令和 5年 6月 定例会(第388回) 第三百八十八回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)令和五年六月二十二日(木曜日) 午前十時開議 午後三時四分散会 議長 菊地恵一君 副議長 池田憲彦君出席議員(五十八名) 第一番 金田もとる君 第二番 佐々木奈津江君 第四番 石田一也君 第五番 佐藤剛太君 第六番 伏谷修一君 第七番 松本由男君 第八番 柏 佑賢君 第九番 福井崇正君 第十番 大内真理君 第十一番 福島かずえ君 第十二番 三浦ななみ君 第十三番 枡 和也君 第十四番 佐藤仁一君 第十五番 渡邉重益君 第十六番 わたなべ 拓君 第十七番 伊藤吉浩君 第十八番 八島利美君 第十九番 瀬戸健治郎君 第二十番 櫻井正人君 第二十一番 村上久仁君 第二十二番 高橋宗也君 第二十三番 天下みゆき君 第二十四番 三浦一敏君 第二十五番 佐々木功悦君 第二十六番 境 恒春君 第二十七番 太田稔郎君 第二十八番 遠藤伸幸君 第二十九番 横山のぼる君 第三十番 高橋 啓君 第三十一番 庄田圭佑君 第三十二番 遠藤隼人君 第三十三番 渡辺勝幸君 第三十四番 横山隆光君 第三十五番 佐々木賢司君 第三十六番 守屋守武君 第三十七番 外崎浩子君 第三十八番 池田憲彦君 第三十九番 熊谷義彦君 第四十番 岸田清実君 第四十一番 渡辺忠悦君 第四十二番 菅間 進君 第四十三番 坂下 賢君 第四十四番 ゆさみゆき君 第四十五番 仁田和廣君 第四十六番 吉川寛康君 第四十七番 伊藤和博君 第四十八番 佐々木幸士君 第四十九番 高橋伸二君 第五十番 菊地恵一君 第五十一番 佐々木喜藏君 第五十二番 石川光次郎君 第五十三番 中島源陽君 第五十四番 本木忠一君 第五十五番 中山耕一君 第五十六番 安藤俊威君 第五十七番 畠山和純君 第五十八番 藤倉知格君 第五十九番 中沢幸男君欠員(一名) 第三番
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 伊藤哲也君 副知事 池田敬之君 公営企業管理者 佐藤達也君 総務部長 小野寺邦貢君 復興・危機管理部長 千葉 章君 企画部長 武者光明君 環境生活部長 佐々木 均君 保健福祉部長 志賀慎治君
経済商工観光部長 梶村和秀君 農政部長 橋本和博君 水産林政部長 吉田信幸君 土木部長 千葉 衛君 会計管理者兼出納局長 大庭豪樹君 総務部参事兼秘書課長 村田俊顕君 総務部参事兼財政課長 高橋寿久君 教育委員会 教育長 佐藤靖彦君 副教育長 佐藤芳明君 選挙管理委員会 委員長 皆川章太郎君 事務局長 後藤和隆君 人事委員会 委員長 西條 力君 事務局長 北沢康一君 公安委員会 委員長 庭野賀津子君 警察本部長 原 幸太郎君 総務部長 横山 裕君 労働委員会 事務局長 中村今日子君 監査委員 委員 吉田 計君 事務局長 小林一裕君
----------------------------------- 議会事務局 事務局長 目黒 洋君 副事務局長兼総務課長 大場則昭君 参事兼議事課長 菅原敏彦君 政務調査課長 佐野浩章君 総務課副参事兼総括課長補佐 堀 喜昭君
議事課総括課長補佐 大友幸二君 副参事兼
政務調査課総括課長補佐 千葉恵子君 議事課長補佐(班長) 我妻則之君 議事課主任主査(議事運営担当) 二上秀幸君
----------------------------------- 議事日程 第三号 令和五年六月二十二日(木)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号第三 一般質問 〔坂下賢君、わたなべ拓君、渡邉重益君、大内真理君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号三 日程第三 一般質問 〔坂下賢君、わたなべ拓君、渡邉重益君、大内真理君〕
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△開議(午前十時)
○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(菊地恵一君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、四十四番ゆさみゆき君、四十五番仁田和廣君を指名いたします。
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△議第八十九号議案ないし議第百五号議案
△報告第十八号ないし報告第二十三号・一般質問
○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第八十九号議案ないし議第百五号議案及び報告第十八号ないし報告第二十三号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。四十三番坂下賢君。 〔四十三番 坂下 賢君登壇〕
◆四十三番(坂下賢君) おはようございます。東日本大震災から十二年四か月が経過しております。我が県においては、一部を除きハード整備はおおむね終了し、復興予算も大幅に縮小されたことだけ見れば、落ち着いてきたことがうかがえます。一方で、津波被害が甚大だった沿岸部の被災地では、著しい人口減少や少子高齢化、限界集落化などと同時に、世界三大漁場と言われた三陸の海が、温暖化による水温の上昇で、サンマやサケ、コウナゴなど主力魚種の水揚げの激減や、磯焼けによるアワビやウニなどの不漁など、厳しさが増しております。しかしながら、こうした厳しい状況下にもかかわらず、我が県水産業は、水揚げ量、金額ともに、関係者皆様方の並々ならぬ努力により、ほぼ震災前の水準に戻っております。そうした中で、現在進められている東京電力福島第一原発事故による大量の
ALPS処理水の海洋放出が開始されれば、これまでの努力が水泡に帰すことが目に見えており、漁業関係者にとっては大きな打撃を被ることが現実味を帯びるとともに、死活問題となっております。まず、その現状認識について伺います。 震災後、
ALPS処理水の処分方法については様々な議論がされ、ALPS小委員会において、二〇二〇年二月、現実的な処分方法として海洋放出と水蒸気放出の方法が考えられるとした報告書がまとめられ、その後、報告書を基に、廃炉・汚染水・
処理水対策関係閣僚等会議により、二〇二一年四月に、二年後をめどに海洋放出をするという基本方針が決定しました。そこでまず伺いますが、基本方針を決定するに当たり、地元被災県の代表として村井知事に対して意見を求められる、あるいは知事のほうから意見を述べるなどはあったのでしょうか、伺います。 県では、その決定を受け、県内の水産関係団体や国、県、市町村、県議会等で組織された処理水の取扱いに関する宮城県連携会議を立ち上げ、知事が座長となり、これまで七回にわたり会議を重ねてまいりました。このうち、第四回の連携会議で取りまとめた、海洋放出以外の処分方法の継続検討と、
放射性物質除去技術の研究開発促進、本県の生産者・事業者のなりわい維持に必要な対策の実施など五項目の要望について、第五回の連携会議で、国や東京電力からの説明を受けております。国や東京電力からは、風評被害対策や国民・国際社会の理解醸成について、県産品の発信や消費拡大についてなどの説明があったようですが、県議会でも二度にわたって全会一致で意見書を可決した、
ALPS処理水の海洋放出を含めた自然界への放出以外での処分方法の確立や、
放射性物質除去技術の研究開発促進についての協議や説明はあったのでしょうか。 その後ようやく、第七回の連携会議において、東京電力から、総提案数百二十四件から二次評価を通過した十四件のうち十件と具体的な条件を踏まえた実地適合性・実現可能性の検証を進めるとし、秘密保持契約の締結を順次進めていると説明されております。この問題について言及がなかったようですが、いかがでしょうか。 これまで知事は、国や東京電力に対して、随時、海洋放出以外の方法や技術の研究開発について要望していることは理解しておりますが、国や東京電力は淡々と工事を進め、風評被害対策や海洋放出に対する理解を求めるなど、今夏の海洋放出に向け、着々と準備を進める姿勢が目につきます。ここで忘れてならないのは、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとした政府や東京電力の方針であります。先日、超党派で東京電力
福島原発を視察調査した際に、海洋放出以外の方法や
放射性物質除去技術の研究開発の促進状況について
東京電力関係者に伺ったところ、「まだ机上の検討段階で、可能性のありそうなものがあれば、今後実証していく。たとえ海洋放出が始まったとしてもこの取組は重要であり、続けていく」との回答がありましたけれど、本当にやる気があるのかどうか、疑義を抱かずにいられませんでした。そこで改めて伺いますが、これまで東京電力でどんな検討をしてきたのか説明を求め、今後更に国や東京電力に対して海洋放出以外の方法や
トリチウム除去技術の開発の実現について強く求めていく必要があると思いますが、知事いかがでしょうか。 今月十日には、
西村経済産業大臣が宮城、福島、茨城の漁業関係者を訪問し、
ALPS処理水の海洋放出についての意見交換を行ったとの報道がありました。西村大臣は、廃炉を進める上で海洋放出は避けて通れないと理解を求め、風評被害対策など支援策について説明があったようですが、各県漁業関係者は、
ALPS処理水の海洋放出は反対との立場をいずれも表明し、我が県漁業関係者からは「経済産業大臣が来るのが遅い。もっと早く来て我々の声を聞いて欲しかった」と苦言を呈しつつ、後継者育成を見据えた新規参入や魚種転換した漁業者に対する支援構築などについて要望が出されました。県は国に対して強く求めると同時に、独自に支援策を講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。 東京電力
福島原発では、施設工事もほぼ完了し、今月中には
原子力規制委員会の検査と
IAEA国際原子力機関による処理水の安全に関する包括的な報告書の公表を経て、放出への前提を整えたい考えであります。しかしながら、震災後十二年以上過ぎた現在でも、我が県からの水産物等の輸入を禁止している隣国韓国や中国の現状と、そして、いまだに
福島原発港湾内から捕獲したクロソイから基準値の百八十倍を超える一万八千ベクレルの放射性セシウムが検出されるなどの現実からすれば、海洋放出について、いま一度立ち止まり考えるべきではないでしょうか。政府では、さきに行われた
G7広島サミットにおいて、
ALPS処理水の海洋放出に向けた取組について七か国からの理解を取り付けようとしましたが、ドイツの環境相から「処理水の放出について歓迎することはできない」との指摘があり、欧州諸国もそれに同調し、国際理解を得たとは言いがたい結果となりました。経済産業省の調査によれば、処理水の海洋放出決定後、約四割の水産業をはじめとする生産者や農水産物を扱う食品小売業者などから、販売価格の低下や販売量の減少など、何らかの影響を懸念する声が報告されており、このことは、既に風評被害は始まっていることを示しております。東京電力によれば、今後約三十年間にわたって
ALPS処理水の海洋放出を続けるとのことですが、一日当たり約九十立方メートルの汚染水の発生や降水量の増減により、放出期間も今後どれだけ伸びていくか分からない状況です。知事、このまま海洋放出開始を指をくわえているだけでいいのでしょうか。二百二十七万宮城県民のトップとして、
ストップ・ザ・海洋放出を宣言してはいかがでしょうか。知事の英断を求めますが、決意をお聞かせください。 この三年余り、
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行と蔓延で、我が国及び我が県ではその脅威にさらされてきましたが、先月八日から、感染法上の分類を二類から
季節性インフルエンザと同等の五類へ引き下げられ、これまでとは異なる対応がスタートしております。公費負担としてきた医療費については原則自己負担とし、治療薬及び入院費の最大二万円支援は九月末に終了し、自己負担に移行することとなっております。医療体制について、移行前発熱外来などが担ってきた分について、今後は幅広い医療機関による対応とされておりますが、政府の五類方針では、コロナ患者であることのみの理由とした診療拒否は認めないと明記されております。医療法により、医師は正当な理由がない限り診療を拒否できない決まりとなっておりますが、県内の医療機関では、動線の確保や入院先の手配などに懸念を感じる機関が一定数あるのも事実であり、課題となっております。知事は、今後も外来診療に必要な施設改修に対する補助を継続する考えを示し、法を盾に無理強いすることはできないとしておりますが、現在七百四十三の医療機関まで受診可能が広がっているところでありますが、県では、県内医療機関に対する調整と支援体制について、どう進めていくのでしょうか。県の取組についてお示しください。 また、感染者の夜間・休日、急患の受入れなど、五類移行後どのような体制を構築していくのか、併せてお聞かせください。 県では、県内の全病院で入院可能とすることを目指し調整しているとお聞きしており、県内全百三十二病院の約九割に当たる百十六病院で千十床まで拡大するとしておりますが、共同通信社で行った調査によれば、今冬までに全病院でコロナ患者の入院が十分可能と答えたのが岩手や福島など十三県あったようですが、一方で、どちらかといえば困難と宮城県では答えております。まず、困難とした理由と、今後全病院での入院が可能とするための県の施策についてお示しください。 五類への移行に伴い、新規感染者数の発表は、これまで全数把握していたのが、週一回定点把握した分について公表することになり、死者数は公表されなくなりました。これまでの県分を見ると、五月十八日公表分から順に、三・一八人、四・五〇人、五・一〇人、五・三一人、五・一〇人、最新で四・八九人となっており、一旦減少しているものの、徐々に増えつつあるのがうかがえ、全国的に見ても緩やかな増加傾向にあると言われております。新たに
オミクロン株XBBが派生していく可能性も残っており、中国では感染者が急増し再拡大しているなど、今後我が国において第九波が爆発的に起きる可能性について、専門家有志から示唆されております。専門家からは、定点把握では感染状況を追うのは難しく、流行が見えにくいなど、感染が急増した際の対応の遅れが懸念されております。マスク着用については賛否両論あり、ここでの言及はいたしませんが、五類移行後においても、コロナ感染症には細心の注意を払い、それぞれのできる限りの予防対策は必要と考えます。喉が痛い、せきが出る、熱があるなど、体調に異変を感じたときは、なるべく早く病院に行って診察を受ける。万が一陽性が確認されたときは、個人判断となりますが、県で推奨する、発症後五日間かつ症状軽快二十四時間後までは外出を控え様子を見るを、徹底とまでは言えませんが、県からの発信の継続や広報は有益と考えます。知事の見解をお聞かせください。 これまで、仙台医療圏の統合再編問題については、県議会の場においても様々な議論が交わされてまいりましたが、議会や関係者から再三にわたって患者や地域、病院関係者などの声を聞くべきとの指摘や要請もあり、知事もようやく重い腰を上げ、二組の当事者と面会を果たしたようですが、報道によると、このうち先月十二日に
県立精神医療センターの富谷市移転に反対する当事者の患者二名と面会した際に、知事は
県立精神医療センターで当事者の意見を聞く集会を持ちたい考えを示したとされますが、面会した患者からは、当事者の話を聞いたというパフォーマンスになるとして断られたと報じられております。知事はその後の会見で、粘り強く説明させていただきたいと述べておりましたが、まず、当事者の意見を聞く集会が実現しなかったこと、知事のパフォーマンスとされたことに対する所感を伺います。 また、集会の開催が実現したとして、県は、移転に反対する当事者の方々に、何をどう説明するのでしょうか。粘り強くとのことですが、知事は、病院側から撤退してこない限り、自分から四病院の統合再編を断念するつもりはない、政治生命をかけるとまで発言しており、移転に反対する方々とどう向き合っていくおつもりなのかお聞かせください。 また、四月に公表された四病院の再編構想では、新病院の方向性に関する報告で、
県立精神医療センターの富谷市受入れ体制について、試算では一日の外来が三十人とされており、県立病院として県央に位置することで県全体を見据えるとした割には、あまりに利用者が少ないのではないでしょうか。まず三十人とした根拠についてお聞かせください。 これまでの
県立精神医療センターでの実績は一日百二十一・三人とのことですが、残り九十人はどうなるのでしょうか。名取市の新病院に外来を設置したとして、どこまでカバーできるのでしょうか。また、名取市の新病院での精神科外来設置について、どの程度話が進んでいるのでしょうか、お答えください。 先月三十一日に開催された
精神保健福祉審議会では、会長から出席委員の総意として、県内患者向けに設置する外来機能は具体性がなく、当事者や家族が安心できる説明になっていないとの発言があり、また、合築で身体合併症患者への対応が充実するとの説明に、運営主体が別々で不可能、名取市に設置する新病院に精神科外来を置けばいいという発想自体おかしいなど、批判が相次いでおります。これに対し、知事は会見の席で、現時点においてはもっともな御意見と受け止めている、大きな方針は決まっているけれど、詳細が決まっていないからとし、今後の進め方として、今の方針に沿った上で、患者にどう寄り添っていけばいいのか考えたいとし、基本合意を今年度中なるべく早い時期に示したいとしております。そこでお聞きいたしますが、患者さんと寄り添ってというのであれば、もっと早い段階で、真摯に患者さんはじめ地域住民や病院関係者、医師会など医療関係者を含め、広く県民の声に耳を傾けるべきだったのではないでしょうか。知事は二言目には選挙公約だとおっしゃっておりますが、移転候補地の場所のみが先行し、そこにどういう役割や機能を持たせ、将来的にどういう構想を持ってやっていくのか、知事は県民に対して説明し切れたと言えるのでしょうか。相手があるから情報の公開はできない、あるいは限定的、詳細についてはこれから協議するなどの発言ばかりで、知事の何が何でも名取市と富谷市に再編統合・合築するんだという強硬な姿勢ばかりが目立ち、県民が不在で置き去りにされているような気がしてなりません。例えば精神医療センターの場合、近くに作業所やグループホームなど複数存在し、退院後の地域での受皿もしっかりできていた部分をどうするのか。地域包括ケアや夜間救急、デイケア、ショートケアをどうするか。がんセンターにおいては、これまで高度ながん治療に特化した医療やすぐれた研究機能が東北大学病院に集約することで今後どうなっていくのかなど、不透明な部分が多い。仙台赤十字病院や東北労災病院も、地域に根づいた信頼される総合病院として患者や地域から親しまれてきたなど、そうした歴史や多くの声に目を背け、耳を傾けずに構想を進めてきた村井県政は、冷たい県政と言わざるを得ません。富谷市移転であれば、早ければ最短で二〇二八年度から二〇二九年度に開院と今後の見通しを示しておりましたが、それ以前に、しっかりと県民に対して説明責任を果たし、その上で県民に愛される病院をどう構築していくのかが問われているのだと思いますが、知事の所感を求めます。いかがでしょうか、お答えください。 マイナンバーカードについて、これまで我が県でも、その普及促進に向け事業展開しておりましたが、ポイントの対象となるマイナンバーカードの申請期限が本年二月末ということもあり、年度末には、市町村のほか、申請窓口が大変混雑したようであります。そのツケもあったのか、年金情報を別人のマイナンバーにひもづけするなど、ここに来て次々とマイナンバーに関わるミスやトラブルが続出しており、不信感が増しております。国では河野デジタル担当大臣が釈明に追われ、岸田総理は、政府として全ての事案を重く受け止め、個人情報保護と国民の信頼回復がマイナンバーカード普及の前提であり、肝に命じると発言し、マイナンバー総点検本部を設置し、秋までマイナンバーに関するデータやシステムについて総点検することを表明いたしました。来秋から保険証を廃止してマイナンバーカードに一体化することとして、マイナンバー法改正案が可決し、正式に決定しましたが、マイナンバーカードをめぐる混乱やトラブルが続いた現状は、普及を優先し、安全が置き去りにされた結果と言えると思いますが、いかがでしょうか。今後、県として、マイナンバーカードが安心・安全に普及されるように、国や市町村とどう連動しながら進めていくのか、お示しください。 国では、地域交通の再編に向け、経営難の地方鉄道の存廃をめぐり、自治体や事業者が入る再構築協議会を国が主導して立ち上げることとなりました。対象路線は、都道府県をまたがる広域調整が必要な路線と見込まれ、存廃協議は輸送密度がこれまでの千人未満の路線としていたのを、四千人未満の地方鉄道まで拡大する方針を固めたと報道されております。こうした動きは赤字ローカル線の切捨てにつながっていくおそれがあると非常に危惧しているところでありますが、我が県では、これに先立って、赤字路線の利用促進を話し合う県のローカル線活性化検討会議が発足し、陸羽東線、石巻線、気仙沼線の三路線を検討対象とし、それぞれにワーキングチームが設置され、現在、県と自治体、商工・観光団体に加え、JRや国交省もオブザーバー参加の下、議論が始まっており、八月末までに利用促進に向けた方向性を示すことになっております。鉄道の利用者が減っていることは、
新型コロナウイルス感染症の影響や、人口減少で通勤・通学の利用者が減っている、車社会でそもそもの利用が減っているなど、様々要因があると思いますが、今後は利便性の向上を求めるだけでなく、県がリーダーシップを発揮しながら、沿線自治体や民間団体などとともに、利用促進に向けた強い取組が必要であります。石巻市では、全行政職員へ金曜日の通勤は公共交通を利用するよう呼びかけが始まっており、こうした地道な努力も必要と思いますが、県が音頭を取って、行政・民間含め全県的に呼びかけてみてはいかがでしょうか。 昨年に引き続き、宮城県鉄道整備促進期成同盟会の要望活動の概要が送付されてまいりました。回答については、「利用状況を踏まえ検討していく」や「保有する車両を最大限活用し、効率的なダイヤとなるよう設定している」などが目立ち、進展が見られない状況であります。特に仙石線・仙石東北ラインについては、県庁所在地仙台と県下第二の都市石巻を結ぶ大動脈であり、快速列車の増便とともに、その所要時間の短縮については、知事も大変重要であると発言しているとおり、その実現は急務であります。JR側の毎度の代わり映えしない回答を待つよりも、県から財政出動を含めた積極的な提案を行うことが必要と思いますが、前向きな答弁を求めます。 知事は、これまでに県内に公的機関が関与する日本語学校を複数設置し、地方の人口減少が進む中で、幅広く人材を呼び込み、産業振興や国際化推進を目指す方針を打ち出しております。現在、県内では大崎市と石巻市で設置に意欲を示し、役所内に推進室を設けております。石巻市は、市内に住む外国人は千四百名を超え増加傾向にあり、これまで技能実習生を受け入れてきた実績や風土もあり、石巻市長も、外国人が学びやすい環境をつくり人材を呼び込むことで、卒業後の地元定着、地域振興、国際化の推進につなげると発言し、準備を進めております。知事は、取組の進んだ大崎市で、早くて二〇二五年度の開校になると見通しを示しております。我が県においては、外国人人材の確保につながり、国際化の推進の観点からも、日本語学校設置は時宜を得た施策であり、今後のグローバリゼーションにも大きく寄与していくと思いますが、大崎市並びに石巻市への日本語学校設置に向けた、県の現在の取組状況についてお示しください。 最後に、石巻港の整備について伺います。 昨年は、コロナ禍の中で三年ぶりに大型客船ぱしふぃっくびいなす一隻が石巻港に入港しておりますが、今年度の七月三十日の外国船パシフィック・ワールドを皮切りに、にっぽん丸、MSCベリッシマの三隻五回の寄港が予定されていることが明らかになり、特に八月と十一月の二回、日本発着では過去最大級となるMSCベリッシマの入港のニュースは、地元での歓迎ムードを高めております。それぞれ入港時には大漁旗を振って歓迎し、寄港中の観光案内や観光ツアーの実施、物産販売などイベントも企画されておりますが、県の支援と取組の強化について伺います。ぜひ知事にも来港いただき、歓迎ムードを盛り上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 現在国のほうで進める雲雀野地区での耐震岸壁の新設も、令和七年度に完成が見込まれ、港湾機能の強化が期待されております。今後は、国で進める南防波堤の延伸、マイナス十二メートル岸壁の整備、県で進められる廃棄物埋立て護岸の整備などが予定されておりますが、更なる港湾機能のアップが求められており、必要な予算の確保や、入港船舶の大型化や企業動向に対応するため、航路・泊地の更なる水深の確保及びガントリークレーン導入など、新たな港湾利用に向けた調査・検討を踏まえた港湾計画の見直し、インバウンド誘致に向けた支援などが求められております。石巻港の今後を見据えた、希望の持てる県の支援体制について伺います。 以上で壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 坂下賢議員の一般質問にお答えいたします。大綱五点ございました。 まず、大綱一点目、
ALPS処理水の海洋放出についての御質問にお答えいたします。 初めに、処理水の海洋放出に伴う漁業関係者への影響についての現状認識はどうかとのお尋ねにお答えいたします。 我が県の水産業については、東日本大震災や原子力発電所事故による風評被害に対し、漁業関係者の皆様の懸命な努力により復興を推し進め、漁業産出額がほぼ震災前の水準まで回復してまいりましたが、処理水の海洋放出により新たな風評被害が発生し、県内の水産業に大きな影響を及ぼすことを懸念しております。県では、これまでも処理水の取扱いに関する宮城県連携会議などで国及び東京電力に万全の対策を講じるよう強く申入れをしており、先日も、関係大臣に私が直接要請したところであります。 次に、
ストップ・ザ・海洋放出を宣言してはどうかとの御質問にお答えいたします。 処理水の問題については、原子力政策を推進してきた国と、事故の原因者である東京電力が、漁業者の不安の声などに真摯に耳を傾けながら、責任を持って対応していくべきものと考えております。県としては、国が海洋放出の基本方針を決定して以来、海洋放出以外の処分方法の検討を求めており、その姿勢は一貫して変えておりません。引き続き、国と東京電力に対し、海洋放出以外の処分方法の検討を求めてまいります。 次に、大綱三点目、四病院の統合再編についての御質問にお答えいたします。 初めに、当事者の意見を聞く集会が実現しなかったことに対する所感についてのお尋ねにお答えいたします。 私としては、
県立精神医療センター移転に反対の意向をお持ちの当事者の方々から率直な声を直接伺うため、公開の可否を問わずに、意見交換の場の設定を提案したところでありますが、様々な事情があるにせよ、実現しなかったことについては残念に思っております。今後も、粘り強く働きかけを継続し、幅広く意見を伺う機会を設けることができるよう努めてまいります。 次に、反対当事者に対する説明についての御質問にお答えいたします。
県立精神医療センターの移転に反対する方々の懸念については、切実な思いと受け止めております。このため、県では、今年二月の協議確認書の取り交わし以降、医療・福祉の関係者や患者・家族などの当事者に対する説明や意見交換を丁寧に行ってまいりました。今後、当事者の意見を伺う機会に際しては、精神医療センター移転の必要性をはじめ、名取市の新病院における精神科外来機能の確保、重症者に対応する体制やデイケア・訪問看護の運営など、精神医療センター移転後の体制等について、県の考えを説明してまいりたいと考えております。 次に、早い段階で県民の声に耳を傾け、病院再編構想を進めるべきだったのではないかとの御質問にお答えいたします。 今回の病院再編については、これまでも仙台医療圏の市町村長会議や地域医療構想調整会議などの場で説明するとともに、地域住民の方々からの要望等の場において、不安や懸念の声も伺いながら検討してまいりました。また、今年二月の協議確認書の取り交わし以降においても、医療や福祉などの関係団体や、患者・家族、大学等との意見交換を積み重ね、
県立精神医療センター移転後の県南部の患者の受皿や、県立がんセンターの研究所機能の在り方など、病院再編に向けての様々な課題についての検討を進めているところであります。今後、協議が順調に進んだ場合においても、新病院の実現までには一定の年月を要することから、引き続き関係者の皆様の意見を伺いながら新病院の姿を検討していくとともに、県民の方々に向けましては、ホームページや県政だよりなど、様々な方法での情報発信により、病院再編の必要性について理解していただけるよう努めてまいります。 次に、大綱五点目、石巻圏域の諸課題についての御質問のうち、大型客船寄港時の支援と取組の強化についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台塩釜港においては、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により運行が停止されていた外国クルーズ船が、今年五月から順次再開され、今年度は、国内クルーズ船も含め十二隻の寄港が予定されており、低迷した交流人口の回復・拡大や観光振興に向けて、力強い後押しになるものと大いに期待をしているところであります。このうち、石巻港区においては、日本に寄港するクルーズ船としては最大級となるMSCベリッシマが八月に初めて寄港するなど、延べ五隻の寄港を予定しており、現在、石巻港大型客船誘致協議会等と連携し、乗客の皆様に御満足いただけるよう、受入れに向けた準備を進めております。県ではこれまでも、Wi‐Fi設備や多言語観光案内版の設置など、受入れ体制の強化を図ってきたところであり、更なるクルーズ船の寄港に向けて、引き続き東北経済連合会や関係市町等と緊密に連携を図りながら、クルーズ船社や旅行会社に対し、我が県ならではのオプショナルツアーや歓迎イベントを提案するなど、積極的なポートセールスに取り組んでまいります。なお、歓迎式典への出席につきましては、公務のスケジュールも確認しながら検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 復興・危機管理部長千葉章君。 〔復興・危機管理部長 千葉 章君登壇〕
◎復興・危機管理部長(千葉章君) 大綱一点目、
ALPS処理水の海洋放出についての御質問のうち、国の基本方針決定に際して意見の求めなどがあったのかとのお尋ねにお答えいたします。 国が海洋放出の基本方針を決定するに当たり、県に対し意見の求めなどがなかったことから、県では、決定後直ちに国と東京電力に対し緊急要望書を提出し、海洋放出以外の処分方法の継続検討や、国民・国際社会への理解醸成に向けた取組の強化、風評の懸念に対する万全な対策の実施、万が一に備えた損害賠償スキームの策定などを要望しました。また、水産業関係団体をはじめとした県内関係団体の意見・要望を集約するため、連携会議を設置して、国と東京電力に対し、意見・要望を申し入れてまいりました。県としては、引き続き、国と東京電力に対し、県民の皆様が不利益を被ることのないよう、責任ある対応を求めてまいります。 次に、処理水の処分方法やトリチウムを含む
放射性物質除去技術の研究開発促進についての御質問にお答えいたします。 処理水の取扱いについては、これまで、連携会議において、国と東京電力から汚染水発生量の低減策やトリチウム分離技術の公募状況などについて説明を受けてまいりました。東京電力によるトリチウム分離技術の公募に関しては、令和三年五月から実施されているところであり、第五回連携会議では、国が公募状況などを説明しております。また、第七回連携会議では、十技術が実地適合性、実現可能性の検証の前段として、秘密保持契約の締結を進める状況であると伺っております。県としては、国や東京電力に対し、これまでも研究開発の促進を求めてまいりましたが、引き続き、最新の技術動向の調査や研究開発を進め、実用化できる分離技術が確認された場合には、柔軟に対応するよう求めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱四点目、マイナンバーカードをめぐる諸問題についての御質問にお答えいたします。 今回のマイナンバーカードをめぐるトラブルについては、制度に対する国民の信頼を損ないかねないものと大変危惧しており、国、地方及び関係事業者が一体となったチェック体制の強化等が必要と考えております。このため、先般、全国知事会を通じ、国に適切な対策を講じるよう緊急提言を行っており、国においては、現在、安全・安心なカード利用に向けた実態把握と再発防止のための総点検を行っているところであります。また、県では、これまで、マイナンバー制度に係る安全対策等についての市町村担当者研修や、市町村と連携した県民向けの交付申請サポート事業を実施してまいりました。カード普及に対する様々な御意見を踏まえ、国や市町村との緊密な連携の下、個人情報の保護に十分に配慮しながら、カードの安全・安心な普及に取り組んでまいります。 次に、大綱五点目、石巻圏域の諸課題についての御質問のうち、公共交通利用の全県的な呼びかけについてのお尋ねにお答えいたします。 地域公共交通の維持や活性化のためには、鉄道など公共交通機関をより多くの方々に利用していただくことが重要であると認識しております。そのため、県では、今年三月に宮城県ローカル線活性化検討会議を設置し、現在、石巻線をはじめとした路線ごとのワーキングチームで利用促進策の検討を重ねているところです。その利用促進を図るためには、石巻市の取組のような地域の機運醸成が必要であると考えております。県といたしましては、一人でも多くの方々に鉄道などの公共交通機関を利用していただけるよう、これらのワーキングチームでの議論も踏まえ、通勤に限らず地域の企業や住民を巻き込む方策として、全県的な呼びかけの実施に向け検討してまいります。 次に、仙石線・仙石東北ラインについての御質問にお答えいたします。 仙石線・仙石東北ラインの快速列車の増便と所要時間の短縮は、沿線住民の利便性の向上や地域振興を図る上で大変重要であると認識しており、これまでも宮城県鉄道整備促進期成同盟会と連携し、JR東日本に対して繰り返し要望してまいりました。JR東日本では、今後について「利用状況を踏まえ、効率的なダイヤ等について検討していく」との考えであり、県といたしましては、沿線市町と協力し、一層の利用促進に向けた機運醸成を図るとともに、要望の実現に向けて粘り強く働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱二点目、五類移行後の
新型コロナウイルス感染症対策についての御質問のうち、医療機関に対する調整と支援体制等についてのお尋ねにお答えいたします。 五類への位置づけ変更後、幅広い医療機関による自立的な医療提供体制に移行するため、県ではこれまで対応してきた医療機関に加えて、新たな医療機関に参画を促すための取組を医師会等と連携しながら進めているところです。具体的には、入院・外来対応を行う医療機関に対し、院内感染対策も含めた設備整備等への補助を継続するほか、新たに外来対応を行う医療機関への設備整備に係る費用の補助を実施いたします。また、これまで診療や入院患者の受入れが少なかった医療機関においても、安全にコロナ患者を受け入れることができるよう、院内感染対策や治療方法に関する医療従事者向け研修会の開催にも取り組んでおります。更に、夜間・休日についても、通常の対応に移行しておりますが、県が受診情報センターを設置し、体調急変時の二十四時間相談対応を行っているほか、保健所や移行期医療調整本部による入院困難事案のサポート体制等も構築しているところです。県としましては、引き続き、医療機関や医師会等と連携しながら、円滑な移行に向けた支援に努め、必要な方に必要な医療を提供できるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、県内全病院での入院を困難としている理由と、実現に向けた施策についての御質問にお答えいたします。 国では、
新型コロナウイルス感染症患者で入院が必要な方への対応について、全ての病院で受け入れることを目指しており、我が県としても同様の方針で調整を進めてきたところです。一方、県内には整形外科や精神科、眼科などのいわゆる単科病院もあり、これら病院の一部においては、内科的治療が難しい実情があることから、四月の報道機関のアンケート調査に対しては、全病院での入院受入れは「どちらかといえば困難」と回答したものです。県としましては、今後とも、外来対応医療機関と同様に、入院受入れ医療機関に対しても、必要な設備整備への補助や研修機会の提供を行うなど、より多くの病院が安心して入院患者を受け入れられるよう、必要な支援に努めてまいります。 次に、予防対策に関する県からの情報発信についての御質問にお答えいたします。 今回の感染症法上の位置づけの変更により、新型コロナの感染対策は、法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、県民の皆様の自主的な取組をベースとしたものになりました。しかしながら、他人に感染させるリスクを軽減するため、県では、発症後五日間、かつ、症状が軽快してから二十四時間が経過するまでは外出を控えるなど、自主的な感染対策を推奨しているところです。新型コロナは今後も一定の流行が続くと予想されており、医療逼迫の回避、県民の安心の確保等の観点からも、感染対策が大変重要であると認識しております。県といたしましては、今後とも、ホームページ等を活用し、県民の皆様に対し基本的な感染対策について御理解と御協力をお願いするなど、積極的な情報発信と広報に努めてまいります。 次に、大綱三点目、四病院の統合再編についての御質問のうち、新病院の精神科外来機能についてのお尋ねにお答えいたします。
県立精神医療センターが富谷市に移転した場合の外来患者数の試算とした一日当たり三十人との想定数については、現在の精神医療センターの外来患者のうち、仙台市太白区以南にお住まいの患者を除いた人数を積み上げたものです。また、この想定数と現在の外来患者数との差である約九十人については、名取市の新病院の精神科外来機能で受け入れることを想定しております。県としては、今後の検討過程において、関係者の意見や医療コンサルタントの知見も踏まえながら、民間医療機関との連絡役割分担などとともに内容を精査し、新たな精神医療センターの適正規模を見極めたいと考えております。 次に、名取市の新病院への精神科外来設置の進捗状況についての御質問にお答えいたします。 現在、県が委託する医療コンサルタントも活用しながら、精神科外来の規模や機能、移転後の新たな
県立精神医療センターの医師との連携体制などについて検討するとともに、当事者や関係者等との意見交換を踏まえ、デイケア・訪問看護の民間での受入れ体制などについても精査を進めているところです。県としましては、引き続き日本赤十字社及び県立病院機構等との協議を行い、名取市の新病院の精神科外来機能について具体化を図ってまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱五点目、石巻圏域の諸課題についての御質問のうち、日本語学校の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 公的関与による日本語学校の開設により、留学生と地域住民の交流機会が創出されるほか、みやぎファンによる魅力の発信、卒業後の地域産業の担い手としての活躍など、様々な効果が期待されます。このため、県では、将来的に複数地域での学校開設を視野に入れつつ、モデルケースとなる学校の開設に向け、大崎市及び石巻市と協議を進めているところです。このうち大崎市においては、日本語学校や寮を核とした多文化共生のまちづくりを基本コンセプトとし、令和七年四月の開校に向け開設予定地を決定するなど、着実に準備を進めていただいているところです。一方、石巻市においても、市長自ら北海道東川町を視察し、学校及び寮の開設地選定のほか、運営方針などについても検討を進めており、可能な限り早期の開設を目指しているところと伺っております。県としては、両市から、特に留学生の募集や日本語教員の確保などについて、県の支援を求める声が寄せられていることから、今年度、開設準備手続に精通した専門人材の配置や、相手国の教育機関等との関係構築を通じた留学生確保への支援等を行うこととしており、今後とも両市と緊密に連携し、開設に向けた準備を進めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。 〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕
◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱一点目、
ALPS処理水の海洋放出についての御質問のうち、新規参入や魚種転換を行う漁業者への支援についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、これまで連携会議などにおいて水産関係者の声を集約し、我が県の漁業者等のなりわい維持に必要な対策を強く国に要望してまいりました。その結果、がんばる漁業・養殖復興支援事業による生産費用の助成の対象範囲が、新規参入や魚種転換を行う漁業者にも拡充されるなど、支援の強化が実現しております。一方、県においても、今年度から、独立・自営を目指す漁業後継者に対する、国の施策と連携した漁船等の導入補助や、魚種転換の取組をサポートする県独自の事業などを立ち上げ、支援体制の充実を図っております。県としては、引き続き、水産関係者の意見・要望等を伺いながら、必要な支援について国に働きかけるとともに、本県水産業の維持発展に向け、しっかりと取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。 〔土木部長 千葉 衛君登壇〕
◎土木部長(千葉衛君) 大綱五点目、石巻圏域の諸課題についての御質問のうち、石巻港区における更なる港湾機能の強化等についてのお尋ねにお答えいたします。 石巻圏域をはじめ、我が県の経済・産業を支える重要な港湾である仙台塩釜港石巻港区については、今年度から、国において新たな水深十二メートルの岸壁の整備や航路・泊地のしゅんせつに着手したほか、県では廃棄物埋立て護岸の整備を計画的に進めているところです。一方、
新型コロナウイルス感染症拡大に伴うサプライチェーンの変化や、カーボンニュートラルの実現に向けた対応、働き方改革に起因したモーダルシフトの進展、クルーズ船誘致によるインバウンドへの対応など、港湾を取り巻く環境は大きく変化していることから、これらの変化に柔軟かつ的確に対応していく必要があると認識しております。このため、県では、港湾計画の改訂に向け、明日の仙台塩釜港を考える懇談会やカーボンニュートラルポート協議会を昨年度に立ち上げ、石巻港区を含む仙台塩釜港全体における今後の整備の在り方などについて、今年度中に取りまとめる予定としております。県といたしましては、これらの懇談会等の枠組みを引き続き活用し、より一層、港湾の利活用を図りながら、更なる港湾機能の強化に取り組んでまいります。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 四十三番坂下賢君。
◆四十三番(坂下賢君) 御答弁ありがとうございました。 四病院の統合再編についてお聞きしてまいりたいと思います。 二月にこの確認書を取り交わしたということで、ただいまの答弁の中では、基本合意に向けて、今いろいろと協議しているというようなお話がございましたが、まず、その基本合意について、どの程度進捗してきているのか伺いたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 先ほどの答弁と重なる部分もございますけれども、様々な方々の意見を頂戴しながら、その意見を協議の中に反映するような形で、関係機関と協議を進めているところでございます。
○議長(菊地恵一君) 四十三番坂下賢君。
◆四十三番(坂下賢君) これは赤十字病院、そしてまた労災病院、こちらと病院機構ということで、この進捗している状況というのは、同じような推移で進んできているのかどうか、まず確認しておきたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 労災病院さん側、日赤病院さん側とそれぞれ具体的な協議を一歩一歩進めているという状況でございますが、進み具合については中身等のあれもありますので、詳しく申し述べる状況には現在ございませんけども、まだそれが整っている状況ではございませんので、先ほど申しましたように様々な方の意見をお聞きし、それを協議の中に反映し実現に向けていけるような中身の下打合せも含めて、現在進めている状況でございます。
○議長(菊地恵一君) 四十三番坂下賢君。
◆四十三番(坂下賢君) 基本合意については、知事は早く合意ができたほうから公表していくというようなことをおっしゃっているのですが、その真意、理由についてお聞かせいただきたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) これは相手が別々です。労災機構さんと日赤本社ということになりますので、組織によって機関決定のスピードが変わってくるでしょうし、課題も違ってくるということでございます。今のところ、それほど大きな差はございませんけれども、基本合意の内容について、どちらかが先に意思決定し機関決定をしたならば、その場合は、そちらのほうを先に発表していきたいと考えているということです。どちらか遅いほうが追いつくまで待つということをしないで、早く進めるところからどんどん進めていったほうがいいのではないかと考えているということであります。
○議長(菊地恵一君) 四十三番坂下賢君。
◆四十三番(坂下賢君) 一方で、富谷市への移転、早くて二十八年度から二十九年度の開院を目指したいというような御発言もあったと思うのですが、この基本合意を早くできたほうから公表し、知事は今どんどん進めたいという話をしたのですが、基本合意が両方とも整わないと、一方で富谷市のほうに病院建設をどんどん進めていけば、これは整合性の取れない話になっていくと思うんですよ。例えば精神科外来をどうするかとか、そういうことが決まらないうちに進めていけば、これは齟齬が生じてくるということなのですが、その辺りの認識について、知事はどう考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) おっしゃることはそのとおりだというふうに思います。ただ、まず病院が、労災さんが先に決まれば、そのような問題も出るでしょうし、日赤さんが先に決まれば、また別の形にもなってこようかと思います。いずれにせよ、現時点においてまだどちらのほうが先になるかということは申し上げられないので、できるだけ足並みをそろえられるように努力はしてまいりたいと思いますし、そういった不安を払拭できるように、仮に労災さんが先に発表されることになれば、日赤さんにお願いしております精神科外来の件についてはどのようなところまで進んでいるのかということは、しっかりと申し上げていきたいと思っております。
○議長(菊地恵一君) 四十三番坂下賢君。
◆四十三番(坂下賢君) そういった問題も絡んできますので、これはぜひ慎重に進めていっていただきたいというふうに思います。終わります。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。 〔十六番 わたなべ拓君登壇〕
◆十六番(わたなべ拓君) 議長のお許しをいただきましたので、以下、大綱七点につき、是々非々の立場から一般質問を実施します。 冒頭に、宮古島沖陸上自衛隊ヘリコプター事故で殉職された坂本雄一陸将をはじめ、十名の自衛官に対し、謹んで哀悼の誠をささげます。 明日は沖縄慰霊の日です。本県出身者も五百八十二名が戦死されました。祖国防衛のため陣没された沖縄戦の戦死者と、米軍の無差別攻撃により犠牲となられた沖縄県民の先人に対して、謹んで哀悼の誠をささげます。 六月二日に、東北大学発の宇宙スタートアップ、ElevationSpace社と宮城県機械金属工業会所属の十七社をお引き合わせし、東北大学のラボを視察しました。国際宇宙ステーションが構造的寿命により二〇三〇年に用途廃止されるため、ElevationSpace社は、小型無人人工衛星を打ち上げて宇宙空間で実験などを行い、はやぶさ2のように地球に実験試料などを持ち帰るプラットフォームの構築を志しています。小林稜平代表取締役CEOは秋田県出身で、秋田高専から東北大学工学部に編入し工学修士号を取得、宮城県を宇宙産業の集積地とするとの大きな志と、ものづくりの地産地消を掲げる宮城県機械金属工業会の技術が出会い、「みやぎ版下町ロケット」実現へ向けて物語が始まったわけであります。新・宮城の将来ビジョンでは、取組一として、産学官連携によるものづくり産業等の発展と、研究開発機関等の集積による新技術・新産業の創出がうたわれています。また、本県が集積を目指す八分野には、ロケット・人工衛星製造業など航空宇宙関連産業が含まれます。宇宙スタートアップの重点的支援により、宮城県に一大宇宙産業の蓄積を創出することは、将来ビジョンにも整合する取組と考えますが、知事の所見を求めます。 ものづくり系スタートアップは、IT、AI関係の強いノウハウを持つ一方で、部品加工・製造といったものづくりのリソースは乏しく、中小ものづくり企業の持つニッチ技術、試作品製造、少量生産などの強みを生かせます。ものづくり企業側としても、スタートアップとの協業が、下請構造から脱し、新技術開発などイノベーションの契機となり得るなどメリットがあり、両者は良好な協業パートナーとなり得ます。スタートアップ・エコシステムの中に、テック系スタートアップと県内中小ものづくり企業との協業をいかに位置づけ育てていくのか、具体の戦略と施策を伺います。 先月、産学官金による東北大学発等テック系スタートアップ支援の枠組み、テクスタ宮城が設立されました。他方で仙台市は、スタートアップ・エコシステム拠点都市に選定され、ほかにもJ-Startup TOHOKUなどスタートアップ支援の枠組みがありますが、屋上屋を架すものにならないのかとの指摘もあります。相互の役割分担・連携について伺います。 ElevationSpace社は、二〇二五年に初号機の打ち上げを予定していますが、宮城県内での自社製ロケットの製造を志しています。打ち上げ予定の二百キログラムクラスの人工衛星の組立ては、東北大学学内では既に困難で、工場の賃貸や新設を検討しています。みやぎ企業立地奨励金制度をスタートアップ向けに拡充する余地もあると考えますが、当局の所見を伺います。 また、現状では、ロケットの試験では福島ロボットテストフィールドやJAXAに実機を搬送して実験する必要があり、宮城県内における試験・研究開発上、大きなロスとなっています。先日、県産業技術総合センターを視察し、懇切な御案内のもと、各種試験機器を拝見しました。視察を通じて、課題が大きいことも承知していますが、本県へのロケット産業蓄積という戦略目標達成のためにも、県産業技術総合センターを含む県内候補地で、人工衛星・ロケットの試験設備を導入する余地はないのか、伺います。 先日、水道事業のDXに取り組むスタートアップ・フラクタ社幹部との意見交換の機会を提案し、水道経営課幹部に御協力いただきました。フラクタ社は、ビッグデータとAIを駆使した水道管路の劣化予測診断技術を用いて、管路破損リスクを割り出し、リスクが高いと診断された管路から優先的に更新することで、優先順位を適正化し、管路の予防保全、更新コストの縮減に寄与できるとしており、日米欧百二十の事業体において、延長三十キロメートル、四十万件の漏水事故をデータ収集済みで、国内水道事業では実証事業を含め、広島県企業局、埼玉県企業局、愛知県企業庁はじめ約四十の事業体で工水・用水供給事業についてサービスを供給しています。先行自治体の実績によると、本技術により漏水箇所の的中精度が約三〇%向上し、更新費用が二〇%から三〇%削減された事例もあるようです。本県企業局所管の管路のうち、法定耐用年数四十年を超過した管路は具体に何キロメートルで、全体の何割を占めるのか伺います。 本県企業局では、特に工水の需要が大きく落ち込む一方、今後、膨大な管路更新に対応する巨額の更新費用が課題です。そこで、AIとビッグデータを駆使した管路劣化診断技術を活用して更新作業を効率化し、更新の優先順位を適正化することで、更新費用を縮減する余地もあると考えますが、当局の所見を伺います。 公共工事の測量、地質調査など、調査設計の品質確保のため、公共工事の品質確保の促進に関する法律、品確法など新・担い手三法改正により、ダンピング対策として、本県をはじめとして、低入札価格調査制度などの導入が進んでいます。ダンピング受注を放置すれば、調査の手抜き、下請業者へのしわ寄せなどを招き、公共工事の品質が確保できないおそれがあります。特に、測量、地質調査など調査・設計業務に関してダンピング受注が行われる場合には、成果物たる調査データの品質保証に影響が出かねず、それらデータを基礎としてなされる公共工事による建築物に対する信頼性にも関わりかねません。本県市町村における低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の導入状況、割合について伺います。 国の通知「医療計画について」、令和五年三月において、「都道府県においては、患者本位の、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築」することとし、医療計画の作成については「医療提供体制の現状及び今後の医療需要の変化を含む地域の実情に応じて、関係者の意見を十分踏まえた上で行うこと」と明記していますが、本県の四病院再編統合の取組は、厚労省の通知の趣旨に逆行するものと言わざるを得ません。仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合による新病院の具体的な方向性の参考資料には、県立がんセンターの経営状況があるのみで、仙台赤十字病院の経営状況の記載はありません。そもそも四病院再編統合は、仙台赤十字病院の経営不振に発した話だったはずですが、なぜ仙台赤十字病院の詳細な経営情報が提示されないのでしょうか。 新病院の機能について、総花的メニューが躍っていますが、これだと仙台赤十字病院の診療科をそのまま維持することになりかねませんが、経営不振を招いた仙台赤十字病院の診療科ごとの課題について、県はどのように認識しているのでしょうか。 「交渉中のため確かなことは言えない」、「相手のあることだから」と県は患者対応から逃げ回っていますが、仙台赤十字病院の患者からは、「来年もかかれるの」などと将来の受診を不安視する問合せが後を絶たないそうであります。患者の疑問に対する当然の説明責任が、いまだに果たされているとは思えません。四病院再編を指導する県には、国の通知が明示する「患者本位の、良質かつ適切な医療を効率的に提供する」医療計画を策定する責務があるはずです。今さらと思わずに、仙台赤十字病院の現地存続の場合の課題、移転の場合の転院先の検討状況など、現地存続、移転の各場合に応じた仮説と課題を丁寧に示し、患者、地域住民に地域医療提供体制の現状理解の機会、予見可能性を与えるべきであります。さきの日本経営による具体的な方向性の公表内容はあまりに不十分であり、調査結果を可能な限り公表すべきです。更に、仙台赤十字病院患者、地域住民に調査結果を共有した上で、十分な意見交換の場を設けるべきです。それこそが患者本位の説明責任と考えますが、当局の所見を伺います。 五月三十一日に開催された令和五年度宮城県
精神保健福祉審議会において、各専門家、患者支援団体関係者など大半の委員から、精神医療センターの富谷市移転について批判的意見が表明されました。富田会長の整理の下、審議会としては、正式に富谷市への精神医療センターの移転に賛成することはできないと表明されたことは、極めて深刻な事態であると言えます。特に、県北の富谷市在住の保健師冨士原氏による「富谷も名取もアクセス的には同じ」との発言、仙台医療センター精神科部長岡崎氏による「県の計画による重症身体合併症の対応は絵に描いた餅であり、不可能」だとの発言には衝撃を受けました。精神医療福祉の専門家・関係者のコミュニティーから、現行の移転計画の妥当性は明確に否定されたわけですが、この際、県の無理のある構想に見切りをつけて、専門家たる審議会委員による見立てをベースにして再編を再検討し、最善解を追求すべきと考えますが、当局の所見を求めます。 昨年の本県の合計特殊出生率は、一・〇九と全国で二番目に低く、四年連続で過去最低を記録しました。有配偶者数を分母とした出生率では、全国で三十八位となるとの見立てもありますが、その場合でも二十代の順位は全国四十一位、三十代は四十三位と低調であることに変わりはないようであります。本県の課題は、有配偶率が低く、女性の平均初婚年齢及び第一子出生年齢の高さにあると言えそうです。昨年来実績を上げつつある「みやマリ!」の取組ですが、本年三月末までの二十代を対象とする登録料半額キャンペーンの成果につき伺うと、キャンペーン期間前後で、二十代の増加率は六・二%から、実に二八・五%へと顕著に増加するのであります。ちなみに、同期間の全年代の値は三六%から何と一四・四%へと大きく減少したのと対照的であります。二十代の登録者は全体の一〇%程度であることを考えると、二十代の登録者増加により、二十代の成婚退会の増加を期することこそが、結婚、そして出産につながる少子化対策として有効な打ち手であると言えます。この際、二十台登録者の増加を促すために、二十代の登録料半額キャンペーンの再開、若しくは、いっそのこと全額無料キャンペーンとすべきと考えますが、当局の所見を伺います。 また、現在の運用では、成婚退会者が婚姻や出産に至った場合にも、自発的な申告がない限り、その後の様子は分からず、政策としての実効性を測定できません。登録者の婚姻や出産について申告いただけるようお願いし、インセンティブを講じて成果を統計的にフォローすべきと考えますが、当局の所見を求めます。 結婚意識調査、厚生労働省によれば、結婚資金、住居を構えるための費用など、結婚に関するイニシャルコストが若年層ほど障害になっていることが示唆されます。国においては、結婚新生活支援事業、都道府県主導型市町村連携コースを設け、夫婦ともに二十九歳以下の場合には一世帯当たり六十万円を上限として支給し、補助率も三分の二に引き上げられますが、本県では七自治体の実施にとどまります。政令市仙台市をはじめ、未実施の二十八自治体には、少子化が急速に進む自治体が含まれます。これら自治体に対する都道府県主導型市町村連携コースの勧誘状況と市町村の反応について伺います。 本県では、目下、奨学金返還支援事業について検討中とのことですが、先行する仙台市の返還支援事業では、就職先の業種に制限はないなど、先行例と比較した上での差別化を要すると考えます。既に本県では、医療・福祉分野における修学資金貸付けなど、返還免除を伴う取組が存在しますが、理工系産業人材確保に特化した返還支援の枠組みはありません。村井知事は、本県の第三次産業偏重の産業構造を転換すべく、製造業など厚みのある質の高い雇用を増やしてきましたが、ものづくりの地産地消を掲げる宮城県機械金属工業会はじめ、製造業を営む中小企業からは、理工系人材の慢性的不足に悩まされているとの声が届いています。全国的にも理工系人材の取り合いになっており、県内製造業の持続的発展のためにも、理工系産業人材の県内定着へのインセンティブを講じる必要があります。石川県では、今年度から、いしかわ理系人材確保奨学金返還助成制度を設けて、理工系産業人材確保のため、企業と折半して奨学金返還支援の取組を始めました。東北地方でも、岩手県、福島県、秋田県などは、既に同様の奨学金返還支援事業を設けています。本県も、理工系産業人材の確保に資する奨学金返還支援事業を設ける余地があると考えますが、当局の所見を伺います。 仙台市太白区では、開発による子供人口の急増により、子供の遊び場が不足しています。公園・緑地では、大人数での球技、硬いボールを用いた球技は禁止されています。太白区富沢地区では、開発により人口が急増し、富沢中学校は三学年で千三名と、東北の公立中学で最大規模であり、校舎増築のため校庭は半分の状態です。富沢小学校も児童増加による校舎増築で、校庭は三分の二になっています。あすと長町地区を含む長町小学校は全校児童数七百名、東長町小学校は全校児童数八百名の大規模校で、やはり遊び場が不足しています。令和四年度宮城県小・中・高等学校児童生徒体力・運動能力調査結果からも、コロナ禍以前との比較で、シャトルラン、ボール投げなどで、小中高ほぼ全学年で顕著に能力が低下しており、二十年前との比較でも一貫して運動能力が低下しています。運動遊びは、基礎的体力や動きの発達に寄与するだけでなく、人間関係、コミュニケーション能力の向上など、子供の心身の発達に効果的であることが学問的に明らかになっています。子供たちの心身の健全な発達を保障するためにも、存分に運動遊びができるよう、県としても最大限の努力をすべきです。具体には、子供の遊び場として、県有地の活用の余地はないのでしょうか。例えば、本県所管の宮城県第二総合運動場の遠的弓道場は四百平米ほどありますが、利用状況を見ると、稼働率は年間平均で三分の一ほどであります。個人利用は記録に反映されないため、更に稼働率は上がるとしても、大会の直前期などを除いて劇的に上がることはないようであります。こうした県有施設の未利用時間帯を積極的に開放し、子供たちの遊び場として活用してはいかがでしょうか。ほかにも、宮城県第二総合運動場の隣接地には、県立仙台二華高校の第二グラウンドが所在し、県立仙台南高校校庭も隣接しています。先日、仙台南高校を訪問し、駒木校長に相談したところ、非常に前向きに御検討いただきました。同校校庭は、平日は部活動でフル活用されているものの、年間八回の定期考査前後の土日については、部活動が基本的にはないため、民間開放可能とのことです。仙台二華高校第二グラウンドについて、今野教頭に相談しましたが、詳細に検討してくれました。具体には、定期考査等の期間中、年間七回は土日の利用がなく、六月は十二日間連続、九月も十二日間連続、十一月は十日間連続、二月は十二日間連続で空いており、更に冬期十一月から二月については、何と日曜は基本的に空いているそうであります。管理の問題など課題はあるものの、民間開放の余地が具体に明らかになりました。高校の校庭なら、子供たちが球技など存分に運動遊びすることが可能です。また、週末には親子で広い校庭で遊ぶことも可能となり、QOLの向上にも寄与します。政府もストック適正化の観点から、またスポーツ基本法の規定に基づき、スポーツ施設の六割を占める学校体育施設の活用をうたっています。ぜひとも、活用可能な県有施設を子供の運動遊びのため積極的に開放すべきと考えますが、当局の所見を求めます。 御清聴、誠にありがとうございました。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) わたなべ拓議員の一般質問にお答えいたします。大綱七点ございました。 まず、大綱一点目、東北大学発宇宙スタートアップ支援についての御質問にお答えいたします。 初めに、宇宙産業の蓄積を創出することは将来ビジョンにも整合する取組と考えられるがどうかとのお尋ねにお答えいたします。 新・宮城の将来ビジョンにおいて、県内産業の持続的な成長促進を図るため、産学官連携によるものづくり産業等の発展が明示されており、東北大学発宇宙スタートアップに対する支援は、本ビジョンとも整合しているものと考えられることから、県では、ものづくり産業の誘致に当たり、航空宇宙関連産業を重点分野の一つに位置づけ、その活動を進めております。加えて、みやぎ高度電子機械産業振興協議会では、航空機を重点分野に定め、宇宙スタートアップの代表者を講師に招きセミナーを開催するなど、航空機とともに、宇宙分野を我が県の産業振興において注力すべき一分野として捉えているところであります。宮城県にはJAXA角田宇宙センター等も立地していることから、先月十日に設立したテクスタ宮城のプラットフォームも活用しながら、引き続き、宇宙スタートアップの重点支援による宇宙産業の振興に努めてまいりたいと考えております。 次に、スタートアップと県内ものづくり企業の協業についての御質問にお答えいたします。 県ではこれまで、みやぎ高度電子機械産業振興協議会などの活動を通じて、中小ものづくり企業の技術力向上を支援してきたところであり、その技術は、先端科学技術をシーズとするスタートアップとの協業にも十分に応えられるものと認識しております。戦略として、スタートアップ支援のコンソーシアムであるテクスタ宮城には、県内中小ものづくり企業にも参加していただいており、これらの企業とスタートアップとのマッチングにより、両者の協業を促進してまいります。具体的な施策としては、スタートアップからのヒアリングを踏まえ、県内ものづくり企業との個別のマッチングを支援するほか、交流イベントの開催等により、スタートアップと製造業の情報交換の場を増やしてまいります。これらの取組により、両者の協業による相乗効果を最大限発揮し、新たなイノベーションを創出していくとともに、スタートアップの成長と地域への定着を支援してまいりたいと考えております。 次に、みやぎ企業立地奨励金の拡充についての御質問にお答えいたします。 みやぎ企業立地奨励金は、県内に工場等を新設または創設した企業に対し、その投下固定資産額と常時雇用者数に応じて交付するものであり、スタートアップも奨励金の対象としているところであります。全国的にもスタートアップへの支援は充実が図られてきておりますが、御指摘の成長分野や重点分野を加味した新たな立地奨励金制度の在り方についても研究してまいりたいと考えております。 次に、大綱四点目、四病院再編統合についての御質問のうち、
県立精神医療センターの富谷市移転について再検討すべきとのお尋ねにお答えいたします。 先月の県
精神保健福祉審議会におきましては、当事者や関係団体との意見交換などを踏まえ、精神科外来機能をはじめとする、
県立精神医療センター移転後の県南部の体制などについて、県から報告したところであります。関係者間の協議の過程であることから、具体的な姿が十分に提示できず、現時点においては、患者が安心できる状況にないと受け止められたものと理解しております。一方で、精神医療センター移転に当たって留意すべき点に関する意見もあったところであり、県といたしましては、当事者や関係団体等との意見交換を引き続き行いながら、具体的な検討を進めてまいります。 次に、大綱六点目、奨学金返還支援についての御質問にお答えいたします。 奨学金返還支援制度は、地域の産業等の担い手となる若者の地方企業への就職や地方定着を促進するものであり、東京都、埼玉県をはじめ、三十五の都府県や一部市町村において事業化していると認識をしております。これまでに先行都道府県、県内で既に事業化している仙台市へのヒアリング等を実施するほか、宮城県中小企業団体中央会や仙台商工会議所との意見交換を行ってまいりました。県としては、これまでの県内外の先行事例の調査結果等を踏まえ、奨学金返還支援の条件を含めた事業の効果、課題の整理などを行いながら、御指摘のありました理工系産業人材の確保に特化した枠組みも含めて、引き続き事業導入の可能性について検討を進めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 公営企業管理者佐藤達也君。 〔公営企業管理者 佐藤達也君登壇〕
◎公営企業管理者(佐藤達也君) 大綱二点目、水道管DXについての御質問のうち、法定耐用年数を超過した管路についてのお尋ねにお答えいたします。 令和三年度末時点で、企業局が所管する水道管路のうち、水道用水供給事業における、大崎広域及び仙南・仙塩広域の二事業合計の管路延長は、約三百三十一キロメートルとなっており、そのうち法定耐用年数四十年を超過した管路が約二百三十三キロメートルで、割合は七〇・五%となっております。また、工業用水道事業における、仙塩、仙台圏及び仙台北部の三事業合計の管路延長は、約百六十四キロメートルとなっており、そのうち法定耐用年数を超過した管路が約八十四キロメートルで、割合は五一・五%となっております。 次に、管路劣化診断技術の活用についての御質問にお答えいたします。 企業局が所管する水道管路については、水道維持管理指針に基づき、実使用年数を八十年と設定しており、本格的な更新は、令和三十年度頃から始めることを想定しております。一方、実使用年数は、管路の設置環境等によって差が生じることから、その劣化状況を判断し、可能な限り長期間使用しながら、適切な時期に更新することで、コスト縮減や平準化を図ることが重要であると認識しております。そのため、企業局では、本格的な管路更新を見据え、地盤情報や漏水実績などの基礎調査に加え、地中に埋設された管路を直接確認する管体調査等を進めておりますが、管路の劣化には様々な要因があるため、予測精度の向上が課題であると考えております。御提案のありましたAIを活用した管路劣化診断は、管路情報と独自に構成した環境ビッグデータを駆使して劣化予測を行う技術であり、管路更新の効率化や優先順位の適正化により、コスト縮減や平準化が図られることが想定されるため、企業局としても、その活用について検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 総務部長小野寺邦貢君。 〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕
◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱三点目、公共工事の品質確保とダンピング対策についての御質問にお答えいたします。 令和元年に公共工事の品質確保の促進に関する法律をはじめとする新・担い手三法が改正され、ダンピング対策を更に徹底するために、新たに発注者の責務として、測量や地質調査等の公共工事の調査・設計業務が低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の対象となったところです。現状、公共工事の調査・設計業務については、県内市町村で低入札価格調査制度または最低制限価格制度のいずれかを導入している団体は二十市町村であり、全体の約五七%となっております。これらの制度の導入に当たりましては、職員のノウハウ不足等の課題が上げられておりますことから、県といたしましては、引き続き国からの通知に基づき情報提供を行うとともに、関係団体が主催する研修会に参加を呼びかけるなど、法律の趣旨を踏まえた適切な対応がなされるよう働きかけてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱七点目、県立高校校庭など県有地の民間活用についての御質問にお答えいたします。 テニスコートや体育館といった県有スポーツ施設については、利用者がいない場合でも自由に利用いただけるものではなく、施設本来の目的を阻害せず、管理上の支障がない範囲において使用が認められるものであります。御質問のありました、第二総合運動場の遠的弓道場を子供の自由な遊び場とすることについては、矢を防ぐネットや的がボール投げなどで損傷するおそれがあり、また、弓道関係者からの理解も得られていないことから、難しいものと考えております。しかしながら、地域の子供たちが運動遊びをすることは大切でありますので、地域の子供会や町内会などから、第二総合運動場の柔道場や剣道場の使用申請があった場合には、できる限り柔軟に対応してまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。 〔保健福祉部長 志賀慎治君登壇〕
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 大綱四点目、四病院再編統合についての御質問のうち、仙台赤十字病院の詳細な経営情報等のお尋ねにお答えいたします。 今回の病院再編は、仙台赤十字病院の経営不振に起因したものではなく、我が県の政策医療の課題解決を図るために協議を開始したものです。また、民間病院の経営情報は、これを公開することにより、当該法人の事業活動が損なわれるおそれがあることから、情報公開条例の規定により不開示としております。仙台赤十字病院は、総合周産期母子医療センターの機能を有する産婦人科等において強みを発揮しておりますが、一方で仙台市内に急性期病院が集中する結果、競合等により経営的な課題を抱えているものと認識しております。県としましては、今回の再編により、急性期病院の再配置と機能の集約化を図り、経営基盤を強化することや、新病院が機能を最大限に発揮することを通じて、政策医療の課題解決に貢献する持続可能な病院の実現を目指しているところでございます。 次に、調査内容をできる限り患者、地域住民に共有した上で意見交換の場を設けるべきとの御質問にお答えいたします。 県が委託した医療コンサルタントによる調査内容につきましては、協議の相手方である日本赤十字社の内部管理に関する情報など、情報公開条例の規定に基づく不開示情報を除き、可能な限り公表しております。今後も、病院再編に関する必要性や課題等について、協議の進捗を踏まえて、適時的確な情報提供に努めてまいります。また、患者や地域住民の方々との意見交換については、これまでも要望活動への対応などを通じて行っているところでありますが、引き続き様々な機会を捉えて意見を伺いながら、丁寧な説明を行ってまいります。 次に、大綱五点目、少子化対策についての御質問のうち、「みやマリ!」の登録料及び婚姻や出産に関する申告についてのお尋ねにお答えいたします。 みやぎ結婚支援センター「みやマリ!」では、AIを活用したマッチング支援を行っており、先月末時点での登録者数は二千四百六十八名、成婚を理由とする退会は七十五組と好評をいただいておりますが、二十歳代の登録者は全体の約一割程度にとどまっております。二十歳代の会員が増加することは、幅広い年代によるマッチングや出会いの機会の拡大につながるほか、結婚を希望する若い世代の方々への支援を通じ、少子化の要因の一つとされている未婚化・晩婚化への対策としても効果が期待できるものと認識しており、登録料の負担軽減も含め、積極的な利活用に向けた対応を検討してまいります。また、「みやマリ!」においては、結婚の意思が固まった時点で成婚による退会となっており、退会後の結婚や出産に関しての報告は求めておりません。一方で、現在は成婚退会者を対象に「みやマリ!」の提供するサービスなどに関するアンケート調査を実施しており、御協力いただいた皆様には調査への御礼の品を贈呈しているところです。今後とも、事業に対する率直な御意見とともに、退会後の情報提供を得るための方策について検討してまいります。 次に、結婚新生活支援事業に関する御質問にお答えいたします。 結婚新生活支援事業は、若年層の新婚生活に係る家賃や引っ越し費用などの負担軽減を目的とした国の補助事業であり、実施主体は各市町村となっております。都道府県が主導する連携コースを市町村で実施すると、補助率が二分の一から三分の二へかさ上げとなることから、県では、宮城県市町村少子化対策事業推進協議会を複数回開催して、事業の紹介を行うとともに、「みやマリ!」や男性の家事育児参画などに係る県の施策と連動した取組を行うことによる連携コースの活用について、市町村に働きかけてきたところです。現在未実施となっている市町村においては、財源確保など様々な事情があったと承知しておりますが、できるだけ多くの市町村が、より有利な条件で当該補助事業を活用できるよう、協議会の場における実施事例の周知などに努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱一点目、東北大学発宇宙スタートアップ支援についての御質問のうち、仙台市や東北経済産業局などの取組とテクスタ宮城との役割分担・連携についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台市は、令和二年に内閣府からスタートアップ・エコシステム拠点都市に選定され、また、東北経済産業局も令和二年にJ-Startup TOHOKUを立ち上げるなど、これまで様々な組織が地域のスタートアップの支援を行っております。先行して設置されたこれらの組織との役割分担・連携を適切に行うため、県では、テクスタ宮城の設立において、地域のスタートアップ支援組織からなる準備会議を開催し、新組織が持つべき機能について議論を深めてきました。これを踏まえ、テクスタ宮城では、県内ものづくり企業に重要なパートナーとして参画いただくとともに、スタートアップと幅広い分野の構成員の個別マッチング機能を強化するなど、これまでの地域の取組にはない固有の役割を持たせることといたしました。また、資金や人材等、スタートアップの成長に必要なリソースが供給され続ける地域を目指すためには、全国に対する我が県の影響力を強める必要があることから、仙台市などと連携を図りながら、情報発信の強化にも努めてまいります。 次に、産業技術総合センター等において、人工衛星の試験設備を導入する余地についての御質問にお答えいたします。 産業技術総合センターにおいて導入する設備の選定に当たっては、県内企業のニーズや保有している設備の老朽化等の状況を踏まえ、総合的に判断しています。宇宙関連の研究開発特有の試験設備である、例えば真空試験機や大型の風洞装置などについては、導入やその維持に相当のコストが必要となること、また専門の研究員の配置も必要となるなど、現時点での導入は難しいものと考えております。一方、既に宇宙関連の研究開発に対しましては、引張・圧縮試験機や振動試験装置等の貸与を通じて必要なサポートを行っており、引き続き、既存施設・設備を活用しながら支援を進めてまいります。加えて、宇宙スタートアップとJAXA角田宇宙センターとの連携を働きかけるなど、県内での研究開発を滞りなく進められるよう、しっかりと支援してまいります。 私からは、以上となります。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱七点目、県立高校校庭など県有地の民間活用についての御質問にお答えいたします。 県立高等学校において、学校運営に支障のない範囲で、地域の方々の身近な活動の場として、校庭等の施設を開放し有効活用を図ることは、地域とともにある学校づくりを進めることにつながるものと考えております。学校の校庭等は、体育の授業や部活動、学校行事などに使用しない時間には、学校長の判断により、少年野球の練習など、地域の団体等への貸出しを行っております。施設利用に際しては、安全確保や事故対応等の観点から、あらかじめ申請をお願いすることになりますが、今後も、地域からの要望等に柔軟に対応できるよう、学校への周知を図ってまいります。 以上でございます。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) るる答弁いただきました。積極的な答弁も幾つかあったかと思います。まず知事に、宇宙産業ですね、集積したいという志を知事自身も随所で述べられて、そして経営者と面談していただいて、これ、とても大きなメッセージになるんでしょうね。福岡市も同じように宇宙航空産業を蓄積していきたいと。福岡市とですね、例えば仙台市あるいは宮城県との違いは何かというと、テック系ベンチャーのリーダーがメディアに出てくる比率が、あちらが二とするとこちらが一なんですよね。一対二、二倍あちらが出ている。そういうことも、やはりこういう分野に進む人材の流れに影響しているんじゃないかと思うんです。ですので、こういったところ、もっと御配意いただく余地があるのかなと思いました。それで、本県でも企業立地奨励金制度を設けているんですけれども、これは投下固定資産額二十億円以上とか、あとは新規雇用者数五十人以上で、交付限度額七億円なんていうことですけれども、このスタートアップ初動の時期に、これはちょっと厳しいという可能性もあると。こういった要件もスタートアップに向けて緩和する余地がありそうだなと思うのですが、この点についてどのようにお考えですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 貴重な御提案だと思って受け止めております。昨日も夜いろいろ議論をさせていただきましたけれども、ほとんどの財源が発展税を使っておりまして、発展税を使ういろんな目的もあるものですから、分かりやすく言うとゼロサムだと。どこかを増やせばどこかが減ると、全体の量は決まっているということでございます。したがって、今まではどちらかというと大企業を誘致するためにはどうすればいいのかということで、他県との差別化を図ってまいりましたけれども、なかなかそういった企業も最近手が上がってこなくなってまいりましたので、そういった財源をずっと残しておくだけではなくて、スタートアップにも振り向けるべきではないかというのが、昨日の段階での、みんなで一致した意見でありますが、具体的に意思決定したわけではないということで、今日は研究してまいりますという答弁にいたしましたけれども、おっしゃっていることの意義は十分認識したつもりでございます。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) 前向きな御答弁と認識します。研究していただきたいと存じます。また、テクスタ宮城、これは注目すべき取組で、先月から始まりましたけれども、こちら、より幅広にメンバーをもっと見てほしいなと思うんですよね。ものづくりの地産地消を志している、志あるリーダーたちがたくさんおられます。この構成員を見ますと、テクスタ宮城の中にまだ機械金属工業会があまり見られないんですよね。こういったところも、しっかりフォローしていただきたいと思います。それで、今回テクスタ宮城に産学官金ということで、スタートアップ向けの大幅な融資拡充をする余地があるんじゃないかなと思うんですけれども、こちらについてのお考えを伺います。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 議員のお話のとおり、テクスタ宮城の最大の特徴は、支援機関の中に金融機関も入れているということでございまして、これはベンチャー企業、それから既存の金融機関も入れておりますので、それと我々としましては、テクスタ宮城の事務局がマッチングして、本当に創業資金的にはですね、数千万円台ならいいんですけれども、億単位、十億単位と発展するために必要になってくる、その際には、会員であるベンチャーキャピタル、それから既存の金融機関等を紹介しながら支援していきたいと思っております。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) やはりテックベンチャーですと、もう数億円単位の話になりますので、今年の四月からスタートアップ創出促進資金も設けられましたけれども、これは上限三千五百万円ということですので、テクスタ宮城の取組を期待したいと思います。 水道管のDXについてなんですけれども、こちら先ほど答弁ありましたように、法定耐用年数が来ているのが、大崎広域水道ですと、もう九二・八%なんですね、答弁いただいた範囲以外の数字も御紹介しますと。仙台圏の工業用水に至っては、経年化率九四・八%になるんです。これが直ちに更新にかかってくるものではないとしても、法定年限の四十年に達しているものはかなり多いんだと、多量に達するんだということは御認識いただいていると思うんです。これ、ほとんどの人は知らないと思うんですよね。ですので、AIを活用した更新費用の縮減、これはまさに知事が志している大きな方向性としては一致しているんじゃないかなと思うんです。私は、みやぎ型管理運営方式については経済安全保障の観点から反対していましたけれども、この本丸と言ってもいい管路更新については、もっと経済性の軸をしっかり通して、将来の負担を縮減していく余地があるんじゃないかと思うのですが、知事、この点についてはどのようにお考えですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 先ほど公営企業管理者が答弁いたしましたとおり、実使用年数というのを考えておりまして、言い方は悪いのですけど、しっかりメンテナンスをそこそこしながら、全部入れ替えるのではなくて、やっていけば八十年は使えるのではないかというふうに見られております。したがって、本格的な更新は令和三十年度頃から始まりますので、それに向けて、残りの数十年かけてしっかりと更新をしていけるようにしていかなければならないというふうに思っております。コンセッションもですね、そういったことのための財源を少しでも確保するためということで行ったものでありますので、しっかりと財源を確保しながら取り組んでいきたいというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) 公営企業管理者からも予測精度向上に応え得る技術じゃないかと、前向きな御答弁を頂きました。今知事からもそういったお考えを頂きましたので、先ほど私ちょっと舌足らずだったんですけれども、大崎広域水道と仙南・仙塩広域水道、二つ合わせると、全体で法定年限を超過したものが七〇・五%になるということで、大崎広域水道に限って単体で見てみると、経年化率は何と九二・八%ということですね。極めて危機的な状況、将来の課題ではなく、現在の課題として捉える余地がありそうだということであります。 さて、次なんですけれども、四病院の再編について、やはり論じなければならないと思うんですね。先ほど答弁にはあったものの、仙台赤十字病院の経営難というものがやはり背景にあるということは否めない、天下周知の事実でありますから、むしろ積極的に情報を開示して、理解が得られるように、パブリックリレーションズを心がけるべきだと思うんですけれども、現状では、どう考えてもうまくいっていると思えないんですよね。私も再三再四、赤十字のほうに資料請求したんですけれども、本当に出し渋りの連続です。例えば、診療科ごとの情報というのは、福島赤十字病院は細大漏らさず全て公表しています。ネットに公表しています。今なぜそこにこだわっているかというと、新病院の診療構成を見てみますと、赤十字病院の現診療科目、ほぼ維持しなくては不可能だと思われるんですよね。ですので、現状経営難を抱えている赤十字病院の診療構成について、診療科目、個々にどうなっているんだという事実ベースのチェックが必要だと思うんですよ。そのための資料なんですが、どうか積極的に出してもらえませんか。そもそも、日本経営の資料には診療科ごとの病床稼働率はあるんですか、伺います。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 先ほどの御答弁と重なる部分もございますが、経営情報に係る部分につきましては、協議の進捗等も影響しますけれども、情報公開条例の規定に基づいて、現時点では不開示にさせていただく部分がございます。その上で、様々な御指摘の点等ございまして、私どももそうですし、日本赤十字社側さんのほうでも、新病院でどういった診療科を設けて、どういった経営シミュレーションにあたっていくかということについては、詳細な検討を進めているものというふうに承知をしてございます。やはりがんセンターにおける課題といたしましては、総合的にがんを診療できる病院を目指すべきだといったことがございました。いずれ、そういったところで総合的な診療科を現状そろえている赤十字病院さんと、県立がんセンターのほうのお互いの強み、そして弱み、そういったものを高め、補い合いながら、よりよい病院を目指していくような形に持っていけたらというふうに思ってございます。その上で、診療科ごとの様々なデータでございますが、現状、手元には日赤病院さんが出している診療科ごとの稼働額以外のデータについて詳細なものは保持しておりません。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) これを「由らしむべし、知らしむべからず」と言うわけですよね。これではいかんですよ。だって福島ではネットに公開しているものですよ。仙台赤十字病院で公開できない理由がないですよね。また、その計算の基礎に、何か算定の基礎にね、方式の違いがあるとすれば、それは補って近似値を出すとか、いろんな方法があるわけですよ。積極的に開示したい、そして理解を得たいという姿勢の有無が、こういう対応の違いに表れてくるんです。私は全く納得いかないですね。あと、まだまだ聞かなきゃいけないんだけれども、地域の方々に対する説明も、まだまだ不十分だと思うんですよ。これまで確かに県当局において、連合町内会長たちに説明をしています。また、地域医療構想についての説明会を昨年九月、私も参加しました。一定程度努力しているのは認めます。そのとおりだと思いますよ。ただ、これね、一般の住民、地域住民、あと、何せ、かかっている患者たちが完全に取り残されているんですよ。ここについてしっかり情報公開し、正直ベースの資料を共有した上で、ちゃんとした意見交換をしたほうが、彼らも、納得する人も出てくるわけですよ。当事者意識が今なく、専ら批判の正面に立たされているのは、「由らしむべし」だからですよ。知らしめないから、ちゃんとコミュニケーションを取らないからだと思います。この点についてどうですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) まず先ほどの御質問に対して答弁いたしますけれども、何か勘違いされているのかなという印象を受けました。日赤の情報を我々が知っていて、出していないんじゃないかなというふうに思っておられるんじゃないかなと思うんです。我々、日赤の情報を取るすべがないです。向こうが出さないと言ったら取れない。先ほど福島がとおっしゃいました。それは福島の日赤さんが出すから出したわけであって、仙台日赤さんが出さないと言ったら、我々はどうしても出すわけにいかない。民間企業の情報を我々が勝手に取れないのと全く同じであるということです。したがって、我々はコンサルからもらった情報以外のことは分からないということであり、決して隠しているわけではないということであります。それから、地域住民に対してということでありまして、この間も、労災病院さんとお話ししたときには、これは労災病院さんの話ですけれども、もし、地域の皆さんにお話をするということであれば、当然我々間に入って、協力を求められるならば、当然我々入っていきますと、宮城県も一緒になって同席してくれということであれば、同席をいたしますとお話をいたしました。これは日赤も同じでありまして、日赤さんが、住民の皆さんに説明する機会を設けるので、ぜひ調整をしてほしいということであれば調整をしたいと思いますし、話す機会を設けるので県も同席をしてくれということであれば、同席をいたしますが、我々今、精神医療センターとか、がんセンターについては、いろいろアクションを起こしていますけど、これは、仙台日赤さんと労災さんは、今別々の経営体でやっておられますので、そこにかかっております患者さんに対して、どうアプローチするのかというのは、これは日赤さんなり労災さんが決めることであると。協力を求められたら、我々は関与していますから、それはできる限りの協力をしたいと思っています。恐らく仙台市さんはなかなか協力できないと思いますので、住民に対する説明をするということであれば、これは仙台市さんではなく、県が一生懸命地域住民の皆さんに御協力を求めていくという形になるだろうというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) 私が今申し上げた診療科ごとの情報を県が持っておられないとすれば、それは逆にまずいんですよね。業務を発注したわけですよ、日本経営に。日本経営に先ほど申し上げた事由で、この診療科ごとの成績が必要であるから、これはしっかり調べるようにと命ずべきが県なんですよ。現状手元にないということは、その発想を持っていないということの裏づけでありまして、これ自体がやはりまずいんですね。あとは、間に入って地域の住民、あるいは患者に対する説明をするということですが、県は医療計画の策定者、地域医療構想の責任者なんですよ。だから、そこはもうちょっと前向きに、言われればやるではなくて、我が事として積極的にやっていただきたいと思います。この点についてどうですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) その理屈でいけば、JCHOさん、徳洲会さん、みんな移転するときに、我々が全部しなきゃいけないということになると思います。経営者が責任を持って患者さんなり地域住民にしっかり説明をして理解を求めていくというのは、これは当然のことだというふうに私は思います。もちろん県ですから、全体の医療をどうしていくのかということは、これは考える責任はありますけれども、病院の個々の移転問題について県がそれぞれ関わっていくというのは、これはもう現実的には難しいというふうに思います。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) 県の当事者意識が疑われかねないと思いますよ。私は、知事を尊敬していますけれども、ちょっと言葉選びに難があると思っております。 さて、先を急がなくてはいけません。
精神保健福祉審議会において、知事は賛成している人もいるとおっしゃったので、私、気になったので議事録を全部精査しました。三回読みました。結果は、十八人の委員中、否定したのは十三名、否定寄りの中立が三名、そして、賛成は僅か二人でありました。賛成者二人のうち一人は角藤院長、移転の当事者でありました。したがって、純粋に賛成していると見られるのは、五・五%にすぎません。これは、やはり虚心に認めるべきこともあるのかなと思ったんですよね。県北から富谷でもアクセスは同じとか、あとは重症身体合併症を見ることは現行の計画、移転案では不可能ではないかという意思表示を受けたわけですから、もうちょっと虚心にですね、根本的に見直す必要があるんじゃないかと私は考えますが、どうですか。
○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) この間の内容については、私も報告を受けましたけれども、現時点においては、今ここで話したこと以上のことは何も話せないわけでありまして、更に踏み込んだ内容について話していない段階でありますので、今のような意見が出ても当然だろうというふうに思っております。これから基本合意といったような形でだんだん話が進んでいって、より詳細に話が煮詰まってまいりましたならば、更に理解が深まるものというふうに思っております。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) やはり専門家の知見というものをしっかり虚心に受け止めるということは必要だと思います。もう一度申しますけども、否定したのが十三名、賛成が二名、否定寄りの中立が三名ということであります。これはやはり数字としてしっかり受け止める必要があるのかなと思います。 さて、先ほど、奨学金返還支援について検討中ということで、昨年、我が会派の遠藤議員が提案し、そして当局において検討ということになりましたが、同じく泉区の庄田圭佑議員からも、泉区で実施したアンケート調査、資料提供いただいたのですけれども、圧倒的多数がこの返還支援事業を要望しているようでした。理工系は文系に比べて非常に学費がそもそも高いと。国立理系と私立理系を比べると、まず年間百六十万円と八十万円ということで、私立理系は倍ということになります。医師・薬系は二百万円から五百万円。また、理系の場合は、文系が五%しか大学院に進まないのに比して、理系の場合大体三〇%以上進まれるということで、学費の負担がより重いということで、支援の余地がより大きいと言えるわけであります。ですので、理工系人材に絞ってですね、この全国的な奪い合いも生じている理工系人材、産業人材に絞って、返還支援の枠組みを設ける余地があると思うんですけれども、この点について、もうちょっと踏み込んで御検討いただけませんか。どうでしょう。
○議長(菊地恵一君)
経済商工観光部長梶村和秀君。
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 議員御指摘のとおり、今、本当に全国的に理工系人材を中心に人材の獲得競争になってございます。ただ、一方でその人材がどこに流れていくかというと、大企業のほうに流れているような動向になってございまして、今、我々が奨学金制度を検討していますが、中小企業に就職した場合の返還制度というのを基本に考えているものですから、その辺も、県内中小企業の人材獲得困難もあるものですから、そちらを優先しながら、かつ議員御指摘のように、大卒、それから大企業に今出向している方が、いかに宮城県内に戻ってきていただくかというような制度も、併せて検討しながらですので、ちょっとお時間を頂ければと思います。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) 積極的に検討していただけるものと期待しております。 県立高校の校庭などの県有地、県有施設の民間活用について、スポーツ庁で学校体育施設の有効活用に関する手引というものを出してまして、これによると、学校施設開放連絡委員会などの枠組みを設けて、なるべく教職員の負担にならないような配慮をしているケースとか、いろいろ工夫が見られるところであります。ですので、こうしたところもしっかり検討した上で、もうちょっと前向きに検討してもらいたいと思います。特に仙台南高校の駒木校長は、専門が体育だということで子供の運動遊びの重要性も重々よく理解されている、かつ太白区の出身なんですね。地域の子供たちが、もうゲームばかりしているというのは本当にかわいそうだ、それは大人の責任だということで、踏み込んで、いるうちにというふうな熱いお声をいただいています。どうかそこを酌んであげていただきたいと思うんですが、教育長どうですか。
○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 先ほど答弁した内容は積極的に言ったつもりだったんですけれども、学校にも確認しておりまして、学校長の話でも、地域の要望があればできる限り柔軟に対応したいという意向を聞いております。各学校におきましても学校長の判断で貸出しできますので、今もやっておりますけれども、地域から要望があった際には、よく話を聞いて対応いただけるように、私のほうから話をしたいと思っております。仙台南高校の校長は柔軟に積極的に対応したいと言っておりますので、教育委員会としても後押ししていきたいというふうに考えております。
○議長(菊地恵一君) 十六番わたなべ拓君。
◆十六番(わたなべ拓君) ちょっと私が鈍感だったようです。積極的にお願いしたいと存じます。 最後に「みやマリ!」ですけれども、二十代の無料化あるいは半額キャンペーンについて、一応検討するというふうに言っていただいたと思いますが、そういう理解でよろしいのでしょうか、伺います。
○議長(菊地恵一君) 保健福祉部長志賀慎治君。
◎保健福祉部長(志賀慎治君) 昨年やったときに大変効果があったということもあります。また、市町村のほうで登録料の減免、補助等をやっていただいているところもございます。そういったいろんなところを考え合わせて、方向性を考えてまいりたいと思っております。
○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。 午後零時一分休憩
----------------------------------- 午後一時再開
○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十五番渡邉重益君。 〔十五番 渡邉重益君登壇〕
◆十五番(渡邉重益君) 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、順次質問してまいります。 大綱一点目、東日本大震災の復旧・復興についてであります。 現実味を帯びてきた福島第一原発にたまる処理水の海洋放出に対する、沿岸地域での不安の払拭、進まない土地活用や人口流出といった、復興を阻む現実がある中で、国や被災隣県との協調体制、または情報の共有がこれまで以上に重要であり、更には、復旧・復興のノウハウなども含めた伝承を進めていくことが大切であると、荒浜・磯浜漁港を抱える県境選出の県議会議員として、痛切に感じているところであります。震災のみならず、伝承には地域の住民や関係との連携は非常に重要です。地域の尊重と共感を得るために、コミュニティーのメンバーとの対話や協力を重視しながら、地域のアイデンティティーと伝統を大切にする文化的な環境を整えていく必要があります。県は昨年、震災伝承みやぎコンソーシアムを設立し、会員相互の情報共有や連携による伝承への取組を進めており、私も大きな期待を寄せております。震災から、えとが一回りするほど時間が流れた今、悲しみや被災地の現状を伝えるこれまでの伝承活動に加え、これまでの経験を次世代にどう生かし、何を残していくべきか考えていく時期に来ているのではないでしょうか。そこで、これまでの伝承コンソーシアムの取組から見えてきた課題を踏まえ、今後、県が果たすべき伝承への役割についてどう認識しているのか、また、今後の伝承活動にどう取り組んでいく考えか、知事の御所見を伺います。 次に、過疎対策について伺います。 少子化は「静かなる有事」とも呼ばれ、現代を生きる私たちはどう対処していくべきか。厚生労働省の人口動態統計によれば、二〇二二年の出生数は七十九万九千七百二十八人で、前年に比べて四万人以上減り、八十万人を割り込むのは、一八九九年の統計開始以来初めてのこと。国立社会保障・人口問題研究所が二〇一七年にまとめた将来人口推計では、八十万人を下回るのは二〇三三年と見込まれていたため、想定よりも十一年も早いことになります。また、過疎法に基づく過疎自治体の数が、八百二十から八百八十五に増やすことが、昨年四月一日の官報にて公示されました。全市町村に占める割合は、四七・七%から五一・五%に上昇し、一九七〇年の法制定以来、初めて半数を超えるという、ゆゆしき時代に突入したことを、私たちは真摯に受け止めなければなりません。このようなことからも、今後も人口減少が続くことを前提に、経済や社会の機能を維持する方策を考えていく必要があるのではないでしょうか。本県の現状に目を向けますと、県内の過疎地域は、新たに川崎町、松島町、大郷町、涌谷町が追加指定され、一部過疎地域の五市町を加えれば十六市町となり、私を含む過疎地域から選出される県議会議員も二十八名に上ります。これまでも、同僚の先輩議員が危機感を感じ、地域の実情を訴えてまいりました。県においては、宮城県過疎地域持続的発展方針を策定し、昨年から新規事業として過疎地域等政策支援員を大崎市、東松島市の二市へ派遣するなど、過疎地域の発展に心を砕いていただいておりますが、県として過疎からくる様々な問題をどう認識し、今後どう対応していく考えか。特に、県境や被災沿岸自治体でのこの切実な問題を、東北随一の経済都市である仙台市にお住まいの村井知事の御所見を伺います。加えて、活性化と持続的な発展を目指すためには、地域振興、移住・定住の促進など、総合的に取り組まなければなりません。県の過疎地域に対する具体的な施策があればお示しください。 基礎自治体である市町村が、過疎対策の予算を獲得する上で、過疎地域持続的発展計画は、県が計画内容の確認・審査を経た上で策定が認められるものであるため、地域実情を把握していないわけではないと思いますが、あくまで手続上の書類レベルの話であることが危惧されます。また、これらの計画は、過疎自治体が有利に財源を獲得するために、総花的につくられている側面もあるのではないでしょうか。そうしたことから見れば、計画の中に込められた過疎自治体の本音や思いを酌み取るまでは、到底不可能ではないかと考えます。だとすれば、県の役割として、大所高所の視点からの助言や、自治体の背景にある様々な課題を共有するための地道かつ親身な取組を県に求めるものであり、その助言に合わせた県独自の支援施策が展開され、地域での納得感が獲得できれば、これまでとは違った取組が期待できるとともに、県として過疎地域に対する独自性を内外に示すことができるのではないかと考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、文化財の保護対策について伺います。 本県には、ユネスコに登録されている秋保の田植踊りや米川の水かぶりをはじめ、獅子踊りや山伏が伝えた神楽など、東北地方ならではの伝統芸能が多数継承されております。地域ごとに独自の文化や伝統が存在し、地域性や風土が反映された無形民俗文化財が多く、その多様性が特徴の一つです。過日、仙台で開催されたG7仙台科学技術大臣会合では、歓迎イベントにおいて、秋保の伝統芸能「田植踊り」が披露され、宮城の伝統文化を見事に世界へ届けていただきました。一方、私の地元山元町では、震災の被害が無形民俗文化財の領域にも及び、町内に八つある無形民俗文化財のうち、七つが被害を受けました。そのうち五つについては、津波により伝承者が亡くなり、また、用具類や衣装類、資料類のほとんどが流出するという壊滅的な被害であったため、自力での復旧が難しい状態にありました。そうした中、県の支援を頂き、平成二十四年五月に山元町無形民俗文化財復興協議会が立ち上がり、いくつかの保存団体は、この震災を乗り越え復活いたしました。その姿は地域の方々を元気づけ、喜ばせ、心の復興に大きく寄与するものであったと、町の担当者は報告書にまとめております。加えて、当時の県文化財保護課の担当者からは、保存団体が自らで復旧して活動を再開しようと決定し、動き始めることが重要なので、決して焦ることなく、粘り強く対話を続けていくことが大切であるとのアドバイスを頂いたことが、何より大きな支えになったと記されております。そうした県との二人三脚での取組が実ったのは、震災から数えて十三年目のことであります。今年四月、被害を受け長年活動休止中であった中浜神楽は、元地域住民に見守られる形で、中浜神楽四百五十年復活祭として、地元地区の集会場で見事に復活を遂げました。こうした事例からも、継続的な取組や支援策の充実を図ることが重要であると考え、本県の無形民俗文化財の保護と継承への取組について、以下三点について伺います。 初めに、伝承者の高齢化と後継者不足について伺います。 無形民俗文化財の技術や知識は、伝承者から直接引き継がれることが重要ですが、伝承者の高齢化や後継者不足といった問題を解決するには、若い世代への伝承や後継者の育成に取り組む必要があります。そこで、県は現状をどのように認識し、どのような施策を講じているのでしょうか。若い世代への技術や知識の伝承、伝統文化の継続的な継承に向けた取組が進んでいる場合、具体的な取組があればお聞かせください。 次に、経済的な負担と持続可能な保護活動についてですが、無形民俗文化財の保護は資金や労力を要するものであり、地域や関係団体の経済的な負担が大きい場合があります。持続可能な保護活動を継続するために、資金や支援策の充実が求められますが、知事の御所見を伺います。 最後に、普及・啓発活動の強化について伺います。 無形民俗文化財の価値や魅力を広く知らせるためには、普及・啓発活動の強化が必要です。地域のイベントや学校教育への取組、観光振興などを通じて、無形民俗文化財への関心を高める取組が求められますが、県が考える具体的な取組があればお知らせください。 次に、文化財の保存と活用について伺います。 震災では、県内の国・県・市町村の指定文化財の被災文化財が、県教育委員会の復旧・復興の記録によれば、二百八十五件に上ったと記されております。県は、こうした状況を踏まえ、国への要望を手早く講じ、財政措置の軽減が図られたことで、確実に修復が進んだと言えます。また、市町村指定文化財及び国登録文化財に対する修理・修復の補助が行き届かないおそれがあることを想定し、宮城県文化財震災復興基金を創設し対応してきたことで、県内では多くの文化財が修復・修理されました。一方で、震災復興の中で、被災者の生活再建をはじめ、震災復興事業などを優先することによるマンパワー不足や、財政的措置が困難であったため、修復が手つかずの文化財もありました。その一例が、現在、山元町にてクラウドファンディング型ふるさと納税を活用して修復を進める大條家茶室であります。この大條家茶室の修復については、大條家の子孫である、仙台市出身のお笑いコンビ、サンドウイッチマンの伊達みきお氏が寄附への呼びかけをしたことで、低迷していた寄附が上向き始めたと、私も新聞報道で拝見したところです。 そこで、県が指定する県指定文化財化について伺います。 先ほど紹介した大條家茶室のように、市町村指定の文化財は、将来の県指定文化財における予備軍的存在でもあります。県が定めている文化財保存活用大綱の理念からも、普遍的な存在価値だけでなく、今後の多様な活用に資する利用価値も広義の価値と認識し、地域社会とのつながりを保っていく必要があることからも、今現在も修復困難となっている市町村文化財への支援を行えるような、新たな枠組みの制度創設について検討すべきと考えますが、知事の御所見を伺うものであります。 大綱二点目、障害者雇用について伺います。 障害者雇用は、社会的な包摂を促進し、多様性と共生の実現に向けた重要なテーマであります。障害者の方々が自立した生活を送り、社会参加を果たすための環境づくりが必要不可欠であるので、引き続き県政レベルでの取組の強化や関係機関との協力体制の充実を図っていかなければなりません。本県における障害者雇用の現状についてでありますが、これまで上昇傾向にありましたが、コロナ禍以降伸び悩んでおり、令和四年六月一日現在での県内企業の法定雇用率は、達成企業の割合こそ全国平均の四八・三%をやや上回るものの、都道府県順で見ると、三十九位と下位に位置しております。実質雇用率でも基準を下回る二・二一%であり、こちらも全国三十八位と、現在は共に下位に位置していることから、県政において積極的な取組が必要と考えます。 今月の六日、「わたり・みやぎ障害者雇用推進企業ネットワーク」の第一回目となる会合が亘理町役場で開催されました。この取組は、県が障害者の民間雇用を後押しするため、市町村との枠組みを設けて、それぞれの域内の取組を促す事業で、先行事例として、亘理町で町内企業とのネットワークを発足させ、町内での法定雇用率達成を目指すものであります。当日、私も会場にてその発足式に立ち会わせていただきましたが、これまで雇用対策課との障害者雇用について意見交換をさせていただいてきた中で、地元の亘理町でこのような取組が始まったことに、大変うれしく思っております。特定の基礎自治体で完全達成を目指す今回の本県の施策は、全国的にも珍しいようです。全国での成功事例として、雇用率全国最下位だった三重県では、障害者雇用推進企業ネットワークの構築により、着々と順位を向上させています。また、常に全国上位県である奈良県も、奈良労働局との協定を結んだ取組などで成功しております。今現在二・三%である法定雇用率が、来年の四月以降段階的に引き上げられることを踏まえれば、このモデルケースを亘理町だけにとどめず、県内市町村が参考とするようないい流れをつくることを、県には大いに期待するところであります。そこで、県はこの事例を本県全域にどのように普及させ、いつの時点で法定雇用率の達成を目指す考えか、今後の見通しについて伺います。 また、佐賀県の就労支援コーディネーターの活用や、沖縄県の職場適応訓練、いわゆるジョブトレーニングの取組は大変目をみはるものがあり、ネットワーク構築とともに、障害者雇用率向上のためには有効な取組だと考えますが、県の見解を伺います。 一方で、近年は、全国的に障害者雇用代行サービスが横行してきているとの報道がなされ、企業のモラルが問われているとの見方もあり、その一例として、企業としての本業ではない農業分野において、貸し農園での障害者雇用代行、すなわち法定雇用率を、お金を払って買っているという実態があります。法定雇用率を達成するために御苦労がある業種・職種があることも理解できますが、障害者の多様な働き方、また、企業の本業に合致する分野での就労が、双方にとって望ましいことは言うまでもありません。こうした障害者雇用を取り巻く現状を踏まえ、本県では、県全域で障害者雇用を進めることが、障害を持った方々が地域で安心して一生暮らし続けることにつながるものと考えます。県の推進体制の強化も含め、今後の障害者雇用の取組を一層前進させる必要があると考えますが、今後どのように障害者雇用に取り組んでいく考えか、知事の御所見をお伺いします。 大綱三点目、園芸振興についてであります。 全国のリンゴの生産者が一堂に会し、交流を深めるとともに技術の研さんを図ることを目的とした第六十二回全国リンゴ研究大会宮城大会が、今年の八月二十四日から二日間にわたり、松島町、仙台市、亘理町を会場に開催される予定となっております。本県のリンゴ主産地の状況や、新たな取組及び東日本大震災からの復興状況について、県外参加者の皆様に広く知っていただけるまたとない機会であり、この大会を契機に、本県の更なる果樹振興、ひいては園芸振興が図られることを切に願うものであります。本県では、沿岸部、内陸部ともに多様な園芸生産地がありましたが、園芸主産地であった沿岸地域は、東日本大震災により壊滅的な被害を受けました。しかし、今日に至るまで、全ての関係者の皆様のたゆまぬ努力により、生産基盤の復旧・復興が進み、大規模施設園芸団地の整備や大規模露地園芸の拡大により、本県が定義する年間販売額五千万円以上の先進的園芸経営体が増加するなど、平成三十年の園芸産出額は、震災前の水準まで回復しております。今後、本県の農業を持続・発展させていくためには、園芸振興が大変重要であることは言うまでもありません。現在、本県においては、みやぎ園芸特産振興戦略プランに基づき、園芸産出額倍増に向け、総力を挙げて施策を講じていると思いますが、これまでの取組の成果について、知事の御所見を伺います。 私の地元、亘理町、山元町では、震災後に整備されたイチゴ団地として、十作目となる節目のシーズンを終えました。JAみやぎ亘理管内におけるイチゴの出荷額も、震災後過去最高となる三十二億円を超え、東北一の産地を誇る生産者の皆様も、ほっと胸をなでおろしていることだと思います。昨年の十一月、地元の若手生産者らとともに、イチゴ収穫量五十年連続日本一の「いちご王国・栃木」へ視察調査に伺いました。栃木県では、イチゴは農業施策の中で最も重要な位置づけにあり、県庁舎内は、エレベーターなど至るところにイチゴのラッピングが施され、また、JAグループや生産者、マーケティング協会や観光イチゴ園などで構成する「いちご王国・栃木」戦略会議を設け、意見を出し合い施策に反映するなど、全県を挙げてイチゴ生産を推進する本気度をじかに感じ、共に伺った若手の生産者も感銘を受けておりました。そこで、本県が掲げる園芸産出額倍増を実現するためには、イチゴ百億円産地の育成が欠かせません。関係者が一丸となって生産拡大に向かうよう、県としての具体的な戦略が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。 また、イチゴの生産拡大が重要な課題であります。本県では、令和四年度より、県庁内にイチゴの生産振興を担う職員を配置するなど、園芸産出額倍増へ向けた支援体制を一歩ずつ進めているところですが、イチゴ百億円産地の育成には、先進的な園芸施設の整備が必要であることは、これまでも訴えてまいりました。今回、栃木県の現地調査で新たに理解を深めたのは、通称パッケージセンターと呼ばれるイチゴの高機能物流センターが、新規就農者や参入者の確保、生産者の調整出荷作業軽減、ひいては生産規模拡大に貢献し、イチゴ産出額増大につながっていることであります。このような高機能施設の導入は、本県のイチゴ百億円産地づくりにも大きく貢献することは疑う余地がなく、早急な整備を進めていく必要があると考えますが、県の見解を伺います。 最後に、大綱四点目、道路事業について伺います。 県道塩釜亘理線は、昭和三十三年に塩竈市と亘理町を結ぶ総延長約四十二キロメートルの道路として路線認定されたもので、塩竈市の国道四十五号から、多賀城市、仙台市、名取市、岩沼市を経由し、亘理町中心部を横断しながら、国道六号に至る幹線道路であり、仙台塩釜港や仙台国際空港へアクセスするなど、仙台都市圏では浜街道と呼ばれ、県南沿岸地域の産業振興や観光振興に大変重要な役割を担っている路線であります。本路線は国道四号の代替機能を有し、仙台塩釜港などの物流拠点や産業集積地を結んでいることなどから、大型車の交通量も多く、東日本大震災後は、仙台市の荒浜地区から閖上大橋の区間で、高盛土構造により多重防御機能を有する道路が令和元年に開通したほか、名取市や岩沼市においては、復興事業による道路拡幅が進められ、交通の利便性が飛躍的に向上しており、年々交通量が増加しております。 さて、路線終点地域の亘理町内においては、一級河川阿武隈川に架かる亘理大橋から国道六号に至る約六キロメートルの道路であり、沿線には亘理中央地区工業団地や多くの商業施設などが並び、町の中心部を通過していることから、地域の方々の生活道路としても大変重要な路線となっております。特に震災後、被災者のための仮設住宅が設置された亘理中央地区工業団地では、今月上旬には、団地内に残る最後の一区画に購入希望があり、契約が成立すれば、団地内の全区画への企業誘致が完了する見込みと伺っております。自動車部品や食品関連、物流倉庫など十三社の企業が立地することになり、町の担当者は、町内への新たな工業団地を模索する上で、大変大きな弾みになるとのことでありました。また、亘理町にとっても、長年の悲願であったバリアフリーに配慮したJR常磐線亘理駅の東口改札が、昨年三月に供用が開始されたことで、朝夕の通勤ばかりでなく、町の玄関口として利便性・機能性の改善も図られたところであり、町の主要な観光地である荒浜鳥の海への訪問に当たっても、欠かすことのできない路線であります。一方で、工業団地への入り口となる県道塩釜亘理線と町道江下一号線との交差点部分は、右折レーンがないために、工業団地や商業施設、役場庁舎などへの通勤車両や、JR亘理駅や学校への送迎車両などで、特に朝夕を中心に渋滞が慢性化しており、交差点の隅切り部が狭いことからも、大型トレーラーなどが曲がりにくいほか、交差点前後の歩道が狭く、歩行者同士のすれ違いも困難な状況であります。このことについては、昨年八月に、県南の首長が出席し開催された宮城県南サミットにおいても、亘理町から知事に対し同様の懸案が示され、交差点の改良を強く要望されたと伺っております。今後、新たに進出した企業の操業が開始されれば、今以上に渋滞が激しくなることが予想され、地域で暮らす住民にとっては、県道の拡充が国道以上に地域のネットワークにとって必要なものだと考えます。これは、知事が掲げる富県躍進に向け、県内産業の持続的な成長促進の一翼を担う企業活動を支援する観点からも、工業団地周辺などの交通課題の解決は大変重要と考えております。こうした状況を踏まえ、慢性的な渋滞解消や道路利用者の安全性確保を図る上でも、早期の交差点改良の実施が必要と思いますが、県としてどう取り組んでいく考えか、県の見解をお伺いします。 以上で、私の壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 渡邉重益議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、東日本大震災の復旧・復興についての御質問にお答えいたします。 初めに、震災伝承に関する認識と今後の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災の記憶や教訓の風化を防ぎ、世代を超え、これを国内外に伝え継いでいくことは、東日本大震災の被災県としての重要な責務であり、官民が連携した持続可能な伝承活動を行っていくことが重要であると認識しております。このため県では、東日本大震災の記憶・教訓の伝承に関する基本方針を策定し、みやぎ東日本大震災津波伝承館における展示、SNSや広報誌、職員の証言集「みやぎの三・一一」による情報発信などを行っているほか、震災伝承みやぎコンソーシアムによる多様な主体が連携した伝承活動に取り組んでいるところであります。県としては、これまでの取組に加え、震災学習や教育旅行、企業研修等の積極的な誘致など、多くの方々に被災地を訪問していただけるよう、関係団体とともにしっかりと取り組んでまいります。 次に、無形民俗文化財の持続的な保護活動の継続に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 無形民俗文化財は、それぞれの地域に根差した暮らしや、そこから生まれた信仰等に関する風俗慣習、民俗芸能など、人々が日常生活の中で創造し、継承してきた地域の特色を理解する上で欠くことのできないものであります。また、人々の心のよりどころとして、地域の絆を強く結びつける大きな役割を果たしているものと認識しております。その保護と継承につきましては、国の制度を活用しながら、民俗芸能の用具の新調や活動の発表の場を提供するほか、東北歴史博物館のデジタルアーカイブでは、県内の無形民俗文化財の記録映像の公開・充実を図るなど、保護団体の活動の継続に向けた支援を行ってきたところであります。県としては、引き続き、地元自治体とともに、無形民俗文化財の保存・継承に向け、保護団体の取組を支援してまいります。 次に、大綱二点目、障害者雇用についての御質問のうち、今後の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県内の障害者雇用率が全国下位に低迷している背景として、企業側の要因としては、障害者の職務内容の選定方法や社内の支援体制の構築方法など、知識や経験の不足、障害者側の要因としては、障害特性に応じた仕事を見つけることの困難さなどの声を聞いています。まずは今年度、障害者雇用の向上を図るため、亘理町の積極的な協力のもと、県、企業、関係機関との連携による、わたり・みやぎ障害者雇用推進企業ネットワークをスタートいたしました。今後は県内の他の市町村へと横展開させることにより、全県的なネットワークの構築を進めてまいります。更に、この官民のネットワークを基盤とし、企業と障害者とのコーディネート支援、障害者のジョブトレーニングなどを積極的に推進することで、法定雇用率の達成にとどまらず、全国上位を目指し、障害者雇用の取組を前進してまいります。 次に、大綱三点目、園芸振興についての御質問のうち、みやぎ園芸特産振興戦略プランに基づく、これまでの取組成果についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、令和三年三月に、みやぎ園芸特産振興戦略プランを策定し、先進技術を駆使した施設園芸の拡大と大規模露地園芸の振興に取り組んでおります。プラン策定後、施設園芸では、国内最大級の規模を誇るレタス施設や新規就農者によるイチゴ施設など、約十二ヘクタールの整備が進んでいるところであります。また、露地園芸では、実需者と結びついたポテトチップス用バレイショ、枝豆、サツマイモ、タマネギについて、水田における作付転換の取組を推進した結果、栽培面積が新たに約百ヘクタール拡大しております。今後、これらの施設や露地での生産が軌道に乗ることにより、園芸産出額を年間約三十四億円押し上げるものと見込んでおります。県といたしましては、プランに掲げる園芸産出額目標六百二十億円の達成に向け、引き続き関係機関と連携し、ICT技術を導入した先進的な施設園芸の推進、収益性の高い大規模露地園芸の取組拡大に加え、今年度新たに創設した「みやぎ大規模施設園芸立地奨励金」を活用した新規参入の促進等にも力を入れながら、これまで以上に園芸振興施策の推進に努めてまいりたいと考えております。 次に、大綱四点目、道路事業についての御質問にお答えいたします。 県道塩釜亘理線は、塩竈市と亘理町を結び、仙台塩釜港や仙台国際空港へアクセスする幹線道路であり、仙台都市圏と県南沿岸部における産業や観光振興等に大きく寄与する重要な路線であります。このうち、亘理中央地区工業団地の入り口となる町道江下一号線との交差点部は、近隣に工業団地、商業施設、役場庁舎やJR亘理駅などが立地し、通勤通学などの車両で慢性的な交通渋滞が発生していることから、御指摘のありましたとおり、渋滞緩和を図るための対策が必要であると認識しております。このため、昨年度から交通量調査に着手し、渋滞状況を把握するとともに、今年度は、交差点改良に向けた測量や設計を実施することとしております。県としては、地域住民や道路利用者の安全で円滑な交通の確保に向け、引き続き亘理町や地域の方々の御意見を伺いながら、早期整備が図られるよう鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 企画部長武者光明君。 〔企画部長 武者光明君登壇〕
◎企画部長(武者光明君) 大綱一点目、東日本大震災の復旧・復興についての御質問のうち、過疎地域における問題認識と具体的な支援策についてのお尋ねにお答えいたします。 過疎地域においては、その振興を図るため、地域の担い手の育成確保や移住・定住の促進、関係人口の創出、生活環境の整備、コミュニティーづくりなどの施策を総合的に展開する必要があると認識しております。県では、令和三年度に策定した過疎地域持続的発展方針に基づいて、地域おこし協力隊員などの人材の定着、過疎地域等政策支援員の派遣、首都圏に向けた移住・定住のPR、大学生向け体験型メニューの作成支援、地域づくり団体への助成、小さな拠点づくりなど、関係部局が連携して取り組んでいるところであります。また、過疎地域持続的発展支援交付金をはじめとする国の交付金や、市町村振興総合補助金などを活用しながら、ハード・ソフト両面において地域の特色を生かしたまちづくりを、関係市町村とともに進めております。今後とも、過疎地域の持続可能な地域社会の形成や、地域資源などを活用した地域活力の更なる向上に全庁を挙げて取り組んでまいります。 次に、過疎地域に対する助言や課題を共有することによる県独自の支援についての御質問にお答えいたします。 過疎地域の振興に当たっては、何よりも地域の現状をしっかりと把握し、広域的な観点から助言を行い、地域のニーズに合った取組を支援していくことが大切であると認識しております。県では、それぞれの地域の様々な課題を共有するため、これまでも市町村を対象とした地域振興会議を開催して、市町村の担当者から直接その実情を伺ってまいりました。また、地方振興事務所を中心に地域の実情を伺いながら、人口減少や少子化対策に資する事業を市町村と連携して取り組んでいるところです。更には、
新型コロナウイルス感染症が五類に移行したことから、過疎を所管する地域振興課においても、今年度からはこれまで以上に市町村を訪問し、地域の実情や課題を精力的にお伺いすることとしております。それぞれの過疎地域に直接出向き、実情を伺って、地域が抱える課題を肌で感じることを積み重ねることで、先進事例の横展開だけでなく、独自性のある施策を展開できるよう努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君)
経済商工観光部長梶村和秀君。 〔
経済商工観光部長 梶村和秀君登壇〕
◎
経済商工観光部長(梶村和秀君) 大綱二点目、障害者雇用についての御質問のうち、わたり・みやぎ障害者雇用推進企業ネットワークの取組事例の普及と法定雇用率達成の見通しについてのお尋ねにお答えいたします。 今月発足した、わたり・みやぎ障害者雇用推進企業ネットワークは、障害者雇用について、官民の関係者が一体となり連携することで、障害者の法定雇用率の達成と安定した就業を目指す、全国でも先進的なモデル事業としてスタートいたしました。今後、八月には企業向け啓発セミナーの開催、九月には合同面接会を開催するなど、まずは亘理町における令和六年時点の法定雇用率の達成に全力を傾注してまいります。来年度以降、この亘理町での取組を県内のほかの市町村へと横展開させることにより、参加する企業や団体の輪を広げ、全県的なネットワークの構築を進め、令和七年以降の県全体での法定雇用率の達成を目指してまいります。 次に、就労支援コーディネーター活用や職場適応訓練の取組についての御質問にお答えいたします。 御指摘のとおり、雇用達成率上位の県で展開している、障害者と企業とのつなぎ役となるコーディネーターの配置や、就労体験の機会を提供するジョブトレーニングを実施していくことは、ネットワーク構築と併せて、障害者の就労意欲の向上や職場定着の促進など、障害者企業の双方の観点からも大変重要であると考えております。県では、企業や関係機関をつなぐコーディネート支援として、障害者雇用プラスワン事業を実施しているところですが、ジョブトレーニングにつきましては、雇用率上位県の取組を参考としながら、新たな取組も検討してまいります。今後、官民のネットワークの構築を更に推進するとともに、コーディネート支援、ジョブトレーニングを積極的に展開し、この三つを柱として、障害者雇用率の向上に向け、強力に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 農政部長橋本和博君。 〔農政部長 橋本和博君登壇〕
◎農政部長(橋本和博君) 大綱三点目、園芸振興についての御質問のうち、イチゴ産地育成の具体的な戦略についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、みやぎ園芸特産振興戦略プランにおいて、品目別の戦略を定めており、その中で、イチゴについては百億円産地の育成を図っていくこととしております。その実現に向け、昨年度には、全農宮城県本部、JAみやぎ亘理、イチゴ生産法人、青果市場、実需者などで構成される宮城県いちご振興協議会を設置するとともに、ロードマップを作成し、生産や販売などの振興方策等の検討を進めています。具体的な取組としては、栽培面積の拡大と単収の向上を図るため、施設整備の支援や新規生産者の確保、県が育成した多収性品種、にこにこベリーへの転換を進めています。また、販路の拡大に向けて、菓子製造業者など実需者との契約取引や、アジア地域への輸出などに取り組んでおります。県といたしましては、引き続き関係機関と連携しながら、これらの取組を着実に推進し、イチゴ百億円産地の育成に取り組んでまいります。 次に、イチゴの高機能物流センターについての御質問にお答えいたします。 イチゴの選別・パック詰め作業は、労働時間全体の約二割を占めるなど、生産者の大きな負担となっています。そのため、栃木県などの主要な産地では、イチゴの選別・パック詰め作業を行う高機能物流センター、いわゆるパッケージセンターを設置し、選別作業等の外部化を図っています。イチゴ百億円産地の育成を目指す我が県においても、パッケージセンターの整備は必要と考えており、選別作業等の外部化により、生産者が栽培管理に集中することで、品質や単収の向上、生産規模の拡大に加え、新規生産者の確保が図られるなど、産地発展に大きく貢献するものと認識しております。県内では、JAみやぎ亘理がイチゴ産地の拡大に向けて、パッケージセンターの先進事例を調査すると伺っております。県といたしましては、JAが生産者の意向を把握しながら、事業規模や着手時期などの具体的な検討に入る際には、国庫補助事業の活用を含め、積極的に支援してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長佐藤靖彦君。 〔教育委員会教育長 佐藤靖彦君登壇〕
◎教育委員会教育長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、東日本大震災の復旧・復興についての御質問のうち、無形民俗文化財の後継者不足などについての現状認識と支援策についてのお尋ねにお答えいたします。 無形民俗文化財については、担い手の不足などにより、多くの保護団体の活動基盤が弱体化しており、特に若い世代への伝承や後継者育成に向けた取組が大きな課題であると認識しております。このような中で、塩竈神楽保存会のように、後継者育成として、地元小・中学校の郷土芸能クラブへの指導を行い、指導を受けた生徒の多くが、保存会の担い手として活躍している好事例もあります。このため、県教育委員会では、こうした取組を他の保護団体に生かしてもらうための働きかけや、地域の人口減少などにより、従来の形で保持することが困難な活動に対しては、継承の形を変えながらも文化財の価値を維持する方策などについて助言を行っているところです。また、継承活動や担い手確保の契機となる発表会の開催費用や練習会場の確保などへの助成を行っているところです。県教育委員会といたしましては、引き続き地元自治体とともに、保護団体との対話を重ねながら、各団体に寄り添った取組を推進できるよう努めてまいります。 次に、無形民俗文化財の普及・啓発活動の強化についての御質問にお答えいたします。 県教育委員会では、学校教育の一環として、郷土の芸能に親しみ、その保護、伝承、発展などについて学ぶ「ふるさと教育」を進めているほか、昨年度開設した県のユーチューブチャンネル「みやぎ文化財チャンネル」や、地域で開催されるイベントなどで、保護団体の活動状況を広く紹介しているところです。また、北海道・東北ブロック民俗芸能大会への参加支援などを行っており、来年度は我が県が開催会場となっております。県教育委員会といたしましては、引き続き「みやぎ文化財チャンネル」の充実を図るとともに、地元自治体や地域の観光協会等と連携・協力しながら、各団体の活動成果を広く紹介する機会を創出し、多くの方にその地域ならではの無形民俗文化財の価値や魅力を伝えてまいります。 次に、修復が困難な市町村文化財への支援についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災により被災した市町村指定文化財に対しては、市町村が所有するものについては、特別交付税措置により市町村の負担軽減が図られ、個人や法人が所有するものについては、東日本大震災復興基金による所有者負担の軽減を図ってきたところです。これにより、ほとんどの市町村指定の文化財が修復されましたが、一部修復に至っていない文化財があることも承知しており、その修復に向けて、これまでも地元自治体の相談に応じ、専門技術者の派遣などの支援を行ってまいりました。県としましては、今後とも、市町村文化財の修復について、民間助成に関する情報提供など、資金確保に関する助言を行うとともに、修復や修復後の活用方法の検討において、学識経験者や専門技術者等の各種団体との連携・協力が図られるよう支援してまいります。 以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 十五番渡邉重益君。
◆十五番(渡邉重益君) るる御答弁ありがとうございました。再質問を何点かさせていただきたいと思います。 まず、障害者雇用のテーマなんですけれども、知事からは、全国上位を目指すというような御答弁があったかと思います。今回の民間企業の障害者雇用率は、年々どんどん上がっていきます。待ったなしだと思っていますし、企業だけではなくて、県内の三十五市町村ある中で、法定雇用率を達成している自治体が、まだ十九ということであります。民間の企業さんだけに雇用率の向上を求めるだけではなく、行政も共に向上を目指していく必要があると思いますので、ぜひそういったところも、知事がリーダーシップを取っていただいて、市町村連携を強めていただきたいと思います。 最後にイチゴ、私も先日、会派の視察で台湾のほうに先輩方と行ってまいりました。そのとき、大分私も体を張った営業をしまして、台湾のほうからは、ぜひ宮城のイチゴをどんどん輸出してくれということなので、ぜひそういった意味では、海外への輸出の取組について、知事、最後に一言、今後のお気持ちを頂ければと思います。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) まず、障害者雇用につきましては、亘理町さんが非常に前向きに御協力いただけるということで、全県でやるのが一番理想なんですけど、なかなか皆さん協力してくださらない。いろんな事情があるということでありましたので、まずは、亘理町が成功事例として、それを横展開して全県に広げていきたいと思っておりますので、御協力よろしくお願い申し上げます。 それから、イチゴ百億円を目指したいという非常に大きな目標でありますけれど、必ず実現したいと思っています。特に、作ればいいということではなくて、やはり作って売れなくては意味がありません。そういった意味で台湾、海外にどんどん市場を広げていくというのは、非常に重要なことだというふうに思っています。私自身も、今年中に台湾にぜひ行きたいと思っておりまして、自らトップセールスに励んでまいりたいというふうに思っております。
○副議長(池田憲彦君) 十番大内真理君。 〔十番 大内真理君登壇〕
◆十番(大内真理君) 大綱一、初めに、大震災時の津波堆積土砂・瓦礫が今もそのまま残されている新堀、いわゆる貞山運河について伺います。 仙台市宮城野区の七北田川から若林区井土浜区間のしゅんせつに向けて、仙台市が二〇二三年度当初予算で水中測量の調査費を計上。ラジコン船のソナーやドローンで音波を飛ばして水中の障害物を調査し、県にデータを提供。県はそれを基にしゅんせつ工事の必要について判断をします。本来は、宮城県土木部が調査も含めて管理責任を持ちますが、ここに来てようやく、県と仙台市両者が話し合い、協力することになったそうで、繰り返し要望してきた地元県議としても大変うれしく思います。県には、しゅんせつ工事を必ず実現していただき、東日本大震災被災地の一つである仙台市エリアの活性化にも寄与していただくことはもちろん、大震災時に県が復旧工事のために取り外した新浜地域の既存施設、人道橋の復活を併せて実現していただきたいと考えます。また、仙台藩の一大物流拠点だった歴史と文化を象徴する貞山運河の御蔵跡・お舟入堀りの文化財を観光資源として保存・展示・利活用するよう、仙台市に対し働きかけていただきたいのですが、三点いかがですか。 次に、毎年、大震災復興調査特別委員会が沿岸部被災十四市町の首長・議会と行う意見交換で毎回御要望いただくことの一つ、災害援護貸付金償還免除枠の大幅な拡大について伺います。 もともと低所得者向けの貸付けなのに支払い免除要件が厳しいこと、低所得者の免除がなかなか認められないこと、困窮している被災当事者の方々と日々向き合っている被災市町にとっては債権管理実務の人員確保や経費負担の重さが年を追うごとに増えていることについて、宮城県当局も大きな課題と認識し、被災市町とともに国に働きかけてはいます。国への償還期限を間近に控える今日、国に対し、償還期限の延長や、県負担分への財政措置の要求はもちろんですが、更にもう一歩、市町村の御苦労に心を寄せていただきたいと思います。何より、免除枠の拡充は、当該都道府県知事の判断で実現できるのですから、まずは今すぐ生活保護、準要保護、児童扶養手当受給者まで免除対象枠を拡大し、その分の市町村貸付け分を宮城県が回収することをやめてください。同時に、国に対しては、免除枠の拡充を含めた制度改善を村井知事先頭に行ってください。これらの立場で国に迫ることは、東日本大震災最大被災地宮城県が全国の被災地の役に立つ使命の一つと考えます。三点お答えください。 村井知事におかれましては、放射能汚染水・
ALPS処理水の「海洋放出断固反対」、「海洋放出以外で」との立場について、今年に入ってからは、重点要望に入れてはいますが、どうも諦め・弱腰に見える発言が目立ってきました。ぶれずに「海洋放出断固反対」の姿勢の堅持とともに、陸上保管で自然減衰が最も科学的・合理的である旨、繰り返し、加害者である国と東電に物を言い続けていただきたい。あわせて、そもそも凍土壁なる失策に約三百四十五億円もの国費と、二〇一八年まで四年間もの歳月をかけ、汚染水の発生量自体を十二年間抜本的に抑え込めてこなかった加害者・東電に対し、無為無策をどのように総括しているのかを連携会議の場で直接知事から問いただしていただきたいと考えます。三点いかがでしょうか。 現状は、一基当たり平均千キロリットルの汚染・処理水タンク千七十三基が、二十四ヘクタールの東電敷地内を占めています。これ以上の保管場所が確保できないからと、海洋放出ありきが既成事実化していますが、実は、東電敷地の外側には、国・環境省が千六百ヘクタールもの広大な土地を中間貯蔵エリアとして確保しています。千六百ヘクタール分の二十四ヘクタール。占める割合は僅か一・五%。仮に在来工法の石油備蓄タンクに置き換えれば、一・三四%の敷地面積で陸上保管の用が足ります。村井知事から直接、西村明宏環境大臣に対して、この中間貯蔵エリアの一部を汚染水・処理水陸上保管に開放するよう迫っていただきたいのですが、いかがでしょうか。 大綱二、女川原発について伺います。 五月二十四日、仙台地裁は、東北電力が来年二〇二四年二月の再稼働を目指す女川原発二号機をめぐる再稼働差止め訴訟で、放射性物質が放出される事故が発生する危険について具体的に立証されていないという理由で請求を棄却しました。原告側は、避難計画の実効性の有無に争点を絞りましたが、仙台地裁は、原告が列挙した避難計画の問題点についての言及を一切避け、判断するまでもないと門前払いをしました。そこで伺います。 宮城県地域防災計画原子力災害対策編の策定目的には、「原子炉の運転等により放射性物質又は放射線が異常な水準で原子力発電所外へ放出されることによる原子力災害の発生及び拡大を防止し、県民の生命、身体及び財産を原子力災害から保護することを目的とする」ことがうたわれています。地方自治の本旨は住民福祉の向上であり、原子力災害から住民の生命と財産を守るのは、地方自治体の責務です。知事、間違いありませんね。 宮城県は今年度、女川原発重大事故時の住民避難に使うスマホアプリを本格導入します。これまでの大方針は、避難の際には必ず第二関門・避難所受付ステーションに立ち寄り、そこで避難先が割り振られることとなっていました。導入されるアプリは、避難所受付ステーションに寄らずとも、どの避難所に逃げればよいのかを直接本人に通知する機能を持たせる予定だそうです。とはいえ、県の担当者も「高齢者などアプリを使いこなせない住民もいるだろうから、避難所受付ステーションはなくせない」とも話しています。この認識は知事と共通ですか。伺います。 更に、より渋滞が著しいのは、UPZ五から三十キロ圏住民が必ず通る第一関門である避難退域時検査等場所です。二〇二二年二月の訓練でも、PAZ五キロ圏とUPZの全住民が必ず立ち寄る第二関門受付ステーションと、第一関門退域時検査等場所の二か所それぞれが大渋滞しました。アプリ導入や段階避難の推奨・押しつけだけでは、大渋滞の抜本的な解消には到底なり得ません。この解決策はいまだ示されていません。知事、これら住民の生命が直接脅かされる大渋滞の問題については、再稼働前の解決が不可欠なのではありませんか。渋滞解決やトイレの確保、要配慮者の安全な避難、バスや介護タクシーの確保など、実効性が担保できるまでは、地方自治体の責務として、女川原発の再稼働は凍結させるべきです。いかがですか。 新潟県の避難計画の検証委員会で委員を務める環境経済研究所の上岡直見代表は、宮城県含む全国の原発で避難シミュレーションを行っています。独自の試算を基に「宮城県のアプリを使っても、逃げるまでにかなりの時間がかかるため、被曝リスクは残っている」と指摘しておられます。宮城県も、避難計画の実効性を独自に検証できる新潟県のような専門家集団による避難計画の検証委員会を立ち上げるべきです。あわせて、その専門家による検証委員会の場で、上岡代表の試算・御指摘も検証すべきです。二点お答えください。 村井知事が二〇二〇年十一月、女川原発の再稼働について、地元同意・事前了解した後の重大な変化は、岸田政権が原発推進に政策を大転換し、原発の運転期間の制限を撤廃、長期停止期間を運転期間から除外したことです。GX推進法案とGX脱炭素電源法案を策定する過程で、原発推進側の経済産業省が規制側の
原子力規制委員会に強力に根回ししていたことなどが発覚しました。しかも、去年から
原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁のトップ五名が原発推進側である経産省からの出向だったことも、国会質疑で明らかとなりました。福島第一原発事故の原因、安全神話に二度と陥らないようにとつくられた大原則、利用と規制の分離が既に大きく踏みにじられ、
原子力規制委員会への信頼性そのものに重大な疑義が生じています。知事の受け止めを伺います。さきの二月定例会において、女川原子力発電所二号機の安全性に関わる検討会のような「県独自に安全性を検証する機関を設置せよ」との質問に対し、知事からは「必要性があれば検討する」旨の答弁がありました。今の情勢の下で、県民の命と安全を守るためには、国任せにすることなく、宮城県自身が自治体として持つ権限をフルに発揮し、県独自に安全性を検証する専門家機関の設置は必要不可欠と考え、再度求めます。いかがですか。 大綱三、知事は、地元紙調査で初めて女川原発再稼働について賛否が逆転したことを受け、「再稼働について、県民の理解が深まっていることは望ましいことだ」と歓迎した上で、「電気代を少しでも抑えてほしいという悲痛な叫び」と述べました。知事の原発再稼働で電気代が安くなるかのような言い分は、事実と全く異なります。国際エネルギー機関や米国政府など、多くの国際機関、政府機関、投資会社がコスト比較を出しており、その最新版のほぼ全てで、原発コストは再エネコストの数倍から数十倍となっており、この差はますます広がっていきます。原発のコストが電源別単価の中で最も高く、消費者負担も大きいことは、既に決着済みの議論です。知事は、原発再稼働で電気代が安くなるかのような、県民に誤解を与える言動は今後一切やめるべきです。いかがですか。 一方、知事の言う「電気代を少しでも抑えてほしいという悲痛な叫び」はそのとおりです。物価やエネルギー高騰で生活困窮が深刻化し、食費を切り詰める困窮者やガスを満足に使えない方々など、生活に必要な電気・ガスの供給を十分に受けられないエネルギー貧困状態の方々への直接支援が切実に求められています。今議会で計上されている物価やエネルギー高騰対策は全額国費で、県単費は一円も使われておらず、一人当たりの給付額が少な過ぎます。県独自の上乗せ給付を求めます。いかがですか。 農業・漁業の振興とソーラーシェアリングの可能性は、目覚ましい成長分野であり大変注目されています。温暖化が進む中で太陽光パネルが適度な遮光の役割も果たし、耕作放棄地も有効活用され、収穫量や品質の向上にも大きく寄与することが各地で実証されています。県として、脱炭素と結びつけた農業・漁業の振興となるこの分野の研究と普及に向け、世界に倣い足を踏み出せば、全国に先駆けた食材王国みやぎのブランド力は格段にアップします。具体には、世界や全国各地で実証されているソーラーシェアリング事業を調査し、宮城県の農業と水産の試験研究機関の全てで実証研究を開始すること、宮城県独自にソーラーシェアリングの普及とエネルギーと食糧両方の自給率アップの目標設定と計画の立案が急がれます。三点いかがですか。 山形県や仙台市などが実施している、省エネ・断熱プラス再エネ・自家消費のZEH化投資と地元業者が直接潤う仕組みを産業、都市・住宅などあらゆる分野で強力に推進する魅力あるパッケージを創設・普及し、省エネの目標設定と計画の立案も不可欠です。その上で、まずは全ての県有施設で実施する計画の早期策定を求めます。策定時期も併せてお示しください。 大綱四、名取市の地下水から基準値超のPFAS検出について伺います。 PFASは人工的につくられた有機フッ素化合物の総称で、四千七百種以上あると言われています。そのうち古くから使われてきた三種類のPFASについては、発がん性や免疫系異常など人体への有害性が指摘され、国際条約で製造・使用・輸入が禁止され、百八十余りの国と地域が批准しています。これらは今後、水俣病やイタイイタイ病のように公害として認定される可能性が極めて高いものです。このPFASが、名取市の地下水から国際機関や各国が定める水質の目標値を大幅に超える十五・八倍、全国五番目に高い七百九十ナノグラム検出されました。ところが宮城県は、名取市側から詳細調査・汚染排出者の特定について要求があっても、国がまだ基準等を示していないからと、県独自の調査で汚染発生場所や汚染排出者を特定することを怠ったままでいます。この間の経緯・経過、県としての今後の姿勢をお示しください。 その上で、国待ちとせず、県独自に予防原則を働かせ、汚染原因の場所と汚染排出者を一刻も早く特定すること。汚染排出者に対しては、汚染者負担の原則がありますから、原因物質の除去を宮城県として要求すること。国に対し一刻も早く基準を示させ、住民の血中濃度を含む健康調査と救済制度を創設するよう求めるべきと考えます。三点お答えください。 大綱五、四病院再編・宮城
県立精神医療センターの富谷市移転について伺います。 平成三十一年二月定例会で私は、宮城県障害者差別解消条例、障害のある人もない人も共生する社会づくり条例制定の際、聴覚障害者自身や団体から、手話言語条例は別枠でつくってほしいとの希望が出ていることを御紹介しました。当時の村井知事は、手話言語条例の独立制定を英断しました。そのときも私は、障害当事者の方々の「私たち抜きに私たちのことを決めないで」との言葉を御紹介し、独自条例の制定を求めました。この言葉は、国連の人権条約、障害者の権利に関する条約が世界中の障害当事者の参加で作成されたときの合い言葉です。日本政府も二〇一四年一月に批准しています。当事者、とりわけ障害当事者を抜きに、障害当事者のことを勝手に決めて押しつける為政者は、この国連の人権条約を踏みにじり、障害当事者を差別していることになります。知事の基本的な認識を伺います。 三病院統廃合計画に、二〇二〇年九月議会で突然、精神医療センターの移転方針案が加えられて以降、特に精神医療センターを利用する当事者の方々は、村井県政によって不安・恐怖に陥れられています。知事による持論の押しつけは、特に障害当事者の方々にとっては精神的な暴力として受け止められているのです。知事は今すぐにでも、
県立精神医療センターの富谷市移転について方針を撤回するべきではありませんか、伺います。 大綱六、県営住宅廃止方針撤回、建て替え計画を求めるについて伺います。 県は、県営住宅の集約に伴う移転支援の方針をこの三月に定め、その直後に仙台市中江東・南、黒松第二、将監第五、多賀城市八幡、村田町石生の六団地の用途廃止を決定し、今年度から具体的にその手続を進めようとしています。老朽化した県営住宅は建て替えないという方針を持ち、順次廃止することを明確に打ち出した都道府県はほかにはありません。これだけ重大な方針について、入居者や県民への説明会やパブリックコメントも行わずに決定したことは大問題です。県は、東日本大震災前に比べて県内の公営住宅が約一・四倍に増えたことにより、新たな公営住宅の建て替え整備を積極的に進める状況にないことや、供給が需要を上回っていることを、方針策定の背景に挙げています。しかし、県が説明に使っている供給、住宅ストックは、民間賃貸住宅も含まれており、公営住宅だけの数字ではありません。国交省住宅局が発表している資料では、二〇二〇年度の宮城県の公営住宅の募集戸数二千六百八十六戸に対する応募者数は八千三百五十一世帯あり、倍率は三・一倍でした。県全体として見れば、県内の公営住宅は足りない状況にあります。憲法と公営住宅法に基づき、国と地方公共団体は協力して、住宅に困窮する低額所得者等に対し、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を低廉な家賃で公営住宅を供給しなければなりません。公営住宅法第三条にも、地方公共団体の責務を明確に示しています。民間ストックがあるからといって、その責任から免れることはできません。老朽化し安全性や居住性に問題がある県営住宅は、県が建て替えるべきです。建て替えないで廃止するという方針を速やかに撤回し、建て替え計画をつくるべきです。お答えください。 県住宅課は、用途廃止を決定した六団地の入居者に対する説明会を七月から非公開で開催するとのことです。入居者のプライバシーに配慮するためと言いますが、四月から住宅課には個別相談の窓口として住宅支援班ができて、日常的に個別相談を行っています。また、説明会の最後に個別相談の時間を取るなど、工夫は幾らでも可能です。県営住宅は県民共有の財産ですから、県からの説明や全体に係る質疑応答などは、県民や県議会議員、市町村議、マスコミなど、県営住宅の存続に関心を持つ人に開かれた形で行うべきです。いかがですか。 また、仙台市などから、入居者への説明会開催の前に、立地自治体と十分な協議を行うことが要望されていましたが、立地自治体との協議はいつ行い、どのような協議内容になったのか、県の方針について理解が得られたのか、三点伺います。 私ども日本共産党県議団は、今年一月から継続して、県営住宅入居者の皆さんへのアンケート調査や懇談を行い、入居者の皆さんからたくさんの要望や意見を伺っています。その中で、廃止しないで建て替えてほしいという声とともに、県営住宅の維持管理のルールや修繕についても、多くの苦情とも言える要望が出されています。「浴槽や風呂釜、換気扇、網戸の持込みなど、入居者負担が多過ぎる」「風呂場の床が耐水加工されておらず、下の階にいつ水が漏れるのか不安」「風呂場とトイレを隔てる壁がベニヤ板。耐水加工されておらず、ベコベコにゆがむ」「換気性が部屋に一つもない。あっても、設置場所が低過ぎて役に立たない」「建物自体が断熱化されておらず、結露でカビが大繁殖する」「入居したときから水回りの管が腐食していた」「管理している宮城県住宅供給公社に何度要望しても「予算がない」ばかりで、なかなか改善されない」など、修繕要望は多岐にわたります。とりわけ、浴室はあるけれど、浴槽がない住戸はなんと七一%、バランス釜やガス給湯器など風呂釜がない住戸は七四%です。例えば幸町住宅では、自前で浴槽と風呂釜給湯設備を煙突込みで約三十万円もかけて購入しなければなりません。中江東や南住宅など、二%の県営住宅には、浴室の空間さえありません。これでは、健康で文化的な住宅とはとても言えません。県はようやく、年間百戸分の浴槽と給湯設備の整備を予算化していますが、年間百戸分のペースでは、未整備の住戸に整備し終わるのに、今から六十三年もかかってしまいます。仙台市は、二〇二〇年から年間六百戸分の予算を取り、六年間で未整備の三千六百八十九戸全ての住戸に浴槽と給湯設備を行政の責任で整備する予定です。宮城県も浴槽と給湯設備の年間整備戸数を大幅に引き上げ、短期間で全戸に整備する計画を早急につくるべきです。お答えください。 雑排水管の清掃料も入居者負担となっていますが、二年に一度程度行う清掃費用に六十万円から八十万円もかかる団地もあります。雑排水管は、一定の期間を過ぎたら全面的な改修が必要です。既に改修を行わなければならない三百七十二棟のうち、実施しているのは七%だけです。本来県が修繕すべきなのに放置し、入居者の自己負担で清掃だけで済ませる実態は、直ちに改善すべきです。また、共用灯のLED化は、建物の中は一三・二%、外灯は僅か五・九%にすぎません。省エネを県が率先して進めていくためにも、県有施設のLED化は急務です。これも年次計画をつくり、一〇〇%のLED化を早期に進めるべきです。二点併せて伺います。 県は空き住戸が増えていることや全体的な需要が減っていることを主張していますが、浴槽や給湯設備を自前で用意し、退去するときはその処分費用もかかる、維持管理や改修も極めて不十分な現状では、人気が出ないのは仕方がありません。また、退去者から現状復帰費用を徴収しておきながら、その後、リフォームもせず放置、募集する手続をとらないでいる住戸も散見されるという声も伺いました。全国的には、学生や若い女性、移住者の入居を積極的に行い、高齢化した団地のコミュニティー活性化に寄与したり、居場所のない方々を支援するシェアハウスにするなど、公営住宅の目的外使用の実例もバリエーション豊かになっています。高齢化し、格差と貧困が際立ってきている社会だからこそ、県営住宅を県民共有の財産として、地域の実情に応じた魅力的なコミュニティーとして、地域活性化のためにも活用していくべきと考えます。いかがですか。 壇上からの質問は以上となります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 大内真理議員の一般質問にお答えいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱二点目、女川原発における安全性と避難計画の県独自の審査機関の設置についての御質問のうち、地方自治体の責務についてのお尋ねにお答えいたします。 住民の生命、身体及び財産を災害から保護することは、国、県、市町村にとって最も重要であり、責務と認識しております。県としては、引き続き、国、関係市町とともに、原子力防災訓練の実施等を通じて、断続的に避難計画の検証・改善を図り、原子力防災体制の充実・強化に努めてまいります。 次に、大綱三点目、省エネ・再エネの普及でエネルギーと食糧の自給率アップをとの御質問のうち、発電コストに関する認識についてのお尋ねにお答えいたします。 電源種類別の発電コストにつきましては、国が令和三年九月に公表した報告書によると、令和二年における原子力の発電コストは、風力や太陽光に対して比較的安価であると示されており、二月の定例記者会見における私の発言もこれを踏まえたものでございます。なお、東北電力では、今月分からの電気料金の値上げの申請において、女川原子力発電所二号機の再稼働により燃料費が削減され、料金原価を圧縮することができるとしているところでございます。 次に、大綱五点目、四病院再編・宮城
県立精神医療センターの富谷市移転についての御質問にお答えいたします。 今回の病院再編においては、今年二月の協議確認書の取り交わし以降、
県立精神医療センターを利用している患者・家族などの当事者をはじめ、医療・福祉の関係者等との意見交換を重ねており、移転に伴う不安や懸念の声を伺っております。一方で、移転について前向きな考えや期待感を示す当事者の方々もおり、様々な意見を幅広くお聞きすることの重要性を改めて認識しているところであります。県としては、今後とも意見交換を継続し、異なる立場の意見等の調整を進めながら、患者や家族、関係者の方々の不安の払拭につながるよう、精神医療センター移転後の必要な体制について検討を進めてまいります。 次に、大綱六点目、県営住宅廃止方針撤回、建て替え計画を求めるとの御質問のうち、建て替え計画をつくるべきとのお尋ねにお答えいたします。 人口減少・少子高齢化の進行に伴い、住宅ストックの余剰が増加し、災害公営住宅を含む公営住宅と低廉な民間賃貸住宅を合わせた供給量が需要量を上回っていることから、新たな公営住宅の整備を積極的に進める状況ではなくなってきております。更に、耐用年限を迎える県営住宅の老朽化の進行や耐震性の低下など、入居者の安全性の確保が課題となっております。県では、こうした状況を踏まえ、宮城県住生活基本計画や宮城県公共施設等総合管理方針等に基づき、県営住宅の新たな建設及び建て替えは行わず、既存ストックの長期的活用を図りながら、耐用年限を迎え用途廃止が適当とされた住宅については、集約移転を進めることとしております。県としては、県営住宅の集約に伴う移転支援の方針に基づき、入居者の個別事情に十分配慮しながら、円滑な移転に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(池田憲彦君) 総務部長小野寺邦貢君。 〔総務部長 小野寺邦貢君登壇〕
◎総務部長(小野寺邦貢君) 大綱三点目、省エネ・再エネの普及でエネルギーと食糧の自給率アップをとの御質問のうち、県独自の上乗せ給付についてのお尋ねにお答えいたします。 物価高の克服に向けては、国において、電気・都市ガス・燃料油価格の激変緩和対策等が講じられており、それに加えて、県及び市町村は、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金等を活用し、幅広い重層的な支援に取り組むこととされております。こうした基本的な考え方に基づき、今回の補正予算は、物価やエネルギー価格の上昇に直面する生活者への支援として、他県とのバランスも考慮しながら、LPガス利用者の負担軽減や低所得の独り親世帯に対する生活支援特別給付金など、県として必要な対策を計上したものであります。県としては、物価高騰により県民生活に様々な影響が生じている現状を踏まえ、地方創生臨時交付金の追加配分と、十月以降における激変緩和対策の継続実施を引き続き国に要望してまいります。また、県経済の状況と財政収支の見通しをにらみながら、今後の更なる対策について検討してまいります。 私からは、以上でございます。