• "国際化社会"(/)
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  1. 茨城県議会 2014-09-05
    平成26年第3回定例会(第3号) 本文 開催日: 2014-09-05


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     平成26年第3回                 茨城県議会定例会会議録  第3号          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 平成26年9月5日(金曜日)午後1時3分開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯飯塚秋男議長 これより本日の会議を開き,直ちに議事日程に入ります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2 ◯飯塚秋男議長 会議に入る前に報告いたします。今高公安委員が来れぬ旨の通知がありましたものですから,報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第101号議案=ないし=第117号議案,認定第1号,報告第3号 3 ◯飯塚秋男議長 日程第1,第101号議案ないし第117号議案,認定第1号及び報告第3号を一括して議題といたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 4 ◯飯塚秋男議長 これより,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  なお,傍聴人の皆様に申し上げます。傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。  自民県政クラブ臼井平八郎議員。                 〔40番臼井平八郎議員登壇,拍手〕 5 ◯40番臼井平八郎議員 自民県政クラブ臼井平八郎です。会派を代表いたしまして,質問をさせていただきます。  東日本大震災から3年6カ月がたとうとしておりますが,被災地においては,今なお約24万人もの被災者が,避難生活を余儀なくされているところであります。我が自民県政クラブは,去る6月,本県,そして被災された福島,宮城,岩手の東北3県の復興状況を調査してまいりました。被災した各地において,本格的な復旧・復興を進めているものの,東北3県の被害は予想をはるかに超え,復興への取り組みをさらに加速させる必要性を感じたところであります。  そのような中,本県の復旧は,知事を初め多くの関係者の方々,そして何よりも茨城県民の全ての思いのおかげで,順調に進んでいると感じたところであります。しかしながら,原発事故による風評被害などはいまだに残っていることから,今後,さらなる復興に向けて取り組んでいかなければなりません。
     昨年9月,橋本知事は,大震災などから一日も早い復興と本県のさらなる発展に向けて「産業大県」と「生活大県」づくりに全力で取り組むことを念頭に「復興そして飛躍へ」というキャッチフレーズを掲げ,6期目のスタートを切りました。1年が過ぎ,地域間競争が激化する中,本県が大きく飛躍するための大変重要な時期であります。  今回,県政運営全般について,知事初め教育長,そして県警本部長に質問させていただきますので,将来への希望が持てる明快な答弁をお願いいたします。  最初に,知事の県政運営の基本姿勢について質問いたします。  知事はこれまで,陸・海・空の広域ネットワークを初め,茨城の発展を支えるさまざまな基盤整備に全力を挙げてこられました。また,震災や原発事故の対応に加え,地域経済の低迷する中,県勢発展や県民福祉向上のため,さまざまな課題に取り組んできました。  その結果,日野自動車を初め国内有数の優良企業の誘致など,工場立地面積は全国1位を,また,農業産出額においても2位の座を確保し続け,県民一人当たりの県民所得は全国6位,さらに,健康寿命においては,介護予防として全国に先駆けたシルバーリハビリ体操などを取り入れてきたことにより,男性は4位,女性は7位となるなど,着実な成果を上げてきました。  この先,5年後には本県における国民体育大会,翌6年後には,東京オリンピックパラリンピックの開催など大きな国内イベント世界的イベントが目白押しであります。これらのイベント開催の効果が波及することにより,産業の活性化などにおいて,本県のさらなる発展が大きく期待できるものと思われます。  知事におかれましては,1年前に「人が輝く 元気で住みよい いばらきづくり」を選挙公約として掲げ,県内の44市町村長や,JA中央会を初め700を超える各種団体の推薦を受け,見事6回目の当選を果たされました。多くの県民が橋本知事を選んだのは,揺るがない信頼関係とともに,継続して県を発展させてほしいという強い期待のあらわれであります。  人口減少や超高齢化,社会経済のグローバル化の進展などに伴うさまざまな課題がある中,今後の県勢発展のために,豊富な経験,政治的なバランス感覚とリーダーシップを持ち合わせている橋本知事の行政手腕に,大きな期待をしているところであり,私ども自民県政クラブとしても,引き続き橋本県政を支えていく決意であります。  そこで,今後,本県のさらなる発展に向け,どのような県政運営に取り組んでいくのか,知事にお伺いいたします。  次に,ジェトロと連携した対日投資促進に関する県の取り組みについて,お伺いいたします。  先日,私は,東京赤坂のジェトロ本部へ,結城市長と一緒に訪問し,石毛理事長,茨城担当の浜野理事に面会をしてまいりました。本年6月に,国内40番目にジェトロ茨城事務所が設置されましたが,今後,企業の海外進出や本県農産物輸出の支援はもとより,地元の結城紬や笠間焼,真壁石燈籠など,世界へアピールできる本県の伝統工芸品についても,将来に向けて,海外への販路拡大を視野に入れていくことについて,意見交換して,理解をいただいたところであります。  そのような中,国内40番目とおくれて本県に設置されたことから,他県に比べ,スピード感を持ちながらジェトロと連携して取り組んでいくことが重要であり,今回,ジェトロが自治体と協力して実施する主要業務の柱の一つであります,対日投資促進に関してお伺いいたします。  現在,国では,日本再興戦略において,地方経済の元気を取り戻し,国民一人一人が豊かさを実感できるようにするため各種の施策が実施されており,その一つとして,日本の投資環境の魅力を高め,グローバルなヒト・モノ・カネを日本に呼び込む取り組みの体制強化を図っているところであります。  その取り組みとして,外国企業への広報・情報発信など,日本への投資の働きかけや日本企業との提携の機会を設けるなど,積極的に進める必要があります。そのためには,橋渡しのできるノウハウを持つジェトロの支援は欠かすことができません。  ジェトロにおいては,10年以上前から対日直接投資促進を中核事業として位置づけて取り組んでいるほか,昨年7月,理事長を本部長とする対日投資促進本部を設置し,組織を挙げて外国企業の誘致に取り組んでおり,その結果,この10年間において1,000件を超える外国企業の,日本への拠点設立に対する支援を行ってきたところであります。  国は,外国企業の進出だけでなく,観光客の誘致,日本の伝統文化などのPRなどインバウンド対策を積極的に進めております。これらの事業との相乗効果を地域へもたらし,地域経済の活性化を実現するためには,国に頼るばかりでなく,地域みずからがおのれの強みをとらえ,積極的に投資を呼び込もうとする取り組みが不可欠であります。  そのため私は,これまで県や地域の国際化に早くから力を入れてきました。みずからも海外に赴き,海外の政府や企業との交流に努めてきたところであります。自民県政クラブにおいても,社会経済のグローバル化,特にアジアとの経済面での交流拡大の流れを受け,県の国際化施策を総合的・戦略的に進めるため,県の推進体制の整備を訴え続けてきました。  その結果,今年4月,国際政策統括監が新たに設置され,国際課が知事直轄に移管されるなど,県としての体制が整ってきました。新たにジェトロ茨城貿易情報センターが水戸市に開設され,輸出・輸入の促進だけではなく,本県への投資の呼び込みについても,積極的な支援をいただけるものと期待しております。  そこで,本県への対日投資促進に向けてどのようにジェトロと連携し,どのように取り組んでいくのか,知事に伺います。  次に,開発公社の市町村に対する支援について伺います。  ここ数年,我々の会派の地元である県西・県南地域では,知事の英断により立地した日野自動車の効果,また,近年開通予定の圏央道の効果,新4号国道の一部6車線化などにより,企業の進出意欲が高まってきております。例えば,私の地元である結城第一工業団地矢畑地区においても,売りに出した用地はほぼ完売し,新4号国道沿線地域には,大手企業による引き合いや,医療機関による大規模な温泉リハビリ施設の建設などが進められている状況であります。一方,お隣の栃木県の小山市,野木町などは,既に工業団地や住宅団地の開発に積極的に乗り出しております。  このような中,県は依然として,原則,新規工業団地開発は行わないという方針を堅持しております。県ができなければ,市町村がやるわけでありますけれども,本県の市町村の規模は小さく,ほとんどの市町村には,開発ノウハウや人材がないのが現状で,このままでは,せっかくの日野効果が他県にさらわれてしまうおそれがあります。  私はこのような状況を打開するためには,もっと積極的に開発公社を活用すべきだと考えております。開発公社は,一時期債務超過危機に陥り,多額の県の支援を受けたことから,不良な出資団体の代表格のようにとらえる向きもありましたが,これまで本県の産業振興に果たしてきた実績は,正当に評価すべきでありますし,またここ数年,県及び団体の経営改革努力により,経営状況は大きく改善していると聞いております。  とりわけ,日野自動車誘致の際の迅速・的確な対応は,企業の高い評価を受け,18ヘクタールの拡張も決まったようです。また,見過ごされているのは企業誘致力の高さであります。昭和35年度の設立以来,リーマンショックの影響が色濃かった平成21年度のたった1年を除き,全年度必ず企業立地をさせております。  今こそ,開発公社のこれまでの実績や現在の経営状況を冷静に評価して,専門家集団としてのこうしたノウハウを今後の市町村の産業用地開発に注入し,他県に負けない迅速な開発ができるよう,支援していくべきであります。  6年後には,国を挙げての東京オリンピックパラリンピックの開催,産業活性化にも大きな期待が込められるこの開催は,首都圏に位置する本県にとっては,さらに土地需要が高まり,またとないビックチャンスと考えます。  そこで,市町村が行う産業基盤の開発整備に対し,開発公社が持つ能力を生かした市町村への支援に積極的に取り組んではどうかと考えますが,知事の御所見を伺います。  次に,在宅医療と介護の連携について伺います。  9月15日は敬老の日を迎えますが,茨城県の7月1日現在の県内における100歳以上の高齢者数は1,335人,90歳以上の高齢者は3万8,000人となり,私の身近でも,多くの元気な高齢者が,地域社会のさまざまな分野で活躍されており,大変喜ばしいことであります。一方,高齢になりますと当然のことながら,体の機能が衰えたり,けがや病気によって医療や介護サービスを受ける機会が多くなります。  本県の高齢者の割合は今年25%を超え,さらに,国立社会保障人口問題研究所が今年3月に発表した本県の高齢者の人口割合は,平成37年ごろには30%を超えるものと推計され,団塊の世代が75歳となる2025年には,国民の医療や介護の需要はさらに増加することが見込まれ,新たな医療介護の提供体制の確立が急務となっております。  そのため国では,社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえて,住みなれた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な支援・サービス提供体制である地域包括ケアシステムの構築を推進すべく,今年6月,医療及び介護の総合的な確保を推進するための法律,いわゆる,医療介護総合確保推進法を公布したところであります。  今後,地域において疾病や要介護状態にある高齢者の数が,大きく増加することは避けられない状況にあります。そして医療と介護を必要とする高齢者を地域全体で支えていくためには,訪問診療,訪問看護など在宅医療と介護の連携することが不可欠であり,利用者の求めに応じ適切にサービスが提供されることが大切であります。  医療介護総合確保推進法に基づく在宅医療と介護サービスの提供体制については,市町村で整えていくことになっており,各市町村における取り組みや,各地域ごとに抱えている課題に違いがあるところでありますが,県内どこに住んでいても,安心して医療介護の一体的なサービスの提供が受けられることが望ましいことは言うまでもありません。そして,高齢者の方々を取り巻く,医療介護に従事する方や民生委員,ボランティアの方などを含め,地域の方々が,みんなで支え合うようにすることが何よりも大切であり,高齢者の方が,この茨城県で生まれたことに喜びを感じてもらえるよう,私たち一人一人が協力していかなければなりません。  こうした状況において,今後,市町村が地域の実情に応じた在宅医療・介護の連携に係る事業を推進していくためには,県の支援が不可欠であると思われますが,県としてどのように市町村を支援していくのか伺います。  次に,茨城農業の展開方向について伺います。  県では,平成23年度から27年度の5年間を推進期間とする茨城農業改革大綱を策定し,消費者のベストパートナー茨城農業の確立を目指し,各種改革の取り組みを推進しているところであります。  ところが,この大綱がスタートする矢先に,東日本大震災東京電力福島第一原子力発電所事故があり,震災直後には,出荷制限や風評被害により農業産出額も大きく減ったところであります。しかしながら,地域の創意工夫による農業改革の推進とあわせ,風評払拭のためのさまざまなキャンペーンなどを進めてきたことにより,風評被害の影響は減ってきている現状と認識しております。  このような中,平成24年度の農業産出額については震災前と同じ水準に回復し,5年連続で全国第2位の座を維持するとともに,東京都中央卸売市場の本県産青果物取扱高は,震災後3年ぶりに10%に回復し,10年連続で日本一を達成するなど,食料供給基地としての日本の食を支えている本県農業の力強さ,たくましさを改めて実感しております。  しかし,本県の農業は,従事者の高齢化が急速に進み,就業人口の平均年齢は65.7歳となっているほか,耕作放棄地面積は2万ヘクタールを超えており,離農者の農地を確実に担い手へ集積できるようにするなど,茨城農業の構造改革は待ったなしの課題であると考えます。  そこで,農業が魅力ある産業になるためには,収益性の高い農業の展開が重要であり,しっかり所得を上げられている産地は後継者問題も解消されていることから,生産効率の向上を目指し,オランダ型高軒高ハウスの導入など施設園芸の推進や,畑地帯総合整備事業を初めとする基盤整備も重要であります。  こうした中,国では,今後の農政の基本方向を示す農林水産業・地域の活力創造プランを昨年12月に決定するとともに,本年6月に改定を行っておりますが,このプランの中では,2020年までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円に倍増し,2030年には5兆円の実現を目指すなど,海外に打って出る攻めの政策も掲げられ,国内の農業は大きな転換期を迎えております。  そこで本県が,食料供給基地として,今後ともその重要な役割を担っていくために,どのような施策に重点的に取り組んでいくのか,知事に伺います。  次に,県西地区の発展に向けた道路行政について伺います。  最初に,圏央道の整備見通しについてです。本県において,圏央道は今年4月に,稲敷インターチェンジから千葉県境までが開通し,常磐道から西側の,つくば中央インターチェンジから五霞インターチェンジまでを残すのみとなりました。  このような中,用地取得が難航している箇所につきましても,土地収用法の手続が着々と進み,用地取得の見通しが立ったと聞いており,県内区間全線開通に向けた整備も大詰めを迎えるところと受けとめております。  圏央道の整備により,平成27年度には東関道水戸線,常磐道,東北道,関越道,中央道,東名高速の各高速道路がぐるりと結びつくことにより,広域的な道路ネットワークが形成され,広域交流の一層の促進や産業の振興など,圏央道沿線地域のみならず本県全体,さらには国民生活にも大きな波及効果が期待されるところであります。県西地区からは,水戸方面,成田方面,そして東名高速までが1本につながることになり,利便性が飛躍的に向上することと期待しております。  さらに,日野自動車古河工場が本格稼働するのに合わせて,周辺自治体にも関連企業が相次いで進出してきており,開通予定のインターチェンジ周辺においても,圏央道沿線の優位性を生かした新たなまちづくりや工業団地の計画が着々と進み,県西全体が大きく変わろうとしております。このように圏央道は,県西地域の発展のためには不可欠な高速道路であり,沿線地域としては,一日も早い開通を待ち望んでいるところであります。  そこで,圏央道の開通に向けた県内区間の現在の整備状況と今後の見通しについて,知事にお伺いいたします。  次に,新4号国道の整備見通しについて伺います。  新4号国道は,国道4号の慢性的な交通混雑を解消するため,埼玉県越谷市から栃木県宇都宮市に至る区間を80.5キロメートルのバイパスで結ぶ主要な幹線道路です。茨城県区間と栃木県区間は6車線化で計画されており,栃木県内の40.5キロメートルは6車線で昨年4月整備が完了し,栃木県内の大動脈として利便性の向上,地域の振興につながっております。茨城県においても,結城市と古河市の一部において6車線化が完了しているものの,古河市柳橋から埼玉県境に至る区間が2車線となっており,この区間においては激しい交通渋滞が発生しております。  新4号国道は,沿線地域の工業団地を連絡し,県西地域産業流通活動を支えるとともに,圏央道の開通効果を生かした新たな企業誘致を行う上で大変重要な道路であります。  これまで橋本知事においても,この道路の重要性を十分認識していただいているところであり,自民県政クラブとしても栃木県の議員団と一緒に,太田国土交通大臣や両県知事へ,本路線の早期完成について積極的な要請活動を行ってきたところであります。  今後,圏央道が開通することにより,新4号国道の交通量はますます増加することが予想されるため,今年度の圏央道の開通に合わせて,2車線区間の4車線化を確実に進めるとともに,引き続き6車線化の整備を求めていきます。そこで,新4号国道の整備状況と今後の見通しについて,知事にお伺いいたします。  次に,教育行政の,少子化社会における高校教育について,教育長にお伺いいたします。  本県における中学校卒業者数は,ピーク時である平成元年の4万9,441人に対し,この春の卒業見込みの生徒数は2万8,660人と約2万人が減少している状況にあります。現在は,厳しい人口減少社会に突入しており,高校の統合などはもはや避けて通れず,ますます重要な課題となっております。  この間,社会の高度情報化の進展や,産業構造や雇用形態の変化等が急速に進むとともに,成熟化する社会の中で生徒の興味・関心,進路希望等の多様化が一層進み,確かな学力の育成や望ましい勤労観・職業観を育むためのキャリア教育の推進等が課題として挙げられるようになりました。  このような急激な社会変化に適切に対応するため,高校では,学科改編並びに総合学科,単位制高等学校中高一貫教育校など,新しいタイプの特色ある学校の設置等により,魅力ある学校・学科づくりを進めるとともに,学校の統合等を実施し,学校の規模や配置の適正化を図っております。  私の地元の県西地域においても,結城第二高等学校が,平成20年度に新しいタイプの学校としてフレックススクールとなり,不登校経験者中途退学者なども積極的に受け入れ,地域から高い信頼を得ております。また,平成25年度には,古河中等教育学校が開校し,6年間の計画的・継続的な一貫した指導のもと,国際社会で活躍できる人材や,医療や科学技術を担う人材の育成に力を注いでおり,今後,県西地域の中核的な役割を果たしていってくれるものと考えております。  一方,高校進学率は98%を超える状況の中,多くの高校においては多様な生徒が入学し,生徒の個に応じたきめ細かな指導が求められております。さらに,これからの時代を生きる生徒たちには,基礎・基本を確実に身につけ,いかに社会が変化しようと,みずから課題を見つけ,みずから学び,みずから考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力,いわゆる「生きる力」を育成していくことが大切であります。  このような中,学校においては,学校や生徒の実態に応じ,指導方法や指導体制などの工夫改善を図っていくことが重要であり,それに対応した教師の指導力の向上が必要であります。また,今後,教員の大量退職期を迎えるに当たり,これからの教育を担っていく若手教員がいかに育っていくかという課題もあります。  そこで,今後,さらに少子化と多様化が同時に進む中,高校ではいかにして学校教育の一層の活性化を図っていくのか。また,教師の指導力の向上にどのように取り組んでいくのか,教育長の御所見を伺います。  次に,小学校の英語教育について伺います。  今日,経済,社会のさまざまな面でグローバル化が進み,国際的な経済競争は日に日に激化し,多くの挑戦が求められております。そのような中,国際社会に対応する人材育成は大変重要であります。  昨年,国の再興戦略において,国際化社会に対応する人材力の強化として,小学校における英語教育の強化と授業の実施について検討することが示されました。12月には,グローバル化に対応した英語教育改革実施計画で,小学校3,4年生から外国語活動を開始し,5,6年生で英語を,国語や算数と同じように教科化するという方向が示されました。今後の予定としては,これらについて検討を重ねていき,4年後の2018年度から段階的に先行実施し,東京オリンピックパラリンピックが開催される2020年度から,全面実施するという流れが示されております。  こうした中,県内の市町村でも,さまざまな形で小学校の英語活動に取り組んでおります。私の地元,結城市においても,小学校3年生から6年生を対象に,英語を使って楽しく活動する時間を設定し,児童の英語への興味・関心の醸成,英語嫌いの解消,そして中学校英語へのスムーズな移行を目指し独自の英語活動を推進しております。このほか,つくば市などにおいては,教育課程特例校として,小学校から英語教育に取り組んでおり,英語を身近に感じながらなれ親しませたり,楽しく英語力を身につけさせていると聞いております。  先日,私は,この質問を行う上で,英語教育に早くから取り組んでいるつくば市立春日小学校を視察してまいりました。そこでは,小学生の子どもたちが楽しく英語を学んでいる姿を視察することができ,大変頼もしく感じたところであります。  県においても,これまで日本の未来を担う人材育成のため,国際社会で活躍できる人材育成事業に取り組んできたところであり,本年度はこれらの国の動きを受け,新たに小学校外国語活動推進事業を立ち上げ,小学校教員の英語力及び外国語活動の指導力向上を目的とした研修を行っております。また,去る8月にアメリカのハワイ大学に,中学校及び高等学校の教員を21名派遣し,研修を行い,今後,他の教員の指導力向上に貢献させていくと聞いております。  そこで,今後,小学校での英語の教科化を見据え,この研修の成果をどのように県内に波及させ,小学校教員の指導力の向上にどのように取り組んでいくのか,教育長にお伺いいたします。  最後の質問として,県警本部長にニセ電話詐欺対策についてお尋ねいたします。  最初に,平成17年,栃木県旧今市市で,当時小学校1年生の吉田有希ちゃんが何者かに連れ去られ,翌日,本県の常陸大宮市の山林内において遺体で発見されるという,大変痛ましく凶悪な事件が発生しました。この栃木・茨城にまたがる女子児童殺人・死体遺棄事件については,栃木・茨城両県警察による合同捜査本部で,去る6月に被疑者の逮捕にこぎつけることができたことは,警察の慎重かつ粘り強い捜査を継続してきたことによるものであり,深く敬意を表する次第であります。  安心・安全な地域社会は全ての県民の願いですが,今後も県民が安心安全な生活が送れるよう,治安維持の,なお一層の取り組みの強化をお願いするものであります。  さて,新聞報道によりますと,高齢者の方々に電話をかけ,息子や孫を装ったり,架空の投資話を信じ込ませたりして金をだまし取る詐欺が急増しております。昨年中のニセ電話詐欺の全国の発生件数は1万1,998件,被害総額は489億円であり,本県においても,昨年1年間に県内で発生したニセ電話詐欺は過去最悪の290件,被害総額は15億8,900万円に上りました。被害状況においては,オレオレ詐欺が全体の41%と圧倒的に多く,全ての被害者が60歳以上であり,そのうち女性が8割を占めている状況です。  これまで県警本部では,コールセンターを設置しての注意喚起や,地域の金融機関等と連携し被害の未然防止に取り組んできたところと聞いております。また,7月から,オレオレ詐欺を含む振り込め詐欺と,金融商品取扱詐欺などの振り込め類似詐欺を総称する特殊詐欺については,手口と名称を一致させてわかりやすくし,被害の未然防止に生かせることを目的として「ニセ電話詐欺」と名称を統一させたところであります。  そのような中で被害件数は,今年に入っても昨年と比較するとふえており,7月31日現在,1件増の141件ですが,被害額は約7億5,800万円に達しており,昨年より6,200万円もふえております。先月も,行方市の60代の女性が,投資に絡むニセ電話詐欺で現金1,500万円をだまし取られるという事件が発生したところであります。  高齢者の方々を狙った犯罪は決して許さず,安心して安全に暮らせる地域社会を確立していくためには,徹底したニセ電話詐欺の取り締まりと被害防止対策に取り組んでいくことが重要であります。  そこで,一向に減少しないニセ電話詐欺の撲滅に対する今後の取り組みについて,県警本部長にお伺いいたします。  以上で,質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 6 ◯飯塚秋男議長 臼井平八郎議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本昌知事登壇〕 7 ◯橋本昌知事 臼井平八郎議員の御質問にお答えいたします。  初めに,県政運営の基本姿勢についてお尋ねをいただきました。  私は,これまで,将来にわたり地域の活力を維持し,本県を発展させていくためには,まず,本格的な人口減少時代が到来する前に,将来の茨城づくりの基本となるインフラを整備しなければならないと考え,高速道路や鉄道,港湾,空港などの広域交通ネットワークの構築を積極的に進めてまいりました。一部時間がかかっているものもありますが,全体として見れば,着実に県土の整備を進めてくることができたと思っております。  そして,これらを活用して雇用の場を確保し,一定の人口を維持していけるよう,産業大県づくりを進めてきたところであります。  この結果,国内有数の優良企業が数多く立地し,北関東道の沿線地域等は,経済誌で日本の新たな「四大工業地帯」の一つとして紹介されるまでになったところであります。  また,農業につきましても,産地間の激しい競争が続く中,安全・安心,高品質な茨城農業を進展させ,原発事故の影響があるにもかかわらず,平成20年からは,5年連続農業産出額が全国第2位の座を維持しております。  そして,このような産業大県づくりから生じた活力を生かし,福祉や医療,教育,環境など県民生活向上のための取り組みを充実させるべく,生活大県づくりを進めているところであります。  こうした県政運営によって,本県は一人当たり県民所得が全国第6位になるまでに発展してくることができました。しかしながら,これからの茨城を考えた場合,少子高齢化,人口減少が急速に進む中で活力をどう維持し,県全体のバランスのとれた発展をしていけるかが,大きな課題であると考えております。  私は,基本的には,今後とも「人が輝く 元気で住みよい いばらきづくり」の考え方を踏襲していきたいと考えておりますが,同時に,今後は世界に開かれたいばらきづくり,女性や若者が活躍しやすい環境づくり,人口減少の著しい県北地域対策,さらには,我が国の将来を担う人づくりなどに,特に力を入れて県政運営をしていきたいと考えております。  このため,例えば,県内企業の海外展開や農林水産物等の輸出促進に努めますとともに,観光誘客や学術面での国際交流の促進など,アジア地域を初め,世界各国とさまざまな分野での交流拡大を図ってまいります。  女性が輝く社会づくりでは,7月に設置した「ウィメンズパワーアップ会議」での議論や検討を踏まえ,働きながら安心して子育てができる環境づくりや,意欲ある女性の起業やキャリアアップなどを積極的に支援してまいります。  また,県北地域では,若者定住のための職場づくりや豊かな自然を活用した観光振興,スポーツやアートによるまちづくりなど,地域の特色を生かしながら地元市町と力を合わせ,元気で住みよい地域づくりに取り組んでまいります。  さらに,教育に今まで以上に力を入れ,次の時代をリードする研究開発者や国際社会で活躍できる人材などを育成し,科学技術創造立県を目指してまいります。  このような取り組みにより,日本の発展の一翼を担えるような強くてやさしいいばらき,世界に開かれたいばらきを実現できるよう,全力で県政運営に努めてまいります。  次に,ジェトロと連携した対日投資促進に関する県の取り組みについてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,グローバル化や人口減少が進展する中,本県の着実な発展を図るためには,本県の優位性を生かし,海外からの投資を呼び込んでいくことも大変重要であると考えております。  県ではこれまでも,最先端の科学技術や高度なものづくり産業の集積,整備が進む広域交通ネットワーク,首都東京への近接性など,本県の優位性や各種のプロジェクト等を,外国語版のホームページやパンフレットで情報発信してまいりました。また,私が海外の要人や起業関係者に直接本県の魅力をアピールしますとともに,国際航空路線や外航航路の誘致,外国人観光客の誘客など,本県への投資にもつながる活動を展開してきたところであります。  また,ジェトロでは,対日投資に関心を持つ外国企業に対して,平成13年から,ホームページ上で投資事例や優遇施策などを紹介し地域への進出をサポートしておりますが,本県でも,開設当初よりこのページを活用してまいりました。  今後は,6年後に東京オリンピックパラリンピックが開催され,本県に投資を呼び込む絶好の機会ともなりますので,これまでの取り組みをさらに強化しますとともに,映像による海外向けの情報発信,ジェトロが世界各地に配置する産業スペシャリストの活用など,海外での投資誘致活動を推進してまいりたいと考えております。
     本県に興味を持っていただいた企業等に対しましては,ジェトロの専門家とも連携し,国や県の優遇施策の周知を図りますとともに,ジェトロが行う視察ツアーなどによる来県を促し,実際の投資に結びつくよう努めてまいります。  さらに,ことし6月に開設されたジェトロ茨城貿易情報センターと,庁内関係部局等による投資促進のための研究会を年内に設置し,外国企業のニーズや効果的な誘致方策などについて研究を行い,つくば国際戦略総合特区やJ-PARC周辺への研究開発型企業の進出,国外からの観光客の増加に伴う関連企業の誘致など,幅広い投資を促進する施策について検討してまいります。  現在,国では,ジェトロと連携しつつ外国企業の誘致に積極的な地方自治体の取り組みを全面的に支援するとしているところでありますので,県といたしましても,国やジェトロとの連携をさらに強め,戦略的な情報発信や投資誘致活動を展開し,地域経済の活性化に努めてまいります。  次に,開発公社の市町村に対する支援についてでございます。  開発公社につきましては,これまで長年にわたり工業団地の造成を行いますとともに,近年では,企業からの要請に応え,古河名崎工業団地の整備に取り組むなど,本県の工業団地造成の中心的役割を担ってまいりました。  しかしながら,公益法人会計基準の変更などにより債務超過に陥るおそれが生じたため,県議会等の提言を踏まえ,平成21年度に県の支援と経営健全化に向けた取り組み等を定めた経営改革プランを策定いたしました。開発公社は,このプランに基づき抜本的な経営改革に取り組み,経営状況の改善が図られてきているところであります。  一方,今後の土地開発事業につきましては,県の工業団地に係る受託事業を中心に取り組むこととし,みずから行う事業については,事業の確実性が担保され後年度の負担が生じないことや,資金調達に当たっては県の損失補償によらないことなどの厳しい制約のもとに行うこととしたところであります。  このような中,圏央道の整備進展や日野自動車関連企業の立地などを踏まえ,県西地域を初め県内の多くの市町村から,新たな産業用地の開発について,開発公社に対し具体的な相談が寄せられているところであります。  企業の立地が期待できる地域における産業用地の開発は,今後の本県の地域振興にとって大変重要なものでありますが,市町村には,そのためのノウハウが十分にないのが実情でございます。また,企業誘致につきましても,市町村だけでは立地に結びつけることが難しいことから,開発公社東京事務所に職員を駐在させる市町村もあるなど,開発公社の企業誘致能力に期待が寄せられております。  したがいまして,迅速・的確に事業を進めるためには,議員御指摘のとおり,事業計画の策定から都市計画決定等に係る関係機関との調整,造成工事,企業誘致などの一連のノウハウを有しますとともに,企業からのさまざまな要望にも速やかに対応できる開発公社が,市町村と一体となって産業用地の開発に取り組んでいくことが,大変有効であると考えております。  県といたしましては,交通基盤の整備が進み,企業の進出意欲が高まってきているこの機会を逃すことなく,県内市町村が企業誘致を着実に進めていくためにも,開発公社が積極的に市町村を支援できるよう,指導をしてまいります。それが,ひいては本県の発展に結びついていくものと考えております。  次に,在宅医療と介護の連携についてお答えいたします。  今年6月に医療介護総合確保推進法が制定され,全ての市町村で,医療と介護の連携を推進する事業を実施することが法的に位置づけられたところであります。これを受け,茨城県医師会を初めとする医療・介護関係団体により茨城県地域医療連携推進協議会が設置されましたことから,県としても当該協議会に参画し,多職種によるネットワークづくりに取り組んでいるところでございます。  一方,県では,平成25年度からの第6次保健医療計画において,在宅医療の提供を大きな柱の一つと位置づけ,市町村を中心とした医療・介護のサービス提供体制の構築を図るため,モデル事業として,在宅医療・介護連携拠点事業を実施しているところであります。  この事業では,市町村が地域医師会など職能団体の協力を得て,医師,看護師,薬剤師,ケアマネジャー等の多職種による協議の場を定期的に設け,顔の見える関係を築きますとともに,地域全体で支え合うための新たな仕組みづくりを推進しているところであります。  これまでの取り組みから,共通の課題として多職種間での情報共有,ケアマネジャーと医師との連携,医療・介護施設等の地域資源の把握などが必要であること,さらに,地域の課題としては,訪問看護等の在宅支援サービスの充実や,診療所と病院の連携体制の強化などが挙げられているところであります。  これらの課題に対応していくためには,今後,多職種が参加するケア会議の開催,地域の医療・介護施設等のマップ作成,さらには,訪問看護ステーションの運営支援や在宅医療における病院の役割の明確化などの取り組みを進めていく必要がありますので,県としても,新しい事業の実施主体となる市町村などと一体となって,事業の円滑な推進に努めてまいります。  県といたしましては,これらに加え,在宅医療・介護に関する普及・啓発のための研修会の開催,各地域におけるモデル事業の成果の紹介,管轄の保健所による助言などにより,市町村が地域の実情に応じた医療と介護の連携体制を構築できるよう,支援をしてまいります。  次に,茨城農業の展開方向についてお答えいたします。  本県は,農業産出額が全国第2位,東京都中央卸売市場においては,日本一の青果物取扱高を誇っており,県民・国民への食料供給において,大きな役割を担っているところであります。  しかしながら,議員御指摘のとおり,農業従事者の高齢化や耕作放棄地の増加など,本県においても待ったなしの課題に直面しておりますことから,担い手の確保と担い手への農地集積を一層進めますとともに,農業が若者にとって魅力ある職業となるよう,もうかる農業を実現していくことが大変重要であると認識しております。  このため,今後の施策展開に当たっては,茨城農業改革大綱に基づき,安全・安心で高品質な農産物を安定的に供給できる産地づくりを引き続き進めますとともに,国の農林水産業・地域の活力創造プランに位置づけられた施策を積極的に活用しながら,改革を加速させてまいります。  まず,担い手の確保につきましては,農業法人等が新規就農者を受け入れて技術指導等を行い,自立を促すいばらき実践農場整備支援事業や,国の青年就農給付金を活用することなどにより,青年の就農意欲の喚起と定着を図ってまいります。また,担い手による効率的な土地利用を進めるため,本年4月に設置された農地中間管理機構を活用して,離農者等の農地を借り受け,まとまりのある形となるよう配慮して貸し付け,担い手への農地集積と集約化を進めてまいります。  さらに,効率的な営農を展開するためには基盤整備が重要でありますことから,整備のおくれている畑地において,区画整理とあわせ用排水施設や,農道などを総合的に整備する畑地帯総合整備事業を計画的に推進してまいります。  次に,もうかる農業の実現に向けましては,園芸施設の高度化や6次産業化,ブランド化等の推進等が必要であると考えております。  このため,本年度から農業総合センター内に高軒高ハウスを設置し,トマトなどの収量を現行の倍以上に向上させる技術の確立と普及に取り組んでまいります。また,農産物の付加価値を高めるため,国の交付金を活用して新商品の開発や加工施設の整備を支援するなど,6次産業化を推進しますとともに,販売促進とイメージアップを図るため,農産物の高品質化や県オリジナル品種の活用等を通じたブランド化を進めてまいります。  さらに,ジェトロ茨城貿易情報センターと連携し,海外バイヤーの招聘や海外での商談会への出展支援などにより,本県農産物の輸出を促進してまいります。  これらの取り組みにより,本県が,今後とも食料供給基地としての役割を果たしていけるよう,農業改革を着実に推進してまいります。  次に,県西地域の発展に向けた道路行政についてお答えいたします。  まず,圏央道の整備見通しについてでございます。圏央道は,広域交流を活発にし,企業誘致の促進や,県内立地企業の競争力強化,観光客の増加など,沿線地域の活性化を図る上で必要不可欠な基幹的インフラでありますとともに,今後予想される首都直下地震などの際には,緊急輸送路として大きな役割を担う大変重要な道路であり,一日も早い全線開通が喫緊の課題となっております。  これまで県としては,早期開通について,国や東日本高速道路株式会社に対して強く要望しますとともに,地元市町と連携して,国が行う用地取得に対して全面的に協力してまいりましたほか,工事に係る関係機関との調整を図るなど,さまざまな支援を行ってまいりました。  このように国及び東日本高速道路株式会社,そして県と地元市町が一丸となり取り組んでまいりました結果,東北道から境古河インターチェンジ間については平成26年度内に,境古河インターチェンジからつくば中央インターチェンジ間については平成27年度内に開通する見通しが公表され,本年度も,必要な予算が確保されている状況にございます。  現在の整備状況と今後の見通しでございますが,常磐道から西側では,平成26年度開通予定の東北道から境古河インターチェンジ間については,埼玉県側も含めまして,本線開通に必要な工事が全て着手され,開通に向けて順調に整備が進められております。また,平成27年度開通予定の境古河インターチェンジからつくば中央インターチェンジ間については,用地取得がほぼ済んでおり,一部難航している用地についても,任意交渉と並行しながら土地収用法の手続が進められ,用地が取得できた箇所から,順次,工事が進められております。  一方,常磐道から東側では去る4月12日に,稲敷インターチェンジから千葉県の神崎インターチェンジ間が開通し,その先の東関道までの区間につきましても,既に用地取得が全て完了しており,今年度の開通に向けて鋭意工事が進められております。  県といたしましては,今後も引き続き,国や東日本高速道路株式会社に対しまして,-日も早い開通ができますよう強く働きかけてまいりますとともに,圏央道の整備効果を最大限に生かせるよう,市町が進める沿線開発につきましても,積極的に支援してまいります。  次に,新4号国道の整備見通しについてでございます。  新4号国道は,首都圏と北関東方面を結ぶ南北の大動脈として,圏央道や北関東道とともに広域的な道路ネットワークを形成し,災害時には緊急輸送道路となる極めて重要な幹線道路でございます。また,本道路は,地域間の交流を活発化し,日野自動車や関連企業の進出に見られますように,周辺の企業立地を促進するなど,県西地域の活性化に大きく寄与する役割も担っております。  本道路の整備状況でございますが,平成4年度までに全線を暫定2車線で供用し,その後も,順次,4車線化や6車線化が進められております。その結果,これまでに栃木県区間と結城市及び古河市の一部が6車線で完成いたしましたが,古河市の大和田から柳橋までの区間は4車線,古河市柳橋から埼玉県幸手市に至る区間はいまだに2車線となっております。  このような中,特に2車線区間におきましては,慢性的な交通渋滞を生じておりますことから,その解消が急務となっており,また,圏央道の久喜白岡ジャンクションから境古河インターチェンジまでの区間が,今年度の開通を予定している中で,そのアクセス道路である本道路の交通量が,さらに増加することが予想されますことから,圏央道の開通に合わせた4車線化が不可欠となっております。  このため県では,これまでにさまざまな機会をとらえ,本道路の整備推進を国に強く要望してきたところであり,これを受け,国におきましては必要な予算を確保し,工事を急ピッチで進めてきているところであります。これにより,圏央道の開通に合わせ,今年度中に,埼玉県区間を含む2車線区間の17.3キロメートル全てが4車線で供用される見込みとなっており,あわせて古河市内の4車線区間につきましても,平成28年度の6車線完成を目指し着実に整備が進められてきております。  県といたしましては,4車線化が一日も早く実現されますとともに,全線6車線化が早期に図られますよう,引き続き,国に強く働きかけてまいります。 8 ◯飯塚秋男議長 次に,小野寺教育長。                    〔小野寺教育長登壇〕 9 ◯小野寺教育長 教育行政についてお答えいたします。  まず,少子化社会における高校教育についてでございます。  近年の少子化や生徒ニーズの多様化に適切に対応するため,現在,県では,平成23年度から32年度までの10年間を期間とする第2次県立高校再編整備計画を進めているところでございます。  このうち,これまでの前期及び中期実施計画におきましては,分校化や生徒募集停止などの学校再編により学校規模の適正化を図る一方,中高一貫教育校フレックススクールなどを設置しますとともに,地域や生徒のニーズを踏まえた学科改編などを行い,多様な学校づくりを進めているところでございます。  今後,中学校卒業者数のさらなる減少が見込まれますことから,平成29年度から始まる後期実施計画におきましては,学校統合を含む再編整備について慎重に検討を進め,活力と魅力ある学校づくりを推進してまいりたいと考えております。  また,少子化・多様化が進む中で,生徒一人一人が確実に基礎・基本を身につけ,主体的に判断し行動する資質や能力,いわゆる「生きる力」を育成することは,ますます重要になってきております。  このため,特に総合学科や単位制高校など新しいタイプの学校を順次増設し,生徒の興味・関心や進路希望に応じたきめ細かな教育課程を編成することで,多様な生徒の進路選択に対応しているところでございます。また,茨城学力向上推進事業を実施し,指定された20校において,ティーム・ティーチングや習熟度別授業など,個に応じた指導の工夫,改善により,基礎学力の定着を図りますとともに,キャリア発達の支援に努めているところでございます。  一方,こうした教育を効果的に推進するためには,議員御指摘のとおり,教師の指導力が極めて重要であり,特に教員の大量退職時代を迎え,若手教員の育成は喫緊の課題であります。  そのため県では,新規採用予定者に,教員としての使命感や自覚を明確に持たせるための採用前研修や,採用後3年間,基礎的・基本的な資質・能力の向上などを図る若手教員研修を実施しております。特に,採用1年目の新任者に対しては,退職後のベテラン教員なども指導教員として活用し,マンツーマンで指導のノウハウを伝えているところでございます。  さらに今年度,これらの研修に加え,この10月から「いばらき輝く教師塾」を開講いたします。これは,本県の公立学校の教員を目指す学生や現職の若手教員を対象に,人間関係づくりや学級づくりなどの教員として必要となる素養を高めていくものでございます。  今後とも県としましては,少子化・多様化が同時に進む中で,教員の指導力の向上に努めながら,生徒の個に応じた教育を推進することにより,高校教育の一層の活性化を図ってまいります。  次に,小学校の英語教育についてお答えいたします。  現在,文部科学省では,グローバル化に対応できる人材の育成を目的として,小学校における英語教育の拡充強化について検討を進めており,今後,小学校で指導に当たる学級担任教員の英語力や指導力を向上させることが大きな課題となってまいります。  本県では,こうした課題にいち早く対応するため,教員自身の英語力を高める取り組みとして,今年度から「発音力」ソフトを活用した研修や,外国人講師との会話練習などを組み込んだ研修を始めており,今後,毎年およそ300人,5年間で1,500人の教員が受講することとなっております。  また,議員から御指摘のありましたハワイ大学への教員派遣につきましては,本年度から5年間,中学・高校から毎年21名の英語教員を2週間,ハワイ大学に派遣し,研修終了後は,専門指導員として小学校における英語の指導技術の普及に当たらせることといたしました。  ハワイ大学は,英語教授法において世界的権威とすぐれた実績を持ち,世界各国から多くの教員が訪れるなど高い評価を受けております。研修は少人数で,最新の理論に基づいて行われ,英語力や指導力の向上が図れる内容となっております。  本年度派遣された教員からは,英語のすぐれた指導法を身につけられるとともに,国際人としてのあり方や自国文化の大切さを改めて学ぶことができたといった声が聞かれ,授業改善や英語教育の充実に向けた意欲の向上に大変効果があるものと考えております。  今後,派遣された教員は所属する学校において,英語指導に関する知識や技能などを他の教員に普及するほか,専門指導員として地域の小・中学校全体の指導力向上に,中心的役割を担うことになっております。  具体的には,外国語活動指導法研究推進校として指定した14校の小学校におきまして,模範授業を行い,県内各小学校の代表の教員に参観させるとともに,参加者全員で研究協議を行い,英語教育の指導のあり方について研修を深めてまいります。また,研修に参加した教員が,模範授業から学んだことを各学校に持ち帰り,校内研修などを通して所属校の他の教員に伝えてまいります。  今後,こうした取り組みを通して,小学校教員の英語の指導力を向上させ,子どもたちの英語学習への意欲を高めるとともに,コミュニケーション能力の基礎を育んでまいります。 10 ◯飯塚秋男議長 次に,大平警察本部長。                    〔大平警察本部長登壇〕 11 ◯大平警察本部長 ニセ電話詐欺対策についてお答えいたします。  本年8月末現在のニセ電話詐欺の認知件数は161件,被害額は約8億5,300万円で,前年同期と比べて,認知件数は11件減少しているものの,被害額は約2,300万円増加しており,依然として厳しい情勢にあります。  これを手口別に見ると,架空請求詐欺が49件,約3億4,500万円と,件数,被害額ともに大幅に増加しております。また,現金の受け渡し方法別に見ると,指定された場所で犯人に直接手渡す現金手渡し型や,レターパック,宅配便等で送付する現金送付型が,振り込み型を大きく上回っており,認知件数では全体の74%,被害額では全体の84%を占めております。  このような情勢を踏まえ,今後の取り組みについて2点申し上げます。  1つ目は,徹底した取り締まりであります。だまされた振り作戦等による被疑者の検挙と,突き上げ捜査の徹底等により犯行グループの壊滅を図るとともに,犯行に使用された電話や銀行口座が判明したときには,速やかに解約依頼や口座凍結依頼を行い,これら犯行ツールを無力化するなど被害の続発防止を図ってまいります。  2つ目は,関係事業者等との協働による被害の防止であります。被害者の多くが金融機関において多額の現金を準備している実態を踏まえ,これまでも金融機関と連携して被害の未然防止を図ってきたところでありますが,本年6月からは,窓口において多額の現金を払い戻される高齢者に対して,預金小切手の活用を勧めていただき,必要に応じて警察へ通報していただくこととしました。また,増加する現金送付型の被害を防止するためには,郵便事業者や宅配便取扱事業者等との連携をさらに強化していく必要があると考えております。  県警察としては,これら施策を強力に推進するとともに,関係機関・団体等と連携して,県民に対する広報啓発活動を継続的に実施して県民の抵抗力の向上を図るなど,組織の総力を挙げて,ニセ電話詐欺対策に取り組んでまいります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 12 ◯飯塚秋男議長 暫時休憩をいたします。  なお,会議再開は,午後2時25分を予定いたします。                     午後2時9分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時26分開議 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 13 ◯飯塚秋男議長 休憩前に引き続き会議を開き,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  公明党八島功男議員。                 〔9番八島功男議員登壇,拍手〕 14 ◯9番八島功男議員 公明党の八島功男です。公明党を代表して,初めての代表質問をさせていただきます。知事におかれては,前向きで明快な答弁を期待いたします。  最初に,広島市で発生した土砂災害により亡くなられた方に,心からお悔やみを申し上げ,さらに被災された皆様に,心からお見舞いを申し上げます。  超高齢社会と人口減少社会,私たちが避けることのできない日本の現実は,先進諸国の課題解決の先進事例になると言われています。日本は,いかにして超高齢と人口減少の2極を乗り切るのかが注目をされているわけでございます。  茨城県の人口は,2000年1月1日現在の300万2,001人をピークに減少し,2014年1月1日には293万人になりました。国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口では,2040年には242万2,000人となり,2010年比較で約55万人の減少が見込まれます。  その内訳は,15歳未満・年少人口の割合は10.1%,15歳~64歳・生産年齢人口の割合は53.5%,65歳以上老年人口の割合は36.4%です。15才未満人口は16万人,15~64歳人口は59万人とそれぞれ減少し,65歳以上人口は21万人増加します。特に,75歳以上人口は20万人の増加が見込まれています。  政府は,骨太の方針で「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」と人口目標を初めて掲げ,合計特殊出生率2.08程度を実現しようとしております。  茨城県もまた,人口増減をなすがままに放置してはいられません。県民人口目標を設定し,あるべき年齢構成を計画して,内外から茨城県に居住したいと言われる「選ばれる茨城県」にならなければなりません。そのためにも,県議会と県執行部が二元代表の本義に従って,県政運営に邁進したいと考えます。  最初に,地域包括ケアシステムの構築について伺います。  まず,医療介護総合確保推進法への取り組みと第6期介護保険事業計画についてです。  団塊の世代が75歳となる2025年の超高齢社会に備えて,安定的な社会保障財源の確保のために本年4月,消費税が増税されました。消費税は社会保障政策の拡充に充当されるものであり,中でも,医療・介護・予防・住まい・生活支援が,住みなれた地域で一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築にも充当されます。  6月18日には,在宅で医療と介護のサービスが受けられる環境を整備し,医療・介護連携を促進する医療介護総合確保推進法が成立いたしました。医療分野では,急性期病床と慢性期病床の機能分化を推進し,さらに,在宅医療の充実など医療提供体制の整備に向けて,県に新たな基金を設置するとしています。  一方,介護分野では,特別養護老人ホームの新規入所者を原則,要介護3以上に重点化するとし,要介護1,2についても,特例入所の4要件が示されたところです。  市町村においては,平成27年からスタートする第6期介護保険事業計画の策定が進んでおり,日常生活圏域ニーズ調査を踏まえ,第6期計画だけではなく,2025年を展望した事業が検討されているところです。  第5期においては,県内市町村の介護保険料に約1,300円の差異がありました。今後,必要とする各種施設の事業展開は,県民にとって納得できるような「見える化」の計画でなければなりません。  このよう状況を踏まえ,医療介護総合確保推進法の制定を受け,県として在宅医療・介護の連携強化に向け,どのように取り組んでいくのか。また,市町村における第6期介護保険事業計画の策定に対して,どのように支援をしていくのか,知事の所見を伺います。  次に,新しい地域支援事業への取り組みと県独自の支援策について伺います。  今回の介護保険制度の見直しの特徴は,要支援1,2が,市町村事業になる点です。要支援1,2のうち,介護予防給付に当たる訪問看護と福祉用具費用などは現行どおりとするものの,訪問介護と通所介護については,従来の地域支援事業に移行することで,市町村の地域密着と独自性ある新しい地域支援事業として推進することにあります。  これは,多様化する訪間型・通所型サービスや生活支援サービスに的確に対応させるとともに包括的支援事業では,地域ケア会議や地域包括支援センターの充実を図ろうとしています。さらに,NPOの活躍や地域の特色を生かした任意事業を展開するものです。
     これらの財源は,国,県,市町村,1号,2号保険料から今までどおり充当され,介護保険からの切り離しではありません。ここに誤解があってはならないと考えております。  今後,市町村には,ボランティア,NPO,民間企業など多様な担い手の創出が求められます。埼玉県では,先駆的・モデル的な地域福祉事業を立ち上げるボランティアグループ等に対し,直接補助金を交付しております。高齢者を支えようとする熱意と創意工夫はあっても,創業に必要な資金が捻出できずに,事業化を断念するケースも考えられます。県が担い手支援に直接乗り出し,成功事例を内外に紹介していくことが必要です。県として,地域の新たな介護予防・生活支援サービス等の基盤づくりに,独自の助成が必要ではないかと考えております。  以上を踏まえ,介護支援ボランティアのような効果的な事業の実施など,新しい地域支援事業への取り組みと県独自の支援策について,どのように考えているか,知事の所見を伺います。  次に,認知症高齢者対策について伺います。  認知症は,だれもが発症し得る病気です。国の調査によると,2012年時点で65歳以上の15%に当たる462万人プラス予備軍400万人が認知症と言われます。認知症は年齢を重ねるほど増加し,85歳の約半数,95歳以上では約8割が認知症にかかっていると推計されております。  認知症の初期段階は,日常生活動作から発症の有無の判断が可能です。認知症対応で重要なことは,初期からの適切な診断にあります。県では,認知症の専門医療機関である認知症疾患医療センターを整備してきたところですが,初期段階で集中して支援する体制として,かかりつけ医の対応能力の向上や認知症サポート医の養成を一層充実させることが必要です。  そこで,認知症サポーターの養成においても,認知症に対する理解と日常対応力の向上を図るほか,徘回に対しては,徘回SOSネットワーク体制を,行政だけでなく地域の見守り力も活用して整備することが必要であると考えられますが,県として,認知症高齢者対策をどのように推進していくのか,知事に伺います。  次に,人口減少社会への対応について,若者の雇用創出と所得拡大への取り組みについて伺います。  人口減少社会の特徴は,若者が東京など大都市に流出する人口移動にあります。結果として,地方は人口再生産力,そのものを東京一極集中の形で大幅に流出させ,地方は,消滅可能性都市になるというものです。それゆえ,この若者の流出,「人の流れ」を変えることが必要です。茨城に若者に魅力ある地域拠点都市を構築し,流出を食いとめるだけでなく,呼び込む政策が求められます。  その基本は,雇用です。日本創成会議は「若者・結婚子育て年収500万円モデル」を提唱して,具体的に,20歳代で結婚するには,独身で300万円以上の年収があり,子どもの養育費がかかる30歳代後半には,夫婦合計で500万円以上の安定的な年収が必要だとしております。このモデルは,非正規雇用など,結婚する上で厳しい環境にある若者にとって,現在の年収を倍増することを目指すものと提示しております。  県は,若年者のためのワンストップサービスセンター,通称ジョブカフェを,いばらき就職支援センターとして開設し,大好きいばらき就職面接会や就活セミナーで就職支援をしております。しかし,求人情報は,パートや準社員など非正規雇用が多い現状です。県として,非正規雇用者の処遇改善と正規雇用への移行促進策が求められます。また,若者の正規雇用を目指す「土浦わかものハローワーク」との連携なども強化していただきたいと考えます。  ともあれ,労働力不足が叫ばれる一方で,若者の活躍の場を提供できないとすれば,社会全体に構造的な課題があると言わざるを得ません。私は,今までの価値観に捉われない若者の発想力と行動力に期待しています。要は,茨城県において,若者の心を捉える雇用環境があるかどうかではないでしょうか。  このような状況の中,県として,どのような施策により人口減少社会に対応する若者の雇用創出と所得拡大を図ろうとしているのか,知事に伺います。  次に,格差対策について伺います。  格差を語るのは,本当に難しい。格差の反意語は平等です。平等も,また難しい。私たちは,格差が生じる環境を是正していかなければなりません。「努力が報われると思えば希望が生じる。努力してもむだだと思えば絶望が生じる」と言われます。私たちは,努力に応える社会をつくってまいりたい。  近年,相対的貧困率も年々上昇しております。生活保護受給世帯も,調査の都度増加しており,貧困対策が重要な課題です。この貧困は,障害者,女性や子どもなど幅広く,次世代への「貧困の連鎖」も指摘されております。また,年齢階層別に男女の貧困率を見ると,貧困の男女格差が高齢者に顕著であるとも言われており,高齢者の貧困対策も課題の一つであります。  このような中,本年1月に施行された,子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく大綱が発表されました。国と県が密接な連携のもと,総合的な取り組みをすることになったわけであります。  子どもの貧困率は,昨年の15.7%から16.3%へと増加しているところです。とりわけ,ひとり親家庭の相対的貧困率は54.6%に上ります。このうち母子家庭で見ると,52.1%が非正規雇用であり,その世帯収入は291万円,児童のいる世帯の44.2%と大きく格差があります。父子家庭でも,平均年収は455万円と児童のいる世帯の69.1%にとどまっています。ひとり親世帯の子育てと就業の両立の難しさは,切実な「助けてほしい」との叫び,そのものです。心の休まることのない若いお母さんを助けたい。ひとり親家庭の自立を支援し,親と子が,その生活を安定させることが必要です。  県でも,これまでさまざまな支援を行ってまいりました。「努力すれば報われる茨城」であるために,就業支援や生活支援など,さらに手厚い対策に取り組むべきと考えますが,ひとり親家庭の貧困対策について,知事の所見を伺います。  次に,生活困窮者の早期支援と自立促進を目指す生活困窮者自立支援法が,来年4月に施行されることを踏まえ,多様な福祉課題へのワンストップ総合窓口の設置について伺います。  生活保護世帯が,過去最多を更新しました。それゆえ生活保護に至る前の段階の,生活困窮者への自立支援策の充実が必要です。生活困窮者は健康や家族の問題,知識・技能の不足,家計の破綻など複合的な課題を抱えているケースが多くなっています。多数の課題が重なり合い,複雑に絡まって解決の糸口が容易につかめない場合も少なくありません。従来の縦割りの相談体制では,相談者の問題の本質に迫ることができず,あるいは責任回避により時間を浪費し,さらに問題を複雑化させてしまうことも懸念されます。  例えば,大阪府では,「真に必要な人に,必要なとき,必要なサービス」がきちんと届く地域福祉ネットワークの構築を目指し,その中核として,社会福祉士等のコミュニティソーシャルワーカー(CSW)を配置する事業を,市町村と連携して進めてきたようであります。CSWは,個別の相談対応だけでなく,地域の課題を把握して解決する仕組みを考える福祉のセーフティネットの担い手とも言えます。  本県においても,生活に困窮する方が制度の狭間に置かれたまま,さらに深刻な状態に陥ることがないよう,社会保険制度,労働保険制度の第1のセーフティネットと,生活保護という第3のセーフティネットの間に,しっかりとした第2のセーフティネットとしての生活困窮者支援体制を構築してほしいと考えております。  ついては,生活困窮者自立支援制度の中核的な位置づけとして,多様な福祉課題を抱える生活困窮者に対して,どのようにワンストップ総合相談窓口を設置していくのか,知事に伺います。  次に,改正地方教育行政法による,新しい教育委員会制度改革について伺います。  今回の改正は,教育委員会を今までどおり,政治的に中立な合議制の執行機関として位置づけた上で,教育行政の責任を明確化し,いじめや体罰など教育現場の課題に迅速に対応することがねらいです。これまで,議会の同意により任命された教育委員の中から互選された教育長は,首長の直接任命ではありませんでした。今後は,議会の同意を得るものの,首長の直接任命となることで,任命責任が明確になります。その意味で,新教育長の任期は3年と,知事の在任中に一度は教育長人事をするということになったわけであります。また,教育委員会の会務を総理し,会議,事務執行,事務局の指揮監督など,運営の責任が常勤新教育長になることも明確です。  さて,知事は,教育行政について「権限と責任の所在を明確にすることが大切」として,「地域住民の意向を的確に反映するためにも,教育行政については,住民から直接選出された首長が責任を持つことが求められている」と述べられております。  その意味から,今回設置される総合教育会議は,今まで明確でなかった首長の教育への関与を明確にしたものと理解しております。ここでは,教育の目的や施策の根本的な方針が審議され,大綱が首長により策定されます。首長が招集する会議が設置されたことで,首長が公の場で教育政策について議論ができるようになったわけです。知事は,どのような考え方を持ち,総合教育会議の席に着かれ,いかなる大綱を策定しようとされているのでしょうか。  一方で,私は,教育長における責任の明確化が必要だと考えます。教育長の任命に当たっては,文科省通知の留意事項にあるとおり,議会同意を得る際に所信表明をし,質疑応答を行うことで,新教育長の組織マネジメントや資質のチェックをする必要があると考えます。  また,文科省通知には教育委員の人数についても,条例において5名以上とすることも可能だとして,積極的に考慮されるべきことと記しています。そこで,現行人数を増員して,より一層幅広い分野で活躍する,地域に造詣深い識者や女性委員を任命することにより,教育行政が県内地域のかかわりを密接にして推進することも重要であると考えます。  以上を踏まえて,新しい教育委員会制度改革において,現行の教育委員長と教育長の一本化となる新教育長について,知事はどのような期待を持っているのか,新たに設置される総合教育会議について,知事はどのような姿勢で臨もうとしているのか,知事の所見を伺います。  次に,新会計基準への対応を踏まえた地方公会計制度の推進について伺います。  地方公会計整備の意義は,住民や議会に対する財務情報のわかりやすい開示による説明責任の履行,また,資産・債務管理や予算編成・行政評価等への有効活用によるマネジメントの強化,財政の効率化・適正化が図られることにあります。  公明党県議団は,従前から単式簿記・現金主義から,複式簿記・発生主義による公会計システムの整備を求めてまいりました。現在も,改訂モデルによる貸借対照表,行政コスト計算書,純資産変動計算書,資金収支計算書を発表し,経年比較や他県比較に一定の成果を上げているものの,やはりコストとストックの把握には難があることは否めません。  総務省通知によれば,新地方公会計制度は地方公共団体の資産・債務改革に資することを念頭に,基準モデルに近い形で固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした,財務書類の作成に関する具体的なマニュアルを作成した上で,原則として平成27年度から平成29年度までの3カ年で,統一的な基準による財務書類等を作成するよう,各地方公共団体に要請する予定とのことでございます。  固定資産台帳の整備と複式簿記の導入は,正確な財務諸表の作成,公共施設等のマネジメント等において,非常に重要なファクターです。公有財産の大きな割合を占める固定資産は,取得年月日,取得価額,耐用年数,減価償却累計額を基本として,耐震化や稼働率の追加を奨励しており,公共施設マネジメントへの活用を企図しなければなりません。  国においても,公共施設等総合管理計画と個別施設毎の長寿命化計画の策定を要請していることから,実効性ある固定資産台帳整備は欠かせないはずであります。  私は,毎年の台帳更新や資産マネジメントへの活用段階で,職員の理解と運用強化のためにも,プロパー職員による作業が重要であり,庁内に各部横断のワーキングチームを編成して,これを実践していってほしいと考えます。  また,財務データの検証可能性を高め正確な財務諸表を作成するためには,複式簿記の導入が必要不可欠です。財務諸表においては,例えば,遊休資産や換金可能な資産は,貸借対照表の売却可能資産の項目でわかり,債務のうち回収見込みのないものは,回収不能見込額・貸倒引当金で判別できるようになります。さらに将来負担は,貸借対照表の引当金に見えてきます。公共施設の老朽化も,減価償却累計額と取得価額の算出で可能です。私は,債務負担行為が未払金中,支払保証債務に計上されると聞いておりますけれども,これも長期・短期の別が必要であると考えております。  このような状況を踏まえ,固定資産台帳の整備や複式簿記の導入などを中心に,新たな会計基準についてどのように対応し,今後の地方公会計制度を推進していくのか,知事の所見を伺います。  次に,霞ヶ浦水質浄化対策について,「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」達成に向けての施策について伺います。  「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」は,平成8年の第1回泳げる霞ヶ浦市民フェスティバルから「泳げる霞ヶ浦」のテーマが示され,現在,長期ビジョンとして県民に親しまれ,定着しております。このような県民に根づいた運動こそが,霞ヶ浦に最も必要です。  私自身が,土浦市沖宿地内の霞ヶ浦湖畔の一軒家に生まれ育ちました。母校上大津東小学校の水泳の授業は,自宅ほど近くの水神宮のある霞ヶ浦です。広大な霞ヶ浦プールは,昭和43年の夏まで続きました。当時,私は6年生,上大津東小学校として,霞ヶ浦で泳いだ最後の学年になりました。このように「泳げる霞ヶ浦」は,私自身の原体験なのであります。  さて,霞ヶ浦の水質浄化は,指標であるCODの改善を目指し,条例により,法律よりも厳しい工場や事業場の排水基準を定め,小規模事業所等にも遵守を求めております。高度処理型浄化槽の設置を義務づけ,さらに,農業・畜産業への対策も強化いたしました。  私は,霞ヶ浦の汚濁の原因となる生活雑排水と,し尿を合わせた生活排水を減らすためには,私たち県民一人一人ができる「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」の実現を目指して意識改革を進め,実践することが何よりも重要であると考えております。県には,これらの実践に関する,さらなる啓発活動と市民活動への支援を求めるものであります。地域住民と行政の連携がなくては,広範囲な流域を持つ霞ヶ浦の水質改善は進展いたしません。県のリーダーシップが肝要です。  また,霞ヶ浦の水質改善のため,県において,下水道や農業集落排水処理施設の接続の勧奨や支援,高度処理型浄化槽設置補助などを強力に進めるほか,県内各地の女性を中心とした団体や学校教育にも,これまで以上の支援をしていくべきであると考えます。  さらに,霞ヶ浦の底泥を取り去るしゅんせつは,汚濁の原因物質を直接除去する意味で有効であるため,ぜひとも国に対して,しゅんせつを再開するように働きかけてほしいと考えております。  以上を踏まえて,「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」達成に向けての知事の所見を伺います。  次に,霞ヶ浦のアオコ対策について伺います。  2011年に霞ヶ浦では,大発生したアオコの腐敗による悪臭が大きな被害となりました。土浦地内でいえば,土浦港,新川,備前川などで湖水面や川面にアオコが何重にも覆い尽くし,照りつく太陽のもとで腐敗していることが一目瞭然でありました。特に,土浦港で発生した腐敗臭は,土浦駅ホームでもにおうほどひどい状況でした。  霞ヶ浦環境科学センターでは,随時「アオコ情報」を発信して,アオコの原因となる植物プランクトンの色素であるフィコシアニンと見た目アオコ指標を相関して,端的にアオコレベル1から6を公表しています。土浦港では,このところ,アオコレベル2相当であることから,以前の悪夢のような悪臭はないだろうと一安心しております。  アオコの発生は日照時間,水温変化,降雨や風向きなどの自然現象の要因とリン酸濃度や窒素濃度など,これまでの人為的な要因が複雑に関係しているようであり,一たん大量発生した場合には,水の攪拌や放水によるアオコ対策が即効性を発揮したようです。また,県は,霞ヶ浦直接浄化実証施設を土浦港に設置して,昨年より運転しておりますが,この直接水中のリンを除去する方法は,相応の成果が評価されるとともに,実証実験後の存続や管理形態,コストが議論されているところです。  霞ヶ浦という最大の観光資源を生かすも生かさないのも,アオコ対策の成否にあると言っても過言ではありません。劇的な改善ではなくとも,県民が実感できる改善のために,一層の対策を講じなければなりません。ついては,霞ヶ浦のアオコ対策について,知事の所見を伺います。  次に,東海第二発電所への対応における広域避難計画について伺います。  今般示された日本原子力発電東海第二発電所の事故に備えた広域避難計画は,まず避難対象地域の区分と避難先市町村案を示し,次に,避難経路案を原子力災害対策検討部会に報告いたしました。  UPZ内14市町村の夜間人口約96万人は,UPZ外の県内30市町村に約44万人が避難。残り約52万人は,福島県や栃木県など周辺5県に避難させようとするものです。さらに避難経路は,高速道路を利用して,複数自治体の避難経路が重複しないように計画されました。  ここに,県の避難計画案が提示されたことから,今後,受け入れ市町村との調整がされるものであり,何よりも住民の理解が図られるように策定を進めることが大切であります。  原発事故発生による放射能の拡散は,同心円とは限らないことから,複数の計画を柔軟に組み合わせる必要があります。また,PAZ内に隣接する住民の屋内待避については,住民の冷静な行動が求められることでしょう。刻々と変化する事態において,明確な指示こそが計画どおりの避難につながると考えます。  福島第一原子力発電所事故で,被災者を受け入れた土浦市の霞ヶ浦文化体育会館での経験から言えば,一時集合場所と宿泊収容場所が同一であるかどうかや,収容能力を超過したときの誘導先の選定などにおいて,若干の混乱がありました。計画と現場の指示は,より具体的でなければなりません。疲労こんぱいの避難者を機械的に遇することなどあり得ませんし,行く先の確保に自信が持てないまま,他の場所に誘導することもできません。避難場所では,駐車場の不足もありました。車中で休む避難者もいました。そこで,体調を悪化させた避難者もいらっしゃいました。  そして,何よりもスクリーニングの実施については,明確な指示と検査結果がなければ,集団での避難生活に入れません。今後は,安定ヨウ素剤の配布や服用についても,十分な検討が必要です。要配慮者や女性への配慮も欠かすことはできません。また,受け入れ側の体制整備もパッケージされてなければならないと考えます。他県を避難先とする場合は,なおさらであります。避難途上の混乱を回避する最大限の努力が必要です。  このような点から,県は,どのように広域避難計画を策定していこうと考えているのか,知事に伺います。  次に,東海第二発電所の再稼働について伺います。  東海第二発電所の新規制基準適合性審査は,審査が再稼働に直結しないことを前提に申請されました。県は,適合性審査は原発の安全対策から,新規制基準に沿って客観的に評価する点から,安全性に資するとしました。そして,県原子力安全対策委員会のもとに,東海第二発電所安全性検討ワーキングチームを設置して,ハード・ソフトの面から検証を開始しました。  繰り返される議論ではありますが,東海第二発電所は,例え新規制基準をクリアできたとしても,原則40年の運転期間を4年後の2018年に迎えます。今回申請した対策を終えるのは,最短で2016年6月であることを,日本原電は申請書に明記しています。780億円の大きな投資を行う意味が,ここにあるのでしょうか。これは素朴な疑問でございます。  公明党は,原発の依存度を徐々に減らして,将来的に「原発に依存しない,原発ゼロ社会」を目指しております。したがって,原発の新規着工は認めず,建設後40年を経過した原発の再稼働は厳格に対応します。今回の申請は,最新の知見に基づき見直しが履行されるバックフィット制度や活断層などの徹底調査を進めるなど,世界一厳しい基準をして適応しようとするものです。  私たちはその点を理解した上で,東海第二発電所の持つUPZ内96万人が,万一の被害に遭うことを何としてもとめたい,こう考えております。また,日本原電が所有する原発3基を廃炉にした場合,資産の目減りや長期的な投資・費用の回収ができなくなることから,日本原電はもとより,債務保証する電力会社の経営を脅かす事態も懸念されます。この点から東海第二発電所の廃炉は,国の判断を仰がなければなりません。これは自明の理でございます。  さらに,東海第二発電所は,使用済み燃料プールに1,250体,乾式貯蔵施設に915体の合計2,165体の使用済み核燃料を貯蔵しております。今後,使用済み燃料プールから乾式貯蔵へ549体を移し替えると,乾式貯蔵施設のあきはありません。また,日本原電と東電が共同出資して青森県むつ市に建設中の使用済み燃料中間貯蔵施設は,平成27年3月の操業開始と言われます。県は,使用済み燃料の貯蔵対策についても,細心の注意を払わなければなりません。  一方,東海第二発電所の茨城県への貢献は,だれも否定することはできません。茨城は,東海第二発電所とともに歩んだ歴史があります。地域への密着は,世代を超えて深く根づきました。だからこそ,茨城県としての判断が求められると考えます。ついては,東海第二発電所の再稼働について,知事の所見を伺います。  以上で,質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 15 ◯飯塚秋男議長 八島功男議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本昌知事登壇〕 16 ◯橋本昌知事 八島功男議員の御質問にお答えいたします。  初めに,地域包括ケアシステムの構築についてお尋ねをいただきました。  まず,医療介護総合確保推進法への取り組みと,第6期介護保険事業計画についてでございます。  医療介護総合確保推進法では,平成27年度から,全ての市町村は地域包括支援センターにおいて,医師会等とともに,新たに在宅医療・介護の連携に取り組むこととされております。県では,昨年度から市町村や医師会等が中心となり,モデル事業として在宅医療・介護連携拠点事業に取り組んでいるところであります。  この事業により,地域における医師やケアマネジャーなどの多職種間の顔の見える関係の構築や,地域全体で支え合うための新たな仕組みづくりを進める中で,医療・介護の連携による効果や課題なども明らかになってきておりますことから,その成果を広く市町村に紹介してまいりたいと存じます。  また,在宅医療・介護連携推進事業は,全ての市町村において,平成30年4月までには開始することとされておりますが,できるだけ早期の取り組みが望ましいことから,医師会等関係団体との連携をさらに深めるよう,市町村に働きかけてまいります。  これらの取り組みにより,県は,市町村における在宅医療・介護の連携体制の構築を支援してまいります。  次に,第6期介護保険事業計画の策定に対する支援についてでございます。  平成27年度からの第6期計画は,今後3年間のサービス水準等の算定に加えて,2025年の水準なども推計し,中長期的な視点で,在宅医療・介護連携等の取り組みを本格化させていく,いわゆる地域包括ケア計画として策定することになります。  県としましては,市町村が他の自治体のサービス水準等と比較できる「見える化」システムを活用して,地域の実情に合った計画づくりが進められるよう研修などを実施し,計画策定を支援してまいります。また,市町村計画を実施する上で必要な介護人材の確保や資質の向上などの取り組みを,県の支援計画に位置づけてまいります。  これらの取り組みを通して,第6期計画が中長期的展望に立った実効性のある地域包括ケア計画として策定できるよう,支援してまいりたいと存じます。  次に,新しい地域支援事業への取り組みと県独自の支援策についてでございます。  今般の制度改正により,介護予防給付のうち,訪問介護と通所介護が市町村の実施する地域支援事業に移行されることから,地域においては生活支援サービスの充実を図ることが必要となってまいります。  地域支援事業を活用した介護支援ボランティアとして,例えば,高齢者が特別養護老人ホームなどで行う要介護者の話し相手や行事の手伝いなどのボランティア活動に対してポイントが交付され,そのポイントに応じた金額を介護保険料の支払い等に充てられる仕組みがございます。現在,県内では,土浦市など4市において実施されているところでありますが,社会参加や地域貢献を通じて,元気な高齢者が高齢社会を支える観点や,高齢者自身の介護予防という観点からも効果的であると考えられますので,市町村に積極的な導入を働きかけてまいりたいと考えております。  また,新しい地域支援事業におきましては,市町村がこれまで以上に多様な取り組みを選択できることから,地域の特色や実情に応じた事業導入を図れるよう,すぐれた先行事例等を取りまとめ,事例集を作成するなど,その取り組みを支援してまいります。  さらに,地域支援の担い手となる住民ボランティア等の養成や,地域支援のニーズの掘り起こしと地域資源のマッチングなどを行う生活支援コーディネーターの養成などを通じて,新しい地域支援事業において,多様な主体がさまざまな介護予防・生活支援サービスを提供できるよう支援してまいります。  特に,本県独自に推進してまいりました3級ヘルパー研修や,地域介護ヘルパー研修等において,多くのボランティアを養成してまいりましたが,今後は,生活支援サービスの担い手としての期待も高まりますことから,より多くの市町村で実施されるよう働きかけてまいります。  また,全国的にも高い評価を受けているシルバーリハビリ体操は,多くの市町村で取り入れられ,介護予防の効果を上げており,今後は,地域の高齢者の交流サロンなど,新しい地域支援事業でも活用されるよう,市町村に対し働きかけてまいります。  県といたしましては,担い手の育成などに加え,市町村が地域のサービスに関する情報を十分に把握し,住民に提供できるよう支援に努めてまいります。議員御提案の,地域の基盤づくりに対する県独自の支援策につきましては,今後,市町村における取り組み状況を初め,地域ニーズや事業効果などの把握を進めつつ,検討してまいります。  次に,認知症高齢者対策についてでございます。  県では,いばらき高齢者プラン21のもと,早い段階からの適切な診断と対応,認知症に対する正しい理解に基づく本人や家族への支援に努めているところであります。  この結果,早期の診断・対応としまして,平成18年度から681名のかかりつけ医が認知症対応力向上研修を受講したのを初め,認知症の専門医として,かかりつけ医への助言・指導等を行う認知症サポート医を,21名養成してきたところであります。  しかしながら,今後の認知症高齢者の急激な増加等を考えますと,国の認知症施策5カ年計画,いわゆる「オレンジプラン」に基づく早期診断・早期対応に係る施策の一層の充実など,これまで以上の取り組みが必要と考えております。このため医師会等と協力の上,認知症に係る研修機会の拡大や内容の充実を通じ,認知症サポート医など,医療従事者の一層の養成に努めてまいります。  また,オレンジプランで設置が求められております,認知症サポート医と保健師等で構成するチームが個別訪問し,受診勧奨を行う認知症初期集中支援チームにつきましても,サポート医の養成を進めながら,市町村による早急な導入を働きかけてまいります。  一方,認知症の方に対する対応力の向上としましては,企業の御理解を得ながら,約8万4,000人の方々に認知症サポーターとして御協力いただいているところですが,今後とも連携企業をふやすなど,サポーターの一層の養成に努めてまいります。あわせて,認知症の種類に応じた特徴や接し方等にも理解を深めていただくなど,研修内容の充実を図ってまいります。  また,徘回等による行方不明者が発生した際に,早期発見・保護につなげる徘回SOSネットワークにつきましては,県では本年7月,全市町村はもとより,近隣都県とも行方不明者の情報を共有し,連携して捜索する体制を整備したところであります。  今後,県と見守り協定を締結している企業や認知症サポーターにも,ネットワークに参加していただけるよう働きかけますとともに,徘回者を捜索する模擬訓練の実施など,全国の先進事例も取り入れ,一層の機能強化に努めてまいります。
     県といたしましては,認知症になっても安心して住みなれた地域で生活できるよう,認知症の人と家族を地域で支える環境づくりに,積極的に取り組んでまいります。  次に,人口減少社会へ対応した若者の雇用創出と所得拡大についてお答えいたします。  我が国が直面する深刻な人口減少に歯どめをかけ,本県の持続的な発展を図っていくためには,若者の安定した雇用の創出と所得の拡大が大変重要であると認識しております。  このため県では,県内経済団体に対し,新規学卒者の正規雇用を要請しますとともに,若者の正規雇用に意欲的な県内企業と新規学卒者が参加する就職面接会を開催するなど,正規雇用に向けた支援に取り組んでおります。また,大学や高校等を卒業後,未就職となっている若者を対象に,大卒等未就職者人材育成事業を実施し,県内企業への派遣研修によりスキルアップを図ることで,派遣先企業での正規雇用につなげているところであります。  さらに,県内6カ所のいばらき就職支援センターにおいて,キャリアカウンセリングや職業紹介などにより,若者の正規雇用を促進することに加え,今年度新たに雇用創出等基金を活用し,非正規職員の正規化や賃上げなど,企業が在職者の処遇改善を図るための取り組みを支援する,処遇改善プロセス支援事業を開始したところであり,来年度も引き続き,同事業を実施してまいります。  なお,国においては,土浦わかものハローワークを設置いたしましたので,今後は,若者の正規雇用につながる求人情報の共有化や,就職面接会の開催などで連携を図ってまいります。  これらの取り組みに加え,若者の雇用創出と所得拡大を図るためには,雇用の場を拡大していくことが大切であります。本県では,広域交通ネットワークの整備・充実などの立地優位性を活用し,企業誘致に積極的に取り組んでまいりました結果,過去10年間の工場立地面積及び県外企業立地件数が,ともに全国第1位となっております。  このような企業誘致は,県民の雇用創出や所得拡大はもとより,県外からの人口を呼び込むという点においても,大きな成果があったものと考えております。  また,TXの開通により,沿線地域におきましては,商業・業務施設の集積や住宅の建設が進み,雇用の場の創出や交流人口の拡大に大変効果があったものと考えております。  今後とも,正規雇用や処遇改善を図る雇用面の施策に加え,優良企業の誘致や成長産業の育成といった産業振興策にも積極的に取り組み,本県の発展を担う若者が安心して働けるよう,魅力ある雇用の場の創出に全力で取り組んでまいります。  次に,格差対策についてお答えいたします。  まず,ひとり親家庭の貧困対策についてでございます。  ひとり親家庭につきましては,親と子が自立して安定した生活を送ることができるよう,就労支援や生活支援等を行っていくことが大変に重要であると認識しております。  県では,これまでも,ひとり親家庭への支援として,高等職業訓練促進給付金や母子家庭等就業・自立支援センターにおける就労支援,児童扶養手当や母子寡婦福祉資金の貸し付けなどの経済的支援を行いますとともに,保育所や公営住宅の優先入所や母子自立支援員による生活相談,母子家庭等日常生活支援事業などの生活支援にも取り組んでまいりました。  また,本年4月から,生活困窮者自立支援法のモデル事業として,県の4つの福祉事務所に自立相談支援員を配置し,ひとり親家庭を含めた生活困窮者に対して,自立を促進するためのさまざまな支援を行っているところであります。  さらに,児童扶養手当受給者等を対象とした,福祉事務所とハローワークが連携して就労を支援する取り組みにつきましては,これまでの実績を踏まえ,事業の活用をより積極的に働きかけ,自立に向けて支援してまいります。  あわせて,ひとり親家庭が必要な支援を受けることができるよう,相談窓口や支援内容等をまとめた手引書を作成し,市町村や県の相談窓口に置いて活用してまいります。  子どもの貧困対策といたしましては,去る8月29日に,子どもの貧困対策に関する大綱が閣議決定されたところであります。  県におきましても,この大綱を勘案して,子どもの貧困対策の重点施策である教育支援や生活支援を初め,保護者の就労や経済的支援が実施できるよう,計画を策定してまいります。  これらの取り組みにより,貧困の連鎖を断ち切り,ひとり親家庭が夢と希望を持って暮らしていけるよう,貧困対策に取り組んでまいります。  次に,多様な福祉課題へのワンストップ総合窓口の設置についてでございます。  来年4月の生活困窮者自立支援法の施行により,全ての市(町村部にあっては県)が,生活困窮者への総合相談窓口を設置し,包括的で継続的な支援を行う自立相談支援事業を実施することになります。  この事業が,ワンストップの総合相談窓口としてきちんと機能するためには,まずは,多様で複合的な課題に対応できる相談員の質の確保が重要であります。このため,相談事業全体のマネジメントを行う主任相談支援員につきまして,社会福祉士等の専門職や福祉相談の経験者の配置を進めますとともに,国の相談員研修を積極的に活用し,質の確保を図ってまいります。  また,県におきましては,今年度,生活困窮者への相談支援を行うモデル事業を実施しておりますが,来年度の新法施行に向けての課題は,相談者の問題解決に必要なサービスの開拓と,適切なサービスを提供できる地域ネットワークの強化であると考えております。  このため県では,生活困窮者の状態に応じた就労支援,家計再建に向けた相談,子どもの学習支援などといったサービスの開拓を進めますとともに,ハローワーク,地域若者サポートステーション,社会福祉協議会など,さまざまな関係機関の緊密なネットワークを構築するため支援連絡協議会を開催し,生活困窮者の複合的な課題に包括的・一元的に対応できる体制づくりを進めてまいります。  県といたしましては,今年度設置しました関係団体,学識経験者,市町村等を構成員とする生活困窮者自立支援施策に関する検討会の意見を踏まえながら,市と連携して準備を進め,自立相談支援事業が全県下で早急に実施され,ワンストップ総合相談窓口として機能できるよう,しっかりと取り組んでまいります。  次に,新しい教育委員会制度改革についてお答えいたします。  初めに,現行の教育長と教育委員長の一本化となる「新教育長」への期待であります。  私は,知事会代表の中央教育審議会の委員として,地方公共団体における極めて重要な分野である教育行政については,地域住民の意向をより的確に反映するためにも,住民から直接選出された首長が,責任を持って総合的に取り組むことが適当ではないかと意見を申し上げてまいりました。  まず,今回の制度改革により,教育委員会を代表する新教育長を首長が直接任命することとなりますことから,県行政に係る総合的な視点を持ちながら,教育行政に取り組んでいただけるものと期待をしているところであります。  また,教育委員長と教育長を一本化することで,教育行政における権限と責任の所在が明確になりますとともに,いじめや災害等の緊急事案が発生した際には,教育長みずからの判断による速やかな会議の招集と教育委員会の意思決定が可能となり,迅速な危機管理体制の構築が図られるものと期待するものであります。  さらに,新教育長は,教育委員会の代表者と教育委員会事務局の統括者を兼ねることになりますことから,教育委員会と事務局の連携が密になり,闊達な議論が行われ,これまでより,教育委員の意見,民意が教育行政に反映されやすくなるのではないかとも期待をしております。  次に,総合教育会議に臨む姿勢についてであります。  総合教育会議は,教育行政の大綱の策定や教育の条件整備等,重点的に講ずべき施策などについて,私と教育委員会とが協議・調整を行う場であります。  これまでも教育行政について,教育委員の皆さんと意見交換は行ってまいりましたが,今後は,協議の場において,教育委員に加え,必要に応じて学識経験者等の方々からも意見をいただけますことから,幅広い視点での意見交換を行ってまいりたいと考えております。  議員お尋ねの大綱につきましては,教育委員会の枠を超え,知事部局や公安委員会などとも連携を図りながら,本県の教育に関する総合的な基本方針として,時代に即したものを策定していきたいと考えております。  資源小国である我が国におきましては,グローバル社会に対応できる人材づくりこそが極めて重要であり,教育は国づくり,県づくりのかなめであります。そして教育行政は,本県にとって予算の4分の1を占める重要な分野であります。総合教育会議に臨むに当たって,私は,将来の日本や茨城の発展を担っていける人材の育成,それぞれの個性を生かしていける環境の醸成など,教育行政にこれまで以上に力を入れていきたいと考えております。  なお,議員御提案の,教育長の所信表明や教育委員の増員につきましては,今後,さまざまな状況を考慮の上,必要かどうか判断してまいりたいと考えております。  次に,新会計基準への対応を踏まえた地方公会計制度の推進についてお答えいたします。  地方公会許は,発生主義に基づく財務書類を作成して,現金主義会計では見えにくいコストやストックを把握することにより,現金主義会計による予算・決算制度を補完するものであり,本県でも平成11年度決算から,貸借対照表など財務諸表の作成・公表を行ってきたところであります。  本年4月に公表されました総務省の,今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書の中で,地方公会計の整備をさらに促進するため,固定資産台帳の整備や複式簿記の導入に関する統一的な基準が示されたところであり,来年1月ごろまでに具体的なマニュアルが地方公共団体へ示される予定になっております。  県といたしましても,固定資産台帳の整備や複式簿記の導入など公会計の整備を進めることは,住民や議会に対する説明責任の履行や財政運営の効率化・適正化のためには大変有効であると考えており,積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  固定資産台帳整備による効果といたしましては,道路などの台帳では記載されていない取得価格や減価償却費などの情報の把握や,資産情報の一元的な管理による全庁的な観点からの適正な資産管理が可能となりますとともに,他団体との比較が容易になることなどが挙げられます。また,複式簿記を導入することで,事業別・施設別などの,より細かな単位でのコスト分析などが可能となり,効率的なマネジメントが可能となることなどが期待されております。  しかし,そのようなメリットのある一方で,固定資産台帳につきましては,既存台帳から固定資産台帳に移行する上で必要となる取得額や財源内訳などの整理,財務会計システムの改修など,労力やコストの面でも大きな負担が生じることが予想されるところであります。また,複式簿記を導入し,全ての部署において仕訳を行うことにより,新たに膨大な事務負担や混乱が生じることが懸念されるところでもあります。  県といたしましては,このような課題があることを踏まえ,既に,固定資産台帳整備に向けた検討会を立ち上げ,実務上の問題などの検討を行っているところでありますが,今後,円滑に地方公会計の整備が進められるよう,来年1月に国から示されるマニュアルの内容を精査し,庁内の関係課で十分連携を取りながら,着実に準備を進めてまいります。  次に,霞ヶ浦水質浄化対策についてお答えいたします。  まず,「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」達成に向けてでございます。  平成18年1月に,国が公表した湖沼水質保全基本方針においては,望ましい湖沼の水環境及び流域の状況等に係る将来像を長期ビジョンとして明らかにし,関係機関や関係者と共有することとされました。  これを受け,霞ヶ浦では,平成19年3月に策定しました第5期の霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画におきまして,長期ビジョンとして「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」を盛り込んだところであります。  「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」は,流域にかかわる多くの人々が霞ヶ浦に親しみを持ち,水質浄化を自分たちの役割と認識し,日常生活や事業活動の中で実践していただけるように掲げたものであります。  本ビジョンは,平成24年3月に策定しました第6期の計画におきましても踏襲しており,おおむね平成32年度までに,CODで5ミリグラムパーリットル台前半の実現を目指すことといたしましたが,そのためには生活排水対策や畜産対策,さらに農地・市街地等からの流出水対策等,全ての汚濁発生源で排出負荷の削減に取り組みますとともに,ウエットランドの整備や湖岸植生の保全,砂浜の再生や霞ヶ浦導水事業の完成などが必要となってまいります。  そして,これらの対策を着実に推進していきますためには,行政のみならず,議員御指摘のとおり,県民の皆様みずからにも下水道への接続や高度処理型浄化槽の設置,水辺環境の保全活動などを実践していただくことが大変重要でございますので,湖上体験スクールや市民活動支援事業を拡充しますとともに,霞ヶ浦環境科学センター夏まつりや環境学習フェスタなどを実施し,県民意識の啓発と自発的行動の促進を図ってまいりたいと考えております。  なお,霞ヶ浦のしゅんせつにつきましては,国において一定の効果が認められているところでありますが,県といたしましては,他の水質浄化対策も含めて費用対効果などの比較検討を行い,最適な対策を進めるよう国に要望してまいります。  県といたしましては,長期ビジヨン「泳げる霞ヶ浦,遊べる河川」の実現を目指し,今後もでき得る限りの水質浄化対策を実施してまいります。  次に,霞ヶ浦のアオコ対策についてでございます。  議員御指摘のように,平成23年度には,13年ぶりにアオコが大量発生し,県や市町村に200件以上の苦情が寄せられるなど,著しい悪臭被害が発生いたしました。  このため県では,国や関係市と構成するアオコ対策連絡会議において,緊密な連携のもとに対策に当たることといたしました。  具体的には,アオコ回収船による回収やスクリューによるアオコの攪拌・沈降,アオコフェンスの設置などを行いますほか,森林湖沼環境税を活用し,新川にアオコ発生抑制装置を設置しますとともに,関係市が緊急にアオコ腐敗防止のための回収等を行った場合には,県が事業費の2分の1を負担することとしております。  また,霞ヶ浦環境科学センターでは,研究成果を生かし,平成24年度からアオコの週間予報を発信し,関係機関が発生を予測しながら,適切に対応することといたしました。  さらに,特にアオコの発生が著しかった土浦港におきまして,リンの直接除去によりアオコ発生を抑制する実証施設を設置し,昨年10月から実証試験を実施しているところであります。これらの対策の結果,平成24年度には苦情が大幅に減少し,昨年度からはほとんど寄せられなくなりました。  今年度は,アオコの発生そのものも,過去3年に比べ少ない状況にございますが,霞ヶ浦は,窒素,リンの濃度が依然として高く,富栄養化の状態にあり,アオコが発生しやすい環境にありますことから,根本的な対策として,窒素やリンの汚濁負荷削減対策を重点的に推進してまいります。  次に,東海第二発電所への対応についてお答えいたします。  まず,広域避難計画についてであります。  原子力災害時における避難計画につきましては,国の防災基本計画に基づき,原子力発電所からおおむね30キロメートルの範囲,いわゆるUPZ内の市町村が策定することとされております。  しかしながら,各市町村がそれぞれ独自に避難計画を策定した場合,特定の避難先に集中したり,避難経路が錯綜したりするおそれがありますことから,県といたしましては,全体を調整しながら各市町村の取り組みを支援するため,広域避難計画の策定を進めてきたところでございます。  今般公表いたしました避難先地域の案は,計画の基本となるものであり,県といたしましては,この案をもとに,個別の課題について検討を進めますとともに,国のワーキングチームと連携しながら,関係各県との間で,具体的な避難先市町村や統一的な受け入れ体制などについて協議・調整を進め,実効性ある広域避難計画の早期策定に取り組んでまいります。  具体的には,まず放射能汚染の検査,いわゆるスクリーニングにつきましては,県が,国や原子力事業者などと協力して実施することとなりますが,実際に検査をどこで行うか,あるいは人員,資機材をどのように確保して検査を行うのか,などについて検討してまいります。  また,安定ヨウ素剤の配布や,要配慮者の避難に必要な介助者及び車両の確保などにつきましては,まずは市町村などが行うこととなりますが,県といたしましては,国のワーキングチームと連携しながら,実施上の課題を整理しますとともに,必要な事項については国や関係機関に要望するなど,市町村の取り組みを支援してまいります。  さらに,議員御指摘のとおり,計画の策定に当たっては,住民の皆様の理解を得ることは何より大切であります。先月開催いたしました地域防災計画改定委員会原子力災害対策検討部会におきましても,避難計画は住民に事前に十分周知しておく必要があることや,避難の受け入れについて,県内外の理解を得ておく必要があることなどの御意見をいただいたところであります。  このため県といたしましては,計画の策定段階から積極的に情報を公開しますとともに,策定した計画の内容について,県民の皆様はもとより,避難先となる各県市町村の皆様にも,十分な御理解を得られるよう周知に努めてまいります。  なお,UPZ内の市町村におきましては,今後,それぞれの避難計画を策定していくことになりますが,その際には,避難先市町村との間で,避難所の開設や物資の調達あるいは高齢者及び女性などに配慮した避難所の運営方法など,より具体的な調整が必要となってまいりますので,県といたしましても,積極的にその取り組みを支援してまいりたいと考えております。  次に,東海第二発電所の再稼働についてでございます。  原子力発電所の再稼働につきましては,まずは,国が具体的な考え方を明確に示した上で,個別の発電所ごとに,その安全性やエネルギー政策上の必要性を十分に考慮して責任を持って判断し,国民や関係自治体に十分な説明を行うべきであると考えております。  本年4月に策定された国のエネルギー基本計画では,原子力を「重要なべースロード電源」と位置づけますとともに,原子力発電については「原子力規制委員会により規制基準に適合すると認められた場合は再稼働を進める」とする一方で,「原発依存度については可能な限り低減させる」とされたところでございます。  現在,国においては,エネルギー基本計画の方針を具体化すべく,総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会において,議員御指摘の,廃炉に関する原子力事業者の財務・会計上の課題を初め,人材・技術の維持や,原子力依存度低減に向けた課題などについて,検討が行われているところであります。  東海第二発電所の再稼働につきましては,これら原子力発電をめぐるさまざまな課題に対する国の方針決定を踏まえた上で,東海第二発電所の適合性審査の状況,あるいは東海第二発電所の再稼働に係る国の判断などを見ながら,県原子力安全対策委員会や県原子力審議会における検証と審議,県議会や地元自治体との十分な協議をさせていただいた上で,方針を決定してまいりたいと考えております。  特に,運転開始から間もなく36年を迎える東海第二発電所は,高経年化対策が極めて重要と考えており,原子力安全対策委員会に東海第二発電所安全性検討ワーキングチームを設置し,高経年化対策の専門家2名を加えた体制のもとで,安全性の検証を開始したところであります。  なお,議員からは,東海第二発電所に係る多額の投資について疑間が提起されたところでありますが,発電所内に使用済み燃料が貯蔵されていることなどを考えると,経営面への考慮は別とすれば,安全性向上のための対策が強化されることには,必ずしも反対すべきものとは考えておりません。  また,東海第二発電所の使用済み燃料につきましては,現在,使用済み燃料プール等に安全に貯蔵さているところであり,今後は,発電所敷地内に加え,青森県むつ市に建設中の乾式の中間貯蔵施設において貯蔵する計画とされておりますが,中間貯蔵施設の立地などについては,国が主体的に取り組むよう,立地道県で構成しております原子力発電関係団体協議会において要望しているところであり,引き続き,関係自治体と連携しながら,使用済み燃料の貯蔵対策の早期解決を国に働きかけてまいります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 17 ◯飯塚秋男議長 以上で,本日の日程は全て終了いたしました。  次回は,9月8日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を行います。  本日は,これにて散会いたします。                     午後3時33分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...