長野県議会 2017-12-01
平成29年11月定例会本会議-12月01日-05号
平成29年11月定例会本会議-12月01日-05号平成29年11月定例会本会議
平成29年12月1日(金曜日)
出席議員(56名)
1 番 花岡賢一 28 番 備前光正
2 番 今井愛郎 29 番 吉川彰一
3 番 寺沢功希 30 番 小池久長
4 番 山口典久 32 番 諏訪光昭
5 番 百瀬智之 33 番 髙橋岑俊
6 番 小山仁志 34 番 今井 敦
7 番 小川修一 35 番 丸山栄一
8 番 丸山大輔 36 番 竹内久幸
9 番 酒井 茂 37 番 小林伸陽
10 番 荒井武志 38 番 高村京子
11 番 堀場秀孝 39 番 今井正子
12 番 依田明善 40 番 村上 淳
13 番 石和 大 41 番 小池 清
14 番 埋橋茂人 42 番 宮本衡司
15 番 両角友成 43 番 清沢英男
16 番 藤岡義英 44 番 垣内基良
17 番 髙島陽子 45 番 鈴木 清
18 番 浜 章吉 46 番 西沢正隆
19 番 中川宏昌 48 番 佐々木祥二
20 番 清水純子 49 番 向山公人
21 番 堀内孝人 50 番 高橋 宏
22 番 小島康晴 51 番 宮澤敏文
23 番 小林東一郎 52 番 平野成基
24 番 下沢順一郎 53 番 本郷一彦
25 番 山岸喜昭 54 番 村石正郎
27 番 和田明子 55 番 萩原 清
56 番 服部宏昭 57 番 望月雄内
58 番 古田芙士
欠席議員(1名)
47 番 風間辰一
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説明のため出席した者
知事 阿部守一 林務部長 山﨑 明
副知事 太田 寛 建設部長 油井 均
副知事 中島恵理 建設部リニア整
危機管理監兼危 備推進局長 水間武樹
機管理部長 池田秀幸 会計管理者兼会
企画振興部長 小岩正貴 計局長 清水 深
総務部長 小林 透 公営企業管理者
短期大学事務局
企業局長事務取扱 小林利弘
長兼県立大学設 玉井裕司 財政課長 岡地俊季
立担当部長 教育長 原山隆一
県民文化部長 青木 弘 教育次長 角田道夫
健康福祉部長 山本英紀 教育次長 菅沼 尚
環境部長 関昇一郎 警察本部長 内藤浩文
産業政策監兼産 警務部長 横田直幸
業労働部長 土屋智則 監査委員 田口敏子
観光部長 熊谷 晃
農政部長 北原富裕
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 吉沢 久 議事課課長補佐
議事課長 村松敏伸 兼委員会係長 小林浩行
企画幹兼議事課 議事課担当係長 鈴木晋一
課長補佐 小松健一 総務課担当係長 小澤利彦
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平成29年12月1日(金曜日)議事日程
午前10時開議
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
陳情取り下げの件(日程追加)
議員提出議案(日程追加)
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本日の会議に付した事件等
発言取り消しの許可
行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑
請願・陳情提出報告、委員会付託
陳情取り下げの件
議員提出議案
午前10時1分開議
○議長(垣内基良 君)これより本日の会議を開きます。
本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。
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△発言取り消しの許可
○議長(垣内基良 君)次に、藤岡義英議員から、去る11月28日の会議における一般質問の発言中、「
━━━━━━━━━━━━━━━━━━」の部分及び「━━━━━━━━━━━━━」の部分は取り消したい旨の申し出がありましたので、報告いたします。
お諮りいたします。同議員の申し出のとおり、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、藤岡義英議員の申し出のとおり、これを許可することに決定いたしました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△行政事務一般に関する質問及び知事提出議案
○議長(垣内基良 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。
順次発言を許します。
最初に、山口典久議員。
〔4番山口典久君登壇〕
◆4番(山口典久 君)おはようございます。国民健康保険の
都道府県単位化について、以下、健康福祉部長に伺います。
知事の議案説明では、国民健康保険は、被保険者の高齢化、1人当たりの医療費等の市町村間格差など構造的な課題を抱えており、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保のために財政単位の広域化を行うと述べられました。
本県における1人当たりの保険料の市町村間格差は最大で3.6倍と全国で最も大きく、1人当たり医療費については2.2倍と、北海道に次ぐ2番目の水準ということでした。こうした市町村間の格差もさることながら、被保険者にとっては保険料の負担が増大しており、その軽減は切実な要望になっています。
そこで、長野県の被保険者1人当たりの保険料及び1人当たりの所得は幾らか。また、その比率は何%か。それぞれ本県と全国の数値を伺います。さらに、協会けんぽや組合健保についても同様に伺います。
今回の
都道府県単位化に当たり、保険料の大幅な引き上げが見込まれる市町村には、その対策として激変緩和措置が講じられます。県が9月に公表した第3次の試算では、この激変緩和措置後の保険料についても公表が行われました。しかし、この激変緩和措置を講じた後でも、46市町村において1人当たり保険料の負担が増加しています。そのうち、2村では150%の負担増、9市町村が120%以上の負担増で、全県的にも平均103%です。
保険料については
都道府県単位化が行われても、保険料算定方式は市町村ごとに条例で定めるものであり、その決定権は市町村にあります。こうした中、保険料の決定に当たっては、負担軽減のために一般会計からの法定外繰り入れを選択せざるを得ないのも現実だと思います。しかし、この一般会計からの法定外繰り入れに関し、国は、当面認めるものの、今後、解消、削減の方針は変わらないとされています。長野県はどうでしょうか。
知事が年内に策定すると表明された長野
県国民健康保険運営方針の答申では、昨日の健康福祉部長の答弁にもありましたが、法定外繰り入れは解消すべき赤字と位置づけられ、翌々年度に解消が見込まれない場合は、赤字の要因分析、目標年次、赤字解消・削減のための具体的な取り組みを記載した赤字解消計画を策定し、赤字を解消、削減していくと具体的に記されています。また、県は、計画の策定に対して必要な助言を行うとしています。結局、市町村にとって、被加入者の負担を軽減する手が縛られて、保険料負担の増加を余儀なくされることになりかねません。こうした事態を避けるためにも、法定外繰り入れを初め、市町村が被保険者に対して必要な配慮を行うことができるように、その市町村の自主性を尊重した柔軟な対応が県に求められていると考えますが、いかがでしょうか。また、事業費納付金の算定に当たっては、今後も市町村からの要望や意見を踏まえた対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。
次に、保険料の収納について伺います。
今回設けられた
保険者努力支援制度では、その指標に保険料収納率も挙げられています。そして、保険者規模5万人以上が91.5%、1万人から5万人が95.0%、5,000人から1万人が96.0%など、標準的な収納率が示されています。
また、
国民健康保険運営方針では、収納強化のために県は必要な助言を行うとし、口座振替促進や直接面談、短期被保険者証の交付等により滞納者の状況把握に努め、個別の事情に応じた納付の促進、そして、悪質滞納者に対しては差し押さえ等の滞納処分を積極的に実施、滞納整理機構に委託することなどが具体的に示されています。現在でも、県内の滞納世帯は3万5,000世帯と、加入世帯の1割を超えています。中でも、保険証が行政窓口でとめ置きされ、短期保険証、1カ月から6カ月の期限つきの保険証の発行世帯は1万世帯を超えています。
また、滞納により無保険者となり、病院に行けない事例や、年金、給与、児童手当まで差し押さえられる、いわゆる行き過ぎた取り立ても県内で報告されています。こうした中、今回の運営方針により、一層無理な収納や滞納を招くことにならないか危惧するものです。本来、無理な収納や滞納が行われないようにきめ細かな相談対応をするよう県として市町村に助言することこそ求められていると考えるものですが、いかがでしょうか。
医療費適正化計画について伺います。
県国民健康保険運営方針では、医療費適正化に向けた取り組みの中で、健康づくりの意識の向上は保険料の抑制や保険財政の安定につながるとし、
信州ACEプロジェクトなどが位置づけられています。健康増進を進めることによって保険料の抑制や保険財政の安定を図ることこそ本来の姿であると考えます。その際、特に長野県らしさといいますか、長野県の健康づくりの歴史や伝統を生かした取り組みが重要だと考えます。
市町村における特定健診受診率や保健指導実施率は全国平均より長野県が高い状況をどのように捉えているのでしょうか。また、今後さらに受診率や実施率を引き上げていくための取り組みはいかがでしょうか。
以上、健康福祉部長に伺います。
〔
健康福祉部長山本英紀君登壇〕
◎健康福祉部長(山本英紀 君)国保財政の
都道府県単位化について4点御質問をいただきましたので、順次お答えをさせていただきます。
まず、各保険制度の保険料等の状況についてであります。
国が公表している数値を申し上げますと、平成27年度の本県の市町村国保の1人当たりの保険料・税額は約7万8,000円で、1人当たり所得は約59万2,000円となっており、その比率は13.2%であります。
次に、全国の国保の状況ですが、1人当たりの国保料・税額は約8万4,000円で、1人当たり所得は約68万3,000円となっており、その比率は12.3%です。
次に、協会けんぽ及び組合健保ですが、国が公表しているのが平成26年度の全国のみとなります。協会けんぽの1人当たりの保険料額は約10万7,000円で、1人当たり所得は約142万円となっており、その比率は7.6%であります。
最後に、組合健保ですが、1人当たりの保険料額は約11万8,000円で、1人当たり所得は約207万円となっており、その比率は5.7%であります。
保険料・税の最終的な賦課徴収権限は引き続き市町村に残るため、市町村は、県が提示する納付金額や標準保険料率をもとにして、現状を踏まえた上で個々の保険料・税を決定することとなります。
法定外の繰り入れにつきましては、市町村の参画のもと策定された国保運営方針において、長野県においても解消を図ることとされております。
今回の納付金算定に当たっては、市町村の意見を聞きながら算定方式等を決定してまいりましたが、今後も、県・
市町村国保運営連携会議での議論や市町村への意見照会を行いながら納付金の算定を行ってまいります。
被保険者の公平な保険料負担と国保財政における主要な財源確保の観点から、保険料収納率の向上対策は重要な取り組みと考えております。収納対策に取り組む上で、現在も市町村においては納付相談の機会を設け、滞納者の方の個別の状況を把握した上で対応しており、県においても引き続き丁寧な対応を行うよう助言を行ってまいります。
特定健診受診率等の状況と今後の取り組みのお尋ねであります。
平成27年度の状況で見ますと、特定健診受診率の全国平均36.3%に対して、長野県は45.2%で全国第3位、
特定保健指導実施率の全国平均25.1%に対して、長野県は52%で全国第6位となっております。長野県の受診率及び実施率が高いことにつきましては、市町村の皆様の積極的な取り組みの成果であり、また、県民の高い健康意識のあらわれと思っております。
県といたしましては、
ACEプロジェクトを推進する中で、成果を出している市町村の好事例などの情報提供をすることで市町村間の情報共有を図り、さらなる受診率や実施率の向上に向けて取り組んでまいります。
以上でございます。
〔4番山口典久君登壇〕
◆4番(山口典久 君)国民健康保険被保険者1人当たりの保険料と所得の比率が長野県は13.2%ということでした。協会けんぽ全国の平均が7.6%、組合健保5.7%ですから、国民健康保険の負担の重さは明らかだと思います。国民健康保険に国や地方自治体が財政的な支援を強化することは、他の保険との公平性という観点からも求められていると考えるものです。
医療費適正化について再質問いたします。
健診の受診率の全国に誇るべき到達は、長野県の医師、保健師、保健補導員などの取り組みが大きな役割を発揮したと考えます。とりわけ、長野県の保健師数は全国で断トツだそうですが、その保健師が地域に密着した活動を粘り強く重ねてきたことが県民の健康づくりの大きな役割を果たしてきたと考えます。医師、保健師、保健補導員などとの連携を一層強めて取り組んでこそ、昨日の本会議でも語られました
データヘルス計画も力を発揮するのではないでしょうか。
以上、健康福祉部長に伺います。
国民健康保険の問題の最後に、知事に伺います。
安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保を目的とする新たな制度ですが、加入者への一層の負担増や無理な収納が行われることは、知事が議案説明で、県民の皆様が必要とする医療サービスを安心して受けることができるとしたその方向に逆行しかねないと考えます。国民健康保険の事業が安定しても、県民の暮らしが不安定になるのでは本末転倒になりかねません。言うまでもなく、国民健康保険法第1条は、「この法律は、
国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」とうたっています。
9月定例会では、高村京子議員が、国民健康保険の会計に対して国庫負担の抜本的な増額を求めるよう知事に要望いたしました。国保の収入に占める国庫支出金は、1984年に49.8%あったものが、30年後の2011年には24.8%に激減をしています。まさに半減です。このことが、1人当たり保険料が、この間、2.4倍になった大きな要因であり、国庫負担の増額は構造的解決の最大の鍵だからです。
そこで、知事に伺います。
今や地方分権の時代です。
法定外一般会計繰り入れを初めとした県や市町村の独自の努力、運営方針について、その自主性を尊重するよう国に強く求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
〔
健康福祉部長山本英紀君登壇〕
◎健康福祉部長(山本英紀 君)生活習慣病対策を進める上での医師、保健師等の関係者の連携の推進についてのお尋ねをいただきました。
健康増進、また医療費の適正化を進める上で、近年、糖尿病性腎症の重症化の予防の取り組みが非常に重要となってきております。これにつきましては、人工透析を導入することとなった場合には住民の方々に多大な負担を強いるとともに、医療費としても1人当たり年額500万円程度必要となるということが大きく問題となってきております。
こうした問題に対応するために、長野県としては、先般、医師会等と連携の上、糖尿病性腎症の
重症化予防プログラムを策定し、地域における医師、保健師等の連携を促進するための取り組みを推進しているところでございます。今後とも引き続き、各地において、関係者の連携のもと、取り組みが推進されるよう県としても取り組んでまいります。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)
国民健康保険制度に関連しまして、県、市町村の取り組みの自主性を尊重するように求めていただきたいという御質問でございます。
分権の時代でありますので、例えば医療費の適正化の努力みたいなところは、でき得る限り地方の取り組みをしっかり尊重してもらうということは私も重要だというふうに思っております。
他方で、この社会保障制度の根幹的なものでありますので、山口議員の御質問の趣旨とちょっと違うかもしれませんけれども、やはり国がしっかりと責任を持って安定的な制度にしていくということが重要だと思っています。
これまで、どちらかというと市町村の努力に任されていた部分がありますけれども、今回、我々都道府県も、保険者、財政運営の責任を持つ立場としてかかわっていくわけでありますので、市町村とも十分協議をした上で、そうした被保険者の皆様方の御理解をいただきながら、より安定的な制度になるように努力をしていきたいと思いますし、財政的な負担については、
都道府県単位化したから国が一歩引くというようなことではなくて、国保制度というのは社会保障制度の根幹をなすものでありますから、引き続き国がしっかりと責任を果たしてもらうように求めていきたいと思っています。
以上です。
〔4番山口典久君登壇〕
◆4番(山口典久 君)次に、
リニア中央新幹線について伺います。
南アルプストンネルの工事着手から1年が経過しました。しかし、工事が進むにつれ、JR東海に対して新たな不安や不信が広がっています。
先日、大鹿村を訪ね、住民の方からお話を伺いました。非常口の工事に着手している釜沢の集落では、残土の仮置き場が設置されます。その仮置き場の設置工事開始に当たっては、地元自治会に事前に連絡を行うと説明されておりましたが、実際は連絡はありませんでした。この件は、JR東海から施工業者への引き継ぎに問題があったようです。その後、地元自治会には説明があったそうですが、住民の皆さんはそのときの困惑ぶりをお訴えになりました。
さらに、この仮置き場は3年と期限が限定をされています。その後の話はまさに白紙の状態です。しかし、JR東海は、その使用期限が切れた後、クラインガルテン、いわゆる滞在型市民農園として整備して活用する案を突然住民説明会に持ち出しました。私も見せていただきましたが、既にそのイメージ図までつくられておりました。仮置き場だと言いながら永久的な残土処分場の計画をつくっていたわけで、これでは話が違うじゃないかという住民の訴えは当然だと思います。
昨年、
南アルプストンネルの工事着手の合意前のことですが、JR東海は、説明会を開催すれば理解が進んだとし、さらに、住民合意が得られたかどうかはJR東海が判断することとしたことが地元住民の皆さんの不信と不安を広げました。結局JR東海は変わっていない、これが今地元の皆さんが持っていらっしゃる思いであり、これも当然のことだと思います。
大鹿村では、鳶ケ巣沢という大崩落地の土砂堆積部に残土を盛り土するという話が出ています。私も現場を見ました。大崩落の爪跡に自然の脅威を感じざるを得ません。ここは、明治時代から崩落が続き、その規模は30ヘクタールに及びますが、崩落した土砂は、大鹿村を貫く小渋川をせきとめ、過去においてもたびたび災害を引き起こしてきたところで、崩壊地復旧、災害の防止のために、昭和39年から直轄治山事業が行われているところです。ここを残土処分場として盛り土することは、下流の村の中心部に土砂災害を及ぼすことが当然予測され、私も背筋が寒くなる思いでした。こうした強引な事業の進め方や決定は認められるものではなく、県として問題の原因を明らかにする必要があると考えます。とりわけJR東海に対して厳しく対応を求めていくべきではないでしょうか。
リニア整備推進局長に伺います。
問題点を幾つか例示させていただきましたが、大鹿村だけでなく、リニア沿線の自治体ではいろいろな課題が生じています。
日本共産党県議団は、計画段階から5年間、合計6回にわたり沿線自治体の現地の調査を重ねてきました。JR東海の住民置き去りのやり方と前のめりに事業を進めていくその姿勢がもたらす矛盾は広がるばかりです。
もともと、2014年6月5日の中央新幹線に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見でも、相当な環境負荷が生じることは否めないとされた事業です。膨大な電力を消費し、残土処分先の環境や安全性、活断層のずれや地震対策、そして採算性など、問題点は枚挙にいとまがありません。もちろん、問題が浮上しているのは長野県だけではありません。JR東海が
南アルプストンネル本線工事静岡工区について施工業者と工事契約を先日結びました。
川勝平太静岡県知事は、大井川の流量減少や自然環境の保全などの課題への対応が明確になっていない中での契約は遺憾だ。今後もJR東海の誠意ある対応を求めるとのコメントを出されました。本日の新聞報道によりますと、静岡県が窓口になっている利水の協定について、知事は撤回に近いところにいると述べたことが報じられております。
阿部知事にお伺いいたします。
これまでも知事は丁寧な説明と住民の理解、納得を求めるとして、トップ会談を含めてJR東海には率直に意見もされてきたと思います。しかし、現状を見れば、このまま工事を続けることは将来にわたり重大な禍根を残すことになりかねません。一旦工事を凍結し、計画の再検討、丁寧な説明と住民合意のためのあらゆる努力をJR東海に対して強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。阿部知事に伺います。
〔
建設部リニア整備推進局長水間武樹君登壇〕
◎
建設部リニア整備推進局長(水間武樹 君)
リニア中央新幹線の工事に関するJR東海の地元対応についてのお尋ねでございます。
現在工事が本格化している大鹿村や豊丘村では、
トンネル掘削工事や工事用道路などの着手に当たっては、JR東海と工事施工業者が一緒になって関係地域への説明を行い、住民の皆様の御意見、御要望をお聞きした上で工事が進められています。
また、大鹿村では、並行して、地域の不安や影響を極力低減することや、さまざまな苦情などに対応するため、JR東海、施工業者、県、村、関係団体、自治会代表者及び住民から構成する大鹿村
リニア連絡協議会が設置され、工事に関する情報や住民意見などを関係者が共有しながら課題解決に取り組んでいます。こうした取り組みをしっかりと続けていくことにより、住民の皆様と顔の見える関係をつくり、個別の課題に適切に対応していくことが必要と考えております。
議員から御指摘のありました幾つかの事例につきましては、現場の実態や経緯などを確認した上で、必要があればJR東海に対応を求めてまいります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)
リニア中央新幹線に関連して、地元の思いをしっかり反映すべきと、JR東海にこうした状況では凍結を求めるべきではないかという御質問でございます。
リニア中央新幹線の整備を進めていく上では、地域の皆様方の御理解と御協力が大変重要だということについては私どもも十分認識しておりますし、そうした旨はJR東海にも再三にわたってお伝えをしてきているところでございます。
また、JR東海の柘植社長とも直接話す機会をつくって地域の声をお伝えをしてきております。現地体制の強化、あるいは地元への情報提供のあり方なども含めて申し入れを行い、一定の改善も図られてきているところというふうに考えております。
大鹿村からもJR東海にさまざまな要望を出されてきているわけでありますけれども、例えば工事用車両の台数を減らしてくれというようなことについては、発生土の仮置き場を利用して台数を削減したり、あるいは、バイパスのトンネルも、当初1本だったものを、この1本では足りないということで2本にしてもらったり、あるいは通学路の対策ということで交通誘導員の配置や減速運転の徹底と、こうしたことも対応してきてもらっているところでございます。
11月17日に
リニア中央新幹線建設促進長野県協議会総会が開かれたわけでありますけれども、その場において決議をいたしましたが、地元への十分かつ丁寧な説明、あるいはさらなる現地体制の強化、こうしたことを内容としております。この旨、JR東海にはお伝えをしているところでございます。
県としても、さまざまな機会を通じてJR東海に地域の声をしっかり伝えるとともに、その声に耳を傾けて、信頼関係の構築あるいは地域の皆様方の不安払拭に向けた努力を行うように引き続き働きかけていきたいと考えております。
以上です。
〔4番山口典久君登壇〕
◆4番(山口典久 君)大鹿村では、連絡協議会を結成し、住民の皆さんや村の皆さんの意見、要望をお聞きしながらJR東海と情報の共有などを進めているというお話でした。こうした中で、例えば大鹿村はJR東海の担当職員もふやされて、そういう意味では体制的な前進が進んだと現地の方は言われておりました。
しかし、この間、先ほども御紹介しましたように、説明会を開催し理解は進んだとしながら、住民の合意を得られたかどうかはJR東海が判断するものというトラウマは今も深く残されています。あの小さな村の皆さんにとって、大鹿村だけではなくて下伊那地方のあの山合いで暮らす皆さんがJR東海に対して声を上げ、意見を言う、本当に勇気のいることだと思います。その思いをしっかり酌み取っていただき、JR東海に対して物を言っていただきたいと思います。
住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法について質問します。
空き家、空き室を宿泊施設として提供する民泊をめぐるトラブルは各地で後を絶ちません。そんな中で、民泊新法、住宅宿泊事業法が成立いたしました。長野県の観光産業、県内のホテルや旅館の営業に大きな影響を及ぼしかねない問題として、関係者の間ではさまざまな不安が広がっています。
この法律が適用される以前、現段階の話ですが、長野県でも、旅館業法の許可がないままのいわゆる違法民泊について、ことし6月の時点で現地確認が必要な施設数が376施設、うち41施設については事業者と接触できなかったり、指導を継続して行っている状況とのことです。民泊新法に基づき、違法民泊も一層広まる懸念もある中で、違法民泊をなくすために現地確認や指導を現段階でも一層強化することが必要ではないでしょうか。
政府が10月末に決めた施行令や施行規則は、事実上の推進宣言であります。この民泊新法におきましては、条例により民泊を営業できる区域や営業日を規制できるとしていますが、規制できるのは、別荘地の繁忙期や山間地で渋滞が発生する時期などとされており、県内の関係者の皆さんの不安に応えるものにはなっておりません。
軽井沢町では、町内全域で民泊施設を認めないとする見解に基づく独自の規制を行っているとのことです。地域の中小企業や小規模事業者が営業を継続、維持し、住民が安心して暮らせる観光政策こそ、この長野県には求められているのではないでしょうか。条例の制定に当たっては、長野県は県内において営業目的の民泊は認めない条例を求めますが、いかがでしょうか。
以上、健康福祉部長に伺います。
〔
健康福祉部長山本英紀君登壇〕
◎健康福祉部長(山本英紀 君)住宅宿泊事業法に関連して2点御質問をいただきました。
違法な民泊サービスについては、市町村や業界団体、消防署等関係機関に情報提供を依頼するとともに、宿泊者を募集するインターネット上の仲介サイトからの施設検索を行うなど、各保健所において情報収集し、施設の所在地や営業者の特定作業を実施しております。営業者が特定できた場合には、保健所職員が現地調査を実施し、家主や管理者に対し旅館業法の許可を取得するよう指導を行い、一定期間後に指導に対する履行状況の確認を行っておりますが、本年9月には全県で43件の施設に対して指導を実施したところです。
一方、現地訪問の結果、施設を特定できない場合には、近隣住民等からの聞き取り調査を行うなど営業実態の把握に努めているところです。今後も、引き続き違法な民泊サービスの特定に努め、保健所の指導に従わない悪質な事業者に対しては、警察署と連携し、違法な業者に対する指導を行ってまいります。
議員御指摘の営業目的の民泊とは、家主が居住し、自宅の1室を宿泊者に提供する家主居住型ではなく、家主が居住しておらず、管理業者に管理を任せる家主不在型を指しておられるものと拝察をいたします。家主不在型の民泊は、管理者が常駐していないことが想定されることから、家主居住型に比べ、ごみ出しのルールがおろそかになったり、騒音の発生に対して迅速に対応ができないなどのおそれがあることも予測されます。今後、国から示されるガイドライン、県で設置しております検討会における議論等を踏まえ、対応を検討してまいります。
以上でございます。
〔4番山口典久君登壇〕
◆4番(山口典久 君)とりわけ、家主不在型について、住宅密集地や分譲・賃貸マンションでの民泊禁止など、条例で厳しく規制することを求めて、質問を終わります。
○議長(垣内基良 君)次に、丸山大輔議員。
〔8番丸山大輔君登壇〕
◆8番(丸山大輔 君)初めに、次期総合5カ年計画について伺います。
次期総合5カ年計画は、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略を包含するものとされています。人口定着・確かな暮らし実現総合戦略は、少子化・人口減少社会に対応し、これを克服するものとして、自然減への歯どめ、社会増への転換、仕事と収入の確保、人口減少下での地域の活力確保を基本目標として、県のあらゆる分野に反映していく戦略となっています。
これは、少子化、人口減少が県のあらゆる分野に影響する根源的な問題であり、政策を総動員して解決、対応が求められる避けては通れない問題であるためです。信州創生戦略を包含するという意味においても、次期総合5カ年計画において、少子化、人口減少を根源的問題として取り扱わなければなりません。答申では、長野県を取り巻く状況としては取り上げられておりますが、各施策においても、少子化対策、人口減少対策も練り込まれたものになっていくとは思いますが、信州創生戦略にあるような、少子化をとめるんだ、人口減少社会に対応し、これを克服するんだという強いメッセージを表に出していく必要があると感じております。
次期総合5カ年計画に従って各種施策を実行するに当たって、課題解決が場当たり的にならないようにするため、また、将来の県づくりに確実につなげていくためにも、少子化対策、人口減少対策は方針の中心に据えるべきであり、例えば、学びと自治の力が推進エンジンとなって政策を展開という方針が全体を貫くことを受け、人口減少を食いとめ、人口減少社会に対応というような全体を貫く基本方針を設定すべきではないかと考えます。
そこで、長野県議会総合5か年計画研究会において、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略に関する内容が弱いとの指摘があったと伺っていますが、このような指摘をどのように受けとめているでしょうか。人口減少を食いとめ、人口減少社会に対応というような全体を貫く基本方針を設定すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
長野県を取り巻く状況には、従前からの人口の将来展望が示されており、一定の政策を講じた場合と特段の政策を講じない場合の人口推計のグラフとなっていますが、この5カ年計画を実施することが一定の政策を講じた場合に該当していくのか否か、企画振興部長に伺います。
また、現状と課題という状況分析の中において長野県の特性として示されている内容は、長野県の強みと言っていい内容であります。強みを理解して伸ばしていくことは、コアコンピタンスという意味でも有効であるとは思いますが、弱みも重要であると思います。弱みを理解し、これにどう対応するのかを決定することで、漫然と事業に当たるのではなく、力の入れ方が変わってきて、より効果的な計画とすることが可能だと考えます。この点についての知事の御所見と、計画への反映をどのようにしていくのか、お考えを伺います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)総合5カ年計画に関連しまして、私に2点御質問を頂戴いたしました。
まず、人口減少を食いとめ、人口減少社会に対応するといった全体を貫く基本方針を設定すべきと考えるがどう思うかという御質問でございます。
今回、信州創生戦略と総合5カ年計画を統合するものでありますので、御指摘の点は全くそのとおりだというふうに認識をいたしております。そういう意味で、答申の中でも、この人口減少問題が現状と課題の1番目に掲げられているわけでありますが、これから私どもが計画を具体化していくに当たりましては、御指摘がありましたように、地域計画の共通の視点として、人口減少に歯どめをかけること、あるいは人口減少社会であることを踏まえるということを明確に位置づけることを考えていきたいというふうに思います。
また、加えて、信州創生戦略でいろいろな視点を打ち出しています地消地産の推進であったり、人生二毛作社会の実現であったり、人生を楽しむことができる働き方、暮らし方の実現であったり、人口減少社会において暮らしやすい社会をどうつくるかということは2年や3年で変わる話ではないわけでありますので、信州創生戦略のコアの概念については基本的にできる限り引き継いでいく方向で検討していかなければいけないというふうに思っています。今後、具体的な検討をすることによりまして、御指摘があった点についてもできる限り新しい計画の中で具現化できるように取り組んでいきたいと思います。
それから、もう1点の弱みへの対応ということでございます。
これも重要な御指摘だというふうに思います。行政の計画はどうしても前向き感を出さなければいけないということで、地域の長所、特性、強み、そうしたポジティブなところを比較的強く出していきます。もとより、全体的に暗い計画になってはいけないわけでありますけれども、しかしながら、具体的な政策をつくっていくに当たりましては、当然、問題、課題、弱み、弱点、こうしたものを直視しなければしっかりとした計画はつくれないというふうに私も感じております。
計画の具体的な構成については今検討している段階でありますけれども、御指摘いただいたように、我々行政が感じている問題意識あるいは長野県としての課題、弱点、こうしたものもできるだけ明記をさせていただいて、そうしたものに対してどう対応するかということもできる限りわかりやすくお示しすることができるように取り組んでいきたいというふうに思います。
以上です。
〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕
◎企画振興部長(小岩正貴 君)次期総合5カ年計画の実施が人口減少に歯どめをかける一定の政策になるのかという御質問でございますが、この次期計画は、信州創生戦略を統合、継承するものでございます。急激な人口減少を大きな課題と受けとめた上で、信州創生戦略の趣旨を共通の視点として政策を構築、実行することとなります。したがいまして、総合5カ年計画に基づく政策は、人口減少に歯どめをかける一定の政策に該当するものでございます。
以上でございます。
〔8番丸山大輔君登壇〕
◆8番(丸山大輔 君)少子化対策、人口減少対策について、答申での記述が弱かったので非常に心配をしておりましたが、今、知事からそのコアな部分として具現化していくというような力強いお話を伺いましたので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいというように思います。
学びと自治ということで、各地で力強い取り組みが行われるということが前提であろうかと思います。ただ、そういった個々の小さな取り組みが、人口減少という大きなうねりの中で打ち消されてしまわないように、県としては大きな力としてぜひ人口減少に取り組んでいただきたいというようにお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。
消防団の充実強化について伺います。
消防団は、地域の安心、安全や地域コミュニティーの担い手として非常に重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。そしてまた、消防団とは、まさに学びと自治そのものであります。消防団としての取り組みや伝統、世代間の交流、さまざまな行事にかかわることで、地域や人間関係、立場や立ち居振る舞いを学び、みずからの能力を高め、地域の問題を主体的に捉え、自治の担い手となっていく、学びと自治の機能を余すことなく持っている組織です。しかし、人口減少や地域とのかかわりの疎遠化、自分事で手いっぱいな状況などから、団員の確保が困難になっている状況が続いています。
県では、信州消防団員応援ショップなどによる支援を行い、消防団応援減税制度や入札参加資格等の消防団協力事業所に対する優遇措置により、平成29年4月現在では、認定事業所は1,161事業所と全国トップクラス、また、県内77市町村全てが消防団協力事業所表示制度を導入している状況と聞いております。他県に比べても手厚い取り組みとなっていることは評価するところです。しかし、全県的な団員数を維持できる状況にはなっていません。入団を促すためのインセンティブがより必要な状況と判断できます。次期総合5カ年計画でも力を入れて取り組んでいただきたいというように思います。
そこで、危機管理部長に伺います。
県では、消防団の充実強化のために各種支援策を実施していますが、その効果についてどのように分析されているでしょうか。信州消防団員応援ショップの広がりはどのような状況でしょうか。また、登録店拡大のためどのように取り組んでいるでしょうか。
消防団員が各地で実際に団員の勧誘に取り組んでいるわけですが、入団を勧めるに当たっては、入るとこんないいことがあるよというようなメリットを提示できると勧誘がしやすいというような声があります。このことについての御所見をお伺いいたします。
国が進める学生消防団活動認証制度は、在学中の消防団活動を認証する証明書を市町村長が発行することで就職活動に有利になることから、学生の消防団への加入を促進して消防団活動への入り口にしようというものですが、この取り組みの県内での状況はどうなっているでしょうか。また、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。危機管理部長にお伺いいたします。
〔危機管理監兼危機管理部長池田秀幸君登壇〕
◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸 君)消防団員の充実強化について御質問をいただきました。順次お答えを申し上げたいと思います。
最初に、消防団の充実強化の支援策や効果についての御質問をいただきました。
消防団は地域防災力のかなめであることから、県といたしましては、消防団の充実強化のために、消防団への加入に向けて各種支援策を講じているところでございます。消防団員を確保するためにさまざまな店舗においてサービスが受けられる信州消防団員応援ショップ事業の実施でありますとか、学生消防団員について、市町村がその実績を認証することにより就職活動を支援する学生消防団活動認証制度の普及などを実施しているところでございます。
また、消防団員が働きながら十分な活動をするためには、消防団員を雇用する事業所の皆様の協力が不可欠でございます。消防団員を一定数雇用し、市町村から消防団協力事業所に認定された事業所に対し、県では、消防団応援減税、入札参加資格の優遇、中小企業振興資金の金利の優遇や知事表彰を実施させていただいているところでございます。
議員御指摘のとおり、消防団協力事業所につきましては、平成24年度以降5カ年で13%増加をいたしまして、現在1,161事業所となっておりまして、これは全国で2番目の事業所数となっておるところでございます。これら支援策の効果につきましては、地域での熱心な加入活動もありまして、県内の消防団員数は、平成29年4月1日現在3万4,833人で、全国で3番目に多い人数を維持しておりますし、減少率につきましても、平成19年度から平成23年度までの5カ年では3.3%でございましたが、平成24年度以降の5カ年では2.9%と低下してきており、各種施策が一定の効果を上げているものと考えております。
次に、信州消防団員応援ショップの状況や登録店舗の拡大についての御質問でございます。
この事業は、消防団員だけでなく、消防団員を支える御家族の皆様も、応援ショップに登録いただいている店舗から価格の割引などのサービスの提供が受けられるものでございます。また、地域の皆様が消防団員の活動に対する感謝の気持ちを伝えるとともに、地域防災に対する意識の向上を図っていただく事業でございます。店舗の登録状況でございますが、平成28年1月の制度発足以降、現在までに1,250店舗に御登録をいただいております。
県といたしましては、今後も、企業、関係団体を訪問いたしまして勧誘活動を実施するほか、市町村や県消防協会などと連携いたしまして、登録店舗の拡大に努めてまいりたいと考えております。あわせまして、応援ショップの利用促進を図るために、県、消防協会のホームページや広報誌などさまざまな媒体を通じてこの事業のPR活動に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
次に、消防団員勧誘時に提示できるメリットなどについての御質問でございます。
消防団員の勧誘につきましては、市町村や各消防団において熱心に行われておりますが、御苦労されている面もあるとお聞きをしております。先ほど申し上げましたように、県では、信州消防団員応援ショップ事業や消防団活動協力事業所の優遇措置といった消防団員やその御家族、さらには消防団員を雇用する事業主の皆様にとってもメリットがある事業を展開させていただいております。今後は、勧誘の際にこれらの事業を紹介し、また、消防団の活動をわかりやすく伝えるパンフレットなどを作成いたしまして、勧誘の際に活用していただきたいと考えております。また、県政出前講座、これは危機管理部では昨年度109回実施をさせていただいておりますが、この機会も活用しながら地域の皆様の消防団活動への御理解を深めてまいりたいと考えております。
次に、学生消防団活動認証制度の状況と今後の取り組みについての御質問でございます。
学生消防団活動認証制度の県内市町村の導入状況でございますが、平成29年4月1日現在、導入済みの市町村は8団体、導入を検討している市町村は6団体となっておりまして、県内の学生消防団員数は42人となっております。学生消防団員の加入促進につきましては、毎年1月から3月に行っております消防団入団促進キャンペーンにあわせまして、大学や専門学校への訪問、パンフレットの配布などで消防団活動を紹介するとともに、学生消防団活動認証制度の周知を図っているところでございます。今後も、制度の浸透が図られますよう、県といたしましても市町村への導入の働きかけや信州大学などとの連携協定を活用し、県内学生への制度の周知や学生団員の拡大に引き続き努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔8番丸山大輔君登壇〕
◆8番(丸山大輔 君)勧誘に向けてパンフを作成していただくということで、ぜひ使いやすいものにしていただきたいと思います。刷らなくてもホームページ上で印刷できるようにしてもらえればいいのかなとも思いますし、刷っていただいても結構だと思いますが、ぜひそういったツールの御用意をお願いしたいと思います。
応援ショップもさまざまな種類があるというように聞いております。自動車免許の限定解除ができる、そういったところに支援するような応援ショップもあるというように聞いていますし、いろいろな種類、いろいろなメリットがあるということが余り知られていない部分が多いんではないかなというように思いますので、ぜひ周知をしていっていただきたいというふうに思います。
また、学生消防団につきましても、入団促進も重要ですけれども、まだ8市町村しか対応していないということで、こちらのほうをぜひ急ぐべきではないかなというように考えております。そういったあらゆる手だてをもって、地域の担い手、今現在の担い手でもありますし、将来の担い手にもなる消防団員をぜひ増強していっていただきたいというようにお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。
アルコール健康障害対策推進計画について伺います。
11月7日、県のアルコール健康障害対策推進会議において、過度の飲酒に起因した心身の健康障害を防ぎ、依存症の治療体制の充実を図る計画案がまとまり、これを第2期保健医療総合計画の柱の一つに位置づけると伺っております。
豊富な地酒やワインといったアルコール産業資源を持つ本県にとって、飲酒が人生を豊かにし、適度な飲酒によって健康寿命を延伸するためにも、県民が正しい理解と知識を持ち、過度の飲酒を防止するとともに、健康障害者への切れ目ない支援体制を構築していこうというこの取り組みは非常に重要であり、世界的な問題であるアルコール依存症を抑止することは、医療費の抑制のみならず、社会の安定に寄与するものとして高く評価されるべきものであり、計画策定に向けてさらなる議論の充実を期待しております。
そこで、健康福祉部長に伺います。
生活習慣病のリスクを高めるとされているアルコール量1日平均男性40グラム、女性20グラム以上を摂取する人の割合は、平成28年度で男性10.8%、女性が6.5%とされていますが、経年的な状況の変化はどうなっているでしょうか。また、それをどのように分析されているでしょうか。
計画策定に当たっては、確実に効果を上げていくためにも成果目標が必要と考えますが、どのような指標を掲げていくべきとお考えでしょうか。
具体的な施策として、県民への健康障害に対する正しい理解を求めるとしています。啓蒙的な施策は数多くありますが、効果が上がりにくいという問題があります。保健医療総合計画の柱の一つに位置づけるとするならば、その点も当初から考慮しておく必要があると考えます。理解していてもなかなか実現できない、適正量の飲酒も悪いという誤解を招くおそれがある、周知が広がらない問題などを克服する必要がありますが、これをどのように実現していくべきとお考えでしょうか。
酒類事業者や行政は適度な飲酒量などの情報提供を行うこととされていますが、酒類業者は、店頭で適正飲酒の10カ条を掲示するなど、適正飲酒に向けた取り組みを行っているところです。9月の部長答弁にもありましたが、アルコールの分解速度には個人差があることや、適度な飲酒量は、男女のみならず、年齢や体型や体質によって異なることから、取り扱いには注意を要すると考えますが、情報提供すべき適度の飲酒量についてのお考えをお伺いいたします。
〔
健康福祉部長山本英紀君登壇〕
◎健康福祉部長(山本英紀 君)アルコール健康障害対策推進計画案について4点御質問をいだきましたので、順次お答えさせていただきます。
県民健康・栄養調査の結果によると、生活習慣病のリスクを高めるアルコール量の飲酒者の割合は、男性は22年の15.7%から28年には10.8%へ減少しておりますが、女性は6%前後で推移し大きな変化は見られない状況であります。この状況は、学校における飲酒による健康への影響等に関する学習機会の提供や、職場等における保健指導などの取り組みが推進されたことによるものと考えております。
現在策定中のアルコール健康障害対策推進計画におきましては、県民一人一人がアルコールや飲酒に伴うリスクに関する正しい知識を共有し、必要時に適切で切れ目のない支援につなげることを基本目標としております。リスクに関する正しい知識を共有するという観点から、法律により禁止されている未成年者の飲酒や、低体重や脳障害など胎児への影響が指摘されている妊娠中の飲酒といった不適切な飲酒をなくすという指標を設定しております。また、必要時に適切な支援につなげるため、アルコール健康障害に関する相談拠点の設置を目標に掲げております。
飲酒による心身への影響や適度な飲酒量などに関する正しい情報の普及に当たりましては、議員御指摘のとおり課題があると考えております。このため、家庭、学校、職場、市町村、酒類事業者などの関係者の御理解、御協力のもと、連携して取り組みを進めていくことが重要と考えております。これまでも、長野県小売酒販組合連合会では、税務署、警察、酒類メーカー、学校などと連携し、未成年者飲酒防止・飲酒運転撲滅キャンペーンを実施するとともに、地域や職場における健康診断や保健指導の機会においても、受診者の飲酒状況に応じて適度の飲酒に向けた助言等を行っております。
県といたしましては、関係機関の密接な連携のもと、情報、課題を共有し、研修会の開催などの取り組みを一層推進することにより、飲酒による心身への効果や飲酒に伴うリスクなどに関する正しい理解の促進を図ってまいりたいと考えております。
情報提供すべき適度な飲酒量についてのお尋ねがありました。
国が定めるアルコール健康障害対策推進基本計画におきまして、節度ある適度な飲酒について情報提供する旨が規定をされております。節度ある適度な量として、健康日本21にありますとおり、純アルコール摂取量1日当たり約20グラム程度であることに加えて、生活習慣病のリスクを高める飲酒量や、これらの量が年齢、性別、体調などによって影響を受ける可能性があることも情報提供すべきであると考えております。
以上でございます。
〔8番丸山大輔君登壇〕
◆8番(丸山大輔 君)先ほど量について伺ったのは、やはり適度な量というのは個人差があるということで、情報提供をする内容としてはなかなか難しいんではないかなという思いもあります。今、業界で取り組んでいるような適度な飲酒という方法、飲酒量でなくて適度な飲酒という方法を中心に据えて取り組むことをお考えいただけたらというように思います。
酔えればいいという飲み方から、長野県としては、酒産業の資源を十分生かして文化的な飲み方を広げていく、そして、健康長寿世界一へとつなげていくようなお取り組みとなることを御期待申し上げまして、一切の質問を終わります。
○議長(垣内基良 君)次に、備前光正議員。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)まず、地熱発電の推進について伺います。
11月6日から18日まで、ドイツで、COP23、国連気候変動枠組条約締約国会議が開かれました。米国トランプ政権のパリ協定離脱表明の問題もありますが、この7月には、イギリスとフランスが相次いで2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を、また、世界最大の自動車市場の中国も電気自動車化を進めようとしており、世界の流れは脱化石燃料時代へと加速しております。
そこで、今回は、24時間安定的に発電でき、炭酸ガス排出もほぼゼロの純国産エネルギーである地熱発電について、党県議団は大分県でのバイナリーなどの地熱発電や、先月は、1966年、日本初の商用発電を開始した岩手県松川地熱発電所を視察し、このことにつきまして質問をしたいと思います。
火山国日本は地熱資源が豊富で、環境省や経産省の調査でも、火山の数では米国やインドネシアに次いで世界3位で、地熱資源も3位で2,347万キロワットのポテンシャルを持っていると言われております。さらに、東日本大震災による原発事故を受け、地熱発電は、天候などに左右されず、常時自給できるエネルギーとして注目され、位置づけが上がりました。これまでは、資源が国立や国定公園に分布していることが施設設置のネックでありましたが、規制緩和等もあり、開発が可能となってまいりました。
本県は、火山に囲まれ、地熱資源が相当量あると予想されます。環境省の再生エネルギー導入ポテンシャル調査に地熱資源の賦存量及び導入ポテンシャルの結果が出されておりますが、長野県は高温域の150度以上は少ないのですが、53度から120度の賦存量は北海道に次ぐ2位で64万キロワットと推計されております。
そこで、まず、火山に囲まれ、温泉が多い本県は、比較的低温でも発電が可能であるバイナリー発電が有効であると思いますが、ほぼ無尽蔵な地産地消のエネルギーとしての地熱資源の活用についての可能性はどのように認識されているのでしょうか。
また、地熱発電は、エネルギーの地産地消に寄与し、温泉県信州のアピールにもつながると思いますが、導入のためにはどういったことが必要で、課題と考えられているのでしょうか。
以上、環境部長に伺います。
〔環境部長関昇一郎君登壇〕
◎環境部長(関昇一郎 君)まず、地熱発電等の可能性についてのお尋ねであります。
温室効果ガスの削減を目指すパリ協定が発効し、再生可能エネルギーの重要性が一層高まる中で、我が国の地熱利用は、世界第3位という豊かな資源量に対して利用率は2%強と低くとどまっており、開発の余地が多く残されていると言われております。
長野県の地熱の賦存量は、議員御指摘のとおり、熱資源全体では全国6位でありますが、そのうちの53度から120度の低温では全国第2位となっております。しかしながら、県内の地熱発電の現状を見ますと、議員御指摘のバイナリー発電という形で水よりも沸点の低い媒体を活用した低温の蒸気で発電する方式が1件のみとなっておりまして、県内での今後の導入拡大の余地は大きいものと考えております。
次に、地熱発電を導入するためにはどういったことが必要かについてのお尋ねであります。 地熱発電の開発には、地熱資源を確保するための調査や評価、発電の方式や出力の決定、地域合意の形成、温泉法や自然公園法などの許認可手続、そして発電所の建設といった多くの手順があります。このため、発電開始までのリードタイムが長くかかり、それに耐え得る資金やノウハウが必要になってきます。
また、地熱発電には、既存の温泉利用にどのような影響が出るかについての懸念や、景観や自然保護の観点からの懸念などが多いことから、地域での丁寧な合意形成を経ながら事業を進めることが特に重要であります。
これに加えまして、地熱発電の経済性を向上させるためには、発電だけではなく、農業や暖房などでの熱の有効利用もあわせて検討することや、稼働後に課題となる定期的なスケールの除去などへの対応も必要となります。県では、こうしたさまざまな課題の解決を支援しながら、地域での合意形成を経て地域の活性化につながるような地熱発電の事業化を促してまいりたいと考えております。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)焼岳の岐阜県側では、中尾温泉で、このたび2メガワット級の地熱発電がスタートをしているそうであります。長野県の火山や温泉でもこうした可能性を探求していただきたいというふうに要望したいと思います。
次に、信州F-POWERプロジェクトについてお尋ねいたします。
本事業に対し、党県議団は、これまで、先進事例を紹介しながら製材部門の事業の安定的な確立を求めつつ、小規模分散での熱効率も高い利活用計画への変更も提案をしてまいりました。そこで、今回、私たちは、先進地の岩手県釜石地方森林組合などを視察し、改めて質問をしたいと思います。
まず、製材部門の稼働はしましたが、ことし9月にはアカマツ材の受け入れを中止し、さらには床材の販路開拓にも課題があるとのことでありました。知事は、9月議会での両角議員の質問に対し、製材事業の安定化を図っていかなければならない、そして、販路拡大、原木の安定供給の課題解決に取り組み、情報共有をしつつ、事業者に対して指導すると答弁されております。
そこで、稼働中の製材事業の進捗状況はどうなのでしょうか。原木としての持ち込み量、また、製品として床材はどのくらい販売されているのか。販売額も含め、当初計画との関係ではどう推移しているのでしょうか。
また、本事業は、27年3月にグリーンファイナンス推進機構が5億円の出資を決定されたと報じられており、これは現在どうなっているのでしょうか。このままバイオマス発電が着工も稼働もしないままで推移すれば、失効や返金は生じないのでしょうか。
さらに、さきの寺沢議員の征矢野建材の決算状況の質問に対し、個別企業の問題という答弁でありましたが、それでは、議会はこの事業者がしっかりと対応できるのかの判断はできないわけであります。そこで、事業状況の指標として、本事業の四半期の経営状況の説明を求めます。
以上、林務部長の答弁を求めます。
〔林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)信州F-POWERプロジェクトについての御質問に対しまして順次お答え申し上げます。
初めに、原木の持ち込み量は、平成28年度、7万立方メートルの当初計画に対しまして5割の状況となっておりまして、また、販売量は約5,400立方となっているところでございます。当初想定外の事故等があったことから、事業主体におきましては、製材ラインを調整し、大手メーカーとの販路開拓を着実に進め、平成32年度を目途に、さまざまな課題を改善しつつ、安定した経営体制の構築に取り組んでいるところでございます。県としても、所期の目的の実現に向け、しっかり役割を果たしてまいります。
続きまして、木質バイオマス発電事業に対するグリーンファイナンス推進機構の出資に関するお尋ねでございます。
平成27年3月27日付でグリーンファイナンス推進機構が公表した出資決定に関し、事業主体から現在もその状況に変化はないと聞いております。発電事業に関しましては、寺沢議員の御質問にお答えいたしましたとおり、現在、出資者間で発注に向けた大詰めの調整が行われており、予定どおり出資を受けて事業実施するものと見込んでおります。
続いて、プロジェクト全体の経営状況についてのお尋ねでございます。
本プロジェクトは、現在、1社を事業主体とする製材工場のみの稼働の状況でございまして、結果として個別の企業の状況となってしまうというものでございます。そうしたことから、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいというものでございます。
なお、本プロジェクトは、製材事業と発電事業が一体で稼働してこそ所期の目的が達せられるものでございます。県としましては、製材施設は補助施設でありますので、円滑な運営がなされるよう指導を行うとともに、プロジェクト全体の調整役としての役割をしっかりと果たし、プロジェクト推進をしてまいりたいと考えております。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)私も議会質問に当たり資料をいただいており、アカマツ材の納材実績というのは毎月ごとのグラフで示され、これは非常に詳細に毎月ごとデータがわかっているわけですけれども、その他については1年ざっくりという形で全くわからない。きょうはこれで委員会のほうに任せたいと思いますけれども、この事業がどのように運営されているのかという詳細について、またしっかりとお示しをいただきたいというふうに思います。
岩手県の釜石地方森林組合を視察しましたけれども、未利用材のストックを常に必要とする量というのは、4倍量は維持していないと安定的な運用ができないと聞きました。これは岡山県真庭市でも共通しております。
また、木質バイオマス発電は製材部門の余剰金で運営し、それ自体で収益を上げるものではないと説明されました。さきの部長答弁では、製材事業と発電事業は両輪であるとの答弁ですが、集めた材の8割近くを燃やしてしまう方法は本末転倒ではないでしょうか。
2月議会でも指摘させていただきましたが、自然エネルギー財団やNEDO、さらには農林中金総合研究所の調査報告でも、未利用材の供給不足が数年以内に起こると警告しております。特に、農林中金総合研究所の調査では、長野県を含む中部地方の未利用材の不足量が一番多く、年31万トンにもなると試算しています。そうすると、輸入チップやパームヤシ殻などを燃料とせざるを得なくなると警鐘し、県産材を利用する本事業は特に不利になると考えられます。林務部長は、サプライチェーンセンターでの供給で大丈夫だと答弁しておりますが、現状でも計画量の半分も供給されておりません。そこで、本事業に供給される県産材の賦存量をどう見積もり、製材供給と発電への燃料供給が継続的に行えると考えているのでしょうか。
さらには、中信地方の林業関係者からも、到底賄い切れないだろうと異口同音に話されております。こうした状況で発電量1万4,500キロワットの規模を維持していくのは、どう見ても課題ではないでしょうか。この際、発電事業は計画を一旦見直し、まずは製材事業を安定的に運用してから取り組むべきではないでしょうか。林務部長に伺います。
〔林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)続きまして、製材や発電への木材の供給の仕組みに関するお尋ねでございます。
製材、発電への木材供給は、県内林業、木材産業関係の4団体で構成するサプライチェーンセンターが担い、将来にわたって安定的な供給が行われるよう、製材については毎年度安定供給に係る協定書が締結され、発電については平成27年に安定供給に係る意向書が締結されたところでございます。
また、事業者間で定期的に需給調整会議を開催し、実態に応じた供給が行われるような仕組みとなっており、事業者に対しては約8割の納入実績となっているところでございます。本県の森林資源は2億立方メートルに迫り、その成長量は毎年約200万立方メートルと着実に充実しているところでございます。また、平成28年の素材生産量は49万8,000立方メートルで、過去5年で1.4倍と増加傾向にあり、未利用材の出材に不可欠な素材生産量の伸びも期待できる状況と考えております。
県といたしましては、林業の担い手の育成、路網整備及び高性能林業機械の導入など、原木の安定供給体制整備を支援するとともに、製材、発電に関する関係者間の調整役をしっかりと担ってまいりたいと考えております。
なお、発電用の燃料につきましては、塩尻市及び北熊井区、事業者間で締結している環境保全協定において、間伐材等の未利用材及び製材事業で発生する端材由来のチップとされております。
続いて、発電事業及び製材事業の計画等に関するお尋ねでございます。
先般、寺沢議員の御質問にもお答えしたとおり、このプロジェクトは、A材から未利用材までのアカマツ材等を製材、発電の多段階で利活用し、安定した事業展開を図るとともに、山側にまたその収益を還元していくというものでございます。その実現のために、現在、事業者間において製材加工施設及び発電施設の規模等を決定し、必要な施設の整備等を進めているものでございます。
現在、このプロジェクトの関係者それぞれが主体的に役割を分担し、責任を果たしながら連携し、製材事業の販路の開拓及び原木の安定供給、発電事業の早期着手に向けた取り組みを進めているところでございます。
こうした中で、発電事業に関しては所期の目的に沿って円滑に進むよう、また、製材施設につきましては補助事業施設として円滑な運営がなされるよう引き続き指導をしてまいります。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)供給量につきまして、私も資料を持ち合わせていたところですけれども、かなり違うところもありますので、私自身もまた精査して伺いたいというふうに思います。
引き続きまして、県職員の働き方について伺います。
過日、私どもに、県職員の方から、年々職場環境がひどくなっていることを憂慮する相談がありました。それは、県民のために尽くそうと情熱に燃えて県職員になったにもかかわらず、志半ばで早期退職の道を選択したり、病気で休んだり、最悪の場合にはみずから死を選択する仲間が後を絶たない。その原因は、上司から皆の前で暴言を浴びさせられたり、いじめ的な扱いを受け、また、夜遅くまでサービス残業を強いられ、精神的に追い詰められ、職場の雰囲気も暗くなりがちで、いかにして上司ににらまれず、潰されないように自分を守るのかに気を使わざるを得ませんと深刻な状況を語っておられます。
そこで、県職員のサービス残業を含めた時間外労働や休職者、特に精神的な疾患での休職者数や早期退職者、また、長時間労働やパワハラ等の実態をどのようにつかんでいるのでしょうか。また、特にパワハラなどハラスメントは秘匿性の高い問題であります。そこで、匿名で記述できる実態調査を行い、対策を講じていただきたいと思いますが、総務部長に伺います。
〔総務部長小林透君登壇〕
◎総務部長(小林透 君)県職員の働き方についての御質問に順次お答えをいたします。
まず、職員の時間外勤務についてでございますが、サービス残業を含めてということでございましたが、県といたしましては、職員の申告に基づき所属長が命令した時間外勤務について把握し、その全てに対して手当を支給している状況でございまして、年間1人当たりの平均時間は、平成28年度で78時間となっており、平成26年度以降は着実に減少してございます。
次に、早期退職者数についてでございますが、定年前の早期退職者につきまして、その事由は必ずしも明確ではないところでございますが、転職等さまざまな事情が考えられてございます。その数は、平成28年度は57人となってございまして、近年は五、六十人程度と、年間で若干の増減はあるものの、ほぼ同水準で推移してございます。
次に、精神疾患による長期休職者等の数でございます。精神疾患により休職あるいは30日以上の療養休暇を取得した職員数につきましては、平成28年度は実人数で43人となってございまして、近年は40人前後と、年間でこれも若干の増減はあるもののほぼ同水準で推移してございます。
次に、パワハラ等の職場環境に関する調査についてでございます。
県では、昨年度実施した職員意識調査の中で、パワーハラスメントについても項目を起こし、匿名で自由記述もできるようにするなど、職員の率直な意見をできるだけ聞こうということで調査を実施したところでございまして、今後も継続して調査を実施してまいりたいと考えております。
これに加え、本年3月には、従来の要綱を改正し、パワハラはもとより、あらゆるハラスメントに対応した職場におけるハラスメント防止要綱を策定し、ハラスメントを未然に防ぐ体制づくりを進めているところでございます。
また、本年度は、職場等における新たな相談提案制度、通称シグナルフラッグを創設いたしまして、事案の軽い、重いに応じて相談、提案できる窓口を身近な職場から外部の有識者まで幅広く設けることによりまして、ハラスメント対策に資する体制を充実したところであり、今後も引き続き風通しのよい対話にあふれた組織づくりに向けて取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)ただいまお答えがあったところでありますけれども、こうした勇気ある私たちへの相談です。そうした方々が県民益のために働ける、そうした職場環境をつくっていくためにも、そうした匿名性の高い丁寧な対応をお願いさせていただきたいというふうに思います。
引き続きまして、教員の長時間労働の改善について伺います。
教職員の長時間労働が深刻となっております。教育委員会は、ことしも時間外勤務の調査を行っていると聞きますが、長野県の教職員の時間外勤務は、小中で1カ月当たり平均64時間、最も多い学校の平均は114時間と報告されております。県教職員組合調査では、実際にとれていない休憩時間や持ち帰り仕事、また、休日勤務などを含め、実に月平均83時間20分にもなっているわけであります。時間外労働が80時間を超えるということは、厚労省の過労死ラインを超えているわけであります。
このような中、県教育委員会は、11月、学校における働き方改革推進のための基本方針を定めております。そこで、このように教員の時間外労働について改善されていない結果が出ているわけですけれども、県教委は状況をどう把握し、改善しようとしているのでありましょうか。
また、この基本方針の「直ちに取り組むこと」では、まずは教員の時間外勤務時間が年間を通じて1カ月45時間以下、年間で最も忙しい時期であっても1カ月80時間以下になることを目指すとされております。月45時間でも異常な働き方だと思います。繁忙期に過労死ラインの80時間ぎりぎりを設定することは重大な問題であると考えます。なぜこのような設定にしているのでしょうか。
また、県教委調査では、長野県内の教員の平均的な残業時間を、先ほど言ったように、月64時間程度、最も多い学校が114時間ということでありますが、これは教員の人数ではどのくらいの不足が起き、また、その人件費はどのくらいになると試算されているのでしょうか。
以上、教育長に伺います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)教員の長時間労働の改善についての御質問でございます。
まず、時間外労働の把握と改善についての御質問ですが、全ての学校で、タイムカードなどを用いて、今後、年間を通して全教員の勤務時間を適正に管理するということが必要だと思っております。そして、教育事務所の主幹指導主事が具体的な実態を把握しつつ、学校における働き方改革推進のための基本方針に沿った取り組みを進めてまいりたいと思っております。
それから、時間外勤務時間の指標の設定理由であります。
この基本方針においては、今年度当初の教員1人当たりの時間外勤務の平均が月64時間程度で、月100時間を超えている学校もあったことを踏まえて、指標として当面の最低限の数値を設定したものであります。
文部科学省におきましても、勤務時間に関する数値で示した上限の目安を含むガイドラインというものを検討して示すということも聞いておりますので、そうした状況も踏まえ、随時見直しをしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、教員の人数の不足と人件費というお話でありますが、現在の学校は、教員以外の者が担うことができる業務も全て教員が担っているといった問題意識などのもとに学校における働き方改革推進のための基本方針を策定したものでありますので、教員の不足数やその場合の人件費といった観点では捉えておりません。しかしながら、小学校英語の教科化でありますとか特別支援教育の充実など、新たな教育課題の対応のため純粋に教員の業務が増加しているものもありますことから、教員の定数改善については国に要望しているところでございます。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)教員の給与につきましては、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法が、昭和46年、当時残業の平均が8時間程度の時代に規定されております。法では、教員には時間外労働を命じてはならないとされ、認められる残業は非常に限定的で、修学旅行など宿泊的行事、職員会議等4項目に限られ、残業は存在しないということであります。
しかし、実態は、限定された4項目以外、部活動指導やテスト採点、また、近年深刻ないじめや不登校対応など、さま変わりした勤務に膨大な時間を要しても残業代が支払われないという実態があります。さらに、休日や夏休みなども研修会や部活動等で埋められております。
しかし、教師には、職務の特性により、同法で月額給与の4%の教職調整額が支給されております。この4%というのは、1日の時間外労働で計算するとわずか20分程度の調整額の上乗せで解消させられ、これが長時間勤務の温床となっております。
そこで、教員の働き方改革が課題となる中、先ほど定数改善を国に要望されているということはおっしゃいましたけれども、この給特法の改正を国に求めるべきではないでしょうか。再度教育長に伺います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)給特法の改正についてでございます。
県教育委員会は、全国都道府県教育長協議会を通じまして、教員の勤務実態を踏まえた教職員給与等の改善等につきまして、教職調整額を含め、要望しているところでございます。中央教育審議会の学校における働き方改革特別部会で、教員の長時間勤務の改善の一環として教職調整額についても議論されているというふうに聞いておりますので、国の動きを注視してまいりたいというふうに考えてございます。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)ただいま、国を見守るというお話もありました。ぜひとも要望をしっかり出していただいて、教員として誇りを持ち、それはやはり子供の教育に資するわけでありますから、そうした立場でこの問題に対応していただきますようお願いをしたいと思います。
引き続きまして、学びの改革について伺います。
この学びの改革基本構想には、本年7月から8月に旧通学区ごとに開催された地域懇談会でもさまざまな質疑がたくさん出されました。そして、当初10月に予定していた実施方針案の公表は、議会での議論もあり、来年3月へと変更されました。この変更は、こうした意見を得る中での延期であると思うのですが、方針案を半年延ばした理由は何か、教育長にお尋ねいたします。
また、この11月に示された実施方針策定案は、これまでの学びの改革から、「高校改革~夢に挑戦する学び~」と名称まで変え、それまでの内容とは全く異なる記載となっており、驚きました。
まず、今後のスケジュールに関して、地域ごとに状況は違うのにもかかわらず、基本構想で示した再編基準に該当する学校があるかどうかとは無関係に、いきなり2021年3月までに全県の再編計画を確定するよう高校の将来像を考える地域の協議会に求めております。これは、これまで、旧通学区でそれぞれの地域の実情を、1クラス何人になったら再編の検討を開始するなどと述べてきたものとは大きく異なり、県民合意ではありません。これは、議会に対しての説明とも異なり、これまでの議論は一体何だったのか、県民や議会を軽視していると言わざるを得ません。改めて県民、議会に説明をし、県民的な議論を1から行うべきであると思いますが、教育長の御認識を伺います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)学びの改革についてでございますが、まず、実施方針案を半年延長する理由についてというお尋ねです。
これまで行ってきました地域懇談会等において、全体として改革の方向性に一定の御理解をいただいた一方で、再編基準ですとか望ましい学校規模、今後の進め方等についての御意見、御質問も多くいただいたところでございます。これらを総括する中で、学びの改革基本構想の理解をさらに深める必要があること、探究的な学び等、今後の高校教育の具体像をより明確に示す必要があること、地域全体及び県全体の高校の将来像をさらに議論する必要があるということ、これらを踏まえて、さらに議論を深めた上で実施方針案をお示しすることが適切であるというふうに考えまして、本年9月にスケジュールの見直しを行い、今回、「策定に向けて」というものを公表したところでございます。
「策定に向けて」の議論のテーマと県民への説明ということですが、これまで、学びの改革は、課題解決型の探究的な学びの導入等によります新たな教育の推進と、再編等を含む新たな高校づくりに一体的に取り組むというふうにしてきたものでありまして、これは今後も変わらない一貫した方針です。
今回の「県立高校「学びの改革実施方針」策定に向けて」においても、実施方針案のたたき台として、新たな学びの推進と再編整備計画を示し、それぞれに三つの方針、方針1から方針6を立てたところであります。これまで、地域懇談会等でいただいた御意見を踏まえて、探究的な学びと今後の高校教育の具体像についても議論のテーマとしてより明確に示したところであります。
この「策定に向けて」と題した県教育委員会の考え方を、今後開催する2回目の地域懇談会等で御説明し、さらに議論を深めた上で、高校改革実施方針案を策定してまいりたいというふうに考えております。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)ただいま、探究的な学び等を深めるということで、変わらないということでありますけれども、やはり県民的な議論を1からということを私は言いたいんです。特に、方針1では、全ての県立高校が三つの方針、DP、CP、APの策定という概念を新たに全面に打ち出しております。これは、県立高校がどのような生徒を望み、どのような教育をし、どのような人物を育てるのかの方針だそうであります。
しかし、これは文科省が大学教育改革で大学に求めていたもので、これを議論も全くないままいきなり高校現場に持ち込もうとするものであります。公立高校には、どの地域であっても、等しく教育の保障がなされることが求められます。それを、各校に特色を競わせ、個別化を殊さら追求するということは、結果的に入試制度に連動させ、県立高校が育てたい人物像をあらかじめ選別させ、これまで以上に希望する生徒の排除に作用する大きな懸念を抱かせます。
あわせて、今後設置予定の高校の将来像を考える地域の協議会の構成には、市町村長などに加え、産業界からの選出を必ず含むとしていることにも違和感が尽きません。やはりこうした唐突な疑念展開で打ち出す以上、最初から県民的な説明を行うべきであると思いますが、教育長のお考えを伺います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)三つの方針についての御質問でございます。
この三つの方針につきましては、県内の高校がそれぞれの特色を発揮し、新たな学びの体系を構築する上で有効であり、学びの改革にとって必要なものであるという観点からお示ししたものであります。
そして、議員御指摘のアドミッションポリシー、生徒受け入れ方針については、現在も示しております入学者選抜に係る生徒募集の観点をより具体化することによって、志願者が学校を選ぶ段階から高校生活のビジョンを明確にし、入学後の学校生活を充実したものにするためのものでありまして、議員御指摘のような入学希望者を排除するものではないというふうに考えております。
さらに、高校の将来像を考える地域の懇談会でございますけれども、これにつきましても、実施方針を半年延長するという地域懇談会等における御意見の中で、今後のスケジュール、どういう形で進めていくのかということをもっと明確に示してほしいという御意見を踏まえてつくったものでありまして、産業界が入るということに関しましても、地域の将来を考えるに当たっては産業界は必須であるというふうに考えてメンバーの中に掲げたものであります。
以上です。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)また、唐突という意味では、予算的なところで、現状もエアコン設置やトイレ改修、さらには老朽、逼迫化する特別支援学校の建設の課題もあるのに、この中ではICTの普及を進めると言いますが、これには膨大な予算が必要だと思いますけれども、どう措置するのか、教育長に伺いたいと思います。
また、これまでも要望してきております少人数学級は、限定的なモデル校方式ではなく、県独自に予算措置してでも全県に対象校を広げることを要望をしておきたいと思います。
時間がないので次にまいりたいと思います。種子法の廃止について伺います。
65年にわたり日本の食と農を支えてきた主要農作物種子法が来年3月末に廃止されることになりました。廃止後も関係者の廃止の反対の声は鳴りやみません。農民運動全国連合会は、種子を多国籍アグリビジネス企業に売り渡すものにほかならないと抗議声明を発表、種子法は、稲、麦、大豆の種子の生産、普及を国が責任を持って都道府県に義務づけをしてまいりました。この廃止方針への批判に対し、国会も都道府県の取り組みが後退することのないよう交付税措置を努める旨の附帯決議をしているように、種子は農業や食料生産の基盤であり、国民の共有財産です。
そこで、法の廃止による県農業への影響について質問します。
まず、農水大臣は、種子を民間に任せればコストの削減が図られると答弁しております。しかし、実際には、民間種子として販売されている「みつひかり」等の種子価格は、公的品種の10倍もするというデータもあり、コスト削減になるのでしょうか。
また、長野県でも地域に合ったものを奨励品種にし、県が税金を使って種子を開発、普及してきた地消地産を図ってきております。こうした取り組みに多大な影響が出ると思いますが、これについての農政部長の見解をお尋ねします。
さらに、既に11月15日、事務次官名で、運用基本要綱と「種子制度の運用について」を廃止すると通知をしてきていると思います。ここには、国会で附帯決議された種子法廃止後の都道府県の役割についても、これまで実施してきたこの種子に関する全てを直ちに取りやめるものではないと記載はありますが、国の予算措置の根拠法がなくなったことによりまして、国の支援はどうなるのでしょうか。
また、農業試験場等の体制の後退などあってはならないと思いますけれども、農政部長のお考えを伺います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)ICTの整備と老朽化した学校環境をどうするかというお話でございます。
私どものこの「策定に向けて」のたたき台の中で、方針3として、「新たな学びにふさわしい環境を整備します。」ということを掲げてあります。この中には、ICT環境の充実とともに、学習環境、生活環境の整備も挙げてあるところでございます。子供たちの新たな学びにふさわしい環境整備に努めるということは私ども教育委員会の責務だというふうに考えておりますので、引き続き鋭意努力していきたいというふうに思っております。
〔農政部長北原富裕君登壇〕
◎農政部長(北原富裕 君)主要農作物種子法の廃止についての御質問につきましてお答えをさせていただきます。
初めに、廃止によります新品種の育成や普及などへの影響についてですが、長野県の試験場では、一般財源や試験研究に係る外部資金等を活用して、標高差が大きく多様な気象条件の長野県において、それぞれの地域に適した安定生産ができる品種を数多く開発してまいりました。近年では、食味のすぐれた水稲の「風さやか」や、機能性成分が豊富に含まれるもち性大麦「ホワイトファイバー」などを育成、普及しているところでありまして、新品種の開発は本県の農作物生産の維持発展に欠かせない取り組みであるというふうに認識をしております。
今後とも、県試験場における品種の開発研究を推進するとともに、普及に当たりましては、県、市町村、JAグループ等の出資により設立され、種子の生産と供給を担っております長野県原種センターと密接に連携し、高品質な種子の安定供給に取り組んでまいりますので、主要農作物種子法の廃止による影響はないものと考えております。
次に、法律の廃止によります種子生産への今後の国からの支援の御質問でございますが、農林水産省は、主要農作物種子法廃止後も、都道府県が種子生産等を行うために必要な経費について引き続き地方交付税で措置されるよう要望しているというふうに承知しております。私どもとしては、しっかりと今までと同様の対応をしてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔28番備前光正君登壇〕
◆28番(備前光正 君)種子法の廃止の際、農水大臣は、万全な予算措置を行う決意と、法律がなくなっても国として予算措置をすることは明言はしています。
そこで、種子法の廃止を踏まえ、食料を守る立場で、今後の長野県での新品種の育成や、これまで県が開発してきた種子を継続的に生産、供給する仕組みを堅持していくために知事はどのようにお考えかお伺いしまして、以上質問とさせていただきます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)新品種の育成あるいは種子の生産供給に今後どう取り組んでいくかということでございます。
本県の米、麦、大豆等の主要農作物は本県農業の基幹部門であるというふうに思っております。とりわけ、米につきましては、全国1位の1等米比率と単収を誇っておりまして、これは、立地条件、農業者の技術力に加えて、長野県原種センターが供給しております高品質な種もみで安定生産されているということも大きな要因だと考えております。
今後、少子・高齢化が進展する中で国内消費量の減少が見込まれる中、本県農業の競争力強化を図っていくためには、高品質化、ブランド化が進められる魅力ある県オリジナル品種の開発が重要です。したがって、引き続き農業関係試験場での新品種の開発に取り組んでまいります。
また、原種センターを中心とした種子の生産供給システムについては今後とも維持して、高品質な種子の安定供給に努めていきたいと考えております。
以上です。
○議長(垣内基良 君)この際、午後1時まで休憩いたします。
午前11時51分休憩
──────────────────
午後1時開議
○副議長(諏訪光昭 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて順次発言を許します。
小林東一郎議員。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)当初10月に示されるはずであった学びの改革実施方針案は、提示が来年3月に先延ばしとなる一方、先月15日に、今後の進め方を含む県教育委員会の考え方を示す「県立高校「学びの改革実施方針」策定に向けて」が決定されました。その中の、「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針(案)」たたき台の冒頭に、本県の高校教育が目指すべき方向性3項目が掲げられましたが、それについて、以下3点、教育長にお聞きします。
1点目、方向性の①、「みずから立てた問いに対し、チームとして協働しながら解を見つけ、新しい価値を主体的に創造していくことができる資質・能力の育成」について、いかなる学びを通して問いを立てる力を養うのでしょうか。言いかえれば、問いを立てられるのに必要な力とは具体的にどのような力なのでしょうか。お示しをいただきます。また、新しい価値の創造とは、高校を卒業した全ての個人に可能なのでしょうか。
2点目、方向性の③、「信州に根ざした確かなアイデンティティと世界に通じる広い視野、資質・能力の育成」について、信州に根ざした確かなアイデンティティとは、幼児期から高校に至るまでのさまざまな体験や学びを通し、発達段階に従って形成されていくもののはずですが、教育の連続性を踏まえての位置づけなのでしょうか。
3点目、新たな時代においては、多様な人々と協力しながら主体性を持って人生を切り開いていくことが重要で、知識の量だけではなく、混沌の中から問題点を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質、能力が求められています。
このような時代背景のもと、教育改革を進めるに当たり、1、十分な知識・技能、2、それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題にみずから解を見出していく思考力・判断力・表現力等の能力、3、これらのもとになる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度の学力の3要素の重視が言われていますが、現状では、高校教育において、この3要素を踏まえた指導が十分浸透していないことが課題となっています。
県教育委員会が掲げた本県の高校教育が目指すべき方向性は、学力の3要素をバランスよく育成するという観点に沿ったものであるとは思うものの、より高みを狙ったもので、力みが感じられてなりません。
「堀川の奇跡」で知られる京都市立堀川高校の元校長、荒瀬克己大谷大学教授が提示している高校の教育課程や在学中のさまざまな体験を通し、知識や技能を身につけるだけでなく、深く考えて行動できるようになること、社会の中で人や物事とかかわって一人の人間として生きていく力を養うことのような平易な言葉で県民の理解が得られるようにはできないものなのでしょうか。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)学びの改革についての御質問でございます。
本県の高校教育が目指すべき方向性の3点についての質問でございます。まず、問いを立てる力と新たな価値の創造についてということであります。
これからの先行きの不透明な時代にあっては、正解のない問いに対して自分の意見を根拠を持って言える力が重要であり、そのためにこそ問いを立てる力そのものを身につけることが必要だというふうに考えています。問いを立てる力を身につけるためには、日常生活で本物と出会ったり、多様な人々と協働したりすることが不可欠であり、こうした豊かな体験を通して感性や学びに向かう力が高まり、問いを立てる力が養われていくものというふうに考えております。
探究的な学びは、問題の発見から解決策の提案、自主性に至る一連のプロセスからなる学習でありまして、この繰り返し、積み重ねの中で問いを立てる力もより高まっていくものであるというふうに思っております。こうした学びを通して、全ての生徒が、仲間と協働して課題の解決を目指す中で、人生を豊かにする新たな価値を主体的に創造していくことができるというふうに考えております。
信州に根ざした確かなアイデンティティと教育の連続性のお話でございます。
信州に根ざした確かなアイデンティティについては、議員御指摘のとおり、幼児教育段階から小中高に至る教育の連続性を踏まえて形成を図っていくものであります。具体的には、幼児期において、信州の豊かな自然の中で伸び伸びと遊びに浸ること。小中学校において、身近な地域を対象としたふるさと学習を通して生まれ育った地域のよさを知ったり、ふるさとへの愛着を持ったりすること。そうした体験を踏まえて、高等学校において信州学に取り組むことにより、地域が抱える課題を発見し、その解決を目指したり地域づくりに参画したりすること。こうした学びの連続性を持って信州に根ざした確かなアイデンティティの形成が実現されるものというふうに思っております。
3点目、平易な言葉で表現できないかというお話であります。
目指すべき方向性の内容については、議員御指摘のとおり、国がうたっております新たな社会を生き抜くために必要な学力の3要素を踏まえ、さらに本県独自の視点として、「信州に根ざした確かなアイデンティティと世界に通じる広い視野、資質・能力の育成」を加えたものであります。
今回お示ししたのは、実施方針案のたたき台ということでありますので、議員御指摘の点も含め、今後地域懇談会等さまざまな機会を捉えて多くの御意見をいただきながら実施方針案の策定につなげていきたいというふうに思っております。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)たたき台の方針1では、全ての高校が、それぞれの特色を持ちながら新たな学びに転換するために、1、生徒育成方針、ディプロマ・ポリシー、2、教育課程編成・実施方針、カリキュラム・ポリシー、3、生徒受入れ方針、アドミッション・ポリシーの三つの方針を策定することで、各校の育てたい人物像、学校目標に向けての教育活動を体系化するとしていますが、高大接続システム改革でも、高校生を多面的に評価することが促されており、カリキュラム・マネジメントが重要となってくるのは論をまちません。どのように生徒の力を伸ばすのかの計画がつくられることでよろしいでしょうか。
また、生徒受け入れ方針を示すということなら、学力をはかる方法として、単独選抜の実施や、中学生の多面的な力を評価する選抜方法など、各校が方針に沿った選抜方法を実施していく必要が出てくるのではないでしょうか。
次に、方針2においては、多様な学びの場の整備が掲げられています。みずからの進路を考えながら普通教科や専門教科から幅広く科目選択が可能で、キャリア形成を図ることができる特徴を有する総合学科高校の教育内容充実がうたわれていますが、そのためには、多様な系列の中に多くの選択科目が用意されなければならず、教員確保も欠かせないはずです。総合学科高校の特徴は、子供が減るからそれに応じて学校規模を小さくしますに最もなじまないと思うのです。総合学科高校の学校規模はどうあるべきとお考えでしょうか。
また、多部制・単位制を含めた定時制教育、通信制教育の学びの充実もうたわれています。そこで学んでいる生徒の実情は、いじめ、不登校を義務教育で体験するなどさまざまな困難を抱えるものであり、そのような生徒の学びの場であることを基本に充実を図っていくことの重要性を、10月に中野市で開催された定時制通信制生徒生活体験発表大会に御出席いただいた教育長には理解を深められたことと思います。困難を抱えながら学ぶ個々の生徒のニーズに対応した学びの全県における保障についてのお考えをお聞きします。
基本構想においては、探究的な学びをさらに深める学科を都市部存立普通校に設置し、探究的な学びを牽引するとしていましたが、たたき台では、モデル校方式による新たな学びの場の創造により改革の先導役を担うと一歩踏み込んだ表現となりました。
そこでお聞きいたします。
たたき台で示されたモデル校例は、探究的な学びをさらに深める学科をより具体的に示したということでしょうか。
また、モデル校の指定については、地理的なバランスを考慮するものの、必ずしも都市部存立普通高校に設置ということではなく、地域の考え方も反映していくというお考えですか。
高校における特別支援教育の充実も掲げられています。来年度から通級指導教室を順次設置していくとの対応が示されていますが、検討とされた専門性のある特別支援学校教員による高校への巡回相談、支援の実施は、支援が必要な生徒が多数高校で学んでいる状況を考えれば、支援の輪を進めていく観点からも早急に行うべきです。特別支援学校の自立活動担当教員が法定数より不足していることの解消とあわせて考えていくべきではありませんか。
次に、県立高校の再編整備計画においては、再編を個々の学校の問題として捉えるのではなく、実質的な生活、通学圏域である旧12通学区単位を基本とするとされています。それでは、各区の生徒の減少数に応じ、各区で完結することを基本に進められていることでよろしいですか。
以上、教育長にお聞きします。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)学びの改革に関して引き続きの御質問でございます。
まず、カリキュラム・マネジメントについてであります。
高校教育においてもカリキュラム・マネジメントは非常に重要だというふうに思っています。議員御指摘のように、学校教育目標の実現に向けて教育課程を編成し、それを実施、評価し、改善するために、各校がディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、そしてアドミッション・ポリシーを策定し、生徒の力を伸ばす計画をつくるということであります。
それから、アドミッション・ポリシーに沿った入学者選抜でありますが、高等学校の入学者選抜については、現在、入学者選抜制度等検討委員会で議論しているところであります。その委員会の議論の中では、学力検査だけではなく、他の視点での検査も必要であるといった意見や、学校独自の特色ある選抜などを望む意見等も出されているところであります。今後さらに具体的な検討を進め、来年2月には報告書を提出していただく予定になっております。
それから、総合学科高校の学校規模であります。中野立志館高校を初めとする県内の総合学科高校では、キャリア教育を重要視するとともに、普通科目や専門科目など柔軟な科目選択を可能とする教育課程を編成しているところであります。議員御指摘のように、幅広い科目選択が可能となるよう一定の学校規模を有していることが望ましいというふうに思っております。
さらには、幅広い科目選択を可能とする環境を整えることが重要でありまして、例えば高校間でICTを活用した遠隔授業等を進めていくことも大事かなというふうに思っております。今後も、さまざまな観点から総合学科高校の充実、発展に努めてまいる所存でございます。
次に、定時制・通信制教育における個々の生徒のニーズに対応した学びの保障であります。 定時制・通信制教育は、従来からの勤労青少年に加えて、多様な生活歴、学習歴を持つ生徒の学びの場となっているわけであります。御紹介いただきました定時制通信制生徒生活体験発表大会では、発表した生徒の皆さんが悩みながらさまざまな困難に立ち向かっていく経験を聞かせていただきました。定時制・通信制教育を通して生徒の皆さんが成長する姿を見させていただきまして、強く心を打たれたところであります。
夢に挑戦できる多様な学びの場、学びの仕組みを整備、充実するという方針を掲げまして、多部制・単位制の充実、あるいは通信制の改革について示しているところであります。多部制・単位制については、未設置の北信地区の設置への検討を含め、定時制教育全体の充実を図っていきたいと思っておりますし、また、通信制については、地理的に離れたところに住む生徒のためにサテライト校を導入するなど、個々の生徒のニーズに対応した学びのさらなる充実を図っていきたいというふうに思っております。
モデル校の位置づけと指定についてであります。
今回お示ししたモデル校の例は、基本的に、議員御指摘のとおり、探究的な学びをさらに深める学科をより具体的に示したものでありますが、それに加えて、少人数学級等新たな考え方もモデルとして提示したところであります。この「策定に向けて」において、モデル校の指定については、それぞれの学校の特性と全県のバランスを考慮して検討するという方針を示させてもらいました。中山間地においても、魅力的な学びの場の創造が必要と考えておりますので、モデル校の指定については、都市部存立普通校に限るものではないというふうに考えております。今後開催する地域懇談会や高校の将来像を考える地域の協議会等の御意見もお聞きして検討してまいりたいというふうに思っております。
高校への特別支援学校教員による巡回相談支援についてであります。
高校において発達障害等の特別な支援を必要とする生徒は年々増加する傾向にあり、小中学校と同様に専門的知見を持つ特別支援学校の教員による高校への巡回相談支援が必要であるというふうに考えております。
また、特別支援学校の自立活動担当教員は、今年度まで4年間で80人増員してきたところであります。新たに高校への巡回相談支援を行うことも含め、定数の計画的改善については検討してまいりたいというふうに思っています。
再編整備計画を旧12通学区単位で検討することについてでありますが、再編整備計画については、実質的な生活通学圏域である旧12通学区単位で協議、検討するとともに、総合学科高校や多部制・単位制高校は現状の4通学区を単位として検討するなど、学校の種別によっては、より広範囲、広域で検討することも必要であるというふうにしております。高校の配置については、旧通学区の流出入も考慮しつつ、全県的視野に立って総合的に検討していく必要があるというふうに考えております。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)特別支援学校の自立活動担当教員については、乖離数が323人ということでありまして、今、教育長の答弁のとおり、80名の乖離が解消されたわけであります。いまだに240名を超える乖離があるわけでありまして、これは、きちんと計画をつくって、順次乖離の解消をお願いをしておきたいと思います。
次に、高大連携の推進については、大学との連携で高度な専門的な講義を受講できるようにする単位認定も検討する程度の記述にとどまっています。しかも、探究的な学びを可能にする学科としてモデル校例に挙げられているスーパー探究科設置校のみが高大連携の対象なのかとの危惧すらたたき台を読んでいて感じておるところであります。
先月、教育学部の一部を改組し、グローバル人材と地域創生のための人材の両方の育成を一体化させた教育プログラムを展開する国際地域学部を2016年にスタートさせ、それ以前から米国のアイビーリーグ流授業改革を進めている福井大学を訪れ、寺岡英男副学長から同大の取り組みとその成果を伺ってまいりました。
国際地域学部では、高大接続型のAO入試を実施、それは、高校での取り組みや自由研究、社会活動などで得られた成果についてのレポート提出等で、多面的な能力、意欲、資質等を評価する仕組みですが、高校と大学とが連携した課題探求活動への参加も出願条件となり、取り組みと成果に関するレポートの対象となっており、専門学科高校からの合格にもつながっているとお聞きしました。
本県では、来春、県立大学が開学します。全ての県立高校を対象として県立大学との連携を進めていただきたい。福井大学での課題探求活動のような高校生を対象とした講座開設や、学生とともに実習に参加するといった大学での学びの体験により、高校生の探究的な学びが深まるはずです。県立大学との連携をいかに進めていかれるお考えですか、教育長に伺います。
県立大学では、既に学校長推薦選抜が始まっていますが、AO入試は行われていません。ともすると、高校生は学力や部活動だけで評価されがちですが、問いかけ、話し合い、向き合うことで育まれる能力を評価することが大学入学後の次につながるはずです。高校長推薦選抜での検証を行っていくとともに、高大連携の取り組みを進め、プレゼミナールに参加してミニレポートを作成する一次選考と、文系は図書館入試、理系は実験室入試の二次選考による新たな形式のAO入試であり、お茶の水女子大学の新フンボルト入試のようなAO入試導入を検討すべきです。県立大学設立担当部長に御所見をお伺いします。
2020年から大学入試共通テストが始まります。新テストは、高校の学びと大学の学びをつなげる高大接続改革の一環として導入されるものです。高校では、生徒が大学で学ぶための基礎を養う教育をすることが求められます。数学の苦手な高校生が入試で数学を課さない経済学部の受験を希望したとすると、それを後押しするような指導がもはや通用せず、数学のできない生徒が大学に入学したら講義についていけるだろうかと立ちどまらなければならなくなるのです。このような変革が待ち受けているのですから、高校教員の研修を含め、高大連携が欠かせないことになります。県内大学との連携について、総合教育会議でしっかりと議論し、施策の一層の推進を図るべきです。知事の御見解をお聞きします。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)県立大学との連携についてのお尋ねでございます。
高校生がみずからの夢の実現を目指す上で、また、探究的な学びを深める上でも、より専門的、実践的な大学での学びに触れる機会を持つことは大変重要であると思っておりまして、議員御指摘のとおり、高大連携についてはさらに拡充していく必要があるというふうに思っております。
県立大学とも協議しながら、どんな範囲で、どういう連携が可能なのか、その連携のあり方について積極的に検討してまいりたいというふうに思っております。
〔短期大学事務局長兼県立大学設立担当部長玉井裕司君登壇〕
◎短期大学事務局長兼県立大学設立担当部長(玉井裕司 君)長野県立大学でのAO入試についてお尋ねいただきました。
長野県立大学の理念に沿った学生を受け入れるため、アドミッション・ポリシー、入学者受け入れ方針を策定し、その方針に従って入学者選抜の制度設計を行い、既に開始をしているところでございます。11月25、26日には、学校長推薦選抜を皮切りにして、今後、自己推薦選抜、特別選抜、一般選抜を実施する予定でございます。
その中で、自己推薦選抜につきましては、受験生が高校時代において取り組んできた活動の内容やプレゼンテーション、面接により、その受験生の資質を入学者受け入れ方針に従って総合的に判断することとしております。名称こそ異なるものの、大学側の求める人物に合うのか判断をしていくAO入試に相当するものと認識しております。
特に、プレゼンテーションについては、当日与えられたテーマに沿って自分の考えをまとめて発表する試験でありまして、日ごろから広く社会的な課題に関心を持ち、自分で考え、判断し、意見を発表する能力を身につけているか判定をするものでございます。
御指摘のありましたお茶の水女子大学の新フンボルト入試については、大変ユニークで丁寧な入試と認識をしているところでございます。
長野県立大学の理念にふさわしい学生を受け入れていくため、学生の資質を丁寧に見きわめていくよう今後とも適切な入学者選抜の制度設計、運用に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)高大連携について総合教育会議で議論してはどうかという御質問でございます。
高大接続改革におきましては、知識・技能、思考力・判断力・表現力、そして主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、この学力の3要素をしっかり身につけていかなければいけないわけでありますが、これをどう具現化していくかということについては、高校も大学も双方で、あるいは協働で考えていくということも必要だというふうに思っております。
来年県立大学が開学するわけでありますが、例えば、県立大学の生徒募集の一環で、高校生向けの模擬授業等もこれまでもやってきていただいていますけれども、開学後も、県立大学の先生方には、大学の中にとどまらずに、地域や高校等にも出かけていただくということも私は必要ではないかと思います。
そうした観点で、金田一学長予定者あるいは安藤理事長予定者ともこれから話をしていきたいと思いますし、御指摘のありましたように、高大連携、これは学びの県づくりにとっても極めて重要な要素になってくるというふうに思いますので、総合教育会議におきましても十分議論を行うようにしていきたいと考えております。
以上です。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)次に、大町市と白馬村の森林整備協議会の事務手続で不適切な対応がされていた問題について伺います。
職員が協議会の事務代行を行う場合には職務に専念する義務の免除を申請する必要がありますが、本県では、どのような制度のもと、職務に専念する義務の免除の運用がされていますか。また、この手続の必要性についてこれまでどのような周知を図ってこられたのですか。総務部長に伺います。
林務部長には、不適切な事務処理をしていた職員が職務に専念する義務の免除の手続を踏んでいたのかをお聞きします。
〔総務部長小林透君登壇〕
◎総務部長(小林透 君)県組織のコンプライアンス確立についての御質問にお答えをいたします。
職務専念義務の免除の運用及び周知についてでございますが、本県では、地方公務員法第35条の規定により、職務に専念する義務の特例に関する条例を定めており、その中で、行政運営上必要と認められる団体等の事務を行う場合や、職務に関連ある国の審議会委員として事務を行う場合などについては職務に専念する義務の免除が認められてございます。
具体的な手続といたしましては、県の職務規程等に基づき、該当する事務に従事しようとする職員はあらかじめ申請し、所属長等の承認を受けることとされてございます。
県では、毎年度、全所属からこの承認状況の報告を求めておりますが、それに加え、現地機関については、人事課などの担当職員が定期的に訪問し、免除の状況を確認するとともに、適正な運用について周知してきたところでございます。
また、これまでも、各種会議や研修、通知などにおきまして周知徹底に努めてきたところでございますが、本年7月に発出した「団体等会計事務の適正な執行について」の通知の中でも、職務専念義務の免除の取り扱いに適正を期するよう改めて注意喚起を行ったところでございます。
以上であります。
〔林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)職員の手続についてのお尋ねでございます。
当時の北安曇地方事務所の職務専念義務免除等承認手続の文書につきましては、保存期間が経過しているため書類上の確認はできませんでした。
そこで、この問題に関与した複数の職員に聞き取り調査を行いましたが、手続を行ったことを記憶している職員がおらず、残念ながら必要な手続がとられていなかったものと考えます。
なお、現在では当該事務は行われておりませんが、団体の事務を行う場合は適切な事務を行うよう徹底してまいりたいと考えております。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)県事業の推進に当たり、協議会方式を取り入れてきたのは、何も林務部に限ったことではありません。今回明らかになった事態を踏まえ、今後いかに職務に専念する義務の免除の周知徹底を図っていかれるか、総務部長に伺います。
森林整備を進めるための協議会方式は、当時、北安曇地方事務所管内における先進事例として他県にも紹介されましたし、職員の懸命な取り組みとして評価もされました。しかし、その内実は、無理の積み重ねで、法令順守がおろそかにされていた実態があります。補助金交付上問題なしとの法的見解が得られたからオーケーだ、不適正な事務手続の改善については林務部コンプライアンス推進行動計画に基づき適切な事務執行を徹底しているの一点張りでは、県民は納得しません。かかる事態をいかに総括し、林務部の再生につなげるのですか。林務部長にお聞きします。
また、職員が事務代行をしていたにもかかわらず、二つの協議会は補助金不適正受給に該当し、返還を求められています。申請事務を代行していた林務課が協議会との調整を怠り、協議会が申請区域と考えていた区域と異なる区域を申請していたとか、にわかには信じられないことが行われていました。このような奇妙な事態が引き起こされた原因はどこにあったのですか。これも林務部長にお聞きします。
〔総務部長小林透君登壇〕
◎総務部長(小林透 君)今後の周知徹底に対する御質問についてお答えをいたします。
今回の事案によりまして、改めて制度の運用や制度そのものに対する理解、そうしたものの周知徹底とコンプライアンスの推進の重要性を痛感しているところでございます。
今後の対応といたしましては、各所属において職務専念義務の免除が適切に運用されるよう、先ほど申し上げました本年7月の周知徹底の通知に加えまして、団体等の業務に従事する場合の具体的な留意事項に関し注意喚起を促す通知を改めて発出すること、また、各所属の服務担当職員を対象とした会議などの場において、具体的な事案を示した上で適正な運用を求める説明を行うこと、あるいは現地機関に訪問する巡回職員相談において、承認の漏れや誤りがないか確認するなど、機会を捉えて周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
以上であります。
〔林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)御質問に順次お答えします。
初めに、順番を逆にして、原因のほうからお答えさせていただきます。
この里山集約化事業は、森林整備を進めるため、所有者の同意を得る活動に対して支援を行うものですが、いわゆる事後要件として、集約事務の実施の翌年度までに間伐等森林整備を行う必要がございます。返還を求めた二つの協議会では、申請事務を代行した林務課が協議会との調整を怠り、協議会が申請区域と考えていた区域と異なる区域を申請したこと、林務課が同課に提出された一部の同意書を協議会へ送付することを怠ったため、当該区域の森林整備の同意が得られなかったものとして森林整備が行われなかったことから返還につながったものでございます。
原因ですが、この協議会方式は、森林整備に向けた基盤を固めるのに効果的ではございましたが、職員の事務作業量が多く、限られた人員の中で負担も大きなものであったことが一因になったと認識しているところでございます。
こうした中で、林務部の再生に向けては、林務部コンプライアンス推進行動計画に基づき、業務の適正化や職員の意識改革に徹底して取り組むことはもとより、職員のモチベーションの向上や各所属の実情に応じた人員配置の適正化、しごと改革による業務の改善、効率化に現在取り組んでいるところでありますが、引き続き林務部改革推進委員会の有識者の御指導、御助言を賜りつつ、徹底した改革に取り組み、県民の皆様の信頼回復につながるよう全力で取り組んでまいります。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)ただいまの林務部長の答弁によれば、事務代行によって林務課イコール協議会だったというふうに考えるしかありませんが、私はこれこそ利益相反に当たるのではないかと思います。林務部長、いかがでしょうか。
〔林務部長山﨑明君登壇〕
◎林務部長(山﨑明 君)林務課職員の行為が利益相反に当たるのではないかとのお尋ねでございます。
今回の事例では、補助金の申請者である協議会会長と交付者である地方事務所長はそれぞれ異なっております。いわゆる利益相反には該当しないと考えております。
しかしながら、交付側と申請者側双方の立場に携わることはできるだけ避けることが望ましいところで、平成23年度以降はこうした事務代行を行っておりませんが、改めてこうした適正な事務処理について徹底してまいります。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)ただいまの問題につきましては、今後さらにお伺いをしていく予定でおりますので、よろしくお願いいたします。
知事は、2月定例会での私の質問に対し、一連の不適切事案について、公務員としての本分をおろそかにしてきたことが根底にあるとの指摘を真摯に、謙虚に受けとめ、取り組みをさらに進めていきたいと答弁されています。今回の問題においても、公務員としての意識改革をさらに進める必要がより明らかになりました。それをなすほかに県民の信頼を回復する道はあり得ません。いかなる覚悟で取り組みを進めていかれるのか、知事にお聞きします。
また、二つの協議会の事務処理問題が表面化した発端は、昨年1月の職員による内部告発にありました。ところが、コンプライアンス推進が取り組まれている矢先であったにもかかわらず、林務部は調査の結果、問題なしとし、県民への説明はされませんでした。コンプライアンス推進を急務とするなら、コンプライアンス・行政経営課の職員体制を拡充し、同課が告発等への対応、調査を主管し、結果を県民に公表する体制をつくるべきですが、知事の御見解を伺います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)意識改革について再三にわたって御指摘をいただいているという状況、私も真摯に受けとめなければいけないというふうに思っております。
多くの県職員は、志高く、しっかり県民のための仕事をしているわけでありますが、しかしながら、他方で、毎年監査委員から事務の不適切等で御指摘をいただくというような状況については、しっかり改善していかなければいけないだろうというふうに思っております。
この11月に、全部局長から構成するコンプライアンス推進本部を私が本部長ということで立ち上げさせていただきました。改めて、全庁を挙げて、この意識改革、コンプライアンス推進に取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、また、その中で、今、内部統制の仕組みづくりということで、リスクマネジメント、リスクの発生要因の分析をしています。気合いで意識を改革するということだけではなくて、具体的な取り組みを通じて意識を変えていきたいと。リスクの洗い出しをやっていますと、例えば、補助事務に対してどれぐらいリスクがあるかという問題意識も、各部局必ずしも一様ではないというようなことも見えてきておりますので、そうした具体的な取り組みをしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。
また、コンプライアンス推進体制ということで、コンプライアンス・行政経営課の職員体制のあり方については、業務量を見きわめながら考えていきたいというふうに思っております。
また、従来から、同課におきまして、公益通報者保護法に基づく長野県職員等公益通報制度を所管してきているわけでありますが、ことしの5月から、職場等における新たな相談提案制度、シグナルフラッグという形の制度をつくらせていただいております。これは、従来の制度が、ある意味敷居が高かったという問題意識のもとで、法令違反の疑いが顕著なレッドフラッグというようなものだけではなくて、業務改善的なブルーフラッグ、あるいは相談・提案、法令に違反するおそれがある行為を通報するイエローフラッグと、こういう形で職員の問題提起をしていただきやすい仕組みもつくっておりますし、イエローフラッグで上がってきた問題については、これはコンプライアンス・行政経営課もしっかり共有しようという仕組みをつくらせていただいております。当面、この制度をしっかりと運用していくように心がけていきたいというふうに思っております。
以上です。
〔23番小林東一郎君登壇〕
◆23番(小林東一郎 君)さまざまな制度が整えられるということでありますが、知事、トップの姿勢がまず職員に示されること、これが一番肝要であります。どうか県民の期待に応えていただきたいということをお願いをして、質問を終わります。
○副議長(諏訪光昭 君)次に、宮本衡司議員。
〔42番宮本衡司君登壇〕
◆42番(宮本衡司 君)中学校夜間学級設置における課題について伺います。
本年3月に、中学校夜間学級設置における課題検討会から、中学校夜間学級設置における課題検討会報告が教育長に提出されました。いわゆる夜間中学とは、市町村が設置する中学校において行われる夜間学級を指しており、文部科学省の調べによりますと、ことし4月現在で8都道府県、25市区の31中学校に設けられているとのことであります。ちなみに、長野県内には設置されておりません。
ところで、この調査は文部科学省からの委託であったとのことでありますが、この委託の目的はどのようなことであったのでしょうか。また、本県はなぜこの委託を受けようと決めたのでしょうか。教育長に伺います。
義務教育の未修了者が全国に少なくとも12万人以上いるとのことでありますが、本県においては何人の未修了者がいると承知されているのでしょうか。また、このような未修了者がいる市町村の数を伺います。
未修了者と一口に申しますが、報告書によりますと、現在の夜間中学には、勉学を目指す義務教育未修了者、不登校などによる形式卒業者、そして外国人子弟の三者が混在しているとのことであります。そして、これらの方々のうち、8割が外国人であるとも聞いています。
私がイメージする夜間中学とは、中学校において学ぶべき時期にさまざまな理由で学ぶことのできなかった、ある程度年齢を重ねた方が通う学校であり、多くの県民もこのようなイメージを持たれているのではないかと思います。しかし、夜間中学校で学ばれている方の多くは、不登校などによる形式卒業者と外国人であるという現実に隔世の感を覚えるものです。
一方、中学時代に不登校により3年間しっかりと勉強できなかったということがないように、多くの県内市町村ではその対策に力を入れております。
私の地元、飯山市においては、長期の不登校生及びその家庭への支援、指導を行うため、不登校対策支援員を雇用し、対応に当たっており、市単独事業として実施し始めた平成24年度には30人いた不登校生徒が、26年度には11人、そして28年度には6人と効果は上がってきております。外国籍の生徒たちの多くは、仕事を探すためにはとにかく日本語を覚えたいという目的のもとに通学しているとも伺っています。多種多様な目的のもとに集まってきている皆さんにどのように対応をしていくのか。検討会においてはどのような議論がなされ、また、県におかれてはこのような課題に対しどのように考えていくおつもりでしょうか。
以上、教育長に伺います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)中学校夜間学級設置における課題についてのお尋ねでございます。
まず、この課題検討会の設置についてでありますが、これは文部科学省の委託事業であります。文部科学省の説明では、一億総活躍社会の構築に向け、全国に12万人以上いるとされる義務教育未修了者に対して、教育の機会を確保する観点から、中学校夜間学級の未設置道県の課題の整理を支援するということで実施をしているものであります。
本県が受託した理由でありますけれども、教育機会確保法におきまして、地方公共団体に夜間等における就学機会の提供を講ずることが求められること、また、本県でも義務教育の未修了者が一定程度認められることから、夜間学級設置のニーズの把握、既存の夜間学級の調査研究、設置の可能性や設置する上での課題の整理等をするために事業を実施したところでございます。
本県における義務教育未修了者数と市町村数でありますが、直近では平成22年度の国勢調査におきまして、義務教育の未修了者は少なくとも69市町村で2,061名と確認されたところであります。
検討会における議論等、課題への対応であります。
既存の夜間学級では、義務教育未修了者に加えまして、不登校などで十分な教育を受けられないまま卒業された方や外国籍の方も学んでいるという実態があり、対象者の整理が必要である等の議論がなされたところであります。
検討会からの報告では、不登校等により学び直しを求めている方については、高等学校やNPO団体でも一定の役割を担っている現状があること、外国籍の方については、市町村やNPO団体等による日本語習得を主とする学びの場もあることなどから、ニーズに合った学びの場をどのように提供することが望ましいか整理が必要だというふうに取りまとめたところであります。
県教育委員会では、中学校夜間学級は、あくまで中学校教育の目標を達成するために中学校学習指導要領にのっとった教育課程の中で学ぶものであるということを基本に対応を検討してまいりたいというふうに思ってございます。
〔42番宮本衡司君登壇〕
◆42番(宮本衡司 君)平成26年5月に文部科学省が行った中学校夜間学級等に関する実態調査における本県の状況を見ますと、過去5年間で、市町村教育委員会に対し、中学校夜間学級等に関する要望や議会請願、議会議論がなされていた経過は見当たらず、県内77市町村において検討する予定はないとのことでありました。
また、長野県では、平成28年11月に、改めて県内市町村教育委員会に対して、さまざまな事情により義務教育諸学校で普通教育を十分に受けていない者及び学齢を超過し義務教育諸学校への就学を希望している者を対象に、設置ニーズ関係、入学希望既卒者、外国籍の方及び設置検討状況を調査しました。
その結果、中学校夜間学級の設置要望といった具体的な声は現場段階では聞こえていない状況であり、明確なニーズとして検討されていないことがわかったとのことであります。中学校において学ぶべき時期にさまざまな理由でそれができなかった皆さんのために学び直しを行う機会を設けることは国の責務と考えますが、県もできる限りの協力をすることが必要ではないでしょうか。
先ほど申し上げましたが、課題検討会報告のとおり、各市町村として考えると明確なニーズとして検討されていないのが実態です。もしかすると、要望はあるのかもわかりませんが、市町村として考えることはいささか困難な状況にあると思われます。
そこで、県が広域的に設置ということにもなるわけですが、全国4番目の面積を持つ長野県のどこに設置をするのか。その際には、通学方法や教員の確保をどうするのか。今後県として検討を進めるに当たっては大変難しい課題が生ずることは容易に想像できます。
この調査は、平成28年6月に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、全ての子供が希望する教育を受けられる環境の整備に夜間中学校の促進を図ることが明記されたことを受け、各都道府県に1校の中学校夜間学級の設置促進を目指すという国の施策の一環として行われたものと考えますが、課題検討会からのこのような報告を受けて、県としては今後どのように検討を進めるお考えか、教育長にお伺いをいたします。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)今後の検討についての御質問であります。
現時点では、夜間学級設置へのニーズを明確な形では確認できておりませんが、継続的に夜間学級の周知や設置に係るニーズ調査を実施しているところであります。夜間学級の設置に当たっては、市町村やNPO団体等による外国籍の方に対する日本語指導や、多部制・単位制、通信制高校等による学び直しの支援等既存の学ぶ場との役割を整理するとともに、連携協力体制を図る必要があるというふうに考えております。
また、設置主体や設置する場所、夜間の安全、安心な通学方法の確保等の検討すべき課題がもろもろあるというふうにも思っております。
中学校夜間学級は、長野県においては新しい形態の中学校となりますので、多様な学びの場を確保していくという視点も加えつつ、可能性を検討してまいりたいというふうに思っております。
〔42番宮本衡司君登壇〕
◆42番(宮本衡司 君)教育の原点は、社会で自立できる基礎を身につけ、国家社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことであると考えます。
来年春には、待望の県立大学が開学いたします。県民、とりわけ、これから高校、大学へ進学する子供たちやその保護者など、大きな期待を持っておられることと思い、大変うれしいことであります。
その高等教育の前段階にある初等教育と前期中等教育なくして高等教育は成り立ちません。義務教育未修了者が地域の担い手として自立していけるよう、できるだけ早い時期に手を差し伸べていただくようお願いをして、次にまいります。
第82回国民体育大会開催に向けての取り組みについて伺います。
第72回笑顔つなぐえひめ国体で、我が長野県勢は天皇杯18位、皇后杯19位と選手の皆さんには御奮闘いただきましたが、残念ながら目標の13位には及びませんでした。今冬本県で開催された冬の国体、ながの銀嶺国体終了時点では、天皇杯、皇后杯、それぞれ1位でありましたが、夏、秋の国体の成績では45位と非常に低迷した厳しい結果に終わっております。来年度の福井国体に向けて競技力向上が喫緊の課題と改めて感じたところです。
さて、本年2月、定例会冒頭に知事みずから決断をいただいた第82回国民体育大会の招致、開催、これは、昭和53年のやまびこ国体と同様に、開催県にとってふさわしい成績を上げること、すなわち、総合優勝をするということにほかならないと理解した次第です。知事みずから決断されたことで方向性が示され、県民挙げて総合優勝を目指すという姿勢で今後さまざまな取り組みを進めていただくことにより、知事が常々申されている長野県がスポーツを通じた元気な県となると考えます。
6月定例会の一般質問において、堀内議員からの10年後の国体の中核となる少年層の育成強化についての質問に対し、教育長は、選手の育成強化には長い期間が必要となり、今後改めて一つ一つ本県のスポーツ環境の現状分析を進め、中長期的な視点を持って関係機関とともに連携しながら選手の育成強化に取り組んでまいりたいと考えているとの答弁をされております。
また、9月定例会で、荒井議員の2巡目国体に向けた競技力向上についての質問には、先進県で行っている競技力向上対策本部の設置、ジュニア選手の強化策や一貫指導体制の構築等のほか、若手指導者の資質向上策など長期的な競技力向上基本計画の策定などを参考にしながら、関係機関等と連携し、2027年の国体に向けた選手強化策を検討してまいりたいという答弁がありました。
2巡目国体まで10年という期間でありますが、決して長いとは思っておりません。むしろ10年しかないという感じであります。今後、選手の育成や指導者の資質向上、施設の整備等が必要となり、それを考えると時間はそれほどないと思うわけであります。大きなイベントを実施するには、人、金、物が必要であります。
まず、人、つまり選手や指導者の育成強化についてです。
昭和53年のやまびこ国体は、オイルショックの影響が少なからず残っており、国体の開催に当たっては大変な経済的制約があったと思います。非常に厳しい状況の中で、多くの関係者の皆さんの御労苦と献身的な努力により、質素ではあるが立派な運営をされたと高い評価を得ております。
こうした大会において、地元の熱い声援を受けて実力を見事に発揮した選手や、類まれなる手腕で選手を勝利に導いた指導者たちは、その後においてもさらなる努力を重ね、本県のスポーツ振興に大きく寄与されたと伺っておりますが、まさに人こそが財産であるとの思いがします。10年後を見据え、選手を考えますと、少年の部の主力になる現在の小学校低学年、また、青年の部の主力になる中学生、いわゆるジュニア層ですが、優秀な小中学生を発掘して、そして育成強化することが不可欠であります。
本県では、平成21年度から、長野冬季オリンピックの遺産を最大限に活用しながら、子供たちに世界で活躍する競技者となる夢とチャンスを与え、オリンピックメダリストを目指した選手育成を図るため、冬季競技、スキー、スケート、カーリング、ボブスレー、リュージュを対象に、SWANプロジェクトを実施しております。このプロジェクトはまだ日も浅く、オリンピック選手はあらわれておりませんが、今後は当たり前のように世界のひのき舞台で活躍する選手が誕生することと期待をしております。
国体にはいろいろな競技種目がありますが、現状、競技人口が少なかったり知名度が低いものがありますが、それらの競技に対して、どのように選手の発掘、育成をしていくのか、教育長に伺います。
また、少子化により、小規模市町村においては、チームスポーツの場合、単独編成ができない等の弊害が出てきております。このことにより、その競技を続けることを諦めるという結果につながる場合もあり、広域的に近隣市町村同士の連携、交流、相互協力を促進することが今後必要になるのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。また、県としてどのような支援ができるか伺います。
青年種目についても、選手の受け皿となる企業、就職先が非常に重要になってくると思いますが、そうした企業をふやし、優秀な選手、指導者の雇用促進をどう進めていくのか伺います。
小中学生のジュニア育成には、何といっても実力のある指導者が必要になります。実力のある教員の確保も欠かせないところでありますし、優秀なジュニア人材を県外流出させないことも非常に大事であります。10年後を見据えての即戦力になる教員の確保を行い、継続的な指導が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
教員の採用について、他県では国体に向けたアスリート特別枠を設けて採用する事例が多く見られますが、本県も実施したらいかがでしょうか、御所見を伺います。
次に、国体を招致し、開催するのに必要な組織についてであります。
昨日の教育長の答弁では、他の国体開催県が設置している競技力向上対策本部なども参考に競技力向上策を検討するとされましたが、できるだけ早急に立ち上げる必要があると考えます。 現在、我が県は、スポーツ振興所管部局はスポーツ課、教育委員会ですが、知事直轄となる知事部局に置くことも一つの手法であり、既に2巡目国体を開催した都府県など27県では知事部局に置かれております。この点についても真剣に検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。施設整備も重要な課題ですが、各種競技会場の確保はどうなさるおつもりか。以上、教育長にお伺いをいたします。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)第82回国民体育大会開催に向けての取り組みに関するお尋ねでございます。
まず、競技人口の少ない競技の選手の発掘、育成についてであります。
県内では、本国体の正式競技37のうち登録者数が200人以下の競技団体は、自転車やカヌー、ライフル射撃など16団体ございます。これらの競技は、練習場所が限定されたり、特殊な競技用具を必要とするなど、それぞれに特別な事情を有しているものであります。
こうした中、2027年国体開催に向けては、競技の普及を図る絶好の機会でありますことから、他種目からの転向、あるいは高校生向けのトライアウトの実施など、選手層の拡大と競技力向上のための戦略を関係競技団体とともに検討してまいりたいというふうに思っております。
次に、小規模市町村におけるチームスポーツの編成についてであります。
少子化の進展により、特に小規模市町村においては、これまでの学校や市町村を単位としたチームスポーツの成立が困難になっている現状があり、大きな課題だというふうに思っております。
県教育委員会としては、部活動に関しましては、中学校校長会の意見も聞きながら、中学校体育連盟とともに近隣の学校間や市町村間の連携による合同部活動のあり方を研究しているところであります。
また、地域スポーツに関しては、例えば小海町を初め近隣の4町村が連携して、総合型地域スポーツクラブ、スポーツシューレ小海において、部活動を離れ、子供のスポーツ活動を支えている地域もありますので、こうした事例を他の地域に広げていくことが可能かどうかを研究しながら課題解決に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
選手や指導者の雇用促進についてであります。
アスリートが県内に軸足を置いて競技を続け、引退後は地域の指導者として次世代の選手を育成するという好循環を創出するために、昨年度からアスリート就職支援事業に取り組んでいるところであります。これまで、本県出身者を中心に10名の大学生等アスリートが本事業による県内企業への就職を希望し、現在までに7名の就職が内定したところであります。今後も、引き続き10年後を見据えた選手や指導者の県内への定着を目指し、経済関係団体への協力要請や会社訪問などを通じまして本事業の趣旨を広く普及してまいりたいというふうに思っております。
次に、国体を見据えた教員採用についてであります。
10年後の国体を見据えた教員採用は、生徒指導の質的向上や選手としての即戦力のほか、指導者としての本県のスポーツ振興を支える人材として期待されるところであります。
現在、32都道府県でスポーツや芸術分野での技能や実績による教員の特別選考が行われておりますので、今後、これらの状況もよく研究した上で慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
スポーツ振興の所管部局についてであります。
県のスポーツ振興の所管に関してはこれまでに何度か議論されてきておりまして、直近では平成26年度の本庁組織の見直しの際にそのあり方が検討されたところであります。
スポーツの果たす役割は、健康増進や地域活性化など、知事部局の所管する分野とも密接な関係はあるが、競技力の向上を中心とした本県のスポーツ振興は学校教員が大きな役割を担っていることや、ほとんどの市町村では教育委員会が担当していることなどから、県行政機構審議会の答申を踏まえた組織の見直しの中では教育委員会の所管とされたところであります。
その後、国においては、平成27年にスポーツ庁が設置されましたほか、全国の都道府県でも知事部局への移管が進み、御質問の中にありましたとおり、27県が生涯スポーツあるいは競技力向上の分野で知事部局の所管となっている。こうした状況や、本県が2巡目の国体や全国障害者スポーツ大会の開催という大きな転機を迎えていることから、スポーツを通じた元気な長野県づくりを目指すにふさわしい組織のあり方については、26年度の見直しもありましたので、今後慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。
それから、2027年国体の競技会場の確保についてであります。
多くの県民の参加と協力をいただき、大会を盛り上げ、また、大会の開催後も各地域でスポーツの意義や価値を享受していただくためには、できる限り多くの市町村で開催することが望ましいというふうに考えております。
競技施設は、できる限り既存施設の活用を図りたいところでありますが、老朽化や日体協が定める国体の施設基準への対応のほか、県内に専用施設のない競技もあるという課題も認識しております。今後、競技会場地の選定に向けては、12月20日に全ての市町村長や関係競技団体など約300人で構成する国体・全国障害者スポーツ大会準備委員会を立ち上げまして、具体的な選定方針や基準などを検討していただく予定でありますが、こうした施設整備に係る課題についても検討してまいりたいというふうに考えております。
〔42番宮本衡司君登壇〕
◆42番(宮本衡司 君)過日の第66回長野県縦断駅伝大会の上伊那チーム4連覇、まことにおめでとうございます。とりわけ、初日3位からの逆転優勝は、チーム一丸となって臨んだ成果であり、駅伝競争の醍醐味がまさにここにあると思います。スポーツの道を極めるには、選手一人一人の資質、能力、技術の向上に尽きるわけですが、そのためには、指導者はもちろんのこと、地域や組織を挙げての物心両面にわたる長期的な見地に立っての強固な支援が不可欠であります。10年後の長野国体では総合優勝をすることを目標とし、それにより、スポーツ精神の高揚や健康増進、体力の向上が図られ、ひいては地域の活力創出につながっていくものと思います。具体的な目標を掲げて、それを達成するために綿密な計画を立て、駅伝競争のごとく着実に一歩一歩前に進めていくことを知事に強くお願いをするものであります。
今定例会補正予算案の中で、県立武道館の整備費57億1,100万円余の債務負担行為が設定されておりますが、予算計上された知事に感謝を申し上げるところであります。当館の建設は、県内武道家たちの長年の夢であり、県議会においても、スポーツ振興議員連盟萩原会長を先頭に調査研究活動を推進してまいったところであります。2020年の東京オリンピックでは、空手が追加競技種目として採用され、日本武道館を会場に行われます。県出身選手の中にもオリンピック出場に有望な選手がいると聞いており、楽しみな限りです。
また、建設に着手することにより、武道を志す青少年の夢が大いに広がり、日本古来の伝統である武道がより一層県民に理解され、身近なスポーツとなることを強く望むものです。つきましては、現在における日本武道の伝統的、文化的、歴史的役割をどのように評価しておられるのか。また、県立武道館に何を期待されておられるのか。最後に知事にお伺いをして、全ての質問を終わります。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)武道の伝統的・文化的役割の評価、そして県立武道館への期待についてという御質問でございます。
武道は、長い歴史と社会の変遷を経て、術から道へと発展をしてきた伝統文化であります。また、心技体を一体としてきた人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う人間形成の道でもあります。このような武道の特性は今日にも継承され、私たちの人格形成にも少なからざる役割を果たしてきているというふうに考えております。
また、武道は、今日、世界各国にも普及をして、日本を代表する伝統文化として国際的にも多くの方が関心を寄せているという現状でございます。
こうした中で、新しく県立武道館建設をしていくわけでありますけれども、県立武道館は、こうした伝統文化としての側面も持つ武道をさらに発展させながら次の世代へと引き継いでいく場にしていきたいというふうに思っております。
また、子供から高齢者まで幅広く取り組めるスポーツとして、体力向上、健康増進に資するものでもありますので、そうしたことが行われる拠点にもなってもらいたいというふうに思っております。
今回、県立武道館は、全国レベルの大会が開催できる規模や設備を備える予定にしております。子供たちを含めて多くの人たちが実際に参加をし、あるいはトップレベルの方たちの試合を間近で見るということによりまして、武道に親しみを持ち、そして関心が高まるということも期待をしているところでございます。
御質問にもありましたように、10年後には本県で国民体育大会、障害者スポーツ大会を開催予定ということで、これからスポーツ振興にますます力を入れていかなければいけないわけでありますが、この県立武道館は、本県における武道の聖地として多くの皆様方に愛される施設となるようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
以上です。
○副議長(諏訪光昭 君)この際、15分間休憩いたします。
午後2時12分休憩
──────────────────
午後2時28分開議
○議長(垣内基良 君)休憩前に引き続き会議を開きます。
続いて発言を許します。
今井正子議員。
〔39番今井正子君登壇〕
◆39番(今井正子 君)脱原発・護憲・平和主義の今井正子でございます。
先日長野市で行われました第67回長野県図書館大会で、片山元鳥取県知事が知の地域づくりの基盤である人を育てる教育のもととなる図書館と地方自治について語られました。その後、阿部知事と対談なさいましたが、長野県の施策に取り入れるべき点はありましたでしょうか。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)先日の図書館大会では、片山元鳥取県知事、私の10年役所の先輩でありますのでかねてからよく存じ上げておりますけれども、鼎談をさせていただいて、クリエーティブな力というのがこれから極めて重要だという観点、そして、そのためには、芸術文化、さらには読解力を養うための読書が重要だという御指摘、私も共感をしながらお話を伺ったところでございます。
以上です。
〔39番今井正子君登壇〕
◆39番(今井正子 君)片山さんは、15年前、長野県の県立高校に全て正規の図書館司書がいることを知って、即、鳥取県の全高校にも配置し、その実績を事あるごとに市町村長に話し、小中学校の9割強も実施に至ったという実践家です。「地方自治と図書館」という本を書かれ、知の地域づくりを地域再生の切り札にして鳥取県の教育を変えました。当時、長野県では、文教委員長が、35人は違法だと議会を中断させ、職員を文科省へ飛ばすなど、大反対の中、強引に推し進めた知事の小学校1年35人学級でした。次の知事も中学まで導入し、そのまま行くと平成25年度までに高校まで終了だった制度を、15年前に一気に高校まで40以下学級を導入し、国からの不足分の教員数は全て県費で賄ったというのです。遠慮がちな教育委員さんを集め、現場で今望むことはと聞くと、同席の財政課長を気にしながら、よくやっていただいていますとの返事。次に、財政課長を外して聞いたところ、教員をふやしてほしいと本音があり、早速教員の欠員補充をしたところ、現場に行ってみると、若い先生などはまだまだ大変そうだったのでさらにふやしたとのこと。もともと6人の子供の父親であり、PTA、学校へいくことも多く、まさに現場の人でもありました。このような手法を知事はどのように評価されますか。
また、鳥取県が実施したような図書館づくりや、今や非正規もふえた県立図書館司書の正規化、少人数学級等についてはどのようにお考えですか。お聞きします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)片山元知事の手法は手法で、その置かれている環境とか時代によって取り組み方はさまざまだというふうに思います。
県立図書館については、平賀館長に任期つき職員で県の外から入ってもらって、今、新しい図書館づくりに取り組んでいただいているわけでありますし、県立高校の司書の配置につきましては、全ての県立高校の図書館に司書資格を有する学校司書を配置しております。少人数学級については、中学校まで30人規模学級を拡大させていただいたわけであります。私のほうが知事になったのは後でありますので、時代状況は大分変わっておりますけれども、これからも学びの県づくりという観点で、この教育分野については私もしっかり取り組んでいきたいと思っております。
〔39番今井正子君登壇〕
◆39番(今井正子 君)自治体が独自に解決策を講じるには、みずから考えるための基盤となる資料や情報力が欠かせないと県庁に図書室をつくり、背後に県立図書館の資料、情報を持つ優秀な図書館司書を配置した例も語られましたが、長野県ではいかがでしょうか。
また、罪を犯して少年院や刑務所に入った人たちの生育歴を調査して書かれた「本のないところ暴力がはじまる」や、自殺したくなったら図書館へ行こうとのスローガンを掲示しているアメリカの図書館もあるように、生きていく力、すなわち自立を支えることが図書館の重要な役割であると思います。
昭和25年、子供たちの心を豊かにするにはと考えた信州大学附属小学校のPTAでもあった叶沢清介長野県立図書館長は、全県の小中学校にPTA母親文庫をつくり、県立図書館で購入した本を学校や子供を通じて回覧し、全県に読書推進、公共図書館づくりを進めました。この活動を知事はどのように評価されていますか。
そして、人的余裕、財政的余裕がない中で最後まで支えてくれた県立図書館でしたが、現在は、読書推進のほか、学習センター、情報センターとしてのミッションもあります。学校図書館や公共図書館の手の回らないところに県立図書館が市町村支援をする拠点となるべきと思いますが、知事の御所見を伺います。
教育長に、1、県立高校の正規図書館司書の占める割合と今後の見通し、2、県立高校の図書館や司書の果たす役割について、3、公立小中学校、特別支援学校の図書館司書の配置状況、正規か臨職か、今後の方向について伺います。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)県庁図書室の設置についての御質問であります。
これから学びの県づくりを進めるに当たっては、県庁自体が学習する組織になっていくということが必要だというふうに思っております。学習する組織として転換していく上でどんなことが必要なのかということを幅広く考える中で、御提案があった部分についても検討課題としていきたいと思います。
それから、PTA親子読書推進の会の評価でありますけれども、読書会や読み聞かせ等の読書活動、機関誌の発行等に取り組まれてこられたわけでありまして、本県におきます読書環境の発展に大いに寄与されてこられた活動だというふうに考えております。
それから、県立図書館が市町村支援をする拠点となるべきではないかという御質問でございます。
県立図書館におきましては、図書館司書を対象といたしましたスキルアップ研修やフォーラムを開催しております。また、県立図書館の司書が市町村立図書館や学校図書館、あるいは公民館図書館を訪問させていただいて、運営上のさまざまな相談に対しての助言等も行っているところでございます。今後も、県立図書館としての役割を踏まえ、市町村立図書館を初めとした公共図書館等への支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)まず、県立高校の正規の図書館司書の占める割合についてでありますが、正規職員が占める割合は約6割でございまして、学校図書館としての機能が十分に発揮できるよう引き続き配慮してまいりたいと思っております。
県立高校の図書館と学校司書の役割についてですが、県立高校における図書館は、生徒が本に親しみ、学びを深めるための知の拠点としての役割を担うとともに、授業づくりや教材準備など教員の教育活動の支援の場でもあるというふうに認識しております。
また、学校司書は、学校図書館における貸し出しや蔵書の管理のほか、学校において取り入れ始めております探究的な学びのレファレンスサービスによる支援等を担っているというふうに考えております。
小中学校、特別支援学校の図書館司書の配置状況ですが、小中学校については、学校司書は、平成29年度、小学校360校に316人、中学校182校に148人が配置されているところでありますが、正規職員、臨時職員の別については調査をしておりません。
特別支援学校については、司書としての業務を司書教諭が行っておりまして、いずれにしても、引き続き適正に図書館運営を行ってまいりたいというふうに考えております。
〔39番今井正子君登壇〕
◆39番(今井正子 君)「学びの改革実施方針」策定に向けての考え方が公表されましたが、本日、備前議員、小林東一郎議員の質問もあり、私は委員会のほうでしっかり質問していきたいと思います。
先日、福井県の教育委員会を視察した際、平成16年、13年前から既に小学校35人学級、31人以上は2名、中1ギャップと言われる中学1年生は30人、2、3年生は32人でした。さすが学力テスト上位県と納得し、福井の高校はとお尋ねすると、40人学級なんてあったかなと言われ、恥ずかしい思いをしました。工業科に32、福祉26、ほか28、30という数のものでした。ちなみに、学力テストの高い秋田を調べましたら、ほぼ全ての高校で35人以下学級実施。ましていわんや小中学校でした。少人数学級導入は既に23県が行っています。特別支援学校からの進学も6割を超えています。今回モデルとして上がりましたが、今実施しないと15年先までおくれたままです。一人一人の生徒が大切にされるには、諸外国並みの生徒数で、ラウンドテーブルを囲み、先生と議論し合えるようにしてほしいものです。大学入試も変わり、探究型の学びを求める教育長に伺います。
隣接県が長野県枠を持ち、県内の公立中学校に進学説明に来ています。本年、山梨県に通う生徒は100名を超え、北杜市、韮崎では新しい校舎に普通科35人、ほかの科は30人という少人数学級です。また、軽井沢と接する群馬の長野原、嬬恋の高校では、普通科32、スポーツ健康、ビジネス16名ずつ。県境の高校が存続するためにも、隣接県から通える範囲内の生徒の入学について早急に検討願いたいと思いますが、教育長に伺います。
また、県は2地域居住を推進していますが、子供たちの通学はその第一歩となると思いますが、企画振興部長の御所見を伺います。
長野県が教育県と言われたのは、どんなに親は貧しくとも子供たちには教育をと、寺小屋日本一、分校日本一と、どこでも誰でも学べること、そして、教育費が県の総予算の3割超だったためと聞いています。知事の7年半でやられた主なる教育施策を上げていただき、今後はどこに力を入れるのかをお聞きしたいと思います。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)隣接県からの生徒の入学についてのお尋ねであります。
入学者選抜制度等検討委員会では、議員御指摘の点も含め議論しておりまして、2月に報告書をいただき、その後、局内で検討を進める予定としております。
以上でございます。
〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕
◎企画振興部長(小岩正貴 君)子育て世代の移住推進という観点からの御質問でございます。
本県への移住者の世帯主は、約7割が20代から40代というデータがございます。こうしたことを踏まえまして、移住セミナーでの白馬高校国際観光科による相談ブースの設置や山村留学についての情報発信など、子育て世代を意識した取り組みも充実させております。今後も多様なニーズに対応した取り組みを行ってまいります。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)私が就任して以来これまでの教育についての取り組みということでございます。
それぞれ県議会の皆様方にも予算等をお認めいただいてきておりますので、改めて主なものだけ申し上げますと、例えば、小学校まで実施をしておりました30人規模学級を中学校全学年まで拡大させていただきました。また、中高一貫校の設置であるとか、白馬高校国際観光科の設置をいたしました。さらには、特別支援教育では、自立活動担当教員をここ数年、毎年20名ずつ増員をして、定員が標準から大きく下回ったということも、年次を追って改善に努めてまいりました。
さらには、信州型コミュニティスクールの実施であるとか、本県独自の信州やまほいく、信州型自然保育の促進、あるいは、来年開学予定であります県立大学の設置に取り組んでまいりました。さらには、教育委員会ともしっかり連携しようということで、総合教育会議を全国に先駆けて設置をいたしましたほか、市町村の教育委員会あるいは市町村長の皆様方との教育分野での連携も重要だということで、県と市町村との総合教育懇談会、これは本県独自に取り組んできたわけであります。
このように、これまでも、人づくり教育に力を入れて取り組んでまいったところでありますが、今検討しております新しい5カ年計画におきましては、学びの県づくりということを主な政策推進の方針に位置づけて取り組んでいきたいというふうに思っております。
子供たちの教育については、やはり生きる力、あるいは創造性を育む、こうした教育に力を入れていきたいというふうに思っておりますし、幼児教育から高等教育の振興まで幅広く教育委員会あるいは関係の皆様方とも十分連携しながら取り組んでいきたいと考えております。 以上です。
〔39番今井正子君登壇〕
◆39番(今井正子 君)教育長に答弁漏れです。高校少人数学級導入についての1番、勇気を持って今こそ進むべきでないかということについてどう考えるかお願いいたします。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)高校少人数学級の導入についてのお尋ねであります。
学校の課題や生徒の状況に応じた少人数の生活集団の編成、いわゆる少人数学級導入の検討は新たな試みであります。モデル校を設置して探究的な学び等の学習指導や生活指導について効果を検証するとともに、学級及び学校運営のあり方について研究を行うことが望ましいと考えているところでございます。モデル校での取り組みや研究の成果等を踏まえ、今後の少人数学級のあり方について検討してまいりたいと思っております。
〔39番今井正子君登壇〕
◆39番(今井正子 君)郷学郷就をうたい、短大の4年制化初め私立大の公立化、増学部等、高等教育について知事は大変頑張っておられます。
一方、創立120周年を迎えました蓼科高校のように、教室、体育館、管理棟、全て昭和38年改築、野沢北校39年1棟などのように、第6通学区には築54年の校舎もあります。県立高校やプレハブ増築の多い特別支援学校が抱える校舎や設備の老朽化の問題についても、教育基盤をしっかりしていただける知事のお考えを伺いたいと思います。
また、中教審の教員の働き方改革の中で、カウンセラーや生活指導員等縦割りの分業化による外部からの支援よりも、児童生徒一人一人を大切にするには、児童生徒と長く接する正規教員の増が必要です。我が県では、ここ10年で2倍強となる教員定数の欠員があり、高校も含め、まず欠員を正規職員で補充するべきと考えますが、教育長、いかがでしょうか。
公立小中学校では、本年1万307人と10年前に比較し900人の減となった正規職員。臨時は200人ふえて1,542人、そして欠員は正規職員の1割ともなる1,076人、341人増であり、平成23年度以降、ずっと1,000人を超えた欠員です。特別支援は193人欠員、高校は200人欠員、多くの非常勤がいます。この数字を見ただけでも胸が張り裂けそうです。学びの改革を目指す我が県としては、より大きな予算の確保について知事の英断をお願いいたします。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)県立学校の校舎等の整備について御質問いただきました。
学校の教育環境の充実は私も重要だというふうに考えております。そうした観点で、28年度から3年間、県立学校の施設整備に係る予算を従前の約3倍に増額しております。27年度3億弱だった予算を28年度からは9億円以上に伸ばさせていただいて、例えば学校の屋根の改修であるとか給排水設備改修等、多くの生徒が利用する校舎あるいは設備、こうした部分について集中的に修繕を進めさせていただいているところであります。引き続き教育環境の向上を図っていきたいと思います。
教育委員会の皆様方の御意見、御要望、こうしたものを十分承りながら、教育環境の充実も含めて必要な予算措置を行っていきたいというふうに考えております。
以上です。
〔教育長原山隆一君登壇〕
◎教育長(原山隆一 君)正規教員の増員についてのお尋ねであります。
正規教員の採用については、児童生徒数や退職者数の推移、再任用者の状況、国の定数改善及び加配措置の動向等を踏まえる必要がありまして、中長期的な見通しの中で正規率を高めてまいりたいというふうに考えております。
〔39番今井正子君登壇〕
◆39番(今井正子 君)高校で福祉コースを学ぶ生徒は多い。しかし、実際に就職していく率は少なく、離職率も高いと言われています。
1、長野県の状況はどうか。2、福祉現場では子育て中のひとり親の就業率も高い。子育て支援の観点からも、県として何か支援ができないか。3、給与水準の引き上げ、そして介護施設の人員配置、2人に対して1人と、夜勤の1人体制を解消するなど3点を健康福祉部長にお聞きします。
また、長寿日本一を誇る長野県において、外国の方を頼らず介護人材を確保するためにも、先取りして県として何らかの施策ができないか、早急に5カ年に盛り込むべきと思いますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
最後に、森林税について……
○議長(垣内基良 君)今井正子議員に申し上げます。時間が経過しておりますので、発言を終了願います。
◆39番(今井正子 君)以上で終わりにいたします。ただいまの御返答よろしくお願いします。
〔
健康福祉部長山本英紀君登壇〕
◎健康福祉部長(山本英紀 君)介護従事者への支援について3点御質問をいただきました。
まず初めに、福祉を学ぶ高校生の福祉分野への就職率と離職率についてであります。
県内高校福祉系学科の平成28年度卒業生は255名であり、そのうち45名、率にして17.6%が福祉分野へ就職しております。
また、平成28年の県内介護職員離職率は、高卒者を含めた全体で11.7%であり、全産業平均14%、全国の介護職員離職率16.7%と比較して低い状況となっております。
次に、子育て支援の観点からの支援策についてのお尋ねがありました。
子供を持つ介護職員の離職防止対策等の観点から、仕事と子育ての両立支援は重要な課題と考えております。県としては、平成28年度から、介護施設に勤務する職員等の子供を預かる施設内保育所の運営費助成を行っており、今年度の事業実施に当たっては、県内介護施設等の要望を踏まえ、全ての希望施設を対象として予算を増額し、計8施設に補助を行っております。今後とも、施設内保育所設置を推進すること等により、介護職員の働きやすい環境整備に努めてまいります。
3点目は、介護職員の労働環境改善のための国への働きかけについてであります。
介護職員の賃金については、平成21年度以降、介護報酬等の加算により複数回にわたり引き上げが行われており、平成29年度におきましても、月額平均1万円相当の処遇改善が行われましたが、対象職員が介護職員に限られているところです。県では、国に対して、対象職員の拡大等の制度の拡充を求めているところであり、引き続き要望してまいります。
また、夜勤職員の1人体制の改善など人員配置基準の引き上げについては、介護サービスの向上や労働環境の改善に資するものですが、一方で、人件費の増に伴う事業者の経営状況の悪化や介護職員の不足につながるおそれがあり、慎重に検討する必要があると考えております。
なお、基準を上回る夜勤職員の配置等を行っている場合には、夜勤職員配置加算など介護報酬上の加算が措置されているところであります。
以上でございます。
〔知事阿部守一君登壇〕
◎知事(阿部守一 君)介護人材の確保対策についての御質問でございます。
これまでも、入職促進、資質の向上、離職防止、定着支援、こうしたことを柱として取り組んでおりますが、これから安心して県民の皆様方が暮らせる社会をつくっていくためには、この人材不足にどう対応するかというのは非常に重要なテーマだというふうに思っております。
こうしたことから、単に健康福祉部のみの視点だけではなく、例えば移住と組み合わせた人材の誘致等も含めて、5カ年計画の策定に向けて幅広く検討を行っていきたいと考えております。
以上です。
○議長(垣内基良 君)以上で行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑は終局いたしました。
──────────────────
○議長(垣内基良 君)お諮りいたします。第29号「人事委員会委員の選任について」及び第30号「収用委員会委員及び収用委員会予備委員の選任について」は、それぞれ会議規則第44条の規定により委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ委員会審査を省略することに決定いたしました。
本件それぞれに対して討論の通告がありませんので、本件を一括して採決いたします。
本件それぞれ、原案どおり同意するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ原案どおり同意することに決定いたしました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△知事提出議案委員会付託
○議長(垣内基良 君)次に、残余の知事提出議案をそれぞれ所管の委員会に付託いたします。
各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書の提出を願います。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△請願・陳情提出報告、委員会付託
○議長(垣内基良 君)次に、去る9月定例会後、県議会に対して請願及び陳情の提出がありましたので、報告いたします。
〔職員朗読、議案等の部「4 請願・陳情文書表」参照〕
○議長(垣内基良 君)以上であります。
ただいま報告いたしました請願及び陳情を、それぞれ関係の委員会に付託いたします。
各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書の提出を願います。請願・陳情文書表は後刻お手元に配付いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△陳情取り下げの件
○議長(垣内基良 君)次に、お手元に配付いたしましたとおり、陳情の取下願がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。
ただいま報告いたしました陳情取り下げの件を本日の日程に追加いたします。
本件を一括して議題といたします。
お諮りいたします。本件については、それぞれ願い出のとおり取り下げを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ願い出のとおり取り下げを許可することに決定いたしました。
〔議案等の部「5 陳情取下願」参照〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
△議員提出議案の報告
○議長(垣内基良 君)次に、議員から議案の提出がありましたので、報告いたします。
〔職員朗読〕
議第1号
ライドシェアの導入に対し慎重な検討を求める意見書案
提出書
平成29年11月30日
長野県議会議長 垣 内 基 良 様
提 出 者
本 郷 一 彦
賛 成 者
下 沢 順一郎 古 田 芙 士 萩 原 清
服 部 宏 昭 望 月 雄 内 村 石 正 郎
平 野 成 基 向 山 公 人 佐々木 祥 二
風 間 辰 一 西 沢 正 隆 鈴 木 清
清 沢 英 男 宮 本 衡 司 小 池 清
丸 山 栄 一 今 井 敦 髙 橋 岑 俊
堀 内 孝 人 酒 井 茂 丸 山 大 輔
高 橋 宏 竹 内 久 幸 小 島 康 晴
小 林 東一郎 山 岸 喜 昭 荒 井 武 志
堀 場 秀 孝 依 田 明 善 石 和 大
埋 橋 茂 人 今 井 愛 郎 寺 沢 功 希
花 岡 賢 一 宮 澤 敏 文 村 上 淳
小 池 久 長 清 水 純 子 中 川 宏 昌
浜 章 吉 小 川 修 一 小 山 仁 志
小 林 伸 陽 高 村 京 子 和 田 明 子
備 前 光 正 藤 岡 義 英 両 角 友 成
山 口 典 久 今 井 正 子 髙 島 陽 子
吉 川 彰 一 百 瀬 智 之
長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。
──────────────────
議第2号
稲作農家に係る経営安定対策の一層の充実を求める意見
書案提出書
平成29年11月30日
長野県議会議長 垣 内 基 良 様
提 出 者
本 郷 一 彦
賛 成 者
下 沢 順一郎 古 田 芙 士 萩 原 清
服 部 宏 昭 望 月 雄 内 村 石 正 郎
平 野 成 基 向 山 公 人 佐々木 祥 二
風 間 辰 一 西 沢 正 隆 鈴 木 清
清 沢 英 男 宮 本 衡 司 小 池 清
丸 山 栄 一 今 井 敦 髙 橋 岑 俊
堀 内 孝 人 酒 井 茂 丸 山 大 輔
高 橋 宏 竹 内 久 幸 小 島 康 晴
小 林 東一郎 山 岸 喜 昭 荒 井 武 志
堀 場 秀 孝 依 田 明 善 石 和 大
埋 橋 茂 人 今 井 愛 郎 寺 沢 功 希
花 岡 賢 一 宮 澤 敏 文 村 上 淳
小 池 久 長 清 水 純 子 中 川 宏 昌
浜 章 吉 小 川 修 一 小 山 仁 志
今 井 正 子 髙 島 陽 子 吉 川 彰 一
百 瀬 智 之
長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。
──────────────────
議第3号
危険運転の根絶に向けた対策の強化を求める意見書案提
出書
平成29年11月30日
長野県議会議長 垣 内 基 良 様
提 出 者
下 沢 順一郎
賛 成 者
本 郷 一 彦 古 田 芙 士 萩 原 清
服 部 宏 昭 望 月 雄 内 村 石 正 郎
平 野 成 基 向 山 公 人 佐々木 祥 二
風 間 辰 一 西 沢 正 隆 鈴 木 清
清 沢 英 男 宮 本 衡 司 小 池 清
丸 山 栄 一 今 井 敦 髙 橋 岑 俊
堀 内 孝 人 酒 井 茂 丸 山 大 輔
高 橋 宏 竹 内 久 幸 小 島 康 晴
小 林 東一郎 山 岸 喜 昭 荒 井 武 志
堀 場 秀 孝 依 田 明 善 石 和 大
埋 橋 茂 人 今 井 愛 郎 寺 沢 功 希
花 岡 賢 一 宮 澤 敏 文 村 上 淳
小 池 久 長 中 川 宏 昌 清 水 純 子
浜 章 吉 小 川 修 一 小 山 仁 志
小 林 伸 陽 高 村 京 子 和 田 明 子
備 前 光 正 両 角 友 成 藤 岡 義 英
山 口 典 久 今 井 正 子 髙 島 陽 子
吉 川 彰 一 百 瀬 智 之
長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。
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議第4号
所有者不明土地問題への抜本的な対策を求める意見書案
提出書
平成29年11月30日
長野県議会議長 垣 内 基 良 様
提 出 者
下 沢 順一郎
賛 成 者
本 郷 一 彦 古 田 芙 士 萩 原 清
服 部 宏 昭 望 月 雄 内 村 石 正 郎
平 野 成 基 向 山 公 人 佐々木 祥 二
風 間 辰 一 西 沢 正 隆 鈴 木 清
清 沢 英 男 宮 本 衡 司 小 池 清
丸 山 栄 一 今 井 敦 髙 橋 岑 俊
堀 内 孝 人 酒 井 茂 丸 山 大 輔
高 橋 宏 竹 内 久 幸 小 島 康 晴
小 林 東一郎 山 岸 喜 昭 荒 井 武 志
堀 場 秀 孝 依 田 明 善 石 和 大
埋 橋 茂 人 今 井 愛 郎 寺 沢 功 希
花 岡 賢 一 宮 澤 敏 文 村 上 淳
小 池 久 長 中 川 宏 昌 清 水 純 子
浜 章 吉 小 川 修 一 小 山 仁 志
小 林 伸 陽 高 村 京 子 和 田 明 子
備 前 光 正 両 角 友 成 藤 岡 義 英
山 口 典 久 今 井 正 子 髙 島 陽 子
吉 川 彰 一 百 瀬 智 之
長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。
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議第5号
衆議院選挙制度の抜本的な見直しを求める意見書案提出
書
平成29年11月30日
長野県議会議長 垣 内 基 良 様
提 出 者
和 田 明 子
賛 成 者
小 林 伸 陽 高 村 京 子 備 前 光 正
両 角 友 成 藤 岡 義 英 山 口 典 久
今 井 正 子 髙 島 陽 子
長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。
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議第6号
診療報酬及び介護報酬の引上げを求める意見書案提出書
平成29年11月30日
長野県議会議長 垣 内 基 良 様
提 出 者
両 角 友 成
賛 成 者
小 林 伸 陽 高 村 京 子 和 田 明 子
備 前 光 正 藤 岡 義 英 山 口 典 久
今 井 正 子 髙 島 陽 子
長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。
〔議案等の部「1 議案 (2)議員提出議案」参照〕
○議長(垣内基良 君)以上であります。
ただいま報告いたしました議員提出議案を本日の日程に追加いたします。
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△議員提出議案
○議長(垣内基良 君)最初に、議第1号「ライドシェアの導入に対し慎重な検討を求める意見書案」、議第3号「危険運転の根絶に向けた対策の強化を求める意見書案」及び議第4号「所有者不明土地問題への抜本的な対策を求める意見書案」を一括して議題といたします。
お諮りいたします。本案については、それぞれ会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。
本案それぞれに対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を一括して採決いたします。
本案それぞれ、原案どおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ原案どおり可決されました。
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△議員提出議案
○議長(垣内基良 君)次に、議第2号「稲作農家に係る経営安定対策の一層の充実を求める意見書案」を議題といたします。
お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本案は提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。
質疑の通告がありませんので、本案につき討論をいたします。
高村京子議員から討論の通告がありましたので、発言を許可いたします。
高村京子議員。
〔38番高村京子君登壇〕
◆38番(高村京子 君)議第2号「稲作農家に係る経営安定対策の一層の充実を求める意見書案」に対する反対討論を行います。
農業・農村は、食料と国土、環境、景観、文化を支える社会の基盤です。多くの国では、政府がそれぞれの条件に応じて、農家、農業への手厚い保護を行い、中山間地や小規模農家を含めた農業経営を応援し、自国の食料自給率向上を目指しています。
ところが、日本政府は、企業が最も活躍できる国づくりを公言し、企業の参入を広げるために、農地、農協など戦後の家族農業を支えてきた諸制度を次々と切り捨ててきました。農業への財政援助を縮小し、農業に画一的な大規模化やコスト低減を押しつけ、中小の家族農業を切り捨て、農業・農村を疲弊させてきました。食料自給率は今やカロリーベースで38%にまで落ち込んでいます。
さらに、政府は、国民や農協が反対の声を上げているTPP国会批准の強行、日欧EPA、さらに日米FTA交渉を前のめりに進め、米政策からの撤退、農協解体、種子法廃止と次々に農業経営に打撃を与える政策を推し進めています。
特に、来年度から、米の直接支払交付金、10アール当たり7,500円を廃止し、生産調整からの撤退、米の需要や価格を全面的に市場に委ねようとしています。米農家の大幅な所得の減少、大規模農家も含め今後の営農への不安はさらに大きくなっています。農業・農村の一層の疲弊につながることは明らかです。
この意見書案は、現状の農家の懸念を踏まえつつも、農業・農村の実態や農業者の切実な声が反映されておらず、規制改革推進会議の財界側委員の主張を優先している政府の農業政策を推し進める立場と思われます。「意欲ある農業者が、将来にわたり希望をもって経営に取り組める活力ある農業を実現するため」としていますが、農業の多様性ははかり知れないものがあり、中山間地や小規模家族農業を切り捨てるやり方では、安全、安心の食料確保や国土保全、美しい農村風景、農村の存続に希望は持てません。安倍政権による米の直接支払交付金と戸別所得補償の廃止を認めながら、海外への市場拡大を目指し、勝負できる農業へとはいっても、他国からの安い農産物が大量に入ってくることとなり、現に踏ん張っている農業者を一層苦しめることになります。
高齢化が進み、小規模農家が多い長野県の現状を踏まえれば、全ての稲作農家を手厚く支援する政策への転換こそ今強く求められています。先祖が開墾し、水路を切り開き、おいしい米づくりに励んできた農家が誇りと希望を持って営農できるよう、特に米の価格保障制度こそ必要です。農業、農家への支援策を次々と廃止し、米農家を疲弊させてきた原因を解明せずに、この意見書案は今までの農業政策の一層の延長を求める内容であり、残念ながら賛同できません。
以上申し上げて、反対討論といたします。
○議長(垣内基良 君)以上で討論は終局いたしました。
本案を採決いたします。
本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(垣内基良 君)起立多数。よって、本案は原案どおり可決されました。
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△議員提出議案
○議長(垣内基良 君)次に、議第5号「衆議院選挙制度の抜本的な見直しを求める意見書案」を議題といたします。
提出者の説明を求めます。
和田明子議員。
〔27番和田明子君登壇〕
◎27番(和田明子 君)議第5号「衆議院選挙制度の抜本的な見直しを求める意見書案」の提案説明を行います。
日本国憲法前文の冒頭、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受するとうたわれています。国権の最高機関で唯一の立法機関である国会の議員を選ぶ選挙制度は民主主義の土台であり、民意を適切に反映される選挙制度が求められるゆえんです。
しかし、1996年10月の第41回衆議院選挙から小選挙区比例代表並立制が実施され、20年余りが経過いたしました。現行の選挙制度は大政党に圧倒的に有利で民意が反映されない。小選挙区では大半の投票が議席に結びつかない死票になるといった弊害が、有識者からも、衆議院各党協議会等でも指摘されてきました。例えば、直近の本年10月22日執行の衆議院選挙において最大議席を獲得した自由民主党は、民意を最も適切に反映する比例代表では得票率33.28%で、議席占有率37.5%でありました。一方、小選挙区では得票率47.82%、議席占有率74.39%であります。
このように、小選挙区では民意との間に大きな乖離が生じるという制度の弊害があらわになりました。過去の衆議院選挙でも、4割台の得票で7割台の議席になっています。いかなる政党であっても、国民の多数の支持により政権を担うべきです。小選挙区制が政治の劣化現象を生み出しているとの指摘が広範にあることも看過できません。
上智大学中野晃一教授は、多様な社会の実態、多様な意見がある今の社会に二つの選択肢のどちらかを選ぶという簡単な時代ではない。意見の違いや多様性を国会の場に出さないようであると、有権者にとってわかりにくい政治となってしまう。政治家のほうが有権者離れを起こしてしまっていると、有権者本意で政策議論がなされない現在の状況を問題視しております。
選挙制度は民主主義の土台です。民意が反映されない現行の衆議院選挙制度を抜本的に見直すよう本県議会から求めていこうではありませんか。皆様の御賛同をお願いし、意見書案の提案説明とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(垣内基良 君)以上であります。
お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本案は委員会審査を省略することに決定いたしました。
本案に対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を採決いたします。
本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(垣内基良 君)起立少数。よって、本案は否決されました。
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△議員提出議案
○議長(垣内基良 君)次に、議第6号「診療報酬及び介護報酬の引き上げを求める意見書案」を議題といたします。
提出者の説明を求めます。
両角友成議員。
〔15番両角友成君登壇〕
◎15番(両角友成 君)議第6号「診療報酬及び介護報酬の引き上げを求める意見書案」の提案理由の説明を行います。
政府は、来年度の診療報酬及び介護報酬の改定に向け、財政制度等審議会において、公定価格の適正化、包括化などを通じた効率的な医療、介護を目指すとして、診療報酬の適正化や薬価の見直しなどについて検討しているが、
社会保障費削減ありきの議論が先行され、施策の充実といった積極的な姿勢を全く示していません。ことし10月の総選挙直後にも、経団連から安倍総理に対し、さらなる法人税の減税と痛みを伴う
社会保障費削減を求め、総理はこれに応える姿勢です。
他方、医療の現場からは、医療費のマイナス改定が実行されれば、経営悪化、労働環境の悪化がさらに進み、施設の閉鎖や診療科の縮小、患者へのアクセスが制限されるなど、医療そのものを続けることができないと切実な声があります。
介護の現場からは、報酬のマイナス改定が繰り返されたことで、多くの介護事業者は経営難に追い込まれ、利用者が必要な介護サービスを使えない事態が相次いでいる。しかも、政府は介護サービスの利用制限を言い出している。現場の危機的状況に歯どめをかけ、安心できる介護の仕組みを実現するために、介護報酬の引き上げ、仕組みの改善が求められていますと、こちらも切実な声です。来年度は、2年に一度行われる診療報酬の改定と3年に一度行われる介護報酬の改定が重なる年です。
財務省は、診療報酬、介護報酬を一体的に削減する機会とするとの思惑のようですが、ここで診療報酬及び介護報酬のさらなるマイナス改定が断行されれば、国民の健康と暮らしを支える基盤が崩壊していくことが危惧されます。
今、マイナス改定ではなく、増額に転じることが強く求められています。この現状に鑑み、意見書案は、国民の安心、安全に欠かせない医療・介護サービスの削減につながる乱暴な見直しを実施することなく、事業者の経営安定化や従事者の処遇改善等を通じて、医療、介護の質の向上を図るため、診療報酬及び介護保険の引き上げを行うよう強く国に要請する中身です。
以上、議員各位の賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。よろしくお願いいたします。
○議長(垣内基良 君)以上であります。
お諮りいたします。本案については、会議規則第44条の規定により委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(垣内基良 君)御異議なしと認めます。よって、本案は委員会審査を省略することに決定いたしました。
本案に対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を採決いたします。
本案、原案どおり決するに賛成の議員の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(垣内基良 君)起立少数。よって、本案は否決されました。
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○議長(垣内基良 君)次会は、来る12月8日午後1時に再開して、各委員長の報告案件を日程といたします。書面通知は省略いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後3時16分散会...