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  1. 宮城県議会 2019-09-01
    09月13日-05号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 1年  9月 定例会(第369回)          第三百六十九回宮城県議会(定例会)会議録                              (第五号)令和元年九月十三日(金曜日)  午前十時開会  午後二時五十分散会      議長                     相沢光哉君      副議長                    只野九十九君出席議員(五十六名)        第一番                  大内真理君        第二番                  角野達也君        第三番                  内藤隆司君        第四番                  高橋 啓君        第五番                  遠藤伸幸君        第六番                  村上久仁君        第七番                  高橋宗也君        第八番                  庄田圭佑君        第九番                  深谷晃祐君        第十番                  中嶋 廉君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  天下みゆき君       第十三番                  三浦一敏君       第十四番                  佐々木功悦君       第十五番                  境 恒春君       第十六番                  太田稔郎君       第十七番                  横山のぼる君       第十八番                  遠藤隼人君       第十九番                  渡辺勝幸君       第二十番                  横山隆光君      第二十一番                  佐々木賢司君      第二十三番                  熊谷義彦君      第二十四番                  渡辺忠悦君      第二十五番                  遠藤いく子君      第二十六番                  すどう 哲君      第二十七番                  吉川寛康君      第二十八番                  伊藤和博君      第二十九番                  守屋守武君       第三十番                  長谷川 敦君      第三十一番                  佐々木幸士君      第三十二番                  村上智行君      第三十三番                  細川雄一君      第三十四番                  高橋伸二君      第三十五番                  菊地恵一君      第三十六番                  只野九十九君      第三十七番                  佐々木喜藏君      第三十八番                  石川光次郎君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  菅間 進君      第四十二番                  坂下 賢君      第四十三番                  ゆさみゆき君      第四十四番                  藤原のりすけ君      第四十五番                  坂下やすこ君      第四十六番                  庄子賢一君      第四十七番                  中島源陽君      第四十八番                  本木忠一君      第四十九番                  中山耕一君       第五十番                  長谷川洋一君      第五十二番                  齋藤正美君      第五十三番                  安藤俊威君      第五十四番                  畠山和純君      第五十五番                  仁田和廣君      第五十六番                  藤倉知格君      第五十七番                  相沢光哉君      第五十八番                  中沢幸男君      第五十九番                  渡辺和喜君欠員(三名)      第二十二番      第三十九番      第五十一番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    佐野好昭君      副知事                    遠藤信哉君      公営企業管理者                櫻井雅之君      総務部長                   江口哲郎君      震災復興・企画部長              後藤康宏君      環境生活部長                 大森克之君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               鈴木秀人君      農政部長                   佐藤夏人君      水産林政部長                 小林徳光君      土木部長                   門脇雅之君      会計管理者兼出納局長             吉田 計君      総務部秘書課長                藤田信治君      総務部財政課長                小野寺邦貢君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      教育次長                   千葉 章君    選挙管理委員会      委員長                    伊東則夫君      事務局長                   鈴木雄貴君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   青木直之君    公安委員会      委員                     相澤博彦君      警察本部長                  松岡亮介君      総務部長                   青山達二君    労働委員会      事務局長                   山本雅伸君    監査委員      委員                     石森建二君      事務局長                   宮川耕一君-----------------------------------    議会事務局      局長                     峯浦康宏君      次長兼総務課長                小野寺 明君      参事兼政務調査課長              二瓶克之君      副参事兼総務課長補佐             山内好尋君      議事課長補佐                 二上秀幸君      政務調査課副参事兼課長補佐          相澤亮子君      議事課主幹(班長)              田村和江君      議事課主幹                  渡辺祐司君-----------------------------------    議事日程 第五号                 令和元年九月十三日(金)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百四十四号議案ないし議第百六十二号議案、議第百六十八号議案及び報告第九十一号ないし報告第百八号第三 一般質問  〔深谷晃祐君、渡辺勝幸君、角野達也君、高橋宗也君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百四十四号議案ないし議第百六十二号議案、議第百六十八号議案及び報告第九十一号ないし報告第百八号三 日程第三 一般質問      〔深谷晃祐君、渡辺勝幸君、角野達也君、高橋宗也君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(相沢光哉君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △会議録署名議員の指名 ○議長(相沢光哉君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二十五番遠藤いく子君、二十六番すどう哲君を指名いたします。----------------------------------- △諸報告 ○議長(相沢光哉君) 御報告いたします。 公安委員会委員長庭野賀津子君から本日欠席、公安委員会委員相澤博彦君が代理出席する旨の届け出がありました。----------------------------------- △議第百四十四号議案ないし議第百六十二号議案・議第百六十八号議案 △報告第九十一号ないし報告第百八号・一般質問 ○議長(相沢光哉君) 日程第二、議第百四十四号議案ないし議第百六十二号議案、議第百六十八号議案及び報告第九十一号ないし報告第百八号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。九番深谷晃祐君。    〔九番 深谷晃祐君登壇〕 ◆九番(深谷晃祐君) 皆さんおはようございます。自由民主党・県民会議の深谷晃祐です。一期目最後の一般質問をさせていただきます。九月一日の地元紙朝刊に宮城県における最新の高齢化率が発表されました。七ケ宿町の四六・三%が最大、高齢化率が県内で一番低い富谷市ですら一九・八%であります。超高齢社会に突入した宮城県がいかにして県内のそれぞれの基礎的自治体を支えることができるのかを真剣に考えなければならないことは共通の思いであると考えます。御高齢の先輩方が住みやすい、過ごしやすい環境を整えていかなければならない。 ここで一点質問です。 高齢者の事故が相次いで報道され免許証の返納を促しておりますが、免許証がなくなるということは生活の足を失うことに直結する方々がたくさんおります。誰もが安心して免許証を返納していただくためには足の確保が大変重要です。現在は核家族化、職住分離が進み、高齢世帯、独居の高齢者が大分ふえており二〇四五年にはピークを迎えます。足の確保をするため県内基礎的自治体、例えば七ケ浜町で運行している循環バス、通称ぐるりんこあるいは多賀城市で運行している西部バスや東部バスですが、まだまだ住民ニーズに応えることができておりません。これは自主財源では限界があるからであります。免許返納を促し高齢者による事故を未然に防ぐ覚悟があるのであれば、足の確保に対する県の財政負担のあり方の見直しを考えていく時期にあると考えますが、いかがでしょうか。 同時に公共交通のあり方として今ある各種鉄道路線の拡充、新規整備も含めて考えるべきだと思います。電車を走らせたら乗るだろうかという疑問から始めるのではなく、そこに駅ができる、市街地形成には公共交通インフラの整備は欠かせない、そのようなお考えのもとで臨海鉄道の利活用についても積極的に進めるべきだと考えますが、知事の見解を伺います。 知事が道州制推進論者であることは周知の事実でありますが、知事が共同代表を務める道州制推進知事・指定都市市長連合のメンバー構成を設立当初と見比べると顔ぶれが大分変化しております。設立趣意書の最後にこの国の形を抜本的に見直すとの気概と覚悟を持ってその実現に取り組まなければならないと記してございますが、平成二十四年の設立以降動きが見えません。何か動きがあるのであればお示しください。 同時に知事の考え方に変化があればお伺いいたします。 私は道州制について大いに議論すべきであると考えております。なぜならば宮城県には東北の人口流出のダム機能を果たすべき役割があるリーダー県だと確信しているからであります。早いもので政治の世界に飛び込んで私自身十二年間たちます。ドットジェイピーという団体を通じて県内の大学に通う八十人弱のインターン生の受け入れをする中で伺ってまいりました。宮城県以外の学生はほぼ東北出身。大学に行くなら仙台市と口をそろえて言います。そんな大都市仙台を抱える宮城県だからこそ行政システムの補完のみならず大規模災害時の対処のあり方などを含め、権限のみならず財源も含めてしっかりとした議論が必要であり世論を喚起しなければならないと考えております。そして先ほど東北の人口流出のダム機能と申しましたが、歴史をたどればもともと東北の政治と軍事の拠点である国府が置かれたのが多賀城政庁です。宮城県名の由来ともなった国の重要な文化財として今も保存・活用されております。時の政府は結果として先住民である蝦夷討伐のために、現在の多賀城市に東北の政治の拠点である国府を設置したのです。蝦夷の英雄アテルイには申しわけなく感じますが、朝廷側に立てば地理的・物理的に多賀城という場所を選定した当時の采配が功を奏したからこそ我々は今の生活があるのだと思います。この思いに立ち返り道州制を推進していく上での拠点となる庁舎を政庁跡に移転をする。こんな夢を共有できないものかと考えますが、いかがでしょうか。無理を承知で伺います。 また現在は多賀城市が創建千三百年を前に外郭南門の復元を目指し事業を力強く推進しております。県としては外郭南門の北側の整備を進めていただき感謝しておりますが、政庁跡と外郭南門の間には県道から市道に移管された旧県道玉川岩切線があり、せっかく外郭南門が整備されても市道をまたいで政庁跡へと行き来しなければならず、観光政策としてはあり得ない状態がゴールとなっております。これを何とか宮城県の知恵と工夫をもって後押しをしていただければありがたく存じますが、いかがでしょうか。 また、宮城県として多賀城市政庁跡周辺を観光資源として捉えているのか伺います。と申しますのは、旧東北歴史資料館、現東北歴史博物館浮島収蔵庫の課題であります。周辺住民からは常に苦情が出ているのが現状で、足を運んでいただければ一目瞭然ですが樹木は伸び放題、雑草の聖地、建物は震災当時に被災したままのお化け屋敷状態です。中には埋蔵文化財の発掘調査で出土したものが保管されているとのことですが、あの地で保管する意味があるのでしょうか。隣にはあやめ園、多賀城市中央公園があり常に人が集まる場所で県有地としての利点を最大限生かせる土地だと考えますが、現状のままをいつまで続けるのでしょうか。文化財の保管だけであればあの利用価値の高い土地にただの倉庫を置いておく必要はないと考えますが、いかがでしょうか。 出入りしているところを見かけないという声もありますが一度保管したものを再度検証することはあるのでしょうか。 またデジタルで保存し3Dプリンターで再現するといった手法で大幅に保管物を削減できると思います。なぜならば過日、東北歴史博物館で行われた催事に東京藝術大学スーパークローン文化財展、最先端技術でよみがえるシルクロードがございました。スーパークローン文化財とは保存と公開を両立すべく東京藝術大学で開発された芸術と科学の融合による高精細度な文化財の再現・複製であります。最先端のデジタル技術と伝統的なアナログ技術を融合し、人の手技や感性を取り入れることによって単なる複製ではなく技術、素材、文化的背景など芸術のDNAに至るまでの再現を目指したものです。現物で保存しなければいけない時代からデジタル化し必要なときに再現する時代に入ったのではないかと感じました。このことにより保管されている調査物品をデジタル化し保管しておけば、場所もとらずいつでも好きなときに再現可能になります。こういった取り組みを推進してはいかがかと思いますが、御所見を伺います。 同時にいつまでも県有地を塩漬けの土地にしておくのはもったいないし、住民生活の福祉向上に反していることから対応を求めますが、いかがでしょうか。 更に政庁跡周辺を見渡すと通称加瀬沼公園があり主要県道仙台松島線、通称利府街道から多賀城市の市川橋までつながる県道加瀬沼公園線となっております。利府街道部分は県道となっておりますが多賀城市分は市道となっており、平成二十八年二月に宮城県より県道昇格について検討を進めている。平成二十八年十一月に玉川岩切線に直接接続する道路計画については宮城県教育庁文化財保護課と協議を進めたが、二つの案が不可能となったので市道新田浮島線を利用する検討に入る。そして平成二十九年一月に土木部道路課路政班で検討しているとなって以降、市役所には報告が届いていない旨を伺いました。多賀城インターチェンジの開通や玉川岩切線の開通を皮切りに利府町には東北最大のショッピングモールが間もなくオープンすることもあって、交通量の増加による交通安全対策も急務。県道への早期昇格が求められておりますが、いかがでしょうか。 以前政庁跡周辺の諸課題について伺いましたが、私は多賀城政庁跡が文化と歴史の発信拠点として地理的にも優位性が高く交流人口拡大の起爆剤として利活用、多賀城創建千三百年を迎える節目のときに政庁跡の復元も視野に入れながら取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 次に療育支援について伺います。 先日私の事務所に以前からの知人が訪ねてまいりました。彼は私と年齢がさほど離れていない知的障害と自閉症をもついわゆる障害者です。両腕は包帯でぐるぐる巻き、髪はぼさぼさ、持っていたバックをなくしたようでビニールのケースに銀行通帳を二つ入れ、常に脇に挟みながら私との会話に終始しておりました。とても普通の生活を送っているようには見えませんでしたので詳しく尋ねてみました。すると先月刑務所を出所し、その後十日間ホームレスをしてたどり着いたのは私の事務所でした。どんな犯罪を犯してしまったのかというと自転車の窃盗、女児のつけ回し、さい銭泥棒などでした。やってはいけないことをしていることを理解しているのか尋ねると理解はしているのです。ただ自分の理性をコントロールできないのです。しかしつけ回された女児からすれば、変な大人につけ回されている恐怖しか覚えないでしょう。でも彼の本心は手紙を彼女に渡したかった。友達になりたかっただけなのです。この問題は私一人で解決できる問題ではなくさまざまな機関に相談しました。SNSにも本人に最大限配慮しながら問いかけてみました。SNS上で意見をくださる方は少なく電話や直接個人のやりとりでメールをくださる方がほとんどでした。何が言いたいのかといえば、ノーマライゼーション、ダイバーシティーという考え方は崇高で推進していかなければならないことですが、一方で地域の大人、子供を含め県民全てに障害者の理解や認知が進まなければ今回の課題を表舞台で議論しづらい現状であることがわかりました。私自身が彼の自立した生活を送るための社会資源の一つになれたのかと思う一方で、彼がなぜ罪を重ねてしまったのか、やめさせるすべはなかったのか、地域を構成する大人として何かできることはないのか、自問自答の日々が今も続いております。市役所の担当部署にも話を聞き現場では本当によく対応してくださっていることを改めて深く理解することができました。心より敬意を表したいと思います。同時に現場で対応に当たられている社会福祉士、保護司の皆様などたくさんの方々がかかわり支援している現状の中で、今回のケースの場合彼自身の意思でグループホームを出てしまう。作業所に勤めてもみずからの意思で向かわない。本人の意思を尊重しないわけにはいきません。現行法では行政が対応できる限界があります。本人の意思を縛ることはできません。ならばいかようにして未然に防ぐことができるのかを保健師に伺いました。今のところ障害の早期発見はもちろんですが保護者の早期認知から始まる早期療育以外にはないのです。しかし保護者に事実を伝えてもけげんな表情でうちの子に限ってという意識が先走り、検査を受けることを拒否されることも多いのです。結果として数年おくれて脳の機能障害だということがわかる。この事例も早期認知がおくれたことによって療育を受けるタイミングが遅くなってしまいました。保護者が早期に認知すること、なるべく早目に療育環境に進むこと、これがとても大切なことなのです。知事はいかがお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。 情報収集を進める中で気になったのは知的な障害を持つ彼らはとても純粋なのです。さい銭泥棒の原因も外食がしたかっただけです。そんな彼が私に放った言葉に、やっと務めが終わってしゃばに出てきた。極道の妻たちシリーズでしか聞かないような務めとしゃばという言葉です。刑務所でかかわった方々から教えられたのかもしれないと感じたので調査を進めると、オレオレ詐欺の受け子や出し子として彼らのような障害者が使われた例もあるとのことでした。純粋な彼らが大きな犯罪に手を染める前に何とかしなければならないと感じますが、やれることはやはり早期認知から始まる早期療育しかないと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 私の住む多賀城市の取り組みで平成二十三年に宮城県主催の地域療育システムに関する研修事業に参加したことを機に、地域療育体制の構築に向けて動き出しました。そこで誕生したのが療育相談の拠点とした児童発達センターです。地域課題を明確にするために保育所、幼稚園の職員を対象としたヒアリングが行われたことで、地域療育システムやネットワークの構築を考える上で障害者福祉を担当する係だけでの議論では療育体制の構築が困難であり、保育所や教育を所管する部署との連携が必須であると実感したそうです。現在宮城県も保健福祉部精神保健推進室所管で二カ所の発達障害支援センターがありますが、宮城県教育庁特別支援教育課や関係する部署との連携はどのように図っているのか、お伺いいたします。 また現場を担当する基礎的自治体とはどのように連携を図っているのか、現在の取り組み状況をお伺いいたします。 多賀城市ではさまざまな協議の結果、発達支援会議を発足し月に一度の療育担当者会議、必要に応じて個別支援会議、年に一回程度支援学校も交えての地域療育関係機関会議を開催し、課題やニーズの集約と療育情報の共有を図るすばらしい取り組みをしております。またライフステージごとの支援体制を構築し切れ目ない支援につなげるために、出生時から成長段階に沿って発達の状況や病院受診の状況及び相談や支援などを記録する、すこやかファイルを配り親にさまざまな気づきを与えるツールを活用しております。結果として親の早期認知・療育支援につながっております。このような取り組みは県内他自治体でもあると思いますが他県や他自治体に引っ越した場合、このすばらしいツールを生かせなくなってしまいます。せめて県内統一、できればヘルプマークのように全国統一のツールとして活用してみてはどうかとの提案ですがいかがでしょうか、お伺いいたします。 誰もが笑顔で暮らせる社会を実現するために親が理解し地域が連携する、それを行政が後押しできる福祉先進県宮城のために更に学び、努力してまいりたいと思います。優しい心ある御答弁を期待し、次の質問に移ります。 県民会館の建てかえについてであります。 令和元年八月の宮城県の推計人口は約二百三十万人となっており、二〇四五年には約百八十万人まで人口は減少することが予想されており、共有できる数字だと思います。このような状況下で宮城県は県民会館を建てかえ、仙台市は市民会館を新たにつくることを考えております。宮城県が設置する県民会館の整備のあり方に関する有識者会議、仙台市が設置する仙台市音楽ホール懇話会どちらも、施設はホールの座席数が二千席規模のもので独自の調査結果から導き出しております。以前の知事の答弁や郡仙台市長の記者会見を調べると、宮城県は仙台市に対し県民会館と市民会館を一つにまとめ共同で建築することを提案したが仙台市はこれを拒否し、拒否というよりも仙台市独自で建設することを検討しているやに伺っております。私は無駄以外の何物でもないと考えております。仙台市において事業手法は議論されておりますが宮城県も仙台市も有識者会議では予算に関する議論は見受けられません。一般的には有識者会議の中で予算に関する議論も行い、その範囲で最大限によいものにするために知恵を出し合って建てるものではないでしょうか。素直に税金の使われ方として疑問を感じます。この点についてはいかがお考えでしょうか。 私は県民の文化芸術を振興するために県民会館の建てかえを有識者会議において議論を進めていることは非常に重要だと考えております。設備の劣化、公共施設としては思えないほどのバリアフリー対応になっていない、場所の問題など挙げれば切りがありません。ですので私は新築することに反対なのではなく建設後の使われ方も含めて議論を深めるべきだという思いです。今のままでは箱をつくることそのものが目的になっているように感じます。ホール建設はあくまで手法であり県民の文化力向上のためという理念が明確で、そのためにホールはこうでなければならないという一般的な考え方が非常に薄いように感じます。もう少し議論が生きたものになるために予算を概算でも示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 更に仙台市と宮城県の会議資料を全て閲覧しましたが何でもできるホールをつくろうというふうにしか見えません。これが一番もったいない。仙台市と宮城県が一緒に建設することは理想だと思いますが、仮にこのまま議論が進むとするならば仙台市がクラシックに特化したホール、宮城県が劇団四季のようなミュージカルや演劇に特化したホールといった文化芸術のすみ分けをしてはいかがかというものです。今のままでは同じようなホールが二つできるだけです。これは本当に残念なことです。県民会館の建てかえに関して箱ありきではなく目的をより明確にしていただき、ここ宮城からすばらしい人材が学び、育つホール整備を強く求めますが、いかがでしょうか。 また我々自由民主党・県民会議の文化芸術振興議連において、福岡県のアクロス福岡シンフォニーホールを視察した際に著名なオーケストラが演奏する際、遅くとも公演の三年前には予約を完了させなければならず、同時に予算が確保されなければ予約できない前提がございます。一公演一億円の公演料がかかるオーケストラさえあるのです。そのことから何があっても毎年三・五億円の予算が確約されているそうであります。また兵庫県西宮市にある兵庫県立芸術文化センターでは運営法人の中に劇団四季のフロアマネージャーだった方がおり、設計の段階からかかわりオーケストラピットの大きさを含め使い勝手の部分で意見を反映させたそうであります。このように運営をしていく明確な目的があれば予算の確保もより明確になると思います。ぜひともすばらしいホールができるように、決して箱ありきではなく目的を明確にし、それがしっかりと県民に見える形を望みますが、いかがでしょうか。 この質問の最後に、仮に仙台市が宮城県に対して一緒にやりましょうと申し出てくるとしたら、県としてはどのように対応するのか、お伺いいたします。 次に農業政策について伺います。 県農業の基幹品目である米については近年戦国時代に例えられるほど産地間の競争が激化しており、各産地から次々に新しい品種が市場に投入されております。我が県においても昨年新品種だて正夢が本格デビューを果たしました。村井知事みずからが先頭に立って積極的にPRに取り組んだ結果、県内及び首都圏を中心に販売は好調と伺っており今年度産についても大いに期待しているところであります。その一方で七月末に国が公表した米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針によると、昨年七月からことし六月までの一年間における全国ベースでの米の需要実績は、速報値で七百三十四万トンとなっており昨年に比べると六万トンの減少となりました。需要量は一貫して減少傾向にあり、最近では人口の減少やライフスタイルの多様化などを背景として減少幅が拡大しております。このように米の消費量が減少傾向にある中、今後とも稲作農家の安定的な所得確保を図っていくためには、新たな市場を積極的に開拓していくことが喫緊の課題であり、中でも米の輸出が重要かつ有効な取り組みであると考えております。県内においても登米市など一部の地域が先進的に米の輸出に取り組んでおりますが、今後県内の取り組みを更に広げ米の輸出拡大を促進していくためには、作業の省力化や生産コストの低減に向けた技術の普及が必要だと考えます。県として米の輸出を今後どのように進めていくのか伺います。 また本県の農業は東日本大震災から復旧・復興の過程で生産構造が大きく変化してきております。沿岸部においては水田の区画が一ヘクタール規模の大区画となり、その担い手として農業法人が設立され営農を再開しております。また内陸部においても農地中間管理事業の活用により農地の集積・集約化が進んできており、これらの担い手として次々と経営の法人化が図られております。特に百ヘクタールを超える大規模農業法人が増加していると伺っております。一方で農業従事者の高齢化が進んでおり、二〇一五年農林業センサスのデータによると本県の基幹的従事者は約四万二千人で、そのうち六十五歳以上が六三%を占めており、その割合は更に高くなっているものと推測されます。今後本県農業の持続的な発展を図るためには、少ない人数で省力的かつ効率的な農業生産を行い生産性を上げる技術の導入が求められているのではないでしょうか。ことし六月に閣議決定された成長戦略においても、二〇二五年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践するという目標を掲げ、スマート農業を強力に推進していくこととされております。本県の農業においても農業従事者の高齢化や労働力不足といった課題は喫緊の課題であり、その解決策としてスマート農業技術が期待されておりますが、本県における現在の取り組み状況と今後どのようにスマート農業技術の普及拡大を進めていくのか、知事に所見をお伺いいたします。 次に本県における園芸振興のあり方についてお伺いいたします。 本県の平成二十九年農業産出額は一千九百億円でそのうち米の占める割合が四〇・六%、畜産が四〇・九%といまだ米と畜産の比重が高い生産構造となっております。米政策が大きく変わる中、基幹品目である米の生産振興は重要なことでありますが今後農業産出額と農家所得の向上を図るためには、もっと園芸を振興していくべきではないかと考えておりますが、本県の園芸振興に関する課題と方針についてどのように捉えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 特に震災後は沿岸部を中心に大規模で先進的な園芸施設整備が進み、知事が目指す単なる復旧にとどまらない、将来を見据えた新たな時代の農業モデルが数多く構築されております。そのような状況の中、平成二十九年の園芸産出額は三百二十三億円と震災前の状態には回復してきておりますが、県で掲げる園芸産出目標額四百二十二億円に向けてはまだまだ大きな開きがあります。今後園芸産出額の増加に向けては、震災後導入が進んでいる高度な環境整備システムやICTなどの先進技術を県内一円に普及拡大していくことにより、生産性を向上し収益性の高い先進的な園芸を目指すべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたしまして、壇上からの一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(相沢光哉君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 深谷晃祐議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、公共交通の整備と道州制及び多賀城政庁跡の活用策についての御質問にお答えいたします。 初めに、道州制についてのお尋ねにお答えいたします。 道州制推進知事・指定都市市長連合は、道州制に関する考え方を共有する道府県の知事や指定都市の市長が平成二十四年四月に設立したものであり、各政党に対する要望活動やフォーラムの開催などを行ってまいりました。現在も国の動向等に関する情報収集や関係機関との意見交換などを継続しているところであり、我が県を含む各構成自治体も連合の設立趣旨に沿って道州制の実現に向けた要望活動等を行ってきております。国における議論は停滞ぎみの状況となっているようでありますが、人口減少や超高齢社会の到来など我が国が直面する困難な課題に立ち向かっていくためには国、広域自治体、基礎自治体の役割分担を明確にし、国・地方それぞれが抱える課題により適切に対応していくことが可能となる地方分権型の道州制の導入が必要であるという私の考えは変わっておりません。今後も国などの動向を注視しながら連合の活動などを通じて道州制の実現に向けた取り組みを継続してまいります。 次に、道州制の拠点となる庁舎の移転についての御質問にお答えいたします。 多賀城は奈良・平安時代に陸奥国の国府・政庁が置かれ古代東北の政治、文化、軍事の中心としての役割を果たした地であります。こうした歴史的な背景を考えあわせますと、道州制推進の拠点となる庁舎を多賀城政庁跡に置くという提案については、国や各自治体など関係機関において十分協議をした上で決定されるべき重要事項ではありますが、大変壮大で夢のある話ではないかと考えております。そういった夢をつなぐためにもまずは国民的な関心と議論を喚起し、道州制への道筋をつけることに傾注することが肝要でありますことから、引き続きしっかりと取り組んでまいります。 次に、政庁跡の復元を視野に入れた取り組みについての御質問にお答えいたします。 多賀城政庁跡については多賀城創建千三百年に当たる令和六年度の完成を目指し、現在県が多賀城政庁跡と外郭南門跡の間の環境整備を、多賀城市が外郭南門の復元工事などを実施しているところであります。政庁の復元につきましては事業費が非常に大きくなることが予想されるなど種々課題がありますが、正殿や政庁南門などの古代の建造物を復元し多くの方々に東北の歴史や文化に触れていただくことは交流人口拡大の面からも大変に意義深いものがありますので、実現の可能性などについて今後検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、県民会館の建てかえについての御質問のうち、設置目的を明確にしたすばらしい人材が学び育つホールの整備と、仙台市から共同建設の申し出があった場合の対応についてのお尋ねにお答えいたします。 先日開催いたしました第四回の県民会館の整備のあり方に関する有識者会議では、今後策定する県民会館整備基本構想の構成や基本理念、基本方針などの素案を議論していただき、委員からは県が整備するホールは市町村の文化振興やホール運営に従事する人材育成機能を担うべきであるとの御意見をいただきました。今後の県内の文化振興に当たっては、施設を最大限活用しソフト事業の質を高めていくことも重要であると認識しており、さまざまな企画や施設運営などを担える人材育成にこれまで以上に力を注ぐとともに、その設置目的についても県民にしっかりと伝わるよう努めてまいります。なお現在、県、仙台市ともにそれぞれの視点から構想の検討を進めており、仙台市からの共同建設の申し出は想定しにくい状況でありますが、仮にあった場合にはよくお話を伺いたいと思います。 次に、大綱四点目、農業政策についての御質問のうち、スマート農業技術の取り組み状況と今後の普及拡大についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県では農業者の高齢化や労働力不足が進む一方で震災からの復興を契機に経営の大規模化が進んでおり、スマート農業技術の導入により効率的な営農を確立することが極めて重要であると認識しております。このため県では農業者や農業機械メーカー、試験研究機関などが一堂に会したみやぎスマート農業推進ネットワークを設立し、スマート農業技術の導入に向けた課題の共有化を進めております。また農産物の生産から出荷まで、現場でスマート農業を導入・実証をするプロジェクトにも取り組んでいるところであります。先般もドローンによる農薬散布や自動走行コンバインによる収穫作業の実演を行い、農業者から大きな反響をいただいているところであります。県といたしましては、まずは三年後を目標に県内全ての大規模土地利用型農業法人にスマート農業技術が普及拡大するよう施策を推進し、全国に先駆けたスマート農業先進県を目指してまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。    〔震災復興・企画部長 後藤康宏君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 大綱一点目、公共交通の整備と道州制及び多賀城政庁跡の活用策についての御質問のうち、交通手段の確保に対する県の財政負担のあり方についてのお尋ねにお答えいたします。 高齢化社会の進展等に伴う免許返納の対応に加え、人口減少に向かう中での地域交通の確保は大変重要と認識しており、県では住民バスの運行経費に対して助成を行っており対象路線数は毎年度増加しているところです。一方住民バスの運行経路の多様化や運行本数の増便を求める声もあることから、各市町村ではそうした声をしっかり受けとめ地域の実情に応じた路線再編を進めるべきと考えております。住民バスについては県の補助に加え、市町村が負担する運行経費の八割が国の特別交付税の対象となるなど負担軽減が図られておりますが、県といたしましてはこれらを総合的に勘案し地域の交通手段の確保と県の財政負担のあり方について、引き続き検討してまいりたいと考えております。 次に、仙台臨海鉄道の利活用についての御質問にお答えいたします。 仙台臨海鉄道は仙台港とJR東北本線陸前山王駅を結びJR貨物と連結して主に石油類やビールなどを輸送しておりますが、その路線の拡充や新設等に際しては沿線地域の将来的な発展の可能性等を視野に入れるとともに、その整備費や事業の採算性の検討等も重要と認識しております。県といたしましては、沿線自治体によるまちづくりの方向性や鉄道事業者の考え方等も伺いながら、仙台臨海鉄道の利活用の可能性を探ってまいりたいと考えております。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 環境生活部長大森克之君。    〔環境生活部長 大森克之君登壇〕 ◎環境生活部長(大森克之君) 大綱三点目、県民会館の建てかえについての御質問のうち、予算の範囲内での検討と、予算の概算についてのお尋ねにお答えいたします。 老朽化が目立つ県民会館の整備検討に当たっては、予算の枠組みを定める前に新しい県民会館のあるべき姿や果たすべき機能についての議論を優先し取り組んでまいりました。昨年度実施した需要調査では音楽系以外の演劇などのステージジャンルの施設需要への対応が必要であるなどの結果を得ました。また県民会館の整備のあり方に関する有識者会議では、東北最大の文化拠点や人材育成の拠点といった新しい県民会館の基本理念について御意見をいただきました。予算の概算については、これまでの議論を踏まえ今後施設構成や仕様など具体の調整を進める過程で精査し、できるだけ早い時期にお示しできるよう努力してまいります。 次に、異なる演目に特化したホールを整備し、文化芸術のすみ分けをすることについての御質問にお答えいたします。 これまで四回開催した有識者会議の議論では仙台市はクラシック音楽重視型のホールで、県民会館はあらゆるエンターテインメントに対応する劇場型などの御意見をいただいております。現在県と仙台市が整備予定のそれぞれの施設の特性、機能や役割が見えてきているところであり、おのずとすみ分けは進むものと考えておりますがより一層明確となるよう引き続き仙台市と調整してまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、療育支援についての御質問のうち、早期認知及び早期療育についてのお尋ねにお答えいたします。 早期認知・早期療育については、いじめや不登校、非行等の二次障害の防止やQOLの向上など、障害のある子供やその家族が地域で安心して在宅生活を送る上で大変重要であると認識しております。現在県では乳幼児健診を行っている市町村保健師等を対象とした早期発見に資する研修会や、子育てに悩む保護者を対象とした子供の行動の理解の仕方を学ぶペアレントプログラムを実施しているほか、障害児等を対象とした障害児等療育支援事業において訪問や来所による療育相談・指導を実施しております。また県障害福祉計画では、児童発達支援センターを令和二年度までに各障害保健福祉圏域に一カ所以上設置することを目標に掲げ、体制の整備を進めているところであります。県としましては、市町村及び関係機関と連携し早期発見から身近な地域で療育支援が受けられる体制の構築に努めてまいります。 次に、発達障害者支援に係る関係部署との連携についての御質問にお答えいたします。 県ではこれまで市町村を初め保健、福祉、教育、就労等の関係機関で構成する発達障害者支援地域検討会を開催し、各機関における取り組みや課題の共有などを行い連携を図ってまいりました。またことし七月には県子ども総合センターに新たに発達障害者支援センターを設置し、各市町村において保健、福祉、教育等の関係機関が連携した支援体制を構築できるよう支援を行っております。県としましては、今後も関係機関との連携強化を図り身近な地域で支援を受けられる体制の整備に努めてまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 農政部長佐藤夏人君。    〔農政部長 佐藤夏人君登壇〕
    ◎農政部長(佐藤夏人君) 大綱四点目、農業政策についての御質問のうち、米の輸出を今後どのように進めていくのかについてのお尋ねにお答えいたします。 高齢化や人口減少などにより食用米の国内需要が減少する中で、稲作農家の安定的な所得確保を図っていくためには輸出などの新しい販路を開拓していくことが必要と認識しております。米の輸出拡大を図るためには農家の所得を確保しながら値ごろ感のある価格で米を供給することが重要であります。このため県では輸出用米の生産に当たって、多収性品種の導入による収益性の向上やスマート農業の導入による省力・低コスト化に取り組んでいるところです。また輸出用米に対しては水田活用交付金において国が十アール当たり二万円の支援をしているのに加え、今年から新しく県の産地交付金において十アール当たり一万円の加算を行うこととしており、国内向け主食用米を上回る農家所得が確保できるよう支援してまいります。 次に、我が県の園芸振興に関する課題と方針についての御質問にお答えいたします。 我が県の農業産出額のうち園芸作物は平成二十九年で約三百二十三億円となっており、七百億円を超えている米や畜産に比べて低くなっております。農業産出額と農家所得の向上を図るためには園芸振興が大変重要であると認識しております。このため県では平成二十八年にみやぎ園芸特産振興戦略プランを策定し、イチゴやトマトなどの大規模園芸経営体の収益性向上やネギ、バレイショなど露地園芸の規模拡大、県内外からの企業参入促進などを課題として捉え取り組みを進めております。県といたしましては、プランに掲げる園芸産出額目標四百二十二億円の達成に向け取り組みを強化してまいります。 次に、先進技術を普及拡大することで生産性を向上させ、収益性の高い先進的な園芸を目指すべきとの御質問にお答えいたします。 我が県では震災後沿岸部を中心に多くの大規模な園芸法人等が誕生しております。これらの経営体においては、施設や作物の生産力を最大限に引き出す高度な環境制御技術を使いこなすことが重要と考えております。このため県では、国の次世代施設園芸地域展開促進事業などにより、高度な環境制御装置などを導入した経営体に対し農業改良普及員がICTを活用して技術指導を行っております。またみやぎの園芸法人ステージアップ事業により、高度な栽培管理技術の専門家を派遣し経営体の技術習得にも取り組んでおります。県といたしましては、これらの取り組みを推進することで競争力と魅力ある先進的大規模園芸産地の育成を図ってまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 土木部長門脇雅之君。    〔土木部長 門脇雅之君登壇〕 ◎土木部長(門脇雅之君) 大綱一点目、公共交通の整備と道州制及び多賀城政庁跡の活用策についての御質問のうち、政庁跡周辺の交通安全対策と市道の県道への昇格についてのお尋ねにお答えいたします。 多賀城政庁跡周辺を含む地域は三陸自動車道の多賀城インターチェンジの開通に加え、利府町内で大型商業施設を含む土地区画整理事業が進められていることなどから、今後周辺道路の交通の流れに大きな変化が予想されます。現在利府町内から政庁跡周辺にアクセスする路線としては加瀬沼公園までの区間を県道加瀬沼公園線として認定しており、その先の道路は利府町道在加瀬線及び多賀城市道名古層線となっております。このため県では、これまで市町の要望を踏まえ県道泉塩釜線への接続など県道認定に向けた検討を行ってまいりましたが、特別史跡に指定されている地域であるため地形の改変が難しいという課題がありました。県といたしましては、今後の交通量の推移を見きわめながら市町や関係機関と連携をし県道認定や必要な交通安全対策について引き続き検討を進めてまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、公共交通の整備と道州制及び多賀城政庁跡の活用策についての御質問のうち、政庁跡と外郭南門との間の旧県道について及び政庁跡周辺を観光資源として捉えているのかとのお尋ねにお答えいたします。 多賀城政庁跡と外郭南門跡との間には旧県道である市道新田浮島線が東西に通っており、来場者が横断しにくい状況であることは認識しているところです。県としては来場者が安全に道路を横断することができるよう道路管理者である多賀城市に働きかけてまいります。また政庁跡周辺については特別史跡としての文化財的価値が高い場所であるとともに、県内外から多くの方がお越しになる観光資源としても重要であると認識しているところです。県では現在多賀城創建千三百年に向けて政庁南大路周辺の環境整備を進めておりますが、順次対象範囲を広げ魅力ある史跡に整備していきたいと考えております。 次に、旧東北歴史資料館における文化財の保管倉庫以外の活用や保管物の再検証と、スーパークローン文化財などの取り組みの推進による、土地活用の見直しについての御質問にお答えいたします。 旧東北歴史資料館である浮島収蔵庫に保管されている埋蔵文化財、歴史・民俗資料等の文化財資料につきましては、適切に保存・管理しながら調査・研究を行っているほか、東北歴史博物館での展示や研究機関及び一般の方への公開などに活用されているところです。またスーパークローン文化財などにつきましては、脆弱な文化財の保存活用や破損した文化財の復元展示などに有効であると認識しております。しかしデジタルデータで文化財を再現する技術は進んだとしても、オリジナルの文化財は引き続き適切に保存・管理していくこととなります。浮島収蔵庫につきましては老朽化等の問題もあり将来的な方向性を検討しているところですが、当面環境整備も図りながら収蔵庫として活用してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、療育支援についての御質問のうち、すこやかファイルの活用についてのお尋ねにお答えいたします。 県教育委員会では特別な支援を必要とする子供たちの乳幼児期から学校卒業までの情報が関係機関で共有され、しっかりと引き継ぎがなされるよう各関係機関による乳幼児からの検診や検査、相談の記録等を一冊にまとめた相談支援ファイル、すこやかファイルを平成二十三年度に作成し県内各市町村での活用を働きかけてきたところであります。このすこやかファイルは好事例として文部科学省のホームページでも紹介されているところであり、各市町村ではこのファイルを参考にそれぞれの地域の実情にあわせて独自の様式を追加・作成するなどして相談支援ファイルの活用を進めているところであります。今後も各市町村や庁内外関係機関との連携を図りながら就学前も含めた特別支援教育の充実に取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 九番深谷晃祐君。 ◆九番(深谷晃祐君) 御答弁ありがとうございました。全体的に検討する、調整するというある程度前向きな御答弁もいただけたかなというふうな思いがある反面、教育長、総務部長のときよりも答弁が厳しくなったなというふうに感じます。東北歴史資料館ですね、環境整備を進めるという御答弁だったんですけれども、その環境整備が進んでいないので周辺住民から苦情が出ているという現状がありますのでしっかりとその辺を把握していただきながら、やっていただきたいというふうに思います。一点知事に、創建千三百年に向けてそこの復元について私も観光の起爆剤になるんじゃないかというふうに考えておりますし、改めて御答弁をお願いいたします。 ○議長(相沢光哉君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 創建千三百年というのはちょうど令和六年ということで間もなくでございます。教育長のほうにはそのときに何らかの県民に対して夢を与えるようなことが発表できないか、よく検討しようじゃないかということをお話をしております。具体的にはまだ何も話は出ておりませんけれども、多賀城市任せだけではなくて県も何らかのかかわりを持ちながら事業ができればなというふうに思ってございます。時間がそれほどあるわけでありませんのでしっかりと詰めていきたいというふうに思います。 ○議長(相沢光哉君) 十九番渡辺勝幸君。    〔十九番 渡辺勝幸君登壇〕 ◆十九番(渡辺勝幸君) 自由民主党・県民会議の渡辺勝幸でございます。議長のお許しをいただきましたので令和初めての一般質問、大綱一点目、復興の次の時代をどう描くかについてお伺いいたします。 ことし八月四日、若林区の連坊商工会が連坊チャリティー七夕茶会を開催しました。この七夕茶会はことしで十回目ですが、参加費の茶席代を全額、宮城県の東日本大震災みやぎこども育英基金に寄附をされており、これまでの合計寄附額は百六十五万円に上っているとのことです。今月五日この茶会を主催された連坊商工会と江戸千家不白会の皆様が宮城県庁を訪れ、寄附金を贈呈されるとともに本基金の活用事業について担当の保健福祉部の皆様から御説明をいただいたところです。本県においては両親を亡くした震災孤児が百三十九人、両親のいずれかを亡くした震災孤児が九百六十二人の合わせて一千百一人の子供たちが親を亡くしています。こうした子供たちが安定した生活を送り、希望する進路選択を実現できるようにすることは非常に重要なことであり、継続的に支援をしていかなければなりません。県の子育て社会推進室で平成二十九年に発行された東日本大震災みやぎこども育英募金寄附者の皆様へのメッセージという小冊子をいただきましたが、ここからうかがえることは子供たちの勉強に運動に頑張っている様子、そして親を失った悲しさは消えることはないものの、まだ見たことのない寄附をしてくださった方への感謝の気持ちがあふれ、この基金による支援金・奨学金事業が意義のあるものだと読みながら感じました。また本基金を活用し不登校など心の問題を抱える児童生徒を支援するみやぎ子どもの心のケアハウス、被災者の心の相談に応じるみやぎ心のケアセンターの運営、いじめ・不登校等対策推進・支援事業など子供から大人まで切れ目のない支援を本県では進めており、それぞれ大変有意義な事業であります。しかしこれは本来基金ではなく、国の責任で被災県に対して全額予算化していくべき事業なのではないでしょうか。私も上京したときには霞ケ関にお勤めの方と話をしたり政治関係者とお話をする機会がありますが、残念ながら東京の政策担当者の方々と県内被災地では温度差があるように思えてなりません。東京においては、東日本大震災はもはや過去の出来事であり、予算を投じる必要性が感じられないという趣旨の話をされる方もいないわけではありません。確かに東日本大震災以降、大きな予算を本県も国から投じていただき震災からの復興が大きく進展した。このことには私も宮城県民として心より感謝をしているところです。しかし現状を見るとまだまだ震災からの復興は途上であり、更に震災直後とは状況が変化し被災者の心のケアや地域コミュニティーの再生等被災者を支援する事業には中長期的な対応が必要であり、こうした施策に財政支援を継続していただくよう宮城県における現状を国に対して今まで以上に主張し、説明し、訴える必要があるものと認識しております。本県にとっては幸いなことに村井知事個人の発信力は大きなものがありますが、それに反比例して県執行部として県庁を挙げて国に対し現状を熱く説明し訴え、要望する力が弱くなっているのではないかという不安を感じざるを得ません。ただ待っているだけでは本県における復興の完遂、復興の次の時代が厳しいものになってしまいますし、本来能力のある県執行部の皆様の力が発揮されていないということであれば、結果として知事の責任と言われてもおかしくはないでしょう。国に対し本県が復興途上であり課題が山積しているということを県庁を挙げて今まで以上に更に強く、そして継続的に訴えていくべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。 次に、復興の次の時代をどう描くかお伺いいたします。 今月六日、先の改造で環境大臣に就任した小泉進次郎衆議院議員が来仙し、読売Bizフォーラム東北で講演をされ私もその話を伺ってまいりました。震災から八年半が経過した今、小泉氏はもう一度被災地の一人一人が立ち上がるために何が必要かを考える時期に来ていると強調され、被災地の今後を考えるキーワードとして世界とのつながりと支える側に回る発想の二つを挙げていらっしゃいました。私も日ごろより復興の次の時代をどう描くかということを考えていますが、小泉氏の講演に共感するところがありましたし村井県政の大きな方向性も同じではないかと感じたところです。しかし先ほど述べましたように、復興の次の時代においても国の力を借りながら推進していく必要は大いにありますし、本県選出国会議員を含め復興庁の後継組織を初めとする国との連携は復興の次の時代を描くに当たり重要であると考えます。復興の次の時代をどう描くのか、また国との連携について、知事の見解をお伺いいたします。 世界とのつながりというキーワードを踏まえ、復興の次の時代を描くに当たり現在わが国で大きな課題となっている人手不足の解消については、外国人材の受け入れという形で新たな動きが始まっています。宮城県における外国人労働者数は平成三十年十月末で一万一千一人と過去最高を記録しました。しかし一方で文化や生活習慣の違い、そして言語の違いからトラブルも発生しているという話を耳にするようになりました。法改正により現在外国人に求められている語学力は日本語能力試験でN四程度、五段階中下から二番目と必ずしも高度な水準を要求されているわけではないのが現状です。日本語教育環境の整備が喫緊の課題であると言っても過言ではありません。一方外国人労働者を受け入れる国内の日本語教育環境は十分ではありません。外国人材を受け入れている地域であっても、日本語教室が開設されていないという地域はまだまだ多いのではないでしょうか。ニッセイ基礎研究所の調査によれば、国内に三万九千五百五十八人いる日本語教師の約六割は無報酬のボランティアであり、この状況を脱却するには日本語教育にかかわる人材を登用し制度を整備していかなければなりません。そこで必要とされるのは高齢の方々ではないかと私は考えています。高齢者は日本語教師に最も適しているのではないでしょうか。高齢者は日本語に堪能であり文化に対する造詣も深く人生経験も豊富です。一方外国人は日本語能力が未熟で日本の社会慣習に対しても理解が浅く、比較的若い世代が多いため人生経験も足りていません。豊富な知識や経験を有する高齢者は、外国人が抱えるさまざまな問題の解決に大きな力を果たしてくれるのではないかと考えた次第です。高齢者にとっても働くことで日々の生活が活性化し健康の維持にもつながることは想像にかたくありません。外国人材受け入れによる日本語教育環境の整備は喫緊の課題であり高齢者を日本語教師として活用するべきと考えますが、その見解をお伺いいたします。 八月八日、宮城県知事による交通死亡事故多発緊急事態が宣言されました。ことしの県内の交通事故による死者数は七月二日以降の約一カ月間で十人と急増し、八月二日現在で三十七人となっており、昨年を大幅に上回るペースで交通死亡事故が発生し極めて憂慮すべき事態となっております。緊急事態宣言のメーンスローガンとしては一人一人の慎重な運転が命を守る、防ごう交通事故、死亡事故ゼロへを掲げたと伺っております。交通安全の施設整備は宮城県民のみならず通過する全ての道路利用者に影響を与えるものであり、本県の交通安全政策として着実な推進が求められることはもちろんですが、国に対しても一定の水準を確保し必要な財源を補助するよう求めていく必要があると考えます。また被災地においては復興の進展に伴い新たな道路や交差点が増設され、人々や車の動きも日々変化し続けており交通安全の確保は喫緊の課題でもあります。私の地元、仙台市若林区上飯田一丁目の市道交差点では近年事故が多発しております。ことしの五月二十日朝、軽乗用車と乗用車が出会い頭に衝突、弾みで軽乗用車が横転し近くのアパートの塀をなぎ倒しました。幸い運転していた方は軽いけがで済みましたが小中学生、高校生の登校時間であり、あわや大惨事になってもおかしくない事故でした。更に同じ場所で八月一日には東から来たトラックと北から来た軽乗用車が出会い頭に衝突し、更に西から来た乗用車が軽乗用車とぶつかりました。トラックと軽乗用車の運転手が首や胸を打ち、いずれも軽症ということでした。この事故でトラックが信号機の支柱に衝突し倒れたため交差点周辺の道路がおよそ三時間通行どめとなりました。この交差点ではここ三年で信号無視などにより六件の事故が発生、うち人身事故は四件であったそうです。なぜ同じ交差点で事故が多いのか。さまざまな理由があるものと思いますが、この交差点に設置されている信号機は旧型のものであり、また横断歩道の路面標示が消えかかっていました。早速カラーアスファルト舗装、横断歩道の標示工事を実施していただきましたが、こうした信号機や道路標識、道路標示の整備を進めることによって交通事故の抑止につながるものと期待をしているところです。近年、道路や歩道の整備等を推進することによって子供たちの通学路や園児の移動経路等の安全を確保すること、また更に高齢運転者が増加していることを踏まえ、今までとは違う交通事故防止対策の強化が県民の大きな関心事となっています。もちろん緊急事態宣言を出すことで交通安全の意識を啓発し向上させる効果はあるものと思いますが、やはり交通安全施設整備事業に重点的に予算配分をし、ソフトとハードの両面で交通安全を推進していく必要があるものと考えます。見解をお伺いいたします。 次に、大綱二点目、ママ支援と特定不妊治療の助成についてお伺いいたします。 人口減少はこれから更に加速化し少子高齢化も進展していくことが予想される中で、子供たちの存在は今まで以上に大事なものとなっていきます。子育てしやすい環境をつくることに対して予算を重点的に投入していくことは大きな時代の流れであり、政府が進める幼児教育・保育の無償化は、この十月にも全面実施される予定です。こうした中で国が進める子育て世代包括支援センターの設置は、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うという点で重要な政策の一つであると考えております。先日子育て中のママ支援を行っている一般社団法人ここまむぷらすの熊谷さんという方にお話を伺う機会がありました。ここまむぷらすでは仙台市泉区において子供と一緒にママがチャレンジでき、ママ同士がつながり、支え合い、地域を元気にする場所、子育てママが楽しく活動できる場所をつくっており民間の立場で子育て世代を支援されています。ママ支援は妊娠期から子育て期の母親が産前産後に精神的に孤立し、負担感が高まっている中で出産や子育てに不安を感じやすい時期であるということから、近年各自治体のサポートが求められているところであり、こうした子育て世代包括支援センターを県内各地に設置していく必要があります。母親同士がコミュニケーションをとる機会がふえるということだけでも大きな意義があるものと思いますし、更には名取市が実施しているママインターンのように仕事につながる、復職の機会となる機能が強化されるとより一層ママ支援が効果的なものになるものと思います。国ではこの子育て世代包括支援センターについて令和二年度末までに全国展開を目指すとしていますが、現時点で県内の取り組みはどういう状況で、今後の展開をどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。 次に、特定不妊治療事業についてお伺いします。 近年の晩婚化に伴い不妊治療を受ける人の数が増加しており、今では新生児の約二十一人に一人が体外受精により生まれているとのことです。このような現状の中、国においては医療保険適用外であり、高額な治療費を要する特定不妊治療による経済的負担の軽減を図るため、平成十六年度より治療費の一部を助成する事業が導入されています。この事業は全都道府県、指定都市及び中核市により実施されており、平成二十八年度からは一回十五万円を上限に妻の年齢が四十歳未満の場合は通算六回まで、四十三歳未満の場合は三回までの助成が行われております。しかしながら特定不妊治療を受ける方の経済的・精神的負担はいまだ大きいのが現状です。数百万円にも上る高額な治療費や仕事との両立の難しさ、周囲の理解不足等課題は山積しています。とりわけこの制度においては国で定めた夫婦合算で七百三十万円という所得制限がかかっており、これが原因で制度を利用することができず多額の治療費を自己負担している方も少なくないと聞いております。また富山県においては、この所得制限は撤廃されています。平成三十年度の富山県一般会計予算を見ると一般会計五千四百八十七億円に対し、この不妊治療事業費は二億一千七百八十一万円と一般会計の約〇・〇四%、更には政令市である神戸市においては一般会計七千七百八十五億円に対し四億円と一般会計の約〇・〇五%を占めています。本県の不妊治療事業費と一般会計に占める割合についてお伺いいたします。 またNPO法人Fineが約一千五百人の不妊治療経験者に対して実施したアンケート調査によれば、不妊に悩む方への特定治療支援事業による助成金を申請したことがありますかの問いに、あると答えた人は四二%、ないと答えた人は五八%でした。また約四〇%の人が、所得制限を超えるからという理由で申請をしていないという結果も明らかになりました。つまり全体で治療をしている患者の約四人に一人は、所得制限のために助成を受けられていないということになります。また所得制限のために助成金を利用できない層であっても、経済的な負担が大きいという状況が自由記述欄の意見から読み取れます。給料だけでは賄えず貯金を切り崩している、所得制限をぎりぎり超えてしまっているので助成を受けることができず不公平感を感じている、といったコメントが調査で挙げられています。少子化対策を進めるべきとの意見に反対する方はいないものと思いますが、近年共稼ぎの夫婦が当たり前となってきているこの女性活躍の時代に、子供を産みたいという意思のある方にはむしろ更なる支援をするべきであり、七百三十万円という所得制限は時代に逆行しているのではないかとすら感じます。本県の特定治療支援事業における所得制限は撤廃するべきであると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、大綱三点目、税金を支出する基準となる公平性の担保についてお伺いいたします。 ことしの八月三日から九月二十九日の日程で牡鹿半島、石巻市街地、松島湾の各地を会場としてリボーンアート・フェスティバル二〇一九が開催されています。いのちのてざわりをテーマに七地区で現代アート作品の展示、地域の食材や自然を体感するツアー、石巻フードアドベンチャーや音楽イベントの開催など地域の文化芸術資源を活用し、被災地域の中長期的な再生と心の復興に資する取り組みに対して支援を行い、文化芸術が持つ力による心の復興と地域の活性化を推進する目的で、令和元年度当初予算として先進的文化芸術創造拠点形成事業、約一億円が計上されています。文化と芸術の振興、心の復興に加え、被災地における地域の活性化に大いにつながる事業であると期待しております。今後の取り組み、展開についてお伺いいたします。 次に、あいちトリエンナーレ二〇一九の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になったことに関連して、宮城県としての見解をお伺いします。 一般論として予算を調製するに当たって重要なことは、そのときにおける公共的な欲求は何かを見きわめるということと、限られた予算の中で何をもって優先順位をつけるかという基準をつくることにあると考えます。そして特定の要求が具体化していく過程の中で社会を構成するさまざまな人々がそこに参加し、討論し、納得し、また専門家の意見を聞き、その結果として私と公の調整が図られれば、みんなが納める税金が公平に使われていると県民の納得が得られるのではないでしょうか。八月三日、愛知県で開催された国際芸術祭、あいちトリエンナーレ二〇一九の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になりました。この一連の騒動を見て、本県で同じようなことがあった場合にどのように対処すべきかを考えなくてはならないと感じました。まず私個人としては報道等に接し、その内容については大きな違和感を感じ二度と見たくないという極めて強い不快感を抱いたところでありますが、これはあくまで私個人の感想・感情の吐露であります。しかし、そんな私のような感情を持つ人が大勢いたとしても表現の自由は最大限保障されるべきであり、表現者や観客等の安全が確保されないというようなことがない限りにおいては、政治や行政は表現内容に介入しないようにすることが望ましく、平成十三年に成立した文化芸術基本法においても、我が国の文化芸術の振興を図るためには文化芸術活動を行う者の自主性を尊重すると書かれているところです。 しかしながら今回のあいちトリエンナーレのように税金が支出されている以上は、行政が展開する他のあらゆる事業と同様に公平性の担保が必要であります。また今回の事例のように表現者や観客の心身の安全が確保されない事態にまで至ったり、騒動の展開によっては予算の追加支出が生じる可能性が出てくるなど事業そのものに課題があったのではないかとも思いますし、今回の騒動の大きさを考えれば事前に予見することが可能だったのではないでしょうか。また極めて特定の政治的主張が入った表現を取り上げるならば、それに反対する表現者の主張を取り入れることをも想定する、あるいは美術展の内容そのものの事前告知やパブリックコメントをする、またコンテンツの妥当性、政治的タイミングなどを芸術監督が適切に判断すること等が必要だったのではと感じます。もちろん民間の美術展においてはこの限りではなく、あくまで税金を支出するという前提の議論であります。表現の自由は最大限保障されるべきであっても、行き過ぎた表現に税金を支出することは不適切だという民意が大多数になったときにも展示を実行し、税金支出の公平性が担保されると果たして言えるのか、これは非常に疑問であります。もちろん表現の自由が憎悪の感情を増幅させた結果、表現者と観客に身体の危険を及ぼすぞという脅迫までが行われることはあってはならないことであり、一歩間違えばアートとはかけ離れた大変な事態になってしまいかねない状況となっていました。このあいちトリエンナーレの一件を他山の石として表現の自由、政治・行政の表現内容への不介入、税金支出の公平性、この三点について本県においてはどのように考えるのでしょうか。 そもそも税金とは何でしょうか。社会を支えるための会費のようなものであるとも言われます。もしも税金がなければ多くの公共サービスが有料になったり、今よりも高額になってしまうこともあり、いかに公平に税金が使われるかは納税者の理解を得るためにも重要なことであります。また税金を納めるためにたくさんの方が苦労されています。私も苦労しております。特に中小企業の会社経営者の方々からは、一円であっても税金を納めることは大変なことであり、苦労して納めた税金は大事に使ってほしいという声をよく聞きます。そして同時に宮城県がよりよくなっていくならば喜んで納めるという声も耳にするところです。税金支出の公平性はほとんどの納税者の期待するところであり、税金を支出する重さを理解しなければなりません。今回のあいちトリエンナーレ二〇一九の企画展「表現の不自由展・その後」が中止となったことについて、知事の所感と表現の自由、政治・行政の表現内容への不介入、税金支出の公平性の三点の均衡についての見解をお伺いいたします。 次に、税金支出の公平性の観点から、観光案内板についてお伺いいたします。 宮城県栗原市の東北自動車道若柳金成インターチェンジと接続する県道四号線沿いに安重根記念碑の看板があります。安重根は朝鮮の独立運動家であり、明治四十二年に内閣総理大臣を四度務めた前韓国統監の伊藤博文を北満州のハルビン駅構内で襲撃した暗殺者でもあります。当時伊藤がロシア要人らと握手を交わしていたところに群衆を装って近づいていた安重根が至近距離から拳銃を発砲、三発が命中し伊藤はこの約三十分後に亡くなりました。なぜ栗原市にこの安重根の記念碑があるのかといえば、安が獄中にいたときの看守であった栗原市出身の千葉十七と関係があります。旅順監獄の看守であった千葉十七は獄中で安重根の思想・人格に感服し師とあがめます。そして安の真摯な姿と祖国愛に感動し精いっぱいの便宜を図り、また安重根もその行為に心から感謝したと言われています。朝鮮総督府での勤務を終え、千葉は故郷仙台で鉄道員として勤めながら安重根の写真を仏壇に祭り、亡くなるまで一日も欠かさず礼拝し東洋平和の実現を祈り続けました。現在も栗原市若柳にある大林寺には千葉十七夫妻の墓があり、昭和五十六年、安重根と千葉十七の友情をたたえる顕彰碑が建立されたとのことです。さて、この日韓を超えた友情、暗殺者と看守のやりとりをたたえる方がいらっしゃることについては疑義を差し挟むものではありませんが、平成十四年浅野史郎宮城県知事の時代に日韓サッカーワールドカップが本県でも開催され、その機会に日韓友好のあかしとしてこの安重根記念碑の観光案内板が設置されました。道路管理者は宮城県であり道路占用許可を得て県が観光案内板として費用を負担し、平成十二年より現在の場所に設置をされていると伺っています。二人の友情、美談はともかくとして、我が国の政治家を暗殺したテロリストの記念碑の案内板を税金で支出するということは、昨今の日韓関係があろうとなかろうと不適切ではないかと考えます。近年の日韓関係は韓国側によって国際法違反の状態がつくり出されたことを契機として大変厳しいものとなっており、これは韓国側に適切な対応を求めていくしかない状況であると私は認識しています。しかし両国関係が困難な状況にあっても、将来のために相互理解の基盤となる民間交流は続けていくことが必要でしょうし、東アジア情勢の混迷の中、中国が台頭しアメリカの力が弱くなれば我が国にとっても難しい国際情勢となり、長期的な視点で見れば親日的な韓国の方々がふえていくことは国益に資することでもあろうと思います。しかし税金を支出した観光案内板としてテロリストを取り上げることは不適切ではないでしょうか、県としての見解をお伺いいたします。 以上、大綱三点についてお伺いいたします。 御清聴いただきまして誠にありがとうございました。 ○議長(相沢光哉君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 渡辺勝幸議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、復興の次の時代をどう描くかについての御質問にお答えいたします。 初めに、国への要望についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災からの一日も早い復興に向けて全力で復興事業に取り組んできた結果、インフラ整備を中心としたハード事業についてはおおむね順調に進捗していると実感しております。一方、被災者の心のケアや地域コミュニティーの再生など復興の進展に伴う課題については、今後も中長期的に取り組んでいく必要があると考えており、これらの課題についてこれまでも国に働きかけを行い、復興・創生期間後も適切に対応していく旨の方向性が示されております。国においては年内にその方向性を具体化する復興・創生期間後の基本方針を策定することとしており、県といたしましては基本方針に我が県の実情が更にしっかりと反映されるよう、被災市町との連携を密にしながらこれまで以上に県庁一丸となって要望してまいりたいと考えております。きのう復興大臣の田中大臣がお越しになりましたので、そのことをしっかりとお伝えいたしました。 次に、復興の次の時代の姿と、国との連携についての御質問にお答えいたします。 県では令和三年度から十年間の県政運営の指針となる次期総合計画について、現行の宮城の将来ビジョンと宮城県震災復興計画、そしてその推進力と位置づけている宮城県地方創生総合戦略の三つの計画を統合して策定する方向で検討を開始したところであります。次期総合計画はまさに復興の次の時代の姿を描くものであり、復興の完遂に向けたきめ細かなフォローアップはもとより富県宮城の新たなステージへの展開などを中心に据えながら、Society五・〇の実現や国際的な取り組みでもあるSDGsの達成などの新しい視点も加え、人口減少、少子高齢化など社会的変化への対応に果敢に挑戦していくものにしたいと考えております。また次期総合計画の内容を実現していくためには国の支援が極めて重要であることから、積極的に意見交換などを行いながら引き続き緊密な連携に努めてまいります。 次に、大綱三点目、税金を支出する基準となる公平性の担保についての御質問にお答えいたします。 初めに、先進的文化芸術創造拠点形成事業の今後の取り組み・転換についてのお尋ねにお答えいたします。 二度目の開催となるリボーンアート・フェスティバルはアート、食、音楽の総合芸術祭として、現在石巻市の牡鹿半島、網地島及び市街地エリアなどで今月二十九日まで開催されております。開催期間も残り二週間余りとなっておりますので、ぜひ多くの方々に足をお運びいただき被災地が未来に進んでいく姿に直接触れ、イベントのテーマ、いのちのてざわりを感じていただきたいと思います。実行委員長の小林武史氏からは十年間の継続開催が表明されており、プレイベントを挟みつつ二年または三年に一回の本祭の開催が予定されております。このイベントは前回の経済波及効果が約二十二億円と試算されるなど、我が県に新たな交流と活力をもたらし復興の大きな力となっていることから、県といたしましても引き続き支援をしてまいりたいと考えております。 次に、あいちトリエンナーレ二〇一九の企画展と、表現の自由などの三点の均衡についての御質問にお答えいたします。 あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」の中止については主催者等関係者が総合的に判断した結果であり、私も報道でしか承知しておりませんので所感を述べることは控えさせていただきます。また表現の自由と政治・行政の表現内容への不介入、税金支出の公平性の三点の均衡についてでありますが、県の事業実施に当たっては法令に基づき表現の自由を最大限尊重することを基本とし、中立性、公平性、公共の福祉の観点なども加え総合的に判断すべきものであると考えております。 次に、安重根の観光案内板の設置についての御質問にお答えいたします。 御指摘のありました観光案内板につきましては、平成九年の仙台-ソウル線のデイリー運行の開始や平成十四年のサッカーワールドカップ日韓大会を控え、韓国人観光客の増加を見据えて浅野前知事時代の平成十二年に案内表示の一つとして設置したものでございます。栗原市内に全部で五枚設置されておりました。その狙いは今言ったとおりでありますが議員から質問の中でお話しのあったように、これは安重根を賞賛するためのものではなくて、千葉十七との友情を韓国の方にも理解をしていただきたいという思いで設置をされたものだというふうに捉えております。したがいまして私が知事になりましてからも、あえて撤去する必要はないということでこのままにしておりました。しかしながら岩手・宮城内陸地震が起こりました関係で栗駒山麓がジオパークに認定されました。栗駒山麓のジオパークをぜひ多くの方に訪れていただきたいと考えまして、ビジターセンターのオープンに合わせて外国人観光客の誘致促進を一層図るために案内板を設置したいと考え場所を選定しておりましたが、なかなか適地がございませんでしたので今回御指摘のありました五枚の看板を活用することにいたしました。ことし三月に多言語表記による栗駒山麓ジオパークの案内表示へかけかえをしましたので、現時点においては御指摘のあった看板はなくなっているということでございます。 ○議長(相沢光哉君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、ママ支援と特定不妊治療の助成についての御質問のうち、子育て世代包括支援センターについてのお尋ねにお答えいたします。 子育て世代包括支援センターは、妊産婦や乳幼児の状況を継続的に把握し必要な支援を切れ目なく提供することにより、健康の保持や増進のほか妊娠、出産、子育てに関する不安や負担の軽減を図るという重要な役割を果たすものであると認識しております。現在は県内十五市町に設置しておりますが、我が県においても県内市町村における設置が進むよう、今後とも研修会の開催や各保健所単位での情報交換の場の設定などにより市町村を支援してまいります。 次に、特定不妊治療事業の事業費等についての御質問にお答えいたします。 特定不妊治療については医療保険が適用されず高額な治療費がかかることから、県ではその経済的負担の軽減を図るため国の補助制度を活用し治療費の助成を行っているところです。今年度の一般会計当初予算のうち震災対応分を除く通常分の規模は八千四百七十一億円であり、特定不妊治療に係る助成費一億四千八百九十五万円の占める割合は〇・〇一八%となっております。 次に、特定不妊治療助成における所得制限の撤廃についての御質問にお答えいたします。 国においては平成二十八年度に制度改正を行い、助成の対象となる年齢や治療回数等に制限が加わるということになりました。我が県においては不妊に悩む夫婦の経済的負担の軽減を図るため、北海道東北地方知事会等を通じて制度の改善を要望してきたところですが、ことし六月には北海道・東北七県保健福祉主管部長会議から国に対して、助成額の増額や助成回数の拡充に加えて所得制限の緩和についても要望したところです。今後とも他都道府県と連携しながら、国に対して特定不妊治療への支援の拡充について要望してまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 経済商工観光部長鈴木秀人君。    〔経済商工観光部長 鈴木秀人君登壇〕 ◎経済商工観光部長(鈴木秀人君) 大綱一点目、復興の次の時代をどう描くかについての御質問のうち、高齢者を日本語教師として活用すべきとのお尋ねにお答えいたします。 今後も外国人労働者などの増加が見込まれる中、日本語教育も含めた生活環境の整備は大変重要であると認識しております。現在県内には法務省告示による日本語教育機関が仙台市に九機関設置されているほか、県国際化協会や県内十四市町の民間団体等において三十の日本語講座を実施しております。日本語を指導する上では正しい日本語や文法などの専門知識はもちろん、それらを学習者に対して体系的に教えることのできる教育技術が求められる一方で、日本文化や習慣の深い理解も大切であると考えます。こうしたことを踏まえ、御提案のありました高齢者など豊かな知識や経験を持つ人材を日本語の指導者として活用することについては、日本語教育環境を整備する方策の一つとして今後参考にしてまいります。 私からは以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 警察本部長松岡亮介君。    〔警察本部長 松岡亮介君登壇〕 ◎警察本部長(松岡亮介君) 大綱一点目、復興の次の時代をどう描くかについての御質問のうち、交通安全施設整備事業への重点的な予算配分についてのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のとおり信号機等の交通安全施設の整備は、交通指導取り締まり、交通安全教育、広報啓発活動等と相まって、交通事故の抑止、交通の安全と円滑化を図る上で極めて重要な事業であります。現在交通安全施設は真に緊急性・必要性の高い箇所への整備を進めているほか、被災地における復旧・復興事業にも予算を確保して必要な事業を行っております。更に今後は既存施設の維持管理、更新等の老朽化対策にも必要な予算を確保して適切に対応していくことがますます必要になってくると考えております。今後とも県警察では、継続して交通安全施設整備に必要な予算の確保に努め交通事故抑止対策を強力に推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(相沢光哉君) 十九番渡辺勝幸君。 ◆十九番(渡辺勝幸君) ありがとうございました。特定不妊治療についてでございますが、我が県では八千四百七十一億円のうち一億四千八百九十五万円、〇・〇一八%ということで若干低いのではないかなと感じております。改めてですね、国に要望しているというお話でございましたけれども、特定不妊治療の所得制限撤廃も含めて知事のお考えをちょっとお伺いできればと思うんですが。 ○議長(相沢光哉君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 先ほど申しましたとおり、特定不妊治療の制度は不妊に悩む方に対する負担軽減として効果のあるものと思っております。各都道府県でこの制度を行っているわけでありますけれども、国の補助制度として各都道府県が二分の一の助成を受けて行っている制度になっております。これに加えて各市町村でそれぞれの実情に応じて上乗せしているところがあるという制度でありまして、いわば共通的な部分として国の制度があるというところでありまして、まずはこの国の制度の拡充というところで県としても当然求めてまいりたいというふうに考えているところであります。 ○議長(相沢光哉君) 十九番渡辺勝幸君。 ◆十九番(渡辺勝幸君) 知事の何か見解はございませんか。 ○議長(相沢光哉君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 部長が答弁した以上のものはないんでございます。国と県が協力し、そして市町村がそれに移行する形がある、なしということでございますので、まずは国の制度の拡充を求めていくということが第一次的にあるべき姿ではないかなというふうに考えております。ただ、今、非常に子供が減っているということで、子供が欲しいのですが産めない、生まれないという人がたくさんおられますんで、そうした方たちにどう寄り添っていくのかというのは非常に大きなテーマだというふうに考えてございますので、しっかりと検討してまいりたいと思います。 ○議長(相沢光哉君) 十九番渡辺勝幸君。 ◆十九番(渡辺勝幸君) 以上で終わります。 ○議長(相沢光哉君) 暫時休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩-----------------------------------    午後一時一分再開 ○副議長(只野九十九君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二番角野達也君。    〔二番 角野達也君登壇〕 ◆二番(角野達也君) 七月の参議院選挙では、今上げるべきは消費税ではなく賃金だ。財源は庶民増税でなく、大もうけしている大企業や富裕層からと、わかりやすい主張をした石垣のりこさんが宮城選挙区で当選されました。私もこの主張には大賛成です。そんな中、安倍政権は十月からの消費税増税に突き進んでいます。軽減税率を含めどんな景気対策や社会保障拡充策をとったとしても、庶民増税には変わりなく、このやり方は間違っていることを指摘し、質問に入ります。 私は四年前の初当選以来、障害児・者施策の充実、教育環境の整備、高校生や若者、子育て支援策の拡充を求めてきました。きょうはこの間の知事並びに執行部とのやりとりも踏まえ、少し突っ込んで質問させていただきます。 まず、心身障害者医療費助成制度です。 この四年間で仙台市を初め償還払いから自動償還へ給付方式を変更した市町が増えたことや、精神障害者への対象拡大など改善が見られたことは画期的な前進でした。私のところにも障害者の方や関係者の方々から歓迎の声が寄せられています。しかし、もう一歩改善が必要なことがあると感じています。その点について幾つか質問します。 自動償還払いがふえているとはいえ、いまだに毎月病院ごと、薬局ごとに申請書を書かないと助成を受けられない償還払いのままの自治体が多数を占めています。知事も以前の答弁で、助成申請書はなくす方向で検討し、市町村とよく調整したいとおっしゃいました。その後仙台も自動償還に変わったわけですが、他の市町村については県としてどのような働きかけがされているのかお示しください。 昨年の一般質問で私が給付方式を現物給付に変更した場合に生じる国民健康保険国庫負担金減額調整、いわゆるペナルティーについて県が半分を負担するとした場合の市町村の意向を聞くように求めたのに対し、当時の保健福祉部長は、例えば二分の一にした場合はどうですかと聞いていきたいと答えてくれました。あれから一年三カ月、聞いてくれましたでしょうか。その結果もお示しください。 それにしてもこのペナルティーはひどい制度です。そもそも心身障害者医療費助成制度は、健常者に比べ医療を必要とすることの多い障害者の適正な受診機会の確保及び経済負担の軽減を図るものとして、本県でも一九七三年から行われてきました。適正な受診機会を保障するために、地方自治体が国にかわって財政負担をしている制度に対して、逆にペナルティーを科すなんていうのは、障害者の命と権利を軽視し地方自治に不当に干渉するけしからんものだと考えます。全国知事会も撤廃を求めていることは承知していますが、改めて知事のペナルティーに対する認識を伺います。 その上で現物給付に踏み出すことを求めます。仙台では昨年から自動償還払いになりました。仙台市の障害企画課に伺ったところ申請書を書かなくてもよくなり、受給者の負担が軽減されたこと、審査等に係る職員の事務処理量が軽減されたり、助成額の正確性が向上し、追給・返還の件数が減少するなど自動償還への変更が歓迎されています。しかし一方で支給が受診月の三カ月後になり、それまでの二カ月より一カ月要することになりました。レセプトの誤りがあった場合は更におくれることもあるそうです。最近お話を聞いた障害者の方からも、申請書の手間がなくなったのはうれしいけど、戻ってきたお金と領収証を照らし合わせるのが大変とおっしゃっていました。改めてもう一歩進めて現物給付に踏み出すことを求めますがいかがでしょうか。 次に、特別支援学校について質問します。太白区秋保地区に新設が決まり、現在設計作業に入っていると聞いています。開校が二〇二四年になるとのことですが、余りに時間がかかり過ぎるのではないかとの思いを禁じ得ません。もう一年短縮できないかと願うのですがいかがでしょうか。 いずれにせよ開校までは一定期間かかります。それまでの間、通学バスの増便を求めます。私は三年前に通学バスを調査し、通学時間が長いことを議会で取り上げました。その際知事も「障害を持った子供たちにとって長いと思う」と述べられました。ことしの五月末から六月初めにかけて再度調査をしたところ、山田・太白地域から光明支援学校七十五分、西多賀から小松島支援学校七十五分、八木山から小松島支援学校は百分でした。率直に言って改善が図られているとは言えません。なぜこうしたことが放置されているのか、その訳をお示しください。 通学時間は長くても一時間以内にすべきです。仙台市立鶴ケ谷支援学校は、百五人の児童生徒さんが七台のバスに乗って通学していますが、どのコースもおおむね最大一時間で運行されています。県立支援学校も一時間を目安にバスを増便するために、最大限の努力をすべきと思いますが、そういう決意はあるか伺います。 増便のためにはバスと運転手と添乗員の確保が必要となります。仙台市立特別支援学校では七台のバスに十六名の添乗員が配置されていますが、うちバス会社の社員が九名、仙台市非常勤嘱託職員が七名です。仙台市非常勤嘱託職員は往復のバスに乗車するとともに、昼間は支援学校の支援員として仕事をされているそうです。バス会社に協力を仰ぐことはもちろんですが、もしそれが厳しいというのであればバスをレンタルし、運転手さんは市営バスや宮城交通OBの方を県として採用し、添乗員も仙台市のような雇用の仕方もあると考えますが、いかがでしょうか。 本年五月、名取支援学校高等部の生徒さんが通学バスで登校中、たんを詰まらせて窒息し、亡くなるという悲しい事故がありました。心から御冥福をお祈りするとともに、県として二度とこうしたことが起こらないよう対策を講じることが求められています。仙台市では急な病変などの場合は学校へ通報するとともに、乗務員の判断で救急隊に連絡するとしています。県は今回の事案について問題点をどう分析し、どう改善を図っているのかお示しください。 東京では昨年度から医療的ケアが必要な子供の学ぶ機会を拡充するために、看護師も同乗する専用通学車両を運行しています。本県でも検討の時期に来ていると考えますがいかがでしょうか。 次に、学校へのエアコン設置について伺います。昨年度から今年度にかけて、県内の小中学校の普通教室へのエアコン設置が順次進められています。県立でも中学校と特別支援学校で設置が始まりよかったと思っています。問題は県立高校です。昨年十月の決算特別委員会で設置を求めましたが、当時の教育長の答弁は、設置費用と維持管理費が大変、ハード整備の課題が山積みなどを理由にエアコン設置は最優先ではないと、こういうことを「けんもほろろ」というのかと思うほど「けんもほろろ」の答弁でした。改めて現教育長に伺います。県立高校普通教室への設置についてどう考えておられますか、伺います。 全国的には高校にも設置が増えてきています。本県の県立高校では昨年九月時点で七十八校の普通教室千二百室中、設置は二十九室、二・四%で、全国では北海道、青森に次いで三番目の低さでした。しかも設置されている二十九室中二十四教室はPTAが独自に設置、維持している仙台二高のもので、県のお金は一銭も入っていません。情けない限りです。仙台市立の高校への設置も始まりました。設置業者の関係等で一気には難しいと思いますが、決断して順次進めることを求めます。お答えください。 次に、この間県民や我が県議団の再三の要望にもかかわらず、知事が冷たい態度をとり続けてきた二つの問題について伺います。 まず私学助成です。来年四月から就学支援金が拡充され、年収目安で五百九十万円未満の世帯の生徒は授業料が実質無料となります。県はこれまで国の就学支援金に上乗せする形で授業料の減免を行った高校に対して、私立高校授業料軽減補助を行ってきました。今年度当初予算で一億五千四百万円となっていますが、来年度からこのお金が丸々浮くことになります。実は二〇一〇年に国の就学支援金制度が始まったとき、前年の二〇〇九年度と比べて県独自の授業料軽減補助事業の補助額が二億六千万円減りました。一昨年三月の予算特別委員会で私がこのお金はどこに行ったのかと問うたところ、当時の総務部長は、制度改正により生じた財源については、県の予算編成全体の中で活用されているとお答えになりました。当時私はその答弁を聞いて唖然としてしまいましたが、要するに他のものに回したということです。今回そういうことがあってはなりません。公立高校は年収九百十万円の世帯までが無償なのですから、今回浮く約一億五千万円を公立と同じ年収九百十万円までの世帯の授業料補助に充てること、その際学校負担を廃止することを提案いたしますが、いかがでしょうか。 就学支援金は授業料のみなので、施設整備費はそのまま納めなければなりません。宮城県の私立高校は全国的に見て施設整備費の割合が高くなっています。特に一年時は入学金も合わせると授業料以外に約四十万円かかります。県はこの間私学への運営費補助の引き上げを拒んできました。運営費補助の県単独分は、高校生一人当たり二〇一五年百三十五円、二〇一六年ゼロ円、二〇一七年六百九十八円、二〇一八年三百四十九円、今年度三百四十九円です。四万円を超えている山形県と大違いです。運営費補助を引き上げ、施設整備費の引き下げを私学に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 もう一つは三十五人以下学級への態度です。今年度仙台市立中学校は全学年で三十五人以下学級になりました。一方、県が教職員配置に責任を持つ仙台市以外の学校は一部自治体を除いておくれをとっています。私は学級というものは子供たちが学校生活の中で最も長く過ごす場所であり、三十五人以下学級は学力だけでなく子供たちのあらゆる成長を支える上でも、教員が子供たちにじっくりと向き合う上でもベースとなるものだと考えています。教育長にはそういう認識はありますか、伺います。 今年度の児童生徒数と学級数をベースにして、三十五人以下学級にしたら実際何クラス増え教員が何人必要となり幾ら経費がふえるのか、義務教育課に試算をしてもらいました。仙台市分がなくなったこともあり、思った以上に少ないことに驚きました。まず小学校三、四年生に拡充すると学級数は五十一、教員は五十一人、経費は三億八千七百六十万円です。小学校全学年だと百十四学級、教員百十四人、八億六千六百万円になりますがその程度です。仙台と同じく中学校二、三年生に拡充すると、八十五学級、教員百二十四人、九億四千二百四十万円です。全学年で実施しても約十八億円であり、今年度一般会計の教育費の一%、震災分を除く今年度予算の〇・二%にすぎません。教育にお金をかけるのは当たり前ですが、それでも増加分はこの程度です。仙台市のように段階的にというやり方もあろうかと思います。決断を求めます。お答えください。 有害鳥獣対策、特にイノシシ対策について二点伺います。 この間常任委員会で県内での大きな被害の実態が報告され、本会議でも議論されてきました。県としても昨年度と今年度は予算を増額し対策が打たれていることと承知しています。イノシシ被害については白石や角田、丸森など仙南地域には及びませんが、仙台でも大きくなっています。六月に秋保地区で仲間数人と農園をやっている方から被害の報告と相談がありました。現地に行くと広範囲に畑が堀り返され、カボチャやサツマイモ、ジャガイモなどが荒らされていました。その方はワイヤーメッシュ柵や電気柵で防御もしているがそれでも入ってくる、最近は昼間も堂々と畑に入ってきた、とにかく駆除してほしいとおっしゃっていました。すぐに仙台市の担当者に対応してもらい、箱罠やくくり罠を設置し、七月にはその地域で三頭捕獲されました。仙台では鳥獣被害防止総合対策交付金など国の補助金や、県のみやぎ環境交付金を活用して対策が行われていますが被害が減らない状況です。捕獲数も震災前の二〇〇九年度は二十五頭だったものが二〇一〇年度は八十七頭、二〇一三年度は三百六十二頭に急増し、二〇一七年度は三百二十三頭でしたが、昨年度は七百十六頭に上っています。イノシシ対策はイノシシの生態上、永続的に効果がある抜本的な対策が困難ということで、粘り強く、一、周辺環境の整備、二、農地に寄せつけない防除対策、三、捕獲に取り組むしかないと伺っています。県も捕獲目標を引き上げて支援策を講じていますが、鳥獣被害対策実施隊の配置や防御柵や罠の設置には、市町村や地域住民の負担も増えます。県として今後どのような被害防止対策や支援策を考えているのか、財政出動も含めてお聞かせください。 こうした中で今仙台で問題になっているのが捕獲後の処理です。本県では放射能の影響でジビエとしての活用はできません。そこで捕獲した個体を埋設や焼却処分しているのですが、埋設もどこにでもできるわけではなく、焼却については泉区松森にある仙台市のペット斎場で行っています。処分までの間イノシシを休校中の赤石小学校の一室に冷凍庫を設置し一時保存しているそうです。蔵王町や白石市には国の二分の一補助で、川崎町では町単費で解体処理場がつくられ、村田町では今年度個体をおがくずに付着した細菌で分解する減量化処理施設が供用開始されました。大変な努力だと思います。そこで提案ですが個体処分に対して県の支援を行えないでしょうか、施設建設への補助、県としての広域的な施設の設置、処理作業への補助など地域環境保全基金などの活用も考えられます。いかがでしょうか。 二〇一八年度の普通会計決算の状況についてと健全化判断比率及び資産不足比率についてを見ましたが、大体この数年同じような傾向です。すなわち財政力指数は年々上昇、経常収支比率も九五%を超えているとはいえ、毎年実質収支は黒字で安定、県債も着実に返済して減少、一方で震災分や国の施策で義務づけられている基金を除く特定目的基金は増加し、財政調整関係基金も四百数十億円を安定的に確保しています。健全化判断比率や資金不足比率を見ても全く問題がありません。なのに県は決算時や予算編成時に硬直化とか厳しいを繰り返してきました。今回もまた繰り返すおつもりなのか、その評価を伺います。 私は現在の県財政はきょう提案したような施策に踏み出す力を十分に持っていると考えています。当たり前のことですが年度末に基金を積み増せば黒字は減少します。それでも実質的な実質収支は一昨年度四十四億円、決算年度は三十八億円であり特定目的基金に積んだ分を含めれば、十分可能だということを示しています。きちんと認めて提案した諸施策に活用すべきと考えますがいかがですか。 財政調整関係基金については、県は毎年の中期的な財政の見通しで四年後には必ず枯渇するとし、予算編成においても財政調整関係基金を一部崩さないと予算が組めないから大変だと言ってきました。しかしこれはおかしな話です。まず枯渇した試しはなく、それどころか決算時には確実に確保しています。震災年度が三百九十四億円、二〇一三年にピークの五百五十八億円になりましたが、その後はずっと四百億円台を維持して決算年度では四百二十九億円です。取り崩さないと予算が組めないと言いますが、確かに予算は歳入を厳しく、歳出は最大値で見ざるを得ないので、編成時に財政調整関係基金の一部を活用することもあるでしょう。しかしそれも見方を変えれば必要な予算を組める力を持っているということです。決算でどうせ財政調整関係基金に戻すのですから、毎年こんなに確保しておく必要はないと考えますがどうでしょうか。 県政だより五、六月号に今年度当初予算の概要が載りました。そこには二月定例会で知事が約束してくれたとおり、積立金の状況が掲載されていました。それを目にしたとき約束を守ってくれてうれしいと思いましたが、その二秒後愕然としてしまいました。積立金のグラフの上に中期的な財政見通しの表がどっしり乗っかり、今年度から二〇二二年度にかけて、財政調整関係基金がどんどん減っていく様が書かれているのです。しかもその横に財政の解説が載っているのですが、昨年までは見出しが今後の財政運営とか今後の財政戦略となっていたのに、今回は見出しが中期的な財政見通しに変えられていたのです。県民がこのページを見れば、中期的な財政見通しになるものが非常に重要で、今基金はあるが数年後になくなる。四年後はにっちもさっちもいかなくなるという印象を持ってしまいます。財政当局のしたたかさを感じますが、なぜこんな見出しに変更したのか説明を求めるとともに、次回は変えていただくことを求めて、壇上からの質問とします。ありがとうございました。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 角野達也議員の一般質問にお答えいたします。 大綱四点ございました。 まず大綱一点目、障害児・者支援策の更なる充実を求めるについての御質問のうち、心身障害者医療費助成制度における、国庫負担金減額調整への認識についてのお尋ねにお答えいたします。 心身障害者医療費助成制度は、障害のある方の健康の増進と経済的・精神的負担の軽減に大きく寄与しており、医療にかかわるセーフティネットとして必要不可欠なものであると認識しております。障害のある方が必要な医療を受けやすくする制度の趣旨からも、現物給付に伴う国民健康保険の国庫負担金減額調整については、廃止すべきと認識しており、全国知事会等の場で国に申し入れているところでございます。 次に大綱三点目、仙台におけるイノシシ対策の課題についての御質問のうち、今後の農作物被害防止対策や支援策についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県のイノシシによる昨年度の農作物被害は約八千万円と、平成二十九年度より約三千万円の減少となりました。これは国の予算を活用し捕獲頭数をふやしたことや、市町村が侵入防止柵の設置に努めた効果があらわれたものと認識しております。引き続き捕獲活動と侵入防止柵設置の強化に向け、鳥獣被害防止総合対策交付金や指定管理鳥獣捕獲等事業の予算確保に努めてまいります。更に効果的な被害防止のためには、集落が一丸となった体制づくりが重要であり、県では集落ぐるみの鳥獣被害対策モデル事業を実施して、集落ぐるみによる効果的な侵入防止柵の設置や管理を支援しております。県としては今後とも市町村や地元住民の方々と連携しながら、効率的かつ効果のある形で農作物被害の軽減を図ってまいります。 次に、大綱四点目、県財政についての御質問にお答えいたします。 初めに、県の決算への評価についてのお尋ねにお答えいたします。 先月普通会計決算の状況として発表しましたとおり、複数の財政指標において改善が見られる一方、県債残高は依然として一兆五千億円台と、標準財政規模の三倍を超える水準にあり、公債費も高止まりしたまま推移しております。加えて改善基調にある財政力指数や将来負担比率などについても、震災後の復興事業に伴う特別な税収増のほか、復興基金や地域整備推進基金など復興関係基金残高の増加も大きく影響しており、決して楽観できる状況にはないものと認識しております。更に今後は建物やインフラの老朽化対策など、これまで先送りしてまいりました課題にも本格的に取り組む必要があることから、県税の見通しも含めた歳入と歳出のバランス、国の制度改正、地方財政措置の動向などに十分留意しながら、持続可能な財政運営により一層努めてまいります。 次に、実質収支等の諸施策への活用についての御質問にお答えいたします。 復興関係基金への積み戻しを行った後においても、毎年度五十億円前後の実質的な実質収支の黒字が生じておりますが、例年、財政調整関係基金を百億円以上取り崩して当初予算を編成しているため、その残高を維持することにさえ不足しており、実質的な実質収支を財源に、新たな施策を実施できる状況にはないものと考えております。また、歳入の上振れや請差、経費の節減などで歳出の減少が見込まれる場合には、補正予算で県債の発行抑制や特定目的基金への積み立てなども行っておりますが、特定目的基金への積立額は公共施設等の老朽化対策など、今後の所要額に比べてまだまだ足りない状況となっております。更に経常収支比率が高止まりしていることからも、実質収支の規模や現在の特定目的基金への積立額をもって、県財政に余裕があるとは考えておりません。 次に、財政調整関係基金残高についての御質問にお答えいたします。 財政調整関係基金は、経済情勢により変動しやすい県税収入の下振れを補うほか、大規模災害など突発的な財政需要にも対応できるよう、危機管理としての役割も含め、標準財政規模の一〇%程度を目標に残高の確保に努めているものであります。地方財政計画において、国全体ではプラス基調が続く地方税収入については、我が県では復興需要の収束に伴って既に減少に転じており、当初予算で収支を高い精度で見通すことは以前にも増して難しく、やむを得ず財政調整関係基金からの多額の繰り入れによって収支均衡を図っているところであります。私としては財政調整関係基金残高を決算までには何とか回復したいとの気持ちを常に持っており、全庁を挙げた節減などの努力により、目標に近い水準を維持しているというのが実情であります。東日本大震災の発生直後は、国の支援を待たずにさまざまな初動対応を迫られましたが、財源的な裏づけとして大きな役割を果たした財政調整関係基金の適正な残高確保は、我が県として次世代にも伝えるべき危機管理上の重要な教訓の一つでもあると考えております。したがって数年間にわたり平時が続き、基金残高の水準に大きな変動がなかったとしても、財政調整関係基金を意図的に減らすことは考えておりません。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 総務部長江口哲郎君。    〔総務部長 江口哲郎君登壇〕 ◎総務部長(江口哲郎君) 大綱二点目、教育条件の拡充、教育環境の整備についての御質問のうち、国の就学支援金の拡充に伴い生じた財源についてのお尋ねにお答えいたします。 私立高校の就学支援金については、国から令和二年四月より拡充することが示されておりますが、現時点では拡充に伴う支給限度額や県の財政負担等が明らかになっておりません。県といたしましては拡充後の就学支援金制度の詳細が示された段階で、学校負担の取り扱いも含め、授業料軽減事業の見直し内容について早急に固めてまいりたいと考えております。 次に、運営費補助を引き上げ、施設整備費の引き下げを私立高校に求めるべきではないかとの御質問にお答えいたします。 私立学校の運営費補助金につきましては、平成十一年度の財政危機宣言に伴い、平成十二年度予算において大きく減額したところですが、その後は毎年度補助単価を引き上げているところであり、我が県の高校教育における私学の果たす役割を考慮し、引き続きできる限りの努力をしてまいります。施設整備費の額につきましては設置者である学校法人において設定されるものでありますことから、県が学校に対し引き下げを求めることは今のところ考えておりません。 次に、大綱四点目、県財政についての御質問のうち、財政状況の県政だよりへの掲載についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の財政状況については、例年県政だよりに掲載しておりますが、これまでよくわからない、文字数が多いなどの声が多数あったことから、今年度は視覚的に伝えることを重視し、グラフを大きく見やすいものに変更したほか、タイトルや説明もよりわかりやすい言葉で簡潔にするなどの工夫を試みたところです。一方、見やすさや簡潔さを重視する余り、説明不足の部分もなかったとは言えないことから、議員の御指摘などを踏まえながら取り上げる材料や表現の仕方などについて、更に改善を図ってまいる考えでございます。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱一点目、障害児・者支援策の更なる充実を求めるについての御質問のうち、自動償還払いを市町村へ働きかけることについてのお尋ねにお答えいたします。 県では平成三十年一月に市町村担当課長会議を開催し、自動償還払いを導入している自治体から、その事務処理方法や効率化の状況について情報提供いただき、広く意見交換を行うなど普及に向けて働きかけを行ったところです。 次に、県が国庫負担金減額分の二分の一を負担した場合の、市町村の意向調査についての御質問にお答えいたします。 心身障害者の医療費助成における助成方式の検討に当たっては、市町村の意向を踏まえることが重要であると考えております。県としては精神障害者を助成対象とする制度改正を行い、それによりことし十月から市町村における財政負担に変化があると考えられますので、その状況を踏まえ改めて市町村の意向を確認してまいります。 次に、現物給付の導入についての御質問にお答えいたします。 平成三十年一月の調査では、財政負担がふえる懸念から過半数の市町村が現行方式の維持を望んでおり、県内一律に現物給付に移行することは困難であると判断しております。県としては今後とも助成方式を含めた制度のあり方について、市町村の意向把握に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 農政部長佐藤夏人君。    〔農政部長 佐藤夏人君登壇〕 ◎農政部長(佐藤夏人君) 大綱三点目、仙台におけるイノシシ対策の課題についての御質問のうち、捕獲個体の処分施設や処理作業への支援についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県では捕獲した個体は現地埋設や焼却などにより処分されておりますが、捕獲頭数の増加に伴い、解体施設設置を要望する地域がふえてきております。県では施設設置に対して鳥獣被害防止総合対策交付金などにより助成しているほか、市町村の自己負担分に対しては特別交付税による地方財政措置がなされております。また解体処理作業に対しても、鳥獣被害防止総合対策交付金により支援を行っております。県といたしましては今後とも地域の実情に合った施設が、地元負担が少ない形で整備されるよう情報共有に努めながら支援してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、障害児・者支援策の更なる充実を求めるについての御質問のうち、秋保地区に新設する特別支援学校についてのお尋ねにお答えいたします。 仙台市太白区秋保地区に新設する特別支援学校については、プロポーザル方式により昨年度末に設計事業者を選定し、ことしの六月から基本設計に着手したところです。今後基本設計や実施設計、建築工事を最短で進めたとしても、令和六年四月の開校を一年短縮することは困難であると考えております。 次に、特別支援学校の通学バスについての御質問にお答えいたします。 今年度光明支援学校と小松島支援学校で運行している通学バスは、あわせて二十二コースとなっております。各県立特別支援学校においては、毎年通学バスへの乗車を希望する児童生徒の人数や居住地、個別の障害の状態、使用可能なバスの装備等を考慮してコースを設定し、教職員が試走した上で効率的かつ安全な運行ルートになるよう見直しを行ってきたところであり、小松島支援学校においては平成二十九年度から九コースから十コースへ増便しております。なお、御指摘のありました八木山コースについては、日によって年度当初の想定以上に時間がかかっていることが判明したため、七月から運行コースを変更し、約二十分の乗車時間短縮を図ったところであります。 次に、通学バスの運行時間の短縮についての御質問にお答えいたします。 県立特別支援学校の通学バスの運行コースについては、乗車時間がなるべく短くなるよう毎年見直しを行っており、今年度は平成二十八年度と比較して十コース増の九十四コース、一コース当たりの平均通学時間も六十一分と七分間短縮したところであります。また一時間以内となるコースが十九コースふえておりますが、一時間を超えたコースもまだありますことから、今後も通学バスの運行時間の短縮に努めてまいります。 次に、バス会社の協力が難しい場合の運転手や添乗員の確保等についての御質問にお答えいたします。 県立特別支援学校の通学バスの運行委託に当たっては、バス事業者が車両や運転手、添乗員を確保できるよう県内を十四の区域に分け、かつ三年間の長期継続契約により行っており、今後増便する場合であっても民間のバス事業者が受託することは可能と考えております。 次に、名取支援学校高等部の生徒が通学バスで登校中に亡くなった事案についての御質問にお答えいたします。 初めに、今回の事案においてお亡くなりになられた生徒に対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げます。また、かけがえのないお子様を亡くされた御遺族の皆様に衷心よりお悔やみを申し上げます。この事案を受けて県教育委員会としては、急変時の迅速な救急要請を直ちに徹底することが必要と考え、事案発生直後の五月二十日にバス乗務員の判断で救急車を要請することを全ての県立特別支援学校長に指示するとともに、児童生徒の安全安心を最優先とする視点で通学バス運行中の緊急時対応について改めて点検することなど、安全な通学の確保に万全を期すよう通知したところであります。また当日の対応も含め、事案が生じた背景や通学バス利用における児童生徒の安全安心を確保できる条件等を整理すべく、関係職員への聞き取りや医療的ケア運営会議での専門家へのヒアリング等の詳細調査を実施しており、現在その結果を取りまとめているところであります。今後調査結果を踏まえ、県立特別支援学校における、より安全安心な通学バスの運行確保するための統一的な基準や手順を設けるなどの改善を図ってまいります。 次に、看護師が同乗する専用通学車両の運行についての御質問にお答えいたします。 東京都では昨年度から、都立肢体不自由特別支援学校に看護師を同乗させた専用通学車両を配備し、児童生徒の状況に応じて看護師が血中酸素濃度の確認やたんの吸引等を行うことにしておりますが、看護師確保が相当困難な状況であると伺っております。また大阪府や滋賀県などでは、保護者が手配した介護タクシー等に看護師を同乗させて通学の支援を行うモデル事業が行われておりますが、年間を通した運行の確保が難しいなどの問題があると伺っております。 県教育委員会としては、医療的ケアが必要な児童生徒の安心安全な通学環境の充実について、看護師が同乗する専用通学車両の導入の可能性も含め、他の都道府県の取り組みも参考にしながら検討してまいります。 次に、大綱二点目、教育条件の拡充、教育環境の整備についての御質問のうち、県立高校普通教室へのエアコン設置について及び決断して順次進めるべきとのお尋ねにお答えいたします。 県立高校への空調設備設置については国の補助制度がなく、全ての普通教室に一律に整備するには多額の予算が必要となることから、困難であると考えております。 なお普通教室以外については学校の実態を踏まえながら、体調不良となった生徒等への対応が必要となる保健室、騒音等の理由から窓を開放することが困難な図書室や音楽室、設備の保護・保全が求められるコンピューター室や視聴覚室などへの設置を進めております。 次に、三十五人以下学級に対する認識及び実施の決断を求めるがどうかとの御質問にお答えいたします。 多様な子供たち一人一人の状況に応じた適切な指導や支援を行うことは、大切なことであると考えております。そのため必要なところに必要な人材を配置した上で、習熟度別少人数授業やチーム・ティーチングなど、きめ細かな学習指導体制の工夫に取り組んでいるところです。一方で義務教育における一律の学級編制のあり方については、国の責任において定められるべきものと認識しております。このことから県教育委員会としては引き続き、国に対して三十五人以下学級の対象学年の拡充等について要望してまいります。 以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) まず心身障害者医療費助成です。給付方式を自動償還にして大変よくなったという声も伺ってるんですが、これを普及するために頑張っていただきたいというふうに言ったんですが、余り明快なお答えがなかったんですがお願いします。 ○副議長(只野九十九君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 先ほど平成三十年、昨年一月の担当課長会議で自動償還払いについて、各市町村に働きかけたことを申しましたけれども、その後、昨年十月にまた担当課長会議を行っております。これは精神障害者に向けても対象にするということについての相談をしたということがメーンだったんですけれども、そのときにも若干の意見交換をさせていただいております。あとは随時個別に機会を捉えて各市町村に働きかけをしているという状況でございます。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 現物給付について先ほどまだ聞いていないと。昨年の部長は二分の一にした場合はどうですかということを必ず聞きますとこの場で約束してくれたんですよ。去年の六月に。あれからもう一年三カ月たってるんですが何でやってないんですか。 ○副議長(只野九十九君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 昨年のこの場でのやりとりは承知しているつもりであります。先ほど申しましたけど昨年一月に各市町村に聞いた際に、県としても一部負担をすることを前提でどうかというふうに聞いたわけでありますけれども、そのとき二分の一ということをはっきり言ってないじゃないかっていう趣旨での御質問をいただいて、そのことは二分の一ということを示した上での意向調査をやっていきたいということを答えているということを承知しております。いわゆるアンケートという形での調査というのはまだしていないんですけれども、先ほど申しましたように今年度から精神障害者も新たに対象にするというふうなことを進めております。大方の市町村が来る十月から対象になるということもありまして、精神障害者を対象にするということに際しても、各市町村として一定の財政負担が生じるわけでありますので、このことも昨年の会議で話題となったんですけれども、その辺の状況も踏まえながら我々としては各市町村に丁寧に意向を聞いてまいりたいと考えております。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) ぜひお願いします。それでペナルティーについてなんですけれども、ぜひ知事としていろいろ知事会でやっているのはわかるんですけど、いろんな場でこの制度はおかしいんだ、おかしいんだ、おかしいんだということを定例会見なども含めていろんな場で表明してほしいんですがいかがでしょうか。 ○副議長(只野九十九君) 保健福祉部長伊藤哲也君。 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 先ほど知事答弁でも申しましたように、障害のある方の健康の増進、それからその医療の提供という意味で非常に不可欠なものでありまして、また全国的に同様の問題を抱えているわけでありますので、引き続き強く国には申し入れしたいと考えております。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁したとおり非常に重要な問題だと考えておりまして、全国知事会等の場で国に申し入れをしているところでございますが、なお、努力してまいりたいと思います。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) ぜひ声を大にして言っていただきたいと思います。それで現物給付なんですけれども全国的には今三十一都道府県が実施し、政令指定都市を持つ県では宮城、埼玉、静岡を除く十二の道府県が現物給付にしています。県はこれまで現物給付にすれば県全体の影響額は受診機会の拡大に伴って約十一億円、ペナルティー分で約十六億円、合わせて二十七億円、県全体です、かなり難しいとしてきました。これは他県の例を参考に試算した結果です。そのまま当てはまるとは思っていませんが、これまで受診を我慢してきた障害者の方がやっぱりお医者さんにちゃんと見てもらおうと思うことは悪いことではありません。多少自治体負担がふえても障害者の皆さんに温かい自治体になればいいんじゃないでしょうか。私は宮城県をそういう県にしていきたいと思っていますが、改めてお答え願えますか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは県がやればいいということではなくてやはり市町村の御協力が必要であるということでございます。市町村のほうに伺ったところ過半数の市町村が現行の方式を望んでいるということでございますので、更によく意見交換をしてまいりたいというふうに思います。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 市町村の意見を聞いていただくことは大切だと思います。でも精神障害者だって昨年の一月の調査でやったときには、精神障害者を対象とすることに賛同しないというふうに答えたのが三十五分の三十二もあったんですよ。でもその後知事が決断をしてやはり精神障害者も対象にしなければならないのではないかということで頑張って市町村にもお話した結果、市町村も一緒にやりましょうということを全市町村が十月からやるわけですよ。そういうふうになると思うんです。そういう役割を県というのが果たすのが、すばらしい県政なんじゃないかなと思うんですがどうですか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) おっしゃっている趣旨はよくわかるんですが、これは非常に大きな財源がかかってくる問題でございますので、財政力の弱い市町村の御意見をまずよく聞いた上で進めていかなければならないというのも御理解いただきたいというふうに思います。先ほど言ってるように更にいろいろ意見を伺っていきたいと思います。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 引き続き求めていきたいと思います。 それでは特別支援学校の通学バスですけれども、先ほどこの間ふやしてきたというお話もありました。でも太白区の子供たちがあと五年間、今の現状を、待たなきゃいけないというのは余りにも私はひど過ぎると思うんです。光明だとか小松島に行ってる通学バスの運行表も見せてもらいましたけれども、それは実際じゃなくて運行計画表で、それで見ても七十五分とか八十分というのがずらっと並んでいるんですよ。だからやっぱり僕は六十分以内というのを目安に計画を立てていただきたいと思うんですが、その辺はいかがですか。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 特別支援学校の児童生徒の通学の時間をできるだけ短縮していきたいという思いを持っております。その年々において希望される児童生徒の状況ですとか居住地ですとかそういうところが変化してまいります。そういう中でまた人数も今ふえてきているという中でできるだけ短縮できるように、私どもも今お話のようにできるだけ短い方がいいということで、一時間のところに持っていけるようにというふうに努力はしてまいりたいと考えております。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) ほんとにいろいろ御苦労はもちろんされていると思うんですが諦めたら終わりだと思います。プロ野球もプロサッカーも政治も行政も同じで諦めたら終わりですから、最後まで頑張っていただきたいと思います。それを切り開くのが私は教育長の仕事だと思うんですね。だめだから諦めるじゃなくて絶対に何とか切り開いてやるという気概で取り組んでいただきたいので、その辺お願いをしておきたいと思います。 三十五人以下学級なんですが、東北で小二までと中一だけというのは宮城県内の仙台以外の学校だけです。どうも県教委はこの学級編制の問題について、学力テストがどうかとかいじめや不登校がどれだけ減ったかとか、何かこの問題は手段のように考えておられるという気がするんですが、違うと思うんですね。学級は子供たちや学校生活の土台であり、基盤、まずそこを安定させ、個性豊かな子供たち一人一人に向き合っていける環境が大事だと思うんです。以前にも紹介しましたけれども、山形では子供たちの教室での安定度、落ちつき度、集中度に大きな変化が出てきたそうです。まさに土台なんです。その辺ぜひ受けとめていただきたいと思うんですがどうでしょうか。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 学級につきまして、クラスでございますが、子供たちがクラスメートとのかかわりなどを通じながら、社会性、個性などを育む場でございますし、お話のとおり学校生活の基盤だというふうには承知しております。先ほどもお話しましたが、そうした学級を何人というのを単位としていくのかということにつきましては、義務教育として国においてしっかりと定めて、教員についてはその財源についても確保していくべきだというふうに考えているところでございます。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 国に国にとおっしゃいますけれども、そういう中にあって本当に東北では宮城県内の仙台市以外の子供たちだけが、四十人学級になっているという事実をしっかり受けとめていただきたいと思います。 県立高校のエアコン設置の問題ですが、今回も全くやる気を感じない答弁でした。ちょっと確認なんですが、教育長はそもそも普通教室もやっぱり必要だなというふうには思っていらっしゃるんですよね。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長伊東昭代君。 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 空調設備について全ての学校に設置されるということが理想的だというふうには思っておりますが、その整備費あるいは維持管理費ということを考えると、今その設置ということに踏み切るというのはなかなか困難だというふうに私としては認識しております。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 私は最優先の課題の一つだと思います。宮城県の設置状況は本当に異常だと受けとめるべきです。仙台二高を除く五教室は宮城県総合教育センターと同じ建物にある通信制の美田園高校です。それだけです。知事に伺いますが、これ異常だと思いませんか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) いや、そういうふうには思いません。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) ぜひ異常でありそして非情だと受けとめていただきたいと思います。ちょっと伺いますけれども、県が責任を負っている学校や教育施設、文化施設、社会施設でエアコンがない施設ってほかにありますでしょうか。総務部長に伺います。宮城大学の講義室のエアコンの設置状況はどうなってますか。 ○副議長(只野九十九君) 総務部長江口哲郎君。 ◎総務部長(江口哲郎君) 宮城大学におきましては講義室、演習室、実習室等の部屋にエアコンは設置してございます。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 入っていると。では警察本部長に伺います。県内の警察署はどうでしょうか、留置所も含めてお答えください。 ○副議長(只野九十九君) 警察本部長松岡亮介君。 ◎警察本部長(松岡亮介君) 全ての警察署にエアコンが設置されております。留置所にも全て設置されてございます。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 留置所にもちゃんとついています。調べたところ宮城刑務所と仙台その他の拘置所にはついてません、国の施設ですけど。県立高校はまさに留置所以下なんですよ。刑務所並み。この異常さをやっぱり自覚をすべきだと思います。そう思うんですが本当に異常だと思いませんか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 宮城の夏は確かに暑い日はございますけれども、夏休みを除きますとそんなに耐えられないような暑さはないし、そして角野議員も私も同じ世代ですけれども、自分が高校のとき考えてみたら何十年前であっても、それで勉強ができなかったわけではなくて、角野議員のように優秀な学生さんがおられるわけでございます。ですからそう考えますとその暑さで耐えられなくてっていうようなことではなく、逆に私はその暑さに耐えられるような体力を持ったそういう子供になってほしいと強く思います。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 国も暑いときは冷房かけてくださいって言ってるんですよ、本当に時代おくれの考えですよ。昨年の夏は特に六月から七月にかけて異常な暑さでした。我が会派のある県議に、ある高校の校長先生が次のようにこぼされたそうです。外の百葉箱は三十数度でも室内は四十度位になる。生徒も大変だが、先生もひどくて授業中、途中で何を話しているのかわからなくなったという先生もいたと、そうおっしゃっていましたとのことです。私もこの夏、ある猛暑の日に冷房のない部屋である事情で電話かけを行いました。もちろん扇風機を強にし、ぬれたタオルを首にまき、おでこに冷えピタをしましたが、それでも命がけでした。事は命・人権・労働権の問題です。そういう認識に立って決断すべきと考えますが、この期に及んでまだそこまで思い至りませんか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 高校時代というのは一番人生の中で体力のあるそういう時期でありまして、そういったときにそういう中で勉強するというのも重要だと思いますし、先ほど言ったように沖縄とか九州とか大阪も暑かったです。そういうところならばそれは十分考えられると思いますけど、夏休みを除いた期間で果たして本当にそんなにそこまでやるだけの優先順位が高いのかという、もちろんお金があればそれは幾らでも設置したらいいと思います。その中で一番優先順位の高い問題なのかということを考えたならば、ほかにやるべきことがあってそして厳しい財政の中ではそちらに優先度を振り向けるのはなかなか難しいという、そういう気持ちも御理解いただきたいというふうに思います。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 教育長がお金がないからできないんだとおっしゃいました。知事はそもそも要らないんだという立場なんですね。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) いえ、財源が幾らでもあればそれはやるにこしたことないというふうに思います。湿度が高ければ除湿をすればいいし、寒いときには暖房もエアコンでやればそれがいいと思います。ただそういうだけの今残念ながら余裕がなかなかないということはわかっていただきたいということでございます。
    ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 財政的理由って言われますが、どのぐらいあったらできるんですか、どうなったらできるんですか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 具体的に何億円、何十億円、何百億円あればいいということは申し上げられませんけれども、少なくとも財源に余裕が誰が見ても出るというような状況になれば大丈夫だということでありまして、具体的に幾らであればということを数字で申し上げるのはちょっと難しいということは御理解ください。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 今の知事のもとでは永遠につかないということですね。国がやらないから、国の補助がないから県もやらないというのは、県行政として極めて無責任な態度です。県立高校の責任を負っているのは県なんですよ。県が金を出せばいいんです、あるんですから。設置費用が五十六億円と言いますけれども、昨年も確認しましたが起債も打てるんですよ。だから一気に五十六億円現金がポンと必要だということじゃないんです。毎年黒字も出してるしいろんな整備基金もある、財政調整基金の一部を取り崩して頭金にすればいい、そういうこともできると思うんですよ。どうなんですか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 優先順位の問題で私はそれよりもほかにやるべきことがあるのではないかと考えているということであります。 ○副議長(只野九十九君) 二番角野達也君。 ◆二番(角野達也君) 本当に悲しい話です。今の県政にないのはお金ではなくて心ですよ。広域防災拠点にはポンと三百二十四億円、トヨタ関連企業や水素自動車にはお金をつぎ込むのにえらい違いです。水道民営化には心を弾ませるのに高校生には心を寄せない。ここに村井県政の本質があらわれていると思います。温室育ちという言葉は悪い意味で使われますが、高校生を温室同様な教室に置き続けるような県政であってはなりません。そのところ厳しく指摘して質問を終わります。 ○副議長(只野九十九君) 七番高橋宗也君。    〔七番 高橋宗也君登壇〕 ◆七番(高橋宗也君) 自由民主党・県民会議、高橋宗也でございます。どうかよろしくお願いいたします。 初めに、今回の台風十五号で被害に遭われた皆様、亡くなられた皆様、今も停電や断水で困難な状況にある皆様に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。 また、先月の九州北部大雨災害や、世界においては空前の大型ハリケーン「ドリアン」など、多発する災害で被災された全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げます。 私からは、被災者、被災地の願いであり、かつ県政最大の課題そして私としても生涯をかけたライフワークでもある東日本大震災からの復興と防災対策について、横断的に県当局の姿勢をお伺いいたします。 大綱の一点目、復興庁の後継組織に対する知事の考え方について伺います。 当初は二〇二〇年度末が設置の期限となっていた復興庁の存続について、政府は二〇二一年度以降も延長し、復興庁を当面存続させる方向でことし三月に閣議決定がなされました。本年復興の基本方針が改定され後継組織の設置も明記されました。今後はその組織のあり方が焦点となってまいります。復興大臣も引き続き任命されることとなり、被災地ではまずは安堵しそして感謝もいたしております。当面と申し上げたのは宮城・福島・岩手の被災三県を中心に、物理的にも復興事業が十年という限られた年限では完了しないことや、ほかのリスクも危惧されることなどから総合的に判断されたものと推察しております。一方で当面の後、国の防災・復興組織の存続、更に我が国の防災体制のあり方については、我々最大被災地宮城県としての考え方を継続的かつ強力に国に伝えていく必要があると考えます。既に宮城県議会としては六月議会において、災害への備えから復旧・復興までを担う仮称防災復興庁を創設し、常設化することを要望する意見書を全会一致で採択しています。私といたしましてはこれまでの質疑等で継続的に訴えてきたとおり、災害が起こった後の「後追い対策」であり続けてきた我が国の防災体制は根本的に見直す必要があると思いますが、知事はどうお考えでしょうか。 災害による被害を最小限にとどめるためには、減災と抑止、防災に力を注ぐべきです。国連が発行した世界防災白書においても災害リスク管理、予防の重要性を強く訴えています。事前防災の考え方にも近いものですが事前対応の重要性を指摘しております。災害が発生してから対応する、その組織体制を構築するのでは全く後手に回ってしまいます。私はこのような課題を我が宮城県を代表する知事として、かつあの困難な状況を経験した当事者として、政府に積極的に強く働きかけていただきたいと思っております。また私は以前にも議会でも指摘いたしましたが、現在の防災担当大臣と復興大臣の二面方式や消防庁長官指揮下の消防援助隊、国交省指揮下の緊急災害対策派遣隊など災害対応が我が国では一元化されておらず、課題が多いと考えています。 あの八年半前の震災時、それぞれの省庁では最大限の対応をしていただきましたが、我々各被災自治体では一分一秒を争う緊急事態の中で、縦割りに連なる各省庁への要請を百本ノックのように不眠不休で続けることになりました。更に今回の大震災において当時の現場の担当者として私が非常に残念であったことは、制度と組織の構築に約一年を要したことであります。東日本大震災復興基本法が制定されたのが二〇一一年の六月二十四日、復興庁設置法の制定が十二月十六日、実際に復興交付金制度がスタートしたのは二〇一二年の四月でありました。特別立法や組織の構築、予算の編成に時間を費やし本格的な復興事業がスタートするまでには、約一年間の時間が経過した事実を忘れてはなりません。当時ある意味で復興のど真ん中にいた担当者としてまた一被災者としても、法律を制定する時間、組織を設置する時間、それら手続に要した時間が残念で残念でなりませんでした。その間今後はどうなるのか、行政の対応は遅い、いつまで何をやっているのか、復興工事はいつになったら始まるのかなどなどたくさんの指摘をいただきました。被災した皆様の思いは十二分に理解していただけに余計につらく、やるせない思いを抱いたことを明確に記憶しております。我が国では首都直下地震そして東南海地震等の国難とも言われる巨大災害のリスクが年々高まっています。防災から復興まで一貫して責任を持って担う司令塔となる組織が必要不可欠であります。想定外の被害とよく言われますが、そもそも自然災害を完全に想定することはできないという現前たる事実をもう一度再認識すべきです。その上で自然の猛威に対応できるよう事前の準備はしっかりすべきです。災害対応には復興の経験とノウハウそして判断力が欠かせません。それらが蓄積されている復興庁の組織には人材も育ってきており、仮に将来復興庁を解体するような事態になったのでは世界的にも損失につながると思います。当面の復興庁の存続、そのあと防災対策と復興を一元的に担う組織の設置を国に継続的に求めていくことについて知事の見解を伺います。 続いて二点目、ことしの二月議会において、私は今回の質問とも関連して首都直下地震のリスク分散や東京への一極集中の問題そして東日本大震災のノウハウの集積などを総合的に勘案すると、我が宮城県に国の防災対応機関を誘致するよう継続的に要望あるいは調整していくことが必要ではないかと提言いたしました。またその場所については、計画中の宮城県広域防災拠点が平時の公園的利用だけではなく、総合的にも適地ではないかと申し上げました。現時点での明言できるレベルではないかもしれませんけれども、我が宮城県は国連防災会議において仙台防災枠組みを発表した地として世界的にも注目されています。我田引水的な誘致要望というより国益にもかなうものと思いますがいかがでしょうか。 首都機能の移転については既に文化庁は京都に移転しておりますし、その後消費者庁の一部機能を徳島県に移転する方針が発表されるなど、周辺環境は整ってきているように思います。更に宮城のメリットを申し上げますと過ごしやすい快適な気候が上げられます。温暖化の進展に伴い冬の寒さより夏の酷暑のダメージが全国的には深刻になっております。凍死する人はほとんどおりませんけれども、熱中症で死亡する方は我が国でも年間千七百人以上に達する猛暑の年もありました。災害リスク対応は気候も考慮していく必要があります。事実今回の台風十五号災害でも停電等による熱中症で死亡する方が多数に上っております。このたび一例として東洋経済社が毎年発行する全国都市ランキングの快適度の指標にも平均気温が加わり、我が東松島市は快適度の分野でなんと全国八百十五市町区中、全国一位を三年連続で獲得しております。そんな快適な宮城県であります。京都、徳島より東京に近く、また、震災復興や危機管理の情報も集積しております。復興庁は当面存続することになりましたので少々時間はございます。仮称防災復興庁または同様な趣旨に基づく国の設置機関の誘致が必要不可欠であり、またその設置場所としては宮城が最適地だと考えます。知事の見解をあわせて伺います。 復興防災関連の三点目、東日本大震災に係る総合的な検証について、その必要性そして重要性を継続的にも訴えてまいりました。今年度県では、東日本大震災からの復興取り組みに係る総括検証を新たに開始し、災害エスノグラフィーの手法に準拠したインタビューを行い、しっかり記録し復旧・復興過程における課題を伝承しようとしていることについてその第一歩として評価しております。また当初は県職員中心のインタビューということでしたが、被災者や基礎自治体そういった対象も加えていくということで担当課の説明も伺いました。今後の検証結果には期待しております。これからの災害エスノグラフィー、それらの総括検証の取り組みとその検証結果をどう活用していくか方針について伺います。 一方で被災地を訪れる来訪者は年々減っております。気仙沼の新たな伝承施設、石巻に建設中の津波復興祈念公園そして東松島市の復興メモリアルパークなど整備は進みつつありますが、それらを結んで実際に被災地を目で見て歩き現場を知ることができる仕組みが必要ではないかと思います。そうした中でユネスコ国際連合教育科学文化機関が認定するジオパークという世界認定の制度があります。ジオパークは地球・大地、ジオと、公園、パークを組み合わせた言葉で大地の公園を意味しています。県内でも既に栗駒山麓ジオパークが認定されており、雄大な自然景観に加えて、岩手・宮城内陸地震の被災地として、直下型地震による斜面変動ジオサイトを現地で直接見ることができ自然と災害の両方を実感できるエリアになっております。世界ジオパークはユネスコの審査を経て認定され、日本では現在九カ所、世界では欧州、中国を中心に百四十七カ所が認定されています。ユネスコが認定する点で世界自然遺産と世界ジオパークは同じです。加えて世界遺産は立ち入り規制や開発規制など制限も多いですが、ジオパークは教育や交流に活用することを主眼としております。直接地域の活性化にもつながります。日本の認定地の中には洞爺湖有珠山ジオパーク、雲仙島原半島ジオパークなど過去の災害をしっかりと後世に伝え、あわせて防災を考える自然教育施設が存在しております。雲仙普賢岳は火砕流などで四十三人がなくなり、有珠山噴火は人命を失うことなく約一万六千人を避難させたことで知られています。未曽有の被害を受けた東日本大震災の被災地は、同時に三陸復興国立公園や特別名勝松島など我が国でも有数の景観に恵まれています。要件となる地形とそして世界にも類を見ない津波遡上高など、ジオパーク認定には欠かせない特質を備えているものと思います。県内の津波被災地の中で条件に適合したエリアについては今後世界の防災教育をリードし、あわせて地域の活性化にも貢献するユネスコ世界ジオパークの認定を受けていくよう検討していくべきではないでしょうか、見解を伺います。 続いて大綱の二点目、宮城県総合計画及び地方創生戦略等の県計画と国連の世界目標SDGsとの連携について伺います。 振り返りますと二〇一七年の議会一般質問で、私からもそして会派を問わず各議員からSDGsの考え方を県政に取り入れるべきだという提言を行ってまいりました。今年度ついに知事が英断を持って、次期総合計画に持続可能な開発目標の考え方を導入する方針を示したことに注目しております。次期宮城県総合計画はちょうどSDGsの目標年次とぴったり同じ二〇三〇年をゴールとしております。幅広い課題に関する国際的視点が県政に生かされることと県民の皆様とともに期待しております。その上で今後どのような方針で総合計画の策定を仕上げていかれるか、知事の見解を伺います。 既に県内ではSDGsに関して先行している自治体もございます。東松島市が二〇一八年に最初の自治体としての内閣府認証をいただきましたが、気仙沼市では地球規模で広がっている海洋プラスチックごみの問題に対しSDGsを推進するため、五月に設置した気仙沼市海洋プラスチック対策推進会議において、先週九月四日海洋プラごみゼロを目指す宣言を行い、漁業者みずから具体的な環境対策に乗り出しました。地域における自主的、具体的な行動の第一歩となる取り組みだと思います。県当局におかれましても今後の策定に当たっては、県民の皆様の具体的行動の指針そして行動計画にもなるよう留意を願いたいと思っております。 内閣府は、日本は今後のSDGsの実施段階において、世界のロールモデルとなることを目指すとして、特に自治体の具体的、積極的な行動を奨励しております。海外では既に多様な取り組みが進んでおります。私は八月末に横浜市で開催されたTICAD7アフリカ開発会議のサイドイベントに、日本の被災地からの復興事例の話題提供者としてお招きをいただいた際、ウガンダやコートジボワール、ナイジェリアなど、紛争被災国の方々とお話をする機会をいただきました。各国ともSDGsに関する決意と期待には並々ならぬものがあり、特に気候変動や平等な教育、食糧問題等については地球規模で対応していかないと世界の未来はないという強い危機感を共有しておられました。 島国である日本は他国からの難民の大挙流入や山林火災の頻発、砂漠化の進展などという極端な環境変化に直面することがなくある意味で特殊な環境にあります。あるいはそのような独特の環境が世界で共有している危機意識が、日本では薄いあるいは認識されていないというこれもまた特殊な状況に陥らせたのかもしれません。 ほかにも世界標準化からの乖離としては、我が国の教育分野を例にしますと教育への公的支出の割合が低く、日本の教育機関への公的支出の割合はOECD経済協力開発機構の加盟国において、GDPのうち教育支出に対する公的割合が日本はたった二・九%で比較可能な三十四カ国中最下位でございます。教育の家計負担が大きいことが保護者の経済力により教育が左右されかねない状況にもつながっており、出生率が世界標準から離れ、日本の少子化の大きな要因の一つになっている指摘もございます。 学力、体力の低下が顕著な我が県においても、教育への長期的な投資を今回の長期計画で対応していくべきであります。ほかにも食品ロスや防災対策など自然環境やエネルギーなど世界レベルでの知見や数値指標は非常に参考になるものが多くあります。SDGsという世界共通の目標に取り組むことで、さまざまな国や国内の他自治体と我が地域を比較することができます。経済中心の考え方から経済、社会、環境が連携して進む政策を推進し、国内外を問わず協力関係を結んでいく、成功事例を積み上げていくそういった方向にかじを切る、そんな総合計画になることを期待しております。 SDGsは教養や知識ではなく文字どおり目標ゴールであります。そして実はSDGsは世界が破滅するかあるいは持続できるかを左右する、最重要の世界協定だとも言われております。 目標は行動がなければ達成することはできません。SDGs型の県総合計画はまだその策定の途についたばかりだと思いますが、知事がお考えの行動計画のイメージと十七のターゲットの中で特に注目している分野、あるいは広く世界や国内におけるリーディングプランとしてお考えの分野等について所見を伺います。 大綱の三点目、復興五輪とスポーツ振興について伺います。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会がいよいよ来年に迫ってまいりました。世界最大のスポーツの祭典が我が国、我が県で開催されるそして特に復興五輪として開催されることに深い意義を感じております。何といってもオリンピックでございます。我が国の選手を初め世界のトップアスリートの活躍は国民の関心を集め、スポーツに対する評価が高まっていくことが容易に推察されます。実際にロンドン五輪や北京五輪後のデータを見ますと、両国のスポーツ熱はオリンピックによって著しく高まり、競技に参加する市民そしてスポーツを志す青少年の割合が急速に高まったことが過去のデータからも報告されております。いよいよ来年に迫った復興五輪に懸ける知事の意気込みと来年に向けた準備状況について伺います。 一方我が県では特に東日本大震災後、県民の体力の低下やメタボ率の上昇そしてスポーツに参加する子供たちの割合が低下していることに大きな危機感を持っております。スポーツは体力を鍛えるだけでなく、精神面やメンタル面の向上についても大きな力を発揮するだけに対策は急務となっていると思います。平成二十二年我が県でスポーツ少年団に加入する団員の総数は二万五百二十五人を数えていました。しかし震災を挟んで四年後の平成二十六年には一万八千九十八人、更に四年後の平成三十年には一万七千五十七人と激減しています。総児童数の減少に伴う低下の部分はやむを得ないとも思いますが、スポーツ少年団の加入率で比較しても大幅なる減少を続けております。生活の多様化、家庭の教育力の低下など総合的な複合的な課題もあるわけですが、新たな夢のあるスポーツのサポート体制の構築が必要ではないでしょうか。幸い我が県にはプロスポーツチームが野球、サッカー、バスケットボールの三競技で存在しています。三つの競技はしかも全てがオリンピック競技であります。もちろん他のスポーツにもすばらしいチームがございますが、復興五輪を一つの契機として機会としてトップアスリートと基礎自治体そして県民との連携を深めていく方向に誘導されてはいかがでしょうか。いわゆるポストオリンピック。オリンピックが終わってしまうとスポーツへの熱量が一気に冷め切ってしまう、そういったことも避けなければなりません。他県の事例では例えば埼玉県では西部ライオンズと二〇一六年六月にプロ野球チームとしては初となる包括的連携協定を締結しております。スポーツ振興、青少年の健全育成、地域振興などを柱として相互の発展と地域活性化を目指し、埼玉県のスポーツ立県を名実ともに連携していく実現していくそういったものとしております。その結果埼玉県の六十三市町村のうち、二〇一九年七月現在、四十二の基礎自治体とフレンドリーシティ連携協定が締結されるに至り、選手の派遣指導や地域協力事業などがより活発に進んでいます。また北海道では日本ハムファイターズが北海道の百七十九市町村と連携し、各市町村にそれぞれ三名前後の選手を応援大使として派遣する制度を構築しています。北海道庁では大使制度の取りまとめや、ホームページ、ツイッターなどでのPR支援を行っております。野球だけではなくサッカーのJリーグの事例も数多くあり、豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与をJリーグ設置目的としているだけあって、全クラブが地域の行事に参加し社会への貢献を目指しております。バスケットBリーグでも東北復興絆カップの開催など熱心に地域貢献活動を展開されております。最近夜の日曜のテレビドラマではラグビーチームが地域貢献活動を積極的に展開していますが、それだけではなくて現実に実施しているチームが非常に多いのが最近のトップスポーツの状況であります。私も事前に調査活動を行いましたが既に企業としてはかなりのレベルで地域貢献をしている中で、各チームが一様におっしゃるのはもっと行政・自治体とは連携を深めていきたい、地域貢献は更に熱心に進めていきたいという温かく力強い言葉であります。もちろん宮城県においてもマイチーム協議会の設置などそれぞれ活動を行って観客動員数もふやすなどの実績も上げてはおりますが、今後の展開についてはもう一歩他県のように連携協定の締結あるいは市町村応援選手の選定または連携モデル市町村の選定などの具体的なアクションが必要ではないでしょうか。 復興五輪が本来の目的を達成し、スポーツが持続的・継続的に我が県の復興につながっていくように心から期待しております。 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 高橋宗也議員の一般質問にお答えいたします。 大綱三点ございました。 まず大綱一点目、東日本大震災からの復興と防災対策についての御質問にお答えをいたします。 初めに、我が国の防災体制の見直しと防災対応と復興を一元的に担う組織の設置についてのお尋ねにお答えいたします。 近年、地震や豪雨などの大規模災害が全国各地で頻発しており、いつどこで発生するかわからないこれらの大規模災害に対し、想定外という事態を繰り返さないためには御指摘のありました東日本大震災を初め、過去の災害や復興対策から得た教訓を最大限に生かしつつ、災害への備えから復旧・復興までを見据えた国の防災体制の見直しが必要と考えております。そのため県では仮称防災省の創設など災害への備えから復旧・復興までの一連の対策を担う体制整備などについて、全国知事会を通じ国に求めてまいりました。また与党が八月にまとめた東日本大震災復興加速化のための第八次提言においても、平時の防災から応急対策、復旧・復興までを一貫して担い、全てのノウハウが組織として集約・蓄積される防災体制の構築が求められております。今後政府における具体的な組織体制の検討状況も踏まえつつ、引き続き全国知事会を通じ国に対し働きかけてまいります。 次に、仮称防災復興庁の設置場所として我が県が最適だと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。 全国知事会においては、首都圏で大規模災害が発生した場合に迅速に応急対応や復旧などを行えるよう、国の防災機能を首都圏以外で代替するための施設や機能の必要性について、今後の防災・減災体制の課題として整理しているところであります。県としては国の動向も把握しつつ、防災・減災対策を総合的に担う体制のあるべき姿について、その設置場所も含め全国知事会での議論を注視してまいります。 次に大綱二点目、県計画とSDGsの連携についての御質問にお答えいたします。 初めに、次期総合計画の策定についてのお尋ねにお答えをいたします。 人口減少や少子高齢化、地球温暖化に伴う環境変化など我が県が直面しているさまざまな課題へ的確に対応し、将来にわたって持続可能な地域社会を形成していくためには、SDGsのさまざまな目標達成に向けた取り組みが極めて重要であると認識しております。県では、宮城の将来ビジョンと宮城県震災復興計画そして宮城県地方創生総合戦略という三つの計画を統合する形で次期総合計画を策定することとしており、この中に可能な限りSDGsの考え方を取り入れてまいりたいと考えております。SDGsが掲げる理念や経済・社会・環境の三つの側面から課題解決を試みるといった考え方などとの整合を図り、地域の実情にあわせた施策や目標指標の具体化に向け検討を進めてまいります。 次に、SDGsで特に注目している分野などについての御質問にお答えいたします。 県ではSDGsの考え方を取り入れた次期総合計画の検討を開始したところでありますが、行動計画については現行の将来ビジョンなどの取り組みの成果を検証した上で、次期総合計画の実施計画として検討を進めてまいります。また、SDGsの十七のゴールは全てが大切なものであると考えておりますが、ゴール十三「気候変動に具体的な対策を」はもちろんのこと、特にゴール三「すべての人に健康と福祉を」やゴール四「質の高い教育をみんなに」は注目すべき分野であると考えております。福祉や教育分野の施策についてはこれまでも積極的に取り組んできたところではありますが、持続可能な地域社会の実現のため、将来を担う子供の育成や医療・福祉サービスの充実などについて、更に力を入れて取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、復興五輪とスポーツの振興についての御質問のうち、復興五輪に懸ける意気込みと準備状況についてのお尋ねにお答えいたします。 復興五輪に位置づけられた東京二〇二〇大会は、被災地を勇気づけるとともに世界の方々に対し、これまでの復興支援への感謝を伝える絶好の機会であると認識しております。また、世界最大のスポーツイベントが県内で開催されることは、県内のスポーツ振興への寄与のみならず、将来を担う子供たちに大きな夢と希望を与えるものであり、県としても大会組織委員会とともに成功に向け、準備に取り組んでいるところであります。主な準備状況としては、国内外からの観客をおもてなしする都市ボランティアの研修を来月から開始し、また、観客の輸送等については、大会組織委員会とともに必要な調整を図っているところであります。更に聖火リレーについてもルートの最終調整やランナー選定などに着手し、おおむねスケジュールどおりに準備を進めております。県といたしましては今後も大会成功に向け、開催自治体としての役割を果たしていくとともに、大会開催による県民のスポーツ熱の高まりがレガシーとして地域に残るものとなるよう取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 震災復興・企画部長後藤康宏君。    〔震災復興・企画部長 後藤康宏君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(後藤康宏君) 大綱一点目、東日本大震災からの復興と防災対策についての御質問のうち、復興の総括検証についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、東日本大震災の復旧・復興業務に携わった職員の経験や教訓等を次世代に継承していくために、先月から復興十年目の総括検証に着手しております。検証テーマについては、災害対策本部の設置・運営や応急仮設住宅の整備など、全体で八十テーマを設定し、今年度から令和三年度にかけて復旧・復興業務に従事した県職員など、約千二百人を対象に災害エスノグラフィーに準拠したインタビューを行うこととしております。このインタビューの整理と有識者等の助言や意見に基づき、令和三年度末をめどに報告書や記録映像を取りまとめ、震災未経験の職員への研修や他の都道府県等への積極的な発信などを通して、将来の大規模災害発生時の羅針盤や判断材料として活用してまいりたいと考えております。 次に、ユネスコ世界ジオパークの認定についての御質問にお答えいたします。 ジオパークは学術研究や教育の場として、また観光資源として地域の活性化に資するものと認識しており、我が県では栗原市の栗駒山麓ジオパークと、青森・岩手・宮城三県の十六市町村による三陸ジオパークの二カ所が日本ジオパークとして認定されており、観光・教育に関するさまざまな取り組みが行われております。ユネスコ認定の世界ジオパークになるためには、日本ジオパークの認定を受けた上で、更にさまざまな条件をクリアしユネスコの承認を受ける必要があります。県といたしましては既にある三陸ジオパークとの関係や被災市町の意向を踏まえながら、防災教育にも資するジオパーク認定の可能性等について検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱三点目、復興五輪とスポーツの振興についての御質問のうち、プロスポーツチームと各市町村との連携についてのお尋ねにお答えいたします。 これまで県では三つのプロスポーツチームの官民一体の地域支援組織に参画し、チームによる県内の子供たちを対象としたスポーツ教室の開催や、ファン拡大事業による一層の地域定着化などの取り組みを支援してまいりました。このようなプロスポーツチームによる活動は青少年の健全育成や被災地に元気を与えるなど、地域振興に大きく貢献しているものと認識しております。このため復興五輪開催による県内スポーツ熱の高まりを継続する意味からも、プロスポーツチームとの交流事業などを今後も積極的に行うなど、チームと各市町村がさまざまな取り組みにおいて長期的に連携が図られるよう引き続き支援してまいります。 次に、プロスポーツチームと自治体との連携協定などの具体的な取り組みについての御質問にお答えいたします。 御指摘のありました他県の事例に見られるプロ野球チームと都道府県との包括的連携協定やチームから各市町村に選手を派遣する制度については、地域とプロスポーツとの結びつきをより強固にし、市町村とチーム双方にとって更なる地域連携の取り組みを継続して行える仕組みづくりにつながるものと認識しております。そのため県といたしましても支援組織の取り組みの中で、その実現の可能性について構成メンバー間で協議を行っていくほか、同様の制度づくりについてチームへの働きかけや市町村の意見の集約など具体的に検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱三点目、復興五輪とスポーツの振興についての御質問のうち、新たな夢のあるスポーツサポート体制の構築についてのお尋ねにお答えいたします。 スポーツは明るい社会の形成や心身の健全な発達に不可欠なものであり、スポーツ少年団などを通じて子供のうちから親しみ、興味・関心を持つことは非常に意義があるものと認識しております。県教育委員会ではこれまでスポーツ少年団が開催する研修会に講師を派遣し、青少年の健全育成の観点から指導者支援の取り組みを行ってきたほか、トップアスリートについては平成二十五年度からさまざまなスポーツを経験させた上で、優秀な人材を発掘・育成するみやぎジュニアトップアスリートアカデミー事業を実施しております。更には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を間近に控え、大会へ出場を目指す我が県ゆかりの有望なアスリートの競技活動を支援する強化策も行っております。少子化の中にあっても子供たちが夢を持って継続してスポーツに取り組んでいくことができるよう、学校部活動やスポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブなどの地域スポーツ活動へのサポートのあり方について、関係団体等の意見も伺いながら検討してまいります。 以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 七番高橋宗也君。 ◆七番(高橋宗也君) 御答弁ありがとうございました。 まず一点目の防災のほうから確認も含めて何点かお伺いしたいと思います。知事との考えも大分近いかなと認識はしたところはあるんですけれども、今回の十五号台風でも改めてきょうの時点でまだ千葉県庁では被害の全容すら把握していないという報道もあったわけであります。振り返りますと八年半前は現実に我々もその問題に直面しまして、特に基礎自治体は庁舎が壊滅したり、職員の方が大多数亡くなったりした自治体もございました。そういった中で国の対応がこのままでいいのかということに関しては、知事はどのようにお考えでしょうか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 現状ではこういった大きな災害、今回千葉の事例もそうですけれども対応はできないのではないかなというふうに思います。 ○副議長(只野九十九君) 七番高橋宗也君。 ◆七番(高橋宗也君) 私もそのとおりだと思います。日本人は忘れやすいとも言われておりますが、昨年も実は台風二十一号被害で京阪で二十二万世帯が停電した事例がありました。あのときも十六日以上停電したんです。八年半前はもう半年近く停電したところもありましたが、そういった改善対応が進んでないという認識を私は持っております。知事も御答弁されておりましたが、国難レベルの災害の発生が危惧されるわけでありますので、私として防災復興庁の設置の提案と宮城県への誘致提案をセットでしたのにはわけがあります。キーワードはリスクの分散が必要ではないかと思うんですね。ちなみに災害対策基本法に基づく政府のBCPでは、首都直下地震が発生した場合の例ですけれども、政府の緊急対策本部の設置場所は官邸内とされておりますが、そこが仮に被災により使用不能になった場合はどうなるか御存じでしょうか。何と中央合同庁舎、次はそれでもだめだったら防衛省、それでもだめだったら立川広域防災基地の順調なんですね。全く東京に近く東京都内であり大地震が発生した場合には、官邸と何ら変わらず被害が発生するのではないかと私は考えるんです。リスク分散は本当に広域的に図っていくのが世界的にも主流でありますし、物すごい被害が発生するというのは皆様御存じのとおりでありますので、ここはぜひ広域的なリスク分散を図るべきではないかと思っております。 ちなみにこれも例でございますけれども、既に平成二十六年度には関西経済連合会がこういったバックアップ機能を関西に誘致する表明をしております。ただ私としては昨今の温暖化や台風被害の頻発や人口の過剰集積あるいは東京への距離、また何と言っても我々東日本大震災の被災地としての知見と、我が東北三県では四十兆円に近い復興予算を投入した、日本である意味一番安全なエリアではないかと思うんですね。逆の話ですけれども。そういった観点から後手に回らず関西に負けずに、知事会を通じてという先ほど御答弁もありましたが、ここはぜひ最大被災地宮城県の知事として情報の発信からまずはしていかれる、検討を深められる、そういったアクションが必要ではないかと思うんですがいかがでしょうか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 重要な御指摘だと思います。ただかつては首都機能移転が同じような考え方から出てきましたし、東日本大震災以降も当初は復興庁を被災地に設置すべきだということで随分我々も要望いたしまして頑張りましたけれども、結果としては復興局を各県に置くということでおさまったわけです。その最大の理由は国会との距離それから各省庁との調整が地方に来るとなかなか取れないというようなことで、東京の国会の近く今の省庁の近くでないと復興庁を置けないということで押し切られたということでございます。そういう理由もございますので簡単にはいかない問題だろうなというふうに思います。関西がそうやって手を上げて我々も手を上げてということになってまいりますと当然調整も必要になってまいりますので、これは全国知事会等で一元的によく協議した上で、我々の地方がまとまって国に対してアクションを起こしていくということのほうが逆に通しやすくなるのではないかなと考えてあのような答弁をしたということでございます。ただ、議員の御指摘の点はよく理解してわかりますので、今後国の関係者とお話するときにはそういったようなことも織り込みながらお話をさせていただきたいというふうに思います。 ○副議長(只野九十九君) 七番高橋宗也君。 ◆七番(高橋宗也君) 積極的な前向きな答弁ありがとうございます。首都直下地震の発生が三十年以内に七〇%以上というふうな指摘もあるわけですので、本当に国難に備えたこういった提案が我々被災地の責務ではないかとも考えております。ぜひそういった情報発信あるいは研究、検討から深められていくように再度お願いしたいと思います。世界では特にG7諸国では国が危機管理庁や例えばアメリカですとFEMAなどを設置して国難は国がやるといったスキームが標準でありますので、ぜひその発信をお願いしたいと思います。 次の二点目でございますけれども、ジオパークについて部長からも御答弁いただきましてありがとうございます。確かにそのとおりなんです。二〇一二年、二〇一三年にかけていろいろユネスコレベルでの検討もした覚えがあります。結果日本の三陸ジオパークレベルに落ちついた経緯がありましたが、復興十年のターゲットを目指すあるいはジオパークには正式なガイドがおります。そういったガイドをしっかりジオパークとして標準レベルで備えていくと、更にジオガイドといいますけれども、進むかと思いますので更なる検討を期待しております。 次に三点目のオリンピックの件でございます。知事が御答弁したとおり確かに聖火リレーでやっとその気になってきた部分はあるかと思いますが、なかなか復興が表に出てきていないような感触も私としては持っております。それは宮城県の責任というよりは、どちらかというと国やオリンピック関係機関の部分が大きいかなとも思う中で、ただ手をこまねいているということもできませんのでかつ震災後の子供たちの課題もあります。市町村の中にはスポーツ振興に熱心な自治体もあります。野球が大好きな市長もいるようでありますが知事あるいは部長からも御答弁がありましたように、具体的な検討に入るというような指摘もありましたので、ぜひ具体的なアクションに入るようにモデル市町村などの選定からも進めていっていただきたいと思います。ここは要望にとどめさせていただきます。 最後三点目でございますけれども、午前の答弁の中で知事から田中新復興大臣にお会いして、いろいろ会談する中で被災地に寄り添う発言があったというふうなお話も伺いました。私の感想ですけれどもこのごろ特に復興の政務側の視察が、うまくいっている場所をよく見る、うまくいっている方にお会いする例が多いと思うんですね。実際、本当はもっと困っている方がいっぱいいて、道路もなかなか進んでいない、堤防も進んでいない場所が多いところがあると思うんですよ。そういったところを積極的に見ていただいて困っている方のために視察を手がけるべきだと思うんですけれども、そのあたりの見解について最後にお伺いしたいと思います。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは私自身にも言えることなんですがそのとおりだというふうに思います。御視察場所は我々が決めるんではなくて国のほうでそれぞれの省庁で大臣の希望に合わせて選ぶわけですが、どうしても見てくれのいいところを選びがちになってしまうと。満足して帰っていただくように気を使ってしまうということでございますので、そういうことないように我々からも助言をさせていただきたいというふうに思います。----------------------------------- △休会の決定 ○副議長(只野九十九君) お諮りいたします。 明日から九月十七日まで四日間本会議を休会とし、九月十八日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(只野九十九君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から九月十七日まで四日間本会議を休会とし、九月十八日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。 残余の質疑、質問は九月十八日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(只野九十九君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 九月十八日の議事日程は、追って配布いたします。 本日はこれをもって散会いたします。    午後二時五十分散会...