令和 3年 2月 定例会(第399号) 令和三年二月二十六日(金曜日)午前十時零分 開議議事日程第三号 令和三年二月二十六日(金曜日)午前十時開議第一 議第二十七号 令和三年度山形県一般会計予算第二 議第二十八号 令和三年度山形県
公債管理特別会計予算第三 議第二十九号 令和三年度山形県
市町村振興資金特別会計予算第四 議第三十号 令和三年度山形県
母子父子寡婦福祉資金特別会計予算第五 議第三十一号 令和三年度山形県
国民健康保険特別会計予算第六 議第三十二号 令和三年度山形県
小規模企業者等設備導入資金特別会計予算第七 議第三十三号 令和三年度山形県
土地取得事業特別会計予算第八 議第三十四号 令和三年度山形県
農業改良資金特別会計予算第九 議第三十五号 令和三年度山形県
沿岸漁業改善資金特別会計予算第十 議第三十六号 令和三年度山形県
林業改善資金特別会計予算第十一 議第三十七号 令和三年度山形県
港湾整備事業特別会計予算第十二 議第三十八号 令和三年度山形県
流域下水道事業会計予算第十三 議第三十九号 令和三年度山形県
電気事業会計予算第十四 議第四十号 令和三年度山形県
工業用水道事業会計予算第十五 議第四十一号 令和三年度山形県
公営企業資産運用事業会計予算第十六 議第四十二号 令和三年度山形県
水道用水供給事業会計予算第十七 議第四十三号 令和三年度山形県
病院事業会計予算第十八 議第四十四号 山形県部設置条例の一部を改正する条例の制定について第十九 議第四十五号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第二十 議第四十六号 山形県
産業廃棄物税条例の一部を改正する条例の制定について第二十一 議第四十七号 山形県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十二 議第四十八号 特定非
営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例の制定について第二十三 議第四十九号 山形県
魚介類行商取締条例を廃止する条例の設定について第二十四 議第五十号
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例の制定について第二十五 議第五十一号 山形県生活環境の保全等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十六 議第五十二号 山形県
安心こども基金条例の一部を改正する条例の制定について第二十七 議第五十三号 山形県
看護職員修学資金貸与条例の一部を改正する条例の制定について第二十八 議第五十四号 山形県
医師修学資金貸与条例の一部を改正する条例の制定について第二十九 議第五十五号 山形県みんなにやさしいまちづくり条例の一部を改正する条例の制定について第三十 議第五十六号 山形県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十一 議第五十七号 山形県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十二 議第五十八号 山形県
特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十三 議第五十九号 山形県
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十四 議第六十号 山形県
指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに
指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十五 議第六十一号 山形県
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十六 議第六十二号 山形県
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十七 議第六十三号 山形県
指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十八 議第六十四号 山形県介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十九 議第六十五号 山形県立泉荘及び
山形県立みやま荘条例を廃止する条例の設定について第四十 議第六十六号 山形県
福祉休養ホーム条例を廃止する条例の設定について第四十一 議第六十七号 山形県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十二 議第六十八号 山形県指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十三 議第六十九号 山形県
指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例の設定について第四十四 議第七十号 山形県
指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十五 議第七十一号 山形県
指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例の設定について第四十六 議第七十二号 山形県
障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十七 議第七十三号 山形県障害者支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十八 議第七十四号 山形県
地域活動支援センターの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十九 議第七十五号 山形県福祉ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第五十 議第七十六号 山形県
工業技術センター手数料条例の一部を改正する条例の制定について第五十一 議第七十七号 山形県文化財保護条例の一部を改正する条例の制定について第五十二 議第七十八号 山形県水産振興条例の設定について第五十三 議第七十九号 山形県都市公園条例等の一部を改正する条例の設定について第五十四 議第八十号 山形県県道の構造の技術的基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第五十五 議第八十一号 山形県
道路占用料徴収条例の一部を改正する条例の制定について第五十六 議第八十二号 山形県
ふるさと交流広場条例を廃止する条例の設定について第五十七 議第八十三号 山形県空港管理条例の一部を改正する条例の制定について第五十八 議第八十四号
山形県立学校職員及び
市町村立学校職員給与負担法に規定する学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定について第五十九 議第八十五号 山形県生涯
学習センター条例の一部を改正する条例の制定について第六十 議第八十六号 最上郡舟形町と同郡大蔵村との境界変更について第六十一 議第八十七号 財産の無償譲渡について第六十二 議第八十八号 一般国道十三
号泉田道路工事用地の処分について第六十三 議第八十九号 一般国道十三
号新庄金山道路工事用地の処分について第六十四 議第九十号 山形県県民の森の指定管理者の指定について第六十五 議第九十一号 山形県源流の森の指定管理者の指定について第六十六 議第九十二号
包括外部監査契約の締結について第六十七 議第九十三号 山形県公立大学法人が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第六十八 議第九十四号
公立大学法人山形県立保健医療大学が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第六十九 議第九十五号 山形海区
漁業調整委員会委員の任命について第七十 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第三号に同じ。出席議員(四十三名) 一番 阿部ひとみ議員 二番 梅津庸成議員 三番 今野美奈子議員 四番 菊池大二郎議員 五番 原田和広議員 六番 高橋 淳議員 七番 遠藤寛明議員 八番 相田光照議員 九番 遠藤和典議員 十番 梶原宗明議員 十一番 関 徹議員 十二番 山科朝則議員 十三番 菊池文昭議員 十四番 松田敏男議員 十五番 青木彰榮議員 十六番 青柳安展議員 十七番 五十嵐智洋議員 十八番 柴田正人議員 十九番 渋間佳寿美議員 二十番 佐藤 聡議員二十一番 矢吹栄修議員二十二番 小松伸也議員二十三番 渡辺ゆり子議員二十四番 石黒 覚議員二十五番 吉村和武議員二十六番 高橋啓介議員二十七番 島津良平議員二十八番 加賀正和議員二十九番 森谷仙一郎議員 三十番 鈴木 孝議員三十一番 楳津博士議員三十二番 奥山誠治議員三十三番 小野幸作議員三十四番 木村忠三議員三十五番 金澤忠一議員三十六番 伊藤重成議員三十七番 舩山現人議員三十八番 田澤伸一議員三十九番 森田 廣議員 四十番 坂本貴美雄議員四十一番 星川純一議員四十二番 志田英紀議員四十三番 野川政文議員 説明のため出席した者知事 吉村美栄子君副知事 若松正俊君企業管理者 高橋広樹君病院事業管理者 大澤賢史君総務部長 大瀧 洋君み
らい企画創造部長 小林剛也君防災くらし安心部長 須藤勇司君
環境エネルギー部長 杉澤栄一君
子育て若者応援部長 松田明子君健康福祉部長 玉木康雄君産業労働部長 木村和浩君
観光文化スポーツ部長 武田啓子君農林水産部長 高橋雅史君県土整備部長 前内永敏君会計管理者 泉 洋之君財政課長 後藤崇文君教育長 菅間裕晃君
公安委員会委員長 柴田曜子君警察本部長 佐藤正顕君代表監査委員 武田一夫君
人事委員会委員長 安孫子俊彦君
人事委員会事務局長 佐藤紀子君
労働委員会事務局長 沼沢弘幸君 午前十時零分 開議
○議長(金澤忠一議員) これより本日の会議を開きます。
△日程第一議第二十七号議案から日程第六十九議第九十五号議案まで及び日程第七十県政一般に関する質問(代表質問)
○議長(金澤忠一議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第二十七号令和三年度山形県一般会計予算から、日程第六十九議第九十五号山形海区
漁業調整委員会委員の任命についてまでの六十九案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第七十県政一般に関する質問を併せ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 三十二番奥山誠治議員。
◆32番(奥山誠治議員) おはようございます。 コロナ感染症によりお亡くなりになりました方々に衷心よりお悔やみ申し上げます。入院されている皆様にお見舞い申し上げますとともに、感染症対策に御尽力されている医師・看護師はじめ医療従事者の皆様、対策に関わっている全ての方々に心より感謝申し上げます。 また、昨年の七月豪雨、今冬の豪雪、二月十三日に発生した福島県沖を震源とする地震で被害に遭われた皆様方にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧復興を祈念いたします。 自由民主党を代表して早速質問いたします。 十二年ぶりの知事選挙は、同窓の先輩後輩による全国で初めての女性対決となりました。平成二十一年吉村知事が初当選後、十二年ぶりの選挙戦は、吉村県政の評価を問う初めての大事な選挙で、
新型コロナウイルスの感染拡大等の中で、県政の継続か刷新かが大きな争点でありました。知事は、コロナ対策を前面に選挙を戦い、当選されました。お祝い申し上げます。 私としても両候補による白熱した議論が期待され、マスコミや団体が討論会を企画しましたが、吉村知事は、公務優先と選挙は県内を回りたいとの意向から、討論会は実現されませんでした。県民からは、「公約の違いを明確に訴える場を設けてほしかった」との声がありました。両候補がそろって県や地域の課題を議論する討論会が実施されるべきであったと思います。 吉村知事の政策集を拝見しますと、数値目標や期限が示されておらず、政見放送などを通して県民に政策を訴えてきたと述べております。そこで、このたびの選挙戦で掲げた五本の柱の実現に向けて、何を優先し、どのように取り組んでいくのか、知事にお聞きいたします。 令和三年度当初予算は、総額六千八百二十三億四千三百万円、前年度比一一・二%増となりました。当初予算編成に先立ち示された「令和三年度県政運営の基本的考え方」では、ポストコロナを見据えて施策展開に当たり重視する視点として、一「ふるさと山形力の向上」、二「やまがた強靱化」、三「農林水産業の振興・活性化」、四「産業経済の振興・活性化」、五「保健・医療・福祉の充実等による安全・安心な社会づくり」の五つが掲げられており、今般の予算案は、これら五つの視点で編成されたものと考えます。 一方、令和二年度は、春先から新型コロナ対策がありました。政府の補正予算に対応した病床の確保や医療用資機材の整備に対する支援などのほか、県独自の対策として、商工業振興資金の拡充や新しい生活様式に対応するための設備投資への支援、飲食店はじめ多くの分野で使用できるクーポンの発行、観光消費喚起のための
各種キャンペーンの実施など、様々な施策を打ち出されました。また、夏以降は、最上川の氾濫など県内各地に甚大な被害をもたらした令和二年七月豪雨による被災からの復旧復興も重なり、数えますと十二月定例会までに九回、累計で千三百三億一千百万円の補正予算が編成されました。そして、こうした財政出動の結果、今年度末の調整基金残高は、令和二年度当初予算編成時は約百五億円ということでしたが、十二月補正後では約九十億円になりました。さらに、今冬の大雪により、人的被害や建物の被害、農林水産関係の被害のほか、県民生活に様々な影響が生じており、道路除雪費をはじめ様々な対策経費がかかっていると思われます。 このような中、知事は、四期目の公約として、子育て費用の段階的な完全無償化など様々な施策を掲げております。中には中長期的な課題もあるかもしれませんが、来年度からすぐ実施しなければならない課題もあると思います。これら四期目の様々な公約実現に向けて、令和三年度当初予算をどのような思いを持って編成されたのかお聞きいたします。 今後は、県と市町村の連携が今以上に重要になってきますが、県政に対する各市町村長の評価として、吉村知事は「一党一派に偏らない不偏不党の政治姿勢」「人口減少が著しく課題の多い最上地域への力強い支援」「新庄病院の改築と
農林専門職大学設置など目に見えた振興策として成果を上げている」「山形県沖地震や新型コロナ対応、つや姫をトップブランドにした農業振興などを評価する」、などが評価する要因でした。 しかし一方、「県は職員が上からの指示でしか動けない組織になっている」「県と市町村の同等の関係を築くことを望む」「現県政には反応の鈍さ、感覚のずれを感じる」「県政に一生懸命要望したが聞く耳を持ってもらえない」「県・市町村の連携強化を期待したい」「政府与党とつながっていたほうが、ねじれなく仕事がスムーズにいく」「政府との関係不足を我々もひしひしと感じた」「声を聞く姿勢が変わった。かなり距離を感じる」などの、中には厳しい声もあります。 さて、八十五年前の昭和十一年の今日、二月二十六日、二・二六事件が起きた日です。当時の日本は、国民が苦闘し、動揺した乱世の時代であり、国民は貧富の差に悩まされていました。貧富の格差は、コロナ禍の現在も同様です。 当時の日本を憂い、国民の間で流行していた歌に「青年日本の歌」があります。歌詞は「汨羅(べきら)の淵に波騒ぎ」と、屈原(くつげん)の故事から始まります。汨羅は、中国湖南省、洞庭湖の河川であります。紀元前三世紀から四世紀頃、中国は戦国時代にあり、当時、揚子江流域一帯を領土としていた楚に屈原という優秀な人物がいました。楚王の一族で、博学で文筆に優れ、政治・外交に長じ、政令の起草と外交折衝に当たった。詩人としても有名で、主君を愛する忠信の心と国を思う憂愁の情とを持って、優れた詩「離騒」を書き残しました。楚の詩を集めた詩集「楚辞」の中で代表とされる詩人でもあります。 屈原は、秦の謀略を見抜き、踊らされようとする王を必死にいさめたが、受け入れられず、王への進言を側近に止められ、王から遠ざけられ、ついには失脚させられて追放される。しかし、屈原は他の国に仕えることをせず、祖国の滅亡の危機を憂えながら、憂苦のうちに汨羅の淵に身を投じました。その後、楚の都は秦に攻め落とされたのであります。 国と人民に尽くした屈原の政策は、一層人々に惜しまれ、多くのちまきを川に投げ入れて国の安泰を祈願する風習に変わっていき、これが端午の節句となり、やがて日本に伝わりました。 大事をなすには、意見・要望をも聞くことを大切にしなければなりません。本県の様々な課題解決には、政府・市町村としっかりと連携していかなければなりません。今後、市町村との連携をどのように構築していくのかお聞きいたします。 令和二年、
新型コロナウイルスが全世界に広がる中で、コロナ感染症に対する各国のリーダーの姿勢が明確になりました。アメリカの当時のトランプ大統領は「戦争」であるとはっきりと表現し、自らを戦時下の大統領であるとして、トップダウンの政策運営を進め、世界保健機関と中国への非難を強め、当時の安倍総理も、
東京オリンピック・
パラリンピック延期を決定したときに、令和三年に開催されるオリンピックを人類が感染症に打ちかったあかしとして開催すると表現し、「戦い」と捉えています。 ウイルス感染症は戦争ではなく災害であるという見方をしている人もいます。防災学者、感染症研究者は、ウイルス感染症も生物起源による人の命や健康の大規模な毀損であることから、自然災害の一つとして捉えています。経済のグローバル化の中で、感染症は必然的に広がります。ウイルスが長い歳月をかけて人間を含む生物体のDNAの中に埋め込まれていくメカニズムも解明されてきており、撲滅すべき敵ではなく、共生するという認識が妥当だと述べています。 自然災害は、災害時の対応だけでなく、その後のケア、生活、営業再建をどうするかなど、事後対応が重要になります。どんな災害においても、社会的弱者ほど被害は深刻です。自治体の施策が住民を苦しめたとすれば、「施策災害」となります。 災害対応の主体は国が前面に立っているように見えますが、感染するのは一人一人の住民であり、発生する場所は個々の地域です。したがって、感染症対策では、個々の地域に住む個人などが主体となります。しかし、個々の主体で解決できない地域共通の問題を公権力や財源を用いて解決できる主体は市町村や都道府県です。国は、防疫体制の強化や外交対応と、地方自治体の施策を行財政面から支える役割を持つべきであります。 緊急事態宣言が令和二年、全都道府県を対象に発令されたことにより、知事に大きな権限と責任が生じることになりました。そのときの国民にとっての不安は、PCR検査がなかなか受けられない中での医療崩壊が起きつつあることに加え、国による補償なき休業要請で経営や生活が成り立たないという事態、感染者に対しての誹謗中傷等であり、
日本公衆衛生学会でも、感染拡大を防止するためにも国や自治体には自粛要請と経済的支援や補償を一体とした対応と施策を求めますと言っており、国民の声でもありました。コロナ禍で、公衆衛生、医療、介護、交通、物流、食品小売業、農業などだけでなく、教育や文化などの仕事の重要性に気づかされました。 住民の福祉の向上、地方自治体の目的・使命・役割を実現するために取り組んだ自治体、和歌山県では、早い時期に湯浅町の病院で感染者が発生したため、医療スタッフや患者、住民の不安を払拭するため、知事が先頭に立って、国の基準によらず徹底的な検査を行い、その結果、新たな感染者の発生を抑えることに成功しています。 「批判はあろうが、責任は全て知事の私が負う」。今から一年前、令和二年二月二十八日、北海道の鈴木知事が緊急事態宣言を発令したときの言葉です。当時、北海道は感染者が突出しており、全国に先駆けた緊急事態宣言と、この言葉でした。久しぶりにリーダーシップのある政治家が現れたと多くの方が思ったと思います。 想定外の事態に見舞われたときに、これまで当たり前だと思っていた考え方や行動を見直す必要に迫られます。当然、混乱が起こったり、足並みがそろわなくなったり、精神的に落ち込む人も出てきます。そのような人々の意識に心を配り、寄り添いながら変化を促していくのがリーダーの役割だと思います。 知事は、このたびの選挙戦において「コロナ克服・山形経済再生」「コロナを克服し、さらに輝かしい山形の未来を創る」と訴えてこられました。
新型コロナウイルスの影響により「新・生活様式」が定着しつつある一方で、地域経済が深刻な影響を受けています。知事は、今後、
新型コロナ感染拡大防止と経済回復の両立を図ることが喫緊の課題であると強く言っておられました。 県では、河北病院に山形県
PCR自主検査センターを開設、三月中の検査開始を目標に準備を進め、いよいよワクチンの接種も始まります。県として今後どのような施策に取り組んでいく考えか、お聞きいたします。 このたびの知事選挙により、山形県の人口に関する現状と見通しを多くの県民が改めて知ることができました。 総務省統計局の二〇一九年十月一日現在の人口推計によれば、都道府県別の対前年比での人口増減率が山形県はマイナス一・一五%と、秋田県のマイナス一・四八%、青森県のマイナス一・三一%に続き、高知県と並んで全国三番目のスピードで人口減少が進んでいます。また、令和二年六月十一日の日本経済新聞に掲載された記事によれば、山形県は女性の転出者全体に占める十五歳から二十九歳の若年女性の割合が五八・一%となっており、これは全国で最も高い数値になっています。さらに、
令和元年人口動態統計によれば、都道府県別に見た人口千人当たりの婚姻数であります婚姻率については、山形県は全国四十三位となっています。 山形県の人口の自然動態を見ると、平成九年に死亡数が出生数を上回る自然減少の状態となりました。少子高齢化の人口構造を背景に、この自然減少の幅は年々拡大しており、直近の令和元年においては、出生者数六千五百五十人に対して死亡者数は一万五千六百三十九人と、九千八十九人のマイナスとなっております。 一方、社会動態を見ると、本県から他の都道府県への転出者数が他の都道府県から本県への転入者数を上回る社会減少の状態が一貫して続いております。その幅は、この十年ほどはおおむね三千人から四千人程度となっています。直近の令和元年の社会動態は三千六百五十九人のマイナスです。 「やまがた県民手帳」を見ますと、令和元年の山形県の一日が掲載されております。一日当たりの出生者数十七・五人に対して死亡者数は四十三・一人、転入者数は四十一・七人で転出者数は五十一・七人。この数字で考えれば、一日当たり、自然減少でマイナス二十五・六人、社会減少でマイナス十人、合計でマイナス三十五・六人となり、毎日これだけの人が減少していることになります。 山形県
人口ビジョン令和二年改訂版によれば、このまま何の手だても講じず出生率や社会減少について現状の傾向が継続した場合、四十年後の二〇六〇年には県の人口は約五十万人まで減少すると推計されています。一方で、施策効果を見込んだ場合でも、二〇六〇年の県人口は約七十七万人から七十一万人と推計されています。 元総務大臣・岩手県知事の増田寛也氏による民間研究機関「日本創成会議」が平成二十六年五月に独自に発表した報告書によれば、二〇一〇年から二〇四〇年までの三十年間で全国の計八百九十六自治体で二十歳から三十九歳の女性が半減するとした独自の試算が発表され、これらの自治体は「
消滅可能性自治体」という言葉で表現されたため、大きな反響を呼びました。山形県では三十五市町村のうち二十八市町村が
消滅可能性自治体に該当するとされました。 このような状況を踏まえ、今後、人口減少対策をどのように進めていくかお聞きいたします。 知事は、人口減少・少子化対策の一つとして、さきの知事選挙における公約の一番目に、「『子育てするなら山形県』の実現」に向けた「幸せな子育て環境の整備」として、子育て費用を段階的に完全無償化していく施策を掲げられました。 出産費用負担軽減については、現行法に基づく出産育児一時金四十万四千円と実際の平均出産費用約五十二万円との差額が十一万六千円となることから、何らかの給付制度の創設ができないものかと思っておりました。そうしたところ、来年度予算案に、出産支援給付金として差額の二分の一になる一人当たり五万八千円の予算を計上していただきました。知事に御礼を申し上げます。 さて、平成三十年度に県が実施した県政アンケート調査によれば、県民が理想とする子供の数は平均二・四七人、これに対して、持つつもりの子供の数は平均一・八八人と、〇・六人少なくなっております。その理由としましては、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」とした方が約三三%と、様々な理由の中で最も高い割合となっております。 全国的にも、国立社会保障・人口問題研究所が実施した平成二十七年社会保障・人口問題基本調査でも同じような傾向が見られ、「夫婦が理想の子ども数を持たない理由」で最も大きな割合を占めたのが「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」で全体の五六%に達し、妻の年齢が三十歳から三十四歳までの区分では実に八一%に上っております。 また、厚生労働省が実施した令和元年国民生活基礎調査においても、世帯の生活意識として「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答した割合は、全世帯で約五四%だったのに対して、十八歳未満の子供のいる世帯では約六〇%という結果でした。 このように、各種調査の結果を見ますと、子供を持ちたいのになかなか理想どおりには持つことができない、つまり、少子化を助長する大きな要因として、出産費用も含め、子育てや教育に関する経済的な負担の重さがあると考えられます。この点、国では、保育の受皿整備をはじめ、幼児教育・保育の無償化など様々な施策展開をしてきているものと承知しております。 知事は、このたびの選挙に際して、こうした国の取組をさらに一歩前に進め、県独自の施策として、出産費用、保育料、高校授業料等の子育て費用を段階的に完全無償化し全国トップの子育て環境を整備していく考えを表明されましたが、今後、これらの施策をどのように実現していくのか、財源確保策も含めお聞きいたします。 政府は、
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、デジタル化の遅れが明らかになったことから、AI人材やデータサイエンティストなど将来のデジタル社会を担う高度人材が大きく不足していることから、人材育成に力を入れています。 令和二年四月、不要不急の外出の自粛が要請されたことで、これまでの生活や働き方は大きく変わり、外出時の感染を避けるため在宅でのテレワークが推奨され、医療現場においても、オンライン診療について規制緩和の動きも見られ、感染症対策としてのデジタル化、五月二十五日に緊急事態宣言は解除されましたが、
新型コロナウイルス感染症対策の長期化が予想され、新しい生活様式への移行がコロナ終息後も必須であります。 ウイズコロナで加速するデジタル化では、個人の働き方に変化が訪れる中、コスト削減や業務効率化などを積極的に目指す企業も増え、あらゆる業種・業界で働き方改革に取り組んでいます。デジタル化を進めるならば、いっそのことデジタル化によってリモートワークの可能性がどこまで広がるかという試みを持って取り組む企業などもあります。 県では、令和二年九月、「Yamagata 幸せデジタル化」有識者会議を設置しました。社会全体で急速にデジタル化が進む中、外部有識者の知見や社会実装の経験を基に、デジタル技術を活用し県民の皆様の幸せを実現するための助言・提案をいただくことを目的とするとあります。この有識者会議での提案に基づき、昨年十一月に山形県の幸せデジタル化構想の中間取りまとめを示しました。この案には、県の電子決裁の推進といった「新・電子県庁」構想のほか、暮らしの分野では、デジタル活用でよりよい医療・福祉の体制構築や質の高い教育の推進など、子供から高齢者までデジタルの利便性を享受できるようにしていくことが盛り込まれています。 「思いは県民の皆さんの幸せな生活につながっていくように」と知事は発言しております。「Yamagata 幸せデジタル化構想」により、どのような社会を目指し、今後、具体的にどのような取組を進めていくのかお聞きいたします。 去る令和二年九月定例会において、我が会派自由民主党森田議員による代表質問、また、県政クラブ高橋淳議員による一般質問を通じて、東北公益文科大学の在り方について質問がなされました。 吉村知事は、その際、「東北公益文科大学は、地域の未来を担う人材の育成を目的に、県と庄内地域の市町村が設立した大学であり、本大学の運営方式につきましては、設立当時、私立大学ならではの柔軟な大学運営とするために、公設民営の運営方式とすることを決定し、今日に至っております」「県としましても、本大学の公立化は選択肢の一つと認識をしております」と答弁しています。 我が国においては、高度経済成長をきっかけとして大学進学率が高まったことにより、私立を中心に大学の新設が続き、令和二年四月現在の大学数は七百八十一、うち私立大学が五百九十二と、おおむね四分の三を占めています。一方、十八歳人口は、平成四年の二百五万人をピークに減少に転じ、平成二十年には百二十四万人と、ピーク時から約八十万人も減少し、その後の十年間は百二十万人前後とほぼ横ばいで推移したものの、既に大学を選ばなければ大学進学希望者全員が入学できるいわゆる大学全入時代になっております。さらに、二〇四〇年には十八歳人口が八十八万人まで減少する見込みであることから、小規模な地方の私立大学の経営はさらに厳しさを増すことが確実視されています。 こうした中、十年ほど前から、地方の私立大学において地方公共団体が設置・運営する公立大学への移行事例が増えており、これまで十校が公立化しております。一般に公立大学の学費は国立大学に準じた低廉なものとなる場合が多いことから、公立化した事例では、総じて私立大学時代と比べて志願者数が大幅に増加しております。この場合、志願倍率の上昇により、学生の質の向上につながっていくというメリットが指摘されています。 また、公立大学の運営財源は、授業料など学生からの納付金と地方公共団体からの拠出とに大別されますが、当該地方公共団体には、普通交付税額の算定において、基準財政需要額への算入という形で、学生数に応じ一定の基準により大学の設置・管理に要する経費が措置されることから、大学では、安定した財源を背景に、落ち着いて教育研究に取り組む環境を整えることが可能となります。 このようにメリットが多いと推察される公立化ですが、さきの令和二年十二月定例会における石黒議員の代表質問において、東北公益文科大学の公立化に向けた工程を問われた総務部長は、「現在、庄内地域二市三町の実務者により取りまとめられました報告書も参考にしながら課題の洗い出しなどを進めるとともに、二市三町と検討の視点や項目、進め方などについての協議を開始しているところです」「本大学が本県の教育研究や人材供給の重要な拠点として永続的に存続していけるよう、その在り方について、着実にかつ速やかに検討を進めてまいりたいと考えております」と答弁しています。 こうした流れの中で、吉村知事は、このたびの県知事選挙において、「質の高い教育環境の整備」として「東北公益文科大学の早期公立化と機能強化」を公約に掲げられたと承知しておりましたので、一月二十八日の新聞報道を目にしてびっくりしたのは私だけではないと思います。県と酒田市などが進めていた検討組織の設立準備について、県から酒田市に停止の意向が伝えられたとの記事でした。 これに対して知事は「寝耳に水のこと」としており、このようなことでは、意思決定・統治機能が問われるのではないかと思います。報道によれば、一月十四日には早期に検討する必要性を確認していたとあり、「『公立化に向けた動きが後退するのでは』と不安視する声が関係者に広がっている」とありました。その後の報道によれば、県は、二月定例会終了後に実務者で会合を開き、公立化に向けて検討作業を進める方針とのことですが、このような状態でスムーズに検討が進むのか、市や町が不安視するのは当然のことと思います。 そこで、状況を整理する上でも、本当に公立化を進める意思があるのかどうか、また、いつ頃を目標に位置づけて進めていくつもりなのか、改めて知事にお聞きいたします。 次に、文化・スポーツ施設の整備についてお聞きいたします。県立博物館の移転整備、県体育館・武道館・スケート場整備の推進についてであります。 この件につきましては、これまで幾度か議会で質疑が行われ、私も何度となく多く質問し、スポーツ施設においては、国体など大規模な大会を招致し施設整備を図ってはどうかと提案させていただきました。 知事の公約には、「文化芸術・スポーツに親しむ環境づくり」、文化振興に「県立博物館の移転整備」、スポーツ振興に「体育館・武道館・スケート場整備の推進」とあります。 県立博物館は、昭和四十六年、山形県の明治百年記念事業の一環として開館した総合博物館で、今年でちょうど節目の開館五十年となります。博物館には、国宝土偶「縄文の女神」、県指定天然記念物「ヤマガタダイカイギュウ化石」等が展示され、県の自然や歴史・文化などの学びの場として利用されております。 県立博物館は、山形城跡保存管理計画に基づき、代替施設完成時に移転することで山形市と合意されています。県のこれまでの答弁では、博物館を中心とした内部の検討会において、博物館の将来構想に係る考え方の整理を行い、将来の移転整備については、広く情報を収集しながら慎重に進めていく必要があるとしています。 建設から相当の年数が経過し、建物や設備の老朽化がかなり進んでおります。また、近年、博物館には、従来の社会教育施設というだけでなく、観光や交流の拠点など様々な役割が求められるようになっています。私たち県民も山形県の新しい博物館に大変期待しているところであります。 この四年間で建設の時期、規模、移転場所等具体的に示されると理解いたします。今後どのように進めていかれるのかお聞きいたします。 県体育館と武道館は、山形城跡保存管理計画に基づき、当初平成十七年度までに撤去される予定でありましたが、利用者・競技団体からの要望を踏まえ、県と市の協議により、平成三十五年度・令和五年度をめどに撤去されることとなりました。 県体育館は、昭和四十一年、県スポーツの拠点機能を持つ施設として建設された体育館です。県は、べにばな国体に合わせ天童市の県総合運動公園内に体育館が建設され拠点機能の役目を終えたとして、霞城公園内の体育館は地域スポーツ施設として山形市民の皆様を中心に利用されている施設であることから所在市町村である山形市における対応を基本とするとしていますが、現在も年間約十一万人が利用し、各種大会なども開催され、なくてはならない施設で、利用者・競技団体より移転建設の要望があります。 武道館は昭和四十二年に建設され、全国都道府県立武道館協議会に加盟し、同協議会や日本武道館との錬成大会や研修会などを開催し、広く武道全般の振興を行っています。新たな武道館建設を求め、柔道、剣道、なぎなたなどの武道団体が中心となり建設の署名運動を行い、スポーツ振興議員連盟役員も同席し、知事に要望書を提出しております。 県の考えは、以前、私の質問に対して「全国大会できる武道館は本県にあります。総合運動公園にあるのは、名前は確かに武道館とはついていませんけれども、全国の剣道や柔道等の武道の大会を行う機能と施設はございます」「霞城公園内の武道館というのは、市民を中心として、地域のスポーツ施設として活用されているものでございますので、そこは山形市民の皆様で使用されているという実態を踏まえれば、所在市町村である山形市における対応が基本である」と、完全に建設を強く否定され、大変残念な答弁でありました。 県内のスケート場は冬期間のみの営業で、酒田市体育館の屋内リンク、鶴岡市小真木原公園の屋外リンク、公認リンクは、スピードスケートの山形市総合スポーツセンター屋外の四百メートルリンクのみであります。 平成四年のべにばな国体に併せ、急遽県からの要請により山形市でスケート競技を開催することとなり、アイスホッケーは厚生年金休暇センター屋内スケート場と山形市総合スポーツセンターの屋外テニスコートを使用。今では考えられないことであります。フィギュアスケートは、今はホールの駐車場となっている山形スケートセンター、スピードスケートは、山形市総合スポーツセンターに仮設として造られた屋外四百メートルリンクで開催されました。この屋外四百メートルリンクからはオリンピック選手など世界で活躍する選手を輩出し、競技選手はもちろん、グループ、家族連れなど多くの県民の方から利用されていますが、仮設のためリンクにゆがみがあり、また、製氷機・冷凍機の故障など老朽化の影響が出ています。 スピードスケート競技の強豪県と言われる本県ですが、現在の施設では全国規模の大会の開催は難しい状況であります。屋内のフィギュア、アイスホッケーの公認リンクは県内になく、フィギュア選手は、やむを得ず県外へ登録を移転する選手もありました。国体予選などの大会は他県のリンクを借りて開催している現状です。 県は、フィギュア、アイスホッケーの屋内リンクについての考えは、「山形市の今後の動きを見守ってまいりたい」、スピードスケートの屋内四百メートルリンクについては、「県内唯一の競技スポーツ施設の老朽化に伴う修繕整備など一定の要件を満たす場合に市町村の施設整備に対して支援する新たな制度として平成二十五年に設けた」であります。 このように、県体育館・武道館・スケート場については、これまでは大変厳しい回答でありましたが、多くの県民から利用され、県民ニーズが認められる施設については、その整備は前向きに取り組むべきであると考えます。 県民ニーズを踏まえたスポーツ施設の整備を今後どのように進めていくのか、その考え方について教育長にお聞きいたします。 このたび知事が公約にスポーツ振興として体育館・武道館・スケート場の整備の推進を掲げたことは、並々ならぬ強い決意があったからと存じます。県スポーツ協会会長を務める知事であります。各競技団体、利用者、多くの県民が施設整備に期待を寄せています。スポーツ振興、スポーツ施設の整備は、多くの県民が高い関心を寄せるところでありますので、知事に意気込みをお聞きいたします。 一日も早い新型コロナ感染症の収束を願い、壇上からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(金澤忠一議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。
◎知事(吉村美栄子君) おはようございます。 奥山議員から私に十問質問を頂戴いたしましたので順次お答え申し上げます。 まず一点目は、今後の県政運営についてでございます。 県政における目下の最優先課題は新型コロナ対策であります。本県では、十二月に医療・福祉施設や飲食店でクラスターが発生し、新規感染者が急増したことから、本県の「注意・警戒レベル」をレベル4の「特別警戒」に引き上げ、対策の徹底などを強く呼びかけたところであります。十二月中旬に一時は一日に二十二人の新規感染者が確認されたこともあり、大変心配いたしましたが、医療従事者の方々の懸命な御尽力、そして県民の皆様や事業者の皆様の御努力のおかげもありまして、一月中旬には比較的落ち着いた状況となりました。しかしながら、その後も断続的に新規感染者が確認されております。医療提供体制や地域経済をはじめ、県民生活全般に大きな影響が出ておりますので、引き続き、政府や市町村等と連携しながら、対策の要でありますワクチン接種の円滑な実施に向けて全力で取り組んでまいります。あわせまして、飲食業や観光業、宿泊業、旅客運送業をはじめ、中小企業の事業継続と雇用維持に向けた支援を行い、感染拡大防止と地域経済回復の両立に取り組んでまいります。 四期目の県政運営に当たりましては、喫緊の課題である新型コロナ対策をしっかり行うとともに、ポストコロナの社会、山形の未来を見据え、五本の柱の施策を掲げ、構造的な課題に中長期的な観点から取り組んでまいります。 山形の未来を展望する上で、人口問題を抜きにしては語れません。我が国は二〇〇八年から人口減少に転じており、特に地方においては、自然減、社会減ともに大きな課題となっております。私は、これまでの三期十二年の間、「子育てするなら山形県」の実現を目指した施策を展開してまいりました。今後さらに、子育て環境の整備や若者の定着・回帰に向けた就業の受皿の整備、多様な移住対策の推進など、少子化対策と社会減対策の両面から強力に対策を講じてまいります。あわせまして、「健康長寿日本一」、発達障がい児や医療的ケア児への支援などを含め、誰一人取り残さない社会の実現に努めてまいります。 新型コロナを機にデジタル化が急速に進行しております。こうしたデジタル化の恩恵を、デジタルが得意な人も、そうでない人も、全ての県民が享受し、生活の利便性向上や産業の生産性向上等に結びつけていくことも重要であります。医療、福祉、教育、交通など、社会のあらゆる分野でデジタル技術の導入を進めるとともに、「やまがたAI部」の活動への支援など、デジタル人材の育成などにも取り組んでまいります。 五本の柱には、県民所得の向上も掲げております。本県は、優れたものづくりの技術や品質の高い農林水産物、地域に受け継がれる精神文化などに恵まれておりますので、こうした地域資源を活用しながら、本県産業の高付加価値化を図り、賃金水準の向上につなげていくことが重要であります。このため、デジタル技術の活用や海外展開への支援、賃上げにつながる支援金など、様々な取組を進めてまいります。 近年、災害が頻発化・激甚化しております。私は、やまがた強靱化を掲げ、令和二年七月豪雨などを踏まえ、目の前の治水対策に力を入れるとともに、将来を考え、地球温暖化防止に向けてゼロカーボンを実現する取組を実践してまいります。また、道路・鉄道・空港・港湾など、県勢発展の基盤となる社会資本の整備も引き続き進めてまいります。 新型コロナとそれに伴うデジタル化の急速な進行は、社会経済構造に大きな変容をもたらすことが想定されます。そのため、私は、ポストコロナを見据え、文化芸術、音楽など本県の魅力ある地域資源に、デジタル技術や多様な交流・つながりにより新たな光を当てて、山形の発展に結びつけてまいりたいと考えております。 今後とも、新型コロナ対策に万全を期すとともに、将来への投資もしっかりと進め、県議会の皆様、市町村、県民の皆様と一緒になって、「さらに輝かしい山形の未来を創る」ため全力で取り組んでまいります。 二問目は令和三年度当初予算の編成についてでございます。 私は、世界に誇れる山形ならではの「幸せな育ち、幸せな暮らし」の実現を目指して、私の県政四期目の目標として、「『子育てするなら山形県』の実現」「『健康長寿日本一』の実現」「県民幸せデジタル化」「『一人当たり県民所得』の向上」「やまがた強靱化」という五つのテーマを県民の皆様にお示ししたところであります。その結果、多くの県民の皆様から御支持をいただき、知事として四期目を担わせていただくこととなりました。令和三年度当初予算は四期目のスタートに当たりますことから、これらのテーマを実現するための新規事業を重点的に盛り込んでございます。 とりわけ意を用いましたのは、一つ目に、「子育てするなら山形県」の実現に向けた子育て費用の段階的な完全無償化に係る予算であります。出産支援給付金の創設や、現行制度で無償化されていない住民税非課税世帯以外のゼロ歳児から二歳児までの保育料の段階的軽減、そして私立学校等の授業料軽減のための支援額の拡充により、子育て世帯の負担軽減につなげてまいります。 二つ目として、新型コロナへの対応につきましても、引き続きオール山形で取り組まなければならないものでございます。ワクチン接種につきましては、県民の皆様の不安を解消するため、専門的な相談を受けるコールセンターを県で開設いたします。また、市町村が実施主体となりますが、県民の皆様がワクチン接種を円滑に受けられますよう、しっかりと政府・市町村と連携しながら進めてまいります。さらに、県民や企業の方々の不安解消や社会経済活動の支援を図るべく、県立河北病院に山形県
PCR自主検査センターを設置いたします。 加えまして、新型コロナを契機として社会全体で急速にデジタル化が進んでおり、誰一人取り残さない「Yamagata 幸せデジタル化構想」の理念に基づき、全ての県民がデジタル化の恩恵を受けられる社会づくりを進めてまいります。 三つ目に、女性の活躍促進をさらに加速させる必要があります。このため、若年女性の非正規雇用労働者の賃金を一定以上引き上げた事業者や正社員に転換した事業者に対して支援金を支給し、女性の賃金の底上げや職場の処遇改善を図ってまいります。また、各界の有識者・実践者等で構成する女性活躍推進懇話会、仮称でありますが、それを設置し、頂戴した御意見を基に、今後の女性活躍推進施策を力強く展開してまいります。 一方、こうした新たな取組を実施するための財源につきましては、地方創生臨時交付金など国庫支出金を最大限に活用するとともに、新型コロナの影響により実施が困難または十分な効果が見込めなくなった事業のほか、県外出張のオンラインへの切替えなど、徹底した歳出の見直しを実施したところであります。この結果、調整基金残高は百億円を何とか確保することができました。 令和三年度当初予算は、一言で申し上げれば「コロナ克服・未来創造予算」であります。先ほど述べました事業をはじめ、各種事業を着実に進めながら、新型コロナの感染拡大防止と経済回復の両立を図るとともに、ポストコロナを見据え、誰一人取り残されることのない山形県を県民の皆様、市町村とともにつくってまいりたいと考えております。 三問目は市町村との連携についてでございます。 知事就任以来、私は、県づくり推進の基本姿勢として、「県民視点」「対話重視」「現場主義」そして「市町村との連携強化」を掲げ、重要事業要望や市町村長との意見交換の場など様々な機会を捉えて市町村の皆様と対話し、また、県市長会や県町村会を通して、その声を丁寧にお聞きしながら、市町村との連携を重視して県政運営を進めてまいりました。 現在、本県を取り巻く社会経済情勢は、新型コロナの感染拡大の影響や相次ぐ自然災害の発生などにより極めて厳しい状況にあります。この難局とも言うべき状況に対して、県と市町村が一体となって対応していくことがこれまで以上に重要になってきております。 今年度、令和二年度はコロナ禍ではありましたが、市町村長会議をオンライン方式で二回開催いたしました。また、私自身が県内五つの地域に出向きまして、各総合支庁において市町村長との意見交換会を開催いたしました。この会議には全ての市町村長が御出席されまして、皆様お一人お一人から直接、新型コロナや豪雨災害といった喫緊の重要課題についてお伺いしたところであります。 こういった市町村長からの御意見や御要望を受けて、例えば、新型コロナへの対応策として、新しい生活様式に対応するため店舗の改修など感染防止対策に係る設備などを導入した事業者への支援や、路線バス、タクシー・ハイヤーを運行する地域生活交通事業者への支援などを連携して行いました。さらに、七月豪雨への対応としても、被災された市町村の現場の声を受け止め、被災住宅の復旧・修繕支援などを新規に行ったところでございます。 また、新型コロナを契機とした急速なデジタル化が進行する中で、県と市町村の担当者が実務ベースでしっかりとコミュニケーションを取るため、「Yamagata 幸せデジタル化構想」に基づいた「山形デジタル道場」というオンライン会議を設置しております。デジタル道場では、市町村長の参加も含めて、県と全市町村の担当者がオンラインで定期的に会合を重ね、これまでも酒田市、南陽市、舟形町及び庄内町の先進事例を御紹介いただくなど、有用な取組を横展開するために活発な議論を行ってきております。 今後始まるワクチン接種につきましても、先月十九日に私を本部長とする新型コロナワクチン接種総合本部を設置し、その後、県と全市町村の幹部職員も参加したオンライン会議を開催して、政府におけるワクチン接種の最新情勢や県内の実際の接種に係る課題を共有するとともに、率直な意見交換を行ったところであります。このように、県民の皆様の安全安心を確保し、円滑にワクチン接種を受けていただけるよう、一緒になって準備を進めているところであります。 さきの市長会総会で土田会長さんが、「選挙でありましたから、わだかまりやしこりというものが残るのは当然だが、今後、県政・市政が一体となって進めなければいけない大事な時期です。我々市長と知事にとって一番大事なものは、県民・市民の生命・財産を守るということでありますから、きれいに水に流しましょう」とおっしゃってくださり、私もそれに呼応したところでございます。 今後も引き続き市町村と連携しながら、新型コロナを乗り越え、さらなる県勢発展に向けて全力で取り組んでまいります。 四問目は今後の新型コロナ対策についてであります。 私は、この一年、本県の新型コロナ対策の責任者として、県民の皆様の命と生活を守るために全力で取り組んでまいりました。 感染拡大の防止につきましては、積極的疫学調査とPCR検査を幅広に実施することにより感染の封じ込めに全力を挙げるとともに、相談体制や検査・医療提供体制の充実を進めてまいりました。また、中小企業や地域経済を支えるため、全国でも例を見ない県と市町村、金融機関が連携した十年間無利子・無保証料の融資制度の創設や、雇用調整助成金の緊急対応期間を延長するよう全国知事会を通して何回も政府に要請するなど、事業継続への支援や雇用維持に取り組むとともに、プレミアムつきクーポン券の発行や各種観光キャンペーンの実施など、県内の消費喚起にも取り組んでまいりました。 今後も引き続き、ポストコロナを見据えながら、感染拡大の防止と地域経済の再生にしっかりと取り組んでまいります。 まず、感染拡大防止につきましては、ワクチン接種が対策の重要な柱であり、十六歳以上の県民九十四万人のうち希望する方が接種対象となる、まさにビッグプロジェクトでございます。県としましては、実施主体となる市町村と緊密に連携するとともに、医療従事者の確保や医療機関の協力が得られるよう医師会などの関係団体との調整を図り、県民の皆様が円滑に接種を受けられるよう体制整備に万全を期してまいります。 医療提供体制につきましては、引き続き、重点医療機関を中心に専用病床を確保するとともに、今後とも医療機関に対する空床補償などを行ってまいります。感染者が急増した場合に備えた軽症者及び無症状者用の宿泊療養施設も引き続き確保してまいります。 また、県民や企業の方々の不安解消や社会経済活動を支援するため、行政検査の対象とならない県内居住者等を対象とする山形県
PCR自主検査センターを県立河北病院に設置いたします。三月中に開所する予定であり、検査料は五千円と考えております。 次に、地域経済の再生に向けた主な施策としましては、商工業振興資金に係る利子補給や保証料補給の後年度負担により県内企業の事業継続を支えていくとともに、新型コロナの影響を受ける事業者の経営安定や経営改善のため、商工会・商工会議所の経営支援員を増員し、経営指導体制を強化してまいります。 雇用維持につきましては、雇用調整助成金の緊急対応期間を雇用情勢等に応じて必要な期間延長するよう政府に要請するほか、新型コロナの影響により離職を余儀なくされた方を正社員として採用した事業者に奨励金を交付するなど、再就職支援にも力を入れてまいります。 また、ポストコロナを見据え、県内中小企業・小規模事業者の経営力などのパワーアップを図る補助事業を創設し、新製品・新技術の開発やデジタル化及びSDGsの推進に係る設備投資などを支援してまいります。 観光分野では、需要回復を図るため、県内の旅館・ホテルで利用できる宿泊割引クーポンを三十万枚追加発行し、来年度も引き続き「県民泊まって元気キャンペーン」を実施いたします。また、特に本県の強みである精神文化などについて、観光データの分析結果を踏まえた動画配信や魅力的なコンテンツの発信など、デジタルプロモーションを強力に展開いたします。さらに、経済波及効果が大きいコンベンションの誘致などにも積極的に取り組んでまいります。 農林水産分野では、大消費地における緊急事態宣言の再発令により農林水産物の消費低迷が懸念されますので、青果物の価格安定事業にタラノメとウルイを追加するほか、政府の肉用牛肥育農家の経営安定制度、いわゆる牛マルキンへの上乗せ支援も継続いたします。また、県産農林水産物の新たなプレゼントキャンペーンを展開したり、農林漁業者のECサイト開設など、インターネットによる販売促進の取組を支援してまいります。 県としましては、今後とも、県民の皆様や事業者の皆様の声をしっかりと受け止め、市町村はもとより政府や関係機関・団体と連携して施策に取り組み、県民の皆様と一丸となってこの難局を乗り越えてまいりたいと考えております。 五問目は人口減少対策についてでございます。 人口減少対策は、本県が持続的に発展していくための喫緊の課題であり、これまでも本県の最重要課題の一つとして取り組んでまいりました。 本県の人口減少を分析しますと、死亡数が出生数を上回る自然減が約七割、転出者数が転入者数を上回る社会減が約三割を占めておりまして、自然減が人口減少の主な要因となっております。少子高齢化が進む本県の人口構造を踏まえますと、人口減少は今後も続くものと見込んでおりますが、人口減少のスピードを抑制するための少子化対策、健康長寿の推進、人口の流出を抑制する社会減への対策に取り組み、持続可能な地域社会をつくっていくことが重要であります。 まず、少子化対策としましては、「子育てするなら山形県」の実現に向けて、子育て費用の完全無償化に段階的に取り組んでまいります。令和三年度は、全国初の取組として、出産費用の負担を軽減するための給付金を創設するとともに、現行制度で無償化されていないゼロ歳から二歳児の保育料の無償化に着手いたします。また、私立高等学校の授業料軽減への支援を拡充するなど、ライフステージに応じた支援を行い、安心感を持って子育てできるようサポートしてまいります。このほか、特定不妊治療等への医療費の支援や、女性活躍推進のための懇話会の設置など、出産・子育てしやすい環境づくりに努めてまいります。 社会減への対策としましては、若年層の県外流出、とりわけ女性の県外流出を抑制することが重要であると考えております。このため、若者・女性の雇用の受皿となるソフトウエア業やデザイン業などのソフト産業の立地を促進するとともに、若者・女性の創業支援や、女性の賃金向上に向けた取組についても積極的に推進してまいります。 こうした取組も含め、産業面においては、専門的な知識や能力を身につけた若者がその力を発揮できるよう、研究開発など魅力的な就業の場の拡大に取り組むとともに、イノベーションの創出を通した企業の「稼ぐ力」の強化や、「攻めの経営」に取り組む企業への支援を充実させてまいります。あわせまして、東北農林専門職大学・仮称の設置により、本県の強みである農林業の高付加価値化を担う人材育成についても強化してまいります。また、水産業の担い手育成のため、県単独の所得補償制度や漁業研修に対する支援などの総合的な支援策を創設し、新規漁業就業者の確保を図ります。 現在、首都圏等におきましては、コロナ禍の影響により地方での生活に対する関心が高まっております。オール山形の移住相談窓口「くらすべ山形」を通じた本県への移住者は、昨年度の七十二名に対して、今年度は既に百名を超え、大きく増加しております。引き続き、移住希望者目線での情報発信や、それぞれのニーズに寄り添った丁寧な相談対応を進めてまいります。 これに加えて、ワーケーションや二地域居住など、コロナ禍を契機とした新たなニーズを大胆に取り込むことで、本県への移住希望者層の裾野を広げていくことも重要であります。市町村が提供する様々な移住体験メニューを支援し、また、副業人材の活用、オンラインによる関係人口の創出に取り組むなど、山形暮らしの魅力や可能性を県外の皆様に実感していただくため、デジタルの活用も含めた多様なアプローチを展開してまいります。 このように、人口減少下においても持続可能で豊かな地域をつくっていくため、本県の魅力ある資源を活用しながら、人材や資本を取り込み、地域の発展に結びつける仕組みづくりを進めてまいります。その際には、古い慣習や固定観念にとらわれず、若者や女性が存分に力を発揮できる社会環境を企業等とともにつくっていくことも大切であります。こうした地道な取組の積み重ねが、「地元に残って活躍したい」「山形県に移り住んで自分の力を生かしたい」と考える人々を引きつけることにもつながり、ひいては地域に住み続ける県民の皆様の幸せにもつながるものと考えております。 人口減少は待ったなしの課題であります。今後とも、あらゆる政策手段を講じまして、スピード感を持って取り組んでまいります。 六問目は子育て費用の段階的な完全無償化の実現についてであります。 就任当初から、私は、次代を担う子供を安心して産み育てることができる社会の実現を県政の最重要課題の一つとして位置づけ、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援策に歩みを止めることなく取り組んでまいりました。 今般の選挙におきましても、「子育てするなら山形県」の実現を公約の一つ目に掲げました。若者が将来に夢と希望を持ち、子育て世代が幸せを実感できる子育て環境を総合的に整備していくことを県民の皆様にお約束したものでございます。 また、コロナ禍により東京一極集中のリスクが顕在化し、地方での暮らしが見直されている今、山形県で暮らす若者にはもちろんのこと、本県への移住・定住を進めていくに際しても、本県の豊かな自然や文化、親切で温かい人柄などと併せ、子育て世代が望む施策を他県に先行して実施し、本県の子育て環境の優位性をアピールしていくことが重要であります。 そうした中、県が実施した県民アンケートにおきましても、また、私がこれまで子育て中の方やこれから結婚する方々などに直接お伺いした御意見でも、「出産や子育てにはお金がかかり過ぎる」といった経済的な負担感を一番の不安として捉える声を非常に多くいただきました。子育てや教育に係る費用の一層の負担軽減が強く求められております。 こうしたことから、私は、若い世代が経済的な負担を感じることなく子育てができる環境づくりの第一歩として、スピード感を持って、力を入れるべきところに思い切った施策を展開することとし、来年度から子育て費用の段階的な無償化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 具体的に、初年度は、出産費用の負担軽減のため、本県の平均出産費用と公的医療保険から支給される出産育児一時金との差額について市町村と連携して支給する出産支援給付金を創設いたします。 また、政府の幼児教育・保育の無償化で無償化の対象となっていない住民税非課税世帯以外のゼロ歳児から二歳児までの保育料について、推定年収四百七十万円未満までの世帯を対象に、市町村と連携して子育て世帯の負担を軽減してまいります。 さらに、私立高等学校の授業料について、世帯年収約五百九十万円以上九百十万円未満の世帯の支援額を月額一万七千円から二万円に拡充いたします。 こうした取組を実現するためには、市町村や関係団体との連携協力が不可欠でありますので、皆様の実情をよくお聞きしながら、状況をしっかり把握した上で、子育て費用の段階的な無償化を進めてまいりたいと考えております。 なお、財源の確保につきましては、非常に大きな財政負担が生じるものでありますので、県有財産の売却・有効活用の促進、基金や特別会計資金の活用などの歳入の確保や、事務事業の見直し・改善、行政経費の節減・効率化など徹底した歳出の見直しに努めながら取り組んでまいります。 山形県で暮らす皆様が「幸せな育ち、幸せな暮らし」を実感できるよう、また、県外の方々にもしっかりとアピールできるよう、市町村をはじめ関係団体等と一体となって、「子育てするなら山形県」の実現に向け邁進してまいります。 七問目であります。「Yamagata 幸せデジタル化構想」に基づき目指す社会と今後の取組についてお答え申し上げます。 「Yamagata 幸せデジタル化構想」におきましては、子供から高齢者まで誰一人取り残さず、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる社会づくりを目指しております。新型コロナ対応で成果を上げ、天才プログラマーとも言われている台湾のオードリー・タンIT担当相も、雑誌の取材に答え、「高齢者は若者からデジタル社会とどう接したらいいかを学び、若者は高齢者から知恵や経験を学ぶ」と発言されていることに大いに共感するものであります。 こうした社会像を念頭に置き、今後は、幸せデジタル化構想の本格実施を進めてまいります。例えば、介護・福祉分野におけるデジタル技術の活用を促進するとともに、令和四年四月には、路線バス等に対する交通系ICカードを全国で初めて県内全域で一斉導入いたします。加えまして、移住やワーケーション推進のため、リアルとオンラインの組合せにより戦略的な発信を行うとともに、高校AI部への支援などによりデジタル人材の育成を進めます。このほか、令和三年度予算では、農林水産、教育、防災など県政のあらゆる分野で幸せデジタル化構想に基づく施策を総動員し、県民の幸せ実現に取り組んでまいります。 八問目は東北公益文科大学の公立化についてでございます。 東北公益文科大学の公立化につきましては、昨年の九月定例会において、さらなる機能強化や公立化について総合的な検討をしっかり前に進めていく旨をお答えし、その後の県知事選挙におきましても、政策の一つとして「東北公益文科大学の早期公立化と機能強化」を県民の皆様にお約束したところであり、その姿勢は変わっておりません。また、昨年十一月には庄内地域二市三町と実務者による協議を始めておりますので、県と二市三町の役割分担や財政負担の在り方なども含め、互いの信頼関係の下、議論を尽くしてまいります。 このように、まずは関係者と公立化に向けた基本的な方針を定めることに注力してまいりますので、現時点で公立化の時期をお示しできる段階にはございませんが、先行した他県の事例では、公立化の方針決定後、約一年半を要したとのことでありますので、こうした事例も勘案し、検討の進捗を踏まえ、見通しを立ててまいりたいと考えております。 いずれにしましても、本大学が今後も庄内地域に根差し、本県の教育研究や人材供給の重要な拠点として永続的に存続していけるよう、県と二市三町がお互いに信頼関係を持ちながら、公立化や各種機能強化の在り方などについて検討を前に進めてまいります。 九問目は県立博物館の移転整備についてであります。 県立博物館は、本県の自然、歴史、文化の魅力を広く発信し、総合的に学ぶことのできる博物館として、長く県民の皆様に親しまれ、また、郷土の歴史や文化について学び、体験できる機会を通して子供たちの地域への誇りや愛着を育み、次代を担う人づくりに大きな役割を果たしてまいりました。さらに、地域の歴史や文化の正しい理解と魅力あふれる地域づくりの礎となる貴重な文化財の保存・継承の役割を担うなど、非常に重要な施設であると認識しております。 当館は開館から五十年となり、施設の老朽化が進み、また、現在の場所からの移転が必要な中で、これまで果たしてきた役割に加え、今後、さらに期待される地域づくりや観光との連携など多様なニーズに応えていくことが必要であると考えております。 移転整備に当たりましては、新博物館のコンセプト、形態、規模、移転先や財源など様々な課題がありますので、まずは、来年度策定予定の文化財保存活用大綱の検討を進める中で本県文化財の保存・活用に博物館が果たすべき役割などについて議論するとともに、庁内において部局横断的な検討チームを設けて、幅広い視点から検討を行いたいと考えております。あわせまして、文化推進委員会委員などの有識者、若者をはじめ県内各界各層の皆様からも幅広く御意見をお聞きしながら、移転整備に向けた具体的な検討を進めてまいります。 最後の十問目であります……。
○議長(金澤忠一議員) 答弁者に申し上げます。これをもって答弁を終了してください。 奥山誠治議員に申し上げます。議会運営委員会の申合せ時間が超過いたしておりますので、答弁の終わらない事項については文書をもって答弁いたさせますので、御了承願います。
○議長(金澤忠一議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時三十五分再開いたします。 午前十一時二十四分 休憩 午前十一時三十五分 開議
○議長(金澤忠一議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二十六番高橋啓介議員。
◆26番(高橋啓介議員) おはようございます。県政クラブを代表して質問を行います。 まずもって、昨年三月三十一日、本県における
新型コロナウイルス感染者の発生以来今日まで医療現場で日夜大変な御努力をいただいている皆様方に、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。また、不幸にしてお亡くなりになりました皆様に心から御冥福をお祈り申し上げます。 質問に入らせていただきたいと思います。 最初に、さきに行われました山形県知事選挙で見事当選されました吉村知事、当選誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。三期十二年間の実績、そして
新型コロナウイルス感染防止に力を注ぎ、県内経済の再生に精力的に取り組んできた知事の思いが県民と共有できた結果と思います。これからの四年間、県民の幸せを求めて、さらに一人一人が豊かさを実感できる山形県になるよう御期待申し上げます。 さて、十二年ぶりの選挙戦になったわけでありますが、県民の民意を知る上におきまして意義のある選挙であったと思います。山形県の将来ビジョンについて、県民の多くの皆さんが今日の置かれている現状を踏まえ、どのような未来に期待を寄せるのか、選挙は県政を最も身近に感じることのできる手段であると思います。 十七日間の選挙戦では、豪雪対策や
新型コロナウイルス対応と、公務を継続されながらの選挙戦でありましたが、自らの考えを県民の皆様方に訴えられました。県内隅々まで回り、多くの県民と会話し、県政に対する要望・意見などを幅広く聞かれたことと思いますが、知事の県政運営四期目に当たっての抱負をお伺いいたします。 また、この選挙戦では、知事は、五つの柱を中心に自らの考えを県民の皆様に訴えられました。その中でも、特に子育て環境については、「子育てするなら山形県」の実現を目指すことを約束されました。 子育て環境の整備に当たっては、放課後児童クラブの整備も重要であると思います。そこで、放課後児童クラブの現状を踏まえた今後の取組についてお伺いいたします。 御案内のとおり、昨年三月に突然一斉休校となり、県内の放課後児童クラブにおかれましては、感染防止を図りながら長期間に及ぶ対応をしていただきました。とりわけ、十分なスペースが確保されていない環境の中で密を避けながらの作業は、神経の休まる暇がない苦労があったことと思います。指導に携わっていただいております皆様に改めて感謝を申し上げます。 令和二年五月一日時点で、山形県では、西川町を除いて、三百三十六か所で一万五千五百五十四名の児童の皆さんが放課後児童クラブで過ごしております。今は国の事業としても認められましたが、事業当初は、関係者が財源を出し合い自主運営し、徐々に市町村からの支援を受け、さらに、平成二十七年以降、国の事業として改善が図られてきました。特に、指導している方々の処遇も充実してまいりました。 今後の課題としては、保護者負担の軽減と子供たちが生活する施設の充実が求められていると思います。 そこで、市町村と連携し、未来を担う子供たちが安心して過ごせる環境整備にどう取り組まれていくのか、吉村知事にお伺いいたします。 次に、核兵器禁止条約の発効についての所感をお伺いいたします。 百二十か国以上の国と地域が賛成して二〇一七年七月に成立した核兵器禁止条約は、昨年十月、批准国が五十か国に達し、今年の一月二十二日に発効の運びとなりました。画期的なことであり、世界の核廃絶への歩みが新たな段階に入ったと言えます。 広島と長崎に原爆が投下されて七十六年。今回の核兵器禁止条約の発効は、筆舌に尽くし難い原爆被害の実相を語り続け、核兵器の非人道性、核兵器廃絶を訴え続けてきた被爆者や遺族の方々、ICANなど世界各国の多くの方々の御尽力が全世界的なうねりとなって結実したものと言えます。「核兵器のない世界」という目標を全世界的に共有することを可能にするもので、全ての関係者の長年の御努力に敬意を表します。私たちもこれまで一貫して、人類と核は共存できないと、毎年、県内はもとより全国の多くの方々と連帯し運動を行ってまいりました。 国連のグテーレス事務総長は、「核兵器のない世界への重要な一歩だ」と評価し、全ての国に対して、共に取り組もうと呼びかけています。一月二十二日現在、批准を済ませた国と地域は五十一、条例に加わる意思を表明した署名は八十六になっていますが、いずれも核兵器を保有しておりません。 一方、核保有国と核抑止力に依存するNATO・北大西洋条約機構加盟国三十か国、そしてそのパートナーとなっている日本は、核の抑止力によって安全が保障されているとし、条約に反対しています。 日本においては、自民党を除いて全ての政党が条約発効を歓迎しております。まさに、世界で唯一の被爆国として進む道は、核保有国と非保有国との橋渡し役として務めるのが、国際社会の平和と安定に大きく寄与するものと思われます。県内的には、核兵器の廃絶と恒久平和を願って、県を含む全ての自治体が非核宣言を行っております。 このたびの核兵器禁止条約の発効を受けて、吉村知事の所感をお伺いいたします。 次に、安定した職場の提供と県民所得の向上についてお伺いします。 今、多くの自治体で人口減少を食い止めるため各種の政策に取り組まれています。人口減少を抑える一番の政策は、安定した職を提供することだと思います。 新潟県の黒川村では、農業と観光を一体化して、あらゆる施設を村営・第三セクター化して若者の雇用に力を注ぎ、その結果、村の人口は、昭和五十年六千三百八十九人、平成十二年六千七百五十人と増加に転じています。小さな村だからできたのではなく、根底にしっかりした政策があり、人を大切にする思想があったからなし得た結果だというふうに思います。 人口減少の要因となっているのが少子化ですが、なぜ少子化が社会問題になってきたのか。若者が安心して暮らし、結婚して、産み育てられる環境になっているでしょうか。格差社会と言われ、子供の貧困が叫ばれる中で、法律までつくって子供たちを守らなければならない事態に陥っています。現象面に力を注ぐのではなく、大本となる働く人々の労働環境を確かなものにすることが大前提ではないでしょうか。その大前提を根本から不安定にしたのが平成の時代だと言えます。 平成三年のバブル崩壊によって景気は後退し、大企業にあっては、整理解雇と称して大量首切りが行われました。景気回復のために行った国の政策は公共事業でした。しかし、十年以上にわたって公共事業を行いましたが、莫大な借金だけが残ってしまいました。そこで小泉政権が行った政策の一つが、平成十六年の法改正による製造業への派遣労働の解禁でした。これによって非正規労働者が大幅に増え、今日では総労働者の四割弱まで達しています。 公務職場でも削減が行われました。全国で地方公務員が五十二万人削減され、県内でも五千人に達しています。県の職場でも、一般行政部門で千人を超える人員が減らされました。さらに、平成十五年九月から指定管理者制度がスタートし、平成十八年度から本格的に動き出しました。その結果として不安定な雇用を自治体がつくってしまいました。契約期間は三年ないし五年。指定管理の更新の際には、予算総額が減額される場合もあり、契約が継続されても不安定雇用には変わりありません。 吉村知事は、非正規雇用労働者の正規化と所得向上の促進に力を注ぎ、正規職員が全国で一番多い県になっております。そういった知事の方針からすれば、自治体職場における不安定雇用の改善を進めるのは当然と思いますが、今、自治体で進めている指定管理者制度の課題を含め、今後の対応について総務部長にお尋ねいたします。 次に、同一労働同一賃金への対応についてお尋ねします。 今年は、勤労者総体の所得が大きく改善される年になっています。四月から中小企業において、パート労働者や有期雇用労働者に対して同一労働同一賃金が適用されることになります。本県の非正規の労働者は、平成二十九年就業構造基本調査によりますと、男性が四万六千九百人、女性が十万三千六百人になっています。同一企業内において正社員と非正規労働者との間で基本給や賞与などのあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。また、労働者に対する待遇に関しての説明義務が強化されました。 いかに法体系を守って同一労働同一賃金の流れをつくっていくのか、国の労働行政や県内の商工団体含め法改正を生かした対応が求められていますが、どのように行っていくのか、法制度の周知を含め、今後の進め方について産業労働部長にお伺いいたします。 次に、
新型コロナウイルスへの今後の対応についてお尋ねします。 さて、国の緊急事態宣言が二〇二一年一月七日に十一都府県に発せられ、さらに、栃木県を除く十都府県については期間が一か月延長されました。この宣言によって地方に与える影響は時間とともに厳しい状況になっており、加えて、先日の地震の発生を受け、特に旅館や観光業にあってはキャンセルが相次ぎ、飲食業では客足が遠のき、大きなダメージとなっております。 緊急事態宣言の地域にあっては、飲食業を中心に支援策が講じられておりますが、それ以外の地域には具体的な支援策が示されておりません。市内の夜の人通りは閑散としたもので、まさに、地方も含め全体を俯瞰した対策が求められていると感じます。あとの半年間を乗り切るカンフル剤が必要になっていると痛感しております。また、
新型コロナウイルスの影響による解雇・雇い止めの状況も改善されておりませんので、山形県
新型コロナウイルス感染症対策離職者応援金の継続が必要ではないかと考えます。 国の三次補正もありますが、コロナの影響を受けた事業者や労働者などに対して今後どのような支援策を講じていかれるのか、産業労働部長にお伺いいたします。 次に、ゼロカーボン社会の実現に向けた今後の対応についてお尋ねいたします。 毎年のように全国各地で想像を絶する集中豪雨に見舞われ、本県にあっても、昨年の七月の豪雨は、いまだかつてない災害規模となってしまいました。こうした豪雨は、地球温暖化の影響もあるとの見解が示されております。今や、環境問題は待ったなしの段階にあり、温暖化の流れを肌で感じる時代になってきました。スウェーデンのグレタさんの国連における演説は国際的にも大きな衝撃となったのではないでしょうか。 昨年八月六日に行われました全国知事会では、第一回ゼロカーボン社会構築推進プロジェクトチーム会議において、吉村知事が二〇五〇年までに二酸化炭素排出の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンやまがた二〇五〇」を宣言。その二か月後の臨時国会で、菅総理も国を挙げて脱炭素社会の実現に取り組んでいくことを宣言されました。 本県にあっては、エネルギー戦略を二〇一二年に策定し、再生可能エネルギーの開発に向けスタートしております。あの忌まわしい東日本大震災の教訓から、卒原発社会の実現に向け、開発目標として原発一基分に相当する約百万キロワットを目指して進められております。 国では、一月の三次補正、そして新年度予算に数多くの事業が計画され、脱炭素ライフスタイルへの転換に向け具体的に動き出しました。これらの動きを受け、本県における今後の取組をどう展開していくのか。 脱炭素社会を強力に推進するためには、新たな仕組みや体制が必要と考えます。国の新年度予算の中にも、官民連携で行う地域再エネ事業の実施・運営体制構築の支援事業が盛り込まれております。将来的には、やまがた新電力を母体とするなどの専門性を兼ね備えた組織が重要になってくると思います。 ゼロカーボン社会の実現に向け、初年度の取組としてどういった施策を展開していかれるのか、
環境エネルギー部長にお尋ねいたします。 次に、農林水産業の次期戦略の基本的な考え方についてお尋ねします。 農林水産業は、県民そして国民の命を支える本県の基盤産業であります。県では、その振興に向け、これまで精力的に取組を進めていただいております。その成果が着実に実を結び、農業産出額、そして生産農業所得にあっても着実に伸ばしていただいております。また、新規就農者数は東北で一位になっており、関係者の皆さんの御努力に感謝を申し上げます。 つや姫、雪若丸のブランド化、そして令和二年産県産米の一等米比率は全国一位。中でも、つや姫は九八・九%と高く、トップを獲得。雪若丸が九七・六%で三位。昨年は、御案内のとおり記録的な七月の日照不足、そして八月の猛暑で品質低下が懸念されましたが、栽培管理の徹底や技術指導の強化も高品質米の生産につながったと伺っております。 また、大規模園芸団地の形成、畜産クラスターによる規模拡大、林業の新規就職者の増加や公共建築物の木造率全国一位、水産関係では、新最上丸の竣工、庄内おばこサワラのブランド化など、本県農林水産業の推進が図られてきております。 国においては、昨年三月末に、食料・農業・農村基本法に基づき第五次となる基本計画を策定し、令和十二年度における食料自給率の目標をカロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%とそれぞれ設定するとともに、畜産業における農家の生産努力を反映した「食料国産率」の目標を新たに設定しました。また、日本食の海外でのブームを受けて、輸出額を令和十二年までに五兆円にすることを目指しています。 本県においても、令和三年度から第四次農林水産業元気創造戦略として、ウイズ・アフターコロナ時代を見据え、「県民・国民のいのちをつなぐ食料供給県やまがたのさらなる発展」を目指す方向で四年間の実行計画を打ち立てようとしております。その中で、知事の政策集にも掲げられていた「生産額ベースの食料自給率二〇〇%超の実現」を県として次期戦略の目標に掲げられるようでありますが、これを採用することとした政策的な意図を含め、次期戦略の基本的な考え方について農林水産部長にお尋ねいたします。 次に、スポーツ・文化施設の充実についてお尋ねいたします。 知事のこのたびの政策集の中に掲げてあります「文化芸術・スポーツに親しむ環境づくり」についてお尋ねします。 このたびの選挙を通じて、多くの県民の皆様方から大きな期待の声が寄せられております。特に施設等について取り上げられておりますが、時間的関係もあり、新年度予算では方向性が明らかになっておりません。また、箱物になりますと必ず財源問題が浮上してまいります。 吉村知事は、三期十二年間の中で健全財政を目標に掲げ、実質的な県債残高を千八百億円弱減少させてまいりました。このことを踏まえれば、建設に当たっての環境は整っていると見るべきではないでしょうか。 早いもので、平成四年に史上五番目の完全国体を本県が市町村と一体となって行ってから二十八年が過ぎました。スポーツに関するあらゆる施設を準備するとともに、選手の育成はじめ、国体の成功に向け県民が一丸となって達成し、大きな感動を与えた事業であったとも言えます。 このたびの政策集には、スケート場整備の推進が掲げられており、冬期間のスポーツの普及と、また、県立山形中央高校のスケート界における活躍を踏まえますと、屋内スケート場の早期の建設を期待しております。ぜひ、県民ゴルフ場同様、企業局として公営企業資産運用事業として建設してはいかがでしょうか、提案させていただきます。また、屋内スケート場が完成することによって冬季国体の誘致も可能になってくるのではないでしょうか。結果として冬季スポーツの選手層の強化にも結びつくものと考えます。 さらに、令和五年度まで撤去が約束されております霞城公園内の県体育館と武道館の建て替えについて、この施設は、年間十万人を超える方々が利用しているのを受け、山形市とこれまで協議が行われております。また一方、武道関係者から武道館建設の要望も出ております。 県としては、山形市の回答を受けて武道館の機能も兼ね備えた多目的体育館の検討に入っていくと推測されますが、箱物の建設に当たっては、さきに申し上げた案のほか、PFI方式を取り入れるなどして、県債の平準化に努めることにより建設に取り組みやすくなるなど、その手法は様々と考えます。 スポーツ施設の整備について今後どのように進めていくのか、教育長にお伺いいたします。 この件につきましては、これまで多くの時間を要しております。三年前の二月議会の際も代表質問をさせていただきました。教育委員会の検討を前提としつつも、知事としても方向性を打ち出し事業を前に進めることも考えられると思いますがいかがでしょうか、知事の所感をお伺いいたします。 最後に、博物館の具体的検討も急ぐべきと考えます。その際、上山市にある埋蔵文化財の活用も含めて方向性を打ち出すべきではないでしょうか。埋蔵文化財を保管しております旧県立上山農業高等学校の施設は、空調も完備されておらず、貴重な文化財にとっては好ましい環境とは言えません。 そこで、博物館の移転整備を今後どのように進めていくのか、また、埋蔵文化財の保管環境についてどのようにお考えなのか、併せて知事にお伺いいたします。 壇上からの質問をこれで終わります。
○議長(金澤忠一議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。
◎知事(吉村美栄子君) 高橋議員から私に五問質問を頂戴しましたので順次お答え申し上げます。 まず一問目は、私の四期目の抱負についてであります。 私は、このたびの知事選挙におきまして、「コロナ克服・山形経済再生」を掲げ、多くの県民の皆様から御支持をいただきました。御期待に沿えるよう全身全霊で取り組んでいかなければならないと身の引き締まる思いでございます。 新型コロナから県民の皆様の命と生活を守るため、円滑なワクチン接種に向けた調整や、感染拡大防止と経済回復の両立に向けた取組のさらなる推進が県政の最優先課題であります。 また、新型コロナを契機として、急速なデジタル化の進行や東京一極集中から分散型社会への流れなど、社会経済情勢も大きく変化しております。こうした時代の変化を的確に捉え、ピンチをチャンスに変える視点を持って、将来に向けた投資もしっかりと進めていく必要があります。 さらに、地方が抱える共通の課題である人口減少対策、とりわけ若者の県内定着促進や、頻発・激甚化する自然災害への対策も講じていかなければなりません。 私は、こうした様々な課題に対して、五つの柱の下、積極的にチャレンジしてまいります。 一つ目は、「『子育てするなら山形県』の実現」であります。子育て世代が安心と幸せを実感できるよう、市町村と連携して子育て環境の総合的な整備を進めていくことが重要であり、子育て費用の完全無償化に向けて段階的に取り組んでまいります。子育て環境は、移住・定住を促進する上でも重要な要素となります。移住に加え、本県の豊かな地域資源を活用したワーケーションの推進や体験メニューの提供など関係人口の創出にも取り組み、人口減少に対して、自然減少と社会減少の両面から取組を進めてまいります。 二つ目の「『健康長寿日本一』の実現」に向けましては、持続可能な医療提供体制の構築を図るとともに、県民総参加の健康づくりや、がん対策などを推進してまいります。また、発達障がい児や医療的ケア児への支援や、自殺対策なども強化してまいります。 三つ目の「県民幸せデジタル化」につきましては、子供から高齢者まで全ての県民がその恩恵を受けられるよう、県民生活や行政、産業、教育など幅広い分野でデジタル化を推進するとともに、副業人材の活用やデジタル人材の育成などにも取り組んでまいります。 四つ目の「『一人当たり県民所得』の向上」につきましては、若者、とりわけ女性の県内就業・定着を促進するため、雇用の受皿となるソフトウエア業やデザイン業などソフト産業の立地を促進してまいります。また、山形駅西口の霞城セントラル内に起業・創業支援のワンストップ窓口とコワーキングスペースを有する山形県創業支援センター・仮称を設置し、新規ビジネスやイノベーションの創出に向けた支援を充実してまいります。 農林水産業分野につきましては、スマート農業の拡大やオンラインを活用した国内外への新たな販路開拓を進めるとともに、高度な農林業の人材育成に向けて東北農林専門職大学・仮称の整備を進めてまいります。 観光分野につきましては、出羽三山や山寺、出羽百観音などの精神文化をはじめとする地域の魅力を国内外に発信しながら、コロナ後の観光需要回復に向けた取組も強化してまいります。 こうした取組を通して、本県産業の高付加価値化を図り、県民所得のさらなる向上を目指してまいります。 五つ目の「やまがた強靭化」につきましては、豪雨災害対策として河川整備等の治水対策に力を入れるとともに、防災士やボランティアの育成など、地域防災力の強化にソフト、ハード両面から取り組んでまいります。 また、地球温暖化防止の取組も重要であり、「ゼロカーボンやまがた二〇五〇」の達成に向けた再生可能エネルギーの導入拡大などを進めてまいります。こうした取組と併せて、県勢発展の基盤となる道路、鉄道、空港、港湾などの社会資本整備についても着実に進めてまいりたいと考えております。 私は、今後とも、大好きな山形県の輝かしい未来をつくるため、「県民視点」「対話重視」「現場主義」を基本としながら、これまでの三期十二年の経験を最大限に生かし、県議会の皆様、市町村、関係機関、県民の皆様とともに県政運営に邁進してまいります。 二問目は、子育て支援施策についての御質問です。 私は、「子育てするなら山形県」の実現を目指し、幸せな子育て環境の整備を進めることを今般の選挙において県民の皆様にお約束をしたところであります。 放課後児童クラブにつきましても、小学生の放課後や長期休暇中の生活の場として親の仕事と子育ての両立を保障するとともに、子供の自主性や社会性を養い、健全育成を担う場として、幸せな子育て環境の整備に果たす役割は大きいと考えております。 私の就任当初は、県内の放課後児童クラブの四四%が保護者などから成る運営委員会により運営されており、全国平均の二五%を大きく上回る状況で、財務的にも脆弱なクラブが多く、支援員の給与水準も大変厳しい実態にありました。さらに、その支援員には資格のない方も多かったのであります。そこで、処遇改善に向けて、県として支援員の給料に月額一万五千円を上乗せしたり、支援員が資格取得の研修を受けるために必要な代替職員の雇い上げに助成するなど、全国に先駆けて独自の支援を行うとともに、放課後児童クラブへの支援制度の充実について政府へ提案を行ってまいりました。 その成果として、平成二十七年度から政府において放課後児童支援員等の処遇改善や資質向上の支援策が講じられることとなったところであります。 また、女性の就労率の高い本県にあって、年々放課後児童クラブへの入所の需要も高まっておりますので、市町村の整備計画も積極的に支援してまいりました。令和二年度のクラブ数は三百三十六か所と、平成二十一年度の二百七か所から一・六倍に、これに伴って利用児童数も八千七百五十六人から一万五千五百五十四人の一・八倍にと、着実に施設整備と定員枠の拡大が図られてきております。 一方で、放課後児童クラブの利用が必要な児童が利用料の負担を理由に利用できないことがないようにと、県独自に保護者負担の軽減策も講じてまいりました。具体的には、県内の平均的な利用料が約一万円のところ、市町村と連携し、平成二十四年度から生活保護世帯・準生活保護世帯に五千円の助成を始め、平成二十九年度からは、生活保護世帯には一万円、準生活保護世帯には七千円へと拡大するとともに、年収六百四十万円未満の多子世帯を対象に、二人目に五千円、三人目以降には一万円を助成するなど、全国トップの支援制度へと充実を図ってきております。 県としましては、放課後児童クラブの多子世帯や利用料軽減措置の創設について、全国的な施策展開を図るよう、今後も政府に対し提言を続けてまいりたいと考えております。 また、新型コロナ感染症の緊急事態宣言下で学校が臨時休業になったとき、放課後児童クラブには児童の居場所の確保に大きな役割を果たしていただきましたので、県として、職員の皆様へのねぎらいと感謝の意を表し、独自に慰労金を支給したところであります。 そして、学校の臨時休業が発表されると同時に、私と教育長の連名により、子供たちの居場所づくりに関係者が連携して迅速に取り組むよう通知を発出しましたところ、多くの学校が施設設備の利用や教職員の派遣などに御協力くださいました。緊急時にありましては、このように放課後児童クラブと教育機関が臨機応変に連携できる仕組みが肝要だと考えております。 さらに、放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場としての環境整備も重要となります。令和三年度当初予算におきましては、放課後児童クラブの創設や改修などの施設整備をはじめ、衛生管理のための換気設備の整備や備品購入などへの助成金も計上し、安全対策を強化することとしております。 県としましては、今後とも、放課後児童クラブを児童が安全で安心して利用できるよう、クラブを利用されている保護者や運営者並びに設置者である市町村の声をお聞きしながら一層の連携を図り、幸せな子育て環境の整備に全力で取り組んでまいりたいと考えております。 三問目は、核兵器禁止条約の発効を受けての所感ということであります。 今日の平和は、先人の皆様の大変な苦難と努力によって築き上げられ、今を生きる私たちに託されたものであり、私たち自身が将来の世代につないでいかなければならないというふうに考えております。 核兵器のない世界の実現は、恒久平和の実現につながるものであり、人類共通の願いであると思っております。 日本は世界で唯一の戦争被爆国であり、政府においては、「核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を着実に積み上げていくことが重要である」としております。 核兵器のない世界の実現に向けては、外交努力の積み重ねが必要であり、政府において、国際社会における議論を尽くしていただきたいと考えております。 四問目は、スポーツ施設の整備に対する所感についてであります。 私は、ここ山形県で暮らしたいという県民の皆様の思いを何よりも大切にしながら、ポストコロナを見据え、山形県の輝かしい未来をつくるため施策を展開してまいりたいと考えております。 スポーツ環境の整備もその一つであり、県民がスポーツに親しむ機会を充実させることは、地域社会の豊かさや活力の向上につながるとともに、県民の暮らしを豊かにする大変重要な施策であると考えております。 県としましては、これまでも、スポーツ施設の整備を要望される市町村や競技団体の方々のお話をお聞きし、市町村に対する助成制度や基金を創設し、施設整備の支援に取り組んでまいりました。 県体育館・武道館撤去後の代替施設につきましても、山形市のお話をお聞きするとともに、なお一層連携を図りながら今後の方向性などを協議していく必要があると考えております。また、山形市総合スポーツセンターのスケート場につきましては、老朽化による修繕等が必要であるとお聞きしており、山形市と連携し対応を進めているところであります。 スポーツ施設の整備は、県の財政状況が厳しさを増す中にあっては、利用しやすい立地場所をどうするか、多額の財源をどう確保するのか、市町村との連携をどうするのかといった諸課題がございます。県としましては、本日議員から、企業局事業といったことやPFI方式など、有意義で多様性のある御提案を頂戴したことを踏まえ、教育委員会には市町村や競技団体等と連携して前に進めてもらいたいと考えております。 最後の五問目であります、県立博物館の移転整備と埋蔵文化財の保管環境についてお答え申し上げます。 県立博物館は、昭和四十六年の開館以来、歴史や民俗、動物、植物など県内の貴重な文化財の収蔵、展示を行う総合博物館として、幅広く学習の場を提供する社会教育施設として県内外の利用者から親しまれてまいりましたが、老朽化が著しく、かつ現在の場所からの移転が必要となっております。 移転整備に当たりましては、新博物館のコンセプトや形態、規模、移転先、財源など様々な課題がありますので、まずは、来年度策定を予定している文化財保存活用大綱の検討において、文化財の保存と活用における博物館の役割などを議論してまいります。 また、担当部局を中心とした全庁的な検討を行うとともに、県内各界各層の皆様から幅広く御意見をお聞きしながら、整備に向けた具体的な検討を進めてまいります。 埋蔵文化財につきましては、地域の豊かな歴史と文化を生き生きと伝える県民共有の財産であり、先人の知識や技術を知り、地域の歴史や風土に対する誇りの醸成をもたらす大切なものと認識しております。 本県は、国宝「縄文の女神」をはじめとする貴重な埋蔵文化財を多数有しておりまして、その効果的な活用は重要であります。来年度から、市町村での巡回展示会や発掘調査の体験学習会の実施など、県民の皆様に対する埋蔵文化財の普及啓発事業を拡充し取り組んでまいりたいと考えているところです。 また、これまでの発掘調査で出土した埋蔵文化財につきましては、旧県立上山農業高校などを活用して保管しているところでありますが、博物館問題と併せ、より適切な管理の在り方について、関係の皆様から幅広く御意見をお聞きしながら検討を進めてまいります。
○議長(金澤忠一議員) 大瀧総務部長。
◎総務部長(大瀧洋君) 指定管理者制度が抱える課題と対応につきましてお答えいたします。 指定管理者制度は、公の施設の管理に民間のノウハウを活用してサービスの向上と効率化を図るため、平成十八年度に導入されたものです。導入当初は、特に経費の節減が注目されましたが、近年は事業者の安定的な運営やサービスの質の確保を重視しており、制度運用に際しては、全庁的な指針であるガイドラインを改正いたしまして、様々な工夫をして対応してまいりました。 指定期間については、参入機会の確保、社会の変動等への対応という観点からは短いほうが望ましい一方で、施設の安定的な運営という観点からは長いほうが望ましいという相入れないところがあります。こうした点を踏まえまして、施設の特性等により適切に定めることとしておりまして、制度の導入当初は平均で三・二年という期間でしたが、現在は四・八年となりまして、全体としては指定期間が長期化しまして、バランスが図られていると考えております。 また、指定管理料の積算について、特に人件費の積算におきましては、雇用条件は最終的には指定管理者の判断となりますが、業務内容に相当する県職員の給与額などを基礎といたしまして算出し、サービスの提供に支障を来さないように必要額の確保に努めております。 さらに、選定基準につきましては、価格偏重とならないように、具体的には、これまで管理経費が一定程度縮減されていることを踏まえた経費削減への加点については縮小しています。また、施設の利用促進・活性化、利便性の向上などにつながります自主事業の提案について加点しております。加えて、今年度は、県が進める様々な施策に対する協力について加点するといった改正を行ってまいりました。 今後とも、施設の設置目的を効果的かつ効率的に果たせるよう、現場の実態を把握しながら、適切な制度運用に努めてまいります。
○議長(金澤忠一議員) 杉澤
環境エネルギー部長。
◎
環境エネルギー部長(杉澤栄一君) ゼロカーボン社会の実現に向けた今後の対応についてお答え申し上げます。 ゼロカーボン社会の実現に向けた令和三年度の取組につきましては、有識者、市町村、事業者、一般県民、高校生・大学生等により構成する「ゼロカーボンやまがた推進会議」というものを設置しまして、具体的な施策を検討し、アクションプランとして取りまとめるとともに、ゼロカーボンに向けた県民各層の機運醸成を図ってまいります。 推進会議の下には、温室効果ガス排出の多い家庭・事業所・自動車の各部門について専門部会を設置して、例えば、住宅の省エネ化や断熱性能の向上、事業所の再エネ導入・利用の促進、自動車の電動化の促進に向けた取組など、ゼロカーボンに資する実効性ある施策を先進事例の調査なども行いながら検討してまいります。 また、温室効果ガス排出削減に向けた市町村の実行計画の策定を支援するほか、県が率先して公用車を計画的に電気自動車に更新し、ゼロカーボンの普及啓発にも活用していきたいと考えております。 さらに、議員からお話のありました環境省の新年度予算を活用しまして、身近な地域において再生可能エネルギーで発電した電気を地元で販売する地域新電力会社を創出する事業に取り組んでまいりたいと考えております。県内各地域で地元企業等が主体となった新たな地域新電力会社と経営ノウハウを有する株式会社やまがた新電力とが協働することによりまして、地域への利益還元を図る体制を構築するものであり、地域の課題解決や雇用創出も狙いとしております。 県では、現在策定中の第四次山形県環境計画におきまして、「ゼロカーボンへのチャレンジ」をテーマに掲げているところであります。再エネの導入拡大と地産地消を進めるとともに、県民各層の理解と参加の下、ゼロカーボン社会の構築に向けてしっかりと取り組んでまいります。
○議長(金澤忠一議員) 木村産業労働部長。
◎産業労働部長(木村和浩君) 私には二問御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。 初めに、同一労働同一賃金への対応についてお答え申し上げます。 正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の不合理な待遇差を解消するため、パートタイム・有期雇用労働法が昨年四月に施行され、本年四月から中小企業にも適用されます。この法律では、基本給、賞与、手当、休暇など、あらゆる待遇について不合理な差を設けることが禁止され、事業者は、非正規雇用労働者から説明を求められた場合、待遇が異なる理由を説明することが義務づけられます。 同一労働同一賃金の制度導入を促進していくためには、各企業の業種や業務内容、給与体系、福利厚生等を踏まえた個別の対応が求められることから、県では来年度、新たに職場環境改善アドバイザーを配置し、企業訪問によるそれぞれの企業の実情に沿ったきめ細かな指導・助言を行うこととしております。 また、厚生労働省では、同一労働同一賃金の原則となる考え方や不合理な待遇差の具体例を示したガイドラインを作成し普及するとともに、相談窓口として「山形働き方改革推進支援センター」を設置し、総合的なアドバイスを行っているところであります。 さらに、賃金等の待遇については、労使双方の話合いによる決定が基本であり、使用者側、労働者側のそれぞれに制度を周知する必要があることから、山形労働局、県、経済団体、労働団体等で構成する山形県正社員転換・働き方改革推進協議会において情報共有を図りながら、様々な機会を捉えて、セミナーの開催など制度の普及啓発に取り組んでいくこととしております。 県としましては、正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消が県内労働者全体の賃金向上につながるとともに、特に非正規雇用の多い女性労働者の賃金引上げや処遇改善に寄与するものと考えておりますので、山形労働局や関係機関と連携しながら制度の周知徹底を図り、同一労働同一賃金の適切な運用を促進してまいります。 続きまして、
新型コロナウイルスへの今後の対応についてお答え申し上げます。 新型コロナの影響が長引く中、飲食業をはじめ宿泊、観光、交通事業等においては危機的な経営状況にあり、関連する納入業者等にも幅広い影響が及んでいることから、県内事業者の事業継続と雇用維持に注力するとともに、感染拡大を抑え込みながら、消費喚起策による一刻も早い経済回復に取り組む必要があります。 このため、県では、県内の感染状況等を踏まえ、一月二十六日から、Go To イート食事券や県のプレミアム付きクーポン券の飲食店での利用、県民泊まって元気キャンペーン等の利用を一定の条件の下、再開しており、引き続き、感染状況等を踏まえながら適時適切な消費喚起策を講じてまいります。また、商工業振興資金に係る利子補給や保証料補給の後年度負担により、県内事業者の事業継続を支えるとともに、新型コロナの影響を受ける事業者の経営安定や経営改善を促進するため、商工会・商工会議所の経営支援員を増員し、経営指導体制を強化してまいります。 雇用維持につきましては、県内の雇用情勢等を踏まえながら、雇用調整助成金の緊急対応期間のさらなる延長や、離職者が増大した場合の雇用基金の創設などを政府に要請するとともに、離職を余儀なくされた労働者を正社員として雇用した事業者への奨励金の交付など、再就職支援等に力を入れてまいります。 さらに、政府の三次補正予算で示された事業再構築補助金の活用により県内事業者の構造転換を促進するとともに、ポストコロナを見据えた経営力向上を図るため、新たに本県独自のパワーアップ補助金を創設し、新製品や新技術の開発、デジタル化やSDGsに対応する設備投資等を支援してまいります。 今後とも、県内事業者の事業継続と雇用維持を最優先に支えるとともに、適時適切な消費喚起に努めながら、早急な県内経済の再生に全力で取り組んでまいります。
○議長(金澤忠一議員) 高橋農林水産部長。