3点目に、2004年に発生した新潟中越地震では
サプライチェーンが寸断され、事業継続計画の必要性が認識され、2005年内閣府では
事業継続ガイドラインを公表し、自然災害を想定した事業継承の取り組みが企業で推進されることになりました。
製造業が集積する富山県内企業の事業継続計画はどの程度策定されているのか。また、事業継続計画の策定支援についてどのように取り組まれているのか、
大坪商工労働部長に伺います。
4点目に、国土地理院は平成27年11月、
砺波平野断層帯の
都市圏活断層図を新たに公表し、高岡断層15.5キロ、射水断層9キロ、その他推定活断層を明らかにされました。
富山大学の竹内章名誉教授は、高岡断層を震源とする地震発生に対し、地震の揺れと津波への対策を提案され、特に断層沿いや地すべり地帯での地震動による局所的増幅、高岡断層の自然ダムによる洪水、旧河道背後地の液状化に対し事前の準備が必要と指摘しています。
そこで、新たに公表された高岡断層や射水断層、既に公表済みの石動断層で地震が発生した際の津波発生の有無や
小矢部川河道閉塞による浸水などへの対応が求められることから、断層帯の評価を早急に進める必要があると考えます。どのように対処していくのか、
新田知事政策局長に伺います。
この項の最後に、
竹内富山大学名誉教授は2013年に始まる西之島の噴火、2014年の御嶽山の水蒸気爆発、2015年の口永良部島や浅間山、箱根山の噴火があり、活発な火山活動が観測されております。気象庁でも、立山弥陀ヶ原の
火山観測体制強化に向けた観測機器の整備が進められています。
そこで、
火山ハザードマップの作成や避難計画の策定、観光客、登山者の安全確保体制の整備にどのように取り組まれているのか、
新田知事政策局長に伺います。
2項目目の文化資源等を活用した地方創生について伺います。
政府は
訪日外国人旅行客を
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに4,000万人に増やすことを目標とする新観光戦略素案を決定しました。人口減少が進む地方を活性化するために、文化財を観光資源として活用し、訪問先を地方に広げるために、地方空港の路線数を増やすことを目指すとしています。
また、移動手段のかなめとなる新幹線が停車する約100駅を観光案内の拠点として強化する方針でもあります。さらに、政府は明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、神社や城郭、伝統芸能を観光資源として活用し、2020年までに全国で200カ所程度、文化財を核とした観光拠点を選定する方針とされています。
そこで、政府の文化財を観光資源に活用するとの方針に対し、観光振興の観点から富山県はどのように取り組むのか、亀井観光・地域振興局長の所見を伺います。
次に、文化庁では、文化財を修理、復元することで文化資源の価値を高め、観光客の増加を誘発することを目指すとともに、さらに修理事業を行うことで地元業者の仕事をつくり出す効果を期待するとしています。
また、文化GDPの拡大を目指し、政府では堂故
茂文部科学政務官、自民党PTでは橘慶一郎座長が中心となり、
文化GDP拡大に向けて、文化財は保存するものから活用するものに発想を転換し、活用の視点も含めた支援により経済活性化につなげていく必要があると提言されています。
富山県では、歴史と文化が薫る
まちづくり事業で国の
登録文化財伏木測候所の測風塔の復元に取り組んでいただいており、
富山職藝学院上野教授の指導のもと、若手の職人さんが復元に取り組まれております。
このことに触発され、地元自治会が中心となり、測候所を創設した藤井能三さんの銅像を制作し、除幕式が行われるなど、文化資源の価値を高め、観光客を呼び込む取り組みが広がりを見せております。
そこで、本県における文化財の保存修理の現状とあわせて、その経済効果をどのように認識しているのか、渋谷教育長の所見を伺います。
次に、県内には
ユネスコ無形文化遺産登録が有望視されている高岡御車山祭り、城端曳山祭り、魚津たてもん祭りのほかにも映画人生の約束の舞台となった新湊曳山祭り、八尾、石動、大門、氷見、岩瀬、伏木のけんか山と各地の曳山行事は観光資源として大きな魅力を持つと考えます。
国の観光戦略に関する有識者会議の委員からは、観光は成熟するとショッピングから歴史や文化に重心が移るとの発言があったように、富山の曳山、鉾、屋台、行燈、獅子舞等の魅力を観光資源として捉え、観光客を呼び込む仕掛けづくりや観光客に曳山、鉾、屋台の位置情報を提供するアプリの開発、PRなどに支援すべきと考えます。亀井観光・地域振興局長の所見をお伺いします。
次に、北陸新幹線の開業により富山県の観光を取り巻く環境が大きく変化し、「選ばれ続ける観光地 富山-『海のあるスイス』を目指して-」富山県
観光振興戦略プランが策定されました。海のあるスイスのイメージの醸成には、
立山黒部アルペンルートや県内各地のスキー場の再整備とそれらの情報発信が必要と考えます。どのように取り組まれるのか、亀井観光・地域振興局長にお伺いします。
3項目目に、海洋環境の保全についてお伺いします。
富山市で開かれた
G7富山環境大臣会合は、地球温暖化を抑える
パリ協定長期戦略の策定時期を前倒しすることや、食品廃棄物の削減に向けて連携を強化すること、海に漂う大量の
微細プラスチックごみは海の生態系の脅威との認識を確認し、国際機関と連携して取り組むとの共同声明が採択されました。
石井知事は
G7朝食セッションで富山県の
海岸漂着ごみ対策について事例発表され、富山県内海岸に漂着するごみの8割が国内から発生するものであり、行政、住民、民間団体が連携し発生抑制を推進することが重要であるとし、河川の上流域、下流域が連携して行う清掃活動を紹介されたと仄聞しております。
そこで、
G7富山環境大臣会合において、海洋漂着ごみについてどのような議論がなされたのか。また、国際機関と連携して取り組む5つの対策が合意されたとのことでありますが、その内容と今後の県の取り組みをあわせて石井知事に伺います。
次に、これまで富山県では漂着物調査を実施するとともに、住民の協力を得て海岸清掃活動を実施されてきました。しかし、小矢部川河口の港湾区域において大量の漂流ごみが降雨時に散見され、梅雨を前に海岸へ漂着することが懸念されます。
富山県の調査でも、一部河川ではごみの滞留場所もわかっております。
海岸漂着物対策は予防が重要であり、降雨時の漂流実態を把握し、海岸に拡散して漂着する前の河川に漂流しているごみ対策が必要であると考えます。
2014年6月定例会の私の質問に、調査結果を活用した河川でのごみ回収について、関係者と相談しながら考えてまいると答弁されております。
環境大臣会合開催を契機に漂着物回収の実施を強く求めます。どのように取り組むのか、加藤土木部長にお伺いいたします。
最後に、
海洋環境保全活動はさらにグローバルな視点で取り組む必要があり、中国、韓国、ロシア、
北東アジア諸国との連携が重要であります。
今回の2016
北東アジア自治体環境専門家会合では、
G7環境大臣会合において地球環境問題への対応が再認識されたことを踏まえ、地方自治体でも海岸生物やスナガニ等の
地球温暖化指標生物に関する広域共同調査を実施することとされました。富山湾岸に身近に生息するスナガニが指標生物とされて、県民の関心も高まるものと考えます。
そこで、具体的にどのような取り組みをされ、どのような成果を期待されているのか、
山本生活環境文化部長にお伺いし、質問を終わります。
ありがとうございました。
4 ◯議長(大野久芳君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
5 ◯知事(石井隆一君)向議員の御質問にお答えします。
まず、国土強靱化についてであります。
県内の大規模自然災害、富山県は災害がもちろん少ない県ですけれども、それでも平成20年の2月には下新川海岸を襲った富山湾特有の寄り回り波による高波被害がございましたし、同じ年の7月には、南砺市を中心に記録的な降水量により被害をもたらした豪雨災害、もっとさかのぼりますと平成14年に氷見市で地すべり災害などが発生しております。
また、県内での発生確率は低いんですけれども、やっぱり県民の安全・安心が第一でありますから、発生確率の低い3,000年から5,000年に一度程度の活断層であります呉羽山断層帯などの地震、津波での最悪の事態も想定しまして、これらを含めた大規模自然災害を富山県
国土強靱化地域計画の対象リスクとしております。また、太平洋側のリダンダンシーの確保、災害に強い多軸型の国土づくりの観点から、南海トラフ地震と首都直下地震を計画の対象リスクとして想定しております。
これらの具体的な対策としまして、ハード面では、県有施設や住宅建築物等の耐震化の推進、また、河川や海岸の堤防整備など、治山治水、土砂災害対策、津波・高波対策、橋梁の耐震化や体系的な
道路ネットワークの整備、公共土木施設の長寿命化などに取り組みますほか、ソフト面では、関係機関や住民参加による総合防災訓練の実施、
災害医療コーディネーターの養成、中小企業の事業継続計画の策定支援、また、自主防災組織の結成促進などに取り組んでおりまして、総合的かつ計画的に強靱化対策を進めることにしております。
また、県外で発生する大規模災害に備えるためにも、北陸新幹線の敦賀、京都、新大阪間のルートの平成28年中の決定に向けた働きかけ、また、
東海北陸自動車道の付加車線の速やかな設置や早期の全線4車線化に向けた働きかけ、また、伏木富山港は日本海側の総合的拠点港となっていますが、これのさらなる機能強化に積極的に取り組みますなど、太平洋側のリダンダンシーの確保に努めております。
今後も日本一の安全・安心県を目指しまして災害に強い県づくりを進めますとともに、今ほど申し上げたようなことで東京など首都圏と関西をつなぐ、また、太平洋側と日本海側をつなぐ、そういった国土構造の構築にもしっかり取り組んでまいりたいと、このように考えております。
次に、海洋環境保全の御質問にお答えをいたします。
G7富山環境大臣会合の海洋ごみのセッションには私も参加させていただいて、本県が漂着物の回収処理はもちろんですけれども、発生源対策にも力を入れておりますこと、また、
環日本海環境協力センターや
北東アジア地域自治体連合など、国際機関と連携しまして国際協力に取り組んでもおりますことを説明しますとともに、今後もこの
北東アジア地域の環境保全に積極的に貢献することをお伝えいたしました。
中でも
マイクロプラスチックの発生抑制にもつながるレジ袋の削減やトレイの分別回収、リサイクルなどにつきまして、本県の積極的な取り組みを各国の大臣などから御評価をいただきました。G7各国とも海洋ごみは世界的課題であることで一致しまして、特に予防策や地方の取り組みを含めた
ベストプラクティス、優良事例の共有等の重要性、また、国と地方の連携についての発言がございました。
こうした議論の結果、5つの優先的施策を実施することが合意されましたけれども、具体的には、まず陸域を発生源とする海洋ごみの発生抑制や削減に向けた
ベストプラクティスの共有などの促進、また、
プラスチックごみの回収処理の促進、また、UNEPなどの国際機関との協働によります海洋中や海域を発生源とする海洋ごみの削減に向けた国際環境協力の促進、また、ごみの発生抑制を可能にする個人の行動変容をもたらす啓発、教育活動の促進、また、生態系や人間への影響を評価しまして、多様な研究を積極的、効果的に促進するための
モニタリング手法の標準化などに取り組むこととされました。
また、この
G7環境大臣会合を踏まえまして、先月23日に開催しました
北東アジア日中韓露の4カ国の自治体や大学等による専門家会合におきまして、
マイクロプラスチックの原因となるレジ袋、トレイ、ペットボトルなどの発生抑制や回収・リサイクルを進めますとともに、海洋ごみの共同調査などに取り組むことなどを盛り込んだ2016とやま宣言が採択されました。この中には、
富山物質循環フレームワークのことも盛り込んでいるわけでございます。
今後富山県としましては、市や町、地域住民等と連携した海洋漂着物の円滑な処理、また、
マイクロプラスチックの発生抑制にもつながりますレジ袋の削減、トレイ、ペットボトルの回収・リサイクルといった3Rの推進、また、上下流地域が連携した清掃活動の実施、また、海洋ごみに関するNOWPAPの活動の支援などに引き続き取り組みますとともに、この実施状況を
北東アジア自治体連合の枠組みを活用して確認しますとともに、2016年とやま宣言を受けて
北東アジア地域の自治体等と連携しながら
海洋漂着物対策に率先して取り組んで、できれば世界のお手本と言われるようにしっかり取り組んでまいります。
6 ◯議長(大野久芳君)加藤土木部長。
〔
土木部長加藤昭悦君登壇〕
7 ◯土木部長(加藤昭悦君)まず、港湾の
バースウインドウ調整の事前実施、
応急仮設住宅建設用地の事前選定についての御質問にお答えをいたします。
伏木富山港では、あらかじめ大規模災害に備える仕組みを構築するため、平成26年12月に国や県、市、港湾関係者で構成されます
官民連携協議会におきまして、災害時における港湾関係者の役割や行動計画を取りまとめました伏木富山港港湾BCP、事業継続計画でございますけれども、これを策定いたしますとともに、平成26年度には
緊急物資輸送船の入港を想定した
ロールプレイング方式による訓練等を行ってきたところであります。
議員お尋ねの
バースウインドウ調整につきましては、平常時の船舶利用に加えまして、災害時の効率的な船舶の入港を管理する上で大変重要でありますことから、支援船舶による緊急物資の受け入れなど、応急復旧活動の1つとして、官民連絡協議会の中で国や県が中心となり、情報共有や連携を図りながら実施することといたしております。
また、応急仮設住宅の建設用地の事前選定につきましては、富山県地域防災計画では、市町村があらかじめ仮設住宅の建設予定地を定め、県は必要に応じてその選定に関する助言を行うこととされておりますことから、市町村に対し公共用地の空き地など、応急仮設住宅の建設可能用地を把握するよう働きかけているところであります。
県ではこのようにあらかじめ災害に備えた取り組みを行ってきておりますが、今後は熊本地震の教訓も踏まえ、港湾では災害時の入港船舶を想定して
バースウインドウ調整を行う訓練を実施し、その訓練結果に基づき港湾BCPについて必要な見直しを行うこととしており、応急仮設住宅に関しましては、
建設可能用地把握の働きかけや情報収集、仮設住宅の建設に係る研修会の開催などを実施いたしまして、国、市町村、民間事業者などとさらに連携しながら、引き続き大規模災害への備えに取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、河川においてのごみ処理についての御質問にお答えをいたします。
本県の海岸漂着物につきましては、国や県の調査によりその約8割が県内から流出したものであること、また、多くのごみが河川を通して富山湾に流出し、その一部が海岸に漂着することが確認されております。このため、海岸漂着物を抑制するには、水辺の清掃美化活動はもとより、ごみとなるおそれのあるものを水域に流出させないことが重要となります。
こうしたことから、国や県では、
ポイ捨て防止看板の河川敷等への設置や河川パトロールに合わせました不法投棄の監視を行っているほか、国においては不法投棄の一掃を目的に、ホームページを活用した啓発活動にも取り組んでおります。
降雨時の漂流実態を把握し、海へ流出する前に河口でごみを回収することにつきましては、効率的な作業が期待できるものの、経費面や技術面、安全面等の課題も多いものと考えております。
一方、小矢部川や神通川の支川では、ごみが滞留しやすい川べりや浅瀬、落差工等の場所がわかってきているところでありますが、中には進入路が確保されていないなど、回収が容易でない箇所もありますことから、どのような方策がとれるのか調査研究してまいりたいと考えております。
海岸漂着物対策につきましては、河川の上流から河口まで流域全体で取り組む必要があると考えており、今後とも国や市町村、
河川愛護ボランティア等の協力も得ながら、刈り草等のごみの発生抑制や海への流出防止にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
8 ◯議長(大野久芳君)
大坪商工労働部長。
〔
商工労働部長大坪昭一君登壇〕
9
◯商工労働部長(大坪昭一君)事業継続計画に関する御質問にお答えをいたします。
事業継続計画、英語を略してBCPと呼ばれておりますけれども、BCPを作成することは、企業が自然災害等の緊急事態に遭遇した場合において事業資産の損害を最小限に抑え、中核となる事業の継続、または早期復旧を可能とするために大変重要なことであります。
BCPにつきましては議員から御指摘がありましたが、これまでに内閣府が
事業継続ガイドラインを、そして、中小企業庁が
中小企業BCP策定運用指針を策定、公表し、県といたしましても、
BCPモデル事例集を作成するなど支援を行い、その普及に努めてきたところでございます。
県内の企業の策定状況につきましては、最近の状況を調査したものはないのでございますけれども、本年1月に全国の大企業及び中小企業のうち比較的規模の大きい企業、例えば製造業で申しますと資本金1億円以上の企業などでありますが、こうした企業を対象に内閣府が行った調査によりますと、BCPの策定比率は約36%にとどまっておりまして、中小零細企業の策定状況はこれよりもさらに進んでいないという推測がされるところであります。
県におきましては、熊本地震の発生もありまして、先月開催をいたしました中小企業の振興と人材の育成等に関する県民会議の専門部会におきまして、県内企業のBCPの策定等につきまして議題にし、その重要性について再認識をしていただいたところであります。また、
富山商工会議所において先般BCPに関するセミナーを開催されておりますが、定員を大幅に上回る参加があったとのことであります。
県といたしましては、今後県内の中小企業のBCP策定状況の把握に努めますとともに、商工会議所、商工会等による経営指導や研修会の開催においてBCPに関する内容の充実を図り、また、中小企業支援センターにおきます専門家派遣事業等を通じまして、県内中小企業のBCP策定を促進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
10 ◯議長(大野久芳君)
新田知事政策局長。
〔知事政策局長新田一郎君登壇〕
11 ◯知事政策局長(新田一郎君)まず、断層帯の評価について答弁申し上げます。
地震の調査研究や調査結果に基づく総合的な評価の役割は、国の地震調査研究推進本部が担っており、これまで石動断層を含む
砺波平野断層帯西部など、県内5カ所の活断層を含む全国97の主要活断層について調査が行われ、各断層の地震の規模や発生確率に関する長期評価、また、震度分布に関する強振動評価が順次公表されております。
県では、これまでも砺波断層帯西部を含めた県内5カ所の追加調査などを要望してきておりますが、昨年11月に御指摘がありました国土地理院から公表されました
都市圏活断層図は、地震調査研究推進本部が行う長期評価等の資料として活用されることが期待されておりますので、昨年新たに示された高岡断層と射水断層につきましては、今月初めに
砺波平野断層帯西部などの追加調査などとともに、本県に影響を及ぼす可能性のある断層についての調査を今回初めて国に対して要望してきたところでありますが、今後もできるだけ早期に調査していただけるよう積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
また、石動断層を含む
砺波平野断層帯西部については、今回の地震を踏まえ、地震への危機意識を高め、木造住宅のさらなる耐震化の促進などにつなげることが重要であると考えており、専門家の意見も聞きながら被害想定調査の実施について検討してまいります。
次に、火山対策についてであります。
弥陀ヶ原については地震活動が低調に推移しておりまして、火山性微動は観測されていないとのことでありますが、防災対策を検討し、しっかりと備えをしていくことが重要であります。県としては去る3月に法律に基づきます火山防災協議会を設置し、火山防災の取り組みについて情報共有を図りますとともに、今後の防災対策について協議検討を行っております。現在専門的かつ実務的な検討を行うワーキンググループを幹事会に設置し、検討を進めております。
県としては、
火山ハザードマップの作成や避難計画の策定に向けまして、まずはどのへんで噴火するのか、また、噴火した場合どの程度の規模になるのか、こういったことを把握する調査を現在富山大学に委託して実施をしております。また、気象庁においては、観測機器の設置が完了しますと常時観測を行うことが可能となりますので、年内に何とかお願いしたいというふうに申し上げております。さらに、国土交通省においては、噴火による土砂災害の検討が行われております。
安全確保体制の整備については、昨年度室堂ターミナル周辺で利用可能となる屋外Wi-Fi整備拠点や登山用ヘルメットなどの資機材の整備を行うなど速やかに対応しておりますけれども、今年度新たに災害時の一時避難場所、シェルターの機能も想定しまして山小屋の補強手法等の調査を実施しております。
県としては、現在実施中の各調査結果や専門家で構成しますワーキンググループの検討報告を踏まえまして火山防災協議会において検討を進めまして、観光客や登山者の安全対策にしっかりと取り組んでまいります。
12 ◯議長(大野久芳君)亀井観光・地域振興局長。
〔観光・地域振興局長亀井明紀君登壇〕
13 ◯観光・地域振興局長(亀井明紀君)文化財を観光資源に活用するとの政府の方針に対して県としてどのように取り組むのかという御質問に対してお答えいたします。
国では、去る3月30日に明日の日本を支える観光ビジョンを取りまとめ、また、同ビジョンを受け、文化庁が4月26日に文化財活用・理解促進戦略プログラム2020を策定しました。地域の文化財を保存優先から観光資源として一体的に活用する方針へと転換し、2020年までに地域の文化財の面的整備や多言語解説の整備などの取り組みを全国で1,000事業程度実施するとともに、日本遺産を初め文化財を中核とする観光拠点を200程度整備するとしております。
本県は世界遺産五箇山合掌造り集落や日本遺産に認定された高岡など、観光資源として魅力ある文化財を数多く有していることから、これらの地域の文化財を観光商品として磨き上げ、ツアーに組み入れられるよう、旅行会社へ働きかけるとともに、世界遺産バス等の観光路線バスやツアーバスの運行支援によるアクセス整備などに取り組み、観光誘客に活用してきたところでございます。
先般実施されました
G7富山環境大臣会合の県主催のエクスカーションにおきましても、瑞龍寺のほか金屋町での鋳物体験などをコースに組み入れてきたところでございます。
本年3月に策定しました新・
観光振興戦略プランにおきましても、施策の柱の1つとして、富山らしい魅力創出を掲げ、伝統文化や工芸品等を活用した観光商品の開発を進めることとし、日本遺産に認定された高岡の町民文化が体感できるガイドツアーや曳山行事の特別鑑賞プランなど、県内の文化財を活用した滞在メニューの開発、商品化などを行うこととしております。
また、文化財を含む観光地等における外国人旅行者の受け入れ体制の充実強化、コンベンション誘致の際にユニークベニューやエクスカーションの候補地として文化財を活用することの提案などにも取り組むこととしております。県としては、今後とも本県の魅力ある文化財を観光資源に活用し、国内外から選ばれ続ける観光地域づくりにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、曳山、鉾、屋台、獅子舞等の魅力を観光資源として捉え、観光客を呼び込む仕掛けづくりなどに対する支援に関する御質問についてお答えいたします。
本県には山・鉾・屋台行事として
ユネスコ無形文化遺産登録に提案された高岡御車山祭り、魚津のたてもん行事、城端神明宮祭の曳山行事を初め、伏木のけんか山などの曳山行事や県内各地の獅子舞など、魅力ある行事や祭りが数多く受け継がれております。
県では、伏木曳山の復元や平成の御車山制作に対して支援を行うとともに、これらの曳山行事等を観光資源として誘客に活用しており、例えば観光季刊誌「ねまるちゃ」の春号では、県内6つの曳山行事を特集し、その魅力をPRしたところでございます。
議員御提案の曳山行事等への観光客を呼び込む仕掛けづくりや、観光客に位置情報などを提供する観光アプリケーションの開発等につきましては、旅行者の満足度を高め、リピーターの増加にもつながり得るものと考えております。
富山県版DMOである県観光連盟では、今後、個別のテーマごとにワーキンググループを設置することとしておりまして、県としては、観光客を呼び込む仕掛けづくりなどにつきましても、このワーキンググループにおいて文化財や祭り等の観光資源としての磨き上げの一課題として、関係の市町村や団体とともに検討してまいりたいと考えております。
最後に、選ばれ続ける観光地富山を目指してどのように取り組むのかという御質問に対してお答えいたします。
本県は標高3,000メートルの立山連峰から水深1,000メートルの富山湾まで、高低差4,000メートルの美しくダイナミックな自然に恵まれていることが魅力の1つでございます。世界遺産五箇山や立山・黒部など世界水準の観光資源に加え、一昨年には富山湾が世界で最も美しい湾クラブへの加盟が承認され、国際的にもその価値が高く認められたことから、新・富山県
観光振興戦略プランにおきましては、こうした世界に誇る観光資源をさらに磨き上げ、情報発信を行うことによりまして海のあるスイスという観光ブランドの醸成を図ることとしております。
県では、従来から地元の市町や観光事業者等と連携し、欅平パノラマ新周遊ルートの整備、観光商品化、台湾等からのスキーツアーの誘致、富山湾岸サイクリングコースの整備など、富山ならではの観光資源の磨き上げや情報発信に取り組んできたところでございますけれども、近年の旅行者ニーズの多様化、高度化を踏まえまして、新プランにおきましては新たな施策の柱として、戦略的な観光地域づくりを掲げ、県観光連盟をDMOとして機能強化し、マーケティングや効果的なプロモーションの実施、農林水産業者や商工業者等と幅広く連携した取り組みを進めていくとしております。
議員御指摘の
立山黒部アルペンルートやスキー場等の魅力の磨き上げといったテーマにつきましても、DMOにおきまして個別のテーマごとのワーキンググループを設置し、検討していくこととしております。県としてもこれらの取り組みに積極的に参画し、選ばれ続ける観光地域づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
14 ◯議長(大野久芳君)渋谷教育長。
〔教育長渋谷克人君登壇〕
15 ◯教育長(渋谷克人君)文化財の保全修理についての御質問にお答えいたします。
本県には、国宝瑞龍寺や重要文化財勝興寺などの建造物を初め、高岡御車山祭りなどの重要無形民俗文化財や史跡、名勝など、国、県合わせて315件の指定文化財があります。
これらの文化財の保全修理に当たりましては、所有者の方々と国、県、市町村教育委員会が連携しながら取り組んでおりまして、今年度は32件の文化財を保全修理するため、全体で約9億円の事業が進められております。
また、保全修理には時間を要するものもありますので、例えば勝興寺では平成17年度から16年かけて計画的に本坊などの保全修理が進められておりますし、さらに今年度は勝興寺を保全活用するための計画策定も進められております。
御質問の保全修理の経済効果についてでありますが、まず観光面におきましては、例えば瑞龍寺は平成8年に保全修理が完了し、翌年国宝に指定されておりますが、平成10年における拝観者数は修理中の平成4年から2.5倍に増えております。このことにつきましては、文化庁の文化GDPの拡大に関する資料の中でも参考事例として紹介されております。
また、地元業者への仕事創出の面につきましては、例えば現在行われております勝興寺の第6期工事、これは平成26年度から29年度にかけて行われるものでございますけれども、この第6期工事における工事内訳で見ますと、屋根のこけらなど調達先が県外である材料費を除いた約3億8,000万円の木工事や漆塗り、金物製作などの工事費のうち87%が県内の事業者に発注されております。
こうしたことから、文化財の保全修理は観光客の増加や地元業者への仕事の創出に結びついているのではないかと考えておりまして、今後とも所有者の方々や国、市町村教育委員会と連携しながら文化財の保全修理にしっかり取り組んでまいります。
以上です。
16 ◯議長(大野久芳君)
山本生活環境文化部長。
〔生活環境文化部長山本 修君登壇〕
17 ◯生活環境文化部長(山本 修君)
北東アジア地域の海洋環境保全のための広域共同調査等についての御質問にお答えいたします。
2016
北東アジア自治体環境専門家会合inとやまは、先月23日に日本、中国、韓国、ロシアの
北東アジア地域の自治体関係者等の参加のもと、
G7富山環境大臣会合でも議題になりました気候変動、生物多様性、海洋ごみ等のテーマを中心に議論され、2016とやま宣言が採択されております。
この宣言に盛り込まれた海岸生物や
地球温暖化指標生物に関する広域共同調査につきましては、本県が
環日本海環境協力センターと連携してコーディネート自治体を務めます
北東アジア地域自治体連合環境分科委員会の自治体等に参加を呼びかけまして新たに実施するものであり、まず生物多様性に関しましては海岸に生息する生物、例えばスナガニ等の甲殻類、イシダタミガイのような貝類、アナハゼ、メジナ等の幼魚を調査いたしまして、環日本海地域における分布状況等を取りまとめますとともに、気候変動に関しましては、海水温の変化に影響を受けやすいスナガニなど、指標生物を選定いたして生息状況を調査し、地球温暖化の影響を確認することとしております。
また、こうした調査を子供たちにも参加して行っていただくことで、グローバルな視点での環境教育にもつなげたいと考えておるところでございます。
今年度は日本で7自治体、韓国で2自治体、ロシアでも2つの自治体、合計11自治体が参加予定でありまして、7月ごろに海岸での調査、11月ごろに参加自治体の担当者による連絡会議を富山で開催いたしまして、調査結果や新たな指標生物などについて協議することにしております。この調査につきましては、今後、
北東アジア地域の新たな自治体の参加を呼びかけながら継続的に実施しますとともに、結果をデータベース化し、国内外に発信したいと考えておるところでございます。
今回の宣言では、このほか、先ほど知事からもお答えしましたとおり、プラスチックなどの海洋ごみの発生抑制や回収・リサイクルの推進等、NEAR環境分科委員会を活用した政策対話や宣言実施の定期的確認等を行うこととしておりますので、県といたしましては今後とも
北東アジア地域の環境保全に率先して取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
18 ◯議長(大野久芳君)向栄一朗君。
〔17番向 栄一朗君登壇〕
19 ◯17番(向 栄一朗君)問3、海洋環境保全についてのうち、2項目目の答弁の内容の確認ということで再質問いたします。
前段の知事答弁で、国際機関との連携で5つの対策を合意されたとあります。加藤土木部長は、私の海岸漂着物については予防が有用であり、漂流実態を把握して河川においてごみ処理対策が必要と、それについてどのように取り組むのかという問いに対し、頭首工なり危険なところにごみがあることがわかっているとの答弁まで確認できましたが、その頭首工のところにあるごみの回収についてはどのようにするのか。
G7富山環境大臣会合、これは国際的にも約束された事柄かというふうに思いますので、その点答弁の確認をいたします。
20 ◯議長(大野久芳君)加藤土木部長。
〔
土木部長加藤昭悦君登壇〕
21 ◯土木部長(加藤昭悦君)お答えをいたします。
先ほど答弁をさせていただきましたことのお話をもう一度させていただきますけれども、ごみが滞留しやすい場所については川べり、浅瀬、あるいは落差工などということで、また、排水路等の合流点ということの場所もわかってきております。しかしながら、ここの箇所については進入場所がなかなかない、あるいは重機が近くに行けないなどという課題もあるということでありますので、こちらについては現地を十分調査して、またその対応について研究をしていきたいということでございます。
いずれにいたしましても、
海岸漂着物対策については、河川の上流から河口までやはり全体で取り組む必要があるということでございますので、従来から行ってきております市町村、あるいは河川ボランティアさんの御協力のほかに、発生源対策といたしましての刈り草ごみの抑制もございますけれども、今ほど御答弁を申し上げた内容についてもしっかりと調査研究して対応していきたいというふうに思います。
以上でございます。
22 ◯議長(大野久芳君)以上で向栄一朗君の質問は終了しました。
井上学君。
〔6番井上 学君登壇〕
23 ◯6番(井上 学君)自由民主党の井上学でございます。
4月に発生しました熊本地震からあすでちょうど2カ月を迎えます。いまだに多くの皆さんが避難生活を余儀なくされているということでございます。お亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧と復興をお祈りするものでございます。
本県同様、地震や災害が少ないと言われた熊本県でございます。熊本県の教訓をしっかり生かして本県も備えなければいけないということを痛感いたしました。
きょうは地震関連の質問から入らせていただきますが、先日議会を傍聴された大学生と意見交換をする機会をいただきました。その中でどうも質問も答弁もわかりにくいという御意見をいただきました。なるべくわかりやすい質問に努めてまいりたいと思いますので、当局におかれましてもわかりやすい答弁をお願いしたいと思います。
初めに、福祉避難所と仮設住宅等についてお伺いをいたします。
災害時には、体の不自由な高齢者や障害者、妊産婦といったいわゆる要配慮者に対して特別な配慮が求められるところです。熊本地震では、そうした人たちを優先的に受け入れる福祉避難所の機能が、スタッフ不足などを理由に十分に発揮されていない現状がございました。
福祉避難所は自治体が災害救助法に基づき福祉施設や公共施設などを指定するもので、2014年10月現在全国では7,647カ所が指定され、熊本市も176カ所、約1,700人分の受け入れを計画していたとのことでございます。
ところが、5月22日時点で開設できたのは73カ所だけで、利用者は341人にすぎないとのことです。被災した自治体は、現在福祉避難所を少しでも増やそうとスタッフの確保に全力を挙げているとのことです。
その取り組みを促すために、例えば看護師や介護福祉士などの資格を持ちながら、現在その職についていない潜在有資格者に協力してもらうことや、その上で被災地外からのスタッフの派遣体制を強化することも1つの案であろうと思います。
さらに重要な視点は、本当に困っている要配慮者ほど孤立しがちで、声を上げにくいということです。福祉避難所の存在自体を知らない人も多く、周知徹底は必要不可欠であり、力を入れるべきであると考えます。
そこで、本県における福祉避難所の現状と今後の対応について知事にお伺いをいたします。
また、大規模災害が発生した際に何よりも大事なことは、被災者が一刻も早く安全・安心な生活を取り戻すことであり、仮設住宅等を速やかに確保し、被災者にプライバシーの少ない避難所から仮設住宅等に移ってもらうことが必要であります。
熊本地震では仮設住宅の建設がおくれました。事前の準備不足は否めないところです。仮設住宅等を速やかに確保するためには、県と市町村の適切な役割分担のもと、平常時から準備を十分に進めておくことが重要であると考えます。本県において災害時の仮設住宅等の確保についてどのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いをいたします。
次に、災害時の自治体と民間企業との連携体制についてでございます。
小売業が災害時の支援を含め、自治体と結ぶ地域協定が全国で拡大しています。イオンが結ぶ協定数は本年度には約100カ所に達すると言われ、コンビニエンスストア各社もそれぞれ協定を拡充しています。全国各地の生活協同組合では、会員向けに定期的に食料品を宅配する強みを活用し、高齢単身者の見守りについて自治体との協定を拡大しているとのことです。
協定内容は保育や高齢者支援などにも広がり、小売業が社会インフラとして地域との結びつきを強めているところでございます。こうした協定は東日本大震災を契機に広がっており、財政難や職員不足など地方自治体が抱える課題は多く、災害時以外の支援を前提にした連携も増えていると言われています。
そこで、県内でもこのような災害時における民間企業との連携協力体制づくりを積極的に進めていくべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、災害時の情報伝達についてです。
携帯電話やスマートフォンの普及を背景に、年々減少している公衆電話が、緊急時や災害時に有効な連絡手段として改めて注目を集めています。ことしの3月、誘拐されていた少女が監禁先から逃げ出し、両親や警察に助けを求めた手段は駅構内にある公衆電話でした。地震活動が続く熊本県では、4月県内全域で公衆電話の通話料が無料化され、安否確認などに活用されました。
携帯やスマホが広く普及しましたが、携帯やスマホを持っていない子供や高齢者も少なくありません。自宅に忘れたり、紛失したり、バッテリー切れであったりして使えないときもあります。そんなときに戸外での通話手段としては基本的には公衆電話しかないわけであります。
公衆電話は先ほどの誘拐事件のような急を要する場合、110番や119番は無料でかけることができますし、また、回線が災害時優先電話に種別されているため、震災などが発生した際も通信規制を受けずつながりやすいわけでございます。
また、常設の公衆電話とは別に災害時に避難所などに設置される特設公衆電話があります。従来は災害発生後に設置されるケースが多かったところですが、東日本大震災を契機により迅速な対応が可能な事前の回線設置が進められるようになりました。今年度末までに全国約4万カ所に8万4,000台の設置が見込まれるとのことです。日常的に使う人が少なくなっても公衆電話はいざというときに頼れる存在であり、その役割は大きいわけです。
そこで、県内における公衆電話の設置状況と今後の避難所等への設置に向けた取り組みについて、知事政策局長にお伺いをいたします。
また、災害が起こったときには情報を求め県のホームページへのアクセスが集中することが予想されます。県のホームページでは、地震などの災害時にどのような内容の情報を提供する予定なのか。また、災害時には一時的にではあれ、ホームページのアクセスが膨大なものになると予想されますが、そのようなときの対策はどうなっているのか、経営管理部長にお伺いをいたします。
次に、ドクターヘリや消防防災ヘリに関連してお伺いをいたします。
先日新聞報道で、ドクターヘリが冬季に搬送先病院のヘリポートが積雪で使用できず他の病院に搬送先を変更した、そういう事例があったという報道がありました。ドクターヘリを受け入れているのは共同運航する岐阜県内の3病院も含めて全部で20病院、このうち7つの病院にヘリポートがあるとのことです。しかし、県立中央病院、高岡市民病院以外の5つの病院にはヘリポートに融雪装置がなく、積雪時は人力で除雪する必要があり、雪が降り続けばヘリが着陸できない時間帯が出ると言われています。
現状ではヘリポートの融雪装置には国や県の補助はないそうで、そのため先月開催された富山県ドクターヘリ運航調整委員会では、医師らからヘリポートの融雪装置の充実を求める意見が出たとのことです。雪が多い地方は積雪でドクターヘリの運航に支障が出ることは予想されたことですが、融雪装置がないヘリポートの場合、地上なら除雪という手がありますが、屋上の除雪では雪を落とすわけにはいかないため困ったことになります。
もう1つ大きな問題は、病院のヘリポートの場合は常にあらかじめ除雪しておくか、融雪装置をつければ解決できますが、ヘリが患者さんを迎えにいくランデブーポイントの場合はその数が多過ぎて全てを常に除雪しておくことは不可能であります。
そこで、病院ヘリポートのこの融雪装置の問題やランデブーポイントにおける除雪の問題について今後どのように取り組んでいかれるのか、これまでのドクターヘリに対する評価とあわせ知事にお伺いをいたします。
次に、ドクターヘリと消防防災ヘリの役割分担についてです。
ドクターヘリが導入されましても、消防防災ヘリと役割分担をし、また、連携し合うことは重要であると考えます。救急医療体制の充実といった観点から、消防防災ヘリの役割は今後とも増えることはあっても低下することはないと考えます。他県では、山岳遭難や水難事故の際に傷を負った方を消防防災ヘリが救助し、それを現場付近に待機しているドクターヘリに引き継いで、直ちに救命医療が開始されるという事案もあると聞いております。
消防防災ヘリにあっては、救急活動においてドクターヘリとどのように役割分担をし、また連携が行われているのか、知事政策局長にお伺いをいたします。
次に、ドクターヘリや消防防災ヘリのパイロットの確保についてです。
お隣の長野県では、消防防災ヘリの複数の操縦士が確保できず、通年運航ができない状態が1年以上続いていました。現在は解消されているとのことですが、ヘリコプターのパイロット不足の問題は全国的にも深刻な問題となっているところです。
養成の場が少なく、免許取得費用も約3,000万円とも言われ、高額なため若手が育っていない、ドクターヘリの需要が高まる一方で、自治体の消防防災ヘリの運航には支障も出始めている例もあると聞きます。ドクターヘリは事故現場に着陸するなど高度な技術が求められるため、関係者によれば、ドクターヘリを操縦できるようになるには10年前後のキャリアが必要だと言われています。
ヘリ会社が危機感を募らせる背景には、ドクターヘリの出動が年々増え続けていることがあると言われています。ドクターヘリを導入した本県として、将来的にはパイロットの不足も懸念されますが、委託事業者でのパイロットの確保の課題と対策についてどのように認識しておられるのか、厚生部長にお伺いをいたします。
次に、18歳選挙権への影響についてでございます。
選挙権年齢が18歳以上になり、来月の参議院選挙から適用されることは御案内のとおりでございます。若い世代が政治に関心を持ち、社会への責任感の醸成という点ではよいことではあると思いますが、課題もあるのではないでしょうか。
18歳は日本ではその多くが高校3年生だと考えられます。来月の参議院選から適用ですから、4月から7月に生まれた生徒が有権者です。単純に考えると全体の3分の1ほど、あとの3分の2は有権者ではないわけです。有権者の生徒は選挙運動をすることができますが、同じ学年の生徒が有権者であるかどうか区別して対応するのは困難であります。
高校生は同じ空間で学校生活をしていて、友達意識も好奇心も強く、有権者ではないのにつき合いで選挙運動をして選挙違反が起きる可能性もあります。先輩、後輩という関係が強い世代でもあります。つい先輩を手伝ってしまうことも起こり得ます。この場合、有権者でなければ摘発されることになります。
さらに懸念されるのはネット上です。高校生のほとんどがスマートフォンを持っており、LINEを初めとするソーシャルネットワークでつながっています。その仲間の中でネット上で選挙運動が展開され、違反行為があったとします。すぐにわかれば警告もありますが、ネット上のことですから、後から判明するということが十分あり得るわけです。その違反行為がまたネット上に載ってしまうといわゆるデジタルタトゥーとなり、その後の進学や就職、結婚などにも悪影響を及ぼす傷になってしまうことも懸念されるところでございます。
このようなことを防ぐために、教育委員会としてはどのように対応していかれるのか、教育長にお伺いをいたします。
また、部活動で遅くなる場合や土日の部活動など、期日前投票に行く権利を阻害していることにならないかなど、高校生の投票機会の確保についてどのようにお考えか、教育長にお伺いをいたします。
次に、投票率の向上対策についてでございます。
昨年の県議選における20歳から24歳の投票率は全年代別投票率でも最も低い結果となりました。全体の投票率向上には若年層の投票率の向上が不可欠であります。全国でも期日前投票所を駅構内や商業施設など、頻繁に人の往来がある施設や大学キャンパスに設置し、投票率向上等の効果を上げている事例が見られるところでございます。
若年層の投票率向上に関し、親が投票に行く姿を子供に見せることで投票を習慣化させる動機づけを与えることが重要との指摘もされており、とりわけ商業施設であれば親子連れで訪れていることも十分想定され、子供が選挙、投票に接する機会が生まれるものと考えます。また、そのような場所に設置された期日前投票所が多くの有権者、特に若年層の目に触れること自体一定の啓発効果があると考えます。
人口減少が進み、投票所が減少する中、若年層の投票率の向上を図るため、県選挙管理委員会、市町村選挙管理委員会、県明るい選挙推進協議会が連携し、駅構内や商業施設、大学キャンパス等において積極的に啓発活動に取り組む必要があり、また、そうした場所における期日前投票所の設置などを市町村選挙管理委員会に働きかけるべきと考えますが、経営管理部長の所見をお伺いいたします。
最後に、富山南都市計画区域についてでございます。
県では5月20日に富山県都市計画審議会を開催され、富山南都市計画区域マスタープランの審議がなされたとお聞きします。大沢野、大山、八尾の各都市計画区域を統合し、さらに婦中の一部を加え、都市計画区域を拡大し、1つの富山南都市計画区域に指定されるというものです。
県として、都市計画を進める上でこの区域にどのような将来像を描いていらっしゃるのか。また、この富山南都市計画区域の指定によるメリットとデメリットを含め土木部長にお伺いをいたします。
また、今後の人口動態や財政状況を勘案した上で、地震など災害に強い市街地整備や利便性の高い商業地の形成など、大沢野、大山、八尾、婦中、各地域の特性に応じたまちづくりの目標を盛り込み、より具体的で実現性の高い計画となるよう、関係市である富山市との連携が大事であると考えますが、今後どのように連携していかれるのか、土木部長にお伺いして質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
24 ◯議長(大野久芳君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
25 ◯知事(石井隆一君)井上議員の御質問にお答えをいたします。
まず、福祉避難所についてであります。
福祉避難所は、お話のとおり災害時に高齢者や障害者、乳幼児等の特に配慮を要する方々について、福祉的な配慮が受けられる避難施設でありまして、災害対策基本法により市町村が指定しなければならないとなっております。
県では、これまでも市町村に対しまして、福祉避難所の必要性について研修やリーフレットの作成等により周知を図りまして、その指定を促してきたところでございまして、ことし4月現在では県内の164カ所が福祉避難所に指定されております。
また、ことし4月に内閣府から、福祉避難所について災害発生前に市町村が行うべき対応につきましてのチェックリストですとか、災害発生後の福祉避難所運営のための指針としての福祉避難所の確保・運営ガイドラインが示されておりまして、県としても市町村向けの研修をこの5月27日に開催しまして、その内容の周知を図っております。
このガイドラインの中では、東日本大震災において福祉避難所における支援者の確保が不十分であったことなどがこの福祉避難所の課題として上げられておりまして、4月の熊本地震におきましてもお話のとおり福祉避難所への要配慮者の受け入れ数が少なくて、福祉避難所として指定されていても実際には機能していないとの報道などもなされたところでございます。
県としましては、災害時における福祉避難所の支援者を確保しますために、福祉避難所の指定を行う市町村と連携しまして、平時から関係機関、例えば看護師さんでしたら看護協会、介護人材でしたら県の健康・福祉人材センターなどを通じまして、県内の看護師さんや介護人材などの潜在有資格者の情報の把握に努めますとともに、被災地外からの支援も想定しまして、中部の9県1市や、また、全国知事会や民間団体等との災害時応援協定に基づく支援者確保に向けた連携協力を進めてまいります。
また、福祉避難所の適正運営のために、市町村職員向けの研修を行うことなどによりまして、国のガイドライン等の周知徹底などを図り、また、要配慮者の避難体制の確立を図りますとともに、各市町村で一般の避難所、それから福祉避難所がどこにあるかと、また、住民の方が要配慮者の場合と一般の健常者の場合などでそれぞれどこに避難していただくべきかといったような情報を、まずは住民の皆さんに十分周知されますように県としても働きかけてまいります。
次に、災害時の民間企業との連携についてでございます。
大規模災害発生時には、ライフラインや情報通信網の途絶や公共施設の損壊などによりまして、お話のように被災自治体の災害対応能力の低下が懸念されますので、近県や全国知事会などの災害応援体制はもちろんですけれども、物資の供給、医療救護活動、緊急輸送活動等の各種災害応急対策につきまして、事業者の方や団体等と協定を締結することはお話のとおり非常に有効だと思っております。
そこで、県ではこれまでも、県内の各種団体や民間企業等との間で災害時応援協定の締結を進めておりまして、平成28年3月末現在ではDMATの派遣協定、医師会との医療救護協定等の医療救護分野を初めとしまして、例えば建設業協会との応急対策協定等の土木建設分野、また、食料や水、生活必需品などの物資等の供給分野、また、議員からお話がございましたコンビニエンスストアなど、小売業との帰宅困難者支援などの分野ですとか、全体で8つの分野で合計134件の協定を締結しておりまして、今回改めて調べてみたんですが、締結先である民間企業などの数で言いますと、北陸3県の中では最も多いということになっております。
また、現在インターネット関連企業との間でインターネット上での災害時情報を取得しやすくするサービスの提供について、本年度中の協定締結を目指したいということで現在協議を進めております。
今回の熊本地震の発生を受けまして、これは大変大事ないろんな教訓があると思いますから、さらに協定の必要な分野がないか、他県の状況も改めて調べまして、万々一の大規模災害に備えた県民の安全・安心の確保に万全を期してまいりたいと思っております。
最後に、ドクターヘリについてでございます。
ドクターヘリは、昨年8月24日に運航を開始しまして以来、先月末までの9カ月余りで既に400件の出動、1日平均1.42件ということであります。また、重症事例の予後調査、これは27年度分の109例について調べましたが、従来の救急車による搬送と比べますと治療開始時間が平均31分短縮しまして、死亡者数は21人減少するなど、救命率の向上とか、また、重い後遺症が残るようなケースが少なくなるといったことに効果が出ているということが検証されております。
ドクターヘリを運航して1年目ではありますけれども、基地病院、消防機関、搬送受入病院の緊密な連携のもとでたくさんの県民の方のお命が救われたことは大変うれしいことでありまして、相当大きな効果があったと受けとめております。今後もドクターヘリを活用した高度救急医療体制の充実強化に取り組んでまいります。
また、議員の御指摘の冬場の病院ヘリポートですけれども、積雪時には融雪装置があるか、また、ない場合には職員による除雪で対応するということにしておりまして、多くの病院では通常は支障がないんじゃないかと考えているということであります。
さらに、本県のドクターヘリは、冬季期間中は御承知かと思いますが、スノースキーを装着しますので、30センチから40センチ程度までの積雪ですと着陸可能だということ、また、県内17の搬送受入病院の中で積雪のため仮に着陸できない病院があったような場合、ヘリポートに融雪装置がある県立中央病院や着陸可能な搬送受入病院に搬送するということにしておりまして、今のところ大きな支障はないのではないかと考えております。
一方で、県内のランデブーポイント数は現在のところ477カ所を指定しておりますが、これはお話のように中山間地など積雪が多い地域のランデブーポイントを中心としまして、ドクターヘリが安全に着陸するために圧雪や除雪、着陸地点のマーキングなどが円滑に行われますように、消防機関と連携した冬季対応訓練を実施してまいりました。これによりまして昨年度は幸い積雪のためにランデブーポイントに着陸できなかった事例はなかったと報告を受けております。