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  1. 山形県議会 2021-02-01
    03月01日-04号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 3年  2月 定例会(第399号)  令和三年三月一日(月曜日)午前十時一分 開議議事日程第四号  令和三年三月一日(月曜日)午前十時開議第一   議第二十七号 令和三年度山形県一般会計予算第二   議第二十八号 令和三年度山形県公債管理特別会計予算第三   議第二十九号 令和三年度山形県市町村振興資金特別会計予算第四   議第三十号 令和三年度山形県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算第五   議第三十一号 令和三年度山形県国民健康保険特別会計予算第六   議第三十二号 令和三年度山形県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算第七   議第三十三号 令和三年度山形県土地取得事業特別会計予算第八   議第三十四号 令和三年度山形県農業改良資金特別会計予算第九   議第三十五号 令和三年度山形県沿岸漁業改善資金特別会計予算第十   議第三十六号 令和三年度山形県林業改善資金特別会計予算第十一  議第三十七号 令和三年度山形県港湾整備事業特別会計予算第十二  議第三十八号 令和三年度山形県流域下水道事業会計予算第十三  議第三十九号 令和三年度山形県電気事業会計予算第十四  議第四十号 令和三年度山形県工業用水道事業会計予算第十五  議第四十一号 令和三年度山形県公営企業資産運用事業会計予算第十六  議第四十二号 令和三年度山形県水道用水供給事業会計予算第十七  議第四十三号 令和三年度山形県病院事業会計予算第十八  議第四十四号 山形県部設置条例の一部を改正する条例の制定について第十九  議第四十五号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第二十  議第四十六号 山形県産業廃棄物税条例の一部を改正する条例の制定について第二十一 議第四十七号 山形県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十二 議第四十八号 特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例の制定について第二十三 議第四十九号 山形県魚介類行商取締条例を廃止する条例の設定について第二十四 議第五十号 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例の制定について第二十五 議第五十一号 山形県生活環境の保全等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第二十六 議第五十二号 山形県安心こども基金条例の一部を改正する条例の制定について第二十七 議第五十三号 山形県看護職員修学資金貸与条例の一部を改正する条例の制定について第二十八 議第五十四号 山形県医師修学資金貸与条例の一部を改正する条例の制定について第二十九 議第五十五号 山形県みんなにやさしいまちづくり条例の一部を改正する条例の制定について第三十  議第五十六号 山形県軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十一 議第五十七号 山形県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十二 議第五十八号 山形県特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十三 議第五十九号 山形県指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十四 議第六十号 山形県指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十五 議第六十一号 山形県指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十六 議第六十二号 山形県介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十七 議第六十三号 山形県指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十八 議第六十四号 山形県介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第三十九 議第六十五号 山形県立泉荘及び山形県立みやま荘条例を廃止する条例の設定について第四十  議第六十六号 山形県福祉休養ホーム条例を廃止する条例の設定について第四十一 議第六十七号 山形県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十二 議第六十八号 山形県指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十三 議第六十九号 山形県指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例の設定について第四十四 議第七十号 山形県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十五 議第七十一号 山形県指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例等の一部を改正する条例の設定について第四十六 議第七十二号 山形県障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十七 議第七十三号 山形県障害者支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十八 議第七十四号 山形県地域活動支援センターの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第四十九 議第七十五号 山形県福祉ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第五十  議第七十六号 山形県工業技術センター手数料条例の一部を改正する条例の制定について第五十一 議第七十七号 山形県文化財保護条例の一部を改正する条例の制定について第五十二 議第七十八号 山形県水産振興条例の設定について第五十三 議第七十九号 山形県都市公園条例等の一部を改正する条例の設定について第五十四 議第八十号 山形県県道の構造の技術的基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第五十五 議第八十一号 山形県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例の制定について第五十六 議第八十二号 山形県ふるさと交流広場条例を廃止する条例の設定について第五十七 議第八十三号 山形県空港管理条例の一部を改正する条例の制定について第五十八 議第八十四号 山形県立学校職員及び市町村立学校職員給与負担法に規定する学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定について第五十九 議第八十五号 山形県生涯学習センター条例の一部を改正する条例の制定について第六十  議第八十六号 最上郡舟形町と同郡大蔵村との境界変更について第六十一 議第八十七号 財産の無償譲渡について第六十二 議第八十八号 一般国道十三号泉田道路工事用地の処分について第六十三 議第八十九号 一般国道十三号新庄金山道路工事用地の処分について第六十四 議第九十号 山形県県民の森の指定管理者の指定について第六十五 議第九十一号 山形県源流の森の指定管理者の指定について第六十六 議第九十二号 包括外部監査契約の締結について第六十七 議第九十三号 山形県公立大学法人が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第六十八 議第九十四号 公立大学法人山形県立保健医療大学が達成すべき業務運営に関する目標を定めることについて第六十九 議第九十五号 山形海区漁業調整委員会委員の任命について第七十  県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第四号に同じ。出席議員(四十三名)  一番 阿部ひとみ議員  二番 梅津庸成議員  三番 今野美奈子議員  四番 菊池大二郎議員  五番 原田和広議員  六番 高橋 淳議員  七番 遠藤寛明議員  八番 相田光照議員  九番 遠藤和典議員  十番 梶原宗明議員 十一番 関  徹議員 十二番 山科朝則議員 十三番 菊池文昭議員 十四番 松田敏男議員 十五番 青木彰榮議員 十六番 青柳安展議員 十七番 五十嵐智洋議員 十八番 柴田正人議員 十九番 渋間佳寿美議員 二十番 佐藤 聡議員二十一番 矢吹栄修議員二十二番 小松伸也議員二十三番 渡辺ゆり子議員二十四番 石黒 覚議員二十五番 吉村和武議員二十六番 高橋啓介議員二十七番 島津良平議員二十八番 加賀正和議員二十九番 森谷仙一郎議員 三十番 鈴木 孝議員三十一番 楳津博士議員三十二番 奥山誠治議員三十三番 小野幸作議員三十四番 木村忠三議員三十五番 金澤忠一議員三十六番 伊藤重成議員三十七番 舩山現人議員三十八番 田澤伸一議員三十九番 森田 廣議員 四十番 坂本貴美雄議員四十一番 星川純一議員四十二番 志田英紀議員四十三番 野川政文議員  説明のため出席した者知事         吉村美栄子君副知事        若松正俊君企業管理者      高橋広樹君病院事業管理者    大澤賢史君総務部長       大瀧 洋君みらい企画創造部長  小林剛也君防災くらし安心部長  須藤勇司君環境エネルギー部長  杉澤栄一君子育て若者応援部長  松田明子君健康福祉部長     玉木康雄君産業労働部長     木村和浩君観光文化スポーツ部長 武田啓子君農林水産部長     高橋雅史君県土整備部長     前内永敏君会計管理者      泉 洋之君財政課長       後藤崇文君教育長        菅間裕晃君公安委員会委員長   柴田曜子君警察本部長      佐藤正顕君代表監査委員     武田一夫君人事委員会委員長   安孫子俊彦君人事委員会事務局長  佐藤紀子君労働委員会事務局長  沼沢弘幸君 ○副議長(森谷仙一郎議員) 議長所用のため私が議長の職務を行います。     午前十時一分 開議 ○副議長(森谷仙一郎議員) これより本日の会議を開きます。 △諸般の報告 ○副議長(森谷仙一郎議員) 日程に先立ち報告があります。 二月二十六日の奥山誠治議員の代表質問に対し当局よりお手元に配付のとおり答弁書の提出がありましたので、報告いたします。〔参照〕 △(イメージ)令和3年2月定例会における奥山誠治議員の代表質問に対する答弁書 △日程第一議第二十七号議案から日程第六十九議第九十五号議案まで及び日程第七十県政一般に関する質問 ○副議長(森谷仙一郎議員) これより日程に入ります。 日程第一議第二十七号令和三年度山形県一般会計予算から、日程第六十九議第九十五号山形海区漁業調整委員会委員の任命についてまでの六十九案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第七十県政一般に関する質問を併せ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 八番相田光照議員。 ◆8番(相田光照議員) おはようございます。自由民主党の相田光照です。今定例会一般質問の機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆様、本当にありがとうございます。 初めて和服を着用しての質問の場に立たせていただきました。この取組の中心を担っていただいている同郷の渋間先生そして木村先生、本当にありがとうございます。今年は、十七名の先生方とともにこの和服に袖を通させていただきました。来年はぜひ先輩の皆様とともに、四十三人でこの議場に花を咲かせられればと心から願っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。 本日は三月一日。あと十日で三月十一日を迎えます。我々にとって忘れることのできない東日本大震災から十年目を迎えます。「もう十年もたったのか」と、そんな思いがする一方、先月十三日に震度六強を観測した福島県沖地震が十年前の東日本大震災の余震ということを考えると、十年という月日は、今を生きる我々にとっては長いものであっても、地球規模で見るとたった十年なのだと、改めて考えさせられました。 福島県沖地震でお亡くなりになった方の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また、東日本大震災からの復興が一刻も早く完了することを心から願いたいと思います。 まず初めに、一月に執行された県知事選挙、ここにおられる議員の皆さんも各陣営において御奮闘なされたと思います。本当にお疲れさまでした。吉村知事におかれましては、多くの方の支持を得て四期目御当選されたこと、誠におめでとうございます。 十二年ぶりの選挙で新たに見えてきた課題や、この四年間で進めていかなければならない政策も同じように見えてきたと思います。知事に思いを託してくれた方々は四十万三百七十四人。山形県民、総人口は一月一日現在で約百六万人。当然ながら、この中には選挙戦で大内候補に託してくれた方々約十七万人も含まれております。 誰一人取り残されることのない山形をこの四年間で実現していくためには、県としての垣根を低くし、歩み寄る姿勢を持っていただき、すべからく各市町村との連携を今まで以上に強固なものにしていっていただくことを心からお願い申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。 選挙後初の議会ですので、今回の質問は、知事が選挙戦で公表された政策パンフレットを中心にさせていただきたいと思います。そして、それらをどのような方向で推進するのか、それについてお尋ねしたいと思います。 まずは、政策に関する質問に入る前に、どのようになさるのか明言されていない四期目の知事の退職金についてお伺いいたします。 十二年前の平成二十一年の知事選で退職金廃止等の公約を掲げられ初当選されました。当時としては、知事の退職金返上ということは非常にまれであり、特筆すべき公約であったと記憶しております。無投票で三選した平成二十九年の三期目も、一期目同様に知事選前に、三選を決めた場合退職金を辞退するとの意向を示しておりました。 しかし、平成二十五年、二期目は、選挙戦前に退職金について言及されておりませんでした。当選後、六月十日の記者会見において、行政改革の成果などを理由に挙げ受領することを表明されましたが、その後の「受け取らないと思っていたのに」という県民の声を真摯に受け止め、六月定例会において退職金を辞退されました。 そして、今回四期目当選。二期目同様、退職金については何も言及されておりません。前回、前々回の無投票での当選とは異なり、選挙戦を勝ち抜いての当選ということもあり、退職金をどのようになさるのか注視している県民の方々も数多くおられます。 初志貫徹、一期目で掲げた公約同様に退職金を辞退されるのか、それとも四期目は受領されるのか、吉村知事にお伺いしたいと思います。 続きまして、政策パンフレットから質問をさせていただきます。 今回の選挙戦で最も県民の方々が注視したのは、新型コロナウイルス感染症に対する政策だったと思います。知事もコロナ克服を前面に標榜されておりました。 このコロナウイルス感染症においては、最前線で従事している医療関係者の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。 新型コロナウイルス感染症への対応については、予防を徹底し感染を拡大させない取組と、コロナ禍で深刻な影響を受けている地域経済の回復、この二つが最大の課題であります。感染を拡大させないためには動かないことが一番です。ですが、それでは地域の経済が回らなくなり、生活にも多大な影響が出ます。反対に、景気を上げるために「新・生活様式」を行わず以前と同じような行動をしてしまえば、感染は拡大していくでしょう。 この相入れない二つの問題を同時に解決していくために必要なことは、折り合いをつけながら政策を休みなく推進していくことと、知事が中心となって今しかできない施策を政治判断でつくり上げていくことだと私は考えます。 そして、もう一つがワクチンの接種だと思います。 ワクチン・予防接種をすることは、その感染症に再びかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりするような体の仕組みを使い、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするということです。つまり、ワクチンを接種すれば全く感染しないというものではないにしろ、発症しにくくなるというわけです。何よりも、接種をすることで一枚ベールを羽織るような、気持ちに安心感を与えることは言うまでもありません。 その接種は先月から始まりました。東京医療センターでの第一例目を皮切りに、国立病院機構の施設など約百か所の病院で、同意を得た医療従事者四万人に先行接種されております。医療従事者等の接種後は、高齢者、基礎疾患を有する方々など、順次接種を進めていく見込みとされていますが、状況は日々変化しています。昨日は村山市において集団接種の模擬訓練が行われるなど、実施主体の各市町村も準備を進めているものの、情報をつかみ切れていないのが実情だと思います。 そこで、初めにお伺いします。山形県における接種の開始予定日はいつぐらいになる見込みなのか、また、どのくらいの接種本数が入荷されるのか、現時点での予測で構いませんのでお聞きいたします。 本県では、先月より、健康福祉部薬務感染症対策室が改組され、新型コロナワクチン接種総合企画課となりました。今までの薬務・感染症に加え、新型コロナウイルス感染症対策ワクチン接種に関する部門も加わり、力強い部署となったと思います。 では、ワクチン接種において新設の総合企画課はどのような役割を担うのでしょうか。実施主体が市町村である以上、直接接種に携わることはないかもしれません。そのことを鑑みると、本県全域を見て接種件数を調整することや、接種を行う医師や看護師の多くが所属する医師会・看護協会等への要請・協力等が考えられますが、本県がワクチン接種においてすべき役割について知事にお伺いいたします。 それでは、こども医療療育センターの初診までの待機期間の短縮について質問させていただきます。 この課題は、何年と解決のできない、本県にとって大きなものであると認識しております。この項目に対する先輩議員の代表、一般、予算特別委員会での質問を、直近四年間の議事録を調べてみました。本日の私の質問を含めると七回目の質問となります。もちろん、会派を問わず問題意識があることが分かりましたが、待機期間が短縮されたとの話は一向に聞かれませんでした。ですが、選挙期間中及びその後の知事記者会見で聞き及んだところでは、「医師の確保ができた。待機期間の短縮につながる」と述べられておりました。 これまで前向きな答弁としては、「診察枠の拡大とともに、心理検査を実施するなど運用を工夫しているほか、診療スキルを学んでもらう研修を行うなど、センター以外の身近な医療機関でも一定の診察が受けられる体制づくりを進めている」とはあったものの、人員増についての答弁はありませんでした。「なぜ唐突に。不思議でならない」、それが私の率直な思いです。ですが、初診までの期間が短縮になるのであれば本当にすばらしいことであり、多くの保護者の皆様が望んでいたことだと思います。 では、いつから小児科の医師の増員が図られるのか、また、どの程度期間が短縮されるのか、知事にお伺いいたします。 本年一月六日発表で、発達障がいの早期地域支援体制の構築についてと政策が示されました。その中には、こども医療療育センターの機能強化とICTを活用した発達障がい早期地域コンサルティング事業があり、県内四地域にコンサルティング機関を設置するとのことです。 私の持論は、空白地である置賜、最上の両地域にもセンターを設置すべきだと思っております。本県では、五十八の医療機関で診療を受けることができます。しかし、その中で検査・診断・診療を行える機関は二十一医療機関、さらに、その後の療育まで一貫して行える機関は上山市にある県立こども医療療育センターのみであります。また、庄内地域では鶴岡市の県立こども医療療育センター庄内支所で診断から療育まで行っております。置賜・最上地域の方々が診断から療育まで一貫して行ってほしいと考えれば、この二か所に行くことになります。 このような希望者が増えれば、センターの待機期間はおのずと長くなると考えられます。だからこそ、空白地に診療から療育までを担う機関が必要なのです。しかし、即座になし得るものではないと認識しております。ならば、それに近づく方策を考え、現実的に効果がある政策を提言していくことも我々議員の責任だと思います。 そこで、来年度実施する発達障がい早期地域コンサルティング事業とはどのようなものなのか、この事業を行うことによって診療までの期間短縮につながるのか、詳細も含めてお伺いいたします。 今回は、ありがたいことに小児科の先生が増員になると伺っております。これにより待機期間の短縮が見込まれますが、抜本的な解決には至らないと思います。私の持論のように空白地域にセンター機関を設置するにしても、医師の確保は必須条件です。子供の健康なる心身を育てるためには、医学的・社会的にも小児科医がますます必要とされます。ただ、現実はどうでしょう。小児科医の数は、様々な要請に応える上で必要数を満たしているとは到底言い難い状況です。 もちろん、小児科医を増やしていく政策は国家プロジェクトかもしれません。ですが、何もしなければ、ただ待っているだけであれば本質的な解決にはならないはずです。本県の現状は本県が一番分かっています。そう考えれば、医師を招聘して増員するとともに、同時並行で、本県に、特に療育センターに勤めてもらえる小児科医を本県独自に育成していってはどうでしょうか。 発達障がい児の出現率は増加しています。療育センターの役割も、今後より大きなものになっていくでしょう。待機期間の短縮は、早期発見・早期治療を必要とする子供たちの将来への幸せにつながります。本質的な解決も含め、この項目で三点、知事に御答弁をお願いしたいと思います。 次の質問は、中小企業における事業承継推進支援策についてお伺いいたします。 現在、本県も含め、日本全国の数多くの事業者は、コロナ禍により大変苦しい思いをしております。 先日、帝国データバンク山形支店が、昨年十月時点で事業承継の実態が分析できる二千百二十一社を対象に調査を行いました。このうち千三百十九社、率にして六二・二%、六割超が後継者不在であることが分かりました。全国平均六五・一%を下回るものの、事業承継が喫緊の課題となる七十歳代経営者の後継者不在率が増加しているとのことでした。業種別では、建設業、サービス業、卸売業、本県の基幹産業である製造業が続く結果となっております。 後継者難を理由に廃業を選択する企業も増えており、帝国データバンクの集計では、全国で昨年一月から十二月に発生した後継者難を理由に倒産した企業が四百五十二社に上っております。また、後継者選定を進めていたにもかかわらず、事業の将来性を不安視し、承継前に倒産するケースもあるのです。 日本では、事業の継続を直系・家族に継承しなければならないなどの価値観が根強い状況だと思います。さらにそこにコロナの感染拡大。これにより中小企業は先行き不透明であり、事業継続の見通しが立ちづらくなってきております。 本県の企業の大部分は中小企業であり、創業百年を超える老舗企業の出現率は、皆さんも御存じと思いますが、京都府に次いで全国二位であります。技を磨き、人を育てることこそが、ものづくり山形の真骨頂であるのです。その企業の中には、前述したように、コロナ禍という理由や後継者不在という事情でひっそりとその幕を閉じている廃業という現状があるのも事実です。本当にもったいない。 それを解決するために、現在、本県では、山形県事業引継ぎ支援センターの専門家が事業承継の支援を行っております。さらには、支援センターを含めた行政・支援機関、金融機関、士業--さむらい業機関とで、平成三十年十月に国の委託事業を活用し山形県事業承継ネットワークを立ち上げ、県内中小企業等の円滑な事業承継を支援しております。 経営者の高齢化が進む中、事業引継ぎ支援センターを中心に、ネットワークの情報を駆使し、企業間との信頼関係を構築し、経営コンサルタントからの経営手法やメリットなどを認識してもらい、経営者を支援する経営マネジメント強化・新しいビジネスモデルの構築が必要とされております。言わば、意欲ある第三者に技と人という宝を引き継いでもらうモデルです。が、しかし、このような形で事業承継がうまくいっているのか、情報を得ることができずにやむなく廃業という選択肢を選んでいないかなど、何らかの支援をしていかなければ、本県の宝を失ってしまいます。 そこでお伺いいたします。平成二十七年に山形県事業引継ぎ支援センターが設立されてから五年が経過します。この期間での事業引継ぎのマッチングの成果は何件だったのかお尋ねいたします。 事業承継は、一朝一夕に行えるものではありません。ましてや、若者の新規参画となれば、さらに難しいものだと認識しています。そこで、専門家との相談や指導を経営者側で気軽にできる環境が必要です。ただし、費用はかかります。この費用の問題により事業承継が思うように進んでいないケースも見受けられます。後継者問題等を解決できずに廃業となれば、社員の雇用維持ができなくなるとともに、取引先も大きな影響を受けます。 この費用問題を解決するために、県単独で事業承継コンサルティング業務等でも使える補助の創設をと提案申し上げたいと思っていたところでしたが、令和二年度第三次補正予算にて事業承継・事業引継ぎ推進事業五十六・六億円が可決されました。この予算は、今まで企業を拡大していくための支援はあったものの、事業を守っていくための支援が手薄だった、そこに事業承継・引継ぎ推進にも柔軟に使うことができる予算がついたわけです。本当によかったと思います。 この補助金は、国から民間事業者等を通して中小企業・小規模事業者へ補助されます。直接参画するのではないにしろ、重要になってくるのが県の役割です。支援センターとの連携強化、中小企業が事業承継・引継ぎを検討する機会を提供する説明会等の実施支援など、様々な役割が考えられますが、どのような形で関わっていくのか、また、事業引継ぎにはどのような解決すべき課題があると考えておられるのか、産業労働部長にお伺いいたします。 続きまして、県管理河川の治水対策についてお伺いします。 昨年七月二十六日から二十九日にかけての降雨により大河川である最上川などが氾濫した令和二年七月豪雨災害。この豪雨で、県内では、住宅約七百棟が浸水被害を受けました。お亡くなりになった方はおられなかったものの、多くの市町村で数多くの方々が被害に遭われました。 この災害では、国や県が水位予測を周辺自治体に伝え、行政と住民が素早い避難行動を取ったことと、さらには人家を巻き込む土砂災害が起きなかったこと、それらにより人的被害を最小限に抑えることができたと思います。これこそ県民皆様のコミュニティーの力であり、共助のたまものだと思います。ただし、羽越水害以来の最上川大氾濫となってしまったことは紛れもない事実です。 国が管理する河川である最上川及び県が管理する支流河川の治水整備は、防災の観点からも、県土を整備する観点からも喫緊の課題であります。知事の四期目県政運営において大きな施策の一つになるのではないでしょうか。 そんな折、一月二十九日に国土交通省から最上川中流・上流緊急治水対策プロジェクトの発表がありました。本県にとっては大変喜ばしいプロジェクトです。「被害の軽減、早期復旧・復興のための対策」「被害対象を減少させるための対策」「氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策」、これらを柱に、本年度より令和十一年度までの十か年、全体事業費約六百五十六億円の壮大な事業であります。 国管理の河川ですから、事業主体は国交省が中心になるはずです。ですが、県土整備部の皆さんには積極的にこの事業に関わっていっていただきたい。さらには、対策を行う自治体と連携を密にしていただきたいと思っております。協働しながら対策を認識していくこと、それが同じような被害を起こさないための県土強靭化の一歩となるはずです。 昨年の氾濫で改めて認識させられたことが、本川から支川へ逆流するバックウオーター現象の怖さです。この現象による氾濫を防止するためには、河川のしゅんせつ作業や河道掘削などで水の流れる断面を大きくして水位を下げるなど、様々な防止策がありますが、効果が高いとされるのが、本川と支川の堤防の高さを合わせることです。 県内にも堤防の高低差があるところが見受けられます。これらの整備も含め、県管理河川の治水対策はとても重要です。本年度補正も含め十か年計画ではありますが、総額約五百億円の治水対策費が見込まれております。 そこでお尋ねいたします。国管理の最上川本川については、このたび公表された緊急治水対策プロジェクトに基づき整備されることとなりますが、県管理河川について今後どのように整備を進めるお考えなのか、県土整備部長にお伺いいたします。 最後は、福島-米沢間のトンネル整備の早期実現に主眼を置かせていただき質問させていただきたいと思います。 今から二十九年前に、山形新幹線は福島-山形までの区間で開通いたしました。その後、新庄まで延伸され、山形新幹線は名実ともに首都圏と直結する、山形を代表する足となりました。 しかし、開業してから間もなく、懸案事項が持ち上がりました。それが板谷峠を挟む福島-米沢間での輸送障害です。大雨や豪雪、降雪による倒木、山間部がゆえの野生動物との衝突などにより遅延や運休が頻繁に生じてきました。そのため、この区間に長大トンネルを掘り、輸送の安定と高速化を図る声が地元を中心に生まれたのです。これが板谷トンネル整備要望の始まりです。 平成十三年、高橋知事の下、本県に山形新幹線機能強化検討委員会が設けられました。知事への報告において、約二十二キロのトンネルを掘ることで十六分の時間短縮が可能と試算され、事業費は八百四十億円と見積もられましたが、実現には至りませんでした。 その後、平成二十七年から、遅延や運休につながる自然災害への抜本的な対策についてJR東日本による調査が行われました。二年後の平成二十九年十一月にJR側が本県に伝えた調査結果の概要によると、トンネル延長は約二十三キロ、事業化する場合は、設計に五年、工期十五年、つまり二十年の期間を要するとのことでした。事業費は千五百億円と見積もられ、さらに、将来のフル規格新幹線に対応可能なトンネル断面で整備する場合は百二十億円の追加が必要と試算されています。 地元米沢の木村先生、渋間先生、そして私の三県議の悲願は、このトンネルの早期完成です。もちろん、地元米沢市長も同じ思いであり、地元でも「トンネルの整備をまず初めに」との声が多くあるのも事実です。 板谷トンネルの事業化は、現在、フル規格の奥羽新幹線の整備と一体化しています。私もフル規格新幹線の実現は大いに賛成です。ただ、昭和四十八年に基本計画で定められたいわゆる「昭和四十八年組」の新幹線整備計画はまだ何も決まっていません。それを考えると、これから実現までには何十年という期間がかかることは容易に想像できます。ですが、遅延・運休は今まさに起こっている事実であり、解決のためのトンネル整備の早期実現が政策集にも記載されていることを考えれば、知事も私と同じ考えなのではないかと思っております。だとすれば、このトンネル整備は、奥羽新幹線実現とは切り離して考え、現実問題解決のための防災トンネルとして早期実現を目指すべきではないでしょうか。 もちろん、フル規格の奥羽新幹線を諦めるということではありません。掘るべきトンネルの断面はフル規格仕様にしておく。それをすることで、将来的にフル規格の新幹線は板谷トンネルを通行できることになります。 そのフル規格分の費用百二十億円を県が負担する判断が今は必要です。また、県単独での負担が難しいのであれば、本気で県を代表する代議士に要望・要請をする、そうしなければトンネル整備の早期実現はありません。 設計から工期満了まで二十年かかります。早期に道筋をつけなければ実現が遠のきます。調査からもう三年四か月です。機運の醸成だけではこの事業は一向に進みません。 早期実現がコロナ禍後の山形のビジネスや観光を幅広いものにしていきます。そのことも踏まえ、福島-米沢間のトンネル整備の早期実現に向けての考え方と来年度以降の取組について、みらい企画創造部長にお尋ねし、私の壇上からの質問にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○副議長(森谷仙一郎議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) おはようございます。 相田議員から私に三点御質問を頂戴しましたので順次お答え申し上げます。 一点目は、四期目の退職金についてでございます。 私の退職手当につきましては、これまでの経過について申し上げますと、一期目は選挙のときの方針により、二期目は県民の皆様の声を真摯に受け止めた結果として、そして三期目につきましては、二期目までの流れを踏まえ、受け取らないこととしたところでありました。全て、その時々において私が総合的に判断してきたものであります。 四期目の退職手当の取扱いについてのお尋ねでありますが、私としましては、まずは目の前に山積する諸課題への対応が何よりも重要であると考えております。現在は、新型コロナの克服と山形経済再生に向けて全力で取り組んでいるところであり、こうした中、四年後の退職手当の取扱いについては、現時点ではそこまで考えが及んでいないところであります。 いずれにしましても、県民の皆様の幸せのため、県政運営に全身全霊で邁進してまいります。 二点目は、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種についてのお尋ねであります。 新型コロナワクチンの接種は、今後の感染防止対策の重要な柱でもあり、コロナ克服の要にもなると考えております。現在は、国立病院機構等の医療従事者約四万人を対象に、接種後の健康調査も兼ねた先行接種が実施されております。 先行接種に続きましては、四百七十万人超とも言われる全国の医療従事者等向けの優先接種について、各都道府県が中心となり、三月中旬から接種を開始できるよう準備を進めていたところでしたが、政府から先月十九日、政府が保有するワクチンを前倒しして配分する旨の連絡を受けたところであります。これにより、三月中旬としていた接種開始の時期を早めることが可能となり、県民の皆様の安心にもつながると考えているところであります。 配分の第一弾として、本県には千九百五十バイアル、これは九千七百五十回分のワクチンが割り当てられており、今週及び来週の二回に分けて入荷されることが決定しております。入荷先としましては、県において、県立中央病院をはじめ新型コロナの重点医療機関となっている八つの病院を選定しており、それぞれの病院で準備が整い次第、接種が開始される予定となっております。 ワクチンの接種により発症及び重症化のリスクが軽減されることは、新型コロナ対応の最前線に立つ医療従事者の皆様の安心につながるものであり、医療提供体制が十分に機能するために非常に重要であると考えております。 ワクチン接種につきましては、厚生労働大臣の指示の下、都道府県の協力を得て市町村が実施するとされており、県には広域的な視点で四つの役割が期待されております。 一点目はワクチン等の流通を担当する卸業者の選定であります。新型コロナのワクチンや使用する注射器は、適正な管理下での円滑な流通が必要でありますので、事業者にヒアリングを行い、一月末に五社の卸業者を選定したところであります。 二点目は医療従事者等への接種体制の構築で、県が中心となって準備を進めてまいりました。先月中に、接種する医療機関として、基本型接種施設二十か所、連携型接種施設約五十か所を選定したところであり、今回のワクチン配分を受けて、いよいよ接種の準備が具体化してきたところです。 三点目は相談体制の確保であります。ワクチンの効能や副反応などの専門的な相談に対応するためのコールセンターを今月中に開設するなど、安心して接種していただける体制を整えてまいります。 四点目は複数市町村にまたがる事項の調整や市町村への支援であります。今後のワクチン調達の動向など、情勢を注視しながら市町村と問題意識を共有し、立ち後れる市町村がないように、ワクチン接種が順調に進むように協力してまいります。 ワクチン接種は、十六歳以上の希望者を対象に全額公費で賄われるため、接種される方の費用負担はなく、大きな効果が期待されると言われておりますので、多くの方々に接種していただければと考えておりますが、決して強制ではなく、希望者が対象となります。新型コロナウイルスの終息に向けて、ワクチン接種を希望する方が誰一人取り残されることのないよう、市町村及び関係団体と連携して、しっかりと取り組んでまいります。 三点目は、こども医療療育センターの初診までの待機期間の短縮についてのお尋ねであります。 四期目の県政運営に当たり、私は、県民の皆様とともに「コロナ克服・山形経済再生」に取り組み、さらに輝かしい山形の未来をつくるため、「『子育てするなら山形県』の実現」など五つの視点を重視して令和三年度当初予算の編成を行ったところであります。その一つの「『健康長寿日本一』の実現」に掲げたこども医療療育センターの初診までの待機期間の短縮は、就任当初から私としても重要な課題と捉え、何回もプッシュし、そのたびに医師の確保が難しいと聞いており、医師確保に努力してほしい旨を指示しておいたところであります。 さて、こども医療療育センターでは、待機期間の始期となる受診申込みを受けた後、問診票による児童の状態についての情報収集、発達検査、検査結果の分析、医師の診断という流れで診療を行っております。 これまで、待機期間の終期となる初診とされてきたのは、初めて医師の診断を受ける時点となっておりました。しかし、実際には、その二、三か月前の段階からセンター内で問診、発達検査などを始めており、できるだけ早く医師の診断につなげられるよう独自の工夫を行ってきたものであります。さらに診療枠を増やすため、山大医学部から複数の非常勤の小児科医を派遣していただき、受診申込者が増加する中でも待機期間の短縮に努めてきたところであります。 そうした中、小児科の常勤医師の派遣について、長年にわたり山大医学部へ粘り強く働きかけてきたことに加え、山大からセンターに派遣されている若手非常勤医師に対して、発達障がいの診療のスキルを磨いてもらいながら、その社会的ニーズややりがいを理解してもらうことなど、発達障がいへの関心と診療意欲を高めるよう働きかけてきたことがようやく実を結び、本年四月から、診断を行う常勤医師が一名増員される見込みとなりました。これにより、診療枠がさらに増えることで順次待機期間が短縮され、令和四年度中には、受診申込み後スムーズに診療を受けられることになると考えております。 また、令和三年度新規事業の発達障がい早期地域コンサルティング事業は、県内四地域の医療機関において新たに公認心理師による発達検査を行い、その子供の特性に応じた関わり方や周囲の環境づくりを提案するなど早期にアドバイスし、その後も相談に応じながらフォローしていく体制を構築するものであります。 センターを受診した子供の五五%程度が、センターにおいて服薬や訓練などの医療を受けなくても、地域における速やかな支援により発達障がいの改善効果が期待できるという調査結果を踏まえ、この事業により、その子供の早期支援につなげるものであり、身近な地域での発達支援という選択肢が増えることで、センターの待機期間の短縮にも寄与すると考えております。 また、センターに勤務する小児科医師の育成につきましては、これまでも、山形大学の医学部生に対し、センターの医師が発達障がいの講義を行ったり、小児科医を目指す学生や小児科専門医を目指す医師をセンターに受け入れて実践研修を行うなど、発達障がいを持つ子供の医療に関心を持ってもらえるよう取り組んでまいりました。さらに、令和三年度には、新たに小児科医の養成講座を山大医学部と連携して開設したいと考えております。 こうした取組を引き続き行うことで、県内における発達障がいの診療を行う小児科医をしっかりと確保してまいります。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 小林みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(小林剛也君) 福島-米沢間のトンネル整備の早期実現についてお答え申し上げます。 山形新幹線は本県の重要な社会基盤であり、運休・遅延の多発する福島-米沢間の安全輸送の確保は喫緊の課題であります。また、同区間におけるトンネル整備の早期事業化は、奥羽新幹線の整備を前に進めるための足がかりともなります。 このため、県では、奥羽・羽越新幹線整備実現同盟を中心に、地域推進組織とも連携しながら、機運醸成や、国交省、JR東日本への要望活動等を展開してまいりました。また、JR東日本からは、トンネル本体の整備費用千五百億円に対し、収支採算性の観点から、地元負担も含めた公的支援を要するとの考え方も示されており、政府の財政支援も含めた財源スキームの検討・協議を進めてまいりました。 こうした中、新型コロナ感染拡大により、現在の山形新幹線の利用者数は対前年比で二割から四割程度の状況が続いております。また、JR東日本の令和二年度決算も四千五百億円もの赤字見通しとなり、昨年十月に同社から公表された四千百八十億円の赤字見通しよりもさらに悪化してございます。 山形新幹線の利用者減少は、トンネル整備やフル規格新幹線の収支採算性にも大きく影響しますことから、利用回復は非常に重要です。 飛行機も含めた高速交通全般に言えることですが、新型コロナがもたらした人々の行動変化、具体的にはウェブ会議の浸透による出張機会の減少などですけれども、こうした変化は、今後の新幹線需要の構造自体を大きく変容させていくものと考えております。JR東日本の深澤社長も、「感染流行が収束した後も鉄道の利用の水準は元には戻らないと考えている」と発言されており、我々は、こうした変化を正確に捉え、対応していく必要があるものと認識しております。 こうしたことから、新規需要の創出のため、昨年十一月のラ・フランス新幹線輸送をはじめとして、山形新幹線による県産農産物の輸送というこれまでにない取組を行うなど、新幹線を利用した本県の魅力発信と新たな新幹線需要の創出につなげてまいります。 さらに、新型コロナ感染拡大により、住まい方・働き方に関する意識に変化も見られ、二拠点居住やワーケーションなど地方への関心も高まっております。こうした変化の風を逃さず捉え、新年度予算においても、先ほど述べました新幹線貨物輸送や県内各地へのワーケーションに山形新幹線を最大限活用するための予算を計上したところであります。 また、こうした収支採算性を上げるための取組に加え、近年の自然災害の頻発化・激甚化なども踏まえ、国土強靭化やリダンダンシー機能確保の観点で、福島から秋田までをフル規格新幹線でつなぐべきであるということも、これまで政府に申し上げてきたところでございます。 フル規格断面百二十億円を含めたトンネル工事費用に関する財源スキームの検討・協議や、政府に対する要望活動等を引き続き行いつつ、まずは現下の大幅な利用者減に対してあらゆる知恵を絞り、でき得る限りの手段を講じながら、福島-米沢間トンネルの早期事業化、そしてフル規格新幹線の早期実現に向けて全力で取り組んでまいります。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 木村産業労働部長。 ◎産業労働部長(木村和浩君) 中小企業における事業承継推進支援策についてお答え申し上げます。 民間調査会社の直近の調査によりますと、本県の後継者不在企業の割合は六二・二%に上り、また、経営者の平均年齢は六十一・二歳と全国で六番目に高く、経営者の高齢化が進んでおりますことから、中小企業が大宗を占める本県にとって、事業承継は極めて重要な課題であると認識しております。 県では、平成二十七年六月に事業引継ぎ支援センターを山形県企業振興公社内に設置し、後継者不在企業に対するマッチング支援など、企業の個別相談に対応してきており、本年一月末までの累計で、七百五社から延べ二千三百八十二件の相談を受け、六十七件が成約に至っております。 さらに、事業承継診断の実施や事業承継セミナーの開催等により、県内企業に事前準備の必要性など気づきを促していくため、平成三十年十月に商工団体や金融機関等と連携しまして事業承継ネットワークを構築し、個別企業の事業承継計画の作成に対する支援や専門家派遣による経営指導などに取り組んできているところであります。 一方、事業承継に当たっては、一つとして、新たな経営者が企業債務の連帯保証を引き受けることへの抵抗感、二つ目として親族内承継における贈与や相続に係る税負担、三つ目としまして企業合併や買収の際の株式購入費や仲介料の負担、などの課題がございます。これらの負担軽減を図っていく必要がございます。 このため、県では、平成二十七年度に県商工業振興資金のメニューに事業承継支援資金としまして、事業承継に必要な設備資金等に対する融資制度、上限二億円でございますが、これを創設するとともに、昨年四月からは、借入れ時の経営者保証を不要にするなど要件を緩和し、利用促進を図っているところであります。 また、政府においては、平成三十年度に税の軽減策としまして、事業承継時の贈与税や相続税が一定の要件の下、県の認定により全額猶予される特例措置制度を設けており、本年一月末までに県内企業二十五件が認定を受けております。 加えまして、先般の政府の三次補正予算において、コロナ禍においても地域の貴重な経営資源を次世代に引き継ぐため、事業承継・引継ぎ補助金といったものが予算化されております。事業承継や引継ぎを契機とする業態転換や経営の多角化に取り組む際の費用でありますとか、専門家の活用に伴う手数料等に対する助成などが盛り込まれたところでございます。 現在、中小企業庁では、事業引継ぎ支援センター事業承継ネットワークを統合しまして、本年四月から、事業承継・引継ぎ支援センターとして、事業承継全般のワンストップ体制を構築していく予定でございます。県としましては、県企業振興公社内の同センターをはじめ、商工団体や金融機関等とさらに連携を強めながら、ただいま申し上げました融資・税制・補助金などをフルに活用しまして、それぞれの企業の実情を踏まえた事業承継の推進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 前内県土整備部長。 ◎県土整備部長(前内永敏君) お尋ねのありました、最上川の支川など県が管理する河川の治水対策を立案して実施するに当たりましては、国土交通省と市町村と連携して進めてまいります。といいますのは、国土交通省が管理する最上川の本川と県が管理する最上川の支川を一体的に整備することによって、合流点付近などの市町村の浸水被害を解消することができるからであります。 特に、このたびの令和二年七月豪雨では、最上川本川の水位が高い状態が続いたことから、本川との合流点付近では、バックウオーター現象によって支川において浸水被害が発生しております。このバックウオーター現象といいますのは、最上川のような大きな川では、水位の条件が下流のほうから決まっていってしまって、下流の高い水位がどんどん上流のほうに伝わっていく、これは日本語で背水と言われるものであります。こういったそのバックウオーター現象によって、支川において浸水被害が発生しております。このため、国土交通省が作成しました最上川緊急治水対策プロジェクトの本川の堤防の高さに合わせて、県では支川の堤防整備を行ってまいります。 具体的な例といたしましては、最上川の本川に堤防がない河北町押切地区では、国土交通省が堤防を整備する計画を示したことから、県では、支川の古佐川、法師川を国土交通省の計画に合わせた整備とするよう検討を行ってまいります。 なお、バックウオーター現象の影響がない県が管理する河川につきましても、令和二年七月豪雨やこれまでの災害で浸水被害の発生した箇所、また、そのおそれがある箇所の整備を進めてまいります。 これらの県が管理する河川の治水対策につきましては、令和二年七月豪雨と同規模の洪水に対する流域の浸水被害の解消などを目標として、事業費の規模約五百億円、事業期間を令和二年度から令和十一年度のおおむね十年で実施してまいりたいと考えております。 事業期間をおおむね十年としておりますのは、県の負担をこれまで以上に増やすことなく整備を進めるためであります。具体的には、費用の大半は防災・減災、国土強靭化のための五か年加速化対策の予算を活用し、残りは補助金や交付金を活用することを考えております。 県としましては、氾濫をできるだけ防ぐために、堤防の整備や河道掘削などの河川内における治水対策を、国土交通省や市町村など関係機関と連携を密にしながら進めてまいります。 さらに、河川の中の治水対策と併せまして、被害対象を減少させるため、また、被害を軽減させるための河川以外のエリアにおける流出抑制等の対策など、流域全体を対象として、あらゆる関係者が協働して対応する流域治水を推進し、流域住民の皆様の暮らしと命を守るため、浸水被害の軽減に取り組んでまいります。 ○副議長(森谷仙一郎議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時十五分再開いたします。     午前十一時五分 休憩     午前十一時十五分 開議 ○副議長(森谷仙一郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 十三番菊池文昭議員。 ◆13番(菊池文昭議員) 公明党の菊池文昭でございます。今定例会での一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。 全国での新型コロナウイルス感染拡大から一年以上になります。治療に当たっておられます本県医療従事者・関係者に敬意と感謝を申し上げます。また、感染された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。お亡くなりになりました方々に心からの哀悼の意を表します。 間もなく未曽有の被害をもたらした東日本大震災発災から十年を迎えます。被災された皆様には、一日も早く安心して暮らせる日が訪れますことを願います。 人間は自然に優しくと思っておりますが、豪雨・豪雪・地震、そして新型感染症等、自然界は人間に厳しい試練を次々と与えます。あらゆる困難を乗り越える知恵と工夫、レジリエンスを高め、解決し、希望あふれる山形県の実現に向け取り組んでまいりたいと思います。 項目が多岐にわたっておりますので早速質問に入ります。 初めに、障がい者の所得向上の取組についてお伺いいたします。 障がい者が農作業を通じ自信や生きがいを得ること、社会参画を促していく取組は大事であります。過日、青森県黒石市の「アグリーンハート」を訪問いたしました。ここでは、スマート農業や食育を通じたふるさと再生を目指し、GGAPや有機JAS、ノウフクJASを取得し、水稲、ニンニク、アスパラなどを生産しております。一キロ当たり千七百円の米の販売は絶好調で、「アグリーンハート」佐藤社長は、「米の品質はもちろん、有機JASと農福連携のセットで消費者の心をつかんでいる」とのことであります。本県の農福連携の課題は冬場であろうと思います。「アグリーンハート」では、冬場であっても、精米を真空パックにする作業や大豆・ソバの実の選別などの作業は途切れず行われております。 さて、本県での複数年にわたる実績を踏まえ、さらに農福連携を進める上での課題、その解決に向けた取組を健康福祉部長にお伺いいたします。 あわせて、昨年九月定例会予算特別委員会において、障がいの程度や特性を生かした働き方の推進を質問いたしました。新年度においての障がい者就労支援事業では、工賃向上コーディネーターによる工賃向上に向けた取組の支援が拡充されるようでありますが、どのような方向で進めていくのかを健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、再犯防止計画についてお伺いいたします。 住まいは生活の重要な基盤であり、全世代型社会保障の基盤であります。現在、高齢者、障がい者、低所得者、独り親家庭、外国人、刑務所出所者など、住まいを確保することに困難を抱えている方々が増え、現下の新型コロナの感染拡大で、改めて住まいの確保が困難になっている方々の実態、支援ニーズが浮き彫りになりました。 今回の新型コロナ感染拡大で顕在化した住まいと暮らしの支援ニーズを踏まえつつ、刑務所を出所した後の帰住先の調整がなかなかつかない高齢者や障がい者などに対し、保護観察所や更生保護施設などが受刑中から支援を実施し、関係各所と連携し適切な帰住先を確保するとともに、出所後も切れ目のない見守り支援を行うことが必要です。 過日、刑務所を出所した方々を地域の一員として生活できるよう取り組んでいる法人と個人に話を聞く機会がありました。真っ先に挙げられたことは、「地域社会の理解が得られていないことが一番の課題である」と話しております。住居については、その団体や個人が保証人となり、経緯を正直に伝えると、アパートの大家さんからはほとんどが敬遠され、仮に住むことができても、行政からは当人と団体との関係をいぶかしがられているということであります。高齢化も進んでおり、生活保護を受けている当人の買物支援や銀行での現金の引き落とし、様々な手続等への移動支援と付添いがあります。仮に窃盗などで再犯となった場合、身元保証人であるがゆえに、二十四時間三百六十五日警察からの呼出しへの対応など、当人との関係性を疑われているとのことであります。 これらのことに対して、今後、広く行政はもちろん、地域社会の理解が不可欠であります。一昨年十二月定例会代表質問で取り上げられましたが、改めて計画策定の背景と趣旨を伺うとともに、地域社会への理解促進の取組と県内自治体への周知の取組について健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、共生社会の実現についてお伺いいたします。 家族の在り方や働き方、地域社会の結びつきの希薄化が進行しております。個人や家族が抱える問題は複雑・多様化し、八十代の親が五十代の中高年のひきこもりの子供を養う問題いわゆる「八〇五〇問題」、介護と子育てを同時に担ういわゆる「ダブルケア」、児童生徒が様々な事情から祖父母や親の介護、兄弟の生活の支援を行う「ヤングケアラー」という新たな概念の出現、ごみ屋敷、虐待、孤独死など、新たな課題が表面化しております。 本年四月に施行する改正社会福祉法では、さきに述べた様々な課題解決に向け、市町村に支援体制や窓口をつくり、国及び都道府県は必要な情報提供や支援を行うことと規定されました。 さて、本県において、今年度、地域共生社会実現を目的に、すこやか・安心地域づくり推進事業がスタートしております。本県においても、県内全ての市町村で地域住民の複雑化・複合化した課題に対する支援体制の整備を進めることが求められます。支援実施に当たって市町村がどのような支援を求めているかが重要です。 そこで、すこやか・安心地域づくり推進事業のこれまでの取組状況を健康福祉部長にお伺いいたします。 また、県は、市町村のこれら課題を把握し支援する仕組みを構築するとともに、市町村の取組をフォローしていくことが必要と考えますが、複合的な課題解決のためにどう取り組むのかを健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、医療的ケア児の支援についてお伺いいたします。 平成二十五年、山形市内に医療的ケアが日常的に必要な児童生徒等いわゆる医療的ケア児を対象とした療育施設が誕生いたしました。 当時の社会は、医療的ケア児という言葉は広く認識されておらず、その児童生徒の存在すら知られておりません。そのため、医療的ケア児を預ける施設も少なく、家族だけで二十四時間三百六十五日のお世話が各家庭で行われておりました。県内には百二十名ほどと言われる医療的ケア児に対し、現在では理解や認識が進んでおります。 支える家族の思いを受け、県では、平成三十一年二月に、県医師会・看護協会をはじめ学校・行政や施設関係者などで構成する山形県医療的ケア児支援会議が発足し、児童生徒・保護者への支援についての方向性や在り方について議論が始まりました。支援の必要性を訴えてきた保護者の皆様をはじめ関係各位に敬意を表します。 施設整備につきましても、本年四月一日、南陽市赤湯駅前に多機能型の重症心身障がい児者の通所事業所において、児童発達支援、放課後等デイサービス機能に加え、十八歳以上の大人も入浴などができる生活介護機能を備える施設が開設されます。ここに至るまで、県の財政当局、担当課をはじめ南陽市の支援に感謝いたします。 社会的に理解が進む中において、医療的ケア児支援体制整備事業費として千二百万円強を新年度予算案に計上されております。さらなる支援充実が期待されますが、新年度において、医療的ケア児に対する支援拡充の取組を伺い、県内四地域それぞれでの支援施設の設置や今後の県事業の進め方をどのように考えているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、観光振興についてお伺いいたします。 観光産業は、農林水産業と並び本県の有力な産業であります。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で深刻な影響を受けている産業の一つでもあります。今月にはコロナウイルスワクチン接種が始まることをもって直ちに私たちの生活が元どおりになるとは考えておりませんが、今後、アフターコロナを見据えたときにも重要な産業に変わりはありません。 ウイズコロナにおける観光の在り方では、密を避け、感染リスクを意識しながらもゆったり過ごせることなどの新しい観光のスタイルが形成されるものと考えます。 そこで、コロナ禍における観光振興について伺います。 一昨年の十月一日から十二月三十一日まで、「日本海美食旅(ガストロノミー)」をキャッチフレーズとして新潟県と庄内エリアDCが開催されました。出羽三山の精神文化、庄内藩鶴岡の城下町文化、北前船寄港地酒田の港町文化。出羽三山に伝わる精進料理をはじめ、多くの在来作物が継承されており、現在では酒田フレンチなど、食の都庄内を創造している庄内地域は、この八つのDCエリアにおける重要な位置づけであったと考えます。 日本経済研究所では、その経済波及効果について約二百十四億円に上ったとする調査報告書をまとめ、その中で、台風によるイベント中止もありましたが、大都市圏へのPRには成果があったと分析しております。 新型コロナの全国的な感染拡大により、一昨年とは全く違う中で、昨年十月から十二月までポストDCも開催されました。その開催効果や課題をどのように受け止めているのかを観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。 また、本年四月からの東北DCの開催が間もなくであります。新型コロナの感染防止をしながら、ウイズコロナでの観光の回復は中長期的な取組になると考えます。 令和二年度から六年度までの計画期間である第二次おもてなし山形県観光計画においては、インバウンド需要がこれまでのように見込めない状況下にあって、コロナ禍での国内観光客の新しい観光スタイルへの対応について、どのような観光振興施策に取り組むのか、観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。 さらに、観光振興ではDMOの存在も重要であります。地方自治体と民間業者により観光地経営を担うため、専門性と機能を持つプロフェッショナル組織であるDMOの育成及び県内各地域での設立が求められます。 観光地経営の視点に立ったDMOの形成、県内全域での育成の促進と支援、DMO相互の連携強化の方策について観光文化スポーツ部長にお伺いいたします。 次に、東日本大震災の被災者支援についてお伺いいたします。 未曽有の被害をもたらした東日本大震災発災から間もなく十年を迎えます。十年の節目とも言われますが、被災し、今もなお本県に避難されている方々にとりましては、節目などはありません。であるからこそ、行政や地域による切れ目のない支援の継続が必要であります。 北海道から沖縄まで全国に約四万人と言われている東日本大震災、福島第一原発事故からの広域避難者数であり、現在、本県には約五百五十世帯、千五百名を超える方々が避難されております。 本県の支援の特徴は、機動力のあるNPOと市民団体・行政それぞれが現場のニーズに合った支援体制、官民協働体制による組織的な支援を構築していることであり、詳細は割愛いたしますが、宇都宮大学国際学部清水奈名子准教授らの「看過された広域避難者の意向」と題する論文の中においても、山形県で行われている支援モデルはとても優れているとの評価であります。 避難者の抱える問題はそれぞれであります。避難直後と十年を迎える現在では、おのずと支援が変わってきており、引き続き避難者ニーズに合った支援体制と情報提供・相談窓口の機能維持に努めていただきたいと思います。避難者が必要な支援を必要なときに受けられること、心のよりどころがあること、コロナ禍にあっても孤立しないこと、見守られていることが求められ、避難者が安心することが大事であります。 来年度につきましても東日本大震災からの避難者支援についての予算案が提案されております。今後の避難者支援についてどのように進めていくのか、防災くらし安心部長にお伺いいたしますが、避難者や関係者・団体に対し安心メッセージとなるような答弁を期待いたします。 次に、デジタル社会の構築に向けた取組についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスの感染拡大は、日本のデジタル化の遅れを浮き彫りにいたしました。象徴的な事柄に、国民全ての人に一律十万円を支給した特別定額給付金で「行政に届け出ている口座番号がなぜ使えないのか」「給付が遅い」といった声があり、自治体の現場も混乱に陥りました。これらを踏まえ、政府では、デジタル庁創設などデジタル社会の構築に向けた検討を加速しております。 さて、本県においては、県行財政改革推進プラン二〇二一・仮称の推進期間である二一年度から四年間で、「Yamagata 幸せデジタル化構想」を踏まえた行政のデジタル化や、多様で柔軟な働き方の推進に力を入れる方針が示されております。行財政改革推進プランの策定におけるデジタル化推進の考えについて総務部長にお伺いいたします。 デジタルの活用は、人と人との分断を強いるコロナ禍を乗り越えていく一つの手段でもあります。高齢者も障がい者も、諦めることなく使ってもらえることが必要です。どこまでも利用しやすさ・アクセシビリティーを重視してもらいたいと思います。また、通信環境が整えられない生活困窮者への配慮も含め、誰もがデジタル社会の恩恵を実感できるよう取り組む必要があります。デジタル機器の操作が苦手な人には、身近な人によるサービスなどを手厚くし、格差を生まないデジタル社会が求められます。全国的には、ICT機器の利用をサポートするデジタル活用支援員の活用も進められております。 新年度において、県民がデジタルを安心して利用でき、簡単で、便利で、お得で、ストレスなく使えるようにするための取組について、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 次に、交通系ICカードの導入と今後の広がりについてお伺いいたします。 県民の日常生活を支える重要な社会インフラである路線バスや鉄道などの地域公共交通は、通勤・通学、買物や通院、役所への手続などに貢献しております。 これまで、県では、生活バス路線を運行するバス事業者への補助とともに、コミュニティーバスやオンデマンド型交通を支援するなど、地域公共交通の維持確保に取り組んでおります。 昨年においては、自治体や交通事業者と連携し、山形県地域公共交通活性化協議会を立ち上げ、公共交通ネットワークの利便性向上と維持確保に向け、令和二年度九月補正予算においてバス事業者における交通系ICカードの導入支援を表明し、地域公共交通の要であるバス利用の拡大に取り組む方針が示されました。 私も地域公共交通の充実強化は重要な課題であると認識しており、高齢者の移動支援、運転免許返納者の足の確保と温室効果ガス排出抑制、市街地における渋滞緩和に有効であると考えます。本県地域公共交通における脆弱化の象徴である路線バスは、様々な働き方や勤務時間等により利用者ニーズが路線とマッチしていない点があり、そのため自家用車に頼らざるを得ず、利用者減少が便数の間引き、ひいては路線廃止につながり、ますます利用しにくいスパイラルに入っているように思います。 過日訪問いたしました岩手県北上市のNPO法人「くちない」における高齢者の移動手段を確保する自家用自動車有償旅客運送の取組についての調査では、自宅からバス停までは三十分ほどを要し、バス路線を利用しても決められた時間に間に合わないことがあるとして、同法人のサービスでは、郵便局や町内会の集まり、役場、病院、墓参りへの移動に利用されているものの、人口減少の中にあって、支える側の人的確保が一番の課題であるとのことであります。 また、人口減少と高齢化の進む青森県佐井村での有償移動支援の課題は、まず運転者の確保であり、次に事業の継続をしなければ高齢者の移動ができないなどが挙げられており、支援される側も支える側もともに高齢者であり、地域のニーズに合った制度の見直しなどが求められております。 本県においては、山形市のデマンド型乗合タクシー、南陽市の「おきタク」、東北でもNPO法人「くちない」、青森県佐井村の移動支援等を調査してまいりましたが、それぞれの地域事情や雰囲気は全て違い、その地域に合った移動支援を提供できる体制整備が必要であり、ラストワンマイルへの支援も重要であると感じました。 さて、令和三年度の施策体系の中では、山形県地域公共交通計画において持続可能な地域公共交通の構築が盛り込まれております。昨年来、県内全域を対象に交通系ICカード導入を表明し、現在、バス事業者において準備を進めていると聞いております。私の考える交通系ICカードのメリットとしては、非接触での運賃支払いによる感染症防止のほかにも、ICカードへのポイント付与などによる運転免許証返納者へのインセンティブの付与や子育て世代の利用拡大などが大いに期待できます。 そこで、交通系ICカード導入の狙いとその先にある本県地域公共交通の確保について、県はどのような地域公共交通の未来を描いて導入を進めるのか、今後の活用の拡張性や可能性について、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 最後に、東北公益文科大学等における一連の報道と市町村との連携について副知事にお伺いいたしますが、この質問をするに当たり、県内各自治体に赴き、関係職員・担当者より詳細な事実確認と調査を行っていることを申し添え、以下伺います。 昨年九月定例会一般質問において、東北公益文科大学の将来の在り方の質問において知事は、公立化は選択肢の一つであるとの認識を示した上で、大学のさらなる機能強化も含め、将来の本大学のあるべき姿について総合的な検討をしっかり前に進めるとの答弁をされました。十二月定例会では、総務部長より、最近の大学公立化への移行に係る準備や手続の期間としては一年半程度との答弁もあり、それを聞いた関係者の間では、悲願である公立化が進むものと大いに期待をしたと聞いております。公立化を決定したものとは考えておりませんが、検討を開始し、クリアしなければならない課題等を共有していく作業に着手する決断に対し、大きな拍手を送る一人であります。 参考例としてでありますが、近年公立化となった私立大学の志願倍率の推移であります。平成三十一年に公立化した公立千歳科学技術大学では、公立化前五倍が公立化後初年度十・九倍、平成二十九年長野大学は、二・四倍が十倍、平成二十八年福知山公立大学では一・五倍が三十三・四倍であり、倍率は多少上下しながらも落ち着いてきているようであります。 公立化については、組織運営や人事制度、財務会計や目標・評価などにおいて種々検討すべきことは数多くありますが、人口減少の進む地域にあって、東北公益文科大学の果たす大きな役割の一つに、地域で人材を育成し定着させることの意義もあります。 さて、本年の東北公益文科大学公立化についての県執行部の発言や指示の経過と真意をお聞きしたいと思います。 一月二十九日付山形新聞では、東北公益文科大学公立化について、総務部長より酒田市に対し検討組織の設立準備停止を伝え、二月定例会終了後に検討作業を進めるとの報道であります。同日付荘内日報では、本年一月十四日に県から酒田市に公立化に向けた種々の意見を求める連絡があり、一月二十五日には県幹部から検討組織の立ち上げについて一時ストップするよう上から指示があったとのことであります。一月二十九日に開かれた知事の県政報告会においては「寝耳に水」と驚かれたという報道もありました。 新聞各社の「停止」「ストップ」「白紙」などの表現は別として、総務部長の上司は知事または副知事であり、知事の「事務方のやり取りである」と言うことが事実であるならば、その上司とは副知事しかおりません。公立化への大きな期待が周辺自治体や学校関係者に膨らんでおり、将来入学を考える学生への選択に水を差す判断ではなかったかと思います。 さらに、一月三十日付毎日新聞においては、山形鉄道フラワー長井線への財政支援の撤回を検討との報道がなされました。この路線の利用者の多くは高校生の通学であり、少なからず県の判断の在り方を不安視する声や、学生の足を奪うのかとの御懸念も多くいただきました。二月補正、新年度当初予算ともに十分な支援がなされる予算編成となり、安堵いたしております。 そこで、事務方の責任者の一人である副知事にお伺いいたします。 公立化を目指す姿勢に変わりはないとのことでありますが、県行政の意思決定は慎重の上にも慎重に検討されたものであるはずです。正確に伝えなければなりません。検討組織立ち上げ中止を伝達した意図は何か、今回の一連の混乱の責任についてはどのようにお考えなのかを副知事にお伺いいたします。 また、三月十日、副知事として四年の任期を迎えますが、県行政事務方トップとして、特に県内自治体との連携強化や関係性の深化にこれまでどのような視点で取り組まれてこられたのかを併せお伺いし、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
    ○副議長(森谷仙一郎議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 若松副知事。 ◎副知事(若松正俊君) 私からは東北公益文科大学等における一連の報道と市町村との連携についてお答え申し上げます。 県内市町村との連携につきましては、私はこれまでも、各市町村による県への重要事業の要望や知事と市町村長との意見交換会、さらには市町村の関係者と直接お会いする様々な機会を通しまして、地域における課題や実情のほか、意見や要望などをしっかりお聞きし、市町村の立場に立って、連携を重視しながら、必要な施策等が着実に推進できますよう関係部局長等に必要な情報をつなぐなど、課題の解決に向けて全力で取り組んできたところでございます。 お話のありました東北公益文科大学の公立化に関しましては、こうした基本姿勢の下、昨年の九月定例会におきまして知事がお示しした、本大学に関わる関係者が知恵を持ち寄り、さらなる機能強化や公立化について総合的な検討をしっかりと前に進めていくという考え方を踏まえ、昨年十一月から庄内地域二市三町と実務者同士による協議を始めておりました。 そうした中、議員のお話にありました新聞報道の直前に初めて情報を知り、その状況について担当部局から事後的に報告を受けたところでございます。 それによりますと、同大学の公立化に向けましては、昨年来、事務処理体制に係る職員配置や事務経費など、事務的に何が必要かを検討してきたところであり、その中で、報道に示されております日におきましても、酒田市との間で事務的な連絡を取っていたと聞いたところでございます。また、報道にありました「県と市で検討組織の設立準備を始めることで合意した」というような事実はなく、あくまで県と市の実務者同士で事務処理体制などについて相談していたとのことであります。こうした事務的なやり取りの経緯が不確定な形のままで情報として外部に出てしまったのではないかというふうに思っております。 一方、山形鉄道に関しましては、これまでも、沿線二市二町と連携して、上下分離方式により、鉄道施設の維持・修繕いわゆる「下」の部分に対して支援を行ってまいりました。今般、これに加え、二月補正予算の編成過程で、新型コロナの影響による観光等の利用客減少という状況なども踏まえまして、新たな臨時的措置として、運行部分いわゆる「上」の部分への支援を事務レベルで検討していたところでございます。そのやり取りの中で、県と沿線市町と実務者間の検討・調整過程での議論の一部が不確定な形のままで情報として出た旨を新聞報道の後に担当部局から、これも事後的に報告を受けたところでございます。 ただ、いずれの件につきましても、県と市町村との連携の在り方について、一部誤解や食い違い、混乱が生じたところでありますが、結果として、そこに副知事としての組織マネジメントなどにおいて不足する部分もあったのではないかというふうに思っております。そうした点につきましては、私も謙虚に受け止め、今後、県と市町村との連携がさらにしっかりと図られるよう、丁寧そして真摯に対処してまいりたいというふうに考えております。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 大瀧総務部長。 ◎総務部長(大瀧洋君) 行財政改革推進プランにおけるデジタル化推進につきましてお答えいたします。 ICT技術の発展などの社会経済環境の変化や新型コロナウイルス感染症の拡大により露呈した行政のデジタル化の遅れへの対応が急務となっていることから、現在策定を進めている山形県行財政改革推進プラン二〇二一・仮称では、重点取組項目として「行政のデジタル化の推進」を掲げ、県民の視点に立ち、時代に即した行政サービスを提供していくこととしています。 具体的には、行政手続等のオンライン化の推進や公共施設へのWi-Fiの整備などに加えて、市町村のデジタル化への支援、ドローンを用いて収集したデータの活用による災害対応などに取り組んでまいります。また、職員が様々な事態に柔軟に対応できるよう、テレワークやウェブ会議の推進、AI・RPAなどデジタル技術を活用した仕事の見直し、業務の効率化を併せて進めていくこととしております。 中でも、現在ほとんどの手続が書面での提出となっている県への申請や届出などの行政手続については、必要性を検証の上、デジタル機器に不慣れな方々にも十分に配慮した上で、押印や書面提出を原則廃止し、インターネットを活用したオンライン申請を拡大してまいります。 行政手続のオンライン化の実現により、県民や事業者の皆様が県の機関の窓口に直接おいでいただくことなく、また、受付時間にとらわれずに、都合のよいときに手続が可能となり、利便性の向上が図られるとともに、現在のコロナ禍においては、感染リスクの回避にもつながると考えております。また、行政側としても、申請内容等があらかじめ電子データで登録されることから、入力や確認など事務作業に要していた時間や経費の削減にもつながると考えております。 従来の業務の進め方や働き方の枠組みにとらわれることなく、デジタル技術を活用したスタイルを確立し、行政のデジタル化を推進していくことにより、県民の利便性の向上と行政事務の効率化が最大限図られるよう、しっかりと着実に取り組んでまいります。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 小林みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(小林剛也君) 菊池議員から私に二点御質問いただきました。順次お答え申し上げます。 県民がデジタル技術を安心して利用できるための取組についてお答え申し上げます。 本県では、「Yamagata 幸せデジタル化構想」に基づき、誰一人取り残さない社会づくりを念頭にデジタル化を推進しております。この構想の中核となる考え方は、デジタル技術の社会実装を進める際、人が直感的に認識できるアナログのよさも大切にしつつ、便利なデジタル技術を柔軟に取り入れていくという点にございます。 令和三年度予算案においては、例えば、通いの場に集まる高齢者の方々に対してタブレット端末をお貸しし、操作のお手伝いをしたり、仲間同士でビデオ通話を楽しんだりすることで、タブレットやスマートフォンの普及の拡大を図ってまいります。 議員御指摘の政府におけるデジタル活用支援員の事業につきましても、携帯ショップや公民館などで高齢者の方々などにスマートフォンやインターネットの利用方法等のサポートを行う講座を開催していくものでございます。高齢者が遠くに住む家族や友人と顔の見えるコミュニケーションを図れるようになることで孤立解消や認知症進行の防止などにつながること、さらに、ネット通販に慣れることなどにより買物支援にもつながることも期待しております。 また、県立学校において、低所得世帯の生徒さん向けのPC端末の貸出しや通信環境の整備なども行い、デジタルディバイドを生まないように対策を講じます。さらには、新型コロナウイルスの影響で心身に不調が生じた方の心のケアのため、SNSによる相談を行う事業などを通じて、県民に寄り添った施策を推進してまいります。 農業分野でも、中山間地域の農地管理のため、防除用ドローンやラジコン草刈り機など省力化につながる機器の購入を支援することで、高齢化が進む中でも、中山間地域で無理なく営農を継続できるように環境整備を進めてまいります。 お金をかけて高度なIT技術を導入するだけがデジタル化ではありません。簡単で便利、安くてストレスフリーなデジタル活用を進め、「山形デジタル道場」での事例共有なども通じて、市町村とともに県民の利便性向上に努めてまいります。 次に、交通系ICカードの導入と今後の広がりについてお答え申し上げます。 バス事業者に対する交通系ICカード導入支援につきましては、現在、令和四年四月の利用開始を目指し、県内の主要路線バス事業者二社が、それぞれ全路線への導入に向けて準備を進めております。県内全域を対象とした一斉導入は全国初となります。 今回のカード導入では、市町村のコミュニティーバス等での活用も視野に入れて調整を進めておりまして、例えば、山形市における令和二年度三月補正予算案でも導入費用が計上されております。ほかの市町村につきましても、そのニーズや設置の相談を丁寧にお聞きしながら、導入に向けてともに取り組んでいるところでございます。 本カード導入のメリットですが、運賃支払い時の混雑緩和とコロナ感染防止に加え、本カードは、JR東日本のSuicaカードの機能をベースにしておりますので、鉄道はもとより、他県の高速バスからの乗り継ぎもキャッシュレスで円滑に行うことが可能となります。また、タクシーについても、現在、県内の三分の一のタクシー車両が既に交通系ICカード決済に対応済みでございますので、スムーズな利用も可能となります。 このほか、本カードには電子マネー機能もあります。コンビニ等の買物に利用できるほか、地域独自のポイント機能の付与も可能でございます。例えば、今後、地域の商店街や観光施設等と連携し、このカードを使うとポイントがたまるような仕組みを導入することにより、地域活性化につなげていくことも考えられます。 また、利用者の減少とバスの便数・路線の縮小が負のスパイラルとなっているという点につきましては、本カードを導入した全路線で、バス停ごと、時間ごとなど、詳細な利用データを容易に収集できるようになります。これにより、例えばバス停の時間別の利用者数のデータを活用することで、住民の皆様にとってより利用しやすいダイヤ編成やバス停の変更を行うことが可能となります。これによりまして、バスの利用を拡大し、収益向上、ひいては路線維持につながるものと考えております。 県といたしましては、本カードの導入・普及と本年四月から始まる交通情報のオープンデータ化と併せ、カード一枚で公共交通サービスが全てつながる山形MaaSの実現を目指してまいります。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 須藤防災くらし安心部長。 ◎防災くらし安心部長(須藤勇司君) 東日本大震災の被災者支援についてお答え申し上げます。 本県ではこれまで、避難者の方々に対し、住宅の提供をはじめ相談・交流会の開催、生活支援相談員による訪問・見守り活動のほか、行政や医療・福祉関係機関、民間支援団体による「やまがた避難者支援協働ネットワーク」を立ち上げ、互いに連携して、子育て支援や心のケアなどきめ細かな支援に取り組んできております。 また、県では毎年、避難者の方々の状況やニーズを把握するため避難者アンケートを行うとともに、平成二十五年度からは避難世帯の全戸訪問を行い、よりきめ細かな状況把握に努めてきているところでございます。 避難生活が長期化する中、避難世帯では、お子さんの成長や本人・御家族の高齢化、健康状態や就労状況の変化などから、抱える課題は個別化・多様化してきております。中には、悩みを自ら相談できずにいる世帯や、収入、健康、進学、就労などで複数の課題を抱える世帯も見られるところでございます。また、今年度行ったアンケートでも、避難生活で困っていることとして、「生活資金」とともに「自分や家族の身体の健康」や「心の健康」といった回答が多く見られました。 こうした状況を踏まえまして、引き続き、支援団体等による交流会・相談会等の情報を全ての避難世帯に定期的に提供するとともに、生活支援相談員等の訪問活動を通しまして、悩みに応じた情報提供や適切な相談先につなげてまいります。複数の課題を抱えるケースにつきましては、専門家の助言を受けながら、市町村や関係機関等とともに課題解決に向けた支援計画をつくり、連携した支援を進めてまいります。 また、心身の健康不安に対応するため、市町村等と連携した健康増進講座を開催するほか、今後は、各地域で行われる介護予防、生きがいづくりなどの事業を積極的に紹介いたしまして、避難者の方々と地域との交流促進を図ってまいります。 県としましては、避難されている方々がそれぞれの地域で安心して生活できるよう、今後とも、関係機関や支援団体の方々、また避難元自治体ともしっかり連携いたしまして、避難者の方々に寄り添った取組を進めてまいります。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 玉木健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(玉木康雄君) 私には四点御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。 初めに、障がい者の所得向上の取組についてお答え申し上げます。 本県では、平成三十年度からJA職員OBの農福連携推進員を配置しまして、農作業を委託する農家とこれを受託する障がい者施設のマッチングなどの取組を進めております。今年度の一月末時点のマッチング実績は、委託農業者五十九名、受託事業所四十二か所、農作業への従事者延べ七千百二十人で、昨年度を上回るペースでマッチングが成立しているところであります。 このように、これまで多数のマッチングを行ってまいりましたが、課題となりますのは、やはり冬期間の作業の確保であります。冬場は農閑期に当たるため、総じて農作業の量が少なくなります。そこで、農福連携推進員が野菜苗などのハウス栽培農家をきめ細かく回って情報収集いたしまして、周年で取り組める作業の掘り起こしを進めているところであります。さらに、農作業に従事する障がい者に対してより的確な指示を出せるよう、令和三年度の新たな取組といたしまして、障がい者施設の職員を対象として、農業の基礎知識や技術を習得する研修を実施することとしております。 県では、引き続き農福連携推進員によるコーディネート活動を着実に進めながら、年間を通した作業量を確保し、より安定的に農作業が受託できるよう努めてまいります。 また、障がい者の工賃向上を図るため、令和三年度に新たに工賃向上コーディネーターを配置し、障がい者施設が新たな事業展開や新商品の開発等を進める際に適切な支援を受けられるよう、公的支援機関や民間企業等を紹介するなど、実践面でのサポートを強化いたします。加えて、個々の障がい者施設の特性を考慮した新たなビジネスモデルについて、企画段階から製造、販売等の段階まで一貫した支援を行ってまいります。 県としましては、個々の障がい者が有する多様な能力が発揮できるようにという観点に立ちまして、それぞれの障がい者施設が抱える課題やニーズを丁寧にお聞きしながら、障がい者の工賃向上につながるような事業展開をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。 続きまして、再犯防止推進計画についてお答え申し上げます。 本県では、刑法犯検挙者の四割以上を再犯者が占めており、刑務所からの出所者等が地域社会の一員として円滑に復帰することは、出所者等の安定した生活だけでなく、地域住民が安心して暮らすことのできる社会の実現にも寄与するものと考えてございます。 そのため、県では、今年度、本県の実情に応じた山形県再犯防止推進計画を策定することといたしまして、関係機関で構成する山形県再犯防止推進協議会において御意見をお聞きしながら、先般、計画案を取りまとめたところであります。 この計画案は、満期出所者等が住居や就業への支援を求めていることなどのアンケート調査の結果や、それから本県の強みであります住民同士の助け合い活動が活発に行われている状況などを考慮いたしまして、「互いの支え合いにより、罪を犯した人が立ち直り、安心して暮らせる山形県の実現」を基本目標にしまして、就業と住宅の確保など六つの施策の柱に基づく取組を総合的に進めていくこととしております。 今後、この計画に基づく施策を実効的に進めるためには、市町村や地域での取組を促し、関係者が連携することが重要となります。そのため今年度は、モデル事業といたしまして、県内五つの市におきまして、地域の警察・更生保護関係者・福祉関係者などを加えて構成する「再犯防止のための連絡会議」を設置しまして、支援対象者の状況等に関する情報共有や支援策の検討、地域での見守り活動など、地域の様々な機関が連携したきめ細かな支援を行う取組を始めたところであります。今後、これらモデル市の事例につきまして普及啓発を進め、全県的に拡大してまいりたいと考えてございます。 こうした取組を進める中で、既に幾つかの市町村では再犯防止推進計画を策定する動きがありますので、先ほど申し上げました協議会への参加を促し、必要な情報提供やアドバイスを行うなど、市町村の取組を支援し、安心して暮らすことのできる地域社会づくりに取り組んでまいります。 三つ目の、共生社会の実現についてお答え申し上げます。 本県は住民同士のつながりが強く、地域コミュニティーの持つ力は本県の強みでありますが、人口減少の進行等に伴い、その機能の弱体化も懸念されるところであります。一方で、複雑で複合的な課題を抱える世帯は増加傾向にあり、その対応に当たっては、市町村役場と地域コミュニティーが連携し、一体となって支援する体制整備が重要と考えております。 こうした取組を促すため、県では、先ほどのすこやか・安心地域づくり推進事業におきまして、今年度、三つの町でモデル事業を実施しているところであります。これら三つの町では、モデル地区を設定し、除雪対策や買物支援などの地域課題に対して住民の助け合いによる対策を促すとともに、役場内の関係課が連携し、そこに関係機関も加わった総合的な相談支援体制を整備しております。今後、これらの取組を実施する地区の拡大や、モデル事業のケース以外の様々な地域課題にも対応できるような仕組みづくりへと発展させることとしてございます。 令和三年度には、政府でも重層的支援体制整備事業を創設し、県や市町村の取組を支援する予定としていることから、この事業を活用し、これまでの取組を強化してまいります。 具体的には、先ほどのモデル事業を新たに三地域で実施し、地域でのデジタル化の視点を加えますとともに、より小規模な町村で実施するなど、新たな先行優良事例を創出してまいります。 また、他の市町村への普及拡大を進めるため、今年度、健康福祉部と総合支庁に市町村等からの相談窓口を設置いたしましたので、引き続き情報提供や助言等の支援を実施してまいります。さらに、来年度は新たに、市町村が取り組むに当たっての指針となる手引書を作成したいと考えておりまして、相談窓口への相談事例や、モデル事業の実施例をはじめとする県内外での優良事例などに加え、モデル事業で得られた事業の進め方・手順の実例も盛り込むなど、実践的な内容としまして、市町村の取組を後押ししてまいります。 今後とも、地域等での協議・検討に積極的に参画しながら、市町村等に寄り添った支援を行い、県民誰もが健やかに安心して暮らすことのできる地域づくりを進めてまいります。 最後に医療的ケア児の支援についてお答え申し上げます。 平成三十年度に医療的ケア児の家族からお聞きしたアンケートによれば、日常生活においては通院時の負担が最も大きいとのことでしたので、通院時の負担を軽減するため、令和元年度から、県医師会と連携して、身近な地域で訪問診療に取り組む医師の養成を行うとともに、今年度からは、自家用車での遠距離通院時における代行運転手の派遣や訪問看護師による付添いへの支援を行っております。 しかしながら、支援の要件といたしまして、おおむね三十キロ以上の遠距離通院者に対象者を限定したことや、経費の一割を利用者負担として求めたことなどから、医療的ケア児の保護者会からは、距離制限を撤廃してほしいとの御意見をいただきました。また、さきに申し上げましたアンケートでは、医療的ケア児のいる家庭においては、様々な面において経済的な負担が大きいとの回答もいただきました。 このため、県といたしましては、令和三年度からこの距離制限を撤廃するとともに、利用者負担も求めない制度に改めまして、利用回数の上限も年四回から十二回へと引き上げ、通院時における支援を拡充してまいりたいと考えております。 また、医療的ケア児への支援を担う施設につきましては、日中預かりの場となります児童発達支援や放課後等デイサービスなどの通所事業所が、今年度の整備分も含めまして県内に三十一か所設置されてございます。 昨年九月の時点では、県内の医療的ケア児は百十六名と把握しておりまして、県内各地域の医療的ケア児の状況に応じて整備を進めていく必要があると考えてございます。今後は、施設数が少ない最上地域及び庄内地域を中心に計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。 このため、県といたしましては、地元市町村や設置主体となります社会福祉法人などに対し働きかけを行うとともに、整備に当たっては必要な支援を行い、できるだけ早期に支援施設の充実を図ってまいりたいと考えております。 ○副議長(森谷仙一郎議員) 武田観光文化スポーツ部長。 ◎観光文化スポーツ部長(武田啓子君) 観光振興についてお答え申し上げます。 新潟県・庄内エリアDCでは、「食」や「酒」の魅力を中心に、食を育んだ歴史や伝統、暮らし、風土など様々な観光素材を関連させたストーリーとして広く発信いたしました。また、DCを契機に数多くの受入企画が開発・商品化されたほか、次代を担う若者たちや地域が一体となったおもてなしの輪が広がりました。一方で、回遊性向上のための二次交通の情報提供の在り方などが課題として改めて確認されたところであり、本年四月から開催する東北DCにおいては、スマートフォンを活用して、観光情報とともに二次交通の検索から予約、決済まで行える観光型MaaSなどに取り組んでまいります。 今後、ポストコロナを見据えて、安全安心を求める意識の変化、個人旅行など少人数旅行や移動の感染リスクが低い滞在型観光への対応のほか、テレワークなど働き方の変化を踏まえた新たな旅行スタイルへの対応が求められると考えております。山形ならではの自然や地域の暮らし・文化の価値を活用した取組を加速させ、特に、コロナ禍において、その価値が見直されてきている本県の精神文化等を活用したデジタルプロモーションを展開して、国内外からの観光誘客を進めてまいります。 また、本県の優位性のある自然環境や地域文化を生かした観光地域づくりを進めるためには、DMOの役割はますます重要になると考えております。これまで、県では、DMOの人材育成や旅行商品の造成及び販売力を強化するため、専門のアドバイザーの派遣支援などに取り組んでまいりました。今後さらに、ワーケーション等に対応した旅行商品開発や受入環境のデジタル化への支援を行うとともに、本県全域を対象としてデジタルマーケティングを行い、その結果を基に県内DMOの取組を相互に連携させ、魅力的で持続可能な観光地域づくり、そして長期滞在型観光を促進してまいります。 ポストコロナを見据え、安全安心を前提とした多様な山形の魅力をデジタルをフルに活用して発信し、山形ファンづくりを進め、交流人口の拡大、地域経済の活性化につなげてまいります。 ○副議長(森谷仙一郎議員) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。     午後零時十七分 休憩     午後一時零分 開議 ○議長(金澤忠一議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 十九番渋間佳寿美議員。 ◆19番(渋間佳寿美議員) 自由民主党の渋間佳寿美です。一般質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。 このたびの質問は、約一か月前の県知事選挙の公約に関することや昨今のコロナ禍の影響に関することが中心となります。そのような質問をする本日の議会は、着物議会ということで、伝統文化を振興しようと、有志の議員がこのように着替えられたんですね。多くの議員で臨んでおります。議会事務局によると、県議会の着物議会で最多の人数で臨んでいるということでありました。 この着物に身を包むと、自然と先人のことに思い至ります。まして、議会本会議場に着物を着ていくというのは、いにしえでいえばお城に登城するような感覚にもなったところであります。 そこで、直感的に思いついたことがあります。それは、二本松城の戒石銘碑という石碑であります。当時の二本松城の役人がお城に登城するときに、その石碑に、石に刻まれたことを心に刻んで臨んだんじゃないかなと推測しております。 どういったことが刻まれているか申し上げますと「爾(なんじ)の俸(ほう) 爾(なんじ)の禄(ろく)は 民(たみ)の膏(こう) 民(たみ)の脂(し)なり 下民(かみん)は虐(しいた)げ易(やす)きも 上天(じょうてん)は欺(あざむ)き難(がた)し」。つまり、爾というのはあなたです、役人のことです。今で言うと特別職も含めてのことなんでしょうけれども。「爾の俸」、あなたの俸、俸禄というのは給料です、なんじの給料というのは、「民の膏、民の脂」、民が身を粉にして働いた汗の結晶だと。「下民は虐げ易きも」、その民は虐げやすいけれども、「上天は欺き難し」、天を欺くことはできませんよという話であります。これは、国、地方問わず、責任ある立場におる者は本当に心に刻むべきものと思っております。 そんな思いを持ちながら質問に移りたいと思います。 知事の公約あるいは公約に関することについて数点質問します。 まず、公約そのものについてどう認識しているのか問わなければなりません。といいますのも、昨年六月定例会で、五十嵐智洋議員の一般質問に対し知事は、公約はあえて目標を高めに設定しているとも取れる発言がありました。これに対し五十嵐議員は、「公約を軽んじており、自ら掲げた目標値から遠ざかっている事実に対し、真摯な姿勢が見られず残念」と振り返っておりました。 この問題を伝える当時の山形新聞において、政治学が専門の山形大学の北川名誉教授が次のように強調し、指摘しております。「公約は本来、必ず実行、達成するものだが、いつの間にか行政トップが努力目標や理想を語るものになってしまっている」「実現可能性が極めて低い公約であれば、それはフェイク(偽物)になる恐れがある。公約は有権者への責任を伴い、達成できなければ、政治への信頼感が損なわれる」というものです。 これらの指摘を受け、政治の信頼を損なわないためにも、このたびの公約はあえて高い目標とされていないことに期待しておりますがいかがでしょうか、公約というものをどう位置づけ、どう認識しているのでしょうか、まずお尋ねいたします。 ただいまの質問、公約の認識についてでありますが、一般的な普通の公約の解釈、つまり県民との約束であり、実施や着手するべきものとしての公約という前提に立って、次に、具体的な公約についてお伺いいたします。 今般、知事の公約は、以前と比較して、県内全地域の詳細な課題について解決に向けての公約もありました。選挙の効果とも思っております。 聞きたいことは多々ありますが、時間の制約上、今般は一つ伺います。 公約において「『一人当たり県民所得』の向上」を柱の一つに掲げ、「産業イノベーションの創出」に向けた具体的な施策を幾つか示す中で、「県工業技術センター置賜試験場の移転整備」を挙げておられました。この置賜試験場の移転整備についてお尋ねいたします。 東北有数の製造品出荷額を誇る米沢市。置賜試験場は、その米沢市の北部に位置し、置賜地域の特色である繊維産業や電機・電子、機械産業を中心に、企業の要請に応じて技術相談や受託試験等を行っております。これまで四十年以上、地域企業の技術力向上や置賜地域の産業集積に寄与してまいりました。 その一方で、老朽化が進み、また、狭隘であることなどからも、米沢市さらに置賜地域として、設備の更新・機能の拡充と併せて、建物の改築、米沢市オフィス・アルカディアへの移転の要望が長年にわたり行われてきました。移転先の土地については米沢市が無償で準備すると聞いており、県にとっては好条件での要望であります。 この県議会の場においても、私はじめ置賜選出の議員、かつては県議会議員であった中川市長も含まれますが、これら議員から置賜試験場の機能強化を中心とした質問が度々なされてきました。これまで、知事及び県当局から置賜試験場の改築や移転についてはなかなか前向きな考え方が示されてこなかったと受け止めております。ここに来てようやく要望内容が公約になり、置賜試験場の移転整備が進むものと期待しているところであります。 現在の置賜試験場は、老朽化等に加え、立地的な観点などからも時代に合わなくなっているようです。そこで、地域の企業が求める試験場の在り方や、将来にわたる持続可能な展望も含め協議する必要があるものと感じております。今後、置賜試験場の移転整備について、協議の場づくりをはじめ、どのような行程と財源で進めようと考えているか、知事にお尋ねいたします。青写真で結構ですのでお知らせください。 続いての質問は、公約というよりも、公約遂行のための最大の課題と位置づけられるものと思っております。それは、選挙の当事者ではない、言わば第三者の目線での最大の課題と言ってもよいかもしれません。選挙後の一月二十六日、日本経済新聞の「記者の目」という記事で示されております。ここで指摘されている最大の課題にお答えいただきたいと思います。 なお、最大の課題とされているほかにも、改めて知事にはこうあってほしい、こう見られていては困る、あるいはこういう点が評価されているという指摘もあったので、今後のためにも、僅か原稿用紙一枚に満たない文字数でありますので、その記事の全文を読み上げます。 「新型コロナで県知事は政策立案能力が問われている。昨年四月、山形県が注目されたのが県境検温だ。追随する県もあった施策を発案したのは県選出の自民党国会議員。記者会見ではしどろもどろの知事に代わって議員が説明していた。 柔軟な姿勢は支持政党を問わず票を集めた。サクランボのかぶり物など四季折々のPR活動や朴訥な口調も好印象につながっている。一方、インフラ整備からコロナ対策まで身を切る改革は手つかずで国頼みの姿勢が強い。多選批判に対しては『全国知事会でも多選とされる方が要職を占める』と発言。昨秋は知事の親族が理事長を務める学校法人の融資問題で、適切な対応をしなかったと批判を受けた。 首長や経済人からは『一部の意見しか聞かなくなった』との声が聞かれる。本人は無自覚でも周囲の忖度や縁故主義といった多選の弊害が起きかねず、次の四年の最大の課題となりそうだ。」と、この日経新聞は結んでおります。 早速、忖度とも取れる事案が発生しております。公約にもなっている東北公益文科大学の公立化や、フラワー長井線の支援について、結果的には言う必要もない事柄を県として当該市に電話をし、混乱を招きました。電話をしたのは、真偽はともかく、県の担当内部での検討の結果だとされております。 いずれにしても多選の弊害が最大の課題となりそうだと指摘されております。また、そう見られております。そうならないために、そう見られないために、仕組みづくりをはじめどう対応していくのかお聞きいたします。 さて、公約ではないにしても、高く掲げたスローガンに「コロナ克服・山形経済再生」がありました。もっともなことであります。これらについても順次お伺いいたします。 まず、山形経済再生についてお聞きします。 コロナ禍による経済への影響は計り知れません。また、影響は業種によっても様々であると言えます。一言に経済再生といっても、どこにどの程度、どうしていくのかが真の意味での経済再生に結びつくものと考えられます。 さらには、再生しなければならない経済状況とはどのような危機なのか、どのように分析されているのかが重要であります。分析があって初めて有効な対策になることは言うに及びません。私なりにどういう危機なのか、またどういう状況なのか分析しているところでありますが、その分析に基づく議論は予算特別委員会などですることにします。 まず、県としてコロナの影響を受けた県内経済をどう分析しているのか、あるいは山形県の経済情勢をどう認識しているのかお尋ねいたします。 さらに、それら県としての分析や認識に基づいてどのような経済再生を行っていこうとするのかが問われます。現状の数値がこうなっているからその数値をどうするとか、数値目標と財源、期限を包括的に示すといった本来の政策としての経済再生はどのようなものか、知事にお聞きいたします。 次の質問もコロナ克服・経済再生に関連するものと思います。コロナ禍で自殺者が増えているという報道を見聞きしております。そこで、自殺防止に向けての質問になります。 自殺というと、何かしら重いテーマのように感じられます。しかし、重いテーマだからといって重い口のままであってはならない、むしろ自殺について語ることのほうが重要であると考えます。その理由は、質問を展開することによって明らかにしていきます。 なぜ自殺をテーマに質問をするのか申し上げます。この質問の冒頭に申し上げたように、コロナ禍で自殺者が増加している、しかも若い女性の方が増えているという報道があり、急を要する必要があると思ったからです。ただ、コロナという災いがあるないにかかわらず、自ら命を絶つということは絶対に防がなければなりません。 もう一つの理由として、私が所属している臨床政治学会という会で、政策策定プロセスを学術的に学ぶ機会がありました。住民立法という政策策定過程でなされたのが自殺対策基本法であり、平成十八年に施行されました。つまりは議員立法でありますが、住民が主体になって政策プロセスに大きく関与しているのが特徴です。私は、議員という性質上、現実ばかりを見がちで、時にはアカデミズム、言わば学術性というものも必要であろうという思いで学んだところであります。その学びを生かさなければならないという思いもあります。また、自殺対策基本法ができて、実際自殺者が減ったかどうかが問題であるとの認識からでもあります。 さらに、ここに来てこの質問をしなければと強い思いになりました。今般の質問通告締切りは二月二十二日でありました。翌日二月二十三日は天皇陛下の誕生日、天長節であり、陛下のお言葉を拝聴しました。様々な事柄やそれに関する人々、国民全般に心を寄せておられました。その中に、「コロナ禍の閉塞感からでしょうか、自ら命を絶つ人が増えていることも極めて痛ましいことで、皆で何とか防がなくてはなりません」との陛下のお言葉がありました。自殺対策についての質問を通告していただけに、まさしく「皆で何とか防がなくてはならない」と強い思いを持って質問する次第であります。 法律で自殺者が減ったかについては、経過を見れば明らかになります。法律ができる前まで八年連続で自殺者が三万人を超え、法律施行後もさらに六年連続で三万人を超え、同時期の交通事故で亡くなられた方の実に六倍に当たります。 つまり、自殺対策基本法の効果はどうなのか、検証する必要があります。結果だけを見て法律が無意味というわけではありません。私は、法律の運用が問題であると考えております。というのも、この状況、つまり法律ができても自殺者が三万人のまま推移している状況、これに危機感を抱き、法律施行六年後の平成二十四年には自殺総合対策大綱を見直し、また、十年後の平成二十八年には、これも議員立法ですが改正自殺対策基本法が成立しました。それ以来、三万人を切り、二万人台となり、一万人台まであと僅かという段階に至っております。しかし、ここに来てコロナ禍で自殺者増加となり、だからこそゆゆしき問題なのであります。 さて、自殺対策で効果が発揮されたのは、特に地域における自殺対策力の強化によってであります。改正された法律では、都道府県、市町村に対する交付金を交付することや、自治体ごとで自殺対策計画を定めるとされたのであります。このように、しっかり対策を取れば効果が現れる事案であると思われます。 対策によって効果がある自殺防止でありますが、自殺の要因には、心身の健康問題、家庭や職場の問題、経済問題など様々あります。個人だけの問題ではなく、社会的な問題であると言われるゆえんです。これらを的確に把握し、対策を講じることで自殺者を減らすことは可能です。対策の先進地であるヨーロッパの国々では、日本ではなかなか取り上げられない宗教という観点も取り入れ、成功しているようであります。宗教法人にも協力を仰ぐこともまた一方で必要になる作業であると考えております。 教育、経済、家庭に職場、健康問題と、様々な観点から、幅広い自殺対策が必要になってきます。 私は、法律、自殺対策基本法を有効ならしめるために、県の責務としてきちんと条例を制定し、明文化すべきで、条例に基づいての対策事業実施が重要であると考えます。というのも、先ほど申し上げた法律の改正によって地域における自殺対策力を高めたことによる効果が見えてきたように、地域に根差すことの重要性が証明されたと考えるからであります。 重ねて申し上げますが、自殺には様々な原因があり、交通事故死よりも多く、身近にあるのが自殺であり、対策として、県民に対し「自殺はもっと身近にある」ということを周知する必要があると考えるからであります。 自殺が身近にあることを知り、自殺を考えている人がシグナルを出していることに気づけば、防げる可能性はずっと高まります。自殺を重いテーマとして遠ざけていては、シグナルにも気づかず、防げるものも防げません。交通事故死よりも何倍も多く、住民にとって身近なものとして語ることのほうが重要なのであります。また、身近にあるということを一時的に知るような状況ではなく、継続的に、しかも広く周知されることにより、住民が自殺対策を身近なものと捉え、自らがその対策を実践していくことにつながるものと思います。 住民立法という手法でなされたのが自殺対策基本法であることは、この質問の冒頭で申し上げました。自殺対策の原点は、住民の暮らしの場です。市町村は、住民に最も身近な基礎自治体として、地域の特性に応じた自殺対策を推進していく中心的な役割を担うことが求められ、その基盤となるものが市町村における自殺対策計画であります。 県は、こうした大きな役割を担う市町村を支援するとともに、連携して取り組んでいくことで、県、市町村、住民が一体となった対策を進めることが可能となり、自殺対策の効果が高まるのであります。 こうした住民に身近な取組を行うことにより、自殺の幅広い原因に対して総合的な対策を取ることができ、地域の自殺対策力の向上にもつながるものと考えておりますが、コロナ禍での自殺者増加を背景に、県はどのような目標を掲げ、どのような対策を講じていくのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 自殺対策を考える上では、やはり教育はとても大事になってきます。小さい頃から命の大切さを認識し、段階に応じてその理解を深めていく、そうして自らを大切に思う気持ちとともに、一人一人かけがえのない個人として共に尊重し合いながら生きていくという意識が育まれていけば、対策につながっていくと考えます。 県教育委員会では、令和二年三月に第六次山形県教育振興計画いわゆる六教振の後期計画を策定されました。その基本方針の中では、「『いのち』を大切にし、生命をつなぐ教育を推進する」ことが最初に掲げられております。「いのちの教育」は、前身の教育振興計画である五教振から本県が重視する教育として引き継がれ、本県教育界において脈々と取り組まれているものと思います。 生きる力とは、人の命とともに自らの命を守ることであり、その実効性が問われるものであります。小・中・高等学校を通じて、それぞれの発達段階に応じた命の尊さについての指導が重要と考えますが、学校現場において「いのちの教育」についてどう取り組んでいるのか、また、今後どう推進していかれるのか、教育長にお尋ねいたします。 今般一般質問の最後になります。家族療法についての質問です。 私はこれまで、家庭、家族に目線を向けた施策というものをもっともっと充実させることによって、本県が抱える様々な課題解決につながるものと思い、三世代同居の推進をはじめ、家族に関する政策提言等をしてきました。コロナ禍にあって家庭にいる機会が増え、家族の絆を再確認するすばらしい機会になる一方、家族の絆を深めることとは反対になるケースも見聞しております。 コロナ禍にあって児童虐待が増加したとの報道がありました。本県の場合はどうか。児童虐待相談対応件数は、コロナ禍にあって全国と同様に増加傾向にあるものの、もとより平成三十年から急増しており、高止まりの状況で、コロナの影響があるなしにかかわらず、本県が抱える大きな問題であります。 直前の質問の自殺対策を含め、児童や高齢者の虐待、ひきこもり、青少年の非行など、年来の問題がコロナ禍の影響として取り上げられております。これらの問題解決のため、家族療法を本県で取り入れるべきと申し上げます。 家族療法とは何か。あまり知られていないと感じております。 家族療法とは、一九五〇年代に欧米を中心に発展してきた精神療法、心理療法であります。特に一九七〇年代のアメリカでは、ベトナム戦争の様々な社会的な後遺症や産業構造の変化で家族崩壊が進行し、家族療法の求めが社会運動になりました。 一方日本は、戦後長い間、夫婦と子供二人から成る四人家族を標準世帯と呼び、理想的な家族像の一つとしてきました。地域や親戚付き合いも多くあったと記憶しております。しかし、現代に至り、家族を取り巻く環境は大きく変化しました。離婚率の増加や、核家族、単身家族が増え、家族や親族のつながりも希薄になってきております。さらに、携帯電話、インターネットやゲームの普及でますます家族間のコミュニケーションが少なくなる一方、児童及び高齢者への虐待や、不登校、ひきこもりなど、かつてとは比較にならないくらい増加しております。家族崩壊が進んだベトナム戦争後のアメリカと現代の日本は酷似しております。 こういった状況を見てくると、欧米に後れを取っているとか、欧米を見習えなどなど、様々な社会情勢などで言われていることに違和感を覚えてしまいます。食生活をはじめ、欧米化したことによる問題もまた起きていることも考慮して次の時代をつくることにつなげていかなければという思いでもあります。 とはいえ、家族間のつながりの希薄、それに伴う諸問題といった望まない欧米の後追いの状況は、現実にここ日本、山形県で起こっております。先に起こった問題への解決策も先に提示されているはずです。そこで家族療法に行き着きます。 児童や高齢者の虐待、ひきこもり、青少年の非行などの問題に対して、現在、対策をしていないというわけではありません。ただ、問題を抱える個人だけにアプローチする対策のように見受けられます。そうではなく、家族療法とは、ある人が抱えるひきこもりや鬱などの心理的な問題に対し、家族内の関係性に包括的にアプローチすることにより解決を目指す心理療法です。考えてみれば、個人にだけ問題があるのではなく、周囲の環境によって心理的な影響を受けるのは当然のことと思われます。これまでの家族を取り巻く痛ましい事件、その裁判の証言などからも明らかになってきております。 以前、予算特別委員会でも申し上げた平成三十年の目黒区の虐待死事件でありますが、その公判において証言に立った児童相談所の職員は、「被告を含めた家族を救いたかった」と述べました。すると、被告である母親は、「この一言をずっと求めていた。だけど誰も言ってくれなかった」と気持ちを吐露しました。このように、家族療法は、課題を抱えた親自身が負っている傷にも目を向け、適切な養育ができるよう支援するところに問題意識を持っております。 さらに、家族療法の考えを進めることによって、家族関係の悩みを相談しやすくなる効果もあるようです。日本また本県においては、多くの人が家族の問題をカウンセラーなどに相談することに強い抵抗感があるようです。令和元年の元農水省次官による長男殺害事件において、元次官は裁判において、「誰かに息子のことを相談すれば親子関係が悪化すると思った」と述べ、家族の問題を相談することを忌み嫌っていたことを明かしました。しかし、この元次官の事件のように、相談をちゅうちょするうちにかえって関係は悪化し、修復不能となったり、取り返しのつかない結末になったりしています。家族療法を普及させることによって、問題が深刻化する前に相談するという意識啓発につながるものと期待されます。 このように、家族について相談しやすくなる効果があるほか、問題の事案を一方向だけで見るのではなく、包括的に多方面から解決しようとする効果的な手法である家族療法を取り入れ、本県の様々な問題解決の一つになるものと考えられます。 そこで健康福祉部長にお伺いいたします。本邦ではまだまだ浸透していないと思われる家族療法についてどう認識されているでしょうか、また施策としてどう考えているでしょうか、お答えください。 いずれにしましても、問題解決を個人だけに当てるのではなく、家族にも当て、包括的に解決することによってみんながよくなることを望むものであります。家族力、さらには地域力が再生され、ひいては希望の持てる山形県づくりになるよう望み、壇上での質問を終わります。 ○議長(金澤忠一議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 渋間議員から私に四点御質問を頂戴しましたので順次お答え申し上げます。 まず一点目は、公約の考え方についてであります。 私は、本県を取り巻く様々な課題を踏まえ、ここ山形県で暮らし続けたいという県民の皆様の願いや思いを何よりも大切にしながら、それぞれの任期ごとに、これから実現したい大きな方向性とそのための政策を掲げてまいりました。これまでの三期十二年間、現職の知事として、県民の皆様や市町村、事業者の皆様などと対話を重ねながら、様々な施策を推進してきたところであります。 現在、本県は、新型コロナという未曽有の危機の中にあって、県民の皆様の命と暮らしを守り、感染拡大防止と経済再生の両立を図りながらこの難局を乗り越えていくことが最優先の課題となっております。 このたびの選挙におきまして、私は、「コロナ克服・山形経済再生」とともに、さらに輝かしい山形の未来をつくるため、五本の政策の柱を県民の皆様にお示しいたしました。これらの政策は、これまでの県政運営で培った経験や地元市町村からの要望、県民の皆様との対話でいただいた御意見などを基に、山形の未来に向けて必要なものを形にしたものであります。さらなる県勢発展のためには、対応が容易ではない課題に対しても果敢に取り組んでいかなければならないと考えております。 今般お示しした政策に対しましては、多くの県民の皆様から御支持をいただき、四期目のスタートを切ることができました。私は、このたびの選挙で示された、県民の皆様の負託に応えるため、必要な施策を迅速に実行に移すべく決意を新たにしているところであります。 本定例会で御審議いただいております令和三年度当初予算案は、子育て費用の無償化や、あらゆる政策分野におけるデジタル化、やまがた強靭化など、まさに政策実現に向けた第一歩であります。政策の実現に向けて、県議会、市町村、県民の皆様とともに、知事就任以来掲げております「県民視点」「対話重視」「現場主義」の基本姿勢の下、全身全霊で取り組んでまいります。 二点目は、工業技術センター置賜試験場の移転整備についての御質問であります。 工業技術センター置賜試験場は、昭和五十二年に繊維工業試験場として整備され、その後、地域の特徴を踏まえた電機・電子、機械産業関連の支援機能を加えて、置賜地域の製造業の発展に寄与してまいりました。また、同試験場固有の設備として、振動・落下衝撃試験などの設備を有しておりまして、昨年度の利用実績は、試験依頼が約七千件、企業の技術相談は千三百件を超え、県内全域の企業から相談を受けながら、本県ものづくり産業を支えてきております。 一方、置賜地域の企業で組織する置賜試験場工業技術振興会をはじめ、地元自治体や商工団体等からは、これまで県に対して、同試験場の老朽化に伴う移転改築や機能強化を求める要望が継続的になされてきたところであります。 私は、本県製造業が高い付加価値を創出していくためには、ものづくり産業の集積が高い置賜地域における産業イノベーションの創出を図っていくことが重要と考えており、このたびの政策の中に「置賜試験場の移転整備」を挙げたところでありますが、この推進に当たりましては、厳しい財政状況下での施設整備の在り方や、ポストコロナを見据えた工業技術センターの今後の技術支援の方向性などの課題を整理していく必要があると考えております。 具体的には、置賜試験場は築四十三年を経過しておりますが、工業技術センター本所、これは築四十年であります、それから庄内試験場、これは築四十一年でありまして、ほぼ同様の年数を経過しているところであります。こうした県有施設の改築等につきましては、大きな財政負担が伴いますので、県有施設の長寿命化と維持管理コストの低減を図るため、県全体で県有財産総合管理基本方針を定めておりまして、その中で、置賜試験場の施設アセスメント、いわゆる建物評価におきましては、当面は現状のまま継続的に使用していくことが適当としているところであります。新型コロナへの対応や相次ぐ災害発生等により県の財政状況は極めて厳しい状況にあり、老朽化施設の改築について、今後どのように優先順位を設けていけるかなど総合的な検討が必要であると考えております。 また、工業技術センターでは、現在、本所と試験場の役割分担について、本所では今年度整備したIoTイノベーションセンター等による高度な技術支援を、そして試験場では地域企業に密着した技術支援を担っておりますが、新型コロナを契機としたデジタル化の急激な進展や、ポストコロナを見据えた本県ものづくり産業の展開方向などを踏まえ、同センターの今後の技術支援の在り方や組織体制などについて改めて検討していく必要があると考えております。 県としましては、こうした課題をしっかりと整理するとともに、置賜地域の産業イノベーション創出につながるよう、地域企業や地元自治体、商工団体等関係機関の声をしっかりとお聞きしながら、置賜試験場に求められる機能や役割などについて、その方向性を探ってまいりたいと考えております。 三点目は、四期目の県政運営についての御質問であります。 知事就任以来、私は、「心の通う温かい県政」を基本姿勢に、ここ山形県で暮らし続けたいという県民の皆様の思いを何よりも大切にし、県内各地域の県民の代表である県議会議員の皆様や市町村の皆様との対話を重ね、信頼関係を構築しながら、これまでの三期十二年間、全力を挙げて県政運営に当たってまいりました。 県政運営の起点は県民、市町村であり、課題解決の答えやヒントはそれぞれの地域、現場にあることを感じておりまして、今回の選挙戦を通して、改めてその思いを強くしたところであります。こうしたことを踏まえ、私がこれまで県政運営の柱にしてきた「県民視点」「対話重視」「現場主義」、加えて「市町村との連携強化」の姿勢をさらに徹底して取り組んでまいります。 これらの基本姿勢に基づいて、これまでも私自ら直接現場に足を運び、本県の将来を担う若者や、様々な分野で活躍する県民の方々の生の声をじかにお聞きしてまいりました。また、市町村との連携におきましても、重要事業要望や市町村長との意見交換の場などの様々な機会を捉えて市町村の皆様と対話を重ね、昨今の重要課題である新型コロナや災害対応についても直接意見交換を行ってまいりました。さらには、今年度、産業界や医療関係団体の方々などが構成メンバーとなる新型コロナ克服・創造山形県民会議を開催し、新型コロナにより現場が抱えている課題などの把握に努めてまいりました。 現在、新型コロナウイルスの感染拡大に直面し、社会経済情勢が大きく変化している中にあって、ポストコロナを見据え、ふるさと山形の輝かしい未来の実現に向けた各種施策を着実に展開していくためには、各界各層の様々な意見を尊重していくことが重要と考えております。 さきの十二月定例会において野川議員の代表質問に対して答弁申し上げましたとおり、県における意思決定に当たっては、私が県政の各分野を所掌する各部局長などの考え方や意見をしっかりと聞き、議論を交わしながら、必要な対応や施策を実行するなど、これまで一貫して風通しのよい円滑な組織運営に努めてきたところであります。このことは、今後の四期目の県政運営に当たっても変わるものではなく、引き続き、各職員からしっかりと話を聞き、県民、県議会、市町村など関係者と真摯に向き合って業務を推進してまいります。 このたび、県民の皆様から負託を受けて、四期目の県政を預からせていただくこととなり、改めて知事という職責の大きさを身にしみて感じているところであります。この職責をしっかりと果たしていくため、引き続き、初心を忘れず、また、おごり高ぶることなく、県民、県議会、市町村など関係者の皆様方との対話を何よりも重視し、意思疎通を図りながら、「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向けて全力を尽くしてまいります。 最後の四点目は、コロナ禍における県内経済情勢と山形経済再生に向けた取組についてであります。 このたびの知事選挙におきまして、私は「コロナ克服・山形経済再生」を最重要課題として訴え、多くの御支持をいただきました。 本県経済の現状について申し上げますと、最新の山形県経済動向月例報告におきましては、「本県経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然、厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる。」と総括しているところであります。 個別に見ますと、まず、生産活動の傾向を示す鉱工業生産指数につきましては、昨年五月から六月には、コロナ禍での生産停止や部品調達の難航などにより、基準年、平成二十七年が基準年ですが、それを一〇〇としますと、八〇台まで大きく低下しましたが、その後の生産回復に伴い、昨年十月以降は九五近くで推移するなど、緩やかに持ち直しております。 また、個人消費に着目しますと、スーパーや家電大型専門店など六業態販売額につきましては、巣籠もり消費なども手伝って、前年や前々年と比較し、同水準もしくは上回る月もあるなど、持ち直しの状況にあります。 他方で、雇用情勢につきましては、有効求人倍率が昨年九月に一・〇三倍まで低下した後、緩やかに上昇しておりますが、新規求人数の減少や雇用保険受給者数の高止まりが継続するなど弱含んでおり、今後とも慎重に分析していく必要があります。 個別業種では、製造業のように比較的回復が進んでいる業種がある一方で、飲食業や宿泊・観光業、旅客運送業など、サービス業を中心として非常に大きな打撃を受けている業種もありますので、引き続き各業界や業種の動向等を調査・把握していく必要があります。 本県では、昨年三月に、県内の中小企業・小規模事業者が極めて厳しい経営状況にあったことから、政府に先駆け、県独自の無利子・無保証料の融資による緊急的な資金繰り支援を市町村及び金融機関と連携して実施いたしました。その結果、令和二年の企業倒産件数は、調査を開始した一九六八年以降で最も少なくなり、また、労働者の解雇や雇い止めにつきましても、東北では最も少ない状況であります。 このように、当面のコロナの影響につきましては一定程度抑えることができたところでありますが、今後の県内経済の先行きを考えますと、事業継続と雇用維持を最優先し、また、ポストコロナを見据え、県内経済の構造転換を図っていくことが重要であります。 事業継続につきましては、商工業振興資金に係る利子補給や保証料補給の後年度負担により、県内事業者の事業継続を支えるとともに、新型コロナの影響を受ける事業者の経営安定や経営改善を促進するため、商工会・商工会議所の経営支援員を増員し、経営指導体制を強化してまいります。 雇用維持につきましては、県内の雇用情勢などを踏まえながら、雇用調整助成金の緊急対応期間のさらなる延長や、離職者が増大した場合の雇用基金の創設などを政府に要請するとともに、離職を余儀なくされた労働者を正社員として雇用した事業者への奨励金の交付など、再就職支援などに力を入れてまいります。また、新たに霞城セントラル内に山形県創業支援センター・仮称を設置し、県内での事業創出を促進し、雇用を拡大してまいります。 さらに、ポストコロナを見据えた経営力向上を図るため、新たに本県独自のパワーアップ補助金を創設し、新製品や新技術の開発、デジタル化やSDGsに対応する設備投資などを支援してまいります。また、IT、AI、ビッグデータなどのデジタル技術を活用できるデジタル人材の育成やオンライン商談等による取引拡大を支援し、県内企業のデジタル化を推進してまいります。 このように、コロナ禍においてもピンチをチャンスと捉え、これを機に県内経済の構造転換を図ることにより、県内事業者の経営力を向上させ、さらなる飛躍につなげてまいります。 ○議長(金澤忠一議員) 玉木健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(玉木康雄君) 私には二点御質問をいただきました。 初めに、自殺防止対策についてお答え申し上げます。 本県の自殺者数は、平成十八年の三百八十一人をピークに減少傾向にありますが、人口十万人当たりの自殺死亡率は全国平均に比べ高い状況にあり、県では、平成二十九年度に策定しました「いのち支える山形県自殺対策計画」に基づき、令和八年の自殺死亡率を平成二十七年比で三割以上減少させることを目標に、自殺対策を「生きることの包括的な支援」として捉え、総合的に取り組んできたところであります。 令和二年七月以降、全国的に女性を中心に若者の自殺者が増加しており、厚労省では、経済生活問題や勤務問題など自殺の要因になりかねない問題がコロナ禍により深刻化し、自殺者の増加に影響を与えている可能性があるとしてございます。本県でも同様の傾向にあり、警察庁の自殺統計によれば、本県の令和二年の自殺者数は百九十四人と前年と同数となってはいるものの、三十代以下の若者に限れば五十八人と、前年の五十人から一六%増加している状況にあります。 自殺防止対策は、悩みを抱える人が命を絶たざるを得ない状況に追い込まれる前に、身近な地域で皆で支え、切れ目のない支援につなげていくということが重要であると考えております。そのため、職場や学校などの身近な場面で、自殺を考えている人のサインに気づき、見守り、必要な相談窓口等につなぐ「心のサポーター」を養成するなどの取組を市町村と連携し推進しております。 また、住民に身近な立場で自殺対策を推進する市町村の役割が大切であることから、自殺対策計画の策定を促してきた結果、全市町村で計画が策定され、その計画に基づき、住民の暮らしに密着した広報啓発や相談支援、人材育成等に取り組んでいるところであります。 今後は、コロナ禍において若者の自殺者が増加していることを踏まえ、新たに、若者に身近なコミュニケーションツールであるSNSを活用した相談を実施し、現在の窓口での相談支援と連動させ、相乗効果を高めてまいりたいと考えております。あわせて、引き続きインターネットでの検索内容に連動して相談窓口等に誘導できるようにするとともに、新たに、山形大学と連携し、相談窓口に関する若者への効果的な周知方法等を検討・実践してまいります。こうした取組を一体的に進め、若者をはじめ様々な悩みを抱える人に対して幅広く相談支援できる仕組みを構築してまいります。 一人一人の命はかけがえのないものであります。「誰も自殺に追い込まれることのない山形県」を目指して、県民や地域の主体的な取組を促しながら、県、市町村、民間団体等の関係機関が一体となって自殺防止対策を推進してまいります。 次に、様々な課題解決への家族療法の活用についてお答え申し上げます。 お話しのとおり、家族療法は、まだなじみが薄い言葉ですが、個人が抱える様々な問題を家族という関係性の中で理解し支援していくための方法論の総称とされておりまして、共通するのは、問題を抱えた個人のみを対象とするのではなく、家族全体を支援対象とするという考え方だと言われております。家族療法という言葉を用いていなくても、その考え方とか手法を取り入れたり、また、他の技法と組み合わせたりして治療や支援に活用されており、県の取組におきましても、家族を支援対象として、様々な分野において実践しているところであります。 例えば、ひきこもり支援の場合、最初に相談に訪れるのは、多くの場合、本人ではなく家族であります。県の精神保健福祉センターでは、ひきこもりの問題によって家族間で対立や葛藤が起こり、自責の念を抱えるなどして深く傷ついている家族に対しても支援を行っておりまして、本人だけではなく、家族の生い立ちなども聞き取りながら、精神科医等が問題を整理し、対応を家族と一緒に考えるなどの支援を行っているところであります。 また、依存症の分野では、令和二年四月から県精神保健福祉センターをアルコール、薬物、ギャンブルによる依存症の県の相談拠点と位置づけまして、依存症の相談体制を強化しております。月に一回、家族が依存症を理解し、本人との関わり方等を学ぶ場といたしまして、依存症家族学習会を開催しております。また、センターでは、アルコール依存症で困っている家族が気持ちを語り合う家族ミーティングを週一回開催しているほか、さらに今年度は、新たに、ギャンブル依存の問題を抱える家族向けの家族ミーティングを「ほっとカフェ」という名称で月一回開催しております。このような機会を通じて、家族が状況を客観的に捉え、つらいのは自分たち家族だけではないことや、依存症は本人にとってもつらいといったことに気づくなど、家族がよい方向に進んでいけるようサポートに取り組んでおります。 そのほかにも、精神障がいを持つ方の御家族からは、家族同士の交流や相談の場となる家族会が大事であるけれども、その存在を知らない家族が多いというお話も伺っておりまして、県では、随時この家族会の存在や機能を説明するとともに、必要な場合に活用されるよう今後ともPRしてまいります。 議員御指摘の家族療法につきましては、県といたしましても大事な視点と考えておりまして、様々な手法があることや、また、家族観も時代につれて変わっていくことなども踏まえ、幅広く情報を収集し、専門家の意見も伺いながら研究し、様々な分野で効果的に活用してまいりたいと考えております。 ○議長(金澤忠一議員) 菅間教育長。 ◎教育長(菅間裕晃君) 学校現場における「いのちの教育」の推進についてお答え申し上げます。 議員からもございましたように、本県では、全国に先駆け、平成十七年度からの第五次山形県教育振興計画いわゆる五教振において「いのちの教育」を根幹に据えて取り組み、その後、六教振でも「いのちの教育」を継承し、目指す人間像に「『いのち』をつなぐ人」を掲げ、本県教育の大きな柱の一つと位置づけております。 「いのちの教育」につきましては、一つとして、自分の存在や生き方を価値あるものとして大切にするいわゆる自尊感情を高めること、二つとして、他者の生命や生き方を尊重する思いやりの心や多様性を受け入れる心を育成すること、三つとして、先人から受け継がれてきた生命を次の世代につなぐことの大切さについて理解を深めることを重要な視点として取り組んでおります。 また、その推進に当たっては、幼児期から高等学校までの教育活動の全体を通じて行う系統的な取組や、各学校の優良事例などを取りまとめた「『生命』の大切さを学ぶ教育プログラム」を策定し、周知を図ってまいりました。各学校では、これらを活用し「いのちの教育」に取り組んでおります。 例えば、日常の生活や学校行事の中で、一人一人が自分の役割に責任を持ち、皆と協力して活動することによって得られる達成感や充実感は、児童生徒の大きな成長につながります。各学校においては、このような活動を通して児童生徒の自尊感情を高めるとともに、他者を思いやる心や多様性を受け入れる心を育む取組を行っております。さらには、専門医による思春期講話や赤ちゃんとの触れ合い体験などにより、家族の思いや願いを知ることで、自他の命の大切さ、生命のつながりを実感させる取組も行っております。 コロナ禍が長期化する中で、多くの人が何らかのストレスを抱えて生活していることが報告されております。子供であればなおさらで、言い知れぬ不安にさいなまれる状況にあるかもしれません。今年度は特にこのような個々の状況を敏感に捉えて、相談などを通して一人一人の悩みを広く受け止めるよう各学校にお願いしてきました。 県教育委員会では、今後も引き続き、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の外部専門家を交えた相談・支援体制を充実させるとともに、親から受け継いだ自らの命を大切にし、自身の命が輝く生き方につながるよう、「いのちの教育」を一層充実させてまいりたいと考えております。 ○議長(金澤忠一議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明日定刻本会議を開き、議案に対する質疑と県政一般に関する質問を併せ行います。 本日はこれをもって散会いたします。     午後二時四分 散会...