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  1. 宮城県議会 2023-06-01
    06月23日-04号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    令和 5年  6月 定例会(第388回)          第三百八十八回宮城県議会(定例会)会議録                              (第四号)令和五年六月二十三日(金曜日)  午前十時開議  午後二時三十九分散会      議長                     菊地恵一君      副議長                    池田憲彦君出席議員(五十八名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  佐々木奈津江君        第四番                  石田一也君        第五番                  佐藤剛太君        第六番                  伏谷修一君        第七番                  松本由男君        第八番                  柏 佑賢君        第九番                  福井崇正君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  三浦ななみ君       第十三番                  枡 和也君       第十四番                  佐藤仁一君       第十五番                  渡邉重益君       第十六番                  わたなべ 拓君       第十七番                  伊藤吉浩君       第十八番                  八島利美君       第十九番                  瀬戸健治郎君       第二十番                  櫻井正人君      第二十一番                  村上久仁君      第二十二番                  高橋宗也君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  佐々木功悦君      第二十六番                  境 恒春君      第二十七番                  太田稔郎君      第二十八番                  遠藤伸幸君      第二十九番                  横山のぼる君       第三十番                  高橋 啓君      第三十一番                  庄田圭佑君      第三十二番                  遠藤隼人君      第三十三番                  渡辺勝幸君      第三十四番                  横山隆光君      第三十五番                  佐々木賢司君      第三十六番                  守屋守武君      第三十七番                  外崎浩子君      第三十八番                  池田憲彦君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  渡辺忠悦君      第四十二番                  菅間 進君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十五番                  仁田和廣君      第四十六番                  吉川寛康君      第四十七番                  伊藤和博君      第四十八番                  佐々木幸士君      第四十九番                  高橋伸二君       第五十番                  菊地恵一君      第五十一番                  佐々木喜藏君      第五十二番                  石川光次郎君      第五十三番                  中島源陽君      第五十四番                  本木忠一君      第五十五番                  中山耕一君      第五十六番                  安藤俊威君      第五十七番                  畠山和純君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠員(一名)        第三番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    伊藤哲也君      副知事                    池田敬之君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   小野寺邦貢君      復興・危機管理部長              千葉 章君      企画部長                   武者光明君      環境生活部長                 佐々木 均君      保健福祉部長                 志賀慎治君      経済商工観光部長               梶村和秀君      農政部長                   橋本和博君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             大庭豪樹君      総務部参事兼秘書課長             村田俊顕君      総務部参事兼財政課長             高橋寿久君    教育委員会      教育長                    佐藤靖彦君      副教育長                   佐藤芳明君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    西條 力君      事務局長                   北沢康一君    公安委員会      委員長                    庭野賀津子君      警察本部長                  原 幸太郎君      総務部長                   横山 裕君    労働委員会      事務局長                   中村今日子君    監査委員      委員                     吉田 計君      事務局長                   小林一裕君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   目黒 洋君      副事務局長兼総務課長             大場則昭君      参事兼議事課長                菅原敏彦君      政務調査課長                 佐野浩章君      総務課副参事兼総括課長補佐          堀 喜昭君      議事課総括課長補佐              大友幸二君      副参事兼政務調査課総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査議事運営担当)        二上秀幸君-----------------------------------    議事日程 第四号                令和五年六月二十三日(金)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号第三 一般質問    〔伊藤和博君、伊藤吉浩君、佐藤仁一君、本木忠一君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号三 日程第三 一般質問    〔伊藤和博君、伊藤吉浩君、佐藤仁一君、本木忠一君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(菊地恵一君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、四十六番吉川寛康君、四十八番佐々木幸士君を指名いたします。----------------------------------- △議第八十九号議案ないし議第百五号議案 △報告第十八号ないし報告第二十三号・一般質問 ○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。四十七番伊藤和博君。    〔四十七番 伊藤和博君登壇〕 ◆四十七番(伊藤和博君) おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、公明党県議団、伊藤和博、大綱三点について、順次、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。 大綱一点目、宮城県の生涯を通じた健康づくりとデジタルトランスフォーメーションについてお伺いいたします。 宮城県は、メタボリックシンドローム該当者・予備軍の割合や脳血管疾患による死亡率が全国的にも高い状況にあり、地域格差を縮小し、健康寿命の延伸を図るため、より実効性の高い生活習慣病対策が重要となっております。県庁のホームページからも、宮城県民の健康課題としては、肥満が多い、メタボが多い、脳血管疾患が多い、歩かない人が多い、塩分過剰などを指摘しております。県では、東北大学大学院医学系研究科と、健康づくりに関する連携協定を締結しております。都道府県と国立大学医学部との健康づくりに関する協定は、全国でも宮城県が初めてとなります。協定により、県民運動などの健康づくり対策をより実効あるものとし、県民の健康増進及び健康な地域社会が発展することが期待されております。また、スマートみやぎ健民会議を設置し、地元中小企業等の健康経営を主眼に、県民運動として取り組まれています。更に昨年は、知事も参加して、みやぎ食と健康の未来フェアを開催するなど、様々な取組を行っております。市町村事業としては、気仙沼市では平成三十一年から実施している健康ポイント事業で、現在は食事と運動でカラダづくり教室や、角田市ではスマートかくチャレンジ事業など、十二市町が健康ポイント事業を行っています。東北大学との連携事業の取組とその成果、スマートみやぎ健民会議の取組とその成果、市町村の健康ポイント事業の意義と成果について、県の見解を伺います。 私は、それぞれの事業はすばらしい取組だと思いますが、いかんせん、広報や県民の周知等が行き届いていないのではないかと考えます。そこで、個別の事業は継続しつつ、県民総ぐるみ運動として健康ポイント事業を執り行うべきと考えます。知事の御所見を伺います。 先進的に地方創生臨時交付金を活用して取り組んでいる徳島県では、健康づくりへの意識向上を図るため、スマホアプリを活用し、楽しく!お得に!健康づくりをサポートする、とくしま健康ポイントアプリ「テクとく」を運用しています。歩数、体重、野菜摂取量の入力、健康イベントへの参加、健康診断の受診等により健康ポイントを付与し、たまったポイントに応じて、店舗での特典や商品応募ができます。徳島県では、平成二十九年度には糖尿病死亡率ワースト一位になり、運動習慣者の割合が六十五歳以上に比べ、二十歳から六十四歳が低い、野菜摂取量が目標に達していないなどの課題がありました。新たな視点での対策が必要ということになり、楽しく!お得に!全世代でをコンセプトに、県民を挙げて更に進化した糖尿病対策を推進するために、令和二年四月から運用を開始しました。令和五年四月で約二万七千人弱の方が参加しております。今年度は三万人を目標にしています。この数は、七十万県民の四%強を目指しています。取組の具体例を見ると、健康ポイントが六千ポイント以上たまると県産品等が当たる抽せん会に参加できたり、徳島県と包括業務提携している株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと協同して健康づくりに取り組み、期間を設定し、五日連続、一日五千歩以上歩くとセブン‐イレブンで商品がもらえるキャンペーンや、働き盛り世代への食と運動応援キャンペーンの実施、更には、親子でチャレンジ!テクとくなぞときツアーの実施などを行っています。徳島県のまとめとして、働き盛り世代や健康無関心層をターゲットに健康づくりのきっかけをつくり、楽しんで運動できる環境を構築する。そして、アプリの機能追加や新規イベントを実施し、新規利用者の獲得や引き続き飽きずに利用いただく仕掛けづくりを行う。更に、市町村、保険者及び県内企業と連携することによって、健康経営の後押しや地域経済の活性化につながるとしております。健康ポイントを地元経済の活性化に結びつけることは、知事の提案理由にあった「各分野が抱える現場の課題とデジタル技術を融合させることで社会変革を促し、様々な好循環を生み出しながら県民サービスの向上や県内産業の活性化が図られるよう、あらゆる分野でDX関係の施策を予算化したところです」との方向性に合致すると考えますが、御所見を伺います。 総務省のデジタル社会の実現に向けた重点計画では、誰一人取り残されないデジタル社会を目指し、高齢者等が身近な人からデジタル機器・サービスの利用方法を学ぶことができる環境づくりを推進するデジタル活用支援事業に重点的に取り組み、これまでのデジタル支援による全国の携帯ショップや地域のICT企業、社会福祉協議会シルバー人材センター、公民館等での講習会の実施の成果を踏まえつつ、更なる質・量の向上を図り、地方公共団体や教育機関とも密接に連携し、地域のサポート体制を確立し、幅広い取組を国民運動として促進するとともに、このような取組を定着させるための方策を検討する。更に、これらも含め、関係省庁や地方団体・関連団体、ボランティア団体等と連携し、デジタルに不慣れな方をサポートするため、国民運動としてデジタル推進委員の取組を令和四年度に二万人以上でスタートし、今後、全国津々浦々に展開できるよう、更なる拡大を図る。なお、このような取組の推進に当たっては、関係機関・団体との効果的な連携等も含め、ニーズに応じたきめ細かなサポートの充実を図るための方策について、引き続き総合的に検討していく。令和四年度、身近なところに携帯ショップがある都市部を中心に、全国展開型の団体が講習会を実施したのは、宮城県内で八十三か所。地方公共団体と連携して、公民館等の公共的な場所で地域連携型の団体が講習会を実施したのが五か所。講習会等でカバーできない地域において、高度なスキルを有する講師を派遣して支援を受けたのは、利府町となっております。約二千万人の高齢者がスマートフォンを使えないとされている中で、このようなデジタル推進委員の取組を、県ではどのように受け止め評価しているか、御所見を伺います。 また、高齢者の面倒を見ている地域包括ケアセンターの方にお話を伺ったところ、更に身近な町内会の集会所みたいなところでも講習が受けられれば、更に理解が進むのではないかとの考えでした。私も、身近なところでより小さくきめ細やかに講習会等を開催すべきと考えますが、御所見を伺います。 総務省の行ったデジタル活用に関するアンケート調査結果では、既に講座を実施しているテーマを除くと、救急情報の取得や防犯情報の取得等のテーマが、「使用したいと思っている」プラス「関心があるが使用するかどうか分からない」を含めると、関心が高くなっております。県が目指す防災情報の取得は、四二・五%にとどまっております。このような調査結果を踏まえると、日常関心の高いテーマである健康ポイントと抱き合わせて、日常的にスマホを活用することが可能になると考えます。知事説明要旨には、「災害時の避難などの防災面に有効なデジタル身分証アプリの活用と普及に向けて、県と市町村が一体となって推進していくことを提案したところであります。今後は市町村との検討組織を設置し、県民サービスの向上や地域の課題解決に向けたアプリ開発を進めていくとともに、様々なDX施策の展開についても、市町村等とより連携を図りながら様々な変革に挑戦し、持続可能な地域社会の実現に取り組んでまいります」とあります。市町村ではどのような課題を解決するアプリが必要と考えているかをお示しください。 また、マイナンバーカードトラブル多発が指摘をされておりますが、来年秋にマイナンバーカード健康保険証を一体化させるマイナ保険証をめぐる課題の解決や、再発防止の徹底など、不安解消に向けて丁寧に対応すべきと考えます。県のDX施策の展開にも悪影響を及ぼすことも懸念しますが、県としての国への働きかけはどのように考えているか、御所見を伺います。 大綱二点目、宮城県の少子化対策についてお伺いいたします。 先日発表された国の人口動態統計では、我が国における昨年の出生数は、統計開始以来、初めて八十万人を割り込み、合計特殊出生率も七年連続で低下するなど、少子化に歯止めがかからない状況が続いております。急速に進行する少子化への対応は、もはや一刻の猶予もない喫緊の課題となっております。宮城県では、子供・子育てに力を入れた政策を取っております。すぐに当然結果は出るものではないと認識しておりますが、息の長い対策を取ることによって、順位というよりも出生率全体を底上げしていくという努力をしていかなければならないと思っております。政府は、六月十三日、こども未来戦略会議を開き、こども未来戦略方針を決定しました。子供・子育ての基本的な考え方として、「日本のラストチャンス」二〇三〇年に向けて、「少子化は、我が国が直面する最大の危機である」としております。二〇二二年に生まれた子供の数は七十七万七百四十七人となり、子供の数はピーク時の三分の一まで減少しました。「我が国にとって二〇三〇年までがラストチャンスである。全ての世代の国民一人ひとりの理解と協力を得ながら、次元の異なる少子化対策を推進する。これにより、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会、こどもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図る」としております。この子供・子育て政策の基本的考え方について、知事の御所見を求めます。 政府は、基本理念として、一つ、「若い世代の所得を増やす」、二つ、「社会全体の構造・意識を変える」、三つ、「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」ことを掲げております。一つ目の「若い世代の所得を増やす」では、「引き続き、地方創生に向けた取組を促進する。特に、地方において若い女性が活躍できる環境を整備することが必要であり、地方における分厚い中間層の形成に向けて、国内投資の拡大を含め、持続的に若い世代の所得が向上し、未来に希望を感じられるような魅力的な仕事を創っていくための取組を支援していく」としておりますが、宮城県として政府に望むことはどのようなものになるか、御所見をお伺いいたします。 二つ目の「社会全体の構造・意識を変える」ことについて、特に「育児休業を取りやすい職場づくりと、育児休業制度の強化、この両方があって、子育て世帯にこどもと過ごせる時間をつくることができ、夫婦どちらかがキャリアを犠牲にすることなく、協力して育児をすることができる。このため、働き方改革の推進とそれを支える育児休業制度等の強化など、加速化プランで掲げる具体的な施策について、官民挙げて強力に取り組んでいくこととする」とあります。まずは、県として、職員の皆様の育児休業制度の取組の現状と今後の課題について伺います。あわせて、県の教育委員会の取組についてもお伺いいたします。 三つ目、「地域社会において、地域の実情に応じた包括的な支援が提供されるよう、国と地方自治体が連携して、こども・子育て支援の強化を図っていく必要がある。その際には、地域ごとの多様なニーズに対して、幼児教育・保育事業者はもとより、企業やNPO・NGO、ボランティア団体、地域住民などの多様な主体の参画の下で、それぞれの地域が有する資源を最大限に生かしながら、こども・子育て世帯を地域全体で支えるための取組を促進していくことが重要である」とされておりますが、宮城県において特に必要だと思われる重要な取組をお示しください。 このほか、具体的な施策として、就労条件を問わず専業主婦でも時間単位で保育所を利用できる、仮称こども誰でも通園制度が盛り込まれたり、多様な支援ニーズへの対応として、子供の貧困対策や虐待防止、障害児や医療的ケア児に関する支援策の拡充検討が盛り込まれましたが、県としての重点的な要望事項等は検討されているのか、お伺いいたします。 大綱三点目、宮城県におけるパンダ誘致について質問いたします。 今年三月三十一日の地元紙に、「被災地仙台にパンダ貸与を」との見出しで朗報が飛び込んできました。それは、三月三十日に公明党の山口那津男代表が、中国人民対外友好協会の林会長との会談の中で、「パンダは東京より北におらず、東日本大震災の被災地ということもある。ぜひ仙台に持っていきたい」と述べ、林氏は、本国の関係部署に伝えると応じたというものでありました。ジャイアントパンダの誘致については、東日本大震災が発生した平成二十三年の五月、当時、中国の温家宝首相が東北の被災地を訪問され、子供たちにパンダの縫いぐるみをプレゼントされたことを契機に、仙台市の前奥山市長が誘致に乗り出したものであります。これまで、仙台市では、パンダを飼育している国内の動物園への視察や、中国で開催されている繁殖技術委員会への参加など、知見の集積や技術の研さんに努めており、パンダのほか、希少動物の繁殖技術に強みを持っています。パンダの繁殖技術の獲得は、パンダ誘致競争で大きなアドバンテージになります。また、一昨年仙台市が策定した八木山動物公園の再整備計画は、パンダ導入を見据えたものであります。パンダ導入に係る試算と経済効果については、関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、経済効果はWBCを超える六百億円以上とも言われ、地域活性化の起爆剤になることが予想されます。八木山動物公園へのパンダ誘致が実現すれば、宮城県の観光政策をはじめとする経済波及効果は計り知れませんし、何より、子供たちへの夢と希望を贈ることができます。宮城県の最重要課題である、少子化対策への最高の特効薬となることも期待されます。パンダ誘致については、緒に就いたばかりで、昨今の日中関係を考えると厳しい状況にあることは間違いありませんが、これからどのように橋をかけていくかが重要となってまいります。まず、誘致に当たっての最大のポイントは、地元の熱意と熱量であります。パンダ誘致に名のりを上げている地方都市は少なくありません。仙台市は、前述のとおりパンダ誘致の体制整備に力を注いでおりますが、パンダ誘致に勝ち抜くためには、仙台市と連携して、オール宮城一丸となっての誘致と機運醸成を進めていくことが成功の鍵になると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 また、仙台市の郡市長は、もし公明党の訪中団が実現したら、パンダ誘致への親書を託したいと話しておりますが、地元の熱意が誘致につながるということであれば、村井知事としても、親書を託す意味はあるかと思いますが、御所見を伺います。 公明党青年局では、若者の声を政治に反映するため、毎年、政策アンケート、ボイスアクションを全国で展開し、寄せられた声を政府や自治体に政策提言しております。今年も、宮城県本部では、ゴールデンウィーク期間中に、仙台市五区の中心部で約二千件の街頭アンケートを実施しました。その質問の一つに、パンダ誘致の是非を伺いました。賛成は九割に上りました。パンダの誘致については、私たち公明党県議団のもとにも、実現を望む声、東北の経済効果に期待する声など、県民・市民から多くの声が寄せられています。一方、パンダを誘致するために、どのくらいの費用がかかるのかとの率直な声も多く聞かれました。パンダ誘致に関する費用としては、パンダのレンタル料、餌代などの維持管理費用、そしてパンダ獣舎の建設、パンダの輸送費、飼育職員の研修費用などに加え、八木山動物公園来訪者のための駐車場の拡充、交通渋滞の解消などの周辺整備費用が見込まれます。一方、県内外をはじめとする観光客などの来訪者数の大幅な伸びが期待され、大きな経済効果も前述のとおり見込まれております。もろもろの費用負担については、一義的には仙台市になると思いますが、その想定される経済効果から考えると、その費用について、宮城県が応分の負担をするのは理にかなっていると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 以上で壇上からの質問を終了いたします。御清聴ありがとうございます。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 伊藤和博議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、生涯を通じた健康づくりとDXについての御質問にお答えいたします。 初めに、健康ポイントを地元経済の活性化に結びつけることについてのお尋ねにお答えいたします。 健康ポイントの活用は、個人の健康づくりに役立つだけでなく、スマートみやぎ健民会議に参画する企業等の健康経営を後押しし、従業員の活力向上、ひいては企業の生産性向上が図られるほか、商店街等で利用できる地域ポイントとして付与することで、地元経済の活性化にも寄与するものと認識しております。したがって、健康ポイント事業は、デジタル技術を用いて社会変革を促し、様々な好循環を生み出すという、県のDXの方向性に合致するものであると考えております。 次に、市町村が必要と考えている地域課題を解決するアプリについての御質問にお答えいたします。 デジタル身分証アプリは、確実な本人確認機能を有し、特定の県民との間で必要な情報をいつでもやりとりすることが可能であることから、災害対応など、様々な分野で我が県のDX推進に大きく寄与するものと考えております。このため、先月開催した市町村長会議の場において、県民アプリとしての普及拡大に向けた検討を行う専門部会の新設と参画について、私自らお願いし、同意をいただいたところであります。この専門部会では、防災、地域経済の振興、インフラの維持保全、健康・福祉の増進、行政サービスの効率化のほか、市町村の意向を踏まえて課題を設定し、アジャイル型で実現性の高いものから、順次検討を進めていきたいと考えております。 次に、大綱二点目、宮城県の少子化対策についての御質問にお答えいたします。 初めに、子供・子育て政策の基本的考え方への所感についてのお尋ねにお答えいたします。 国は、今月十三日にこども未来戦略方針を閣議決定し、次元の異なる少子化対策の実現に向けた政策の強化を図ることとしております。合計特殊出生率が全国と比較して低い水準で推移する我が県において、今後加速する人口減少は、県内産業の衰退や地域の担い手不足だけでなく、行政サービスの継続的な提供にも大きな影響を及ぼすことが懸念されることから、戦略方針を打ち出すに至った背景や基本的考え方の認識は、私の思いとも一致するところであります。国においては、年内を目途にこども大綱を策定するとともに、戦略方針の具体化を進めることとしておりますが、県においても、次世代育成・応援基金などを積極的に活用しながら、施策の充実や若者の県内定着などの様々な取組に、私が先頭に立って取り組んでまいります。なお、少子化対策に係る財源については、徹底した歳出改革等による確保を原則とし、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指すとしていることから、財源確保の道筋や地方負担の在り方について、今後の議論を注視してまいります。 次に、若い世代の所得を増やすために、県として国に要望することは何かとの御質問にお答えいたします。 私はこれまでも、若い世代が安心して妊娠・出産・子育てを行うためには、所得の向上など経済的な安定が重要であるとの考え方の下、企業誘致や地域産業の振興に積極的に取り組み、二万三千人以上の雇用の創出や県民所得の向上などを実現してまいりました。県といたしましては、引き続き、自動車産業や高度電子機械産業をはじめとするものづくり産業の集積等による質の高い雇用の創出に取り組むとともに、今後は、スタートアップ企業の育成や、DXによる中小企業の生産性向上、次世代放射光施設を核としたイノベーションの創出、新たな時代の変化に対応できる産業人材の育成、女性が働きやすい就労環境の整備などに重点的に取り組むことにしております。このようなことから、国に対しては、県や市町村が地域の実情に応じて魅力的な雇用を創出するための施策を進めていくことができるよう、必要な制度の構築や規制緩和、専門性の高い知見の提供、十分な財政措置などをしていただきたいと考えております。 次に、大綱三点目、宮城県へのパンダ誘致についての御質問にお答えいたします。 仙台市八木山動物公園へのジャイアントパンダの誘致につきましては、東日本大震災の折に、仙台市長が中国政府に要請を行い、同国から貸与の意向が示されております。その後、日中関係やコロナ禍などの影響を受けながら、仙台市が継続して取り組まれているものと認識しております。現在、仙台市において様々な検討をしている状況とのことでありますので、その考え方を伺った上で、今後の誘致活動の在り方について検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 総務部長小野寺邦貢君。    〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕 ◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱二点目、宮城県の少子化対策についての御質問のうち、県職員の育児休業の取組の現状と課題についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、夫婦が共に協力し合いながら仕事と子育てを充実していくためには、男性の育児参画が重要であると認識しております。そのため、子供が生まれる男性職員には、育児休業を取得した男性職員の体験談をまとめた事例集を提供するとともに、休暇・休業等の取得予定を記載した育児参加計画書を所属の管理職員と共有するなど、休暇・休業等を取得しやすい職場環境づくりを進めてまいりました。このような取組を行った結果、令和三年度の男性職員の育児休業取得率は五二・三%となり、初めて五〇%を超えたことから、令和二年度に策定した宮城県職員子育て支援・女性活躍計画の目標数値を、今年三月に百%に修正いたしました。今後も、育児に関する休暇・休業制度の周知や、利用しやすい職場環境づくりを進め、全ての男性職員が育児休業を取得できるよう取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。    〔企画部長 武者光明君登壇〕 ◎企画部長(武者光明君) 大綱一点目、生涯を通じた健康づくりとDXについての御質問のうち、デジタル推進委員の取組と、身近な場所でのきめ細かな対応についてのお尋ねにお答えいたします。 デジタル推進委員については、現在、県内で約五百人が任命され、スマートフォンの操作やマイナポータル利用に関する講習会などに携わっていただいており、誰もが身近な場所で、デジタル機器やサービスについて学び、相談できる環境の整備に有効な取組であると認識しております。県では、みやぎ情報化推進ポリシーに基づき、昨年度からデジタルデバイド対策に取り組んでおり、今年度においても、集会所などで、デジタル機器になれ親しむための高齢者同士の交流支援や、各地域において、スマートフォンなどの利便性を広めていただくシニアリーダーの育成などに取り組むこととしております。引き続き、市町村や国、関係団体等と連携しながら、人に優しいデジタル社会の実現に向けた、きめ細かな取組をしっかりと進めてまいります。 次に、マイナンバーカードの不安解消に向けた国への働きかけについての御質問にお答えいたします。 マイナンバーカードは、デジタル社会の基盤となるものであり、今回の一連のトラブルは、マイナンバー制度に対する国民の信頼を損ないかねないものと、大変危惧しております。このため、先般、国、地方及び関係事業者が一体となったチェック体制の強化や、誤った情報ひもづけを防止する制度の構築などについて、全国知事会を通じ、国に緊急提言を行ったところであります。また、国においては、一昨日、関係省庁による総点検本部を立ち上げ、対策の強化に着手したところであり、県としては、国や関係機関の対策が十分に図られ、カードに対する国民の不安が払拭されるよう、機会を捉えて、国に働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。    〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱一点目、生涯を通じた健康づくりとDXについての御質問のうち、東北大学との連携事業や、スマートみやぎ健民会議の取組と成果等についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、平成二十九年度に東北大学と健康づくりに関する連携協定を結び、健康政策立案に当たる人材育成を目的として開催したセミナーには、これまで延べ三百六十四人が受講し、自治体や企業等において、健康づくり施策の推進に携わっております。今後は、人材育成に加え、県民健康・栄養調査等の詳細なデータ分析を行うなど、大学の知見を生かし、県民の健康課題の分析と改善に関する取組も進めてまいります。また、スマートみやぎ健民会議の取組では、参加企業によるスマートアクション宣言をはじめとした健康経営の普及を図っており、現在、七百七十九の会員企業が、自社の健康経営や県民の健康づくりに取り組んでおります。更に、各市町村の健康ポイント事業については、地域の実情や課題に応じた様々な工夫により、健康受診率の向上や生活習慣の改善に結びつくなど、住民の行動変容を促す上で有効な手段であると認識しております。 次に、県民総ぐるみ運動として健康ポイント事業を行うべきとの御質問にお答えいたします。 県では、令和二年度から、特に健康課題が多い働き盛り世代を中心に、脱メタボ!みやぎ健康サイコー宣言をキャッチフレーズとして様々な施策を展開してまいりましたが、自分の健康課題に対し改善行動を起こさない健康無関心層への周知・広報等の課題が明らかになってきました。今後、この健康無関心層を含め、より幅広い県民が健康づくり活動に取り組んでいただくために、何らかのインセンティブを設けることは有効だと考えております。御提案のありました、健康活動に応じてポイントが付与される、いわゆる健康ポイント事業は、ポイントをためることを楽しみながら、県民の行動変容を促すことが期待できるため、具体的な取組内容等について検討を進めてまいります。 次に、大綱二点目、宮城県の少子化対策についての御質問のうち、子供・子育て世帯を地域全体で支えるための取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、子育て支援の輪を広げ、地域全体で子育てを応援する機運の醸成に向けた県民運動に取り組んでおり、昨年五月には、宮城県ベビーファースト活動宣言を行いました。また、子育て支援パスポートや置き型授乳室の設置促進のほか、地域の実情に応じて市町村が行う少子化対策事業に対する支援などを、県の独自財源である次世代育成・応援基金も活用しながら実施しているところです。こうした施策の実効性を高め、より効果的な取組として展開していくことが求められており、子育て世帯に身近な場所で様々な団体等が連携しながら、多様なニーズに柔軟に対応していく体制づくりが重要であります。今後とも、子供・子育てを社会全体で支え、全ての子供が健全に育つことのできる宮城の実現に向け、市町村や関係団体等との連携を深めながら、幅広い施策展開に努めてまいります。 次に、国の戦略方針に対する重点的な要望事項等についての御質問にお答えいたします。 県においては、これまでも全国一律の子供の医療費助成制度の創設や、保育人材の確保などの対策を国に要望してきたところであり、今回のこども未来戦略方針において、こども医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担減額調整措置の廃止や、保育士の配置基準の改善が盛り込まれたことは、一定の前進であると考えております。一方、就労要件を問わずに保育所などを利用できる、仮称こども誰でも通園制度は、具体的な制度設計が今後進められる見通しであるほか、障害児や医療的ケア児など多様な支援ニーズを有する子育て世帯への支援は、こども大綱が策定される過程において議論が行われる見込みであるなど、制度の詳細が不透明な部分も多く見受けられるところです。県としては、財源確保の見通しも含め国の検討状況を把握するとともに、全国知事会などとも連携しながら、必要に応じ国に要望してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。    〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱二点目、宮城県の少子化対策についての御質問のうち、県教育委員会育児休業制度の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 夫婦のいずれかが、そのキャリアを犠牲にすることなく、共に協力して仕事と子育てに取り組んでいくことは、重要であると認識しております。これまで、育児休業及び育児に関する特別休暇の取得しやすい環境を整備するため、育児休業Q&Aのホームページへの掲載やチラシによる周知のほか、男性職員の育児参加計画書の作成を促す等の取組を行ってまいりました。令和三年度の女性職員の育児休業取得率は一〇〇%となっておりますが、男性職員の育児休業取得率は九・七%、育児参加休暇取得率は四二・五%となっております。県教育委員会といたしましては、引き続き制度の更なる理解の向上を図るとともに、より多くの男性職員が育児休業及び育児に関する特別休暇を取得しやすい環境づくりに努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。
    ◆四十七番(伊藤和博君) 御丁寧な御答弁ありがとうございました。 まず、健康ポイントの件でございますけれども、前向きに検討するということを確認させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 様々な幅広い効果が期待できるということで、検討を進めてまいる旨、御答弁申し上げましたけれども、アプリケーションも様々なものがございますし、また、市町村の取組との連携も必要になってくる。あるいは、どういった形で、民間企業との連携等も考えなければならない。様々な検討事項はありますけれども、そういったことを一つ一つ丁寧に検討しながら、いろいろと考えてまいりたいと思ってございます。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) 二月議会で公明党県議団の横山のぼる議員も質問いたしましたが、その際、市町村の意向を踏まえながら検討する旨の保健福祉部長の御答弁がございました。市町村の意向調査は行われたのかどうか、また、その主なものはどのようなものであったか、お示しいただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 現在、十二の市町において、様々な形の健康ポイント事業を展開しているということで、その中身、どういった取組をされているかについての調査は把握しておりますけれども、全県的な意向把握等はまだ準備中でございまして、これから状況等も踏まえながら、そのありようについても検討してまいりたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) 十二の市町が取り組まれているということですが、市町村の財源の中では、やはり魅力ある取組というのはなかなかできないかなというふうに思います。その中で、先ほど、例えば徳島県で取り組んでいるものは、多くの企業の賛同を得て、魅力的な景品をつけたりするというような事業がありました。やはり県としてのスケールメリットというんでしょうか、そしてまた、市町村ごとの格差をつくらないということも踏まえて、県の取組は非常に意義のあることだというふうに思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 全県的にやるスケールメリットは確かにあると思います。一方で、市町村ごとでもう既にやっているのでというような声もあるのも事実でございます。いずれデジタル身分証アプリを全県的に広げていきたいなというふうに思っていまして、そのときは一つのミニアプリをのせると一瞬で全県に広がって、その取捨選択は市町村長にお任せするということになるんですけれども、そういったやり方もあると思っておりますので、ちょっと幅広に検討してまいりたいなと思います。趣旨は大賛成でございます。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) 前向きな御答弁ありがとうございます。 知事は昨年、みやぎ食と健康の未来フェアに参加されまして、当日は東北大学の川島隆太先生や中澤先生も御講演をされて、また知事もトークショーに参加されたりして、その中で、川嶋先生は「きょうから始めるスマート・エイジング」、また、中澤先生は「目から始まる未来の健康づくり」というふうに、この東北大学の学識者と言われる皆さんは、日本的にも、また世界的にも注目されている先生たちがいらっしゃるので、そういった東北大学と連携をして進めていくということは非常に大事なことになると思いますし、このトークショーで取り上げた三つだけでも、健康に関する大きな後押しになるというふうに思いますけれども、知事のお考えを伺いたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 宮城県には、東北大学をはじめ、非常にすばらしい大学がたくさんございますので、そういったすばらしい大学の知見を最大限活用させていただくというのは重要だと思っております。東北大学をはじめ、いろいろこの分野に詳しい先生方の御指導を受けながら、よりいいものを目指していきたいというふうに思います。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) みやぎ食と健康の未来フェアの中では、協賛される各社さんも十数社を超えて、本当に民間の力も借りているということが大きな力になると思いますけれども、こうした民間の皆さんの力を取り込んで、その中で健康を本当に前に進めていくということも、民間の力という視点ではどのようにお考えになっているかお伺いいたします。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) スマートみやぎ健民会議といった会議体を設けて、幅広く多くの企業様にも御参画いただいております。やはり県民、各団体・企業の皆さんと総ぐるみで、こういった健康づくりに取り組んでいく活動の展開が大変重要だと思っていますので、そういった観点からも、企業様との連携も重視してまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) 先ほど健民会議のお話もありまして、中小企業の皆さんも多く取り組んでいらっしゃいますけれども、食と健康の未来フェアの際には、大手の企業さんも多く取り組まれていて、アプリを使った、例えば健康ポイントのときには、趣旨に賛同して協賛をいただけるようなところもございますし、運動に参加するだけではなくて、そういった物事を推進していく経済的な御支援もいただけるのかなというふうに思うのですが、そういった取組についてはどのようにお考えになるかお伺いします。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) お話のとおり、健民会議に参加している企業さんのほうも、やはり働いている職員の皆さんの健康づくりが経営的にもプラスに働くといったメリットもお感じになった上で御参画をいただいてといったこともあるでしょうし、そういったことが全体に広がっていくことで、県全体の健康づくりに広がっていくといったことも当然期待できます。その上で、先ほどの健康ポイント事業等のスキーム構築の検討に当たりましても、協賛でありますとか、様々な形の参画をいただくことが、魅力的なアプリづくり、スキームづくりにつながる部分もあると思いますので、そういった観点からも幅広く検討してまいりたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) 健康ポイント、歩いて一日、例えば徳島の場合だったら五千歩以上歩くとかいうような、健康診断を受けるとか、基本的な特典もありますけれども、先ほどお話をした川嶋先生の取り上げているものだと、脳を鍛えて安全運転の技能を向上させるトレーニングのアプリだとか、中澤先生だと、メテオブラスター--緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォンアプリだとか、そういったものなんかも健康ポイントの対象にできるかどうかということも含めて御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) こちらも繰り返しになる部分がございますけれども、幅広いいろんなアプリケーションも出ておりますし、どういった中身でどういったものを取り込んでいくかといったこと、また、現在十二の市町で取り組んでいるものにつきましても、そういった先進的なものを取り入れて、いい形のものにつくり上げていくことが重要かと思いますので、いろいろと取り入れて検討を進めてまいりたいというふうに思います。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) やはり健康に恵まれて元気で長生きするのが誰しもの願いですので、楽しみながらできる、そういった取組を県全体としても大きく推進していただきたいというふうに思います。 次に、今日の地元紙一面トップでありました、出生数の減少と、その背景にある未婚女性の流出にこそ注目すべきという指摘がございました。先ほど一般質問の壇上での質問でもちょっと触れさせていただきましたけれども、未婚女性の流出という点について、知事はどのように考えられているか、お伺いしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今日の新聞を読みまして、私も常々職員に指示して伝えていることがそのまま載ったなというような思いを持ちました。我々、とかく出生率にこだわるわけですけれども、出生率が低いから子供が減るわけでは必ずしもない。四十七都道府県で子供が唯一増えているのは、東京都だけなんです。あとは減っているんですね。どの世代でも増えているのが東京都だけ。ところが東京都は、合計特殊出生率が一番低いということです。今日、新聞をまだ御覧になっていない方もおられるかもしれないので、主旨を簡単に説明いたしますと、Aという町は、十五歳から四十九歳の女性が十人いると。十人の女性が五人子供を生んだということなると、合計特殊出生率は五になるわけですね。他方、Bという町は、若い女性、十五歳から四十九歳の女性が百人いたと。その百人の女性が十人子供を生んだとなると、合計特殊出生率は一になるわけです。合計特殊出生率だけ比較すると、Aという町は五で、Bという町は一になるから、圧倒的にAという町が理想的だということになるのですが、実際の子供の数を見ると、Aという町は五人で、Bという町は十人。つまりBの町のほうが子供が多くなる。したがって、出生率だけに目を奪われるのではなくて、特に子供を生んでくれる女性の皆さんが住みやすい環境をつくることが重要だと。ところが、宮城県はどうなのかということなんですが、それがまさに宮城の問題なんです。宮城は、特に二十歳から三十代前半の女性が一気に出ていくところなんです。それはやはり東京、関東圏にみんな出ていってしまうのが多いんです。外から入ってくるのも多いんですけれども、出ているほうが多いということです。これが非常に宮城県にとって今大きな問題だと思っています。したがって、若い女性、二十歳から三十五歳の若い人たちが残って仕事をしたいなと思ってもらえるような環境をつくることが、合計特殊出生率を上げることにつながり、なおかつ出生数の増加にもつながる。そこをどうするのかということです。これは、やはり圧倒的に仙台市が大きいんですね。仙台市の出生数を見ると、宮城県全体の大体六割から六割五分ぐらいが仙台市で子供が産まれているんです。人口は半分以下ですけれども、やはり子供は圧倒的に仙台市が多いんです。なので、仙台市と一緒になって、どうやって女性が住み続けられるような環境をつくっていくのか。そのためには企業の協力も必要ですので、それを今一生懸命考えているということです。今度、宮城県の担当部、保健福祉部と、仙台市の局が、担当者同士ではなくて部と局がですね、今後どうすればいいのかということについて話し合う場をしっかり設けまして、子供を産みやすいような環境をつくっていきたいなと思っています。そして、若い女性がまずは外に出ていかないようにしていただけるような環境をつくっていくと、これを目指していきたいなというふうに思っています。ちょっと長くなりましたけれども、今の私の考え方でございます。おっしゃるとおりだというふうに思います。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) 御丁寧な御答弁ありがとうございました。新聞の中でもあったとおり、地方における雇用の問題に尽きるというふうに、最後強調されておりましたけれども、人口の社会減と出生減には、高い相関関係がある。雇用対策は経済関係の部局、少子化対策は福祉関係の部局が担当するというふうに、縦割りの弊害も新聞上では指摘されておりますけれども、そういう担当部局プラス雇用対策の部門とかの取組について、県庁内では今どのような取組をされているか、改めてお伺いしたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 ◎保健福祉部長(志賀慎治君) 基本的に、少子化対策の主な担当ということで、私ども保健福祉部が担当のところになっておりますけれども、庁内に少子化対策の推進本部のようなものを設けまして、知事を先頭に各部局が連携体を組んで、様々な施策・企画立案、そういったものを検討しながら、県全体として取り組んでいけるような体制は構築してございますので、今後、その中身をしっかりと煮詰めて、それぞれの施策を充実することによって政策の効果を上げていくように、ますます取組を強めてまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 四十七番伊藤和博君。 ◆四十七番(伊藤和博君) 先ほど仙台市との打合せのお話もありましたけれども、そういった、県庁内では幅広の取組をしていただきながら、仙台市とも様々な角度から総合的に少子化対策を進めていただきたいという思いをお話しして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 十七番伊藤吉浩君。    〔十七番 伊藤吉浩君登壇〕 ◆十七番(伊藤吉浩君) おはようございます。十七番、自由民主党・県民会議の伊藤でございます。 今、世界では、米中の対立、新型コロナウイルス、気候変動、ロシアによるウクライナ侵攻など、つながり過ぎた世界の中で、エネルギーや生産資材、食料品の高騰に加え、国家間の分断が進行し、先行きが見えない激動の時代を迎えております。日本に目を向ければ、少子高齢化、人口減少、東京一極集中、脱炭素社会、持続可能な社会の実現など、時代は大きな歴史の転換点にあり、日本、そして地方社会はこれからどうあるべきか、改めて問われていると思います。こうした観点を踏まえて、大綱七点について質問いたします。 まず、農業関係についてであります。 皆さんも御承知のとおり、昭和四十六年に日本の野生コウノトリが豊岡において絶滅いたしました。また、昭和五十六年には、野生のトキを捕獲して、佐渡において人工飼育が始まりましたが、今から約二十年前の平成十五年に最後のトキが死亡し、日本のトキも完全に絶滅してしまいました。では、なぜトキとコウノトリは絶滅してしまったのか。様々な要因はありますが、大きな要因は、太平洋戦争がきっかけであったと考えます。戦後の日本は、農業者の不足に加え、深刻な米不足・食料不足であり、その解消に向けて米の増産が農政の基本柱となり、農業の近代化が進められ、農薬・除草剤の使用と化学肥料の大量使用が行われました。それによって、水田を生息の場としていた多様な生物が急速に生存環境を奪われてしまいました。特に、ニカメイチュウの防除として使用されたパラチオン、魚毒性が高いPCP、その後のMOなどの使用によって、水田に生息するドジョウやフナ、ナマズの淡水魚が大量に死滅し、それを食べていたトキやコウノトリの鳥類が食物連鎖によって絶滅してしまった形になりました。その後、農薬の魚毒性や残留性の基準が改善され、人畜に対する安全性も高まり、佐渡ではトキを育む環境保全農業、豊岡ではコウノトリを育む農業とまちづくりが積極的に推進されております。では、なぜトキやコウノトリが絶滅してはいけないのでしょうか。生物多様性保全の問題は、人類の存続を考えたとき、最も根源的な問題であると言われておりますが、気候問題や地球温暖化は身近に感じられるものの、生物多様性の保全はいま一つ危機感が湧かない状況にあります。生物多様性が重要なのは、地球上の一つの種が絶滅することが、やがて私たち人間の生存を脅かすと言われているからであります。例えてお話しすれば、私たち一人一人の人間は約四十兆という細胞の集まりで、細胞の総合体として生きております。これと同じように、地球においても約六百万から三千万の種が生存し、生態系が多様に絡み合って、地球という生命体が存在しているということであります。私たち人間は一個の生命体として生きておりますが、その四十兆の細胞のうち一部の細胞ががんに攻撃され破壊されれば、生命の危機にさらされることになります。それと同じように、地球上においても、幾つかの種が滅ぶということは、地球全体の人間を含めた生態系に大きな影響を及ぼす可能性があるということになります。そうした中で、平成八年頃に、登米市の旧南方・中田町において、生物多様性を重視した環境保全米づくりの取組がスタートいたしました。JAみやぎ登米においては、平成十五年から環境保全米の取組がJA運動として位置づけられ、平成十九年からは、県内JAの全体運動として、環境に優しく、生産者にも消費者にも安全で安心な米づくりが進められてきております。これまで、私たちが失敗を繰り返しながらも取り組んできた生物多様性を重視した環境保全米づくりは、約三十年が経過しておりますが、今やっと、国においても持続可能な農業・環境に優しい農業を目指し、みどりの食料システム法が令和四年度に制定・施行されました。本県においても、本年、宮城県みどりの食料システム戦略推進ビジョンが示され、二〇三〇年の目標を掲げてスタートしたところであります。現在もJAグループを中心として環境保全米づくりの全県運動が展開されておりますが、栽培面積は伸び悩みの状況にあります。登米市においては、環境省が取り組むトキと共生する里地づくり取組地域に選定されるなど、地域を挙げて積極的に進めている状況にありますが、県として今後どのようにこの戦略を進めていくのか、考えを伺いたいと思います。 また、農業における環境負荷低減や生物多様性の取組をしっかり定着させ広めていくためには、現在取り組んでいるスタイルも含め、様々な技術的サポートが必要であると考えますが、技術支援体制の在り方をどのように考えているのか伺います。 また、この取組は、生産者のみの問題ではなく、消費者や関係者の理解醸成と合意形成がなければ、大きく前には進まないと考えますが、県の取組姿勢を伺いたいと思います。 次に、国では、食料・農業・農村基本法の検証・見直し作業が令和四年十月から進められており、これまで十六回の基本法検証部会を開催し、先月、見直しに向けた中間案取りまとめが提出されました。食料をめぐる国内外の情勢が大きく変化する中で、二十年後を見据えた、平時からの食料安全保障の達成と、食料の安定供給の確保のための国内農業生産の増大、適正価格の形成に向けた仕組みの構築などが盛り込まれております。これまで、あまりにも食料をはじめ肥料や飼料・生産資材などを海外に依存し過ぎた結果の見直しと考えます。今後は、海外に過剰に依存することなく、国内生産できるものは国内生産を拡大していくということが重要になると考えますが、県としての認識と考えを伺いたいと思います。 また、国では、みどりの食料システム戦略の実現に向けて、農林水産省をはじめ、国土交通省において下水道汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会が設置され、汚泥資源の肥料化に向けた推進策が検討されております。登米市においては、既に平成二十二年から、地域循環型社会を実現するため、環境省と農林水産省の補助事業を活用して、有機汚泥を炭化肥料として再生し、農業者や市民に対して販売をしているところでもあります。企業局においては、令和四年度から、下水汚泥資源の有効活用に向けて検討を重ねている状況と思いますが、進捗状況と方向性を伺いたいと思います。 また、下水道広域化・共同化計画の中においても、市町村と積極的に協議を重ね、有効活用に向け、関係部局とも連携を図りながら推進していく必要があると思いますが、考えを伺いたいと思います。 次に、水田活用の直接支払交付金については、令和五年度においても、制度の様々な拡充と見直しが加えられております。交付対象水田においては、令和四年度以降、五年に一回、最低一か月の水張り要件とされたことから、ブロックローテーションの作物切替えや、転作作物によっては、播種期のずれ込みや品質低下、減収・減産が懸念されております。更に、畑地化促進事業を活用して、水田の畑地化を図り、畑作物を本格的に取り組みたいとする生産者、また、地域計画の農地集積・集約等の課題もあり、生産農家は、どの方向に判断すべきか、非常に難しい状況に直面しております。また、飼料用米の一般品種については、六年産から八年産にかけて支援単価が段階的に引き下げられることとなり、多収品種については計画的な導入が求められているものの、本県においては現在一〇%程度と、他県と比較して大きく下回っている状況にあります。その背景には、種子確保や分別調整保管、コンタミ対策等の課題が顕在化しており、生産現場において非常に混乱している状況にあります。これらについて、県・再生協議会としてどのような方針と考えの下に現場課題を解消していこうと考えているのか、所見を伺いたいと思います。 次に、みやぎ園芸特産振興戦略プランと取組についてでありますが、このプランは、稲作一辺倒からの脱却を目指し、農家所得向上を図っていくものだと考えます。計画期間は令和三年度から七年度までの五年間であり、推進目標の園芸産出額は平成三十年度の三百三十三億円から五百億円を目指すものでありますが、中間年度の取組実績と今後の方向性を確認いたします。 また、目的達成のためには、大規模法人だけに特化するのではなく、地域ごとの特性に合った産地づくりの拡大こそが必要不可欠と考えます。そのためには、中小・家族経営農家などの多様な担い手の存在と育成は非常に重要と考えます。今後の目標達成のための取組と支援対策を確認いたします。 次に、畜産業の中でも酪農の状況でありますが、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻等により、牛乳・乳製品の消費減退に加え、粗飼料や配合飼料などの生産資材全般において価格が高騰し高止まり状況が続き、改善の兆しが見通せない状況にあります。現在、酪農家の約八五%が赤字状態であり、経営環境が急激に悪化した結果、酪農業の倒産や廃業が全国的に増加傾向の状況にあります。飲用向け生乳取引価格は、昨年の十一月出荷分からキロ当たり十円の値上げとなり、本年の八月分からは更に十円の値上げが決定しておりますが、今後とも酪農経営が継続できるよう、引き続きの支援体制と消費拡大の取組が必要と考えますが、県としての取組と所見を伺いたいと思います。 次に、県内の土地改良区においては、農地への用排水事業を行うための用排水施設の稼働と維持管理を行っておりますが、大変厳しい農業情勢の中においても、節電対策や補助事業を活用しての省エネルギー化を進め、経費の削減に積極的に取り組んでいる状況にあります。また、用排水施設の主な動力源は電力に頼っており、昨今の頻発化する大雨災害対応や、電気料金や重油代の高騰で、改良区運営に大きな影響を及ぼしております。このまま経営が悪化すれば、農家組合員が納める賦課金の更なる値上げが必要となり、農家経済を一層圧迫することになりかねません。今後とも、エネルギー価格高騰対策をはじめ、省エネルギー化や農業用排水のパイプライン化、大規模圃場化を進める必要があると考えますが、今後の取組と方向性を伺います。 次に、林業関係についてであります。 先日、JAみやぎ登米において、新たな本店がオープンいたしました。その建設に当たり材料として使用されたのが、登米市内で生産されたFSC認証材であり、建物全体の九〇%に使用した結果、FSCプロジェクト認証を取得いたしました。この認証制度は、地域の環境や社会に配慮し、適切に管理された森林で生産された木材を使用する割合が五〇%を超えた建造物やインフラ等を認証する、国際的な制度でもあります。こうした取組を県内全体において積極的に展開していくことが、更なる認証材の付加価値とブランド化を高め、販路の新規開拓や販売量の増加が期待されると考えます。本県においても、木材利用拡大対策として、県内の建物における木材利用の促進に関する方針を改正し、県有施設はもとより、民間建物を含む建物全体に対象を拡大し、木造化・木質化を推進している状況にあります。更なる推進体制と県産材の安定供給・流通販売促進のためには、製材業者の多様な育成と、大径材に対応できる機械の導入や、規模拡大を含めた木材流通全体の支援体制が必要と考えますが、現在の状況と今後の取組を伺いたいと思います。 次に、県産品輸出についてであります。 JAみやぎ登米においては、平成二十九年に神明から輸出米の生産要請を受け、平成三十年から輸出用米の生産に着手しております。輸出先は主に香港、アメリカ、シンガポールであり、輸出実績は三〇年産で九百三十八トンでありましたが、年々輸出拡大を図り、現在では三千六トンまで順調に拡大している状況にあります。現在、日本においては、人口減少・高齢化の進展に加え、米離れもあり、国内需要の減少は加速する状況にあります。今後、需要の増加が確実に予想されるものは、米及び米粉、日本酒、パック御飯等を含めた米加工品の輸出と考えます。しかし、現在の輸出課題は日本米の売場の確保であり、主な取組は日系百貨店やスーパー、関連業者が中心である点にあります。また、購入者は在留日本人と一部の富裕層にとどまっている状況にありますが、中食、外食、回転ずしの業務用米の増加により、一応輸出が拡大している状況にあります。今後の戦略としては、輸出業者とともに積極的に輸出国ターゲットの市場を知るための努力をしていくことと、日本酒の輸出戦略においては、これまで行われてきたフランスワインの輸出販売戦略などから学んでいくことが有効と考えますが、今後の輸出促進の取組と方向性を伺いたいと思います。 次に、学校教育関係についてであります。 新型コロナウイルス感染症は、先月の五月八日付けで法律上五類感染症に移行したことにより、これまで約三年間に及んだ感染症との闘いに一つの節目を迎えることとなりました。この間、各学校においては、児童生徒の健康と安全を守るため、様々な制約の中で工夫を凝らし、感染防止対策が進められたと思います。その結果、明らかな弊害として、体力や身体能力の低下と、健全な人間関係の構築に必要なコミュニケーション力の低下が浮き彫りになってきており、児童生徒における心身の発達において、肉体的にも精神的にも大きなマイナスの影響を与えていると考えます。特に、今年の春に卒業した社会人の状況を見ると、人と会うのが不安、社会に対して恐怖心を覚えるなど、これまではごく当たり前だったことが、非常に高いハードルとなっている状況にあります。そうした状況を踏まえ、既にアメリカの各学校では、SEL教育が学校のカリキュラムに取り入れられ、積極的に進められております。具体の手法としては、学年の壁を越えてスピーチし合う、グループワークやグループプロジェクトを行うなど、異なる世代間のコミュニケーションを意図的につくり上げ、コミュニケーション能力を高める取組が行われております。本県における体力・運動能力の向上対策と、コミュニケーション能力の向上対策の方向性を伺います。 更に、心身の健康を保つために必要なのは食であると考えますが、食育と学校給食の在り方を併せて伺いたいというふうに思います。 次に、DX推進についてであります。 まず、自治体DX推進計画及び地方自治体の基幹業務システムの統一・標準化については、令和七年度までに全ての自治体が計画を策定し、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムに移行できるよう、環境の整備と着実な実施が求められております。現在、国の政策推進の下、全国一斉に自治体DXが推進されておりますが、自治体の規模や職員数、デジタル人材や組織体制、地理的条件などの格差により、進捗度合いに大きな格差が生じている状況にあります。本県においては、支援要望の自治体に対して、アドバイザー派遣などにより支援体制を構築しておりますが、小規模自治体においては、人材不足の影響により、支援要望さえ出せない市町村も出てきております。県としての役割は、県内全ての市町村の底上げを進める責任があるわけでありますので、受け身の姿勢ではなく、直接訪問等を行いながら自治体課題を整理して、課題解決に向けて積極的で能動的な支援体制を積み重ねていく必要があると考えますが、今後の支援体制の在り方を含めた県の支援姿勢を伺いたいと思います。 また、昨年九月、スイスの国際経営開発研究所による、世界のデジタル競争力ランキングが発表されました。その結果、諸外国と日本のDX推進状況においては、大きな格差が明らかになりました。上位五か国はデンマーク、アメリカ、スウェーデン、シンガポール、スイスであり、日本は何と六十三か国中二十九位となっております。中でも日本の弱い部分としては、企業の機敏さが六十三位、デジタルスキルは六十二位という結果で、ほぼワーストクラスであります。世界においては、既に日常業務の中にデジタルスキルが急速に使用されておりますが、日本においては、いまだにエクセルで売上げ日報を作るだけの段階にとどまっている企業が多いということであります。本県においても、中小企業向け、商工会事業者向け、農林水産業者向けに、支援機関ごとに様々な支援を行っているものの、まだまだ県全体としてのDX推進の見える化が図られていない状況にあり、機運も高まっていない状況にあると感じます。あと二年後の「二〇二五年の崖」対策を全県挙げて行い、DXの本質であるビジネス改革を進め、生産性と収益性を向上させ、時代の変化に合わせ、競争力を高めていく必要があると考えます。そのためには、県としての支援体制と支援能力をより一層拡充し、機会の平等性、効率性、実効性を更に高める必要があります。そのためにはDX推進拠点化などが必要と考えますが、今後の早急な推進体制と推進計画を伺います。 次に、道路・河川についてであります。 昨年も質問させていただいた長沼川は、令和五年度完成を目指していると思いますが、昨年の答弁のとおり、軟弱地盤改良や一部災害復旧を合わせて進めている関係で、完成時期の延長が心配されております。先週の大雨においても、佐沼市街地の道路が冠水し、一時通行止めとなっておりますし、南沢川におきましても、令和二年度から大規模特定河川事業となり、築堤の護岸工事が重点的に進められておりますが、こちらも大雨のため黄牛線が一時通行止めとなりました。どちらの案件につきましても、地域住民皆さんからの早期完成の期待度が大変大きい事業であります。現在の河川改良工事の進捗状況と、今後の工事計画を確認いたします。 また、蕪栗沼遊水地においては、昨年四月の大雨による冠水をはじめ、過去十年間に四回も冠水している状況にあり、農家の営農意欲が年々減退している状況にあります。更に、蕪栗沼と周辺水田は、平成十七年にラムサール条約に指定されたこともあり、流域の河川整備が難しくなり、適正に進捗していない状況にあると考えます。その結果、現在の蕪栗沼は、堆積土砂が年々増加し、本来ガンのねぐらとなる沼自体の陸地化が進行している状況にあり、周辺水田においては、頻発化する水害による減収で、ガンの餌不足も発生している状況にあります。今後とも、生物多様性や水鳥を守るためには、蕪栗沼や流域河川の適正な堆積土砂撤去や支障木伐採が必要と考えますが、今後の河川整備計画を伺いたいと思います。 あわせて、一般県道東和薄衣線の道路整備については、東和町嵯峨立地区皆さんの数十年来の懸案事項であります。現在の災害復旧状況と、今後の道路整備計画も確認いたします。 最後に、地方における持続可能な地域づくりについて伺います。 日本国民はどこに住んでいても一定以上の住民サービスを受けられるものだと思っておりますが、この当たり前のことが、人口減少社会・縮小社会においては実現困難になっております。人口が急速に減少した自治体では、税収の減少と、住民の高齢化に伴う社会保障費の増大で、自治体財政が逼迫し、これまで提供してきた上下水道、ごみ収集、学校、公営住宅、公民館、図書館などの住民サービスの見直しを余儀なくされております。これまで行政が担ってきた公共サービスは、近年、複雑・多様化している状況にあり、行政のスリム化が進む中で、行財政改革は避けられない状況になってきております。加えて、行政区・集落においては、高齢化・人口減少により、役員の担い手不足や多様な組織や団体の解散で、自立機能が低下し、自立不能集落が増大している状況にあります。島根県などにおいては、新たな広域的住民自治機能の構築と強化が図られている状況にあります。私たちは、この人口減少社会・縮小社会という苛酷な現実を直視し、縮小を受け止め、問題を先送りすることなく、何を守り、何を諦めるか、県民一人一人はもちろん、市町村においても自分事としてお互いの痛みを分かち合いながら、戦略を持って縮小戦に挑んでいく時代に来ていると考えます。縮小の見える化を含め、今後、県として果たす役割をどのように考え、どのような戦略を持って縮小していこうとしているのか、村井知事の所見を伺い、壇上からの質問とさせていただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 伊藤吉浩議員の一般質問にお答えいたします。大綱七点ございました。 まず、大綱一点目、農業関係についての御質問にお答えいたします。 初めに、宮城県みどりの食料システム戦略推進ビジョンの今後の進め方についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、国のみどりの食料システム戦略を踏まえ、今年三月に宮城県みどりの食料システム戦略推進ビジョンを策定しております。このビジョンでは、本県農林水産業における温室効果ガス排出量を二〇三〇年までに四万五千トン削減することを目標に掲げ、農業者の家畜排せつ物の利用促進や化学農薬・化学肥料の使用量低減、環境負荷低減に対する消費者の理解促進などに取り組むこととしております。県といたしましては、このビジョンに掲げる目標を実現するためには、多くの関係者と理念を共有しながら取組を進めていく必要があるものと考えております。そのため、市町村や関係者等と意見交換を重ねるほか、環境負荷低減の取組に前向きな地域をモデル地区に設定し、国の交付金等の支援策を活用しながら、持続的生産体制の構築と消費者等との交流活動を通じた理解促進に取り組んでまいります。こうした効率的で実効性のある施策を通じて、我が県における生産力向上と持続性が両立する食料システムの構築に向けて取り組んでまいります。 次に、食料・農業・農村基本法の見直しについての御質問にお答えいたします。 国が今月取りまとめた、食料・農業・農村基本法見直しの指針となる「新たな展開方向」では、「平時からの国民一人一人の食料安全保障の確立」が基本理念の一つとされ、輸入リスクの軽減に向け、国内農業生産の増大を図ることとしております。県では、みやぎ食と農の県民条例において、農業・農村振興の目標の第一に、「県民に安全で安心な食料が安定的に供給されること」を掲げ、これまでも水田フル活用や畜産振興、園芸産出額倍増などに取り組んできたところであり、食料安全保障の確立は大変重要であると認識しております。県といたしましては、今後の国の動向を注視しながら、食料供給県として、我が国の食料安全保障に貢献できるよう対応してまいります。 次に、大綱二点目、林業関係についての御質問にお答えいたします。 県産材の安定供給・流通販売促進のためには、製材業者等の競争力強化や新たな製品開発など、需要拡大への取組が重要と認識しております。このため、合板や製材、製紙などの工場が複数立地する我が県においては、県産材への原料転換や規模拡大の支援に取り組むとともに、人口減少に伴う住宅需要の減少も見据え、CLTの生産・加工体制の整備などを推進してまいりました。このような中、登米市において、輸出も視野に入れ、杉大径材--太い木材ですね。杉大径材からツーバイフォー部材などの生産を行う製材工場の新設が進められており、県内初となるこの取組に、林業事業体などの関係者も期待を寄せているところでございます。県としては、このような新しい販路創出の取組を積極的に支援するとともに、工場間連携による製材加工の効率化など、製品の安定供給に取り組み、県産材の利用拡大につながる流通体制の強化を進めてまいります。 次に、大綱三点目、県産品の輸出についての御質問にお答えいたします。 国内市場における米や酒類の需要が縮小傾向にある中、海外市場のニーズを把握し、マーケットインの視点で、宮城県産の米や日本酒の輸出拡大に取り組んでいくことは重要であると認識しております。特に日本酒については、国内産の日本酒が国際品評会で高い評価を得るなど、海外市場に販路を拡大していく可能性が高まっているものと考えております。昨年十一月には、県内の複数の蔵元とともにイタリアのミラノで商談会を開催し、現地レストランのオーナーなどに向け、日本酒の香りや味の特徴などを丁寧に紹介するとともに、イタリアの食事とのペアリング提案を行い、継続的な成約につなげることができました。米の品種や磨き、酵母など、酒蔵の個性が日本酒の味や香りに違いをもたらすことは、フランスにおいて、ブドウの生育地の風土がワインに個性と価値を与えていることに通じるものであり、欧州においても理解されるものと考えております。また、米については、輸出用パック御飯の製造事業者に対する支援を行っているほか、新たに精米の輸入を解禁する国の動向を注視しており、県としては今後とも、生産者や関係機関と連携しながら、海外市場のニーズの把握と販路拡大の支援に努めてまいります。 次に、大綱七点目、地方における持続可能な地域づくりについての御質問にお答えいたします。 今後の人口減少や少子高齢化については、担い手の不足や県内経済の縮小、地域コミュニティーの機能低下といった様々な影響をもたらすことが想定されております。このため、県と市町村で危機感を共有しながら、それぞれの限られた行政資源の効果的な配分を図るとともに、DXの推進による行政の効率化や、民間の知恵やノウハウを活用した県民サービスの向上など、多様な主体との連携・協働による様々な対策を講じることが必要であります。県としては、こうした観点から広域自治体としての役割を果たし、新・宮城の将来ビジョンに基づいて、人口減少が本格化する中においても、県民一人一人が幸福を実感し、地域の活力を維持しながら、持続的に発展できる社会の構築を目指してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 公営企業管理者佐藤達也君。    〔公営企業管理者 佐藤達也君登壇〕 ◎公営企業管理者(佐藤達也君) 大綱一点目、農業関係についての御質問のうち、下水汚泥資源の有効活用に向けた検討状況と、市町村や関係部局との連携についてのお尋ねにお答えいたします。 流域下水道事業で発生する年間約六万二千トンの下水汚泥のうち、約三万トンは焼却し減量化を図った上でセメント材料等として、約一万五千トンは石炭の代替燃料として活用するなど、有効利用に努めております。一方、残る約一万七千トンは民間施設に処分を委託しておりますが、処分費や運搬費が高額であることに加え、下水汚泥の肥料化に対する考え方が国から示されたことなどを踏まえ、現在、民間への委託処分量の多い東部下水道事務所管内の処理場において、肥料化を最も有力な選択肢として検討を進めているところです。また、ほとんどの市町村が、汚泥処理を外部に委託しており、処分費の負担が過大であると伺っていることから、検討に際しては共同処理等の意向を十分に踏まえることとしております。更に、肥料化に当たっては、その品質及び安定的な利用先の確保など様々な検討が必要となることから、引き続き農政部などの関係部局とも連携しながら取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。    〔企画部長 武者光明君登壇〕 ◎企画部長(武者光明君) 大綱五点目、DX推進についての御質問のうち、市町村に対する支援についてのお尋ねにお答えいたします。 市町村が情報システムの標準化などDXを着実に推進していくためには、県が果たすべき役割は大きいものと認識しております。このため、各市町村が抱える課題を協議会の場や個別ヒアリングを通じて直接伺いながら、DX推進に関する全体方針の策定支援や、アドバイザー派遣による個別相談支援などに取り組んでまいりました。また、令和七年度末が期限とされている基幹業務システムの標準化については、期限内での対応が難しいという市町村からの意見を踏まえ、移行期間の延長や財政支援の拡充などを継続して国に要望しているところです。今後とも、県と市町村で構成する協議会を連携強化のプラットフォームとして、現場の声に耳を傾けながら、全ての市町村が限られた予算や人材の中でもDXの取組を着実に進められるよう、丁寧かつ積極的に支援してまいります。 次に、DX推進の拠点化等についての御質問にお答えいたします。 県では、企業等のDXを推進するため、令和三年度から、人材育成に向けた研修会やセミナーの開催、デジタル関連機器・サービス導入補助などを実施しているところです。一方、県内では、国や商工団体など多くの機関も様々な取組を展開しており、DXを進める企業にとって分かりやすい情報提供などを行う総合的な窓口が必要と認識しております。更に、情報通信業を除く企業の七割でデジタル化の取組が進んでいない状況にあり、特に、中小企業における成功事例を広く共有する仕組みや、DXの推進を希望する企業とIT企業とのマッチング支援の充実が重要であると考えております。こうした実情を踏まえ、県としては、企業のニーズに応じて幅広い情報提供を行うとともに、DX推進のパートナーとなるIT企業との異業種交流機会の拡充に取り組むなど、県内企業に対するDXの支援を強化してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 農政部長橋本和博君。    〔農政部長 橋本和博君登壇〕 ◎農政部長(橋本和博君) 大綱一点目、農業関係についての御質問のうち、技術支援体制の在り方と、消費者等に対する理解醸成や合意形成に向けた取組についてのお尋ねにお答えいたします。 宮城県みどりの食料システム戦略推進ビジョンに掲げる目標を達成するためには、環境負荷低減に向けた技術支援と、消費者や関係者の理解醸成が必要不可欠であります。そのため、県としては、農業改良普及センターにおいて、それぞれの地域に適した環境負荷低減と省力化に資する栽培技術の検証や、有機農業の研修を受けた普及指導員による支援を行うほか、試験研究機関において、温室効果ガス削減に関する研究開発を行ってまいります。また、県では、環境負荷低減に取り組む生産者と連携し、消費者との交流やPR販売会、キャンペーンを実施するほか、消費者等との意見交換も進めてまいります。県といたしましては、環境負荷低減に向けた農業生産が県内各地で取り組まれ、その農産物を選んで購入する消費行動につなげられるよう、理解の醸成に取り組んでまいります。 次に、水田活用の直接支払交付金の制度見直しについての御質問にお答えいたします。 県及び宮城県農業再生協議会では、県内全域を対象に、制度の見直しに関する意見交換等を行ってきており、多くの関係者から、「交付対象水田の見直し等により、これまで地域で構築してきた水田活用の取組を維持できなくなる」などの不安の声を聞いております。それらを解消していくためには、ブロックローテーションの再構築や畑地化などの土地利用について、関連制度や支援の内容を農業者までしっかり伝えるとともに、地域内の関係者による合意形成を図っていくことが重要であると認識しております。また、飼料用米については、生産現場が混乱することのないよう、多収品種の種子確保や品種選定に向け、関係機関・団体と検討及び調整を進めているほか、異品種の混入、いわゆるコンタミの防止対策を含めた栽培マニュアルについて、今年度内を目途に作成することとしております。県といたしましては、農業者が適切に経営判断できるよう、地域農業再生協議会等と緊密に連携し、様々な機会を通じて必要な情報を丁寧に説明していくとともに、各地域において、今後の水田活用に向けた話合いが行われるよう支援してまいります。 次に、みやぎ園芸特産振興戦略プランについての御質問にお答えいたします。 県では、令和三年三月にみやぎ園芸特産振興戦略プランを策定し、先進技術を駆使した施設園芸の拡大や大規模露地園芸の振興などに取り組んでまいりました。その結果、県全体で園芸施設が約十二ヘクタール、露地野菜の栽培面積が約百ヘクタール拡大しました。今後、これらの施設や露地での生産が軌道に乗ることにより、園芸産出額を年間約三十四億円押し上げるものと見込んでおります。プランに掲げる目標の達成に向けては、大規模な園芸法人による取組に加え、地域の特色を生かした園芸産地づくりが必要であることから、圏域ごとに計画を作成し、家族経営農家を含めた多様な担い手による園芸振興に取り組んでいるところです。例えば、登米圏域では、キュウリの若手農家を対象に、単収を高める新たな技術の導入や施設の整備を支援しています。また、栗原地域では、ズッキーニ農家を対象に、生分解性マルチや立体栽培の導入を支援することで軽労化を図り、産地の拡大につなげています。県といたしましては、経営規模の大小にかかわらず、地域農業を支える多様な人材の確保・育成を行いながら、地域の特色を生かした園芸産地づくりを進めてまいります。 次に、酪農経営に対する支援継続についての御質問にお答えいたします。 配合飼料をはじめとする生産資材価格高騰等の影響により、畜産経営は非常に厳しい状況となっております。特に、酪農経営は、光熱動力費の負担が大きいことに加え、牛乳、乳製品の消費も低迷していることから、一層深刻な状況にあると認識しております。このため、県では、更なる支援が必要と考え、国に対し、酪農緊急対策のより一層の支援強化について要望を行ったほか、本定例会において、昨年度実施した経費支援に係る予算の増額を提案しております。県といたしましては、酪農家の経営状況を的確に把握しながら、必要な支援策を講じるよう努めるほか、宮城県牛乳普及協会と連携し、積極的な情報発信を行うなど、牛乳、乳製品の消費拡大につながるよう取り組んでまいります。 次に、エネルギー価格高騰対策をはじめ、省エネルギー化や大規模圃場化等の取組についての御質問にお答えいたします。 エネルギー価格の高騰は、用排水機場など多くの農業水利施設を管理する土地改良区の運営に大きな影響を及ぼしていると認識しております。このため、県では、昨年度、エネルギー価格高騰対策として、土地改良区の電気料金等の掛かり増し経費の一部を補助したほか、農業水利施設の省エネルギー化については、土地改良区が実施する省エネ機器等への更新整備や電気料金の節減対策を支援したところです。今年度についても、エネルギー価格の高騰が続いており、本定例会において価格高騰対策に係る予算を提案しております。また、大規模圃場化等については、第三期みやぎ農業農村整備基本計画に基づき、二ヘクタールを標準とした大区画化など、基盤整備を計画的に推進することとしております。県といたしましては、土地改良区の運営基盤が強化され、農家の負担軽減が図られるよう、今後とも、必要な取組を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱六点目、道路・河川についての御質問のうち、長沼川及び南沢川の河川改修事業の進捗状況と今後の事業計画についてのお尋ねにお答えいたします。 長沼川については、佐沼市街地の浸水被害を解消するため、現在、迫川への放水路整備や排水機場の建築工事を実施しております。しかしながら、令和四年三月に発生した福島県沖地震に伴う護岸の手戻り工事が必要となったことや、来月に契約を予定している排水機場の機械設備工事において、半導体不足による資材調達の遅延が見込まれ、今年度の完成は厳しい状況であり、現在、今後実施する工事工程を精査しているところです。南沢川については、津山町横山地区の浸水被害を解消するため、石貝川合流部より上流区間三・一キロメートルを整備することとし、現在、令和六年度の完成を目指し、国道四十五号下流部の整備を集中的に進めております。また、国道四十五号南沢橋を含む上流部においては、地元からの御意見を踏まえ、南沢川と並行する県道北上津山線を含めた計画ルートの見直しを行い、今年度から詳細設計や用地測量等を実施する予定としております。県といたしましては、今後のスケジュールを含めた事業計画について、住民の皆様に丁寧に説明しながら、一日も早い完成に向け、しっかりと取り組んでまいります。 次に、蕪栗沼や流域河川の堆積土砂撤去や支障木伐採と今後の河川整備計画についての御質問にお答えいたします。 蕪栗沼を含む旧迫川流域については、河川改修はおおむね完成し、現在は、河川維持管理計画に基づき、河川の流下断面の確保等に努めており、今年度は、小山田川、瀬峰川等において堆積土砂撤去や支障木伐採を進めております。また、小山田川の下流部に位置し、ラムサール条約湿地に指定されている蕪栗沼においては、堆積土砂の影響により、遊水機能が低下していると地元から御意見があったことから、県では、現在、測量調査を実施しており、その結果を踏まえ、堆積土砂撤去が必要かどうか確認することとしております。県といたしましては、引き続き、定期的に河川の状況を把握するとともに、環境にも十分配慮しながら、適切な維持管理に努めてまいります。 次に、県道東和薄衣線の復旧状況と今後の整備計画についての御質問にお答えいたします。 県道東和薄衣線は、登米市と岩手県一関市を結び、地域住民の日常生活を支える重要な路線でありますが、昨年七月の記録的な大雨により、道路の欠壊やのり面崩落などの甚大な被害が発生し、全面通行止めを余儀なくされたところです。現在、片側交互通行となっている当該区間は、幅員も狭く、異常降雨時には落石や土砂崩壊などの恐れがあるため、事前通行規制区間としており、安全で円滑な通行の確保が課題となっていることから、今回の災害復旧事業と併せて、国土強靱化予算等を積極的に活用しながら、道路拡幅やのり面対策を一体的に整備することとしております。工事の実施に当たっては、車両を全面通行止めにする必要があるため、迂回路となる市道の舗装補修や待避所設置を今年三月末までに完了したほか、今月二十七日には住民説明会を開催し、来月から本格的な工事に着手する予定としております。県といたしましては、引き続き、登米市と緊密に連携しながら、早期整備に向けてしっかりと取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。    〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱四点目、学校教育についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、学校では様々な制限を余儀なくされ、特に、運動不足や他者とのコミュニケーション不足などによる心身の健康への影響が心配されるところです。こうした状況を踏まえ、今年度、体力・運動能力向上センターを設置し、専門的知見を有するコーディネーターが県内全ての小中学校を訪問するなど、各校の体力向上対策の強化に取り組んでおります。また、長期にわたるマスク着用や給食時の黙食などにより、友人との交流が十分に図れなかったことを踏まえ、授業でのグループ学習や、異学年と関わる場を意図的に設定するなど、これまで以上に人間関係づくりに取り組み、コミュニケーション能力の育成に努めております。学校給食は、子供たちの心身の健康を保つため、栄養バランスの取れた食事を提供するとともに、給食の時間を活用し、望ましい食習慣を身につけ、地域の伝統的な食文化への理解を深めるなど、食育の機会としても活用しているところです。県教育委員会といたしましては、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しながら、児童生徒一人一人の心身の健康を向上させるよう、しっかりと取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩-----------------------------------    午後一時再開 ○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十四番佐藤仁一君。    〔十四番 佐藤仁一君登壇〕 ◆十四番(佐藤仁一君) まずもって、村井知事並びに菊地議長をはじめとして、県議会の有志の方々が、六月議会を前にした大変お忙しい時期に、宮城県を祖国とし、新たな新天地としてブラジルに先人が出かけ、世代を超えて今日、日本の国際理解と国際平和に、ブラジル国において献身的な努力を行っている県人会の方々に敬意を払っていただきましたこと、県民の一人として大変感謝の念でいっぱいであります。村井知事、菊地議長並びに同僚議員の皆様方に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。 さて、議長のお許しを得ましたので、三点通告いたしております。一つ、よろしく、執行部の方々お願い申し上げます。 第一点でありますけれども、異次元の子ども関連施策との連動性について伺うものであります。 少子高齢化が喫緊の課題としている我が国において、今後いかに出生数を伸ばしていくかと同時に、子供に対して、妊娠中から成人に成長するまでの間、切れ目なく安心できる成長環境を整備することが大切であると考えております。これまで、各法律や所管官庁などの縦割り構造を原因として効果的に提供できなかった一連の支援などを、こども家庭庁を中心として分野横断的に連携し、効果的な行政的成果が求められます。また、政策の実効性を担保するために、同庁における十分な人材や予算の確保が必要であり、そして権限の明確化が重ねて求められるものであります。更に、具体的な計画を策定するのは都道府県であり、その実施は市町村となっていることが多いこともあり、各自治体による実施施策に差が出やすい構造となっているのも心配の点であります。 宮城県議会では、本年三月、こども子育て支援の拡充を求める意見書を全会一致で可決し、衆・参議院の議長をはじめ、政府関係大臣に提出いたしました。宮城県当局は、これまで、子育て家庭への経済的支援や教育・保育の受皿確保の取組を官民一体となって、きめ細かな支援、指導が多岐にわたる行政領域や教育育成現場、民間機関等々により進められており、関係機関をはじめ、県民お一人お一人に心から感謝を申し上げる次第であります。 みやぎ子ども・子育て幸福計画の中間見直し、国ではこども家庭庁をスタートしたこの時期に、宮城県内には、不登校児童生徒の問題や、いじめ、虐待、青少年期の自殺など、多くの課題を抱えているのも現実であります。私は村井知事に、異次元な子ども関連政策と連動性を持った、充実感のある家族愛・社会愛に満ちた宮城県の子育て保健総合政策の確立を期待するものであります。 その第一番目として、学校健診に、こころの健康の評価システムの導入を行ってはどうかということであります。子供の健康に関連して、政策の評価指標として用いられているものは、現状では主に乳幼児の死亡率、学校教育機関における学校健診など、身体的な指標が中心であり、男性優位的な健診項目内容と感じられてなりません。児童生徒の学校健康診断の歴史は、一八八八年に実施された「活力検査」が始まりと伺っております。一九四四年の学校身体検査規程が、現在の健康診断の基礎となっております。また、教師、学校事務職員をはじめとする社会の職場健康診断も、一九四二年の改正工場法施行規則に基づくもので、戦時下の産業戦士の健康維持と、徴兵時の強健な兵士育成を目的に始まったとも伺っております。私は、より幅広い身体的・心理的・社会的、すなわち、バイオサイコソーシャルなバランスある視点での評価システムを導入すべき今日であると考えております。 我が国の乳幼児健診は非常に充実しており、一か月健診、三、四か月健診、六、七か月の健診、九、十か月の健診の四回に、更に一歳児健診、一部有料もありますけれども、この健診がしっかりと市町村の保健支援体制と密接な連動性を持っており、世界からこれは評価されているシステムの一つであります。二〇二一年度の全世界百九十四か国新生児死亡者数を調べてみると、第一位がインドで四十四万千八百一人、日本は百六位で六百六十七人であります。千人当たりの令和三年の乳児死亡率は一・七人、千人に対して一・七人、更に、新生児死亡率は〇・八人であります。新生児死亡者数の世界平均値は一万二千二百一人であります。子供の身体・心理・社会的別健康状況について、経済協力開発機構、すなわちOECDの加盟国三十八か国中、日本は身体的な健康面では一位であります。しかしながら一方、心理的な健康は三十七位と言われ、要は三十八か国中、下から二番目であります。その後の学童期から思春期における子供の成長に心の健康に関するバイオサイコソーシャルな指標が不足していると指摘されており、拡充が関係機関から期待されております。 成長期における健診内容の充実を図るため、公的支出支援が私は大切だと思い、その現状等をデータの中で調べてみました。その点については後ほどお披瀝しますが、このような現状の中で、宮城県においては、いじめをめぐる社会問題、不登校児童生徒の増加傾向、児童虐待相談件数の増加、更に、神経発達症児童の急増、ヤングケアラーへの支援体制などの現実的な課題が寄せられ、心配されるのは、このような事象から、自殺行為、家族離散などへと広がることであります。特に、若い世代の、学童期・青少年期・青年期の自殺者に影響を及ぼしていないだろうかと心配しております。パネルを掲示させていただきます。(パネルを示す)二〇一七年のデータを基にしながら、今日まで置いてみましたが、二〇一七年が第一位に自殺が来ました。そのような形で、第一位が十歳から十四歳までの方が、自殺が百人で第一位。更に第二位は悪性新生物、がん系統であります。第三位が不慮の事故ということになり、これがそのまま我が国では、十歳から三十九歳までの死因の第一位が自殺ということになっております。大切に育まれた若者が、自殺によって自らの成長を止めてしまうことに懸念を覚えるものであります。現在もその傾向は続いており、改善が強く求められます。親の愛情の下に恵まれ、命を授かり誕生して、青雲の志を持って成長している世代を失うことは、家族の損失はもちろんのこと、社会・国家の損失であります。学校教育機関での身体的健診は充実しているが、心理的・社会性な健診が図られず、より一層の学校健診の充実を求めるものであります。 二〇二〇年全国の都道府県の中で自殺者の多いランキング数では、宮城県の自殺者は四百十一人で十三位であります。多い県に数えられています。更に、文部科学省が公表した二〇一九年度児童生徒問題行動・不登校調査でも、宮城の千人当たりの不登校児童生徒数は、四年連続で全国最多となっております。このような事象を改善するためにも、生徒・職員の健康の保持・増進を図るために、子供の健康に大きな影響を及ぼす社会的要因や、学校における実践的なメンタルヘルス教育の導入と、多職種連携による支援に向けて、ぜひ、宮城県の教育機関で心の健康健診項目を導入し、成長期における保健施策を確立していく意欲を持ってほしいのであります。知事及び教育長の所見を伺います。 第二に、学校給食の無償化への実現であります。 学校給食法は、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち、政令で定めるものは、義務教育諸学校の設置者の負担とすることとし、それ以外の学校給食に要する経費、すなわち学校給食費は、学校給食を受ける児童または生徒の学校教育法第十六条に規定する保護者の負担とすることとなっています。学校給食費の負担の軽減については、文部科学省は、義務教育諸学校の設置者の判断により、学校給食を受ける児童または生徒の保護者負担の軽減を図ることは可能であるとの見解を示しております。家庭における学校給食費の負担額は、令和五年一月に取りまとめられた調査によりますと、全国平均で小学校は年額四万九千二百四十七円、中学校では五万六千三百三十一円となっております。全国の自治体の学校給食費無償化の実施状況については、平成三十年七月に取りまとめられた、平成二十九年度の学校給食費の無償化等の実施状況によると、全国千七百四十自治体のうち、七十六自治体が小・中学校とも学校給食の無償化を実施しており、四百三十自治体が学校給食の一部無償化、一部補助を実施しているという結果が明らかになって以来、年々増える傾向に今日あります。宮城県内の市町村では、令和五年度に一般財源を活用して小中学校とも無償化している市町村は、十市町村です。一部無償化している市町は、四市町であります。一部補助している町は、五町であります。このような動きは、学校給食を受ける児童または生徒の保護者や地域の要請に応じて、学校給食無償化を実現、また、実施している市町村がある一方で、人件費や高騰する材料費等を理由に、財政負担が増えることを懸念する市町村においては、学校給食無償化が実施されていないという現実が明らかになっております。子供の健やかな生育のためには、市町村間格差を前提とせず、誰も取りこぼされないという理念で、貧困等家庭の経済的問題、親の障害等による養育環境の問題、子供の社会的・心理的発達に関する問題など、子供自身に関する事象のみならず、社会に存在する複合的な課題に対処する必要があるのではないでしょうか。更に、平成十七年の食育基本法の制定が学校給食法の改正につながり、食育推進のための学校給食が学校教育の重要な柱となってまいりました。事業の安定継続のためには、安定した財源措置が必要であります。 各国の子供のための施策に対する公的支出状況に視点を向けると、二〇一八年の経済協力開発機構OECDの調査によりますと、OECDの平均は二・三%であります。これに対して、我が国の子供のための施策に対する公的支出は、GDPの一・八%であります。三十五か国中、下から七番目であります。フランスは三・六%、スウェーデンは三・四%、イギリスは三・二%、ドイツは三・二%となっております。日本がいかに少ないかということ、平均値を下回っているということ、この辺あたり、やはり今後の異次元の子供支援施策の中にしっかりとカウントしなければならないと思います。 更に、もう一つショッキングなデータがありました。我が国の独り親世帯の貧困率であります。世界で最も高いのであります。パネルを掲示いたします。(パネルを示す)成熟した日本で、独り親世帯の貧困率が五七%近く、このような状況に先進国と言われる日本があるということ。先ほど申し上げた公的な支出の低さ、更に独り親の貧困率のデータ等々を見ると、今後、日本として、日本の子供たち、将来を託す当主として、しっかりとした財政的な支援措置が必要であるということが、私は、大人の世界として、責任世代としてしっかりと考えていかなければならないと思っております。これらのデータからしても、異次元な子供政策をうたい、こども家庭庁を創設したこの時期に、就業、婚姻、世代持続の子育てが両立できる地域環境に向けて、学校給食の無償化や医療的ケア児・小児の在宅ケアの標準化に向けて、村井知事は、全国均てん的な、要は平等に恩恵が、利益が受けられるような、宮城県の県民生活を確立していただきたいのであります。 異次元な子育て政策の財源確保には、公的支出を、何にどういう支援が望ましいのかなどの課題に向けて、発達段階に応じて、子供の声や成長支援現場の声などをしっかりと聞く。全国知事会を中心として、各自治体同士が相互に意見交換できる相互参照機会の拡充を図るべきだと考えております。ぜひ知事には全国知事会で、この点を強く提言していただきたいと思っております。 日本国民がひとしく義務教育を享受できる子供成長期は、日本国憲法に照らしても、どこに居住していようとも、脆弱な市町村の財政事情に左右されたり、また義務教育期間の児童生徒の学校給食が、全ての子供たちに行き渡るように、そして心身ともに健全な成長の社会基盤として、学校給食法の望ましい改正等を、全国知事会や教育関係の会議で検討していただくことを期待しているものであります。知事及び教育長の所信を伺います。 第二に、宮城県広域防災拠点関連と、東北圏広域地方計画における防災計画との関係であります。 宮城県では、仙台市宮城野原にあるJR貨物の駅を別の場所に移転させながら、宮城野原公園を拡張して、広域防災拠点を整備する計画で進行中であります。この問題については、さきの議員の方々も触れております。やはり、十二年も遅れるという説明に、延期はこれで三回目ということも重なり、県民の皆さんは、延伸を繰り返すことに大変不安に思っているところでございます。このような観点から、頻繁化する地震、大雨災害など、自然災害に見舞われている観点から、必要性、機能性は県民ひとしく理解しているところでありますが、非常事態の発生時の立地場所の環境想定や、大規模な移転作業や高額の移転補償費が発生するなど、その場所に決定したプロセスというものに不安を感じているのが今日であります。そのような観点から、ぜひ、県として、平成二十六年二月の構想の中にあるように、長期総合計画である宮城の将来ビジョンと宮城県震災復興計画の中期実施計画等々と、しっかりとその姿勢をうたってあります。積極的に取り組むという、この点について、知事の考えを伺うものであります。 更に、延伸に伴う事業費の増額について、財政規律上伺うが、今日の生産資材などの高騰の影響を踏まえると、総事業費の見通しに不安はないのか。そして、総事業費をどのように見通しているのか、お伺いをいたします。 一方、第三百七十五回定例会でも取り上げましたが、国による東北圏広域地方計画における広域防災拠点整備構想の政府への重点項目として、要請は繰り返しておりますけれども、一向にその進展が報告もなければ、目に見えておりません。その候補地に上げられた大崎市との連携等は、どのような説明を行っているのか。知事の答弁を求めるものであります。 次に、第三、東日本交通網の縦軸と横軸がクロスするエリアに存在する県立化女沼公園の整備についてであります。 東日本における地域振興上、交通基盤の縦軸の大動脈、国道四号や東北縦貫道の果たす役割の大きさと、太平洋と日本海を結ぶ最短の横軸交流基盤としての国道四十七号、国道百八号を有する宮城県と山形県のポテンシャルは非常に高いものがあります。中でもこれらの交通基盤のクロスする宮城県の振興策・活用策は、東北の大きな発信力に結びつくと考えております。そのような観点から、仙台・石巻をはじめとする県内の重要な港湾、仙台空港の社会基盤は、国際経済と直結する社会資本であります。これらの社会資本を生かす努力は見受けられるが、まだまだ力強さが足りません。国際社会の民間情報との結びつきの弱さを感じてならないのであります。このような観点から、沿岸部の振興・発信力を図る上で見逃してならないのが、結節点となる背後地の存在であり、その一つのエリアに、大崎耕土、栗原・登米耕土が存在しております。知事をはじめ皆さんのおかげで、仮称栗原インターの整備により、みやぎ県北高速幹線道路が東北縦貫道と接続いたします。いよいよこれからがこのエリアの更なる県北部の振興のスタートの感があります。知事の内発力・外発力をどう導いていくのか、その考えをお伺いするものであります。 更に、平成七年四月に公表された化女沼公園基本計画は、面積約百七十二・六ヘクタール、総事業費百二十億円と説明がありました。そのような取組が公表されていながら、今日、二十五年間もストップ状態にあります。いまだに、大崎市との協議だけの答弁しか出てまいりません。この辺について具体的な県当局の今後の方針を求めるものであります。 最後に、東日本交通網の縦軸と横軸がクロスするエリアに存在する大崎・栗原・登米耕土を、私はダイヤモンドクロスシティーと呼び、全国発信を図っております。ぜひとも、縦軸の首都圏の経済圏・社会面、そして北海道の経済圏・社会面、横軸としての太平洋沿岸部の経済圏、そして社会面、日本海沿岸の経済圏・社会面をクロスする県土づくりを期待するものであります。知事の決意をお伺いし、三点の質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 佐藤仁一議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、異次元の子ども関連施策との連動についての御質問のうち、学校給食費無償化についてのお尋ねにお答えいたします。 学校給食は、児童生徒の健全な発達に資するとともに、食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で大切なものと認識しております。学校給食費の保護者負担につきましては、法律で定められているところでありますが、県内においても地域の実情に応じて、給食費を無償化する自治体が増えてきていると認識しております。県といたしましては、居住している地域によって、家庭の負担に差が生じることは望ましくないと考えており、法改正等の必要な措置も含め検討することについて、全国知事会等を通じて国に働きかけてまいります。 次に、大綱二点目、県広域防災拠点関連と東北圏広域地方計画における広域防災拠点整備との連動についての御質問のうち、県が進める広域防災拠点の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、広域防災拠点整備の前提となる、JR貨物仙台貨物ターミナル駅の岩切地区への移転について、平成二十八年六月の移転合意書締結後、JR貨物とともに早期の用地取得に向けた地元説明や、道路管理者、水路管理者等との協議調整を進めてきたほか、造成工事に必要な盛土材を他の公共工事から提供するなど、積極的に支援をしてきたところであります。宮城野原地区に整備する広域防災拠点は、我が県が進める防災体制の構築に極めて重要な施設であると認識していることから、県といたしましては引き続き、関係機関と緊密に連携をしながら、一日も早い完成に向け取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、東日本交通網の縦軸と横軸がクロスするエリアに存在する県立化女沼公園の整備計画についての御質問にお答えいたします。 初めに、仮称栗原インターチェンジの整備による県北振興についてのお尋ねにお答えいたします。 県ではこれまで、内陸部の東北自動車道と沿岸部の三陸自動車道を結び、県北地域の東西連携軸の構築に向けて、地域高規格道路であるみやぎ県北高速幹線道路の整備を進めており、東日本大震災以降は、復興支援道路として整備の加速化を図り、令和三年十二月に現道区間を利用する一部区間を除き、全線で供用を開始しております。また、現在整備を進めている、みやぎ県北高速幹線道路から東北自動車道に直接乗り入れる、仮称栗原インターチェンジが供用することで、我が県沿岸部を含めた県北地域と仙台都市圏をはじめ、東北全体との連携が更に強化され、新たな産業の集積や広域的な観光ルートの形成による交流人口の拡大などが大いに期待されるところであります。県といたしましては、引き続き、当インターチェンジの早期整備を進めるとともに、高規格道路の結節点となるクロスポイントの優位性を最大限に生かしながら、国や周辺市町と連携し、更なる道路ネットワークの強化に努めるなど、県北地域の活性化や持続的な発展に向けて取り組んでまいります。 次に、大崎市における県土づくりの在り方についての御質問にお答えいたします。 大崎市は、南北を結ぶ東北縦貫自動車道、東西を結ぶ国道など物流や人流の結節点に位置し、豊かな自然、世界農業遺産である大崎耕土等、環境資源に恵まれた地域であります。県といたしましては、こうした交通網の縦軸と太平洋と日本海をつなぐ横軸となる交通基盤と、大崎地域が持つ豊かな地域資源を生かしながら、自動車関連産業など、成長が期待される分野の産業集積や、県産品の市場開拓、交流人口の拡大、更には防災ネットワークの構築などに取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、県広域防災拠点関連と東北圏広域地方計画における広域防災拠点整備との連動についての御質問のうち、広域防災拠点の整備完了時期と総事業費についてのお尋ねにお答えいたします。 広域防災拠点整備の前提となる仙台貨物ターミナル駅移転につきましては、鉄道事業者が追加で実施した現地調査や詳細設計を基に、事業内容及び工程を精査した結果、移転完了時期が令和十一年度となる見込みとなったことを、今年三月の予算特別委員会建設企業分科会において御報告させていただいたところです。今回の期間延伸につきましては、詳細設計の成果を基に、鉄道事業者と工種ごとの工程を精査したものであり、今後、自然災害の発生など不測の事態が起きない限り、更なる期間延伸はないものと考えております。また、事業費につきましては、現在、ウクライナ情勢等の影響に伴う、鋼材をはじめとする資材価格の変動状況などを精査しているところですが、岩切地区への駅移転補償費や、宮城野原地区の広域防災拠点の施設整備費は増額せざるを得ないものと考えております。県といたしましては、駅移転補償費も含めた全体事業費が確定次第、皆様に御説明してまいります。 次に、国による広域防災拠点整備構想に関する国や大崎市との連携状況についての御質問にお答えいたします。 東北地方における国土づくりの方向性を示した東北圏広域地方計画では、「複数県にまたがるような広域災害発生時において、国の現地災害対策本部など、政府の危機管理機能の速やかな設置が可能となるよう、東北圏を対象とする中核的な広域防災拠点の調査・検討を進める。」と示されております。県ではこれまでも、東日本大震災の教訓を踏まえ、その必要性を認識し、我が県への整備について継続して国に要望したところであり、今年三月には、国が策定を進めている新たな東北圏広域地方計画に位置づけられるよう要請しております。県といたしましては、広域的な大規模災害に備えるため、次期計画に、東北圏を対象とする中核的な広域防災拠点の整備と、大崎市三本木地区が候補地として位置づけられるよう、大崎市と連携しながら、引き続き国に働きかけてまいります。 次に、大綱三点目、東日本交通網の縦軸と横軸がクロスするエリアに存在する県立化女沼公園の整備計画についての御質問のうち、化女沼公園の整備計画の現在の取組状況と今後の方針についてのお尋ねにお答えいたします。 化女沼公園については、化女沼ダムの整備や化女沼古代の里の開設を踏まえ、良好な自然環境や歴史的資産を生かした広域公園として、平成七年度に都市計画決定しておりますが、化女沼が平成二十年にラムサール条約湿地となり、自然環境を保全していく機運が高まったことや、財政的な事情などから、現在まで事業化には至っておりません。その後、県では、区域北側のピクニックエリアなどを含む約三十ヘクタールを優先的に整備するエリアとし、令和三年三月に策定した宮城県土木・建築行政推進計画アクションプランにおいて、令和七年度以降に実施する事業に位置づけております。現在、役割分担などを含めた今後の公園整備の在り方について、大崎市と継続的に意見交換を行っているところであり、その中で、自然との触れ合いの場やサイクリングロードの整備など、様々な御意見を頂いております。県といたしましては、地元のみならず、より多くの方々が公園を利用できるよう、引き続き、大崎市や地域で活動する様々な団体の皆様の御意見を伺いながら、化女沼公園の整備方針について検討を進めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。    〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、異次元の子ども関連施策との連動についての御質問のうち、学校健診に、こころの健康の評価項目を導入することについてのお尋ねにお答えいたします。 定期健康診断は、学校保健安全法で一年に一度、全学年で行うことと定められておりますが、児童生徒の心の健康問題については、近年、複雑化かつ多様化していることから、日常の健康観察において細やかに把握することが重要であると考えております。県教育委員会では、学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置・派遣するなど、多職種連携による教育相談体制を整備するとともに、教職員が児童生徒等のメンタルサインを見逃さないように、継続的に個人面談やアンケート調査を実施するなど、学校教育活動の様々な場面で、心の健康問題の把握に努めているところです。学校健診に、こころの健康の評価項目を導入することについては、児童生徒への配慮や保護者の理解のほか、年齢や発達段階に応じた項目や手段の設定など、慎重に検討する必要があると考えており、県教育委員会といたしましては、引き続き関係機関や保護者と連携し、児童生徒等の心のSOSの早期発見と適切な支援に努めてまいります。 次に、学校給食費無償化についての御質問にお答えいたします。 学校給食法では、給食に係る経費のうち、食材料費等は、児童生徒の保護者が負担することとなっている一方で、近年、地域の実情に応じて、子育て支援や定住促進、更には、昨今の物価高騰対策に対する負担軽減などの観点から、給食費を無償化する自治体が増えてきていると認識しております。国は、経済財政運営と改革の基本方針二〇二三において、少子化対策・子供政策の抜本強化に向け、学校給食無償化の課題整理等を行うと表明したところです。県教育委員会といたしましては、学校給食費の無償化についての国の動向を注視していくとともに、居住している地域によって、家庭の負担に差が生じることのないよう、法改正等の必要な措置を含め検討することについて、国に働きかけてまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 十四番佐藤仁一君。 ◆十四番(佐藤仁一君) ありがとうございました。教育長に再質問いたします。学校健康診断で、内科的な健診の検証を行っていますか。この点、まずもってお答えください。 ○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 学校の健診項目につきましては、学校安全教育法などに標準的な項目が示されておりまして、それにのっとってやっているところでございます。項目自体についての評価ということを特に行っているわけではございませんけれども、学校それぞれ実情に応じまして、心の健康など、把握したい項目につきましては、例えばアンケート形式を取るとか、様々な方法で子供の状況を把握しているところでございます。 ○副議長(池田憲彦君) 十四番佐藤仁一君。 ◆十四番(佐藤仁一君) 知事、今教育長が答弁--何を言っているか分からないような答弁だったのですが、要は、検証するシステムがないんです。ましてや今、心の健診関係は行われていない。そしたらやはり、心の問題も定期的にチェックするシステムが必要だろうというのが私の提案であります。その辺り、教育委員の人たち--ただ単に項目がこのように決まっている。項目はさっき言った歴史的な経過があります。身体検査なんです。健診じゃないんです。それを検証しなければ、この辺再度、教育長に求めます。 ○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 ◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 学校健診の話をさせていただきましたけれども、心の健康の問題についてでございます。その点につきましては、議員御提案の趣旨については共有させていただいていると思っておりますけれども、例えばですが、教育委員会におきましては、教育相談に関するアンケートの中にストレスチェックの項目を盛り込んだりしながら、児童生徒の心の変化に気づくきっかけをつくりながら、面談、保護者との対話、専門家の協力も頂きながら取り組んでいるということでございます。その結果につきましては、学校内でも共有させていただいて分析をさせていただいているところでございます。例えば、心の相談に関するアンケートというのは、年間何度か繰り返し行うことで、きめ細かに子供の状況を把握しているということでございまして、その結果を関係者で共有しながら分析をしているということでございます。 ○副議長(池田憲彦君) 十四番佐藤仁一君。 ◆十四番(佐藤仁一君) ぜひ教育委員会で、これでいいんだではなくて、自殺者が、あのような形で、若い世代の方々の中に発生している。学校の定期健診の中でそのようなものをしっかりと検証して、心身ともに健全な成長を図っていただく、学校の役割もしっかり見定めていただきたいと思います。 土木部のほうに参ります。縦軸・横軸の東日本における整備率、現在どのくらいになっておりますか。 ○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。 ◎土木部長(千葉衛君) 高規格幹線道路で言いますと、三陸道が今回全線開通いたしました。また、みやぎ県北幹線道路も開通しました。そういった意味では、高規格幹線道路でいきますと、整備率は一〇〇%ということになってございます。ただ一方で、地域高規格道路で、まだ候補路線のままであったりとかしている部分もありますので、引き続き震災の教訓を踏まえまして、横軸の強化を更に推し進めたいというふうに考えてございます。 ○副議長(池田憲彦君) 十四番佐藤仁一君。 ◆十四番(佐藤仁一君) 私からすると百点の答弁。千葉部長、初めて聞きました。全くそのとおりでございます。平成三十年からこの六、七年で、佐藤管理者、部長時代、そして千葉部長とつないで、今言ったような九三%から一〇〇%に上がってきたと。横軸はおっしゃるとおりの未熟な状況です。ありがとうございます。今後とも、ぜひ推進してください。 それで、東北圏地方計画の中核防災施設と、県の防災計画で、私は機能分担できるところはやって、今回延伸になっている宮城県の防災計画の財政負担をある程度抑えていくべきではないかと考えるけれども、知事、この連携を推進していただきたいと思います。考えを伺います。 ○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。 ◎土木部長(千葉衛君) 議員御指摘のとおり、我が県が進める広域防災拠点と、国が今構想として出している中核的な施設、これの連動性は非常に大事だと思っています。近年頻発化・激甚化している自然災害に対して、どういう対応をしていくかと、そういう面では、やはり国が整備を検討している施設と県が進めている施設を有機的に連動していかないと、広域災害には対応していけないと思いますので、引き続き、国の検討状況を見据えながら、我々もしっかりと考えてまいりたいと思います。 ○副議長(池田憲彦君) 十四番佐藤仁一君。 ◆十四番(佐藤仁一君) ぜひ、その推進を図っていただくことを願って、終わりといたします。ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 五十四番本木忠一君。    〔五十四番 本木忠一君登壇〕 ◆五十四番(本木忠一君) 議長のお許しをいただき、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 地方の実態は、少子高齢化伴う人口減少、更に追い打ちをかけるという大震災、コロナ禍が大きな影を落とす状況にあって、大規模・集中・グローバル文明の末端拠点として生きながらえてきた地方都市は、大規模店舗、つまりは全国チェーン店進出によって、域内の循環の崩壊、IT化を背景にした支店経済の崩壊が同時に進む中、地域経済はまさに空洞化の一途をたどり、人口減少は加速化していることは周知の事実であり、このことを踏まえつつ、地方における市町村の人口動向と今後の地方戦略、超高齢社会における自治体の規模について見解を問うものでありますが、その前に、夏から秋にかけて、仙台市議選、県議選と震災以降四回目の被災地選挙を迎えるに当たって、いわゆる被災地選挙の過去・現在を自らの感想を交え、振り返りつつ論を進めたいと思います。 震災直後の延期となって施行された県議選では、とりわけ沿岸部においては避難所・仮設住宅を巡るゆえに、被災者に気遣いながらの、時間的にも物理的にも自粛ムード余儀ない静かな選挙戦だったことが昨日のことのように思い出されます。特に、初動の復旧・復興の遅れに対する批判が現職に集中、更には原子力災害による政治への信頼低下、伴って、えてして男性中心の選挙が機能せず、お父さんが応援する候補に投票するといった習慣が捨て去られ、多くの女性が、子供たちのためになる候補を選ぶに変容、輪をかけて大量の物資を調達し支援する共産党の被災地貢献は目を見張るものがあり、別の意味からも、耳より口の時代錯誤的事前運動が功を奏し、共産党躍進につながった要因の一つではなかったかとさえ思われます。 二回目の平成二十七年選挙の特徴は、はや震災の風化が見られ、教育・子育て、防災・安全・安心に言及する候補者はあまたいたけれども、その内容は異なり、震災後は、子供たちの放射能対策から、従来の少子高齢化の文脈で子育てが語られ始めるなど、そのことは、時間が経過する過程の中で、被災者意識が減少し、生活再建を果たした者は被災者を卒業し、すなわち候補者もまた復興に対する言及は減り続け、こうした変化は被災地の分断さえ誘引し、被災者に手厚過ぎる支援はやっかみを生み、住民間の対立さえ招来するといった、風化と分断がかいま見えた選挙戦でもありました。その状況にあっても、我らが村井知事は、創造的復興を掲げ、医学部の新設、仙台空港民営化を成し遂げるなど、被災者にも非被災者にも恩恵ある政策、住民間の亀裂が深まることのない、それはベクトル合わせを試み、史上最多の得票で再選を果たしたのは、村井知事の離れ業と言うべきでしょうか。 前回の令和元年選挙は、都市と地方の格差是正を飛び越え、地方自治体の存続の危機そのものを意識しつつ、多くの、特に沿岸部の候補者は、復興完結をスローガンに掲げて選挙戦に臨みながらも、復興期間中、被災自治体は復興推進のために、国からの全面支援を受け、身の丈以上の予算を使用してきた反動は想像以上のものであり、復興過程で肥大化した行政組織の再編縮小も含め、ポスト復興の議論の中で、もはやいい人ではいられない、難しい決断を迫られる、言わば覚悟を示す戦いでもありました。震災以前、地方分権を声高に唱え平成の大合併を推進した議員の一人として、大震災によって明らかとなった市町村合併の弊害に直面するとは、予想だにせぬことでもありました。例えば、旧雄勝町では合併後、支所が設置されたものの、おのずと職員数が減少し、また、地域をよく知る職員がほとんどいなく、震災直後は本庁との連絡さえ取れぬ状況を呈し、もとより、首長も存在せず、議員の数もごく少数にとどまり、行政対応力、ひいては政治的発言力が著しく低下、素早く対応すれば的確に手当てできたことも、時機を失してしまえばまさしく手後れとなり、そのことは、支所には決定権などあり得るはずもなく、独自の復興方針など及びもつかず、市全体での復興計画で対応せざるを得ず、よって旧雄勝町の復興計画の策定に当たって、住民の合意形成の取組はほとんど行わなかったために、住民の八割が町外へ転出することとなり、もし仮に、合併していなければ住民の意思を踏まえた復興計画に相違ないと後の祭り感を残し、改めて合併の行く先は、周辺部に位置する地域の更なる衰退と地域力の低下であり、合併地域が、合併が原因で一層の人口減少に陥る現実を見せつけられた、防潮堤のみ堅牢なる雄勝の浜々での遊説でありました。その点において、村井知事に至っては、四病院の再編を打ち出し、広域防災拠点整備においても事業費が増大することなど全く気にせず、将来を見据えての立ち位置を変えることなく、まさしく、いい人ではいられないとばかりに満身に批判を浴びながらも、決断と実行、政治家村井嘉浩の面目躍如たる場面に文句を言いつつ、その魅力に引き込まれていくのは不思議としか申しようがありません。 そして、今現在においてまさしく少子高齢化伴う人口減少社会において、地方衰退、更には地方消滅の危機に瀕する地方の再生を、仙台一極集中の是正と併せいかに図るか、復興後の厳しい財政状況の中で、もしも財源確保が難しいとなれば、復興破綻、よって復興合併もまた選択肢に入ってくる最悪のシナリオをいかに回避するかなど、国難とも言うべき少子化対策を真っ向から本音で時間との闘いの中で取り組んでいかねばならんという点で、地方創生政策の功罪も含め問われ、人口減少時代における地方の人口問題こそ争点・論点になることは必定と言わざるを得ないのであります。宮城県内の全市町村において、東日本大震災の影響を受けない時期である二〇〇〇年、二〇〇五年、二〇一〇年の国勢調査人口を比較する中で、合併前の人口増減率と合併後の人口増減率を比較検討すれば、中心の旧市町村と被合併市町村が同様の傾向を示しているのに対して、周辺地の旧市町村は合併後に顕著に人口減少率が高まっていることを如実に示されたゆえに、小規模市町村の深刻さを強調する前に、合併で吸収された地域の人口動態こそ分析すべきであり、まずもって大きな弊害をもたらしたという視点での平成大合併の検証、今となって見える光と影、地方自治は、まさしく行政の効率性や財政の視点のみで論じてはならないとさえ思料するものでありますが、見解を問うものであります。 私は以前にも、従来の大規模・集中・グローバル路線とは異なる小規模・分散・ローカルからの循環型社会を再構築することが肝要と申し上げ、よって大都市への過度の集中は、大規模災害や感染症発生の際のリスクを伴うゆえに、過疎地域や農村地域を低密度空間社会として国土の中に位置づけるという、新過疎法に示された政策構想であるとするならば、ありていに言えば、政治・行政において大きな地方単位は現実的ではなく、あまりに住民から遠過ぎるのではないか。よって、経済では国境や県境を越えて連携するも、行政単位は小さくし、地域振興や災害対策はその方向を目指すべきではないか。ゆえに、住民と市町村の物理的・心理的距離の近い小規模な基礎自治体が住民ニーズを的確に把握し反映し得る、まさしく人口減少・超高齢社会では、自治体の規模を大きくするのではなく、小さくすることにこそ求められていると考察しますが、所見を頂きたいと存じます。 全国的に少子化が進む中、二〇二〇年国勢調査において、四歳以下の赤ちゃん増加率ランキングによれば、上位を占めたのはほとんど離島や山間部の小規模市町村であり、一位は島根県知夫村、二位は新潟県粟島浦村、三位は奈良県黒滝村、四位は愛知県豊根村、五位は熊本県五木村。これらは全て消滅可能性市町村とされた自治体であり、中央からの借り物の豊かさに頼らない暮らしやなりわいを新たにつくり出しているところに若い世代が集まり始めている証左とも言えるのではないでしょうか。とすれば、全国の市町村において今後三十年間で三〇%から五〇%の人口減少予測が出ている中にあって、先進国で唯一相変わらず東京一極集中が続き、地方が著しい人口減少に直面している我が国は、いまだ幸いにして多くの農山漁村を抱え、再生可能な資源やエネルギーの宝庫ゆえに、循環型社会に向かう時代、その持続可能性を示すという点での新国土構想は必須と思われますが、我が県においても、県土の均衡ある発展という原点に立ち返り、仙台の一極集中の是正も含め、地域戦略の再構築は必定と思われますが、いかがでしょうか。 次に、社会資本整備についてでありますが、その一、石巻新庄道路は平成十年、候補路線に指定以来、一歩たりとも前に進むことなく今日を迎えています。まして県下第二・第三の石巻・大崎の拠点都市を結ぶ重要路線であるにもかかわらず、仙台西道路・仙台東部道路・仙台南部道路等々の後塵を拝するありさまであり、政治力のなさを露呈するばかりか、災害対応も含め、富県宮城を支える広域的な交通ネットワークの基幹道路としての認識も含め、村井知事在任中には必ず目鼻をつけるといった決意と覚悟を持って臨むことを求めるものでありますが、国への働きかけ、現状における感触はいかがでしょうか。また、平成四年供用の涌谷バイパス、平成十三年供用の小牛田バイパス、そしてようやく石巻河南道路が直轄事業として新規事業化され、今年度は設計及び用地調査を実施予定とのこと。供用開始時期の見通しをお示しください。 その二、国道三百九十八号バイパス沢田工区については、物流・観光等産業面の効果もさることながら、女川原発再稼働を目前に控え、住民の安心・安全を担保する意味からも、直轄事業化を高く評価するものでありますが、渡波流留・女川間の狭隘な生活道路、強いては防災ネットワークという点からも、一日も早い供用開始を熱望するものでありますが、予算規模も含め、今後のスケジュールを教示いただきたいと考えます。 その三、県道釜谷大須雄勝線についてでありますが、特に雄勝湾防潮堤の先端立浜から桑浜・羽坂・熊沢・大須間の狭隘な道路は、相互交通もままならず、山裾を走るつづら折り道路の改修は、冬の雪道ともなると安全性の確保すらままならず、人口激減、震災前の二割ほどの住民しか残らなかったとはいえ、海と共に生きる人々のかけがえのない命の道であります。長年にわたって要望・陳情を繰り返すも実ることなく、震災後もまた捨て置かれた立浜・大須間の県道整備は、雄勝の人々の悲願としか申しようがありません。昨年夏、地元の方々と東部土木事務所の長谷川副所長らと共に現地調査をし、年末には県土木部齋藤道路課長にも現地をつぶさに視察していただき、その時の、何とかしなければならないと、まなじりを決した姿に、住民共々に意を強くした次第でありますが、何とかなるのでしょうか。私は、その時その場面に身を置いた一人として、県土木部の担当課長が直接、年末の多忙にもかかわらず、約百キロも離れた被災地雄勝に二時間余もかけて現地視察に足を運ぶ、その行為自体に、事の成否は別にしても、どれだけ住民は勇気付けられたか。口々に「親子二代にわたって要望してきたが、県の道路課長、こんな偉い人が現場に来てくれるなんて初めてだ」「村井知事はいつも女川止まりで、雄勝には一度も来てくれないけど、知事の代理で来てくれたのだから感謝しなくちゃね」などなど、感謝と敬意に満ちあふれた住民の方々の姿に、冬の寒さと相まってか、身震いすら覚えたものであります。この区間の二車線化も含め、道路改良を早期に着手していただくことを願うものでありますが、見解を問うものであります。 その四、県道石巻雄勝線については、かの大震災において、稲井・真野から雄勝・原の区間が冬の通行止めであったとはいえ、河北ルートが大川小惨事の現場と併せ、間垣地区の堤防が決壊する事態となり、女川ルートの国道三百九十八号も通行不能となって、唯一、雄勝への道として多くの住民・関係者が車であるいは徒歩で地震伴う大津波で変わり果てたふるさと雄勝へ急行した道路でもありました。私は、震災直後より命の道として、あるいは災害時のリダンダンシー的役割を果たす意味においても、冬の通行止め解除を含め道路改良を切望し、県土木部においても巨額の復興予算を投じて、全面通行止めにして十年余りの歳月をかけ復旧・復興工事に専心されたことを可としつつも、震災から十二年、本年三月完工・開通を迎えて、待ちに待った春の訪れとともに勇躍通行させていただきましたが、以前同様、つづら折り道路はそのままに、この間の台風等の災害もあったことは差し引くとしても、山側ののり面はところどころ安全性は確保されておらず、たとえ一・五車線化したとはいえ、直線道路ではないゆえに、高低差のある山あいを抜ける道路でカーブも連なる中、中途半端な道路拡幅に終始し、よって通行速度も制限せざるを得ず、時間的にも整備効果は皆無に等しいと断じざるを得ず、現場に立ち尽くし、まさしくほぞをかむ思いでありました。改めて、誰のために何を目的として復旧・復興工事を実施したのか、少なくとも過疎地にして超高齢化社会の雄勝の方々にとって、救命緊急時の日赤病院への最短・最速ルートとして、まさしく命の道として再生すべき県道ではなかったのではないでしょうか。整備して誰も通らぬ道と化した県道石巻雄勝線の復旧工事について、所見をいただきたいと存じます。 その五、大森川改修工事の件ですが、河北二俣大森地区の山間部を源流とする大森川は、大森集落を縦断し山あいから直線に流れ、特養施設仁風園で右折し、更に裾野で左折し扇状地集落の北側に沿って県道石巻河北線の道なりに方向を取り、二俣小学校前で県道を横断し、水田の中央部から追波川に注ぐ方線の県管理の河川でありますが、震災後においても再三にわたって越水・冠水を繰り返し、その都度、土のう・トンパックの敷設、護岸の整備等々でしのいできたものの、方線上集落内において直角に変化する流れによって、道路・家屋などへの浸水を食い止めるにも限定的となり、平成二十八年当時の東部土木事務所所長の下、研究会を立ち上げ、地元の方々とも鋭意対策協議を重ねながら、昨年、大森地区の農地基盤整備と併せ、河川用地の協力を得ることとなり、事業の進捗を見る運びとなりましたことは、地区内の住民共々に感謝の念を抱きつつも、地域環境整備という点で言えば長年の懸案事項でもありましたので、ようやく感もまた偽らざる心境でありました。農地部分については共同減歩で取得の道筋が整い、集落内の調査も含め、改修計画・スケジュールを明示していただきたく、見解を問うものであります。 河川用地の取得についても個別対応となるものの、宅地・畑地など所有者の高齢化等々それぞれに事由があるゆえに、早晩対応していただくことも含めて、重ねて願うものであります。 最後に、ライフル射撃場整備についてでありますが、申し上げるまでもなく、イノシシとニホンジカは生息数・生息域を急速に拡大させ、農業被害も含め看過できぬ状況となり、宮城県においても管理計画を策定、狩猟・有害鳥獣捕獲等による捕獲頭数、農作物被害の実態把握に努めているところであります。宮城県猟友会においても、積極的に捕獲に協力し、県委託事業も含め、大型獣捕獲に威力を発揮する散弾銃・ライフル銃などの使用機会が増大をしていることなど、その点において、日頃から実射訓練による命中精度の確保等狩猟技術の向上は不可避と言っても過言ではなく、県猟友会の構成員が集中する県央・県南地区会員の利便性・技術向上及び捕獲時の安全確保のためにも、宮城県クレー射撃場にライフル射撃場の併設整備を強く求めているところであります。イノシシ・ニホンジカの大型獣の銃猟はライフル弾・スラッグ弾が用いられ、これらの銃は照準調整及び動いている獲物を撃つ練習が重要であり、県内には東和町米川「志たかぢや綜合射撃場」など対応する射撃場は少なく、土日しか開場されていないなど利便性が悪く、一日も早い併設整備を要望していた経緯の中、所管の自然保護課を中心に、公安委員会の指定ということもあり県警の指導もいただきつつ、再三にわたって検討を重ね、場所においてはクレー射撃場の西側一帯の民有林を候補地とし、整備内容についても、射撃場の規模として延長三百メートルから百五十メートルに縮小するほか、安全性確保においても、全体を覆う覆道式と比べ、バッフルと呼ばれる跳弾防止の板を不均等に設置し、自然採光で練習ができるバッフル式でも十分に担保でき、何よりも整備費及び維持費においても格段の違いがあるなど、県財政にも配慮しつつ、県猟友会の方々の理解もいただきながら、整備の方向性は示されたかにも思われます。先般六月七日、山形県南陽市にある赤湯射撃研修センターに、高橋伸二・八島利美・松本由男議員共々に昨年に引き続き現地視察を行い、鳥獣被害を最小限に食い止めたいという自然保護課の職員の方々の熱意と、何よりも指定する立場での跳弾等不測の事態を最も懸念する県警職員の熱心な指導と、更には県猟友会生駒会長をはじめ会員の方々の有害鳥獣捕獲への協力姿勢を改めて実感し、我々同行した県議団もまた、特に県猟友会会長のお膝元高橋伸二議員は「県政の最優先課題の一つ」と語気を強め、被害地域を抱える八島利美議員は「政治生命をかける」などなど、ライフル射撃場併設整備に向け、並々ならぬ思いを示すなど、県民の方々と心を一つにする充実した視察調査でありました。舞台は全て整いました。村井知事の英断を待つのみであります。確かな一歩を期待しつつ、所見を求めるものであります。 多岐にわたる質問でありましたけれども、誠実なる答弁を求めて、壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 本木忠一議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、地方再生についての御質問にお答えいたします。 初めに、平成大合併の検証についてのお尋ねにお答えいたします。 市町村合併については、少子高齢化や厳しい財政状況の下、複雑・多様化する行政ニーズへの対応と、将来にわたる持続的な発展を確保するため推進されてきたものであり、合併による行政体制の整備により、行政運営の効率化や住民サービスの維持向上など、一定の効果が発揮されてきたものと考えております。一方で、地方自治の在り方は、行政の効率性や財政の視点のみで論じてはならないというのも重要な御指摘であり、合併市町においては、そのような視点も含め、地域住民の様々な声を聴きながら、一体的な発展に向けた取組が進められているものと考えております。県としても、人口減少・少子高齢化が地域社会にもたらす影響は大きな課題と捉えており、若者の移住・定住に関する取組事例を参考にするなど、持続可能な地域社会の実現に向けた取組を支援してまいります。 次に、人口減少社会では自治体の規模を小さくすることが求められると思うがどうかとの御質問にお答えいたします。 住民に最も身近な存在である市町村は、高度化・多様化する住民ニーズに的確に対応しながら、地域の実情に応じたまちづくりに取り組んでおり、合併を契機に地域の一体性を高め、住民サービスを向上させるなど、基礎自治体としての行財政基盤の充実強化を図ってきたところであります。今後、人口減少が進む中、行政サービスを持続的に提供するためには、広域連携の取組など、多様な選択肢の中から、住民自らが最も適した仕組みを選択することが求められていくものと認識しております。県としては、それぞれの地域における自主的な取組をサポートしながら、広域自治体としての役割を果たしてまいります。 次に、県土の均衡ある発展という原点に立ち返って地域戦略の再構築が必要ではないかとの御質問にお答えいたします。 人口減少社会において、我が県が持続的に発展していくためには、それぞれの地域が持つ固有の資源や機能を維持・発展させることで、県全体の持続可能性の底上げを図ることが重要であると認識をしております。このような認識の下、令和二年に策定した新・宮城の将来ビジョンでは、政策推進に向けた横断的な視点として、地域づくりを掲げ、圏域それぞれの特徴や役割を生かした施策展開や広域的な連携を図ることとしております。県としては、度重なる自然災害や長期化した新型コロナウイルス感染症対策、更には昨今の著しい物価高騰等の影響により、疲弊する地域経済の回復に取り組むとともに、市町村、NPOなど多様な主体と連携・協働しながら、魅力あふれる持続可能な地域社会づくりを推進してまいります。 次に、大綱二点目、社会資本整備についての御質問のうち、石巻新庄道路と石巻河南道路についてのお尋ねにお答えいたします。 石巻新庄道路は、石巻市と山形県新庄市を結ぶ広域的な幹線道路であり、災害時においても有効に機能する防災道路ネットワークを構築するとともに、宮城・山形両県の地域間連携を強化する横断軸として、早期の整備が必要であると認識をしております。このため、県では、令和三年に策定した宮城県新広域道路交通計画において、石巻新庄道路を高いサービス水準を有する高規格道路として位置づけております。こうした中、今月五日には、みちのくウエストライン、新庄酒田道路・石巻新庄道路の道路整備促進に向けて、沿線市町村議会や商工関係団体等の関係者が一堂に会し、今後、一致団結して要望活動を行うことを確認したところであり、県としても、石巻新庄道路の早期事業化に向けて、引き続き、山形県や関係団体と緊密に連携をしながら、国に対し強く働きかけてまいりたいと考えております。一緒に要望活動もしたいと考えております。山形県知事も入れて一緒にしたいと計画しております。また、国道百八号における現道の機能強化として、国が整備を進めている石巻河南道路につきましては、今年一月、設計及び用地調査に関する説明会が開催され、現在、用地取得に向けた準備を進めていると伺っており、引き続き、国に対し整備の更なる促進を要望してまいります。 次に、大綱三点目、ライフル射撃場整備についての御質問にお答えいたします。 近年、野生鳥獣による人身被害や農林産物への被害などが続く中で、イノシシなどの大型獣を安全かつ確実に捕獲するためには、ライフル銃やスラッグ弾の使用が有効であり、実射訓練を行うライフル射撃場整備の必要性は認識をしております。仮に整備する場合は、その規模や構造及び運営方式などについて、議員も視察をされました山形県の赤湯射撃研修センターの事例も参考とさせていただきたいと考えております。現時点においては、この程度の答弁にとどめておきたいと思います。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、社会資本整備についての御質問のうち、国道三百九十八号石巻バイパス沢田工区についてのお尋ねにお答えいたします。 国道三百九十八号石巻バイパスは、三陸沿岸道路の石巻女川インターチェンジと女川町を結び、石巻圏域の防災道路ネットワークを構築する上で、極めて重要な道路であると認識しております。このうち、沢田工区は、複雑な地形を有する山間部や軟弱地盤地帯を通過するため、工事に当たっては、迅速な技術的判断や高度な技術力が必要となることから、国による直轄権限代行を要望し、昨年度から国において新規事業化されたところであり、事業採択時における全体事業費は約二百四十億円を見込んでおります。これまで、国では、測量や地質調査を実施し、現在、道路設計等を進めており、今後、整備計画がまとまり次第、地元住民の方々に御説明した上で、用地調査等を進めていく予定と伺っております。県では、本道路の整備に併せ、女川町大沢地区において、河川改修を実施し、沿線地域の更なる安全性を確保することとしており、引き続き、国や石巻市、女川町と緊密に連携しながら、市町の悲願である沢田工区の一日も早い整備に向けて、鋭意取り組んでまいります。 次に、県道釜谷大須雄勝線の道路改良についての御質問にお答えいたします。 県道釜谷大須雄勝線は、地域住民の安全で安心な生活を支え、水産業や観光振興にも寄与する重要な路線であります。このうち、立浜地区から大須地区までの約八キロメートルの未改良区間については、海岸部に隣接し地形が急峻であるため、二車線による抜本的な整備は大規模な事業となることが想定されることから、早期の事業化は難しいと考えております。このため、県では、特に道路幅員が狭く、急カーブ・急勾配が連続する立浜地区から桑浜地区の区間において、昨年度から地域の方々と現地調査や意見交換を行いながら、急カーブ箇所の見通し改善や待避所設置など、早期に対応が可能な整備について検討を進めており、今年度は測量や設計を実施する予定としております。県としては、引き続き、石巻市や地域の方々の御意見を伺いながら、安全で円滑な交通の確保に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 次に、県道石巻雄勝線の復旧工事への所感についての御質問にお答えいたします。 県道石巻雄勝線は、石巻市中心部と雄勝地域を最短で結ぶとともに、東日本大震災発生時においては、壊滅的な被害を受け、孤立した雄勝地域へ通じる唯一の道路として、避難や救出・救援活動に大いに寄与するなど、地域の方々の安全・安心な暮らしを支える重要な路線であると認識しております。県では、こうした東日本大震災の教訓を踏まえ、大規模災害時にも有効に機能する防災道路ネットワークの構築を目指し、復興予算も活用しながら、本路線の整備を図ることとしたものでございます。一方整備に当たっては、当該路線はもともと林道で急峻な山間部を通過するため、抜本的な改良は大規模な事業となり、相当な期間を要することから、早期の効果発現に向けて、道路拡幅や待避所設置、急カーブ箇所の見通しを改善するなど、現道の機能強化を図ることとし、地元石巻市や地域の方々に対して丁寧に説明し、御理解をいただきながら整備を進め、今年三月に供用を再開したところです。県としては、引き続き、石巻市や地域の方々の御意見を伺いながら、必要な安全対策や適切な維持管理に努め、安全で円滑な交通の確保に向けて鋭意取り組んでまいります。 次に、大森川の改修計画及びスケジュールと河川用地の取得についての御質問にお答えいたします。 大森川は、河道が狭隘で屈曲しており、令和元年東日本台風などの大雨により、これまで度重なる浸水被害が発生してきたことから、抜本的な改修が必要であると認識しております。このため、特に中流部の人家が連続する区間において、新たなバイパスを整備する改修案を、昨年度、地元の皆様に提示し、了解が得られたことから、現在、県では、河川改修の詳細設計や地質調査を進めるほか、令和八年度までの河川整備計画の変更に向けて、動植物などの環境調査等を実施することとしております。河川用地については、河川改修の詳細設計や用地測量などの結果を踏まえ、ほ場整備のスケジュールを考慮し、令和九年度から取得する予定としております。県としては、地元の要望に柔軟に対応しながら、大森川の浸水被害軽減に向けて、早期に河川整備が図れるよう、しっかりと取り組んでまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 五十四番本木忠一君。 ◆五十四番(本木忠一君) ただいまは丁寧な答弁をいただきました。深い溝はなかなか埋まりそうにありませんので、何から切り出して再質問したらいいか、困惑しているというのが偽らざる心境であります。 社会資本整備の話をさせていただきますと、私の地元であります県下第二の都市石巻の将来を見据えた、まして合併した後の広域石巻の中で捨て置かれた周辺部の、例えば雄勝地区のことも視野に入れながら、道路整備をしっかりとしていただきたい。そんな思いで質問をさせていただきましたが、その前提となる所見を村井知事にお聞きいたしますけども、私が冒頭申し上げたように、大規模・集中・グローバルという視点から、小規模・分散・ローカルという循環型社会における持続可能性を求めることによってのみ、過疎地域の少子高齢化社会という状況に置かれているエリアの、あるいは地方の再生はないという、この共通した考え方、これについて、まず知事の御所見を頂きたいなと思っています。 もう一つは、例えば一九六九年の広域市町村圏であるとか、二〇〇八年の定住自立圏であるとか、二〇一四年の中核連携都市圏であるとか、そういった国の都合というと甚だ語弊はあるけれども、中央集権的な思想に基づいた都道府県であったり市町村であったりという二層・三層のこういった流れ、これについては、もう地方分権改革という視点においても相当議論されて、意識はもう変えられてきたのかなと思いつつ、決してそうではないというのを、皆さんとお話をしていると肌感で感じるわけであります。そういったことも含めて、これからもう非常に国難を迎えるであろう人口減少社会の中で、非常に四季の移ろいのすばらしい自然環境に恵まれた日本列島をどのようにしていくんだ、そういった中で宮城県という地域をどのようにしていくんだという視点の中で、大きな転換を図っていかないと、この議論は目先の話ではないので、将来を見据えた議論なので、そのことも含めて、知事含め皆さんのやはり考え方が転換されていかないと、前に進まない、転換されていかないと。私が言っているのはどういうことかというと、宮城県民、特に地方で生活しておられる人たちの思いと、県の執行部との乖離がますます拡大していくのではないかと。そういう懸念すらあるので、このような話をしているのですが、まずは前提条件として知事の考え方をお示しいただきたいと思います。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 以前、本木議員に御案内いただいて雄勝のほうを視察させていただいて、まさに、その時の状況を思い浮かべながら今の御質問をお伺いしておりました。確かに、大規模集約して、そしてグローバル化していくというのは、一番効率のいい社会ではあるんですけれども、この国は、日本国憲法の中でやはりどこに住んでいても同じサービスが、同じ文化的な生活が過ごせるということが明記されている国でありますので、地方にして過疎化が進んでいたとしても、その人たちが安心して暮らしていけるようにするということは、これはもう国として必ずやらなければならない、つまり県としても市町村としてもやらなければいけないことだというふうに思っております。そういった意味から、その地域に合わせて、小規模・分散・ローカルという考え方を取り入れながら地域づくりを目指していくというのは非常に重要だと思います。幸い、デジタル化が非常に進んでおりまして、今どこにいても情報が取れるようになってきましたし、スターリンクと今回質問ありましたけども、そういったようなものでどこに住んでいてもネットもつながれるような環境になってまいりましたから、非常に物流もかなりドローンを使ってといったようなことも出てまいりましたから、そういったような新しい技術を取り入れていけば、私は、どこに住んでいても安心して暮らしていけるような社会をつくることは可能にはなるのではないかなというふうに思っております。そこを目指しながら努力をしていこうと思いますが、同時に、これから人口がやはり減っていくということがありますので、財政的なことを常に頭に入れておかないといけないと。二十年、三十年たつと二割、三割と人口が減ってまいりますから、そうなると税収も当然住民税が二割、三割減っていくということも視野に入れなければなりませんので、そこの接地をやはりちゃんと取りながら、皆さんに喜んでいただけるような県政を目指していきたいというふうに思っています。 ○副議長(池田憲彦君) 五十四番本木忠一君。 ◆五十四番(本木忠一君) 先ほど社会資本整備について、部長からるる答弁をいただきましたけれども、知事ね、私がお願いしていることは、住民の皆さんの思いでもあるんですが、一・五車線化された県道ですよ。歩道もないところです。つづら折りの道路ですから、相互交通もままならない。そういった県道が存在すると。そして、何とか二車線化して時間的にも最速で目的地に行けるような、そういう整備をしてほしいということで、立派な道路を造ってほしいと言っているわけではないんですね。県道で、そして被災地で、大変な状況にある地域の以前に皆さんが指定した県道を、いまだ整備されていないので、何とか整備してほしいという単純なお願いなんです。これに対して、今さらにビーバイシーの話をしたりということについては、私はやはり違和感を感じざるを得ないのですが、知事どうですか。当たり前の道路を造ってほしいと、普通に相互交通できるような道路を造ってほしいと言っているだけです。それに対して、現場を見てないと、こういう議論にそごがあるんですね。どこでも持続可能なその地域の特色を生かした地域づくりを県は下支えしますなんて立派なお題目は言うけれども、そこで住んでいる人たちの思いに立って、この道路が県道であれば、当たり前の道路にしてほしいと。これに応えるのが村井知事、仕事ではないでしょうか。いかがですか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど土木部長も答弁いたしましたとおり、まずは元に戻しながら、できる限り安全に走行できるような道路を目指したわけでございますけれども、地元の皆さんのそういう声もあるということでありますので、全ての道路、全ての路線を二車線化というのは難しいでしょうから、車が詰まるような場所、あるいは待避所が必要な場所、そういったところをうまく造るようにしながら、何とか地元の皆さんに納得していただけるような道路づくりを目指していきたいなというふうに思います。 ○副議長(池田憲彦君) 五十四番本木忠一君。 ◆五十四番(本木忠一君) 千葉部長よろしくお願いいたします。これ以上の議論はしませんので。 ライフル射撃場でありますけれども、知事、先ほど壇上ではこれ以上の答弁はというふうなことで、思いを私どもに伝えられなかったということでありますので、再質問で確かな一歩を踏み出していただきたいなと思いますけれども、鳥獣被害については、もう県全体として大きな課題であります。猟友会の皆さんに最大限の御協力をいただいて、そして狩猟もしていただいているわけでございますので、こういった有害鳥獣対策を前に進めるのであれば、ライフル射撃場・訓練場をきちんと整備するというのは、これはもう非常に大事な施策で、時間とのまさに闘いの中で前に進めなくてはいけないことだと思っています。自然保護課の方を中心に、あるいは県警の皆さんを中心に何とか実現したいというふうな方向の中で、私どもとも猟友会の皆さんとも協議をさせていただいています。あとは予算の問題だっていうんですね。バッフルだと五億円くらい。覆道式だと十億円。バッフルでも十分安全性を保てるということですから、もう今日にでもやはり決断するというのは非常に……。担当課から上がっていると思いますので、その点も含めてどうでしょうか。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君、 ◎知事(村井嘉浩君) 県南にライフル射撃場が欲しいというのは、実は猟友会もそうですけれども、県南サミットで蔵王の町長さんからも何度か要望を頂いていまして、私もそのとおりだと思って、宮城県で今射撃できるのは登米のほうにしかないということだったんです。それで、正直に申し上げますけど、使わなくなったトンネルとか使えないだろうかとか、いろいろ調べたんですけども、適地がないということでございました。それで今度、猟友会、県南の皆さんに、実際今どこにトレーニングに行っていますかと言ったら、意外と福島県とか山形県とかにも行っているということであったので、何とかなるのかなというふうに思ってはいたんですけれども、今回、非常に熱心に山形県の南陽市まで議員の皆さんも行かれて、高橋議員におかれましては県政の最優先、八島議員におかれましては政治生命をかけるとおっしゃられていますので、我々としては非常に重くこれは受け止めて、何とか実現に向けて前に進めたいと思っています。やはりその際に、造り方と財源の問題でして、造り方としては、当初県警は覆道式というトンネルをちゃんと造れと、ずっとですね。そうするとやはり、おっしゃったように十億円ぐらいかかるということでして、そうではなくてバッフル方式ということで、跳弾しないように、弾が飛ばないようにつければいいということなんですけど、それで四、五億円かかるということは、かなりお金がかかるのは事実です。先ほど私、南陽市の赤湯ライフル射撃場も参考にとお話ししたのは、赤湯ライフル射撃場は猟友会の人も協力してみんなで造ったということでした。ですから、これから猟友会の人と話して、県もそんなに余裕があるわけではないので、あの場合は造成は猟友会の人がされて、上物は造って、管理はお金を渡してお任せしているということですので、そういったことでみんなで一緒にやれるかどうか、そこはこれから議論していきたいと思います。いずれにしても前向きには考えたいと思うんですけども、何もかも全部やるというとなかなか今苦しい状況ですので、その辺ちょっと南陽市のことも調べながら猟友会の人とお話したいと思います。前向きに考えているというのは事実でございます。私も必要性について十分理解をしております。 ◆五十四番(本木忠一君) 以上で終わります。----------------------------------- △休会の決定 ○副議長(池田憲彦君) お諮りいたします。 明日から六月二十六日まで三日間本会議を休会とし、六月二十七日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(池田憲彦君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から六月二十六日まで三日間本会議を休会とし、六月二十七日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。 残余の質疑、質問は、六月二十七日に継続することにいたします。-----------------------------------
    △散会 ○副議長(池田憲彦君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 六月二十七日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時三十九分散会...