富山県議会 2016-11-01
平成28年11月定例会 一般質問
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時00分開議
◯議長(大野久芳君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(大野久芳君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第119号から議案第144号まで、報告第22号、報告第23号及び
議員提出議案第21号を議題といたします。
これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
筱岡貞郎君。
〔24番筱岡貞郎君登壇〕
3 ◯24番(筱岡貞郎君)改めて、おはようございます。
きょうからいよいよ師走に入りまして、何かと気ぜわしくなったころでございます。ことしの県議会、振り返りまして、敬愛する高平先生の急逝を初め、大変残念な年でなかったかなというふうに思っております。ただ、明るい話題は、石井知事の、あるいは野上先生の圧勝、また、リオ・オリンピックで3つも県内選手がメダルをとったと、また、きょうの早朝ですか、3つの県内の祭り事が
ユネスコ無形文化遺産に正式決定されたという、こういう明るい話題もあるわけでございます。
残念ながら、流行語大賞がきょうの夕方でないと決まらないようでございますが、私の予想としましては、
ポケモンGOかリオか、それか
トランプ現象かと、これぐらいがどうかなというふうに思っております。
このトランプでございますが、トランプ・ショックが世界を駆けめぐっております。ああいう過激な発言は、私とか知事とかという草食系はできないわけですが、この中にはトランプ系の議員が何人かおられるような気もしておるところでございます。
さて、質問に入ります。農業問題について幾つか質問します。
TPPについて伺います。
TPPに関しては、現在、参議院において承認案、関連法案の審議が進められておりますが、その一方で、
次期アメリカ大統領に決まった今ほどのトランプ氏は選挙期間中にTPPからの脱退を表明されており、発効の見通しが立っていない状況にあるとも聞いております。
このような中、先般、ペルーの首都リマにおいて参加12カ国の首脳会合が開催され、発効に向けて参加各国が国内手続を進めていくことを確認されたとのことです。
昨年10月のTPP合意において、米など
農林水産物の重要5品目については基本的に関税撤廃の対象から除外されており、国においては、平成27年11月に
TPP総合対策本部で総合的な
TPP関連政策大綱が決定され、TPPの発効を見据えたTPP対策が講じられているところでありますが、現時点においてTPPの今後についてどのように捉え、
本県農林水産行政をどのように進めていこうとしておられるのか、石井知事に伺います。
また、TPPの発効の見通しが立っていないとはいうものの、発効を前提として今から対策を講じていくことは必要不可欠と考えております。国においてはさきの第2次補正予算において、
TPP関連対策として
産地パワーアップ事業など、昨年を上回る3,453億円が予算化されております。県としては、これらを積極的に活用し、
本県農林水産業の
競争力強化を図るべきであり、本県における対応状況と今後の見通しについて、
伍嶋農林水産部長に伺います。
次に、米の
品質向上対策について伺います。
米については、
産地間競争が激化する中、ことしの県産米は、作柄は統計開始以来最高の収量、そして1等比率は10月末現在で91%と、昨年産に続いて目標の90%を達成する見通しとなっています。こうした成果が得られた要因と次年度に向けた一層の
品質向上対策について、伍嶋部長に伺います。
次に、米の生産調整について伺います。
米については、引き続き消費量の減少が続き、厳しい環境にある中、先日、行政による最後の配分となる平成29年産の主食用米の
生産数量目標が発表されました。全国では前年より1.1%減の、数量では8万トン減の735万トン、富山県分も全国と同様、1.1%減の18万3,682トンとされました。
平成30年産からの
生産数量目標配分の廃止を見据えた
水田フル活用等による本県農業の
成長産業化に向けた取り組みが進められておりますが、今後の対応について伍嶋部長に伺います。
次に、米の新品種について伺います。
平成30年産からの米政策の見直しにより、国内における米の
産地間競争がますます激化すると考えられ、そのためには他県に負けないブランド力のある米を生産していく必要があり、県が開発している新品種に大いに期待しているところであります。
今年度は、昨年度に選抜した3系統から1系統を選定するとともに、平成28年度内に品種登録を出願する予定と聞いておりますが、
産地間競争に打ち勝つ新たな
富山米ブランドとなるようどのように進めていくのか、石井知事に伺います。
次に、とやま
農業未来カレッジの研修状況等について伺います。
農業をめぐる経営環境が大きく変化する状況にあって、本県農業の
成長産業化を図っていくためには、農業の生産性を上げながら所得向上に取り組むことができる経営感覚にすぐれた担い手農家を今後とも育成していく必要があります。
こうした中、とやま
農業未来カレッジは、昨年1月の開設以来、通年研修の第1期生16名が全員県内で就農するなど、本県の新規就農者の確保や育成に向けて着実に成果を出しておられますが、さらに
青年農業者等の経営能力の向上を目指して研修の充実を図る必要があると考えます。具体的にどのように取り組んでいくのか、伍嶋部長に伺います。
次に、とやま牛の
ブランド力向上について伺います。
11月13日の報道によれば、
日本食肉格付協会による黒毛和牛の評価において、県産牛肉については、最上位規格であるA5の割合が近年上昇しており、平成27年産では全国1位となったとの記事が掲載されました。私も含め、あまり知られていなかった話であり、昨年でいえばびっくりぽんでありますが、これは富山県の食のブランド力の向上に大きく貢献することと期待もしております。
小矢部市のゆるキャラ、メルギュー、メルモモちゃんは、A5ランク以上の格付があると確信しております。
そこで、県では、肉牛の品質向上に向け、これまでどのように取り組みを行ってきたのか、また、今後どのようにブランド化に取り組んでいくのか、伍嶋部長に伺います。
次に、
本県農林水産物の輸出促進に向けた取り組みについて伺います。
本年度、県産
農林水産物の輸出促進に向け、富山県
農林水産物等輸出促進協議会に
農林水産物等輸出促進ワーキンググループを設置し、
輸出促進方針等の検討を行っておられると聞いておりますが、その検討状況を含めて本県における県産農産物等の輸出促進に向けた
取り組み状況について、これも伍嶋部長に伺います。
最後に、高
病原性鳥インフルエンザの防疫体制について伺います。
私の地元の小矢部市は、本県の養鶏の7割を占めており、北から渡り鳥が本県に訪れるこの時期、養鶏農家が毎年、
鳥インフルエンザの発生を防止するために防鳥ネットを張るなど、渡り鳥などが鶏舎の中に入らないように苦労しています。
残念ながら、心配したとおり、韓国に始まり、隣の新潟県では2カ所、また青森県で高
病原性鳥インフルエンザが発生してしまいました。国内、県内の状況はどのようになっているのか、また、未然防止のため県としてどのような対策を講じていくのか、伍嶋部長に伺います。
話題を変えて、福祉の充実についてお伺いします。
まず、代表質問でもありましたが、
発達障害児等への対応についてです。
県内市町村の保育所や
認定こども園等では、発達障害児や発達障害を疑われる子供などの支援を要する子供に対応するため、保育士の確保が難しい中、多くの保育士を加配する必要が生じています。また、発達障害は保護者の理解が得られにくく、明らかに発達障害の疑いがある子であっても診断までに至らない場合も多いと伺っております。
富山県
心身障害児保育事業費補助金は、発達障害や発達障害の疑いがあると診断された子供、障害者手帳を保有する子供を対象としていますが、発達障害の診断まで至らない子供が多いことから、
臨床心理士等の専門家の判断をもって補助金の対象とするなど、支援の拡充が望まれるところです。また、子供の支援を担当する保育士の
対応能力向上のため、県の
ハートフル保育支援推進員を養成する研修の対象人数を拡大して実施することも必要なのではないかと考えております。
発達障害児等に対応するため、保育士の確保や
対応能力向上への支援をこれまで以上に充実すべきと考えますが、
蔵堀厚生部長に所見をお伺いします。
次に、
国民健康保険制度についてお伺いします。
平成30年度から、都道府県が
国民健康保険の財政運営の責任主体として中心的な役割を担うこととなり、財政的に不安定になりやすい等の財政上の課題や事務処理の実施方法にばらつきがある等の事業運営上の課題に対応することとなります。
新制度では、県が算定する
標準保険料率については市町村ごとに決定されることとなりますが、実際の保険料率を将来的に県内で統一することについては課題も多いと伺っています。
しかしながら、財政基盤の強化、事務処理の簡略化を進めていくために早期の
保険料水準統一についてどのように考えているのか、蔵堀部長の所見をお伺いします。
最後に、地域の活性化について伺います。
まず、
能越自動車道の
利便性向上対策についてです。
昨年7月にオープンした
三井アウトレットパーク北陸小矢部の来場者は、当初、年間300から350万人と見込まれていましたが、正式発表はありませんが、600万人を超えたようであります。県外客が約6割ですから、能越道に寄与しているのは言うまでもないと思っております。
先月9日、
能越自動車道の
利便性向上策を考える検討会の初会合が開催されたところですが、福岡料金所については、通常のETCの設置、
フリーフローETCの導入、撤去して
小矢部東料金所と統合の3案が示されたところであります。
設置コストの観点から、
小矢部東料金所との統合案が最も低コストに抑えられますが、利用区間にかかわらず普通車一律410円となり、一部の利用者にとっては値上げとなることから不公平感が出ることが懸念されます。設置コストがかさめば将来的な通行料金の無料化の見通しも延期せざるを得ないと思いますが、料金の値上げは地域住民や高速バスの運行業者などにとって無視できない問題であり、料金設定については、極力値上げ幅を抑えることを前提に議論を進めるべきであると考えます。償還金の返済が遅れても、国による一元的管理を待てばよいと思います。
そこで、有料区間の交通量、料金収入の現状と
利便性向上対策後の料金設定についての考え方、検討会における今後の議論の方向性について、
加藤土木部長にお伺いします。
次に、旧
中小企業大学校候補地の有効活用についてです。
中小企業大学校の建設候補地は、平成5年に小矢部市が選定されまして、平成6年には小矢部市が、
小矢部インター近郊の自然環境に恵まれたすばらしい景観を有する丘陵地約7万平米を先行取得し、約1億3,000万円近くで取得しております。
県におかれては、
中小企業大学校北陸ブロック校の誘致に向けて継続して国へ要望していただいておりましたが、本年春に、新たな大学校の新設はしないという方向性が出され、残念ながら誘致については断念したところであります。10月には、
自民党政調会の皆さん方にも現地を視察していただいて感謝しております。
小矢部市においては、この候補地の有効活用については企業や公的機関の誘致に向けた検討を進めると伺っていますが、県としても積極的な支援が必要であると考えます。候補地の有効活用に向けた県の対応について、
大坪商工労働部長にお伺いします。
最後に、やはり義仲・巴の
大河ドラマ誘致についてであります。
これまでも義仲・巴の
大河ドラマ誘致についてはいろいろと御尽力いただいているところですが、さきの6月議会において御答弁いただきましたとおり、県では、本年度、人気脚本家に義仲・巴をテーマにしたエッセイを執筆していただき、NHKの関連団体が発行する全国誌に掲載するという事業を実施されております。エッセイをNHKとつながりの深い著名な脚本家に執筆していただき、大河ドラマの制作にかかわる方々に直接アプローチできれば、大河ドラマの誘致に向けて大いにその効果が期待できるところであります。この
エッセイ掲載事業の進捗状況と期待される効果について、
新田知事政策局長にお伺いします。
これがトランプでいう切り札になることをお祈りして、私の質問を終わります。
4 ◯議長(大野久芳君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
5 ◯知事(石井隆一君)おはようございます。
筱岡議員の御質問にお答えをいたします。
最初に、農業問題についてでございます。
まず、TPPの今後と
本県農林水産業についての御質問にお答えをいたします。
TPP協定につきましては、
ものづくり産業についてはプラスの影響があると考えられます一方で、農業については、農業者の方々などから懸念の声がありますので、国に対して総合的なTPP対策を講じていただくように繰り返し強く要請してまいっておりまして、国におかれては、こうしたことも踏まえて、総合的な
TPP関連政策大綱に基づいて
経営安定対策の充実、
体質強化対策の集中的な実施等を進めておられます。
御承知のとおり、現在参議院でTPP協定の承認案及び関連法案の審議が行われておりますけれども、他方で、
トランプ次期大統領がTPPからの脱退を表明されておりますなど、今後の動向をしっかりと注視していかなければならないと考えております。
こうした中で、
本県農林水産業については、TPPの発効いかんにかかわらず、生産性、収益性の向上などを進めることが重要でありますので、県としましては、国のさまざまな施策を積極的に活用しながら、農地の集積・集約化や
土地改良事業の推進などによる農業生産の基盤づくり、富山米の
ブランド力向上などによる県産農産物の需要拡大、
水田フル活用、
園芸生産振興等による農業経営の高度化、複合化などに積極的に取り組んできております。
さきの10月に臨時県議会も開いていただいて御議決いただきましたが、10月補正予算において、生産コストの低減や収益性の高い作物の導入に向けた農地の大区画化、汎用化、また、主穀作農業の効率化や園芸農業の経営強化、畜産生産の基盤強化に資する
機械施設整備の支援等を行うこととしましたほか、今議会に提案している11
月補正予算案におきましても、稲作の品質向上や園芸産地のさらなる拡大等に向けた
機械施設整備を支援することにしております。
今後も、内外の情勢を見ながら、
本県農林水産業の
成長産業化に向けた取り組みをしっかり進めてまいります。
続いて、米の新品種についてお答えをいたします。
本県で育成中の新たな富山の
ブランド米となります新品種は、今年度中に
品種登録申請を行いまして、平成30年度から一般栽培、最大1,000ヘクタールぐらいをめどに始めることにしております。
富山米の新品種がブランドとして高い評価をいただくためには、インパクトのある新たな名称をつけることとか、新品種が持つ味のよさなどの特徴を全国の消費者等に理解してもらう、また、高付加価値化をもたらすように販売戦略を立てて実行していくことが重要でございます。特に、全国の状況を見ますとネーミングがなかなか大切でございますから、消費者からも幅広く支援、支持を受けるものにしたいと考えまして、現在、品種名の候補を広く募集いたしております。
今後、例えば
コピーライター等の専門家にも入っていただいたりしながら、農業団体、卸業者等の方々で構成します検討会において十分協議をいただいて、消費者に愛されるよい名称にするとともに、新たな名称に対する認知度を高めるための効果的なPR方法についても検討したいと考えております。
また、販売戦略については、本年度、富山米新
品種戦略推進会議(仮称)を設置しまして、米穀店や料理店、料理人等を対象に食味に対する評価調査を実施した上で、
重点販売戦略や販売量など、しっかりとした
マーケティング戦略を策定しますとともに、知名度を高めるための積極的な事前PRの実施方法等についても十分検討していくことにしております。
一方、生産面では、29年度には、地域の生産条件に応じた栽培技術を確立しますために県内各地に実証圃場を、20カ所程度と考えていますけれども、設置いたしますほか、生産者に対して高付加価値化やおいしさが最大限に発揮される栽培技術の遵守や、また、異品種の混入防止のための区分管理の徹底が必要であることなどについて、各JAとも連携しながら丁寧な説明を行うことにしたいと思っております。
本県が進めております新品種は、低たんぱくでおいしいとか、高温にも強い、また、草丈が短くて倒伏しにくい、イモチ病に強くて農薬も節約できるということのほか、食味についても、
日本穀物検定協会などの専門家に評価していただきますと、なかなか食味もいいというふうな御評価をいただいていますので、消費者の支持を得て富山県を代表する
ブランド米、日本でも全体で非常に評価される、そういう
ブランド米となるようにしっかりと取り組んでまいります。
6 ◯議長(大野久芳君)
伍嶋農林水産部長。
〔
農林水産部長伍嶋二美男君登壇〕
7
◯農林水産部長(伍嶋二美男君)まず、国の予算を活用しました
本県農林水産業の
競争力強化についての御質問にお答えをいたします。
県では、先ほども知事からお答えいたしましたとおり、これまでも国の
TPP対策事業などを積極的に活用しながら、農業生産の基盤づくりや県産農産物の需要拡大、そして、農業経営の高度化、複合化に取り組んできていますほか、出口対策の一環として、輸出も視野に入れた国内外での販路の開拓拡大や
農業未来カレッジによる農業後継者の確保と育成などに取り組んできております。
また、平成30年産からの米政策の見直しに対応するため、今年度、地域農業の米の計画的生産や水田のフル活用などを内容といたします
成長産業化戦略の策定を支援いたしますとともに、県としての基本的な方針を示すこととしております。
この10月の補正予算では、国の第2次補正予算に盛り込まれましたTPP発効を見据えた農林水産業の
競争力強化のための対策を積極的に活用いたしまして、産地の競争力向上に向けた大区画化、汎用化等の
農業生産基盤整備として25億3,000万円を計上したほか、高収益な作物、栽培体系への転換や作業の効率化、省力化のための施設整備や機械導入の支援を行う
産地パワーアップ事業などに9億2,000万、さらに、畜産経営の
生産基盤強化に資する施設整備などに4,700万円を計上しております。
県としては、これらの事業の実施に伴いまして、生産性や収益性を高め、農業所得の増大につながる安定した農業経営の実現が図られると考えておりまして、今後とも、意欲ある
農林水産業者が将来にわたって夢と希望を持って安心して取り組めるようしっかりと対応してまいります。
続いて、県産米の品質向上についての御質問にお答えをいたします。
ことしの県産米は、先ほど議員からも御紹介のありましたとおり、作柄につきましては、作況指数が106の良となりまして、昭和30年の統計開始以来最高の単収になるとともに、1等米比率につきましては、10月末現在で90.2%と、昨年に引き続き、目標といたします90%台を確保しているところでございます。
こうした成果が得られました要因といたしましては、1つには、田植後、高温で推移し、初期の生育が促進されたことや、登熟期間に日射量が多く実りがよくなったことなど、気象条件に比較的恵まれたことや、生育や気象の状況に応じた適切な
栽培管理対策がなされたことが挙げられます。
具体的に申し上げますと、コシヒカリについては、5月15日を中心とした田植えや適切な稲の状況に誘導するための溝掘り、中干し、さらに、昨年早生の品種を中心に被害が大きかったカメムシの防除、さらには、稲の活力維持のための追加の肥料や出穂後の湛水管理、登熟が平年より早く進む中で胴割米の発生防止のための適期収穫などに、農家の皆さんはもとより、JAなど関係機関が一体となって取り組んだ成果と見ております。
ただ、一部の地域におきましては、コシヒカリの田植えが早いことなどによりまして品質低下も見られたことから、次年度に向けましては、コシヒカリの適切な時期の田植えの確実な実施、そして、中干しによる過剰なもみ数の防止など、
重点技術対策の一層の徹底を図ることとしております。
また、各地域におきまして作業掲示板の活用、これは非常に農業者に好評であったものでありますが、そういった掲示板を活用いたしますとともに、現地研修会の開催などをもちまして農家の皆さんへの迅速かつ効果的な指導に努めて、米の
産地間競争が激化する中で、今後とも高品質でおいしい富山米が生産、供給されますよう、しっかりと取り組んでまいります。
続きまして、
水田フル活用等についての御質問にお答えをいたします。
国の米政策の見直しによりまして、平成30年産米から生産者のみずからの判断による需給調整を促すこととされておりまして、今後、農業所得の向上と農業経営の安定を図っていくためには、需要に応じた高付加価値な米づくりと、米と転作作物を組み合わせた水田のフル活用による生産性、そして収益性の向上に努めていくことが重要であると考えております。
このため、30年産以降を見据えまして早い段階から準備できますよう、本年度、各JAによる米の計画的生産や水田のフル活用などを内容といたします地域農業の
成長産業化戦略の策定を支援するとともに、県全体としての主食用米の需給調整、そして、主食用米以外の作物の生産振興などに関する基本的な対応方針につきまして富山県
農業再生協議会等において検討してきておりまして、年内には各地域に示すこととしております。
また、こうした戦略の検討とあわせまして、米などの
産地間競争が激化する中で、本県農業の
成長産業化が図られますよう、今後とも高品質でおいしい米づくりや水稲新品種の戦略的導入を図るとともに、業務用など新たな需要先獲得の取り組みに支援するなど、需要に応じた米づくりを推進していくこととしております。
さらに、飼料用や加工用など非主食用米の生産拡大や、転作の基幹作物であります大豆、大麦や収益性の高い園芸作物の生産拡大と、その生産性の向上を図るなど、
水田フル活用にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
続いて、
青年農業者等の研修の充実についての御質問にお答えをいたします。
今後、米政策の見直しやグローバル化の一層の進展など、経営環境が大きく変化する中で、本県農業の
成長産業化を図っていくためには、すぐれた経営感覚を備えた担い手を育成するとともに、確保していくことが求められていると考えております。
このため、県におきましては、先ほど議員から御紹介のありましたとやま
農業未来カレッジにおいて、新規就農希望者向けの通年研修に加えまして、既に就農している
青年農業者等を対象といたしまして、栽培管理技術など実践力を高める短期研修を実施し、農業の担い手の確保や育成に着実な成果を出してきております。
ちなみに、昨年度は60人の新規就農者を確保したところでありまして、今後も70人以上を目途に今後とも確保に努めてまいりたいと考えております。
さらに、
青年農業者等が営農を続けながら体系的に農業経営を学ぶことができる研修について要望が強いことから、この11
月補正予算案では、カレッジの短期研修を拡充いたしまして、来年度の研修を強化するための検討経費等を計上させていただいております。
今後、具体的に検討を進める内容としましては、現行は48時間の短期研修について、これを農業経営分野の講義などを増やしまして、おおむね70時間のカリキュラムへと拡充すること、また、集中セミナーを新設いたしまして、農業の経営戦略、経営計画の作成や商品の企画などを含めました演習を導入すること、さらに、マーケティングや組織運営、資金計画等の経営ノウハウの修得のため、外部の専門講師の積極的な活用を図るなど、専門家の意見も踏まえ、充実した研修内容にしてまいりたいと考えております。
今後とも、地域の農業法人などとも連携しながら、青年農業者向けの研修内容の充実を図り、本県農業の
成長産業化のためのすぐれた経営感覚を備えた担い手の確保育成に積極的に努めてまいります。
続いて、肉牛のブランド化についての御質問にお答えをいたします。
県では、とやま牛の品質向上を図るため、平成23年度に、生産者及び関係機関の協力を得まして出荷枝肉の成績のデータベースを構築しまして、農家別に最適な交配のシミュレーションや1頭ごとの枝肉成績カルテをもとにした飼養管理の分析が可能となります肉用牛の技術改善総合支援システム、これは通称BTTSと呼んでおりますけれども、これを独自に開発したところでございます。
このシステムを活用いたしまして、普及指導員や獣医師等の関係者が農家にもわかりやすいカード形式の資料を用いまして、個々の農家の飼養環境等に応じたきめ細かい指導を行ってきたところであります。
こうした結果、平成27年度の
日本食肉格付協会の格付による本県産の黒毛和種去勢肥育牛におきまして、最高品質でありますA5ランクに格付された割合が55.6%と全国第1位となりまして、とやま牛が他の主産県にまさる品質のよさを持つことが示されたところでありまして、引き続き、関係機関等と一体となりまして、これまでの
品質向上対策に取り組んでまいりたいと考えております。
また、これまでとやま牛を初めとした県産肉のブランド化を図るため、平成26年度から、生産者そして流通関係団体等から成りますとやま県産肉販売協議会を設置いたしまして、県産肉を販売または飲食できる店舗を登録し、これは127店舗ありますけれども、登録した上でホームページやリーフレットによる紹介を行うほか、ホテルや旅館などでシェフにとやま牛のおいしさをPRしていただくなど、県産肉の活用促進等を行ってきております。
県としましては今後とも、肉牛の生産基盤の強化や、さらなる品質向上に取り組むとともに、今回のA5ランクの割合の高い評価を前面に出しまして、とやま牛の品質のよさを全国に向けて積極的にPRすることなどにより、ブランド力のさらなる強化に努めてまいります。
続いて、県産農産物等の輸出促進についての御質問にお答えをいたします。
県産農産物等の輸出促進を図るため、県では、アジアのバイヤーを招聘いたしました県内におけます商談会の開催や香港のフード・エキスポへの出展に加えまして、今年度、新たにシンガポールのフード・ジャパンに本県ブースを出展いたしまして、販路拡大に向けた商談機会の充実を図ってきております。
また、輸出に取り組む事業者向けといたしまして、輸出の基礎知識や商談のスキル、輸出先の市場動向等に関するセミナーを開催いたしますなど、輸出に意欲のあります県内事業者の取り組みを積極的に支援してきているところでございます。
今後、さらに輸出を計画的、効果的に促進していくため、有識者や関係団体等によりますワーキンググループにおきまして、重点3品目である米、米加工品、そして日本酒、そして水産物、水産加工品の品目ごとに、輸出促進方針の取りまとめに向けた検討を進めております。
現在、重点品目ごとに設けました検討チームにおきまして、海外市場のニーズや市場規模、成長性といった視点から、重点的に取り組む対象国や地域を選定するとともに、継続的なプロモーションなどによる県産品のブランド力の強化、また、マッチング機会の充実などによる販路開拓や取引の拡大、さらに、取り組み段階に応じたサポートの充実等を基本的な視点といたしまして、品目別の施策の展開方向や具体的な輸出促進方策の検討を進めておりまして、年内を目途に中間取りまとめを行いたいと考えております。
さらに、今年度中に品目別の輸出促進方針を取りまとめることとしておりまして、今後、関係機関や事業者とも連携を図りながら、県産農産物の輸出促進に向けた取り組みを一層推進してまいります。
最後に、高
病原性鳥インフルエンザについての御質問にお答えをいたします。
高
病原性鳥インフルエンザは、家畜伝染病予防法に基づき、発生した養鶏場の全ての鶏の殺処分を伴う重大な家畜伝染病であることから、渡り鳥などによる感染を未然に防止することが重要と考えております。
このため、県におきましては、養鶏場へのウイルス侵入を未然に防止するため、県内の6つの農場を抽出しての定期的な
鳥インフルエンザのモニタリング検査の実施や消毒機器の整備支援などの発生予防対策、さらに、万一発生した場合の被害を最小限に抑えるため、市町村、生産者、関係団体等が参加しての初動防疫体制を確認する家畜伝染病防疫演習を開催しているほか、防疫処理に必要な資材と機材の備蓄や埋却場所の確保などに取り組んできております。
現在、高
病原性鳥インフルエンザの国内の発生状況については、11月18日以降、鹿児島県や鳥取県などの野鳥や秋田県の動物園で飼育されていたコクチョウへの感染が確認されましたほか、28日には青森県青森市のアヒルの飼養農家において、また、29日には新潟県関川村の養鶏農家において、さらに、昨日になりますが、同じ新潟県の上越市の養鶏農家におきまして国内で3例目となる高
病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことなどから、県内の養鶏場での発生リスクは高い状況にあると認識しております。
また、県内の状況について申し上げますと、県内の100羽以上の養鶏農家、これは27戸ありますけれども、27戸におきましては現在異常がないことを確認しておりますけれども、県内の全養鶏農家に対しましては、家畜保健衛生所が緊急に立入調査及び巡回指導を行っておりまして、その中では、防鳥ネットの点検や鶏舎内への野鳥、野生動物の侵入防止対策の励行、そして、鶏舎周辺への石灰散布や農場への入退場時の消毒の徹底等の指導を行うとともに、養鶏農家、市町村、関係団体、飼料販売業者等から成ります関係者への継続的な情報提供、注意喚起を行い、病原ウイルスの侵入防止対策に取り組んでおります。
さらに、万一の発生に備えまして、一連の防疫対応の手順等につきまして関係機関と確認を行っておりまして、引き続き厳重な警戒を続け、県内での発生防止に万全の注意を持って取り組んでまいります。
以上でございます。
8 ◯議長(大野久芳君)
蔵堀厚生部長。
〔厚生部長蔵堀祐一君登壇〕
9 ◯厚生部長(蔵堀祐一君)次に、福祉の充実に関する御質問にお答えをいたします。
まず、発達障害児への支援に関する御質問にお答えをいたします。
保育所等において発達障害児への適切な対応を図りますため、県では、心身障害児保育事業や
対応能力向上のための研修を県単独事業として実施してきているところでございます。
昭和53年度から心身障害児保育事業を実施しておりますけれども、心身障害を有する乳幼児が入所する保育所に対しまして、基準を超えて配置する担当保育士の人件費を補助してきているところでございます。
また、保護者が提出する医師の診断書、または児童相談所の判定書を補助に当たっての要件といたしているところでございますが、診断が難しいという場合であっても、疑いがあるとの診断書をもって補助対象として認めてきているところでございます。
御提案の臨床心理士の意見書等を補助要件に加えることについてでございますが、臨床心理士会に聞きますと、未就学児に対応できる臨床心理士は、現在のところ、まだ少ないということでございます。また、国家資格である公認心理士制度が創設をされまして、第1回の国家試験が平成30年度までに実施を予定されております。そうしたことから、公認心理士の役割の内容ですとか、この事業の対象として含めていいかどうかなど、引き続いて検討を進めてまいりたいと考えております。
また、保育士が発達障害に関する正しい知識を持ち、発達障害児やその保護者への適切な対応方法を習得していただくために、ハートフル保育スキルアップ研修を実施いたしております。保育所等の中で、発達障害児への対応について指導的な役割を担うハートフル保育推進員を養成しているところでございます。昨年度までに812人を養成したところでございますが、さらなる拡充に向けて、市町村を通じて受講を働きかけてまいりたいと考えております。
県といたしましては、今後とも必要な保育士の確保や対応能力の向上に努めますとともに、保育所等が市町村や関係機関と連携しながら発達障害児や保護者への適切な対応ができるよう、支援の充実に努めてまいります。
次に、
国民健康保険制度に関する御質問にお答えをいたします。
国民健康保険制度につきましては、平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保などの役割を担い、制度を安定化するとされているところでございます。
このため、都道府県は、安定的な財政運営や効率的な事業運営のための都道府県の中での統一的な運営方針として国保運営方針を定めるということになっております。本県におきましても、現在、県、市町村、富山県
国民健康保険団体連合会の課長レベルでの協議を進めているところでございます。
内容といたしましては、国保の医療費や財政の見通し、保険料の標準的な算定方法などの検討、それから、市町村が県に納付する納付金の算定方法などについて協議を進めております。
納付金や
標準保険料率につきましては、これまで、市町村などとの協議を踏まえた算定方法、それから、国が示しております条件のもとでの試算を行うということにしておりまして、今後、この試算結果をもとに、市町村ごとに異なります医療費水準や所得水準の差をどの程度納付金の配分に反映させるかなどにつきまして、市町村と十分な意見調整を行っていくことといたしております。
仮に、県内で保険料水準を統一する場合には、現在市町村ごとに異なっております医療費水準を各市町村への納付金の算定に反映させないということになりますので、結果として、医療費の水準と保険料が見合わなくなる市町村が出てくるということになります。つまり、給付と負担が見合わない場合が出てくるということになります。
また、保険料の収納率にも差がございまして、多く集めているところと集め切れていないところの差をどのように調整するかということもございます。
それから、都道府県で統一した場合には、保険料の負担が急変する市町村、つまり、多くなる場合、あるいは少なくなる場合、2つあるわけですが、急変する市町村がどのようにお考えになるかということもございます。
それから、市町村ごとに保健事業ですとか、あるいは葬祭費の支給が違うわけでございますが、こういったものをどのように調整していくかなど、解決していくべき課題が多いという状況でございます。
都道府県における保険料水準の統一のためには、医療のサービスですとか、医療費の適正化の取り組みを行いまして、医療費の水準が均質化されるということが必要であると考えておりまして、まずは平成30年度からの国保財政の安定的な運営を第一に考えまして、都道府県単位化への移行をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
10 ◯議長(大野久芳君)
加藤土木部長。
〔土木部長加藤昭悦君登壇〕
11 ◯土木部長(加藤昭悦君)最後に、地域の活性化についてです。
能越自動車道の
利便性向上策についての御質問にお答えをいたします。
能越自動車道の小矢部砺波ジャンクションから高岡インターチェンジ間におけますことし4月から10月までの1日当たりの交通量は、アウトレットパークが開業いたしました昨年と比較すると、北陸自動車道側にあります小矢部東本線料金所では約7,100台で、昨年の同時期より約300台、約4%の減少、また、高岡インター側の福岡本線料金所では約7,000台で、昨年の同時期とほぼ同じでありました。
料金収入の状況は、ことし4月から10月までの7カ月間で約5億8,000万円であり、昨年の同時期より約1,300万円、約2%減少となっております。
また、先月9日に開催されました第1回
能越自動車道利便性向上対策検討会では、
利便性向上対策として、福岡本線料金所にETCを導入する案、また、福岡本線料金所を撤去した上で
フリーフローETCと呼ばれる機器を新たに導入することによりまして、小矢部東本線料金所でETCに限り利用区間に応じた料金徴収を行う
フリーフローETC導入案、そして、同じく福岡本線料金所を撤去いたしますけれども、新たな機器の設置は行わず、現行の2カ所の料金所における料金徴収を小矢部東本線料金所の1カ所でまとめて行う料金所統合案の、以上3つの検討案を提案したところであります。
利便性向上対策後の料金設定につきましては、現在、将来交通量推計やETC等の導入経費について調査を進めており、第1回検討会で示しました3つの検討案についての収支見通しの試算結果を踏まえ、検討することといたしております。
能越自動車道は、北陸自動車道や東海北陸自動車道と連結し、高速ネットワークを形成する高規格幹線道路でございますけれども、通勤や日常生活にも多く利用されていることから、物流や観光、商工関係の利用だけではなく、地域住民の皆さんの利用状況も十分配慮しながら、検討会において御議論をお願いしたいと考えております。
以上でございます。
12 ◯議長(大野久芳君)
大坪商工労働部長。
〔商工労働部長大坪昭一君登壇〕
13 ◯商工労働部長(大坪昭一君)
中小企業大学校の候補地の活用に関する御質問にお答えをいたします。
ことし3月、国において
中小企業大学校の新規ブロック校の開設中止の方針が示されまして、平成6年に小矢部市が取得した建設候補地の有効活用が課題であることは、県としても十分認識をいたしております。国に対しましても、重要要望事項として必要な支援がなされるよう働きかけもしているところでございます。
小矢部市におかれましては、国の方針決定後、地元の要望を踏まえまして活用策として、先ほど議員からお話もありましたが、企業や公的機関の誘致を検討しておりまして、県も協力の要望を受けております。今後、小矢部市において具体的な案件が進展してくれば、県としても必要な支援を検討してまいりたいというふうに考えております。
また、候補地の活用に当たりましては、その候補地の現況が山林であることから、それを造成する費用が大きな課題であります。現在小矢部市では、この費用を縮減する方策について検討されておりまして、県も参画をして協議を進めております。
具体的には、近隣の東海北陸自動車道の付加車線工事に伴い、必要となる盛り土の採土地として活用してもらえれば、粗造成にかかる費用の縮減が図られるというふうに考えておりまして、NEXCO中日本にその活用を要望しているところであります。
今後とも、旧
中小企業大学校候補地に関しましては、費用の縮減方法も含めて有効に活用されるよう、引き続き協力してまいりたいというふうに考えております。
以上であります。
14 ◯議長(大野久芳君)
新田知事政策局長。
〔知事政策局長新田一郎君登壇〕
15 ◯知事政策局長(新田一郎君)義仲・巴の
大河ドラマ誘致についてお答えをいたします。
大河ドラマ誘致については、これまで6回にわたりましてNHKの会長に要望を行ってきましたほか、平成21年8月に発足しました「義仲・巴」広域連携推進会議の自治体と連携を図りながら、これまで、漫画本とかゆかりの地を紹介するPR動画、マップの製作などに取り組んでまいりました。
なかなか成果が出ないということもございまして、NHKの関係者等から、脚本が大事だと、特に最近の傾向では、連続テレビ小説で高視聴率を記録した脚本家がその後大河ドラマの脚本を担当するという傾向が見られますので、人気脚本家にターゲットを絞りまして、義仲・巴をテーマにしたエッセーを執筆していただき、NHK関係者などに対しまして義仲・巴の魅力を積極的にPRしていきたいと考えております。
このエッセーを誰にお願いするかということについては、これまで筱岡議員から繰り返し叱咤激励もいただきまして、私どもとしても、安易に妥協するということではなくて、できるだけ有名で有力な方にお願いしたいと、お忙しい方ばかりなんですが、粘り強く調整を行いましたところ、朝の連続テレビ小説あさが来たで今世紀最高視聴率を記録した人気脚本家の大森美香さんに御快諾をいただくことができました。
今回御快諾いただきましたのは、あさが来たの98話で、ヒロインが巴御前に扮して登場するシーンがあったと、これがきっかけとなりました。大森美香さんと本県との間に御縁ができたことは、今後の誘致活動にも相当程度の効果があるのではないかと期待をしております。
県としては今後とも、大森氏の御縁なども大切にしまして、大河ドラマの実現に向けて、これまで同様、粘り強く努力してまいります。
16 ◯議長(大野久芳君)以上で筱岡貞郎君の質問は終了しました。
亀山彰君。
〔4番亀山 彰君登壇〕
17 ◯4番(亀山 彰君)おはようございます。
自由民主党の亀山です。
初めての一般質問で登壇させていただき、身の引き締まる思いです。初心を忘れず邁進してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
立山・黒部は、日本でも類を見ない自然環境が存在する山岳地として中部山岳国立公園に指定され、環境の保全活動が先進的に行われるとともに、利用の面でも立山黒部アルペンルートが開発、整備され、今や国内外から多くの観光客が訪れる観光地としての地位を確立してきています。そして、さらなる高みを目指し、立山・黒部の世界文化遺産登録に向けた取り組みも進められ、立山黒部ジオパークも世界ジオパーク認定を目指しております。
近年、北陸新幹線による首都圏とのアクセスの改善、訪日外国人の増加や個人旅行客の増加により、立山・黒部を取り巻く環境は大きく変化しております。これらの変化に柔軟かつ迅速に対応していくことが、今後も選ばれ続ける観光地であるための条件であるため、そのためには立山・黒部の現状を把握し、必要な対策を講じなければなりません。
さて、立山・黒部の歴史、文化では、いよいよ来年に日本ユネスコ未来遺産でもある橋渡りの伝統行事、布橋灌頂会が開催されます。高平先生も熱望しておられました観覧席をこの秋に県で立派に整備していただきましたことを、近く地元芦峅寺集落で観覧席の完成を祝う集まり、安全祈願もあるとのことですが、この場をかりて感謝申し上げます。
私も高平先生の意思を引き継ぎ、この伝統行事をしっかり後世に伝えていけるよう全力を尽くす所存ですし、知事におかれては、ぜひとも出席していただくとともに、残念ながら女性ではないので橋渡りはできませんが、地元からは、来年はより盛大に行いたいとのことですので、県から多大なる御支援をいただきますことをお願いし、質問に入らせていただきます。
まず、立山・黒部の世界ブランド化に向けた取り組みなどについてお伺いします。
立山黒部アルペンルートの観光客は、黒部ダムや雪の大谷など、特定のスポットを目指すだけの通り抜け観光であり、滞在型の観光地とはなっていない現状があります。立山黒部アルペンルートには、歩くアルペンルートや称名滝から弘法の登山道である八郎坂を初め、複数のコースが設定されており、これらを活用したエコ、セラピー、トレッキングなど、新たな滞在型コンテンツとして期待されます。
ところが現状は、標識や看板、ベンチの倒壊や腐食、木道への倒木などが見受けられ、大変残念な状況にあることから、早急に改善し、周辺環境の整備とあわせて魅力を高める必要があると考えます。
そこで、立山黒部アルペンルート内にある立山信仰の歴史を刻む旧立山登拝道を修復整備し、大自然を体験しながら学び、楽しむことができる歩くアルペンルートについて、周辺コースなどとあわせて滞在型コンテンツとしてコース環境を質的に向上する必要があると考えますが、今後の取り組みについて知事の考えをお伺いいたします。
また、立山黒部アルペンルートの玄関口である立山駅は、多くの国内外の観光客が立ち寄るエリアであり、これまでも魅力あるさまざまな整備や仕掛けがなされてきました。今後、環境面や景観面など、さらに魅力の向上を図るため、立山駅周辺道路の無電柱化を促進するべきと考えますが、無電柱化に向けては、技術的にも課題が多いため県の支援が重要となります。県として町に対してどのように支援していくのか、
加藤土木部長にお伺いします。
続きまして、訪日外国人旅行者への対策の強化についてお伺いいたします。
昨年、立山黒部アルペンルートを訪れた外国人旅行者は、前年と比べ12%増の約21万5,000人に上り、12年前の平成15年と比べると、約9.1倍と大幅に増加しております。
そうした中、11月13日の県主催の立山・黒部をテーマとした検討会で、田村観光庁長官が質の高いホテルの誘致を提案され、また、中部山岳国立公園を訪れる外国人は多いにもかかわらず、宿泊者数が少ないという課題を指摘いただいています。
そこで、県では、新・富山県観光振興戦略プランにおいて、平成31年の外国人延べ宿泊者数の目標を、平成27年度比2.8倍の56万人泊と掲げている中、その実現に向けては、宿泊施設の整備促進などの受け入れ環境整備が不可欠と考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
また、立山黒部アルペンルートへの訪日外国人旅行者は、アジアからが最も多くなっておりますが、今後は欧米からの誘客も積極的に行うべきと考えます。亀井観光・地域振興局長に御所見をお伺いします。
近年、富山きときと空港の国際定期便の就航などにより、台湾、香港、韓国、中国など、アジアからの来訪者が増加しておりますが、北陸新幹線開業を機会に欧米からの誘客にも力を入れるべきではないかと考えます。
また、先般の検討会において星野リゾート代表からも同様の提案がありましたが、冬は雪に閉ざされ、スキー、雪のイベントなど雪頼みになり、暖冬の降雪量が少ない年は苦戦を強いられています。思い切った方向性を打ち出したいとあります。
そこでさらなる誘客促進に向けては、立山黒部アルペンルートの通年営業が必要だと考えますが、亀井観光・地域振興局長に所見をお伺いいたします。
一方、立山町などでは、トライリンガル職員を内閣府の地方創生加速化交付金を活用して配置しております。しかし、町村では複数を増員するには財源確保に課題があり、各市町村の体制整備には限界があることから、県からの支援が必要と考えます。
そこで、各市町村において多言語対応のできる職員の配置などの訪日外国人旅行客の受け入れ態勢整備を行っている中、さらなる体制整備に向けては県として積極的に支援すべきと考えますが、亀井観光・地域振興局長に御所見をお伺いいたします。
富山県ケーブルテレビ協議会と県、市町村、その他関係団体が連携した富山の防災・観光ナビ富山なびについて平成28年4月から運用実証実験を行っております。気象庁が提供する各種情報や称名滝、立山カルデラ、室堂周辺、黒部ダム、世界遺産合掌造り集落のライブカメラ映像、53のお勧め周遊ルートの紹介や観光パンフレット集を提供しています。よいものは続けるべきと考えます。
そこで、この富山なびについて、11月下旬までとされている実証運用実験終了後も継続して行っていくべきと考えますがどうか、山崎経営管理部長にお伺いいたします。
また、この富山なびについては、この8月にはLアラート(災害情報共有システム)との連携や、先ほども述べましたが、各種観光パンフレット集などのコンテンツの追加がされています。防災、観光両面で外国人観光客には必要不可欠であると考えます。
そこで、Wi─Fiの普及により、観光地の多くでスマホが使用可能となってきています。富山なびの利便性を高め、さらなる利用を促進するために、訪日外国人旅行者向けの多言語解説や案内看板にQRコードを付すなどの方策も必要だと考えますがどうか、山崎経営管理部長にお伺いいたします。
続いて、社会資本整備と安心・安全の確保についてお伺いいたします。
まず、富立大橋についてお伺いいたします。
近年、立山町利田地区沿線に相次いで大型店舗が進出しました。例えば、シマヤ、ジョーシンは平成25年10月に開店、モンベルは平成27年9月開店、加えて曽我、鉾ノ木地内の企業誘致などが行われています。利田地区の一部では4車線化がなされていますが、一日でも早く橋梁部分及び高架橋部分の4車線化が望まれます。今後、5年程度かかると聞いていますが、一年でも前倒しができないか、今年度からは右岸部取り付け部に当たる高架橋の下部工が施工され、10月補正予算でも工事費が計上されて整備促進が期待されます。交通網の整備は、人の流れを生み、活性化につながると思います。
そこで、富立大橋の一日も早い4車線化に向けて今後どのように取り組んでいくのか、立山町横沢から二ツ塚までの4車線化の見通しとあわせて
加藤土木部長にお伺いいたします。
本日、12月1日には、立山弥陀ヶ原火山が常時観測火山に追加され、24時間体制での火山活動の観測が始まります。一昨年の御嶽山噴火の教訓に県民意識は高まりを見せています。地獄谷では、健康に被害を及ぼす可能性のある濃度の火山ガスが観測されて、ハイマツは一部分が枯れ始め、通行規制されています。山の膨らみを調べることができるGNSS、傾斜計、地震計、空振計の設置、地下にあるマグマの流体の動きから震動を捉える広帯域地震計が設置され、精度の高いデータが提供されて風評被害は防げるのではないかと思います。火山防災協議会はしっかりと分析して、安心につなげてもらいたいものです。
御嶽山噴火以降、立山町においてはヘルメットやガスマスクを貸与しており、県としても積極的に対策を講ずる必要があると思います。
そこで、弥陀ヶ原が常時観測火山に追加されたことから、今後、観光客、登山者に対するさらなる安全対策の強化に向け、山小屋屋根の補修、補強、シェルター設置などを県として積極的に行っていくべきだと考えますが、
新田知事政策局長にお伺いいたします。
また、災害への対応に向けて、県や市町村などさまざまな主体が非常食を備蓄しておりますが、県が保管場所を含めて全体を把握し、計画的に備蓄を行っていく必要があると思います。
そこで、災害時に必要となる非常食を県下全域で計画的に備蓄するためにどのように取り組んでいるのか、現在の備蓄状況とあわせて
蔵堀厚生部長にお伺いします。
続いて、教育の振興についてお伺いいたします。
県では、とやま型学力向上プログラムを策定し、学び合いと体験を柱とした授業改善、学校改善を各学校に広めてきました。今年度の全国学力・学習状況調査の結果においても、本県は各教科の平均正答率が全国トップクラスとなっています。しかし、知識・技能に関する力に比べ、活用に関する力が弱い、家庭での学習時間が全国平均に比べて中学生は低いなどの課題が明らかになっております。
各学校では、スクールアドバイザー会議、各小学校で呼び名は違うと思うが、先生方と外部からの評価委員との意見交換会を行うなどに努められております。しかしながら、一度信頼が失われると教員に対する保護者からの評価は厳しいものがあります。学校と家庭との信頼関係構築が学力向上につながると思うがどうかであります。あわせて、教育の達人DVDの内容確認、保護者にも見せるべきと思います。
そこで、策定以来10年が経過したとやま型学力向上プログラムの進化についてこれまでの取り組みをどう評価し、今後、学力向上の推進にどう取り組んでいくのか、渋谷教育長にお伺いします。
次に、小人数学級について、小学校1、2年生で取り組んでいる少人数学級を今年度からは小学校3年生にも少人数学級選択制が導入され、少人数学級のほうが児童を安定させやすいなどとして、各学校の実情に合わせた選択制とすることとなっています。
今後は、先日の代表質問の答弁においても4年生について検討していくとの答弁がありましたが、4年生以上においても拡充するとともに、将来的には、選択制ではなく、県下統一での導入を検討すべきだと考えますが、渋谷教育長の所見をお伺いします。
この件については、先輩の先生方が6月議会などでも質問なさっておられますが、児童に目が届くきめ細やかな教育が重要であり、国際教育到達度評価学会(IEA)の公表に対して、文部科学省の分析も少人数学級の実践といった学校現場の取り組みも功を奏したと見ています。できれば6年間、小学校生活を通じて少人数学級が必要ではないかと考えます。
知事のお言葉の中に、小学校3年生について生活習慣や学習態度を身につけるといった発達段階に個人差が大きい面があり、こうした児童が複数在籍する一部の学校では、小規模学習のほうが安定させやすい面があるとの御意見をお伺いしましたのでとあります。習熟度別学習などができる少人数指導にも力を入れまして、少人数学級と組み合わせた効果的な少人数教育を進めておりますともあります。核となる教室は、少人数学級として、生徒に対して劣等感を植えつけないことが大切であると考えます。
以上、お伺いして質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
18 ◯議長(大野久芳君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
19 ◯知事(石井隆一君)亀山議員の御質問にお答えをいたします。
最初に、立山・黒部の世界ブランド化に向けた取り組み等についてであります。
まず、歩くアルペンルートの整備についてであります。
この歩くアルペンルートは、立山信仰の歴史を今に伝える旧立山登拝道を修復しまして、立山の自然、歴史、文化に歩きながらふれられますように、平成8年から11年にかけて立山町の千寿ヶ原から一ノ越、黒部湖に至る約27キロの登山道を県が再整備したものであります。
また、この登拝道以外のコースであります称名滝から弥陀ヶ原に至る八郎坂や松尾峠に向かうコースなど、熟練度に応じて魅力を満喫できるように、難易度別に19コースを設定しまして、多くの観光客に利用されております。しかしながら、その後、20年近く経過しておりますので、議員御指摘のとおり、標識やベンチ等の一部施設に腐食や倒壊等が見られる状況になっております。
そこで、これまで部分的に補修も行ってきておりますほか、地元立山町や山小屋等と連携協力しながら、草刈りとか倒木の除去などの維持管理に努めております。
また、平成19年度からは、老朽化の著しい弘法からブナ坂までの区間を計画的に再整備しておりますほか、平成24年度からは、弥陀ヶ原・大日平がラムサール条約湿地に登録されたことをきっかけに、立山町からの御要望もありまして、弥陀ヶ原地区の木道とか、あるいは駐車場の整備、称名園地のトイレの洋式化、また、立山の自然を紹介したDVDやパネル等の作成など、ハード、ソフト両面から周辺環境の整備をしております。
ちょうど3年前の10月になりますか、故高平県会議員さんと弥陀ヶ原の木道地域を一緒に回りまして、高平県議は非常に情熱をお持ちですから、この登拝道の歴史などもあわせて伺って、木道整備を早く進めなきゃいかんということをいろいろと相談したことを思い起こします。
さらに、今年度からは、新たに弥陀ヶ原地内において、木道のスリップ対策、これは滑り止め用の板の貼りつけなど、また、外来植物除去をとやまの山岳環境整備ボランティアと、また、森林管理署だとか環境省等々の関係機関、約160人の方々に御参加いただいて実施したところでございます。
今後も安全で快適な歩くアルペンルートのコース環境の一層の向上など、滞在型観光の基盤づくりに努めまして、立山・黒部地域の世界ブランド化に向けた取り組みをさらに進めたいと思っております。
なお、来年の布橋灌頂会、安全にこれを観覧するために県道の擁壁を整備して、観覧席としても使えるようにしましたので、私、女性ではありませんけれども、ぜひ出席させていただきたいと考えておりますが、また御相談をしたいと思います。よろしくお願いします。
20 ◯議長(大野久芳君)
加藤土木部長。
〔土木部長加藤昭悦君登壇〕
21 ◯土木部長(加藤昭悦君)立山駅周辺道路の無電柱化についての御質問にお答えをいたします。
道路の無電柱化につきましては、良好な景観の形成や安全で快適な通行空間の確保、災害に強いまちづくりに資するとともに、地域の活性化や観光振興に大きく寄与するものと考えております。
このため、富山県内では、全国的に無電柱化事業がスタートいたしました昭和61年度以降、道路管理者及び電線管理者から成ります無電柱化実施箇所にかかります協議会において合意された計画に基づき、富山市、高岡市などにおけます中心市街地の幹線道路、あるいは主要な駅周辺地区のほか、南砺市菅沼の合掌集落、あるいは八尾の諏訪町本通りなど、県内を代表いたします観光地において、国道、県道、市町村道を合わせまして約78キロメートルの無電柱化を計画的に実施してきたところでございます。
御質問の立山駅につきましては、本県を代表いたします観光地であります立山黒部アルペンルートの富山県側の玄関口であり、国内外から多くの観光客が訪れていることから、立山駅周辺の道路の無電柱化を行うことは、観光地の魅力向上はもとより、防災の観点からも大変効果的であるというふうに考えております。
しかしながら、立山駅前の道路には、北陸電力の導水管が埋設されておりますことから、電線類地中化、あるいは裏配線、軒下配線など、どのような無電柱化の手法がふさわしいのか、まずは駅前の道路の管理者であります立山町において御検討をいただきたいというふうに考えておりますけれども、県といたしましては、立山町さんから御相談があれば、技術的な助言を行うなど、十分協力してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
22 ◯議長(大野久芳君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
23 ◯知事(石井隆一君)次に、訪日外国人旅行者への対策の強化についてお答えをいたします。
宿泊施設などの受け入れ環境整備についてであります。
国がことし3月に発表しました明日の日本を支える観光ビジョンにおきましては、3大都市圏以外の地方部で外国人旅行者の宿泊を増加させる目標が示されたことを受けまして、本県でも同じく本年の3月に取りまとめました新・富山県観光振興戦略プランにおきまして、国内外から選ばれ続ける観光地づくりを目指すことにしまして、外国人延べ宿泊者数を平成31年には56万人、これは平成27年の2.8倍となりますけれども──こういった目標を掲げまして外国人旅行者の受け入れ環境整備に取り組んでいくことにしております。
宿泊施設の整備については、かねてからホテルの誘致を経済界に投げかけてきたところでございます。新幹線開業後、県内では複数のホテルが開業しましたほか、今後もビジネスホテルの開業や既存のホテルの改装が予定されていると伺っていますけれども、外国人旅行者に対応した一定のグレード以上の宿泊施設は、依然として整備が必要であると考えておりまして、引き続き経済界へ働きかけてまいりたいと思います。
新幹線開業の三、四年前から随分いろんな方にお声かけをしたんですけれども、当時はリーマンショックの影響もあって、なかなか皆さん、前向きな感じになりませんでした。最近、ようやくビジネスホテル等がどんどん増えてきていることは、それはそれでいいことだと思っていますが、これからの課題は、やはりもう少しグレードの高いホテルを誘致できないかということかと思っております。
また、去る11月13日に「立山黒部」の保全と利用を考える検討会を開催しましたが、お話にもありましたけれども、委員をお願いした田村観光庁長官から、立山・黒部が位置する中部山岳国立公園というのは、全国の国立公園の中でも訪日外国人客が第4位だという一方で、受け入れ可能な最大宿泊者数は13位にとどまっており、いらっしゃる観光客に対して宿泊のキャパシティーが少ないといったような御指摘もありましたし、また、質の高いホテルの誘致や民間のノウハウの活用等について御意見をいただいたところであります。
県としましては、今後、さらなる増加が予想される訪日外国人旅行者を的確に取り込んでいきますために、立山・黒部エリアも含めまして外国人旅行者のニーズに対応した宿泊施設の確保、誘致をできるだけ積極的に今後も働きかけてまいります。
24 ◯議長(大野久芳君)亀井観光・地域振興局長。
〔観光・地域振興局長亀井明紀君登壇〕
25 ◯観光・地域振興局長(亀井明紀君)欧米からの訪日外国人の誘客に対する取り組みについてお答えいたします。
県では、これまで東アジア、東南アジアを中心に外国人観光客の誘客活動を実施してきたところでございまして、その結果、アジアを中心に外国人旅行者が増加をしてきております。例えば、立山黒部アルペンルートの外国人観光客数で言いますと、12年前の9.1倍の21万4,000人超の方々が山にいらっしゃっております。
議員御質問の欧米からの誘客に対しましては、観光庁の平成27年訪日外国人消費動向調査によりますと、平均滞在日数が長く、日本滞在中の1人当たりの旅行支出額が多いことから、観光消費拡大による地域活性化が期待できるなど、誘客促進を図っていくことは大変重要であると考えております。
県では、これまでも欧米からの誘客を促進するために、主に新幹線を利用することが多い欧米の個人の旅行客向けに、北陸新幹線沿線県と連携しまして、東京・大阪「北陸アーチパス」、これはJR東日本、西日本から発売されておりまして、本年4月から利用開始となった東京-北陸-大阪間のJRが乗り放題になる周遊切符でございますけれども、この割引切符を使った観光ルートのPRだとか、外国人旅行者向けのツアーの造成の支援だとか、あと、本年6月3日に発行されましたミシュランガイドの富山・石川版の英語版のウエブサイトの作成支援だとか、このウエブサイトを欧米の旅行博等でPRするとか、富山の食の魅力を初め、観光資源の認知度向上に取り組んでいるところでございます。
また、今後は、引き続き欧米の旅行会社、メディアの招聘、旅行博への出展やミシュランガイドと並んでフランス発祥の美食ガイドとして知られますゴ・エ・ミヨ東京・北陸2017版が発行されますことから、富山の食の魅力を引き続き情報発信していくほか、本県のさらなる認知度向上を図るために、欧米の旅行ガイドやウエブサイトを活用した欧米市場への効果的な発信方法についても新年度に向けて検討してまいりたいと考えております。
続きまして、立山黒部アルペンルートの通年営業に関する御質問についてお答えいたします。
県では、立山・黒部の世界文化遺産登録や2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えまして、今後ますます増加が見込まれる訪日外国人旅行者をしっかりと呼び込むために、「立山黒部」の世界ブランド化に向けた有識者検討会を去る11月13日に開催し、現状や課題について活発に御議論いただいたところでございます。
議員からも御指摘がございましたけれども、その中で検討メンバーの1人である星野委員より、立山黒部アルペンルートの通年営業をしてはどうかという御提言がございました。趣旨は、そうすることによりまして、生産性や正社員比率が高まるだとか、ひいては観光に携わる方々を初めとする定住人口を拡大するだとか、いろんな経済効果がある、雇用・経済面で地域に与えるプラス効果は大きいのではないかという御意見をいただいたところでございます。
この通年営業につきましては、厳しい自然状況の中で安全性が確保できるのかどうか、仮に運行できたとしても冬季の悪天候が続くことが予想される中で、乗り物やターミナルの中などで利用者に楽しんでいただけるコンテンツが提供できるのかどうかといった課題が想定されますものの、もし実現することになれば、国内外から一層注目され、従来から本県観光の課題である冬季の誘客の大きな原動力になると考えております。
今後、第2回の有識者検討会におきましては、こうしたことも含めまして、これらの課題解決に向けて国内外の先進事例の紹介だとか、取り組むべきプロジェクトなどについて御議論いただくこととしております。短期的、中期的にどのようなことが可能なのか、有識者の御意見を十分に参考にしながら、また、国の施策の動向も踏まえながらしっかりと勉強してまいりたいと考えております。
最後に、訪日外国人の受け入れ態勢の整備に関する御質問についてお答えいたします。
本県を訪れる外国人旅行者は、今後ますます増加すると予想されることから、県の取り組みはもちろんですけれども、市町村とともに外国語対応ができる職員の確保など、外国人旅行者の受け入れ態勢の整備に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
県ではこれまでも重要市場である台湾からの観光客受け入れ体制を整備し、誘客を促進するため、台湾出身の観光案内サポーター2名を平成24年度から観光課内に配置しております。この方にも各種資料の翻訳や台湾旅行会社等の招聘における通訳、県内観光地での観光案内の支援などを行っていただいております。
また、県内の新幹線駅などの広域観光の拠点に設けられた観光案内所を県の広域観光案内所と位置づけまして、地元の市町村や観光協会さん等と協働しまして、英語対応が可能な職員の配置を支援するとともに、今年度からは富山駅構内に観光案内デスクを設置しまして、日本語、英語、中国語の3カ国語によるきめ細やかな情報提供を行っているところでございます。
さらに、とやま観光未来創造塾におきまして、外国人観光客の受け入れに関する講義を実施しているほか、外国人旅行者に対応した接遇やサービスを提供できる人材育成を図るため、接客英会話などの講習や県内観光案内地での実地研修などを行う雇用型訓練を実施するなど、本県を訪れる外国人旅行者の受け入れ態勢の整備に努めているところでございます。
今後とも、市町村、観光協会、事業者と連携しながら訪日外国人旅行者の受け入れ態勢のさらなる整備、充実に努めてまいりたいと考えております。
26 ◯議長(大野久芳君)山崎経営管理部長。
〔経営管理部長山崎康至君登壇〕
27 ◯経営管理部長(山崎康至君)まず、富山なびの実証運用実験についての御質問にお答えをいたします。
御紹介のありました富山なびにつきましては、気象情報や交通情報のほかに、立山砂防や立山山麓などのライブカメラ画像、また、県内のイベント情報などの提供を行いますスマートフォンアプリでございます。富山県ケーブルテレビ協議会が主体となりまして、県などが協力する形でことしの4月より運用実証実験を行っております。
この実証実験では、観光に関する情報についてエリアを絞って行っておりまして、具体的には、観光客の多い立山室堂周辺の情報を中心として提供してまいりました。こうしたことから、当初の予定では立山黒部アルペンルートの開業期間に合わせて11月までで一旦終了いたしまして、その後、実証実験を通して明らかとなった課題や事業としての実現可能性等について検証、検討を行った上で、来年度以降、県内全域の観光情報を掲載したサービスとして提供することを目指しておりました。しかしながら、1年を通してやはりサービスを提供するためには、冬の期間の情報発信のあり方についても検討する必要があるということから、ことしの11月までを延長しまして、来年の3月末まで延長して実証実験を行いながら本格運用を目指すこととされたところであります。
これまでのところ、利用拡大に向けた多言語化等の内容の充実や周知方策、また、類似アプリとの差別化、連携方策など、今後取り組んでいくべき課題も見えてきております。このような課題に的確に対応いたしまして、来年4月からの本格運用が可能となりますよう、県としても引き続き協力してまいりたいと思っております。
次に、富山なびの利用促進についての御質問でございます。
富山なびの利用拡大に向けましては、アプリのコンテンツや機能の充実と、それからより多くの方にアプリを知ってもらうことの両面からの対応が必要であると考えております。
まず、コンテンツの充実につきましては、当初から提供してきております気象情報や交通情報のほかに、県内のイベント情報や国土交通省等が提供しますライブカメラ画像、さらに、これに加えまして8月からは、災害情報共有システム(Lアラート)との連携や観光パンフレット集のリンク等も始まったところでございます。
また、機能の充実につきましては、多言語解説を中心に現在は進められておりまして、現段階ではアプリの中から別の翻訳アプリの利用が可能となっております。また、コンテンツの多言語対応につきましては、利用者や関係者からの要望が多いものですから、災害情報等を多言語で発信できるようにならないか、類似のアプリではなかなか災害情報などについては多言語化されていないこともありまして、そういうことができないかといった点なども含めまして、引き続き検討を進めることとされております。
一方、このアプリを知ってもらい、活用してもらう取り組みといたしましては、ケーブルテレビを通じた広報はもちろんでございますが、御指摘のあったQRコードを付したポスターでありますとか、チラシによる周知などに取り組まれてきたところでありまして、県でも県のホームページの掲載などにより協力をしてまいりました。
今後は、イベントの際に利用を呼びかけ、その場でダウンロードしてもらうような周知活動、こういったことにも取り組む、また、外国語のチラシ作成をいたしまして、訪日外国人旅行者向けにも周知広報していくということにも取り組むこととされております。今後も県としても協力をしてまいります。
以上でございます。
28 ◯議長(大野久芳君)
加藤土木部長。
〔土木部長加藤昭悦君登壇〕
29 ◯土木部長(加藤昭悦君)次に、社会資本整備と安心・安全の確保についてです。
富立大橋などの4車線化についての御質問にお答えをいたします。
県道富山立山公園線の富立大橋は、平成17年3月に暫定2車線で供用したところでありますが、その後、常願寺川右岸の立山町利田地区では、沿線に大規模店舗などが相次いで出店するなどしたことから、年々交通量が増加し、特に朝夕の通勤時間帯を中心に利田曽我交差点などにおいて著しい交通渋滞が発生しておりました。
県では、これまで、渋滞対策として利田曽我交差点から東芦原交差点までの4車線化に取り組んでまいりましたが、大幅に交通量が増加し、常願寺川左岸側の藤ノ木南交差点を中心に、渋滞が解消されないことから、富立大橋の4車線化事業に昨年度着手したところであります。
今年度は、右岸取り付けの利田高架橋の下部工工事を進めており、このたびの国の第2次補正により左岸取り付け部の藤ノ木高架橋の下部工工事に着手する予定であります。
今後は、これら高架橋について下部工の完成後、上部工工事を順次進め、常願寺川にかかります富立大橋についても、高架橋工事の進捗状況を見ながら下部工及び上部工工事を実施していくこととしております。
一方、議員御質問の立山町横沢から二ツ塚までの4車線化については、4車線化に必要な用地は全て取得済みであり、富立大橋4車線化工事の進捗状況や今後の交通量の推移などを見きわめるとともに、沿道の開発状況なども総合的に勘案しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
富立大橋は、富山市や立山町はもとより、県東部地域の産業経済の発展の基礎となる重要な橋梁でありますことから、県といたしましては、必要な道路予算をしっかり確保し、一日も早く4車線化が完成できるように努めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
30 ◯議長(大野久芳君)
新田知事政策局長。
〔知事政策局長新田一郎君登壇〕
31 ◯知事政策局長(新田一郎君)弥陀ヶ原火山の安全対策についてお答えをいたします。
一昨年の御嶽山における噴火災害において、木造の山小屋程度の施設であっても待避できた方々の多くが結果的に難を逃れることができたというふうに報告されております。
こういったことも踏まえて、国においては地方公共団体や関係機関、火口周辺の施設管理者、所有者などが既存施設の噴石に耐える力の向上でありますとか、新たなシェルターの設置について検討する場合の参考資料として、昨年12月に手引きを作成されております。立山町においては、この国の手引き公表を受けまして、山小屋の噴石対策の推進について県などに要望書を出されております。
県としては、弥陀ヶ原の火山防災対策の推進が重要であるということでありますので、県の重要要望事項として県議会とともに、山小屋、特に民間施設の噴石対策の財政支援措置が、今、ないという状況でありますので、その創設について働きかけを行っております。
また、今年度、県独自といたしまして、災害時の一時避難場所となる地獄谷から半径4キロメートルの範囲内にある山小屋12カ所を対象として、建屋の構造などの把握とか、噴石の影響度、補強手法のほか、シェルター設置についての調査を現在やっております。途中段階でございますけれども、山小屋の構造調査や地獄谷から山小屋までの地形断面図の作成を終えまして、現在、噴石の到達距離についてシミュレーションを実施しております。
県としては、今後、この調査結果をもとに、火山防災協議会がございますので、こちらでも御議論いただきまして観光客や登山者の安全対策に努めてまいります。
32 ◯議長(大野久芳君)
蔵堀厚生部長。
〔厚生部長蔵堀祐一君登壇〕
33 ◯厚生部長(蔵堀祐一君)次に、非常食の備蓄に関する御質問にお答えをいたします。
県の地域防災計画におきましては、市町村は、被災者の生活を確保するため、隣接市町村や県と連携して非常食等の物資の確保に努めることとされております。
具体的には、被災市町村はまず第1に、炊き出し体制が整うまでの間、備蓄や調達した非常食を供給するということになっております。その後、第2段階といたしましては、その非常食が不足した場合には、県は当該市町村の要請によりまして隣接市町村等に供給の要請を行うということになっております。第3段階といたしまして、それでも不足した場合には、県の備蓄物資や流通備蓄を調達し、供給することとされております。
まず、市町村の備蓄でございますが、市町村それぞれの備蓄目標を定めておられまして、現在、その合計は約19万4,000食となっております。平成24年3月の備蓄が約14万5,000食でございましたので、それから4万9,000食ほど増えているということになります。ただ、御指摘もございましたが、市町村ごとの備蓄の基準や数量につきましては違いがあるという状況でございます。
次に、県でございますが、呉羽山断層帯の被害想定なども踏まえまして、県の現物備蓄、小売業者などとの協定に基づきます流通備蓄、市町村の備蓄、その他などを想定いたしまして、全体の約3割程度の非常食の備蓄を行うという考えで備蓄をいたしております。現在、県の現物備蓄につきましては、今年度末までに約21万食を備蓄する予定でございます。平成24年4月では17万3,000食でございましたので、そのときから比べますと3万7,000食増えているということでございます。
さらに、流通備蓄でございますが、これまでに40の小売業者や団体などと協定を締結いたしておりまして、現在、約6万4,000食の非常食を確保しているところでございます。これも以前の23年10月には約5万6,000食でございましたので、8,000食程度増えているという状況でございます。今後もその拡充に努めていくことといたしております。
県といたしましては、今後とも県民自身による自助としての備蓄にも努めていただくということを啓発していきたいと思っておりますし、市町村や小売業者などとも連携して、非常食の備蓄がしっかり確保できるように取り組んでまいります。
以上でございます。
34 ◯議長(大野久芳君)渋谷教育長。
〔教育長渋谷克人君登壇〕
35 ◯教育長(渋谷克人君)最後に、教育の振興についてです。
まず、学力向上についての御質問にお答えいたします。
本県では、小中学生の学力向上を目指して、平成19年度にとやま型学力向上プログラムを策定いたしました。その内容は、学力向上と人間関係づくりを一体的に進める学び合いと身につけた知識・技能を活用する体験を柱として授業改善を進めるものでありまして、現在も各学校で取り組まれております。
学力向上につきましては、このプログラムに加えまして、平成21年度から全市町村で実践研究拠点校を指定しまして、効果的な学力向上策を研究し普及するとともに、各地域の学力や学習の状況に応じた市町村教育委員会の取り組みに対する財政支援を行っております。
さらに、平成25年度には、より実効性のある具体策について検討しまして、新たに全国学力・学習状況調査結果を分析するソフトや授業改善の手引きなどの配布、授業の達人に任命したすぐれた授業を行う教員の公開授業、学力向上研修会なども行っております。
こうした取り組みによりまして、各学校で自校の課題を把握し、校内の研修や授業改善に努めてこられた結果、今年度の全国学力・学習状況調査においては、昨年度に引き続き、各教科の平均正答率が全国トップクラスになっているという調査結果に結びついているのではないかと考えております。
学力の向上は、教育の最も基本的なことであり、これまでの学力向上対策を点検評価し、さらなる授業改善や家庭学習、生活習慣の定着に継続的に取り組んでいくことが重要でありますので、議員からいただきました御指摘も踏まえながら、引き続き教育関係者が力を合わせて取り組んでまいります。
続いて、少人数学級についての御質問にお答えいたします。
本県では、これまで、小学校1、2年生では少人数学級を、中学校1年生では35人学級選択制を導入しておりますし、そのほかの学年では、国の加配定数や県単独の講師を配置しまして、習熟度別学習などができる少人数指導にも力を入れ、少人数学級と組み合わせた効果的な少人数教育を進めております。
これは学校現場から一律に少人数学級にするのではなく、少人数指導と少人数学級それぞれのよさを取り入れ、その組み合わせで対応する形が、教育上最も効果があるとの声が多く聞かれたことを踏まえ、こうした仕組みとしておりますので、今後も基本的にはこの方針を継続してまいりたいと考えております。
こうした中、小学校3年生では、発達段階に個人差が大きい面がありますなどで、こうした児童が複数在籍する学校では、小規模なほうが学級運営を安定させやすい面もありますので、総合教育会議において議論を重ね、今年度から小学校3年生に35人学級選択制を導入しまして、各学校が実情に応じて対応できるようにいたしました。
そうしたところ、本年春に35人学級を選択しなかった学校の中に、4年生進級時の対応が不明であることを選択しなかった理由としたところもありましたので、9月に開催されました総合教育会議において、県内の小学校では3年生から4年生進級時にクラスがえを行っていない学校が多いことも踏まえ、3年生で少人数学級を選択した学校については、4年生進級時に35人学級を継続できる制度とする方向で検討することとされました。
教育委員会では、現在、具体的な予算措置や人的配置などについて検討を進めておりまして、今後とも富山ならではの真の人間力を育む教育の実現に向け、しっかり取り組んでまいります。
以上です。
36 ◯議長(大野久芳君)以上で亀山彰君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時55分休憩
─────────────────────
午後1時00分開議
37 ◯副議長(五十嵐 務君)休憩前に引き続き会議を開きます。
島村進君。
〔1番島村 進君登壇〕
38 ◯1番(島村 進君)通告に基づきまして4項目について質問をいたします。県議会、初めての質問になりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
まず初めに、少子化対策と子育て支援の充実について質問をいたします。
我が国における急速な少子化の進展は、平均寿命の伸長と相まって、我が国の人口構造にひずみを生じさせ、21世紀の国民生活に深刻かつ重大な影響を与える問題として注目をされております。この問題は、富山県においても同様でありまして、出生数は昭和47年をピークに年々減少傾向にあり、平成13年には1万人を割り込み、平成23年には8,000人を切りました。そして、平成25年には7,722人と減少傾向が続いておりまして、県政にとっても大きな課題となっております。
富山県の取り組みといたしましては、平成21年度に制定した子育て支援・少子化対策条例に基づき、平成22年にはみんなで育てるとやまっ子みらいプラン子どもの笑顔輝く未来へが策定されてきました。そして、国の施策とともに連動して、平成27年3月には、富山県子育て支援・少子化対策に関する基本計画が策定され、少子化対策に取り組まれてきたところでございます。こうした取り組みをしっかり振り返りながら、その成果や課題を明らかにし、確実に前進させていくことが今求められていると思います。
そこで、知事にお伺いいたしますが、本県における合計特殊出生率は、平成23年は1.37、24年が1.42、25年が1.43、そして、平成26年が1.45、27年には1.51と毎年上がってきております。この要因をどのように分析しておられるか、お伺いをいたします。
また、知事は、県民希望出生率1.9を目指すとされておりますけれども、今後どのようにその実現を目指されるのか、決意も含めた見解をお示し願いたいと存じます。
2点目に、政府は少子化社会対策基本法に基づき、少子化対策大綱を定め、総合的な少子化対策の実施を求めております。その中の重点課題の1つとして、多子世帯への一層の配慮を掲げ、幼稚園、保育所等の保育料無償化の対象拡大をうたっております。
現在、我が県では、第3子以降の無償化に取り組んでおりますが、県民希望出生率1.9を目指す本県としては、本気度を示す意味からも思い切った支援の拡大が必要ではないでしょうか。
そこで、厚生部長にお伺いいたしますが、県が主導して第2子以降の無償化を推進してはどうか、見解をお伺いいたします。
また、第2子以降の無償化にはどれくらいの費用が必要と試算されるか、あわせてお聞かせいただきたいと存じます。
3点目に、保育士の待遇改善と人材の育成確保についてお伺いをいたします。
子ども・子育て支援新制度においても、保育士等の処遇改善と保育の質の向上は大きな課題となっております。私の調べたところによりますと、平成27年度賃金構造基本統計調査により算出された保育士の平均年収は、全国平均で315万円とされております。これはあくまでも平均でございますので、若い人は200万円を切るような水準でもございます。
また、県別の年収比較を見てみますと、石川県、福井県が315万円に対し、富山県は283万5,000円となっております。
そこで、厚生部長にお聞きいたしますが、県内における保育士の処遇実態はどうなっているのか、公立と私立の違いも含めてお示しいただき、今後どのように処遇改善と人材育成確保に取り組んでいかれるのか、お聞きをいたします。
4点目に、放課後児童クラブの充実も切実な課題となっております。県内市町村における小学校6年生までの受け入れ状況はどうなっているのか、お聞きをいたします。また、6年生までの受け入れのため、施設や人員体制の充実を図るべきと考えるものでありますが、厚生部長の所見を求めます。
5点目に、若い年齢での結婚、出産の希望の実現という観点から申し上げますと、経済的基盤の安定と若者の雇用安定というのが一番大きな要素だと考えるものであります。本県の正規就業者の割合は全国比較では上位にあると聞いておりますけれども、正規雇用、非正規雇用の状況の推移はどうなっているのか、お示しをいただき、若者の雇用対策の推進と非正規雇用の正規化に関する本県の取り組みについて、商工労働部長にお伺いをいたします。
大きな2項目目といたしまして、午前中にも質問がございましたけれども、私からも能越道の利便性向上と安全対策の推進についてお伺いをいたします。
まず、
能越自動車道の位置づけについてであります。
能越自動車道は、北陸自動車道や東海北陸自動車道と連結をし、中京方面を含めた高速交通ネットワークを形成する重要な高規格幹線道路として、飛越能を含む広域的な産業経済の活性化や観光振興、そして、交流人口の拡大や文化交流、また、防災上の観点からも極めて重要な位置づけを持つ道路であると考えるものであります。
能越自動車道の早期全線開通と利便性の向上、全線4車線化による抜本的な安全性の確保は喫緊の課題であると考えるものでありますが、知事の所見をお伺いいたします。
2点目に、以上のような観点からも、
能越自動車道は国による一元的管理が望ましいと考えるものであります。建設の経過として、一部区間を有料道路事業として整備した数少ない事例でありますけれども、今後どのような対応が可能であるのか、国との前向きな議論を期待しつつ、その展望について土木部長にお伺いをいたします。
3点目に、
能越自動車道の
利便性向上策の早期検討についてお伺いをいたします。
去る11月9日に
能越自動車道利便性向上対策検討会の第1回会議が開催され、経済界や学識経験者が参加され、検討が始まったことは大いに評価をしたいと存じます。近年開業した小矢部市のアウトレットモールへのアクセスの増加や国道8号線のバイパス機能の拡充、渋滞対策や危機管理上の観点からも早急な対策が求められていると考えます。
そこで、土木部長にお尋ねをいたしますが、さきの検討会で示された対策案1、福岡本線料金所ETC導入案、対策2、
フリーフローETC導入案、対策3、料金所統合案の3つの特徴についてお示しをいただき、今後どのように検討を進めていかれるのか、お伺いをいたします。
また、各案の課題の洗い出しや収支見通しの検証などについてもしっかりと進めていただきたいと存じます。
4点目に、
能越自動車道の料金所の見直しについては、早急な検討の実施が求められておりますが、今後どのようなスケジュールで進められるのか、お伺いをいたします。できれば来年度にも方向性を出していただきまして、早期に実施ができるよう要望いたしますが、土木部長の見解をお伺いいたします。
5点目に、
能越自動車道の対面通行区間の安全対策についてお聞きします。
能越自動車道の高岡インター以北は、当面の間、対面通行となることから、正面衝突事故の発生防止や各インターチェンジでの逆走防止などの安全対策の強化が求められております。報道によりますと、のと里山海道の相次ぐ事故の発生を受けて、石川県は本12月議会に約3億円の補正を計上し、センターポールの増設や警告音を発する溝切り工事等の実施をするとお聞きいたしております。
富山県として
能越自動車道の安全対策についてどう対応されるのか、土木部長にお伺いをいたします。
大きな3項目目の質問といたしまして、子供の発達障害についてお伺いをいたします。
子供の発達障害については、年々増加する傾向にあり、相談件数や診療者数が増加してきております。平成27年度日本小児科神経学会学術集会で紹介された通常学級に在籍する児童のうち、教育的配慮が必要とする子供の割合についての調査結果によりますと、担任が気になる子供の割合は一次チェックで19.1%に達し、より絞った二次チェックでも11.2%となっております。通常学級で1割を超えているということが報告されているわけであります。
私は、先般、高岡きずな子ども発達支援センターを訪問し、発達障害の現状と支援センターの活動について調査をいたしてまいりました。支援センターの現状と問題点を伺ってまいりましたが、常勤医師の不足、作業療法士や言語聴覚士等の不足により、訓練待ちが約6カ月にわたっていること、利用者の著しい増加により相談に対応し切れない実態についてお伺いをいたしました。
そこで、本県における発達障害の現状について、地域別の人数やその推移、傾向、また呉東と呉西の地区別状況などについても、厚生部長にお尋ねをいたします。
2点目に、高岡市のきずな子ども発達支援センターは、呉西地区における発達障害の子供の支援施設として重要な役割を果たしていると思っております。診療者数も年々増加しており、その内訳は、高岡市内が約半数、その他市の人が半分と伺っております。
医師の診察が半年待ちになる現状でもあり、極めて厳しい状況が続いているようでありまして、県内における発達障害への支援を強化する観点から、呉西地区の拠点であるきずな子ども発達支援センターへの医師を含めた人材の確保に対する支援や運営費に対する支援強化について、厚生部長の所見をお伺いいたします。
4項目目に、原発事故への対応について質問をいたします。
本年の4月27日に原子力規制委員会は、北陸電力志賀原発1号機直下のS─1断層について、活断層と解釈するのが合理的とした有識者会合の報告を正式に受理いたしました。新規制基準では、活断層の上に重要施設の設置は当然認められておりません。志賀原発1号機は、廃炉になる可能性が一段と高まったと言わざるを得ないのではないでしょうか。
しかしながら、北陸電力さんは、そのような指摘を無視し、断層の活動性を改めて否定し、再稼働を目指して新規制基準の適合性審査の申請を取り下げておらず、再稼働への道を突き進んでおられます。まことに残念でございます。
皆さんも御存じのように、志賀原発1、2号機が停止をして約5年以上が経過しておりますけれども、この間、ほとんどの原発が停止し、原発による発電がなくても我が国の電力需要は何らの障害もなく推移いたしております。
このような状況下におけるこのたびの原子力防災訓練は、志賀原発の稼働を前提として行われたと言わざるを得ません。今回の訓練の想定自体が石川県内で震度6強の地震が発生し、志賀原子力発電所2号機で原子炉が自動停止、同時に送電鉄塔倒壊及び中能登発電所の設備損壊等により外部電源の喪失、原子炉への全ての注水機能の喪失により全面緊急事態となり放射性物質が放出された、こういう想定で行われたものであります。本来であれば、停止中の志賀原発において保管してある核燃料や使用済み核燃料が強い地震により過酷事故を引き起こしたという現実的な設定のもとに防災訓練を実施すべきではなかったでしょうか。
このことは見方を変えれば、富山県は北陸電力の再稼働路線を容認した上で、原発稼働を前提とした防災訓練を実施したとの誤ったメッセージを県民に送ることになりはしないか、そういう疑念が拭えないのでありますが、どうでありましょうか。
今、志賀原発をめぐる最大の課題は敷地内の活断層の存在であり、県民の命と健康を守るためには、活断層上にある原発施設や核燃料、使用済み核燃料の撤去こそが防災上の最大の課題であると考えるものであります。まずは、こうした基本的な問題点を指摘しながら、今回の実施された原子力防災訓練の課題について質問したいと思います。
まず第1に、原発災害の発生規模と被害の想定に基づく具体的、現実的なシミュレーションに基づいて住民の被曝を最小限にし、安全に避難を行うことを最重視した訓練でなければならないと思います。また、実際の災害発生時のような対応というのは、現実的には不可能でありまして、訓練はあくまでも災害時の一定のシミュレーションに基づく限られた課題について検証を行うものだと思っております。その意味で、今回の訓練は何を重点にし、何を検証するために行ったのか、お伺いをいたします。
また、訓練を意義あるものにするためには、被害の想定と何を検証するための訓練かを参加者を含めて理解されることが肝要だと考えるものでありますが、知事政策局長の所見をお伺いいたします。
2点目に、県民の命と生活を守るためには、原発事故を絶対に起こさないことが肝要でございます。原子炉直下の活断層の存在が否定できない以上、北陸電力に対し、原発の安全管理の徹底とともに、廃炉に向けた検討を開始するよう富山県は要請すべきだと考えますが、知事政策局長の見解を求めます。
以上、大きくは4項目にわたりまして当局の所見をお伺いし、私の一般質問といたします。
ありがとうございました。
39 ◯副議長(五十嵐 務君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
40 ◯知事(石井隆一君)島村議員の御質問にお答えをいたします。
最初に、少子化対策と子育て支援の充実についてでありまして、まず、合計特殊出生率についての御質問にお答えをいたします。
議員の御指摘のとおり、本県の合計特殊出生率は、平成23年からは4年連続で上昇しまして、平成27年には1.51となっていまして、平成6年以来21年ぶりに1.5を超えたところでございます。平成23と27年の比較では、25歳から39歳の幅広い階層で出生率が上昇しておりまして、全国と比べますと若い層での上昇率が高くなっております。
この出生率の上昇は、平成21年に子育て支援・少子化対策条例を制定しまして、これに基づいた幅広い施策を推進して、例えば病児・病後児保育などの特別保育事業、あるいは、放課後児童クラブの実施箇所数の大幅な増加、また仕事と子育てを両立しやすい職場環境の整備をした企業の増加、御承知のように国は101人以上が一般事業主行動計画策定義務づけですけれども、富山県は既に51人以上が実施していますし、来年4月からは30人以上となっております。また、子育て応援券とか保育料等の負担軽減など、一定の成果があらわれてきたのではないかと思っております。
県民の皆さんの希望出生率は1.9でございますので、県民の皆さんの結婚と理想の子供の数の希望がかなった場合に、これは実現する数字ですから、現状においてはまだかなり高いハードルですけれども、この実現に向けて、これまで講じてきた対策をさらに深化させまして、結婚から子育てまで切れ目のない総合的な支援を積極的に推進する必要があると考えております。
そこで、まず、結婚、妊娠、出産の支援として、一昨年の10月にスタートしたマリッジサポートセンター等を通じました結婚を希望される男女の出会いの場の提供ですとか、また不妊、不育症治療への支援や周産期医療体制の整備、また地域や家庭における子育て支援としまして、病児・病後児保育など特別保育の支援や放課後児童クラブの充実、多子世帯の経済的負担の軽減、特に昨年からは第3子以上の保育料無料化にも踏み切ったところでございます。
また、教育費の融資を実質無利子化するとか、多子世帯、多子同居向け住宅の融資の実質無利子化とか、いろいろと進めておるわけでありますが、また、仕事と子育ての両立支援としまして、先ほどふれました一般事業主行動計画の義務づけ対象の拡大、来年からは30人以上となりますし、また、企業子宝率の活用によりまして、今、調査していろいろ分析している最中ですが、優良事例の収集や、また分析結果を踏まえたいい事例をいろんなところで普及啓発する、また、男性の働き方改革の促進などに取り組むことにしております。
県としましては、今後もやはり県民希望出生率を一つの大きな目標にしまして、市町村や地域における子育て支援、また企業における子育て支援体制の整備をサポートいたしまして、相互の連携を図りながら粘り強く継続的にしっかり進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
41 ◯副議長(五十嵐 務君)
蔵堀厚生部長。
〔厚生部長蔵堀祐一君登壇〕
42 ◯厚生部長(蔵堀祐一君)次に、第2子以降の保育料の無償化に関する御質問にお答えをいたします。
平成25年に県が行いました調査によりますと、理想の子供の数は3人以上とする回答が約6割なのに対しまして、実際に欲しい子供の数は2人とする回答が多く、その理由として、子育てにかかる経済的な負担が課題とされたところでございます。実際の調査では、この子育てや教育にお金がかかり過ぎるという回答が74.8%ございました。
本県における出生順位ごとの出生率を見ましても、平成26年の人口動態調査では、第1子の出生率は0.67、第2子の出生率は0.56と全国平均を上回っている状況でございます。一方で、第3子以降の出生率は0.22と全国平均をかなり下回るといった状態でございます。
こうしたことを踏まえまして、第3子以降の子育てにかかる経済的負担の軽減の充実を図りますため、27年度から県独自の第3子以降保育料の原則無償化や多子世帯向けのがんばる子育て家庭支援融資の拡充に踏み切ったところでございます。現在のところ、第2子にかかる保育料の無償化については考えていないという状況でございます。
また、厚生労働省が平成27年3月に発表いたしましたまち・ひと・しごと創生サポートプランによりますと、第3子以降の壁、第3子を産むかどうかという判断をするときの壁でございますが、これは育児に要する経済的負担を軽減することが必要となると指摘をされております一方で、第2子の壁につきましては、第1子の育児に対するさまざまなサポートがあることが非常に重要で、例えば、男性が積極的に育児を行うとか、子育て支援サービスの充実が必須であると報告されているところでございます。
なお、第2子保育料無償化の所要額につきましては、現時点では、第2子かどうかは保育料の算定に直接関係がございませんので、そういったデータが把握できておりません。そういったことから、保育所に入所している児童のうち、第2子に当たる児童の人数や年齢、それから、所得階層が的確に把握できないことから、正確な試算をすることは難しいと考えております。
続きまして、保育士の処遇改善と人材の育成確保に関する御質問にお答えをいたします。
公立保育所の保育士の処遇につきましては、国や県などの人事院勧告等を考慮いたしまして、市町村において給与が決定されておるところでございます。多くの市では、一般職給料表に位置づけをされておりまして、保育士だけを抜き出してというデータはございません。
それから、私立の保育所の保育士の処遇につきましては、厚生労働省の平成27年の賃金構造基本統計調査によりますと、富山県の保育士の賃金に賞与、期末手当などを加えた額は、月額で24万5,000円となっているところでございます。
私立保育所の保育士の処遇改善につきましては、平成25年度から国とともに取り組んでおりまして、平成24年度時点と比較をいたしますと、まず第1に、消費税財源を活用した処遇改善加算が3%相当加わっております。2つ目には、26年度の人事院勧告に従った2%相当の処遇改善、3つ目には、27年度の人事院勧告に基づきます1.9%相当の処遇改善が措置をされてきているところでございます。平成27年度で見ますと、全ての私立保育所、認定こども園におきまして、これらの3つの加算が合わせて実施されているところでございます。
さらに、ニッポン一億総活躍プランにおきましては、2%相当の処遇改善を行うと記載されておりますし、技能、経験を積んだ保育士については、さらに追加的に月額4万円程度の処遇改善をするということが記載されております。同じ内容が国の概算要求におきましても事項要求として盛り込まれているということでございまして、県としても全国知事会とともに所要額の確保を働きかけているところでございます。
保育士の人材の育成確保につきましてですが、富山県の場合は、保育所に勤務する保育士は、毎年約100人程度ずつ増加いたしております。そのおかげで平成16年度以降、保育所待機児童数ゼロを維持しているところでございますが、一方で、低年齢児の年度途中入所に伴って必要となる保育士の確保が重要になってきているところでございます。
このため、保育士・保育所支援センターにおきまして、潜在保育士の掘り起こしを行っております。また、年度途中の乳児受け入れのための保育士配置経費の助成、それから、潜在保育士を対象とした雇用型訓練の実施、それから、潜在保育士の職場復帰に必要な準備金や保育料などへの貸付事業も行っているところでございます。
県といたしましては、今後とも保育士の待遇改善や育成確保に努めまして、保育環境のさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、放課後児童クラブに関する御質問にお答えをいたします。
放課後児童クラブにつきましては、子ども・子育て支援新制度の施行によりまして、昨年度から小学6年生までが利用できることとなったところでございます。県全体の利用人数も、平成26年度の7,798人から、27年度では8,392人へと増加をいたしております。これにさらに、国庫補助対象外のクラブを含めますと、平成26年度では1万1,679人でございましたが、平成27年度では1万2,754人に増加をいたしております。また、小学校4年、5年、6年生を受け入れているクラブ数ですが、平成26年度では102カ所でございましたが、28年度では159カ所へと増加をいたしております。
県では、放課後児童クラブの受け皿確保を図りますため、施設整備への補助として、施設の新増築や小学校の余裕教室の活用に必要な修繕に対しまして、国とともに支援を行っております。また、クラブの安定した運営を図りますために、運営費につきましても国の補助基準額の引き上げに伴い助成を拡充いたしますとともに、国の助成対象とはならない小規模なクラブにも助成をいたしているところでございます。
このほか、クラブの増設などのために必要な指導員の確保を図りますため、平成26年度からですが、保育士養成校の学生に対しまして、クラブでのボランティア参加を呼びかけます出前講座を実施いたしております。これは3年間で824人が参加をいたしております。
また、昨年度から子育て経験者などを対象にクラブの運営を支える指導員を養成いたします子育て支援員研修を開催するなど、人材の育成に努めております。
利用ニーズに対応したクラブの設置拡充には、放課後児童クラブの実施主体でもあります市町村において、それぞれの地域のニーズ量を適切に把握していただくことが非常に重要だと考えておりますが、県としても、今後とも必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
43 ◯副議長(五十嵐 務君)
大坪商工労働部長。
〔商工労働部長大坪昭一君登壇〕
44 ◯商工労働部長(大坪昭一君)若者の雇用対策等に関する御質問にお答えをいたします。
本県の正規雇用者の割合は、最新の統計でありますが、平成24年の調査結果によりますと67.1%と全国第2位の高い水準にあり、特に若者について申しますと72.9%と全国第1位となっております。また、本県の正規雇用率の推移ですが、平成14年には74.5%であったものが、平成19年には70.7%、平成24年には67.1%と全国の傾向と同様に低下してきているものの、若者の正規雇用率を含めて一貫して全国トップクラスの正規雇用率となっております。
今後、労働力人口の減少が見込まれる中、安定した雇用のもとで若者、女性が活躍し続けられる環境を整備することが重要であります。このため県では、正規雇用を前提とした雇用の創出を図るため、富山県
ものづくり産業未来戦略雇用創造プロジェクトや富山県地域創生人材育成事業計画の推進により、人材の確保や訓練つき雇用を行う場合の人件費の助成を行っております。
また、若者につきましては、県内経済団体、企業に対する正規雇用の要請を初め、早期離職防止や職場定着のための新入社員向けのセミナー、若手社員を教育する職場リーダー向けのセミナーを開催いたしております。さらに、女性の就労促進のため、仕事と子育ての両立支援の一層の促進や
ものづくり産業への女性の参画促進のための企業見学会、Uターン女子応援カフェの実施などに取り組んでおります。
一方、国におきましても、今年度、非正規社員から正規社員への転換を支援するキャリアアップ助成金の拡充が図られております。県といたしましても、こうした制度の周知、活用も図ってまいりたいと考えております。
今後とも、県としましては、富山労働局等と十分連携しながら、正規雇用の増加や非正規労働者の処遇改善等にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
45 ◯副議長(五十嵐 務君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
46 ◯知事(石井隆一君)次に、
能越自動車道の利便性向上と安全対策の推進についてであります。
早期全線整備、利便性向上、安全性確保についてお答えをいたします。
能越自動車道は、昨年2月に県境部の灘浦インターから七尾大泊インター間が開通したことによりまして、県内区間全線を含む小矢部砺波ジャンクションから七尾インターまでの約58キロが供用となりました。現在は、石川県内において国土交通省がのと里山空港インターから(仮称)輪島インターチェンジまでの区間11.5キロの整備を進めておりますほか、今年度、新たに七尾インターチェンジから3.4キロの区間について事業化をしたところでございます。
県としては、今後とも早期に全線開通されますように、国に対して、これは石川県や沿線市町等々と一緒にですけれども、整備促進を強く働きかけてまいりたいと思っております。
一方で、新幹線開業効果を持続、深化させる、また地方創生を進めると、さらには、東海北陸自動車道の県内区間における付加車線設置が決定したということもございますので、このタイミングを逃すことなく、
能越自動車道における利用者の利便性の向上を進めていくということが極めて重要だと思っております。
そこで、通行料金が現金または回数券による支払いのために、一旦停止が必要な福岡本線料金所のあり方も含めた
利便性向上対策の検討を行うために、今般、有識者などから成ります
能越自動車道利便性向上対策検討会を設置しまして、先月9日に第1回目の検討会を開催しております。今後、県議会の御意見も十分伺いながら検討を進めまして、県西部はもとより県全体の活性化につながりますように
利便性向上対策にしっかり取り組んでまいります。
また、暫定2車線となっております高岡インターチェンジから北側の4車線化につきましては、対面通行が解消できて安全性の確保にはもちろん有効であると考えられますけれども、現時点では、石川県内に未整備区間が残っておりますから、まずは、全線供用が急がれる、国もそういう考え方だと思っております。
県としましては、引き続き交通量の推移を見守りまして、今後、相当の交通量の増加等がありますれば、その他、例えば渋滞で速度が低下するとか、そういった実情がありますれば、もちろん4車線化について国に検討を働きかけていこうと、今はまだまだそこまでの状態ではないと考えております。
47 ◯副議長(五十嵐 務君)
加藤土木部長。
〔土木部長加藤昭悦君登壇〕
48 ◯土木部長(加藤昭悦君)
能越自動車道の国による一元的管理についての御質問にお答えをいたします。
能越自動車道につきましては、小矢部砺波ジャンクションから高岡インター間は富山県道路公社が管理する有料道路である一方、高岡インターから北側は国が管理する無料の道路となっており、管理主体や有料、無料区間が混在している状況となっております。
能越自動車道は、北陸自動車道や東海北陸自動車道と連結し、高速交通ネットワークを形成する重要な幹線道路でありますことから、平常時はもとより、国土強靱化の観点から災害時においても広域支援ルートの役割が果たせるよう、より高度な信頼性や安全性を確保するため、現在の富山県道路公社管理区間も含めた国による一元的な管理が望ましいと考えております。
また、国の社会資本整備審議会国土幹線道路部会が昨年7月にまとめた中間答申では、整備の経緯から料金を徴収している区間と徴収していない区間が混在している路線などについては、有料、無料の整理を検討すべきであるとされたところであります。
県といたしましては、重要要望事項として
能越自動車道の国による一元的管理を掲げているところであり、その実現に向け、引き続き国に対して強く要望してまいりたいと考えております。
続いて、
能越自動車道利便性向上対策検討会で示しました見直し案についての御質問にお答えをいたします。
先月9日に開催いたしました第1回検討会では、
能越自動車道の
利便性向上対策として、1つには福岡本線料金所ETC導入案、2つには
フリーフローETC導入案、3つには料金所統合案、以上3つの検討案を提案したところであります。
各検討案の特徴といたしましては、まず、ETC導入案につきましては、福岡本線料金所に通常型のETCを導入することで、減速は必要であるもののETC車はノンストップで通過が可能となります。また、
フリーフローETC導入案、あるいは、料金所統合案については、いずれも福岡本線料金所を撤去いたしますことから、福岡本線料金所に隣接する福岡パーキングが利用しやすくなります。
通行料金の徴収につきましては、
フリーフローETC導入案では、小矢部東、福岡の両インターに
フリーフローETCと呼ばれる機器を設置することによりまして、小矢部東本線料金所でETC車に限り利用区間に応じた料金徴収を行うこととなります。
一方、料金所統合案では、新たな機器は設置せず、現行の2料金所における料金徴収を小矢部東本線料金所1カ所でまとめて行うことになります。
現在、将来交通量推計やETC等の導入経費について調査を進めておりまして、この結果に基づき、次回の検討会では、第1回検討会でお示しした3つの検討案についての収支見通しの試算や各案の特性などをもとに御審議いただき、対策案の方向性を絞り込みたいと考えております。
続いて、
能越自動車道の料金所の見直しスケジュールについての御質問にお答えをいたします。
能越自動車道における利用者の利便性の向上については、先ほど知事から答弁のありましたように、北陸新幹線が開業2年目を迎え、新幹線開業効果を持続、深化させるため、さらには、ことし8月には東海北陸自動車道の県内区間における付加車線設置が決定したことから、このタイミングを逃すことなく進めていくことが極めて重要であると考えております。このため、
能越自動車道利便性向上対策検討会を設け、先月9日に第1回検討会を行ったところであります。
今後、検討案についての収支見通しの試算結果などをもとに御議論いただくこととしておりますことから、検討終了の時期や見直し実施の時期について、現時点では明確にできないわけでございますけれども、
能越自動車道の
利便性向上対策については、県西部はもとより県全体の活性化につながる重要な課題であることから、十分に御審議いただいた上で、できるだけ早く適切な結論が出せるよう、県議会の御意見も十分伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
最後に、
能越自動車道の安全対策の強化についての御質問にお答えをいたします。
国土交通省が管理いたします
能越自動車道の高岡インターから北側については、暫定2車線で整備され、対面通行となっており、ドライバーへの視線誘導やはみ出しの抑制のため、上り下り車線の間に樹脂製のセンターポールが10メートル間隔で、さらに、縁石ブロックがセンターポール間に4カ所、2.5メートル間隔で設置されております。
これらの対策につきましては、NEXCO中日本などが管理いたします高速道路の暫定2車線区間と同じ仕様となっており、反対車線への飛び出し防止まではできないものの、一定の安全対策は図られているものと考えております。
また、逆走対策といたしましては、富山県道路公社が管理いたします小矢部砺波ジャンクションから高岡インター間では、インターチェンジにおける誤進入防止の注意喚起看板を設置するとともに、本線との合流部において進行方向を示す矢印板、あるいは、路面標示などを設置してきたところであります。国土交通省が管理いたします高岡インターから北側については、全てのインターチェンジ出入り口や本線の合流部等で今後、関係機関等の調整が完了した箇所から順次逆走対策を実施する予定と聞いておるところであります。
能越自動車道につきましては、本県のみならず、飛越能地域の交流、連携につながる大変重要な道路でありますことから、今後とも国土交通省と連携しながら
能越自動車道の安全対策に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
49 ◯副議長(五十嵐 務君)
蔵堀厚生部長。
〔厚生部長蔵堀祐一君登壇〕
50 ◯厚生部長(蔵堀祐一君)次に、子供の発達障害に関する御質問にお答えをいたします。
まず、発達障害の子供の地域別人数、その推移についてお答えをいたします。
発達障害の子供につきましては、知的障害や精神障害の手帳を所持している場合もございますけれども、発達障害であること、そのことに着目して手帳の対象となっているわけではございませんので、その人数について正確に把握するのは、現状では困難という状況でございます。
ただ、平成27年度に市町村の保健センターが実施いたしました1歳6カ月児健診を受診した幼児のうち、これが7,564名おりますけれども、このうち精神面において言語や行動などの点で発達の経過を見る必要がある、いわゆる要経過観察というやつですが、これだと指摘をされた子供は約1,520名おります。受診者数の20.2%でございます。これを地区別に見ますと、呉東地区、県東部ですが、これが約650名、呉西地区が約870名となっております。
また、同じように3歳児健診を受診した幼児についてでございますが、3歳児健診の場合は、7,850名が受診いたしております。このうち約1,220名、受診者数の15.6%が要経過観察となっております。この3歳児健診の1,220名を地区別に見ますと、呉東地区が約650名、呉西地区は約570名となっております。
さらに、年度別に見てみますと、平成21年度から27年度までの推移でございますが、1歳6カ月児健診では、21年度では1,450名でございましたが、27年度には約1,520名と70名増加いたしております。また、3歳児健診ですが、これも同じように平成21年度では約1,050名でございましたけれども、27年度には1,220名へと約170名増加をいたしております。
なお、これらの人数は、直ちにこれが発達障害ということではございませんで、言語、行動、生活習慣などの気になる項目があるという結果でございまして、また発達には個人差があるということでございますので、この数がそのまま発達障害児ということではございません。
次に、高岡市のきずな子ども発達支援センターに関する御質問にお答えをいたします。
高岡市きずな子ども発達支援センターは、障害福祉圏域ごとに設置されております児童発達支援センターの1つでございまして、高岡圏域を中心に県の西部地区における発達障害児を含めた障害児支援の拠点施設となっておりまして、高岡市の内外の障害児に対しまして児童発達支援や肢体不自由児等に対する治療、訓練などを行っております。
このセンターに対しましては、県はこれまでに平成11年の施設設置の際に国庫補助導入に関する国への要望ですとか、県負担分の補助を行っております。また、平成24年には、きずな子ども発達支援センターとして、きずな学園から独立するような形でスタートいたしましたけれども、必要な施設改修に関しまして補助をするなどの支援を行っております。
また、県のリハビリテーション病院・子ども支援センターから小児科医の派遣を行っておりますほか、リハビリテーション病院の児童精神科医療を充実させまして、県西部地区の患者についても積極的に受け入れるという対応を行って、診療の分散化を図っておるところでございます。ことしの1月から10月の実績でいいますと、リハビリ病院では1,010人のお子さんを診ているわけですが、このうち約15%は県西部からのお子さんを診ているというところでございます。
発達障害におきましては、専門医が全国的に不足しているという状況にございますので、平成29年度予算に関します国への重点要望におきまして、新たに専門医の養成を強く働きかけているところでございます。県といたしましては、引き続き利用者の増加などを踏まえまして、県リハビリテーション病院における診療体制の充実に努めますほか、きずな学園の設置主体であります高岡市と十分に連携して、発達障害児への支援が適切に行われるように努めてまいりたいと考えております。
以上です。
51 ◯副議長(五十嵐 務君)
新田知事政策局長。
〔知事政策局長新田一郎君登壇〕
52 ◯知事政策局長(新田一郎君)まず、原子力防災訓練についてお答えをいたします。
原子力防災訓練については、先月、石川県と合同で昨年を上回る住民参加のもと、氷見市などにおいて実施をいたしました。今回の訓練では、毎年継続して実施しております災害対策本部設置運営訓練や緊急時モニタリング訓練のほかに、自家用車の避難退域時検査の円滑な実施でありますとか在宅の要配慮者の避難といった課題に重点を置いて取り組んだところであります。
具体的には、避難退域時検査では、訓練参加者に避難ルートなどを理解いただき、ゲート型モニターで車両検査訓練を行い、昨年に比べ速やかに車両汚染を測定することができました。また、在宅要配慮者の避難訓練では、訓練参加者に支援要請手順を理解いただいた上で、支援者が要配慮者とともに福祉車両に同乗し、円滑に避難することができたわけであります。
なお、県では、訓練に参加する住民の皆さんに避難時の留意点などを理解して訓練に参加いただくため、広報誌なども事前に配布をしております。
訓練結果については、その検証が重要でありますので、今後、今月になりますけれども、参加機関との意見交換会を開催することとしておりまして、その中で課題についてしっかり検証し、改善すべき内容については、次回の訓練に反映して訓練内容を向上させていきたいと考えております。
今後とも災害発生時に迅速かつ的確に対策を講じることができるよう、実践的な訓練の実施に努めてまいりたいと考えております。
次に、志賀原発についてお答えをいたします。
志賀原発の敷地内破砕帯につきましては、お話がありましたように、本年4月に原子力規制委員会の有識者会合から同委員会に対しまして、S─1断層の北西部については、活動により変位したと解釈するのが合理的である、また、S─2、S─6断層については、活動した可能性があるという評価報告が行われました。なお、今後の課題として、より正確、確実な評価にするためには、データ等の拡充が必要ということであります。
志賀原発については、新規制基準の適合性申請が行われておりまして、原子力規制委員会において、この評価報告も参考に新たな地質データ等の確認なども含め、ことし6月に1年9カ月ぶりに審査会合が開催されましたけれども、引き続き現在も審査が行われております。
国の新規制基準では、原子炉建屋などの重要施設は活断層の露頭がない地盤に設置することとされておりまして、活断層の有無は、原発立地そのものに係る重要な問題であります。そのため、破砕帯が活断層であるのかどうかの判断や原発の安全確保、再稼働については、法律上の権限と責任を有する国において、専門家によるさまざまな科学的調査分析、十分な検証などを行った上で総合的に判断いただくことが重要であります。また、国は、その結果について原発立地県はもとより、氷見市や富山県など周辺自治体、県民なども理解して十分納得できるよう、体系的かつ適切な説明をしっかりしていただくよう求めていきたいと考えております。
53 ◯副議長(五十嵐 務君)以上で島村進君の質問は終了しました。
酒井立志君。
〔5番酒井立志君登壇〕
54 ◯5番(酒井立志君)自民党議員会の酒井立志でございます。
今定例会において、さきの通告に従いまして順次質問いたしますので、当局の積極的な御答弁をよろしくお願いいたします。
まず、
ユネスコ無形文化遺産登録についてお伺いいたします。
ユネスコの評価機関は、10月末に山、鉾、屋台行事を無形文化遺産代表一覧表に記載するよう勧告しておりましたが、本日の未明、ユネスコの政府間委員会において、登録が最終決定されました。この機会を最大限に生かしていくべきと考えております。
本日、私は祝意を持って高岡の御車山のネクタイを締めて登壇させていただきました。
本県が誇る曳山行事である高岡御車山祭りの御車山行事、魚津のタテモン行事、城端神明宮祭の曳山行事等、今後どのように魅力発信していくのか、石井知事にお伺いいたします。
次に、とやま呉西圏域連携中枢都市圏について伺います。
連携中枢都市圏は、基礎自治体である市町村が連携することで、圏域全体の経済成長や住民サービスの向上を図ろうとする取り組みであります。この取り組みにより、地域の活性化、より高度なサービスの提供、事務の効率化や経費の節減、さらには交流人口、定住人口の拡大を図ることが可能であると認識しております。
私としても県西部地域の維持発展にはこの取り組みが不可欠と考え、高岡市議会議長を務めた際に、県西部5市の市議会に働きかけ、県西部市議会議長会を設立し、その会長として連携中枢都市圏形成に向けた各市の取り組みを議会の立場から後押ししてまいりました。
圏域の活性化を図る連携中枢都市圏の取り組みは、県勢の発展に寄与するものと考えており、その意義について山崎経営管理部長の所見をお伺いいたします。
とやま呉西圏域では、都市圏ビジョンに掲げた32の連携事業について、今年度から一部着手し、来年度より本格的に実施することとなっております。中には、県の制度や施設を活用することで圏域全体に波及効果をもたらすものもあり、これらの取り組みにおいて連携中枢都市圏制度だけでは補うことができない人的支援、技術的支援などが必要になるものと考えております。
特に産業振興、医療、地域公共交通、インフラの整備など、県が広域自治体として担当する分野については、連携中枢都市圏の取り組みを支援することが期待されます。連携中枢都市圏の取り組みに対して、広域自治体である県として具体的にどのように支援していこうと考えているのか、山崎経営管理部長にお伺いをいたします。
とやま呉西圏域は、鉄軌道を初めとする公共交通や高速道路等の幹線道路による交通ネットワークを有するという強みを持っており、圏域内の移動の利便性が連携を支えています。とやま呉西圏域では、こうした交通ネットワークを生かした圏域内観光を新たな産業の柱の1つと位置づけております。
各地で行われている曳山祭りや獅子舞などの伝承文化、世界文化遺産や国宝を初めとする歴史、文化遺産、山から海に至る豊かな自然環境、全国的な知名度を誇る農林水産品、北陸地方の商圏の中心となる大規模商業施設など、多彩な観光資源を有しています。このような圏域が有する豊富な観光資源を生かし、首都圏等の大都市圏から多くの観光客を誘致するためには、広域的公共交通ネットワークの活性化が必要であり、呉西圏域の玄関口である新高岡駅のさらなる利便性向上が必要であるものと考えております。
県西部一体となって進めている新高岡駅の「かがやき」停車に向けた取り組みに対しては、県においてもこれまで支援をいただいております。新たな政策として今後の支援についても表明されておりますが、具体的にどのような支援をしていただけるのか、石井知事に改めてお伺いをいたします。
この項の結びになりますが、これまで県西部では、各市、市議会、市民団体等、一丸となって「かがやき」停車に向けた取り組みを進めてまいりました。先月16日には、北陸新幹線新高岡駅「かがやき」停車実現期成同盟会を代表して県西部の6市長全員がそろって国土交通省鉄道局へ新高岡駅への「かがやき」定期便の停車実現のための要望書を提出していらっしゃいます。あすは、富山県西部地域公共交通活性化議員連盟の役員がJR西日本本社へ要望活動を行います。
このような状況を踏まえて、ぜひ知事におかれましても関係各所への働きかけなど、圏域発展のために何とぞ一肌脱いでいただけるようによろしくお願いいたします。
次に、日本海側の総合的拠点港の機能強化と展望等についてお伺いいたします。
伏木富山港は日本海側沿岸のほぼ中央に位置し、古くから日本海側の重要な港として栄えてきました。伏木地区では伏木港、新湊地区は富山新港、富山地区は富山港、3地区から構成され、対岸諸国を初めとする世界各国との交易があり、日本海側の物流拠点、交流拠点として大きな役割を担ってきています。
昭和61年6月には特定重要港湾に指定され、その後、平成23年4月には、港湾法改正により国際拠点港になっております。同年11月には、日本海側の各港湾を牽引する総合的拠点港に選定されたほか、1つに国際海上コンテナ、2つ目に国際フェリーと国際RORO船、3つ目に外航クルーズ、いわゆる背後観光地クルーズのこの3つの機能別拠点港としても選定されているところであります。
そこで、まず、伏木港、富山新港、富山港、この3つの港のすみ分けとその特性について、
加藤土木部長に所見をお伺いいたします。
次に、国際海上コンテナについて伺います。
10月7日の国土交通省北陸地方整備局の有識者会議で、日本海側と太平洋側の同時被害の可能性は低いということで、首都直下地震や南海トラフ地震に備え、北陸の港湾を活用する貨物の代替輸送の基本行動計画をまとめたと報道されました。首都圏など3大都市圏の港が被災した場合、北陸の港を経由して物資を輸送する、また、企業など事業継続対策に盛り込んでもらうとともに、そのことは平常時の港湾利用にもつなげるということです。この計画は、主にコンテナ貨物の輸送を想定しているということであります。
そこで、首都圏など3大都市圏の港の被災時に、伏木富山港でのコンテナ貨物の取り扱いをその代替港湾として対応ができ得るのか、現状と課題、そして、今後の展望について、
加藤土木部長の見解をお伺いいたします。
次に、外航クルーズ船、背後観光地クルーズについてお伺いいたします。
観光振興は、大きな経済波及効果を生み、地域経済の発展と交流に伴う活力を創出するとともに、国際交流による国際相互理解を促進させるものであり、今後グローバリゼーションの進展や東アジア太平洋地域を中心に国際観光需要の大幅な増加が見込まれることから、その重要性がさらに高まっていると考えられます。中でも、外航クルーズについては、近年のアジアにおけるクルーズ需要の増大を背景に我が国港湾におけるクルーズ船の寄港が増加しているところでございます。
特に、アジアからのクルーズ船に伴い、訪日するアジア人旅行客の拡大が進み、寄港地でのショッピングや観光により大きな経済効果を生んでいるとともに、クルーズ振興が沿岸地域における地域活性化に重要な役割を果たすことが期待され、各地の自治体を中心に活発な誘致活動が行われているというところであります。
伏木富山港においても、こうした需要を確実に取り込んでいく観点から、クルーズ振興の取り組みを進めているところでありますが、外航クルーズ船の最近の寄港動向と今後の展望について、亀井観光・地域振興局長にお伺いをいたします。
次に、先般、東京において、首都圏の荷主企業や船会社を対象とした伏木富山港の利用促進セミナーを開催するとともに、韓国、ロシアの船会社にポートセールスを行われたということでありますが、今後とも航路拡大や集荷促進等に官民共同で力強く取り組んでいただきたいものと考えております。
大坪商工労働部長に今回の利用促進セミナーとポートセールスの成果をお伺いいたします。
次に、都市計画道路北島牧野作道線について伺います。
高岡市の幹線道路の1つである都市計画道路北島牧野作道線は、昭和41年に都市計画決定され、本年でちょうど半世紀、50年が経過しております。高岡市牧野地区は、かつて庄川右岸である飛び地市街であり、庄川左岸の中心部、いわゆる市の中心市街地へは射水市を通らないと行けない変則状態が六十数年続いておりましたが、平成25年3月30日に北島牧野作道線の庄川右岸と左岸をつなぐ牧野大橋の開通で解消することができました。
本路線は、高岡市街地と射水市街地との連絡や、特に伏木港と富山新港との港湾連携を強化するとともに、国道8号の広域交通機能を補完する東西の主要幹線道路であり、高岡、射水両市のみならず、富山県西部地域の産業経済、文化活動の大切な役割を担う重要な道路であります。本路線の庄川以東の残り区間である中曽根から作道までの約1,800メートルは、地域住民の多機能道路であるとともに、両市の幹線道路網体系に不可欠な道路として、その整備を一層推し進める必要があろうかと考えております。
そこで、北島牧野作道線の第2期区間の進捗状況及び整備促進を図る上での今後のスケジュールについて、
加藤土木部長にお伺いいたします。
また一方で、北島牧野作道線の高岡北西部側である北島地内から波岡地内、さらに長慶寺地内の区間は、高岡市の外環状線の一部を構成しているものであります。高岡市では、平成23年の都市計画道路の再構築に関する検討において、北島牧野作道線の未整備区間を新幹線開業後に優先的に整備する新規事業着手路線の1つとして位置づけております。
県においては、一日も早く事業着手し、早期に環状線の機能が発揮されるようにすべきと考えておりまして、そこで、北島牧野作道線の波岡地内から長慶寺地内の区間の整備計画を推し進めるべきと考えるが、
加藤土木部長の見解をお伺いいたします。
次に、ドクターヘリについて伺います。
富山県と岐阜県共同により北陸発のドクターヘリ運航が開始され1年が経過いたしました。患者を搬送してきた救急車からその患者を受け入れた後、機内で初期治療を施しながら受け入れ先病院まで搬送する、いわば空飛ぶ病院です。そのドクターヘリの導入により、3次病院から遠い地域における搬送時間が短縮できるだけでなく、医療スタッフが重篤な傷病者に対して、より早期に接触して必要な診断や処置を行うことが可能となることから、救急活動における有効な手段としての選択肢が増えたものと考えております。
ドクターヘリの運航開始から現在までの要請件数、導入により傷病者が医師の管理に置かれるまでの所要時間の短縮効果について、ドクターヘリを要請する場合の基準や留意事項とあわせて、
蔵堀厚生部長にお伺いいたします。
ドクターヘリによる円滑な救急活動のためには、ヘリの運航に支障のない天候等の状況を見きわめるとともに、ランデブーポイントなどの運航環境の確保が重要であります。
そこで、天候面からの出動条件及び荒天、天候が荒れている場合の出動できなかった率はどうなのか。また、冬季に向かう折、積雪時におけるランデブーポイントの確保について、どのように対策を講じているのか、
蔵堀厚生部長にお伺いをいたします。
最後の質問になります。新たな総合計画について伺います。
元気とやまの創造のためには、県民や企業、市町村等との協力が必要不可欠であり、県民活動等の促進や市町村との連携を図る施策を一層進めることが必要であります。現行の新・元気とやま総合計画をどう総評し、見直すことになったのか、その経緯と新たな計画の策定に向けて、どのような施策を積極的に力を入れたいと考えておいでであるのか、石井知事にその見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
55 ◯副議長(五十嵐 務君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
56 ◯知事(石井隆一君)酒井議員の御質問にお答えをいたします。
まず、ユネスコの無形文化遺産登録に向けた御質問であります。
このたび高岡御車山祭りを初め、本県の3件の行事を含む山、鉾、屋台行事について
ユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載が決定されたことはまことに喜ばしく、長年にわたってこれらの伝統行事を支えてこられて、その継承発展に尽くされてきた地元の皆様、関係の皆様に心からお祝いを申し上げたいと思います。
この高岡御車山祭りを
ユネスコ無形文化遺産に登録することにつきましては、さかのぼりますと7年前になりますが、平成21年にパリのユネスコ本部に当時の松浦局長をお尋ねして、何とか立山・黒部と近世高岡の文化遺産群の世界文化遺産への登録ができないか御相談を申し上げた際に、松浦局長から高岡御車山祭りについては、むしろユネスコの無形文化遺産への登録を目指したほうが早く結論が出るんじゃないかという御助言をいただいて以来の経過がございます。
その後、県では、本県の3件の行事がユネスコの無形文化遺産に登録されますように、例えばこの春は当時の馳大臣に直接私からもお願いしますとともに、例えば高岡御車山祭りでは、行事の魅力を発信する多言語パンフレットの製作とか講演会の開催、これは著名な学者にも来ていただいたり、また文化財の保存修理等を支援してきたところでございます。
このたび、地元の国会の先生などのお力添えもいただきまして、本県の曳山行事の文化的価値が世界に認められるという形で実を結んだわけですから、これも大変うれしいことでありまして、今月4日には、関係市と協力しまして、これは県内3市と高山市、飛騨市、大垣市と協力しまして、高岡市のテクノドームを会場にして、保存会による演舞や映像の上映など、本県を初め近隣県の曳山の魅力を県内外、全国にアピールをしまして、お祝いする会を開催することにしております。
また、この大会に合わせまして、日本橋とやま館などにおいて、首都圏を初めとする県内外の情報発信のためのパンフレット作成や、3件の曳山の魅力、特徴等を紹介したDVDの作成も行うこととしておりまして、今後も国やまた3市と連携協力しながら、行事の魅力発信、曳山の保存修理などの支援に努めてまいりたいと思います。
富山県は雄大で美しい自然だとか、豊かなおいしい食べ物があるといった点は国内外で非常に評価されつつあるのですが、今回の登録が実現したことで、世界文化遺産の五箇山合掌造り集落ですとか、国宝瑞龍寺などに加えまして、多彩な歴史や文化の魅力もあるんだということが国内外に発信できますので、これをしっかり生かして元気な富山県づくりを進めていきたいと思います。
次に、とやま呉西圏域連携中枢都市圏についてであります。
そのうちの新高岡駅の「かがやき」停車の御質問にお答えをいたします。
新高岡駅への「かがやき」停車のためには、これは私もこの数年いろいろ折衝してつくづく思いましたが、JRさんがそういう判断ができるようにするには、やはりこの新高岡駅への利用者数をもっと増加させていくということが必要でございます。そのためには、もちろん高岡市の観光資源の掘り起こしでありますとか、魅力向上に引き続き取り組みますとともに、飛騨高山とか能登半島をめぐる広域周遊観光の拠点駅となっていくことが重要でありますので、そうした面からも新高岡駅の利便性向上に取り組む必要がある、これまでも一定程度やってきたわけであります。
具体的には、新高岡駅と接続するJR城端線の新駅整備ですとか、城端線の増便試行の支援、それから、新高岡駅を起点とした広域観光が促進されますように、世界遺産バスやわくライナーの運行の支援、また、この9月補正予算においては、北陸新幹線を往復利用する県民の団体旅行費用に対する補助など、新たに地元市町村が行う駅利用促進に向けた取り組みを支援することとしております。
また、このほか今議会では、新高岡駅-黒部宇奈月温泉駅間を利用する観光客の新幹線駅から観光地への片道または往復の交通料金を無料化して県内周遊を促進することにして、関係の予算も今回補正予算で案として計上させていただいております。
また、昨日、これまでももちろんJRさんにはいろんな機会に申し上げてきたんですけれども、昨日もJR西日本の来島社長とお目にかかって、敦賀以西の大阪までのルートについても議論をしましたし、また、その際に、ぜひ今申し上げたような県の施策、またもちろん高岡市さんもいろいろ努力されていますが、そういったお話もした上で、ぜひ引き続き「かがやき」が新高岡駅に停車するということを継続していただくように強くお願い申したところでございます。私どもの熱意は十分受けとめていただいたと私は理解をいたしております。
さきにJRから発表された冬の臨時ダイヤでは、新高岡駅への臨時「かがやき」が継続されることとなりましたが、今後も県西部の多彩な観光資源を生かした誘客を促進するために、これは高岡市や関係の市町村とも連携しながら、新高岡駅の利便性の向上に努めまして、「かがやき」停車についてJRや国に対して働きかけをする、これはしっかりやっていきますし、また、結局JRさんが、なるほど、ここまでやっているのだから、やっぱり継続しようじゃないかと、あるいは、現実に利用者もどんどん増えてきているということになるのが一番望ましいわけで、今後もこれは地元の皆様と御一緒に努力してまいります。
57 ◯副議長(五十嵐 務君)山崎経営管理部長。
〔経営管理部長山崎康至君登壇〕
58 ◯経営管理部長(山崎康至君)連携中枢都市圏の取り組みの意義についての御質問にお答えをいたします。
産業構造や社会環境が大きく変化して、住民ニーズも高度化、多様化しております。一方で、地方団体の財政事情は依然として厳しいと思っておりまして、各地方団体が連携して各種施策を戦略的、効率的に進めることがより一層重要となっております。
そうした中で、このたびの連携中枢都市圏とやま呉西圏域の発足は新幹線開業を機に6市がさらに連携を深めることで、圏域全体の経済成長や住民サービスの向上に向けて取り組むことを目的としたものであり、西部6市の戦略的、効率的な施策の展開に向けて、まことに時宜を得た取り組みと考えております。
とやま呉西圏域は、豊かな自然環境に恵まれ、歴史、文化遺産も数多く存在しております。また、古くから物流等のネットワークにより地域経済を発展させ、広域的な交流を広げてきた歴史を持っておられます。そして、この圏域の人口は県全体の約42%、面積は全体の約35%を占めます。また、産業面におきましても、本県の事業所のうち4割を超える事業所がこの圏域内にあり、圏域における製造品出荷額は全体の約43%を占めるなど、この圏域のさらなる発展、活性化は県全体の発展に寄与するものと考えております。
今後、西部6市が連携してとやま呉西圏域が策定した都市圏ビジョンに基づく各種施策に着実に取り組んでいかれることを期待しているところでございます。
次に、連携中枢都市圏の取り組みに対する支援についての御質問にお答えをいたします。
知事を初め県といたしましては、連携中枢都市圏の制度創設以前から、国に対して圏域全体として一定の人口を有する圏域を認定して、これを支援する制度の創設を働きかけてまいりました。そうした中で、連携中枢都市圏の制度をつくっていただいたわけですが、当初は西部6市、この要件に合致しなかったわけでございますけれども、その形成ができるように6市を初め関係の皆様とともに県もその要件緩和を働きかけ、また要件緩和が達成できた後は、都市圏の発足に向けて支援もしてきたところでございます。
このとやま呉西圏域では、中長期的な戦略としてとやま呉西圏域都市圏ビジョンを策定されまして、今後5年間で推進する32の取り組みを決定されております。これらの取り組みは、基本的には地方交付税などの国の支援を得て実施されることになりますが、中には圏域内の県の施設、特に試験研究機関、総合デザインセンターや工業技術センター、薬事研究所などとの連携を見込む取り組みがございます。また、県との連携が効果的と考えられる取り組み、例えば、産業振興とか観光とか防災とか、移住、定住、あるいは公共交通の関係などいろいろございますが、そういったものが多く含まれております。
今後は、こうした取り組みにつきまして、県との連携や支援に係る御相談があれば、今年度から創設した市町村連携推進モデル事業の活用なども含めまして御相談に応じてまいりたいと思っております。
また、広域自治体である県といたしましては、圏域の発展の基盤となる社会資本整備の推進について、都市圏と連携して取り組む必要があると考えております。
東海北陸自動車道の4車線化、
能越自動車道の利便性向上、また国道8号線の整備、城端線、氷見線、万葉線の活性化などもございます。こうした交通、物流ネットワークの整備充実、あるいは、農業の面では庄川左岸地区農地防災事業の促進などもございます。こうしたいろいろな基盤となる社会資本整備の推進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
59 ◯副議長(五十嵐 務君)
加藤土木部長。
〔土木部長加藤昭悦君登壇〕
60 ◯土木部長(加藤昭悦君)次に、日本海側総合拠点港の機能強化と展望等についてです。
まず、伏木富山港の3つの港についての御質問にお答えをいたします。
日本海側の総合的拠点港に選定されました伏木富山港は、伏木地区の伏木港、新湊地区の富山新港、富山地区の富山港の3港から成り、各地区の特性を生かし、それぞれ物流、交流の拠点としての役割を担ってきております。
このうち伏木港につきましては、外港の整備により大型貨物船や大型クルーズ客船の拠点となっております。現在20万トン超級の大型クルーズ客船の入港に対応するため、平成28年度の国の第2次補正により、係船柱の整備や防舷材のサイズアップ等を進めることといたしております。
また、富山新港につきましては、従来から工業用原材料の物流拠点として発展してきており、近年は国際海上コンテナの拠点となっております。現在、1万2,000トン級のコンテナ船の2隻同時接岸、同時荷役を可能とするため、多目的国際ターミナルの岸壁延伸、コンテナヤードの拡張など、機能強化に努めているところであります。
富山港につきましては、ロシア向け中古車輸出の取り扱い量が最も多く、現在、これらを運びます国際RORO船が接岸する2号岸壁において、耐震強化とあわせた老朽化対策を実施しております。また東西に分かれておりますふ頭用地を結びます臨港道路西宮線の整備などにも取り組んでいるところであります。
今後ともそれぞれの特性を生かしながら、伏木富山港が日本海側の総合的拠点港としてさらに発展するよう、引き続き機能強化に努めてまいりたいと考えております。
続いて、伏木富山港の代替港についての御質問にお答えをいたします。
国では、東日本大震災の教訓から、首都直下型地震などにより被災が想定されます太平洋側港湾のバックアップ体制を確保するため、地理的に近く、同時に被災する可能性が低い伏木富山港や新潟港など、北陸地域の5つの港湾による代替輸送の基本行動計画が先月まとめられたところであります。この計画では、コンテナ貨物を対象といたしまして、代替貨物を北陸地域の港湾だけで受け入れるのではなく、全国で分担する必要があるとされておりますけれども、北陸地域が少しでも多くの貨物を受け入れることができるよう、5つの港が連携協力して、代替港湾までの陸上輸送ルートや貨物の保管場所の確保などの対応方策に取り組むこととされております。
伏木富山港の新湊地区では、現在、コンテナ貨物の増大に対応するため、多目的国際ターミナルの岸壁延伸工事やコンテナヤード拡張工事を進めておりますが、このことは、平常時はもとより災害時における受け入れ能力の強化に資するものと考えております。
また、代替輸送に係る課題の抽出や対応方策の改善に向け、毎年北陸の港湾関係者や太平洋側の荷主企業等によります大規模災害に対応した代替輸送の図上訓練を行っておるところであります。議員御指摘のとおり、こうした取り組みを続けることによりまして、訓練に参加された企業には、災害時において北陸地域の港湾を活用していただくとともに、平常時においても伏木富山港を利用していただけるよう努めてまいりたいと考えております。
続いて、北島牧野作道線の第2期区間の進捗状況と今後のスケジュールについての御質問にお答えをいたします。
都市計画道路北島牧野作道線の高岡市能町から射水市作道間につきましては、高岡市街地と射水市街地を東西方向に結び、国道8号を補完するとともに、日本海側の総合的拠点港伏木富山港の伏木地区と新湊地区の連携を強化するなど、県西部地区の経済産業の発展や地域の活性化に寄与する重要な道路であります。これまで第1期区間として県道高岡環状線の能町交差点から県道新湊庄川線の高岡市中曽根地内に至ります庄川にかかる牧野大橋の新設を含めます延長2キロメートルのバイパスを、平成26年3月に暫定2車線で供用したところであります。引き続き、平成26年度からは、第2期区間として高岡市中曽根から射水市作道地内の延長1.8キロメートルの暫定2車線によるバイパス整備に取り組んでいるところであります。
第2区間の進捗状況につきましては、これまでに全区間の測量や道路設計を終え、昨年度用地取得に着手し、西側から東側に向けて順次用地取得を進めているところであります。第2区間は延長も長いことから、整備には時間を要することも想定されますけれども、本道路については、高岡市と射水市の幹線道路ネットワークを構築する重要な道路であり、地域の安全で円滑な交通の確保にも寄与する大切な区間でありますことから、第2区間の早期の供用につながるよう、今後とも整備を進めてまいりたいと考えております。
最後に、北島牧野作道間の波岡地内から長慶寺地内の整備計画についての御質問にお答えをいたします。
都市計画道路北島牧野作道線におけます県道高岡氷見線の波岡交差点から国道160号の長慶寺南交差点までの延長2キロメートルの間については、高岡市の外環状道路の一部となります重要な区間であります。しかしながら、現在、波岡交差点から長慶寺工業団地までの650メートルの間は歩道もなく、幅員7メートルで供用しているものの、その北側約1,300メートルの間は未供用となっております。
この2キロメートル区間の整備に当たりましては、延長が長く、移転が必要となる物件も多いため、相当の事業費が見込まれることから、早期に事業効果を発揮できますよう、この区間におけます整備の優先度を検討していく必要があると考えております。これまで平成26年度に航空写真をもとに平面図を作成し、平成27年度から事業化に当たっての課題の整理や概略設計などを行っているところであります。
当区間の整備によりまして、高岡市の外環状道路のネットワークが強化され、長慶寺工業団地へのアクセスが向上し、物流の効率化が期待できることから、地元の高岡市さんとも十分協議、調整を図りながら、引き続き事業化に向けて必要な調査を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
61 ◯副議長(五十嵐 務君)亀井観光・地域振興局長。
〔観光・地域振興局長亀井明紀君登壇〕
62 ◯観光・地域振興局長(亀井明紀君)外航クルーズ船の寄港動向と今後の展望についてお答えいたします。
伏木富山港へのクルーズ客船の寄港数は、一昨年が全9回、うち外国船が1回、昨年が4回、うち外国船が2回、ことしが5回、外国船はございません。来年の外国船は2回予定されているところでございます。昨今、中国を中心にアジアのクルーズ人口が大きく伸びまして、中国発着の大型クルーズ客船の日本への寄港が増加してはございますが、まだまだ旅行ニーズが長期化しておらず、九州などが中心で伏木富山港への寄港増にはつながっていない現状にございます。
しかしながら、今後もアジアでのクルーズ需要の拡大が見込まれることから、旅行ニーズの長期化を見据え、引き続き中国発着のクルーズ客船の誘致に努めるとともに、日本発着のクルーズ客船に加えまして、欧米系の富裕層に富山の魅力を体感してもらい、本県のブランド化を推進する意味からも欧米系の中小型のラグジュアリー船の誘致や、外国船だけじゃなく国内船の安定的な寄港の確保などにも積極的に取り組み、寄港増へつなげていきたいと考えております。
具体的には、例えば欧米系の富裕層は、日本らしい伝統文化、景観、食などへの関心が高いと聞いておりますが、中国、欧米、日本国内など、それぞれのクルーズ客のニーズに応じた本県の観光資源やモデルルート、食の魅力、寄港の際のおもてなしなどを船会社に対して積極的にPRしていくことに加えまして、前後の寄港地とも連携したクルーズルートや富山を発着地とするクルーズ商品の造成を提案していくこととしてございます。
県としましては、議員御指摘のとおり、クルーズ客船の寄港は、本県の観光振興や地域活性化、さらには産業振興の面で大きな効果が期待されることから、港湾所在市を初め関係団体ともより一層連携を深めながら、船社等への訪問、招請事業や見本市への出展などを通じて粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。一昨日もMSCクルーズ社の社長さんとかが参りましていろいろ意見交換をさせていただいたところでございまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
63 ◯副議長(五十嵐 務君)
大坪商工労働部長。
〔商工労働部長大坪昭一君登壇〕
64 ◯商工労働部長(大坪昭一君)伏木富山港の航路拡充、集荷促進等に関する御質問にお答えをいたします。
伏木富山港のコンテナ貨物取り扱い量は、これまで官民一体となって航路の維持拡充、集荷の促進に努めてきておりまして、近年増加傾向にありまして、平成26年には過去最高を記録したのでありますが、平成27年、昨年は中国経済の減速等の影響を受け、前年を下回る状況になっております。
県では伏木富山港の機能の充実はもとより、荷主企業等に対するインセンティブ制度の充実、県内外の荷主企業に対する利用の働きかけ、お話がありましたが、首都圏での利用促進セミナー、あるいは、現地視察会の開催、海外ポートセールス訪問団の派遣のほか、今年度は新たに長野県の長野市と松本市でもセミナーを開催するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
お尋ねの首都圏での利用促進セミナーは、去る11月7日に開催し、伏木富山港の利便性やインセンティブ制度の紹介に加え、実際に同港を利用していただいている企業からの利用のメリット等を報告いただいたところでありまして、参加企業からは、例えば、専門商社からは、ロシア経済が好転すればさらなる利用を検討したいとか、建材会社からは、韓国への輸出について伏木富山港を利用してみたいといったような前向きなお話も伺うなど、伏木富山港の利用拡大に向けた一定のセールス活動ができたものと考えております。
また、韓国・ロシアポートセールス訪問団は官民で構成し、10月11日から15日にかけて実施をいたしました。韓国、ロシアの船社に対して、航路の維持拡充を強く働きかけてまいったところでありますが、韓国の船社からは、大手海運会社が破綻するなど厳しい環境ではあるけれども、便数及びサービスについては維持をしていきたいと、あるいは、ロシアの船社からは、現状は大変厳しいけれども、将来的には増便も検討してみたいといったような前向きな発言もあったところであります。
県といたしましては、今後とも官民一体となって、伏木富山港の航路拡充やさらなる利用の促進に努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
65 ◯副議長(五十嵐 務君)
蔵堀厚生部長。
〔厚生部長蔵堀祐一君登壇〕
66 ◯厚生部長(蔵堀祐一君)次に、ドクターヘリに関する御質問にお答えをいたします。
まず、ドクターヘリの出動件数、それから、所要時間の短縮効果等についてお答えをいたします。
ドクターヘリにつきましては、昨年の8月24日に運航を開始して以来、きのうまでの1年3カ月余りで896件の出動要請がありまして、出動件数は773件、1日当たり平均1.7件となっているところでございます。また、昨年度におけます現場救急出動の全事例192事例でございますが、これについて、従来の救急車によります搬送と比べますと、治療開始時間が平均で31分短縮しておりまして、救命率の向上や後遺症の減少、軽減などに効果を発揮しているということが検証されたところでございます。
具体的には、死亡された方がドクターヘリでなければ66人と想定されたところですが、ドクターヘリを導入した結果45人へと21人、約32%減少いたしております。また、重篤な後遺症を残したのではないかと想定される方は24人おられたわけですが、これが16人へと8人減少して33%減少しているといったような効果が検証されたところでございます。
また、ドクターヘリを要請する場合の基準などについてでございますが、運航要領や運用マニュアルにおいて定めているところでございます。具体的には、現場救急の場合は、消防機関が119番の受信をしたとき、または、救急現場に到着した時点におきまして、キーワード方式として、例えば歩行者、あるいは、自転車がはね飛ばされた自動車事故であるといった場合、それから、息が苦しくて呼吸困難であるといった場合、それから、突然発症した激しい頭痛などのときで脳卒中の疑いがある場合といったときは、出動要請基準に該当いたします生命の危機にかかわるような傷病者であると判断して、専用のホットラインにより基地病院である県立中央病院に設置されました運航管理室に出動要請を行っているところでございます。また、災害時などには、通常の運航を一時的に停止して、ドクターヘリが災害現場へ運航するといったようなことについても記載しているところでございます。
次に、天候面での出動条件、それから、ランデブーポイント等に関する質問についてお答えをいたします。
ドクターヘリは、今ほどもお答えいたしましたけど、救命率向上などに大きな効果を発揮しているところですが、何よりも運航の安全確保ということが非常に大事でございまして、それが大前提だと考えております。こうしたことから、天候面からの出動の可否につきましては、航空法に基づいて国の認可を受けました運航規程を順守しておりまして、例えば、風速20メートル以上でありますとか、また視界が1.5キロ以内である場合などには、安全確保の徹底を図りますために運航を見合わせるということにいたしております。こうしたことによりまして、運航開始からきのうまでの465日間で、強風や暴風雪、視界不良など天候面による運休日は9日間ありまして、全体の1.93%となっております。
また、ランデブーポイントについてでございますが、ドクターヘリが救急現場のより近くに着陸できるように、その確保に努めているところでございますが、運航開始時には、学校のグラウンドなど公的施設を中心に333カ所を確保いたしておりましたけれども、現在では、公共、あるいは民間の駐車場、それから、ゴルフ場ですとか資材配送センター、資材の仮置き場などにも協力を依頼した結果、全体で550カ所を指定いたしているところでございます。
さらに、冬季間の運航についてでございますが、本県のドクターヘリは、冬季間中はスノースキーを装着するため、三、四十センチ程度の積雪までは着陸が可能となっているわけでございます。ただ、中山間地など積雪が多い地域のランデブーポイントを中心にドクターヘリが安全に着陸するため、圧雪ですとか除雪、それから、着陸地点のマーキングなどが円滑に行えますように、消防機関と連携した冬季対応訓練をこれまで実施してきているところでございます。27年度には5地域で実施をいたしております。
今後ともドクターヘリを活用した救命救急医療活動の実地訓練を継続的に行いまして、消防機関などの関係機関と連携しながら、ランデブーポイントの確保充実を図りまして、高度救急医療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
67 ◯副議長(五十嵐 務君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
68 ◯知事(石井隆一君)最後に、新たな総合計画についてお答えをします。
現在の総合計画は、平成24年4月に策定しまして、以来PDCAサイクルによりまして60の政策目標の継続的な検証ですとか、また予算編成を通じた施策の改善、また県民の皆様や市町村、企業、団体などと力を合わせて各施策の推進に取り組んでまいりまして、おおむね順調に進展しているんじゃないかと思っております。
一方で、策定から4年半余りがたちまして、その間地方創生が国政の重要テーマとしていただけることになりましたり、また、北陸新幹線の開業といったこともございます。まさに富山県は新しい時代を迎えております。
そこで、この新幹線開業と地方創生戦略の2つを追い風にして、最大限に生かしてとやま新時代にふさわしい県づくりの取り組みを具体的に県民の皆さんに提示していきたいということで、このたび総合計画の見直しに着手することにいたしました。当面5年間の施策を取りまとめましたとやま未来創生戦略、これは昨年10月につくりましたが、また、ことし9月には、おおむね30年先を見据えた長期的展望への対応としての富山県経済・文化長期ビジョンを策定しておりますので、これらも生かしましてローリングシステムで新たな10年計画を策定したいと考えております。
私は初当選して以来、一貫して「活力」「未来」「安心」の3つを基本政策の柱として、人づくりをこれらを支える重要政策として元気とやまの創造に取り組んでおりまして、先般の知事選挙におきましても、これらを基本とする100の政策をお示しして当選さしていただきました。
そこで、新しい総合計画においても、この基本の考え方と100の政策をお示ししながら、今月8日開催の総合計画審議会に策定を諮問いたしまして、また、若い人たちの意見も聞きたいということで、おおむね30歳代のメンバーによる青年委員会も新たに設けることにしておりまして、こうした場で各委員の御意見もお伺いしながら、もちろんいろんな機会に県議会の皆様の御意見も伺って、時代の変化や新たな重要課題に対応した政策をしっかり盛り込んで、先見性と実効性のある計画にしたいと思っております。
また、計画策定に当たっては、市町村との連携というのも大事でございますから、今回、新たに市町村長の皆さんと地域の有識者の方をメンバーとする地域委員会、仮称ですけれども、これを3ブロックに分けて設置いたしまして、各地域の皆さんの御意見を十分計画に反映したいと考えております。県議会はもとより、幅広く県民の御意見を伺いながら、また、県民の皆さんお一人お一人が夢と希望を持って生き生きと働き暮らせる富山県の実現に向けまして、誠心誠意努力をしてまいります。
69 ◯副議長(五十嵐 務君)以上で酒井立志君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
休憩時間は15分間といたします。
午後2時48分休憩
─────────────────────
午後3時5分開議
70 ◯議長(大野久芳君)休憩前に引き続き会議を開きます。
稗苗清吉君。
〔30番稗苗清吉君登壇〕
71 ◯30番(稗苗清吉君)通告に従いまして、県民の安全・安心について、諸課題に対しまして意見や提言を交えて質問をさせていただきたいと思います。
県では、先月の10月13日に、高岡断層を震源とする地震を想定した石油コンビナート等総合防災訓練が実施をされました。石油タンクが集中備蓄されています伏木富山港のコンビナートの石油タンクからガソリンの流出を想定しての訓練でありました。伏木富山港伏木地区等で、陸上訓練や海上訓練が実施されました。
今後、この富山湾からの、安全だと言われておりますが、津波の発生なども視野に入れた訓練も考えなければならないと思ったわけであります。そこで、この訓練の狙いと成果と、あわせて今後の課題について、
新田知事政策局長の所見を伺いたいのであります。
先ほども質問が出ておりましたが、この原子力発電のことについてお尋ねをしたいと思います。
先般11月20日に、石川県志賀町の北陸電力志賀原発第2号機の原子炉が停止をしたと、この想定のもとに、原子力防災訓練が石川県を含む県、氷見市、南砺市と合同で実施をされました。私は、南砺市の避難されてこられる方々が集合される訓練場所で、山辺先生と一緒にこの会場の訓練状況を見学させていただきました。
氷見市よりバスで300名の方々が避難をしてこられました。あいにくとこの日は日曜日でありましたし、晴天で、大変訓練のしやすい日でもあったわけであります。訓練を見ながら感じたことは、もし、これが日中の訓練でなくて、早朝とかあるいは夜間に災害が発生をした場合のことに思いをいたし、そういう場合に備えての設備の準備やら、あるいは、また、支援員の皆さんの不足など、シミュレーションどおりの体制が整わなかった場合に、緊急に訓練の変更など、こういうことも訓練として必要だな、こんなふうに思ったわけでありますが、この当日の訓練の狙いと成果、そして今後の課題についてお尋ねをしたい。
そして、当日は、この安定ヨウ素剤のかわりにあめが配られたと聞いておったんですが、最悪のケースのことを考えて、本県の安定ヨウ素剤の備蓄状況等についてどのようになっているか、
新田知事政策局長の所見を問いたいのであります。
次に、また、この11月4日でございましたが、黒部市の総合体育センターにおきまして開催されました国民保護共同実動訓練、これも横山先生と一緒に見学をさせていただきました。なぜかこの日は、初めて体育センターの中でテロ的にサリンが散布されたという想定の訓練でありました。私たちは、屋外の見学コースで見ておったんですが、中の状況がなかなか把握できませんで、屋外のスピーカーから流れてくる声だけを聞いているわけですけれども、全く状況がわからなくて、こうした訓練のありようについていかがなものかなと、こんなことも思いながら訓練の状況を見ておりました。
化学剤等の目に見えないものを可視化するなど、体育館とか、見えない部分でのサリンの散布等の状況が、見学者から全く見えなかったわけでございまして、この訓練を通して参加者や見学者に訓練内容をわかりやすくしたり、状況に応じた対応を解説したりするなどの工夫が必要だなと感じたわけでございます。
この訓練の狙いと成果、今後の課題について、富山県の立場としての所見を
新田知事政策局長にお尋ねをしたいと思うのであります。
けさほど私たちは、立山弥陀ヶ原のことについて、朝勉強会をさせていただきました。先ほどの質問にもございましたが、気象庁は、この12月1日からこの立山の弥陀ヶ原を常時観測火山に指定したということが報じられておりますし、また、そのような準備が進められてきたわけであります。
安心して国際観光地立山・黒部を訪れる観光客が国の内外を問わず増えているわけでございます。近年、日本のあちらこちらで、自然災害の火山の噴火や爆発が発生をしておりまして、死傷者が出ているわけでございます。
そこで、この弥陀ヶ原一帯において、県民や観光客の安全確保のために、火山活動やガスの発生状況等を含めたきめ細やかな情報を提供することが必要だと思います。もちろん気象庁が観測を持っておるわけでございますけれども、万一の場合に備えて、避難や入山規制等の具体的な対応を気象庁とリアルタイムに連絡をとり合って、県民や登山者に早急にその避難の方法や安全性について示す必要があると考えておりますが、知事の所見を伺っておきたいわけであります。
富山県としては、県民の信仰の山であるこの立山は、小学生や中学生、高校生などの立山登山を推奨しておるわけでありまして、これらの安全対策を含めて、火山学習や避難訓練等における石井知事の所見を伺っておきたいと思います。
さて、ことしは、山の木の実が不作ということで、夏ごろから県内のあちこちに山里から里山に熊が出没して捕獲されたり、あるいは、また、山に逃げ隠れたりした、こういう報道がございます。本年度の熊の異常出没を踏まえて、この熊の管理計画がつくられておるわけでございますが、私は、この管理計画の見直しを図っていく必要があるなと考えているわけであります。
県では、個体数の管理計画を定めておられますが、熊の個体数が絶対的に多い数字になっているんじゃないかなと思うわけであります。毎年のこの出没状況を見ながら、迅速かつ柔軟に計画の見直しを図るべきと考えますが、本年度の熊捕獲状況とあわせて、山本生活環境文化部長の所見を伺いたいのであります。
もう一つは、イノシシ対策について伺っておきたいのであります。
県では、これまで集落ごとに、あるいは、また、営農組合ごとに電気柵でイノシシの田畑への侵入を防いでまいりましたけれども、電気柵は、取りつけや取り外しにかなり手間がかかるということで、人口減少が進む中山間地域では、耐雪型侵入防止柵の設置は、いいことはわかっているんだけれども、なかなかうまいこといかないと、この耐雪型の設置について、費用がかかる、自己負担が大きい、こういう状況でなかなか進まない状況にあると聞いております。
イノシシ対策として耐雪型侵入防止柵の設置を促進するために、その設置費用に係る自己負担分の軽減を図る必要があると考えますが、
伍嶋農林水産部長の所見を伺いたいのであります。
次に、土砂災害や砂防対策について伺います。
私は、議会の砂防議連の役員として、先月開催されました全国治水砂防促進大会に参加しました。県民の安全・安心の観点からだけでなく、未来の富山を創造する観点からも治水、砂防の大切さを再認識させられてきました。全国から1,000人を超す国会議員や自治体の首長、議員などが参加された大会でありました。この大会の会長は、本県の綿貫民輔先生であります。
集中豪雨等が異常出水や土砂崩れを誘発するわけでございますが、総合的な土砂災害対策等を強力に推進していくことが重要であると考えます。これまでの対策をどう総括し、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺いたいのであります。
さて、いよいよ雪が降ってくる時期が到来するわけでございまして、除雪体制について伺いたいと思います。
本格的な雪シーズンを迎えるわけですが、県では、それぞれ各土木事務所管内の事業所と除雪委託契約を結んでおられます。近年、土建会社などでは、経営上除雪機械を保有するというのは困難であると聞いておりまして、除雪作業に備えて拘束される時間があることから、オペレーターの不足も伺っております。こういったことについて、いろいろと土木部でも表彰制度とか、さまざまな待機支援策なども打っていただいておりますが、ぜひこの際、それらの充実強化を図っていくべきだと思いますが、
加藤土木部長の所見を伺っておきたいと思います。
次に、元気とやまの推進についてお伺いします。
昨年、北陸新幹線の開業を機に、第1回の富山マラソンが開催され、大好評でありました。第1回に続いて、本年は第2回大会、10月30日、これまた1万3,000人を超える参加のもとに大きな大会を終えることができました。大会の運営やジョギングの部の創設など、随所に1回目に比べて工夫が見られた大会でもあったわけでございます。
来年度もこの大会が計画されるやに聞いておりますけれども、漏れ聞くところでは、金沢マラソンと大会の期日が重複するというようなことも伺っておりまして、このことも含めて、元気とやま創造の先頭ランナーの知事の富山マラソン2016の成果を踏まえた上で来年度の大会に向けて考え方をお尋ねしておきたいと思います。元気な知事の所見を伺いたいと思います。
さて、けさほどから出ておりました来年度の山、鉾、屋台の全国大会が本県の城端町で開催される、こんなふうに伺っておりまして、昨日からユネスコの発表を今か今かということで、とりわけ高岡の御車山の行事の関係者やら、城端の曳山の関係者、私の地元のタテモン行事の関係者が、発表が今か今かということで待っておりました。私も、御案内があって、10時ぐらいにはと思って、8時ごろから待っておったんですが、眠たくなって一旦帰って、いや、このままだとあしたの朝3時ごろかなということでしたが、けさの2時過ぎに決まったようであります。
この高岡の御車山、城端の神明宮の曳山、そして魚津のタテモン、これは先ほども質疑が出ておりましたが、次世代に受け継いで地域振興の核となる、こういった行事を県としてこの登録をどのように後方支援していくのか、これも知事の所見を伺っておきたいのであります。
さらに、この8月に黒部市で第4回の日本ジオパークの中部ブロック大会というのが開かれました。世界ジオパーク認定に向けた機運があちこちで醸成されておりまして、この日はYKKの体育館で中部の大会が行われ、経営者の講演も聞かせていただいたわけであります。民間主導で進めなきゃならんわけでありますけれども、県としてこのジオパークの認定に向けての積極的な後方支援をお願いしたいと思うわけですが、
新田知事政策局長の所見を伺いたいのであります。
次に、富山きときと空港についてお伺いをいたします。
10月末にはソウル便がエアソウルに移管をされまして、利用者が少ない冬期が運休されることになったわけでありますが、この空港の活性化のために、国内外のさらなる路線の確保とか利用促進が望まれているわけであります。私ども、日韓議連も、韓国に行きまして、エアソウルの経営者にもお会いしてお願いをしてきたところでございます。
この富山きときと空港における冬期間の利用促進に向けて、どのようにアウトバウンドやインバウンドの対策に取り組んでいかれるのか、
新田知事政策局長の所見をお尋ねしておきたいと思います。
次に、グリーン・ツーリズムの取り組み支援について、農水部長に伺います。
本県の定住・半定住の移住者は増加しておると伺っておりますが、グリーン・ツーリズムの取り組みの中でも帰農塾による成果はどのようになっているのか。個々の事業成果を検証し、施策を改善することが重要と考えます。県内の12地区で実施されているとやま帰農塾について、その就農や定住・半定住の成果はどのようになっているのか、また、今後、さらなる事業の充実を図っていくべきと考えますが、その課題をどう捉え、どのような取り組みを進めていかれるのか、
伍嶋農林水産部長の所見を伺いたいのであります。
最後に、本日は大学生の諸君も傍聴においでになっておるわけでございますが、そこで、石井知事にお伺いをいたしたいと思います。
県内の就職促進のため、県内外でさまざまな取り組みが行われているわけでございます。有効求人倍率がどんどん高くなり、売り手市場である一方で、企業の皆さんからは、人手不足が顕在化しておる、このような実態も伺っておりまして、企業の皆さんが、就職面談会、この企画によって参加企業者の数に制限がある、こんなふうにも伺っておりまして、説明会の参加企業の枠や開催場所、そしてこのスペースの問題など、十分に県内の企業が若い活力のある人材を求めるこうした懇談会に今まで以上に努力をしてもらいたいと、学生や求職をする人たちのニーズにきちっとマッチして、そして、また、人を求める事業者の思いがしっかりと、この双方向がお互いにいい結果が出るように、県の就職促進施策の成果と課題、そして今後の取り組みとあわせて、石井知事の所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
72 ◯議長(大野久芳君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
73 ◯知事(石井隆一君)稗苗議員の御質問にお答えをします。
まず、県民の安全・安心についての中でも、弥陀ヶ原における防災対策についてお答えをいたします。
弥陀ヶ原の火山防災対策につきましては、観測体制の構築や、情報伝達の充実強化を国に働きかけまして、国、具体的には気象庁ですけれども、遠望カメラやGNSS等の火山観測機器が整備されまして、本日から常時観測火山に追加されたところでございます。
避難、入山規制等につきましては、国の指針では、火山防災協議会において、まず、噴火シナリオと火山ハザードマップの検討を進めるとされております。これらの噴火シナリオですとか火山ハザードマップ作成後に噴火警戒レベルを設定しまして、噴火警戒レベルに応じた避難計画を策定することになっております。
県としましては、国の正式な決定を待つことなく早くやろうということで、昨年度から、避難や入山規制等の検討に必要となる噴火口の位置ですとか、噴火規模等を把握するために、過去の噴火状況の調査を富山大学に委託して実施しておりまして、来年度において、まずは噴火シナリオと火山ハザードマップの協議検討を進めることにしております。
県としましては、こうした取り組みを進める一方で、やはり子供たちの安全・安心の確保が大切ですから、小学生の立山登山に関しまして、けがなどの事故防止を図りますために、毎年2日間の講習会を実施し、また、雪渓や岩場の歩き方、休憩のとり方等々、貸し出しヘルメットの活用方法の研修なども行う、また、エンマ台付近の現地調査も実施しまして、現場で火山ガスの状態を確認いたしております。
また、登山実施校について、登山届を出していただくのはもちろんですけれども、室堂派出所に連絡しまして、情報収集しまして、安全な学校登山が実施できるように指導しているわけでございます。
さらに、小学校の火山学習では、5年生の社会において、我が国では火山活動を含めてさまざまな自然災害が起こりやすいといったこと、また、国や県などが対策の事業をやっているといったようなことや、また、6年生理科においては、火山噴火で土地の様子が大きく変化したり、また、溶岩が流れ出したり、火山灰が噴き出したり、そうした状況があるということを学習してもらっています。
弥陀ヶ原火山の防災対策の推進はもちろん大変重要なことでございますから、観測体制の強化に伴いまして、従来に比べますと、先ほど申し上げたように、遠望カメラを置きましたので、噴火の有無ですとか、GNSSによって地殻変動の状況とか、きめ細かく火山活動状況が伝えられると考えておりまして、気象庁のホームページによる遠望カメラの画像提供、これは2分ごとに行われる予定でありますので、引き続き、こうしたわかりやすい情報提供を国に対して求めますとともに、関係機関と連携を図って、観光客や登山者の安全対策、できるだけスピード感を持って取り組んでまいります。
続いて、土砂災害対策についてであります。
県としましては、これまでもハード、ソフト両面から、土砂災害や浸水被害に対する防災・減災対策に取り組んでまいりました。土砂災害のハード対策では、近年、土砂災害が発生しました、例えば片貝川水系の日尾谷川などでですけれども、そうした箇所や、要配慮者利用施設のある箇所、特別養護老人ホームとか保育所、医療機関とか、こういった場所を優先しまして、砂防堰堤や擁壁工などの施設整備を進めております。
また、河川改修では、近年の局地的な集中豪雨によりまして住宅地等への被害のあった箇所などを優先して、川幅の拡幅や放水路の整備などを行っております。それでも、土砂災害危険箇所の整備率、河川整備率ともに、全国平均よりはかなり高いんですけれども、それぞれ約34%、56%にとどまっております。
そこで、こうした施設整備には多大な費用と長い年月が要りますので、こうしたハード面の施策はもちろん進めますけれども、あわせてソフト対策として、土砂災害警戒区域の指定ですとか、土砂災害警戒情報の伝達、土砂災害や洪水のハザードマップの住民の皆さんへの配布などを市町村と連携して進めております。
治水、砂防事業により県民の安全・安心のための対策を進めることは、未来の富山をつくるためにも大変重要なことでございます。先ほど全国治水砂防促進大会のお話が出ましたけれども、ここで、強靱な国土を実現するためにも土砂災害対策を一層強力に推進すべきといったような提言もなされております。
今後も、県民の生命や財産を守り、災害に強い県土の形成を図りますために、国に防災・安全交付金等の予算の確保を働きかける、これは全国知事会としても努力しておりますし、また、日本海沿岸地帯振興連盟としても努力をしたり、もちろん富山県としてもやっておりまして、今後とも、ハード、ソフト両面から総合的な治水、土砂災害対策を進めてまいります。
74 ◯議長(大野久芳君)
新田知事政策局長。
〔知事政策局長新田一郎君登壇〕
75 ◯知事政策局長(新田一郎君)まず、石油コンビナート等総合防災訓練についてお答えをいたします。
県内には、石油コンビナート等災害防止法によって防災体制の強化が求められる特別防災区域が4カ所指定されております。県としては、災害応急活動の迅速化、円滑化や、参加機関相互の有機的な協力体制を確立するため、毎年1カ所選びまして、事業所や地元市、消防などの関係機関の参加のもと訓練を実施してきております。
今年度は10月13日に、お話がございました高岡市伏木地区において、大規模な内陸地震により石油タンクや荷役装置から石油が漏えいし、火災が発生するなどの想定のもと、石油タンクからの流出油の防御や、泡消火薬剤等の運搬や石油タンクへの一斉放水訓練、また、海上では、オイルフェンスや流出油の回収処理訓練、消防艇等による一斉放水訓練などを行ったところであります。
今回の訓練では、消防本部や伏木海上保安部、県新港管理局などが連携した船舶による消火訓練など、陸上、海上とも、実践的な訓練を通じて参加機関相互の連携手順の確認や協力体制の確立を図ることができたことなどが成果ではないかと思います。
今後の課題でありますが、津波の発生も想定した訓練もというお話がございました。今回は内陸部の地震ということでございましたが、前回、平成23年、25年のときには、津波避難訓練も実施したこともございますので、今後ともより緊張感のある実践的な訓練としていくために、他県の状況も参考にして対策を講じていきたいと思います。
続きまして、原子力防災訓練についてであります。
原子力防災訓練の今回の主な成果としては、南砺市への避難訓練を初めて実施いたしまして、緊急事態対応を確認できました。また、ゲート型モニターを活用した避難退域時検査の実施でありますとか、福祉車両を活用した在宅の要配慮者の避難訓練など、実践的な訓練を行うことができたと考えております。
お話がございました安定ヨウ素剤でありますが、UPZ圏内の住民に加えまして、観光客などにも対応できるよう、約10万錠を一時集合場所などに備蓄しておりまして、今回、安定ヨウ素剤の配布訓練も実施したところでございます。
訓練結果については、しっかり検証を行って課題を抽出し、改善すべき内容は次回に反映させていきたいと思っております。このため、訓練当日に参加された住民の方を対象としたアンケート調査を実施しますほか、今月には、参加機関との意見交換会を実施したいと考えております。
また、早朝、夜間の災害発生ということも、お話がございましたように想定されますので、今回は、昨年に比べて災害発生を2時間早めて実施したところでありますが、また、あわせまして、避難所の運営については、国のガイドラインでは、被災者みずからが行動し、助け合いながら避難所を運営することが求められるというふうにされておりまして、先日の熊本地震においても、全て行政だけではなくて、住民の皆さんでもできることはお願いしていくと、こういう考え方がとられております。このため、県としても、自主防災アドバイザー等を対象に、避難所運営に係る研修を開催してきております。
県としては、今後とも災害発生時の状況に迅速かつ的確に対応できるよう、実践的な訓練や研修実施に努めてまいります。
最後に、国民保護共同実動訓練についてでございます。
県では、平成17年度から毎年、被害情報の収集、関係機関への応援要請や、避難指示の手続の確認など、対処能力の向上や関係機関との連携強化を図るため、実動訓練や図上訓練を実施してきておりましたが、24年度からは、国民保護事案への対処に当たって主体的な役割を担う国と共同でやるということにいたしております。
今年度は、御指摘のございました、黒部市において、サリン剤散布による化学テロと、爆発物を所持した立てこもりを想定して実動訓練を実施いたしました。今回の訓練では、国民保護では初めてドクターヘリが重症者を救急搬送する訓練でありますとか、災害派遣精神医療チームが被災者の心のケアに当たる訓練など、最近導入した仕組みを活用した訓練も行うことができました。また、現地の調整所には、今回新たに富山地方鉄道にも参加をいただきまして、関係機関の情報連絡員が一堂に会して情報共有、伝達する訓練を行いまして、国民保護事案発生時に即応した連携体制の構築を図ることができたのではないかと考えております。
ただ、今後の課題としては、さらなる対処能力の向上のため、実践的な訓練を積み重ねていくことに加えまして、お話がございましたが、訓練会場で参観者向けアナウンスによる状況説明ということで、私もおりましたが、それだけを聞いておりましたので、今後、参加者や見学者に訓練内容等をわかりやすく伝えることも課題でありますし、また、既にこちらは反省会を開いておりまして、第三者的にチェックしていただくために愛知県からも参加いただいたんですが、避難所運営訓練では、留意事項や今後の見込みなどを住民に伝えることも行えばよかったのではないかというような御意見もいただいております。
県としては、対処能力の向上と制度普及啓発の両面から効果的な訓練となるよう工夫して、今後とも万が一の事態の備えの充実に取り組んでまいります。
76 ◯議長(大野久芳君)山本生活環境文化部長。
〔生活環境文化部長山本 修君登壇〕
77 ◯生活環境文化部長(山本 修君)ツキノワグマの管理計画の見直し等についての御質問にお答えします。
ツキノワグマは、ドングリの凶作年に市街地に多く出没する傾向がございまして、本年は、県東部を中心に大量出没しておるところでございます。過去には平成16年、18年、22年などの例もございますが、こうした大量出没年には人身被害が発生するなど、人とツキノワグマとのあつれきは全国的にも大きな問題となっておるところでございます。
一方、ツキノワグマは、イノシシやニホンジカとは異なりまして、生息密度が低く、繁殖力も弱いため、生息環境の変化でありますとか、捕獲の影響を受けやすい動物でございます。このため県では、ツキノワグマの個体群を長期に安定的に維持しつつ、人身被害の防止を図り、緊張感のある共存関係を構築することを目指しまして、議員から御紹介いただきましたように、平成22年度から富山県ツキノワグマ管理計画を策定しているところでございます。
今年度もこの計画に基づきまして、9月5日にはドングリの豊凶予測による注意情報を発表いたしますとともに、10月4日には、人身被害の発生を受けた警報の発令、翌々日の10月6日には、緊急対策会議の開催のほか、市町村によるパトロール強化等の人身被害対策への助成などを実施しているところでございます。
お尋ねの捕獲状況でございますが、ことしのツキノワグマの捕獲数は、昨日現在、11月末現在でございますが、101頭となりまして、既に計画に定める年間88頭の捕獲上限数を上回っております。これは大量出没年につきましては、捕獲上限を超える許可をしているためでございまして、このように人身の安全を優先した柔軟な運用を行っているところでございます。
今後とも、関係団体や市町村等と連携いたしまして、出没状況に応じた適切な人身被害対策を実施しますとともに、現在の第2期管理計画が今年度末をもって終期を迎えますので、現在、次期計画を策定中でございますけれども、専門家の御意見でありますとか、あと、生息数についての新しい推計値を踏まえまして、引き続き効果的に管理できるよう、見直しを進めてまいります。
以上でございます。
78 ◯議長(大野久芳君)
伍嶋農林水産部長。
〔
農林水産部長伍嶋二美男君登壇〕
79
◯農林水産部長(伍嶋二美男君)イノシシ対策についての御質問にお答えをいたします。
県では、イノシシ対策といたしまして、国の交付金を活用して、市町村協議会による電気柵等の整備に対しまして支援してきているほか、これまで予防的措置にも対応するため、県単独事業によりまして実施してきたところであります。昨年度からは、電気柵に加えまして、維持管理の負担軽減につながります耐雪型の侵入防止柵の整備についても支援してきており、これまで4つの市町で3.7キロメートルが整備されてきております。
県単独事業によります耐雪型の侵入防止柵の整備につきましては、地元負担として、資材費の4分1と設置費を負担していただいており、同じく県単独事業の電気柵整備の2分の1と比べまして、負担割合は低いものの、耐雪用の資材自体が高額であるといったことに加えまして、設置工事にも経費がかかることから地元負担の総額が大きくなるという状況にあります。
このため、議員御指摘のとおり、人口減少が進む中山間地域等での耐雪型の侵入防止柵の整備につきましては、地元負担の軽減の観点に配慮しながら進めていく必要があるというふうに考えております。
具体的には、本年度におきまして、国の交付金の対象が予防的措置についても柔軟な協議が可能となったことを踏まえまして、まずは、資材費が全額支援される国の交付金の積極的な活用に努めるとともに、仮に国の交付金の要件を満たさず、県単独事業を活用する場合においても、中山間地域等の直接支払制度の活用も検討していただくこと、さらに、比較的安価に設置いたしました他の市町村の取り組み事例の情報を提供することなどによりまして、できるだけ地元負担が軽減されるよう努めてまいりたいと考えております。
県としましては、今後とも関係市町村と連携しながら、地元負担の軽減に配慮しつつ、耐雪型の侵入防止柵の計画的な整備を進めるとともに、国に対しても必要な予算額の確保や、制度の運用改善を働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
80 ◯議長(大野久芳君)
加藤土木部長。
〔土木部長加藤昭悦君登壇〕
81 ◯土木部長(加藤昭悦君)道路除雪についての御質問にお答えをいたします。
冬期の安全で円滑な道路交通の確保のため、昼夜を分かたず除雪作業に従事していただいている建設企業の皆さんの御労苦に、まずは感謝を申し上げたいと思っております。
県では、これまでも安定的な除雪体制の維持のため、委託経費の改善や、企業負担の軽減、除雪オペレーターの確保に取り組んできております。委託経費のうち除雪従事者の待機費用につきましては、平成22年度に、情報連絡を担います世話役の人件費を、出動にかかわらず待機時間に応じて支払うよう見直し、平成23年度には、大型除雪機械のオペレーターの人件費を、出動までに必要な準備作業に係る費用を支払うよう見直したところであります。また、企業負担を軽減するため、県が貸与いたします除雪機械の増強にも取り組んできております。
一方、除雪オペレーターの方々の御労苦に対しまして、平成21年度に、長年、除雪作業に従事された方を除雪功労者として表彰する制度を創設し、平成24年度からは、除雪功労者の中から、30年以上従事し、他の模範となる方に知事感謝状を贈呈させていただいております。また、オペレーターの確保につきましては、昨年度から、除雪オペレーター育成支援事業を設け、今年度はそのための予算を拡充もさせていただいたところであります。
県といたしましては、今後とも安定的な除雪体制を維持するため、また、除雪従事者の皆さんが意欲を持って取り組めるよう、関係する皆さんの御意見もお聞きし、国や他県の動向も踏まえ、待機時の支援、あるいは表彰制度の充実強化について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
82 ◯議長(大野久芳君)石井知事。
〔
知事石井隆一君登壇〕
83 ◯知事(石井隆一君)次に、元気とやまの推進についてでありまして、まず、富山マラソンについてお答えをいたします。
去る10月30日に開催した富山マラソン2016では、フルマラソンに加えまして、誰もが気軽に参加できるジョギングの部を創設したことなどもありまして、海外の10の国と地域からの参加者を含めまして、国内外から約1万3,000人を超えるランナーの参加をいただいて、本県の豊かで美しい自然や伝統文化、また、富山ならではのおもてなしを全国にアピールできたものと考えております。
正直、上京する機会に官民のいろんな方にお会いするんですけれども、意外な方々から、自分自身が行ったとか、友人が参加したとか、実によかったと、景色も絶景だし、それから、給水するボランティアの人たち、給水、給食、本当に全国で1番だと、何人もから言われております。
昨年の大会では、スタート会場のトイレの混雑や、新湊大橋の継ぎ目が危険であるといったランナーからの御意見がありましたので、ことしは、トイレの増設や、橋の継ぎ目にゴムマットを敷設しますなど、参加者目線に立った運営に努めておりまして、今ほどお話ししたように、今まで参加したフルマラソンでは最高の大会だったといったようなこととか、充実した給食がよかったといったような、大変御評価をいただいております。
また、ことしの大会では、フルマラソンに県内から6,945人が出走されますなど、県民のスポーツ振興という観点からも成果があったと思っております。県内からのランナーが、昨年より1,897人増えているわけですね。これは、昨年の大会に多くの県民に御参加いただけたものですから、県民枠を1,000人増やして1,500人にしたと、また、昨年の大会で県民の皆さんのこの富山マラソンに対する関心が高まったということだろうかと思います。
元気な石井の意見を聞きたいということですが、私もあと5歳若かったら出たいなと本当に思っておりまして、しかし、とりあえずはサイクリングで我慢しようということで思っております。
富山マラソンの開催については、当初は、一昨年の準備段階から気候などの面で10月末か11月初旬が望ましいと考えておりまして、当時その時点では、金沢マラソンは11月15日に決定されるということでしたから、そうすると2週間ぐらいあけたほうがいいだろうということで11月1日にした経過がございます。
今回も、そういう考え方で10月29日で計画しているんですけれども、その後、金沢マラソンが同日開催となりました。近隣の都市ですので別の日に開催されるというわけにいかないか、関係団体がお願いした経過もあると伺っていますけれども、その上でお決めになったことですので、いささか残念な面もありますが、これはこれでやむを得ないんだと思います。
ランナーの方は、宿泊場所の確保を心配されると思いますので、関係の皆さんと協議して、課題解決を図りますとともに、富山マラソンについては、高岡の伝統文化の薫るまち並みや、富山湾、世界で最も美しい湾ですから、また、立山連峰を臨む新湊大橋など、絶景の名所などを通って、環水公園にゴールするというコースの魅力とか、また、郷土色豊かな給食や切れ目のない応援、富山ならではの評価が今、評判が立っているように思いますが、引き続き、多くの皆さんに御参加いただけるように努力してまいります。
続いて、ユネスコの無形文化遺産登録についてお答えをいたします。
このたび、魚津のタテモン行事を初めとして、本県の3件の行事を含む山、鉾、屋台行事につきまして、
ユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載が決定されたことは、本当にこれはまことに喜ばしく、長年にわたってこれらの伝統行事を支えてこられたそれぞれの地元の皆様、関係の皆様、もちろん所管の3市の皆さんにも心からお祝いを申し上げたいと思います。
県としましては、これまでこの3件の行事が
ユネスコ無形文化遺産に登録されますように、さかのぼりますと、先ほど申し上げたいろんな経過があるんですけれども、最近ではこの春に当時の馳大臣に直接お願いしたりしてまいりましたけれども、例えば魚津のタテモン行事では、行事の魅力を発信する映像作成、企画展の開催、文化財の保存修理等に支援をしてまいりました。このたび地元の国会の先生方のお力添えもいただいて、本県の曳山行事の文化的価値が世界に認められるという形で実を結んだことは大変喜ばしいことでございます。
今月4日には、関係市の地元3市と高山市、飛騨市、大垣市と協力しまして、本県を初め近隣県の曳山の魅力を県内外、国内外にアピールする大会を開催することにしております。今後とも、国や市と連携協力して、行事の魅力発信や曳山の保存、修理などの支援に努めてまいります。
また、御質問の来年5月の南砺市の城端で開催されます全国山・鉾・屋台保存連合会総会につきましては、登録後初の記念すべき大会でありますから、本県の魅力を全国に向けて発信する絶好の機会でありますので、これはまだこれから保存会などの皆さんからの御意見、御要望も承らなくちゃいけませんが、支援については、他県の事例も勘案しながら、できるだけまた前向きに考えていきたいと思っております。
本県は、雄大で美しい自然や、豊かな食の魅力が国内外で評価されつつありますけれども、今回の登録が実現したことで、世界文化遺産の五箇山合掌造りが既に存在する、また、世界ジオパークを目指す立山・黒部、また、もちろん立山砂防、世界文化遺産を目指していますし、また、国宝瑞龍寺、いろんな面で多彩な歴史、文化の魅力もあるんだということもあわせて国内外に発信しまして、全体として元気とやまの創造にしっかりつなげていきたいというふうに思っております。
それから、県の就職促進施策についてお答えをいたします。
県内の有効求人倍率は、御承知のとおり1.63倍と、全国よりも相当高いわけですし、また、今後、労働力人口の減少が見込まれますから、県内企業と求職者のマッチングの促進、また、首都圏等からのUIJターンの推進、それから、女性や高齢者などの潜在的な労働力の活用、それぞれ一層重要になると思っております。
そこで、効果的なマッチングを図るために、県主催の合同企業説明会については、参加希望の企業数が随分増えてまいりましたこともありまして、昨年度、参加企業枠を、最初、26年度は545社だったんですが、27年度は733社、それから28年度はさらに1,080社、ということは2年前の約2倍にしているわけですが、それでも企業からは、多くのUターン学生と出会えてよかったということと同時に、しかし、希望したけれども、開催場所のスペースや時期の関係で参加できなかった企業というのもやはりあるようであります。
そこで、今後、参加する学生さんの動向等も踏まえながら、希望する企業ができるだけ参加できるように、もう少し広い会場が確保できないかとか、あるいはお聞きしてみないといけませんが、場合によっては半日開催を1日開催にして午前と午後に分けるとか、いろいろ工夫してまいりたいと思います。
また、首都圏等からのUIJターンの一層の推進のために、昨年5月に、富山くらし・しごと支援センターを東京と富山に設置いたしましたし、また、そこで、仕事と暮らしについての一元的な相談に取り組んでまいりました結果、まず、28年3月卒の大学生の方のUターン就職率は58.1%と過去最高で、ちょうど10年前に比べて7ポイントほど上がったと、多分、東京を除くと全国トップじゃないかと思うんですけれども、また、本県への移住者は、平成20年ごろは約200人だったんですが、昨年は、過去最高の462人となりまして、大変そういう意味では移住、あるいはUターンが進んできたと思います。
ただ、これに満足することなく、さらにUIJターンを促進しますために、移住・転職フェアを今月、都内で開催することとしておりますほか、先ほど申し上げた富山くらし・しごと支援センターの相談員を今回さらに増員しまして、相談機能の強化充実を図ることにしております。
また、女性や高齢者の方の潜在的な労働力を活用しますために、仕事と子育ての両立支援の一層の促進、企業子宝率の調査結果も活用したいと思いますし、また、
ものづくり産業への女性の参画促進のための企業見学会の実施、最近、理系の女性も随分増えておりますし、それから、潜在保育士の職場復帰を支援すると、さらに今年度新たに、とやまシニア専門人材バンクに生涯現役コーディネーターを配置いたしまして、高齢者の就業支援強化などにも取り組んでおります。
今後も、県内企業のニーズに即して、また、学生さんの動向も見ながら就業を促進する効果的な施策をしっかり進めてまいります。
84 ◯議長(大野久芳君)
新田知事政策局長。
〔知事政策局長新田一郎君登壇〕
85 ◯知事政策局長(新田一郎君)まず、立山黒部ジオパークについてお答えをいたします。
第4回日本ジオパーク中部ブロック大会in立山黒部は、8月にYKK黒部事業所50ビル国際会議場で開催されまして、会員など約350名の参加のもと、立山黒部ジオパークを初めとする各地域の取り組みが発表されまして、熱心な議論が交わされました。
お話がありましたように、現在、立山黒部ジオパーク協会においては、東京オリンピックが開催されます2020年までのユネスコ世界ジオパーク認定を目指して活発に活動が進められているところであり、県としては、関係市町村と連携を図りながら、シンポジウムや出前講座などへの参加、世界文化遺産登録で培った情報発信などの助言、また、講演会や出前講座といった普及啓発活動に対する財政的な助成などの支援を行っております。
このユネスコ世界ジオパーク認定の取り組みは、本県が誇る立山・黒部のすばらしい魅力を国内外にアピールできる格好の機会と考えておりまして、また、民間主導で進められている意欲的な事業でもありますので、今後とも立山黒部ジオパーク協会の相談に応じますとともに、世界ジオパーク認定に向けて新たな取り組みを行う場合には、関係市町村で構成される立山黒部ジオパーク支援自治体会議と緊密に連携しながら、歩調を合わせて支援に努めてまいります。
次に、富山きときと空港の冬季対策についてであります。
富山きときと空港については、全般的に冬季の利用が他の時期に比べやや落ち込むこと、また、ソウル便については、お話がございましたように、今回エアソウルになりまして、冬季は運休されるということで、空港の活性化のためには冬季の利用促進が重要であります。
また、先ほどお話しいただきましたが、稗苗先生初め日韓議連の皆様方が強く御要望いただいたこともありまして、また、知事も要望した結果、ソウル便については、来年夏、運休予定であったんですが、運行することになりまして、これは大変よかったなというふうに思っております。
このため、国際路線の活性化が重要でありまして、まずアウトバウンド対策としては、大連便及び上海便の就航先の魅力や、路線の利便性を紹介する番組を制作、放送し、広く県民に情報発信したほか、台北便についても、旅行会社への冬季の新たな旅行商品造成を依頼するなど、冬季の利用促進に努めております。さらに、ことしの冬季期間は、国際路線冬季送客支援助成を拡充いたしまして、アウトバウンドの利用促進に努めております。
インバウンドにつきましても、就航先での富山県の認知度向上を図り、観光需要を掘り起こすため、大連、上海、台湾、韓国から現地メディアなどを本県に招聘し、冬季の魅力的な県内観光地やグルメなどを取材してもらい、番組やウエブ上での情報発信を行うことといたしております。
国内路線については、引き続き、羽田便の利便性の県内外へのPRや県内企業などへの働きかけ、羽田便を利用した旅行商品の造成支援、訪日旅客など、観光需要の確保等の取り組みによりまして積極的な利用促進活動を展開しており、今後も、航空会社や旅行会社など、関係者と連携しながら、国内外の航空路線のインバウンド、アウトバウンド双方の利用促進に努め、空港の需要拡大を図っていきたいと考えております。
86 ◯議長(大野久芳君)
伍嶋農林水産部長。
〔
農林水産部長伍嶋二美男君登壇〕
87
◯農林水産部長(伍嶋二美男君)とやま帰農塾についての御質問にお答えをいたします。
とやま帰農塾は、地域の特色を生かした農作業や加工の体験、また、住民との交流会など、田舎暮らし体験プログラムを都市住民に提供しており、参加者に地域の魅力を満喫してもらうことにより移住につなげることを目的の1つとしております。
平成17年度の事業開始以来、塾参加者のうち、これまで28名の移住につながり、そのうち6名が就農しており、さらに、現在も多くの参加者が移住を検討するなど、一定の成果を上げております。また、開催に当たりましては、定住コンシェルジュも塾に参加いたしまして、移住希望者の相談に応えているところでありますが、参加者からの意見としまして、例えば伝統的な文化にふれたいとか、あるいは、さまざまな地域の実態等を把握してから移住したい、移住を決定したいなど要望が寄せられております。
今後、移住者のさらなる増加につなげていくためには、こうした参加者の要望に沿う形で体験メニューの充実や新たな参加者の掘り起こしを行うとともに、移住先に関するきめ細かな情報提供につきまして塾の終了後も行うなど、継続した取り組みを進めていくことが重要であるというふうに考えております。
県としましては、今後、参加者から要望の多い例えば有機農業体験、こういったこととか、あるいは移住体験などの体験メニューの充実を図ると、それとともに、今月、東京で開催いたします、とやま移住・転職フェアに対しまして、就農や農業体験相談コーナーの出展など、首都圏でのPRを強化するほか、移住希望者の関心が最も高く、切実な問題である就業、就農や住居に関する情報提供につきましてさらなる充実に取り組むことにより、とやま帰農塾への参加を契機とした本県への移住者及び就農者の一層の増加を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
88 ◯議長(大野久芳君)以上で稗苗清吉君の質問は終了しました。
以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。
89 ◯議長(大野久芳君)次に、お諮りいたします。
議案調査のため、明12月2日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
90 ◯議長(大野久芳君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次回の本会議は12月5日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行いますとともに、議会運営委員会を開催いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時05分散会
Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...