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平成20年第293回(第1号)定例会-03月03日-03号

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  1. 栃木県議会 2008-03-03
    平成20年第293回(第1号)定例会-03月03日-03号


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    平成20年第293回(第1号)定例会-03月03日-03号平成20年第293回(第1号)定例会 〇三月三日(月曜日)  出 席 議 員 五十名    一 番   齋   藤   孝   明    二 番   保   母   欽 一 郎    三 番   野   村   節   子    四 番   琴   寄   昌   男    五 番   金   子       裕    六 番   佐   藤       良    七 番   津 久 井   富   雄    八 番   山   形   修   治    九 番   一   木   弘   司    十 番   阿   部   寿   一    十一番   山   口   恒   夫    十二番   若   林   和   雄    十三番   五 十 嵐       清    十四番   岩   崎       信    十五番   上   野   通   子    十六番   櫛   淵   忠   男
       十七番   小   瀧   信   光    十八番   小   林   幹   夫    十九番   五 月 女   裕 久 彦    二十番   相   馬   憲   一   二十一番   高   橋   修   司   二十二番   佐   藤       栄   二十三番   山   田   美 也 子   二十四番   渡   辺   直   治   二十五番   星       一   男   二十六番   小   高   猛   男   二十七番   中   川   幹   雄   二十八番   花   塚   隆   志   二十九番   早   川   尚   秀    三十番   増   渕   三 津 男   三十一番   青   木   克   明   三十二番   青   木       務   三十三番   神   谷   幸   伸   三十四番   栗   田       城   三十五番   島   田   文   男   三十六番   螺   良   昭   人   三十七番   野   田   尚   吾   三十八番   三   森   文   徳   三十九番   菅   谷   文   利    四十番   佐   藤       信   四十一番   野   村   壽   彦   四十三番   石   坂   真   一   四十四番   斉   藤   具   秀   四十五番   阿 久 津   憲   二   四十六番   木   村   好   文   四十七番   髙   橋   文   吉   四十八番   渡   辺       渡    五十番   梶       克   之   五十一番   増   渕   賢   一   五十二番   板   橋   一   好 地方自治法第百二十一条の規定による出席要求によって出席した者                   知事       福   田   富   一                   副知事      須   藤   揮 一 郎                   副知事      麻   生   利   正                   総合政策部長   小   林   茂   雄                   経営管理部長   田   村   澄   夫                   県民生活部長   鈴   木   誠   一                   環境森林部長   小   林   恒   夫                   保健福祉部長   荒   川       勉                   産業労働観光部長 佐   藤   順   一                   農政部長     野   中   英   夫                   県土整備部長   山   内   正   彦                   会計管理者会計局長                            土   屋   克   巳                   企業局長     高   斎   吉   明                   総合政策部次長兼総合政策課長                            高   橋   正   英                   財政課長     後   藤   友   宏                   教育長      平   間   幸   男                   代表監査委員   佐   藤       誠                   人事委員会事務局長                            船   橋   政   従                   労働委員会事務局長                            菱   沼   功   一                   警察本部長    金   山   泰   介             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎安納守一 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十七名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午前十時 開議 ○石坂真一 議長 ただいまから本日の会議を開きます。   日程第一 第一号議案から第六十一号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 私は尊敬する渡辺文雄元知事時代に十三年間県議会議員をさせていただき、二期八年間のブランクを経て、選挙区の皆さんのご支援を賜り、再び県議会に復帰させていただきました。復帰後初の質問であり、たった三名という小さな会派でありますが、無所属県民クラブを代表して県政全般にわたって質問させていただきます。  まず最初に、質疑・質問第一日目の二月二十九日に再選出馬表明した福田知事に、二期目に向けての政策についてお伺いいたします。昭和五十八年(一九八三年)、今から二十五年前、知事が二十九歳、私が二十八歳で宇都宮市、足利市とそれぞれの地元から、青雲の志を持って、郷土ふるさとを何とかよくしたいということで市議会議員に立候補して当選。当時、県内で二十代では二人のみの市議会議員が誕生し、その後私は少し早く県議会議員になり、知事も市議会議員二期を経て県議会議員に当選。委員会で席を並べ知事の考え方、政策、人柄を身近に見させていただき、いずれ知事になるのではないかと思ったものです。宇都宮市長二期を経て知事になり再選出馬表明をしたわけですが、私は全面的にご支援をさせていただきたいと思っております。二期とはいわず最低三期はやっていただきたいと思っているのは、私だけではないと思っております。そこで、二月二十九日も議論になりましたが、一期目の総括とマニフェストの達成度についてお伺いいたします。  また、今後二期目に向けて新たなマニフェストを県民に示す必要があると思いますが、私はその中で、栃木県を「無名有力県」から「有名有力県」にするため、その方策と知事を先頭にした県民運動の構築などを示す必要があると思っております。渡辺文雄元知事はJR東北線の一部を宇都宮線への改称、とちぎテレビの開局、いちごのブランド化など、目に見える実績を残されました。また、宮崎県の東国原知事は来年度から、移住促進や県産品のPRを図るため「みやざきアピール課」を新設するとのことであります。そこで、二期目のマニフェストにおいて、本県を「有名有力県」にするための戦略などをどのように示す考えなのか、知事にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの野村議員のご質問にお答えいたします。まずは県議会にようこそお帰りなさいませ。是々非々の立場で大いなる議論をお願い申し上げる次第であります。  さて、私は知事に就任して以来、県民の皆様との約束である政策宣言、マニフェストに掲げました政策の実現を基本に据えて、総合計画「とちぎ元気プラン」の策定を通して本県の目指すべき方向とその具体的な実現方策を明らかにしながら、全力で県政運営に取り組んでまいりました。その結果、いじめ全国ワーストワンからの脱却、中学校全学年での少人数学級の実施などの教育環境の整備や子どもに対する医療費助成の小学校三年生までの拡大など、マニフェストに掲げた政策の大半についてはおかげさまで実現できたと考えております。  次に、二期目に向けた新たなマニフェストについてでありますが、私は引き続き、元気で活力ある新たなとちぎの形づくりに取り組むため、これまでの成果と課題を踏まえ未来に向かって挑戦するリーダーとして、二期目に向け、しかるべき時期に新しい〝とちぎ〟づくりのビジョンとなる政策宣言を県民の皆様方にわかりやすい形で公表したいと考えております。本県は世界遺産である「日光の社寺」や日本最古の総合大学である足利学校等の歴史文化遺産、いちごを初めとする豊富な農産物など、数多くの地域資源を有するほか、全国有数のものづくり県として「メイド・イン・とちぎ」の工業製品が全国に広がるなど、全国屈指の実力を有する県であると自負をしておりますが、全国的には残念ながら本県の認知度が低いのが現状でございます。このため、平成二十年度から、重点テーマの一つとしてブランドに着目した誇り輝く〝とちぎ〟づくりに取り組むこととし、特色あるすぐれた地域資源を地域が一体となって育て上げ、「とちぎブランド」として全国に発信していく考えであります。「有名有力県」への挑戦により、本県の持つ地域資源がさらにグレードアップし、「とちぎブランド」として全国さらには世界に栃木県の名が広がっていくことは、今後の本県の持続的発展のためには不可欠であります。私は、今後とも、みずからのトップセールスを含め、こうした取り組みを強化するとともに、次の時代に向けた新たな戦略を練ってまいりたいと考えております。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 知事は栃木県を「有名有力県」にするために十のプロセスを「下野二十一フォーラム」で講演されております。新年度、具体的な事業としてこれらも載っておりますし、その効果を大変期待しております。同時に、知事だけではなく、我々県議会議員もセールスマンとして活動をすべきですし、県職員全員がこのような気持ちで取り組まなければならないと考えているわけであります。同時に、三十一市町にも協力をしていただいて、そこからも発信ができるような形をとっていかなければならないとも思っております。  しかし、その市町村でありますが、なかなか厳しい状況であります。知事は常に市町村重視、権限移譲、三分の一条項なども言っておりますが、県の役目は市町村間の調整、そして、事業の谷間を埋めると言っては大変言葉に難がありますが、そういうことが事実起きつつあります。幾つか例を申し上げます。これは宇都宮市と標準的な足利市を比較させていただきたいと思います。二期目の課題としてぜひ頭の中に入れていただいて、所見があったらお答えをいただきたいと思っております。  例えば、妊婦検診は全部新年度の事業であります。国は地方交付税で五回措置をするということになっておりますが、妊婦のたらい回しという事件事故があったわけでありますが、経済的に苦しい方はなかなか頻繁に検診に行けないという事情の中で、宇都宮市は十二回、足利市は二回から五回に今度ふえます。五回というのは国の言っている地方交付税措置の回数であります。子ども医療費はたびたびここで議論になりましたが、宇都宮市は新年度から小学校六年生まで現物給付、他市は三歳未満現物給付、小学校三年生まで償還払いです。私は足利市に住んでおりますが、四月からお隣の群馬県が中学三年生まで無料になるというのです。県境に住む人間にとってこれは大変脅威であります。群馬県は大澤知事の議会での質問の答弁で、中学三年生まで無料化するということを表明いたしました。学校栄養職員、宇都宮市は九十四名、全小中学校に配置しました。足利市は県費・市費で八名であります。そして、小中学校の普通教室の暑さ対策でありますが、宇都宮市はついに新年度からクーラーの設置に踏み切りました。足利市は標準的な市でありますが、努力をして平成二十年度小学校、平成二十一年度中学校に扇風機を設備することになりました。これだけの差があるわけであります。宇都宮市の小中学生は今度高校に行きますと、高校はクーラーがありませんから、小中学校はよかったけど県立高校はないんですねということになるわけであります。ある高校はPTAが設置して、その光熱費までPTAが負担する状況であります。これだけ市町村間に差がついてしまいますと、同じ栃木県に住んでいながらおかしいのではないかと県民が思ってくると思っております。今まさに全国的には東京のひとり勝ち、栃木県は宇都宮市に一極集中という状況であります。知事が二期目の政策としてこの辺についてのご所見がありましたらお尋ねしたいと思います。 ○石坂真一 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。今、地域間格差が国を挙げての大きな課題になっているところであります。また、県内におきましても、ただいまご指摘がありましたような、新年度からさらに富める自治体とそうでない自治体との差が出てくるというのは、私も知事の立場からすれば残念なことだと思っております。新たな政策の中で、妊婦検診や子育て支援といったことについての県内の格差を少しでも埋める努力を、県としてもしていく必要があると考えておりますので、これらも含めて、マニフェストの中には県ができることから取り組んでいきたいということで書き込んでいきたいと思っております。  ただ、空調の問題は、宇都宮市の場合は自衛隊飛行場がありまして、その飛行場の周辺の小中学校については国の補助で空調設備を導入できるという制度がございますので、そことそこから外れるところとの差が今度は市内で出てくるといった問題もありまして、これから猛暑がどんどん続く時代になってくれば、小中学校や高等学校での空調はいずれ必要になってくる時代もあるのかと考えておりますが、それらにつきましても、今後、県としてどういう支援が市町村にできるのか考えていく必要があるととらえております。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 次に、今後の財政運営について知事にお伺いいたします。平成二十年度予算は前年度比マイナス一・五%と三年連続のマイナス予算であります。財源は二百六十億円の収支不足となり、不足分は県の蓄えである財政調整的基金を取り崩して対応するため、年度末の残高は八十九億円と百億円を割り込む結果となりました。このままでは平成二十一年度には基金による財源の穴埋めは期待できず、また、景気の動向が不透明な中、今後の県税収入の動向によっては、さらに厳しい状況に追い込まれることも考えられます。しかしながら、このような苦しい財政状況の中、知事が現在の財政圧迫の要因の一つである公債費を抑制するため、県債発行額を十四年ぶりに七百億円台とし、県債残高の減少を図ったことにつきましては、私は高く評価したいと思います。今後、本県の財政運営は、歳入については県税の徴収率の向上を図ることはもちろん、未利用県有財産の売却や来年度から始まるいわゆるふるさと納税制度の活用などを図る必要があります。同時に、歳出を抜本的に見直す必要があると思うのであります。平成二十年度予算では義務的経費が全体の六〇%を超えており、削減できる経費は限られておりますが、大胆な発想で歳出全体を見直す必要があります。具体的には、職員数の削減や県出資法人等のあり方及び指定管理者制度の見直しなど、さらなる行政改革を推進することはもちろんですが、私は公共事業については必要な社会資本の整備は推進しなければなりませんが、今後、予定されている大型の建設事業については、県民の理解を得ながら見直しを図ることも必要であると思っております。そこで、県はこのような厳しい財政状況の中で今後、どのように財政運営を図っていくのか知事の考えをお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。平成二十年度当初予算は、収支の均衡した財政構造の確立に向け三年連続で収支不足額の圧縮に努めたところでありますが、平成二十年度末の財政調整的基金は初めて百億円を下回る見込みとなり、今後とも、極めて厳しい財政運営が見込まれるところであります。さらに、今回、義務的経費が当初予算で初めて六割を超えるなど、財政の硬直化が一段と進んでおり、ふえ続ける医療福祉関係経費と並んで一千億円を超える規模となっている公債償還費がその大きな要因の一つとなっております。平成二十年度当初予算では、公債償還費を将来的に減らしていくため、投資的経費の抑制を図り、県債発行額を十四年ぶりに七百億円台としたところでありますが、今後、体育館や陸上競技場兼サッカースタジアム、県有施設の耐震化工事、老朽化した県出先庁舎の建てかえなど、さまざまな大規模県有施設の建設が見込まれておりまして、極めて厳しい財政状況の中、計画的かつ効率的な整備が重要となっております。そのため、大規模県有施設の整備につきましては、今後、私をトップとする政策経営会議におきまして、県民ニーズを踏まえ、事業の必要性や有効性を見きわめますとともに、将来の財政負担も十分考慮の上、整備時期を含めた優先順位を決定してまいる考えであります。また、道路などの社会資本整備につきましても、県民の皆様から多くのご要望をいただいているところでありますが、将来の公債償還費の抑制を図る観点も踏まえ、事業の緊急性や優先順位を見きわめた上で計画的に推進してまいりますので、議員各位のご理解、ご協力をお願いいたします。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 何点か再質問いたします。これはテクニカルな問題もありますので、経営管理部長にお伺いいたします。かなり厳しいということでありますし、しっかり歳入の確保と歳出の見直しをする必要があると思っております。他県を見てみますと、北海道では国が公共事業を実施する際の地元負担分の予算計上を一部見送る、茨城県は徴税率の低い市町村への補助金のカットをすると新聞で報道されております。大変厳しい状況であります。本県においても税の徴収率が大変悪いという記事が「週刊ダイヤモンド」に載ってしまいました。ワースト四位であります。担当課の職員もご努力をされていることはわかるのですが、マスコミはこういうランキングものが好きでありますし、県民も私も含めてこういうランキングは大好きで注目をしているわけでありますので、一点目は、県税の確保についてどういう努力をされるのか教えていただきたいと思います。  二点目は、二十九日に知事が「県民に我慢をしてもらう場面も出てくる」という答弁をされました。この予算がどういう過程を経てできたのかを県民に明らかにしないと、我慢をしてもらう理由づけにならないわけであります。例えば、鳥取県のように、なぜこの事業が必要なのか、この事業がなぜことしは減らされたのかというねらいをインターネットのホームページで詳細に情報公開をすることも必要になってくるのではないかと思います。  三点目は、ふるさと納税制度でありますが、これに対する取り組みもしっかりとしてもらいたいと思います。例えば、インターネットのホームページに寄附金募集のサイトを開設して、積極的に訴えかけるということも必要であります。この三点について経営管理部長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 田村澄夫経営管理部長。    (田村澄夫経営管理部長登壇) ◎田村澄夫 経営管理部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず一点目の県税の徴収確保でありますが、本年度、県と市町村で地方税特別徴収対策室をつくらせていただきました。そこで四月からやっておりますが、実績がかなり上がってきております。そういった意味で、市町村と県とが一体となりまして今後とも頑張っていきたいと考えているところでございます。  二点目の予算編成過程の情報公開の関係でございますが、予算編成につきましては知事査定まではどちらかというと途中経過的な部分でありますので、本県といたしましては知事査定の結果について記者発表やホームページ等で公表している形できております。一方では、政策マネジメントについては、各段階での検討状況につきまして、どういった形の結果が出ているか、効果があるかという部分については公表しております。今後、県民の皆様のご意見を適切に反映できるよう検討していければと思っております。  ふるさと納税制度の関係につきましては、今後、国の動向にかかってくると思いますが、これについては成立した後にPR等につきまして十分検討してまいりたいと考えております。よろしくお願いします。
    ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 次に、とちぎの元気な森づくり県民税について知事にお伺いいたします。とちぎの元気な森づくり県民税については、今議会に関連予算が上程され、いよいよこの四月から事業が開始されることになります。森林の働きによって多くの恩恵を受け生活している私たちにとって、本県の森林は大切な財産であり、その大切な財産を県民協働により次の世代に引き継いでいこうという施策の成果に、私も大いに期待しております。  さて、来年度の予算書を見てみますと、とちぎの元気な森づくり県民税事業費のうち、元気な森づくり推進市町村交付金事業費が約三五%を占めることからも、この事業を着実に実施していくには、いかに市町と連携が図れるかが重要なかぎとなるものと考えております。しかし、県とは異なり多くの市町では森林・林業を専門とする技術職員がいないため、里山林整備事業を実施するために必要なノウハウを持ち合わせていないのが現状ではないかと思っております。そこで、県は市町村交付金事業を市町が円滑に実施していくため、どのように連携して取り組む考えなのか知事にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は本県の原風景とも言える里山林を明るく元気な森へ再生したいと考え、とちぎの元気な森づくり県民税事業の柱の一つとして、里山林の整備を目的とする市町村交付金事業を創設いたしました。市町との適切な連携を図りながら事業を実施するため、昨年六月のとちぎの元気な森づくり県民税条例の可決後、ブロック別市町村長会議等において意見交換を重ねてまいりましたところ、すべての市町から事業実施の意向が寄せられた一方で、森づくりに関しての適切な指導助言を望む声も寄せられたところであります。お尋ねの市町との連携につきましては、本年四月に新たに設置する環境森林事務所におきまして、市町の事業計画策定段階から事業実施に至るまで技術的支援を行うこととしております。特に、里山林整備事業につきましては、その整備目標や具体的な整備方法などを盛り込んだ里山林整備マニュアルを作成するなど、具体的な支援を行ってまいります。今後とも、市町や関係団体と密接に連携し一体となって取り組みながら、市町村交付金事業の円滑な執行に努め、県民共有の財産である大切な森林を将来に向けて守り育ててまいりたいと思います。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 再質問を一点させていただきます。これは環境森林部長にお願いいたします。担い手となる森林組合や民間事業体の作業員は、二十九日にも議論がありましたが現在、約六百人いるそうですが、年間八千ヘクタールの整備には約二百人不足をしている。里山については市町が年間九百ヘクタール整備するということでありますが、このことについても人材の確保が大変と感じております。新規就労者の拡大と同時に民間ボランティアの養成確保が重要になってくると思います。そこで、定年者などを含めて民間ボランティアの養成確保をどのようにしていくのかお尋ねいたします。 ○石坂真一 議長 小林恒夫環境森林部長。 ◎小林恒夫 環境森林部長 再度のご質問にお答えいたします。民間ボランティアの養成ということでございます。このたびの里山林の整備につきましても、当初は課税事業で実施する計画でございますが、その後の保全等につきましては民間のボランティアのご協力を得ながら整備を進めていきたいと考えております。そのためにも、ボランティア活動が何よりも大切でございますので、そのようなボランティア活動を支援する仕組み、情報の提供、情報を交換し合うような仕組みとか活動に対する具体的な支援もとちぎの元気な森づくり県民税事業で考えております。これらの仕組みを考えながらボランティアを支援していきたいと考えております。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) このとちぎの元気な森づくり県民税のPRは常にしていただきたいと同時に、事業の検証もしっかりやっていただくようお願いしたいと思います。  次に、県民が利用しやすく気軽に訪れることができる庁舎について、知事にお伺いいたします。昨年の十二月十四日、新栃木県庁が落成し、翌日の十五日から十八日までの四日間行われた一般公開では、約四万人の方々が県庁舎を見学に訪れ、新県庁舎に寄せる県民の関心の大きさを示すものであると思います。私は県のシンボルである県庁舎は、県民にとって誇りと親しみを持てるものとすべきであり、そのためには、県民が利用しやすく気軽に訪れることができる庁舎として、多くの県民に来庁してもらうことが必要であると思います。そのためには、例えば、県民の日などのイベントを年一回本館、昭和館及び県民広場などを利用して実施するほか、本館ロビーや十五階の展望ロビーで催し物を実施するなど、県民がにぎわえる場とすべきと考えますが、県の考えを知事にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。新県庁舎につきましては、本県県政の中核として高い機能性を有するとともに、県のシンボルとして県民の皆様から親しまれ誇れる施設となるよう、人と環境にやさしく県民に親しまれる県庁を目指し整備いたしました。特に、議員ご指摘の県民が利用しやすく気軽に訪れることができる庁舎につきましては、県民が県政の主役であり、また、県庁舎は県民共有の財産であるとの認識のもと、開かれた県政を推進する上での基本となるものと考え、県庁舎整備の基本コンセプトの一つに位置づけたところであります。このため、新県庁舎に、県民の憩いの場、交流の場として県民サービスゾーン等を設置し、県政展示コーナーにおきましては県政情報等の提供を行い、展望ロビーや昭和館では催しを行うなど、県民の皆様が気軽に訪れ、県政への理解を深めてもらえるよう努めているところであり、開庁後現在まで十万人を超える多くの方々が来庁されております。県民の皆様の関心の高さのあらわれと大変うれしく感じております。また、新年度は文化振興条例の制定を機に、県庁舎本館や昭和館などを活用しましてコンサートや絵画の展示など、さまざまな催しを行うほか、議員ご提案の県民の日イベントの開催につきましても、県民の日実行委員会等と協議しながら検討してまいりたいと考えております。今後とも、新県庁舎を活用した取り組みを通じ、多くの県民の皆様に長く愛され、親しまれる百年県庁となるよう努めてまいりたいと思います。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) ぜひ今年の県民の日は、この場所を利用して県民の日イベントを行っていただきたいと思います。先日行われた県議会議事堂でのホールコンサートは、大変県民の方に評判がよかったです。また、議会等を利用して二度にわたって同じテレビドラマの撮影が行われております。すばらしい庁舎ですから、ぜひ大いに利用してもらうべきと思っております。  そこで、教育長に要望があります。かつて私が小学校五年生のときには、バスハイクで日光に行く途中に県議会棟に寄って議会棟を見学し、それから日光に行って日帰りのバスハイクをやったものです。足利市はそれがずっと続いたのです。それで、私は将来ここで働けたらいいなという気持ちを持ったものであります。ぜひ市町村教育委員会を通じて、小学校四年生になるか五年生になるかは別にして、バスハイクの日程にこの議会棟を組み入れてもらえるように要請をしていただきたいと思います。  次に、本県産業のブランド化について知事にお伺いいたします。産業の振興は地域の活力を維持発展させるために不可欠であります。他県においては、積極的な企業誘致や地域の強みや特徴を活用した産業振興策が展開され、産業振興策における地域間競争は激しさを増しているといってよいでしょう。こうした中で、私は本県においても強みや特徴を生かして他地域との差別化を図った産業振興策が必要であると考えております。本県は平成十七年度の県内総生産に占める第二次産業の割合が全国三位となるなど、製造業のウエートが高いものづくり県であります。県内には日本を代表する企業等が多数立地するとともに、技術力のある中小企業が集積しており、私の地元足利市にも規模は大きくないものの、高い技術力を持つ企業が多く存在しております。こうした本県の産業集積は他県と比較しても決して見劣りのしないものであり、本県の強みの一つとなっております。県においては本県の強みや特徴を生かした産業振興策を展開するため、とちぎ産業振興プロジェクトに着手し、航空宇宙産業と自動車産業を重点的に振興を図ることとしております。私はこの取り組みは他県との差別化を図るという意味で時宜に合った効果的なものであると考えております。また、足利市においてはジャパンブランド確立事業として、足利の歴史や文化のイメージと繊維など、地域産業の技術を活用して新商品開発等に取り組む足利幕府プロジェクトを推進しておりますが、こうしたブランド化の取り組みは他地域との差別化を図る上で効果的なものと考えております。そこで、本県産業の振興を図る上でものづくり県としての本県の強み、特徴を生かし、本県産業のブランド化を図ることが効果的であると考えますが、知事の考えをお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。産業のブランド化は、企業のさらなる集積や経済の活性化、ひいては、地域のイメージアップに有効な手法であります。本県の強みや地域資源を活用して本県産業のブランド化を図るためには、品質についての信頼と評価が不可欠でありますことから、技術力の向上や情報発信力の向上、販路の拡大が重要でございます。県におきましては、今年度、本県の強み、特徴を生かすため、とちぎ産業振興プロジェクトに着手し、重点振興分野として選定しました自動車産業と航空宇宙産業に対しまして、研究開発や販路拡大など、総合的な支援策を展開することとしております。こうした取り組みを通しまして両産業のブランド化を進め、とちぎといえば自動車産業、航空宇宙産業と言われるよう積極的な振興を図ってまいる考えであります。  また、本県にはすぐれた地域資源が存在しており、足利市の足利幕府プロジェクトは、私もこの間、大茶会にお邪魔して、一服いただきながら新たな製品開発等の地元の取り組みをつぶさに拝見してまいりました。足利幕府プロジェクトのように、地元が積極的にそのブランド化に取り組んでいる事例や地域の経済、イメージアップに寄与している事例があり、地域資源の活用は地域の活性化や中小企業のビジネスチャンスの創出に効果的であります。このため、地域資源を活用した新商品やサービスの開発を促進するとともに、インターネットを活用したアンテナショップの開設を検討するなど、積極的な情報発信と販路の拡大に取り組み、本県産品等のブランド化と地域のイメージアップを推進してまいります。こうした取り組みを、県内中小企業の活性化と底上げに向けて現在、策定を進めておりますとちぎ中小企業未来チャレンジ戦略(仮称)に位置づけまして、とちぎの産業ブランド力のアップを積極的に推進してまいりたいと思います。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 要望をさせていただきます。私の地元足利市も、大変レベルの高い地場企業がありますが、余り知られていないのが現実です。例えば、油圧プレス、主に自動車の部品をつくるための機械ですが、五十人弱の会社で、一台五千万円から高いものですと二億円近い機械をアメリカ、カナダ、中国を初めとするアジアのほとんどの国、十七カ国に輸出販売している会社が足利にもあるわけです。社長は先頭に立って海外に営業に出かけているわけですが、ただ余り知られていない。この県事業に大変私は期待いたしております。知事が「私も県外に行って積極的にPRをしてまいります」と言っておりますので、ぜひこのことについても十分に力を発揮していただきたいと思います。  次に、地域ケア体制整備構想について保健福祉部長にお伺いいたします。先日、高齢者が住みなれた地域でできるだけ長く安心して生活できるよう、超高齢社会に備えた施策の方向性を示すために、栃木県地域ケア体制整備構想が策定されました。その内容を見ると、医療保険制度の安定化のために、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床である療養病床を再編することが中心となっており、県内の療養病床四千七百二十四床のうち二千二十一床を、療養病床の入院患者が転換後も同じ場所で入所を継続できるよう、介護保険施設等に転換することとされております。私は医療の必要性が低いにもかかわらず、地域で生活が困難であるため長期に入院している高齢者に、その方にふさわしい介護サービスを提供することは適切なことと理解しております。しかし、昨年八月に行った調査でも、約二七%の病床で転換意向が未定となっており、この転換計画が計画どおり実施できるかに懸念を抱いております。また、この転換や診療報酬の改定などにより、療養病床から本人や家族の意思に反して退院を余儀なくされる高齢者が出てくるのではないかとの予想があります。地域ケア体制整備構想では、在宅医療の充実など、地域ケア体制の充実を図ることとしておりますが、在宅医療を支える在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションが一つもない市町があるなど、地域の受入体制の整備は進んでいない現状であり、行く当てのないいわゆる介護難民が生まれてしまうのではないかと危惧しております。そこで、県では、療養病床転換推進計画をどのように進め、また、地域のケア体制の充実を図ろうとしているのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 荒川勉保健福祉部長。    (荒川 勉保健福祉部長登壇) ◎荒川勉 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。先月策定した地域ケア体制整備構想におきましては、入院患者の受け入れ先の確保に最大限配慮することとし、転換する療養病床のすべてが介護保険施設等に移行するものといたしました。県におきましては、この療養病床の転換を円滑に進めるため、新年度から新たに建物の改修等に対して助成を行うこととしたほか、県民や医療機関が直面するさまざまな課題に対応するため、先月、県や市町及び地域包括支援センターに相談窓口を設置したところであります。さらに、医療機関に対しましては、転換に際して入院患者の継続入所や転院先の確保などを指導し、患者の意に反した退院が生じないよう努めていく考えであります。今後とも高齢者が地域社会の中で安心して暮らせるよう、市町や医師会などの協力を得て医療と介護の連携強化を進めるとともに、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションの登録等の促進、地域密着型サービスの拡充を図り、地域ケア体制の充実に努めてまいります。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 答弁としてはそういうことになるのだと思います。建物等の改修への助成、そして、相談窓口を設置すること。この件は二本柱でやっていくということでしょうが、果たしてそういくのかどうかは、やってみないとわからない話なものですから、介護難民が出ないように、これは大変な努力をしなければいけない。医療機関と連携をとり、やれる機関とは腹を割ってちゃんとした話し合いをしていかないと大変なことになりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、児童虐待について、これも保健福祉部長にお伺いいたします。児童虐待につきまして、まだ本県において児童虐待が一般に認知されていない平成五年に、既に、大阪府で全国に先駆けて開設した虐待ホットラインに二年間で千三百件の相談があったことを例に、本会議の場でこの問題について質問をさせていただきました。当時は幼児虐待という言葉を使っておりましたが、その後も数回質問をするなど、強い関心を持ってこの問題に取り組んでまいりました。当時、児童相談所の調査によると、毎年十五件ぐらいの虐待相談がありましたが、ここ数年の相談受付件数は、市町村の窓口と児童相談所を合計すると毎年千件を超えており、問題の深刻さは増すばかりであります。この問題は表面化したときには事態が深刻化しているというケースが多く、先日も宇都宮市内で三歳の子どもが保護者に投げつけられて一時的に意識不明の重体になるという痛ましい事件がありました。この保護者は以前にも虐待により事件を起こしており、児童相談所や市町村が家庭訪問を行うなど、かかわっていたところですが、残念ながら、結果的に虐待が再発してしまった事件でありました。県はこれまでも児童虐待の未然防止のために、さまざまな取り組みをしてきたことは承知しておりますが、今回の事件における対応も踏まえ、市町村との連携を今まで以上に図っていく必要があると思いますが、県の取り組み方針について、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 荒川勉保健福祉部長。    (荒川 勉保健福祉部長登壇) ◎荒川勉 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。ご指摘のありましたさきの事件における虐待の再発につきましては、親子関係の修復と児童の安全を両立させることの難しさを改めて痛感しております。現在、県では、市や町との連携を確保するため、個別ケース検討会議への児童相談所職員の参加や市町職員を対象とした専門研修を開催するなど、さまざまな支援に努めているところであります。今般の経験も踏まえ、児童相談所と市や町による支援体制に加えて、今後は県内の各市町に設置されている要保護児童対策地域協議会をさらに活用し、児童委員、学校等関係機関の協力を得て、地域でよりきめ細かな見守りを行えるようにいたしまして、リスクの高い家族への支援を強化していく考えであります。さらに、来年度は、新たに市や町が健診の未受診者家庭を訪問した場合に、その経費の一部を県独自に助成するなど、児童家庭相談の第一義的な窓口である市や町と一層緊密に連携し、児童虐待の未然防止に積極的に取り組んでまいります。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 一点だけ再質問いたします。今度、厚生労働省が児童虐待を受けた子どもを、一時保護施設などもありますが、里親制度というのがあるわけであります。今般、厚生労働省が里親制度の拡充の方針を示して、新年度中に各都道府県は、県がNPO団体、児童養護施設などに委託して里親の研修や相談などを専門に行う里親支援機関を創設しなさいということになっています。このことについて、本県においては、いつごろどのような形で整備するのか。具体的にまだ国から来ていないということになってしまえばそれまでですが、保健福祉部長のわかる範囲内でお答えいただきたいと思います。 ○石坂真一 議長 荒川勉保健福祉部長。 ◎荒川勉 保健福祉部長 里親制度の充実につきましては、県としてもかねてから積極的に取り組んでおりまして、里親の総合的な相談窓口になる専任の保健師を配置したりして、その充実に取り組んでいるところでございます。今、ご指摘のありました支援機関の設置につきましては、まだ国のほうから詳細が伝わっておりませんが、その内容を確認して、県としてできるところから積極的に対応していきたいと考えております。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 里親制度も大変重要ですが、何と言ってもやはり一時保護施設が不足しています。常に満員の状態ということであります。県南・県北にも設置してもらいたいという声もありますし、同時に、児童相談所の体制強化も必要と思っております。福祉専門職員の配置とか、この問題はなかなか難しいので、二十九日にも三年で県職員がかわっていくという議論がありましたが、異動年数の改善、質と量のマンパワーの確保をぜひ要望したいと思います。  同時に、要保護児童対策地域協議会は三十市町に設置されておりますが、一カ所だけないのですがこれはできましたか。これで三十一市町全部そろったということですので、ぜひそことの連携もしていただきたいと思います。  もう一点、児童虐待防止全国ネットワークオレンジリボン事業というのがありますが、これは宣伝です。一つはこういうパンフレットをつくりまして、サポーターを募集しております。とにかくせっかく生まれたお子さんを虐待によって亡くすことのないよう、子どもは地域で育てるという観点に立ってサポーターを募集しておりますし、同時に、いろいろな経費がかかりますのでスポンサーも募集いたしております。これも一つ宣伝をさせていただきます。  次に、友好提携先との交流促進について、産業労働観光部長にお伺いいたします。県は昨年十一月、副知事をヴォークリューズ県に派遣し、友好協定締結に向けた協議を実施しました。私も栗田副議長、島田文男議員とともに県議会議員団の一員としてフランス・ヴォークリューズ県を訪問いたしましたが、オー議長や関係者の皆様との意見交換を通じて、ヴォークリューズ県側が本県との友好交流継続に意欲的であることを肌で感じてまいりました。また、ヴォークリューズ県は中世からの古い町並みを保存する一方で世界的企業の研究所を誘致するなど、古いものと新しいものが見事に調和した姿を拝見し、本県とは異なる文化・歴史、産業を有する地域との交流を促進していくことは本県にとって重要であるとの思いを強くいたしました。国際化の進展した現在、異なる文化や考え方を理解し、国際感覚豊かな人材を養成することは魅力ある地域づくりのために重要なことであり、そのためには、国際交流を積極的に推進していくことが必要であると考えております。現在、県では、このフランス・ヴォークリューズ県を初めとして中国・浙江省、アメリカ・インディアナ州と友好交流を図っておりますが、これらの友好提携先と今後どのように交流を促進していくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 佐藤順一産業労働観光部長。    (佐藤順一産業労働観光部長登壇) ◎佐藤順一 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。友好提携先との交流につきましては、県はこれまで教育・文化の分野を中心にさまざまな交流を積み重ねてまいりました。この間、県内六つの市や町が県の友好提携先の都市と協定を結び、市民同士の交流を展開するとともに、大学を初めとする教育機関や民間団体が活発に活動しており、本県の友好交流は県民の間に着実に広がりを見せております。このように、異なる文化等を有する地域との交流は、県民の国際理解の促進や国際感覚豊かな人材の育成などに資するものであり、交流を継続していくことが本県の国際化の推進に重要であると考えております。今後の交流につきましては、歴史・文化、地理的条件、産業構造など、本県と友好提携先のそれぞれの特性を生かしながら、経済や観光などの新たな分野における交流を促進するとともに、友好提携先との交流が県民にとってより身近なものとなりますよう、民間交流団体や経済団体等関係機関との連携を強化し、民間レベルの交流が一層活発化するよう努めてまいります。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 私も訪問をし、大変貴重な経験をしてまいりましたし、麻生副知事とフィエ副議長との会談で友好交流の基本方針が決まったわけであります。その中の五番目に当たります姉妹校提携、大学・研究機関との連携など、大学間交流の促進という項目がありまして、アビニョン大学を訪問し意見交換させていただいた際に、栃木県内の大学と交流したいということで、私が思うところ、恐らく宇都宮大学を念頭に置いてお話をされていると思いました。農業科学に力を入れている大学でありますから、宇大ということになるのでしょう。このことについてもぜひ県もお骨折りを図っていただきたいと思います。  もう一つあります。ことしは日仏交流百五十周年の年であります。それを記念いたしまして、十月に本県を含め四十八の友好都市の首長がフランスに集まり、レセプションやシンポジウムを行うことになっております。その招待状も近々来るかと思いますが、これの取り組みについてもお願いしたいと要望させていただきます。  次に、中心市街地の活性化について県土整備部長にお伺いいたします。欧米では一九七〇年代に郊外への都市拡大に伴う環境問題対策や地域再生を進めるため、持続可能な都市づくりの戦略としてコンパクトシティの考え方が打ち出され、その理念を踏まえた各種政策が推進されました。日本では、まちづくり三法の一つである中心市街地活性化法で青森市や富山市など、二十四市の中心市街地活性化基本計画が国の認定を受けています。青森市は、平成十一年度に打ち出したコンパクトシティを基本理念とするまちづくり構想を踏まえて基本計画を策定し、大規模な整備、再開発が行われております。そのほか、計画自体は国の認定を受けていないものの、川越市、小布施町、佐世保市などで成功例が見られます。県内でも多くの市町において中心市街地が空洞化し、シャッター通り化しております。中心市街地活性化の問題は他人事ではなく、早急に解決していかなければならない課題であると思います。この課題解決に向け具体的施策を展開していくに当たって、まずは各市町が地域の実情やまちづくりの方向性を踏まえた活性化計画を策定する必要があると考えております。そこで、県としても、市町の中心市街地活性化基本計画の策定や認定に向けた取り組みに対して、積極的に支援していくべきと考えますが、どのような支援ができるのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 山内正彦県土整備部長。    (山内正彦県土整備部長登壇) ◎山内正彦 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。中心市街地活性化は、地域の元気とにぎわい創出のため極めて重要と考えております。平成十一年度に栃木県中心市街地活性化推進協議会を設置し、現地の実情を踏まえた出前研修や県内外の先進地調査、全国のまちづくりリーダーによる講演会などにより県、市町、地元経済団体が連携して調査研究や広報・研さんを進め、活性化のための地域力向上を図っております。また、庁内にワンストップでの相談窓口を設け、市町が策定する基本計画に対するアドバイスや認定申請を円滑かつ効率的に進められるよう協議・調整等を行っております。さらには、計画実現のために国のまちづくり交付金の支援導入や国県道等関連事業の実施、さらには、わがまち自慢推進事業などを行っております。今後とも、基本計画策定や認定申請を初め、各市町の主体的な取り組みに対し、応援体制の充実等により積極的に支援してまいります。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 県庁内では中心市街地活性化推進連絡会議を設置され、また、県と関係市町で今、言われたような栃木県中心市街地活性化推進協議会が設置されております。この連携をとって、ぜひこの問題については全庁的に取り組んでいただきたいと思っております。しかし、私はそれと同時に、やはり何と言っても地域住民の熱意が重要と思っております。特に、商店街においてはそこで経営されている商店主の熱意、まさに先頭に立ってこの商店街を何とかしようという人材の発掘というか育成ということが大変重要なことと思っております。先ほど挙げた他市町の例を見てみますと、本当に死に物狂いでこの問題に取り組んでいる方が必ずいます。その方の熱意に啓発され、そして、その人に合わせて一生懸命頑張った結果が小布施町もそうですし、川越市などもそうなのであります。ですから、県や関係市町がそういう人たちに対して同じような熱意を持ち、接触ができるのかということに尽きると思いますのでよろしくお願いいたします。  最後に、県立高等学校学区の自由化について教育長にお伺いいたします。県立高等学校の学区の自由化は私の年来の持論であり、本来、生徒が行きたいと希望する県内の高校へ行ける制度にすべきであると思っております。現在、教育委員会が進めている県立高等学校再編においても、各校の特色化や個性化を進めておりますが、学区を自由化し各学校がよい意味で競争することによって、実現するものではないでしょうか。学区を自由化すると学校の序列化につながるとの意見がありますが、現在においても序列は存在しており、むしろ私はある程度の序列は必要であると考えております。関東では学区制が残っているのは本県と千葉県のみであり、自由化は時代の流れであります。既に、自由化された各県においては、大きな混乱は発生していないと聞いております。また、私の地元の足利市では、群馬県の高校に優秀な生徒が進学してしまうという問題も発生しております。そこで、県立高等学校の学区の自由化について、県教育委員会の考えを教育長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。    (平間幸男教育長登壇) ◎平間幸男 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。本県の現行の学区制度は、地域バランスのとれた高校教育の展開に寄与してきたものと考えておりますが、高校再編の推進等によりまして、今後、各学校の特色化や個性化などが一層進み、中学生の志望校は従来の学区の枠を越えて広域化していくものと思われます。しかし、学区を撤廃した場合、生徒の一極集中が生じ、受験競争の激化や学校間・地域間格差の拡大などを招くのではないかという懸念もございます。このようなところから、学区制度のあり方につきましてはさまざまな意見がございまして、その見直しに当たりましては多角的な検討が必要であると考えております。そこで、県教育委員会といたしましては、新年度、各界各層の県民の代表者から成る有識者会議を新たに立ち上げご審議いただくとともに、全国的な状況等も参考にしながら十分に検討してまいりたいと考えております。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 有識者会議を設置するということは一歩前進と思います。しかし、それはあくまでも自由化が前提の会議であってほしいと思います。混乱とか序列化とか一極集中という答弁がありましたが、先ほど言いましたように、そう大きな混乱は他県においてもないのです。ですから、ぜひこの問題については前向きに、有識者会議で自由化になるのだという方向で検討をしていただきたいと思います。その点について、もう一度教育長の意気込みを聞かせていただきたいと思います。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。 ◎平間幸男 教育長 私どもで全国的な学区のあり方について検討した状況を把握させていただきました。すべてについて把握できたわけではございませんが、やはり学区を撤廃したところの状況を聞いてみますと、都市部に人口が集中して、僻地や地元密着型の高校については活性化が失われているといった意見もございました。ただ、議員ご指摘のように、学区を撤廃しても余り影響がなかったというところもございます。今後、ご提言の趣旨を十分踏まえまして、そのようなことも新たに設ける有識者会議で十分議論をしていただきたいと思っております。 ○石坂真一 議長 野村壽彦議員。    (四十一番 野村壽彦議員登壇) ◆四十一番(野村壽彦議員) 特色化・個性化を図るためにも私は逆に自由化にすべきと思っておりますから、一極集中ではなくて、逆にそれを利用して特色化・個性化を図って、そこに生徒を集める努力を各学校がしなければいけないのです。  最後に、今回の質問を通じて前段宇都宮市と足利市の例を出しましたが、全国的には本当に東京一極集中で、人も金も物も東京にどんどん集まってしまいます。たまたま私は受験生のせがれを持っているのですが、東京の私立大学の希望者、受験者が前年よりまたふえています。前年より受験者が倍になってしまった私立大学もあり、どんどん東京に集まってしまいます。そして、東北地方では仙台、栃木県では宇都宮ということになっておりますので、各首長が大変な努力をして何とか我が市、我が町に住んでもらいたいという努力をしている中でのあのような新年度の新規事業でありますから、ぜひ十分にそこのところもお考えいただきたいと思います。  県税の確保についても大変です。ことしは不況下の物価高、スタグフレーションが始まるとまで言われております。去年の年末の経済誌「エコノミスト」は株価なども一万四千円が最低で二万円を超えるのではないかという予測をしている方もいたわけですが、年が明けたらサブプライムローン問題、原油高、円高ドル安で、株価はいまだに一万三千円、一万四千円になってしまっています。そこで、景気がどうなるのかが大きな関心事でありますし、県税が上がってくるのかどうかも大変な問題なのであります。今回の補正予算で減額補正をされておりますが、また、来年の二月議会で県税の減額補正が起きてしまうのではないかという危惧を持っている一人でありますので、ぜひその点についてもご努力をいただきたいと思っております。  知事が大変頑張ってこの三年間県政に取り組んでこられたことは評価しておりますし、今回の議案説明の中の県政運営の基本方針の中で非常に感動した文言がありました。一ページの下のほうですが、いろいろ書いてあって、「こうした時代にあって、私はひたむきな努力が報われる社会、結果ばかりではなく、流した汗が評価される社会、声なき声にもこたえられる社会をつくっていきたいと考えております」。この文章を知事が読んでいるときに、私はまさに涙が出る思いでした。ぜひこのすばらしい考え方を二期目の政策の中に生かして実践をしていただきたいと思っております。このことについては全面的にご協力をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上で私のすべての質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手) ○石坂真一 議長 この際、十五分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。   休憩いたします。  午前十一時十分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎安納守一 事務局長 出席議員数を報告いたします。   ただいまの出席議員数は四十六名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午前十一時二十五分 開議 ○栗田城 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。   ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 質問に臨むに当たり、この新しい議事堂で初登壇の質問の機会を与えていただいた皆様に感謝をいたします。私は県民一人ひとりが主役となって、人と人、人と地域のきずなを深めながら、各世代がともに手を携え、このふるさと〝とちぎ〟の未来図を描いていくことが、これからの新しい時代において必要であると考えております。また、夢を持ち、未来に向けて果敢にチャレンジする方々を積極的に応援していくために何をなすべきか、このようなテーマを掲げながら、発言通告に従い、一問一答方式により順次質問してまいります。執行部の皆様におかれましては、簡潔かつ明瞭なご答弁をお願いいたします。  まず、未来を拓く元気な〝とちぎ〟づくりの視点から、北関東自動車道沿線における地域経営戦略についてお伺いします。本県は東京圏からの近接性や自然災害が少ないなど、生活や産業活動の場としての優位性を生かし、工業や農林業、商業、観光・サービス業など、活力ある産業がバランスよく発展してまいりました。さらに、勤勉な県民性や優秀な労働力を背景として、本県は順調な成長を遂げてきたところであり、一人当たりの県民所得は全国第六位という高い水準を誇っております。このような中、今月十五日には、北関東自動車道の宇都宮上三川インターチェンジと真岡インターチェンジ間が開通する予定であり、全線開通が近づき、新しい時代の到来を強く感じております。北関東自動車道の開通による高速交通のネットワーク化は、北関東全体の一体的発展の基盤となるほか、人・物、情報・文化などの広域的な交流を活性化し、経済活動の活性化や生活圏域の大幅な拡大などを促進すると期待されております。私は北関東自動車道の全線開通が、沿線地域はもとより、本県全体の持続的発展にとって大きな起爆剤になるものと確信しております。  一方、県においては、昭和六十二年に北関東自動車道沿線開発構想を策定し、その整備効果を生かした地域の振興策に積極的に取り組まれてきました。しかしながら、構想策定時から二十年の歳月が経過しつつある中で、県内各インターチェンジ周辺の土地利用の状況を見ますと、社会経済情勢の変化など、さまざまな要因によって開発の進度に明らかな差が見受けられます。隣の群馬県に目を転じれば、昨年九月から北関ベルトゾーン開発構想の策定に取り組まれ、全線開通に向けた戦略として新たな一歩を踏み出したとお聞きしております。隣県の例を取り上げるまでもなく、栃木県として時代の変化に的確に対応し、この北関東自動車道の全線開通を見据え、地域経営戦略を見直すべきであると考えております。  北関東自動車道の全線開通による栃木県内の経済効果は、平成三十二年度時点で年間約四百二十億円と推計されております。地域間競争が激化する中で、これらの整備効果を確実に栃木県民のものとするためには、柔軟な発想のもとに、機を逃すことなく、さまざまな施策に果敢に挑戦していくことが求められております。また、地域経営戦略を練る上で、地域づくりの中心的役割を担うのは地元市町であり、意欲のある市町の創意工夫に満ちた自立した地域づくりを支援していくことが、県の担うべき役割ではないでしょうか。そこで、北関東自動車道沿線における地域経営戦略について、知事の考えをお伺いします。 ○栗田城 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇)
    ◎福田富一 知事 ただいまの佐藤良議員のご質問にお答えいたします。北関東自動車道は、議員ご指摘のとおり、本県の地域資源を生かし、豊かで安全な暮らしと活力ある産業を実現する県土づくりを進めていく上で、極めて重要な役割を果たす幹線道路であります。このため、県の総合計画「とちぎ元気プラン」におきまして、本県のさらなる発展の基盤となるコリドールネットワークの主要軸として位置づけ、国土交流拠点〝とちぎ〟の実現を目指し、市町村と一体となって沿線地域の開発・整備等に取り組んでまいりました。その結果、足利や宇都宮、上三川、真岡の各インターチェンジ周辺における産業団地の造成や壬生町の既設公園と連携したハイウェイ・オアシスの整備などが順次進められているところであります。地元の皆様の熱意により、おかげをもちまして北関東自動車道の全線開通も目に見える形となってまいりましたが、今後は北関東自動車道の持つ潜在力を最大限に引き出し、〝とちぎ〟の人、物、情報の交流の環を全国、さらには、世界に広げていくことにより、地域全体の活性化に結びつけていくことが重要であると考えております。  県といたしましては、物流の効率化や生活圏域の拡大等北関東自動車道のもたらすさまざまなメリットをできる限り活用し、中小企業を初めとする地域産業の活性化、魅力ある農林業や観光の振興、さらには、医療や防災の体制強化など、各種施策を積極的に推進するとともに、市町村が主体的に取り組む個性あふれるまちづくりをより積極的に支援することによって、元気で活力ある〝とちぎ〟>を築いてまいりたいと考えております。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 私はあえて地域経営戦略という言葉を使わせていただきましたが、元気な〝とちぎ〟にするためには、県民に対してわかりやすく明確なビジョンを示していくことが必要だと考えております。また、今後、ますます地域間競争の時代を迎える中で、北関東自動車道の整備効果を享受するため、県内各地域、各市町村の取り組みをできる限り支援していただきたいと要望し、次の質問に入らせていただきます。  次に、今後の地域経営戦略を練る上でも重要な意味を持つ壬生町羽生田地区産業団地整備事業について伺います。この質問は、一昨年、惜しまれながら亡くなられた鯉沼議員が長年にわたり取り組んでこられた功績であり、私はその思いを引き継いでこの質問に臨んでまいります。壬生町の産業団地については、平たんな上、約八十九ヘクタールと広大な土地であり、また、壬生のインターチェンジからの近接性など、恵まれた立地条件を有しており、開発ポテンシャルの高い県有地であります。私の地元壬生町においても、地域経済の振興や雇用機会の拡大につながる開発など、この県有地の有効活用に関して県に要望がなされてきたところであります。このような状況を踏まえ、知事はこの県有地が有するポテンシャルを生かし、産業団地として開発する方針を示されました。私もこの産業団地の開発は、壬生町を含む当地域の振興につながることはもちろん、将来にわたり本県経済の持続的発展を牽引する極めて重要な産業基盤になり得るものと期待しております。  しかしながら、国内の景気動向を見ますと、二月二十二日に発表された政府の月例経済報告では、景気の基調判断を一年三カ月ぶりに下方修正し、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の減速や原油価格の動向など、景気の先行きに警戒感を強めています。企業立地は、景気動向に大きく左右されるものであり、企業の設備投資意欲が旺盛なうちに、スピード感を持って早期分譲にこぎつけることが何よりも求められているところであります。  一方、当産業団地の開発においては、各種法手続や工業用水の問題など、課題も山積していると聞いております。私は早期分譲を目指して、これら山積するさまざまな課題を迅速に処理していくためには、地元自治体である壬生町との協力関係の構築に加え、前例にとらわれることなく、例えば、全庁的なプロジェクトチームを組織するなど、しっかりとした推進体制を整えることが必要であると考えております。そこで、この事業の進捗状況と今後の見通し、さらに、早期分譲に向けた知事の決意をお伺いします。  次に、企業誘致についてお伺いします。企業誘致活動が熾烈な地域間競争の様相を呈する中、当産業団地に企業が確実に立地し、集積が図られていくためには、整備事業の推進と歩調を合わせ、戦略的な企業誘致活動を展開していくべきと考えております。そこで、当産業団地における今後の企業誘致の戦略についてどのように考えているのか、あわせて知事にお伺いいたします。 ○栗田城 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。壬生町羽生田地区の産業団地につきましては、約八十九ヘクタールの平たんで広大な一団の土地であり、北関東自動車道の壬生インターチェンジや東北自動車道の鹿沼インターチェンジに近接するなど、交通アクセスにすぐれていることから、本県の企業誘致戦略の一つである地域経済の核となる企業の誘致実現のための条件を兼ね備えた団地であると考えております。このような優位性を踏まえ、スピード重視で開発・分譲に取り組むため、企業局を事業主体に決定し、現在、基本計画の策定や環境影響評価の手続などを進めております。また、昨年末には、地元壬生町と共同で事業説明会を開催し、地域住民の方々にこれまでの経緯や今後の進め方などについてご説明を申し上げたところであります。環境影響評価には、これから二年程度の期間が見込まれますが、これと並行いたしまして工業用水の確保や土地利用の調整などに取り組み、できる限り早期に造成工事に着手したいと考えております。今後とも、地元壬生町と密接な連携を図りながら、地域住民の方々のご理解とご協力を得、平成二十四年度までには分譲が開始できるよう全力で取り組んでまいります。   さらに、企業誘致に当たりましては、すそ野が広く今後の成長が見込めますことから、今年度重点振興分野として選定いたしました自動車及び航空宇宙産業を中心に、本県経済をリードする企業の誘致を進めてまいりたいと考えております。また、これを核として関連企業の集積を図ることにより、本県経済基盤のさらなる強化に努めてまいりたいと考えております。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 引き続き、早期分譲に向けた取り組みをよろしくお願いいたします。現時点においてのこの産業団地における企業誘致の感触はいかがなものか、産業労働観光部長にお伺いいたします。  また、現状の課題である工業用水、用地取得について、具体的にどう取り組んでいくのか、あわせて企業局長にお伺いいたします。 ○栗田城 副議長 佐藤順一産業労働観光部長。 ◎佐藤順一 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答え申し上げます。昨年の十一月二十六日になりますが、栃木産業インフラツアーを開催いたしまして、壬生町羽生田地区産業団地の現地見学会を行いまして、団地のすぐれた立地環境についてPRいたしました。参加者には、立地環境について十分なご理解がいただけたものと考えております。県といたしましては、地元壬生町と密接な連携を図りながら、県のあらゆる企業誘致活動におきまして、この団地の立地条件をさまざまな企業に情報提供しまして、早期分譲に向けた企業誘致活動を展開してまいりたいと考えております。 ○栗田城 副議長 高斎吉明企業局長。 ◎高斎吉明 企業局長 再質問にお答えいたします。課題についての具体的な対応でございますが、まず、一点目の工業用水の確保でございます。工業用水につきましては、平成十八年度に一回調査を行っておりますが、今後、必要な水量を確保するために、新年度改めて水源の調査を行うこととしております。  二点目の未買収地でございます。敷地内に五・七ヘクタールの未買収地がございますが、ことしの一月末に地権者の方に、とりあえずのご協力のお願いに上がったところでございます。今後、具体的な交渉に入ってまいりますが、壬生町のご協力もいただきながら、ご理解がいただけますように全力を挙げて取り組んでまいります。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 未買収地について、今後も地元と連携を図って、早期分譲できるよう取り組みをお願いいたします。私はこの産業団地が、県内はもちろんですが、他県にも誇れるようなモデルになるためには、企業誘致のみならず、一つのテーマを掲げた地域づくりをしていく必要があると考えております。今後、予想される受け入れ先の住宅環境、教育施設の一体的な整備を要望させていただき、次の質問に入らせていただきます。  次に、当産業団地へのアクセス道路の整備について伺います。当産業団地への効果的な企業誘致を図る上で、北関東自動車道壬生インターチェンジから当団地に至るアクセス道路は、必要不可欠な交通基盤と言えます。このアクセス道路としては、県道羽生田上蒲生線が想定されていますが、現在、とちぎわんぱく公園付近で整備が中断しており、今後の分譲開始を見据え、一刻も早く整備されることが強く望まれているところであります。そこで、当産業団地へのアクセス道路として、県道羽生田上蒲生線をどのように整備していくのか、県土整備部長にお伺いします。 ○栗田城 副議長 山内正彦県土整備部長。    (山内正彦県土整備部長登壇) ◎山内正彦 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県道羽生田上蒲生線は、産業団地と北関東自動車道壬生インターチェンジとを直結することから、産業団地の立地条件を最大限に生かすための重要なアクセス道路であるとともに、地域にとっても利便性の向上に資する路線でございます。これまでに北関東自動車道壬生インターチェンジから約三・六キロメートル区間のバイパス整備を進め、平成十四年度には県道上田壬生線までの約一・五キロメートル区間が完成したところであります。残る約二・一キロメートル区間におきましては、現在、用地取得のための調査を進めているところでありまして、平成二十年度は地元関係者のご協力を得ながら、用地取得に着手する考えでございます。今後とも、当産業団地への立地企業の操業開始までに、県道羽生田上蒲生線の残る約二・一キロメートル区間を供用できるよう努めてまいります。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 県土整備部長からの前向きなご答弁をいただき、大変心強く思っております。やはりアクセス道路の整備は、早期分譲に向けて必要不可欠なものと考えておりますので、早期に整備できるようお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。  次に、中小企業への支援についてお伺いします。本県が今年度からスタートした産業振興プロジェクト推進事業では、重点振興分野として航空宇宙産業や自動車産業を指定して、中小企業の研究開発や販路拡大等を支援する取り組みが進められているとのことであり、心強い限りであります。しかしながら、県内の景気は全体としては回復しているものの、中小企業においてはなかなか景気の回復を実感できないという現実に直面しているのではないでしょうか。機会があり、中小企業の方々の率直な声をお聞きしますと、「これまで県が取り組んできた中小企業支援策は、結果的に中堅クラス以上の企業が対象となるものばかりではないか」という厳しいご意見もいただきます。中小企業の多くは経営資源を生かし切れず、原材料価格の高騰や取引企業の生産拠点の海外移転など、経営を取り巻く環境の変化に大きな不安を抱えております。私は本県経済の活性化のためには、地域に根差しながら必死に頑張っている中小企業、とりわけ比較的規模の小さな企業が確かな足取りで歩み続けられるよう、底上げと活性化を図ることが、今こそ求められていると考えております。そこで、県はこのような企業の底上げと活性化にどのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いします。 ○栗田城 副議長 佐藤順一産業労働観光部長。    (佐藤順一産業労働観光部長登壇) ◎佐藤順一 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。中小企業、とりわけ設備や資金等の経営資源に限りがある小規模企業の振興を図るためには、これらの企業による行政の支援施策の活用や産業支援機関による支援、特に、企業に身近な商工団体の支援が重要であります。このため、中小企業の活性化と底上げに向けて、現在、策定中のとちぎ中小企業未来チャレンジ戦略(仮称)におきまして、産業振興センターと商工団体との連携を一層強化することとしております。具体的には、県内四つの地域におきまして、産業振興センターが商工団体と連携して相談事業を実施することにより、地域の中小企業が大学等を初めとする産業支援機関の提供する支援策を活用することについての利便性を高め、これらの企業の経営力のワンランクアップを図ることとしております。また、新たに造成するファンドの運用益により、地域資源を活用した新商品開発や地域密着型ビジネスによる創業、商店街の振興等について助成を行い、一層の活性化を図ることとしております。今後とも、企業、産業、支援機関、行政が一体となって取り組むことにより、本県中小企業の底上げと活性化を図ってまいります。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 産業労働観光部長から各種機関団体と連携した取り組みをしていくとのご答弁がありましたので、引き続き、そういった取り組みをお願いいたします。  一点、要望させていただきます。私は若手の経営者あるいは後継者の方々と接する機会が多いのですが、やはり若い世代の方々が夢や希望を持って未来へと進路をみずから切り開き、地域を支える企業人として大成していけるようお願い申し上げ、次の質問に入らせていただきます。  次に、企業マッチングバンク制度について伺います。近年、情報化の進展や社会の成熟化に伴い、県民ニーズの高度化や多様化が進んでいます。このような中、豊かで持続可能な地域社会を実現していくためには、行政のみならず、県民やボランティア、NPO、そして、企業を公益実現の新たなパートナーとしてとらえ、さまざまな公共サービスを創造していくことが求められています。一方、企業においては、今日、「企業市民」という視点から、社会的責任を担う取り組みの一環として、さまざまな社会貢献・地域貢献活動が進められています。私は本県の総合計画「とちぎ元気プラン」において、〝とちぎ〟づくりの基本姿勢として掲げる〝公(おおやけ)〟を拓く」という理念を実現していくためには、このような企業の社会貢献・地域貢献活動に着目することも重要であると考えております。県の財政状況が厳しさを増す中、歳出を削減し質の高い公共サービスを提供していくためには、社会貢献・地域貢献を志向する企業のノウハウや持てる力を有効活用するための仕組みをつくるべきであると考えております。現在、県において企業への協力は各セクションごとに取り組んでいる現状にありますが、県が企業に対して、特に、協力を求める施策等をメニュー化し、一元的に示し、意欲ある企業との協力関係を構築するマッチングバンク制度の創設を提案いたしますが、県の考えを経営管理部長にお伺いします。 ○栗田城 副議長 田村澄夫経営管理部長。    (田村澄夫経営管理部長登壇) ◎田村澄夫 経営管理部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまでも県有施設のネーミングライツ事業への協力を初めといたしまして、「家庭の日」推進事業やとちぎ未来クラブ事業への協賛をしていただくなど、さまざまな形で企業との協働の取り組みを行ってきたところでございます。一方、NPOやボランティアによります社会貢献活動が広がりを見せる中、企業の社会的責任の一環として、企業によります地域貢献・社会貢献活動への期待はより大きくなっておりまして、企業のノウハウ等を効果的に活用した協働による地域づくりへの参画を一層促進することが重要であると考えております。今後、企業の皆様の視点からのアプローチを一元的に受けとめ、ご提案いただきました手法も含め、県の施策と企業とのより円滑で効果的なマッチングの仕組みにつきまして、具体化できるよう検討してまいります。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 経営管理部長から前向きなご答弁をいただきましたが、やはり企業の視点から取り組むという姿勢が重要であると考えております。要望させていただきます。今回は、企業の社会貢献活動について、行財政改革という視点から質問させていただきました。企業の社会貢献に関する取り組みを生かすため、また、行政として何ができるのか、どのようなタイアップが図れるのか、さらなる研究をお願いいたしまして、次の質問に入らせていただきます。  次に、地域による学校支援について伺います。昨今のたび重なる青少年の凶悪犯罪やいじめ・不登校など、青少年をめぐるさまざまな問題が発生している背景として、地域における地縁的なつながりの希薄化や個人主義の浸透によるいわゆる地域の教育力の低下が指摘されております。また、学校現場においては、学校活動以外の業務など、教員の業務量が増加する傾向にあり、教員が子どもと向き合う時間をいかに確保するかが課題となっております。私はこのような状況を打開するためには、地域全体で学校教育を支援するための仕組みをつくっていくことが必要であると考えております。平成二十年度から新たに県教育委員会では、地域ぐるみで学校運営を支援する体制を整備しようとする学校支援地域本部事業を実施するとしております。私は今日、地縁による人間関係の希薄化が叫ばれる中、この事業を通して住民一人ひとりが自分の地域を見詰め直し、地域全体で子どもたちの成長を見守っていくという機運が高まっていくのではないかと期待しております。そこで、県教育委員会では、学校支援地域本部事業にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。 ○栗田城 副議長 平間幸男教育長。    (平間幸男教育長登壇) ◎平間幸男 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。県教育委員会におきましては、地域とともに歩む学校づくりを推進するという視点のもとに、これまでボランティア活動を促進する事業などを実施し、地域の方々が学習や部活動支援等学校を支える活動を行っていただけるよう取り組んでまいりました。新たに実施いたします学校支援地域本部事業は、こうした取り組みをさらに進めるため、各市町におきまして中学校区単位にモデル地区を指定し、県と市町村が連携いたしまして、団塊の世代の方々を初め、豊かな知識、技術を持つボランティアと学校とを結びつける役割を担うコーディネーターを養成し、学校区に配置するなどして、地域全体で学校教育を支援しようとするものでございます。ただいま議員からご指摘いただきましたような実を上げられますように、今後、本事業を積極的に推進することにより、子どもたちを見守り育てる地域の教育力が向上し、また、教員が子どもと向き合う時間が一層確保されるよう取り組んでまいります。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 教育長から、コーディネーターを養成配置していくというご答弁がありましたが、それについて具体的にどう配置し、人数に対してどうお考えなのか質問いたします。 ○栗田城 副議長 平間幸男教育長。 ◎平間幸男 教育長 コーディネーターでございますが、学校を支援する方々が大勢いらっしゃいます。そういった方々と、学校がそういう方々に期待するもの、それらをうまく組み合わせるためにご活躍いただくのがコーディネーターでございます。そうしたコーディネーターにつきましては、それぞれの学校区単位に配置いたしまして、活躍していただこうと思っております。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 具体的な人数を教えていただきたいことと、私の考えとしては、できれば一学校に一人のコーディネーターを配置していただきたい。なかなか予算的には厳しい話かとは思いますが、そのようなことも踏まえて、再質問させていただきます。 ○栗田城 副議長 平間幸男教育長。 ◎平間幸男 教育長 お答え申し上げます。今、私どもで予算化をしておりますのは、一中学校一人という形で配置を考えております。そして、この事業は三年間の事業でございますが、ただ、その市町村によりまして、そのコーディネーターをどういう形でさらに配置をしていくのか、具体的な検討は今後、行われるのではないかと思っております。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) コーディネーターの配置については、さらなるご研究をお願いしたいと思います。また、三年間の事業というようなご答弁をいただきましたが、それ以降も引き続き配置できるようご検討をいただきたいと思います。   一点要望させていただきます。学校支援地域本部事業は、平成二十年度から取り組む新しい事業であると思いますので、早急な準備が求められているところと思います。市町においても不安を抱えていると思われますので、県としても事前の相談、また、説明等積極的なご支援をお願いいたしまして、次の質問に入らせていただきます。  次に、安全で安心な〝とちぎ〟づくりについてという視点から、救急医療対策についてお伺いします。本県の救急医療は、県内を十の救急医療圏に分け、症状や緊急度に応じて、初期、二次、三次から成る体制を整備しています。しかしながら、現状においては、本来、入院や手術が必要な重症・重篤患者に対応すべき第二次、第三次の医療機関に、多くの軽症患者が集中しています。例えば、平成十八年度に県内の五つの救命救急センターに来た患者十二万四千人の内訳を見ると、入院し治療を受けることになった方は二万人弱、全体の約一六%にすぎず、残りの約八四%に相当する十万四千人もの方々は軽症と診断され、軽易な治療を受けただけで入院に至らなかったという状況にあります。このような結果として、現場の病院においては、担当医師が過酷な勤務環境に置かれ、大変疲弊しているということであります。このように、軽症患者が救命救急センターや地域の中核病院に押し寄せる状況が続くと、勤務医のさらなる疲弊を招き、本県の救急医療体制が崩壊してしまうおそれもあります。  県においては、各医療圏で初期救急を担う休日夜間急患センターの整備や診療時間の延長を進めていますが、一方で県民にこのような医療現場の厳しい実態を正確に伝え、意識改革に取り組みながら、適正な受診を促すことも重要であると考えます。そこで、県は県民の適正受診の促進にどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○栗田城 副議長 荒川勉保健福祉部長。    (荒川 勉保健福祉部長登壇) ◎荒川勉 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。病院などのいわゆるコンビニ的利用の増大は、近年の医師不足と相まって、二次、三次の救急医療体制を危うくしておりますことから、県民の理解と協力に基づく適切な受診行動が強く求められているところであります。このため、県では、県民に医療現場の厳しい現状を訴え、医療機関の適正利用を促すためのリーフレットを全戸配布するなど、鋭意普及啓発に努めております。特に、救急医療の利用頻度が高い小児については、かかりつけ医の普及や小児救急ガイドブックの配布、小児救急電話相談の活用促進などに取り組んでいるところであります。新年度は、乳幼児検診時のビデオ放映や、高校への啓発用リーフレットの配布、市や町の広報紙の活用など、新たに実施いたしまして、診療時間内受診や症状に応じた医療機関の利用など、救急医療の適正受診を強く呼びかけていくこととしております。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 厳しい現状と適正受診を、さらに普及啓発活動していただけるよう要望させていただきます。  また、特定の医療機関に患者が集中することのないよう、緊急医療体制を守る上で、県民側の適正受診と医療側の体制整備は車の両輪と言えます。救急医療機関がみずからの役割を適正に果たすとともに、相互の連携体制を強化する必要があると考えておりますが、どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長に再質問いたします。 ○栗田城 副議長 荒川勉保健福祉部長。 ◎荒川勉 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。適切な患者照会によりまして、診療所と二次救急病院の間のいわゆる病診連携、それから、二次救急、三次救急の間の病病連携が適切に行われるというのは、特に、効率的な救急医療体制を確保していく上で非常に肝要な要件だと思っております。このため、現在、策定中の第五期保健医療計画におきましては、患者の緊急度でありますとか重症度などに応じて、それぞれの医療機関が担うべき役割、機能を明らかにしたいと。その上で、それぞれの役割と連携を進めることによって、限られた医療資源を適切に、効率的に使えるような救急医療体制を構築していきたいと考えております。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 受ける側も受け入れる側も、やはり連携をとっていくことが一番重要と考えておりまして、保健福祉部長の答弁にもありましたように、効率的・効果的な体制整備をしていくといった取り組みをお願いいたします。  また、北関東自動車道の全面開通も視野に入れ、隣県である茨城、群馬の両県との間で、救急搬送に関する協議などについても、今後、力を入れていただきますよう要望させていただき、次の質問に入らせていただきます。  次に、交通安全対策について伺います。昨年、本県においては、交通事故発生件数、死者数、負傷者数のすべてが減少しております。特に、死者数は二年連続で減少しており、昭和三十三年以来四十九年ぶりに百五十人を下回りました。このような背景には、警察行政における警察官の活動や関係機関団体との連携による県民の交通安全意識の向上、交通環境の整備、シートベルト着用率の向上があると感じております。しかしながら、依然として人口十万人当たりの死者数は七・三九人と全国ワースト五位と低迷しており、このような状況から脱却できないという問題を抱えています。また、交通事故死者数百四十九人の内訳を見ますと、六十五歳以上の高齢者が六十一人を占め、全体の約四割を超える高い水準にあります。今後、高齢社会の進行や団塊世代の方々の活躍の場がふえることが想定される中で、高齢者の交通事故を防止するには、関係機関団体と連携した高齢者に対する啓発活動の強化など、さらなる対策を講じていくことが重要であると考えております。  そこで、今後、どのように高齢者に対する交通事故防止対策に取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いします。  また、交通安全対策の実効性を上げていくためには、交通環境のインフラ整備の充実がさらに必要であると考えておりますが、今後、どのように取り組んでいくのかあわせてお伺いします。 ○栗田城 副議長 金山泰介警察本部長。    (金山泰介警察本部長登壇) ◎金山泰介 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県内における交通事故は、議員ご指摘のとおり厳しい情勢にあります。特に、昨年の高齢者の死者数は全死者の約四割を占め、本年に入りましても半数を上回っている状況にあります。この高齢者の死亡事故をいかに防止するかが、ワースト上位脱却のキーポイントであると認識しております。そのため、本年は交通事故死者数の抑止目標を百四十人以下と設定し、その達成に向けた特別対策アンダー一四〇セーフティとちぎを、関係機関団体等と連携し推進しております。その重点施策の一つが、高齢者の交通事故防止対策であります。昨年は県内では初めての試みとして、自転車免許証を交付しての安全教室を開催した結果、高齢者の自転車乗用中の死亡事故が減少しております。ことしは、さらに多くの高齢者に参加していただけるよう、すべての警察署管内で自転車教室の開催を計画しております。さらに、改正道路交通法の施行に合わせ、高齢者運転者標識の普及や高齢者講習の充実、シルバードライビングスクールの開催などを引き続き推進し、高齢者の交通事故防止に努めてまいります。  また、交通安全施設、インフラの整備につきましては、皆様のご支援を賜り、昨年までの二年間に交通事故の多発交差点やカーブ七千カ所に高輝度標識・標示を整備してまいりました。整備が完了した交差点等のサンプリングによる効果測定で、大幅な交通事故減少効果が認められていますことから、引き続き、危険交差点等における標識・標示の高輝度化を図ってまいるとともに、信号機の新設改良等を着実に進めてまいります。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 警察本部長の前向きなご答弁、大変心強く思っております。一点再質問をさせていただきます。高齢者の方への呼びかけについて、具体的にどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ○栗田城 副議長 金山泰介警察本部長。 ◎金山泰介 警察本部長 ただいまの再質問にお答えいたします。高齢者の方に対する呼びかけにつきましては、それぞれの老人クラブあるいは地域の安全協会等を通じまして、さまざまなレベルにおきまして、基本的には地域の方に出ていただくあるいはさまざまな高齢者のための施設がございますので、そういったところにも出向いての交通安全講話、教養といったようなものを進めてまいっておりますが、さらに、個別に巡回連絡を通じての個々の対策等も、これからは強化してまいることとしております。 ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 交通事故防止対策として、警察行政においてはさらなる献身的な活動をお願いいたしまして、次の質問に入らせていただきます。  最後に、県道栃木粟野線の整備についてお伺いします。本路線は、栃木市と鹿沼市を連絡する幹線道路であり、朝夕の通勤時には多くの交通が発生しております。このような状況の中、この道路は地域の生活道路としても重要な路線であることから、地元では交通事故の発生を危惧する声も聞かれております。しかしながら、都賀町大橋地内から深沢地内に至る区間は、赤津小学校の通学路になっているにもかかわらず、歩道が未整備の状況にあります。通学する児童の交通安全を図り、地域住民が安心して生活するためにも、早期の歩道整備が必要と考えているところでございます。そこで、大橋地内の整備進捗状況と未整備区間である深沢地内の整備見通しについて、県土整備部長にお伺いします。 ○栗田城 副議長 山内正彦県土整備部長。    (山内正彦県土整備部長登壇) ◎山内正彦 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県道栃木粟野線は、栃木市街地から鹿沼市を結ぶ幹線道路であるとともに、地域にとっても日常生活を支える重要な路線でございます。このうち都賀町大橋地内から深沢地内の区間は、赤津小学校の通学路になっているにもかかわらず歩道が未整備であるため、通学児童の安全確保が課題であり、早期の歩道整備が必要であると認識をしております。そこで、赤津小学校に近接しております大橋地内の約四百メートル区間におきまして、県道大橋家中線との交差部が狭隘であることから、その交差点改良とあわせて歩道の整備を行うこととし、平成十九年度から用地取得に着手したところでございます。早期に工事着手できるよう努めてまいります。  また、残る深沢地内の約一・五キロメートル区間につきましては、大橋地内の進捗状況を見ながら、自動車や歩行者などの交通量調査を行うなど、引き続き、事業化できるよう準備を進めてまいります。
    ○栗田城 副議長 佐藤良議員。    (六番 佐藤 良議員登壇) ◆六番(佐藤良議員) 県土整備部長の前向きなご答弁、大変ありがたく思っております。県道栃木粟野線については、通学する子どもたちの安全確保はもとより、地域住民の皆様の生活においても大変重要な路線であります。引き続き、事業の推進に鋭意取り組まれますようお願いいたします。  最後になりますが、私は新人議員でありますので、今後とも、しっかり研さんを積み、おごることなく、初心を忘れず、取り組んでいく所存であります。また、私は若い世代の代表として、十年、二十年先の未来を見据え、県民の目線に立ち、県勢発展のために努力していくことをお誓い申し上げ、すべての質問を終わりにいたします。(拍手) ○栗田城 副議長 この際、休憩したいと思います。午後一時二十五分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。  午後零時二十一分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎安納守一 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十七名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午後一時二十五分 開議 ○石坂真一 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) 早速質問に入ります。民間との連携について伺います。このテーマについては過去にも一般質問において取り上げ、自治体として民間企業と協力し、さまざまな行政上の課題に取り組んでいくことの重要性について主張してきました。その道のスペシャリストである方々、すぐれたノウハウ、ネットワークなどを持つ方々の力を借りることは、地域を発展させる有効な手段であると考えています。他県の取り組みを幾つか例示しますと、北海道、宮城県など、十の道県が大手総合商社である伊藤忠商事と主に地場の中小企業、ベンチャー企業の支援、食産業の振興、観光の振興などで提携。また、大分県では大手人材派遣会社パソナと就農支援事業で提携。また、和歌山県が県内では農水産物や加工食品の販売促進に総合商社OB四人を専門アドバイザーとして起用などが挙げられます。このように、幅広い分野で民間の力やノウハウを活用しようという取り組みが全国的に実施をされております。そして、いよいよ栃木県も、去る二月七日に、セブン-イレブンと包括連携協定を締結しました。セブン-イレブンと自治体の包括連携は和歌山県、長野県に次いで全国で三番目で、栃木県としては地域活性化などを念頭に、民間企業と幅広い連携を目指すこのような協定を結ぶのは初めてのことです。話題性もあり、県のイメージアップにもつながると思いますし、栃木県は民間企業との連携に取り組む自治体だということも広く認知されるきっかけにもなったのではないでしょうか。そこで、今回のセブン-イレブンとの協定について、今後、どのような分野で具体的に連携を進め、地域の発展につなげていけると期待をしているのか、知事のお考えをお伺いします。  また、過去にも質問いたしましたが、グローバル化が進む社会の中で、幅広い分野において卓越したネットワークやノウハウを持つ商社との連携はとても有効だと考えております。他県に見られるような総合商社との連携、また、他の民間との連携を今後、進めていくことについての考え方をあわせてお伺いします。 ○石坂真一 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの早川議員のご質問にお答えいたします。私は本県が今後とも豊かで活力ある地域として発展していくためには、県民や団体、企業、行政など、〝とちぎ〟づくりのすべての担い手が郷土の抱える諸課題の解決に向けて積極的に参画していくことが重要であると考えております。このため、総合計画「とちぎ元気プラン」におきまして新たな公を拓く、そして、県民協働をこれからの〝とちぎ〟づくりの基本姿勢とし、二百万県民の皆様と一緒になって子育てや学校安全など、さまざまな分野で協働の取り組みを積極的に進めているところであります。こうした観点から、このたび、株式会社セブン-イレブン・ジャパンからの申し出を受けて、十項目にわたる地域活性化包括連携協定を締結いたしましたが、この協定に基づき、現在、同社の持つノウハウやネットワークを活用して、県産品を活用した商品開発・販売や観光情報の発信などの取り組みを開始したところであります。今後は地域の活性化を初め、県民の健康づくり、災害支援等の地域の安全安心の確保など、県民生活に密着した幅広い分野で県民サービスの向上を図ってまいりたいと考えております。また、県産品を活用して開発された商品がセブン-イレブンの幅広いネットワークに乗って全国展開され、栃木県のイメージアップが図られることも期待をしております。こうした取り組みに加え、栃木県産業振興センターにおきましては、大手総合商社のノウハウを有するNPOとアドバイザリー契約を結びまして、県内中小企業の市場開拓のための事業を実施しており、大手業者と契約が実現するなどの成果も上がっております。また、新たにコンビニエンス・ストア大手の株式会社ローソンと災害応援協定を締結するなど、企業等との連携もふえつつあります。私は今後とも、こうした企業や団体との連携活動を議員のご提言も踏まえて積極的に進めてまいりたいと考えております。協働についての職員の意識を高め、県政のさまざまな場面におきまして、企業等との連携による施策展開が図られるよう努めてまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) ただいま知事から大変前向きな、民間企業のノウハウやネットワークを活用していきたいという趣旨の答弁をいただきました。セブン-イレブンと同じく協定を結んでいる和歌山県や長野県も当然ながらローソンとも結んでおりまして、ローソンは十二の県と協定を結んでおり、地域との連携に積極的に取り組んでいるコンビニエンスストアです。この十二の県のホームページを見てみますと、あちらこちらに「地域ブランド」という文字をよく目にします。やはりそういったメリットもあるのかなと思っております。さきの新聞で、ローソンとの災害時の物資調達の協定のところで麻生副知事からも「これをきっかけにして広げていきたい」とのコメントがありましたので、ぜひこちらにつきましても一歩進んだ協定に結びつきますようにお願いするところです。  また、総合商社の件についてです。これは私がしつこく申し上げているところなのですが、一つ例を挙げさせていただきますと、北海道は民間企業との連携に盛んに取り組んでいるところです。これ知事の公約がベースにあるようで、「外部の研究者、民間人と連携し、政策手法、政策効果などを研究していく体制を強化する」というのが知事の公約です。具体的に少し例を挙げますと、伊藤忠との協定をきっかけに、伊藤忠が出資している雪印乳業グループと酪農、食の分野で伊藤忠グループのファミリーマート、観光の分野では伊藤忠と業務提携をしているクラブツーリズム、道が実施する中小・ベンチャー企業のマッチング事業に対する助言をいただくとか、マッチング事業に参加した地元企業の商品を別の伊藤忠の商品展示会に出展してもらうとか、挙げたらきりがないような取り組みが盛んに行われておりまして、これを挙げるだけでも総合商社の強みがよくわかると思います。  もう一つ例を挙げますと、新潟県におきましては、今の知事が取り組んだのですが、この知事は確認しましたところ、経済産業省にいた方で、経済産業省から岐阜県へ出向しているときに岐阜県と伊藤忠商事の業務提携に携わり、その後、新潟県知事になって我々の県でもやりたいということで、新潟県と伊藤忠の提携が実現したということでございます。こういった例を見ますと、やはり提携するメリットがあるからこそ多くの県が盛んに取り組んでいるということでありますので、栃木県としましても、先ほどNPOという言葉が出てまいりましたが、ぜひもう一歩踏み込んだ取り組みもよろしいのではないかと思っておりますので、こちらにつきましても改めて要望するところでございます。  また、最後に食の分野で一つ簡単なものを提案させていただきます。インターネット上の最大の食品・食材取引サイトでフーズインフォマートというのがあります。その中に「食材甲子園」というコーナーがあります。甲子園という名前のとおり全国の都道府県単位で参加するものですが、「地元の食品・食材を紹介し、需要と供給を結びつけ、地域食材の販路拡大、地域活性化を図りたい」というのが「食材甲子園」の趣旨だそうです。現在、三十の道府県が参加しておりまして、関東地方では茨城、埼玉、千葉の各県が参加しております。これは当然ながら、地元の食品関係の方々、また、生産者の方々からしても販路拡大につながることだと思います。恐らく三十万円ぐらいの出資で開設できると思います。そして、地元の金融機関と協働で開設しているところが多いようです。というのは、銀行も今は預金、融資だけではなく、取引先に有益な販路拡大、受注機会の拡大などの情報を提供するのも大きな役割でありますので、足利銀行の姿がまだ見えてまいりませんが、地元金融機関に情報提供をして協力を仰ぎながら、ぜひこちらの「食材甲子園」等々についても一歩前向きにご検討いただければありがたいと思います。こちらは要望いたします。  続きまして、収益性の高い農業の確立についてのうち、多彩な農産物の生産について質問いたします。地域の農業の現状に目を向けますと、担い手の減少と後継者の不足、高齢化の進行や国際化の進展など、農業と農村を取り巻く環境は変化し、厳しいと言われて久しいものがあります。お米の価格も低迷している中、特に、お米をつくることに適さない中山間地域においては、お米のみに頼らず、売れるもの、もうかるものを探り、それをつくるという発想も必要ではないかと思います。秋田県では、新たな収入確保策として野菜や花き、畜産などと組み合わせた複合経営の重要性を認識し、県を挙げて取り組んでいるとのことです。複合化への足がかりとして、集落営農組織を対象に、経営の核となる戦略作物の導入を進めているとのことです。福岡県では福岡県農業・農村振興条例を策定し、その基本理念として「地域の特性に応じて収益性の高いゆとりある農業経営が確立され」と明記されています。つまりは収益の上がるもうかる経営を実践・確立することが最大の目標であり、全国的にも他地域との差別化を図ろうとする動きが見られます。本県では、首都圏農業として野菜や果物の振興を図っていますが、栃木県の立地条件をより生かしていくためには、量的な市場戦略に頼るのではなく、多様な消費者ニーズに対応したきめ細やかな生産を行い、収益性を高めていくことが求められていると思います。そこで、いわゆる野菜などの少量多品目生産のような多彩な農産物生産について、県の考え方を農政部長にお伺いします。 ○石坂真一 議長 野中英夫農政部長。    (野中英夫農政部長登壇) ◎野中英夫 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。これまでの首都圏農業の推進によりまして、東京市場における本県の販売シェアは順調に拡大しておりますが、収益性の高い農業を確立するには、市場外などの多様なニーズに対応した付加価値の高い生産物を供給することが求められております。このため、県では、産地改革強化プロジェクトに取り組みまして、生産者の意識改革や産地と実需者を結びつける人材の育成、産地戦略の策定などを支援してまいりました。その結果、農産物直売所はもとより、学校給食などへの多品目野菜の周年供給の取り組みがふえてきているところでございます。さらに、これらの取り組みを広く波及させるため、新年度から、産地みずからが地元レストランや食品企業などへ食材を供給する生産から流通までの一貫した取り組みなどを支援することといたしました。今後とも、こうした産地改革を一層進め、本県野菜産地の多様な需要への対応力を強化いたしまして、収益性の高い農業生産の確立に取り組んでまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) 少量多品目生産について、私はぜひ県内でモデル地域のようなものを設定して取り組んでいくのがよろしいかと思っております。過去に例を挙げますと、一九六一年、大分県のNPC運動、農政部長もご存じのことと思いますが、ニュープラム・アンド・チェスナット(新しい梅・栗)運動です。これは限られた農地でいかに高い収益性を上げていくかということと、消費者ニーズをいかに先取りするかということをねらいとして行った事業で、現在では組合加入者約七百戸のうち年収一千万円を超える農家が約二百戸もあるということであります。最近で有名なのが徳島県の「いろどり」が日本料理で用いられる柿の実や葉、南天の実などを二百種類以上つくっているということで、こちらについてもやはり農業所得が増加しているという結果が出ております。栃木県でもぜひ生産団体等に働きかけながら、できればモデル地域等を設定してこの少量多品目生産に取り組んでいただけますようにお願いするところでございます。  続きまして、とちぎ野菜産業クラスター基本構想について伺います。県では、農業と商工サービス業、研究機関が農業関連分野で連携し、技術革新や新ビジネス創出を促すとちぎ野菜産業クラスター基本構想を昨年十一月に策定しました。構想ではクラスターモデルとして未来型いちご産業モデルや特産農産物・食材活用モデルなど、五つのモデルを提案しています。これは一次産業だけでは生き残れないという危機感から、収益性を上げるために価値を高めていくこと、地域ブランドや新事業創出により地域の強みや有利なものをさらに生かしていきたいということだと私は理解しています。つくって売るだけの農業から転換し、将来的に持続できる農業システムの構築がねらいと聞いております。この野菜産業クラスター基本構想に期待するところと今後の推進について、農政部長にお伺いします。 ○石坂真一 議長 野中英夫農政部長。    (野中英夫農政部長登壇) ◎野中英夫 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県農業の新たな展開を図るためには、生産分野の改革はもとより、他産業の持つ技術やノウハウを積極的に活用いたしまして、農産物の付加価値を高めていくことが必要であります。こうした農業と商工業等との連携による新たな産業モデルの創出を期待して基本構想を策定いたしました。この構想に示したクラスターモデルの具体化を図るためには、その第一歩として、農業と商工業等が持つ多様な経営資源や商習慣の違いについて相互理解を深め、新たな連携が誘発される環境をつくっていくことが必要であると考えております。このため、新年度から、幅広い関係者によるシンポジウムや地域での交流会を開催するとともに、本県の特徴を生かした新商品の開発や農業生産技術の革新など、独創的な共同プロジェクトを支援するため、専門家の派遣や公募型の助成事業を実施してまいります。今後、関係者の英知を結集して構想を推進し、収益性の高い農業の確立、さらには、地域産業の活力向上を図ってまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) ただいまの農政部長の答弁の中に「専門家の派遣」という言葉が入っておりました。このクラスター構想は本当に夢のある壮大な構想ですばらしいと思いますが、生産者と企業側それぞれの理解と意欲がとても大事になってくると思います。そして、片方から手が挙がった場合にもう片方にそれを伝える役割がやはり重要になってまいりまして、専門家の役割が大変大きくなってくると思います。とちぎ食と農のクラスター推進事業のフロー図を見ましても、専門家によるコーディネートという言葉がありますが、専門家とコーディネートの仕方等々につきまして具体的にお聞かせいただきたいと思います。 ○石坂真一 議長 野中英夫農政部長。 ◎野中英夫 農政部長 ただいまの再質問にお答えいたします。先ほども答弁の中で申しましたように、生産者サイドと商工業サイドの連携は、まず理解促進が大事と思いますので、先ほども言いましたように、専門家につきましては両方をコーディネートする資質を持った人、生産サイドと商工業、例えば、産業センターなどと連携して進めていきたいと考えております。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) コーディネーターの役割をどのような方が担当するかということは非常に重要なキーになってくると思います。私はこういったコーディネーターは単発で派遣されるようなものが望ましいとは思っていません。やはり継続して取り組める方がいいと思います。派遣されるたびに違う方が来るようなことでは、なかなかこの事業は成功しにくいのではないかと思います。常設で、しかも専任で、できれば外部からというのが私は理想ではないかと考えています。今の答弁にもありましたような産業交流センターの中にも、マネジャーやコーディネーターという方に、もしかしたら農業の分野に強いとか、やってみたいという方がいらっしゃるかもしれませんので、幅広くそういった方を選定していただきたいと思います。そして、繰り返しになりますが、地域の立場に立って地域全体の青写真が描けるような方がコーディネーターにふさわしいと思います。こちらの選任につきましてはぜひ慎重かつ積極的に行っていただけますようにお願いします。  それと、クラスターの事業ですが、未来型いちご産業モデルに関して少しお話しいたします。これは県の農業試験場の再編計画が進められる中で、当然ながら栃木分場も計画に乗ってくると思います。これについては、ポスト「とちおとめ」をつくるだけの研究所や農場という枠にとらわれた小さなものになるべきではないと私は思います。ここには研究機関とかいちごを使った食品関連企業とかさまざまなものを集積させて、まさにクラスターの名前にふさわしい、全国一のいちご生産県にふさわしい全国に誇れるいちご産業集積地とするべきと私は思っております。ですから、単なる農場にとどまらないすばらしいクラスターの核となるいちご産業モデルをぜひ実現していただきたいと思い、こちらは要望するところでございます。  次に、養護学校における教員像について質問いたします。私は一昨年の二月議会において「養護学校の教員採用と配置について」という題名で質問をしました。その質問の中で、「教員として児童一人ひとりと信頼関係を築きながら、それぞれの児童に適した教育方法を進めていくことが必要とされているだけでなく、養護学校教員としての資質が養護学校の現場においてはいかに重要なものであるかを実感した」と述べました。特に、養護学校の教員には、子どもたちの障害についての深い理解と、何よりも愛情が求められていると指摘をしました。養護学校で仕事をしたいという熱意と子どもたちへの愛情と指導力を持つ人を採用し、配置してほしいとも訴えました。そして、平間教育長は「障害のある子どもたちの教育については、その障害の種類や程度に応じて、子どもたちや保護者との信頼関係を保ちながら適切な指導を行うことが重要であると考えている。そのため、養護学校の教員には障害に対する正しい知識、一人ひとりの状況に応じた的確な指導力、教育的な愛情が特に求められている」と答弁されています。  昨年十二月二十四日の新聞で、県央の県立養護学校高等部において教員による不適切な言動が原因となり、複数の生徒が体調不良を訴えたという報道がありました。記事によりますと、何月かはわかりませんが、平成十八年度に学校側は保護者側からの指摘を受け、男性教諭に対し言動に配慮するように指導した。しかし、改善が見られず、昨年九月には、足が不自由な生徒の腕をつかみ廊下に出した。十月下旬から保護者が学校側に対策を求め、学校は十二月二十日から男性教諭を副担任から外すなどの対策をとったということです。その後、同校の保護者三十二人が、この不適切な言動以外で保護者が把握した問題についても調査してほしいと県の教育委員会に申し入れたとの報道もありました。この一連の出来事につきまして、教育長の率直なご意見と今後の対応についてお聞かせください。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。    (平間幸男教育長登壇) ◎平間幸男 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。特別支援教育におきましては、子ども一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな配慮が必要であり、また、保護者に対しても指導方針や個別の指導計画を丁寧に説明して理解を求めていくことが大切であると考えております。ご指摘の事案につきましては、当該教員は子どもの自立を目指して熱心に指導していましたが、その意図が子どもたちや保護者にうまく伝わらなかった面もあると考えております。現在、学校と保護者とが十分に話し合いを重ねており、よい方向に進んでいるところでございます。子どもの自立や社会参加に向けて効果的な指導を行っていくためには、保護者との連携協力が欠かせないことと考えております。今後とも、学校と保護者の信頼関係を確保しつつ、よりよい特別支援教育を推進していくよう努めてまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) ただいま教育長から答弁がありました内容については、当然ながら初めて聞くことでございますので、私が新聞報道を読み、感じたこととは大分違う内容であります。ここでやったかやらないかどうこうという水かけ論をするつもりはありません。ただ、事実として保護者から苦情があって、生徒が体調不良を訴えて副担任を外されたことは事実なわけであります。その後、三十二人の保護者が要望しているのも事実であります。私はこの一連を見て、学校の対応策がベストであったとは全く思っていません。子どもまたは保護者の心の部分というか気持ちに最大限配慮した対策ではないと思っています。それから、そもそも対応が遅すぎます。何年たってからかはわかりませんが、やっと副担任を外すという対策をとったということ。また、気になっているのは、十二月二十四日に新聞報道があって、二十五日に緊急保護者会を開いて説明会をやったということですが、新聞報道があったから慌ててやったととられても仕方ないような経過だと私は思っています。これは、教育長の思いが現場にちゃんと伝わっていないのかと私は感じてしまいましたので、こちらにつきましてはやはりきちんと、まさに信頼関係だと思いますが、最も守られるべきは教員ではなく子どもだと思います。  仮に、今回の事件ということではなくて、大人から見て許しがたいような態度をとった子どもがいたとしても、その子の障害という部分を頭から離して指導してしまってはいけないと私は思います。特に、体調不良という話を聞きますと、我々大人も胃が痛くなる、頭痛がするなどということはありますが、我々は社会の中で責任ある立場で仕事をしているわけで、自分のため、家族のため、社会のため、会社のため、いろいろありますが、やっていて我慢すべきところもあります。しかし、このケースは子どもでありまして、場所が学校で相手が先生でというのは、あってはならないことなのかと私は思っております。今回の件につきましても、きちんと中立的な立場で調査をしていただき、他の学校につきましても同様の事例がないかどうか調査をしていただくことは当然ながら必要と思います。そして、今後はやはりこれは保護者側と定期的に懇談会みたいなものを開き、そこには学校の方だけではなくて教育委員会の方もしくは行政職員の方に入っていただくことも必要かもしれません。福祉施設で第三者評価制度というのをやっておりますが、あのような形も必要なのかもしれません。また、場合によってはまるっきり第三者と懇談すること、例えば、スクールカウンセラーのようなものを想定することも必要なのかもしれません。県として二度とこのような事例を起こさないという強い決意と姿勢を、きちんとした形で示していただけますように強く要望させていただきます。  続きまして、学力の向上と公教育の充実について伺います。初めに、ゆとり教育からの転換についてお伺いいたします。近年学力の低下が危惧され、国が進めてきたいわゆるゆとり教育に対する見直し論も活発化してきました。そうした中、一月に、中央教育審議会から出された次期学習指導要領の最終答申を受け、二月には、文部科学省から小中学校の学習指導要領改訂案が公表されました。文部科学省の元事務次官のコメントにも「基礎学力をしっかり身につけてほしい、考える力を身につけてほしいという趣旨であったものが、余り勉強しなくてもいいよという誤ったメッセージとして伝わってしまった」とありましたが、ゆとり教育は結果として学力低下を招いてしまったと言っても過言ではありません。学習指導要領改訂案では、小学校は平成二十三年度から、中学校は平成二十四年度から授業時間を週一時間程度ふやすことになる見通しです。約三十年ぶりの授業時間の増加であり、国は大きく路線転換をしたと感じています。そこで、県ではゆとり教育からの転換にどのように対応し、どう学力の向上に取り組んでいく考えか、教育長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。    (平間幸男教育長登壇) ◎平間幸男 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。このたびの学習指導要領改訂の趣旨を踏まえて学力の向上を図るためには、「生きる力」をはぐくむという基本理念のもと、基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得に加え、それらを活用し思考力や表現力などを身につけさせる学習を充実する必要があると考えております。また、このことは、全国学力・学習状況調査における本県の分析結果をもとに作成されました学校改善支援プランの内容と軌を一にすることから、各学校には、それぞれの教科におきまして一人ひとりが主体的に考え判断する活動や伝え合う活動を充実させるよう周知徹底してまいります。このため、県教育委員会では、すべての教員を対象にした新教育課程説明会の開催や手引の作成等を行うこととしております。また、新年度新たに、とちぎの教育推進委員会を設置することとしておりますが、こうした場においても審議していただきながら、児童生徒が学ぶ意欲にあふれ、わかる喜びやできる楽しさを実感できるような学校教育の推進に努めてまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) ゆとり教育からの転換という質問をいたしましたが、これは、よく読んでみますと、学校現場に大変大きなものを求める内容ではないかと感じております。学校現場は大変なことになるなと少し心配もしております。やはり軌道に乗るまで時間がかかると思いますので、これにつきましては各学校、または市町の教育委員会等に対しまして県から十分な支援指導をしていただき、場合によってはマンパワーの面でも支援していただくことが必要となろうかと思いますので、こちらにつきましてもよろしくお願いします。  続きまして、公教育の充実について伺います。昨年四月に小中学生を対象に実施した全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストでは、質問紙による調査も行われ、塾に通っている子どものほうが塾に通っていない子どもより正答率が高いという結果が出ています。私はこの調査結果がひとり歩きしてしまうのではないかと危惧しています。塾の学習補完機能を否定するわけではありませんが、塾に行かなければ学力が向上しない、家庭の経済力により学力の差が生じてしまうということは望ましい姿とは言えませんし、そうあるべきではないと思います。だからこそ、公教育が子どもが希望する道へ進めるだけの基礎・ベースをつくってあげなければいけないと考えますが、どのようにお考えか教育長に伺います。  また、現在、小中学生については、学力向上に向け学校改善支援プランや県独自の学力テストの再開などの改善策に取り組んでおり、今後の成果が期待されるところですが、一方で、本県の高校生の学力向上への取り組みはどうでしょうか。他県に比べ余り学力が高くないという声を聞くこともあり、現状を憂慮しています。そこで、県では高等学校における学力の現状をどう認識し、今後、どのように学力の向上をしていこうと考えているのかあわせて伺います。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。    (平間幸男教育長登壇) ◎平間幸男 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。公教育は、児童生徒一人ひとりに対し知・徳・体の調和のとれた質の高い教育を提供し、人として生きていく上での基盤づくりを行うことが重要な役割であると考えております。とりわけ小中学校におきましては、すべての児童生徒が基礎基本を確実に身につけることができるようにするため、補充的学習や発展的学習など、個に応じた指導の充実とともに、みずからを高める意欲や生活習慣を身につけさせる指導を重視しなければならないと考えております。  次に、高等学校における学力向上についてでありますが、各学校では少人数や習熟度別授業などによるきめ細やかな指導に努めることにより、また、県教育委員会では高等学校学力向上推進事業やインターンシップ推進事業等により、生徒の学力向上を図ってまいりました。進学率等が必ずしも学力をあらわしているとは限りませんが、ここ数年、本県の県立高校全体では大学等への進学率も上昇傾向にあり、国公立大学の進学者数も増加しております。また一方で、資格取得や全国規模の技能大会等において優秀な成績を収めている高校もございます。今後はなお一層児童生徒の多様な能力・適性、興味・関心等に応じ、夢や希望を持ってみずからの進路を主体的に選択し実現できるよう、各学校の特色ある教育活動を支援してまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) 小中学生の学力について質問したことに答弁をいただきましたが、参考までに、今回の全国学力テストで最高点が秋田県、それについで高かったのが富山県です。新聞報道によりますと、富山県教育委員会は四月に学力向上推進チームを立ち上げ、学校ごとの課題がわかる支援ソフトを開発、さらなる向上を目指すとあります。栃木県も、全国平均的といっても平均を下回っている科目のほうが多いぐらいですので、決してこれは気を緩めるわけにはいきませんし、負けるわけにはいかないと思います。ここで、県の検証改善委員会が作成した学校改善支援プランにつきまして、せっかくつくったものですから、これをいかに各学校が理解して各学校の実情に応じた形にこれをかみ砕いて、できれば各学校独自のプランをつくって進めていくことが必要なのだと私は思います。そして同時に、このプランをどのように活用しているか、どのような変化が見られているかを継続してチェックしていく体制も必要なのではないかと思います。  その中で、県では四年ぶりに県独自の学習状況調査を再開するとのことでありまして、全国のテストは卒業間際の小学校六年生、中学校三年生を対象に国語と算数だけという内容に対しまして、県のほうは聞くところによりますと、小学校五年生、中学校二年生を対象にして国語、算数のほかに理科、社会、中学校では英語も入れると聞いております。これはつまりより詳しい結果が出て、より具体的な対応策が練られるのではないかと期待しているところです。県独自のテストにつきましても、全国テストと同様にやっただけではなく、その後の結果をいかに活用していくかが大事だと思いますが、この結果の活用につきまして、同様に委員会を立ち上げるなどの予定はあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。 ◎平間幸男 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。確かに本県独自の調査をこれから実施しようとしております。議員ご指摘のように、この実施によって各学校ごとの課題あるいは教科における課題が抽出できると思います。そういった抽出された課題を検討組織を設けていろいろ検討し、次の学校教育に生かしていきたいと考えております。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) ぜひテストをして終わり、結果の活用については各学校任せということになりませんよう県として取り組んでいただきたいと思います。また、学力の向上については学校現場に対策を求めるだけでは不十分で、家庭の協力ももちろん欠かせないことだと思います。先ほど名前を挙げました全国トップだった秋田県でも、朝食を家族が一緒に食べたり自宅での復習が定着したりなど、家庭が子どもの安定した生活を支えている、県民全体オール秋田の成果と胸を張ると新聞報道にありました。栃木県でも改善支援プランをわかりやすく解説したリーフレットを各家庭に配布すると予定をされているようでありますが、各家庭にあらゆる機会を通じてその内容を理解いただきますように、そういったことも各市町の教育委員会と協力しながら取り組んでいただきたいと思います。これは要望するところです。  また、公教育、特に、義務教育において機会の均等は当然ながら、結果の均等を求めるのはいかがなものかと私も質問を考えながら思ったところもありますが、これは義務教育という範囲でございますので、やはりある程度の結果の均等は保障されてもいいのではないかと思っています。最近、聞くところでは、県内の市町幾つかで中学校間での学力差が出てきていると聞いております。つまり、それは高校の進学率に差が出て固定化してきているという指摘もあるところです。中学校は学区制ですので、学力につきましてもある程度の結果の平等も考えて進めていただきますよう要望いたします。  また、高校については、今の答弁からしますと高校生の学力の現状をどのようなものをベースにして判断しているのか私はわかりにくかったのですが、時間もありませんので私から一方的に話させていただきます。私が参考にしているのは、大手予備校が発表しているセンター試験の登録県別平均点をよく目にするようにしています。これはすべての教科で各学校、または地域と全国平均等々を比べたものがすべて一覧表で出てしまいます。過去にも申し上げましたが、やはり大きな判断基準の一つとなってしまっておりまして、教育力の高い県として見られるかどうかの大きな材料であると思います。県の学力向上推進事業がスタートしてまだ一年たっておりませんで、二年事業ですので現在六校、一年後にはさらに六校で合計十二校が拠点校として指定されるわけでございますが、各学校にカリキュラムがゆだねられているということからしますと、やはり先進的な私学なども参考にしながら、ぜひ進学を目指す学校についてはカリキュラムの改善等を図っていただきたいと思います。また、学力だけではありませんで、例えば、商業高校に進んで簿記の資格を取って即戦力で働きたいとか、工業科に行って即戦力で働きたいとかという子どもたちが、やはり自分たちが通える範囲内で、学校の勉強を頑張れば将来の目標に向かって一歩前進できるという基礎となるものを、公教育の場としてきちんと保障するといってはおかしいのですが、ベースをつくっていただきたいと、これも要望いたします。  次に、教育に専念できる環境づくりについて伺います。さきの質問でも述べましたような学力の向上策のほか、徳育、体育など、学校が掲げるさまざまな教育目標を実現していくためには、教員が教育に専念できる環境をつくり、子どもと向き合う時間を確保していくことが求められていると思います。しかし、現状は異なると聞いております。特に、最近ではモンスターペアレントやクレーマーという言葉が一般化してしまっているように、学校側に対し不当な要求をしたり苦情を申し出たりする親が増加しています。埼玉県の保育所においては、たび重なる親からの苦情により精神的に追い詰められた所長がみずから命を絶ってしまうという事件も起こっています。このような保護者の対応に追われたり、場合によっては精神的に追い込まれて体を壊してしまうなど、教員が教育に専念できる環境にあるとは言えないのではないでしょうか。私はそう思います。  文部科学省の調査によれば、二〇〇六年度に病気で休職した公立の小中・高校の教職員のうち、精神性疾患での休職者の割合は六一%にもなります。一方、本県の病気で休職した教職員は百十五人、うち精神性疾患は七十七人で六七%と全国平均を上回っています。精神性疾患で休職してしまう前に、何らかの対策が必要と考えます。そこで、本県の教育現場におけるいわゆるモンスターペアレントの現状とその対応策、さらに教員が精神的に追い込まれる前にメンタルヘルスケアをしたり、相談できる体制について、教育長に伺います。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。    (平間幸男教育長登壇) ◎平間幸男 教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。学校に寄せられる意見には、子どものため、学校のためという建設的なものが大部分でございますが、議員ご指摘のとおり、中には理不尽な要求があることも事実であります。そして、その対応に苦慮している学校があることや悩みを抱える教職員がいることも承知しております。このような学校だけでは解決が困難な事例に対しましては、新年度、学校問題解決支援事業を新たに立ち上げ、スクールソーシャルワーカーや弁護士、福祉関係部局などと連携し、地域の方々の協力も得ながら問題の解決を図ってまいりたいと考えております。また、教職員のメンタルヘルスケアにつきましては教職員の心の健康をサポートするため、管理職を中心とした支援体制の整備はもとよりセルフチェック事業、県内七カ所の医療機関等におけるカウンセリング事業などを実施しております。今後とも、教職員が健康で持てる力を十分に発揮し、保護者と一緒になって子どもたちの教育に邁進できる環境づくりに取り組んでまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) 来年度からの新事業として、スクールソーシャルワーカーというものが出てまいりました。これは恒常的に専門家の協力を得られるという仕組みだと思い期待しているところです。報道によりますと、配置するのは原則として各都道府県に三地域ずつという趣旨の報道もあったのですが、大阪府など先進的なところでは、独自に既にスクールソーシャルワーカー制度を導入しているところもあります。県ではどのような形で配置を考えているのか教えてください。 ○石坂真一 議長 平間幸男教育長。 ◎平間幸男 教育長 スクールソーシャルワーカーにつきましては、各教育事務所単位に配置いたしまして、学校のいじめ・不登校等の問題行動への対応や保護者への対応等についてお手伝いしていただく、あるいはご尽力いただくことにいたしております。また、教育事務所にはいじめ・不登校等対策チームもございます。こういった方々と連携していただきながら、学校支援や保護者への支援、子どもへの支援をしていただきたいと思っております。当面は、各教育事務所単位に一名の配置をさせていただこうと思っております。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) わかりました。教員の方々へのカウンセリングということになってまいりますが、これは各学校の管理職の方々の役割も非常に大きくなってくると思います。恐らく研修等々もやられていることと思いますが、それをさらに進めていただきたいと思います。また、場合によっては、悩んでいる教員の方々が相談できる第三者的な方も必要かと感じております。弁護士、精神科医などの専門家というところも他県、他市ではあるように聞いておりますので、こちらにつきましても検討いただきたいと思います。  また、当然ながら、これは学校現場だけで解決できる問題ではありません。例えば、精神的にまいってしまって休職をしてドクターの判断で現場復帰をしても、また、同じ環境に戻るのでは教員の方からすれば根本的な解決にはならないのではないかと思います。やはり家庭、親をいかに指導し働きかけていくかが大事と思います。全国的に凶悪事件等が起こるたびに、家庭の問題点が指摘されます。例えば、いじめ・不登校、暴力事件もそうですが、家庭環境が大きく影響しているケースが多いなどと言われていますので、大変難しいこととは思うのですが、保護者の方々にアプローチをして理解してもらうことが大事なことと思います。  そして、栃木県では親学習プログラムをつくっています。こちらは、内容的にはどちらかというと育児や子育ての支援が中心と私は感じておりまして、親学習プログラムという名前からすれば、もし改訂するような時期が来ましたら、ぜひ親としてのあるべき姿とか学校に対して、保護者に対して、社会に対してこうあるべきという保護者のモラルのようなところも盛り込まれたらいかがかと思います。あらゆる機会を通じてせっかくつくったプログラムですから、これを保護者の方々に目を通していただき、理解していただくことが求められていると思いますので、これは提案させていただきます。  次に、産業団地造成への取り組み方、考え方について質問いたします。企業を誘致し、産業の集積を図ることは、関連企業の立地、法人県民税を初めとする税収の増加、従業員の住まい、雇用の創出など、周辺地域にも経済効果が見込まれることから、全国の自治体で地域間競争といわれるような誘致合戦を繰り広げています。最近では、大阪の堺市がシャープの工場を、宮城県がトヨタ自動車の生産子会社のセントラル自動車を誘致しました。参考までに申し上げますと、堺市の試算では、シャープの立地による堺市への生産活動効果は約一兆一千億円、宮城県の試算ではセントラル自動車の立地による宮城県への経済効果は三千九億円と算出されています。栃木県においても、産業の集積は県の将来活力を左右する大変重要なテーマであることから積極的な取り組みが行われており、全国的に見てもすばらしい成果を上げていると思っています。首都圏に近いという地理的優位性や地震を初めとした自然災害が少ないなど、他の地域より秀でた特性もあり、今後もさらなる立地促進が期待されているところです。そして、県内の市町でも同様に、企業の誘致を地域発展のかぎと考え、全力で取り組んでいる自治体もあります。足利市もその一つです。県全体の現状を見てみますと、いまだ完売されずにいる産業団地がある一方、首長によるトップセールスを行ったり、企業誘致専門のセクションを設けるなど、市町を挙げて企業誘致に取り組み大きな成果を上げているところもあります。熱心な取り組みにより産業団地が完売した市町では、さらなる団地造成を進めたいという意向もあろうかと思います。そこで、今後、産業団地を造成していく際に、造成する場所の選定、該当する市町との関係、具体的な支援の仕方などについて、県ではどのような方針で進めていくのか、県としての考え方を総合政策部長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 小林茂雄総合政策部長。    (小林茂雄総合政策部長登壇) ◎小林茂雄 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。市町村の要請に基づく産業団地の整備につきましては、土地利用調整の容易性などから、これまで県が主体となって対応してきたところでございます。しかしながら、近年、例えば、真岡市におけるインター周辺の工業団地のように、県と市が共同で開発することや足利市の西久保田のように、基盤整備の一部を市町村が担うことで企業誘致などの成果が大きく上がっているところでございます。また、都市計画法などに基づく市町村主体の土地利用の計画性がより重視されるようになるなど、産業団地整備をめぐる環境が最近変わってきております。こうした状況を踏まえまして、県では産業団地開発に関する基本方針の見直しを進めております。その中では、立地環境など、企業ニーズの重視、企業誘致に至るまでの県と市町村の役割と責任の明確化、県と市町村が協働して取り組む体制の整備・強化などの課題を重点に検討を進めておりまして、これらをもとに新たな方針を取りまとめていきたいと考えております。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) 部長のご答弁、私が考えて申し上げたかったことと本当に同じような考えで、大変うれしく思っております。やはり時代としてはすべて県任せではないと思います。造成も誘致も周辺環境整備も全部やってもらいたいというのではなく、造成はお願いしたい、自分たちが誘致は頑張るからという役割分担という考えを市町も持つべきと私は思っておりますし、逆に言うと、そういうふうに取り組んでいる市町に対してはより手厚く支援をいただきたいという考えも持っております。仮に、早期に完売した場合、県としては借り入れたお金の支払利息が少なくて済みますし、担当する人件費も少なくて済みます。現在、こういった部分は原価割れして売っている団地に回したり、塩漬けの部分の維持管理に回している部分もあると思いますが、できれば頑張っている市町にその一部でもいいですからバックしてあげて、市町はさらに頑張る、周辺市町村もおれたちも頑張ろうという循環をつくるのはいかがかと私は思っておりますので、早期完売した場合のバックについてもぜひ制度として検討していただければと思います。また、市町の立場からしますと、国への調整機能を県に果たしていただきたいと希望しております。この部分がだめだからできませんというのではなく、市町の立場に立って国に対しての調整役を果たしていただくことを県に要望いたします。
     最後に、県道桐生岩舟線の整備について伺います。足利市では渡良瀬川と北部に連なる山々の間の平地部に古くから人々が暮らし、町並みが形成されてきました。この東西の帯状に広がる市街地をJR両毛線と県道桐生岩舟線、いわゆる旧国道五〇号が通り、市民生活を支える重要な交通インフラとなってきました。この路線は今でも県南地域の主要な都市中心部を直結し、地域間の連携交流を支える大変重要な幹線道路であると同時に、市民の日々の暮らしに必要不可欠な生活道路でもあります。しかし、本路線の桐生方面あるいは佐野方面の両サイド部分についてはその多くが国道時代のままで、一日一万台を超える交通量をさばくには幅員が狭く、右折レーンがない、また、通勤通学の時間帯には渋滞が発生するなどしております。 ○石坂真一 議長 簡潔にお願いいたします。 ◆二十九番(早川尚秀議員) (続)加えて、建設後七十年以上経過している白旗橋や多田羅橋も存在しています。この路線は市民の日常生活に深くかかわる大動脈でございます。健康で文化的な市民の暮らしはこの路線にかかっております。道路整備の財源が厳しい今こそ、この県道桐生岩舟線の現状と機能を適正に評価いただきまして、路線全体の整備の考え方を打ち出した上で計画的に整備を行うべきであると思いますが、県の考え方を県土整備部長にお伺いいたします。 ○石坂真一 議長 山内正彦県土整備部長。    (山内正彦県土整備部長登壇) ◎山内正彦 県土整備部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。県内の道路整備に当たりましては、渋滞対策や広域連携による地域の活性化、歩道整備による交通安全対策や防災対策、さらには、老朽橋の保全対策など、各テーマごとに緊急性や事業準備状況、地元の協力状況などを総合的に勘案して優先度を検討し、限られた予算の中で選択と集中を図り、計画的に整備を実施しております。  お尋ねの県道桐生岩舟線は、車道部の改良が済んでおりますが、足利市郊外部におきまして歩道がない箇所や狭い箇所があるほか、渋滞が発生している交差点など、整備を要する箇所が残されております。そこで、八椚地内のバイパス整備や五十部地内、葉鹿地内におきます歩道整備を進めており、今後は白旗橋のかけかえ、足利赤十字病院予定地周辺や大久保地内での歩道整備を行うこととし、現在、事業化のための調査設計を進めております。残る区間についても緊急性などを判断しながら、本路線の整備に努めてまいります。 ○石坂真一 議長 早川尚秀議員。    (二十九番 早川尚秀議員登壇) ◆二十九番(早川尚秀議員) この路線につきましては、何カ所かで既に工事を進めていただきまして、足利市民としては大変感謝しているところです。ぜひ大事な道路ですので、地元の土木事務所に我々も一生懸命に働きかけて取り組んでいきますので、引き続きのご支援をお願いします。  以上をもちまして私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○石坂真一 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。あす四日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。  本日はこれで散会いたします。  午後二時二十五分 散会             ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~...