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平成29年農林水産委員会 開催日: 2017-11-22

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  1. 富山県議会 2017-11-22
    平成29年農林水産委員会 開催日: 2017-11-22


    取得元: 富山県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  1 閉会中継続審査事件について   (1) 説明事項    芝田農林水産部長    ・11月定例会付議予定案件について   (2) 質疑・応答 瘧師委員長 11月定例会付議予定案件の内容については、定例会の付託委員会で十分に審査をお願いすることになりますが、今ほどの説明において、計数等に特に御不審の点がありましたら御発言願います。──ないようでありますので、以上で11月定例会付議予定案件の説明を終わります。   (3) 報告事項    飛世農林水産企画課長    ・台風21号による農林水産業関係の被害と対応状況等     について    大島市場戦略推進班長    ・県産農林水産物等の輸出促進に関する取組みについ     て    ・富山米新品種「富富富」に関する取組みについて    山岸畜産振興班長    ・高病原性鳥インフルエンザに関する防疫演習の実施     結果について    野尻農産食品課長    ・平成29年産米の品質・作柄の状況について   (4) 質疑・応答
       岡崎委員    ・小型クロマグロ対策について    ・「富富富」の販売について    吉田委員    ・新たな森林管理システム森林バンク(仮称))に     ついて    ・水産業の振興について    ・収入保険制度について    奥野委員    ・東京オリンピック・パラリンピックの食材調達基準     について    四方委員    ・一等米比率向上について    ・水産業の振興について 2 瘧師委員長 報告事項に関する質疑及び所管行政一般についての質問に入ります。  質疑・質問はありませんか。 3 岡崎委員 台風21号による大きな被害に、早期に対応されたことに敬意を表したいと思っています。  地元の定置網漁業者に聞くと、台風21号により定置網は全損に近かったということで、ブリどころの騒ぎでない、大変な被害だったと思っています。  第1問目は、小型クロマグロ漁獲量規制についてお伺いします。  我が国への割り当てが4,007トンであったのが、結果的に今期は3,400トン余りまでに減少し、スタートしたわけですが、各共同事業者に規制を守るようにトン数を割り振っていたのに、守られていなかったと聞いております。  北海道で割り当てをとんでもなく超えた漁獲があり、道庁あるいは水産庁は、そういった情報が入った時点で、やめるように何らかの措置をする決断をすべきだったのに、どうもうまくいかなかったようであります。  それを受けて、今話し合いがされていますが、とった者勝ちのようになり、また規制が強化されるとも聞いており、現状はどのようになっているのか、また今後、どういう対応になっていくのか、津田課長にお伺いしたいと思います。 4 津田水産漁港課長 水産庁によると、今回の北海道における小型クロマグロの漁獲量の超過については、7月から第3管理期間が始まっていますが、開始早々の7月初旬に、北海道の南かやべ漁協管内の定置網で、道の定置網の配分枠を超える漁獲があり、北海道庁、水産庁において、再放流や休漁等の指導を行っていたにもかかわらず、さらに、9月28日から10月2日までの5日間で、同じ漁協の4つの漁業者が約356トンを漁獲したということです。  一部の報道によれば、今月15日に開催されました太平洋広域漁業調整委員会の場で、北海道漁連の会長と同じく枠を超過している岩手県漁連の会長が、謝罪と今後の管理徹底を約束したということであり、水産庁長官からは指導力不足を痛感しているとの発言があったと聞いております。 5 岡崎委員 結論からすると、また規制強化されるということですか。 6 津田水産漁港課長 今回のことを受けてではないですが、これまで法律に基づかない自主的な取り組みであったものが、来年7月から始まる第4管理期間からは、法に基づくTAC制度が導入されます。それによると、法でしっかり制限して、違反者からは罰金をとることになり、規制は強化されます。 7 岡崎委員 これからブリ漁の最盛期に入りますが、本県の枠はどのようになっていくのですか。 8 津田水産漁港課長 今回の共同管理枠の大幅な超過を受けて、水産庁は、自県の枠を超過した3つの道と県に対して、網の解放や臨時休漁を含め、あらゆる漁獲回避の実施を要請しております。  一方、本県を含む自県枠を超過していない県に対しては、ほかの魚種の操業に影響を与えないよう配慮しつつ、クロマグロの漁獲は真にやむを得ない漁獲のみにするよう求められております。今月中旬に本県で開催された漁業者説明会の際にも、水産庁の担当者から、重要魚種の漁獲に影響のない範囲で、混獲が多い時期における休漁や網の解放等による放流に取り組むよう説明がありました。  これを受けて、漁業者の中には、ブリやホタルイカの漁獲に影響が出ないよう、可能な限り小型クロマグロの漁獲の抑制に努めようという機運が醸成されております。また水産庁からは、12月末で第3管理期間が終了する大中型まき網での600トンの残枠を今回の超過に充てる考えが示されております。  こうしたことから、現時点では直ちに休漁が必要となる状況ではないと考えておりますが、小型クロマグロは、一旦大量の来遊があると数日間継続するという特徴がありますので、漁業者と連絡を密にして、漁業者にも協力いただきながら、第3管理期間におけるブリ漁等への影響が極力生じないよう取り組んでまいりたいと思っております。 9 岡崎委員 漁業者との連絡が密にされており、漁業者の皆さんも状況をよく理解され、引き続き規制に取り組まなくてはならないと思っておられることがわかりました。  小型クロマグロが大量に回遊してくるということですが、そういう事例が冬季にあったのですか。 10 津田水産漁港課長 第2管理期間は、富山県は全体で30トンぐらいオーバーしましたが、毎日の漁獲量を追ってみると、一旦来遊すると、それが四、五日間続き、しばらくなくなり、また一旦来遊すると、四、五日間続くという状況でした。  先ほどの北海道でも大量の漁獲があった時に、道庁にすぐに伝えて、水産庁に伝えるという連絡体制がしっかりとれておれば、350トンもオーバーする事態にはならなかったのではないかと思っております。 11 岡崎委員 仮に大量に来たことを察知したときには、網を閉めるとか、今の時点で何らかの対応を考えておられますか。 12 津田水産漁港課長 昨年は、枠を超えそうな事態になったときに、各漁協を回り、漁業者と対応について協議しました。ある漁協では、漁獲が何トン以上あり、それが2日間続いた場合、その後網を揚げるのをやめようといった取り決めを漁業者の間でされたということです。  漁獲の状況によって、何トンで何日間というのは異なり、第3管理期間に、そういう事態になった場合には、網揚げ等をどうするのか、漁業者の方と十分話し合っていきたいと思っています。 13 岡崎委員 漁業者と情報のやりとりをして、しっかりと管理していただきたいと思っています。  次に「富富富」ですが、「富富富」を食べた私の感想を率直に申し上げると、300グラムの無洗米はそれほどうまいとは思いませんでしたが、きのう、無洗米ではない2キロのほうを2合、電気釜で炊いて食べましたが、おいしかったです。  多くの一般消費者が感想を述べておられるように、甘みが先に来るということで、爽やかな甘みといった感じが非常によかったです。自分の好みで少しかために炊いたこともありましたが、非常においしく、米だけでいけると思いました。  ただ、新米のコシヒカリも、ガス釜で炊くと非常にうまいです。「富富富」はコシヒカリの性格を持ちながら、暑さにも非常に強い、肥料も余りやらなくてもいい、すぐれた品種ですが、やはりコシヒカリの延長なので、特色を出していくことが重要であると思います。大島班長も言っておられたとおり、売っていくときには、いい受け入れ先がどこにあるのかなど、特長を引き出すことが、私は大事だと思っています。  「富富富」はいろいろなところで販売されており、売れ行き状況は、非常に順調だとお聞きしましたが、一般消費者が買える在庫は、まだありますか。 14 大島市場戦略推進班長 今年度の「富富富」の生産量が約37トンと非常に限られている中、そのうちの半分の19トンを販売用に、18トンをPR・求評用に使用しているところです。  先ほどの報告事項でも説明しましたが、各種イベント等での試食や限定販売で、たくさんの方に買っていただいているところですが、一般の方々に買っていただける分はまだあると認識しております。 15 岡崎委員 一般消費者にもっと広く食べてもらって、この「富富富」がおいしい米だと認識していただければいいと思います。今、アドバイザーなどに食べてもらい、評価していただいていると思いますが、家庭で炊いてもおいしいと感じていただけるように、プロの人たちにアドバイスをしてもらえばいいと思います。一般の消費者の皆さんが食べた声をお聞きになっておられますか。 16 大島市場戦略推進班長 まず、炊き方ですが、米穀店などの専門家の方々から、炊飯器や炊き方の違いで、食感や食味が異なるという意見もいただいており、消費者の方にも、電気炊飯器ガス炊飯器、圧力釜など、炊飯器の違いで炊き上がり方がどう違うのか、きめ細かく紹介しながら、おいしい炊き方をしっかりと周知できればと考えております。  それから、一般消費者に試食していただき、約1,100件のアンケートが回収されているところです。この後も一般の方々の試食後のアンケートとか、あとは専門家の方々の食味の評価が来るわけであります。  一般の方々の評価とすれば、やはり先ほど委員がおっしゃったように、甘みの面で日常食べている米よりもまさるという意見は聞いております。日常食べている米は何かという問いについては、大半が富山県産コシヒカリと記載されております。 17 岡崎委員 私も家族に食べてもらって、感想を求めましたが、やはり甘いという答えがすぐ返ってきて、これが強みだと思いました。  それと、炊き方も大事だと思います。やはり「富富富」がいいのだと思いますが、うちの10年以上使っている、特殊な釜でもない普通の電気釜でも、十分おいしく炊けます。  インターネットを見ていても、甘いということで評価も高いです。ことしは試食段階ですが、来年本格化していくときには、一般消費者にこんなふうにしたらおいしく炊けます、ということを発信していただければと思います。  最後ですが、しっかりいろいろな面から販売戦略はやっておられると思いますが、今は、コシヒカリとの比較評価になっているように思います。来年本格販売になると、新潟の新之助、石川のひゃくまん穀、福井のいちほまれが先行して本格販売になっているわけで、価格もさまざまだと感じています。  とやま食のフェスタなどで売っていたときは、2キロ1,500円という価格で、1袋30キロに換算したら約2万2,500円にもなり、相当高いと思いました。恐らくそんなに高く売るつもりはないと思うのですが、そういう価格設定についても、レストランで聞いていると、「富富富」を食べてみておいしかったが、店で使うときは、やはり価格がどうしても気になるところだとおっしゃっていました。  新品種ラッシュで、ほかの品種との競争がありますので、業者の意見も参考に、どの辺を目標にして価格設定していくのか、お聞かせください。 18 大島市場戦略推進班長 今回は、「富富富」を税込みで2キロ1,500円、それから300グラムの無洗米の真空包装を500円で販売させていただいたところです。  福井県の新品種のいちほまれは2キロ1,275円、特別栽培米ですと1,545円で売られております。新潟の新之助は、量販店では2キロ入り1,350円ぐらいで売られておりますし、百貨店では1,620円ぐらいで売られている状況でした。また、県内のJAの直売所でコシヒカリの価格を見ると、2キロで1,100円から2,000円近いものまでと幅があり、そういった直売価格等あるいは県外の価格等を参考に、今回は決めさせていただいたところです。  「富富富」につきましては、将来的にブランディングということで、1つは、消費者と生産者の双方にメリットのあるプレミアム感を出していくこと、もう1つは、富山米を代表するブランドとして、コシヒカリを上回る価格帯での流通・販売を構築できるように、積極的なPRに努めて認知度を高めていきたいと思っており、平成30年産の「富富富」は、今年度の他県産の新品種等の販売状況や米価の動向等を考慮して、消費者、それから生産者に納得いただける価格帯で流通するように努めてまいりたいと思っております。 19 岡崎委員 生産者が意欲を持って取り組んでいくことが大事ですので、コシヒカリより高く売れることを期待しています。  ことしの作付の出来高の報告がありましたが、当たり前かもしれませんが、他の米の品種から1,000ヘクタール分をとってくることになり、農業従事者の皆さんがその判断をすることになります。  先ほどの品種以外に、JAが指導して、ローソンやセブンイレブンに売ることが確定している事業者もあると思いますが、「富富富」が元気に出発できるように、応援していきたいと思っています。 20 吉田委員 初めに、新たな森林管理システム森林バンク(仮称)についてお伺いします。  森林所有者の意欲が低く、放置された杉、ヒノキなどの管理を市町村が一旦委託を受けて、意欲のある林業経営者に再委託する森林バンク(仮称)の創設を、林野庁が検討しているということです。  国の森林面積は、国土の約3分の2の2,500万ヘクタールであり、そのうち1,000万ヘクタールが人工林で、戦後植林した人工林の半分以上が伐採期を迎えているものの、木材価格の低迷や後継者不足により、多くが放置されている状態であるということです。  国内の林家の8割以上は、保有山林面積が10ヘクタール未満の小規模零細林家で占められ、その大部分が農業経営の意欲を失ってしまっていて、手入れ不足の人工林の増加が、集中豪雨のときの流木被害の拡大の一因となっているという指摘もあるわけですが、本県の人工林の現状と課題について伺います。 21 佐藤森林政策課長 県内の森林面積は、県土の約3分の2の28万5,000ヘクタールを占めており、民有林はそのうち17万9,000ヘクタール、さらにそのうち5万1,000ヘクタールが杉を中心とした人工林となっております。現在、その約8割が林齢40年生以上と成熟しており、木材としての本格的な利用が可能となっています。  しかしながら、今ほど委員から御指摘がありましたように、長引く木材価格の低迷に伴い、森林所有者経営意欲が低いこと、また県内の林家の約9割以上が保有山林面積10ヘクタール未満の小規模な所有形態であること、さらに森林所有者の世代交代や不在村地主の増加等により、森林境界の不明確なところが増加していることから、森林整備や県産材の安定供給を進める上で、これらを克服することが課題と考えております。  このため県では、1つ目として、間伐等の森林整備計画のある人工林を対象に境界の明確化、2つ目として、小規模に分散した森林を取りまとめる施業の集約化、3つ目として、高性能林業機械の導入や林内路網の整備等による間伐等の森林整備の省力化及び生産コストの低減、そして4つ目として、それらを担う人づくりということで、富山県林業カレッジにおいて、高性能林業機械のオペレーターや作業道の開設技術者などの低コスト生産を担う人材の育成に取り組み、本県林業成長産業化の実現を目指しているところです。 22 吉田委員 4点言われましたが、人工林の境界の明確化は、特に難しい課題でないかと思います。今いろいろな地籍調査をされていますが、前になかなか進まない現状があると思います。境界の明確化にどのように取り組んでいかれますか。 23 佐藤森林政策課長 現在県内で間伐等の森林整備計画を持つ、約7,100ヘクタールある人工林を対象にして、登記までに至らなくても各個人の地境がわかるように、さらに、一人一人の地境まではわからなくても、集団で土地の周囲の境界を確認にして地境を定めるように進めているところです。 24 吉田委員 人工林の荒廃や林業の衰退を食いとめるには、今後、意欲のある林業経営者に放置林を集めて、林業を成長産業化していく仕組みが必要であり、早急に対応していかないと手おくれになってしまうと思います。  先行の農地バンク制度は、耕作放棄地などを所有者から借り入れて集約して、大規模農家や法人に貸し出す制度ですが、利用実績は順調とは言いがたく、そういった経験と課題を森林バンク(仮称)制度の創設、運用に生かすことが必要かと思います。  そこで、本県農地バンク制度利用実績の推移はどうなのか、減少しているのであれば何が原因なのか、それを森林バンク(仮称)制度の創設、運用にどのように生かしていくのかをお伺いします。 25 佐藤森林政策課長 先行している農地中間管理機構、いわゆる農地バンク制度利用実績の推移は、全国の機構を通じて、新たに担い手に貸し付けられた農地は、制度発足時の平成26年度が7,349ヘクタール、平成27年度は2万6,715ヘクタールと伸びましたが、平成28年度は1万9,277ヘクタールと約3割減少しているところです。  一方、本県の機構の利用実績は、新たに担い手に貸し付けられた農地が平成26年度は597ヘクタール、平成27年度は662ヘクタール、平成28年度は572ヘクタールと、ほぼ横ばいとなっています。これらを合計すると1,831ヘクタールで、この3年間における年間集積目標である2,330ヘクタールに対する機構の寄与度は26%と、全国4位の実績となりまして、一定の成果が上がっているところです。  農地バンク制度利用実績を伸ばすための課題としては、1つには、中山間地域や分散錯圃といった条件不利地では、農地の出し手と受け手のマッチングがうまくいかないため、基盤整備や集約化など営農条件の改善が必要なこと、2つには、農地の出し手・受け手の積極的な掘り起こしのため、マンパワーの確保など市町村段階での推進体制を強化することなどが考えられています。  一方、現在、国において検討されている新たな森林管理システム、委員からは森林バンク(仮称)と言われましたが、これについては全国的に、森林所有者みずからによる森林整備が困難になっている事例が増加しているため、まず第1に森林所有者の管理の責任を明確化し、2つ目に、森林所有者みずからが管理できない場合に、市町村が森林管理の委託を受けて、意欲と能力のある林業経営者に再委託することをうたっています。  そして3つ目として、地形やアクセスが悪いといった自然条件から、経済ベース森林管理を行うことが困難であるといった理由で、再委託の条件が調わない場合は、市町村が管理するというスキームで検討されています。  県としましても、林業の成長産業化の実現と森林の適切な管理のため、森林の管理、経営を意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化することが重要であると考えています。新たな森林管理システムの構築に向けた国の検討状況に注視しながら、このシステムの運用の主体である市町村とも十分連携して、効果的な運用が図られるよう適切に対応してまいりたいと考えています。 26 吉田委員 いずれにしましても、市町村の責任が重くなっていく状況ですが、これは森林バンク(仮称)ばかりでなく、市街地における空き地の問題など、いろいろなことが全国的に大変な状況になっている中、国の動向も見ながら、しっかり進めていただきたいと思っております。  それでは、先ほど岡崎委員から小型マグロの話がありましたが、ブリの回遊経路調査の状況について伺います。  これから寒ブリのシーズンを迎えるわけですが、11月16日に水産研究所が発表した今シーズンの漁獲予報では、体重7キロ以上の3歳以上のブリは平年並みの137トンであり、昨年と一昨年の実績がそれぞれ73トン、18トンであることから、今シーズンはまずまずの漁獲が期待されております。  県では、昨年余りよくなかったということで、昨年度ブリ資源の回復調査をして、今年度から平成31年度にわたり、ブリの回遊経路の解明に向けての調査に取り組んでいますが、どのような状況なのかお伺いします。 27 津田水産漁港課長 平成27年漁期は11月から翌年1月になりますが、県では記録的な不漁を受けて、ブリの漁獲量を左右すると考えられる要因を解明するために、平成28年度にブリ資源回復調査を実施しております。  1つには、北海道、青森、岩手などの北日本では漁獲量が増加し、太平洋側を南下してとれる漁獲量も増加していること、2つには、海洋環境の変化により地域的にはブリの供給量が不安定化していること、3つには、富山湾の主要な不漁要因として、ブリは低水温を避けて回遊しますが、平成27年漁期は例年発生する冷水の塊が発達せず、能登半島北西の沖合において水温が高い状況であったため、主群が富山湾に来遊せず、そのまま山陰方面へ南下したと考えられることが判明しました。  しかし、北海道、青森、岩手などの太平洋側に回遊しているブリにつきましては、日本海側を北上して、そのまま太平洋側に残っている可能性があり、ブリの日本海側と太平洋側の移動の割合や、ブリの津軽海峡の行き来を左右する環境要因を解明する必要性が課題として残されたわけです。  水産研究所では、この課題を解明するために、平成29年度から3カ年かけて、ブリの回遊経路を解明することとし、現在、ブリが遊泳した緯度・経度を推定できる電子タグをブリに装着した標識放流調査を行っております。  平成29年6月21日に、青森県の日本海側の定置網で捕獲された体長50センチから60センチのブリの11尾に電子タグをつけて放流したところ、11月現在までに、定置網で2尾が再捕されております。うち1尾は、放流日から2週間後の7月5日に青森県の日本海側で、もう1尾は、22日後の7月13日に津軽海峡の北海道側の函館湾で再捕されており、それ以降の報告は残念ながらありません。  捕まった2尾も、放流日から時間が経過してないこと、放流地点から距離が近いことから、現在のところ、長時間、長距離にわたるブリの回遊経路が明らかになるデータは得られていませんが、今後3カ年をかけて、標識放流したブリから電子タグを回収し、記録されたデータから回遊経路を解明したいと考えております。 28 吉田委員 なかなか難しい課題かと思いますが、引き続き、氷見の寒ブリのために頑張っていただきたいと思います。  続きまして、第4管理期間の小型マグロの資源管理についてお伺いしたいと思います。  クロマグロの資源管理につきましては、7月から1年間の今漁期において北海道がとり過ぎてグループの漁獲枠を超え、富山県などの他県も一律の自粛を強いられる事態になったということですが、ブリの最盛期と小型のクロマグロの漁期が重なり、富山県への影響が心配であります。  水産庁は、他県がしわ寄せを受ける不公平をなくそうと、富山などの20道府県で共同管理している定置網のグループ制を廃止して、来年の7月の次期漁期からは道府県ごとの漁獲量の管理をする制度に戻す方針であると聞きました。  しかしながら、先ほど岡崎委員からも、グループ制廃止だけでは根本的な解決にならないということで、クロマグロを初めとする漁業資源の保護に努めるとともに、魚をごっそりとるまき網漁の規制の強化や漁獲枠の調整、あるいは休漁、操業を自粛した際の漁業者への補償拡充といった総合的な対策が必要であると訴えているわけですが、来年7月からの第4管理期間に向けて、どのような対策に取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。 29 津田水産漁港課長 定置網の共同管理は、各道府県で生じた漁獲量の多寡を参加道府県全体として吸収することを目的として、第2管理期間からスタートしたものですが、一部の地域で大量漁獲があった場合には、漁獲枠が未消化の県にも影響を及ぼすことや全国的に漁獲量が多くなった場合には機能を果たさないことが指摘されております。このため水産庁では、第4管理期間からは、定置網の共同管理の廃止を含め、管理体制の見直しを検討していると聞いております。  一方、第4管理期間からは、TAC法に基づく資源管理制度の導入が予定されており、より厳しい資源管理が行われます。このため、定置網の共同管理の枠組みを単に解消するだけでなく、定置網漁業の特徴を踏まえ、まき網から定置網へ漁獲量をさらに移すこと、それから漁獲枠を超過した場合にも、定置網漁業者の納得の得られるルールのもとで、まき網から定置網へ漁獲枠を融通して、定置網の操業を継続する枠組みの構築、また、漁獲抑制のために休漁等を実施する場合に、休漁等への措置に伴う漁業収入安定対策の拡充について、引き続き、国に働きかけてまいりたいと思っております。  また、県としましても、今年度から新たに他の地域での放流技術開発の先行調査事例を参考にして、本県の漁獲実態を把握の上、本県の実情に合った定置網からクロマグロを効率的に放流するための手法の開発に向けた実証試験に着手することとして、補正予算を今定例会に提出することとしております。得られた成果はクロマグロ小型魚の放流に取り組む漁業者へ提供して、支援してまいりたいと考えております。 30 吉田委員 150万円の補正について新聞で見ましたが、定置網に入ったクロマグロを生きたまま放流することは難しいと言われますが、他県と共同なのか、近畿大学と共同なのか、それとも富山県だけでやるのかお伺いします。 31 津田水産漁港課長 他県では、青森県や岩手県が、地元の大学が国の受託を受けて実験に取り組んでいます。  本県は、そういった研究成果を生かし、情報をいただきながら、県独自で、県水産研究所で取り組むことを予定しております。
    32 吉田委員 最後に、収入保険制度についてですが、自然災害や農産物の価格下落時に農家の収入減を補う収入保険制度の説明会が、11月から全都道府県で開催されます。  農林水産省によると、14日の松山市を皮切りに51カ所で実施し、希望者は、開催日の5日前までに、農業共済団体にファクスかメールで申し込むことになります。日程に関しては農林水産省のホームページで確認できますが、いずれにしても、農家の経営安定に役立つ、収入保険制度への加入を広く呼びかけている状況です。  農林水産省と同様、本県としては、今後どのように収入保険制度について普及啓発をしていくのか、お伺いしたいと思います。 33 柳瀬団体指導検査班長 収入保険制度については、本年6月に農業災害補償法の一部を改正する法律が成立し、関係省令が11月2日に公布され、今後、必要な準備・周知期間を経て、平成31年産から運用が開始される予定です。  この収入保険制度の内容について、農林水産省では、農業者を中心に、関係団体などに広く周知することを目的として、全都道府県の51カ所において説明会を開催することとされ、本県では、12月12日にテクノホールで開催されます。また、本県の加入申請等の窓口となる富山県農業共済組合では、11月28日から県内5カ所で合計10回、地区別説明会を開催することとしています。  県としましても、これまでも担い手農業者や農業委員に対して収入保険制度の概要を説明してきたところですが、平成30年1月から、農業委員会の研修会、富山県農業者協議会研修会、青年農業者協議会研修会等を開催することとしております。  今後とも、県ホームページ等におきまして情報提供を行うとともに、国や農業共済組合、JAなど関係機関と連携しながら、各農林振興センターによる加入相談への対応などを通じて、新たな制度の丁寧な周知や円滑な導入に努めてまいりたいと考えております。 34 吉田委員 私は生命保険の販売の経験があり、形のない、見えない商品の説明が非常に難しいことをよく知っております。普及啓発が非常に大事であり、収入保険のよさがわからない人もおられますので、そういう人にも納得のいく説明をしていただきたいと思います。  この収入保険制度は、青色申告を行う農業者、個人と法人も含めて、農家の収入が減少したときに、過去5年間の平均収入を基準として、その8割を確保できる。2019年の農産物から対象となり、既存のセーフティネットがない野菜や果物などもカバーし、財源は国と農家が拠出する保険金と積立金を充てる。保険料負担には、農家が補償内容を選べるように複数の選択肢があり、積立金は支払わないことも可能です。  農家の人たちが納得して、収入保険制度に加入していただくことが大切だと思いますが、どのような工夫が必要だと考えておられるか伺いたいと思います。 35 柳瀬団体指導検査班長 収入保険制度は、品目の枠にとらわれず、経営全体の収入減少を補填する制度で、過去5年の平均収入の90%を補償限度額とし、下回った額に支払い率を掛けて補填することができます。補償限度額や支払率につきましては、農業者が保険料や積立金の負担を勘案し、補償内容を選択できるよう選択肢が設けられております。  また、収入保険制度は、水稲などの農業共済や米、麦、大豆を対象としたナラシ対策等の既存制度とのどちらかを選択して加入することになるため、農業者の皆さんに納得して加入していただくためには、有利な制度を選択できる、わかりやすい判断材料を示すことが必要です。  こうしたことから、農業共済団体では、収入保険制度と既存制度について、農業者の負担額及び補填金額を試算し、比較できる簡易なシミュレーションソフトを新たに開発し、ホームページで公開したところです。  国の試算では、収入保険制度については、特に複合経営に取り組む場合にメリットが大きいとされていますが、県としましても、関係機関と連携し、農業者がそれぞれの経営の実態に即した有利なセーフティネットに納得して加入できるよう、このシミュレーションソフト等を活用して負担額及び補填金額の数値を示しながら、説明会の開催や加入相談の対応などの取り組みを進めたいと考えております。 36 吉田委員 保険は形のない商品だけに、条件反射的に嫌がられるところもあるので、シミュレーションも含めて、農家の方にどこにメリットがあるのか伝えていただき、加入させられるのではなく、農家の方々が納得して加入されるのが一番望ましいと思います。 37 奥野委員 東京オリンピック・パラリンピックの食材調達基準についてお伺いしたいと思います。  2020年東京オリンピック・パラリンピックまで3年を切りましたが、このタイミングでオリ・パラの食材調達基準が変更されると伺っております。  これまでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに食材を提供するためのエントリーには、GAP認証が必要であり、GAPでも、国際水準になっているグローバルGAPとアジアGAPのみが対象でしたが、今回、基準が緩和をされるということであります。実際、どのような緩和になるのか、お伺いしたいと思います。 38 川口農業技術課長 オリンピック・パラリンピック東京大会で提供される農作物の調達基準につきましては、本年3月の大会組織委員会において、アジアGAPやグローバルGAPの認証を受けて生産した農産物、あるいは組織委員会が認める認証スキーム──これは各国で取り組んでいるGAP認証と考えていいかと思います──によって、生産された農産物に決定されたところです。  このうち、2つ目の組織委員会が認める認証スキームについては、10月に開催されました組織委員会において、JGAPが調達基準を満たすものとして取り扱われることになったと聞いております。JGAPは、国内で最も普及しているGAPの認証であり、本県においても8経営体が取得しているところです。  今後の具体的な内容や手続については、組織委員会で検討され、国際オリンピック委員会での了承を経て、来年3月ごろに示される予定ですので、引き続き、情報収集に努めてまいりたいと考えております。 39 奥野委員 今ほどの課長の御答弁では、これまでオリンピックの調達基準であった国際認証のアジアGAPやグローバルGAPに、国内認証のJGAPも加わることで、食材や品目が大幅にふえると思います。  県内でも、アジアGAPやグローバルGAPの認証は、それぞれ1経営体1品目と1事業者1品目だったと思いますが、今回、JGAPにまで緩和されると、今ほど課長がおっしゃったように、8経営体が対象となるということであり、また今年度中の取得見込みも含めると、さらにふえると思っております。  アジアGAPやグローバルGAPでなければ食材提供ができないということであり、何の認証も取っていないところからすると、アジアGAPやグローバルGAPの取得は、非常にハードルが高かったと思いますが、JGAPでもエントリーができるようになると、とやまGAPを取得しているところにもこれまでよりチャンスが出てきて、JGAP取得まで頑張ってみようかという意欲的なところが出てくるのではないかと思っております。  県内において、オリンピック・パラリンピックの食材調達基準の要件緩和により、基準を満たす生産者が、どれぐらい拡大されるのか、また、そういった意欲のある生産者に対しての支援についても伺いたいと思います。 40 川口農業技術課長 とやまGAPからJGAPに移るというところにつきましては、オリ・パラにおける食材調達の対象ということになってきます。  県内のGAP認証を取得している8経営体のうち、1つはグローバルGAPも持っており、先日、JGAPからアジアGAPに移行した経営体も1つあり、2経営体がグローバルGAPないしはアジアGAPを持っていることになります。JGAPの認証のみは、それを除いた6経営体であり、これが新たに対象になると考えております。  今年度は、新たに5団体が認証取得に取り組んでおり、うち1経営体はグローバルGAPを、残りの3経営体と1つの産地はJGAPの取得を目指しているところであり、これらが全て取得することになると、県内では、12経営体と1つの産地が要件を満たすことになると思っております。  また、食材につきましては、これまで、要件を満たす品目は米とトマトだけでしたが、今回の要件緩和や今年度予定されている認証の取得によって、イチゴ、コマツナ、キャベツなどに加えて、首都圏に出荷されている白ネギや枝豆も対象品目に加わると考えております。  県としましては、組織委員会等から示される具体的な基準や要件等の情報収集に努めますとともに、県単独事業で、作物の栽培に使う水の検査費用やコンサルタントの受講料の補助を行っているところであり、国の事業の活用も含めて、GAP認証の取得を働きかけたいと思っており、県の普及指導員が指導するなど支援していきたいと考えております。 41 奥野委員 ぜひ支援を拡充していただきたいと思っております。  これまで、このような食材調達基準を満たしている2経営体が、今の課長のお話では13にふえるということでありますので、これは富山県からしても、これまでは何となく遠い話だったのが、すごくチャンスが広がったとも感じるわけであります。  また、このような県産農産物が例えばオリ・パラ食材に本当に採用されたとしたら、非常にいいPRにもなると思いますし、そのような食材の販路拡大を図る際にも、東京オリ・パラのときに使われた食材だということで大きなアドバンテージを得られるのではないかと思っております。  そんな中で、オリ・パラの食材調達基準を見ると、このようなGAP認証が前提条件になっていますが、その要件を満たした上で推奨される事項、3項目も記載されており、有機農業で生産されたものであったり、障害者が主体的に携わって生産された農福連携のようなものであったり、世界農業遺産や日本農業遺産など国際機関や各国政府により認定された伝統的な農業を営む地域で生産された農産物がGAP認証プラスアルファであった場合、さらに推奨していきましょうということだろうと思います。  富山県も今の段階で既に2つから13までエントリーできる要件を満たしたところがあるのであれば、このプラスアルファ要件についても支援をしていくと、さらに採択により近づき、オリンピック食材への道が広がっていくのではないかと思っております。  プラスアルファ要件についても、県が支援をしていくべきと考えますが、どのような支援が考えられるのか、所見をお伺いしたいと思います。 42 川口農業技術課長 県内におきまして、GAPの認証を受けて生産される農産物が増加して、まとまった量が確保されることになりますと、これらを取引の要件としている、イオンやイトーヨーカドーといった大手の小売業者への販路の拡大によって、生産者の所得向上につながることが期待されるのではないかと思っております。  さらに、オリンピック・パラリンピックの食材調達につきましては、GAPの認証要件を満たした上で、推奨される事項として、委員もおっしゃったとおり有機農業に取り組んでいること、障害者が主体的に携わっていること、あるいは世界農業遺産や日本農業遺産などで生産された農産物が挙がっています。さらに、本県とは直接関係ありませんが、9月の組織委員会で、東日本大震災の被災地で生産した農産物についても活用を図るとされたところです。  これらの推奨事項のうち、有機農産物の生産については、有機JASの認定に必要な監査料などの経費に対して、県単独事業で支援を行っているところです。近年、有機農産物の生産面積は、微増からほぼ横ばいの傾向ですが、これまで実績のなかった市町村において、稲の有機栽培が行われるといった新たな取り組みも見られ、それらに対して引き続き支援を行っていきたいと思っております。 43 奥野委員 新しく有機栽培に取り組んだ自治体はどこになるのですか。 44 川口農業技術課長 舟橋村で1件、取り組みがあると聞いております。 45 奥野委員 このような大きな東京オリンピック・パラリンピックを契機に、農産物のレベルを上げていこうという動きは、きっと全国的に広がっていくだろうと思います。この契機を逃さないように、富山県としてもしっかり取り組んでいくべきだと思っております。  GAP認証や今の有機栽培は、単独の農家、事業者だけでは実効性に乏しいというか、難しい面もあると思いますので、県としてしっかりサポートしていただきたいとお願いしまして、質問を終わります。 46 四方委員 先ほどの報告によると、本県産うるち玄米の一等米比率が3年連続で90%を超えたのは18年ぶりということであり、平成24年、平成25年、平成26年の3年間のデータを見ると、飛躍的に成果が上がっています。様々な努力をされたと思いますが、どういった工夫により、成果が出てきたのか、教えていただきたいと思います。 47 野尻農産食品課長 一等米比率の状況につきましては、平成14年に55%ぐらいまでに下がったことがあり、平成15年以降、高温回避のため、適期に田植えを行うことで、現在も5月15日を中心とした田植えを推進しています。  その間、異常気象等もあり、一等米比率は上がったり下がったりしましたが、適期の田植えを徹底すること、稲を元気な状態で最後まで育てることが大事ですので、必要な時期に、田干しと言いますが、田をしっかり干して、また、水を必要とする時期にしっかり充てるといった技術管理の徹底に努めることを、ただ指導するだけでなく、現場の皆さんに実感していただけるように、1つの集落に1カ所、2カ所ですが、作業の適期を具体的に見えるように掲示板で示すといったことを、JAの皆さん方を中心に、農林振興センターが応援して進めてきました。基本技術の徹底にプラスして、そういった高温等の異常気象等に対応した技術の徹底に取り組んできた成果が出てきたと感じております。 48 四方委員 素人からすると、すごくいい結果が出てきたと思いますが、農林振興センター職員の指導、そして指導を受ける農家さんの真摯な生産努力によって、こういう結果になったのだと思います。引き続き、よろしくお願いします。  次に、通告しておりました富山湾の宝石、シロエビについて質問したいと思いますが、日本で、あるいは世界で、シロエビは富山湾でしかとれないのか、まず確認しておきたいと思います。 49 津田水産漁港課長 富山湾でしかとれないというわけでなく、漁として成り立っているのは富山湾だけということになります。 50 四方委員 漁として成り立っているのは富山湾だけということであれば、まさに富山湾でしかとれないと言っていいだろう。とれないというよりも、富山湾から出てくるシロエビしか食べられないという感じですね。  富山湾と別のところでとれても、自分だけで処理して終わる、販売していないということだと思います。そういう意味では、非常に貴重な魚であるわけですが、先ほどからお話があったように、魚というのは、とれたりとれなかったりして、その原因がなかなか難しいと思います。  持続的にコンスタントにとれることが望ましいのですが、水産研究所ではどのような調査をして、どういう成果が上がっているのか、お尋ねしたいと思います。 51 津田水産漁港課長 シロエビは、県内では、とやま市漁協と新湊漁協の2カ所で水揚げされており、平成18年の709トンをピークとして、近年では400トン強の漁獲量となっております。  シロエビは、海底谷、あいがめと呼ばれる水深の深い海域を生息場としていることから、これまで生態や資源量について未解明な部分もありましたが、シロエビ資源を枯渇させないよう持続的な利用を図るためにも、科学的な知見を集積することが重要になってきております。  水産研究所では、これまで神通川の沖合の海底谷で立山丸という160トンの船で調査をしていましたが、今年度から新たに庄川、小矢部川沖合の海底谷においても小型調査船はやつきで調査しています。先端に採取用の器具がついたプランクトンネットというロート状の布を用いた、虫の幼虫に当たる1歳未満のシロエビの幼生の分布調査と、多目的センサーを使った深度ごとの水温、塩分などの環境調査を実施しています。  また、漁協ごとに漁獲物の魚体測定を行い、体重や体長、卵の抱卵状況を調べるほか、漁船ごとの漁獲状況や引き網回数を調査しているところです。  まず、シロエビの幼生についての成果は、60ミリから75ミリの親エビから体長5ミリほどのふ出──親エビの腹の中にある抱卵した卵から幼生が出てくることを言います──が、10月から5月にかけて多い傾向があること、それからふ出した幼生は、水温が低いほど成長が遅く、5度以下ではほとんど死亡してしまうことが認められています。  また、シロエビの分布については、海底谷内で親エビからふ出した幼生は、成長に伴い分布範囲が広がるが、成熟すると再び海底谷内に集まって、比較的狭い海域内で生活史を完結することが明らかとなっています。  また、平成29年の調査によって、神通川沖と庄川、小矢部川沖の海底谷では、同程度の密度の幼生が生息していることがわかっております。  シロエビ資源の特徴として、生育範囲が狭いことから乱獲になりやすく、幼生が低水温に弱いことから、漁場や環境状況によって資源水準が低下する可能性があることがわかっております。 52 四方委員 これまでは神通川での調査がほとんどで、今年度から庄川河口でも調査するようになったということですが、庄川河口というと資機材庫があったりして、しゅんせつの関係の話も出てくるケースもありますが、調査である程度判明するのですか。 53 津田水産漁港課長 しゅんせつ等工事による影響は、少なくとも今年度の漁獲量を見る限り、昨年度より減っているという事実はありません。 54 四方委員 実態はわかりませんが、シロエビをとっている漁業者は、新湊あたりではシロエビ御殿といって、ほかの漁師から見ると稼ぎがいいという話もありますが、これまでのいろいろな調査の成果が、漁師にどれくらい反映されているのかについて、どのように見ておられますか。 55 津田水産漁港課長 水産研究所の研究成果は、これまでもシロエビ漁業者が参集する富山県小型機船底びき網漁業協議会で報告した上で、毎年の資源状況を見ながら漁業者と議論して、漁業者みずから休漁日を設定し、操業日数を削減しております。  具体的には、年11日以上休漁することにしております。また、1日の操業回数を減らすことにもつながっており、漁業者の自主的資源管理意識の向上に寄与していると考えております。  今、シロエビ御殿の話もありましたが、確かに新幹線効果もあって、シロエビは、ここ数年はかなり値が高くなっていたようですが、その反動か、ことしは値が下がっているということです。シロエビの漁期は4月から11月になっており、シロエビ漁業者の方は、11月の中旬からは小型底びきで、単価の高いズワイガニをとっていることもあり、ほかの漁業者の方より、収入が多いのではないかと考えております。 56 四方委員 シロエビからカニの季節に入っているわけでありますが、水産研究所の栽培漁業調査船はやつきは、小さい船だそうですけれども、よく調査しているようであります。  定置網が多く、富山湾におけるシロエビの調査を初め、漁場の環境調査や放流調査を実施するにあたり大きな船での調査は難しく、はやつきの存在価値は高いと思います。聞くところによると、建造して30年近くたったということで、そろそろ新造船にかえる時期に来ているという気もしますが、どのようにお考えですか。 57 津田水産漁港課長 水産研究所のはやつきは、建造以来29年が経過しており、日本海側の各県が有する調査船18隻のうちで最も船の年齢が高くなっています。  しかし、船体が腐食しにくい、FRP製であることに加え、毎年実施している一般検査、6年に一度の定期検査、その中間年に行う中間検査により、適正な維持管理に努め、長期間運航しています。  しかしながら、本年9月の定期検査に当たり、必要な整備工事を実施したところ、エンジン冷却排熱設備やプロペラの駆動軸など、安全な航行の設備において老朽化に伴う不良が確認され、部品交換と修繕を行いましたが、整備業者からは、古い船舶のため部品調達が難しくなってきており、さらなる老朽化に伴う不良への対応に懸念があると聞いております。  はやつきは、庄川や小矢部川沖合のシロエビの調査を初め、浅い海域での水質・底質調査や稚魚の放流調査、藻場の分布調査等に使用しており、本県のように沿岸に定置網が多く敷設され、大型船では入り込んで調査することが難しい調査環境の中で、小回りのきくはやつきは重要な役割を担っており、漁業だけではなくて、環境面での調査での活用にも期待されております。  これらのことから、はやつきの新造船については、今後の調査ニーズ等も踏まえて、近年の他県の調査船の更新状況も参考にしながら、検討する必要があると考えております。 58 四方委員 日本海側の他県にある調査船18隻の中で一番古いということで、最近は、富山湾の魚のブランド化を強く打ち出しているわけですから、そんな古いものを使っているのはいかがかと思います。できれば、新年度に新しくする方向で、積極的に御検討いただきたいと要望しておきたいと思います。 59 瘧師委員長 ほかにありませんか。──ないようでありますので、これをもって質疑・質問を終わります。  2 陳情の審査 60 瘧師委員長 次に、陳情の審査に入りますが、今回は付託されておりませんので、御了承願います。  以上で、付議事項についての審査を終わります。  この際、ほかに何か御意見等はありませんか。──ないようでありますので、これをもって委員会を閉会いたします。 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...