○議長(中本貞実君) ただいまから、議第五十一号から議第六十四号までを一括して採決いたします。 お諮りいたします。各案件は、各
委員長報告のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中本貞実君) 御異議なしと認めます。よって、各案件は各
委員長報告のとおり決定いたしました。 ただいまから議第五十号について討論を行います。 討論の通告がありますので発言を許します。一番 大西啓勝君。 〔一番 大西啓勝君登壇〕
◆一番(大西啓勝君) 議第五十号 平成九年度岐阜県
一般会計補正予算(第四号)について、日本共産党を代表いたしまして反対討論を行います。 本会の補正予算は、百九十六億七千五百万円という過去最大の減額を行うものであります。今日の不景気を背景にした八十二億円に及ぶ県税の減収等がその理由でありますが、そのことによって何を減額されるのかが県民にとって最大の関心事であります。県民の願いが大きいものは極力避けるべきであります。私は、こうした立場から、提出されました補正予算について精査してまいりましたが、次の二点については納得できないものであります。 第一は、子供を持つ
看護婦等確保対策費についてであります。この施策は、国の
看護婦確保法に基づき、不足する
看護婦確保のため、
労働条件改善や環境整備に一定の予算を執行しようとするものであります。その一つが、病院の経営する
病院内保育所に対し補助をする制度があります。ところが、もともとこの法律は、平成十二年度をめどに
看護婦確保を確立しようとするものであるのに、国は一昨年、年度途中で負担能力指数なるものを持ち出し、補助される
病院内保育所数を一方的に削減してまいりました。幸い、昨年度までは県単独分が継続され、この制度の趣旨が辛うじて維持されてきました。ところが、今年度は予算化されていながら、この補正によって県単独分二千六百八十二万三千円が減額計上されているもので、納得できません。既に補助金を見越して保母の増員や施設改修を行ったところもあり、大混乱は必至であります。国の
福祉切り捨て方針が最大の原因でありますが、本県は福祉を最重要施策としています。こうした予算を残すべきだと主張するものであります。 次に、
老人福祉施設整備費二十四億三千六百万円の減額についてであります。これは、多治見市と岐阜市において法人認可が予定され、その法人によって
特別養護老人ホームを中心とした
老人福祉施設の建設が計画され、国とも協議済みのため予算計上されていたものであります。ところが、二つとも、予算計上後、
設立予定者から取り下げが表明されたものであります。とりわけ多治見市におけるものは、理事長に予定されていた人の寄附辞退が昨年五月になって表明され、
自己資本不足でこうしたことになりました。常識では考えられないことだと私は認識しますが、いずれにしても、東濃西地域や岐阜市は
特別養護老人ホーム入所待機者も多く、そうした希望者に対し、一年間の
建設空白期間をつくってしまったことになります。こうした地域には、
法人設立希望者が他にもいたと聞いていますが、二十四億円に上る
老人福祉施設整備費の減額について、その経過について納得できないものがあります。 以上、私の反対討論といたします。
○議長(中本貞実君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。 ただいまから、議第五十号を起立により採決いたします。 本案を、各
委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 (賛成者起立)
○議長(中本貞実君) 起立多数であります。よって、本案は各
委員長報告のとおり決定いたしました。 ………………………………………………………………………
○議長(中本貞実君) 日程第二及び日程第三を一括して議題といたします。 ………………………………………………………………………
○議長(中本貞実君) 日程第四、一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので順次発言を許します。十五番 戸部一秋君。 〔十五番 戸部一秋君登壇〕(拍手)
◆十五番(戸部一秋君) 皆さん、おはようございます。お許しをいただきまして、県事務所の統合について、
園芸特産物について、畜産公害についての三点について質問をさせていただきます。 初めに、三県事務所、すなわち伊奈波、本巣、山県の統合についてお尋ねをいたします。 県の行政改革の一環として、平成十二年度を目標に、伊奈波、本巣、山県の三県事務所の統合と保健所の再編整備が進められようとしております。このことについて、この統合・再編整備が予定されている本巣郡選出議員として発言をさせていただきます。 住民の日常生活圏の拡大や道路通信網の整備など時代の大きな変化に伴い、県下全体を公平かつ客観的に見た場合においては、県が三
県事務所統合や保健所の再編整備を進めることについてはやむを得ないものと考えますが、地元の本巣郡の町村及び住民にとっては、本巣県事務所の廃止や保健所の再編整備は現実的に重大な問題であります。また、その結果、高等学校や警察署を除き、本巣郡からほとんどの重要な県機関がなくなってしまうという心理的な問題も含んでおります。今後、具体的な検討作業が行われることになろうかと考えますが、まず初めに、そうした作業に当たっては、
住民サービス等の著しい低下を招くことがないよう、地元町村と親密な調整を図っていただきたい。特に、今議会で、我が自民クラブの古川先生の代表質問に対する知事さんの答弁の中で、行革について、先行して行革を進める地域、団体を優先して支援する優先の原則で、出先機関の統合等について協力的なところについては
連絡道路等を優先的に整備し、めり張りのついた行革を進めていくと答弁されており、大変心強く思っておるところであります。どうか、統合先への
アクセス道路の改善など必要な措置をとられることをこの場をかりて特に要望をいたしておきます。とりわけ、保健所の再編整備に際しては、
岐阜総合庁舎に支所が設けられるとのことですが、
住民サービスに直結する部門の再編整備であり、重大な関心を持って今後の推移を見守っていきたいと考えますので、特に申し添えておきます。 次いで、三県事務所、
県事務所統合に際し、大きな問題となると考える次の三点について、総務部長にお尋ねをいたします。 まず、第一点目は、当面の統合先とされている
岐阜総合庁舎のスペースの問題であります。現在、
岐阜土木事務所を初め県関係以外団体三十幾つもの団体が入っております。第三者的な視点に立ってみますと、
岐阜総合庁舎に本巣・山県県事務所などが、現在の陣容のまま移転するにはスペースが足りないと思われますが、現実的に本当に問題がないのか、あるいはどう対処される予定であるのか。また、統合に際し、職員数のスリム化を図られる予定があるのか、総務部長にお尋ねをいたします。 第二点目は、
岐阜総合庁舎の駐車場問題であります。
岐阜総合庁舎は岐阜市の中心市街地にあり、かねてから来
庁者駐車場の不足が指摘され、現在においても、入札や大きな行事が行われている際には駐車場の入り口に長蛇の列ができ、ひどいときには
岐阜大学病院へ入る車とあわせ、美江寺公園まで駐車場待ちの車が二列に数珠つなぎになる場合も見られるのであります。一部の町村長からも既に、県事務所が統合されることはやむを得ないが、本巣郡から総合庁舎までの何本かの
アクセス道路の整備と駐車場問題を何とかしてほしいとの意見を得ております。統合までにこの問題の解決方策が示されないと、統合されたことにより非常に不便になったと、せっかくの行革に基づく統合の評価が台なしになってしまうのではないかと心配しております。このように、三
県事務所統合については、駐車場の確保問題が最重要課題と考えますが、これに対する総務部長の見解をお伺いいたします。 第三点目は、現本巣県事務所の跡利用の問題であります。現在の
県事務所庁舎には、
県関係機関以外に本巣郡
町村会事務局を初め本巣郡関係団体が入居しております。また、この四月からは本巣郡
教育振興会事務局も加わると聞いております。本巣郡の地域振興の拠点ともなっております。
県事務所等の統合は、そうした本巣郡関係団体の継続使用ができなくなってしまうのではないかという現実的な問題もはらんでおります。そこで、跡利用問題に対する県の基本的な考え方について、総務部長の見解をお伺いをいたします。 次いで、
園芸特産物の販売及び
ブランド化のためのPRについてお尋ねをいたします。 県では、「よりよいものをより値打ちに、いつでも供給できる飛騨・
美濃園芸づくり」をスローガンに、二十一世紀初頭には
園芸特産物の農業粗生産額八百億円を目指して、本県の立地条件を生かすべく、平たん地から高冷地まで一体となった園芸振興を進められておるところであります。このような施策推進の中で、大根、トマト、ホウレンソウ、枝豆、イチゴ、カキ、バラなど多くの
園芸特産品目が、消費者から岐阜産と名指しで求められるブランドとして高い評価を得ていると聞いております。これは、まさに知事が提唱されている本県の持つ七つの恵みを農業者が創意と努力により最大限に活用され、その成果が着実に実ってきているものと思います。しかしながら、平成六年から輸入野菜の急増、さらには水田転作の拡大に伴う園芸農業へのシフト等による
国内新興産地の台頭など、品質、量とも市場における産地間の競争はますます厳しくなってくるものと予想されます。また、消費者からはより安全、安心で健康面をも考え、しかも、値打ちな価格で欲しいというように、どんどんニーズが多様化している現状であります。このような現況下にあって、私の地元であります本巣郡の
園芸特産物について見ますと、カキの王様である富有柿や、織田信長が朝廷に献上し、芭蕉の俳句にも詠まれるなど、歴史的に有名な真桑瓜発祥の地としてよく知られており、真桑瓜のワインや
富有柿アイス、
カキジャム等もつくられており、また、県知事の認定による飛騨・
美濃特産名人、すなわち
イチゴづくりの名人、カキづくりの名人、花づくりの名人が何人もおられ、指導農業士、青年農業士、
女性農業経営アドバイザーも二十名近くもおられる地域であり、過去には
岐阜タマネギの一大産地として名をはせた地域でもありますが、現在では、富有柿、イチゴが県下最大の産地でありますし、特に花卉のサボテン、セントポーリア、ミニバラ、つまり
ポットローズにおいては日本一の生産量を誇っております。皆さん方のお手元に配布をいたしておりますが、見ていただきますと、岐阜県あるいは全国での順位が載っておりますが、大変な岐阜県の園芸特産であるわけでございます。こうした日本一の生産量を誇っております。このほか、春トマト、ササゲ、切りバラ等数多くの
園芸特産物が振興されており、県全体の園芸特産粗生産額のうち一〇%以上を占めている地域であるわけででございます。 さて、これらの品目は、地域の産業経済にとって重要な資源として、また、地域活性化に欠くことのできない特産物としての地位を築いております。我が国の社会経済全体が成熟化・
ボーダーレス化というかつて経験のない局面に遭遇し、深刻化する幾多の課題を抱え、その解決と新たな発展の道を模索しながら大きく変わろうとしている今日、これら
園芸特産物の販売についても
卸売市場流通中心から産直・宅配販売など多様化し、販売面での競争が激化する状況にあり、今までどおりの販売ではその地位も危ぶまれるのではないかと考えます。 また、地域内においても、こうした日本一位の
園芸特産物が身近にあることを認識していない人たちも多く、PR不足を実感することも事実であります。 また、我が県で育成されたイチゴ新品種「濃姫」。これは皆さん方のお手元にあります、知事さんが名づけられた「濃姫」でございます。ここに持ってきましたが、(資料を示す)全くすばらしく、色もよく鮮度もいいということから、これは岐阜の戦国時代の武将、ここにも書いてありますが、斎藤道三の娘、非常にきれいであったと、こういうことから、それをちなんで知事さんが「濃姫」という名前をつけられたわけでございます。知事さんにもよく見ていただいて、ここで試食していただくわけにはいきませんので、後からということで。こうした新品種「濃姫」は倍々で面積がふえ、本年は十七ヘクタール、生産量六百五十トンで、全産地に拡大して、今後は四十ヘクタールくらいまで増加すると伺っております。私も
地元生産者の「濃姫」を食べてみて、確かに大きく味もすばらしいイチゴで、大いにPRしなくてはと思いますが、
県内消費者の皆さんには、まだまだ食べたことがない人が多いように感じます。 岐阜はつくり上手で売り下手と言われております。そこで、県では、飛騨・
美濃園芸王国づくりの
生産対策事業ばかりでなく、大消費地域での飛騨・
美濃ブランドフェアやインビテーションフェア、
GIFUフラワーショー等、数々の
各種消費宣伝対策もあわせて実施しておられることは承知いたしておりますが、これらの成果を踏まえ、今後、厳しい産地間競争の中で「
日本一農業ぎふ」を目指した県内外での消費宣伝を大々的に県、農業団体、地域の生産者が一体となって取り組むことが必要であると思います。
園芸特産物の
ブランド化についての生産者の御意見、要望をお聞きしましたが、去る二月二十八日から三月一日まで
GIFUフラワーショーが
メモリアルセンターで開催されました。本巣郡からも多数出展されました。大盛況であったようです。多数の来場者がありましたが、「こんなきれいな花はどこでつくられるんですか」また、「花の名前はどういう名前ですか」と、多くの人が聞かれたと言われております。岐阜県の顔である特産物は、まず地元で知ってもらうことが
ブランド化につながるのではないか。また、巣南町のサボテン村で基幹温室が今月完成しましたが、ただ物をつくるだけではだめで、見てもらったりしてよさを知ってもらうことが大切だ。生産者も、施設やトイレを整備して来てもらって見てもらう、
ミニテーマパークをつくることなど、
ブランド化につながるのではないかと言われておりました。また、本巣郡の花も日本じゅうに売っております。地元の人が知らない、買えない。地元で贈答や土産に使うなど、直売所の設置など、地元の魅力を
消費者宣伝の活用策にすることも必要で、どんな業界でも宣伝に力を入れているが、農産物はつくるだけで売るのは他人任せ。例えば、アロエですね。医者要らずとも言われていますが、こうしたサボテンも、塗っても食べても非常に薬の宣伝になると、よく効くという宣伝をしただけで物すごく売れている。宣伝に力を入れなくてはと言われておりました。幸い、今年十月に全国スポレク祭を皮切りに、平成十一年には国民文化祭、平成十二年にはインターハイ、二〇〇五年にはお隣の愛知県の瀬戸市で開催される日本国際博覧会、すなわち愛知万博は、国内はもとより世界各国から多くの人が訪れるイベントで、本県にとりましても産業及び観光の活性化を図る絶好の機会でもあります。それに向け、地域資源である
園芸特産物の
ブランド化を早急に進めることが重要であると思います。 また、今後の
園芸特産物の
ブランド化のため、売り上手のためのPR等、県の取り組みについて農政部長にお伺いをいたします。 次に、畜産環境問題への適切な対応についてお尋ねをします。 平成三年四月から牛肉の輸入割り当て制度の撤廃など、急速に訪れた農畜産物の輸入自由化の波は、平成五年十二月のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意以来、さらなる国際化の進展、農畜産物の過剰基調、消費者ニーズの多様化、生産者の差別化志向の高まりなどをもたらしており、畜産に限らず、農業全体が今までにない厳しい競争と変革の時代を迎えていることは、私が申し上げるまでもなく、皆さん御承知のとおりであります。 また近年、混住化の進展や家畜飼養頭羽数の多頭化などにより、水質汚濁や悪臭、害虫の発生など畜産経営に起因する環境汚染問題が深刻化してきているのも事実であります。環境問題は、住民の環境保全意識の高まりに伴い、解決すべき重要な課題として適切な対応が求められているところであります。新たな農業基本法の制定を含む農政全般の改革について検討を行うために、内閣総理大臣の諮問機関として設けられました食糧農業農村基本問題調査会が、昨年十二月に中間取りまとめをいたしております。その中で、農業は環境と最も調和し得る産業であり、国土や環境を保全する機能を果たしていると報告いたしております。さらには化学肥料や農薬の使用料の削減などにより、農業全体を環境への負荷軽減に配慮した持続的な農業、いわゆる環境保全型農業に移行させていくことが必要であると報告いたしております。 こうした中、県では「安心・安全・健康」をキーワードとした県民の生命・健康を守る県農業を基本理念に「ぎふ二十一世紀農業ビジョン」を策定され、その基本方針に沿った消費者に信頼される農産物の提供や、企業マインド経営体の育成、快適で活力ある農村づくりの推進など、積極的に推し進めていただいているところであります。そして、畜産環境保全対策としては、畜産経営に起因する環境汚染問題の防止と畜産の健全な発展に資するため、従来から家畜ふん尿の堆肥化による適切な土地還元を基本とする方針を定め、各種の事業によって推し進めていただいていると承知いたしております。 県の調査によりますと、平成八年度の家畜ふん尿の総排出量は約百二十万トンで、うち九割が乾燥や発酵処理をされて農用地に還元されているとなっており、リサイクル率が非常に高いものと認識いたしております。これらの方針は、さきに述べました基本問題調査会の中間取りまとめにあります考え方や、現在、県で進められている廃棄物対策五原則のうちの一つである「リサイクルの徹底」の原則に重点を置いた適切な方針だと私も考えております。 また、私が平成八年の第四回定例県議会で質問の折に要望させていただきました、家畜の臭いを抑えたり、堆肥の発酵を促進させたりすると期待されている有用微生物群の利用実態調査についても、科学的な裏づけとは別に、岐阜、本巣、西濃地域などを中心に現場の実態調査を進めていただいているとお聞きいたしており、今後もさらに研究・調査を進めていただきたいと考えております。 このように、家畜ふん尿処理は適正な処理をし、農用地還元を基本とされており、各種の事業により畜産環境問題の解決に努力されているところですが、保健所や県の幾度かの指摘にもかかわらず地域住民と一体となって取り組もうともしない、なかなか解決しない事例もあるやに聞いております。そこで、こうした事例について今後どのように対処されるのか、農政部長の御所見をお伺いいたします。 また、畜産経営に起因する水質汚濁、悪臭、ふん尿の処理などの環境問題につきましては、従来から岐阜県畜産経営環境保全対策指導指針に基づき、農政部で指導されていることは承知をいたしておりますが、農政部以外で所管されている水質汚濁防止法、廃棄物処理法などの環境関連法規に違反しており、地域の生活環境を著しく悪化させるような事例により、行政側のたび重なる指導にもかかわらず改善が見られないような場合には、刑事告発も考えられると思いますが、環境局長の御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。大変、御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(中本貞実君) 総務部長 高橋新蔵君。 〔総務部長 高橋新蔵君登壇〕
◎総務部長(高橋新蔵君) 三県事務所の統合についてお答えいたします。 御質問の第一点目の
岐阜総合庁舎の入居スペースについてでございますが、総合庁舎内に入居しております県組織や中間機構の再編整備を進めていく中におきまして、三県事務所の統合によります新組織の入居スペースを確保してまいりたいと考えております。当然、統合によります結果といたしまして職員の定数の減や経費の節減といった効果が出てまいりますが、そのために
住民サービスの低下を招かないように、また、地域の発展につながるように万全の配慮をしてまいりたいと考えております。 第二点目の
岐阜総合庁舎の駐車場問題についてでございますが、議員御指摘のとおり、現状については十分承知しております。住民の方々が直接用務によって総合庁舎をお訪ねいただく場合は別といたしまして、会議開催などにより駐車場が混雑することが予測されるような場合は、会議場所を他の駐車場スペースのある県施設に会場を確保し、職員自身がその場に出向くなどといった創意工夫をすることによって、できるだけ迷惑をかけないような方法を検討してまいりたいと考えております。 第三点目の本巣県事務所の跡利用についてでございますが、今後におきます出先機関の再編などによる移転後の施設利用などにつきましては、地元の御意見や、特に地元県会議員の先生方、市町村長さん、関係団体等に御相談しながら、地域の活性化に役立つ有効な利用方法を検討してまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君) 環境局長 川瀬雅信君。 〔環境局長 川瀬雅信君登壇〕
◎環境局長(川瀬雅信君) 畜産環境問題への対応についてお答えをいたします。 畜産経営に起因する水質汚濁、悪臭、ふん尿の処理などの環境問題につきましては、地域社会と調和のとれた畜産経営が一段と必要になってきております。したがいまして、畜産経営の環境問題につきましては、従来から岐阜県畜産経営環境保全対策指導方針に基づき、農政部において指導されているところでありますが、水質汚濁防止法、廃棄物処理法などに違反している場合は、法に照らし、注意・勧告などの行政指導、さらには改善命令などの行政処分を行い、その是正を図ることとしております。また、行政処分などに従わない悪質な場合には、関係部局とも連携を図りながら、刑事告発も視野に入れ、対応を検討してまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君) 農政部長 森井季雄君。 〔農政部長 森井季雄君登壇〕
◎農政部長(森井季雄君) 二点についてお答えいたします。 最初に、
園芸特産物の販売及び
ブランド化のためのPRについてお答えいたします。 本県では、県内の
園芸特産物の優秀さをPRするため、現在、生産者・農業団体・行政が一体となって、各種イベントや消費者との交流など積極的に取り組んでおります。その結果、中京や京阪神では高い評価を得ております。さらに、産地間競争が激化する中、議員御指摘のように、県内でのPRと安房トンネル開通に伴う首都圏への進出が重要と考えております。そこで、でっかい標高差、きれいな水、匠の技など、本県の持つ七つの恵みを最大限に生かした安全・安心・健康な本県の園芸農産物の
ブランド化に向け、今後とも積極的にPRしていくこととしております。具体的には、すぐれた特産品が身近にあることを県民に認識していただくため、農産物情報紙を美容院や銀行などに配布するとともに、新たに県内五カ所の量販店などにアンテナ機能を備えた農産物販売コーナーの設置を図ってまいります。さらに、首都圏に向けては、ラピロス六本木や大手百貨店などにおいて、農産物の展示即売やイベントを展開してまいります。また、道路交通網の整備により、増加する観光客に対して、カキ、バラ、トマトなどの
園芸特産物を地域の資源とした
ミニテーマパークの整備を促進することとしております。 次に、畜産環境問題への対応につきましては、岐阜県畜産経営環境保全対策指導方針に基づき指導しているところでございます。家畜ふん尿処理につきましては、従来から適切な堆肥化処理等による土地還元を基本として推進しております。さらに、効率的な処理をするため、農協等を中心とした共同の堆肥化処理施設の整備を図るとともに、耕種農家との連携を強め、堆肥の円滑な流通に努めております。また、苦情処理につきましては、市町村を中心に県事務所、家畜保健衛生所、畜産団体等関係機関が一体となった指導体制により畜産農家への立入調査を行い、廃棄物処理の自己責任意識の徹底や処理方式等の改善指導に務めているところであります。議員御指摘の事例につきましては、地域社会と調和のとれた畜産経営を目指すよう、衛生環境部とも連携を密にしながら体制を強化し、適正な処理を強く指導してまいります。
○議長(中本貞実君) 二番 岩花正樹君。 〔二番 岩花正樹君登壇〕(拍手)
◆二番(岩花正樹君) おはようございます。発言通告に従い、以下七項目について質問をいたします。 まず最初に、平成十年度当初予算についてお尋ねをいたします。 今までに、多くの質問者の皆様方から当初予算全般にわたっての質問がなされており、知事さんからも明確な答弁をいただいており、国、地方財政構造改革の取り組みや不安定な経済情勢をかんがみながら、財政環境の厳しい中で景気回復助走予算を策定され、健全財政を維持されながら他方面にわたっての努力がうかがえ、評価するものであります。 そこで私は、県債に絞ってお尋ねをいたします。 本県の平成十年度の起債は一千百五十六億三千万余であり、交付税措置つきの良質な県債を発行し、少しでも将来の県民に負担を少なくしながら運営をされております。平成八年度決算ベースでの県債発行残高は七千百四十一億二千万余であり、県民一人当たりの残高は三十四万円で、中部九県の中では最も優良な結果となっております。ちなみに、最悪なのは富山県で、一人当たりの残高六十四万円であり、本県とは三十万の差があります。また、愛知・静岡・長野・石川・富山の五県は平成八年度の歳入総額を上回る規模になっており、償還のための費用が財政を圧迫し続けるのではないかと思うのであります。しかし、本県も年々県債残高は増加の一途をたどり、今後の予算対応にも厳しいものがあると思われます。平成十年度当初予算の県債発行種別では、地方公共団体が独自の判断で行う一般単独事業の財源を調達する一般単独事業債、そして国などとの共同で実施する公共事業の財源となる一般公共事業債でほぼ九〇%を占めているのであります。当然、本県にとっては大切な財源であると思います。そこで、これらの県債の引き受け先はと申しますと、市中の民間金融機関及び政府資金による引き受けであります。特に民間金融機関等に対する引き受けでは、市場ではなく、話し合い等によって金利と引き受け先が決定される縁故債が主体となっており、平成八年度決算ベースでは県債発行の四七・七%がこれに当たり、残りが政府資金であったといいます。 そこで、三点にわたってお尋ねをいたします。 第一点目は、縁故債の場合の金利の決定はどのようにされるのか。また、縁故債の証券発行の際、証券上の額面は一律決定しているのか。 第二点目、地方公共団体の自立を促すため、国際市場のような地方債市場を育成するため、どのように流通性を高めていくのか。 第三点目、地方公共団体の貯蓄である基金制度を活用し、この基金をベースに地方債を引き受ける考えはないか、以上三点につき、総務部長にお尋ねをいたします。 次に、議第二十三号 福祉のまちづくり条例についてお尋ねをいたします。 二十一世紀の初頭には四人に一人が六十五歳の高齢社会が到来をし、高齢者や障害者を初めとするすべての県民が快適に生活することが重要であり、だれでもが安心して暮らすことのできる生活環境の整備促進が待たれるところであります。県は、平成元年にそれらを先取りして、ぎふバリアフリーデザイン--身体障害者に配慮した設計の指針を策定され、普及に努められました。それ以後、平成七年には対象者を高齢者を初め県民すべてに広げるとともに、施設の整備すべき箇所を明確にした岐阜県福祉のまちづくり指針を策定され、この指針が県のガイドラインとしてではなく、地域における福祉のまちづくりを進める市町村の参考となりながら、民間の建築物の整備にも広く活用され、生活環境づくりが一段と促進されてきたのであります。しかし、ますます多様化する福祉施策の中で、県民一人ひとりが豊かさを実感できる「日本一住みよいふるさと岐阜県」の実現を目指すには県民総参加が必要であり、それらの行動によって福祉のまちづくりが進展するとの考えから、今回、条例として議案上程されたと思うのであります。むしろ遅過ぎた感があるように思われますが、これらは大変すばらしいことであり、知事の基本方針の第一である総合福祉施策の一環として大いに理解できるものであります。県民に、ますます福祉施策に対しての御理解と御協力を求めていくよう、啓発促進が重要になってくると思われます。条例の内容は、目的、県市町村、事業者及び県民の責務、県の基本方針、県の施策、対象施設整備基準、特定公共的施設の届け出等、公共車両・公共工作物及び住宅の整備、その他となっており、きめ細かな配慮が施された条例になっていると思います。しかし、総合的に条目を検討してみますと、疑問が出てくるのであります。この条例は、高齢者、障害者の皆様方の立場から策定されたものであるのかどうか。それは、先ほどまで述べました経緯からして、ハード面の整備に重点があるような気がするからであります。確かに建物等の整備は必要でありますし、自然なこととは思いますが、安心して生活できる社会の実現を考えるならば、ソフト面が必要になってくると思われます。 そこで、三点についてお尋ねをします。 第一点目は、聴覚障害者の皆様方に対する配慮であります。第十七条の災害緊急時の安全確保では、情報の伝達方法及び避難誘導体制の確立その他必要な施策の推進とありますが、聴覚障害者の皆様に対する配慮がどのようにされているのか、お尋ねをいたします。 第二点目は、第十一条の人材の活用であります。条例文では、県は高齢者・障害者等が安全かつ快適に生活できる環境の整備を支援するため、専門的な知識及び技能を有する者の活用及び資質の向上に努めるものとするとありますが、どのような専門的知識及び技能を有する人で、どのようなところで活用されるのか、お尋ねをいたします。 第三点目は、既存施設の取り扱いであります。第二十四条では、公共的施設のうち、特に高齢者や障害者等が安全かつ快適に利用できるようにするための整備を促進することが必要な施設--特定公共的施設と言われておりますが--は、新築時にその計画を知事に届けなければならないとされておりますが、現在、既に建っている建物等に対しての助言は実施をされるのかどうか、また実施の方法はどのようなものなのか、以上三点について民生部長にお尋ねをいたします。 次に、SIDS--シズ、乳幼児突然死症候群及び多胎児支援についてお尋ねをいたします。 元気な赤ちゃんが眠っている間に突然死亡してしまうSIDS--シズが問題になってきております。全国で、平成七年は五百二十六人。平成八年は四百七十七人が犠牲になり、割合にして二千人に一人、一歳未満で亡くなる死亡原因の十分の一を占めているといいます。本県でも、資料は古くなりますが、平成七年の「衛生年報」によりますと、県内で乳幼児の死亡数が七十四人。その中で乳幼児突然死症候群で死亡した数が九人で約一二%を示しており、これらの対策に取り組まなければ、安心して子育てを実施することはできないと思うのであります。SIDSがなぜ起こるのか、原因は何なのか、予防策はあるのか、多くの研究者が取り組んでおりますが、依然として明確な因果関係はつかみ切れていないといいます。赤ちゃんがすやすやと気持ちよさそうに眠っている。少しの間、用事を済まして赤ちゃんをのぞき込むと、赤ちゃんの顔色が悪くなり、呼吸がとまってしまっており、慌てて病院に駆け込むが既に息を引き取っているというのがSIDSの典型的な事例といいます。既往症によるものでもない、窒息といった事故でもない、だれにも予想がつかない死、これがこの病気の特徴であるといいます。 諸外国では、一九八〇年代後半からSIDSの予防キャンペーンを開始しており、その結果として発生率を減らしています。例えば、ニュージーランドでは出生千人に対して七人の発生率だったのが、予防キャンペーンを実施した結果、九四年には千人に一人まで減少したといいます。日本では、厚生省が八一年からSIDS研究班をつくり、さまざまな診断の手引き、原因追求を行ってきました。それに伴い、一九九三年、SIDSで赤ちゃんを亡くした家族をサポートする目的で家族会が発足をし、この病気を食いとめるためのキャンペーンを行っています。その内容は、一つ、あおむけ寝で育てよう、うつ伏せ寝をさせない。二つ、なるべく赤ちゃんを一人にしない。三つ、赤ちゃんを温め過ぎないようにしよう。四つ、赤ちゃんの周囲でたばこを吸わない。五つ、できるだけ母乳で育てようというものであり、この中でのポイントとなるものが、一のあおむけ寝をさせることだと言われており、アメリカでは五〇年代からうつ伏せ寝をさせる習慣があり、それが世界じゅうに広がったのであります。しかし、SIDSの原因の一つに、うつ伏せ寝の赤ちゃんに多いことが判明し、アメリカではスリープ・ツー・バックキャンペーン--背中で寝ること--という標語ができ、それが世界的キャンペーンになり、前にも述べたように、ニュージーランドを含む諸外国ではSIDSの発症率を低下させ、ほぼ半減までにすることができたということであります。これらに対し日本はどうか。厚生省で一応研究班はつくったものの、予防策はおろか、SIDS自体、国民の間では十分認識されていないのが実情であります。本県におきましても、広報教育活動が必要ではないかと思うのであります。東京都は、九八年度予算にSIDS対策費を計上し、ある市では、本年より母子手帳とともにSIDSについてのお知らせを入れて交付しながら、妊産婦のため講習会、母親学級での学習や関係機関の研修などに取り組み、啓発に努力をされております。そこで、本県におきましても、SIDSに対しての県民の啓発、広報を実施、充実していってほしいのであります。
衛生環境部長の御所見をお尋ねをいたします。 次に、多胎児支援についてお尋ねをいたします。 近年、不妊症治療等の結果を含めて、双子以上の多胎児出産が増加をたどっており、核家族化が進む中で、夫婦で同時に生まれた二人以上の子供を育てるのは並大抵のことではないと思うのであります。行政の窓口の担当者も、認識不足もあることからなかなか相談にも乗れず、苦慮する場合も多い。専門職も少ないため、親自身が悩み続けることが多いといいます。全国で七十四カ所の保健所でこれらの育児相談を支援しているとのことであり、近年では全出産時の約一%が多胎児と言われており、昨今の少子化対策から考えるならば、多胎児支援に対しては大いに関心を持ち、対策を考えていかなければならないと思うのであります。本県におきましても、子育て支援の第一の要望であります経済的な軽減に努力をされてはおりますが、この多胎児支援について、現在、本県で実施されている施策を
衛生環境部長にお尋ねをいたします。 次に、子供に対する親の虐待についてお尋ねをいたします。 最近は、子供に対する問題がマスコミで数多く取り上げられております。社会も家庭も、子供を育てる環境を置き去りにしながら、少子化問題、核家族化問題等に事務的に振り回され、本当の子育て環境に十分対応できていないのが現状のようであります。 今、全国で児童虐待をする親権者が後を絶たなくなってきております。理由はいかにせよ子供に罪はないのであります。未来の宝、未来の人材、国の宝を、社会全体で責任を持って育てていく義務があるのではないでしょうか。 近年、多くなってきた子供に対する虐待事件がどれぐらい起きているのか、公的な統計資料はありませんが、ある市民団体の調査では、昨年、虐待死と思われるせっかん死、赤ちゃん殺人、無理心中等を合わせると、計百三人の子供が亡くなっていることを明らかにしているのであります。過日、愛知県で母親のせっかんの疑いで死亡した幼児の虐待の事件がありました。それは、一昨年六月に児童虐待の疑いがあるとのことで医療機関からの通告があり、児童相談所が対応したのであります。しかし、保健所、児童福祉事務所、医療機関等が最善を尽くしたが、本年二月に死亡したのであります。愛知県では、幼児虐待の疑いとして医師などから児童相談所へあった通報は、昨年度は百二十八件あったといいます。しかし、児童相談所が強制的に子供を親から離して施設に入れる措置をとったのは、平成八年度はゼロ件、平成九年度は一件であったといいます。多くの通報があったにもかかわらず措置がおくれているのは、一般的に児童福祉法による強制入所は最後の手段であり、プライバシーにも影響するものでなかなか難しく、結果的には両親との話し合いの中で善後策を提示するだけであり、当然それも守られず手おくれになることが多いといいます。この愛知県の例は、まさに児童相談所の対応のおくれが招いた悲劇だと思うのであります。児童福祉法第二十五条では、要保護児童発見者の通知義務を課しており、それは、保護者のいない児童、または保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所、または児童相談所に通告しなければならないとしており、児童相談所の権限として、同法二十九条は保護者の児童虐待等の場合の措置、調査・質問であり、虐待を認知したときの立入調査及び同法第三十三条の一時保護であり、同法第三十三条の七で親権喪失宣告の請求を行うことができると定めてあります。しかし、現状では通報義務そのものが一般的に知られていない上、児童相談所の対応が後手に回るケースもあり、悲劇につながっているのであります。本県でも本年二月、羽島市内で児童虐待死の事案が発生しており、当然、早急に防止対策を講じていかなければならない重要な問題であると認識するものであります。厚生省は昨年の六月、各都道府県知事に対し、児童虐待の早期発見と子供の積極的な保護を求める通達を出し、児童相談所、学校、保育園、病院、警察など地域の関係機関の連携強化を訴えています。滋賀県では、児童虐待防止対策マニュアル「早期発見・早期援助の手引」を作成し、学校、保育所や教育医療関係に配布をし対策を講じていると聞き及んでおります。これら一連の児童・幼児虐待についての本県の対応及び今後の対策について民生部長にお尋ねをいたします。 次に、福祉産業育成についてお尋ねをいたします。 平成十二年から、介護保険制度導入をにらんだ介護ビジネスが活発化し、福祉分野への企業参入が注目をされております。今では、福祉は経済のお荷物と言われた時代とは違い、成熟した経済の牽引力として大いに期待が高まっているのであります。車いすの人が乗りやすいバスや運転可能な乗用車等、自動車メーカーが競って福祉車両を出展し、大手コンピューターメーカーは、視覚障害者用の音声合成装置、点字ディスプレー、音声出力ソフト、聴覚障害者用の発声・発話訓練ソフト、ボランティアのために点訳システム、手話訓練ソフトなどの機器を開発・販売を行っているのであります。また、高齢者の生活を支える補助機器は年々便利なものが開発をされ、さまざまな企業が製造・販売に乗り出しているのであります。また、介護を行うホームヘルパーの派遣、デイ・サービスの実施、民間の有料老人ホーム等も定着をし、民間の経済活性化の新しい分野を構築しつつあります。従来の公共投資が、最近では経済成長に余り寄与しなくなってきたとの論議が高まる中、高齢化に伴い、老親の介護のために会社を退職したり、パート労働を余儀なくされる人々は非常に多くなりつつあります。このため、本当の介護体制が充実され、民間活用の福祉産業が発展するならば、介護に要してきた人々が安心して仕事に就けるようになり、そうすれば所得の増大や経済成長の促進がもたらされるのは当然であると思います。 このような背景から、福祉分野に企業やボランティアなど、公共の機関以外の力が活用されることでどのような効果が上がるかを、地方自治経営学会が昨年三月、全国四百三十七の自治体と民間二百三社からの調査報告をもとに、高齢福祉における公立と民間とのコスト比較を発表しておりました。それによりますと、市町村常勤を一〇〇とした場合、民間シルバービジネスのコストはホームヘルパー四九・三、入浴サービス四三・〇、配食サービス六〇・二、老人ホーム七六・九、おおむね半分程度のコストでサービス内容には余り差はないと結論づけております。またホームヘルパー千人を配置するとした場合、自治体常勤職員主体ではなく市民ヘルパー・民間シルバービジネスを中心とすると、その差額は三十五億から五十億によると試算をしております。国も、福祉・医療は経済の成長分野と位置づけ、九六年十月発表の経済審議会行動計画委員会の報告書によりますと、要介護の高齢者は現在の二百万から二〇一〇年には四百万近くとの予測から、福祉は橋や道路と同じで産業基盤の性格を有してきているのであります。福祉がなければ、家族は老親の介護に追われて職場に行けないからであると指摘、一面的な福祉の削減は厳に慎むべきであると述べ、日本経済にとって高齢者福祉の充実の必要性を指摘。また、九六年十二月閣議決定された「経済構造の変革と創造のためのプログラム」で、今後成長が期待される十五の分野の中で医療・福祉を挙げており、現状で三十八兆円、三百四十八万人の市場であり、雇用規模が二〇一〇年には九十一兆円、四百八十万人に達すると予測しております。我が国では、財政再建が緊急課題であり、政府や自治体の力だけで福祉を拡充しようとしても限界があるのは事実であります。かといって福祉サービスへの民間企業の参入で、福祉強化への行政の役割が軽減されるわけではないと思うのであります。福祉基盤を確固たるものにするためにも民間企業の参入が大いに期待されるものであり、基盤整備が充実したならば老親介護者は仕事につけるようになり、所得の増大が図られ、経済成長が図られるのであります。そこで、本県の福祉産業に参加する企業に対しての支援方法及び施策について、
商工労働部長にお尋ねをいたします。 次に、新交通システム、パーク・アンド・バスライドの推進状況についてお尋ねをいたします。 建設省の試算によりますと、全国の都道府県以上の道路で渋滞が発生しているのは約三万キロを超すと言われております。渋滞により経済的損失は年間十二兆円になる見通しで、渋滞は環境にも大変な悪影響を及ぼすと言われております。国内の二酸化炭素--CO2--の排出量は年々増加をし、九五年度は九〇年度に比べて約八%増加をしており、このうち運輸部門の伸びは九〇年度から九五年度に比べると一六%も増加、際立っているのであります。本県におきましても、岐阜市及び都市部周辺では慢性的な渋滞を繰り返し、道路整備等の社会資本の投入が必要であり、それにも増して環境整備対策が重要になってくると思われます。 平成七年第五回定例会で、私は、栃木県宇都宮市での三日間にわたるパーク・アンド・バスライドの実験結果を公表させていただきましたが、昨年、第二回目の実験を二十五日間にわたって実施・調査した結果、前回以上の必要性と満足度が確認をされ、利用者の七〇%以上の人が本格実施されれば必ず利用すると回答し、導入に向けての課題や障害などを探るためのパーク・アンド・バスライド推進協議会で検討をし、導入の可能性を探っていくといいます。また、山梨県では初めての調査を実施、その結果を取りまとめているが、一、多くの県民にこのシステムを知ってもらえた、二、豊富なデーターが得られる見込みがついた等、今後は導入に向けた課題とその解決方法を検討していくという姿勢を示しております。本県におきましても、交通渋滞緩和策の一環として、このパーク・アンド・バスライドの導入検討をされており、さきにも述べましたが、平成七年度第五回定例会での私の質問に対し、当時の企画部長さんはその必要性を答弁をされました。それは、岐阜市と高富町間をモデルに、バス路線の再編や駐車場・駐輪場を併設したバスターミナルの設置につきまして、運輸省岐阜陸運局、警察本部、地元市町村などの関係行政機関とバス会社による研究会において調査・検討を進めており、利用者の意向を反映させるため、岐阜市及び山県郡の三町村の方々約四千名を対象に、バス利用の状況やパーク・アンド・バスライド導入に関するアンケート調査を実施し、現在、その取りまとめを行っているところであり、県といたしましては、パーク・アンド・バスライドを主体としたバス路線の活性化対策に対する国の財政支援の拡充を働きかけているところでありますとの御答弁をいただいたのであります。そこで、企画部長にお尋ねをいたします。一、約四千人を対象としてのアンケート調査の結果はどのようであったのか、二、現在までのパーク・アンド・バスライドに関する本県の進捗状況、三、交通渋滞緩和のためのパーク・アンド・バスライド以外の施策、以上三点をお聞かせください。 最後に、教育問題について二点お尋ねをいたします。 第一点目は、教員の採用と適切な人材配置についてであります。 近年の少子化に伴い、教員の採用が減っており、本議会にも議第十六号で岐阜県市町村立学校職員定数条例の一部改正で、小学校及び中学校の教員を百四十九名減ずる議案が上程されておりますが、現在、学校現場では若い先生がなかなか入ってこない状況にあり、そのために教師の年齢バランスが崩れつつあり、今まであった教師間で先輩、後輩が相互に育て合うようなシステムや役割分担が成り立たなくなってきているのが現状であります。二十歳代の先生が少なく、三十歳代といえば今まで中堅であったものが、十年余りの経験を経ても学校の中では若い先生のままということになっているのであります。また、部活動の指導が担当できる教員が限られ、特に運動部の多くが無理に担当をつけているか、あるいは継続できなくなってきているのであります。今では、四十歳代教員が最も多く、この年齢の教員が定年退職をする十数年後にはベテラン教員を一気に失うことになり、それを大量の新規採用で補うことには大きな不安を感じるものであります。これらのことから、少子化に伴う教員数を減らすのは大変危険なことであると思います。 また、教員採用に当たっては、児童・生徒一人ひとりの生きる力をはぐくむ職種であり、ただ単に知識偏重の試験のみならず、豊かな個性教育に対する情熱等多様な視点から評価をして、魅力ある人物を用いることであると思うのであります。教員免許を持たないが、経験豊富な社会人が教育現場に立つことのできる体制をとることも重要なことであると思います。また、教員になるための条件である教育実習は大学在学中のわずかな期間であり、卒業して採用されれば、四月一日からは晴れて一人前の先生として教壇に立つわけで、教員の資質向上を考えるならば、新採用の教員に一定の研修期間を国の制度として設けるべきであると思うのであります。また、これらのことから、教員採用の年齢枠の撤廃、部活動などへの社会人の採用、インターン制度の導入等を考察し、国へ働きかけていただきたいのであります。教育長の御所見をお尋ねいたします。 第二点目は、教員環境整備についてであります。 教員の職務内容は多岐にわたり、本来の職務である授業準備は学校内で行うことはできず、帰宅後、深夜に及ぶことが多々あり、そのためにストレス及び過労が蓄積し、心身の健康を損ねる教員も少なくないのであります。また、教員の多忙さの原因は、本来の仕事である教科指導、生徒指導、校務分掌のほかに、部活動指導、研修校指定、地域の文化・体育行事への参加、各種作品募集の依頼に対する指導、社会教員活動への参加、学校環境整備、出張等であり、これらが教員の仕事を多忙にしており、生徒・児童と本当の向き合った対話は不可能な状態であります。改善策としては、事務的な仕事を大幅に削減をし、授業準備は勤務時間内で処理されることを目標に整備することは当然であり、家庭教育、社会教育へ移行できるものは移行していく必要があると思います。その上で、教員の資質向上を図るべきではないかと思うのであります。昨今は、教員がやらなければいけない本来の仕事の中で最も大切な生徒指導面は、教員以外のスクールカウンセラー等を導入することが制度化されつつあります。このことに決して反対をするものではありませんが、過日、不破議員も質問されておりましたが、本県でのほほえみ相談等でありますが、特にいじめや不登校に対処するためであり、カウンセラーは特別の訓練を受けた有資格者として学校に入ることになるが、日本の学校では異例のことであり、いじめや不登校の問題から一般の教師を免罪し、カウンセラーがスケープゴート化する危険性があり、日本の学校の長所であった教師と養護教諭の連携・協力等を阻害することになると思うのであります。教師の基本的な仕事である教科指導、生徒指導、校務分掌に真剣に取り組んでいくために、教員の多忙さを取り除いていくことが最も大切なことであると思うのであります。ただ単に、学校で起きているすべての事柄が、学校原因論、教師悪者論で片づけられるものではないと思います。確かに、学校のあり方や教師の自覚と対応の仕方に問題がないということではない。しかし、すべての責任を専らそこに帰する論議は、学校や教師に対する不当な不信を増大させ、信頼の上に成り立っている学校教育や教師の活動の基盤を掘り崩すだけであると思います。本来の教師の仕事を取り戻すための施策等教育長の御所見をお尋ねし、私の質問を終わります。御清聴をありがとうございました。
○議長(中本貞実君) 総務部長 高橋新蔵君。 〔総務部長 高橋新蔵君登壇〕
◎総務部長(高橋新蔵君) 県債の発行についてお答えいたします。 縁故債の発行条件につきましては、市場公募地方債の発行状況、他県の状況などを参考にいたしまして、より有利な発行条件で借り入れができるよう、県債の引き受けをしている銀行側と交渉の上、決めております。利率につきましては、市場で公募して大量に調達する都道府県の状況を勘案し、同一条件に設定しております。地方債証券の種類は、投資家に受け入れられやすいよう十万円・百万円・一千万円の三種類としております。現在、本県が発行する縁故債は、大量の資金を円滑に市中から調達しているため、原則として証券発行の形式をとっております。このため、市場における流通性を高めるため、発行単位の大型化や発行方式の統一などを全国的に図るように努めているところであります。県の基金につきましては、積み立ての目的に応じ、あるいは財源不足に対応するため、臨機応変に取り崩しや歳計現金の繰りかえ運用を行う必要があり、大量の県債を引き受けることによりその資金が固定化されることは、基金本来の目的を損なうおそれがあります。ただ、現在の低金利情勢では、特に一定の額を運用して、その運用益を活用する運用型の基金にありましては、その資金の運用の一つの形態といたしまして県債の引き受けを行う利点がありますので、今後、中間機構が保有する基金も含め検討してまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君) 企画部長 奥村和彦君。 〔企画部長 奥村和彦君登壇〕
◎企画部長(奥村和彦君) 新交通システム、パーク・アンド・バスライドに関する質問についてお答えいたします。 初めに、平成七年度に実施いたしましたアンケート調査は、岐阜市北部、高富町、美山町、それから伊自良村から国道二百五十六号を利用して通勤・通学している四千人を対象に、現在利用の交通手段、所要時間等、パーク・アンド・バスライドを検討するための基礎データを収集する目的で行ったものでございます。アンケート調査の結果では、交通手段としては、自動車利用者が約六五%、バス利用者が二七%ということになっておりますし、通勤・通学の所要時間では、約六〇%強の人が一時間以内となっております。また、バスセンターの設置場所につきまして、岐阜市を除く各町村の回答者は高富警察署付近、それから岐阜市内の回答者は三田洞地区の希望が半数を占めております。このアンケート調査結果に基づき利用状況を推計しますと、例えば駐車場の料金を無料とし、かつ、現在よりバスによる岐阜市中心部までの所要時間が十五分短縮された場合には、将来の予測通勤・通学者八千三百人のうち二八%の二千三百人程度がパーク・アンド・バスライドを利用すると見込まれます。 次に、現在までのパーク・アンド・バスライドに関する本県での進捗状況でございますが、まずパーク・アンド・バスライドを実施するための課題として、大規模な駐車場の確保のための用地取得や、建設、管理、運営等の方法、それから、バス所要時間の短縮やダイヤどおりの運行を確保するための道路の拡幅、バス専用レーン等の設置及びこれに伴う交通規制への住民の方々、利用者の方々への理解などがございます。このような課題を有するパーク・アンド・バスライドについて、岐阜市の交通懇談会において、バスの所要時間の短縮対策として、市内の国道二百五十六号長良橋通りにバス専用レーンの設置を検討するための社会実験の実施、それからバス停留所整備などの検討が行われており、高富町においても、長期的な構想の中で考えられておるわけでございます。県といたしましては、こうした関係市町村等の取り組みに対しまして、できることから積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。 また最後に、交通渋滞緩和のための施策についてでございますが、道路整備や交差点改良などといったハード面の整備を中心とした従来からの施策に加えて、近年においては、時差出勤やフレックスタイム制導入によるピーク時の交通量の平準化、道路交通情報の提供などによる自動車交通量の分散などの手法が注目されております。本県でも、県職員の時差出勤について平成七年十一月から実施いたしており、渋滞の長さが二〇%程度短くなった箇所があるなど一定の効果も上がっておるわけでございます。今後とも、岐阜県と国の関係機関等で構成いたしております岐阜県道路交通渋滞対策推進協議会や各市町村、地域住民の方々等との連携を図りながら、岐阜県内における有効な交通渋滞緩和対策の具体化に向けての検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君) 民生部長 山田正孝君。 〔民生部長 山田正孝君登壇〕
◎民生部長(山田正孝君) 福祉のまちづくり条例、それと子供に対する虐待について御質問がありましたのでお答えをいたします。 議員からも御指摘がありましたけれども、福祉のまちづくりを進めるためには、建築物あるいは道路等のハード整備を行う以上に、県民一人ひとりが優しい心と思いやりの気持ちを持つことが大切であります。このような観点から、条例案には、高齢者、障害者団体の代表の方々や関係者で構成している福祉のまちづくり推進会議での意見等を踏まえ、福祉の心を育てる教育の充実や介助技術の普及、人材の活用などのソフト関連の施策をより一層推進することを盛り込んだところであります。 そこで三点についてお尋ねがありましたが、まず初めに、聴覚障害者の方々に対する配慮であります。 条例案では、災害等緊急時の安全確保について包括的に定めておりますけれども、具体的には、十年度に策定を予定しております公共的施設の整備マニュアルの中で、聴覚の障害にかかわらず視覚の障害などにも対応できるよう、より望ましい誘導基準を示してまいりたいと考えております。 次に、人材の活用についてでありますけれども、福祉のまちづくりの推進にはさまざまな方々の支援・応援が必要であります。そのため、バリアフリー住宅の相談に応じます福祉のまちづくりインストラクターや、会議や大会等での手話通訳者の積極的な活用を図るとともに、視覚に障害のある方などの外出を支援するガイドヘルパーや、盲人歩行訓練士の派遣などさまざまな人材の活用を図ってまいりたいと考えております。 最後に、既設の公共的施設に対する取り扱いでありますけれども、条例案では届け出の対象とはしておりませんが、既存の公共的施設の設置者に対しても整備基準への適合努力を求めておりまして、自発的に改善していただき、整備基準に適合する場合には、請求に基づき適合証を交付する等、施設改善の普及に努めてまいりたいと考えております。そこで、県下五圏域にそれぞれモデル地区を指定し、既存の公共的施設の改善等まちづくりの取り組みを支援していくことで、圏域内ひいては県下全域への整備促進につなげてまいりたいと考えております。 なお、県有施設につきましては、平成七年度から九年度にかけまして、計画的にバリアフリー化に取り組んでまいりましたが、十年度も引き続き点検しその改善に努めてまいります。 それから、子供に対する虐待についてのお尋ねでございましたが、本県の児童相談所に寄せられる児童虐待の相談通報件数は増加傾向にありまして、平成七年度に二十二件であったものが、平成八年度は四十七件、本年度は現在のところ五十二件であります。このうち、児童を養護施設等に保護した事例は、平成八年度十三件、本年度は十七件であります。児童虐待は、一般に家庭内で起こり、表面化しにくいという特質がありますし、多様な問題を背景としておる場合が多く、早期発見と早期対応、さらには関係機関の連携・協力が重要なポイントとなります。現在、県におきましては、児童虐待について児童相談所に通報があった場合、児童の安全確保と保護を最優先し、速やかにその事実確認を行うとともに、地域の関係者と密接な連携を図りながら対応をしております。また、昨年七月には児童相談所内に虐待防止研究会を設けまして、発生防止と適切な対応のあり方について継続的に研究を進めるとともに、ネットワーク構築に向けて福祉・保健・医療関係者の参加を得て、本年二月に児童虐待防止に関する研修会を開催し、去る三月二日に地域児童家庭問題連絡会議も開催したところであります。今後早い時期に、さらに法律、教育、警察等の関係者の参加も得て、地域ネットワーク会議を組織し、関係機関の連携を図る中で、事件の発生防止や早期発見、早期対応に努めてまいりたいと考えております。 なお、虐待の正しい理解とその対処方法に向けマニュアル、リーフレットを作成し、通報義務のあります県民の皆さんに対する啓発や、関係者に対する周知徹底も図ってまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君)
衛生環境部長 本間 泉君。 〔
衛生環境部長 本間 泉君登壇〕
◎
衛生環境部長(本間泉君) 乳幼児突然死症候群及び多胎児支援についてお答えをいたします。 まず、乳幼児突然死症候群につきましては、厚生省におきまして調査・研究が行われておりますが、その原因の解明はまだ十分進んでいないのが現状でございます。本年度は、厚生省心身障害研究、乳幼児死亡の防止に関する研究班により、乳幼児突然死症候群とうつ伏せ寝等育児習慣との関連を明らかにし、発生防止に向けた普及啓発活動の基礎資料とするための全国調査が実施されたところであり、その結果を踏まえて、今後の普及啓発を検討してまいりたいと考えております。 次に、多胎児を出産した親の支援につきましては、市町村におきまして、乳幼児とその保護者を対象といたしまして、育児相談や家庭訪問などが行われております。また、県におきましては、多胎児に多い未熟児を対象に、入院中の医療費扶助を行う養育医療や、医療機関から退院した子供とその保護者に対しまして保健所の保健婦や栄養士が家庭訪問をし、子供の成長・発達についての相談や栄養指導を行います未熟児健康サポート事業を実施しております。今後とも、市町村と連携をしながら母子保健事業を推進してまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君)
商工労働部長 大下政司君。 〔
商工労働部長 大下政司君登壇〕
◎
商工労働部長(大下政司君) 福祉産業の育成支援についてお答え申し上げます。 高齢化が進行し、また、福祉に対するニーズが多様化する中で、福祉産業つきましては、新たな成長分野の一つであると考えております。例えば、県内には車いすの生産日本一を誇る企業もございますし、飛騨の家具メーカーと県の工芸試験所との共同開発によりまして高齢者向けの起立補助いすなど、事業化に結びつく成果も生まれてきております。また、ベンチャー企業につきましては、中小企業創造活動促進法に基づく認定を行っているところでありますが、福祉関連の新製品や新サービスの研究開発の分野におきましては、例えば寝たきりの人が赤外線による遠隔操作で窓を開閉できるようなシステム、あるいは視覚障害者が町じゅうの自由な行動を可能にするような誘導システム等の事業計画の認定を行った例がございます。これらの認定企業を含みます福祉機器等の開発に関しましては、ベンチャー企業フォーラムや保健福祉総合フェア等の機会を通じましてその開発成果の発表を支援するとともに、新産業創出支援事業補助金や技術向上奨励事業補助金等によります資金面の支援を行っているところであります。さらに、平成八年度から実施しております起業家育成講座の中に、平成十年度からは福祉サービス業特別コースを創設し、福祉社会を担う起業家の育成を図ることをしております。さらに、平成八年度から中小企業融資制度に健康福祉支援資金を設けて、福祉関連企業者の資金需要にこたえておりますが、平成九年度の実績の中には、在宅介護福祉サービス業を営む企業の方にデイサービスルームを新設するための資金を融資した例がございます。この健康福祉支援資金につきましては、福祉のまちづくり条例の施行に合わせまして融資対象を追加するとともに、融資枠を拡大することにいたしております。このような施策を推進することによりまして、新しい成長分野として期待されております福祉関連産業の育成を図られるよう、今後とも関係部局とも連携しながら努力してまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君) 教育長 日比治男君。 〔教育長 日比治男君登壇〕
◎教育長(日比治男君) 教育に係る問題二点についてお答えいたします。 教員の採用及び資質の向上につきましては、国の審議会や都道府県教育長協議会において研究・協議なされているところであります。本県におきましても、長期的な展望に立ち、計画的な採用と配置に努めているところであります。 教員の採用につきましては、個性豊かで情熱にあふれた優秀な人材が確保できるよう、面接や実技を重視して工夫・改善に努めております。教員の資質の向上につきましては、初任者を対象に、洋上研修や自然の家での宿泊研修を含む年間九十日の研修を実施いたしております。また、教育センターにおける研修のほかに、全国に先駆けた民間企業等での体験研修や、みずからの計画のもとに行うマイプラン研修などを実施いたしております。 次に、教師の多忙化への対応につきましては、各学校に対しまして、行事の取り組みの改善や校内の会議、資料等のスリム化について指導するとともに、研究指定校のあり方等の見直しや精選に努めているところであります。今後とも、教員の配置計画の改善についての国への要望や、教育採用の工夫・改善と資質の向上を図るとともに、各学校においては、学校や地域の特色を生かした教育活動が効果的に展開されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君) 二十八番 菅沼 武君。 〔二十八番 菅沼 武君登壇〕(拍手)
◆二十八番(菅沼武君) 発言のお許しをいただきましたので、三点について知事並びに部長にお尋ねをいたします。 まず、初めに、農業、中でも食糧問題と岐阜県農業の今後の方向について知事にお尋ねをいたします。 農業大国でありますアメリカの農業研究学者であるレスターブラウンを初め、ローマで開催されました世界食糧サミットが二十一世紀の食糧不足を警告していることは御承知のとおりでございます。その主な内容は、世界の人口が発展途上国を中心に今後とも毎年九千万人程度増加することや、中国を中心とするアジアの経済成長で食糧の消費構造が変化し、穀物需要が一層高まる一方で、地球環境の不調和による異常気象の現象あるいは他産業の発展による農地の減少や水不足など人為的原因により穀物生産の伸びは大きく見込まれない、いわゆる食糧需要と生産に大きなギャップが生じていることがあります。御承知のように、一昨年前半のトウモロコシあるいは小麦、大豆、いわゆる主要穀物の国際価格の急騰は日本のみならず、世界の食糧の値上げラッシュを引き起こしたことにもあります。特に、我が国の畜産農家の経営を圧迫したことは御承知のとおりでございます。 その直接の原因は、世界の穀物在庫水準の適正ライン、いわゆる安全保障ラインが一八・二%を大きく下回り、一三%台と危機的な水準になったことにありますが、いずれにしても我が国の食生活の水準を見てみますと、世界でもトップクラスの所得水準でありますが、日本人が消費する農産物のうち国内で生産される割合は、自給率はカロリーベースで四二%、穀物自給率に至っては三〇%という、先進諸国の中では最低の水準で、世界百六十三カ国の中でも百十一番目という状況にあります。このことは、人口では世界の二%である我が国が、世界の穀物の貿易の九%を占める世界最大の農産物輸入国であることを意味しております。このように、外国依存型構造の上に成り立っている異常ともいえる我が国の豊かな食生活の享受は、永遠に続くものとはとても思えません。 ちなみに、一昨年実施されました総理府の世論調査によりましても、日本の将来の食糧事情に不安ありと答えた人が七〇%に上り、また、日本の食糧を国内農産物で自給すべきと答えた人が実に八三%となっております。 古くはローマ・カルタゴの例に見られるように、食糧を軽視したことが国の滅亡につながっております。また、かつての大工業国でありましたイギリスはそのことにいち早く気づき、国内の農産物の生産に力を注ぎ、一九六一年には穀物自給率が五三%でありましたが、九二年には一二〇%と、完全自給、むしろ輸出国となっております。 農は天下の大もとなりと言われるように、国内で必要とされる食糧はできるだけ国内で自給することが永遠の国家の繁栄の基本ではないでしょうか。国連の予測にもあるように、世界の人口が現在の五十八億人から二〇二五年には八十億人と予想されておる一方で、二酸化炭素の増加による地球の温暖化あるいはオゾン層の破壊、砂漠化の進行など、食糧生産の環境条件は必ずしも恵まれておらない状況にございます。このようなことを総合的に勘案すれば、二十一世紀が食糧不足の時代であることを視野に入れた長期的展望に立脚した農業生産の基盤づくりが必要であります。 本来、食糧の確保は、外交、治安に並び国の責務であると思いますが、今、地方分権が叫ばれる中にあっては、県においては岐阜県農業の基本理念を「二百十万県民の生命と健康を守る県農業」と位置づけされているところでございます。また、国は新しい農業基本法の制定も進めているということでございますが、知事は常に、県は国の下請ではないと言われていることに、私ども大変力強く思っております。そこで、特に条件が不利である中山間地を多く抱える本県においては、農業は山村の活性化に大きな役割を果たしております。少ない農地ではありますが、農地を守るために兼業農業の中で山村で暮らしておるということでございますが、農業がなくなれば便利のよい都会へ出てくるということで、さらに過疎化が進むことになり、均衡ある岐阜県の発展に中山間地の農業の役割は重要であります。そこで、知事は、常に県内の食糧は県内自給でと言われておりますが、予想される二十一世紀の食糧危機への県内自給と今後の岐阜県農業の方向について知事の御所見をお伺いいたします。 農業に夢を持ち就農したばかりの若い青年あるいはUターン壮年、積極的に農業に取り組む女性に安心と夢を与えるような御答弁をいただきたいと思います。 次に、飛騨の文化回廊についてお尋ねをいたします。 昨年十二月に開通いたしました中部縦貫自動車道安房トンネルは、飛騨地域にとっては、高山線に次ぐまさに飛騨の第二の夜明けであり、また、長年にわたる地域住民の悲願でもありました。年末からの観光客の入り込みは予想以上のものがあり、飛騨地域は、二十一世紀を待たずして観光入り込み客一千万人時代に突入しようといたしております。また、隣の信州とは経済・文化の面でもさまざまな交流の芽が育ち始めております。このように、多方面にわたる安房トンネルの効果が生じ始めたのは、知事を初め関係各位の御尽力のたまものであり、深く敬意を表するところでございます。 そこで、私は、平成七年の第三回定例会において、今ほど申し上げました安房トンネル開通後の展望を視野に入れました飛騨の文化回廊の必要性を強調し、その早期整備・位置づけを提案いたしたところでございます。 飛騨を訪れる観光客は、どうしても飛騨高山やら白川郷に象徴され、ともすればその周辺町村の存在が薄れがちでございます。具体的に申し上げますと、安房トンネルを抜けて富山県に至る東海北陸自動車道あるいは中部縦貫自動車道に位置する一市四村の平成八年度の観光入り込み客は六百二十七万人であり、全体の八百四十七万三千人の約七二%を占めておりますし、残り十町村で二百二十万一千人の約二八%であります。せっかく、遠路、飛騨へ訪れていただく一千万人近い観光客を、単なる往復あるいは通り抜けさせるだけではなく、さまざまな発想のもとに、既設の国道・県道等を回廊状に位置づけをいたしまして、統一サインあるいは個性ある道の駅を整備し、地域文化あるいは観光資源を活用する飛騨の文化回廊を提案したのであります。当時の土木部長は、地域市町村と協議会を設け、回廊のあり方や地域整備の方策等について検討すると御答弁をいただいたところでございます。 そこでお尋ねをいたします。現在までの検討結果、そして、今後の具体的な取り組み計画等について土木部長にお尋ねをいたします。 なお、これは知事さんへお願いをいたしたいんですが、私の申し上げている飛騨の文化回廊のネーミングを、この際、後世に残る人々の心に訴えるようなものをぜひ御検討いただきたいと思っております。 次に関連をいたしまして、世界民俗文化センターの運営方法についてお尋ねをいたします。 現在、高山市において世界民俗文化首都構想の中核施設となる世界民俗文化センターの工事が、平成十三年度オープンを目指し着々と進展いたしておることに対しまして、飛騨地域住民は大きな期待を寄せております。ハードの部分については、おおむね枠組みが決定し、いよいよセンターの事業運営などの、いわゆるソフトについて、昨年、世界民俗文化研究会を発足され、検討が始まったと伺っております。また、研究会の中には、このセンターが地域参加型の施設とするために、飛騨地域在住の民俗文化の研究者で構成する地域部会が設けられております 飛騨は民俗文化の宝庫とも言われているだけに、極めて意義あることと評価をいたしております。地域部会においては、会員の方々が木工とか民俗芸能とか地域文化に関連する各自のテーマを研究し、センターの資料の収集・展示に協力していこうという気運も盛り上がっておるところでございます。さらに、従来から岐阜県あるいは飛騨にも大変なじみが深く、白川村の地酒懇談会、飛騨の味フェスタなどでもさまざまなアドバイスをいただいた俳優の渡辺文雄氏に、先般、「文化を担い続ける人々」と題しまして研究講演会を開催していただき、また、事業運営などについても相談されていると伺っておりますが、センターに魅力ある施設とするためにも、ぜひとも有識者の提言、意見等を幅広く採用されるよう要望するものでございます。 また、一方、世界民俗文化首都にふさわしい地域づくりを進めるために、世界民俗文化センターを支えるだけの地域の蓄積と活用策が必要であります。私は、先ほど土木部長にお尋ねいたしました飛騨の文化回廊は、まさに飛騨地域に散在する文化と観光資源を有機的に結びつけるための人の流れを変える道のネットワークであると同時に、文化の蓄積と活用の手段でもあります。 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。世界民俗文化首都の拠点であります世界民俗文化センターと、サテライトであります周辺町村の民俗文化をどのように連携・活用し、地域振興を図られようとされているのか、具体的にその計画についてお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(中本貞実君) 知事 梶原 拓君。 〔知事 梶原 拓君登壇〕
◎知事(梶原拓君) 食糧問題についてお答えをいたしたいと思いますが、橋本総理がスハルト大統領と会談されまして、三十億円の食糧の無償援助をお約束になりましたが、インドネシアでは、いわゆるエルニーニョ現象による干ばつによりまして四十万ヘクタール以上の水田に大きな被害が生じております。北朝鮮では、一九九五年に洪水の被害を受けまして以来、食糧不足が深刻でございます。韓国におきましては、通貨ウォンの下落によりまして、農業用輸入資材あるいは畜産飼料などの価格が暴騰いたしまして、これまた農業に深刻な打撃を与えております。日本も、いつまで安泰かというようなことを私どもも常に考えて、もっともっと危機意識を持たなければならないというふうに思います。議員の御質問の中にございましたけれども、インド等で人口の大爆発現象がございますし、食生活も中国等で向上しておりますし、一方では、今申し上げましたように異常気象あるいは河川の水など淡水の不足ということが予測されておりまして、農業・食糧を取り巻く状況は決して安心できない状況でございます。 日本におきましても、国政として食糧の自給にもっともっと心すべきだと思いますが、残念ながら、今はそういうような状況にはないということでございまして、私どもも議員の御指摘にもございましたように、国の農業政策の下請という立場に甘んじているわけにはまいらない。岐阜県は岐阜県なりに、岐阜県民のための農業というものにもっともっと志向していかなきゃいけないと、かように考えております。必ずや近い将来、食糧不足あるいは食糧不足がなくても食糧パニックという現象が起こり得る可能性が大変大きいわけでございまして、日本でもかつてトイレットペーパー騒ぎというのがございました。たかがトイレットペーパーでもあれだけの騒ぎになるわけでございまして、ましてや食糧が不足する、あるいは食糧の不安というもので大きなパニックが起こる可能性は十分あるわけでございまして、その際に慌てないように、岐阜県は少なくとも岐阜県民が安心して生活できるように、岐阜県民のための食糧の自給計画を立てようということで、ただいま検討を進めておるわけでございまして、一月二十九日にこの研究会を発足させております。お米と野菜は自給できるという見通しはございますが、大豆等あるいは肉類等のたんぱく質系が課題でございまして、こういった点もこれから研究をしてまいりたい。いざというときには、少なくとも岐阜県民は生き残れると、こういうような、よその人は死んでもいいというわけではございませんけれども、まずは足元から固めていくということが必要ではなかろうかと、こんなふうに思うわけでございます。 議員の御質問にございましたように、農業はそういった観点からも、岐阜県の中山間地というような地域性も十分考えて、その特徴を生かしていかなきゃいけない。必ずしも大量生産に向いたところではない。飛騨の匠、美濃の匠の伝統技術を生かしながら、大量生産ではないけれどもすばらしい農作物ができると、こういう地域にしていくべきだと、かように思っております。 過日、
園芸特産物の会で申し上げましたことを御参考に申し上げますと、まず第一に、今申し上げましたように、岐阜県は中山間地というような特性を生かすとか、あるいは匠の伝統技術を生かすというような農業を進めていく、きめの細かい付加価値のある産品づくり。高冷地野菜もそうですし、飛騨牛もそうでございますが、そういう方向に行かなきゃいけない。ただいまお話がありました「濃姫」でもそうでございますが、きめ細かな配慮でいいものをつくっていくということが必要であろう。 二つ目は、岐阜県は豊かな緑、きれいな水、さんさん太陽、でっかい標高差、日本のまん真ん中、匠の技、温かい人情と、こういう七つの恵みがございまして、農業に持ってこいの地の利を得ておるわけでございます。あるいは伝統もございます。このことを生かしながら、また、その地の利を日本一農業としてPRしていくということが必要であろうというふうに思います。 それから三つ目、これも申し上げましたが、県民のための農業であるということで、岐阜県民食糧自給計画というものを立てたいと、かように思っております。そして、近く県民のための農業を語る会を消費者等を交えて開催をしたいと思っております。 四つ目は、安全であること、そして安心できること、できれば健康にいいということを基本にいたしまして、ゆとりとかこだわりとか、消費生活のニーズに合った農作物をつくっていくということでございまして、農薬とか化学肥料といった点もこれから十分注意していかなきゃいけない。黄色、赤色等の野菜はがんの予防にいいと言われておりまして、科学的にも立証されておりますが、そういう点に配慮した農業だとか、これも先ほどお話ししました花の農業、こういうこともゆとりの時代に向いておるというふうに思います。それから、お米一つとりましても、すし用のお米あるいはカレーライス用のお米あるいは握り飯用のお米というふうにきめ細かに考えていかなきゃいけない。 五つ目は、いわゆる産業観光を農業にも取り入れて、消費者と直結した農業を進めるべきであると、かように思います。そういう
ミニテーマパークをつくっていく。つくる、見る、学ぶ、買う、食べる、祈ると、こういう六つの要素がございますが、六つの要素が複合した産業観光拠点をつくっていくお話を農業団体とも進めておるところでございます。 それから六つ目は、加工に力を入れていくと、付加価値を高める。そして、売りたい時期に売れるというふうにしていかなきゃいけない。ラピロス六本木におきまして、先日参りましたら、カキジュースが大変好評だということが言われております。それから、キウイをワインにするとか、飛騨けんとんをハムに加工しておくとか、いろいろこれから加工も進めねばいけないと思います。 七つ目は、安房トンネルが開通いたしまして、観光面でもにぎわいを見せておりますが、首都圏の大きなマーケットというものを念頭に置いた農業あるいはその販売政策というものを進めなきゃいけない、かように思っております。 八つ目は、若い人や、今お話が出ました女性に魅力ある農業を進めることであるということでございまして、一言で言いますと格好いい農業ということでございます。農作業一つとりましても、いわゆる野良着では若い女性に夢を与えられない。また、相手を呼ぶときも「おいこら」ではだめでございまして、やっぱり「社長」とか「専務」とか、役割を明確にした、そういう呼び方をするとか、あるいは夫婦でコンサートに行くとか、海外旅行に行くとか、やっぱり生活を格好よくしなきゃいけない。そして、農業は環境、緑を守る、そういう先端産業である、環境産業であるというプライド、自負を持つべきであると、かように思っております。そして、できれば都市部からの農業への参入も求めていくと、こういうことが必要であろうかというふうに思います。 いずれにいたしましても、食糧問題は必ずや深刻な状況になることは必至でございまして、二十一世紀は再び農業が充実される時代が来ると、かように思っておりまして、そういう覚悟で今後農政にも取り組んでまいりたいと、かように考えております。
○議長(中本貞実君) 企画部長 奥村和彦君。 〔企画部長 奥村和彦君登壇〕
◎企画部長(奥村和彦君) 世界民俗文化センターについてお答えいたします。 飛騨地域におきましては、日本はもちろん、世界に誇ることのできる民俗文化、伝統文化の蓄積がございます。世界民俗文化センターは、飛騨地域の多様な民俗文化の保護・育成を図るとともに、世界の民俗文化の収集・展示を行うなど、民俗文化をテーマとした国際交流と世界に向けての情報を発信することを目的とする世界民俗文化首都構想の中核施設としての整備を進めているところでございます。同センターは、飛騨地域が誇る木の文化を中心とする地域全体の広域交流、それから地域振興の拠点施設、さらには地場産業に関連した展示やイベントを行うなど、地域の方々の御意見をいただきながら、地域産業にも役立つ施設として整備したいというふうに考えております。さらに、民俗文化センターは、映像や民俗芸能の実演等工夫を凝らして、飛騨地域の文化・観光・産業等を魅力的に紹介するインフォメーションセンターとなるとともに、民俗文化センターと各地域が共通するテーマで事業を展開することなどにより、センターを訪れていただいた方々を周辺市町村へ、また、周辺の市町村から本センターへ足を運んでいただけるような、先生御指摘の飛騨の文化回廊の一翼を担うものというふうに考えております。幸い、飛騨地域の各市町村においては、世界民俗文化首都づくりに向けて、例えば河合村では「雪」、宮川村では「まんが」をテーマとする施設整備が行われておりますし、白川村では「地酒」、荘川村では「踊り」、国府町では「史跡」、こうしたものをテーマとするイベントが行われるなど、地域の特色を生かしたハード・ソフト両面にわたり魅力ある地域づくりが進められております。こうした取り組みに対し、民俗文化センターも市町村と一体となって、有識者、地域研究者、関係市町村の方々等々の御意見をいただきながら、飛騨地域全体としての魅力的な事業展開を図ってまいりたいというふうにえております。 さらには、地域において急速に失われつつある民俗芸能、伝承、こうしたものも映像化、データベース化するとともに、その保存策、活用方策についても、市町村ともどもさらに検討してまいりたいと考えております。
○議長(中本貞実君) 土木部長兼
都市住宅局長 小島秀俊君。 〔土木部長兼
都市住宅局長 小島秀俊君登壇〕
◎土木部長兼
都市住宅局長(小島秀俊君) 飛騨の文化回廊についてお答えをします。 安房トンネルの開通や東海北陸自動車道などの高規格幹線道路整備の進展に伴いまして、飛騨地域は全国的に大きな脚光を浴びております。このような中で、飛騨の豊かな歴史・文化などの観光資源を生かすための戦略として、議員御提案の文化回廊構想は飛騨地域にとって大変有効な提案と考えています。安房トンネル開通に伴う交流人口の拡大のために設置された飛騨北部地域交通対策協議会で、さきに議員提案の路線の一部については既に整備計画を策定し、整備促進を図っています。例えば、国道四百七十一号では、平湯バイパスの完成に引き続く福地地内の改良工事の実施や、国道三百六十号では富山県境での直轄事業による道路改良を初め、種蔵・打保バイパスの改良に着手をしています。さらに、主要地方道国府見座線の大坂峠、今では飛騨いろは坂と申しますが、その改良工事も平成十年度の事業着手を予定いたしております。 文化回廊構想につきましては、その実現に向けて高規格幹線道路の進捗道路を踏まえ、地元市町村と一体となって飛騨地域の観光地等を結ぶ効果的なルートを農林道も含めた路線の中で選定してまいります。 また、関連する道路につきましても整備を進め、飛騨地域の振興に寄与してまいりたいと考えています。 ………………………………………………………………………
○議長(中本貞実君) しばらく休憩いたします。
△午後零時十九分休憩 ………………………………………………………………………
△午後一時二十四分再開
○副議長(田口淳二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ………………………………………………………………………
○副議長(田口淳二君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十二番 近松武弘君。 〔二十二番 近松武弘君登壇〕(拍手)
◆二十二番(近松武弘君) 私は、五点について質問いたします。 本題に入る前に、問題のバタフライナイフ、皆さんにぜひ現物を見ていただきたいと思いますが、これは実在の大きさでございます。(資料を示す)実物は、手に取ってみますと本当にぞっとしますし、まさに凶器以外の何物でもないというふうに思います。ぜひ、皆さんも手に取って見ていただきたいと思います。 それでは、最初に心の教育について知事、教育長にお尋ねします。 今、子供のナイフを使った犯罪が相次いでいます。暗くて、心が痛みます。 昨年、ミヤコ蝶々さんが岐阜市で講演されました。芸一筋に七十年、風雪を越えてこられたミヤコ蝶々さんです。話に重みがあります。「人生も芸も勉強や。芸の勉強はしやすい、でも人生勉強は難しい。子供の教育もそうです。かわいけりゃあしからにゃいかん、怒らにゃいかん。最近の親の教育は甘い。刃物の所持、麻薬の使用、援助交際にも気づかない。気づいても子供が怖くてしからない、怒らない。自分の子供じゃないか、親が怖がってどうするんや。今は、昔の親みたいにたたく親なんていない。しかし、曲がったところは親がたたいてでも直してやる、それが親の愛情や、教育や。親は、もっと子供と真剣に向き合う勇気を出さにゃあかん」。本音で迫っています。 平成五年に、福井県丸岡町が発行した「日本一短い母への手紙」が評判を呼びました。ことしの二月、今度は「日本一短い母への思い」を発表しました。世相を反映し、五年前と今回の作品には大きな違いがあります。例えば、五年前には、「きょうバス停で母さんに似ている人を見た。その重そうな荷物を持ってやったよ」。また、「どんなに大げんかをしても十分後には話しかけてくる。おふくろには負けるよ」。親子の温かい愛情が伝わってきます。ところが、今回は母親を否定する暗い感じの作品が多い。例えば、「すべてのうそを母が知ったらどうなるのだろう。それが恐ろしく、僕はうそを繰り返す」。また、「お母さん、僕はあなたのしつけではなく、あなたの押しつけで育ってしまいました」。こんなところからも、若者たちの孤独感や心の叫びが聞こえてきます。 神戸の小学生連続殺傷事件、栃木県での女性教師刺殺など、普通の子でも、突然「切れる」「むかつく」といって豹変する。一方、大人の世界も暗くて汚い。政・官・財の癒着。大人社会では汚職や不正が連日のように暴かれている。社会に信顆感がない。子供たちの非行は、多くの場合、大人社会の反映だという。 こんな話があります。昔、孔子に弟子が「生きて行く上で一番大事なことを教えてください」と尋ねました。孔子は「手のひらに書き、それを見て毎日実行するように」ということで、二つのことを教えたそうです。まず、右手には「うそをつくな」。そして、左手には「物事から逃げるな」ということだったそうでございます。「うそをつかない」とは、まじめに生きよということです。「逃げない」ということは、最高の責任のとり方だそうであります。二千五百年前の話です。今、社会に必要な「うそをつかない」ということと、「自分の行動に責任をとる」ということにぴったり一致すると思います。やっぱり孔子様は偉い。 さて、所持品の検査の対応についてであります。事件が起きた学校、まさか自分の学校ではとたかをくくっている学校、いや、自分の学校でもと危機感を持っている学校とでは、その対応に大きな差があります。有識者が建前論を叫ぶ。そして、被害者の人権より加害者の人権を擁護するかのような風潮をつくる。しかし、だれしも、もし自分の子供が犠牲になったら怒り悲しむ。起きてしまってから怒り悲しんでも遅い。平生往生だと思います。事故が起きる前に、怒るなら怒らなきゃいけないと思います。「人の命は地球より重い」と言うではないでしょうか。人の命を守るにちゅうちょしてはならないと思います。アメリカの幾つかの州では、バタフライナイフの製造も販売も禁止しています。日本でも、長さ六センチ以上のナイフは銃刀法違反で犯罪です。バタフライナイフもピストルと同じ凶器です。善と悪にけじめをつける、それが大人の責任ではないでしょうか。親や大人が逃げてはいけない。 そこでお尋ねします。 一、「金を失うことは小さく失う。名誉を失うことは大きく失う。勇気を失うことはすべてを失う」、リンカーンの言葉です。今、私たち大人が勇気を失っています。ここに大きな問題があると思います。知事は、先日の答弁で、バタフライナイフは殺傷の道具以外の何物でもない。未熟な少年からナイフを取り上げることが本人のためであり、大人の責任であると発言されました。私は、勇気ある発言だと思います。私も、バタフライナイフを実際に手に取って見ました。まさに凶器以外の何物でもありません。さて、知事の発言の趣旨はよくわかります。問題は、この趣旨をどう生かすかであります。その具体的取り組みや行動について、活動について、知事の御所見をお尋ねします。 二、所持品検査をするしないにしても、最終判断は校長の裁量にゆだねられています。本間題は、学校、家庭、地域が話し合うべき課題です。校長が判断するにしても、職員会で話し合う、PTAと話し合う、校長会、教育委員会で話し合う。また、生徒たちにも自由討議で考えさせるなどの対応が必要です。まさか通知の出しっ放し、受け取りっ放しではないと思いますが、どうなっているのか。また、校長はどんな過程を経て判断するのが望ましいと考えておられるのか。 三、教育家 森 信三さん提唱の「しつけ三原則」が評価されています。一、朝晩のあいさつを徹底する。二、呼ばれたら「はい」と返事をする。三、履き物をそろえる、立ったらいすをもとに戻す。どれも当たり前のことです。心の教育とは、凡事徹底ではないでしょうか。平凡なことを実行することではないでしょうか。今、それぞれの学校で工夫し、実行されていると思いますが、どんなことが実際に実行されているのか。以上。 次に、廃棄物の実態調査について環境局長にお尋ねします。 「問題点を正しくつかめば、半ば解決したのも同然である」、これはアメリカの実業家ケタリングの言葉です。実態調査は、問題点を正しく把握するために行います。県は、一月三十一日、平成八年度の岐阜県産廃調査結果を発表しました。一般廃棄物は処理責任が市町村ですので、市町村別に正確に把握されています。問題は、産廃の実態調査です。岐阜県は中小企業が多い。製造業の事業所だけでも約二万五千あります。今回の調査は、県内排出事業者約五千社にアンケートし、三千社からの回答による調査結果です。今回の調査で、岐阜県の産廃年間発生量は約五百九十万トンと推定されました。 さて、古代ローマのジュリアス・シーザーは、敵の大軍に攻め込まれたとき、慌てる部下にこう言ったといいます。「分断して征服せよ、分断して征服せよ」。どんな大軍でも分断すれば勝てる、これがシーザーの必勝哲学であったようです。どんな大きな課題でも、分断することによって容易に解決できるということではないかと思います。例えば、今回の産廃調査は、一応、市町村別に集計できるようになっていますが、粗過ぎて使えません。産廃処理の自己完結は、単位が小さいほどやりやすい。理想単位は、もちろん市町村別です。しかし、経済効率等の問題があります。そこで、市町村単位でできない場合には広域でやる、広域でできない場合は県でやる、こういう発想が基本ではないかと思います。したがって、産廃実態調査は市町村別に正しく把握すべきです。市町村別に、市町村みずからが行うことが理想です。みずから調査することが一番正確で、一番信頼できるからです。そして、何より大事なことは、主体的に取り組むことができるからです。そこでお尋ねします。 一、実態調査のねらいと目的。二、今、市町村で自分のところの産廃排出量を把握しているところはありません。県と市町村が一体となって適切な産廃対策に取り組むには、まず実態調査を県、市町村共同で検討し、市町村別に正確に把握できるようにするべきであると思いますが、どう考えておられるのか。 次に、溶融スラグ利用指針の策定について、環境局長にお尋ねします。 本テーマについて、私は、昨年六月議会で質問しました。しかし、一向に進展していません。正直に言って残念です。しかし、緊急課題であるゆえ、再度取り上げます。 溶融スラグの成分とその安全性については、専門家の分析により立証されています。千葉県は平成八年四月、埼玉県は平成九年四月より既に実施しています。私は、昨年四月、千葉県に行き、路盤材などに利用されているところを見てきました。ことしの二月、私は、廃棄物対策先進県である埼玉県庁に行って、埼玉県の廃棄物処理計画、ダイオキシン削減対策、そして溶融スラグ有効利用指針などの取り組みについて学んできました。埼玉県では、既に七カ所で溶融施設が稼働しています。今後発生する溶融スラグも、全部リサイクルする方針だそうです。 さて、利用指針で最も重要なことは、安全性の担保です。溶融スラグの安全基準は二つあります。重金属等の含有量基準値と溶出基準値です。千葉県、埼玉県とも約半年かけ検討されましたが、結局、配布資料に記載しましたように、含有量基準値は、環境庁が決める重金属等に係る土壌汚染調査・対策指針に準ずる。溶出基準値は、環境庁が定めた土壌の汚染に係る環境基準に準ずるという内容になったそうです。これは、国が定めた基準で最もオーソライズされ、正当と認められているからです。 さて、来年--平成十一年四月一日より、私の地元可児市で「笹ゆりクリーンパーク」が稼働します。県下で最初の溶融施設です。溶融スラグの安全性も、参考値として記載しましたように、環境庁の基準をクリアしています。したがって、可茂衛生施設利用組合からも早期策定の要望書が県に提出されています。何も難しいことではなく、千葉県、埼玉県の例を参考にすればできると思います。ぜひつくってもらいたいとの願いを込めて、恐れながらも配布資料に近松案なるものを提示しました。これでも通用するかと思いますが、ぜひ早急に岐阜県版をつくってもらいたい。厚生省から出てこれば、見直せばよいことです。時期が迫っております。なぜ要望にこたえられないのか。この程度の問題で、もし厚生省の指示待ちであっては困ります。知事は、東京タコつぼ族が嫌いのようです。私ほ、モグラのように時々外をのぞき、危険な気配があったらすぐの穴の中に逃げる、横並び、指示待ちのモグラ族は嫌いです。モグラ族にならないように、いろいろな課題にも積極果敢に挑戦し、ぜひ期待にこたえていただきたい。 そこで、環境局長、土木部長にお尋ねします。一、溶融スラグ利用指針の策定について環境局長の見解をお尋ねします。二、スラグの利用用途の開発は土木部の出番です。衛生環境部と共同で早急に検討していただきたい。土木部長の見解をお尋ねいたします。 次に、リサイクル技術の開発について関係部局長にお尋ねします。 我が国は、今も大量生産、大量消費社会です。資源の浪費は莫大です。例えば、今、一年間につくる住宅建築件数は約百三十万戸。壊して捨てている解体家屋は、実に約三十万戸もあります。一年間に生産する自動車台数は約五百三十万台、廃却台数は約五百万台、このうち三〇%が廃棄物として捨てられてしまっています。住宅、自動車だけ見ても、まさに日本は大量廃棄社会です。こんなことがいつまでも許されるわけがありません。廃棄物の減量化、無害化、リサイクル化は急務の課題です。 廃棄物処理の三原則は、「埋めない」「燃やさない」「捨てない」の三つだそうです。そのためのリサイクル技術が盛んに開発されています。私は、ことしの一月から三月まで、県内各業界のリサイクル技術を見て回りました。地場産業である繊維、紙、プラスチック業界、そのほかセメント、電機、土木業界などです。車の廃バッテリーのリサイクルに取り組んでいる神岡町の神岡鉱山。車の廃タイヤを燃料に活用している三重県藤原町にある秩父小野田セメント。県下の建設業協会で初めて建設残土の適正処理事業を成功させた郡上郡建設業協会の郡上エコロジーセンター。また、県下の建設業協会で初めてコンクリート、アスファルトのリサイクル事業を軌道に乗せた益田郡建設業協会の益建リバース。再生家庭紙の製造と製紙スラッジのリサイクルに取り組んでいる岐阜市の後藤鉄工所製紙工場。武芸川町の美濃桜製紙、そして株式会社エコファイブ。土木建設解体事業として、コンクリート、アスファルト、建築発生木材等のリサイクルに取り組んでいる三和建設木曾川プラント。火力発電の焼却石炭灰や製紙スラッジ、鋳物砂等を原料として活用している本巣町の住友大阪セメント。下水汚泥を主原料にした土壌固化材の開発、透水係数十のマイナス八乗の遮水工法の開発に成功した大野町にある西濃建設と東洋スタビ。富士通の中部リサイクルセンターとして、コンピュータの解体、リサイクルに取り組んでいる海津郡平田町のFDKエコテック。最後に、そのリサイクル技術に圧倒され、これこそリサイクル技術の真髄ともいうべき技術に出会いました。この県庁からわずか十五分、穂積町にあるアイン・エンジニアリング株式会社です。プラスチック類のマテリアルリサイクル技術、すなわち資源再利用技術は、世界の追従を許さないという。環境先進国ドイツからも高く評価され、ベンツとも取引がある。特に、水を使わない廃プラスチックの洗浄技術、複層プラスチックの分離技術は独創的です。圧倒されましたのは、農業用ビニール--塩化ビニール--自動車等の廃プラスチックと廃木材を見事によみがえらせてつくった合成木材です。品質、強度は木よりもすぐれ、今までの合成木材の性能をはるかに超えています。現物を皆さんにお見せすればよいわけですが、これはベンツのバンパーにも使われています。また、何回でもリサイクルできるというところがすばらしい技術であります。もう一つ特記すべきことは、車のシート、ソファー、べッドなどのクッション材はウレタンです。ウレタンは熱硬化樹脂のためリサイクルできません。燃やすと猛毒の青酸ガス、シアン化水素を発生させます。したがって、燃やせません。埋めればかさばり、処理に往生しているのが実態です。ウレタンにかわる素材の開発に業界も通産省も必死です。そのウレタンにかわる新しいクッション材を開発したのが、アインです。ペットボトルの廃プラスチックが素材です。これも何回でもリサイクルできます。車のシートは、これからこの製品にかわると言われています。このように、廃プラスチックのリサイクルを可能にし、卓越した製品によみがえらせるアインの技術は、リサイクル技術に革命的インパクトを与え、その波及的効果ははかり知れないと思います。私は、県内の幾つかのリサイクル技術を視察しました。そして、痛感したことは、何事でも行政、業界、地域住民が本気で取り組めば大抵のことはできるということです。こんな言葉があります。「本気ですれば大抵のことができる。本気ですれば何事もおもしろい。本気ですればだれかが助けてくれる」成功したところは必ずだれかが本気で取り組んでいます。 さて、そこで土木、農政、商工、環境の部局長などにそれぞれに質問いたします。一、各部署ごとの廃棄物の減量化、無害化、リサイクル化などの推進計画、具体的進捗状況、新年度の主たる事業。このほかに、土木部においては、一、建設廃棄物、建設発生土のリサイクル目標と実績。二、建設汚泥、建設混合廃棄物、建設発生木材等のリサイクルの推進。 農政部については、一、園芸用廃プラスチックのリサイクルへの取り組み。農薬環境負荷低減対策、食品残渣対策の取り組み。衛生環境部については、一、国のガイドラインに対応したダイオキシン類の削減対策の推進。二、笹ゆりクリーンパークを中核に、可茂地域が、昨年七月エコタウン事業に指定されました。今後どのように進めていくのか。 商工労働部について、一、環境分野に対する中小企業支援としての融資、補助金制度の活用状況。二、リサイクル技術の開発等による新しい環境産業おこしに対する融資制度、支援補助金の拡大が求められています。どのように充実するのか。 科学技術振興センターについて、一、廃棄物処理技術開発研究会で具体的研究課題として取り組んでいるリサイクルセラミックスの開発、窯業系廃棄物--キラの新規用途開発の推進状況。二、県内業界において、特に古紙、製紙スラッジ、刃物研磨かすなどの再生利用が大きな課題です。どう進めているのか。 最後に、本県の産廃行政について知事にお尋ねします。 昨年一年問に、多くの議員が産廃問題について質問しました。これらの質問に対する一年間の知事答弁を要約しますと、一、基本方針は廃棄物対策五原則である。二、五原則のうち最も重要な原則は、自己完結である。三、原則として、埋め立て処理、焼却処理はしない。例外的に処分する場合に限り溶融する。処分するものは最小限にとどめる。四、廃棄物対策五原則を実現するため、地域と一体となり地球環境村構想を推進するなどであります。 さて、本県は中小企業が多い。業界の産廃処理は逼迫しています。「何とかしてほしい」との悲鳴が日に日に高まっています。廃棄物処理場は、自治体が責任を持ってつくる時代です。しかし、産廃処理場は、だれしも総論賛成各論反対です。アメリカにも、こんな言葉があります。「ノット・イン・マイバックヤード」、どこかに施設をつくる必要性は認めるが、自分の家の庭は嫌だということです。一般廃棄物の処理は法で定められ、市町村が責任を持って処理しています。産廃処理場は、県がイニシアチブをとって進めるべきです。安全で安心できる、すばらしい産業廃棄物処理場を県が責任を持ってつくる。市町村も県民も業界も協力してほしい、こういう姿勢と信念を知事は堂々と県民に訴えるべきです。知事の現在の姿勢は、一、自己完結を目指し、県内五圏域で地球環境村構想を推進する。二、推進に当たっては、急そがば回れということで、各圏域の自主的機運の盛り上がりを待つ。三、各圏域の機が熟した段階で県が支後に乗り出すとの姿勢のようです。 そこで知事にお尋ねします。 一、急がば回れで、五圏域の機の熟するを待つという知事の現在の姿勢は、御嵩町問題で腹を決め、調整試案をつくり何としてもまとめていきたいという必死であったときの姿勢とは、天と地の開きがあると思います。御嵩町問題に対処されていたときには、何としても解決したいという知事の本気といいますか、気迫がひしひしと伝わってきました。今は、地球環境村構想を何としても実現したいという知事の本気がなかなか伝わってきません。さて、一念岩をも通すといいます。一念とは知事の本気だと思います。たとえ火の粉をかぶっても、責任を持ってまとめていくという知事の気概と信念なくして、岐阜県に産廃処理場はできないと思います。本県の産廃最終処分場の残余年数は逼迫しています。本年度中に候補地を決め、選定せねば間に合わないと思います。その見通しも含め、地球環境村構想実規への知事の決意をお尋ねします。 二、二月十日、第十一回県廃棄物問題検討委員会が開催されました。その席で館座長から、産廃の不法処理対策も必要であるが、もっと適正処理対策に力を注ぐべではないかとの提言がありました。私も全く同感です。委員会も十一回を数えました。私も毎回傍聴しています。本県の将来あるべき姿、適正処理対策等の検討をもっと前向き、積極的に行うべきだと思います。知事は、この委員会に何を期待しておられるのか。また、どう進めようとされているのか。 最後に、二十一世紀は環境産業おこしの時代です。岐阜県には地場産業がある、中小企業も多い、起業家もいる、潜在能力もある。現にすばらしい技術、環境産業が芽吹いています。リサイクル技術の開発と環境産業おこしについてどう考えておられるのか。 以上、知事にお尋ねし、私の質問を終わります。ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田口淳二君) 知事 梶原 拓君。 〔知事 梶原 拓君登壇〕
◎知事(梶原拓君) まず、青少年問題についてお答えをしたいと思います。 御質問にもございましたように、ナイフによる事件が頻発をいたしておりまして、それをめぐっていろんな論議がございます。先般も申し上げましたけれども、論議の中には余り論理的でない素人論議もございまして、問題を混乱させておるというような心配がございます。 一つは、短期的な対応かあるいは長期的な対応かと。その区別ができていないという論議がございます。 それから二番目は、AかBかというような意見がありますが、全体として、一般的にはAもBも、短期も長期も、地域社会対策も家庭対策も学校対策も、あるいは青少年個人の責任問題もというような形で考えていかなきゃいけないということがございます。 それから三番目は、いわゆるつけ回しという論議が横行いたしておりまして、よく社会が悪いからというようなお話もございます。これでは、問題の解決には結びつかないわけでございまして、過去の歴史を振り返ってみても、社会がよかったという時代はほとんどありません。青少年犯罪が頻発しなかったのは、かえって戦時中のような時代でございます。そのことをよく歴史を振り返って考察すべきであると、かように思います。やはり個々の青少年個人の責任ということを常に念頭に置かなきゃいけないということでございます。 それから四番目は、議員の御質問にもございましたように、被害者の人権よりも加害者の人権を重んずるような間違った論議がございますが、これはもう文字通り間違いでございます。 それから五番目は、未成年者というのは未熟であるから保護されておると。その未熟であることについて、つい忘れてしまう、こういう論議がございます。 それから六番目に、あいまいな論議が横行しているということでございまして、ナイフの問題にいたしましても、一体そのナイフを持っておることが犯罪であるかどうかというような目安もなしに、ナイフは凶器であるかそうでないのか、問題は使い方であるとか、とにかく混乱した論理が横行しておる。 きょうは議長さんの許可を得まして、バタフライナイフを持ってまいりましたけれども、(資料を示す)これがバタフライナイフでございます。これが通常の鉛筆を削ったりするナイフでございます。同じナイフでも、これだけの差がある。これは、明らかに正当な理由もなく携帯しておれば、銃刀法によって三万円以下の罰金、一年以下の懲役に該当する明白な犯罪でございます。これとこれという違うナイフを一緒にして、ナイフは凶器かどうかと論ずるのはまことに論外でありまして、まず携帯すると犯罪になるナイフとはどういうものかということをもっと勉強すべきである、こんなふうに思います。そういうあいまいな論議が横行しているということが、青少年問題あるいはナイフの問題を混乱させているというふうに思うわけでございます。 こういう明らかに犯罪に該当するナイフを正当な理由もなく生徒が携帯しておれば、公立学校の先生は刑事訴訟法によって告発する義務があるんです。告発しなきゃいけないんです。仮に黙認しておいて、そして重大な事件が発生した場合には、当然に学校側の責任は追及される。また、その指導責任のある教育委員会の責任も追及されると、私はかように思っております。そのように、あいまいな論議が横行しないようにしなきゃいけない。 全体として、議員の御質問にもございましたけれども、現在は甘えの構造というようなものになっておりまして、大人の毅然たる態度が失われておる。何か大人が悪いという反省の声ばかりでございまして、大人が自信を喪失し、勇気を持っていない。子供たちに対して、信賞必罰、悪いものは悪いと、こういうようなことが言える憎まれおやじが少ないということでございまして、物わかりのいいおやじになりたがっているというのが現代の大人たちでございまして、そういう物わかりのいい大人は、結局は子供たちをだめにしているということで、大人たちは猛反省をしなければならないと、かように考えております。 具体的な取り組みといたしましては、やはりこのナイフの問題一つとりましても、こういうものは持っていると犯罪だということをまず大人も子供も認識すること、そこから始めなきゃいけない、私はそう思っております。 それから、廃棄物の問題でございますが、いつも申し上げておりますとおり、県では安全第一、公共関与、リサイクルの徹底、複合行政、自己完結、この五つの廃棄物対策五原則に基づきまして廃棄物対策を進めておるわけでございまして、究極は、やはり自己完結という自己責任、そういうことを自覚して進めてもらう以外、他に方法はないというふうに思います。人のせいだと、自分は関係ないというような態度では、物事の解決にならない。よく、何でも反対というような人がおられますけれども、人ごとのように、先ほど議員の御質問の中にございましたように、自分のとこだけは嫌というようなことでは問題の解決にはならない。まずは、自己責任を県民の皆様に自覚してもらうこと、これが急がば回れということで、最も問題解決に近い道であると、今でもそのように確信をいたしておりまして、おかげさまでこの廃棄物問題連絡協議会も議論を重ねていただきました。それから、各圏域ごとに一昨年の十二月、廃棄物問題研究会というものができまして、各圏域とも三回ないし四回、論議を重ねておいででございまして、地域で問題を解決しなきゃいけないというような責任意識で論議を重ねておいででございまして、これがやがては具体的な成果となってあらわれてくる。具体的にこの地球環境村をつくろうと、こういう動きも出ておりまして、どこがどうかということはこの場では申し上げられませんけれども、そういう動きになってきております。これは大きな成果であろうと、かように思っております。 それから、中小企業廃棄物対策連絡会議というのもつくっていただきまして、中小企業の皆さんも御自分の問題として検討をしていただいているということでございまして、御自分の廃棄物処理ということもございますし、同時に廃棄物のリサイクルとかいうような廃棄物を生かした新しい産業あるいは技術というものを開発していこうというような具体的な成果が出てきております。大いにこれは有望であると、私はかように考えておりまして、地球環境村もなるべく早い機会に県内で場所も決めて、そしてこれぞ地球環境村という理想的なものをつくっていく。そのことが、他の地域にもいい影響を与えるのではないかというふうに思います。 そういった問題を、廃棄物問題検討委員会でオープンにして、そして客観的に、また科学的に、公平に議論していただく。建設的に議論をしていただくと、そういうことで進めてまいりたいと思います。 近々、リサイクル等の技術開発あるいは溶融等の技術開発、それについて専門家で評価していただく組織をつくるということになっておりまして、県の担当者が主観的にいい悪いを決めていくというのは問題がございますので、やはり客観的にオープンに、しかも専門家のお立場で新しく開発された技術を使うかどうか、そういう点の判断をしてまいりたいと、かように思っております。 特に、御質問にございましたように、これから環境産業が大きく成長する時代でございます。地球環境問題というものが深刻化いたしまして、一方では企業活動も、ISOという国際的な環境面からの基準というものを満たさなければ商売ができないという時代になっておりまして、続々とISOを取得する企業が出てきておりまして、そういった面から、環境産業も十分これから採算が合うというようなマーケットになってくると、かように思います。岐阜県では、御質問の中にございましたように、中小企業の皆さんが先駆的にいろんな技術開発をしておいででございます。大変有望な技術開発もございまして、そういうものを積極的に支援してまいりたいと、かように考えております。中小企業創造活性化促進法とかいろんな制度を活用いたしまして、強力なバックアップをしてまいりたいというふうに考えております。 特に、中濃圏域におきましては、圏域のテーマというのが「環境」というテーマでございまして、既に昨年の九月、環境産業育成研究会も中濃圏域で設置をしていただいておりまして、そういう場を通じまして、中濃地域における環境産業の育成に、とりわけ力を入れてまいりたいと考えております。
○副議長(田口淳二君)
科学技術振興センター所長 丹羽吉夫君。 〔
科学技術振興センター所長 丹羽吉夫君登壇〕
◎
科学技術振興センター所長(丹羽吉夫君) リサイクル技術の開発状況についてのお尋ねでございますが、まず窯業の関係についてお答えいたします。 陶磁器試験場では、本年度から保健環境研究所、農業総合研究センター、水産試験場、これらの試験研究機関が連携しまして、多孔質リサイクルセラミックスの研究開発を実施しております。この中で、既に窯業系廃棄物のキラと石灰業界から発生します石灰水洗ケーキを使いまして、サイズが、穴の大きさが数ミクロンの小さな穴が無数にあいておりますセラミックスを試作しております。現在、この穴の中に微生物を閉じ込めまして、これを河川の水とかあるいは農業排水、そういったものの浄化に利用するための評価試験を実施しております。また、このセラミックスを土木用の資材などにも利用できないか、検討する予定でございます。さらに、陶磁器くずとか製紙スラッジなどから多孔質のセラミックスを合成する技術についても検討しております。 窯業系廃棄物キラの新規用途開発につきましては、平成八年度から、工業技術センターが関係業界の協力を得まして技術開発に取り組んでおりますが、現在、キラの微粒子の表面を改質しまして、これによって遠赤外線放射材料の増量材として利用できる可能性を確認しております。 続きまして、古紙や製紙スラッジの再生利用についてでございますが、紙業試験場で広範囲にわたる技術開発をこれまで行ってまいりました。現在、美濃市、岐阜市を中心に立地する企業が古紙一〇〇%のトイレットペーパーを製造しておりますが、この技術の省力化、効率化に紙業試験場が大きく貢献しております。また、使用済みの牛乳パックなどを製紙原料にかえる技術を開発し、特許を取得しますとともに、地元企業に技術移転をしております。 それから、十年以上も前になりますが、製紙スラッジと古紙原料から再々製紙を製造する、極めて有効な技術を開発し、実用化された例もございます。 さらに、製紙スラッジに生コンのスラッジ、それから使用済みの鋳物砂あるいはガラスカレットをまぜ、これを焼成したものが人工軽量骨材になるということを確認しております。 そのほかいろいろございますが、今後とも家庭紙工業組合などと連携して、リサイクル技術の開発や技術支援を積極的に進めてまいりたいと考えております。 最後に、刃物の研磨かすにつきましては、金属試験場が関刃物連合会の廃棄物処理対策委員会に参加しまして、技術的なアドバイスを行っております。今後、その再生利用技術について研究課題、鋳物砂等のリサイクル技術の開発の中で取り組んでいきたいと考えております。 なお、その他の試験研究機関におきましても、産廃のリサイクル技術の開発を積極的に推進しているところでございます。
○副議長(田口淳二君) 環境局長 川瀬雅信君。 〔環境局長 川瀬雅信君登壇〕
◎環境局長(川瀬雅信君) 大きく三点の御質問があったかと存じます。順次お答えいたします。 第一点は、産業廃棄物実態調査についてでございます。 まず、調査のねらいと目的でございますけれども、廃棄物処理の原則は自己完結であり、圏域ごと、企業ごと、業界ごとといったそれぞれの領域で廃棄物を処理する方策を自主的に検討していただきたいと考えております。この検討を的確に進めるためには、最新のデータに基づくことが必要であり、それぞれの領域ごとの廃棄物の発生、処理、将来動向などについての実態調査、総点検を実施したものでございます。また、市町村と共同による実態把握についてでございますけれども、特に産業廃棄物の問題は、生活や地域産業など地域住民に直接関係のございます重要な問題でありますので、市町村にもみずからの問題として、その対策を検討していただきたいと考えております。 このため、今回の調査で得られる五圏域ごとの業種別、種類別の発生処理状況のデータはもとより、できる限り詳細なデータを各市町村に提供していくこととしております。市町村においては、このデータも参考にして、それぞれの廃棄物全体の実態を把握し、具体的な対策の検討を主体的に進めていただきたいと考えております。 来年度は、廃棄物の処理のあり方の基本方針、目標などを定める廃棄物処理マスタープランを策定することとしておりますが、この市町村ごとの検討結果も踏まえながら、計画の策定を進めてまいりたいと考えております。 第二点ですが、溶融スラグ利用につきましてお答えいたします。 溶融スラグを利用した土木資材などリサイクル製品の利用を推進していくためには、その安全性を公的に認めていくことが重要であると考えております。そこで、昨年六月に岐阜県廃棄物リサイクル製品利用推進要綱を制定し、リサイクル認定製品を認定するとともに、その利用拡大に努めているところであり、昨年十二月には十製品について認定したところであります。溶融スラグを利用した製品につきましては、その原料であるスラグについて、環境庁が定める重金属等に係る土壌汚染調査対策指針や土壌の汚染に係る環境基準などを参考として認定のための基準を設けてまいりたいと考えております。 最後に、リサイクル技術の開発と環境産業の育成についてお答えいたします。 まず、廃棄物の減量化、リサイクル化などの計画についてでありますが、これまで、平成五年度に策定いたしました第四次産業廃棄物処理計画及びごみ減量化再生利用推進計画に基づき、各種事業に取り組んでまいりました。平成八年度の一般廃棄物の総点検結果では、平成十二年度における排出量の削減目標三〇%に対し三四・五%と目標を達成しましたが、資源化率は目標の一〇%に対し七・三%となっております。今後とも、目標達成に向け、学識経験者、消費者、関係団体、行政で組織いたします廃棄物減量化再生利用推進協議会とも一層連携を図り、減量化や再生利用に取り組んでまいります。なお、来年度はそれぞれの接点が乏しかった産業廃棄物の排出情報と利用情報の橋渡しをする産業廃棄物有効利用情報提供事業や、買い物袋持参キャンペーンなどの新規事業を実施してまいりたいと考えております。 また、ごみ焼却施設のダイオキシン類削減対策につきましては、ごみ焼却施設設置者や管理者に対し、遅くとも平成十四年までにはダイオキシン削減のための恒久対策基準を下回るよう、排ガス処理設備の改良や設備の更新など、ごみ処理の広域化を視野に入れた整備計画を立て、早期に着手するよう指導してまいります。 次に、エコタウン事業についてでございますが、加茂・可児地域をモデル地域に進めておりますエコタウン事業は、本年度通産省で創設された事業で、廃棄物を新たに他の分野の資源として活用し、究極的には廃棄物をゼロにしようとするゼロ・エミッション構想に基づき、資源循環型社会の実現を目指すものであります。本年度は、昨年十月、花フェスタ記念公園において、この構想を普及啓発するため地球環境村ぎふフェアを開催するとともに、このモデル地域内で資源循環型社会の実現に向けてどのような事業に取り組むことができるかを検討するため、学識経験者を中心に、地域内の企業、青年会議所、市町村とともにエコタウンプラン推進計画の策定を進めております。来年度は、可茂衛生施設利用組合が可児市内に建設中の一般廃棄物処理施設「笹ゆりクリーンパーク」内に灰溶融炉の整備を進めるとともに、エコタウンプラン推進計画に取り上げた事業の具体化に向けて、計画に関心のある企業を募集して検討組織を立ち上げ、事業推進を図ることとしております。
○副議長(田口淳二君)
商工労働部長 大下政司君。 〔
商工労働部長 大下政司君登壇〕
◎
商工労働部長(大下政司君) リサイクル技術の開発と環境産業の育成についてお答え申し上げます。 廃棄物対策は、申し上げるまでもなく、県内の中小企業にとりましても極めて重要な課題であり、各業界等におきましても積極的な取り組みがなされております。例えば、岐阜県中小企業団体中央会においては、昨年四月に岐阜県中小企業産業廃棄物対策連絡会議が設置され、産業廃棄物の排出抑制・減量化やリサイクルの推進等が進められております。業界単位でも、関刃物連合会が地場産業活性化奨励事業費補助金を活用して、全国の小売店に刃物回収箱を配布し、不要となった刃物等のリサイクルに努めておられます。また、環境リサイクル分野の産業育成につきましては、中小企業創造活動促進法に基づきまして、これまでに全認定件数の約三分の一に当たる二十六件の事業計画の認定を行っております。これらの認定を受けた企業の中には、例えば東海三県の使用済み農業用ビニールを回収し、情報分野の電線共同溝、いわゆるCCボックスを製造するプラント技術を開発した企業や、県内外のペットボトルを回収し、エンジニアリングプラスチック製のフェンス・ネットを製造する技術を開発した企業等がございます。 そこで、次に、中小企業支援策の拡充についてでございますが、環境・リサイクル分野に取り組む中小企業を支援するため、県民キャピタル制度による投資や、国・県等の助成制度に加えまして、平成十年度からベンチャー企業市場開拓支援事業費補助金を設けまして、開発しました製品の市場開拓についても支援していくことにしております。また、本年度から新産業創出支援事業費補助金を設けまして、県内中小企業グループの溶融リサイクル技術の検証実験等の研究開発に対する助成を行っておりますが、平成十年度にはこの助成枠を大幅に拡大することにいたしております。さらに、平成三年度から中小企業融資制度に地球環境改善基金を設け、産業廃棄物の再資源化、工場排水等のリサイクル等、省資源に資する機械設備等の導入及び研究開発や、地球に優しい商品の開発製品化を目指します中小企業者の資金需要におこたえしているところでございます。これらの施策の推進によりまして、県内中小企業者の廃棄物対策を支援していくとともに、新しい成長分野として期待されております環境関連産業の育成が図られるよう、今後とも関係部局とも連携をとりながら努力してまいりたいと考えております。
○副議長(田口淳二君) 農政部長 森井季雄君。 〔農政部長 森井季雄君登壇〕
◎農政部長(森井季雄君) 農業に対するリサイクルの取り組み三点についてお答えします。 最初に、園芸用廃プラスチックのリサイクルへの取り組みについてでございますが、県内の園芸用廃プラスチックを適正に処理するため、県といたしましては、昨年五月にリサイクル処理を基本とする適正処理に関する基本方針を策定し、農業者に適正な処理を指導するとともに、農業者、農業団体、市町村、県関係で構成する協議会において、現在、具体的処理方法を検討しているところでございます。十年度には、排出量を抑制するため、長期間使用できる素材や環境に優しい分解性の素材の実証・普及を行うとともに、モデル地区を定め、リサイクルに向けた回収システムを構築してまいります。県内においては、議員御指摘のとおり、民間でリサイクルに関する研究開発が進みつつあります。今後、これらを参考にして、再生処理に向け、具体的な取り組みを協議会で検討してまいります。 次に、農薬の環境負荷提言活動についてでありますが、農薬と化学肥料を三〇%以上削減した環境保全型農業を平成八年度から鋭意推進し、本年度は一千九十八ヘクタールで実施しております。十二年度には三千四百ヘクタールの実施を見込んでおり、その着実な推進を図るため、性フェロモンや天敵導入による助成を引き続き実施してまいります。また、新たに十年度から河川環境への負荷の少ない農業を推進するため、農業排水路における農薬の流出実態調査を行ってまいります。 三点目の、食品残渣対策についてでありますが、本年度、関係部局で構成する研究会において、家庭や旅館等から出る生ごみの農業分野での有効活用の調査検討を行っております。十年度には、消費者団体や生産者団体を加えた協議会において、生ごみの有効活用に関する基本方針を策定してまいります。また、モデル地区を設定し、有効菌を活用した家庭生ごみの堆肥を使用する農産物の生産に取り組んでまいります。さらに、学校給食残渣を家畜ふん尿と一体的に発酵・堆肥化する施設の整備や、福祉施設の生ごみを発酵処理し、施設内の家畜の飼料とする試みを引き続き進めてまいります。
○副議長(田口淳二君) 土木部長兼
都市住宅局長 小島秀俊君。 〔土木部長兼
都市住宅局長 小島秀俊君登壇〕
◎土木部長兼
都市住宅局長(小島秀俊君) まず、溶融スラグの利用用途の開発についてお答えします。 溶融スラグについては、路盤材や舗装材、また、コンクリート骨材など土木資材としての用途の開発が進められております。その利用については、先進県である埼玉県、千葉県などの対応状況を調査しましたところ、試験施行により各種データを収集している段階であります。土木部としましては、スラグに関する利用基準が策定された後、衛生環境部と連携を図り、物理的性状試験や利用用途、また、利用場所について検討・協議の上、速やかに試験施行に着手し、安全性や品質面でのデータの収集に当たる所存であります。 続きまして、土木部における建設副産物の有効利用対策につきましては、従来から建設副産物対策土木部連絡協議会を通じて、廃棄物の減量化、リサイクル化に努めてきました。県の環境保全率先行動計画における公共工事から発生する建設副産物の平成十二年度再生利用目標率は、コンクリート塊及びアスファルトコンクリート塊で一〇〇%、建設発生土で八〇%であります。平成九年度現在での土木事業における再利用率は、コンクリート塊が発生量五万三千トンに対し九六%、アスファルトコンクリート塊では発生量十三万三千トンに対し九七%となっており、今後も一〇〇%の再利用を目指していきます。また、建設発生土につきましては、平成九年度百五十万立方メートルに対して、再利用率は六九%であり、今後はさらなる発生の抑制、工事間の利用に努めていきます。 次に、建設汚泥につきましては、土質改良を行い、リサイクルに努めます。また、建設木くずにつきましては、本年度から社団法人 岐阜県建設業協会と連携してリサイクル方法について研究を進めており、平成十年度の予算に建設木くず再生利用調査のための経費を計上したところであります。
○副議長(田口淳二君) 教育長 日比治男君。 〔教育長 日比治男君登壇〕
◎教育長(日比治男君) 持ち物に関する指導についてお答えいたします。 刃物等による事件への対応につきましては、この二月十日に通知を出した後、小中学校校長会代議員会、高等学校校長会、教育事務所学校教育課長会等の会議の機会をとらえ、直接校長や教育行政担当者等に対しまして、その趣旨の徹底を図ったところでございます。さらに、この春休み及び新年度における生徒指導の充実についても、再度徹底したところであります。また、学校では刃物等の携帯は法に触れることや、命の大切さなどについて全校集会や学級で指導を行ったり、PTAと一体となって家庭での指導を呼びかけたりするなどの努力をしております。また、県中学校長会でも、各中学校長に対して、刃物等による事件に係る生徒指導の充実と徹底について呼びかけを行っております。 次に、危険なもの等の携帯への対応については、生徒や教師の生命・身体の安全確保の観点から、状況に応じて校長が適切に判断すべきものでありますが、あらかじめすべての教職員の共通理解を図っておくことが大切であります。さらに、日ごろから持ち物に関する指導について、PTAとの共通理解を深めるとともに、生徒会活動などを通して規範意識を高めることも大切であると考えております。 次に、基本的生活習慣の育成についてでございますが、学校においては、知・徳・体のバランスのとれた教育を展開し、豊かな人間性を育てることが必要であります。例えば、学校では児童会や生徒会が目標を定め、あいさつ運動や履物そろえ運動を行ったり、また、清掃活動の徹底や始業・終業時刻のチャイムがなくても時間が守れるようにすることなど、基本的な生活習慣の育成について、児童・生徒も教職員も一体となって取り組んでおります。このような地道な取り組みの成果が先輩から後輩へと引き継がれ、校風となるよう努力している学校も多く見られます。今後も、このような心の教育の基礎となる教育活動を各学校が展開するよう努めてまいります。
○副議長(田口淳二君) 二十二番 近松武弘君。 〔二十二番 近松武弘君登壇〕
◆二十二番(近松武弘君) 一点だけ再質問を知事に行います。 産廃処理場建設も含めた地球環境村推進構想についてであります。 私は、御嵩町問題のときに、一つ感動したことがあります。それは、県が調整試案をもって解決しようとしたときのことであります。そのときに、万が一の万が一の場合どうするのかという、そういう質問がございました。そのときに知事は、県が最後まで責任を持って対処する。責任を持って対処するとはどういうことかと申しましたら、最後まで逃げないことだと言われました。私は、ここまで言い切られたときに、知事は本気だと思ったわけでございます。知事は、本気で腹をくくって、産廃処理場は県がイニシアチブをとってやらなければいけないというようなふうに決断されたと思っております。このときの知事の決断は、輝いていたと思います。私も感動しました。きょうの話は、ちょっと輝いていません。今、必要なことは、このときの決断であると思います。県の産廃処理場のかぎを握っているのは、決して県民ではない。市町村長でもない。私は、知事であると思います。知事の決断が県民の心を動かし、市町村長の共感を得るというふうに思います。岐阜県の基本方針は五原則でございますし、中でも自己完結というのが最大だと言われました。自己完結の最大のキーポイントは自己責任でございます。知事の自己責任は何か。それは、どんなことがあっても県が責任を持ってつくるという、その決断以外にないと思います。決断をすれば、あとの方法はみんなが考えてくれる。私は、あの御嵩町当時に決断されたその英断をもって、県民に将来あるべき姿、イメージを示して訴えていくべきであると思います。 それから、できる限り早い時期にそういう方向ということでございますが、今、県下の残余年数は、恐らく今回実態調査されましたけれども、わずか二、三年だと思います。候補地が決まりまして環境アセスメント等をやりますと、簡単に二年、三年かかってしまうということは、もう既に一番、今、瀬戸際まで来ているというようなふうに思います。そういった意味で、当面ことしはどこまでやるかということと同時に、こういう状況を踏まえての知事の地球環境村構想についての決意をもう一度お聞かせ願いたいと思います。
○副議長(田口淳二君) 知事 梶原 拓君。 〔知事 梶原 拓君登壇〕
◎知事(梶原拓君) 御質問にございましたような御嵩町に対する調整試案の提示、その提示いたしました地球環境村構想、これは一つの地球環境村の事例でございますが、地球環境村は五原則の、例えば公共関与とか、そういうものを盛り込んだものでございまして、公共関与として県が介入した以上は、県が責任を負うということを申し上げたわけでございまして、出資の割合で三分の一しか責任を持たんとか、そういうことではございませんで、一たん、一部でも県が関与すれば責任は負うと、それは県が逃げないことであるということを申し上げたわけでございまして、一たん地球環境村事業に手をつけた以上は、県は決して逃げないで、常に責任を持って事業を遂行すると。その決意は今でも変わっておらないわけでございますが、いつどこでつくるかということは、県が独断でできることではございません。地域住民が自己責任を自覚して検討していただくということでございます。
○副議長(田口淳二君) 八番 藤墳 守君。 〔八番 藤墳 守君登壇〕(拍手)
◆八番(藤墳守君) 議長のお許しをいただきましたので、私は、大きく分けて三点について質問させていたいただきます。 まず、第一点は、新年度予算についてお尋ねをいたします。 梶原知事さんは、昨年の六月、九月、十二月、各定例会の冒頭におきまして、本県財政の現状について御報告されました。財政事情の厳しさを訴えられ、私どももおぼろげながら財政の厳しさを感じていたところでございます。このことは、知事さんは私ども議員に向かって、財布の中身が寂しくなっているのでいろいろ要求されても困るよと、こんなふうにも受け取っていたところでございます。そんな中、一般会計八千七百十六億円余りの新年度予算案が提出され、その基本方針として、一、横割り複合予算の策定、二、県政の総合的基本的方針、三、五つの重点テーマの推進、四、圏域別重点テーマの推進、五、五つの改革の推進を掲げられ、そのメーンテーマとして「景気回復助走予算」と位置づけられているところであります。 税収の伸び悩みの中、大変苦労して編成されていることは推察できますが、配布されております平成十年度予算のポイントの方針を見ましても、徹底した経費の節減に努めた。また、事業効果の評価、横割り複合の観点から、財源の重点的、効果的配分に努めた等々述べられておりますが、毎年毎年予算を編成し、その年度年度の特徴を持たせることは、大変苦労なことは私も身をもって経験いたしております。 さて、昔から、予算編成の原則は「入るを計って出ずるを制する」と言われておりまして、まず収入がどれだけ見込めるかを掌握し、それに基づいていかに配分するかということであります。がしかし、私は、時と場合によってはその逆もあってもよいのではないかと思います。知事さんがどうしてもやりたい仕事、やらなければならない仕事、それらの積み上げ、すなわち歳出を掌握し、さて、その財源を何に求めるのか、税の見込み、地方交付税の見込み、県債の発行、使用料等の見込み等々、それでも財源の足りないときはどうするのか、そこが財政担当の腕の見せどころではないかと思うのであります。そういう意味で、税収の伸びが見込めない中、新年度の予算は、財政担当者が大変苦労されたことはうかがい知ることができるところでございます。 そこで、総務部長にお尋ねいたしますが、歳入の根幹をなす県税の収入見込みについてであります。 県税全体では二千五百十五億円、対前年比四・六%の伸びを見込まれておりますが、確実に見込めるのかどうか、まずお尋ねいたします。また、税目ごとに見てみますと、県民税の個人・法人とも対前年比マイナス見込みでありまして、特に個人県民税がマイナス三・三%となっておりますが、その原因は何なのか。また、自動車取得税、軽油引取税等々いずれもマイナスとなっておりますが、いかなる原因によるものかお尋ねをいたします。 いずれにいたしましても、県税収入が歳入全体の二八・九%しか見込めないということは、知事がたびたび言われます、「本県は貧乏県だ」と言われるゆえんであろうかと思います。 続いて、財政の健全性にについてお尋ねをいたします。 健全性維持のため、事務的経費の一〇%カット、事業のスクラップ、海外渡航旅費の見直し、印刷物の見直し、公用車の年限延長等々で約十四億円余を節減したとございます。その努力のほどをうかがい知ることはできるわけでありますが、一方、公債費についてでありますが、十年度当初見込みで五百七十三億七千九百万円、十年度末残高が八千五百十八億六千二百万円となり、一般会計予算に匹敵するだけの借金があることになります。税収の伸び悩む中、また、高齢化社会を迎えた中、将来大丈夫なのかなあと心配する向きもあります。一方で、八年度の決算統計によります起債制限比率を見ますと六・八%で、全国的に見ましても最もよい状態にあるといえるのであります。このような低い数値を示していることは、裏返して言えば、もっと投資的経費に投入してもよいのではないかとも思いますが、これらについて知事の御所見をお伺いいたします。 第二に、産業の振興についてお尋ねをいたします。 先ほども申し上げましたが、知事さんは、本県は財源の乏しい貧乏県だと強調されておりますが、貧乏県を脱却するためにはどうすべきなのか、どういう施策が必要なのか、真剣に考える必要があると思うのであります。県税の収入をいかに増加させるかは、イベント等で一時的な活性化を求めることも必要で、それなりの効果はあると思いますが、何と言っても産業をいかに振興させるかということであろうと思います。商工労働部では、県内出身の優秀な若い労働力を県内で雇用すべく努力されておりますが、実際には、県内には若者が働く場所がないというのが現状ではないでしょうか。新産業の開発では、ソフトピアジャパン、VRテクノジャパン等々、進行中でありますが、一日も早く地域の新産業として発展させていただきたいものだと思います。特に、西濃地域は情報化推進モデル圏として位置づけられており、健脳産業基地構想も梶原知事さんからも伺っておりますが、大きな期待をいたしているところであります。 また、あわせて、新企業の誘致につきましても、市町村とも協力しながら御努力いただきたいと思いますがこれについても、
商工労働部長に御所見をお伺いいたします。このことは、税収の大きな伸びにつながり、地域の活性化の根源でもあると信じております。また、若者の県内定着を図るためには、単なる働く場の確保のみならず、働く若者の余暇時間をどう過ごさせるか、娯楽施設をどうするのか、あるいは住宅をどうするのか等々、労働環境の整備も不可欠なものであることもつけ加えさせていただきます。 続いて、中心商店街の活性化についてお尋ねをいたします。 現在、県下各市町村とも、中心商店街は年々衰退の一途ではないかと思われます。私どもの不破郡におきましても、垂井町、関ケ原町とも大型店の進出あるいは消費者のショッピング志向の変化等によって大きな変化をいたしていることは御案内のとおりでございます。しかし、中心商店街は地域の文化でもあります。その商店街が毎年一軒、また一軒と減少し続けておりまして、寂しい限りであります。県として、これらに歯どめをかけるため、新年度で施策の拡充をお考えいただいておりますが、その具体的施策について
商工労働部長にお伺いいたします。 続いて、米の生産調整を中心とする農業行政についてお尋ねいたします。 このことは既に古川先生から代表質問で、先ほどは菅沼先生からも、また、明日は岩井先生からも御質問がございますが、私は一農家の立場で御質問いたします。 米余り現象を受けて、米の生産調整が行われて約三十年近くになろうとしております。加えて、四年連続の豊作続きで、私どもの町では約四〇%の転作を余儀なくされており、農家はその実施に当たり、悲壮感さえ漂っているというのが現状であります。しかし、日本の農家を守るためにも、農地を守るためにも、やむを得ないかなあとも思いつつも、やりきれない気持ちでいっぱいであります。この先、農業はどうなってしまうのか心配でなりません。 ところで、我が国の食糧自給率は、米などの穀類は約三〇%、カロリーベースで約四〇%という危険な低さであります。動物性たんばく質の約四〇%を占める魚介類の自給率も六〇%を割り、さらに減少傾向にあると言われております。このことはいろいろな場で叫ばれておりますが、かけ声だけで実績が上がっていないのが現状であります。国民の多くは、食糧の自給率の低さに気がついてはいるが、飽食になれ切っているためか、貿易自由化論に惑わされているためか、自給率向上の要求にはなっておりません。我が国にとって、国民の食糧確保は最優先課題でなければならないと思います。 ウルグアイ・ラウンド交渉でも、市場原理、経済原理が優先した結果に大きな疑問を抱かざるを得ません。すなわち、経済原理、生産性のみを追求すると、農家の農業離脱、そして農村の崩壊につながってしまうのではないかと思うのであります。そんな中、昨年十二月、食糧農業農村基本問題調査会の中間報告が取りまとめられました。賛成・反対両論併記の形で議論されておりますのが、株式会社の農地保有を認めるかどうかであります。営利のみを追求する会社が農地を保有したとき、どうなるのだろうか。会社は、もうからなければ放棄する、火を見るより明らかであります。一たん放棄された農地は、なかなかもとへは戻らない、食糧生産に使えない状態になることは明白であります。そのとき、どうなるのか。株式会社の農業参入を認めたならば、その条件次第では、日本の農地は巨大企業に占有されてしまうのではないか。それどころか、外国企業にも占有されないとも限りません。少なくとも、そういうリスクに道を開くことになってしまうのではないか、心配でございます。それでいいのか、よく考える必要があると思うのであります。 そこで質問いたしますが、四〇%に及ぶ転作を余儀なくされている米づくり農業の実情を踏まえ、県では、平成十年度に県単独施策を講じていただいておりますが、その具体策と、本県における転作田の有効活用と、株式会社の農地保有について農政部長の御所見をお伺いいたします。 第三に、地方分権の推進に伴う市町村合併についてお尋ねいたします。 私は、長年にわたって地方行政に携わってきた者の一人として、最近痛感していることがございます。私が就職した昭和三十五年ごろは、市町村は、法律で定められたことを忠実に実行することが最大の使命であり、主要なことでありました。しかし、今日では、各市町村が独自性を発揮し、特色のあるまちづくりをしなければ、市町村の活性化も進展も望めない時代に移ってきておると思います。旧来の市町村運営では住民ニーズにこたえられないばかりか、過疎化がどんどん進展してしまうというのが実情ではないでしょうか。二十一世紀を目前に控え、活力ある市町村を求めるためには、また、少子・高齢化時代を迎え、膨大な行政需要に対応するためにも、思い切った行政の改革をする必要があると思います。このことは、国、県、市町村とも真剣に考えなければならない重要な問題であると思うのであります。 地方分権の推進に伴い、許認可権が中央に集中していたものを地方に権限委譲しようとしておりますが、現状の町村のままで、果たしてそれが実現できるのでしょうか、私は、大変難しいと思うのであります。受け皿となる市町村の状況を見ますと、少なくとも、町村に限ってみましても、余りにも人口規模の小さい町村が多過ぎて、権限を委譲してもかえって困惑するというのが現状ではないでしょうか。最近でも、ある村がマスコミに大きく取り上げられておりましたし、活力を失った小規模町村も多々あるように見受けられます。昭和二十九年から三十年にかけての昭和の大合併が行われました。このときに合併しなかった町村が、今どんな状態にあるかは御案内のとおりでありますし、また、このときに合併したけれども、今日に至っては、もはや現状では小規模過ぎる町村が多数あるように思いますが、どうでしょうか。地理的な条件、生活圏などいろいろ問題はあるでしょうが、適正規模の町村にするのが、二十一世紀の望ましい市町村を想像するときに、おのずとその姿が見えるような気がいたしますが、いかがでしょうか。すなわち、町村合併をしなければ立ち行かないというのは火を見るよりも明らかであると言えます。この際、県としては強力なリーダーシップのもと合併を推進すべきと思いますが、県はどのように取り組んでいかれるのか、総務部長さんにお伺いをいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(田口淳二君) 知事 梶原 拓君。 〔知事 梶原 拓君登壇〕
◎知事(梶原拓君) 財政問題についてお答えをいたします。 議員の御質問の中にもございましたように、岐阜県の予算は県民一人当たりにいたしますと四十万円弱ということで、全国の四十七都道府県の中で三十三番目という低い地位にございます。中部九県の中では最低クラスということでございます。小さな政府が実現しているという見方もございますが、常識的に考えますと、県民所得の順位程度でもいいんじゃないかという意見もございます。そうしますと、二十二番目ぐらいが妥当だと、こういうことにもなるわけでございまして、その辺は議論の分かれるところでございますが、過去、戦後一貫いたしまして堅実経営と申しますか、なるべく借金をしないというようなことで参った結果が今日の状況でございます。高度成長期、インフレ期に借金をしてでも道路をつくるべきであったとか、あるいは産業基盤を整備すべきであったという意見ももちろんあるわけでございますが、それは既に過ぎたことでございまして、仮に県民所得並みが妥当だとしても一挙にはできないということでございます。何よりも自然に税収が入ってくるというような体質に持っていかなきゃいけない。そのためにも、議員が御指摘のように、投資的な経費をもっと拡充すべきだと、そういうことにもなるわけでございますが、新年度の予算案におきましては、大変厳しい状況の中、地方財政計画ではマイナス四・〇%を見込んでおりますが、県の単独建設事業は一・〇%増というような積極姿勢を示しておりまして、この伸び率は全国でも七番目でございまして、もちろん中部九県では一番目ということで、積極的な姿勢は御理解をいただけると、こういうふうに思います。 こういう予算が組めるということも、経常収支比率--事業が積極的にできるという比率でもございますが、これが全国に三番目にいい状況でございます。また、起債制限比率という面から見ましても、全国で二番目といういい位置にありまして、そういう財政のゆとりというもので、今申し上げましたような建設事業も積極性を維持できたということでございまして、財政構造のよし悪しというものが積極財政ができるかどうかということにも関係するわけでございます。これは、行財政改革を進めてきたというようなこともございますし、それから基金もバブル経済期に、ちょうど二期目の私の選挙のときでございまして、対抗の共産党の候補の方はため込み県政という批判をされておりましたけれども、バブル経済期の時代に十分基金を積めていたおかげで平成四年度以降の景気対策もできたわけでございまして、そういう努力の積み重ねで、厳しい財政環境の中でも積極的な投資が可能であるということでございまして、こういう健全な財政構造というものは今後とも堅持しながら、かつ、その中で創意工夫を凝らして、お説のように投資的経費もなるべ拡充していくと、こういう方向で今後とも努力をしてまいりたいというふうに思います。
○副議長(田口淳二君) 総務部長 高橋新蔵君。 〔総務部長 高橋新蔵君登壇〕
◎総務部長(高橋新蔵君) まず初めに、新年度予算における税収見込みについてお答えいたします。 平成十年度の県税収入予算につきましては、現下の厳しい景気の状況や税制改正による影響等を考慮して、現時点で見込み得ます二千五百十五億円を計上したところであります。 次に、前年度当初予算額を下回る主な税目の原因についてでありますが、まず、個人県民税は特別減税が実施されることによるものであります。また、法人県民税や法人事業税につきましては、主要企業への聞き取り調査を実施したところ、主要業種であります機械金属製造業や化学工業などにおいて業績の悪化が予測されることなどが主な原因となっております。さらに、自動車取得税や軽油引取税が長引く消費の低迷により自動車や軽油の販売数量の伸びが見込めないことから、また、利子割県民税につきましては、預金金利の低迷が長引いていることから、それぞれ前年度当初予算額を下回ることとなっております。 次に、地方分権の推進に伴う市町村合併についてお答えいたします。 今後におきまして、地方分権の推進や少子化・高齢化が進行するなど、新しい時代に対応していくために、将来の市町村のあり方について真剣に考えていく必要があると思います。既に、県内の全域におきまして、十二地域において合併を含めた広域行政の研究組織が市町村を中心にして設けられております。また、民間でもことしの二月に岐阜圏域三市十四町村の商工会議所や商工会が広域行政の推進と市町村合併の実現に向けて協議会を発足させるなど、新しい機運が盛り上がってきております。県では、こうした動きに対して、合併のメリットや地域の将来予測データなど、具体的な議論をしていただくための情報の提供や助言などを行うこととしております。あわせて、市町村や民間団体の取り組みに対しましても、財政的な支援を行ってまいりたいと考えております。 また、市町村の行政関係者、議会、住民の方々に対しましては、地域の将来のあり方について考えていただくために、パンフレットの作成と配布、民間地域リーダーとの懇談会の開催、地域におきます研修会への講師派遣などを行ってまいりたいと考えております。
○副議長(田口淳二君)
商工労働部長 大下政司君。 〔
商工労働部長 大下政司君登壇〕
◎
商工労働部長(大下政司君) 産業の振興についてお答え申し上げます。 まず、地域における新産業の開発についてでございますが、御指摘がございましたソフトピアジャパンには現在までに約七十社の情報関連企業が進出し、約千人の雇用が創出されております。その集積自体が新産業の創出となっていると考えております。また、進出企業と周辺地域の企業との間で、例えば西濃地域を中心とした特産品をインターネット上の仮想商店街で販売する事業など新しい事業も生まれてきております。今後、ソフトピアジャパンが地域産業の核となりまして、活力ある地域社会の構築に寄与することができるものと期待しております。また、大垣市や大垣商工会議所等によりまして、ソフトピアジャパン情報クラブ、大垣地域産業情報研究協議会が組織されており、その活動を通じまして、進出企業と地域企業との交流連携が進められておりますので、県といたしましては、こうした動きに対しましても支援してまいりたいと考えております。 次に、企業誘致でございますが、地域経済の活性化、県民所得の向上を初め、雇用機会の増大や既存産業との交流による新しい産業部門の創出などの観点から、企業誘致は大変重要と考えております。このため、商工労働部と東京、大阪、名古屋の各事務所が一体となりまして、ソフトピアジャパン、VRテクノジャパン、県の工業団地ばかりでなく、市町村や民間開発の工業団地につきましても、優良な企業に進出していただくよう、企業訪問を中心とした誘致活動を積極的に展開いたしております。平成九年度におきましては、二月末までに延べ約六百六十社の企業訪問を行ったところでございます。また、毎年、東京、大阪、名古屋の各地区におきまして、本県出身の主要企業役員等との交流会を開催するなどいたしております。これらを通しまして、大都市圏の経済界の方々に岐阜県の主要プロジェクトなどの情報を提供いたしますとともに、企業情報の収集と人的なネットワークづくりに努めているところでございます。 厳しい経済情勢の中ではございますが、今後ともさまざまな企業の用地ニーズにこたえられるよう、市町村、金融機関などとの情報交換もより一層密にいたしまして、より積極的に企業誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
○副議長(田口淳二君) 農政部長 森井季雄君。 〔農政部長 森井季雄君登壇〕
◎農政部長(森井季雄君) 最初に、本県における転作田の有効活用についてお答えをいたします。 転作田の有効活用は、農家の所得や食糧自給率の向上、さらには県土の保全等を図る上から極めて重要でございます。本県の水田は、海抜ゼロメートルから千百メートルに広がるなど、自然条件は大きく異なっており、それぞれの地域に合った作物の導入が必要であります。このため、平たん地域では、土地利用型作物である麦、大豆や水田の地力増進、蜜源となるレンゲの栽培を中心に、また、中山間地においては、冷涼な気象を生かしたトマト、ホウレンソウなどの野菜やそば、アマランサス等地域特産物の栽培を中心に促進してまいります。都市近郊地域にありましては、地元の市場や朝市等へ供給する野菜、花卉等の栽培や市民農園の設置を図ってまいります。また、県下全域で飼料作物の増産により、酪農や肉用牛の飼料自給率を高めてまいります。これらの作物の導入を支援するため、国の助成措置を積極的に活用するとともに、県独自の施策として、野菜等の生産を促進する安全・安心・健康野菜等支援事業の創設や、飛騨・美濃園芸王国確立対策事業の充実を図ってまいります。さらに、地域ごとの麦、大豆、飼料作物の栽培指針の作成や、県下二十九カ所にモデル実証圃を設置するとともに、大豆、野菜等の学校給食への提供や、その加工等を促進してまいります。 次に、株式会社の農地保有についてお答えします。 株式会社の農地の権利取得の是非については、新農業基本法の制定に向け、我が国の農政のあり方を検討している食糧・農業・農村基本問題調査会においても議論が分かれ結論に至っておらず、昨年十二月の中間報告では賛否両論を併記するにとどまっております。それによりますと、多様な経営ノウハウを有する株式会社の参入により農業が活性化する、資金調達が容易になり、規模拡大や多角経営が進むなどの賛成意見がある一方で、投機目的の農地取得による無秩序な農地転用につながりかねない、事業撤退による農地の荒廃のおそれがあるなどの反対意見がございます。国においては、本年八月ごろを目途に最終答申をしたいとしておりますが、本県といたしましては、土地利用型の農業経営が水利用を初め集落の合意のもとに成り立っていることから、利潤の追求を重視する株式会社の農地取得により、適正な土地利用や地域社会のつながりが損なわれるおそれもあり、慎重な検討が必要であると考えております。
○副議長(田口淳二君)
商工労働部長 大下政司君。 〔
商工労働部長 大下政司君登壇〕
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商工労働部長(大下政司君) 失礼をいたしました。一点答弁を忘れておりましたので、答弁をさせていただきます。 中心商店街の活性化についてのお尋ねがございました。 モータリゼーションの進展等の環境変化の中で、都市中心部自体の求心力、優位性が低下してきております。それに伴います中心市街地の空洞化が全国的にも大変大きな問題となっております。その中でも、空き店舗問題に象徴されます商店街の空洞化につきましては、緊急の課題であると考えております。このため、県といたしましては、今年度に創設いたしました商店街活性化総合支援事業に引き続き一億円の予算を計上するとともに、補助率の引き上げ、賃借料補助期間の延長、補助対象事業の拡大等によりまして、商店街の方々にとりまして使いやすく、また、効果的な事業になるよう、内容の充実・強化を図っているところでございます。この事業は、空き店舗を単に埋めるというのではなくて、集客力の向上につながるような前向きな空き店舗活用事業の支援を行うというものでございますが、さらに、これとあわせて商店街個性化推進対策、駐車場対策などにつきましても、地元市町村と一体となって推進していくものでございます。また、にぎわいの創出や交流拠点性を高めるイベント等のソフト事業を支援する商店街活性化モデル地域支援事業につきましても、引き続き実施していくこととしております。ハード・ソフト両面から、意欲のある商店街を支援してまいりたいと考えております。 県といたしましては、各商店街がこれらの支援事業を積極的に活用され、それぞれの特徴を生かして、消費者、住民の方々に必要とされ、人が集まり、交流する商店街へと発展されることを期待いたしております。 ………………………………………………………………………
○副議長(田口淳二君) 以上をもって本日の日程はすべて終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。
△午後三時二十分散会 ………………………………………………………………………...