・
中央植物園と
オックスフォード大学植物園・樹木園
との覚書調印について
(2) 質疑・応答
山崎委員
・富山米新品種「富富富」の生産振興について
岡崎委員
・
水田フル活用の直接
支払交付金について
・
海岸防災林の松くい
虫被害防除取組成果と被害状況
について
吉田委員
・
チューリップ球根ネット栽培機械の小型化・軽量化
等の支援について
宮本委員
・農業における
外国人就労について
・
本県育成品種の保護について
中川委員
・「とやま
農業経営総合サポートセンター」について
・
環境保全型農業直接
支払交付金について
・
主要農作物種子法の廃止に伴う県の条例制定につい
て
四方委員
・水産業の振興について
6
瘧師委員長 報告事項に関する質疑及び
所管行政一般についての質問に入ります。
質疑、質問はありませんか。
7
山崎委員 地元で今、
県政報告会を行っておりまして、これからの富山県農業の1つの柱が「富富富」なのだと説明をしておるところであります。そういったことに対しまして地元の方々から、それはわかるけれども、何かつくりにくいと話を聞いているので、本当にそれは拡大できるのかと質問をいただいたところであります。
そこで、実際の生産者さんにヒアリングをしてきましたところ、全く逆の反応が出ておりまして、丈が短く茎がかたいと。分けつが多く、しゃんとしている、根の張りがよくてつくりやすい印象、さすがよく研究された品種で草の手入れもなく、今までどおりコシヒカリ同様のつくり方で、うまくいっているというのが大方のお話であります。
ただ、たくさん作付をされていて大規模でやっていらっしゃるところは、除草剤の使用量の制限を外してほしいと。今もう使ってしまったので、これから除草剤が必要になってくるときに、それを使えないので、ちょっと心配だという声がありました。
全体からすると、実際につくっていらっしゃる方はすごくいい印象なのですが、つくっておられない方々に「富富富」はつくりにくいという印象を持っておられるわけであります。これは非常に損だと思っております。
今後どのように作付拡大に取り組んでいかれるか、お伺いしたいと思います。
8
野尻農産食品課長 本年秋に本格デビューいたします「富富富」につきましては、登熟期間が高温でも白未熟粒が少ない、今ほど副委員長からも御紹介いただきましたけれども、草丈が短く倒伏しにくい。あるいはいもち病に強くて、農薬の使用量が節減できるといった栽培しやすい特性がある一方で、やはり実際の農業者の方から、高い評価を得ていくための、いわば厳しい
栽培出荷基準ということで安定した収量、品質が得られるかといった不安感といいますか、そういったものもあるのではないかと思っております。
それと、もう1点、コシヒカリとやはり成熟期が近いこともございますので、異
品種混入防止策も徹底しなくてはいけないといったことも、不安感につながっているのではないかなと把握しておるところでございます。
「富富富」につきましては、今ほどもおっしゃっていただきましたように富山米の
トップブランドとして、良食味で高い品質を確保するといったことを最優先とさせていただいております。こういったことから、
登録生産者の皆さんへの
サポートを徹底するといったことが非常に肝要でございまして、こういった
サポートを徹底していくことが、あわせて今ほど申し上げましたような不安感を解消していくことが来年度の作付拡大にもつながっていくのではないかなと思っております。
サポートを徹底するということの中身をもう少し具体的に申し上げさせていただきますと、15のJAさんごとに生産者の方々にも入っていただいた
地域協議会を設置していただいて、関係機関、団体が一体となった
指導支援体制を組むといったこと、生産者の皆様方に対しては生育時期ごとの栽培のポイント、これを栽培の研修会、あるいは現地の巡回といったことで丁寧に説明していくということ、週1回の技術情報を発行するといった情報発信を進めていくと。
あるいはほ場に看板を設置するといったことで、生育状況の見える化を進めるということ、先ほど異品種の話をしましたけれども、そういった
抜き取り等の作業で高品質な取り組みに対して、具体的な支援を行っていくといったことに取り組んでおります。
平成31年産に向けましては、JAの
乾燥調製施設等の
受け入れ調整といった部分でございますとか、県下全域で
全量基肥栽培ができるようにといったことでの技術確立を進めたことが、ことしの大事な仕事でございまして、地域の農業者の皆さんが安心して作付できるように取り組んでまいりたいと考えております。
9
山崎委員 この作付がふえるときの一番のポイントは、やはりいい値段で買ってもらうということが一番大事ではないかなと思います。これは通告していないのですけれども、今後、価格決定は非常に大事なところになってくると。そこで、その
価格決定方法について、答えられる範囲で構いませんので、教えていただければと思います。
10
野尻農産食品課長 まだ明確に全てをお話しする段階ではございませんけれども、具体的な価格の決め方につきましては、ことしの作付の動向とか、全国にいろんな品種がございますけれども、他品種の
価格動向等も踏まえた上で、要は集荷団体さんで基本的なやり方を決められると思います。それはいろんな方式があると思われますが、具体的にこの場で幾らとか、こういう
買い取り法をするというようなことは、ちょっと県の立場では申し上げにくいので、御承知おきいただければと思っております。
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山崎委員 なるべく皆さんの意欲が高まるように、どうぞよろしくお願いいたします。
12
岡崎委員 今ほど当局からの御報告事項や山崎副委員長の御質問などにもありましたが、本当に、農家が意欲を持って取り組んでいけることが一番大事だと思っています。
先ほど、水稲については食用米は前年並みと、
飼料用米、
加工用米、
輸出用米が増加の見込みと御報告をいただいたところであります。
今年度から、いわゆる米の直接
支払交付金制度、10アール当たり7,500円が、これが廃止をされたわけでございます。もう1つはやはり、いろんな需要があるところの作物に転用していく
水田フル活用制度が盛んにやられていまして、その中でも直接
支払交付金制度では、戦略作物などについて少しお金が高いので、そういう誘導がされているわけでありますけれども、実際昨年とことしと、どういう変化が起こってきたのかなというところに非常に関心がありまして、ぜひお聞かせ願いたいなと思っています。
生産者の皆さんとも話をしているのですが、営農の中心になっている皆さんは知っておられると思うんですけれども、末端で一緒にやっている人たちは、去年と余り変わらないという話もあったりして、今県内の農業の実態はどうなっておるのかをお聞きをしたいと思います。
13
野尻農産食品課長 平成30年産米からの、行政によります
生産数量目標の配分廃止といったことでございますとか、今ほど委員からもありましたが、米の直接
支払交付金の廃止といったことで、国の米政策の大きな見直しが行われているという中でございますけれども、本県では引き続き、需要に応じた
主食用米の生産とともに
飼料用米、
加工用米といった非
主食用米、それから大豆、大麦、それから園芸作物などを組み合わせた
水田フル活用を推進することなどを進めてきておるわけでございます。
こうした中で、5月30日に農林水産省が公表しておりますけれども、4月末現在の30年産の
主食用米の作付動向でございますが、本県を含む34の道府県が前年並みという状況となっておりまして、そのコメントでは平成29年産に比べ、大きく変化する状況にはないと見込まれておるということでございます。
県内の部分も少し細かくお話をさせていただきますと、非
主食用米の県内の作付の状況でございます。いわゆる
政府備蓄米といったものがやや減少傾向にはございますが、
飼料用米が平成29年の1,085ヘクタールから本年は1,205ヘクタールということで、120ヘクタールぐらいふえております。
加工用米が1,515ヘクタールから1,550ヘクタールということで35ヘクタールの増、それから
輸出用米につきましては、126ヘクタールから200ヘクタールで、74ヘクタールの増加になっておりまして、いわゆる非
主食用米の作付、これは私今申し上げた、合わせておおよそ230ヘクタールぐらいの増加になっております。
ただし、先ほどの報告にもございました
主食用米、非
主食用米を合わせた水稲全体では前年並みという状況で、今ほど申し上げました230ヘクタールふえている部分で、作付の移行が進んでいると見ております。
ちなみに、主力の品目でございます大麦、大豆については、これは需要に応じた生産ということで、実需の需要に応じて生産を進めておるわけでございますけれども、前年並みの作付面積で取り組まれているものと見込まれております。
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岡崎委員 若干ながら、少し変化が出てきているということで、少なからず関心を持ってやっているのだろうなと思います。私も全く素人なもので、私の向かいの農家の、僕より年齢は少し下の方なのですが、朝から汗をかいて一生懸命頑張っておられると。何とか生産者の所得を少しでも補償してあげたいなという思いで質問させていただきました。
廃止された政府の政策を見ていますと、大豆や大麦の転作に対する直接
支払交付金は少し高目になっているのですが、お聞きしていたら、実際に売れたときには米より安いものだから、少し高目にしてあるとお聞きをしております。
もう1点質疑をしたいのですが、この
水田フル活用の直接
支払交付金制度で、今言ったようないろんな価格設定がされているわけでありますけれども、価格によってやはりこっちのほうがいいなというような誘導、
農業従事者が意欲を持って生産に従事できるような環境になりつつあるのかどうか、その辺をお聞かせください。
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野尻農産食品課長 水田活用の直接
支払交付金でございますが、水田で麦、大豆、
飼料用米などの作物を生産する農業者の皆様に対して、交付金を直接交付するといった制度でございますが、国では
主食用米の生産と同程度の所得が確保できる水準の単価設定ということで、単価を決めておられるということでございます。
ちなみに、御紹介いたしますと、
戦略作物助成では麦、大豆、飼料作物には10アール当たり3万5,000円、
加工用米には2万円、
飼料用米では、これは収量に応じて幅を持たせてございますけれども、最大で10万5,000円の交付単価になってございます。
県ではJAや市町村さんで構成する
地域農業再生協議会がございますが、地域の農業者への指導を行うに当たりまして、一番大事な一定の所得が確保できるようにということで、経営の実態に応じて、例えばいろんな機械をお持ちの場合や、面積あるいはほ場の条件等で、この作物はどうだろうかなど細かなことがあるのですけれども、そういったところで新たな作目を導入したりとか、あるいは複数の作目を組み合わせるといった工夫をしながら、何とか一定の所得が確保できるように知恵を出して、農家さんで取り組みが進むように御指導、御支援申し上げているという実態でございます。こういった中で、やはり県では国に対しましても、これらの対策の充実をしっかり要望していくことも大事でございますし、先ほど申し上げました需要に応じた米生産、
水田フル活用もあわせて、やはり農家の皆様方の所得の確保と、経営の安定化を図っていかなければならないと考えてございます。
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岡崎委員 気持ちは同じであります。本当に、まだ制度が切りかわったばかりですので、これからもっと推進していかなければならないのではないかと思っています。
これは最後の質問でありますが、もう7月間近に迫ってきまして、私の地元でも浜開きが行われるわけでありますが、浜の周辺には防風林がありまして、松くい虫の被害などがずっと言われてきました。お話の中ではもう大分減少してきていることが、県議会の中でも言われていたと思いますが、今の現状と対策について、最後にお聞きをしたいと思います。
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松井森林政策課長 県内の松くい虫被害は夏場の高温、少雨などの影響により平成24年度から急にふえまして、海岸林を中心に増加していたわけでございますが、平成26年度、体積で言いますと1,504立米、本数で言いますと3,702本をピークといたしまして、その後減少に転じております。
平成30年3月末時点の被害量は536立米、本数で言いますと1,240本ということで、ピーク時の約36%となっております。
県では被害が急増いたしました平成25年以降、
森林病害虫等防除事業、あるいは治山事業、国の補助事業や
県単独事業を活用いたしまして、海岸以外も含め、
被害拡大防止対策として、被害木を切って処理する伐倒駆除を5,416立米、あるいは予防対策として無人ヘリなどを使った
薬剤散布を146ヘクタール、さらには被害を受けていない木、それを単木で守るために薬剤の注入なども行ってきたものでございます。
また、こうした取り組みをしても、一部海岸でピーク以降も依然として高い水準で被害が継続していたこともございまして、昨年度から水と緑の
森づくり税を活用いたしました
海岸林保全整備事業に取り組んでおりまして、こちらではこれまでの事業では対象とならなかったような、例えば公園とか宅地、あるいは工場用地、森林区域以外も含めました海岸林とその周辺300メートルを重点区域に設定いたしまして、これまでの伐倒駆除、それから
薬剤散布、従来の対策のほかに、植栽地の下刈りといった地域の方々の取り組みに対しても支援させていただいております。
こうした一体的、重点的な松くい
虫被害対策をこれまで進めてきておりまして、こうした取り組みが現在の被害量の減少に、一定の効果があったものと考えております。
本年におきましても引き続き、水と緑の
森づくり税を活用して被害木の伐倒処理、
薬剤散布といった対策、これは市町、あるいは地域の方々と進めることとしておりまして、被害が沈静化するよう努めてまいりたいと考えております。
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岡崎委員 今課長がおっしゃったとおり、海岸の松林だけではなくて、ちょっと南部のほうの固まり、企業の中にもあるような部分も対象にしていただければ大分効果があるのかなと思います。
いずれにいたしましても本当にきれいな海岸であって、せっかく海に来ておられる皆さんにしても、ちゃんと防除されているのがいいと思います。何といっても防風林を守っていただきたいということでございます。引き続きよろしくお願いして、質疑を終わりたいと思います。
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吉田委員 富山県を代表する
チューリップ球根は、出荷量においては日本一でありますけれども、球根の単価の低迷とか、生産農家の高齢化によって農家数及び生産量が、年々減少していることから、生産者は
大変危機感を持っておられるということでございました。
チューリップ球根の植え込みとか収穫作業の省力化、これを目指して、平成27年度において
ロボット技術開発実証事業を活用して、
ネット栽培の球根植え込み、
収穫作業ロボットを開発しておられました。
また、平成28年度においては何か
革新的技術開発・
緊急展開事業、個別・FS型を活用して、
チューリップ球根の
ネット栽培機械の
小型軽量化に向けてしっかり調査研究し、昨年におきましては
小型軽量化による普及機の開発に取り組んでおられるということでございます。
平成27年度から平成29年度において、
チューリップ球根の
ネット栽培の小型化だとか軽量化に一生懸命取り組んでおられるわけです。それに伴って、
ネット栽培に対応した新たな水洗いの
乾燥技術システムの開発もやっておられるわけですが、実際この進捗状況は、今現在どのようになっているのかお伺いしたいと思います。
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野尻農産食品課長 今ほど委員からお話がございましたように、本県の
チューリップ球根生産の大幅な省力化に向けて開発しております
チューリップ球根植え込み・
収穫作業用ロボットにつきましては、平成27年10月から県内の栽培ほ場で作業性や作業時間などの実証試験を行ってきておりまして、本県の水田栽培においてもGPSによる自動運転の有効性でございますとか、植え込みや収穫の作業時間の大幅な短縮が可能となったことが確認されておるところでございます。
ただ、今ほど申し上げました
ロボットは、大型で特殊な車両であるといったことで、例えばほ場間の移動が非効率になったり、排水の悪いほ場では、機械の旋回時に沈んでしまったりといった課題も明らかになっているところでございます。
ただ、このため、開発しました
ロボットにつきましては、大区画で排水性の高いほ場で非常に効果的だといったことで、その利用、普及に向けての栽培実証を継続して行っている状況にございます。
今ほどお話の中にもございましたように、より多くのほ場へ
ネット栽培を普及していくという観点から、球根組合、あるいは
農機メーカーさん、県の
試験研究機関等で構成いたしますコンソーシアムを立ち上げさせていただいておりまして、平成29年度から新たに3カ年で国の事業も活用しております。
そこで、機動性にすぐれた
小型軽量化の
ロボット開発を行っている状況でございます。現在の
トラクター後方に装着する
小型作業機といったことで、アタッチメントのように
トラクターにつけて稼働させるものをイメージしており、準備をしております。試作等も繰り返しておりますし、より作業精度が上がるように機械のフレームの強度を高め、安定するように改良を加えておりまして、平成31年の完成を目指しておるところでございます。
また、今ほど御指摘もございましたように、
ネット栽培では収穫した球根をどのようにきれいにしていくかということで、水洗いの部分をきちんとやっていく──これは通風性あるいは空気の通りやすい木の箱をイメージしていただければと思うのですけれども、効率的に水洗いを行っていくことでの、機械の体系的な技術開発もあわせて取り組んでおり、かなりいい知見も得られてきていると伺っておりまして、順調に進捗しているのではないかと考えてございます。
21
吉田委員 農家の実際に作業している方にもお聞きしましたら、特に今の機械は、オランダから輸入し少し小型化したという感じで、作業部分と駆動部分が、一体化になっておるような状況でございまして、まだまだ日本の水田においては、大き過ぎるという話もしておられました。
ただ、いずれにしてもネットで収穫する──植え込みもネットでやるということで、相当手間が省略されるということで、確実に時間の短縮になっていると力強く言っておられたのは、ちょっと印象に残ったわけでございます。
ぜひ省力化と、作業部分と駆動部分をなるべく分けた日本型に近いものを早急にまた完成させていただいて、しっかり地元の農家の方の要望にこたえられるように、ひとつやっていただきたいと思うのですが、平成30年度以降において本格実証するまでの課題の克服、県は今後どのように取り組んでいくのか、最後にお聞きしたいと思います。
22
野尻農産食品課長 先ほど課題的なところも少し触れさせていただいておりますけれども、整理して申し上げますと、本年度は引き続き国の事業を活用しまして
ネット栽培植えつけ機械の
小型軽量化を進めるといったことと、収穫した球根を効率的に水洗、乾燥調製する処理体系の開発を進めております。試作機につきましては作業精度、あるいは機械の強度等、それから水洗機の、水洗いにつきましては長いラインになるものですから、例えば品種を切りかえるとかといったときの他品種とコンタミを起こす、まじってしまうこともありますので、そういった課題も解決していかなければならないと思っております。
県ではこれらの課題解決に向けまして本年度、開発している試作機、機械の動作確認を重ねつつ、球根の水洗い時に迅速な品種の切りかえが可能となる機能として、どういうものを工夫、開発していけばいいのか検証をしていきます。もう1つは、木の箱で乾燥させているのですけれども、乾燥効率を上げるための風速や気温の条件をいろいろ工夫して、検証を重ねていきたいと思っております。そういったことに取り組みまして、平成31年の小型軽量機等の完成に向けて進めていくことで、本年度しっかり取り組んでまいりますけれども、取り組みをまたしっかり国に評価していただいて、最終年である来年度、事業費が十分確保されるように、また引き続き国に対しても働きかけを行ってまいりたいと考えております。
23
吉田委員 毎年国の予算づけがされることだと思いますので、一刻も早く確実に予算づけいただいて、そして、地元の農家の人たちの期待にこたえられるように、ひとつぜひ頑張っていただきたいと思います。
24 宮本委員 先般の委員会で巡回型
ロボットの話をいたしましたが、あの後新聞記事等を含めて、非常に興味を示している方が実はおります。例えば電設防災技術──消防の人間が入れないところに小型カメラを搭載したり、消火、ライトをつける
ロボットを開発したり、電波や配線を引いて敷地内を動かしたりとかということを、消防技術の中で開発している方々がおられまして、私どもの技術を使えばすぐにでもモデル的な取り組みができるのではないかとお話を実はいただきまた。農林水産部だけでは手に負えない話なのかもしれませんが、根本は鳥獣害の被害云々等も含めての話であったわけであります。何とか9月には1つ具体的な提案が、皆さん方にできそうな雰囲気になってまいりましたので、そのときには皆さん方の本気度が試される非常に重要な時期を迎えると思います。とりあえず前段として御報告をしておきますので、御理解よろしくお願いをいたします。
先般、報道で政府が15日に経済財政運営と改革の基本方針、「骨太の方針」を閣議決定しました。その中で早ければ来年4月にも農業での
外国人就労を解禁するという話であります。新設される在留資格は特定技術等々、一定の専門性や技術を持つ外国人人材の就労を認める流れでありまして、新聞には農業、建設、介護、造船、宿泊という5種との書き方がしてありましたが、この辺は定かではないとしても、農業分野にこうした人材をいよいよ入れていかざるを得ないという流れができておるようであります。
そのことを踏まえて、本県の農業における外国人の就労状況について、まずお伺いしたいと思います。
25
杉田農業経営課長 人口減少が進みまして、他の産業との間で人材獲得競争が厳しくなっている中、農業の人手不足は一段と深刻化することが懸念されております。このような中で、今ほど委員から少し御紹介ありましたけれども、国においては人手不足が深刻な業種を対象に、外国人が日本で働くことを可能にする新たな在留資格を創設することが、先日閣議決定されました骨太の方針に盛り込まれたところでございます。
具体的には外国人技能実習制度の修了者や、修了と同等の技能や日本語能力を問う試験に合格した外国人を対象に、最長5年の就労期間を認めるもので、来年4月の創設を目指すとされているところでございます。
本県の外国人の就労者につきましては、農業と林業合わせた数字で厚生労働省の統計によりますと、平成27年度で70名、平成28年度で87名、平成29年度で99名と増加してきております。この
外国人就労者の中には技能実習生ですとか、専門的、技術的分野の比較的高いスキルを持つ在留資格者、それから永住権などの身分に基づく在留資格者などが含まれております。厚労省の統計では、その内訳は示されていないわけですけれども、農業部門の技能実習生は、別の機関で国際研修協力機構という団体がございまして、その統計によりますと平成27年度で24名、それから直近の平成28年度で58名と増加してきている状況にございます。
26 宮本委員 職種、内容についてばらつきがあるのだろうと思いますが、それぞれのところで順次、
外国人就労者の方がおられるという流れだと思っています。
どの部門でも外国人の就労を促していくことは、もちろんいかがなものかなとは思いつつも、例えば農業労働力支援協議会が純粋におっしゃっているのは、農業は現状約7万人の労働力不足だと。5年後には約13万人が不足すると見ておるようであります。国内人材の確保が難しいために、13万人のうち最低でも4万人の外国人人材が必要じゃないかなとおっしゃっているわけであります。具体的なことは定かではありませんが、そんな話もあります。政府も人手不足が深刻な業種として農業を挙げておるわけであります。ただ、県では農林水産物の輸出促進でありますとか、次世代園芸、スマート農業など、いわゆる攻めの農業を推進しておるわけでありまして、実際に今後、本県の農業における担い手の確保の見通しについて、まずお伺いしたいと思います。
27
杉田農業経営課長 本県農業におきまして、担い手の高齢化ですとか労働者不足等が深刻となる中、技能と経営感覚にすぐれた若い担い手を確保育成することが大変重要となっております。
このことから、県では新たに策定しました富山県農業・農村振興計画におきまして、水田の大区画化やICT等の技術導入などスマート農業の普及によりまして、農業のさらなる生産性の向上を図りながら、45歳未満の新規就農者を目標年次の2026年度に年間60名以上を確保することを目標としまして、その達成に向けて取り組んでいるところでございます。具体的には担い手の経営基盤の強化を図るために、担い手への農地の集積、集約化や規模拡大等に必要な機械、施設等の整備に対する支援、また、集落営農等の法人化への支援ですとか、先ほど報告させていただきましたとやま
農業経営総合サポートセンターを設置しまして、多様な経営課題への相談対応、園芸作物の導入による複合化、6次産業化など収益性の高いとやま型農業経営モデルの普及などに取り組んでいるところでございます。
また、新規就農者の確保育成対策としまして、就農支援相談会の実施ですとか、農業法人等の求人情報の提供、先進農家での体験研修、また、とやま農業未来カレッジでの通年研修の実施、国の農業次世代人材投資資金の活用によります収入確保支援などを行っているところでございまして、平成29年度の新規就農者数は69名ということで、先ほど申し上げました2026年度目標の60名以上を確保しているところでございます。さらに、本年度は新たに県の農林水産公社のホームページをリニューアルしまして、就農支援サイト「とやま就農ナビ」を開設、それから就農希望者に県内の農業法人等を紹介する就農マッチングバスツアーの開催に取り組むこととしております。こうした施策を今後も積極的に講じまして、目標年次であります2026年度におきましても新規就農者数60名以上が確保できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
28 宮本委員 しっかりと計画を立てて担い手の養成を行っていただいておると理解をしているつもりであります。
そんな中でも技術の高さ、低さもありますけれども、現実問題の人手という意味では、集約化が図られたり法人化が進められていく一方で、逆に離農をしていく方々もふえていくということがあります。経営体としていかに人材、労働力を確保するか、いろいろと問題も出てくると思っていまして、総合的に考えていかなければならない時期だなと感じております。そんな中で、特に今ほど話題といたしました外国人の就労を捉えてみると、新たに外国人人材を受け入れることについて、県としてどのように考えているのか、
外国人就労者をどう位置づけていくのかが問われると思いますが、課長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
29
杉田農業経営課長 今回、国で打ち出された方針は、中小あるいは小規模事業者を初めとした人手不足が深刻化している背景を踏まえまして、従来の専門的、技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく、新たな在留資格を創設するものでございます。この新たな在留資格による外国人材の受け入れは、生産性向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお、当該業種存続の発展のために、外国人材の受け入れが必要と認められる業種において行うこととされているところでございます。今回の新たな仕組みにつきましては、これまでの技能実習制度との関係や
外国人就労者の位置づけが十分明らかになっておらず、現段階で評価することは難しい状況にありますけれども、今後、入国管理法の改正などの手続におきまして、国会で議論されていくものと考えております。
現行の技能実習制度につきましては、実習生の来日が原則1回に限られておりますが、今回の仕組みでは在留期間は最長で通算5年とされまして、期間内であれば再入国を認めるものでございまして、需要のある季節に訪日することが認められ、外国人材の活用が広がる可能性があります。その一方で、即戦力となる人材を確保することができて、本当の意味で人材不足の解消につながるのかといった不安ですとか、労働賃金や生活面への配慮が必要であるとの指摘がなされているところでございます。こうした人材不足を背景として、今回
外国人就労に係る新たな仕組みが設けられようとしているわけですけれども、それとは別に、将来にわたって本県の農業を支える新規就農者の確保、育成が重要であると考えております。
このため、先ほども申し上げましたけれども、とやま農業未来カレッジでの研修ですとか、本年度から実施する「とやま就農ナビ」によります県内外からの就農希望者の掘り起こしなど、これまで実施してきている取り組みを継続、あるいは発展させていく取り組みを行っていく必要があると思っております。県としましては、国の今後の議論を注視しますとともに、県内の法人などにおけます
外国人就労に対する意識やニーズの把握に努めていきたいと思っております。
30 宮本委員 現在進めておるような形でいかに県内の
農業従事者を育てていくのか、また、国内の中で新規就農の人たちに我が県に来ていただけるようにしていくのかは、非常に重要だと思いますので、引き続き取り組んでいただきたいわけですが、こういう大きな流れがある中では、ひょっとしたら我々富山県も後追いにならないように、農業未来カレッジで外国人の皆さんが、技術のこともそうだけれども言葉だとか富山県の風土、習慣といったものもいろいろと学び合えるように将来的に、早い段階で機能の拡充も含めて考えていく必要も出てくるのかなと感じておりますので、これは要望、意見として申し上げたいと思います。
そんな中で、仮にという話になってくるのかもしれませんが、外国人労働者の皆さん方が就農していく状況が、今後も生まれていく中で、ちょっと気になることがあるのは、例の平昌オリンピックのときにカーリングのカー娘の皆さん方が、もぐもぐタイムで日本のおいしいイチゴを食べたりしておるのを見ながら、いいねという話でありましたが、あの後テレビの番組を見ていましたら、あのイチゴを実は日本の技術で一生懸命つくった生産者の方が、お隣の国の人と約束をして、ほかではつくらないようにしているはずなのに、なぜあの技術はもう盗まれたんだという報道がなされておるのを偶然見ました。
そのこと1つだけを捉えて申し上げるわけでもないのですが、ちょっと語弊があるかもしれないけれども、なかなか我々の約束事、法律を守っていただけない方々が就労されることによって、ひょっとしたら米、チューリップといった、本県の育成品種等の技術、それこそ種苗を、どんな形ででも持ち出す雰囲気は、ないとは言えないとも思うわけであります。そんなことを含めて、品種の保護が今後とも、重要になってくると思っていますけれども、その点について課長からお願いしたいと思います。
31
野尻農産食品課長 今ほど委員から御紹介ありました、日本で開発された品種が海外で無断栽培されているといった事例が相次ぐといったことがございますけれども、本県で育成した品種が同様の事態にならないように、やはり品種の育成者権の保護を図ることが、大変大事なことだろう考えてございます。こういったことから、これまでも県の育成品種については、まず国内での権利を保護するといったことから、種苗法に基づく品種登録をしてございます。平成29年度の登録品種数でいきますと、米は本県22ございます。チューリップで13、ネギで2という品種登録を行ってございます。
もちろん海外への持ち出しは禁止でございますけれども、国内において、品種を生産者あるいは流通業者さんが利用される場合は、当該品種の利用者と許諾契約を締結して、栽培等を行っていただく流れになります。一方、海外で権利を保護することになりますと、UPOVという条約がございます。これは植物の新品種の保護に関する国際条約で、いろいろルールを定めていることでございますけれども、その中でやはり海外での権利保護のためには、その行った先の国で品種登録を行っておくという一定のルールがございまして、それによって無断で栽培されないように、歯どめと申しますか、そういった措置をとるということでございます。これまでもチューリップでは富山県の花卉球根農業協同組合、あるいはオランダの球根生産者の方と協議を行って、例えばオランダでは「黄小町」や「夢の紫」など4品種、それからEUとして「なごり雪」などの3品種を県が品種登録を行っております。それぞれオランダ等の球根生産者と県が許諾契約を締結していることになっております。なお、お米につきましては現在、
本県育成品種の海外登録の事例はございませんけれども、今後、輸出等を具体化させていく中で検討を進めていくことになると思っております。無断で持ち出されたものになりますと、なかなか対策が講じにくいわけでございます。海外はいろいろ幅広でございますので、どこの国へということは大変難しい対応でございますけれども、マッチング等を行っていく中で極力品種が流通するであろう当該国で登録していく取り組みが必要と考えてございます。
国でも知的財産の取得の際に、いろいろ環境整備も図られていると思っておりますので、県の育成品種の権利保護にも、きちんと取り組んでまいりたいと考えてございます。
32 宮本委員 いろいろと難しい問題もあったり、なかなか規制をかけてもそれを守ってもらえない部分もあったりして、単純なものでないと思いますけれども、外国人の労働者の就労等々を含めて、もっともっと幅広い意味でいろんなことが起きる時代になってきたときのためにしっかりと対策も考えていかなければならないと思いますので、引き続き御尽力いただきたいと申し上げて、質問を終わらせていただきます。
33 中川委員 通告したもの以外に、報告事項のことについてお聞きしたいのですが、先ほど、とやま
農業経営総合サポートセンターの開設について報告がありました。これは以前、予算のときにやったのかわかりませんが、国の予算もいただきながらやることだと思いますが、この運営をする予算とその内訳と、どのような人数で強化を図っている体制になっているのかについて、ちょっとお聞きしたいと思います。
34
杉田農業経営課長 予算的なことですけれども、事業費としましては国の国庫補助事業を活用いたしまして、2,384万8,000円で実施するところでございます。補助率としては国の定額でございますが、10分の10になってございます。それから、体制ですけれども、今ほど申し上げた予算の中には人件費も含まれておるわけですけれども、専任の相談担当の職員を1名配置いたしまして対応しているところでございます。
35 中川委員 これまで担い手だけの支援協議会であったものが、経営のいろんなことを相談したい方のワンストップのサービス機関になるということなのですが、この相談窓口がとやま
農業経営総合サポートセンターになっていまして、あと、サテライト相談窓口とも書いてあります。相談したいという方は、どういうルートでお願いをされてくるのかということについて、具体的に教えてください。
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杉田農業経営課長 ルートはさまざまあろうかと思っております。身近な市町村でまずは相談ということで、サテライトとなります各地域の担い手育成総合支援協議会に、まずは行かれる方もおられるかと思いますし、先ほど報告いたしました県の農業会議の
サポートセンターの本体のところに、直接来られる方もおられると思っております。
今回の事業をスタートするに当たって、チラシなども含めまして、制度がスタートしましたと各団体等を通じまして農業者の皆さんに周知しているところでございます。どの窓口経由で入ってこられるかはわかりませんけれども、少なくともこぼれがないように対応していく形で考えております。
37 中川委員 経営発展につながらない相談は本事業の対象となりませんと、こんなことも書いてあるのですが、例えば各市町村の窓口へ行って、こういうことで相談したいと、そこは余り専門家がいないのではないのかなと思いますが、その判断で、あなたはこういう相談はだめだよと言われたら、それで終わってしまう気もいたします。本部には専門員が1人常駐されるということですが、そのあたりのやりとりというか、これ非常にいい仕組みだと思いますけれども、何かその辺を間違うと、せっかく相談したいという方がそこまで到達しないうちに終わってしまうと。こんなことも懸念されるのではないかと思うのですよ。ぜひ運営に当たってはそういうことがないように、何かの対策を講じながらやっていくことが大事ではないのかなと思います。要するに、一番悪いのはそこへ行って、あっち行け、こっち行けと言って振られっぱなしになり、もう相談に行きたくないとなるのでは何のためにやっているのかわからないわけですよ。ですから、その辺をしっかりとやっていただきたいとまずお願いをしておきたいと思います。
それでは、通告に従いまして少し質問したいと思いますが、まず、
環境保全型農業の直接
支払交付金制度についてお願いしたいのですが、これまで平成4年ぐらいから有機農業とか環境保全をしなければいけないといったことで、既にもう二十何年もたってきているわけであります。しかし、本当にそういう考えが、あるいは営農している者、あるいは国や市町村全体にしても、本当に取り組みがしっかりやれているのかなと、私はいつも言っているのですが、まだまだ足りないなと思うわけですよ。
そうした中で、
環境保全型農業の直接
支払交付金については、いろいろと進化もしてきているので、これまで平成23年ぐらいから、大体の予算がどうなってきているのか、そしてまた、県は大体どれぐらいの予算の伸びでやってきているのかを、改めてお聞きしたいと思います。
38 宮田農村振興課長
環境保全型農業直接
支払交付金につきましてですけれども、これは平成22年3月に改定されました新たな食料・農業・農村基本計画に基づきまして、今ほど委員からもございました平成23年度に創設されたものでございます。化学肥料ですとか化学合成農薬を低減する取り組みと、あわせて行う堆肥の施用などの地球温暖化防止ですとか、有機農業などの生物多様性の保全に効果の高い営農活動に支援されているものでございます。
お尋ねの国の予算の推移についてでございますが、初年度の平成23年度が19億3,600万円、平成24年度は24億7,000万円に増額されております。その後、平成24年度から4年間、日本型直接支払制度として法制化されました平成27年度までの間は、同額の24億7,000万円で推移してございます。平成28年度と平成29年度には23億1,000万円と一旦減ってございます。平成30年度には23億6,000万円と5,000万円ほど若干増額されている内容でございます。
それと、県内への交付状況についてですけれども、国の予算は若干増減しておりますけれども、県内の取り組みは年々増加をしてございまして、平成23年度の取り組み面積が161ヘクタールに対しまして1,288万円でございました。それが現在、平成29年度には取り組み面積が753ヘクタールにまで増加してございまして、農業者の皆さんへの交付額ベースで4,865万円と取り組み面積で約4.7倍、交付額で約3.8倍という状況でございます。
39 中川委員 国の予算が19億円余りから伸びて減って23億6,000万円ぐらいということで、大体1.2倍強、そして県では161ヘクタールから753ヘクタールということで、予算につきましては1,280万円余りから4,800万円余りでありまして、大体3.8倍ぐらいに伸びているのかなと思います。面積はそれ以上に伸びているとわかりましたが、753ヘクタールは全耕地面積に対して、多分あれは5万4,000ヘクタールだったでしょうかね、それから見ると1.数パーセントぐらいだと思います。それから、また全国でも大体9万ヘクタールあるかないかだと思いますが、それにしても大変少ないわけであります。
そういう中で例えば面積から見ても本当に少ない富山県は、実際やっている割には少ないのと、これは予算の関係もあることだからだと思いますが、ことしは交付金の要件として、エコファーマーを外してGAPの実施を義務づけたということですが、これまで順調に推移してきたにもかかわらず、要件になると何か影響するのではないのかなと思うわけであります。エコファーマーを外してGAPにしたのは、県ではどう受けとめておられるのか、なぜそうなったのかを聞かせていただきたいと思います。
40 宮田農村振興課長
環境保全型農業直接
支払交付金の要件でございますけれども、農林水産省では継続的に長期にわたって持続的な農業生産を支えるためには、環境保全に効果の高い営農活動だけではなくて、消費者の皆さんが重要視される食品安全ですとか、生産者みずからが身を守るための労働安全にも取り組む、国際水準GAPの取り組みが必要と判断されまして、今年度から交付対象者の要件を従来のエコファーマーに変えて、国際水準GAPに取り組む農業者に変更されたと認識しておるところでございます。ただ、
環境保全型農業に取り組む点を捉えますと、これまでの取り組みと実質的には変わっていないと認識しておるところでございます。
41 中川委員 実質的に変わっていないということは、平成30年度は、大体どのような状況になりつつあるのですか。去年より減るのですか、ふえるのですか。
42 宮田農村振興課長 平成29年度につきましては、先ほど取り組み面積753ヘクタールと申しましたが、平成30年度の申し込みは、2月段階で市町村から御提出された見込みを取りまとめた段階で、今のところ834ヘクタールほどを申し込まれているところでございます。
43 中川委員 ということは、ほとんど影響がないと判断していいわけですね。
44 宮田農村振興課長 昨年の実績に比べまして同程度以上に申し込みをいただいていますので、実質的な影響はないものと考えております。
45 中川委員 エコファーマーを見てみると、これは平成11年に制度化されているのですが、富山県も平成23年度の2,482件から認証件数がだんだん減ってきていまして、大体毎年減ってきていると。これは全国的にも減少傾向が続いているわけであります。特に平成28年度中に計画期間──5年間が終了したものが高齢化や離農をして、余りメリットがないといったことでやめていくと。再認定申請を行わなかったのではないかと言われているわけであります。そうなると、環境保全型をベースにして考えると、メリットがないエコフォーマーをこれから推進していくことができるのかなと、また心配もするわけであります。
その分、今度は、さらに環境保全プラス食品の安全とか働く者の安全確保をするためのGAPを取り入れることについてはやぶさかではないのですけれども、GAPに取り組む状況を、ちょうど1年ぐらい前だったと思いますが、いろいろとお話をさせていただいていたのですが、このGAPは今どれくらいまで進んでいるのか。去年聞いたのですが、ことし1年間、平成29年度、大体どういう状況でどうふえてきているのか。そして今、農業・農村振興計画の中でやられています目標などを含めて、どんなことを考えているのかについてお聞きしたいと思います。
46 川口農業技術課長 本県におきましては平成24年から「とやまGAP」の普及、定着を推進しておりまして、普及指導員が重点的にGAPの指導を行っている経営体のことでございますけれども、地域におけるモデル農場は、これまでに100農場を育成したところでございます。さらに、「とやまGAP」を基盤にいたしまして第三者認証のGAP取得に取り組む経営体の支援を実施してきておりまして、平成30年3月末で10経営体が認証GAPを取得しておりますし、今年度におきましても現在7経営体と1つの団体がGAPの認証の取得を目指しているところでございます。
振興計画の中の目標といたしましては平成28年の基準になる年が8経営体だったのですけれども、これが5年後の平成33年には40経営体で、10年後の平成38年につきましては80経営体を一応目標にしているところでして、それに向けまして鋭意努力をしているところでございます。
47 中川委員 私は前のときにも言ったのですが、まず面的に環境保全に取り組み、それは全県下がそういう状況の中で、ものを売るときに例えば今まで国際GAP、JGAPが上乗せされてやってきておるのですよ。そういう考えがどうもこの計画を見ていても、どこにもベースになっていないなと私はいつも思うのですよね。前に言ったときにもそういうことを考慮して計画を立てるとおっしゃっていたと思うのですが、やはり今、残念なことに環境保全型のところをベースにして、富山県はどこでつくっても、環境保全をやっているのだといったことが全然伝わらないような計画だと改めて申し上げておきたいと思うのです。
私は富山県でつくられたものをブランド化する、富山県全体どこでつくっても、そういうところでつくっているのだから、まず安全だ、JGAPを取ってくるのだという姿勢が本当に私は定着していないのではないかと思うのです。現行は、予算の範囲の中でこれぐらいしかないから、取っておけばいいのだというスタイルになってしまっておると私は思うのですね。そこを何とか職員の皆さんや農協の皆さん方がやっぱりそれを変えない限り、いつまでたっても予算が消えれば、あと終わりという態勢ではないのかなと思うのですね。本当に農業、農村の力を発揮し、販売していくためには、そういうことが大事なのだともっと真剣に考えていただきたいなとやっぱり私は思うのです。だから、富山県環境にやさしい農業・適正農業推進協議会などがありますが、もっと前へ行ってほしいなとやっぱり私、改めて言っておきたいと思います。課長どうなのですか。
48 川口農業技術課長 まず、面的な広がりにつきましては、GAPの認証の中で団体認証がそれに近いのかなと思っておりまして、今、JAいみず野で23経営体が1つの団体として組みまして、GAPの認証取得に向けて活動しているという動きがあります。そのように、団体で取得する活動を進めてまいりたいと思っております。
あと、委員からございました「富山県環境にやさしい農業・適正農業推進協議会」でございますけれども、これはご存じのように県内の環境に優しい農業を推進していく大きな母体でございますけれども、夏には先進地視察をしたり、推進方向の協議を行っておりますし、冬には講師を招いてGAPの推進大会を行っているところであります。ただ、やっぱり現場で一番中心になって進めてくれているのは、農林振興センターの普及指導員や、あるいはJAの営農指導員になると思っておりますので、そういった方々の人材の育成につきましても、積極的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
49 中川委員 1つ提案したいのは、例えば環境保全型はやっぱり面だと思うのですよ。753ヘクタールとおっしゃったけれども、やっぱりどのエリアでやっているかを地図上でちゃんと明記すれば、やっとこれだけしかやっていないのかがわかると思うのですよ。そういうものを見せながら、この集計だったら多分遍在性があると思うのですよ。ある市町村は多いけれども、ある市町村は少ないとか。福井の場合は、エコファーマーの件数がなぜあんなに多いのかわかりませんけれども、2万超えていますよ。面積的で言うと多分4,000ヘクタールぐらいが既にそういうことに取り組んでいる県なのですよ。
だから私は、ただ点的な話だけではなくて、やっぱり図上にこのエリアがこれだけやっているのだという、環境保全にこれだけ取り組んでいる、面的なものが何かわかるような取り組みをぜひしていただければ、普及指導員の皆さん方も、こっちではこんなことやっているけれども、こっちは全くやっていないと。こんな状態ではこの生産物は売れないよとはっきり申し上げることができ、非常に生産意欲が湧いてくるのではないかと思いますので、ぜひそれを提案しておきたいと思いますが、課長何かひとつ答えてください。
50 川口農業技術課長 県全体の取り組みについて、とりあえずGAPの認証で言いますと、県の東部、新川地区がかなり熱心に進んでいることがあります。これは、その地域を代表する経営体、生産者の方がGAPを取得されたところから、その波及効果はかなり大きいと思っております。
そういったところが県西部、あるいは県中央部あたりでもできてくれば、先ほどの団体認証と一緒になって、かなり面的な広がりも図れるのかなと思っておりますので、そういったところに特に集中的に振興センターの普及指導員が入りまして、積極的に取り組みを進めていくことは考えてまいりたいと思っております。
51 中川委員 米は本当に競争力がどんどん要る中で、輸出も含めて売っていかなければいけません。エコファーマーとか環境保全型についても、今までは果樹とか野菜系が非常に多かったのですが、最近は米の産地がものすごくそれに取り組み始めていますので、ぜひそういう点も含めてよろしくお願いしたいと思います。
次に今議会、それから昨年度末に種子法が廃止になったことで、この県議会の中でも随分話題にもなりました。この前の本会議で知事から
主要農作物種子法の廃止に伴う、それにかわる条例を早くつくりたいと答弁もあったわけでございます。
そこで、改めて今、県内に5つの種子場があるわけでありますが、その中で富山市でも新保とか日方江で200ヘクタール以上の団地が2つもあるわけであります。そういうことを含めて、改めて本県における種もみの生産農家数や経営面積、出荷量、出荷額についてお聞きしたいと思います。
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野尻農産食品課長 本県、5つの種子場がございますけれども、平成29年産の数字で申し上げますと、本県における種もみの生産農家数は467戸、生産面積は836ヘクタール、出荷量は約4,300トンとなってございます。生産農家数はここ3年で27戸ほど減っておりますが、種子生産面積は横ばいの状況にございまして、一定程度、規模拡大も進んでおるという認識でございます。出荷量約4,300トンのうち、県内の仕向け量が約2,250トン、県外向けが2,060トン──2,000トンを超える程度ですけれども、全国の県間流通量の約6割を本県産が占めていることで、全国一の種もみの出荷県という状況にございます。あと、出荷額でございますけれども、統計データとして公表されているものが実はございませんので、正確なことはわからない部分が多いのですが、出荷量と販売単価などから推定させていただきますと、約20億円程度ではないかと見込んでおります。
53 中川委員 出荷額はキログラム当たり5,000円、7,000円ですが、それはそれで、大体20億円近くの出荷額があると。金よりもやっぱり種子をしっかり生産できる環境の中にあって日本の国民、そしてまた富山県民の食料のもとになる主食の種もみを生産しているところが一番大事なのかなと思っているわけであります。
これまでの答弁を見てみますと、全国一の種もみ出荷県であることを踏まえて、これまでどおり役割を果たしていく。さらに廃止になったことを逆手にとって、受託生産量をさらに拡大していく。種もみの生産性の大幅な向上を図っていくということ、そして、経営規模の拡大や所得の向上、試算では10アール当たり40%から50%拡大できるのだと、すごい意気込みだと思うわけであります。富山の新保地区というのは、県内では2番目に大きい産地でありまして、ウルチが19品種、これは平成28年度ですが、モチが3品種で700トン、約140ヘクタールやっていると。いろいろとまた課題もあるということなのですが、先ほども言いましたが、県では生産する際に、経営規模の拡大もあるのかなとおっしゃいましたけれども、ここの種子場で抱える生産体制についての課題は、どんなものがあると思っておられるのかお聞きしたいと思います。
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野尻農産食品課長 生産体制での主な課題で申し上げますと、ほかの品目などと同様にやはり高齢化が進む中で、種子生産の特殊性と申しますか、やはり高い品質の種もみをつくることで言えば、きちんと異茎株──ばらつきのあるものをきちんと抜き取らなくてはならないことがございます。
抜き取り等を暑い夏を中心に年間6回ぐらいは、ほ場に実地に入って伸び過ぎのものがないか、短いものがないか、実りの色の変なものがないかといったことで、疑わしきものは全て抜き取ることを行っていただいておるわけでございますけれども、労力負担が大きい特徴がございますので、そういったことが種もみ生産農家数の減少につながっているのかなと1つ課題として認識しております。
あるいは今後、今ほども委員から御紹介がありましたけれども、民間等によって育成品種の供給がこれから高まってくることも予想されます。やはり種子場の若手の農家さんの声などを聞きますと、生産性をもっともっと上げていかなくてはいけないということもおっしゃっておられますので、そのことが、もう1つの課題として挙げられると思っております。生産性を上げていくことで、若い担い手の皆さんにも魅力的な仕事に見ていただけるように取り組むことが重要ではないかなと考えております。
55 中川委員 それで、今ちょっと新保地区のことを言いましたが、JA富山市の武川直樹さんが、今後の課題を投稿しておられたのです。1つは今課長が言ったように、要するに販売価格は若干、主食米よりも高いのですけれども、今やっぱり工程、手間が非常にかかるのだということから、最近は敬遠されて、種もみの農家が減ってきていると。これはやっぱり機械化ができない作業、手作業による労働時間の増加が非常に圧迫をしていて、むしろ種もみから今度は主食米に変える者も出てきていると。この解決策を何とかしないと、とてもじゃないけれどもできないということが1つあります。
それから、今、主食米も非常に品種が多くなってきています。
飼料用米とか、今までコシヒカリ一辺倒であったものが
飼料用米が増えたり、それからまた新品種の増加などによって、大変多くの品種をつくっていかなければいけないということなのですね。そういう状況でもやっぱり2種類ぐらいしか1農家でつくれないとか、まざると大変なことになるということで、専業の中でどうやっていくかと。専業が多いのだけれども、やっぱり高齢化があって、今現在でもこの団地では平均年齢63歳、50歳未満が1割で、本当に後継者をどうすればいいか真剣に考えなければいけないと言っておられるわけであります。
やっぱり今、世代交代をしたときに、どうやったらいいか研修を積み重ねているのだけれども、そういうところを何か手助けしてもらいたいのだと述べておられます。だから、半端ない意気込みで頑張るのはいいのだけれども、具体的に、5つの団地が本当にどうなっておるか、課題をまず分析してしっかり対応していかなければ、とてもじゃないけれども私は簡単に、ただやれやれと言っていてもできない課題があるのだろうと思います。改めて、その課題を整理していただいて前へ進んでもらいたいと思いますが、そのことについてどうでしょうか。
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野尻農産食品課長 種子場農協さんの実態、生産者の皆さんの実態も含めて、いろいろ毎年検討会等を開いたりして意見交換をする場面がございます。そういったところで御意見を聞くということですけれども、具体的に直近のお話を少しさせていただきますと、種子生産はやはり伝統的な、あるいは高度な技術が必要だということもあって、要は個別完結型の農家の方々が持っていらっしゃる、きちんとした確かな技術をなくしてはいけないということだと思うので、主力作業を担い手に集約しつつも、高い技術をお持ちの方にうまく、高い技術を伝承していただく仕掛けも要るのかなということでございますので、種子場農協さんはいろいろ知恵を出しておられますが、そういったところに私どもも入っていって、きちんと相談に乗っていきたいと思っております。
なるべく多品種にするというお話もございましたけれども、1戸の農家で余り数を多く持つと、やはり作業がかなり大変になりますので、複数の農家で分担して、あるいは面積を固めて管理しやすいようにしていくだとか、種子の生産計画をきちんとつくっていただくといったことが、大変肝要かなと思っておりますので、ソフト面での支援についても進めてまいりたいと考えております。
57 中川委員 行政とか、部会とか農家、農協が本当に一体となる体制をぜひつくっていただきたいと思います。
種子法が廃止になったことは、本当に私自身もなんて残念なことだなと思っているのですが、先ほども申し上げましたように、知事は県条例を早期につくりたいとおっしゃったわけであります。県条例をつくる意義は改めてどこにあるのかお聞きしておきたいと思います。
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野尻農産食品課長 今ほどお話がありましたように種子法につきましては、平成29年度限りで廃止されましたけれども、県といたしましては種子法の廃止後にあっても、高品質な種子の安定生産に向けて、原種等の生産でありますとか生産物の審査、それから農業者さんへの指導といったこと、県としての役割をきちんと果たしていくことにさせていただいております。
こういったことから、さきの代表質問において知事からもお答えしておりますけれども、このたび県条例を制定することにしたところでございます。県条例の意義と申しますか、県条例につきましては先ほど来申し上げております、全国一の種もみ出荷県でございます本県で生産される種子の品質を高めていくといったこと、県も生産者も含めてそういった姿勢をアピールし、その評価を一層高めていくといった効果も期待できると。それからもう1点は、県内の農家の皆さんにも将来にわたって、安心して種子を生産していただくことにつながるといった意義があるのではないかと考えてございます。
59 中川委員 そのような考えのもとでつくられるということでございますので、ぜひそれを忘れないでやっていただきたいなと思います。先ほども言いましたように、本当に日本一いい種もみをつくって、出荷してきました。これまで非常に涙ぐましい努力、あるいは研究成果、営農技術の継承とか、いろんなことをやってきたと思うのですね。そういう生産する現場を仮にも民間の主体に譲ってしまう、あるいは取られてしまうことになれば、今まで何をやってきたのかわからないということになると思うのですね。そして今まで富山県から種もみを買っていた皆さんが、民間でつくられた、あるいはほかの種子場でつくられたものが安いからと、そちらに動いてしまうと、この産地が潰れてしまうわけであります。そういうことがないようにやっぱり種子、要するに米だけではなくて麦も大豆もありますが、これまで日本中全部を引っ張ってきた流れをやっぱり本県が、今ほどの意義の中にもありましたように、品質を上げるんだということも含めて、取り組みがちゃんとできるような、気持ちが伝わるような、そういう条例をつくってもらいたいなと思うのですね。
それからまた、例えば生産体制をどうするか、あるいは出荷量を増やすためにどのようなことをやるか、これは種子場だけに任せていくのではなくて、先ほどもおっしゃったように何種類もあれば、どうやって配分しながら効率よくつくっていくかというところまでも、やっぱり指導しながらお互いにやっていくことが大事ではないのかなと思うのです。そういうことを考えると、やはり1つの計画を毎年つくって、それを実現できるような姿勢を示していくことも大事だし、それから今、お金については交付税が措置されるということですが、そうではなくて、やはりほかの作物と違うので、予算措置等についても、しっかり県が面倒を見ていくと、訴えることが非常に大事ではないのかなと思います。そういうことも含めて、先ほども
ロボットの話がありましたが、手間のかかるところについては大いに機械化、人工知能を使うとか、いろんな分析ができますので、そういうやり方も研究していくとか、体制をつくらなければ、私はやっぱり民間資本の皆さん方に負けてしまうのではないかなと大変危惧しているわけであります。
ぜひそういうことにならないような条例をつくっていただきたいなと思っています。多分、9月か12月ぐらいに条例案が出てくるのではないのかなと思いますが、何回も言いますが本当に生産農家の皆さん方、部会なども含めて話し合いを十分していただいて、負けない団地にしていただくような条例をつくっていただくことをお願いしたいと思います。
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野尻農産食品課長 今ほどもありました条例の具体的な内容を決めるに当たりましては、いろいろな皆様方の御意見を大切にしていく観点から、今後、県議会を初めJAや
主要農作物種子協会、種子生産者の皆様方の御意見等も頂戴しながら、精力的に検討を進めさせていただきたいと思っております。現時点では、条例案の具体的な内容について申し上げる段階にはございませんけれども、例えば県がほ場や生産物の審査を行うことでございますとか、これまで培ってきた、富山の種なら心配要らないという評価、全国的な評価を確実なものにしていかなければならない、そういう意味で高品質な原種の供給については、やはり種子法に盛り込まれていたことを基本として、検討していくことになるだろうと思っております。
今ほど委員からも具体的におっしゃっていただきましたけれども、やはり法令的なテクニックでどのように変えていくかということもございますので、全て条例に盛り込むのは難しいかもしれませんが、今ほど力強くおっしゃっていただいたことを私どもも肝に銘じて、内容を盛り込んでいけるように努力させていただきたいと思いますし、今のお話も大いに参考にさせていただきたいと考えております。
61 中川委員 余り難しいことを先に考えるとできないわけでありますので、やっぱり皆さん方が本当に種子場を守らなければならないという立場を、鮮明にするのが条例なので、それは言葉やいろんなことがあって、言うなれば難しい面もあるかもわかりませんが、しっかりとした条例をぜひつくってもらいたいなと。さすが富山は半端ないと言われるような種子場を、部長みずから先頭になってやっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
62 四方委員 実は先週の22日に氷見の富山県栽培漁業センターへ行ってきました。私ども自民党の会派の中で富山湾未来創造調査会をつくっております。これは立山・黒部という大きな柱を持っている富山県としては、不思議の海、神秘の海、あるいは豊穣の海とも言われ、そして「世界で最も美しい湾クラブ」にも加盟した富山湾をさまざまな角度で、例えば水産資源や観光資源、鉱物資源からもう1つの柱立てにならないかということで、今政策を勉強しているところでございまして、その中で氷見の定置網と、栽培漁業センターを見てきました。
きょうは通告しておりませんので、これについては詳しくは申し上げませんが、久しぶりに現地へ行きまして、大分老朽化したなという印象を持っております。まだまだ対策について具体的なものがないから、あえて質問はしませんが、ただ印象的に思ったのは、そこに従事しておられる技術者の皆さん方が、本当に真剣なまなざしでお話しくださったということです。クロダイの小さいものを大きく育てていくのは、すごい技術なのですよね。本当によくやっているなという印象を持ちましたので、何か機会がありましたら、また部長なり課長から激励をしていただきたいなと思っております。
余り時間がないので通告したものについて質問していきます。ブリというのは、11月から1月ごろまでが最盛期で、また一番おいしい時期であります。それが去年は、とにかく氷見はよくとれたのかなと思いますけれども、新湊あたりは、ほとんどとれなかった状況なのです。
ただ、魚がとれるとかとれないというのが、その年によって変わるのはいろいろ県なり国が調査しておっても、囲まれたエリアだけ調査すればいいというものではないから、なかなかこれは調査そのものは難しいわけでありまして、そのことはよく承知しておるわけです。ただ、漁業者あたりから言わせると、大分前から言われていたのは、まき網漁業と定置網漁業のある意味での戦いといいますか、まき網漁業は魚のところへ行って、一網打尽にしてくる漁法ですから、せっかく回遊してくる本来ならば富山湾へ入ってくるブリを、その先にとってしまうことになりますと今のようなことになるのではないかということで、特にこれは現地確認しているわけではないのですが、上越沖から佐渡にかけての海域で、まき網漁業で相当漁をしているのではないかとの話がございます。
平成二十四、五年でしたか、国の水産庁が、まき網漁業と定置網漁業の調整をしなければいけないということで、何回か議論をしてきているのだと思いますが、実態は余り効果がなかったのではないかと思っています。
そこで、いろいろ話はしておるわけですけれども、これについて確たる答えはなかなか出ないと思います。ブリそのものにタグをつけたり、いろいろな調査を既に県も国もやっていると聞いておりますが、何とか富山県がブリというブランドをしっかりと育ててきた立場からいくと、自分のところで魚がとれないのは本当に寂しい限りでありますし、また、それこそ本当に生活に影響する問題でございますので、ぜひとも力強い対応策を講じて、この問題を何とか乗り越えていかなければならないのかなと思っておりますが、水産漁港課長から御所見を伺いたいと思います。
63 長田水産漁港課長 ブリ漁を巡りましては、今、委員がおっしゃられましたように、
定置網漁業者から本県よりも北側の海域、新潟県から秋田県沖の北部日本海におきまして、まき網漁業者が先取りすることにより、富山湾への来遊量が減少しているのではないかという主張がなされてきました。
このため県では国に対しまして、日本海のブリ資源に関して
定置網漁業者とまき網漁業者との調整を図るための、国主導による協議組織の設置を要望してまいりました。これを受けて平成25年度に水産庁の指導により、日本海北部及び中部海域におけるブリ類の漁獲に関する大型まき網漁業と定置網漁業による意見交換会が設置され、以降、毎年開催されているところでございます。これまでの意見交換会ではブリ資源の状況ですとか、まき網、定置網双方の操業の状況などについて協議が行われてきました。
現在はブリの回遊経路を調査するということで、国と本県が協力して新潟県から北海道沿岸におきまして、電子タグ等を用いた標識放流調査を実施しているところであります。水産庁におきましてはこうした科学的知見を積み重ねることによりまして、まき網、定置網双方で情報を共有し、それを踏まえて互いに話し合っていく必要があるとされております。
県としましては、去る6月6日の国への重要要望におきましても、国主導のもと、この意見交換会を継続して開催することですとか、ブリの回遊等の調査研究の推進と研究連携の継続について要望したところでありまして、今後とも国に働きかけてまいりたいと考えております。
64 四方委員 なかなか答えの出ない話だと思いますけれども、大体両者は何を協議するのかな。全然進展がないことはちょっと残念だなと思っております。
ここでどれだけ言っていてもしようがない。今、科学的知見を積み重ねてということであります。それはまき網が上越沖とか、あるいは佐渡近くでとっているところをちゃんと証拠写真を撮ってくる、そういう作業も必要なのかどうかわかりませんが、それも難しいことだろうと思いますので、これもできるだけスピーディーにといっても、放した魚が戻ってきて、それを捕らえないと、データが出ないわけだから、これもちょっと時間のかかる話だと思いますが、しかし、息長くしっかりと具体的な対策を立てていただきたいと思っております。
次に、たまたま氷見へ行ったときも話を聞きましたし、新湊の漁協からも聞いたのですが、どうしても漁業の廃棄物があるということで、おもりにしているのだか、その中で鉛の廃棄物もあって、そういった廃棄物を処理する施設というのは、どうも近県にはなく、愛知県まで行かなければ処理ができなくて、相当金もかかるという話であります。これについていろいろ話を既に聞き、対応策もないと聞いておるけれども、ないのも困るので、これから考えるという程度でもいいので、少しお考えを聞かせていただきたいと思います。
65 長田水産漁港課長 県内の漁業者に確認しましたところ、委員御指摘のとおり漁業系の廃棄物のうち漁網については、ロープの中におもりとしての鉛が編み込まれておりまして、廃棄物処理の際にその鉛を選別することが技術的に難しいことから、北陸3県には処理できる施設がなく、愛知県まで運搬して処理しているということでありました。
漁業に伴う廃棄物は、事業者たる漁業者がみずからの責任において処理すべきものであり、処理施設が離れている現状におきましても、廃棄する漁業者におきまして処理業者に委託し、適正に処理すべきものではございますけれども、運搬費などのコストもかかるということもあります。漁業者の方も大変困っていると聞いております。
また、資源のリサイクルのため、漁網を繊維と鉛に分離する技術の開発などに取り組まれている民間事業者もあると聞いておりまして、今後そうした状況も調べるとともに、県内漁業者から漁網廃棄の頻度ですとか費用などの実態もお聞きしまして、実態や他県の状況なども踏まえながら、県としてどのような対応ができるのか、また研究してまいりたいと考えております。
66 四方委員 昔はわら縄か何かで網をつくっていたから、仮に網としての機能がなくなっても、自然に海の中の逆に藻場みたいな、魚の餌を生むようなところにもなっていったのですが、今は大体化学製品を使ったものでやっているから、それも海に残ると大変なことになるわけです。ですから、どうしても揚げていかなければならないということだと思います。
自分たちでやっていることについては責任を持って処分しろということもわからないわけではないけれども、余りにも高額になったり、どんどん魚がとれている調子のいいときなら、それもいたし方ないかなと思いますけれども、こう不況になると大変なので、今おっしゃったように実態をよく把握していただいて、将来的に何かそういうものも利用できるようなことを考えている──リサイクルの時代ですから、逆にマイナスをプラスにすることも考えていっていただければありがたいと思っております。これはこれで結構でございます。
最後の質問になりますが、これまた皆さん聞かれると、おもしろい話だと思われると思いますが、定置網の囲ったところに本来はやってきてはいけない遊漁者がレジャーボートなどで来て、定置網の中にさおを突っ込んで魚を釣るという、これはとんでもない不届き千万と、言ってみれば人の財布の中へ手を突っ込んだような話でありました。こういうことが実際に起っているのだと。
これもなかなか取り締まりが大変なのだという話ですが、魚の1匹や2匹とられても別にやむを得ない場合もあるのですが、一番困るのは、そのときにちゃんとうまく魚だけを釣っていかないで、下手をして網に引っかけて針を残していくのですよ。そうすると漁業者が実際に作業していくときに、その針でけがをしているケースが結構あるのです。
これも大変困ったことなので、この対策はしっかりやらなければならないと思っておりますけれども、これもなかなかたくさんおって、いつの間にやっているかわからないもので、対策が難しいと思いますけれども、やっぱり人命にかかわることですから、何か具体的な方策を打ち出していかなければならないと思っていますが、いかがでしょうか。
67 長田水産漁港課長 県では遊漁者にルールとマナーを守ってもらうため、漁業取締船つるぎを用いた海上取り締まりを実施しておりまして、昨年度は遊漁者が多くなる休日における取り締まりをふやしまして、計123回実施したところでございます。具体的には遊漁者に禁止されている曳き釣り──トローリングを行うプレジャーボートですとか、委員がおっしゃられましたように定置網にプレジャーボートを係留して、釣りを行っていることを確認した場合には、現場において厳重な注意や指導を行いますとともに、より悪質なプレジャーボートに対しては、海上保安庁と連携して取り組んでいるところでございます。
また、昨年度からは、網内の魚を釣る行為は絶対にやめてくださいとか、漁網に残った釣り針で漁業者が負傷しますので、定置網に接近しての釣りはやめてくださいということなどを、イラストとともにわかりやすく記載したチラシを新たに作成しまして、県内のマリーナ等に配布し、遊漁者に対する注意喚起を行っているところでございます。
今後とも法令遵守を徹底するとともに、関係機関等と連携しましてマナー等の普及啓発を行い、遊漁者がルールを守り、漁業者とともに安心して富山湾の恵みを享受できるよう努めてまいりたいと考えております。
68 四方委員 大体話はわかるのですが、おかしいのではないかと。注意でいいのかという話だ。やっぱりこれはさっき言ったように、自分はちゃんと定置網の営業権の中で、時間をかけて体を使って費用も投資してやっている。そこへ針糸を突っ込むということは法令違反になると、処罰の対象になるのではないかなという気がするのだけれども、そうするとやっぱり海上保安庁の出番なのかなと思います。きちっとたまに摘発してやらないと。それはどれだけペーパーでルールとマナーを守りなさいと言っても、この間も実は今議会中に、私ども自民党はよく勉強会があり、釣り人が港湾施設で釣りをさせてほしいという話を聞いたときに、釣り人はすごく魚に対する執着心が強いのか、柵であろうと何であろうと、どこからでもよじ登って、むしろどうしてそこへ行ったのかわからないくらいに、とんでもないアクションを起こすようでありますから、そんな簡単なことでは、なかなかルールとマナーといっても守らないのではないかなと心配しておるので、ちょっと集中取り締まり月間ぐらいのことを書いて、やっぱりこれはやったら処罰するぞという、注意じゃなくて警告をしながら、よほど悪質な人はちゃんと1回捕まえるくらいの迫力がないと、この問題は解決しないのではないかなと思います。
69 長田水産漁港課長 委員がおっしゃられましたように網内の魚を釣る場合は、これはやっぱり窃盗罪に問われる場合もありますので、海上保安庁と協力して強力に処罰するように、また取り組んでいきたいと思います。引き続き、繰り返しになりますが、マナーの普及啓発等もしっかり行いながら、みんなが気持ちよく釣りなどができるように取り組んでまいりたいと考えております。
70 四方委員 確かに富山湾という1つの大きな舞台は、漁業者だけのものでなくて県民のものである、そういう流れもあるわけですから、おっしゃるようにルールとマナーをしっかり守っていくことは大事だと思いますし、また、まさに先ほど冒頭で申し上げたとおり、富山湾は我々の大きな財産でありますから、この富山湾をどう生かしていくかによって、やっぱり将来の富山県の浮沈にもかかわる問題でもあろうかとも思っております。どうか、そういった問題だと認識することも含めて御活躍を御期待申し上げて、質問を終わります。
71
瘧師委員長 ほかにありませんか。──ないようでありますので、これをもって質疑、質問を終わります。
5 行政視察について
72
瘧師委員長 次に、閉会中の
継続審査事件の調査のための行政視察について議題といたします。
県内行政視察については、必要に応じて機動的に実施していきたいと考えており、その実施に当たっての日程調整等については委員長に御一任願いたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
73
瘧師委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で、付議事項についての審査を終わります。
この際、ほかに何か御意見等はありませんか。──ないようでありますので、これをもって委員会を閉会いたします。
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