農政部長 北 原 富 裕
農業政策課長 濱 村 圭 一
農業技術課長 上 杉 壽 和
園芸畜産課長 伊 藤 洋 人
農地整備課長 田 中 庫 夫
農村振興課長 中 島 賢 生
農産物マーケティング室長 西 原 光 男
●
付託事件
3月4日に同じ
●会議に付した事件
3月4日に同じ
●
開議時刻 午前10時29分
●
荒井委員長 開会を宣した。
▲
日程宣告
農政部関係の審査
▲
議題宣告(
農政部関係)
付託事件及び
所管事務を一括して議題とし、委員の
質疑等発言を許可した。なお、議論を深めるため、委員の発言に対し、ほかの委員から意見等がある場合についても、あわせて発言願った。
◆
小山仁志 委員 順次質問させていただきますが、よろしくお願いいたします。前回の議会におきまして、
追加資料ということで、2015年の
農林業センサスの結果ということで資料提供いただきました。県の統計のほうで公表されていたりする数字がありまして、そちらを少し見させていただいたんですが、
基幹的農業従事者の65歳以上の割合がいよいよ7割を超えてきたという数字がありましたし、それから
農業就業人口が減少してきて、
減少傾向がずっと続いておりまして、5年前と比較して17.3%減少している一方で、85歳以上の方が9.9%も増加しているということが一つの特徴なのかなと私は捉えました。
一方で、きのうも話題になったんですが、
新規就農、40歳未満の
新規就農者の数が、250人という計画に対して、おおむね達成をしながらのこの近年の推移があるわけでございますが。こうした
新規就農者が少しずつ着実にふえていく一方で、この高齢化がどんどん進んできている原因と、
あと新規就農者がふえてきているけれども、高齢化がどんどん進んでくる原因と、この
新規就農者との
相関関係はどう捉えているのか、分析をしているのかについて、まずお伺いをしたいと思います。
◎
中島賢生 農村振興課長 農業従事者の御質問ですけれども。きのうもお話しさせていただきましたように、
新規就農者については、年間250人という目標を立てまして、ほぼ毎年250人が確保されています。その考え方は、将来的には、中核的な担い手の方々、9,000経営体の方々が、29年には農地の53%を使っていただこうということを踏まえて、40年で交代していけば年間250人程度、どんどん
新陳代謝していかなければいけないという考え方です。
一方、その高齢者の方が大変ふえているというのは、従前から、
新規就農とか、若い方がなかなか入ってこないということで、全体としてその従事者の方が、平均が68歳といったことで年々
高齢化率が高まっているんですけれども。一方、昭和一桁時代の方々がいよいよリタイアされていって、それに伴って
新規就農者の方が250人入ってくるということになれば、将来的には、
年齢構成はもう少し低くなってくるんではないかと思っています。ことしの
センサスの発表の中でも、その高齢化のところ、出ていたと思いますけれども。
健康長寿で、その農業をやることによって、
生きがいだったり、健康を維持していくということで、昔は80歳を超えると、就農はなかなか厳しいかなと思うんですけれども。今は健康ということもあって、長く農業に従事していらっしゃる方がまだいらっしゃるということだと思っています。
◆
小山仁志 委員 担い手への
農地集積をしながら、
新陳代謝も図っていくということで、息の長い話で
世代交代を進めていかなければいけないと思っています。高齢化が進んでいくということと担い手の減少というのは、かねてからの課題であったと思いますが。これから、農業が
国際競争力にさらされていく中で、大変気になるのは、先ほども申し上げました高齢化の実態ということでございます。産業としての稼げる農業をしていくときに、果たして、高齢化を改善していかなければ、攻める農業、
経営感覚を持った従事者がいなければ、
国際競争の中でさらされたときには、戦い抜けないということが大変気になっています。
と申しますのも、
農業就業者の高齢化の割合というのは、日本は突出をしています。先ほどの65歳以上の
農業就業人口が、イタリアでは20%台、そして
フランス・スペインでは10%台という状況になっていますし、例えば
農業大国フランスは、農家の
平均年齢が30代ということがありますし、非農家の出身者が半分を超えるという特徴があります。この
農業従事者の
ボリュームゾーンを見ると、棒グラフにすると日本は65歳以上が
右肩上がりでふえていくんですが、
フランスなんかだと、30代、40代に山があって、山の形をしているんですよね、
年齢構成と
就業者数というのが。要するに
フランスの農家というのは、
新陳代謝、
世代交代が進んでいて、若くて元気がいい
農業就業者が多いということがあると思います。これが、しっかり
世代交代が進んでいく国と、今、課長のほうで
健康長寿という、この農業をやっていきたいと志向する日本の特徴がありますけれども。
世代交代がしっかり進んでいって元気がいい国の特徴と、なかなか
高齢化率が下がっていかない日本、違いがありますけれども。この違いをもたらす違いというのは、どのように考えたらいいか。これ、私、しっかり考えていく必要があると思いますが、その辺についての認識を確認させていただきたいと思います。
◎
中島賢生 農村振興課長 最終的に若い方が就農する
きっかけといいますか、そういうのは一定の所得が得られるということで、家族を持たれて、その子育てをしていく上で必要な収入が得られるということが一番大切なことで、就農者がふえていくんだろうと思っています。先ほど
委員お話しになったように、
フランスというのは
大変農業大国でございまして、我が国でも農業への支援というのは手厚くやっているんですけれども、
フランスも本当に手厚い支援をしていると承知をしておりまして。そういったこととか、国民性があったりもするんだと思います。要するに農業をすることによって、農村で子育てをするというのがものすごくいいとか、命をはぐくむ物をつくるということに
生きがいを感じるということが、綿々とその国民の中にも定着しているんだろうなと思っていますが。日本の場合には、土地がなかなか狭隘だということもあって、相当その集約的な農業をやっていかなきゃいけないということもあって、なかなか
フランスのようなああいった条件のいい国に対して比べれば、規模も小さい農家が多い、そういった方々が日本の農業を支えているというのは事実だと思っています。
◆
小山仁志 委員 今、課長さんおっしゃっていただいたとおり、日本の、特に長野県というのはその特徴的な中山間地を多く抱えて条件が不利ということがありますから、
生産効率性、収益性というものを考えていくと、
農業所得が低く暮らしていけないという、若い人たち、ジレンマを抱えていると思います。そういう意味では、競争力の強い農業を育成していくという
競争政策と、あるいはさっきおっしゃっていただいた農村の暮らしの場としての農業、高齢者の皆さんにもお支えをいただきながらということでの
社会政策的な、
競争政策と
社会政策、両方をにらんでいくことが、この長野県の農政にとっては大変重要なことなのかなということを、私もこの1年かけてようやく知ることができたと思っています。
一方で、この産業としての農業、競争力の強化をしていく上では、この規模と一定の規模、おっしゃっていただいたとおりですが、
あと人材の
世代交代ということが大変重要だと考えています。そういう意味で、
農地バンクというのが大変大きな役割を担っていかなければならないわけでございますが。昨今、この農業の多面的な機能に対する企業の関心が高まっていると思っております。この農業の多面的な機能に対して、CSRとして担い手になっていこうという部分ですとか、あるいは国産というニーズに対する
プライベートブランド化、それからトレーサビリティーをしっかり関与しながら農業の価値を高めていこうという企業の意識の中で、
大手流通企業等の企業系の法人の参入が相次いでいる地域が、周辺の県なんか見ると見られるんですが。例えばこの
イオンアグリ創造ですとか、ワタミファームとか、
セブンファームとか、この
企業参入が相次いでいる地域があるんですけれども。本県において、
企業参入の事例というのはどういうものがあって、それから
企業参入のニーズについてはどうつかんでいるのか。それから参入しやすい
環境設定の
取り組みは、
誘致活動ということになるのかわかりませんが、参入しやすい
環境設定の
取り組みというものはどのように行っていくのかについて、お尋ねをしたいと思います。
◎
中島賢生 農村振興課長 長野県における企業の
農業参入の状況でございますけれども。従前は、なかなか
企業参入というのは数がふえていなかったんですけれども、農地の利用をしやすくなる
リース方式ですと、どんな企業でも農業ができるという、農地法の改正でそういった条件を措置したというのが、一つ大きな流れとしてはあると思います。それで長野県には、今、およそ100社の
企業参入がございまして、そういった内訳を見てみますと、
食品関連のイオンとか、
食品関連の業種が28社ぐらい。あるいは
サービス業が26社とか、そういったところが多くなってきております。
企業が参入すると、従前からそこで農業をしていただいている農家の方とか、それから
生産者団体等で心配される方が結構いらっしゃると思います。そういったことで、企業の参入においても、地域の農業者あるいは組織と十分連携し合える。それで農村独特の
共同作業とか、そういったこともやることによって
農村景観が守られているということになれば、やはり企業的な感覚だけで、利益を追求することに全精力をかけるということだけでは、農村ではなかなかうまく
事業展開ができないんではないかと思っております。企業の方々から我々のところへ照会があれば、そういったことも含めてお話をさせていただいたり、それから支援策についてもお示しをしたり、具体的には企業の
参入マニュアルというのもつくらせていただいて、照会があればそれをもとに相談に乗っているというところです。
◆
小山仁志 委員 地域との連携というのは、今、お聞きしていて一つの課題としてしっかりやっていかなきゃいけないと思ったんですが。農用地の
有効活用ですとか、あるいは
地域活性化のための多様な担い手の確保、雇用面でも
大変メリットが大きいと思っています。これから
新規就農者をふやしていく上で、
経営感覚を持った人をふやしていくことが大変大事だと思っているんですが。就農のあり方というのも
大変多様化をしていて、
農業生産法人から独立をしていくという皆さんも多いわけでございます。
農業生産法人の皆さんにとっては、
社会的役割としてしっかり農地を使っていくという思いの代表者の皆さんが多いので、独立させる志向が強い皆さんが多いと思っています。
農業生産法人等で働いたりした人というのは、現実に即した環境で営農を学んで独立、ひとり立ちをしていく資質を持ったファーマーなのかなと思っておりますので、そういった地元の農村との連携もしっかりと担保しながら、
農業生産法人、
企業参入に、後押しをしていく施策、相談しやすい
環境設定等についても、ぜひ気を配っていただいて進めていっていただきたいと思っています。
きのう、資料20で
中間管理機構の、いよいよことしは3年目になるということで、
農地バンクのこれまでの
課題設定に対して、どういう対応をしていくかについてのフレームを見させていただいたんですが。私、これから周知ということも大事なんですが、しっかりこの借り手と貸し手に、双方に大きな利点があるということを、私、
優良事例というものをしっかり交えながら、それぞれに周知を図っていく。ただ周知をしていくんじゃなくて、
優良事例、利点についての
優良事例を示しながら周知をしていくことが重要だと思いますが。
優良事例をしっかりと整えながら、こういった
制度周知等に取り組んでいただけるということでよろしいか、確認をさせていただきたいと思います。
◎
中島賢生 農村振興課長 制度の周知については、浸透というのは必要だと思いますので、引き続きやっていかなきゃいけないということなんですけれども。単に制度を浸透していくことではなくて、今、委員おっしゃられたように、各地域でその
中間管理機構を使った
農地集積ということにおいて、どういった効果が出ているのか、どういう事例があるのかということも、一緒に伝えていくということが大変、お
取り組みいただく農家にとって、取り組む
きっかけになると思っていますので、そういった事例もお話しさせていただきたいと思っています。
特に、具体的には、
水田地帯、上伊那の地域で
集落営農という体制の中で、
地域ぐるみで、集積だけではなくて集約という、その効率も高めるという観点からいくと集約という視点も大変重要でございまして、そういった上伊那の
集落営農がきっちりできているところでは
大変効果も上げておりますので、
水田地帯においてはそういったことをほかの
水田地帯にも広げていくということもしていきたいと思っております。
◆
小山仁志 委員 この
中間管理事業の推進、
農地バンクの役割というのが、これから競争力、あるいは中山間地にも今回はインセンティブを付与した
施策体系、
制度設計をいただいたわけですけれども。
一つ国策という面もあるんですが、大きなポイントになってくるかと思います。なかなか地道な作業だと思いますけれども、しっかりと、どういった対策が効果があるのかということを見きわめながらの地道なお
取り組みをお願いしたいと思います。
また別の観点からお聞きをしたいと思いますが。日本酒とワインの振興室というんですか、新しく新設をするということで、
産業労働部に設けられるという報道がありましたし、また4月からそういった
組織改編になるかと思っています。一方で、この農政部でも、信州産
オリジナル食材の
生産振興ということで、「おいしい信州ふーど(風土)」プロジェクトですとか、あるいは日本酒・ワインについては、
原産地呼称管理制度という積み重ねた
取り組みをしていただいてきました。そんな中で、
産業労働部に新設される新しい組織と、この農政部でのその辺の、
マーケティング室になるのかあれですけれども、取り組んできていただいた、取り組んでいる内容との、この職務分掌の分け方というのは、どういうすみ分けをしていくのかということについて、確認をさせてください。
◎
濱村圭一 農業政策課長 新しく
産業労働部にできます日本酒・ワインの振興室と、それから農政部とのかかわりですけれども。今まで、例えば
原産地呼称管理制度においては、農政部がそれはつくって、それを広めてきたというような経過がある中で、そもそもその原材料となるのが生産物だという中で、農政部が初めタッチしていたような経過がございます。今後は、それをさらに、加工品をどう売っていくかという中で、
産業労働部が、産業という大きな広がりの中で全体を所管するという形で新たにつくる形になっています。農政部としますと、引き続き原材料をつくる分野は農政部の所管でございますので、ワインのブドウにしろ、日本酒の米にしろ、そういったところでの
生産振興の上では、農政部は引き続きかかわってはまいります。ただ
原産地呼称管理制度は、多くのものが、日本酒とかワインというような形に現在なっていますので、その制度の管理は
産業労働部のほうに引き継いでいただくという形になっております。
◆
小山仁志 委員 そうしますと、加工品をどう扱っていくかという部分を広げていこうというお話がありましたけれども。信州産
オリジナル食材としての日本酒・ワインということについての振興については、原産物としてのことがメインになっていくんですけれども。
ブランド品としての
生産振興というか、マーケティング的に販売を広げていくということについては、そんなに、ちょっと農政部からこれまでよりは離れるということですか。
◎
濱村圭一 農業政策課長 現時点も、実際は
ものづくりのあちらの課のほうでメインにやっているところはございます。ただ、例えばワインにしてもそうですけれども、これは農政部と
産業労働部だけではなくて、
ワインバレー構想という中で観光部とも一緒に取り組んでいるところがございまして。そういう意味では、かかわり方はそんなに大きくは変わらないんですけれども、責任の所在をはっきり明確にしたと私どもは考えております。
◆
小山仁志 委員 ぜひしっかりとした連携、どこが何をやっているのかよくわからないような感じじゃなくて、しっかりとした連携に気を配っていただいて、本当に消費者の選別が大変厳しくなってくる中では、単に商品というよりも、消費者の皆さん、ストーリーに気を引かれるという人が多いと思います。そういう意味では、原産物がどこでどうという部分に引かれる方たちが多いかと思いますので、そういう意味での農政部の役割、しっかりと確立をしながら連携を図っていっていただきたいと思います。
最後に
農業水利施設の
保全管理について、お聞きをしていきたいと思っています。資料だと19ということで、昨日、課長さんから、
農業水利施設等保全管理会議というものを設けて情報共有をしていくという御説明をいただきました。今、日本全体がそうなんですが、この
水利施設、
農業施設についても、一気にこう整備が進んできた分、一気に老朽化の波もやってくるということで、財源が限られている中で
ストックマネジメントサイクルというものをしっかりと構築をしていくことが求められているということで御説明をいただきました。そういう意味で、全体像をそれぞれの皆さんが、これからどのくらいかかってくるんだということをしっかり俯瞰した上で対応策を考えていくということが大前提になろうかと思いますが。
長寿命化計画が策定されている皆さんの割合というのは、どのような状況なのかということをまずお聞きをしたいと思います。
それからそれぞれに策定していただくという、支援をしていくというやり方だと思うんですが。これは可能かどうか、私自身もしっかり調べられてないんですが、県の
公共施設あるいは
道路施設なんかもこう、全体のこう、ファシリティマネジメント的に、白書をつくって、どういうマネジメントをしていくかという、全体像を県としてつくっている部分があるんですけれども。この
水利施設というのは、県全体としてのものをつくるということについては、不可能なのかということについてお尋ねをしたいと思います。
それから施設の
劣化状況や
発生要因等の適正な
実態把握をする人の人材というのは足りているのかということと、
長寿命化技術ということをよくお聞きをするんですが、どういった
技術実証があるのか、
長寿命化技術実証というのはどういうものが具体的にあるのかということ。それから
長寿命化技術が共通化・標準化するための体制というのはしっかりできているのか、その人材等も含めて、お聞きしたいと思います。
◎
田中庫夫 農地整備課長 まず
水利施設の
長寿命化対策という関係ですけれども。基幹から末端までもう全て含めると、県全体で2万キロという延長があるだろうという、これ、なかなかその実態を全て把握するのは非常に難しいということがございます。それで県内に
基幹的水利施設ということで、100ヘクタール以上の受益を持つ水路がどの程度あるかというと、1,200キロと、私ども、推定をしております。
そういう中で、実際に
長寿命化計画というものがどんなものかというと、その施設の今の劣化度がどの程度かという
機能診断をするとことが、一つ、まず必要になってきまして、その
機能診断をした上で、その劣化度に合わせて改修していくというものです。具体的に言うと、劣化度が非常に進んでいるところについては、もう既につくりかえというような形になります。それからまだ、その施設として単体でまだ強度的にはもつというものについては、
長寿命化というような形で補修していくと。具体的に言えば水路はそのままにして、その中をコーティングするとか、そういうような状況になっています。
そういう中で、平成26年まででございますけれども、約600キロ近くについて、
保全計画を策定しているということでございますので、まだまだ半分までは至っておりませんけれども、それに近い形の
保全計画をしているということになります。ただ
末端部分になりますと、それがなかなか進んでいないということになりますので、全体からいうと非常にまだ少ないということになります。
そういった意味で、今回、設立いたしました
保全会議については、その
末端部分、ある程度、本当の
末端部分はなかなか難しい部分はありますけれども、市町村、土地改良区が管理している部分について、平成32年までに
個別施設計画というものをつくるということになっています。ただこの
個別施設計画というのはどういうものかというと、どれだけのものがあるかということを、
実態把握をするというようなことになります。そういう中で、それをどのように
長寿命化対策をしていくかということを、今後、検討していくことになります。
そういったことの中では、当然、費用もかかりますので、その費用的なものを含めてどのような形でやっていくかというようなこと。大規模なものであればつくりかえと、そういった先ほど言った内部のコーティングがございます。それから小さいものであれば、末端でその施設を生かしながら、水漏れを最小限防止するだとか、そういったものを行っていくということであります。
それで小さい施設だと、単純に更新ということなり、水漏れですので、そんなに技術的なものは要りません。ただ基幹的な
水利施設になりますと、その費用、コストの比較があったりとか、あといろいろな、最近、工法が出ておりますので、そういったものに対して、その施設の的確な機能を診断するというようなものが必要になってきます。そういった意味では、今現在、県が行っている事業では、
一般コンサルに委託をして、その
劣化度等を確かめているということです。それで、現在のところ、その
コンサルに委託している中でも、それぞれ、県内業者が主になっておりますけれども、そういった委託に対しては対応していただいているとことになっておりますけれども。御承知のとおり、なかなか技術者も、今、不足している中で、今後、そういうものが多くなってきた場合、その技術者が不足してくるということも考えられますし、当然、建設部もありますので、そういったものでは、今後、そういった
技術者養成、またそういうことも、
一般民間コンサルになりますけれども、必要になってくるかなと思っています。
そういった意味で、それぞれの施設、
ライフサイクルコストということで、いかにやることがその施設の今後の
保全管理の費用の削減につながるかということで、この
保全会議を有効に活用して、いろいろな事例を共有して、自分の地域にどれがいいのかということをしていただくということで、市町村、改良区を含めて、182ですけど、今も、まだ未参加のところも含めてふえてはきておりますので、いろいろな団体がこれに参加していただいて、そういう情報共有の中で適切な
保全管理ができていけばと考えております。よろしくお願いいたします。
◆
小山仁志 委員 基幹的な部分と末端と、ちょっとやり方が違うのかなということで、今、お聞きをしました。この末端にまで浸透していくということはなかなか難しいんですが、ストックマネジメントというのは、壊れてから全部やり直すよりも、予防保全という考え方のほうが、
ライフサイクルコスト、トータルコストも全体として下がってくるという視点が大事でありますから、ぜひこういった情報共有の場をしっかりと浸透させていただくということ。そしてその対応策を考えていっていただくということをお願いしたいと思います。ものすごく壊れてから、ものすごく費用がかかるということがないように、予防保全の考え方をぜひ徹底していただきたいと思います。
本当にこの新年度に向けましても、大変いろいろな施策にお
取り組みいただくんだなということで、見させていただいております。大変長期的なスパンで考えていくのがこの農政部かなと考えていますけれども。なかなか一気にホームランを打って解決するというような問題ではないかなと。そういう意味では、コンパクトなところにインパクトを与えていくって、そんな心がけが大変重要なのかなと思っています。農業については、自給率が低い分、成長余力が大きいというふうに思っておりまして、その引き出していただく役割のなお一層の御尽力をお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
◆藤岡義英 委員 おはようございます。私からも質問させていただきます。この長野県農業を考える上で、全体像のイメージというのを持たなきゃいけないなと思う中で、農政部にいただいた資料でイメージできる資料がありまして、これが27年の1月、長野県で出された「夢をかなえ人を結ぶ 信州の農業・農村」の第2期長野県食と農業農村振興計画改訂版というので、15ページに29年度に目標とする農業生産構造イメージというのがありまして、それをもとにしながら、質問させていただきます。
それで、長野県は、この表を見るにつけ、担い手の認定農業者、
集落営農、担い手候補者、こういった皆さんを主に置かれていくのかなという、私は感想を持っております。そういった中で、以前の議会で、委員会で、私はきめ細かく多種多品目をつくられて、そして大規模でも小規模でも、輸出を目指している方、そしてこの県内や県外、国内での販売を目指している方、そして自給で中山間地の景観を守っている農家の皆さん、含めて全員ですね、守っていただきたいなというお話をさせていただきました。そういう流れの中での質問とさせていただきます。
最初は、応援といいますか、これまで質問してなかったということで、
マーケティング室へ質問させていただきます。私も、質問した経験のない質問ですけれども、よろしくお願いします。まず、こういう資料は基本ということで、資料2で輸出拡大ということですけれども。目標としては平成29年に5億円を目指すということですけれども。私、気になったのは、先ほど最初に皆さんに示したこの表の中で、どの農家さんがその5億円を目指していくのかなと思ったわけです。
そういった流れの中で、この県内、まず数を確認したいんですが、輸出を始めている県内農家さんは、経営体数としては幾つか、農家数は幾つかということと、そして同時にこの29年、5億円を目指す上で、そのときにどれぐらいの皆さん、経営体の数の皆さんがこの5億円を目指して活動されているのか、そして農家数は幾つか。この5億円という数だけじゃなくて、そういった要するに担い手の皆さんのこの範囲ですね、規模ですね。こういったものも目標に持たれたらどうかなと思ったんですが、まずいかがでしょうか。
◎西原光男
農産物マーケティング室長 輸出に取り組む担い手の皆さんの御質問でございますけれども。現行で取り組んでおりますこの振興計画の中で、どなたが取り組むというような議論のところまでは深めてないんですけれども。いずれにしましても、29年度におきましては、担い手ということで考えております5万ほどの経営体の皆さんの中から、取り組んでいただく方たちをふやしていこうと。実際、県内でどのくらいの皆さんが取り組んでいるかという実数を、正直つかんでないものですから、申しわけないです。
◆藤岡義英 委員 わかりました。ぜひ、そこは私もいきなり質問したので、またぜひ、どれくらいの規模か。私が思うに、この長野県の皆さん、県として特に応援している担い手農家さんの中の、さらにその中の何%の方なのかなというイメージでいますが。その他の販売農家さんからもどんどん輸出に取り組んでいける意欲を引き出すためにも、ぜひきめ細かい相談ですよね。こうすれば農産物を輸出できるんだといった、新たな販路開拓も必要なんですけれども、それをやってみたいという農家さんへのサポートが大事だなと思います。これは質問じゃなくて要望ですね。
次、6次産業、30分しかないので急いでいきますけれどもね。6次産業の資料3に行きたいと思うんですけれども。きのう、資料をいただきました。6次産業化事例集ということですね。6次産業、6次産業っていっても、なかなかイメージが沸きづらかったんですけど、拝見させていただきますと、例えば佐久のほうでも、「ちゃたまや」さんとか、結構有名なんですけどね。あと「きたやつハム」とか、こういった皆さんも6次産業を担っているんだなということで、そういった皆さんを応援していくというのは大事だと思うんですけれども。
ただ、実は心配しているのは、国会でもその6次産業化的な議論がなされた流れの中で、この長野県も農業生産額と、それから6次産業などの額で、合計で3,000億円を目指すとなっていますよね。そういう流れ、それはいいんだけれども、その国会のほうでは、6次産業化の中で、その加工品をどんどん輸出して、それも数字、算出しているんだけれども、その原材料が海外から安い原材料を輸入して、それを地元で加工して、これを地元の物なんだということで輸出しているのはあるじゃないか、問題じゃないかっていう話になりまして。それは結局、6次産業の意味がないなと心配したわけですね。長野県はそうじゃないなと信じたいということで、これも確認的な質問になるんですが、実際、長野県の6次産業というのは、原材料も含めて長野県でとれた物というものを基本に進められているのかなということを、これも簡潔にお答えいただければと思います。
◎西原光男
農産物マーケティング室長 6次産業化の特に原材料の関係でございますが。そもそもその6次産業化自体が、みずから生産する物、あるいは地域資源を活用してということで取り組む趣旨でおりますので、現在、91件、認定、計画ございますけれども、全てそれを基本として取り組んでいらっしゃるということで認識しております。
◆藤岡義英 委員 ありがとうございます。そこで、今、数字も言われたかもしれませんけど、実際にこの6次産業化を進めていると言える経営体の数、農家数の数というのは幾つで、またこの表でいうと、またこの担い手農家の皆さんが中心になるのかなという認識でいますが、いかがでしょうか。
◎西原光男
農産物マーケティング室長 今、我々のほうでしっかりと位置づけている事業者の数は91件ということでございますので、そう認識しております。その皆さんは、先ほど申し上げたような担い手の皆さんの中での
取り組みということで考えております。
◆藤岡義英 委員 わかりました。そうなんですね。だから総農家数が11万9,433戸の中の91件ということでありますから、さらに裾野を広げていただきたいなと思います。
続いて行きます、どんどんペースアップしていきますけれども。資料4なんですけれども、信州産
オリジナル食材“地消地産”の推進事業というのがございます。これ、拝見させていただきましたら、地元の農産物を飲食店やホテル、観光関係とマッチングさせようというものなのかなと認識しておりますけれども。県内の農産物を、長野県に訪れる観光客の皆さんに知ってもらい消費を拡大すると、この考えは、私も評価するし、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。
その一方で、これまで、私、地消地産って言われるんですけど、ほかの委員さんからもお話があったと思うんですが、地産地消って私たちは言っていました。というのは、これは地元でとれた物を地元で消費しようというようなイメージでいて、例えば小中学校の給食に地元の食材を大いに使っていこうじゃないかというような活動かなということで、私もそういった方向へと提案もしてきたつもりでおりますが。今回、農政部でいろいろ報告いただいた中身の流れで、そういったこの地元の、県民の皆さんといいますかね、そういった皆さんが消費するというものが、ちょっと今のところ確認できなかったなという感想を持っているんですが、そういった角度での
取り組みはいかがでしょうか。
◎西原光男
農産物マーケティング室長 今回、御提案といいますか、お願いしております事業につきましては、今、お話があったとおり、飲食店あるいはホテルというところでございますけれども。今、お話がございました御指摘のとおり、県民の皆さんにつきましても、地元の物を買っていただく、活用いただくという、それが先ほどの6次もそうなんですけれども、それも含めて推進していこうと。お話がありました学校給食の関係ですけれども、確かに重要な
取り組みということで、教育委員会と一生懸命取り組んでおります。これも成果を上げてきていますので、今後は、また教育委員会とも、給食現場の皆さんとも連携しながら、活用を一層促進するような働きをしていきたいと思っています。
◆藤岡義英 委員 わかりました。それで幾つかざっと総括的に聞いてきたんですけれども。この
マーケティング室ということでございますね。国外でも国内でも、そして県外でも県内でも販路拡大していくということで、本当に頑張っていただきたいなと思うわけであります。47の都道府県と競争するということで、あまり私は、競争という言葉はあまり好きじゃないんですが、でも競争しなきゃいけないという面もありますので、そこは本当に戦っていくということで、ぜひ長野県農業を守っていただきたいと思うわけでありますけれども。
それで、この「おいしい信州ふーど(風土)」ということで、これも認知度の目標というのがあったんですね。見せていただいたら、27年の実行計画というところにもありました。この目標がどうだったのかなということとともに、あとそこに29年の目指す姿というのがありまして、これを見てみますと、県民一人一人が積極的においしさなどの情報を多くの人に向けて発信すると。さらにブランド力が高まり、多様な品目の生産が拡大していきますと。信州ならではの食を求めて国内外から消費者が県内を訪れていますと。信州農産物の信用力は高まっていますという姿を目指すとありますが。そこへの手応えといいますか、そういったものが、今、どれぐらいあるかということを御所見をいただきたいのと、あともう一つは、たまたま
荒井委員長の紹介で、この
マーケティング室の長谷川さんを、私たち、2期の県議ということで新生会という会で、懇親会をやったんですけれども、そこで長谷川さんにも来ていただいてお話を聞いたときに、今期限りで退任されるというお話でした。そこで、
マーケティング室のほうへ質問してなかったなということで質問する気になったわけでありますが。この任期付職員の方ということで、外部から来られたわけなんですけれども。こういった外部からこういうマーケティングのプロフェッショナルといいますか、そういった専門の民間の人、特に消費・生産、そういう実際の現場でもまれた人、そういった人がこれからも私は必要ではないかなと思いますが、今後のこの戦略、外部、民間とのこのつながりとかいったものをどう考えているのか、といった点も含めてお答えいただきたいと思います。
◎西原光男
農産物マーケティング室長 まず「おいしい信州ふーど(風土)」の手応えといいますか、その部分ですけれども。お話のありました認知度の関係ですが、これ、毎年、県政モニターアンケートということで調査しております。昨年度、26年度が52%のところ、27年度が65%という、これは県内の、県民の皆さんの認知度ですけれども。その数字からして、我々が取り組んできたものにつきましては、成果が上がってきているなと認識をしております。
それから、今、お話のありました任期付職員の方の関係でございますけれども。確かに任期を決める中で専門的な知識なり経験を生かしてということで、民間から来ていただきました。「おいしい信州ふーど(風土)」のブランド化、あるいは認知度向上、あるいは商品づくり、あるいは6次産業化ということで、非常に幅広く取り組んでいただいて、実績とともにネットワークですね。事業者あるいは関係団体の皆さんとのネットワークをしっかりつくっていただいたということで、大変感謝をしているところでございます。お話のとおり、3月までということでありますが、我々とすれば今まで培っていただいたその実績、それとネットワークをしっかりと引き継ぎまして、今後は、我々もそれなりのノウハウを蓄積したつもりでございますので、事業者の皆さんあるいは団体の皆さんと連携をしっかりして取り組んで進めてまいりたいと考えております。
◆藤岡義英 委員 ネットワークが構築できたという話でした。こういった民間とのつながりやルート、人脈というものですけれども、さらに強化していただきたいと思うんです。そういう意味では、今後も、どういった形がいいかわかりませんが、外部の皆さんとの交流もそうですし、思い切ってまた外部の方を県の職員として採用されて、
取り組みをまた広げていくということなんかも必要かなと思いますので、また御検討いただきたいと思います。
では次の質問に移ります。外部の意見を聞くということで、
マーケティング室の
取り組みは大変応援したいという趣旨で質問させていただきました。今度は批判する質問になってしまうんですけれども、すみませんね。ぜひ外部の意見をという、取り入れるべきのものと、こういう人は呼んではいけないという事例があるなと思っておりまして。元ライブドア社長の堀江貴文氏の話なんですけれども。3月3日に新聞記事を拝見しました。農業には常識を覆す発想が必要ということで、元ライブドア社長の堀江貴文氏を呼んで、若手農業者らに長野で講演というのがございました。これ、県なども主催と書いておりますが。これ、やられたというのはよろしいですか。
◎
中島賢生 農村振興課長 今、堀江氏の講演の件ですけれども、実は若い経営者の
経営感覚を高めるということで、信州農業MBA研修事業というのをやらせていただいております。毎年、20名程度の方々が研修を受けていただくんですけど。延べ50時間に及ぶ研修で、マーケティングから経営理念、そういったことを研修しています。その中で、農業者ばかりでなくて、これからグローバルな視点、あるいは他産業との連携を考えると、ぜひ、研修生の皆様から、そういった機会も設けてほしいということもあって。たまたまその研修を委託している、経営
コンサルタントの会社に委託をしているんですけれども、そこのネットワークの中から堀江さんが出てきたということで、発想が柔軟といいますか、いろいろさまざまな経験をお持ちですので、お話を聞く機会を設けたということです。
◆藤岡義英 委員 わかりました。それで、なぜこれを取り上げたかと言いますと、私、ネット上でも堀江さんの暴言について、私もいろいろ物を申させていただいているということがあったからであります。もちろん私は、服役した人を呼んではいけないとは言いません。服役後に自分の罪、過ちを反省して更生した方もたくさんおられますから。ただ、この方は違うと私は思っております。
幾つか問題発言をしているんですね。例えば残業代ゼロ法案というのが国会で議論がありましたが、ある方が、この法案が通ったら労働トラブルがふえるのは間違いないとつぶやいた人に対して、「バカ発見、ていうか、一般とかそういうのはおまえの言いわけだよ、クソ野郎が。一生ひがんで生きていろ、クソボケ」と言ったりですね。あと新幹線の中で焼身自殺事件がありましたね。これに関しては、「新幹線で焼身自殺なんて何なん。これから死のうとしているヤツ、絶対マネするなよ。死にたきゃ1人で死ね」と言ったりですね。それから瀬戸内寂聴さんとの対談では、ちょうど去年あたりだと思うんですが、集団的自衛権や安保法制などの戦争にかかわるテーマのときに、対談になったときに、「僕は戦争が起こったら真っ先に逃げますよ、当たり前ですよ」と。寂聴さんが驚いて、「どこに逃げられる、逃げる場所があるの」って聞くと、ホリエモンは「逃げる場所はあるでしょ、第三国に逃げればいいじゃないですか」と淡々と返す。寂聴さんは「行かれない人はどうするのよ」と突っ込むと、ホリエモンは「行かれない人はしょうがないんじゃないですか」っていうことを言って、これも問題になっています。またほかには、「寿司職人が何年も修行するのはバカ」とか、これも賛否両論の社会問題になりました。
私が特に問題にしていたのは、特に雇用問題でブラック企業、ブラックバイトの問題で、これはぜひ長野県でも頑張って対策に取り組んでほしいということを取り組んでいたころに、ある高校生たちがブラックバイト問題に対してユニオン、労働組合を立ち上げたことについて、こう述べられています。「頭がおかしい。ほかのバイトを探したほうが効率がいい」。ほかの機会の雑誌では「ブラック企業が嫌ならやめればいいじゃん」、徹底した新自由主義者で、もうけた者が正しいという考えの方であります。
この記事によりますと、この若手農業者を集めて行った経営者を学ぶ講演会でも、「農家が愚直に農産物を生産していればいいという発想は時代遅れ」、さらに米国のワイン産地の農家が世界の富裕層と個人的な交流を深めていることも紹介し、「農家のイメージが格好よくなると就農希望者は幾らでも集まってくる」と言って、これは、これまで長野県で頑張ってきた農業に対しての全否定といいますか、本当に、今、就農者を集めるのに苦心されているこの農政に対して、軽率な発言だなと思っております。一つの会社、企業が、その社長の判断でこうした方を呼んで講演するのはいいと思うんですが、長野県としてこういう方を呼んだのは、まずかったのではないかなと、私は思いますが、いかがでしょうか。
◎
中島賢生 農村振興課長 今、堀江氏の発言に対して、さまざまな事例をおっしゃっていただきましたけれども、中には不適切な発言ではないかということも考えますけれども。ただ、今回の研修において、堀江さんをお呼びした中での話の中では、大変グローバルな視点、それから農業に対する思い、そういったものを話していただいたということで。それは、堀江さんがどういった場面でどういった内容で発言するかというのは、堀江さんがその場その場に応じて発言をしているということでございまして、そのことについて、私どもがいろいろコメントする立場にないということなんですけれども。今回の研修においては、堀江さんのグローバルな視点、柔軟な発想、そういったものを吸収するという視点でおいでいただいたということです。
◆藤岡義英 委員 先ほど紹介しました寿司屋さんの話、「寿司職人が何年も修行するのはバカ」というのがありました。農業に関しても、「愚直に農産物をつくっているのは時代遅れ」っていう話があったときに、確かにそのグローバルな経営とか、そういう戦略にたけている人だと思います。あそこまで、上まで上り詰めた方ですので、とは思うんですが。ではもうければいい、成功すればいいというだけじゃないとは思いますし、そういった点では、私は、またいろいろな形で経営者の方をお呼びされるとは思うんですけれども、これは問題提起として受けとめていただいて、慎重に講演者の方を選出していただきたいなと思っております。紹介しました。
次の質問に移りたいと思います。TPPの話でございますけれども。試算を見させていただきまして、長野県、特に、一般質問でも質問された方がおられましたけれども、米が、影響額がゼロと。リンゴの生果もゼロということで、このゼロという数字2つを見たときに、委員会で質問してくれとリクエストされた思いになりまして、質問させていただきます。まずこの根拠なんですけど、本会議でも答弁していただきましたけど、ここで確認なんですけど、米は、確か、政府が備蓄すると、その7万8,000トンを備蓄すると。備蓄するから影響は出ないと理解しました。またリンゴに関しては、ほかの外国のリンゴが出荷される時期と重ならないから競合しないんだという感じで受けとめさせていただきましたけど、よろしいでしょうか、簡潔にお願いします。
◎
濱村圭一 農業政策課長 試算のお話でございますけれども、影響額ゼロで、今、事例が出ました。米におきましては、委員の申されたとおり、国が国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れるといった形で、国が責任を持って米に対してはやっていきますという方針が出ております。またリンゴにおいても、7月には輸入が入ってくるんですけれども、本県においては、7月にはその出荷がないといった形。それからそもそもリンゴにおいては、その品質面で、まず本県のリンゴと輸入のリンゴでは競合しないだろうといったところで、国の考え方に準じて影響額ゼロとしたところでございます。
◆藤岡義英 委員 ということですね。ただ、この資料、TPPの政府の対応のものを見させていただきましたら、備蓄期間はあくまで3年程度ということなんですね。3年程度ということは、3年後に、その備蓄した米、どうするのかなっていうことで、捨てることはないと思うんですね。市場に出すと思うんです。私は、価格は落ちていくなと思います。実際にある農協の関係者の方からいただいた資料で、機会があったらコピーでまたお渡ししたいと思いますけど、その方から、毎年毎年の米価の価格を、平均の価格だと思うんですが、調べた表をいただいたんです。1993年の平成の米騒動や2003年の長雨で日照不足で不作だった年、それから2011年は東日本大震災ですね。あのとき原発事故もあって、卸売業者さんが米を確保したため価格が上昇した以外の年は、右肩下がりで価格が落ちているということなんです。そういった点を見ても、私はTPPの影響額はゼロではないなと思っています。
それから実はニュースでありましたけれども、市民タイムスで、米農家、TPPの影響あるということで、農政部さんでもそのアンケートの資料は、多分、受け取られたとは思うんですけれども。会長が宮澤県議でございますけれども、その県議さんがいただいた資料、これは小山県議にいただいた資料ですけれども、これで影響があると答えた方は、100%答えていると。現状より値下がりするだろうという人は86%、9割近くいるということで、こういった不安な声があります。私、思うんですけど、この影響額の試算を出されたときに、事前に農協さんや農業関係者さんなどの意見聴取をされた上で影響調査の数字を出されたのかなって思いましたが、いかがですか。
それと、私、こういった数字で心配していますが、この米価の価格というのは落ちることはないでしょうか。この点、いかがでしょうか。
◎北原富裕
農政部長 藤岡委員御指摘のように、米価、基本的には過去20、30年になるんですかね、基本的には右肩下がりで行っております。ただ、それが必ずしもUR(ウルグアイラウンド)対策の影響で価格が下がっただけではないということでして。基本的には国内の食料需給の大きな移り変わりですね。それからその中での米の生産過剰、そういう中での全体的なトレンドとして米価は下がってきたと私どもは認識しております。そういう意味でいきますと、これから人口減少社会、今のトレンドの中でも年間8万トンの消費減が、これはTPPと全く関係ない中で年間8万トンの消費減ですから、相対で見た場合に、トレンドとしては、まだ米価は下がるであろうと想像をしなければいけないことだと思っております。
ただ、そこと、今回のTPPのSBSで入ってくるであろう最終的な7万8,000トンとが、どう相関するのかということは、私どもとしては、それを相関として位置づけられる基本的なデータ解析なり、基本的なシミュレーションを持っておりませんので、国のシミュレーションに準じたということでございます。
◆藤岡義英 委員 確かにそういうデータがなければ、断言するのは難しいと思うんですけれども。ただ、そのミニマムアクセス米77万トンが来て、価格が落ちてきているということで、いや、そうじゃないと言い切っておられますが、食べる人が減っているということも影響があると思いますし、でもその輸入がされてきているということも、私は影響していると、私は思います。そこは意見が違うかもしれません。少なくとも私が質問したことにちょっと一つ答えてないのは、その試算を出す前に、農協さんや農業関係者の皆さんとちゃんと意見交換した上で出されたのかということなんです。少なくとも農業関係者の皆さんは、TPPで影響を受けると、価格の影響を受けると思っているわけです。それはいろいろな、TPPだけじゃなくて、食べる人が減るとか、あとつくり過ぎたとか、いろいろな要因はあっても、TPPに影響を受けるとみんな答えているんですね。そういった皆さんの不安に応えた上での、私は出された試算なのかっていう質問です。
◎北原富裕
農政部長 初めにミニマムアクセス米で影響がないと、私は申し上げておりませんので、そこは、どれだけの影響が出ているのか、どうなっているのかということは出せないですし、それからミニマムアクセス米そのものだけが価格低下の原因ではないということだけは申し上げておきます。
それから農協関係者とのお話ですけれども、私ども、10月、11月に、農協関係者の方々との意見交換はさせていただいております。ただ、数字の問題につきましては、県が出すものでございますので、そこは、県の考え方の数字として出させていただきましたし、これを公表する前には、農協関係者の方と事前に、御了解とは言いませんけれども、私ども、こういう考え方でさせていただくということでの一定の理解は得たと考えております。
◆藤岡義英 委員 部長の今の御答弁ですと、もう数字を一定決めてからこう出しますよという形で出されたと解釈しました。それで、私は、できればそういう数字を決める前に、現場で頑張っている皆さん、農業関係者の皆さん、あと農協さんですね。そういった皆さんのいろいろな意見、ではなぜ農協さんはその300数十億円という被害総額を出されたのかというところも含めて、直接聞き取りをされたのかというところも、私は疑問に思っているわけであります。そういった意味で・・・
〔高橋委員から「全然違う」という声あり〕
いや、全然違うにしても、なぜ違うのかというのを意見交流した上で、私は試算を出してほしかったと思うんですね。
私は影響が出ると思っていまして、同じく、長野県と同じリンゴの産地の青森県はどうなのかなということで、たまたま青森県に確認しましたら、青森県は独自試算を出していまして、米に関しては23億円の影響が出ると言っているのと、あとリンゴに関しては2.69から5.30億円出ると言っています。これ、地元の新聞記事をいただいたんですけど、県内の農林水産関係者からは、20日、日本の計算式に準じたという県の立場は理解しながらも、算出方法が本県の実態と合わないと、影響額はもっと大きいはずと指摘する声が上がったということや、あと県自体も、影響はさらに拡大するという考えだということであります。
私、さらに、ではリンゴってまとめて青森県は発表しているので、生果と果汁が、それぞれ影響試算がどうなっているんですかと確認しましたら、生果のほうは1.44億円から2.8億円、果汁は1.25億円から2.5億円出ると、合計が2.69から5.30億円になるということで、生果も出ると言っています。青森県の資料をいただいたのを見ますと、国の試算方法に基づいてやっていると書いてあるんですね。だから長野県のスタンスと青森県、全然違うということなんです。
私自身は、もう一度、農協さんや農業関係者と協議して、特に米とリンゴに関してのみとは言いませんけど、ほかの物も含めてだと思いますが、計算し直すべきじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
◎
濱村圭一 農業政策課長 そもそも私どもが試算した理由は、国で年末に試算を行ったところ、1,300億円から2,100億円の影響があるというような、幅のあるような影響額が出たところでございます。そういった中で、県内の農家の方々からも、そんな影響がある中で非常に心配するという声があったところであり、では県内の影響はどうなるかといったところで、国の試算に基づいて私どもが試算をしたといったものでございます。
試算においては、その青森県等ほかの都道府県もいろいろやっているとは思います。私どもは本当に純粋に、県内で果たしてどのくらい生産量があるのか、我々の生産するときに、果たしてどのくらい輸入が入ってきているだとか、あるいは我々の、例えばリンゴ・ブドウ等が、果たしてどのぐらいのその競争力があるかっていうのを、これまでの実績を踏まえて、国のものをベースにして試算したところであります。私どもとすると、こういった情報提供をすることで不安払拭を図っていくこともありまして、今後、これを見直す考えは現時点ではございません。
◆藤岡義英 委員 これ、青森県のリンゴ協会の方のコメントを紹介しておきますと、リンゴの場合、差別化ができている生果より、果汁の輸入の影響のほうが大きいだろうと、それはそうですね。加工向けが、ただ生果向けに出回れば、価格が暴落する要因にもなる。そういった要素まで含めた試算なのか、情報収集したいとも言っております。ですから、多面的な分析が必要なのかなと感じています。だから簡単に数字を出すというのは、本当に難しいのかなと思っております。
いずれにしても、県内の農業関係者の皆さんに不安払拭ということでお話をされました。ただ、心配なのは、本当の影響額がどうなのかということで、実はものすごい影響が出るにもかかわらず、ゼロだと。それである程度の国の補助金を使った事業を行えば大丈夫なんだということでいいのかっていうのを、私は大変不安に思っておりますので、現場の皆さんの声を受けとめていただきたいなと思っているわけであります。
関連して資料6で、このTPP協定にかかわる品目別生産力の強化についてという資料をいただきました。それでいただく流れの中で、穀物と園芸と、そして畜産ということでいただいたわけであります。穀物と園芸については、見た感想ですが、どちらかというとこの農協さんに対しての支援が主なのかなと感じたのが感想であります。特に私は、畜産が一番影響出るということで、これは全国的にも心配されていることでありまして。改めて、畜産振興施設整備事業というところに、南牧村と佐久市・立科町ということで資料が載っていましたので、実際にその農家さん、畜産関係をやっている皆さんの声、こういった畜産振興施設整備事業と高収益型畜産推進事業、これを実際にコピーして持っていって、これをやればTPPと打ち勝てるかと、どう思いますかと、率直にお話を聞きにまいりました。
南牧のほうでは、地元の方にお願いして、クラスター協議会の事務局さんからお話を聞いたということを紹介しておきます。結局、南牧では、トラクターなどの機械の申請などが20件あるということだそうです。ただ、ここに書いてある搾乳牛舎に関しての整備の申請はゼロだそうです。なぜかというと、なかなかやり手がいないと、参加農家者が見当たらない。お金を負担しないといけないということで、2分の1の補助と言われても、例えば1,000万円の建物をつくるにしても、まず自分で500万円、プラスもう500万円も、まず建てないと補助金はもらえないもので、1,000万円確保しないといけないと。しかし既にもう目いっぱい、大規模でやっている農家さんは、お金を借りていると。新たな資金的余裕もないということで、むしろ原乳価格を倍にしてくれたらありがたいとか、設備をつくりかえて効率をよくし、コストを抑え、さらに安いものをと言われても、無理と、太刀打ちできないという話でありました。今、水よりも安い牛乳を高く買い取ってくれるようにしてほしい。明治、森永、グリコと、そういったところに交渉してほしいと。そもそもTPPの中身、実態がベールに包まれている中で、わからないのに、これで大丈夫と思えるわけがないというのが現場の率直な声でありました。
またもう一つ、立科の方からのお話を聞いてきました。
〔清沢委員から「現場の声は要らない」という声あり〕
現場の声、知っていますか。知っているならいいんですけど、簡単に言いますと、結局、これを聞いた限りで、展望を持つと、やっていけるというお声はなかったわけです。中には、50頭飼われている方が、僕は結構大規模かなと思ったんですけれども、小規模の扱いになって、申請を上げても、このクラスター協議会の申請を上げても、自分は申請を受け付けられないんじゃないかと、規模と年齢でふるい分けされるということで、実際そうなのかということもお聞きはしたいんですが、そういった声でありました。
印象的だったのは、立科町もそうですけれども、大規模にするといっても、地形的に厳しいと、無理だと。大規模にすると、逆に今度は周辺に住んでいる人たちに、においの問題もありますので嫌われると。なかなか大規模にできないと。ただ、中規模、小規模でやっているところにも手が届く支援をお願いしたいというお話でありました。
いずれにしましても、私自身、たまたまで依田明善議員から、藤岡君、その農政林務でいろいろ話すのもいいけれども、君は農業をやったことがないだろうと。少しは手伝ったことはあるつもりなんですけど。2週間ぐらい川上村に行って、レタスのその収穫の手伝いをしてこいとか、草刈りをじゃんじゃんやるところを手伝いに行ったら、また認識も変わるよと言われて、まだそれはできていませんが。ただ、それは最近言われたばっかりなんでできてないんですけど。ただ、私自身、現場の皆さんの声を聞いて、それを届けていく中でしっかり議論ができるかなということで、今回、紹介させていただきました。
いずれにしましても、現場は、TPPは大筋合意だといえ、これは全く安心もしてないし、反対してほしいし、長野県としてしっかりと国に物を申してほしいという話は皆さん同じでした。そう意味では、ぜひ、現場の声も聞いていただきながら、特に現場に、既に足を運ばれていると思いますが、さらにきめ細かく足を運んでいただき、この表のほうは時間の関係であまり紹介できなかったんですけど、私は、その他販売農家と、それから自給的農家の皆さんが、平成22年の時点で60.8%の農地を持っている。攻めの農業をやるということで、皆さん決意を語られているわけです。その担い手農家の皆さんを応援するという政策が主軸となった農政部だと思います。もちろんそれは大事だと思います。ただ、攻めの農業をする中で、今、現時点で6割を占める、その支援がなかなか届きにくい農家さんたちが持っている中山間地を中心とする農地が、攻めていく中で土台から崩れるのではないか、このような心配もしております。ぜひ最初にお話ししたように、県が支援するという大規模、そしてこの意欲のある農家さんだけでなくて、今、意欲はないけれども、ぜひ次の世代に何とか引き継ごうか、引き継ぐまいか、迷っている皆さんに手を差し伸べていただきたいと思います。
最後にこれで終わりますけど、百瀬委員と中島課長のお話、やりとりの中で、中島課長から、一番いいのは農家の子弟が跡を継ぐと、これが合理的というお話が頭に残っていまして、そのとおりだと思っていて。今やっているおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんの後を、息子たちもやっていこうという形が、一番、土地もありますし、ノウハウもありますし、機械もあるということでいいんですが、それが受け継がれないということなんですね。その人たちが受け継いでいくという流れをつくっていく政策を進めてほしいと思うんです。今はその他の販売農家の皆さん、意欲がなくても、その担い手の新しく受け継いだ人たちが意欲のある方たちになれば、その6割の農地が守られるというふうにつながっていくと思います。いずれにしましても、そういった方向へ農政のこのさまざまな政策を大いに進めていただくことをお願いいたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○荒井武志 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。
●休憩時刻 午前11時44分
●再開時刻 午後1時27分
○荒井武志 委員長 再開を宣し、委員の
質疑等発言を許可した。
◆高橋宏 委員 それでは少し質問をさせていただきますが。実は夕べ、長野市地区の農業経営者協会との懇談会に参加させていただきました。ある人が私のそばへ来て、大体農業は全部暗いイメージの放送が多過ぎると。だから何とか明るいビジョンの放送、劇映画でも何でもいいが、そういうテレビを放送してもらわないと、士農工商の農はいいけれども、格好悪いところきりしかテレビへ出てこないという。よく3Kとかっていろいろなことがあるね。それと似たように、そのテレビの影響というのは、子供たちに非常に大きくかかわるんじゃないかなと言われまして、そう言われればそうかなと思いました。
そこで後継者が不足だと言いながら、現実はその子供たちがそういうところを見ていて、今、教育委員会のところでいけば、農業も手伝わせる、あるいはいろいろなことを経験させると言っていますが、目から入っていく映像というのは、かなりの大きな影響があるんじゃないかな、農業は嫌だなとか、苦労だなとか。一方では、本当は、つくる物の楽しみとか、生育の楽しみとか、学校でヒマワリをやったりアサガオをやったり、育てるということもやっていますが。ドラマではあんまりいいことがないと。「おしん」から始まってみんなそうだという話になりまして。農政の中で、この光を当てながらやっていくようなテレビドラマがあればいいなという話があったんです。
若い人たちが、今、農業は何でも大変だよ、苦労だよっていうイメージが一番だめだという話がありました。それでは、あした、委員会があるから、いい質問事項をいただきましたから、農政部の皆さんにちゃんと聞いてみますよと言っておきました。でもね、本当の話かもなと思います。だからその辺のところで、どんな明るい話題というのも、まんざらないこともないんですよね。おひさまのところはあったよね、農家の食堂のところはね。そういうところもあるんだけれども、苦労なところをやって、そんな言い方をしちゃいけないが、農家の人は大変だよと、豊臣秀吉みたいになればいいという話になるわけですが。そんなことからいって、この農政の中でも、きちんと一回、考えていただければありがたいなと。だからどういう方法というのは、私にも想像つかないわけでございますが、イメージ的に大変だということになると、そういうことよりももっと明るいものがないかなと思います。
私もこんな関係で、一生懸命やって、農林水産大臣賞をもらったり、表彰される方々は、本当にそういう点では後継者もいるし、きちんとやっていらっしゃるわけですから。そういうようなことを、花と一緒に紹介するとかすると、あんないいことがあるのかなと思うわけでございますが。その辺のところについて、何かいいコメントがあったら、感じたところで結構ですから、どなたに頼めばいいかっていうのは、これもまた難しいから、全員に頼むかなんて思うんですが。それでも、前の列の人がみんなやれば、これで長野県の計画立てたことは、みんな前の人が責任持つから、長野県にTPP来ようが、何が来ようが、ちゃんと計画どおりにいけばうまくいくことになっているわけ、今の計画では。私はその計画にいろいろ言うことはございませんけれども。ただ、難しいのは、農業は自然との戦いであるということだけは難しいという。それでみんな、ひょうが降ったり、霜があったって、それは気候のせいだ、天候のせいだって片つけて終わりでございますが。そんなことを含めて、所感を部長さん、お願いします。
◎北原富裕
農政部長 高橋委員さんからの御質問、所感を交えてということでお答えをさせていただきたいと思います。テレビドラマ、先ほども始まる前に申し上げたんですが、時代劇ですとか、古い時代のものになると、どうしてもそういうイメージはつきまとうというのはいたし方がないところなのかなとも思います。最近、私、見そびれたんですけれども、NHKの総合で、地方創生といいますか、農村再生のために頑張るというドラマもしていただいておりますし、ドラマではないんですけれども、最近は食の番組が非常に多くて、例えば「満点レストラン」とか、それから嵐の相葉君がされているものとか、TOKIOの前からやっているテレビ番組もそうですけれども、食番組の中では、結構、その地域地域で頑張っている農業者に光を当てていただいています。
昨年末には、私ども、「風さやか」を取り上げていただきまして、そこで飯山市の佐藤さんという大規模水田農家の方、米づくりの名人だということも御紹介していただきながらされております。そういう意味で、かなり頑張っている農業者について、なかなかドラマというところの範疇ではないですけれども、テレビの中とかマスコミでも目を向けていただいていると思いますし、漫画でも、昔から「美味しんぼ」ですとか、最近は北海道の畜産を中心にしている「銀の匙」というものもございますし、私が若いころよく読んでおりました「課長島耕作」も、今は会長になられていまして、その中では、会長島耕作は農業に目覚めて、農業に関してのことをされていると聞いております。
その中で、私ども、そういうマスコミ等の部分も追い風にしながら、ことしから、まず一番は、若い農業者、特に女性の農業者に視点を当てまして、NAGANO農業女子プロジェクトというものも始めています。そういう中で非常に農業の明るいイメージを前面に出していただきながら、さらに頑張れる農業、もうかる農業というところまでこれから進めていきたいなと思っております。ことしは、7月に青年農業者の全国の集いもございますので、そんなところもしっかり、私ども、マスメディアも含めてPRしながら、これからも、長野県でこれから頑張ろう、今、頑張っている農業者の方々に、しっかりといろいろな場面で光が当たっていただくようなことも取り組んでいきたいと思っております。以上でございます。
◆高橋宏 委員 それでフラワー何とかというのも、ことし、やるんじゃなかったかね。そういう点では、この間、私の友達で花をつくっている大将、亡くなっちゃったんだけれど。そういう点では花は、トルコキキョウから始まっていろいろな花をして、それですばらしい成績を上げている皆さんもいるんですが。一般的に、今、お話を申し上げたように、そういう部分が多いのかなというところからやって。そしてこの間、また同じ人から、俺はもうこんなに百姓をやったけど、やっぱりもうからないと。これは絶対、大将はそんなことはないと思っていた人からそんな話がありましてね、ええって思ったんですが。そのくらい、作物によっては、大将、三水まで行ってリンゴをつくっているんですよ。真島でつくりながらね。だからそういうことが本当のことになってきたのかななんて思いながら、これからその「シナノリップ」みたいなのが出てきて、いいお金になってと。そうかといって、去年は、さっき果実の負担金がなかったというのがあったね。みんなおおむねリンゴはいい値段で売れたと、こういうことだと思いますが。
共和地籍は、JAグリーン長野の中で、1戸当たりの貯金高が一番多い。共和支所というのがあるんですが。約500戸ぐらいの農家、リンゴ農家だと思いますが。それが一番いいということは、リンゴがずっとよかった。その昔やると、戦後はリンゴがよくて、かますへ銭を詰めたという話があるんですよ。そのくらい景気のいいときがあった。県庁へ行っていた人がやめて百姓になってやった人があって、それで最後に死ぬときに、俺はやっぱり県庁へ行っていればよかったなっていう発言になったから、話は難しいもんだなと。こういうぐらい、農業というのは難しいもんだなと思います。
先ほど申し上げましたが、自然との戦いでございまして、そういう点であって。それで、この間、新しい技術の中で、トンネルの上へかぶせる発電、あれ全部やれば、この前の、あれ、絶対つぶれなかったよね、ハウスが。そんな簡単にいかないのかな、違うのかね。だってここに、この間やってハウスの上で太陽光の話あったじゃない。それとはちょっと違うの。あれ、ずっと続ければ、電気は起きて、それを使う電気はハウスの中で使えてってなれば、こんなうまくできることはないかなと思って。こんないい技術、早く開発してくれれば、パイプハウスはつぶれないし、補助金は足りなくならないし、たんと出さなくて済むし、それで電気はみんな使ってやればなおさらなと思いました。その辺で、新しい技術で、そのパイプハウスの上へ乗せるという発電装置、このことが具体的にどうなっているのか、これからだと思いますが。そういうことが本当にできれば、今、このハウスの面積というのはかなりあるから、長野県で発電王国になっちゃうんじゃないかなと思うんですが。その辺のところをひとつお願いします。
◎上杉壽和
農業技術課長 この間も説明をさせていただきました。資料5の6ページでございます。来年度、28年度から着手する予定の課題の一つで、農業生産と両立できる太陽光発電装置の開発と活用方法の確立というものを開始をしたいと考えているところでございます。これは、有機薄膜という薄い、ビニールのシートだと考えていただいてもいいんですけれども、そこに太陽光発電の基盤をプリントするような形で行うものでございます。ですから、今、かかっているパイプハウスの、その上に同じようにかけるということなんで、土台がしっかりしてないと、当然、雪等が降れば、当然、壊れるといいますか、倒壊する可能性はあるということなんで、それはしっかりやっていただかなきゃいけないと思います。
それから、これは両立をするということで、その発電側から見ると、現在、パネル式で発電した、これはもう光を100%透過せずに、その光を100%使って発電するということですので、発電効率は当然そのほうがいいわけでございます。これは、植物の生育に必要な光は通しますので、当然、面積当たりの発電効率は落ちますが、農業用で、つまり売電を目的としていませんので、農業用で使う、例えば暖房装置とか、温度調節の開閉ですね。このようなものに使えるだけの電力は自分で賄いましょうという考え方でスタートをしている事業でございます。
◆高橋宏 委員 だから私は、天気のいいとき、みんなためておいて、それで雪が降ってきたら電気を入れれば、そんなうまいこといかないかな。温風器かなんか、それをもとにした熱源でそういうことができれば、これ、大特許になってでかくもうかる話になりますよね。そうすると面積が多いでしょう、そのパイプハウスが。例えばどのくらいのその重さがあって、どういう雪かというか、でもそのときはなくても、通電すればうまくいくんじゃないですかね、解けるの。それだけだってつぶれないじゃないですかと。だからこんな単価がわからないから、こんな勝手なことを言っていられるかもしれない。もっと高くて、そんな簡単にはいかないよということになれば、それは全部にはいかないが、理想だなと思ったから。こんなうまい話を何でやらないのかなって思うよね。そうすると、パイプハウスをやって、ブドウをやろうが何をやろうが、全部それは解決できるなと。その丈夫なのというのは、それはそれなりきのことはあるだろうと思うが。雪が降ってきたら、また溶かしちゃえばいいんだから、今のでできるかなって私は思ったんだけど、そんなにうまくいかないかね。
◎上杉壽和
農業技術課長 一旦、太陽の光が出ているときに発電したものを蓄電池にためて、それからそれを熱源として、今度は雪を溶かすためには、例えばニクロム線をはわせて、その熱で溶かすということはできます。ただ、その発電をするそのシートですね。それ自体は、発電をすることはないわけです。そのシート自体。
〔高橋委員から「温かくなることはないということですね」という声あり〕
それはないです。それは、熱を出すと逆に発電効率が落ちちゃいますので、熱を出さない形。だからそれは別に考えたいと思いますけれども。確かに長野県、雪も降りますし、雪による災害もあるわけでございます。冬のほうがどちらかというと発電効率は高いわけですので、それを有効に利用して、融雪に使うとかという工夫も、将来的には考えていきたいなと思います。
◆高橋宏 委員 それはぜひやってもらえばね。おととし、さんざんつぶして、またことしもつぶれたハウスなんて、本当に残念だけどね。その経験が生かされてないのかなと思います。今、そういう指導をしているかどうか知らないが、危なかったらナイロンを切れなんていう話はやっていないのかな。我々の小さいころはやったけど。
◎上杉壽和
農業技術課長 本来であれば、冬の間、使ってないビニールは、巻き上げるとか、回収するとかをしていただけばいいんですけれども。実際に冬も作物があって、つくられているところもございます。そういうところは、雪が降ってきて危ないなと思ったら、今も、パイプハウスまで曲げてしまうよりは、ビニールを切ってビニール代だけで済ませるほうがいいという指導はしております。
◆高橋宏 委員 そういう指導があれば、例えば去年の話じゃないが、ふだん降らないところの佐久地方に降ったもんだから、そういうことがうまくこう伝わらなかったのかなと思いましたが。またことしもパイプハウスがつぶれたというから、うまくいってないのかななんて思った次第でございます。
それからさっき申し上げましたが、農業者のところへ来た若い夫婦が、たまたま、一生懸命やっていたんだけれども、子供が1人できて少したったら破談、まず夫婦が別れたと。そして、はっきり値段は言わなかったが、若穂に家をつくったらうまくいかなかったとこういう話ですが。今、ずっとこう農業後継者育成で150万円なり200万円なり、このことの約束の中で、先ほどどんどんと後継者ができていると、200何人だと、こう毎年あれば、長野県の農業はと。私のころは300人ぐらいだと思ったが、だんだんと規模がでかくなったから200人ぐらいでいいのかなと思いますが。そのときに、今まで一体何人、そういう該当者がいて、そしてやむを得ずとりやめたとか、そういうことはあるかないか。今、大将は1人でもやると言っているらしいんですが、これ、1人で農業をまた新たに始めるというのは、なかなか、最初から1人だと大変だと。今までも夜はアルバイトに行ったらしいんですよ。それでやるんですが、これ、1人になっちゃ、どうなるのかななんて、心配はしているんですが。
例えば今までの何年かその制度があって、何年か支援をして、そして、この間、塩田のブドウ農家。そうしたら子供はやらないが、ちゃんと手伝いに来ている人が、あの人なら任せるといってやっていた。そういう方もあるわけだから、その辺のところを、今、その後継者いるとかいないとかという、皆さんたちもいろいろな話をして、質問も出ていましたが、現実には、そういうことは順調に進んでいるのかねということをちょっと。今、きのうの人の話から、そんなことはどうなっているのかという話からそうになりました。今、現況はどうなっているのか、お知らせをいただきたいと思います。
◎
中島賢生 農村振興課長 今、
新規就農者を確保するために、国の制度としては青年就農給付金というのがございまして、準備期間中、2年間の研修期間中の2年と、その後、就農して5年間という制度でございますけれども。その中で、経営開始型というのは、長野県、平成24年からやっていまして、今までにその経営開始型というのは、582人の方が御活用いただいて、そのうち夫婦で開始されたという方が65組というんですかね。それで、参考にそのうち農家の子弟の方が151人です。率でいくと農家子弟の方、26%ぐらい御活用いただいているという状況でございます。そういった方々が、今、どんな就農の状況になっているかという話ですけれども。
この青年就農給付金、一定の所得が稼げるようになると支給がとまるということで、言い方を変えれば、早く経営安定するとそういった就農給付金をいただかなくても経営が続けていけるという趣旨でとめるんだと思いますけれども。それでそういった収入が一定程度超えて支給がとまったという方が20名です。そのほかに、経営がうまくいかないとか、御家族に病気が出て違う職種になるとか、そういった方が27名ですね。純粋に経営を中止したというのは27名いらっしゃいます。そんな状況です。
◆高橋宏 委員 先ほどから皆さんからも心配した後継者ということ、若い農業者ということで、皆さんが心配して質問もなさっていましたが。具体的にそうして、65組の582人、大勢の人に頑張ってもらったんだなと思います。24年度からだから、24・25・26・27ということは4年終わるわけだから、早く羽ばたいてしっかりした経営ができればいいなと。
それで、もう一つは中山間地も同じようにやると言っているね。中山間地の後継者を育てるといって、どこかにあったような気がするんですが。そうすると、中山間地の人たちは、具体的には何人かありますか。
◎
中島賢生 農村振興課長 そういった方々が、中山間地域でどのくらいというのは、数字的には持ち合わせておりませんが。長野県、ほとんどが中山間地域ということを考えれば、例えば有機野菜をつくろうということになると、ほかのドリフトの問題だとか、比較的、山奥と言ってはいけないですけど、隔離されたようなところで栽培をしたいという方は少なからずいらっしゃると思います。
28年度で予算をお願いしています、中山間地域の
農地集積をどうしていくかという観点で予算をお願いしているものは、中山間地域というのは、狭くて、傾斜があったり、形が不整形で耕作しにくいということで、その条件を変えていかないと、担い手の方々、なかなかお使いいただけないということを考えれば、基盤整備をして条件を整えなきゃいけないんですけれども。規模縮小したり、あるいはリタイアする方々が、貸す農地に新たな投資をしていくというのは相当大変だということで、基盤整備が進まない一つの要因になっているということで、地主の方々の負担を軽減をしていくということを目的に、中山間地域等での基盤整備を進める支援策を新たにお願いをしているということです。
◆高橋宏 委員 それでは、今回の資料の2ページ、経営規模の育成で書いてあるね、5ヘクタール以上、水田農業経営体の育成ということで書いてあるね。今回の資料5の2ページ、ここに。それで所得向上経営モデルというのがあるね。それで26年度は所得が、そばと水稲とどのくらいで61万円、下のモデル2は361万円、それでだんだんとやっていって、その次がやっていって、最後、これ29年になるのかな、上は水田が7ヘクタール、飼料用が3ヘクタールだね。それで、これで350万円。これ、中核的農家で夫婦でやっていたら、350万円でどうなんでしょうかねということを申し上げたいわけ。下は、それでも410万円だね。それは6ヘクタールと9ヘクタール。それで、私、今、何で中山間地もということを言っていたかというと、その上に5ヘクタールは、これからの経営規模の水田農業の所得のことで書いてあるわけでございまして。
そして一般の中で、先ほどは、それは、農家は、部長さんじゃないが、戦国時代の話だという話になるが、これだとそんなふうにならないかね、大丈夫かね。この辺が所得ね、所得。それで、これだけあれば、機械も買わなきゃならないし、いろいろなことをやるから、これで所得、このくらいになるのかねということで、この所得なら、皆さんが胸張って、これはすばらしい農家だよと、皆さんたちが思うかどうか。私は、今、それはなぜかというと、こういうことの中で、それでは農家がいいよって言っていくときに、これで大丈夫ですかということをお聞きしたかった。よくある、中核農家は800万円ぐらいまで、多分、試算の中では、5カ年計画の中には何か中核的農家やなんかそういうのがあったような気がするんですが。片一方はそうやっておいて、片一方は半分ということは、これ、本当にそれでいいのかどうかということだね。多分、それは大規模の農家にしても、計画の中に多分あったような気がするんですよ、私の記憶だからわからないけれども。
そういうことを考えて、この金額で、皆さん方が夫婦で働いて、1人当たりにすればどういうことかなと思うんだけれども。これ、皆さん、率直に、大丈夫だよって言えるかね。その辺のところ、感想だけ聞かせてもらいたい。大丈夫だと思うからここに書いているんだから、しっかり答えてもらいたいというところが本音だけれども。そんなこと、計画の中になかったかな、800万円前後だというの、違ったかな。あったね。それで片一方は半分ですよ。これ、どうやって考えていいか、ひとつお願いします。
◎上杉壽和
農業技術課長 高橋委員のおっしゃりたいことは、この下のモデルで350万円と410万円のモデルがあります。これで家族が食べていけるかどうかということだと思います。ここの事例は、モデルとして、家族経営なりでやっているモデル1の水稲2ヘクタールで、転作のそばが1ヘクタール、作業受託を、少し機械を利用しながら2ヘクタールやっているというのが現状のところを、少し規模拡大をして、水稲7ヘクタール、飼料米3ヘクタールと、作業受託も少しふやした形で350万円になるという、モデルということでございます。
〔高橋委員から「モデルですね。10%以上の所得の向上でこうだと」という声あり〕
はい。ではこれで暮らしていくかと言われますと、ちょっとこれではですね。例えば認定農業者の標準モデルで言いますと、500万円という言い方もしております。それからここで、経営のモデルで言えば800万円程度を目標としたということでございます。これは、一つの過渡期の考え方でして、当然、500万円やるには、もう少しの規模拡大なり、例えば下のモデルでございますように、業務用キャベツといいますか、園芸品目を取り入れた形での所得向上を狙っていかなければいけないということでございます。
◆高橋宏 委員 今、ちょうど頭の中に浮いてきたものだから申し上げたんです。これが所得10%向上してこうだから。と捉えられると、これ、本当に楽しい農業になるのかな、夫婦でいいのかな、お子さん1人いたらどうなるのかなと思うわけ。そこで、そういうようなことを、これ、こういうふうに数字がやっているから、私がたまたまそういうふうにお聞きするんだけれども。
さっき楽しい農業の中で、今、キッチンカーが行くというのね、この間、誰か質問した、キッチンカーで行けばうまくいくんじゃないかって、ジビエのところで。キッチンカーが行って、たまたま、戸隠に豆腐屋さん、山口という豆腐屋さんがあるんですよ。戸隠に行ったときは必ずその家へ寄って買ってくるんですよ。その地域のっていうのは、やっぱりあれ、全部、この間、飯山をやったね、飯山があった。この間の中では出ていた。だからそういうようなことで、先ほど、全部、長野県のところを紹介してもらうようにやれば、少し明るいふうに、NHKとちょっと話をしてもらって、そういうふうにやらなくちゃ、さっきの話じゃないが、あんまり、この数字からいっても、それからいろいろいなことからしても、あんまりこの、さっきじゃないが、戦国時代の話だって言われちゃうとだめだけど、戦国時代だって草履とりから始まって天下をとった人だっているんだから。だからそれはそれにしても、そんな数が多いわけじゃないけれども、そういうことをきちんとやっていけばいいのかなと思います。
私は、全面的に皆さんのことをどうのこうのっていう権利はございませんが、ただそんなふうに映ると、皆さんたちが一生懸命やっていることが、本当に大変だなと。そんなことしか考えてないのかいなんて言われたとき、困るかなとこうに思ったから、今、そんなことを申し上げたわけでございまして。そういうところから見ると、例えば中曽根さんだったと思ったが、トルコキキョウででかく銭をもうけちゃったという人もいるし、おらほでチューリップででかくやって御殿をつくった人もいるし、それは数はいるんだけれども、それが普及しているかというと、なかなかそうはいかないと。
それからもう一つは、競争相手をつくらないように、なるべく教えないというのもありますよね。これ、農業のまた独特なんですよ。権利を持っている人は、その権利をちゃんとやりたい。川中島の白桃みたいに、池田さんみたいにやさしい人は、全部やって、みんな、山形へ行っても川中島白桃、山梨へ行っても川中島白桃、福島へ行っても川中島白桃だから、それだけ川中島というのは有名なのかなと。真田さんが、みんな川中島がほしいからといって、操って策略を練っているのと同じことで、川中島というところはすばらしいところだなと。あのころからあったわけだから、大したもんだなと思って、その中に育った私は大変幸せ者だというふうに、今、テレビのドラマを見ながら、ここに生まれたことのありがたさに感謝しているわけでございます。
その農業の中核農家がどんどんとそうなってもらわないと、困るなと。私、園芸の表彰式のところへ行って、伊藤さんなんて、こんなにもカップを何回ももらって、おまえさん、そんな一人で占めちゃいけないわって冗談言ったんだけれども、そういう技術の人もいるし。そういうふうなことがいかなきゃいけないのかなと思います。それは全て寝ないで、あるいは温度管理をやっているなんていう苦労は表に出てきませんけれども、裏ではそんな苦労があると。だから、我々はよく、霜の時期とか、台風来るときなんて、夫婦で寝ていちゃいけないと言うんですよ。いつでも飛び起きて田んぼへ行けるような対応をしておかなきゃいけないと、よく言われました。そのくらい自然との戦いが農業でございまして、その辺のところだけは、また皆さん方が中核農家なりへ行ったときに、ついでに話してもらいたい。ぜひそんなことをお願いしたいと思います。
それから、亡くなった内村君なんていうのは、オランダからアルストロメリアの苗を購入してやっていたわけでございまして。そういう点では農業はグローバルだと、もう既に証明されているわけでございますが。花き産業の人は花き産業でそんな努力をするし、みんな頑張っているのですから、ぜひそこに明かりをともしながら、みんなが元気になるような長野県の皆さん方であってほしい、リーダーであってほしいなと、こういう思いから質問をさせていただいたんですが、あと余計なことを言うとぼろが出るからこの辺にしておきますが。いずれにしても、そんな気持ちが皆さん方に持っていただけるなら、本当にありがたいなと思って、一端を述べさせていただいて、これで、ことし、私の委員会もこれで最後なるかと思いますから、そんな話を申し上げて、皆さんと一緒にまた御協力をしながら現場で生きていきたいと思っておるわけでございまして。私の時間は30分でございます。少し延びたようでございますが、責任を果たさせていただいて、みんなで元気な農業ができますようにお願いを申し上げて、質問を終わります。
◆両角友成 委員 私からも3点について、質問させていただきます。私も3反百姓でありまして、一応農家だということだけ最初に言っておきたいと思います。最初に、県のオリジナル品種の早期の産地化及びブランド化の確立をしたいという、その「風さやか」というのがずっとこの話題になっているんですが。県内農家にどうやって普及させていくのかというところですね。さっき佐藤さんという販売の大規模農家の話も部長からあったりして、そういうところからかなとは思うんですが。中山間地も含めて、小規模の農家みたいなところにずっとやっていかないと、なかなか普及はしていかないんじゃないのかなという思いがありましてお聞きするんですが。
私らのところを考えても、最初に子供のころって、「豊年早生」というのをつくっていて、その後、「トドロキ早生」っていうのがあって。「トドロキ早生」というのは、かなり長く続いて、どんなに肥料をあげても倒れるということはなくて、お米はまずいと言ったけど、決してそうではなかったなと。ただ、供出といいますか、売っていくときに非常に安くなるというところで、もう農協等も苗をつくらなくなっていくという経過があって。そして「ひとめぼれ」になり、並行して、私どものほうはいよいよ「コシヒカリ」になっていったと。海抜で言うと800メーター近いですから、本当は「コシヒカリ」はどうかと思うんですけど、温暖化でつくれているのかなと。実のつきは少ないんですけど、それでも、今、「コシヒカリ」と。
そういう中で、反当たり、例えば「コシヒカリ」でしたら、「ハイランドエース」という普通の、ずっとこれがいいですよっていう肥料を、元肥として反当たり何袋ということでやってきたのが、いよいよその「風さやか」になって、県がこれで行こうと決めたときに、それに合わせていくということも必要だと思うんですよね。そうすると資料15の23ページで見ている範囲だと、どう普及していくのかなというのが気になっているもんですから、こんな方向でやりますというものがあれば、教えていただければと思います。
◎上杉壽和
農業技術課長 「風さやか」、長野県で、今、米でブランド化を進めようとしている品種でございます。この品種は、先ほどいろいろな品種が出てまいりましたけれども、少し「コシヒカリ」より奥手の品種でございます。標高で言いますと、600メートル以下の地帯で、今、推進を図ろうとしているところでございます。800メートルとなりますと少し厳しいという、それから「コシヒカリ」でもちょっと厳しい。先ほど出ている「トドロキ早生」とか「豊年早生」ということになりますと、どちらかというと「あきたこまち」の産地ではないかなと思っております。
この「風さやか」は、今、申しましたように、少し標高の低い場所で、地球温暖化のために品質が少し低下するような産地に対しまして、出穂が遅いことにより、収穫期も若干遅いんですけれども、そういう障害を回避できるということが一つの魅力で入れているところでございます。
いろいろなところでPRをさせていただきまして、評価も高まっております。「風さやか」は、資料5の3ページの下の図にありますけど、推進協議会というものを立ち上げまして、農家に対しましては、この「風さやか」の栽培マニュアルを地域ごとに作成しまして、その栽培マニュアルに沿う形で生産をしてもらうことにより、でき上がったお米の品質が向上するように努めているところでございます。目指す姿にもございますけれども、「あきたこまち」、それから「コシヒカリ」に偏重しているところを、少し「風さやか」にシフトさせまして、「コシヒカリ」「あきたこまち」に次ぐ3本目の柱として、長野県のお米として売っていきたいなと考えているところでございます。
◆両角友成 委員 標高600メーターということで、私らのほうは引っかかりませんでしたんで、今、「あきたこまち」がいいよと。確かに御近所でつくっていらっしゃる方、「あきたこまち」もあるなと。ただ、一番は苗がね、私も実は自分で20年間ぐらい、自分の分は起こしていたんですが、こういう立場になってさすがに無理で、お願いするというと、もう「コシヒカリ」ですという感じになってしまって、多少無理があってもそうなるのかなと。そこで「風さやか」というお話でしたので、またそういうことになっていくのかなというような思いがあったんですが。その心配はないようですので、ぜひ、米の切り札だとおっしゃっていますので、普及していくのに相当なエネルギーが必要かと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと申し上げておきます。
次に2点目は、中山間地、
農地バンクということでずっと話が進んでいるんですが。借り手の希望面積に対して貸し手からの申し出が少ないんだと。制度のさらなる浸透を図りますよと。田んぼ、そういうようなお話で、資料でいうと20にかなり細かくあって、いろいろなことをしていくと書いてあるんですが。農家からすると、前にも話があったと思うんですけど、もう農業がそろそろだめだという思いで農地を出していくという、そんなイメージがかなりあると思うんですが。
それと、さっきも中島課長から、中山間地の場合の部分の、今、田んぼにお金を、圃場整備をしていくというときにお金をかけるときかなというのは、農家の皆さんって、ごく普通に、TPPが来たらもう百姓は難しいねって普通に言います。そういうときに、田んぼにお金をかけるときかなということも含めて、この事業そのものを進めていくというのは非常に難しいと思うんですけど、見解をお聞きしたいと思います。
◎
中島賢生 農村振興課長 中山間地域の農地、農業者、どのようにしていくかというお話だと思いますけれども。耕作条件をよくするには、基盤整備という方法しかないと思うんです。それが、これからの米価であったり、ほかの作物の価格、あるいは消費動向を見たときに、その投資が回収できるのかということも考えなきゃいけないと思うんです。そういったことを考えつつも、このまま放っておけば、そこが耕作されなくなるということが大変心配されます。中山間地域、特に高齢化が進行をしていて、そういった方々がずっと耕作し続けられるかというと、それは限界があるということで。そういった担い手の不足している地域において、これからも耕作をしていただく方を確保していくという手だて、一つの方法として基盤整備をして耕作条件をよくして、将来とも、その地域の農業・農村が維持されていって、農業生産がされ、かつ農村の持つ多面的機能が維持され、そういった多面的機能の持っている観光的な要素とかそういうものがあって、そこへまた都市住民が訪れるという、そういった複層的な要素を考えれば、その地域で耕していく方を確保していくと、安定的に耕作していく方を確保していくという点においては、基盤整備をして耕作条件のいい農地をふやしていくというのが大切なこと。それについて、基盤整備の経費がかかるのが大きな課題ということを踏まえて、今回、その集積・集約を加速化させる事業をお願いをしているということです。
◆両角友成 委員 私どもの800メーター近いところでも、ほとんど圃場は、1回は済んでいて、また、今まで絵を見ていると、かなり広い部分をしていかなきゃ無理だという、集約という点で無理だというような論があるなと思うんですけど。私たちはずっと言っているように、例えば資料19でこの写真だけ見ているだけで、別に事業がこうというんじゃないんですが。私どもの地域では、3区の用水というのがあって、昔から頑張ってやっていまして。約240軒ぐらいで、この写真に写るように、春の作業というと泥上げをしたり、草を刈ったりというか、片づけたりということをしたり。また、その用水の水漏れなんかも自分たちで作業しているということをしていますが。そこでも心配しているのは、1人の方が10軒分ぐらいやっているのもあるんです。それでもさっきから話題になっている5ヘクタールなんていうのはとても無理で、3ヘクタールぐらいの規模なんですが。でもその人たちに言わせると、自分が扱っているというんで、その用水の作業には私しか出なくて、例えば9軒、10軒の人たちは出てこないというんで、困るというような話もあったり。また3区で頑張っている、その組合立的なところでは、そのことも問題になっていることで。家族農業みたいな、その集落の、今、頑張っているところはところでしていかないと、何か、どうなのかなというのがいつもあります。
そして、企業に貸し出すことも一ついいじゃないかという方向っていうのが、今、あるんですが。企業というのはもうからなくなったらその土地を返すっていったときに、撤回するというのはよくあることで、世界的には、今、日本に来ていた外国の大きな車のメーカーですら、日本に未来はないといって日本から引き上げるっていうことまで起きている現実がありますので。話が変わってすみませんが、企業的、いわゆる農地を皆さんが考えるのと違って、そこから収益を上げていこうと、上がらなくなったら手放してもとに戻しますよと。しかし、農家にしてみると、自分たちが貸し出したときと形が変わっている。それでは前の形で戻ってくるかっていったら無理だろうと。そして、例えば田んぼにするにしても、1回荒らしたら3年はもとに戻らないというのが、これはもう農家の常識ですので。
というようなことをいろいろ考えると、今ある家族農業そのものをどうやって守っていくかというところを、基本に、集約、集約、大きくしていくんだ、あるいは
農地バンクにして、やろうとする企業も含めて貸し出していくんだという、その方向性というのは、どこか間違ってしまうような気がするんですが、コメントがあればお聞きしたいと思います。
◎
中島賢生 農村振興課長 1点、企業の
農業参入について、先ほどもお答えしましたけれども、一つ、
企業参入のメリットとしては、新たな需要の開拓ですとか、新たな販路が確保できるということで、地域農業が活性化するという面はあると思いますし、遊休農地の再生活用にもつながるということが期待できるんではないかと考えています。一つ、常に忘れていけないことは、企業が地域と思いを共有して、その地域と共存していくということで、企業の
農業参入が地域にとってもメリットが生まれてくるということが、大変重要ではないかと思います。
そういったことで、今は、いわゆる
リース方式の場合には、どんな企業でも参入できるわけですけれども。その参入する場合には、農地を適正に使用するというふうなこととか、それからもし使用されなくなった場合には、契約を解除して、かつ原状回復の費用をどうするとか、それから原状回復されないときの損害賠償はどうするのかと、そういったことを、企業が参入するときに、今申し上げたことを契約書の中で契約をするという制度になっておりますので。委員御心配いただいている、撤退したときにはどうなるのかということも、リスクヘッジされていると、今、考えております。
それから家族経営の方々を、今後、引き続き支援をしていかなきゃいけないということについては、従前もこれからも、私ども、そういった視点で支援をしていくわけですけれども。やはり家族経営だけでも、あるいは大規模の農家だけでも、その農業・農村というのは維持できないというのが日本の農業の特徴。特に水田の多いところは、用・排水路、あるいは畦畔の草刈り、それから作業道、そういった
共同作業をしていかなきゃいけないということで。規模の大小にかかわらず、さまざまな農家がバランスよく存在しているというのが、これからの農業・農村を続けていくための大きな視点だと思っていますので、規模の大小にかかわらず、それぞれの皆様が活躍できるようなことを一生懸命支援していきたいと思っています。
◆両角友成 委員 さっきのお答えの中に、これからもどうやって耕作していくんだと、そこに視点を当ててやっていきますということがありましたし、今も、本当に何とかしなきゃいけないという思いはよく伝わってきます。ただ、私は、企業というと営利目的、営利があって企業ですので、企業感覚で、さっき高橋先生のお話で350万円なり500万円なりでどうなんだという話もありましたが。それでも、私たちも含めて、先祖代々伝わってきた農地を耕すという、そういう感覚ってまだあるわけですので、そこら辺のところにも光をぜひ当てていただきたいと、このことはお願いしておきたいと思います。
3点目です。TPPについて、きょう、閣議決定で、国会にこれを批准するための法案というのが提出されるということ、そういう運びだということですが。本当にこれを批准するかどうかっていうことを、もとになる国会審議というのがいよいよこれからということで、報道では最終盤の国会のその一つの焦点になるだろう、争点になるだろうと報道されています。
しかしもう地方には、前倒しの予算ということで、私たち、第16号ではいかがなものかということで懸念を申し上げたんですが。その前倒しの予算が組まれていて、攻めの農業と。今回のポイントを見ても、攻めの農業であり、稼ぐ力を伸ばすとして、暗にその批准を認めさせるようなやり方が国からされてきて、県としては仕方ないといいますかね。お金をいただけるんであれば、そのお金を使って、今の農業の足腰を強くしたいんだっていう思いからやっているということは、部長の答弁でも、TPPという3文字はあるけれどもということでありましたので、よく皆さんの立場は、私はわかっているつもりなんですが。
そうはいっても、長野県の農地を守っていくっていう点で考えたときに、我々の主食である米だけ考えても、新たに7万8,000トン相当が入ってくると。それに相当する分の国産米を備蓄米として買い上げるから、ずっとそれを買い続けるから影響額がゼロだと。長野県もこれに従ってのことで、数字が云々っていうことだけにこだわるわけじゃないんですが。しかし、国も、多分、このことを続けても、備蓄米がずっとふえることとか、生産というか、食べる米の量が減っているとか、いろいろなことで減反政策もやめましたし、いろいろな意味で、米価の下落は避けられないということは織り込み済みだと思うんですよね。
そこで、国が言い出した一つに、家畜用の飼料米ということを言い出して、それに転作してもらえば補助金を出しますと。簡単に言うと、こういう流れかなと思うんですね。しかし、今回のTPPの中身を見たときに、一つは農家っていうのは、自分たちのつくっている米を家畜の餌っていうのはどうなんだという、すごい抵抗があるというのが一つありますよね。ただそこを百歩譲ったとしても、関税の撤廃で一番厳しい、これ、畜産ということが部長の答弁の中にもあったと思うんですが。牛肉・豚肉、いわゆる畜産農家が一番厳しくて、安い肉が入ってきたら廃業に追い込まれるという流れになると思うんですね、これ。そのときに、片方では飼料米としてって言っても、その売り先がだんだん減りなくなっていくという中で、その方向というのは明らかじゃないかなと。そういったときに、長野県の農業を守るという意味も込めたときに、現状を受け入れて条件闘争のような、補助金さえ来ればいいんだみたいな、条件闘争みたいなそういう姿勢をとっていていいのかっていうところが非常に引っかかるんですが、コメントをいただきたいと思います。
◎北原富裕
農政部長 きょう、TPPの法案、閣議決定をされて、これから批准も含めて国会で御検討いただくという状況かと思っております。その中で、一番は、副委員長さんからは、減反といいますか、お米の部分についての御質問が多かったと思いますので、そこの部分について、若干の考え方とコメントをさせていただければと思いますけれども。一つには、先ほども藤岡委員さんのときにお話をしたんですけれども、主食用の米そのものは、人口減少と消費の減退の中でトレンド的には毎年8万トンずつ減っていきます。そういう中で、米をつくり続けるとすれば、主食から主食以外の米をつくる方向に大きくはかじを切っていく必要があるんではないかと考えております。ただ、長野県の場合に、ではそこをどこに持っていくのかというときに、米以外の、野菜ですとか園芸へ移る部分、さらには米としても将来の地酒という中での酒米への方向転換、さらには一つには飼料用米ということも、地域の輸入飼料から国内の地域の飼料への転換という意味での飼料用米への
取り組みというのは、私は方向としては大事なことだろうと思っております。そういう中で、需給状況を調整しながら、主食用米の米については、「コシヒカリ」「風さやか」を中心にして県産のブランド化を図り価格の維持を図っていくということが、大きな方向として大事なんだろうと思っております。
また、1点、飼料用米ですけれども、ある畜産農家から言われた言葉があるんですけれども、人の食べない米をつくってどうするんだという人がいるけれども、我々畜産農家から考えると全く違うと。畜産の飼料として、肉にした物は肉を人が食べているじゃないかと。人の食べる肉のための飼料用米としての利用だと言われた方がいらっしゃいます。そういう意味でも、農作物には、日本人的には米が一番大事だという思いがありまして、それはよく理解できるんですけれども。その思いだけでもって一物一価にしてはいけないんではないかと。つくった物については、さまざまな利用形態があり、さまざまな利用方法によっての価格形態があり、その中で、経営の中でどれをやっていくのかということが大事なんではないかなと考えております。
そういう中で、私ども、国が打ち出します施策を最大限活用するということで、仕方なしにやるような考え方は持っておりませんので、最大限活用する中で、飼料用米についても、国・県内の畜産農家の経営改善のために役立つ方向での
生産振興ということに取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
◆両角友成 委員 あと5分ぐらいになってしまいましたが、私たち、米っていうと、米一粒でも大事にしないと、お百姓さん、自分たちも含めて、88、手がかかってここにあるんだと。したがって一粒でも無駄にしたらいけないよっていう、そういう時代でしたので、部長さんよりか私のほうが2つ、3つ上ですかね、時代の差かもしれませんが。私、米というのは非常に大事だなっていつもそんな思いがあるものですから、見解の相違はあるのかと思います。当時から日本に、今回、7万8,000トン入ってくるという中のオーストラリアですが、当時から日本にここは米を売りたいって言っていたんですよね。私も、一度なんですが、オーストラリアに行く機会がありました。確かに広大な土地なんですが、水が潤沢ではないという、皆さんのほうが御存じだと思いますが、米の生産には向いていないといいますか、一定程度のところしか無理なんだろうなと思ってまいりました。それでその売り先ですね。日本に売りたいというオーストラリアが、現在売っていた、あの当時ですが、ニューギニアとか、ケニアとか、いわゆるアフリカ諸国みたいなところに売っていました。したがって、日本がその米を買う形になったらどうなんだろうかっていう。ニューギニアの皆さんにとってどうなんだろうかっていうね。さっきタイ米の話もありましたが。そこがすごい、私は大事なところかなと。
したがって、今回のTPPに参加していくことによって、日本の農業が、ある意味壊されていって、そして今の日本が外国に食料を依存していくという流れになっていったときに、中長期的に見たら、その世界の食料は逼迫しているということは、これは、今、常識ですので、そういう点で、私は、長野県として、日本として農業を守って、主食である米、一番つくりやすいと思います。そういうものはしっかりつくっていくべきだとそう思うわけですが。もし見解があればお聞きしたいと思います。
◎北原富裕
農政部長 確かに食料自給率が40%に満たないということの中での、海外への食料依存という部分についての懸念のお考えというのは、私ども農業にかかわっている者としても、同じように認識は持っているつもりで仕事をさせていただいております。ただ、今回のオーストラリア・アメリカのSBS米の輸入というのが、では食料依存に直接結びつくのかなというのは、主食用という部分の中で見れば、なかなかすぐには結びつくものではないんだろうなと考えております。ただ、ある意味、消費者の価格の動向、それからそれを使われる国内の企業の皆様方のお考えの中での動きというのは、将来的には出てくるんだろうなと考えております。
そういう中で、少なくても私ども長野県の中においては、来年度から新しく言います地消地産ですね。この一つの考え方というのは、海外の原料、それからもしくは県外の原料、こういうものをできる限り県内の物に置きかえていこうという発想も、地消地産の中で一番大きな柱としてあるわけでして。そういう中で、それを消費者も理解していただく、それを使う企業の方、食品産業も含めて、食品産業もそうですし、私どもがこれからアプローチいたしますホテル・旅館・飲食店もそうですけれども、そういうところの中での県内産への置きかえ、それの中での県内での地域循環を進めていこうというのが、食の部分での地消地産になろうかと思います。大きくは、知事の思いの中では、林産物等の物、それからエネルギーも同じようにしていこうということでございますが。
そういうところの中で、食料を海外に依存するのではなく、きちんと県内の物は県内で使える体制も将来的に見据えながら、グローバル化に対応した生産の方法、それから販売の方法、そういうものを考えていく時代になったんではないかなと。そのための対応策を、私ども、国の予算を使うという形の中で、TPP対応というような形も言わせていただいておりますけれども、そんな中で28年度からの予算をお願いしたということでございますので、御理解のほどを頂戴できればと思います。
◆両角友成 委員 相手国のアメリカが、日本がこれだけ譲っていても、例えば自動車部品云々という自動車に関連する部分でも25年間は関税を撤廃しないんだと。そしてセーフティガードをもし発動すれば35年という説もあるぐらいですので。部長答弁で、今回の事業は仕方なしにやっているんではないということを言い切っていますが、もし私が皆さんの側に、そちらに座っていたら、どうだろうかと思いますが。TPPに参加を容認してしまっていったら、長野県の農業というのが、私は守れないということは明らかじゃないかなと思います。したがいまして、この問題について真摯に向き合って、長野県として、国に対して、やっぱり警鐘を鳴らし続けると。そういう姿勢は必要ではないかと申し上げて、私の質問といたします。
○荒井武志 委員長 ほかに御発言もあろうかと思いますが、以上で質疑を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、質疑を終局いたします。
ただいまから議案の採決に入ります。最初に第1号「平成28年度長野県一般会計予算案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算」中、歳出 第7款 農林水産業費、第1項 農業費、第2項 畜産業費、第3項 農地費の一部、第5項 水産業費、第12款 災害復旧費、第1項 農林水産施設災害復旧費の一部、第2条「第2表 債務負担行為」中の一部について、討論がありますか。
◆藤岡義英 委員 私、討論させていただきます。すぐ終わります。反対の立場で討論いたします。昨日、7日の国会参議院予算委員会のやりとりで、2013年の4月の国会決議が、米や麦など農産物重要5項目を関税撤廃の対象から除外することを求めていましたが、交渉で除外できましたかとの質問に、石原経済財政担当大臣は、TPPに除外はないと答弁しました。首相は、除外という言葉というのは、最初から協定のテーブルにはのっていないと。交渉の中身については申し上げることができないと述べ、要求していないことを事実上述べる発言をしています。つまり、除外規定はないということは、全て関税に関しての見直しの対象になることになり、明らかに私は国会決議違反だと言えると思います。このようなTPP協定は、大筋合意されても署名されても、絶対に認めるわけにはいきません。
今回の平成28年度の予算案については、TPP関連対策の加速化の観点から、農業の稼ぐ力として幾つかの事業が計上されております。第16号、平成27年度補正予算のときにも述べさせていただきましたけれども、長野県農業を発展させるためには必要な事業もたくさんあり、皆さんも御尽力いただいたと思います。そういった点では本当にこれからも頑張っていただきたいと思いますけれども、TPP協定にかかる農林業対応方針ということであれば、問題があると指摘せざるを得ません。以上申し上げて、反対討論といたします。
○荒井武志 委員長 以上で討論を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、討論を終局いたします。
本案を挙手により採決いたします。念のため申し上げます。挙手しない方は、本案に反対とみなします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに賛成の委員の挙手を求めます。
〔挙手多数〕
挙手多数であります。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に第9号「平成28年度長野県農業改良資金特別会計予算案」について、採決いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
御異議ありませんので、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に第10号「平成28年度長野県漁業改善資金特別会計予算案」について、採決いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕