山梨県議会 2023-06-01
令和5年6月定例会(第1号) 本文
○ 様々な事情により感染不安を抱きマスクの着用を希望する児童生徒や健康上の理由により着用できない児童生
徒もいることなど、一人一人の理解に努め、適切な指導を行うよう、引き続き
関係機関への周知を行って参りま
す。
【採択された請願の件名】
学校給食及び昼食における「心身の健康の増進と豊かな人間形成」の実現を求めることについての中の
(請願事項)
山梨県の学校・園において、黙食緩和に伴い、学校給食法、食育基本法の目的・目標を考慮した対応がなされる
よう各市区町村教育委員会へ繰り返し周知すること。
【処理経過及び結果】
○ 新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行に伴い、
令和五年四月二十八日付け五文科初第三百四十七号
文部科学省初等中等教育局長通知「五類感染症への移行後の学校における新型コロナウイルス感染症
対策につい
て」において、「学校給食については、感染
状況が落ち着いている平時において、食事の前後の手洗いのほかは
黙食等の特段の感染症
対策を講じる必要がないとする」ことが示され、私立学校に周知したところです。
○ 保育所等における新型コロナウイルス感染症
対策としては、従来から、手洗いや手指消毒、換気など一般的な
対策を要請してきたところであり、国からも黙食の要請はなく、県から保育所等に対して黙食の要請は行ってお
りません。このため、黙食の緩和へ対応が移行したことに伴う通知も行っていない
状況です。
○ 今後も、引き続き、児童生徒の心身の健康の増進と豊かな人間形成の実現のための食育の重要性についての理
解を深め、子どもたちが生涯を通じて健全な食生活を営むことができるよう、学校や保育所等に対し、食育推進
ボランティアの派遣などを通じて周知を図って参ります。
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教総第千百四号
令和五年六月十六日
山梨県議会議長 水 岸
富美男 殿
山梨県教育委員会教育長 降 籏 友 宏
採択された請願の処理の経過並びに結果
報告について
令和五年三月十六日付け議調第千四百五十九号で要求のありましたこのことについて、別紙のとおり
報告します。
採択した請願の件名
第五─一号 マスク着用の有無による差別・偏見等防止の啓発及び換気システム導入等に関することについて
第五─二号 学校給食及び昼食における「心身の健康の増進と豊かな人間形成」の実現を求めることについて
議会請願
第五─一号「マスク着用の有無による差別・偏見等防止の啓発及び換気システム導入等に関することについて」
1 学校等へ高機能換気設備、二酸化炭素濃度測定器、サーキュレータ、HEPAフィルタ付空気清浄機等の換気
システムを導入し、換気方法を段階的に見直すこと。
【処理の経過及び結果】
○ 県では、県立学校における感染
対策のため、
令和二年六月議会において、国の補助金を活用し、サーキュレー
タ等、感染リスクを低減させるために必要な備品等を購入するための経費を予算計上し、各学校における感染対
策を実施いたしました。
○ その後も、効果的な換気
対策を実施するため、二酸化炭素濃度測定器や空気清浄機等、感染
対策用の備品等を
購入するための経費を随時予算計上し、県立学校における感染
対策の強化を図って参りました。
○ また、小中学校においても、国の補助金を活用して、サーキュレータや空気清浄器の購入など、効果的な換気
対策に係る取り組みを円滑に進められるよう、
市町村等への情報提供などの支援を行っているところです。
○ なお、県立学校への高機能換気設備(全熱交換器)の設置については、大規模なエアコン設置工事に併せて実
施しております。
○ 新型コロナウイルスの法的位置付けが「五類」に移行しましたが、子どもたちが安心して学校生活を送れるよ
う、換気や手洗いといった日常的な対応を継続して参ります。
2 様々な事情がある子どもがいる事から、
厚生労働省通達による「本人の意に反して着脱を無理強いすることに
ならないよう」という一文を教育機関や保育園等へ通知するガイドラインに明記し、周知すること。
【処理の経過及び結果】
○
山梨県教育委員会では、これまでも、文部科学省通知等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症への適切な対応
について、県立学校及び
市町村教育委員会へ周知及び依頼を行って参りました。
○
令和五年三月十七日付け文部科学省通知「新学期以降の学校におけるマスクの着用の考え方の見直し等につい
て」により、学校教育活動に当たってマスクの着用を求めないことが基本となって以降も、マスクの着脱を強い
ることがないよう、また、マスクの有無による差別や偏見等がないよう適切に指導を行うことを県立学校及び市
町村教育委員会へ依頼いたしました。
○ また、新型コロナウイルスの「五類」移行後の対応についての「学校における新型コロナウイルス感染症に関
する衛生管理マニュアル(二〇二三・五・八~)」(文部科学省)にも、「マスクの着脱を強いることがないよ
うにする」こと及び、「マスクの着脱の有無による差別や偏見等がないよう適切に指導を行う」ことが示され、
県立学校及び
市町村教育委員会への通知にも改めて明記し、適切な指導を依頼したところです。
○ 様々な事情により感染不安を抱きマスクの着用を希望する児童生徒や、健康上の理由により着用できない児童
生徒もいることなど、一人一人の児童生徒への理解に努め、適切な指導が行われるよう、各種研修等を通じて引
き続き学校関係者の理解を深めて参ります。
議会請願
第五─二号「学校給食及び昼食における「心身の健康の増進と豊かな人間形成」の実現を求めることについて」
【処理の経過及び結果】
○
山梨県教育委員会では、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行に伴い、学校給食については、感染
状況が落ち着いている平時において、食事の前後の手洗いのほかは、黙食等の特段の感染症
対策を講じる必要が
ないことを
市町村教育委員会に通知いたしました。
○ また、給食等における児童生徒の交流を例にあげ、これまで制限されてきた学校における様々な教育活動につ
いて、その意義を改めて捉え直した上で再開させるよう、
市町村教育委員会に通知したところであります。
○ 今後も、校長等が集まる機会において、黙食は必要ないことを改めて説明するとともに、児童生徒の心身の健
康の増進と豊かな人間形成の実現のための食育の重要性についての理解を深め、各学校で実施している「食育推
進一校一実践」等において、児童生徒同士の関わり合いや教師と児童生徒との関わり合いを通して豊かな食育が
展開されるよう指導して参ります。
───────────────────────────────────────
9
◯議長(
水岸富美男君)次に、
知事から、第五十号議案ないし第六十一号議案及び諮第一号議案について、お
手元に
配付のとおり提出がありました。
───────────────────────────────────────
10
◯議長(
水岸富美男君)次に、
知事から、報第十三号ないし報第四十一号について、お
手元に
配付のとおり
報告がありました。
───────────────────────────────────────
11
◯議長(
水岸富美男君)次に、
地方自治法第百二十一条の
規定に基づき、
議長から、今
定例会に
知事及び各執行機関に対し出席を求めたところ、お
手元に
配付のとおり出席並びに委員の通知がありました。
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地方自治法第百二十一条の
規定に基づく説明員
知 事 長 崎 幸太郎 副
知事 長 田 公
公営企業管理者 村 松 稔
感染症
対策統轄官 成 島 春 仁
地域ブランド・DX統括官 齊 藤 武 彦
知事政策局長 石 寺 淳 一
県民生活部長 上 野 良 人
男女共同参画・共生社会推進統括官 古 澤 善 彦
総務部長 市 川 康 雄
防災局長 細 田 孝
福祉保健部長 井 上 弘 之
子育て支援局長 斉 藤 由 美
林政部長 入 倉 博 文
環境・エネルギー部長 関 尚 史
産業労働部長 染 谷 光 一
観光文化・スポーツ部長 落 合 直 樹
農政部長 大久保 雅 直
県土整備部長 椎 葉 秀 作
会計管理者 百 瀬 友 輝
教 育 長 降 籏 友 宏 教育長職務代理者 岡 部 和 子
教育長職務代理者 松 坂 浩 志
教育委員会委員 小 澤 幸 子
教育委員会委員 長 澤 重 俊
教育委員会委員 橋 本 幸 子
人事委員会委員長 細 谷 憲 二 人事委員会委員 中 島 琢 雄
人事委員会委員 信 田 恵 三
公安委員会委員長 高 橋 英 尚 公安委員会委員 堀 内 拓 三
公安委員会委員 武 田 信 彦
警察本部長 伊 藤 隆 行
監 査 委 員 小 林 厚
監 査 委 員 小 泉 久 司
選挙管理委員会委員長 小宮山 博 選挙管理委員会委員 鈴 木 政 孝
選挙管理委員会委員 中 込 敏 彦
選挙管理委員会委員 秋 山 洋
───────────────────────────────────────
12
◯議長(
水岸富美男君)次に、
日程第三、会期決定の件を議題といたします。
お諮りいたします。今
定例会の会期は、本日から七月六日までの十七日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
13
◯議長(
水岸富美男君)御異議なしと認めます。よって、会期は十七日間と決定いたしました。
ただいま決定いたしました会期中の議事は、お
手元に
配付の会期並びに議事予定表によりたいと思います。御了承願います。
───────────────────────────────────────
令和五年六月
定例会会期並びに議事予定(会期十七日間)
┌───────┬──┬─────────────────────┬──────────────────┐
│ │ │ 議 事 予 定 │ │
│ 月 日 │曜日├─────────────┬───────┤ 備 考 │
│ │ │本 会 議│ 委員会等 │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ │ │(1)
開会 │ │ │
│ │ │ │ │ │
│ 六月二 十日│火 │(2)
知事提出議案上程 │正副委員長
会議│ │
│ │ │ │ │ │
│ │ │(3)
知事提案理由説明 │ │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ │ │ │ │代表質問(六月二十三日)
発言通告正午│
│ 二十一日│水 │議案
調査 │ │ │
│ │ │ │ │まで │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ │ │ │ │代表・一般質問(六月二十六日)
発言通│
│ 二十二日│木 │議案
調査 │ │ │
│ │ │ │ │告正午まで │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ │ │ │ │一般質問(六月二十七日)
発言通告正午│
│ 二十三日│金 │代表質問 │ │ │
│ │ │ │ │まで │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 二十四日│土 │休日のため休会 │ │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 二十五日│日 │休日のため休会 │ │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ │ │ │ │一般質問(六月二十八日)
発言通告正午│
│ 二十六日│月 │代表・一般質問 │ │ │
│ │ │ │ │まで │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 二十七日│火 │一般質問 │ │請願受理正午まで │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ │ │(1) 一般質問 │ │ │
│ 二十八日│水 │ │ │ │
│ │ │(2) 議案・請願委員会付託 │ │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 二十九日│木 │常任委員会 │各常任委員会 │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 三 十日│金 │常任委員会 │各常任委員会 │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 七月 一 日│土 │休日のため休会 │ │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 二 日│日 │休日のため休会 │ │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 三 日│月 │常任委員会 │各常任委員会 │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 四 日│火 │常任委員会 │各常任委員会 │ │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ 五 日│水 │総合調整 │ │討論
発言通告正午まで │
├───────┼──┼─────────────┼───────┼──────────────────┤
│ │ │ │議会運営委員会│ │
│ │ │(1) 委員長
報告 │ │ │
│ │ │ │指定管理施設・│ │
│ 六 日│木 │(2) 採決 │ │ │
│ │ │ │出資法人
調査 │ │
│ │ │(3) 閉会 │ │ │
│ │ │ │特別委員会 │ │
└───────┴──┴─────────────┴───────┴──────────────────┘
───────────────────────────────────────
14
◯議長(
水岸富美男君)次に、
日程第四、
知事提出議案第五十号議案ないし第六十一号議案及び諮第一号議案を一括して議題といたします。
知事から、上程議案に対する提案理由の説明を求めます。
知事、
長崎幸太郎君。
(
知事 長崎幸太郎君登壇)
15
◯知事(
長崎幸太郎君)
令和五年六月
定例県議会の
開会に当たりまして、提出いたしました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、
議員各位並びに
県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
令和五年五月八日、新型コロナの感染症法上の五類移行に伴い、三年以上にも及ぶコロナとの長い戦いも転換点を迎えました。
あらゆるものがゼロから始まったあの日から、
山梨県は、
県民の皆様、県議会の同志の皆様と手を携え、コロナという未曾有の危機に向き合ってまいりました。
ここ、ふるさと
山梨は、ただ眼前の
状況をしのぐだけではなく、あすをつくるための努力を惜しむことなく、コロナ危機にあっても前進し続けてきました。
今こそ、これまでまいた全ての豊かさの種から百花を繚乱せしめる好機であり、この新たな時代にふさわしい
山梨の創造に向け、
県民の負託を新たに受けた県議会の皆様とともに、全身全霊を傾けていく覚悟であります。
まず、
令和五年度六月補正予算についてです。
本予算は、公約実現に向けた二期目初めての本格的
政策予算であり、その大要について御説明申し上げます。
まず、喫緊の
課題である
物価高騰対策についてです。
物価高騰が長期化しており、国の公定価格で収入が算定される医療機関や福祉施設では、物価高騰分を利用者に転嫁することができず、来年度に控える国の公定価格改定までの間の早急な支援が必要であります。
また、福祉施設においては、コロナ禍や物価高騰に伴う相対的賃金格差による離職傾向から、人材不足に拍車がかかっております。
これらの
状況を踏まえ、医療機関や福祉施設に対し、光熱費や食費の高騰分に対する支援を行うとともに、介護施設などの職員の賃上げに対して支援を行うことといたしました。
次に、公約に関する予算措置についてです。
本県が目指すべき姿を
県民一人ひとりが豊かさを実感できるやまなしとし、豊かさを量、質、面で築いていきます。
人それぞれの幸福感こそが豊かさの尺度であることは言をまちません。
ならばこそ、
本県における豊かさとは、人それぞれで異なる幸福を得るため、それぞれの方が自分なりに選び、歩みを進めていけることを追求した先にあるべきです。
本県らしい豊かさの追求において、行政が果たすべき役割は二点あります。
一点目は、
県民の自由な
選択を妨げる要因をできる限り取り除いていくことです。
生を受けた環境や生活環境などに左右されず、誰もが安心して暮らすことができるようにすることが、幸せと豊かさへの道を
選択する土台となるものと考えます。
二点目は、各ライフステージにおいて、希望を持って自分らしい道を進むことができるよう、できる限り多くの、そして豊かな
選択肢を提供することであります。
そこへの取り組みの方向性において、第一の柱となるのは、ふるさと
強靱化です。
これは、人々を感染症や
自然災害の脅威から守り抜くための取り組みを進めていくことはもちろんのこと、そこにとどまるものではなく、生活を取り巻くさまざまな不安や恐怖から解放されるためのセーフティーネットを強く、広く張りめぐらせるべき取り組みも包含するものであります。
すなわち、第一に、
防災・
減災、
県土強靱化を図るため、国の国土
強靱化政策も踏まえながら継続的・計画的に社会資本整備を推し進めます。
このため、今般の補正予算においては、
防災・
減災、
県土強靱化に係る
公共事業として、七十億円を追加計上いたします。
また、富士山火山
防災対策につきましては、
本県を初め活火山を有する
全国の自治体で構成される火山
防災強化推進都道県連盟が国や国会
議員連盟に対し、火山
防災対策のさらなる強化を要望してきたところ、今般、活火山法の改正が実現いたしました。
法改正を踏まえ、より一層、火山
防災対策を強力に進め、国や自治体、
関係機関と連携しながら、富士山噴火からの逃げおくれゼロを目指し、まずは、住民の皆様に噴火時の適切な対応を理解していただけるよう広報を強化してまいります。
第二に、新型コロナウイルスを含む感染症
対策につきましては、ポストコロナにおいても必要とする人に必要な医療を届けるための感染症対応・医療提供体制の構築を土台としながら、有事においても感染拡大防止と社会経済活動が両立する感染症に強靱な地域づくりを目指してまいります。
まずは、今般の新型コロナ感染症に関して、
本県がこれまで爆発的な感染拡大期においても安定的に医療提供体制を維持することができたのは、医療関係者の皆様と
県民の皆様から御理解と御協力をいただいた結果であり、改めて感謝を申し上げます。
一方で、感染症法上の扱いが変わってもウイルスがなくなるわけではありません。
今後も、
県民の生命と健康を守るため、必要とする人に必要な医療を届けるという
方針を堅持し、特に重症化リスクの高い高齢者の皆様などに重点的に医療資源が行き渡るよう、引き続き万全を期してまいります。
その上で、新型コロナ感染症に係る医療提供体制については、これまでの行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による通常の対応へと移行するべく、受け入れ可能な医療機関の維持・拡大を図るため、新たな医療機関の参画を促す取り組みを進めてまいります。
加えて、新たな変異株や感染症に備え、平時から入院調整の方法や医療提供体制等について議論・協議し、相互連携を図ることができるよう、来月には県、甲府市、県医師会、医療機関などで構成する
山梨県感染症
対策連携協議会を新たに立ち上げるとともに、協議会での議論も踏まえ、本年度中に新たな感染症対応ビジョンや行動計画を策定いたします。
このほか、県衛生環境研究所の検査体制の強化や、下水を含む重層的なサーベイランスの実施により感染動向を迅速に把握し、いち早く情報提供ができるよう取り組んでまいります。
また、
本県から
全国に普及した、適切な感染防止
対策を公的に認証するグリーン・ゾーン認証制度につきましても、五月八日から平時の登録制度に移行したところです。
今後、新興感染症の発生時などの有事の際には、これまで構築してきた感染症対応ネットワークの財産を生かし、官民ともにより質の高い感染症対応に即応できるよう努めてまいります。
同時に、インバウンドを
本県に呼び込む強みとなるよう、グリーン・ゾーンプレミアム認証制度は継続し、国際衛生基準との互換性認定を受けるとともに、さらなる普及を図ってまいります。
ふるさと
強靱化の第三として、人々が将来の見通しに確信と安心を持てるよう、将来にわたり大きな利益を安定的に得られる経済体質を地域経済に埋め込んでまいります。
このうち、物価高騰・エネルギー価格高騰など地域経済を取り巻く情勢の悪化に対してもしなやかに対応できる経済基盤の
強靱化は急務となっています。
特に中小企業の賃上げ支援につきましては、物価高騰の影響を強く受ける生活基盤を下支えするだけでなく、未来に向けて県内経済を支え、企業の成長をもたらす人材を集め、育てるために、極めて重要と考えております。
県では、賃金アップに取り組む中小企業を支援するため、昨年の十二月補正予算で一定の賃上げを実施した
事業者が行う設備投資や人材育成などに対する補助制度を創設したところです。
今後、長引く物価高騰により特に影響を受けている非正規雇用労働者への対応や、人手不足が深刻になっている幅広い業種における賃上げが喫緊の
課題となっているため、非正規の方々の正規化などに取り組む
事業者に対しては、補助の上限を引き上げるとともに、補助対象となる最低賃金の条件を緩和することといたしました。
こうした取り組みなどにより、県内中小企業による賃金アップを強力に後押ししてまいります。
エネルギー価格の高騰に向き合う
事業者に対する支援としましては、これまで省エネ・再エネ設備の導入に向けた助成金を二度にわたり予算計上し、多くの
事業所等に対し支援をしてきたところですが、現在も電気料金や原材料価格の高騰が続いており、より多くの
事業者や小規模
事業者が活用できる制度にしてほしいとの声も寄せられております。
このため、補助額の下限を引き下げるとともに、私立学校を新たに対象とするなど助成制度のさらなる充実を図りつつ、予算額を拡充いたします。
また、これまで行ってきた太陽光発電設備の購入支援に加え、リース方式等による導入についても支援をすることとし、光熱費の負担軽減とあわせて脱炭素化も進めてまいります。
中長期的な産業振興に係る基本的な考え方としては、私は
知事就任以来、人々が将来の見通しに確信と安心を持てる社会を構築するため、地域経済が将来にわたり安定して成長する経済体質の獲得に取り組んでまいりました。
今後は、その取り組みをさらに進め、
山梨経済の各分野が海外からもグローバル・リーディングプレーヤーとして認知され、存在感を高め、より巨大な市場からより大きな利益を安定的に得られる経済体質の獲得を目指してまいります。
まず、医療機器関連産業につきましては、メディカル・デバイス・コリドー構想の実現に向け、昨年度までの第一期計画では、企業の
状況に応じたきめ細やかな支援により、参入企業数は倍増するとともに生産額も大幅に増加しました。
世界的な高齢化の進展や新興国の需要拡大を受け、医療機器市場は拡大傾向にあり、二、三十年後に至るまで
本県経済の安定的かつ力強い発展の原動力となる可能性を秘めています。
本年度からは、新たにメディカル・デバイス・コリドー推進計画二・〇を掲げ、高度化、対象分野の拡大、海外展開の三つの軸から、さらなる攻めの姿勢で取り組んでまいります。
また、水素・燃料電池関連産業につきましては、水素社会の早期実現に向け、国において水素基本戦略が改定されるなど市場拡大に向けた制度設計が進められています。
今後、大きな成長が見込まれるサプライチェーンに県内企業が早期に参入し、
事業拡大していけるよう、やまなし産業支援機構に支援窓口を新たに設置し、専門的できめ細かな伴走支援を行ってまいります。
さらに、
本県産業の高付加価値化を推進するためには、医療・水素・半導体関連産業など、
本県と親和性が高い産業の集積を図る必要があります。
そのため、今般、産業集積促進助成金制度の見直しを行い、
本県と親和性の高い分野への支援を拡充するとともに、助成限度額を最大十五億円から五十億円に引き上げ、高付加価値化を創出する企業や大規模投資を行う企業を重点的に誘致してまいります。
また、助成対象に新たに高級宿泊施設を加え、
本県観光産業のさらなる高付加価値化を図ります。
ふるさと
強靱化の第四として、人々の生活環境の
強靱化を図ります。
結婚から、出産・育児まで寄り添い、子育てを孤立させない切れ目のない支援や、誰一人取り残されることのない包摂性のある社会づくりのための措置を講ずることといたします。
人々の生活環境の
強靱化に向けては、まずは、現在進行形で厳しい環境にさいなまれている子供たちの救済強化に向けた取り組みが求められます。
しかしながら、
全国的に児童虐待の相談対応件数は増加の一途をたどっており、その背景にある社会問題も多様化していることから、児童相談所や
市町村等の体制強化に加え、子供家庭福祉にかかわる職員の専門性の向上を図ることが急務です。
児童虐待の対応において中心的な役割を担う人材を養成するため、県立大学に子ども家庭福祉大学院を設置することとし、
令和六年四月の開学に向け、先般、認可申請を行ったところです。
この四月には、こども家庭庁の小倉大臣に面会をして、国の取り組みに沿う、
全国初となる先駆的な大学院であることを説明し、運営に対する支援を要請してまいりました。
この大学院の設置を通じ、
山梨県、そして我が国の全ての子供が安らかに健やかに育つ環境の構築に、
本県が大きな役割を果たしてまいります。
このほか、保険適用外の不妊治療への助成や、保護者や保育士の負担軽減を図る手ぶら保育の導入などを行うこととし、結婚、妊娠、出産から子育てまで切れ目のない支援をさらに充実させてまいります。
第五として、人材の育成と企業の収益向上、その先にある賃金アップが好循環する豊かさ共創社会を実現するため、地域を担う人材づくりに取り組んでまいります。
このため、その基盤となるキャリアアップ・ユニバーシティーの設置に向け、リスキリングサービスを一気通貫で提供するプラットフォームの構築を進めてまいります。
次に、第二の柱、「開の国づくり」につきましては、道路交通体系の整備など目に見える物理的な開化と同時に、多様な背景を持つさまざまな人々が集い、それぞれの個性を尊重し、また尊重されながら、活躍できる社会環境づくりを進めてまいります。
このような有形・無形の開化を出発点として、県内外、双方向の交流も深化・拡大させます。
そして、
県民の皆様はもちろん、
山梨県という「開の国」に意欲と期待を持つ全てのステークホルダーの参画を歓迎し、あらゆる可能性にチャレンジしていきます。
これにより、現在及び将来の
県民が多様性と
内容に富んだ豊かな
選択肢から、それぞれの幸せと豊かさを追求することができるようになるとともに、
山梨という地域全体にとっては、多様な個性がともに
山梨の豊かさづくりに参画することによって発揮される集合知により、一層の豊かさにつながっていくことを期待するものであります。
まず第一に、道路交通ネットワークの整備につきましては、太平洋と日本海を結ぶ中部横断自動車道の長坂─八千穂間や、
本県の骨格道路網を形成する新
山梨環状道路北部区間全線の早期
事業化への取り組み、また、新たな御坂トンネルなど地域間の連携を促進する信頼性の高い道路整備を進めてまいります。
リニア中央新幹線につきましては、
山梨県内におけるJR東海による工事は、
トンネル区間は九割強が契約となり、明かり区間では釜無川橋梁に続き笛吹川・濁川橋梁が着工するなど、
県民の目に見える形で着実に進捗しています。
また、次世代モビリティーの活用につきましても、リニア中央新幹線の開業効果が最大限に発揮されるためにも、新たな交通手段の活用も視野に、利便性の高い交通ネットワークを構築する必要があります。
そのため、リニア開業による新たな空港需要予測を踏まえ、
本県への空港整備の可能性と
課題について
調査を行うとともに、高速道路ネットワークと清水港を活用し、世界につながる可能性について研究してまいります。
次世代モビリティーである空飛ぶクルマを活用したビジネスモデルのあり方などにつきましても、検討を進めてまいります。
次に、富士五湖
自然首都圏構想についてです。
この構想は、自然首都圏、すなわち、上質な観光地に最先端の首都圏機能を融合し、新たな時代に求められる世界に類を見ない先進的地域の創出を目指すものであります。
昨年末に設立した産学官の協働組織体である富士五湖自然首都圏フォーラムには、より具体的な取り組みを議論し、実践をしていくため、五つのワーキンググループを発足させたところです。
このうち、アートシティ富士五湖では、四月に日本最大の美術展覧会の開催団体であります日展及び富士河口湖町と協定を締結し、美術館やホテルに若手アーティストの作品を展示する試みなど、富士五湖地域における芸術の振興と若手アーティスト育成などの取り組みを進めております。
あわせて、同じく四月、県庁内に推進本部を立ち上げたところであり、富士山の世界文化遺産登録十周年を契機として、富士五湖自然首都圏の形成を加速させてまいります。
自然首都圏構想の一環をなすものとして、グリーンモビリティーへのシフト、富士山登山鉄道構想の推進にも取り組んでまいります。
今季の富士山は、国内外から多くの来訪が予想され、以前にも増してオーバーツーリズムや自然環境への負荷が懸念されます。
目下、登山者数の適正化も図ってはおりますが、富士山の普遍的価値を保全しながらその価値を高め、確実に未来へ引き継いでいくことが我々の責務であり、これを確実に実現する具体的解決策としてお示ししているのが、富士山登山鉄道構想であります。
本年度は技術的
課題、法制度を中心に専門的な
調査・検討を行い、その結果を踏まえ、地元産業団体や住民の皆様ときめ細やかに対話をし、建設的な議論をする機会を設け、丁寧なコンセンサスの形成、
事業化に向けた機運醸成を図ってまいります。
デジタルトランスファーを推し進めることも、開の国の重要な社会基盤づくりと心得なければなりません。
言うまでもなく、今日においてデジタル技術の活用は
事業活動はもとより日常生活においても、もはや基礎的な素養となっております。
県として、全ての
県民の皆様にデジタル技術になれ親しみ、その活用を通じた恩恵を行き渡らせたいと考えており、このため、本年度を
山梨県民総DXの年度と位置づけ、中小企業を初め、学校や自治会、商工会などを通じ、あらゆる
県民を対象にデジタル技術の利用・活用に関する基礎的なリテラシーの向上を図る講座・研修を実施し、地域社会として、デジタルへの対応力を高めてまいります。
具体的には、各業種の
課題に応じた研修をカスタマイズして提供するとともに、みずから
課題を発見し、デジタルを活用して解決する思考フレームを養う講座を開催いたします。
また、観光産業を初め個別の産業分野にターゲットを当てて、業務効率化や生産性の向上を従業員の賃上げにつなげていくため、DX導入に対する助成や専門家の伴走支援を行うことといたします。
さらに、関心のある中高生や大学生を対象に、学校教育では難しい実践的なプログラミング学習や、デジタル技術を活用して地域の
課題を解決する、いわゆるPBLの実践の機会を提供し、新たな価値を生み出す人材の育成を図ってまいります。
次世代を担う子供たちへの教育の充実につきましては、
全国に類を見ない二十五人学級の実現を通じて、未来の
山梨を支える原動力である子供たちを誰一人取り残すことなく、一人一人の可能性を最大限発揮できる環境を創出してまいります。
本年度は小学校三年生に、来年度は小学校四年生に二十五人学級を導入することとしておりますが、県全体の教育力の底上げを図るため、二十五人学級導入の影響が及ばない
市町村が実施する
本県の
課題に対応した教育活動についても後押しをしてまいります。
具体的には、子供がみずから勉強方法や時間割を決める、いわゆる自由進度学習の推進や山村留学など、地域の特色を生かした取り組みに対する支援を行ってまいります。
また、姉妹県道締結三十周年となる韓国忠清北道や新たに姉妹都市提携を進めているベトナムのクアンビン省等からの青少年と県内の高校生とが寝食をともにする交流を行うことなどを通じて、県内高校生がグローバルな視野で活躍するための資質・能力を育んでまいります。
加えて、幼少期から、多様な視点や国際的な素養を育むべく、さまざまな国籍を有した子供たちが集まる国際保育、多文化共生保育についても今後研究を進めてまいります。
また、さきに述べました豊かさ共創社会実現の基盤となるキャリアアップ・ユニバーシティーの設置は、学校教育を経た後においても生涯にわたって新たな知識を身につけスキルアップをするための道を開いていくことでありましょう。
開の国はまた、あらゆる挑戦に対してオープンであり、かつまた、フレンドリーであるべきです。
新たな産業を生み出すスタートアップは、雇用創出や若者の転出抑制、既存企業の新
事業展開につながる、地域活性化の起爆剤であります。
本県ではこれまでも、TRY!YAMANASHI!実証実験サポート
事業を通じ、最先端技術を有するスタートアップの挑戦をこれに寄り添いながら支援してきたところですが、
本県がスタートアップから選ばれ続けるためには、さらなる先進的で挑戦的な施策を実施することが必要です。
そこで、スタートアップの創出や誘致・定着に向けた専門的な支援、コミュニティー形成を担い、
本県スタートアップ施策の中核となる支援拠点を整備することといたします。
また、資金調達の面では、県内への投資拡大の呼び水となるよう、ベンチャーキャピタル等と連携をし、協調してスタートアップに出資する
全国初の取り組みを始めるなど、支援を大幅に充実させます。
これらの強い訴求力のある取り組みにより、意欲ある起業家を
本県に呼び込み、国内や世界に羽ばたくスタートアップを生み出してまいります。
次に、農業の振興についてです。
ブランド価値のさらなる向上により農家の
所得向上を図るため、その土台となる生産・流通・販売の一連のプロセスを三位一体で高度化するべく、引き続き全力で取り組んでまいります。
まず、生産面におきましては、ブドウのオリジナル品種である甲斐ベリー7などの普及・生産拡大を加速するべく、県総合農業技術センターに苗木の生産圃場を整備することとしております。
また、米国産スモモの輸入解禁や米国産桃の輸入解禁要請を踏まえ、県オリジナルの優良品種への改植を支援することなどにより高品質化を図り、スモモ・桃の産地競争力をさらに強化してまいります。
流通面におきましては、集出荷の効率化とさらなる高品質果実の出荷に向け、南アルプス市の桃共選施設への高性能光センサーの導入を支援することとしております。
販売面においても、積極的なプロモーション展開や販路拡大を図り、生産から販売までの一連の取り組みを通じて、
本県が国内外から選ばれる確固たる産地を確立してまいります。
次に、林業の振興についてです。
本県は、
県土の約八割を森林が占める
全国有数の森林県でありますが、森林組合の多くは小規模零細経営にとどまっており、木材を伐採・販売し、収益を確保するような
事業展開が十分に図られていない
状況です。
そこで、
本県の豊かな森林資源という可能性を最大限有効に活用していくため、組合の財務
状況や森林資源量などを分析した上で、組合間の連携や民間
事業者との協業など最適なビジネスモデルへと森林組合を誘導してまいります。
次に、観光、文化・芸術の振興についてです。
地域に活力を生み、地域経済の牽引役として期待される観光の振興は、開の国づくりの重要な要素の一つであり、これまで進めてきた高付加価値化、すなわち稼げる観光化をさらに推進し、地域の稼ぐ力を強化する必要があります。
まずは、急速に回復するインバウンド需要を積極的に取り込み、消費額の増加を図るべく、地域の自然・文化等を生かしたアクティビティーに、移動手段、宿泊などを組み合わせ、ニーズに応じたツアーの提案・手配を行う拠点を整備し、地域の観光コンシェルジュ機能を創出いたします。
また、節目となります五十回目を迎える秋の信玄公祭りは、史上初の女性信玄公役となる冨永愛さんをお招きし、新たな魅力向上を図り、全県一体となって盛り上がるものとするべく、準備を本格化させてまいります。
文化・芸術の振興に向けましては、県立美術館の新たなビジョンを策定し、文化的価値のみならず、社会的・経済的な価値を創出することで、人々が集い、地域に活力を与える創造拠点を目指すことといたしました。
これまでのメタバースを活用した作品の制作・展示に加え、NFT化したデジタルアートをふるさと納税返礼品に活用し、そこで得られた資金により若手アーティストを育成・支援する仕組みづくりを進めてまいります。
関連して、テキスタイルなどの地場産品の高付加価値化に寄与するべく、アートと結びついた洗練されたデザインを生み出す支援として、美術館に附属するデザインセンターの設置に向け、
調査検討を進めてまいります。
次に、スポーツの振興についてです。
スポーツは、する人・見る人の日常生活に活力をもたらすだけではなく、地域づくりから観光振興まで、ヒト・モノ・コト・カネを呼び込む原動力でもあります。
本県は、あらゆる
県民がスポーツに親しめるスポーツに対して開かれた地域であるべきですし、同時に極めて恵まれたスポーツ環境を最大限活用してスポーツで稼げる県づくりを進め、
県民に還元していくべく取り組みを進めてまいります。
まず、やまなしパラスポーツセンター(仮称)の整備について申し上げます。
旧青少年センター体育館の改修に際しましては、障害のある方でも気軽にスポーツを楽しむことができるよう、障害者団体などの意見も踏まえながら、バリアフリーやユニバーサルデザインの考え方を十分に取り入れた設計を行っております。
今般は、改修工事に要する経費を計上し、
令和六年度中の供用開始を目指し、整備を進めてまいります。
今後は、パラスポーツセンターを全県の拠点としながら、
市町村などと連携し、身近な地域においてもパラスポーツが楽しめる社会づくりに努めてまいります。
関連して、国民スポーツ大会及び
全国障害者スポーツ大会についてです。
令和三年二月の県議会本
会議におきまして、
令和十四年大会の招致を目指すことをお示ししました。
大会を招致するに当たりまして、
山梨県らしい大会のあり方を検討するため懇話会を設置し、さまざまな分野の有識者から御意見を伺ってまいりました。
また、先日、県スポーツ協会並びに県障害者スポーツ協会から招致に向けた要望書をいただき、スポーツ関係者の皆様の大会開催に向けた強い思いを改めて承ったところです。
国民スポーツ大会及び
全国障害者スポーツ大会の開催は、スポーツの振興や
本県の多彩な魅力の発信だけでなく、未来を担う子供たちに多くの夢や希望を与え、
県民の健康増進や共生社会の実現、地域経済の活性化など、明るく豊かな地域づくりにも大きく寄与することが期待されます。
そこで、県議会からも御賛同をいただく中で、
令和十四年の第八十六回国民スポーツ大会並びに第三十一回
全国障害者スポーツ大会を
本県に招致したいと考えております。
今後は、
市町村や関係団体、県議会の皆様の御支援、御協力をいただきながら、懇話会からの提言
内容を十分踏まえ、大会運営の簡素化や新たな収入確保策の検討など、従来のやり方にとらわれない持続可能な新しいスタイルの大会を目指し、取り組みを進めてまいります。
次に、海外との友好関係の構築・発展についてです。
豊かさを育むパートナーである姉妹地域との友好は、
本県にとってかけがえのない資源であり、儀礼的な交流にとどまらず、実りある価値を創出する関係へと深耕してまいる所存です。
先月、ベトナム社会主義共和国の訪問におきましては、日本のブドウ産地の代表として、ホアン農業担当大臣と会談し、「輸入解禁に向け二国間協議を進めていく」との大変前向きなお言葉をいただきました。
また、クアンビン省とは、農業、産業、再生可能エネルギーの活用など、幅広い分野における実効性のある交流を深めるべく、同省と姉妹友好県省の関係を樹立することで合意をいたしました。
今後は、関係部局の高い専門性を持った職員で構成する視察団を派遣し、連携の具体策について協議を行うこととしております。
障害を持つ方や外国人も含め、全ての方々が個人として尊重され、生き生きと活躍できる共生社会化の推進は開の国づくりの土台をなすものと考えています。
すなわち、
本県の持続的な成長のためには、内包する全ての可能性を花開かせるとともに、国内外からさまざまな可能性を携えた人々が集い、集合知が結集されなければなりません。
昨年十月に策定したやまなし多文化共生社会実現構想に基づき、これからの
山梨をともにつくる一員として外国人が安全に安心して活躍することができる、包摂的な社会づくりを推進してまいる所存です。
具体的には、多文化ソーシャルワーカー育成研修の対象を保育士や看護師などの職種にも広げ、幅広く支援が行き届くよう環境を整備するとともに、身近な外国人の文化や生活習慣への
県民理解を深め、交流を促進いたします。
これらの取り組みを確実に進め、外国人が第二のふるさと
山梨で自己肯定感を持ち、しっかりと活躍できる環境を構築してまいります。
以上の
内容をもって編成しました結果、
一般会計の補正額は、肉づけ予算としては過去最大規模となる五百七億円余、既定予算と合わせますと五千五百四億円余となります。
以上、
令和五年度六月補正予算の大要を説明いたしましたが、ここで、今般の取り組みを含む、県政全体のグランドデザインとなる新たな総合計画の策定について申し上げます。
第二期となります新たな総合計画につきましては、県議会を初め、
山梨政策評議会とその分科会、有識者などからいただいた多くの御意見を踏まえ、現在、策定作業を進めております。
新たな総合計画では、ふるさと
強靱化と開の国づくりという二つの方向性をもとに、
県民のみならず県内外のステークホルダーと共創する豊かさへのロードマップを描き、
県民の皆様にお示ししたいと考えているところであり、先ほど県議会に対し、計画素案の概要を
報告させていただきました。
今後は、パブリックコメントなどを通じ、幅広く
県民の皆様の御意見を伺う中でさらに検討を進め、本年十月に策定してまいる所存であります。
次に、提出案件の
内容につきまして御説明申し上げます。
今般提出いたしました案件は、条例案六件、予算案五件、その他の案件二件となっております。
まず、条例案のうち
山梨県県税条例の改正についてです。
地方税法の一部改正に伴い、自動車税環境性能割の税率区分等について所要の改正を行うとともに、精神・知的障害者に対する自動車税の減免制度の見直しを行うものであります。
次に、予算案につきましては、先ほど申し上げました
一般会計のほかに、
特別会計の補正額として恩賜県有財産
特別会計などで十六億円余となっております。
その他の案件につきましては、いずれもその末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願いいたします。
何とぞよろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。
さて最後に、
本県行政のこれからの決意を申し上げます。
いま一度、コロナ禍後の社会の行方に視野を広げております。
本県では、コロナ禍発生当初から、コロナ禍後をにらんだ施策展開を感染症
対策にとどまることなく、あらゆる局面で実行してまいりました。
日本のどこよりも早く、強い、超感染症社会を構築する。
そうした気概と目標を、
県民の皆様、議会の同士の皆様とともに共有をして取り組んでまいりました。
長きにわたる緊張の時間のもと、私たちは人やモノの移動と往来を前提とした現代社会において、未知のウイルスの侵入を防ぎ切ることの難しさを経験しました。
さらに、滞りなく医療を届けること、漏れなく治療を施すことの難しさも経験しました。
そして、生活を守り抜くことの厳しさを経験しました。
山梨県は、
県民の皆様の御理解とともにコロナ禍を耐え抜き、そして今、一つの節目を迎えることとなりました。
しかしながら、この瞬間において胸に余るのは、生活が平常に戻りつつあることへの喜びにまさる、この先、
本県の未来への悩ましさであります。
政策上の節目をまたいだとしても、果たして人々の日常に豊かさが戻ってきたと言えるのだろうか。
コロナ禍で傷み切った生活や経済が十分に回復したと言えるのだろうか。
さらには、上昇の機運に向かっていると言い切れるのだろうか。
日夜、自問しております。
社会のあらゆる局面、生活者、そして企業にとって、コロナ禍において傷んだものはなおも回復し切れていない
状況のもと、さらには、不安定な世界情勢の中でおさまりの見えない物価高騰はもとより、いよいよ本格的な
人口減少社会への転落がリアルな姿をあらわしつつあります。
日々、県庁内外の現実に接する中で、コロナ禍以前にも増して、これら取り組むべき
課題の多様さや対応すべき事案への気づきを重ね、悩ましい思いは募るばかりであります。
私は、県議会の同志の皆様とともにこの悩ましい局面に希望をもたらすために先頭に立たなければならないと考えます。
同時に希望とは、あらゆる方々にとって具体的なものでなければなりません。
身近なものでなければ心には届かず、生活は向上しません。
そして、そのためには、常に日々の変化に対し、常に感度を高くすることにより、
県民の皆様の苦悩や心情に寄り添う県政を実践することが不可欠であると信ずる次第であります。
生活者の足元を見つめたい。
今日はもちろん、あす、そして将来の足元を確かで安心できるものにしたい。
その積み重ねの上に、豊かさや幸せを感じてほしい。
だからこそ、この先、常に先を見据え、将来を見据えて、ふるさと
強靱化と開の国という二つの推進軸で、社会で暮らす人々、社会を支える人々、社会を築く人々、全ての人々と
本県とつながりを持つ方々のために、ためらうことのない施策・政策を実行してまいります。
もちろん、それを言うことはたやすいかもしれません。
訴えるだけならば、安易であるやもしれません。
だからこそ、実践するためには強い決意と多くの汗、すなわち規律が必要となります。
そして、いよいよここから、コロナ禍が明けたここからが、この規律が問われる正念場となってまいります。
加えてさらには、日本全体がコロナ禍から明けてなお、生活を見通しにくい不透明な時代から切り抜けていない中で、
本県はいかにして光明ある生活と
県土を築いていくべきなのか、先を見据えた施政が求められるゆえんであります。
行政が、当面の対処と眼前の
課題に取り組むのは当然のことであります。
しかし、そこに追われるばかりであってはなりません。
山梨県が豊かさの実感を一人一人に届けるためには、十年後、二十年後の先を見据えた上での今の一手であるべきです。
その上で初めて、施策効果として、
県民の皆様が希求する豊かさを量、質、面で育むことができるものと考えます。
そして、将来が常に変化するものであるとするならば、この先を見据えた施政とは、予測を超えた社会経済情勢の変化があってもなお、一人一人の
県民が豊かさへの道を歩み続けられる
山梨県たり得ることを旨として、施政自体を謙虚に、柔軟に大胆に変化させることをちゅうちょすべきでないことを心がけなければなりません。
新たな施策の数々はいずれも豊かさ共創社会を加速させるための取り組みです。
それら全ての施策において貫かれるべきは、ただ一つの願いにほかなりません。
十年先、二十年先を見越した今を築くこと。
これからの
山梨県行政のパートナーシップの心得であり、誓いはそこにあるべきであります。
以上、
本県行政の未来への決意をここにお示しし、所信の総括とさせていただきます。
御清聴に心から感謝申し上げます。
16
◯議長(
水岸富美男君)
知事の提案理由の説明が終わりました。
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17
◯議長(
水岸富美男君)次に、休会についてお諮りいたします。
六月二十一日及び二十二日は、議案
調査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
18
◯議長(
水岸富美男君)御異議なしと認めます。よって、休会については、お諮りしたとおり決定いたしました。
以上で、本日の
日程は全部終了いたしました。
来る六月二十三日、午後一時、
会議を開き、代表質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時二十二分散会
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