平成21年 9月 定例会(第324回) 第三百二十四回宮城県議会(定例会)会議録 (第三号)平成二十一年九月十日(木曜日) 午前十時一分開議 午後四時十八分散会 議長 畠山和純君 副議長 小野 隆君出席議員(五十九名) 第一番 菅原敏秋君 第二番 吉川寛康君 第三番 伊藤和博君 第四番 長谷川 敦君 第五番 佐々木幸士君 第六番 村上智行君 第七番 細川雄一君 第八番 高橋伸二君 第九番 菊地恵一君 第十番 須藤 哲君 第十二番 坂下 賢君 第十三番 遠藤いく子君 第十四番 庄子賢一君 第十五番 熊谷盛廣君 第十六番 寺澤正志君 第十七番 只野九十九君 第十八番 石川光次郎君 第十九番 外崎浩子君 第二十番 佐藤光樹君 第二十一番 中島源陽君 第二十二番 本木忠一君 第二十三番 熊谷義彦君 第二十四番 佐藤詔雄君 第二十五番 加賀たけし君 第二十六番 きくち文博君 第二十七番 菅間 進君 第二十八番 ゆさみゆき君 第二十九番 中山耕一君 第三十番 長谷川洋一君 第三十一番 佐々木喜藏君 第三十二番 佐々木征治君 第三十三番 須田善明君 第三十四番 寺島英毅君 第三十五番 安部 孝君 第三十六番 皆川章太郎君 第三十七番 佐々木敏克君 第三十八番 小野 隆君 第三十九番 小林正一君 第四十番 岩渕義教君 第四十一番 本多祐一朗君 第四十二番 袋 正君 第四十三番 藤原のりすけ君 第四十四番 内海 太君 第四十五番 坂下康子君 第四十六番 横田有史君 第四十七番 小野寺初正君 第四十八番 石橋信勝君 第四十九番 安藤俊威君 第五十番 中村 功君 第五十一番 渥美 巖君 第五十二番 柏 佑整君 第五十四番 千葉 達君 第五十五番 仁田和廣君 第五十六番 藤倉知格君 第五十七番 菊地 浩君 第五十八番 高橋長偉君 第五十九番 相沢光哉君 第六十番 渡辺和喜君 第六十一番 今野隆吉君欠席議員(二名) 第十一番 菅原 実君 第五十三番 畠山和純君
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 村井嘉浩君 副知事 三浦秀一君 副知事 伊藤克彦君 出納長 庄子正昭君 公営企業管理者 佐藤幸男君 病院事業管理者 木村時久君 総務部長 石山英顕君 企画部長 佐藤廣嗣君 環境生活部長 今野純一君 保健福祉部長 鈴木隆一君
経済商工観光部長 若生正博君 農林水産部長 千葉宇京君 土木部長 伊藤直司君 出納局長 河端章好君 病院局長 千葉三郎君 総務部参事兼秘書課長 菅原芳彦君 総務部財政課長 佐野好昭君 教育委員会 委員長 大村虔一君 教育長 小林伸一君 教育次長 千葉裕一君 選挙管理委員会 委員長 佐藤健一君 事務局長 池田敬之君 人事委員会 委員長 石附成二君 事務局長 石垣仁一君 公安委員会 委員長 中村孝也君 警察本部長 大山憲司君 総務部長 尾形利道君 労働委員会 事務局長 佐々木 努君 監査委員 委員 遊佐勘左衛門君 事務局長 佐藤 力君
----------------------------------- 議会事務局 局長 梅原 廣君 理事兼次長 佐々木昭男君 議事課長 畑 正芳君 政務調査課長 秋山政己君 総務課副参事兼課長補佐 大内俊良君 議事課副参事兼課長補佐 菅原幹寛君
政務調査課長補佐 菊田真澄君 議事課長補佐 千葉 佐君 議事課主幹(班長) 渋谷敏彦君 議事課主幹 布田惠子君
----------------------------------- 議事日程 平成二十一年九月十日(木)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第八号及び報告第九号第三 一般質問 〔熊谷盛廣君、小野寺初正君、佐々木幸士君、村上智行君、袋 正君〕
----------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第八号及び報告第九号三 日程第三 一般質問 〔熊谷盛廣君、小野寺初正君、佐々木幸士君、村上智行君、袋 正君〕
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△開議(午前十時一分)
○副議長(小野隆君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△会議録署名議員の指名
○副議長(小野隆君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、三十四番君寺島英毅君、三十五番安部孝君を指名いたします。
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△諸報告
○副議長(小野隆君) 御報告いたします。
監査委員工藤鏡子君から、本日欠席、
監査委員遊佐勘左衛門君が代理出席する旨の届け出がありました。
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△議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案
△報告第八号
△報告第九号
△一般質問
○副議長(小野隆君) 日程第二、議第百十九号議案ないし議第百四十三号議案並びに報告第八号及び報告第九号を議題とし、これらについての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。十五番熊谷盛廣君。 〔十五番 熊谷盛廣君登壇〕
◆十五番(熊谷盛廣君) おはようございます。自民党・県民会議の熊谷でございます。
一般質問トップバッターを務めさしていただきます。大変緊張しております。 それでは、一般質問を始めさしていただきます。 まず、大綱一点目でございます。県の財政課題についてお尋ねをいたしたいと思います。 昨年、アメリカのリーマン・ブラザーズの破綻に端を発した世界同時不況の波はこの宮城の地にも及び、多くのことを我々に教訓として残したものだと考えております。 法人二税に多くを頼る都道府県の財政は、景気動向に常に大きく左右をされます。あるべき地方税財政制度と地方財政の現状を見比べてみるとき、地方財政改革をどう進めていくのか、求められる財政規律維持にどう対処していくのか、また、必要とされる行財政構造改革をどうするのか等々が立ちはだかっております。しかし、だからこそ、景気変動に左右される今の税財政体系にあっては、どのような不況にあるときでもその影響を最小限に抑えるために、自治体独自でもでき得る限りの方策をとって対処していかなければならないときなのであると考えられます。いわゆる不況に強い自治体を確立していくことこそが急務なのであると言えるのではないでしょうか。 税財政制度は大きな転換期を迎えております。三位一体改革に伴う住民税への税源移譲、法人二税の見直し、交付税改革などであり、また、それに呼応して、行財政改革もその要求が強くなってまいりました。市町村合併の進展であり、
指定管理者制度導入等であり、
地方財政健全化法の施行であり、公会計改革などであります。バブル景気崩壊後においては、地方団体全体として税収が伸びることはなく、三位一体改革のもと交付税も大幅に減少し、地方債発行が増加の一途をたどっているという状態が続いております。法人関係税は、確かに、伸びていくという意味の伸長性の要件を満たしてはおりますが、申し上げたとおり、安定性の要件を満たさないため、個別団体の地方税としては問題であるというのが通説であろうと思います。 本県は、知事を初めとする職員の皆様方の努力により、全国でも屈指と言える多くの産業集積が果たされつつあります。このような条件下の中で、今後、不況に強い自治体を目指すとするのならば、どのようなことが本県の課題となってくるのか、まずは、知事の御所見を伺いたいと思います。 また、自治体間競争が以前にも増して激しくなってくるとは思われますが、グローバルな視点からすれば、不況に強い産業構造をつくり上げていくのには競争だけでなく、自治体間連携ということも大変重要なポイントになってくると思われますが、あわせて知事の御所見を伺いたいと思います。 産業集積にあわせて、知事がよく申し述べられておりますように、地域に古くから根差す基幹産業の振興・育成が、また最重要課題となっております。県土の均衡ある発展なくして宮城県の輝く未来は望むべくもありません。 全国的に見ても、地方では、東京圏を初めとする都市圏への若い世代の人口流出がとまらず、人口減少が進み、高齢化は著しいものがあります。出生率も、沖縄県を除けば、都市圏も地方もひとしく低水準にあります。伝統産業である農林水産業も、国際競争にさらされて減少傾向が続いております。だからこそ、時間がかかっても腰を据えた少子化対策と地方活性化対策が必要となります。このことこそが、どんな不況時においても、地域経済を下支えしてくれると信じているからでもあります。将来に向けた少子化対策と、そして、この宮城の地をいかに子供たちが住み続けられる地域にしていくのかということが問われているのだと考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。 世界的不況も牛の歩みではありますが、その底を脱しつつあると言われ始めております。しかし、本県にとりましては、まだしばらくの間、緊張感を持った綱渡り的な財政運営が強いられていくものと思われます。 先般、平成二十年度
普通会計決算見込みが示されました。その内訳は、単年度収支が六億七千四百万円の黒字、そして、実質収支が過去最大の五十億円余りの黒字を確保、実質単年度収支が四十億円を超える黒字となりました。また、経常収支比率が九四・〇%で、前年度より二・五ポイントほど改善されておりますが、依然高い水準での硬直化の状況にあります。平成二十一年三月に、二十四年度までの五年間の中期的な財政見通しが示されておりますが、この平成二十年度
普通会計決算見込みを新たに踏まえて、この中期的財政見通しの変更などあるのかどうか。あるとするのならばどのような数値になっていくのか、現時点でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。 この財政硬直化の対策として、県は、平成十八年度から二十一年度を計画期間として新・
財政再建推進プログラムを立ち上げ、それに沿った、いわゆる聖域なき再建策を講じてきたところでございます。間もなくこの計画期間が終了するわけですが、現状でのこの新・
財政再建推進プログラムの進捗度、達成度についての評価を伺いたいと思います。 財調を初めとする各基金も過去最低のレベルにあり、処分すべき県有財産もほとんど見当たらなくなった今、次期プログラムを新たに立ち上げると聞き及びますが、これまでの反省すべき点があるとするのなら、それを踏まえた上での課題と決意のほどを伺うものであります。 また、本年度より公表すべきとなっておりました財政健全化法による四指標でございますが、実質赤字比率、
連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率について、それぞれの現状評価と今後の見通しについてお知らせいただきたいと思います。 不況に強い自治体の確立を目指し、今直面している未曾有の困難をでき得る限り早く克服していくことこそが、知事初め執行部、そして私ども議会に課された大きな命題であることを改めて肝に銘じ、次の質問に移りたいと思います。 大綱二点目、過疎対策について伺いたいと思います。 前段でも申し上げましたように、こうした財政難にあえいでいるのは県のみならず、県内各自治体それぞれに御苦労があると思われます。そうした中で、特に過疎地域を抱える自治体にとりまして、過疎債充当が許される
過疎地域自立促進特別措置法が本年度をもって最終年度を迎えることとなります。本法の延長ないしは同様の法律の制定が、過疎自治体にとりまして何より最重要、喫緊の課題であります。とりわけ、合併自治体においては旧町単位での一部過疎の指定を受けており、生活基盤の整備や産業振興など、一定の成果を上げたところでもあります。 しかしながら、人口の減少と高齢化は、当該一部地域のみならず合併自治体全域で深刻な状況にあると思われます。そうした合併自治体においては、自治体内一部地域に限定した施策には既に限界を来しており、一部過疎地域以外の地域における情報基盤整備のおくれなど、むしろ、非過疎地域の過疎化が急速に進行するという逆転現象も生じてきておるやに伺います。 以上のことから、財政基盤が脆弱で、なおかつ一部過疎地域を含む合併自治体は、現状のままでは全体として疲弊するおそれが出てきており、一体的な過疎対策事業の実施が必要不可欠となってきております。よって、新たな過疎対策法においては、従来の単独過疎自治体はもとより、このような合併自治体においても、
全域過疎地域指定が強く望まれるところと考えますが、県としての認識を伺うとともに、こうした自治体への新過疎対策法に対するこれまでの県の指導体制、支援体制についても伺うものであります。 大綱三点目、環境政策としての林業振興についてお尋ねをいたします。 所有の形態がどうであれ、この地球上の万物は人類にとってすべて共有の財産であり、だからこそ、その現状と未来に人類は責任を果たしていかなければなりません。地球の温暖化が進んでいると言われております。自然破壊も同様であります。決定的な終わりのときを迎える前に、ようやく私たちはそのことに気づきつつあります。再生可能なうちに対策を講じなければなりません。生きとし生けるものにとって、決して水も酸素もただではありません。いたずらに都市と田舎の対立を論じるつもりはありません。それぞれがお互いに生かされているのだと私は考えております。しかし、都市が栄えて田舎が限界集落と化していくとするならば、それはまさしく有限の繁栄にしかすぎません。人々が望むきれいな水もきれいな空気も無限のものではなくなりつつあります。 今、ようやく森林が果たす重要な機能が理解をされ始めました。日本の国土は、その多くが山林によって占められています。自然林であれ人工林であれ、古き時代から、人々はその恩恵を受けながら山々とともに暮らしてきました。適度に人の手を加えてやることが木にとってとてもよいことなのだということを、里山に住む人々は経験則上知っておりました。 しかし、日本が高度成長期に入ってくると同時に、農地も、そして山々も荒れ地となっていくことが各地で見られるようになりました。雑木林はまきや木炭として、人工林は建築材として、適切なサイクルで伐採、植林が行われてきましたが、今はそれぞれの樹木にとって決して望むべきではない長寿齢木となってきております。 特に、人工林は遠目にこそきれいな森に見えていても、一歩中に踏み入れば、その様相が一変してしまうことがあります。荒れ山となって、小動物さえ自由に動けない状態か、ないしは日の光が差し込まない、下草の一本すら見られないような、そんなありさまであることが多く見受けられます。手入れが全くされていないそれは、経済行為としてまさしく成り立たない林業と化してきていることを如実にあらわしているのであります。恒常的に続く原木安、そして、後継者・担い手不足。このダブルパンチが林業農家の意欲をずたずたに切り裂いています。 さきに述べましたように、たとえ民有林であれ、こうした山々の持っているすばらしい機能は、人類共通の宝であります。適正なる除間伐と、長いスパンで行っていくべき後継者・担い手育成対策が急務であります。 国そして県は、こうした山林、林業の現状にかんがみ、以前よりはその対策に本腰を入れてきていると感じているところであります。森林育成事業、みやぎの豊かな
森づくり支援事業、美しい
森づくり基盤整備交付金事業、そして経済危機対策の一環としての森林整備加速化・林業再生事業等々であります。こうした事業は、林業の現状に配慮し、対象林齢などにも制限が緩和ないしは撤廃されており、大いに歓迎するものであります。このような事業は二十三年度で終了するものもあるようですが、国庫補助事業、県単補助事業、それぞれ今後どのような見通しを持っておられるのか、伺いたいと思います。 また、経費の面で大きな負担となっている搬出作業の経費削減には、作業道開設への補助率アップが絶対に欠かせないところでありますが、どのようにお考えなのか。また、後継者対策、担い手対策は一朝一夕にできるものではなく、腰を据えた対策が最重要だが、どのような対策をお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。 次に、林業関係の補助事業は、ただいま申し上げましたように、対象齢級の制限のない事業がふえ、森林所有者が間伐をした場合、ほとんどが補助対象となっておりますが、製材業においては、製品価格の低迷、合板工場での長期にわたる手形決済や原木購入の制限等、大変厳しい状況にあります。そのあたりの事情については、どのように把握しておられるのでしょうか。現段階では、経済危機対策の事業で間伐をしても、原木価格は低価格で推移しておりますから、林家の所得向上とはなりません。 また、宮城県で推進した杉の合板向けの流通は年間五十万立米に及び、ますます製材業者の経営を圧迫している現状になっております。この状況下で、もし合板会社の競合相手がいなくなれば、原木価格は更に低下することは確実であります。この対策についても伺いたいと思います。 七月末、会派有志と高知県を訪れてまいりました。シャガールの作品五点を所有する高知県立美術館、来年放映されるNHK大河ドラマ「龍馬伝」を前面に押し出しての「土佐・龍馬であい博」の開催など、観光政策のあり方も勉強してきたところですが、もう一つ、私が大いに興味を感じましたのは、高知県庁で御説明いただいた林業振興策でありました。全国に先駆けて導入した森林環境税は二期目を迎え、県民の皆様にしっかりと認知され、定着してきているのだと強く感じたところですが、もう一つの目玉政策に大いなる関心を引かれました。それは、十七年度からスタートした協働の森づくり事業、すなわち、協働の
森パートナーズ協定事業であります。全国一位の森林率八四%という高知県にあってもその現状は本県と変わることはなく、特に、担い手の減少、木材価格の低迷からくる人工林の荒廃が問題でありました。 森林は、適正な整備を行うことでCO2 の吸収や水源涵養等の公益的機能が維持されます。平成十九年度には京都議定書の約束期間が始まり、CO2 排出量の削減は、地球環境を守る上で欠かせないものになります。森林の整備を進めることは、そのままCO2 排出量の削減につながります。 そこで、高知県では、環境先進企業、市町村、県との間で協働の
森パートナーズ協定を締結し、手入れの行き届かない森林の再生に取り組み始めました。協定期間は三年以上、協賛金は企業からの提案額が基本となっていますが、三十万円から百万円が主流であり、現在、四十の企業、個人、NPOが協定締結をしております。総額二億五千万円の協賛金が集まり、事業は順調に推移をしていると伺いました。歌手の坂本龍一さんや一青窈さんなどもパートナーとなっております。きれいな水もきれいな空気も人々の共有の財産とするなら、温暖化を防ぎ環境を守っていくのも、人々にひとしく課せられた義務であり責任であります。高知県は、森林環境税に続いて、この
パートナーズ協定を実行に移しました。自然が与えた宝物は、その恩恵を受ける人々皆で守っていくのだという強いメッセージが発せられていると思います。 本県においても、先般、報道にもありましたが、トヨタ紡織との
ネーミングライツ契約等、遅まきながら、わたしたちの森づくり事業が動き始めてはおります。しかし、県有林のみならず自治体所有林、民有林等すべてを含む森林を、企業、個人に限ることなく、すべての県民、国民共通の財産としての意識を広げ、その適切な整備をCO2 削減や環境維持、改善の方法の一つのあり方として発展させていくことこそが何より大切であると考えます。だとするなら、もっとアグレッシブにこの事業に取り組んでいかなくてはならないものと考えますが、所感を伺いたいと思います。 また、それには、積極的にセールスに打って出ることや、みやぎ夢大使の活用などによる展開軸の大幅な拡大、あるいは、ゆかりの企業等へのトップセールスなどもあわせて行動に移すべきときと考えますが、知事の所感を伺いたいと思います。 大綱四点目、地域医療についてお尋ねをいたします。 私の地元登米市の新聞に、四月下旬、ある若いお母さんの投書が掲載されました。一部を紹介させていただきます。「登米市に住む私たち子育て世代が切っても切れない問題に、市立病院の産科廃止、小児科の縮小があります。今、私は第三子を妊娠中で、九月に出産予定です。上の二人を市立佐沼病院で出産し、助産師による産前のマタニティービクス・ヨガや母乳指導、産後の体と心のケアが気に入っていたので、今回もと思いましたが、ドクター不在のため、やむなく石巻の赤十字病院に通院、二十週以降は佐沼病院での助産師外来を利用する予定です。三陸自動車道が開通し、通院時間は短縮できましたが、三陸道で、もし具合が悪くなったら、休むことも連絡を入れることもできません。小児科問題では、休日は当番医で見てもらえますが、点滴などを必要とする場合、子供用の針を常備していない病院では、結局、石巻、大崎市に行ってくれと言われてしまうありさまです」といった、切実な訴えでありました。これは、何も登米市に限ったことではなく、程度の差こそあれ、宮城県内はもとより日本全国押しなべて同様の悩みを抱えていると言われております。 医療制度改革以来、地域によっては急激に医師不足が顕在化し、特に、産科、小児科医の不足が大きな社会問題となっています。とりわけ、公立病院においてこの傾向が強く見られ、地域医療が崩壊寸前とまで言われるようになりました。安全安心な社会生活を営むことは、国民一人一人にひとしく認められた権利だと思いますが、医療に限って言えば、大変厳しい現状にあることは疑いのないところであります。 特に、産科医不足については、国も、地域や診療科によって偏在はあるものの総数は充足しているとの従来の見解を改め、特に、産婦人科の医師の確保が難しくなっているとし、北海道や東北の医療圏などで医師が少ない状況にあり、その背景、原因として、大学医学部の医師派遣機能の低下、病院勤務医の過重労働、出産・育児などによる女性医師の離職、医療紛争増加に対する懸念といった複合的な要因を挙げております。 医師の総数は、年三千人を超えるペースでふえておりますが、しかし、都市部での勤務を望む医師が多いことから、地域偏在が著しくなっています。特に、地方の中小病院での勤務医不足が目立ち、過重労働、医師の過労死が起こり、医師不足で診療科を休止、廃止する病院が相次ぎ、救急車で搬送された妊婦がたらい回しにされる事例等が明るみになっているところであります。 こうした状況により、ここ数年の間に、多くの中小公立病院から産科、小児科が消えてまいりました。加えて、医療費抑制と安全要求という相矛盾した医療への圧力があります。それが、医師の社会からの攻撃に対する消極的な対抗手段と言われる立ち去り型サボタージュを増加させ、医療崩壊に拍車をかけているとの指摘があります。また、ふえる無保険者と治療費未払いの増大も大きな懸念材料となっております。真の意味での患者本位の医療の確立と、国民を巻き込んでの議論を踏まえての医療改革、そして安全な医療システムの構築こそが喫緊の課題であろうと思われます。 本県においても、こうした地域医療の現状が顕在化し、大きな社会問題となり、議会あるいは委員会等で繰り返し取り上げられ、議論の的となっております。国の医療行政に根本を根差す問題であり、県あるいは地方自治体単独での解決策は、非常に厳しいと言わざるを得ないと思われます。しかし、冒頭の新聞投稿の事例でも見られますように、今、現在、安全安心な社会に対する大きな不安が、現実としてせっぱ詰まった形であらわれ始めております。 本県のこれまでの取り組みを検証いたしますとき、宮城県ドクターバンク事業、医学生修学資金等貸付事業、地域医療医師登録紹介事業、自治体病院開設者協議会支援事業、女性医師支援事業等々を実施するとともに、課題となっている救急医療対策として、救命救急センターの運営支援、救急科専門医養成・派遣事業、救急医療確保対策事業、当直医手当補助などの事業。周産期医療対策として、総合周産期母子医療センターの運営支援、産科セミオープンシステムの体制強化、分娩手当への補助、周産期救急搬送コーディネーター事業などを実施。小児医療対策としては、こども休日夜間安心コール、小児救急医師研修事業、
小児救急支援事業などであり、こうした地域医療対策が、限られた財源の中ではありますが着実に実施をされ、それなりの実績を上げていると評価できると思っております。しかし、それでも、まだまだ県民、地域住民の皆様の医療に対する不安、不満は解消されてはおりません。 国の医療制度のあり方という大前提があるにせよ、本県の医療の現状と課題を再認識し、特に、県民、住民との交流、意見交換をこれまで以上に手厚くしていくことこそが肝要であると思われます。こうした認識に立った上での、これまでの本県医療行政への知事の率直な感想をお聞きするとともに、明らかになってきた課題、今後の取り組みについて、保健福祉部長の所感をお尋ねするものであります。 あわせて、今、次なる改善の方策が取られつつあると認識しておりますが、高いとは言えない診療報酬と、患者の安全要求ということについてはどうお考えか。また、本県における無保険者ないしは国保税滞納者、医療費未払いの現状はどうなっているのかもお尋ねをいたしたいと思います。 最後に、本年秋には、国の地域医療再生臨時特例交付金に伴う事業が実施をされることとなりますが、この事業の目指すもの、本県にとってのメリット、現時点における課題について、一般論として結構ですので、お聞かせをいただきたいと思います。 終わりに、昨日、この壇上において、我が会派の中山耕一議員の質問に答える形で、村井知事は、十月に行われる予定の県知事選への再度の出馬を表明されました。マスコミ報道で知り得た中での感想ではありますが、大阪の橋下知事、宮崎の東国原知事など、自由濶達に政治的発言を行っておると感じております。隣の岩手県の達増知事などもそのようであると私は思っておりますが、村井知事も、知事であると同時に政治家でありますから、その信念に基づいた行動は評価されこそすれ、非難されるいわれはないと私は思っております。どのような構図の選挙戦になろうとも、これまでの四年間の実績を踏まえ、新たなる四年間の県政ビジョンを県民に示し、堂々たる論陣を張られ、再び当選されることを期待するとともに、心よりエールを送りたいと思います。 以上で、壇上からの質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 熊谷盛廣議員の一般質問にお答えをいたします。大綱四点ございました。 まず、大綱一点目、県の財政課題についての御質問にお答えをいたします。 初めに、不況に強い自治体を目指す上での課題は何かとのお尋ねにお答えをいたします。 住民の生活に直結したサービスを提供する地方自治体として、景気が変動しても、住民へのサービスが低下することのないよう、安定した財政基盤を有する不況に強い自治体を目指していくことは、大変重要なことであると考えております。そのためには、競争力のある産業の集積を一層促進するとともに、地域に根差した第一次産業や観光関連産業の振興策を積極的に展開するなど、景気変動の影響を受けにくい産業構造の構築を図っていかなければなりません。 また、地方分権の取り組みを推進し、景気変動に左右されにくい消費ベースの税収の割合を高めていくことも必要であります。更に、事務事業の徹底した見直しなど、行財政改革を推し進めながら財政自由度を確保し、景気後退時に直面する課題に果断に取り組んでいくことが必要であると考えております。 次に、不況に強い産業構造の構築には、競争だけでなく自治体間の連携も重要と思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 将来を見据え、我が県の産業構造を構築していくためには、人口減少などの社会情勢に対応することはもちろんのこと、景気変動にも左右されにくい産業構造を構築するといった観点も重要であると考えております。このため、比較的景気動向に左右されにくい農林水産業の振興や食料品製造業の集積に取り組む一方、従来からの自動車関連産業や高度電子機械産業に加え、今後、飛躍的な成長が期待できるクリーンエネルギー関連産業の集積促進や、総合産業と言われている観光の振興に取り組んでいるところであります。また、これらの取り組みに際しましては、他県との連携により、相乗効果が期待できる分野も多いことから、これまでも、東北六県や隣県等との共同で農林水産業や製造業に係る試験研究はもとより、自動車や高度電子機械産業でのセミナーや商談会の開催、海外や大都市圏への観光PR活動、更には、海外事務所の共同設置などを実施しております。今後とも、自治体間の連携については、このような取り組みの拡充を図るなど、他県と一体となって取り組むことが、効果的、効率的な分野について積極的に進めてまいります。 次に、不況時に地域経済を支えるためにも、将来に向けた少子化対策と次世代が住み続けられる地域づくりが問われているのではないかとの御質問にお答えをいたします。 少子高齢化の進行や若者の流出による本県の生産年齢人口の減少は、極めて重大な課題であり、宮城の子供たちが、成長してからもふるさと宮城で安定した暮らしを送れる環境をつくり上げることが、私たちの世代に課せられた責務であると認識をしております。そのためには、安心して子供を産み、安全で健やかに成長させることができる環境や、地域社会とともに、子供たちの可能性を引き出す教育の場などを整えていくことが必要であると考えております。更に、農林水産業の競争力の強化などを含め、県内各地域に根差した産業の振興により、足腰の強い産業構造を構築していくことによって、生まれ育った地域において、就業が可能な環境を創出していくことが重要であると考えております。 次に、次期プログラム策定に向け、これまでの反省点を踏まえた課題及び策定に向けた決意についての御質問にお答えをいたします。 現行の新・
財政再建推進プログラムの策定時点では、計画期間内で二千億円を超える巨額の財源不足が見込まれたことから、財源調整のための基金の活用や県有資産の有効活用などの歳入確保対策、シーリングの設定や公共事業キャップ制の継続などの歳出抑制対策に加え、行政改革推進債や退職手当債などの県債の最大限の活用及び借換債などによる公債費の平準化を図らざるを得ませんでした。これらの県債の発行や公債費の平準化は、将来の公債費の増大に直結することから、今後の財政運営上の課題であると認識をしておりますが、平成十一年の財政危機宣言以降、継続して歳入確保、歳出抑制対策を実施してきた本県におきましては、これ以上の財源捻出はもはや限界に近づきつつあります。 このような状況ではありますが、財政再生団体への転落は絶対に回避しなければならないため、私自身が先頭に立って、新たな財政再建のためのプログラムの策定に向け、全庁挙げて取り組んでいるところであります。具体的には、公共事業キャップ制の継続や、新たな定員管理計画の策定などの検討に加え、やむを得ず県債の活用や公債費の平準化の継続も検討するなど、あらゆる手段を総動員して策定してまいる所存でございますので、今後とも、議員各位の御協力、御指導をよろしくお願いを申し上げます。 次に、大綱三点目、環境政策としての林業振興についての御質問にお答えをいたします。 初めに、国庫補助事業、県単補助事業それぞれについて、森林・林業対策の今後の見通しはどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 森林整備加速化・林業再生事業については、平成二十三年度までの事業でありますが、この三年間で、しっかりと可能な限り除間伐等の森林整備を進めてまいりたいと考えております。 今後の森林・林業対策の見通しですが、森林は、県民共有の宝であり、森林のすばらしい機能を維持・保全することは重要な課題であるとの認識のもとに、森林整備を進めていくことにしております。このため、引き続き、国庫補助事業である森林育成事業を中心とし、更に、国庫補助事業の対象とならない森林につきましては、県単補助事業であるみやぎの豊かな森林づくり支援事業により森林の整備を推進してまいります。 次に、企業等多様な主体との協働の森づくりには、民有林も含めるなど、一層積極的な取り組みが必要ではないかとの御質問にお答えをいたします。 森林は、県民共有の財産であり、我が県でも、県有林を活用した私たちの森づくり事業に加え、県内の民有林を対象としたみやぎの里山林協働再生支援事業を実施しているところであります。この事業により、環境貢献や社会貢献を目的とした森づくりを行いたい企業と、これらの企業に活動の場を提供できる森林所有者との協働による森づくりに取り組んでいるところであります。 温暖化を防ぎ、環境をみんなで守っていくという趣旨を踏まえ、これまでも誘致企業等に対し協働の森づくりについて働きかけを行ってきたところでありますが、今後も機会をとらえて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、この取り組みの拡充に向け、夢大使の活用やトップセールスなどの具体的な行動が必要ではないかとの御質問にお答えをいたします。 企業の森づくりにつきましては、これまでも、トヨタ紡織株式会社等に対しトップセールスを行ってきたところですが、今後、更に、県ゆかりの企業への働きかけや、みやぎ夢大使の活用等も含め、この制度の発展に向け前向きに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、大綱四点目、地域医療についての御質問のうち、本県の医療行政に関する認識、課題と、今後の取り組みについてのお尋ねにお答えをいたします。 本県の医療行政については、第五次地域医療計画に四疾病五事業等の整備目標を掲げ、県民の医療に関する安心・信頼の確保及び質の高い医療サービスの提供体制の確立を目指して、市町村や医療機関、医療関係団体等との連携のもとに、さまざまな事業を展開しております。しかしながら、地域の自治体病院等では、医師不足や診療報酬の削減等による厳しい経営が続いていることから、県が取り組むべき喫緊の課題としては、安定的、継続的な地域医療を提供するための医師確保支援や、救急・周産期医療の体制整備等が最も重要であると考えております。 このような認識のもと、ドクターバンクや医学生修学資金等貸付などの医師確保対策、救急専門医の養成、産科セミオープンシステムなどの地域の医療連携の視点に立つ取り組みについて、着実に推進してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 総務部長石山英顕君。 〔総務部長 石山英顕君登壇〕
◎総務部長(石山英顕君) 私から、大綱一点目、県の財政課題についての御質問のうち、財政見通しについてのお尋ねにお答えします。 まず、初めに、平成二十年度決算見込みを踏まえ、財政見通しの変更の有無及び変更する場合の見通しについての御質問にお答えいたします。 今年度の財政見通しでありますが、当初予算に対して、現時点では、平成二十年度の決算剰余金の純増に加え、地方交付税が若干上回る見通しでありますが、一方で、県税収入は、現下の経済情勢もあり、予算計上額を確保できるか不透明な状況にございます。したがいまして、現段階では、平成二十年度決算剰余金の増により財政見通しを変更する予定はございません。 次に、新・
財政再建推進プログラムの進捗度、達成度についての御質問にお答えいたします。 現在、計画期間の最終年度を迎えているところでありますが、平成十八年度から二十年度までの財源対策の実績額及び二十一年度予算反映額の合計額は、計画策定時点の効果額を約八百七十億円上回る見込みであります。このことによりまして、三位一体改革以降、地方全体が構造的な財源不足に苦しむ中、平成十八年度から二十年度までの決算は実質収支を黒字化させ、二十一年度の予算編成時には収支を均衡させることができたところであり、県民生活に与える影響を最小限にとどめながら財政再生団体への転落を回避してきたところでございます。 次に、財政健全化判断比率についての評価と今後の見通しについての御質問にお答えいたします。 平成二十年度決算に基づく財政健全化判断比率は、実質赤字比率及び
連結実質赤字比率については比率がなく、実質公債費比率及び将来負担比率についても早期健全化基準を大きく下回っているため、本県財政の最低限の健全性は損なわれていないものと認識しております。 各比率の今後の見通しにつきましては、実質赤字比率及び実質連結赤字比率は、本年三月に公表した中期的な財政見通しにおいて、平成二十三年度に財政再生団体転落ラインを超える財源不足が見込まれており、今後、新たな財政再建のためのプログラムの策定を通じ、赤字発生を回避しなければならないせっぱ詰まった状況に追い込まれているところであります。 一方、実質公債費比率及び将来負担比率の今後の見通しにつきましては、今後の県債の発行額や借入金利といった変動要素もあることから、正確に見込むことは難しいところでございます。しかしながら、これらの比率が悪化しないよう、公共事業のキャップ制の継続などにより、県債発行額を抑制するなど、健全化に向けた努力を重ねてまいる所存であります。 私からは、以上です。
○副議長(小野隆君) 企画部長佐藤廣嗣君。 〔企画部長 佐藤廣嗣君登壇〕
◎企画部長(佐藤廣嗣君) 大綱二点目、過疎対策についての御質問にお答えをいたします。 初めに、新たな過疎対策法では合併自治体全域の地域指定が望まれるがどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 現在の法律では、人口減少率や高齢者比率などの人口要件と財政力指数などの財政力要件により、市町村の区域を単位として過疎地域が指定されております。ただし、過疎地域であった市町村が他の市町村と合併した結果、合併後の市町村が、本来の過疎地域となる要件を満たさなくなったときには、特例措置として、合併市町村の区域全域が過疎地域とみなされる場合と、合併前に過疎地域であった旧市町村の区域のみが過疎地域とみなされる場合がございます。新たな過疎対策法における地域指定の要件については、このような現在の指定要件を基本に、国において、今後本格的に検討されると伺っております。 県といたしましては、地域間格差の是正を図るという制度の趣旨を考慮した場合、過疎市町村を含む合併市町村について、無条件に全域過疎指定を求めることには無理があるというふうに考えておりますが、合併により広域化した市町村の実情や厳しい財政状況を十分に踏まえ、条件が不利な地域に対し最大限の配慮がなされるよう、国に対して要望してまいります。 次に、新たな過疎対策法の実現に向けた指導や支援の体制についての御質問にお答えをいたします。 県では、個別に県内過疎市町から実情や意見を聞くとともに、担当者会議を開催するなど、新たな過疎対策法について情報の共有や意見交換に努めてきたところであります。このような過疎市町の意見等を踏まえ、県といたしましては、県内の過疎市町で構成する全国過疎地域自立促進連盟宮城県支部と連名で、また、県単独でも「国の施策・予算に関する提案・要望」の中で、過疎対策法の制定について、国等に要望を行ってまいりました。今後も引き続き、新たな過疎対策法の制定に向けて、県内の過疎市町と情報を共有し、連携を図ってまいりたいと思っております。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 保健福祉部長鈴木隆一君。 〔保健福祉部長 鈴木隆一君登壇〕
◎保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱四点目、地域医療についての御質問のうち、診療報酬のあり方と患者にとっての医療の安全について、また、本県の無保険者や国保税滞納者の状況、医療費未払いの現状についてのお尋ねにお答えをいたします。 診療報酬のあり方につきましては、医療技術の適正な評価、医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価を確保しつつ、患者を重視した質の高い適切な医療の効果的な提供が確保されることが必要であると認識しております。その意味から、患者の医療の安全を確保するためのコストは、診療報酬に反映されることが望ましいと考えております。 次に、マスコミ等で無保険者と言われている国民健康保険の被保険者資格証明書の交付世帯と国保税・国保料の滞納者の我が県の状況につきましては、ことし六月一日現在、国保の被保険者資格証明書の交付世帯数は四千四十七世帯、国保税・国保料の滞納世帯数は九万八千百六十五世帯であります。また、医療費未払いの現状につきましては、県内すべての医療機関に関する統計はございませんが、自治体病院三十三施設における平成二十年度末の過年度分患者未納金は、約六億七千万円となっております。 次に、地域医療再生臨時特例交付金に基づく事業についての御質問にお答えをいたします。 この交付金事業は、国の補正予算を財源とし、都道府県が地域医療再生計画を策定の上、地域医療の課題を解決するための各種事業を実施するものであります。 本県におきましては、大崎、栗原、登米の三つの医療圏から成る県北地域と、仙南医療圏及びその周辺地域から成る県南地域の二地域を計画対象地域として選定したところであります。今月中旬までに計画を策定して国に提出することとしております。 計画では、救急・周産期医療等の充実や地域内の医療機関による機能分化と連携の強化、再編・ネットワーク化等を目的とすることとしており、これらの実現を図ることによって、住民の皆さんが、身近な地域で安心して医療を受けられる体制が構築されるものと考えております。 なお、こうした取り組みの実施に当たりましては、持続的、安定的な医療従事者の確保が不可欠であります。このため、効果的な医師の配置の仕組みづくりや女性医師支援の充実、看護師の養成・確保の取り組み等を全県で実施する事業として計画の中に盛り込み、東北大学、県医師会等の関係団体と連携をして、その推進を図ってまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 農林水産部長千葉宇京君。 〔農林水産部長 千葉宇京君登壇〕
◎農林水産部長(千葉宇京君) 私からは、大綱三点目、環境政策としての林業振興についての御質問のうち、作業道についてのお尋ねにお答えいたします。 作業道開設につきましては、今年度からより高い補助率となる森林整備加速化・林業再生事業を活用し、森林所有者の負担軽減に努めることとしております。県といたしましては、今後も補助事業等を活用し、搬出経費の削減を初め、機械化の推進や事業地の団地化など、生産活動全体を見据えたコスト縮減の取り組みに引き続き支援してまいります。 また、御指摘がございました補助率アップによって作業道の開設が進めば搬出経費の削減に非常に有効であることから、将来とも高い補助率が継続されるよう国に働きかけてまいります。 次に、林業の担い手対策についての御質問にお答えいたします。 林業の担い手育成については、平成六年度から、林業労働者の育成・確保に向けた森林整備担い手対策基金事業により、新規就業及び就労環境整備への支援などを実施しているほか、平成二十年度からは、森林・林業次世代リーダー育成強化事業により、森林整備や有利な木材販売などを企画・調整できる事業体職員や、伐採、搬出に係る労働生産性を向上させる現場作業のリーダーの育成に努めております。林業の担い手の育成には長い年月を要することから、今後とも関係団体と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。 次に、我が県の製材業の現状についての御質問にお答えいたします。 昨年秋の金融危機以降の不況による影響から、全国的に新設住宅着工数の減少が著しく、これに伴う製材及び合板などの木材関連工場の減産や木材生産量の抑制など、我が県においても林業及び木材産業を取り巻く環境は、現在、大変厳しい状況にあると認識しております。このため、県といたしましては、素材生産者や製材関係者に対しても、さきに述べました森林整備加速化・林業再生事業を活用し、製材工場などに対しては、間伐材の運搬経費の支援を、また、合板工場での手形決済対策として、原木供給者に対しては、資金回収期間の長期化に対応するための借入金の利子助成などの支援制度を活用していただくこととしております。 次に、製材業者への支援対策についての御質問にお答えいたします。 原木価格を適正に維持するためには、合板会社と製材業者がそれぞれに生産拡大を図ることが重要と認識しております。このため、主に住宅用資材を生産する製材業者への支援対策については、県産材の利用促進策が重要であると考えており、県内市町村と連携を深め、新規又は改築する計画の公共施設の木造化を強力に推進しております。また、六月議会で可決いただきました県産材で家づくり緊急支援事業など、付加価値の高い優良みやぎ材を使用した一般住宅への支援も進めております。更に、森林整備加速化・林業再生事業を活用し、製材業者などに対する生産基盤の整備を進めているところです。 このように、公共施設及び一般消費者に対する木材の利用促進とあわせて事業体の生産施設の整備を推進し、製材業の活性化に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 十五番熊谷盛廣君。
◆十五番(熊谷盛廣君) 御答弁ありがとうございました。 二、三、再質問をさしていただきたいと思います。 知事にお尋ねをしたいと思いますけれども、本議会の初日の冒頭でも、富県宮城の実現にしっかり頑張ってまいりたいと。きのうの代表質問の答弁の中にも、そうしたお答えがあったと、そういうふうに理解をしております。経済基盤をしっかりと築いて、創出される富の循環によって県政の諸課題に対応していくと、そういう答弁であったと思っております。 福祉の充実、教育環境の整備などを初め、さまざまな県民要求にこたえていかなければならないわけでございますけれども、だからこそ県財政の立て直し、そして充実、県税収入の確かな増収をしっかりと図っていかなければならないわけでございますけれども、そうした考えのもとで、知事は競争力のある産業を誘致及び育成を図ってまいったわけでありますけれども、質問が少し重なるかとは思いますけれども、特に、誘致企業の育成という視点に立っての知事のお考えを、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 今、議員がお話しいただいたことを昨日もお話しをいたしました。その考えで全く私の考えと同じだと思っております。 誘致企業の育成ということでございます。誘致企業もこれから宮城に立地をいたしますと、県内企業ということになりますので、そういった企業をしっかりと育てていくのは大変重要だと思ってます。まず一つは、人材の確保です。やはり、東北にはすばらしい人材がいるというのが宮城に立地を決めてくれた大きな理由でございますので、優秀ないい人材を確保するようなお手伝いをするというのも大切だと思ってます。また、技術力の向上のお手伝いもできるかというふうに思っております。また、技術者の皆様の技能の向上と、こういったお手伝いもできるかと思いますので、そういった側面的支援をやりつつ、県内の企業とのマッチング、こういったようなものを進めて、なるべく調達を楽にするようなお手伝いもしてまいりたいと、このように思っております。
○副議長(小野隆君) 十五番熊谷盛廣君。
◆十五番(熊谷盛廣君) 保健福祉部長にちょっとお尋ねをしたいんでございますけれども、後ほどいろいろ、新型インフルエンザについては、御質問がほかの議員の先生方からあるかと思いますけれども、一点だけ。 県内においても、学校での学級閉鎖あるいは幼稚園、保育園での集団感染などが現実のものとなってまいりました。先ほど申し述べましたように、地域医療の課題の中に、産科とあわせて小児科の問題がございます。こうした地域にとっての、特に妊婦、乳幼児の新型インフルエンザ対策について、ちょっとお伺いをいたしたいと、そういうふうに思います。
○副議長(小野隆君) 保健福祉部長鈴木隆一君。
◎保健福祉部長(鈴木隆一君) 既に病気をお持ちの方とか、あるいは、今お話にあったような小児科、小さいお子さん方は重症化するということが心配されております。したがって、そこのところはしっかり我々対応していかなければならないというふうに思っておりまして、きのうも、実は、小児部門の先生方というか医療機関、十九機関集まっていただきましたけれども、会合をして、その対応について打ち合わせをしたというところであります。ですから、そこのところについては心配なく、非常に医療機関の皆さんも積極的に応援をいただくということでお話をいただいておりますので、打ち合わせをしながら対応していきたいというふうに思っております。
○副議長(小野隆君) 十五番熊谷盛廣君。
◆十五番(熊谷盛廣君) 特に、例えば、先ほど申し上げましたように、私の地元の登米市などは、産科の先生がいらっしゃらない、あるいは小児科の先生が一人しかいないと、そうした状態のところではどのようにお考えですか。
○副議長(小野隆君) 保健福祉部長鈴木隆一君。
◎保健福祉部長(鈴木隆一君) いざというときには、全県で対応する形になると思います。したがって、先ほど申し上げたように、そういう医療機関との打ち合わせをしながら、重症化したときのリストを最終的に調整をして、それを医療機関の間で共有をする、あるいは診療所の先生方も含めて共有をしながら、その辺の患者の搬送なりつなぎ方をやりながら、体制はしっかり整えていきたいというふうに思ってございます。
○副議長(小野隆君) 十五番熊谷盛廣君。
◆十五番(熊谷盛廣君) 企画部長にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、過疎地域にとりまして、過疎対策法による過疎債充当というのは、非常に必要不可欠な最低条件になっております。当該県内自治体にとっては、県の後方支援が他県と比べて淡泊なものを感じているという指摘が何度か私は聞き及んでおりますけれども、そのあたりの事情について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(小野隆君) 企画部長佐藤廣嗣君。
◎企画部長(佐藤廣嗣君) 私どもも、過疎地域にとりまして過疎対策法による過疎債が使えるとか、補助率のかさ上げがあるとか、あるいはソフト面の支援制度があるということが、非常に地域の振興、活性化にとって大事だということを十分に認識しているつもりでございます。 今、お尋ねのように、全国の県の中には、過疎対策のための新たな過疎法に向けての研究会なんかをつくられているところもあるというふうに伺っておりますけれども、私どもは、そういう体制はとらなかったわけですけれども、先ほどお答えしましたように、個別に過疎指定をされている市町村から地域の実情をお伺いしたり、あるいは、担当者会議を開いたりしながら、今の過疎市町村の抱えている問題、あるいは、どういう支援が今度の過疎対策法で必要なのかというようなことをお伺いしまして、機会を見つけて、国に対してそれをお伝えするというようなことをやってまいったつもりでございます。
○副議長(小野隆君) 十五番熊谷盛廣君。
◆十五番(熊谷盛廣君) 合併特例債の特典が切れれば、合併自治体にとりましては合併特例債の特典がなくなるということは、非常に大きな問題になります。その中で、過疎地域を抱えている合併自治体としましては、アンバランスな面が出てくるということが非常に心配をされております。確かに、過疎地域指定のいろいろな要件はあるんだと思いますけれども、それを踏まえた上での私からの一つのお願いということでもございまして、県におきましても、いま少し合併自治体に対する過疎地域の問題、深く突っ込んでいろいろと御指導とか御助言を賜れればありがたいと、そういうふうに思っておりますので、知事の答弁でお願いいたしたいと思います。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 合併によりまして、そういった条件の地域が含まれているというようなことは私も十分承知をしております。こういったところにしっかりと光が当たるように、県としてお手伝いをするということは大変重要なことでございますので、国にお願いしつつ、よく市や町の方に御意見を聞くような努力をしてまいりたいと、このように思います。
○副議長(小野隆君) 十五番熊谷盛廣君。
◆十五番(熊谷盛廣君) 以上で、終わります。 ありがとうございました。
○副議長(小野隆君) 四十七番小野寺初正君。 〔四十七番 小野寺初正君登壇〕
◆四十七番(小野寺初正君) 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を順次行います。 昨日、知事は、再選出馬への意欲を表明されました。この約四年間、宮城のあるべき将来の成長戦略をビジョンとして明確に掲げ、その推進に当たっては、平成十九年度を基点とする行動計画を策定し、その達成に向け懸命に取り組んできました。私は、そうした知事の姿勢を心から評価をするとともに、敬意を表します。知事は、富県戦略に掲げたこれまでの取り組みについて、どのような評価をしているのか。また、今後に向けた取り組み、決意について伺います。 二点目は、財源なくして政策なしと言われますが、宮城の将来に向かって、着実な富県戦略の推進を可能としたのは発展税の導入でありました。今後、地球温暖化対策の推進、クリーンエネルギーの利活用等内需拡大につながるような政策の導入の推進にはその財源対策が不可欠であり、環境税の導入は避けて通れません。導入に向けた知事の所見を伺います。 三点目は、国の平成二十一年度補正予算の執行が、凍結・停止の事態が生じています。県がかかわる公共事業で、六月議会に議決したものも執行停止になっています。国の経済対策によりGDPがプラス成長によくなりかけている中で、こうした措置は、地域経済に水を差すと思います。民主党が、今後、公共事業の大幅カット、製造業派遣の原則禁止、最低賃金の引き上げ等の政策導入を図っていけば、再び景気を悪化させる事態になりかねません。こうした民主党の政策について、知事の所見を伺います。 次は、介護施設等に対する交付金事業についてであります。 一点目、介護基盤緊急整備等臨時特例交付金事業は、地域密着型の小規模な特別老人ホームであるとか、老人保健施設とかの施設に対して助成することによって、一層整備を促進しようとするものです。本年度から二十三年度までの間、県が直接市や町に助成することになっています。また、入居施設での火災から身の安全を守るため、スプリンクラーの整備に対しても助成することになっており、消防法施行令の改正に伴い、設置基準が従来の一千平方メートル以上から二百七十五平方メートル以上の施設にスプリンクラーの設置が必要となり、その設置に要する経費に対し助成しようとするものであります。 そこで、一つには、今回の特例交付金の活用で、どの程度の施設整備が見込まれているのか、伺います。 二つには、昨年四月現在で、宮城県の特別養護老人ホームの入所定員数は、六千四百七十四人に対し、入所希望者数は、一万八百二十九人となっています。そのうち、介護度四、五の自宅待機は千三百十人で、入所まで三年はかかるとの声も聞かれます。平成二十一年から二十三年度までの第四期介護保険事業支援計画においての提供見込み量は八千二百七十二人分で、希望者数との乖離は二千五百五十七となり、全員の入居は不可能と言えます。そこで、介護度四、五の方々について、待機をなくす抜本的な取り組みをすべきと思いますが、所見を伺います。 三つには、これまで、施設入所について、家庭的な雰囲気の中で個別性に配慮したケアが行われるよう、ユニット型個室を原則に施設整備を進めておりますが、在宅介護者等の方々からは、早期入所の要望が強いこと、生活保護の受給をされている方は、原則としてユニット型施設の利用ができないとされていることなどを踏まえ、現場のニーズに対応するようにすべきであります。そのため、施設整備に当たっては、二人部屋などの多床室とユニット型を組み合わせ、その比率を四対六に拡大するなどの取り組みをすべきと思いますが、所見を伺います。 四つには、消防法の改正により、新たにスプリンクラー設置が必要となる対象施設数は幾らあるのか。また、目標を上回る申請がある場合、どのような優先順位とするのか。更には、選考に漏れた事業者への対応についてどう取り組んでいくのか、伺います。 二点目は、介護職員処遇改善等臨時特例交付金事業についてであります。 この事業は、介護職員の処遇の更なる改善であり、本年度の介護報酬の改定で、三%のプラス改定が行われましたが、介護職員の賃金水準が他業種に比べなお格差が見られるということから更に改善をし、推進しようとするものであります。また、介護施設等の円滑な開設を図るために、職員の募集や講習とか、そういった準備経費に対し助成をしようとするもので、二十一年度から二十三年度までの間実施することになっています。 そこで、二点について伺います。 一つには、事業者への交付金支給要件の中に、賃金改善の実施期間及び方法並びに賃金改善以外の処遇改善の内容を記載した、別紙様式二の介護職員処遇改善計画書を作成し、事業者の職員に対して、当該計画書の内容について周知を行った上で都道府県に提出するとなっています。そこで、介護職員改善計画の内容を職員に周知を行った上で県に交付金申請を行うことになっており、問題は、周知を行ったことの有無をどのようにして確認するのかであります。他県の事例も含め、その方途について伺います。 二つには、事業者が周知内容を遵守せず、トラブルが生じた場合等の相談窓口と処理体制について伺います。 次は、新型インフルエンザ対策についてであります。 舛添要一厚生労働大臣は、去る八月十九日、全国の定点医療機関からの報告を踏まえ、新型インフルエンザの流行入りを宣言しました。発症ピークは、九月下旬から十月上旬と見られています。また、予想される患者数の推計は、例年の季節性インフルエンザの二倍程度とした場合、最高で一日当たり約七十八万人の患者が発生するとしております。こうしたことから、本県でも多数の患者が発生するものと推測されます。 新型インフルエンザウイルスによる疾患は、軽症で季節性のものと同等と言われるものの、流行拡大する速度は著しく、ことし五月一日から五月二十日までのニューヨーク市では、人口の約七%がインフルエンザ様疾患に遭い、総計二十五万人の感染者があったと報告されています。世界の各地、国内においても患者数は増加を続けており、今後は、国、県を問わず、季節性インフルエンザと相まって、社会的に甚大な影響を与える可能性もあり、心して対策を講じていかねばならないと思います。 そこで、新型インフルエンザの流行入りを踏まえ、国に対し、抗インフルエンザウイルス薬の医療機関等への供給加速、重症患者を収容するための病床確保等への財政支援、ワクチン接種の公的助成の検討などについて強く働きかけるべきと思いますが、知事の所見を伺います。 二点目は、入院患者受け入れ病床の確保についてであります。 厚生労働省の入院患者数推計では、宮城県の場合、発症率二〇%で八百五十床、三〇%で千二百九十床が必要とされており、現在、四十六病院の二百二十八床となっています。必要病床に対して、六百から一千床程度不足しております。今後、どのような手だてを講じていくのか、伺います。 三点目は、新型インフルエンザの症状は、さきに述べましたように、軽症で、治療せず回復する人も多いようですが、気管支ぜんそくや糖尿病、免疫不全、心疾患等の基礎疾患、妊婦、二歳未満の幼児は、重症化しやすいと言われています。県では、現在、こうした専門的対応が必要な領域の患者受け入れ先について、妊婦十病院、小児十七病院、透析施行中十一病院としています。そこで、重症患者について、必要病床数、受け入れ調整機能、搬送受け入れ体制等の確保についてどのように取り組んでいるのか、伺います。 四点目、沖縄県では、数多くのインフルエンザ患者が医療機関に来院し、その対応に苦慮している。特に、休日・夜間は、救急病院に患者が集中している。また、医療機関における電話での対応に人員が割かれる状況にあることなどが報告されています。そこで、休日・時間外診療について、地域の診療所などと連携する体制をつくることや、小児救急電話相談事業を午前七時まで延長することなどに取り組んでいくべきと思いますが、所見を伺います。 五点目、感染の拡大を防ぐため、地域住民や企業への具体的対応の仕方など、積極的に取り組む必要があります。県では、さまざまな情報媒体を通じて感染予防の周知に努めており、今後は、啓発チラシの作成、県政だより十一月号に、新型インフルエンザに関する特集記事の掲載をするとしています。しかし、感染のピークは九月末からとの発表もあり、適切なタイミングの時期を逸しているのではと思います。 そこで、一つには、厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部では、インフルエンザに感染したかもしれないと思うときには患者向けの手引、症状がある方へは受診と診療の手引、自宅療養を行う慢性疾患等を有する患者には日常生活の注意点などを、それぞれの場合について、参考となる資料をもとに、地域住民への情報提供に適切な対応をとることを求めております。その取り組みについて、所見を伺います。 二つには、企業における新型インフルエンザに対応する事業継続計画書、BCPと言われておりますけれど--への取り組みについてであります。 企業に新型インフルエンザが発生した場合、従業員の欠勤、取引先の休業、原材料の不足など、企業活動への影響が想定され、その影響を最小限にとどめるために、流行時における事業運営体制を検討し、事業継続計画として取りまとめておくことは、企業が危機を乗り越えていく上で重要なことかと思います。 平成二十年度で、本県企業が策定している割合は、五・三%と極めて低い状況です。県では、十月から十一月にかけ、BCP策定に掲げる企業、事業所における新型インフルエンザ対策セミナー及び模擬訓練を予定しております。しかし、もっと踏み込んで具体的な数値目標を掲げ、加速的に取り組む必要があると思いますが、所見を伺います。 次は、二口林道の整備改良についてです。 林道二口線は、地理的には仙台市と山形市を最短距離で結ぶ幹線林道であり、林業の振興、森林管理のみならず、仙山交流を初め、山寺、秋保を核とする地域経済、産業の活性化を促す重要なルートになっております。また、名勝磐司岩や二口山系への登山、新緑・紅葉を楽しむアクセス道、更に、災害時には秋保町野尻集落の緊急避難として位置づけられるなど、多面的な機能を有しており、地域の幹線道路として重要な役割を果たしておりました。しかし、のり面保護施設の老朽化による落石の危険性等が生じ、平成十四年から一般車両は通行どめとなっております。 こうした状況に対し、厳しい県財政の上から、約十億円とされる事業費による整備改良は困難かと思われましたが、自公政権による緊急経済対策により、林野庁は、全国の林道整備に三百九十億円、宮城県には約七億八千万円の予算が示されました。本議会には九月補正予算分として二億一千五百万円が計上され、六月補正分と合わせた事業費により山形県境までの整備改良を行い、長年の懸案である通行どめを解除し、通行可能とするものであります。地域活性化、雇用創出の観点から、六月補正に引き続き計上されましたことに対し、評価をいたすものであります。 そこで、以下四点について伺います。 一点目、二口林道の重要性について、知事はどのような認識でいるのか、伺います。 二点目、林野庁への説明では、九月補正で計上している二億一千五百万円について、工事実施により全線通行可能な状態後仙台市への移管が条件となっており、仙台市との協議が不調となれば九月補正予算分の改良工事などは行わず、六月補正分の工事費のみを実施することとされており、全線通行は不可能となるやに伺っております。もしそうであれば、地域住民を初め、利用する県民にとっても開通を待ちわびる声は打ち消され、まことに不幸な事態となります。もともと県が管理している林道であり、さきに述べましたように、県にとっても重要な幹線道路であることから、仙台市との管理のあり方いかんにかかわらず全線開通を実現すべきであると思いますが、知事の所見を伺います。 三点目、県が開設した林道は、完成後すべて市町村に移管しており、林道二口線においても、平成元年以降継続して移管要請を行ってきており、それが実現しないことの理由に、整備改良と維持管理費が大きな要因として挙げられます。財政負担を生じることを避けたいのは仙台市とて県と同様であり、お互いに歩み寄り、合意点を見出していくべきと思いますが、その取り組みについて知事の所見を伺います。 四点目、今後の残工事については、通常事業のルールにより毎年度の予算編成において検討されることになりますが、県財政の厳しい状況を踏まえますと、今年度の緊急経済危機対策のスキームを最大限活用することが望まれます。イヌワシの生息や工事期間の制約もあり難しいとは思いますが、更なる取り組みについて所見を伺います。 次は、第二総合運動場をめぐる問題についてであります。 現在、第二総合運動場のラクビー場及び遠的弓道場は第二女子高校の仮校舎用地として使用されており、競技団体等は明年の六月まで一時利用休止となり、用意された代替グラウンドは、利用時間、使用上のルールがネックとなり利用に供せず、県サッカー場、石巻市総合運動公園等が代替のグラウンドとして利用されています。ラグビーフットボール協会では、各種大会等でのグラウンド確保が困難となり、大会期間が不規則で分散開催、高校では日程が平日授業日になるなど、県内各地を渡り歩くジプシー的対応を余儀なくされています。また、ジュニアにおいては、セレクション、合宿等に関しても固定した会場がなく、充実した育成策がとれないと窮状を訴えています。 教育委員会では、これまで、二女高の新校舎完成後はラグビー場として元に戻すとしながら、一方で、(仮称)仙台二華中・高のグラウンドが学校の設置基準を満たさず、他の県立高校に比べ狭隘であることから、第二グラウンドの整備を検討していくとしており、その検討結果として、ラグビー場を充てるやに聞いております。ラグビー場を(仮称)仙台二華中・高の第二グラウンドとするのであれば、県として、その代替となる受け皿をまず用意するのが先であり、しかる後に第二グラウンドです。 そこで、一点目は、第二総合運動場ラグビー場をめぐる今日までの経緯及び今後の方針について伺います。 二点目は、第二女子高校の仮設校舎設置に際し、ラグビーフットボール協会は、必ずラグビー場を確保するとの約束のもとに工事着手を受け入れ、全面的に協力をしてきたのですから、教育委員会は、誠実にその約束を履行すべきと思いますが、所見を伺います。 三点目、教育委員会は、代替となるラグビー場について県サッカー場を充てる方針で、A、B、Cの三面グラウンドのうち、Cのクレーコートを公式試合が可能となるよう改良整備を行い、利用に供するよう検討している。また、財政負担の見地から改良はせず、現在規模で必要な整備を行い、公式試合に備えBグラウンドをラグビー専用に充てる等々、さまざま検討しているやに伺っております。 Cグラウンドのクレーコートは、使用のたびに七千平米のレーキならしが必要になり、間断なく利用することが困難であり、環境面では、グラウンド表面の砂が砂じんで飛散し、近隣住宅からもクレームが絶えない状態にあると聞き及んでいます。また、天然芝コートにした場合は、ラインの設置に経費がかさむことが難点として挙げられることから、ラグビー、サッカーの共用を前提にすれば人工芝による整備とし、利用効率を高める設計にすべきと思います。この点も含め、ラグビー場の整備方途、現サッカー場の今後のあり方について、基本的な考えを伺います。 四点目、ラグビーフットボール協会では、2019ラグビーワールドカップ日本開催が決定し、国内九候補地に、仙台市・ユアテックスタジアム仙台が挙げられ、そこでの実現に向け、これまで、国際試合、トップリーグ等の継続的な開催など、関係機関との連携による実績づくりに取り組んできております。また、2016夏季五輪追加種目に七人制ラグビーIOC理事会推薦決定への対応、加えて、平成二十年に、文部科学省学習指導要綱・小学校学習指導要領解説「体育編」の中で、タグラグビーが教科として正式決定されたことを契機に、タグラグビーの普及を積極的に展開し、国際的なラグビーを取り巻く環境変化に対応した普及、育成、強化に努めています。 しかし、最大の問題は、それらの活動の基点となるロケーション、すなわち、ラグビー場の施設整備が宙に浮いていることです。こうした状況が一日も早く解消され、スポーツ振興を通じ、地域経済活性化がより進んでいくことを強く望み、ラグビー場の整備に向けた具体的スケジュールについて、知事の所見を伺います。 次は、深夜における花火騒音対策についてであります。 去る七月、仙台市内の住民から、深夜の花火騒音で困っているとの話を受けました。関係者の話では、深夜から朝まで花火騒音が続くとの声が聞かれます。こうした花火騒音は仙台市以外の市町村にも見受けられ、全県的な問題であると私は思います。 県警が、昨年の一月一日から本年七月七日まで調査しました花火騒音一一〇番受理状況によれば、全体で四百一件、二十六市町村に及び、最も多いのが仙台市二百五十件、次いで、塩竈市二十九件、多賀城市十九件となっています。 こうした県民の苦情に対し、現状では規制する法律や条例がない以上、花火を注意することはできても中止させることはできないと、全く対応が打たれていないようであります。法律の不備により長年にわたり行き過ぎた行為が放置され、住民生活の安眠が奪われている現状は、早急に改善されなければならないと思います。他県、他都市においては、こうした住民の苦情を受け、神奈川県では、かかる行為を罰則行為としております。また、他都市においても罰則を条例に定めている事例も見受けられます。 そこで、以下、三点について伺います。 一点目、住民から、積年にわたり苦情が寄せられている実態についてどう受けとめ、どのような対応をされてきたのか、伺います。 二点目、県迷惑行為防止条例に、正当な理由なく深夜に花火をすることを禁止行為として明確に盛り込むべきであります。その取り組みについて所見を伺います。 三点目、ただいま述べました措置でも改善されない場合、花火禁止区域等を指定し、違反した場合、罰則を適用する条例改正を行うべきと思いますが、所見を伺います。 以上で、壇上での質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 小野寺初正議員の一般質問にお答えをいたします。大綱六点ございました。 まず、大綱一点目、知事の再選出馬についての御質問にお答えをいたします。 初めに、富県戦略のこれまでの取り組みの評価と今後への決意についてのお尋ねにお答えをいたします。 私は、県民の皆様が、生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかったと思える宮城県にするため、富県宮城の実現を県政運営の第一の柱に掲げ、全力で取り組みを進めてまいりました。その具体的な成果につきましては、自動車関連企業を初め、多くの企業の進出が決定し、また、進出企業と地元企業との取引開始に向けた動きも進んでいるほか、産業活動の基礎となる人材育成も計画的に進んでおります。観光では、仙台・宮城デスティネーションキャンペーンの実施により、観光客の受け入れ体制が形づくられ、基盤整備では、道路整備や港湾機能の強化など、我が県の成長力を高める準備が整いつつあります。 このようなことから、富県宮城の取り組みについて、変動する経済環境の中で県政躍進に向けた経済基盤を構築し、揺るぎない流れを形づくることができたと評価をしております。今後とも、これまでの歩みを更に加速し充実していくため、私が先頭に立ち、富県宮城の実現に全力を傾注する決意でございます。 次に、環境政策の推進のための財源対策についての御質問にお答えをいたします。 昨日の代表質問でもお答えをいたしましたが、我が県の環境政策上の喫緊の課題である地球温暖化防止対策などについては、今後、早急に対応を行っていく必要があるものと考えております。この点については、施策の充実強化と財源確保に向けた具体的検討の着手について、ことし六月に、県議会の特別委員会から御提言をいただいているところであります。今後は、積極的に推進していくべき具体的施策を十分に検討しながら、財源のあり方について、県民や各団体などから幅広く御意見を伺ってまいりたいと考えております。 次に、国の補正予算の執行凍結や公共事業削減などの民主党の政策は、景気を悪化させかねないのではないかとの御質問にお答えをいたします。 新政権が検討しております国の補正予算に盛り込まれた事業の執行凍結や公共事業の大幅削減、製造業労働者派遣の廃止、最低賃金の大幅な引き上げなどの政策は、需要の減少や企業のコストアップを招くとして、景気に対するマイナスの影響が懸念されるとの報道がなされていることは、私も承知をしております。 県では、国の経済対策と連動した雇用経済対策を県政の最重要課題と位置づけ、地域経済の下支えに努めてまいりましたが、ようやく、一部に景気の持ち直しの兆しが見えてきたところであります。しかしながら、雇用情勢は依然として厳しく、現下の経済情勢における景気対策は、解決を図るべき喫緊かつ重要な課題であります。新政権には、政策の実施に当たって、景気悪化につながることのないよう十分に配慮していただきたいと考えております。 次に、大綱二点目、介護施設等に対する交付金事業についての御質問にお答えをいたします。 初めに、特別養護老人ホームの入所希望者の待機を解消する取り組みについての御質問にお答えをいたします。 特別養護老人ホームの入所希望者に対する施設サービスの提供は緊急の課題であり、特に、在宅の要介護度の高い方々につきましては、早急に待機の解消を図っていく必要があると認識をしております。県といたしましては、今回の介護基盤緊急整備特別対策事業を活用し、特別養護老人ホームのほか介護老人保健施設や認知症高齢者グループホーム等の施設について、第四期介護保険事業支援計画の着実な推進を図るとともに、前倒し整備も行いながら、特別養護老人ホームの入所希望者の待機の解消に積極的に取り組んでまいります。 次に、多床室整備比率の拡大についての御質問にお答えをいたします。 特別養護老人ホームについては、個室・ユニット型による整備を促進してまいりましたが、利用者や事業者からの要望があるほか、依然として多くの方が入所を待っている現状にあることから、今年度から、個室・ユニット型の整備を基本としつつ、多床室の整備についても支援を広げることとしたところであります。多床室整備の比率については、三割程度までを基本として考えておりますが、地域の実情や事業者の意向等を踏まえて柔軟に対応してまいります。 次に、大綱三点目、新型インフルエンザ対策についての御質問にお答えをいたします。 初めに、各種対策に係る国への働きかけについてのお尋ねにお答えをいたします。 タミフル等の抗インフルエンザウイルス薬につきましては、現在十分に流通し、医療機関へは不足なく供給されております。更に、県では約二十八万人分を備蓄しており、供給については心配ないものと考えております。なお、万が一不足した場合は、国の備蓄品を速やかに供給するよう要請をしてまいります。 また、医療機関に対する財政支援につきましては、全国知事会や、佐賀、徳島、鳥取の四県知事等で、外来及び入院体制の整備に係る支援を要望しているところですが、今後の新型インフルエンザの発生状況や医療機関の対応状況及び国の制度を勘案しながら、更なる働きかけを検討してまいります。 次に、ワクチン接種については、国において医療従事者や妊婦及び基礎疾患を有する者等を優先接種の対象とする素案を公表し、現在、パブリックコメントを募集しております。また、接種費用に関しては、低所得者に配慮した仕組みとなる見通しが示されておりますが、これらの動向を注視し、国に対し必要な働きかけを行ってまいります。 次に、入院患者の受け入れ病床の確保についての御質問にお答えをいたします。 厚生労働省が八月二十八日に発表した流行シナリオにつきましては、幾つかの仮定に基づき算出されており、実際の入院患者数がどのように増加するか明らかではありませんが、御指摘のありましたとおり、流行シナリオを本県に当てはめた場合には、事前に県内の全病院に調査を行った現時点での入院受け入れ可能数と比較し、病床が不足する計算となります。現時点では、県内でどの程度の入院患者が発生するか不確定な状況でありますので、今後の県内各地域における入院患者数の動向を見きわめながら、しっかりと適切に対応してまいります。 次に、大綱四点目、二口林道の整備改良についての御質問にお答えをいたします。 初めに、二口林道の重要性についてのお尋ねにお答えをいたします。 二口林道については、昭和四十年の山形、宮城両県知事の合意に基づき、四十二年に着手し、四十八年に完成をいたしました。現在は、のり面からの落石の危険があることから、一般車両は通行どめとしているところであります。 二口林道の重要性については、仙台市秋保地区と山形市山寺地区を結ぶ幹線林道であり、林業の振興や適切な森林環境に加え、仙山交流を初めとする地域経済の振興においても重要なルートと考えております。また、名勝磐司などへのアクセス道として、観光面においても重要な林道であると考えております。 次に、仙台市との管理のあり方いかんにかかわらず、全線通行に向けた整備を実現すべきとの御質問にお答えをいたします。 宮城県では、県営で開設した林道を、完成後すべて市町村に移管することを原則としており、現在、仙台市管理の林道大平桑沼線につきましても県が開設し、昭和五十七年に当時の泉市に移管を行っております。二口林道沿線には、仙台市野尻配水所など仙台市民の生活にかかわりの深い公共施設や、仙台市が土地所有者である官行造林地なども存在することから、仙台市の管理が望ましいと思われます。このような状況も踏まえ、仙台市との協議を進めながら、全線通行に向けた改良工事を進めていくこととしております。 次に、仙台市への移管に関し、相互に歩み寄って合意点を見出すべきであるとの御質問にお答えをいたします。 林道の管理におきましては、通常の維持管理に加え改良工事等の発生も考えられ、移管における一つの障害となります。しかしながら、今回の整備により、安全性の確保に加え維持管理費の大幅な低減が図られることなどから、仙台市においても移管を受けやすい環境が整うものと考えております。現在、仙台市との間に二口林道のあり方をテーマとした協議の場を設けておりますが、今後とも、仙台市からの提案を含めて、合意形成に向けて協議をしてまいりたいと考えております。 次に、今年度の財源措置の活用に関する御質問にお答えをいたします。 二口林道の整備に当たっては、今回の経済対策を最大限に活用することが県財政事情や経済効果の観点からも望ましいと考えております。しかしながら、工事車両の進入が宮城県側一カ所に限られ、施工上の制約があるほか、イヌワシの生息など自然環境への配慮を要する地域でもあります。また、本経済対策が二十一年度単年度に限られることからも、六、九月補正予算で計上している合計約三億五千万円の事業規模が、さまざまな制約の中での最大値と考えているところであります。 次に、大綱五点目、第二総合運動場をめぐる問題についての御質問のうち、ラグビー場の整備に向けたスケジュールについてのお尋ねにお答えをいたします。 県ラグビー場の休止後、利用者の皆様には大変御不便をおかけをしております。お話のありましたように、ラグビーワールドカップの日本開催が決定したことは、スポーツの振興や地域の活性化にとって大変喜ばしいものと考えております。ラグビー場の確保につきましては、県有施設の有効利用を念頭に、今後鋭意検討をしてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 保健福祉部長鈴木隆一君。 〔保健福祉部長 鈴木隆一君登壇〕
◎保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱二点目、介護施設等に対する交付金事業についての御質問のうち、介護基盤緊急整備特別交付金の活用で見込まれる施設整備についてのお尋ねにお答えをいたします。 ことし七月の市町村意向調査では、平成二十三年度までの三年間で、小規模特別養護老人ホーム及び小規模ケアハウスで六百三十五床、小規模老人保健施設及び認知症高齢者グループホーム等で三十九カ所の整備の意向が示されております。今後、市町村と調整しながら施設の整備を進めてまいります。 次に、スプリンクラー整備の助成についての御質問にお答えをいたします。 ことし四月一日の消防法施行令の改正により、新たにスプリンクラー設備の設置義務の対象となった高齢者施設は六十一施設となっております。国に対する要望額と内示額との間に大きな乖離がありますことから、今後、国に対して増額を要求していくとともに、国からの配分額の範囲内で、できるだけ多くの事業者に助成できるような対応を検討してまいります。 次に、介護職員処遇改善臨時特例交付金事業に係る賃金改善計画の職員への周知の有無の確認方法についての御質問にお答えをいたします。 国が定める実施要領では、介護職員処遇改善交付金を受けようとする事業者は、県に提出する介護職員処遇改善計画書の中で、職員に対し処遇改善の内容を周知した旨を自己証明することとされております。県といたしましては、これに加え、事業者における職員への周知がより徹底されるよう、他県の事例も参考にしながら、職員への周知の具体的な方法を申請書に明記してもらうなどの対応を検討してまいります。 次に、相談窓口及び処理体制についての御質問にお答えをいたします。 事業者に交付金が支給されていながら、賃金が改善されていないなどの相談や問い合わせについては、保健福祉部介護保険室が窓口となり、状況確認のほか、必要に応じて事業者に是正を求めるなど、適切な対応に努めてまいります。 次に、大綱三点目、新型インフルエンザ対策についての御質問のうち、専門的な対応が必要な重症患者の入院受け入れ体制についての御質問にお答えをいたします。 新型インフルエンザの感染により、重症化するリスクが高いと言われている妊婦、小児及び透析施行中の患者については、専門的な対応が必要となることから、県内において入院治療が可能な医療機関は限定されている状況にあります。県では、対象病院に入院受け入れの調査を実施するほか、専門医や関係機関、専門医団体に呼びかけ、診療体制調整のため、九月三日に妊婦部門、そして、九日に小児部門の会議を開催をし、十一日には透析部門の会議を開催することとしております。今後は、調整会議の結果を踏まえ、入院受け入れ可能病院のリストを外来診療を行う一般診療機関や消防等の関係機関に送付するほか、外来診療の方法等について、かかりつけ医の協力を得て周知してまいります。 次に、休日・時間外の診療・相談体制についての御質問にお答えをいたします。 新型インフルエンザに関する医療提供体制の確保につきましては、八月二十八日に厚生労働省から通知があり、外来診療の体制を維持するため、電話相談の時間延長等体制充実や、救急外来時間帯に緊急以外の外来受診を控えること等の地域住民への呼びかけ、診療時間の延長等夜間の外来診療に係る地域の診療所等との連携、医療従事者の確保等を検討するように示されたところでございます。県といたしましては、今後、新型インフルエンザによる患者の発生状況や県民からの相談件数等の状況を見定めながら、県医師会等関係機関とも協議をし、県民の医療の確保に支障がないよう医療提供体制の整備を継続して実施してまいります。 次に、住民への情報提供についての御質問にお答えをいたします。 県といたしましては、これまでも、うがい、手洗い、咳エチケットの徹底について、県政だより等の活用や報道機関の協力により県民の皆様に周知してまいりました。また、感染が疑われる場合の医療機関への受診方法や自宅療養の際の注意点などについても、発熱相談窓口等で個別にお知らせをしてまいりました。更に、重症化のリスクが高いとされている基礎疾患を有する方に対しましては、患者会等を通じて、感染予防や日常生活上の注意点を文書でお知らせするなど、重症化の予防を図る取り組みを行ってきております。 今後、本格的な流行期を迎えるに当たり、一層の理解促進と注意喚起を行うことが重要と考え、現在、作成を進めているチラシについて、市町村を初め関係機関と連携し早期に配布するとともに、ホームページ等を活用して更なる情報提供に努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君)
経済商工観光部長若生正博君。 〔
経済商工観光部長 若生正博君登壇〕
◎
経済商工観光部長(若生正博君) 大綱三点目、新型インフルエンザ対策についての御質問のうち、事業継続計画策定について、更に踏み込んだ取り組みが必要と思うがどうかとのお尋ねにお答えいたします。 企業が災害等の緊急事態に対応するためみずから策定する事業継続計画については、これまで、県として、計画の必要性や事業継続の基本的な知識の理解に向けた普及啓発、更には、計画策定の支援などに努めてきたところであります。しかしながら、対象が約七万三千企業と多く、更なる啓発活動が必要であること、また、企業にとっては、計画策定が義務ではなく、自覚に基づく自主的な取り組みであり、かつ相当程度の時間や費用を要することなどから、低い策定率にとどまっております。このため、現段階においては、県として一社でも多くの企業に理解を深めていただくことがまずは重要と考え、専門家によるセミナーやBCP出前講座の開催による一層の普及啓発に取り組んでいくこととし、特に、新型インフルエンザに対しては、新たに対策セミナーを県内六カ所で開催するなど、緊急かつ集中的に対策を講じることといたしております。したがいまして、御指摘の数値目標の設定等、更に踏み込んだ取り組みにつきましては、これらの取り組みによる県内企業の理解浸透の度合いなどを踏まえた上で検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 教育長小林伸一君。 〔教育長 小林伸一君登壇〕
◎教育長(小林伸一君) 大綱五点目、第二総合運動場をめぐる問題についての御質問にお答えいたします。 初めに、ラグビー場をめぐる経緯と今後の方針等についてのお尋ねにお答えをいたします。 県ラグビー場は、第二女子高校の仮設校舎用地として使用するために、平成十九年十月から平成二十二年六月までの予定で利用を休止し、仮設校舎撤去後は、ラグビー場に戻すことで県ラグビー協会を初め利用団体の御了解を得ていたところであります。仮設校舎設置以降、関係者の皆様には大変御不便をおかけしております。 一方で、(仮称)仙台二華中学校・高等学校のグラウンドは文部科学省で定める学校の設置基準を満たさず、他の県立高校に比べて非常に狭隘でありますため、第二グラウンドの整備が必要と考えております。現在、適地について検討しておりまして、現仮設校舎敷地もその候補地の一つとなっているところでございます。 次に、代替ラグビー場の整備方針と県サッカー場の今後のあり方についての御質問にお答えをいたします。 第二女子高校の現仮設校舎敷地を利用して第二グラウンドを整備することとした場合には、ラグビー場の代替施設を確保する必要が出てまいりますが、厳しい財政状況の中、既存施設の活用を前提に検討すべきものと考えております。現在、一つの案として、県サッカー場について、サッカー、ラグビー共用による効率的な利用を図ることができないか検討しているところであります。今後、こうした形も含め、ラグビー、サッカー関係者の御理解をいただきながら、県有施設の有効活用について検討してまいります。 以上でございます。
○副議長(小野隆君) 警察本部長大山憲司君。 〔警察本部長 大山憲司君登壇〕
◎警察本部長(大山憲司君) 大綱六点目、深夜における花火騒音対策についての御質問にお答えいたします。 初めに、住民から積年にわたり苦情が寄せられている実態をどう受けとめ、どう対応してきたのかについてのお尋ねにお答えいたします。 本年一月から八月までの花火の騒音や火の粉などに関する一一〇番受理件数は三百四十一件であり、このうち、六月から八月の受理件数を見ますと、三百九件と夏季に集中しております。また、市町村別では、仙台市が二百九件と最も多く、次いで名取市が二十二件、塩竈市が二十件の順となっております。 深夜における花火騒音については、付近住民の安眠を妨げるなど、県民の平穏な生活に影響を及ぼす行為であると認識しております。したがいまして、これら一一〇番通報を受理した場合には、所轄警察署から警察官を現場に臨場させ、花火を行っている者に対し、付近住民の迷惑になっていることを注意、指導して、花火行為を中止させているところであります。 次に、県迷惑防止条例の禁止行為として、正当な理由なく深夜に花火をすることを禁止する規定を盛り込むべきではないのかとの御質問にお答えいたします。 議員御指摘の神奈川県迷惑防止条例につきましては、近隣の者に不安を覚えさせるような深夜の花火について、罰則のない遵守事項として規定されているものであります。また、県迷惑防止条例で、玩具煙火である花火を規制の対象としているのは全国で神奈川県のみであると承知しております。 花火の騒音等に対する生活環境の保全措置としましては、これまで、市単位で独自に条例で夜間花火禁止区域を設けて規制している例があります。このようなことなどから、深夜の花火によってもたらされる影響等の実態を踏まえながら、各市町村において、その対策について検討されることが望ましいものと考えております。 次に、花火禁止区域等を指定し、罰則を適用する条例改正の是非についての御質問にお答えいたします。 深夜における花火を処罰する条例としましては、全国的には市単位で制定されていることについては承知しているところでありますが、都道府県の迷惑防止条例では、関係する法律や条例などとの整合性の問題などから制定されておりません。このため、県警察としましては、花火によって地域の平穏が害されることのないよう必要な対策を講じていくと同時に、その実態を踏まえながら、市町村条例による規制についても検討の上、必要により働きかけてまいりたいと考えております。 私からは、以上です。
○副議長(小野隆君) 四十七番小野寺初正君。
◆四十七番(小野寺初正君) 具体的に御答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。 一点だけ、再質問をさせていただきたいと思います。 インフルエンザ対策についてなんですけれども、国の対策の基本、柱というもの、それは、一つは、国民生活あるいは経済への影響を最小限に抑えるということで、流行を拡大させないこと、これが一つ。それから、基礎疾患のハイリスク患者等をしっかり守っていくということ。二つ、大きな柱だと伺っております。問題は、感染、流行を拡大させないということについて、しっかり取り組んでいただきたいという趣旨で、具体的な住民への対応を求めました。 私の方から、実は、大阪、神戸の患者対応に当たった専門家から話を、その内容を受けますと、通常のインフルエンザと思って、子供がぐったりする、そういう状態でも学校に行くとか、あるいは、熱が下がったから、その家庭のお兄さんはそのまま会社に行ったとか、初期段階における対応が普通のインフルエンザと同等の対応をされているケースもありまして、拡大を防ぐためには、そうした各住民の家庭へ、国が示したように手引き等をしっかり作成して、具体的に熱が出たらどうするのかという、子供の場合はどうする、大人の場合はどうするとか、きめ細かく対応を図っていくことが、感染対策を、また、感染を大きく広げることを防止することになるかと思いますので、その辺の取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
○副議長(小野隆君) 保健福祉部長鈴木隆一君。
◎保健福祉部長(鈴木隆一君) 今、議員のお話、そのとおりでございます。我々、これからチラシの配布ということ、先ほど申し上げたところなんですけれども、いろんな形で、マスコミの皆さんの御協力をいただきながら、あるいは、身近なところでは市町村の対応というのが非常に大事だというふうに思っておりますし、あるいは、教育庁の方の学校現場での対応、相当、子供さん方には周知されていると。現場では、手洗いから咳エチケットまで相当徹底されているというお話しというか、現場の状況は把握してございますけれども、なお、お話のとおりのところはしっかりやらしていただきたいというふうに思います。
○副議長(小野隆君) 四十七番小野寺初正君。
◆四十七番(小野寺初正君) どうも、大変ありがとうございました。
○副議長(小野隆君) 暫時休憩いたします。 午後零時四分休憩
----------------------------------- 午後一時一分再開
○副議長(小野隆君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。五番佐々木幸士君。 〔五番 佐々木幸士君登壇〕
◆五番(佐々木幸士君) 我が国のこれまでの地方行政のあり方は、地域に根差し、その特性を生かした行政運営ではなく、中央集権国家としての国の一元的な管理のもと、施策と財源がセットになり、均一的に振り分けられるフルスペックの支給物に対し、その実行の担い手であることが大きな役割でありました。国全土を挙げ、国民生活の水準を底上げした戦後復興には、このあり方が大きな役割を果たしました。 しかし、時代を経て、組織としても水膨れのように肥大化し、今の我が国にとって、行政の効率的な機能を果たすことなく、制度疲労を起こしたまま放置し、国家運営の手綱を握るこの権益に固執し続けたおごりが、このたびの国政審判に吹いた、変革を希望する風、そして期待感を生んだ原因であり、私も自由民主党に籍を置く地方議員の一人として、この結果を重く受けとめなければなりません。本格的な政権交代が行われることが現実となり、今後の変化が本県にとってどのように波及していくのか、座して待っているわけにはまいりません。生活の現場の窮状に、不満よりも不安を選択するとまで言わせてしまった政治への訴え、これまでの地方自治体が国の各省により、いや応なく政策と財源が支給される状況を打破したいという、全国知事会など行政運営トップからの意見の高まり、県民の生活と行政運営、それぞれの現場の思いを反映させた建設的な議論をこの議会で積み重ね、宮城県民の確かな民意を集約し、国に伝えていかなければなりません。 しかしながら、私たち政治家が民意という意味をしっかりと理解しなければならない状況が現在の政治にはあります。最近の政策には、現金給付型というマスコミ等で利益分配のばらまきともやゆされるものが多く目にいたします。私個人の見解としては、確かにこの不況時には効果があっても、暫定的な政策ではなく半恒久的な政策として、これだけ多いことに違和感を覚えます。また、それらの政策の給付該当者にはその意思に関係なく、すべて配ることがよいとは思えません。この支給されるお金は税金であって、政策とすれば、皆様からいただいた税金を行政経費を使って再分配をする。コストパフォーマンスとしては大変低い政策であります。政治は税金を配るサービス業ではありません。大切な税金をいかにむだなく、それぞれの分野の最大限の公益をつくり出すことに努めることが税金用途の第一義であり、この議場にいる我々の大きな職責であります。忘れてはならないのは、財源が皆様の税金である以上、利益の分配は、負担と責任の分配と表裏一体となっていることです。そして、厳しい財政運営からの財源の拠出先は、別の施策財源からの移譲や増税という新たな負担を強いることであります。それは全国都道府県の中でも、特に厳しい財政状況にある本県の財政をつぶさに見てきた私たちが何よりも理解していることではないでしょうか。まずは県民皆さんが示す意思があって、その意思にしっかりこたえる県民と行政の補完関係をこれからも追求してまいります。 政治は利益誘導と分配の仕事とも、これまでも御批判も受けてまいりました。今、そのときばかりを考えるのではなく、その先の未来と子供や孫に託す未来を見据えながら、負担と責任を理解いただく不利益分配の仕事であることを覚悟しなければなりません。宮城再生のこれからの道のりに、私たち政治家は、本県すべての産業が持つ力を結集させて、県土、県民が持つ大きな可能性を具現化させる確かな未来図を示しながら、県民が請け負う負担に、理解と納得をいただく責任があります。 民意とは、公益とは、何なのか。私みずからが常に問いかけながら、真摯にこの職責を全うすることをここに旨といたし、大綱三点についてお伺いしてまいります。 大綱一点目、宮城県の財政状況について。 平成十八年度より本県の財政再建のために策定された新・
財政再建推進プログラムは、今年度計画期間の最終年度を迎えます。村井知事におかれましては、知事就任と同時に、財政の危機的状況の中、決裁者として、本プログラムを聖域なき歳出の見直しとして遂行しながら、新知事として独自の村井カラーを示さなければならなかった、そのときの苦心の心情をお察しするところであります。そして、三位一体改革の名のもと、地方交付税が大幅に減額されていることに加え、長引く景気の低迷による県税収入の落ち込みや、人件費や公債費などの義務的経費の増大などにより、毎年度の財源不足額の見込みが発生する不安定な状況でのかじ取り、今年度には職員給料のカットと株の売却まで踏み込み、準用財政再建団体への転落の危険性を回避し続けてきました。そのような中、ことしの二月定例会、平成二十一年度当初予算の審議も終わり、閉会日に、平成二十三年度には準用財政再建団体に入ると地元紙を初めマスコミ等でも報道され、県民に不安を与え、住民サービスを維持し続けていくことができるのかという多くの声を、県民から直接選ばれた私たち議員のもとにも届けられ、おしかりもいただいたところであります。 知事を初めとする執行部皆様、そして財政と施策を精査する私たち議員一同、この議場にいるすべてのもので是々非々で議論し、その可能性が万が一にでも残すことのないようにしなければ、それは私たちの職責と議会の意義を問われかねない根本の問題であります。村井知事は、任期中、苦労の末、平成十八年度から四度にわたる当初予算編成を行いました。国からの依存財源である地方交付税と国庫支出金を主な財源として預かる地方自治体首長全般に言えることなのかもしれませんが、自由に使える財源、自主裁量の余地が狭まってきているように思われますが、この四度における当初予算編成での知事の所感をお伺いします。 次に、平成十九年に私たちの国民の所得税が減り、下がった所得税分、住民税が上がりました。納税者の立場からするとプラスマイナスゼロですが、平成二十年度以降の地方交付税との関係で、本県の財政に与えた影響をお聞かせください。 先ほど申し上げましたとおり、平成二十三年度には準用財政再建団体に入るとの報道があり、多くの県民は今も不安を抱いております。今年度、計画期間の最終年度を迎える新・
財政再建推進プログラムに次ぐ次年度以降の取り組みにおいて、この難局にどのような指針を示し、乗り切るのかをお伺いします。 厳しい財政状況下になると、必ず排除すべきむだな象徴として公共事業をやめるという声が上がり、その財源を医療や福祉の施策に回すべきであるという意見に差しかえられる風潮もありますが、仮に何かの公共事業をやめた場合、本県の一般財源に与える影響をお伺いします。 村井知事は、この四年間、富県宮城の政治理念を掲げ、その政策が広く県民に理解をされ、経済基盤の礎を築き、多くの雇用を初めとする富の創出を行い、県政の諸課題に着実に対応してまいりました。政策の実現遂行のためには、やはり裏打ちされた財源が必要であります。その中において、知事のリーダーシップにより、課税自主権の行使であるみやぎ発展税の導入、つまり県民に増税を課すという政治家としてリスクを背負った決断を行い、私たちも賛成をさしていただき、単年約三十億円の財源をつくり出しました。この三十億円の財源は、地方交付税の七五%ルールが適用されず、そのまま一〇〇%使える財源であり、みやぎ発展税を生かした本県独自の景気対策とも言える企業立地奨励金の事業や産業人材育成事業、防災関連事業の数々、知事みずからの決断で築き上げたその実績に更なる施策の推進を大いに期待いたすところであります。このような財源の裏打ちがあるからこそ、セントラル自動車を初めとする自動車関連産業の企業集積が成功し、製造業を中心とした五年先、十年先の税収の伸びが予想されます。まさに富の循環です。しかしながら、本県の財政に与える影響はというと、税収がふえれば、その増加分すべてが自由に使える財源としてふえるわけでないことを承知いたしております。 そこで、このたびの企業集積により、地方交付税の七五%ルールが適用された上で、自由に使える財源をどれくらいの伸びと予想しているのかをお伺いします。 国の第一次補正予算、第二次補正予算である経済対策、景気対策と連動した雇用対策を初め少子高齢化、環境防災などの現下の課題解決を図りながら、将来の成長力を高めていくため、多くの新規事業、目玉事業が進められ、今定例会でも六月補正に引き続き、各種基金事業や国庫補助金事業が提案されております。新政府による補正予算の組み直しも報道されておるところでありますが、これまでの補正予算の執行状況はどれくらい進んでおるのか。そして、もし補正予算が組み直しをされたときの本県への影響をお伺いします。 大綱二点目、地方分権改革について。 忘れてはならない地方分権の始まりは、今の時代においては、機能低下が著しい現在の政治システムである中央集権体制からの脱却と、東京への一極集中の是正であります。そして、そのねらいは、言うまでもなく、国から地方に財源と権限を移し、地方がみずからの能力と責任で政策決定ができるようにすることです。合併特例法改正以来、地方分権改革よりも効率性を求めた行政改革が展開されてきました。真の地方分権改革をするためには、公共サービスに責任を負う地方の歳出を重視した国と地方の税源配分の改革と広域的自治体の内部改革が必要であります。 平成十九年五月、当時の菅総務大臣が表明した、故郷を離れて働く人が自分の裁量で故郷に税金の一部を納めることができるというふるさと納税制度、このふるさと納税創設の背景として、素朴な考え方があります。地方自治体は、税金を投入し、学校や病院を建て、福祉を充実させて、子供たちが育つ環境を整えております。しかし、子供たちの多くは、大きくなると都会の大学に行き、都会で就職をする。地方は苗から一生懸命育てても、果実は都会が摘み取っていきます。都市部が得ている税収の幾らかは、人材を育成している地方にも還元されてもよいのではないかという、多くの国民は、このイメージを持っております。結果としては、このように都市部と地方の所得格差を埋めるようになると思いますが、ふるさと納税の真意は、納税者がみずからのお金が決められるということであります。つまり、一度国庫に入れる必要がないのです。納税者が公共サービスを選べる、地方の歳出を重視した国と地方の税源配分の改革の第一歩であります。この納税者目線、国民目線からの国と地方の政治のあり方を広めていくことが、国民全体に地方分権改革の醸成を促すものに必ずやつながっていくものと確信いたしておりますが、知事の所感をお伺いします。 このたびの総選挙で多くの政党が地方分権策をマニフェストに掲げ、国から地方に財源を移す、つまり税源配分を見直し、地方の自主財源をふやすといったものが並べられました。問題は、今や論点設定ではなく、実行力であると思われます。しかしながら、地方の自主財源はふやすというものの、子ども手当や高速道路の無料化など、むしろ国の財政は新たなる支出項目がふえていく現状にあります。地方分権には決して欠かすことのできない地方の自主財源をどのように充実させるのかが見えません。このような状況における所感と、今後、国から税財源の移譲を求め、知事御自身はどのように意思表示をしていくのかをお聞かせください。 財源とセットで行わなければならないのは、公共サービスに責任を負う自治体への権限移譲であります。国に許認可など権限が多くある現在、手続や関係機関との調整を要し、時間がかかり過ぎます。住民のニーズにいまだこたえ切れておりません。そのような中、政府の地方分権改革推進委員会は、自治体の仕事を国が法令で規定する義務づけ、枠づけについて、今月、具体的項目を盛り込んだ第三次勧告をまとめる方針であります。また、同委員会が見直し案を示した千三十五項目のうち、中央省庁は、約三%に当たる三十六項目しか見直しに応じておらない状況であります。地方の公共サービスに責任を負う知事としてのお考えをお聞かせください。 次に、地方分権改革を推し進めるためには、地方は国に注文するだけではなく、魅力ある地域づくりと公共サービスの充実と責任を図るため、広域的な自治体の内部改革が必要であります。それぞれの分野で広域連合をつくって新しい広域行政を展開し、その利便性を住民に実感してもらい、それで世論の支持を得て、その先の道州制という議論へ進むべきであります。今この時をこの国の大きな時代の変わり目として、後世に有益な国の財産を残せるように、目先の収益に傾くことなく、そして、中央主導で骨抜きとならないよう、知事のリーダーシップと、地方議員が先頭に立った国民参加の活発な議論をしていかなければなりません。 広域的な自治体の内部改革の一つとして、各県ごとにある試験研究機関の見直しがあるのではないでしょうか。本県の特殊性として、学都仙台の名のごとく、多くの大学が立地され、多くの研究者がおります。大学の研究シーズを使った、まさに官から民への移行が可能な分野であると思われます。また、この試験研究機関は、国の省庁ごとにもあります。水産業を一例に挙げますと、国の水産試験機関とも言える独立行政法人水産総合研究センターの下部組織である東北地区水産研究所が塩竈市に、本県においては水産技術総合センターが石巻市に、試験場が気仙沼市にございます。そして、財団法人宮城県水産公社、主な研究や事業内容はほぼ同様、農業系、林業系、産業系もやはりこのような形であり、東北六県もしかりであります。行財政それぞれの効率の見地から、各県ごとにある試験研究機関のあり方を整理すべきと考えますが、知事はどのようにお考えか、お聞かせください。また、知事会などでこのような議論をなされているのか、お聞かせください。 そして、附属機関の見直しです。附属機関については、行政の専門化に対応し、行政の公平性を担保するとともに、住民の意見を行政運営に反映させるための手段として、本県の行政運営に大きな役割を果たしております。しかし一方で、行政がこの附属機関を隠れみのとして利用し、行政の責任がかえってあいまいとなってしまうのではないかという声が高まりつつあります。附属機関が県民にとって行政に関与する方法として有効に機能するためにも、公正かつ透明で効率的な運用に向け、設置の必要性の検討と再調整が必要ではないでしょうか、お伺いします。 本県においては、現在法令必置、法令任意や条例に義務づけられております百三十七の附属機関があり、その中には案件のたびに設置をされるものが十六ございます。活動が形骸化しているものはほかの行政手段で行い、類似・同種のものを取り扱っている機関を整理するなど、本県独自の附属機関の見直し基準が必要であると考えますが、知事の所感をお伺いします。 大綱三点目、これからの予防医療と健康づくりにおけるスポーツ振興について。 我が国は、深刻な少子高齢化を迎え、医療費を含めた社会保障費の割合は年々ふえ続け、それを継続的に支える上での次世代の人口層が減少し続けている経済基盤の脆弱さは、本県においても大きな政治課題となっております。さまざまな分野からの施策で重層的に取り組むべき問題と認識いたしております。 平成十八年の四月より、県内の市町村による介護予防事業がスタートし、高齢者の方々の加齢に対する健康、介護予防の意識が高まりました。また、平成二十年四月より、四十歳以上の成人への特定健康診査とその結果に伴う特定保健指導が始まり、メタボという言葉が日常会話でも使われるようになり、皆様の健康への関心が大きく高まりました。予防医療は、みずからの意識で、栄養、運動、休養など生活習慣の改善により、健康であることの価値を理解する私たちと、財政の義務的経費として年々増加する医療費の割合を一人一人の意識的な行動によって少しでも抑えていく行政の目的として、合致していくものであります。 予防医療の重要性の認識が深まる中、現状の健診内容を更に質の高い内容に充実させるべきであると考えます。県民の健康を保ち、未来を見据えた医療費の抑制のためにも国に働きかけるべきであると考えますが、所感をお伺いします。 本県における県民の健康づくりの指針は、みやぎ21健康プランとして、平成十八年に改訂版が策定されております。その主な内容は、生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等の発病を予防することと、認知症や寝たきりにならない状態で、介護を必要としないようにするための高齢者支援であります。このような健康づくりへの取り組みの結果は、県民一人一人の意識に大きくゆだねられるところが大きいと思われます。例えるなら、二酸化炭素の排出問題は、最終的には地球環境の保全という全体の目標として取り組んでいるものの、活動としては、個人の生活の中の意識に大きくゆだねられております。 このようなことで、本県でも「ダメだっちゃ温暖化」キャンペーンを行い、県民それぞれの意識を高める施策をとっております。健康づくりに関することでいえば、栄養・食生活等は食育の県民運動の実施を行い、具体的な活動が見られます。しかし、健康づくりへの運動の取り組みはというと、啓発活動の具体的な形や取り組みが見られないように思われます。キャンペーン等の啓発プロモーションを行い、県内の各運動イベントと連動しながら大いに活動を推進させるべきと考えますが、所感をお伺いいたします。 運動の効果を裏づけるモデル事業として、県内の企業や町内会などに健康運動指導士や健康運動実践指導士等の資格者を派遣し、運動による健康づくりの継続的支援を行い、その調査結果を広く県民に公開してはいかがでしょうか。予防医療と健康づくりにおける運動促進のモデル事業として提案いたしますが、所感をお伺いいたします。 意識の啓発とともに、県民が運動するという活動に対し、指導者の育成や施設の整備など受け皿の拡充も重要であります。そういった中で、総合型地域スポーツクラブの普及が大きな役割を果たすところであります。国のスポーツ振興基本計画では、生涯スポーツ社会の実現のため、できる限り早期に成人の週一回以上のスポーツ実施率が五〇%となることを目指し、総合型地域スポーツクラブの設置を来年までに各市町村に少なくとも一つ、将来的には中学校区程度の地域に一つにするという展開をうたっております。現在、本県においては、十市五町の二十七クラブが設立されております。県民にとっては、予防医療と健康づくり以外にも、本県のスポーツ振興、地域コミュニティーの活性化と総合型地域スポーツクラブの設立による恩恵を享受できると考えます。この計画への推進をどのようにとらえているのか。また、国の計画との隔たりがある本県の現状についての問題点があれば、お聞かせください。 以上、壇上での質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 佐々木幸士議員の一般質問にお答えをいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、宮城県の財政状況についての御質問にお答えをいたします。 初めに、自由に使える財源が減る中、四度の当初予算を編成した所感はどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 この四年間、県財政は非常に厳しい状況ではありましたが、職員とともに一丸となって富県宮城の実現に向け、全力で取り組んでまいりました。御指摘のとおり、自主財源が減少傾向にある中、各年度の予算編成に当たっては、財源確保のため、新・
財政再建推進プログラムに基づく歳入確保対策、歳出削減対策を着実に実施したほか、富県宮城の実現のため、みやぎ発展税を導入いたしました。その上で、歳出では、私自身の強いリーダーシップのもと、限られた財源を福祉や医療、教育といった基本的な県民サービスの確保、産業振興や防災対策などの重点政策を踏まえた予算配分に努めたものであります。今後も、宮城の将来ビジョンに基づき、県政のすべての分野に目を配りながら、県民が希望を持ち、安心して生活できる地域づくりを進めてまいりたいと考えております。 次に、この難局を乗り切るため、来年度以降どう指針を示すのかとの御質問にお答えをいたします。 平成十一年の財政危機宣言以降、継続して、可能な限り歳入確保対策、聖域なき徹底した歳出抑制対策を実施してきた本県にとりましては、これ以上の財源捻出はもはや限界に近づきつつあります。しかしながら、かつて経験したことのない非常に厳しい財政状況にあっても、御指摘のとおり、この難局を乗り切るため指針を示していかなければなりません。このため、現在、私自身が先頭に立って、新たな財政再建のためのプログラムの策定に向け、全庁挙げて取り組んでいるところであります。具体的には、公共事業のキャップ制の継続や新たな定員管理計画の策定などの検討に加え、やむを得ず県債の活用や公債費の平準化の継続も検討するなど、あらゆる手段を総動員して策定をしてまいる所存であります。 一方で、これらの自助努力だけでは構造的な財源不足の解消は到底困難であることから、地方交付税の復元充実や安定的な税収の確保を含む地方税財源の充実強化について、引き続き、国に対して強力に働きかけてまいりますので、議員各位の一層の御協力をお願い申し上げます。 次に、国の補正予算に係る県事業の執行状況はどうか。また、国補正予算が組み直された場合の影響はどうかとの御質問にお答えをいたします。 六月補正予算で措置した事業のうち、地域活性化・経済危機対策臨時交付金活用事業につきましては、クリーンエネルギー導入促進費は既に助成受け付け終了となったほか、新型インフルエンザ対策費、漁業調査指導船建造費等は一部執行済み、事業所用太陽光発電普及促進費、みやぎ新商品購入促進費、マグロはえ縄漁業国際減船等対策費等も既に募集や受け付けを開始しているなど、ほとんどの事業が契約手続を開始し、又は事業の開始に向け事務を進めております。公共事業につきましては、農林水産部所管分は約六億円の予算額のうち半分程度が、土木部所管分は四十三億円の予算額のうち七割程度が起工済み、若しくは執行済みとなっております。基金事業につきましては、三基金とも既に国から交付及び交付決定等を受けており、各事業主体との調整も進んでいる状況です。また、九月補正予算で御審議いただく事業につきましても、基金事業はそのほとんどが交付決定若しくは内示済みとなっております。 これらの状況にかんがみると、もし仮に国補正予算が組み直され、地方にその影響が及ぶ場合、その影響ははかり知れず、県政に相当な混乱が生ずるものと考えております。 次に、大綱二点目、地方分権改革についての御質問にお答えをいたします。 初めに、納税者の視点で国と地方のあり方を考えることが、国民の地方分権改革の機運を高めると思うがどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 真の地方分権を実現するためには、国と地方の役割分担に基づき、権限とともに必要な税財源が地方に大胆に移譲されることが不可欠であります。このことは、住民から見れば、みずからが支払った税金の使い道がより近いところで決定されることになり、また税金が効率的、効果的に使われているかどうかチェックしやすくなるなど、これまで以上に、納税者本位、住民本位の自治を可能にするものであります。地方分権改革によって、納税者一人一人の思いが行政に反映されやすくなることを国民にしっかりと訴えることが、国と地方のあり方についての国民的な関心を高め、改革への機運の醸成につながっていくものと考えております。 次に、各政党のマニフェストで地方の自主財源の充実策が見えないことについての所感はどうか。また、今後、国からの税財源の移譲に向け、どう意思表示を行うのかとの御質問にお答えをいたします。 今回の総選挙時のマニフェストには、地方の財源に直接影響する道路関連諸税の暫定税率廃止などの政策が盛り込まれておりますが、現段階では、その詳細は明らかではありません。更に、今後、国の財政支出が拡大することにより、地方の財政にしわ寄せが来るのではないか、地方の財源が十分に確保されるかという不安を抱いているところであります。地方分権改革を実現するためには、みずからの課題をみずから解決するための自主財源となる地方税財源の充実が急務であり、その確保・充実策について早急に内容を示すべきであると考えております。この秋には、分権型社会にふさわしい国と地方の税財源のあり方について、政府の地方分権改革推進委員会の勧告がなされる予定であります。私といたしましては、まずこの勧告の内容に沿った形で地方分権改革が着実に実行されることが最重要課題であると認識しており、国からの大胆な税財源の移譲に向け、全国知事会とともに国に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、義務づけ、枠づけに関する各省庁の対応についての御質問にお答えをいたします。 義務づけ、枠づけの見直しは、国から地方への権限、財源の移譲とともに、第二期地方分権改革の重要な柱であります。その意味で、今回の地方分権改革推進委員会の見直し案に対する府省の回答については、まことに残念な状況であると受けとめております。 地方分権改革推進委員会では、現在、義務づけ、枠づけの見直しに関する勧告の素案を取りまとめたところと聞いておりますが、地方自治体がみずからの責任において行政を実施する仕組みを構築するという地方分権改革の本旨に沿って、抜本的な勧告を行っていただきたいと考えております。私としては、府省の強い抵抗がある中で、地方分権改革を実現させるため、政治の強いリーダーシップとともに、国民の理解や後押しを得て、ぜひとも勧告の内容を実現していくべきであると考えております。 次に、行財政効率の観点から、各県の試験研究機関を整理すべきと思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 現在、東北六県が設置している試験研究機関は、農業系が九カ所、水産系が十カ所、林業系が六カ所、産業系が九カ所であります。このような試験研究機関を県を越えて集約することができれば、行財政の効率化やそれぞれの研究機関の強化にもつながると考えております。仮に東北六県が一つの州になれば、こうしたことを進めやすくなるのではないかと考えておりますが、現在の都道府県体制のもとにおいては、各県ごとの位置づけや研究テーマの地域性などがあり、直ちに集約することは困難であると認識をしております。現在、各研究機関の強みを生かす観点から、工業系試験研究機関については、独立行政法人産業技術総合研究所東北センターと東北大を中心に、東北六県が連携してデータベースの構築等を行っているほか、農林水産業分野では、研究課題ごとに関係する県で共同研究を行うなど、広域連携に取り組んでいるところであります。今後もこうした個々の連携を積み重ね、その効率性や研究の成果を高めていきたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 総務部長石山英顕君。 〔総務部長 石山英顕君登壇〕
◎総務部長(石山英顕君) 私からは、まず、大綱一点目、宮城県の財政状況についての御質問のうち、まず初めに、地方交付税も含めて税源移譲が本県財政に与えた影響についてのお尋ねにお答えいたします。 三位一体改革による国庫補助・負担金の廃止・縮減に伴う、国税である所得税から地方税である個人住民税への税源移譲については、税源移譲後に地方間の財政力格差が拡大しないようにするため、税源移譲相当額を地方交付税の基準財政収入額に一〇〇%算入することとされております。このため、御指摘の地方交付税と所得税から個人住民税への移譲との関係につきましては、地方交付税の算定上、本県財政への影響はなかったものと認識しております。 なお、三位一体改革における国庫補助・負担金の廃止と税源移譲の関係につきましては、本県においては、国庫補助・負担金が四百六十二億円削減されたのに対し、税源移譲は三百四十五億円にとどまったため、歳入が百十七億円減少したところであり、本県財政への影響は大きかったものと分析しているところであります。 次に、公共事業を取りやめた場合、本県の一般財源に与える影響は具体的にどうかとの御質問にお答えをいたします。 今年度の当初予算一般会計での公共事業費総額八百八十二億円の財源内訳としては、国庫支出金二百七十七億円、県債が四百三十一億円、一般財源が百十九億円、その他の財源五十五億円となっております。このうち、建設系の公共事業を取りやめた場合、その本県負担分は、主に地方債を財源としていることから、公債費の軽減による将来的な一般財源の縮減にはなりますが、当該年度の一般財源の削減にはなりません。一方、維持系の公共事業を取りやめた場合、その地方負担分は、一般財源を主な財源としていることから、当該年度の一般財源の縮減とはなりますが、安全で安心な県民生活を支える県土基盤の維持のための事業費でありますことから、急激な削減は困難であると考えております。そのため、本県では公共事業に対してキャップ制を導入し、総事業量をコントロールすることで、県債発行額及び一般財源総額を抑制し、安定的で持続可能な財政運営に向け適正な管理を行っているものであります。 次に、企業集積で自由に使える財源の伸びの予想はどうかとの御質問にお答えをいたします。 企業集積等による自由に使える財源の伸びの予想につきましては、その基礎となる県税収入への影響が各企業の県内での生産計画や地元企業との取引動向などが明らかになっていないことから、具体的に積算することは困難ではありますが、少なくとも直接的に法人二税や地方消費税等の増収につながるものと考えております。このことから、現在の地方交付税算定方式等が変更されないと想定した場合は、御指摘のとおり、増収税額の二五%が自由に使える財源として増加することとなり、現時点よりも確実に自由に使える財源は増加するものと想定しておりますが、その伸びについての予想もまた困難であると考えております。 次に、大綱二点目、附属機関の見直しについての御質問のうち、設置の必要性の検討や再調整が必要と思うがどうかとのお尋ねにお答えをいたします。 県では、附属機関の設置及び構成員の選任等に関する条例及び附属機関等の設置運営に関する基本方針を定め、適正な行政運営の確保と県民の県政への一層の参加促進を目的としつつ、行政運営の簡素合理化を図る観点から、外部の方の意見聴取が真に必要な場合などに限り附属機関を設置することとしております。この基本方針におきまして、附属機関は法令で定められているもの以外は、条例により設置することとされておりますので、県といたしましては、その必要性について十分検討を行うこともちろん、議会での御審議をいただいた上で設置をしているものであります。これに加え、条例に基づき、毎年設置及び構成員の状況について報告をいたしております。 今後とも、附属機関のあり方につきましては、設置の必要性をさまざまな観点から検討し、開催状況等も考慮しながら見直しを図ってまいりたいと考えております。 次に、本県独自の附属機関の見直し基準についての御質問にお答えをいたします。 ただいま申し上げました基本方針におきまして、社会経済情勢等の変化により附属機関の設置の必要性が低下した場合や、同種・類似又は関連性の強いもの、設置目的及び審議検討事項又は構成員に共通性がある場合などについては、統廃合の観点から常に見直しを行い、合理的運営に努めることとしております。附属機関の中には、その性質上、審議事項が発生した都度、委員が任命される設置形態のものも必要であると考えておりますが、今後は、この基本方針に定めている見直しの観点から、附属機関のあり方を精査し、一層の簡素合理化を進めてまいりたいと考えております。 私からは、以上です。
○副議長(小野隆君) 保健福祉部長鈴木隆一君。 〔保健福祉部長 鈴木隆一君登壇〕
◎保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱三点目、予防医療と健康づくりによるスポーツ振興についての御質問のうち、特定健康診査についてのお尋ねにお答えをいたします。 平成二十年四月から、高齢者の医療の確保に関する法律により、医療保険者に特定健康診査・保健指導の実施が義務づけられました。この健康診査は、メタボリックシンドロームの解消に目的を特化したため、老人保健事業の基本健康診査と比較し、健診項目が限定された、魅力の少ないものになったとの指摘があります。県といたしましては、御提案の趣旨を踏まえ、対象者が積極的に受診するよう、より効果的な健診項目の充実について国に対して要望してまいります。 次に、健康づくりに関する啓発活動の推進についての御質問にお答えをいたします。 県民の健康寿命の延伸を目的に策定したみやぎ21健康プランの推進に当たり、みやぎ21健康プラン推進フォーラムの開催や、みやぎ健康の日に合わせた健康づくり支援事業の実施など、県民の健康づくり活動への意識の向上や健康行動の実践を促すための普及啓発に努めてまいりました。プランの重点項目の一つに挙げております身体活動や運動の実践につきましては、メタボリックシンドロームや生活習慣病予防のためにも重要なことと考えておりますので、今後も関係機関と連携を図りながら、より多くの県民が参加できるよう一層の普及啓発に努めてまいります。 次に、運動効果を実証するためのモデル事業の実施についての御質問にお答えをいたします。 健康づくりのための運動につきましては、多くの市町村が健康運動指導士の協力や地域の運動普及サポーターの活用により健康教室等を開催し、運動知識や手軽なトレーニング、ウォーキングなどの普及に努めております。 県といたしましては、今後、市町村や健康づくり運動を実践している方々で健康づくり運動普及推進ネットワークを構築し、効果的な推進について研究していくこととしております。御提案のありました有効な運動指導や運動習慣定着のための方策等について、この事業の中で検討してまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 教育長小林伸一君。 〔教育長 小林伸一君登壇〕
◎教育長(小林伸一君) 大綱三点目、予防医療と健康づくりによるスポーツ振興についての御質問にお答えをいたします。 初めに、スポーツ振興基本計画推進に係る所見についてのお尋ねにお答えをいたします。 本県では、平成十四年十二月に宮城県スポーツ振興基本計画を策定し、平成二十四年度までに、少なくとも各市町村に一つ以上の総合型地域スポーツクラブの設立を目標とする計画の推進を図ってきたところでありますが、現在、進捗率は全国の中で大変低い状況となっております。 総合型地域スポーツクラブは、スポーツ振興はもとより、地域コミュニティー活動の活性化など多くの効果が期待されますことから、だれでも、いつでも、どこでもスポーツができるよう、市町村の環境整備に向け、一層計画を推進していかなければならないと考えております。 次に、国の計画と乖離している現状の問題点についての御質問にお答えいたします。 国と県の目標年次の相違に加えまして、市町村におきましては、組織づくりや新たな指導者といった人的資源の確保が難しいこと、更に、運営に要する財源確保が課題となっております。 県教育委員会といたしましては、研修会を通じて市町村のスポーツ振興基本計画策定を支援するほか、先進事例の情報提供を行うなど、市町村が取り組みやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(小野隆君) 五番佐々木幸士君。
◆五番(佐々木幸士君) 御答弁ありがとうございます。 財政関連について再質問さしていただきます。 やはり財源なくして施策の実行はあり得ないと。その中において、二十三年度の財政再生団体への転落、長期見通しの件ですけれども、非常に私自身もびっくりしたんですけども、フリー百科事典のウィキペディア、そこの欄に、財政再建団体になる可能性が示唆された例の項目の中で、宮城県はどのようなシミュレーションを行っても、平成二十三年度には破綻することが判明した、こういった書き込みをなされている現状でございます。先ほどの答弁のとおり、公共事業のキャップ制など、定員管理、そしてまた国への働きかけも含めて、知事はこの二十三年度に向けた指針を示していただきました、御答弁の中で。県民にとっては非常に、我々の住民サービスが本当に限られてくるのではないか。そしてまた先ほども申し上げましたとおり、議会の意義が本当に問われるところでありまして、、先般の議会基本条例の方においても、予算の常任委員会の必要性の有無を含めて今推進会議の方で議論をさしていただいているところでございますけれども、この難局をどのような部分で、いわゆる政治家にとって最大の責務であるのは、不安の解消という部分がすごく大きい政治家に与えられた使命であるとも私自身思っております。このことに対して、あすの河北新報、どのように書いてもらえるのかわかりませんけれども、二十三年度の見通しを、あとウィキペディアでこんなことまで書かれていると、非常に不安を現在抱いているものですから、知事のまた更なる意気込みというか方針をお伺いさせていただければなと思います。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 中期財政見通しは、いろんなシミュレーションをした上で、非常に厳しい状況になった場合は、近いうちに財政破綻をしてしまうというシナリオを皆様の前にお示ししたということであります。先ほどお話ししたように、歳入をふやす、歳出を抑えるしか方法ございませんので、どちらも全力で取り組むと。また、定員をぎりぎりまで削減をしていくと。県民サービスを落とさないぎりぎりまで定数を削減をしていくという、そういうオーソドックスなやり方しか方法がないだろうというふうに思っています。今回、政権がかわりますので、その辺につきましては、しっかり新政権に対しまして、今の実情を訴えてまいらなければならないと、このように思っております。
○副議長(小野隆君) 五番佐々木幸士君。
◆五番(佐々木幸士君) まさにこれからの議会での議論の重要性が高まってまいりますし、先ほど知事も申しましたとおり、新政府への働きかけを更に強めていただければなと思っているところでございます。 そしてまた、知事、この四年間の中で、先ほど来、自主財源、いわゆる自主裁量の余地が狭まってきている中において、いわゆる発展税、そしてまた国の一次補正予算、二次補正予算、大きく見れば、この四年間の総括すれば、この財源を使って新規事業と、目玉事業と言われるものを県民に対して政策として提案している状況でございますが、もし万が一、今度、いわゆる見直しも含めて、ある状況が、先ほど来答弁もありましたけれども、本当にこの施策の継続性という観点からも、地方にとっては景気対策の一環として、ようやく今進んだ状況でありますので、そこも含めて知事の更なる意気込み、またお考えをお聞かせ願えればなと思います。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 先ほど答弁いたしましたとおり、今回の、昨年度から今年度にかけての国の補正予算につきましては、ほとんどのものがスタートしております。予算が使い終わったものもあるということでございますので、少なくとも地方に関する部分については予算を組みかえるということは極めて難しいと、このように思います。恐らくその方向で検討してくださるものだと、私もそう信じております。
○副議長(小野隆君) 五番佐々木幸士君。
◆五番(佐々木幸士君) 次に、地方分権改革の方に移らせていただきます。 私は、ふるさと納税を挙げて、納税者目線からのいわゆる地方分権改革の機運、そしてまた醸成を図るべきだと思っております。知事におかれましても、このたびの衆議院総選挙の際には、私も何度か御一緒させていただいておりましたけれども、道州制の議論をさしていただきました。知事としても政治家としても、地方分権改革において、地方にいわゆる財源をどのような形で移譲していくのかという部分が今問われている大事な時期でもあります。国民に対して、もっとしっかり、そしてまた強く、今まで以上に、私は、政治家としても知事としても、もっともっと強く訴えをしていただき、それに対応して議会での議論がいろいろな形でしていくと、これもまた機運の醸成につながっていくと思いますので、更なる発信を期待いたしておりますが、また意気込みで済みませんが、再質問させていただきます。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 究極の地方分権であります道州制までいくと、税源移譲というものではなくて、自分で当然税率まで決めることができるようになると。まさに、自分で自主財源を生み出すことができると思いますが、そこに至るまでは分権ということでありますので、権限を地方に譲ると、そして財源も譲っていくということになります。そういった道州制に至るまでは、やはり税財源の移譲、これを強く訴えていかなければならない、このように思っております。
○副議長(小野隆君) 五番佐々木幸士君。
◆五番(佐々木幸士君) 時間もなくなってきたので、次に、附属機関の見直しの件で総務部長さんから答弁をいただいたんですけれども、合理化を進めていくという答弁をいただいたとは思うんですけれども、合理化を進めるためには、見直し基準が私は必要だと申し上げさしていただきました。そこに対してはどのようにお考えか、もう一度質問をさしていただきます。 そしてまた、この附属機関ですが、先ほども申し上げましたとおり百三十七ございます。百三十七の平成二十年度の概略的な数字なのでありますけれども、構成員数掛ける実際に開かれた開催数、そして掛ける費用弁償である一万一千六百円、総計は八千二百万円ぐらいで私の試算だとなっております。その他旅費は別途でございますので、一般会計における議会費は約十六億円、これに対する今の附属機関の予算のあり方も含めて、こちらの方は知事のお考えというか、この現状に対する部分のお考えをお聞かせ願えれば幸いです。よろしくお願いします。
○副議長(小野隆君) 総務部長石山英顕君。
◎総務部長(石山英顕君) まず、見直しの方針ということでございますが、附属機関等の設置運営に関する基本方針というものを定めておりまして、その九に、附属機関の経常的な見直しという項がございます。その中では、常に見直しを行い、合理的な運営に努めると、その適切な管理を図るというふうにしております。その中では、例えば目的を達成したもの、あるいは情勢変化により必要性が低下したものは廃止するとか、行政情報の伝達が主たる目的であるなど形式的なものを廃止するとか、そういったものを具体的に文言として定めてございます。それに従いまして不断に見直しを行っていると、そうした次第でございます。 それから、費用の関係ということがございました。費用の関係につきましては、委員がおっしゃるような計算でこういった附属機関等の運営経費というものが出てくるわけでございますけれども、人数も、適正な人数をきちんと、その議論を行うのに必要でかつ必要十分な人数を選定をするということ。それから、一つの考え方としては、県内のことを議論するということが多いわけでございますので、人選も県内中心に行う、そういったようなことで、旅費という観点も一応念頭に置きながら、そういったコストの面でも考えながら行っている、そういった次第でございます。
○副議長(小野隆君) 五番佐々木幸士君。
◆五番(佐々木幸士君) 最後に、予防医療についてお伺いします。 予防医療、先ほど申し上げたとおり、環境問題と一緒で県民一人一人に大きくゆだねられているところが非常にございます。先ほどのモデル事業も含めて、非常に予防医療をしたことによって将来の社会保障費を抑えられるか。これはやっぱりある程度のモデル事業をして、私は、データ化をして県民に理解をしてもらう。そうすると、我々県民からすると、私たちの当然健康の価値を見出すこともできますし、ひいては財政適用を抑えると、本当にこれから大切な分野だと思いますので、これからの予防医療の関心も含めて、保健福祉部長、よろしくお願い申し上げ、再質問とさしていただきます。よろしくお願いします。
○副議長(小野隆君) 要望でよろしいんですか--保健福祉部長鈴木隆一君。
◎保健福祉部長(鈴木隆一君) いろんな世論調査等を見ますと、議員のお話にもありましたけれども、メタボということ自体も相当浸透してます。それから運動の重要さとか、健康寿命とか、健康に関することも相当意識は高まっているというデータがあります。ただ、議員もおっしゃるように、実際、いつもの習慣として運動しているかどうかというあたりがなかなかついていっていないというところがあります。したがって、おっしゃるとおり、そういうのをデータなり客観的にわかるものを示すことによって、また意識も高まるという、それは事実だと思いますので、御指摘の点踏まえて、いろんなところで生かしていきたいというふうに思います。
○副議長(小野隆君) 六番村上智行君。 〔六番 村上智行君登壇〕
◆六番(村上智行君) 県民会議の村上です。よろしくお願いいたします。 きょうは九月十日でありますが、昨日九月九日は、平成六年北京・大連の定期便の就航記念、そして村井知事の二期目に向けて力強くフライトした記念日になると思っております。そして、中国におきましては、中国語で九というのは久しいという発音と同じで、九が三つ並ぶということで、空前の結婚ラッシュが起きておりました。全国平均よりも高い本県、特に塩釜の未婚率が少しでも改善できれば、子供の数もふえるのではないかと勝手に思っております。 そのようなことから、大綱一点目、人口減少下における宮城の成長戦略について。 ふえるのが当たり前と考えられてきた人口が二〇〇五年に初めて減少に転じたのです。このことは本格的に日本が人口減少時代に突入したことになり、一過性でなく、今後三十年、五十年と、あるいはそれ以上にわたって続くものと考えられております。一時的に戦争や飢餓、疫病等により減ったことはありましたが、連続して人口が減るということを経験した国はいまだかつてなく、だれも経験したことがないということは、我々は前例のない状況に直面していると言えるでしょう。そのことは国内外を問わず、衆目の一致するところであります。 二〇〇八年三月三十一日に、米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の報告によると、世界的な少子高齢化を研究対象に二〇五〇年を展望し、「大国の高齢化」と題した世界的な人口高齢化による経済と安全保障への影響に関する報告書を発表しており、この中で、日本の高齢化の波は大規模であるだけでなく、急速にやってくると警告を発しております。ことしの三月に刊行された宮城県経済白書に、企画部統計課が作成した「県内市町村の社会増減の状況と将来人口推計について」のレポートがあり、その中で、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の都道府県別将来推測人口」についても記されており、平成十七年に約二百三十六万人であった宮城県の人口は、平成十七年から三十年後の平成四十七年には約百九十八万人まで減少すると推測されており、日本の総人口は、平成四十七年には約一億一千万人となり、一千七百万人余り減少になると推測されています。減少人口規模は、新潟県を加えた東北、北海道の人口に匹敵する規模に当たります。また、新潟を加えた東北地方の総人口減少は約二百八十万人で、その規模は現在の青森県と岩手県がそっくりなくなってしまうという状況が推測されております。今後は、労働人口の減少、貯蓄率低下による資本ストック蓄積の鈍化、消費、住宅投資等の内需縮小になり、経済成長に影響が出ることになると考えられています。人口減少の影響は、時間の経過とともに深刻度が増大し、宮城においても同様のことが言えるでしょう。そのようなことからも、中長期的な経済社会の活力維持に向けた方策が必要となり、出生率の向上、政策誘導による社会増、観光促進による交流人口増加策等が対処すべきことと考えられます。 現在、知事が推し進めている富県戦略は、企業誘致等により、地域によっては大きく社会増が見込まれ、地域の活性化を誘発することにつながると考えますが、今後の将来展望に立った経済成長戦略について所見をお伺いいたします。 国立社会保障・人口問題研究所の人口移動調査から、東北地方では、五年前と居住地が異なる割合は二七・六%であり、内訳として、東京圏に移動しているのが約一五%で突出しております。次に北関東の一・八%、中部・北陸の一・六%の順になっており、合計すると約四分の一強が住居地を変えたことになります。統計課のレポートでも、仙台市の発展を支えてきた支店経済の機能縮小や、ここ数年では、国として見れば主に外需向けの製造業が景気回復を主導してきたが、宮城県内の製造業はその波にうまく乗れる構造になかったため、仕事の都合による転入者をふやすことができず、むしろ減らしてしまったと分析をしており、人口移動調査の結果を裏づけたことになっていると考えられます。 このような結果からも、東京圏などに流出し、生産年齢人口の減少も避けられない状況があります。それに加え、現下の経済情勢においては、これからの企業誘致等の政策は、思いどおりの成果は得られにくくなっていくことは理解できます。そのような中であっても、県内起業家の発掘、掘り起こし、育成支援することで、流出が続いている生産年齢人口に一定の歯どめをかける有効策の一つと考えられます。そして地域活動に密接につながっている第一次産業の振興が必要不可欠であることは言うまでもありません。 県においても、みやぎマーケティング・サポート事業、起業家等育成支援事業など実施されておりますが、今後どのような取り組みをしていかれるのか、お伺いいたします。 日本に近接する東アジア諸国は、昨年末からの世界的な景気後退の影響を受けてはいるが、引き続き高い経済成長が続いており、これらの国々の経済発展はこれまで工業化によって牽引されてきたことは周知の事実であります。今後は国民の所得水準が上昇し、経済活動の高度化が進展するにつれて、第三次産業、すなわち経済のサービス化の動きが活発化することになると考えられます。 日本においても、高度成長期時点での国内総生産における第三次産業の比率は約五〇%で、経済成長とともにその比率は上昇を続け、総務省の世界の統計によると、二〇〇七年においては七〇%を占めております。中国においては四一%、タイは四八%になっており、先進諸国の傾向に照らし合わせてみれば、今後サービス市場の大きな拡大が期待できるものと考えられます。かつて日本がそうであったように、海外旅行や海外ブランドを買い求めるなど、外に消費が向かう動きが強くなってくるはずです。いうなれば、本県の持つ資源をフルに活用し、そういった動向を取り込むことが、人口減少下においても経済成長を進めていくためには必要と考えます。 本県においても、東アジアを中心に外国人観光客誘致促進事業を進めておりますが、観光客などを直接呼び込むための定期便の就航など空路の開設は、現下の経済情勢もあって十分な成果を得ていない状況でもあります。しかし、来年にはセントラル自動車等が操業され、そういった企業進出によって期待される新たな航空需要等も踏まえて、より積極的な取り組みが必要になると考えております。 そして、昨年の仙台・宮城DC、ことしの十月から行われる「伊達な旅」キャンペーンなど、国内向けに交流人口を増加させる施策を着実に推し進めてきておりますが、国外、特に近接する東アジアに対してより一層のアプローチを推し進める必要があると思うが、今後の取り組みや戦略の方向性をどのように考えているのか、お伺いいたします。 また、人口減少により、産業活動の低下、消費支出や税収の減少、地域活動の停滞など、社会全体の活力低下が懸念されることから、出生率の向上、少子化対策、社会増や交流人口増加策などが重要であります。今後も人口減少は続くと思われ、県や市町村としてはその影響を無視できない状況にあり、社会を支える基盤の変化に直面していることを前提に政策や行政サービスを見直し、更には道州制実現など、あり方自体を検討すべき時期にあると思いますが、知事の所見を伺います。 大綱二点目、宮城の農業振興について。 今回の総選挙における民主党の政権公約の一つに、すべての販売農家の戸別所得補償制度が織り込まれており、私自身も、兼業農家の多くからある一定の評価をする声があったのをじかに聞くことがあり、その声の根底には、一定の要件を満たす農家や営農組織に経営支援を集中するなどの現在の農政改革に対するアンチテーゼがあったのではないかと考えます。ここで問われたのは、地域の農業を牽引する農家や営農組織に支援を集中し、経営の合理化、効率化を図る経営安定化対策か、すべての販売農家に対し市場価格と生産費の差額を支払う戸別所得補償制度かという二つの視点にあります。この二つの政策には、対象者や経営規模などについては根本的に隔たりが存在しますが、広義的にいえば、農業者の所得を納税者が負担をする政策という点と、土地利用型農業、とりわけ水田農業に対し働きかける政策として方向性は共通するものがあると考えられます。今後、さまざまな立場や角度から議論されることとなり、そのこと自体は日本の農政にとって決して悪いことでありませんが、品質の向上や経営規模など、個々の農家による努力が反映されることが発展につながるものと考えます。それに、一つの政策だけで食料自給率や農業生産のあり方が短期間で劇的に好転するような性質のものではなく、長期的、持続的観点から政策をデザインし、複合的に組み合わせることで再生産可能な農業の確立、効果がもたらされるのではないでしょうか。そして、今後の食料と農業を考える前提条件としては、農業者のみならず、戸別所得補償に対し多額の税金を投入することになり、消費者と納税者の観点に考慮することが以前にも増して必要不可欠になっているのは言うまでもありません。 そこで、お伺いいたします。 従来推進をしている経営安定化対策が戸別所得補償制度に移行していくことになると思われるが、戸別所得補償制度についての知事の見解をお伺いいたします。 農業者は、自然の不確実性と常に向き合いながら、手間のかかる作業に取り組まなければならないし、一人で何もかもこなしていくのは、農業所得の水準から相対的に考えれば、過重な負担となっているとも言えます。しかし、農業の側から何らかの変革を行わなければ、経済社会の変化に取り残されてしまうという切迫感の中で専業農家は経営をしているのも事実であり、農政の方向転換により、いつの時代も現状とのはざまでもがくことになるのは、なりわいとして農業を営む農家であるということを、専業農家の一人として申しておきます。 次に、村井知事が掲げた宮城の将来ビジョンの富県戦略の中で、農業に対する取り組みについてです。 米価下落に見る農産物の価格低迷や後継者不足、不在などで、農業経営の将来に活路を見出すことが困難にすら思える農業者の期待が大きいものがあったと私は思っております。 そのような状況の中で、農業の競争力強化や人材の育成、宮城発農産物のブランド化の推進、東アジア市場などに向けた県産食品の輸出促進等が現在も進められておりますが、農業分野における富県戦略の成果と今後の課題をお伺いいたします。 次に、企業参入について。 株式会社の参入については、一九九二年に昭和一けた世代の大量引退という事態や、ガット交渉に代表される国際化の圧力の増大を背景に、新しい食料・農業・農村政策の方向と称する政策ビジョンを策定し、その中には、農業の担い手に対する考え方として、株式会社一般に農地取得を認めることは、投機及び資産保有目的での農地取得を行うおそれがあることから適当ではないが、農業生産法人の一形態としての株式会社については、農業・農村に及ぼす影響を見極めつつ、更に検討を行う必要があるとされたのです。これをきっかけに、株式会社の農業参入に関して、農業は多様な経営形態で行われるべきとか既存農家の衰退を招くといった賛否両論が噴出し、議論が盛んに行われたのです。その後、一九九九年制定の食料・農業・農村基本法に改正する際にも、農業の企業参入議論が持ち上がりましたが、二〇〇〇年の農地法改正においては、農業生産法人の一形態として条件つきで株式会社を認めることになり、農家や農業法人の株式会社は認めるものの、一般企業からの農業参入は排除するにとどまっていました。 しかし、二〇〇一年十二月に構造改革特区制度の原型が提案され、翌年七月に内閣府に構造改革特区推進本部が設置されると、この制度の活用の一つとして、二〇〇三年四月に、農地法の特例による一般企業を含めた農業生産法人以外の法人の参入を認める農地リース特区が誕生しました。ここに、地区限定、リース限定などの制約つきながら、農地を利用する農業への一般企業の参入が実現しました。同特区は、二〇〇五年九月より農業経営基盤強化促進法に特定法人貸付事業として位置づけられ、一般的な制度になり、農地リース方式による参入企業数は着実に増加し、二〇〇九年三月時点、全国で三百四十九法人になっております。21世紀新農政二〇〇六において、企業等の農業参入について、平成二十二年度末までに五百法人とする目標を設定しており、今、現在目標達成に向けたペースで推移しております。 本県においては、特定法人貸付事業で四件、企業が出資者及び業務執行役員となって事業を行う会社や組合を設立して事業を行っているのが八件、企業が設備投資や会社設立の出資・事業運営のための情報資源の提供を行う会社や組合を設立して事業を行っているのが一件、従前からの企業参入を合わせると、合計十四件になっております。 しかし、全国に先駆けて企業の農業参入を進めてきた島根県などは、独自の支援事業や研修会の開催、組織体制の充実などに取り組んでおり、企業参入数も全国で上位にあります。 農業参入企業が、地域農業の担い手として持続的かつ発展的な経営を展開することで、農業の活性化を図る点で非常に有効と考えますが、本県農業における企業参入の意義についてどう考えているのか、お伺いいたします。 また、本県において、企業参入によって地域や県農業に対してどのような効果があると考えているのかもお伺いいたします。 前にも述べましたが、島根県は企業の農業参入に熱心なことで広く知られております。中山間地が県域の大部分を占め、かつ高齢化、過疎化が進む中で、地域農業を維持するには、個人の新規就農や集落営農だけでは限界があり、新たな農業経営体として企業参入を促進し、地域の農業者と協働して、生産、加工、販売する体制を目指しており、参入企業数も、農地リース方式、生産法人設立などを合わせて、現在六十四社が参入しております。特に、二〇〇五年以降は県庁に企業参入促進スタッフを三名専属で配置し、また、県外企業に対する情報収集や参入誘致のための農業参入コンダクターの委嘱、配置をしております。 企業の農業参入は、現状として、担い手不足、耕作放棄地の拡大など困難な問題を抱えており、その問題を解決する有効策の一つであります。みやぎ食と農の県民条例基本計画の中で、本県農業をリードするアグリビジネスの推進の観点から、企業等からの農業参入推進を位置づけ、支援をしておりますが、他県と参入企業数などを比較してみると少ないと感じられるが、要因としてどのようなことがあるのか、また、今後の方向性と新規参入を加速していくための支援を強化すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 次に、新規就農者対策について。 新規就農者確保対策は、従来からも緊急の課題としてさまざまな取り組みがなされてきており、近年、本県の新規就農者の動向は、わずかではありますが、増加傾向にあります。それに、昨年秋の金融不安に端を発した世界的な景気後退により、国内の雇用情勢の悪化に伴い、離職者の雇用の受け皿としてや新規就農者の掘り起こし等を取り組まれておりますが、現状ではどのような雇用の受け入れや就農状況になっているのか、お伺いいたします。 就農者の動向も、農業への関心の高まりもあって、以前と比べ他産業からの転職者などがふえ、就農構造に変化が生じてきております。農水省の新規就農者調査からも、自営農業就農者と比較をしても、雇用就農者の割合がふえており、今後も企業参入や農業経営の法人化が進み、規模が大きくなると、雇用されて就農する機会が増し、同様の傾向が続くと考えられます。このように農業を魅力ある産業ととらえ、積極的に選択する職業へと変化しつつあるのではないかと思います。本県農業と農村の活力を維持し向上させるためには、就農者をふやすことと、地域に定着し、持続的に営農活動を可能にすることも重要な課題であり、就農後の各段階における指導はもちろんのこと、包括的な育成支援策の積極的な取り組みが必要だと考えますが、御所見を伺います。 次に、農商工連携について。 本県農業の産出額は減少の一途をたどっており、産業としての基礎基盤が弱体化していることは否めない事実と思っております。宮城の将来ビジョンに、競争力のある農林水産業への転換を図り、食材王国みやぎを標榜し、農畜産物の生産振興やみやぎブランド化の推進、企業的感覚を有する担い手の育成などに取り組んでおりますが、前にも述べましたが、農業経営の多様化、他分野からの就農者の確保などをてこに活路を見出すことが必要な局面にあると考えております。そして、農業の特性の一つと言える、他の事業や産業とのかかわりの広さにあります。食品産業や食品以外でも、古くから、綿、麻、絹などの原料供給による繊維産業を支えてきたり、最近ではバイオプラスチック、バイオ燃料などの原料の供給元であり、これを通じて、化学産業、石油産業、更には自動車産業ともかかわりを深めております。このようにすそ野が広く、一つの産業として発展する可能性があると言えるでしょう。そのような特性を生かした取り組みとして農商工連携事業があります。 ことし六月に、東京中目黒の野菜スイーツ専門店「ポタジエ」を視察し、経営者の柿沢氏に農商工連携、商品開発について話を伺いました。同店は、佐賀、高知、東京の地場野菜を使用したスイーツを全国的に販売し成功をおさめている会社で、農業と食品業のマッチングがうまくなされた一例と言えます。柿沢氏によると、農と商の連携に必要なのは、商が中心とならず、農業も単なる材料提供にならないことや、目的意識、情報を共有し、温度差をつくらないことなど、お互いの専門分野を生かし合う対等な関係性が成功のかぎになるということがうかがえました。 農産物の生産のみで安定した利益を得るのが困難な状況に陥っている国内農業の事情を考えると、加工、ブランド化、希少価値などを付加するために、農商工連携は重要な役割を果たすと考えられます。経営感覚を持ち、消費者のニーズを感じ取れる農家と、利益至上主義に走らず、農産品の価値を理解している商工業者を結びつけたり、新たな産業創出のアイデアを提言できる優秀なコーディネーターの育成や発掘も必要不可欠の条件となるものと考えます。 本県においても農商工連携については、地方振興事務所、地域事務所で支援施策説明会の実施、農林漁業者と商工業者とのマッチング機会の提供や農林水産業の現場での見本市の開催など取り組まれておりますが、その見通しはどのようになっているのか、また、今後どのような展望に立って推進を考えているのか、お伺いいたします。 社会が問題を見出し、それを解決するためのシステムチェンジが行われるとき、最も大きなビジネスチャンスが訪れるものと考えております。農業者の減少や耕作放棄地の拡大を従来の枠組みだけでとらえていては、産業としての農業の将来性は見えてきません。しかし、視点を変えてみれば、農業者の減少は競争者の減少であり、耕作放棄地の拡大は、農地を確保する絶好の機会であると思い、今後の宮城の農業振興策を更に加速していただけることを、二期目を目指す村井知事に大いに期待をして、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。 〔知事 村井嘉浩君登壇〕
◎知事(村井嘉浩君) 村上智行議員の一般質問にお答えをいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、人口減少下における宮城の成長戦略についての御質問にお答えをいたします。 初めに、今後の将来展望に立った経済成長戦略についてのお尋ねにお答えをいたします。 将来展望に立ち、我が県の経済発展を目指すためには、御指摘の人口減少など今後の社会経済情勢の変化を十分視野に入れて対応していくことが必要であります。 このため、現在進めております富県宮城の実現では、雇用の場の確保、拡大につながる製造業の集積促進や農林水産業の競争力強化、交流人口の拡大を目指す観光の振興を施策の大きな柱に位置づけ、これまでも数多くの有力企業の進出決定や地元企業の育成、また、農林水産物のブランド化や仙台・宮城デスティネーションキャンペーン開催による観光客入り込み数の増大など、大きな成果を上げております。 このように、富県宮城の実現は、我が県の将来を見据えた経済成長戦略と考えており、今後ともこれらの取り組みの歩みを緩めることなく、経済基盤の強化による社会増と交流人口の拡大を目指すとともに、その成果が県内全域に波及されるよう万全を期してまいります。 次に、海外、特に東アジアへの交流人口増加のための一層のアプローチについての御質問にお答えをいたします。 我が県の外国人宿泊観光客数は昨年若干減少したものの、ここ数年順調に増加しており、東アジア地域の台湾、韓国、香港、中国からの宿泊観光客数が全体の六割以上を占めております。中でも、急速な経済発展を続けている中国は、国民の海外旅行意欲が高まり、ことし七月からは、訪日個人観光ビザの発給が解禁され、日本への旅行客の大幅な増加が見込まれます。このような状況において、海外、特に東アジアからの観光客の宮城県への誘致については、仙台空港を東北の玄関口として位置づけ、広域連携により取り組むことが戦略的に最も効果的であると考えております。 このため、東北六県と新潟県の官民で設置した東北観光推進機構などと一層連携を進めながら、東北の知名度向上のため、海外メディアを活用したPRや現地旅行会社の旅行商品づくりへの支援のほか、県としても、四カ国語表記の観光案内板の設置など、受け入れ体制の整備を進めているところであります。今後とも、健康志向、日本食ブームなど、観光客の嗜好もとらえながら、有望市場である東アジア地域からの一層の誘客に積極的に取り組んでまいります。 次に、政策や行政サービスを見直し、更には道州制実現など、あり方自体を検討すべき時期にあると思うがどうかとの御質問にお答えをいたします。 人口減少社会においては、観光振興などによる交流人口の増加策とあわせて、子育て環境の整備などの少子化対策の取り組みが重要であると認識しており、県といたしましても、引き続き力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。 一方、人口減少が進展していくことが確実な状況にあっては、地方自治体としていかに質の高い行政サービスを効率的に提供し続けていくかという観点からの検討が必要であると認識しております。この点について、国の第二十九次地方制度調査会は、ことし六月に出した答申で、人口減少の影響が大きい小規模自治体がその役割を果たしていくため、広域連携の強化や住民サービスの一部を隣接の自治体や広域自治体が担う仕組みの創設などを提言しております。 県といたしましても、基礎的自治体の基盤強化や機能分担、広域自治体の役割を含め、人口減少社会における行政サービスのあり方や、地域で安心して暮らせる活力ある地域づくりの方策を検討してまいりたいと考えております。 次に、大綱二点目、宮城の農業振興についての御質問にお答えをいたします。 初めに、戸別所得補償制度に関しての見解についてのお尋ねにお答えをいたします。 将来にわたり宮城の農業が発展していくためには、意欲ある担い手などが再生産可能な所得を確保し、将来展望を持って農業に取り組むことができるような制度を構築し、推進することが肝要と考えております。 戸別所得補償制度については、詳細な制度設計が公表されていないことから、現段階では判断が難しいと考えております。今後、制度の詳細について情報を得ながら、我が県の農業振興にとって望ましい方向となるよう国に要請してまいりたいと考えております。 次に、農業分野における富県宮城戦略の成果と今後の課題についての御質問にお答えをいたします。 宮城の将来ビジョンにおいて、農業は地域経済を支える基幹的な産業と位置づけ、競争力のある農業への転換を図ることとしております。 このため、我が県農畜産物のブランド化やマーケットイン型農業の推進、企業的感覚を有する経営体の育成などに積極的に取り組んでまいりました。その結果、企業的経営感覚を持つアグリビジネス経営体の販売額が百七十六億円に上り、我が県農業産出額の約一割を占めるようになったほか、県内各地に大規模園芸施設が誕生するなど、我が県農業の競争力強化に向けて着実に成果が上がりつつあると考えております。 今後は、園芸・畜産振興によるバランスのとれた生産構造への転換、認定農業者や集落営農組織など地域の核となる担い手の経営力の強化、我が県農業のトップリーダーであるアグリビジネス経営体育成の加速化、更には、東アジアやロシアも視野に入れた輸出の促進などが重要な課題であると考えております。 次に、一般企業の農業参入の意義と効果についての御質問にお答えをいたします。 現在、県内で農業に参入している企業の中には、販売金額が一億円以上の法人や農商工連携の取り組みにより新たなビジネス展開を行っている法人など、地域農業の牽引役として活躍している法人があります。いずれも従来とは異なる視点や手法により経営が展開されておりますが、こうした取り組みが地域に認知され浸透していくことにより、大いなる刺激や活力を与え、農業振興や地域活性化へとつながっていくものと考えております。 また、「ベジドリーム栗原」や「ILoveファーム登米」のような大規模園芸法人の場合には、地域に新たな雇用が生み出されるほか、我が県の園芸振興が加速し、稲作主体の生産構造から、バランスと競争力のある構造へ転換していく契機になるものと期待しているところであります。 県といたしましては、基幹産業である農業を魅力と元気のある産業に大きく飛躍させるためにも、引き続き企業の農業参入について支援してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君)
経済商工観光部長若生正博君。 〔
経済商工観光部長 若生正博君登壇〕
◎
経済商工観光部長(若生正博君) 大綱一点目、人口減少下における宮城の成長戦略についての御質問のうち、生産年齢人口の県外流出に歯どめをかけるためには、県内起業家の発掘と育成支援が必要ではないかとのお尋ねにお答えいたします。 生産年齢人口の県外流出に歯どめをかけるためには、御指摘のように、企業誘致や第一次産業の振興に加え、県内起業家の発掘や育成支援も重要であると考えております。 このため、県では、財団法人みやぎ産業振興機構を通じ、起業を目指す方々を対象に、マーケティングや資金調達、更には事業計画の作成等を内容とした講座を開催しており、これまで百人を超える起業家を創出しております。 更には、起業には資金も必要であることから、創業者向けの創業育成資金や経営革新に取り組む中小企業者向けの新技術・新製品事業化資金などを通じて円滑な資金調達を支援しており、特に創業育成資金については、平成二十年度の融資実績が過去最多の五十二件となるなど、大きな成果を上げております。 県としては、今後ともこれらの取り組みの拡充を通じまして、起業家の発掘や育成支援に努めてまいります。 私からは、以上でございます。
○副議長(小野隆君) 農林水産部長千葉宇京君。 〔農林水産部長 千葉宇京君登壇〕
◎農林水産部長(千葉宇京君) 私からは、大綱二点目、宮城の農業振興についての御質問のうち、企業の農業参入が他県に比べ少ない要因についてのお尋ねにお答えいたします。 現在、県内における企業の農業参入は十五件となっており、そのうち、農地リース方式によるものは四件で、他県と比較し少ない状況となっております。農地リース方式による参入は、市町村が策定する基本構想の中で参入可能な区域を設定することが必要となっておりますが、農地の目的外使用に対する懸念、既存の担い手との調整の困難さなどから、区域設定を行っている市町村は十四にとどまっております。更には、設定された区域も立地条件のよくない農地が多いことが主な要因と考えております。 次に、企業の農業参入に対する支援の方向性についての御質問にお答えいたします。 県では、これまで県庁や各地方振興事務所に相談窓口を設置し、参入希望の企業への助言指導を行っているほか、ガイドブックの配布や研修会を開催し、企業参入への理解が得られるよう努めてまいりました。今後も引き続きこのような取り組みを実施するとともに、農地法改正により農地の貸借規制が緩和されることから、先進的なアグリビジネスを加速化させるため、企業参入に対する支援を更に強化してまいりたいと考えております。 次に、離職者等の雇用の受け皿として新規就農の取り組みについてのお尋ねにお答えいたします。 宮城県では、財団法人みやぎ農業担い手基金と共催で、就農を希望する離職者等を対象に、ことし二月から三月にかけ、宮城県農業大学校において、農業への就業を目的とした農業技術習得のための研修を実施したほか、県内二カ所において、農業法人とのマッチングを実施いたしました。また、農業法人等に対しましては、国の農業法人雇用創出奨励金や農の雇用事業の活用により積極的に雇用が図られるよう推進してまいりました。その結果、一月から八月までの間に六十四名が就農に結びついております。今後とも財団法人みやぎ農業担い手基金等を中心に各関係機関が連携して、新規雇用を予定している農業法人や就農希望者に対する支援に取り組んでまいります。 次に、就農者の包括的な育成支援策についての御質問にお答えいたします。 初めに、新規就農者の確保に関する取り組みといたしましては、財団法人みやぎ農業担い手基金を中心とした県内外における就農相談活動や就農支援資金借受者に対する一部償還免除の助成を行い、意欲の高い若者の確保に努めております。 また、宮城県農業大学校において、実践的な農業教育による人材の育成と就農相談者等を対象に、農業の基礎研修としてニューファーマーズカレッジを開催するなど、就農希望者の要望に対応できる体制を整えております。 更に、農業改良普及センターごとに、新規就農者を対象としたみやぎ農業未来塾開催事業や指導農業士等によるマンツーマン指導を行う就農定着サポート事業を実施し、就農初期段階における農業経営の基盤づくりを支援し、就農者の定着を図っております。今後とも、市町村、農協等の関係機関と連携しながら、新規就農者の確保育成に取り組んでまいります。 次に、農商工連携に係る県の取り組みの見通しと今後の推進策の展望についての御質問にお答えいたします。 農商工連携を推進するため、県では、事業者への情報提供に努めるとともに、マッチング機会の提供などに取り組んでおります。この取り組みの中で、米粉と仙台茶豆を使用した新たな菓子の開発など具体的な動きが既に始まっており、一定の成果が期待できるものと考えております。また、農林水産業者が生産現場で商工業者と意見交換を行う現地見本市の開催を予定しております。 農商工連携の今後の推進策の展望については、農商工等連携促進法の施行以降、国や関係団体において、人材育成の取り組みや商品開発などに対する新たな支援策が講じられております。県でも、これまで新商品開発やマーケティングに対する支援など、売れる商品づくりに取り組んでおりますが、更なる強化を図ってまいりたいと考えております。 県としましても、商工業や農林水産業の関係機関同士の連携と相互理解を一層促進するとともに、人材の育成や発掘を含め、各種支援策が効果的に実施されるよう、今後とも農商工連携を推進してまいります。 以上でございます。
○副議長(小野隆君) 六番村上智行君。
◆六番(村上智行君) 農業振興について再質問させていただきます。 初めに、所得補償制度についてなんですが、今まで経営安定化対策として何年かにわたって、農家の皆さんですとか農協さんですとか市町村ですとか、そういったところを通じながら、いろいろと制度の説明ですとか、営農組織、それから、原則、四ヘクタール以上の個人農家、そういう人たちが対象になりますということをこの何年かずっとやってきており、そこから今後大きく変わるであろうというふうになってくると思うんですね。そうなってくると、現場の方は、大きく混乱をするというか、さまざまなことで、今後新政府の中でその移行というのを考えてはいくんでしょうが、やはり農業は続けていかなくてはならないものですから、そのあたりの懸案というか、どのように想定をし、あとシミュレーションなどをしているのかどうか、お伺いいたします。
○副議長(小野隆君) 農林水産部長千葉宇京君。
◎農林水産部長(千葉宇京君) 民主党のマニフェストが出された時点で、私どもの方もいろいろとシミュレーションを試みてみたところでございますけれども、先ほど知事からお話しさせていただいたように、制度の詳細が出ていないということで、シミュレーションがなかなか難しい状況でございました。従来の経営安定化対策にしましても、一つの事業で構成されているわけではなくて、いろいろその複合的な事業が組み合わさって一つの施策を形成しているということございますので、今回の戸別所得補償制度、こちらにつきましても、単体で実施できるというものではないと考えておりますが、これがどういったような形で施行されていくものなのか。国の方も、今、来年度モデル事業を実施し、翌々年度からの本格実施というようなことも聞こえてきておりますので、その辺、まさにこれから詳細を情報入手し、いろいろなシミュレーションというものをやっていきたいというふうに考えております。
○副議長(小野隆君) 六番村上智行君。
◆六番(村上智行君) ここでその制度に対して議論しても、なかなか不毛な時間だと思いますので、ただ、その制度自体、農家の再生産可能な経営をつくるという意味では一定の評価はできると思いますが、そのスキームというか制度設計がどのようになっていくのか。そして、現場の方で、特に稲作農家というのが今までやってきたものから大きく変わったりですとか、今収穫を前にして、政権も変わりましたけど、今後どうなっていくんだろうと多くの人から聞かれます。そういった声に県としてもしっかりとこたえていかなくてはいけないのかと。説明をしていく。国の情報をいち早く察知し、そして市町村ですとか農協さんですとか関係団体の方にそういったものを対処する、そういうふうなチームというのも必要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○副議長(小野隆君) 農林水産部長千葉宇京君。
◎農林水産部長(千葉宇京君) おっしゃるとおりだと思っております。できるだけ情報を入手し、それに基づきまして迅速なる対応というものをやっていきたいと思います。
○副議長(小野隆君) 六番村上智行君。
◆六番(村上智行君) それでは、次、農業への企業参入についてなんですが、こちらの方が十五社宮城には参入している。そして、そのリースの方を決めている市町村というか貸し出しをする農地を決めている市町村というのは十四市町村ということで、そういうふうな前提もあってなかなか少ないのかなと。しかしながら、よく建設業の皆さんですとか、多くが農業の方に参入をしております。これは全国的な傾向で、やはりいろいろと土をいじるというかそういうふうなこともあって移行しやすいのかなと。あと重機なども使ったりですとか。そのあたりが宮城はたしか六社ほどだったとは思うんですが、そのあたり、少ない。ほかの県と比べてもかなり少ないんですよね。公共事業ですとかどんどん減らされており、収益的にもかなり弱体化しておりますので、いろんな多角経営ですとかそういった面では、やり方次第では、アグリビジネスというのは可能性があるということもありまして、興味を示しているんですが、なかなか移行できない。その辺の要因というのはどこにあると分析をしていられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○副議長(小野隆君) 農林水産部長千葉宇京君。
◎農林水産部長(千葉宇京君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、従来の、今回の農地法改正以前の企業の農業参入の形態が、農業経営基盤強化促進法に基づく特定法人貸付事業、この枠の中での進出、参入だと、そういったときには、先ほどお話しさせていただきましたように、市町村が区域を指定するというようなことが前提としてあったわけでございますけれども、今般の農地法の改正によりまして、そこの部分の規制が緩和されております。今後、企業が一定の要件を満たす場合、賃貸借の設定が可能になるという、そこの部分が非常に入りやすくなってきているという法の改正がございますので、今後はかなり伸びていくんではないかというふうに見ておりますし、県としてもそういった動きを支援していきたいというふうに考えております。
○副議長(小野隆君) 六番村上智行君。
◆六番(村上智行君) 企業参入がすべていいというわけではないんですが、一つの突破口として、いろいろと地域も刺激されますし、さまざまな他分野からの人材が入ってきて、より活性化するのではないかと思います。いろいろ県の方の資料ですとか見てみますと、わかりづらいというか、企業参入ですとかそういうふうな感じが否めないと思います、他県と比べますと。北海道ですとか、もちろん鳥取もそうだったんですが、すごく企業の皆さん、経営者の皆さんが相談しやすいというか、そういうふうな環境づくりをしておりますので、一つの可能性がありますので、ぜひともそのあたりの充実を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(小野隆君) 知事村井嘉浩君。
◎知事(村井嘉浩君) 大変重要な御指摘だと思います。企業参入を促すことも競争力のある強い農業体質にするという点で大変重要だと思いますので、そのように努めてまいりたいと思います。
○副議長(小野隆君) 六番村上智行君。
◆六番(村上智行君) 最後に、おとといですか、みやぎ食料自給率向上県民運動の方に参加してまいりまして、キャッチフレーズが決まりましたので、「食卓に みやぎの恵みで もう一品」、あとは「宮城産 いっぱい食べて 元気っ子」、こういうふうに食料自給率も上げていって、村井知事も二期目に向かって頑張っていただきたいと思います。 以上で、私の一般質問を終わります。 ありがとうございました。