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  1. 宮城県議会 2009-09-01
    09月11日-04号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    平成21年  9月 定例会(第324回)       第三百二十四回宮城県議会(定例会)会議録                              (第四号)平成二十一年九月十一日(金曜日)  午前十時一分開議  午後二時四十四分散会      議長               畠山和純君      副議長              小野 隆君出席議員(六十名)        第一番            菅原敏秋君        第二番            吉川寛康君        第三番            伊藤和博君        第四番            長谷川 敦君        第五番            佐々木幸士君        第六番            村上智行君        第七番            細川雄一君        第八番            高橋伸二君        第九番            菊地恵一君        第十番            須藤 哲君       第十二番            坂下 賢君       第十三番            遠藤いく子君       第十四番            庄子賢一君       第十五番            熊谷盛廣君       第十六番            寺澤正志君       第十七番            只野九十九君       第十八番            石川光次郎君       第十九番            外崎浩子君       第二十番            佐藤光樹君      第二十一番            中島源陽君      第二十二番            本木忠一君      第二十三番            熊谷義彦君      第二十四番            佐藤詔雄君      第二十五番            加賀たけし君      第二十六番            きくち文博君      第二十七番            菅間 進君      第二十八番            ゆさみゆき君      第二十九番            中山耕一君       第三十番            長谷川洋一君      第三十一番            佐々木喜藏君      第三十二番            佐々木征治君      第三十三番            須田善明君      第三十四番            寺島英毅君      第三十五番            安部 孝君      第三十六番            皆川章太郎君      第三十七番            佐々木敏克君      第三十八番            小野 隆君      第三十九番            小林正一君       第四十番            岩渕義教君      第四十一番            本多祐一朗君      第四十二番            袋  正君      第四十三番            藤原のりすけ君      第四十四番            内海 太君      第四十五番            坂下康子君      第四十六番            横田有史君      第四十七番            小野寺初正君      第四十八番            石橋信勝君      第四十九番            安藤俊威君       第五十番            中村 功君      第五十一番            渥美 巖君      第五十二番            柏 佑整君      第五十三番            畠山和純君      第五十四番            千葉 達君      第五十五番            仁田和廣君      第五十六番            藤倉知格君      第五十七番            菊地 浩君      第五十八番            高橋長偉君      第五十九番            相沢光哉君       第六十番            渡辺和喜君      第六十一番            今野隆吉君欠席議員(一名)       第十一番            菅原 実君-----------------------------------説明のため出席した者      知事               村井嘉浩君      副知事              三浦秀一君      副知事              伊藤克彦君      出納長              庄子正昭君      公営企業管理者          佐藤幸男君      病院事業管理者          木村時久君      総務部長             石山英顕君      企画部長             佐藤廣嗣君      環境生活部長           今野純一君      保健福祉部長           鈴木隆一君      経済商工観光部長         若生正博君      農林水産部長           千葉宇京君      土木部長             伊藤直司君      出納局長             河端章好君      病院局長             千葉三郎君      総務部参事兼秘書課長       菅原芳彦君      総務部財政課長          佐野好昭君    教育委員会      委員長              大村虔一君      教育長              小林伸一君      教育次長             千葉裕一君    選挙管理委員会      委員長              佐藤健一君      事務局長             池田敬之君    人事委員会      委員長              石附成二君      事務局長             石垣仁一君    公安委員会      委員長              中村孝也君      警察本部長            大山憲司君      総務部長             尾形利道君    労働委員会      事務局長             佐々木 努君    監査委員      委員               工藤鏡子君      事務局長             佐藤 力君-----------------------------------    議会事務局      局長               梅原 廣君      理事兼次長            佐々木昭男君      議事課長             畑 正芳君      政務調査課長           秋山政己君      総務課副参事兼課長補佐      大内俊良君      議事課副参事兼課長補佐      菅原幹寛君      議事課長補佐           千葉 佐君      議事課主幹(班長)        渋谷敏彦君      議事課主幹            布田惠子君-----------------------------------    議事日程               平成二十一年九月十一日(金)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第八号及び報告第九号第三 一般質問   〔仁田和廣君、吉川寛康君、本木忠一君、中島源陽君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第八号及び報告第九号三 日程第三 一般質問   〔仁田和廣君、吉川寛康君、本木忠一君、中島源陽君〕----------------------------------- △開議(午前十時一分) ○議長(畠山和純君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(畠山和純君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、三十七番佐々木敏克君、三十九番小林正一君を指名いたします。----------------------------------- △議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案 △報告第八号 △報告第九号 △一般質問 ○議長(畠山和純君) 日程第二、議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第八号及び報告第九号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。五十五番仁田和廣君。    〔五十五番 仁田和廣君登壇〕 ◆五十五番(仁田和廣君) 通告に従い、大綱二点、一般質問をさしていただきます。 まず、第一点は、環境問題であります。第二点目は、新型インフルエンザの件であります。 第一点、環境問題。 私は、数年前に東南アジア数カ国を訪ねさしていただきました。そのとき、異様な光景を目の当たりにいたしました。それは、環境がすばらしい、また、島のきれいなところのことでありました。黒い煙が立ち込め、異様なにおいがいたしました。地元の方にあの光景は何ですかと聞きますと、日本の貨物船のスクラップの状態であるということを言われました。 御案内のように、貨物船、漁船もしかりですけれども、スクラップをすると、いろんな問題が起きます。まず、鉄板を切り裂くあのアセチレンのにおい、それから、中にはアスベスト、PCBも含まれておる。また、廃油、我々、船底にたまるのをドレーンと言っておりますけれども、その処理、大変な公害になるわけでございます。 実は、今、全世界の中でスクラップをしている国、それは、バングラデシュを先頭に、発展途上国が大変多いわけでございます。全世界的には、バーゼル条約という条約が今発効しております。一九九二年に日本でも加盟をいたしました。要するに、一つの国から他国に、廃棄物をできるだけ他国に、また、発展途上国に影響のないように、できるだけ自分の国で処理をしようというわけであります。 御案内のように、日本及び韓国は、世界に冠たる造船国であります。私は、造船をするとともに、スクラップ処理まで一括してやる。そのぐらいの企業でなければならない、また、日本国でなければならないと考えております。 宮城県でも十年ほど前に、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の話題が上がりました。もちろん、あのときには、国がPCBの処理の安全を宣言をし、また、当時の宮城県知事がそれを後押しして、宮城県内に何とかPCBの処理場を設けようという話でありました。ある町が手を挙げ、首長が一生懸命になりました。しかし、案の定、近隣のお住まいの方々、また、町全体、強いて言えば、JF、JAもすべて反対に回りました。まあ、その首長いわく、本当に宮城県の姿勢残念だったと今でも言っております。 私は、環境立県としての宮城県、自分で出すもの、そして、いいもの、悪いものも、独自に宮城県で処理する、そのぐらいのモラルを持った県でないと私はだめだと思っているの。放射能の高レベル、これは、なかなか技術的に難しいんですけれども、それを除けば、知事いかがでしょうか。宮城県は、環境を大変大事にするという県であります。そういう大前提のもとに、今後、他県にPCBにしても及ぼさない、そういう県であれば大変いいなと思いますので、知事の所見なり、今後の方向性を伺いたいと思います。 まずもって、今、話題に出しましたPCBであります。 東北電力は、御案内のように、自社の工場、酒田でPCBの処理をもう既にしております。しかし、一般の企業の持ってるPCBについては、その当時の宮城県での処理が不可能になり、室蘭に行くことになっております。当然、その間に、東北、北海道、道県からいっぱい集まるでしょうから、順番もありますし、室蘭まで運ぶ手段、また、現在のPCBを保管する手段、また、処理をするときの価格、いろいろ、問題があると思います。ぜひ、積極的にPCBを一日も早くゼロにするその方向、そして、処理を円滑に進めるための方向をがちっと提示をしていただきたい。そのように思うわけでございます。 次には、アスベストの問題であります。 アスベストで疾患を受けられた方、肺がん含めて大変な疾患であります。宮城県内には、今、まだまだ、処理は営々としてやっていても、残っております。特に、私は、今回問題にしたいのは、ビルの中なり建物の中に閉じ込める方法。例えば、宮城県は三十年以内に大規模地震が起こると言われております。建物の倒壊があれば、必ずアスベストが全面に出るわけでございまして、私は、その密閉処理とかそういうものよりも、逐一、子供たちの将来、地震に備えても、ぜひ、アスベストのない、また、最近はトレモライトというアスベストの一種も出ております。それも含めた処理をしなければならないのではないかと思っております。 次に、CO2 問題であります。 私は、漁業会社を経営しておりました。南太平洋にビンナガマグロ、カツオ船等々が入港したり、いろいろありました。そのときに、南太平洋は、火山でできている島・国とサンゴ礁でできている国があるわけでございます。火山島は、もちろん何百メートルと海抜高い。しかし、サンゴ礁でできている島々は、海抜二、三メートルが普通であります。ですから、海の水位がちょっと上がっただけで大変な影響を受けます。今、全世界で約四分の一の人たちが、高波そして高潮、洪水で影響を受けると先般お話がありました。 北の方に目を向けても、今、北極海、毎年毎年氷が少なくなっております。また、氷河もしかりであります。一年に、百メートル、二百メートル解けていっている状況、この解けが始まる、そうすれば当然海水の水位も上がり、あらゆるところに影響があります。 また、一方、日本に目を向けても、富士山、御案内のように、最近は数百メートルにわたり氷が解けて、富士山が、崩壊の危機まで言わなくても、崩れ出しておる。高い山は、上の方はやっぱり氷でがちっと固められてることが原形を保っている大きな要因ですから、そう考えると、なかなか日本でもいろんな問題が起きるわけでございます。 宮城県でも「ダメだっちゃ温暖化」等々でいろいろ施策をやっているのはわかっております。しかし、まず県内の企業、また、今後誘致する企業、テレビコマーシャルで皆様御案内のあるビール会社、CO2 削減及びエコ問題は、ビールナンバーワンの生産の会社として義務であると、そういう社是を発表しております。私は、すばらしいなと思っております。 宮城県内企業、例えば、先般、環境関係で二十五ヘクタールから七十五ヘクタールまでの環境アセスメントの緩和もありました。また、企業の要望に応じ、アクセス道路、仙台港も盛んにつくっております。しかし、もう一つ大事なのは、今現在の企業並びに進出する企業に、モラルとしてCO2 削減、エコ対策は全面にやりますという方向を出させてはいかがでしょうか。今回の補正にも、企業に対しては、エコカー、また太陽光なり省エネについての支援をする。そういう方向が私は大変結構なことだと思います。もう一歩進んで、みずからの企業にそういう方向性を出してもらう。私は、大変大事なことかなあと思っております。知事の考え方、進め方をお伺いをしたい。 次には、一般家庭であります。 京都議定書で、二〇一二年まで相当のCO2 の削減がうたわれております。現状で、京都議定書に関することについては本当に達成可能かどうか。私は、今の状態だけでは不可能だと思っております。その大きな道しるべになるのが、福岡の水素タウン構想、それから、茨城県、三重県等でもいろいろ。ですから、今の施策に、「ダメだっちゃ温暖化」だけではなかなか難しい。そうしたら、もう一歩前向きにCO2 削減、エコ問題を取り上げる。私は、大事なことではないかなと思います。ぜひ、知事の前向きの答弁、きのうあたりの一般質問でも、何かやんなきゃないという方向は出してますから。お願いをします。 次に、環境事業公社の件であります。 環境事業公社、これは、東北の百社に入る優良な企業であります。剰余金が約六十億。それから、小鶴沢処理場、あの面積は百三十五ヘクタールあるんです。それを今後有効利用できる。また、今の環境事業公社の処理料の金額であります。隣の県から見ると約七割。ですから、あと三割も値上げができる、そういう余力を持っております。 外郭団体等については、まず、基本は一般の企業と重複しない、抑圧しない、これは、第一大事であります。それから、第二は、民間でもやれるところがあれば、やっぱりやってもらう。きのうあたりも、一般質問の中で県の財政の厳しさがうたわれました。私は、例えば、東北電力、七十七の株を売るというのは、私は、県内の大事な金融機関、また、電気供給の源、それは、やっぱり県でもある程度の影響力、また、お願いする場面でも、株の売却は私は反対であります。逆に、そういう外郭団体、これまで成長してきました。その中には、歴代の理事長、また、生え抜きの職員の多大な努力があるわけです。しかし、今の給与制度から言うと、県に準ずる。毎年毎年もうかったとしても、その人たちへの配当、いわば働いた分の見返りがないわけです。今、民間で試算いたしますと、百億近い株価で、県で影響力を持っていようとすれば二割、三割残せばいい話でありまして、知事ね、これは、全国でもまれなケースなんです。これだけ、お金ない、お金ないって言いながら、懐のそういう企業を、もう民営化は、今、アメリカあたりでは、知事、刑務所まで民間でやってる時代なんですよ。ですから、最終処分場といえども、何でもそういうふうに育てば民営化をし、株式化、それをねらう。私は当然のことだと思います。金がない、金がないじゃなく、もう少しそういう面も考えていただければ、周りの外郭団体の人も、環境事業公社に続けとみんな努力するはずです。その辺の方向性はがっちり出してください。 次に、大綱二点目、新型インフルエンザであります。 余り大きな声では言えませんけれども、知事の冒頭の所信表明の中に、残念ながら新型インフルエンザ一行もありませんでした。 ひもとけば、六月定例会、約七千五百万の補正をしました。知事としては、あのとき、各診療所、病院、いろんなものの手当てを打ったと思っておるんでしょうけれども、残念ながら、七千五百万で診療所、病院、一般家庭のことを考えたら全然、金額、中身もまだまだであります。ですから、もうちょっと県民の安全安心を考えれば、後ほど答弁あるでしょうけれども、前向きの方向を出していただきたい。 まず、一点目は、ワクチンの問題であります。 けさ、テレビを見てますと、六千万人分厚労省は確保したと言っております。しかし、千五百万人分は日本国内でつくっているワクチンです。ところが、残りの分は外国から輸入であります。外国から輸入をする場合には、もう一度安全性を確かめねばなりません。 また、残念なことに、今回の新型インフルエンザ、秋口にまずピークを迎えるだろうと。ところが、それまでワクチンが用意できるのは、最初に医療関係、それから疾病の重い方々、また、乳幼児、小学生等々の順番ですけれども、最終の六千万人分までできるのは来年なんですよ、知事。パンデミックが起きてしまったら、もう大変ですよ。 思い起こせば、皆さん御記憶のスペイン風邪があります。大正七年、思い起こせばって、歴史とかいろんなもので、いろんな文献を勉強されている皆さんですから、その中で、日本では約三十九万人死んでるんですよ。世界では四千万を超している方が死んでおります。当時の医療環境、衛生環境、それと今現在は雲泥の差があります。しかし、一度強毒性のものが出て、致死率が上がったり、蔓延し出せば、もうとめようがないわけでありますから、もうちょっと、このワクチン接種に関しても、知事、しょっちゅう地方分権、分権と言ってます。厚労省は一生懸命やってます。しかし、残念ながら、現在の方向では大変におくれているのが現状なんです。 そういうのを見ると、私は、全国の都道府県、このワクチンの状況でどういうふうにやっているか調べてみました。残念ながら、あの進んでいる東京を含めて、どこもまだやってません。私は、知事、この場で、ワクチンに関しても、取得に関しても、宮城県は重大な関心を持って進めると、皆さん、ですから安心してくださいと。どんな医療関係者に聞いても、ワクチンが最大の処方せんであるということは、異口同音みんなお話しされます。ぜひ、その辺も前向きにやる必要があるのではないかなと思っております。 二点目は、県内の各施設であります。 先般、私、サッカーのベガルタ観戦に行きました。トイレの前に、従来はない消毒薬、そして、それに列をなして皆さん手を消毒しておられました。ああ、いいなあと。 私は、きょう、病院管理者もおりますけれども、宮城県内の施設では、もう先般の保健福祉委員会で答弁をいただいております。しかし、県の行政庁舎を含めた出先機関、それから、小学校、中学校、各勉強のところ含めて、私は、消毒薬、そして、できればマスク。マスクは自分の身を守るわけじゃないわけです。罹患をした人がその菌を飛ばさないように。そういうことでありますから、使う人には無償で提供する。そういう方向性を私は当然出すべきだと思っております。 ですから、知事、きょうを機会に、一斉に--これも予算はかかるでしょう。しかし、宮城県民の安全安心を考えたら、そういうものを含めて大いに県の施設に配布をする、無償で。そして、これが大きな県民への啓蒙活動にもなります。そういうことですから、ぜひ努力をしていただきたい。 三点目は、医療機関であります。 私の地元に、心臓疾患をメーンとするクリニックがあります。そこに私は七月の末に伺いました。別に私が心臓疾患を患っているわけじゃないんですけれども、お医者さんと友達で、いろんなことを伺いに行きました。そうしましたら、診療所の玄関に入るや否や、まずトリアージ、聞き取りがありました。先生は、きょうは新型インフルエンザとか、疾患があって来てるんですかと。いや、僕は先生に会いに来たんだと。そうしましたら、まず、そういうのがあり、そしてすぐに、入る否やぜひ手を消毒してください。そして、患者に限らず全員にマスクを無料配布。もう、七月の段階ですよ。そして、従来行ったときと全然違って、二つの方向があるわけです。まず、心臓疾患のみの方の待合室、それから、診療。それから、新型インフルエンザに罹患をされた方の方向。ですから、約倍の人間をその場で使っておるわけでございます。私は聞きました。この方々のふえた部分はどんな方向なんですかと。いやあ、本当に経営上大変でありますと。また、マスク、消毒薬等もであります。六月補正のときの若干影響というか、プラスがあって、県には感謝してますと言ってますけれども。 ですから、今後、考えねばならないのは三つあります。一つは、そういう人員増、また、電話の問い合わせも頻繁になってますから、その方々に対する経済的な支援であります。それから、マスク、消毒薬、これに対する補助。そして、もう一つ大事なことは、診療の場所が、診療所といえば全体狭い。その場合に、仮設テント、罹患者と罹患をしてない方をしっかり分けるためにも、仮設テント等のことも私は必要でないか。そこで診療するにはいろいろ問題はあると思いますけれども、やむを得ない事態です。私は、一番心配するのは、病院、診療所等がパンデミック起きたり、パニックになって診療できないよと。一般の患者さんを断る事態が起きるのではないか心配してるわけです。ですから、宮城県としても、その方向性を見ながらいろんな方策を立てていかねばならないと思っております。 知事、冒頭、二期目の出馬の表明をされました。もちろん、宮城県の経済状況をよくする。これも大事です。これも見逃せません。十兆円の戦略に向けても頑張る。これも大事です。しかし、もう一方、宮城県民が望んでいるのは、環境をよくすること、それから、新型インフルエンザの対策であります。その辺も踏まえて、知事の賢明な、また、すばらしい答弁を期待して、壇上からの質問を閉じさしていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 仁田和廣議員の一般質問にお答えをいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、環境問題についての御質問にお答えをいたします。 初めに、廃棄物の処理対策のうち、県内排出廃棄物は県内で処理するシステムを整備すべきと思うがどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 御指摘のありましたように、県内で発生した廃棄物の処理は県内で行われることが基本であると考えております。発生する廃棄物の一部には、高度な処理技術を要するものなど、広域的に処理せざるを得ないものもございますが、廃棄物の発生抑制、再利用、リサイクルといった3Rの推進や、排出事業者が安心して委託できる優良処理業者の育成などを図りながら、できるだけ県内で処理されるよう努めてまいりたいと考えております。 次に、PCB廃棄物についての御質問にお答えをいたします。 PCB廃棄物の処理につきましては、平成十三年に特別措置法が施行され、国の関与による処理体制が整備されております。 処理費用につきましては、中小企業者等軽減制度が設けられ、中小企業者等に対して七〇%が助成されております。これは、国、都道府県の拠出により基金を造成し実施しているもので、宮城県においても、これまで約三億円を拠出し、更に、平成二十六年度まで約二億円を拠出する予定であり、処理費の負担の軽減を図っております。 また、宮城県独自に県内四保健所にPCB廃棄物適正処理推進員、いわゆるPCBGメンを配置し、県内各事業者の保管状況の確認や指導を行うとともに、保管や処理に関する相談等に応じております。 今後とも、これらの制度等を通じ円滑な処理が行われるよう努めてまいりたいと考えております。 次に、企業の環境への取り組みについての御質問にお答えをいたします。 地球温暖化を初めとするさまざまな環境問題に対しては、企業など、すべての主体がそれぞれの立場から自主的かつ積極的に取り組むことが求められている中、議員からお話のございましたように、企業においては、その社会的使命のもとに二酸化炭素の削減などに取り組む事例がふえてまいりました。 県といたしましては、これまでも、県内の企業に対しまして、ISO14001などの環境認証の取得やグリーン購入の促進など、環境配慮への取り組みを誘導してきたところでありますが、今後、宮城県に進出してくる企業に対しましても、環境問題への幅広い取り組みがなされることを強く期待するものであります。 そのようなことから、県では、現在、誘致企業等に対する環境への取り組みの指針として、仮称ではございますが、事業活動における環境配慮推進ガイドラインの策定を進めているところであります。このガイドラインには、企業による環境マネジメントシステムの構築、県と企業の間での環境配慮基本協定締結などが盛り込まれており、そのことにより、企業の環境への取り組みがより一層促進されることになります。県では、ガイドラインによるこれらの取り組み実績を広くPRすることにより、県と企業の環境重視の姿勢を発信してまいりたいと考えております。 次に、福岡県のような先導的な施策に取り組むべきと思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 京都議定書などの動向を踏まえて、県では、これまで、地球温暖化防止活動推進員による実践活動や、官民を挙げた「ダメだっちゃ温暖化」県民運動に取り組むなど、さまざまな施策を展開してまいりました。しかしながら、県内における温室効果ガスの排出量は、まだまだ増加傾向にあるというのが実情であります。 このような状況を踏まえ、県では、今年度から、全国に先駆けて、県民の皆様がクリーンエネルギーカーや太陽光発電システム等を購入される場合に助成を行う等のより踏み込んだ積極的な施策も実施してまいりました。また、七月には、新たな産業集積と地球温暖化対策を同時に追求する、県みずからのアクションプランとして、クリーンエネルギーみやぎ創造プランを策定をいたしました。県では、このプランで現時点で想定している具体的なプロジェクトをお示しし、今後、順次実行に移していく予定にしておりますが、例えば、この中で、県とエネルギー関連企業等とが連携をして家庭用燃料電池の普及、活用等を広げていくような実証プロジェクトも検討しております。これらの取り組みを行っていく中で、全国に先駆けた施策にも率先して挑戦してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、新型インフルエンザについての御質問のうち、新型インフルエンザに対する認識についてのお尋ねにお答えをいたします。 今回の新型インフルエンザの発生は、県民の生命と健康を脅かす、まさに危機的な問題ととらえ、全力を挙げて取り組んでまいりました。そのため、感染者の国内発生や県内発生等の各段階において宮城県新型インフルエンザ対策本部会議を速やかに開催し、関連情報の収集や対応策の確認等を行ったほか、県民への広報、抗インフルエンザウイルス薬の確保や医療体制の整備に努めてまいりました。 県民の皆様に安心して生活を送っていただくためには、県として迅速で的確な対応を図っていくことが何より重要と認識をしておりますので、今後とも、国や市町村、医師会等の関係機関とも連携し、新型インフルエンザ対策に万全を期してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 総務部長石山英顕君。    〔総務部長 石山英顕君登壇〕 ◎総務部長(石山英顕君) 大綱二点目、新型インフルエンザについての御質問のうち、県庁舎における感染予防策についてのお尋ねにお答えをいたします。 新型インフルエンザの対応は、職員一人一人の健康管理が基本となりますが、県民と接する場面の多い窓口における対応を徹底する必要がございます。このことから、県庁舎における感染予防対策といたしまして、八月下旬に窓口業務用マスクを各部局に配布したところであり、また、消毒液についても、県民の皆様が訪問する機会の多い所属では既に設置しているところでありますが、流行のピークが九月下旬にも到来するとの予測もあることから、今後とも、適時適切に対応してまいります。 私から、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 環境生活部長今野純一君。    〔環境生活部長 今野純一君登壇〕 ◎環境生活部長(今野純一君) 大綱一点目、環境問題についての御質問のうち、県有施設のアスベスト対策についてのお尋ねにお答えをいたします。 県では、これまで、すべての県有施設、一千百二十五の施設についてアスベスト含有調査を行いました。その結果、六十七の施設でアスベストの含有が確認され、このうち五十九の施設で除去等の恒久対策を講じております。残ります八つの施設ですが、機械室など日常的に人の立ち入りのない場所、あるいは吹きつけ状態が安定して飛散のおそれが少ない場所となっておりますが、それらにつきましても、平成二十二年度には五つの施設、その後、残ります三つの施設についても計画的に恒久対策を講じることといたしております。 また、恒久対策が終了するまでの間、御指摘のありましたように、地震などによりアスベストの安定状態が変わるというようなことも懸念されますので、吹きつけ状態の日常的な確認に加えまして、随時必要な点検を行い、その都度適切な措置を講じてまいりたいと考えております。 次に、環境事業公社を民営化すべきという御質問にお答えをいたします。 公社は、民間企業や市町村の要望を受け、県民の生活環境の保全、産業経済の振興を目的に、産業廃棄物の適正な処理ができる公共関与による産業廃棄物処理施設の設置運営主体として、昭和五十二年に公益法人として設立されたものであります。 県の関与による公益法人として運営するということにより、公共の信用力による安心と信頼性が確保されるということ、住民への積極的な情報開示や監督が実施できるということ、妥当な料金設定で中小の排出事業者の適正処理につながっているということ、更には、埋立終了後の維持管理に万全な対策が確保できること、こういったことなど、適正処理のモデル的処分場として大きな役割を果たしているものと認識しており、現在の運営形態を維持していくことが望ましいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 保健福祉部長鈴木隆一君。    〔保健福祉部長 鈴木隆一君登壇〕 ◎保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱二点目、新型インフルエンザについての御質問のうち、ワクチン接種についてのお尋ねにお答えをいたします。 今回の新型インフルエンザのワクチン接種につきましては、国内で約千八百万人分を製造する予定でありますが、接種必要数に満たないため、これらのワクチンは、すべて国の管理のもとに供給される予定となってございます。また、国では、不足分のワクチンを輸入により賄うこととしており、輸入に当たっては、安全性等の承認審査を特例的に迅速に進めることとしております。ワクチン接種につきましては、県が特例策をとるということは極めて困難でありますが、今後の国の対応を見きわめてまいりたいと考えております。 なお、現在、国におきましては、優先接種対象者の考え方などを示した接種計画の素案を公表し、あわせて、低所得者に配慮した仕組みとなる見通しも示しておりますことから、これらの動向を注視し、国などと連携しながら、円滑なワクチン接種に向けて全力を挙げてまいりたいと考えております。 次に、新型インフルエンザ患者の診療に当たる医療機関への支援についての御質問にお答えをいたします。 新型インフルエンザ患者の診療につきましては、現在、原則としてすべての医療機関において対応することとされており、県といたしましては、院内感染対策等に関する厚生労働省からの情報を随時医療機関に提供しているほか、県内病院連絡会議を二回開催をし、体制の整備に努めているところでございます。 県の支援といたしましては、発生当初に発熱外来を設置した第二種感染症指定医療機関に対し施設整備補助を実施することにしておりますほか、医療従事者の予防投与用タミフルを七十四病院、二百二十三診療所に約五万三千錠、サージカルマスクを十二病院、二百十六診療所に約九万八千枚配布したところでございます。医療機関に対する更なる支援につきましては、新型インフルエンザの発生状況や医療機関の対応状況及び国の制度や財政措置の内容を勘案しながら、県医師会等関係機関とも協議して検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 五十五番仁田和廣君。
    ◆五十五番(仁田和廣君) まず、第一点目、民間の方々の京都議定書に基づくCO2 削減、今後進めようという気持ちはわかりました。しかし、もっと具体的な施策、コンセントを切る、それから、それに準じたエコ活動をする程度では、あの大幅な削減を求めている方向から言うと、まだまだ未決なんですよ。 知事、先ほどは、福岡の水素タウン構想とかいろいろ言いましたけれども、やっぱりそういうところもがっちりまねながら、宮城県には、東北大というすばらしいぬきんでだ大学もあるわけです。その方々とも連携をして、また、エネルギー関係も新日本石油初めいろいろあります。ですから、そういう方々とも連携をして、一般家庭のCO2 削減にこれ大いに取り組む必要があると思いますけれども、いかがですか。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) その方向でしっかり取り組んでまいりたいと思っております。 先ほどお話ししたように、全国で、恐らく一番初めか二番目だと思うんですけれども、クリーンエネルギーみやぎ創造プラン、総合的な計画をつくりました。これは、国からも大変高い評価をいただいております。その中でいろんな施策を考えておりますが、一つとして、議員御指摘の家庭用燃料電池の普及・活用を民間企業とタイアップをしながらやるというような施策も中に入れさしていただいております。また、国のいろんな事業、補助事業等もありますので、そういうのも積極的にやっていこうということで指示をしております。東北大学にもそういった研究をなさっている先生方おられますので、そういった先生方の御指導を受けながら、共同--研究とまでいくかどうかわかりませんけれども、共同の事業なども検討してまいりたいと、このように思います。 ○議長(畠山和純君) 五十五番仁田和廣君。 ◆五十五番(仁田和廣君) きょうからスタートという意味もあるでしょうし、がっちりと取り組み、具体的に数値目標を出さないと、物事というのはなかなか達成しません。ですから、産学官でいろんな連携をとりながら、その数値目標達成のためにはどういう施策があるか、そういうことで、がっちり進めてください。 次には、環境生活部長お待ちの外郭団体の件です。 全くこの外郭団体の民営化に興味も何も示しておりません。今ここに総務部長、財政の方もおりますけれども、今の県の財政は大変逼迫しているんですよ。なおさら、環境事業公社のように相当量利益が見込める。そして、民間でもやろうとしている。多分、公募すれば相当手が挙がります。そういうときにこそ、私は、外郭団体競合したりという、つくったときの基本方針じゃないですか。 小鶴沢の処理上の問題をよく話されます。あれは安定的に解決をしなければならない。しかし、地球というのは本当にいいもので、川もそうですけれども、だんだんそういうものを取り込んできれいなものに。川もそうですよ、三角州とか、川のいろんなものというのは、全部浄化作用があるんですよ。それと同時に、環境事業公社の百三十五ヘクタールが永久に使われないということでもないんです。逆に、お近くの方々に、あそこに相当な運動公園をつくるとか、それから、住宅を供給する。いろんな話をすれば、逆に今の状態よりも理解を得られると私は考えております。ですから、その辺も含め、また、もう一つあえて言えば、環境事業公社の職員、営々として毎年黒字ですよ。ところが、県がこういうふうにして財政が悪いために、自分たちの働いたその部分の見返りがほとんどない。ボーナスにしても、給料にしても、今、下げの状態。これでは、頑張っても頑張ってもしようがないんじゃないですか。ですから、あらゆる面で今回民営化を考えるいいときだと思いますけれども、どうですか。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 議員のおっしゃることも一つの考え方だというふうには思います。ただ、あそこは最終処分場を管理しておりますので、やはり、住民の皆様にとりまして、官がかかわる環境事業公社が管理をしているということで、地元の皆さんに安心感を与えているということも一つあろうかと思います。 また、先ほど部長が答弁いたしましたとおり、埋立終了後の維持管理、これも大変重要なことでございまして、万が一のことがありましたら、大変な環境に大きな影響を与えます。そういった意味で、しっかりとした組織が管理をすべきだということもあります。また同時に、いずれは埋め立てが終了いたしますので、その後に、次の場所をどこにするのかというような問題も必ず出てまいります。そういったときに、また新たに公社を立ち上げるというのは、これまた難しい問題も出てまいりますので、そういった意味では、継続的に環境事業公社にしっかりと管理をさせていくということが望ましいのではないかと考えているということであります。 環境事業公社からは、発展税、ちゃんとちょうだいをしています。 ○議長(畠山和純君) 五十五番仁田和廣君。 ◆五十五番(仁田和廣君) 先ほど言ったように、私の地元でも、実は東北電力の石炭、コークスを捨てた場所があるんですよ。ところが、そこは、捨ててから十年ぐらい、夜になるとこうこうと燃えてました。ところが、現在は、もうグラウンドでも何でも使えるんですよ。そのとおり、小鶴沢処理場を負の遺産じゃなく、だって、百三十五ヘクタールを管理する場合には、それ相当、どんな場所だって管理してる場合には大変なんですよ。ですから、逆に、プラスの方向として考える。また、地元の方にとっても。だって、今、県が関与している、例えば、仙台港の沖防の管理基金、それから、石巻はもうしかりです。あれは、当初、漁民の方々が、例えば、わからない船が入って被害を受けたときに県も関与しますよということで、みんな県が親分になって、ところが、全部それを今、県関与を廃止しているでしょう。 ですから、こればっかしとか、そういうのは、また、全国でも相当民営化が進んでるのも今の時代なんですよ。そして、環境を考える民間企業がどんどん成長している。その辺から言うと、もっと前向きにとらえるべきだし、財政の危機を知事が一番知ってるわけでしょう。ですから、その辺も考えると、そういう手段もあるんだよと。株券を売るとか、そういう手段よりも、ずっと県民のためにもなる、安全安心でやれるということですから、もう一度答弁お願いします。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 環境問題、また財政問題、非常に両方重要な問題でございますけれども、その辺のバランスというのも考えていかなければならないと思います。そういった意味では、やはり最終処分場でございますので、取り扱いには慎重を期すべきだというのが私の考えでございます。 ○議長(畠山和純君) 五十五番仁田和廣君。 ◆五十五番(仁田和廣君) 何回も言うようだけど、最終処分場が正義の味方にはなんないんですよ。もう、そのぐらいをやれる民間の企業はいっぱいあります。後日、いろんな場面で議論をしていきたいと思います。 それから、ワクチン、厚労省の方に任してると。これは、やっぱり国の機関ですから必要です。しかし、部長、大事なことは、全体六千万人分以上のワクチンを調えるまで、来年の一月、二月なんですよ。そしたら、九月、十月に、起きないことを願いますけれども、パンデミックが起きたり、罹患してる方がどんどんふえてったらどうしますか。私は、だから言ってんですよ。地方分権、地方分権、あらゆるところで叫びながら、こういうものは厚労省に任していると。こんなことでは住民の安全安心保てませんよ。いかがですか。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) ワクチンを県独自で取り寄せることができないのかということも検討はいたしました。ただ、規制が相当、当然厳しいです。ワクチンを輸入をするということでございます。その手続の時間を考えますと、国が一元的に取り寄せた方が逆に早くなるという判断をしたということでございます。決して、最初から何から何まで国にお任せということではなくて、できる限りのことはしようとしたんですけれども、どうしても物理的に不可能だという判断に至ったということでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。 ○議長(畠山和純君) 五十五番仁田和廣君。 ◆五十五番(仁田和廣君) 今回、私は、知事は引っ込んで、部長同士が来るのかなと。僕はこの姿勢を大変評価をしたいと思います。前面に議論の場にね。それだけ県民の安全安心を願ってる知事だということ改めて評価をさしていただきます。いずれ、大きな問題ですから、あらゆる場面を通じて皆さんとまた議論をしてまいりたいと思います。 御答弁ありがとうございました。 ○議長(畠山和純君) 二番吉川寛康君。    〔二番 吉川寛康君登壇〕 ◆二番(吉川寛康君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大綱二点について質問をさせていただきます。 大綱一点目は、エネルギー施策のあり方についてお伺いいたします。 長い鎖国の時代が明け、驚きと感動の西欧文明に影響を受けました文明開化時代の一八八二年、東京銀座に日本で初めてとなる電灯がともされ、電気の利用が急速に普及することとなりました。当時、日本で最初の発電所が誕生し、電灯は、東京を中心に急速に普及し始め、そのほかにも、エレベーターや電車など、電気は動力としても利用されるようになりました。年々電力需要の伸びは続き、石油、石炭を中心とした火力発電所や、大規模な水力発電所が次々に誕生することとなり、現在の電源構成の礎を築くこととなりました。 時代は明治から昭和にかわり、世界においては、化石燃料による火力発電にかわる新たな新電源として、一九五一年、アメリカ・アイダホ州で世界初となる原子力発電に成功、その後、一九五六年には、イギリス・セラフィールドのコルダーホール発電所で世界初となる出力五十メガワットの商用原子力発電所が完成し、運転が開始されることとなりました。その後、各国で原子力発電所が建設され、原子力発電所は、現在では、世界各国において電力供給に欠くことのできない主力電源となっております。 我が国においても、ほぼ同時期に原子力発電に関する検討が進められ、原子力の研究、開発、利用を推進し、将来のエネルギー資源を確保するとともに、学術の進歩と産業の振興を図り、人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与することを目的に、一九五五年十二月十九日に、日本の原子力政策の基本方針となります原子力基本法が制定され、翌年一月一日に施行されました。この原子力基本法は、我が国における原子力利用の憲法とも言うべきものであり、原子力利用は平和の目的に限定され、民主的な運営のもとに自主的にこれを行い、その成果を公開することとする原子力平和利用三原則が示されております。また、この法律によって、原子力利用の推進を図ることも規定され、正式に国策として原子力発電が推進されることとなりました。 更に、翌年の一九五七年には、日本最初の商業用原子炉である日本原子力発電株式会社の東海発電所にて原子炉で初めての臨界に成功し、我が国で初となる原子力の火がともりました。そして、一九六三年十月二十六日には、動力試験炉を用いて二メガワットの発電に成功し、同日、日本が国際原子力機関(IAEA)への加盟が認められました。したがって、後に、この十月二十六日は原子力の日と定められ、当時からことしで四十六年目を迎えることになります。また、一九六六年七月には、日本で初めてとなります商業用原子力発電所として営業運転が開始され、その後の日本の原子力発電技術の基礎を築きました。 その後、一九七四年には、電源開発促進税法、特別会計法、発電用施設周辺地域整備法のいわゆる電源三法が制定され、長期的な電力の安定供給に向け、発電用用地の確保、発電所の立地を円滑に推進するとともに発電所施設周辺の公共施設整備を促進し、地域住民の福祉の向上により電源立地のメリットを地元に還元することを定義し、各地で原子力発電の立地が大きく前進することとなりました。 このように、今から半世紀前となる一九五六年の原子力基本法の制定から、電源の安定供給の観点に立ち、国策として原子力発電が推進されてきた経過にあります。その結果、国内五十五基の原子力発電所が我が国の総発電電力量の約三分の一を供給するとともに、有力な地球温暖化対策の一つとして貢献してきているところであります。 また、二〇〇二年六月には、エネルギーの需給に関する政策の基本方針などを示すことを目的に、安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用の三つの基本方針のもと、エネルギー政策基本法が公布、施行され、このエネルギー政策基本法に基づき、二〇〇三年十月に作成されたエネルギー基本計画において、原子力発電は安全確保を大前提に、核燃料サイクルも含め基幹電源として推進することが明記され、閣議決定されました。 原子力基本法制定以来、原子力委員会において、おおむね五年ごと、延べ九回にわたって原子力の研究開発及び利用に関する長期計画、いわゆる原子力長期計画が策定され、改定されてきましたが、十回目の見直しとなります二〇〇五年十月には、各省庁における施策の企画推進のための指針を示すとともに、原子力行政にかかわりの深い地方公共団体や事業者、更には、原子力政策を進める上で相互理解が必要な国民階層に期待を示すという理由から原子力政策大綱と名称を改め、向こう十年間程度の原子力の基本方針として閣議決定され、原子力発電は基幹電源であること、原子燃料サイクルを確立すること、そして、プルサーマルを推進することが改めて確認され、現在に至っております。 とかく、原子力発電に対し、最近の技術でまだ確立していないでありますとか、設計上性格が全く異なっております原子爆弾といたずらにひもづけをしたりしておりますが、既に確立された技術に基づき、法律にのっとって、より安全に計画的に推進されて、はや半世紀が過ぎた今となっても、なおこういった見解を耳にすることは、大変残念に思う一人であります。 ちなみに、現在の原子力発電をすべて新エネルギーに代替する場合、電力供給の不安定さをもたらすことはもちろんのこと、太陽光発電の場合であれば、この宮城県全体の敷地の約半分の敷地と、三百兆円を超える設備投資が必要となり、風力発電の場合であれば、宮城県全体の面積の約一・五倍分の敷地と、五十兆円を超える設備投資が必要となると言われており、どちらの代替案も非現実的であると言わざるを得ません。 電源は、ライフラインの一つでありますので、これまでの国の政策のもと、これからもしっかりとした電源の安定供給に必要不可欠な原子力発電は、基幹電源として推進されるべきものであると考えます。 ここで、まず初めに、平和利用の観点に立ち、安定した電源確保のため、これまで国策として推進されてきました原子力発電を基幹電源とする一連のエネルギー政策について、まずは、知事の御所見をお伺いいたします。 さて、電気や家庭用ガス、自動車燃料などのエネルギーを生み出すための資源には、原油、液化天然ガス、石炭などの化石燃料を初め原子力発電の燃料に用いられますウランなどがありますが、我が国で供給されるエネルギーの約九六%は、海外からの輸入に依存しております。一般的に、原油、石炭、ウランなど、生活上必要なエネルギーを生み出すためのエネルギーを一次エネルギー、この一次エネルギーをもとに、電気や都市ガス、ガソリンなど、生活する上で使い勝手のよいものに変換されたエネルギーを二次エネルギーといいますが、資源エネルギー庁発表の総合エネルギー統計によると、我が国に供給される一次エネルギーの二〇〇七年度実績の内訳は、約四七%を石油が占めており、次いで石炭の二一・三%、天然ガスの一六・三%と続いております。石油に関しては、一九七三年の七七%をピークにその割合は低下してきてはいるものの、他のエネルギー資源と比較すると、依然、まだまだ高い依存割合を示しております。 一方、原油市場に目を転じると、原油価格は、二〇〇四年以降大幅な変動を伴って高騰を続け、記憶に新しいところでは、昨年七月、ニューヨーク原油先物市場において一バレル百四十七ドルという史上最高値を記録し、世界経済に大きな影響を与えました。これまでも、一九七三年の第一次オイルショック、一九七九年の第二次オイルショックなどを経験しておりますが、石油産油国である中東諸国の影響を受けやすい原油市場の不安定さを改めて痛感したところであり、原油依存度を今後更に軽減させていく取り組みが必要と言えます。 我が国のエネルギー自給率は、二〇〇六年度実績で、先ほど述べたとおり約四%と、先進国の中ではかなり低い水準になっております。これは、同様に水準の低さが懸念されております食料自給率、これの十分の一にすぎず、食料自給率と同様に、今後の大きな課題であると言えます。 ここで、一次エネルギーの中で、原子力発電の燃料に用いられるウランについて考察してみたいと思います。 ウランは、一度輸入すると長期間使用できるという特徴を有する物質であり、一般的に、準国産エネルギーとも言われております。このウランを含めると、我が国のエネルギー自給率は、二〇〇六年度実績で約一九%となり、四%から大幅に向上することとなります。したがって、今後のエネルギー自給率の議論を深めていく場合、参考にすべき切り口であると言えます。 また、一次エネルギーの可採埋蔵量を見てみると、石油が四十二年、天然ガスが六十年と少ないのに比べ、石炭が百三十三年、次いでウランが百年と、比較的可採年数が長く、また、資源分布で見てみると、石油、天然ガスは中東依存の割合が高い特徴を有しておりますが、石炭やウランは比較的政治情勢の安定している地域に分散している状況にあり、安定的な輸入という観点からも、ウランは自給率向上のキーワードとして検討に値するエネルギー源であると考えます。 そこで、次の三点についてお伺いいたします。 一点目は、エネルギー自給率の実情に対する危機感についてであります。 先ほど述べたとおり、一次エネルギーの大半を輸入に頼っている我が国、日本。世界の情勢が目まぐるしく変化を遂げている昨今、もう少し、この低迷するエネルギー自給率の現状に危機感を持つべきであると考えます。 昔から、日本も含め、世界における争いは領土の問題であったり、あるいはエネルギー、食料などの生活基盤の安定確保に関するものが多かったと認識しております。国内から化石燃料を新たに発掘することなどしょせん限界がありますので、準国産エネルギーであるウランの位置づけをもっと注目すべきであると考えます。具体的には、風力、太陽光などの再生可能エネルギーのある一定レベルまで拡大していく施策の一方では、やはり原子力発電の推進を今後の施策の柱とし、安定的にその割合を着実にふやしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。知事のエネルギー自給率に関する御所見も含め、お伺いいたします。 二点目は、現在、導入の検討が進められておりますプルサーマル計画についてお伺いいたします。 プルサーマルとは、原子力発電所で燃焼した使用済みウラン燃料を再処理し、燃料の中から再利用可能なウランとプルトニウムを回収し、MOX燃料と言われるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料として再び原子力発電所で利用する仕組みを言うものであり、一九六〇年代から、日本も含め、世界十カ国、五十七基の発電所で利用されている豊富な実績があります。また、フランスでは原子炉全体の三分の一、ドイツでは全体の二分の一がこのプルサーマルを行っておりますが、これまで、事故の報告は一件もございません。それでも、日本のプルサーマル計画に関しては、それぞれ導入を目指す原子炉の特性を一つ一つ評価、個別にしっかりとした検討が行われているわけですので、安全を第一に慎重に検討されていることが、この点からもうかがえます。 よく、原子力発電を原発問題、プルサーマルをプルサーマル問題と、何かと問題の冠をつけたがる方もいらっしゃるようですけれども、さきに述べた我が国の一次エネルギー事情をかんがみた場合、プルサーマルは、国と同様に、県としても責任を持って推進していくべきものと考えます。プルサーマルと聞くと、なかなか難しい表現で違和感を抱く方も多いようですが、私は、お会いする方々には、原子燃料の再利用だと御説明申し上げますし、また、自動車に例えて言うなら、ガソリン車にハイオク燃料を入れるようなものということで表現してございます。 このプルサーマルを導入することで、さきにも述べました準国産エネルギーであるウラン資源が約一割から二割削減できるというふうに言われておりますので、そういう点からも、エネルギー自給率を更に高める方向に作用すると考えます。 現在、経済産業省原子力安全・保安院の一次審査を終え、原子力委員会及び原子力安全委員会の二次審査を受けている状況ですが、先行他自治体での進捗状況を参考にすると、ことしの年末前後には審査結果が通知されるものと私なりに推察します。原子燃料の再利用であり、エネルギー自給率の向上に寄与するこのプルサーマルについて、その有効性並びに評価について御所見をお伺いいたします。 三点目は、原子力広報についてお伺いいたします。 正しい知識普及のためには、広く多くの方々に原子力について関心を持っていただく、そして、知識を深めていただくための場を提供していくことは大変重要な取り組みであると考えます。現在、県としては、女川町に立地する原子力センター二階の広報展示室で、原子力発電の特徴や安全対策などについて展示、説明を行っております。多くの方々へ原子力PRを推進していくという観点から言えば、発電所近隣に限らず、仙台市内などにも同様の展示コーナーを開設するなど、もっと広域的な原子力PRのための具体の取り組みを今後行っていくことも必要であると考えます。 また、去る九月五日、石巻市並びに女川町でプルサーマルについての理解を深めることを目的とした講演会が開催されましたが、私も女川会場にお伺いしました。三百五十名を超える多くの方々が参加しており、このプルサーマル計画に対する地域の皆様の関心の高さを肌で感じました。初めに、第一部として、資源エネルギー庁の森本課長からエネルギー政策上でのプルサーマルの必要性について、東北電力の梅田副社長から、女川原子力発電所三号機におけるプルサーマル計画についてそれぞれ説明が行われ、その後、第二部として、九州大学大学院の出光教授と元京都大学原子炉実験所講師の小林氏により、それぞれ推進、慎重の立場による講演が行われました。地域の方々の関心の高いテーマを県として開催した今回のプルサーマル講演会は、原子力広報の一環という観点からしてみても、大変有効な取り組みであったと評価しております。 講演会においては、賛否両論の意見が交わされる中で、多少の不安をかき立てられるといった面もありますが、それでも多くの参加者がプルサーマルに関して、目的であったり、安全性であったりといった認識を新たにされたのではないかと思います。多くの参加者のもと、今回開催されましたこの講演会に対する評価も含め、原子力広報に関する知事の御所見をお伺いいたします。 次に、大綱二点、農商工連携についてお伺いいたします。 去る七月十六日、財団法人東北産業活性化センター主催の調査研究プロジェクト報告会が仙台で開催され、基調講演として、宮城大学の大泉教授による、これからの農商工連携のあり方と題した講演を伺いました。食料自給率が低水準で推移する中、農業は、耕作放棄地対策、担い手確保対策などなど、さまざまな課題に直面しており、今後の農業のあり方については、農商工連携という切り口でより有効な対応が図れるとの内容で、大変興味深い講演でした。 さて、我が県は、豊かな自然に囲まれ、海、山、大地のはぐくむ多彩で豊富な食材はもとより、これを原材料とした加工品、そして、多様な食文化に恵まれております。また、本県の優位性を発揮するため、食材王国みやぎの旗印を掲げ、県内のさまざまな食材資源や立地条件などの優位性を基盤にしながら、地域独自の発想や創意工夫を生かした、生産から加工、流通、そして、消費に至るまでのトータルとしての食に関する多様なビジネス機会や雇用を県内各地で創出していくことを目指し、これまでもさまざまな取り組みを行っております。 一方、全国的には、先進国最低水準を推移する我が国の食料自給率の低迷、産地偽装などに端を発した一連の食の安全に対する不安、食を取り巻く環境は大きな課題に直面しており、国、そして地方自治体、それぞれにおいて実効ある具体の取り組みが求められております。県内においても、耕作放棄地対策、農林水産業従事者の高齢化、担い手不足対策などなど、まだまだ課題が山積している状況にあります。 また、我が国の平成十九年度の食料自給率は、カロリーベースで四〇%、生産額ベースで六六%となっております。食料は、人間の生命維持に欠くことのできないものであるだけではなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものであります。食料の安定供給を確保することは、社会の安定及び国民の安心と健康の維持を図る上で不可欠であり、世界の食料需給が、中長期的には逼迫する可能性もあると見込まれる中で我が国の食料自給率は低下の一途をたどり、現在、食料の約六割を海外に依存している状況にあります。 農林水産省としても、全国知事会、農業者、農業団体代表者、食品産業事業代表者、消費者団体代表者、そして学識者などから構成される食料自給率向上協議会を立ち上げ、食育並びに地産地消の推進、食品安全のためのGAPの普及推進、トレーサビリティーシステムの構築など、食料自給率に資する具体の取り組みを行っております。 ここで、農業の変遷について考察してみると、一つの大きな課題が見えてきます。 農業は、これまで、家族内あるいは地域の身内同士といった、ある意味閉ざされたおのおのの単位で経営されてきたと思います。それでも、戦前までの農業は、現在のように、生産するだけではなく、販売、加工も行い、いわゆる財貨を得るまでを一貫した農産物に付加価値をつける取り組みを担ってきたと言われております。 戦後、農地改革後の農地法の制定により、農業者を耕作者、生産者と規定し、事業領域を大幅に狭めることとなり、結果的に、農業からこれまでの商業あるいは加工業を切り離し、農業の事業展開を非常に困難なものにしてしまったと言われており、このことが、まさに農業の付加価値創出を阻んでいる大きな原因であると考えます。したがって、これからの農業を考えたとき、農業そのものを戦前の事業領域に戻すことは困難かもしれませんが、課題をしっかりと見据え、それを補完する具体の仕組みづくりが必要であると考えます。 こうした中、昨年五月十六日に、農商工連携関連法案二案が国会で成立しました。中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律、いわゆる農商工連携促進法、そして、企業立地の促進などによる地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律、いわゆる企業立地促進法改正法がこれに当たります。製造業の技術や流通業のノウハウを農業に活用することをねらいとしたこの二つの農商工連携関連法は、意欲ある担い手を支援するとともに、農地の集積や有効利用を進める農地政策の改革の具体化、並びに小規模農家、高齢農家の方々向けに安心できるように、集落営農を立ち上げやすくするなどの効果が期待されております。 農商工連携というフレーズは、一見、聞くところによると、新しい取り組みのような印象を受けますが、決してそうではなく、これまでも六次産業化であったり、食産業クラスターであったり、食農連携といったような表現で従来からも使われてきており、全く内容的には同じであります。これからの農業のあるべき姿を示す指標として先送りせず、今こそしっかりとした農業のビジネスモデルの構築が必要だと考えます。 そこで、次の三点についてお伺いいたします。 一点目は、農林水産物の消費拡大を図りながら、雇用を創出し、地域経済を活性化させていくという農商工連携の意義についてであります。 本県含め東北地域における農林水産業は、競争力を持ち、二次産業並びに三次産業と肩を並べる主力産業の一つであるべきだと考えます。残念ながら、大都市圏のマーケットから遠いといったデメリットなどもあり、東北地域では、よい製品はできるが、よい商品は少ないと言われることもあるようであります。リソースの少ないこの地方圏で、できる限りの地域主体が一体となって活動する農商工連携は、今後の地域間競争で勝ち抜く上で重要であると考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。 二点目は、本県の農商工連携の実情と課題についてお伺いいたします。 本県の十九年度実績の食料自給率は、カロリーベースで八〇%、生産額ベースで九四%となっております。日本の食料倉庫と言われるこの東北地域の中では最も低い水準にあり、まだまだ改善しなければいけません。本県では食材王国みやぎを掲げ、これまでもさまざまな取り組みを行ってきてはおりますが、本県の農商工連携の実情、実績並びに課題について御所見をお伺いします。 三点目は、食料自給率推進策についてお伺いいたします。 戦後、大きく低下の一途をたどり、昭和四十年度には七三%であった食料自給率は、平成十九年度には四〇%まで落ち込むこととなりました。このことは、国内農業の低迷を意味するだけではなく、輸入国への依存の高まり、ひいては、大きな弱みを持つことになります。また、世界人口の増加やバイオ燃料の需要増加などによって、食料の需要と供給のバランスが崩れつつあるとの指摘もされており、世界は、これまで類を見ない食料価格高騰の時代を迎えようとしております。食の安全を確保するためにも、しっかりと確実な食料自給率向上対策を行っていかなければなりません。 また、日本の食料倉庫と言われるこの東北地域において、先ほど述べたとおり、八〇%と水準の低い我が県としての今後の食料自給率向上のための取り組みが、あらゆる方面から大いに注目されていると思います。食という生活に一番身近な存在の安全確保のため、そして農業の発展、ひいては本県の発展のために、今後の食料自給率向上対策としての県としての具体の施策について、強い意気込みも含め、御所見をお伺いいたします。 以上で、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 吉川寛康議員の一般質問にお答えをいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、エネルギー施策のあり方についての御質問にお答えをいたします。 初めに、原子力発電を基幹電源とするこれまでの国のエネルギー政策について所見はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 我が国のエネルギー政策のあり方を示すものとして策定をされましたエネルギー基本計画においては、新エネルギーの着実な導入拡大を図りながら、安全確保を前提として原子力発電を基幹電源として位置づけ、核燃料サイクルの早期確立を含め、積極的に推進することなどが定められております。県といたしましては、エネルギー資源の大部分を海外に依存している我が国において、エネルギーの安定供給の確保や地球温暖化問題への対応を図る観点から、原子力を基幹電源とする国の基本方針については、十分に理解できるものと考えております。 次に、我が国のエネルギー自給率の向上を図るため、原子力発電の割合を着実にふやすべきと思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 御指摘のありましたとおり、我が国のエネルギー自給率は主要国の中でも最低水準となっておりますことから、価格高騰や国際情勢等に左右されず、国内の需要に対し安定的にエネルギー供給が図られるよう、自給率向上に向けた取り組みが必要であると認識をしております。国においては、ことしの六月に原子力発電推進強化策を公表し、原子力発電を供給安定性と経済性にすぐれた準国産エネルギーと位置づけ、二〇〇七年で約二六%である原子力発電の割合を、二〇二〇年時点で四〇%程度に向上させていく必要があるとの考え方を示しております。県といたしましては、自給率向上の観点からこの考えは理解できるものであり、国において、着実に取り組んでいただきたいと考えております。 次に、プルサーマルの有効性及び評価についての御質問にお答えをいたします。 御指摘のありましたように、ウラン資源がほとんど存在しない我が国において、プルサーマルの導入は、ウランを一割以上節約できることから、エネルギー自給率向上に有効なものと考えております。 なお、女川原子力発電所三号機のプルサーマル計画については、その安全性の確認や地域住民の理解状況を把握しながら対応してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、農商工連携についての御質問にお答えをいたします。 初めに、農商工連携は地域間競争の上で重要と思うがどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 農商工連携は、農林水産業者と商工業者が協力し合い、地域資源を有効に活用するとともに、お互いの強みを生かして、新商品、新サービスの開発や生産等を行い、新たな市場開拓等を行うものであると認識をしております。したがって、地域間競争を勝ち抜く上でも、農商工連携の取り組みを通じて我が県の良質な農林水産物や食品を生かし、消費者ニーズに合致した新たな地域ブランドの育成に力を入れていくことが極めて重要であると考えております。 次に、本県の農商工連携の実情、実績及び課題についてお答えをいたします。 県では、これまで、食材王国みやぎを掲げ、マッチング機会の提供、商品開発やマーケティングの支援、商談会の実施を通じて、県産品のブランド化、売れるものづくり、販路の拡大などに取り組んでまいりました。こうした取り組みは、農商工連携の先駆的な取り組みと考えております。 県内の農商工連携の実情といたしましては、相談支援機関において農商工連携にふさわしい取り組みについて事業化支援を行っており、現在、米粉、小麦、カキ殻、間伐材などを利用したさまざまな連携事業が進められております。 昨年の農商工等連携促進法の施行後の実績といたしましては、和牛の新商品や高機能の桑茶など四件が連携事業計画の認定を受けております。今後の課題といたしましては、支援制度の周知、支援機関同士の連携、連携の核となる人材の育成、さまざまなマッチング機会の提供と考えており、国や関係団体と連携しながら、数多くの連携事業が展開されるように取り組みを強化してまいりたいと考えております。 次に、食料自給率向上に向けた今後の具体的施策についての御質問にお答えをいたします。 食料自給率の向上のためには、供給力の向上と消費の拡大が必要であります。供給力の向上に向けては、宮城の食料自給率向上新展開事業により、米粉用米や飼料用米など新規需要米の生産拡大を図るほか、食料自給率の低い野菜、麦、大豆などの生産振興に取り組んでまいります。消費の拡大のためには、食育・地産地消推進事業などにより、地産地消や食育の取り組みを通じて、本県農林水産物の消費拡大を推進してまいります。これらの取り組みに加えて、県民一人一人が宮城の食料を守る担い手という意識を持ち、生産、流通、消費のそれぞれの立場から食料自給率の向上に向けて行動するみやぎ食料自給率向上県民運動を強力に展開していくこととしており、過日、県民運動開始記念大会を開催したところであります。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 環境生活部長今野純一君。    〔環境生活部長 今野純一君登壇〕 ◎環境生活部長(今野純一君) 大綱一点目、エネルギー施策のあり方についての御質問のうち、原子力広報に関するお尋ねにお答えをいたします。 今回のプルサーマルに関する基調講演会は、当初の予定人数を超える応募がございました。また、途中で席を立つ方もほとんど見られなかったと。こういったことなどから、地域の皆様の関心の高さというものを感じております。講演会では、安全性を中心に、さまざまな観点から推進、慎重、双方の御意見を知ることができました。また、参加者から多くの質問もいただき、これに対して、講師から直接お答えをいただくこともできました。時間の制約もあり、また、専門性の高さからもわかりにくい部分もあったかもしれませんけれども、参加者には、プルサーマルに関して理解を深めていただける充実したものであったと考えております。 原子力広報については、住民の方々が抱いている原子力に対する不安や疑問について、一つ一つ解消できるような情報をお知らせしていくということが求められているものと考えております。今後、開催予定のプルサーマルに関する対話フォーラムにつきましても、そのような考え方で取り組んでまいりたいというふうに考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 二番吉川寛康君。 ◆二番(吉川寛康君) 御答弁ありがとうございました。 それでは、順番逆になりますけれども、初めに、農商工連携について再質問をさせていただきます。 農業者の高齢化や世代交代が進む中で、年々増加の一途をたどっている耕作放棄地、これを解消することは大変重要だということは、これまでも一般質問の中でも多く出てきているところでございます。 これまでも、国としまして、耕作放棄地解消に向け、地域の活性化と農地の有効利用の観点から、さまざまな取り組み、あるいは制度の見直しなどが行われてきましたけれども、これら一連の制度の見直しの中では、私は、農業に対する自治体の主体性が求められてきているように感じます。今回の農地法改正に際しまして、参入企業へのアプローチでありますとか調整といったところにつきまして、市町村のみならず、県としても主体的に市町村と連携し、しっかりとこれら取り組みをサポートすべきものと考えますけれども、いかがでしょうか、御所見をお伺いします。 ○議長(畠山和純君) 農林水産部長千葉宇京君。 ◎農林水産部長(千葉宇京君) 企業の農業参入でございますけれども、県では、これまでも、県庁、それから各地方振興事務所に相談窓口を設置いたしまして、参入を希望する企業への助言指導を行ってきております。こういった企業のための農業参入ガイドブックの作成、配布とか、企業や、それから市町村等関係機関を対象とした研修会を開催しまして、企業の農業参入に関して普及啓発に努めてきたところでございます。 今般の農地法改正によりまして、一定の要件を満たした場合には、農地の貸借の規制が緩和されたことから、今後、企業の農業参入一層進むものと、参入希望が増加するものというふうに予想されております。このような企業による農業参入につきましては、地域農業の牽引役として、本県をリードするアグリビジネス経営体への発展が期待されるとともに、お話のように、耕作放棄地の解消に大きな役割を果たすというようなことも期待されるというふうに考えております。そういったことから、積極的に推進してまいりたいというふうに考えてございます。 今後は、これまでの取り組みとあわせまして、市町村等に対しまして改正農地法の周知と、それから企業参入促進への理解醸成を図っていく、そういう必要があるというふうに考えております。また、参入意向のある企業に対しましては、地域農業の調和ということ、これも一つの参入要件ということになっておりますことから、こういった地域農業の維持発展へ貢献していくよう、地域から担い手として認知されるよう、そういったようなことを参入希望企業の方に指導助言するなどいたしまして、そういったような支援を強化していきたいと、このように考えております。 ○議長(畠山和純君) 二番吉川寛康君。 ◆二番(吉川寛康君) ぜひとも、しっかりと県の主体性を発揮していただきまして、今後の、誇れる宮城の農業の再生、再構築に向けて御努力いただければと思います。 続きまして、エネルギー施策のあり方について再質問をさせていただきます。 先ほど述べましたとおり、九月五日に開催されましたプルサーマル講演会におきましては、推進、慎重、それぞれの立場の講演を伺いました。主義主張といったもの、あるいは思いというものあるかもしれませんけれども、国の一次審査が終了し、その時点では、技術的には問題ないといったお墨つきをいただいている現状において、プルサーマル計画のどの部分が具体的に、技術的に問題なのか、そうしたところが具体的に示されもせず、ただただ定性的な論理だけで問題である、あるいは、プルサーマル計画そのものが無意味であるといったような御意見を会場で伺ったとき、正直、残念に感じました。 私は、プルサーマルを論議するための大切な論点は、目的が何なのか、そして、どのような運用がなされ、そして、安全性がどのように評価されているか、これらをしっかりと明確にするべきところだというふうに考えております。原子力行政におけます県の主体性といったことを求める声もたまに耳にするわけでございますが、まさに、目的、運用、そして、この安全を明確に示すことこそが県の主体性といったものになるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。 ○議長(畠山和純君) 環境生活部長今野純一君。 ◎環境生活部長(今野純一君) 今、議員からもお話がありましたが、県といたしましては、女川原子力発電所におけるプルサーマルの安全性につきましては、今回、設置をいたします専門家による検討会議を通じて確認をしてまいりたいと考えております。また、事業者の品質保証を含めた安全管理体制ということについてもしっかりと確認をしていくということとしております。 お話のとおり、こういった点を県として明確に示すということが求められているというふうに考えております。女川町、石巻市と連携をしながら、こういった点について主体的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○議長(畠山和純君) 二番吉川寛康君。 ◆二番(吉川寛康君) 先ほども言いましたとおり、国策として推進されてきましたこれまでの歴史経過も踏まえまして、本県への導入可否判断が求められるときには、ぜひとも知事の迅速かつ適切な御判断をお願い申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。 ○議長(畠山和純君) 暫時休憩いたします。    午前十一時三十五分休憩-----------------------------------    午後一時二分再開 ○議長(畠山和純君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。二十二番本木忠一君。    〔二十二番 本木忠一君登壇〕 ◆二十二番(本木忠一君) 夏も終わりを告げ、みちのく宮城にも吹く風涼しく、そこかしこに小さい秋見つけたの感を禁じ得ないわけでありますが、宮城県政においても、村井知事においても、実り多き秋であることを、冒頭よりでありますが御祈念を申し上げたいと思います。 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 私は、地方政治家の一人として、七月二十一日の国会解散以来、第四十五回総選挙を、そして民主党への政権交代をどのようにとらえるかで苦悶しつつの日々というのが偽らざる心境であります。 一九九三年春の国会は、小選挙区制の導入が焦点となったものの、時の宮澤内閣は調整に失敗、不信任案可決となる事態に、解散断行の挙に出るも過半数に及ばず、一九五五年以来三十八年間続いた自民党単独政権は劇的に終わりを告げ、続く細川政権は、翌九四年に、小選挙区比例代表並立制を含む政治改革関連四法案を成立させ、政権交代への道筋を示したかに思われましたが、非自民八党会派政権は十カ月余りの短命を余儀なくされ、社会党の村山富市委員長を首班とする自社さ政権を樹立するという驚天動地の奇策を打って政権復帰を果たした自民党は、以後、一度たりとも衆参両院の過半数を制することができなかったにもかかわらず、自自公、自公保、自公と、次々に連立を組み、二〇〇一年には、自民党をぶっ壊すと叫ばせ、小泉純一郎内閣が誕生、瀕死の状態の自民党が息を吹き返し、二〇〇五年の小泉劇場で語られる第四十四回総選挙に大勝、されど、奇策を用いて蘇生することは、もはやかなわず、限界まで解散を先延ばしたゆえの余計に厳しい形での政権交代を許すことになったのは、紛れもない事実であります。 この結果を国民の審判として厳粛に受けとめようと努めるものの、小泉郵政選挙にしても、このたびの政権選択選挙にしても、マニフェスト選挙で各党が競う形が定着したとは裏腹に、有権者の投票意識を考えるに、政治能力とは全く関係のないところで候補者選定がなされたことと相まって、若手なら汚れていないのでよい。女性ならいい。美人ならもっといい。自転車に乗っていれば庶民的でよい。あげくに、ある雑誌によれば、女は女を五感で選ぶとして、口先だけのマニフェストにはだまされないと言いつつ、男にこびない・こびるが、好き嫌いの判断基準にされるなど、さんざん野党が批判していた小泉チルドレンの更に廉価版の小沢ガールズの誕生という報道につけ、政治家が国民受けをねらい、有権者がそれを支持してしまうという一面、その構図は、まさにポピュリズムのきわみ、民主政治は腐敗するとの言葉を想起せざるを得ず、危惧の念すら抱かざるを得ないのであります。 今回の総選挙において、地方分権が国民の最大の関心事とならなかったのは至極残念であり、地方行政の担い手であるべき知事、市町村長、地方議員は、自戒も含め大いに反省すべきと思料するものでありますが、そのことは、小泉内閣が小さな政府を掲げ、国民生活を支えるセーフティーネットを至上主義的な地方財政制度改革によってそぎ落としたことは、極端に言えば、破壊すれば国民が真剣になって働くとばかりの新自由主義の呪縛に基づくものと断罪せざるを得ず、地方の疲弊、格差社会の助長という状況下にあって、自民党は、中福祉・中負担に方向転換したがゆえに、地方分権改革において際立った違いが見えなかったということにも起因するとしても、東国原宮崎県知事の地方分権こそ最大の争点との一連の発言は、マスコミ等で道化師的パフォーマンスとしてやゆされたにしても、私は高く評価すべき言行動と言わざるを得ず、よって、民主党政権において、戦後憲法が国会を国権の最高機関と規定したものをあざ笑うかのように今日まで生き延びてきた官僚指導体制を打破できるか否か、唯一期待するところであります。 七月二十三日、マニフェストに先立って、民主党政策集、INDEX2009が発表され、その中で私が一番重要だと思っているのは、中央集権制度を抜本的に改め、地域主権国家を樹立するとの下りでありました。 財務省による徴税、国債管理、予算配分の財政中央集権が続く限り、そのもとでの地方分権といっても、三位一体改革程度のありさま、真の地方分権改革の最大の焦点は税財政改革であり、現税制を形成する基幹税を国税と地方税に対等に配分することであり、そのことは、所得税、そして消費税の対等配分であることにほかならず、国民生活を社会保険等の現金給付のみで支え切れぬ現状にあって、福祉、医療、教育という社会保障の対人社会サービスも実態に即してきめ細やかに行政対応するという視点で地方財政が提供するゆえんであり、そのことこそ民主主義を活性化させ、国民に未来の社会と生活を決定する権限を強化する地方分権改革のひとしく現代的意義があることは、論をまたぬところであります。ゆえにこそ、民主党の言うところの地域主権国家とはいかなる国のかたちなのか、釈然としないのであります。五年後、十年後には市町村合併の機会を与えるとしつつ、その後の広域的行政はどのように展開するのかなど、速やかに具体的な提言がなされなければなりません。 全国知事会は、公示に先立ち、八月七日、各党の政策責任者を招き、地方分権改革に関する公開討論会を開き、民主党は、地方分権改革推進委員会の勧告以上のことをしたいと述べ、更には、国と地方の協議の場については法制化を明言するとともに、行政刷新会議に地方代表が入り、国のあり方そのものを協議するとまで踏み込み、また、補助金、負担金を廃止して一括交付金化して、地方の自主財源をふやす。基礎自治体を強くし、初めて広域自治体のあり方を考えるのが順番との考えを示したとのことでありましたが、少なからず選挙において地方分権が脚光を浴びたことには積極的に評価するものの、要は、すべてこれから協議すると言っている内容でもあり、不安を禁じ得ないのであります。 村井知事は、地方分権改革を積極的に推進し、道州制を視野に入れた国のかたち論を展開しようとする立場からも、民主党政権における地域主権国家マニフェストをどのように読み込み、また、官僚主導体制打破に対する期待感と、もしや幾ばくかの懸念があるとすればも含め御所見を伺うとともに、私は、分権改革の実現には、政府にその実施を迫ることよりも、国民の大半に分権は必要と納得していただくことこそ先決という思いもあるのですが、遅々として進まぬ市町村合併とあわせ、県知事として、その先頭に立つ意味からも、地方からの発信力に対する御決意を披瀝願いたいと存じますが、いかがでしょうか。 既に、民主党への政権交代という事実にあって、政策集、マニフェストを精査し、国民生活第一、家計への支援と銘打つ政策を検証することは、私ども県民生活にも直結するゆえに、非常に大切な作業と思われますが、逐一、知事の所見を求めるものであります。 決して国民から支持されていない子ども手当の支給は、完全実施の場合、五兆三千億の財源が必要とされ、配偶者扶養控除の廃止で見込まれる一兆四千億円ではどこにも足りず、公共事業の見直し、特別会計の剰余金などから財源をひねり出すとの方針でありますが、そもそも、所得制限などを設けず、所得税控除の見直しによる負担増を強いながら、子供を持つ家庭環境など全く考慮に入れず一律支給するなどという姿勢こそ、中央集権的発想と申し上げざるを得ないのでありますが、いかがでしょうか。 はてまた、来年度においては、子ども手当のほか、ガソリン税など暫定税率の廃止、高速道路無料化の段階的実施などで約七兆一千億円の財源が必要とされながら、参議院選への影響を考慮するなどといった理由から、国債の増発に踏み切ることも視野に入れたとのこと、また、高速道路無料化による三十一兆円余の借金返済ともあわせ、六十年償還による国債において充当するとの考えを示すなど、国債発行は先送り増税という視点で言えば、余りに無責任な、少なくとも近々の課題である財政再建とは大きなそごを来す手法と言わざるを得ないのですが、いかがでしょうか。 時代に合わぬ大型直轄事業は全面的に見直すと称して、八ツ場ダム入札延期が報道される中、地方自治体、住民とのコンセンサスを得ぬままに、スケープゴートのごとき大衆迎合政治を断行することに不快の念を禁じ得ず、暫定税率の廃止とあわせ、我が県の土木行政推進にも相当の影響が出てくるものと思料いたしますが、いかがでしょうか。 ところで、七月二十三日に出された政策集は、民主党の政策論議の到達点という内容であり、政権獲得後に進めていく政策の基本と見て間違いないところでありますが、私は驚きとともに、憤慨の念を禁じ得ない感慨を抱きました。 外国人参政権、選択的夫婦別姓、元慰安婦への補償、靖国神社にかわる国立追悼施設の建設などなど、そして、教育問題においては、教育の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直す。教員の養成課程は六年制とし、養成と研修の充実を図るとのこと。つまりは、安倍内閣において相次ぐ教員の不祥事などを背景に、教員の質の維持向上のために教員免許更新制度を導入したのでありますが、そのことの撤廃を意味するものであり、教育行政における国の役割として中央教育委員会の設置とは、産経新聞によれば、事実上の文科省解体と報道されたごとく、日教組が主導しやすい枠組みを可能にするともとれるなど、ゆゆしき事態と申し上げざるを得ません。 今日の日本における教育の主眼は、家庭崩壊、不登校、いじめ、そしてモンスターペアレントに象徴されるがごとく、自分のやりたいことだけを主張する。権利は主張するが、義務は負わないという価値観にさらされた教育現場からの脱却であり、愛国心、公共心の醸成、子供たちに対する道徳教育こそ肝要であると言っても過言ではありません。日教組の主張によれば、漢字を覚えさせるのは強制、九九を覚えさせるのも強制、おはようというあいさつがあると教えても、朝に必ずおはようとあいさつしなさいと指導すれば強制だとのこと。子供たちの自由意思を尊重するとの美名のもとに、読み・書き・そろばんも、あいさつもろくにできぬ子供たちをつくり、ゆとり教育として先進国でも下位にまで落としめた学力の低下。今こそ教育再生とのやさきに、日教組の教育方針を教育政策の柱に据えるとすれば、言語道断と言わざるを得ません。 あに図らんや鳩山代表は、先般、全国学力テストの廃止を明言いたしました。多くの国民が継続を求めているにもかかわらず、学校の序列化を招き、過度の競争を戒めるとの事由など、さんざん聞かされた定番の言いわけにすぎず、あいた口がふさがらないとはこのことであります。このような事態を絶対許すわけにはいきません。学力向上に向け緒についたばかりの我が宮城の教育再生プランともあわせ、教育長にも御所見をいただきたいと思います。 私は、国家戦略局、行政刷新会議の創設は、予算編成権、つまりは税金の分配権を官僚から奪い、天下りや公益法人に代表される官僚のむだ遣いを排除するといった政治主導の改革に大いに期待するものの、先ほど述べた早期に実現したいとする政策の基本となるべき国論を二分するかのような諸課題をマニフェストに掲げず、また、知り得て報道することなく、あるいは争点化することのなかったマスコミ論調も含め、民主党の圧勝による政権交代において、大事なところは全く知らされず、国民にとって聞こえのいい政策だけを載せたマニフェスト選挙に危惧の念を率直に申し上げねばならないと思っております。 次に、国道三百九十八号石巻バイパスの三陸縦貫自動車道への連結とあわせ、国道百八号涌谷-石巻間のバイパス整備についてであります。 この石巻バイパスは、石巻と女川を結ぶ延長約十一キロの広域幹線道路であり、平成十年に第一期事業として南境工区二・七キロに着手され、旧北上川に六百六十五メートルの曽波神大橋、そして、二百七十一メートルの南境トンネルの構造物の建設、更には軟弱地盤と相まって十年余の工事期間となったものの、地元自治体を初め地域住民の後押し、更には県土木の並々ならぬ努力によって、間もなく開通、遅くとも年度内の開通に向け、最終段階の工事が急ピッチで行われております。 恐縮ながら、私の居住する目の前での工事ですので、一日たりともその工事現場を通らぬ日はなく、工事のつち音こそ、私の議員活動の糧になっていると言っても過言ではありません。 そのことはともかくとして、石巻市街地の慢性的な交通渋滞の緩和、起点側の国道四十五号沿いの石巻赤十字病院への災害時における重要な緊急輸送道路としても位置づけられ、更には地方拠点都市整備法に基づく南境業務拠点地区を支える道路として、地区内の総合運動公園、石巻専修大学へのアクセス性を高めるなど、道路がまちをつくるの格言どおり、地域活性化に直結する道路事業でありますが、鳴瀬奥松島インター以北の三陸自動車道が国直轄事業、伴う料金無料化と相まって、国道四十五号を起点とするこの路線を約三百メートル延伸することによって、三陸自動車道と連結することを切望する声が日増しに高まっていることも事実であります。中核医療機関、石巻赤十字病院へのアクセスという点からも、第二期事業の大瓜工区と同時に着工することを強く求めるものですが、御所見を伺う次第であります。 もとより、道路特定財源の一般財源化、暫定税率の廃止、伴う公共事業の縮小等、道路行政を取り巻く環境は更に増して厳しい状況でありますが、社会資本の充実、とりわけ地震等自然災害による被害を最小限にする国土づくり、地域経済の下支えとしての広域道路ネットワークの形成という視点からも、未整備な道路網の整備は必要不可欠な重要施策であり、基盤整備はもう十分だ、公共投資を抑えるべきとか、GDP比の公共投資は多過ぎる、土建国家になっているなどといった批判は的外れもいいところで、我が国の道路整備の歴史は、わずか五十年。都市部では日常的に渋滞し、環境問題が生じ、地方に至っては生活道路すら未整備で、今後の交流と連携の時代と言われながらも、道路基盤整備は追いついていないというのが現状であり、例えば、我が国より国土の狭いドイツは、制限速度百キロのアウトバーン一万一千七百十二キロメートルに対し、日本は二千六百キロメートル、制限速度六十キロの道路延長は五万二千九百九十四キロメートルに対し、一万九千七百六十七キロメートルと、国土条件の違いとはいえ、道路ネットワークの密度は比較にならず、また橋梁にしても、架設後四十年以上の割合は四〇%を超えるなど、もはや道路投資の拡充、道路ストックの改善こそが急務であり、これ以上の社会資本整備を停滞させることは許されない状況にあることも事実であります。 しかし、されど、行政のむだ、そしてその最たるものが、必要性の疑わしい道路、ダム、港湾といった公共事業、更には利権の構図と、図式のごとく描かれ、行財政改革の元凶とまで指弾され、聖域なき歳出カットとばかりに公共事業を減らし、医療・介護など福祉予算に回すといった短絡的とも言える構造改革において、不要不急の公共事業という不要不急の概念すら明確ではなく、つまりは、現状において、人口減少、少子高齢化が極端に進む地方にとって、経済効率が低いといってむだな道路として一くくりすることは、行政のスリム化とは全く別次元の問題と言わざるを得ないのであります。 公共事業の抜本的改革、それは従来の政治家、官僚の利点絡みの計画決定過程、事業主体とも言うべき特殊法人のあり方、入札制度の問題、あるいは省益しか顧みない縦割り行政の弊害など、従来のシステムを変えるための法律体系の改正こそ肝要であり、そのことに異論などあろうはずもなく、競争力の高い経済、そして地域活性化等の下支えとしての社会資本整備の充実は、財源の確保とともに、地方の発信力ともあわせ、中央の論理に基づく、置き去りにされつつある地域政策として声を大にして求めていかねばならないのであります。 大都市圏においては、CO2 削減など、道路建設はコストを含めてマイナス面が大きい上に、市街地への車の流入規制をし、大量交通機関へ乗りかえてもらうといった発想の転換を図るべきであり、中山間地、沿岸部を抱え、公共交通機関の充足度が低い地方には道路ネットワークの充実を図ることは、まさに政治主導によって政策決定すべき課題であります。 私は、地域高規格道路、石巻新庄道路がようやく平成十年候補路線に指定されて以来、早期に計画路線への昇格を要望し続けてまいりましたが、地元国会議員の活動不足、県土の均衡ある発展へのビジョンなど持ち得ぬ県政など、宮城県内において地方拠点都市の石巻ー大崎間を結び、更には重要港湾である石巻港、酒田港が連結することによる物流の促進、沿線地域の産業経済、文化、観光など、地域活性化策への大きな効果が期待されるにもかかわらず、遅々として進まぬのが現実であります。 この石巻古川間路線は、従来、国道百八号としてその使命を果たしてきたのでありますが、一部歩道整備さえままならぬ狭隘な道路、ゆえに順次バイパス整備がなされ、小牛田バイパス、涌谷バイパス、更には東古川バイパスと進捗を見、そして平成二十年には県道移管が予定される国道として明記をされました。高規格道路としての道路建設を地道に陳情することとあわせ、広淵沼六百九十八ヘクタール、鹿又地区五百八十五ヘクタールの基盤整備事業が平成二十二年に採択予定と軌を一にして、国道三百九十八号石巻バイパスと三陸自動車等との連結、その上で、ここを起点とする国道百八号石巻北バイパスの早期建設を国直轄道路事業として強く求めるべきと思料いたしますが、見解を問うものであります。 以上、多岐にわたりましての質問でありましたが、誠実な答弁を期待し、終わらさせていただきます。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 本木忠一議員の一般質問にお答えをいたします。大綱三点でございました。 私からは、大綱一点目、地方分権改革の推進についての御質問にお答えをいたします。 初めに、民主党の地域主権国家についての評価はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 私は、将来の国のかたちを国民に示すことは政治の使命であると考えており、地方分権の究極の姿であって、国家のフルモデルチェンジである道州制の導入が必要であると訴えてまいりました。 民主党のマニフェストにおいては、中央集権体制を抜本的に改め、地域主権国家へと転換することが表明されており、これは、現在進められている地方分権改革と基本的な方向性を同じくするものと受けとめておりますが、どのような国家の将来像に結びつくのかという点が必ずしも明らかになっていないのではないかと感じております。 また、マニフェストには、一括交付金など地方の財源にかかわる政策が盛り込まれておりますが、現段階では、地方の財源をどう確保していくのか、税源移譲や地方交付税の復元・増額との関連も含め、その詳細は明らかではありません。 新政権には、地方分権改革に向けての道筋と地方がみずからの課題をみずから解決するための地方税財源の充実についての具体策を早急に示すとともに、地方と対等な立場で協議し、地方の意向に沿った改革を進めていただきたいと念じております。 次に、官僚主導打破についての期待や懸念はどうかとの御質問にお答えをいたします。 民主党は、マニフェストにおいて政治家主導を掲げ、行政刷新会議を設置して、すべての予算や制度の精査、中央と地方の役割分担の見直しなどを行うとしております。地方分権改革は府省の抵抗が強いことから、私も政治主導で進めていく必要があると考えておりますが、これには国民の理解と地方からの後押しが何よりも大切であります。今後進められる地方分権改革が地方の考えをしっかり反映した形で府省の抵抗を打破し、実施されるよう期待をしております。 次に、地方分権改革の実現のため、先頭に立って地方からの発信力を発揮する決意はどうかとの御質問にお答えをいたします。 地方分権改革は、国のかたちを変える取り組みであり、国民的なコンセンサスを得ながら国民主導で進めていくことが重要であります。私は、地方分権改革の実現に向けて国民の機運を盛り上げていくためには、この改革によって国民一人一人の思いが行政に反映されやすくなるなどのメリットを国民にしっかりと訴え、理解していただく必要があると考えております。 私は、このような認識を踏まえ、この国のかたちと地方の姿を見据えながら、真の地方分権の実現に向け、国民の理解が得られるよう、地方の先頭に立つ気概を持って、全国知事会など、さまざまな機会を通じて、その意義や必要性を訴えてまいりたいと考えております。 次に、子ども手当を一律支給する姿勢こそ、地域主権に反する中央集権的発想だと思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 民主党のマニフェストでは、安心して子育てができるための政策として子ども手当が打ち出され、その財源として、所得税の配偶者控除等の廃止が見込まれております。 さまざまな国家的な課題に対応するため、税制や給付金などの全国的な制度設計を行うことは、国が担うべき重要な役割であると考えており、子ども手当などの制度の創設が、地域主権に反する中央集権的なものとは一概には言えないものと考えております。 一方、地域の子育て支援については、住民に近い目線で必要な施策を展開できることも大切であります。このため、地方分権を進め、各自治体が必要な権限と財源をもって、これまで以上に地域の実情や住民ニーズに応じた子育て支援策を実施することが肝要であると考えております。 次に、ガソリン税等の暫定税率廃止や高速道路の段階的無料化のための国債増発は、財政再建と大きく矛盾するのではないかという御質問にお答えをいたします。 民主党は、高速道路政策大綱において、高速道路を無料化し、高速道路事業の債務を国債に振りかえて償還するとの考えを示しており、また、その他の政策についても、財源確保策を明確に示していないことから、今後国債が増発される可能性もあると認識をしております。 一方、平成二十一年度末の国と地方を合わせた国債などの長期債務残高が八百十六兆円に上ることが見込まれるなど、国も地方も財政は危機的状況にあり、財政再建は大きな課題であります。また、景気低迷が長期化し、税収の落ち込みによって財政状況が更に悪化することが懸念されているところであります。 こうしたことから、新政権には、景気対策に万全を期すとともに、将来を見据え、財政再建に向けた中長期的な考え方及びその道筋を早急に示していただきたいと考えております。 次に、時代に合わない大型公共事業の見直しやガソリン税等の暫定税率廃止が本県の土木行政に与える影響についての御質問にお答えをいたします。 県の土木行政については、土木・建築事業のマネジメント指針として策定をいたしました土木行政推進計画に基づき、事業の優先性や緊急性を見きわめながら、限られた予算の中で効率的かつ効果的に推進しております。 また、大型公共事業の見直しなどについては、具体的な制度設計が不明であり、現時点で土木行政への影響を詳細に把握することは難しいと考えております。しかしながら、ガソリン税などの暫定税率が廃止された場合、代替財源が確実に手当てされなければ、公共事業の休止や延期、施設の維持管理への影響などが懸念されますことから、今後の動向を注視し、情報の収集に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 土木部長伊藤直司君。    〔土木部長 伊藤直司君登壇〕 ◎土木部長(伊藤直司君) 私からは、大綱三点目、国道三百九十八号及び国道百八号バイパス事業についての御質問のうち、初めに、石巻バイパスについて、起点を延伸するとともに、第二期工区と同時に着工してはとのお尋ねにお答えいたします。 国道三百九十八号石巻バイパスは、第一期工区として石巻市新上沼の国道四十五号から南境地区までの二・七キロメートルについて今年度内の完成供用を目指し、鋭意整備を推進しているところでございます。県では、引き続き、来年度から第二期工区として南境地区から真野地区までの三・四キロメートルについて新規着手を予定しております。 国道四十五号側起点部の延伸については、国道三百九十八号と三陸縦貫自動車道が直接接続することになれば、道路ネットワークとしての機能が向上するものと考えておりますが、事業主体が決定していないこと、ルートや整備手法などを検討していく必要があることから、第二期工区との同時着工は、現時点では難しいと考えております。 しかしながら、県といたしましては、その重要性にかんがみ、今後、路線の機能や性格を踏まえた上で、早急に国と調整を図ってまいります。 次に、国に対して、石巻新庄道路の建設促進を働きかけるとともに、国道百八号のバイパスの早期建設を求めるべきではとの御質問にお答えいたします。 石巻新庄道路は、石巻市から大崎市を経て新庄市に至る地域高規格道路であり、現在事業中の新庄酒田道路とあわせて、東北中央部における太平洋側と日本海地域を結ぶ東西交通軸として広域的な地域連携の強化を図る重要な役割を担う路線です。このため、県としましては、地域高規格道路の建設促進に向け熱心に取り組まれている地域の方々とともに、今後とも、計画路線への格上げにつきまして、国に強く要望してまいります。 なお、国道百八号が通過している旧河南町内においては、幅員が狭く、線形も不良な箇所が多いことから、道路改良の緊急性は高いと認識しており、現在、計画が進められている圃場整備事業との調整も視野に入れながら、早期にルートや整備計画を策定されるよう、国へ強く要望してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 教育長小林伸一君。    〔教育長 小林伸一君登壇〕 ◎教育長(小林伸一君) 大綱二点目、全国学力・学習状況調査と本県の教育再生の方向性についての御質問にお答えいたします。 全国学力・学習状況調査は、各教育委員会や各学校が児童生徒の基礎的知識の定着度やその活用能力、更には日常の学習や生活の状況を把握し、児童生徒への学習指導の改善等に役立てるという点で意義があるものと考えております。 これまで各市町村教育委員会や各学校では、調査結果を分析・検証し、学習指導の改善に積極的に取り組んできており、その成果があらわれつつあるものと認識しております。 また、調査結果からは、学力の向上には、基本的な生活習慣や学習習慣の改善に向けて取り組むことに加え、児童生徒みずからが学ぶ意欲を持つことが重要であることも明らかになっております。 県教育委員会といたしましては、これまでの教員の指導力向上などの取り組みに加えて、家庭での学習習慣の形成や学ぶことの意義の体得など、学習意欲の向上に力を入れてまいりたいと考えております。 こうした学力向上に向けた取り組みとともに、これからの変化の激しい社会の中にあって常に夢や目標を持ち、自分の道を切り開いていけるようなたくましい人間を育成する教育が重要であると考えております。 このため、県教育委員会といたしましては、改正教育基本法に基づき現在策定を進めている教育振興基本計画の中で、子供たちが人間としてのあり方や社会の構成員としての生き方を真摯に考えながら、高い志を持って生きていく、そういう児童生徒の育成を重点方針に位置づけた上で、学校、家庭、地域、企業等が連携して、社会総がかりで子供をはぐくむ環境づくりを進めてまりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 二十二番本木忠一君。 ◆二十二番(本木忠一君) 補足して再質問をさせていただきたいと思います。 知事からは手いっぱいの答弁をいただいたというふうには思っておりますけれども、官僚政治の打破だとか、あるいは新たな政治の仕組みだとか、そういった点で、これからの日本どうなるんだろうかという意味では、逆に民主党政権に対して期待するところも多々あるわけでありますけれども、地方議員の一人として、あるいは、身近な県民、市民の生活の場としての対応し得る議会議員として、非常に明確でない--こういうことを言うとあれですが、選挙に勝つためだけに聞こえのいい政策だけを打って、今回の選挙戦、戦われたなと。私たちは地方行政に参画する一人として、宮城県内においても格差は現実としてあるわけですので、一人一人の県民に思いをはせながら、どういった形で政策を打っていくべきか。更には、その裏づけとなる財源をどう確保するのか。そのことが非常に大きな問題だし、そのことに注視をしていたわけでありますが、いかんともしがたく、そういった具体的な内容は示されませんでした。 知事らも十分御承知かと思いますけれども、自治体の財政調整基金は二〇一二年度には枯渇をする。財源不足額は十三・一兆円に及ぶ。そのことは、もとより行政サービスの引き下げというふうな形になります。二〇〇八年度までに、全国の自治体は、職員数において三十三万人を削減しました。また職員給与・手当一兆六千七百億円をこれまた縮減した。しかし、行政改革やそういった視点でのみでは、もう財源不足を解決しないというのも現実であります。 これは、地方六団体で示した具体例でありますけれども、小学校四十人クラスを六十人に拡大する。県単の私学助成を廃止をする。警察職員、消防職員のおのおの二万五千人を削減する。病院事業会計の繰り出しを全部廃止する。地域交通確保体系の廃止をする。このような血のにじむような行政サービスの切り下げをしたとしても、五・二兆円しか削減されない。どこにも追いつかない。つまり、もはやその時々の行政対応ではなくて、税制の抜本的な改革が、見直しが求められているにもかかわらず、少なくとも民主党は四年間消費税を上げないと。確かに行政のむだだとか、特殊法人だとか、特別会計の問題も含めて埋蔵金だとか剰余金だとか、しかし、それは恒久的な財源にはならないわけでありますから、しっかりとした財源の明確化、消費税をどのような形にするのか。あるいは地方財政という点でいえば、地方消費税をどうするのか。こういった議論は本来なされなければならない。しかし、この選挙においては、そういった細かい話はだれ一人として発言しませんでしたね。非常に悲しいことでありました。 こういった点で、知事は、これからの地方財政、宮城県の財政、どのようにしようとしているのか。そしてまた、現政権に対してどのように要望をしようとしているのか、お聞かせを願いたいと思います。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) これからの地方財政をどのようにしていくのかということであります。これにつきましては、我々ができることというのは本当に限られております。歳出カットといいましても、もう削れるところはほとんどございません。今、新・財政再建推進プログラム、また新しいやつですね、作成をしようとしております。新たな定員管理計画もつくろうということをしておりますけれども、職員が、これ以上減らしますと非常に負担が重くなってしまうということで、もう悲鳴を上げているような状態でございますので、本当に苦しい状態でございます。また、歳入につきましても、税収が企業誘致等がうまくいっておりますので、いずれ上がってきますけれども、これも五年ぐらいのスパンで見なければいけないということであります。したがって、現時点においては、今の仕組みの中では、国からの地方交付税といったようなものがしっかりと手当てされなければ、いずれ近いうちに、宮城県に限らず、どの自治体も破綻するであろうと、このように考えております。 今回、民主党が掲げられた政策は大変すばらしいものばかりだというふうに私は思いますけれども、しかし、財源の手当てをしなければ実現できないものばかりでございます。歳出をカットするといったようなものはほとんどございませんで、ほとんど歳出をふやす政策ばかりでございますので、これが結果的にどういったところにしわ寄せが来るのかということについては大変高い関心を持って見てまいります。少なくとも地方に、我々に負担が来るようなことだけにはならないようにということは、新政権に対してしっかりと物を申していかなければならないと、このように考えております。 ○議長(畠山和純君) 二十二番本木忠一君。 ◆二十二番(本木忠一君) 私も危惧するところはそういうところでありまして、民主党政権においても、大衆迎合政治に陥らずに、現実を見詰めながら、将来の日本あるいは我々国民を導いていくという点で期待される政権でありますので、その点について言えば、きちんと地方の実情を把握し、そして、法制化されるというふうにお聞きはいたしておりますけれども、これからの国のかたちを地方の声を聞かずして中央だけで、霞が関だけで決めるということは絶対許されないことでありますので、知事もそういった点では、全国知事会を通じて、はっきりと物を申していただきたい。身近な行政を預かる行政官として、中央にしっかりと物を申すと、そういう決意を新たにしていただきたいと強く要望しておきます。 あと、学力テストの廃止についてでありますけれども、これは教育長からもきちんとした答弁をいただけなかったんですが、まず、知事、鳩山代表は学力テストを廃止すると、こういうふうなことを明言しております。これについてはどのように思われますか。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 現時点においてどういう発言をされているのかわかりませんけれども、私の知り得た情報では、悉皆調査ではなく、抽出調査という形にするというようなお話をされたというのは、マスコミ報道を通じて仄聞をしております。どういう理由でそのような発言をされたのか、現時点においてはよくわかりませんけれども。以前、宮城県は四県で学力調査をしておりました。しかし、結果的に、その四県とも全国レベルで見ると、余り上位でなかったということがあります。したがって、幾つかの県だけでやると、やはり全国的なレベルというのがわりませんので、やるならば全国一律にされた方が効果があるのではないかと個人的には思っております。 ○議長(畠山和純君) 二十二番本木忠一君。 ◆二十二番(本木忠一君) 同じように再びお聞きをしますが、教育長、どのような所見をお持ちでしょうか。 ○議長(畠山和純君) 教育長小林伸一君。 ◎教育長(小林伸一君) 全国学力・学習状況調査についての民主党のお考えといたしましては、私ども承知している限りでは、現行のような形ではなくて、抽出でやるべきではないかというようなお考えを示しているというふうに承知をしております。抽出でやるとしたときに、具体的にどういうふうな形の抽出になるのか、これはまだ詳細明らかになっておりませんが、懸念いたしますのは、抽出の仕方によっては、調査の結果として出てきたデータをその後の学校改善、授業改善に生かしにくいというところが出てくるんではないかというふうに思っております。その点、現在の悉皆調査であれば、これは結果を十分に生かすことができるというふうに認識しております。 ○議長(畠山和純君) 二十二番本木忠一君。 ◆二十二番(本木忠一君) 宮城県のことしの学力テストの結果は、小学校は三十九位、中学校は二十一位と、非常に評価するに厳しい状況かなとは思いますが、特に小学生の国語の基礎が下位にとどまっているというふうなことでありました。私は、初等教育においては、基本を厳しくたたき込むということが非常に肝要だなというふうに思っております。そして、なおかつ国語教育が非常に大切なんではないかと。寺子屋教育を引用するまでもないことでありますが、国語力、漢字をきちんと覚えて読み書きをし、読書や活字に触れると、そういったことを基本的な形で初等教育の中で推し進めるべきだなというふうに思っています。その点については、教育長、いかがでしょうか。 ○議長(畠山和純君) 教育長小林伸一君。 ◎教育長(小林伸一君) ことしの調査の結果を見ますと、今お話にありましたように、中学校については順調に伸びているというふうに思いますけれども、小学校については、特に国語が低い数字が出てしまったということがございます。その内容を子細に見ますと、特に漢字の読み書きにおいて成績が悪かったということが言えると思います。これは私も反省すべきことだろうと思っております。新しい学習指導要領では、小学校、中学校とも授業時間がふえます。ふえる中身といたしましては、読むことと書くことなんです。ですから、そこら辺をとっかかりにいたしまして、今後指導に改善を加えていきたいと、工夫していきたいというふうに思っております。 ○議長(畠山和純君) 二十二番本木忠一君。 ◆二十二番(本木忠一君) 知事、間近に控える知事選でありますけれども、やはり宮城の大きな課題の一つとして教育再生が挙げられると思います。御存じのとおり、大阪の橋下知事は、教育委員会に檄を飛ばして、とにかく非常事態宣言なんだと。緊急対策をまとめて、大阪の子供たちの学力向上のために全力投球せよと。そういったことで、学校も地域も一丸となって努力をされております。宮城も厳しい経済環境と思いますが、子供たちの学力向上にだれも反対する人はいないと思います。そういった点では宮城の再生は教育の再生からと、そういった知事の思い、もしあれば、御披瀝をいただきたいと思います。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 教育というのは、これからの日本人、これからの宮城の人材をつくっていくものでありますので、極めて大切だと思っております。教育委員会とよく意思疎通をしながら、知事という立場で協力をしてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(畠山和純君) 二十一番中島源陽君。    〔二十一番 中島源陽君登壇〕 ◆二十一番(中島源陽君) 昭和四十九年当時、私の母校である岩出山町立真山小学校の木造体育館に全校児童二百人ほどが集まり、高校生のお兄さんやお姉さんが来て、何やらゲームをしていました。私が思い出すことのできるジュニアリーダーの高校生の皆さんと出会った最も前の記憶です。その後、特別に意識していたわけではありませんが、気がつくと、高校三年生の夏には、私も地元の岩出山ジュニアリーダーに入って、夏休みじゅう各小学校を回って、子供たちと大いに遊んでいました。小学生時代におけるジュニアリーダーとの遊びの原体験は、私の深層心理の中に、いつかは私もやってみたいという素朴な欲求を埋め込んでいたのかもしれません。 そしてまた、二十二歳のときに乗った宮城県青年の船では、ここでも元気いっぱい前向きなリーダーに出会い、いつかはあのようになりたいという思いを持っていたのだと思います。数年後、私は、青年の船友の会が主催し、中高生をフィリピンに派遣する若人の翼のリーダーとして参加していました。更にはその後も、県が仕掛けた東北学おこし事業や伊達なクニづくり実践塾などにも参加し、多くの県内リーダーとの出会いがあり、私自身にとってかけがえのない体験をさせていただきました。そのような意味において、私の過ごした青少年期には多くの出会いのチャンスがあったと思います。 しかしながら、昨今の青少年活動の状況は大いに違ってきているように思えてなりません。本県における青少年期の活動実態として、ジュニアリーダーや青年団、4Hクラブ、NPO等の青少年活動に関してどのように把握し、総括しているのか。また、その課題をどう分析しているのか、県としての所見を伺います。 また、現在、県としてもさまざまな取り組みを行っているところでありますが、特に、少年期を対象とする少年の船は、子供たちの心に涙と感動を与え、大いに成果を残しているものと思います。しかしながら、経済情勢や社会環境の変化から、最大時は五百人規模の団員を確保していたこの事業も、今年度は二百人弱の団員となっています。単純な比較はできないものの、大分県でも同じような少年の船を四百七十人定員で実施しており、参加費は三万五千円ほどであるのに対し、本県は六万円でありますから、参加のしやすさという点で大きな違いがあることも確かであります。また、同じように実施していた熊本県少年の船では、下船後の自主的なリーダー活動として、熊本県少年の船リーダー会が組織され、「ほっぷ すてっぷ はる きゃんぷ」、「夏キャンプ」などなど、子供たちを対象としたさまざまな活動が展開されています。 本県ではまだそこまでの活動を広げられないでいる状況ではありますが、そのきっかけを整えていくことで、少年の船事業そのものの成果とともに、熊本県同様に、下船後の自主活動における成果をも期待できるものと思っています。 宮城県として、これまで三十回を数える宮城県少年の船についての評価についてどのように総括されているのか、お伺いいたします。 更に、県として平成十七年度から二十年度までの四年間取り組んだM・Y‐Dream、青年による新・地域づくり事業においては、十七グループ約二百人の青年が参加しました。圏域ごとにチームを組んでテーマを決めて、夢実現に向けてその企画を実施していくという事業であり、さまざまな出会いや議論や汗があったことと思います。これまでの既存組織にこだわらない新しい枠組みでの出会いや実践の場であり、非常に貴重な機会になったことと思います。参加したある青年の報告書には、考えが異なる人間たちと出会い、一緒に考え、悩み、形にしていく、このような活動をしたことのない私にとって、この体験は貴重なものとなりましたと書いてあり、M・Y‐Dream事業が大いに青年を成長させたあかしではないかと思っています。しかしながら、本事業は、平成二十年度で終了となり、現在は同様の事業は行われていません。四年間継続した実績とその評価についてもお伺いいたします。 さて、ここ宮城県議会が立つ場所は、仙台伊達藩の子弟教育の学校であった養賢堂があった場所です。議会わきにそのことを示す標柱がひっそりと立っています。 一七三六年に、当時の伊達家が養賢堂の前身となる学問所を開き、藩士子弟の教育が始まったのでしたが、次第に欠席者が多くなり、欠講も続いて衰退の一途をたどったとあります。しかしながら、時の藩主、伊達重村公が学問奨励の布令を出して、一七七二年に改めて養賢堂と名づけ、教育改革を行ったことにより、その後は大いに隆盛をきわめたとあります。その結果、仙台藩からは、林子平、大槻玄沢、高野長英などの多くの逸材を輩出しました。更には、領内の荒廃地を開墾して、学田一万二千石を得て、学校経営の資金に充てたとされています。 私の地元、岩出山にもその学田があって、時の古文書には、仙台藩よりその学田の見聞に役人がやってきて、地元の肝いりが案内したとあります。つまり江戸時代においても人材育成は欠かせない施策であり、そのための資金も新たな水田を開いて確保していたということでありますから、いかに力を入れていたのかがわかります。 私は、この史実に大いに学ぶべき点があるものと思っています。まずは人材こそが地域を発展させていく最大の資源であり、その育成を怠ってはいけないということであります。そして、第二には、人材育成は将来への投資でありますから、ちょっと参加者が減ったから、又は財政が厳しいからということでやめるというような考え方ではなく、時代に合うように変化させながらも、その青少年教育の場を継続させていくというリーダーの強い信念が大切であるということであります。養賢堂を生み出し、成長させていった、教育をあきらめない、教育の場をなくさないというリーダーの信念は、まさに今の時代にこそ生かされるべきと考えます。 改めて、村井知事の青少年教育に対する信念と理想とする青少年像についてお聞かせいただきたいと思います。 また、本県においては、青少年の教育に関して、青少年健全育成条例に基づく基本計画、第三次宮城県生涯学習振興計画、宮城県学校教育長期計画などに位置づけられているところであり、担当部署としても、共同参画社会推進課や教育委員会生涯学習課において分散して所管しているために、一貫性のある青少年育成が行いにくい体制になっているのではないかと思っています。更には、地域の現場においては、何を行うにしても地域リーダーの不足が叫ばれる昨今であり、地域を支え牽引していくようなリーダーの育成も欠かせない課題となっています。 先日、ある鳴子温泉旅館の若だんなさんとお話しした際に、自分の家でつくっている三角型の珍しいトマトを栽培していて、お客さんにサービスで提供しているとのことで、更にはこのようなちょっとした取り組みを温泉街全体で取り組めればもっといいのではないかという地域全体の活性化を願う熱いお話をいただきました。非常に身近な例ではありますが、富県宮城の経済政策の両輪として、今紹介した若だんなさんのような地域の活性化を目指す人材育成は欠かせないことであります。 この際、青少年から青年までの人材育成、地域リーダー養成に対して一貫した計画と体制を構築していくべきと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。 更に、本県では、昭和四十八年度から青年の船が十八年にわたり継続され、また、平成四年からは伊達なクニづくり実践塾、平成六年からはみやぎ地域づくり実践塾として平成十四年まで実施されました。現在、県内多くの地域において、四十代、五十代、六十代などで地域を引っ張っているリーダーの多くがこれらの事業に参加していたのではないでしょうか。さまざまな評価はあるにしても、県内の若者にとって多くの出会いがあり、多くの刺激があったことは確かであり、現在の地域活性化の原動力になっているものと思います。いわゆる人材育成の成果は、十年、二十年という長い期間であらわれてくるものであり、それだけの継続が欠かせないことを示しているのではないでしょうか。 私は、宮城の将来像としての富県宮城を掲げる村井知事ならではの思いをしっかりと伝え、青年が地域に根を張りながらも世界にも視野を広げ、互いに切磋琢磨し成長していくような人材育成の場として、村井知事独自の現代版養賢堂構想を打ち立てていくべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。 次に、大綱二点、農政の転換点における本県農政についてであります。 政権交代が現実のものとなる中で、農政の根本が大きく変わろうとしています。いわゆる戸別所得補償がまずは農業で実施され、以降、順次、水産業、林業にも適用するということであります。この際、日本農業にとって最も危機的な問題は、所得補償を前提としたアメリカとのFTA(自由貿易協定)であります。FTAは、現在のWTO体制が経済状況の違う多くの国がかかわるために、その交渉が複雑かつ長期化する傾向にあるのに対して、少数国間の交渉となれば、その障害が少なく、現実的な前進を得やすいという面を持っているために、世界的にもその締結数はふえています。日本も、二〇〇八年現在、シンガポール、マレーシア、タイなど数カ国とのFTAを締結しています。しかしながら、FTAにおいては、例えば北米自由貿易協定が域内貿易比率を高めたということになると、それ以外の国は締め出されたということであり、世界経済に対してはマイナスの影響を与える可能性もあります。また、FTAによって失う関税収入と生産者の損失の合計が消費者余剰の増加を上回る場合も考えられ、その場合は、国内経済に対しても大きなマイナスの影響を与えることになります。また、特に農業大国であるアメリカが重要農産物の除外を認めることは考えられず、日本とアメリカのFTAは、世界経済にも大きな影響を及ぼす可能性を持つとともに、拙速な締結推進は、日本経済、そして本県農業にも大きな影響を与えるものと危惧するものであります。このような日本とアメリカのFTAは、農業県である宮城県としては断固阻止しなければならないと思います。 まずは、この点に関して、農業県の知事として、農業と食料の安心という立場から、国に対してしっかりと要請していくべきと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。 また、今後の農政や農業環境がどのように変わったとしても、農業・農村に対する消費者の理解は欠かせないものでありますから、これまで以上の取り組みを求めたいと思うものであります。 過日、大崎市認定農業者連絡協議会の研修会に講師としてお招きした東京大学の鈴木宣弘教授の資料を引用させていただくと、スイス農業省を二〇〇八年九月に訪問した際、山間の傾斜地の多いスイス農業は、生産性ではドイツや英国にはとてもかなわないので、自然農法、有機農法、動物愛護、生物多様性などへの取り組みをより徹底することで、価格は割高でも消費者に納得してもらうのが方向性だとの説明があった。確かに、スイスの卵は一個六十円ないし八十円もするが、二十円の輸入物には負けていない。ケージ飼いが禁止され、野原で伸び伸び育った鶏の価値を国民は十分に評価しており、割高でも本物を買い支える姿勢が定着しているとあり、最後に、このような関係を我が国でも築けるであろうかと、私たちに投げかけています。 しかしながら、日本の現実は、例えばお米を考えてみると、現在の六十キロ当たりの米価を単純に一万四千円とした場合、御飯茶わん一杯のお米の価格は二十四円ほどになります。これを農家の再生産意欲を確保する米価として一万八千円とすると、御飯茶わん一杯のお米の価格は三十円ほどであります。御飯茶わん一杯のお米の負担からすれば、あと六円を負担していただければ、農家も再生産意欲を持って農業に取り組んでいけるのだと思います。しかしながら、現実は、現在価格よりも下げるという圧力の方が上回っていると聞きます。そのような意味で、日本はまだまだスイスのようにはいかないわけであり、地道な消費者理解への取り組みが求められているのだと思います。 前回の県議会一般質問において、みやぎ食と農の県民条例基本計画の改定の中で、消費者理解の促進について質問をさせていただきましたが、その後の検討状況と今後の見通しについて、改めてお伺いいたします。 また、私が最近、心打たれ、重く響いた言葉があります。ある敬老会での地区役員の方との話の中で、最近は息子と御飯を食べるときに、顔を上げては食べられないんだと言うので、一瞬、何を意味して言っているのかわからなかったのですが、その後のお話で、家では、私が農業をして、農業は収支とんとん。息子は勤めに出ていて、勤めは毎月の給与があるから、御飯を食べるのも気が引けるんだとのことでした。これまで長い人生を田んぼや農業に尽くしてきたのですから、胸を張って御飯を食べてくださいという精いっぱいの気持ちを伝えながら、農業の現実が余りに厳しいことに対しての心痛む思いと同時に、何とかあのときのおじさんが顔を上げて息子さんと御飯を食べられるような農業にしていかなければと強く感じてきました。 そのような意味において、私は、生産費を販売額が下回った場合の補てんを受けるような夢を描けない農業環境ではなく、自信を持ってつくった農産物が再生産意欲を持てる価格で評価されるような夢の持てる農業環境を目指していくべきと思っています。ゆえに、スイスのように差別化を図り、消費者理解を得ていくことにより、農業所得を確保していくという考え方は最も農業者に自信を与え、消費者に安心を与える基本的な戦略であると思います。 本県は何といっても良質米生産県でありますから、米における戦略としては、県内全域での環境保全米の浸透を図り、全国との差別化を図ることに邁進しているところであります。米の卸や需要者側から一定の栽培方法で一定の品質を保ち、一定の量が確保されていることをいつも求められており、この環境保全米運動は、本県稲作の将来を左右する重要な取り組みと思います。 まずは、本県稲作の環境保全米の生産段階における取り組みと消費者理解に係る取り組み状況についてお聞きいたします。 特に、今後は環境保全米という差別化についての消費者理解促進と連動した販売戦略も大きな意味を持つものであり、直接の販売はもちろん、農協組織がその中心的役割を果たすものの、県としての販売戦略も非常に重要と考えます。この点に関して、県としての基本的な考え方と取り組み状況、そして今後の展望についてお伺いいたします。 また、本県は前年度の米販売が好調であったため、今年度の食用稲の作付面積は一千ヘクタール以上ふえ、県作付合計面積は七万一千五百七十五ヘクタールとなりました。稲作農家にとってはとても喜ばしいことであります。しかしながら、つくる面積がふえるということは生産量もふえるということであり、取引価格の維持向上を図るためには、需要と供給の関係から、更なる販路開拓が必要ということであります。 そこで、本県では、東京、名古屋、大阪と事務所を持っているところであり、東京はアンテナショップを持ち、また、名古屋はことしからの始動ということでありますが、企業誘致などとともに、宮城のお米や農産品、畜産品、水産品などの発信、取引拡大に向けたきっかけづくりを大いに取り組んでいただきたいと思うのであります。これまでの東京、名古屋、大阪の県事務所における宮城県産の農産品などを発信する取り組み状況と今後に対する基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。 続いて、消費者理解の現場であります農産物を直売している現場でもある富谷町にある元気くん市場は、みどりの農協が設置し運営している農産物直売場ですが、年間の販売額が五億円を超え、県内トップクラスの実績を上げています。このような地産地消を超えて県産県消の流れを大きくしていくことは、混沌とする農政にあって、農業振興の確実性を高めていくものと思います。先日伺ったときにも、正面入り口には出荷者の皆さんの写真が所狭しと掲示されていて、消費者の方々を迎えていました。やはり、いわゆる消費者の理解とはいえ、最も必要なことは、そのことを実感することができる現場を多くつくることだと思うのであります。 これまで農産物直売所が農村部中心に二百五十カ所以上設置されてきたことを考えると、これからは仙台圏に目を向けていくべきと考えます。あの「梅栗植えてハワイに行こう」のかけ声で一躍有名になった大分県大山町の農協では、当初は一カ所であった福岡県での直売所も、現在では福岡、北九州など七カ所となり、年合計で十六億円以上を売り上げています。本県においても、直売所の設置支援、運営支援などは行ってきたものの、今後は、貿易自由化の波が押し寄せる中、県産県消の強化を目指した大きな戦略に基づく取り組みが求められているのではないかと思います。県としての基本的な考え方と取り組み方針を伺います。 最後に、第十一回全国和牛能力共進会の宮城県での開催誘致に関して、我が会派の中山政調会長の代表質問に対して、知事より誘致に向けた明快な答弁をいただきました。宮城県議会の全国和牛能力共進会誘致議員連盟の一員として、大会誘致の決断をいただいた村井知事には、心から感謝を申し上げる次第であります。 二年前に和牛生産者、和牛登録協会などの和牛生産関係団体、農協関係団体の皆様の要請を受けて、県議会議員による第十一回全国和牛能力共進会誘致議員連盟を立ち上げ、中村功議連会長を先頭に、これまで何度となく研修会や打ち合わせ会などを開催し、また、議連として、二年前に開催された鳥取全共にも多くの議員の皆様に参加をいただきました。更にはことしに入り、宮城の和牛を語る会を開催し、村井知事にも参加をいただきながら、多くの方々と全共誘致に向けた機運を盛り上げてきました。そして、何よりも今回の誘致決断に至る中では、和牛生産者みずから子牛一頭につき五百円の積み立てが既に始まっていることは大きな力になったものと思います。そのような意味において、改めて、生産者の皆様の熱意にも敬意を表したいと思います。また、生産者の熱意を受けた和牛登録協会の皆様や和牛関係団体の皆様、農協関係の皆様、そして県当局が大会を誘致したいという思い一点で結集できたことの成果でもあり、関係皆様の御尽力にも心より感謝を申し上げるところであります。 現在の子牛相場は、昨年来の世界経済の低迷と合わせるかのように、低迷状態を脱し切れず、「茂洋」が登場した昨年の八月時の平均子牛価格は一頭三十六万四千円ほどでありましたが、ことしの八月市場でも子牛一頭の平均価格は三十四万一千円ほどであり、農家の生産意欲の継続も限界に近づきつつあります。 しかしながら、一方では、農政の転換点がゆえに、しっかりとした生産基盤とともに、和牛産地としてのブランド力を大いに高めておくことが求められています。このようなときだからこそ、今回の八年後に全国和牛能力共進会という目標を持つことが大きな役割を果たしていくものと考えます。ぜひ、村井知事より、和牛生産者を初めとした関係者の皆様に向けて、八年後に向けて頑張ろうという熱いメッセージをいただければと思います。 また、宮城らしい大会に向けた考え方や取り組み計画などについては、今後さまざまな場において議論されていくものと思いますが、現時点での大会構想についてお示しいただければと思います。 これまでは全国和牛能力共進会の誘致が目的でありましたが、九月九日をもって、その目的は次なる目標へと進化し、宮城県で開催される全国和牛能力共進会において、全国に宮城の和牛、仙台牛をとどろかすことのできるような成績を獲得するための和牛改良、和牛振興に向けて、県はもとより、関係者の皆様のこれまで以上の御尽力を心から願い、壇上からの一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 中島源陽議員の一般質問にお答えをいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、次代を担う青少年の育成についての御質問にお答えをいたします。 初めに、青少年活動の実態と課題についてのお尋ねにお答えをいたします。 我が県においては、青少年活動の実態について詳細には把握はしておりませんが、一般的にジュニアリーダーや青年団、4Hクラブなどの活動に参加する青少年の数は年々減少する傾向にあると伺っております。その背景としては、生活スタイルが多様化し、人々の生活圏が広域化する中で、地域社会における交流の機会が減り、連帯感が育ちにくくなっているのではないかと考えております。 しかし、昨年度、県内の青年を対象に実施した意識調査によれば、地域に愛着を持ち、地域活動に対する参加意欲はあるものの、そのきっかけを見出せない青年が多いという分析も報告されております。このため、次世代を担う青少年を育成し、青少年活動の活性化を図るためには、リーダー養成のほか、青少年が携わりやすい取り組みを行うことによって、地域での活動のすそ野を広げることが重要であると考えております。 次に、青少年教育に対する信念と理想とする青少年像についてお答えをいたします。 現在の複雑多様化する社会環境の中で、青少年には、次世代を担う社会の一員として社会の変化に対応しながら、個人として自立し、豊かな地域社会の形成に参画することが求められております。このためには、まず、主体的に生き抜くたくましさや他者と共感できる優しさを持つことが必要であり、これらに加えて、他の人々と協調しながら地域社会の未来を切り開く資質と能力を兼ね備えることが必要ではないかと考えております。 また、このような青少年の育成に向けた青少年教育については、家庭、学校、地域社会が連携を図りながら、さまざまな学習機会や交流の場を提供するなど、青少年育成の環境づくりを積極的に推進することが重要であると認識をしております。 次に、青少年育成の一貫した計画や体制を構築すべきという御質問にお答えをいたします。 青少年の健全育成については、学校教育や社会教育、福祉や保健、保護更生など、その成長過程で関与するさまざまな分野が連携した取り組みを進める必要があります。 このため、青少年の健全育成に関する施策は、環境生活部や教育庁にとどまらず、各部局においても関連する施策を実施するなど、総合的に対応することが重要であると考えております。このようなことから、各分野での計画策定に当たっては相互に整合性を図るとともに、施策の実施に当たっては、庁内関係部局で構成する青少年行政連絡会議や学識経験者などで構成される青少年問題協議会を通じて連絡調整を図り、情報共有や意見交換を行いながら進めているところでございます。今後とも、各部局間の連携はもとより、市町村、関係団体等と連携を図りながら、青少年育成の更なる充実を図ってまいりたいと考えております。 次に、人材育成の場として、現代版養賢堂構想を打ち出してはどうかとの御質問にお答えをいたします。 御指摘のありましたとおり、地域のリーダーを育成することが、地域活性化を図る上で極めて重要であり、富県宮城を推進する上からも、人材の育成は重要な課題であると認識をしております。特に、地域を取り巻く社会情勢が大きく変化し、既存のシステムやルールだけでは対応が困難な時代にあっては、地域の未来を先取りし、挑戦する人材の育成が強く求められております。このような中で、県では、学校教育はもとより、生涯を通じたさまざまなステージにおいて、次世代の地域社会を支え、未来を創造する人づくりに取り組んでおりますが、青少年の成長支援の基本的な方向を示した青少年の健全な育成に関する基本計画について来年度見直しを行うこととしております。この計画の見直しにおいてこれまでの取り組みの総括を行うとともに、有識者や地域の声を取り入れながら、地域づくりの担い手となり、宮城の未来を築き上げていく有為な人材の育成についてしっかりと検討をしてまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、農政の転換点における本県農政についての御質問にお答えをいたします。 初めに、日本とアメリカとのFTAに関し、国に対して要請すべきとのお尋ねにお答えをいたします。 FTA交渉に関し、国では、これまで、平成二十年に閣議決定された経済財政改革の基本方針2008の中で示された工程表に基づき推進してきました。この中で、アメリカとのFTA交渉については、将来の課題として検討を進めていく対象国として整理されております。仮に、この工程表を外れてアメリカとのFTA交渉が早期に締結されれば、安価な農産物が大量に輸入されることとなり、国内農業に甚大な影響を及ぼすことが予想されます。 県といたしましては、国の動向を注視しながら、県内農業の維持発展に影響を及ぼすことのないよう慎重な判断を国に要請してまいりたいと考えております。 次に、環境保全米の取り組みについての御質問にお答えをいたします。 初めに、生産段階における取り組みについては、稲作指導の基本として、環境に優しい宮城米づくりの確立を推進事項に掲げ、耕畜連携を進めながら、栽培技術の指導や産地情報の提供を行うなど、JAグループと一体となって取り組んでおります。その結果、今年度の環境保全米作付見込み面積は、昨年より約六千ヘクタール増加し、二万六千七百ヘクタールとなり、全体の三七%を占めるまでになりました。 次に、消費者理解に係る取り組みについては、県及び報道機関、消費者団体、学識経験者の参加による環境保全米県民会議が設置され、環境保全米づくり全県運動に県民の意見を反映させながら、環境保全米づくりを推進しております。 また、消費者への情報発信としては、環境保全米ロゴマークの作成活用のほか、ことし三月にはJAグループ宮城と私が共同会見を行い、環境保全米の県内一斉販売に当たり、PRを行ってまいりました。県といたしましては、今後とも消費者交流会や田んぼの生き物調査などを通して、環境保全米づくりが環境負荷低減に結びつくことを理解していただくよう努めたいと考えております。 次に、全国和牛能力共進会への熱意と現時点での大会構想に関する御質問にお答えをいたします。 全国和牛能力共進会は、宮城の和牛と仙台牛の名声を高める絶好の機会であり、富県宮城の趣旨に沿った取り組みの一つととらえております。 今後、県といたしましては、生産者や生産者団体とともに、和牛の改良や肥育技術の向上に努め、日本一の和牛産地を目指して取り組んでまいります。 宮城大会は、開催会場として既存の公共施設の活用や既存のイベントの併催など、コンパクトな大会とし、真に和牛の能力を競う場として宮城らしい大会となるよう、関係団体と今後具体の協議を進めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 環境生活部長今野純一君。    〔環境生活部長 今野純一君登壇〕 ◎環境生活部長(今野純一君) 大綱一点目、次代を担う青少年の育成についての御質問のうち、少年の船の評価についてのお尋ねにお答えいたします。 少年の船事業については、小中学生や高校生を対象に、船上や訪問先で自然体験活動などを行い、青少年活動のリーダー育成を図るというものであります。今年度で三十回目を迎え、これまでの総参加者数は約一万二千九百人となっておりますが、子供たちが自主性や社会性、協調性を学ぶ場として大変有意義な事業であると認識をしております。反面、参加希望者数は年々減少を続けており、その要因については、子供の学校外活動が多様化していることや、団体活動に対する意識が変化をしていること、更には、昨今の厳しい経済情勢が影響をしているものと思われます。 県といたしましては、こうした状況を踏まえながら、事業のあり方について十分検討をしてまいりたいと考えております。 次に、みやぎ青年育成推進事業の実績と評価についての御質問にお答えをいたします。 みやぎ青年育成推進事業、通称M・Y‐Dream事業は、青年たちが地域の問題を主体的に調査研究し、みずから事業を企画実施をするというもので、地域活動の核となる青年の育成や青年団体活動の活性化を目的としたものであります。具体的には、特産品を生かした地域おこしや地域を象徴するキャラクターづくりなどの事業を行いまして、平成十七年度からの四年間で十七グループ約二百人の青年が参加をいたしております。参加した青年からは、物事をなし遂げることの大切さや地域づくりの重要性を改めて実感したというような声などを聞いておりまして、地域の青年活動を推進する上で、新たな取り組みの契機になったものと考えております。また、各圏域で実施された事業については、地域のPRや文化交流の促進など、地域づくりの推進にも一定の役割を果たしてきたものと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 農林水産部長千葉宇京君。    〔農林水産部長 千葉宇京君登壇〕 ◎農林水産部長(千葉宇京君) 大綱二点目、農政の転換点における本県農政についての御質問のうち、消費者理解の促進に関する検討状況と見通しについてのお尋ねにお答えいたします。 みやぎ食と農の県民条例基本計画の改定に当たりましては、去る五月十四日に、宮城県産業振興審議会に諮問し、来年一月には答申をいただくことになっております。これまでに審議会を一回、農業部会を二回開催し、改定に当たっての視点や重要なテーマについて御議論いただいているところでございます。 消費者理解の促進については、この議論の中で、食と農の相互理解の推進をテーマにして取り上げ、活発な検討が行われております。その内容としましては、我が県の豊富な食材や農業者の安全安心への努力を消費者の方々にわかりやすく伝えることが大切であり、更には、その取り組みを長く継続することが重要であるとの御指摘がありました。また、地産地消や食育についても、地域食材を活用した学校給食のメニュー開発や食関連産業との連携、県産食材を買い支える県民意識の醸成など、具体的な御提言を数多くいただいております。今後は、具体的な推進施策なども御議論いただき、新たな基本計画に反映させてまいりたいと考えています。 次に、環境保全米に関する県の販売戦略についての御質問にお答えいたします。 米につきましては、JA全農みやぎ等と宮城米マーケティング推進機構を組織し、消費及び販路の拡大を図る活動を連携して進めておりますが、現在は、環境保全米の知名度向上と販路拡大を目指した活動に重点的に取り組んでおります。具体的には、ことし三月の県内一斉発売を機に、キャンペーンやイベントでのサンプリング等を積極的に展開し、高品質でおいしいという従来の宮城米のイメージに加えて、環境と人への優しさという新たなイメージが付加されるようPRを続けております。また、この秋から首都圏の量販店等において本格販売する予定でありますので、今後ともさまざまなPR活動を継続し、販路の拡大を図りながら、宮城米全体の評価向上と消費拡大につなげてまいります。 次に、県外事務所における県産品発信の取り組み状況に関しての御質問にお答えいたします。 県産農林水産物等の販路の拡大を図るためには、首都圏や関西圏など大消費地でのPRが極めて重要であると認識しております。 東京事務所におきましては、首都圏内の有名ホテルとの連携により、レストランでの食材王国みやぎフェアの開催を重ねておりますほか、東京アンテナショップ、宮城ふるさとプラザを拠点としたPR活動にも取り組んでおります。また、交流を深めている豊島区内のJR大塚駅周辺でことし十月に初めて開催されるイベントにおきましても、新米を初め県産品を販売することとしております。大阪事務所におきましても、東北各県の県外事務所との連携により、中部以西の各地の百貨店で物産観光展を開催しておりますほか、地元県人会と連携してのPRなどにも取り組んでいるところでございます。 今後も、首都圏など大消費地でのPR活動を積極的に展開し、県産品の販路の拡大を推進してまいります。 なお、昨年十一月に設置しました大阪事務所名古屋産業立地センター、こちらの方は主に中部地区での自動車関連企業等の誘致や取引拡大、こちらを業務としているものでございます。 次に、農産物直売所に対する基本的考えと取り組み方針の御質問にお答えいたします。 現在、仙台圏においては、元気くん市場のほか、JAあさひなと全農が共同運営するファーマーズマーケットとみやや登米市物産直売所など、さまざまな取り組みがなされております。 御提案のありました仙台圏においての県産県消の取り組みについては、生産者と消費者との結びつきを強化し、農業所得の向上と消費者の豊かな食生活の実現へ寄与するものと考えております。 県といたしましては、食材王国みやぎ地産地消の日の制定やみやぎ食料自給率向上県民運動の取り組みにより、量販店やレストラン、コンビニエンスストアなどの協力を得ながら、県産品の消費拡大を推進しているところでございます。特に、その一翼を担う農産物直売所に対して、農産物直売・農産加工ビジネス支援事業等の施策を活用し、マーケティング力強化や人材育成を図り、農産物直売所が地域ごとの地産地消にとどまることなく、仙台圏においても県産県消が展開できるよう積極的に支援してまいります。 以上でございます。 ○議長(畠山和純君) 二十一番中島源陽君。 ◆二十一番(中島源陽君) 御答弁ありがとうございました。 まず、一点目は、青少年育成の問題なんですが、今般の衆議院選挙をちょっと合わせたときに、一つの風潮として、自分にとっての受益と負担ということが判断基準として非常に多くを占めたのではないかなという率直な感想を私自身思っております。ただ一方、社会全体を豊かにしていこう、よくしていこうということを考えると、やはり地域社会にとっての公益とは何だろうということを忘れてはいけない。それの第一歩、一番身近なところは、仲間のためにはどうしたらいいんだろう、地域のためにはどうしたらいいんだろうという、そういう体験というものがやはり積み重なっていくことが、地域社会全体の公益の視点というものを一人一人の中に根づかせていくのではないかなというふうに思うわけであります。そういう意味で、青少年教育というものが非常に長いスパンの中で、又は社会を結果として豊かにしていく大きな力になっていくのではないのかなというふうに強く思っております。 そういう意味で、人数が減った、どうだったということだけがどうしても数字で見えてくると、そこが判断基準になってしまうのではないかと私自身もちょっと心配するわけでありますが、そうではなくて、そこに参加した子供たちや青少年がどんなことを思っていったのか、どんなことを持ち帰っていったのか、又はその後どんな活躍をしているのかという、そこまでしっかり見据えて、検討、判断をしていくべきではないかなというふうに私自身思っておりますけれども、その辺の知事の考え方を改めてお伺いしておきたいと思います。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) こういった教育は、楽しみながら知らず知らずに、全体のために自分がどういう役割を果たせばいいのかというのを身につけることができるというふうに思います。そういった意味で、こういった青少年教育というのは極めて意義のあることで、重要なことだというふうに思います、参加したお子さんやあるいは青少年の皆さんがその後、どういう思いを持ち、どんな活動をされているかというところまでずっと追跡をしていくというのは難しい面もありますけれども、機会があれば、そういったようなことをいろいろお聞きするということがあってもよろしいのではないかというふうに思います。 ○議長(畠山和純君) 二十一番中島源陽君。 ◆二十一番(中島源陽君) ぜひよろしくお願いしたいと思います。 続いて、農政の問題でありますが、米国とのFTAの問題で、二〇〇七年四月二十五日に、アメリカの在日大使館の経済担当の公使が経団連の講演会の中で、次のように述べております。「FTA又はEPAに向けた交渉を政治的に実現可能なものとするためには、協定は包括的でかつ目標を高く設定したものでなければならない。そのためには農業を含まないわけにはいかない」というふうに明言をされております。これは、ある意味ではアメリカの公式な見解であると思いますし、アメリカと韓国がFTAを結んだ中には、農業分野、米以外すべて関税撤廃に向けて数年後ということになっております。この米韓のFTAが今後のモデルになるというふうにも言われておりますので、まさに日本農業にとってはこのFTAは死活問題になってくるものであります。そういう意味で、先ほど知事は慎重な判断を求めるという答弁だったと思うんですが、慎重な判断というよりは、明確に農業県として反対するという姿勢でしっかり意見していくべきと思いますが、いかがですか。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) そういう意味を込めて先ほどはお話しをさせていただきました。 ○議長(畠山和純君) 二十一番中島源陽君。 ◆二十一番(中島源陽君) ぜひ強い意志で、宮城県はもとより、全国の農業県、又は全国都道府県という意味で意見をしていただきたいというふうに思いますし、更に、このFTAの問題は所得補償と--韓国も農業の所得補償を二〇〇八年から二〇一一年までの間にモデルをやって、制度設計をやって、そして農業分野の所得補償を構築するということが前提になっております。そういう意味では、どこまでの所得補償をイメージしているのか韓国の場合はわかりませんが、フランスなどのようにいわゆる所得の九〇%以上の所得を本当に補償する制度は、それはそれで農家の生活も成り立つと思うんですが、一方で、現時点での民主党のマニフェストにあるいわゆる所得補償と言われるものは、生産費の補てんでありますので、そこには所得は存在しないわけですから、どうやって生活をするんだろうという、一農家としての素朴な疑問を感じるわけであります。そういう意味では、国から制度設計が出てきてから意見をしたのでは時既に遅しということになりますので、やはり、もし所得補償制度を本当に導入するのであれば、所得が本当に補償される制度でなければ意味がないわけでありますので、国の制度設計を待って意見するという姿勢ではなく、県みずからもいろんなシミュレーション、いろんな例を検討して、県としての意見をしっかり持ってほしいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。 ○議長(畠山和純君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今回の戸別所得補償制度ですけれども、どの程度の補償がなされるのか、どういう対象の方にされるのか、また、どのような形でされるのかということがまだ明確に示されておりません。これは宮城県だけの問題ではなくて、全国共通した大きな課題であろうかと思いますので、知事会の中でしっかりともみながら、新政府に対して物を申してまいりたいと、このように思います。 ○議長(畠山和純君) 二十一番中島源陽君。 ◆二十一番(中島源陽君) 最後に、全国和牛能力共進会の方は知事から大変力強い誘致に向けた決断と更なる熱い思いをいただきましたので、今後はしっかりと成績を残すという意味で、この和牛改良にしっかり臨んでいただくことを御期待をして、私の一般質問を終わります。 ありがとうございました。 ○議長(畠山和純君) 残余の質疑、質問は、九月十四日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○議長(畠山和純君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 九月十四日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時四十四分散会...