富山県議会 2019-06-01
令和元年6月定例会 一般質問
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時01分開議
◯議長(中川忠昭君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(中川忠昭君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第74号から議案第88号まで及び報告第5号から報告第13号までを議題といたします。
これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
瘧師富士夫君。
〔26番瘧師富士夫君登壇〕
3 ◯26番(瘧師富士夫君)皆さん、おはようございます。
令和に入りまして初めての一般質問の日となりましたが、その最初の質問者とさせていただき、大変光栄に思っております。
見本を示せるかどうかわかりませんが、この3期目も県民の負託に応えられるよう、しっかりと精進してまいりますことを誓いまして、質問に入らせていただきます。
まず、農業・農村の振興について伺います。
昨年は、米政策の大きな転換期でありました。国による生産数量目標の配分が廃止され、かわって各県やJAによる協議会などが過剰な生産を抑制するための目安を設定するものであります。
この改革に対し、本県では、これからも生産者、農業団体、行政が一体となって、県全域で需要に応じた米生産と水田フル活用に取り組んでいくと力強く目標を掲げました。
しかし、米づくりを取り巻く状況は容易ではなく、米の需要量が全国で年間約8万トンずつ減少すると言われるように、家庭消費が減少していく一方で、中食、外食の業務用米の需要が増すなど、用途やメニューにより求められる品質や価格が異なるため、多様なニーズに応じた米づくりが必要となります。
また、米の過剰生産による米価下落や過剰在庫が発生しないように、従来の土地利用体系を崩すことなく、大麦や大豆の安定的な生産量も確保しなければなりません。
2019年の本県の米の生産目標は、全国の需要動向や県産米の需要動向等を踏まえ、前年同数と設定され、水田フル活用の取り組みについては、県段階の作物別の生産方針の提示を参考に、生産者が2019年の作付や土地利用調整を実施したわけであります。
2018年からの米政策改革への対応は、全国一水田率の高い本県にとって極めて重要でありますが、需要に応じた米生産と水田フル活用に取り組んだ昨年の実績をどのように捉え、本年産の取り組みに反映されているのか、石井知事の所見を伺います。
次に、農地整備の推進について伺います。
本県の農業産出額は、平成29年で前年対比0.8%減の661億円、北陸3県では1番ではありますが、全国では40位。また、園芸作物の産出額は全国47位であります。国全体の農業産出額は10年前に比べ増加していることからしますと、本県農業は縮小モードにあると言わざるを得ません。
本県の圃場整備率は全国上位ではありますが、収益性の向上と担い手の体質の強化のためには、さらなる大区画化や高収益作物への転換推進が求められます。
私の地元では、用排水路等の施設の老朽化の著しい地域においては、タマネギなどの高収益作物の生産拡大と水稲の一層の省力化や耕作条件の改善策として、排水改良のための暗渠排水やあぜ倒し等による圃場の大区画化を強く求めています。
このように、農業の競争力強化を進めるためには、農地の集積、集約化や高収益作物の導入に資する農地整備を積極的に進めるべきであり、地元のニーズも高いと考えますが、現在の取り組み状況と今後の方針について
河村農林水産部長に伺います。
次に、中山間地における農業について伺います。
農業所得の向上に向け、平場の農業においては、農地集積や
農地中間管理機構の加入も進み、大規模化、効率化を図ることが可能ですが、中山間地ではそうはいきません。圃場は傾斜地にあり、小区画、不整形がほとんどであり、農業用水の多くはため池に依存しております。高齢化や人口減少は著しく、耕作放棄地が生じるなど、集落の維持が懸念されます。
このような不利な地域での農業生産活動ではありますが、自然災害の防止や自然環境の保全等でその重要性は広く理解されるべきであります。
そこで、農業の生産条件が不利な地城における農業生産活動を継続するため、国及び地方自治体による支援を行う制度として、中山間地域等直接支払制度が平成12年度から実施されております。
この制度は1期対策を5年間としておりますので、今年度は平成27年度から始まった4期対策の最終年度ということになります。
これまでどのような成果があり、この制度をどのように評価しておられるのか。また、今年度限定で設けられた加算措置を活用した取り組みを含め、中山間地農業の担い手を地域で支える体制を強化することが重要と考えますが、来年度から始まる第5期対策に向けた取り組み方針について農林水産部長に伺います。
長野県では、県、企業、農事組合法人が連携して、ITやロボットを活用したスマート農業の実証実験を中山間地で開始する報道がありました。
自動運転トラクターや水田の
水位自動制御システムあるいはドローンなどを農事組合法人に貸し出し、2年かけて効果を検証。最新の農業技術の普及につなげ、高齢化や離農が進む農業の省力化を進めるというものです。
また、他県では、スマート農業の展開における将来像の一つに、中山間地域等の条件不利地における持続的農業の実現と位置づけている事例もあります。
圃場が小区画、不整形、分散という不利な条件をプラスに捉え、複数の品目を組み合わせた多品目生産や、あるいは
マーケティング戦略にICTやビッグデータ等を活用するなど、中山間地だからこそスマート農業という視点が必要ではないかと考えますが、農林水産部長の所見を伺います。
次に、建設業の人材確保育成と生産性向上について伺います。
災害対応や除雪など、地域の安全・安心を守る担い手として、建設業が将来にわたりしっかりと存続していくことが必要であります。しかし、県内の建設業は、公共事業の減少や競争の激化等によって厳しい経営環境にあります。また、従業員数の減少や高齢化も進んでおり、今後、生産年齢人口が減少すれば、さらに厳しさは増すものと想定されます。
若手入職者の確保育成が喫緊の課題であります。
建設業の魅力を知ってもらうことや、早く責任を持った立場で働ける環境を整えることなどが重要であることから、県ではさまざまな支援が行われてきました。児童生徒を対象とした親子見学会や工事現場見学会、建設系学科の高校生に対する出前講座、リーフレットやフリーマガジンによる建設業のPR、
土木施工管理技士や
建築施工管理技士の資格を得るための支援などであります。
このような若者を対象とした広報活動や入職と定着を促進するための支援を一層強化すべきと考えますが、これまでの取り組みの効果と今後の対策について石井知事にお尋ねします。
若者が建設業を職業として選択するためには、建設現場の就労環境の改善が必要であります。
働き方改革が進められる中で、平成29年度から週休2日制を踏まえた工期の設定と、仮設費や現場管理費に加え、労務費や機械経費も増額補正された積算に基づく週休2日制工事の試行が実施されました。
大きな前進と言えますが、設計条件と建設現場が一致していなければ工期に大きく影響するとともに、時間外勤務や休日出勤が増加する要因になると思われます。
そこで、建設現場における就労環境の改善に向け、設計の精度の向上やワンデーレスポンスの徹底、工事書類のさらなる簡素化を図る必要があると考えますが、水口土木部長の所見を伺います。
建設現場の生産性を向上させることも若者の目を建設業に向かわせる条件ではないかと思います。
ICT活用工事は、測量、設計から施工及び管理、検査までの各段階で使用できる新技術であり、建設現場の生産性向上につながるものと聞いております。
県では昨年から試行しておりますが、今後、ICT施工技術の普及に向けてどのように取り組んでいかれるのか、土木部長に伺います。
次に、福祉問題について伺います。
まず、児童福祉についてであります。
本年1月に発生した千葉県野田市の事案や今月発生した札幌市の事案など、児童虐待による痛ましい事件が次々と起こっております。
本県ではまだ重篤な事例が顕在化していないようですが、児童相談所における
児童虐待相談対応件数は増加していると聞いております。
児童虐待といえば、地域社会から孤立した家庭が問題を抱え込んでしまうという閉じた闇の世界を想像してしまいますが、児童虐待の原因はさまざまで複雑化しています。
県として、不幸な事件を防止するため、現在の対策や体制について改めて検討する必要があると思います。
発生予防や早期発見、早期対応に向け、有識者を交えて検討するなど、さらなる対策の検討が必要であると考えますが、石井知事の所見をお尋ねします。
人手不足感が高まる中で、特に福祉系の有効求人倍率は4倍を超えております。今後、介護サービスの充実と
地域ケアシステムの充実に向け、ケアプランを作成するなど、そのかなめと言える
介護支援相談員や、障害者の自立を支援する
障害福祉サービスを提供するためのかなめである相談支援専門員が不足しており、今後のサービス実施の停滞が懸念されます。
本県における人材確保に向けたこれまでの取り組みと養成目標に対する進捗について、市村厚生部長に伺います。
超高齢化が進む中で、介護分野における外国人労働者については今後、需要が増すことが予想されますし、そのような流れがより現実的ではないかと思います。
本年4月に施行された改正入管難民法では、
在留資格特定技能が新設され、介護分野では向こう5年間で最大6万人を上限に外国人労働者を受け入れることとされました。
そこで、県内の介護現場における外国人労働者の受け入れ状況と、県として今後どのように対応をしていかれるのか、厚生部長に伺います。
福祉人材が不足する中で、介護ロボットの導入は介護従事者の負担軽減にもつながり、現場ニーズも高いと考えます。また、ヘルスケア分野は、国においても成長戦略の重要な柱の一つとして、市場や雇用の創出が見込まれる分野と位置づけており、本県のものづくり産業のさらなる発展、強化につながると考えますが、介護ロボットの開発支援に県としてどのように取り組まれるのか、
芝田商工労働部長に伺います。
次に、文化財の保全活用について伺います。
新元号「令和」が万葉集から引用されたことにより、万葉に関する関心が高まり、大伴家持が国守として赴任した万葉の里高岡では、これに合わせた動きが始まっております。
平成28年、文化庁は、文化財活用・
理解促進戦略プログラム2020を策定し、地域の文化財を観光資源として一体的に活用する方針を打ち出しました。
個々の文化財を点として保存するだけでなく、一体的に整備支援することで観光振興につなげるべきと考えますが、これまでの取り組みについて伍嶋教育長に伺います。
本県では、国、県合わせて316件の指定文化財があります。これらの文化財の保全修理については時間を要するものもあり、適切な周期で計画的に進められていると思いますが、観光資源として価値を高めるための美装化も必要ではないかと思います。
また、観光としての修理現場の公開、地元業者への仕事創出やたくみの技術の承継など経済効果も高いと考えますが、どのように文化財の保全修理に取り組んでおられるのか、教育長に伺います。
時代の変化によって失われていくものが多い中、時を超えていつまでも受け継がれるべきものが文化であり、大切に守り続けなければなりません。
そして、今を生きている我々が次世代に語り継いでいくものは文化だけではありません。それは、平和の大切さ、命の尊さ、戦争の悲惨さであります。
毎年行われます県や市の戦没者追悼式に出席させていただき、その思いを強くいたします。
5年前には、沖縄の立山の塔での慰霊祭にも出させていただいたことがあります。各都道府県の慰霊碑がそろう
沖縄県営平和祈念公園には、全国から修学旅行の生徒がたくさん訪れておりましたが、富山県の学校では沖縄に修学旅行をするケースが少ないと聞いて残念に思いました。
戦後から70年以上が経過し、戦後生まれの人口が4分の3を上回った現在、子供たちが歴史を学び、平和について考える機会を与えることは大切なことであります。
県では、戦後60年の節目である平成17年から小中学校を対象に戦争体験者等による語り部派遣事業を行っておられますが、これまでの事業の状況と今後の取り組みについて、市村厚生部長に伺います。
地域には、地元の有志や民間団体等が建立した日本人戦没者の慰霊碑が数多く見られます。このような慰霊碑の維持管理については建立者が行うことが基本とされておりますが、関係者の高齢化等によって維持管理が困難となっているものがあります。
砺波市宮村のお寺の境内に、第二次大戦中に富山から旧満州に派遣され、多くの犠牲者を出した在満報国農場隊の隊員らを祭る慰霊碑「待君之碑」があります。建立から70年以上が経過し、老朽化による倒壊が懸念され、元隊員の方々は、このままでは農場隊の歴史や犠牲者の思いが後世に伝えられなくなると嘆いておられます。
このような慰霊碑の維持管理に対する国の支援は、自治体が管理する土地に移設を行う場合や、当該建立地に埋設等を行う場合に限られています。
1995年に刊行された「富山県満蒙開拓団史」によれば、1944年、県は国の食糧増産政策に基づき、富山県青少年農兵隊を結成。国民学校を卒業した14歳以上の少年少女が県内外で開墾作業に従事しました。そして翌年、県が国策に基づき旧満州に在満報国農場を設立し、農兵隊員約600名から選抜された81人の農場隊員が旧満州に派遣されたとあります。まさに国策に翻弄され、尊い命を犠牲にした戦争の悲劇であります。
この慰霊碑が修復、保存できずに、農場隊の記憶が失われ、歴史から消えていけば、極めて切ないことであります。
これらを援護行政の対象として、国や県の責任においてしっかりと支援すべきと考えますが、厚生部長に所見を伺いまして質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
4 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
5 ◯知事(石井隆一君)おはようございます。
瘧師議員の御質問にお答えをいたします。
まず、米政策改革への対応についてでございます。
平成30年産米から国の米政策が大きく見直されました。行政による生産数量目標の配分が廃止されて、生産者みずからの判断による需給調整を促すとされたわけでありまして、そこで本県では、
県農業再生協議会、会長にはJA中央会の伊藤会長になっていただいて、ここに県や農業団体等々も参加をしまして、この協議会を核に、需要に応じた米生産と、また水田フル活用を引き続き推進することとしまして、各地域の取り組みの参考となりますように、米の生産目標や作物別の生産方針を定め提示をいたしております。こうしたあり方は、東京、大阪など除くと全てと言っていいほどの県でなされております。
米政策の見直し初年目の30年産では、主食用米の作付面積をできるだけ確保する。本県の場合は、平成29年度と同じ面積を確保いたしました。特に大麦や大豆も維持しながら、特に加工用米とか飼料用米とか輸出用米等の非主食用米や、タマネギ等の園芸作物の作付が増加しますなど、提示した方針に沿った取り組みが行われております。
また、主食用米の価格につきましては、高品質で良食味な米づくりや、富富富の
戦略的デビュー等により県産米の需要は堅調でありまして、一方で、全国的な作柄の不良もあって、米価は高水準で推移しているわけであります。
本県の場合は、5年連続で北陸4県の中で1等米比率が1番、89.5%ということでもございます。
こうした中で、本県産の主食用米の生産目標の設定に当たりましては、県産米の需要が堅調でありますこと、また、地域では大豆や大麦、園芸作物などを組み合わせた計画的な水田利用が図られていること、また、農業者の米生産意欲にも十分配慮すべきことなどを考慮いたしまして、県の農業再生協議会において、県全体で前年と同数量の提示がなされたところであります。
現在、田植えがほぼ終わったところでありますが、作付状況は主食用米では前年並みかわずかに減少が見込まれ、また、生産拡大を図るとされた飼料用米や輸出用米などの非主食用米や収益性の高い園芸作物につきましては、30年産からさらに増加の見込みとなっております。
なお、備蓄米については、現状でも主食用米の生産量に対する比率が全国で見てもかなり高くといいますか、トップクラスとなっておりまして、全国で3番目ということでございますし、本県産の落札実績が今後3年間、県別優先枠として維持されるとの方針も踏まえて、現場の実情からは相当に難しいと考えられますけれども、さらに拡大する余地がないかJAグループに検討いただいているところであります。
今後も行政、
JA等農業団体、生産者等が緊密に連携の上で、需給の動向を踏まえつつ、競争力のある高品質で良食味な米の計画的生産に努めていただきますとともに、国の支援策、これは例えば戦略的作物の助成、またタマネギ、ハト麦などの
地域振興作物等の支援、産地交付金、こういったものも生かす。また、県独自の政策、1億円
産地づくり加速化事業とかタマネギ新
産地拡大支援事業とか、こういったことも組み合わせまして、園芸作物などの生産拡大や産地づくり、また中山間地域も含めたスマート農業の推進などを進めまして、米政策改革に的確に対応しながら、本県農業の振興を図ってまいりたい。
できるだけこの米のいろんな課題につきましては、現場のいろんな希望、ニーズもしっかり踏まえながら、一方で、もちろん全国での米の需要、だんだん減りぎみだということもございますから、両方をにらみながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
次に、建設業の人材確保についての御質問にお答えをいたします。
社会資本整備の整備、維持更新の担い手であり、また、地域の安全・安心を守っていただいている県内建設企業において、若手入職者の確保育成が大事だと思っております。
そこで、県としましては、若手入職者を確保しますために、建設系学科の高校生と保護者を対象とした出前講座や
若者向け現場見学会の実施、また県内高校等へのPR誌の配布、それから在職者の定着のための資格取得講座に要する費用への支援、例えば建設業協会が実施します
建築施工管理技術検定とか、
土木施工管理技術検定等も支援をしているわけでございます。
さらには、働き方改革ということでございますから、週休2日制モデル工事の試行拡大とか、あるいは工事現場で快適な仮設トイレを設置する、そういった工事を進めるとかといったことに取り組んでおります。
特に女性の方々の入職、活躍につきましては、昨年度に引き続きまして、女性技術者が活躍する現場の見学会や座談会を実施しますほか、女性が働きやすい職場になるような労働環境改善の取り組みの支援も行っております。
今年度新たに、高校生に建設産業の仕事に振興を持って進路選択の参考にしていただくために、身近な土木構築物が完成するまでの工程、例えば設計の現場とか生コンプラント、あるいは製鉄工場、製品工場、あるいは施工現場、それぞれの工程を訪ねるツアーを実施しまして、建設産業のイメージアップを図る、また建設現場で働く多くの方に会ってもらう、こういったことを進めておりまして、その体験レポートを高校生や保護者に向けて広く発信することにいたしております。
こうした取り組みもありまして、県内建設系学科の高校生の建設系企業への就職率は近年上昇しておりまして、例えば平成28年度卒ですと68人でありましたけれども、平成30年度卒の方では94人にまで増えておりまして、それなりの効果が出ているのかなと思います。
今後も、業界の方からは御評価いただいておりますけれども、県内建設業の将来を担う若手入職者の確保育成につきましては、建設業界の皆様の御意見も伺いながら、また、いろんな政策のバランスもとりながら、必要な取り組みを進めてまいります。
最後に、児童虐待についての御質問にお答えをいたします。
県内の児童相談所における
児童虐待相談対応件数が増加しておりますので、県では児童福祉司や児童心理司の増員、また、研修の充実による児童相談所の相談体制の強化、また、児童相談の一義的窓口であります市町村の担当職員への研修の実施、警察との情報共有に関する協定の締結などによりまして、これは民生委員や児童委員の方も含めて、関係機関との連携を推進して、早期に発見、対応するための体制整備に努めてまいりました。
全国的に痛ましい事件が起きておりますことから、国では昨年7月に総合緊急対策を取りまとめられましたほか、12月に
児童虐待防止対策体制総合強化プランを策定されまして、児童福祉司を全国では2,020人増員する等の体制強化策を示されて、さらに、今国会で児童福祉法等の改正案が審議されております。
県としましては、国の対策、例えば緊急対策ということで、児童虐待の通告を受理した後、48時間以内に安全確認ができない場合は立入調査を実施するとか、あるいは要保護児童の学校の欠席が続く場合、7日間にわたりますと、児童相談所へ情報提供を行う新しいルールが定められましたけれども、こういった国の対策にも適切に対応しますほか、今年度は、児童相談所の児童福祉司等の増員、児童福祉司は3人、児童心理司は2人、計5人を増員しましたし、新たに学校や保育所、幼稚園等の職員向けの研修の実施や
児童虐待対応ハンドブックを作成しまして、このハンドブックを活用した関係機関の緊密な連携を図る研修会の開催などを行いまして、さらなる連携強化を図ることにしております。
さらに、県としましては、先般の札幌市の事件で児童相談所と警察との連携が不十分だったと伝えられることもございますので、新たに関係機関や有識者などによる検討委員会を設置いたしまして、できれば夏ごろ、国のいろんな全国の
児童虐待相談対応件数なんかも公表されると聞いておりますし、またハンドブックもそのころにはできると思いますので、多分8月ごろになると思いますが、児童相談所の体制の強化、市町村の体制強化に対する支援、市町村との連携の強化、また、学校や保育所、幼稚園、警察、民生委員、児童委員、医療機関、
女性相談センター、こういった関係機関との連携強化などについて改めて検討して、県内で痛ましい事件が起こることがないように万全を期してまいりたいと思っております。
今後も、児童虐待の発生予防、早期発見、早期対応から自立支援まで、総合的な施策のさらなる強化に鋭意取り組んでまいります。
以上であります。
6 ◯議長(中川忠昭君)
河村農林水産部長。
〔農林水産部長河村幹治君登壇〕
7 ◯農林水産部長(河村幹治君)まず、農地整備事業の推進についての御質問にお答えいたします。
本県では、農業競争力の強化を図るため、生産コストの低減に向けた水田の大区画化や、高収益作物の導入を進める汎用化などを行う農地整備事業に計画的に取り組んできており、平成29年度末までに5,117ヘクタールの大区画化、3万4,165ヘクタールの汎用化を行ってきたところであります。
こうした中、農業従事者の高齢化や減少等を背景に、農地の集積等に不可欠な農地整備事業の要望が県内各地から多く寄せられていますことから、県では、国の補正予算の積極的な活用や当初予算の本県配分の増額確保に努めますとともに、土地改良法の改正により創設された
農地中間管理機構との連携事業の活用や、農地集積促進費により農家負担が軽減できる事業も活用しながら、本年度は県内49地区において県営農地整備事業を実施しているところであります。
今後につきましても、水田農業に特化した農業構造であることを踏まえ、主穀作と園芸等を組み合わせて周年的に所得と人材を確保するとやま型農業経営モデルを参考に、経営規模の拡大や高収益作物の導入促進等が可能となるよう、
農地中間管理機構と連携した農地の集積、集約化に資する農地の大区画化や汎用化に積極的に取り組みますとともに、給水栓等のスマートフォンでの遠隔操作など水管理労力の大幅な削減に向けたICT化など、新技術の導入を進め、本県の意欲ある農業者が希望を持って農業に取り組めるよう、農業基盤の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、中山間地域等直接支払制度についてお答えをいたします。
中山間地域等直接支払制度につきましては、平成30年度は制度対象農用地の85.7%に当たる4,626ヘクタールで取り組まれており、水路、農道等の管理活動による耕作放棄地の発生防止や集落機能の維持、中山間地域の環境保全にも大きな効果を発揮していると考えております。
また、先月開催いたしました富山県農山村振興対策委員会におきましては、第4期対策は農業生産活動の継続や集落営農組織などの担い手確保など、中山間地農業の維持に加え、国土保全の観点からも大変大切な事業であるとの評価をいただいたところであります。
一方で、地域からは、高齢化、過疎化の進行による活動参加者の減少、農業や集落リーダーの後継者不足を心配する声も大きく聞かれたところであります。
このため県では、今年度措置されました地域営農体制緊急支援試行加算を県内4地区で活用し、担い手の確保に向けて、農業体験メニューや田んぼオーナー制など、外部の人材の確保、活用や、地域内のNPO法人が運営する里山食堂等を拠点とした交流人口受け入れ体制の整備などによる集落機能の強化、自走式草刈り機の導入による除草作業の省力化と、営農の効率化に向けた取り組みを支援することとしております。
来年度から始まる第5期対策に向けて、市、町等関係機関と連携し、こうした中山間地農業の担い手を地域で支える体制づくりの成果の横展開を図りますとともに、国に対しては試行加算の本格実施を要望してまいりたいと考えております。
最後に、中山間地域におけるスマート農業の推進についてお答えいたします。
農業従事者の高齢化や担い手不足が深刻化する中、特に中山間地域では、圃場が小さく分散していることや、畦畔が大きく急勾配であることなどから、農作業の効率化が悪く、先端技術を活用したスマート農業は、農作業の大幅な消化等を図る上で有効な方策であると考えております。
このため県では、昨年度から大規模経営型のモデル農場のほか、富山市八尾町の中山間地域においても、モデル農場を設置して遠隔操作できる自動給水栓による水管理や、自走式草刈り機による草刈り作業、ドローンによる農薬散布などの実証を進めており、また、今年度新たに、氷見市と滑川市においても中山間地域等直接支払制度の試行加算措置を活用した自走式草刈り機の検証に取り組んでいるところであります。
また、中山間地域には日温格差が大きく比較的冷涼であるなど、営農の内容によりましては有利な生産環境にあると考える側面もあるところであります。
こうした環境や中山間地ならではの地形を生かして、付加価値の高い多様な品目の生産に取り組むに当たりスマート農業を取り入れることは、議員からお話のありました条件不利地における持続的農業の実現につながる大きな可能性があるものと考えております。
こうしたことを踏まえ、今後、県内での実証結果や他県での事例なども参考にしながら、本県の中山間地域の特色を生かしたスマート農業の効果的な展開につきまして、いろいろな可能性を探ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
8 ◯議長(中川忠昭君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
9 ◯土木部長(水口 功君)まず、就労環境の改善についての御質問にお答えをいたします。
建設現場の生産性向上により、時間外勤務や休日出勤を減らすことができれば、建設業の人材確保の面からも大きな効果があるものと考えております。
議員から3点の御指摘をいただきましたが、1点目の設計精度の向上につきましては、設計内容と現場との相違により手戻りが生じると工期等に大きく影響することがあります。
このため、かねてから設計業務の受注者に対し、地形や地質を踏まえた設計となっているかを業務の進行に合わせて専門の技術者が確認する、いわゆる照査を義務づけております。
また、平成29年10月には県の要領を改訂し、工事のヤードや進入路等、工事での施工を十分に考慮した設計となっているか等の照査項目の追加を行っております。
2点目のワンデーレスポンスにつきましては、工事におきましては、受注者からの問い合わせに対して、その日のうちに速やかに回答するワンデーレスポンス、これが推奨されておりますことから、職員に対して周知徹底を図っております。
3点目の工事書類の簡素化につきましては、工事に使用する資材の届け出を不要とするなどの提出書類の削減、施工計画書における記載項目の簡素化、電子メールを活用した業務の効率化などをこれまでも進めてきておりまして、今年度は電子納品チェックシートの様式を工夫し、提出書類の簡素化を図ったところであります。
県としましては、労働環境の改善や建設現場における生産性の向上につながる施策につきまして、建設企業の皆様の御意見も聞きながら、さらなる改善、充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、ICT施工技術の普及についての御質問にお答えをいたします。
建設現場における情報通信技術、ICTを活用した生産性の向上につきましては、例えばドローンを使った測量、ICT建機──ICTを備えた建設機械でございますけれども、こういったICT建機による施工、3次元データによる管理などを行う、いわゆるICT活用工事の普及に取り組んでおります。
ICT活用工事につきましては、測量設計から施工、検査の各段階で3次元データを用いる新しい技術でありますことから、施工に関する技術水準が国において整備され、平成28年度から全国的に試行工事が行われております。
県におきましても、昨年度からICTを活用した工事の試行を始めており、今年度も試行を推進することとしておりますが、昨年度施工した建設企業からは、計測する手間が軽減され生産性が向上した、経験の少ないオペレーターでも精度の高い掘削が可能などの意見があった一方で、3次元データの作成に手間がかかり、技術の習得や人材育成が必要などの意見もありましたことから、ドローンによる測量やICT建機の操作に関する現場研修会、3次元設計データ作成の講習会を行っております。
加えて、建設現場におけるICTの活用を若い世代に広く知ってもらうため、県では、ICT活用工事の現場見学や、県立大学と協力し、ダ・ヴィンチ祭でドローンの飛行実演等を行っております。
また、富山県建設業協会や測量設計業協会等におきましても、高校生を対象に3次元測量等の体験学習が行われております。
県としましては、建設現場の生産性向上や担い手確保育成のためにはICT技術の普及は欠かせないと考えており、今後とも産学官連携して取り組んでまいります。
以上でございます。
10 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
11 ◯厚生部長(市村仁志君)最初に、介護支援専門員等の確保状況についての御質問にお答えをいたします。
県では、介護支援専門員になるための試験及び研修を行うなど人材育成に取り組んでおりまして、介護支援専門員につきましては、第7期県介護保険事業支援計画において、令和2年度の目標を4,040名としておりますが、昨年度末で3,443名となっております。
これは、昨年度から介護支援専門員の資質や専門性の向上を図るため、試験の受験要件が厳格化されたこと、合格者数が前年の232名から44名に減少したこと、5年に一度の専門員証の更新を行わない人が多かったことなどが影響しております。
なお、目標の達成は難しくなっておりますが、目標の設定に当たって、介護支援専門員1人当たりが担当いたします利用者を16名として算定していることによるものでございまして、実際には、介護支援専門員1人当たり35人までが基準でございますので、その範囲でより多くの利用者を担当して対応いただいているところでございます。
介護サービスのかなめであります介護支援専門員の確保は重要なことから、県では今年度から、がんばる介護事業所表彰の対象に新たに居宅介護支援事業所を加えるなど、介護支援専門員の魅力をPRしますとともに、介護支援専門員の更新などに必要な法定研修におきまして、研修が過度の負担とならないよう、資質や専門性の向上を確保しつつ、受講日程や内容の効率化を図るなど、介護支援専門員して業務を継続しやすい環境づくりにも取り組んでおります。
また、相談支援専門員につきましては、第5期県障害福祉計画に基づきまして、毎年90名を養成する目標を立てております。
相談支援専門員の要件であります実務経験年数を国において細かく設定していくということもございまして、結果として、毎年70名程度養成しているというところでございます。
引き続き個人に合った質の高いサービスを効果的に提供できますよう、介護支援専門員や相談支援専門員の確保に努めてまいります。
次に、介護分野におきます外国人の受け入れ状況についての御質問にお答えをいたします。
介護分野における外国人の受け入れにつきましては、平成20年度から経済連携協定(EPA)に基づき、県内の6施設において、インドネシア、フィリピンから外国人介護福祉士候補者を受け入れておりまして、現在、このうち5施設で外国人介護福祉士3名と外国人介護福祉士候補者14名が勤務をいたしております。
また、県内介護福祉士養成校では、これまで10名以上の留学生が卒業し、県内介護施設等に就職しており、現在もベトナム、モンゴル、中国から36名が学んでおられます。
さらに、介護分野の技能実習生は少なくとも県内2事業所で5名が技能の習得を目指して励んでいるとお聞きをしており、外国人介護人材の受け入れは徐々に進みつつあると考えております。
このため、こうした本県の現状や新たな
在留資格特定技能の創設など、介護分野を取り巻く環境が大きく変化している状況を踏まえまして、県では、介護現場の外国人受け入れのニーズの把握と制度の理解促進を図るため、今年度新たに、主な県内介護事業所を対象に、外国人介護人材の受け入れ実態や意向等に関するアンケート調査や受け入れ意向を持つ介護事業所を対象に、受け入れのポイントや事例を紹介いたしますセミナーを実施することといたしております。
県ではこれまでも、介護人材確保に向け、県福祉人材確保対策会議の構成団体と連携しながら、若者等への介護の魅力PRや就労支援、処遇改善を含む定着支援などのさまざまな施策を実施し、多くの方々が介護の仕事に魅力、やりがいを感じ就業され、長く就労いただけるよう取り組んでおりまして、こうした中で、外国人介護人材の受け入れに前向きな介護事業所への支援についても情報提供に努めるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、戦争体験者等の語り部派遣事業についての御質問にお答えをいたします。
将来の富山県を担う子供たちに、戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えていくために、戦後60年を迎えた平成17年度から、戦争体験者等による語り部派遣事業として、小中学校、児童館、公民館に戦争体験者等による語り部を派遣し、戦場での体験、富山大空襲、疎開、引き揚げなどの体験を語り伝える事業を実施しております。
事業の開始以来、昨年度までの14年間で延べ270カ所で実施をし、1万8,956名の子供たちの参加がございました。
話を聞いた子供たちからは、戦争は二度と起こしてはいけない、苦しんだ過去があることを忘れずにいたいなどの感想が寄せられまして、先生方からも高い評価をいただいており、毎年続けて語り部派遣事業を申し込んでいる学校もございます。
また、戦後70年の節目の平成27年度には、語り部の方々の戦争体験談や平和への思いを記録、保存したDVDを作成し、授業や行事等で活用していただけるよう、県内全ての小中学校、図書館、児童館等に配布したほか、朗読ボランティア等を派遣する戦争体験手記の朗読会を開始するなど、事業の拡充に取り組んできたところでございます。
戦後生まれの人口が8割となり、新たに令和の時代となった現在、平和の尊さや命の大切さを子供たちにしっかり伝えることが重要であり、悲惨な戦争の記憶を風化させないためにも、引き続きこうした戦争体験等を継承する事業に積極的に取り組んでまいります。
最後に、慰霊碑についての御質問にお答えをいたします。
「富山県満蒙開拓団史」等によれば、富山報国農場隊の慰霊碑「待君之碑」は、引き上げ途中で亡くなった23名を悼み、昭和22年に砺波市の寺院に、元隊員や関係者によって建立されたとされております。
さきの大戦では、軍人軍属の戦没者のほか、外地で亡くなった方や富山大空襲による戦災死没者など多くの尊い命が犠牲になっており、県内には日清、日露戦争を含め、その鎮魂のため、議員御紹介の待君之碑を初め、民間団体などにより建立された300を超える戦没者慰霊碑が確認をされております。
これらについては、それぞれの関係者のお力により管理がなされているところでございますが、県といたしましては、富山報国農場隊を含む満蒙開拓で犠牲となった皆さんの慰霊のため、昭和51年に護国神社境内に県満蒙開拓自興会により建立された拓魂碑に対し支援を行うとともに、毎年8月15日に開催しております県戦没者追悼式において、平和の祈りを込め、亡くなられた方々の御冥福をお祈りしているところでございます。
富山報国農場隊の悲劇を含め、悲惨な戦争の記憶については、それを風化させず、次の世代にしっかりと語り継いでいくことが重要であると考えており、引き続き、先ほど答弁をいたしました戦争体験者等による語り部や戦時下の暮らし展の開催等の事業に積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
12 ◯議長(中川忠昭君)
芝田商工労働部長。
〔商工労働部長芝田 聡君登壇〕
13 ◯商工労働部長(芝田 聡君)介護ロボットの開発支援についての御質問にお答えいたします。
介護ロボットにつきましては、介護人材の不足への対応や介護者の負担軽減を図るため、国の研究機関においてロボット介護機器の開発支援に取り組んでおります。
平成29年には、未来投資戦略2017を踏まえ、平成24年に策定された「ロボット技術介護利用における重点分野」に新たに装着型の移動支援機器や高齢者とのコミュニケーション支援機器を追加するなど、現場のニーズを酌み取ったロボット介護機器の開発等が進められております。
本県では、ことし2月に開催した次世代自動車・ロボティクス富山フォーラムのロボティクス分科会において、介護ロボットの開発、普及に関する専門家を講師に招き、講演や意見交換を実施するなど、県内における介護ロボット開発の啓発に取り組んでおります。
また、本年3月に策定した新・富山県ものづくり産業未来戦略では、新たな成長分野としてヘルスケア産業を位置づけており、昨年11月に設置をいたしましたヘルスケア産業研究会におきまして、研究開発プロジェクトのテーマなどについて検討しております。
今後、近く生活工学研究所に開所するヘルスケア製品開発拠点も活用しながら、介護機器等の新たなヘルスケア関連製品の開発を支援していくこととしております。
今後とも、ヘルスケア関連の新事業創出や新商品の開発に向け、産学官が連携しながら、新たな視点で介護現場等のニーズを把握するとともに、大学や企業が有する技術とのマッチングを図るなど、利用者の自立支援や介護者の負担軽減につながる介護ロボットの開発支援にしっかり取り組んでまいります。
以上でございます。
14 ◯議長(中川忠昭君)伍嶋教育長。
〔教育長伍嶋二美男君登壇〕
15 ◯教育長(伍嶋二美男君)初めに、文化財の整備に関する御質問にお答えいたします。
本県には、国宝の瑞龍寺や重要文化財である勝興寺、また世界遺産の五箇山合掌造り集落、さらには、日本遺産に認定されました高岡や井波、県指定の出町子供歌舞伎曳山など、観光資源として魅力ある文化財が数多くあります。
一方、文化庁では、議員から御紹介のありましたように、地域の貴重な文化財を観光資源として活用していくため、アクションプログラムを策定いたしまして、地域の文化財を一体的に活用する取り組みへの支援が進められております。
こうした国の取り組みを踏まえまして、県教育委員会におきましても、文化財の一体的な整備を図る勝興寺の公開活用や、また、高岡市の山町筋と金屋町の町並みの美装化に対する支援を行っているところであります。
さらに、本県の文化遺産の魅力を高め、観光コンテンツとしての質を向上させるために、わかりやすい観光説明板の充実などを図りますとやまの文化遺産魅力発信事業を実施して、国内外に情報発信をしております。
このほか、文化財保護法の改正に伴いまして、県や市町村において、文化財の保存活用に係る方針や計画の策定が努力義務として定められまして、地域の文化財の総合的な保存活用を後押しする仕組みが設けられたところであります。
このため、今後、県の文化財の保存活用の方針の策定に当たりましては、文化財を貴重な地域観光資源とする観点も取り入れながら検討を進めることとしております。
県教育委員会としては、引き続き文化財が地域の観光振興の貴重な資源として活用されますよう、所有者や市町村が行う文化財の一体的な整備、保存事業に支援してまいりたいと考えております。
次に、文化財の保全修理に関する御質問にお答えをいたします。
文化財の保全修理につきましては、地域の特色ある文化財を観光資源として活用するなど、魅力向上の観点を見据えまして、所有者と国、県、市町村が連携しながら取り組んでおり、今年度は27件を対象に事業が進められております。
保全修理に当たりましては、建造物を美しい状態に回復して魅力を向上させるとともに、文化財のよさを理解しやすく、かつ安全に公開できる環境整備を図る美装化事業に取り組んでおります。
例えば高岡市の山町筋、金屋町や勝興寺では、伝統的建造物群の環境整備や安全性の確保のための防災・防犯設備の整備に支援を行っております。
また、ふだんは見ることのできない伝統建築の構造や、たくみのすぐれた修理技術の魅力を体感していただくための修理現場の公開に取り組んでおりまして、五箇山の合掌造り集落や護国八幡宮などの屋根のふきかえ作業の公開や、あるいは修理内容を紹介したパンフレットを作成しておりまして、観光客などにも好評を得ているところであります。
さらに、地元業者への仕事の創出や技術の承継等を図るため、勝興寺では、現在行われている大広間などの工事につきまして、事業費の約9億9,000万円の約59%に相当する部分を、伝統技術が必要とされます木工事や漆塗り、さらには金物製作などの工事が県内事業者により施工をされております。
文化財の保全修理は美装化や修理現場の公開によりまして、観光振興につながるとともに、地元業者への仕事の創出などの経済効果も大きいことから、県教育委員会としては、今後とも関係機関と十分に連携しながら、その魅力の向上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
16 ◯議長(中川忠昭君)以上で、瘧師富士夫君の質問は終了しました。
17 ◯議長(中川忠昭君)井加田まり君。
〔20番井加田まり君登壇〕
18 ◯20番(井加田まり君)社民党議員会の井加田でございます。
改選後初めての定例会での一般質問となります。
微力ではございますけれども、2期8年間の経験を踏まえて、県民の皆様の思いに寄り添い応えることができるよう、しっかりと取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、通告に従いまして質問に入ります。
初めに、県内経済・雇用情勢について伺います。
最近の本県の景気について、直近の県の経済情勢報告によれば、緩やかに回復との判断が示されております。個人消費について見てみますと、3月速報値では、百貨店、スーパーなどの販売額は前月比11.6%増となっています。大型スーパーの進出による伸びが考えられますが、既存店では0.3%の伸びにとどまっております。
個人消費は緩やかに回復との判断でございますが、高岡では長年地域に親しまれてきた大和百貨店の撤退による影響が懸念されており、先行き不透明であります。
新車の新規登録台数では、4月は前年同月比0.2%増、5月は5.1%増と好調。また、3月の新設住宅着工戸数では、前年度比15.2%増で、住宅建設はおおむね横ばいとされました。いずれも消費税率引き上げになる前の駆け込み需要も考えられます。
設備投資においては、製造業で前年度比7%の減、全産業では3.3%減少で、全体として減少、公共投資ではおおむね横ばいとの判断であります。
鉱工業生産指数は前月比3.8%の減、このところ弱含んでいるとの判断が示されました。
一方、家計調査では、1月から3月期の2人以上の世帯の平均消費支出は、前年同月比9.3%も減少しております。家計調査結果からは、先行きへの不安から、できるだけ家計を節約しようとする傾向があるのではないでしょうか。とても緩やかでも回復基調にあると実感できる状況とは私は思えません。
毎年のように本県の景気は回復基調にあると報告をされておりますけれども、緩やかな回復も数年続けば、もっと地域の活性化が実感できるものと考えます。
主要な経済指標が伸びない中で、県内の経済情勢をどのように分析し、景気は緩やかに回復との根拠をどのように捉えておられるのか、石井知事に伺います。
先ごろ骨太方針案が示され、年金受給開始の70歳への引き上げの検討など、給付抑制の方向が示されました。経済状況が深刻さを増す中、10月の消費税率引き上げによる景気の悪化がさらに懸念をされるところであります。
高齢社会に向けて安定的な財源確保として1989年に導入をされました消費税ですが、解散、総選挙の争点ともなり、税率引き上げの際に消費税収の活用目的が変更されてきた経過があります。
1989年の導入から2016年までに国民が支払った消費税は327兆円です。この間、消費税収が増えても、所得税と法人税収入の減少で税収総額はほとんど増えておりません。
一方、法人税減税の累計が272.1兆円となり、消費税の増収分は法人税減税と復興法人税の前倒し廃止などにより、税収ベースで言えば83.2%が消えたことになります。
2019年度の国当初予算においては、消費税増税対策として2兆を超える臨時・特別措置が計上されました。増税に当たり、キャッシュレス決済の利用で5%分を還元する事業や、食料品と定期購読の新聞の税率を据え置くなど軽減税率も導入をされますが、制度が複雑な上に、ポイント還元などは高所得者ほど有利になること、軽減税率についても混乱を招くことが懸念されております。
2%の増収分は5.2兆円、幼児教育無償化などに3.2兆円、経済対策に1兆円、防災・減災・国土強靱化(公共事業)に1.3兆円と、年金や医療、介護など社会保障の充実ではなく、増税分を上回る新たな政策目的、景気対策に活用されることになっています。
10%への引き上げを凍結するほうが有効な経済対策になるのではないかとの声もあります。
年金の給付水準については、現役世代が支払う保険料の上限に合わせて、現役世代人口の減少や平均余命の伸びに応じ給付水準を徐々に引き下げていくとするマクロ経済スライドが導入されており、厚生労働省の年金の財政検証においては、2043年度まで給付水準が下がり続ける見通しとなっております。
無職の高齢者夫婦が95歳まで生きていくには、夫婦で2,000万円の蓄えが必要と試算した金融庁金融審議会の報告書の内容についての批判が高まっており、政府は参議院選挙の争点化を恐れて事実上撤回し、都合の悪いデータを隠そうとしておられます。
麻生さんは報告書を受け取らない理由を明確にしないまま、責任を金融庁幹部に丸投げしておられますけれども、大変不適切な対応と言え、その無責任さに多くの国民はあきれ返っているのではないでしょうか。
報告書の受け取りは拒否できても、社会保障の給付と負担のあり方についての議論は待ったなしであります。避けては通れないものと考えます。
一方、2018年の実質賃金は、統計不正の発覚で大幅に下方修正されることも指摘をされているところであります。
さらに、内閣府発表によれば、ことし1月から3月期の1次速報において、輸入が急減し計算上はプラス成長となったけれども、GDPの7割を占める個人消費と設備投資がマイナスとの指摘もされております。
賃金は上がらず、国内需要や世界経済の減速傾向が明らかとなる中、消費税率を10%へ引き上げる経済状況にはないと考えるものですが、知事の所見を伺います。
2点目に、志賀原子力発電所の再稼働について伺います。
世界の電力供給の潮流は、原発よりも安全で安価な自然エネルギーへの転換であります。
2020年には、総括原価方式の電気料金が撤廃をされる。原発を持つ電力会社は、原子力発電に伴う追加費用や、放射性廃棄物の処分や廃炉に向けた費用負担を応分に求められることになります。
6月14日、原子力規制委員会において、志賀原発2号機の新規制基準の適合性審査に向けて、北電側が現在実施をしている敷地内外の活断層の調査状況や今後の日程について報告し、この秋にも断層の活動性評価の議論が本格化をする見通しと報道がありました。
20年前の1999年6月18日、定期検査で停止中の志賀原発で3本の制御棒が抜け落ち、原子炉が臨界に達する事故が起きました。緊急停止できずに臨界が15分継続。原子炉の制御に失敗をしたチェルノブイリと同じタイプの事故で、臨界が15分で収束しなければ、あわや大惨事となるところでありました。
ところが、北電は臨界事故を隠蔽し、2号機の建設を開始、事実が明らかとなったのは8年後の2007年3月15日、2号機の商業運転の開始から1年後でありました。
当時の原子力・安全保安院は、直ちに志賀1号機を停止させ、原因調査、再発防止を指示。この時点で原発から撤退することが最も確実な事故防止対策だったと言えるのではないでしょうか。
東日本大震災以降、1号機、2号機とも停止したまま8年以上たっております。この間の維持管理費は総額4,000億円に及び、事故、トラブルは繰り返され、再稼働は事実上困難な状況にあります。
現在、直下に活断層の存在が指摘をされております原子炉建屋の使用済み核燃料プールに、使用済み、使用中、新しい燃料まで、合わせて2,985体の核燃料が入っております。
仮にプールが冷却できない状況になれば大変危険であり、停止中でも核燃料が存在すること自体が大きなリスクともなっております。維持費用や安全対策にさらに多額の費用負担も求められてまいります。
コスト面においても将来性が見通せない、増え続ける放射性廃棄物の最終処分の見通しも立っていない現状で、原発再稼働が現実的と考える方は大変少ないと思います。
県は、北陸電力の筆頭株主の立場でもあります。県民の安全・安心の観点からも、再稼働方針からの撤退を北陸電力に進言されるなど総合的な判断を行うべきと考えるものですが、6月26日に開催をされます株主総会においてどのような方針で臨まれるのか、その対応について、滝経営管理部長にお伺いをいたします。
北陸電力との安全協定締結の結論も先送りになっております。
原発の安全神話は完全に崩壊している中にあって、この間に県が実施してまいりました避難訓練では、事故が起きることを前提に避難手順を確認する訓練が続けられております。住民のためというより、再稼働の条件整備に向けた避難訓練となっているのではないでしょうか。
一旦原発事故に至れば、パニックとなり混乱は避けられません。
昨年、氷見市UPZ圏内の全世帯アンケートが実施をされました。アンケート結果から推測される避難所への避難人数は1万2,530人であり、自家用車での避難台数は6,399台、バスでの避難台数は延べ65台とされています。
一方、避難時の道路の渋滞や通行どめなども指摘されているところであります。
今後、氷見市を初め関係市町村、関係機関等と連携をし、避難計画の充実につなげるとされておりますけれども、具体的にどのように取り組まれるのか、アンケート実施の目的とあわせて、竹野危機管理監にお伺いをいたします。
3点目に、働き方改革について伺います。
とやま働き方改革行動宣言に基づいて、企業や従業員、消費者などが連携協力をし、県民運動を展開していくと提案説明がございました。
働き方改革は、社会全体で見直していかなければならない面もございますが、働く人の立場に立った具体的な改善を行政の側が後押しすることも重要であります。
自己責任で解決できない問題については、法令遵守で改善を進めていくよう、県としても積極的に取り組むことが重要と考えるものであります。
富山労働局による重点監督結果において最も多いのが、違法な長時間外労働、次いで賃金不払いであります。法令違反の半数以上は36協定未締結、限度時間を超える時間外などの違法な時間外労働でありまして、関係法令違反が常態化していることが背景にあります。
こうした働き方について、県としてどのように把握しているのか、また、法令遵守の観点から、県としても県内労働者の働き方の実態について調査、把握し、改善に向けた取り組みを進めるべきと考えるものですが、
芝田商工労働部長にお伺いをいたします。
次に、地方公務員法及び地方自治法の一部改正への対応について質問いたします。
地方自治体においては、正規職員が削減される一方、臨時・非常勤職員が増加をしております。臨時・非常勤職員は任用の根拠が曖昧で極めて不安定な立場にあり、官製ワーキングプアと呼ばれるほどの低賃金の実態もございます。
臨時・非常勤職員の処遇改善を図るために、同一労働同一賃金の趣旨を踏まえた会計年度任用職員制度が来年度から導入されることになっております。
本定例会に富山県会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例制定案が提案をされておりますけれども、移行への制度概要は、改正法及び総務省のマニュアルに準拠すると認識するものであります。
臨時・非常勤職員の期末手当や勤勉手当の支給など、給与、手当、休暇が正規職員と同等になり、非常勤職員の処遇改善が図られていくものと考えているところでございます。
そこで、移行対象となる臨時・非常勤職員について、具体的にどのような改善を見込んでおられるのか、滝経営管理部長に伺います。
また、県で雇用している臨時・非常勤職員の現状について、会計年度任用職員へ移行する職種及び人数はどのようになる見込みか、その考え方とあわせて経営管理部長に伺います。
必要な財源が確保されること、現状の臨時・非常勤職員の意に反する時間短縮や雇いどめが発生しないこと、業務の執行に不可欠な職員の正規雇用化に向けた職員定数適正化が前提と考えるものでありますけれども、移行に当たっての課題は何か、また、その課題にどのように対応されるのか、滝経営管理部長にお聞きをいたします。
4項目めに、子育て支援・少子化対策についてお聞きします。
県調査では、6歳未満児のいる家庭の家事、育児時間が妻に比べ夫が非常に短いこと、男性の育児休業取得率が低いことから、結果として、フルタイム勤務の妻の半数近くが出産を機に就業を中断しておられます。
県では、新たな子育て支援・少子化対策に関する基本計画策定に向けた検討が進められておりますが、現行計画に盛り込まれた施策の達成状況と当事者である県民の声や課題についてどのように分析しているのか、また、新たな計画策定に向けた基本的な考え方と施策の重点化について、あわせて蔵堀総合政策局長に質問いたします。
次に、発達障害に対する取り組みの拡充についてお聞きをいたします。
発達障害への的確な支援は、発達障害に対する理解を深めること、早期発見、早期支援であると認識しております。
県では、発達障害者支援地域協議会を初め、県リハビリテーション病院・こども支援センターにおいて、幼児から成人まで、市町村体制支援と困難ケースへの支援が行われている状況にございます。
利用者の増加に対応し、重要な役割を担う拠点施設として、診療体制の充実、専門的人材の確保で安定運営ができるよう、県の支援は不可欠と考えるものであります。
そこで、県リハビリテーション病院・こども支援センターの近年の利用状況の推移はどうか、また、県としてどのような課題を把握しどう対応していくのか、市村厚生部長にお伺いをいたします。
次に、高岡市きずな子ども発達支援センターへの支援についてお聞きをいたします。
高岡市きずな子ども発達支援センターは、発達障害児の乳幼児段階からの早期支援を行う医療や療育の拠点施設として重要な役割を担っております。
平成28年に1診から2診体制になり、診察待ちの期間の一時改善が見られたところですが、引き続き2診体制を維持するためには、継続した専門医の確保、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士、保育士など、発達障害の特性を踏まえた専門的支援体制の強化が不可欠であります。
県としてどのように支援していくのか、市村厚生部長にお伺いします。
児童発達支援センターの支援強化に向けて、専門職員の配置に係る新たな補助制度が設けられることとされましたが、補助制度の内容や連携強化についてどのように取り組んでいかれるのか、続いて市村厚生部長に伺います。
先ほどの瘧師議員の質問にもございましたが、次に、児童虐待防止対策と児童相談所の体制強化についてお聞きをいたします。
平成28年の児童福祉法改正において、市町村及び児童相談所の体制の強化、平成29年には児童の保護についての司法関与を強化するなどの措置を盛り込む児童福祉法が改正されたところであります。
県では、児童虐待対策について、対応ハンドブックを作成し、関係機関への説明会を行うなど、虐待の早期発見、早期対応に向けて取り組むとされておりますけれども、市町村及び児童相談所の体制強化の現状と連携強化に向けた課題についてどのように考えているのか、市村厚生部長にお聞きをいたします。
先ほどもありましたけれども、札幌市の虐待死の事例では、児童相談所と警察との連携がうまくとれていなかったことも明らかとなっております。
相談業務を担う児童福祉士、児童心理士の増員で体制は強化をされましたけれども、虐待が疑われる場合には、児童の保護についての児童相談所の権限を最大限に発揮すべきものと考えるところでありますけれども、市村厚生部長の所見を最後にお伺いをして、私の質問を終わります。
19 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
20 ◯知事(石井隆一君)井加田議員の御質問にお答えをいたします。
まず、本県経済への認識に関する御質問でございます。
本県における経済情勢につきましては、個人消費を初め、生産、雇用情勢などの主要項目を中心としまして、各種経済統計のデータを収集分析しますとともに、県内企業、団体の協力をいただいてヒアリングした結果、また、政府が毎月公表している月例経済報告も参考にしながら、本県としての景気の情勢を取りまとめ、毎月報告をいたしております。
例えば県内経済情勢については、3月においては、景気は緩やかに回復しているとしておりましたけれども、4月は、このところ生産の一部に弱さも見られるが、緩やかに回復している。これは平成24年10月以来6年半ぶりに、ある意味では下方修正したことになります。また、5月には、景気はこのところ生産は弱含んでいるが、緩やかに回復している。これは2カ月連続、いわば下方修正したことになるわけであります。
本県のこれまでの経済情勢について、主要項目の個人消費、生産、雇用に関して最近の5年間で見ますと、個人消費は、お話にありますように、地域により、中小商店など売り上げが若干減とか伸び悩みということもあるかとは思いますけれども、大型小売店舗の販売額が伸びておりまして、生産は平成22年を100とした鉱工業生産指数で見ますと、最近は若干低下していますけれども、ほぼ毎月100を超えて堅調に推移しておりますほか、有効求人倍率も平成26年1月の1.33倍から平成31年4月の1.94倍と大幅に改善してきておりますことなどから、緩やかな回復基調で推移していると認識しております。
一方で、5月の経済情勢報告においては、主要項目である生産に関しまして、3月の鉱工業生産指数が前月比3.8%の低下、また平成30年11月から数えますと5カ月連続で下落したこと、また、指数が100を下回りましたので、今ほども申し上げました、このところ弱含んでいると、こういう判断を引き下げたということでありまして、いろんな経済指標を見ながら、適時適切な判断に努めております。
なお、依然として個人消費は緩やかに回復している、また、雇用情勢が全国トップクラスの高い水準で推移しておりますことなどから、全体としては引き続き緩やかに回復しているという判断をしているわけでございます。
また、今後の見通しにつきましては、当面、一部に弱さが残るもの、雇用環境の改善が続きます中で、緩やかな回復が続くことが期待されますけれども、通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意しますとともに、海外経済の不確実性とか、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
今後も、国の景気判断や経済動向も注視して、また県内の経済情勢の把握に努めてまいります。
次に、消費税率の引き上げに関する御質問にお答えをいたします。
政府においては、骨太の方針、先般6月11日に示されました、この骨太の方針の原案におきまして、現在の我が国経済は、GDPが名目、実質ともに過去最大規模に達し、雇用・所得環境も大きく改善しているとされております。
数字を見ますと、バブル期のピークのころの1997年の4月から3月まで、名目で533兆円、実質で454兆円だったわけですが、この2018年4月から3月まで、名目で550兆円、実質535兆円と伸びております。とされまして、今年10月には全世代型社会保障の構築に向けて、少子化対策や社会保障に対する安定的な財源を確保するため、また、社会保障の充実と財政健全化にも資するように、消費税率の8%から10%への引き上げを予定していると明記されております。
一方で、前回の消費税引き上げの際には、駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じまして、景気の回復力が弱まりましたので、前回の経験を十分に生かしながら、今回の消費税率の8%から10%への引き上げに際しては、国民の負担増5.2兆円、これは消費税、8%から10%の2%分が5.7兆円ですけれども、そのほか、たばこ税、所得税の見直し、一方で、軽減税率をとったことで負担軽減が1.1兆円ある、こういったことを合算して負担増が5.2兆円とおっしゃっているわけですが、これに対して、幼児教育無償化の本年10月1日実施などによりまして、このほか診療報酬における補填の問題もありまして、合わせて3.2兆円ほどの受益増になる。そういうことを計算すると、経済への影響を2兆円程度に抑制するとされたわけであります。
さらに、需要変動の平準化に万全を期すこととしており、今年度予算で中小小売業等において消費者がキャッシュレス決済を行う場合のポイント還元、また、プレミアムつき商品券の発行、住宅購入者等への支援、さらには、防災・減災、国土強靱化対策などの臨時・特別の予算措置、これらで予算措置2兆円程度、さらには、税制上の支援としまして、住宅ローン減税とか自動車取得時、保有時の税負担の軽減等を合わせて0.3兆円、そうしますと、合計2.3兆円程度の措置を合意したことになります。
今の計算で言うと、経済への影響が2兆円なんですけれども、今言った予算措置あるいは税制上の措置で2.3兆円の規模の対策を講じたということですから、相当思い切った対策を講じられたということになります。
県としても、消費税の引き上げに伴う中小企業、小規模事業者への影響の把握ですとか、キャッシュレス推進セミナーや説明会を開催しておりますほか、5月にもやりましたし、今後7月にも経産省と共同でやることにしておりますほか、国の平成30年度補正予算や当初予算を最大限に活用しまして、防災・減災対策や国土強靱化に資する社会資本整備にも積極的に取り組みますなど、県内経済の下支えに努めているところでございます。
また、消費税率引き上げ後においても、経済情勢を踏まえながら、地域経済の活性化に十分配慮した総合的かつ積極的な実効性ある経済対策を講じていただきたいと考えておりまして、先般御来県されました茂木経済再生担当大臣に対して直接要請するなど、そのほかにも、岸田自民党政調会長にも東京でお会いしてお願いをしております。
骨太の方針の原案では、2019年度の臨時・特別の措置等の適切な執行により、経済の回復基調に影響を及ぼさないように取り組むとされております。
県としても、国に呼応した対策を着実に進めますとともに、中小企業の取り組みへの県独自の支援にも努めまして、本県経済の持続的な成長、発展に資する地域経済活性化に取り組んでまいりたい、こういうように考えております。
21 ◯議長(中川忠昭君)滝経営管理部長。
〔経営管理部長滝 陽介君登壇〕
22 ◯経営管理部長(滝 陽介君)私からは、まず北陸電力の株主総会の対応についてお答えをいたします。
県が保有をしております北陸電力株は、戦前の国策により県営発電事業を譲渡した際の代償として取得したものでございます。
投機や経営権の確保を目的として取得したものではないことから、県としてはかねてより、具体的な経営の内容については専門家である経営陣に委ねることを基本とすべきと考えております。
ただし、会社側から適切な情報提供が得られない、あるいは真摯な対応がなされないなど、県行政サイドとの話し合いが正常に機能しないような場合に限っては、株主として意見を申し上げた過去もございます。
現在、北陸電力は、志賀原発の早期再稼働を目指し、施設の維持修繕、安全性向上工事等に取り組んでおられますけれども、これらは北陸電力の経営判断によるものでございます。
また、原発の安全性や再稼働につきましては、法律上の権限と責任を有する国において、専門家によるさまざまな科学的調査、分析等を行った上で総合的に判断なされるものであり、県としては、その結果やそれに伴う経営の影響などについて引き続き注視してまいりたいと考えております。
6月26日に開催をされます株主総会への対応でございますが、現在、こうした基本的な考え方のもと、これまでの経緯なども踏まえて慎重に検討しているところであり、県として適切に対応したいと考えてございます。
次に、会計年度任用職員への移行について3問お答えいたします。
まず、処遇改善についてお答えいたします。
平成29年の地方公務員法及び地方自治法の一部改正によりまして、臨時・非常勤職員の任用の適正化と、同一労働同一賃金の趣旨を踏まえた処遇改善を目的に、会計年度任用職員制度が創設をされ、来年4月から施行をされます。
これを受けまして、本県におきましても、会計年度任用職員の給与等に関し必要な規定等を整備する条例案を今定例会に提案しているところでございます。
この条例案では、改正法の規定に基づきまして、会計年度任用職員に支給する給与について、フルタイム会計年度任用職員については、給付に加え、地域手当や期末手当などの各種手当を支給することとしております。
また、常勤職員と比べて勤務時間の短いパートタイムの会計年度任用職員につきましては、報酬と期末手当を支給することとし、報酬の中に地域手当などの手当相当額を含むとしたほか、通勤手当に相当する額を費用弁償で支給することとしております。
なお、議員からお話がございました勤勉手当につきましては、今回、国の法改正の中に含めることについては見送られたというふうに承知しております。
国では、今後の検討課題とされておりますので、県としてもその推移を見守ってまいりたいと考えております。
さらに、初任給決定の際の経験年数の考慮や、再度の任用におきます上限の範囲内での給料額等の変更、休暇の付加や一定の条件を満たす場合の健康診断の実施、フルタイムで1年を超える者への退職手当の支給や共済組合の加入など、常勤職員に準じた処遇改善を図ることとしております。
具体的な給料や報酬の給与水準につきましては、今後、個別具体に検討してまいることになりますけれども、臨時・非常勤職員の処遇改善という法改正の趣旨に沿って適切に対応してまいりたいと考えてございます。
次に、臨時・非常勤職員の現状と今後の見込みについてお答えをいたします。
本県におきます今年度に任用を見込んでいる非常勤職員の人数は、一般行政部門では1,069人、教育委員会では1,949人、警察本部では185人の合計3,203人となってございます。
このうち、職務の内容や責任の程度、勤務の形態を踏まえまして、常勤職員への移行を予定しているものが23人、専門的な知識、経験または識見に基づき助言、調査、診断等を行う特別職の非常勤職員への移行を予定しているものが1,082人でございまして、その他になります2,098人が会計年度任用職員に移行すると現時点で見込み、具体的な処遇を検討してまいりたいと考えております。
なお、会計年度任用職員に移行いたします職種につきましては、事務補助員や作業補助員、相談員、審査等の支援員などの一般職員が1,077人、教職員が891人、警察事務職員が130人となっているところでございます。
最後に、会計年度任用職員制度への移行に伴います課題と対応についてお答えをいたします。
御指摘ありましたとおり、単に勤務条件の確保等に伴う財政上の制約を理由として、会計年度任用職員への必要な移行を抑制するということにつきましては、既に国会でも取り上げられておりますし、総務省が作成をしました会計年度任用職員制度の導入等に向けたマニュアルにおきましても、そのような取り扱いは適正な任用、勤務条件の確保という法改正の趣旨にそぐわないとされております。
県といたしましても、法改正及び当該マニュアルの趣旨に沿って適切に対応したいと考えております。
また、現在、非常勤職員が担う職の正規化につきましては、職務の内容や責任の程度、勤務の実態等を踏まえまして、常時勤務を要すると認められる職については、常勤職員を充てることを基本として検討しております。先ほど答弁いたしました23名がそれに該当するわけでございます。
そうした増員につきましては、今年度中に策定を予定しております次期定員管理計画におきましても適正に反映をしたいと考えております。
また、会計年度任用職員制度の移行に伴います課題としては、期末手当の支給などの処遇改善を行うことによります所要額の増加に必要な財源の確保が大きな課題であると考えてございます。
このため、先般、総務省に対して十分な地方財政措置を講ずることを求める県の重要要望を行いましたほか、全国知事会を初め地方6団体とも連携をして、国への要請を行っているところでございます。
今後とも必要な財源の確保等に向け、国の地方財政措置の状況等もよく見極めながら適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
23 ◯議長(中川忠昭君)竹野危機管理監。
〔危機管理監竹野博和君登壇〕
24 ◯危機管理監(竹野博和君)私からは、原子力災害時の避難行動に関するアンケートについての御質問にお答えいたします。
県ではこれまで、平成25年に国のガイドラインに基づき、自家用車での避難者95%、バスでの避難者5%を標準として実施した避難時間推計シミュレーションをもとに、自家用車数等を推計しておりましたが、住民の避難手段等を把握し、避難計画をより実効性のあるものとするため、昨年11月、初めて氷見市のUPZ内全世帯を対象に原子力災害時の避難行動に関するアンケートを実施いたしました。
このアンケート結果からは、UPZ内全域で避難が必要になった場合、自家用車での避難者は1万2,029人、バスでの避難者は2,299人と想定され、自家用車の台数はこれまでの日中6,000台からほぼ同程度の6,399台に、バスの所要台数は23台から延べ65台程度に増える見込みとなりました。
この調査によりまして、想定避難者数や自家用車台数、バスの必要台数などが明らかになったことから、今後、より実態に即した避難計画となりますよう、氷見市や関係市町村、関係機関と連携いたしまして、一時集合場所、避難退域時検査場所や避難所の運営方法、バスなどの確保など、避難計画を具体化、充実してまいりたいと考えております。
なお、毎年秋に行います原子力防災訓練では、実際に情報伝達や避難行動などの緊急時対応を体験し、より円滑な避難に向けて退域時検査や要支援者の避難等の手順を確認しておりまして、住民からは訓練に参加して理解が深まったとの声も寄せられております。
県としましては、こうした機会を捉えまして、氷見市や関係団体と連携いたしまして、少しでもスムーズに避難できるよう、また、混乱を最小限に抑えることができるよう、原子力災害の避難行動の周知に努め、計画の実効性を検証してまいりたいと考えております。
以上でございます。
25 ◯議長(中川忠昭君)
芝田商工労働部長。
〔商工労働部長芝田 聡君登壇〕
26 ◯商工労働部長(芝田 聡君)長時間労働の是正等の御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、富山労働局が昨年11月に実施した重点監督の結果、県内では、労働基準関係法令違反が疑われる116事業場のうち84事業場、全体の72.4%において、違法な時間外労働や賃金不払い残業などの労働基準関係法令違反があり、昨年度と比較してその割合は低下したものの、依然として高い水準にございます。
労働基準関係法令の監督や調査は、権限を持つ国が行うのが基本と考えており、県独自の調査は考えておりませんが、健康の確保や仕事と家庭の両立、女性や高齢者の就業促進などの観点から、長時間労働の是正等は県として重要な課題と認識しております。
このため県では、労働局と雇用対策協定を締結し、過労死等防止対策推進シンポジウムによる普及啓発や、県庁内での年間を通した労働相談の受け付けなど、労働時間の適正化に向け、相互に連携して取り組んでおります。
また、議員からも御紹介がございましたが、働き方改革を広く県民運動として推進していくことが重要でありますことから、4月にとやま働き方改革行動宣言を行い、経済団体や労働団体など関係者と連携した長時間労働の是正等に向け気運醸成を図ったところでございます。
今後とも、長時間労働の是正など働き方改革の推進に向け、労働局等と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
27 ◯議長(中川忠昭君)蔵堀総合政策局長。
〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕
28 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)次に、新たな子育て支援・少子化対策に関する基本計画の策定に関する御質問にお答えいたします。
現在の少子化対策プランでございますが、これに基づきまして、結婚から子育てまで切れ目ない支援施策に取り組んでまいりました。
特に重点施策として取り組んでまいりました病児・病後児保育ですとか放課後児童クラブの実施箇所数は、著しく増加をしていると考えております。
具体的には、病児・病後児保育につきましては、平成16年時点で7カ所であったものが平成30年では147カ所に、放課後児童クラブにつきましては、平成16年時点で156カ所であったものが平成30年で272カ所に増加をしているところでもございます。
また、次世代法に基づきます一般事業主行動計画の策定企業数ですとか、若者の正規雇用率、定着率などで目標を達成するなど、おおむね順調に推移していると考えております。
また、平成29年度に県が実施をいたしました子育て支援サービスに関する調査では、子育て支援サービスの満足度が全体的には上昇いたしましたほか、子供を増やすに当たっての課題として、子育てや教育に係る経済的な負担を挙げる回答割合が低下をしております。
具体的には、平成25年度時点では、子育てや教育にお金がかかり過ぎるという回答が74.8%ございましたけれども、平成29年度では70.2%と4.6ポイント低下をいたしております。
こうしたこともございますけれども、先般発表されました平成30年の合計特殊出生率は1.52となっておりまして、平成27年度以降1.50台を4年間連続維持をしておりまして、全国値を0.1ポイント上回る結果となっております。
こうしたことから、これまでの子育て支援・少子化対策が一定程度効果を上げているものと考えております。
一方で、県民の希望出生率1.9とは依然として開きがありまして、未婚化、晩婚化の進行、さらには晩婚化によります晩産化、少産化が進行していると考えております。
さらに、議員御指摘のとおり、男性の家事、育児参画や育児休業の取得が進んでいないこと、3つ目には、出産、育児によりフルタイム勤務の女性が就業を継続的できない場合が48.3%に上っていることなどの課題があると考えております。
こうしたことから、現在進めております新たな少子化対策プランの策定に当たりましては、県内の実態を調査分析したいと考えております。
具体的には、仕事と子育ての両立に関する意識調査ですとか結婚等に関する意識調査を行う予定でございます。
また、新たに働き方改革の推進や男性の家事、育児参画の促進、女性活躍の推進といった視点も取り入れまして、仕事と子育ての両立支援などの重点施策について検討をしてまいります。
今後、県民の皆さんや県議会の御意見もお聞きをいたしまして、県民の結婚、出産、子育ての願いがかない、県民希望出生率1.9が実現するような環境づくりが着実に進むよう、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
29 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
30 ◯厚生部長(市村仁志君)最初に、県リハビリテーション病院・こども支援センターの状況等についての御質問にお答えをいたします。
県リハビリテーション病院・こども支援センターの発達障害の受診窓口でございます小児神経科、それから児童精神科の外来患者数は、平成28年度は3万36人、平成29年度は3万2,082人、平成30年度は3万5,661人と増加傾向にございます。
一方、同センターでは、発達障害者支援センターとして、県全域の発達障害児等を対象に、相談支援や就労支援、情報提供、研修等、発達障害に関し、きめ細かな支援を行っております。
その実績は、平成30年度において、相談支援が1,266件、就労支援が179件、発達障害に関します研修会を48回開催しているところでございます。
発達障害は症状や程度に個人差がございまして、診断後の発達の過程、養育支援や周囲の環境等によって状況が変わりますものですから、発達障害児者にあわせて、保護者への支援も課題の一つと考えております。
このため県では、県リハビリテーション病院・こども支援センターにおいて、広く保護者等からの相談や悩みに適切に対応できる人材の育成、保護者の交流の場の提供のほか、今年度は発達障害の特性や対応などを内容といたしますハンドブックを作成、配布し、発達障害児者や保護者への支援の充実に取り組むこととしております。
今後とも、県リハビリテーション病院・こども支援センターを中心に、各圏域の児童発達支援センターや関係機関等と連携協力して、発達障害児者や保護者への支援体制の整備・強化に努めてまいります。
次に、きずな子ども発達支援センターへの支援についての御質問にお答えをいたします。
高岡市きずな子ども発達支援センターは、発達障害を含みます障害児への療育や訓練等とともに、医師による診断、治療も行うことのできる県西部唯一の児童発達支援センターでございます。
近年、発達障害等を理由に利用する子供が増加傾向にあるとお伺いしております。県ではこれまでも、診察の待機状態の緩和や肢体不自由児に対応します県リハビリテーション病院・こども支援センターの小児整形外科医をきずな子ども発達センターに派遣をいたしますとともに、県リハビリテーション病院・こども支援センターの児童精神科医療等の充実を図りまして、全県的に発達障害の診断を受け入れることで診療負担の分散化も図ってきたところでございます。
このほか、県はこれまで、きずな子ども発達支援センターに対しまして、施設整備の補助を初め、保育所等を訪問し障害児の対応を指導いたします巡回支援専門員の配置に対する補助ですとか、保護者同士が悩みを相談し合う保護者サロンの設置や、家庭訪問によります在宅障害児の相談支援事業に対します支援に加え、今年度、看護師、理学療法士等の配置が促進されますよう、補助制度も創設したところでございます。
県としましては、今後とも、きずな子ども発達支援センターを含めまして、各圏域の障害児支援の拠点であります児童発達支援センターの支援体制の強化に努めてまいります。
次に、専門職配置に係ります新たな補助制度についての御質問にお答えをいたします。
児童発達支援センターは、県内には各障害保健福祉圏域に1カ所あり、地域の中核機関として、障害のある児童を通所させ、保育士等により日常生活における基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練等が行われております。
特に訓練が必要な発達障害児や、たんの吸引などの医療的ケアが必要な障害児等には、看護師や理学療法士、作業療法士等の専門職員の支援が行われておりますが、これらの専門職員に対します報酬は、現行制度では加算方式とされていることもございますので、障害児やその家族のニーズに対応できる職員の配置が十分に進んでいない状況にございます。
このため県では、今年度、児童発達支援センターにおける訓練や医療的ケア支援を行います看護師、理学療法士等の専門職員の配置に対する補助制度を創設したところでございます。
この事業によりまして、各圏域におけます障害児支援の拠点である児童発達支援センターの体制が強化をされ、発達障害や医療的ケアなど、多様なニーズを抱えます障害児やその家族が身近な地域でより質の高いきめ細やかなサービスを受けられるようになるとともに、圏域内の関係機関によりますライフステージに応じた切れ目のない支援や自立支援体制の確立といった縦横連携が進むものと考えております。
今後とも、県リハビリテーション病院・こども支援センターと各圏域の児童発達支援センターとの連携や発達障害の支援体制の強化に努めてまいります。
次に、児童相談所等の体制強化についての御質問にお答えをいたします。
県では、相談、通報体制の充実に向け、これまで児童虐待通告や電話相談に対し24時間365日対応できる体制の確保、児童福祉司や児童心理司の増員、児童相談所職員の研修の充実などにより児童相談所の相談体制の強化を図ってきたほか、児童相談所全国共通ダイヤル189──いちはやくですが、や児童相談の一義的な窓口でございます市町村の相談窓口等について、ポスターの掲示やリーフレットの作成、配布によりまして周知を行い、児童虐待の早期発見、早期対応に取り組んできております。
また、市町村の体制強化のために、児童相談所が各市町村に設置をされております要保護児童対策地域協議会に参加をし、各市町村の個別事例の援助に対する助言や相談担当者への研修を実施するなど、市町村の相談業務に係る支援も行っているところでございます。
なお、富山市と滑川市におきましては、今年度、子供に関します相談全般から、より専門的な相談対応、必要なソーシャルワーク業務まで行います子ども家庭総合支援拠点を設置されまして、相談体制が強化されたところでもございます。
児童虐待の通告を受けた際に、関係機関との連携、情報共有により、速やかに児童の安全確保や援助等を実施できるよう、市町村、医療機関、民生委員、児童委員等、関係機関向けの県主催の研修等を実施しておりますが、各機関がそれぞれの役割を改めて認識して、さらに連携を深めることが重要であると考えております。
このため、今年度は新たに、学校や保育所、幼稚園等の職員向けの研修を行いますとともに、虐待を発見するポイントや初期の対応マニュアルなどを記載しました
児童虐待対応ハンドブックを作成し、このハンドブックを活用した関係機関と緊密な連携を図る研修会を開催するなど、さらなる連携強化を図ることにしております。
今後とも、関係機関との連携のもと、児童虐待の発生予防、早期発見、早期対応から自立支援まで、総合的な施策の強化に取り組んでまいります。
最後に、児童相談所の対応についてお答えをいたします。
県ではこれまでも、児童虐待通告に対しましては、昨年度国が取りまとめました緊急総合対策などに基づき、子供の安全確保を最優先に対応し、全ての通告事案について48時間以内の安全確認を実施し、アセスメントシートを用いて、虐待のリスクを客観的に把握した上で、リスクが高い場合にはちゅうちょなく一時保護を行っており、必要に応じて警察にも援助要請を行い迅速に対応しているところでございます。
児童虐待対応に係ります警察との連携につきましては、これまで児童相談所への警察官OBの配置や、警察との合同研修の実施により連携を図っておりますが、昨年度は情報共有に関する連携を締結し、さらなる連携強化を図ったところでもございます。
こうした中、先般、厚生労働省の通知が発出をされまして、警察が児童虐待によります児童の身体の外傷を確認し、児童相談所へ通告した際は、児童相談所が48時間以内に児童の安全を直接確認することなどが求められるなど、警察との緊密な連携を図るための通知が出されたところでございます。
こうしたことにも適切に対応し、今後とも児童の安全確保を最優先に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
31 ◯議長(中川忠昭君)以上で井加田まり君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時57分休憩
─────────────────────
午後1時00分開議
32 ◯副議長(筱岡貞郎君)休憩前に引き続き会議を開きます。
大門良輔君。
〔3番大門良輔君登壇〕
33 ◯3番(大門良輔君)自由民主党の大門良輔です。質問に当たり、一言御挨拶申し上げます。
この歴史ある富山県の議場に立たせていただき、そして今回、質問の機会をいただいた先輩議員の皆様、そして同期の議員の皆様、まことに感謝申し上げます。
この富山県が、さらに活気のあるまち、そして魅力あるまちになるよう精いっぱい努力してまいりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
そして、初めての一般質問です。精いっぱい頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、質問に移りたいと思います。
まずは、選ばれる富山県についてお伺いをしてまいります。
北陸新幹線が開業して約4年が経過し、UIJターン数が増加していることは喜ばしいことです。
大学を卒業してふるさとに戻り就職をするUターン率は、全国で沖縄に次いで第2位の位置につけていることや、また、移住者数では年々増加傾向にあり、平成29年度は729人、平成30年度は905人と、過去最高の移住者数を記録いたしました。
人口減少社会に当たって、人手不足や地域経済の活力の低下が懸念される中において、富山県が選ばれる地域として進化をし、これからも大いに挑戦していかなければならないと感じております。
そこで、新たに選ばれる富山新時代をつくるために、今年度は移住者数1,000人を目標とし、現在8位となっております移住希望地ランキングの上昇など、移住の推進に向けどのような取り組みをしていかれるのか、石井知事にお伺いをいたします。
続きまして、富山県の移住世帯の世帯主の内訳を見てみますと、平成30年度の実績で、20歳代が30.9%、30歳代が34%と、我々子育て世代が多いことがわかります。
移住した方々のアンケート結果を見てみますと、第1位が安定した就職先がある、第2位が子育て環境がよいということでした。
また、昨今はシングルマザーの問い合わせも多かったと聞いており、子育て支援が充実していることがよくわかります。
今後、大事になってくるのが、移住の窓口でございます富山くらし・しごと支援センターの、相談に来る方々の動線をいかにつくるかが重要となってくると感じております。
やはり、ある程度ネット等で下調べをして相談に来る方が多くございまして、富山の強みでございます働き口がある、子育て環境がよい、あと、意外と知られていない、北陸新幹線を使えば2時間で行き来できるなど、ネットの情報発信や動画配信にも力を入れ、効果的・重点的にPRしていく必要があるのではないかと考えております。
今後、どのように取り組むのか、蔵堀総合政策局長に所見をお伺いいたします。
近年、外国人観光客が富山県に多く滞在されるようになり、黒部アルペンルートでは、平成29年度には約26万3,000人、平成30年度には26万6,000人と、多くの外国人観光客が訪れるようになりました。
我が滑川市でも外国人観光客が年々増えており、ほたるいかミュージアムでは、現時点で前年を上回る外国人観光客が訪れております。
また、団体の観光客でなく、御家族で滞在する個人の観光客が増加傾向にあります。
また、外国人観光客がストレスなく快適に観光を満喫できるよう、受け入れ環境の充実も重要です。
そして、外国人は特に、ネットを使い観光したところをSNS等で発信してくれる傾向があり、観光客を呼び込んでくれます。だからこそ、彼らによい印象を与えることができれば、そのまま世界に発信してくれると感じております。
先日行われました日台観光サミットや、10月開催予定の世界で最も美しい湾クラブ総会など、国際的な観光地として、さらに選ばれる富山県をつくるため、外国人観光客の受け入れ体制の充実にどのように取り組むのか、猪俣観光・交通振興局長にお考えをお伺いいたします。
例年、自転車の愛好家が増加している中で、富山県はサイクリングコースの整備や、県自転車活用推進計画を策定し、自転車を活用したまちづくりに力を入れております。
また、サイクリングコースは、氷見から朝日まで結ぶ富山湾岸サイクリングコースと、山側を走る田園サイクリングコース、湾岸と田園を結ぶ縦道の湾岸・田園連絡サイクリングコースの3コースがあります。
今後、サイクリング環境の充実をさらに図るために、サイクリングコースの縦道のコースを増設することにより、海、川、山といった富山県の大自然を満喫できる循環型のコースがつくれるのではないか、そうすることにより、自転車の愛好家がさらに周遊できる仕組みができ、波及効果も大きいのではないかと考えます。
そういったアイデアも踏まえ、サイクリングコースの整備等について、水口土木部長の今後の見解をお伺いいたします。
続きまして、富山湾の漁獲量についてお伺いをしてまいります。
富山県の魅力は、何といっても富山湾のおいしい幸であります。
3,000メートル級の立山のおいしい水と、1,000メートル級の深海でできた天然の生けすは、世界に誇れるものだというふうに思っております。
その中で、近年、魚の種類によっては、本県の沿岸の漁獲量の変化が大きくなっております。
自然相手ということもあり、漁獲量の変化は仕方のない部分はありますが、例えばホタルイカに関しては、2年連続の大不漁にありまして、ここ10年間の平均の漁獲量が年間1,855トンですが、昨年が689トン、平均の半分以下、ことしに関しては、5月中旬で425トンと、平均の4分の1と、過去10年間で最少だった昨年の同時期の6割、同期比較では平成元年以降最も少ない状況であります。
ほかにも、ことしは魚津のカワハギや白エビなど、富山を代表する魚種で不漁なものが見受けられると聞いております。
近年、水温が上昇していることもあり、生態系に影響を及ぼしているのではないかなど、心配する声も聞こえてまいります。
今後、本格的に調査も必要ではないかと考えておりますが、この状況に対する所見と、どのように取り組んでいかれるのか、
河村農林水産部長のお考えをお伺いします。
これで、第1項目目の質問を終わります。
34 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
35 ◯知事(石井隆一君)大門議員の御質問にお答えをいたします。
移住についてであります。
県では、これまでも移住、UIJターンの取り組みを積極的に進めておりまして、結果として、7、8、9年前までは約200人ぐらいだった年間の移住者が、昨年は過去最高の905人となりまして、そのうち、世帯主の84%が20代から40代の若い世代となっております。
また、2018年の移住希望地ランキング、これはNPO法人のふるさと回帰支援センターが発表したものでありますけれども、本県は総合順位で従来10位だったのが8位となり、特に20代以下では5位、30代では7位となっておりまして、どうしても東京中心の移住が多いですから、やっぱり長野とか静岡とか、東京近辺が多いんですね。そういう中で、富山県が20代で5位、30代で7位というのは、大変健闘していると言っていいのかなと思います。
こうした中で、県としましては、今年度の移住者数を1,000人とする高い目標を掲げまして、これまで以上に移住、UIJターンの促進に取り組むことにしております。
具体的には、今年度、御承知のとおり、国の移住支援金、起業支援金制度というものが創設されましたが、これは、移住して勤めると最大100万、起業すると最大300万がもらえるということですけれども、全国に先駆けて、4月1日からこの運用を開始しまして、移住支援金セミナー等を上半期に東京などで集中的に開催することにいたしております。
また、富山くらし・しごと支援センターの富山オフィスを、とやま自遊館の中にこの5月に移転いたしまして、また、同時期に開所した人材活躍推進センター、これは若者や女性、高齢者、プロフェッショナル人材、こういった各分野の人材の確保、活躍を一元的にやろうとするセンターですけれども、ここと連携しまして、多様な就業先の情報をワンストップで提供しますほか、移住や就職の情報を総合的に提供するポータルサイトの構築、さらに、県内の市町村や、また社会人の採用に意欲的な県内企業が一堂に会していただくとやま移住・転職フェアを、これまで東京でやっていましたけれども、ことしからは東京だけではなくて、大阪でも新たに開催することにしております。
全国の自治体が移住促進に力を入れ始めておりますから、特に若い世代の方々に富山県を移住先として選んでいただくためには、しっかりとした就業の場、起業の場の確保充実はもちろんですけれども、子育て環境の整備なども重要でありまして、そうした面での本県の魅力を高めていきたいと思っております。
今後も、市町村や企業の皆さん、関係団体と連携しまして、地域の総合力を高める努力を進めますとともに、移住促進に努めまして、本県が大都市圏から移住を希望していただける、選ばれる県となりますように全力で取り組んでまいります。
36 ◯副議長(筱岡貞郎君)蔵堀総合政策局長。
〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕
37 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)次に、移住の推進に当たっての情報発信に関する御質問にお答えをいたします。
今ほど、知事からも御答弁申し上げましたけれども、本県への移住者のうち、20代から40代の子育て世帯が大変多くを占めております。
本県の強みである就労環境や子育て環境の魅力、また北陸新幹線で東京から2時間余りといった、そういったこともアピールしていくことは大変重要なことだと考えております。
そのため、県ではこれまでも、「くらしたい国、富山」ホームページやSNS等による情報発信を行ってきております。昨年度は、このホームページの中に子育て世帯向けの移住情報サイトを新設いたしております。
また、県内市町村のほか、社会人採用に意欲的な県内企業に参加をいただきまして、暮らしと仕事の相談を一堂に行いますとやま移住・転職フェアを開催いたしております。
また、首都圏などの子育て世帯を対象に、スーパーや保育園などの生活関連施設を訪問いたします、とやま子育て移住体感ツアーの開催などにも取り組んできたところでございます。
今年度は、これらに加えまして、富山くらし・しごと支援センター富山オフィスの相談員を1名増員いたしております。
さらに、SNSを活用した高頻度な情報発信を強化いたしますほか、移住や就職の情報を総合的に提供いたしますポータルサイトの構築によりまして、利用者の利便性の向上に努めてまいります。
また、移住者自身によります移住者目線での富山の暮らしのよさを伝えます移住PR動画の作成と配信も行っていきたいというふうに考えております。
こうしたインターネットによります情報発信を強化いたしまして、効果的なPRを行っていくことといたしております。
今後とも、富山くらし・しごと支援センターを初め、市町村、企業、関係団体と連携いたしまして効果的な情報発信に取り組み、本県の移住、UIJターンを強力に推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
38 ◯副議長(筱岡貞郎君)猪俣観光・交通振興局長。
〔観光・交通振興局長猪俣明彦君登壇〕
39 ◯観光・交通振興局長(猪俣明彦君)次に、外国人観光客の受け入れ体制充実に向けた取り組みについてお答え申し上げます。
外国人観光客のさらなる誘客を図るためには、議員御指摘のとおり、本県を訪れます旅行客の満足度を高め、ストレスなく快適に観光を満喫できますよう、外国人観光客の受け入れ体制の整備充実に努めることが重要であります。
このため県では、とやま観光未来創造塾での外国語対応ガイドの育成や、富山駅構内の観光案内所におけます多言語対応といった受け入れ環境の整備のほか、おもてなしのステップアップを促進します5つ星制度の充実強化、その星を取得した観光事業者が行います多言語対応機器の導入や多言語表記への支援、またキャッシュレス化や消費税免税機器の導入など、外国人観光客の消費拡大を総合的に進めるための専門家派遣などに取り組むこととしておりますほか、観光庁におきましても、観光拠点や宿泊施設におけます多言語での案内標識やWi-Fi環境の整備等に対して積極的に支援しており、外国人観光客へのサービス向上や、来訪者のSNSを通した本県の魅力発信に努めているところでございます。
さらに、日台観光サミットや世界で最も美しい湾クラブ世界総会の開催を機に、県内のさまざまな観光地に対しましても、外国人観光客の受け入れ体制のさらなる充実を働きかけたいと考えており、今後とも国、市町村、民間事業者と連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
40 ◯副議長(筱岡貞郎君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
41 ◯土木部長(水口 功君)湾岸・田園連絡サイクリングコースの増設等サイクリングコースの整備についての御質問にお答えをいたします。
県では平成26年に、美しい富山湾を堪能しながら走行できる、延長約88キロメートルの富山湾岸サイクリングコースを整備し、その後、田園風景の中を沿線の観光施設をめぐりながら走行できる、延長約71キロメートルの田園サイクリングコース、この2つのコースを連絡する延長約18キロメートルの湾岸・田園連絡サイクリングコースを整備してまいりました。
平成29年度からは、富山湾岸サイクリングコースにおいて、より安全で快適にサイクリングが楽しめるよう、滑川市の高塚から荒俣地内において、海岸管理用通路などを活用して自転車専用道約1.5キロメートルを整備したほか、より魅力的なコースとなるよう、石川、新潟両県の県境まで、合わせて14キロメートル延伸し、延長約102キロメートルとしたところであります。
今年度は、田園サイクリングコースを上市町から朝日町に向けて約50キロメートル延伸し、富山湾岸サイクリングコースに接続をさせ、県東部の海から山にかけて、大自然の中を周遊できるコースとして整備する予定であり、現在、関係市町村などとルートの協議を進めております。
議員御提案の富山湾岸・田園の2つのコースを連絡する縦道のコースの増設につきましては、周遊性を高める有効な御提案と考えますけれども、適切なルートの選定が必要となること、また、市町村道がルートとなる場合には、市町村にナビゲーターライン等の整備費用を負担いただく必要があることなど、課題がございます。
こうしたことから、御提案につきましては、今後、市町村を初め県サイクリング協会など、関係機関の御意見も踏まえ検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
42 ◯副議長(筱岡貞郎君)
河村農林水産部長。
〔農林水産部長河村幹治君登壇〕
43 ◯農林水産部長(河村幹治君)漁獲量の変動と、その対応についての御質問にお答えいたします。
本県の沿岸の漁獲量は、昨年は2万4,944トンで、平年の14%増となり、マイワシやスルメイカ等は平年を大きく上回った一方で、アジやソウダカツオ等は下回っており、特に議員からもお話がございましたが、ホタルイカは平年の約4割にとどまり、ことしは同期比で昨年をさらに下回る状況となっております。
本県沿岸漁業の中心は、待ちの漁法である定置網漁業であり、回遊魚の来遊状況による一定程度の変動は避けられないものの、極端な漁獲変動は漁業経営を不安定なものしかねないものと考えております。
このため、県水産研究所では、沿岸域の水温等の影響や各魚種の生態等について調査研究を進めており、例えばホタルイカにつきましては、漁期前の採集調査や3月から5月の平均気温の予報等から、富山湾での漁獲量を予測し、漁況予報として発表しているところでございます。
本年につきましては、漁獲条件があまりよくないと推定され、漁獲量は平年を下回ると予想はしておりましたが、予想を超える減少となっており、今後、漁期中の水温でありますとか他県の漁獲状況等も調査し、漁獲量減少の要因をより詳細に分析してまいりたいと考えております。
このほか、白エビやブリにつきましても、生息環境や回遊経路の調査等により、漁獲量の変動要因の解明に努めているところであります。
ホタルイカに限らず、漁獲量の安定確保のためには、水産資源の適切な管理が重要と考えております。
変動要因の明確な解明は、現段階ではなかなか困難な面もございますが、今後とも予測精度の向上を図り、特に来年秋には、現在進めております栽培漁業調査船はやつきの代船建造に伴い、得られる海洋情報も増えることから、こうしたことも有効に生かしながら、漁業者の皆さんにより詳細な情報や科学的知見を提供できるように努めまして、漁業者の皆様とともに適切な資源管理を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
44 ◯副議長(筱岡貞郎君)大門良輔君。
〔3番大門良輔君登壇〕
45 ◯3番(大門良輔君)続きまして、安心・安全なまちづくりについてお伺いをしてまいります。
災害に強く安心で安全なまちづくりは、数ある施策の中で生命と財産を守る重点事項だと考えております。
平成の時代は、東日本大震災を初めとします熊本地震や北海道胆振東部地震、またゲリラ豪雨による河川の氾濫など、災害が多く発生いたしました。
幸いとしまして、富山県は大きな被害を受ける災害は少なく済んだことは、ほっとしております。
これから新たな令和という時代は、災害も少なく安心して暮らせる時代が来ることを祈るとともに、予期せぬ事態が起きたとしても大きな被害が起きないよう、防災・減災に関してはしっかりと対策を打ち、県民の生命と財産を守っていかなければなりません。
その中で、国は防災・減災、国土強靱化3カ年計画で国土強靱化に向け動き出しました。
平成から令和にかわり、新たな時代に災害から守るため、災害に強い県土づくりにどのように取り組んでいかれるのか、富山県の本年度予算も、災害対策に力を入れた予算編成になっていると感じておりますが、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策の活用も含め、どのような部分に力を入れ対策をとっていかれるのか、石井知事にお伺いをいたします。
続きまして、沖田川の治水対策についてお伺いをします。
滑川市におきまして、沖田川の放水路の第1期工事が、平成29年3月に完成をし、その効果が大いに発揮され、下流部の地域では大雨時に水がつかなくなったと、地元からは喜びの声を聞いております。
また今年度から、残りの部分となります第2期工事の詳細設計が始まることを聞いており、事業開始に向け大変期待をしております。
しかしながら、近年、沖田川の上流域におきまして開発が急ピッチに進み、大型店舗や宅地化が進んでいる状況で、沖田川の中流域では、豪雨時に排水が今まで以上に増加し、河川の氾濫危険水位をたびたび超えている状況でございます。
今後、さらなる治水対策が必要と考えておりますが、今後の取り組み方針について、水口土木部長にお考えをお聞きいたします。
続きまして、空き家の対策についてお伺いをしてまいります。
現在、富山県には空き家が3万2,000戸あると言われております。
この空き家を放っておきますと、さらに建物が老朽化し、安全面や衛生面においても危険をはらんでまいります。
また、県内にはひとり暮らしの方も多く住んでおり、空き家予備軍を踏まえると、この先も空き家が増え続けることは容易に想像がつきます。
今後、空き家の増加を防ぐためにも、いろんなことが重要となってまいります。
今、県が行っている対策は、移住者に対する空き家の補助や、空き家に対する講座などがメーンとなりますが、今後、空き家の状況を改善させるためにも、各市町村が行っている事業に対する補助の強化や、空き家コーディネーターのフォローなど、空き家に対する県の考え方と今後の対策について、水口土木部長にお伺いをいたします。
続きまして、歩行者の安全確保についてお伺いをしてまいります。
滋賀県の大津市におきまして、保育園の散歩の列に車が突っ込み、2名のとうとい命が奪われる、目を覆いたくなるような痛ましい事故が発生いたしました。
県では以前から、市町村等による通学路の点検が行われ、危険な箇所に関する整備が進められておりますが、今回の事故は通学路ではなく、保育園の散歩コースだったこともあり、これまでの想定外にも危険が潜んでいることを改めて気づかせる一件ともなりました。
また、私の子供もまだ小さく、自分の子供だと思うと本当に心苦しい思いであります。
この悲しい事故を1件でも減らせるよう、この後、武田先生も質問されますが、富山県警として今回の事故をどのように受けとめ、再発防止に向け、児童生徒を守るため、歩行者の安全確保にどのように取り組んでいかれるのか、山田警察本部長にお伺いをいたします。
これで、2つ目の項目を終わります。
46 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
47 ◯知事(石井隆一君)災害に強い県土づくりの取り組みについてお答えをいたします。
昨年は、7月の西日本豪雨、また9月には台風21号や北海道胆振東部地震など、全国各地で甚大な被害が起こりましたことから、国では昨年12月に、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策を取りまとめられました。
本県におきましても、東海北陸自動車道の全線4車線化ですとか、富山高山連絡道路など、災害に強い道路はもちろんですけれども、神通川や黒部川、庄川、小矢部川といったような河川改修、また、立山砂防など大規模土砂災害対策、橋梁の耐震化などの地震・津波対策、社会インフラの老朽化対策など、災害に強い県土づくりに取り組むべき事業はたくさんございます。
そこで県としましては、この国の3カ年緊急対策によります国の交付金なども活用しまして、平成30年度の2月補正予算と今年度当初予算を合わせました14カ月予算で、公共・主要県単事業全体で、前年度を14.6%上回る1,036億円を確保いたしまして、災害時においても安定的な道路交通を確保するための防災・減災対策やバイパス整備、また近年の豪雨災害等を踏まえた治水対策や、高波・海岸侵食対策、土砂災害対策、この中には、後ほど土木部長からも御説明しますが、沖田川についても第2期区間の120メートルについて事業着手をするといったことであります。
また、農業水利施設の防災・減災対策なども積極的に進めております。
災害から県民の皆さんの生命、財産を守る、また災害に強い県土づくりを進めるということは本当に大切でございますので、県議会のお力添えもいただきながら、まずは国の3カ年緊急対策に呼応しまして、必要な社会資本整備に係る予算総額の確保と本県への重点配分について、国に強く働きかけてまいります。
48 ◯副議長(筱岡貞郎君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
49 ◯土木部長(水口 功君)沖田川の治水対策についてお答えをいたします。
二級河川沖田川は、滑川市の中心市街地を流れ、川幅も狭いため、平成13年には洪水により家屋203戸が浸水するなど、たびたび浸水被害が発生しましたことから、県では抜本的な洪水対策として、平成14年度から新たに放水路整備に取り組み、全体整備延長約540メートルのうち、河口からあいの風とやま鉄道直下流までの区間、約420メートルの第1期工事が平成29年3月に完成し、供用したところであります。
これにより、平成29年6月の豪雨におきましても、浸水被害は発生いたしておりません。
また、鉄道より上流側の浸水対策といたしまして、鉄道横断部を含む延長約120メートルの放水路第2期工事の計画につきまして、鉄道事業者と協議を進めてまいりましたが、このたび合意が得られましたことから、今年度から事業に着手し、詳細設計を行うこととしております。
沖田川の上流域で宅地開発が進んでいるという御指摘もございましたが、近年、ゲリラ豪雨が頻発しておりますことから、急激に河川水位が上昇し、下島水位観測所では氾濫危険水位をたびたび超過しております。
このため県では、下島地内から沖田新地内の中流域において、浸水被害の未然防止対策として川の流れをよくするため、河道内の土砂掘削や川底のコンクリート化など、ハード対策に取り組みますとともに、昨年8月、下島水位観測所地点に河川監視カメラを整備し、画像をインターネットを通じて住民にリアルタイムで提供するなど、ソフト対策も進めております。
県としましては、放水路の第2期工事が早期に完成するよう努めますとともに、引き続き中流域の浸水被害の未然防止対策に取り組んでまいります。
次に、空き家対策事業に関する質問についてお答えをいたします。
総務省の平成30年住宅・土地統計調査によりますと、賃貸用や売却用などを除いた、いわゆる空き家と呼ばれるものが、議員のお話にもありましたとおり、3万2,000戸あり、人口減少の進行等により、全国同様に今後さらに増加していくことが懸念されます。
一方、空き家対策につきましては、防災・衛生・景観面における適正管理のほかに、首都圏等からの移住の受け皿としての役割や地域活性化の観点からも重要な課題であると考えており、県では、これまでも市町村や民間団体と連携し、空き家の利活用や流通促進などに積極的に取り組んでまいりました。
市町村が取り組む空き家対策への支援としましては、空き家の利活用等に係る地域ぐるみの取り組みや、移住促進のための空き家改修に要する経費に補助しておりますほか、今年度からは、例えば移住者向け賃貸住宅への活用など、空き家活用のモデルとなる先駆的な取り組みを支援することとしております。
また、空き家所有者と移住希望者や行政機関等との橋渡し役を担う地域の空き家コーディネーター等の活動や、市町村が運営する空き家バンクへの登録を促進いたしますため、市町村等と連携し、空き家発生の未然防止に関する啓発パンフレットの配布や啓発セミナーの開催等を行い、空き家の問題や利活用等に対する意識の醸成を図っております。
県としましては、今後とも市町村等との緊密な連携のもと、総合的な空き家対策を展開し、空き家の増加の抑制に努めてまいります。
以上でございます。
50 ◯副議長(筱岡貞郎君)山田警察本部長。
〔警察本部長山田知裕君登壇〕
51 ◯警察本部長(山田知裕君)歩行者の安全確保に関する御質問にお答えをいたします。
御指摘の交通事故は、ことしの5月8日、滋賀県大津市内の交差点で車が歩道に乗り上げ、散歩中の保育園児2名が亡くなり1名が重体、13名が重軽傷を負う大変痛ましい事故であり、次代を担う子供のかけがえのない命が危険にさらされている現状が浮き彫りとなったもので、重く受けとめているところでございます。
県警察では、通学路等の安全確保について、直ちに全警察署に対し、改めて園児の利用する道路の安全点検等交通安全対策、児童生徒等に対する交通安全教育、交通事故を抑止する指導・取り締まり、思いやり運転を呼びかける啓発活動について、一層の強化を指示したところであります。
これを受けまして、各警察署におきましては、道路管理者などとの危険箇所合同パトロールの実施、児童生徒を対象に実際の横断歩道を使用した参加型交通安全教室の開催、信号無視や一時不停止など、交差点違反取り締まりの強化、幼稚園児が直接ドライバーにメッセージ入り手づくりマスコットを手渡して交通の安全を呼びかける街頭キャンペーンの実施などに取り組んでいるところでございます。
さらに、過去に子供が当事者となった重大事故が発生した箇所と類似した道路交通環境にある交差点などについて、道路管理者などと連携した合同点検を実施すべく、現在、点検箇所の調整を進めているところでございます。
県警察といたしましては、今後とも悪質・危険性の高い交通違反に対する取り締まりを強化するとともに、道路管理者や学校などを初め、関係機関、団体との連携を図り、歩行者の安全確保を推進するための各種対策に取り組んでまいります。
以上でございます。
52 ◯副議長(筱岡貞郎君)大門良輔君。
〔3番大門良輔君登壇〕
53 ◯3番(大門良輔君)続きまして、妊娠から出産、子育てまで切れ目のない支援についてお伺いをしてまいります。
人口減少問題が我が国の最大の課題の1つであり、人口減少が及ぼす影響は、経済、地域の活力の低下、また年金や福祉の問題など、多岐にわたります。
富山県においても、県民希望出生率が1.9に対して、先日、厚生労働省が発表した人口動態統計では、現在の出生率は1.52であり、まだまだギャップがある状況です。
この状況を変える特効薬がなかなかなく、出生率をすぐに上げていくのはなかなか難しい課題ではございますが、これを改善していくために、国はことしの10月から幼児教育・保育の無償化を実施する予定をしているなど、大胆な負担軽減を行い、子育てしやすい環境を目指してまいります。
富山県も子育てに力を入れており、第3子以降保育料の無償化など、多岐にわたる支援を行っております。
そこで改めて、今後、妊娠から出産、子育てまで安心して行える環境を整えるために、どのような施策を行っていくのか、石井知事にお伺いをいたします。
続きまして、保育士の人員や質の確保についてお伺いをいたします。
先ほども話をしましたが、去る5月10日、国会において幼児教育及び保育の料金が無償化となる改正子ども・子育て支援法が成立し、本年10月より制度がスタートすることになりました。
3歳から5歳児は全世帯、ゼロ歳から2歳児は住民税非課税となります低所得者世帯が対象となり、全国でおよそ300万人が該当、県内では約2,400人が対象となっております。
さらに、富山県は独自に3人目以降の保育料の原則無料化をしております。
そこで、富山県内には待機児童数はいませんが、新たに保育所に入所を希望する子供たちが増加することが予想されます。そのため、これからは保育士の確保が重要となってまいります。
私の子供が通っていた保育園でも、募集をかけてもなかなか人が集まらない、基準の人数には達していますが、人手不足のため、今まで行ってきたサービスができなくなっているとの相談を受けております。
保育所の現場の質の低下も問題となっておりまして、今後の保育士や質の確保についてどのように取り組んでいかれるのか、市村厚生部長にお伺いをいたします。
子育てをする上で課題の1つに上がってくるのが、産後鬱であります。出産をした女性の10人に1人という確率で産後鬱と疑われる症状があらわれてまいります。
育児不安や不眠不休でたまる疲労とストレス、また周囲のサポートに対する不安などを要因として重症化することもあり、不幸な場合には自殺や育児放棄、虐待にまで追いやられ、母親である自分自身を傷つけ、子供に危険が及ぶ可能性があります。
市町村においては、子育て世代包括支援センターなど、相談窓口を整備をし、サポート体制を整えておりますが、まだまだ十分とは言えない状況です。
今後、どのように産後鬱と向き合い、ストレスを軽減させ、子育てしやすい環境を整えていくのか。また、この問題を考えるに当たり、女性だけでなく男性側の育児参画も重要になってくると考えております。
男性の育休取得率も踏まえ、男性の育児参画をどう進めてくのか。産後鬱と向き合う対策については市村厚生部長に、男性の育児参加については蔵堀総合政策局長に、それぞれお伺いをいたします。
近年、不妊治療を行う方が増加傾向にあり、富山県では平成28年には1,351人、平成29年には1,385人となっております。
こういった不妊治療を行う方々に、プライバシーを守り安心して不妊治療を受けることができる環境を整えることが重要と考えております。
不妊治療は段階がありまして、第1段階目の一般不妊治療と第2段階目の高度生殖医療があります。
この医療を受けようと思った場合、月に4回から5回、30分程度の診察を受けるため、女性や、時には男性も、会社に有給の申請を出し休まなければなりません。しかし、何度も会社を休めない。またデリケートな部分であり、不妊治療を理由に有給をとるということがなかなかできにくい状況があります。
そこで必要となってきますのが、使い勝手がよく、またプライバシーも守れる有給制度だというふうに考えております。
例えば、大企業で少しずつ始まっているのは、1時間単位で取得可能な有給です。この有給制度であれば、利用者側も使い勝手がよく、不妊治療はもちろん、男性の育児参画や介護など、さまざまな場面でも活用が可能であり、プライバシーも守ることができます。
この時間単位の有給取得を富山県の企業に広めるような働きかけができないか、蔵堀総合政策局長に所見をお伺いいたします。
これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
54 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
55 ◯知事(石井隆一君)安心して子供を産み育てやすい環境の整備についてであります。
県としましては、安心して産み育てやすい環境整備、少子化対策としまして、まず、マリッジサポートセンターを通じた結婚支援ですとか、また県立中央病院のNICUやMFICUの整備など、全国トップクラスの周産期医療体制の充実、また仕事と子育ての両立支援、子育て支援の機運醸成、また保育料の無償化・低減や不妊治療、不育症の治療費助成、このあたりは全国トップクラスだと思います。また子育て応援券の配付など、幅広い施策を進めてまいりました。
その結果、合計特殊出生率は1.52となりまして、前年より若干低下しましたけれども、1.50台を4年連続維持しておりまして、全国値を0.1ポイント上回る結果となっております。
出生数とか合計特殊出生率の変動についてはさまざまな要因がありますので、短期的な変動について一喜一憂する性格のものではないと思いますけれども、現状を真摯に受けとめまして、県民の皆さんの希望出生率は1.9でありますから、その実現のための環境整備に向けて、各種の施策を総合的に取り組んでいきたいと思っております。
今年度は、10月から始まる国の幼児教育・保育の無償化の円滑な導入に向けまして、保護者の皆さんへの周知ですとか、市町村への助言を行いますほか、国の制度見直しでどういうものか、原則、食材費が有償とされましたので、負担が増加する世帯も出てくるということで、こういった年間所得360万から640万の多子世帯の3歳から5歳児について副食費を無償化する、そういう措置を市町村と連携して行う、そういった支援を行う。また、保育人材の確保のために修学資金を提供して、5年間勤務すれば、過疎地では3年間勤務すれば、そのお金を返さなくてもいいと、こういった制度もつくったり、あるいはイクボスシンポジウムの開催ですとか、家事・育児分担キャンペーン等を実施することにしております。
さらに、少子化の要因としまして、どうしても未婚化、あるいは結婚されるとしても晩婚化するということの影響が大きいということですので、特に若い世代の方々に、SNSやタウン情報誌による、例えばマリッジサポートセンターの広告の掲載ですとか、若い皆さんが割に好む自然な出会いを何とかつくりたいということで、企業間交流会等を行いますとともに、市町村でも結婚支援事業というのに取り組んでいらっしゃるところが多ございますので、市長村の事業との連携の強化など、県民の皆さんの結婚の希望が実現するように、支援の充実に取り組むことにいたしております。
ちょうど来年度からの5年間を計画期間とする新たな少子化対策プランを、今、つくろうということで、県民会議も開催を始めました。
今後、県民の皆さんや県議会のご意見もお伺いしまして、市町村や関係団体、企業とも連携しながら、県民の皆さんの結婚、出産、子育ての願いがかなう環境づくりが着実に進みますように、しっかりと取り組んでまいります。
56 ◯副議長(筱岡貞郎君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
57 ◯厚生部長(市村仁志君)最初に、保育士の人員や質の確保についての御質問にお答えをいたします。
本年10月からの幼児教育・保育の無償化、それから延長保育や病児・病後児保育などの特別保育の充実や低年齢児の年度途中での入所などによりまして、保育ニーズの増加が一層見込まれると想定されますことから、保育士確保は喫緊の課題と考えております。
このため、県ではこれまでも富山県保育士・保育所支援センターにおけます、潜在保育士の掘り起こしや職場復帰に必要な準備金、保育料等への貸付事業、保育士の処遇改善などを行ってきております。
さらに今年度は、保育士資格取得を目指します学生に対する修学資金制度の創設や、県内外の保育士養成施設へ進学した学生に対します県内での保育士就業を促す取り組み、例えば、養成施設へ進学された学生さんの登録制度ですとか、あるいは県内の保育所等の体験バスツアー、そういった保育担い手の確保に総合的に取り組むことといたしております。
加えて、保育の質の向上を図るため、県ではこれまでも、保育士の資質や専門性を高める研修の実施、児童の年度途中入所に対応するための保育士の加配に対します支援の拡充などを、市町村と連携をして行ってきたところでございます。
また、幼児教育・保育の無償化は認可外保育施設も対象となりますことから、新たに巡回支援指導員を配置しますとともに、職員の資質向上のための研修も行うこととしております。
幼児教育・保育の無償化については、無償化給付の実施主体となります市町村と情報共有を図り、制度の円滑な導入に万全を期しますとともに、引き続き保育士の確保や保育の質の向上に努めてまいります。
次に、産後鬱についての御質問にお答えをいたします。
県内の全ての市町村におきまして、産後鬱の予防や新生児への虐待予防などを目的としました産婦健康診査の実施に加えまして、子育て世代包括支援センター等において、心身の不調や育児不安等がある産婦に対し、助産師、保健師等が退院直後の母子に対します心身のケアや育児のサポートなどのきめ細かな支援を行います、産後ケア事業が実施をされております。
このように、身近な市町村におけます産後鬱対策の体制整備は進んできましたが、各市町村では助産師、保健師などの専門職の育成や他機関との連携、リスクが高い産婦への対応の面などで、大変苦心をされているというふうにお伺いをしてございます。
このため県では、全県下及び厚生センター単位で、市町村の助産師、保健師などの相談支援従事者への研修を行いますとともに、厚生センターの各圏域におきまして、産科、精神科医療機関等とのネットワーク会議によって連携の促進を図りましたり、産後鬱相談や精神科嘱託医によります心の健康相談などを実施するなど、市町村の産後鬱対策の取り組みへの支援を行っているところでございます。
さらに今年度は、相談支援従事者への研修内容を見直しまして、先進事例を踏まえました、より実践的なものとするなど、産後鬱対応の充実を図ることとしております。
県といたしましては、引き続き市町村と連携をし、産後鬱への対応力を高め、より子供を育てやすい環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
58 ◯副議長(筱岡貞郎君)蔵堀総合政策局長。
〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕
59 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)まず最初に、産後鬱に関しての男性の育休の取得、それから育児参画の御質問にお答えをいたします。
産後3カ月までは、産後鬱のリスクが高いとされております。
また、日本産婦人科医会によりますと、産後鬱の原因の1つに、パートナーを含む周囲のサポート不足があるとされております。
しかし、家事や子育ての負担は女性に大きく偏っており、男性の育児休業の取得も進んでいないというのが現状でございます。
このため、御指摘のとおり、産後鬱といった事態を避けますためにも、男性が積極的に家事や育児にかかわることは非常に大事であると考えておりまして、今年度、新たに、家庭内での役割分担を考えるキャンペーンを実施いたしまして、家事分担見直し表といったものを作成いたしまして、配布いたしたいと考えております。
さらに、家事分担の必要性や家事のスキル等を記載したハンドブックを、市町村の窓口で婚姻届を提出されました全て御夫婦に配布いたしますほか、イベントの開催なども行っていくことといたしております。
また、週60時間以上就業している方の割合を見ますと、これは全国的な調査ですが、20代の男性で15.5%、30代の男性では17.6%と、育児期の方の時間が長くなってきております。長時間労働が、男性の育児参画が進まない一因となっていると考えております。
このため県では、とやま働き方改革行動宣言に基づきまして、長時間労働の縮減や年次有給休暇の取得を促進いたしますとともに、イクボスシンポジウムの開催によりまして、企業経営者に対する実効性ある取り組みの積極的な働きかけも行っていきたいと考えております。
それから、次世代法に基づきます一般事業主行動計画の策定支援ですとか、企業子宝率調査を活用した優良事例の発掘・顕彰・普及啓発などを通しまして、男性の育児休業取得促進に引き続き取り組んでまいります。
次に、不妊治療に関して、時間単位で取得可能な有給休暇の取得についての御質問にお答えをいたします。
近年、不妊治療を受けられる御夫婦が増加をしてきておりまして、働きながら不妊治療を受ける方は増加傾向にあると考えております。
不妊治療を受けたことがある、または現在受けている御夫婦の割合というのは、国の調査では平成27年度で18.2%に達しておりまして、約2割近くの方が不妊治療を受けておられると考えております。
また、厚生労働省が平成29年に行いました調査によりますと、仕事と不妊治療との両立ができず、16%の方が離職をされているという結果が出ております。
御指摘のとおり、不妊治療は頻繁に通院する必要がありますものの、1回の治療にかかる時間は治療内容によりさまざまでありますことから、通院に必要な時間だけ仕事を休めるよう、年次有給休暇を時間単位で取得できるようにすることは、仕事との両立に非常に有用だと考えております。
また、企業にとりましても、従業員の離職というのは大変大きな損失でございますので、使いやすい年次有給休暇制度とすることは、人材確保の面でも大変意味のあることだと考えております。
労働基準法では、労使協定によりまして5日の範囲内で時間単位年休の取得が可能でございますので、県では昨年度から働き方改革推進運動におきまして、企業に対してその導入を働きかけますとともに、企業の顕彰を通しまして、先進事例の普及も図ってきております。
また、今年度は中小企業の働き方改革を支援いたしますために、そうした先進企業から講師を派遣する事業を行っておりまして、仕事と治療の両立支援コースといった講座も新設をいたしております。
人事労務担当者を対象とした研修会を開催していきたいと考えております。
また、国に対しましても、県の重要要望ですとか全国知事会を通じまして、こうした時間単位年休の企業への導入促進も要望いたしてきております。
今後とも、職場内での不妊治療への理解が深まり、不妊治療を受ける方が時間単位年休等を活用して、仕事をしながら安心して治療を続けられるよう、関係機関と連携しながら職場環境の整備に取り組んでまいります。
以上でございます。
60 ◯副議長(筱岡貞郎君)以上で、大門良輔君の質問は終了しました。
61 ◯副議長(筱岡貞郎君)津本二三男君。
〔2番津本二三男君登壇〕
62 ◯2番(津本二三男君)日本共産党の津本二三男でございます。
初質問となります。どうぞよろしくお願いをいたします。
老後の資金は年金だけでは足りず、夫婦で2,000万円が必要とした金融庁金融審議会が出した報告に衝撃が走っています。
総務省2017年家計調査の数値を踏まえ、年金暮らし夫婦の年金収入と支出の差が、月で平均5万5,000円、年間で66万円の赤字となっている。95歳まで生きるとして、年金生活30年間に約2,000万円が必要というものであります。
老後の生活を賄うことができない貧しい年金制度の実態とともに、高齢者の生活が貧困ないし貧困と隣り合わせの中にある現実を、改めて突きつけるものとなりました。高齢になっても安心して生活ができる社会にする。これは政治の責任だと私は考えています。
そこで、まず、消費税増税について伺います。
前回の消費税8%への増税を契機に、実質家計消費は年25万円も落ち込み、労働者の実質賃金も年10万円も低下、内閣府が発表した景気動向指数が6年2カ月ぶりに悪化となるなど、政府自身も景気悪化の可能性を認めざるを得なくなっています。
これまで、3回の消費税増税が行われました。3%増税のときはバブル経済のさなかであり、5%増税も、8%増税のときも、政府の景気判断は回復というものでありました。それでも、消費税の増税は深刻な消費不況を招きました。
今回は、景気後退の局面での消費税10%への大増税であります。これほど無謀な増税はないと私は考えております。
また、米中の貿易摩擦も深刻化し、世界経済の減速、失速が危惧されています。
そんな中でも消費税増税に突き進もうとしており、世界を代表する経済誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」からも、安倍首相は消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決めているように見えるとやゆされるほどであります。
消費税10%への増税は、生活を壊すだけでなく、経済も壊します。今からでも中止を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事に伺います。
先月5月、日本共産党、社民党を含む4野党1会派は党首会談を行い、参院選一人区での候補者一本化とともに、市民連合から提案されていた13項目の共通政策に合意、調印し、消費税について、税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図る、このようにいたしました。
また、日本共産党としましても、消費税の増税ではなく、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を以下のように提案しています。
研究開発減税など、専ら大企業だけが利用できる優遇税制によって、法人税負担率は中小企業の18%に対し、大企業は10%と大変低いものになっています。これを是正し、大企業に中小企業並みの負担をいただくだけで、4兆円の財源がつくれます。
また、累進税制が基本であるはずの所得税も、所得が1億円を超えるあたりから優遇された状態になり、逆に負担率が下がっていくものとなっています。富裕層の所得の多くを占める株の配当や譲渡益について、せめて欧米並みの負担を求めるなどで、3.1兆円の財源になります。この2つだけでも、7兆円余りの新たな財源ができるとしています。
安倍政権のもとで、大企業は史上最高の利益を上げ、内部留保は442兆円に膨れ上がりました。
また、富裕層に巨額の資産集中が進み、アメリカの経済誌「フォーブス」によれば、日本の長者番付上位40人の資産は、この7年間だけで18.6兆円に、2.4倍に増えているとのことであります。
消費税10%への増税による増収は約5兆円。消費税に頼らなくても、税金の優遇を是正し、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革で、十分賄うことができるものと考えます。また、その道を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。知事に伺います。
次に、国民健康保険料について伺います。
国保の被保険者の負担が限界に近づいている。将来にわたって持続可能な制度を構築するために、追加国費の規模も含めた抜本的な財政基盤強化の具体策を提示すべき。
仮に、一般会計からの法定外繰り入れをやめて、単純に保険料に転嫁するとなると、中低所得者層の負担はさらに重くなってしまい、国保制度自体が破綻しかねない。
今後、増嵩する医療費に対して、被保険者に過度な負担を負わせることなく、将来にわたり国保の維持可能性を担保するために、制度的措置を講じるべき。
これは、2014年に全国知事会が国民健康保険制度の見直しに関する提言を出し、それに基づいて政府審議会の中で主張された地方側の意見であります。まさにそのとおり、私は共感しています。
国民健康保険の加入者は、かつての自営業者や農林水産業者が中心であった状況から大きく変化し、今では高齢者と非正規労働者が中心になっています。加入世帯の平均所得も、この25年間で年間276万円から138万円にまで半減いたしました。
にもかかわらず、保険料のほうは逆に、1人当たり6.5万円が9.4万円に、約1.5倍にも高くなり、加入者の保険料負担は限界に来ています。
こうした国民健康保険が抱える構造的危機を何としても解決しなければなりません。それには、国の公費支援の強化がどうしても必要であります。
政府と知事会の協議の結果、3,400億円の追加支援が決まったと私は理解していますが、しかし、やはり十分ではありません。
知事会が当初求めていたように、保険料を中小企業の労働者が加入する協会けんぽ並みに大幅に引き下げるために、国に対し公費1兆円の支援を求めていくべきと考えますがいかがでしょうか。知事に伺います。
県が国民健康保険の標準保険料率を毎年上げれば、市町村も保険料率の引き上げを検討せざるを得なくなると考えますが、いかがでしょうか。
今後、増えていく医療費に対して、保険料の値上げだけで対処していこうとすれば、老後2,000万円問題から見えるように、保険料を払えない世帯が増え、危機が深化し、早晩、国民健康保険制度は立ち行かなくなると私は考えています。
昨年度と比べた今年度の標準保険料率及び市町村の国民健康保険料率の状況とあわせ、どのように認識されているか厚生部長に伺います。
若い世代の中にも非正規雇用が広がっています。
私は、不安定な非正規雇用が、未婚率を増やし、出生率を下げる大きな要因の1つになっていると考えています。そして、そこで、非正規雇用の世帯であっても安心して子供を産み育てることができる環境をつくる、こうした視点が少子化対策として必要だと考えています。
さて、国民健康保険の職業別世帯構成割合でいう被用者とは、非正規雇用世帯のことであり、加入世帯の44%を占めていると言われています。
この困難を抱える世帯に対し、国民健康保険では、子供が増え家族が増えれば、その人数分だけ均等割保険料3万円前後が保険料に上乗せされ、保険料が重くなるという問題があります。
正規雇用が基本の組合健保や協会けんぽには、このような保険料の上乗せはありません。
せめて子供について、この均等割保険料を減免する、このことについて国に対し要望すると同時に、県として真剣に検討すべきではないかと考えますがいかがでしょうか。厚生部長にお尋ねいたします。
全国では、子供の均等割保険料の減免を国民健康保険法第77条の減免規定に基づいて行っている自治体があります。当然に、その費用は一般会計からの繰り入れです。
厚労省は、国民健康保険財政への一般会計からの法定外繰り入れについて、全て悪いと言っているわけではありません。
このような法律に基づく減免の場合、厚労省の区分でいう、計画的に削減・解消すべき赤字には当たらないと考えますが、どのように認識されているか厚生部長に伺います。
次に、加齢性難聴の補聴器購入に対する公的補助について伺います。
加齢性難聴は、会話が聞こえにくくなり、日常生活を不便にするだけでなく、認知症や鬱病の原因にもなると指摘されています。
そしてWHOは、難聴をそのまま放置すると一層進むことから、難聴の度合いが軽度・中度の段階から補聴器をつけることを推奨しています。
しかし日本では、補聴器に対する公費助成は高度・重度の難聴者のみに限っており、WHOが推奨している軽度・中度の加齢性難聴には公費助成がありません。
補聴器は数十万円と高額ですが、欧米では加齢性難聴にも公的補助をしており、難聴者の中の3割から5割に補聴器が普及していると言われています。一方、日本では公的補助が限られていることから、14%にとどまっていると言われています。
このような現状をどのように受けとめておられるか、厚生部長に伺います。
言うまでなく、加齢性難聴は昔からありました。しかし、政府が高齢者の活躍できる社会をうたい、そして現実には、老後2,000万円問題でもわかるように、高齢になっても働かざるを得ない状況になっています。補聴器は切実になっています。
また、認知症、鬱病といった病気に進行することを防ぐことから、医療費を抑えることにもつながります。
加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助の創設を国に求めると同時に、県としても検討すべきと考えますがいかがでしょうか。知事に伺います。
次に、全天候型体育文化施設の整備について伺います。
5月10日に開催された第3回健康・スポーツ環境充実検討会では、これまでの議論を踏まえて、実現可能性のある検討対象として、8,000人規模のアリーナと武道館整備の可能性について議論が行われています。
しかし、県民のスポーツ振興、健康寿命の延伸の視点ではなく、主に富山県の地域経済振興、魅力創出による人口流出の抑制のために、多額の予算を投入して、これだけの大規模な施設をつくる必要があるのか、甚だ疑問に感じています。
そこで、まずアリーナについて総合政策局長に伺います。
1月に開催された第2回検討会には、第1回検討会議で講演をされた早稲田大学スポーツ科学学術院の間野義之教授の、富山県が新たに全天候型体育文化施設を整備するならば、富山駅から徒歩圏内に立地させなければ意味がないとの見解が示されました。
同じ会議で報告された三菱総研の基礎調査におきましても、アリーナについては富山駅周辺において大規模な敷地を確保する必要があるとされています。
しかし、富山駅周辺に活用できる大規模な県有地はなく、富山経済同友会が提案された富山城址公園についても、富山市管理の都市公園であり、これ以上の構造物の建設は、都市公園の規制上、困難ではないかと考えますが、どのように認識されているか伺います。
8,000人規模のアリーナについては、第3回検討会で年間32億円の経済波及効果があると試算報告がされた一方で、建設費は、圧縮した場合でも80億円から130億円、収支差額も年間1.2億円から2.1億円の赤字とのことでありました。
検討に入る際に行った県民アンケートでは、県の行財政状況等を十分考慮した上でといった条件つきの意見が、52.6%と一番多かったとされています。
こうした県民の意見を尊重し、私は断念したほうがいいのではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
最後に、庄川水系河川整備について伺います。
庄川水系の河川整備の一環である新庄川橋、万葉線橋梁のかけかえ事業が道路事業として着手され、私は喜んでいます。
この事業は10年から20年かかると聞いています。そこで気になるのが、和田川との合流点処理です。
この部分は、庄川河川の水位が上がれば和田川に逆流し、その沿線も危険にする、庄川河川の中でも洪水に対し弱い箇所ではないかと考えています。
新庄川橋のかけかえ事業の完了を待つことなく、できるだけ早い工事着手が必要と考えますが、どのように認識し取り組もうとされているのか土木部長に伺います。
昨年7月、庄川河川は観測史上2番目の水量を記録いたしました。氾濫注意水位を超え、避難判断水位に迫ったことから、沿線住民は自主避難を行い、不安な一夜を過ごしました。
近年、九州北部豪雨、西日本豪雨など、異常気象に伴う豪雨災害が相次いでいます。安全・安心の庄川河川へ、できるだけ早く、かつ効果的な整備を願うものであります。
今、進められている庄川水系河川整備計画は、利賀ダムの完成に重点が置かれています。しかし、どれほどの効果がダムに期待できるのか。
もし利賀ダムが完成していれば、どれだけ水位は下がっていたのか、国が推測を行っています。
それによれば、観測史上最大の流量を記録した2004年の台風23号のときで8センチから11センチ、観測史上3番目の流量を記録した一昨年、2017年の台風21号のときでは、10センチから20センチという、わずか名刺を縦に一、二枚並べた程度の高さであります。
いずれのケースも、庄川河川の水位上昇の要因は岐阜県側の豪雨によるもので、富山県側の利賀ダム上流ではそれほどの大きな雨ではなく、水位低下の効果は小さかったものと理解しています。
このように、洪水対策として見た場合、ダムはその上流で豪雨があるかどうかにかかっており、限定的であり、いつも効果があるわけではありません。一方、河川堤防は、岐阜県を含む流域全域の豪雨に対し、確実に効果を発揮いたします。
ダム以上に河川堤防の整備を急ぐべきだと考えますが、どのように認識されているか土木部長に伺います。
以上で、私の質問といたします。
63 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
64 ◯知事(石井隆一君)津本議員の御質問にお答えをいたします。
まず、消費税率の引き上げについてでございます。
国と地方の長期の債務残高は、今、1,122兆円で、対GDP比で198%、約200%となっております。
また、IMFが2018年10月に公表した一般政府ベースでの債務残高、対GDP比の国際比較では、日本が236.6%、またアメリカは107.8%、イギリスが87.2%、ドイツが56.0%等々で、日本の値は突出して高くなっております。
また、平成31年の政府予算案では、これがやはり、今お話に出た年金等の問題も含めて、医療費や社会保障関係費を初めとする経常的な支出は歳出の4分の3を超える一方で、それを賄う租税収入は歳入の3分の2未満だと。不足分はどうしているかというと、結局、毎年、過去に買い入れた国債償還費として約24兆円を払う一方で、新たに32兆円の国債を発行している。借金をして賄っているという財政であります。
国、地方を通じたこうした厳しい財政環境とか、これからいよいよ急速に少子高齢化が進む、人口減少が進むということを考えますと、税収が景気や人口構成の変化に比較的左右されにくく安定しているとか、あるいは、勤労者世代など特定の人への負担が集中しないという性格を有する、消費税、地方消費税の税率引き上げ等を行うとされた社会保障・税一体改革の経緯等に鑑みますと、正直、誰でも税金が上がることはうれしいわけではありませんけれども、これまで二度にわたって延期してきたこともありますので、予定どおり、ことし10月に消費税、地方消費税の税率引き上げを行うことはやむを得ない、避けられないことではないかと考えておるわけでありまして、全国知事会で取りまとめられた提言においても、同様の認識に立っております。
また、骨太方針の原案でも、この10月に8%から10%の引き上げを予定しているということを明記されておりますし、国では、そうした税の引き上げに際して、国民の負担増5.2兆円に対して、幼児教育無償化の本年10月1日実施などによって、経済の影響を2兆円程度に抑制する。この詳細は先ほど御説明申し上げました。
さらに、今回の引き上げによる需要変動の平準化対策については、臨時・特別な措置として、国の令和元年度当初予算において2兆円程度、また税制面では0.3兆円程度、合わせて2.3兆円程度の規模の措置がなされておるわけでありますので、普通に考えますと、2兆円の経済への影響をカバーするのに2.3兆円の対策を打ったということですから、従来の常識から考えると相当思い切った対策を打たれたことになろうかと思っております。
なお、これまで10%への引き上げが過去二度にわたって延期されたことによりまして、軽減税率の実施による目減り分の約1.1兆円を加味しましても、国、地方を通じて毎年約4.5兆円の税収の確保が先送りされておりまして、地方分では毎年約1.4兆円、本県分で言いますと約70億円、県内の市町村では約60億円の税収が先送りされております。
また、消費税率引き上げ後においても先ほどのような計算ですから、相当思い切ったことをなさっていると思いますが、経済情勢等を踏まえながら、本県を初め地域経済の活性化に十分配慮した、総合的かつ積極的な実効性ある経済対策を講じていただきたいと考えまして、先月、茂木経済再生担当大臣が富山県にいらっしゃいましたので、その際に直接要請しますなど、そのほか全国知事会の税財政委員長という立場で岸田自民党政調会長にもお願いしたり、積極的に働きかけております。
骨太の方針の原案では、当面の経済財政運営について、2019年度の臨時・特別の措置等の適切な施行によって、経済の回復基調に影響を及ぼさないように取り組むとされております。
県としましては、国に、こうした対策を着実に進めますとともに、軽減税率の円滑な導入ですとか、また、中小企業の取り組みへの県の独自の支援などにも努めまして、本県経済の持続的な発展や成長に資する地域経済活性化に取り組んでまいります。
次に、消費税にかわる財源についての御質問にお答えいたします。
消費税は、先ほども触れましたが、負担が特定の世代に集中しないで、また、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくい、安定している。これはほかの税と比較してのことですけれども。また地域間の税源の偏在性も比較的少ないと、こういう特徴があります。
そこで、少子高齢化によって増加していく社会保障財源として適切だという考え方で、消費税、地方消費税の税率を引き上げて、その税収は社会保障財源として位置づけ、幼児教育の無償化等に取り組むとされているわけであります。
また、消費税は逆進性があるということはかねて言われていることでありますから、軽減税率の導入ですとかプレミアム商品券の発行等の措置が盛り込まれるなどの配慮がされております。
また、経済のグローバル化が進む中で、法人課税については国際競争力の強化や、企業が収益力を高め、より積極的に賃金引き上げや設備投資を取り組むように促す観点から、先ほど消費課税をもっと増やしたらどうかというお話でしたけれども、むしろそうではなくて、成長志向の法人税改革を行うということで、特に資本金1億円超の大法人の法人実効税率は、34.62%から29.74%にまで引き下げられておりますけれども、それでも諸外国と比較しますと、ドイツが29.83%、アメリカが27.98%、カナダが26.5%、中国は25%ですから、こういったところに比べると、なお高い水準にあるわけでございます。
また、租税特別措置の縮減廃止等による課税ベースの拡大措置が講じられておりまして、その財源が確保されております。
また、議員は大企業のほうが税率が低いといった御認識のようですけれども、これは御存じの上でおっしゃっているのではないかと思いますが、法人所得課税を見ますと、大法人は29.74%、中小法人は33.59%と、確かに中小企業が高いように見えますが、これは資本金1億円超の大法人については、数年前に大議論をして外形標準課税が導入されまして、その事業税の所得割を引き下げるかわりに、赤字でも税負担が発生する付加価値割とか資本割が課税されるということであるわけでございます。ですから、両方を合算すると、決して低いことはない。
仮に、中小法人についても外形課税を導入すれば、所得割は引き下げることになるんですけれども、中小法人の皆さんは赤字でも税金を負担するというのは嫌だという方が非常に多いので、それを見送っているということでございますから、御存じの上でおっしゃっていると思いますが、御理解をいただきたいと思います。
また、法人の税率を諸外国よりもはるかに高くした場合には、かつて、そういう現象、これは為替の問題とか何かでありましたけれども、これじゃ日本国内で仕事をやっていられないというので、企業がどんどん海外に出ていくということが続くわけですから、やはり税制というのは、諸外国との関係、世界とのバランスということを考えてやらなきゃいかんと思っております。
加えまして金融所得課税についても、26年度に上場企業の譲渡益とか配当等にかかる税率も、これは所得税と個人住民税で10%から20%に引き上げる改正が行われております。これによりまして、例えば所得が1億円以上の層ですと、1ポイントから6ポイントぐらいの租税負担にあがっているわけでございます。
今後の見直しに当たっては、31年度の税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援するとともに、税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から検討するとされておりますほか、経済への影響にも留意して、総合的に議論がなされるべきものと思っております。
今後の税制のあり方、所得、消費、資産という課税ベースを適切に組み合わせて、バランスのとれた税体系の構築ということが大切であります。
公平性ということももちろん考えながら、富山県としても全国知事会等と連携しながら、また、政府・与党、いろんな皆さんと議論しながら努力していきたいと思います。
次に、国保への国の財政支援についてお答えをいたします。
国民健康保険は、被用者保険に比べまして年齢構成が高く、医療水準が高くなっている。また、所得水準が低い方が多いので、十分な保険料が得られないことなど、厳しい財政運営を余儀なくされております。
そこで、国保財政につきましては、65歳から74歳までの前期高齢者の偏在による保険者間の不均衡調整のための前期高齢者交付金の交付、また国の療養給付費等負担金、また調整交付金や都道府県繰入金の支出、また低所得者に対する保険料軽減に対する公費支援等の財政支援が行われております。
平成30年度からの国保制度改革の検討過程で、全国知事会からは、国民の保険料負担の平準化を図るために、また国保を持続可能な制度とするためには、国民保険料を協会けんぽの保険料水準まで引き下げることが望ましいということで、約1兆円相当の国からの財政支援を求めたところです。
これはお話のとおりでありますが、いろいろな折衝等の結果、毎年3,400億円の財政支出を実施すること、また、さらには、医療保険制度間の公平に留意しながら、国保制度の安定的な運営が持続するよう、所要の措置を講ずるとされました。
この毎年約3,400億円というのは、市町村がその時点で国保の会計を支援するために法定外繰り入れをしていた、その額に相当するわけでございます。
この3,400億円の内訳としまして、平成27年度からの1,700億円につきましては、保険料の軽減対象となる低所得者数に応じた市町村保険者への財政支援として拡充されたものであります。
また、30年度以降の1,700億円については、自治体の責めによらない要因による医療費の増ですとか、また、これに伴う自治体の負担増への対応、また、医療費の適正化に向けた取り組み等に充当されることになっております。
この結果、全国で約3,500億円の市町村の法定外繰り入れが相当程度抑制されまして、国保制度の安定的な運営が図られていると思っております。
本県の場合は、御承知のとおり、国保制度改革に伴う保険料率の大幅な変動ですとか市町村の負担増といった激変はなくて、国保の財政運営は改革の前後を通じておおむね安定していると思いますけれども、今後さらに高齢化が進みますと国保財政の運営は引き続き厳しい状況も想定されるわけであります。
そこで県としましては、今後も国民皆保険を支える国民健康保険の財政基盤の安定が図られますように、全国知事会とも連携いたしまして、国の責任において国からの財政支援等が確実に実施されますように、引き続き国に働きかけてまいります。
次に、加齢性難聴者の補聴器購入支援についてお答えをいたします。
加齢性難聴は、内耳の中にある音を伝える役割を担う数万本の有毛細胞が、20歳をピークに少しずつ減少して、特に高齢になると高い周波数の音が聞こえにくくなる症状でありまして、よく御存じのとおりかと思います。
議員御指摘の、加齢性難聴と鬱とか認知症等との関係につきましては、認知症と難聴が関連していると示唆する研究結果、これはイギリスの医学誌などにも発表された論文があるとも聞いておりますけれども、その因果関係やメカニズム、難聴補正が認知症予防につながるかどうかについては、最近よく言われますエビデンスというレベルで十分に確立されていないということで、国においては、早期からの難聴補正の研究などを推進するとしております。
具体的には、平成30年度から3カ年で、補聴器を用いた聴覚障害の補正による、認知機能低下の予防効果を検証するための研究を行っていると伺っております。
御指摘の、加齢性難聴者の補聴器購入に対する助成制度においては、国において、その研究成果をもとに検討されるものと考えております。
また、県単独の助成制度については、身体障害者手帳を有していらっしゃる重度・高度難聴者に対する障害者総合支援法に基づく補装具費の支給制度との均衡などの課題もありますので、まずはやはり、これは国全体の制度の話ですから、国の動向、また、今のところ東京都の5つの区がやっていらっしゃるということですけれども、全国的な他県の状況も見守っていきたいと、こういうふうに思っております。
最後に、全天候型体育文化施設についてお答えをいたします。
この全天候型多目的施設の整備についての県民意識調査、一昨年12月に実施したわけですけれども、お話のように前向きに検討すべきというのが17.1%、必要だと考えるが、既存施設の統廃合、行財政を考慮した上で検討すべきが52.6%、合わせて必要が約70%となっておりまして、不必要は約25%でありました。
これをどう受け取るかですね。必要だと考えるが、既存施設の統廃合、行財政を考慮した上で検討すべき、52.6。これを、やっぱり必要だからつくれというふうに重きを置いた意見だと考えると、合わせて7割近い人がつくれと言っているふうにも見えますし、しかし、既存施設の統廃合や行財政を考慮した上で、余裕があるのならやりなさいよと。しかし、大丈夫かなと。どちらかというと懸念をしているというふうに考えますと、不必要の方と合わせると70%を超える人が慎重な意見だとも言えるわけであります。
そこで、こうした結果を踏まえて、この回収率が37%ということもありますので、この種の調査としては決して回収率が低いわけではありませんが、やはり県民の幅広い意見を聞く必要があると考えて、健康・スポーツ環境充実検討会を開催して、健康やスポーツ環境充実のためのソフト、ハード両面の基本的な方向について御検討いただいているわけでございます。
第2回の検討会では、調査委託会社からコンサート開催誘致の可能性、事業収支や建設費負担を考慮すると、8,000人規模のアリーナが、検討するとすれば検討の俎上にあると。また、武道館整備の場合は、既存の富山武道館や高岡武道館などと機能が重複するので、実現に当たって、既存施設の統廃合をあわせて検討することが必要と。このほか、議員のお話にあった大規模アリーナについては、富山駅から徒歩圏内に立地しなければ意味はないと、欠席された間野委員のコメントなども事務局から紹介したところでございます。
第3回の会合では、第2回検討会を受けまして、8,000人規模のアリーナと武道館を中心に、施設整備の効果や施設規模等について議論を深めたわけであります。
委員からは、8,000人規模のアリーナだと経済波及効果が限られているとか、例えば武道館だけというふうに限らずに、見るスポーツや文化でも活用できる施設が望ましいとか、また富山と高岡の武道館は老朽化しているので、統廃合した上で整備してはどうかと。その際には、武道だけではなくて他のスポーツ競技やイベントができる施設というものも考えてはどうかといったような御意見をいただきました。
県としましては、人生100年時代において、スポーツ振興は人づくりや健康寿命の延伸、地域活性化などにおいて重要な役割を果たすと考えておりますので、今後、地域経済振興、にぎわい創出、人口流出抑制の効果などの地方創生の観点、さらには持続可能な施設整備や運営のあり方、また県の財政は、先ほどから議論になっておりますように、社会保障をいかに健全に維持していくかとか、教育をもっとしっかりやらなきゃいかんとか、さまざまな課題がございます。そういう中での県財政の健全性の確保にも十分留意しながら、総合的かつ多角的な観点から丁寧に検討いたしまして、多くの県民の皆さんのお考えがありますので、その合意形成に努めまして、この夏から秋にかけて、何とか一定の取りまとめを行いたいというふうに思っている次第でございます。
以上であります。
65 ◯副議長(筱岡貞郎君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
66 ◯厚生部長(市村仁志君)最初に、国民健康保険の標準保険料等についての質問にお答えをいたします。
平成30年度からの国保制度改革に伴い、都道府県は標準的な保険料算定方式や収納率の目標など、市町村が保険料率を定める際に参考となる事項についての標準を国保運営方針に示すとともに、これに基づいて、毎年度、市町村ごとの標準保険料率を示しているところでございます。
昨年度と比較した今年度の標準保険料率は、ほぼ全市町村において上昇しており、これは被保険者数が減少していることにあわせ、1人当たり医療費が上昇していることなどが要因となっております。
一方、各市町村の保険料率は、県が示す標準保険料率を参考に、各市町村の将来推計を見きわめた上で、年度間の平準化を考慮しながら国民健康保険事業に要する費用を賄えるよう、各市町村で決定するものでございます。
県内市町村の国保財政は、平成27年度から決算補填などを目的とします法定外繰り入れもなく、比較的安定的に推移しており、今年度は各市町村が保有いたします基金なども活用し、全市町村が保険料を据え置く方向で検討がされております。
今後の高齢化の進展や、1人当たり医療費の伸びを勘案しますと、国民健康保険事業の財政は厳しい状況が続くと想定されますが、県としましては、特定健診、特定保健指導の実施率の向上や、後発医薬品の使用促進など、医療費の適正化の取り組みを進めますとともに、事務の効率的な運営により市町村の納付金の抑制を図り、国民健康保険料の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。
次に、子供にかかります均等割の状況についての御質問にお答えをいたします。
平成30年度からの国保制度改革に伴います財政基盤の安定化措置の一環として、市町村の子供の被保険者数に着目して交付する特別調整交付金については、追加国費100億円、既存分と合わせますと200億円を投入するなど、子供の被保険者数の多い自治体への財政支援の拡充が図られております。
また、低所得世帯については、均等割分などの保険料を軽減する措置が講じられており、子供を含む世帯の被保険者数に応じて所得基準額が緩和されているところでございます。
御指摘の子供にかかる国民健康保険料の均等割については、これまでも全国知事会と連携をいたしまして、子供にかかる均等割保健料の軽減措置の導入について、国に対し要望しているところであります。
現在、国で、財政支援の効果や国保財政に与える影響などを考慮しながら、議論が進められているところでございます。
県独自の軽減措置については、他の被保険者の保険料負担の増加、または法定外の一般会計繰り入れが必要となることから、国保財政の運営上、好ましくなく、このため一部の自治体独自で行うのではなく、まずは国保制度全体で解決すべき事項であると考えており、県といたしましては、引き続き全国知事会と連携をし、国に対して要望しますとともに、将来にわたって持続可能な国民健康保険制度となるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、国保77条の減免についてお答えをします。
国民健康保険は被保険者全体の相互扶助で成り立つ社会保険制度でございまして、その財源となる保険料は、制度の維持と負担の公平を図るという観点からも重要なものでございます。
国民健康保険法第77条では、市町村などが条例の定めるところにより、特別の理由がある者に対し保険料の減免等ができると規定しております。
具体的には、災害等により生活が著しく困難となった者、またはこれに準ずると認められる者で、減免の必要があると認められる者に対して行われる取り扱いとなっております。
また、同条に基づく保険料の減免に充てるための一般会計からの繰り入れについては、法定の保険料の減免額に充てるための繰り入れであって、国保財政の健全化のため、計画的に削減、解消すべきとされている決算補填等を目的とした一般会計繰り入れには含まれない扱いとされております。
しかしながら、これを根拠に幅広い世帯を対象に減免等の措置を行うことは、法の趣旨と整合するか疑問があるほか、減免対象とならない他の加入者や、国保加入者以外の納税者に負担を求める結果となることから、国保財政の運営に当たって好ましくないものと考えております。
県としましては、国保財政の中で財政基盤の安定化を図りつつ、医療費の伸びが見込まれる中でも持続可能な国保制度の堅持、国保加入者の負担軽減に努めていくことが重要であると考えております。
最後に、補聴器の関係でございます。
議員御指摘のとおり、国内外のメーカー10社が加盟します日本補聴器工業会の調査では、補聴器の普及率はイギリスが48%、フランスが41%、ドイツが37%となっておりまして、日本は14%でございました。
また、補聴器を持つ人の使い心地の満足度も、イギリス、フランス、ドイツが74%から82%に対しまして、日本が38%と低いという状況でございます。
補聴器の普及率は満足度にも影響していると思われますが、こうした差が生じているのは、各国の補聴器に対します社会の理解ですとか、難聴に対します受けとめ方、それから社会保険制度の違いなど、さまざまな要因によるものではないかというふうに考えております。
さきに知事が御答弁申し上げましたが、国において難聴補正の研究などを推進するとされておりますので、加齢性難聴者の補聴器の利用のあり方等については、その研究成果をもとに検討されるものと考えております。
以上でございます。
67 ◯副議長(筱岡貞郎君)蔵堀総合政策局長。
〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕
68 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)全天候型体育文化施設の敷地に関する御質問にお答えをいたします。
先ほど、知事からも概略を御答弁申し上げたところでございますけれども、ことし1月に開催いたしました第2回の健康・スポーツ環境充実検討会における委員からの意見、それから調査委託会社の報告によりますと、全国の類似施設の状況を見ると、開演時間までの一定時間内に8,000人を収容するためには、主要な交通機関の結節点から徒歩で移動できる範囲でなければ運営がなかなか厳しいこと、また、敷地面積については少なくとも1ヘクタール以上は必要になるのではないかとの考えを聞いております。
検討会では、まだ立地場所を特定して検討するということではございませんで、施設の規模、利用形態、予測される利用状況によって、どのような施設が望ましいかを検討している段階でありまして、今後、施設整備についての方向性が示されることになれば、その施設に応じて、主要な交通結節点からの距離、移動時間、利便性など、さまざまな点を考慮した上で、具体的に候補地を選定していくことになると考えております。
以上でございます。
69 ◯副議長(筱岡貞郎君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
70 ◯土木部長(水口 功君)まず、和田川と庄川の合流部の整備についての御質問にお答えをいたします。
平成20年に策定されました庄川水系の河川整備計画では、戦後最大規模の洪水を安全に流下させるため、おおむね30年間に実施する河川整備の内容が定められております。
具体的には、堤防の整備、利賀ダムの整備、和田川との合流部の整備、河口付近の橋梁かけかえ、急流河川対策などを行うことにより、治水安全度を確保することとされております。
これを受けまして、これまで国において、堤防の高さや幅が不足している箇所の堤防整備、急流河川対策としての洗堀のおそれがある箇所における根継ぎ護岸の整備などが鋭意行われてきております。
御指摘の和田川と庄川の合流部の整備につきましては、先ほど申し上げました戦後最大規模の洪水時の場合、高くなりました庄川の水位の影響を受けて和田川の水位も上昇し、和田川の堤防の余裕高が不足する区間が生じますことから、対策が必要とされております。
河川整備計画では、その合流部の対策として、庄川の水位上昇に対応できる高さまで、和田川の堤防をかさ上げする方法、水門を設置することで和田川への逆流を防止する方法、庄川との合流点を下流につけかえる方法が例示されているところであります。
県としましては、和田川の合流部における整備は、沿川住民の安全・安心を守る上で重要と考えておりまして、また、地元射水市からも要望をいただいておりますことから、引き続き国と調整を図ってまいりたいと考えております。
次に、庄川の河川堤防整備についての御質問にお答えをいたします。
庄川水系河川整備計画におきましては、利賀ダムの整備により、全川にわたって洪水時の水位を低下させるとともに、堤防整備等の河川改修事業を行うことにより、治水安全度を確保することとされております。
このうち利賀ダム整備につきましては、ダム事業の検証が行われました結果、平成28年8月にダム事業を継続するとの国土交通省の対応方針が決定されたところであります。
この検証におきましては、ダムの持つ治水、新規利水、流水の正常な機能の維持の3つの目的別に、ダム案とダムにかわる案を安全度、コスト、実現性など、さまざまな観点から比較検討を行った上で、総合的にダム案が最も有利であると評価、判断されたものであり、検証後の平成29年度からは、ダム本体着工に必要となる転流工のための進入路工事が進められているところであります。
また、河川改修事業のうち、まず堤防の整備につきましては、これまで新湊地区や高岡地区などで整備が進められてまいりましたし、堤防の侵食や洗堀を防止するための急流河川対策につきましては、戸出地区などで根継ぎ護岸の整備が進められており、今年度は大門地区や太田地区などにおいて根継ぎ護岸の整備に取り組むこととされております。
庄川につきましては、利賀ダムの建設と河川改修事業によって治水安全度を確保することとなっておりますことから、県としましては、今後とも県民の安全・安心の確保のため、利賀ダム建設事業の整備促進とともに、庄川の直轄河川改修事業の着実な整備促進につきまして、国に対し強く働きかけてまいります。
以上でございます。
71 ◯副議長(筱岡貞郎君)津本二三男君。
〔2番津本二三男君登壇〕
72 ◯2番(津本二三男君)1点だけ再質問をさせていただきたいと思っています。
先ほど知事から御答弁いただいたわけですが、加齢性難聴のことです。
先ほどの知事の御答弁では、私も指摘はしたのですが、認知症、鬱病の原因になっているのかどうか、なるのはつながるのかどうかというところを研究されているということですね。それが明らかになったら、国の制度としてなるんじゃないかというお話もありましたが、私はそこだけではないんじゃないかと思っています。
一番大事だなと思っているのは、難聴をそのまま軽いときから放置すると、どんどん進んで重い難聴に進んでしまう。これを進めるのを止めるために、WHO自身が軽度・中度、40デシベル以上というから、このデシベルの話をすると、どんどんわからなくなるかなと思いまして、軽度・中度というふうに表現しましたが、日本では難聴は軽度・中度と言われています。
WHOが奨励するのは、軽度、中度の間なんですね。そこからもう支援をして、難聴の進みぐあいを軽減する。これがやはり大事だと思っています。
冒頭に、老後2,000万円問題を言いましたが、今、本当に高齢者もどこでも仕事をされています。また仕事をしないと生きていけない状況に追い込まれているんだと、私はそのように理解しているんですが、そういう点でも、耳が聞こえない中で社会生活を送るというのは、ものすごい大変なことと思いますので、私は高齢者のひきこもりの原因にもなるんじゃないかと思うんですが、そういったニーズ、私はニーズだと思いますが、そういったものについて、真剣に県としても向き合っていただきたいなと思っています。
それにあわせて、国に対しても向き合っていただきたいと思っていますので、どのように考えておられるか、再度答弁をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
73 ◯副議長(筱岡貞郎君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
74 ◯知事(石井隆一君)先ほども申し上げましたように、議員御指摘の加齢性難聴の問題については、現在、こうした加齢性難聴が鬱や認知症とどういう関係があるかといったことについて研究もされておりまして、その途中であります。
また、今、議員は、認知症などとの関係もさることながら、難聴であることが、ひきこもりとかいろんなことに影響するので、この難聴問題を真剣に取り組んでほしいというお話かと思います。
これは大変重要なことでもあると思いますから、厚生労働省の検討会の研究結果も見守りながら、高齢化社会がますます進むと思いますので、そうした厚労省の研究結果、また全国の状況等も、おっしゃるようなニーズの問題も含めてよく勉強させていただいて、また、全国知事会などでも、ほかの県の知事さん方、県の取り組みはどうなっているか、いろいろ勉強して、こうした問題に真剣に検討、対応、まずは勉強してまいりたいというふうに思っております。
75 ◯副議長(筱岡貞郎君)以上で津本二三男君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。
午後3時00分休憩
─────────────────────
午後3時11分開議
76 ◯議長(中川忠昭君)休憩前に引き続き会議を開きます。
瀬川侑希君。
〔4番瀬川侑希君登壇〕
77 ◯4番(瀬川侑希君)自由民主党の瀬川侑希です。県議会議員になってから初めての一般質問になります。よりよい富山県のために精いっぱい質問をしてまいります。よろしくお願いいたします。
6月定例会の開催に当たり、私からは、県債残高の返済計画と稼ぐ県政について、県内の小学校再編について、健康寿命日本一についての大きく3つの項目にわたり、合計13問の質問をします。
まず、財政全体の大きな話から始め、次に個別の政策の中でも、令和の時代、これから各地で起こることが予測される小学校再編について、そして最後に、こういう富山県になったらいいなという願いを込めて、夢のある健康寿命日本一について質問したい、このような意図で3つのテーマを選びました。
最初に、県債残高の返済計画と稼ぐ県政についての中でも、県債残高の返済計画について質問します。
今年度の一般会計当初予算は約5,500億円の富山県ですが、その2倍以上に当たる1.2兆円を超える借金を抱えております。
もちろん、石井知事になってから財政状況は大変改善されました。
4年前の平成27年度に48年ぶりに県債残高を減少させたこと、また、平成28年度予算編成時に約400億円の財政構造赤字を解消させたことは、石井知事だからこそできたことだと高く評価しております。
一方で、県債残高については、年度当初に今年度減らす分が提示されるだけで、将来に向かってどのような計画で、また、どのようなペースで減っていくのか、県民には示されていません。
そこで、1つ目の質問ですが、1.2兆円を超える県債残高を単年度の計画だけでなく、今後どのような計画で減らしていくのか教えてください。
そうはいいながらも、県債残高は4年前に半世紀ぶりに減少し、それ以来、4年連続で減少しています。今年度も減少見込みです。このこと自体は大変価値のあることだと思っています。
しかし、同時に見ておかなければいけないのは、人口も10年以上前から減少が続いているという点です。
2つ目の質問として、確かに4年前から県債は減少しておりますが、1人当たり県債残高で見ると、ここ数年、約116万円でほとんど変わっておりません。
これから生まれてくる子供たちに、これからの世代に負債を少しでも減らしてバトンタッチするために、もっとペースアップして返済していくべきだと考えますが、見解を聞かせてください。
3つ目の質問に移ります。
自治体の財政の健全化を図るために幾つかの指標がありますが、その中に将来負担比率というものがあります。将来支払っていく借金の大きさをその自治体の財政規模に対する割合であらわしたものです。富山県は250%です。
私は、財政再建中の高岡市から来ましたが、高岡市の将来負担比率は180%、もちろん県内15市町村中最下位ですが、富山県はそれを上回ります。
市町村と県は単純に比べられるものではありませんが、全国の都道府県と比べても、富山県の将来負担比率は全国47都道府県中42位です。
もちろん1つの指標であり、この数字だけが全てではありませんが、将来世代にツケを残さないために、少しでも減らしていくべきだと考えます。将来負担比率全国42位であることへの見解を聞かせてください。
昨今、SDGsもそうですが、さまざまな分野で持続可能性が意識されるようになっております。
私は、自治体財政もより持続可能性を意識して運営していく必要があると思います。
持続可能な自治体運営をするには、歳出を抑える一方で、歳入を増やす政策に力を入れていく必要があると考えます。歳入が増えれば、その分歳出を削らなくて済みますし、やりたくても財源がなくてできなかった政策もあるでしょう。借金返済に回すこともできます。
そこで、次に、稼ぐ県政を目指してという観点で質問します。
富山県は、一大消費地である東京都に宿泊施設やアンテナショップなど幾つかの施設を持っています。
まず、都内にある富山県赤坂会館、いきいき富山館、日本橋とやま館、それぞれの役割をどう捉えているか教えてください。
先日、日本橋とやま館においては、2年連続で売上高が前年度を超えたといううれしいニュースがありました。フェアやトークショーなど、富山にいるのでなかなか伺えませんが、参加したくなるような多彩なイベントが定期的に行われており、その努力あっての売り上げ増だと思いますので、関係各位の御尽力に感謝申し上げます。
富山県赤坂会館、いきいき富山館、日本橋とやま館、この中でも特にてこ入れのしがいがあるのは赤坂会館だと思っています。
次に、富山県赤坂会館の利用促進に向けたこれまでの取り組みと、ここ数年の客室稼働率の推移を教えてください。
事前に調べたところでは、直近の2017年の稼働率は45%で、売り上げは1億円弱とのことでした。
一方で、観光庁によると、2018年の東京都内の客室稼働率は全体で約80%です。30%以上の開きがあります。
このことからも、工夫次第ではまだまだ伸ばせる余地があり、仮に10%稼働率が上がれば、県の収入が2,000万円増えます。黒字だからそれでよしとするのではなく、少しでも歳入増に取り組んでいきませんか。
また、さきに挙げた3施設、富山県赤坂会館、いきいき富山館、日本橋とやま館をもっと有機的に絡めてはいかがでしょうか。点在させるのではなく、結びつけることでそれぞれの魅力がさらに増すと考えます。
例えば、日本橋とやま館では、富山県のブランドイメージを高めるために、富山の上質なライフスタイルを大いに首都圏で発信する場にしたいと知事もおっしゃっています。
この項目最後の質問として、その日本橋とやま館で発信したものを体験、体感する場として、器や食にこだわった上質な富山のライフスタイルを提案する客室プランをつくり、売り上げアップにつなげてはいかがでしょうか。
せっかく人気が高まっている日本橋とやま館ですから、日本橋とやま館から赤坂会館への流れ、また逆に、赤坂会館で富山の器や食に触れ、日本橋とやま館に買いにいくという流れづくりに挑戦してはいかがでしょうか。
繰り返しになりますが、赤坂会館の客室稼働率を上げることは、そのまま富山県政の財源になります。
これで1つ目の大きな質問を終わります。
78 ◯議長(中川忠昭君)滝経営管理部長。
〔経営管理部長滝 陽介君登壇〕
79 ◯経営管理部長(滝 陽介君)まず、県債残高に関する御質問についてお答えをいたします。
御指摘がありましたとおり、本県では、毎年年度末の県債残高の見込みは示しておりますけれども、翌年度以降の県債残高の推移については具体的な見込みを現在示してはおりません。
これにつきましては、まず1つに、県債残高の3割以上を占め、その比率が年々増加をしております臨時財政対策債がございます。その発行額は国の地方財政計画を通して決定をされ、自治体に独自の裁量権がないということがございます。この臨時財政対策債は、本来地方交付税として交付すべき金額のうち、財源不足で国が交付金で交付できない分について特例として国が起債発行を認め、その元利償還金を後年度100%交付税措置されるものでございます。
2つ目には、国の防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策のように、国と基調を合わせた臨時的な対策を講じることが求められる際に、交付税措置率が高い県債の発行を機動的に行うことが総合的に判断して適切である場合がありますこと。
3つ目に、景気が仮に悪化した場合、経済対策のための県債発行が必要になるケースがあるなど、経済状況によっても県債の発行額が左右されますことなどから、その具体的な見通しを立てることが非常に困難であるということでございまして、近県でも同様に計画の策定はないと承知をしております。
また、一概に県債残高といいましても、先ほど申し上げました臨時財政対策債のように、その元利償還金について交付税で措置をされる県債等も含まれていることに留意する必要があります。
一方で、県債残高が過度に増加いたしますと、財政の硬直化を招くということも事実でございますので、財政規模を勘案して適正な水準に抑制することが重要であるというふうに考えております。
なお、県では、これまでも北陸新幹線の建設負担金に伴い、県債発行額が大きく増加する中で、全体として県債発行の抑制に努め、御指摘がありましたとおり、県債残高は平成30年度末までで4年連続の減少見込みになっているという状況でございます。
次に、県債残高の削減に関する御質問にお答えをいたします。
御指摘のとおり、仮に県債残高をペースアップして返済をするという場合には、少なくとも現在よりは毎年の県債発行額を減少させる必要がございます。
地方財政計画や地方交付税などの制度により、国が一定の財源保証、財源調整を行うことを前提としております地方財政制度におきましては、国と異なりまして赤字地方債を発行することが法律上認められておりません。地方債の発行が認められておりますのは、建物の建設や道路の建設などの建設事業のように、耐用年数が長期間によりその受益が将来にわたるために、その負担につきましても、将来世代と分かち合うことが適切であると判断される事業の財源とする場合、それから先ほど申し上げましたような臨時財政対策債のような特例的なものに限定をされてございます。
したがって、仮に毎年の県債発行額を減少させるということになりますと、県の裁量の余地のない臨時財政対策債の発行の抑制はできませんので、主として建設事業を中心に予算を抑制するということを意味するわけでございます。
一方で、先ほど申し上げましたように、既に発行しております県債の中には、後年度地方交付税等で元利償還金を措置されている県債も含まれております。
また、御指摘いただきましたとおり、本県におきましては、三位一体改革直後に、構造的財源不足が400億円に達する厳しい財政状況に直面いたしましたが、その後のさまざまな行革努力により、平成28年度当初予算編成時にこの財源不足額については解消をしております。
その間、そして現在におきましても、県債の発行につきましては、原則として新規発行を抑制いたしますとともに、できるだけ交付税措置率の高い有利な県債を発行するなど、後年度の財政負担の硬直化を招かないように工夫をしております。
財政運営を考えますと、後年度の負担はできるだけ軽減すべく、県債残高を減少させることを基本に据える必要がございますけれども、一方で、景気や金利の動向、県内経済に与える影響等を総合的に判断して、県債残高の水準を抑制していくことが現実的でありまして、また、総合的に見ても望ましい財政運営であると考えております。
あわせて、人口減少の中で、官民を挙げて生産性の向上に努めるということも、財政運営にとっても重要であると考えております。
持続可能な財政の運営は県政にとって最も基盤となる重要な課題でございます。御指摘の県債残高につきましても、その適正な管理に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、将来負担比率についての御質問にお答えをいたします。
将来負担比率というのは、標準財政規模を分母といたしまして、分子に地方公共団体の一般会計等が将来負担すべき実質的な負債額、具体的には、一般会計等の地方債残高に加えまして、地方公社や損失補償を行っている出資法人等の負債に係る負担額も含めて分子において算定される値でございます。将来、財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標でございまして、数値が低いほど健全ということになるわけであります。
本県の将来負担比率につきましては、平成29年度決算におきまして254.9%でございます。平成28年度の258.2%から3.3%改善をしておりますが、御指摘がありましたとおり、全国順位でいきますと42位と下位に位置しているわけでございます。
これは、北陸新幹線の整備のために多額の地方債を発行してまいりましたことに加えまして、富山県の地形的にも急流河川が多いといった地勢的な特性もございます。河川整備、砂防事業等の事業費が他県に比してかさむこと等も一因であるというふうに考えております。
県では、将来世代への負担を軽減するため、これまでも新幹線建設負担に係る交付税の拡充や貸付料の活用を国に強く働きかけまして、県の負担を大幅に軽減いたしますなど、将来負担比率の低減にも努めてきているところでございます。平成20年度と比べますと、この数値については21.3%改善をいたしておりまして、国が定める早期健全化基準、いわゆる黄色信号ともいうべき水準でございますが、その400%を大きく下回っている状況でございます。
今後とも県債の新規発行の抑制に努めまして、将来世代の負担にも十分配慮した持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
80 ◯議長(中川忠昭君)
芝田商工労働部長。
〔商工労働部長芝田 聡君登壇〕
81 ◯商工労働部長(芝田 聡君)まず、赤坂会館等の役割についての御質問にお答えいたします。
昭和48年に開業いたしました富山県赤坂会館は、本県関係者を中心とした東京都内における割安な宿泊施設としての役割のほか、富山湾直送の旬の魚介類等を使った料理やおいしい地酒の提供などにより、富山の食の魅力を楽しめる施設でもあることから、県ゆかりの方々の交流や情報交換の場としても御利用いただいております。
また、ホームページや県観光パンフレットの配置などを通じまして、本県の魅力を都内から発信するという役割も担っております。
一方、いきいき富山館と日本橋とやま館は、いずれも県産品の販売等を通じて、首都圏における県産品の販路拡大や物産、観光等の情報を発信するアンテナショップとしての役割を担っております。
このうち、いきいき富山館は、食品を中心とした特産品を多く扱い、比較的日常使いとしての利用が多くなっているのに対し、日本橋とやま館につきましては、単に物を売るだけでなく、富山の上質なライフスタイルを提供することをコンセプトに、本県の豊かで美しい自然、多彩な文化、食の魅力などを伝え、本県と首都圏をつなぐ交流の場として、また、富山県への誘客、移住につなげる場としての役割を担っていると認識をしております。
次に、赤坂会館の利用促進についての御質問にお答えします。
赤坂会館では、これまでも利用促進に向け、格安宿泊パックや各種割引プランの導入といった料金面でのサービス向上、富山の旬の食材を使った宴会プランや受験生応援プランなど、季節に応じた多彩なサービス提供、Wi-Fi環境の整備やインターネットを活用した宿泊予約サービスの充実、クレジットカード決済の導入など利用者の利便性の向上、赤坂だよりの発行や団体、企業への営業活動を通したPRなどに取り組んできたところであります。
北陸新幹線の開業によりまして、移動時間が短縮いたしますことから、宿泊者数の減少が懸念されましたが、こうした取り組みの成果もあり、また訪日外国人の増加による東京圏でのホテル需要の逼迫などもあり、平成27年度から平成30年度までの宿泊者数は年間おおむね1万7,000人から2万人の間で推移しており、開業前平成25、26年度でございますと1万5,000人から1万6,000人でございましたので、それと比較すると増加をしております。
また、客室稼働率につきましては、赤坂会館では、それに相当するものとして定員稼働率で算定しております。すなわち、客室稼働率は利用客室数を総客室数で除したものでございますが、定員稼働率、これは延べ宿泊者数を総収容人数で除したものであります。これで算定をしておりまして、平成27年度から平成30年度では、約44%から50%の間で推移をしております。北陸新幹線開業前の平成26年度が41%でございましたので、それを上回っている状況にございます。
また、東京都の宿泊施設の定員稼働率、先ほど客室稼働率は約80%というお話がございましたけれども、定員稼働率で申し上げますと約65%でございます。それと比べると、赤坂会館は低いわけでございますが、全国平均が約40%ということでございますので、それを上回っている状況にあります。
最後に、日本橋とやま館との連動した取り組みについてお答えいたします。
近年、赤坂周辺を初め、東京都内では新たにオープンするホテル、旅館が増えており、価格競争などにより赤坂会館にも一定の影響が考えられることから、赤坂会館においては、リピーターの定着とともに新規利用者の確保が重要となっております。
これまで赤坂会館においては、富山の物産等を活用した富山の魅力の発信として、富山県の形を模した県内作家特注の食器の使用、先ほども述べましたが、富山湾直送の旬の魚介類、あるいは氷見うどんや大門そうめん、県産米などを使った料理や地酒などの提供、観光特産品マップや特産品等のディスプレイの展示、逆さ地図、富富富等の特産品ポスターや観光ポスターの掲示、こういったことによりまして富山県のPRにも取り組み、利用促進に努めてきたところであります。
議員から、赤坂会館に日本橋とやま館で発信したものを体験・体感する機能を持たせてはどうかという御提案がございましたけれども、両館をつないで人の流れをつくるという視点は大変重要であると思っております。
周辺ホテルとの差別化も図られ、本県関係者のみならず、広く県内外の方々への新たな魅力発信になるのではないかというふうに考えられます。
一方、こうした取り組みにかかるコストの面、あるいは費用対効果といったことの検証なども必要でございますので、今後、赤坂会館の収益アップに向けた利用促進方策の1つとして、幅広い視点から検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
82 ◯議長(中川忠昭君)4番瀬川侑希君。
〔4番瀬川侑希君登壇〕
83 ◯4番(瀬川侑希君)ありがとうございました。
次の大きな項目として、県内の小学校再編の動きについて質問します。
本年4月には魚津市で3小学校が統合し、氷見市でも来年4月に3小学校が統合予定です。大規模なところでは、高岡市は今後10年をめどに26の小学校を19校に再編成したい考えです。
今後、県内各地でこのような小学校再編の動きが起こっていくと考えられますが、まず、県内の小学校再編の動きを県としてはどのように評価しているのでしょうか。見解を伺います。
次に、富山県の場合、市立、町立の小学校がほとんどです。施設の建設、維持管理はその市町村自治体に責任があります。
一方で、教員の給与は県から出ます。一般的に小学校再編が行われた場合、教員の給与に対する県の財政負担は減るのでしょうか。
次の質問に移ります。
教員の給与は、3分の1は国が負担します。残り3分の2は県の負担ですが、大部分は地方交付税で充当されます。
しかし、県負担と地方交付税はイコールではなく、幾らかは県の負担が減るはずです。減った分全てとは言いませんが、市町村自治体は施設の建設、維持管理に投資が必要です。
この項目最後の質問ですが、減った分の幾らかをIoT環境、備品の整備など該当の市町村の教育環境への支援に充ててはいかがでしょうか。
これで、2つ目の大きな項目の質問を終わります。
84 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
85 ◯知事(石井隆一君)瀬川議員の御質問にお答えいたします。
小学校再編についてであります。
少子化や過疎化等を背景としまして、小学校の再編が県内の幾つかの自治体で検討されておりますけれども、法令上、学校規模の標準は小中学校ともに12学級以上18学級以下とするとされております。
平成27年1月に国の中央教育審議会におきまして、公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引が策定されておりまして、学校規模の適正化の検討については、あくまでも児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据えて、学校教育の目標をよりよく実現するために行うべきものであり、小学校の設置者である市町村においては、これからの時代に求められる教育内容や指導方法の改善の方向性も十分に勘案していただいて、総合的な観点から分析を行い、保護者や地域住民と共通理解を図りながら、学校統合の適否について考えていただく必要があると思っております。
公立小中学校の設置主体は市町村でありまして、関係市町村においては教育効果や通学距離といった教育的な観点とともに、地域における学校の役割、保護者、地域住民の意向、地域のまちづくりなど、さまざまな観点を十分に踏まえて、各地域の実情に応じて統合の是非について住民の皆さんと十分対応を重ねながら検討を進めていただいておると伺っております。
なお、再編に際しては、学校規模の拡大によって統合前後での事務作業がその時点では大幅に増加すること、また、少人数教育など教育環境の充実の視点から必要となる教職員の配置が求められますので、ことし2月、私も文部科学省に対して加配などの教職員定数の確保について直接お願いをしてまいりました。それなりに効果はあったと思いますけれども、県の教育委員会においては、今後も加配を含めた教職員定数の確保を図るとともに、市町村教育委員会に対して全国各地の取り組み事例の情報提供を行って、市町村の抱える課題等に対して積極的な相談、支援に努めてもらいたいと考えております。
これが一般的なお答えですけれども、高等学校、小中学校とはまた性格が違いますけれども、再編統合について随分と議論をそれぞれの県民の皆さん、また、各学校の周辺の地域の皆さんにも御議論いただきまして、本当におかげで富山県の場合は県議会を初め、いろいろな皆様方が大所高所から、いろんな各論はありますけれども、大きな意味で御理解をいただけて、円満に今統合が進みつつありますけれども、市町村長さん方、市議会議員の皆さん、いろんな御腐心があると思いますが、少ししっかりと丁寧に議論をして、できるだけ合意形成をして進めていただきたい。また、そのことが結果として、その小学校、中学校の教育水準も上がっていくということにつながれば大変ありがたいなと思っております。
86 ◯議長(中川忠昭君)伍嶋教育長。
〔教育長伍嶋二美男君登壇〕
87 ◯教育長(伍嶋二美男君)初めに、小学校再編に伴います教員給与費に関する御質問にお答えをいたします。
小学校などの義務教育に従事する教員の給与費につきましては、法令により、原則その実際の支出額の3分の1について国が負担するとともに、残りの3分の2については県が負担することとなっております。また、その県の負担額につきましても、普通交付税で財政措置をされるという枠組みになっております。
しかしながら、実際の県負担額と普通交付税算定基準に基づき措置をされる額には乖離が生じておりまして、県負担額が交付税措置額を大きく上回る状況となっております。これは、富山県の教員1人当たりの平均給与が普通交付税算定の基準を上回っていることによるものであります。
一般論で申し上げますと、小学校の再編に伴い、教員数は減少いたしますが、その減ずる教員数は通常の取り扱いでは定年退職者数に対する不補充という形で調整することになっております。この場合には、交付税算定の基準額よりも高い給与水準の教員が退職することとなるものですから、県負担額と交付税措置額との差は縮まることになるものの、実質的な県の負担額の解消までには至らず、引き続き県負担が続くことになるものと考えております。
一方、再編統合校につきましては、市町村教育委員会の要望に基づきまして、統合の実施年度やあるいはその前後の年度に国の加配定数を活用して教員を増員しております。
また、再編統合により、1学級当たりの子供の数が大きくなることに対応するため、少人数指導等の教員、これは例えば英語専科教員でありますとか、あるいは中1学級支援講師、こうした専科教員等を加配する措置も行っております。
このため、これらの加配教員などの給与の増加分も新たな県の負担額の上乗せとなることから、県の財政負担の減少には直ちに結びついていないものと認識をしておりますけれども、今後とも、教育環境の充実の観点から必要な教員定数の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、小学校再編に伴います市町村への支援に関する御質問にお答えをいたします。
公立小学校の再編に伴います施設整備については、これは国庫補助制度やあるいは地方債におきまして、再編以外の場合よりも有利な国の財源措置が設けられております。
これまでも、各市町村ではこうした財源措置を活用いたしまして、教育環境の整備を進めてきております。
具体的に申し上げますと、国庫補助制度において再編に伴う校舎等の改築・改修の場合には、一般的な新増築の場合と同程度の負担となるよう、通常の補助率であります3分の1から、再編では2分の1へとかさ上げの措置がなされております。
また、市町村負担に充てる地方債につきましても、再編に伴う校舎等の改築、改修の場合には、市町村負担が51.7%であるのに対しまして、再編では実質的な市町村負担が20%と、これも新増築の場合と同程度の負担になるよう、負担軽減措置が図られております。
一方、市町村に対する地方交付税の算定に当たりましては、これは再編の有無にかかわらず、例えばIoT環境の整備など、教育情報化関係経費や、また備品整備に要する経費、こうした経費が基準財政需要額に算定して算入されておりまして、学校運営に必要な経費として既に財政措置がなされているというものでございます。
議員から御提案のありました、小学校再編に伴います市町村の教育環境に対する県の支援につきましては、今ほど説明しましたように、既に市町村では有利な財源措置が図られて整備が進められていること、また、先ほど答弁いたしましたけれども、再編に伴いまして、少人数指導のための加配教員を配置するなど支援をしております。
また、他の都道府県においても、再編に伴います直接的な市町村への支援制度は設けられていないことなどを踏まえて、対応する必要があると考えております。
今後とも、国に対して国庫補助採択などの予算確保などを働きかけることによりまして、市町村が行います教育環境の整備の取り組みをしっかりと支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
88 ◯議長(中川忠昭君)4番瀬川侑希君。
〔4番瀬川侑希君登壇〕
89 ◯4番(瀬川侑希君)ありがとうございました。
最後の大きな項目として、健康寿命日本一について伺います。
最新の平成28年の調査では、富山県の健康寿命は男性で全国第8位、女性で全国第4位とすばらしい成果でした。
ことしも調査年であり、結果に一喜一憂するのではなく、息の長い取り組みこそ大事だとはわかっておりますが、それでも富山県の掲げる健康寿命日本一にあと一歩のところまで来ており、期待せずにはいられません。
思うに、富山には数多くの誇れるブランドがありますが、健康寿命日本一も大きなブランドになり得ると思います。富山県のライフスタイルをすると健康寿命が延びるとなると、移住者がさらに増えるかもしれません。
そこでまず、健康寿命の延伸に向けたこれまでの取り組みとその成果についてお聞きします。
次に、健康寿命を延ばすには、正しい食生活と適度な運動が大事だと言われておりますが、今回は特に運動面から質問します。
富山県は、3月に富山県自転車活用推進計画を策定し、自転車を生かした健康づくりの推進やサイクルツーリズムの推進など、4つの目標を定めました。
この計画以前からサイクリング文化を育てようと富山県も積極的にかかわり、県内のサイクリングイベントはとても多くなりましたし、日常の感覚としても、外でサイクリストを見かけることが多くなったと感じております。計画によりこの流れが加速し、より多くの方がサイクリングを楽しむ風景を想像すると大変わくわくします。
そこで質問です。
現在、富山県は富山湾岸サイクリングコースや田園サイクリングコースを整備しております。計画では、コースの延長も指標に入れておりますが、ぜひ新しいコースも検討に入れてはいかがでしょうか。具体的には、来年の東京オリンピック聖火リレーのコースも追加してはいかがでしょうか。
これには2つ理由があります。
1つには、サイクリングとオリンピックを別物と捉えるのではなく、うまく結びつけて県民の運動習慣定着、健康意識醸成につなげられないかという思い。もう1つには、富山県のさまざまな風景、また、寄り道してのさまざまな県内のグルメを楽しんでいただくために、やはりコースの数は大事だと思うからであります。全ての市町村を回る聖火リレーのコースはこれにぴったりだと思います。
人にもよりますが、同じコースを走ると飽きがくることもあるかもしれません。次はこのコースと、より幅広く楽しんでいただくためにいかがでしょうか。
石井知事も4月に自転車で80キロ走破されました。距離、そして挑戦する心、どちらもすばらしいと思います。全国でこのような距離を走る知事はいらっしゃらないのではないでしょうか。ぜひ、そんな石井知事だからこその整備を期待申し上げ、次の質問に移ります。
いよいよ来年、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。
本大会自体は東京を中心とした地域で行われますが、県内でも事前の合宿や世界レベルの大会が開かれます。
最近聞かなくなりましたが、オリンピック開催が決まってからしばらくは、「レガシー」という言葉がよく言われていました。日本語にすると「遺産」です。オリンピックは来年夏の開催ですが、大会が終わった後、日本のそれぞれの地域に何を遺せるのか考えようという意味で使われていました。これは決してスタジアムや道路などのインフラの話だけではありません。
大会自体は東京です。しかし、我々地方都市にも大会を通じて残せるものがあるはずです。オリンピックが通過して終わりにしてはいけません。
例えば、県民のふだんの健康意識の向上につなげられれば、県民にとってこれ以上ないレガシー、遺産になるのではないでしょうか。
県内には幾つものプロスポーツチームが年間を通して試合をしています。スポーツを観戦して楽しいのはもちろんですが、会場内で完結してしまってはもったいないように思います。JリーグのV・ファーレン長崎では、サッカーの試合2時間だけでなく、試合前後5時間から7時間楽しめる空間づくりを行っているそうで、サッカースタジアムまで30分歩いてこようという呼びかけも行っています。これにより、サッカー観戦が市民の健康づくりの機会になっています。
そこで、オリンピックを契機に県民の健康意識をより高めるために、県や民間の歩数計アプリを絡めて、オリンピック事前合宿やプロスポーツ競技会場への徒歩移動を促す、ラジオ体操参加を呼びかけるなど、同時に健康施策を実施してはどうでしょうか。
最後の質問に移ります。
県の歩数計アプリ「元気とやまかがやきウオーク」は、早い段階で開発され、少しずつ利用者を伸ばしております。私も初期から利用しておりますが、ポイント制度やクイズもあり、楽しみながら利用できる設計になっています。
一方で、最近、各市町村でポイント制度やアプリ開発の動きがあります。もちろんそれぞれに特有の機能があったり、目的は違うのでしょうが、一県民の感覚からすると、市町村と県でそれぞれがアプリを開発していては税金の無駄遣いのようにも感じます。
そこで、県の歩数計アプリ「元気とやまかがやきウオーク」がある一方で、各市町村がポイント制度やアプリ開発の動きがあることへの見解をお聞かせください。
知事は、常々、文化力で県の魅力を高めたいとおっしゃっています。文学や芸術、デザインも文化ですが、する・見る・支える、いろんな形でスポーツにかかわる、県民の健康意識が高いというのも文化力であり、ブランドになり得ると思いますので、ぜひ引き続きの環境整備、健康施策の推進をお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
90 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
91 ◯知事(石井隆一君)健康寿命の延伸に向けたこれまでの取り組みとその成果についてお答えいたします。
県ではこれまで、健康寿命日本一を目指しまして、野菜摂取、減塩などの食生活改善、また、ウオーキングなど運動習慣の定着、また健康経営の普及などに取り組んでまいりました。
そのかいもありまして、例えば食生活改善でいいますと、平成26年から何とか市町村にもお願いをして、県内272の公立小中学校での給食パンの15%の減塩化ということが、市町村の御協力もいただいて、平成28年4月に実現しました。
また、平成29年に開始しました野菜をもう一皿食べようキャンペーンの協力店舗も、これはもちろんゼロからのスタートだったのですが、現在は623店舗というふうになっております。
そうしたこともありまして、食生活改善については、成人1人当たりの食塩の摂取量が男性は1.2グラム、それから女性は1.4グラム減少しております。ただ、まだちょっと高いので、もう少し減らしたいと思っております。
また、運動習慣の定着については、運動習慣者の割合は、男性は1.6%伸びて38.1%に、また女性は4%伸びて27.6%となりました。
また、平成28年に富山県健康寿命日本一推進会議というものを設置しまして、取り組みを加速させてまいりましたところ、富山健康企業宣言に334の企業に参画していただいて、県内企業に健康経営が浸透するといった成果も出ているかと思います。
また、最初、健康経営の企業を表彰しようと思って始めたのですが、平成26年から平成30年度まで約24社表彰させていただきましたが、この内容を見ますと、本当に企業の皆さんが形だけではなくて、健康経営をしっかりやって、社員のためにもなるし、実はそのことによって企業の経営もよくなるということで成果を上げておられます。
また、議員から今御評価いただきましたが、平成28年の健康寿命は前回の平成25年に比べますと、男性が1.63歳延びて72.58歳、女性が1.01歳延びて75.77歳で、前回は男性が31位、女性が14位だったんですが、それぞれ男性は8位、女性が4位というふうに大幅に上昇したところでございます。
さらに、これまでの本県の取り組みが評価されまして、昨年11月には、厚労省とスポーツ庁主催の健康寿命を延ばそうアワードにおきまして、スポーツ庁長官賞の受賞にも結びついたところでございます。
最初始めましたときは、そうはいってもさっき言いましたように、男性が31位、女性が14位ですから、健康寿命日本一といっても道は遠いなと思っていたのですけれども、職員も頑張ってくれましたし、また多くの県民の皆さんの御理解で随分進んできたなと思っております。
ことしは、お話しのように3年に一度の健康寿命調査対象年でもありますから、もうごらんになっていると思いますが、新たに啓発ソングを制作しまして、テレビコマーシャルで放送させていただくなど、県民の健康意識の高揚をさらに図りますとともに、メタボリックシンドロームの減少に積極的に取り組むために、脱メタボ生活習慣向上キャンペーンを実施しております。
これもご存じかと思いますが、富山県はお魚の消費量が多い一方で、意外と冷凍食品とかアイスクリームとかプリンの購入が多くて、大体男性1人当たり、女性1人当たり全国で2番、3番とか非常に高いんですね。これはどういうことか。いろんな生活習慣、また、冷凍食品なんかが多いのは、共働きの方が多くて家事の負担をなるべく軽減しようとか、いろんなことと関連していると思いますけれども、そうしたことをさらに改善する。
それから、健康合宿というのも従来からやっておりまして、それなりの成果が出ております。
先ほど、議員から文化力を高めるといってもいろんな分野があって、健康意識を高めることも文化力の向上だというお話がありました。まさにそのとおりだと思います。
今後も、これまで以上に県民の皆さんお一人お一人の健康づくりの推進に、これは県議会やまた企業の皆さん、市町村の皆さんとも連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。
92 ◯議長(中川忠昭君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
93 ◯土木部長(水口 功君)聖火リレーコースのサイクリングコースへの追加の御質問について、お答えをいたします。
県では、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進いたしますため、ことし3月に富山県自転車活用推進計画を策定いたしました。
この計画では、サイクリングコースの延伸による走行環境のさらなる整備充実を掲げており、具体的な指標として、富山湾岸、田園、湾岸田園連絡の3つのサイクリングコースの合計の整備延長を177キロメートルから250キロメートルに延伸することとしております。
来年6月に県内で予定されております東京2020オリンピック聖火リレーにつきましては、現在、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会においてその選定作業が進められているところであり、年末ごろに発表されると聞いております。
聖火リレーコースをサイクリングコースに追加すべきという御提案につきましては、将来にわたり聖火リレーのルートを伝えることができるという点では魅力的な提案と思われますが、サイクリングコースの設定に際しましては、走行中の景色を楽しみながら活用いただけるコースとなるよう、これまでも市町村や富山県サイクリング協会等関係者の御意見も伺いながら設定してきておりまして、具体的な聖火リレーのルートの決定を待って、サイクリングコースとして適当かを見きわめてまいりたいと考えております。
以上でございます。
94 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
95 ◯厚生部長(市村仁志君)最初に、オリンピックを契機としました健康施策の取り組みについてお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、世界的スポーツイベントであります、来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては、スポーツへの関心が高まるとともに、これまでは健康づくりに無関心であった県民の健康づくりへの意識を高める契機となるものと考えております。
県では、楽しみながら運動を続けられるよう、スマートフォン歩数計アプリを活用した健康ポイント事業を実施をし、企業などの協賛もいただきながら、広く県民の運動習慣の定着に努めております。
県内では、複数の市町村がオリンピックの事前合宿の誘致などに取り組んでおられ、また、3つのプロスポーツチームがそれぞれの競技拠点を構えておられます。
こうした中、県では、今年度新たにスマートフォン歩数計アプリにGPS等の機能を追加することにしておりまして、議員御提案のオリンピック合宿地やプロスポーツチーム競技会場への歩行を促すイベントなどで活用いただけるものと考えております。
本年9月には、アプリの改修が完了いたしますので、関係市町村やプロスポーツチーム、さらには当施設を利用する可能性のあります団体や企業などに対しましてアプリの活用について働きかけるなど、オリンピックの機運も活用しながら、運動習慣定着の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、市町村アプリの開発についての御質問にお答えをいたします。
県の歩数計アプリは、県民の皆さんがいつでもどこにおいても楽しみながら運動を続けられるよう開発したもので、県内全ての市町村の住民に御利用いただいているところでございます。
また、アプリの運用開始時はもちろん、半年ごとのリニューアルに合わせ、各種広報媒体を活用してPRを行いますとともに、各市町村に情報を提供し、利活用を促しております。
一方、議員御指摘のとおり、県内の多くの市町村においては、健康診断の受診や健康づくりイベントへの参加者などに対して、ポイントを付与します健康ポイント事業に取り組んでおられますが、域内の観光名所や中心市街地をめぐるウオーキングコースを設定したり、地元産品を賞品にするなど、各市町村などが独自に工夫を凝らして実施されているものと承知をしております。
県の健康アプリは、県民共通のプラットフォームとして全ての県民に御利用いただくこととして開発、運用しているものでございますので、各市町村がアプリの開発を検討される際には、本アプリの活用も検討いただきたいと考えておりますし、各市町村に利活用を働きかけてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
96 ◯議長(中川忠昭君)以上で、瀬川侑希君の質問は終了しました。
この際申し上げます。
本日の会議時間を午後5時30分まで30分延長いたします。
武田慎一君。
〔28番武田慎一君登壇〕
97 ◯28番(武田慎一君)4月の選挙におきまして、4期目を任せていただきました南砺市選挙区選出の武田慎一でございます。
「今回は娘が五箇山に嫁に行ったもので、ごめんね」とか、「もう若い人に期待します」など、以前からの負託も少し減りつつあることにショックを受けて、今後は1期の皆さんの行動力を見習い、初心忘れず、県政発展のため、そして県民福祉向上を目指し頑張ってまいります。
以下、質問に入ります。
最初に、地方法人課税の新たな偏在是正措置の効果についてお伺いします。
昨年の全国知事会議などにおいて、石井知事は東京都の小池知事と議論を交わし、地方法人課税の新たな偏在是正措置の必要性について、全国知事会の提言を取りまとめられました。
その後、政府・与党等への要望を経て、昨年度の税制改正において新たな偏在是正措置のことし10月からの実施が盛り込まれ、今国会において法律が成立したところであります。この間の知事の折衝や交渉手法を高く評価いたします。
今後は、まず地方交付税も含めてより実効性のある偏在是正措置となるよう国に働きかけること、その上で、来年度以降に見込まれる増収額をいかに有効に活用するかが重要でございます。知事には、ぜひ引き続き国に働きかけを行っていただくとともに、増収額を生かし、県内のバランスのよい発展を図るためにも、中山間地域の振興や少子高齢化の進展に伴い、課題となっている子育て支援や認知症対策の充実などに努めていただきたいと考えますが、石井知事にお伺いいたします。
次に、観光政策についてお伺いします。
ことしのゴールデンウイークは10連休となったこともあり、県内観光地でも空前の人出となりました。となみチューリップフェアでは、入場者が32万5,000人と前年を3万2,000人も超えたのを初め、立山黒部アルペンルートやひみ番屋街など、県内観光地におきましてもそれぞれにぎわいを見せたところであり、県内観光地の持つ大きな可能性を再認識したところであります。
また同時に、石井知事は、昨年度の大連便の増便に加え、今度は上海便の増便に向けて積極的に活動され、報道によりますと、上海便の臨時便就航が実現の見込みになるなど、さらなるインバウンドにも力を入れておられます。
そこで、4年目となっても衰えることのない北陸新幹線開業による追い風や、五箇山合掌造りという世界遺産の存在効果なども生かして、今後どのように本県観光の魅力向上や、さらなる誘客に努めるのか、観光政策に力を入れておられます石井知事にお伺いいたします。
人口減少が進む厳しい状況において、国内外から観光客を呼び込むために人気観光地を抱える県外自治体と上手に観光連携を図っていくことが重要であると考えます。
そのためには、県内の鉄軌道終着駅と県外観光地間の観光定期バス路線の開拓が不可欠ではないでしょうか。例えば、観光客がJR城端線でおりて南砺市を観光した後、城端駅のバスターミナル、私は「バスタ城端」と呼ばれるようになればよいと思っておりますが、「バスタ城端」から観光定期バス路線で隣県の白川郷や高山、松本、金沢などへ向かうことができれば、もちろんその逆のルートも期待できますが、海外からの観光客に人気のサムライ・ルートや昇龍道の効果がより相乗的に発揮されると考えますが、猪俣観光・交通振興局長に御所見をお伺いします。
次に、東海北陸自動車道の4車線化についてお伺いします。
東海北陸自動車道は、太平洋側と日本海側を結ぶことから、観光振興はもちろん災害時やビジネス輸送にとっても重要な路線となっております。
去る3月に、五箇山インターチェンジから白川郷インターチェンジの一部区間において、実質4車線化となる付加車線の設置が決定されましたが、特にトンネル区間においても4車線化が実現の見込みとなったことは、全線4車線化に向けた大きな一歩であり、意義深いものと捉えております。
今後は、実際の工期などが気にかかるところでありますが、付加車線設置工事が進められている暫定2車線区間においては、既に4車線対応で整備済みの構造物についても、建設当時からの設計指針の見直しによる対策工事が必要となっており、このような問題が新規着工区間の工期に与える影響も懸念されるところであります。
そこで、新規4車線化着工区間の今後のスケジュールの見通しについて、水口土木部長にお伺いします。
次に、とやまブランドの振興についてお伺いします。
南砺市井波地域と福野地域で生産されている里芋は、明治時代が始まりと伝えられております。この2地区は、水が豊富で排水も良好な里芋生産の適地であり、さらに冬の間、「いもにょう」と呼ばれる雪で覆われたわらの中で保存することで、独特の粘りと甘みを持った里芋となっています。また、芋の表皮が薄いため洗いやすく、洗った後の色つやが良好で、肉質は細密で適度の粘りがあり、食味がよい、平たく言えば、大変おいしいという特色があります。
このような歴史があり、かつ唯一無二とも言える特色がある、いなみ里芋、福野里芋のような産品は県内にまだまだ多くあると考えますが、これらの生産者に誇りを持ってもらい、すばらしい産品を後世まで残していくためには、県としても積極的にこれらを掘り起こし、とやまブランドに認定する取り組みに力を入れたらどうかと考えますが、蔵堀総合政策局長の御所見をお伺いします。
このとやまブランドに認定されているものに、富山干柿・あんぽ柿があります。富山干柿については、富山県原産の干し柿用品種である三社柿を原料とし、300年以上も前から富山県南砺地方で郷土の特産として親しまれる高品質な干し柿として、また、大玉で糖度が高いあんぽ柿は、北海道から沖縄まで30の市場に出荷されており、いずれも市場から高い評価を得ています。
現在、産地では、生産者によるあんぽ柿の加工センターの整備が計画されておりますが、県としてもあんぽ柿を初め、このような伝統があり、市場に高く評価されている園芸産地を次世代に継承していくためにも、その振興を積極的に支援していくべきと考えますが、
河村農林水産部長に御所見をお伺いします。
次に、農作物の鳥獣被害対策についてお伺いします。
農作物の鳥獣被害は、特に中山間地域にお住まいの方々にとっては、丹精込めて育てた作物をやっと収穫できるという、まさにその直前に被害に遭うと、大げさかもしれませんが、生きがいを奪われたような失望感を与えることになり、次年度に作物を育てようという気力を奪うことにもつながりかねません。
こうしたことから、我が党としてもその対策を強く政府や県に訴え、耐雪型電気柵の設置を初めさまざまな施策の実現につなげてきたところであります。
そこで、県内の野生鳥獣による農作物被害は減少してきているとも聞きますが、その現状とこれまでの県の対策、その効果について、
河村農林水産部長にお伺いします。
今後、人口減少傾向が続くことが予想される状況において、鳥獣被害対策をさらに進めるためには、ICTやドローンなどの最新の技術を活用し、効率的かつ効果的にイノシシの捕獲などに努めることが重要と考えますが、県として具体的にどのように取り組んでいかれるのか、
河村農林水産部長にお伺いします。
次に、児童生徒の交通安全対策についてお伺いします。
先ほど大門議員もすばらしい関連ある質問をされましたが、先月、滋賀県大津市において、散歩中の保育園児が交通事故に巻き込まれ、2名が亡くなるという非常に痛ましい事件が発生しました。
県では、事件後速やかに、市町村及び市町村教育委員会に安全対策を徹底するよう通知されたとのことですが、保育園や学校によるソフト対策はもとより、今後は、通学路にある危険な交差点、例えば、大勢の児童生徒が信号待ちをする交通量の多い交差点にもかかわらず、ガードレールなどの安全施設が設置されていない箇所などに対するハードの安全対策を進める必要があると考えます。
そこで、危険な交差点において、歩行者の安全を確保するハード対策についてどのように進めていかれるのか、県管理道路はもちろん市町村道の対策についても関係部局から呼びかけを行うなどして対策を進めるべきと考えますが、石井知事にお伺いします。
次に、ドクターヘリについてお伺いします。
平成30年度は、出動件数が792件と前年度660件を大きく上回る状況となっており、救急現場での速やかな治療や病院への迅速な搬送により、救命率の向上や後遺症の軽減などに大きな効果を発揮し、特に山間僻地には有効であるとお聞きします。
しかし、昨今では、出動の定義が不透明な部分があり、私の知るところでは、患者の生命の危機にかかわる場合に、消防職員が要請するはずでしたが、意識があり、そこまで急を要しないと思われる患者においても要請される場合があり、結果として必要なく空身で帰ったケースもあると存じます。
そこで、ドクターヘリについて、その運用効果として、例えば命が助かったケースはどの程度あるのか、また、現在の出動要請基準とその運用が適切に行われているのか、あわせて、市村厚生部長にお伺いします。
次に、障害を持つ子供への支援についてお尋ねします。
障害を持ちながら頑張っている子供たちが、身近な地域で安心して暮らしていくためには、子供とその保護者の支えとなる児童発達支援センターの役割が大きいと考えます。
県内では富山圏域に2カ所、その他の新川、高岡、砺波圏域には1カ所ずつ設置されていますが、医療型に限ると富山市にある富山県リハビリテーション病院・こども支援センターと、高岡市にある高岡市きずな子ども発達支援センターの2カ所に限られている上、高岡市きずな子ども発達支援センターでは、キャパシティーがいっぱいになっており、発達障害などの診察を受けるまでの期間が長期になるなど、特に砺波圏域からの利用に支障が生じている状況にあります。
そこで、発達障害を持った子供の増加なども鑑み、砺波圏域や新川圏域における児童精神科医を配置した医療型児童発達支援センターの設置や児童精神科医の診療所の開設を支援してはどうかと考えますが、市村厚生部長の所見をお伺いします。
最後に、ひきこもり対策についてお伺いします。
5月28日に神奈川県川崎市で発生した殺傷事件以来、ひきこもりに対する報道が繰り返され、議論されております。ここで注意すべきは、ひきこもりにある人々が事件を起こすわけではありませんので、偏見を助長するようなことは厳に慎むべきであります。
一方で、社会的孤立が長期化すると、精神的にも経済的にも追い詰められて事件が起きているケースがあることも事実であります。我が県も例外ではなく、昨年6月に発生した奥田交番襲撃事件の犯人も、新聞報道によると、中学時代途中から不登校となり、高校には行かず、4年間はひきこもりがちで孤立していたことがうかがえます。
ことし3月に発表された内閣府調査では初めて40歳代以上のひきこもり当事者が61万3,000人という数値が発表されました。これは、2010年の調査で判明した若年ひきこもり54万人を上回る数字であり、このことから、ひきこもりが若者特有の問題ではなく、人はどの世代でもどの年代からでも誰でも引きこもる可能性があるという前提で今後の対策を強化していくかが社会全体に問われているわけであります。
そこで、まずはやはり県内市町村全体での実態調査が必要だと考えますが、昨年9月議会において、県内での実態調査の実施についてお尋ねしたところ、国の調査結果や調査指標も踏まえて本県独自の実態調査が必要である、研究していきたいとのことでありましたが、国の調査結果を受けて県内の実態調査の実施についてどのように考えておられるのか、市村厚生部長にお伺いいたします。
親の高齢化に伴い、収入のない子の生活を親が支え切れなくなったとき、または、親に万一のことがあったときに同居している子が深刻な困窮に陥る可能性が指摘されています。親が80代、子が50代を迎える8050問題は、支援の手が届かぬまま地域に潜在化している家族全員の社会的孤立を浮き彫りにしています。中高年のひきこもり61万3,000人という数字の世帯には、不安と心労の中で過ごす家族の存在があるということを忘れてはいけません。
このため、家族の相談体制の充実が重要であると考えますが、相談窓口の周知強化や家族、本人の心情に寄り添える相談員の養成と活用に力を入れるべきと考えますが、市村厚生部長にお伺いします。
長期化しているひきこもりについては、支援の介入そのものが困難な上、支援につながっても中断してしまう現状が支援を行っている家族会の報告により明らかとなっております。支援の途絶がさらなる長期化を招くこととなっており、ひきこもりの対策には、若者に対象者を限定しない上で継続的に支援を行う体制づくりが重要であり、そのためには条例を制定し、相談者の養成や支援拠点、居場所づくりの設置などを規定することも有効ではないかと考えております。
そこで、長期化や孤立化させないように継続的な支援を行うため、さまざまな関係機関の連携強化や家族も含めた支援拠点の強化、多様な居場所づくりやひきこもりサポーターの充実など、今後どのように取り組んでいくのか、石井知事にお伺いいたします。
ひきこもり問題が問いかけるものは、従来の価値観や少子高齢化が進む日本全体の未来、将来への警鐘であり、誰もが希望の持てる地域共生社会の実現に向け、一人一人がどのように捉え行動していくのかということに尽きると考えております。
孤立化して悩みの深い当事者や、その家族に希望をもたらすような答弁を期待して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
98 ◯議長(中川忠昭君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
99 ◯知事(石井隆一君)武田議員の御質問にお答えをいたします。
まず、新たな偏在是正措置についてでございます。
いろいろとありがたいお言葉をいただきましたけれども、地方法人課税の新たな偏在是正措置の制度化によりまして、来年度以降、この特別法人事業税及び譲与税制度によりまして、東京都の税収の一部が地方団体に配分されて、本県においても増収が見込まれるということになります。
東京都さんは、試算ですと年間4,200億円の減収、その分地方に配分されるということでございます。
一方で、地方交付税の制度上、この増収額は基準財政収入額に加えられることになりますから、特段の措置を講じませんと、税収が増える分、単に地方交付税が減収すると。例えば、富山県で50億円譲与税が増えたとしますと、その基準財政収入額に75%算入されますから、交付税の減収が38億円になって、差し引き12億円しかプラスにならない、こんなようなことにもなるわけでございます。
そこで、せっかく全国知事会、また、もちろん政府・与党の皆様、本当に県議会を含めていろんな皆様のお力もいただいてできた制度でありますから、何とかこの偏在是正措置によって生ずる財源との減収分の全額を地方財政計画に歳出として新たに計上いたしまして、地方への交付税の配分額を増やすことが必要だと考えておりまして、県としては、こうした地方税財政制度全体として、より実効性のある偏在是正措置となりますように、引き続き全国知事会等と連携して、政府・与党に強く働きかける必要があると考えておりますし、これまでも、石田総務大臣とか岸田政調会長とか茂木経済再生担当大臣等々にお願いしてまいりました。
その上で、議員の御指摘のとおり、限られた財源を有効活用することは大変に重要でありますので、例えば中山間地域の振興につきましては、今年度、総合政策局に地域振興・中山間対策室を新設いたしましたが、集落をサポートする専門員の設置等に取り組みますとともに、地方創生のための道路整備を含む主要県単独事業等の予算を大幅に増額したところでございます。
今後、中山間地域創生のための戦略策定ですとか、5Gの実用化を見据えたICTの利活用方法の検討を進め、中山間地域振興の取り組みをより一層進めてまいりたい、こうしたことにも財源を活用したいと思います。
また、子育て支援については、10月からの保育料無償化、これは国の制度ですけれども、これに伴って食材費の負担がかえって増加するという世帯が生じますので、これは市町村にもお話をして、副食費の支援を県と市町村連携してやると。また、保育人材確保にも取り組むということにしております。
今後、ちょうど今、新たな子育て支援・少子化対策に関する基本計画を策定することにして、県民会議もスタートさせましたから、この計画をできるだけ実効性のあるもの、また、出生率の向上のための環境整備も含めまして、さまざまな子育て支援策の充実等も含めて、さらには、男性の家事・育児参加の促進、働き方改革、こういったような新たな視点も取り入れた取り組みを進めますなど、子育て支援の充実にも取り組んでまいります。
さらには、認知症対策についても、患者受け入れのための設備の整備を行う病院への支援ですとか、県民の身近な場で認知症に関する相談会の開催などにも取り組んでおりますし、近々国において、認知症施策推進大綱も策定されるということですから、こうしたことも踏まえた認知症と共生する社会づくり、また、エビデンスに基づく認知症予防の推進などの認知症対策の強化も図ってまいります。
これまで、県議会の御理解もいただいて行政改革も精いっぱいやりまして、何とか財源も確保できましたので、県民生活の充実、また、県内のバランスよい発展、地方創生のために効率的に活用してまいりたいと思います。
今後も、行財政改革にも積極的に取り組むとともに、今ほどの話になった地方法人課税の新たな偏在是正措置も実効性あるものにしまして、令和の時代に富山県が新たな飛躍発展を遂げますように、頑張ってまいりたいと思います。
次に、観光政策についてお答えをいたします。
おかげさまで、新幹線開業から4年と3カ月たちましたけれども、乗車人員も開業前の3倍近い水準ということですし、また、3年目より4年目のお客さんが増えてくるということ、さらに、今回の10連休は、本当に県内観光地は随分とお客様が増えました。
富山県には、魅力ある観光資源がたくさんございますので、誘客を促進するために、観光季刊誌の「ねまるちゃ」といったようなPR冊子による情報発信とか、また、とやま観光推進機構、市町村、あるいは事業者と連携した新しいツアープランの造成、販売、また、富岩水上ラインも4艇目の新艇を導入したり、また、先月開催した日台観光サミットで、県内6コースのエクスカーションでいろいろ現地を見ていただいたりといったことに取り組んでおります。
また、ことし10月の世界で最も美しい湾クラブ世界総会の本県開催にあわせまして、海王丸パークでの各種イベントや新湊漁協の昼せり準備風景の見学などに加えまして、まさにお話しの世界遺産五箇山合掌造り集落とか、日本遺産認定の「木彫りのまち・井波」なども含めて、県内5つのコースのエクスカーションを設けまして、世界の誇りとできる豊かで美しい自然とか、富山湾のすばらしい眺望と海の幸とか、あるいは五箇山合掌造り集落とか国宝瑞龍寺、いろんな歴史、文化や、食べ物の魅力も含めて大いにアピールしたいと思っております。
また、立山黒部の世界ブランド化につきましても、立山─美女平間のロープウエー整備調査の実施ですとか、黒部ルートの一般開放、旅行商品化、これもおかげさまで2024年度から実現するということですので、それに向けた販売戦略の構築等の取り組みを進めてまいります。何度かお話に出ました大連便だけじゃなくて上海便の増便も含めて、しっかりと取り組んでまいります。
次に、歩行者の安全確保についてお答えをいたします。
大津市の大変痛ましい事故を受けまして、通学路等の安全点検や児童生徒に対する交通ルール遵守等の指導など、改めて安全管理を徹底するように、県としても、各市町村や各市町村教育委員会などに通知させていただきました。
また、過去に事故が発生した箇所と類似した交通環境にある交差点などを対象に、警察本部と国、県、市町村の道路管理者によります合同点検を今計画しております。現在、点検箇所の選定作業を進めておりまして、点検結果を踏まえて、必要な安全対策を実施するということにいたしております。
県としましては、これまでも、市町村が策定する通学路交通安全プログラム等に基づきまして、歩道の設置、路肩の拡幅、また、路面のカラー舗装などのハード対策も重点的に実施して、その中で通学路の安全対策というのも進めておりますけれども、そのために今年度も約46億円の当初予算を確保して、県内125カ所で取り組むことにしておりますが、今回の事故を踏まえまして、この対策を早めるように私からも指示いたしまして、道路パトロールを実施する、また、交差点の状況把握も行うように、各土木センター等にも連絡、指示させていただきました。
対策が必要な交差点等については、歩行者を守るガードレールやクッションドラムの設置など、即効性のあるハード対策を実施することにいたしておりますけれども、7月または8月ごろに新たに設置いたします有識者会議においても御意見を伺って、引き続き国や教育委員会、また県警本部、市町村などと連携しながら、必要なハード対策についてもしっかり進めまして、歩行者の安全確保に万全を期してまいります。
最後に、ひきこもり対策についてお答えをいたします。
心の健康センターにひきこもり地域支援センターを設置しているんですけれども、ここへの相談のうち、御相談の方の年齢層がわかる来所相談を分析いたしますと、30歳代までの若年層に係る相談が全体の87%、40歳以上の中高年の方に係る相談が13%と、やはり若年層の比率が高いということではございます。
ただ今回、3月に国の調査が公表されまして、全国で40歳から64歳までの中高年の方のひきこもり者が約61万人で、その多くが長期化、高齢化しているという推計が示されました。
そうすると、高齢者層にかなりの数のひきこもりの方がいらっしゃるということになりますので、県としましても、本県におけるひきこもり者の総数に加えまして、各年齢層の分布とか、中高年のひきこもり者の状況なども把握して、有効な施策展開につなげなければいかんということで、国の調査手法を参考にしまして、本県における実態調査を改めて実施するように、これは厚生部を中心に進めるように検討を指示しております。
また、これまで若年者のひきこもり対策については、子ども・若者支援地域協議会の場において支援の方法やノウハウを共有し、互いの連携を図ってまいりましたけれども、ひきこもりの長期化とか高年齢化の状況を踏まえまして、広くひきこもり対策全般を対象とするひきこもり対策支援協議会と連携することによって、このひきこもり対策支援協議会というのは医療、保健、福祉、教育、労働、行政といったような分野の各10名で構成されていますけれども、ここと連携することによって、中高年の方を含む幅広い年齢層に対応することにしております。
また、今もひきこもりの家族の方に寄り添うようにという大変力強いお話もありましたが、ひきこもりに悩む方とかその家族に寄り添って、適切に相談対応できる人材を育成する必要もありますし、ひきこもりに悩む方や家族の居場所づくりも重要でありますので、その担い手となる医療、福祉、教育関係者を対象とした専門的な研修ですとか、これは昨年にも1回やっておりますけれども、また、ひきこもり経験者や民生委員などを対象としたひきこもりサポーター養成講座、これは平成26年度からずっとやってきているんですが、こういったこともさらに実施いたしまして、家族の方々を対象とした座談会とか相談会なども既に実施しております。
さらに、今年度、新たに県内で実際に場所づくりや拠点づくりに取り組んでいらっしゃる支援団体を紹介する冊子を作成しまして、本人や家族へさまざまな居場所をお知らせすることにしております。
議員も御存じかと思いますが、熱心にやっていただいて実績も出していただいている、例えば、富山市のピースフルハウスはぐれ雲ですとか、宇奈月自立塾・自立援助ホームうなづきですとか、NPO法人の「はぁとぴあ21」とかいろんな団体がおられます。
このはぐれ雲に私も2度ぐらいお訪ねしましたけれども、本当にそこにひきこもりとか不登校とかいろんな方々がおられて、農業などにいそしまれながら、だんだん社会復帰されている人の姿を拝見して、大変感動したことを覚えております。
今後も、医療、福祉、労働、教育などの関係機関や支援団体と連携しまして、ひきこもりの高年齢化、長期化も踏まえた政策の充実に努めてまいりたいと思います。
なお、議員から条例制定の御提案もいただきましたが、まずは実態調査を行って、県内の状況も把握する、また、プライバシーの問題等の整理も必要でございますので、国における検討状況等も踏まえながら、効果的なひきこもり施策に着実に取り組んでまいります。
100 ◯議長(中川忠昭君)猪俣観光・交通振興局長。
〔観光・交通振興局長猪俣明彦君登壇〕
101 ◯観光・交通振興局長(猪俣明彦君)次に、県内の鉄軌道終着駅と県外観光地間の観光定期バス路線の開拓についての御質問にお答えします。
本県は多彩で魅力ある観光資源に恵まれておりますが、議員御指摘のとおり、本県の周辺にも飛騨高山や金沢、松本など人気の観光地がありますことから、これらの観光地と県内の鉄道駅を結ぶ観光バス路線の整備により、広域周遊観光を促進していくことは重要であると考えております。
このため県では、議員御指摘の城端駅と岐阜県の白川郷バスターミナルを結びます世界遺産バスの運行を支援しておりますほか、高岡駅、新高岡駅や氷見駅周辺の観光スポットであります、ひみ番屋街と能登和倉温泉を結ぶ「わくライナー」の運行についても支援を行っております。
また、今年度から飛騨地域や金沢と本県の周遊を促進するため、世界遺産五箇山、白川郷や日本遺産の木彫刻のまち井波を周遊します観光バス、また、白壁の土蔵が美しい飛騨古川や、世界遺産五箇山、白川郷を周遊する観光バス、また、飛騨古川やおわら風の盆の町越中八尾を周遊します観光バスの運行も支援しております。
観光バスの運行には、まずはその採算性が重要でありますことから、県としては、今後とも、観光バスを運行する事業者の御見解等を伺いながら、広域周遊、誘客促進に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
102 ◯議長(中川忠昭君)水口土木部長。
〔土木部長水口 功君登壇〕
103 ◯土木部長(水口 功君)五箇山インターから白川郷インターの一部区間の付加車線設置工事についてお答えをいたします。
東海北陸自動車道の付加車線設置につきましては、現在、城端サービスエリア付近及び南砺スマートインターチェンジ付近の2カ所、延長約10キロメートルで、暫定2車線整備時に4車線分が整備された構造物の設計指針見直しに伴う対策工事も含め、鋭意工事が進められておりますが、ことしの3月に新たに財政投融資を活用した事業として、五箇山インターチェンジから南側の真木トンネルを含む約2.8キロメートルの区間が決定したところであります。
県としましても、山岳部のトンネルを含む区間の実質4車線化決定は大きな意義があるものと考えております。
中日本高速道路株式会社では、この区間については、工事着手に向けて今年度路線測量や地形測量、土質調査、トンネル詳細設計など順次発注する予定であり、全ての設計が完了するのは来年秋ごろの見込みと聞いております。
こうした設計の中で、例えばトンネル掘削残土の受け入れ先の確保ですとか、工事用進入路の計画、橋梁の架設計画などの施工計画も検討されますことから、完成時期の見通しについても明らかになるものと考えております。
県としましては、岐阜県や沿線市町等とも連携し、同盟会などを通じて、今回事業化された区間を含め、付加車線の一日も早い完成はもとより、トンネル区間を含めた早期の全線4車線化が実現するよう、引き続き国などに積極的に働きかけてまいります。
以上でございます。
104 ◯議長(中川忠昭君)蔵堀総合政策局長。
〔総合政策局長蔵堀祐一君登壇〕
105 ◯総合政策局長(蔵堀祐一君)次に、とやまブランドに関する御質問にお答えいたします。
本県には、全国に誇ることのできるすぐれた産品や食の魅力が数多くありますものの、ブランドとして全国的に認知されているものはまだ一部に限定されておりますことから、本県の特産品の全国ブランド化を図りますため、秀でた魅力を持つ県産品の中でも特にすぐれたものを選び、富山県推奨とやまブランドとして認定し、本県の魅力を象徴する品として国内外に発信して、ブランド力の向上に努めております。これまでに、富山干柿・あんぽ柿など18品目、76事業者を認定しているところでございます。
また、この富山県推奨とやまブランドを目指す事業者を、「明日のとやまブランド」として選定し、ブランド力強化に向けた取り組みへの支援や、専門家からの助言、指導を受けるための経費の一部を助成するなど育成支援に努めてきております。これまでに42品目、50事業者を選定しているところでございます。
こうしたとやまブランドの選定におきましては、ホームページや新聞広告等により幅広く募集をしておりますほか、JAなど農林水産関係団体や商工団体などを通じまして事業者に働きかけるなど、掘り起こしに努めているところでございます。
南砺市の里芋は大変おいしいと思っておりますけれども、まずは南砺市のブランドであります「南砺の逸品」に認定をしていただいて、ブランド力を高めていただくということが重要ではないかなと考えております。
今後とも、産品の掘り起こしや全国ブランド化に向けた支援によりまして、新たなとやまブランドの育成をしっかり推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
106 ◯議長(中川忠昭君)
河村農林水産部長。
〔農林水産部長河村幹治君登壇〕
107 ◯農林水産部長(河村幹治君)富山干柿などの振興についての御質問にお答えをいたします。
富山干柿やあんぽ柿は県内外に広く認知、販売されております本県を代表するブランド品の1つであり、県ではこれまでも、加工出荷調製作業の省力化のための自動包装施設の整備や皮むきロボットの導入、効率的に乾燥を行う平型乾燥機等の導入を支援してきたところでございます。
一方で、産地におきましては、高齢化等により、生産者が減少してきており、こうした中で生産加工技術を継承し、産地をしっかり維持発展させていくためには、機械化による作業の省力化や園地の受委託により生産規模の維持を図りますとともに、乾燥等の作業の集約化、共同化やそれによる品質の向上、均質化を図ることが大切であると考えております。
こうしたことを踏まえ、産地では、現在、議員からもお話がありましたように、共同加工施設の整備に向けました検討が進められているところであります。
県といたしましても、計画づくりに当たり、有利な国事業の活用などを念頭に置きながら、関係機関・団体とも十分協議が進むよう、準備委員会設立当初から県の農林振興センター職員が委員として参画しているところでございますが、引き続き、助言、支援に努めてまいりたいと考えております。
また、県内の他の園芸産地におきましても、後継者の確保が重要な課題となってきておりますことから、今年度新たに、就農希望者に対し産地等が研修を行う際に必要となります施設、機械の整備に対し支援をいたしますほか、離農した樹園地について後継者が確保されるまでの間、
農地中間管理機構が産地に委託して、その維持管理を行う事業を実施するなど、県内の園芸ブランド産地が次世代に円滑に継承されるよう、市町村やJA等としっかり取り組んでまいりたいと考えております。
次に、野生鳥獣によります農作物被害の現状と対策についてお答えをいたします。
県内における野生鳥獣による農作物被害額のここ10年間の状況を見てみますと、平成21年度の約1億4,000万円をピークとして、近年はおおむね1億円前後で推移しておりましたが、平成30年度は約6,600万円と、ここ20年間で最少となってきております。
この主な理由は、梨園への艶消し黒ワイヤーの導入により、カラスの被害額の減少が顕著であったことなどによりますが、一方で、イノシシの被害額は高どまりしており、平成30年度は約5,300万円と全体被害額の約8割を占めております。
イノシシによる被害防止につきましては、これまで各市や町の協議会が行う侵入防止柵の設置や鳥獣被害対策実施隊等が行う捕獲活動に対して支援を行ってきたところでありまして、有害捕獲頭数は順調に増加してきております。
また、さらなる対策強化に向けまして、平成30年2月に策定いたしました富山県イノシシ被害防止対策方針に基づき、餌場や隠れ場の除去などのイノシシを寄せつけない環境づくりを行う集落環境管理も含めた総合的な取り組みを地域ぐるみで進めているところであります。
平成30年度からは、被害ゼロを目指す取り組みの実証を県内8地区のモデル集落で行いましたところ、5地区で被害額が減少したほか、環境整備に対する住民の意欲が高まり、協力体制が構築されるなどの効果があらわれてきているところであります。
また、こうした対策を普及するためのリーダーの育成研修にも努めているところであります。
被害ゼロモデル集落での取り組み実証は、今年度も実施しており、その成果等を県内の市や町、関係団体等に広く情報提供し、各地域における住民の皆様による活動がより効果的なものとして実施されるようその普及促進を図り、イノシシによる被害防止に向けた総合的な対策強化を推進してまいりたいと考えております。
次に、ICT等を活用したイノシシ捕獲についてお答えをいたします。
今ほど御答弁申し上げましたとおり、イノシシの捕獲頭数は年々増加してきておりますが、捕獲する人材の不足や高齢化に加え、取り逃がしたイノシシが箱わな等を学習することから、今後は捕獲も難しくなるものと想定され、より高度な捕獲技術への期待が高まっております。
このため県では、今年度、ICT等を活用した捕獲技術に関する実証実験を行うこととしております。具体的には、富山市内及び南砺市内におきまして、赤外線カメラ等を搭載したドローンで空撮を行い、イノシシの生息場所や行動範囲の把握を行いますとともに、富山市八尾地域で箱わなやその周辺にセンサーカメラを取りつけることにより、イノシシの出没状況や捕獲情報等をクラウドシステムを活用して関係者間で共有し、スマートフォンでいつでも地図上で見られるようにする実証実験を行い、捕獲効率の向上とわなの点検、見回りにかかる作業負担の軽減を図ることとしております。
実証試験実施後は、捕獲技術の実用性や運用コスト等の効果や課題を評価、整理した上で、市、町や関係団体と連携して、地域に応じた実用可能な技術として横展開を図り、鳥獣被害防止対策のより有効な実施を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
108 ◯議長(中川忠昭君)市村厚生部長。
〔厚生部長市村仁志君登壇〕
109 ◯厚生部長(市村仁志君)最初に、ドクターヘリについての質問にお答えをいたします。
ドクターヘリの効果につきましては、平成27年から平成30年度分の救急現場出動の1,744件において、救急車による搬送と比較した場合、治療開始時間が平均30分短縮しており、さらに、救急専門医によります重症事例の事後検証では、ドクターヘリの活用により死亡者数が約5割の減、これはドクターヘリがなければ101人と想定していたところをドクターヘリの活用によって52人に減るということでございます。また、重い後遺症を残した患者も約4割の減、これも153人が92人へ減るということでございます。相当大きな効果が出ているというふうに考えております。
また、ドクターヘリの出動要請基準につきましては、キーワード方式を採用しておりまして、具体的には歩行者あるいは自転車が自動車にはね飛ばされた、脳卒中の疑いの事例では、突然発症の激しい頭痛など、生命の危険にかかわるようなキーワードが119番通報等に含まれる場合に、消防機関がドクターヘリの出動要請を行う仕組みとなっております。
これは、キーワードという客観的な基準を設けることで、医師の判断がなくとも迅速に出動要請ができ、いち早く医師が患者に接触することで救命率を向上させることを目的としたものでございます。
このため議員御指摘のとおり、患者に意識がある場合でも、例えば交通事故時の「意識がおかしい」「顔色が悪い」などの場合、また、「顔色が悪く、冷や汗を伴う」等、血圧低下が疑われるような場合は、一見それほど急を要しないと思われても、救命救急措置が必要な場合がありますことから、キーワードが含まれている場合には、出動要請を行うということにしております。
今後とも、一人でも多くの方を救うため、関係機関との連携のもとキーワードの検証を行いつつ、ドクターヘリを迅速に出動させ、救命率の向上や後遺症の軽減、減少につながるようしっかりと対応してまいりたいと考えております。
次に、発達障害の対応についての御質問にお答えをいたします。
発達障害につきましては、児童の心理機能の適正な発達や円滑な社会生活の促進のため、できる限り早期に発見し、適切な支援を受けられるようにする必要があることから、富山県リハビリテーション病院・こども支援センターを初め、各圏域に児童発達支援センターを整備するなど、各種施策を進めてきたところでございます。
また、議員御指摘の児童精神科医や小児神経科医につきましては、現在、県のリハビリテーション病院あるいは高岡市きずな子ども発達支援センターなど、県内の4つの医療機関において6名の方が発達障害に関し専門的な診断や治療、指導等を行っているところでございます。
発達障害は、その原因や医学的診断の境目も明らかになっておらず、その症状や程度に個人差があるため、発達障害の診断を専門に行います児童精神科医等の確保は重要なことではございますが、全国的にもその確保が困難なことから、国に対し児童精神科医等の養成を責任を持って行うよう要望しているところでございます。
一方で、発達障害の早期発見や地域におけます支援の役割を担っていただくため、県医師会と連携をいたしまして、かかりつけの小児科医等に対する対応力向上研修を行いますなど、地域における支援体制の整備に努めているところでございます。
さらに県では、今年度、圏域内の児童発達支援センターにおいて、看護師、理学療法士等の専門職員を配置し、発達障害児等に対する質の高い支援を行う場合、その取り組みに対し県単独の補助制度も創設したところでございます。
引き続き関係機関等と協力をして、県内における発達障害児者等への支援体制のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、ひきこもりの実態調査についての御質問にお答えいたします。
内閣府においては、平成21年度と平成27年度に15歳から39歳までの若年層のひきこもり状態にある方を対象に、また昨年度には40歳から64歳の中高年のひきこもり状態にある方を対象とする実態調査を実施いたしました。
これらの調査から、若年層のひきこもり当事者は54万人、40歳から64歳のひきこもり当事者が61万3,000人と、中高年のひきこもり当事者が多いという推計が示されたところでございます。
また、調査結果によれば、そのきっかけは若年層では不登校ですとか職場になじめなかったこと、中高年層では退職や人間関係がうまくいかなかったことなどが多い状況でございます。また、ひきこもりの期間については、若年層、中高年層ともに7年以上と長期化の傾向が見られております。
しかしながら、これらの調査はいずれも全国から無作為抽出された5,000世帯に対し調査をしたもので、地域別の状況が示されておらず、本県のひきこもり者の人数や年齢構成、ひきこもりの原因分析には至っていないのが現状でございます。
知事からも先ほど答弁させていただきましたが、県としましては、これまでの国の調査結果や調査手法を踏まえ、より効果的で実効性のあるひきこもり対策を講じる上で、県内のひきこもり状態にある方の実態を調査することは大変重要であると考えております。
県としましては、国の調査手法や調査内容などを参考に、本県独自の実態調査について検討してまいりたいというふうに考えております。
最後に、ひきこもりの相談体制等についての御質問にお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、ひきこもりは、本人はもとより支える御家族の悩みも深いことから、本人や家族の状態に応じた適切な相談体制づくりが重要であると考えております。
このため県では、ひきこもり相談に特化をしました第1次相談窓口として、心の健康センターにひきこもり地域支援センターを開設し、2人の専任の相談員が本人や御家族からの電話相談や来所相談に当たっております。開設後の7年間で、電話相談は延べ3,233件、来所相談は延べ4,651件となっており、その約6割が御家族からの相談となっております。
また、同センターでは、ひきこもりに悩む方やその家族に寄り添い、適切に相談できる人材の育成のため、医療、福祉、教育関係者を対象としました専門的な研修会を開催しますとともに、民生委員やひきこもり経験者などを対象といたしましたひきこもりサポーターを養成し、その活用を市町村に働きかけているところでございます。
さらに、ひきこもりに悩む御家族の方々に対し、各地域の厚生センターでは、家族同士の相談会や学習会を開催しますとともに、心の健康センターでは、医師による講義やグループでの座談会を開催するなど、できる限り地域で孤立しないよう努めているところでございます。
県としましては、ホームページや支援団体の紹介冊子の作成などによりまして、ひきこもり地域支援センター等の相談窓口の周知や取り組みの紹介を行いますとともに、医療、福祉、労働、教育などの関係機関や民間団体と連携しまして、ひきこもりに悩む本人や御家族の方からの相談しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
以上でございます。
110 ◯議長(中川忠昭君)以上で武田慎一君の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
次に、予算特別委員会の構成について御報告いたします。
委員長武田慎一君、副委員長奥野詠子君、理事岡崎信也君、酒井立志君、平木柳太郎君、委員澤崎豊君、大門良輔君、瀬川侑希君、安達孝彦君、藤井大輔君、庄司昌弘君、川上浩君、亀山彰君、井上 学君、吉田勉君、井加田まり君、永森直人君、火爪弘子君、渡辺守人君、稗苗清吉君、以上のとおりであります。
次に、お諮りいたします。
議案調査のため、明6月18日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
111 ◯議長(中川忠昭君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次回の本会議は、6月19日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。
本日はこれもって散会いたします。
午後5時03分散会
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