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  1. 宮城県議会 2018-06-01
    06月28日-05号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    平成30年  6月 定例会(第364回)          第三百六十四回宮城県議会(定例会)会議録                              (第五号)平成三十年六月二十八日(木曜日)  午前十時開議  午後三時三分散会      議長                     中島源陽君      副議長                    只野九十九君出席議員(五十八名)        第一番                  大内真理君        第二番                  角野達也君        第三番                  内藤隆司君        第四番                  高橋 啓君        第五番                  遠藤伸幸君        第六番                  村上久仁君        第七番                  高橋宗也君        第八番                  庄田圭佑君        第九番                  深谷晃祐君        第十番                  中嶋 廉君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  天下みゆき君       第十三番                  三浦一敏君       第十四番                  佐々木功悦君       第十五番                  境 恒春君       第十六番                  太田稔郎君       第十七番                  横山のぼる君       第十八番                  遠藤隼人君       第十九番                  渡辺勝幸君       第二十番                  横山隆光君      第二十一番                  佐々木賢司君      第二十三番                  熊谷義彦君      第二十四番                  渡辺忠悦君      第二十五番                  遠藤いく子君      第二十六番                  すどう 哲君      第二十七番                  吉川寛康君      第二十八番                  伊藤和博君      第二十九番                  守屋守武君       第三十番                  長谷川 敦君      第三十一番                  佐々木幸士君      第三十二番                  村上智行君      第三十三番                  細川雄一君      第三十四番                  高橋伸二君      第三十五番                  菊地恵一君      第三十六番                  只野九十九君      第三十七番                  佐々木喜藏君      第三十八番                  石川光次郎君      第三十九番                  佐藤光樹君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  菅間 進君      第四十二番                  坂下 賢君      第四十三番                  ゆさみゆき君      第四十四番                  藤原のりすけ君      第四十五番                  坂下やすこ君      第四十六番                  庄子賢一君      第四十七番                  中島源陽君      第四十八番                  本木忠一君      第四十九番                  中山耕一君       第五十番                  長谷川洋一君      第五十一番                  安部 孝君      第五十二番                  齋藤正美君      第五十三番                  安藤俊威君      第五十四番                  畠山和純君      第五十五番                  仁田和廣君      第五十六番                  藤倉知格君      第五十七番                  相沢光哉君      第五十八番                  中沢幸男君      第五十九番                  渡辺和喜君(欠員)一名      第二十二番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    河端章好君      副知事                    佐野好昭君      公営企業管理者                遠藤信哉君      総務部長                   伊東昭代君      震災復興・企画部長              江口哲郎君      環境生活部長                 後藤康宏君      保健福祉部長                 渡辺達美君      経済商工観光部長               吉田祐幸君      農林水産部長                 武藤伸子君      土木部長                   櫻井雅之君      会計管理者兼出納局長             増子友一君      総務部参事兼秘書課長             武内浩行君    教育委員会      教育長                    高橋 仁君      教育次長                   高橋剛彦君    選挙管理委員会      委員長                    伊東則夫君      事務局長                   伊藤正弘君    人事委員会      委員長                    小川竹男君      事務局長                   青木直之君    公安委員会      委員                     庭野賀津子君      警察本部長                  高須一弘君      総務部長                   渡邊政明君    労働委員会      事務局長                   正木 毅君    監査委員      委員                     成田由加里君      事務局長                   吉田 計君-----------------------------------    議会事務局      局長                     峯浦康宏君      次長兼総務課長                伊藤吉隆君      議事課長                   佐々木康栄君      政務調査課長                 佐々木信一君      総務課副参事兼課長補佐            山内好尋君      議事課副参事兼課長補佐            千葉良信君      政務調査課副参事兼課長補佐          相澤亮子君      議事課長補佐(班長)             二上秀幸君      議事課主任主査                渡辺祐司君-----------------------------------    議事日程 第五号               平成三十年六月二十八日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百五十一号議案ないし議第百六十五号議案、議第百七十二号議案、議第百七十七号議案、議第百八十三号議案ないし議第百八十六号議案及び報告第百二十二号ないし報告第百五十二号第三 一般質問  〔境恒春君、安部孝君、村上智行君、遠藤いく子君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百五十一号議案ないし議第百六十五号議案、議第百七十二号議案、議第百七十七号議案、議第百八十三号議案ないし議第百八十六号議案及び報告第百二十二号ないし報告第百五十二号三 日程第三 一般質問      〔境恒春君、安部孝君、村上智行君、遠藤いく子君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(中島源陽君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。----------------------------------- △会議録署名議員の指名 ○議長(中島源陽君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二番角野達也君、三番内藤隆司君を指名いたします。----------------------------------- △諸報告 ○議長(中島源陽君) 御報告いたします。 総務部財政課長清水裕之君が、本日欠席する旨の届け出がありました。公安委員会委員長山口哲男君から本日欠席、公安委員会委員庭野賀津子君が代理出席する旨の届け出がありました。----------------------------------- △議第百五十一号議案ないし議第百六十五号議案 △議第百七十二号議案、議第百七十七号議案 △議第百八十三号議案ないし議第百八十六号議案 △報告第百二十二号ないし報告第百五十二号・一般質問 ○議長(中島源陽君) 日程第二、議第百五十一号議案ないし議第百六十五号議案、議第百七十二号議案、議第百七十七号議案、議第百八十三号議案ないし議第百八十六号議案及び報告第百二十二号ないし報告第百五十二号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。十五番境恒春君。    〔十五番 境 恒春君登壇〕 ◆十五番(境恒春君) 皆様おはようございます。みやぎ県民の声の境恒春でございます。質問に先立ちまして、このたびの大阪北部地震にてお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧を御祈念いたします。 議長からお許しをいただきましたので、通告に従い、大綱三点について質問させていただきます。 大綱一点、放射光施設の誘致及びEV、水素戦略についてお伺いいたします。 ことし二月、村井知事のフランス視察に同行し、次世代型放射光施設ソレイユ、EVやFCV、水素ステーション等の普及についての現地調査を行いました。本視察において県議会からは、自由民主党・県民会議の菊地恵一議員と佐藤光樹議員、また一般財団法人光科学イノベーションセンター理事長で東北大学の高田教授にも御同行いただきました。関係皆様方に大変お世話になり有意義な視察をさせていただいたことにこの場をお借りして心より感謝を申し上げます。物質構造を原子レベルで解明する次世代型放射光施設ソレイユは、パリから南に約二十キロ離れたパリ・サクレー科学技術クラスター内に所在し、フランスの二大大手国営研究機関であるフランス国立科学研究センターとフランス原子力・代替エネルギー庁によって二〇〇六年に設立。施設の運営はシンクロトン・ソレイユという民間企業が行っております。放射光施設は世界に約五十施設ありますが日本などアジアに集中し、ヨーロッパには十五施設。ソレイユはフランス、ヨーロッパの産業競争力強化を目的とし、大企業だけではなく中小企業も利用しており、産業界から施設へのアクセス方法はソレイユの産業担当者を通して化学部長へつなぎ、利用企業にアドバイスをするというのが一般的であり、ソレイユのユーザー企業等によって、産業利用戦略的推進委員会が設置されていて、製薬会社、プラスチック素材、石油、航空、自動車関係の企業メンバーで構成されています。最近の十年間で産業利用率が年々上昇しており、実験の三分の二が産業利用とのことです。学術的には結晶学の利用が最も多く、それ以外では赤外線映像、ナノ材料開発また分野別の利用割合は、製薬、バイオ、コスメが多く、ユーザーの三分の二がフランス企業であり、そのほかは主にヨーロッパのユーザーとなっているそうです。仙台市の青葉山地区に放射光施設の建設が決まれば国内外から多くの研究者が集まり、企業や研究施設の集積が進み、科学技術の発展や我が県の産業振興、雇用の創出につながることは間違いありません。ソレイユ視察の成果をお伺いいたしますとともに、光科学イノベーションセンターがパートナーに選ばれて設置が決定した場合、放射光施設の設置により期待される効果を県全域にどのように波及をさせていくのか、気仙沼市や南三陸町の中小企業の発展や産業の振興にもつなげることができるのか、知事にお伺いいたします。 加えて施設整備費の予算化に向けて、今後国などへの働きかけをどのように図っていくのか、整備費用についての知事の御所見をお伺いいたします。 次に、EVいわゆる電気自動車と水素戦略についてお伺いいたします。 ヨーロッパ、フランスのEV市場等の状況について、ジェトロパリ事務所、チャデモ協議会ヨーロッパ事務局、住友商事からお話を伺いました。「ヨーロッパでは交通機関をゼロエミッションに。EVであれば災害時にオフグリッドでも電力を供給することができ、再生可能エネルギーの調整をEVでするようになると再生可能エネルギーの普及にもつながっていく。車のあり方が変化しており、若者の考えは車は所有するものではなくシェアするものに変わってきている。またIoTの進化に伴って、今後車が売れない可能性が出てくる。EVは暖房でのバッテリー負担が大きく長距離走行には向かないが、町中での短時間での走行には問題がないので、日本で普及させるためには公共交通機関との組み合わせが必要となってくる」との説明を受けました。我が県に置きかえて考えた場合、仙台市での導入の可能性は考えられますが、都市内の交通機関を補完する形でなければフリーフローティング型やステーション型は難しいですし、交通の不便な場所には交通手段の整理が必要です。現地でのEV普及に関する意見交換に対しての所感、また今後我が県におけるEV普及の展望について知事にお伺いいたします。 EVとFCV、プラグインハイブリッドの普及率はまだ低い状況でしたが、エネルギーセキュリティー、EU産業競争力、低炭素社会実現に向けヨーロッパ諸国は政治主導でEVシフトを強めておりました。フランスは二〇四〇年のガソリン、ディーゼル車の廃止、パリ市は二〇三五年の廃止を表明しており、環境問題への対策の観点からもディーゼル車をやめ、EVに加速的に舵を切っていることを強く感じましたが、低炭素社会推進のため、みやぎ環境税を徴収している我が県としても、フランス・パリの事例を参考にしながら環境問題対策にも取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 今回の視察では、水素燃料電池を手がけているシンバイオ社で、フランスの燃料電池車や水素ステーションに関する説明を受け、そのあとにはパリ市内にある水素燃料ステーションの現地調査もいたしました。知事は、平成二十八年三月にはFCVを東北で初めて三台導入し、平成二十九年三月には商用水素ステーションを設置するなど、水素エネルギー産業が将来的に大きく伸びることを予想し、水素の普及と促進に取り組んでこられましたが、視察の意義と成果、今後我が県における水素エネルギー戦略と将来ビジョンを知事にお伺いいたします。 大綱二点、気仙沼市と南三陸町が抱える復興の諸課題等についてお伺いいたします。(一)内湾地区防潮堤施工ミスについて。 守屋議員、角野議員の質問と重複する部分があるかもしれませんが、御容赦いただければと思います。 二〇一二年六月、気仙沼市内湾地区の景観を守り町の将来像を話し合うことを目的に、内湾地区復興まちづくり協議会が設立されました。その中で防潮堤の高さについて百回を超える議論を重ね、二〇一四年二月に県との合意に至りました。その後二〇一七年二月、国土地理院の水準点改定に伴う再測量で現地の自然隆起を観測。それに伴い県は隆起分二十二センチを差し引く計画変更を行い、本年九月の完成を見込み進めてこられました。しかし先般、魚町地区の完成済み防潮堤百六十メートル区間で隆起分を考慮していない施工ミスが発覚したところであります。本年四月、県から防潮堤のつくり直し、背後地のかさ上げ、現状のまま設置の三案が示されましたが、いまだ住民合意には至っておりません。今月六日には、気仙沼市長、まちづくり協議会会長、気仙沼市議会議長の三者から魚町地区防潮堤施工に関する要望書の手交がありましたが、要望書の内容について知事の所感をお伺いいたします。 次に、今回の施工ミスに至った原因と経過を具体にお示しいただくとともに、施工業者や設計業者との責任割合や過失割合についての調査結果について、知事にお伺いいたします。 この三者からの要望書において、住民合意が大前提であり将来に負の禍根を残すことなく早期に魚町に戻り、これまでどおり海の見える生活がしたいと住民の皆さんは強く望んでおります。知事は内湾地区復興まちづくり協議会が今月三十日に気仙沼市内で開く会合で、県が新たにまとめる対応案を提示するそうですが、地盤隆起分を考慮した従来計画どおりに防潮堤の施工を望む住民の気持ちに寄り添い、県民の理解も得られる方策について、また、仮に知事が現状のままとした場合の地域振興策とはどのようなことが具体に考えられるのか、知事にお伺いいたします。 私といたしましては住民の皆さんの理解を得られるよう、また住民の皆さんと県の対立によって溝が深くなり、将来に禍根を残すことがないよう平和的な解決を望んでおります。そのためには県から歩み寄る姿勢がまずは大切ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。(二)熊の異常出没への対策についてお伺いいたします。 気仙沼市や南三陸町で熊の目撃情報が相次いでおります。本年六月二十五日現在の気仙沼市内の目撃情報は約十件、南三陸町では七件と例年と比較し異例の多さとなっております。気仙沼市内では五月に気仙沼市立新城小学校付近で目撃情報があり、学校に通う子供の保護者からは不安の声が寄せられ、先月二十三日には、これまで生息が確認されてこなかった気仙沼の離島、大島の東側でツキノワグマと見られる熊一頭を目撃。翌二十四日には大島から本土の唐桑側へ向かって海を泳ぐ熊が目撃され、今月十六日にも一頭の目撃情報があり、県と市が情報をもとに付近を調査したところ、成獣と見られる熊の足跡とふんが確認されました。また今月二十三、二十四日の両日にも大島浦の浜港付近や亀山地内の海岸で熊二頭を目撃。島民の方々からは、「せっかく大島に橋がかかっても、熊を怖がって人が来なくなる」「怖くて外も歩けない」との不安の声が多数寄せられております。大島地区で熊の痕跡が確認されたことを受け、気仙沼地方振興事務所は六月四日、住民を初め大島小学校、大島中学校の児童や生徒を対象に、熊を居住地に寄せないための緊急の安全講習会を開催し注意を呼びかけるとともに、気仙沼市は島内に設置をしている捕獲用のわなをふやすことを決め、気仙沼署はパトカー一台と職員二名を大島に派遣し、現場周辺でのパトロールや地域住民への注意喚起を行っております。 一方、南三陸町では、災害公営住宅や集団移転団地、町役場や南三陸病院など住民の方々が大勢集まる地域において、ことし五月の一カ月だけで五件の目撃情報が寄せられております。三陸道南三陸海岸インターチェンジ付近の本線のり面での目撃情報では、体長一・五メートルほどの熊をドライバーが発見しましたが、現場の近くには志津川小学校や志津川中学校があります。熊は冬眠から目覚める春から秋に活動を開始し、行動時間は朝や夕方が多いそうです。県によると、南三陸町での目撃件数が多発している要因として、復興事業などで山間部の開発が進んでいることなどが推測されるとのことですが、住宅地に近い場所での目撃は住民に危害が及ぶ可能性は非常に高いと言わざるを得ません。 ことし四月には色麻町の山中において、山菜とりを行っている男性がツキノワグマに襲われる人身被害が発生しました。ことしに入ってからのツキノワグマによる人身被害は三月の加美町に続いて二件目となります。先ほど申し上げたとおり熊の行動はこれから活発化していくことが考えられ、人身被害の防止を最優先に対応する必要があるかと思いますが、県としての被害防止対策をお伺いいたします。 (三)気仙沼・唐桑最短道の整備についてお伺いいたします。 気仙沼市唐桑地区は沿岸漁業や養殖が盛んな地域であり、三陸特有の風光明媚な海岸線を有し、三陸復興国立公園を代表する観光名所となっております。しかし、東日本大震災による気仙沼市の中心部と唐桑地区を結ぶ重要な交通網である主要地方道気仙沼唐桑線と一般県道馬場只越線の県道二路線も至るところで寸断され、長期間にわたって孤立状態となりました。また、平成二十六年三月に発令された大雪警報の際には、雪の重みによる倒木が至るところで道路を遮断し、国道四十五号の東八幡前地区及び主要地方道気仙沼唐桑線の舞根峠において夕方から通行どめとなり、解除される翌朝まで気仙沼市中心部と唐桑地区間の交通網が寸断され、帰宅困難者が大勢発生するといった事態になっております。交通上の支障の発生の危惧から、かねてより唐桑地区と鹿折地区を結ぶ最短道の構想が生まれ、平成十六年三月には唐桑町馬場から浦・竹の町入までの一・五キロが供用され、平成二十八年三月には舞根地区の二つの防災集団移転団地をつなぐ、一・七八キロが復興予算を活用し東舞根復興道路として開通したところであります。しかし、それに続く舞根から浪板間の現道四・五キロ区間は事業化されておらず、急カーブや狭隘箇所が多く、車両のすれ違いにすら支障を来しており、早期の整備が望まれております。同路線の整備は災害時の緊急輸送路の確保や救急搬送時間の短縮、通勤通学など日常生活での利便性の向上のほか、地域の振興発展に大きな効果をもたらします。また未整備区間の終点側である舞根地区には、防災集団移転団地が整備されており、同地区内の西舞根川河口域では全国的にも稀有な取り組みとして塩性湿地の再生が行われ、環境省による重要湿地への登録も見込まれており、環境学習の拠点として交流人口の増大に寄与するものとして期待も高まっております。知事は以前より唐桑最短道に関し、「まずは三陸道の延伸がなされて、車の流れを見てからということになる」とおっしゃっておりますが、これまで述べたとおり、数ある道路整備事業の中でも優先すべき道路であることは間違いありません。知事の御所見をお伺いいたします。 今月一日、本木忠一委員長を初めとする県議会建設企業委員会の皆様に気仙沼市を訪問いただき、未整備区間を車中から視察し、道幅の狭さや連続する急カーブ、勾配がきつい現状を確認いただきました。視察後には、気仙沼市の菅原市長や市議会大島架橋・唐桑最短道建設促進特別委員会、地元関係者を交えて懇談をいたしました。懇談の際に委員会のメンバーである中島源陽議長は、「現地を視察し、整備が求められて当然のレベルだと改めて認識した。委員会として皆さんの声を取りまとめ、議会としても早急な整備に向けて後押しをしたい」と述べております。最短道の早急な整備は委員の方々の共通認識となり、三陸沿岸道路開通後も所要時間や気仙沼市街並びに仙台方面からのアクセス性において優位性は変わらず、県土の均衡ある発展に寄与するものと確信をいたしております。気仙沼・唐桑最短道の早期の事業化を求めますが、知事の御所見をお伺いいたします。(四)高齢運転者による交通死亡事故対策についてお伺いいたします。 ことし五月、気仙沼市前木地内の国道二百八十四号において、ともに七十歳代男性の運転する普通乗用車と軽乗用車が正面衝突し、軽乗用車に同乗していた七十歳代女性が死亡する交通事故が発生しました。前木地内では三月にも七十代の女性が死亡する交通事故が発生しており、管内のことしの交通事故死亡者数は六月現在三人で昨年の二人を上回っている状況です。本地内では二〇一三年にも六十代の女性による交通死亡事故が発生するなど、地元では有名な事故多発地帯となっております。本地内における交通死亡事故対策について、知事及び警察本部長の御所見をお伺いいたします。 平成二十九年中の宮城県の交通事故情勢は、発生件数、死傷者数とも前年と比較して減少しています。死亡事故は五十件五十一人発生し、前年と比較して十七件二十人の減少となりましたが、死亡した方のうち六十五歳以上の高齢者が六割以上を占め、高齢運転者の死亡事故件数が増加するなど、交通事故情勢は依然として厳しいものがあります。県警としても高齢ドライバーの交通事故が多発する中、事故を繰り返す高齢者宅への訪問指導を行ったり、県警と交通安全協会が協力し運転免許証を自主返納した六十五歳以上の高齢者に感謝状を送るなど、高齢ドライバーが免許証を手放せる環境づくりに力を入れておりますが、高齢運転者の交通死亡事故における今後の具体な方策について、知事及び警察本部長の御所見をお伺いいたします。 大綱三点、AIを活用した行政運営と産業の高度化支援についてお伺いいたします。 ことし五月、神奈川県にある川崎市役所を視察し、川崎市総務企画局情報管理部ICT推進課の方々と意見交換をさせていただきました。昨年の県議会一般質問にて参考事例として紹介をいたしましたが、川崎市では静岡県掛川市と株式会社三菱総合研究所によるAIを活用した問い合わせ支援サービスの研究をテーマとした、子育て制度に関する対話型FAQサービスの実証実験に参画する形で協定を締結しております。電話や窓口での問い合わせ対応業務をAIが代替し職員の業務負担を軽減したり、住民のライフスタイルの変化に対応した情報提供など、AIを活用した行政サービスによる課題解決及び市民サービスの向上を目的に平成二十八年度に実証実験を行いました。 実証実験について職員からヒアリングした結果といたしまして、「市民からの問い合わせに対し対応した職員ごとに伝える情報や内容に差が出ることなく、品質を保った対応ができる」「ベテラン職員のノウハウを継承できる」「電話で問い合わせまでではないが、何を知りたいか最初に知識を得るという意味で活用できる」「スマホを介したサービスなので、スマホに親和性の高い子育て世代や対面を避ける相談を抱えている人に適している」「簡単な問い合わせが減り、本来対応すべき人に時間を割くことができる」「他部署の業務を知ることができ、分野横断での相談対応もしやすくなる」など、評価は上々だったそうです。県民としても二十四時間三百六十五日、いつでもどこでも利用でき、電話や窓口に問い合わせるよりも気軽な利用が可能になりますし、スマホの利用者にとっては親和性の高い対話形式にすることで気軽に問い合わせもできます。また、窓口や電話相談で人との対話が苦手な方など悩みを抱えた県民をケアするツールとして活用したり、対話中のキーワードを分析することで本質的な県民ニーズを拾い上げることもでき、受付窓口の一元化や申請行為の簡素化につながり、県民メリットは大きいと考えます。またAIがディープラーニングを行い、やりとりの内容が経験値として蓄積されることで状況に応じて情報の関連性を判断し、回答のスピードやお知らせすべき情報の範囲を広げるなど高精度な処理や判断が可能となり、受付事務や確認事務の効率化につながることで行政メリットも大きいと考えます。 これからの行政運営に当たっては、少子高齢化、人口減少、財政状況の厳しさが増す中、県民ニーズや地域の課題を的確に把握しながら必要なサービスをより質の高いサービスとして提供していく必要があると思いますが、行政におけるAⅠの実用化について知事の御所見をお伺いいたします。 ことし四月埼玉県庁を訪問し、埼玉県産業労働部先端産業課、農林部農業政策課の方々と意見交換をさせていただきました。埼玉県では、中小企業のAI導入やAI関連の人材育成を促し、産業の高度化を図るための取り組みを支援することを目的にAIを活用した産業の高度化支援を進めております。その事業内容といたしましては、製造現場で用いる機器部品の劣化状況診断にAIを活用し、故障対応の迅速化や故障予測を行うシステムを研究、開発することにより、ものづくり企業の体質強化を図る、AIを用いた工場内故障診断システム開発事業、医療分野におけるAI等活用医療機器の開発や実証を支援し、県内企業の機器開発参入の促進を図るAIを活用した医療機器等開発、実証事業、AI、IoTを活用して先端産業をリードする企業の優秀な技術者を育成、輩出し、企業の生産効率向上等を支援する若手技術者育成事業、農業就業人口が減る中で農業生産を維持発展させていくために農業分野にAIやドローン等を活用し、熟練農家の技術の見える化や作業の省力化を図る埼玉スマート農業推進事業など、埼玉県ではAIを活用した産業の高度化支援に全国でも先駆けて取り組んでおります。埼玉県の事例を参考に本県といたしましても、今後AIを活用した産業の高度化支援に取り組む考えがあるのか、知事にお伺いいたします。 以上で、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 境恒春議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず大綱一点目、放射光施設の誘致及びEV、水素戦略についての御質問にお答えいたします。 初めに、フランスの放射光施設ソレイユを視察した成果と放射光施設設置による効果の波及についてのお尋ねにお答えをいたします。 私は視察により大学や企業が集積している地域にソレイユが立地したことで、大学の学術研究と企業の研究開発との相乗効果が生まれていることや、企業の研究開発の拠点化を通じて地域が発展していく状況を確認することができ、放射光施設がイノベーションの創出や地域産業の発展につながることを改めて実感いたしました。放射光施設の設置が実現すれば、研究施設や生産施設の集積が進むほか理工系学生の県内定着にもつながり、更に県内中小企業においても研究開発の促進や大企業との取引創出、メンテナンス業務の受注など新たな業務の開拓につながることが見込まれます。このような効果を県全域に波及させ、気仙沼市や南三陸町の中小企業の発展や産業の振興にもつなげられるよう関係機関と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 次に、施設の整備費用に対する所見についての御質問にお答えいたします。 次世代放射光施設の整備は、国と地域が官民地域パートナーシップのもと費用を分担しながら計画を推進することとされております。そのため我が県への設置が決定した場合には、プロジェクトの着実な推進に向けて国に対し整備費用の予算措置を確実に講じるよう要望してまいりたいと考えております。県といたしましても、地域側の一員として応分の負担をする考えではありますが、詳細につきましては、設置が決定した場合に適切な時期を捉えて県議会にお諮りをしたいと考えております。まだ決まっておりませんので、お話しできないということでございます。 次に、フランス視察でのEV普及に係る意見交換についての所感及び我が県における展望についての御質問にお答えをいたします。 フランスでは電気自動車、いわゆるEVの普及状況やカーシェアリング事業などを視察し、現地の関係者と意見交換をしてまいりました。フランスの都市部では、EVの特徴を生かしたカーシェアリングでの利活用が進められ、環境対策や渋滞緩和対策で効果を上げておりますが、採算面などさまざまな課題があることもわかり大変有意義な視察となりました。EVを含めた環境対応車につきましては、低炭素社会の実現に向けて今後世界的な流れとして普及が拡大していくものと見込まれております。県としては、県内企業がEVの普及拡大に伴う自動車産業の構造変化に対応し、新たな受注獲得や取引の維持拡大ができるよう、技術研修やセミナーの実施など支援に努めてまいりたいと考えております。 次に、視察の意義と成果、我が県における水素エネルギー戦略と将来ビジョンについての御質問にお答えをいたします。 今回私は、簡易な水素ステーションの整備に取り組むフランスの状況を拝見し、我が国においても整備コストの低減や規制緩和が重要であると改めて認識いたしました。水素ステーションの整備促進に向けては国において規制の見直しが進められているほか、ことし二月に水素ステーション整備の加速化に向けた新会社が設立されたところであります。県といたしましてはこうした動きを踏まえながら、水素ステーションの全国ネットワークが早期に整備されるよう引き続き関係機関に働きかけてまいります。また水素エネルギー戦略としては、みやぎ水素エネルギー利活用推進ビジョンに掲げた、災害に強いまちづくり、環境負荷の少ない地域社会づくり及び関連産業の育成、活性化を目指して、燃料電池車いわゆるFCVや家庭用燃料電池といった生活に身近な水素エネルギーの利活用推進などに積極的に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、気仙沼市と南三陸町が抱える復興の諸課題等についての御質問のうち、内湾地区防潮堤施工に関する要望書についての所感はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 今月六日、内湾地区復興まちづくり協議会、気仙沼市、気仙沼市議会から県に対し要望書の提出がありましたが、本来施工ミスがなければそのような要望も必要がなかったものであり、大変申しわけなく思っております。協議会からいただいた要望には、「将来に禍根を残すことなく、早期に魚町に戻り、海の見える生活がしたい」という住民の皆様の切なる思いが詳細に記されており、重く受けとめているところであります。また、気仙沼市、気仙沼市議会からいただいた要望は、「住民や地権者との合意により県は防潮堤整備を進めること」との内容であり、市の要望の中では「合意追求のために市はできる限りの努力を行う」とも言っていただき、ありがたく感じております。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 総務部長伊東昭代君。    〔総務部長 伊東昭代君登壇〕 ◎総務部長(伊東昭代君) 大綱三点目、AIを活用した行政運営と産業の高度化支援についての御質問のうち、行政運営におけるAⅠの実用化についてのお尋ねにお答えいたします。 AIはさまざまな諸課題の解決、新たなサービスや価値を生み出す重要なツールとして行政運営の分野においても県民サービスの向上はもとより、事務の効率化など職員の働き方改革にも資する技術であると認識しております。川崎市など他の自治体においてAIを活用した住民からの問い合わせ支援サービス等の実証が進められており、その効果や課題などについて関心を持って情報収集しているところであります。こうしたさまざまな実証や活用実例等を踏まえながら、県の業務における活用の可能性について研究を進めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 震災復興・企画部長江口哲郎君。    〔震災復興・企画部長 江口哲郎君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(江口哲郎君) 大綱二点目、気仙沼市と南三陸町が抱える復興の諸課題等についての御質問のうち、高齢運転者による交通死亡事故対策についてのお尋ねにお答えいたします。 気仙沼市前木地内においてことし発生した二件の交通死亡事故は、車両がセンターラインをオーバーしたことによるものでありました。このような事故を防止するためには、交通安全施設の一層の整備とあわせて運転者の安全意識の向上が重要であると考えます。このため、国道二百八十四号の当該区間においては、今年度事故防止のための追加工事を行うこととしております。また、高齢運転者対策として今年度も宮城県交通安全母の会と連携して、高齢者がお住まいの約一万一千世帯を訪問し、安全運転を促すチラシなどを配布して啓発に努めるほか、運転免許証の返納促進事例について市町村に情報提供するとともに、市町村が実施する交通安全対策に対して補助することとしております。県としましては引き続きこれらの取り組みを推進するとともに、交通安全に積極的な企業や団体を顕彰するほか道路環境の整備を図るなど、県警察や市町村、企業等と連携して多方面から高齢運転者の交通安全対策の充実に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 環境生活部長後藤康宏君。    〔環境生活部長 後藤康宏君登壇〕
    ◎環境生活部長(後藤康宏君) 大綱一点目、放射光施設の誘致及びEV、水素戦略についての御質問のうち、フランスの事例を参考に環境対策に取り組むべきとのお尋ねにお答えいたします。 EVやFCVなど次世代自動車へのシフトは二酸化炭素の排出による環境負荷を低減する上で有効であり、その普及が期待されているところです。県ではこれまで次世代自動車の普及拡大に向け率先してハイブリッド自動車等を導入しているほか、将来の水素社会の到来を見据え、FCVについて購入補助やカーレンタル事業、試乗会の開催などさまざまな取り組みを進めているところです。また、平成二十七年十二月にパリ協定が締結されたのを機に、国内外の地球温暖化対策が強化されていることを受け、現在、宮城県地球温暖化対策実行計画(区域施策編)を見直しているところです。改定後の計画では、EVなど次世代自動車の導入促進を図るほか、住宅、事業所における断熱化や設備の省エネ化の支援、地域資源を最大限活用した再生可能エネルギーの導入促進などの取り組みを強化することとしております。県といたしましては、新計画に基づき地球温暖化対策を総合的かつ計画的に実施することにより、低炭素社会の推進に取り組んでまいります。 次に、大綱二点目、気仙沼市と南三陸町が抱える復興の諸課題等についての御質問のうち、熊の被害防止対策はどうかとのお尋ねにお答えいたします。 県ではツキノワグマ対策において人命保護を第一と考えており、安全確保を期するため、これまで報道機関や県のホームページを通じてツキノワグマの出没情報を提供してきたところであり、更に今年度からは出没位置を表示した地図を掲載し、視覚的にも容易に確認できるよう改善したところです。また住宅地に出没した際には現地パトロールや注意喚起をし、人身被害の発生のおそれがある場合には速やかに捕獲できる体制を整えております。特に気仙沼市大島地区に関しましては、現在捕獲のための箱わなを設置し、気仙沼市、猟友会及び警察等と連携しながらパトロール等を強化しております。なお、大島地区に限らず県内のツキノワグマの出没に対しましては、関係機関と一層連携し被害防止に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 経済商工観光部長吉田祐幸君。    〔経済商工観光部長 吉田祐幸君登壇〕 ◎経済商工観光部長(吉田祐幸君) 大綱三点目、AIを活用した行政運営と産業の高度化支援についての御質問のうち、AIを活用した産業の高度化支援についてのお尋ねにお答えいたします。 AI等による第四次産業革命技術がもたらす変化や新たな展開により、社会構造の改革、ビジネスモデルの変革が一気に進むことが見込まれており、これらを踏まえながら県内企業に対するAI活用に関する普及啓発、支援に取り組んでいく必要があると認識しております。我が県においては、県内企業に対し各種団体と連携して研修会を実施したほか、AI等の技術習得を目的とした東北大学等への人材派遣の支援や、IoT導入による生産性向上に向けた支援を行っております。こうした支援により県内企業においては、県、東北大学等と連携し、タラの雌雄判別や画像欠陥判定装置等の製品開発が行われました。県といたしましては、今後も第四次産業革命の進展に伴い、拡大する新たなビジネス領域に対応していくためデジタルイノベーションを目指す企業を支援し、県内産業の高度化を目指してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 農林水産部長武藤伸子君。    〔農林水産部長 武藤伸子君登壇〕 ◎農林水産部長(武藤伸子君) 大綱二点目、気仙沼市と南三陸町が抱える復興の諸課題等についての御質問のうち、内湾地区防潮堤の施工ミスに至った原因と経過、責任割合等の調査結果についてのお尋ねにお答えいたします。 内湾地区防潮堤については、平成二十七年七月から工事を進めておりましたが、昨年二月に国土地理院の水準点改定が行われたことから、防潮堤の高さを二十二センチメートル下げることとしたにもかかわらず、ことし三月に魚町地区の一部区間において二十二センチメートル下げずに施工されていたことが判明したものです。施工ミスに至った具体的な原因は、防潮堤の高さを下げるための修正設計を行った際、設計業者が県に提出した図面に記載の不足や数値の誤りがあったこと、県が図面のミスに気づかずに施工業者に渡してしまったこと、施工業者が記載の誤りに気づかずその図面をもとに工事を進めてしまったことなどであります。以上のことから、県、設計業者、施工業者それぞれに過失があると現時点では考えており、今後専門家と相談しながら責任割合等について更に検討してまいります。 次に、住民の気持ちに寄り添い、県民の理解も得られる方策や具体的な地域振興策と県の歩み寄る姿勢についての御質問にお答えいたします。 内湾地区防潮堤の対策案の検討については、「海の見える生活がしたい」「早期に魚町に戻りたい」という住民の皆様の思いに応えられるような新しい案を検討しているところであり、今月三十日に開催予定の協議会ワーキングにおいて説明したいと考えております。地域振興策については、協議会ワーキングや意向調査などにおいて賛否を含めてさまざまな御意見があったことから、まずは新しい案について説明したいと考えております。また、議員から住民に歩み寄る姿勢が大切だという御意見をいただきました。住民の皆様の声に真摯に耳を傾け、問題の解決に向けて誠意を持って対応してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 土木部長櫻井雅之君。    〔土木部長 櫻井雅之君登壇〕 ◎土木部長(櫻井雅之君) 大綱二点目、気仙沼市と南三陸町が抱える復興の諸課題等についての御質問のうち、気仙沼・唐桑最短道の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 唐桑半島と気仙沼地区を結ぶ道路ネットワークの強化は、地域の産業や観光振興、更には災害時における緊急物資輸送などに重要な役割を担うものと認識しております。これまで県では、唐桑地区と国道四十五号及び三陸自動車道を結ぶ県道馬場只越線の只越地区について、大震災の教訓を踏まえ安全性を高めたルートに見直してバイパス整備を進め、昨年六月に供用を開始するとともに、県道気仙沼唐桑線についても防災集団移転地へのアクセス道路として、平成二十八年三月に舞根バイパスの整備を完了したところです。本路線のうち舞根地区から浪板地区までの未改良区間、約四キロメートルについては地形が特に急峻であり、長大トンネルを含む大規模な工事が想定されることから、事業化については県内における優先度や緊急性などを考慮しながら判断してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 警察本部長高須一弘君。    〔警察本部長 高須一弘君登壇〕 ◎警察本部長(高須一弘君) 大綱二点目、気仙沼市と南三陸町が抱える復興の諸課題等についての御質問のうち、高齢運転者による交通死亡事故対策についてのお尋ねにお答えいたします。 気仙沼市前木地区で連続発生した交通死亡事故は、二件いずれも車線逸脱による事故でした。またうち一件は、隣接する岩手県の居住者同士の事故でした。このため県警察では道路管理者等との共同点検を行い、これに基づき車線逸脱時に音響振動で注意喚起を行う特殊舗装の延伸などの交通安全施設整備を要請したほか、所轄署を中心に岩手県警と連携し県境を挟んだ交通指導取り締まり、安全教育、広報啓発活動等を強化しているところです。一方、ことしの県内での六十五歳以上の高齢運転者による死亡事故ですが、全体の約四割を占め特に気仙沼地区では約六割を超えています。このため県警察では、免許を自主返納しやすい環境の整備に加えまして、頻繁に事故を起こす高齢運転者への個別の指導、ドライブレコーダーを活用した体験型実技指導、安全運転サポート車の普及促進等の対策を継続推進し、高齢運転者による事故の防止に多方面から取り組んでおります。今後とも関係機関、団体と連携しながら高齢運転者による重大事故抑止に万全を期してまいります。 以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 十五番境恒春君。 ◆十五番(境恒春君) 御答弁ありがとうございました。順番が前後するかもしれませんけれども御容赦ください。 まず、気仙沼・唐桑最短道の整備なんですけれども、今部長から御答弁をいただきましたが、知事からこの将来的な整備の見込みについてお伺いしたいと思います。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど部長が答弁いたしましたとおり、かなり事業化につきましては大きな工事になるということで、優先度、緊急性などを考慮しながら判断していかなければならないということです。三陸道が予定どおり延伸することが決まっておりまして、これによってかなり交通量が、流れが変わってくることが当然予測されるわけでありますので、そうしたものをしっかり見ないといけないということです。実際知事としていろんなところから要望を受けますけども、一番多いのがインフラでは道路の要望が多いわけでございまして、皆それぞれ自分のところが一番大切だと、非常に大変だというふうにおっしゃいます。その中で優先順位をつけなきゃいけませんので、県全体のバランスを見ながらしっかりと調整を図っていきたいと思います。もう少しお時間をいただきたいと思います。 ○議長(中島源陽君) 十五番境恒春君。 ◆十五番(境恒春君) 高齢運転者による交通死亡事故対策です。気仙沼市の前木地内、国道二百八十四号の追加工事をするということですけれども、これいつごろまでにどのような工事をされるか、お聞きいたします。 ○議長(中島源陽君) 震災復興・企画部長江口哲郎君。 ◎震災復興・企画部長(江口哲郎君) 当該地内での追加工事でございますけども、今ほど県警本部長から御説明ありました、ランブルストリップスという車線逸脱の際に音響を発する施工、これについては夏ごろまでに施工の予定というふうに聞いております。以上です。 ○議長(中島源陽君) 十五番境恒春君。 ◆十五番(境恒春君) ランブルストリップスのみでしょうか。それ以外の工事はないんでしょうか。 ○議長(中島源陽君) 震災復興・企画部長江口哲郎君。 ◎震災復興・企画部長(江口哲郎君) すでに当該地区前後において、舗装の改良、線形のカーブする部分にドットラインといわれる目立つような白黒の点線を車線の両脇に施工するなどの措置を既にしていると伺っております。以上です。 ○議長(中島源陽君) 十五番境恒春君。 ◆十五番(境恒春君) 内湾地区の防潮堤施工ミスについてお伺いいたしますけれども、知事は皆さんの思いに最大限に応えられる新しい案を示せるように今、作業を進めているというふうに述べておりまして、今月三十日の気仙沼市内で開く会合でその案を提示するということなんですけれども、この会合には知事は参加される御予定はありますでしょうか。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) まず案を御提示をするということでございますので、担当の部長であります農水部長に現地に行かせようというふうに思っております。 ○議長(中島源陽君) 十五番境恒春君。 ◆十五番(境恒春君) この新たにまとめる対応案については皆さんに御理解をいただき、そして平和的な解決に結びつけられる案となりそうでしょうか、知事にお伺いいたします。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今、鋭意最終的な調整を行いながら案をつくっておりますので、まだこの案だという固まったものはございません。したがってこれで大丈夫だということを申し上げられませんけれども、先ほど答弁したように誠心誠意、皆様の要望書をいただきましたので、その要望に応えられるように今努力をしているということでございます。 ○議長(中島源陽君) 十五番境恒春君。 ◆十五番(境恒春君) 最後にAIです。 一時期AIが人間の職を奪うのではないかというふうに話題になりました。しかし人口減少が進み、労働力不足に陥っている我が国、我が県の現状において、AIを人間のパートナーとして捉え、円滑で効率的な行政運営や産業の振興など上手にAIを活用していく必要があると思っております。近い将来AIができることはAIに任せて人間は人間にしかできないこと、それに時間を使う時代が来ると思っておりますが、知事のAIに対する御関心と御所見をお伺いいたします。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 境議員と全く同じ考えでございます。 ○議長(中島源陽君) 五十一番安部孝君。    〔五十一番 安部 孝君登壇〕 ◆五十一番(安部孝君) 大綱三点につきまして一般質問いたします。 この六月二十四日、国宝瑞巌寺、平成の大修理が完了し落慶法要が営まれました。二百人を超える僧侶の読経やつづら折りのように歩く行道に一同改めて感動いたしました。修理事業は二〇〇八年十一月からことしの三月まで行われ、その間東日本大震災に見舞われました。不思議なことに津波は山門の前でとまり、参道の杉木立が枯れるなどの被害はありましたが、大きな被害を受けることはありませんでした。慶長十四年、伊達政宗は五年がかりの大工事で瑞巌寺方丈が完成した際に「松嶋乃枩農齢尓此寺の春恵佐可へなむ年八婦るもと」(まつしまのまつのよわいにこのてらの、すえさかえなんとしはふるもと)と松島の長寿に託して寺の末長き繁栄の願いを込めて和歌を詠んだとされています。私どもも宮城県の末永き繁栄と発展を願いたいと思います。現在本県は震災復興計画の発展期にあり、まだ復旧・復興の途中にあります。私も法要に出席した県職員とともに、本県の復興計画が遅延することなく完遂できるように、あわせて今回の大阪北部地震の被災地が一日も早く復旧・復興できるように祈りをささげました。それでは、質問に移ります。 大綱第一点目は、松島湾ダーランド構想と観光振興についてであります。 宮城県は平成二十六年二月、「再発見!松島湾ダーランド構想共同宣言」を発表しました。宣言の内容は、松島湾を抱く地域は松島四大観などの自然景観、縄文や伊達などの歴史、文化、食材などのさまざまな観光資源にあふれています。また松島湾は、平成二十五年十二月に、「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟し、海外における知名度の向上が期待されます。我々松島湾を取り巻く三市三町は、県とともにこの地域の観光魅力を再発見し更に高め、日本三景を超える「世界の松島湾」として多くの観光客により一層親しんでいただけるよう次のことに取り組んでまいります。一、世界の松島湾としての魅力向上に取り組みます。二、防災減災研修及び体験メニューの拡充に取り組みます。三、松島湾が東北の観光の核となるよう広域観光に取り組みます。とするものでした。これを受けて県は、平成二十八年三月に五年間の松島湾ダーランド推進計画をつくりました。その目的は松島湾ダーランド構想を具現化し、日本三景を超える世界の松島湾として国内外からの誘客増を目指し、地域の活性化に寄与するためとされています。そこでお伺いしてまいります。 第一点目は、松島湾ダーランド推進計画の進捗状況と成果、課題についてお伺いいたします。 第二点目は、多賀城市、塩竈市、東松島市、七ヶ浜町、松島町、利府町の三市三町が共通の目標のもとに、行政だけではなく民間等を巻き込んだ一つのテーブルで話し合う組織の立ち上げ、協議会等の実践的取り組みが必要と思われますが、これについての本県の考え方をお伺いいたします。 また、松島公園管理事務所のあり方、特別名勝松島をきれいにする会のあり方について再考する時期と考えますが、いかがでしょうか。この際、松島をきれいする会を松島湾ダーランド構想に関連する会にすべきと考えますが、いかがでしょうか。 第三点目は、三市三町の広域連携を挙げておりますが、ストーリー性のある観光ルートづくりについてはまだ成果が出ている状況にはないと思います。地元の関係者等から強く要望されているのが、東松島市にある壮観と称される大高森、七ケ浜町にある偉観の多聞山、松島町に麗観の富山、幽観の扇谷と、松島湾の島々を一望できる名所、松島四大観をめぐるルートづくりであります。また、松尾芭蕉と曽良が歩いた奥の細道をめぐるルートは神秘的で歴史的魅力を十分に味わえるものであります。奥の細道サミットは毎年全国で開催されてきており、芭蕉を慕う人たちや全国の俳句愛好者等からも注目されております。海外の人たちからも俳句人気があり、最近ではイタリアでhaikuというワインが発売されております。宮城オルレや環境省のみちのく潮風トレイル事業にもつながるものと考えます。松島四大観ルート、奥の細道ルートの環境、ハード整備、ルートづくりを重点施策として取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。 第四点目、世界で最も美しい湾クラブの加盟国、加盟自治体との連携には本県の支援と協力体制が必要と考えます。松島湾を囲む三市三町と県が連携して、世界の松島湾を売り込むことが松島湾ダーランド構想の実現にも寄与するし、インアウトバウンドの効果を上げることにもなります。来年には富山県で日本初の湾クラブ総会の国際会議が開催されます。私は富山県を視察し、富山県のさまざまな取り組みに感心いたしました。本県は世界の松島湾の構築のため、どう考え、具体的に何をすべきと考えているか、御所見をお伺いいたします。 第五点目は、松島公園内の無電柱化事業についてであります。 日本三景松島の景勝地内にコンクリートの電柱があり電線が張りめぐらされていることは、景観を損なうことになっております。本県は震災を経験し、創造的復興のもとに松島公園内の津波防災緑地整備事業に着手しており、電柱の地下埋設についても取り組んでいると聞いております。取り組み状況と今後の見通しについてお伺いいたします。 最後は、観光振興のための財源確保を検討する諮問会議についてであります。 かつて平成十九年、松島公園内の県営駐車場は全て有料化になりました。そのときの議論では、観光振興のため観光地の環境整備等に充当していくとの話があったかと思いますが、その後収入は一般財源化され、その効果はどうだったのか疑問視されているところがあります。今回の検討会議において、目標、目的と使途要件の枠組みを決める等明確な方向性を打ち出すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 大綱二点目は、宮城県の環境政策と富県宮城についてであります。 本県は環境基本計画に基づき、環境への負荷が少ない持続可能な地域社会の形成を促進し、みやぎ環境税を活用した環境政策を図り、環境立県みやぎの創造を目指すとしております。また持続可能な社会の実現として、一、地球温暖化を初めとする環境への配慮と地域経済の発展の両立、二、再生可能エネルギー等の導入及び省エネルギーの推進、三、循環型社会の形成、四、豊かな自然環境の保全、五、良好な大気・水環境の確保を挙げております。具体的な施策として環境関連産業の振興ということで、真に豊かな富県宮城の実現に向け、県内事業者が進める省エネルギーの取組や再生可能エネルギー設備の導入、環境負荷低減のための実証事業等の先進的な取組、環境関連製品の開発などの支援を積極的に展開し、県民生活、医療福祉、ものづくり、農林水産、建築土木、教育などへの様々な部門とも効果的に連携しながら、復興需要後の県経済を力強く牽引する環境関連産業の振興を図るとしております。そこで質問してまいります。 第一点目は、環境関連産業の振興の成果はどうであったのか。また具体的な事例をお示しください。 第二点目。過日、東北大学大学院環境科学研究科の研究施設を会派の議連で視察してまいりました。太陽光と地中熱を利用し化石燃料をほとんど使わないモデルを構築しておりました。本県もことし二月、みやぎ地中熱利用研究会を立ち上げておりますが、地中熱利用推進のため今後どのような取り組みをしていくのか、所見をお伺いいたします。また、再生可能エネルギー、新エネルギー設備を県有施設等に積極的に取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第三点目は、洋上風力発電の取り組み状況についてであります。 私ども会派の環境エネルギー議連はことしの三月、茨城県神栖市にある、ウィンド・パワーかみすと千葉県銚子市の洋上風力発電システムを視察し意見交換をしてまいりました。ウィンド・パワーかみす洋上風力発電所は、日本の洋上風力発電の先駆けとして二〇一〇年七月に稼働しました。総出力は十五基で約三万キロワットであり一般家庭約一万五千世帯分の電力量になります。更に今後は三十六基、総出力約十八万キロワット、一般家庭約六万から七万世帯分を賄える大規模洋上風力発電所メガサイト鹿島の計画もなされているようです。茨城県と民間企業との見事な協力関係がビッグなプロジェクトを実現してきたことを知り、視察した我々は改めて目からうろこが落ちる状態になりました。本県も平成二十八年度から洋上風力発電等導入推進事業を進めておりますが、現在の状況がどうなっているのか、将来の展望についてどんな戦略をお持ちなのか、所見をお伺いいたします。 大綱三点目は、県政の諸課題についてであります。 一点目は、直交集成板CLT等の取り組みについてであります。 過日、会派の議員と昨年十二月に完成した東北大学工学部CLTモデル施設実証棟を視察してまいりました。CLTやLVLの木材利用の仕方、方法コストの課題等さまざまな視点からの取り組みがなされていました。ぜひ大学や市町村、民間の取り組み状況を把握していただき、CLT等の木材、県産材の利活用に努めてほしいと思っております。県は直交集成板CLTの普及推進事業に着手しておりますが、技術者育成や技術開発についてこれに取り組んでいる他県よりおくれをとっているとの声があります。また宮城県内の市町村、民間事業者等のモデル施設等の建設も少ない状況にあります。これらの問題、課題についての御所見をお伺いいたします。 次に、本県が進めている林業技術総合センター建設の進捗状況はどうなっているのか。再生可能エネルギーの太陽光や地中熱等の熱利用の導入、完成後の利活用についての考え方をお伺いいたします。 二点目は、第四十回全国豊かな海づくり大会についてであります。 村井知事は平成二十九年二月の定例県議会で、全国豊かな海づくり大会を本県で開催することを表明いたしました。平成十九年二月より畠山議員が一般質問で風穴をあけ、平成二十年に水産漁港議連と水産関係者が中心になった請願を県議会が満場一致で採択した経過があります。その後、見事村井県政が真摯に受けとめ開催を決断したことはまことに御同慶の至りであります。昨年九月の全国和牛能力共進会は仙台牛の魅力を更に全国に知らしめ、畜産農家を初め県民の皆様に勇気と希望を与えました。これに負けないくらいの豊かな海づくり大会にしていかなければならないと思います。さて、本県は二〇一七年から事業に着手し二〇二〇年は開催年になります。本県の水産業の現状を顧みるとき、また震災からの復旧・復興の状況を見るとき、水産業を取り巻く環境は極めて厳しいものがあります。この大会に向けて心新たに県は水産関係者と協力連携関係をつくり、宮城県の水産業の再生を進めることが求められております。今日の魚離れの状況に一矢報いることも必要かと思います。全国豊かな海づくり大会の取り組み状況、会場の決定、大会規模、何をこの大会でアピールしていくのか、県の考え方をお示しください。 三点目、本県は今年度より、みやぎマリアージュ推進プロジェクトを立ち上げました。宮城県産ワインと被災地域の農林水産物とのマッチングによる加工品開発や都市と農山漁村の交流を推進することにより新たな六次産業化の取り組みを創出し、その定着を図ることとしており、大いに期待したいところであります。そこでお伺いいたします。 加工品開発を今後どこでどうやっていくのか。都市と農山漁村との交流となれば、グリーンツーリズム等とどうマッチングしていくのか。庁舎内でのすり合わせ、政策の共有はできているのか。このプロジェクトは二年間と聞いておりますが、果たして期間は十分なのか、これらの御所見をお伺いいたします。 これで、壇上からの質問といたします。よろしくお願いいたします。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 安部孝議員の一般質問にお答えをいたします。大綱三点ございました。 まず大綱一点目、松島湾ダーランド構想と観光振興についての御質問にお答えをいたします。 初めに、松島湾ダーランド推進計画の進捗状況と成果、課題についてのお尋ねにお答えをいたします。 同計画は松島湾エリアの魅力強化、市町間の連携強化及び誘客力の強化を基本方針に掲げております。この基本方針を踏まえ、県及び松島湾エリアの三市三町が連携し、インバウンド誘客を中心に多言語観光案内表示看板の整備、サイクリングコースの設定や多言語ガイドブック、PR映像の制作、観光地域づくりを支える人材の育成及び情報発信の強化等を行ってまいりました。これらの活動により、松島湾エリアでは連日多くの外国人観光客を見かけるようになりました。加えて松島海岸駅周辺や松島公園、松島水族館跡地の整備においても進捗が見られ、拠点性の向上につながったと考えております。一方、今後の課題といたしましては、松島湾エリア全体での周遊観光、エリア一体となった観光地運営の必要性及び地域の人々と触れ合う体験型観光へのシフト等が挙げられます。県といたしましては、引き続き三市三町及びことし三月に設立されました、仙台・松島復興観光拠点都市圏DMOなどと連携して魅力ある観光地域づくりに向け、必要な事業を検討、実施してまいります。 次に、観光振興財源検討会議において、目的や使途、要件の枠組みなど明確な方向性を打ち出すべきとの御質問にお答えをいたします。 地域経済の活性化と魅力ある地域づくりを実現するためには、観光振興施策の推進により交流人口を拡大することが重要であり、そのためには観光資源の発掘、磨き上げや受け入れ環境の整備、国内外へのプロモーションや情報発信などを継続的に実施し、観光客の誘客拡大を積極的に進めていく必要がございます。このような中、今年度の観光関連予算は約二十四億円を計上させていただいており、その財源につきましては国の東北観光復興対策交付金が約二割、東日本大震災復興基金などの基金が約五割となっております。しかし、東北観光復興対策交付金は期間限定のものと見込まれるとともに基金の残高も年々減少している状況から、今後も継続した観光施策の展開を図るためには安定的な財源の確保が必要と考えております。このため県といたしましては、観光振興施策の財源検討会議において、財源検討の必要性、財源確保を行う理由、財源の負担のあり方などについて丁寧な議論をいただきたいと考えております。 次に、大綱二点目、宮城県の観光政策と富県宮城についての御質問のうち、環境関連産業の振興の成果についてのお尋ねにお答えをいたします。 私は知事就任以来、富県戦略において環境と経済の両立を大きな柱の一つと位置づけ、みやぎ環境税を創設して財源を確保し、環境負荷の低減に資する技術開発を初め、地域資源を活用した発電、熱利用の実証事業や設備導入に対して継続的に支援するなど環境関連産業の振興に取り組んでまいりました。具体的な事例といたしまして、ものづくり関連では県の補助事業を活用した民間事業者がエネルギー消費効率にすぐれたLED照明器具の技術開発に取り組み製品化を実現させております。また、食品残渣などの廃棄物をエネルギーに転換するメタン発酵や地中熱利用については、地産地消かつ地域経済の活性化に資する事業の実施に向けた検討が複数進んでいるなど、環境関連産業の成長に向けた動きが出始めているところであります。県としては、今後こうした環境関連産業の成長を一層加速させるため、再生可能エネルギー事業の先導的な取り組みや環境関連製品の技術開発等に対して積極的に支援し、新たな環境関連産業の創出に注力してまいりたいと思います。 次に、大綱三点目、県政の諸課題についての御質問にお答えをいたします。 初めに、CLTに係る問題や課題についてのお尋ねにお答えをいたします。 CLTの普及に当たっては、設計、施工技術者の育成や技術開発などが重要な課題であると認識しております。このため我が県では、産学官の百二十一会員から成る、宮城県CLT等普及推進協議会が技術者育成や接合技術の開発に加え製造コストの縮減、建築物の普及などの諸課題の解決に活発に取り組んでいるところであり、全国的にも先進的な活動であると評価しております。県内の建築事例は現在四棟にとどまっておりますが、現在施工中のものが更に四棟そして計画中のものが九棟ございます。この中には国内初の十階建て高層集合住宅も含まれており、CLT活用事例は着実にふえております。ただ十階と言っても全部CLTで柱にしてつくったのではなく、床にCLTを使ったということだそうであります。県といたしましては引き続き、宮城県CLT等普及推進協議会の活動を支援するとともに、県産材・木のビルプロジェクト推進事業によりモデル施設の建設に対する助成を行い、CLT建築の普及拡大に努めてまいりたいと考えております。 次に、林業技術総合センター建設の進捗状況についての御質問にお答えをいたします。 林業技術総合センター建設事業については、平成三十二年度の供用開始に向け今年度は設計業務を実施しております。設計に当たっては、当該施設が持続可能な森林、林業を推進する研究機関であることを踏まえ、CLTの活用とあわせ木質バイオマス等の再生可能エネルギーを活用した熱源確保や空調設備などについても、費用対効果を勘案しながら導入を検討しているところであります。また、完成後は開かれたセンターとして来所者の見学コースや憩えるオープンスペースを設置するなど、多くの県民にCLTのよさを実感していただける施設にしてまいりたいと考えております。 次に、全国豊かな海づくり大会についての御質問にお答えいたします。 本大会は、水産資源の保護、管理、自然環境保全及び水産業の振興を理念に昭和五十六年から毎年開催され、我が県においては平成三十二年度に開催することが決定しております。式典行事などには県内外から招待者三千人程度が参加し、関連行事を含めると数万人の来場が見込まれております。開催準備に当たってはことし一月に準備委員会を立ち上げ、これまで基本構想案や開催候補地選定基準の審議などを行ってきたところであります。この選定基準を踏まえ、現在、「式典行事」及び「海上歓迎・放流行事」会場候補地の選定作業を進めております。ことしの秋ごろに設置予定の実行委員会において開催地を決定することとしております。震災から十年目に当たる平成三十二年度に我が県で本大会を開催することは、県内水産関連業者の復興に向けた意欲を更に高め、我が県水産業の着実な復興と一層の発展に大きく寄与するものと考えております。また、復旧・復興に向けて多くの御支援をいただいた全国の皆様に対し、復興した姿を見ていただく絶好の機会となりますので、県や沿岸市町、関係者が一丸となって我が県が誇る豊富な水産物や豊かな自然と歴史ある文化などを全国に発信してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 環境生活部長後藤康宏君。    〔環境生活部長 後藤康宏君登壇〕 ◎環境生活部長(後藤康宏君) 大綱二点目、宮城県の環境政策と富県宮城についての御質問のうち、地中熱利用の取り組みと県有施設への新エネルギー設備の積極導入についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、エネルギーの地産地消を進める観点から、広い地域で導入可能性の高い地中熱利用を重点的に支援することとしておりますが、現状では導入コストの高さや認知度の低さなどが課題とされております。そのため、みやぎ地中熱利用研究会において普及啓発セミナーを開催し、先進事例や導入メリットについて情報提供するとともに、設備、施工費の低コスト化について調査検討することとしております。県といたしましては、研究会を通じて導入意欲のある事業者を発掘し、研究機関からの助言、補助制度の活用支援など、きめ細かな支援により導入事例を創出してまいります。また、県有施設における新エネルギー設備の導入については、これまでも地球温暖化対策や災害時の電力確保を目的として進めてきており、県が率先して導入することは環境配慮意識の醸成や環境産業振興の面でも効果があると考えております。そのため今年度は、県有施設への新エネルギー導入可能性調査を実施し、これまで導入していない施設について構造やエネルギーの利用状況に応じた費用対効果などを調査することとしており、その結果を踏まえ導入促進に向けて検討してまいります。 次に、洋上風力発電等の取り組み状況についての御質問にお答えいたします。 我が県では、平成二十八年九月からことし二月まで関係行政機関や海域利用者等を委員とする、みやぎ洋上風力発電等導入研究会を設置し、県内沿岸地域への導入の可能性等について検討を進めてまいりました。また昨年三月には、県民や関連企業を対象とした、洋上風力エネルギーフォーラムを開催し、茨城県神栖市のウィンド・パワーかみすの導入事例を御紹介いただくなど、他地域の事例も参考にしながら理解促進に取り組んでまいりました。研究会での検討の結果、導入可能性を調査するエリアとして、山元町の沿岸地域と石巻港の港湾区域内の二カ所を選定し、昨年九月から一年間の詳細な風況観測を実施しております。今年度は各地域の関係者による協議の場を設け、風況観測の結果も踏まえつつ地域の理解を得ながらより具体的な導入場所等の検討を行う予定です。今後は、地域や企業等とも連携し地域により多くのメリットをもたらす洋上風力発電等の導入が図られるよう、事業環境の整備を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 経済商工観光部長吉田祐幸君。    〔経済商工観光部長 吉田祐幸君登壇〕 ◎経済商工観光部長(吉田祐幸君) 大綱一点目、松島湾ダーランド構想と観光振興についての御質問のうち、松島湾エリアにおける協議会の立ち上げ等の取り組み等についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、これまでも三市三町と協議、調整等を行う会議を随時開催してまいりました。一方で、ことし三月に松島湾エリアを含む、仙台・松島復興観光拠点都市圏において、関係市町や観光関係団体等と協働して地域全体をマネジメントするDMOが設立されており、また、知事及び関係市町の長からで構成される、仙台・松島復興観光拠点都市圏DMO協議会も設立されております。県といたしましては同DMO及び同協議会を両輪とし、行政を含むさまざまな関係団体との連携を密にして魅力ある観光地域づくりを進め、松島湾ダーランド構想の具現化に取り組んでまいりたいと考えております。なお、松島公園管理事務所は公園地等の維持管理業務のほか、地元の市町、関係団体及び住民との連絡調整機能を果たしながら、地域観光振興の推進に必要な役割も果たしていく必要があると考えております。また、松島をきれいにする会については、関係市町や関係団体等の構成機関の意向も確認しながら、会の目的達成と地域観光の持続発展に向けたあり方を検討してまいります。 次に、松島四大観ルートや奥の細道ルートの環境整備を行い、ストーリー性のある観光ルートづくりを重点施策として取り組むべきとの御質問にお答えいたします。 我が県を代表する観光地、特別名勝松島は古くから歌枕の地として知られ、松尾芭蕉の奥の細道や伊達政宗公ゆかりの地としても歴史的に著名な地域として知られております。また、松島湾を一望できる四大観を初め、島々が織りなす地域特有の景観を楽しむことができる展望地が点在しており、それらを結ぶ観光ルートづくりは大変魅力あるものと考えております。県ではこれまでに、松島を初め県内観光素材の魅力を引き立たせるため、宮城・伊達な旅などの動画などでPRを行ってまいりました。また、地域特有の景色や歴史的背景等を楽しむことができる観光ルートを宮城オルレとしてコース造成を推進しており、今後、松島地域においてもコース造成の主体となる松島町と連携して取り組んでまいります。 次に、世界で最も美しい湾クラブの加盟国等との連携への支援等についての御質問にお答えいたします。 世界で最も美しい湾クラブは、すぐれた自然景観を保全しながら湾周辺地域の観光振興や地域経済の発展との共存を図ること活動理念として、平成八年に設立されたNGOであり、現在二十五カ国、四十三湾が同クラブに加盟していると承知しております。国内では松島湾、富山湾を含む五つの湾が同クラブに加盟しており、来年十月に富山県において同クラブの総会が国内で初めて開催されると伺っております。松島湾ダーランド推進計画では、基本方針の一つに誘客力の強化を掲げております。松島湾に次いで同クラブに加盟した富山湾等の類似観光地と連携した情報発信は、誘客力強化のための観光プロモーションの一つとして効果的であると考えております。県といたしましては富山湾等と連携し、イベントやシンポジウムへの相互参加等を通じて協力体制を構築するとともに、同クラブの目的である、湾の保護と経済開発の共存に着実に取り組むことにより世界の松島湾の実現に努めてまいります。 次に、松島公園内の電柱の地下埋設の取り組み状況と今後の見通しについての御質問にお答えいたします。 御指摘のありました、松島公園内に設置されている電柱と電線につきましては、同公園内において、現在観光客等の速やかな避難等を目的とした復興事業の津波防災緑地整備事業が行われ、園路や広場の整備が進められていることから、同事業の中で無電柱化が実施できないか復興庁等と継続的に協議してきたところです。今後も松島公園を災害に強い安全・安心な公園として世界に発信できるよう、同公園内の無電柱化にかかる復興庁への申請手続に向けて準備してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 農林水産部長武藤伸子君。    〔農林水産部長 武藤伸子君登壇〕 ◎農林水産部長(武藤伸子君) 大綱三点目、県政の諸課題についての御質問のうち、農林水産加工品開発についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県では、東日本大震災で唯一のワイナリーが流出し、ワイナリーの空白地帯となっていましたが、平成二十七年度以降、仙台市太白区、山元町、大和町にワイナリーが開業したほか、ことしの七月には川崎町に四カ所目のワイナリーが開業する予定です。これらのワイナリーが我が県の六次産業化のモデルとして定着し、地域の農林水産業の活性化につながることを目指して企業版ふるさと納税を活用した、みやぎマリアージュ推進プロジェクトを実施することとしております。マリアージュとはワインと料理の食べ合わせを楽しむことで、このプロジェクトでは県産ワインと農林水産物等のファンづくり、ワイナリーを核とした都市農村交流の推進、県産ワインと合う農林水産物を使ったメニューや加工品の開発、県内ワイナリーとマリアージュについての情報発信を四つの柱として取り組むことにしております。県といたしましては加工品開発を進めるため、農林漁業者や食品製造業者などを対象とした勉強会を開催することで県産ワインとのマリアージュが楽しめる既存商品のブラッシュアップや新しい加工品開発を支援してまいります。 次に、グリーンツーリズム等とのマッチングについて、関係部署間での施策の方向性の共有状況はどうかとの御質問にお答えいたします。 みやぎマリアージュ推進プロジェクトでは、都市農村交流の推進を取り組みの柱の一つとしていることから、観光やグリーンツーリズムを推進する関係機関と連携しながら取り組むことが重要と考えております。このため県関係各課や地方振興事務所、関係市町、ワイナリー関係者等を交えた連絡会議を開催するなど、十分に情報の共有を図りながら事業を展開することとしております。また県内のワイナリーを核に、その地域ならではの自然や四季折々の食材を味わえる農産物直売所、農家レストランなどの情報を発信することとしており、関係機関と連携しながらワイナリーやマリアージュの要素を加えたグリーンツーリズムの取り組みにつながるよう努めてまいります。 次に、二年間の事業期間は事業目的の達成に十分かとの御質問にお答えいたします。 みやぎマリアージュ推進プロジェクトについては、ワイナリー関係者や県関係各課、関係市町などと密接に連携して事業を進めることにより、二年間の事業期間で成果を上げてまいりたいと考えております。このプロジェクトにより、県内の各ワイナリーの知名度が向上し、その周辺の農村空間を訪れる方々が増加するとともに、多くの方々にワインと料理の食べ合わせを楽しむマリアージュという文化が認識され、各ワイナリーが新しい六次産業化のモデルとして地域に定着することを目指して取り組みを進めてまいります。県といたしましては、この取り組みを契機に各ワイナリー関係者や地域の方々が創意工夫を凝らし、地域の農林水産業が更に活性化することを期待しております。 以上でございます。 ○議長(中島源陽君) 五十一番安部孝君。 ◆五十一番(安部孝君) それでは、再質問ということでお伺いしてまいります。 観光振興の中の簡単に言えば宿泊税の部分の観光振興財源検討会議、この部分についてであります。 事例として過去においてそういった地元の県営施設、駐車場の有料化に伴う観光の財源の確保に使われるという趣旨からちょっと外れてだんだん見えなくなったという経過があったので、今度は一年間かけて御議論をなさって、有識者の方々の賢明なる、慎重なる判断ということにはなるかと思いますけれども。知事、ここ入り口の議論として、これから詳しく、詳細にということはわかるんですけれども、これを検討会議として立ち上げるわけですから、一つの考え方、イメージというのはあるかと思うので、例えば東京とか大阪というのは調べますと一万円未満は対象にしないということで、簡単に言えばゼロ円と、一万円からは百円と、一万五千円からは二百円と、大阪の場合は更に三百円というそういうところもあって、京都はちょっと別格で最初から二万円未満も二百円取るということで、だんだん五百円、千円となっていくということで。大阪と東京の例というのは、東京の場合だと約二十億円台の収入があると。あるいは大阪の場合だと十億円だと、正確じゃないですけど大体。それから京都の場合は四十数億円だということでございまして、いずれにせよ宮城県は後発なわけですから、どこかの実施の先進モデルをとっていくということなんですけども、この辺のちょっと参考にする入り口の部分での知事の考えというのはお持ちでございますか、この金額のことについてでございますけれども。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今回お認めいただけましたら条例設置で検討会議を立ち上げるわけでありますけれども、私は担当のほうには結果、結論ありきではなくて、宿泊税ありきではなくて、もちろん宿泊税というのは有力な案だと思いますけれども、宿泊税ありきではなくて、もっと大きくその財源検討の必要性から入って、財源確保を行う理由そして財源の負担のあり方、こういったようなことをしっかりとゼロベースでいろんな有識者の方に御議論いただいて御提案をいただくようにというふうに指示をしておりますので、現時点においてはどの県のどの程度の負担をというような、そういう案を私が持って方針を示しているということでは決してないということでございます。 ○議長(中島源陽君) 五十一番安部孝君。 ◆五十一番(安部孝君) 当然検討会議を立ち上げるわけですから、明確なということではございませんというのは我々も承知はしているところでございますけれども。例えば宮城県の平成二十八年度の観光統計を見ると、ざっくり宿泊というのは九百二十万人ぐらいなんです。一人、簡単に計上を百円と考えれば九億円ですよ。その半分だとすると四億円か三億円かということでありまして、福岡県も今プロジェクトをつくってやってまして、福岡の様子を調べますと大体向こうは三億円ぐらいを財源としてこの観光税で考えていると。北海道も金沢市というところもいろいろ考えてるということで、私らは発展税、環境税さまざまな税のことで議論させていただいて、一〇〇%じゃ当然ないわけですけれども、この財源があることで県土づくりなり県政が、歯車が回り出したということは感じております。ですから安易なということは当然なさらないと思うんだけれども、明確な、私がお話ししたような部分でしっかり県民のコンセンサスをとってということであれば、宿泊税のことについては納得できる方向性をちょっとつくれるのかなと。今回も横山議員なり遠藤議員なども観光の振興でやっぱり財源どうするんだという話がないことには、前に進まないし毎議会観光振興についてはいろんな要望が出てると。村井県政の中でも観光というのは柱の一つを占めると思うので、ここはさまざまな角度から、途中で中間報告も多分あるかと思うんだけど、議会の意見も聞いていただきたいと思うし。以前にも知事のほうにはお話ししましたけど、我々はおかみ会というところとちょっと意見交換したときに、この宿泊税については大変心配しておりました。これが誘客のほうに支障があってはならぬということだと思うので、そのお金を、財源をどう使って宮城県の姿を明確にするかというのはやっぱりきちっと発信して、一年後にはそういったことが理解される形でぜひ提案していただきたいとも思っております。この辺の所感は知事いかがでしょうか。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 当然増税ということになれば影響を受けるところは必ず出てくるわけでありますので、そういったところをしっかりと御理解いただけるように調整してまいりたいというふうに思います。また先に導入した、東京、大阪また京都、こういったようなところが宿泊税といったような観光に資するための税を導入したことによって、観光客の動向がどうなったのかといったようなことも合わせて調べていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。 ○議長(中島源陽君) 五十一番安部孝君。 ◆五十一番(安部孝君) 宿泊税については、よろしくお願いしたいなと思っております。 松島湾ダーランドの構想の件についていろいろと質問していきますけれども。 聞きますとこれ三市三町ですよね。平成二十六年度の市町の市長とか町長がもう四人もかわってるということがありまして、担当者もきっとかわってると思います。だから常に新しい議論をしていかないと宣言があせるという気がします。聞きますと、年に一回だけの担当者、事務レベルでの会議ということになると、先ほどいろんな効果も挙げていただいたんだけれども、推進計画の充足度としては私はちょっと弱いのかなと。本当にやる気だったら担当者の方々が定期的に議論していくと。それからせっかく縮めて言うけど、仙台・松島DMOをつくったのだから、ここを取り入れていくっていう発想をぜひ持ってほしいと思うんですよ。松島をきれいにする会、我々関連県会議員も呼ばれます。私も二十年間出てるんだけど、最初は首長の皆さんが結構出て来てたの。最近はほとんど出て来ないから。残念ながら県の次長クラスも出て来ないんだ。だから出先の機関のちょっとねという話で終わる会議になってるのはすごくもったいないわけです。時間も三十分以内で終わっちゃう、そういう話になると何かもったいない。せっかく集めるのだから、そこをやっぱり今言った形で湾ダーランドの中身の話をするとか、あるいはDMOの皆さんの意見も聞くとかということでやっていかないと、宿泊税の議論になったときにこういった不満もしっかり取り入れるということにならなければならないと思ってるんです。この辺、部長どうですか。あなたも忙しいから、なかなかきれいにする会には来ないけれど。 ○議長(中島源陽君) 経済商工観光部長吉田祐幸君。 ◎経済商工観光部長(吉田祐幸君) 三市三町での打ち合わせは年四回ぐらい開催させていただいておりますけれども、特に昨年度は力を入れて松島湾エリアがDMOのエリアになるように観光庁にかけ合いまして、DMOのエリアになることができたわけでございます。そのときの意見交換については首長様にも入っていただき担当者も入って、山田先生のもとにしっかりと感動し、動機づけさせていただいて職員もやる気を出しておるというところでございます。それからきれいにする会についてでございますけれども、きれいにする会につきまして、もともと設立の趣旨はあったかと思いますけれども、現在御指摘のような、より効果が高まるような運用、とても大事だと思っておりますので、私も含めまして職員がしっかりと参画して意見交換できるように努めてまいりたいと考えてございます。 ○議長(中島源陽君) 五十一番安部孝君。 ◆五十一番(安部孝君) せっかくそのレベルの方々が来るから、会に行くのが楽しいぐらいの、そういう会に、村井知事やってほしいですよ、せっかくだから。いろんな意見を言ってそれでだめなこともある、世の中。でもやっぱり楽しいねっていう部分が観光にないと前に進まないと思いますので、ぜひちょっと見直しをかけていただいて、今復興の途中であるからなかなか大変だとは思うけれども、この管理事務所のあり方とかきれいにする会のあり方を考えていただきたいと思います。 それから、ルートづくり。 たまたまお寺さんの関係で四寺回廊という言葉が、もう言わなくてもわかるけど、瑞巌寺とか山寺とか四つの寺、だんだん定着してきました。これも皆さんのPR含めてルートづくりができたのかなと思います。松島の四大観というのは歴史を持って昔からあるんだけど、部長も忙しいから四つの四大観全部めぐったことはないかと思うんだけど、知事は当然ないと思うんだけれども、割と大高森と多聞山のほうは駐車場があって、きちっと町のレベルも高いんだろうけれども、松島の富山と扇谷はちょっと行かれたら、行きにくい場所になってます、国道もあったりして。そこをやっぱりハード面の整備できちっとやらなきゃいけないし、あとどうやってめぐるんだと。今いろいろな歩き方があって、当然徒歩で歩くというのもあるんだけど、観光課からいただいた、サイクリングのツーリズム、これよくできてます。これずっと見るとここは危ないよっていう部分が結構あります。この危ないよを直すのは県のハード面の仕事なんです。これは危ないよの喚起だけじゃなくて、じゃどうするのと。危ないままでいいんですかということにはならないと思うんで。私の知り合いの自転車好きの人もちょっと行きにくいと。仙台から松島、東松島に行くのは行きにくいということも言われてるんで、その整備はやっぱり県の事業だと思うんで、循環バスのことも含めて少しハード面の整備をしていただきたいんですけど、知事はその辺どんな具合でしょうか。 ○議長(中島源陽君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) おっしゃるとおりでして、個々にはいいもの持ってるんですけど、それをつないで周遊していただかなければならないと。徒歩、自転車あるいは電車、バス、車を使いやすいようにするということが重要でございまして、問題があるようなポイント、優先順位をつけてしっかりと整備をしていくように指示をしたいというふうに思います。 ○議長(中島源陽君) 五十一番安部孝君。 ◆五十一番(安部孝君) そこもよろしくお願いしたいと思います。世界で最も美しい湾クラブの話になりますけれども、富山県というのは来年国際会議やるということで、松島町が世界で最も美しい湾クラブに加入して、本来ならば松島湾全部でやればよかったかなと私的には思ってます。富山県の強みというのは県が主導権をとってやったから、湾沿いの市町村全部つなぐことができているということで、この間のいろんな市町村が、サイクリングロードであるとか道の駅であるとか、全て湾クラブを意識した地域づくりになってると。今回我々は松島湾ダーランドの中で、世界の松島湾にするということになっているので、富山の例なんかも含めて検討なさっていただいて、来年は世界大会がありますから、ぜひ職員も派遣してどうやってつないだらいいかなということを考えていただきたいと思っております。そこは要望ということで。 最後に環境の関係で県有施設の調査ということで、これは評価したいと思ってます。聞きますと、二百カ所ぐらい調査する可能性のある施設があるということで、一番県教育委員会にお願いしたいのは、学校とか体育館とか今つくってるでしょ。あるいは今後つくる予定があるんだけど、そのことについての再生可能エネルギーであるとか新エネルギーの導入方について、現状認識と今後の取り組みについて教育長から御答弁をいただいて終わりたいと思うので、よろしくお願いします。 ○議長(中島源陽君) 教育委員会教育長高橋仁君。 ◎教育委員会教育長(高橋仁君) 県立学校等の県の教育委員会が持っている施設への再生可能エネルギーや新エネルギーの設備の導入については、環境への配慮はもちろんのこと環境の教育という面でも有効であるというふうに考えております。今後新たに着手する施設の建てかえ等の際にその導入について、コストの面もございますので、関係部局とも相談しながら費用対効果等を踏まえて検討してまいりたいと考えております。 ○議長(中島源陽君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩-----------------------------------    午後一時再開 ○副議長(只野九十九君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑、質問を継続いたします。三十二番村上智行君。    〔三十二番 村上智行君登壇〕 ◆三十二番(村上智行君) 大阪北部を震源とする地震により亡くなられた方々、御家族にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。東日本大震災後地元岩沼市におきましても、大阪府高槻市から三年間にわたり職員派遣をいただいておりました。一日でも早い復興をお祈りしております。そして今はワールドカップで大変日本中が盛り上がっております。日本代表のおっさんジャパン、そんなふうにやゆされましたが、大活躍をして日本中が盛り上がっております。皆さんも御存じだと思いますが、日本代表の十番香川選手は八乙女中学校そして県立黒川高校に通っておりました。香川選手を初め多くの日本代表の選手は、震災後沿岸部被災地を訪れ、多くの皆様を励ましていただきました。そして今夜は決戦の日であります。そのときの感謝を込めて今夜は皆さんで日本代表の決勝トーナメント進出を応援したいと思います。 それでは通告に従いまして自民党県民会議スポーツをこよなく愛するスポーツマン村上が一般質問させていただきます。  震災復旧復興の諸課題について。 地域コミュニティー再生事業についてであります。高齢者を対象とした身体・心理・社会など多方面な視点から、実証的な老年学的研究を進めている「日本老年学的評価研究プロジェクト」が東日本大震災七カ月前の平成二十二年八月に岩沼市で全ての高齢者を対象として、暮らしに関する調査を実施し、五千五十八名から回答を得ております。この震災前の貴重なデータを使用し東北大歯学研究科、災害科学国際研究科、千葉大、ハーバード大学公衆衛生大学院、日本福祉大学健康社会研究センターの国際共同研究グループで震災前の地域在住高齢者の被災前の健康状態や行動を含めた、さまざまな要因の調査と津波による死亡との関係性や被災後避難などにより大きく変わる生活環境が健康を左右することに対してなどの研究を行ってまいりました。この研究からは震災前の社会的なつながりが豊かな人は、そうでない人に比べて、心的外傷後ストレス障害PTSDの発症リスクが一三%低く、また、コミュニティーのつながりが強い地域に住んでいる人は個人的な人付き合いの有無に関係なくPTSDを患うリスクが四分の三に減るなどの結果が出ております。そして震災一年後の二〇一二年に四十歳以上の仮設住宅入居者の調査からは集落ごとに集団で仮設住宅に入居した人は、ばらばらに入居した人よりも人間関係が保たれ、手助けをしたりされたりする関係性が多く、更に集団入居の方のほうが精神状態の良好な人が二・五倍多いという結果も出ております。このように地域のつながりが健康を左右すると示した岩沼での研究結果から、人のつながりやコミュニティー形成が、災害時の健康被害を抑制するなど示されております。現在、沿岸部には災害公営住宅整備事業、防災集団移転促進事業、土地区画整理事業など六百を超える居住区域が整備されております。規模の違いはありますがそれぞれにコミュニティーの再生、形成を一層進めていかなくてはなりません。県においても、平成二十七年度から災害公営住宅などにおける、地域コミュニティー機能強化や地域の活性化に向けた活動を支援するため、自治組織などが自主的、主体的に取り組む地域コミュニティー再生活動のための資金などを補助することにより、被災地域の生活環境づくりを支援しております。前に述べた「岩沼プロジェクト」の中心でありました玉浦西地区においても二年前から夏祭りを開催する際に支援を受けており、新たなる町づくりやコミュニティー形成に大いに役立っております。 しかしながら支援期間は最長三年となっており新たなる町でのコミュニティー再生、形成には支援期間の延長が必要と考えますが、現状認識とこれまでの活用実績をどのように評価しているのかお伺いいたします。 事業の財源として、復興基金と被災者支援総合交付金が充てられ、事業実施期間も平成三十二年までとなっておりますが、前にも述べたように地域コミュニティーの再生・形成は災害時における高齢者などの災害弱者の健康被害を軽減することにつながるものと考えられていることから、事業期間の弾力的運用が求められていると思いますがどのように考えているのかお伺いをいたします。 次に、防災集団移転促進事業に伴う移転元地活用について。 移転元地とは沿岸部十二市町において内陸や高台への住居移転を進めている防災集団移転促進事業において、市町が買い取りを行い公有地となった土地であります。十二市町の合計面積は千百四ヘクタールに上っており、それら買い取られた土地は各沿岸部市町の復興計画に沿って活用されており、沿岸部の地理的条件により活用の傾向も異なっておりますが、産業、公園緑地、農地そして公共施設に活用されております。私の選挙区岩沼市においても、千年希望の丘公園や岩沼市二ノ倉地区にもともと住んでいた住民が羊と触れ合うことにより、心のケアや交流の場として、近ごろは観光地としてもにぎわっている「いわぬまひつじ村」などが設置活用されております。県においても平成二十九年三月にはみやぎ移転元地計画策定ガイドラインを作成し、沿岸部市町の支援をしておりますが、元地点在や土地利活用ニーズがないなどの理由により、二百四十四ヘクタールが活用未定の現状維持となっております。このように防災集団移転促進事業により市町が買い取り公有地となった防集移転元地は、公有地と民有地がモザイク状になっております。利活用や管理がしにくいことなどが課題となっており、移転元地の現状についてどのような認識を持っておられるのかお伺いをいたします。 現状維持となった元地については未利用のまま多額の維持管理費用が地元自治体負担になっていくことが今後想定されておりますが、県としての対応や支援についてどのように考えているのかお伺いをいたします。 次に、「みやぎこども育英基金」活用について。 東日本大震災で親を失った未就学児、児童・生徒が安定した生活を送り、希望する進路選択を実現できるよう未就学児から大学生などに対し奨学金を給付しております。給付している「みやぎこども育英基金」には平成三十年五月三十一日時点で一万六千九百八十三件、百九億七千二百九十六万百九十五円の心温かい寄附を国内外からお寄せいただいております。本県において震災により両親をなくした孤児が百三十九人、両親のいずれかを亡くした遺児が九百五十六人となっており合わせて千九十五人の子供たちが親を失っております。震災時大学生を含め現在までに約十七億円が給付されております。平成二十三年の基金創設から支援金、奨学金の給付、平成二十八年度からは震災遺児孤児を養育している里親などへの支援や被災地の子供たちの心のケアに関する支援などに拡充をしております。岩手県においても同様の基金を活用しておりますが、ことしの四月に給付額等の見直しを行っております。本県においても基金の必要額を考慮しながら、奨学金の月額や卒業時の一時金の給付額の引き上げなど、見直しの時期にあると考えますが御見解をお伺いいたします。 以前から同僚の佐々木幸士議員も取り上げておりました、交通海難事故遺児・孤児支援についてです。交通事故及び海難事故による遺児を養育する世帯を支援するため、昭和四十九年に制定された教育手当で月額三千円を支給、寄附が多く寄せられたときは一時金を支給しておりますが、以前から親を失った理由によって支援格差が生じているとの意見もあります。このように震災以外でも交通事故や海難事故などで遺児・孤児となり同じように厳しい生活を強いられている児童生徒に対しても、この基金を活用した支援強化をすべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、仙台空港周辺地域活性化・運用時間延長等についてお伺いをいたします。 平成二十八年七月に国管理空港として初めて仙台空港が民営化されてからちょうど二年を迎えようとしております。民営化からすぐに着陸料の引き下げや従来まで暗かったターミナルビル、国内線到着口ロビーのリニューアルにより、ラウンジ、観光案内所やインフォメーションを新設、そして到着した皆さんを迎える東北六県をかたどったウエルカムボードの設置など、以前の仙台空港一階フロアからは想像もできないくらい大きく変化をしております。民営化になるとこんなにも違うのかと大半の空港利用者は実感しているはずであります。実際私も空港がより明るくなり、飛行機に乗らずともアライバルカフェで昼食や新設されたランナーズポートを使い、空港周辺を走るなどの声をよく聞かれるようになり、空港利用者の幅が従来までと比べ着実に拡大していることを実感をしております。 このような大きな変化をもたらしたのは、地元三区の西村明宏衆議院議員の尽力そして村井知事の強い国会への働きかけもあり、平成二十五年六月に成立した民活空港運営法の成立によるものであります。この法律の目的である航空系事業と非航空系事業の経営の一体化、民間の知恵と資金の活用、空港間の競争環境の醸成などにより空港経営の徹底的な効率化を図り、現状の赤字を最小化ないし解消し事業価値の最大化を図ることを目指すとなっております。仙台空港はこの二年間スカイマーク神戸便の再開、国際線LCCの就航、ピーチ・アビエーションの国内三番目の拠点化などの路線拡大により、平成二十九年度仙台空港旅客利用者数は過去最多となる前年比八・七%増の三百四十三万八千六百三十人になり平成十八年度以来十一年ぶりに記録を更新しております。このように数字の上からも民営化の効果があらわれていると言えるでしょう。村井知事は民営化からの二年間をどのように評価しているのか初めにお伺いをいたします。 そして航空系事業、非航空系事業の一体化運営により民営化の効果により旅客者数などは成果が出ております。今後の運営会社が目標に掲げている旅客者数を達成するためにも、県がこれまでも実施しているパスポート取得促進や海外教育旅行などがありますが、今後一層の空港利用促進や航空需要の喚起などの取り組みが必要と思いますが、新たなる取り組みなどは考えているのかお伺いをいたします。 仙台空港国際株式会社では計画の中で民営化五年後の二〇二〇年の目標は国内線三百六十二万人、国際線四十八万人、合わせて四百十万人となっており、東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせ、東北地方においてのインバウンド増加も見込まれ目標達成に大いに期待をするところであります。そして現在は将来にわたって十分な旅客取扱能力を拡充するため空港ターミナルビル西側にゲート機能、待合スペースを有する搭乗施設ピア棟を建設中であり、ことしの十一月には供用開始予定となっております。三十年後の五百五十万人達成に向け空港施設整備が着実に進んでいるものと思われます。今後も利便性向上に努め新規就航や利用客をふやしていくためには、現在七時三十分から午後九時三十分までの十四時間となっている運用時間について具体的に検討するタイミングと思いますが、県として現状の運用時間についての基本認識をお伺いします。 また、騒音調査などの結果についてはどのようになっているのかもあわせてお伺いをいたします。 現在の十四時間に運用時間を延長する際の取り組みは、平成三年十月から運用時間延長について名取市、岩沼市との協議を始め、六年後の平成九年三月に両市と三時間延長に関する覚書の締結をしております。従来から関係市当局、周辺住民と慎重に協議を重ね運用時間延長を実現してまいりました。当然のことながら県としても、運用時間延長に対しては慎重に対応していかなければなりません。過去、運用時間延長の際の協議からも多くの時間を要しておりますが、運用時間延長についてのプロセスを現時点においてどのように考えているのかお伺いをいたします。 東北地方における外国人宿泊者数は二〇一五年に震災前の水準に回復し、二〇一六年に政府が掲げた二〇二〇年までに震災前の三倍に当たる百五十万人泊を達成すべく東北観光復興対策交付金を活用して各種の戦略的プロモーションなどを東北観光推進機構や各県において展開し、東北地方外国人宿泊者数は前年比四六%となり、伸び率は全国平均の一二%を大きく上回っております。仙台空港にはこの好機を逃すことなく、海外や西日本地域からの誘客につなげ、東北の玄関口として二次交通を活用し、東北各地域に波及することがより求められております。そのことからもLCCの新規就航や国際定期便の拡大等により仙台国際空港の機能強化を図るためには、以前から航空会社からのニーズもある、早朝や深夜便の対応を可能とするために運用時間延長は必要条件と言えるでしょう。今後は、名取、岩沼両市と周辺住民そして空港運営会社の意向も踏まえながら運用時間延長について協議を進めていくと思いますが、県の果たすべき役割はどのようになると考えているのかお伺いをいたします。 次に、周辺地域活性化について。 県防災ヘリポート施設は東日本大震災の津波により全壊し、これまで仙台空港敷地内で運用しておりましたが、ことし五月に滑走路南側の中坪・荷揚場にある仙台空港フロンティアパークに移転復旧しております。防災ヘリポートは移転地が決まらず復旧まで時間を要しておりましたが、同時に施設隣には仙台市消防航空隊も移転復旧し、本県の防災力向上につながるものと大いに期待をしております。 この仙台空港フロンティア工業団地は震災後整備をされた工業団地であり、ヘリポートのほか、現在までにヘリコプター運航会社二社が進出をしておりますが、仙台空港南側に隣接し仙台東道路や仙台塩釜港仙台工区とアクセスもいいことから、引き合いもあると以前からお聞きをしておりましたが、現状と今後の見通しをお伺いをいたします。 空港周辺地域の活性化に向けてはこれまで、岩沼市、名取市と組織する仙台空港周辺地域活性化検討会議を設置し、周辺地域の土地利用の可能性などを検討されておりますが、民営化から二年が経過しようとしており、県としてより一層の取り組みが周辺地域からも期待をされております。岩沼市においても来年度完成予定の矢野目西工業団地もあり、ヘリコプター関連のみならず航空機産業などの広く波及効果のある産業や集客施設誘致など、空港発展に大いにつながり、周辺地域の活性化に県としての取り組みをどう考えているのかお伺いをいたします。 次に、県財政運営について。 平成二十六年度から平成二十九年度までの四年間を計画期間とする「みやぎ財政運営戦略」を策定し、財政の健全化と持続可能な財政運営の実現と迅速かつ創造的な復興のための予算の重点配分の実現を目標に定め、県税収入などの未収金縮減や事務事業の見直しに取り組まれ、実質公債費比率や将来負担比率の安定化やプライマリーバランスの黒字化など一定の成果を上げていると評価をしております。そして今年度からは震災復興計画における発展期の三年間を確実な事業展開を果たすための財政運営を示した「新・みやぎ財政運営戦略」がスタートをしております。これまでは震災復興事業などにより景気回復基調を反映して、建設関係企業などの法人事業税の増加などにより三千億円を超える県税収入が見込めておりましたが、今後は復興関連事業の減少に伴い、一定の県税収入に落ちつくものと想定されますが、これから計画期間でもある三年間の県税収入の見通しや復興事業の財源確保など、どのような財政運営に努めていくのか改めてお伺いをいたします。 また、財政調整基金や県債管理基金一般分など財政調整機能を持つ基金活用については、景気動向や大規模災害や国の政策変化に対応し、安定的な財政運営を行うためには、標準財政規模の一〇%程度の残高を確保することが必要と考えていると以前から示されておりますが、財政調整機能を持つ基金の今年度末残高は二百六十四億円となっており、標準財政規模約五千億円の本県としては一定水準の基金残高を確保できてない状況であると言えます。 現状の基金残高についてどのような認識を持っているのか、また以前にも質問しておりますが復興事業分、災害復旧分などに区分されている地域整備推進基金の分野区分の見直しについて、震災復興特別交付税など交付税の後年度の精算や返還分だけを切り離し、その他は財政調整基金や復興基金などに振り分けて機能強化や活用範囲を拡大することが有効と考えますが、見解を改めてお伺いをいたします。 最後に、県営住宅について。 県営住宅は現在県内各地に普通県営住宅、改良県営住宅、特定公共賃貸住宅を合わせて百一団地、管理戸数として九千四十八戸となっており、平成三十年三月末では入居数八千百二十七戸、空き家戸数九百二十一戸、空き家率は一〇・二%となっております。昨年の公明党の遠藤議員そして伊藤両議員の一般質問でも取り上げられておりました、空き家による共益費や自治会費の減収問題です。岩沼市内にも三カ所七百二十二戸に入居数六百三十九戸、空き家戸数は八十三戸となり、空室率は普通県営住宅平均を上回る十一%となっております。そして今月二十一日に県営住宅の定期募集の抽せん会がありましたが、三カ所の県営住宅の募集戸数は八戸であり、空き家戸数に対する充当率は一割以下となっております。二百三十戸ある亀塚住宅、岩沼市にあります亀塚住宅においては、共益費と自治会費を合わせて月千円を徴収しており、自治会行事や集会所運営費、団地内の街路灯電気料や電球交換などに充当をされております。現在団地の空き家戸数は二十戸に上っており前にも述べましたが、今回の定期募集は二戸にとどまっており退去者が出ることを考慮すれば慢性的に空き家戸数は一向に減らず、共益費や自治会費も入らず、一世帯当たりの負担が増加するという悪循環に陥っているように思われます。現に自治会の運営に大変苦労しているとの声も寄せられております。このような状況は岩沼市の県営住宅に限ったことではなく、県営住宅全体にも当てはまる共通課題であり、県としてどのような認識を持っておられるのかお伺いをいたします。 また、一戸当たりの修繕費が高騰し、結果として修繕できる戸数が限られるということでありますが、募集倍率が高いところは集中して修繕することや、単価高騰分の予算増額といった対応が求められていると思いますが、御所見をお伺いいたします。 以上、壇上からの質問を終わらせていただきます。 御清聴まことにありがとうございます。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 村上智行議員の一般質問にお答えいたします。大綱四点ございました。 まず大綱一点目、震災・復旧復興の諸課題についての御質問のうち、みやぎこども育英基金の活用についてのお尋ねにお答えいたします。 育英基金につきましては多くの皆様から温かい御支援を賜り多額の御寄附が寄せられています。基金の使途については震災遺児・孤児に対する奨学金の給付事業を中心として、平成二十八年度からは寄附者の方々からの御賛同をいただき、被災地に暮らす子供たちの支援を目的とした他の事業への拡充を図ってまいりました。しかし震災から七年が経過していることから改めて基金の使途について見直しを行うこととし、特に奨学金につきましては震災遺児・孤児が希望する進路を選択できるよう、現在の給付対象者のニーズの把握や就学費用に関する各種統計データの検証を行い、隣県の状況も勘案した上で給付額の増額を含む制度の拡充について検討を行うことといたしました。あわせて交通事故等の震災以外の要因により遺児・孤児となった子供たちへの支援の拡充についても、あわせて検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、仙台空港周辺地域活性化・運用時間延長等についての御質問にお答えいたします。 初めに、民営化からの二年間の評価についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県では震災からの創造的復興をいち早くなし遂げるため全国に先駆けて空港民営化に取り組んできたところであり、平成二十八年七月の民営化から間もなく二年を迎えます。運営権者である仙台国際空港株式会社では民間の資金と知恵を活用して、空港の運営に当たっており、新たな航空路線の就航やターミナルビルの改修、隣県の主要都市への直行バスの運行などに取り組んでおり、利便性が格段に向上していると認識しております。その結果航空路線数の増加とともに平成二十九年度の仙台空港旅客者数が過去最高を記録し、ヒト、モノの交流拡大を通じた地域経済活性化に向けて順調な滑り出しであると受けとめております。仙台空港が名実ともに「東北の玄関口」にふさわしい空港となるためには更なる利用の拡大が必要であると考えており、今後とも仙台国際空港株式会社や地元経済界とともに仙台空港の発展に向けて取り組んでまいります。 次に、運用時間に係る基本認識及び騒音調査等の結果についての御質問にお答えいたします。 我が県のみならず東北全体が人口減少していく中で持続的に発展していくためには、交流人口の拡大が必要であり、仙台空港は東北の玄関口として重要な役割を担っているものと考えております。今後仙台空港を利用する航空旅客を飛躍的に増加させていくためには、LCCを中心とした新規路線の積極的な誘致が必要であり、航空会社の要望に応じた柔軟な運用時間の設定も重要な課題と認識しております。このため仙台国際空港株式会社とともに運用時間延長に伴う騒音予測調査を進めているところであり、結果がまとまり次第、名取、岩沼両市及び関係住民の皆様にお示しをいたしまして意見交換をしてまいりたいと考えております。 次に、運用時間延長の協議を進めるに当たり、県の果たすべき役割についての御質問にお答えいたします 仙台空港は我が県はもとより東北にとって極めて重要な公共インフラであり、その将来のあるべき姿については県が積極的にかかわるべきものと考えております。県といたしましては運用時間延長の効果やその必要性について仙台国際空港株式会社とともに説明し、地域住民や関係機関の御理解が得られるよう取り組んでまいりたいと思います。 次に、大綱三点目、県財政運営についての御質問のうち、今後三年間の県税収入の見通しや財政運営の方針についてのお尋ねにお答えをいたします。 県税収入については平成二十九年度最終予算額が平成二十八年度決算額と同程度にとどまるなど復興関連需要の減少もあり、今後はこれまでのような大きな伸びが期待しにくい状況にあります。一方、歳出面においても社会保障関係経費の増加や公債費の高止まりなどが見込まれており、厳しい財政状況が続くものと認識しております。今後とも国の特例的な財政支援に加え、東日本大震災復興基金などの県の独自財源も有効に活用することにより、復興事業の完遂に万全を期すとともに「新・みやぎ財政運営戦略」に掲げました歳入歳出両面にわたる取り組みを着実に実施することにより、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 総務部長伊東昭代君。    〔総務部長 伊東昭代君登壇〕 ◎総務部長(伊東昭代君) 大綱一点目、震災復旧・復興の諸課題についての御質問のうち、防災集団移転促進事業における移転元地の維持管理費用についてのお尋ねにお答えいたします。 利活用の方向性が未定の移転元地については維持管理費用を自治体において負担することとなるため、被災市町の財政運営上大きな課題であると認識しております。これまで政府要望や国のヒアリングなどの場において、維持管理費用に対する財政措置を求めてきておりますが実現には至っていないことから、県といたしましては今後ともさまざまな機会を捉え国に対する働きかけを続けてまいります。 次に、大綱三点目、県財政運営についての御質問のうち、財政調整関係基金の残高への認識及び地域整備推進基金の機能強化等についてのお尋ねにお答えいたします。 財政調整関係基金の残高については平成二十五年度をピークに減少傾向にあるほか、今年度当初予算においては百四十七億円に上る取り崩しを余儀なくされており、経済情勢の急変や国の制度改正等への対応も考えると、現在の残高は十分とは言えないものと認識しております。そのため「新・みやぎ財政運営戦略」においては健全で持続可能な財政運営のための取り組みとして財政調整関係基金の確保を掲げており、執行段階における節減等も含め今後とも残高の確保に努めてまいります。一方、地域整備推進基金のうち「復興事業分」及び「災害復旧事業分」については東日本大震災復興基金とともに復興の総仕上げに向けた取り組み等に活用しているところです。今後平成三十三年度以降に必要となる事業の規模や期間等について精査を進めることから、両基金のあり方についても復興計画期間後を見据えて検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 震災復興・企画部長江口哲郎君。    〔震災復興・企画部長 江口哲郎君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(江口哲郎君) 大綱一点目、震災復旧・復興の諸課題についての御質問のうち、地域コミュニティー再生支援事業の現状認識と活用実績の評価についてのお尋ねにお答えいたします。 地域コミュニティー再生支援事業は平成二十七年度の制度創設以来活用実績も大幅に増加しており、住民からは本事業を活用した夏祭りや茶話会などを通じて住民間のコミュニケーションが取りやすくなったとの声が寄られるなど、コミュニティー再生に大きな役割を果たしているものと認識しております。この事業は復興に取り組む市町を支援するため、県としても、コミュニティー再生に向けてスタートアップ支援が必要であるとの考えから補助期間を最長三年として始めたものでありますが、昨年度被災市町や自治会にヒアリングしたところ、今後は住民主体で活動できると答える自治会がある一方で、自立に向け一部支援を継続してほしいとの声もありました。このため今年度からは、四年目についても支援の対象とするとともに、アドバイザー派遣事業を拡充して個々の自治会の実情に応じたきめ細かな支援につなげていくこととしたところです。県としては今後とも、市町や自治会の意向を十分に踏まえながら必要な支援を行ってまいります。 次に、実施期間の弾力的な運用についての御質問にお答えいたします。御紹介のありました岩沼プロジェクトは、震災前後の高齢者の健康や社会生活の変化を調査研究したものであり、被災地域におけるコミュニティー支援の重要性を示唆するものと考えております。復興を成し遂げ被災者一人一人が生きがいを持ち安心して暮らせる地域コミュニティーを再生していくためには、復興の進捗状況に応じて今後も継続的な支援が必要となることから、県としては平成三十三年度以降についても、被災市町の実情に応じた支援ができるよう必要な財源を確保し、地域コミュニティーの再生に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 経済商工観光部長吉田祐幸君。    〔経済商工観光部長 吉田祐幸君登壇〕 ◎経済商工観光部長(吉田祐幸君) 大綱二点目、仙台空港周辺地域活性化・運用時間延長等についての御質問のうち、仙台空港フロンティア工業団地の現状と見通しについてのお尋ねにお答えいたします。 仙台空港フロンティアパークについては平成二十八年四月の分譲開始以降、空港に隣接している優位性を生かし、航空関連の企業や空港を活用する製造業を主なターゲットとして誘致活動を進めております。その結果県の防災ヘリポート施設やヘリコプター関連の企業二社が立地し、またリチウムイオン電池の製造を計画している外資系企業が具体的に立地を検討しているほか、複数の企業に用地を提案している状況です。今後の見通しとしては折衝中の企業に対してきめ細かい誘致活動を行い、立地決定を促すとともに引き続きこの団地の優位性を県内外の企業に積極的にPRしてまいります。更に岩沼市との連携により岩沼市臨空工業団地協議会会員企業を訪問するなど、地元企業への働きかけも行い、空港及び周辺地域の活性化に寄与する企業の立地集積を推進してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 土木部長櫻井雅之君。    〔土木部長 櫻井雅之君登壇〕 ◎土木部長(櫻井雅之君) 大綱一点目、震災復旧・復興の諸課題についての御質問のうち、防災集団移転促進事業における移転元地の現状認識についてのお尋ねにお答えいたします。 防災集団移転促進事業により市町が買い取った移転元地の利活用や管理は重要な課題であると認識しております。これまで県では移転元地の利活用を促進するため、その方策や先行事例を紹介する「みやぎ移転元地計画策定ガイドライン」による情報提供のほか計画策定に向けた助言、公有地との交換時に課税される不動産取得税の免税措置などの支援を行ってきました。その結果、買取済み面積の約九割において産業用地や公園など利活用計画がまとまっているところであります。残りの移転元地は土地利用上のニーズも低く、具体的な利活用が難しい地区もありますが、土地の交換や整序などの工夫を行うことで利活用が図られる可能性もあると認識しております。県といたしましては復興予算を用いた移転元地の更なる利活用を促進するため、引き続き各地区の個別事情を踏まえた事業提案をするなど市町を積極的に支援してまいります。 次に、大綱二点目、仙台空港周辺地域活性化・運用時間延長等についての御質問のうち、空港利用促進や航空需要喚起等の新たな取り組みについてのお尋ねにお答えいたします。 仙台空港の利用客の拡大や航空需要の喚起を実現するためには、インバウンドのみならずアウトバウンドも含めた双方向の取り組みが重要であると認識しております。県ではこれまで仙台空港から海外旅行へ出発する若者を対象に、パスポート取得費用の一部を助成する国際線利用促進キャンペーンや海外教育旅行の促進に取り組み旅行需要の拡大を図ってきております。この取り組みは特に若年層の航空需要の拡大に一定の効果があらわれていることから、今年度も引き続き実施してまいります。また県や東北観光推進機構、仙台国際空港株式会社などが参画する仙台空港国際化利用促進協議会では、今年度からの新たな取り組みとして、東北全体の法人をターゲットとした仙台空港サポーターズクラブをことし三月に設置し、その活動を本格化させるとともに外国人旅行者に対して東北を周遊する観光ルートの情報を発信するなど、東北が一体となって航空需要の喚起に努めることとしております。 次に、運用時間延長のプロセスについての御質問にお答えいたします。 仙台空港はこれまで地元の皆様の御理解と御協力のもとに三千メートル滑走路への拡張整備や現行の運用時間となる十四時間での運用時間の延長を進めてまいりました。運用時間の延長は何よりも地元の皆様の御理解が前提となりますことから、まずは運用時間の延長に関する考え方や騒音予測調査の結果などをまとめ、両市及び関係住民の方々に提示させていただき意見交換を重ねてまいります。その後に航空会社の運行計画を踏まえ国と協議を行い空港運用時間の延長を進めてまいります。 次に、空港周辺活性化に係る県の取り組みについての御質問にお答えいたします。 仙台空港周辺地域は空港や高速道路のインターチェンジが近接することから、これまでものづくり産業など多くの企業が集積しており、極めて立地条件のよい地域であります。このため名取市や岩沼市においては、雇用や産業振興など空港周辺地域の活性化のための計画を策定し企業の誘致等を進めてきたところです。今後仙台空港の利用拡大が進展すれば航空関連産業の更なる集積やホテルなどの集客施設の立地も期待できますことから、県といたしましては、空港周辺地域の開発可能性や企業進出につながる受け入れ環境をについて検討するほか、企業誘致に当たって空港に隣接する地区の優位性について情報の提供を行うなど、両市による地域活性化の取り組みをしっかりと支援してまいります。 次に、大綱四点目、県営住宅の管理運営についての御質問にお答えいたします。 修繕することにより募集が可能となる県営住宅の空き家戸数については、平成二十八年度末では五百八戸、平成二十九年度末では七百九十七戸と増加しております。入居者が共通して使用する施設の維持管理費である共益費については、入居者において負担することとなっていることから、空き家率が高い団地においては入居者の負担割合は高くなり、また自治会については収入の減少により活動に影響が生じていくものと認識しております。県といたしましては昨年度から応募倍率が高く空き家戸数が多い団地の修繕を優先的に実施して募集するとともに、市町村が管理する公営住宅とも十分調整を図りながら、県民のニーズにできる限り応えられるよう取り組んでいるところです。今後もこうした取り組みを徹底することで県営住宅の適切な管理運営に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 三十二番村上智行君。 ◆三十二番(村上智行君) ありがとうございます。それでは一点目のほうの地域コミュニティーのほうなんですが、こちらの事業そのものが平成三十二年度までというふうになって、先ほど部長のほうから、あとは延長というか財源確保に動いてくれるというか、今後働きかけるということであります。やはり必要なんですよね。町内会長さんだったりとか町のコミュニティーの役員の人たちが、とにかく五年くらいは頑張ってもらって、その後、やはり自立に向けていくっていうふうにしっかりとまず土台をつくってやんないと、このいろんなデータを読んでたら、やはり本当に地域の結びつきがあるとすごく面倒くさいこともいっぱいあるんですけど、やはりいざというときにはすごく力になるんです。それが後々まで影響が出てくるんで、トータルで見たらやはりここんところは、きちっと三年と言わず四年と言わず、最低でも五年は、きちっとやっていったほうが後々、後世にいい決断をしたなと思われるはずでありますので、そちらのほうもう一度お願いします。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 部長から答弁いたしましたけれども、四年目につきましても支援の対象とすると、またアドバイザー派遣を行うということでございますが、五年目についてはニーズを捉えながら、柔軟に対応してまいりたいというふうに思っております。 ○副議長(只野九十九君) 三十二番村上智行君。 ◆三十二番(村上智行君) そして、こども育英基金、知事大英断ありがとうございます。やはり岩手ですとか、皆さんと比べて奨学金の金額がちょっと低いんじゃないのかとかっていうふうないろいろ話もありましたが、七年過ぎて皆さん学校に入学するということもあり、ここでひとつ見直しをかけたということで大変喜ばしいことでありますので、皆さんの意に沿うようにぜひとも増額していただきたいと思います。よろしくお願いします。限りはありますから、基金のね、そういったところを見越しながらしっかりやっていただきたいと思います。 そして仙台空港です。仙台空港の時間延長は、もちろん過去六年間かけていろいろと協議をしてきた、三時間延長の際もそれくらいかかったと記録されております。やはり今回もどれくらいの延長というか、知事はよく二十四時間とかそういうふうな話もあります。将来を見据えながら議論をするということは大事であります。しかしながら、地元、今まで関係してきた名取、岩沼そして周辺住民の皆さんときちっと信頼関係のもとにこの話を慎重に進めていただきたいと思います。いろいろと先行してやるのも必要な場合もありますが、やはりこれは皆さんの理解の上で初めて成り立つことでありますので、きちんと慎重な態度というわけじゃないですけど、姿勢で取り組んでいただきたいと思いますが、知事はどういうおつもりですか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これは当然地域住民の皆さんの考えているものをよく聞いた上で、理解いただきながら進めなければならないというふうに思ってございます。当然そのベースとなる調査も必要ですので、騒音予測調査を今進めておりますのでその結果がまとまったら、それぞれ名取、岩沼、協議会がございますので、協議会を通じましてお話し合いをしていきたいというふうに思っております。皆さんの御理解をいただきながら進めるということが大前提であります。 ○副議長(只野九十九君) 三十二番村上智行君。 ◆三十二番(村上智行君) そちらのほうはじっくりと名取、岩沼の皆さんとお話をしていただきながら進めていただきたいと思います。決して延長を否定するわけでありませんし、より仙台空港が発展することによって周辺地域そしてひいてはこの宮城、東北全体にも波及するということは十分理解をしておりますので、進め方であります。その進め方を間違えないようにしていただきたいと思います。 そして県営住宅のほうなんですが、こちら、要は修繕費、リフォーム代の高騰だと思います。震災後労務単価ですとかそういったものも、全て上がりました。その影響が出ているものと理解をしているんですがそれでよろしいでしょうか。 ○副議長(只野九十九君) 土木部長櫻井雅之君。 ◎土木部長(櫻井雅之君) 確かに、修繕費の高騰要件というのは確かにございます。一割から二割程度、震災前より上がっているなあというふうには思ってございます。募集率が高いところを優先的に修繕するということ、昨年の九月から方針を切りかえましてやってございます。またこういった取り組みもかなり効果があるというふうに思ってございまして、まずはそういった取り組みをしっかりと進めていく必要があろうかというふうに思ってございます。 ○副議長(只野九十九君) 三十二番村上智行君。 ◆三十二番(村上智行君) そちらのほうはもちろん進めていただくことは当然なんですが、やはり予算のほうです、これ上げないとだめだと思います。そうすると人気のないところはずっと空き室になっていきますから、ここはこれから復興需要も落ちついていくわけですから、こちらのほうはニーズはあるわけでありますので、予算のほうを少し上げていただくということをしないと解決にはつながりませんがどうでしょうか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 募集しても募集定数を割るようなところもございますので、どこでも修繕すればいいということでは決してないというふうに思ってございます。そういった意味ではやはり募集倍率が高いところ、また空き家戸数が多いというところは優先的にやっていかなければなりません。全体のバランスを見ながら予算のつけ方というものもよく検討してまいりたいというふうに思います。 ○副議長(只野九十九君) 三十二番村上智行君。 ◆三十二番(村上智行君) そちらのほうはお願いします。それとすいません、防集について、移転元地なんですが、こちらのほうは活用しやすい土地というのはどんどん早目に決まっていくんです。残ったところが、これどうしようもないところも出てくるはずなんです。そのときどうするかっていうことなんです、そちらの維持管理をするにしても、一般財源で沿岸部の自治体は出していかなくてはなりませんので、そのあたりの財政負担というのは結構大きなものになっております。あと県のほうも復興まちづくり推進室、これなくなりますよね、あと三年もすれば。そういうふうなところの、後の体制も考えて、ぜひともやっていただきたいんでもう一度お願いします。 ○副議長(只野九十九君) 土木部長櫻井雅之君。 ◎土木部長(櫻井雅之君) 先ほども答弁いたしましたが、なるべくまだ利活用が決まってないところについての提案も含めて、また、維持管理に対する財政的な支援も国に再度求めていくと思っておりますし、復興まちづくり推進室、復興がなくなりますと基本的には、それぞれの所管の中でそれぞれの市町が抱えている問題を現有勢力の中でキャッチアップしていくということになろうかと思います。復興まちづくり推進室、今それぞれの被災市町で抱えてる問題を洗い出しながら進めてございますので、復興期間ある限り、いろいろな問題を洗い出しいたしまして、いろいろと提案をしてまいりたいというふうに思ってございます。 ○副議長(只野九十九君) 三十二番村上智行君。 ◆三十二番(村上智行君) 以上で終わります、空港に関してはくれぐれも慎重に進めていただきますよう申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。 ○副議長(只野九十九君) 二十五番遠藤いく子君。    〔二十五番 遠藤いく子君登壇〕 ◆二十五番(遠藤いく子君) 初めに、一般質問をするに当たりまして、私、体調の都合により着座をして質問を行いますこと、どうぞ御了承いただきたいと思います。 まず、大川小学校訴訟上告問題についてです。 大川小学校訴訟に関する上告承認の議案について伺います。 控訴審判決の中心点は子供の命を徹底して守ることこそ学校及び教育行政の根源的義務であるという判断を根底に据えたこと、また、控訴審判決が指摘した事前防災の不備とは、想定できなかった東日本大震災の到来によるものではなく、発生確率が高いと言われていた宮城沖地震想定に対する事前防災が不備であったことを指摘しました。この判決を真正面から受けとめ学校防災の転換を図ることこそ県行政に期待されており、上告を承認することはできません。この件で、議会に対する説明と対応は異例ずくめでした。全員協議会の中での知事答弁は何度も訂正あるいは撤回されました。知事に伺います。全員協議会では事前防災に不備はなかったと断言したにもかかわらず、その後の定例記者会見で、「現時点で判断しかねる。わからないというのが正直な気持ち」と変化したのはなぜですか。言いかえた理由をお答えください。また、東日本大震災のようなマグニチュード九クラスの地震は予見不可能であったから管理者の責めに帰すべきではないと、全員協議会で私の質疑の中で何度も繰り返し答弁されたことについて訂正されたと受けとめてよろしいですか。 大川小学校の悲劇を初め私たちは痛苦の体験をいたしました。奪われた一人一人の未来と無念さを踏まえて宮城から学校防災の確立を進めなければならない、知事にその決意を伺います。 続いて、学校防災について、学校防災には三領域がありますが私は今回、災害・安全を中心に質問いたします。まず学校の災害対応の大前提となる地震被害想定についてです。宮城県における地震被害想定は第四次調査が東日本大震災によって中断・中止となったため、平成十六年三月の第三次被害想定調査が直近のものです。宮城沖地震の単独型・連動型・長町-利府線断層帯型を対象とする被害がまとめられています。今回の大阪北部地震は断層型で、どこでも起こりうると警鐘が鳴らされています。第五次想定調査を急ぐべきと思いますがいかがですか。 現在市町村のハザードマップのもとになっている浸水予測図は、東日本大震災の浸水実績をもとに示されています。私は平成十六年三月に内閣府・農水省・国交省がまとめた「津波高潮ハザードマップマニュアル」に基づき、緊急にバッファゾーンを設けて市町村に示すべきと考えますがいかがですか。 さて平成二十三年十二月に津波防災地域づくりに関する法律が制定されました。しかし宮城県では基礎調査にもまだ着手しておりません。津波防災地域づくりに関する法律の対象は発生頻度が低いが被害が甚大であるものとありますが、津波浸水想定の設定はいつまでに行うのか、一刻も早く作業に着手することを求めますがいかがですか。 東日本大震災痛苦の経験の把握と教訓について伺います。これは教育行政のみならず宮城県政全体に課せられた重大な責務です。しかし宮城県では児童生徒の被災についてその全面的把握はしないまま、今日に至っていると言わざるを得ません。一例を挙げます。死亡行方不明を出した学校は九十五校に上っていますが、文科省調査では津波による浸水が予想された学校と実際に津波が来た学校に限定して調査したため、宮城県の学校安全基本指針では児童生徒の犠牲を出した学校は二十三校としか明示されておりません。また県内で死亡行方不明となった四百三十人の児童生徒のうち学校管理下で亡くなった児童生徒が何人で、保護者に引き渡された後の犠牲は何人だったのかも明らかになっておりません。更に高校生の犠牲は中学生より多く公立で八十七人、私学六人で合計九十三人、県立高校では三十校に上っていますが、学校設置者として県教委は独自の把握を行いませんでした。子供たちの最後の姿を把握し公表することは彼らの生きたあかしを明らかにすることであり、学校防災の確立を図る前提だと私は思います。その点をないがしろにしてきた県教育行政の基本姿勢は反省して改めるべきと思いますがいかがですか。 また県教委のその姿勢が学校防災の取り組みに曖昧さをもたらしていることについて以下伺います。 防災マニュアルについて私は緊急を要する取り組みとして浸水域にある学校、川沿いに立つ学校、学区内に浸水域がある学校についてマニュアルの点検を行うべきと思いますがいかがですか。それぞれ何校あるのかもあわせてお答えください。 次に、犠牲となった小中学生二百六十一人のうち下校中の犠牲は何人でしたか、改めて伺います。スポーツ振興センターは東日本大震災特別弔慰金制度をつくり、学校管理下であることを前提に弔慰金を支給しました。宮城県内での支給は何人でしたか、それは学校管理下と考えていいのですね。 下校中の犠牲に関連して保護者への引き渡しについて伺います。 岩手、福島とも津波警報解除までは引き渡さないと県教委が決めていますが、宮城では、「交通事情や地域特性を考慮して事態に対応する」としています。大震災で下校中に最も多数の犠牲者を出した宮城県の方針が学校任せのようであってはなりません。改めるべきと思いますがいかがですか。 小中学生二百六十一人のうち下校中や自宅、地域など在校以外で亡くなった児童が犠牲児童の七割を占めています。しかし避難訓練に反映されておりません。県教委のデータでは経年的に避難訓練を見ると、訓練回数はふえていますが訓練を含む防災教育の時間が小学校の全学年で減少していました。また浸水が予測される学校では津波想定の避難訓練を一〇〇%やっていると県教委は言いますが、実は「登下校中」の訓練はその半分の学校でしか実施されていません。避難訓練の内容の改善が必要ではないでしょうか。 先日地元紙と学校保健学会が共同で行った調査では防災研修を三回以上行った学校とほとんど行わなかった学校で避難の仕方や場所の確認確定について大きな差が出るなど、研修の重要性が明らかになりました。また防災マニュアルは万能ではありません。遭遇した事態にとっさの判断が求められます。日ごろの住民との避難訓練の積み重ねが高台への避難の契機となった雄勝小学校や教職員間の十分な議論が高台避難につながった戸倉小学校など、各学校の貴重な経験をもっと普及させるべきではありませんか。 そしてこの綱の最後に大阪北部地震で被災された方々にお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、痛ましい犠牲を出したブロック塀の改善について伺います。 宮城では平成十四年スクールゾーンの危険ブロック塀について調査を行い、五百三十六カ所について撤去の促進に取り組み、仙台市を除いて現在八十八カ所が残っています。平成十五年度から十八年度までの四年間は県と市が財源を負担、平成十九年度からは国のスキームを活用して市町村が事業を行っています。早急の取り組みとして学校施設のブロック塀と通学路にあるブロック塀の点検を急ぐことはもちろん、制度を持たない十五市町村をどうするのかお答えください。また国と市町村だけでなく、県も負担して促進すべきと思いますがその考えはありますか。 次に、震災資料の収集・保存・利活用について伺います。 私は阪神淡路大震災二十三周年のことし実際に足を運んでみましたが、神戸大学では附属図書館に「震災文庫」と称するスペースを設け、開設二十年を迎えて総資料五万三千点、うち五千点を電子化して公開しています。利活用も世界的で一カ月以上滞在して調査をする外国の方もいると聞きました。収集とわかりやすさに感動して帰ってきました。宮城県図書館では「震災アーカイブ宮城」と「震災文庫」の二本柱で収集や保管・利活用の事業を行っており、専任職員を配置して大変な努力をしています。四十三万件以上収集をしましたがアーカイブでの公開は二十二万件、残りの二十万点の資料が未整理であることがわかりました。データの公開作業が追いつかないのです。早急の改善が必要と考えますがいかがですか。また「震災文庫」は神戸の経験も学んで意欲的に行われ、三階の開架棚に整理されとても見やすくなっていました。もっと県民に知らせて利活用を図り風化を防ぎ伝承を進める力にしたいと思いました。 さて、震災復興・企画部では「東日本大震災の記憶・教訓伝承のあり方検討有識者会議」の取りまとめ報告書を三月に行いました。大変大事な取りまとめですが、県図書館との連携がないことがわかりました。伝承内容は、情報・記憶・教訓とされていますが、大震災の一時資料を扱う中核的役割の図書館などとの連携がなされていないのは、これは一刻も早く是正すべきであり、また有識者会議の具体化をどのように図っていくのかも伺います。 次に、被災者と遺児・孤児への支援について三点伺います。 災害公営住宅は公営住宅法の特例として入居時の収入要件を設けておりませんが、入居した途端に公営住宅法が適用されるため、収入超過者の家賃値上げと明け渡しが問題になっています。その実態をどう認識していますか。県の対応として情報共有だけでなく、県のイニシアチブで被災者についの住みかを保障する一斉の取り組みができるよう、後押しをすることを求めますがいかがですか。 さて今年度に入り、被災者の生活再建について市町村では支援拡充が相次いでいます。この一年で市町村の復興基金、取り崩し型は事業完了となった自治体も出てきましたが、実際は完了ではなく基金を使い果たしたということです。県の復興基金は今年度末残高見込み百五十六億円ということですが、市町の復興基金の状況を調査して市町の要望を聞き追加配分も視野に更に支援を強めるべきではないでしょうか、伺います。 さて、「みやぎこども育英基金」の運用の改善について述べます。知事答弁もありましたがそのとおり読ませていただきます。御寄附いただいた育英基金額は百億円を超えていますが、本来の使い方である遺児・孤児のための活用は一五%程度にとどまっています。一人当たりの月額給付額は岩手、福島の約半分、一時金も合わせた満額支給額で比較すると高校生まででは宮城が一人当たり三百六十九万円に対して岩手七百八十四万円、福島の遺児六百八十四万円、孤児九百十二万円、大学生まででは宮城五百八十五万円に対して岩手は自宅通学で一千二百十六万円、自宅外通学で一千五百三十四万円、福島は遺児一千四十四万円、孤児一千三百四十四万円となっており、宮城県の給付額は岩手、福島の四割から五割未満にとどまっています。せめて知事もおっしゃっておりましたが、隣県並みに給付を拡充して基金の目的を充実させた上で、他の活用を考えるべきではありませんか、お答えください。 次に、上工下水一体官民連携について、コンセッション方式に踏み出すとき最も重要なことは、命の水である上水は高い公共性の確保が絶対の要件であることです。安全な水を安定して県民に届け、料金は可能な限り安価でなければなりません。知事、この点は確認してよろしいでしょうか。その視点から何点か伺います。 まず、安全な水の確保について。事業概要書によれば要求水準未達つまり水質や水量が達成できない場合、通常なら契約解除になるところ「治癒期間」と称する間に問題を解決して水準を確保できれば運営権者は違反違約金を支払えば済むというものです。これは要求水準未達を想定しながらペナルティーが余りにも軽いことと、治癒期間には水道事業の安全安定を脅かす事態があり得るということではありませんか。 次に、水道料金のことです。広域水道で県は受水市町村から料金を徴収しますが、受け取った利用料金を運営権者と県で案分することになっています。しかし案分の明確な基準が示されておりません。運営権者の利益確保のために料金が上がれば市町村の水道料金に影響します。料金が上がらずとも運営権者の案分率が高まれば、管路や管渠の更新に責任を持つ県の財政に影響を与え、結局料金値上げの引き金になりかねません。 次に、経営審査委員会いわゆる第三者機関について伺います。この委員会は高い公共性を確保、チェックできる役割と構成にすべきと考えますがいかがですか。 次は、情報の公開についてです。どんな事業をする場合も情報の公開は基本中の基本であり、是非を判断する根拠に深くかかわっています。事業概要書では財務諸表について県民に公開する規定がありません。これでは料金の改定や案分率の妥当性を議会も県民も明らかにすることができません。そもそも今回のコンセッションでは二つの調査について開示請求を行った際、三分の一が真っ黒の状態で、党県議団として知事に審査請求を行っています。県は財務諸表を初めとする運営の情報を県民に明らかにすべきと思いますがいかがでしょうか。 受水市である仙台市からコスト削減効果の根拠などについて、県企業局に質問が出ていると聞きました。どのような質問にどうお答えになったのかお示しください。 壇上からの最後の質問に今議会に提案されております第百五十一号議案「観光振興財源検討会議設置」に関して伺います。第一は、具体的な観光戦略の中身が不透明なまま、財源確保だけを諮問するという検討会議のあり方は本末転倒ではありませんか。第二に、一応建前は税を含めて幅広に検討すると説明されていますが、財政のプロ集団が集まっている県が、財政づくりを諮問するという異例の手法をとるのは、宿泊税導入の地ならしともいうべき大変巧妙な手口ではないかと思えてなりませんがいかがですか。第三に、特別徴収者となる旅館、ホテル業などを営む方々から、宿泊税を導入した場合に客離れや納税実務等の負担、負担する税金の重さなどを懸念する声があります。事前の話し合いはしているのか伺いたいと思います。 以上で、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
    ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 遠藤いく子議員の一般質問にお答えいたします。大綱六点ございました。 まず大綱一点目、大川小学校訴訟の上告問題についての御質問にお答えいたします。 初めに、定例記者会見での発言についてのお尋ねにお答えをいたします。 大川小学校の事故において多くの児童、教員のとうとい命が失われたことは痛恨のきわみであり、極めて重く受けとめております。事前防災については第一審の仙台地方裁判所では過失がないと判断されましたが、控訴審である仙台高等裁判所においては、将来高い確率で発生することが予想される宮城県沖地震により発生する津波の危険性について予見することが可能であり、その対策を行っていれば今回の津波による被害は防げたとして事前防災の不備を指摘されたところであります。五月九日の議員全員協議会におきましては東日本大震災以前の知見等から考えれば、石巻市教育委員会や大川小学校は、できる限りの対応をとっていたと考え発言したところでありますが、宮城県・石巻市としての主張はあるものの、上告し、最高裁判所で判決が確定するまでは控訴審判決及びこれまでの裁判の過程も尊重すべきと考え、定例記者会見での発言に至ったものであります。 次に、予見可能性に関する私の発言についての御質問にお答えいたします。 今回の控訴審判決は「想定された宮城県沖地震に対する備えとして、津波が発生する危険性も予見し、避難場所を定めておけば、今回の地震により発生した津波による被害も回避することができた」という構成であり、地震の規模としてはマグニチュード八・〇を想定したものであったということであります。このことを踏まえ私といたしましては、議員全員協議会において説明してきたところでありますが、誤解を招きかねない部分があったと判断し改めて発言したところであります。 次に、本県から学校防災の確立を進めるべきとの御質問にお答えいたします。 東日本大震災では津波によって、多くの子供たちが犠牲となりました。私は今回の震災による被害を後世への厳しい教訓として真摯に受け止め、二度とこのような災害で子供たちの命が失われることがないよう、県教育委員会とともに学校における防災教育の充実と防災管理の再構築に全力で取り組んできたところであります。今後もこれらの取り組みを継続し、学校防災の更なる推進に努めてまいります。 次に、大綱五点目、上工下水一体官民連携の問題点についての御質問のうち、安全な水を安定して供給し、料金は可能な限り安価であるべきとのお尋ねにお答えをいたします。 水道は県民の生活に必要不可欠なライフラインであり、将来にわたり安全で安心な水が適正な料金で安定的に供給されることが極めて重要であると認識しております。水道事業を取り巻く経営環境は人口減少社会の到来や老朽化した施設の更新需要の増大など、今後ますます厳しくなることが予想され、経営基盤を一層強化していくことが必要となっております。みやぎ型管理運営方式は、これまでどおり県が水道用水供給事業者として水道経営に最終責任を持ちながら、運営権契約に基づき事業の一部を民間事業者に委ね、民間の力を最大限活用してコスト削減を図るものであり、料金の上昇を抑制しながら将来にわたって安全で安心な水を安定的に供給してまいります。 次に、大綱六点目、宿泊税導入についての御質問のうち、具体的な観光戦略の内容が不明のまま財源確保だけを諮問する検討会議のあり方についてのお尋ねにお答えをいたします。 県ではことし三月に第四期みやぎ観光戦略プランを策定し、今年度から平成三十二年度までの三年を計画期間とし、観光戦略プロジェクトに基づき観光客の受け入れ環境の整備や国内外へのプロモーションや情報発信などに取り組んでいるところであります。今後もこうした取り組みを継続して実施し観光客の誘客拡大と関連産業の振興を積極的に進めていくためには、安定的な財源の確保が必要でありますことから、観光振興施策の財源検討会議を設置するものであります。ぜひとも御理解いただきたいと思います。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 公営企業管理者遠藤信哉君。    〔公営企業管理者 遠藤信哉君登壇〕 ◎公営企業管理者(遠藤信哉君) 大綱五点目、上工下水一体官民連携の問題点についての御質問のうち、水質や水量の基準が達成できない場合の対応についてのお尋ねにお答えいたします。 水道は県民の生活に必要不可欠なライフラインであり、水質や水量の要求基準が確保された、安全で安心な水が安定的に供給されることが極めて重要であると認識しております。そのためみやぎ型管理運営方式の運営権者の募集に当たっては運転管理の継続性や危機対応力等を有し事業を適正に運営できる事業者を選定するとともに、事業開始後においては、県は運営権者の運営状況を継続的にモニタリングすることとしております。このような体制においても万が一、水質や水量の要求基準を尊守できなかった場合には、その未達の影響の度合いに応じた要求水準違反違約金、いわゆるペナルティーを課すとともに速やかに改善を求めることとしております。更に実施契約上の義務に違反するなど運営上の懸念が生じた場合には、一定の治癒期間を設け改善を促すこととしておりますが、改善されない場合には運営権を取り消すとともに契約解除違約金の支払いを求めるなど、運営権者が確実にその責務を果たす仕組みの構築を検討しているところであります。 次に、利用料金の案分についての御質問にお答えいたします。 料金の案分方法につきましては運営権者の募集において、県と運営権者の業務内容に応じ、県として必要な経費を確保できる案分率を提示することとしております。応募する民間事業者は県から提示された運営権上の案分率を上限といたしまして、それぞれが運営可能と考える案分率を競って提案することにより、県がみずから運営を継続する場合と比較して水道料金が抑制できる仕組みになるよう検討しているところであります。 次に、経営審査委員会についての御質問にお答えいたします。 (仮称)経営審査委員会は健全な企業経営と安全で安心な水の安定的な供給を長期にわたり確保し、その状況を客観的に県民に情報提供するため設置するものであります。委員会は中立公正な立場でかつ専門的な知識を有する委員で構成し、客観的な視点でモニタリング等を行っていただくこととしており、水道事業としての経営に関する高い公共性が確保されるものと考えております。 次に、財務諸表を県民に明らかにすべきとの御質問にお答えいたします。 運営権者の経営状況につきましては事業概要書に記載のとおり、財務諸表も含め、県、関係市町村及びユーザー企業等に開示することから当然県民の皆様にも公開することとなります。 次に、仙台市から出されている質問とその回答についての御質問にお答えいたします。 ことし四月、仙台市もメンバーとなっております、仙南・仙塩広域水道受水団体連絡会からみやぎ型管理運営方式にかかるコスト削減額のほか、県の運営権者に対するチェック機能の確保や大規模災害への備えなどについての御質問をいただいております。県からは現時点での考えを示した上で、詳細な検討を継続している事項につきましては検討が進み次第、適切な時期にお示しする旨を回答したところでございます。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 総務部長伊東昭代君。    〔総務部長 伊東昭代君登壇〕 ◎総務部長(伊東昭代君) 大綱二点目、学校防災の確立についての御質問のうち、本県の地震被害想定調査と浸水予測区域のバッファゾーンについてのお尋ねにお答えいたします。 地震被害想定調査は防災対策による減災目標を定める資料となることから、東日本大震災を踏まえた調査を速やかに実施する必要があると認識しております。しかしながら東日本大震災からの復興途上にある我が県では、まちづくりがいまだ完了していないことから経済的被害などの積算が困難な状況にあります。また国が東日本大震災を踏まえ見直しを進めている日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定などの動向も注視する必要がありますことから、調査の実施時期について検討してまいります。 次に、バッファゾーンについてですが、県ではこれまで沿岸市町等で構成する津波対策連絡協議会において津波対策ガイドラインを取りまとめ、適切な津波避難計画策定に向けた勉強会を開催するなどの支援を行ってまいりました。東日本大震災以降ハザードマップにバッファゾーンを設ける市町の動きが出てきているところであり、県といたしまして、沿岸市町において効果的なバッファゾーンの設定が進むよう対応してまいります。 次に、大綱四点目、被災者の生活再建と遺児・孤児への支援についての御質問のうち、市町村の復興基金の追加配分についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災復興基金交付金は市町村の復興の円滑かつ迅速な推進を図ることを目的に、人口や被災状況などを踏まえ配分しており、市町村においては交付額の範囲内で住民生活の安定やコミュニティーの再生など、地域の実情に応じたさまざまな事業を計画的に実施してきているものと認識しております。県の復興基金につきましては、平成三十三年度以降に必要となる事業への充当も見据えて活用していく必要があり、御指摘のありました復興基金交付金の市町村への追加配分は難しいと考えておりますが、今後とも市町村の復興の進捗をしっかり把握し復興の完遂に向け連携して取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 震災復興・企画部長江口哲郎君。    〔震災復興・企画部長 江口哲郎君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(江口哲郎君) 大綱三点目、大震災資料の収集・保存・利活用についての御質問のうち、震災の伝承に関する県図書館との連携と有識者会議における報告内容の具体化についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災により甚大な被害を受けた我が県には、震災の記憶・教訓を後世に伝承していく責務があるものと認識しており、昨年度開催した有識者会議の場などを通じて県図書館を含め関係機関と情報共有を図りながら、伝承のあり方について検討してまいりました。有識者会議では国内外への情報発信力を高める観点等から県図書館や市町村などが運営するアーカイブ、NPOなどの伝承活動主体、そして各地で整備が進んでいる震災遺構や伝承施設を含む複層的にネットワーク化することが重要であり、官民が連携してこれらを牽引する体制づくりに取り組む必要があると提言されたところです。県ではこうした提言を踏まえ、今年度ネットワーク化の実現に向けた体制整備のあり方や、図書館を含む関係機関との連携強化など課題の整理を行うとともに、具体化に向けたスケジュールを検討していくこととしております。引き続き外部有識者のほか被災市町や関係団体などとも丁寧に意見交換を行いながら、実効性のある震災の伝承体制整備に向けて取り組んでまいります。なお、御指摘ありました県図書館との連携についてはこれまでも情報共有を図ってきたところでありますが、具体的な連携の検討に当たってはなお一層、意を用いてまいりたいと考えます。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 経済商工観光部長吉田祐幸君。    〔経済商工観光部長 吉田祐幸登壇〕 ◎経済商工観光部長(吉田祐幸君) 大綱六点目、宿泊税導入についての御質問のうち、財政に精通した職員を抱える県が財源づくりを諮問するという手法についてのお尋ねにお答えいたします。 観光振興施策の財源検討会議では財源検討の必要性、財源確保を行う理由、財源の負担のあり方などについて丁寧に議論を進めてまいります。知事が検討会議への諮問を行い、財源の負担のあり方や負担すべき主体などを決めていくことになるため、学識経験者、観光振興に携わる関係者や県民の御意見を伺うため公募による委員などに議論していただくほか、検討内容についてパブリックコメントを実施してまいります。 次に、宿泊税導入について、旅館やホテルの経営者と事前の協議についての御質問にお答えいたします。 今回の検討会議ではまずは財源検討の必要性、財源確保を行う理由、財源の負担のあり方などについて、観光関係者も委員として含めて丁寧に議論を進めてまいります。あわせて、本条例を認めいただいた後には、検討会議において旅館やホテルの経営者などの関係者からの御意見も伺ってまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 土木部長櫻井雅之君。    〔土木部長 櫻井雅之君登壇〕 ◎土木部長(櫻井雅之君) 大綱二点目、学校防災の確立についての御質問のうち、津波浸水想定の設定を早期に着手すべきとのお尋ねにお答えいたします。 津波防災地域づくりに関する法律に基づく津波浸水想定については、最大クラスの津波があった際に想定される浸水の区域及び水深を県が設定し公表することとしており、沿岸市町が避難計画や避難対策を検討していく上で、非常に重要であると認識しております。その設定に当たっては、国が検討する最大クラスの津波の断層モデルも参考に津波シミュレーションを実施する必要がありますが、現在国において断層モデルを検討中であることから、その結論を待って作業に着手することとしております。県では東日本大震災を踏まえ、L1クラスの津波に対してはハード整備により人命・財産を守り、L2クラスの津波に対しては、人命だけは必ず守ることを基本とした「災害に強いまちづくり宮城モデルの構築」に向け鋭意、整備を進めているところであります。県といたしましては、復興まちづくりの形態や周辺の地盤状況等を踏まえた津波シミュレーションの実施及び浸水想定の設定について国の検討状況や復興まちづくりの進捗状況を踏まえ、沿岸市町と十分議論しながら進めてまいります。 次に、学校施設と通学路にある危険ブロック塀の点検と県の財政負担についての御質問にお答えいたします。 学校施設のブロック塀の点検については、文部科学省からの通知を受け、県教育委員会において市町村教育委員会教育長及び県立学校長宛に安全点検と安全対策を要請し、その確認結果について六月二十九日までに報告するよう通知しております。また、仙台市を除く小学校のスクールゾーン内の通学路にあるブロック塀等については、県において平成十四年度の調査結果に基づき助成制度を活用しながら除却等を進めてまいりました。現状において改善が進まない八十八カ所については市町村と連携し、個別訪問を基本とした緊急安全点検を六月二十九日までに実施することとしております。県といたしましては、まずは危険ブロック塀等の実態を把握することが重要であると考えており、年度内を目途に県内小学校のスクールゾーン全体について通学路の再調査を行うこととしております。更にブロック塀の除却等に対する助成制度のない市町村に対しては、これまでもさまざまな機会を通じて要請してまいりましたが、今後とも積極的に働きかけてまいります。 次に、大綱四点目、被災者の生活再建と遺児・孤児への支援についての御質問のうち、災害公営住宅の収入超過者についてのお尋ねにお答えいたします。 災害公営住宅については入居の時点では収入の要件が設定されていませんが、入居後一定の期間が経過し収入基準を超える入居者に関しては、家賃が段階的または即時に近傍同種家賃に引き上げられるとともに、住宅の明け渡しについて努力義務または義務として課せられることになります。こうした家賃については被災市町が独自に減免することが可能であることや、住宅の明け渡しについては入居者が災害により著しい損害を受けた場合には適用しないことができることを国から通知等により示されております。家賃の減免や明け渡しについては、市町が地域の実情等に応じて判断すべきものでありますが、情報の共有化が重要であることから県では会議の開催等を通じ、隣県の状況も含め情報共有を行ってきたところです。こうした中、最大の被災地である石巻市や気仙沼市などでは、地域の実情に応じた独自の家賃減免措置を講じる動きが出てきており、また明け渡し請求についても、各市町において地域の実情等を踏まえた取り組みが進められているものと認識しております。県といたしましては引き続き情報共有に努めるとともに、個別に制度設計等について助言を行ってまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長高橋仁君。    〔教育委員会教育長 高橋 仁君登壇〕 ◎教育委員会教育長(高橋仁君) 大綱二点目、学校防災の確立についての御質問のうち、震災時の児童生徒の詳細な被災状況を把握すべきとのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災において多くの児童生徒が犠牲となったことは痛恨のきわみであります。犠牲者の多くは津波被害によるものと考えておりますが、当時の混乱した状況のもとで被災時の児童生徒の詳細な被災状況を把握するための調査を市町村教育委員会に対して求めることは、極めて困難であると判断したところです。今回の大震災において数多くの児童生徒が犠牲となったという事実を厳粛に受けとめ、二度とこのようなことが起きないよう学校防災に全力で取り組んでまいります。 次に、津波浸水域の学校等に係るマニュアルの緊急点検と該当校数についての御質問にお答えいたします。 東日本大震災で津波により実際に浸水した学校は八十九校、浸水域に所在するものの浸水しなかった学校等が七校であります。これまでは浸水の被害はなかったものの内陸において河川の近くに所在する学校もあり、県教育委員会では東日本大震災の教訓を踏まえ、平成二十四年度から全ての公立学校の防災マニュアルを市町村と連携しながら毎年点検し、各学校が所在している地理的条件等を考慮して必要な改善を求めてきたところです。今後とも浸水被害も含め万が一の事態に備える防災マニュアルとなるよう、毎年の点検の際に注意喚起と助言に努めてまいります。 次に、震災の犠牲となった小中学生のうち、下校中に被災した人数、東日本大震災特別弔慰金の支給人数及び支給された者が学校管理下における被災者であるかとの御質問にお答えいたします。 東日本大震災で下校中に犠牲になった公立の小中学校の児童生徒は六十三人であります。また、独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びその施行令においては登下校も含めて学校管理下と規定し、災害共済給付の対象としております。これに基づくとともに、新たに設置された東日本大震災特別弔慰金制度によって、弔慰金が支給された人数は県内の公立学校では百四十人となっております。 次に、保護者への引き渡しについて、学校任せは改めるべきとの御質問にお答えいたします。 平成二十四年十月に作成した「学校防災マニュアル作成ガイド」の中では、地震や津波を想定した引き渡しの判断基準をもとに学校が所在する地理的条件等を考慮し、それぞれ判断することとしております。その中でも特に大津波警報及び津波警報が出た場合には、保護者に引き渡しをしないということを具体的に例示しているところであります。県教育委員会の開催している各種研修会においても、沿岸地域等の学校では津波警報等が継続している間の保護者への引き渡しは行わないよう指導しているところであり、このことについては重ねて指導を徹底してまいります。 次に、浸水が予測される学校の避難訓練の改善が必要との御質問にお答えいたします。 自然災害はいつどこで発生するかわからないと考え、さまざまな場所や時間帯において児童生徒がみずからの判断で安全に対処できるようにすることが重要であります。東日本大震災を経験し、学校現場においては授業時間だけでなく登下校時などに訓練を実施する学校がふえてきているものと認識しており、今後更に登下校中に避難訓練を実施する学校がふえるように促してまいります。県教育委員会としましては児童生徒の命を守るため、防災訓練や防災・安全教育の充実に向けた取り組みを更に進めてまいります。 次に、各学校の貴重な経験を広く普及すべきとの御質問にお答えいたします。 東日本大震災における各学校の事例を広く共有することは大変重要であると認識しております。そのため県教育委員会では、防災教育副読本「未来への絆」にこうした事例を取り上げるとともに、防災教育に関する各種研修会において体験者を講師として招くなど広く情報共有を図ってきたところです。今後もこうした震災の教訓を生かした防災教育の更なる充実に取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、大震災資料の収集・保存・利活用についての御質問のうち、東日本大震災アーカイブ宮城についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災アーカイブ宮城につきましては、平成二十七年六月から運用しており、現在県と市町村を合わせ、これまで収集し登録済みの資料約四十三万点のうち二十二万点余りを公開しております。このうち県が収集したのは約十三万点で公開しているのは約十万点であります。資料の収集に当たっては震災の記憶の伝承と資料の散逸を防ぐ目的で、直ちに公開することが困難な資料についても可能な限り幅広く収集し登録してまいりました。これらの資料の公開に当たっては、あらかじめ権利許諾等の手続や必要な画像処理などを行ってきており、作業を終えたものから順次公開を進めております。現時点においても当事者の気持ちの整理がつかず許諾を得られていないものもありますが、今後も可能な限り多くの資料を公開するよう努力してまいります。 次に、大綱四点目、被災者の生活再建と遺児・孤児への支援についての御質問のうち、みやぎこども育英基金の運用改善についてのお尋ねにお答えいたします。 育英基金については多くの寄附者の方々からの御賛同を得て平成二十八年度より使途を拡充し、震災遺児・孤児に対する奨学金の給付事業のほか被災した子供たちの心のケアなど、被災地に暮らす子供たちの課題解決に向け有効に活用しているところです。奨学金の給付額については子供たちの修学を支援するという奨学金の目的に沿うよう文部科学省による子供の学習費調査の数値や、県内の主な公立・私立学校の入学時経費等を参考に積算し決定しております。しかしながら、震災の発生から七年が経過していることから改めて各種統計データを検証するとともに、現在の給付対象者のニーズ等を踏まえ、震災遺児・孤児が希望する進路を選択できるよう給付額の改定も含めて検討してまいります。 以上でございます。 ○副議長(只野九十九君) 二十五番遠藤いく子君。 ◆二十五番(遠藤いく子君) ありがとうございました。初めに大川小学校上告問題ですけれど、知事の答弁は率直でないよね。お話を聞いて訂正をすることにしたのかどうかということがわかりませんでした。けれども、マグニチュード九の大きなものは想定できなかったから責めに帰すべきではないというのから、発生確率の高いマグニチュード八ということで、その中での問題なんだというふうに言われたんで、私は訂正をされたと思います。そういうふうに理解をいたします。ただ全員協議会で知事が示した県の考え、出した、それと何度も読み返してみましたが、こういう揺らぎがあるんですよ知事の答弁に。だからこんな状況では上告について、取り下げるという判断も視野に入れて対応すべきじゃないのかなと思ったんですがどうですか。 ○副議長(只野九十九君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 午前中の全員協議会ですね、午前中の遠藤委員に対する答弁、誤解を与えるものであったということで、午後の岸田委員の答弁のときにですね、訂正をさしていただきました。またそれに基づいて記者会見でも述べたということでありますので、誤解を、控訴審判決に基づいた発言でなかったということについてはですね、改めて訂正さしていただきたいというふうに思います。揺らぎがあるということなんですけれども決してそうではございませんで、私は一貫して、今回の一審と二審の判決内容をよく見ると教員の責任は「ある」「なし」、そして事前防災については「なし」「あり」ということでありましたので、それについて裁判所の判決も分かれておりますので、これを私どものほうで判断するのは非常に難しいということで、判断しかねるということで、いいか悪いかということを最高裁に委ねて判断をいただきたいということで上告をしたということでございます。したがってそれが結論でございますので、上告をしたということについては、御理解をいただきたいというふうに改めてお願いを申し上げます。 ○議長(中島源陽君) 二十五番遠藤いく子君。 ◆二十五番(遠藤いく子君) それからバッファゾーンについて伺います。総務部長からまちづくりがまだできていないということなども含めてお話がありましたが、学校防災や、防災全体に空白はあってはならないでしょ。だから、新しい法律に基づく基礎調査これからだと遅いけどやってと、急いで努力して、内閣府の断層モデルもちゃんと受けてやっていただくということは前提にした上で、今、空白のないようにするためには、東日本大震災の浸水域で示しているからいいんだということにはなりませんよっていうことなんです。だって、その震源地がどこか、あるいは条件がどうかで浸水域は変わるわけだから、東日本大震災で津波が来なかったから大丈夫ってそう考えたら、同じ過ちをまた繰り返すことになるじゃないですか。そういうことがないように、バッファゾーンを設けてやるっていうのは、これはまず当座、すぐに急いでやるべきことだと。市町村との関係もそういう方向であるというならば、徹底してそれを県の責任で行っていただきたいと思います。 ○副議長(只野九十九君) 総務部総務部長伊東昭代君。 ◎総務部長(伊東昭代君) お話のとおり、東日本大震災で浸水したその区域を中心にということで今、市町のほうでも検討しているところでございまして、県としても津波対策連絡協議会なども通じまして、バッファゾーンという話ですができる限り安全の立場に立った上で、少し広げていくような考え方でということでございますので、そうしたことについて一緒になって検討してまいりたいと思っております。 ○副議長(只野九十九君) 二十五番遠藤いく子君。 ◆二十五番(遠藤いく子君) 津波・高潮ハザードマップマニュアル、三省がつくったものですけど。ここではね、シミュレーションを行う際にバッファゾーンは必須だと書いてあるんですよ。必須。だから、あればあったほうがいいっていうんじゃなくて、浸水区域を予測したら、しかしそれは不確実なんだから、必ず緩衝地帯を周りにつくってこれで大丈夫ってしないようにということを言っているわけなので、県の責任でそこのところをしっかりと市町村にも訴えてこれはやっていただきたいと思います。それから学校管理下における問題についてなんですけれども、教育長に伺いますが、今、下校中の被災六十三人、県内の特別弔慰金支給百四十人、こういう人数というのは初めて公表されたんじゃないですか。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長高橋仁君。 ◎教育委員会教育長(高橋仁君) 今回が初めてかどうかはちょっと記憶しておりません。 ○副議長(只野九十九君) 二十五番遠藤いく子君。 ◆二十五番(遠藤いく子君) 本来であればこういうのは質問項目には入れないで事前レクでやるものなんですよ。そこを踏まえて質問をすると、そういう準備をいたしましたが、関係する方々にこれを何度聞いても、出てこなかった。いただいた数字はきょうの九時四十五分でございました。こういうことでいうと、すごく問題感じます。学校管理下というのは設置者の管理責任が問われているということなんですよ。だから、学校管理下でどれだけの子供たちがなくなったのか、大川小を初めとして、そして、どんな状態だったのか学校の設置者としての管理義務があるわけです。でも教育長おっしゃるようにすぐは無理だったと思う、あの混乱の中でしなければならないことがたくさんあったから、だからすぐにやんなかったから問題だと私は思ってません。ただ七年たってもそのことが、全容がなかなかわからないというのは、これはやっぱり地方教育行政として、あるいは学校の設置管理者として、問われるべきものがあるのではないかと。学校はいろんな記録ありますよ。だからそういうものを今からでも--もう二年前に言ったときもね、何かもうできないみたいにおっしゃってましたけど、学校にある記録で子供たちの生きたあかしを、最後の姿をちゃんとつかんで教訓として後世に残すというのは、私たちがやらなければならないことだと。そしてそれを避難訓練やさまざまなものに反映するっていうのは、これは絶対しなければならないと思う。だから七年たってるけど、今からでも対応を努力をお願いしたいと思いますがいかがですか。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長高橋仁君。 ◎教育委員会教育長(高橋仁君) 先ほども御答弁で申し上げましたように、震災当時どういった避難行動を子供たちがし、どういった状況だったのかということを確認することについては、当事者である子供の身内の方々にいろいろ聞かなければならないわけです。そのことがその身内の方々にとっては大変な重荷になるというケースもあろうかと思います。そういったことも幅広く考えていかなければならないというふうに理解をしております。そういったことで現時点において改めて、そういった調査を県の教育委員会として、改めて行うということは現時点では考えていないということでございます。 ○副議長(只野九十九君) 二十五番遠藤いく子君。 ◆二十五番(遠藤いく子君) 個人名のところまで全部公表しろとかそんなこと言ってないし、それから遺族の方々の気持ちを考慮するのは当然のことです。だけれどもどういうふうに亡くなったか、どういうふうな形でこれを教訓にしていくのか、これなら亡くなった命はもう帰らないけど、でも新しい命として引き継がれていくねっていう思いを、ほかの方々に示すことができるのは、やっぱりきちんと調べることだと。そういう御遺族の感情も踏まえてやるべきだと。今の教育長の答弁は私は間違いだというふうに思います。 保護者への引き渡しについて伺います。 保護者への引き渡しをした後も自宅に着くまでは学校管理下という解釈でいいんですね。 ○副議長(只野九十九君) 教育委員会教育長高橋仁君。 ◎教育委員会教育長(高橋仁君) この学校管理下の考え方でありますけれども、保護者に引き渡した後も、学校管理下かどうかということは一概には言えないというふうに考えております。文部科学省で平成二十九年の三月二十四日に示した第二次学校安全の推進に関する計画に記載されているところでありますけれども、「「学校管理下」とは一般的に教育課程に基づく授業や課外指導等の学校教育活動中を指すものであるが、災害共済給付や「学校事故対応に関する指針」など通学・通園中の事故等を「学校管理下」に含めるものもある」というふうにされております。したがいまして学校管理下というのを一律に、学校を出て家に着くまでは全て学校管理下というふうに規定することはなかなか難しいというふうに考えております。 ○副議長(只野九十九君) 二十五番遠藤いく子君。 ◆二十五番(遠藤いく子君) それはケースはいろいろありますが、しかし基本は登下校中は学校管理下です。そして、きょういただいた資料で下校中、保護者引き渡しの後に亡くなった子供さんが五十人おります。ですから、そういう子供たちがどういうふうにして今回の教訓になるのかということについて、これは考えなければいけません。石巻のある小学校では下校中に二十三人の児童がなくなりました、一つの学校で。でもそういうこと自身がね、事実も教訓も明らかにされないまま七年目に入っているということが私は耐えられない気持ちでいっぱいです。 災害公営住宅について一点伺います。近傍同種家賃と部長おっしゃいましたけど、この近傍同種家賃、近隣の民間アパートの家賃で決まるんじゃないんですよね。災害公営住宅の建設費用に計数かけて算出すると。だから資材や人件費が高かったり建設場所、戸数などで違ってくる。近くの民間アパートよりはるかに高くなると、これが仕組みです。だから行政の減免措置が必要ではないか、これだけ最後に伺います。 ○副議長(只野九十九君) 土木部長櫻井雅之君。 ◎土木部長(櫻井雅之君) 今、それぞれの被災市町で独自の支援措置をやっております。そのほとんど今、動いてるというふうに考えてございます。それぞれの市町によっていろいろな制度設計をしているというふうに理解してございます。我々といたしましてはそういった考え方をしっかりと横の連携を強くして情報共有をしていくというのが我々の仕事だというふうに思っております。 ○副議長(只野九十九君) 残余の質疑、質問は明日に継続することといたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(只野九十九君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。   午後三時三分散会...