めての研究所を併設した本格的ながん治療施設として設立をされ、日本のみならず、世界のがん医療、がん研究を牽引してきたところでございます。
今年度は、昭和三十九年設立来五十周年を記念しておりまして、さまざまな行事を予定しておりますが、この大きな節目を契機といたしまして、高度で専門的な先進医療を担うため、機能のさらなる充実強化を目指していきたいと考えております。
特に、愛知県がんセンターは、がん研究に特化した研究所を併設している強みを生かしまして、がんの予防、早期発見、新たな治療方法を開発するため、引き続きゲノム等の先端研究などを進めるとともに、病院と研究所が一体となった橋渡し研究を充実し、新しい医療を開拓していく必要があると考えております。
中でも、患者さん個人に合わせた最適な治療方法を開発する個別化医療を推進するため、患者さんから同意を得られた血液や細胞などの生体試料を集積、保管するシステムであるバイオバンクの構築などにも取り組んでいるところでございます。
愛知県がんセンター開設五十周年を契機とし、これまで培ってまいりました実績や強みを振り返りながら、これからの時代を見据え、日本をリードし、世界に向けてがん医療を発信するといった考え方を基本といたしまして、さらなる成長、発展を目指してまいりたいと考えております。
続きまして、病院職員の定数についてのお尋ねでございます。
知事部局等の職員定数につきましては、これまで長年、行革大綱に基づき削減に取り組んだ結果、平成十年度に比べまして四分の三以下のスリム化した職員体制とする目標を達成したところでございます。
このうち、病院部門につきましては、小児センターを開設する一方、循環器呼吸器病センターの廃止などに取り組んだ結果、平成十年度と比べて同規模の人員となっておりまして、全体の職員定数を削減する中、公立病院経営の特性を踏まえまして、必要数を措置してきたところでございます。
次期行革大綱における職員定数の取り扱いにつきましては、先日公表いたしました中間取りまとめにおきましては、引き続き事務事業の見直しに取り組みながら、重要施策の推進に必要な人員を確保し、適正な職員配置に努めていくことをお示ししたところでございます。
現在、最終取りまとめに向けまして検討しているところでございますが、病院職員の定数につきましては、事業収支への影響を踏まえながら、医療体制の充実に必要な人員を措置していく予定でございます。
議員お示しの小児センターの三次救急の実施や、城山病院の医療観察法患者の受け入れ体制の整備などに伴う事業拡大につきましては、今後、二百人を超える医療スタッフの増員が見込まれるわけでございますが、病院経営の観点にも十分留意しながら、医療提供体制に即した適切な職員配置に努めてまいりたいと考えております。
そして、私からの最後の答弁になりますけれども、マイナンバー制度についてのお尋ねでございます。
県民生活への影響につきましては、手続の簡素化による負担軽減が図られますとともに、災害時には、被災者台帳の作成や被災者生活再建支援金の支給にも利用でき、例えば、南海トラフ巨大地震が起きた際には、被災者支援対策にも有効な制度であるということができるわけであります。
また、国は、平成二十九年一月を目途に、情報連携の一環として、情報提供等記録開示システム、いわゆるマイ・ポータルを設置し、インターネットを利用して、行政機関などが持っている自分の情報や、いつ、誰が、なぜ情報提供したのかを確認する機能のほか、プッシュ型サービスとして、一人一人に合ったお知らせを表示する機能を持たせることといたしております。
これは、県民の皆様に対しまして、利用可能な手当や諸制度を県から積極的にお知らせをするといったきめ細やかな行政サービスの提供に資するものと考えております。
プッシュ型サービスの提供につきましては、これからの行政のあり方として重要な視点を含んでおりますので、国や市町村とも連携をとりながら、愛知県といたしましても適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、マイナンバー制度の導入、運用に向けた県の対応についてであります。
国は、全国一斉の導入を目指して取り組みを進めているところでございまして、県といたしましても、個人情報保護に配慮をしながら、必要なシステムの整備を進めるとともに、市町村におきましても同様の対応が求められておりますので、的確な情報提供に努めてまいります。
システム整備に当たりましては、マイナンバー制度が国家的な社会基盤であることを踏まえ、原則として国が費用を負担し、地方に新たな負担が生じることのないよう、全国知事会を通じた働きかけや、本県独自の要請を国に対して行ってきたところでございまして、引き続きその財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
また、マイナンバーは、地方公共団体が、法律で定められた事務以外にも、条例に基づいて利用範囲を拡大することが可能とされておりますので、その是非につきまして検討をしてまいります。
県といたしましては、マイナンバー制度が真に県民の皆様の利便性向上につながる制度となるよう、住民サービスの身近な窓口である市町村の皆様とも連携をいたしまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上、御答弁を申し上げました。
12:
◯警察本部長(
木岡保雅君) 初めに、危険ドラッグ使用者による二次的事件・事故の未然防止についてお答えをいたします。
危険ドラッグを使用して、その影響により交通事故を起こしたなどとして捜査をしている件数は、本年八月末現在で三十六件となっており、前年対比で三倍以上に増加しております。
そこで、危険ドラッグ使用運転者による交通事故被害を防止するため、交通関係法令を積極的に適用し、危険ドラッグ使用者の検挙等を実施しております。
具体的には、危険ドラッグを使用し、正常な運転ができないおそれがある状態で車を運転した者に対しましては、現行犯逮捕を視野に入れた捜査を実施することとしております。
これは、全国に先駆け、愛知県警察でその方針を示したものであり、警視庁などでも同様の措置が講じられることになったと承知しておりますが、こうした力強い捜査方針を鮮明に打ち出すことは、危険ドラッグ使用運転の未然防止に大きく寄与するものであると考えております。
また、運転免許を保有している者が危険ドラッグを所持または使用している場合、一定の要件を満たせば、具体的な運転行為がなくても運転免許の停止処分を実施することとしており、既にその方針を全警察署に示達しております。これらによって、危険ドラッグ使用者の運転行為を今まで以上に防止できるものと考えております。
今後とも、危険ドラッグ使用者による交通事故の未然防止に向け、組織総合力を発揮させた対策を講じてまいります。
次に、危険ドラッグの蔓延防止、被害防止についてお答えをいたします。
危険ドラッグにつきましては、県内においても、危険ドラッグの影響による死亡事案や殺人未遂事件などが発生し、また、先ほど御説明いたしました交通事故も多発しておりましたことから、これに対処するため、七月十五日に私を長とする愛知県警察危険ドラッグ総合対策本部を設置し、県警の総力を挙げて危険ドラッグの供給の遮断と需要の根絶に向けた取り組みを進めているところであります。
対策本部設置後は、供給源である販売業者への対策を重視し、県や厚生労働省東海北陸厚生局麻薬取締部と合同で立ち入りを行い、当時営業していた販売店に対し、危険ドラッグの販売を中止するよう指導を行いました。
また、薬事法、薬物濫用の防止に関する条例などにより、販売店経営者ら七人を検挙しております。
このような関係機関との連携した取り組みにより、八月初めに把握しておりました十八店舗につきましては、営業中の店舗を一店舗にまで減少させております。さらに、現在、インターネットやデリバリーといった潜在的な事件に対しましても取り締まりを行っているところであります。
今議会におきまして、警察官が販売業者に立ち入りができるよう条例の改正をお願いしているところでありますが、引き続き関係機関と緊密な連携のもと、各種法令を活用し、危険ドラッグの根絶を目指した対策を積極的に進めていく所存であります。
以上でございます。
13:
◯議長(
三浦孝司君) 進行いたします。
野中泰志議員。
〔二十九番
野中泰志君登壇〕(拍手)
14: ◯二十九番(
野中泰志君) 質問に先立ちまして、まず、このたびの全国各地域において発生した集中豪雨や台風等による災害に際し、犠牲になられた方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災したことにより不自由な生活をされている方々に心よりお見舞いを申し上げます。
また、今でも被災された各地域において復旧作業に当たられている多くの方々に心からの敬意を表しますとともに、それぞれの地域の一日も早い復旧・復興を切に願うものであります。
それでは、私は、減税日本一愛知を代表して、県政の諸問題について、順次質問いたします。
大村知事におかれましては、平成二十三年二月十五日に知事に就任されて以来、東日本大震災の発生や歴史的な円高、中国等をめぐる対外環境の変化など、県民生活や本県経済に大きな影響を及ぼすさまざまな難題が降りかかる中、愛知が元気を出して日本を支えていかなければならないという信念のもと、企業立地や研究開発の支援、県独自のエコカー免税の創設等、産業・経済対策を初めとした日本一元気な愛知の実現を目指した各種の施策実現のために、県職員の先頭に立って強力なリーダーシップを発揮され、実績を積んでこられました。我々も微力ながら知事を支え、それら施策の実現に向けて努力してまいったところであります。
そこで、質問の第一として、知事がこれまで取り組んでこられた日本一元気な愛知の実現に向けた取り組みの評価と今後の課題についてお伺いいたします。
初めに、減税基金についてお伺いいたします。
まず、産業空洞化対策減税基金についてであります。
知事は着任後、東日本大震災や記録的な円高による空洞化懸念に対応するため、法人県民税減税に代替する措置として、毎年度、法人県民税の一〇%に相当する五十億円を基金に積み立てることとされました。この基金では、企業立地の支援について、愛知県の産業の実態を踏まえ、戦略的分野での大規模な新規投資のみならず、市町村と連携し、県内立地企業の再投資も対象とする枠組みをつくられました。
また、立地支援のみならず、付加価値の高い物づくりを実現するため、企業規模の大小にかかわらず、研究開発、実証実験に積極的に取り組む県内企業を支援する仕組みも設けられました。
これらの補助制度の創設は、喫緊の課題である産業空洞化への対応として、知事の英断により適時に的確に制度を立ち上げられたことで、今日まで大いに成果を上げてきたものと考えております。
さて、これまでに政府の行ってきたアベノミクスの効果により記録的な円高は是正されてきておりますが、急速に進展する少子・高齢化の影響などから、国内市場が伸び悩む中、企業の海外への事業展開は依然としてとどまることなく、産業空洞化への懸念は続いております。
私といたしましては、製造品出荷額等が昭和五十二年以来三十六年連続日本一という産業県愛知が引き続き日本経済を牽引していくためには、産業空洞化に対する措置の一層の充実を図る必要があると考えております。
そのためには、企業立地を促進し、より一層の産業集積を図り、本県経済の活力を高めていくこととともに、付加価値の高い物づくりに取り組んでおられる企業の皆様の成長分野における研究開発、実証実験に対し支援していくことが大変重要なことであると考えております。この減税基金に基づく補助制度は、大変多くの県内企業や市町村の皆様から非常に高い評価をいただいていると伺っております。
こうした評価の高い制度の継続のみならず、さらなる拡大をぜひお願いするとともに、知事におかれましては、着任以来、本県の産業振興に全力で取り組んでこられました実績をもとに、今後もみずから先頭に立って、日本一元気な愛知の実現を目指し頑張っていただきたいと考えております。
そこでお尋ねをいたします。
平成二十四年度に産業空洞化対策減税基金に基づく補助制度を創設され、三年目となったところでありますが、これまでの具体的な成果と今後の取り組み方針について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、障害者福祉減税基金についてであります。
知事は、民間法人による重症心身障害児者施設の整備を促進していくため、障害者福祉減税基金を設置されました。この基金を活用して、尾張地域の一宮市内において百二十床の、また、東三河地域の豊川市内において六十四床の施設整備に対して支援を行うこととされております。
その他の整備計画も含め、本県の重症心身障害児者施設の整備率は、平成二十六年四月現在、人口一万人当たりの病床数が〇・五二と全国最下位であったものが、平成二十七年度には最下位を返上できる見通しと聞いており、大いに評価しております。
特に、私の地元の豊川市内に整備される施設においては、入所支援のみならず、ショートステイや日中預かりといった在宅支援も積極的に行っていくとのことであり、重症心身障害児者が身近な地域において医療や療育を受けられる東三河地域の拠点施設として、重症心身障害児者御本人及び家族にとりまして大変心強いことであると思います。
一方、障害のある方の自立した地域生活のためには、生活の場となるグループホーム等の安心できる住まいの確保が何よりも重要でありますが、厚生労働省の調査によりますと、本県の人口十万人当たりのグループホームの利用者数は、平成二十二年度実績で月二十八・五人と全国四十六位になっており、さらなる整備が必要と考えております。
知事におかれましても、マニフェストでグループホームを四年で倍増させることを挙げられるとともに、平成二十四年三月策定の第三期愛知県障害福祉計画では、グループホームの定員数について、平成二十二年度末の二千二百六十六人から平成二十六年度末には倍増の四千五百三十二人を目指すと明記され、毎年着実に整備促進を図っておられます。
本年四月からは、既存の戸建て住宅を活用したグループホームについて、十分な防火・避難対策を講ずれば、建築基準法上の寄宿舎への用途変更の手続を要しないとする規制緩和を本県独自に実施されました。
このことにより、大規模な改修工事を行う必要がなくなるなど、活用しづらかった既存の戸建て住宅のこれまでの状況が解消し、今後、グループホームの整備が大いに進むものと期待されます。知事の御英断を高く評価するものであります。
こうした重症心身障害児者施設やグループホームの整備促進を図る施策等により、障害の有無によって分け隔てられることなく、ともに暮らせる地域社会の実現に向けて、障害のある方がより身近な地域で生活し、学び、働いていくことができる環境整備をさらに進めていく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
障害のある方が身近な地域で生活できる環境の整備について、改めてこれまでの取り組みをどう評価し、障害者福祉減税基金の活用も含めて、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、航空宇宙産業の振興についてお伺いいたします。
世界の航空機需要は、今後二十年間で現在の一・九倍、特にアジア・太平洋地域では二・六倍になると予測されていることから、航空機産業は成長産業とされております。
また、裾野が広く、機械、電気、部品、素材など広範多岐にわたる総合産業であり、高信頼性、高付加価値を実現するための技術は、自動車や鉄道などにも生かされ、他産業への技術波及効果が非常に高い産業であります。
本県を中心とする中部地域は、日本の航空機や
部品生産額の五二%、航空機体部品では七六%を占める我が国最大の航空機産業の集積地として優位性を保っております。
最近では、当地で機体構造部品の三五%を生産するボーイング787型機において、現在の月産十機から十四機に増産されることが公表されたことに加え、ボーイング777X生産への日本企業の参画も決定し、県内企業がこれに向けた設備投資を進めていると伺っております。
こうした中、県では、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区について、知事のイニシアチブのもと、当初の愛知、岐阜各務原地域から三重への区域拡大に加え、長野、静岡への拡大指定を国に働きかけ、ことし六月には区域拡大の指定を受けました。
さらには、航空宇宙関連の設備投資を促進するため、工場の新増設にかかわる土地や建物に対する不動産取得税を免除するという大胆な制度も創設し、企業の後押しを行うなど、航空宇宙産業の拠点形成の実現に向けた取り組みは着実に進捗しているものと考えます。
また、特区の中核プロジェクトとして、県営名古屋空港隣接県有地において、昨年度から民間航空機生産・整備拠点整備事業を推進しておられましたが、その結果、MRJ(三菱リージョナルジェット)の量産工場の誘致が実現したところであります。
我が国初の国産ジェット旅客機であるMRJは、現在、試験機の製造が進められており、今秋にも関係者にお披露目されるとの報道もありました。
MRJは、全日本空輸やアメリカ、ミャンマーの航空会社、さらには日本航空から合わせて四百七機の受注を受けており、来春には初飛行が予定されております。
MRJが県営名古屋空港から飛び立てば、世界の注目を浴び、さらなる受注につながり、この地域の重要性が一層増すとともに、航空機産業の普及にもつながるものと大いに期待しているところであります。
こうしたことにより、当地域は、知事が挙げるシアトル、トゥールーズと並ぶ世界三大拠点の一つとなることに向け、大きく前進したものと確信しております。
そこでお尋ねをいたします。
アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区を初めとする本県のこれまでの航空宇宙産業振興への取り組みの成果と今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、環境首都あいちづくりについてお伺いいたします。
我が国における環境問題を振り返りますと、昭和三十年代から四十年代にかけての高度経済成長期に大きな社会問題となった工場、事業所からの大気汚染や水質汚濁などの公害に対しては、ばい煙や排水の処理などの公害防止技術により克服し、また、昭和五十年代ごろから問題となった自動車交通公害に対しては、低公害エンジンや排ガス処理装置などの環境技術により大きく改善してまいりました。
平成に入り、地球温暖化や天然資源の制約などの問題が深刻化し、環境問題は地球規模の人類共通の課題となり、これらの課題解決に向けては、省資源・省エネルギー技術の進展が大いに期待されているところであります。
そして、環境配慮型の経済活動により経済発展を実現し、社会のあり方に変革をもたらしていく、経済、社会のグリーン化という考え方は世界の潮流となっております。
かつては、経済発展と環境対策の両立は困難と考えられていましたが、公害問題の克服とともに発展した環境技術は、今や産業振興の面からも大きな強みとなっており、環境と経済の調和という二律背反の課題の克服が世界的に重要となった今日、知事は、日本一元気な愛知を目指して、世界をリードする物づくり愛知を担う産業の振興に力を入れるとともに、日本一の産業県である本県は環境面でもトップランナーでなければならないとして、環境首都を目指す環境マニフェストを挙げ、環境施策にも重点を置き、精力的に取り組んでおられますことは、まさに今日の世界的課題を的確に捉えたものであり、我が愛知県が県民の皆様の高い環境意識と産業力、技術力を生かした持続可能な社会づくりに向けて大いに貢献していくという姿勢を示すものであります。
本年十一月に開催されるESDユネスコ世界会議におきましても、こうした本県の姿勢を世界に強く発信することができるものと確信しております。
そこでお尋ねをいたします。
私どもは、知事のこうした環境首都あいちに向けた取り組みを高く評価しておりますが、知事御自身は、これまでの環境への取り組みについてどのようにお考えか、また、今後の環境首都あいちづくりについてどのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、女性の活躍促進についてお伺いいたします。
皆さんの御記憶にも新しいことと思いますが、今月三日に発表された第二次安倍改造内閣では、過去最大の五人の女性が入閣しました。また、経済界においては、日本経済団体連合会がことし四月に女性活躍アクション・プランを発表し、七月には、会員企業の女性の活躍に向けた自主行動計画をホームページ上に公開するなど、全国的に女性の活躍を強く推進していこうという機運が高まってきているように感じております。
こうした中、本県では、既に知事のマニフェストにおいて、女性の一層の社会進出を促進することや、女性副知事を登用することなどが挙げられており、昨年七月には、公約どおり、本県初の女性副知事として吉本副知事の登用を実現されました。
その後、九月には、吉本副知事をリーダーとする女性の活躍促進プロジェクトチームを県庁内に立ち上げられ、女性の活躍促進プロジェクト事業を全庁挙げて強力に推進しておられます。
このように、知事がいち早く女性の活躍に着目され、その後もスピード感を持ってしっかりと推進されていることを私は大きく評価したいと考えております。
このような本県の取り組みにあわせて、地域における女性団体等の活動も一層の盛り上がりを見せ、私の地元である豊川市の女性団体も、市民を対象とした学習会や講演会を開催するなど、これまで以上に積極的な活動を展開しており、県全体での女性の活躍に向けた機運も少しずつ盛り上がってきているように感じております。
そのような中、先月二十九日に愛知県が主催したあいち女性の活躍促進会議において、女性の活躍促進行動宣言が採択されたとの新聞記事を拝見いたしました。地元経済団体や労働団体、企業の代表者等で構成される促進会議が宣言を出されたということは、県全体で女性の活躍に取り組んでいこうという力強いメッセージになったものと思います。
さらに、県は、個々の企業等における取り組みを促進させるため、県内企業等から女性の活躍に取り組んでいくことを表明する女性の活躍促進宣言の募集を始めたとのことですが、こうした宣言企業が数多くふえていけば、県内企業全体の新たな活力が生まれるものと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
女性の活躍促進について、改めてこれまでの取り組みをどう評価し、今後、働く場における女性の活躍に向け、企業等の機運醸成をより一層高めていくためにどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、東三河県庁による東三河地域振興の推進についてお伺いいたします。
東三河県庁は、知事のマニフェストに掲げられた重要政策の一つであり、私が大村知事と行動をともにする決断をした最大の動機となった政策であります。
それは、県が担当副知事を置き、ネットワーク型の推進組織を構築し、東三河のことは東三河で決めるという理念のもと、特定の地域の振興を図るという全国的にも例のない先進的な取り組みとして、私との約束どおり、知事就任後一年で実現をされました。
平成二十四年度に東三河県庁がスタートしてから二年余りが経過しましたが、その間、担当副知事を初め東三河県庁の職員の方々は、積極的に現場に足を運び、地元の皆様とともに地域の課題に積極的に取り組んでこられました。その姿勢に心から敬意を表しますとともに、今日の東三河県庁と地元関係者との信頼関係は、そうした職員各位の地道な努力の積み重ねの上に築かれてきたものであることをここで改めて強調しておきたいと思います。
東三河地域は、豊かな自然や魅力ある歴史、文化に恵まれ、全国有数の産業集積とバランスのとれた産業構造を有する極めて高いポテンシャルを持った地域と言われております。
一方で、東三河は、他の地域に先んじて高齢化が進行するとともに、既に人口減少の局面に移行しており、すぐにでも地域全体で対応を検討していかなければ、県全体の発展から取り残されてしまうおそれがあります。
そうした状況にあっても、東三河県庁が設置されるまでの東三河は、行政区域を越え、地域が一丸となって取り組みを進めていくということはありませんでした。東三河県庁の設置により、県が一歩踏み込んで東三河を守り、その発展に向けて地域とともに努力していくという確かなメッセージを受け取ることができ、大変心強く、ありがたく思っております。
私は、ちょうど二年前の平成二十四年九月定例県議会のこの代表質問において、東三河地域の発展には、市町村を初めとする地元関係者の主体的な取り組みこそが重要であり、B─1グランプリの開催は、その試金石となると申し上げました。結果として、地域を挙げてイベントを盛り上げ、全国から多数の来場者を集めたことは、もとより地元関係者の努力によるものではありますが、隠れた調整役としての東三河県庁の成果でもあると考えております。
また、東三河県庁の設置に当たり、パスポート発行事務の市町村への移譲を初め、多数の本庁機能の移管や権限移譲に加え、県と市の施設のワンフロア化など、県行政のあり方を地域の目線に立って見直されました。このことは、実務的な内容から余り話題にならず目立たないものの、地域における評価は決して低いものではありません。
さらには、東三河地域が将来にわたって持続的に発展していくため、そしてまた、人口減少社会、少子・高齢社会の中で地域課題に広域的に対処するため、現在、東三河の八市町村では、今年度中の広域連合設立を目指して協議が進められております。こうした動きが実を結ぼうとしているのも、東三河県庁という他県では例を見ない地域に特化した県庁組織の立ち上げが一つの契機になっているものと考えます。
このように、現在では、東三河県庁は地域にとって欠くべからざる存在であり、今後とも実務と実績を積み重ねていく中で、地域における
発言力をさらに高めながら、新たに設置される広域連合と車の両輪となって、東三河は一つという意識を盛り上げ、東三河の地域振興をリードしていただきたいと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
これまでの東三河県庁の取り組みについて、その成果をどのように評価し、知事の描く東三河の将来像の実現に向けてどう生かしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
あわせて、現在、東三河地域における広域連合設立に向けた動きに対する県の姿勢について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、本年三月、県は、リニア中央新幹線開業後の二〇三〇年ごろを展望し、二〇二〇年までに県が取り組むべき重点的な戦略を明らかにしたあいちビジョン二〇二〇を策定し、目指すべき愛知の姿を示されました。私は、これからも日本一元気な愛知、明るい希望が持てる活力と豊かさに満ちあふれた愛知を実現していくためには、あいちビジョン二〇二〇で示された政策の着実な推進が必要であると考えます。
そこで、質問の第二として、あいちビジョン二〇二〇の実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。
初めに、地域包括ケアシステムの構築についてお伺いいたします。
今後、急速に高齢化が進行していく中、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、生活支援、住まいを切れ目なく提供する地域包括ケアシステムを構築していくことが必要となってまいります。
本県では、平成二十四年度に、医療や介護等の団体の代表者や学識経験者などを委員とするあいちの地域包括ケアを考える懇談会を設置して検討を進め、ことしの一月には、懇談会から知事に地域包括ケアシステム構築に向けた提言が提出されました。
この提言に基づき、今年度から、市町村の取り組みを先導する地域包括ケアモデル事業が県内九カ所で実施されており、知事がこのような先進的な取り組みを全国に先駆けて積極的に進めておられることについては大いに評価をしているところであります。
今後、モデル事業の成果や課題が全ての市町村や関係者の間で共有され、県内全域に地域包括ケアの取り組みが広がっていくことを期待しておりますが、地域包括ケアを機能させる鍵は、何といいましても、在宅医療体制の整備にあると思われます。
以前は、地域のかかりつけ医が、夜中でも電話をすれば話を聞いてくれ、場合によっては往診も行ってくれました。しかし、最近では、テナントビルでの開業など、診療所と自宅が離れている開業医も多く、なかなか在宅医療にかかわる医師がいないと聞いております。
本県における在宅医療に関する現状を見てみますと、平成二十四年一月時点において、在宅の患者さんに対し、二十四時間体制で往診できる体制などを備えている在宅療養支援診療所の数は、人口十万人当たり七・九カ所となっており、全国平均の十・二カ所を下回る状況となっております。
今後の急速な高齢化を考えますと、こうした診療所の数は十分なものとは言いがたく、一層の充実を図っていかなければなりません。
こうした中、先般の通常国会において、医療・介護サービスの提供体制の改革を推進するため、医療介護総合確保推進法が成立いたしました。この法律では、医療法等の改正による制度面での対応にあわせて、消費税増収分等を財源として活用した新たな財政支援制度が創設されました。
この制度の対象事業としまして、在宅医療の充実のために必要な事業が位置づけられており、本県において、在宅医療を担う医療機関をふやしていくため、この制度の積極的な活用が求められると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
今後、地域包括ケアシステムの構築に向けて、そのかなめとなる在宅医療の提供体制について、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、東三河一時間交通圏の確立に向けた幹線道路の整備についてお伺いいたします。
東三河地域では、平成二十五年三月に策定された東三河振興ビジョンによる地域が一体となって自立した東三河をつくるを基本理念とし、地域の産業や暮らしを支える社会基盤の整備が求められています。
この整備の方向性として、道路整備やバス、鉄道といった地域公共交通の維持、確保による地域内外とのネットワークの充実、世界と直結する三河港の機能強化などが示されているところであります。
とりわけ、道路整備の状況を見ますと、名豊道路蒲郡バイパスについては、ことし三月に蒲郡インターチェンジから幸田芦谷インターチェンジまでが開通し、交通改善に大きな効果を発揮しております。
また、三遠南信自動車道が鳳来峡インターチェンジまで供用され、奥三河山間地の観光、交流の面では大きな効果があらわれております。
さらに、新東名高速道路については、浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクションまでの開通が残念ながら一年おくれとの発表がありましたが、平成二十七年度の開通により、東三河地域のポテンシャルのさらなる向上が期待されております。
このように、広域的な連携や交流の軸となる新東名高速道路、三遠南信自動車道や名豊道路などの幹線道路の整備は着々と目に見えてきておりますが、その一方で、これら広域的な幹線道路へのアクセスを担い、地域内各地の連携を強固にする地域の幹線道路はまだまだ十分ではないと感じております。
具体的には、豊橋市、豊川市、新城市、三河山間地域を結び、この地域の骨格を形成する国道百五十一号を見ると、市街地では交通渋滞が発生し、山間部では狭いトンネルでの速度低下など、実際の距離の割には時間がかかるというのが私を含めた一般住民の感覚であります。
また、三遠南信自動車道の供用により、医療や買い物など日常生活においては、残念ながら、お隣の静岡県浜松地域への依存度が高まっているようであります。
私は、これからもこの地域に持続して住み続けるためには、穂の国東三河地域八市町村で一つの日常的な生活圏を形成することが必要であると感じております。
そのためには、この地域の中心都市である豊橋市から各市町村の中心部まで一時間以内で到達できることを目指す東三河一時間交通圏を早急に確立すべきであり、その実現に向けて、国道百五十一号や国道二百五十七号などから構成される東三河縦貫道路を初めとした地域の骨格となる幹線道路のバイパス整備などが特に重要であると考えます。
しかしながら、それらの整備はいまだ途上であり、また、世界と直結する三河港から日本全国をつなぐ東名高速道路豊川インターチェンジまでは、多くの信号が連続して時間がかかるため、小坂井バイパスからの立体化など、抜本的な対応が必要ではないかと考えております。
さらに、地域の幹線道路の整備だけでは十分とは言えません。私の住む豊川市では、国道百五十一号に接続する姫街道が豊川市の中心を東西に貫いており、高度救命救急医療機関である豊川市民病院へのアクセス道路となっていますが、JR飯田線及び名鉄豊川線との姫街道踏切が非常に混雑しており、救急医療はもとより、日常生活においても大きな支障となっております。地域の幹線道路整備にあわせて、このような渋滞箇所の解消も進めていくことも重要であると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
東三河地域が一体となって発展していくための基礎となる東三河一時間交通圏の確立に向けて、この地域の道路整備にどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、山間地域の活性化についてお伺いいたします。
豊かな山の恵みである農林産物の供給を初め、水源の涵養、自然環境の保全など、山間地域の果たすさまざまな公益的機能に私たちの生活や産業は支えられております。とりわけ、私の住む豊川市では、水系を同じくする奥三河山間地域の水源の恩恵を受けておりますが、北設楽郡三町村は過疎化、高齢化が深刻な状況にあります。
平成二十五年十月一日現在の北設三町村の人口は一万五百四十八人で、平成二年に比べ三二%減少しており、また、人口に占める六十五歳以上の高齢者の割合である高齢化率も四〇%を超えるなど、過疎化、高齢化が進行しております。
こうした中、三町村では、地域活性化に向けたさまざまな取り組みが展開されています。
定住対策では、設楽町と東栄町が定住のための奨励金制度を設けているほか、東栄町では空き家リフォーム住宅の提供、豊根村では若者向けの定住促進住宅の提供など、手厚い制度が用意されています。
また、東栄町のチェンソーアート競技大会や花祭、茶臼山高原での芝桜まつりなど、各種イベント開催による効果もあり、平成二十五年度には三百人近い移住があるなど一定の成果を上げておりますが、私は、山間地域の活性化には、人が住むために必要な医療と教育の環境を整備することが何より重要と考えます。
現在、三町村では、北設地域の医療を支える東栄病院と北設地域唯一の高校である県立田口高校の維持、存続に向けた取り組みが進められております。
県から東栄病院に派遣している三名の医師による地域医療の維持、確保と、郡内生徒の田口高校等への通学を支援するため、三町村が相互乗り入れで病院、診療所、学校等を結ぶバスを運行するおでかけ北設は、県の支援もいただきながら、地域住民の足として運行され、平成二十四年度には、国土交通省から地域公共交通優良団体表彰を受けているほか、今年度は、超高齢化・人口減少社会における都市・地域の形成を目指す内閣府の地域活性化モデルケースに採択されているなど、高い評価を得ております。
また、地域医療を守るため、東栄病院を拠点として、医師派遣や持続可能な医療サービスを提供する福祉タウン構想を初めとした老朽化した東栄病院のあり方なども検討されております。
県を挙げてこうした地域の取り組みを積極的に応援し、山間地域の振興、活性化を図っていく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
過疎化、高齢化の著しい山間地域の活性化について、現状をどう捉え、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、知事は、四年前、政治の閉塞感の中で、愛知から日本を元気にするという決意のもと、日本一愛知の会を設立され、知事選、そして、それに続く県議会議員選挙を戦い、その結果、名古屋市の河村市長が設立した減税日本と共同会派を組み、ここに県議会の過去の歴史を見ても例のない新しい会派である減税日本一愛知という第三会派が誕生しましたが、議会において議決を左右するにはほど遠く、当初から知事のマニフェストの実現は困難をきわめることが推察されました。
しかしながら、このような状況にあっても、知事は、マニフェストに掲げられた政策の実現に向けて議会の意見を聞きながら、粘り強く努力をされ、県民税減税については、形は変わりましたが、産業空洞化対策減税基金、障害者福祉減税基金及び子育て支援減税手当といった代替措置を行い、着実に成果を上げられております。
このように、意見の相違があり苦労しながらも、知事は、協議する過程において、それぞれの場面で各会派の建設的な意見を取り入れられ、その結果、これまで知事の提案された案件は全会一致で可決されてまいりました。これは、議会において、県民不在の不毛な対立が一切なかったあかしでもあります。
過日の内閣改造において、安倍総理は、新たに地方創生担当大臣を置くなど、地方の再生に力を入れる姿勢を示されました。
知事は、就任以来、日本一元気な愛知の実現を目指して、県民生活や本県経済に大きな影響を及ぼす喫緊の課題にスピード感を持って対応してこられました。
国と目指すべき方向が一致した今こそ、我が愛知県が地方再生の先駆けとなるべく、国と力を合わせて課題に取り組み、我が大愛知の力を持って日本経済を牽引するまさに絶好の機会であると考えます。
昨年、知事は、人のためのコンクリートは必要であるという東三河の声をお聞き入れいただき、東三河に住む県民の悲願であった設楽ダムの建設を御承認いただきました。私は、特別なことでもない限り、知事と議会が対立するような事態は、行政の停滞を招くことにもつながり、県民にとって不利益であると考えます。
そして、もはや直面する政治課題において、知事と議会に対立点のない今日、知事と議会が力を合わせて、産業の集積とそこから生み出される雇用の増加によって地域の経済力を底上げし、それによって、教育、福祉、社会基盤などを充実し、地域の魅力や活力をより一層高めていくことが重要であると考えます。
ゆえに、私は、来るべき愛知県知事選挙に向けて、大村知事におかれましては、現下の状況に鑑み、全ての会派からの協力が得られるような姿勢で臨まれることが愛知県政にとって最善の
選択ではないかと考え、そのように対応されることを望むものであります。なお、このことは日本一愛知の会に所属する県会議員の一致した考えでもあります。
そして、それに加え、さらに今後、アベノミクスによる景気回復をこの地にあってより確かなものとし、あいちビジョン二〇二〇で示された目指すべき愛知の姿の実現に向けて着実に歩みを進めていくためにも、また、来期も引き続き県政を担っていただく意味においても、大村知事におかれましては、切れ目のない景気・雇用対策を初めとする積極的予算編成と県政運営に取り組んでいただくことを切に願うものであります。知事の決意をお伺いいたします。
以上、減税日本一愛知を代表いたしまして、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。大村知事の明快な御答弁を期待いたしまして、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
15:
◯知事(
大村秀章君) 減税日本一愛知の
野中泰志議員の質問にお答えをいたします。
まず、日本一元気な愛知の実現に向けた取り組みの評価と今後の課題についてお尋ねをいただきました。
初めに、産業空洞化対策減税基金についてお答えをいたします。
私は、知事就任以来、世界と闘える愛知・名古屋、日本一元気な愛知の実現を目指し、産業競争力の強化や雇用の創出など、さまざまな施策をスピード感を持って進めてまいりました。
その一つが、産業空洞化対策減税基金に基づく立地補助と研究開発・実証実験補助の制度であります。
企業立地、再投資支援の分野では、これまでの具体的な成果といたしまして、高度先端分野における大規模な投資案件を支援する二十一世紀高度先端産業立地補助金で九件、市町村との連携やサプライチェーンの中核をなす分野の投資案件を支援する新あいち創造産業立地補助金で九十七件を採択いたしました。合わせまして、百六件の採択案件によりまして、総投資額二千二百六十二億円、二万四千名余の常用雇用者が維持、創出される効果が見込まれております。
また、研究開発、実証実験の支援では、次世代自動車、航空宇宙など、今後の成長が見込まれる分野におきまして、継続案件を含め百九十六件を採択いたしました。
補助事業が終了した案件からは、商品化が実現をし大きな売り上げが見込まれる事例や、コスト削減に成功し量産化を目指す事例、さらには雇用増につながった事例も出てきております。
県といたしましては、企業立地や研究開発、実証実験などの支援を通じまして、日本の成長をリードする産業の革新・創造拠点の実現を目指して、新しい愛知づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、障害者福祉減税基金についてであります。
障害のある方ができる限り身近な地域で必要な医療や療育などの支援を受けられ、安心して生活していただけるようにすることが私の強い思いでございます。
本県の状況を見ますと、重症心身障害児者の方が身近な地域で利用できる施設は公立の施設のみでありまして、整備は十分とは言えない状況にありました。このため、私は、民間の力もおかりをしながら施設整備を進める目的で、本年四月に障害者福祉減税基金を創設いたしました。
昨年来、多くの民間法人に対して協力を呼びかけました結果、一宮市及び豊川市におきまして、本県初となる民間による重症心身障害児者施設の整備を進めることができ、大変ありがたく思っております。地域で生活をされておられる障害のある方やその家族が引き続き安心して生活をしていただけるものと考えております。
一方、障害のある方が地域で自立した生活を送っていただくためには、住まいの場となるグループホームの整備促進も重要でございます。
これまで、新築での整備には多額の費用がかかることもあり、設置がなかなか進まない状況にあったことから、本年度より、本県独自の建築基準法の規制緩和措置を実施し、既存住宅の活用によるグループホームの設置促進を図ったところでございます。
既に十件程度の相談が寄せられておりまして、関係部署との協議が調い次第、順次グループホームとして利用開始ができる見込みでございます。
これらの取り組みによりまして、障害のある方が地域で安心して生活をしていただける環境整備が着実に前進したものと考えております。
今後も、障害者福祉減税基金などを活用しながら、重症心身障害児者施設の整備並びに開設に必要な人材育成などの支援にしっかりと取り組んでまいります。
また、住まいの場となるグループホームの整備促進につきましても、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、航空宇宙産業の振興についてお答えをいたします。
アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区につきましては、長野、静岡を含めました五県の二百三十九の企業、団体、自治体まで拡大をいたしました。これによりまして、大手機体メーカーから中堅、中小のサプライヤーに至るまで、より幅広い厚みを持った体制となり、航空宇宙産業の裾野拡大につながっております。
さらに、県営名古屋空港隣接県有地における民間航空機生産・整備拠点といたしまして、七月にMRJの量産工場の立地が決定をいたしました。そこでの生産額は、出荷当初の平成二十九年度で二百四十億円規模、その後五年間で最大一千百億円規模に達する見込みでございまして、これは中部地域の航空機及び部品の年間生産額の二割に相当するものでございます。
また、雇用者数は、三百人から五百人の規模となることが見込まれております。これは新規の雇用者ということでございますが、三百人から五百人の規模となることが見込まれております。
この事業は、当地の航空宇宙産業のさらなる発展に大きく貢献するものでありまして、県では、事業者である三菱重工業株式会社とともに量産工場の立ち上げに向けた取り組みを進めているところでございます。
これらの取り組みによりまして、特区の目指す完成機メーカーを頂点とした航空宇宙産業の一大拠点として研究開発から設計、製造、保守管理までの一貫体制を持つフルセットのクラスターの形成に向けて大きく前進をしているところでございます。
今後の取り組みといたしましては、先月設置をいたしました産業人材育成・確保促進プロジェクトチームにおきましてボーイング787型機の増産やMRJの量産など、当地での航空機産業の事業拡大により、喫緊の課題となっている人材育成、確保につきまして、課題を整理するとともに、それを踏まえ、施策のあり方について検討を進めてまいります。
さらに、中堅・中小企業の新規参入や販路開拓支援措置などを一層着実かつ強力に推進をし、航空宇宙産業のさらなる高度化と集積拡大を図ってまいりたいと考えております。
次に、環境首都あいちに向けた取り組みについてお尋ねをいただきました。
日本一元気な愛知を実現するためには、県民の皆様が安心して生き生きと暮らせる地域でなければなりません。このため、大気環境や水環境などの一層の改善を目指しまして、環境対策にしっかりと取り組むとともに、PM二・五につきましては監視を強化し、県民の皆様へ迅速に情報提供できる体制を整えました。
その上で、自動車産業を中心として日本一の産業県である愛知は、環境面でも日本をリードする地域であるべきだと考えております。そのため、環境と経済の調和のさらなる進展を目指して、次世代自動車の普及に努めてまいりました。その結果、次世代自動車の普及台数や充電インフラの整備基数は全国トップレベルとなりまして、さらに、年度内に販売をされる燃料電池自動車の普及にも力を入れてまいりたいと思います。
また、県内企業のすぐれた環境技術の成果を本県独自に愛知環境賞として表彰するとともに、メッセナゴヤや東京の展示会への出展を支援するなど、環境ビジネスの活性化を図っております。
一方、本県では、二〇〇五年の愛知万博、二〇一〇年のCOP10を通しまして、地域全体に高い環境意識が育まれておりまして、さまざまな環境施策を推進する上で大きな力となっております。
県内九地域で進めております生態系ネットワークの形成につきましては、企業、大学、NPOなど多様な主体による協議会が各地で設立をされ、生態系の保全や創出に向けてさまざまな活動が展開をされております。
また、あいち森と緑づくり税を活用した環境活動支援事業には、これまでに延べ四百六団体、約三十四万人の方々が参加されるなど、多くの県民の皆様による取り組みが県全体で大きく広がりつつあります。こうした機運をことし十一月のESDユネスコ世界会議を契機といたしまして、さらに高めてまいりたいと考えております。
今後は、ことし五月に策定をした第四次愛知県環境基本計画の目標であります県民みんなで未来へつなぐ環境首都あいちの実現を目指して、引き続き地域の力を結集して取り組んでまいります。
続いて、女性の活躍促進についてであります。
少子・高齢化が進み、生産年齢人口が減少する中、愛知の総合力をさらに高め、世界と闘える愛知を築くためには、働く場における女性の活躍が不可欠であります。
こうした考え方のもと、本県における女性の活躍促進を強力に推進していくため、昨年七月に、本県初の女性副知事として吉本副知事を登用したところであります。その後、速やかに吉本副知事をリーダーとするあいち女性の活躍促進プロジェクトチームを立ち上げ、女性の活躍促進プロジェクトとしてさまざまな事業を全庁一丸となって始めたことは、この地域の女性の活躍に向けた大きな一歩になったものと考えております。
また、ことし二月に経済団体、労働団体、企業の代表者等を構成メンバーといたしますあいち女性の活躍促進会議を立ち上げ、先月二十九日にこの会議におきまして、女性の活躍に向けた組織トップの意識改革や女性の管理職への登用、働き方の見直しなどを内容といたしますあいち女性の活躍促進行動宣言を採択いただくとともに、個別企業等からの女性の活躍促進宣言の募集について賛同をいただいたことは、県内企業等の取り組みを促進していく上で大変有意義であったと考えております。
今後の取り組みといたしましては、年内には女性の活躍状況実態調査と先進的な取り組み事例等を取りまとめ、企業等にフィードバックするほか、女性の活躍促進宣言をいただいた企業等を県のホームページや就職説明会など、あらゆる機会を通じて広くPRをしてまいります。
また、企業等の一層の取り組みを促し、ひいては宣言企業の増加につながるよう、例えば、企業の認証制度や公共調達における優遇措置などといった新たな支援策につきましても検討してまいりたいと考えております。
日本の物づくりを引き続き愛知がリードしていくためには、女性の活躍が極めて重要であります。今後とも、女性が元気に働き続けられる愛知の実現を目指して、経済団体や企業等との連携を一層密にし、しっかりと取り組んでまいります。
次は、東三河県庁につきましてお答えをいたします。
東三河県庁の役割は、さまざまな面で高いポテンシャルを持ち、さらなる発展が期待をされる東三河において、地域全体が連携、協力して地域づくりに取り組むための仕組みをつくり、具体的なプロジェクトを推進して地域の振興につなげていくことであります。
このため、東三河県庁では、地元関係者で構成をする東三河ビジョン協議会を設置し、目指すべき地域の将来像や施策の方向性を共有するとともに、主要プロジェクト推進プランを順次策定しております。
これまでに、広域観光の推進、地域産業の革新展開、再生可能エネルギーの導入推進の三つのプランを策定し、プランに沿って地域全体でさまざまなプロジェクトを進めてまいりました。
そうした中で、多数の来場者を集めました豊川市のB─1グランプリや新城ラリー、豊橋市でのドラマロケによる地域プロモーション、ロシアのウラジオストク航路開設による三河港の利用拡大、太陽光発電やバイオマスエネルギーの導入拡大など、地域が一体となった取り組みが着実に成果を上げており、東三河県庁は、その役割をしっかりと果たしていると考えております。
今後、東三河地域では、新東名高速道路や三遠南信自動車道の整備などにより、極めて利便性の高い充実した広域交通ネットワークが形成され、そのポテンシャルはさらに大きくなってまいります。
引き続き東三河県庁が取りまとめ役となり、今年度は、スポーツ大会を生かした地域振興や地域連携事業の戦略展開といった新たな推進プランを策定し、地域発のプロジェクトを立ち上げ、成果を積み重ねていくことで、豊かさが実感できる東三河の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、東三河地域における広域連合設立についてであります。
人口減少、少子・高齢化の進行等に対応いたしまして、市町村が基礎自治体としての役割を果たしていく上で、市町村間の広域連携は有効な
選択肢の一つであると考えております。
東三河地域におきましては、現在、各市町村において広域連合設立に向けての住民説明会が行われておりますが、広域連合の目指す方向性や役割について、住民の理解を得つつ進めていくことが重要であると考えておりますので、引き続き丁寧に説明を行い、しっかりと御議論いただくことを期待いたしております。
県といたしましては、情報提供や助言を行いつつ、広域連合設立に向けた地域の自主的な取り組みを見守っているところでございますが、東三河広域連合は、東三河県庁とともに東三河の発展に資する取り組みになると考えております。
広域連合がスタートした後におきましても、県からの権限移譲を視野に入れるなど、成長する広域連合を目指しておられますので、御地元の声を聞きながら、東三河県庁を中心にできる限りの支援を行ってまいります。
続いて、あいちビジョン二〇二〇の実現に向けた取り組みについてお尋ねをいただきました。
まず、地域包括ケアシステムの構築についてであります。
平成三十七年には、団塊の世代の方々が七十五歳以上という超高齢社会が迫っておりまして、高齢者が住みなれた地域で安心して生活することができるよう、地域包括ケアシステムの構築が急務となっております。
高齢化の進行に伴いまして、医療を必要とされる方々も大幅に増加をしてまいりますが、その全てを病院で受け入れることはなかなか困難な状況でありますので、在宅医療を初め、住みなれた地域で療養できる医療体制をしっかりと整えることが地域包括ケアシステムのかなめであると考えております。
在宅医療の推進のためには、医療と介護の連携を図り、二十四時間三百六十五日の医療ニーズに係る医師の負担を軽減するなど、在宅医療に携わっていただける医師を確保することが何より重要であります。
このため、県では、昨年度から実施をしております在宅医療連携拠点推進事業や、今年度から開始をいたしました地域包括ケアモデル事業におきまして、医師、看護師、介護関係職員などの多職種の連携や、主治医、副主治医制などの医師のグループ化、また、情報通信技術を活用した患者情報の共有など、効率的で質の高い在宅サービスが提供される体制づくりを進めております。
さらに、本年六月に公布をされました医療介護総合確保推進法に基づく新たな財政支援制度も積極的に活用し、在宅医療を促進するため、開業医の連携による組織的な対応の一層の推進や、地域の開業医に訪問診療を体験していただく事業などに取り組んでまいりたいと考えております。
なお、在宅医療提供体制を整備するためには、地区医師会の協力が不可欠でありますので、事業の実施に当たりましては、県医師会や地区医師会と緊密な連携を図って進めていく必要があると認識をしているところでございます。高齢者が在宅でも安心して医療を受けられる体制を整備し、県内全域で地域包括ケアシステムが構築されますよう全力で取り組んでまいります。
次に、東三河一時間交通圏の確立に向けた幹線道路の整備についてお尋ねをいただきました。
東三河地域は、奥三河山間地から豊川流域を経て、三河湾、渥美半島へと多様な自然と特色ある文化を有しております。また、三河港を中心に製造業などが活発であるとともに、我が国有数の花や野菜の生産を誇る農業が営まれるなど、バランスがとれた地域力を有しております。
東三河のさらなる飛躍に向けましては、南北に長い地域の一体化や、広域的な連携、交流の促進により、経済活動や観光交流などを円滑にし、地域の魅力を相乗的に高めていくことが必要であります。
そのため、新東名高速道路や三遠南信自動車道、名豊道路といった広域的な幹線道路の整備促進とともに、東三河縦貫軸など地域内を結び、東三河の経済と安全・安心な生活を支える幹線道路網の整備が重要でありまして、本県といたしましても、積極的に事業を展開しているところであります。
中でも、東三河一時間交通圏の基軸となります国道百五十一号の一宮バイパス、太和金バイパス等の整備は喫緊の課題でありますので、それらを着実に推進するとともに、港湾の物流機能強化のため、新たに三河港から豊川インターチェンジまでのアクセス性を向上させる検討にも取り組んでまいります。
また、市街地における渋滞の解消も地域の一体化を進めるためには重要と考えており、中心市街地へ集中する交通の迂回分散を図る県道東三河環状線の整備を一層推進するとともに、ボトルネックとなっております姫街道踏切につきましては、立体交差の早期事業化に向けて引き続き検討を進めてまいります。
私は、東三河の発展が日本をリードする元気な愛知の大きな柱となるものと信じ、東三河振興ビジョンを作成いたしました。その実現に向けまして、これからも東三河の一体化を進め、ポテンシャルを引き出す地域づくりにしっかりと取り組んでまいります。
次に、山間地域の活性化についてお答えをいたします。
山間地域の現状でございますが、とりわけ北設楽郡の設楽、東栄、豊根の三町村では、過疎化、高齢化が一層進行しておりまして、地域住民を取り巻く状況は厳しくなっているものと認識をいたしております。
他方、高速道路網の整備が進んでおり、都市との人、物の交流をこれまで以上に活発化させる好機にもあると存じます。
こうした中、北設楽郡三町村におかれましては、地域内の公共交通ネットワーク、おでかけ北設の維持、医療や教育の維持、確保、さらに、交流人口の拡大のためのさまざまな取り組みを一体となって進めておられます。
山間地域は、災害の防止、水源の涵養など、県民の暮らしや産業活動を支える重要な地域でありまして、県では、あいち山村振興ビジョンに基づくさまざまな振興施策の推進に全庁を挙げて取り組んでおります。
また、毎年開催をされております山村問題懇談会において、森林の整備、保全、観光交流といったさまざまな課題について、直接市町村長さんの皆さんと話し合いながら、現場の声を県の施策に反映させるよう努めてまいりました。
ことし四月、県立田口高等学校内に豊橋特別支援学校の分教室、山嶺教室を開設いたしましたが、これも地元の皆様の意向に応えたものであります。
県といたしましては、今後とも市町村の取り組みをしっかりと支援し、医療、教育、交通などの居住環境の確保に努めるとともに、山間地域の魅力をより一層強力に発信することで定住人口の確保と交流人口の拡大促進を図り、さらににぎわいのある地域となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
そして、私からは最後の答弁になりますが、県政運営への決意についてであります。
私は、就任以来、県民の皆様の負託に応えるべく、日本一の産業県である愛知県が我が国の産業経済を牽引していくという強い決意のもと、日本一元気な愛知の実現を目指し、全力を注いでまいりました。
これまでに、産業空洞化対策減税基金を原資とした日本一の補助制度による企業立地、研究開発の促進や、地域医療再生基金を活用した医療の充実強化、スポーツ大会を生かした地域振興、東三河県庁の設置と振興ビジョンの策定推進など、愛知の総合力を高める数々の施策を精力的に進め、着実に成果を上げてきたと思っております。
また、燃料電池自動車などの次世代自動車の普及促進や、航空宇宙産業を初めとする産業競争力のさらなる強化、南海トラフ巨大地震への対策など、県民の暮らしの安心・安全の確保に向けた取り組みを進めるとともに、女性の活躍促進、障害者施策、特別支援教育の充実など、人が輝き、愛知が輝く、愛知の新しい次代を担う人づくりにも力を注いでいるところでございます。
引き続き、こうした取り組みをしっかりと進め、日本一経済活動が活発な地域をつくり、それによってさらなる雇用を生み出し、財政を豊かにし、県民サービスの向上を進め、県民の皆様の豊かな暮らしにつなげてまいります。
そして、こうした好循環の実現により、国内外から人、金、物、情報を呼び込む存在感ある大都市愛知、日本一元気な愛知をつくってまいります。
そうした中で、県民の皆様の御理解、御支援が得られるのであれば、県民の皆様から与えられた任期をしっかりと十全に全うし、さらに、未来の愛知へも責任を担っていきたいと考えております。そして、皆様とともに日本一元気な愛知の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
以上、御答弁を申し上げました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
16: ◯三十八番(
原よしのぶ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
17:
◯議長(
三浦孝司君)
原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
18:
◯議長(
三浦孝司君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後三時十分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時五十分開議
19:
◯議長(
三浦孝司君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
木藤俊郎議員。
〔六十七番
木藤俊郎君登壇〕(拍手)
20: ◯六十七番(
木藤俊郎君) 質問に先立ちまして、まず、このたび、広島市を初め全国各地で発生した集中豪雨などによる土砂災害で亡くなられた方々とその御遺族に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げ、被災地域の一刻も早い復旧がなされますようお祈りを申し上げます。
それでは、公明党愛知県議員団を代表して、生活者の視点に立った我が党の基本姿勢に沿って、県政の諸問題について、順次お尋ねをしてまいります。
質問の第一は、あいちビジョン二〇二〇の推進についてお尋ねをいたします。
平成二十三年二月に大村県政がスタートして三年半余りの月日が経過いたしました。思えば、知事就任以降、東日本大震災の発生に伴う浜岡原子力発電所の停止、さらには歴史的な円高など、さまざまな苦難が押し寄せ、そのたびごとに知事は、持ち前の行動力とリーダーシップでそれらの課題にスピーディーに対応されました。そして、そのような厳しい状況にあっても、企業誘致や次世代産業の振興、観光振興、さらには医療、福祉、防災対策など、将来を見据えた取り組みも着実に進められております。
一方、国政では、一昨年十二月に自民、公明による連立政権が発足し、いわゆるアベノミクスによる大胆な経済政策が実施される中で、我が国経済は持ち直し、長期にわたるデフレからもようやく抜け出そうとしております。とりわけ、この地域においては、円高が是正されたことなどを背景に、自動車産業がリーマンショック前を上回る好業績を記録するなど、景気は緩やかながら回復基調が続いております。
さらに、愛知県が中心となって早期建設を働きかけてきたリニア中央新幹線が二〇二七年度の東京─名古屋間の開業に向け、間もなく建設に着手される状況にあるほか、自動車産業に次ぐ基幹産業として期待される航空宇宙産業についても、国内初のジェット旅客機MRJが来年の初飛行に向け、この地域で着々と開発が進められております。
知事の就任当時に比べますと、この三年半の間にこの地域を取り巻く社会経済環境は大きく好転し、地域のポテンシャルもさらに高まっているのではないかと思います。こうしたときこそ、長期的な展望や目標を持って県政に取り組んでいかなければなりません。
そうした中、本年三月には、これらの愛知づくりの方向性を示すあいちビジョン二〇二〇が策定されました。ビジョンでは、リニア中央新幹線開業後の二〇三〇年を念頭に置いた大都市圏づくりや、本格的な少子・高齢化を迎える中での全員参加の社会づくりなど、時代の要請を的確に捉え、県民の皆様に明るい希望を持っていただける将来の方向性が示されたものと確信しております。
また、この九月には、三カ年の実施計画も策定され、着実にビジョンの具体化に取り組まれようとしておられます。
そこでお尋ねをいたします。
本日の各党への御答弁では、知事の来期に向けての強い意志が示されたものと受けとめさせていただきましたが、あいちビジョン二〇二〇による愛知の地域づくりに当たっての知事の思い、考え方を改めてお伺いいたします。
質問の第二は、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
まず、県税収入の見通しについてお伺いいたします。
新聞報道によれば、名古屋証券取引所に上場する中部の三月期決算法人の本年四月から六月期の全産業ベースでの連結経常利益は、消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動減や原材料費、人件費の高騰などが足かせとなって、前年同期比で〇・五%の減益となっており、また、通期の見通しについても、新興国景気情勢や燃料高などのコスト増などに対する警戒感が強く、慎重な見方がされております。
一方、日銀名古屋支店が発表した東海三県の九月の金融経済動向によれば、輸出は米国向けが堅調に推移するとともに、設備投資も一段と増加し、また、個人消費は、雇用と所得環境が改善する中で持ち直しており、東海三県の景気は、基調としては回復を続けており、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も徐々に和らぎつつあるとして、九カ月連続での判断を据え置いております。
そこでお尋ねをいたします。
最近のこの地域の景気動向を踏まえ、今年度の県税収入についてどのような見通しをされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、今後の財政運営についてお尋ねいたします。
景気が回復局面である今こそ経済の好循環をつくっていかなければならず、そうしてできた経済好転の成果を地域経済や中小企業にもたらし、さらに県民の雇用の拡大と個人所得の向上につなげていく必要があります。そのためには、景気・雇用対策、防災・減災のための公共投資などにしっかりと対応していかなければなりません。
一方、そのような施策を支える県財政の状況を見ると、県債残高は二十四年度末に五兆円を超え、さらに増加を続け、二十六年度末には五兆三千九十一億円に達しようとしております。
そのうち、特例的な県債が県債残高の五〇%を超えるものと見込まれておりますが、その大宗を交付税の振りかえ措置である臨時財政対策債が占めております。
本県では、ここ数年、交付税と臨時財政対策債の合計額のうち、臨時財政対策債の割合が八割を超えたという過度な配分となっておりました。二十六年度の算定においては、その配分割合が七四・六%とようやく八割を切ったと聞いておりますが、依然として配分割合は極めて高く、また、県債残高がこのように増加していくという状況は、将来にわたる本県、ひいては地方財政全体の持続可能性という見地から見て、決して望ましいものではありません。このような状況は是正されなければならないと考えております。
そこでお尋ねをいたします。
県は、持続可能な財政基盤の確立に向けて、県債残高の増加にどのように対処していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、スポーツを活用した地域づくりについてお尋ねをいたします。
知事は、あいちビジョン二〇二〇の中で、文化・スポーツ・魅力発信を重要政策課題の一つとして掲げられ、国内外から人を引きつける魅力ある大都市圏を目指し、スポーツ大会を育成、招致し、スポーツを通じた集客、交流人口の拡大、地域活性化につなげていくということが必要であるとの認識のもと、マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知や、新城ラリー、あるいはアイアンマン七〇・三セントレア知多・常滑ジャパンなどのスポーツ大会を全国、世界に打ち出せるようさらに育成していくとともに、新たな大会の立ち上げ、招致に取り組んでいくこととされております。
その新たな大会の一つとして、知事は、四月にFIFAフットサルワールドカップ二〇二〇の招致を表明されました。そして、愛知県の開催構想を取りまとめ、八月二十六日には、みずから日本サッカー協会に愛知県への招致をアピールされるなど、精力的に取り組まれております。
また、九月九日には、FIFAのフットサル委員長であるタイサッカー協会会長、ワラウィ氏にお会いになり、愛知県でのフットサルワールドカップ開催を働きかけてこられました。こうした世界的なスポーツ大会を開催することは、まさに地域活性化を目指す上で絶好の機会になると考えておりますので、ぜひともフットサルワールドカップの招致を実現していただきたいと考えております。
また、一方で、知事は、スポーツ大会の育成、招致に向け、地域が一体となって取り組む組織であるスポーツコミッションを平成二十七年度に設立するため、このたび、スポーツコミッション設立準備委員会を立ち上げられました。この準備委員会では、スポーツコミッションの設立準備のみならず、FIFAフットサルワールドカップ二〇二〇、ラグビーワールドカップ二〇一九の招致、さらには二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックの関連合宿の誘致にも取り組んでいかれると伺っております。
また、この準備委員会には、スポーツ関連団体を初め、経済団体や観光団体、マスメディアなど、さまざまな分野から幅広い参画を得ており、今後、まさに地域が一体となってスポーツを通じて地域の活性化を目指す体制が構築されるものと期待するところであります。
そこでお尋ねをいたします。
スポーツ大会を活用してどのような地域づくりを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、燃料電池自動車の普及促進についてお尋ねをいたします。
燃料電池とは、水素と酸素の化学反応によって水ができる際に発生するエネルギーを使って発電する仕組みであり、排出されるのは水だけという環境に優しい発電システムとして、既に工場や事業所、家庭などにおいて普及が始まっております。
この燃料電池を自動車に活用するという試みとして記憶に新しいのは、二〇〇五年の愛知万博であります。愛知万博では、シャトルバスとしてこの燃料電池自動車が使用され、二酸化炭素や窒素酸化物、粒子状物質などを排出しない未来のエコカーとして期待感を抱いた記憶がございます。それから十年を経て、この燃料電池自動車がいよいよ今年度内に世界初の市販車として発売されることが去る六月にトヨタ自動車株式会社から公表されました。
このような中、七月八日に公明党愛知県議員団として、とよたエコフルタウンを視察し、低炭素社会のライフスタイルを体感したことで、ますます万博で見た未来がやってくるとの思いを強くしたところでございます。
今回発表された内容を見ますと、燃料となる水素は、水素ステーションにおいて約三分間で充填することができ、いわゆる満タン状態にすると約七百キロメートルの走行ができるという実用的な性能を実現しております。
しかしながら、その一方で、車両販売価格は七百万円程度と、史上初の燃料電池自動車として企業努力によって相当抑えられたと推察するものの、やはり従来のガソリン自動車と比較すれば数百万円程度の価格差があると感じざるを得ないのも事実であり、この価格差を埋め合わせして普及を促進するための適切な支援策が必要不可欠であります。
また、肝心の水素はどこで充填できるのか、水素ステーションの整備には三億から五億円かかると言われており、現在のガソリンスタンドと同程度に普及が進むのはいつごろになるのかといった課題を解決していくことも、燃料電池自動車の普及を図る上で大変重要な要素であります。
燃料電池自動車の発売を公表されたトヨタ自動車の加藤副社長は、燃料電池自動車が普通の車になるための長いチャレンジの始まりだと述べられております。
自動車産業を中心とする物づくり県である愛知、史上初の環境万博を開催し、燃料電池バスを走らせた愛知が、この燃料電池自動車の発売を受けてどのような普及策をとっていくのか、燃料電池自動車を社会に定着させていくことは、愛知にとっても長いチャレンジとなるのではないでしょうか。
そこでお尋ねをいたします。
燃料電池自動車の発売を受けて、その普及促進にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第五は、少子化対策、高齢者福祉及び障害福祉に関する次期計画についてお尋ねをいたします。
まず、次期あいちはぐみんプランについてお伺いいたします。
ことしの五月に発表された経済財政諮問会議の専門調査会の中間報告では、現在の出生率が続けば、五十年後の人口は約八千七百万人と現在の三分の二まで減少すると予測されております。本県においても、平成二十五年の合計特殊出生率は一・四七と、全国平均の一・四三を上回っているものの、依然として少子化傾向が続いており、平成二十七年をピークに人口が減少に転じることが見込まれております。
今後も活力を維持し持続的に発展していくためには、少子化の流れを変える社会を実現していくことが求められています。
こうした中、本県では、あいちはぐみんプランを平成二十二年に策定し、少子化対策の基本計画として推進していますが、計画期間が本年度をもって終了することから、次期プランの策定作業を進めておられます。
現在、子育てをめぐる課題として、親の働く状況の違いにかかわらず、質の高い幼児期の学校教育、保育を受けられることが望まれてきたこと、都市部を中心に保育所に入れない待機児童が存在し、その一方で、子供の減少で近くに保育の場がなくなった地域もあることなどが挙げられています。
これらの課題解消のため、平成二十七年四月から子ども・子育て支援新制度が本格実施されることになっております。新制度の実施主体は住民に最も近い市町村であり、都道府県は市町村を支援していく立場にありますが、市町村におけるニーズを県の施策にいかに反映していくかが重要であると考えます。
また、我が国の子供の貧困の状況は先進国の中でも厳しく、十八歳未満の子供の約六人に一人は、国民の標準的所得の半分に満たない世帯で暮らしており、こうしたことを背景に、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨とし、子どもの貧困対策の推進に関する法律が議員立法により成立し、本年一月に施行されています。
さらに、児童虐待の防止等に関する法律の施行から十三年が経過しましたが、県内の児童虐待相談対応件数は急増しており、悲惨な死亡事例も発生していることを背景に、平成二十六年二月県議会で愛知県子どもを虐待から守る条例が議員提案により成立し、本年四月に施行されております。
子供・子育てをめぐるこのような状況を踏まえ、本県では、あいちはぐみんプランを県の子供・子育てに関する総合的な計画と位置づけ、次期プランにおいては、新たに策定することとされた子ども・子育て支援計画、子どもの貧困対策計画及び子どもを虐待から守る条例に基づく児童虐待防止基本計画と一体的に策定することにより、本県の子供・子育ての支援施策の一層の充実を図っていくと伺っております。
そこでお尋ねをいたします。
今年度策定する次期あいちはぐみんプランにおいては、どのような内容を盛り込んでいかれるのか、特にどのような少子化対策に重点的に取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、第六期愛知県高齢者健康福祉計画についてお尋ねをいたします。
国立社会保障・人口問題研究所が平成二十四年一月に行った推計によりますと、介護が必要となる割合が大きく上昇する七十五歳以上の人口の総人口に占める割合が、平成二十二年の一一・一%から平成三十七年には一八・一%になると推計されております。
こうした高齢化の進行に伴いまして、認知症高齢者も増加し、厚生労働省の推計によりますと、全国の認知症高齢者数は、平成二十二年の約二百八十万人から平成三十七年には約四百七十万人と約一・七倍に増加すると見込まれております。
そこで、こうした平成三十七年の超高齢社会に対応するため、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が大変重要になってまいります。
一方で、地域包括ケアシステムを支える介護職員の現状についてでありますが、公益財団法人介護労働安定センターが八月に公表しました平成二十五年度の介護労働実態調査では、介護職員の離職率は一六・六%となっており、前年度の調査に比べて〇・四ポイント改善されたものの、平成二十四年雇用動向調査の全産業平均の一四・八%に比べ高い状況となっております。
また、厚生労働省の試算によりますと、介護職員は平成二十四年度に百四十九万人であったものが、平成三十七年度には二百三十七万人から二百四十九万人が必要になると推計されております。
こうした状況の中、県では、今年度第六期愛知県高齢者健康福祉計画の策定作業を進めておられます。この計画は、本県における総合的な高齢者の保健福祉の推進や、介護保険制度の円滑な運営を図るために策定されてきており、第六期計画では、平成二十七年度から二十九年度までの三年間を計画期間とされておりますが、平成三十七年度に向けて、地域包括ケアシステムの構築のための具体的な取り組みを盛り込むと伺っております。
中でも、自宅で介護するときに御家族の負担が大きい認知症高齢者への支援対策と、さらには介護サービスの増大に対応するため、第六期計画で新たに必要量を推計することとなる介護人材の確保、育成のための取り組みは喫緊の課題と考えております。
そこでお尋ねをいたします。
今年度策定する第六期愛知県高齢者健康福祉計画においては、認知症高齢者に対する対策と介護人材の確保、育成策について、どのような内容を盛り込んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、第四期愛知県障害福祉計画についてお尋ねをいたします。
障害のある方々が身近な地域で孤立することなく安心して暮らすことができ、障害のある方もない方もともに支え合う社会の実現が重要であります。
このような理念のもと、障害のある方々の地域生活のためには、安心して生活ができる住まいなど、御本人や御家族が利用しやすい障害福祉サービスの提供体制が求められており、また、御本人の高齢化や障害の重度化への対応に加え、親御さんが亡くなった後の生活を心配する声に対応する必要があります。
こうした御本人やその御家族の状況、思いをどうやって地域の福祉サービスにつないでいくことができるかが重要であり、今後、高齢化や重度化が進んだ障害のある方々の自立した地域生活のため、グループホームの一層の整備を図るとともに、医療的ケアが必要な方への支援体制などの障害福祉サービスを充実させていくことが必要であると考えております。
障害福祉サービスの確保については、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、いわゆる障害者総合支援法に基づき、各都道府県及び市町村において、障害福祉計画を策定することとされており、障害のある方々の生活支援のための数値目標、具体的な障害福祉サービスの見込み量及びその確保策を定めることとされております。
現在の本県の計画である第三期愛知県障害福祉計画では、障害のある人が安心して暮らせる地域社会の実現を基本理念として、福祉施設入所者の地域生活への移行や、精神障害者の地域生活への移行、福祉施設から一般就労への移行についての数値目標や、障害福祉サービスの確保策などの内容が定められているところであります。
今年度は、平成二十四年度から二十六年度を計画期間とする現計画の最終年度であり、県では、平成二十七年度から二十九年度までの三年間を計画期間とする第四期愛知県障害福祉計画の策定作業を進められておられます。
そこでお尋ねをいたします。
今年度策定する第四期愛知県障害福祉計画においては、障害福祉サービスの充実に向け、どのような内容を盛り込んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第六は、女性の活躍促進についてお尋ねをいたします。
少子・高齢化が進み、労働力人口が減少する中、国においては、昨年六月に策定した成長戦略の中核に女性の活躍推進が位置づけられ、さらに、本年六月の改訂版には、新たな法的枠組みの構築や、有価証券報告書への女性役員比率の記載義務づけなど、女性のさらなる活躍促進に向けた取り組みが進められようとしております。
女性がこれまで以上に社会で活躍することは、単に不足する労働力を確保するためであるだけではなく、男性のみならず女性の視点や発想を取り入れていくことで、多様化するニーズに対応した新たなサービスの創出や商品開発を促し、社会全体に活力をもたらすとともに、社会の急激な変化やリスクへの対応力の強化が期待されます。
そこで、本県における女性の活躍状況について、私なりに調べてみましたところ、まず、県内の企業等の役員、管理職に占める女性の割合についてですが、総務省の平成二十四年度就業構造基本調査によりますと一二・三%と、全国平均の一三・四%より低く、全国二十七位であります。
また、本年七月に行われた民間の調査では、課長相当職以上の女性管理職が一人もいないと回答した企業の割合が五七・三%と、全国平均の五一・五%を上回る結果が示されております。
さらに、本年六月に日本政策投資銀行が発表した働く女性の姿にみる愛知・名古屋の課題によりますと、本県の雇用者に占める女性比率や管理職に占める女性比率は全国平均を下回っており、その背景として、本県の主要産業である製造業において、理工系女性の登用のおくれなどが影響していることが原因として挙げられております。
また、このまま女性登用に対する企業の意識改革がおくれれば、優秀な女性人材が流出するおそれがあることも指摘されております。
女性の活躍は、本県の将来を担う重要な原動力の一つであり、そのためには、女性の活躍に向けた機運醸成や、企業トップ等の意識改革、女性自身のキャリア形成、出産、育児等で一旦離職した女性の職場復帰支援など、幅広いアプローチが必要であると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
本県では、昨年、吉本副知事をリーダーとする女性の活躍促進プロジェクトチームを庁内に立ち上げ、女性の活躍促進に取り組んでこられましたが、この一年余りでどのような成果を上げられたのか、また、今後どのような取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第七は、国土強靱化に関する県の取り組みについてお尋ねをいたします。
東日本大震災から三年半が経過して、被災地における復旧・復興は徐々に進んでおりますが、被災地にとっては厳しい状況が続いております。改めて、大規模自然災害の脅威と被災地の復旧・復興を迅速に進めることの難しさを痛感しております。
これまで我が国では、東日本大震災を初め、大規模な自然災害が起きるたびに、事後的にその復旧・復興を図ってきたような印象がありますが、平時からしっかりと自然災害に備える事前の取り組みこそが重要であり、これにより多くのとうとい命を守り、莫大な経済的、社会的、文化的な損失を回避することが可能になると考えます。
こうしたことから、我が党では、自由民主党と共同で法案を提出し、昨年十二月に強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法が成立しました。この法律に基づいて、国は、いかなる災害等が発生しようとも、強さとしなやかさを持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた国土強靱化を進めることとしております。
国土強靱化は、施設の整備、耐震化、代替施設の確保など、ハード対策だけではなく、訓練、防災教育などのソフト対策も含む幅広い施策を推進するものであります。
国においては、国土の健康診断に当たる脆弱性評価を行い、これを踏まえて、本年六月に国土強靱化基本計画を策定いたしました。また、国土強靱化は、国の施策のみでなし遂げられるものではないため、国は、地方公共団体に対して、国土強靱化地域計画の策定を促進させる取り組みも進めております。
こうした中、共通の地域特性に基づく課題に対して連携して国土強靱化に取り組むために、本県は、名古屋市と共同で国の国土強靱化地域計画策定モデル調査に応募し、六月三日に選定されました。県として積極的に国土強靱化地域計画の策定に取り組まれることは、まことに時宜を得たものであります。
また、この九月定例議会において、国土強靱化地域計画策定に係る補正予算案を提出されており、本県の国土強靱化地域計画案の今年度末の取りまとめに向けて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そこでお尋ねをいたします。
南海トラフ地震など、大規模な自然災害への備えを進めるために、中長期的な視点に立ち、幅広い分野で防災・減災対策を推進していくことは大変重要であると考えますが、本県として、国土強靱化に関してどのような取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第八は、県民の身近で発生する犯罪への対策についてお尋ねをいたします。
愛知県内の犯罪情勢は、県民、警察、行政が一体となって各種取り組みを推進した結果、昨年には、刑法犯認知件数が十万件を下回り、戦後最多の二十二万件余りを記録した平成十五年と比較しますと半数以下に減少しております。
しかしながら、本年七月に実施した県政世論調査では、あなたがお住まいの地域の治安は、以前と比べてどうなっていると思いますかという質問に対して、約三〇%の人が悪くなっていると回答するとともに、約半数の人が以前と変わらないと回答しています。
さらに、同じ質問に対して、治安がよくなっている、あるいは少しよくなっていると回答した人は、全体の約一三%しかいない状況であります。
こうした調査結果を鑑みますと、実は多くの県民の方々がいまだ安心して暮らせていないのではないかと懸念するところであります。
そして、その要因については、県政世論調査の中で、治安が悪くなっていると思った理由を問う質問の中で、約四〇%の人が、自分自身や身近で犯罪の被害が発生したからと答えていることなどから、身近で発生する犯罪への対処の適否が県民の方々の安心感に大きく影響を及ぼしているものと思っています。
こうした状況を踏まえまして、県民の方々の安心感の醸成という観点から改めて現下の治安情勢を見てみますと、八月末の時点で住宅対象侵入盗の認知件数が全国でワースト一位であったり、拳銃を発砲して警察官を負傷させる事件など、危険ドラッグ乱用者によると思われる重大な事件、事故が続発し、社会問題化するなどしております。
また、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺につきましても、認知件数と被害金額がともに前年より大幅に増加していると承知しているところであり、県政世論調査でも、これまでに非通知や知らない電話番号、振り込め詐欺犯人等からと思われる不審な電話があなた自身や家族、親戚など、身近な人のところにかかってきたことがありますかとの質問に対し、全体の約四〇%の人があると回答している状況であります。
今後、県民の方々が安心して暮らしていけるようにしていくためには、住宅対象侵入盗、危険ドラッグ絡みの犯罪や、特殊詐欺などの身近な犯罪に対して、県民相互の地域活動や行政による防犯対策を一層推進していく必要があることは論をまちませんが、これらの犯罪を抑え込んでいくことが極めて重要であると考えており、愛知県警察の活動に期待をしているところであります。
そこでお尋ねをいたします。
県民の身近で発生する犯罪について、どのような対策を進めていかれるのか、県警本部長にお伺いいたします。
最後に、いじめ問題への対応についてお尋ねをいたします。
いじめは、子供の心身の健全な発達に深刻な影響を及ぼす許されない行為であり、子供の人権にかかわる重大な問題であります。しかし、いじめの認知件数は、平成二十四年度の文部科学省の調査では、小中高等学校及び特別支援学校を合わせて全国で十九万八千件を超える件数となっており、本県においては一万二千件余りと伺っております。
本県では、西尾市の中学生がいじめを苦にして命を絶つという痛ましい事件が平成六年十一月に発生し、この事件をきっかけに、どの子供もいじめの被害者にも加害者にもなり得るとの共通認識に立って、どんな小さないじめも決して見逃さないという姿勢でいじめ問題に取り組んでこられました。いじめの認知件数については、こうした取り組みの結果として多くなっている面もあると思っております。
平成二十三年十月には、滋賀県大津市の中学生のいじめによる自殺事件が発生し、事件をめぐる学校及び教育委員会の対応が大きな社会問題となったことも記憶に新しいところであります。
国は、この大津市での事件をきっかけに、こうした不幸な事件の発生に歯どめをかけるべく、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的として、いじめ防止対策推進法を制定いたしました。
本県では、この法律の昨年九月の施行を受けまして、各学校が学校いじめ防止基本方針を策定し、家庭、地域、関係機関等と緊密な連携を図り、いじめの防止などに取り組んでおられると伺っております。
このように、各学校で基本方針を定められたことにより、いじめ防止等にかかわる取り組みが総合的、組織的なものになったことは大変重要なことであると考えております。
加えて、このたび、県として愛知県いじめ防止基本方針を策定されました。県としてのいじめ問題への取り組みの大きな指針を示されたことで、より一層の成果が期待されるところであります。
そこでお尋ねをいたします。
愛知県いじめ防止基本方針が策定されたことにより、いじめの防止等に関してどのような体制を整備して、どのように取り組んでいかれるのか、また、県として、学校や市町村のいじめの防止等の取り組みをどのように支援していくお考えなのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、県政各般にわたるさまざまな課題について質問してまいりました。知事を初め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
21:
◯議長(
三浦孝司君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
22:
◯議長(
三浦孝司君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
〔知事
大村秀章君登壇〕
23:
◯知事(
大村秀章君) 公明党県議団の
木藤俊郎議員の御質問にお答えをいたします。
まず、県税収入の見通しと今後の財政運営につきましてお答えを申し上げたいと思います。
まず、県税収入の見通しから答弁を申し上げます。
県税収入につきましては、上場企業の平成二十六年三月期の業績が需要拡大や円安を追い風に、本県の主要産業である自動車関連産業を初めとした製造業が全体を牽引し好調でありましたことから、法人二税が順調に推移しておりますので、今後、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が和らいで景気の回復基調が続けば、当初予算額の確保は見込めるものと認識をいたしております。
しかしながら、景気の先行きにつきましては、海外経済の情勢や為替・金融資本市場の動向とその影響などが懸念をされておりまして、これらの不透明感から企業収益につきましても慎重な見方がされております。
したがいまして、これからの企業収益や景気などの動向には十分に注視をしながら、税収の一層の確保に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
続いて、今後の財政運営についてであります。
本県の県債残高は、平成二十六年度末で五兆三千九十一億円となる見込みでありますが、そのうち、投資的経費に充当する通常の県債残高は、二十六年度末で二兆六千四百一億円と、第五次行革大綱に掲げた二十一年度末の三兆二百三十二億円よりも残高を減少させるという数値目標を達成したところであります。通常の県債の残高の抑制につきましては、引き続き着実に取り組んでまいりたいと考えております。
一方、特例的な県債につきましては、その大宗を占める交付税の振りかえ措置であります臨時財政対策債の残高が、二十六年度末で二兆二百八十八億円となる見込みであります。臨時財政対策債につきましては、各都道府県の財政力に応じて国から配分されることとなっておりまして、財政力の高い本県への配分額が多額となり、県債残高が増加する主要因となってきたところであります。
臨時財政対策債の元利償還金は、後年度に普通交付税の基準財政需要額に全額算入されるとはいうものの、県債残高が増加し続ける事態は決して望ましいことではありません。
本県といたしましては、この問題の抜本的解決に向けて、地方交付税の原資となる国税五税の法定率の引き上げ等による地方交付税総額の増額を図り、臨時財政対策債を廃止するよう国に対して要請をしてまいりました。また、県議会からも、臨時財政対策債のあり方を見直すよう国に要請をしていただいたところであります。
二十六年度の交付税算定では、臨時財政対策債の割合が八割を切り、その成果が一部あらわれたものと受けとめているところでありまして、引き続き国に強く要請してまいりたいと考えております。
次に、スポーツを活用した地域づくりについてのお尋ねであります。
本県では、全国、世界に打ち出せるスポーツ大会を育成、招致をし、多くの出場者、観戦者を国内外から呼び込み、地域活性化につなげる取り組みを進めております。
こうした取り組みの一つとして、世界最大の女子マラソン名古屋ウィメンズマラソンなどの発信力の高いスポーツ大会を活用して、地域の観光や特産品など、愛知の魅力を広く発信しております。
また、木藤議員お示しのとおり、FIFAフットサルワールドカップの招致に向けて、先日、タイを訪問した際に、FIFAのフットサル委員長でありますタイサッカー協会会長、ワラウィ氏に直接お会いをいたしまして、愛知での開催をアピールし、協力を要請してまいりました。
ワラウィ氏からは、愛知はポテンシャルの高い地域であり、同じアジアの国として招致に協力するとの御
発言をいただき、また一歩前進したと確信をいたしております。
さらに、二〇一九年には、ラグビーワールドカップの日本開催が決定しておりますが、豊田市では、豊田スタジアムへの招致を目指し、この七月に本県も参画する招致委員会が設けられました。来年三月に予定をされております開催都市の決定に向けまして、本県といたしましても、豊田市とともにしっかりと取り組んでいるところであります。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて世界の注目が日本に集まる中、時宜を捉えて本県でこうした世界的な大会を開催することにより、愛知を世界に発信できると考えております。
今後は、現在設立準備を進めておりますあいちスポーツコミッションのもと、地域が一体となってこれまで以上に積極的にスポーツ大会の招致や育成に取り組み、さらなる地域活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
次は、燃料電池自動車の普及促進について御質問をいただきました。
燃料電池自動車は、究極のエコカーと言われ、走行時の二酸化炭素や大気汚染物質の排出量がゼロであり、低炭素社会実現の担い手として期待をされております。
また、物づくり県である本県の産業技術の粋を結集した製品でありますことから、産業振興を図る上からもその普及に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
このため、販売開始と同時に、本県が燃料電池自動車二台を公用車として率先して導入し、県民の皆様に実際に見ていただき、燃料電池の特徴や可能性について学ぶ教材として活用をしてまいります。
また、中小企業等を対象とした低公害車導入に対する補助制度に燃料電池自動車を追加し、多くの企業に活用されるよう取り組んでまいります。
さらに、自動車税については、現在、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車の新規購入に対しまして課税を免除しているところでありますが、この燃料電池自動車も対象とし、普及を促進してまいります。
なお、燃料電池自動車に燃料である水素を供給するステーションの整備促進についてでありますが、本年二月に整備計画を策定し、県内で二〇一五年度末までに二十基、二〇二五年度末までに百基の整備目標を掲げております。
その目標達成に向けまして、国に対し、規制の見直しや整備コストに対する補助制度の拡充を働きかけるとともに、事業者に対しましては、県内市町村との連携による水素ステーション用地の情報提供や、移動式水素ステーションの運用支援等を通じて整備促進を図ってまいります。
現在、移動式水素ステーションの運用に提供する県庁西庁舎駐車場の整備を進めているところでありまして、水素エネルギー社会の形成に向けた普及啓発の場として、本年十二月に開所の予定でございます。
こうした取り組みにより燃料電池自動車の普及を促進し、次世代自動車が日本一普及した環境首都あいちを目指してまいります。
次に、次期あいちはぐみんプランについてお答えをいたします。
次期プランでは、新たに策定が必要となります子ども・子育て支援事業支援計画、子どもの貧困対策計画及び児童虐待防止基本計画としての内容を盛り込み、まさに本県の子供・子育てに関する総合的な計画として策定してまいりたいと考えております。
このうち、子ども・子育て支援事業支援計画につきましては、現在、各市町村で住民ニーズを反映した幼児期の学校教育、保育の需給計画を策定しているところでありますが、県計画におきましては、県全体の需給見通しに加え、市町村の区域を超えた広域的な調整や人材の確保、育成など、専門性の高い取り組みを盛り込んでまいります。
また、子供の貧困対策に関しましては、従来からの経済的支援や相談支援に加え、国が八月二十九日に策定をいたしました子供の貧困対策に関する大綱を踏まえ、子供への教育の支援や保護者に対する就労の支援などを体系的に盛り込んでまいりたいと考えております。
一方、児童虐待対策といたしましては、本県条例の趣旨を踏まえ、児童虐待の予防と早期発見、早期対応に重点的に取り組むため、市町村、医療機関など関係機関の連携強化並びに妊娠期からの総合的な子育て支援施策をしっかり計画に位置づけてまいりたいと考えております。
また、少子化対策に対する取り組みでございますが、私は、少子化の要因は、未婚化、晩婚化の進行が一番の問題であると考えております。このため、次期プランでは、若い世代の結婚を後押しできるようなきっかけをより多く提供するため、結婚支援施策の強化を図るとともに、男性の働き方の見直しや女性の活躍の推進を初め、子育てがしやすい環境の整備に努めるなど、少子化対策の一層の推進を図ってまいります。
続きまして、第六期愛知県高齢者健康福祉計画についてであります。
高齢化の進行に伴いまして、今後急速に医療や介護を必要とする高齢者が増加をし、また、議員御指摘のとおり、認知症となる高齢者も大幅に増加することが見込まれております。
このため、第六期計画におきましては、認知症高齢者支援対策の推進と地域包括ケアシステムを支える人材の確保と資質の向上を基本目標の一つとして位置づけることといたしております。
認知症高齢者支援対策につきましては、早期発見、早期対応が何より重要でありまして、これまでも地域のかかりつけ医に認知症診断の知識、技術を習得していただくための研修などに取り組んでまいりましたが、次期計画では、認知症の人などを初期段階から適切に支援するため、認知症ケアパスの全市町村での活用などを新たに盛り込んでまいります。
さらに、認知症の方とその御家族が安心して暮らせる地域支援体制づくりのため、地域住民などによる見守りや家族介護者交流会の開催など、家族介護者への支援策を充実させるとともに、新たに認知症カフェの設置や広域的徘回捜索ネットワークの構築なども盛り込んでまいります。
一方、介護人材の確保、育成につきましては、第六期計画では新たに、市町村が見込む介護サービスの必要量に基づき、平成三十七年度に必要となる介護人材の推計を行い、この推計を踏まえた方策を定めることといたしております。
これまでも、潜在的有資格者の再就職の促進など、介護人材の確保に取り組んでまいりましたが、さらに、新たな人材の参入促進や離職防止、定着に向けた取り組みについてしっかりと盛り込んでまいりたいと考えております。
次に、第四期愛知県障害福祉計画についてであります。
障害のある方もない方もともに暮らせる地域社会を実現していくため、あいちビジョン二〇二〇におきましても、障害者支援を重要政策課題と位置づけております。
障害福祉計画は、障害者支援に必要な障害福祉サービス等の提供体制の確保について、障害者総合支援法に基づき、国の基本指針に即して策定をするものでございます。
今年度策定をいたします第四期愛知県障害福祉計画につきましては、本年五月に改正告示されました基本指針に基づき、福祉施設入所者の地域生活への移行、入院中の精神障害者の地域生活への移行並びに福祉施設から一般就労への移行を大きな柱として成果目標も定めて、策定してまいりたいと考えております。
そして、その成果目標を達成するために必要な障害福祉サービスの量、これを新たに活動指標として計画に盛り込み、その確保方策を記載していくことといたしております。
このほか、第四期計画からの新規記載項目といたしましては、グループホーム等の居住支援機能に二十四時間の相談受け付け機能を組み合わせた地域生活支援拠点を、市町村または各障害保健福祉圏域に少なくとも一つ整備するという内容や、児童福祉法に基づく障害児通所支援や障害児入所支援などの障害児支援体制の整備及び年に一回、計画の実績把握や分析評価を行うPDCAサイクルの導入について盛り込むことといたしております。
県といたしましては、障害の有無にかかわらず、身近な地域でともに生き生きと暮らせる社会を実現できるよう、必要となる施策を第四期計画に盛り込み、着実に取り組んでまいりたいと考えております。
次は、女性の活躍促進についてお尋ねをいただきました。
本県では、あいち女性の活躍促進プロジェクトチームの検討を踏まえ、女性の活躍促進プロジェクト事業を全庁挙げて積極的に推進をしているところであります。
これまでの主な成果といたしましては、五月に開設をしたあいち子育て女性再就職サポートセンターにおいて、出産や育児などで離職をした多くの女性の相談に対応するなど、再就職につながる支援の強化を図っております。
また、八月に開催をした女子中高生に理系進学を促すシンポジウムでは、参加者から理系への関心が深まったとの声を多くいただいており、本県の主要産業である製造業等で活躍していただく女性技術者や研究者の拡大を図る上で大変有意義であったと考えております。
さらに、経済団体、労働団体、企業の代表者等を構成メンバーといたしますあいち女性の活躍促進会議におきまして、先月二十九日にあいち女性の活躍促進行動宣言を採択いただくとともに、個別企業等の女性の活躍促進に向けた宣言を募集していくことについて賛同いただいたことは、大きな前進であったと考えております。
今後、促進会議のメンバーの協力もいただきながら、宣言企業等をふやしまして、企業トップの意識改革を含めた一層の機運醸成を図ってまいります。
また、女性管理職養成セミナーや男性管理職等の理解を深めるワークショップを開催し、企業等における女性の活躍に向けた環境の整備を進めるとともに、病児・病後児預かりモデル事業などによる保育サービスの充実や、イクメン応援キャンペーンの実施といった仕事と家庭との両立支援の強化などにも取り組んでまいります。
女性の活躍促進は、本県の発展にとって不可欠であるとの認識のもと、今後ともさまざまな課題に着実に取り組み、女性が元気に働き続けられる愛知の実現を目指してまいります。
続いて、国土強靱化に関する県の取り組みについてであります。
本県におきましては、南海トラフ地震を初めとしたさまざまな自然災害のリスクが想定されます一方で、人口が集中する大都市地域、物づくりを中心とした産業集積、国内外との物流ネットワークのかなめ、高速交通網の結節点といった社会にとっての重要な機能が集中をしております。大規模災害発生時にこれらの機能を維持することは、本県のみならず国全体にとっても重要な課題であります。
このため、本県では、名古屋市と共同で国の国土強靱化地域計画策定モデル調査に応募したところでありまして、全国に先駆け、早期に愛知県の国土強靱化地域計画を策定してまいりたいと考えております。
とりわけ、今年度は、新たな南海トラフ地震の被害予測調査結果を公表したところであり、地震・津波を対象リスクとした地域計画案を取りまとめてまいります。
地域計画案の検討を進めるに当たりましては、庁内組織として、私を本部長といたします愛知県地域強靱化推進本部を設置してまいります。また、広範な分野の意見を伺うために、学識経験者で構成をする愛知・名古屋地域強靱化有識者懇談会や、国、市町村、ライフライン事業者、地域団体、経済団体等で構成をする愛知・名古屋地域強靱化検討会議を設置いたします。
さらに、来年一月ごろには、地域における国土強靱化をテーマとしたシンポジウムを開催し、県民意識の醸成を図ってまいります。
こうした取り組みを通じまして、年度内に地域計画案を取りまとめ、来年度早々にパブリックコメントを実施した上で地域計画を策定し、人命の保護が最大限図られ、重要な機能が維持される強靱な地域づくりに向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
最後になりましたが、木藤議員から冒頭で御質問をいただきましたあいちビジョン二〇二〇につきまして御答弁を申し上げます。
私は、知事就任以来、東日本大震災への対応を初め、歴史的円高に伴う産業空洞化対策といった直面するさまざまな課題に対し、常にスピード感を持って全力で対応してまいりました。
その一方で、愛知の持つ日本一の産業力をさらに高めていくことこそが、日本の成長をリードし、そして、県民福祉の向上にもつながるとした一貫した信念のもとに、企業誘致や次世代産業の振興など、愛知の将来の発展に向けた種をまき、また、その芽を着実に育ててきたところでございます。
ことし三月に策定をいたしましたあいちビジョン二〇二〇でも、そうした認識のもとに、中京大都市圏という形で、リニア開業によって生まれる五千万人の大交流圏の西の拠点として、産業の革新・創造拠点としての役割を担いながら、人、物、金、情報を呼び込み、発展をしていく大都市圏づくりの方向性をお示ししたところであります。
そして、このような大都市圏づくりを展開し、輝かしい愛知を実現していく上で礎となるのは、やはり人であります。人が輝く愛知を目指し、次代を担う子供・若者の育成はもちろん、女性の活躍促進、そして、障害のある方が地域でともに暮らせる社会の実現など、全ての人が夢と希望を持ち、活躍できる人づくり、愛知づくりに取り組んでまいります。
先日発表いたしましたビジョンの三カ年の実施計画でも、こうした考え方に沿って、ビジョンで掲げた十二の重要政策課題に対応した五百四十一に及ぶ施策の具体的な取り組みの工程をお示ししたところでありまして、これらの施策を一つ一つ着実に実行し、日本一の元気を県民の皆様の暮らしの豊かさにつなげられるよう、引き続き全力で県政運営に取り組んでまいります。
そうした中で、県民の皆様の御理解、御支援が得られるのであれば、県民の皆様から与えられた任期をしっかりと十全に全うし、さらに、未来の愛知へも責任を担っていきたいと考えております。そして、皆様とともに日本一元気な愛知の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
以上、御答弁を申し上げました。
24:
◯警察本部長(
木岡保雅君) 県民の身近で発生する犯罪への対策についてお答えをいたします。
まず、住宅対象侵入盗につきましては、昨年まで七年連続で認知件数がワースト一位となっておりましたことから、連続して犯行を繰り返す犯行グループの早期検挙に努めるとともに、防犯カメラの設置促進などの各種抑止対策を強力に推進した結果、本年八月末の認知件数は、前年同期に比べ二九・九%減少したところであります。
次に、危険ドラッグについてでありますが、本県におきましても、乱用者による事件や交通事故などが発生しており、大きな問題であると認識しております。こうした状況を踏まえまして、本年七月十五日に私を長とする愛知県警察危険ドラッグ総合対策本部を設置し、関係機関との連携のもと、乱用者、販売店、交通事故を起こした者に対する取り締まりを積極的に行うなど、需要の根絶と供給の遮断に努めているところであります。引き続き各種法令を活用し、危険ドラッグの蔓延防止、被害防止に全力を挙げていきたいと考えております。
また、被害の増加に歯どめがかからない特殊詐欺につきましては、金融機関等と連携した窓口での声かけや、被害防止コールセンターを活用した注意喚起などにより発生の抑止を図るとともに、だまされたふり作戦による実行犯の検挙、犯行に用いられる他人名義の携帯電話や銀行口座を無力化するための取り締まりを強化しており、引き続きこうした取り組みを強力に推進してまいります。
私どもといたしましては、県民の安心・安全の確保は警察に課せられた重大な責務であると認識しており、県民の皆様方にもこれを実感していただけるように、関係機関、団体との連携のもと、引き続き各種対策を強力に推進してまいる所存であります。
以上でございます。
25: ◯教育長(野村道朗君) いじめの防止等の取り組みについてお尋ねをいただきました。
このたび策定をいたしました愛知県いじめ防止基本方針でございますが、これは県立学校及び私立学校を対象といたしておりまして、学校、家庭、地域や関係機関等が連携して、いじめの未然防止や早期発見、いじめが起きた際の措置を適切に行うための関係者の責務や県として取り組むべきことについて、その大枠を示したものでございます。
小中学校を所管する市町村につきましては、まだ多くが基本方針を定めていない状況でございますので、県の基本方針を市町村にも周知をいたし、策定の参考にしていただきたいと、このように考えております。
本県のいじめ問題に対応する体制の整備といたしましては、まず、いじめ防止等に関する機関の連携を図り、いじめ問題に実効的に取り組むため、弁護士、臨床心理士、福祉関係者等による愛知県いじめ問題対策連絡協議会を設けていくことといたしております。
また、県立学校や私立学校におきまして重大ないじめ事案等が発生した際に調査を行う教育委員会や知事の附属機関も設置をすることとしておりまして、今議会で設置条例案の御審議をお願いしているところでございます。
また、学校や市町村の取り組みへの支援につきましては、県としても、道徳教育や体験活動の充実を初め、スクールカウンセラーの配置拡充、いじめ対応支援チームの派遣、さらには教員の指導力向上など、さまざまな支援策を講じてまいりたいと考えております。
今後とも、県といたしましては、いじめ防止対策推進法の趣旨を踏まえまして、いじめをしない、させない、見逃さないための幅広い取り組みを社会全体で推進するために積極的な役割を果たしてまいりたいと、このように考えております。
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26: ◯三十九番(
須崎かん君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十五日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
27:
◯議長(
三浦孝司君)
須崎かん議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
28:
◯議長(
三浦孝司君) 御異議なしと認めます。
明九月二十五日午前十時より本会議を開きます。
日程は
文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十六分散会
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