愛知県議会 2013-12-01
平成25年12月定例会(第2号) 本文
日本では、結婚・出産・子育て期に家庭と仕事の両立が困難である等の理由から離職する女性が多く、就業率が三十歳代、四十歳代前半を谷としたM字カーブを描くことが指摘されており、厚生労働省が平成二十三年に実施した調査では、結婚前に就業していた女性のうち約三割が結婚を機に離職し、第一子出産でさらに約四割の女性が離職するとのデータがあります。
そうした中、国の成長戦略の中核に女性の活躍推進が掲げられ、女性が活躍できる環境整備の推進が喫緊の課題となっており、あらゆる分野における取り組みが求められております。
また、政府は、指導的地位に占める女性の割合を二〇二〇年までに少なくとも三〇%程度とする目標を掲げていますが、民間企業等における役員や管理職に占める女性の割合も、昨年、民間調査機関が実施した調査によれば、この地域は全国的にも低いという実態が明らかとなっております。
そこでお伺いいたします。
本県では初の女性副知事である吉本副知事を迎えるとともに、県庁内にあいち女性の活躍促進プロジェクトチームが設置されました。今後、本県の女性の活躍促進施策に期待するところでありますが、あらゆる分野で女性の活躍を促進させるために、課題をどのように認識され、今後どこに重点を置いて取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、子育て支援対策についてお尋ねいたします。
本県の合計特殊出生率は、直近のデータである平成二十四年は一・四六と近年回復傾向にはあるものの、人口を安定的に維持できる二・〇七を大きく下回っており、依然として少子化傾向が続いております。
ゼロ歳から十四歳までの年少人口の割合は、平成二十四年十月現在一四・三%であったものが、二十八年後の平成五十二年には一一・三%になると予測されております。
こうした少子化の進行は、高齢化と相まって人口構造にひずみを生じさせ、社会保障制度の担い手不足や経済力の低下をもたらすことが懸念されているところであり、特に産業立県である本県の経済力を維持、発展させていくためには、女性が能力を十分発揮し、経済、社会に参画する機会を拡充していく必要があります。
このため、出産後も安心して家庭、育児と仕事を両立できるよう保育環境を整備していくことが不可欠であり、待機児童対策を初めとした保育サービスの充実が必要と考えます。
本県においては、これまで保育の実施主体である市町村と連携し、地域の実情に応じて計画的な保育所整備などに取り組まれているところであり、保育所待機児童数は、平成二十五年四月一日現在四百五十二人と、前年同期と比べ七百五十五人もの大幅な減少となっており、一定の成果を上げているものと思います。
しかし、放課後に児童館や学校の空き教室などで小学生を預かる放課後児童クラブ、いわゆる学童保育については、平成二十五年五月一日現在の待機児童数は五百六十七人となっており、前年同期と比べ百九十一人増加しております。
さらに、平成二十一年に内閣府が実施した少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査によりますと、保育所のサービスで望むこととしては、待機児童の解消に次いで病児・病後児保育の充実が挙げられており、働く女性にとって、核家族化等によりいざというときに頼れない状況は、就労継続の大きな支障となっていると考えます。
そこでお尋ねいたします。
今後、保育所はもちろんのこと、学童保育の整備拡充や病児・病後児への対応など、保護者の多様な保育ニーズにきちんと応えていくことが必要ですが、保育サービスの充実についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、県民の環境保全活動の推進についてお尋ねいたします。
さきの九月議会で、あいち森と緑づくり税条例が一部改正され、課税期間が平成三十年度まで五年間延長されました。この森と緑づくり税を活用した事業では、本県の森と緑を県民共有の財産として将来に引き継ぐため、平成二十一年度から、県内の人工林や里山林、都市の緑を整備、保全するとともに、多様な主体による自発的な森や緑の保全活動や環境学習を進めており、成果もおさめていると認識しております。
この事業の一つに、県民参加型の環境保全活動、環境学習の取り組みがありますが、里山保全のための間伐体験や森林生態系の保全について学ぶ環境学習など、NPO、ボランティア団体などが自主的に行う環境保全活動等に多くの県民の方々が参加しておられます。
私も、幼児教育に携わる身として、幼稚園の子供たちと親御さんと一緒に県民参加型の環境活動である猿投の森づくりの会の主催による森の探検隊と銘打った自然体験イベントに毎年参加しており、親子が自然観察やドングリ、葉っぱを使ったクラフト制作などを楽しむうちに、猿投の森づくりの会の方々の自然を守り育てる熱意と活動に触れる機会となっています。
こうした県民参加型の自主的な環境活動は、森や緑づくりの活動だけではなく、河川や海岸の清掃、あるいは干潟の生き物調査などさまざまな活動にわたり、多様な担い手によって行われるようになってきております。
これらの活動は、来年十一月に開催されるESDユネスコ世界会議の趣旨と同様であり、本県としても大変有意義なことと感じております。
そこでお伺いいたします。
こうした県民参加による自主的な環境活動がさらに全県に広がっていくことが重要だと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、スポーツ大会を生かした地域振興についてお尋ねいたします。
今年度、知事は、全国、世界に打ち出せるスポーツ大会を育成、招致するとともに、その取り組みを地域活性化の起爆剤としていくため、有識者によるあいちスポーツ事業振興研究会を立ち上げ、スポーツ大会の育成、招致策やその推進体制などについて検討されており、活発な議論が行われているとお聞きしております。
去る十月二十六日と二十七日に開催された新城ラリー二〇一三においては、県の全面的なバックアップのもと、メーン会場を県営新城総合公園に移し、ラリーカーが疾走する姿を間近で見られるよう、公園内に競技区間を設けるとともに、金山総合駅のアスナル金山におけるプレイベントを初め、情報誌への特集記事の掲載や、インターネットによる情報発信など、幅広い事前PRを展開されました。
こうした取り組みが功を奏し、初日は台風の影響があったにもかかわらず、二日間で過去最高を記録する四万二千人もの方々が新城総合公園に来場されました。
会場では、ラリーの迫力を存分に味わうことができたのはもちろんのこと、地元のグルメや特産品の販売など、地域の魅力を楽しむことができるイベントも開催され、東三河地域の魅力や、ふだんは味わうことのできない自動車の楽しさを知っていただくことができたと伺っております。
また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、スポーツへの関心が高まっている中、こうした県の取り組みがさらに拡大していくことで、スポーツ大会が愛知の魅力を全国、世界に知らしめる手段となり、地域の活性化につながっていくことを期待しております。
そこでお尋ねをいたします。
研究会での検討状況や新城ラリーの成果を踏まえ、スポーツ大会を生かした地域振興について、今後どのような取り組みを進めようとしているのか、知事の御所見を伺います。
次に、航空宇宙産業の振興と県営名古屋空港の今後の取り組みについてお伺いいたします。
まず、航空宇宙産業の振興についてであります。
平成二十三年十二月に、愛知、岐阜地域は、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区として国の指定を受けました。また、この十月には、これまでの地域に加え、三重にまでエリアを広げるとともに、従来の大手企業中心の特区区域に、それらの企業を支える中堅・中小サプライヤーを対象に加えることができました。さらに、知事は、長野県、静岡県への区域拡大に向けた準備を進めると表明されております。
特区が目指す将来イメージは、現在、ボーイング社、エアバス社といった海外メーカーで占められている民間航空機の完成機メーカーの地位に我が国の企業が加わり、二次下請とされる企業が一次下請企業となるとともに、中堅・中小企業を含めたクラスター全体の裾野を広げるものと伺っております。
こうした中、県は、今年度から県営名古屋空港隣接地において、民間航空機の生産・整備拠点を誘致するプロジェクトに着手され、今議会には、その用地となる国有地の購入費を盛り込んだ補正予算が提案されております。このプロジェクトを実現させることで特区構想の実現に大きく貢献し、当地の航空宇宙産業が国際競争力をつけていくことにつながるものと期待しております。
そこでお伺いします。
民間航空機の生産・整備拠点の誘致プロジェクトの進捗状況と、今後、このプロジェクトにどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお尋ねします。
続いて、民間航空機生産・整備拠点に隣接する県営名古屋空港についてであります。
県営名古屋空港では、現在、FDA(フジドリームエアラインズ)が青森、いわて花巻、新潟、高知、熊本、福岡の六都市へ十四便就航し、昨年度の旅客数は約五十万人と開港以来最高となりました。
平成二十二年四月、日本航空が経営再建のため、名古屋空港からの全面撤退を表明した際には、県営空港の先行きを大変心配したところです。
そうした中、同年十月からFDAが就航し、現在は、この地域の航空会社としてしっかりと運航されておりますが、これは航空会社の努力はもちろんのこと、地域を挙げて積極的な利用促進に取り組まれてきた成果であると思います。
また、名古屋空港では、開港以来、コミューター航空の維持、定着や、旅客の利便性の向上を目的として、条例により着陸料、事務室使用料及び駐車料金の減免措置を講じており、こうした支援も現在の路線維持につながっていると思います。
航空業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況があります。今後もFDAがこの地域の航空会社として定着し、路線を維持していくためには、こうした支援を継続することもまだまだ必要と考えます。
そこでお尋ねいたします。
今後、県営名古屋空港は、航空機産業の拠点とコミューター航空の拠点という二つの役割を両立しながら運営されるべきと考えますが、今年度末が期限とされている着陸料や駐車料金等の減免措置について、どのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いします。
質問の第二は、安心・安全な暮らしの実現についてであります。
まず、重症心身障害児者に対する支援方針についてお尋ねをいたします。
私の地元春日井市にあります愛知県心身障害者コロニーは、現在、地域医療再生基金を活用し、障害者医療の拠点として、地域で生活する障害のある方を支援する療育医療総合センターへと改築、再編整備が進められています。
こうした中、去る十月十六日、大村知事から平成二十七年秋ごろに、一宮市内において、本県で初めてとなる民間による重症心身障害児者の入所施設が新たに開設されるとの発表があり、また、十一月十四日には、基金を創設して障害者の福祉施設等を拡充するための施設整備費に充てることとしたい旨の発表もありました。
これらの背景には、本県の重症心身障害児者の施設は、人口一万人当たりの病床数が、本年四月現在において、全国最下位であり、今後民間による整備をさらに推進していく必要があるためと理解しております。
御自宅で、重度の障害のあるお子さんを介護してみえる親御さんからは、「重い障害のある我が子の介護を続けているが、自分も年をとっていく。自分の体が動く間はいいが、自分が介護できなくなったら、この子はどうなるかを考えると不安です。」という声もお聞きいたします。
現在、本県において、重症心身障害児者の方が入所できる施設は、二カ所の県立施設と二カ所の国立病院機構の病院でありますが、その配置を見ますと、名古屋市内に二カ所、尾張北部地域に一カ所、東三河地域に一カ所となっております。
今回の一宮市での整備のほか、岡崎市にあります県立の第二青い鳥学園の移転改築にあわせた重症心身障害児者の病床整備に加え、名古屋市においても施設の整備が進んでいるとのことであり、重度の障害のある方々がより身近な地域で適切な医療と介護を受けられる体制づくりが進むことは非常に心強いことだと思います。
そこでお尋ねいたします。
全県的な拠点として再編整備が進められている心身障害者コロニーは、こういった施設が体系的に機能していくための中心的な役割を担っていく必要があると考えますが、今後どのように重症心身障害児者の支援を行っていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、犯罪抑止対策についてお尋ねをいたします。
本県では、安全で安心して暮らせる愛知を目指し、平成二十四年に策定したあいち地域安全戦略二〇一五に、刑法犯認知件数を対前年比で毎年五%以上減少させ、平成二十七年までに十万件以下にするとの目標を掲げ、県民総ぐるみ運動の展開など、さまざまな取り組みが実施されております。
その結果、平成二十五年十月末の刑法犯認知件数は八万二千二百二十八件で、前年と比べ七・一%減少しており、目標を二年前倒しで達成可能なところまで来ています。
警察におかれましても、犯罪の抑止を最重要課題に掲げ、県と連携した四季の県民運動の実施や防犯情報の提供により防犯意識の高揚を図るとともに、防犯カメラの設置促進など犯罪の起きにくい環境づくりに努められております。
また、五年連続全国ワースト一位であった自動車盗につきましても、イモビカッター等の所持に関して、全国に先駆けて条例で規制したほか、自動車メーカーと連携した盗品照会システムを新たに導入するなど、現時点でワースト一位を返上しており、こうした取り組みが自動車盗を初めとする多くの犯罪の認知件数減少につながっていると思います。
しかし、その一方で、県内の犯罪状況を見てみますと、刑法犯全体が減少する中、最も安心できる場所である住宅を対象とした侵入盗被害が六年連続でワースト一位となっており、また、性犯罪についても、昨年に比べ百四件、約三割も増加しているなど、県民の日常生活に大きな不安を与える犯罪が多発し、安全で安心して暮らせる愛知にはまだ多くの課題が残されています。
そこでお伺いいたします。
最近の犯罪情勢を踏まえ、安全で安心して暮らせる愛知の実現に向けて、住宅を対象とした侵入盗など県民の身近に発生する犯罪に対し、どのような取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。また、あわせて警察本部長の御所見をお伺いします。
質問の第三は、次代を担う人づくりについてであります。
まず、知的障害特別支援学校の過大化についてお伺いします。
今年度、文部科学省が行った全国の学校基本調査の結果によりますと、小学校、中学校、高等学校の児童生徒数がいずれも昨年度を下回る中で、特別支援学校は過去最高を更新しました。特別支援学校の児童生徒数増加の主な要因は、知的障害特別支援学校の児童生徒数の増加によるものであり、特に高等部の生徒の増加が著しくなっていますが、こうした状況は本県においても同様であります。
しかも、本県は、もともと学校規模が大きかっただけでなく、校舎の増築や特別教室の普通教室への転用で対応してきたという経緯もあって、全国の知的障害特別支援学校の中で児童生徒数の多いいわゆる大規模校十校の中に愛知県立の学校が六校も入っております。
大規模な学校が必ずしもいけないわけではありませんが、問題は、学校の施設が児童生徒の数に対して適正なものになっていないということであります。
私の地元にあります春日台養護学校では、昭和四十四年の開校以来、年々児童生徒数が増加してまいりましたが、特にここ数年は高等部の生徒を中心に著しく増加しました。今では、四百四十四名の幼児、児童生徒が通学する全国で五番目の大規模校となり、教室の不足が顕著で、学校現場では教室の確保に大変な苦労をしています。
私も学校の様子を見させていただきましたが、特別教室を普通教室に転用したり、一つの部屋を間仕切りで区切り二学級で利用したりするところまで来ています。今後も児童生徒の増加が見込まれるとあっては、保護者の不安は高まるばかりで、現在の状況を早急に改善してほしいとの声が私のもとにも数多く届いています。
学校規模の過大化による教室の不足や教育環境の悪化は、県内の他の知的障害特別支援学校においても同様な状況であります。子供たち一人一人のニーズに合わせて的確な指導をしていけば、保護者の大きな願いでもある、その先の就職につながっていくものと考えます。
就職した方々がおっしゃることは、働いて、私たちも税金を納めることができた、それが一番うれしいということです。社会の一員として役に立つという生きがいを持つことは、一人一人の自立につながります。そのためには適切な教育環境を整えることが大変重要であり、知的障害特別支援学校の新設など、早急に抜本的な対応を図る必要があります。
そこでお尋ねをいたします。
今後どのようなお考えで知的障害特別支援学校の過大化解消を図られようとしているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
次に、愛知総合工科高等学校の開校についてお伺いします。
愛知総合工科高等学校は、平成十九年に計画が発表され、豊富な実習や、大学、産業界と連携した専門的な学習により、実践的な物づくり教育を行い、本県の工業教育の中核を担う高校として期待されています。
また、三年制の全日制本科に加えて、高校を卒業した後二年間の教育課程を持つ専攻科を設置することとしております。この専攻科では、より高度な技術、技能を身につけ、卒業後即戦力として活躍でき、生産現場の牽引役となる人材の育成を目指しており、本県産業界にとっても開校が待ち望まれています。
平成二十年秋のリーマンショック等による財政状況の悪化により、開校を一年延期することとなりましたが、その後は平成二十七年四月の開校に向け、順調に準備が進んでいると伺っておりました。
ところが、校舎建築のための入札において、七月に続き、十一月も労務費や資材価格の高騰、建設作業員の不足などにより参加業者が辞退し、入札不調となったことから、平成二十七年四月の開校がさらに一年延期され、平成二十八年四月の開校を目指すとの発表が去る十一月二十二日に行われました。このことは、愛知総合工科高等学校に入学したいと期待して勉強に励み、開校を待ち望んでいた現在の中学二年生の生徒たちの夢を潰してしまうことになります。
また、専攻科を目指す高校二年生に対しても、より高度な技術や技能を身につけ、将来のスペシャリストとして活躍を夢見た生徒の思いに応えられない結果となり、大変残念に思います。次代を担う生徒たちの夢と希望を第一に考え、それをしっかりとバックアップすることが教育委員会の本来の仕事であるはずです。
たとえ入札不調という事態があったにしても、開校延期という結論を迅速に出すのではなく、教育委員会の総力を挙げて知恵を絞り、開校を待ち望む生徒たちに影響が生じないように慎重に対処すべきと考えます。
そこでお尋ねいたします。
教育委員会として、入札不調になってから開校延期を発表するまでの間、どのような議論が行われ、その判断に至ったのか、教育長にお伺いします。
また、初年度の募集定員を少なくしたり、仮設校舎の建設、空き教室の活用などの工夫により、平成二十七年四月に開校することや、愛知工業高校へ入学後、二年生から愛知総合工科高校へ編入させることなど、柔軟な措置を講じ、生徒たちに影響が生じないように対応すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
質問の最後は、行財政運営についてであります。
まず、新しい地域づくりビジョンについてお伺いいたします。
これからの愛知の中長期の方向性を示す新しい地域づくりビジョンの骨子が十一月十二日に示されました。その骨子では、二〇三〇年の社会経済を展望した上で、目指すべき愛知に係る三つの視点、そして、その目指すべき愛知を実現するため、県政全般にわたる十二の重要政策課題や主な政策の枠組みとともに、尾張、西三河、東三河の三地域別の将来像や課題などの骨格も明らかになりました。
ビジョンが展望する二〇三〇年の社会を改めて考えてみますと、私たちの暮らしに最も大きな影響を及ぼす構造変化といえば、やはり人口減少、高齢化の問題であります。
二〇一五年を境に本県も人口減少に転じることが予測されており、さらにその先の二〇二四年ごろには、団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者となるなど、今後こうした人口構造の変化に伴う課題が一気に表面化してくることが見込まれますので、今からしっかり備えていかなければなりません。
また、グローバル化という視点で見ますと、世界の市場が大きく拡大していくことは、製造業を中心に、強い産業力を持つ愛知にとっては大きなチャンスである一方、新興国との競争激化や、国内の産業構造の変化が今後さらに進んでいくことも見込まれ、そうした変化に対応していくことが求められます。
さらに、この地域の将来に大きな影響を与えるビックプロジェクトも進行しております。二〇二七年のリニア中央新幹線の東京─名古屋間の開業に加え、二〇二〇年の東京オリンピックの開催も決定いたしました。
こうしたプロジェクトの中で愛知が埋没してしまうことのないよう、しっかりとした戦略を持って地域づくりに取り組んでいかなければなりません。
このたびのビジョン骨子では、社会経済の変化をしっかり捉え、五千万人リニア大交流圏の西側の拠点となる中京大都市圏を初め、産業の革新・創造拠点、誰もが活躍する社会、といった三つの目指すべき姿を示されたところであります。
今後こうした将来像の実現に向けてさらに肉づけし、最終的なビジョンとして取りまとめられるものと思います。
そこでお尋ねいたします。
新しい地域づくりビジョンの策定に向けて、どのような思いを込め、取りまとめようとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、県税収入の見通しと、今後の財政運営について伺います。
まず、県税収入の見通しについてお伺いします。
県税収入に大きな影響を及ぼす我が国の景気は、企業の業績が改善し、設備投資も上向いていることなどを背景に緩やかな回復が続いております。特に製造業が集まるこの地域においては、主力の自動車や自動車部品の米国向けの輸出が堅調に推移するとともに、夏のボーナスがふえるなど雇用・所得環境が改善し、個人消費も上向き始めております。
また、企業収益の状況を見ましても、上場企業のことし九月中間決算は、円安効果や好調な内外の需要を追い風に好決算の企業が相次ぎ、来年三月期の通期業績予想も、全体では経常利益がリーマンショック前の九割の水準まで回復する見通しになっております。
アベノミクスがスタートしてからおよそ一年が経過し、我が国の景気は、このように支出、生産、所得の好循環が動き始め、この先も家計所得や投資の増加傾向が続き、景気回復がより確かなものとなることが期待されるところであり、県税収入についても、企業収益の回復を反映して法人二税の増収が期待されるとともに、来年四月から地方消費税の税率が一%から一・七%へ引き上げられることによる増収も見込まれるところであります。
そこでお尋ねをいたします。
こうした最近の景気情勢などを踏まえ、今年度及び来年度の県税収入について、どのような見通しを持っておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、今後の財政運営についてであります。
地方消費税につきましては、来年度から〇・七%引き上げられることになりますが、その引き上げ分については、全額を社会保障の施策に要する経費に充てることとされています。また、地方消費税を含む消費税率が五%から八%に引き上げられることに伴って、歳出に係る税負担がふえることにも留意する必要があります。
こうして見ると、地方消費税が増収になったとしても、直ちに本県の財政状況が好転するわけではありません。やはり景気が上向き、法人税収が増加することが重要であると考えます。
本県は、平成二十年秋以降の世界的な経済危機の影響で約五千億円もの県税収入の減収に見舞われ、非常に厳しい財政状況に陥りました。このような中でも、地域経済の活性化に継続して力を注ぎ、企業誘致などに積極的に取り組まれてきたその成果が実を結び、法人二税の増収に大きな期待ができる状況になってきたところです。
しかし、現在国においては、税制改正に向けて、地方法人課税の見直しに関して、これまでと同様の法人事業税を用いた偏在是正制度を容認するとともに、都道府県及び市町村の法人住民税法人税割の一部を国税化して交付税原資とする提案が行われています。
地方法人二税の国税化は、受益と負担という税負担の原則に反し、地方分権改革の流れに逆行するものであり、本県が取り組んでいるような地方の企業誘致、地域経済活性化へのインセンティブを損ない、地方の自主的な努力を阻害するものであって、到底受け入れることはできません。
我が党県議団としても、先月十三日に在京の本県選出国会議員、十四日には党本部で自民党幹事長に面会し、この法人事業税の暫定措置を確実に廃止して、地方税として復元すること、また、法人住民税法人税割の国税化を行わないことを強く要望してまいりました。
また、今定例会の開会日には、同趣旨の意見書を県議会として全会一致で議決し、国に対し提出したところであります。
そこでお伺いします。
地方法人二税の国税化に対して、知事はどのような活動をし、今後どのように活動されるおつもりかお伺いいたします。
また、仮に国税化されるとすると、本県財政のみならず、県内市町村にも大きく響くと思われますが、どのような影響を受けるとお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、行財政改革の推進についてお伺いいたします。
本県においては、厳しい財政状況に対応するため、累次の行革大綱に基づき、長年にわたって積極的に行財政改革が進められてまいりました。
また、平成二十三年十二月には、現行の第五次行革大綱を深掘りした行革大綱に係る重点改革プログラムが策定され、そこに掲げられた四十六の重点改革項目について、より徹底した取り組みが推進されております。
我が党県議団は、行財政改革の推進につきまして、プロジェクトチームを設置して調査を行い、平成二十二年度、二十三年度の二カ年にわたり、行革推進に関する提言を知事に提出いたしました。
この提言は、行革とは、単なる事業の縮小、廃止ではなく、真に必要な事業に重点化することで、新たな政策展開に必要な財源、人材を捻出する取り組みであるとの認識のもと、取りまとめたものであります。
個別的事項につきましても、例えば、愛知こどもの国については、「施設の存続を希望する地元西尾市と積極的に連携し、創意工夫による利用者拡大のための思い切った取り組みを早急に行うべきである。」とし、また、税の滞納整理については、「市町村との連携により積極的な滞納整理に努め、徴収率の向上を図るとともに、現在、地方税滞納整理機構に未参加の市町村の理解を得て、参加拡大の取り組みを推進されたい。」とするなど、具体的な提案をさせていただきましたが、この提言内容につきましては、おおむね重点改革プログラムに掲げられた項目内容に反映していただいたところであります。
これまで継続的に進められてきた行財政改革が大きな成果を上げていることについては、我が党県議団として高く評価するものでありますが、なお、依然として厳しい財政状況が続く中、第五次行革大綱や重点改革プログラムに掲げた改革項目の着実な具体化、実現を大いに期待しているところであります。
そこでお尋ねいたします。
県は、第五次行革大綱及びそれを深掘りした重点改革プログラムに基づき行財政改革を推進しておられますが、現在までの達成状況について、知事の御所見をお伺いいたします。
さらに、第五次行革大綱の計画期間は平成二十六年度までであり、来年度が最終年度であります。これからの一年余りの間に第五次行革大綱に基づく取り組みの総仕上げを行っていただく必要があります。
また、第五次行革大綱の計画期間の終了に向けて、その後の行財政改革の推進の方向性を定めていかなければなりません。引き続き財政の健全化を進めていくことはもとより、さまざまな社会経済環境の変化にもしっかりと対応していくためには、より一層知恵や工夫を凝らし、行財政改革を進めていく必要があります。
そこでお尋ねいたします。
第五次行革大綱の計画期間は来年度、平成二十六年度までとなっておりますが、その後の行財政改革の推進についてどのようにお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。知事並びに理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
4:
◯知事(
大村秀章君) 自由民主党県議団の
神戸洋美議員から御質問をいただきました。順次お答えを申し上げます。
初めに、女性の活躍促進につきましてお尋ねをいただきました。
少子・高齢化の中、社会経済の持続的発展のためには、女性の活躍が不可欠でございまして、女性の力を最大限発揮できるようにするには、性別による役割分担意識の解消、女性が働き続けられる就労環境の整備、働きながら安心して子供を育てる保育環境の整備などが大変重要な課題であると認識をいたしております。
このような課題に対応するため、女性の活躍に向けた機運の醸成や、女性の活躍が企業の経営戦略となる考え方の浸透、出産・育児等で離職した女性の再就職支援、ワーク・ライフ・バランスの推進、保育サービスの一層の充実などに重点を置いて取り組んでいく必要があると考えております。
あいち女性の活躍促進プロジェクトチームでは、こうした取り組みの一つとして、まずはワーク・ライフ・バランスの推進に向け、男性の育児休業等の取得を促進するため、あいちイクメンプロジェクトの第一弾として、本県男性職員の育児参加を職場全体で支援する取り組みを今月から実施することといたしました。
今後とも、プロジェクトチームでの検討を重ね、取り組みが具体化したものから速やかに実施をしていくことで、女性が元気に働き続けられる愛知の実現に向けてしっかり取り組んでまいります。
次に、子育て支援対策についてであります。
本県では、少子化対策の基本計画でありますあいちはぐみんプランに基づき、市町村と連携してさまざまな子育て支援施策を着実に実施しているところであります。
今後、女性が出産後も安心して働ける環境づくりがますます重要になりますことから、県といたしましては、国の待機児童解消加速化プランにあわせて、保育サービスのさらなる充実に速やかに取り組んでいかなければならないと考えております。
特に、保育所や待機児童数が前年より増加している放課後児童クラブにつきましては、待機児童ゼロの達成に向け、市町村と連携をし、整備を進めてまいりたいと考えております。
また、御指摘のありました病児・病後児保育につきましては、昨年開催をいたしました知事と語る会におきましても、保護者の皆様方から切実な声を聞いておりますので、さまざまな課題はございますが、市町村を初め、地域の関係機関と協力をしながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
県といたしましては、子育て支援対策は県政の重要な課題と認識をしており、保育の量の拡大やそれを支える人材の確保、さらには事業所内保育の拡充など、民間の力の活用も図りながら、保育サービスの充実に積極的に取り組んでまいります。
次は、県民の皆様の環境保全活動の推進についてのお尋ねであります。
本県では、愛知万博、COP10の開催を契機として、県民の皆様の環境意識が高まり、県民参加の環境活動が多様な主体によって自主的に実施されるようになってきました。
中でも、あいち森と緑づくり環境活動・学習推進事業は、昨年度までに延べ三百二十一団体が二十一万三千人もの参加者を得て事業を実施しており、しかも、参加者は年々ふえている状況にあります。
私も、干潟の観察会や植樹活動などに参加した経験から、県民の皆様のこうした環境活動への参加意欲の高さを実感いたしております。
このため、県内各地で行われる多様な主体による自主的な環境活動を引き続き森と緑づくり税を活用して支援をしてまいります。
さらに、三河湾環境再生プロジェクト、生態系ネットワークの形成、海岸清掃活動など、県のさまざまな事業を県民の皆様の参加を得て実施するとともに、来年十一月のESDユネスコ世界会議開催に向けたさまざまな行催事を通じて、持続可能な社会づくりへの参加を促し、県内全域で県民の皆様による環境活動を広げてまいりたいと考えております。
続いて、スポーツ大会を生かした地域振興についてであります。
今回から県営新城総合公園をメーン会場に開催をした新城ラリーは、ファンはもとより家族連れも多く、過去最高の来場者となるなど、幅広い方々にラリーや奥三河の魅力を知っていただけました。今後も、全国、世界に発信できる大会になるよう支援をしてまいります。
また、来年三月の名古屋ウィメンズマラソンの中で新たに開催する車いすマラソンには、パラリンピックのメダリストなど、国内のトップアスリート九名の出場が決定をいたしました。これを契機に、ノーマライゼーションの観点からも世界に誇れる大会にしたいと考えております。
さらに、これらに続く大会として、有識者による研究会では、トライアスロンや、山間部を走るトレイルランニング大会などが挙げられておりますので、競技関係者とも連携をとりながら、その具体化に向けた検討を進めてまいります。
また、研究会では、大会の育成、招致活動を関係者が連携してワンストップで行うスポーツコミッションが有効であるとされておりますので、その設置の可能性についても検討してまいりたいと考えております。
こうした取り組みを着実に進め、スポーツ大会の持つ大きな集客力や発信力などを活用することで、この地域のさらなる活性化に努めてまいります。
次に、航空宇宙産業の振興についてお尋ねをいただきました。
アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区につきましては、この十月に新たに岐阜県や三重県の多くの地域をエリアに含め、企業等の数は、従来の大企業中心の三十一からサプライヤーさんも含めます百四十に拡大をいたしました。この中で、民間航空機の生産・整備拠点用地となる県営名古屋空港隣接国有地も新たに特区区域に指定をされたところであります。
当該国有地につきましては、先月、国有財産東海地方審議会で本県への売り払いを適当と認める答申がなされ、東海財務局より今年度内の売買契約の締結を予定していることが公表されました。
今後、議会の議決を得て、この国有地を取得し、隣接する県有地とあわせ、所要の整備を行った上で公募により決定する事業者に対しまして、来年度中を目途に提供をしてまいりたいと考えております。
一方、空港北西部に取得する国有地は、公共用駐機場等として活用してまいりたいと考えております。
県では、民間航空機の生産・整備拠点を整備することで、研究開発から設計、製造、保守管理までの一貫体制を持つフルセットのクラスターを形成し、当地がアメリカのシアトル、そして、フランスのトゥールーズに並ぶ航空宇宙産業の世界三大拠点となることを目指してまいりたいと考えております。
続いて、県営名古屋空港の今後の取り組みについてであります。
本県では、コミューター航空の維持、定着や、コミューター航空旅客の利便性向上の観点から、平成十七年の開港以来、着陸料、業務用施設使用料、航空旅客の駐車場使用料の減免措置を行っており、日本航空の撤退後、その路線を引き継いだフジドリームエアラインズに対しても、就航当初から同様の減免措置を行っております。
フジドリームエアラインズは、県営空港から国内六都市へ十四往復をし、二十三年度の旅客数は約三十二万人、二十四年度は約五十万人、さらに本年度は十月末で三十八万人を超えておりまして、利用者が順調に増加するなど、定着化は着実に進んでおります。
平成二十六年度以降の着陸料等の減免措置につきましては、コミューター航空の利用現況や、先ほど答弁で申し上げました民間航空機生産・整備拠点事業の進捗などを踏まえた上で、さまざまな観点から総合的に検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、県営空港が航空機産業の拠点と、コミューター
航空等小型機の拠点空港という二つの役割をしっかりと果たせるように取り組んでまいります。
次に、重症心身障害児者に対する支援方針についてであります。
本県には、重症心身障害児者の方が約二千七百人おみえになり、そのうち約八割の方が御家族の介護のもとで地域で生活をされております。こうした方々の家庭での介護をしっかりと支えるためには、障害の重度化や緊急時の対応はもとより、介護者の負担を軽減できるよう、身近な地域の施設で適切な医療や介護の支援が受けられる体制を整備することが喫緊の課題であります。
このため、身近な地域に重症心身障害児者の施設が必要でありまして、今後さらに民間による新たな施設の整備を促進する必要があると考えております。
先日発表いたしました障害者福祉減税基金につきましても、こうした民間の施設整備を後押しするためのものであります。
一方、現在、県では、心身障害者コロニーを障害者医療の拠点とするための再編整備を進めておりまして、改築後は、地域の重症心身障害児者の施設や、医療機関での対応が困難になった方々に専門的な医療や療育を提供し、御自宅や地域の施設へ戻れるよう適切な支援を行ってまいります。
さらには、地域で医療に携わる医師や看護師等に対しまして、障害者医療に係る専門的な研修を実施し、重症心身障害児者を支える医療人材の育成に努めるなど、心身障害者コロニーが中心となり、地域の医療機関や施設とのネットワークを構築し、重症心身障害児者の方々が安心して地域で生活していただく体制を整備してまいります。
次は、犯罪抑止対策についてのお尋ねであります。
刑法犯の認知件数は着実に減少しておりますが、県民の身近で発生し、大きな不安を与えるばかりか、生命と財産に多大な影響を及ぼす自動車盗や住宅対象侵入盗が依然として多発をしており、体感治安が改善されない要因となっております。
こうしたことから、これらの犯罪を引き続き重点的に抑止することが肝要であると考えております。このため、自動車盗対策といたしまして、自動車のセキュリティー対策を呼びかけるラジオコマーシャルを放送し、広く注意喚起を行ったほか、県民総ぐるみ運動において、ハンドル固定装置や警報装置など、盗難防止に役立つ機器の活用を働きかけております。
また、住宅対象侵入盗対策として、無施錠の危険性や犯行の手口とその対策を紹介する動画やリーフレットを配信、配布するとともに、商店街と連携をして、ワンドア・ツーロックを推進する補助錠などを配布して、住宅の防犯対策を呼びかけております。さらに、年末の県民運動に合わせ、今月一日の新聞各紙に侵入盗対策の特集を掲載したところであります。
今後とも、住宅対象侵入盗など、県民の身近に発生する犯罪への対策を強化し、安全で安心して暮らせる愛知の実現に努めてまいります。
次に、新しい地域づくりビジョンについてお尋ねをいただきました。
ビジョンが展望する二〇三〇年に向けましては、二〇二〇年の東京オリンピック開催や、二〇二七年のリニア中央新幹線の開業を大きな節目といたしまして、広域交通基盤の整備、産業のさらなる集積、そして、魅力の向上を図り、世界の中で存在感のある中京大都市圏を目指していく必要があります。
また、本県が二〇一五年ごろに人口のピークを迎え、その後、減少傾向に入ると推測をされておりますが、二〇二〇年代前半にはかつてない高齢社会に突入することを念頭に、誰もが生涯現役で活躍でき、安心・安全な地域社会を実現していかねばなりません。
こうした中長期の地域づくりを進めるに当たって、世界的な都市間競争に打ち勝つことのできる強い大都市圏をつくり、地域の経済活力を培っていくことが第一であり、それによって財政を豊かにし、教育、医療、福祉などの住民サービスを充実させていく好循環を生み出すことが大切であると考えております。
同時に、この好循環の源となる強い経済活力は、新たな雇用を創出し、県民の皆様方の豊かな暮らしを支えることはもとより、国内外からも人を呼び込むことで新たな市場を生み出し、再び地域経済の活性化につながっていくものであります。
こうした目標と戦略を持って、日本一元気な愛知と豊かな暮らしの実現につながるようなビジョンとして取りまとめてまいりたいと考えております。
次は、県税収入の見通しについてであります。
まず、本年度の県税収入についてでございます。
円安や株高、さらには内需の回復などにより、法人二税に影響を及ぼします企業収益が急速に改善をしており、個人消費も持ち直しておりますことから、法人二税や地方消費税がこれまでのところ順調に推移をいたしております。
したがいまして、今後、三月期決算法人の中間報告の状況などを見きわめる必要はございますが、現時点においては当初予算額を確保できるものと考えております。
続きまして、来年度の県税収入の見通しについてでございます。
平成二十六年三月期の企業収益につきましては、上場企業の通期の連結経常利益が本県の主要産業である自動車を初めとした製造業全体で前年同期比の四〇%の増、全産業ベースでは二七%の増と大幅な増益が見込まれております。
しかしながら、新興国経済の減速が懸念材料とされ、為替相場の先行きに対する警戒感もなお根強く、足元では、個人消費や輸出に一服感が見られるなど、決して楽観視はできない状況でありまして、加えて、来年四月からの消費税率引き上げ後の景気動向についても、これは十分注視をしていく必要があると考えております。
こうしたことから、今後、主要企業に対する聞き取り調査を行うとともに、税制改正による影響なども踏まえまして、来年度の県税収入の見込みを固めてまいりたいと考えております。
続きまして、地方法人二税の国税化に対する活動についてであります。
法人事業税の一部国税化については、受益と負担という税負担の原則に反し、また、地方分権改革の流れに逆行するものとして、本県は制度導入時から強く反対をしてまいりました。
企業誘致、地域経済活性化へのインセンティブを損なうものでもあるこの制度の即時撤廃と地方税への復元について、全国知事会などの場も含め、機会あるごとに本県の意見を主張してきたところであります。
また、今回提案をされました法人住民税法人税割の国税化につきましても、地方分権改革の流れに逆行するなど、法人事業税の一部国税化と同様の問題をはらんでおり、この提案がまとめられた十月末に、本県は反対である旨の声明を直ちに発表いたしました。十一月十五日には、私が先頭に立って、東京都、神奈川県、大阪府及び県内市町村とともに、政府に対し要請活動を行い、その翌週の二十日にも要請を行ってまいりました。
議会の皆様方におかれましても、今定例会の開会日に県議会として、地方法人課税の見直しについての意見書を御議決いただきました。感謝を申し上げます。
これから国におきましては、年末の税制改正に向けて急ピッチで議論が進み、詰めの議論が行われていくものと考えております。
引き続き本県の考えをしっかりと訴えてまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきまして、議会の皆様方には、強力な御支援と御指導を賜りますようお願い申し上げます。
続いて、仮に国税化された場合の影響についてであります。
法人事業税の一部国税化につきましては、廃止の上、法人事業税に復元することを基本としつつも、暫定措置として、現在と同様の偏在是正制度を補完的に措置せざるを得ない場合もあるとされており、制度が廃止されるかどうか不明でありますけれども、平成二十四年度の決算見込み額では、本県の影響額は二百二十二億円となっているところであります。
また、法人住民税法人税割につきましては、一部について交付税原資化を図ることが検討されておりますが、その規模が現段階では明らかにされておりませんので、本県及び県内市町村への具体的な影響額をお示しすることは困難であります。
しかしながら、本県内の市町村は、地方交付税の不交付団体が十三団体ありますが、法人住民税法人税割の国税化によって、不交付団体では地方交付税が増額されないことにより減収を来す市町村が発生をすることや、今度の制度設計いかんによりましては、交付団体でありましても、住民サービスを支える一般財源の増額にはつながらない可能性があることも大いに懸念されるところであります。
いずれにいたしましても、本県といたしましては、その影響額の多寡にかかわらず、受益と負担という税負担の原則に反することはもとより、地方税を充実するという地方分権改革の流れに逆行することは容認できないという正論をしっかりと主張してまいりたいと考えております。
次は、行財政改革の達成状況についてのお尋ねであります。
本県では、厳しい財政状況が続く中、第五次行革大綱及びそれを深掘りする重点改革プログラムに基づき、徹底した行財政改革に取り組んでいるところであります。
具体的には、自主財源の確保や施策の見直し、事務事業の工夫、改善などの取り組みを積み重ねる中で、第五次行革大綱による取り組みを開始した平成二十二年度から二十五年度までの四年間で職員定数四百八十四人の削減、公の施設二十三施設の廃止や移管などの結果を出しているところでございまして、行革効果額は一千百七十八億円に上ると試算をいたしております。
個別の取り組みでは、まず、公の施設につきましては、例えば、ふれあい広場で四施設、勤労福祉会館で六施設の廃止や地元への移管をいたしておりまして、今後も県としての役割を終えた施設の廃止や移管を進めてまいりたいと考えております。
愛知こどもの国につきましては、地元のNPOを管理運営主体として活性化を図るとともに、遊具の移譲など一部機能の見直しを行う改革案を本年三月に公表いたしたところでありまして、来年度から実行に移してまいります。
また、県有財産の有効利活用では、定期借地権の活用により、未利用地を特別養護老人ホームなどの福祉施設やコンビニエンスストアなどの事業用地として長期間貸し付ける取り組みを始めております。
複数の庁舎等を移転、集約する取り組みといたしましては、例えば、名古屋南部県税事務所の高辻庁舎に入居をしておりました高辻間税課を近隣の愛知県高辻センターの空きスペースに移転をさせ、高辻庁舎の跡地を隣接する大学教職員高辻住宅跡地とあわせて売却をし、約五億三千万円の収入を得ております。
また、市町村への権限移譲では、市町村の規模ごとに目標とする移譲モデルを示すことにより権限移譲を推進したところ、平成二十五年度からの三年間で百六十二事務を移譲する予定でありまして、これは平成二十四年度までの三年間と比較をして、二倍を超える移譲事務数となっております。
さらには、地方税滞納整理機構を県内六ブロックに設置をいたしまして、現在四十八市町村に参加をいただいておりますが、徴収困難であった事案を引き受けて、平成二十四年度には徴収率の当初目標三〇%でありましたが、これを大きく上回る五五・四%という成果を上げたところであります。
今後も、こうした取り組みを気を緩めることなく推進し、改革項目の具体化、実現を図ってまいります。
私から最後の答弁となりますが、来年度以降の行財政改革の取り組みについてであります。
これまでも本県では、行財政改革に全庁を挙げて取り組み、大きな成果を上げてきたところですが、財政状況は依然として厳しく、引き続き健全で持続可能な財政基盤の確立に向けた取り組みを推進していかなければなりません。
また、超高齢社会の進行や地方分権改革の進展など、県行政を取り巻くさまざまな環境が変化をしていく中で、県に求められる責任、役割を的確に果たしていくためには、より一層効果的、効率的な行政運営の実現を図っていく必要があります。
そこで、来年度中に平成二十七年度を取り組み期間のスタートとする次期行革大綱を策定いたしまして、第五次行革大綱の計画期間終了後も不断の行財政改革に全力で取り組んでいく所存であります。
以上、御答弁申し上げました。
5:
◯警察本部長(
沖田芳樹君) 犯罪の抑止対策についての御質問にお答えいたします。
議員お示しのとおり、県民に大きな不安を与える住宅対象侵入盗や性犯罪が最近増加しておりまして、こうした県民の身近で発生する犯罪を防ぐことは、県警に課せられた重要な責務であると認識いたしております。
住宅対象侵入盗につきましては、昨年後半から複数人による手荒な形態の犯行が急増したため、これに向けた取り締まりを強化した結果、一定の抑止効果も出ておりますことから、引き続きこうした検挙活動をさらに推進し、さらなる抑止につなげてまいります。
また、性犯罪につきましては、被害者の心情等に配慮した捜査活動により、事案の早期検挙と続発防止を図るとともに、不審者情報など前兆事案に迅速、的確に対処し、犯罪の未然防止にも努めてまいります。
また、県民の皆様方に地域の実態に応じた防犯情報を提供し、防犯意識を高めていただくほか、防犯ボランティア団体の活動支援や防犯カメラの設置促進など、犯罪の起きにくい環境づくりを進めてまいります。
こうした活動を強力に推進することによりまして、安全で安心して暮らせる愛知の実現を図ってまいりたいと考えております。
6:
◯教育長(
野村道朗君) 教育委員会には、初めに、特別支援学校の過大化についてお尋ねをいただきました。
知的障害特別支援学校につきましては、議員お示しの春日台養護学校を初め、多くの学校で過大化解消が喫緊の課題となっております。
これまで児童生徒数の増加に対しては、校舎の増設や特別教室の普通教室への転用等で対応してまいったところでございますが、そうした対応では限界に来ている学校が多くなっていると認識をいたしております。
このため、一宮東養護学校及び佐織養護学校につきましては、平成二十六年度の開校に向けて、県立いなざわ特別支援学校の建設工事を進めております。
また、豊川養護学校につきましては、平成二十七年度に豊橋市立の特別支援学校が開校予定となっておりまして、過大化の解消が図られる見込みとなっております。
その他の学校につきましても、過大化の解消のためには、学校の新設などにより対応を図っていく必要がございますので、本年度策定作業を進めております特別支援教育の推進計画に対応方針を示してまいりたいと考えております。
この計画につきましては、現在素案をまとめ、パブリックコメントを実施しているところでございます。今後、この推進計画に基づいて、少しでも早く知的障害特別支援学校の過大化を解消し、教育環境の改善を図ってまいりたいと考えております。
次に、愛知総合工科高等学校の開校延期についてのお尋ねでございます。
開校の一年延期は大変大きな影響がございますので、予定どおり開校ができないか、教育委員会といたしましても、さまざまな方策を検討させていただいたところでございます。
一部開校することにつきましては、募集定員を減らしたといたしましても、二十七年四月の段階では、まだ躯体の工事途中で利用できる施設がないというふうに見込まれます。グラウンドに実習施設を含めた仮設校舎を設置するためにも、必要なスペースの確保が困難な状況となっております。
また、現在の愛知工業高校で一旦開校するということについても検討させていただきましたが、愛知総合工科高校では、一年生は学科を分けずに一括募集をいたしまして、基礎、基本を身につけるための実習等を四百人全員が同時期に行う必要がございますことから、現在の愛知工業高校の設備では対応できません。
仮に学級数を減らして募集するとしても、募集を停止する愛知工業高校の八学級には遠く及ばない学級数となりまして、尾張地域の工業高校でその分の生徒を追加して受け入れる余裕がないということから、結果的に尾張地域全体の工業科の募集総数に大きな影響を与えることに相なります。
二年生からの編入ということにつきましても検討させていただきましたが、一年生から学科ごとに異なった授業や実習を行っている愛知工業高校と、一年生で全ての学科の基礎の習得を前提としている愛知総合工科高校では、カリキュラムの内容に大きな違いがございまして、その関係上無理がございます。
こうしたさまざまなケースを検討した上で、施設、設備が伴わない状況下での開校は、総合的な技術、技能を身につける教育目標の達成が難しいことから、まことに残念ではございますけれども、開校延期の判断をさせていただいたところでございます。
中学生や保護者の方を初め、関係する皆様に多大な影響を与えることとなり、教育委員会としてまことに申しわけなく、おわびを申し上げたいと存じます。
今後は、中学校に対しまして、この件に関する適切な進路指導をお願いしてまいらねばならないと、このように考えております。
以上でございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
7: ◯三十九番(
原よしのぶ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
8:
◯議長(
久保田浩文君)
原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
9:
◯議長(
久保田浩文君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時二十五分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
10:
◯議長(
久保田浩文君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
小山たすく議員。
〔三十四番小山たすく君登壇〕(拍手)
11: ◯三十四番(小山たすく君) 民主党の小山たすくでございます。私は、民主党愛知県議員団を代表して、県政の諸課題について、順次質問してまいります。
初めに、法人二税の国税化について伺います。
緩やかにせよ景気が回復傾向にあり、明るい兆しが見え始めたこの段階において、国では、地方法人課税の見直しの名のもとに、法人二税の税収が期待できる自治体から税を取り上げる制度が本格的な検討の俎上にのせられております。
私が初当選をした平成十九年当時、地方法人特別税・地方法人特別譲与税制度が創設されたのは、景気の回復によって法人二税が他の地域と比べて増収となった本県や東京都のような都市圏の税収を地方圏に移そうという動きの中でのことでした。そして、この制度は、あくまで消費税を含む税体系の抜本改革までの暫定措置であったはずのものであります。
しかし、消費税率引き上げが決定され、本来ならば地方法人特別税制度を撤廃し、地方税として復元するべきタイミングを迎えているにもかかわらず、今行われている議論は、現在と同様の偏在是正制度を容認するばかりか、都道府県に加えて、市町村の法人住民税をも一部国税化して交付税の原資に組み入れようとするものであります。
税源偏在の実態を調べてみますと、地方法人特別税制度の創設が議論されていた平成十九年当時の人口一人当たりの都道府県税収額の最大と最小の比率は三・二〇倍でありました。これが是正を要する格差と言えるのかの議論は別として、この比率は平成二十三年度には二・三二倍まで縮小されており、偏在性の少ない地方消費税が拡充されることを考えると、仮に地方法人特別税制度を撤廃したとしても、平成十九年当時の水準に戻ることはないと見込まれます。
このように見ると、地方法人特別税制度は偏在是正制度としての使命を終えているとも言えるのではないでしょうか。まして、法人住民税の国税化、交付税原資化などという新たな制度を設ける必要性については疑問を抱かざるを得ません。
十一月六日に公表された総務省の地方法人課税のあり方等に関する検討会の報告書も、現在の税源偏在の状況を平成二十年度以降の税源偏在、財政力格差の状況は、それ以前より緩和されている状況にあるとみずから分析しながら、仮に今後、法人所得が平成十九年から二十年度と同水準になれば、税源偏在、財政力格差は、多くの指標で現状より拡大すると指摘し、偏在是正措置の引き続きの必要性を強弁しております。
ここからは、地域経済の活性化を通じて税源の涵養に取り組んできた地方の成果を虎視たんたんと狙う意図が透けて見えるようであります。
一方で、平成十九年当時と異なり、現在、愛知県は、地方交付税の交付を受ける交付団体であります。県民の中には、仮に現在国で議論されている法人住民税法人税割の交付税原資化が行われても、交付税として財源が戻ってくるのではないかとの見方があるかもしれません。しかし、今回の議論と軌を一にして財務省では、地方交付税の別枠加算約一兆円を解消しようという動きが具体的に始まっています。
そのようなことが現実に起これば、本来、地方交付税が担うべき財政力の格差を調整する機能を地方間の税源の奪い合いに転嫁する一方、国においては、地方交付税に対する負担が軽減されるという結果になります。
以上述べたように、今回の地方法人課税の見直しをめぐる議論には多くの問題があると考えます。
そこで伺います。
知事は、地方法人課税の見直しに関する今回の議論に対し、反対の姿勢を明確にされたところですが、今回の議論における問題点をどのように捉えているのか、見解を伺います。
次に来年度の予算、とりわけ期待される増収分の編成方針について伺います。
景気の回復基調により、本県においても製造業を中心に業績の回復が見込まれております。
今年度の税収については、法人二税、地方消費税の伸びが前年同月比の七月分で一七%と一八%の伸びであり、十月現在ではともに一二%の伸びとなっていることから、当初予算の見込みを超える税収の上積みが期待されるところであります。
この傾向が今後も維持されるのであれば、来年度の税収については大きな増収が期待されるところではありますが、その使途については十分な検討が必要であると思います。
具体的には、増収分の県税を単に部局に一律に還元することや、安易な歳出総額の拡大につなげるのではなく、明確な方針を持った優先順位づけが行われるべきであると考えます。
そこで伺います。
来年度の県税収入の増加が見込まれる状況において、この増収効果をどう有効な財政運営に生かすのかが重要でありますが、例えば、財政難を理由に先送りされてきた施設整備などの新規施策に重点的に配分するのか、あるいは県債の償還や取り崩してきた基金に充当し、財政の健全化のために重点的に配分するかなど、来年度予算の編成方針にどう反映させていくのか伺います。
次に、中京都ホールディングスについて伺います。
中京都構想は、知事就任から約三年たった現在においても、いまだに具体的な中身の話はされておらず、中京独立戦略会議も過去四回しか開催をされておりません。また、いつごろ都を実現させるのかの目標も示されておらず、また、都によって何を実現したいのか、具体の姿はいまだに見えない状況であります。
予算についても、昨年度の中京都関連予算千七百万円の執行率は二五%にとどまり、内訳として、検討調査費の委託調査のみが約五〇%の執行率とありますが、他の予算はほとんど使われておらず、本部運営費六百万円に至っては執行率ゼロ%であります。
ちなみに、本年度の中京都関連予算は、昨年度比八五%減の二百七十万円と大きく削減された額となっています。
また、中京都については、当初共同公約を掲げた河村名古屋市長が尾張名古屋共和国構想を打ち出すなど、名古屋市が県と同じ方向性を持っているのかも疑問であり、中京都の推進には大きな懸念を抱かざるを得ません。
加えて、先般の第四回本部会議で中京都ホールディングスという考えが示されましたが、そもそもホールディングスの実現には法改正が必要であり、知事がいつごろをめどに中京都を実現しようとしているのかも示されていないことから、現実的な議論を行うには一層の環境整備が必要ではないかと考えます。
さらに、知事が現段階において中京都によって目指すとされていることは、県と名古屋市の連携強化によっても十分対応できるのではないかとも考えられます。
また、本来、中京都は、愛知全体の発展を見据えた構想であるとされていたものが、県と名古屋の関係のみに限定された議論に陥りがちなことは注意が必要であると思います。
こうした動きの中では、当初示されていた中京都像がいつの間にか中身が変遷し、中身よりも中京都を目指すことが目的になってしまっているのではないかとの懸念も生じるところであります。
実現の可否や中身の賛否は別として、大阪の橋下市長に見られるような、何が何でも大阪都構想を推進させるんだというような意気込みが中京都構想においては必ずしも県民には届いていないのではないかと考えますし、愛知にとって、なぜ中京都が必要なのかという説明が不足していることが中京都に向けた県民の共感が広がらない理由でもあるのではないかと考えます。
そこで伺います。
知事は、中京都の目的として、名古屋市との二重行政の徹底排除を目的の一つにうたっておりますが、県と名古屋市で解消すべき二重行政にはどのようなものがあるのか。
また、既存の組織や体制ではなく、中京都、あるいはホールディングスでしか実現できないものとは何なのかを具体的に示した上で中京都が目指すものをお伺いします。
次に、公契約条例について伺います。
公契約条例については、平成二十三年十二月議会における我が団の安藤としき議員の質問以降、繰り返し質問がなされておりますので、それぞれの質問、答弁を踏まえ、論点を絞って質問をさせていただきます。
知事は、ことしの二月議会における答弁で、大学の研究者や労働団体、福祉団体、経済界や建設業界など関係者の方々による検討会議を六月ごろをめどに設置し、条例化の問題も含め多角的に議論を深めていただき、新年度の年度内には公契約に関する県としての対応の方向性を固めてまいりたいと答弁され、公契約条例の制定に前向きな姿勢を示されております。
また、ここで設置を表明された検討会議も第三回目の会議が十一月末に行われ、審議も進んでおります。
この検討会議の日程や年度内での方向性を打ち出すスケジュールを考えれば、二月議会前には大きな方向性が出される予定であるため、まずはその前に我々の考えを述べておきたいと思います。
まず、公契約条例の目的については、県が発注する工事や業務委託のいわゆる公契約を通じて、県が推進する環境保全や障害者福祉、公正労働の確保、男女共同参画、災害対応力の強化などの施策の推進を図っていくとともに、現在個別に行われている政策推進を体系的に整理統合し、一定の方向性を打ち出していくことが求められているのだと思います。
公契約は、当然に指定管理や庁舎管理等の業務委託も対象となりますが、今回は、県民への直接的な影響がより強い公共工事を例に公契約条例の必要性について述べたいと思います。
ことしに入り、本県も含め全国で入札不調が相次いでおります。このことは、一般に東日本大震災の復興事業の関係で技術者や資材が東北に流れていることによって生じていると考えられている方が多いと思われますが、最大の問題は別にあることは余り知られていないと思います。
ことし三月、国土交通省は、建設業団体、公共発注者及び民間発注者に対して、技能労働者への適切な賃金水準の確保に係る要請を行いました。
また、建設業団体に対しては、適切な価格での下請契約の締結、労働者の適切な水準の賃金支払いを元請から下請に要請するとともに、雇用する技能労働者の賃金水準の引き上げや社会保険等への加入徹底を求めております。
この要請の重要な点は、建設業における長引く労働条件の悪化が若年就職者の減少をもたらし、構造的な労働者不足が顕在化し、今後も続く労働需給の逼迫が避けられないと指摘している点であります。
この背景にある基本的認識を国土交通省資料から引用すると、建設投資の減少に伴うダンピング受注の激化と、下請へのしわ寄せによって、技能労働者の賃金が低下し、また、社会保険料も適正に支払われず、法令上の義務があるのに最低限の福利厚生すら確保されていない企業が多数存在していることが若年入職者の減少をもたらし、その結果、ここに来て、労働需給の逼迫傾向が顕在化している、入札不調も各地で増加しており、この傾向は一時的なものではなく、今、適切な対策を講じなければ、近い将来、災害対応やインフラの維持、更新に支障を及ぼすおそれがあると指摘しております。
補足すれば、労働者の不足傾向は、平成二十一年春から始まっている構造的な問題であり、その根底にあるのは、建設投資額のピークである平成四年の約八十四兆円に比べ、平成二十四年の建設投資額は約四十五兆円と約四六%減少していることによる投資額の減少によって受注競争の激化と、同じくピーク時に比べて約二割減少している建設業の就労者数の減少傾向に歯どめがかかっていないことにあります。
また、賃金について言えば、全産業男性労働者の平均賃金が約五百三十万円に対し、建設業の男性労働者の平均賃金は約三百九十万円と二六%も低くなっております。これに符合するように、若年者が建設業に就職しない理由の約五八%は収入の低さを挙げ、加えて約一九%は社会保険等福利の未整備を挙げております。
この結果、建設就業者数の約三三%は五十五歳以上であるのに対し、二十九歳以下は約一二%と若年者の割合の低下が顕著にあらわれております。
こうした業界全体の就業者数の減少と若年就職者の減少傾向は、技能の継承やインフラの維持、更新に大きな支障となりかねず、建設労働者に対する適正賃金の確保は、建設業界の健全な維持、発展のみならず、地域経済や安定的な公共事業の質の確保の観点からも喫緊の課題であります。
一方で、建設業における重層下請構造においては、元請契約で積算された賃金が下請に行くほど減額されるという、いわゆる中抜きの指摘もされております。
全建愛知が毎年行っている賃金実態調査によると、二〇一二年度の公共工事において、元請契約の人件費の積算の根拠となる設計労務単価と実際に支払われた金額を調査したところ、主要十六業種中、設計労務単価を上回っているのは、電工、板金工、塗装工、配管工の四業種のみであり、他の業種は下回っているという結果が出ております。
また、同じ調査において、二〇〇九年度からの四年間のみを見ても、公共工事に従事した賃金のほうが民間工事に従事した賃金に比べて全て下回っていることも示されております。
このことは、本来支払われるべき賃金が多くの業種で支払われていないことを示しており、労働者の適正賃金の確保と労働環境の改善を推進する立場の県としては真摯に受けとめる必要があると思います。
また、過当な価格競争は是正されなければなりませんが、それ以上に、その競争の中で賃金や社会保険等のリスクを下請に押しつけて利益を出そうとする企業は認めないという県の強い姿勢を示していくことが重要であると思います。
冒頭に述べたように、公契約の中に福祉、環境、雇用などの社会的価値を盛り込むことによって、受注する事業者が地域社会における諸課題への政策推進を図るという観点からも公契約条例は極めて有効でありますが、中でも、労働者の適正賃金の確保を規定する賃金条項を盛り込むことが求められております。
そこで伺います。
条例の制定に当たっては、条例を実効性あるものにし、県の姿勢を明確にするためにも、公契約条例の核たる公正労働の充実、とりわけ賃金条項が必要不可欠と考えますが、知事の考えを伺います。
また、条例制定時期のめど、あるいは目標をいつごろと考えられているのか伺います。
次に、職員給与抑制について伺います。
現在、愛知県は、五年連続となる職員の給与抑制を行っています。県は、職員の給与抑制を行う理由について、厳しい税収環境が続く中で、多額の収支不足が生じていることから、例外的、時限的な措置として実施しているものとしておりますが、そもそも、公務員の人件費の増減は人事委員会の勧告に基づいて決定されるのが基本的な原則であり、人事委員会の勧告制度の趣旨は、民間労働者には憲法上認められている労働基本権の一部が公務員では制約されていることから、その代償措置として、第三者機関である人事委員会が職員の給与について、社会一般の情勢に適応するよう、議会及び長に対して報告、勧告を行うというものであります。
また、給与の決定に当たっては、職員の給与は民間の給与等を考慮して定められなければならないとする均衡の原則などが地方公務員法に定められており、これを踏まえて、毎年の職種別民間給与実態調査の結果に基づき、公民の給与比較を行い、報告、勧告が行われております。
折しも、十月八日に行われた県人事委員会の報告によると、本県の民間企業と公務員の給与の公民較差は、本来給であれば、県が民間を〇・〇二%下回っている状況でありますが、給与抑制によって月額約一万五百円減額され、民間企業を約二・七%下回る状況となっております。
ここで問題となるのは、県人事委員会が指摘する勧告制度とは異なる次元で実施された措置としての抑制措置が、その実施期間、抑制額において、人事委員会制度の趣旨を凌駕するほどの正当性を持つのか、あるいは収支不足への対応として、他にとり得る手段がなかったのかという検証に耐えられるのかということであります。
言うまでもなく、職員給与は義務的経費であり、当然に支出が予定されているものであります。その義務的経費、とりわけ職員の生活保障に直結する人件費を抑制しなければ成り立たないような財政運営は、極めて不健全な状態であると言わざるを得ません。
本来であれば、歳出を身の丈に合ったものへと調整していくべきところを、職員の給与抑制ありきで予算組みがなされてきたのではないかとの懸念も生じざるを得ません。
平成二十一年から継続する給与抑制によって削減された人件費総額は、実に八百六十二億円に上ります。県財政に一定の理解を示し、給与抑制を受け入れてきた職員にあっても、これ以上の給与抑制はさすがに受け入れがたいという方が多いのではないでしょうか。
一方、本県以外の動向に目を移せば、昨年度、国から全国の都道府県及び市町村に要請のあった七・八%の給与抑制については、来年度、国は地方自治体に給与抑制を求めない方針を決めたことが既に伝えられ、給与抑制を実施しない自治体が多くを占めることが予想されています。
冒頭の県人事委員会の報告では、給与減額措置について、「平成二十一年度以降、相当長期間にわたり継続されており、極めて遺憾と言わざるを得ない。本委員会としては、職員の士気や生活に及ぼす影響が憂慮されることから、給与減額措置が終了する平成二十六年四月以降は、給与勧告制度に基づく適正な給与水準が確保される必要がある。」と指摘し、「議会及び知事におかれては、人事委員会の給与勧告制度の意義及びその果たす役割に深い理解を示され、この報告において述べたことについて適切に対処されるよう要請する。」と結んでおります。
県においては、内外の状況の変化を的確に捉え、良識ある判断が求められるところであります。
そこで伺います。
さきに述べましたように、来年度の県税収入については一定の増収が期待されるところでありますが、税収が回復基調にある中、給与抑制の根拠が財政難を理由とするならば、どこまで税収が回復したら抑制を解除するのかという基準があってしかるべきではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、人材確保の観点から質問をいたします。
県は、十一月下旬に二〇一五年採用の職員志望者を対象とした就職ガイダンスの参加枠を大幅に増加し、職務内容の周知等を通じ、優秀な人材確保を図ることを発表いたしました。
その背景にあるのは、採用試験の受験者数の減少で、リーマンショック後の二〇一〇年は、採用者数二百六十人に対して受験者数は二千七百七十七人と倍率は十・七倍であったものが、本年度に至っては採用者数三百十五人に対して受験者数が二千九十五人と六・七倍まで倍率が下がっております。
この理由について、学生向けの就職情報サイトを運営する民間会社の調査によると、民間企業の採用拡大と待遇面の改善を背景に、昨年度と今年度の一年だけの推移を見ても、公務員を希望しない理由の六・九%が、民間給与に比べ公務員給与のほうが低いことを挙げており、その割合は一年間で二・三%上昇しております。
一方で、公務員を希望する学生の三一・四%が給与等の待遇面を重視すると回答しており、職員の給与抑制が人材確保の面にも一定の影響を及ぼすものではないかと懸念されますが、知事の見解を伺います。
最後に、以上述べたことを総合的に勘案し、来年度における給与抑制は実施すべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、緊急雇用創出基金事業終了後の県の取り組みについて伺います。
平成二十年に創設された国の緊急雇用創出事業基金事業は、愛知県においてこれまでに約四万人の雇用を創出し、リーマンショック後の失業者の急増に対応した緊急の一時的な雇用の創出、いわゆるつなぎ雇用としては一定の成果があったと考えますが、目を向けるべきは、短期的な雇用で職をつないだ方が事業終了後に自立を果たし、継続的な雇用に結びつけられているかという点であり、ここが確保されなくては、単に失業の先送りにすぎず、抜本的な問題の解決には至らないからであります。
そこで、今年度で終了する国の緊急雇用創出基金事業後に県に求められる施策は、当面の生活資金を確保することを目的としたつなぎ雇用から、自立し、安定した雇用へと結びつけていく施策展開であり、安定雇用の確保が愛知の活力の創造にもつながるという考えに基づき、知事の見解を伺いたいと思います。
十一月二十九日に発表された十月の有効求人倍率は、全国平均で〇・九八倍、愛知県は一・三九倍とわずかに改善をしているものの、その内訳を見ると、増加の多くが非正規の求人であり、正規採用の求人は横ばいにとどまっております。
また、完全失業率も全国で四・〇%で横ばいとなっており、景気は緩やかに回復しつつあると言いながらも、雇用情勢や景気回復の恩恵が広く還元されるには至っていないことが読み取れます。
その一方で、国においては、企業収益の改善による経済成長と働き方の多様化という名のもとに、労働者派遣法の改正や金銭解雇制度等の労働法制の改正がなされようとしており、解雇特区なるものまでが検討されております。
しかし、私たちは、勤労者の雇用環境を守ることこそが地域の発展につながるという考えを堅持し、勤労者が企業の利益を圧迫するコストという考えではなく、企業、社会へと実りをもたらす富であるという考え方に立たなくてはならないと考えます。
また、そうした考えに立脚すれば、県も愛知の発展を支える人材を確保するため、一定の役割を担うべきではないかと考えます。
そこで伺います。
基金事業終了後も継続雇用、正規雇用を促進するための事業や人材育成等の事業については、県が一定程度引き継いでいくべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
次に、教育問題について伺います。
初めに、教員の多忙化解消施策について伺います。
社会状況等の変化を背景に、いじめや不登校への対応や、発達障害等のある児童生徒に対する支援など、学校が対応しなければならない問題はますます多様化、複雑化しており、教員が教育に専念できないなどの支障が現場で出ております。
こうした中、新潟県を初め他県では、この問題を深刻に受けとめ、多忙化解消プログラムを立ち上げております。
例えば新潟県では、平成二十二年度に多忙化解消アクションプランを策定し、各学校において、十の点検、チェックリストを用いて現状を把握し、それぞれの学校の実態に即した一プログラム運動を展開しているとのことであり、県と市町村が一体となってこうした取り組みを進めることにより、小中学校において一日当たりの残業時間が減少するなどの一定の効果を上げ、現在は、平成二十五年度から第二次多忙化解消アクションプランを実施するなど、さらなる改善を図っていると聞いております。
我が団としても、文教部会が中心となって作成した知事要望の中で、多忙化解消を重点項目として求めており、教員が児童生徒と向き合える時間を十分に確保し、子供の教育環境の改善を図っていくためには教員の多忙化解消は欠かすことができない取り組みであると考えます。
そこで、他県の例を参考に、愛知でも多忙化解消を重点取り組み項目として捉え、県の計画に盛り込み、具体的な取り組みを推進すべきであると考えますが、教育長の見解を伺います。
また、現在の県内の小中学校の教員構成に目を向けますと、経験が十年未満の教員は四〇%を超える反面、学校運営の核となる四十歳代を中心とした中堅教員が少ないという状況があり、このことが多忙化と相まって若手教員の育成、指導に時間を割くことが困難な状況を生み出し、力量の向上や技能の継承に対する課題となっているという指摘もなされております。
また、こうした年齢構成によって、各教員に対する負担が分散されることなく教育活動に上積みされるため、教員全体の年齢構成の是正や負担軽減の取り組みが多忙化を解消していく上でも重要な要素であると言われております。
そのためには、正規教員の定数増が必要不可欠ではありますが、再任用教員の活用もその一つの方策として考えられます。
そこで、再任用教員の活用について伺います。
定年後、豊富な知識と経験を有する教員が再任用教員として教育現場に加わることによって、若手の育成、指導や多忙化対応などの分野において即戦力の力を確保し、もって子供たちの教育環境の改善につながることが期待されますが、今後増加が予想される再任用教員については、より積極的な役割を担ってもらえるよう
選択の幅を広げるべきであると考えますし、多忙化解消の一つの施策として、これまでの定数内での活用にとどまらず、県独自の定数外での措置の活用も含めて、いかに再任用教員を活用するかが重要な課題であると考えます。
そこで、県として、今後、再任用教員にはどのような役割を担ってもらうことを想定しているのか、教育長に伺います。
一方で、今後予想される再任用教員の増加が新規採用教員の抑制につながらないかとの懸念がありますが、新規採用者の確保に支障が生じないよう十分配慮がなされるべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
次に、教育への知事のかかわりについて伺います。
さきの十月十一日に、国の中央教育審議会の教育制度分科会が、今後の地方教育行政の在り方についての審議経過報告を取りまとめました。この報告では、教育長及び教育委員会の権限と責任の明確化、政治的中立性、継続性・安定性の確保、首長の責任の明確化の三つの視点から制度改正の検討が行われたもので、教育委員会制度のあり方については、首長と教育長との関係などについて審議経過が報告されております。
現行の教育委員会制度は、教育の政治的中立性や継続性、安定性の確保の点から、行政委員会の一つとして独立した機関を置き、教育行政を担当させることにより、首長への権限集中を防止し、中立的、専門的な行政運営を担保する制度となっております。
知事は、昨年の五月に教育懇談会を立ち上げ、これまでの六回の会議の中では、公立高校入学者選抜制度や特別支援教育のあり方など、教育委員会の事務にかかわることについて議論がされてきております。
国においては、中教審の動きに連動するかのように十一月二十九日に全国学力テストの結果の公表を市町村教育委員会による学校別の成績の公表を来年度から解禁するとの発表がなされております。
知事は、かねてから選挙で選ばれた首長が教育に責任を持つべきであると
発言をされておりますが、一方で、教育は政治的に中立であるべきとの意見も数多く出されております。
中教審の教育委員会制度改革案が間もなく出され、教育に対する政治のかかわりが強くなることが予想されますが、教育内容は時の首長によって左右されるべきではないとの考えについて、知事の見解を伺います。
また、知事は、首長が教育に責任を持つべきと
発言をされていますが、教育のどの分野に責任を持ち、積極的にかかわるべきと考えているのか、知事の見解を伺います。
最後に、被災者支援センターの存続について伺います。
愛知県では、東日本大震災の発災を受け、被災地域支援対策本部を設置するとともに、被災県からの避難者を支援するため、これまで全庁的な体制で幅広い被災地支援や受け入れ被災者への支援を実施してきているところであります。
一方、現在、県内においては、約五百世帯約千二百人の方々が避難されており、愛知県では、こうした受け入れ被災者を支援するため、被災者支援センターを設置し、運営の委託を受けたNPO法人が、被災者の個別訪問の実施や避難元の県の地域情報、各種支援情報の提供、避難者同士の交流会の開催などの事業を実施しております。
また、こうした地道な活動が被災者同士のつながりをつくり、被災者と支援者のつながりをつくることになっていると被災者の方々からも高い評価を受けております。
しかしながら、現在、支援センターの設置、運営のための財源は、国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金が活用されておりますが、この基金の期限は今年度末までとなっております。
新聞報道によれば、平成二十六年度の予算編成に向けて、厚生労働省は基金の延長を求めているものの、概算要求額は二十五年度要求額の十分の一程度にとどまっており、愛知県に本年度並みの予算が配分される可能性は低いとのことであります。
このため、県内に避難している方々の中では、支援センターが廃止されるのではないかと不安を募らせている方も数多くいらっしゃいます。
私たちは、東日本大震災の惨状を目の当たりにし、誰しもができる限りの支援をしていこうと心に感じたはずであります。そして、実際に多くのボランティアが現地に入り、それぞれの個人がそれぞれのできる支援を行い、今なお復興支援の活動をされている方々が数多くいらっしゃいます。
私は、被災者支援というものは、国費、県費の別なく、被災者に寄り添い、痛みを分かち合い、息の長い支援を行っていくという考えのもとに行われていると認識をしております。
震災の発生からきょうでちょうど千日が経過し、私たちは漠然と復興は進んでいると思いがちでありますが、ことし九月現在の復興住宅の進捗率は一・九%、集団移転の進捗率は四%であります。公共インフラの整備は整いつつあると言いながらも、ふるさとに帰ろうにも帰れない方が多くいらっしゃいます。
今後、国の予算が確保されないことも予想されますが、そのことのみをもって被災者支援センターを終了させることになってしまっては、センターを心のよりどころとしている被災者の方々にとっては余りに酷な話ではないかと思います。
そこで伺います。
基金終了後も一定期間は県が責任を持ってセンターの機能維持を図るべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
また、県は、現在まで被災地支援、避難者支援を幅広く行ってきましたが、来年度も継続して行う支援はどのようなものを予定しているのか、知事に伺います。
本日は、この議場に避難者の方々も傍聴にお見えになっております。また、インターネットを通じて質問を聞かれている方もいると伺っております。
知事におかれては、被災者の方々に勇気と希望を与える答弁をいただきますよう切にお願いを申し上げます。
以上、県政の諸課題について質問をいたしました。知事並びに教育長の前向きで誠意ある答弁を期待いたしまして、私の壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
12:
◯知事(
大村秀章君) 民主党県議団の小山たすく議員から質問をいただきました。順次お答えを申し上げます。
初めに、地方法人課税についてお答えをいたします。
現在、国におきましては、地方法人特別税と同様の偏在是正制度を容認するばかりか、新たに都道府県及び市町村の法人住民税法人税割の一部を国税化して交付税原資とすることが検討されております。
このような議論は、受益と負担という税負担の原則に反し、地方分権改革の流れに全く逆行するものであるばかりか、地方の企業誘致、地域経済活性化へのインセンティブを損ない、地方の自主的な努力を阻害するものであり、到底容認することはできません。
中でも、市町村の法人住民税の国税化については、県、市町村の予算編成が始まっている中、余りにも唐突に持ち上がったものでありまして、県としても看過できるものではありません。
加えて、本県内では十三市町村を数える地方交付税の不交付団体だけでなく、今後の制度設計いかんによっては、交付団体においてすら住民サービスを支える一般財源の増額にはつながらない可能性があることも大いに懸念をされるところであります。
今回の国の動きにつきましては、このようにさまざまな問題点がありますことから、本県は、十月末に直ちに反対の声明を発表し、他の都府県や県内市町村とも連携をしながら、精力的に要請活動を行ってまいりました。
今後も、国において議論が大詰めを迎えます税制改正大綱の決定に向けて、本県の考え方をしっかりと主張してまいりたいと考えております。
県議会におかれましても、十二月議会の冒頭、二日に同趣旨の意見書を議決していただきました。何とぞ引き続き強力な御支援、御指導をよろしくお願い申し上げます。
次に、来年度の予算編成についてであります。
県税収入につきましては、法人二税に影響を及ぼします企業収益に大幅な増益が見込まれておりますものの、景気の先行きには、新興国経済の減速や為替相場などの懸念材料もありますので、今後、主要企業に対する聞き取り調査の結果や税制改正の影響などを踏まえまして、収入見込みを固めてまいりたいと考えております。
また、県税収入の見込み以外にも、地方法人課税の見直しの行方、消費税率の引き上げに伴う歳入歳出における影響や、地方財政措置の状況を慎重に見きわめていく必要があると考えております。
一方、県税収入がいまだ大幅な回復に至っていない中、財源対策として活用してきた基金残高は減少を続けてきており、緊急避難的な措置である基金からの繰入運用を初め、臨時の財源対策の解消に努めるとともに、扶助費や公債費などの義務的経費の増加に対しましてもしっかりと対応していく必要がございます。
このため、予算編成に当たっては、第五次行革大綱や重点改革プログラムに基づき、歳入歳出全般にわたる行財政改革の取り組みを着実に進め、財政の健全化を図っていく必要があります。
こうした中にありましても、地域の発展の礎となる人づくり、県民の暮らしの安心・安全の支えとなる医療、福祉や防災対策の充実など、真に必要な施策は着実に推進してまいらねばなりません。愛知のさらなる発展に向けまして、来年度の施策の立案を行ってまいりたいと考えております。
次に、中京都構想につきましても御質問をいただきました。
中京独立戦略本部につきましては、これまで四回の会議で、世界と闘える愛知・名古屋に向けた論点を整理した上で、中京都のあり方につきまして、河村市長と私から議論のたたき台となる考え方をお示しいたしました。
また、二十三年度当初から、本部設置に先立ってスタートさせました企業立地や観光プロモーション、庁舎の重要文化財・開放プロジェクトチームを初めとする六つのプロジェクトチームで延べ二十七回の検討を行い、県、市のベクトルを合わせた取り組みも着実に具体化をさせてまいりました。
そうした中で、まず御質問のありました愛知と名古屋の二重行政についてでございます。
県と市町村は、さまざまな分野におきまして重層的に行政を担っておりますが、とりわけ名古屋市は、中部地域の中核都市として広域的に影響を及ぼす事業を実施していることから、効率的、効果的な行政を実施するためには、県と市が密接に連携、協調していくことが大切であると考えております。
こうした観点から、本県と名古屋市は、これまでも中部国際空港の整備や愛知万博の開催などに連携をして取り組み、また、名古屋港管理組合を設置いたしまして、港湾行政を県・市一体となって行うなど、協調的な関係を続けてきたところであります。
さらに、これはさきにも申し上げましたプロジェクトチームの成果でもありますが、観光プロモーションや企業誘致活動、そして、COP11でのプレゼンテーションなど、県と名古屋市との新たな連携の取り組みも積極的に進めているところでございます。
今後も、中京独立戦略本部のもと、産業活力、都市基盤・防災など、世界と闘える愛知・名古屋の実現につながる四つの分野につきまして、県、市が一体となって取り組むことにより相乗効果を引き出していくことを狙いといたしまして、分科会で議論を行ってまいります。
次に、中京都ホールディングスについてであります。
私が提案をさせていただいたポイントは、県と市を包含するホールディングスをつくるということでありまして、企業で言えば、経営統合を行い、ホールディングスが経営方針をつくり、傘下のグループ企業がその経営方針のもとにベクトルを合わせ、役割分担をして力を発揮するという点にあります。
こうした民間の企業統合、経営統合の手法を踏まえまして、中京都ホールディングスが司令塔となって、企画調整・ビジョンや行財政改革、危機管理、観光・イベント・コンベンション、国際戦略など、県、市が共同で対応すべき分野では直轄で対応していくということでございまして、そして、そのもとで、県、市がその示す方針に沿って、それぞれの強み、役割を発揮していくということでございます。
これによりまして、世界と闘うための戦略を一元的、総合的、さらには、迅速に推進、実行していこうという考えでございます。
このような考え方のもとで、中京都構想の狙いといたします世界レベルの都市間競争に打ち勝ち、愛知・名古屋が成長のエンジンとなって我が国を引っ張っていく、強い大都市圏の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、公契約についてであります。
公契約のあり方につきましては、昨年度に庁内研究チームで検討を重ね、本年六月からは、次のステップといたしまして、学識経験者や労働者団体、使用者団体、業界関係者などで構成する検討会議を設置し、御議論をいただいているところであります。
公契約をめぐりましては、公共工事の入札におきまして、技術力などを考慮する総合評価方式が導入されているほか、リサイクル製品の率先購入などのグリーン調達に加え、障害者施設からの優先調達など、政策推進に公契約を活用する取り組みが広がりつつあります。
検討会議では、公契約のもとで働く方々の賃金の問題を公正労働の確保にかかわる検討課題の一つと捉え、県としての実態調査の結果も踏まえた御議論をいただいているところでございます。
この課題は、労働基準法や最低賃金法の規制のもと、労使が賃金を自主的に決定するという我が国の労働法制の原則にもかかわるものでありまして、さまざまな御意見を頂戴しているところでございます。
県といたしましては、検討会議における今後の議論や合意形成の状況を踏まえ、最もふさわしい対応を見きわめてまいりたいと考えております。
また、条例制定についてであります。
公契約につきましては、透明性、競争性の確保、工事やサービスの品質向上、政策推進への活用など、さまざまな論点があり、幅広い検討が求められているものと考えております。
そのため、これまで三回開催をした検討会議では、政策推進に公契約を活用できないか、あるいは事業者の方々に社会的責任や法令遵守をどう求めていくかなどのテーマについて、多角的に議論を深めていただいております。
それらを踏まえまして、次回の検討会議では、公契約に関する総合的な対応の枠組みについて御検討をいただく予定でありまして、その中で、条例の必要性につきましても御議論をいただくことになると思っております。
県といたしましては、検討会議における議論の成果をしっかり受けとめ、年度内には公契約に係る対応方針を固め、さらに一歩取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、給与抑制の考え方についてお答えをいたします。
職員の給与は、人事委員会勧告に基づいて定められることが基本であると考えておりますが、近年の多額の収支不足に対処するため、例外的、時限的な措置として、やむを得ず、職員給与の抑制を実施してきたものであります。
職員の給与を今後どのようにしていくのかは、税収のみを基準とするのではなく、歳入歳出全般にわたって、その時々の財政状況を見きわめた上で判断せざるを得ないものと考えております。
いずれにいたしましても、財政状況が改善をされ、臨時的・緊急避難的措置をとらなくてもよい状況になれば、当然解除していくものと考えております。
また、給与抑制の影響について御質問をいただきました。
就職先を決めるに当たり、給与水準が少なからず影響するとは思いますが、給与抑制が人材確保に影響を及ぼしているとは一概には言えないのではないかと考えております。
就職先を選ぶポイントとしては、やりたい仕事ができるか、社会への貢献や自分自身が成長できる組織かどうか、ワーク・ライフ・バランスといった点も重要ではないかと思っております。
多くの方がこの地域の発展のために県で働きたいと思えるよう、県の仕事のやりがいや魅力について、積極的に発信してまいりたいと考えております。
続いて、来年度の給与抑制についてのお尋ねであります。
本県の給与抑制は五年連続となり、職員の負担感が増していることにつきましては十分認識をいたしております。私としても大変心苦しく思っているところでありまして、こうした状況を早く脱していかなければならないと考えております。
来年度の給与抑制につきましては、人事委員会勧告制度の重みや職員の負担感などを踏まえつつ、県税収入、地方財政措置や税制改正などの状況を十分見きわめた上で、しっかりと判断してまいる必要があるものと考えております。
次に、緊急雇用基金事業終了後の県の取り組みについてのお尋ねであります。
本県の有効求人倍率は、本年十月には全国二位の一・三九倍まで回復をいたしましたが、正社員の有効求人倍率は、現時点でも〇・八八倍と依然として厳しい状況にあり、正規雇用対策は引き続きしっかり取り組んでいかなければならないと認識をいたしております。
そこで、基金事業のうち、継続雇用を目指す起業支援型地域雇用創造事業は、今年度中に事業を開始すれば、来年度にかけて継続実施が可能であることから、この事業を活用するため、本議会に債務負担行為の設定などの議案を提出しているところでございます。
その他の基金事業については今年度で終了となりますが、未就職者等若年者への人材育成や、中小企業とのミスマッチの解消を図る取り組みなど、正規雇用につながる効果的な事業の実施を検討してまいりたいと考えております。
これらに加え、従来から実施をいたしております求人意向調査や経済団体への求人確保要請などの雇用の掘り起こしや、県立高等技術専門校や民間委託による職業訓練などにも取り組み、より多くの方が正規雇用されるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、教育へのかかわりにつきまして御質問をいただきました。
教育委員会制度のあり方につきましては、現在、中央教育審議会において審議されているところでございますが、私は、かねてから申し上げておりますが、その地域に住まう子供の教育につきましては、その地域の選挙で選ばれた首長が責任を持つべきであり、首長が教育の目標とか方針とか大きな方向性を示して、専門的な日々の実務については教育委員会が行っていくことが望ましいということを常々申し上げてきたところでございます。
新しい制度の方向性につきましては、年内に答申が出されるとのことでありますが、私の教育に対する──教育制度ということでございますが──基本的な考え方は、ただいま申し上げたとおりでございまして、今後も教育委員会と十分に連携をとって、愛知の教育の充実に取り組んでいく所存でございます。
次に、教育のどの分野に責任を持ち、積極的にかかわるべきかについてもお尋ねをいただきました。
先ほど申し上げましたとおり、教育の基本的な方針については、教育全般を視野に入れて、私が責任を持って示すべきではないかというふうに考えております。
しかしながら、教育に関する日常的な実務につきましては、現時点では、教育委員会制度のあり方がどうなるかについては最終的な結論は出ておりませんが、やはり学校など現場の状況をよく掌握している教育長なり教育委員会、特に、やはり子供たちの教育を考える場合には、やはり学校現場におきまして取り組みをしっかりやっていただくということが大切だというふうに考えておりまして、引き続きそういった考え方、方向に基づきまして、教育に取り組んでいきたいというふうに思っております。
次に、被災者支援センターについてであります。
県では、東日本大震災により愛知県に避難されてきた方々を支援するため、平成二十三年六月に愛知県被災者支援センターを設置し、その運営をNPO法人に委託することで、行政単独では行き届かないきめ細かい支援を幅広く総合的に行っております。
主な内容は、被災者への情報提供や相談、交流会の開催などでありますが、被災者の方々からは高く評価をされておりまして、できる限り長く存続することを要望されているところでございます。
県といたしましては、被災者支援を引き続き行っていく必要があると考えておりますので、来年度も引き続き設置、運営できるよう、国に対して財源措置を強く要望しているところでございます。
いずれにいたしましても、地域や市町村において、行政や社会福祉協議会、NPOやボランティアなど、支援団体による被災者支援のノウハウが蓄積されてきておりますので、これまでの県や被災者支援センターの活動により築き上げてまいりました人と人とのつながりを活用し、被災者支援センターの機能維持を図ってまいります。
私からの最後の答弁になりますが、県の被災地支援、被災者支援についてであります。
東日本大震災という未曽有の災害に際し、直ちに全庁体制での被災地への支援が必要と判断をし、私みずから先頭に立ちまして、愛知県被災地域支援対策本部を立ち上げさせていただきました。
また、「私たち一人ひとりができることを」をアピール標語に掲げまして、義援金や支援物資の提供など、幅広く県民の方々や企業の皆様に御協力をお願いし、県民運動として展開してきたところであります。
現在も愛知県で避難生活を送っている方々に対しまして、住宅の提供や愛知県被災者支援センターによるきめ細やかな支援、さらには、被災地の一日も早い復興に資するための職員の長期派遣を中心に支援を行っております。
来年度につきましても、応急仮設住宅として借り上げた民間賃貸住宅及び県営住宅の提供を平成二十七年三月末まで延長いたしておりまして、これまでと同様、被災者のニーズに合わせ、被災者支援をできる限りきめ細やかに行うとともに、被災の自治体からの要請に応えまして、職員の長期派遣も引き続き行ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
13:
◯教育長(
野村道朗君) 教員の多忙化解消に向けての具体的な取り組みの推進についてお尋ねをいただきました。
教育をめぐる課題が複雑化、多様化する中で、教員の多忙化の問題は、教育委員会といたしましても大変重要な課題であると認識をいたしております。
このため、県教育委員会では、これまでも小中学校や県立学校の教職員を対象とした会議や調査、報告などの精選、研修の見直しなどに取り組みますとともに、平成二十二年三月には、県立学校教員の負担軽減のための取り組み方針を市町村教育委員会にお示しをし、小中学校においても同様の取り組みが行われるよう要請をいたしたところでございます。
また、あいちの教育に関するアクションプランIIにおきましても、少人数教育の充実を、教員が児童生徒と向き合える時間を確保するための施策として位置づけ、取り組んでいるところでございます。
しかしながら、教材の準備や生徒指導、部活動などの業務によりまして、教員が多忙である状況は変わっておりませんので、今後も教職員定数の充実について、国に対して引き続き要請をしてまいりますとともに、次期アクションプランの策定においても新たな方策を検討するなど、引き続き教員の多忙化解消に努めてまいりたいと考えております。
次に、定年退職後の再任用教員の役割につきましてもお尋ねをいただきました。
今年度までの再任用教員は、年金が一部支給されていたこともございまして、常勤の半分の勤務時間としておりましたが、来年度からは年金が支給されない期間が生じるために、新たに常勤の再任用教員も採用することといたしております。
これによりまして、ベテラン教員に、これまで培ってきた経験等を十分に生かして、学級担任、部活動指導等を直接担当していただくこともできるようになります。
このことは、多忙化解消に直接大きくつながるわけではないと思いますが、学校運営の中で多くの校務を担っている中堅教員の負担軽減が図られることとなります。
また、経験豊富な再任用教員を初任者研修の指導者などとしてこれまで以上に手厚く配置することで、経験の浅い教員の指導にも大きく役立つものと、このように考えております。
最後に、再任用者の増加に伴う新規採用者の抑制への懸念、確保への配慮につきましてお尋ねをいただきました。
今年度末の退職者から年金が支給されない期間が生じますので、再任用教員の増加が予想され、その分、新規採用者数にも影響を及ぼすこととなりますが、一方で、今後しばらくの期間は大量退職が続くこととなりますので、新規採用者も相当数確保することが必要となりまして、急激な減少はないものと考えております。
今後も中長期的な視野に立ちまして、再任用者数と新規採用者数のバランスや、偏りのない年齢構成などに配慮しながら教員採用を進めてまいりたいと、このように考えております。
14:
◯議長(
久保田浩文君) 進行いたします。
佐藤敦議員。
〔十二番
佐藤敦君登壇〕(拍手)
15: ◯十二番(
佐藤敦君) 私は、減税日本一愛知を代表して、県政の諸問題について、順次質問をいたします。
質問の第一は、先日、会派として知事へ要望いたしました個人県民税減税の対応についてお伺いをいたします。
我々減税日本一愛知は、減税と規制緩和により閉塞感を打破し、地域経済の活性化を図るとの知事の考えに強く賛同し、今までいろいろな機会を捉えて県民の皆様に理解を求めるなど、減税の実現に向けて努力をしてまいりました。
そして、知事は、就任後からこれまで強いリーダーシップを発揮され、平成二十四年度には、法人県民税減税の代替策として産業空洞化対策減税基金を創設し、日本一の企業立地補助制度として運用され、平成二十五年度までに補助対象件数六十七件、総投資額一千四百二億円、常用雇用者一万四千名余りという成果を上げられたほか、消費税との二重課税などの問題を抱えている車体課税の抜本見直しを国に対し強く働きかけられ、その結果、与党の平成二十五年度税制改正大綱に消費税率一〇%時点での自動車取得税の廃止が明記されたこと、さらには、本県独自にEV、PHVの自動車税免税及び航空宇宙産業に係る不動産取得税の免除措置を実施されたことなど、幅広い減税への取り組みを着々と進められてきたことに対し、我々は心強く思うとともに、知事を応援するため、その施策の実現に向け努力をしてまいりました。
そのような中、過日知事は、個人県民税均等割を一律に千円減税する案について、これまで示されたさまざまな意見や諸般の状況等を勘案し、十二月定例議会に提案することを見送ると発表されましたが、この発表は、知事としても苦渋の決断であったことは一連の状況から理解はできるものの、非常に残念でなりません。
もちろん、このような結論に至ったのは、限られた時間と議会制民主主義の仕組みの中で、政策を少しでも前進させるための
選択肢として判断されたものと推察をいたしますし、百億円の子育て支援減税手当に加え、県民への還元策として、新たに障害者福祉減税基金を設け、福祉施設等の整備を後押しされようという考えについては大いに評価するものであります。
しかしながら、国におきましては、消費税率引き上げの影響を緩和し、デフレからの脱却と日本経済の成長を促すために総額五兆円規模の経済対策を検討しており、復興特別法人税の廃止前倒し、設備投資減税、賃上げ促進減税、住宅ローン減税など、総額二兆円規模の減税政策も大きな柱として位置づけられております。
このことは、減税が経済対策の重要な手段の一つであると考えられている何よりの証左であり、県としても今後とも、県民税減税のあり方、実行策等について検討を行い、減税の実現に向けて努力すべきと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
今後の減税の取り組みについて、改めて知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、景気対策の推進と産業振興についてであります。
商店街振興についてお伺いをいたします。
かつて商店街は、地域の住民や働く人にとって身近な商品、サービスを提供する場所であると同時に、地域住民の交流の場でもあり、にぎわいの拠点でありました。
しかし、一九七〇年代ごろから急速に小売業態が多様化し、個人商店の撤退が進んだことにより空き店舗が増加するなど、商店街は厳しい状況に置かれております。
その一方で、商店街は地域の顔であり、少子・高齢化や防災・防犯、環境問題などの社会課題に対応した地域コミュニティーの核として、社会的な役割はますます大きくなっております。
県内の商店街でも、アート作品によるストリートづくりや、歩行者天国イベントによるにぎわいの創出、買い物弱者に対応した宅配サービスや買い物バスによる送迎、地域の名産や逸品づくりの開発や普及、安心・安全のための街路灯や防犯カメラの整備、地元の大学との連携・共同事業など、地域のコミュニティーの醸成に貢献する事業に積極的に取り組まれております。
このように、元気な商店街がある一方で、空き店舗の増加でシャッター通りと化した商店街が少なからずあることも承知しております。
そのような商店街では、高齢化の進展や後継者不足により商店街の活動を担う人材が著しく減少し、従来から行ってきた催事ですら継続できない状況に陥っていることは皆さんも御承知のとおりであります。
商店街振興のための支援制度はいろいろと用意されていることと思いますが、私は、商店街が地域コミュニティーの担い手として地域の課題に対応した取り組みを持続的に進めていくには、組織を活性化し、事業を企画立案、運営実行していくリーダーや、それを支える若手の存在が不可欠であり、その育成が急務であると思います。
商店街の担い手が先頭に立ち、市町村や商工会議所、まちづくり会社やNPO等と連携した活性化への取り組みや、安心・安全なまちづくりのための街路整備など、県内各地の商店街を牽引することが大切であり、そうした取り組みが広がることで地域の活性化が図られるものと考えます。
さらに、平成二十六年四月には消費税率が引き上げられることで、買い控えなどの個人消費の低迷による景気の腰折れも懸念され、それが地域の商店街に甚大な影響を与えるのではないかと心配をしております。
そこでお尋ねをいたします。
このような厳しい状況が続く中で、今後どのように商店街振興に取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、県民生活の安心・安全施策の充実についてであります。
初めに、災害時における市町村や住民への情報伝達体制と市町村長の行う避難勧告についてお伺いをいたします。
ことしの十月、台風第二十六号に伴う大規模な土石流で多くの犠牲者が出た伊豆大島の災害の報道に触れ、県から市町村への気象情報等の情報伝達、そして、市町村から住民に対し、避難に関する情報伝達を迅速かつ的確に行うこと、また、市町村が住民に対し適切な時期に避難勧告を行うこと及びそのための県の支援の重要性を改めて認識したところであります。
今回の事例を見てみますと、もともと東京都から大島町への情報伝達については、防災部局や建設部局からの複数のルートがあったにもかかわらず、そのうちの一部のルートから情報が伝達されていませんでした。
また、伝達された情報についても、職員が参集時間を申し合わせた上で帰宅をしてしまった結果、大島町役場に担当職員が不在で、土砂災害警戒情報が約六時間放置されるという事態に陥りました。
そして、東京都は、大島町が受信確認していないことをシステム上把握していたにもかかわらず、電話確認などの手続で補完していませんでした。
こうした東京都と大島町とのコミュニケーションの欠落及びそのことによる情報伝達のおくれが、結果的に町長の避難指示・勧告のタイミングを逸することにつながってしまいました。
避難勧告に関しては、大島町が二次災害のおそれがあるとして避難勧告を発令しなかったことに関連して、内閣府は、自治体が避難勧告や避難指示を発令する際の判断指針を年度内に見直す方針を固めたとのことであります。
大雨や土砂災害の警報を受けた場合、どのタイミングで避難勧告を出すのか、市町村は判断に迷っていると聞きます。したがって、私は、発令に向けた具体的な基準づくりが必要であると考えます。
また、伊豆大島に特別警報が発表されなかったことについての気象庁の見解は、府県程度の広がりがない局所的な地域に関しては、特別警報の発表は技術的に困難であり、今後、既存の予警報の伝達内容の改善を図ることや、島嶼部における記録的な大雨について、ホットラインなどを通じて、可能な限り地方気象台長等から直接自治体の責任者に伝えること等に努めるとのことであります。
十月の台風第二十六号による伊豆大島の大災害のほか、十一月の台風第三十号によるフィリピン、レイテ島の未曽有の大災害などを目の当たりにし、時季を問わず迫りくる、かつて経験したことのない自然災害の危機に瀕し、まさに市町村や住民への迅速かつ的確な情報伝達の確保、そして、的確かつ円滑な避難手順の確立が急務であると私は痛感をいたしました。
そこでお尋ねをいたします。
本県における気象情報等の市町村や住民への情報伝達体制はどうなっているのかお伺いをいたします。
また、市町村の避難勧告等が的確に行えるよう、今後県はどのような支援を行っていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、災害時要援護者対策についてお伺いをいたします。
平成二十三年三月に発生した東日本大震災は、未曽有の大災害であり、深刻な被害をもたらしました。
中でも、六十五歳以上の高齢者の死者数は、被災地全体の死者数の約六割であり、障害者の死亡率は、被災住民全体の死亡率の約二倍に上ったと言われております。
東日本大震災は、私たちに数多くの課題と教訓を残しました。その後、これらの教訓を踏まえ、内閣府を初めとした各省庁において、災害対策の見直しやその充実が図られつつあるところであります。
対策の根拠法である災害対策基本法の第一弾の改正が昨年六月に行われ、大規模広域な災害に対する即応力の強化や、大規模広域な災害時における被災者対応の改善などに関する規定が整備されたところであります。
また、本年の六月、第二弾の改正においては、さらに住民等の円滑かつ安全な避難の確保、それから、被災者の保護対策の改善などに関する規定が整備されたところであります。
中でも、市町村長は、高齢者、障害者等の災害時の避難に特に配慮を要する者についての名簿を作成し、本人から同意を得て、消防、民生委員等の関係者にあらかじめ情報を提供するものとするとの規定が新たに設けられたことは、災害時の要援護者の生命を守る上で大きな前進と考えております。
一方、本年三月にまとめられました厚生労働省の災害福祉の広域支援に関する調査報告書には、東日本大震災の被災地では、高齢者や障害者などの要援護者を現地で支援するマンパワーの確保が困難となり、被災地以外の広域からの支援を送り込む必要が生じ、厚生労働省、自治体、事業者団体、職能団体等が被災地のニーズを確認し、マッチングやコーディネートを実施して支援を送り込む努力を続けたが、多くの課題が残ったとの記載があります。
さらに、この報告書では、東日本大震災で見受けられたこととして、被災地では、要援護者を支援する体制確保が不足したにもかかわらず、福祉・介護専門職の派遣の仕組みがなく、体制確保まで時間を要した、あるいは支援には、まず市区町村内での支援、次に都道府県等の中での支援、そして、都道府県を越えた広域の支援が想定されるが、そうした段階的な支援体制のあるべき姿等については未整理であったことなどが挙げられております。
本県において、災害時の要援護者の支援対策は、地域防災計画に位置づけられているところでありますが、今回の災害対策基本法の改正や、厚生労働省の検証結果を踏まえ、さらなる支援体制の充実が必要であると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
南海トラフ巨大地震の発生が懸念をされる中、東日本大震災の教訓を踏まえ、本県における災害時の要援護者支援の課題をどのように認識され、それに対しどのように取り組まれるお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、社会基盤の整備促進と地域の活性化についてであります。
新しい地域づくりビジョンについてお伺いいたします。
ビジョンの策定に向けては、これまで県庁内での議論はもとより、有識者や市町村、各種団体など、各方面の意見を聞きながら、精力的に検討を進めてこられ、先般、ビジョンの骨子が示されたところであります。
その骨子では、二〇三〇年の社会経済を展望しながら、めざすべき愛知として、リニアを生かし、世界の中で存在感を発揮する中京大都市圏、日本の成長をリードする産業の革新・創造拠点、安心安全で、誰もが夢と希望を抱き、活躍する社会という三つの視点が示されました。
二十一世紀はアジアの世紀とも言われ、上海やシンガポールなど中国や東南アジアの大都市の間では、グローバルな規模での企業や人材の確保、観光客の誘致、さらには、それを支える空港や港湾といったハブ機能の強化などが戦略的に進められております。
我が国における大都市の国際的な地位が相対的に低下しつつある中にあって、アジアを初め、世界と闘える愛知・名古屋をつくり、日本の成長を引っ張っていく、そうした考えのもとで知事は中京都構想を掲げられたわけであります。
これからのグローバルな経済社会を展望したとき、大都市を中心とした広域的なエリアでの地域間競争はますます激しくなっていくものと見込まれることから、ビジョンにおいても、国際競争力の強化という観点から大都市圏戦略を示していくことが不可欠であると認識しております。
また、国内に目を転じますと、二〇二七年には、リニア中央新幹線の東京─名古屋間の開業が予定をされております。事業主体であるJR東海によれば、東京─大阪間が全線開通するのは、その十八年後の二〇四五年ということでありますので、それまでは東京─名古屋間が日本の国土軸の中心になるわけであります。
このリニアの開業を大都市圏戦略としてどう生かしていくのかも大変大きなテーマであると考えております。
そこでお尋ねをいたします。
ビジョンの骨子において、めざすべき愛知に係る視点の第一に掲げられている、リニアを生かし、世界の中で存在感を発揮する中京大都市圏について、中京都構想の位置づけも含め、どのような姿を描こうとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第五は、医療施策の充実についてであります。
在宅医療の推進についてお伺いをいたします。
高齢者が住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで安心して続けるためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供されている地域包括ケアシステムを市町村が主体となって構築する必要があり、その際の県の役割は、市町村の取り組みが円滑に進むよう支援していくことであると考えております。
さきの九月議会において、知事から、県内の各地域で地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みを着実に進め、その成果を愛知モデルとして全国にも発信したいとの答弁がありましたことは大変心強いことであり、その実現を大いに期待しているところであります。
ただ、こうした中、私が心配をしておりますのが、今後の高齢化のスピードであり、全国の中でも特に急速な高齢化が進んでいくのは都市部だと言われていることであります。
名古屋市という大都市のある本県におきましては、医療や介護の必要性が急速に高まると言われております七十五歳以上の人口が平成二十四年には七十二万人でありましたものが、いわゆる団塊の世代の方々の全てが七十五歳以上となられる平成三十七年には百十七万人になると推計をされております。
それに伴い、入院される高齢者もふえてまいりますが、そうした方々が病院から自宅へ戻りたいと希望なされましても、現在、在宅で医療を受けることは一般的とは言えず、転院、あるいは施設へ入所せざるを得ないといった場合もあると聞いております。
私も団塊の世代を親に持つ一人であり、とても不安に思っているところであります。
したがって、病院に入院をされている方々に住みなれた地域へ戻っていただくには、医療と介護がうまく連携をすることが重要であり、在宅医療を含むサービスを適切に提供できる体制を整備する必要があると思いますが、医療と介護はそれぞれ異なる保険制度の枠組みで行われていることもあり、連携が十分に図られるかどうか懸念があるところであります。
例えば、退院時に医療側と介護側で話し合いを行うことや、在宅医療を提供してもらえる医療機関を市町村が把握することにおいて、現在のところ、地域で在宅医療が進みにくい状況があると伺っております。
このような中、本県においては、医療側から在宅医療を地域に普及していく施策として、地域ごとに医師、歯科医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャーといった在宅医療にかかわる多職種の連携を図るための在宅医療連携拠点推進事業を本年度から実施すると伺いました。
そこでお尋ねをいたします。
今後、県内で地域包括ケアシステムの構築に向けての取り組みが進められる中、在宅医療連携拠点推進事業の位置づけをどのようにするのか、また、本県の在宅医療をどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第六は、教育の充実と芸術文化の振興についてであります。
初めに、職業教育の推進についてお伺いいたします。
さきの十一月九日、十日、全国の専門学科等の生徒が日ごろの学習成果を発表する第二十三回全国産業教育フェア愛知大会が刈谷市と名古屋市で開催をされました。延べ十万人を超える来場者があり、職業教育の取り組みを県内の小中学生や全国の関係者にも広く発信することができたと伺っております。
また、知事におかれては、両日とも参加をされ、次代の産業を担う専門学科等の生徒の活躍を実際にごらんになり、激励されたと伺っております。
私も見学をさせていただきましたが、ロボット競技大会やガーデニングコンテストを初め、ファッションショー、日ごろの学習成果の研究発表、高校生が企画開発した商品の展示即売、体験コーナーの運営など、生徒は実に生き生きと取り組んでおり、輝いた姿を拝見することができました。
また、日ごろの学習で培った技術、技能を十分に発揮し、専門分野を学んでいることの誇りを感じ取ることができました。
ほかにも、小学生が職業を体験するキッズビジネスタウンや、特別支援学校の生徒作品コンテストなど、特徴のある取り組みを展開されておられました。
この大会を通じ、運営に携わった生徒の皆さん全てが大きく成長されたことと思います。
また、物づくり県愛知の職業教育のレベルの高さを大いに示すことができ、大会は大成功であったものと私も思っております。
この産業教育フェアの成果を踏まえながら、私なりに今後の職業教育について考えてみると、国際競争の激化や企業が海外に流出する中にあって、本県がこの先も産業立県として発展していくためには、専門性の基礎、基本を確実に身につけた上で、地域産業や地域社会との連携、交流を通じた実践的教育による人材育成が必要であると考えます。
そのような中で、開校が一年延伸とはなりましたが、平成二十八年度に開校予定の本県工業教育の中核となる愛知総合工科高等学校では、本科三年を卒業後、さらに二年の課程の専攻科が設置をされます。
地元の産業を支える企業とタイアップしながら、就職を意識した三カ月程度の長期の企業実習が計画され、より実践的な教育を展開されると伺っております。
現在、各工業高校でも地域との連携を進めておられますが、愛知総合工科高等学校のようにより進んだ連携が必要であると考えます。
また、先日、県立猿投農林高等学校を訪問する機会がありました。高校のある豊田地区では、果樹栽培が盛んであり、生徒が商品にならない梨の利用方法について研究をし、仮想会社を起業して梨どらという菓子を開発、販売できるよう取り組んでいたほか、企業体験学習として、社長や専務といった役職を高校生が受け持ち、より実社会に近い学びへの取り組みなども実施をしておられました。
私は、農業高校もこれからはこれらの取り組みのように実践的なビジネス体験の機会を提供し、社会で働くことの意味を知ることや、農業生産という一次産業に加え、加工、販売の一体化により、農業の六次産業化の推進に貢献できる人材をさらに育成していくことが大切であると考えます。
商業高校においても、大手コンビニエンスストアと共同でお弁当やパン、スイーツなど新商品の開発を行ったり、商店街の空き店舗を活用してオリジナル商品を販売したりするなど、生徒が学ぶ場を学校の中から実社会に拡大した取り組みが徐々に広がりつつあります。
ゆえに、私は、こうしたさまざまな取り組みを、今後生徒の就職など、将来の仕事にどのように結びつけていくのかも問われていると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
教育委員会として、この第二十三回全国産業教育フェア愛知大会をどのように総括し、その成果をどのように生かしていくのか、まずお伺いをいたします。
また、今後の職業教育の充実、発展に向け、どのような学校づくりを目指して進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
次に、あいちトリエンナーレについてお伺いをいたします。
八月十日から十月二十七日まで七十九日間の会期で開催されたあいちトリエンナーレ二〇一三は、六十二万人を超える来場者を迎えることができ、新聞に掲載された論評によりますと、現代美術や舞台芸術の専門家からも評価されており、大成功をおさめたものと考えております。
私も何度か会場を訪れましたが、主会場である愛知芸術文化センターでは、東日本大震災を強く意識した「揺れる大地─われわれはどこに立っているのか」というテーマを真摯に受けとめた作品に対し、多くの若者が真剣な眼差しで見入っている姿が非常に印象に残りました。
また、まちなか展開が愛知の大きな特色の一つですが、今回新たに設けた岡崎市内の会場では、ショッピングセンターの広大な空間を使った迫力のある展示や、徳川家康ゆかりの由緒あるお寺の敷地で展開したユニークな作品展示などで徐々に人気が高まり、八万人を超える来場者を数えました。
そして、最終日にちょうちん行列や鐘つきなどのクロージングイベントをみずから企画、実施するほど岡崎市内も盛り上がり、二〇一〇年に引き続き会場となった長者町と同じように、アートを生かしたまちづくりの機運が高まっているとのことであります。
あいちトリエンナーレは、二〇一〇年と今回の継続開催を通じて、時代の様相を敏感に捉えた先端的な現代アートのフェスティバルが多くの若者を引きつけ、まちづくりの新たな可能性を生み出し、都市の魅力を高めていくことを実証してきたと言えるのではないでしょうか。
国内の現代アートフェスティバルの動向を眺めてみても、既に開催されている新潟の越後妻有、横浜、瀬戸内、愛知に加え、来年は札幌、再来年は京都でも新たに国際芸術祭が開催されるなど、多くの都市が魅力づくりのための戦略としてこれを活用する傾向にあり、トリエンナーレの有効性を改めて認識しているところであります。
また、広報PRに関しまして、今回は準備段階から五十嵐太郎芸術監督みずからが海外の国際芸術祭や建築展などでPRをしたり、外国の報道機関の在日特派員に対する記者会見を行ったりしておられました。
そして、私も、開催一年前に実施されておりました上海デザイン・ビエンナーレの会場において、愛知県内から出展された団体の御厚意により、あいちトリエンナーレ二〇一三のPRブースを設置し、PRをさせていただきましたが、現地でも大変興味を持って迎えていただいたことを強く覚えております。
また、国内の地元メディアにも丁寧な情報提供を頻繁に行い、七十九日間の会期中、事務局が連日取材の対応に奔走されたとのことであり、国内外への認知度の向上が相当に図られたものと思います。
トリエンナーレやビエンナーレなどの国際芸術祭は世界に数百あると言われておりますが、あいちトリエンナーレは、アジアの名立たる国際芸術祭として先輩格に当たる上海ビエンナーレやシンガポールビエンナーレなどと比較をしても、出品作家数や作品のクオリティー、展示規模において遜色のないものであります。
ぜひとも、こうした有為な基盤を維持しつつ、世界に向けた発信力を一段と高めながら継続的に開催し、国内外のより多くの方々を引きつけていただきたいと考えております。
そこでお尋ねをいたします。
あいちトリエンナーレが発信力を高め、多くの方々を引きつけるためには、その存在感をより高めていく必要があると思いますが、この点において知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第七は、農林水産業の振興についてであります。
初めに、県産農林水産物の輸出促進についてお伺いをいたします。
私は、先月の十四日から十九日にかけて丸栄百貨店で開催されましたあいちの農林水産フェアに行ってまいりました。
本県の農林水産物や加工食品は、品質が高いことから大変好評を博しており、まさにあいちブランドとして海外においても十分通用するとの思いを強く抱いたところであります。
また、日本食の人気は近年世界中に高まっており、いよいよ今開催されているユネスコ政府間委員会での、日本の伝統的な食文化である和食が、国連教育科学文化機関、いわゆるユネスコの無形文化遺産として登録される見通しとなるなど、本県の農林水産物や加工食品の海外への販路開拓を行う絶好の環境になってきております。
国は、世界的な日本食への支持を背景に、高品質な日本の農林水産物、食品の輸出を二〇二〇年までに現在の四千五百億円を一兆円に倍増する戦略を立て、輸出支援に力を入れようとしております。
一方、本県においても知事は、農林水産業の振興策として、マニフェストの中で、農林水産物の輸出促進を掲げ、海外におけるあいちブランドの知名度向上に取り組む姿勢を明らかにされ、ことしの一月には上海で、また、先月の二十五日から今月の一日までは香港でそれぞれ愛知フェアを開催し、知事みずからも県産農林水産物や加工食品のPRをされました。
私も、産業振興・雇用対策特別委員会の調査で香港に行って、愛知フェアのPRに参加してまいりました。
香港は、世界で最も自由な経済が営まれ、世界のショーウインドーとも言われており、本県の農林水産物や加工食品が消費者や貿易業者などから評価されれば、世界への販路開拓につながり、輸出拡大を図る上で大変効果的であると思います。
我が国の農林水産物の輸出はまだまだこれからであり、輸出を今後さらに拡大するためには、国によってさまざまに異なる食に関する嗜好や習慣、植物検疫上の規制など、多くの課題を事業者みずからが把握し、実際に輸出手続や現地での販売などの体験を通じて、ノウハウを獲得していくことが大変重要であると考えます。
また、知事が先頭に立ち、あいちブランドとして本県産農林水産物や加工食品をPRされ、輸出拡大に取り組む事業者を支援していただくことも大変意義あるものと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
これまでの取り組みの成果を踏まえ、県産農林水産物や加工食品の輸出促進に今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、本県農業を支える産学官連携研究の取り組みについてお伺いをいたします。
日ごろから私は、愛知県民の一人として県産農産物を積極的に購入することで、全国屈指の愛知の農業を応援し、さらに元気になってもらいたいという気持ちを持っております。
そうした中、先月、産業振興・雇用対策特別委員会で県の農業総合試験場を訪問し、競争力を高めるためにやっておられる最新の農業研究の状況を調査してまいりました。
農業総合試験場では、米や麦、野菜、果樹、花など四十一の品種、コチョウランの省エネ栽培技術を初め十二の特許など、多くの知的財産権を保有されており、さらに、この十一月には、米とカーネーションの二つを新たに品種登録出願をされたと伺いました。
また、農業総合試験場の利用許諾料収入は、県が保有する知的財産全体の収入の約八割を占めると伺い、大変に感心をいたしました。
これらのうち、最近の成果の傾向を見ますと、県食品工業技術センターと共同で開発した酒づくりに適したお米、夢吟香や、製粉メーカーの意見を取り入れて開発したうどんやきしめんに適する小麦、きぬあかりなどの新品種の開発や、ICT、すなわちセンサーや通信技術を活用して温室内の水と温度と肥料をコントロールして生産性を高める研究など、農業総合試験場と他産業分野や民間企業とのコラボレーションが思った以上に進んでおり、またそれがよりすぐれた成果を効率的に生み出すことにつながっていることを強く感じました。
さて、本県は、全国第六位の産出額を誇る農業県であることは言うまでもありませんが、とりわけ花や野菜など施設園芸においては、全国屈指の栽培面積を誇るとともに、他県に先駆けて、保温性を高めるカーテン装置や土を使わない養液栽培、さらには、肥料や温度を自動で管理する装置など、先進的技術を取り入れた大型施設の設置が進んでいると伺っております。
今後も、こうした施設園芸の強みをさらに伸ばすことで、本県農業全体の発展につなげてほしいと心から願っております。
そのためには、引き続きICTを活用してさらに生産性の高い植物工場の導入を促進したり、本県独自のブランド品目となるような新品種を開発するなど、国内外の産地に負けない高い競争力を維持していく必要があり、その手法の一つとして、地元の民間企業や大学などとのコラボレーションを一層強化していくことが重要ではないかと思います。
そこでお尋ねをいたします。
県は、本県で盛んな施設園芸などの研究開発について、産学官連携にどのように取り組み、また、その成果をどのように生かしていこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
私からの最後の質問となりますが、質問の第八は、環境首都を目指した環境施策の推進についてであります。
ESDに関するユネスコ世界会議についてお伺いをいたします。
大切な地球を守る人づくりの取り組みであるESD、持続可能な社会を支える担い手づくりをテーマに、来年十一月に本県で開催されるこの会議は、日本が提唱し、二〇〇五年から国連の主導により世界中で取り組まれている国連ESDの十年の最終年を締めくくる大変重要な国際会議であります。
この会議には、ユネスコに加盟する百九十五の国から閣僚などの政府代表者を初め教育関係者など、数千人規模の人たちが集まり、各国におけるこの十年間のESDの取り組みや成果、そして、二〇一四年以降の方策について話し合われると伺っております。
世界会議の開催まで残すところあと一年。この大変意義深い会議の開催地に選ばれた以上、これまでの愛知万博やCOP10と同様に、地域の力を結集し、必ずや成功させてもらわなければならないと考えます。
大村知事が会長を務めますESDユネスコ世界会議あいち・なごや支援実行委員会では、さまざまな取り組みが展開されていると伺っております。
その一つが、ユネスコ総会での開催地PRであります。
先月、知事みずから世界会議の開催地、愛知・名古屋のPRを行うため、ユネスコ総会開催中のパリのユネスコ本部を訪問され、ユネスコ幹部を初め各国代表の方々に、世界会議に向けた愛知・名古屋の取り組みやPRを存分にアピールされたと伺っております。
また、世界会議開催一年前を記念し、名古屋、尾張、三河の県内三カ所で開催一年前イベントが実施されております。
私も、九月十四日、十五日に名古屋市中区で実施されておりましたイベントに出席をさせていただきましたが、久屋大通公園もちの木広場とその周辺では、世界会議の盛り上げのための著名人によるESDのトークショーを初め、ESDの活動団体のブース展示等が行われ、会場は多くの人でにぎわっておりました。
この後も、十一月二十三日、二十四日には尾張一宮駅前ビルで、そして、十一月三十日と十二月一日には豊田産業文化センターでも同様のイベントが実施されたところであります。
このほか、支援実行委員会以外にも、民間団体によるイベントや、大学による世界会議に向けた連続講演会やシンポジウムなどが数多く実施されており、それらはESDあいち・なごやパートナーシップ事業として会議の盛り上げに大きく貢献をしております。
このように、ESDユネスコ世界会議の成功のためには、幅広い関係者が力を合わせた取り組み、準備が必要になると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
世界会議の開催が一年を切った中で、会議成功に向けてどのように取り組んでいかれるのか、支援実行委員会の会長である知事の御所見をお伺いいたします。
以上、減税日本一愛知を代表いたしまして、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。大村知事を初め、理事者各位の明快な御答弁を期待いたしまして、私からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
16:
◯知事(
大村秀章君) 減税日本一愛知を代表して、
佐藤敦議員から質問をいただきました。順次お答えを申し上げます。
初めに、個人県民税減税の対応についてであります。
減税は、大胆な規制緩和とあわせて実施をすることにより、この地域の経済を活性化させ、地域に人、物、金を呼び込んで、世界と闘える愛知を実現するための政策として、これまで着実に取り組んできたところでございます。
個人県民税減税につきましては、本年八月に協議を始めさせていただき、九月議会の代表質問などを通じまして議論を深め、各会派の皆様からさまざまな御意見、御提言を頂戴したところであります。
そこで、平成二十六年度における対応方針でありますが、国において消費税率引き上げが正式に決定をされ、その影響を緩和する対策が鋭意検討されている状況などを踏まえまして、特に消費税率の引き上げが子育て世帯の負担を重くし、次代を担う児童の健全育成に悪影響を及ぼすことのないよう、個人県民税減税の多くを子育て世帯を支援することに集中的に投じることとしたいと考えております。
この子育て世帯への支援策は、本来、減税という形で行いたいところでありますが、税という形では戻しにくいという現実があるため、今回は減税の身がわりとして、給付という形で子育て世帯に手厚く還元をすることにより、子育て世帯に集中的に減税と同様の効果を生み出すことができますので、具体的な手法を詰め、二月議会に二十六年度当初予算として提案をしていきたいと考えております。
また、あわせて御提案をさせていただきました個人県民税均等割の一律千円減税案につきましては、これまでいただきましたさまざまな御意見や諸般の状況等を踏まえ、今議会への提案を見送ることといたしましたが、国の消費税率引き上げに伴う経済対策の柱の中に種々の減税施策が位置づけられていることを見ましても、経済対策としての減税施策は重要な
ツールの一つでありまして、規制改革等と組み合わせて実施をすれば、経済活性化に有益であるとも考えております。
したがって、今後とも、減税のあり方、実行策等につきまして、引き続き検討を重ねてまいりたいと考えております。
なお、二十六年度の消費税率の引き上げに伴う対策としても検討してきた経過を踏まえますと、この分を県民の皆様に還元することが有益であると考え、個人県民税均等割減税の所要額に相当する三十億円を障害者福祉減税基金として積み立て、福祉施設等を飛躍的に拡充するための施設整備費の補助に充てることとし、今後詳細を詰めて、二十六年度当初予算として提案をしてまいりたいと考えております。
次に、商店街の振興についてお答えをいたします。
商店街は、地域コミュニティーの維持や安心・安全なまちづくりになくてはならない存在であると考えております。
こうした認識のもと、県では、平成二十三年五月に策定をいたしました新あいち商店街プランに基づきまして、商店街を地域のコミュニティーの担い手として位置づけ、活性化を目指す商店街を支援しております。
最近の事例で申しますと、豊川市内の商店街では、B─1グランプリを活性化の起爆剤として位置づけまして、地域を挙げてプレイベントや景観整備等に取り組んでまいりましたが、そうした取り組みに対しまして、県といたしましても、豊川市と協力をして支援をしてまいりました。
B─1グランプリin豊川には五十八万人余りの方々にお越しをいただきまして、大きな経済効果があったところであります。
加えて、地域が一体となった取り組みによりまして、まちづくりの意識も醸成され、今後の地域活性化にも大きな効果をもたらしたものと考えております。
こうした商店街の取り組みも、活動の担い手を確保し育てていくことが大変重要であります。県といたしましては、各商店街が行う人材育成の取り組みへの助成を行うとともに、県内の商店街の連合体である愛知県商店街振興組合連合会によるリーダー養成の取り組みや、県内六カ所に配置されている商店街マネージャーを活用した商店街の人づくりに向けての取り組みを積極的に支援しているところであります。
県といたしましては、引き続き商店街をしっかりと応援し、元気な商店街とにぎわいのあるまちづくりを進め、日本一元気な愛知を目指してまいりたいと考えております。
続いて、災害時における情報伝達体制と避難勧告についてお尋ねをいただきました。
まず、気象情報等の市町村や住民への情報伝達体制についてであります。
県から市町村への情報伝達は、地上系及び衛星系の二つのルートを持つ高度情報通信ネットワークシステムにより市町村に一斉に自動配信されるとともに、県では二十四時間体制により伝達確認を行っております。
県から市町村に伝達する情報には、名古屋地方気象台が発表する大雨警報などの気象情報、県と気象台が共同発表する土砂災害警戒情報などがあります。
県のシステムでは、情報が市町村に到達しているか、受信確認のボタンが押されているかを把握できる仕組みとなっております。情報が到達していない場合や、受信確認のボタンが押されていない場合には、県から当該市町村に対して確認の連絡をして再配信を行い、連絡がとれない場合には、必要に応じて方面本部の職員を派遣することにより情報伝達の確保を図っております。
また、住民への情報伝達につきましては、原則として市町村が実施するものであり、市町村においては、それぞれの実情に応じ、同報系防災行政無線のほか、緊急速報メール、広報車、防災ラジオなど、さまざまな手段を用いて情報伝達に取り組んでおります。
県としては、住民が情報を確実に受け取り、迅速に避難行動をとることができるように、市町村が行う住民に対する情報伝達手段の整備などの支援に努めているところであります。
次に、市町村による的確な避難勧告等の実施に関する支援についてお答えをいたします。
市町村が避難勧告等を適切に発令、伝達するための指針として、国では、平成十七年の三月に避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを示しております。これを受けて、本県では、市町村に対してマニュアルの作成と適切な運用について、機会あるごとに働きかけてきたところであります。
また、河川の水位や土砂災害の危険度など、市町村が避難勧告等を発令する際の判断材料となる情報を高度情報通信ネットワークシステムを通じて提供するとともに、災害時には、必要に応じ、市町村の災害対策本部に県職員を派遣するなど、連携を密にいたしております。
さらに、このガイドラインには、近年導入をされました土砂災害警戒情報や特別警報が盛り込まれていないことから、十月の台風第二十六号による東京都大島町の災害を受け、ガイドラインの見直し等を全国知事会による緊急提言として国に求めたところであります。
県といたしましては、市町村において的確な避難勧告等の発令につながるようなマニュアルの策定や見直し等、名古屋地方気象台など関係機関と連携の上、必要な助言や相談に応じてまいりたいと考えております。
次に、災害時要援護者対策についてお答えをいたします。
本県は、これまで愛知県地域防災計画に市町村の役割として、安否確認や避難誘導、福祉避難所の設置などを、また、県の役割として、広域調整や市町村支援などを位置づけ、役割分担を図りながら大規模災害に備えてまいりました。
しかしながら、国において、災害対策基本法の改正など新たな動きがありましたことから、今年度、庁内にプロジェクトチームを設置し、大規模広域な災害時における要援護者支援の課題について改めて検討を行っているところであります。
これまでの課題整理において、市町村の一層の体制強化が必要であることや、高齢者や障害者等の避難生活の拠点となる福祉避難所の確保と質の向上の重要性が明らかとなりました。
さらに、大規模広域な災害時においては、被災地と支援者との広域コーディネートや被災市町村への福祉人材の派遣など、市町村域を越える広域支援体制の構築が大きな課題であると認識しております。
このため、本県といたしましては、国の新たな指針を踏まえ、福祉避難所の設置などを含む災害時要援護者支援に関する現行の市町村マニュアルの改訂に着手し、来年度の早い時期には各市町村にお示しをしたいと考えております。
さらに、被災地と支援者との広域コーディネートや、被災市町村への福祉人材の派遣などの広域的課題についても、今後、市町村や関係団体による検討会議を設けて対応策を取りまとめるなど、広域的な支援体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
続きまして、新しい地域づくりビジョンについてであります。
中京大都市圏は、名古屋を中心におおむね八十キロから百キロ圏に当たる岐阜県南部や三重県北部、さらには、静岡県西部をも含む社会的、経済的な結びつきが強いエリアを、リニア開業によって生まれる五千万人の大交流圏の西の拠点として位置づけ、世界に直結する一大産業拠点の役割を担い、関西圏、北陸圏にも後背圏を拡大させていく姿を目指しているものでございます。
これによりまして、首都圏の吸引力に対して、物づくり産業を初めとする独自の強みを発揮しながら、グローバルな都市間競争に打ち勝つ強い大都市圏を形成していく考えであります。
その実現に向けましては、空港、リニアを軸に陸海空の広域交通基盤の整備や、グローバルに展開し、日本の成長をもリードする産業の革新的強化、さらには、世界から人を引きつける魅力づくりなどに取り組んでいかねばなりません。
その際、日本屈指の産業集積を持つ愛知と大都市機能を有する名古屋が合体をし、ベクトルを合わせて機能強化を図り、国から自立をして、スピード感を持って大胆な政策を実行していく中京都構想の推進が不可欠であると考えます。
新しい地域づくりビジョンにおきましては、こうした取り組みを盛り込みながら、国内外から人、物、金、情報を呼び込み、世界の中で堂々とした存在感を示す中京大都市圏づくりを描いてまいりたいと考えております。
次に、在宅医療の推進についてお答えをいたします。
多くの高齢者が住みなれた自宅での生活を望まれている中、地域で医療や介護が受けられる環境が十分に整っていないため、在宅での医療が受けられず、困っている方や入院や入所をやむなく継続されている方が多数おみえになります。
こうした状況におきまして、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムを構築していくことは、本県にとりまして喫緊の課題であると認識をいたしております。
この地域包括ケアシステムを構築する上でかなめとなる医療と介護の連携を地域に定着させるための先駆的事業として位置づけているものが在宅医療連携拠点推進事業であります。
この事業は、県内十二の地域で市町村や地区医師会が医療と介護に携わる多職種の方々の連携を促進し、働きやすい仕組みを整備することにより、自宅で安心して療養できる環境を整えるものであります。
また、この事業では、二十四時間対応可能な体制を整備するほか、家族の介護の負担軽減に向けた取り組みや、緊急時の入院にも対応できる病床を確保することも進めてまいります。
今後、医療と介護を含む地域包括ケアシステムの構築が県内全域で推進されるよう、この事業の成果を全ての市町村に拡大することにより、自宅で安心して療養が受けられる在宅医療提供体制の整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
次に、あいちトリエンナーレについてお尋ねをいただきました。
あいちトリエンナーレが国内外への発信力を高め、多くの方々を引きつけるためには、魅力ある愛知の独自性を明確に打ち出し、存在感を示すことが必要であります。
この点、二〇一〇年の初回は、国際美術展の高いクオリティーとともに、舞台芸術を含めた複合性や長者町などでのまちなか展開、また、キッズトリエンナーレ等の普及教育の取り組みなどが評価をされました。
第二回目の今回は、これらをベースにしながら、まちなか展開の岡崎市内への拡充や、作家、作品の選定への建築の視点の導入など、五十嵐芸術監督ならではの新たな特色も加味して展開をいたしました。
その結果、約六十二万六千人に上る多くの皆様にお越しをいただき、来場者アンケートでも、前回を上回る八割を超える方々から、次回も行きたいとの回答をいただきました。
また、明確なテーマ性のある時宜を得た展開などが現代美術や舞台芸術の関係者から評価をされ、大きな成果を上げることができたと考えております。
今後は、舞台芸術との複合性やまちなか展開、普及教育の取り組みなどの基本的な枠組みに加え、年度内に取りまとめる検証結果も踏まえつつ、県内市町村、芸術大学など地域との連携も図りながら、芸術監督の感性やアイデアにより、常に新たな視点で先端的な芸術と社会や時代とのかかわりを提示することで、愛知の独自性を際立たせてまいりたいと考えております。
そして、行く行くは、百年以上続くベネチア・ビエンナーレのように、求心力の高いアートフェスティバルに育成していきたいと考えております。
次に、県農林水産物の輸出促進についてであります。
私は、農林水産業においても日本一元気な愛知を目指すためには、輸出の促進は大変重要であると考えておりまして、昨年七月には、輸出の総合的な取り組みを行う農林水産業国際競争力強化センターを設置し、上海や香港で販売促進会や商談会を行う愛知フェアを開催してまいりました。
今回の香港での販売促進会におきましては、加工食品に加えまして、イチゴなどの生鮮品や抹茶も好評でありまして、また、商談会では、現地のバイヤーさんが多数参加をし、活発な商談が行われるなど、県産農林水産物や加工食品が高く評価をされたところであります。
今後も、特に、人口の増加や経済発展に伴う富裕層の増加が目覚ましいアジア地域をターゲットにフェアを開催するなど、私も先頭に立ちまして、さらなる販路開拓を図り、あいちブランドとして知名度のアップに努めてまいります。
また、香港の百貨店やジェトロ事務所の責任者との会談を通じまして、継続的な輸出につなげていくためには、現地のニーズに合った産品の提供とともに、良質な産品を安定的に供給することが大変重要であると再認識をいたしたところでございます。
今後は、さらなる輸出促進を図るために、県を中心に輸出に積極的に取り組んでいる生産者や食品産業団体、ジェトロ等で構成をする農林水産物輸出促進会議で得た情報と、愛知フェアで得たノウハウや情報を生かした戦略的な取り組みを進め、海外との継続した取引に結びつくような輸出促進に一層力を入れてまいりたいと考えております。
続いて、本県農業を支える産学官連携研究の取り組みについてお答えをいたします。
農業技術の研究開発における産学官連携は、民間企業が持つ実用化などのノウハウと大学の持つ基礎的な開発力、そして、県が持つ現場に密着した研究の蓄積を相乗的に生かすことのできる重要な取り組みであると認識をいたしております。
このため、愛知県の農業総合試験場では、名古屋大学、中部大学、名城大学、そして、豊橋技術科学大学の県内四大学と研究協定を締結いたしておりまして、施設園芸におけるICTのさらなる活用や、水耕栽培の栄養成分を高める研究などを共同で進めているところであります。
また、民間企業との共同研究により、病気に強いトマトや、夏の高温に強いスプレー菊等の新品種を開発してきたほか、トマトについては、昨年度から年間を通じた安定生産により、収穫量を二倍以上に伸ばす栽培技術の研究を開始したところであります。
こうして得られた成果は、県の農業改良に携わる普及指導員が中心となりまして、速やかに生産現場への導入を進め、生産者の収益向上につなげているところであります。
また、議員お示しの小麦の新品種、きぬあかりにおきましては、作付面積の大幅な拡大とともに、県製麺工業協同組合を初め、関係者と県がプロジェクトチームを立ち上げまして、一緒になって加工品の試作や情報発信を行うなど、新たなブランド確立に向けた取り組みも進めております。
今後とも、産学官連携による研究開発を一層推進し、農業の技術革新を推し進め、中部圏で最大、日本でも有数の本県農業のさらなる発展につなげてまいりたいと考えております。
私から最後の答弁となりますが、ESDに関するユネスコ世界会議の成功に向けた取り組みについてお答えをいたします。
私は、先月、総会開催中のユネスコ本部へ赴き、世界会議の開催地、愛知・名古屋をPRするとともに、ボコバユネスコ事務局長を初め、多くの方々と意見交換をしてまいりました。
事務局長からは、ESDの世界会議は、来年開かれるユネスコ最大の会議であり、ユネスコの総力を挙げて取り組むとの強い決意が示されました。
開催する地元といたしましては、この言葉をしっかりと受けとめ、国やユネスコと連絡を密にしつつ、会議が安全・安心で円滑かつ快適に行われるよう、地元の関係者と連携して万全の体制で支援をしてまいります。
また、世界各国からの参加者を、愛知・名古屋の食文化を取り入れたレセプションや、歴史、文化、物づくり、豊かな自然といったこの地域の魅力を体感していただくエクスカーション、いわゆる視察旅行によりお迎えをしたいと思っております。
さらに、二〇一四年をESDイヤーとして位置づけまして、年明けの一月十三日にキックオフイベントを実施するのを初めとして、県内各地でイベントを開催したり、市町村、NPO、企業、学校等、多様な主体によるパートナーシップ事業の情報をホームページで発信するなどして、県全体でESDの取り組みの促進を図ってまいります。
私は、日本一の産業県である愛知は、持続可能な社会づくりでもトップランナーであるべきだと考えております。世界会議を契機といたしまして、二〇〇五年の愛知万博、二〇一〇年のCOP10から続く持続可能な社会づくりの流れを加速し、環境首都あいちを世界に強くアピールをしてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
17:
◯教育長(
野村道朗君) まず、第二十三回全国産業教育フェア愛知大会の総括とその成果の継承についてのお尋ねでございます。
第二十三回全国産業教育フェア愛知大会は、参加校数約四百校、延べ約十万八千人の来場者となり、昨年度の岡山大会を上回る参加者となりました。
名古屋市、刈谷市にも御協力をいただいて、愛知の産業を支える尾張と三河の中心的な都市で開催することができ、専門学科等で学ぶ生徒の学習成果の発表や活動を広く県内外の方々に広報し、専門学科等の魅力と役割の理解を促す貴重な機会になったと考えております。
また、生徒が作品制作や発表会などを通じた学習の中で課題を探求し解決する力、みずから考え行動し適応していく力、コミュニケーション能力などを高めることはもとより、将来のスペシャリストとして活躍することを自覚し、専門分野を学んでいる誇りを醸成することにつながったと、このように考えております。
今後も、産業教育フェアの取り組みを継承し、各地域の産業団体や市町村との連携、協力を一層推進する中で、地域の専門高校がまとまって成果発表会を開催したり、地域のイベントへ参加したりして、生徒の学習意欲をさらに高め、専門学科で学ぶ誇りの醸成につなげてまいりたいと考えております。
次に、今後の職業教育の充実、発展に向けた学校づくりについてのお尋ねでございます。
専門高校は、これまでも勤労観、職業観を身につけ、幅広い産業分野で職業人として必要とされる力を持った人材の育成に努めてまいりました。しかしながら、産業構造の大きな変化や科学技術の進歩などに的確に対応できる教育内容の充実を図っていくことが大切となっておりますことから、議員御指摘のとおり、専門高校では、各学科の特徴を生かしたさまざまな取り組みを展開しているところでございます。
しかしながら、インターンシップの取り組みについても、全ての生徒が実施できる状況にない中で、キャリア発達がまだ未熟な生徒がいたり、自分が学んでいる学科に関連する就職に結びついていないといったようなケースもあったりするなど、課題も多くございます。
このため、現在、専門高校で重点的に行われている高等学校職業教育技術認定制度の実技試験を今まで以上に設定するなど、将来の職業を強く意識させるような教育の充実にさらに努めていくことといたしております。
また、今後、地域の産業界からどのような人材の育成が望まれているかなどを十分に把握した上で、これからの専門学科のあり方をさらに検討していくこととしておりまして、その中で十日間程度の比較的長期の現場実習の実施につきましても、その可能性を探ってまいりたいと考えております。
なお、愛知総合工科高等学校につきましては、このたび、開校を一年延伸せざるを得ない状況となっておりまして、教育委員会としてまことに申しわけなく思っておりますが、企業との強い連携のもとで、この学校を本県の工業教育の中核となるように取り組みながら、その成果は他の工業高校にもしっかり反映させてまいりたいと、このように考えております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
18: ◯三十八番(
坂田憲治君) 本日はこれをもって散会し、明十二月五日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
19:
◯議長(
久保田浩文君)
坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
20:
◯議長(
久保田浩文君) 御異議なしと認めます。
明十二月五日午前十時より本会議を開きます。
日程は
文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時五十九分散会
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