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  1. 富山県議会 2020-11-01
    令和2年11月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時00分開議 武田委員長 おはようございます。  ただいまから本日の予算特別委員会を開会いたします。  質疑に先立ち、12月8日の予算特別委員会終了後、永森副委員長より理事会の開催の申出があり、本日、理事会を開催しましたので、その結果を報告いたします。  理事会では、12月8日の予算特別委員会における藤井委員と新田知事とのやり取りの一部が議題となりました。藤井委員は、「これは質問ではありません」と前置きされたものの、新田知事が応答されました。  富山予算特別委員会要綱第12条では、「会議において発言しようとする者は、あらかじめ委員長に発言の通告をしなければならない」とされております。  改めて申し上げます。  委員におかれましては、あらかじめ委員長に通告した内容に沿って発言していただくとともに、執行部においても、委員の発言の趣旨に沿った簡潔な答弁に努めていただきますよう、お願いをいたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        種部恭子委員の質疑及び答弁 2 武田委員長 種部委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 種部委員 おはようございます。  新田県政において初めての予算特別委員会でありますので、まずは、私と同じ西田地方小学校区にお住まいの新田知事の御就任、本当に心からお祝いを申し上げますとともに、住民の命や健康のために全力で県政に尽くしていただきますことを、本当に心より祈念をしております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、私からは、コロナ下における健康や医療、福祉の問題について、本日は質問させていただきたいと思います。  委員長、資料の配付を御許可いただけませんか。 4 武田委員長 許可いたします。 5 種部委員 資料配付をお願いいたします。  この9月から内閣府に、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会が設置されました。私もその委員の一人として研究に携わっております。コロナによる自粛や失業などの影響で性暴力、DV、そして自殺など、女性に深刻な影響が出ているということは、皆様方も報道等で御存じかと思っております。
     資料を御覧ください。行き渡っておりますでしょうか。まず、1ページ目の上のほうから参ります。  男女とも自殺は増えておりますが、女性の自殺の増加は大変顕著であります。これは、本県においても同様の傾向にあります。下段のほうにもありますけれども、年齢を見ますと、男性は20代の前半、そして女性は全ての年代で自殺が増えています。  特筆すべきは、10代と20代前半の女性の自殺であります。なぜ若い女性の自殺が増えたのか、若い女性への暴力や貧困、妊娠などを、私はずっとこの分野を見てまいりました。ここを見てきた私としては、現場で見ていても嫌というほど、この事情がどういうことなのかよく分かります。  めくっていただきまして、2ページ目の上段に行きます。DVの相談件数はステイホームの期間に1.6倍に増えました。そして今もまだ多い状況が続いています。そして、下の段は性暴力被害ワンストップ支援センターへの相談件数もコロナ下で15.5%増えています。これは全国の平均であります。  このような状況の中、現場で何が起きているのか詳細に全部話したいんですが、今日は60分しかありませんので、現状については2枚目に、ちょうど今週、私が取材を受けた朝日新聞の記事が掲載されましたので、それをおつけいたしました。お読みいただきながら答弁をいただければと思っております。  現場の印象では、10代からの性虐待の相談と、この記事に出ているような居場所のない女の子たちの性暴力の相談というのは非常に増えています。このようなリスクの高い性の問題にさらされている若年の女性の場合、自殺のリスクは5倍に上がります。これに喫煙、飲酒、薬物──富山でも大麻の使用が若い人において広がっているという報道があったかと思いますが、このような危険行動を伴うと自殺のリスクは227.3倍になります。こういうエビデンスに基づいて、きちんと政策を組んでいただきたいと願っております。  まず最初の質問は、自殺予防に関する根本的な対策についてお伺いいたします。  でも今、検索連動型広告など様々な自殺対策を取られております。これは、私はあくまで応急処置だと思っています。洪水が起きてから土のうを置いているようなものだと私は考えています。そうではなくて、貧困や暴力や、この記事にあるような若者が置かれているような虐待、性虐待、面前DVの防止、お母さんをDVから救い出すこと、居場所のない若者たちの居場所をつくり、暴力や搾取から救うこと、そんなようなことをしなければ、洪水が起きない対策をしたということには決してならないと思っております。このような自殺の上流にある生きづらさの解決を図っていただきたいと思います。  9月議会の予算特別委員会で、奥野議員が性暴力対策について質問されておりました。新田知事が御就任されましたので、改めて、性暴力被害ワンストップ支援センターとやまの機能強化の方針についてお伺いしたいと思います。  ワンストップとやまへの性暴力の被害相談は、全国の傾向と同様に増えていると思います。この数か月については特に、全国でも件数のみならず中身が重たくなっています。妊娠をしてからの相談や、対応に時間とか手間がかかる、ケアが非常に必要なケースが増えている感じがございます。  ワンストップとやまの前年同時期と比較した今年度の対応件数、特に10代の女性の相談対応の増減数、増減率についてはどのようになっているのか、砂原危機管理監にお伺いいたします。 6 砂原危機管理監 性暴力被害ワンストップ支援センターとやまの今年4月から11月末までの延べ相談件数は、電話相談が354件で前年比108件の増、割合にして43.9%の増です。面接相談が59件で前年比29件の増、96.7%の増。それから、医療機関や警察署等関係機関への同行支援が34件で前年比9件の増、36%の増となっております。いずれも前年同時期と比較して増加しておりまして、特に面接相談はほぼ倍増しております。  また、この間の19歳以下の若年女性が被害者となっている延べ相談件数は、電話相談が106件で前年比66件の増、165%の増。面接相談が30件で前年比21件の増、233%の増。同行支援が10件で前年比2件の増、25%の増となっております。特に面接相談は約2.3倍と大幅に増加しております。 7 種部委員 今ほどデータを示していただきましたけど、面接相談ということは、すなわち、私も現場で見ていてよく分かりますが、予期せぬ妊娠があったり、家族の支援が必要だったりと、非常に重篤なケースと捉えてよろしいのではないかと思います。ワンストップとやまへの相談がこれだけ増えていて、前年度比96%増や233%増といった状況の中での負担増については、十分な対策を取る必要があると思います。  今現在、多分常勤2人で24時間365日対応していると思います。このような状況の中では質が落ちるのではないか、例えば親子一緒に支援が必要な場合もあると思うんですが、そうなりますと、この2人でずっとやっていくというのは非常に厳しい状況だと思います。配付させていただいた記事のように、非常に重たいケースがあると思います。これにずっと向き合っている支援員の労力というのは、非常に多大だと思っています。こういうケースが重なると、支援員自体が二次受傷を受けるということも非常に心配であります。  対応の質の低下や二次被害及び支援員の二次受傷の防止について、どのようにこれから対応されていくのか、砂原危機管理監にお伺いいたします。 8 砂原危機管理監 性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な影響を及ぼしますので、センターの対応件数が増加している中におきましても、相談者に寄り添ったきめ細やかな支援を提供するよう努めております。  センターでは、相談者への対応の質の低下や二次被害の防止のため、今御紹介いただきましたように、専門的な知識と経験を有する常勤の支援員2名を中心に対応すると。具体的には、性暴力被害を支援する看護職の方及びDV、虐待等の支援スペシャリスト、この2名を中心に対応しております。  また、緊急を要する場合には、休日を含む時間外での対応も行うこと。また、面接相談や同行支援では、複数の支援員により対応し、特に未成年者の場合には、本人に加え保護者のサポートにも配慮しております。現在のところ、現場の支援員の頑張りにも支えられ、相談者の心身の健康状態やプライバシーなどに配慮しながら、また相談者にとって最善の支援方法を検討しながら対応しております。  また、被害者への対応を行う中で支援員自らが心に傷を負う二次受傷の防止につきましては、特に面接相談が増加していることなどから支援員の負担が高まっており、その対応が必要と認識しております。  このためでは、今年1月には、性犯罪被害者支援に詳しい心理学の研究者を講師とする研修会を開催し、被害者支援と併せて二次受傷防止対策についても講演していただきました。また、センター内におきましても、日頃から支援員同士の情報共有による心の負担の軽減や、アロマ療法、ストレッチ体操の実施などによる心の健康管理に努めていただいております。 9 種部委員 今ほど、研修など、いろいろな対策を取っていらっしゃるということだったんですが、お子さんが被害に遭った方がいらっしゃる場合には、親御さんと一緒にケアをするとなりますと、常時2人体制で対応することになります。そういたしますと、24時間365日、もう休みなしということになってしまうわけでありまして、これは物理的に、根本的に無理ではないかということを大変懸念しております。  国は、令和4年度までの3年間を性犯罪・性暴力対策集中強化期間と位置づけておりまして、大幅な、抜本的な改革をしようとしております。ワンストップ支援センターについては、地域における被害者支援の中核的な組織であります。抜本的にこの強化を図るということは、国においても一丁目一番地に掲げていることでもあります。  9月の予算特別委員会で奥野議員から質問がありましたが、そのときも、国の動向を見極めながらセンターの支援体制を相当に強化する方向で、極力スピード感を持って対応すると前知事が答弁されておりました。ワンストップ支援センターへの相談件数は、先ほどお伺いして大変驚く数でありますけれども、この上に、女性の自殺がこれだけ増えているということを考えますと、まさに待ったなしの状況、さらにスピード感を持つ必要があると思っています。  国の方針を踏まえて、支援員の増員を核とした抜本的な対策強化をできるだけ早く考える必要があるのではないかと思いますが、砂原危機管理監にお伺いいたします。 10 砂原危機管理監 国の性犯罪・性暴力対策の強化の方針では、令和4年度末までを集中強化期間としており、としましても国の強化方針を踏まえ、センターについて、被害申告、相談をしやすい環境の整備や、体制の強化、研修の充実などによる関係機関との連携強化を図りたいと考えております。  支援員の増員を核とした抜本的な対策強化につきましては、今年度、センターへの相談件数が増加しており、支援員の負担の増大が懸念されますことから、その対応策を検討する必要があると考えております。まずは、専門的な知識と経験、相応のスキルを有される適任の方がいらっしゃるかということ、確保できるかということ、こういうところを現場と相談して検討してまいりたいと考えております。  一方、新型コロナの影響に伴う国、地方を通じた税収の大幅な減少により、本県におきましても財政状況の悪化が懸念されるところであります。こうした事柄を総合的に勘案しながら、センターの支援体制の強化につきまして、新年度予算編成の中で十分に検討してまいります。 11 種部委員 今ほど、支援員の増員を含めて検討するということでありました。確かに財政は大変厳しい状況の中にありますが、人の命のかかった話であります。そのぐらい真剣な話ではないかと私は捉えています。未然に防げるなら、それ以上大きなものはありません。その救われた命がどれだけ、これから社会保障を担う立場になれるかどうかの大きな瀬戸際だと思うんです。そこにかけるということはぜひ考えていくべきことではないかと思いますので、前向きな検討をぜひお願いしたいと思います。  次に、性虐待への対応についてお伺いいたします。  さきに述べたように、ステイホームで虐待に耐えかねた子供たち、特に性虐待を受けている子供たちから深刻な相談が増えています。お配りした資料の2枚目の裏のほうに、性虐待を受けていた子供たちの悲鳴が記事にされております。温度感を持ってここは読んでいただければと思っております。  性虐待によるトラウマというのは非常に強くて、戦争体験より強いと言われています。このトラウマ、自殺念慮も非常に高い、大きな影響を与えると言われております。性虐待対策というのは、まさに自殺予防の最上流にあると私は考えています。  国の方針においては、学校で児童生徒から相談を受けた場合の体制の強化、教職員等の対応について研修の充実を図るため、性暴力に知見のあるワンストップセンター等の協力を得て対策を進めると国の方針に書かれております。  9月の予算特別委員会での奥野議員の質問に対して、教育長からも同趣旨の答弁をいただいております。教員における研修等を検討するということでありました。今後、教育委員会としてどのように取り組まれていくのか。また、この国の方針を、これだけ深刻だということを学校の教育現場が知っていらっしゃるのかと非常に不安がございます。学校の教育現場に周知されているのか、あるいはその理解度。教員は、これだけ深刻な状況ということを恐らく現場では感じ取っていらっしゃると思うので、対応についても学ぶ必要があるのではないかと思います。どのように取り組んでいかれるのか、伍嶋教育長にお伺いいたします。 12 伍嶋教育長 本県では、これまでも性犯罪につきまして、その被害を受けた児童生徒は、誰にも相談できずに自分で抱え込む可能性があることから、悩み事があれば、担任だけではなくて、例えば養護教諭やスクールカウンセラーなど、話しやすい人に相談をするということを勧めております。  また今後、SOSの出し方に関する教育といったことも推進していきたいと思っています。あわせて、これまで様々な機会を通じてワンストップ支援センター等の相談先の周知に努めているところでございます。  また一方、相談体制の強化でありますけれども、児童生徒から性被害に関する相談を受けた場合は、やはり適切かつ迅速に対応する必要がありますので、これまで教職員に対して、性被害の深刻さや認識を深めるRIFCR(リフカー)研修をやっておりますし、また児童相談所や警察等の関係機関との情報交換を密接に行って連携をしてきたところであります。  今後、被害直後から医療的支援、また相談を通じた心理的支援を総合的に行うワンストップ支援センターから講師を派遣していただいて、さらに研修の充実を図りたいと考えています。  なお、児童生徒が性暴力の被害を受けた際には、ワンストップ支援センター等の関係機関と連携をしながら初動対応に努めることが必要ですし、また親身に寄り添い、安心して学業に取り組める環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  また、委員からも御紹介のありましたとおり、現場に対してこういった深刻さを周知するとともに、理解をしていただくということが大事ですので、このたびの国の方針、あるいは再度、ワンストップ支援センターの業務内容について、学校現場へ周知徹底を図ってまいりたいと考えております。 13 種部委員 学校教育を重点化するということは国の方針によって挙げられておりまして、性教育の中で生命(いのち)の安全教育と称して、小学校あるいは小学校就学前から取り組むと言われております。  ですから、早くから取りかからないといけないという深刻な状況かと思っておりますので、引き続き取組を進めていただきますとともに、初動対応が非常に大事でありまして、学校現場で記憶の汚染とか、バイアスがかからないような対応をしておかないと、その後の協同面接がうまくいきません。ぜひこれは本当に命に関わる、そして司法の対応の問題だということを認識していただいて、取組を進めていただきたいと思います。  学校の先生の初動対応の後、今度は児童相談所へ恐らく通告されると思います。この相談を受けた後、刑事裁判に向けて初動対応をする必要がありまして、裁判の行方に、最初の司法面接というのは大きな影響を与えています。  最近、性虐待の裁判というのは軒並み無罪になっています。その大きな要因は、本人からの明確な供述を得るのが非常に難しいこと、医療対応が難しいことにあります。  昨年6月の一般質問で司法面接についてお聞きしました。警察本部長から、被害者の事情聴取の在り方について、より一層適切なものとなるよう対処を行うと答弁をいただいております。  しかし、刑法監護者性交等罪が新設されてからまだ日が浅いということもありまして、ケースを経験することによって、それを検討することによってスキルを上げていくという段階ではないかと思っております。  児童相談所においては刑事司法マターだと認識されているのか、あるいは児童相談所が警察や検察と速やかに連携を取って、司法面接を即日行うというような体制を取っていく必要がありますが、まだ程遠いのではないかということを現場で見ていて感じております。  児相で性虐待を疑ったケース、あるいは疑って通告を受けたケースにつきましては、速やかな代表者聴取、司法面接に向けて取り組んでいらっしゃるのでしょうか。  また、児相、警察、検察の顔の見える関係性ができていないと、なかなか現場では実行できないのではないかと思いますので、協議を定期的に行ったり、ケースカンファレンスを行ったりということで連携強化に取り組む必要があると思いますが、どのように取り組んでいかれるのか、併せて石黒厚生部長にお伺いいたします。 14 石黒厚生部長 虐待や性暴力を受けた子供が調査や捜査の段階で同じ話を繰り返し聴取されることをできるだけ少なくするということで、平成27年10月の厚生労働省通知に基づきまして、では児童相談所と警察と検察、この3機関を代表した者1名による代表者聴取を実施しているところでございます。  こうした代表者聴取につきましては、平成27年度に制度を開始しましたけれども、平成28年度に2件、平成30年度に3件、令和元年度に1件、合計これまで6件のケースがございます。この代表者聴取につきましては、それぞれ3つの機関で話しておりまして、連絡のあった翌日から週内に行うように、これまでもしているところでございます。  子供への虐待や性暴力が疑われるケースが発生した場合に速やかに対応するため、代表者聴取の実施までの手続につきましては、この3つの機関であらかじめ協議をして取決めをしておるところでございます。  さらに、3つの機関によります情報交換会をおおむね3か月に1回程度、定期的に開催しておりまして、各機関の情報共有を図りますとともに、代表者聴取を実施した事案の検証などもこれまで行ってきておりまして、日頃の意思疎通を通じて、これからの事案への適切な対応に努めていきたいと考えておるところでございます。  今後とも、児童相談所や警察、検察、この3つの機関が緊密に連携しながら、性的虐待を含みます児童虐待事案につきましては早期対応に努めてまいります。 15 種部委員 今ほど、3か月に1回、顔の見える関係をつくりながら実動といいますか、検討をされているということでありました。  代表者聴取は、重複聴取を避けるためでもありますけど、記憶の汚染を防ぐという意味では一番最初にされるべきであって、その後に医療的な所見を取るというのが正しい順番ではないかと思っています。  先に代表者聴取をやらなければ、逆に医療現場におきましては、証拠採取という意味でタイムラグが発生してしまいます。DNAが残っているかどうかというときに、時間が遅くなることは非常によろしくないことでありますので、スピードをできるだけ速く、そして、まずは代表者聴取を先にやってから医療機関へという順番についても、ぜひ現場での検討を進めていただきたいと思います。  続きまして、お配りした記事にあるような若い女性たちを支援につなぐ入り口として、でも妊娠相談やワンストップなど様々な取組をされてきました。現場で相談に当たっている方たちは、今現在件数がすごく増えていると思いますので、苦労されていると思います。  せっかくこれだけ入り口の支援が手厚くなったところで、富山には自立支援のための出口施設である婦人保護施設がありません。6月の一般質問でもこの点を伺いました。石井前知事からは、今回の新型コロナの影響も注視して、婦人保護事業の充実について検討するという答弁をいただいております。  これだけDVがエスカレートして、そして若い女性の自殺が増えている、居場所がない人がこんなにたくさんいるのかという状況の中において、DV被害女性や居場所のない若い女の子たちの保護と自立支援というのは急務だと思っています。  婦人保護事業、入り口だけではなくて出口支援にこれからどのように取り組んでいかれるのか、石黒厚生部長にお伺いいたします。 16 石黒厚生部長 本県におきましては、DV被害者や居場所のない若い女性から相談があった場合には、女性相談センターが相談に応じますとともに、必要に応じまして生命、身体の安全保護のため、一時保護を行っているところでございます。  平均して2週間程度となります一時保護中につきましては、生活支援、心理的ケアに加えまして就職活動の支援等、退所後の生活に向けたきめ細かい支援を行っているところでございます。退所後の状況におきましても、約7割の方が帰郷や帰宅、自立等となっておりますけれども、必要な方につきましては外施設への広域措置等も可能としているところでございます。  なお、本年度は、居場所のない若年女性の一時保護が若干名ございますけれども、一時保護後の退所先は一応確保できたということと聞いております。  それで、DV被害者や居場所のない若年女性の支援は大変重要でございますから、国では婦人保護事業の運用面を見直し、一時保護解除後の支援の充実を図ることとされております。  におきましても、現在改定を進めておりますDV対策基本計画の中で、被害者の多様なニーズに対応した一時保護体制の構築等が検討されているところでございます。こうしたことも踏まえまして、引き続き女性相談センターを核に、や市町村、関係機関、民間団体等と緊密に連携しながら女性保護に取り組んでまいります。 17 種部委員 今ほど広域措置ということがありました。例えば、DV防止法を根拠法にするような方であれば、遠方に逃げるということは必要だと思いますので、広域措置はありだと思うんですが、若年女性──この富山で生まれ育ち、ここで暮らす人たちが住むところがないと言っている──売春防止法を根拠法にする子供たちにとっては、広域で外に出すということは、その後自立をするときに、つながりがなくなってしまうわけであります。  その段階によって多様なニーズがありますから、その支援をされているということでしたが、やはり富山の中で、そういう子供の居場所をちゃんとつくっていくということに取り組んでいただきたいと思っておりますので、さらなる拡充を求めるとともに、これも本当に自殺を減らすための一番大きな根っこではないかと思っています。  居場所のない女の子の自殺リスク、先ほど言いましたが5倍、そしてDV被害を受けている女性の自殺リスクは4.54倍であります。真剣に取り組む必要があるかと思いますので、引き続き取組をよろしくお願いいたします。  続きまして、DVや虐待を受けた女性、DVを見聞きした子供たちというのは大変なトラウマになっているわけであります。このトラウマからの回復を促すケアも必要です。そして、福祉の窓口などで二次被害を受けることもあります。  就労に困難を抱えたり、社会生活をしていくには一人では非常に困難ということで、自立支援のためには寄り添い、同行支援、あるいは心のケア、同伴児童のケアなど、多様なプログラムによる自立支援が必要かと思います。既存の婦人保護事業で全てをカバーできるとは、ちょっと思えません。  国も、実態に合わせて、民間シェルターの活用などを含めて婦人保護事業を抜本的に見直ししようと対策を進めているところであります。そういう意味では、包括的に支援の枠組みを本県でも構築していく必要があるのではないかと思いますが、としてどのように取り組んでいかれるのか、柿沢総合政策局長にお伺いいたします。 18 柿沢総合政策局長 DV対策につきましては、DV対策基本計画が今年度、最終年度となることから、男女共同参画審議会に部会を設けまして見直し作業を進めているところでございます。特に、その部会で委員からの意見といたしましては、多様な困難に直面するDV被害者等に対応した柔軟な一時保護体制の構築や、被害者の状態や自立に向けた段階レベルに沿った切れ目のない支援の必要性、それから柔軟な対応が可能である民間団体との連携などにつきまして御指摘をいただいておるところでございます。  こうしたことから、DV対策の実施に当たりましては、委員御指摘のとおり、柔軟性などの強みを持つ民間団体等との連携による支援の枠組みづくりが重要であると考えております。  委員からも御紹介ございましたけれども、国では民間シェルター等と官民連携の下、DV被害者等に対するセーフティネット強化支援に取り組む都道府県に対する交付金制度を設けております。  としましては、現在、DV計画の改定作業を進めておりますが、こうした中で、例えばこの交付金を活用しました民間シェルター等が行う先進的な取組に対する支援など、DV被害者等一人一人に寄り添った効果的な取組、より柔軟な取組につきまして、民間団体からの御意見、そしてまた、市町村からの御意見もお伺いしながら検討してまいりたいと考えております。 19 種部委員 ありがとうございます。  民間団体は非常に有機的にアウトリーチを持っておりますので、非常に支援が柔軟だというのを理解しております。それを含めて考えていただけるということでしたが、なかなか公的なところと比べますと、基盤が脆弱で、全国どこを見ましてもシェルター維持が困難な状況に陥っておりますので、それも含めて富山でどうしていくのか、総合的な枠組みをぜひ考えていただきたいと思います。  今度は、一時保護が終わった後、あるいは自立支援をしているときには公営住宅に入居することがあるわけであります。本県におきましては、今、婦人保護施設がございませんので、公営住宅を使って自立のステップを歩んでいると思います。  DVから逃げる決意をした女性が市町村の公営住宅に入居する場合、一時保護の証明書や離婚日の証明、連帯保証人を求めている市町村が県内においてもあります。求めない市町村もあります。  幼い子供を連れて、やっとの思いで逃げる決意をしたお母さんたちが、窓口で連帯保証人というのを求められたときに、なれる要素があるのはその子供しかいません。小さな幼い子供に連帯保証人を背負わせるのか、あるいは、それを求められた女性がどんな気持ちになるかということを考えていただきたいと思います。窓口嫌いになるのは明らかであります。これを求めることは、立派な二次被害でもあると考えています。  については、既に連帯保証人や一時保護証明書は求めていないということは承知しております。しかし、市町村の公営住宅入居については、一律ではありません。  知事はワンチームでとおっしゃっていました。運用の問題についても、恐らくと一緒に、例えばそれこそ広域で避難をする人もいらっしゃるわけですから、同じ取扱いで、一律の基準で運用すべきではないかと考えます。ワンチームでの運用を目指してどのように働きかけていくのか、一律な基準にならないのかということにつきまして、江幡土木部長にお伺いいたします。 20 江幡土木部長 DV被害者の公営住宅への入居の取扱い等につきましては、平成16年に国土交通省は自治体に対し、事業主体の判断により優先入居や連帯保証人を不要とするなど、可能な限り弾力的に運用するよう依頼をしております。これを受けまして、先ほど紹介ありましたけども、県営住宅では、DV被害者に対して女性相談センターなどから入居依頼があれば、一時保護証明書や連帯保証人を求めず、優先的に入居できる対応を取っております。  一方、御指摘のとおり、市町村では、一時保護証明書の提出や連帯保証人を入居の条件として求めるケースがあると聞いておりますけれども、これは取扱い事例が少なく、弾力的な運用が浸透していないことが一因ではないかと考えております。  市町村公営住宅事業の運営については自治体ごとの判断となりますが、としましてはDV被害者の自立支援の重要性に鑑み、公営住宅担当者会議などの機会を捉えて、や各市町村の実際の取組状況の情報交換を行い、入居に関して弾力的な運用となるよう市町村に働きかけてまいります。 21 種部委員 今ほど、女性相談センターに相談されて一時保護を受けるようなものと判断されている場合はということでありましたが、基本的には、市町村がDVについては窓口となっているはずです。そこでの判断があった場合には、当然、弾力的に運用することができるはずだと思っておりますし、それから、市町村によっては、DVなのかどうなのかの判断というときに、その質が問われると思います。  その中で、あなたは対象に該当しませんねと窓口で言われてしまうと、もう二度と相談にはつながらないということでありますので、もしかすると相談件数が拾えていないという可能性があるのではないかと思っています。今、そういう例は少ないとおっしゃったんですが、それ以前に、はじいている可能性があるのではないかということを踏まえて、としては、もう少し柔軟に運用するようにということと、まず入り口で、あなたにやってあげることは何もないじゃなくて、何ができるかという視点でやっていただくように、ぜひワンチームで働きかけていただきたいと思っております。  連帯保証人の問題、これは住居の問題だけではありません。貸付金においても同じであります。母子父子寡婦福祉資金貸付金という制度がありまして、修学資金や就学支度資金など様々なものがございます。  そのうち、連帯保証人の確保ができない場合には、利子をつけるということによってそれをカバーするという制度が幾つかございます。その場合は、年1%の利子がつきます。償還期限までに払えない場合は5%の利子がつきます。これは国の制度とはいえ、どうしても連帯保証人と言われたときに、DV被害を受けた方、お子さんを連れて出てきた方が、この一文のために支援を受けることを諦めてしまうということを大変懸念しています。  せめて、どうしても連帯保証人がいないというのであれば、その利子分を支援する、あるいは独自の柔軟な対応をするなど、その辺は、独り親に対して経済的な負担は1円でも減らしてほしい。そして、連帯保証人を求めることによる心の負担が大き過ぎますので、これを減らすべきではないかと考えますが、石黒厚生部長に所見を伺います。 22 石黒厚生部長 母子父子寡婦福祉資金の貸付制度は、修学資金や就学支度資金、生活資金など12種類の資金がございます。特に、修学資金と就学支度資金、この2つが全体件数の8割を占めております。  本制度の保証人や利子等、貸付けに必要な事項は、実は政令で定められておりまして、これについては動かしようがないところでございます。  修学資金など扶養する子のための資金につきましては、子が借りる場合には保証人が必要とされておりますが、これは親が保証人になるということで、親と子が連帯して債務を負担するという趣旨と聞いております。ですから、保証人を立てなくても、無利子で貸付けができるということでございます。  その他の資金につきましては、原則、保証人を立てていただくこととなっておりますが、立てられない場合は、先ほど委員からお話のありましたとおり、年1%の利子により貸付けを行うこととなっておるものでございます。  独自の事業といたしまして、有利子で借り受けた方が当該年度に償還すべき金額を年度内に全額償還した場合は、利子相当額を奨励資金として交付しているところでございます。  といたしましては、各市、あるいはの厚生センターの母子・父子自立支援員等を中心とした独り親家庭等に寄り添った相談対応に努めておるところでございますけれども、貸付けをはじめとした様々な支援制度の周知活用についてもさらに努めていきたいと考えております。 23 種部委員 今ほど独り親支援については、できるだけ意思統一をしてということでありましたけれども、このコロナ禍で、大変なコロナの影響の直撃を受けたのは独り親でございます。そのときに借金ばかり増えていくと。返せるめども立っていなければ、就業にも非常に厳しい状況があって、子供たちが学校に行くことを諦めたり、生活をするために子供たちが逆に稼ぎ手となっていることがあります。子供たちが働く場所というのは、先ほどお配りした新聞の記事にあったような内容でございます。  それを考えますと、政令の問題だとすれば、政令を変えるぐらいのつもりで現場の声を届けていただきたいと思いますし、ぜひ1円でも減らしてほしいという、そのことのためにちゅうちょして命を絶つことがあってはいけないと思いますので、柔軟な対応だけではなくて、資金的な負担についてもぜひ考えていただきたいと思っております。  自殺対応については、この質問で最後にしたいと思います。
     続きまして、ダイバーシティー&インクルージョンについて質問をさせていただきたいと思います。  昨年11月の定例会において、性同一性障害当事者の人権侵害を防止するために、が作成する書類の全ての性別欄の見直し、削除を求めました。これに生活環境文化部長から御答弁がありまして、が発出または提出を求める書類の性別記載欄について見直しをするという答弁をいただきまして、今、作業を進めていただいているところであります。  次年度の県立高校の入学願書の性別欄が削除されたというのは、大変大きな出来事でありまして、当事者にとっては本当に喜びだったと思います。これで高校に行くことを諦めずに済むという子がいると思います。  しかし、これは学ぶ機会を確保するためのスタートにすぎません。学校に入学した後には、当然様々な問題があるわけであります。  先日、当事者の中学生から大切な意見をいただきました。夏休みの作文や絵画などの作品募集があるわけでありますが、この作品応募のときに、申込用紙に性別欄があった。ここに、男女と書いてあるところに丸がつけられず、せっかく作品を作ったのに提出することができなかったという中学生からの大変貴重な意見であります。  の調達や発注という機会がいろいろあるかと思うんですが、これはがやるだけではなくて、民間も当然やるべきだと思っています。民間でそこまで取り組んでいるところはまだ非常に少ないと認識しておりまして、例えば国でいえばダイバーシティ100選を取るような大きな企業は、当然LGBTQは取り組まなければ取れないわけですから、やっていると思います。  しかし、富山はやはり中小が多いわけでありますし、の調達や発注という機会というのはポジティブアクションとして非常に重要な機会だと思っています。民間への波及効果を捉える大切な機会ではないかと思います。  の書類のみならず、が入札で関わる民間企業が行う事業、が後援するようなイベントの申込用紙など、関連する団体の書類についても不要な性別欄の削除を求めていくというのは、必要なことなのではないかと思います。これこそ、民間出身の知事に大変期待するところでありまして、知事に御所見を伺います。 24 新田知事 トランスジェンダーなどの性的少数者の中には、性別の記載に当たり、自分で認識している性と異なる性別を選択することに悩んだり、本人の了解なく性別情報を暴露されないか不安を覚える方がおられるということは承知しています。近年、精神的な苦痛を感じるとの声が寄せられるようになってきた。としても、こうした方々の心情に配慮することが重要と考えております。  先ほど種部委員がおっしゃったような経緯から、では、本年3月に改定した富山人権教育・啓発に関する基本計画に、新たな人権上の重要課題として、「性的指向・性自認」を明記しました。  この計画の見直しを機に、の申請書等における性別記載の見直し指針を作成し、現在、全庁的に性別記載欄の見直しに取り組んでおります。既に、県立学校入学願書など性別欄の廃止が決定されており、今年度中には、が発出または提出を求める書類については、法令に定めのあるものなど一部の例外を除いて、おおむね見直しを完了できると見込んでおります。  御質問のありました民間企業等の書類についてですが、まずはが率先して性別欄の見直しを進めること、そして、そうやって範を示すということから性的少数者の方々の心情に配慮し、寄り添う機運の醸成を図り、性別記載の見直しが県内企業にも広がるように啓発に努めていきたいと考えております。  あわせて、の関係する団体や企業等に対して、どのような形で働きかけをすれば効果的に性別欄の見直しが進むかについても、検討して進めていきたいと考えております。 25 種部委員 ありがとうございます。前向きにぜひ検討していただきたいと思いますし、民間にどうやったら波及していくかは、知事が一番よく御存じなのではないかと思っております。ぜひ、夏休みの作品を書いた子が出せないという状況がなくなるように、お取組をいただければと思っております。  今回、入学願書の性別欄はなくなりました。ということは、その欄に丸を書かなくても学校に行く選択ができたということでありますが、入学後には制服があります。制服のある学校がほとんどであります。女性にスラックス着用を認める学校は出てきましたが、ブレザーの形が違ったり、体操服の色が違ったりすると、男女が明確に分けられてしまいます。  そういたしますと、学ぶ機会を失うわけです。これでは性同一性障害の生徒たちは、自認する性の制服を選択することによってアウティングを受けるか、もしくは戸籍の性別に割り当てられた制服を無理やり着用して生活をするか、このどちらかを強いられるということになってしまいます。  苦痛を感じずに学校で学べる環境をつくるべきと考えますが、伍嶋教育長に所見を伺います。 26 伍嶋教育長 性同一性障害に係る生徒の制服の対応に当たりましては、これまでも生徒の自認する性別の制服や体操着の着用について配慮すること、また、生徒が自身のそうした状況を秘匿しておきたいという場合があることなど生徒の心情等に配慮すること、また、当該生徒と他の生徒への配慮との均衡を取りながら支援を進めるよう周知をしております。  県立高校の状況を見ますと、昨年度末での県立高校の校則では、大半の学校において制服を定めておりまして、そのうちの一部の学校では、男女ともスラックスを制服としている学校が1校あり、また、制服はあるものの着用を強制しない取扱いとしている学校が5校となっております。  また、昨年11月議会において、種部委員からの御提言も踏まえまして各学校長へ指導助言を行ったところ、昨年度末の校則見直しに関する調査では、制服の見直しを検討する予定としている学校が24校ありました。そのうち4校において、希望する女子生徒にスラックスがはけるよう見直しを行っておりますほか、また他の1校は、女子生徒の制服を見直すための準備委員会を立ち上げております。  今後とも、各学校において、性同一性障害の生徒を含め、一人一人の生徒が安心して学ぶことができる環境づくりに取り組むことが大切であると考えております。その際、具体的にどのような対応を図るかということについては、学校長が総合的見地から判断するのが適切であるとは考えておりますが、今後とも制服への対応など、個別事案に応じて、生徒の心情等に配慮した丁寧な対応がなされるよう、さらに指導助言してまいりたいと思っております。 27 種部委員 ありがとうございます。  校則見直し24校、大変大きな前進ではないかと思っておりますし、私も幾つか見せていただいたんですけれども、女子にスラックス着用ということですが、どちらを選んでもいいというか、性別を書かずに制服を決めているという学校も出てきているということでありまして、先進的な事例を取り入れていただいて、アウティングを防ぐということも含めて。そして、ブレザーか学ランかと。ブレザーならまだいいと思うんですけれど、学ランにスカートというわけにはいかないわけでありまして、それは、今後立ち上げていただいた委員会の中でぜひ検討し、先進事例があったらほかの学校にも周知をお願いしたいと思います。  制服だけではなくて、子供たちにとっては髪型も重大な問題であります。性同一性障害の子供にとって、髪型の規定がほとんど校則に書かれているということであります。制服以上に実は苦痛を伴うものでありまして、校則を幾つか読ませていただきましたが、襟から1センチメートル以上とか、自認する性が女の子という子にとっては大変な苦痛なわけであります。それを考えますと、髪型の規定を中学校の時代に知っておきたかったという人がいるわけであります。  校則について定めているものについて、アウティングや髪型の割当てで苦痛を感じることがないように、入学前に知りたいというお子さんがいらっしゃいます。あるいは、校則、髪型なんて、学ぶことにあまり関係がないというのであれば、校則自体廃止したらどうかと。あるいは、子供たちが校則を決めればいいのではないかと思うわけでありますが、せめて、校則をこのまま運用するのであれば、高校入学に当たって、自認する性の髪型が許容されているのか、入学前に分かるように開示をするという必要があるのではないかと思います。  この質問は、現役の高校生からの提案の質問です。入学前に髪型や制服を定めた校則を中学生が確認し、自ら学校を選択できるように、全ての県立高校の校則をホームページ等で公開すべきと考えますが、新田知事に御所見を伺います。 28 新田知事 中学生の進路選択につきましては、生徒一人一人の能力や特性、希望などを踏まえた上で、生徒本人の将来の夢や目標、目指したい職業や資格取得などを確かめながら、個別懇談や三者面談を重ねて、行ける学校よりも自分が行きたい学校を選ぶことができるように指導することが大切だと考えています。  このため各中学校では、進路学習の一環としてオープンハイスクールに参加したり、進学した卒業生から話を聞く場を設けることなどによって、高校での学習内容や部活動の様子など、希望する高校の生活全般について、生徒が直接知る機会を設けています。  性同一性障害の生徒にとっては、髪型や服装を定めている校則は、高校生活を続けていく上で、また学校選択の重要な要素でもあると考えられ、その他の生徒にとっても、校則は高校生活のよりどころである規範となるものであります。  このため、今後全ての中学生が個々の状況に応じて自分の進路選択に有益となる情報収集を主体的に行えるよう、教育委員会には高校の校則の公開などを含め、中学生への情報発信の在り方について十分検討していただきたいと思います。  私としては、一律に校則の公開を命じるということはなじまないと思います。私は、学校あるいは校長先生の自主性というものを尊重していきたいと思います。また、保護者のニーズなどもあると思いますので、引き続き教育委員会には検討を続けていただきたいと思っております。 29 種部委員 ありがとうございます。  岐阜は全ての県立学校の校則をホームページで公開しています。先進もあるということ、そしてオープンハイスクールということでありましたが、そこで行けるところは何校かしかないわけで、事前に情報があるということが大事ではないかと思いますので、引き続き検討を進めていただきたいと思います。  最後の柱としまして、病児保育機能を持つこども病院につきまして、質問させていただきたいと思います。  現在、小児科医不足は非常に深刻な状況にありまして、富山市の小児の一次救急を担っている急患センターは、担い手の不足、医師の高齢化から、開設時間を短縮することにいたしました。加えて、二次救急の輪番は現在4つでやっておりますけど、この輪番のうち1か所も、医師不足から小児救急を担えなくなり撤退することになりました。  このような状況で、もはや小児救急の維持は困難であるため、今年度、集約化の具体案が決定しかけておりました。しかし、知事が公約で病児保育機能を持つこども病院の構想を掲げてくださいました。それによって、現在、話合いが止まった状況になっております。  公約されたこども病院については、早々にロードマップを引いていただかなければ、小児医療の現状が、もうもたない状況まできております。火曜日の予算特別委員会で、藤井裕久委員の小児専門病院が必要という御質問に対して、NICUを含めたフルスペックの小児専門病院と併せて、専攻医の研修プログラムを含めて考えていくという答弁がございました。  ですが、これをよく考えますと、風邪は診ないかもしれませんが、アレルギーから心疾患など全てを診て、しかも研修ができるというのは、今現在、富山大学附属病院あるいは県立中央病院ということになりますが、それと全く同じということになります。  改めてお伺いいたしますが、知事が公約されている富山こども病院の構想はどのようなイメージなのでしょうか。また、既存の高度小児専門医療機関、富山大学付属病院や県立中央病院などとは別に、既存のこども病院、例えば長野県立こども病院や神奈川県立こども医療センターとか様々なものがあります。大阪母子医療センターもそうですね。そのようなものと同じような小児専門病院をおつくりになるおつもりなのか。これは、小児科医の集約に関してロードマップを引く上で大変大事な情報でありますので、ぜひこれは新田知事の御所見を伺います。 30 新田知事 ありがとうございます。  委員御指摘の長野や神奈川のこども病院においては、1つの病院で小児集中治療科、心臓血管外科、産科、新生児科、整形外科、アレルギー科、リハビリテーション科、児童精神科など、小児医療に関係する診療科を設置し、高度小児専門医療を提供しておられます。一方、栃木などでは、複数の病院の小児医療部門で診療機能を分担し、ネットワークとして高度小児専門医療を提供している事例もあります。大学病院プラス自治医科大学の病院ということです。  今回、私は就任以来、インフルエンザとコロナの同時流行の季節を迎えて、各病院の現場の皆さんを、モチベーションをぜひ保っていただきたいということで順番に回っているところです。あわせて、実は私は、小児科あるいは産科についても見せていただいてきております。そのような現場を今見ているところでございます。  本県については、委員おっしゃったように、の医療計画に基づいて、二次医療圏ごとに小児専門医療機関、全体に高度小児専門医療機関を置き、体制を整備しているところですが、医師の働き方改革の問題や医療の高度化、専門化に的確に対応し、質の高い医療を提供していくためには、医療機能の分化・連携の一層の推進や医療従事者の確保育成等の課題があることも承知しています。  そこで、こども病院の整備構想につきましては、こうした現状や課題を踏まえつつ、次代を担う子供たちの命と健康を守る観点で、どのような形の医療提供体制が望ましいかについて、今後、県内のニーズをさらに調査するとともに、医療関係や医師会、市町村等の参画もお願いをして検討組織を設置し、新たな病院の建設ありきではなく、既存の病院への併設など、様々な可能性も含めて、その方向性を検討したいというのが私の公約です。  子育ての環境をぜひ日本一にしたい、また、先ほど来の委員の御質問にもありますように、せっかくこの世に生まれてきた命を成人するまで大切にしっかりと育んでいきたい、それらの目的は種部委員とも全く共有できると思いますので、ぜひまた専門的な知見に従いまして、応援をいただければと思います。 31 種部委員 ありがとうございます。本当に子供の命を守ると、せっかく生まれてきたのであるからという大変心強い御答弁をいただきました。整備するのであれば、既に集約化の話も出ているわけですから、県内の小児医療の現状を的確に判断していただいて、取り組んでいただきたいと思っております。  小児専門病院なのか、どこに集約するかとか、あるいはどこに設けるかということは、これから検討ということでございました。しかし、高度な小児専門医療機関というのは、小児がんや先天性心疾患などを診るわけですから、感染症すなわち風邪の子供が一緒にいると困るわけです。  ですから、それを持ち込まないようにということで、通常、そういう病院では、風邪引きの子は診ないということであります。したがいまして、例えば病児保育を必要とするような風邪引きの子供は専門病院には行かないのではないかと思います。  一方、仕事と家庭の両立支援として病児保育を整備されるというのは、働く母親にとっては大変ありがたい言葉です。私も現場で働きながら子供を育ててきましたけど、突発的な、不意打ちで熱が出たりとか、様々なことが起きるわけで、そのたびに仕事を継続するかどうか心が折れそうになるときも非常によくあるわけでありまして、ここに対して手厚い支援ということは、私は大変応援したい思いでおります。  その上で、病児保育というのが小児の専門病院というのにはなじまないのではないかとちょっと思っております。それは疾患の特性という意味でそうでありますけれども、風邪引きであれば、仕事と家庭の両立をするときに一番いいのは職住近接であると思うんです。  そういたしますと、身近なクリニックのほうが通院までの時間が短いということ、そして両立に必要なのは時間の捻出だと思うんですけれど、この時間、5分の時間を確保するのにお母さんたちは本当に苦労しています。ポテトサラダを買って帰るという、コロッケを買って帰る富山の県民性がよく物語っていると思うんですね。  といたしますと、やはり身近なクリニックに病児保育を置いていただいたほうがよいのではないかと思いますし、にこども病院を10か所も20か所もというわけにいかないわけですから、むしろ地域のかかりつけ医のクリニックに整備していくなど、そちらを手厚くするべきではないかと思います。  病児保育の機能についてどのように取り組んでいかれるのか、新田知事に御所見を伺います。 32 新田知事 病児保育施設は、仕事と家庭の両立に加え、社会機能の維持の面でも大変重要な施設であると理解しています。病児保育施設に子供を預ける場合には、まず医療機関の受診が求められることから、身近の小児科などに病児保育施設が併設されていることは、保護者にとって利便性が高いと考えています。現在、県内で運営されている病児・病後児対応型の病児保育施設についても、主に医療機関や保育施設に併設されています。  ではこれまで、国の制度による施設整備や運営費補助に加え、単独で、新規開設施設の運営費や国の補助対象とならない小規模修繕などに市町村と連携して支援し、地域における病児保育施設の設置を促進してきております。病児保育事業は、制度として市町村が実施主体とされており、設置に当たっては地域の実情を踏まえる必要があるとも考えております。  としては、引き続き県内における病児保育施設の整備を促進していくとともに、こども病院の病児保育機能については、こども病院の方向性の議論や県民ニーズ、市町村の意見などを踏まえて検討していきたいと考えております。ここにおきましても、またぜひ専門的知見に基づいたアドバイスなどをいただければと思います。 33 種部委員 ありがとうございます。働く母親にとっては、本当に心強い一言でありました。  県内に病児保育を設置する主体は市町村かと思っておりますが、知事はワンチームでとおっしゃっていましたので、そこはぜひ建設的に、使いやすい形の病児保育をつくっていただければと思っております。  最後の質問になります。小児医療では、最近は胎児治療、あるいは新生児で搬送すると予後が悪いものですから母体搬送という形で受け取っております。そういたしますと、NICU、MFICUというものが必要になるわけですが、すなわち周産期医療を併設するというのが小児の高度医療機関には必要なわけであります。  一昨日、藤井委員への答弁でも、周産期も含めて検討するとおっしゃっていました。となりますと、当然産科医だけではなくて、麻酔科医、小児外科医、形成外科医、様々な診療科の医師が必要ということになってまいります。  答弁で、医師の養成も行うと言っておられましたけれども、医師を育成する前に出生数が6,000人を切る可能性があります。今年1年、コロナの影響もありますけれども、妊娠届の届出数が11%減っております。ということは、昨年6,600人ですから、6,000人を切る可能性があるわけで、少子化については非常に深刻な状況でありまして、採算が合わないという問題が出てまいります。  これに加えまして、2024年には医師の働き方改革がやってまいります。地域医療構想においては集約化と機能分化をすることで、それを進めるために働き方改革で時限措置をしたような形になっておりますけれども、それを考えなきゃいけない時期がもう既に来ていると考えています。  そういたしますと、こども病院に周産期も併設するということであれば、麻酔科医とか、それ以外の小児外科医とか、全てがどこに移動するのか、どこにスイッチするのかということを考えていかないと地域医療構想調整会議の議論も進まないと思います。  そういうことであれば、周産期、こども病院だけの議論だけではなくて、地域医療構想とか医療機能分化も含めて、併せて検討していくという方針なのかどうか、これも新田知事に御所見を伺います。 34 新田知事 ありがとうございます。  小児医療と密接に関連する周産期医療においても、医師の働き方改革の問題や医療の高度化、専門化に的確に対応し、質の高い医療を提供していくために、医療機能の分化・連携の一層の推進や医療従事者の確保・育成等を図る必要があると思っております。  そのため、こども病院の構想の検討に併せて、周産期医療の提供体制についても──今、委員おっしゃったように、多くの診療科の先生方にも関わることですが──新年度から設置しようと考えております検討組織において、その現状や課題を踏まえつつ検討していきたいと考えております。  一方、こうした小児・周産期分野の医療機能の分化・連携の検討は、地域医療構想の推進にも影響を及ぼすことから、その検討状況につきましては、地域医療構想調整会議に報告し、各医療圏の実情を踏まえて、各医療機関が地域で担う役割や機能について議論を深めていただきたいと考えております。  このように、地域医療構想調整会議と連携を図りながら、こども病院構想の検討を進めて、地域医療が持続的、安定的に確保されるように取り組んでいきたいと考えますが、とにかく目的は、子育ての環境を日本で一番優れた形にする、そしてせっかくこの世に生まれた子供たちを成人するまでに大事に育んでいきたいという、目的でございます。そこにおいては、委員も共感していただけると理解しております。  いろいろな御指摘もいただいているところですが、私は政治家として、このような問題提起をさせていただいていると考えております。まさにこういう場でこういった議論を深めていって、よりプランの熟度を増していく、まさにそういうプロセスを大切にしていきたいと思います。どうか引き続き、専門的立場から応援をいただければ、またアドバイスをいただければと思います。 35 種部委員 ありがとうございます。ちょうど国では今、成育基本計画を立てているところであります。小児あるいは、成育過程における医療については、国の中でも方向性がこれから出てくるものと思いますから、まさに知事がお取組をなさろうとしていることは、ホットな分野だと私は考えております。  ただ、このときに、私は勤務医として過重労働で死にかけた立場から言いますと、アクセスや利便性を求める住民の声といったお客様目線はとても大事だと思うんです。ですが、お客様目線は独り親のお母さんたち、子供たちに向けていただきたいと思いますし、それだけではなくて、働いている医師たちの中にも働くお母さんたちがいるわけです。  それを考えると、持続可能性と医療安全──手厚い医療というのは安全な医療だと私は思っています──を考えますと、コストと医師の働き方を最優先してほしいというのが、医療現場のみんなの切実な願いではないかと思いますので、現場の声、働く人たちの声に耳を傾けて、そして十分な検討を進めていただいて、大いに議論もしていただきたいと思っております。  以上で質問を終わります。 36 武田委員長 種部委員の質疑は以上で終了しました。  ここで、換気のため暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午前11時01分休憩                     午前11時10分開議        山崎宗良委員の質疑及び答弁 37 武田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  山崎委員。あなたの持ち時間は60分であります。 38 山崎委員 皆さん、おはようございます。  このたび、富山県知事に新田知事が就任されました。新田知事におかれましては、御就任、誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げる次第であります。  今回の富山県知事選挙において、私たちはコロナ禍を乗り切るために安定を訴えてまいりましたが、富山県民の選択はワクワクと変化でした。投票率も60%を超え、県民の県政への関心が高まりました。これをチャンスと捉えてまいりたいと思います。  今回の熾烈な選挙戦を通して県民一人一人が感じたことがあると思います。私はこの選挙で表れた事柄の中に、現代社会の縮図があると感じました。これを踏まえながら、質問をさせていただきます。  新田知事はこの定例会の冒頭で、渋沢栄一翁の「論語と算盤」について述べられました。これについて、我が意を得たりであります。二宮尊徳翁も、理念なき経営は犯罪だ。経済なき理念はたわ言だと述べておられます。また、SDGsの17項目も社会倫理を説いており、倫理がしっかりし社会が成熟すれば実現できるものと思います。  現代社会は権利主張が先走り、義務を果たすことが二の次になっている風潮があると感じています。また、議会や行政は法律を守り、一定の秩序を体現する場であると思いますが、どれだけ立派な法律や条例が存在しても、それを守る人がいなければ全く機能いたしません。  新田知事には釈迦に説法ですが、企業においては社風づくりが幸せづくりの根幹になります。これは、県庁においても、地域社会においても通ずるものがあると思います。私たちが、自ら幸せをつくり出していくために一番大事な基礎、目に見えないインフラが新田知事のおっしゃる論語であると思います。  まずは、教育と文化について伺います。  今回の知事選においてSNSが活用され、様々な情報発信と交流がなされました。今後も、SNSを利用した交流が進化すると思われますが、倫理とともに情報リテラシーが強く求められる社会になったと思います。利用する県民一人一人が、降り注ぐ情報から自らを守るスキルが必要になります。具体的には、情報元の特定、情報の正確性、その情報によって誰が得をするのか、お金の流れはどうなっているのかなど、情報に対する洞察力や、気になることは調べる習慣を身につけることが必要です。  学校教育に限らず現役世代も含めて、県民の情報リテラシーを向上し浸透する、情報に振り回されずに上手に使いこなすことが、産業の活性化や社会の成熟など、富山をよりよく発展させることにつながると思いますが、としてどのように取り組んでいくのか、伍嶋教育長に伺います。 39 伍嶋教育長 人生100年時代を迎えまして、何度でも学び直し、自らの能力を高め、生きがいを持って心豊かに生きることができるよう、多様な学習機会を充実することが重要となっております。  また、情報化社会におきまして、インターネットやパソコン等のICT機器を利用できる者と利用できない者との間に生ずる格差の解消を図りながら、情報リテラシーを向上させることが大切であると考えております。  このため、県民生涯学習カレッジでは、これまでパソコンの基本的な操作や文書入力、画像処理などの情報処理を学ぶ講座を開催しております。また、人生の新たなステージにおける働き方や生き方について学ぶ人生100年時代の講座におきまして、ITの現状と展望に関する講座なども実施をしております。また、県内の高等教育機関においても、富山大学や県立大学等におきまして、AIやデータサイエンスなどのリカレント教育公開講座等を実施しておりまして、スキルアップやキャリアアップの機会を提供しております。  現在、新型コロナ感染症への対応を契機といたしまして、オンラインによる学習やウェブ会議など、新しい技術を活用した学びがより一層進展をしているという状況にあります。このため、オンライン講座により受講者のデジタルスキルの向上が期待できるということも踏まえまして、今後、県民生涯学習カレッジへのオンライン講座の導入について検討するなど、情報リテラシーの向上に向けた取組を充実させてまいりたいと考えております。 40 山崎委員 ありがとうございます。オンライン講座は非常に参加しやすい、場所を移動する必要もなくてその場で受講できますので、ぜひとも進めていただきければと思います。
     続きまして、今回の選挙は非常に熾烈でした。SNSではそれが顕著だったように感じます。選挙なので、お互いの主張を展開し、相手の意見を聞くことで議論が成熟するのが理想ですが、どうしても勝ち負けにこだわり、議論を通り越して、攻撃し、結果的に相手を傷つけるようなことにもつながっています。本来なら、議論はするが、一方で相手を尊重し、相手の立場を理解する、一定の距離を置くなどの機微が大切で、それが成熟した社会なのだと思います。これは他者との議論が少ないことによって起きる現象だと思います。  そこで、我がにおいて、学校教育の中で議論する機会を増やすことで、相手の意見を聞き、それぞれの違いを認め合う、他者を理解するスキルを育んではどうかと思いますが、伍嶋教育長に伺います。 41 伍嶋教育長 学校教育におきまして議論する活動を取り入れることは、自分にない考え方を知ることによりまして、他者を理解し尊重することにつながるなど、協調性を培う上でも大切であると考えております。  また、学習面においても、例えば児童生徒同士が協働して課題解決に向かう、あるいは、教員または地域の人との対話などを重ねることによりまして、深い学びにつながるものとされております。  学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を重視しておりまして、県内の小中学校では、これまでも学び合いを大切にした授業を実施しております。例えば、国語では、グループで物語文を読んで作者の表現の効果を語り合うことや、理科では、温室効果ガスを削減するための工夫を考えて提案するなどの授業が展開されております。  また、高校では、総合的な探究の時間におきましてディベートを行っている学校もありますし、探究科学科では、課題研究において小グループで議論を重ね研究を進めるなど、課題解決型学習の効果的な実践に向けて取り組んでおります。  今後、議論する教育の意義や効果のほか、優れた実践例を各学校に周知して、積極的な取組を促すことによりまして、様々な課題や困難に対して自己の能力を最大限に生かして、その解決に積極的に立ち向かう人材の育成に努めてまいりたいと考えております。 42 山崎委員 ありがとうございます。ぜひとも時間を増やしていただければと思う次第であります。  我が国には、他国にない優れた文化があります。古事記には、現代で言うジェンダー教育の要素も含まれ、お互いを尊重しながら思いやりなどの平和な心を育むなど、日本には古代から生き方や人としての在り方が、よい文化として受け継がれています。近現代史についても、現在の教科書に記載されていない、日本人が世界に誇れる事例がたくさんあります。  世間では、時折、自虐史観が取り沙汰されますが、自国を誇れる教育が生徒たちの自己肯定感を支え、可能性に挑戦し、生き生きと羽ばたく富山になるのだと思います。富山にも多くの偉人がおられますので、国や本県の文化や誇りを学ぶ機会を増やしていくべきと考えますが、伍嶋教育長に伺います。 43 伍嶋教育長 日本や郷土の歴史と文化を学ぶことは、1つには郷土に対する理解を深めて、国際社会で主体的に生きる態度や能力を育てることにつながること、また先人の英知や生き方に関する理解を深め、広い視野を培い、郷土の持つよさを全国や世界へ発信する能力を培うことができるなど、郷土に対する誇りを持って自己肯定感を高めることにもつながると考えております。  本県では、小中学校において、例えば、国語では竹取物語、音楽では越天楽今様などの古典文学や伝統音楽を学習したり、また総合的な学習の時間の中で、地域の調査活動を通して地域の文化や魅力を学ぶ活動に取り組んでおります。  また、独自の取組といたしまして、委員からもお話がありましたけれども、郷土の先人の生き方などを学ぶ「ふるさととやまの人物ものがたり」や、富山の自然等を通して科学的な視点を養う「ふるさととやまの自然・科学ものがたり」を作成いたしまして、各学校で積極的に活用をしております。  高校におきましても、国語では、古くは万葉集から近世の奥の細道といった古典文学や、芥川龍之介、夏目漱石など文豪の名作を学んでおります。  また、地歴公民の科目では、世界史、現代社会の授業で、独自の補助教材であります「高校生のためのふるさと富山」を活用いたしまして、多様な切り口から郷土に関することや近現代史を学んでおります。  今後とも、日本や郷土の歴史と文化を学ぶ機会の確保に努めて、ふるさと富山に誇りを持ち、グローバルに活躍していく人材の育成に向けて、さらに取り組んでまいりたいと考えております。 44 山崎委員 ありがとうございます。子供たちが学ぶということは、根本に、興味を持つということが非常に大事だと思います。いろんな角度から情報を提供していくということが非常に大事だと思いますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  論語や道徳は社会の大切なインフラです。ルールが守られなければ社会は成り立ちませんし、論語はルールだけではなく、生き方の羅針盤とも言えます。最近は、権利が先に立ち、義務がおざなりになっている社会風潮を感じます。教育には、知識を得ることも大事ですが、その知識を生かすことや、生き方そのものを学ぶことがとても大事だと思います。  吉田実知事は、昭和40年代に精神の荒廃を案じて精神開発室を開設し、県民の精神開発に取り組まれました。現在の生涯学習の前身です。しかし、個人の自由が優先され、勉強したい人だけしか勉強しない風潮になってしまいました。ぜひ、よい方向へブレークスルーしたいものだと思います。  そこで、子供たちへの道徳教育と、子供たちの模範となるべき大人についても、心を育む必要性についてどのように考え、この仕組みづくりにどのように取り組まれるのか、新田知事に伺います。 45 新田知事 ありがとうございます。  子供たちを取り巻く環境が大きく変化する中、学校で子供たちが知識を習得するとともに、規範意識、あるいは他者への思いやり、そのようなものも身につけていくことは、とても重要になってきていると考えています。  小中学校においては、道徳が「特別の教科 道徳」として教科化され、「考え、議論する道徳」への質的な転換が図られ、答えが1つではない道徳的な課題を自分自身の問題として捉え、考える指導が進められています。  小中学校及び高校の道徳教育については、道徳科だけではなく、教育活動全体を通じて、例えば助産師さんのお話を聞くいのちの教育、社会に学ぶ14歳の挑戦、経済団体などから講師を招いて先人に学ぶ講演会など、社会性や規範意識、命の尊さ、在り方、生き方を学び、豊かな心の育成に努めています。  本県では、保護者が親の在り方や子供との接し方についてグループワークを通じて学ぶ親学び講座をPTAや市町村教育委員会、企業等と連携しながら実施をしております。その中で、保護者自身が子供の手本となることの大切さも学んでいます。  また、県民生涯学習カレッジでは、子供たちの規範となる大人の心を育むための講座として、人の在り方や生き方なども学ぶ夏季講座や人生100年時代生き方講座なども開催しているところです。引き続き、学校、家庭、地域と連携をしながら、道徳教育の充実とともに、知・徳・体のバランスの取れた全人的な教育に取り組んでいく必要があると考えております。 46 山崎委員 ありがとうございます。  子供たちはスポンジのように柔らかですので、たくさんのことを素直に吸収していってくれると思いますが、大人が家庭や社会で振る舞う行動によって、その学びが打ち消されていくことがあってはならないと思うわけでありまして、PTAの親学び講座等での活発な活動には心から敬意を表するわけでありますけれども、日頃一番長い時間を過ごす場所といいますと、家庭と職場だと思います。こういった場所に学びがあるということが非常に大事かと思っております。  私は、上市高校の同窓会長を仰せつかっておりますが、高校の最大の役割は、地域に役立つ人材を育て輩出することだと思っています。高校には、各地域の産業と結びついた地域の核としての役割があります。昔は一握りの人が進学校に行き、あとは皆、地元の高校へ進学しました。現在は、受験生が行きたい高校というよりは、行ける高校を偏差値によって選択するため、地元への愛着が少なくなっていると感じています。これも地域衰退の一因になっている側面があると思います。また、地元の高校は地元の産業とも深く結びつき、インターンシップも活発に行われているため、地元の企業にも有意義ですし、生徒にとっても有意義です。  高校再編を考える際に、新田知事には、ぜひとも偏差値による進学を改め、地域が活性化する方向で考えていただきたいと思いますが、県立高校再編の経緯をどのように捉え、今後どのように進めていくお考えか、御所見を伺います。 47 新田知事 ありがとうございます。  県立高校の再編につきましては、平成22年4月に5校、本年4月に4校の新たな高校を開校しました。  前回、平成22年の再編については、県立学校教育振興基本計画に基づき、中卒予定者数の長期にわたる大幅な減少見込みを踏まえて実施をしたところです。また、今回の再編については、前回の再編の評価と課題を整理した後、平成28年から総合教育会議で議論を重ね、4件の再編統合を平成30年2月に決定をしました。  議論に当たりましては、関係市町の首長さんやPTAなど、18名の有識者からの御意見、また県内4学区等で意見交換会を15回開催し、延べ約2,500名の方々に御参加をいただき、御意見をいただくなど進めてきました。  一方で、再編後の跡地活用策も含めて、地域の活性化について、なお御心配される方々もおられるので、としては地元の市や町とよく連携をしていきたいと考えております。  令和9年度以降の対応につきましては、県立高校再編の実施方針に基づき、中卒予定者数の推移も踏まえ、別途協議することとしています。  今後、今回の高校再編の成果と課題等を検証するとともに、Society5.0の到来など、時代の大きな変化を見据え、生徒の様々な可能性を引き出すよう、教育内容の充実を図っていく必要があると考えております。  また、地域の特色や産業界のニーズ、グローバル化の進展などを踏まえ、どのような人材の育成に取り組むのかということも念頭に、県立高校の在り方について協議する場を設けて、幅広く検討してまいります。 48 山崎委員 ありがとうございます。  人口が減っていくわけなので、再編をどうしても考えていかなければならないのは当然でございますけれども、中山間地というのは、国土を守るという観点からも非常に大事なところでございますし、そういったところにこそ富山の大事な文化が根づいておるということもございますので、そういった部分も、一体となった社会の中核としての高校という観点をぜひとも御考慮に入れていただきたいと思っております。  次に、産業活性化のための博物館機能について伺います。  先日、高岡でどら焼きを作っている友人が、「どら焼きを輸出したい。ドラえもんがなぜどら焼き好きなのか調べて、高岡のどら焼きとドラえもんを結びつけて発信したい。でも、そんな大事な情報が地元にも富山にもない」と嘆いていました。  どら焼きに限らず、商品や観光のコンセプトやストーリーづくりには、地元にまつわる物語やエピソード、つまり史実が武器になります。これらの大切な情報が集まっているのが博物館や図書館ですが、富山には情報を一元的に集約している場所がありません。また、大切な情報を収集する機能も形になっていないと思います。  そこで、富山総合博物館といえるような象徴的な施設があればよいのですが、お金がかかるので、県内市町村の博物館や図書館が保有している地域のコンテンツをデータベース化し、ウェブ上で閲覧できる富山デジタル博物館を創設してはどうか、伍嶋教育長に伺います。 49 伍嶋教育長 現在、県内市町村の一部の博物館や図書館におきまして、地元ゆかりの作家の絵画などの美術作品をはじめ、地元の古文書や古い絵図などもデジタル化をしまして、インターネット上において公開がされております。  また、の博物館等におきましてもウェブ上で地域の文化等を紹介しておりまして、例えば県立図書館では、立山曼荼羅などの絵図類の約3,000点を紹介しております。また、の埋蔵文化財センターでは所蔵している出土品を、教育委員会内の「とやまの文化遺産」のサイトでは県内の国または指定文化財をはじめとする文化遺産を紹介するなど、及び県内市町村の一部の博物館では、各地域のコンテンツをデジタル化している状況にあります。  委員から御提案のありました富山デジタル博物館の創設につきましては、郷土のすばらしい文化を知り、他からも訪れる魅力につながる企画だと思っております。現在、県立図書館のウェブサイトにおいて、古絵図や古文書などの分野におきまして、市町村博物館等のサイトを紹介しております。  今後、このウェブサイトを拡充再編することも含めて、本県の地域文化のデジタル化による紹介に向けて、どのような分類で、またどのような形態が望ましいかなどについて、他の例も参考にしながら今後研究してまいりたいと考えております。  なお、国立国会図書館が運営しております古文書や文化財など、様々な分野を網羅しましたポータルサイトであるジャパンサーチというものがありあまして、そのジャパンサーチとの連携により、が保有しているコンテンツを活用した効果的な情報発信が可能かについても併せて研究してまいりたいと考えております。 50 山崎委員 本当を言えば、県庁が非常に手狭になってきていますので、この県庁を博物館にしてしまって、県庁を移設するくらいのワクワク感が欲しいわけでございますけれども、体力が上がってこないと、そういったこともできないかなと思いますが、そういった夢のある話は、ぜひともみんなでしていきたいなと思っております。  次に、農業振興について5問伺います。  まず、農業所得の確保についてです。近年、農業をする人がだんだん少なくなり耕作放棄地が増える傾向にありますが、この原因は所得が低く経営が成り立たないからです。農業には、食料自給のほかに国土保全という大切な役割もあります。  ヨーロッパを視察した際に、国道沿いに延々と続く牧草地に時折現れる農家の家は、皆ぴかぴかでした。1軒くらいぼろ家もあるだろうと思いましたが、視界に入った家は全てぴかぴかでした。ガイドさんに理由を尋ねると、生産額の半分が補助金で、国が農業を守っているとのことでした。  県政報告などの際に地元の方の中に、「息子には農業しなくてもいい。俺の代で終わっていいと言っている」という方が複数おられます。そんな地元の雰囲気を感じ、早く何とかしないと駄目になってしまうと、いたたまれなくなります。  農業を安心して継続するため、また国土保全のためにも、これまで以上に所得確保に対する支援が必要だと思います。ぜひ国にも求めていただきたいと思いますが、新田知事の御所見を伺います。 51 新田知事 ありがとうございます。農業には、国民に不可欠な食料を安定供給するという役目、それから、今、委員も御指摘の国土を保全する役目、多面的な役割があると思います。国家にとってとても大切な産業だと理解をしています。  ただ一方で、これもまた今、山崎委員がおっしゃったように、その担い手、従事者が減少している、また高齢化が進んでいるという、将来が不安になるような状況にあるのも事実であります。  国の食料・農業・農村基本計画では、カロリーベースの食料自給率を平成30年度の37%から令和12年度に45%へ上げていくという目標を掲げております。その中で、食料の安定供給の確保をはじめ、担い手の育成確保やスマート農業の加速化等による農業の持続的な発展、地域資源を活用した所得の確保や鳥獣被害対策等による農村の振興などを柱とした施策が講じられているところです。  富山ではこれまで、水田農業を主体とした本県農業の実情を踏まえ、国に対し、需要に応じた米生産と水田フル活用に向けた経営所得安定対策や、園芸等の機械・施設の整備、意欲ある担い手の経営基盤強化や新規就農対策、農地の集積・集約化やスマート農業の推進などについて要請し、本県農業の活性化と農村の振興に取り組んできました。  特に、お話のありました野菜やお米、食肉等の生産に対しては、国の追加経済対策において、需要拡大をはじめ、主食用米からの転換、野菜等の生産拡大、畜産経営の基盤強化等への支援策が盛り込まれています。  としては、今後の補正予算等においてこれらの予算を確保し、今後の輸出拡大、6次産業化など、生産者の積極的な取組を応援できるよう、農業団体や市町村、県議会、またさらには、全国知事会とも連携しながら国に対しての働きかけを一層強めていくつもりです。 52 山崎委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  一番心配するのは、農地がどんどん放棄されまして、外国資本にそれが買われるというところであります。また、農業そのものが活性化することが、私たちの笑顔にもつながっていくと思いますので、ぜひとも一緒に頑張ってまいりたいと思います。  本県には、兼業農家の方がたくさんおられます。御先祖様から受け継いだ田畑を守っておられます。定年を迎え、退職金で農業機械を買い、自分の作った米を食べてもらうのが楽しみなんだという方もおられます。この兼業農家というスタイルは、日本の和を大切にする文化の一つだと思っています。家族で力を合わせ、江ざらいや草刈りなどで地域のつながりを強めます。  また、中山間地では、大規模営農よりは兼業農家の皆さんに土地を守っていただいているという大事な側面もあると思います。森の恩恵を受けやすく、多種多様な品種の農作物を栽培するのにも適していると思います。  そこで、例えば、が推し進めているシャクヤクやトウキなどの薬用植物や、富山が誇る無花粉スギ「立山 森の輝き」の育苗などを生かし、高付加価値作物の栽培展開によって存続させていくことができないか、堀口農林水産部長に伺います。 53 堀口農林水産部長 国の農業構造動態調査によりますと、本県の農家数の86%が兼業農家でございます。特に、委員御指摘のとおり、生産条件が不利な中山間地域など、営農の規模拡大や組織化が難しい地域では、家族経営の小規模な農家が多い現状となっております。  一方で、こうした小規模な経営体につきましては、地域農業の担い手として重要な役割を果たしているほか、農村の振興や国土保全、景観形成など、農業の有する多面的機能の維持にも大きく貢献をしております。  このためでは、中山間地域の冷涼な気候を生かし、安定した収入が見込めるシャクヤク等の薬用作物の栽培実証等を通じて支援しますとともに、新たな産地づくりに向け、白ネギ等の収益性の高い園芸作物の導入を進めております。  また、今年度新たに、中山間農業者所得向上モデル事業によりまして農業経営の複合化や6次産業化を通じて、所得向上を目指す農業者の育成にも取り組んでおります。  さらに、中山間地域等の集落コミュニティーを維持していくため、多面的機能支払制度を活用して地域ぐるみで取り組む用排水路の江ざらいや農道の草刈りなどの活動も支援をいたしております。  今後とも、将来にわたり発展する競争力の高い農業と、豊かで美しい農村の実現に向けまして、JA等の関係機関や市町村と連携しながら、小規模な兼業農家も含め、多様な担い手による地域営農活動への支援に努めてまいります。 54 山崎委員 ありがとうございます。日本の大切な文化を守るという観点からも、ぜひとも御協力を賜りたいと思います。  中山間部では、害獣被害がとてもひどい状況で、中でもイノシシ被害は、田んぼも用水も法面も、どこでもトラクターで耕したように掘り起こしていき、農業を諦めたり、生活そのものを諦める人も出てきております。  イノシシの繁殖能力は、複利計算で1.4倍を超えると言われ、そのほかにも、熊もニホンジカも猿に対しても、猟友会の皆さんが頑張ってくださっていますが、追いつきません。  根本原因である個体数を減らすために、猟師をなりわいとする人を育成し増やすことが急務だと思いますが、竹野生活環境文化部長に伺います。 55 竹野生活環境文化部長 では、イノシシなど有害鳥獣の捕獲の担い手を確保するために、狩猟に興味を持ってもらうためのガイダンスを実施しているほか、狩猟免許試験の実施回数を増やしてきております。その結果、免許所有者数は、最も少なかった平成18年の876人から、令和元年度には1,365人と約1.6倍に増加しております。  有害鳥獣対策には組織的な取組が重要と考えており、猟友会にはその中心的な役割を担っていただいております。その会員数は回復傾向にありまして、また、年齢構成も高齢者の割合は高いものの、若い世代の割合が徐々に高まってきております。  委員御提案の狩猟のなりわいへの支援につきましては、直接的な支援は難しい面があります。また、狩猟期間が限定されておりまして、捕獲のみを専らのなりわいとすることは容易ではなく、農業等との複合形態になることが現実的ではないかと考えております。  ではこれまで、市町と連携しまして有害鳥獣の捕獲に対する支援を行っております。昨年度からイノシシ捕獲への支援に上乗せを行うとともに、今年度からツキノワグマ捕獲への支援を新たに開始しております。こうした捕獲支援に引き続き取り組むとともに、ジビエの振興にも努めているところであります。  今後とも、猟友会など関係団体の御意見をお聞きしながら、若い担い手の確保や育成に取り組んでまいりたいと考えております。 56 山崎委員 ありがとうございます。  猟師さんをしておられると、わなを見て回るだけで半日が潰れてしまいます。その上で農家となると、その半日だけで農業収入を得ないといけないということで大変中途半端になってしまいます。さっきの農業の所得支援と一緒で、猟師さんの生活が成り立つようにしていかないと、上市にも若い人がいらっしゃるのですが、生活に非常に困窮しておられます。この辺の支援をまたぜひとも手厚くよろしくお願いしたいと思います。  政府による防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策により、県内河川の伐木やしゅんせつが進み、河川の流水断面が広がるなど、地元からは喜びの声がたくさん聞かれ、大変ありがたく思います。  一方で、まだ進んでいない地域もあり、対策が5年間延長されたことから、地元からは期待の声が上がっています。イノシシなどの害獣は、河川を下って市街地に侵入したり、農地を荒らし、また茂みをすみかにしたりしており、上市町で言うと滑川市に接する地域にまで被害が及んでいます。  このように、河川整備は有害鳥獣対策に有効であることから、ぜひとも継続して整備していただきたいと思いますが、江幡土木部長に伺います。 57 江幡土木部長 河川内の土砂の除去、樹木の伐採につきましては、早期に河川の流下能力を高められることから、災害の未然防止対策として効果を発揮するとともに、イノシシの侵入防止、熊の移動経路の分断など、有害鳥獣対策としても効果があると考えられておりまして、これまでも計画的に実施してきております。  平成30年度からは、国の3か年緊急対策の予算も活用し、市街地や集落に隣接する箇所を中心に重点的に実施しておりまして、今年度は白岩川や上市川など、40河川で取り組んでおります。  今後も、土砂の除去、樹木の伐採を計画的に推進していく必要があると考えておりまして、実施に当たっては、河川巡視や定期点検などを基に、川の流れを阻害する堆積土砂や樹木の状況、沿川の家屋の立地状況、近年の出水時における水位の状況などを勘案して、治水上の支障が著しく、緊急性の高い箇所から優先的に取り組んでいく予定としております。  としましては、県民の安全・安心を守るため、3か年緊急対策後も必要な予算、これは御紹介いただきましたように、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策という動きがありますので、こうした予算なども確保しながら、河川整備とともに河川内の土砂の除去や樹木の伐採にも計画的に取り組んでまいります。 58 山崎委員 ありがとうございます。地元から感謝の声が上がっておりますので、またよろしくお願いいたします。  農業振興についての最後の質問は農福連携についてです。  農福連携は、福祉の利用者さんが農業に携わることで、植物や大地と触れ合うことができます。農業者からすると、人手不足の解消や農業に参入する人が増えるなどの利点があります。  一方で、富山は、冬期間の降雪などの自然条件や稲作が主なため、農業者から年間を通じて作業を委託されることが少なく、福祉事業者は、農閑期の仕事を他の産業に求めるか、自ら農業などの事業主体にならないと、福祉利用者の仕事を確保できません。関東や関西など畑作が盛んな地域では、年間を通じて様々な農作業が委託されるため、福祉事業者が農業経営をせずに済み、作業委託に徹することができます。  このことから、本県において農福連携を進めようとした場合、野菜などの園芸作物を増やすか、農福連携として取り組みやすい農業経営スタイルを確立する必要があると考えます。堀口農林水産部長に伺います。 59 堀口農林水産部長 本県の農福連携の推進につきましては、昨年10月に農福連携推進検討会議を設置いたしまして、相互理解の醸成、マッチングの仕組みづくり、専門人材の育成、働きやすい環境整備の観点から、その推進方策や推進体制を検討してまいりました。  さらに、今年度は、関係機関、団体のほか、実際に農福連携に取り組んでおられる農業者や福祉事業者の方等にも参画いただきまして、農福連携推進会議を立ち上げますとともに、農福連携コーディネーターによる農業経営体と障害福祉サービス事業者とのマッチングを行うなど、取組を強化してきております。  具体的には、本県農業の中心であります水稲作では、年間を通じた作業の確保が難しいこと、また多様な障害特性に応じた作業を確保をする必要があることなどから、手作業が多く障害者が取り組みやすい園芸作物を中心に、収穫や選別作業などの連携が進められております。現在、24の農業経営体で取り組まれております。また、園芸農家による雇用や作業委託だけではなく、障害福祉サービス事業所自らが野菜等の園芸生産に参入する事例なども現在21件ございます。  としては、こうした県内の取組事例を広く紹介いたしまして横展開を図るとともに、農福連携の現場において、実務的なアドバイスを行う農業版ジョブコーチの育成に支援しますなど、本県の実情に即した農福連携を着実に進めてまいりたいと考えております。 60 山崎委員 ありがとうございます。福祉事業者は、やっぱり福祉経営が得意なわけでありまして、農業経営はそうでもないというケースが多うございますので、また御支援のほど、よろしくお願いしたいと思います。
     次に、健康について伺います。  富山においては、食事や適度な運動など、生活習慣の啓発や、ねんりんピックなどのイベント、健康診断の呼びかけや各種制度を通じて、健康寿命延伸に向けて様々な取組をされています。  先日、立山黒部を愛する会で飛騨市を視察してきました。とやま観光未来創造塾の山田拓さんの会社に伺い、地元にある資源をグローバルな視点で掘り起こし、国内外の観光客に紹介されている様子を伺ってきました。市内の拠点を案内していただいたところ、1つの建物の中にお店や宿泊施設や市の相談所などが混在し、いかにも垣根のない様子で、市民のコミュニティーの中に観光客も溶け込んで、そこにある文化を楽しむという形でした。  その中に、薬草を取り扱う拠点があり、薬草を使った健康になる習慣の中で営まれる山里生活の紹介や、薬草の栽培もしていました。驚いたのは、雑草だと思っていたものが薬草と呼ばれていたことです。フキノトウやドクダミなどは言うに及ばずですが、ヨモギが体温を上げ、スギナは利尿など腎臓によく、オオバコがせきを鎮めたり胃を強くするなどであります。中には、薬草を販売して収入を得ておられる方もおられます。もともと地元にあった文化をクローズアップし、楽しみながらふだんの生活の中に溶け込ませることによって、県民が健康になり医療費が削減されるのなら、こんなにすばらしいことはありません。  富山には薬用植物指導センターがありますので、ぜひ県民の健康増進のために生活習慣の見直しを呼びかけるとともに、薬用植物を日常生活の中に取り入れる取組をされてはどうか、石黒厚生部長に伺います。 61 石黒厚生部長 におきましては、健康寿命の延伸に向けまして、野菜の摂取や減塩などの食生活の改善、ウオーキングなど運動習慣の定着、睡眠習慣の改善などによりまして、県民の皆さんの生活習慣の見直しなどを推進しているところでございます。  具体的に申しますと、例えば食生活の改善につきましては、企業の従業員対抗による野菜摂取促進キャンペーンというものを行っておりますし、また社員食堂での減塩メニューの提供なども行っております。運動習慣の定着につきましては、スマートフォンアプリ「元気とやまかがやきウォーク」の活用や、歩きやすい服装で通勤や就業を促すウォークビズとやま県民運動の展開などに取り組んでいるところでございます。  また、睡眠習慣の改善につきましては、本県の「睡眠で休養の取れていない」方の割合が、男性、女性ともに高くなっていますことから、今年度、新たに県内企業と連携をいたしまして、ICT機器を活用した睡眠の質の計測や要因の分析、評価を行っているところでございます。さらに、この結果につきましては、来年3月に企業担当者向けの講習会をオンラインで開催し、広く周知することとしております。  なお、今お話しのありました薬用植物指導センターでは、御承知のとおりシャクヤクのPRや薬草の野外観察会の実施によりまして、県民の皆さんに薬用植物に親しんでいただき、理解を促進していくことに努めているところでございます。  今月22日に富山健康寿命日本一推進会議を開催することとしておりますが、この会議のほうでもいろんな御意見をいただきまして、県民の生活習慣改善に向けた取組を一層推進してまいります。 62 山崎委員 ありがとうございます。  日常生活の中にこのように雑草が薬草として使われるという、すばらしい事例がこれまでの文化の中にあるということなので、これは非常に定着しやすい側面もあるのではないかと思っております。また、薬用植物指導センターをよろしくお願いいたします。  次に、女性登用について伺います。  富山では女性活躍推進を積極的に進めておられ、女性管理職比率が15.2%で、全国第7位となっています。富山は頑張っているということで、喜ばしいことだと思います。  新田知事におかれましては、マニフェストに女性活躍を挙げておられ、富山の女性職員の管理職への登用目標を2025年までに25%にするとされています。この目標を達成することはとてもすばらしいことで、女性が生き生きと活躍することを心から願う一人であります。  しかし、現状の一端としては、現場からの声も上がっており、目標数値に向かって頑張るあまり、現場でミスマッチが起きるようでは、働く側も管理する側も大変であります。要するに、数字を独り歩きさせるのではなく、現場の実情に合った登用を進め、現場最適にすることが何よりも大切だと思うのであります。  必要なキャリアを積み、十分なマネジメント能力を備えた女性職員が活躍できるよう、どのように取り組まれるのか、滝経営管理部長に伺います。 63 滝経営管理部長 男性、女性を問わず、管理職を担われる方には、御指摘があったように、一定のキャリアを積んでいただき、十分なマネジメント能力を発揮していただくということが組織にとって極めて重要だと思っております。  本県におきまして、既に女性職員で管理職を担っておられる方々は、それぞれ十分なキャリアを積まれ、管理職としてのマネジメント能力を十分備えた方々でございまして、現に様々な部局でも活躍いただいているわけであります。  一方で、委員から御指摘がありましたとおり、本年4月時点で、知事部局におきます課長級以上の女性管理職は67名、全管理職に占める割合は15.2%、全国7位という高い水準ではございますが、一方で、やはり15%であるという数字そのものにつきましては、しっかりと直視をする必要もあるのだろうと思っております。  これまで女性管理職の登用が進んでこなかった理由は幾つかあるわけでありますけれども、やはり大きいのは、特に出産、育児との関係の中で、男女間の役割の偏在があったと、そのことが結果として女性職員の方々のキャリア形成に様々な面で、支障という言い方をしたら適切かは分かりませんけれども、支障があったということだろうと思っております。  しかしながら、持続的な地域社会の発展を考えますと、やはり出産、育児につきましては、男女共にしっかりと参画をして、社会全体で次の世代を担う子供たちを育てるということは、当然大事なことでもございますし、また、今後介護の問題でありますとか、あるいは地域社会の担い手といったことも考えますと、女性に限らず、男女共に仕事と家庭を両立させていくという面で、職場環境を整えていくということは重要だと思っております。  新田知事が就任のときに、アズ・ア・パーソンということを職員の求められる資質としてお話しされましたけれども、私としても、そういう意味で、やはり重要なことだと受け止めております。  といたしましては、在宅型テレワークの拡充や、男性職員の育児参加の促進、県庁内保育所の整備ということに加えまして、ICT、AIを活用した行政のデジタル化による業務効率化ということにも取り組んでまいりたいと思っております。  また、定年年齢が恐らく今後引き上がっていく中で、働く時間というのは非常に長くなるわけでありまして、その長くなった働く時間の中で、それぞれの職員がどういうキャリアを積むのか、それぞれの職員の事情に応じてペースをつくって応援をしていくということもこれからは重要なんだろうと思っております。  いずれにいたしましても、男女共に魅力的で働きやすい職場環境づくりに取り組みまして、結果として、それが女性職員の管理職の登用率のアップにつながるということを目指してまいりたいと考えております。 64 山崎委員 ありがとうございます。  何でも物事を変えていくというのは、大変負荷のかかることだと思う次第でありますが、一番大事な基盤となる装置というところが、先ほども申し上げましたが、会社で言うと社風、県庁で言うと庁風ということになるんでしょうか、そこの持つ組織の文化というものが非常に大事だと思いますので、その文化が少しでもよくなって、女性が心地よく活躍されることを心から願うものであります。  最後に、北アルプス横断道路構想について伺いたいと思います。  先日、同僚の川上委員からも同じ質問がありました。私から付け加えるとすると、この超大トンネルは、いざというときのシェルターとしても有効に利用できるのではないかということを考えております。  川上委員の説明のとおり、現在、新川ルート、上市ルート、立山ルートの3ルートがありまして、どのルートも地元を挙げて頑張っておられまして、このままではルートの一本化ができません。国土交通省では、まずルート選定が必要だということをおっしゃっておられますので、この構想をもう一歩現実化へと進めるには、どうしてもルートの一本化が必要になります。  そこで、富山のワクワクする大きな夢のために、新田知事にルート選定という大きな役割を担っていただきたいと思いますが、新田知事、いかがでしょうか。 65 新田知事 ありがとうございます。  北アルプス横断道路は、北アルプスの下をトンネルなどで富山と長野を結ぶ道路構想ということで、実現すれば、富山─長野間の所要時間に短縮効果があるということから、物流の活性化などに大きく寄与すると言われています。  私は、隣県等を中心に、またその隣、隣と、地方間の連携を強めていって、富山が北陸の十字路という、本当に立地のよさを大いに生かして、その持てるポテンシャルを最大限発揮するように努めていきたいと考えておりまして、この北アルプス横断道路構想はとても夢のある構想と思っております。  先般、川上委員にもお答えをしたとおり、関係市町村から提案された3つのルートは、いずれも超長大トンネルが必要となり、技術的課題、費用対効果、環境対策など、いろいろと超えるべきハードルが多いので、実現に向けては様々な課題があることは、委員も御存じのとおりだと思います。  関係市町村や経済団体では、平成29年度に北アルプス横断道路構想推進会議を設置され、現在もこれら3つのルートの一本化を目指した検討が続けられています。  としては、まずは地元の皆様が十分検討を重ねられ、納得できる方向性を得ることが重要だと考えています。最近でも、大学などから有識者を招いた講演会が行われており、技術的な課題への対応、また経済効果について知見を深める取組を進めておられると理解をしております。  としては、引き続きこの推進会議の取組を注視していきたいと思います。知事がリーダーシップをという御提案でしたが、そういう局面が来るかもしれませんが、いま少し、せっかくできたこの構想推進会議の地元の皆さん中心の話合い、そしてより技術的なこと、費用対効果のこと、環境対策等々に知見を深められて、機が熟すのをもう少し見届けておきたいと思います。 66 山崎委員 ありがとうございます。いつかその日が来ると思いますので、その節は、ぜひともよろしく、一肌脱いでいただきたいと思います。  以上で終わります。 67 武田委員長 山崎委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                     午後0時02分休憩                     午後1時00分開議        安達孝彦委員の質疑及び答弁 68 永森副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  安達委員。あなたの持ち時間は60分であります。 69 安達委員 それでは、予算特別委員会最終日の午後のトップバッターを務めさせていただきます。  新田知事におかれましては、知事御就任、誠におめでとうございます。今後、県民の幸せのため、さらなる御活躍をお祈りしております。  私が新田知事と初めてお会いをさせていただいたのは、今から10年近く前になろうかと思いますけれども、私が野上浩太郎参議院議員の秘書をさせていただいて間もなくの頃だったかと思います。当時、知事は、野上先生の後援会の大幹部でいらっしゃいまして、富山市の後援会の会長になられるちょっと前か、なられた直後ぐらいだったかと記憶をしております。  知事は、初めてお会いさせていただいたときにお話しになったことを覚えていらっしゃいますでしょうか。恐らく覚えていらっしゃらないと思いますので申し上げますが、私が五箇山の人間だということを申し上げましたときに、知事は私に「不滅の火」の話をされました。不滅の火とは、今から650年以上前の南北朝時代のときに、足利尊氏との戦いに敗れて北陸に落ち延びてきた新田義貞の敗軍の中に刀鍛冶がおり、この方が五箇山に住みついて伝えたという火でありまして、それ以来、一度も絶やさず守り継がれている火のことで、昔は五箇山で、現在は南砺市城端にありまして、今年のパラリンピック聖火の南砺市での採火にも使われることになっていました。  その不滅の火ですが、私自身、どこかでそんな話を聞いたことがあったかなというぐらいの認識で、それを初対面の人間に尋ねてこられた知事の博識ぶりに、ただただ驚かされるばかりでありました。そのことについて、地元にいてほとんど知らない自分を恥ずかしく思いました。今と変わらない穏やかな口調で、柔らかな笑みを浮かべながら、当時30歳過ぎの私のような者に話しかけてくださった、新田知事との短い会話の中で、大人物とはこのような方を言うのだと、末は大臣か県知事かと感激したことをいまだに鮮明に覚えております。  今回の選挙戦において、新田さんを御支援できなかったことは大変じくじたる思いでありました。あれから10年、まさか私もこのような形で新田会長と、知事と県議という立場で相まみえることになろうとは思ってもいませんでした。さらに、お互いの縁を結んでくれた野上さんも、先日農林水産大臣に就任をされました。まさに十年一昔であります。  ぜひとも知事におかれましては、これからの県政運営においても、中心部ばかりがよくなるのではなく、不滅の火ではありませんけれども、山や里に灯が、明かりが永遠にともり続けるような温かみのある県政運営を行っていただきますようお願いをして、質問に入りたいと思います。  まず、本格的な質問に入る前に、選挙後初めての質問になりますので、素朴な質問をさせていただきたいと思っております。  新田知事は今回の知事選に当たって、新田八朗の富山八策「北陸の十字路」構想と八十八の具体策政策集2020と題して公約を発表されましたが、これは知事にとってどういった位置づけ、どういった想いを持って作られたのか、教えていただきたいと思います。 70 新田知事 ありがとうございます。懐かしいお話を思い起こして、私も質問を聞くのを忘れそうでしたが、十年一昔、そのようなことですね。ただ、人間の本質というのは全然変わらないものだと思います。状況、環境により、いろいろな立場というものはあって当然だと思いますが、安達さんとは昔ながらのいい関係も引き続き続けていきたいと考えております。  それから、富山八策と八十八策に関する質問でした。今、安達委員もおっしゃったように、この選挙期間、あるいはその前の政治活動期間を通じて、約半年以上、各地での集会を250回開きました。集会だけではなくて、その他いろんな局面でいろんな方々とお会いをし、お話を伺いました。そんな県民の多くの方々の御意見、あるいは御要望、切実な状況を取りまとめたのが私の富山八策であり、また具体策の八十八策です。  この活動を通じて実現をしたいと思い、それを選挙期間になってからは私が公約として掲げ、言わば県民の皆様とのお約束であると考えております。  県民の皆さんが豊かで安心して暮らせる、そして思い描いた生活ができる、そしていろんなことに挑戦ができる、夢をかなえられる、そんな富山、そして、それはもちろん、これまで私たちの先人が築き上げてこられた上に今私たちは生活をしているわけでありまして、今の時代を担う者として、次の世代にできれば自分たちが受け継いだときよりもよりよくして引き継ぎたい、将来世代に引き継ぎたい、そのような思いでこの八策、八十八の具体策を作成したということでございます。  県民が主役のワクワクする富山を、県民の皆さん、そして県内企業と、そして15の市町村とともにワンチームとなって築き上げていきたい、そういった思いをこの八策、八十八のマニフェストに託しているということでございます。 71 安達委員 ありがとうございました。  県民の皆さんもこれを読んで、また知事の公約を聞いて投票された方もたくさんいらっしゃるでしょうし、私たち議員もそうですが、県庁職員の皆さんも、この八十八策を穴が空くほど今見ていらっしゃると思います。この政策集には、それだけの重みがあると思っております。  今回、知事は新人でありましたので、公約の変更や修正はもちろんやむを得ないと思います。しかしながら、知事はまだ当選1か月、ある意味まだほとんど何もされていないうちに、次から次へと軌道修正をされておられます。副知事3人の件、市町村長との連携会議毎月開催の件、富山武道館等大型施設整備見直しの件等々であります。  ましてや、今ほども知事の御答弁にありましたように、思いつきで書かれたわけでなく、長い期間をかけて県民の皆様と様々な意見交換をするなどしてまとめられたものだと理解をしております。それだけ時間をかけて作成されたものでありまして、中身も、分野に偏りはありますけれども、分かりやすく、なかなかいいものだと思っていただけに残念であります。  この件についてどのように考えていらっしゃるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 72 新田知事 ありがとうございます。  富山八策、そして八十八の具体策については、現在課題の整理、あるいは効果的な対応策等について、県庁内で検討を進めているところであります。今後、ロードマップを策定し、そして実現に向けて最大限の努力をしていくことは全く変わりません。  一方で、検討を進めていく中で、新たな事情や調査などを踏まえて、段階的な対応をしたほうがいいと考えられる場合、あるいは県議会の皆様と、さらにさらに議論を深める必要があろうと、そのほうが適切だと考えられる場合には、富山八策の大きな方向性は維持しつつ、より具体的、現実的な対応を図っていくということもあろうかと思います。ただ、こういった場合には、もちろん以前の答弁でも答えたように、県民の皆さんに理解をしていただけるように、誠意を持って説明をする必要はあろうかと思います。  そして、今後とも、私の公約である富山八策の実現に向けて、最大の努力をしていくつもりでございます。県議会はもとより県民の皆さんの御意見を聞きながら、県民本位の県政の推進を進めてまいります。安達委員におかれましても、どうか御意見をいただく、また応援をいただければと思います。 73 安達委員 ありがとうございました。私も含めまして富山県民の皆さんが新田新知事の御活躍には大変期待をしておりますので、ワクワクががっかりにならないように、ぜひとも県政運営に取り組んでいただきたいと思います。  次に、先日の本会議での我が会派の鹿熊議員の代表質問における富山経済が停滞しているという現状認識についても、全く答弁がなされておられませんでした。  この点についてどのように認識をしていらっしゃるのか、何人もの方が今回の議会で質問をされて、何度も何度もということでくどくなって申し訳ありませんけれども、私は知事がおっしゃるように、富山に経済発展はなかった、富山の将来が全く見えないなどとはどうしても理解できないのであります。  例えば、知事のおっしゃるGDPは、確かに石川に比べると若干差は開きましたが、これは北陸新幹線の開業による終着駅効果もあり、富山が停滞というよりは石川が伸びたと言えるのではないでしょうか。  現に、アベノミクスが始まった平成24年と最新のデータの平成28年で比較すると、富山のGDPは4兆3,839億円から4兆5,662億円に1,800億円増加していますし、順位も石川の29位には及ばないものの、31位と横ばいであります。  また、1人当たりの県民所得は全国5位と、平成24年から順位を1つ上げていますし、逆に順位を下げている石川の23位を大きく上回っています。また、県民雇用者報酬についても全国8位と、日本海側トップとなり上昇を続けていますし、有効求人倍率についても石川同様、全国トップの水準を維持しておりました。  さらに、製造品出荷額については、平成30年には4兆320億円と、初めて4兆円を突破し、平成24年からは7,000億円余り増加し、石川の3兆1,400億円をも大きく引き離しております。  また、高校卒業者の県内就職率も愛知県に次いで全国2位、就業率、Uターン就職率、企業立地の増加などなど、挙げれば切りがないくらいに着実に発展してきているデータがあると考えます。  富山経済は停滞していたから県民所得、個人所得が全国5位だったのか、経済停滞していたから工業出荷額も6年で7,000億円しか伸びなかったのか、就業率や貯蓄額が全国トップクラスでも停滞なのか、この考えは今も変わりはないのか、訂正するおつもりはないのか、御所見をお伺いいたします。 74 新田知事 ありがとうございます。  今ほど安達委員がいろいろおっしゃったように、近年、本県が全国上位となっている医薬品の生産額、あるいは日本海側屈指の製造品出荷額などのほか、全国上位の有効求人倍率、毎年過去最高を更新している移住者数など、県内経済の成長を示す高い水準の経済指標が数多くあることはもちろん認識をしています。  そして、これまでも繰り返し答弁してきましたが、本県の経済情勢全体を県内総生産から分析をすると、我が国の国内総生産が平成24年度から平成29年度までの5年間で10.76%上昇、また隣県の石川も12.57%上昇している一方で、その同時期、富山は6.02%と、半分程度にとどまっているのは事実であります。オールジャパンで伸びている中で、その伸び率がほかに比べて劣後しているという事実は、これは厳粛な事実として受け止めなければならないと思います。  さらに、これも何度か申し上げましたが、36区分の業種別に詳細な分析を行いますと、全国、あるいは石川では36区分の業種の8割近くが伸びているわけでありますが、富山では化学や機械、金属製品などは伸びていますが、その裾野が6割程度ということで、広がりがあまり、他に比べてやはり劣後しているという事実もあります。  このことから、県内経済全体としては、中長期的な観点で見ると、他に比べて相対的に十分な経済成長ができていなかった部分があるということは言えると思っています。その要因としては、成長の源泉となる新しい産業の育成、もちろん医薬品は育ててきて伸びてきたわけでありますが、さらに次を担うような柱、そういう意味で新産業の育成のこと、あるいは目線の高いベンチャーの創出に向けた動きが他と比較したら弱かったのではないかと、そういうことが一因ではないかと分析をしています。  アフターコロナを見据えて、今後、産業構造が変容していく中で、より一層、新産業の育成やベンチャーの創出、将来の成長の種として重要だと思っています。これらを経済対策の柱として取り組むことで、県内経済の活性化を図っていきたいと思います。  現状は現状として認識した上で、今この苦しいコロナのときだからこそ、次の時代、次の世代のためへの成長の種をまくということ、そして、富山がワクワクするようなになっていくということ、こういうことにぜひ安達委員と共に取り組んでいきたいと考えております。 75 安達委員 ありがとうございました。  この数年間の国や石川と比較したGDPの伸びをもって富山が停滞したと言い切られるのは、大変残念であります。先ほども申し上げたように、富山においては、以前より日本海側屈指の工業集積地として発展してきたということもありますので、今回のアベノミクスでの伸びは少なかったかもしれませんけれども、停滞と言い切るのは大変残念であります。  一方で、今ほど知事がおっしゃいましたように、成長の種をまくということは、これは大変重要なことだと思っておりますので、ここは県民の皆さん一様に知事に期待しておる部分だと思っておりますので、頑張っていただきたいと思っております。  それでは次に、中山間地域の質問に入ります。  まず初めに、単刀直入に、新田知事がまとめられた公約、八十八策には、中山間地域に関する記載が3点しかございません。大変残念に思いました。  新田知事は、中山間地域の果たす役割についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。 76 新田知事 ありがとうございます。  中山間地域の役割についての御質問ですが、県土の保全や水源の涵養、文化の継承、自然と触れ合う機会の提供、食料の安定的な供給など、中山間地域には多くの機能があると考えております。もとより、県域の7割の面積を占め、2割の人口が住んでおられるエリアでありますから、大変に重要な地域だと捉えております。これが基本的な認識です。  例えば、農地の耕作は土壌浸食の抑制に、山間地の水路の維持は山地崩壊防止にも寄与しているほか、水田の水は地下に浸透することで地下水の涵養にも寄与していると。また、集落機能の維持は、地域のお祭りなどの伝統文化の継承にも寄与しておられると思います。さらに、田んぼや用水路などに生息する生き物調査等を通じて、生態系や自然環境を学ぶ場にもなっています。
     しかしながら、中山間地域は、の全体よりも速いスピードで人口減少による担い手不足が進んでいる、集落機能が低下している、こういった現状がさらに進み、中山間地域が有するこれらの機能が失われ、県民の生命、財産、豊かな暮らしが脅かされることになってしまうと懸念されます。  具体的には、農地、用排水路、森林の放置は県土保全、災害防止機能を衰退させ、土砂災害や洪水災害等の発生頻度を高めるほか、荒廃農地の増大は食料の安定供給への悪影響にもつながると予想されます。  このため、本県の貴重な財産とも言える中山間地域の振興について、中山間地域の方々だけの問題ではなく、県民全体で取り組んでいく必要があると考えております。その上で、議員の皆さんの御提案でできた中山間地域に関する条例、これはとても時宜を得た、あるいは遅かったくらいのものだと理解をしています。これに基づいて、今、知事部局でも組織も作りましたし、まだまだ歩き始めたところですが、この組織がより一層、所期の目的を達するように、条例の精神をより具現化できるような組織として鍛えていくことが私の大きな務めだと理解をしております。 77 安達委員 ありがとうございました。  今ほど知事もおっしゃられましたように、県内における中山間地域は、面積で言うと7割を占めておりまして、県土の保全、水源の涵養、伝統文化の継承、生活環境の改善、自然環境の保全、食料の安定的な供給等について重要な役割を担い、県民生活及び本県経済の安定に寄与しております。  中山間地域は、急激な人口減少と超高齢化に直面しておりまして、それこそスピード感を持って手だてを打たないと手後れになってしまいます。どれだけきれいな言葉、格好のいい言葉を並べても、中山間地域が守れなければ美しい田園、豊かな海や森も守られず、自然が廃れ県土の崩壊を招くことになります。そんなところに移住者は来たいとは思わないでしょうし、サテライトオフィスの設置や本社機能を移転しようとも思いません。ぜひともこの美しい富山を守るために、新田知事には、今ほども力強い御答弁をいただきましたけれども、格段の御尽力を賜りたいと思っております。  次に、これまでの石井県政において、総合政策局に地方創生・中山間対策室を設けるなど、中山間地域振興に力を入れてこられました。これらの取組についてどのような認識を持っていらっしゃるのか、評価されるのか、もっとこうしたほうがいいといったような改善すべき点があるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 78 新田知事 ありがとうございます。  先ほども申し上げたように、そして今、安達委員にお話しいただいたように、議員提案条例の制定、そして総合政策局に組織を新設いたしました。そして、今年の3月には富山中山間地域創生総合戦略が策定され、この戦略をいよいよ着実に実行していくフェーズに入っていると理解をしております。そのような意味では、石井前知事の取組を基本的には踏襲をしていく、そしてさらに強化をしていく。先ほども申し上げたように、組織もまだまだできたばかりですから、よちよち歩きの段階だと思っています。  実際に中山間地域を回った際にも、に組織ができたけれども、あんまり中山間地域のことを皆さん理解しておられないようだという率直な御意見を伺ったことも事実であります。これはまだできたばっかりだからしようがないと私はその方には申し上げておきました。でも、だんだんと組織としての熟度を増して、中山間地域というものへの理解も深めていく。  実感としまして、私は子供の頃から富山市の市街地で育ちました。そして一方で、安達委員の地元、あるいはほかの県議の皆さんの地元にも伺う中で、また選挙活動の中で中山間地域を回る中で、やはり入ってみないと分からないことがいろいろあります。やはり市街地で生まれ育った者としては、実感として分からないことがまだまだ多々あると思います。多分中山間地域対策課に配属された皆さんも、そういう方もおられるんだと思います。  今後、できるだけ現地に足を小まめに運び、時には寝食を共にしたりしながら、そうやって中山間地域の生活を体験し、そして理解を深めていく、そんな中から血の通った政策ができてくるものだろうと思います。  現状、足元のことを御説明しますと、地域コミュニティーの再生に向け、地域住民の皆さんに地域の課題や将来像について考えるため、地域での話合いの場を設けていただいています。昨年はその話合いの支援としてファシリテーターの派遣など、8つの地域を支援してまいりました。  また、今年度はそのうちの3地域において、例えば空き家の調査、1つの集まりの場となるコミュニティカフェの開設に向けた講習会の実施など、地域経済活性化へ向け、よちよち歩きではありますが、次のステップに進み始めたところもあるということは、ぜひ御認識も、御理解もいただきたいと思います。  そして、これからは新たにデジタル技術の活用、物理的に距離があるところだからこそデジタルの時空を超えるという、そんな特性が生かされると思います。これを活用していくことが必要だと思います。例えば、オンライン診療について、その動きを注視していきまして、適時適切に関係の医療機関に対して情報を提供したり、あるいは意見交換を行ってまいります。  また、交通に関しては、今、朝日町で博報堂、スズキさんの協力のもと実証実験をしておられますノッカルあさひまちの応援をしています。こういった取組がうまくいけば、ほかの中山間地域にも横展開をしていくことによって、なかなか公共交通機関網では拾えない最後の1マイル、あるいはさらに最後の数百メートル、そのようなところへのモビリティーの確保といったものの拡充にもなればと思っています。  またさらに、ドローンやAIなどを活用して、郵便物や物品の配送の可能性、これについては民間企業のほうに一日の長があると思いますので、連携をして進めていければと思います。このようなデジタル技術を活用することも、中山間地域の振興には極めて有効なことだと考えて、応援をしてまいりたいと思います。 79 安達委員 ありがとうございました。  石井前知事が、退任のインタビューといいますか御挨拶に行かれて、新聞社でインタビューされたときに、やり残したことがあるかというような質問だったと思っておりますけれども、知事は、中山間地域の振興とか、相当力を入れてやってきたつもりだけども、いざこの選挙を通じて県内各地くまなく回らせていただいたときに、まだまだちょっとやり足りなかったようなところ、もっとこうすればよかったなと思ったところが幾つもあったというように答えておられました。  新田知事におかれましては、ぜひとも今ほどおっしゃったように現場に入っていただいて、どんどん声を聞いていただいて、いくらでも私も五箇山から、南砺市は全部中山間地でありますので、平野部でもセッティングしますので、どんどんお越しいただいて、石井県政がやってきた取組に加えて、そこに新田カラーもさらに取り入れていただいて、すばらしい中山間地域の取組になるように期待をしております。  先ほど新田知事からも、県議会で平成31年につくりました富山中山間地域における持続可能な地域社会の形成に関する条例について触れていただきましたけれども、それに基づきまして中山間地域創生総合戦略を策定されまして、持続可能な地域社会の形成に向けての活動をとして始めていらっしゃっておりますけれども、今後この戦略に基づいてどのような施策を展開していかれる所存なのか、知事からも今ほど御答弁いただきましたけれども、改めて柿沢総合政策局長にお伺いをいたします。 80 柿沢総合政策局長 中山間地域の振興につきましては、今年3月に策定いたしました中山間地域創生総合戦略に基づき、今後の施策展開に当たりまして、3つの観点から取組をさらに進めたいと考えております。  具体的には、まず1点目としまして、地域コミュニティー再生の観点ということでありますけれども、現場に足を向けまして、住民による地域の将来像の話合いをお聞きし、支援していきたいと考えています。例えば、現在、南砺市の平地域におきまして、地域資源を生かしたアクションプランの検討を実施いただいておるところでございます。  2点目でありますけれども、地域経済の活性化の観点ということでございます。これにつきましては、若者等によるにぎわい創出への支援、それから農業経営の複合化、6次産業化等による農業所得の向上を目指すモデル農家の育成を行っていきたいと考えております。例えば、南砺市の井波地域では、木彫等の文化を継承しながら地域の課題解決に取り組んでいるジソウラボが、東京等から若者を呼び込んで、起業家、事業者として育成していくという取組を行いつつ、また空き家を活用しましたゲストハウスを整備し、まちづくりに取り組んでいらっしゃるということでございます。  さらに次、3点目でございます。生活サービスの観点からでございますけれども、地域住民等が連携して行う新たな交通サービスなどの取組を支援していきたいと考えております。  なお、こうした取組のほか、先ほど知事から答弁がありましたとおり、AI、5G、ドローンなどのデジタル技術の活用も進めていきたいと考えております。  今後とも、中山間地域の地元集落の声に耳を傾けながら、市や町、そして関係団体と連携し、中山間地域の振興に努めてまいります。 81 安達委員 ありがとうございました。  四国の高知の話なんですけれども、高知では住民の思いを大切にしながら、地域が抱える課題、例えば地域活動の担い手不足や移動手段など生活面での不安、産業を担う人材不足などを解決する手段として、地域住民が主体となって住民がやりたいこと、思っていることを実現するために、集落活動センターを核とした集落維持の仕組みづくりを推進しております。これまでに高知県内10市17町5村60か所以上の集落センターが設立をされており、またそのサポート役として、職員64名を市町村に駐在させるなど、徹底的な地域支援策を続けています。  これまで本県でも、高知には遠く及びませんけれども、地域の皆さんが課題を話し合う機会を創出するための集落をサポートする地域コンシェルジュを配置し、地域の皆さんと共に地域づくりに取り組んでこられましたが、今年はコロナ禍ということで、これまでどおりの活動は行えなかったのではないかと想像しております。どのような活動状況であったのか、お伺いしたいと思います。  また、現在、地域コンシェルジュの配置は僅か1名であります。県下に旧小学校区で見ても127校下もあり、この効果をさらに県下全体に広めるためにも、1名では全然足りないと考えております。しっかりと中山間地域が持続可能な地域として今後も存続していくために、ぜひ少しずつでもいいので増員をして、疲弊する中山間地域のサポートをさらに手厚く行っていくべきと考えますが、柿沢総合政策局長にお伺いをいたします。 82 柿沢総合政策局長 中山間地域の振興につきましては、住民目線による住民主体の取組を進めるため、現地でのサポートをいかに進めるかが重要であることから、昨年6月に地域コンシェルジュ1名を採用いたしたところでございます。  地域コンシェルジュの活動実績につきましては、現在、中山間地域対策課の職員と一緒に週3日のペースで現地に赴きまして、住民主体の地域の話合いの機会を創出すること、それから、地域での活性化に向けた取組に必要な機関や人材を紹介するコーディネーター役としての活動を実施しているところでございます。  具体的には、昨年度は8地区におきまして、地域の話合いを支援いたしましてアクションプラン策定に導いたほか、その後もアフターフォローを実施いたしまして、地域からの相談対応などサポートをしております。こうしたアフターフォローの対応などによりまして、話合い支援を行った地域の幾つかでは、例えば空き家調査の実施などの次のステップ、地域経済の活性化のステップに向けて歩んでいるという実績を出してきております。  先ほどおっしゃいましたとおり、今年はコロナ禍ということで3地域と、なかなか受け入れていただけなかった面もありまして少なくなっておりますけれども、地道に活動を続けているところでございます。  委員御指摘の地域コンシェルジュの増員ということでございます。これにつきましては、受入れの中山間地域のニーズがどの程度なのかということがまずはポイントになってくるのではないかと考えております。現状といたしまして、私どもの中山間地域対策課のほうでも中山間地域に出向いておりまして、住民の方々からもお声を聞いております。そうした中では、現状におきましては、意欲的に取り組むといった声がまだまだそれほど多くないのではないかと考えております。  ただ、におきましては、今もそうなんですけれども、今後も含めて、中山間地域の活性化に向けまして積極的に取組を行っていくつもりでございます。そうした中で成功事例をぜひ増やしていきたいと考えておりまして、そうなってきますと、自分の地域にもぜひとも来てほしいというニーズが出てくるのではないかと思っております。そのように地域からのニーズが増え、現在の体制では対応できなくなってきた場合におきましては、地域コンシェルジュの増員につきましても検討してまいりたいと考えております。 83 安達委員 今ほど地域で意欲的に取り組む声が、まだそこまで大きくないということでありました。それは地域でそれだけの余力がないというか、70歳、80歳のお年寄りが、今から、じゃ何かしようということにはなかなかならないわけでありまして、そういったところに対しては、地域コンシェルジュではなくても、やっぱりのほうから、もちろん市町村も含めてですけれども、入っていただいて、どのようにして地域の悩み事などを解決していくのかというような、こちらからどんどんアプローチをかけていかないと、意欲的なところを待っていても、これはもう見る見るうちに限界集落になって、人がいなくなっていくということになっていきますので、ぜひとも、声がないから増やさないんじゃなくて、増やして、もうこっちからどんどん行くぐらいのやる気といいますか、そういう積極性を出して活動していただきたいと思っております。ありがとうございます。  次に、熊対策についてであります。  昨年に引き続き、今年も熊の出没が相次いでいます。の発表によると、先月末までに594件の出没があり、先月19日には、南砺市において70代の女性が熊に襲われてけがを負いました。これは今年に入って6件目であります。しかし、昨年は20名の方が襲われている、けがをしているということで、これに比べるとかなり減少しておりますし、熊が頻繁に出没する秋だけで言うと今年は1人ということで、16人が負傷した新潟や14人の石川、10人の福井に比べても格段に少ない数字となっております。  これは、猟友会や、市町村等、関係各位のたゆまぬ御尽力のたまものだと思いますが、としてはこの現状をどのように認識しているのか、またどのような取組が功を奏したのか、竹野生活環境文化部長にお伺いをいたします。 84 竹野生活環境文化部長 ツキノワグマの人身被害につきましては、今ほど委員のほうからお話がありましたように、今年は昨年に比べまして大きく減少しております。  その出没や被害が減少した要因といたしましては、堅果類のうちのミズナラの実なりが昨年よりも若干よかったということが1つ要因としてあると思いますが、もう一つは、昨年、人身被害が非常に多く発生したことで、県民の皆さんの熊被害防止への意識が高まったということが大きいのではないかと考えております。  また、といたしましては、9月早々に緊急対策会議を開催しまして、関係機関との情報共有や連携体制の確認を行いますとともに、出没警報の発令によりまして、県民の皆さんに早いうちから警戒を促してきました。また、パトロール経費等への支援を拡充するとともに、今年度から熊捕獲への支援を開始したこと、また県警察におきまして警察官職務執行法の適用に適切に取り組んでいただくなど捕獲の強化に努めたことで、被害の未然防止につながったものではないかと考えております。  さらに、今年度は、放任果樹の伐採経費への支援を行ったことで、柿の木など誘引物の除去について集落での取組が進みまして、不意の遭遇のリスクが減少したことも要因の一つではないかと考えております。  熊が人里に近づかないようにするためには、緩衝帯となる里山林の整備、あるいは移動経路となる河川敷の草刈り、伐採など、熊とのすみ分けを図ることも重要であります。  引き続き、関係部局と連携しまして計画的に取り組むとともに、市町村、警察、猟友会等と緊密に連携し、人身被害の防止に万全を期してまいります。 85 安達委員 ありがとうございます。今ほどおっしゃっていただきました様々な取組のおかげで人身被害が今年は大変減ったんだと思います。これからも、住民の皆さんに対する情報提供や啓発というのは大変重要だと思いますので、引き続き取組の強化をお願いいたします。  一方、今ほど部長も言われましたけれども、これでは抜本的な解決にはならないと思っております。やはり抜本的に解決するには、山の整備が重要であります。先日の川上委員の質問にもありましたが、ではこれまでも、水と緑の森づくり税を創設して、積極的に熊と人とのすみ分けにつながる里山林の整備や森林の間伐、植樹に努めてこられましたけれども、現状を鑑みると、これまで以上に里山林の整備はもちろんのこと、里山の草刈り、下草刈りや生活環境の保全にもなる混交林の整備をさらに加速化させる必要があると考えますが、堀口農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 86 堀口農林水産部長 では、森づくりプランがスタートいたしました平成19年度から令和元年度までの13年間で、ツキノワグマなど野生動物と人とのすみ分けにつながる里山林整備を3,359ヘクタール、また野生動物の生息環境の保全にもなる奥山の人工林でのスギと広葉樹の混交林整備を1,469ヘクタール実施してまいりました。こうした地域住民の皆さんからは、熊が大量出没してさらに整備を進めてほしい、あるいは過疎化や高齢化により地域住民だけでは維持管理の継続に不安があるといった声も伺っております。  このためでは、森づくりプランに基づきまして、令和8年度までにさらに里山林整備1,269ヘクタール、混交林整備321ヘクタールを実施することといたしております。  また、現在、県民の皆さんや県内企業を対象に、水と緑の森づくりに関する県民意識調査を実施しておりますほか、森林クラウド構築のため航空レーザー計測による高精度な森林資源情報の整備を進めております。  今後、県民意識調査の結果を十分踏まえますとともに、さらに地域住民の皆さんの御意見、地元市町村の御要望などもお聞きしながら、詳細な森林資源情報等の活用も含めまして、より効果的な里山林整備や混交林整備をどのように進め、また充実していくか、しっかり検討してまいりたいと考えております。 87 安達委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  ベテランの猟友会の方の話でありますけれども、今年は子熊の出没が相次いでいると。恐らく、一昨年豊作だったのでたくさん子供が生まれ、昨年の大量出没のときに親熊をたくさん捕獲したため、親がいない子熊が、本来ならば奥山へ帰らなければならないところ、奥山まで行かず、もっと手前、例えば里山などで冬眠したのではないかと。それが今回の市街地等への大量出没につながったのではないかとおっしゃっておられました。  また、奥山を知らない熊がこの先一、二年後、親熊になると、このまま里山にすみつく可能性もあり、来年以降も出没する可能性があると。もちろん杞憂に終わればいいのですが、この論が正しいということになれば大変なことであります。そういった意味においても、熊に対する警戒、また森林の整備というのは大変重要であると考えております。  また、それとともに、いざ出没したときに備えて、これは熊に限ったことではなく、毎年のように大量出没するイノシシ等、鳥獣にも言えますが、ハンターの確保・育成にさらなる力を入れる必要があると考えます。  現在の猟友会は大変高齢化が進み、ハンターとなって実際現場で活躍できるまでには、経験等を考えると、ハンターの育成は待ったなしであります。昨今は、鳥獣被害に悩まされる中山間地の若者で狩猟免許を取得する人が増えてきているのは知っていますし、現に私と同年代の友人や市議会議員でも何名も取得しております。私も実際、誘われもしましたけれども、私は虫も殺せないので免許を取っても、もっとお役に立てないということでお断りをしました。  しかしながら、銃を持つということにはお金もかかりますし、非常に時間もかかります。また、先ほど申し上げましたように、狩猟免許を取ったからすぐに即戦力になれるというわけではありません。  として、実際現場で活躍できるハンターを育成するためにどのような取組をされておられるのか。また、今後さらに増員、育成するために様々な支援、取組を行っていく必要があると考えますが、竹野生活環境文化部長の御所見をお伺いいたします。 88 竹野生活環境文化部長 先ほど山崎委員の御質問にもお答えいたしましたが、では熊やイノシシなど、生活環境や農林水産業に被害を及ぼす有害鳥獣の捕獲の担い手を確保するため、狩猟に興味を持ってもらうガイダンスの実施や狩猟免許試験の回数増に努めてきておりまして、免許所持者は着実に増加してきております。  また、既に免許を取得されている方の捕獲技術の維持向上のために、ライフル射撃場の使用料の補助や、フォローアップ研修などを実施しております。さらに、経験の浅い若手の狩猟者を対象にしまして、イノシシ等の大型獣の安全で効果的、効率的な捕獲技術等を学ぶOJT捕獲研修に取り組んでおり、昨年度までに29人が研修を修了しております。今年度からは第2期研修を開始しておりまして、新たに18名が受講しております。  加えまして、この研修修了生と地元ベテラン狩猟者で構成する富山捕獲専門チームを平成30年度から順次設置いたしまして、本年度は8チームが活動しております。チーム内ではICTを活用した捕獲機器の操作方法や効果を検証いたしますとともに、ベテラン狩猟者の現場で培われた経験に基づく捕獲技術の若手への伝達など、技術交流が図られております。今後、チームの拡充にも努め、さらなる捕獲強化に取り組んでいきたいと考えております。  今後とも、市町村や猟友会と連携しまして捕獲の担い手の確保育成を図り、適正な鳥獣管理に努めてまいります。 89 安達委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  次に、高病原性鳥インフルエンザへの対応についてお伺いをいたします。  本県においては、まだあまり大きく報道がなされていないような感じがいたしますけれども、現在、西日本を中心に高病原性鳥インフルエンザが猛威を振るっています。11月5日に香川の養鶏場で発生して以降、福岡、兵庫、宮崎、奈良、広島などで相次いで発生し、今日も和歌山、大分で発生をいたしました。全国で8であります。また、この1か月間だけで既に過去最多となる230万羽以上の鶏が殺処分をされています。また、北海道や新潟、和歌山、岡山、鹿児島などの広範囲の野鳥からもウイルスが検出されました。隣県の新潟でも見つかったことからしても、本県のすぐそこまでやってきていると言っても過言ではないと思います。  現に、先日の農林水産省での対策会議において、野上浩太郎農林水産大臣が、全国どこでも発生のリスクがあるという認識の下、管理を徹底してもらい、各都道府県に対しても蔓延防止の徹底をと述べておられますし、昨日も政府において関係閣僚会議が開催されたようであります。  県内には28の養鶏場がありますが、この養鶏場での発生を未然に防ぐために緊急的な防疫措置が必要だと考えます。発生に備え、今後としてどのように取り組んでいくのか、新田知事の御所見をお伺いいたします。 90 新田知事 ありがとうございます。  高病原性鳥インフルエンザは、家畜伝染病予防法で指定されている家畜伝染病です。非常に感染力が強いことから、養鶏場で感染確認されたら、全ての鶏の殺処分が義務づけられている大変恐ろしい、また経営者としても恐ろしい病気になります。  今ほど安達委員がおっしゃったように、隣県の新潟でも、野鳥ではありますが確認されているところですから、ではこれまでも養鶏農家に対する飼養衛生管理基準の遵守の徹底指導、防鳥ネットや消毒機器の整備への支援、防疫作業を実地訓練する家畜伝染病防疫演習の開催、市町村・関係機関との共同演習、殺処分に必要な防護服や消毒器などの資器材の備蓄、殺処分した鶏の埋却場所や畜産関係車両の消毒ポイントの確保など、県内での発生に備えてきています。  しかし、現下の状況を踏まえると、本県でもリスクが高まっていると理解をしております。そのことから、100羽以上を飼養している、今おっしゃった28の農場へから消石灰を配布し、緊急散布などの防疫対策を行うことを決めております。そして、明日11日には家畜伝染病防疫対策本部会議──農林水産部長が本部長です──を開催します。そして、その防疫の手順や関係団体へのさらなる注意喚起、万が一県内の養鶏場で発生した場合の対応について改めて確認をします。  また、昨日開催の政府の鳥インフルエンザ関係閣僚会議において、全国一斉の緊急消毒を実施する方針が確認されたとのことでありまして、今後、国からの情報収集にも努めるとともに、市町村や関係機関と連携しながら、県内発生の防止に万全の態勢で臨んでまいります。 91 安達委員 ありがとうございます。これはやっぱり初動の態勢といいますか、発生の予防、蔓延の防止が大変大事だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、令和の公共インフラ・ニューディール政策についてお伺いをいたします。  新田知事は、先ほども取り上げました八十八策において、新型コロナによる経済危機を踏まえ、公共インフラの更新事業を前倒し、令和の公共インフラ・ニューディール政策を推進と書いておられます。  そもそもニューディール政策とは、1930年代にアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領が世界恐慌を克服するために行った一連の経済政策であります。代表例を申しますと、多目的ダムの建設など大型公共事業をどんどん行うほか、政府が直接失業者を雇う大規模雇用などで、町にあふれた失業者を集め、国立公園などで建設工事、植林に当たるなどの政策だったと考えております。  知事のニューディール政策は、これまでとは異次元の財政出動を行ってインフラの老朽化対策を前倒しし、コロナで疲弊した経済を活性化、景気の底上げをしようというものだと私は解釈をしておりますけれども、昨今は、国土強靱化事業で比較的工事量が安定しており、現在の建設業にそれだけのボリュームを受け切れるだけの余力があるのか若干心配なところもありますが、どう考えられますでしょうか。  また、財源についてもどうするのか。知事は先日の本会議の質問で、債発行も選択肢の1つとおっしゃいましたけれども、債をどんどん発行して老朽化したインフラを一気に整備するということであれば、これまでにが策定されたインフラの長寿命化計画は、これを見直す必要があると思いますが、どのように考えられるのか。また、この令和の公共インフラ・ニューディール政策にかかる年数、どの程度の予算規模で考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 92 新田知事 ありがとうございます。  では、災害から県民の命と財産を守り、本県のさらなる成長発展につなげるため、骨格となる道路の整備や河川改修、土砂災害対策、港湾の機能強化、農業水利施設の防災・減災対策、インフラの老朽化対策など、社会資本整備を前倒しして、計画的かつ強力に推し進め、県土の強靱化と新型コロナの影響で低迷する地域経済の活性化の双方の達成を目指す、令和の公共インフラ・ニューディール政策を進めていこうと考えております。  この政策を継続的かつ確実に実行するために、また社会資本の整備、維持更新の担い手であり、地域の安全・安心を守る県内建設業が将来にわたり健全に経営していくためにも、委員御指摘のとおり、短期集中的ではなく安定的な公共事業予算の確保が必要だと考えております。  こうしたことから、としては、国において策定されると聞いております防災・減災・国土強靱化のための3か年緊急対策後の新たな計画となる、事業規模15兆円程度とする防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(仮称)の動きなどを注視しながら、国会や県議会の先生方とも力を合わせて、必要となる公共事業予算の安定的、継続的な確保を国に強く働きかけてまいります。  また、建設業の経営基盤の強化を図るため、予算確保はもとより、年度間の切れ間のない発注による公共工事の平準化など、働き方改革の推進や建設現場の生産性向上にも努めてまいりたいと考えております。  地域差もあるのかもしれませんが、先般も竹内茂富山建設業協会会長さんをはじめ、建設業団体の役員の方々がおいでになり、要望も伺いました。決して皆さん、いわゆるおなかいっぱいの状況ではなく、まだまだこのような財政出動の余地はあると私は理解をしております。  そのようなことで、この令和の公共インフラ・ニューディール政策、適時適切に財源の確保にも努めながら進めていければと考えております。 93 永森副委員長 安達委員、持ち時間が少なくなっております。 94 安達委員 今ほど聞いていると、このニューディール政策は撤回されるということなんですか。安定的にやるということは、景気刺激策でどんと財政出動してやるということではないという理解でよろしいんでしょうか。 95 新田知事 今は非常時ですので、ある程度集中しての財政出動が必要かと思います。ただ、このようなことを含めて県土の保全を担っていただく地域の建設業者さんのことを考えると、やはり基本は安定して、長期にわたり平準化した仕事の出し方、発注の仕方というのが必要だということ、これは基本認識としてあります。  ただ、今は非常時だと捉えておりますので、先般も別の場で答弁をしましたように、集中的に、時には公募債の発行もいとわず資金調達をして行っていくということ、これも視野に入っております。 96 安達委員 ありがとうございます。  それでは、最後の質問、時間もなくなってきました。  地域の防災・減災、国土強靱化というのは大変重要でありますし、災害対応や除雪など、県民の命と暮らしを守るためには建設業の担い手確保は大変重要であります。  今後、長期的に国土強靱化、インフラ老朽化対策を進め、安定した工事量を確保するとともに、生産性の向上や労務単価並びに賃金の大幅な上昇を行わなければ、今後建設産業に従事する人はさらに減少し、災害等に対応できなくなると思うのですが、建設業が将来にわたって健全に存続していくためにどのように考えておられるのか、江幡土木部長に御所見をお伺いいたします。 97 永森副委員長 時間が短くなっております。簡潔にお願いいたします。 98 江幡土木部長 建設業の役割につきましては、先ほど知事が申し上げましたように、地域の安全・安心を守る重要な役割を果たしていると考えておりますが、数値上は、富山県内の建設業の従事者数の推移、これは国の調査でございますけれども、平成18年度の約4万9,500人に対しまして平成28年度は約3万9,900人ということで、10年間で約9,600人、約20%減少ということであります。  また、建設業協会が実施した調査におきましても、平成30年度で採用予定者数に対する充足率が約3割にとどまっていると。また、10月の有効求人倍率でも建設関連職業が約8倍となっておりまして、これも全職業の1.13倍に比べ大変高くなっているということで、建設業従事者の高齢化も進んでおりまして、担い手の確保が大変な課題と考えているところでございます。  こうしたことから、ではこれまでも建設業協会と協力をいたしまして、若手入職者確保のための建設系高校による出前講座の実施、それから在職者の定着のための施工管理技士等の資格取得への支援なども行ってまいりました。  また、喫緊の課題ということになりますけれども、発注者といたしまして建設現場における人材の有効活用が重要と考えておりまして、年間の発注予定工事の公表や適正な工事規模や工期の設定、発注の平準化などきめ細かな発注管理に努めますとともに、加えて現場の生産性の向上のためのICT建設機械活用工事の試行や、魅力ある建設現場となるよう週休2日制モデルの工事などにも取り組んでいるということで、今後とも、建設企業が将来にわたって健全に経営していただけるよう、各種取組を進めてまいります。
    99 永森副委員長 安達委員の質疑は以上で終了しました。  ここで、換気のため暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後2時01分休憩                     午後2時10分開議        菅沢裕明委員の質疑及び答弁 100 永森副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  菅沢委員。あなたの持ち時間は60分であります。 101 菅沢委員 新田知事、御就任にお祝いを申し上げます。知事選の結果は大変劇的でありました。  私は本会議などでも、知事は一党一派の皆さんの推薦や公認で決まるということではなくて、知事は県民が選ぶんだということを申し上げました。新田知事も選挙戦でそういうふうにおっしゃっておられたのであります。  そのとおりになったわけでありますが、県民は変化、そして新しいものを求めているように思います。その中身はこれからの議論なんですけれども、新田知事には県民の期待にぜひ応えていただきたいと、このように思っております。  今日は、私はの危機管理、リスクマネジメントに関して幾つか質問することになります。  第1は、原子力(志賀原発)防災対策についてであります。  副委員長、ここで、資料の配付をお願いしたいんですけど、よろしいでしょうか。 102 永森副委員長 許可いたします。 103 菅沢委員 そこで、今配っていただきますけれども、今年も11月22日、氷見市において原子力防災訓練が実施をされ、知事も視察をしておられました。  今年の訓練は、コロナ禍ということで住民の参加も限られ、大体五十数名でしたね、車両も50台ほどでした。車による避難ですね。手順を確認することが中心でありました。また、被曝対策と感染症対策は3密の点などからかなり難しいというか、矛盾するといいますか、両立が難しいことなどが明らかになったと言えると思っております。  そこで、の原子力防災計画、避難計画、訓練などの問題点について、幾つか質問をしてまいります。  第1点は危機管理監にお尋ねしますけれども、今お配りをしました図1)を御覧いただきたいと思います。  11月22日は、石川でも30キロ圏内、UPZと言いますけれども、その4市4町──15万人ほどが対象になっておりますが──を中心に避難訓練が実施をされておりました。  そこでお尋ねしたいのは、石川の避難計画では、30キロ圏内の七尾市など2市2町の住民が氷見市を経由して金沢方面へ避難することになっております。その際に、氷見運動公園及びB&G海洋センターの避難退域時検査場所を利用することになっておりますが──石川の避難計画書を見ると、そうなっておるのでありますが──石川のどの市、町から何人ぐらいになるのか。私は七尾市や羽咋市を中心に1万人から2万人になるんじゃないかと思っておりますが、何人の住民が利用し、これら住民のうち、車両による避難ですね、私は大体7,000台ぐらいが対象になるんじゃないかと思っておりますが、どうなんでしょうか。  氷見市と県境で隣接する2市2町の住民は約11万人でありますので、その中から、一、二万人、車両で7,000台と私は試算をいたしておりますけれども、県境でつながる道路は、能越自動車道、国道160号、国道415号、そして県道は5本、そのほかに市町村道、林道などたくさんあるわけであります。石川のどの市、町から何人くらい、車両でどれくらい、避難するのか、そして退域時の検査場所を利用することになるのか、お尋ねしたいと思います。いかがですか。 104 砂原危機管理監 石川避難計画要綱によりますと、幹線道路を中心に基本的な避難ルートを設定した上で、地震等により道路が被災することなども考慮し、各市町村ごとに複数の避難ルートを設定されています。  そのうち、七尾市、羽咋市、中能登町からの避難ルートにつきましては、石川県内のルートに加え、富山県内を経由するルートも設定されています。  具体的には、七尾市から金沢市への約5万人、羽咋市から金沢市への約2万3,000人、中能登町から津幡町への約1万9,000人、合計約9万2,000人のうち、一部の方々は避難の際に富山県内を経由して避難されるということが想定されております。  これらの方々が本を経由して避難される際の避難退域時検査につきましては、氷見運動公園を候補地としていることから、では石川に対しまして、想定される人数や車両数を具体的に示すよう求めているところであります。  現在、石川からは、七尾市、羽咋市、中能登町の3市町において検討を進めているところであると聞いております。  今後、人数や台数が示されれば、氷見運動公園での避難退域時検査の運営方法などについて協議を行ってまいります。 105 菅沢委員 私は今のお話で、なかなか納得いかない面があるんです。原子力防災の取組が始まって10年、避難訓練が始まって約9年なんですね。この段階に来ても、まだ避難の際の退域時検査にどれだけの人数や車両に対応しないといけないのか、石川から明らかにされてないということは、この原子力防災計画、避難計画の大きな欠陥ではないかと私は思っております。  そこで、先ほどの質問で、避難住民、車両の試算を私は示しました。大体、七尾、羽咋両市と中能登町を中心にして対象の住民は、宝達志水町を入れると11万人近くになるのでありますが、10%、20%にしても1万人から2万人なんですね。大体富山と同じような割合で考えると車両も7,000台ぐらいになるんですが、私の試算はいかがですか。 106 砂原危機管理監 実際、具体的に何台になるかというのは、まさに計算されているところでありますが、委員の試算によりますと、そういう数字になることは、おっしゃるとおりでございます。 107 菅沢委員 これくらいでちゃんと見ていいということですか。 108 砂原危機管理監 いずれにしましても、実際、災害発生時に幾つものルートが設定されますので、その中で氷見運動公園にどれだけ来られるのかということは、ある程度シミュレーションしていく必要があると思いますので、そこはしっかり石川にも、こういった場合にはこういうふうになります、何人になりますということをしっかりと示すよう、これからも要請していきたいと思っております。 109 菅沢委員 それは曖昧にしてもらっちゃ困る。確かに避難時の具体的な対応は、ルートも含めてかなり不確定なところが多いのでありますが、しかし、避難訓練の際には一定の見通しを持ってやらなきゃならんと思います。  2枚目の表1)を御覧いただきたいのでありますが、これによりますと、避難退域時検査場所である氷見運動公園及びB&G海洋センター──知事もこの間、御視察をいただきましたあの場所ですが──ここには、私の試算では、30キロ圏内の1万3,870人の住民のうち7,500人近くです。そして避難自家用車台数については、のアンケート調査で出ている6,400台ぐらいのうちの大体3,500台です。避難用バスは65台のうち35台であります。  これに、今の私の想定、あなたも大体認めたところの想定でいきますと石川から避難住民は1万人から2万人と、車両の台数も自家用車両が1万台ぐらいになります。バスは、氷見だけで35台ですが、恐らく倍、もっといくかもしれません。70台前後になります。このように地域住民と車両、バス等があの氷見運動公園及びB&G海洋センターに集中して来るわけであります。  そこでお尋ねしますけれども、表1)に避難退域時検査場所として氷見運動公園のほかにも4か所あるわけでありますが、これらの場所では、次々と到着する多数の住民、車両──氷見運動公園及びB&G海洋センターは先ほどのような数でありますけれども──を受け入れ、駐車待機するスペース、そして検査し、除染をする場所の確保、そして汚染されている場合の簡易除染などでも、基準を下回らない避難者の持ち物や車両はその場所で預かることになるわけであります。そういった場所の確保等々、そしてそれぞれの機能が発揮できるような十分なスペースというものが必要なのでありますけれども、例えば氷見運動公園及びB&G海洋センターは、そういうことが可能かどうか、これは検証されているんですか。 110 砂原危機管理監 避難退域時検査場所につきましては、国のマニュアルにおいて、UPZ境界付近で住民の避難所までの移動が容易な場所、などの要件が示されており、住民の避難ルートごとに、国、、氷見市で現地視察も行いながら検討し、この5か所の候補地を選定しております。  このうちの氷見運動公園につきましては、地元住民約7,400人、自家用車約3,600台の受入れが想定されますことに加え、石川からの避難者の受入れも──その災害の状況にもよりますけども──想定されることから、効率的な検査導線の整備が不可欠と考えております。このため、国の全額補助により、車両検査場所の舗装や避難道路の冠水対策等を進めております。  今年度の訓練では、やむを得ず自家用車とバスで場所を分けて検査を行いましたが、車両検査場所が整備された後は、車両が一筆書きで移動することが可能となり、検査効率が向上するのではないかと考えております。  なお、公園の整備完了後は、地元住民、車両の検査に要する時間を計測しつつシミュレーションを行い、効率的な検査の実施について、検討、検証を行ってまいります。  また、石川からの避難者を想定した検査の実施につきまして、石川や国、関係機関と協議してまいります。さらに、候補地の追加が必要であれば、国や関係市町村との協議の上、対応してまいります。 111 菅沢委員 あなたは簡単に一言で述べられたような感じですけれども、私はこの氷見運動公園及びB&G海洋センターで、氷見の住民と石川の方々、車両も含めて、2万人、または1万台がここで駐車し、待機し、検査を受け、除染の作業を受け、簡易除染の場合の様々な預かり等ができるとは到底想像できません。それを本当にしっかり検証していくつもりがあるのかないのかということなんです。  私は、ぜひそういった意味でのシミュレーションをやってみる必要があると思うんですが、いかがですか。 112 砂原危機管理監 今もお答えいたしましたが、氷見運動公園は現在整備を行っておりますので、この整備完了後は、例えば地元の住民の方や車両の検査に、1人あるいは1台当たりどれくらいの時間を要するか、受入れ能力がどうなのかということのシミュレーションを行っていきたいと思っております。  そこには、当然これから石川からの避難者というのも加味されていますので、そこも含めたシミュレーション、検討というのもしっかりやっていきたいと思っております。 113 菅沢委員 あなたは、また随分簡単におっしゃるけれども、図2)を見ていただきたいわけです。  ここに氷見運動公園の図面がありまして、御覧いただきますと、例えばずっと下のほうの赤い枠の中にどういうことが書いてあるかといいますと、「地盤が悪いため検査会場とした場合にぬかるみ、自家用車が動けなくなる危険性を考慮し、基本的には関係者駐車場として使用する」と。ここは極めて地盤が軟弱なところでありまして、昔、住宅供給公社の県営事業の開発が行われて破綻したところなんです、地盤の問題で。そしてB&G海洋センターそのものも、周辺は地盤沈下で建物が浮いているような感じです。建物が浮いているんじゃなくて、地盤が沈下しておるわけです。そして、実はここの野球場のグラウンドも含めて非常にアップダウンがひどくて、今整備中です。後で触れますけれども、今度のモデル事業で対処する都市計画道路もアップダウンはひどいです、地盤沈下でね。そういうところなんです。  そこで、この避難退域時検査場の氷見運動公園及びB&G海洋センターの周辺で、今、原子力災害時避難円滑化モデル実証事業が総事業費3億5,000万円で、全額国の交付金事業の採択を受けて、2018年度から3か年計画で様々な事業が実施されております。  その内容は、先ほど申し上げたわけですが、この地域は地盤が軟弱で沈下傾向が著しいことで有名でありますので、避難道路の冠水対策として、地盤沈下のアップダウンの著しい既設の都市計画道路、200メートルの改修。もう一つは、検査導線の円滑化対策と称して、公園内の野球場──現在、運動公園整備事業としてバックネットや観客席などの改修が進んでおりますが──ある意味ではそのための駐車場の整備、320台分が中心になっているわけであります。  避難道路の冠水対策や検査導線の円滑化対策事業などと言っていますけど、実際は市営の都市計画道路の改修と運動公園の野球場の駐車場整備というのが実態なんです。私はそういうことをちゃんと確認していますよ。私は、そういうことにこのモデル事業が充てられているということ──こういう非常に軟弱な地盤で問題のある、車が駐車したら沈むんじゃないかという心配のあるところで、しかも、本来は市の一般財源でやらなきゃならないような仕事を原子力災害時避難円滑化モデル実証事業ということでやっていること──に非常に問題意識を持ちます。  これは、原子力災害関連事業に便乗する、利用主義という批判は免れないと思います。しかも、こういう事業をやってみても、本当に2万人近くの人、1万台近くの車両を受け入れるような機能を発揮できるか、私は非常に大きな問題だと思っておりますが、いかがでしょうか。 114 砂原危機管理監 今御紹介いただきました原子力災害時避難円滑化モデル実証事業は、原子力災害時の交通誘導対策の強化や避難経路の改善を行い、住民のより円滑な避難を図ることを目的として、内閣府が平成30年度から3か年限定で新規採択する事業として創設されております。  氷見運動公園は、広大な敷地と体育館を有すること、住民の避難経路からアクセスがよいこと、ヘリコプターも着陸可能で、緊急時の資機材と要員の配備が容易であることなどの利点を有しており、大変重要な検査候補地であると考えております。  一方、この公園は、御指摘いただきましたように、自家用車とバスを効率的に検査するための導線整備や、公園に隣接する市道の冠水対策、避難住民の検査会場への誘導看板の設置など、そういった課題がありましたことから、国のモデル実証事業、この交付金の採択をいただき整備することとしたものでございます。  このように、この整備事業は、原子力災害時の住民の円滑な避難を目的としたものでございます。引き続き、国や氷見市と連携し、事業の着実な推進に努めてまいりたいと考えております。 115 菅沢委員 あなたと私は全くすれ違い。かみ合わない。あなたは現場を見てない、恐らくね。私はしっかり現場も見て、この間の訓練にも、あなたも来ておられたかもしれないけど、日頃から見ていますから。すれ違いどころか、あなたね、全く空想というか、現実に合わない。  私は、氷見市はもとより、も含めて、このような場所をモデル事業に採択したことは、非常に安易で、ある意味では特にの責任は大きいと思っています。  そして、こうしたモデル事業を使って、本来は市の一般財源でやらなきゃならないような都市計画道路の改修や野球場の駐車場を整備するという、これはこの間問題になった県立中央病院の原発防災用の救急車の一時利用と、私は全く同じ性質のものだと思っているわけです。  そういう意味では、こうしたずさんなというか、この事業を貴重な財源を使ってやっている、その財源があったら、もっとやらなきゃならないこと、原発防災のためにまだまだ実施しないといけないことが後回しになっていることが多いんです。  そういう意味で、生命の軽視につながるような姿勢で、あなたは危機管理監という肩書ですが、そんな姿勢でいいのかね。ここであなたを追及して終わるのも、ちょっと変だからこれでやめますけれども、知事にあとお尋ねしながら、さらにただしていきたいと、このように思っております。  砂原さん、ありがとう。  知事、原子力災害対策は、私は県政の喫緊の課題であると思っています。県民の命、地域の暮らしの安全を守るために、要の大事なことが先送り、放置されているように思っております。  福島第一原子力発電所事故以来10年、の地域防災計画(原子力災害編)が策定され、避難訓練の開始から約9年経過しましたが、原発の苛酷事故から県民、地域住民の命と健康を守るために、知事には財源の確保に努めて、万全の備えをお願いしたいと思います。  そして、先ほどからのような、ずさんなというか、行き当たりばったりの見通しのない、2万人の人、1万台の車があそこへ、もちろん避難は段階的に行うということもあるんですが、原発事故の場合は、それはなかなかうまくいかないと思います。一斉に大渋滞の中で大混乱、はっきりしています。  そういったことも含めて、ずさんな、ああいうことが行われておりますので、しっかりと知事もそこを御覧いただいて、今申し上げましたような、原子力災害にしっかり取り組む知事のお考えをお伺いしたいと思います。 116 新田知事 菅沢委員、ありがとうございます。  では地域防災計画(原子力災害編)、今御指摘いただきましたように、それを策定して、立地であるところの石川、あるいは30キロ圏内の氷見市とも密接に連携しながら原子力災害対策を推進してきたところです。  委員から今お話がありました課題について、放置しているという御指摘もありましたが、これまでの議会における菅沢委員からの御指摘も踏まえながら、としては着実に進めてきたとは思っております。  まず、例えば、特別養護老人ホームつまま園で放射線防護対策を実施しております。そして、社会福祉施設における避難計画作成支援、また避難行動要支援者の個別計画作成支援、それから氷見市と連携した安定ヨウ素剤の備蓄、バス協会と連携したバス運転手への原子力防災研修の実施など、課題解決に向け、関係者と相談しながら一つ一つ取り組んできたと承知しております。  また、これらの取組をはじめ、放射線のモニタリング、必要な資機材の調達、訓練の実施等の事業は、いずれも国の交付金等の財源を確保して進めてきました。  ただ一方で、避難用のバスの確保、感染症対策にも留意した安定ヨウ素剤の配布、避難退域時検査の円滑な実施、要支援者の避難計画の見直し・充実など、まだまだ取り組むべき課題があり、改善を図っていることは認識をしています。  今後とも、原発事故から県民、地域住民の生命と健康を守るため、御指摘の必要な財源の確保にも努めてまいります。また、国、石川、氷見市、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。 117 菅沢委員 知事からは、一定の前進をしているところと、残されている課題の整理があったかのように思いますけれども、私からさらに、遅れている、しっかりやらなきゃならない対策や問題点を幾つか指摘をさせていただきます。  さきに質問した避難退域時検査場所の問題もありますが、もう一つは、氷見市内30キロ圏内には、今お話もあったかもしれませんが、入所型の介護施設は7か所あるんですが、放射線防護の施設設備が終わっているのは1か所だけであります。1か所の整備に大体2億円以上かかるんですけども、7か所のうち1か所しかやっていない。  2つ目に、事故発生の際の一時集合場所は14か所あるのでありますが、ここに集まってバスなどで避難をするんですが、その14か所のうち3か所はコンクリート造りではありません。古い昔の学校、廃校を利用しているとか、公民館ですね。さらに、4か所は耐震化されておらず、国の一時集合場所の基準を満たしておりません。  次に、これは4つ目になるんですが、今もお話があったように、社会福祉施設における避難計画や避難行動要支援者の個別計画がつくられなければならないわけでありますが、福島第一原子力発電所事故の例を見ても、弱者、高齢者の安全、生命の軽視につながらないように、しっかりしなければなりませんが、現在、氷見市内にはそういう要支援者が3,000人ほどおられるのでありますが、個別計画ができているのは93人にしかすぎません。  次に、安定ヨウ素剤の備蓄、配布計画がまだ未確立であります。一時集合場所のうち、無人の5か所での保管──無人の5か所で保管されているんですよ──は緊張感を欠くずさんなもの以外の何ものでもありません。  次に、住民避難用のバスの確保については、の計画では65台が必要になっておりますが、バス事業者との間の協議が詰まっておりません。新型コロナ感染症等の関連で大幅に増えることになろうかと思います。恐らく百四、五十台は必要になるでしょう。これは到底無理ではありませんか。詰まっておりません。  次に、後で述べますけれども、北陸電力との原子力安全協定の締結については、協議が長期間中断しておるわけでありまして、の意欲はほとんど感じられませんね。  いろいろと問題点を整理して申し上げましたけれども、これらは先送りされ、遅れている施策の列挙であります。ずさんなものもありますよね。これは、ぜひ知事、しっかり押さえていただきたい。  今日、あなたにこの1つずつに認識を問うて、どうするんだと詰めるような議論をするつもりはありませんで、知事、これは事実ですから、私が申し上げているのは。先ほどの氷見運動公園の対応にしても。  避難退域時検査というのは何かということを申し上げる時間を省略しましたが、仏生寺公民館というところがありまして、丘の上の廃校なんです。そこは1車線の道路を10メートルほど上った高台にあるんですけど、ここに、先ほどの私の配付資料で言いますと、住民が2,000人近く、自家用車が900台近く、バスも9台行くことになっておりますが、これは全く不可能で、どうも砂原危機管理監はここを見ていらっしゃったようで、あそこは無理だというようなことを常任委員会で言われていたのではなかったでしょうか。  ちょっと話が前後しましたが、知事、今日はこの一つ一つの詰めた議論はやめておきましょう。そこで、その中の1つであります安全協定の問題だけは、ちょっと触れさせてください。  原子力災害の際には、住民の安全を確保する義務というのはや市町村に法的にあるわけでありますが、ただ、原発を建設したり運転するのは事業者であり、それについて監視するのは国の役割であります。そういう意味では、も含めて自治体というのは、住民の安全を守る義務を課されながら、責任があるのに根拠がはっきりしていないという矛盾があろうかと思っております。  そういう意味で、事業者との間に原子力安全協定が締結されていくわけでありますが、先ほどから申し上げましたように、としての締結の必要性についての認識、意欲に欠けるんではないかと、この間の長い中断を見ますと。私はそのように見ておりますが、知事、いかがですか。 118 新田知事 ありがとうございます。  平成24年2月にと氷見市から北陸電力さんに対し、立地自治体と同等の安全を確保するための安全協定の申入れを行い、平成27年8月まで5回の協議が行われましたが、その後、協議が中断しているのが現状です。  この協議の間、平成26年8月には、北陸電力より国に対し、志賀原子力発電所2号機の新規制基準適合性審査の申請がなされ、現在においても敷地内断層の審査が継続的に実施されているのは報道のとおりです。また、平成25年6月から、志賀原発2号機の安全性向上施策工事がほかの電力事業者の審査状況を反映しながら進められております。  こうしたことから、北陸電力では、敷地内断層の問題への対応など、新規制基準の適合性審査への対応や安全性向上工事の状況などの志賀原発をめぐる状況から、早期の協議の再開は難しいとのことで現在に至っております。  としましては、原子力発電所の安全の問題は大切であると認識しておりまして、引き続き氷見市と連携して、立地と同等の安全を確保できる協定の締結を北陸電力へ強く求めていきます。  これまでも再三に求めてきたことでございますが、引き続き粘り強く求めてまいりますが、交渉事ですので相手の状況もあるとは思いますが、委員御指摘のとおり強力に申し入れていくことは、やります。 119 菅沢委員 今の御答弁は非常にしっかり把握をしてらっしゃって、知事の意欲も感じます。  問題は北電の言い分なんですけれども、敷地内断層の問題への対応や新規制基準の適合性審査への対応等で、ある意味では忙しいと、なかなか問題が詰まっていかないということや、安全性向上施策工事を2,000億円ほどかけて北電はやっているんですけれども、そういういろいろな状況等があって、早期の協議の再開は難しいと、どうもに話をしているみたいです。これはしっかりそこをこじ開けて、北電としっかり、立地と同等なんてことを知事おっしゃったんで、これは非常に評価できます。  そこで、知事、先ほど私は取組が遅れている、ある意味では進んでない面を7つか8つ申し上げたんですけど、何か感想はありましたか。安全協定のようにしっかりと前向きに、ぼんっと、こういうふうな答弁をしていただくと私は大変ありがたいんですが、先ほどの話について何か感想ありましたか。遅れているなとか、安定ヨウ素剤を無人のどこか古い公民館の冷蔵庫に入れているなんていうのはいいのかとか、あるんですよ。何か感想ありましたか。 120 新田知事 先ほど菅沢委員から個別具体的に御指摘をいただきましたが、そのいずれの項目も課題であることは共有しておりますので、御心配なく。ただ、進捗状況について十分でないという御認識、それも共有はしております。やっぱり1つずつ解決はしていきたいとは考えております。今日のところは、そういうお答えにさせていただきます。 121 菅沢委員 知事に原発、防災関係の最後の質問になるんですが、今年で9回目の訓練になるのでありますけれども、参加する住民の数──30キロ圏内には1万4,000人近くの氷見の住民が住まいをしておられますけれども──毎年、大体200人から300人、少ないときは100人ぐらいでした。住民の数%です。しかも、車両による避難というのは、これは要の問題なんです。渋滞対策と言っていいのでありますけれども、これも6,500台近くが車両で避難すると言われているのに、始まったのはここ数年で、5台、10台から始まって、ようやく50台のようなことであります。今年も50台近くの車両が避難しまして、安定ヨウ素剤をドライブスルー方式で配付したところ、1台に20分かかったそうで、大変な状態でした。
     つまり、今までの避難訓練というのは、手順を確認するような訓練の内容で、実効性があるのかどうかということが問われているわけであります。  福島第一原子力発電所事故のような苛酷事故の中で、放射線を避けて避難をする、これが基本でありますけれども、そのために実効性のある訓練に転換をすることを知事に求めたいと思うんですが、いかがですか。 122 新田知事 今年度は新型コロナ禍の中ということは事実でありまして、地元の上庄地区、熊無地区の役員の方約65名に自家用車、バスによる避難訓練や避難所運営訓練に御参加いただきました。両地区の住民約1,600名をはじめ、UPZ内の多くの市民には屋内退避訓練に参加いただきました。  なお、平成24年度の第1回から昨年までの合計で、約2,000名の住民に自家用車、バスによる避難訓練に御参加いただきました。人口に占める割合は約14%となります。多いか少ないかということではございますが、他と比べれば高い割合で参加いただいているとは評価をしておりますが、菅沢委員おっしゃるように、今後、参加される住民の数を増やし、より実効性のあるものにしていく、そして課題を検証することが大切だというのは御指摘のとおりでございます。  また、その一方で、週末に長時間訓練に拘束されるのは避けてほしいといった声が住民から来ているのは事実であります。住民の皆様への原子力防災訓練であるわけですが、住民の皆さんのお考えも多様でありますから、そういう声もあるとという立場では、そういった声にも配慮の必要はあろうかと思います。  ただ、やはり万が一に備えるのが訓練でありますから、そのような方には、避難訓練の意義というものを十分に御理解いただく努力を引き続きしてまいります。そして、住民の御負担にも配慮した訓練の在り方、こういうことも大変難しいこととは思いますが、模索していく必要があろうかとは思います。まずは、訓練に参加いただく地区の数を拡大できないか、地元氷見市や関係機関と今後も協議検討してまいります。  いずれにしろ、こういう訓練というのは、ゴールというのはないわけでありまして、また、いつ、いざということが起きるかどうかも分からないわけでありまして、とにかくできる範囲で愚直に続けていく、そのようなことが大切かと思っております。 123 菅沢委員 今、実効性のある訓練に向けて具体的な改善を図りたいと、もちろん大規模ということは、なかなか車両も含めて難しい面もあるのでありますが、できるだけそういう改革を進めたいというお話で、私はいい御答弁をいただいたと思っております。  拝見いたしますと、の防災・危機管理課や危機管理監を経験なさった幹部が非常に多いんですよ。竹野さんはこの間まで危機管理監で、柿沢さんはこの間まで防災・危機管理課長でした。皆さん実績を上げていらっしゃるけれども、何でこういう大幹部の前で今日のような議論をしなきゃならないのかと、知事、私は思っているんですよ、本当は。そういう経験者が多いわけですよ、しかも優秀な方々なので、督励をいただいて、大きく転換、改革をしていただきたいと思っております。  時間がもう迫っているんですが、続いてコロナ対策についての質問に移ります。  おとといですけれども、政府が新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加経済対策を打ち出しました。内容はいろいろあるのでありますが、その中にはコロナ関連が6兆円ほど含まれておりまして、非常に期待されます。  危機感の欠けるGo To トラベル事業の延長や持続化給付金の打切りは問題があります。しかし、そうはいっても新型コロナの対応を直接行う医療機関向けの緊急包括支援交付金の拡充、さらには期待をされた地方創生臨時交付金に1兆5,000億円を計上されておりまして、これでいきますと、富山に100億円ぐらい交付されるんじゃないかと見込まれますが、そういう中で、ぜひ中小零細企業への手厚い支援や生活困窮世帯への給付金などの事業が求められていると思います。  そして、これらの各種助成金や支援金が早く現場に届くようにしなければならないわけでありますが、知事、こうした国の補正予算の成立を受けて、今後どのような対応をなさるおつもりか。私は、年明けの3月以降では緊急の支援策にはならないと思っているのであります。そういうことでお尋ねしたいと思います。 124 新田知事 ありがとうございます。  12月8日に発表された国の国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策は、新型コロナの感染拡大防止、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、防災・減災、国土強靱化の推進の3つの柱で事業規模73.6兆円ということでございます。  今回の経済対策では、新型コロナ対策として、地方創生臨時交付金が1.5兆円増額されています。また、緊急包括支援交付金の増額、拡充も図られています。そして、自治体のデジタル化の推進、中小企業等の資金繰り支援や雇用の維持確保、地方におけるテレワークの促進、防災・減災、国土強靱化の推進なども示されており、本県をはじめ全国知事会からの強い要請を踏まえたものとして、評価をしております。  としましては、今回の経済対策を踏まえて、今後編成される国の第3次補正予算案の具体的な内容の把握に努めてまいります。そして、国からの財源も最大限活用した追加の補正予算案の編成について、新年度予算案の編成作業と並行して、スピード感を持って検討してまいります。おととい申し上げたようなことでございます。  また、県内における新型コロナの感染状況や経済状況も踏まえながら、改めて県議会の皆様とよく御相談をさせていただきたいと思います。いずれにしてもスピード感を持ってやります。 125 菅沢委員 時間の関係があるので、厚生部長に予定していた質問は省略させていただきます。  重ねて知事にお尋ねするわけでありますが、新型コロナウイルスワクチンの開発が進んでおりまして、まだ数か国でありますけれども、英国では実用化の段階に入ったということで大きく報道されております。日本国内、県内での接種に当たっては、何よりもまず安全性の確保が担保されなければならないということは言うまでもありませんが、しかし、できるだけ早期に接種を開始できるよう、必要な体制を着実に準備することが求められているわけであります。知事はこういった取組をどのように、本県として進められるのかということであります。  超低温(マイナス70度)での保管の問題や、接種は高齢者や医療従事者が優先と言われておりますけれども、国から都道府県に通知が出されておりまして、都道府県があらかじめ準備しておくべき事項等、例えば人的体制の問題、ワクチン流通調整などが示されておるわけでありますが、における接種の実施体制は今後どうなるのかをお尋ねしたいと思います。 126 新田知事 ありがとうございます。  新型コロナウイルスのワクチンについては、世界の多くの企業が開発に取り組んでおり、先般イギリスでワクチンの接種が開始されたということは報道されたところです。ただ、今朝の報道では、2人の方にアレルギー症状が出たという報道もあります。よく日本の医療、薬事行政が遅いんじゃないかという御指摘もあるようですが、万が一のことがあると影響がとても大きいので、慎重にやるという姿勢はやっぱり大切だと思います。  我が国では、国民全員が接種できる量のワクチンを来年前半までに確保する方針ということです。欧米の製薬会社3社と契約合意に達しているということです。現在のところ、接種開始の時期の見通しは未定でございます。  こうした中で、去る12月2日、新型コロナウイルスワクチンの接種無料化を柱とする改正予防接種法が成立し、ワクチン接種の実施主体は市町村とされ、都道府県は広域的な観点から市町村を支援することとされております。  具体的な都道府県の役割ですが、今ほど委員もお触れになりましたが、ワクチン流通等に関する地域の卸売業者との調整、国との連絡調整や接種スケジュールの広域調整、優先的な接種の対象となる医療従事者等への接種体制の調整などを行うこととされており、現在、では担当職員を配置して地域の卸売業者との情報交換などに努めております。  現時点では、ワクチンの安全性はもとより、どのような種類のワクチンが、どのようなスケジュールで、どの程度供給されるかなど、まだ不確定な部分が多々ありますが、引き続き情報収集に努め、実用化された際には速やかにワクチン接種を開始できるよう、市町村と連携して、接種体制の整備、できるところはどんどん進めてまいりたいと思います。  今、委員御指摘のあったように、もしマイナス70度で保管するものを選ぶとしたらその保管体制も必要ですが、そのようなところが不確定だということで、できるところまで、動けるところまで動いていこうと考えております。 127 菅沢委員 ワクチンには大変期待が大きいわけです。ただ、本格的な動きはまだこれからというか、年明け、いつ頃からになるのか、しかも、日本国内で、地域でとなると、相当しっかり準備もしていかなきゃならないと思いますので、今から万全の体制に向けて準備を急いで行うということで受け止めました。  コロナに続いての危機管理、リスクマネジメントに関する質問をあと2問続けたいと思っております。  その1つは、公営企業管理者にお尋ねするわけですが、県営上水道、工業用水道に関係する和田川ダムから和田川浄水場への導水路は約1,900メートルありますが、これは隧道、トンネル構造であります。この隧道の法定耐用年数が残り6年となる中で、導水トンネルの現状調査が今年の7月から9月にかけて実施をされました。その結果がどうなっているのか。調査結果が出たようでありますので、その評価と、今後どのように行われるのかということであります。  また、今後はこの隧道の更新が課題になると思いますけれども、隧道でいいのか、これは本当に富山の工水、上水の要、根幹の問題であります。工業用水道事業で言えば、和田川に100%依存しております。30万トンの計画に対して契約が20万トンでしょう。西部水道用水供給事業については子撫川水源もありますけれども、これも和田川が根幹であります。  このように隧道という大変不安定な形でいいのかどうかということであります。別ルートでの整備を実施する場合の見通しはどうかということをお尋ねしたいと思います。 128 山本公営企業管理者 御指摘の導水トンネルの現状調査につきましては、昨年の11月議会におきまして、菅沢委員から危機管理の面から御質問をいただいたと思っております。その際、有効な調査方法がなかなか見つからないということで、調査手法を調査するというような曖昧なお答えをしておったわけでございますが、今年度、幸い、トンネルに通水しながらトンネル内部全面を撮影可能な水中ロボットを保有する専門業者を何とか見つけ出しまして、ここに委託をし、延長約1,890メートルのうち、ロボットの性能上調査可能な1,500メートルの区間について調査を実施いたしたところでございます。  その結果、トンネル内部におきましては、コンクリート継ぎ目部などの小規模な剥離が9か所、目地の開きが17か所、側面部などで横断方向の亀裂が3か所確認されたところでありますが、いずれも軽微なもので、直ちに導水に影響するものではなく、現時点ではさらなる詳細な調査は必要ないという報告をいただいているところでございます。  ただ、私どもといたしましては、今後この報告を踏まえて、学識経験者などの専門家から御意見をいただいた上で、調査結果の妥当性について検証していきたいと思っているところでございます。  導水トンネルは、御指摘のように耐用年数も迫っておりまして、いずれ改修が必要になるわけでございますけども、このトンネルは委員から御指摘ありましたように、水道事業及び工業用水道事業の要となる施設でございまして、常時満水の状態で運用しているところでございますので、もし改修しようとすることなりますと、別ルートを新設して水を迂回させる必要があると考えております。経済性の観点では、開削するのではなく、同じようにトンネル形式を採用するのが妥当ではないかと考えておりますけれども、それにつきましても多額の費用を要するであろうということが想定されますので、着手するに当たりましては、財源や料金への影響などにつきましても十分検討する必要があると考えております。  今後とも、定期的な調査によりまして状況を常に把握しますとともに、別ルートでの新設に伴う課題整理を行うなど、導水トンネルの機能の維持保全につきまして、万全を期してまいりたいというふうに考えております。 129 菅沢委員 今、調査結果の報告がありました。コンクリート継ぎ目部などの剥離が9か所、目地の開きが17か所、横断方向の亀裂3か所、これは軽微だというお話だったんですけど、これは──私も見せていただきましたけれども──水中カメラで表面の写真を撮ったもので、レントゲンで中まで見たものではありません、そんなレントゲンがあるのかどうか分かりませんが。ですから、軽微だという判断は表面的な──亀裂の深さも実際そこに何か突っ込んで測ったわけではないので──観測によるものです。  そういう意味では、今、専門家による評価というお話もありましたけれども、これからが非常に大事であります。緊張感を持ってこの結果を皆さん見る必要があろうかと思っております。まさに、の工水、上水、産業とか、何よりも県民の暮らしに直結する根幹の問題でありますので、私は別ルートに向けての整備方針も同時並行に、耐用年数も過ぎていくわけでありますので、着手すべきだと思っております。お聞きするところでは、大体、整備費40億円ほどと聞いておりますけれども、あなたの仕事として、これは来年度の予算編成の中でもそういう問題意識を持ってください。調査費ぐらいつけて、事業の立ち上げに向けて進む時期じゃないかと思っております。  そこで、あと時間がありますので、最後の質問に入ります。  これは知事にお尋ねしますけれども、の危機管理の根本、リスクマネジメントの根本は──今は深刻な自然災害などが多発する時代です。地震、津波もありますけれども、豪雨災害もあります。また、新型コロナウイルスもウイルスという自然に起因するところの自然災害と言っていいわけでありましょう。  そうした中で、最悪のリスクを想定し、それに備える対策に万全を期すと、そして県民の命と暮らしを守っていくことが、まさに県政の根幹であります。  ところが、ここからですよ、ちょっと聞いていただきたいのは。富山は災害が少ないなどの宣伝を、私はが先頭に立ってやっているんじゃなかと。これは、石井前知事にも申し上げました。  例えば、知事は東京で、この企業立地ガイドで説明なさったのではないですか。この中に何が書いてあるかはあなたも御存じでしょう。津波や地震が少ない、台風が少ないなんてね。確かに少ないか多いかといえば、台風は日本には平均で大体二十数個上陸するのでありますが、そのうち北陸へ来るのは2つか3つと少ないです。過去の発生や被害状況を見れば、歴史的には大きなものがあったことは間違いないです。しかし、最近はそんなに大きなものがないという意味では少ないのかもしれませんが、ある意味で私は安全神話だと言っているんですけれども、そんなことをが先頭に立って振りまくというのはどういうことなんですかということです。  地震や津波が少ないと宣伝されますが、富山に関わる呉羽山断層帯や邑知潟断層帯については、既にも被害のシミュレーションをやっているわけです。マグニチュード7を超える巨大地震となって、富山近海の日本海の活断層に起因する津波についても、津波高10メートル、この到達時間が2分とか7分で速いという問題があるわけでありますが、こうした中で、地震の発生率等が低いから安心、台風があまり来ないから安心などという見解を、堂々と書いたり述べたりしていいのかと。  地震の発生率から言えば、熊本地震などの発生確率は、呉羽山断層帯や邑知潟断層帯よりももっと低かったです。今まさに東日本大震災以降、日本列島は大変革、変動の時代に入っていると言われておりますけれども、大きな地震も今続発しておりますけれども、こうした中で、私はこうした安全神話を振りまくような──がこんなことを言っているのはどうなんだという、高校生とやま県議会での発言も前に紹介したことがあります。  そして台風が少ないという立山連峰つい立て論ですね。立山連峰つい立て論はこのように有力な地元紙の記事で紹介されている。私は、一応この新聞社へこれでいいのかと、ちょっと前に訪ねていきました。社の幹部は、「立山がつい立てになったことはあるかもしれないけれども、こんなことを一般化して定式化することはいかがかと思う」とおっしゃっておられました。  私は、台風はあんまり北陸には上陸しないと申し上げましたが、確かに少ないんですが、台風というのは、進路は気圧配置や気流の状況でいろいろ変わる。大体台風というのは、陸地に上陸をすると、立山連峰だけではなく日本は山が多いので、地面の抵抗により、そして水分が補給されませんから、大体勢力が落ちるんです。  しかし、過去の台風の進路を見ると、日本海側を通過したり、近畿のほうから入ってくる台風は、富山にも大きな被害をもたらしています。逆に、立山連峰がつい立てになって豪雨につながったこともあるわけであります。  知事ね、こんなのをこのまま使うよりも、私は、富山は確かに津波や地震や台風は少ないかもしれないが、今、日本列島はこういう状態になっている中で、しっかりと対策をしているだということを打ち出すべきだと思っています。全国的にも大変遅れましたけど、防災・危機管理センター(仮称)をつくるわけですから。知事、いろいろ申し上げましたが、いかがですか。 130 新田知事 ありがとうございます。  菅沢委員が最後のほうにおっしゃった、県土の強靱化のために、日頃から計画的に相当なお金も使いながら、海のこと、川のこと、山のこと等々、手を打っているのは事実であります。それを着実にやっているということ、そして先人もずっと努力されてきたこと、これは事実であります。それが基本だと思うんですね。日頃からの強靱化について本当にやってきているということは、実績としてあるわけです。  今御指摘の件は、企業立地セミナー、それからの企業立地のガイドブックにそのような表現を使っているわけでありますが、今は企業立地も競争の時代でありまして、他との差別化を図っていく、その上で、やはり企業の関心を持ってもらう、あるいは企業の決断を後押しするような、そのようなキャッチーな言葉遣いをするということは、これは別に私は悪いことではないと考えております。  最後は、決断するのはそれぞれの企業でありますから、台風がないから、地震がないから決めたと、そう簡単に決められる企業はまずないと思います。これを見た上で、興味をまず持っていただけるならば、それから慎重に、またもちろん自社で調査をされると思います。これは本当なのかと。地震が5番目に少ないとか、台風がどうとか、立山につい立てのような効果があるらしいとか、企業立地するとなれば、それは真剣に調査されると思います。その上で御決断をされるなら、それは企業の自己責任ということだと私は思います。  ですから、あくまでこの企業ガイドの中で、企業に関心を持っていただくためにこのような表現を使っているということは、私は決して悪いことではないと思います。日頃何もやってないならそれは犯罪的なことになりますが、冒頭に申し上げたように、また委員も認めていただいたように、日頃から地道にの強靱化には努めているわけでありますから、この企業ガイドにつきまして、私はこのまま使っていければと考えております。 131 菅沢委員 公共施設の強靱化の施策、あれは老朽化対策が中心でありまして、私が申し上げているのは、巨大災害に備えるリスクマネジメント、最大のリスクに備える考え方や対策というのは、もっと別個の体系的な急がれる施策なんですよ。  そういうことであって、私は何も企業立地のこれだけを問題にしているんじゃなくて、富山の売り、宣伝の中に、住みよい富山、その中に必ずこれと同じようなフレーズ、思想が蔓延しているんです。立山つい立て論なんていうことが定式化されていく中で、県民の中に、安全神話が広がっていることに大変な危機感を持っているわけです。高校生だってそういう心配をしているという発言があるわけですから、知事、そこをしっかり受け止めていただきたいと思うんです。あなたがおっしゃる強靱化政策、それは老朽化対策が中心であってね。いかがですか。 132 永森副委員長 菅沢委員、もう持ち時間は終わっておりますので、申し訳ございません。  菅沢委員の質疑は以上で終了いたします。 133 菅沢委員 知事、ごめんね。またやりましょう。 134 永森副委員長 またやってください。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後3時12分休憩                     午後3時25分開議        横山委員の質疑及び答弁 135 武田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  横山委員。あなたの持ち時間は60分であります。 136 横山委員 まず、新田知事におかれましては、御就任、誠におめでとうございます。知事に就任されましたからには、県民の幸福あるいは県政発展のために、精いっぱいの御努力をよろしくお願い申し上げます。  それでは、質問に入らせていただきます。  まず最初に、黒部ルートの一般開放についてということでありまして、8日の予算特別委員会で川上委員からも質問があったところですが、私のほうからも何点かお伺いしたいと思います。  新型コロナによる本県観光への影響や対応については、今議会でも質問、答弁が何回もされておりましたが、黒部峡谷鉄道のトロッコ電車についても、新型コロナの影響により運転開始が6月1日からとなりまして、そして、営業を終えた11月30日までの乗降客数は25万4,500人と前年より61.2%の大幅減、営業運転開始以来、最も少ない客数となっております。また、立山黒部アルペンルートの入り込み客数も前年度比74%の減と、大幅な減少となっております。こちらのほうも全線開業以来、最少となりまして、新型コロナによる打撃は非常に大きいものとなっております。  その中で、去る9月30日から10月1日の日程で赤羽国土交通大臣が本を視察され、宇奈月において旅館組合関係者などと意見交換されたと聞いております。  大きな打撃を受けている県内の観光需要の回復や、そのための支援が求められる中で、赤羽国土交通大臣と観光関係者との意見交換の内容や成果はどのようなものであったのか、中谷観光・交通振興局長にお伺いしたいと思います。 137 中谷観光・交通振興局長 今お話のございました9月30日に行われた赤羽国土交通大臣との意見交換会におきましては、大野黒部市長、それから黒部宇奈月温泉をはじめ県内の観光交通事業者の皆さんから依然として観光交通関連事業が厳しい状況に置かれていること、それから、観光需要の回復に向けたそれぞれの取組について発言をいただきました。  あわせて、赤羽大臣に対し、Go To トラベル事業により多くの方にお越しいただいており、当初想定されていました来年の1月末で終了することなく、ぜひ継続していただきたいことや、周辺環境の整備に対する支援などについて要望する発言があったところでございます。  その後も、といたしまして、全国知事会を通じ観光産業等への支援策の継続を要望してまいりました。  その結果といいますか、政府が一昨日8日に閣議決定されました総合経済対策には、Go To トラベル事業を来年6月までとすることを基本の想定として対応するということや、観光産業の受入れ支援などが盛り込まれたところでございます。  今後とも県内観光産業の実情を把握いたしますとともに、国における対策を踏まえながら、感染拡大の防止と観光産業の振興の両立に取り組んでまいります。 138 横山委員 令和6年度の黒部ルートの一般開放に向けては、関西電力さんにおいて安全対策のための工事が進められるとともに、旅行商品化に向けた検討が行われていますが、一般開放に向けては、ルートの適切で効果的な運営やそのための支援が不可欠と考えます。  ルートの運営については、これまでどおり関西電力さんが行われるものかと思っておりますが、黒部峡谷鉄道の関わり方も含めて運営はどこが行うのか、また運営に当たってはどのように関わるのかお伺いしたいと思います。 139 中谷観光・交通振興局長 黒部ルートの一般開放・旅行商品化につきましては、関西電力と平成30年10月に協定を締結いたしまして、は旅行商品の企画及び運営に関する事項について責任を有する、関西電力は黒部ルートの運行に関する事項について責任を有するということにされております。  旅行商品化に当たりましては、この商品が、黒部ルートの前後の黒部峡谷鉄道、それから立山黒部アルペンルートを含み、それぞれの運行主体が異なること、2つ目には、協定では年間の旅行者数が最大1万人とされていることなどを踏まえまして、魅力ある旅行商品を企画し適切な運営を図るため、では今年度、公募型のプロポーザルを実施いたしまして、旅行商品の企画運営業務を担う事業者を選定したところでございます。  今後、この受託事業者を中心に、が黒部市や関西電力ほか関係事業者と共に昨年度設置いたしました、黒部ルート一般開放・旅行商品化準備会議等での議論を踏まえまして、大自然の魅力はもちろん、電源開発の歴史等を体感していただける旅行商品の造成、それから、それぞれの国内外への販売方法等を検討していくことになるということでございます。  あわせまして、では、一連のルートの運行を管理する関西電力、黒部峡谷鉄道、立山黒部貫光と実務者会議を開催いたしまして、ダイヤなど商品化に当たって調整が必要となる事項について協議を行っているところでございます。  といたしましては、引き続きこれらの皆さんと十分連携を図り、魅力的な旅行商品が造成、販売されるよう取り組んでまいります。 140 横山委員 黒部ルートについては、これまでも無料の見学会が行われて、毎年約2,000人の方に、立山黒部の困難で厳しい電源開発の歴史や苦労を体験いただいてきました。今年度は新型コロナの影響により残念ながら中止になったようですが、こうした意義深い見学会の趣旨を踏まえ、黒部ルートの一般開放に当たっても、見学会の継続や料金設定等についても検討が必要になります。  黒部ルートの一般開放における受入れ人数は年間最大1万人となっておりますが、その中に現在の見学会での受入れ人数は含まれるのか、また、これまでの見学会と同様無料となるのか、今年度の見学会の実績と併せてお伺いしたいと思います。 141 中谷観光・交通振興局長 まず、今年度の黒部ルートの見学会についての状況を御説明させていただきます。  当初、6月17日から11月10日までの間で計34回の開催を予定しておりました。全国的に新型コロナの感染拡大が断続的に発生してきたことに伴い、現在の運行環境等の下での参加者の健康を第一に考えるということで、残念ながら今年度は開催に至らなかったところでございます。  この黒部ルート見学につきましては、先ほど御答弁いたしました協定書に基づきまして、一般開放・旅行商品化の開始時に廃止をするということにされております。年間最大1万人の中に、現在実施されている見学会の2,000人分が含まれるということになります。  また、旅行商品化に際しましては、この年間最大1万人という希少性を生かしまして、旅行者のニーズに対応したサービスの充実、それから利便性の向上を図ることとしております。価格についてはそれらを踏まえたものとしていく必要があると考えております。  ただ一方で、地元をはじめ県民の皆様にその魅力を体感していただける方法について、また検討していく必要があると考えております。 142 横山委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。私も何回か黒四発電所のほうですね、あそこは本当に発電機のすぐそばで、発電機の風が顔に当たったり、発電機の回る音などが聞こえたり、ああいうのはなかなか体験できるものではないと思っております。今言われましたように、何とかしてそれも可能になるようにひとつ御尽力をお願いしたいと思います。  黒部ルートの一般開放・旅行商品化に向けては、準備会議が──今ほどお話ありましたが──開催されまして、旅行商品の満足度向上、宇奈月温泉街等の魅力創出や地元の受入れ体制等について議論されているんですが、長野側はメンバーに入っておりません。  一般開放・旅行商品化では、東京など長野大町市側からの入り込みも相当多くなることが考えられますが、長野側から入ってこられるお客様の意見が反映されないのではないかと懸念されます。
     長期的に受入れ人数の増加も検討できるよう、今のうちから大町市側からの入り込みなどの需要を確保していくため連携していくべきだと思いますが、黒部ルートのPRに当たり、長野側からの意見をどのように反映していくのかお伺いしたいと思います。 143 中谷観光・交通振興局長 黒部ルートが一般開放されることによりまして、世界的な山岳景観を誇る立山黒部アルペンルートと、日本一のV字峡谷であります黒部峡谷を周遊することが可能となり、多くの県民、それから山岳観光、産業観光に関心をお持ちの国内外の皆さんの長年の夢が実現するということになります。  また、今お話がありましたように、長野大町市側からの観光客は、現在、立山町、富山市方面へ抜けられるか、または黒部ダムや室堂で折り返しておられますが、一般開放後は、黒部ダムから黒部ルート、黒部峡谷鉄道を経由して宇奈月温泉に至る新たな周遊ルートを楽しんででいただくことができると考えております。  このような中で、黒部ルートを利用いただける人数枠は年間最大1万人と限定をされているという現状でございます。その条件の中で、立山黒部アルペンルートをはじめ県内各観光地での周遊、滞在による経済効果をいかに高めていくかということも重要な課題であると考えております。  現在、長野側との連携につきましては、主にアルペンルートを中心とした立山黒部アルペンルート広域観光圏協議会──立山黒部貫光が事務局ですが、今後、地元である黒部市と大町市との連携状況なども伺いながら、長野側との連携の在り方についても検討してまいりたいと考えております。 144 横山委員 実際にアルペンルートを通り抜けておられる方々で数的にどこから入っておられるかというと、現在でも残念ながら富山側よりも大町側のほうが若干多いと聞いているので、やっぱり多いところから入ってきておられる方の意見をしっかりと聞いていくためにも、1人ぐらいは長野側の方にもこういった会合に参加していただくべきではないかと。  の立場もよく分かるんですよ。長野側へ回る人をできるだけ止めて、できるだけ宇奈月温泉や立山で泊まっていただくようなルートを考えていくというのはとしては助かると。これが無限に通れるのなら、そのように考えないとは思うんですが、1万人という枠を考えると、なかなかそういうわけにいかないというお立場も分かるんですが、あまりけちなことを言わないで、やっぱり隣県でありますし、これからどのように長野と交流していこうかと考えておりますので、ぜひともそういった意見をスムーズに受け入れられるようにひとつよろしくお願いしたいと要望しておきます。  次に、黒部ルートの一般開放は、立山黒部の世界ブランド化を大きく前進させるものだと思います。そのために、関係する自治体や民間などが連携して、一般開放後の運営も含めて準備を進めていく必要があります。  そこで、黒部ルートの質問の最後に新田知事にお伺いいたしますが、知事は黒部ルートを通り抜けられた経験をお持ちでしょうか。なかなか通れないところですから、ひょっとしてないのかなと思っているんですが、経験をお持ちでしたら、その際の御感想を聞かせていただきたい。御経験がないのであれば、東部地域産業活性化議員協議会というのがありまして、1期生の議員の皆さん中心に、まだ通り抜けたことがないという方がたくさんおいでになるものですから、来年になりましたら、時期や工事状況も見て視察を検討しておりますので、もし行ったことがないということであれば我々と一緒に行かれてはいかがかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 145 新田知事 ありがとうございます。  黒部ルートは10年ほど前、関電さんの御案内で体験したことがございます。小説「高熱隧道」の表現もよく覚えていますが、バッテリートロッコ電車で実際に通過し、また、インクラインですか、で下がったり、そしてその地下の発電所を見たときは、よくぞこういう場所にこのような構築物を造ったものだと感激しました。また、秘境と呼ばれる黒部峡谷の厳しい自然条件の中で、多くの犠牲を伴いながら電源開発にかけてこられた先人の苦労などにも思いを馳せたところでございます。あれだけの大工事、あれだけの犠牲を払われて、黒四の発電所は三十数万キロワットの発電能力と理解をしておりますが、今、臨海部で大規模な原発、あるいは火力発電ですと110万キロワット、130万キロワットが普通でありますから、やはり当時いかに日本国が電力を渇望していたか、そのためにあれだけの工事をやられたということにも感銘を受けました。  こうした貴重な産業観光ルートでもある黒部ルートが一般開放されることにより、世界的な山岳景観を誇る立山黒部アルペンルートと日本一のV字峡谷である黒部峡谷を周遊することが可能となり、多くの県民の長年の夢が実現することになります。  改めて関西電力さんの御決断に敬意を表しますとともに、これまで御尽力いただいた横山委員、また石井隆一前知事はじめ関係者の皆様に、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  そして、令和6年度の一般開放へ向け、関西電力さんあるいは黒部峡谷鉄道さん、立山黒部貫光さん等の関係事業者や、黒部市、また立山町とも十分連携を図りながら、すばらしい旅行商品ができるようとしても関わってまいりたいと思います。  また、最後のお誘いですが、ぜひすばらしい景観にもう一度訪れることができればと思っておりますので、議員協議会でもし満場一致で参加が許されるならば、ぜひ参加させていただきたいと思います。 146 横山委員 さすがに行ったことはあると。経済同友会でも企画されたということも聞いたことがあったものですから、ひょっとしたら行っておられるかとは思っていたんですけども、またそのときになりましたらお声がけしてみたいと思っております。  次に2つ目の課題でありまして、国道8号入善黒部バイパスについてお伺いしたいと思います。  国道8号入善黒部バイパスの早期4車線化をぜひお願いしたいと再三申し上げているわけでございますが、国道8号は平成31年4月に重要物流道路にも指定されておりまして、地域の産業、経済活動を支える物流の大動脈であります。しかし、交通量の増加により朝夕のラッシュ時には激しい渋滞が発生しており、近隣の大企業ではできるだけ貢献しようということで渋滞を避けて、時差出勤をやっていただいているようですが、それでも現状のような渋滞でございまして、朝夕の渋滞が大変であるということでございます。  そこで、先月行われた交通量調査の結果はどうであったのか、それは片側1車線の道路における適正な交通量に対してどのような状況なのか、江幡土木部長にお伺いいたします。 147 江幡土木部長 国道8号入善黒部バイパスでは、御指摘のように、今年11月に国において、黒部市の堀切や岡南、魚津市の江口など主要な交差点の交通量を調査しておりまして、その結果、7時から19時までの12時間の交通量は、堀切では約1万4,900台、岡南では約1万3,600台でありました。このほか、魚津市江口では約1万6,400台となっておりますけれども、この江口付近では5年前の平成27年10月にも調査しておりまして、その際は約1万5,000台で、約1,400台の増ということになっております。  また、適正な交通量であるかとの御質問でありますけれども、入善黒部バイパスの交通容量──渋滞が発生することなく円滑に走行できる最大の交通量──につきましては、黒部市堀切や岡南周辺では1万1,200台程度、また、魚津市江口周辺では1万3,700台程度ということでありまして、いずれも現在の交通量が交通容量を上回っているということで、つまり混雑している状況ということでございます。 148 横山委員 お聞きした数字につきましては、私たちが思っているよりも若干少なかったんですが、コロナの影響で各企業では、例えば土日だけ休むというのではなく、企業によっては週休4日など、びっくりすると思うのですが、そのようなところもあります。言われてみれば、若干、以前より曜日によっては少ない日があるので、何で今日こんな少ないんだと聞くと、大きな企業が一部休んでいるというお話で、平日でも休んでおられることもあって少ないのかなと思うのですが、それでも容量は超えているということでございます。  次に、令和4年春には道の駅「KOKOくろべ」もオープン予定でありまして、国道8号入善黒部バイパスの沿道の開発がどんどん進んで、今後より一層の交通量の増加が懸念されます。  こうした状況も踏まえると、早期の4車線化着手が望まれますが、このバイパス16.1キロメートルの4車線化にはどの程度の期間と予算がかかると考えられるのかお伺いしたいと思います。 149 江幡土木部長 入善町椚山から魚津市江口区間の入善黒部バイパスの全体事業費については、今年9月に開催された国の事業評価監視委員会において、全体事業費として約917億円とされておりまして、平成6年度の工事着手から今年度までの27年間の事業費は約722億円、進捗率は約79%となっております。令和2年度の事業費は14.5億円ということでございまして、全線4車線化完成までに必要な令和3年度以降の事業費は約195億円ということでございます。  完成までの工期というのは明らかにされてないのでございますけれども、バイパス区間は既に用地取得が完了しておりますし、また、完成に向けて事業費が増加することが一般的でありますので、令和3年度以降集中投資をしていただき、一日も早く完成いただくように国に働きかけてまいりたいと考えております。 150 横山委員 このコロナで経済が疲弊していると言われていますが、徐々にやっぱり戻っていくと、いつまでも元の状態に戻らないということはないと思います。  あわせて、いろんな事業が活発に行われてきておりまして、大型のスーパーも開店いたしました。開店の日に行ってみましたら、そばに寄らないほうがよかったと思うくらい、随分多く来てきておられるものだと思いました。その後、多少減ってはきているんですけども、ほかにもいろいろ企業の進出等が考えられますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  新田知事は、今回の知事選挙においてもかなりの回数、国道8号入善黒部バイパスの片側1車線部分を通られたんじゃないかと思います。早朝やラッシュのときに通っておられたかどうかは分からないんですが、渋滞を経験されたかなと思うんですが、12月7日に新潟の北陸地方整備局に関係の県議でそろって行ってまいりました。この8号バイパスの要望に行ったのですが、そのときに岡村整備局長は、新田新知事になられましたねと3回言われました。いや、ひょっとしたら知事にも新潟に来てほしいということなのかと思ったんですが、どうもそうでもなくて、やっぱり国に行ったときなどに、国交省はじめ国へしっかり言ってきてほしいという趣旨で言っておられたように取れますので、知事にもしっかりと要望していただければ非常にありがたいという、これは整備局長の思いでもありますし、私どもの思いでもありますので、よろしくお願いいたします。  そこで質問ですが、東部の物流や通勤の大動脈であるこの国道8号入善黒部バイパスについての所感も踏まえて、4車線化に向けてどのような姿勢で取り組まれるのか、新田知事にお伺いいたします。 151 新田知事 ありがとうございます。  国道8号入善黒部バイパスは、平成27年にバイパス区間14キロメートルが暫定2車線で開通し、その後、入善町地内の現道拡幅区間2.1キロメートルの4車線化が重点的に進められていると。また、国道8号の黒部市堀切交差点付近では、令和4年春の供用を目指し、道の駅KOKOくろべの整備や複数の民間開発が進められていると。増加する交通に対応するため、国とでこの交差点の改良に努めているという現状認識をしております。  このほかの交差点でも、通勤時間帯を中心に混雑し、魚津市江口、黒部市岡南など、事業区間全体で7つの交差点が主要渋滞箇所となっていると理解しています。幸い私はいつもそれより早い時間に大体通っておりましたので、渋滞に巻き込まれたことはございませんでした。  国道8号入善黒部バイパスは、今横山委員おっしゃったように、新川地域だけではなくて、本県の経済社会活動を支える大動脈ということです。このため、入善町地内の現道拡幅区間の一層の整備促進を図るとともに、入善町上野から魚津市江口までのバイパス区間についても早期に4車線化を進めていただく必要がある、おっしゃるとおりです。私としても、今後とも沿線の市町や経済界とも連携し、今御指摘いただきました国交省本省のほうにも、折に触れ伺うことによって後押しをしてまいりたいと思います。 152 横山委員 この間の知事選では私どもは現職の知事を一生懸命応援していたものですから、いろいろな交差点へ行って、交差点でお手振りをやるんです。ところが、新田さんのところの応援部隊も大量にやってきて、皆さんあそこへやっぱり集中して、お手振りを朝早くから両方で一生懸命やっておりました。目の前を車でのろのろと通っていってくれるものですから、非常にお手振りの効果があるところでした。誰が考えても、ほかの道へ行ってやるよりは、台数が全然違います。そして富山県内の通勤客ならどこでもいいということで、随分両方で一生懸命応援していたのが記憶に残っております。  続いて、HACCPの制度化について伺います。  HACCPというのは、食品製造の工程管理で使用されるリスクマネジメント手法の1つで、食品安全衛生管理の世界標準であります。我が国では平成30年に食品衛生法が改正されまして、食品事業者に対してHACCPに基づく衛生管理の実施が求められています。これは、夫婦で営業しておられる町なかのラーメン屋さんでも必要ということであります。  この制度は本年6月から施行されていますが、来年、令和3年5月末まで1年間の猶予期間が設けられ、来年6月から完全実施されることになっております。  HACCPに基づく衛生管理では、食品の製造、加工に従事する者が50人以上の大規模事業者については、HACCPに基づく衛生管理として、国際規格による厳格な衛生管理が求められます。本年2月時点では、対象施設38施設中26施設が導入済みとお聞きいたしました。  また、小規模な営業者等については、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理として、各業界団体ごとの手引書を参考にした簡略化された衛生管理を行うこととされておりますが、県内の製造許可施設や許可施設以外も含めると、大変多くの施設で導入しなければなりません。  そこでまず、HACCPに基づく衛生管理及びHACCPの考え方を取り入れた衛生管理について、それぞれ現在対象となっている施設数と導入状況はどうか、石黒厚生部長にお伺いいたします。 153 石黒厚生部長 今委員からお話のありましたとおり、HACCPに基づく衛生管理として、国際規格による厳格な衛生管理が義務づけられる事業者は、食品の取扱いに従事する者が50名以上の大規模事業者ということになっております。本年の11月末現在で、県内には42施設を把握しておりまして、約8割の35施設で既に導入済みでございます。  一方、簡略化されたアプローチによるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理が義務づけられる事業者は、飲食店などの小規模な営業者でございます。富山市を除く部分はの管轄ということになりまして、が管轄しております食品衛生法に基づく営業許可施設は約1万1,500施設ございます。このほかに富山市の分が約7,900施設ございます。  このほか、食品衛生法の改正によりまして新たに営業の届出制度が創設され、これは委員からお話のあったとおり、来年6月から施行されます。この届出の対象施設につきましては、施行前であり、現在での施設数は不明でございますけれども、そのほとんどの施設にやはり簡略化されたアプローチによるHACCPの導入が義務づけられるということになっております。  小規模な営業者のHACCP導入状況について正確に把握することはなかなか困難でございますけれども、厚生センターにおきまして、研修会や立入検査時にいろいろ確認した範囲では、本年の11月末現在で、先ほど申し上げた1万1,500施設の約22%に当たる2,500施設で導入済みでございます。 154 横山委員 部長、この制度に向けてスタートしたのが昨年の9月から──一生懸命、小さなところにも導入をお願いしている──と聞いているんですけども、大体ここまで十三、四か月経過しました。この後、5月末までは6か月ぐらいですか。そこで11月現在で22%と言われると、本当に間に合うんだろうかと。導入済みの大きい事業者はそれなりにずっとやっていましたから大丈夫ですけども、先ほど言いましたように、本当に内輪だけでやっておられるようなところも導入が必要になってきますので、決して導入済みの事業者が多いとは言えないと思うんです。  HACCPの円滑かつ適切な導入に向けては、食品事業者に対する一層の理解促進と助言指導等の支援が求められると思いますが、小規模な営業者等が行うHACCPの考え方を取り入れた衛生管理とはどのようなもので、衛生管理のための計画作成に向けどのような支援を行っているのかお伺いしたいと思います。 155 石黒厚生部長 小規模な営業者が行うHACCPの考え方を取り入れた衛生管理につきましては、食品衛生法におきまして衛生管理計画を作成し、それを実行、記録し、検証するとされております。  衛生管理計画の具体的な内容は、例えば飲食店で申しますと、どの食品についても行うべき一般的な衛生管理として、原材料の受入れ時の確認、冷蔵庫の温度管理や器具の洗浄、消毒の実施に加えまして、メニューに応じた重要な衛生管理として、加熱・冷却時間をいつ、どのように確認し、また問題があった場合にはどのように対応するかということをあらかじめ記載しておくということでございます。  国では、小規模な営業者の負担軽減を図るために、ホームページに業種別の手引書を掲載しておりまして、そのひな形を活用することで、営業者は衛生管理計画の作成や記録について比較的簡単に取り組むことが一応可能となっておるところでございます。  では、小規模な営業者を支援するため、昨年9月から業種別あるいは地区別に、実際に衛生管理計画を作成する研修会を開催しておりまして、さらに営業許可の更新時の研修、あるいは希望があれば個別訪問によります指導も行っておりまして、本年の11月末現在で約2,400余りの事業者に対して助言指導を行ってきているところでございます。  また、夏期、年末の食品の一斉監視の際にリーフレットを作成して、HACCP制度や手引書を活用した衛生管理の作成について周知に努めていくところでございます。 156 横山委員 指導などを大変やっておられると思いますが、なかなか難しいなと。コロナ禍でなければ、厚生センターにも人的な余裕などもあると思いますが、新型コロナによって厚生センターがひっくり返っている事態に加えて、5月末までにHACCPに取り組むのは、私はやっぱりなかなか難しいのかなと。だからといって、しなくていいということではないとは思うんですが、部長は、この局面で、コロナへの対応とHACCPに向けた研修会や戸別訪問のどちらを選ぼうと考えておられるんですか。 157 石黒厚生部長 どちらかを優先してどちらかだけやるということではございません。公衆衛生の分野と生活衛生、食品衛生の分野、これは分野が違いますので、それぞれ担当職員も──一部重なるところがございますが──別々でございますので、やはり両方とも大事な対応でございますので、遺漏のないようやっていきたいと思っております。 158 横山委員 最後に1つお聞きしておきたいのは、5月31日までに導入していないところに対して、何か罰則や行政指導などはあるんですか。 159 石黒厚生部長 来年6月までにHACCPが導入される見通しにつきましては、50名以上の大規模事業者はやはり衛生管理を専任で行う部署等をほとんどのところが持っておられますので、対象となる全ての事業者において期限までに完了していただけるものと考えております。  ただ一方、小規模な営業者につきましては、やはりいろいろお話を聞いておりますと、誤解ではあるんですけども、新たな設備投資が必要とか、書類の作成が難しく煩雑という抵抗感があるとも伺っております。そういう意味では、全部の事業者様に対応していただくためには、やはりそういうところの懸念はあるところでございます。  といたしましては、特に小規模な営業者さんに対しまして、HACCPはソフト面の対応が必要になってくるんですけども、新たな設備投資は不要であるということ、あるいは手引書を活用すれば比較的容易に取り組めることなどの周知を図りまして、正しく理解して取り組んでいただけるよう努めていくことが肝要かと思っております。  来年6月1日に完全施行となり、仮に未導入の場合はどうなるかということでございますけれども、といたしましては、導入されていない営業者に対して、まず改善のための指導を行うということがあります。その指導に仮に従っていただけない場合は、行政処分を行うことは一応可能になりますが、やはりその辺は指導を重ねることがまず筋かと思っております。  それぞれの事業者の方あるいは指導する厚生センターにおきましても、やはり今おっしゃられたとおり、新型コロナウイルスの影響がある中でなかなか対応していくことには困難があると考えておりますけれども、やはり6月までに導入できますよう、先ほど申しましたとおり、新たに手引書の利用を分かりやすく解説したリーフレットを作成して、それを立入検査や研修会、講習などのいろいろな機会を通じて配付し、関係団体とも連携しながら理解していただけるよう努力してまいります。 160 横山委員 大変だなと。部長、これは無理ですよ、十三、四か月かかって2割しかできないものが、あと半年でぱぱっと全部できるなんて。食品製造の事業者からすると、厚生センターや保健所は大変なところで──指導ばかり受けて大変な目に遭うところだとやっぱり皆思っています。なかなか難しい点はあると思うんですが、多少遅れても巡回で検査へ行くときは必ず来ますし、現場では精いっぱいやっていくと言っておられます。  コロナ禍がなければ本当に簡単で、誰にでもできることですけど、研修会に来てもらえないことにはどうしようもなくて──研修会に来られた方のほぼ100%が導入しておられるということも聞いておりますので、そういったことをアピールしながら、できるだけやっていただくと。できなかったからといって即行政指導だというような強烈なことにならないように、今言われたように対応していただければ食品事業者としても非常に助かるなと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  最後に、北方領土問題について質問いたしたいと思います。  本県はこれまでも、北方領土の返還実現に向け、県民世論の形成や機運醸成に取り組んでまいりました。  そのような中、去る9月29日には、富山と北方領土の歴史的関わりを伝える富山北方領土史料室が黒部市生地中区の黒部市コミュニティセンター内にオープンいたしました。北海道以外では自治体が初めて整備する北方領土啓発施設であります。  また、11月21日から23日には、北方領土について学ぶ県内の中学生視察団が、北方領土返還要求運動の原点の地であります北海道根室市などを訪問し、領土問題への理解を深めております。  この視察も新型コロナの影響で、例年ですと8月頃に派遣されるところを延期しておりましたが、根室市等の感染状況も見て、感染対策を徹底して行った結果、視察を実施することが可能となりました。  今後も、県民世論の形成や機運醸成とともに、継続的な交流事業の積み重ねが求められていると思います。  新型コロナの影響がある中で、なかなか難しい課題もあるとは思いますが、ロシアとの交流事業は本年度どのようになっているのか、柿沢総合政策局長にお伺いいたします。 161 柿沢総合政策局長 今年度のロシアとの交流事業につきましては、新型コロナの感染拡大によりまして、北方四島からのロシア人受入れ事業及びビザなし訪問をはじめとする日本からの訪問事業など、全ての交流事業が中止となったところでございます。  北方領土からの引揚者が北海道に次いで多い本県では、例えば一昨年でございますけれども、北方四島に住むロシア人59名を受け入れたほか、昨年8月には、本県が主管を務めたビザなし訪問では、国後島、そして色丹島におきましてロシア人との交流事業に取り組んできたところでありましたので、今年度の事業の中止は大変残念に思っております。  このような状況ではございますけれども、今年度におきましては、返還要求富山大会の開催を8月にしております。そして、委員から御紹介いただきましたとおりでありますけれども、北海道以外では自治体レベルで初の北方領土の啓発施設になります富山北方領土史料室の開館を9月下旬にしております。それから、これも御紹介いただきましたけれども、県内中学生による現地視察団の派遣を11月21日から実施したところでございます。  こうしたことなど、返還運動や後継者育成に向けました様々な事業を工夫して今年度は取り組んだところでございます。  今後とも、後継者の育成や両国民による継続的な交流事業を積み重ねまして、県民世論の形成や機運醸成に努めてまいりたいと考えております。 162 横山委員 ありがとうございました。  知事は青年会議所でも随分、北方領土返還要求運動について富山中心に活発にやっておられた覚えがあります。新川青年会議所の何十人かでいつも夏に行くんですけれども、残念ながら私はアイスクリーム屋なので書き入れどきで、とてもじゃないと。10年余りたってもまだ行けないというので、向こうの漁師の人が、2月だけど来たらどうかと言われたので、暇ですから行きました。アイスクリームの冷凍庫も寒いですけども、オホーツクを渡ってくる風の冷たさというのもまた一段と全然違う。ああ、こんなときに来るもんじゃないなと思いましたけど、その代わり天気がいいんですよね。太平洋側の天気と大体一致するのか、ものすごく遠くまで見えて非常にすばらしい光景を見てまいりました。逆に夏に行った人はガスがかかってほとんど見えないとのことであります。  今回この啓発施設ができましたが、そこでは根室市で映している納沙布岬から見た北方四島の24時間ライブ映像が見られるようになりました。せっかく施設を造りましたので、北方四島、貝殻島や色丹島などが非常によく見えますので、ぜひ皆さんも1回見に来ていただければとお願いしたいと思います。  最後の質問になるんですが、本県は北海道に次いで元島民が多くおられます。そして、その中でも黒部市が多いんですよ。私の身近にも、ビザなし訪問でお墓参りに行きたいと言ってこられたおばあさんがいました。私が市へ伝えたところ、すぐその年に墓参りに行かれましたけど、そのようなもので、そうした方々の気持ちに寄り添いながら、様々な返還要求運動を展開してまいりました。今後も早期返還に向けた活動をしっかりと積み重ね、国の外交交渉を積極的に後押しするべきと考えております。  知事は日本青年会議所の会頭としての経験もお持ちで、北方領土問題にも関わってこられた経緯もおありかと思います。そうした経験も踏まえて、北方領土問題についてどのような考えをお持ちで、早期返還に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 163 新田知事 ありがとうございます。  横山先輩も御指摘いただいたように、30代の頃、青年会議所で汗をかいておりましたが、日本青年会議所では昭和45年から毎年、返還運動の原点である根室市に視察団の派遣をしてまいりました。私も何度か参加しておりますし、平成10年には会頭として、その運動の主催者として現地を訪問して、実際に自分の目で北方領土を確認するとともに、全員で「返せ」と叫ぶようなことも何度もやってまいりました。そして、隔年でビザなし渡航の枠もあるんですが、残念ながら私の年はその年ではなかったので、ビザなし渡航には参加できませんでした。等々、経済界の立場からこれまでも積極的に取り組んできたことでございます。  また、富山ではサケマス、それから昆布など多くの漁業者も北方領土とは深い関係があるということ、そして、今委員がおっしゃったように、引揚者は北海道の次に富山、その中でも黒部が一番多いということなんですけども、そんな富山人としての思いを持ちながら活動を続けてまいりました。  今、富山県知事に就任しまして、改めて北方領土は我々の祖先が大変な苦労を重ねて切り開いた我が国固有の領土であるということに思いをはせるわけでありまして、そして、この北方領土の問題は、日ロ両国の友好関係をしっかりしたものにしていくためにも、何としても解決していかなければならない問題だということで、問題意識も共有をしております。戦後75年たってもいまだ解決できていないことは本当に残念です。  国対国の外交交渉によるところが多いわけでありますが、その後押しをする意味でも、富山からも大いに県民挙げて返還運動を高め、そして外交交渉への追い風を吹かせていくということ、特に富山は人数も多いわけでありますから、その先頭に立ってこの運動に参加をしていきたいと考えております。  そして、今もお話にありました、北海道以外で初の北方領土史料室が横山委員の地元の黒部市に完成したことは、富山での機運を醸成する、さらに盛り上げるためにも大変によいことだと思います。まだ私は伺っておりませんが、折を見てぜひ足を運びたいと考えております。 164 横山委員 ぜひおいでください。行く末は史料室じゃなくて資料館を建ててください。共に一生懸命尽力して島を返していただけるように頑張ろうではありませんか。  では、私の質問を終わります。 165 武田委員長 横山委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって本委員会の質疑は全て終了いたしました。  委員各位におかれましては、長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって、令和2年11月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                     午後4時20分閉会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...