令和 2年 2月 定例会(第1回)……………………………………………………………………………………………
△議事日程(第六号) 令和二年三月十一日(水)午前十時開議 第一 議第十五号から議第二十七号まで、議第四十八号及び議第六十二号 第二 議第一号から議第十四号まで、議第二十八号から議第四十七号まで、議第四十九号から議第六十一号まで及び議第六十三号から議第六十九号まで 第三 県議第一号 第四 請願第七号から請願第十号まで 第五 一般質問……………………………………………………………………………………………
△本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第十五号から議第二十七号まで、議第四十八号及び議第六十二号 一 日程第二 議第一号から議第十四号まで、議第二十八号から議第四十七号まで、議第四十九号から議第六十一号まで及び議第六十三号から議第六十九号まで 一 日程第三 県議第一号 一 日程第四 請願第七号から請願第十号まで 一 日程第五 一般質問……………………………………………………………………………………………
△出席議員 四十五人 一番 平野恭子君 二番 森 治久君 三番 山内房壽君 五番 小川祐輝君 六番 平野祐也君 七番 所 竜也君 八番 今井政嘉君 九番 藤本恵司君 十番 安井 忠君 十一番 中川裕子君 十二番 伊藤英生君 十三番 澄川寿之君 十四番 水野吉近君 十五番 恩田佳幸君 十六番 若井敦子君 十七番 広瀬 修君 十八番 布俣正也君 十九番 国枝慎太郎君 二十番 長屋光征君 二十一番 林 幸広君 二十二番 高木貴行君 二十三番 野村美穂君 二十四番 高殿 尚君 二十五番 田中勝士君 二十六番 加藤大博君 二十七番 山本勝敏君 二十八番 松岡正人君 二十九番 小原 尚君 三十番 川上哲也君 三十一番 松村多美夫君 三十二番 水野正敏君 三十三番 野島征夫君 三十四番 伊藤秀光君 三十五番 平岩正光君 三十六番 佐藤武彦君 三十七番 森 正弘君 三十八番 小川恒雄君 三十九番 渡辺嘉山君 四十番 伊藤正博君 四十一番 村下貴夫君 四十三番 尾藤義昭君 四十四番 藤墳 守君 四十六番 玉田和浩君 四十七番 岩井豊太郎君 四十八番 猫田 孝君……………………………………………………………………………………………
△職務のため出席した事務局職員の職氏名 事務局長 市川篤丸 総務課長 森 浩一 議事調査課長 篭橋智基
議事調査課管理調整監 三宅誠樹 同 課長補佐 青木陽輔 同 課長補佐 田口智記 同 係長 佐藤貴一 同 係長 高口好美 同 主査 上野由香……………………………………………………………………………………………
△説明のため出席した者の職氏名 知事 古田 肇君 副知事 平木 省君 副知事 河合孝憲君 会計管理者 石原佳洋君 総務部長 横山 玄君 清流の国推進部長 尾鼻 智君 危機管理部長 西垣功朗君 環境生活部長 服部 敬君
環境生活部県民文化局長 矢本哲也君 健康福祉部長 兼山鎮也君
健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君 商工労働部長 井川孝明君
商工労働部観光国際局長 崎浦良典君 農政部長 渡辺正信君 林政部長 荻巣雅俊君 県土整備部長 宗宮裕雄君 都市建築部長 船坂徳彦君
都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君 総務部次長(情報化推進担当) 阿部修二君 健康福祉部次長(医療担当) 堀 裕行君 教育長 安福正寿君 警察本部長 今林寛幸君 代表監査委員 鈴土 靖君
人事委員会事務局長 藤田春美君
労働委員会事務局長 桐山敏通君……………………………………………………………………………………………
○議長(小川恒雄君) 開会に先立ち、本日、発生から九年となります東日本大震災により犠牲になられた方々に改めて哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと思います。御起立願います。 〔一同起立〕
○議長(小川恒雄君) 黙祷始め。 〔黙祷〕
○議長(小川恒雄君) 黙祷やめ。御着席ください。 〔一同着席〕……………………………………………………………………………………………
△三月十一日午前十時一分開議
○議長(小川恒雄君) ただいまから本日の会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(小川恒雄君) 日程第一を議題といたします。 ただいまから議題とした各案件について、各
常任委員会委員長に審査の経過及び結果の報告を求めます。総務委員長 長屋光征君。 〔
総務委員会委員長 長屋光征君登壇〕
◆
総務委員会委員長(長屋光征君) 総務委員会に審査を付託されました議案三件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和元年度岐阜県
一般会計補正予算について、歳入予算補正は総額百八十三億四千八百八十六万六千円の減額となっております。 その主な内容としましては、地方消費税や不動産取得税などの減収見込み等により、県税が三十億円の減額、全国ベースでの地方消費税収入の減少見込みにより、
地方消費税清算金が二十四億七千五百万円の減額、歳出予算の節減などから、財政調整基金からの繰入金を減額することなどにより、繰入金が九十三億九千四百四十万九千円の減額、
中小企業制度融資貸付金などの減額により、諸収入が百二億六千六百九十六万三千円の減額。 一方、国補正予算への対応や、臨時財政対策債の発行可能額の確定及び減収補填債の発行などにより、県債が九十億八千九十万円の増額などとなっております。 歳出予算補正については、当委員会所管として、事業の確定や経費の節減等による減額のほか、法人の確定申告等に伴い発生する還付金等の実績を踏まえ、県税取扱諸費が四億八千六百九十六万四千円の減額、揖斐川町が行う原子力災害時における屋内退避施設の
放射線防護対策工事に対する補助に係る防災運営費が一億七百十五万八千円の増額、
地方消費税清算金などの今年度の県税収入見込額を基礎とする市町村への交付金等の補正に伴い、諸支出金が三十二億六千三百万円の減額など、総額五十五億二百三万一千円の減額となっております。 また、繰越明許費補正については、当委員会所管として、自動車税事務所の空調工事の実施設計委託に関し、工法の変更により契約期間を延長する必要が生じたことから、
自動車税事務所改修費など追加分が二件であります。 次に、議第十六号 令和元年度岐阜県
公債管理特別会計補正予算は、借入れ実績に伴う利子等の減額などにより、また議第十七号 令和元年度岐阜県
用度事業特別会計補正予算については、年度内の執行見込みに基づき所要の補正を行うものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳入予算補正、歳出予算補正中総務委員会関係、繰越明許費補正中総務委員会関係及び地方債補正、議第十六号並びに議第十七号の各案件については、全会一致をもって、それぞれ原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。 なお、審査の過程において、執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 原子力災害時における
屋内退避施設工事に係る補助内容について質疑があり、揖斐川町の川上地区は原子力発電所からおおむね半径三十キロ圏内に位置し、有事の際には屋内退避などの防護措置が必要であることから、放射線対策として施設の気密性を高めるために二重扉やフィルターの設置工事について揖斐川町に対し補助するものであるとの答弁がありました。 以上、総務委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。
○議長(小川恒雄君)
企画経済委員会委員長 伊藤秀光君。 〔
企画経済委員会委員長 伊藤秀光君登壇〕
◆
企画経済委員会委員長(伊藤秀光君) 企画経済委員会に審査を付託されました議案二件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和元年度岐阜県
一般会計補正予算のうち、歳出予算補正については、当委員会所管として総額百十二億二千五十九万五千円の減額となっております。 その主な内容としましては、
中小企業資金融資制度に係る新規融資において、業況が悪化している中小企業者を対象とする
経済変動対策資金などの融資実績が見込みを下回ったこと、継続融資の確定額が見込みより減少したことに伴い、九十二億八千三百万円を減額するものなどであります。 繰越明許費補正については、当委員会所管として、岐阜県
グリーンスタジアム附属棟建設工事などの繰越しを行う
スポーツ施設整備事業費に係るものなど追加二件であります。 議第十八号の令和元年度岐阜県
中小企業振興資金貸付特別会計補正予算については、
中小企業高度化資金の貸付額が確定したこと、また貸付先からの償還が減額見込みとなったことなどにより五億五千四百二十八万八千円の減額を行うものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正中
企画経済委員会関係及び繰越明許費補正中
企画経済委員会関係並びに議第十八号については、全会一致をもって、それぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において、執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 ラグビー競技を実施するスポーツ施設の整備事業の具体的な内容について質疑があり、執行部より、国補正予算の活用により、岐阜県長良川球技場の照明のLED化、トイレの洋式化を進めるものであるとの答弁がありました。 また、県の水素ステーションの整備目標について質疑があり、執行部より、今年一月に飛騨圏域に一か所整備し、現在、六か所整備済みであるが、今後各圏域二か所、県内十か所の整備を目標としているとの答弁がありました。 以上、企画経済委員会の審査の経過と結果の御報告を申し上げました。
○議長(小川恒雄君)
厚生環境委員会委員長 国枝慎太郎君。 〔
厚生環境委員会委員長 国枝慎太郎君登壇〕
◆
厚生環境委員会委員長(国枝慎太郎君) 厚生環境委員会に審査を付託されました議案四件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和元年度岐阜県
一般会計補正予算のうち歳出予算補正については、当委員会所管として、総額五十五億四百二万三千円の減額となっております。 その主な内容としましては、環境生活部関係では、補助対象となる児童・生徒数の確定により、
私立高等学校等教育振興費補助金について二億二千五百五十八万七千円を減額するほか、健康福祉部関係では、幼児教育・保育の無償化に伴う市町村のシステム改修の事業実績などを踏まえ、児童保護措置費について七億九千六百二十五万一千円を減額するものであります。 また、繰越明許費補正については、当委員会所管として、障がい福祉施設の整備に関するものなど追加が九件であります。 議第十九号の令和元年度岐阜県
地方独立行政法人資金貸付特別会計補正予算については、県立多治見病院における心臓用超音波診断装置などの購入計画の変更により、県が起債し、法人に貸し付ける資金が増加したことなどにより、歳入歳出ともに四千八十万円を増額するものであります。 議第二十号の令和元年度岐阜県
国民健康保険特別会計補正予算については、主に保険給付額の減により、歳入歳出ともに十三億九千二十五万二千円を減額するものであります。 議第二十一号の令和元年度岐阜県
母子父子寡婦福祉資金貸付特別会計補正予算については、資金貸付けに係る累計の剰余金が国の基準を超過したことから、法に基づき、その一部を一般会計へ繰り出すため、歳入歳出ともに七千五百八十六万三千円を増額するものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正中
厚生環境委員会関係及び繰越明許費補正中
厚生環境委員会関係及び議第十九号から議第二十一号までの各案件については、全会一致をもって、それぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において、執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 児童養護施設や里親等へ一時保護を委託する案件の状況と増加要因について質疑があり、児童虐待の相談対応件数が増えており、
子ども相談センターの一時保護所のみでは対応できず、児童養護施設等への一時保護の委託件数が当初見込んでいた委託延べ日数から大幅に増加することが見込まれると答弁がありました。 以上、厚生環境委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。
○議長(小川恒雄君)
農林委員会委員長 松岡正人君。 〔
農林委員会委員長 松岡正人君登壇〕
◆
農林委員会委員長(松岡正人君) 農林委員会に審査を付託されました議案四件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和元年度岐阜県
一般会計補正予算のうち、歳出予算補正については、当委員会所管として、総額六億九千五百六十八万七千円の減額となっております。 その主な内容としましては、国の内示額や事業費の確定に伴い減額する一方、国補正予算を活用し、農業競争力強化のために必要な農地・農業用水路等の整備や、農村地域の防災・減災対策を行うために、二十八億五千三百六万円を増額するほか、効率的な木材生産体制を強化するための搬出間伐・路網整備に対する助成や、木材生産の基盤となる林道整備を行うために十二億二千六百三十万八千円を増額するものなどであります。 繰越明許費補正については、当委員会所管として、追加分で四十二事業、変更分で二事業を計上しており、国補正予算を活用して今回増額補正する予算を繰り越すもののほか、地元や関係機関との調整や工事の施工における工法の検討に不測の日数を要し、年度内完了が見込めなくなったことなどによるものであります。 また、
債務負担行為補正については、当委員会所管として、復旧治山工事に係るものなど二件について追加して設定するものであります。 次に、議第二十二号の令和元年度岐阜県
就農支援資金貸付特別会計補正予算については、事業費の確定見込みに伴い減額を行うものであります。 条例その他の議案としましては、
ため池等整備事業に係る分担金額の変更等を行うための議第四十八号 岐阜県
土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例についてなど二件であります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正中農林委員会関係、繰越明許費補正中農林委員会関係及び
債務負担行為補正中農林委員会関係、議第二十二号、議第四十八号並びに議第六十二号の各案件については、全会一致をもって、それぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において、執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 杉の大径材加工施設の整備に係る助成先の選定経緯について質疑があり、執行部より、県内製材業者の要望を毎年調査して助成先を選定しているところ、製造ラインの増設について、早期の事業化を望む事業者から要望があったため、補正予算を活用して助成を行うとの答弁がありました。 以上、農林委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。
○議長(小川恒雄君)
土木委員会委員長 高殿 尚君。 〔
土木委員会委員長 高殿 尚君登壇〕
◆
土木委員会委員長(高殿尚君) 土木委員会に審査を付託されました議案六件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和元年度岐阜県
一般会計補正予算のうち、歳出予算補正については、当委員会所管として総額七十億九百三十六万円の増額となっております。 その主な内容といたしまして、国の補正予算を活用し、河川改良費として河道掘削や護岸整備などの洪水対策を実施するために二十四億五千六百万円を増額するものや、街路事業費として
東海環状自動車道インターアクセス道路となる都市計画道路長良・糸貫線の整備を進めるものとして三千万円を増額するものなどがあります。 また、繰越明許費補正については、当委員会所管として、追加分で地籍調査費など二十四事業、変更分で一般道路調査費など二十七事業の計五十一事業を計上するものであります。 そのほか、企業会計に係るものとして、動力費の減による補正を行う議第二十三号 令和元年度岐阜県
水道事業会計補正予算など二件、特別会計に係るものとして、事業費の精算に伴い減額を行う議第二十五号 令和元年度岐阜県
徳山ダム上流地域公有地化特別会計補正予算など三件であります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正中土木委員会関係及び繰越明許費補正中土木委員会関係、議第二十三号から議第二十七号までの各案件については、全会一致をもって、それぞれ原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において、執行部から各議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 災害復旧費が大幅に減額となっている理由について質疑があり、過去五年の平均により当初予算を計上していたが、今年度は例年より災害が非常に少なかったことによるものであるとの答弁がありました。 また、地震災害対策費の減額理由について質疑があり、木造住宅の耐震診断と補強工事の補助申請は東日本大震災後、申請件数が一旦増加したものの現在は低下しており、見込額を下回っている状況である。過去に診断は実施済みで工事未実施の方に戸別訪問するなど、増加に向けた対策を行っているとの答弁がありました。 以上、土木委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。
○議長(小川恒雄君)
教育警察委員会委員長 山本勝敏君。 〔
教育警察委員会委員長 山本勝敏君登壇〕
◆
教育警察委員会委員長(山本勝敏君) 教育警察委員会に審査を付託されました議案一件の審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 まず、議案の概要を申し上げます。 議第十五号の令和元年度岐阜県
一般会計補正予算のうち、歳出予算補正については、当委員会所管として総額二十四億三千五百八十九万円の減額となっています。 その主な内容としましては、教育委員会関係では、
西濃高等特別支援学校の施設整備におけるアスベストの処理費用の増などによる子どもかがやき
プラン推進事業費七百六十四万五千円の増額、教職員の退職予定者が見込みを下回ったことなどによる教職員退職手当の八億三千百八十五万五千円の減額、小中高等学校、特別支援学校の教職員の給与費の整理に伴う三億三千六百九十四万二千円の減額などであります。 また、警察本部関係では、退職予定者数の見込みに基づき退職手当の増額など、警察本部費を七千六百三十万九千円増額する一方、運転免許に係る各種講習委託件数の減少見込み等により運転免許費を一億二千二百九十九万九千円減額、警察署施設の改修工事の契約差金等により警察施設費を七千三百八十六万九千円減額、自動車保管場所に関する
現地調査業務委託の契約差金等により交通指導取締費を五千二十二万二千円減額するものなどであります。 繰越明許費補正については、当委員会所管として、
西濃高等特別支援学校の施設整備工事において、工事を進める中で、解体建物の外壁仕上げ材にアスベストが含まれていたことなどへの対応が必要となったことにより、年度内の工事の完了が困難となったものを追加し、また
債務負担行為補正については、当委員会所管として、
県立中津川工業高等学校の
屋内体育館改修工事に係るものを追加するものであります。 採決の結果、議第十五号のうち歳出予算補正中
教育警察委員会関係、繰越明許費補正中
教育警察委員会関係及び
債務負担行為補正中
教育警察委員会関係については、全会一致をもって、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査の過程において、執行部から議案の説明を受け、質疑を行いました。その主なものを申し上げます。 教職員の
定年退職見込み者数の減少理由について質疑があり、執行部より、当初予算編成時に見込んだ退職者が見込み時点からこれまでの間に、自己都合等により定年を待たず退職を選択したことにより減少となったとの答弁がありました。 以上、教育警察委員会の審査の経過と結果を御報告申し上げます。
○議長(小川恒雄君) ただいまから議第十五号から議第二十七号まで、議第四十八号及び議第六十二号を一括して採決します。 お諮りをいたします。各案件を各委員長の報告のとおり決することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川恒雄君) 御異議なしと認めます。よって、各案件は各委員長の報告のとおり決定いたしました。……………………………………………………………………………………………
○議長(小川恒雄君) 日程第二から日程第四までを一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………
○議長(小川恒雄君) 日程第五 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。二十九番 小原 尚君。 〔二十九番 小原 尚君登壇〕(拍手)
◆二十九番(小原尚君) おはようございます。 あれから九年、あの日は十一日、今日と同じで一般質問の最終日でありました。 私はちょうど一期生でありましたけれども、最後の三月議会、その中でちょうど十四時四十六分、今は御勇退されております高山出身の中村 慈先生が最後の引退前の質問をされている途中で、横揺れでありましたけれども、大きな揺れがありました。揺れが少し収まったときに、古田知事が素早く危機管理統括官に指示をされました。危機管理統括官がすぐにこの会場から外へ出られ、そして県警本部総務室長が同じくこの議場から外へ出られ、三分か四分だったと思います。この場へほとんど同時にお戻りになって、古田知事のほうに御報告され、そして知事は議長に対して手を挙げられ、
----------------東北が大変なことになっている。東日本も大変なことになっている、そういった中で、援助のための対策本部を----立ち上げたいということで、-------------そしてその後の対応は非常に古田知事、早かったです。被災をしなかった県のうちで岐阜県が一番最初に防災ヘリをその日のうちに飛ばしました。 その日は、もう夕方だったために、日没ということで埼玉県にヘリは降り、そして次の日の日の出を待ってすぐに東北に入り、そして救助も数名の人の貴い命も救っておりますし、多くの現場を写真で撮って、そして岐阜県へ帰ってきて、そして対策本部でどういった支援をしたらいいかということを知事の下で練り上げられました。そのことを今改めて思い出すわけであります。あの災害は、死者・不明者二万二千二百八十八名、全壊・半壊合わせて約四十万五千件、今なお避難されている四万人を超す皆さん、一日も早い復興と、そして改めて亡くなられた皆様方の御冥福、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げたい、そういうふうに思っています。 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告に従い今回大きく二項目について質問をさせていただきます。 まず、初めに子供たちに味覚の大切さを学んでもらう味覚の授業と食育について質問をさせていただきます。 私たちは、日々食事を通して栄養を取っていますが、そうした栄養のみならず、味の基本となる塩味、甘味、苦味、酸味の四要素に、第五の味覚とも言われるうまみを加えた五つの味覚を通じて、味わいやくつろぎなどの心の栄養も得ています。そんな味覚について学び、食べることの楽しさを学んでもらう味覚の授業と呼ばれる体験型学習があります。 これらの授業は県内でも既に行われており、昨年十月、高山市宮小学校で開催され、その味覚の授業では岐阜県調理師連合会の大脇房夫会長、大脇会長は全日本司厨士協会岐阜県本部の会長でもありますけれども、大脇会長を講師に招き、四年生の児童十九人が参加し、食べるときには、味覚、視覚、触覚など五感を使っていることを学び、生ハムや酢漬けの野菜、マカロンなどを試食し、甘い、苦い、しょっぱい、酸っぱい、うまみといった味の基本となる味覚や、嗅覚による味の違いを学んだということです。 また、各務原市の蘇原第二小学校では、卒業生のフランス料理の田中 剛シェフを講師に招き、五年生の児童約百人が参加し味覚の授業が開催され、甘味ではモンブラン、苦味ではビターチョコレート、そして酸味では野菜の酢漬けを味わったほか、鼻をつまんだままレーズンを口に含む体験を通して香りの重要さを学んだということです。 生徒以外に、宮小学校、蘇原第二小学校の味覚の授業を参観した教職員や、給食に携わる栄養士さんからも大変勉強になったと高評価を頂いたと聞いています。 こうして県内の一部の小学校で開催されている味覚の授業ですが、実はこのような取り組みは、各地の料理人やパティシエ、食の生産者など食のプロフェッショナルがボランティアで講師となり開催されているものです。 調べてみますと、味覚の授業の起源は、フランスで一九九〇年十月十五日、ジャーナリストで料理評論家のジャン=リュック・プティルノー氏とパリのシェフたちが一緒になり、「味覚の一日」という味覚の体験型学習を開催したことが始まりです。当時、子供たちを取り巻く食文化の乱れが深刻な問題となっていたフランスで、次世代を担う子供たちにフランスの食文化をきちんと伝えようというプティルノー氏の思いが原動力となり、その取り組みは年々フランス全土へと広がっていったと言います。 そして、一九九二年には、特定の層だけではなく全国民がフランス料理という国家遺産のすばらしさを発見、学習する場として「味覚の一週間」という名称になり、一週間にわたって様々な催しが企画、開催されるようになったということです。 そして、「味覚の一週間」は、毎年十月の第三週にフランス全土で実施されるようになり、企業だけでなく、フランスの国民教育省、農業漁業省などの政府機関も参画する国を挙げた食育へと成長しているということです。 こうしたフランスでの取り組みは、その後、料理研究家の内坂芳美さんにより日本へと紹介され、二〇一一年から「味覚の一週間」実行委員会の主催により、毎年十月の第四週目に全国の小学校三年生から六年生を対象に実施されることとなり、直近の二〇一九年には全国の二百六十二校の小学校、五百九十一クラス、一万六千二百二十七人の児童が、三百二十人の料理人や生産者などのボランティア講師から授業を受けています。 さて、こうした子供たちを対象とした味覚の授業が広がっている背景には何があるのでしょうか。 一つには、成人の食行動は子供の頃からの食経験に起因することにあるようです。味を感じ取る舌の味蕾は八歳から十二歳の時期が最も発達すると言われています。子供たちは、成長とともに様々なおいしさを覚えていきますが、放っておくと好きなものだけを食べるという食習慣が形成され、その結果、高カロリー、高脂肪、砂糖過多、高塩分のいわゆるジャンクフードでしかおいしさを感じない子供になってしまうと言います。 二十年ほどで子供の肥満は急激に増えていると言われています。一九七〇年代には全体の五%以下だった肥満児の人数が、現在では一〇%を超える割合にまで増えています。 また、肥満は成人でも顕在化しており、生活習慣病を防ぐために、二〇〇八年から四十歳から七十四歳の成人を対象に特定健康診査、いわゆるメタボ健診や特定保健指導が始まりましたが、メタボ健診の結果、血糖値が基準を超えるなどし、生活習慣の改善を促される特定保健指導が必要とされた人は約四百九十二万人となっていますが、保健指導を受けた人の数は約九十六万人、実施率は一九・五%にとどまっており、国が掲げる目標の実施率四五%には届いていない状況にあります。 肥満が大きなリスク要因となる生活習慣病は、一人一人がバランスの取れた食生活、適度な運動習慣を身につけることにより予防可能ですが、長年の間に定着した食習慣を改善することは至難の業で、そうした身についてしまった食習慣を大きく変えることは困難が伴います。 小さい頃からいろいろな食品に親しみ、バランスよく食べて味蕾を鍛える、つまり子供の頃から好ましい食習慣を身につけることが重要であり、子供たちに食習慣の大切さを学んでもらう味覚の授業の地道な取り組みは、中・長期的に見ますと生活習慣病によって増える医療費の削減にもつながっていくのではないかと思います。 さらに、味覚の授業が広がっているもう一つの背景は食生活の変化にあります。 日本料理研究家の柳原尚之さんが教壇に立つ味覚の授業の後には、かつおぶしって木みたいに硬いよ、削り器って、こうなっているんだと子供たちが柳原さんのところに集まってくると言います。今まではほとんどの子供が削り節はかつおぶしを削ったものということさえ知らないと言います。 二〇一三年にユネスコの無形文化遺産に登録が決まった和食ですが、その一方で日本人の和食離れは急速に進んでいます。 博報堂生活総合研究所が一九九二年から隔年で実施している生活定点の定点調査によると、和風の料理が好きと答えた人は一九九八年には六五・八%でしたが、二〇一八年には四五%へと激減しています。 また、メニューで見ますと、一九九六年当時はすしに次いで好きな料理第二位となっていた刺身は、その後、焼き肉にポジションを奪われ、また一九九六年当時、好きな料理第六位となっていた炊き込み御飯は二〇一六年には十八位となるなど、ここ二十年余りで日本の食卓は、焼き肉、ラーメン、カレー、ギョーザといった肉や油を使った料理で食卓は茶色化しています。 こうした食文化の変化は学校給食でも起きており、食の欧米化に伴いミネストローネ、チキンピラフなど片仮名のメニューが増え、秋シャケなど季節の素材を生かしたメニューが減っているとの声も聞かれています。 また、共働き世帯の増加により夫婦が共に会社に通い、帰りが遅くなる家庭が多く、夕食を準備する時間がなかなか取れず、スーパーなどの総菜を使ったり、宅配などを頼んだりして食卓を囲む「中食」が活況と聞きます。先ほど御紹介しました生活定点調査でも、外食より家で食べる食事のほうが好きだという割合は減り、逆に調理済み食品をよく使うほうだという割合が着実に増えています。手軽に食べられる冷凍食品などの加工食品は私たちにとってはとても力強い味方ですが、調理をする機会が減ることで、食材への感謝や自分で調理して食事をすることの楽しさを感じる機会も減ってきているのではないでしょうか。そうした食生活の変化に対する危機感も、県内も含めて全国的に味覚の授業が広がっている一因となっているのではないでしょうか。 そこで、教育長に二点伺います。 一点目、味覚の授業は「味覚の一週間」実行委員会の主催で行われている事業ですが、子供たちが味覚の大切さを学び、よい食習慣を身につけることのできるよい事業であると思います。今後、県としても積極的に関わっていく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 二点目、子供たちの将来の食生活を考える上で、食材を通じて旬を感じ、食材への感謝、自分で調理して食事をすることの楽しさを学ぶことは大切であると考えます。 また、こうした取り組みは子供だけではなく、我々大人も参画して一緒に取り組んでいく必要があると思いますが、教育現場での取り組みについて伺います。 次に、使用済み情報記憶媒体の廃棄方法について質問をさせていただきます。 昨年十二月、個人情報を含む神奈川県の大量の行政データが蓄積されたハードディスクが転売され、外部に流出するという事案が発生しました。新聞報道などで報じられている事案の概要は次のとおりです。 ハードディスクは、神奈川県庁内の各部局の情報を蓄積する共有サーバーでバックアップ用に使われていたもので、個人名や住所が記載された納税記録や企業からの提出書類、起案文書などの行政文書のデータが保存されていました。 神奈川県は、リース会社からサーバーを借りており、昨年春に交換時期を迎えたためハードディスクをリース会社に返却しており、リース会社は情報機器事業者にデータを復元できなくする初期化と廃棄作業を委託していたと言います。 しかし、情報機器事業者のデータ消去を担当した四十代の男性社員がハードディスクの一部をデータ消去の不十分な状態で持ち出し、神奈川県が使用していたハードディスク十八個がネットオークションで販売されたというものでありました。 ハードディスクなどの情報を記憶する媒体は、情報を保存するデータ領域と情報の内容を閲覧する管理領域に分かれているそうですが、いわゆる初期化は、閲覧側の管理領域内の情報を見えなくするだけで、情報が保存されているデータ領域に残った元の情報を読み取れば復元できてしまうということで、現に神奈川県は返却前にデータを簡易消去していましたが、ハードディスクをネットオークションで落札した男性は、市販ソフトでデータが復元できたということです。 また、神奈川県は情報機器事業者に廃棄するハードディスクを引き渡す際に、具体的な消去方法を指示しておらず、データ消去の完了証明書も受け取っていなかったということで、会見した黒岩祐治神奈川県知事は、想定外だった、体制に甘さがあったとして謝罪をされており、大量の個人情報を扱う自治体の管理の甘さが浮き彫りになった事案となりました。 後に、県が使っていた十八個のハードディスクは回収されましたが、同じ情報機器事業者に廃棄を委託していた栃木県、新潟県、群馬県、千葉県、長野県などは確認作業などに追われました。 以上、事案の概要を申し上げましたが、神奈川県は事案発生後、県職員や情報管理の専門家、弁護士などで構成する再発防止策検討チームを立ち上げ、検討会議を経て本年一月二十四日に独自の再発防止策をまとめています。 その内容は、リース契約したサーバーを返却する際は、県職員が専用ソフトウエアなどでデータを消去し、さらに職員が立ち会って契約事業者が磁気的破壊と物理的破壊を県管理下の施設で実施するというもので、総務省は昨年十二月の事務連絡で物理的破壊または磁気的破壊を行うよう自治体に求めていますが、神奈川県の再発防止策は、その両方を実施するより厳しい対策となっています。 また、神奈川県の再発防止策は、サーバーだけでなくパソコンやタブレット端末のデータ消去についても、事業者との契約には返却後二か月以内の消去証明書提出を明記するなどと徹底したものとなっています。 さて、今御紹介しました神奈川県の再発防止の取りまとめの動きを受けて、他の自治体では情報機器の処分方法を見直すところが出てきています。 石川県では、業者にデータ消去や機器の破壊を任せ、作業管理完了後に証明書を受け取っていた従来のやり方を見直し、昨年十二月、不要になったハードディスクを破壊する際に職員が立ち会うことを決めました。 しかし、他方、長野県では、全ての廃棄に職員が立ち会うのは無理だということで、職員の立会い以外に写真や報告書の提出を業者に求めたり、第三者への確認作業の委託や職員による抜き打ち検査なども検討しているということで、各自治体は危機意識は持ちながらも、その対応はいささかばらつきがあるようです。 情報流出といえば、インターネットを介したサイバー攻撃にも目が向かいがちですが、今回の神奈川県の一件では記録媒体の廃棄に伴うリスクが浮き彫りとなりました。一旦流出してしまった情報には歯止めが利きませんし、これまで積み重ねてきた信頼が一瞬にして崩れ去ってしまいます。今回の神奈川県の事例を明日は我が身として、いま一度、万全の対応をお願いしたいと思います。 そこで、総務部情報化推進担当次長に伺います。 使用済み情報記憶媒体の廃棄方法について、本県のこれまでの状況を点検した上で、総務省からの事務連絡や他の自治体の対応を踏まえ、どのように対応されているのでしょうか。 以上、大きく二項目について質問をさせていただきました。これで私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(小川恒雄君) 教育長 安福正寿君。 〔教育長 安福正寿君登壇〕
◎教育長(安福正寿君) 味覚の授業と食育について、二点御質問がありました。 初めに、味覚の授業の県としての積極的な関わりについてお答えします。 味覚の授業につきましては、今年度、岐阜県調理師連合会の主催により、小学生を対象に一流シェフやパティシエによる出前授業として、県内十二の小学校で実施されました。参加した子供たちからは、カステラやチョコレートを食べながら、舌には甘味や苦味など味を感じる場所に違いがあることが分かってびっくりしたといった感想が聞かれるなど、味覚の面白さを実感し、食への関心を広げることができたのではないかと考えられます。こうした体験は、自ら健康な食生活を送ろうとする意欲や態度を育てる上で、より有効な取り組みであると捉えております。 そこで、本県の来年度の食育推進事業であるGIFU食のマイスタープロジェクト事業にも味覚の授業を新たに加え、全県域での活動として六地区十二校で開催することとしており、そこでの成果を栄養教諭等の研修会を通じて普及していく予定です。今後も、岐阜県調理師連合会との連携を図り、児童・生徒の食に関する指導の充実に努めてまいります。 次に、将来の食生活を見据えた親子参加の食育活動についてお答えします。 県内の小中学校においては、保護者参観日でペットボトル飲料に含まれる糖分の量を学習したり、親子で給食を食べながら望ましい食事の在り方を考えたりするなど様々に取り組まれています。こうした活動は、大人と子供が一緒になって成長期に必要な栄養素の摂取だけでなく、地産地消や食文化の継承、食を通じた家族の触れ合いの大切さなどを学ぶ機会となっております。 また、保護者からは、食材から季節を感じることができ、子供にも伝えられてよかったといった声が寄せられており、食を通じて親子の交流が図られ、豊かな心を育むことにつながっております。 県としましては、例えば小学生が家庭の食育マイスターとなって、授業で学習したことを家庭で実践したり、中学生による学校給食選手権で考えた給食の献立を幅広く保護者や地域の方に試食していただいたりするなど、今後も引き続き学校と家庭が連携した活動を展開し、望ましい食習慣の形成に努めてまいります。
○議長(小川恒雄君) 総務部次長情報化推進担当 阿部修二君。 〔総務部次長情報化推進担当 阿部修二君登壇〕
◎総務部次長情報化推進担当(阿部修二君) 頂きました使用済み情報記録媒体の廃棄方法についてお答えいたします。 本県では、ハードディスクなどの廃棄に当たり、物理破壊や磁気破壊、専用ソフトウエアによる消去を行うこと、また業者に委託する場合には、処分の完了を文書で確認するなど具体的な手順をまとめた廃棄マニュアルを定め、これを徹底してまいりました。 今般、神奈川県庁の個人情報流出事案を受け、本県の過去五年間におけるハードディスクの廃棄状況を調査し、個人情報の流出がないことを確認しております。 一方、今回の事案では、委託先の事業者における不適切な管理が直接的な原因であったことから、総務省からの事務連絡を踏まえ、個人情報などの重要情報が記録された媒体は必ず物理破壊することとし、この破壊は職員自ら行うか、委託する場合は立会いにより確認するといったより確実な方法へと見直したところです。 今後も情報管理責任者や担当者に対し、各種会議や研修を通して情報機器の廃棄手順を周知徹底し、引き続き情報の流出防止に万全を期してまいります。
○議長(小川恒雄君) 十四番 水野吉近君。 〔十四番 水野吉近君登壇〕(拍手)
◆十四番(水野吉近君) 議長よりお許しをいただきましたので、大きく五項目についてお伺いします。 質問に先立ち、私からも本日発災後九年となりました東日本大震災においてお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表します。 それでは、質問に入ります。 初めに、保育士等の処遇改善に向けた支援についてお伺いします。 昨年始まった幼児教育・保育の無償化については、保育所や幼稚園の事務職員並びに市町村や県の事務担当職員の皆様が短期間に膨大な申請書類等の対応に当たっていただき、予定どおり開始できたことに、まずは感謝を申し上げたいと思います。 こうして始まった幼保無償化について、公明党は昨年十一月に全国の利用者並びに事業所に対し、対面等によるアンケート調査を実施いたしました。 その結果、全国で幼保施設を利用する保護者一万八千九百二十二名、施設を運営する事業者八千五百二名、合わせて二万七千四百二十四名の方々から回答を頂くことができました。また、一万一千二百五十四名の方々から自由回答欄に御意見を頂くこともできました。 なお、本県においては、利用者が二百四十一名、事業所が百四十七名でありました。 公明党では本調査結果から、今回の無償化には二つの成果があったと分析しています。 一つ目は、利用者の約九割が幼保無償化制度を評価されていることです。 具体的には、利用者の保育料など経済的負担について、六五・五%が「負担が減った」と回答するなど、制度の目的である家庭の経済的負担の軽減を図る少子化対策が高く評価されていると言えます。 二つ目の成果は、今後取り組むべき課題は、幼児教育・保育の現場における質の向上と受皿整備であることが明らかになったことです。 具体的には、利用者に、今後、最も取り組んでほしい政策を聞いたところ、第一位が「保育の質の向上」で二六・一%、第二位「ゼロ歳から二歳児の無償化の対象拡大」が二〇・五%。第三位「待機児童対策」一六・〇%。第四位「給食費の軽減」一二・〇%であり、事業所への質問では、第一位が「人材の育成・確保への支援」が五五・〇%、第二位「運営費への補助」が二三・七%。第三位「事務負担の軽減」が一〇・四%となっており、この傾向は本県でも利用者、事業所ともに同様の結果でした。 そこで、今回の質問では、調査の結果浮かび上がった二つの課題である質の向上と受皿整備のうち、質の向上について取り上げたいと思います。 保育の質の向上には様々な課題がありますが、事業所の方に保育の質向上のために最も必要なことは何かを聞いたところ、「処遇改善」が最も多く四六・〇%、次に「スキルアップ」で二七・三%、次に「配置改善」が一五・九%となっています。 処遇改善とは、具体的には職員給与のことですが、国には主に若手から中堅の保育士等に関し、希望する私立の認可保育所等が対象となる処遇改善加算Ⅱという制度があります。二〇一七年度から始まったこの制度は八つの科目のキャリアアップ研修が創設され、そのうち七科目について保育士がその修了状況などを要件として、副主任保育士など三つの役職に就けるもので、これらの役職に応じて月額五千円から四万円の給与加算が行われます。二〇一八年度以降は、より柔軟な配分方法が認められるようになり、現場の実情に即した処遇改善が行われています。今後は、この処遇改善について、二年後の二〇二二年度を目途にキャリアアップ研修の受講が必須化される動きにもなっております。 アンケートの自由回答欄には「キャリアアップ研修は各十五時間の科目を最大で四科目受ける必要があり、研修期間中の人員配置や保育士等の補充が大変」「すぐに定員に達して受講できない状況なので、受講しやすい場所、日時の改善を」などの意見が寄せられました。受講の必須化が進む中、処遇改善につながるキャリアアップ研修は県が外部に委託して実施しているため、保育士が研修を受講し不在となる期間に保育補助員の配置をするなど、今後、受講しやすい環境改善にぜひ取り組んでいただきたいと思います。 そこで、事業所への保育補助員の配置などによるキャリアアップ研修機会の充実など、保育士等の処遇改善支援に県としてどのように取り組むのか、子ども・女性局長にお伺いします。 次に、災害避難カード作成に係る取り組みの成果と今後の普及促進についてお伺いします。 平成三十年七月豪雨では、中小河川の氾濫による河川災害や土砂災害により、多くの県民が甚大な被害を受けました。同様に昨年の台風十九号における大雨においても、避難が遅れた住民が多数おられたことは今後の大きな課題となりました。想定外が常態化する自然災害による被害軽減のためには、実効性のある避難対策が急務であり、地域住民一人一人が避難方法やタイミング、避難経路などについて話合い、災害時にどのように行動するか事前に決めておくことが重要となります。 災害避難カードは、地域住民一人一人が災害発生時にどんな情報を基に、どのタイミングでどこに避難するのか等、災害から命を守る手順を一目で分かるようにしたカードで、平成三十年七月豪雨で被災した関市上之保地区などでモデル事業として開始されました。 このカードは、住民が過去の災害の記憶・情報や避難経路上の危険箇所、避難に関する時間、要配慮者への声かけ等必要な防災対策を自らの手で整理した上で作成し、作成したカードは自宅の冷蔵庫に貼るなど、ふだんから目に留まるようにします。 また、防災訓練では、地域ぐるみでカードに沿って避難判断と避難行動の手順を確認し、必要であれば改善していきます。作成への取り組みは県のホームページに手引書が公開されており、私も手引書を基に自分の災害避難カードを作成してみました。作成を通じて感じたことは、自身の居住地での災害履歴や水位情報など専門的な知識がある方のサポートがないと難しいことや、この取り組みはカードを作成することが目的ではなく、住民同士で話し合って避難の手順を考え、決定するプロセスが重要なこと。これでいいのだろうかと皆で繰り返し問いかけることにより、早めの避難という決断と行動に結びつけることが必要であり、それが狙いであることです。 手引書では、災害避難カードの作成を通じて地域住民が学ぶべき三つのポイントを上げています。 その一、地域における災害の歴史や発生予測など、地域における災害リスクを知り、早めの避難の重要性を学ぶ。 その二、テレビやラジオから伝えられる降雨情報や危険情報など、危険を回避するための情報を学ぶ。 その三、避難には避難開始の判断、避難経路の設定、身支度や所持品の準備など一人一人の避難手順を学ぶの三つです。 これらを事前に学んだ上でカードの作成を進めることになりますが、これまでに実施されたプログラムでは、一回三時間で作成終了する例が大半とのことです。今後、実効性のある避難行動につなげていくためには、土砂災害や氾濫の危険が高い地域を選定し、カードの作成を市町村に促すなど、県が積極的に推進することが重要とも考えます。 そこで、地域住民一人一人が避難場所やタイミングなどをあらかじめ認識するために推進している災害避難カードのこれまでの成果と、広く市町村に普及するため今後どのように取り組むのか、危機管理部長にお伺いします。 次に、防災教育の充実に向けた教員に対する支援と地域との連携についてお伺いします。 自然災害が激甚化・頻発化する中で、防災教育の必要性が高まっています。この四月に小学校から順次実施される新たな学習指導要領では、そうした災害の教訓を踏まえ、社会の変化や課題に対応する力を育む教育の一つとして、防災・安全教育の充実が図られています。 しかし、学習指導要領では、防災は教科としては位置づけられていないため、学校現場では防災教育を社会や理科、道徳などの教科で横断的に展開する必要があります。新たな学習指導要領では、こうした授業づくりの参考として、学年や教科ごとに取り組むべき内容が分かりやすく記載されています。 さらに、文部科学省では、幼稚園から高校まで子供の発達段階に応じた防災を含む安全教育の目標も示しています。具体的には、小学校で災害への理解を深め安全な行動を取る、簡単な応急手当てができるようになる。中学校では、日常の備えや助け合いの大切さを知り、安全のために主体的に行動するなどです。 防災教育の重要性は、本日で九年目となります東日本大震災における釜石の奇跡として記憶に新しいところです。大地震発生直後、釜石東中学校の生徒たちは直ちに学校を飛び出し、高台を目がけて走り、彼らを見て、近所の小学校の児童や生徒たちも後に続き、さらには多くの住民もこれに倣うことで多くの命が救われました。防災教育の意義は、まさに災害の危険を理解し、いかに備え、命を守れるかを教えることであり、共に生き抜く力を身につけさせるのが学校における防災教育の目的であると言えます。 学校現場では、これまでにも避難訓練の実践や理科で災害の発生メカニズムの学習などが行われてきましたが、今は自治体が地域性を踏まえて作成した防災副読本をベースに授業づくりを工夫する学校や、語り部の被災体験を聞き、自分には何ができるかを考えさせる防災学習が特徴的です。 しかし、防災教育にあまり時間を費やすことができない学校が多いのが現状です。 さきに述べたとおり、学校には防災という教科がないので専門の教員がいるわけではありません。今回の学習指導要領の改訂では、どの科目でどのように扱えるかが分かりやすく示されているものの、どういう授業づくりをするかは学校や教員の創意工夫に委ねられることになります。 また、教員自身も災害に関する知識や命を守るという知見を高めることが重要となります。 教員の多忙化解消も考慮すれば、今後は学習指導要領に対応した防災教育のための教材や、好事例を校務支援システムにアップするなどして情報共有を図ることも重要と考えます。 また、地域や保護者が学校の防災実践を支えていくことも重要です。 私の地元では自主防災組織、子ども会育成会、PTAが連携し、夏休みに親子で参加する防災キャンプを開催しています。子供たちは、防災倉庫にある段ボールの間仕切りや防寒シートなどの資機材を体育館に運び、実際に組み立て、アルファ米を使ったカレーを自ら調理して食べるなどし、親子で一泊二日の避難所体験をします。最後に、参加した子供たち全員が感想を発表しますが、この経験を生かして被災して困っている人を助けたいなど力強い発言が聞かれ、感銘を受けました。 このように、防災教育を地域との連携により有意義なものにしていくことも重要と考えます。 そこで、学習指導要領の改訂に伴う防災教育の充実に向け、教材や好事例の共有等の教員への支援や、地域との連携などに県教育委員会として今後どのように取り組むのか、教育長にお伺いします。 ここで、第一回目の質問を終わります。
○議長(小川恒雄君) 子ども・女性局長 北川幹根君。 〔
健康福祉部子ども・女性局長 北川幹根君登壇〕
◎
健康福祉部子ども・女性局長(北川幹根君) 保育士等の処遇改善に向けた支援についてお答えいたします。 令和四年度から保育士等の給与加算の要件にキャリアアップ研修の受講が位置づけられることを踏まえ、昨年度から県主催のキャリアアップ研修を計画的に開催しております。 開催に当たっては受講者の利便性を考慮し、全五圏域で行うほか休日にも実施しております。また、保育団体が実施する研修も給与加算の要件を満たす研修に指定し、受講機会を増やしております。 来年度は、県主催の研修の受講定員を三百七十人増の三千十人に拡充するとともに、全科目を各圏域で受講できるよう飛騨圏域の研修回数を四回から七回とし、さらに充実いたします。 また、保育業務をサポートする保育補助者、発達障がいなど配慮を要する児童の支援を行う保育士などの配置支援を拡充するなど、保育士の業務負担軽減にも取り組むことで、研修を受講しやすい環境をつくり、保育士等の処遇改善への支援を進めてまいります。
○議長(小川恒雄君) 危機管理部長 西垣功朗君。 〔危機管理部長 西垣功朗君登壇〕
◎危機管理部長(西垣功朗君) 災害避難カード作成に係る取り組みの成果と今後の普及促進についてお答えをいたします。 県では、今年度より清流の国ぎふ防災・減災センターと連携し、災害避難カード指導者養成講座を開催し、市町村職員や地域の防災士を中心に百十五名の養成を行い、全ての市町村において指導者を確保したところです。 その上で全市町村を訪問し、指導者が中心となって地域の災害リスクに応じた取り組みを進めていただくよう働きかけた結果、これまでに二十市町において自治会を単位として住民同士のワークショップが開催されるなど、カード作成の取り組みが進められております。 今後は、引き続き指導者の養成を行うとともに、特に洪水や土砂災害などリスクの高い地域を対象に重点的な取り組みが行われている事例も示しながら、市町村に働きかけてまいります。 加えて、災害から命を守る県民運動の一環として計画している「ぼうさいキャラバン」などの機会を活用して県民への認知度を高め、普及促進に努めてまいります。
○議長(小川恒雄君) 教育長 安福正寿君。 〔教育長 安福正寿君登壇〕
◎教育長(安福正寿君) 防災教育の充実に向けた教員に対する支援と地域との連携についてお答えします。 学校における防災教育の充実には、地域との連携を深めるとともに、一つの教科の学びを他の教科の学習に関連づけ、深い学びにつなげることが必要と考えております。 このため、例えば小・中学校では児童・生徒が地域の防災訓練に参加し、炊き出しや土のう作りなどの体験を通じて、防災意識の向上に取り組んでいます。 また、高等学校では、地域の協力を得て、生徒が防災士の資格取得に取り組んだり、地歴公民の授業や総合的な学習の時間等において、地域防災について探求したりするなど地域の防災リーダーとしての自覚や態度を育てる学習に取り組んでいます。 県としましては、こうした学校と地域が一体となった取り組みを普及するとともに、来年度から有識者や被災地派遣の経験がある教員等から成る岐阜県防災教育強化チームを立ち上げ、指導計画や教材を作成し、総合教育センターのホームページにデジタルコンテンツとして掲載するなどして活用を促してまいります。
○議長(小川恒雄君) 十四番 水野吉近君。 〔十四番 水野吉近君登壇〕
◆十四番(水野吉近君) 御答弁ありがとうございました。 次に、「エンジン〇一in岐阜」への参画の促進についてお伺いします。 エンジン〇一in岐阜は五月二十九日から三十一日までの三日間、岐阜市内で開催される著名人たちを講師とした大規模オープンカレッジです。先月二月十七日には、エンジン〇一文化戦略会議と地元側との共同記者会見が開かれ、知事や岐阜市長も出席して盛大なプログラムの詳細が発表されました。 予定として百十七名のエンジン〇一会員と二十九人のゲスト、計百四十六名の講師により長良川国際会議場、岐阜大学、サラマンカホールなどで百二十九講座が展開されます。二月二十二日からチケット販売が開始されましたが、初日はOKBふれあい会館の販売所前に行列ができるなど大変な人気で、初日で完売となった講座も出ていると伺っています。 この百二十九講座のうち三十二講座は中高生向けのハローワーク(無料職業紹介講座)ですが、私もかつて中学校のPTA会長を務めていた際、PTAとして同様の企画をしたことがあり大変注目をしています。子供たちがふだん聞くことができないパイロットや漫画家、俳優といった方々から貴重な経験を聞くことができる子供たちの夢を育む機会でありますので、教育委員会とも連携し中高生が積極的に参加できるよう推進していただきたいと思います。 また、先日は夜楽のプログラムの詳細が発表され、チケット販売も開始されました。これは総勢百名以上の講師が岐阜市内の飲食店二十五店舗に散らばり、彼らを囲んで懇談ができるもので、こちらも大変な人気となっているようです。 エンジン〇一in岐阜については、知事も昨年の十二月議会で、「岐阜の地で文化の花を大いに咲かせるチャンスと捉え、観光ビックイヤーやにふさわしい企画を進める」と答弁されており、県民の皆さんが知の交流を楽しんでいただける大変魅力的なプログラムが形成されたと思います。 私は、せっかくの機会であるので、このイベントを通じて今後につながる何か、いわゆるレガシーを残していただきたいと思います。そのためには、エンジン〇一in岐阜に中高生をはじめ、多くの人たちが参画されることが重要と考えますが、それをどのように促していかれるのか、県民文化局長にお伺いします。 最後に、就職氷河期世代に対する支援の取り組みについてお伺いします。 厚生労働省によると、一九九〇年代前半のバブル崩壊後からの失われた十年の間に社会人となった三十五歳から四十四歳のうち、不安定な就労状態にある人は岐阜県内で推定五千人、長期にわたり無業の状態にある人は六千七百人いると推定されています。 貧困状態に陥った就職氷河期世代が高齢化した場合、無年金などにより生活保護費が増える懸念があるため、この問題はこの世代だけの問題ではなく、広く社会保障全体に関する問題であると考えられています。こうした課題認識の下、この世代の支援はこれまで若年雇用政策の観点をはじめ、非正規雇用やひきこもり、貧困といった様々な観点から施策が行われてきました。具体的には、地域若者ステーション等の設置やトライアル雇用助成金等の企業への助成金、生活困窮者自立支援制度などのセーフティーネットの整備等です。 従来の就職氷河期世代支援策の主な課題は、不況によって就労機会が不足していることによる自己肯定感の欠如、本人は大企業や事務職を希望するが、求人は中小企業や医療、福祉の職種が多いなどのミスマッチ、資格を取得しても就職に結びつかないなど職業訓練の内容の有効性、せっかく就職しても劣悪な労働条件により離職するなど様々な課題が上げられています。 こうしたことから、就職氷河期世代の支援を進めるに当たっては、従来の施策とその課題を踏まえた上で、経済団体や福祉機関、ハローワークなど就労支援機関がニーズを共有し意見交換しながら、支援の枠組みをつくっていく必要があります。 また、一口に氷河期世代といっても、その階層は幅が広く、大まかに強者と弱者がいるとの指摘があります。強者は既に自分の希望に沿って正社員や非正社員として働き、自力で就職活動ができる人であり、様々な支援策の恩恵に浴することができます。 一方、より集中的な支援が必要なのは弱者です。例えば新卒就活時代に書類選考で落ち続け、自己肯定感が低く、スキルや自分の適性を理解できずに自信をなくしていることが課題の方です。こうした方には、メンタルケアから始め、就職活動への土台を作ることが本当に必要な支援であり、個々の状況に合わせた丁寧な支援が求められていると思います。 さて、昨年、政府では就職氷河期世代支援プログラムが掲げられ、不本意に非正規雇用で働く者や就業を希望しながら求職活動をしていない長期無業者、社会とのつながりをつくり、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者などを支援対象として、地域ごとに三年間で集中的な取り組みを行うことが示されました。 施策の方向性については、一つ目に、相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援として、きめ細かな伴走支援型の就職相談体制の確立や、受けやすく即効性のあるリカレント教育の確立などが掲げられ、二つ目には、個々人の状況に合わせたより丁寧な寄り添い支援として、自分から相談しない個人や家族に対し、積極的に出向いて働きかけるアウトリーチの展開などが掲げられました。 具体的な支援の枠組みは、今後、都道府県ごとに設置されるプラットフォームで作り上げるとのことですが、施策の方向性としては国の行動計画との整合を図りつつ、ニーズを共有しながら、真に必要な支援を進めていただきたいと思います。 そこで、国の行動計画では、施策の方向性として、相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援や個々人の状況に合わせたより丁寧な寄り添い支援を掲げていますが、これらを踏まえ、来年度、県として就職氷河期世代の支援にどのように取り組むのか、商工労働部長にお伺いをします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(小川恒雄君) 県民文化局長 矢本哲也君。 〔
環境生活部県民文化局長 矢本哲也君登壇〕
◎
環境生活部県民文化局長(矢本哲也君) エンジン〇一in岐阜への参画促進についてお答えいたします。 エンジン〇一in岐阜については、現在までに有料チケットの七割が販売済みとなっており、県を含めた実行委員会関係者も、県民の高い関心と期待を強く感じながら、最終準備に入っているところです。そうした中、この行事を未来につなげるために、特に若い世代にも奮って参画いただけるよう注力しております。 例えば中高生向け職業紹介「ハローワーク」について、教育委員会と連携し校長会等での事前周知を重ねた上で、県下全ての中学、高校、特別支援学校でプログラムを配布いたしました。結果、県内各地から応募が集まっています。 また、今月から若者たちが暮らしの中で疑問に思った「ナンヤローネ」をSNSに投稿してもらうキャンペーンも展開しています。集まった「ナンヤローネ」は本番初日のシンポジウムでも取り上げ、若者の主張を文化人に訴える企画も展開します。 こうした取り組みにより若い世代の積極的な参画を促すとともに、この機会に皆で岐阜の未来を考え、ひいては新たな文化交流ムーブメントにつながるよう促してまいります。
○議長(小川恒雄君) 商工労働部長 井川孝明君。 〔商工労働部長 井川孝明君登壇〕
◎商工労働部長(井川孝明君) 就職氷河期世代に対する支援についてお答えします。 就職氷河期世代の方々には、キャリアを形成する機会に恵まれなかった方や就労への不安感など、様々な悩みを抱えている方が多いと考えております。 そこで、まずは総合人材チャレンジセンターにおける個別相談を行い、個々人の就職プランを検討し、それに合わせた正社員に向けた各種セミナーなどにより、必要なスキルの習得を目指します。その上で、企業とのマッチングにつなげ、就職後も就労者、就職先双方に定期的なフォローアップを行っていく、こうした相談から教育訓練、就職定着までの一連の切れ目ない支援を進めてまいります。 また、就業に悩みを抱えている方へのカウンセリングなどを行う若者サポートステーションでは、対象年齢の引上げや臨床心理士の増員により、個々人の状況に合わせ、より丁寧に対応してまいります。 さらに、今後は労働局、県、経済団体から成る支援のためのプラットフォームにおいて、支援の充実を取り組んでまいります。
○議長(小川恒雄君) 十九番 国枝慎太郎君。 〔十九番 国枝慎太郎君登壇〕(拍手)
◆十九番(国枝慎太郎君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従いまして今回は三項目について、分割にて質問をさせていただきます。 まず、最初に県立高校入試における県外募集について質問をさせていただきます。 この質問については、今回で私、三回目の質問となります。教育長には、二度あることは三度あるではなくて、三度目の正直となるよう前向きな答弁を願いまして質問に入らせていただきます。 本県の県立高校入試では、二〇一八年度から志願者が定員に満たない高校の活性化を主な目的に県外募集を導入され、初年度の二〇一八年度には十一校が募集をして一名が、翌一九年度も十一校が募集をして、四人の生徒が県外から入学をされております。 私はかねてから、生徒募集に課題のある高校を前提とした県外募集には難があるのではないかということで、昨年の二月の定例会では、例えば県外から多くの生徒が集まるような全寮制専門高等学校の設置など、思い切った制度の見直しの提案をさせていただきました。 しかし、安福教育長からの答弁の内容は、引き続き県外募集の対象は生徒募集に課題のある高校に限定をして、その中でやり方を検討していくという、私にとっては非常に残念な答弁でございました。 しかし、その後、半年余りが経過した昨年のクリスマスに、「県公立校入試の県外募集 スポーツ分野追加検討」という見出しで新聞報道がされました。内容は、県教育委員会が公立校入試の県外募集に新たにスポーツ分野を加えることを、中学校や高校、市町村教育委員会、競技団体などの意見を聞きながら検討するというもので、導入が決まった場合、早ければ二〇二一年度、つまり来年三月に卒業を迎える中学生が対象となり、定員超過の高校にも門戸が広がる可能性のあるという内容でありました。定員超過の高校にも門戸が広がる可能性があるということで、昨年二月定例会の教育長の答弁からはもう想像のできない記事であり、私にとっては大きなクリスマスプレゼントをもらったような気分となりました。 文科省の調査結果によると、現在、公立高等学校の入学選抜において、県外から生徒を受け入れている、いわゆる越境入学を認めている都道府県は三十五道府県に広がっております。越境入学を認める自治体が多数派となってきているわけですが、その中でも増えてきているのが、いわゆるスポーツ強豪校と呼ばれる公立高校での越境入学であります。隣県の三重県では、二〇一九年の入学生から一定の枠内で県外の生徒に門戸を開く全国募集枠を設けております。三重県では、全国募集を行うまでに保護者が県内に住むことを条件に県外から入学を認めておりましたが、二〇一七年、県立のスポーツ強豪校を中心に、条件に反し保護者が県内に住んでいないにもかかわらず生徒を受け入れていたことが判明をいたしました。 三重県では、この問題を受け、制度変更を求める声などを踏まえ有識者などによる検討会を設置し、全国募集の導入も含めた入試制度の在り方について議論が重ねられ、有力選手募集のための入試で、スポーツ特別枠を設ける高校や、全国大会で実績を上げた高校、さらには地域と連携して活性化に取り組む小規模校や、県内唯一の専門コースなどがある学校に全国募集枠が設けられました。 三重県が設けた有識者による検討会では、検討を進める中で、県の公費で運営される以上、県内の中学生の進路に配慮すべきとの意見もあったようですが、越境入学を受け入れて学校が活性化すれば、県外へ出ずに県内の高校に進学する生徒が増えるのではないかと、入試制度の見直しを求める意見が多く出たということであります。 こうした意見を踏まえ、三重県では入学定員の五%以内に限定すること、また入学後に生徒の日常生活を見守れる人を保証人とすることを条件とした全国募集枠の制度設計を行い、初年度となる昨年二〇一九年春の入試では、全国募集枠に十二校、三十八人の入学志願者があったということであります。 昨年二月定例会における私の県外募集についての質問に対し、教育長は、県立高校は県内生徒の大切な学びの場であり、県内中学生の進路の実現を最優先に考える必要があると答弁されております。これについては、私も全く同感でございます。 しかし、一方では、県内の中学校を卒業した生徒が県外の私学を含めた全日制高等学校にどのぐらい流出をしているか皆さんは御存じでしょうか。県教育委員会の資料によると、その数は平成二十九年度は四百五十一人、平成三十年度は四百三十七人、令和元年度は四百五十九名に上ります。つまり、毎年四百人を超える若者が県外へ流出しております。 そして、一方で県外から県内に入ってくる生徒は数名と、これでは話にならないと私は思います。越境入学が全国的に広がり、また三重県のようにスポーツ強豪校の越境入学にも力を入れている状況を踏まえると、本県としても募集人員に上限を設けるなど条件を設定した上で、スポーツ分野での県外募集に取り組むべきではないでしょうか。 折しも、本県では特に県民の注目度の高い高校野球については甲子園優勝、駅伝については、都道府県対抗駅伝八位入賞を目指して独自の強化プロジェクトが推進されております。県外から生徒を受け入れることは県内生徒によい刺激となり、県外から来た生徒を交えて切磋琢磨することが競技力向上につながり、スポーツの分野を究めようとする中学生の目標となり、県外流出の抑制にもつながると思います。どうか県外募集のスポーツ分野実施校追加の実現に向けて、前向きな検討をお願いしたいと思います。 そこで、県立高校入試の県外募集について、教育長に二点お伺いいたします。 一点目、昨年度の四名という実績を踏まえ、今年度の県外募集の実施に向けてどのような取り組みを行ってきたのか。 また、このほど実施したばかりの現在の県外募集の状況についてどのようにお考えか御答弁ください。 二点目、今回のスポーツ分野実施校追加に関わる検討状況について、今後の見通しについて御答弁をください。 続きまして、県立高校校長の一校当たりの在職年数について質問をさせていただきます。 このテーマの質問については、平成二十五年の九月議会と平成二十七年の九月議会の二回、我が会派の山本議員が取り上げておられます。県外募集に引き続き、この在職年数の質問は私で三回目の質問でございます。前向きな答弁を御期待して、今回はその後の状況について教育長にお伺いをいたします。 山本議員の質問は、当時、平均で毎年五・四人の校長が在職一年で異動しており、校長の平均在職年数は二・一九年となっている状況を問題として捉え、学校のトップである校長が計画、実行、評価、改善というPDCAサイクルを回していく時間としては一年は短く、また生徒との関係づくり、部下である教員との関係、PTAや地域とのつながりを考えると、校長の異動サイクルは三年ぐらいが理想ではないかというものでありました。 その質問に対し、当時の教育長は、学校における課題の解決や特色ある学校づくりの推進を図るためには、校長の一校当たりの在職年数はある程度の年数が必要であり、今後はできれば三年同一勤務を念頭に校長人事を行っていきたいというものでありました。 しかし、その後、改善が見られるどころか、在籍年数はさらに短くなり、山本議員は再度、平成二十七年九月に質問を行い、教育長は三年同一勤務を実現するためには、校長としての通算在職年数を長くすることが必要であると、それは当たり前の話ですが、そして今後は若手管理職の積極的な登用をさらに進め、中堅教員の段階から計画的にマネジメント能力を養成するような取り組み、校長の一校当たりの在職年数を長くしていきたいと答弁をされております。 さて、校長の一校当たり在職年数はどうなったでしょうか。 ここで、議場に配付しました資料を御参照ください。 県教育委員会の調べによりますと、県立高校六十三校の現職を除いた過去三代の校長の在職年数は、一代前で二・三年、二代前で二・四一年、三代前で二・三三年となっており、山本議員が質問された平成二十六年当時、二・一九年とさほど変わっておりません。こうした状況について、今回質問に当たり執行部に聞き取りを行いました。簡単に言うと、若手の積極的な登用を進めているものの、五十代後半の教員数が非常に多く、年齢のバランスの偏りがあり、その年齢層からの登用が必然的に多くなり、在職年数の長期化が進みにくいという残念な説明でした。 県教育委員会では、現在、小規模化の進行が急な十校をグループ一に、また小規模化の進行が懸念される九校をグループ二に位置づけ、それぞれの学校ごとに活性化協議会を設置し、PTA、地元市町村、地域の産業界の代表者など関係者の方に参加を頂いて、高校の特性に応じた活性策を検討・実施しているところです。 教育長は、昨年の二月定例会の私の高校の県外募集の質問に対し、県外募集の必要な高校においては、高校活性化の一方策として、高校との緊密な連携の下、地元市町村や保護者の方々などと議論を深め、県外募集の在り方を検討していきたいと答弁をされております。 高校との緊密な連携を図る、地元市町村の保護者の方々と議論を深める。高校だけではなく、地元住民や保護者の意見を聞きながら高校の活性化を図っていくことは理解できますが、関係者の皆さんとの人間関係の構築、活性化策の議論、その上で計画、実行、評価、改善というPDCAサイクルを回していくには相当な時間が必要です。 しかし、活性化協議会が設置されている県立高校の過去三代の校長の在籍年数を見ても、平均で二年余りで校長が代わっているのが現状です。これで本当に活性化ができるのでしょうか。責任を持って活性化に取り組める環境なんでしょうか。 そこで、県立高校校長の一校当たりの在職年数について、教育長に二点お伺いをいたします。 一点目、山本議員の平成二十七年の質問以降の県立高校校長の一校当たりの在職年数の状況をどのように捉えておられるでしょうか。 二点目、五十代後半の教員数が非常に多く、年齢のバランスの偏りがあり、その年齢層からの登用が必然的に多くなり、在職年数の長期化が進みにくいという教育委員会での説明でしたが、そんな理由で活性化が必要な高校の改革が進むのでしょうか。年功序列ではなく、若手管理職であっても、時には民間人であっても積極的な校長登用を行うなど在職年数を長くし、責任を持って活性化に取り組み、組織をつくらなければ活性化は前に進まないと私は考えますが、今後の取り組みについて御答弁をお願いします。 ここで、前半の質問を終わらせていただきます。
○議長(小川恒雄君) 教育長 安福正寿君。 〔教育長 安福正寿君登壇〕
◎教育長(安福正寿君) 県立高校入試の県外募集について、二点御質問がありました。 初めに、今年度の実施に向けた取り組みと現状についてお答えします。 今年度の県外募集の実施に向けては、過去二年の実施状況を踏まえ、例えば県外からの入学実績のある恵那農業高校で全学科に募集学科を拡大し、地域と一体となった特色ある取り組みを募集分野とするなど、実施校や募集学科、募集分野の見直しを図りました。 また、特に広報の充実に取り組んでまいりました。例えば新たに県外募集専用のホームページを開設し、学校ごとに部活動や進路状況などの情報に加え、各校の魅力的な取り組みをPRする動画を掲載し、新聞広告やウェブ広告からもアクセスできるよう工夫しております。 さらに、実施校の校長が県外の中学校を訪問し、学校の魅力を直接アピールするなど地道な取り組みも実施してまいりました。 こうした中、今回の県外募集には四校五名が出願しておりますが、専用ホームページの閲覧数が延べ一万回を超えるなど関心も高まっていることから、引き続き学校の魅力づくりと積極的な情報発信に努めるとともに、県外中学生からより関心の高い分野での実施についても検討する必要があると考えております。 次に、スポーツ分野の実施校追加に係る検討状況と今後の見通しについてお答えします。 県外募集のスポーツ分野における実施校の追加については、この一月に学識経験者、中学校及び高校の校長やPTA、市町村関係者やスポーツ関係者からの意見聴取を実施しました。寄せられた意見の中では、意欲ある県外生徒が入学するのはよいことだ、切磋琢磨を通じて県内生徒にとっても視野が広がるよい経験となるなど肯定的な意見が多く聞かれました。また、優秀な指導者の確保や継続的な配置が重要である、県内中学生への影響を考慮した募集内容や募集人員とする必要があるなどの指摘も頂きました。 これを受け、今月の教育委員会会議において報告したところ、各教育委員からも同様の意見等を頂いております。県教育委員会といたしましては、現在の中学二年生が受験する令和三年度入試での実施に向けて具体的に検討を進め、今月末に予定している令和三年度入試の日程や検査内容などの概要発表に合わせて、県外募集を追加する高校や競技種目、募集人員などを取りまとめてまいりたいと考えております。 次に、県立高校校長の在職年数について二点御質問がありました。 初めに、近年の一校当たり在職年数の状況に対する所見についてお答えします。 県立高校校長の人事については、別の学校や教育委員会事務局において、より困難な課題や県下全体の課題の対応に当たる必要性があるなどの理由により、やむを得ず在職期間が二年以下でも異動する例はあるものの、適材適所を基本としつつ、できる限り同一校に三年以上勤務することを念頭に行っております。具体的には、平成二十七年度以降、一年での異動は極力行わないことや、校長昇任時の年齢等を考慮することなどにより校長在職期間の長期化に意識的に取り組んでまいりました。 その結果、四年間同一校に在職する校長数は三代前は一人であったのに対し、一代前では四人に増加するなど少しずつ改善してきておりますが、全体的な在職期間の長期化という面では、いまだ十分な結果には至っていないと捉えております。 このため、今年度末人事においても、三年以上同一校に在職する校長数を増加させることとしており、引き続き在職期間の改善に向けた人事配置に努めてまいります。 次に、責任を持って活性化に取り組むことのできる組織づくりについてお答えします。 まず、県立学校の教員数が現在の五十七歳、五十八歳をピークに、その後は急激に減少することを見据え、若い年齢での校長登用や若手教員の育成を積極的に進めていく必要があると考えております。このため、管理職になる前の段階から多様な経験を積めるよう三十代の教員を行政部局へ積極的に登用したり、将来、校長を担う教頭の若返りを進めております。 また、特にグループ一・二の高校には、活性化の取り組みで活躍した教員を教頭として配置したり、教頭としての勤務経験のある学校に校長として配置したりするなど同一校での在職年数を長くし、活性化の取り組みが円滑に進むよう配慮しております。加えて、来年度からは退職校長を地域と学校との調整役を担うコーディネーターとして引き続き同じ地域で再任用をし、経験や人脈を生かして活躍してもらう取り組みも始めます。 県教育委員会としては、これらの取り組みを通じて校長の在職期間の長期化に意を用いつつ、人材育成を進めることで、責任を持って活性化に取り組む組織づくりを進めてまいりたいと考えております。
○議長(小川恒雄君) 十九番 国枝慎太郎君。 〔十九番 国枝慎太郎君登壇〕
◆十九番(国枝慎太郎君) 前向きな答弁を頂きました。ありがとうございます。 最後に、これからの移住施策について質問をさせていただきます。 昨年十二月二十七日の新聞に「東京での移住相談 現金で動員 サクラ業者 四自治体と契約」との見出しが掲載されたのを皆さんは御存じでしょうか。 内容を簡単に申し上げますと、地方自治体が東京都内で開いている移住相談会で、相談会を運営している特定の企業がテレビ番組等のエキストラを募集する企業、特定のそういった企業に人集めを依頼して、その求人サイトを経由して移住相談に来た方に現金が支払われていたのではないかという記事でございます。岐阜県も、その相談会運営企業と契約を結んでおり、県では調査に乗り出すというものでございました。 さらに、先月十六日には続報が報道されており、岐阜県主催の相談会のことは掲載されておりませんでしたが、三重県主催の相談会では二〇一七年十二月に二回の相談会が開催され、ともに四十七人の参加者がおりますが、そのうち四十人は動員された参加者で、日給名目で一人五千円が支払われたと言います。 また、二〇一八年二月と三月に行われた三重県内を訪ねる一泊二日の移住体験ツアーでも、参加者のうち過半数が動員された参加者で、こちらについては拘束時間が長いということで一万円が支払われたと言います。 今、御紹介しましたのは三重県の状況ですが、本県の調査結果を確かめるため執行部にお聞きしました。その結果は次のようなものでした。 県では、東京都内からの岐阜県への移住促進を図るため、移住体験や地域住民、先輩移住者との交流のできるツアーや、県内中小企業と首都圏の移住・定住希望者とが参加するセミナーの運営企業を公募型プロポーザル方式により募集をし、昨年九月に提案のあった二つの企業から東京に本社を置く企業を選定し、約九百九十六万円で契約を結んでおります。そして、契約後、最初に開催された十二月十五日の移住セミナー、これは午前と午後に分けて開催をされたということですが、午前中には九人、午後には八人の参加者があったようですが、午前の参加者の九人のうち六人、午後の参加者の八名のうち七人に交通費名目で千五百円が間接的に支払われていたと言います。 また、昨年十一月三十日から十二月一日には高山市や下呂市を訪れる移住体験ツアーが開催されております。このツアーに参加するためには一万円が必要となりますが、十一名の参加者のうち二名に交通費名目で四千円が支払われたということでございます。 こうした金銭の支払いが伴うような募集について県の見解を尋ねたところ、インセンティブを与え、幅広く募集することは契約違反には当たらないと言われました。 一方で、事前にこの業者が人を募集する際に金銭を払うということを聞いていたらどう考えますかと言いましたら、それは適切ではないと事業者には指導していたと思うという説明を頂きました。私は移住促進のこうしたイベントであれば、県産品をプレゼントするなどもっと違った方法で参加を促すような動機づけがあったのではないかと思います。また、同じ参加者の中でも、求人サイトを経由した参加者は交通費として金銭を受け取っていて、普通にチラシを見た参加者には交通費をもらっていないわけであり、こうした平等でないやり方は問題があると思います。 今回の報道を受けて、県では金銭を受け取っていた参加者について、メールや電話により移住への関心や希望があることを確認しており、金銭を目的とした参加者はいなかったと整理をされていますが、正直、その説明には苦しいものを感じます。今議会に提出されています新年度当初予算には、移住・定住の促進として移住交流拠点での相談対応や移住者へのフォローアップとして約八千五百万円が盛り込まれております。私は率直に申し上げて、今の移住施策について疑問を感じます。 その理由は二つございます。 これは、私が昨年所属していました企画経済委員会でも申し上げましたが、一つは移住の定義が曖昧であることです。現在、県が取りまとめている移住者は、市町村の移住・定住の制度を利用した人のみが計上をされております。そのため、家を継ぐためにふるさとに戻った人や転勤者などは含まれておりませんし、交通の便がよいという理由で人口が増えている移住・定住施策が充実していない自治体への転入者はカウントされておりません。 移住・定住については、地域の活性化や過疎地域の地域コミュニティーの存続維持を主な目的として始まったということですが、そうであるならば転入者の転入理由などにも着目して実態を把握し、その上で、どういった対象に働きかけていくかという施策を考えるべきではないでしょうか。 もう一つは、移住施策の費用対効果が極めて小さいということです。平成三十年岐阜県人口動態統計調査の結果によると、平成二十九年十月一日から平成三十年九月三十日までの一年間、首都圏、東京、神奈川、千葉、埼玉から岐阜県への転入者は四千百六十八人、これに対し、岐阜県から首都圏への転出者は六千五百四十七人、その差はマイナス二千三百七十九人となっております。 そのような中、県が行ってきた移住セミナーや体験ツアーがどれだけ成果を上げたか。執行部の資料によりますと、二〇一六年度から二〇一九年度までの間、県が実施した移住セミナー百十回で延べ一千七百七十六人の参加者のうち、移住に結びついたのは三十九世帯六十四人。また、体験ツアーは十四回で二百四十七人の参加者があり、移住に結びついたのは二世帯四人。 正直、これだけ東京に人口を吸い上げられていて、県の移住策で岐阜県に来ていただいた方が四年間で七十人というのは悲し過ぎると思います。調査機関が一緒ではありませんので厳密に比較できませんけれども、年間、首都圏からの転入者は四千人余り、これに対し県の移住セミナーやツアーで移住につながったのは、年間で僅か二十人程度、率に直すと一%にもなりません。費用対効果は極めて小さいですし、この施策があってもなくても、首都圏からの流入人口は変わらないと思います。 そして、今回の委託事業は東京都の企業に委託しており、人口も金も吸い上げられているわけです。正直、もう少し予算の使い方を考えたほうがよいと思います。黙っていても人口が増えていくようなところもあれば、大半の市町村は移住施策に取り組んでおります。 私は、県と市町村でもう少し役割分担を見直して、県は県全体の魅力を発信して、岐阜県を知ってもらう入り口の取り組みに注力すべきだと思います。例えばユーチューブで短い岐阜県の広告を流すとか、もっと岐阜県を知ってもらって、移住先となる個々の市町村の魅力の発信はそれぞれの市町村でやるべきだと思います。 そこで、清流の国推進部長に二点お伺いいたします。 一点目、昨年一月二十一日に開催された企画経済委員会委員協議会では、移住者を把握して、調査項目を追加するなど調査方法を見直し、移住者の情報を的確に把握していきたいと答弁されているが、その後の状況について御答弁ください。 金銭まで払って来てもらう移住セミナーや体験ツアーにどこまで意味があるのでしょうか。これまで移住施策に相当な予算を使ってきましたが、正直、効果が上がっておりません。現在の県が行う移住施策には限界があると思います。一度立ち止まり、県と市町村の役割分担も含めて、在り方をしっかり見直すべきではないでしょうか。 そこで、二点目として、今回の一件を踏まえ、今後、県としてどのように移住施策に取り組まれていくおつもりでしょうか御答弁ください。 以上、大きく三項目について質問をさせていただきました。前向きな答弁を御期待申し上げまして質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(小川恒雄君) 清流の国推進部長 尾鼻 智君。 〔清流の国推進部長 尾鼻 智君登壇〕
◎清流の国推進部長(尾鼻智君) これからの移住施策について二点質問を頂きました。 まず、県内移住者の実態把握方法の見直しについてお答えいたします。 県内移住者の実態把握につきましては、移住定住実績調査として、市町村の移住相談窓口や移住施策を利用して県外から転入された方を移住者として捉え、平成二十二年度から継続して把握し、施策の効果検証に用いてまいりました。 一方で、議員御指摘のとおり、移住施策を利用せずに転入した方の情報は把握できていなかったため、今年度から市町村の協力の下、アンケート形式の転入者実態調査を開始いたしました。この調査では、この一月末までに二十七市町の二百十一人から回答を頂いております。調査開始間もないということで必ずしも十分な回答数を得られておりませんが、その数を分析した結果、転勤など自らの意思ではない転入者が回答者の三割程度ある一方で、残りの七割程度は自然環境、子育て環境のよさ、住宅の取得しやすさを理由に自らの意思で転入を決めておられることが分かりました。 このほか調査項目にはUIJターン別の転入形態、年代構成、居住予定期間、こういうのも併せて聞き取っておりまして、分析の上、市町村にも情報提供しております。 今後もこれら二つの調査を並行して実施し、得られた分析結果を市町村とも共有しながら移住実態に即した効果的な移住施策の展開につなげてまいります。 続きまして、今後の県の移住施策の在り方について御答弁申し上げます。 県では来るべき人口減少社会に着目した岐阜県長期構想の策定を機に、移住施策に取り組み始めました。取組開始から約十年たちましたが、県内の市町村がテレビの移住ドラマの舞台に選ばれたり、雑誌の移住希望地ランキングで上位に入るようになりました。 また、移住者が移住者を呼び込むネットワークが地域を元気にしたり、移住者が和紙や和傘といった伝統産業の担い手となるなど施策の効果が現れてきています。 一方、この間、移住施策は全国に広がり、自治体同士が移住を検討している方を奪い合う構図となっております。今回の不適切な集客に係る新聞報道に関して県では、質問もなく黙り込んでいる参加者がいないかといった参加者の受講態度から、虚偽の電話番号やメールアドレスが書かれていないかといった連絡先の確認まで詳細に調査し、結果、移住に関心のない方が動員された事実はないことを確認しました。その上で、業者に対しては集客方法の改善を指示しましたが、こうした事案が発生する背景には、セミナー等への人集めに偏重した移住施策のひずみがあるのではないかと思っております。 しかしながら、今般の国の第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略にあって、関係人口の創出・拡大が大きなテーマになっていることを考えれば、移住施策はなお地方創生を進めるための重要な施策であることには変わりありません。 したがいまして、移住施策に引き続き取り組んでまいりますが、今回、議員から頂いた指摘やアドバイスを大いに参考にさせていただき、これまでの実績や効果を検証するとともに、県と市町村の役割の見直しも行いながら、これまで以上に効果的かつ効率的な施策の推進に努めてまいります。……………………………………………………………………………………………
○議長(小川恒雄君) しばらく休憩いたします。
△午後零時五分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後一時再開
○副議長(水野正敏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○副議長(水野正敏君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。五番 小川祐輝君。 〔五番 小川祐輝君登壇〕(拍手)
◆五番(小川祐輝君) 本日は、東日本大震災から九年目となる日でございます。この議会の冒頭で皆さんとともに黙祷をさせていただきました。改めて、この東日本で亡くなられた皆様に対し御冥福をお祈りしますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。 こういった過去があったことを忘れず、我々はこれから未来を築き上げていかなければなりません。この未来に対して今我々が何ができるかしっかりと考えて、これからの議会活動やこういった一般質問への提案に代えていきたいと思います。今日も気合入れて質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 それでは、通告に従いまして大きく三項目について質問をさせていただきます。 まずは、県職員におけるICT人材の確保・育成の現状と今後の方針について伺いたいと思います。 現在、我が国が目指すべき未来社会の姿として、Society五・〇と呼ばれる社会が提唱されております。これは、サイバー空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済の発展、そして社会的課題の解決を両立する社会でございます。 このSociety五・〇で実現する社会は、IoTで全ての人と物がつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで様々な課題や困難を克服します。また、人工知能により必要な情報が必要なときに提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会のイノベーションを通じてこれまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合える社会、人々が快適で活躍できる社会、そういう社会になるように言われております。 本県においても、このような未来社会を目指すために、様々な課題を解決するためにICTを活用した事業が増えております。現在審議している次年度予算の中の事業では、AI音声認識の導入、RPAに文字の読み取り精度を高めるAI-OCRを組み合わせた業務の効率化や生産性の向上を図る事業、建設ICT人材育成事業、スマート農業の推進、教育分野ではICTを活用した授業や遠隔授業の実施など、様々な分野でデジタル技術を組み合わせた事業が考えられています。 こうした中で必要とされてきているのがICT人材です。例えば試行導入されているRPAは、来年度にAI-OCRを導入し組み合わせることで、適用業務は今後さらに拡大することが予測されます。現在、RPAについては、情報企画課や情報関係業者が中心となってプログラムを組んでいると思いますが、いつまでも情報企画課だけで行うのには限度があります。また、業者等の契約が切れたときにやり方が分からなくなり、ブラックボックス化してしまうことがあってはなりません。いずれは現場の人間がプログラムを修正できるように、ICT人材を育成していかなければなりません。 また、先日平野裕也議員が質問したローカル5Gの導入について、プロジェクトチームを設置し、防災、医療、農業、林業、観光など様々な分野への導入可能性について検討していくと答弁がされていました。ローカル5Gという新たな技術をどの分野で導入できるのかを検討し、様々な分野で実走していくためには、まさにICT人材が必要となってくるのです。 このように、これからの岐阜県には社会課題を解決するためにICTを活用し、新たな政策を考えていける人材、今行っている業務とICTをミックスさせ、業務の効率化を進めていける人材が必要になってくるのではないでしょうか。 こういったICT人材を確保するために即効性があるのが、外部人材の活用や経験者の中途採用です。即戦力の人材を確保することで、時代に対応した事業をすることができます。例えば長野県ではソフトバンクと包括連携協定を締結し、情報通信技術や人工知能などのICTを活用した地域活性化を目指し、教育、文化、スポーツ、産業振興、子育て支援などを柱に連携し、事業を行っています。また、県職員とソフトバンク社員の人材交流も行っており、こういった外部人材の活用した取り組みは、有効な手段の一つではないかと考えております。 しかし、反面、外部人材の活用には期限があり、コストが高いことや、ICT人材の中途採用については世界規模の人材争奪戦が行われており、そもそも確保が難しいこと、流動性が高いというリスクがあることも考えられます。仮に各課に一名程度の職員の配置を目的とするのであれば、百人程度のICT人材が必要ではありますが、期待している人数を確保することは難しいと考えます。 そこで、安定的にICT人材を確保するという意味でも、やはり人材育成という観点が必要になると考えます。神奈川県では今年度、かながわICT・データ利活用推進計画をまとめました。その中で、ICTの急速な進展・高度化を背景とするICT施策の動向に柔軟に対応するため、全庁的なICT関連セクションの職員を対象とした研修体系の再構築を検討していたり、また高度化したICT専門分野に対応した能力を有し、県のICT施策の推進を支える人材を継続的に確保するために、情報政策分野を選択した職員やICT分野経験者採用枠職員を対象としたキャリアパスを構築するなど、積極的に、また戦略的にICT人材の確保、育成、環境整備が進められております。 人材の育成には、時間がかかります。特に急激な社会の変化の中、ICT人材の育成は待ったなしの状態だと考えております。本県でも、一刻も早くどこまでの能力がある人材をどのように育成するのか、何人規模で育成する必要があるのかを戦略的に考え計画することや、キャリアパスの整備等が必要であると考えます。 私は最近、同世代の県職員さんと関わる機会が増えたのですが、本当に同世代かと思うくらいすばらしい職員の皆さんが多いと感じます。その中で、やはりICTを使って岐阜を変えていきたい、ICTを自分の強みの一つとしてこれからのキャリアを築いていきたい、そういった思いのある職員さんは必ずいると信じております。この、ICT人材の育成については、ぜひとも前向きな検討を進めていただきたいと思っております。 そこで、総務部情報化推進担当次長にお尋ねいたします。 Society五・〇時代の到来に対応し、先端技術を取り入れた県施策を展開していく上で、情報技術に精通した職員が不可欠であると考えますが、ICT人材の確保と育成に係る県の取組状況と今後の方針についてお尋ねいたします。 続きまして、ひきこもり支援について質問させていただきます。 まずはひきこもりの定義ですが、様々な要因の結果として就学・就労等の社会的参加を回避し、原則的には六か月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態のことをひきこもりといいます。 昨今、このひきこもりの高齢化、長期化が社会問題となっております。札幌市のアパートの一室で、当時八十二歳の母親と長年ひきこもり状態にあった五十二歳の娘の遺体が見つかり、母親が先に亡くなり一人になった娘は孤立してしまったといった事件や、当時七十六歳であった元農水省事務次官が、長年ひきこもり状態であった四十四歳の息子を殺害した事件があり、こういった事件の背景には、八十歳代の親がひきこもり状態である五十歳代の子供の面倒を見る八〇五〇問題があると考えられています。 昨年、内閣府が発表した生活状況に関する調査では、初めて四十歳から六十四歳までの中高年が調査対象とされ、自宅に半年以上ひきこもり状態にある中高年が全国で推計六十一万三千人いるとの調査結果が出ました。これは、平成二十七年に実施した十五歳から三十九歳の若年層を対象にした同様の調査で推計された五十四万一千人を上回り、ひきこもりの支援は若年層だけではなく、中高年層にも必要であるという認識が広まりました。また、性別では、ひきこもり状態である四分の三が男性であることや、ひきこもり期間では半数以上が七年以上であり、約二割が二十年以上という結果が出ており、ひきこもりの長期化も明らかになりました。 このように、ひきこもり状態の方が若年層・中高年層合わせて推計で百万人以上いることが明らかになった今、ひきこもりに対する支援がますます求められてきています。 厚生労働省のホームページで公開しているひきこもりの評価・支援に関するガイドラインによると、ひきこもりに対する支援には四つの段階があります。 初めの段階は、家族への支援です。本人の支援につなげるためには、まず家族の支援が必要といったことでございます。 次の段階として、本人の支援となります。若井敦子先生が先日質問された、自宅に出向いて個別支援を行うアウトリーチ型の支援についてはここに入ると思います。 三段階目としては、いわゆる居場所などの集団との関わりへの支援となり、最終段階として就労支援などの社会参加への支援というふうになっております。 この段階に応じた支援は、四つの段階全てが大切でありますが、私はその中でも特に個人から集団への関わりとなる、また集団の関わりから社会参加へとつなげる居場所の提供はとても大切であると考えております。それを感じたのが、瑞浪市にある「らしく。」という居場所を提供するグループを視察させていただいたことです。「らしく。」では、週に一回居場所活動を実施しております、ここへは平均二十人、多いときでは四十人ものひきこもり状態であった方が集まります。年齢も若年層から中高年層まで様々です。ほかの居場所提供をしている団体さんに話を聞くと、大体一人から数人集まる程度であることが多い中、この平均二十人が集まるというのは異例でありますし、利用者の方も過去にひきこもり状態であったのかと思うくらいに生き生きゲームや会話をしていらっしゃいました。 なぜこのような居場所運営ができるかと立ち上げた方に聞いてみると、本当に信頼できる場所、来たくなる場所にすることが大切であるとおっしゃっていました。また、そういった場所をつくるためにスタッフに必要な能力は、資格とかスキルとかよりは仲よくなる力が必要であるということ、スタッフのうちの二名はもともとひきこもりで、この居場所に来て支援を受けていた人であり、居場所に通っている人の気持ちが分かり、共感できることも信頼できる場所となっている要因であると伺いました。 初めは一人だったひきこもり状態の方が、居場所への参加の数を重ねていくうちに集団に溶け込むようになり、それが進むと次は支援を受ける立場から支援する立場に変わる。そして、就労等への社会参加へとつながっていく。これはひきこもり状態から社会参加へつながったモデルケースであると思いますし、このような居場所をつくっていくことが必要であると感じました。 しかし、こういった居場所の設置が少ないのも事実であります。都道府県と政令都市にあるひきこもり地域支援センターと、市町村の生活困窮窓口を対象にした調査で、ひきこもりの人や家族が集う居場所を設置しているのは約一八%にとどまるといったデータもあり、まだまだ支援が広がっていないことが分かります。 本県では、平成二十八年六月に、岐阜市にある精神保健福祉センター内にひきこもり支援センターを設置し、本人や家族との面談相談・電話相談、また各圏域における相談会、家族教室、普及啓発事業を行っており、今年度では県内のひきこもりの現状を調査されたと聞いております。このひきこもり調査を基にこれからのひきこもり支援を検討され、施策を進めていくと思われますが、やはり県内全域にひきこもり支援を展開していくためには、市町村、県、民間団体の役割の明確化や連携が必要不可欠であると考えます。 関係団体にヒアリングをしてみると、市の担当者からは、県がどこまでを支援し、市がどこまでを支援していかなければいけないのか判断できない部分があるといった役割の明確化をしてほしいという意見を耳にしたこと。また、市から委託され事業を行っている社会福祉協議会や民間団体等へのヒアリングでは、おのおのの団体がつながっておらず独自に動いており、連携していないことを伺いました。 このことから、私はひきこもり支援について、現在岐阜県に求められていることは二つあると考えています。一つは、今回の調査を踏まえて、県としてどのような支援をしていくのか方針を明確にすること。そしてもう一つは、市町村や民間団体は、どのような役割を担うべきなのか指針を示すなど、役割の明確化と連携のために県がかじ取りをすることだと考えています。 そこで、健康福祉部医療担当次長に二点お尋ねいたします。 一点目は、今年度ひきこもり調査を実施されたとのことですが、この調査の結果を踏まえ今後どのように支援に取り組まれていくのかお尋ねします。 二点目として、県、市町村及び民間団体との役割を明確にし、連携してひきこもり状態にある方々やその御家族等を支援していくことが必要かと考えますが、どのように連携を図っていくのかお尋ねいたします。 最後に、標準的なバス情報フォーマットの整備に対する支援について伺います。 この質問は、簡単に言いますと、グーグルマップで県内の民間バスやコミュニティバス等の経路検索ができるように県に支援していただきたいという内容になります。 平成二十八年の十二月に内閣府が行った公共交通に関する世論調査では、路線バスの利用手段、経路などを調べる場合、どのようにして情報を得ることが多いか聞いたところ、インターネット等の経路検索サービスを上げた者の割合が四一・三%と最も高く、次いで駅やバス停に掲示されている経路図や時刻表というのが二九・一%となっており、この調査からも、公共交通を使って経路検索をするときは、グーグルマップ等の経路検索を活用する人が多くなっているということが分かります。 そして、民間のバスやコミュニティバスをグーグルマップ等で経路検索できるようにするために必要なのが、GTFSと呼ばれる標準的なバス情報フォーマットです。これは、インターネット等の経路検索におけるバス情報拡充のため、国土交通省が二〇一七年三月にバス事業者と経路検索事業者との間でデータの受渡しをするために定めたもので、バス停の位置情報、時刻表、ルート、運賃などの複数のCSVファイルが一つのZIPファイルに格納されております。この標準的なバス情報フォーマットを整備し、経路検索事業者へデータを提供することで、インターネット等の経路検索が可能となるのです。 標準的なバス情報フォーマットの整備については、岐阜県内でも中津川市がいち早く行い、先進事例として全国でも紹介されております。例えば中津川市には、中山道の馬籠宿という著名な観光地がありますが、以前は地域のバス情報がなかったため、経路検索したときには経路が見つかりませんと表示をされておりました。しかし、標準的なバス情報フォーマットの整備をすることで、インターネットで馬籠宿までの経路検索が可能となり、利便性の向上につなげることができたということです。 また、馬籠行きのバスをどのように知ったかという外国人へのアンケートでは、グーグルマップの経路検索というふうに答えた外国人が一番多く、多言語化に対応することでインバウンド観光客へのバスの周知や利用が進んだということが考えられます。 また、他県の取組事例としては、群馬県や富山県、佐賀県、沖縄県が、県主導で県内全てのバス事業者やコミュニティバス等のデータの整備や、オープンデータ化に取り組んでいます。 本県でも、標準的なバス情報フォーマットを作成するためのマニュアルをつくり、支援を進めているというふうに伺いました。これもさらに進めていただきたいと考えていますが、私が今回のこの質問で強調したいことは、県内全てのバス事業者やコミュニティバス等の標準的なバス情報フォーマットの整備を目指していただきたいということです。 これからの公共交通機関は、Mobility as a Service、頭文字を取ってMaaS(マース)と呼ばれていますが、このシステムに向かっていると言われています。MaaSは、バス、電車、タクシー、シェアサイクル、カーシェア等のあらゆる公共交通機関をITを用いて結びつけ、効率よく便利に使えるシステムでございます。利用者は最も早く効率的な経路で目的地まで行けるというメリットがあったり、支払い等もまとめて行うことができ便利になります。事業者も、サービスが最適化されることで効率的に経営することができるようになります。このMaaSのシステムには四段階ありますが、その第一段階目が情報の統合であり、今回質問させていただいている標準的なバス情報フォーマットの整備には、この情報の統合のための大前提となるデータの整備、これについて質問させていただいています。つまり、MaaSのシステムでは、データ化されていない乗り物というのはサービスとして選ばれなくなる可能性があります。だからこそ県内全てのバス事業者やコミュニティバス等のデータ整備を目指すということにこだわっていただきたいですし、特に小規模事業者や小規模自治体ではデータを整備する人手を割く余裕がないと考えられるため、きめ細かい支援をしていただきたいと考えます。 そこで、都市公園整備局長にお尋ねします。 MaaS等ICTを活用した地域交通の活性化を図るためには、まずはバス情報のデータ整備が必須でありますが、標準的なバス情報フォーマットの整備に対する支援について今後どのように取り組まれていくのかお尋ねをいたします。 本日は、私は三つの項目で質問させていただきました。来るべきこの未来の社会に向けて、今何をしていかなければいけないのか。また、ひきこもり支援に関しましては、問題は顕在化していますがなかなか手が届かない、こういった現状に対して質問させていただきました。明確な答弁をお願いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(水野正敏君) 総務部次長情報化推進担当 阿部修二君。 〔総務部次長情報化推進担当 阿部修二君登壇〕
◎総務部次長情報化推進担当(阿部修二君) 頂きました県職員におけるICT人材の確保・育成の現状と今後の方針について回答させていただきます。 県では、これまで必要とされるICTスキルのレベルに応じ、採用、人事配置や研修を実施してきたところです。情報化推進の中核を担う人材に関しては、民間経験者の採用や情報部門に長期間勤務させる人事配置、IT企業が主催する研修などにより、その確保と育成に努めております。私自身、県の情報化の推進役を担うべく民間から採用されているところであります。 また、各部局の業務システム担当職員には、受託業者を適切に指導できるようシステム構築や運用に関する研修を行っております。さらにこれらに加え、議員御指摘のように、情報スキルを各種の政策立案や業務の効率化に生かせる人材の育成も重要であるとの認識から、今年度新たにAIやクラウドなど、最新技術に関するICTトレンド研修やRPA研修を実施したところです。 今後は、こうした研修を県の職員研修体系に位置づけ、その内容や回数を拡充し、各所属で情報化を推進できるICT人材を計画的に育成してまいります。
○副議長(水野正敏君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。 〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) ひきこもり支援について二点御質問をいただきました。 まず、ひきこもり調査の結果を踏まえた今後の支援についてお答えします。 今年度、民生委員・児童委員約四千人の御協力をいただき、県内全域のひきこもりに関する調査を行いました。今回の調査では、ひきこもりに悩む本人や家族が、具体的な相談や支援につながっていないケースが多いこと、就労、経済的困窮、将来への不安などの悩みを持った方が多いことなどが明らかになりました。 このため、当事者が身近なところで適切な支援が受けられるよう、ひきこもり地域支援センターの巡回相談会の実施回数を拡充します。 次に、民間団体と連携し、県内全ての圏域で安心して出かけられる居場所づくりを行うとともに、ひきこもり支援に関心のある方を対象に研修を行い、居場所の運営などに携わっていただく、ひきこもりサポーターとして養成をします。また、センターから医師を含む多職種専門チームを市町村等へ派遣し、専門的助言を行い、支援体制を強化してまいります。 就労に関しては、県社会福祉協議会の協力を得て、ひきこもりの方の就労体験や就労訓練受入先の開拓を進めてまいります。 次に、県、市町村及び民間団体との連携についてお答えします。 県では、ひきこもり地域支援センターに相談窓口を設置し相談対応に当たるほか、住民に身近なところで支援を行う市町村に助言等を行っております。また、市町村においても相談窓口の設置を進めていただいております。 ひきこもり状態の方や家族が抱えている問題が多岐にわたり、必要とされる支援も多様であることから、これらを全て県や市町村が提供することは困難であるため、民間団体との連携が重要です。 県内では、行政が地域のまちづくり協議会や民間企業と連携して、ひきこもり状態にある方の意向に応じた軽作業や農作業等の機会を提供し、社会参加へつなげている事例があります。 今後は、圏域ごとの会議において、こうした具体的な支援の事例などについても情報共有をし、市町村や民間団体、それぞれの強みを生かした支援の充実を図ってまいります。
○副議長(水野正敏君) 都市公園整備局長 湯澤将憲君。 〔
都市建築部都市公園整備局長 湯澤将憲君登壇〕
◎
都市建築部都市公園整備局長(湯澤将憲君) 標準的なバス情報フォーマットの整備に対する支援についてお答えいたします。 標準的なバス情報フォーマット、GTFSの整備によってスマートフォン等での経路検索が可能となれば、利便性が向上するだけでなく、地方バス路線も認知しやすくなり、県外や海外からの観光客の取り込みにつながることも期待されます。 このため、県では、平成三十年度からデータ化マニュアルの作成・配布や、講習会の開催などにより市町村やバス事業者による取り組みを促進しており、現時点で県内で路線型バス運行を行う三十七事業者のうち十五社がデータ化を完了し、整備中も含めますと約七割の事業者で取り組みが進んでおります。 一方で、未整備であるのは小規模な市町村、バス会社が多いことから、引き続ききめ細やかなデータ化支援を行うとともに、新年度予算案に新たに計上したMaaSの導入支援により、ICTを活用した地域公共交通の活性化を実証することなどを通じて、標準的なバス情報フォーマット、GTFSの整備を後押ししてまいります。
○副議長(水野正敏君) 三十番 川上哲也君。 〔三十番 川上哲也君登壇〕(拍手)
◆三十番(川上哲也君) 通告に従い質問させていただきますが、最初は新型コロナ関連のうち経済対策についてであります。 新型コロナによる経済的損失、これはとてつもなく大きいというふうに予想され、紛れもなく非常事態、緊急事態であると言えます。 飛騨地域でも、関係なさそうに思える事業にまでその影響は及び、観光関連は極限の状態、すぐに観光客を増やす努力というのも難しい中、どんな支援を求められているのか調べてみると、やはり運転資金というものが多くありました。返済資金を工面できないところが増え、いくら無利子、無担保と言われたところで、借りることができなければどうしようもありません。これくらいの期間踏ん張れば立ち直れるという予測がつくのであれば何とか頑張れるかもしれませんが、その予測も立たず、多くの企業が倒産の危機にさらされ、生活の困窮も始まっていると言われております。 国の経済対策に加え、県としても、次の補正は非常事態への対応ということで、極端に言えばコロナ関連支援策のみと感じられるくらいの思い切った予算編成でもよいのではないかと考えております。緊急事態、非常事態に即した内容、超経済重点シフトにすべきときだと考えておりますが、これについて、知事、どのようにお考えかお答え願います。 経済対策の二点目として、助成金申請のサポートについてであります。 国の助成金、この申請、結構手間がかかります。そのため、書類作成が苦手な事業所では欲しいのに審査を受けるための申請、つまりスタート地点にも立てないところがあると予測されます。 そこで、民間事業者に対して、県としてはどのような支援をしていくのか。例えば申請書類のひな形を作り、相談者が書類を作りやすくする支援だけでも事業所としては随分助かるというふうに思います。助成金があっても申請しなければもらえないわけでありますから、もらうためのサポート、多くの事業所が喜ぶことは間違いありません。 この助成金申請のサポート、知事、どのようにお考えかお答え願います。 次に、「人にうつさない対策」のPRについてであります。 この質問は、先日御講演いただいた岐大病院の村上先生にも相談しながらつくり、最終的なチェックもいただいております。 新型コロナでは、無症状あるいは症状を隠している患者があることは御存じのとおりであります。感染経路が特定できないものは、この無症状等の感染者を介したのではないかとも言われております。今、どこにこのような感染者がいても不思議ではありません。最も厄介なのは、自分は大丈夫だと思い込み、何の対策も取らず、ウイルスをまき散らす感染者であります。 これまで、日本の通勤の満員電車で爆発的な感染が起こっていないのはなぜか。それは、乗客皆さんが気をつけておられることに加え、マスク等の対策なしで話をされる方が少ないことなどが要因になっているとも考えられます。 一方、ライブハウス、スポーツクラブ等で感染クラスターが形成されているのは、至近距離で話をするなど声を出したり、激しい呼吸をするなど口から出る飛沫が大きく関与したのではないかと考えられます。 今、咳エチケットのことは盛んに言われますが、無症状等の感染者の飛沫により感染するリスクがあり得るということであれば、この対策も当然必要となります。しかし、いまだに何の対策もせず、平気で人と至近距離で話をして飛沫をかけている方があるのも事実であります。感染経路を、そして感染拡大を防ぐためには、個人一人一人の実践が非常に大きな力を持つことは言うまでもありません。 ではどうするのか。簡単なのはもちろんマスクであります。マスクは、人からうつされない対策としてはあまり効果がありません。これはいろんなところで言われております。しかし、感染した後に人にうつさない効果は大きいというふうに、これも知られた事実であります。今、使い捨てマスクは不足しておりますので、こういったような洗えるマスクもありますし、これ手作りのマスクであります。(資料を示す)これでしたら、家で作ることもできますし、学校の家庭科の授業で作ることも可能であります。これは教育委員会にも考えてほしいなというふうに思っております。 あと、マスクがなければ、こういったハンカチとかを口の前に覆う。それだけでも目の前の方にかかる飛沫を、当然少なくすることができますし、見栄えの問題は別として、こうやってハンカチとかを顔にかぶせてしまう。(資料を示す)強盗じゃないかと言われる方もありますが、こうやっても当然目の前の方にかかる飛沫は少なくなります。ただこうやって、自分の対策が何もできない、ハンカチも何も持っていない、そういったときは相手との間隔を空けるとか、あるいは横に向いてしゃべるであるとか、そういった少しの工夫だけであっても、随分と飛沫を少なくすることは可能になってまいります。 村上先生も、全ての方が自分も感染しているというふうに意識を持ってマスクをすることは、感染の拡大防止、受けない防止ではなくて感染の拡大防止に効果があるというふうにおっしゃってみえます。 日本がイタリアとかに比べて感染者数が急増しない理由の一つ、それは対策の有無だというふうに考えております。日本では、多くの方がマスクをしております。先ほども述べましたが、マスクは防御のための力はさほどないと思います。しかし、かかった方が、無症状の方であってもかかった罹患者がそれを人にうつさない。この効果が大きいため、イタリアとかそういったところに比べて感染が広がっていないのではないかというふうにも考えられます。 ただ、これを四六時中やれと言っているわけではありません。人と近くになるとき、人が目の前にいないときはその対策は必要ないと思いますが、人と近くにいるとき、それだけでも効果が上がると考えております。大切なのは人に飛沫を浴びせないこと。無症状等の感染者からの感染拡大を防ぐには、全ての人が、繰り返しますが、全ての人が自分も感染しているのじゃないか、その可能性があるとの意識を持って人にうつさない対策を実践すること。人に飛沫を飛ばさなければ感染拡大は確実に遅くなると予測されます。 人からうつされない対策は重要であります。しかし、人にうつさない対策を広めることによって、その相乗効果は大きなものになると考えております。一句つくるのであれば、「対コロナ うつされないと うつさない」。 こうした人にうつさない取り組みを広げることにことにより、感染拡大を遅くすることも可能だというふうに考えておりますが、こういったことのPRについて、知事、どのようにお考えかお答え願います。 次に、新型コロナの検査体制について質問をさせていただきます。 新型コロナの問題が出て以降、帰国者や接触者でない方が、発熱があり、インフルエンザが陰性で、肺炎を起こしていてもPCR検査を受けられなかったなど、医師から依頼しても検査を受けられなかったケースについては、私も耳にしております。参考に、配付資料一、高山市の医師のペーパーを配らせていただきましたが、時間があるときに見ていただければと思います。医療に携わる医師の憂いが、本当によく分かります。現場は本当に大変な思いをしております。私も薬局で調剤をしておりますと、この患者さん一体どうなんだろうというふうに思うこともあります。 今後、検査体制を強化していくということでありますが、検査対象はどのように広げられていくのか。また、その体制はどのように改善されていくのか、健康福祉部医療担当次長、お答え願います。 次に、学校の休校等の対応についてお尋ねします。 国からの休校要請によって、今、子供たちは自宅や学童保育等で一日を過ごしております。この期間が終わり、新年度が始まった以降、新型コロナの感染疑いがあった場合の対応についてはどのようにお考えでしょうか。 先月、出席停止扱いの対応について、最初は校長の判断に任せるとの通知が出されていたため、現場には戸惑いが生じておりました。今、既に新学期の休校判断はどうしたらよいのかという戸惑いが出ております。新学期の休校、出席停止扱いの対応については、次のステップとしてあらかじめ想定しておく必要があり、授業を行う場合であっても、感染をした子があるかもしれない、先ほどの無症状の感染者の子がいるかもしれないという想定の中で行う手法を考えておかなければなりませんが、これらについてどのようにお考えか、教育長、お答え願います。 次は、感染性の強い疾病流行時の避難所設置についてであります。 二〇一一年、九年前の今日、東日本大震災が発生しました。私も、その三月十一日の夜に高山を出発し、十二日の朝に東北に着いておりました。海岸端は本当に悲惨な状況でありました。それから数か月間、気仙沼最南端の避難所を拠点に支援活動を行いましたが、その際、避難所運営担当者が苦労された中に、インフルエンザ対策とノロ対策がありました。 避難所におけるインフルエンザとノロの発生、さすがにパニックでした。避難所は停電が続き、断水が続き、トイレは仮設でくみ取り、手を洗うことも十分にはできません。インフルエンザは想像できるかもしれませんが、ノロは患者の吐物や便にもウイルスが含まれ、下痢で便器が汚されるとか、吐物が廊下に点在するとか、これが電気とか水道がまともに通っていて使える状態であったならばもっと対応しやすかったのかもしれませんが、消毒作業は本当に大変でありました。 このインフルエンザとノロを合わせたような対策を行わなければならないのが、今回の新型コロナであります。これがはやっている時期に災害が起こったらどうなるのか。避難所の中は、当然のことながら濃厚接触者だらけになります。先日、県の担当課は感染症対策で既にガイドラインができており、必要があれば内閣府から通知が来るはずだということをおっしゃっていましたが、災害は突然やってきますし、この冬の暖冬から考えれば今年の夏は決して油断できないというふうに思っております。 そこで、危機管理部長にお尋ねしますが、新型コロナなど感染性の高い疾病がはやっている時期に、災害に対応できる避難所運営のガイドライン作成を進めるべきでありますが、どのようにお考えかお答えを願います。 次に、防災の分野でありますが、越水による破堤を防ぐ対策についてであります。 河川の水が堤防を越えると堤防の裏側へ来る。その裏側へ行った水が裏側を削ってしまう。それで、強度が下がって破堤を起こしてしまう。そういったことがあります。昨年秋の長野県千曲川も、破堤したところ以外にも幾つか裏側がえぐれているところがありました。また、一昨年の西日本豪雨における倉敷市など、最近の災害では越水による破堤が少なからず起きており、かつ破堤による洪水被害は、掘り込み式の河道でのあふれたものより、はるかに災害規模が大きいように感じております。 このため、県が進めている河川を安全に流す断面積を確保し水位を下げる工事に加えて、今後は破堤防止も非常に重要であるというふうに考えております。 そこで、破堤しやすいところ、人家への被害の大きさを調査して対応の優先順位を考えた上で、越水しても壊れない堤防を造れるよう、今後検討を始めるべきではないかと考えておりますが、これについて、県土整備部長、お考えをお答え願います。 次に、農業ボランティアセンターについて質問をさせていただきます。 昨今、一般の災害ボランティア及び技術系ボランティアについては、一歩一歩ではありますが、体制整備が進められております。しかし、まだ検討すら行われていない分野もあり、それが今回質問させていただく農業ボランティアセンター、農業ボラセンであります。 昨年、長野市の千曲川破堤現場付近、住宅とともにリンゴ畑が広がる地域でありますが、台風の後本当に見るも無残な姿となっておりました。濁流だけでなく、家屋の瓦礫も一緒になってリンゴの木を襲ったため、ほぼ全ての木が抜けてしまった畑もありました。地域のリンゴは、泥水につからなかったものも含めて全て出荷停止となり、リンゴジュースへの転用も禁止となりました。大きな被害を受けたリンゴ畑の園主さんからは、離農を決意した言葉を聞くこともありました。 そこで、長野県、長野県社協、JA、私たちを含むNPO団体が集まり、信州農業ボランティアセンターを立ち上げ、チェーンソーで駄目な枝を切り、全体が傷んだ木は重機を使って根まで抜き、壊れた倉庫は解体し、一般ボランティアの人力も活用して瓦礫を全て除去。作業後、もう一度やれる気がしてきたと再生へ転換されたリンゴ園主さんの挨拶に、涙を流すボランティアの姿もありました。 こういった離農から再生への転換、これは長野市のリンゴ農家だけではなく、一昨年の高山市のビニールハウスが多く倒壊した災害、そして熊本地震や東日本大震災でも農業ボラセンは大きな影響を与えました。 しかし、この農業ボランティアセンター、農業被害があっても設置できないという自治体がこれまでもありました。なぜできないのか。その難しい原因としては、社会福祉協議会が、農業は営利を伴う事業との見解から設置に対して微妙な立場であることに加え、自治体側もどの部署が対応してよいのか分からない、あるいは決まっていない、そういった現状であることなどであります。 農業ボラセンの有効性としては、公的支援のない被害、また公的支援を使っても農家の負担がある場合など、被災農家の支出を減らすことができますし、また作業する人手がないという農家さんも見えます。そういった農家にとっては、本当に大きな力となってくれます。この離農の防止にもつながる農業ボラセンでありますが、岐阜県においてはどこが担当するかなど、ベースの部分もまだ決まっておりません。 そこで、農業災害に備え、農業ボランティアセンターを設置しやすくする体制整備について、知事、どのようにお考えかお答え願います。 次は、難聴児の教育環境改善と対応の明確化についてであります。 難聴児の保護者は、本当に様々な悩みを抱えておられますが、その中でも最も重要と考えられる項目の一つが教育であります。難聴を乗り越え、しっかり学んでほしいと望むのはどの親も同じであります。しかし、難聴児に対してどのような環境教育を整えるのがベストかという課題については、不安な部分も少なくありません。 先日も、同じ学年に二人の難聴児が在学しているのに、難聴学級設置は見合わせるという話がありました。これに対しては、前年も設置を望んでいたのにかなわなかった保護者と、その子らが通う学校側の落胆はとても大きなものがありました。そこで、設置されない理由を県教委にお尋ねしたところ、必要性は分かるが地域的バランス等の関係で設置することができないとの回答でありました。 同程度の障がいであれば同程度の教育環境がつくられるべきであり、地域的なバランスということよりも障がいの程度のほうが優先されるというふうに思います。また、ここには保護者の希望も入るべきでありますので、配布資料二、このフローチャートを御覧いただきたいと思いますが、例えばこういったフローチャートをつくって、就学時の難聴児対応をどのようにするかをあらかじめ明確にしておくべきだと考えております。 また、新年度、聾学校では音声を文字に変換する機器を導入する方向となっておりますが、小・中学生でこれを利用できるのは聾学校に通える難聴児のみ。飛騨地域など、聾学校に通いにくい児童に対しても、同じような教育環境をつくる方策、しっかり考えていただきたい。 そういった環境を整備した上で、保護者と子供たちがどういった教育環境を希望するのか、選択肢をつくるべきであります。今、難聴児の保護者は選択肢がほとんどありません。飛騨から聾学校へ行くとなると寄宿舎に入らなければならない。小学校一年からでも寄宿舎に入らなければならない。そういった聾学校なのか、地元の学校か。ただし、地元の学校だと希望しても難聴学級をつくってもらえないかもしれない。この改善についてぜひ考えていただきたい。 そこで教育長、難聴児の教育環境の整備と対応の明確化についてどのようにお考えか、お答え願います。 次に、保護者に示すロードマップ作成について質問させていただきます。 先ほど、難聴児の親が最重要と感じる課題の一つが教育と述べましたが、自分の子供が難聴児だと知って最初にぶつかる最大の不安は、私たちは一体これからどうなるんだろうということ、その基本的な部分のことであります。 それに対して今、難聴児支援のセンター的機能立ち上げの方向で検討が行われておりますが、療育への支援策等を記載したロードマップについては、一日も早くスタートさせてはどうかと思います。 その上で、先進地長野県のアドバイスに加え、関わる保護者の皆さん、医療側、そして検討会の意見も取り入れ、よりよいもの、保護者の方も安心できるものへと改善していただきたいと思いますが、これについてどのようにお考えか、健康福祉部長、お答え願います。 次に、難聴教育を改善するに当たり必要となる教員及び支援員さんの難聴児対応のスキルアップについて質問させていただきます。 難聴児の対応については、聞こえる波長によって認識できる音が違うなどの基本的な部分から、現場での対応方法まで、幅広い知識と経験が必要になります。しかし、担任が決まるのは四月初め。現状では、研修を受ける間もなく対応を始めなければならないこともあります。また、学校には特別支援コーディネーターも設置されていますが、この指名も四月初旬ということが多く、担任の先生も支援員さんも、そしてこのコーディネーターの先生も、万全に研修を受けてスタートというわけにはいきません。さらには、現在支援員の方は、研修を受けようとしても出勤扱いにはならない時間に研修を受けなければならない状態となっております。つまり、その時間は無給であります。 こういったことも影響しているからなのか、時には難聴児の保護者の方から、かなり厳しい落胆の声を聞くこともあります。 そこで、難聴児の保護者からこういった落胆の声を聞くことのないようなスキルアップが必要でありますが、教育長、これをどのように進めるのかお答え願います。 最後に、医療と教育を結ぶスタッフの養成についてであります。 先日、難聴児教育の先進地、長野県の難聴児支援センター代表であるドクターが、医療と教育を結ぶスタッフが非常に重要である。その要件は、難聴児に対する理解が深いことと、耳鼻科医療の知識も持っていなければならないということを強調されておりました。医療機関への同行も行って、医療と教育の橋渡し役を行うのであれば、これは当然であると思います。 医療の側へ行って、先生が言われたことをその学校の先生に伝える。これは親が伝えるのではなくて、そういったコーディネーターの方が伝えていただく。そのための橋渡しとしては非常に任が、役目として大きいものがあります。 難聴児は、自分が受けている教育の評価をしにくいということも認識し、注意して対応を行わなければなりません。このため、経験を積んだ方が医療的な研修を受けた上で医療と教育を結ぶスタッフとして活動をする、こういった仕組みのほうが自然でありますし、効果が出やすいのは当然であると考えますが、この難聴児対応において、医療と教育を結ぶスタッフの養成についてどのようにお考えか、教育長、お答え願います。 以上、前向きな答弁を期待し、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(水野正敏君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) まず午前中、三・一一について黙祷させていただきましたけれども、当日の中村議員の熱の籠もった質問と、それからこの部屋にずらりと並んでおりましたシャンデリアの揺れを思い出したわけでありますが、それがあってか、この明かりはこのように替わったわけでありますけれども、改めて被災された方々に心からの哀悼の意を表する次第でございます。 さて、まず新型コロナウイルスについての県内経済の問題、御質問ございました。 るる御指摘がありましたとおり、新型コロナウイルスの県内外での感染拡大に合わせて、県内企業への影響も深刻さと広がりを増してきております。 例えば一月下旬の春節期間に予定されていた中国人観光客のキャンセルから始まり、その後も欧米や日本人観光客などのキャンセルも進んだことで、現時点で把握している県内の三月末までのキャンセルは約六万五千人に上っております。中でも高山市内では、感染者が旅行に訪れて以降、さらに宿泊キャンセル数が増加するなど、事態が深刻化しているというふうに伺っております。 また、中国国内からの流通の停滞が長期化するにつれ、中国から原材料や製品を調達している製造業や卸売業、建設・建築業などにおきましても、在庫や原材料の不足と、これに伴い国内調達にシフトしたことによるコストの増加などの影響が出ております。 さらには、国内感染の拡大や感染防止策の徹底を図るため、イベントや会合などの休廃止をお願いしておるわけでありますが、これによるキャンセル、あるいは商品の出荷停止、外出の自粛による来客数の減少など、数多くの事業者への影響拡大が発生しておるというふうに聞いております。 こうした状況を踏まえ、県におきましては、二月五日には新型コロナウイルス関連融資相談窓口を設置したほか、観光、農林業、建設といった幅広い分野で、それぞれ個別の事業者向けの相談窓口も開設しております。昨日までに四十七件の御相談をいただいております。 また、当面の運転資金などの確保に向けましては、二月七日に県
中小企業資金融資制度、
経済変動対策資金の要件を緩和し、より早期に借りやすくしております。さらには、感染拡大などによる影響の深刻化を踏まえ、今月に入りまして五日には既定予算を活用し、事業者が支払う信用保証料の一部を県が負担する、かつより低利な新型コロナウイルス感染症対策資金を新たに設置しております。 一方、国においても、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るために休業手当に要した費用を助成する雇用調整助成金につきまして、新型コロナウイルス感染症による影響を受けた全ての事業所が対象となるよう要件の緩和を行っております。 また、三月二日からは金融機関からの借入れの円滑化に向け、信用保証協会が借入債務の一〇〇%を保証するというセーフティーネット保証四号の適用も開始しております。 そして、昨日、国のほうでは、学校の臨時休業により正規・非正規雇用を問わず、保護者に特別の有給休暇を取得させた事業主への助成金や、影響を受けた世帯への個人向け緊急小口資金の上限額の引上げ、さらには一定要件の下では返済免除などの特例措置の創設、中小・小規模事業者への実質無利子・無担保の特別貸付制度の創設、緊急事態宣言を発出している地域における雇用調整助成金のさらなる要件緩和などの緊急対応策を取りまとめておられます。 県としても、早急にこれらの緊急対策の内容及び具体的な運用方法を精査した上で、県内企業において速やかに活用されるよう情報提供を行うとともに、県として景気・経済対策を含めて必要な追加支援についても検討してまいります。 このため、明日にも、第二回の岐阜県新型コロナウイルス感染症対策協議会を開催し、各種経済団体、医療関係団体、市町村長等と率直な意見交換を行うことにしております。 次に、国の助成金申請へのサポートについてでございます。 ただいま申し上げましたような国や県の様々な支援制度が、速やかに必要とされる方々に活用していただけるように、小規模事業者に寄り添った対応にも、私どもとしては十分に意を用いてまいりたいと考えております。 特に、御指摘のありましたとおり、助成金などの支援制度についてはふだんから活用することが少なく、申請に不慣れな事業者の方々も多いのではないかというふうに思っております。迅速な支援制度の活用のため、積極的な情報提供を行うとともに、事業者の方がスムーズに申請手続を進めていただけるよう、丁寧なサポート体制を構築していきたいと思っております。 こうした中、昨日、国からは、先ほど申し上げました様々な緊急対応策が示されたところであります。これら新たな支援制度について、支援の内容、適用要件、必要な申請手続、記載例など、一つ一つ明確にしていく必要があります。 このため、県の経営相談窓口をさらに各県事務所ごとに設置するとともに、地域の商工会などの各支援団体の新型コロナウイルスに関する中小企業・小規模事業者向けの相談窓口において、丁寧な手引書を用意し、きめ細やかなサポートを進めてまいります。その中で、御指摘のあった申請書類のひな形もお示しできるよう工夫してまいりたいと思っております。 次に、人にうつさない対策についてのアピールということでございます。 伺いますと、御質問には村上先生のチェックが入っておるということでございますが、私ども県でもこの個人の感染症対策につきまして、先月二十一日、対策本部を設けまして、そこで岐阜大学医学部附属病院の村上先生をお招きし、専門的観点からの知見をいただいたところでございます。ただ、本日の私の答弁には村上先生のチェックは入っておりません。 そこで、村上副院長は、まず新型コロナウイルス感染症の感染経路は、接触感染と飛沫感染であるとされました。そして、陽性であっても症状が現れない方からのウイルス拡散度は恐らく低いのではないかと認識を示されながらも、マスクの着用、手洗い、手指の消毒の励行など、接触感染や飛沫感染を防ぐ方策について御助言をいただいたところであります。私としても、議員御指摘のとおり、全ての県民がそれぞれに行うことのできる有効かつ分かりやすい対策として、人にうつさない取り組みの徹底は大変重要であるというふうに認識しております。 そこで、本県は、例えば県民向けのチラシの中で、マスクを着用する、マスクがないときには手で口を覆わずハンカチや服の袖などで口を覆うなどといった咳エチケットについて分かりやすく示しております。また、これを英語、中国語、タガログ語など六言語に翻訳し、外国人技能実習生の受入れを行う管理団体、外国人材の派遣企業などに配付するとともに、岐阜地域留学生交流推進協議会を通じて外国人留学生にも情報提供するなど周知を図っております。 一般的にと言いますか、通常の場合、自分は大丈夫だと思いがちでありまして、人からうつされない対策のほうに意識を向けられがちでありますが、それと同時に人にうつさない対策が重要であることを、機会あるごとにしっかりと徹底してお伝えしていきたいと思っております。 次に、農業ボランティアセンターについてのお尋ねでございます。 昨年は、十月に発生した台風十九号、二十一号により、東日本を中心に河川の氾濫が相次ぎ、甚大な浸水被害が発生しております。幸い本県では、比較的大きな災害はなかったものの、お隣長野県をはじめ各地において住環境への被害に加え、農地への土砂流入などによる農業被害が多々発生しております。 被災した農地や農業施設等の復旧については、農地に流入した土砂の除去や倒壊したビニールハウスの撤去への補助など、被害の種類や程度に応じた支援制度が設けられております。 これらの支援制度は、交付決定前の事前着工を認めるなど、復旧作業を円滑に進められるよう柔軟な運用が取られております。しかしながら、災害の規模がある程度把握されてからでないと制度発動の可否が決まらないことから、早期の作業着手をためらう農家も多いのも事実でありますし、結果復旧が遅れがちになっております。また、業者に委託して作業を行う場合には、申込みが集中して業者の確保が困難になることの問題も生じております。さらには、被害の状況によっては重機の使用が難しく、人の手で作業をせざるを得ないため、復旧作業に大変多くの人手を要するという場合もあるわけであります。 こうした公的な支援のみでは十分に補えないところについて、ボランティアのお力をお借りすることも大変有効であるというふうに考えております。市町村のほうからも、農業被害の復旧にはボランティアの力を貸していただけるのはありがたい、農業者からボランティア派遣の要請があれば対応したいという声も伺っております。 しかし、現在、社会福祉協議会等が中心となって行っている災害ボランティアの派遣は、住民生活の早期復旧支援を目標としており、経済活動の基盤である農地等の被害は派遣の対象となっておらないのが現状であります。このため、生活支援との兼ね合いをどうするかが明確になっておらず、現場が混乱しかねないという不安の声も出ております。 こうしたことから、農業被害に係るボランティアセンターの設置に向けては、県、市町村、農業団体、NPO等との役割をどう分担するのか、センターの設置・運営に係る費用をどう捻出するのか、効率的な運営に必要な経験・ノウハウをどう修得するのかなどといった課題を整理していく必要がございます。 このため、まずは県庁内の農政部と災害ボランティアを所管する健康福祉部を中心に、他県の取組例も参考にしつつ、市町村、JA、社会福祉協議会、ぎふNPOセンター等の意見を伺いながら、今年の出水期を目途に早急に検討を進めてまいります。
○副議長(水野正敏君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。 〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 新型コロナウイルスの検査体制についてお答えをいたします。 まず検査の対象ですが、帰国者・接触者相談センターにおいて相談を受けた後に、帰国者・接触者外来での診察を経て、医師から新型コロナウイルス感染症を疑う旨及び検査要請があった場合に、渡航歴や接触歴に関わらず検査を実施しています。本県は、国の基準に関わらず、弾力的かつ積極的に検査を行っているところであり、引き続きこの方針を徹底してまいります。 なお、議員が言及されたような案件があるのであればお知らせください。帰国者・接触者外来の医師が総合的に判断し、新型コロナウイルス感染症を疑う場合にはすぐに検査するとともに、本県の方針を現場に再徹底いたします。 次に、検査体制でありますが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の規定に基づいた検査として、県と保健所設置市である岐阜市との連携の下、県内のPCR検査能力を一日当たり四十件から八十件まで拡充したところであり、今後必要に応じて最大百二十件まで検査能力を拡大いたします。 加えて、三月六日から医療機関等による診療の一環としての検査が保険適用されました。国によると、当面の間、院内感染防止及び検査の精度管理の観点から、帰国者・接触者外来等において実施する検査は保険適用されますが、これらの検査は保健所を介さずに帰国者・接触者外来等が直接実施できるようになります。県では、県内の検査体制強化の観点から、まずは県内二十二か所の帰国者・接触者外来に対し、保険を利用した検査の活用に向けて必要な体制を取っていただくよう要請しているところです。
○副議長(水野正敏君) 教育長 安福正寿君。 〔教育長 安福正寿君登壇〕
◎教育長(安福正寿君) 学校の休校等の対応についてお答えします。 今回の臨時休業措置は、感染の流行を早期に終息させるため、子供たちの健康・安全を第一に考え、全国一斉に要請するとした国からの通知を踏まえ、それぞれの学校で行ったものです。 臨時休校後の対応については、国において、今後の各地域における感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ検討していくとの見解が示されたところです。また、臨時休業措置が解除された場合の出席停止の扱いについても、児童・生徒が濃厚接触者に特定された場合や、発熱等の症状が見られ自宅で休養する場合も、出席停止として扱うことができることを改めて国に確認しております。 なお、仮に授業を行う場合には、子供に感染させないことはもとより、学校から感染を広げないという観点から、手洗いや咳エチケットなどの基本的な対策はもとより、教室の小まめな換気等、適切な環境の保持を行うなどの対応を徹底することが重要と考えております。今後、国から示される方針も踏まえ、スピード感を持って適切に対応してまいります。 次に、難聴児対応について三点御質問がありました。 初めに、難聴児の教育環境整備と就学時対応の明確化についてお答えします。 聴覚障がいのある児童・生徒には、一人一人の障がいの状態に合わせた教育環境が必要であり、特別支援学校や特別支援学級、通常学級での通級指導や支援員による個別指導により対応しております。 このうち、特別支援学級については、専門性を備えた教員の確保が難しいことから、市町村の設置要望に十分対応できておらず、市町村教育委員会と連携して特別支援学校の地域における教育支援機能を強化し、環境の改善を図る必要があると考えております。 このため、岐阜聾学校から最も離れた飛騨地域では、来年度から、同校を経験した教員を飛騨特別支援学校に聴覚障がいの指導教員として専任で配置します。この教員が聴覚障がい児が学ぶ小・中学校を巡回訪問し、教員や支援員の前で授業をして見せたり、助言を行ったりするなど、専門的な視点から継続的に授業支援を行います。加えて、就学前の児童の保護者に対して、就学先に関する情報提供を行い個別の教育相談に応じるなど、保護者が不安を感じることなく進路を選択できるよう支援もしてまいります。 次に、教員及び支援員のスキルアップについてお答えします。 教員や支援員のスキルアップについては、本年度から飛騨特別支援学校において、小・中学校の聴覚障がい支援の教員を対象に、実際の指導に必要となる知識やノウハウを学ぶ研修を九回にわたって実施しており、新年度に向けては、新たに聴覚障がい支援に携わる教員や支援員に対して春休み中に行う予定としております。 これに加え、先ほど申し上げたとおり、飛騨特別支援学校配置する専任教員が継続的な授業支援を行うことで、小・中学校の教員や支援員の指導力向上を図ってまいります。 また、進学、進級時に引き継がれる個別の教育支援計画に、支援の内容や方法をより具体的かつ詳細に記載することを徹底し、経験の浅い教員であっても、切れ目なく十分な指導ができるようにしてまいります。さらに、将来に向けて専門性を身につけた人材を確保する観点から、岐阜聾学校を聴覚障がい教育の育成拠点として他の特別支援学校の教員を計画的に受け入れるとともに、小・中学校との間でも人事交流を行うことを通じて専門性のある教員を育成し、必要な地域に人材を配置できるよう取り組んでまいります。 次に、医療と教育を結ぶスタッフの養成についてお答えします。 児童・生徒の医療や療育の情報を教育の現場で効果的に活用するためには、支援に当たる教員の聴覚障がいに係る専門知識に基づいた正確な理解が前提となりますが、身近に専門の療育機関のない地域においては、現状では十分とは言えない状況です。 このため、来年度から、飛騨及び恵那特別支援学校に、必要に応じ聴覚障がいの医療の分野にも精通した教育の専門家を派遣し、学校が助言を受けたり、相談できる場を設けてまいります。聴覚障がいのある児童・生徒の支援を担う教員が、専門家の助言を基に療育機関から引き継いだ支援計画の内容に加え、児童・生徒の主治医や言語聴覚士からの意見も取り入れ、教育と医療の連携の下で支援する取り組みを開始いたします。 当面は、こうした取り組みを行ってまいりますが、将来的には健康福祉部とも連携し、医療、療育、教育などの関係者、有識者や保護者代表から成る岐阜県難聴児支援に関する検討会における議論も踏まえ、教育と医療の連携の在り方について検討してまいります。
○副議長(水野正敏君) 危機管理部長 西垣功朗君。 〔危機管理部長 西垣功朗君登壇〕
◎危機管理部長(西垣功朗君) 新型コロナウイルスへの対応のうち、避難所における感染症対策についてお答えをいたします。 岐阜県避難所運営ガイドラインでは、感染症対策として手洗いと常時のマスク着用の徹底、消毒スペースの設置に加え、感染症が疑われた際には速やかに隔離を行うことなどを定めているところです。これらは新型コロナウイルス対策としても有効であり、現行ガイドラインに即した的確な対応がまずは重要であると考えております。加えて、新型コロナウイルスでは、風通しが悪く、人が密集するような空間での集団感染リスクが指摘されております。 このため、これまで以上に換気を小まめに行うことや利用者同士の間隔を可能な限り確保することに加え、避難所受付での検温や聞き取りなどにより感染の疑いのある方を早期に発見できる体制を整えることも必要ではないかと考えております。 市町村とはこうした点も情報共有するとともに、今後の国による疫学研究での知見も踏まえ、新型コロナウイルス等にも対応した形でガイドラインを改定してまいりたいと考えております。
○副議長(水野正敏君) 県土整備部長 宗宮裕雄君。 〔県土整備部長 宗宮裕雄君登壇〕
◎県土整備部長(宗宮裕雄君) 越水による破堤を防ぐ対策についてお答えします。 これまで、新五流域総合治水対策プランに基づき、水位を低下させるための河川改修や掘削などを重点的に実施しております。 こうした中、平成二十七年の鬼怒川の堤防決壊を受け、国は決壊を引き延ばすための堤防強化対策に着手し、県においても三か年緊急対策などにより、一部の河川において、堤防の上をアスファルトで保護する対策を進めております。 さらに、昨年の台風第十九号により全国で百四十か所の堤防が決壊したことを受け、国では有識者を交えた河川堤防に関する技術検討会を設置し、本年夏までに緊急的な堤防強化の方策を取りまとめることとされております。 県としても、これまでに、決壊した際に人命や財産に重大な被害が及ぶ重要水防箇所を選定し取り組んでおりますが、今後は優先順位や工法選定の考え方など、国の検討状況を注視するとともに、改めて重要水防箇所を再点検し、決壊の危険性の高い箇所を抽出するなど、検討を進めてまいります。
○副議長(水野正敏君) 健康福祉部長 兼山鎮也君。 〔健康福祉部長 兼山鎮也君登壇〕
◎健康福祉部長(兼山鎮也君) 難聴児の保護者に示すロードマップの作成についてお答えします。 県では、昨年十月から十二月に難聴児の保護者の皆さんに聞き取り調査を行ったところ、難聴の疑いが判明すると不安になるため、支援策等の案内が欲しいといった声がございました。 これを踏まえ、現在聴覚検査後から療育までの支援策を示すロードマップを盛り込んだ保護者向けの手引書を作成しているところであり、今月開催します難聴児支援に関する検討会において御意見を伺った上で、今年度末までに現時点での暫定版を作成し、保護者の皆さんに配付いたします。 なお、岐阜聾学校の保護者の皆さんから、絵などをつけて分かりやすくしてほしいといった声もございましたので、絵や写真等の盛り込みや分かりやすい概要版の作成、Q&Aの作成など、御意見を踏まえて内容を充実させ、来年度の早い時期に手引書を完成させてまいります。
○副議長(水野正敏君) 三十番 川上哲也君。 〔三十番 川上哲也君登壇〕
◆三十番(川上哲也君) 知事、先ほどの症状が出ない無症状の感染者、不顕性感染者と、症状が出るところの感染者、ここは連続しているものですから、それと、これがこの時間までぴったりというわけではなくてそこは連続しているものですから、ここは自分が症状がまだ出ていないとか、そういった症状がないと思っている方、実際にない方も含めてそのPRが必要だということで、そういった方からも、例えば唾がかかると感染の恐れがあるということで村上先生もおっしゃっていますので、ぜひその検討をお願いしたいと思います。 健康福祉部医療担当次長にお尋ねしますが、これ確認ですけど、先ほど保健所を介さないというふうにおっしゃられましたが、実際には、今日お配りした資料にも書いてありますように、その運搬という部分で保健所が担わなければならない部分があったりして、いろんな基準があるものですから、そうすると医療機関から直接検査機関へ送れない。だから、保健所が介さなければならないということで、今までと基準が一緒になってしまうんじゃないかという懸念がありますけど、その点についてどうなのかお答えを願います。
○副議長(水野正敏君) 健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君。 〔健康福祉部次長医療担当 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部次長医療担当(堀裕行君) 先生から、保険適用された検査の検体の搬送についての御質問をいただきました。 保険適用された検査につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、帰国者・接触者外来から保健所を介さずに検査が実施できるようになります。 その場合には二つのケースがございまして、一つは帰国者・接触者外来の自院内で検体検査として院内で行うというもの。この場合については、当然その院内での検査でございますので、検体の搬送というものは自院内で行うことになります。 もう一つといたしましては、民間の検査会社に外部委託をして行う場合でございまして、この場合には、先生御指摘のとおり、検体を民間の業者に運ぶまでの移送というものが必要になります。ここについては、基本的には保健所が行うということにはなっておりませんけれども、病原性を持った感染性の検体を運ぶということで、それぞれに求められる基準があるということを聞いておりますので、現在、それぞれ病院ごとに委託をされている会社がございますので、そこと移送についての詳細等確認をしているところでございます。……………………………………………………………………………………………
○副議長(水野正敏君) しばらく休憩いたします。
△午後二時二十七分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後二時五十分再開
○議長(小川恒雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(小川恒雄君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。四十七番 岩井豊太郎君。 〔四十七番 岩井豊太郎君登壇〕(拍手)
◆四十七番(岩井豊太郎君) 質問に入る前に、東日本の震災で亡くなられた方の御冥福をお祈りしたいと同時に、早い復興を願っているわけでございます。 今日は、私は最後の登壇になりましたんですけど、今回も多くの方がいろんな分野で質問されました。私も今回は、「第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略」を踏まえて、県がどのように対応されるかというようなこと知事にお伺いするということで、これから質問させていただきます。 安倍政権の重要課題の一つであります地方創生を掲げて第一期まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されましたのは、六年前の二〇一四年に遡ります。その狙いや目標は何だったでしょうか。 歴代政権はこれまで様々な地方対策を打ち出してきましたが、地方創生の最大の特徴は、人口問題の克服をはっきりと目的に掲げた点にあると思います。すなわち、少子高齢化の進展に的確に対応し、出生率の低下によって引き起こされる人口減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口一極集中を是正し、それぞれの地域での住みよい環境を保持し、将来にわたって活力ある地域社会を維持するということであります。 皆さん御存じだと思いますが、二〇一四年、民間有識者団体であります日本創成会議・人口減少問題検討分科会が、独自にまとめられた将来推定人口を基に消滅可能性都市八百九十六のリストを発表し、大きな反響を呼びました。 同時に、「地方消滅」というタイトルの書籍も出版されました。その内容は、地方から東京への若者の移動、特に二十歳から三十九歳の若い女性の東京への移動によって地方における出生数が減少し、将来、地方の市町村は消滅する可能性があるというものでありました。 この推計によれば、全国で八百九十六の市町村、本県でも十七の市町村が将来消滅する可能性があるというショッキングな内容で、地方が消滅するという言葉は全国の自治体に大きな衝撃を与えました。 民間団体の調査結果とはいえ、大きな反響を呼んだ分析結果であったため、国もしっかりと受け止め、日本の人口減少問題に真剣に取り組まざるを得ないということで、国の対応も国家戦略として検討を始めることになりました。 安倍政権は、これらの検討を踏まえて、地方に危機的な状況を招かないようにする目的で、二〇一四年九月に、首相を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部を立ち上げ、十一月に人口減少対策の基本理念などを定めたまち・ひと・しごと創生法を成立させました。十二月には、二〇六〇年に一億人程度の人口を確保するとの目標を掲げた長期ビジョンと、二〇一五年から二〇一九年度の五年間に取り組む人口減少対策と地方創生関連施策の数値目標や具体的な事業を盛り込んだ第一期まち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定されました。 また、まち・ひと・しごと創生法の趣旨を踏まえ、少子高齢化と人口減少という危機感を共有しながら、各自治体のおいても地方人口ビジョン並びに都道府県版創生総合戦略及び市町村版創生総合戦略が策定されました。 ここで、まち・ひと・しごと創生における「まち・ひと・しごと」について述べてみますと、「まち」とは、国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会の形成という意味であり、「ひと」は、地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保という意味であります。さらに、「しごと」とは、地域における魅力ある多様な就業の機会の創出という意味であります。 次に、本県が取り組んできた状況を申しますと、皆さん御存じのとおり、全国に先駆けて二〇〇八年、人口減少時代への挑戦として岐阜県長期構想が策定されました。 十年間という計画期間の間に人口減少、少子高齢化が進行する状況下にあって、活力を生み出し、暮らしの安全・安心を守り、将来に向かって取り組んでいく「清流の国ぎふ」づくりを打ち出し、昨年三月、これまで十年間に取り組んできた事業の成果と今後十年間の展望を踏まえ、一人一人の幸せと確かな暮らしのあるふるさと岐阜県を目指した今後五年間の政策の方向性を示す清流の国ぎふ創生総合戦略が策定されました。 策定された総合戦略は、二〇一四年に施行されたまち・ひと・しごと創生法に基づき、国の基本方針、総合戦略を勘案した地方版総合戦略として策定されたものと聞いておりますが、今後、昨年十二月に策定された国の第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略との整合性が取られるものと思います。 このように、人口増加に向けて本県、国とも多様な取り組みを行ってきましたが、最近の日本の人口動態を見てみますと、日本の総人口は二〇〇八年の一億二千八百八万人をピークにその後減少に転じ、二〇一八年の総人口は一億二千六百四十四万人と、この十年間で百六十四万人減少しております。このまま何も手を打たなければ、人口は加速度的に減少していくことになります。 国立社会保障・人口問題研究所が二〇一七年に公表した日本の将来推計人口によりますと、日本の総人口は二〇五三年に一億人を割り込み、二〇六〇年には約九千二百八十四万人まで減少し、五十年間で三千五百万人の大幅な減少になると推計されております。このまま推移していきますと、二一一〇年の日本の人口は五千三百四十三万人まで落ち込む見通しとなります。 地方では、このような急速な人口減少と超高齢化の進行が進むことによって、生産年齢人口の減少が見込まれるということになります。このため、地域社会における担い手の減少や消費の減少、経済規模の縮小、生活水準の低下、成長の鈍化を招き、その結果さらに人口減少を招き、一層活力の低下をもたらすことになります。このような地方における負の連鎖はいずれ中心都市へ、そして日本全体に波及して、日本の存立に関わる深刻な事態に直面することも考えられます。 このような日本の人口動態を勘案しますと、二〇一五年から二〇一九年度の五年間の安倍政権の看板政策であった第一期まち・ひと・しごと創生総合戦略の最大の目標であった人口減少対策は、長期ビジョンに明記した人口問題の克服どころか、人口減少に歯止めがかからず悪化の一途をたどってきたと言わざるを得ません。 人口減少の深刻な原因は、出生数の急激な減少にあります。二〇一八年に生まれた日本人の子供の数は九十一万八千四百人で百万人を割り、さらに二〇一九年は八十六万四千人と九十万人を下回り、過去最少となりました。出生数が九十万人を下回ったのは、百二十年前の明治三十二年の統計開始以来初めてのことであり、さらに出生数が死亡数を下回る人口の自然減も五十一万二千人で、初めて五十万人を超えたということであります。 そこで、出生数の減少の大きな要因で、出産世代の女性人口、すなわち二十代から三十代の女性の減少であります。二〇一九年七月時点で、二十五歳から三十九歳の女性の人口は約九百六十九万人で、前年同月に比べて約二十一万人減少しております。さらに国勢調査によりますと、二〇一五年時点で一人以上の子供を産んだ二十五歳から三十九歳の女性は約四百九十七万人で、一九八五年の約一千六十万人に比べて三十年間で約半分以下に減少しているということであります。 このように女性の減少を見ますと、人口減少の問題は出生数の減少による少子化だけでなく、子供を産む女性の減少である少母化も原因だと思います。そこで、出産世代の女性の減少に着目し、これからのまちづくりは女性の住みやすい環境づくりや、女性が住みたくなる地域づくりによる女性の増加を重視することだと思います。 次に、本県の人口動態を示したグラフを御覧ください。 お手元に配りましたこのグラフでありますけど、このグラフを見ていただきますと五圏域に分けて平成二十七年十月一日現在を起点にして、パーセントで人口の動態が示してあります。 この資料を見ていただきまして、第一期総合戦略がスタートした二〇一五年十月を基準といたしまして、四年間の本県と四十二市町村の人口の増減の率を示しておるわけでございますが、お分かりのように四年間で人口の増加した市町村は三市四町でありますが、その他の市町村の人口は減少しており、県全体の人口も減少しているということでございます。本県の人口は、一昨年九月、三十五年ぶりに二百万人を割りました。さらに、本県は自然減と社会減によって人口減少は止められず、この表には示されておりませんが今後十年間、毎年一万六千人程度人口が減少するということが見込まれております。 私は、このような本県の人口減少の状況から、本県及び大半の市町村は、残念ながら当分の期間は人口増加が望めないことを視野に入れて、地域の活性化に取り組まざるを得ない。また、現実の人口減少を肯定した地方創生に取り組まざるを得ないと、そんなことを言わざるを得ないと思っておるわけでございます。 次に、第一期総合戦略の基本目標である東京圏一極集中の是正に関して取組状況を述べてみたいと思います。 第一期総合戦略の策定当時、二〇一四年でありますが、地方から東京圏への転入者と東京圏から地方への転出者の差引き十万人の東京圏への転入超過でありました。第一期総合戦略の基本目標である二〇二〇年に東京圏への転出入を均衡させ、東京圏への転入超過をゼロにするという目標として明記されておりました。しかし、その後も転入者は逆に増加して、二〇一八年の東京圏への転入超過数は約十三万六千人に拡大して、二十三年連続の転入超過となっております。 ここでもお手元に資料を配らせていただきましたが、この青い棒グラフ、これが見ていただきますとお分かりのように、東京圏への転入超過の表であります。これでお分かりのように、東京圏一極集中の是正とは逆に、一極集中が加速しているという状況がお分かりだと思います。 東京圏への一極集中には様々な要因が考えられますが、転入超過の大半を十代後半から二十代の若年層が占めており、東京圏への移動の理由は進学あるいは就職を理由にした割合が全体の六割を占めておるということで、特に女性は学歴が高いほど正規雇用で就業する傾向が強く、東京圏での正規雇用の割合が地方より高いということも要因の一つとなって考えられます。さらに、仕事以外の娯楽、レジャー、文化、芸術などに触れる機会も東京に多いということもあり、これらも東京圏に集中する要因だと考えられるわけであります。 このような状況を見ますと、人口減少に歯止めをかけ、東京圏への人口一極集中を是正するという目標を掲げた第一期まち・ひと・しごと創生総合戦略は、当初の目標を達成することはできないということになったわけであります。 そこで、二〇二〇年度から、第二ステージとして第二期総合戦略に入るわけであります。 第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略の課題は、継続は力なりという姿勢を基本に、第一期総合戦略で取り組んできた人口減少対策と、東京一極集中の是正を継承することが表明されている中で、地方創生の目指す将来像として将来にわたって活力ある地域社会の実現と、それからもう一点、東京圏への一極集中の是正ということを目指すことが示されました。 第二期総合戦略として、東京一極集中の是正に向けて新たな取り組みの方向性として、まず一点として、地方への移住・定住の定着。それから二点目として、地方へのつながりを強化すると、この二項目を取り組むことによって、結果として地方移住の裾野の拡大につながるという強化策が示されたわけでございます。 さらに、新たな目標として、関係人口の創出・拡大の取り組みが打ち出されました。 安倍首相は、第二期総合戦略において関係人口に言及し、第二期では関係人口の創出・拡大を強力に推し進め、地方への人の流れを重層的な形で力強いものにしていくと述べ、関係人口を増やすことによって最終的な地方移住を促進していくという考え方で、地方創生を新たなステージへと押し上げていくということが強調されました。 そこで国は、関係人口の創出・拡大を第二期総合戦略における新たな取り組みの中核と位置づけ、文字どおりの看板政策、あるいは目玉事業として前面に押し出す方針となりました。関係人口の明確な定義はございませんが、観光人口と定住人口の中間に存在する幅広い層の人たちで、地域には移住も定住もしないけれど様々な形で応援してくれる仲間という人たちのことです。 最近、関係人口が増加していると言われておりますが、その理由には社会的な背景があると思われます。最大の要因は、価値観の変化、多様化だと言われております。若者を中心に生き方や暮らし方などの価値観の大きな変化が起きており、それが関係人口の増加をもたらしておるということで、特に若者層が自らの生活や暮らしを見詰め直し、人生観や幸福感、仕事観が大きく変わる中で、新しい生き方を模索する人が増えておると。とりわけ幸せをはかる物差しが替わり、従来の仕事第一主義やマネー優先主義、都会偏重、消費一辺倒の生き方と一線を画し、人々との絆や分かち合いを大切にする若者が増えてきたということで、そこに社会の
成熟化に伴う生活スタイルや働き方の多様化が重なり、関係人口の増加につながっていると言われております。 本県でも、関係人口に取り組んでいる市町村があります。私は先日、積極的に関係人口に取り組んでおられる飛騨市を訪問してきました。飛騨市では、飛騨市ファンクラブの会員を募集しておられます。豊富な自然、独自の伝統や文化のあふれる魅力的なふるさとであるという魅力を発信し、飛騨市を応援してもらえる方を日本中から募集しているということであります。 会員に登録されますと、楽天との連携による楽天エディの会員証が発行されます。この会員証を使って買物をしますと、利用額の〇・一%、例えば千円の商品を購入されますと一円が楽天から飛騨市に還元されるということで、飛騨市にとっても税収が増えるということで大きな財源となっておるということであります。この仕組みは飛騨市が全国で最初で、最近では全国で三か所ほどの自治体がこの取り組みをしているということだそうです。 このファンクラブの会員数は、今年の一月末現在で四千四百八名だそうでして、飛騨市の人口が二万三千人に対してこれだけの会員が増加しているということで、大変私も驚いたわけでございます。この中の八割は飛騨エリア以外の会員で、外国人の方もおられるということだそうです。 飛騨市は、積極的に移住を進めているわけではありませんが、飛騨市のファンクラブの会員の中で飛騨市民になられた方がどれぐらいあるかを尋ねてみたところ、四十代の方と六十代の方の二人が飛騨市民になられたということだそうです。また、その後も飛騨市民になりたいと言って、準備をしておられる方もあるということを聞いております。ファンクラブの活動の結果、飛騨市民が増えたということは、まさに関係人口のすばらしい成果だと思います。今後ますます飛騨市の発展を期待しており、私も飛騨市のファンクラブに入会をいたしました。 このように、関係人口の創出・拡大を目指すには、県も市町村と一体になって、他都市の住民から受け入れられやすい魅力、すなわち伝統、文化、自然をはじめ、活力を備えた地域力のある市町村を目指すことだと思います。 次に、将来にわたって活力ある地域社会の実現に向けて、新たに横断的な目標の推進として新しい時代の流れを力にするというテーマで、地域におけるSociety五・〇の推進、地域創生SDGsの実現などの持続可能なまちづくりに取り組むことが示されております。 そこで、Society五・〇の実現に向けた取り組みについて述べてみたいと思います。 Society五・〇の実現によって自動化による人手不足を解消することができるとともに、地理的・時間的制約を克服するということが可能となります。さらに、Society五・〇の実現は、まち・ひと・しごとのあらゆる分野において、住民の生活の利便性と満足度を高める上で有効であり、地域の魅力を一層向上させることができ、特に課題を多く抱える地方においてこそ導入を進めることが重要であることから、地方におけるSociety五・〇の実現に向けた活用について、強力に推進していく必要があると考えます。 次に、地方創生SDGsの実現について述べてみますと、全ての関係者の役割を重視し、誰一人取り残さない持続可能で多様性のある社会の実現を目指して、経済、社会、環境をめぐる広範な課題解決に統合的に取り組むものであり、SDGsの理念に沿って進めることにより、政策全体の最適化や地域の課題解決の加速化という相乗効果が期待でき、地域創生の取り組みの一層の充実・深化につながることができるということです。このため、SDGsを原動力とした地方創生を推進する必要があると考えておるわけであります。 ここで、古田知事さんにお尋ねをしたいと思います。 二〇二〇年度を初年度とする今後五か年の目標や施策の方向性が示された第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の中に、新たに関係人口の創出・拡大、地域におけるSociety五・〇の推進や地方創生SDGsの実現などの持続可能なまちづくりなどが盛り込まれております。 国の第二期総合戦略において示されたこれらの課題を踏まえ、今後どのように本県の地方創生を進めていかれるかお尋ねいたします。 最後に、安倍総理からは地方創生に日本の未来を託す旨が表明されております。私も今回の質問を通じて、元気な地方なくして日本の再生なし、地方創生は人口問題の克服を起点に、輝く地方と大都市が組み合わさってより魅力あるかつ力強い地方を形づくる、まさに日本創生であると、そんなことを強く感じたわけであります。 以上、私の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(小川恒雄君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 地方創生につきましての岐阜県の取り組みについての大所高所からのお尋ねでございました。 まず、議員からは国の地方創生第一ラウンドの人口の推移について御紹介がございましたので、平成二十年の長期構想以来、言わば全国に先駆けて取り組んでまいりました本県の人口減少対策の状況について、まず言及させていただきます。 この間、結婚から出産・子育てへの切れ目のない支援に取り組み、本県の合計特殊出生率は平成二十年の一・三五から平成三十年には一・五二まで上昇しております。しかしながら、人口減少という大きな傾向には変更はなく、平成三十年九月には人口二百万を下回ったわけであります。特に本県は、愛知県を中心とする県外転出の影響が大きく、中でも二十代の女性の転出が顕著であります。まさに御指摘のお言葉を使えば、少母化が懸念されるところであります。 本県では、このような状況に危機感を持ち、人口減少そのものへの対策と併せて、産学官が連携した担い手確保、海外にも通用するぎふブランドづくり、観光産業の成長産業化など、人口が減少する中でも地域の活力を維持するための対策を進めてまいりました。その結果、平成三十年の外国人延べ宿泊者数は百四十八万人、全国トップの伸び率となるなど一定の成果が現れてきております。 御質問の国の第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に当たりましては、こうした本県における取り組みも踏まえつつ、私自身も様々な機会を通じ地方の意見を申し上げてまいりました。 例えば地方創生大臣の下に設置されました第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に関する有識者会議に委員として私自身出席をさせていただきまして、地方創生を支えるのは「ひと」であるという考え方の下で、担い手あるいは人材を確保するためのふるさと教育や職業教育の重要性、産学官連携によるイノベーションの創出、地方大学の振興等について訴えてまいりました。 また、昨年七月の全国知事会議では、地方創生対策本部長という立場で、東京一極集中の是正、SDGsの達成に向けた取り組みへの支援、関係人口の創出・拡大など、国の第二期戦略に盛り込むべき事項について取りまとめ、要請を行ってまいりました。 こうした結果、国の第二期戦略には、地方への移住や企業移転を促進する制度の拡充のほか、高等学校における職業教育の充実など、地方で活躍する人づくりに資する施策が盛り込まれております。また、議員からも御紹介のあった関係人口の創出・拡大、地方創生推進交付金によるAIやIoTなどの未来技術の活用支援、SDGsに積極的な事業者の登録認証制度の展開といった横断的な政策も加わっております。 これらの国での議論と平行して作成し、昨年本議会で議決いただきました本県の第二期創生総合戦略は、ふるさと教育による「清流の国ぎふ」を支える人づくりをはじめ、関係人口を引きつける健やかで安らかな地域づくりや、地域にあふれる魅力と活力づくりを柱に据えつつ、Society五・〇やSDGsといった新たな課題にも意を用い、まさに国の戦略を先取りした内容となっております。 そして来年度予算は、その第二期戦略の二年目ということで、本格展開すべく構成してきております。まず議員御指摘の関係人口につきましては、本県出身者も含め、広く本県に関心、ゆかりのある応援団と捉えてはどうかと考えております。そう考えると、スポーツ、文学・芸術、学術、海外からの留学等、多様化・グローバル化を反映して、多彩な活躍と交流の場が生まれることが大いに期待されます。県としても、市町村と一体となってこれを積極的に支援してまいりたいと思っております。御指摘のファンクラブのほかにも、五月末に予定しておりますエンジン〇一もその一つの例になろうかと思っております。 あわせて、関係人口の中でも最も強い絆を持つと言えるのが、移住者、移住の促進であります。そのさらなる獲得に向けた努力も続けてまいりたいと思います。 次に、Society五・〇につきましては、既に岐阜県IoTコンソーシアムやスマート農業推進拠点を核として、未来技術を活用した産業競争力の強化を図っております。これに加え、林業分野では、ICTを活用した生産・製材のジャスト・イン・タイムの仕組みづくり、建設分野では、ドローンを活用した施設点検の効率化など、広い分野で導入を進めていきます。 さらに、七月にオープンの岐阜関ケ原古戦場記念館では、VRを活用した臨場感あふれる武将体験の提供なども予定しております。 続いて、SDGsにつきましては、SDGs推進監の創設、県、市町村や企業が相互に情報発信を行うネットワークの設置、清流の国ぎふ推進補助金による市町村のSDGs推進支援などを通じ、岐阜県を挙げてその達成に向けた動きを加速してまいります。また、温室効果ガスの排出ゼロを目指した環境基本計画、持続可能な観光としての杉原千畝氏にちなんだ人道観光など、各分野でSDGsの観点を盛り込み、実行してまいります。 議員は、御質問の最後にあたりまして、元気な地方なくして日本の再生なし、地方創生は日本創生であるというふうに言っておられます。私もまさに同じ思いでございます。 振り返りますと、これまでにも、田中内閣の日本列島改造論、大平内閣の田園都市国家構想、竹下内閣のふるさと創生、森内閣の日本新生など、その時代を象徴する国を挙げての構想や政策テーマがございました。残念ながら、その取り組みが短期間に終わったものもございました。 これに対し、地方創生は、我が国における本格的な人口減少社会、少子高齢社会の到来という世紀を超える構造変化に向き合って、長期的にじっくりと地域を挙げて取り組み続けてこそ、成果が生まれる課題であると思っております。 本県は、国及び他の自治体に先駆けて、この問題意識、時代認識を明らかにした岐阜県長期構想を策定し、この十年間取り組んでまいりました。当然のことながら、地方創生はまだまだ道の途上であります。引き続き本県としての地方創生、すなわち一人一人の幸せと確かな暮らしのあるふるさと「清流の国ぎふ」づくりに、やむことなく着実に取り組んでまいります。
○議長(小川恒雄君) これをもって一般質問並びに議案に対する質疑を終結いたします。……………………………………………………………………………………………
○議長(小川恒雄君) お諮りをいたします。ただいま議題となっております各案件は、お手元に配付の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(小川恒雄君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております各案件は、お手元に配付の議案及び請願付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 なお、審査は三月十七日までに終了し、議長に報告願います。
△令和二年第一回岐阜県議会定例会議案及び請願付託表 委員会名付託案件総務委員会◯ 議第一号のうち歳入予算、歳出予算中総務委員会関係、債務負担行為中総務委員会関係、地方債、一時借入金及び歳出予算の流用
◯ 議第二号及び議第三号
◯ 議第二十八号から議第三十四号まで
◯ 議第五十三号
◯ 議第五十六号から議第五十八号まで
◯ 議第六十一号
◯ 議第六十四号企画経済委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中
企画経済委員会関係及び債務負担行為中
企画経済委員会関係
◯ 議第四号
◯ 議第三十五号及び議第三十六号
◯ 議第四十五号
◯ 請願第七号
◯ 請願第十号厚生環境委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中
厚生環境委員会関係及び債務負担行為中
厚生環境委員会関係
◯ 議第五号から議第七号まで
◯ 議第三十七号から議第四十四号まで
◯ 議第六十号
◯ 議第六十五号から議第六十九号まで
◯ 県議第一号
◯ 請願第九号農林委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中農林委員会関係及び債務負担行為中農林委員会関係
◯ 議第八号及び議第九号
◯ 議第四十六号及び議第四十七号
◯ 議第四十九号土木委員会◯ 議第一号のうち歳出予算中土木委員会関係及び債務負担行為中土木委員会関係
◯ 議第十号から議第十四号まで
◯ 議第五十号及び議第五十一号
◯ 議第五十九号
◯ 議第六十三号