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平成2年第183回定例会(第5号)  本文 開催日: 1990-10-04
平成2年第183回定例会(第5号) 名簿 開催日: 1990-10-04

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  1. 青森県議会 1990-10-04
    平成2年第183回定例会(第5号)  本文 開催日: 1990-10-04


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(工藤省三君) ただいまより会議を開きます。        ─────────────────────────────────            ◎ 一 般 質 問 継 続        ───────────────────────────────── 2 ◯議長(工藤省三君) 一般質問を継続いたします。十五番上野正蔵君の登壇を許可いたします。──上野君。  〔十五番(上野正蔵君〉登壇〕 3 ◯十五番(上野正蔵君) 今議会の一般質問の機会を与えていただいたことに対して心から感謝申し上げる次第であります。  質問に入る前に一言お礼、またお願いを申し上げたいのであります。先般の台風十九号の際に当たりまして、我が三戸郡名川町を中心とした隣接町村に大きな被害をもたらしたわけでございますが、知事においては公務御多端の折早速駆けつけていただいて、被害状況調査並びに激励をいただいたことに対し、地元の一人として、被災者を代表しながら一言お礼申し上げる次第であります。なお、今後に当たってこの被災地に対する対応を一日も早くしていただきますように心からお願い申し上げます。さらに、土木部に対しましても、雨が降るたびに常襲地帯という言葉が出てまいりますが、今の時代に常襲地帯という言葉を青森県からなくしたいものだと思うわけでありますから、特段の御配慮のほどを心からお願い申し上げる次第であります。  それでは早速質問に入りますが、原子燃料サイクル事業についてまず御質問申し上げます。原子燃料サイクル事業を取り巻く最近の情勢を見ると、サイクル施設原子力そのものの危険性を一方的に大きく取り上げ県民の不安感を高めている感がするものであります。もちろん、安全性の問題は第一義的に重要なことであり、サイクル施設に限らず原子力施設全般について安全確保が大前提でありますが、昨今の状況を見ると余りにも偏った議論になっているように思われるのであります。また、五十万人署名運動によりサイクル事業は白紙撤回されるのだという認識を持ちつつあるようであります。私自身もみずから、住民から本当に白紙撤回は可能なのかという質問を受け、その答えに苦慮しているところであります。私自身、サイクル施設立地協力要請基本協定締結等の経過並びに国策として進められていることなどを踏まえれば、法律的、行政的にそう簡単には白紙撤回することはできないとは思うものの、幾度か自問自答しているのであります。また、忘れてはならないのは、なぜ青森県が協力してしかるべきと判断したのかであります。本県の経済社会の現状、及び将来展望とのかかわりにおいて改めて原点に立ち返って事業の意義について論議し、明確に県民に理解を求めていく必要があると思うのであります。かかる観点から何点か知事にお伺いするものであります。県の発行した県民生活白書によると、本県の現状について、恒常的な若年層の県外流出と出生率の低下、加えて、県外からの転入者の減少による人口減少、高齢化の進展等諸問題が浮き彫りにされております。また、過日、本県経済を消費過剰型とし、やせ細る生産投資、所得流出の慢性化、というショッキングなある金融機関の分析結果の新聞報道に接するなど、まことに憂慮にたえないものがあるのであります。これは私一人でありましょうか。かかる現状についての知事の認識をお伺いするものであります。一方知事は、本県産業経済の現状を踏まえて、産業構造の高度化を県政の重点課題として、むつ小川原開発八戸新産都市の建設、青森地域テクノポリス開発等プロジェクト事業、及び関連する諸施策を積極的に推進してきているところであり、私自身これに対しては全面的な賛意を表するものでありますが、しかしながら、昨今の原子燃料サイクル事業をめぐる県内世論を見ると、かかる本県産業経済の現状及びこれに起因する諸問題が果たして県民に十分に理解されているのかどうか疑問を覚えるのであります。産業の高度化を通じた本県の将来展望を含み、改めてわかりやすく具体性を持たせた形で適切に理解させていく必要があると思うが、知事の御所見をお伺いするものであります。  次に原子燃料サイクル事業むつ小川原開発についてであります。知事は、原子燃料サイクル事業を本県の産業構造の高度化に結びつく主導産業の一つとして位置づけ、むつ小川原開発の一環として推進する、いわゆるむつ小川原開発第二次基本計画の開発方針に基づき、原子燃料サイクル事業開発関連企業をも含めて多角的に企業の立地誘導を図り開発を促進する、としたのであります。しかしながら、これまでの経過においてはそれが具体的に目に見える形で具体化されておらず、それをもとに反対する立場に立つ人たちから可能性を全面的に否定されて、あたかも絵にかいたもちであるかのごとく指摘されているのではないだろうか、一般県民もまたいささか疑問を感じているのではないだろうかと思うのであります。事業推進上の基本にもかかわる事柄であり、今後の対応に関し何点か知事の所見をお伺いするものであります。それは、まず一つは、原子燃料サイクル事業むつ小川原開発との関連において、事業の推進に伴うむつ小川原開発の将来が明らかにされていない。確かに基本的方向は示されているものの抽象的なものであり、それが、県民にとって原子燃料サイクル事業をいまひとつ理解しがたいものにしている要因の一つであると思うのであります。具体的将来像を描くべきと思いますが、どのようなお考えでいるのか。また、こうした将来像を描く中で、現実にはなかなか具体化に結びつかない企業立地についての対応と見通しについてであります。県はむつ小川原工業基地への企業立地について具体的にどのような活動を展開しているのか、その活動を通して今後の見通しにどのような感触を得ているのかお伺いするものであります。また、企業立地の具体化に当たっては、県みずからの努力もさることながら、この際、サイクル事業推進を契機に、国及び事業者等関係者の支援、協力を求めていくことが必要であると思うのであります。確かに国においては、通産省が今年度、電源地域振興センターの設立、低利融資制度等新たな施策をスタートさせるなど意欲的に対応しており、その面では評価されるところでありますが、今後の施策のさらなる前進を期待したいのであります。肝心なのは事業者の対応でありましょう。立地基本計画に即し、関連企業の誘致に取り組み、これまでに幾つか企業立地の具体化の成果を上げているところでありますが、そのほとんどが開発地区以外であるのは残念なことであろう、私はこう思うのであります。みずからの事業への信頼度を高めるためにも、開発地区への企業立地を早期に具体化し企業連携を図ることが現実的PAと考えるものであります。その意味で、ぜひ事業二者の本社を本県に移転し、じっくりと腰を据えて、そして積極的に取り組まれるよう奮起を望むものであります。このことについて知事の御所見があればお伺いするものであります。  一部変更しまして、次に農政に入ります。農政についてでありますが、これまでは一般質問において、どちらかというと、農政問題を主体にして県当局の方針を伺ってきたのでありますが、今回は、私自身も直接関与していると言ってもいい畜産について、肉用牛経営と酪農という各論の問題について申し上げたいのであります。私は肉用牛経営農家や酪農家の最近のいら立ちといったものをじかに感じているものであります。近年の肉用牛経営や酪農は、幾多の試練を受けて随分体質の強いものになってきております。指導者よりも技術も情報も上だという農家もあって、踏み込んだ問題点の指摘がなされない嫌いがあるのであります。そんな感想を常日ごろ持っているものでありますから、最近の畜産農家の生の声も一部紹介しながら一般質問をいたしたいのであります。先ほど、大家畜農家の体質は強くなったということを申し上げましたが、このことは裏を返せば弱小の経営は淘汰されたということにもなりましょうが、そのことは別として、ここ十年ぐらいの中で経営規模の拡大状況を見ると、肉用牛では二倍、酪農では一・七倍ぐらいになっているのであります。特に肉用牛については、低コスト生産が可能な草資源に恵まれていることもあって、一戸当たりの飼養規模は東北では群を抜いているのであります。また、酪農についてもEC並みになってきたとも言われているのであります。しかし、難航の末決着を見た牛肉の輸入自由化が間近に迫った今、農家の先行き不安が募っているのであります。確かに、国民の食料消費動向から見ると、牛肉の需要はまだまだ増大していくことは確かでありましょうし、先般国が公表した「農産物の需要と生産の長期見通し」においては、牛肉の需要量は現在の二倍近くまで伸びるという見通しになっているのであります。しかしこれは総体量の話でありまして、この増加に対応するのは国内産でもなければ輸入物でもない、どちらでもよいというふうに考えている風潮もあるのではないかと思うのであります。現に輸入自由化のスケジュールが具体的に決まっており、その対策も出そろっているのでありますが、その内容は総花的なものとなっており、本当にこれこそ地域の実態に即した生産者のためだという施策が見えてこないのであります。行き着くところは生産者みずからの経営努力だと言ってしまえばそれまででありますが、ここに手をかしてサポートするのが農政でありましょう。最近、乳用牛の枝肉やその子牛価格が低落で推移しておりますことは御承知のとおりであります。この現象が一時的なものなのか、牛肉輸入の影響が出始めたのかということについては、まだまだ、その動向を見きわめ分析しなければならないものと存じますが、肉用牛農家に不安といら立ちを与えていることだけは事実であります。しかし、ここで弱気になってしまっては元も子もないのであります。先達の多くが険しい山野を切り開いて築き上げてきた肉用牛経営の基盤をなくすることは、青森型農業を否定することに通ずるものであります。知事は、畜産にかけては右に出るものがないと言っていいほどの高い見識を持つオーソリティーであります。どうか、畜産農家が将来に希望を持って経営に励むことができる夢を与えてほしいのであります。夢は目を覚ましますとがっかりしてしまう場合が多いのであります。言いかえれば、本県の肉用牛がこの難局を逆手にとって、青森県産牛肉の銘柄を確立し、海外輸出をも考慮するような施策を具体化してほしいのであります。このことは明年度の予算編成の中にも生かしていただくことを特にお願いするものであります。そこで質問に入りますが、牛肉の輸入自由化を明年四月に控え最近における肉用牛価格の動向はどのようになっているのか、また、今後の価格安定対策を農家の期待にこたえるものとしてどのように講じていくのか、今また、秋市場の開設を間近に控え農家の不安も多いわけでありますので、その対策の内容を明らかにしていただきたいのであります。  次に酪農についてでありますが、これにつきましてはすべてが的を射ているものばかりとは言えないかもしれませんが、最近の酪農家の悩みの声といったものを御紹介し、今後国がガットに臨むことへの県の対応について申し上げます。私の身近にいる酪農家は、農協系統から購入する飼料の価格が他のメーカーに比べて高いのではないかとか、また、青森県の乳質はすばらしい、しかし、乳質検査ではじかれた牛乳を今は捨てている。これを乳製品等として有効利用する工夫がないのかといったことを言っております。このことは、年々乳価が引き下げられていることや、配合飼料価格や生産資材が値上がりしてきていることなどから酪農経営が厳しさを増してきていることのあらわれとも受けとめられるのであります。農協等の畜産関係者には、このような意見などを十分認識し、酪農家が意欲的に経営できるような土俵づくりをしていただく努力が必要でありましょう。県におかれても、関係団体との連携をさらに強め、きめ細かな指導を行い、国際競争にも勝ち抜いていくことができるような青森県酪農を育てていただきたいのであります。このような気構えで酪農経営の体質強化を図っていこうとするわけでありますが、ガットの場でその自由化が論議されている脱脂粉乳などの基幹的乳製品輸入自由化問題については、ややもすると米問題の陰に隠れてしまっている嫌いがありますが、酪農関係者には大変な問題であります。特に、北海道の生乳が加工仕向けから飲用仕向けに方向を変えてくるような事態になれば国内の牛乳戦争にも発展しかねないのであります。脱脂粉乳などの乳製品の輸入自由化をしないように、阻止するように、国に強く働きかけていくべきであると考えるものでありますが、県の対応についてお聞かせいただきます。  次に、出生率の低下、ないし、少子化の問題とその対策についてであります。戦後の復興期、高度経済成長期を経て四十五年を経過した今日、我が国は世界一の長寿国となり、今や人生八十年時代を迎えております。我が国の人口の高齢化は諸外国に例を見ない速さで進行し、本県ではさらに国を上回るスピードで高齢化が進んでおり、ピークとなる平成三十七年には、およそ三・五人に一人が六十五歳以上という全国でもトップクラスの高齢県になるものと予測されるのであります。このような高齢化社会の到来に対応するため、これまで諸制度の整備、改革が相次いで進められてきているところでありますが、同時に、精神的豊かさや安心、あるいは生活の質を求める国民の新しいニーズが増大しているところから、今後、これらに積極的に対応し、社会保障等諸制度の新たな方向づけがなされるべきものと考えるところであります。このような観点から国民生活全般に目を向けてみるときに、人が生まれ、育ち、働き、老いを迎える、生活の基本的な場である家庭の姿に幾つかの変化が生じており、特に、超高齢化社会と言われる二十一世紀を担うべき子供の出生率に大きな変化が生じていることに着目されるのであります。本年六月九日に厚生省が発表しました「人口動態統計概要」によれば、女性が一生の間に産む子供の数が、平成元年には、過去にひのえうまと言われた昭和四十一年よりも下回る史上最低の一・五七人に低落し、これがマスコミにも大きく取り上げられ、重大な社会問題となっていることは御承知のとおりであります。出生率と人口の相関関係については、現在の人口を長期的に維持していくためには、一人の女性が一生の間に二・一人の子供を出生する必要があると言われているのであります。今回発表された一・五七人という数値はこの四分の三にすぎず、このままでは全体の人口が減少し続けるおそれがあることは明らかであります。加えて、この出生率の低下は昭和四十八年以降の連続する低下傾向の延長線上にあり、今後も短期間のうちに上昇に転ずることが予測できないことに問題の深刻さがあるのであります。このような出生率の低下、少子化の影響は、子供が人と人の間で育つ機会を減少させ、創造力や活力を失わせる一因となるばかりでなく、社会性を欠如させ、子供の心身の健やかな成長に大きな影響を及ぼすおそれがあるのみならず、さらに社会全体で見ても、経済社会を担う労働人口の不足によって経済の活力が低下し、あるいは年金や医療を初めとする高齢者扶養の負担が増大するなど、将来の我が国の社会全体にわたって大きな影響を及ぼすことが深く憂慮されるのであります。出生率の低下の要因については厚生白書等でもさまざまに言及されているところでありますが、私は、特に家族に対する価値観の変化に注目いたしたいのであります。近年、かっての大家族制度が衰退し、核家族化が着実に進行してまいりました。核家族は、工業化、都市化の時代にあって動きの速い経済社会環境に適応するためのものでもあり、さらに最近では、父親の単身赴任によって子供との長期間の別居が続いたり、あるいは子供が自分の個室にこもり自分の城を築くことなど、家庭、家族から個人へという流れが生じてきております。このような状況の中で家庭、家族とは何かが問われ、むしろ昨今は個人の自立が優先され、シングルライフが謳歌されております。出生率の低下、少子化はこのような現象と無縁ではなく、深いかかわりがあると思うのであります。広い意味の家庭機能の見直し、再生こそが少子化への基本的な認識でなければならないと強く感ずるのであります。高齢化社会の名のもとに社会全体の目が高齢者に向けられております。しかしながら、来るべき二十一世紀の青森県を、あるいは日本の国を担っていくのは子供そのものであります。子供は未来社会の設計者であることを今こそ私ども県民一人一人が深く思い起こし、この少子化、子供の問題をすべての人々の共通の課題として取り組むべきときであることを強く提言いたしたいのであります。新聞報道によれば、政府は、出生率の低下が経済社会に大きな影響を与えると懸念されている状況にかんがみ、去る八月の十日「健やかに子供を産み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議」を内閣に設置し、これに呼応して厚生省でも「子供が健やかに生まれ育っための環境づくり推進会議」を設置し、それぞれ、出生率の低下の要因、影響の分析、あるいは対応策の検討等を行おうとした旨伝えられております。そこで私は、出生率の低下ないし少子化の問題に関連いたしまして次の点についてお伺いするものであります。第一点は、子供の養育の基本的な場である家庭と地域における児童健全育成のための支援対策の現状と今後の方針について、福祉の立場と教育の立場からそれぞれお答えいただきたいのであります。第二点は、保育対策の現状と今後の方針についてであります。第三点は、母子保健の立場から少子化対策の現状と今後の方針について。最後に、出生率の低下ないし少子化の問題にかかわる総合的な調査検討等のための機関、例えば連絡会議等を本県においても設置すべき時期に来ていると思いますが、いかがなものでございましょう。以上の四点について、少子化問題が急速に進行する人口の高齢化の主たる要因であり、関係行政分野を網羅した総合的かつ二十一世紀を展望した長期的な対応を求められているところから、この現状と今後の対策についてお答えをお願いしたいのであります。  次に教育行政についてでありますが、生涯学習社会における高齢者教育企業内教育はどのようになっているかということ、それから、生活科学習にかかわる幼稚園と小学校の一貫教育について、さらには情報処理教育の推進について、この三点についてお伺いするものであります。国では生涯学習の振興を図るため、昭和六十三年度に文部省の組織機構を改革し、社会教育局を改めて生涯学習局を組織し、生涯学習振興課を新たに発足させたと聞いているのであります。また、ことしの七月には生涯学習を振興するための法律を制定するなど、国挙げてその振興に取り組んでいるところであります。さらに、本県教育委員会の新青森県長期総合教育計画の中でも、生涯学習社会の実現に向けて人間性豊かな活力ある教育の推進を挙げており、ことしは中期五カ年にわたる実施計画を策定していると聞いているのであります。このように、国、県挙げて生涯学習の振興に努めているわけでありますが、先ほども申し述べたとおり、今後高齢化現象がますます進んでいくことが予想されているのであります。生涯学習を進めていくためには、今後ますますふえていく高齢者に対しどのような教育を提供していくのかということが一つであります。また一方では、市町村の誘致企業の増加や女性の意識向上により就労婦人も年々増加している現状であります。これらの人たちにどのようにして生涯学習の機会を提供していくのかということも今後の大きな課題となってきております。生涯学習社会の振興には、これら高齢者、そして就労婦人に対する教育が大変重要なものとなってくると考えられるのであります。特に、就労による学習時間の制約を受ける人々の教育にはこれまでの学習方法では対応できない面があるのではないかと思うのであります。この点についてお伺いするものであります。また、生活科学習にかかわる幼稚園と小学校の一貫教育については、経済的豊かさが増す中で、都市化、核家族化、少子化等の社会の変化はさまざまな形で子供たちに影響を及ぼしているが、中でも現代の子供たちは生活上のさまざまな面において体験不足であるとの指摘があり、このことは学校教育とも深くかかわる無視することのできない問題と考えられるのであります。例えば、家庭や地域社会の中で、豊かな自然との触れ合いを通じて生命のとうとさ、勤労のとうとさを実感したり厳しさに耐えることを学んだりする機会が少なくなっているのであります。幼稚園では具体的な活動を通じて自然との触れ合いや身近な環境とのかかわりを深め、基本的な生活習慣や態度を育成することが重視されているが、このことは幼児から児童への移行期に当たる小学校低学年においても特に大切にすべきと考えるのであります。今回の教育課程の改定に当たっては、社会が抱えるこのような問題に積極的に対処するために、幼稚園と小学校との一貫教育の重視、並びに小学校においては生活科が新設されたのであります。そこで次の点を質問したいのであります。幼稚園と小学校の一貫教育が強く叫ばれているが、県ではどのように取り組んでいるのか、また、新設された生活科についてはどのように指導していくのかお伺いするものであります。  最後に情報処理教育の推進についてでありますが、言うまでもなく、今日我が国においては高齢化や国際化などとともに情報化が急速に進み、社会のあり方、人間の生き方に大きな影響を与えているのであります。言うまでもなく、情報化は科学技術の進歩や経済の発展と関連しながらさまざまな分野で進展を続けており、コンピューターの発達普及、高情報通信網の整備などにより、産業や行政はもちろん、家庭生活の中にまで及んできているのであります。このため、これからの社会を担う子供たちには、情報化の進展に応じた新しい情報手段や多様な情報を活用していく能力の育成が必要であるのであります。また、情報処理機器による教育方法の改善充実を積極的に図っていくことが重要になっているのであります。このたび改定された学習指導要領によると学校教育の中での情報化への対応が大きく取り上げられているが、本県の学校における情報処理教育については現在どのような状況にあるのかお伺いするのであります。また、情報処理教育においては、機器を活用するためにも、直接機器に触れてそれになれることが求められるのであります。必要な機器の導入については早急に取り組んでいかなければならないと考えるのであります。この面においても予算上の措置が必要であります。これとあわせて、ソフト面の整備、指導者である教員の研修の充実が求められるのでありますが、これについての今後の対応をお伺いするものであります。  以上をもって一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。 4 ◯議長(工藤省三君) 知事。 5 ◯知事(北村正哉君) 上野正蔵議員にお答えを申し上げます。  金融機関のレポートに関するお尋ねがございました。本県の経済を過剰消費型とする金融機関のレポートがあるが、これに対して知事はどういう認識を持つか、こういうことでございました。御指摘のレポートにおきましては、本県の経済を、所得が低い割に消費が多過ぎて資本形成が不活発であるとか、また、製造業などの物財を生み出す産業の伸び悩みを、過剰な消費と政府サービス生産の伸びとが相まってもたらした第三次産業の高い伸びがこれをカバーしているといったようなことなど、過剰消費型体質であるというふうに論じているわけであります。また、このレポートは本県経済の財政依存体質等についても指摘しているところでありますが、県経済白書においてもこれと全く見解を同じゅうする内容を含んでるわけでありまして、大いに参考とすべきレポートである、こういうふうに理解、認識をいたしております。  第二点が、産業構造高度化を通じた本県の将来展望をもっとわかりやすく具体的に提示すべきではないかと、大変ごもっともだと思います。本県の産業構造は全国に比べまして、たびたび申し上げてきたんでありますが、就業人口において、あるいはもちろん総生産においても──第一次産業のウエートが就業人口では高く総生産では低い、第二次産業のウエートは逆に就業人口においては低い、また第三次産業は大体全国並みのウエートになっているわけであります。特に第二次産業のうちの製造業については、総生産、労働生産性等が全国に比べて極端に低い。こういった産業構造高度化のおくれが結果として県民の就労の場の不足やら、あるいは賃金の低水準につながる、さらには、結果として出稼ぎあるいは新学卒者の若年層の県外流出をもたらす、ひいては県民の所得水準が低迷している、こういう結果に──それらの原因をなしてる、こういうことだと考えます。また、このことが農業面とも大きな関連を持つわけでありまして、小規模経営の場合の潜在余剰労力消化への道が産業構造を高度化することによって開かれる、また、専業農家にとっては規模拡大、経営改善の道が開かれる、こういったことではなかろうかと思うわけでありまして、農業との関連もまた大変に大きな関係を持つことになる。こういったことから、青森地域テクノポリス開発であるとか、八戸地区新産業都市の建設であるとか、むつ小川原開発等の先導的開発プロジェクトの推進によって第二次産業の集積を積極的に図り、そのウエート、特に質、量両面において全国との格差が著しく開いている製造業の集積を高めていくことがこの県政にとって非常に大事なことだと考えるのであります。その際、高加工度化あるいは知識集約化等を図って生産性の高い高次の発展段階への移行を推進する主導産業の導入に重点を置いて本県の工業構造を変えていくことが不可欠なことである、さらに、それぞれの産業に応じて、生産性の向上であるとか、流通の効率化であるとか、経営の改善合理化、サービス水準の向上等によって地域間競争に打ちかつ体質の強化を図り各産業の高付加価値化を目指していく必要がある、こう考えているわけであります。ただ、こう申し上げているだけでも、何といいましょうか、なるほど理解しにくい、わかりにくい点が多々あるわけでありまして、これには大きな配慮をしていかなければならないという御指摘は身にしみて感じられるわけであります。こういったことで、県としましては「県民だより・あおもり」等に特集を組むなどして本県の産業構造の現状とプロジェクトを機会あるごとに紹介してきてるのでありますが、今後とも広報広聴活動などあらゆる機会を通じて、このような県の考え方をよりわかりやすく、また具体的に提示することによってさらに県民の理解が得られるように努力してまいりたい、こう考えてるところであります。
     その次がむつ小川原の原子燃料関係になりますが、原子燃料サイクル事業。この事業とむつ小川原開発との関連において、事業の進展に伴うむつ小川原開発の将来が明らかにされていない、それが原子燃料事業を県民が理解しがたいものにする一つの要因であると思う、具体的将来像を描くべきと思うがどう考えるかと、まあ、言われてみればこれは大変痛いところなわけであります。むつ小川原開発は、これまでたびたび申し上げてまいりましたように、工業開発を通じて地域開発を図るという基本的な考え方のもとに長期的な観点に立って段階的に進めてきているところであります。この長期的な観点から段階的に進めていく、これがどうも問題を──前途をぼんやりしたものにさしてる、こういううらみがあるわけであります。もっとはっきりさせるためには、短期決戦でぱあっと華やかにできる事業である場合には将来像もそこに明確に打ち出すことができるんでありますが、その辺にどうも、弱点と申しましょうか、説明不足とも言えると思いますが、むつかしい点があると考えております。むつ小川原工業開発地区への企業立地につきましては、昭和六十年四月に第二次基本計画の調整を行いまして、原子燃料サイクル関連企業も含めて広く立地可能な業種を多角的に導入する、こういう言い方をしてるわけであります。そういう計画にし、その推進に努めてるところでありますが、社会経済情勢の変化等から、残念なことに、それが、今申し上げましたように目に見える形で鮮やかにここに進展を見せていない状況にあるわけであります。このことが、サイクル事業のみがいかにもクローズアップされてほかの企業誘致が陰に隠れて見えない、こういうことにもなっているわけであります。県としましては現在、むつ小川原工業開発地区が持っております広大な用地であるとか豊富な工業用水──まだ出てはおりませんが豊富な工業用水、港湾──これはほぼいいところまでできてるわけでありますが、こういった特性を基礎として、国家石油備蓄基地や原子燃料サイクル基地等の既存の立地業種や、それだけにとどめることなく、今後の産業動向等をも勘案しながら企業導入のための多角的な行動計画とも言うべき企業導入促進計画を策定中でありますので、これによって何とか早い機会にもっと明らかな将来像を打ち出してまいりたいと考えてるところであります。なお、原子燃料サイクル事業との関連において、今後さらに関連企業、関連試験研究機関等の立地も見込まれているわけでありまして、雇用の面やら地元経済への影響等地域への大きな波及効果が期待されますことから、新しい居住者の日常生活、あるいは余暇活動を快適にする条件等の整備、これもまた推進して、それを今後の企業導入、ひいてはむつ小川原開発推進の核の一つと考えてまいりたいとも考えているわけであります。  それから、企業誘致について具体的にどういう活動をしてるのかと、その見通し等については担当の内山開発室長の方から申し上げさしていただきます。  それからもう一つ、本社誘致の問題がありました。事業者がみずからの事業の信頼度を高めるために、むつ小川原工業開発地区への企業立地を早期に具体化して企業連携を図ることが現実的PAとも考える、そういう意味で、本社を本県に移転して腰を据えて積極的に事に当たるべきというふうに思うが、知事の所見を、こういうことでございました。企業立地につきましては、事業者は基本協定の中で既に、原子燃料サイクル施設に関連する企業を、あるいはまたそれだけに限らず多角的な企業の立地について積極的に誘導、支援するということを約束してるのであります。これまでにおきましても既に五社六工場の立地を具体化し、今また新たに四社の立地をも表明されたところであります。これらは評価できることであろうと思います。ただ、立地を具体化した五社六工場は必ずしもむつ小川原開発地区そのものではない。板柳もあるし弘前もあるし、県内のいろんな方面に分散しておりますために、そういったことからこの御指摘をいただいたものではなかろうかと思うわけであります。いずれにしても、このたびウラン濃縮機器の製造工場──ウラン濃縮機器株式会社の組み立て部門の移設が決まったことは過般申し上げたんでありますが、さらにまたこのほかに新規四社の当該工場地区内への立地可能性をも要請しながら、事業者に一層の協力を求めてまいりたいと考えているところであります。私としては、今までの経過にかんがみまして、条件整備が整い次第さらに企業誘致の可能性は高まると見ているわけであります。  次に、お尋ねの本社移転につきましては、県としてもこれは望ましいことだと思っております。青森県に本社がある企業として腰をじっくりと据えてみずからの事業、施設建設に当たることが、とりもなおさず事業者が県民に信用され高く評価されることになるわけであり、原子燃料サイクル事業の推進にもよい影響をもたらすものと考えるので、本社移転につきましては、機会を得ながら、これに前向きに取り組むことを両社に促してまいりたい、こう考えます。  農業関係で、特に酪農、畜産は上野議員御専門のところでありますが、肉用牛の自由化等を憂慮されてのことだと思います。価格対策はどうなってるかと、それに対する対応策──制度もあるわけでありますが、これらをよほどしっかりと整備していかなければ──ただいまのところはまだ物が入ってきていませんから今のところはそういう大きい動揺はないようでありますが、そろそろ出始めようかと思うわけでありまして、これに対する対応につきましては担当部長の方から当面の施策を申し上げたいと思います。  乳製品の関係も同じでありますが、我が国の場合は乳製品の方はまた牛肉以上に体質が劣るわけでありますから、大分進歩したとはいうものの、とてもアメリカその他に比べれば、まあ劣ると申し上げていいと思うんでありますが、弱体なわけでありますから、これが自由化されるということは大変なことだと私も思います。思いますので、これも具体的に部長から申し上げることになりますが、結論だけ申し上げれば、何とかして自由化を阻止するように国に求め、それが実現できることを求めていきたい、こう思ってるところであります。  それから少子化問題。まあ近ごろ出てきた言葉だと思うんでありますが、少子化問題──子供が少なくなることに対する問題。まあ一口に申し上げてどうも困った問題で、いいことはあんまりない。まあ育てる上で経済的には親は助かるかと思いますが、社会経済全体から見て、あるいは県勢、国勢という立場から見て褒めたことじゃない、こういうふうに考えられるんでありますが、そこにはまたそれなりの理由もあるわけでありまして、その辺のことを上野議員は大変に憂慮されてのことだと思います。青森県のためにも憂慮されるかもしれませんが、国全体としても心配だ、こういう御趣旨だったと思います。それに対して四点の御質問がございました。幼児の健全育成の関係をどうするか、保育対策についてはどうか、全体の少子化対策はどうか、こういったことについてそれぞれ担当の方から考え方を申し上げますが、もう一点、このことのために連絡会議を庁内に設けるべきではないか、その時期ではないか、こう申されました。これはやっぱり私からお答えしなければならないのだろうと思いますので簡単に申し上げたいと思います。本県の人口は、平均寿命の延び、また出生率の低下に加えて、若年層を中心とした多くの若い者の県外流出、こういったことで総人口がどうしても減りがちであり、百五十万を切るわけであります。このテンポは、特にこの中に占める高齢化のテンポは国よりも県の方がいささかスピーディーに進んでるわけであります。こういう状況が今後も続いていくとすれば社会生活全般にわたって影響が出ることが懸念されるわけであります。県としても深刻にこれを受けとめているわけであります。人口問題は県の施策全体にかかわる問題でありますことから、出生率の低下であるとか少子化の問題に対する取り組み方につきましては、一つには、県内定住意識の高揚、まあ定住意識というんでありますが、定住してもそこに働く場がない場合には非常にこれは深刻な問題になってくるわけであります。その意味からも産業構造の高度化の考え方に私はつなげざるを得ない。何とか定住意識なるものを高揚する、そのために県内に就労チャンス、就労場所をふやしていきたい、こういうことが一つ、二つ目は、県内就労の促進をする、まあ促進するといっても就労の場所がなければ困ることで、これもまた今申し上げたことにつながる。それから三番目としては、県外からの人材のUターンも考える、それから後継者育成、こういったことを考えると同時に、県内の人口定住促進策の柱として他のいろんな施策と関連づけながら進めていくことが必要であろうと考えます。御提言のありました調査検討機関につきましては人口問題全体を考える中で検討してまいりたいと思います。以上であります。 6 ◯議長(工藤省三君) 生活福祉部長。 7 ◯生活福祉部長(秋田谷恒夫君) 児童行政に関する御質問にお答えいたします。第一点は、家庭と地域における児童健全育成対策について、福祉行政面における現状と今後の方針についてでございます。児童の健全育成対策につきましては、現在、家庭に対する対策といたしまして、児童相談所、福祉事務所等における各種相談事業及び家庭訪問相談活動によりまして児童の養育上の種々の問題について相談指導を行っております。また地域に対する対策といたしましては、児童館、児童遊園等の遊び場の整備を進めているところでございまして、現在、児童館百三十カ所、児童センター十カ所、児童遊園等六百八十七カ所が整備されております。さらに都市児童健全育成事業といたしまして、民間指導者養成事業、園庭開放事業、児童育成クラブ設置・育成事業等を県内七市で実施しているところでございます。しかし、今後も核家族化、女性の職場進出、農村の過疎化等の傾向が強まるものと予測されております。これに伴いまして家庭及び地域における児童の養育機能の低下が一層進むおそれが考えられます。児童相談所等における相談体制の強化及び留守家庭児童対策の充実が課題になっております。一方、国におきましては本年一月、各界の有識者によりまして構成されております「これからの家庭と子育てに関する懇談会」からの報告を受けまして、子育てに関する意識の高揚、総合相談援助体制の整備、働く女性に対する支援策の拡充、労働条件の改善等の基盤整備を図っていくこととしております。また、児童を養育する家庭の生活の安定を図るための児童手当制度の全般的な見直しにつきまして中央児童福祉審議会児童手当部会で審議が続けられているところでございます。県といたしましては、国の施策の動向に配慮しながら、児童館、児童センターの整備の推進を図るとともに、特に、家庭の養育相談に即応できる家庭支援相談体制の整備、留守家庭児童対策の充実に重点を置きまして施策の強化に努めていく必要がある、このように考えております。  第二点は、保育対策の現状と今後の方針についてであります。本県におきます保育所の整備状況は全国的に見ても高い水準でございまして、量的にはほぼ保育需要を満たし得る水準に達している、このように考えておりますが、一方では、最近の出生数の減少に伴いまして保育所数、定員、児童数とも減少してきております。本年四月現在における保育所の数は五百二十一カ所、その定員が三万五千九百九十人でございますが、実際入所している児童は三万二百七十八人でございまして、その定員充足率は八四・一%となっております。特に、入所児童数の減少が定員の減少を上回るスピードで進んでいるために定員割れが年々進みまして施設運営に支障を来すおそれも生じている現状でございます。一方では、核家族化の進行や女性の就労機会の増大、就労形態の多様化等に伴いまして保育需要も多様化してきております。乳児保育や夜間保育、延長保育、一時的保育などに対する需要が高まってきております。乳児保育や延長保育につきましては、昨年度大幅な制度改正が行われまして保育所が取り組みやすい内容となったこともございまして、前年度に比較いたしまして、乳児保育の場合は八十三カ所から百五カ所に二十二カ所増加いたしました。また延長保育につきましては一カ所から四カ所にそれぞれ増加しております。また一時的保育につきましても、これは本年度から国の新規事業としてスタートしたものでございますが、本県におきましてもこの十月から県内三カ所で実施することになっております。このように保育内容につきましても年々その拡充が図られてきております。今後の対策といたしましては、乳児保育、障害児保育、延長保育、一時的保育などの特別保育事業につきましては今後一層の需要増大が見込まれますことから、この制度の周知を図りまして需要を的確に把握して積極的に対応していく必要がある、このように考えております。また、これまでその取り組みが必ずしも十分でなかった夜間保育につきましても、需要に応じて受け入れ態勢の整備を検討してまいりたいと考えております。さらには、保育所の機能の面から、育児相談、あるいは児童と老人との交流など、保育所が地域における保育センターとしての役割を担うようにその拡充を図ってまいりたい、このように考えております。このようなことから、本年七月に各市町村に対しまして、これまでの地域保育計画を見直しいたしまして平成三年度から平成七年度までの新しい計画を策定するように指示したところでございます。今後とも市町村と連携を図りながらこれらの対策を進めてまいりたい、このように考えております。 8 ◯議長(工藤省三君) 環境保健部長。 9 ◯環境保健部長(増田和茂君) 少子化対策についてお答えいたします。出生数の減少の背景には、全国的には、女性の職場進出の増加、平均初婚年齢の上昇、婚姻率の低下、また女性に対するアンケート調査では、育児に対する肉体的・心理的負担、また子育てにお金がかかる等々の理由が挙げられているわけでございますが、本県では若年層の流出による出産適齢人口の減少などが考えられてございます。県といたしましては、母子保健の立場からの少子化対策といたしましては、母性尊重の理念に立ち、結婚前から妊娠、分娩周辺期、さらには新生児・乳幼児期を通じ疾病の予防、健康診査等を中心に一貫した体系のもとに総合的な施策を進めてきたところでございます。しかし、先ほど申し上げました、社会環境の変化に伴うライフスタイルや価値観の多様化に伴いまして、母子保健の分野においても従来にも増したきめ細かな対策が求められているところでございまして、今後の母子保健対策といたしまして、妊娠・出産期における日常生活全般にわたる指導や育児教育の充実、また産褥期、新生児期における訪問指導の充実、また乳幼児期におきます健康診査等の充実、さらには思春期における健康教育、保健指導の充実等に努めるとともに、国がこのほど設置いたしました「子供が健やかに生まれ育っための環境づくり推進会議」等の動向を踏まえながら、安心して産み、健やかに育つ環境づくりを進め、積極的に本県の母子保健対策の推進に努めてまいりたいと考えてございます。以上でございます。 10 ◯議長(工藤省三君) 農林部長。 11 ◯農林部長(本儀 隆君) 農政について二点お尋ねでございます。一つは、肉用牛価格の動向はどうか、また、今後の価格安定対策はどのような内容になっていくのかという点でございます。牛肉の枝肉価格で見ますと、確かに、輸入牛肉と競合してるのではないかと目される乳用種の肥育牛が低落傾向を見せました。ただ、六月ぐらいで底を打って最近はやや上向いてきてございます。それから去勢和牛肉につきましては根強い需要に支えられて堅調に推移しております。いずれにしても国が定めている安定価格帯の中におさまっているわけでございます。また子牛価格ですが、本年に入りましてから乳用雄子牛を中心に低落傾向を見せてきましたが、これも、六月、七月ぐらいを底に最近また若干上向き傾向にあるということでございます。したがって国の定める保証基準価格を依然として上回ってるわけでございます。ただ、明年四月からの自由化でございますんでさらに低落するといったようなことも懸念されるわけでございます。仮に枝肉価格が安定価格帯を割り込むようなことがあれば、「畜産物の価格安定等に関する法律」に基づきまして畜産事業団が買い出動に入るわけでございます。そういう操作があるわけでございます。また肉用の子牛価格の低落に関しましては、価格差補てんを行います肉用子牛生産者補給金制度、これは今年度から充実された新しい形になっておりますんで、この発動ができるわけです。県としましても、これらの対策の的確な運営を国に要請していくということのほか、特に、肉用子牛生産者に対しましてはその補給金制度への加入を促進してまいりたいと考えております。なお、中長期的には、さらに飼料基盤の拡充でありますとか受精卵移植技術の普及などを通じた低コスト・高品質生産の推進、さらには県産牛肉の銘柄確立による販路の拡大等によりまして肉用牛経営の安定が図られるように努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  次に乳製品の輸入自由化の問題でございます。現在、農産物貿易の新しいルールづくりということでガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉が行われております。米国等は、乳製品を含むすべての農産物のIQの廃止、関税化を提案しているわけでございますが、これに対しましては各国の主張がいろいろ対立しておりましてどうも先行きの予測がつかないわけですが、今年の十二月決着へ向けて交渉中でございまして、脱脂粉乳等基幹的乳製品の輸入制限措置の継続を主張している我が国にとっては依然として厳しい状況にあるものと認識してございます。乳製品が自由化されるということになりますと、これがはね返って国内産の生乳価格の低落を招くなど本県の酪農経営に深刻な影響を与えることになりますので、県としては引き続き関係道県と連携をとりながら、乳製品の輸入の自由化には絶対応じることのないよう国に対して要請してまいりたいと考えてございます。以上でございます。 12 ◯議長(工藤省三君) むつ小川原開発室長。 13 ◯むつ小川原開発室長(内山克己君) 上野議員に、むつ小川原工業基地への企業誘致の活動状況につきましてお答えを申し上げます。具体的には、経団連などのバックアップによります現地の視察会、それから、東京、大阪などでの企業立地の説明会、それから個別的な企業訪問、また、それらの企業に現地を視察させる、あるいは案内をする、さらには企業誘致のパンフレットによるPR、特に、北海道東北開発公庫、日本開発銀行などからの情報収集、こういう活動を積極的に展開してございます。また、企業にとって関心の高い企業誘致に係る優遇制度につきましても、今年度から、高度技術工業の立地の際には五億円を限度として貸し付けをする制度、さらには、それらの企業が研究所などを増設する際に二億円を限度として貸し付けする制度、こういう制度を新たに設け施策の強化に努めております。最近むつ小川原工業基地に対しましては、原子燃料サイクル施設の立地に伴い関連企業のみならず一般企業の関心も高まりを見せてきておりますので県としては今後とも、港湾、道路等の基盤を整備し開発ポテンシャルを高めるとともに、先ほど知事からも申し述べました企業導入促進計画が策定されますと、企業側に対して、むつ小川原工業地区の諸条件、あるいは進捗状況の実態等を具体的に提示できるということでございますから、企業導入に積極的に努め、今後の見通しを明るいものにしてまいりたいと考えております。以上です。 14 ◯議長(工藤省三君) 教育長。 15 ◯教育長(山崎五郎君) 上野議員から、家庭教育、社会教育、学校教育の広範にわたる、将来を先見した、しかも緊要な諸問題につきましての御質問をいただきましたので、多少時間をいただきまして御答弁をいたしたいと思います。まず質問通告の二番、高齢化時代の到来と少子化問題及びその対策についての御質問中、家庭と地域における児童健全育成のための支援対策の現状と今後の方針について教育の立場からお答えいたしたいと思います。社会環境や家庭環境がいかに変わろうとも、子供にしつけや徳性、社会性、自制心などを身につけさせるのは家庭における親の本来的な役割であるということに変わりはないというふうに考えてございます。家庭ではこの辺をしっかりと認識しながら、子育て、すなわち家庭教育に当たるべき必要があろうというふうに考えているわけでございます。しかしながら、核家族化や共働き家庭の増加などによりまして親子の触れ合いが希薄になり、子育てに苦慮されている家庭も少なくない現状にございます。そういうことで、県の教育委員会といたしましては家庭教育を側面から援助するという立場から、このような親に対する子育て学習の機会といたしまして、職業を持ちながらでも学習できる家庭教育学級や講座の開設、あるいは、近隣の母親たちが子育てについての経験や情報を交換し合ういわゆる「新井戸端会議」などの事業を各地域で開催するよう市町村に働きかけているところでございます。一方、県が直接各家庭に家庭教育に関する学習情報を提供したり、また、子供の教育問題について電話などで相談できる触れ合いテレホンや健やか広場子育て相談を県総合社会教育センターに開設いたしまして親の子育てを支援しているところでございます。そして次に、地域における青少年を直接対象とした対策といたしまして、地域社会の大人が自主的にボランティアとして行います、子供会、ボーイスカウト、ガールスカウトなど社会教育関係団体の行う健全育成活動がございますが、県や市町村はこの活動にその活性化を願い助成しているところでございます。また、市町村が青少年の地域活動として行いますふるさと運動、仲間づくり等々いろんな事業がございますが、これも大変極めて有効な健全育成方策となっているのでございます。子供たちの健全育成は今日大変大きな課題となってございまして、行政の各分野が一層連携を密にしまして、一人一人の子供たちが心豊かにたくましく育つように努めてまいる所存でございます。  次に、教育行政についての三点にわたる質問にお答えいたします。まず第一点でございますが、生涯学習社会における高齢者教育や、職業を持っている一般成人の教育をどのような方向で進めていくかということでございます。まず高齢者教育の方向でございますけれども、長寿社会を迎えまして、高齢期に達した方々がいかに充実した生活を送るかは大変切実な問題でございます。高齢期におきましてなぜ学習が必要かという場合に、ややもすると、社会の急激な変化に対応していくために必要であるとか、あるいは老後の長い時間の過ごし方の一つとして必要であると受けとめられがちでございますけども、それだけではないと思うわけでございまして、高齢者も社会の重要な構成員として、みずからもまた地域づくりに参加しているという明確な意識を持って生きるために学習が必要なのであると考えてございます。このため県の教育委員会といたしましては、学習と社会参加による生きがいの創造を目的に、高齢者の多様な学習要‐求にも十分こたえられるような学習の場としてあすなろ尚学院を今年新規に開設いたしました。この学院は、県総合社会教育センターを本校といたしまして、県内各地に地区校を置くいわゆる高齢者のための大学院でございまして、これを終えた方は地域づくりに積極的に参加し、時には県や地域の指導者として活躍することが期待されているものでございます。これからの生涯学習社会における高齢者教育の方向といたしましては、生涯現役の考え方に立ちましての積極的な学習がより重視されてくると思われますので、今後とも、学習機会・内容・方法などを十分研究しながら施策を進めてまいりたいと考えております。次に、職業を持つ一般成人に対する学習の今後の方向としまして企業内教育について申し上げたいと存じます。企業みずからが従業員を対象に社会教育講座を開くということば、本県におきましても特に誘致企業において先駆けとして見られるようになってまいりました。中高年の男性や就労婦人の社会教育が低調な原因の一つとしまして、就労と学習が両立できる状況になっていないというところにあると考えられます。しかし、企業が人材育成の一環として学習の機会をみずから設けることによりまして一般成人の社会教育は飛躍的に充実すると思うわけでございます。この実例といたしまして、昭和六十三年度に、上野議員の地元でございます名川町が地元の企業と共催いたしまして先導的試行として行いました企業内社会教育講座に、私ども県の教育委員会は積極的に講師を派遣いたしまして支援したところでございます。今後とも、企業内で社会教育を進めてみたいという希望がある場合は、市町村教育委員と緊密な連携をとりながら講座の開設に必要な情報とかノーハウとかを提供するほかに、講師、助言者、指導者等の人材を県が費用を負担して直接派遣することも引き続き行いこの方策を促進してまいりたいと考えてございます。  御質問の第二点は、幼稚園、小学校の一貫教育が強く叫ばれ、生活科が小学校に新設されたということで、その指導はどのように進めているのかという御質問でございます。幼稚園は、このたびの教育要領の改定によりまして、幼児が、発達に必要なさまざまな体験を得て幼児期に必要な心情とか意欲とか態度を養うことを目指しているところでございます。また、小学校教育は、議員お話しのとおり低学年に、社会、理科にかわりまして新しく生活科が設けられることになったわけでございますが、この生活科のねらいは、幼稚園教育と同様に直接体験を重視した学習活動を展開いたしまして、意欲的に学習や生活ができるようにさせるとともに生活上必要な習慣とか技能を身につけさせることにあるわけでございます。これは、幼稚園と小学校の連携の必要から幼稚園教育と小学校教育とのつながりを強めようとした計らいでございます。県の教育委員会といたしましては、幼稚園と小学校との望ましい連携のあり方につきまして、幼稚園と小学校の研究指定校の協力を得まして、現在教育課程とか指導方法等の研究を進めているところでございます。また生活科につきましては、これは平成四年度から新しい教科として発足することになりますので、これに備えまして生活科の進め方の手引書を全部の小学校に配布したり、教育課程講習会でその趣旨、内容の徹底を図ったり、また県の教育センターで生活科教育講座を開設するなどによりまして、教師が自信を持って生活科の指導に当たれるよう現在対策を講じているところでございます。  最後の御質問は情報処理教育の推進についてでございますが、まず本県の情報処理教育の現状についてでございます。新しい学習指導要領では小学校の段階から積極的に情報化への対応が求められておりまして、小学校ではコンピューターになれ親しませることを基本としており、中学校におきましてはその利用を通して基礎的な情報活用能力の育成を図ることとしてございます。また高等学校ではさらに高い情報活用能力の育成を図ることとしており、特に職業関係の学科では、情報に関する専門的な科目を設け、より深く学習することになっておるわけでございます。ところで、本県の情報処理教育の現状は、小学校、中学校はその過渡期でございましてまだ十分に普及されてございませんが、高等学校教育におきましては、工業高校、商業高校では情報処理科、情報技術科などを初め、一般の商業科におきましてもかなり高度な内容の教育が行われておりますほかに、農業高校、水産高校におきましても、コンピューターを導入し、それぞれの学科の教育内容に応じたコンピューター活用の教育が行われてございます。先般新しくつくりました八戸水産高校の青森丸は、情報処理機器をふんだんに取り入れました、いわば他県に類例のないハイテク船と言われておりますが、現在この機器を駆使して生徒の実習が現実に行われているところでございます。また普通高校におきましても、就職者の多い高校にパソコン、ワープロを導入いたしまして職業教育の一環として情報処理教育が進められておりますほかに、理科とか数学の授業でもこの教育が進められているわけでございます。また、現在、県の教育庁の情報処理担当課と県の情報処理教育センターとが共同で行政機関間の光ファイバーによる情報ネットワークを研究しておりましたが、いよいよ今月十六日に行政機関同士のネットワークが始動することになったわけでございます。これは、追って、各高等学校、あるいは各高校間の光ファイバーによるネットワークまで発展するその基礎となるものでございまして、これが実現すれば全国でも初めてのことになります。この面において本県は先進県となるものと思われるのでございます。  終わりに、情報処理教育の機器やソフトウェアの整備、教員の研修の充実についての御質問でございます。本県の学校におけるコンピューター機器の整備状況でございますが、平成二年三月三十一日現在、公立の小学校ではまだ九・一%、中学校では三二・七%──台数の違いはございます。高等学校では九八・六%でございまして、年々整備されてございます。特に高等学校の工業、商業等の職業高校学科へのコンピューター導入は早く、昭和五十三年度から行って現在までに至っているところでございます。今後の整備につきましては、県立学校につきましては、職業高校、普通高校、特殊学校ともさらに計画的に整備することとしておりまして、小中学校につきましては、整備促進が学習指導要領の実施に間に合うよう市町村を指導しているところでございます。学習指導ソフトウェア等の整備につきましては、県の教育センターと先ほどの県の情報処理教育センターが中心になって現在開発研究を進めておりまして、学校にソフトウェアの利用提供をしているところでございます。  最後の教員研修につきましては、文部省主催の研修に毎年教員を派遣いたしまして、その受講者を講師に、昭和六十三年度から逐次本格的に県内教員を対象に講習会を実施してございまして、小・中・高校含めまして毎年約一千名の教員が県情報処理教育センターにおきまして受講してございます。また、特に高等学校の職業関係学科におきましては、教員を民間企業へ派遣いたしまして、指導者としてより深く専門性を高めるための研修も行ってございます。さらに、各市町村教育委員会でも自主的に、中学校教員を対象に行う講習会を十市町村で行っておるわけでございまして、平成五年の中学校新学習指導要領の実施に対応しているところでございます。今後とも、機器の整備、研修、並びに教育内容・方法の改善充実を図りながら本県の情報処理教育の推進に努力してまいる所存でございます。以上でございます。 16 ◯議長(工藤省三君) 上野君。 17 ◯十五番(上野正蔵君) 知事初め教育長、部長さん方、大変懇切丁寧、しかも高度なる御答弁をいただいてまことにありがとうございます。先ほどの教育長の先進県という言葉が非常に気に入ったわけでありますが、すべての面で青森県が先進県と言われるような一つの大きな──今まさに青森県がテークオフをしようとしてると言っておったわけでありますから、その方向に向かっていくことを強く御期待申し上げ、要望したいのであります。  再質問はございませんけれども、最後にちょっと御意見を申し上げ終わりたいと思います。まず、原子燃料サイクル問題についてのいろいろな御答弁があったわけであります。私もちょっと不勉強であったもんですから、原点を振り返った形での質問をいたしましたが、しかし、不勉強でありながらも私はこれを気にしている一人であります。ましてや県民には、何一つわからぬ人たちがたくさんいるということをあえて訴えたわけであります。もっと具体的にわかりやすいような県政をこれから進めていただきたいということであります。  さらに、先ほど知事答弁の中で、誤解された点があったのかなと私が思ったのは、私のは、むつ小川原開発の中での企業立地で六ヶ所村に目に見えるのがないという意味でございますから、活性化のために県内各地に企業誘致をすることについては一切触れておりませんので、その辺は誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。  なお、少子化問題でございますけれども、先ほど部長は夜間保育のあり方ということを申されました。確かに、勤労婦人のための今の夜間保育所というのは、無認可の施設があって、そこで辛うじてやっているのが現状であります。今はドーナツ現象を来し保育園児が不足してるときでもありますから、これからの保育問題には、公立の面でもそういう角度からもっと具体的なこととして前向きに取り組んでいただきたい、こう思うわけであります。  「新井戸端会議」という言葉等、いろいろ新しい感覚できょうの御答弁をいただいたわけでありますから、いよいよ青森県もこれから大きく膨らんでいくであろう、こう期待するわけであります。ただ、むつ小川原開発を初めとする青森県のプロジェクトを進めるに当たって、そしてまた、この少子化問題は今始まったものではありませんけれども、短時間で解決する問題ではありません。それこそ大きな問題があります。女性問題、婦人問題、そういうことも絡めて、いろんな総合的な角度でこれを長期的に計画していかなければ解決していかないものだ、こう思うわけでありますので、これらには早速に取り組んでいただけるように特に御希望申し上げたいのであります。  農政は、米とともに乳製品の自由化阻止、我が県はこれに一貫して進んでいただきたいということであります。  教育問題はいろいろございます。しかし、最近私どもがよく耳にすることに、青森県民性という──いい面で言われればいいんですけれども、中には悪い面の形を何かしら青森県民性と、その言葉を耳にして私は腹が立つ場合があるわけであります。例えば今の原子燃料サイクルの問題にしたって、県民の中には、その施設がそんなに安全ならば東京でもいいじゃないか、大阪でもいいじゃないか、という言い方を今もって私たちに会えば言う人もおります。そして、その中に、じゃその施設の関係者がそこに来てみずから住んでみて、安全だということをはっきりさせなさいよ、ということを言う人もございます。原発ができてはや二十五年たつわけでありますが、私どもはその恩典も受けております。今日の発展もそこであります。しかし、我が日本のように非常に無資源の国とすれば、今の中東問題初めいろんな問題が起こるたびにまた、値上げしたのはどうしてか、と私どもはすぐ自分のことを先に立てて言うことが多いわけでありますが、我々が今改めて考えてみたいのは、原発にしても、原子燃料サイクルでも、働く人たちが全国に四万数千人──約五万人もいると言われております。しかし、私どもは科学を信頼しないでいいのかということを、私自身も含めて反省しながらこれから進まなきゃならぬだろう、こう思うわけで、それは、そこに働いているあの科学者、彼らにも家族があります。かわいい子供も奥さんもおります。その人たちは、そこで営々として働きながら、そして自分の科学を信じながらさらに研究に研究を重ねて、そしてより安全性を求めながら現実に働いている。そこにいる人たちも我々と同じ人間であるということを考えるならば、私どもは、何事を進めるに当たってもこれからは人と人との信頼を持って進めていかなければできないのではないか、私はそういうことを常に自分に対して言い聞かせている一人であります。  きのう──平成二年十月三日、今まさに統一ドイツがそこにできたわけであります。私どもは世界の中の一員として、今や本当に心から皆さんとともにこれを喜んであげなけりゃならぬときだ、こう思うわけであります。どうぞこのドイツに、これからの我が日本に対する、そして、これから青森県は独自に海外に道を切り開いていこうとするときでありますから、国際的感覚の中で、我が青森県民を代表して知事からも祝意をあらわすのもいいのではないか、ということをあえて申し上げたいわけであります。  きょうの御答弁によって、青森県のいよいよ大いなる発展を心から御祈念申し上げて一般質問、再質問を終わります。どうもありがとうございました。 18 ◯議長(工藤省三君) 午さんのため暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩        ───────────────────────────────── 午後一時十六分再開 19 ◯副議長(山内和夫君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。五十一番鳥谷部孝志君の登壇を許可いたします。──鳥谷部君。  〔五十一番(鳥谷部孝志君)登壇〕 20 ◯五十一番(鳥谷部孝志君) 社会党の鳥谷部でございます。我が党の最後の質問になりました。私にとっては知事と議員とのおつき合いは二十年になりますが、残り少ない在任期間中最後の一般質問になるかもしれないと考え、御通告の順序に従って質問をします。  ベルリンの壁崩壊後わずか一年足らずで昨日東西両ドイツが統一し、ヨーロッパにおける冷戦対立構造に完全な終止符が打たれ、ECの統合を目指す新しいヨーロッパの出発点となりました。一方、ソ連ゴルバチョフ大統領の訪日が来春に決まり、去る九月二十四日の自民、社会両党の訪朝団により、長い間国交のなかった朝鮮民主主義人民共和国との国交樹立の道が開かれようとしていることは、東アジアにもヨーロッパと同様に平和共存の道が築かれようとしていることで、これらの国々と地理的に近い本県にとっても喜ばしいことであり、今後このような国際化の流れの中で、内外の広い視野に立った県政の施策運営が望まれるのは当然のことでありましょう。  以下、具体的質問に入ります。まず質問の第一点は、北村県政の評価と四選出馬について伺います。知事就任以来十二年、副知事在任期間を合わせますと二十四年の長い間県政のトップの座にありました。かっては一昔十年と言われてきましたが、最近の目覚ましい技術革新、情報化、国際化等の変化の激しい時代にあっては、過去の倍、三倍にも匹敵する時間的長さでございます。この間政府の国土政策も、全総計画から新全総計画へ、さらに現在の四全総計画、すなわち過密過疎の解消のため国土の均衡ある発展を目指す定住構想へと変わってきましたが、地方の過疎化、東京圏への一極集中はますます進み、第一次、第二次のオイルショックから、省エネ、技術革新によって立ち直った我が国経済は、地価の暴騰、キャピタルゲインによる資産・所得格差を生み、イザナギ景気に迫る好景気の中で、ドル保有高、海外投資額は世界一となり、ついに日米貿易摩擦は頂点に達し、日米構造協議に見られるように、貿易不均衡是正のため今後十年間に四百三十兆円の公共投資が決められたのでございます。以上、この二十年間の国土政策、国内経済の変化の速さをごくかいつまんで述べたのですが、振り返ってみて、この間県政はどのように変わったのかということでございます。この二十年は、私が議員になってから今日までの歳月の長さでもございます。知事にこの間の業績を問う前に、私自身、県勢の発展や県民の生活、福祉の向上のために一体何をやってきたのかを省みて内心じくじたるものを感じざるを得ません。それは、この間、次に述べる県政の重要課題について数少ない社会党議員として取り組まざるを得なかったからでございます。まずその第一はむつ小川原開発の問題であります。昭和四十六年、六ヶ所村一村をのみ込む巨大開発構想に、賛成、反対をめぐり村は二分され、ようやく決定された第一次開発計画はドルショック、オイルショックにより計画が見直され、昭和五十年に現在の第二次基本計画が策定されたのでありますが、この計画の実現性や、用地買収、漁業補償等をめぐる問題等、県議会はこの間開発問題に論議が集中、県庁もまたむつ小川原株式会社の出先機関との様相を呈し、争われ、現在も核燃サイクルの立地をめぐり計画の見直し論議が続け」られているのであります。二つ目の問題は原船「むつ」問題であります。特に昭和四十九年に陸奥湾漁民の反対を押し切り強行出港後、放射線漏れ事故を起こし五十日間漂流、大湊港母港撤去を含む四者協定によって帰港、その後佐世保における修理後、昭和五十七年の大湊港受け入れに当たって関根浜に母港を建設する五者協定問題等、この間、特に昭和五十九年の予算編成前に起きた自民党科学技術部会で決定された廃船問題は政府・与党の中で政治問題化し、関根浜母港建設をめぐる問題、漁協の対立等、そして、ようやく昭和六十三年関根浜回航後、燃料棒腐食問題等、出力上昇試験、そして現在の事故・トラブル続きの海洋試験へとつながり、現在に至っているわけであります。この間における次の県政の課題は新幹線問題でございました。青函トンネル着工─完成の経緯からいって、当然国の責任において盛岡以北青森まで通すべきにもかかわらず、政争の具とされ、県民は政治的に再三だまされ利用され、税金のむだ遣いの最たる陳情合戦が繰り返され、着工のめども立たないままこれまた現在に至ってるのであります。次に、昭和五十九年、むつ小川原開発計画の失敗により、世界にも例のない、しかも技術、安全性の確立されていない民間の核燃サイクル施設の立地要請を受け、受け入れ、建設をめぐって激しく現在も争われ、県論が大きく分かれたまま現在に至ってるわけであります。このほか、沖縄に次いで軍事基地を持つ三沢基地、重力ミサイル基地問題、相次ぐ航空機事故、F16配備、騒音、NLP問題等、以上が県政の重要課題とされ、行政、議会の我々も、この二十年間ただただ国の政治、国策に振り回され、莫大な県費と人、エネルギーを費やしながら、現在に至っても何一つ解決していないのであります。もしこのような問題が本県になかったとするならば、本県行政はもっと別な形で飛躍し、産業、経済、教育、文化等県民の生活に密着した行政が続けられてきただろうと考えるとき、この二十年間一体何をやってきたのかを振り返り極めて残念でならないのであります。今、その結果行政がどうなったか、知事就任前の昭和五十三年と昭和六十三年の十年間で行政水準がどのように変わったかを県の資料により他県と比べてみますと、一人当たり県民所得は全国四十六位と十年前と同じで、一人当たりの民力の水準は四十四位から四十五位に下がり、乳児死亡率は四十五位から四十四位に、平均寿命は、男子は四十七位と変わらず、女子は三十五位から四十六位に下がり、出稼ぎ率は相変わらず全国一位、大学進学率は十年前と同じ四十六位と変わらず、高校進学率だけが四十六位から二十四位になっていますが、あとは十年前と順位がほぼ同じでございます。しかも、農業県でありながら自主流通米比率は低く、牛肉の自由化を目前にして全国に通用するブランド品すらないのが現状であります。以上が、主な項目により客観的に見た県政十二年間の実績であろうと私は思います。以上指摘しましたように、知事就任以来いまだに後進県から脱却できない行政水準のおくれ、停滞について、その原因をどのように受けとめているのかをまずお伺いします。  次に、知事は四選出馬の決意を固め意思表示を行っていますが、在職十二年の県政を顧みてどのように評価をし、また反省をされているのかもあわせてお伺いいたします。  次に、私の北村県政評価の中で、反県民的重大な過ちは核燃サイクル施設を受け入れたことでございます。このことによりむつ小川原開発地域が原子力開発に一転したにもかかわらず、いまだにその事実を覆い隠そうとし、核燃サイクル施設、特に再処理によって生み出される高レベル廃棄物の処理処分の方法は世界的にいまだ未確立であり、プルトニウムサイクルに至っては、燃焼度の高い軽水炉使用済み燃料の再処理はもちろん、プルトニウムを増殖する高速増殖炉すら技術的経済性からいっても全く見通しがないにもかかわらず、それをあたかも完成しているかのように国や事業者の受け売りをして事業に協力していることは許しがたいことであります。チェルノブイリの悲惨な事故の例を出すまでもなく、この種施設は絶対安全とは言えないのであり、仮に、一度大きな事故を起こした場合には人命、環境に与える影響は大きく、また、我々の世代だけでなく子々孫々にまで放射能の脅威の中での生活を強いる結果になるのであります。これは明らかに、地方自治の目的であります住民の安全、福祉の増進を守ろうとしなければならない知事の基本的任務の放棄につながると思うからでございます。この点についてまず知事の所見を伺います。あわせて、北海道の横路知事が、幌延の高レベル廃棄物貯蔵工学センターの立地要請に道民の立場に立ち受け入れ拒否の態度をとっていることについて、知事はどのような見解を持っているかもこの際お伺いします。  核燃に関連し、今まで多くの議員から質問がございましたが、今差し迫った問題は、原燃産業に許可をおろすと言われております、現在国が第二次審査中の低レベル貯蔵施設にかかわる地下水の問題でございます。この問題については以前にも指摘をしてまいりましたが、核廃棄物を地下に貯蔵、埋設する場合、環境への漏えいを遮断するために放射能を地下水からどう遮断するかが極めて重要でございます。地下埋設の国際的常識である条件は、乾燥地帯であること、雨量が少ないこと、地下水位が低く透水性が低いこと、川、湖、海から遠いほどよく、地殻変動のないことなどでございます。六ヶ所の場合そのいずれにも抵触する不適地でございます。特に地下水の問題については、知事が受け入れの根拠とした専門家会議の報告書でも、地下水の低い通気層に貯蔵施設をつくるよう図面で示して人工バリアと天然バリアの多重防護を強調していますが、原燃産業が国の指摘により補正申請で幾ら鷹架層を掘り下げ施設をペントナイトで覆おうが、地下水位が高く、周囲の地質、地盤の透水性が高いことに変わりはなく、多重防護の精神、天然バリアを無視したもので不適地であり、遠い将来必ず放射能が漏えいし環境に影響を与えることは明らかでございます。知事の所見を伺うとともに、地域住民の安全を守るため、審査中の原子力安全委員会に許可をしないよう異議の申し立てをすべきであろうと考えます。  次に、県政の評価に関連して原子力船「むつ」について簡単に伺います。「むつ」は今や、実験船としての目的はもちろん、相次ぐトラブル、故障によって試験の価値さえ全くなくなり、これ以上洋上テストを続けてもどういうトラブルが起きるかわからない状態でございます。昭和四十九年に原子力船「むつ」が放射線漏れ事故を起こして以来今日まで「金食い虫」「政治船」と言われてきましたが、先ほど触れたように、その一端の責任が知事にあることは明らかでございます。それは、昭和五十九年に自民党科学技術部会で廃船の決定を打ち出したときに、関根浜に母港移転を決めた五者協定を守れと政府・自民党に強く要請、「むつ」の延命に手をかし、その際青森県は、「むつ」をおとりにまた金をむしり取ろうとしているたかりの思想だと中央から批判され、知事がそれに弁明をしたことは御承知のとおりであります。あのときもし知事が毅然として廃船に同意をしていたならば、それ以降のむだ遣いをすることもなかったでしょうし、今日のあの哀れな状態の「むつ」もなかったはずでございます。私は、そういう意味で、出力上昇試験以来十二回に及ぶトラブル・事故続きの現状を踏まえ、もう実験中止の要請を──母港を引き受けた知事の立場で国に中止を要請すべきではないか、この点について知事の所見を伺うと同時に、昭和四十三年に、国策であり地域発展の起爆剤になるとして大湊港に定係港を受け入れてから二十年以上たちましたが、「むつ」は青森県政に一体何をもたらしたのかを考えるときに、ただただ国策に振り回され、行政だけでなく関係漁民にまで迷惑をかけ、廃船の後始末まで強いられる結果どなりました。かかる結果になったことに対し、国策である「むつ」とのかかわり合いについてどのような所感を持ち反省をしているのかお伺いいたします。  この項の最後に知事に伺いますが、それは四選出馬問題であります。私は、知事十二年の実績の評価からいって出馬すべきではないと思いますけれども、それは強制すべき問題でもないと考えます。先日の議会での、「個人としては出馬の意思はある。しかし、自民党に所属しており、党の推薦を受け、その調整に従う」こういう御答弁についてはわかりましたが、私が伺いたいのは、従来二回とも、自民党県連の強い要請を受けもっと早い時期に正式に出馬表明を行ってきたにもかかわらず、今回は自民党から出馬要請もなく、八月六日、待ち切れなかったようにみずから個人的に出馬の意思を明らかにし、八月三十日、知事の方から県連に推薦要請を行ったことについてまず知事の心境を伺います。あわせて、この時期に至るまで自民党県連から出馬の要請がされなかったその理由を一体どのように受けとめておられるのか、この点もひとつ率直にお答えいただきたいと思います。  次に、歴史教育、現代史の重要性について教育長に伺います。去る五月二十四日、韓国の盧泰愚大統領の訪日をめぐって、過去の植民地支配に対する天皇の謝罪のお言葉の内容がどうなるのか、日韓両国民、とりわけ、植民地時代に母国語を禁じられ、母国での名前を改正、日本名を強要されるなど皇民化教育を押しつけられ、天皇の名のもとに徴兵、徴用、強行連行され、戦後処理が行われていない韓国民にとっては重要な関心事であったのは当然のことでございます。宮中における歓迎宴で天皇が日本の加害者としての主体性を明らかにし謝罪したことで、一応両国の新しい関係の出発点となったのでありますが、盧泰愚大統領は答礼のあいさつの中で次のように述べています。「歴史の真実は消されたり忘れられたりすることはありませんが、韓国国民はいつまでも過去に束縛されていることはできません」と述べています。また、去る九月に北京アジア大会に出席し江沢民総書記と会談した際、「過去の不幸な事件について、我々の世代は次の世代に正しく伝えなければならない。大多数の日本の方々はこのことを理解しているが、一部の方はそうでないので、このことが次の世代の者の考え方に影響するのではないかと心配している」として、イラク侵略で国内で起きている憲法改正論議や自衛隊海外派兵について、軍事大国化することへの懸念を表明しているのであります。私は、最近の事実に基づいて中韓両国指導者の言葉を引用しましたが、その他、かって日本軍国主義によって侵略を受けたアジアの国々においては当然、被害者の立場から歴史を教えられ、語り継がれているのであります。我が国の場合は戦後から今日に至るまで加害者としての戦争責任をあいまいなままにしてきたため、いまだに、憲法を否定する再軍備論や教科書検定問題、靖国神社公式参拝問題等を引き起こし、その都度韓国、中国、アジアの国々から批判を浴び、政府指導者層の歴史認識に対する姿勢が問題になってきたことは御承知のとおりでありますが、この内容については省略いたします。ただ、同じ過ちを犯した西ドイツの場合、ワイッゼッカー大統領の有名な言葉に、「いかに痛みを伴う事柄であれ、過去の歴史を正確に見詰めることができなければ将来への正しい道を開くことはできない。過去に盲目である者は現在にも盲目になる」として為政者みずからその政治姿勢を明らかにし、ナチズムに対する徹底した自国批判の立場から国民への教育を行っているのであります。ここに、過去の歴史教育がその国の将来にとっていかに大切であるか、両国の大きな認識の違いを感じざるを得ません。盧泰愚大統領離日直後に記者の質問に答えた海部総理の「歴史教育を徹底する」との表明を受け、文部省は、教科書の記述内容についての論争再燃を恐れてか、直ちに、新学習指導要領の全国説明会の中で改めて日韓の歴史を授業するよう指導を始めたのですが、問題は、教科書が事柄の羅列ではなく正しい歴史観の中で記述されているのかどうか、また、戦争を知らない教師が正しい歴史認識を持っているかが重要であると考えます。「教科書検定は憲法違反」として今なお訴えている第三次教科書控訴審の中で、家永三郎教授は一審判決を批判し、「教科書検定が続けられ、教育を通して国民統制が今なお存続していることはまことに遺憾であり、一審判決は検定の持つ重要な歴史的役割を正視していない」と指摘しているのであります。ある新聞に、女子高校で教師が三十四人の生徒に「銃後」の意味を尋ねたところ、正しく答えた者は一人、さすが「千人針」については五三%が知っていたが、さきの戦争で日本が敵国として戦った国、また同盟国はとの問いに正解者はわずか三名、太平洋戦争の開始年を正しく答えた者はゼロで、十二月八日を覚えていた生徒は二人であった、との記事が戦っていましたが、我々にとっては考えられないことであり、今や戦後生まれは六割と言われ、いかに戦争を知らぬ人が多くなっているか改めて痛感しているわけであります。今、国際化時代を迎え、海外への旅行、人と人との交流が激しくなっている中で、正しい歴史観を持っていなければ、ともすれば経済大国意識がかってのような間違った大国意識にとらわれやすい危険性があるのであります。ますます深まる国際交流を通し、国際的に通用し尊敬される日本人を育てるためにも、指導者の謝罪も大事ですが、その謝罪の重荷をどう次の世代に伝えていくかが今問われているのであり、その意味でも近現代史教育を大事にすることが必要だろうと考えます。そこで教育長に伺います。一つ、国際化時代を迎え、歴史教育、特に近現代史教育の重要性について教育の責任者としての見解をまず伺いたい。第二点は、高等学校においては社会の地理、世界史、日本史は選択科目とされ、日本史も、履修単位・時間配分から古代・中世史までで近現代史までは教育されていないようでありますが、本県における近現代史教育の現状はどうなっているのかをお伺いいたします。最後に、文部省は近現代史教育の重要性を改めて認め、十分取り上げるよう指導していくとしていますが、本県教育の中で今後どう指導、教育していくのかの点をお伺いします。  最後に、日本海国土軸の形成と沿岸諸国との交流について簡単に伺います。この問題については、二年前の十二月議会で、国際化時代を迎え、本県の置かれている地理的条件、また、かって日本海が大陸との海路であり日本海文化として繁栄した例を取り上げ、本県の発展のために日本海沿岸諸国との交流を目指す必要があると提言し答弁を求めたのですが、知事は肯定的に答え、今年度予算の中で国際交流室を設置、国際交流協会を設立、ソ連との交流に前向きに取り組もうとしていることについては評価すべきであろうと考え、賛意を表するものであります。質問のテーマを「日本海国土軸の形成を」としたのは、ある雑誌に、要約しますと「太平洋メガロポリス、すなわち第一国土軸に対し今第二国土軸設定の動きがあり、それはそれで結構だが、日本海は日本だけの海ではなく、ソ連の海、中国の海、南北朝鮮の海なのである。黒潮から分かれて北上する対馬暖流こそ日本海を横に結びつけてきた共同体のきずななのであり、海の高速道である。日本海国土軸の設定こそ日本海の人々の千年の願いなのである」という内容で、日本海沿岸諸国との交流という私の考え方より、これからの国際化時代に向けたすばらしい気宇広大な発想だと考え借用したのでございます。余談はさておき、日ソ交流についてはさすが経済人の取り組みは早く、沿海州視察の際、極東海外経済協会との間で十二項目に及ぶ覚書の交換、五月に青森県日ソ交流協会を設立、また八月には青森日ソ交易株式会社を設立発足、九月下旬には覚書に基づき中古車百五十台の輸出を行い、去る十月一日には、日ソ交流協会としてハバロフスク、ウラジオストク、イルクーツクに調査団を派遣するなど、また、民間側は日ソ交流の必要性を痛感、今すぐもうからなくとも、人の交流や文化、医学等の交流を通じ貿易の将来性を追求していきたい、として取り組んでいるのであります。それに比べどうも行政の対応はおくれているように思えてなりません。ソ連のゴルバチョフ大統領の来日を機にさらに両国の交流が深まり、北朝鮮との国交樹立も早まりそうであります。北海道、新潟の例をとるまでもなく、行政は時代を先取りし、これらの国々との交流を促進し、情報の提供、連絡の窓口になることであると考えます。したがって次の三点について伺います。第一点は、現在まで日ソ交流についてどのように取り組んできたのか、第二点は、去る八月に東京で行われた日ソ知事会議に谷川副知事が出席したようでありますが、会議の主な内容、他県の動き等について副知事の所感をお伺いします。最後に、本県発展のために日本海沿岸諸国との交流を今後どう進めていくのか、また、国際交流室の役割についてもお伺いして壇上からの質問を終わります。 21 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 22 ◯知事(北村正哉君) 鳥谷部議員にお答えをいたします。  最初の質問は、私の次期知事選出馬、つまり四選との関連で述べられたわけであります。行政水準のおくれと県政停滞の原因をどう受けとめてるか、在職十二年の県政をどのように評価してるかと、まあ自分で自分を評価するのは容易じゃないんでありますが、要約して申し上げてみたいと思います。私が知事に就任して十二年目になるわけでありますが、県政の運営に当たりましては、県民福祉の向上を第一義として、農林水産業を初めとする地域産業の高付加価値化、あるいは多角的企業の誘致等によって、産業振興、社会福祉の充実、居住環境の改善など新しい青森県の建設を目指していろんな施策を進めてきたわけであります。とりわけ県政運営の基本として位置づけてきたのは、何遍も申し上げてまいりましたが、本県の産業構造の高度化に関して深く関心を寄せてきたわけであります。結果的には、青森地域テクノポリス開発、むつ小川原開発、八戸地域頭脳集積の計画、あるいは、申し上げましたように県勢発展上重要、緊要なプロジェクトが逐次進展している、こう私は見ているわけであります。また、東北縦貫自動車道であるとか──特に弘前線と八戸線、新青森空港の開港、青函トンネルの開通、こういった高速交通体系の整備等から見てもそこには一定の前進、成果があったのではないか、実現してるということは一つの成果であろうと思うわけであります。しかしながら、御指摘をいただきましたように、本県の行政水準を国内における他の都道府県と比べてみる場合、県民所得においても格差が解消されない面もあり、いろんな点で見劣りがしてることは、これは前から、まあ歴史的にとは申し上げませんが、本県のたどってきた長い足取りの中でずうっと続いてきてる現象でありまして、残念ながらそれが改善向上していないんだ、他県と並ぶほどにはなってないんだという事実があるわけでありまして、この事実は事実として厳粛に受けとめなければならないと思っております。この十二年間行政水準が向上していない、県政が停滞しているという趣旨の御発言でありましたが、私としては、県民各界各層の御理解、御支援のもとにいろんなことを進めてきたところでもあり、おかげさまで県民の御支援の結果でありますが、県民生活あるいは社会経済の伸展に応じてそれなりの向上はしてる、向上は見られた、この点は相当程度の評価がいただけるんじゃないのかなあというふうに感じてるところであります。なおまた、これまでの県政全般に対する評価につきましては、これは私から申し上げることはどうも当を得ないことだと思うんでありまして、県民の皆様方の評価にゆだねることが適当であろうと思ってるところであります。  それから、核燃サイクル施設の受け入れにつきまして、絶対安全とは言えないんだ、後代にわたって危ないんだ、子々孫々まで脅威にさらされるんだ、これは明らかに、地方自治の目的である住民の安全、健康と福祉の増進を図る、すなわち知事の基本的任務の放棄につながるものであると思うが、知事はどう思うか、こういうことでございました。原燃サイクル事業につきましては、何遍も申し上げてまいりましたように、安全性の確保が第一であることはこれまで申し上げたところであります。運転管理が絶対安全とは言えず、しかも、大きな事故が起きた場合には人命、環境に与える影響が大きく、我々の世代だけでなくて子孫に至るまで放射線の脅威の中での生活を強いられることになる、こういう御意見でありますが、この事業の安全性については、基本的には、事業者の努力と、施設の建設前、建設時、操業時の各段階において国がその責任において行う厳正な安全規制によりその確保が図られていくものと考えております。具体的に例を挙げれば、原子燃料サイクル施設はそれぞれの特徴に応じた多重防護の考え方に立って進められているわけでして、さらにまた高度な技術に習熟している運転管理員によって操作されているものであります。その上、システム設計は間違いを起こしにくいよう設計されるとともに、それでもなお誤操作などによって異常な状態に置かれた場合であっても安全上問題がないように措置され、また、仮に事故が発生したとしても周辺公衆に影響がないような仕組み、設計になっている、私はそう説明を受け、そのように思っております。このように原子燃料サイクル施設の安全性は、二重にも三重にも安全側に万全を期していることから十分確保できるものと私は考えております。この設計思想は住民の安全、健康を守ることを根幹にしているものであり、県としてもさらに県の立場で、放射線監視であるとか、またいずれ締結されるであろう安全協定であるとか、これらに基づく権利行使あるいは地域振興策を通じて対応してまいる考え方であります。こういうことで、地方自治の目的である住民の安全、健康と福祉の増進を図るという理念にこのことはもとるものではない、まあ私の考え方を率直に申し上げれば、そのことのために協力姿勢を──そのこととは、住民の安全、健康・福祉増進、こういったことにかなうようにという立場から協力姿勢をとっているものであります。  それから、北海道における幌延の貯蔵工学センターについての横路知事の発言をどう思うか、こういうこともございました。八月の二十三日に横路北海道知事が大島科技庁長官に対して、動力炉・核燃料開発事業団が幌延町に計画している貯蔵工学センターの白紙撤回を申し入れた。このことについては報道もあったんでありまして、その報道によって承知しているところでありますが、私としましては横路知事の真意を直接聞いていないわけでありますし、その考え方についてこういった席で所感を述べるという立場ではないと思っております。ただ、貯蔵工学センターなるものは、高レベル放射性廃棄物の最終処分のための研究開発を進める上で重要な役割を果たすものと考えており、大事な施設だと思っております。  その次が、低レベル放射性廃棄物貯蔵センターについて、安全でないから反対の申し立てをしろ、こういうことでございました。このものの安全性につきましては、公開ヒアリングもあったわけであり、また今まで事業者から直接の説明も受けました。それに対する国の見解も受けました。それらを受けて、安全性を確保し得るという考え方のもとに、せっかくの御提言ではありますが、反対だからこれをやめてくれという申し立てをする考え方は私にはございません。その安全性をどういうことで確認していけるのかという中身につきましては、むつ小川原開発室長の方からその辺の消息について申し上げさせていただきます。  原子力船「むつ」について述べられました。トラブルが大変多い、今後もトラブルが起こるであろう、「むつ」の廃船論が出た場合に知事が黙っていればこうならなかったはずだ、また、「むつ」の研究開発の目的あるいは意義も失われており、実験中止を国に要請すべきだと考えるがどうか、こういうお尋ねでございました。原子力船「むつ」の研究開発は、国におきまして、世界有数の造船・海運国である我が国が、将来必要が生じた時点で適切な対応ができる程度にまで原子力船に関する技術、知見、経験等のデータの蓄積、涵養を図る必要があるんだ、こういう観点から進めているところと承っております。県としても、民生安定上支障がない限り国の施策に協力していくという基本的考え方に基づきまして今日まで協力をしてきたわけであります。このように「むつ」の研究開発は、将来を考えた場合必要だという判断から国において進められてきたものであり、これまでの洋上試験等における何回かのトラブルにつきましても、原子炉本体にかかわるものではなく、その都度所要の改善策が講じられてきてるところでもあり、現時点で直ちに国に実験中止を求めるという考えは持っていないのであります。ただ、「むつ」の研究開発を進めるに当たっては、もとより安全性の確保が第一義であり、これまでも機会あるたびに、安全確保には万全を期するよう日本原研に要請してきたところでありますが、今後ともこの考え方に立って対応してまいりたいと思ってるところであります。同時にまた、皆さんに御心配をかけるようなトラブルを繰り返すことは何とかやめてほしい、そうしないようにしてほしいということの申し入れもしてきているわけであります。  それから、その原子力船「むつ」が地域発展のためになると言ってきたのに、二十年を振り返ってそのようになってないじゃないか、こういう結果に対して知事はどういうふうに考えるか、こういうことでございました。原子力船「むつ」については、昭和四十二年の大湊定係港設置受諾以来これまでの二十年余の間、大湊再母港化論、あるいは関根浜新定係港建設の決定、あるいは新実験計画の策定等かなりの──かなり以上の紆余曲折を経て現在に至ってるわけであります。県としてもその都度これらの問題に深くかかわってきたところでありまして、これまでを顧みれば、何といいましょうか、いい意味でも悪い意味でもまことに感慨深いものがございます。県としては、原子力船「むつ」の研究開発については、民生安定上支障がない限り国の施策に協力していくという基本的考え方に基づいてこれまで協力してきたところでありますが、「むつ」の研究開発に伴って、あるいは道路の整備、道路の造成、あるいは漁港の整備、あるいはサケ・マス増殖等を初めとする漁業振興等の事業がそれぞれ実施されてきたわけでありまして、地域振興の面でも、まあ評価はいろいろになろうとは思うんでありますが、それなりの効果はあったものと期待しております──今申し上げた事業が現実に進められてきたわけでありますから、それなりの効果はあったものと理解をいたしております。いずれにしても、「むつ」の研究開発に当たりましては、安全性の確保を第一義として無事所期の目的が達成されることを期待しているところでありますが、今後の解役に当たっても地元の振興に寄与するように国等に働きかけてまいりたいと思ってるところであります。次は、私の四選というんでありましょうか、選挙関係の話でありますが、過去二回の知事選挙では自民党県連の出馬要請を受けて出馬表明をしてきたのに、今回は自民党県連から出馬要請がないにもかかわらず、逆に知事の方から推薦要請をしたことについて知事はどう考えるか、また、この時期になってなぜ自民党県連から出馬要請がなされていないのか、その理由についてどう考えるか、こういった趣旨のお尋ねでございました。前回も前々回も私は立候補してるわけでありますが、その際の知事選挙に際しても、実は、私の方から出馬の意思があることを県連の方に申し出た上で、自民党県連からの私に対するいわゆるある手順を経てからの出馬要請があり、これを受けて私が正式に出馬表明を行ったといういきさつであります。今回もこれと全く同様に、私の方から自由民主党青森県連会長に対しまして、次期知事選挙に立候補する意思があるという旨をまず伝えたわけであります。現在は自民党県連で鋭意調整を続けてるというふうに聞いておりますが、大変ありがたいことに思っております。今に至るまでなぜ出馬要請が出てきてないかということにつきましても、以上申し上げたことから御理解いただけるかと思います。  それから、日本海国土軸という表現が近ごろあることを今──まあ前にもちょっと耳にしたことがありますが、それとの関係で、県は日ソ交流についてどう取り組んできたのか、こういうことが第一点のお尋ねでありました。日本海を挟んで地理的に最も近接しているソビエトとの交流については、近年のペレストロイカの進展や東西間の緊張緩和時代の到来など社会情勢の大きな変化によって新たな交流の展開が期待できるものと考えまして、実は今年度に交流の可能性についての基礎的な調査を実施しているところであります。一方、御指摘のとおり、民間においては六月に青森県日ソ交流協会が発足いたしましたほか、八月には青森県日ソ交易株式会社が設立され百六十台の中古車が輸出されるなど、ソビエトとの交流推進の機運の盛り上がりが見られるところであります。県としては今年度の調査において、外務省、通産省など国の関係機関からの意見聴取、交流実績のある道県の調査を行いましたほか、七月上旬にはソ連の現地視察を実施しております。その際民間と共同で経済ミッションを組織し、ハバロフスク市、イルクーツク市において今後の交流の可能性についてソ連側との意見交換を行っております。また、七月下旬には鰺ヶ沢町のソ連訪問団へ県職員を派遣参加させてその実情把握に努めているところであります。行政の対応が遅いのではないかと言われれば全くそのとおりでありますが、行政の動きには、まあ率直に申し上げて外務省、通産省の指導が加わっておりますし、また、民間と行政と違うところはそのスピードにあることは・御承知のとおりであります。行政の場合、何事をするにつけ県議会の承認を得、予算を御承認いただき、それからでなければ動きが始まらない──例えて申し上げればそういうようなことで、とかく民間に比べておくれることは考えられるんでありますが、それにしても、御所見に従ってできるだけ余りおくれないように今年度当初から動きは始まってるわけであります。また、県内の各界各層から成る青森県ソ連交流推進懇談会を本年五月に設置をして、経済交流だけでなくて学術、文化などソ連との幅広い交流の可能性について検討を進めているところでもあります。民間の動きも十分踏まえながら、年内にはソ連との交流のあり方についての基本的な方向づけを行いたい、こう思っているところであります。  それから、日本海を挟んで日本と向かい合うソ連、韓国、中国との交流については、地方の国際化の進展を背景に国内各地で──いや、日本海沿岸諸国との交流をどう進めるか、こういうお尋ねであったんでありますが、それに対するお答えとしましては、これらの国々との交流については、地方の国際化の進展を背景として国内各地でも動きが活発化しつつあるやに見えるのであります。日本海沿岸諸国の中でも地理的には青森県が一番近いと目されるソビエトにつきましては、先ほど申し上げたとおり、年内にはソビエトとの交流のあり方についての基本的な方向づけを行うことにいたしております。今後、国際交流の活発化が地域の経済、文化の発展に大きく寄与するという観点から、長期的な視点に立って幅広い分野でソビエト連邦との交流を検討していきたいと考えているところであります。また、北朝鮮、韓国、中国との交流につきましても、日本海沿岸諸国を取り巻く情勢が和らいできてる、つまり、お話にあったように、自・社代表団と北朝鮮の朝鮮労働党との日朝共同宣言、韓国とソビエトとの国交樹立など、逐次というかスピーディーに変化が見られるところであり、これらの国の動向等を踏まえながら今後の重要な検討課題の一つとして進めてまいりたいと思っております。  国際交流を進めていくための国際交流室の役割については担当の総務部長の方から申し上げさせていただきます。  それからもう一つ、日ソ交流を進めるために航路、航空──これだけだと思います。以上であります。 23 ◯副議長(山内和夫君) 谷川副知事。 24 ◯副知事(谷川憲三君) 日ソ知事会議に関する御質問にお答えいたします。日ソ知事会議は昭和四十三年以来日ソ両国で交互に開催されておりますけれども、本年の八月二十三日に東京で開催された第十一回の会議では、日本側からは、全国知事会会長であります東京都知事を初めとして二十の都道府県の知事、副知事が参加いたしました。ソ連側からは、チェレパノフ・モスクワ州ソビエト議長を団長といたしまして、ハバロフスク地方、沿海地方、イルクーツク州など十一の州、地方から執行委員会議長等の代表が参加いたしております。会議では、「日ソ友好親善の発展について」、それから「日ソ貿易・経済の協力について」の二つを議題といたしまして活発な意見交換を行ったところであります。主な内容を申し上げますと、最近の日ソの交流の事例として各県の動きが紹介されましたけれども、例えば、新潟県からは、七月にハバロフスクで行われました日ソ共同フェスティバル、それから七月から八月にかけて柏崎─ナホトカ間で行われました日ソ友好親善ヨットレース、北海道からは、サハリン州との中学生の相互交流、あるいは日ソ極東・北海道友好交流会議の開催などについて紹介がございました。さらに今後の交流については、大阪府からは生活関連製品や都市インフラづくりへの貢献について、石川県からは芸術文化面でオーケストラの派遣や伝統芸能の交流等の活発化について、など多くの県から交流の意欲の表明がされました。また、ソ連側からは、モスクワ州、イルクーツク州、沿海地方などの代表から、姉妹友好関係の推進や合弁事業の推進など、経済レベルでの具体的な交流の拡大などについて提案がございました。そして、会議の締めくくりの共同声明では、地方行政レベルにおける多様な形の交流を拡大し、青少年を初めとする地域住民間の交流、科学、文化、スポーツの交流の展開、観光の振興、姉妹友好関係の提携の促進、地域情報の積極的な交換について合意をいたしております。なお、二年後の一九九二年にモスクワで第十二回会議を開催するということでも合意いたしております。この会議に出席しての私の所感をということでございましたけれども、これまでの日ソ交流は、北方領土問題や経済体制の違いによって必ずしも順調に進んでいるとは言えない状況にあったと思いますが、今回の知事会議では、交流の進展に向けて双方から積極的な提案がなされ、来春に予定されておりますゴルバチョフ大統領の訪日ということもありまして、地方自治体を含めた日ソ交流の環境はよい方向に大きく変わろうとしていると感じたところでございます。本県とソ連との今後の交流の進め方については、知事から先ほど御答弁がありましたが、以上のような日ソ知事会議の動向等も踏まえまして、今後我が県としても民間団体と力を合わせてソ連の地方との交流をできるだけ早期に積極的に進めていくことが望ましいというふうな感じを抱いてまいりました。以上でございます。 25 ◯副議長(山内和夫君) 総務部長。 26 ◯総務部長(伊藤 廉君) 私の方からは国際交流室の役割についてお答え申し上げたいと思います。国際交流を通じて諸外国との友好親善と相互理解を深めるとともに、産業経済の振興を図り県勢の発展に資することを目的に、本年三月に青森県国際交流推進大綱を策定したところでございます。この中で、国際交流関係事業は行政のあらゆる分野に関連し、総合的な対応が求められるため国際交流を推進する組織体)制の強化を図るということが述べられております。この趣旨を受けまして県におきましては、本年四月に総務部の中に国際交流室を設置したものでございます。この国際交流室は、旅券発給事務など国からの機関委任事務や国際協力事業団など政府との連携による事務といったような経常的な業務のほか、国際交流の総合的な調整及び連絡に関する事務を実施することとしております。御案内のとおり国際交流室は発足後間もない時期にございまして、現状は事務の執行を試行錯誤で進めているというのが実態でございます。しかしながら、今後は、これまでの関係団体・機関等の国際交流事業の実績を尊重、支援しつつ、地域レベルでの姉妹・友好提携、スポーツ交流、文化・技術交流などを広く推進するとともに、その交流相手先についても特定地域に限定することなく諸外国との交流を進めるなど、関係各方面とも連携をとりながら地域の国際交流を推進してまいりたいというふうに考えております。 27 ◯副議長(山内和夫君) むつ小川原開発室長。 28 ◯むつ小川原開発室長(内山克己君) 低レベル放射性廃棄物埋設施設につきまして知事答弁を補足させていただきます。鳥谷部議員から御指摘ございました事柄等につきましては、現在原子力委員会においてダブルチェックが行われておるところでございますが、行政庁による一次審査が終わってございます。その段階で県が説明を受けている事柄等について申し上げます。まず一つは、地下の水面が高く放射能が漏出することになるのではないかという点につきましては、この埋設設備は十分な地耐力を有し、かつ透水性の少ない鷹架層を掘り下げて設置される。埋設設備の外側の仕切りの設備、それから覆いにつきましては、地震力とか、あるいはみずからの重さの自重、土圧などの荷重に対して構造上の安定性を有すると説明をされています。また、地下水が浸入した場合でも、その水が廃棄体に達する前に排水できるように排水・監視設備を設けている。したがいまして閉じ込め機能にかかわる設計は妥当なものと判断する。それから二つ目に、埋設設備の上及び側面には、ベントナイトを混合するなどして土とか砂とかを締め固めながら、周りの土壌等に比べ透水性が大きくならないように覆土を行う。したがいまして放射性物質の生活環境への移行を抑制する機能を有するものと判断をする。さらに、これらの設計を踏まえての一般公衆の受ける線量当量についての評価でございますが、まず漏出開始時期については、保守的に、すなわち比較的早い時期から放射性物質の漏出が開始するとし、地下水中に漏出する放射性物質の量の計算も、埋設設備の物理的な閉じ込めを期待しないで、埋設設備などの透水性が砂みたいになっているというふうに、できるだけ計算値が高くなるような評価を行った、そういうようなことであっても線量当量の最大値は実効線量当量で年間〇・〇〇三一ミリレムである。したがって放射能の漏出に関して安全上支障がないとしている。このような国の審査結果の説明を受けているわけです。このような国の審査結果につきましては、国としては専門の職員によるほか各専門分野の技術顧問の意見を聞いて行ったもので、県としては信頼するに足るものと考えております。以上です。 29 ◯副議長(山内和夫君) 教育長。 30 ◯教育長(山崎五郎君) 鳥谷部議員から、国際化と歴史教育の重要性につきまして、御高見を交えての三点にわたる御質問がございました。このことにつきまして、私の見解と、本県の歴史教育の現状や今後の方向などにつきましてお答えしてまいりたいと思います。初めに、国際化の時代を迎えて、歴史教育、特に近現代史の重要性についての見解をお尋ねになりました。学校教育における歴史教育は、我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせ、真の国際理解と国際協調の精神を培う上で極めて重要な教育でございます。とりわけ、我が国と中国、韓国等アジア近隣諸国との友好関係を築いていくためには近現代史の正確な歴史認識を持つことが何より大切であるということは議員御指摘のとおりであると思います。特に国際化、情報化が急速に進展しておりまして、昨今の情勢を見ましても、地球の裏側の出来事が衛星放送によって視覚を通してリアルタイムで我が国に伝達され、しかも直ちに国際的対応に迫られるという現代の社会にありましては、殊さらに近代、現代における世界の歴史を正しくとらえ、将来を見通した適切な対応をとり得る態度や能力を育成することは極めて大切なことであると考えておるものでございます。  次に、本県の高等学校における近現代史教育の現状は一体どのようになっているのかという御質問でございます。これは、ありのままの姿を申し上げることになるわけでございますが、県内の高等学校における歴史教育の現状は、日本史を学習できるようにしている学校が八八%、世界史が七八%となっております。まあどちらかをやってる学校もあるわけでございまして、ほとんどすべての学校が日本史か世界史を学習しているところでございます。そのうち近現代史の指導の状況でございますけども、これは学校によって多少の幅がございます。二年─三年生にわたって学習させている学校では、大幅な時間の増加を図りながら近現代史の学習内容にも十分力を入れて指導してございますけども、その反面、専門科目を多く学習させる学校におきましては歴史の科目に十分な時間をかけることがなかなか難しくなっていることは否めないところでございます。特に日本史は指導内容が豊富でございまして、そのため私どもはこれまでも内容の精選を図るよう指導してきてございますけれども、古代・中世・近世史の指導内容については適切な精選や重点化がなされなければ、勢い、その後に続く近現代史の指導内容が希薄になることも考えられるところでございます。  最後に、文部省が新しい学習指導要領に示した近現代史教育重視の方針を受けて、本県においては今後どのように指導していくのかという御質問でございます。新しい学習指導要領では、歴史教育の充実を図り、地理歴史科という教科を新たに設けまして、この中で世界史をすべての生徒に学習させることにしております。また、特に、世界史A──ABCのAでございますが、それから日本史Aという近現代史に重点を置いた内容構成の科目が新設されましたので、これからは近現代史学習の一層の充実が期待されるところでございます。今後はこの趣旨に沿いまして歴史教育の充実に当たっていく所存でございますが、具体的には、指導内容の精選と指導方法の工夫に努めるとともに、授業時数を十分確保しながら、客観的かつ公正な資料に基づいて事実の正確な理解を得させるよう各学校を指導してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。 31 ◯副議長(山内和夫君) 鳥谷部君。 32 ◯五十一番(鳥谷部孝志君) 何点か御質問をしたいと思います。  まず、質問の逆から、ちょっと意見を申し上げておきます。まず沿岸諸国との交流の問題です。知事並びに関係部長の答弁で大体わかりました。その点は歴史的に──今はソ連のことを言ってるんですが、ソ連との交流の歴史も違いますし、いろんな関係も違うということはわかりますけれども、日本海沿岸県は皆、将来の日ソ交流を展望しながら今努力しているということなんですが、一点だけ伺いたいのは、なかなか難しいのでないかと僕も思いますけれども、今、日ソ交流協会が主体になってウラジオとの、これは新聞によるとチャーター便ということなんですけれども、小規模なチャーター便の空路を開設したいということで取り組んでいるようです。北海道はサハリンとの航路がある。あるいは新潟はハバロフスクとの空路があります。また、僕も乗ったことがあるんですけれども、横浜からナホトカまで週に何回かあるんですが、向こうの船があるわけですね。だから、そういう空路なり海路というものがもし青森県との間に開設されるとすれば交流の成果ははかり知れないものがある、またほかの県でもそういう動きがあるわけですね。ですから、民間だけでもうまくいかないと思いますので、その点は県の方としてもそれが実現できるような環境の整備をする必要があるんじゃないかなというふうに考えます。いずれにしても、県の取り組みを受けて近く日ソ議員連盟の発会式をやろうという話にもなっているようですから、ひとつ一層の御努力をお願いしたいと考えます。  それから歴史教育の問題ですが、大体わかりました。問題は、平成六年から始まる新しい学習指導要領については必修科目になってるということなんですね。じゃ、それまでの間の問題をどうするのかということも含めて私はお聞きしたいわけです。それで、いろいろ、選択科目である世界史も日本史も──世界史なんかも近代史ということになれば日本史の近現代史と余り変わりありませんからそれはそれにしても、その間の教育を一体どうするのかなと。特に新聞で見ますと、慶応大学の経済部では今度試験科目を、日本史、世界史のうち近現代史に限りますよと、これは新しい一つの動きでもあるようですし、そういった面でまた進学教育も含め、進学校などでは近現代史の教育が必要でないかというふうに考えます。一点質問は、僕が今前段で言ったことをきちっとやらせるためには、近現代史の研究なですか、教え方、内容等も含めた先生方の講習会といいますか、それを積極的にやる必要があるんじゃないかなというふうに考えて、まあこれは素人の立場での意見ですが、ひとつ教育長の見解をお伺いしておきたい、こう思っています。  それから、知事からいろいろ御答弁をいただきました。まず最初に、低レベル埋設の問題について、事業者なり国の一次審査のあれについては何回も聞いてわかっています。問題は、先ほど指摘したように、地上の高レベルの保管にしろ低レベルの埋設にしろ国際的に科学的な常識があるわけですね。僕はその科学的な常識をさっき四つ、五つ挙げたわけですよ。そのどれにも六ヶ所は抵触しているんですね。しかも、知事は、安全は国、事業者がやるべきだと言ってるけれども、受け入れになった基本は、知事自身が、技術は確立している、安全性は保ち得るというふうに判断されたからでしょう。その判断された専門家会議の報告書によると、こう書いてあるんですよ。我が国における最終貯蔵から処分への移行については、国の考え方によれば、土壌等の天然バリアについて安全評価を行い、人間環境に対する放射線物質の移行を人工バリアと天然バリアの組み合わせによってやる、こう書いてあるんですね。そうすると、原燃産業が今やろうとしていることは、天然バリアを無視して人工的なピットをつくって、それだけで大丈夫だ、こう言っているわけですよ。そんなことは科学の常識に反すると僕は思う。だから、もし知事がそれでも安全性を確保し得ると言うんだったら、今後安全性を確保したとかし得る前提だということは言えないと僕は思うんですよ。だから、人工バリアで漏出したものを天然バリアで防ぐというのがさっき知事が御答弁した多重防護の思想でしょう。多重防護の精神がないんですよ。ですから私は、異議の申し立てをすべきだ、県民の立場に立ちなさいと。三百万本ですよ、ドラム缶が。三、四年前にドイツの科学者が来ました。ドイツでは最高五万本だと。そういう常識を超えた埋設がされるわけですから、もし私の意見を取り上げなければ、安全性を確保し得るなんてことは知事は今後使えないと私は思うんですよ。もし国の二次審査でこれが安全だということになれば、私は国の原子力行政の安全性についても疑問を持たざるを得ないと思うんです。時間がありませんから急ぎますが、きのうも福岡議員が高レベルの処分地の問題でいろいろ質問したわけです。そしたら、国の計画どおり照会をしたら、そのとおりですと来たと。それで処分地にされるあれはないんだと言いますけれども、どこにその担保があるんですか。これは何もないんですよ、知事の同意を得るなんてことは法令上言えないわけですから。一般論として地元の理解と協力を得るというのはこれは当たり前のことで、何も青森県だけでないんですよ。ですから、もし担保をとるんだったら、後日のために科技庁との間で双方の覚書を結ぶ、そんなわかりやすいことがなぜできないのか、この点をひとつお伺いしておきます。  あと一点は、千七百ヘクタール残った工業用地に多角的企業の立地を図ると言っていますが、あんな危険施設のあるところに、核燃三施設のプラント会社だとか、それから製造メーカーは別ですが、皆さんがどんな企業の立地を考えているかわかりませんが、来るはずがない、私はその点は断言してもいいですよ。だから、どんな多角的企業の立地を考えてるのか明確にしていただきたいのと、もう既にむつ小川原開発室では、利水のあれが当分見込めないということで二又川なり鷹架沼の暫定水源を検討してるはずです。国だって来年から第八次の港湾整備計画が始まるわけですから、当然見直しをされるべきだ、私はこう思っているんですが、見直しなのかそうでないのか、どんな内部検討が行われているのか、その点をひとつお伺いしておきます。  最後に、時間もないんですけれども、知事ね、私がさっき行政水準をいろいろ指摘したら、そのとおりだと認めていました。数値は確かに上がっているんですよ。だからその点は知事が何もやれなかったということは申し上げないつもりだけれども、他県はこんな国策に振り回されていませんからもっと上がってるんだ、そのために順位が変わらないんだということを僕は申し上げているわけです。これは何も僕ばかりでなくて、山崎さんだって、立候補する目的は、私が指摘した、知事が十二年間やってきて行政水準がちっとも変わってないだろう、ということが新聞で見る彼の立候補の決意のようです。そういった面で、私も知事とは十二年間議員としてのつき合いだが、非常にまじめで、びっくりするほど一本気だし、それなりに県政のために努力をしていることはわかりますけれども、県政を運営する基本的スタンスに間違いがあるんじゃないか、県政よりも国策をあなたは県政の上に置いてきた、だから、核燃立地を受け入れる際に国のエネルギ「上のあれをどうのこうのと、そんなことを考える必要はないと思うんですけれども、もし行政水準のおくれがあるということをあなたが認めるんだったら、あなたが県政の前に国策に振り回され優先させてきたそこに最大の原因があると私は思いますけれども、その点ひとつ知事の見解をお伺いしておきます。 33 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 34 ◯知事(北村正哉君) 低レベル放射性廃棄物の貯蔵センターの安全性についての考え方は先ほど申し上げたとおりであります。ただ、鳥谷部議員のような考え方、受けとめ方もあるんだということを承ってはおきましょう。答え方はさっきとおんなじであります。  それから、高レベルの担保、これは昨日・一昨日来申し上げてきたところであり、あれによって──あれによってというのは、こちらから考え方を示して、科技庁がそのとおりであるということで、地元の了解がなければつくらないんだという趣旨のことを言ってるわけでありますから、この段階ではそれでいけると私は思っております。  それから、何かよく受け取れない節がありましたが、あんなとこへ──あんなとことは今のむつ小川原開発地域のことだと思うんでありますが、企業が来るはずがないと、はずがあるかないか知らぬけれども現に来てるわけであります。サイクルそのものも企業でありますし、またそれに関連するものが現実に来つつあるわけであります。議論の外だと思います。  それから、行政水準がおくれてると、私は先ほど、そのとおりであり残念だということは申し上げました。申し上げましたが、何もかにも全部おくれてるということでもない、物にもよりけりだという感じを持っておりますし、また、県政よりも国策が大事だと知事は考えてるんじゃないかということでありますが、すべての国策はやっぱり県政とのかかわりを深く持つ、特に国策を推進することが県政にプラスすることが非常に多いわけであります──少なくないわけであります。多いと言えば言い方が悪いとすれば、少なくないわけであります。そういう立場から国策にも協力をする。また、一都道府県として国策に協力することは、協力すること自体に価値がある──意義がある、価値がある、私はそういう見方もしております。以上であります。 35 ◯副議長(山内和夫君) むつ小川原開発室長。 36 ◯むつ小川原開発室長(内山克己君) むつ小川原の工業用水の見込みがない、暫定水源を検討してるようであるが、工業用水計画については見直しをするのかというお尋ねでございますが、庁内にありますむつ小川原連絡会議の中に、副知事をキャップといたします利水会議を設置し、現在工業用水その他等について検討してございます。中間的なまとめでございますが、いずれにしても段階的に進めることで現在課題を検討し、現実的には年度いっぱいでまとめることにしてございます。今の考え方としては、計画を見直しするという考え方には立ってございません。以上です。 37 ◯副議長(山内和夫君) 教育長。 38 ◯教育長(山崎五郎君) 鳥谷部議員の再質問にお答えいたします。  高等学校の新しい学習指導要領は平成六年度からということになってるわけでございますが、それまでの間一体どう指導するのか、こういう趣旨の御質問だと思います。これからの近現代史の取り扱いにつきましては、平成六年度まで学校を指導しないということではありませんで、既に昨年度から、平成五年度まで継続して実施する予定でございます教育課程講習会の地理・歴史部会におきましてこの趣旨、指導内容等について徹底を図っているところでございます。このほか、文部省主催の地理歴史科研修講座にも積極的に担当教員を派遣いたしまして、近現代史に重点を置いた新しい──先ほどお話ししました世界史A、日本史Aという科目の指導内容、指導方法について研修してもらいまして、それに講師になっていただいて、それを県内の先生方に具体的に周知させる、そういうふうなこと、あるいは県の教育センターの社会科教育講座にもこの近現代史教育に関する内容を取り入れるとか、あるいは、県内の自主的な高等学校の教育研究団体でございます高等学校教育研究会というのがございますが、この社会科部会にもこの研究についてお願いすることも考えていきたいというふうに考えておりまして、そういうふうなことを通しましてこれからの歴史教育の方向が学校に次第に示されていくわけでございますから、現行の授業の中でもこの趣旨を踏まえた教育、つまり近現代史を重視した教育が浸透していくものというふうに思ってございます。 39 ◯副議長(山内和夫君) 鳥谷部君。要望にとどめてください。 40 ◯五十一番(鳥谷部孝志君) 一点だけ知事にお伺いして終わります。  四選出馬の件です。知事の答弁はわかりました。私に言わせれば、一言で言えば、今回は知事もあきられてきているんじゃないかなと僕は推測するんですよ。個人的には、山崎さんと比べて、知事の人柄なり行政能力があるかなと。しかし、知事を公認にして果たして勝てるかなという不安だってあると思うんですが、その点は別にして、知事に聞きたいのは、今調整の土俵に上がっているのはあなた一人ですね、山崎さんは土俵外ですから。そうすると、公認になるも下がるも分裂選挙は避けたいと言っているわけですから、それも含めて知事は調整に応ずるのか。愛党精神の強い知事のことですから恐らく、下がるも出るも含めて任せていると思うんですけれども、その点だけ一点聞いておきます。ただ、もう一つは、これは木下議員の質問と関連しますが、電事連の平沢さんの方も、山崎さんと比べてでしょうが知事の方がわかりやすいと言っているわけですね。私たちも、知事に公認として出てもらった方が我々としては戦いやすいと思っています、正直なところ。そこで、きのうも木下議員の質問に答えて、今度の選挙は争点が核燃…… 41 ◯副議長(山内和夫君) 簡明に願います。 42 ◯五十一番(鳥谷部孝志君) ……こう言っておったが、それに対する答弁は極めて従来の姿勢と違っておったんだが、今度の選挙に臨む基本的な課題は核燃の是非だというふうにお考えかどうか、この点もあわせてお伺いしておきます。 43 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 44 ◯知事(北村正哉君) お話の趣旨は伺いましたが、趣旨がよくわかりません。わからないのと同時に、お話の内容から判断してこの場でお答えすることは許していただけるものと思います。 45 ◯副議長(山内和夫君) 三十三番大沢基男君の登壇を許可いたします。──大沢君。  〔三十三番(大沢基男君)登壇〕 46 ◯三十三番(大沢基男君) 通告してあります順に従いまして質問に入らせていただきますが、まず予防医学については、私の体験からして柄でもないことを伺いますけれども、これはぜひやらなければならないことだと今七十になって悟ってまいりましたので、あえてお伺い申し上げます。今さら申し上げるまでもなく、本県は全国最下位の短命県で、この解消方策の実行はあらゆる施策に優先してなすべきものではないかと存ずるのであります。しかし、県当局の努力にもかかわらずその効果が一向に上がらないことはまことに残念に思うものであります。また、その解消の目途すら立っていないことは甚だ遺憾にたえないところであります。その原因として考えられますことは、健康と病気に対する考え方に実情に合致しない点があるのではないかと考えるのであります。その第一は、健康診断を病気の予防法と誤認している節があるような気がいたします。健診の目的は早期発見、早期治療ですが、病気を発見して治療するのですから、病気にかからないということを目的とする予防の範疇に入らないことは明らかであります。これについて県立中央病院の品川院長は医師会紙に次のように述べております。「昨今の世の中を見ているといろいろ不思議でならないことが多い。その一つにゆがんでしまった健康観や疾病観とも言うべきものがある。このことは、一般人についてばかりでなく、私たち医療や医学の関係者についても言える。それなら現代人の健康観や疾病観のどの辺がゆがんでいるのかということになるが、その主なものを列挙してみると次のごとくである。一つに、予防、養生、摂生などということがなぜか忘れられかけている。二に、医療や医学の関係者までが予防などということを忘れかけ、せいぜい早期発見や早期治療までしか考えていない。三、人間に本来備わっている生命力ということが忘れかけられ、薬や手術やはりやきゅうのようなものにばかり人々は頼ろうとしている。四、健康を自分自身で守るものとは考えず、国や社会、それに医療関係者によって守ってもらうものと履き違えている者が多い。五に、健康を義務の一つとは考えずに権利の一つと考えている者が多い」このように申されております。この言葉によっても、早期発見、早期治療を目的とする健診が予防ではないことが御理解いただけるものと思います。病気にならないことの方が病気を発見して治すより何倍もまさっていることは申し上げるまでもないことであります。私の本業は農業ですが、例えばリンゴ栽培の場合、病気を発見してから薬剤散布をするのと、病気になる前に散布するのとでは結果において大きな差があることは農家ならたれでも知っているイロハでございます。しかし、近年急増しております肺がんは検診でも発見困難と厚生省の実態調査で明らかにされているものであります。これらを勘案いたしますと、従来の検診一本やりの姿勢を転換させて、病気にかからない予防法の普及徹底に全力傾注することを最短命県解消の主軸に据えるべきではないかと考えるのであります。知事のお考えを承りたいと存じます。
     次には具体的な予防方策についてでありますが、そのためには、品川院長の指摘されるごとく、ゆがんのでしまった国民全般の健康観と疾病観を是正する必要があります。その前提となるものは、近代西洋医学のみを治療手段としている現代医学と健康保険制度の実態を明確にして、薬や手術の限界を明らかにし、現代医療に対する過剰な依頼心を払拭することではないかと思うのであります。この依頼心は国民の確固たる信念にまで凝縮されているのが現状ですから、ちょっとやそっとの説得では効果が上がらないことは目に見えています。雑誌「新潮」に連載中の医師の柴田二郎先生が同誌九月号に「だからニセ医者が横行する」とのタイトルで、現代医療の実態を赤裸々に語っております。その一節には「精神病院とは患者を治療するところではなく、本人及び周囲を保護するところだから、医療体系から外して周囲保護料とでもいったものをいただくようにしたらどうか」と述べております。また「病気になれば頼るところはまず医者、特に大病院だという迷信がはびこっているから、たれでも一応はその門をたたくのですが、しかし、医者が広言するようなぐあいにうまく治ることはほとんどない」と述べております。また、浜松医科大学の植村研一教授は、一九八七年の雑誌「中央公論」四月号に「これでは病気は治らない」と題し、慢性病、成人病が治らない実情を詳細に発表し、治療本位、医師本位の現行システムを予防本位、国民本位に変革しなければならない、と強く訴えています。これらの医師の貴重かつ勇気ある発言によっても、年々増加の一途をたどる成人病死者によっても、現代医療の無力さは日々痛感させられているところであります。平成元年度のがんの死亡者は二十一万二千六百二十五人、一日当たり五百八十二人は、かの日航機惨事の死者を七十人も上回っております。県内の死者は二千六百九十六人と承っております。さらに問題は、ぼけと寝たきり老人の増加です。これに対しても現代医療は何らの効果的対策を持ち合わせていません。この医療の実態を県民にはっきり示すとき、太平楽を決め込んでいる県民の中から予防法への真剣な模索と実行の機運が盛り上がるのではないかと考えるのでありますが、御見解をお示し願います。  先ほど来、県民の意識転換の具体策について申し上げましたが、これが功を奏して意識が転換されるとして、老若男女を問わずたれでもが直ちに実行できる具体的予防法について申し上げてみたいと存じます。慢性病・成人病発症の原因を考えてみますと、大別して、精神的なもの、すなわちストレス、誤った食事、運動の不足の三つが挙げられましょう。ストレスの予防ないし解消法として最も有効なものは笑うことだと言われます。この事例について、イギリスの生物学者バーナード・ディクソン博士の名著「近代医学の壁」の中の一節を御紹介したいのです。これは、「サタデー・レビュー」の編集長ノーマン・カズンズがかかった難病は、昔からの友人の医師ウィリアム・ヒツィッヒ博士の懸命の治療介護にもかかわらず悪化する一方で、ついには手足を動かすこともベッドで寝返りを打つこともできなくなった。強直性脊椎関節炎と診断された奇病を、笑いの作戦とも言うべき方法の実行によって、四週間後には、歩くだけではなく、少しなら駆け足もできるようになったという感動の物語であります。また、内科医師の内田久子先生は、著書「生命医療を求めて」の中で「笑いは胃腸の嬬動運動。消化吸収をよくし、健康を招く何よりの特効薬である」と語っておられます。次の食事については、まず生水を多量に飲むことを挙げています。人体の六〇%が水であり、水さえ飲んでいれば、他の一切の食物を摂取しなくても普通の成人では六十日間の生存が可能であるとのことでございます。群馬大学医学部の白倉卓夫博士は「水分補給で血栓予防、血液の粘度上昇を抑える」との見出しのもとに、「血液が濃くなって粘度が上昇するのを防ぐには、水を十分とるよう心がけた方がはるかに手軽な予防である」と語っております。さらに、九月二十七日の東奥日報の夕刊に、脳卒中の多発する本県では、グルメ時代の中でなかなか実行されない塩分の制限強制に比較して、二リットルの水飲みは白倉教授のお説とぴったり合致する脳卒中予防法ではないか、ということでございます。(笑声あり)厚生省は塩分のとり過ぎと言いますが、本県とすれば、過剰なナトリウムと結合して体外に排出させるカリウムの豊富なリンゴをもっと食べるキャンペーンを展開するのが、リンゴの消費拡大にも直結する一石二鳥の方法でありましょう。塩分のとり過ぎ問題では、名古屋市立大学の青木久三教授は著書「逆転の健康読本」の中で、「塩抜き人間では元気が出ない。高血圧イコール塩のとり過ぎは神話にすぎない。減塩なしでも血圧は下がる。漬物は古くて新しい健康食」等々、従来の誤った塩のとり過ぎ問題に医学者として徹底的な反論を加えております。胃の中で消化に不可欠の胃酸の原料が塩であることを考えれば、厚生省の余りにも単純な塩を減らせという指導方針に盲従するのみの姿勢には疑問を呈しております。御所見を承りたいと思います。(笑声あり)  予防法の二と高齢化対策についてでありますが、現代人の運動不足については何人も認識を深めていますが、いまだに決定版は見られていません。これは老若男女それぞれの好みもありますから、今回は中高年齢者に的を絞って考えてみたいと思います。それには中国式の手振り運動が最適と考えられます。その効果は、肩凝りを初め、高血圧、胃弱、心臓病、不眠症、更年期障害等の疾病予防にも抜群の効果を上げ、中国はもちろん、東南アジア方面にも爆発的に普及しているとのことであります。場所は一平方メートルで間に合い、何らの器具、器械も必要とせず、屋内でも屋外でも、いつでもどこでも、一人でも多数でも、五分でも十分でも実行できるのがみそであります。高齢化社会への対応策の基本は、高齢者個人が各人に適した何らかの志を持つことが基本でしょう。大は天下国家の前途から小は花を植えて楽しむまで、そして共通するのが、常に好奇心を失わず、心身ともに美しく生きようとする志を持ち続けることではないでしょうか。しかし、均質社会の日本では単なる高齢者の平等的福祉のみが声高に叫ばれている現状であります。志を大事にする視点を欠落させているのではないでしょうか。だから、ボーボワール女史は「老人を一個の廃人とみなしている我々の文明は明らかに挫折している」と批判しているのであります。六十万人の寝たきり老人やぼけ老人の出現は現代社会に対する一種の復讐とも言えなくもありません。寝たきり者、ぼけ老人については、ただ単に介護をどうするのかという問題に収斂されていますが、どうすればその発生を防げるのかという予防的視点が従来の発想を超えて考えられなければならない時期に来ているのであります。従来の思考にしがみついている学者や有識者などのお知恵拝借ではこの行き詰まりを打開することはできないのであります。老人の個性を尊重し好奇心を喚起する一つの案として、例えば本県と宮崎県の高齢者に、夏は本県で過ごしてもらい冬は宮崎県で過ごしてもらうというようなことも考えられます。所変われば品変わると言いますから、お互いに新しい発見や好奇心がかき立てられるのではないでしょうか。そして耐えがたい冬や夏を避けることは健康保持にプラスとなりましょう。これは一例ですが、このようなことによって教育、文化、芸術その他の分野でもいろいろな交流が図られるでしょう。いずれにしても本県に今最も求められているのは逆転の発想と考えられますので、御所見を承りたいと思います。(笑声あり)  次に長寿社会のあり方についてお尋ねいたします。平成二年九月十一日厚生省は、全国で百歳以上の長寿者は昨年より二百二十名増の三千二百九十八人となり、連続長寿世界一を実現したと発表いたしました。まことに慶賀にたえないところであります。しかし、寝たきりの人は六十万人で、憂うべき疾病大国と児童減少の実態も報告しています。また、一九九〇年の国民医療費二十兆九千億円が二〇二五年にはほぼ六倍の百十九兆円に急増し国民負担率は四〇%から五九%に上昇する、との日本医師会の推計も九月十四日に発表されました。厚生省発表と医師会発表とを照合すれば、西洋近代医学を根幹とする健康保険制度のあり方、そして、その実態を平然と容認し続けている有識者の良識を疑わざるを得ないのであります。百十九兆円、負担率五九%の医療費はまさに子孫に対する負の遺産ではないかと思うのであります。あるべき長寿社会の姿は、どのように考えても、すべての高齢者が心身ともに美しく心豊かに老いることに尽きるものと思われます。この実態を考える中高年齢者が少数なりとも率先して、健康と疾病に対する現在の誤った常識を百八十度転換させる以外に道はないと考えるのであります。美しく心豊かに老いる第一は自助自立精神の確立と堅持であり、自分の健康は自分で守る、決して病気にならない、とかたく決意することであります。この精神を確立してからの第二は笑うことである。第三は生水を飲むことであると言われております。笑うことも水も百薬の長であることは多数の医師が証言しております。第四には、いつでもどこでもたれでもが実行可能な運動を実行することであります。この四つを実行するだけでも慢性病、成人病がかなり予防できることは中国の実例に照らして明らかであります。知事の御所見をお尋ねいたします。(笑声あり)  最後に、水田農業確立後期対策に絞ってお伺いいたします。米の生産調整対策が昭和四十五年に講ぜられてから既に二十年を経過したのでありますが、この間そのときどきの要請を反映させた対策が進められ、現在の水田農業確立後期対策に至っているのであります。後期対策における本県の基本となる転作等目標面積は二万七千百三十ヘクタールで、昨年まで実施された前期対策とほぼ同面積でありますが、地域によっては水田面積の三五%を超える転作を実施している市町村もありますし、助成・補助金の基本額が小麦、大豆で前期対策より約三割引き下げられたこと等を考えれば、転作への取り組みは一層厳しいものがあります。しかし、これが後期対策スタート時点でつまずきますと食管制度を軸とする我が国農政は根本から崩壊するおそれがあります。まさに不退転の決意でこれを推進していかなければならないと考えるのであります。ところで、先般農林水産省は九月十五日現在の本年産水稲の作柄を公表いたしましたが、これによりますと、全国的に高温多照の好夫に恵まれたことから生育が順調に経過し、全国平均の作況指数は一〇三と三年ぶりの豊作の見通しとなっているようであります。また、本県の作況指数も一〇四と全国平均を上回るとなっております。もちろん、最終的な作柄は結果を見なければわかりませんが、米の自由化問題や生産者米価の引き下げなど米をめぐる内外の厳しい情勢の中で久しぶりに明るい話題であります。しかしながら、豊作をただ手放しで喜べない状況になることも予想されるものであります。と申しますのは、前期対策においてもそうでありましたが、一年目にして米の需給計画が狂い出し、二年目から米需給均衡化緊急対策が並行して実施され、実質的に転作が強化された経緯があるからであります。本年産水稲の作柄が全国的に良好となった場合、米の在庫数量が増大することにより、明年度以降の転作目標面積の拡大につながることが懸念されるのであります。現時点ではどのような見通しが立てられるのかお伺いいたします。  次に、転作推進上重要な作物となっている小麦の問題について。本県における小麦の作付面積は昭和五十年時点で二百ヘクタールしかなかったのでありますが、五十三年度から実施された水田利用再編対策を契機に五十四年以降年々増加し、元年では約八千八百ヘクタールと全国第十一位、東北第一位の地位を占めるまでに至ったのであります。このうち転作小麦の占める割合は八〇%となっているほか、転作全体に占める比率も二二%となっており、転作を推進していく上での基幹作物であります。また、単収では収穫期の降雨等の影響により年次変動が見られるものの、ここ数年増大の傾向にあります。転作の定着化も他作物に比べて高いのではないかと思われるのであります。このような中で、基準数量を超える部分については他の作物へ転換するよう指導しているところでありますが、これは実質的に小麦の生産調整対策であり、農協及び生産者は困惑しているところであります。国内産小麦が過剰基調にあり、生産コストの低減や良質麦の生産に一層取り組んでいかなければならない情勢にあることは理解できないわけでもないですが、これまで生産者の意欲的な取り組みによって定着させてきた小麦を急に他作物に切りかえるといっても、労働力等の事情から適当な作物が簡単に見つからない状況ではなかなか難しい面があると思うのであります。そこでお尋ねいたしますが、今後転作を推進していく上で小麦をどのように位置づけ、どのような指導方針で対応していくのかお考えを承りたいのであります。後期対策の目指す最大のポイントは生産性の高い水田農業の誘導にあります。私の出身地である八戸を中心とする三戸地区の転作の状況を見ても、イチゴ、ニンニクなどの野菜を主体として米所得を大幅に上回る者も出てきております。転作によって地域農業の再編に結びついている事例がかなり見受けられるのであります。このような事例を見ますと、むしろ米の将来に限界を感じますし、経営の創意工夫を生かせる部分を積極的に導入していくことが農業に活気を呼び戻すものと考えるのであります。しかしながら、転作の実効を期するため解決しなければならない課題もまたたくさんあります。例えば排水不良地帯での転作をどのように定着させたらよいか、地域ぐるみの集団転作をどう進めたらよいかなど、より収益性の高い転作を進めるための対策をさらに強化する必要があろうと考えるのであります。また、生産者の所得を高めていくため、転作作物の導入や経営改善診断など農業のニーズに応じた転作営農の指導もなお一層充実していく必要があると思うのであります。これらの事情をも踏まえ、生産性の高い望ましい転作営農の確立に向けて総合的な対策をお示しいただければ幸いだと存じます。  以上をもって私の質問を終わります。 47 ◯副議長(山内和夫君) 知事。 48 ◯知事(北村正哉君) 大沢議員にお答えいたします。  御質問の第一点が、長寿社会を形成していく上では診療よりもむしろ予防の方が大事なんだということで、予防医学に関するうんちくを傾けての御披露があったわけでありますが、全体として事柄が専門的にわたることでもあり環境保健部長から答えてもらいますが、特に私にということもあったんでちょっとだけ所見を申し上げれば、大変にうんちくを傾けられただけあって、素人にもわかるような参考になることが大変あったわけであります。適度に運動すること、水を飲むこと、笑うこと、いろいろあるわけでありますが、ただ一点、減塩、つまり塩を減らすことが健康のためになる、これは全く私どもの常識を覆すものでありまして、ここで反論を申し上げるわけではありませんが、もしそうだとすれば、関西から西南地域とこの地域との塩の用い方の差に大分開きがあって、つまり向こうの方が少なくてこっちが多いわけでありますから、もっと健康的に、あるいは短命県返上ができていてもいいはずだ──これは反論ではありませんで、ちょっとそういうことを感じました。その他、全体として大変ありがたいお話でありまして拝聴いたしました。  それから、農業問題についても二点お話があったんでありますが、豊作ということで、米の需給計画が変わり転作の目標面積がまた変えられるんではないか、こういう御心配を話されたわけでありますが、これも農林部長から答えるところでありますが、一口で申し上げれば、国の方でも、まあ県もそうでありますが、ことしは豊作だからということで転作面積が変わる、来年はケガジだからということでまた変わるということでは、転作営農の計画が、特に集団転作において計画が安定しない、こういう問題が出てくるわけでありまして一年や二年の作柄、作況の変動で直ちに転作目標面積に影響を与える、数字の変更をもたらすということは避けたいもんだと思っております。  小麦の取り扱いについてもお話がありました。うまくいってるから簡単にこれを減らすことをしない方がいいということで、これも部長からお答えいたしますが、お話の中で、全体として米の依存度をほどほどにして転作営農を確立すれば結構米にまさる営農ができるんだ、こういうお話をされたんでありまして、大変ごもっともだと思いますし、また県の指導もそういう考え方を十分酌みながら、入れながら指導してるところであり、今後もそういう方向で進めたいと思っております。  あとは農林部長からお答えいたします。 49 ◯副議長(山内和夫君) 環境保健部長。 50 ◯環境保健部長(増田和茂君) 予防医学と長寿社会への対応ということで四点御質問がありましたが、その四点についてお答えいたします。まず、健康と病気については現在健診中心であるが、予防法の普及徹底姿勢に転換すべきではないかという御指摘でございます。議員御指摘の予防法とおっしゃいますのは、食生活と生活習慣に基づいて病気になるわけでございまして、特に成人病は生活習慣と非常に関係があるということで、そういう成人病にならないための一次予防について御所見を述べられたわけでございますが、県といたしましても一次予防につきましては、その重要性にかんがみまして、現在──昭和六十二年度からでございますが、県民一人一人の方に自分の健康は自分で守るという意識を持っていただくために、「りんごの花びら五つの実践」を合い言葉に、県民、専門家及び行政が一丸となって「生き生き健康県民運動」を展開しているところでございます。また、高齢者に対する予防対策といたしましては、本年度から国が「寝たきり老人ゼロ作戦」を展開しており、この一環といたしまして、本県におきまして本年十一月に北海道・東北ブロック寝たきり防止シンポジウムを開催することとしてございます。また、病気の状態に応じた健康教育の実施など予防教育を中心として老人保健事業の一層の充実強化に努めているところでございます。まあ、先ほどのは大筋におきましては議員おっしゃるとおりでございましたが、食塩に関しましては、本県は県民一人当たり一日十五グラム以上摂取しておりまして全国平均から見るとやはり高いということで、食生活の中でも食塩の摂取量は脳卒中などの成人病の要因として重要視されておりますことから、十月から六カ月間にわたりテレビによる「健康クッキング」を週一回放映するほか、青森市内のデパートにおいて「健康食生活展」を開催し県民の予防意識の高揚を図ることといたしております。いずれにいたしましても、議員御指摘の予防法と、さらには、年に一回は健診を受けることも大切でございますので、健診を受けることによる二次予防の必要性についても普及徹底を図りながら成人病を予防してまいりたいと思っております。  二点目の、健康観、疾病観を是正し治療本位から予防本位に転換すべきではないかという御指摘に関しましても、先ほど御説明いたしましたように、自分の健康は自分で守るという自覚と、健康維持はみずからの義務であるという認識のもとに、日常生活において疾病予防のための正しい知識を持って実践するよう予防対策の普及徹底を図ってまいりたいと考えてございます。  三点目の、逆転の発想が必要ではないかという御指摘でございますが、高齢化社会に向けて県民が健やかな生活を送るためには、従来から推進してございます健康づくりは県といたしましても大変必要なものと考えているところでございますが、しかし、人それぞれ個人差、個体差があるということでございますので、その人に合った健康づくりも考えられることから、今後このことを念頭に置きながら推進してまいりたいと思います。議員から御示唆いただきました逆転の発想を心がけて県民の健康の保持に努めてまいりたいと考えてございます。(笑声あり)  四点目の、具体的予防法として、自分の健康は自分で守る意識を持つこと、笑うこと、多量の水を飲むこと、運動を実行すること、が大切と考えられるがいかがかという御質問に関しましては、本県で進めております「りんごの花びら五つの実践」の実践項目は、まず、本県のリンゴの花にちなみまして、一つの花びらは「食生活に気をつけよう」、二つ目の花びらといたしましては「適度の運動をとろう」、三番目の花びらといたしましては、ストレスなどを解消するために「適度の休養をとろう」、そして四つの花びらといたしましては「年に一回は健康診査を受けよう」、そして五つ目の花びらといたしましては、早期発見、早期治療に努めるために「家庭医を持とう」、この五つの花びらの実践を行っているところでございまして、議員御指摘の四点につきましては、まあ、多量の水を飲むこと以外すべて県といたしましても実施しているところでございます。(笑声あり)また、多量の水を飲むこと、まあ一日に二リットルの水を飲むことにつきましては、確かに、尿だとか汗で一日当たり二リッター以上の水を人間は喪失しているわけでございますから、そういう意味からやはり学問的にもかなっているんじゃないかなと思っております。またリンゴの効用につきましては、確かにリンゴをとることによって、リンゴの中に含まれますカリウムが体内の過剰なナトリウムを体外に排出させるという効用がございまして、これも高血圧の予防にはいいものだというふうに弘大の先生もおっしゃってございます。以上、議員御指摘の一次予防の普及啓発を図りながら今後とも県民の健康レベルの向上に努めてまいりたいと考えてございます。以上でございます。 51 ◯副議長(山内和夫君) 農林部長。 52 ◯農林部長(本儀 隆君) 水田農業確立後期対策についてのお尋ねにお答えいたします。一つは、ことしの豊作から転作目標面積の拡大につながるのではないかという御心配でございますが、後期対策の転作目標というのは三年間の需給計画で八十三万ヘクタールと決められてるんですが、これが余り狂えば調整があり得るみたいなことに一応なっております。そして、今、九月十五日現在の水稲の作況は一〇三でございますが、この収量というのはさっき申し上げました需給計画よりはちょっと上回っております。ただ、九月十五日でございますから台風十九号の影響はまだカウントされていないんで、議員御指摘のとおり刈ってみないとわからないというところがございます。いずれにしましても、先ほど知事から申し上げたとおり、期中に転作目標面積が増減することはいろいろな意味で支障が大きいわけですから、軽々に行うべきでないという認識は恐らく国も県も一致していると考えてございます。  次に小麦でございます。小麦につきましては、転作の奨励金の条件がいいとか、あるいは輪作作物として適当であるとか、非常に転作に向いている面がございまして、非常に重要な転作作物になってございます。ただ、一方で生産過剰基調にあることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、転作小麦の生産指導に当たりましては、小麦が生産過剰基調にあることを十分配慮しながら、適地適作を基本としながら、ばら転なんかで品質、収量の劣る転作田での麦作というものは野菜など他作目へ転換を誘導する、一方、地域ぐるみの集団転作でありますとか田畑輪換などによって相当定着しているものもございますので、こういうところでは引き続き良質麦の計画安定生産とあわせて一層の生産性向上に努めるように指導してまいりたいと考えております。また、転作小麦から他作目に転換するような場合に、いろんな団地加算ですとか高能率生産単位育成加算等が引き続き確保されるように誘導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、生産性の高い転作営農の確立を図るための対策、確かに議員御指摘のように、農家によっては稲作をやってるときよりもよくなってるというケースがあるわけですし、地域ぐるみでそうなってるところもございます。そうしたものを一層推進するということが非常に重要でございまして、このため、一つには、特に排水対策による水田の土地条件を整備するということが一つございます。それから、規模が大きく効率的な転作を促進するという観点、及び、収入を確保するという観点から高能率生産単位育成加につきましても、ハトムギですとかセリ、サトイモ、シソといったような作目がございまして、その実証圃を展示したりしているところでございます。さらに、簡易ハウス等による野菜、花卉等収益性の高い作物の導入、こういうことで収入を高めていく、また、田畑輪換の促進ですとか機械の導入等による大豆、小麦などの土地利用型作物の生産性の向上、畜産と結びついた飼料作物の有効利用、また、これは転作に限ったことではありませんが、野菜、畑作物等の流通加工対策への取り組みの強化、こういったことを重点といたしまして真に体質の強い転作営農の確立を目指してまいりたいと考えてございます。以上でございます。 53 ◯副議長(山内和夫君) 大沢君。 54 ◯三十三番(大沢基男君) ちょうど私で十一人目でしたが、十人までは議場も理事者側の席もすべて緊張の一色に包まれていたようでしたけれども、私の質問で皆さんが大いに笑って健康状態になったことを喜んでおります。(笑声あり)こういうことは私が申し上げることではないんですけれども、私も三年前、ちょうど十月七日でございましたが、総務委員会で急激に体の変化を覚えまして退席して、そのまま県病に送られて三カ月の闘病生活をしました。それからの体験からして、いかに命というものは大切であるかということを悟ったので、私の経験からしてこういうことが大切であろうということで質問いたしましたが、明朗な笑いは健康のもとということで、大いに笑っていただいたことも、これは私の質問がよかったなあと考えております。  冗談はさておきましても、今の……(笑声、発言等あり)いや、余談です。余談はさておきましても、今の県でやっている早期発見、早期治療は、ちょうど火事に遭って火がついたのを消すようなものでございますので、火の用心を叫ぶのが先だということを私は申し上げました。この火の用心を徹底してやることがより大切なことではないかと思いますので、それについてこれから十分心してやっていただきたいと思います。青森県は人口減と言われますけれども、死亡率が高い、短命県ということがまたそれにつながるものだと思いますので、やはり摂生を重んじて、みずからの健康を自分で管理するということになれば、ソ連のウクライナに行けば百歳を超えてもまだ再婚する方々がたくさんいると言いますのでそういうことにもなろうかと思います。それに、美食を好まないというようにして、カボチャやバレイショや、県産品のリンゴを大いに食べるということもこれも長寿のもとだと聞いております。私はそういうことを今拳々服膺していますのであと三十年は大丈夫だ、こう思っております。  健康についてはいろいろ説がありますが、塩分についても、これは逆も真なりということで教授が言ってるものだと思います。必ずしも正しいと思いませんが。塩分については十五グラムと言いますけれども、普通十グラム以内が適当だということも聞いております。私も肝臓を患った人から聞いたら、一日五グラムで十分だよと言う人もおりましたし、まあそれぞれその人の体質にもよることでしょうが、青森県は健康で、県病へ行っても、開業医も青森県へ行けばはやらないというぐらいみんな丈夫になってもらいたいものだ、こう思います。そうなれば県病の百億の赤字についてもどなたも質問しなくなると思いますので……  「五つの花びらの実践」ということについては、大変結構なことですが、ところが、部長の答弁を今聞いて、あちこちから「なに、やってるのか、知らないよ」という声が非常に多いんですが、それでは困るので、全県民に徹底して、そういう運動を起こす、そして協力してもらうということでなければ効果が薄いと思いますので、そういう点に心して大いに啓蒙運動を展開していただきたい、このように思います。なお、健康については素人が余りしゃべってもだめですからこの辺でやめますが……。  水田農業確立対策についてですが、知事は、豊作だから、あるいは凶作だからといって生産調整はそんなに簡単に変更しないとは言いますけれども、知事はうそしないけれども政府がたまたまうそをするものだから困るんで、だから、こういうことが過去においてもあっていますので、またこういうことが起きるということになれば大変だし、また、今の生産調整の問題についても、転作等について余りにも最近の情勢が変わってきている。秋田県の八郎潟に見られるように、訴訟しても国が負けるというああいうことから、最近は転作をだんだんしなくなってきているという傾向もございます。ペナルティーといっても、それはただ単に買い取らないぞというだけのことですから、わずか飯米農家の三十アール前後の人たちの場合は買い取ろうと取るまいと一向関係がないので、そういう都市化された場所に行くと専業農家ほど強い減反を強いられている。八戸は現に三八%の減反です。そういうようなことと、そして、今年度は何かまた今までと違って、県がそれを達成すればよかったのが今度からは市町村が達成しなければ、奨励金、補助金等についてもそれぞれ町村にも差をつけるというようなことが今うわさされていますが、それは事実かどうか。事実だとすればこれはまた大変な問題になってくると思います。  それから、減反の指導については、ただ市町村に割り当てをするだけでなく、その実行を監督する意味においても、どういう人が減反をしていないのか実情を細かに報告させなきゃならないと思います。現に今発見されている事実ですが、表面上まだ出ていませんけれども、これは、農業委員会、あるいは町村議員、農業団体の役員ですら減反をしていないという、みずから率先してやらなければならないような人たちがやっていないというようなことも出ております。こういうものはもう徹底して社会的な制裁を加えてやらなければ絶対成功しないと思いますので、これには強制権はないとはいうものの、みんなが苦しい中に痛みを分かち合うという意味においても、そういう指導的な立場にある方々が率先してやるような指導をしていただきたい、このように思いますが、こういう点について、今までは町村任せだったが、やはり町村任せでなく、県もそれを指示した以上責任を持ってやっていただかなければならない。町村でそれができなければ結局生産団体である農協に泣きついて、何とか減反させてくれ、あるいは他用途米をたくさん出させてくれというようなことが今各地で行われているのが実情なようですので、そういう点についてもう一度、これからのそういうものに対する県の対応策を伺いたい、このように思います。  なお、転作についてはその他にもいろいろなものがありますけれども、適地適作とはいいましてもなかなか容易ではない。値崩れの問題等もあるし、これがよいといってやれば過剰になって安くなる。そうすると来年はやらなくなる。ことし安かったものが来年たくさん栽培される、また安くなる、イタチごっこをやっているような現状でありますので、これらについては六戸に今度できた加工場等の研究によって解消されれば結構ですが、現に黒石の工業試験場で伺ったところによりますと、上北郡ではニンジン、ナガイモが非常に多い、くず物もたくさんあるからこれを何とか加工するようなことを研究してもらいたいということだったので、ナガイモとニンジンのしょうちゅうをそれぞれつくった、成功はしたけれども、頼んだ町村も農協もその後はもう全然行かなくなったということでございます。こういうことであれば、せっかく知事が思い切って予算化してああいう設備をさせても成功しないと思いますので、やはり生産者も行政に要請するだけでなく、みずからの責任においてそれを実行していく、そして自助努力によって足りない点を行政から補ってもらうんだというような指導も大切だと思いますので、あわせて御答弁を願いたいと思います。 55 ◯副議長(山内和夫君) 農林部長。 56 ◯農林部長(本儀 隆君) 先ほど転作の未達成の場合のお話がありました。議員御指摘のように、転作というのはみんなでつらいところを力を合わせてやっていくというものであって、決して法的強制力があるものではございません。したがって、市町村、農業団体、まあ特にこれはある種の生産の調整ですから、生産者の団体に相当主体的に取り組んでいただかなきゃいけない面もあります。もちろん県もやってございます。それから、その達成については市町村単位で見てございまして、未達成の場合には、そういう地区に関しては補助事業について採択の順位を落とすようにするというのがございます。したがいまして、そういうことをある程度厳密に適用していくことも、さっき言ったように、今だんだん大潟村なんかを見ているところがございますから、そういうものに対して少しでもそういうことのないようにするためにも必要ではないかと考えております。  それから、せっかくつくった施設がなかなか使われないといったようなこともございますが、そのあたりは、当初からの計画をしっかりするとか──また使われ始めてる面もございまして、現地での農協あるいは経済連と相談をしながら有効活用を図っていきたいと思っております。 57 ◯副議長(山内和夫君) 十五分間休憩いたします。 午後三時四十九分休憩        ───────────────────────────────── 午後四時十四分再開 58 ◯議長(工藤省三君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。会議時間を延長いたします。一般質問を続行いたします。五番山田弘志君の登壇を許可いたします。──山田君。  〔五番(山田弘志君)登壇〕 59 ◯五番(山田弘志君) 自民党の山田弘志であります。きょうも五名の傍聴の方々であります。残念ながら少なくなりました。知事にお願いをしておきますが、ひとつ次回からは知事名で職員を傍聴するようにさせていただければ大変ありがたい、こう思うわけです。私は今回初めて農業行政について質問をするものであります。皆様に耳ざわりが悪いのもあるかもわかりませんけども、ひとつ気にしないで聞いていただきたい。そして、もし気になったらどんどんやじ飛ばしてください。やじは議場の花であります。私のやじはとげがありますけども、皆さんのはないはずでありますから期待をしてるところであります。  最初に、秋雨前線による大雨と今回の台風十九号で災害を受けられました県民の多くの方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。この大雨と台風は本県各地に大小さまざまの被害をもたらしたのでありますが、私も日夜にわたり災害現場を調査してまいりました。このたびの災害においては、人身の被害がなく、また、風が余りなかったことから果樹の災害、風倒木災害などがなかったことが不幸中の幸いだと思うのであります。しかしながら、水害は私が住んでいます県南地方を中心に大きな被害を与えたわけであります。既に知事からは、被災地区に対しては速やかに応急措置をとるとともに、抜本的な対策を講じていく旨の答弁が再三されておりまして、力強く感ずるところであります。  さて、今や我々は、世界の諸地域、諸国民との結びつきをますます深め、グローバルな認識と思考なくしては日常の生活を送ること自体が困難になっているのであります。同時に、他方では、みずからが生活をし活動している近隣の地域社会や地方自治体に対する信頼性の要求と主体性な参画の要請がまた改めて目覚めてきているのであります。一方において、通信、運輸を初めとする飛躍的な技術の進歩、世界経済の発展、社会面、文化面における国際交流の拡大等により、従来の国家の枠を超えた世界的な協力、協調の必要性が強く認識されているようになっております。それと同時に、他方においては、現代の社会が複雑多様化・専門化し、ますます見通しのきかないものとなっていることに対する不安もまた生じているのであります。このような状況において地方自治の果たすべき役割が改めて見直され、地方自治体や地域コミュニティーに対する期待が従来にも増して高まっており、このような課題にいかに対応するか、これが今後の地方自治体に課せられた課題であると思うのであります。以下、通告に従い順次質問をいたします。  まず農業問題──農業行政についてであります。農業は国の根幹をなす産業であります。それだけに国民一人一人が真摯に考えていかなければならない問題だと思うのであります。御承知のとおり、米問題は今日我が国最大の課題であります。政府・自民党を初め多くの党が今、米自由化に反対をしているのであります。しかし、中には意見を異にする人々があることも事実であります。私は、過保護な農業政策に決別を告げ、抜本的な改革のもとに、経営的に成り立ち得る農業政策の樹立を目指すべき時期に来ているという意見を持つものであります。日本の農業をだめにしたのは何も政府だけの責任ではないと思うのであります。終戦後のあの荒廃から立ち上がり、食べるものさえなく、諸外国からの援助物資に頼って今日に至った我が国の過去を振り返るとき、当然、食料増産、自給率向上は死活問題であり、強力な国策のもとに推進されなければならない問題であったと理解をするものであります。しかし、我が国を初め先進諸国はその後、工業を初めとする二次産業あるいは三次産業にますます力を傾注し、経済面においては大きな発展も見たのでありますが、気がついてみたら、我が国にはいつの間にか農業者らしい農業者が消えていたと申し上げても過言ではないのであります。とりわけ、米一つをとって見ましても、どだい食生活やライフスタイルの変化によって消費量が減っている現状であることをだれが否定することができましょうか。また、農業予算措置を見ても、相も変わらず土地改良予算の比重が大きいのであります。これだけ農業が低落傾向にありながら、本来農民を守り育てる農協は一体これまでどんな役割を果たしたのでありましょうか。そして、どうしても看過できないのは、国政に携わる人々の中に、選挙に腐心迎合する余り、真の国際協調を踏まえた農業政策の見直しなり、またその時期の変遷に見合った政策立案に真剣に取り組む方々が少なかったことの大きなツケが今農業の危機的状況を招いていると私は申し上げたいのであります。また、何でもかんでも国へ任せっ放し、頼りっ放しのおんぶにだっこのこの農民の体質からくる独創性、創造性のなさが農業をだめにしている一因とも考えるのであります。農民がよく口にする「我々は工業の犠牲者だ」という言い分は必ずしも当たらないと思うのであります。ともかく、既に小手先の政策だけでは農業はもうどうしようもない危機に瀕しており、いいかげんに目覚めなくてはならないと思うのであります。それこそ、国策の根本にある食管法によって農家は国に守られているということがかえって、農家に工夫することやおいしい売れる米づくりという自立心を忘れさせる結果になったと思うのであります。東欧諸国のあの民主化の波やベルリンの壁の崩壊は何を物語っているでありましょうか。それは、国営の社会主義的政策は結局時代おくれとなり、競争原理の働かないところには勤勉とか合理的な生産性というものが生まれないという明白な証左ではないでしょうか。このような国際社会の変動の中で、今もって世界に対して「断固米の市場開放はだめだ」と言う我が国の言い分は、もはやどう見ても通用しないのではないかという疑念を持たざるを得ないのであります。このような基本的な認識を持ちながら次の二点に絞って御所見をお伺いするものであります。  第一点として、本県農業の基幹をなす稲作についてであります。米をつくる情勢は、先ほど申し上げましたように一段と厳しさを増すことは避けられないのであります。このような中で本県の稲作の将来を展望いたしますと、稲作農家みずからが創意工夫を生かしながら経営的にも自立していくという気構えを持つことが大切であることは言うまでもないのでありますが、県としても、米の情勢を的確に把握しながら的確な生産誘導に努めていく必要があると思うのであります。そこで、本県の米づくりを今後どのように進めていこうとするのかお伺いをするものであります。  第二点として農産加工対策についてであります。農業情勢が厳しさを増す方向にある中で、農業所得を向上させ農村に元気を呼び戻すためには農産加工の振興ということに大いに着目しなければならないと思うのであります。私は常々、例えば、本県が日本一の生産を誇っているニンニクにこだわって、これのしょうちゅうでもできないかと考えてるのであります。いずれにしても、これが青森県のものだという訴え方ができる産品づくりをもっと強力に支援すべきではないかと思うのであります。県の農産加工指導センターが開設され今後の活躍に期待が寄せられているところでありますから、この機会に、農産加工の振興あるいは販路の拡大といった点について今後の取り組み方をお伺いするものであります。  なお、この際ですから二点ほど要望申し上げておきたいのであります。一点目は転作についてであります。御承知のとおり、転作の取り組みについては各農家が厳しい対応に耐えております。このような現実を踏まえて、県や市町村の職員で水田を持っている者は率先して転作に協力すべきものと考えますので、この点について特に県の指導を強化するよう要望しておきます。  また、農協の営農指導の強化についてであります。地域農業を確立していく上で、生産から販売までを取り仕切りながら生産者農家を指導できるのは農協をおいてほかにないのであります。この期待が大きいからこそ、農協の役員はしっかりせよなどといった批判が出るのであります。このようなことから県としても、農協のあり方のガイドポストといったものをこれまで以上に明確に示しながら、農協が本気になって営農指導に取り組むよう一層指導の徹底をお願いする次第であります。  次に水産行政であります。近年青森県の中型イカ釣り漁業はイカの価格暴落により最悪の経営状態に陥っております。特に、今漁期のスタートに当たっては、操業時期を五月下旬までおくらせ生産調整を実施してきたにもかかわらず、一ケース八キログラム当たりの単価が、七月二千五百七十七円、八月二千二百四十八円と期待した価格を確保できないまま推移し、最近においてはさらに低迷する傾向を示しております。そして、この状況に追い打ちをかけるよう、イラクのクウェート侵攻というペルシャ湾岸危機により漁船燃油が値上がりされており、今後の動向も懸念されるところであります。かかる情勢を踏まえるに、中型イカ釣漁業の減船はますますその必要性を増すとともに、減船希望者も増大すると認識をするものであります。ついては、このようなイカ釣業者の現状をどのように認識し、また今後どの指導助成していくおつもりなのか御所見をお伺い致します。  第三に、環境行政、特に合併処理浄化槽設置にかかわる助成についてであります。御承知のとおり国におきましては、自然環境を守るため、昭和六十二年度を初年度として、生活雑排水に対する、すなわち合併浄化槽設置に対する助成策を推進しております。私はこうした動向を踏まえて第百七十七回定例会において、河川、湖沼などの水質汚濁の原因は工場などの産業排水よりも生活雑排水によるものが大きい、公共下水道の整備には巨額の財政負担が必要であり、かつ財政規模の大きい都市でなければその整備は至難である、山紫水明の青森県こそ恵まれた自然環境を子々孫々まで継承するため合併浄化槽の推進に取り組むべきだと提言したのであります。自来、県内におきましても八戸市が本年度からその助成策を講ずることになり、また、近隣市町村においてもその動きが出始めていることは自然保護の観点からまことに喜ばしいことと私は考えるのであります。しかし、こうした動向にもかかわらず、その指導的立場にある県がこれに対し何ら指導助成策をとらないのはどうしたことか大きな疑問を持つのであります。御案内のとおり、東北各県においては既に県がこれに対し助成策を講じ、実践活動のための体制組織づくり、さらに効果的推進のための方策確立等に意を用いているのであります。ついては、遅まきながら我が青森県においても早急にこれが施策を講ずるべきと考えますが、これに対する御所見をお伺いするものであります。  第四番として観光行政の観光国体についてでありますが、このことについては、北東北三県が指定された場合の具体的事業展開等について本日知事の御所見を伺う予定でありましたが、今朝の新聞報道等によりますと昨日午後正式決定を見たとのことでありますので、この質問は取りやめることにしたいと思います。ついては、これまでの知事初め関係各位の努力によりこの決定を見たものと思います。この上は、観光国体の開催の目的が十分に達成されるよう特段の努力をされるよう要望申し上げておきます。  最後に生涯スポーツ振興対策についてであります。近年、余暇時間の増大や高齢化社会の進展とともに県民の体力や健康に対する関心が一段と高まり、日常生活の中でスポーツに親しむ人々はますます増加しております。県内各地で朝早くからゲートボールにジョギングにと心地よい汗を流す多くの人々がおり、これら実践者の姿に触れるにつけ、幅広い年齢の広がりを見ることができるのであります。私は、こうした流れの中に将来に向かってさらに大きく飛躍するエネルギーの胎動を感ずるとともに、豊かな生活を創造する文化を見る思いがします。それだけにこのようなスポーツ活動を守り育てていくことが県政を担う者の責務であるとの認識に基づき、以下お伺いをするものであります。第一点として、政府においても生涯スポーツや競技力の向上のため種々の提言をしておりますが、しかし、施策を展開する場合地域特性を十分に加味されるべきであると私は考えるのであります。そこで、本県の生涯スポーツの振興について今後具体的にどのような施策を講ずるつもりなのか。第二点目として、昭和六十三年度に文部省では、生涯にわたるスポーツ活動振興のための方策を一層充実推進していくために体育局の組織を改めております。そこで、本県においても県民のスポーツニーズに対応するため推進体制を充実強化すべきと考えますが、お伺いをいたします。第三点目として、県内の社会体育施設は整備されてきてはおりますが、しかし残念なことにその多くは貸し施設になっております。これらの施設を効率的に運営するためには、地域の特性に合ったプログラムの研究開発、提供、指導者の養成と活用、情報提供、体力・医事相談などのソフトの構築が極めて大切であると考えるのであります。ついては、生涯スポーツの拠点ともなるスポーツ科学センターを設置すべきと考えますが、これに対する御所見をお伺いするものであります。  以上で私の質問を終わります。 60 ◯議長(工藤省三君) 知事。 61 ◯知事(北村正哉君) 山田議員にお答えを申し上げます。  質問の第一点が農業行政についてということで、米を中心に所見を開陳されたわけであります。まあ、いろんな意見があるということは、世の中でありますからそれに対してどうこうと申し上げるわけにもいきませんが、前段で述べられた農業に対する御所見というのは山田議員の御意見として承っておきたいと思います。ただ、その中の、米の自由化反対はやめて自由化すべきだということにつきましては、本県はそうでなく、自由化を断固阻止するという方向で政府その他に働きかけている、ということを申し上げたいわけであります。御了承いただきたいと思います。  それから、米づくりについて問われているわけであります。一口に申し上げて、つくりさえすれば米は売れる、今まではこういう時代だったわけでありますが、この先は、何とか売れる米をつくらなければならない、こういう時代へと変わっているわけでありまして、それに対応して各分野において対応手段を講じていかなければならない、その具体的内容については──「青森県コメづくり運動」をやってるわけでありますから、その内容等について農林部長からお答えをさしていただきます。  農産加工については、最近事情の進展もあるわけでありますので私から申し上げることにいたします。厳しい農業情勢の中で農家の所得向上を図っていくためには、生産者みずからが生産物の付加価値を高めていくことについて創意工夫をしていくことが必要であります。これらへの取り組みが地域経済の発展や農村の活性化につながっていくことはもちろんであります。幸いにして、転作などを契機として、地域の特産物を活用して新たな加工品をここにつくり出していくという機運が県内各地で生まれてきたのでありますが、これは農村の活性化のために大変喜ばしいことだと思っております。県はこれらの動きをとらえて、農林部農政課内に農産物流通加工対策室を設置して農産物の流通加工にかかわる諸対策を総合的に推進することといたしましたほか、この十月一日からは農産物加工指導センターを六戸町にオープンさせていただいたわけで、加工技術の研修やら地域の特産物を生かした加工品づくりなどを支援する業務を開始したところであります。また、これらの加工品の販路拡大対策についても、市町村あるいは農漁協、食品企業などを会員とした青森県ふるさと食品振興協会を新たに設立いたしまして、これらの組織を中心として関係者が一体となって本県の特産品をPRし販路拡大に努めたい、こういうことで進めております。今後とも、より商品性の高い特産品が育っていくように、市町村や農協、関係機関ともども連携して、各種補助事業や融資制度を活用した加工施設の整備などを指導し、真に農家や地域のためになる農産加工の振興を図ってまいりたい、こう思っているところであります。  それから、転作には、県職員と、もう一つ何か言われたが──県職員と市町村職員といった方々が転作について率先して範を示すべきだと、これは、かねがねそういう言い方もしてきたわけでありまして、米の生産調整の当初から、公務員の立場からは特に心して模範たり得るようにという言い方はしてきてるんでありますが、今またお話がありましたので、さらにそのことを意識して指導してまいりたいと思います。  それから、農業振興のためにはやっぱり農協育成、農協の体質強化が非常に大事だということを述べられたんでありますが、全くそのとおりでありまして、今進めている農協合併等もそのことのために特に重点施行の政策として取り上げているわけであります。またその機運も逐次盛り上がりつつあるわけでありまして、合併も進むであろうし、また、農業者の間における農協の指導的立場というものも逐次強化されていくように指導してまいりたいと考えてるところであります。  イカ釣り漁業についてはお話のように減船を余儀なくされている。国の方でもそのことについては考え始めているようでありますが、県としては、国の対応も見ながら、いかにしたら魚価低迷あるいは過剰生産のイカ釣り漁業の救済ができるかへまあ具体的には減船でありますが、これにどの程度対応して協力できるかを検討している段階であります。今の減船問題は、水産部長からつけ加えることがあればまた足していただこうと思っております。  それから、合併処理浄化槽は担当部長の方から実態と対策を申し上げたいと思います。国の方からは補助があるようでありますが、県はどうするかということの御趣旨だと思います。部長から答えさしていただきます。  観光国体については質問を取りやめられたということでありますが、事観光に関するプロジェクトというか、問題としては、大変画期的な大きな問題であります。明年九月を期してこれを実施することが認められたわけであります。観光立県推進地方会議──恐縮ながら私が会長ということでいるわけでありますが、青森、秋田、岩手の三県で、実際に持っているすぐれた観光資源を国内あるいは国際的にも紹介し、観光事業の活性化を図る、そのために提言を出し合って検討する、そのために現地も見て回る、こういった内容のものであり、御質問ではなかったんでありますが、御報告として、それができることになった、やることになったということを申し上げておきます。 62 ◯議長(工藤省三君) 環境保健部長。 63 ◯環境保健部長(増田和茂君) 合併処理浄化槽設置整備事業に対する県費補助制度を創設すべきではないかという山田議員の御質問にお答えいたします。国におきましては昭和六十二年度から、合併処理浄化槽の設置者に助成を行っている市町村に対しまして国庫補助を行い、その整備推進を図ってきたところでございます。また、同事業に係る地方公共団体の負担分につきましては、平成元年度分から地方交付税措置が実施され、市町村の実質負担も軽減されているところでございます。県におきましてはこれまでも合併処理浄化槽の設置活用について県民に広く啓発してきたほか、市町村に対しましても国庫補助制度の積極的な導入について指導してきたところでございまして、今年度から八戸市及び福地村が助成制度を設け事業を実施したところでございます。市町村に対しましても引き続き国庫補助制度の活用について指導してまいりたいと考えてございます。また、県費補助制度につきましては、他県の実施内容等を調査し、さらには国の今後の合併処理浄化槽対策の動向を見ながら検討してまいりたいと考えてございます。以上でございます。 64 ◯議長(工藤省三君) 農林部長。 65 ◯農林部長(本儀 隆君) 米づくりの誘導についてお答えいたします。本年度から「新青森コメづくり運動」──地域の米の顔づくりという旗を立ててやってるわけですが、基本的に地域に適した品種の選定をして、品質、食味など品種特性を生かした米づくりをしていくということで、そういうことを基本といたしまして、生産者の意識の高揚を図る、あるいは、銘柄米や有機低農薬米、酒米などの生産団地を育成していく、さらには、生産の組織化、経営の規模拡大といったことを通じてコストの低減を図る、また、クリーンイメージといったことを強調して宣伝販売対策をやっていく、こういうことを重点に地域での自主的な取り組みを推進すべく運動してるわけでございます。こういう運動を通じまして、本県では主力品種として「むつほまれ」が普及定着しましたし、またわせ品種のキタオウが普及を始めたわけで、県全体の食味の底上げといったようなことが図られつつありますほか、期待の「つがるおとめ」の作付が拡大してきていること、さらに、三戸町あるいは弘前市で酒米「華吹雪」の生産が拡大されていることなど、売れる米づくりへの取り組みという成果が徐々にあらわれてきております。今後はこれらを足がかりにして本県独自の特色ある米づくりを推進してまいりたいと考えております。以上でございます。 66 ◯議長(工藤省三君) 教育長。 67 ◯教育長(山崎五郎君) 山田議員の生涯スポーツ振興策について三点の御質問にお答えいたします。第一点は、本県における地域の特性を生かした生涯スポーツ振興の具体的施策についてのお尋ねでございます。県民一人一人が生涯を通じて自己の体力や能力に合った運動やスポーツに親しむことは、心身の健全な発達に資するだけでなく、明るく豊かな活力に満ちた社会の形成に大きく寄与するものでございます。このことから、県の教育委員会といたしましては、指導者の養成と活用の促進、スポーツ教室・スポーツクラブ活動等の充実、スポーツ施設の整備と効率的な活用などの施策を、市町村スポーツ関係団体との連携を図りながら地域の特性を考慮し推進しているところでございます。そのうち生涯スポーツ振興のための具体的な施策といたしましては、市町村スポーツ巡回訪問指導、生涯スポーツに関する情報の提供、指導者養成のための各種講習会等の開催、ニュースポーツの普及、そして各年齢層に応じたスポーツプログラムの研究開発等々多様な事業を実施しているわけでございます。また、平成三年度から新たに、生涯スポーツの全県的な総合イベントといたしまして青森県民生涯スポーツフェスティバルの開催を計画するなど、県民の生涯スポーツの振興に意を用い努めてまいる所存でございます。  第二点は、県民のスポーツニーズに対応するため推進体制を充実強化すべきではないかという御質問でございます。県民のスポーツに対する関心が高まり、またニーズも多様化してきていることなどから、県、市町村、体育団体等の連携を一層密にした生涯スポーツ推進体制の充実を図っていくことが必要であると考えてございます。また、本県生涯スポーツの振興にとって体育・スポーツ施設を県民が活用しやすくすることは大事なことと考えられますので、県営の体育・スポーツ施設につきまして、その運営には今後十分意を用いてまいりたいと考えております。  最後に、生涯スポーツ振興の拠点としてのスポーツ科学センターを設置すべきでないかというお尋ねでございます。現在国におきましては、競技力向上のためのスポーツ科学の研究、スポーツ診療、スポーツ情報の収集、提供、指導者の養成等を行う総合的なトレーニングセンターとしての、仮称でございますが、国立スポーツ科学センターの設置が計画されているところでございます。議員御提案のスポーツ科学センターは、このような機能を持った、あるいは、プログラムの研究開発についても言われましたのでもっと多彩な機能を持った施設かと思いますけども、これに当たるものであろうと思います。県の教育委員会といたしましては、国のこの動向などを見守りながら今後の課題としてまいりたいと考えております。なお、これらの問題を含めまして本県の生涯スポーツ振興の基本的なあり方につきまして、県スポーツ振興審議会の意見を聞くなどして本県生涯スポーツの振興、充実に取り組んでまいりたいと考えてございます。 68 ◯議長(工藤省三君) 山田君。 69 ◯五番(山田弘志君) 二、三質問しながら要望申し上げたいと思います。  農業行政でありますけども、いろいろ努力されておるというのは私もわかるんでありますが、「新青森コメづくり運動」の重点目標として、まあいろいろあるんでありますけども、生産面においては、自主流通米時代に対応していくための生産者意識の高揚云々、そして「ロ」として、地域の特色を生かした銘柄ブランドづくり、また経営面では、転作への真剣な取り組みによる所得の向上を図る、流通面では、自主流通米の計画的な拡大をする、「ニ」として、県産米を売り込んでいくための宣伝・販売体制の強化をする、こうなってる──まだその他たくさんあるんでありますけども、気のついたところを申し上げたわけであります。いろいろ努力はしてるんであります。そこでお伺いをするんでありますが、販売に努力をしてると、まあ確かにやってるはずであります。そこで、県内にあるホテル、レストラン、旅館その他、いろいろな方々が食事のために出入りをするところ等に使用している状況はどのようになっておるのか、それから、これからどのようにするのかをお伺いしたい。「つがるおとめ」ができたわけでありますけども、その後、部長、知事は、寒冷地というんですか、南部の方でも、ヤマセに強いものにすぐ品種改良するというお話をしておりましたが、その新しいものがキタオウなのか、また、これからもっと開発をするのか、どれぐらい進んでるのかについてお伺いをしたい。  これは要望でありますけども、岩手県の軽米町でありますが、ヒエしょうちゅうというのをつくってるんです。しょうちゅうをつくるのには甲類、乙類というのがあるんです。乙類ではそういうようなものはつくれるんですが、甲類ではつくれない。青森県には乙類というのはないはずであります。この岩手県の方々は、合同酒精の旭川にお願いしてつくり、販売をしてるんです。そういうことから見れば、ニンニクしょうちゅうというのもつくる──生産高が日本でトップでありますからつくっていいような気が私はするんです。ただ、このニンニクというのは臭いもんですから蒸していかなければできないそうです。まあ梅酒というのがあるわけですが、例えばそれをちょっと蒸したもので梅酒みたいなものをつくるのも一つの方法だと思いますんで、その辺をひとつ強く要望しておきます。  まあ、私は先ほど生産者に大変失礼なことを言ったかもわかりません。ただ、日本の予算は六十六兆二千七百三十六億なんです。税が五十八兆なんです。そしてそのうち所得税が二十一兆三千七百二十億なんですよ。そして法人税が十九兆七千百十億。この中で農家の方々のためにどれぐらい使ってるか、大変な金額だと思うんです、私は。水産──農水の予算は三兆四、五千億でしょう。基盤整備その他補助金で一兆は使ってるはずであります。こういうようなものは国民が納得するものだろうか、私はそう思ってる。そういうことを心配して、やはり商売になるようなこともしなきゃならないという意味で私はやってるんです。私も心配なんですよ、それぐらい、農家を中心に地球は回ってるわけじゃないんです。やはりその方々にも日本が厳しいということは理解してもらわなきゃならない、プロにならなきゃならないと。先般二日の日でありますが、長峰議員が御質問していました。感銘を受けました。やはり指導者側のような話をしてるんです。私たちも反省をしなきゃならない、やはりプロにならなきゃならない、生産だけじゃない、商いをするのもうまくならなきゃならない、私はそう思っておりますよ。ただつくるだけでないんです。「つくった、あんたたちが買うのは当然だ」という時代じゃないんです。私はその辺を考えてやっていただきたいもんだと。農協の幹部の方々は末端の方々の気持ちをわかったふりをしてるけども、わかってるかどうか私は疑問である。私は八戸からたまに車で来ますよ。そのとき、六戸の方々とも東北町、上北町の方々ともたまに車をおりて話をします。誇りを持って私どもは農業をやってるんです、米にこだわることなく、ナガイモをやり野菜をやりいろいろやってると。余りにも一つのものにこだわることはない、私はやはりプロになっていただきたいと。八戸の後継者をつくった農家の方々を見てくださいよ。花卉産業をやって、今だったら八戸の私の地域に住んでる方々がトップだはずであります。この方々を見習ってやってもらえば青森県はすぐよくなるような気がするものであります。  それから合併浄化槽でありますけども、これは、部長、他県を見てとかそんな話じゃだめなの。よそのとこを見ながら気を使いながら、そんなことじゃなく青森県のためにやらなきゃならない。大した金額じゃない。国の制度に乗ったものをただあなたが指導してるぐらいにしかすぎないんですよ。それじゃだめなんです。もっと本格的にやってもらいたい。例えば、お茶わん──おわんですわね、おわんに入っているあのおつゆを捨てることによってどれぐらいになるかと申しますと、それを魚がすむような水にするためには一トンの水が必要だそうです。それぐらいのものなんです。普通の排水の中にBODが大体どれぐらい入っているかとなりますと、四十グラムぐらい私どもは毎日捨ててるわけです。その辺を私は心配するもんですから、部長、あんたがいるうちに何とかちゃんとしてください。総務部長、これはあんたに質問する。すぐ出るか出さないか、これは部長で責任とってください。  それからスポーツ関係でありますけども、科学センターは国でつくるんです。ただ、全国的なものですから箱物になるはずでありますけども、運動場でもある程度やれるはずです。どうかこの辺を、バーベルとか、また、医事的なものその他の相談も体協で今やってるはずだけども、やってもらえればいいと。先ほど大沢議員もいろいろ心配しておりました。運動していかなきゃならないことであります。スポーツの中には、生涯スポーツと、それから勝つスポーツがあります。勝つのも大会へ出て優勝するのも、ただただ練習するんではどうにもならぬ。弱いところを鍛えなきゃならないんです。筋力というものは二十一までで、それ以上は伸びないんです。あとは下降ですよ。そういうようなものをやはりやっていかなきゃならない。今医療費が二十兆かかるわけでありますから、やはり各自の体は各自で守っていかなきゃならない。それにはやはり運動するのみであります。私は三日に一回か二日に一回トレーニングセンターに行ってやっております。まあこれによって長生きするかどうかわかりませんけども、体にはまあまあの自信があるところであります。ですからひとつその辺を考えていただきたい。  それから、先ほど……(発言あり)再質問のところだけやってください、あとはやりますから。今のは要望ですよ。 70 ◯議長(工藤省三君) 総務部長。 71 ◯総務部長(伊藤 廉君) 合併処理浄化槽に対する県費助成につきまして、具体的に御指名がございましたのでお答え申し上げます。快適な生活環境づくりのために合併処理浄化槽事業が非常に有効な手段であるというのは議員御指摘のとおりだと思います。ただ、御案内のとおり、生活排水の処理に当たりましては下水道なり農業集落排水事業等がございます。例えば下水道につきましては、将来下水道が敷設される地域に合併処理浄化槽を行うとなりますと、下水道事業の推進に当たっていろいろ問題が生じてきます。さらには、先ほど環境保健部長から答弁がございましたように、合併浄化槽の財源措置としましては地方交付税として大分充実した措置がとられてきてるところでございます。こういうことを考えながら、生活排水の処理に当たりまして県がどういうふうな役割を担えばいいのか、関係部局とよく調整して県の適切な措置を検討してまいりたいと考えております。 72 ◯議長(工藤省三君) 農林部長。 73 ◯農林部長(本儀 隆君) 追加の御質問にお答えします。  県内のホテル、旅館、まあ県外の観光客が多く宿泊するような施設で県産米を使ってもらえるとPRの絶好の機会だと思っておりますし、いいんですが、ただ、「つがるおとめ」のデビューがあって少しはそういう使用はふえてるかと思いますが、よく見かけるのが「コシヒカリ使用」という看板が立っているレストランですとかホテルがあったりして、これは非常に悔しいわけであります。そういうわけで、今年度から県産米新規需要開拓推進事業というのをスタートさせまして、今、青森市、八戸市、弘前市の観光地のホテル、旅館、レストランなどを対象に、米の使用状況、あるいは県産米使用の可能性等の調査を実施しておりまして、これを踏まえてこれから需要開拓折衝を行いながら、それの趣旨に賛同した施設に対して「つがるおとめ」をデザインしたプレートを交付する、そういったことを今考えておるわけでございます。  それから寒冷地向けの品種開発でございますが、先ほど申し上げましたように、ことしからわせのキタオウを奨励品種として採用して普及に移してきたわけですが、そのほか、育種規模の拡大と効率化を一層図る観点から水稲良食味品種早期開発事業というものを実施しておりまして、世代促進温室の整備や約培養圃の活用などによって育種年限を短縮する、さらに各地域の特性に応じた耐冷・耐病性等を備えた良食味品種の育成、こういったことに努めております。特にヤマセ地帯への対応といたしましては、極わせ品種であるハツコガネ並みの耐冷性と「むつほまれ」級の良食味を備えた品種の作田、当面これを一つの目標にしております。また、ピラフ米など流通加工適性の高い各種用途向けの品種等の開発にも取り組んでおります。今後ともその早期開発に努めてまいりたいと思っております。  なお、御提言のニンニクしょうちゅうでございますけど、本県の特産品の利用拡大という点でいいアイデアであると思います。また技術的にもそう難しくないと聞いておりますが、しかし、原料の大量確保やコストなど製品化を進めていく上で問題点もあるといったようなことのようでございます。いずれにしても、これは醸造の話でございますんで、工業試験場とも連携をとりながら検討してまいりたいと思っております。 74 ◯議長(工藤省三君) 山田君。 75 ◯五番(山田弘志君) 水産行政でありますけど、この問題は、部長、前回は八分の四だったんでありますが、今回国は九分の四になりますわね。八戸では、間山議員もおっしゃったように、何とかこれは九分の三ということでお願いをしたい、業界ではそう思ってるわけです。業界ではもう鼻血も出ないくらい大変なんですから、ひとつ期待にこたえるように何とかしていただければいい、こう思っております。  それから、先ほど教育長は生涯スポーツ振興策について、「県民のスポーツに対する関心が高まり、スポーツに対するニーズも多様化してきているから、県、市町村、体育団体等の連携を一層密にし、そして、体育・スポーツ施設の運営には十分意を用いていく」こうおっしゃってるわけでありますが、ひとつ体協といろいろ話し合って何とかいい方法を……。一番理想的なのは、第三セクターみたいなのをつくるのが一番いいような気が私はするんです。そして専門の職員がいるようになれば、そこで自分の好きなものをやりながら指導するようになるわけでありますから、私はこの第三セクターを──八戸には体育公社というのがあるわけでありますから、ぜひともそういうようにしていただきたい。健全な精神は健全な肉体に宿ると言われておりますので、スポーツは体を鍛えるだけじゃなく強靭な精神力をも養うものだそうでありますから、どうかひとつお願いいたします。  知事、これから二月は選挙になるわけでありますが、多分知事は間違いなく自民党の公認になるはずであります。ひとつ体に気をつけて頑張っていただきたい。政治は政策なり、ムードではない。政策を持った者が勝者になるものだと私は思っております。どうか体に気をつけて頑張っていただきますことをお願いして終わります。 76 ◯議長(工藤省三君) 去る十月一日の今村議員の一般質問に対する答弁については後日行うことにいたしたところでありますが、同議員は病気療養中であり本日も出席できないということでございますので、本人が不在ではございますが答弁を行うことにいたします。  今村議員の一般質問に対する答弁を求めます。──知事。 77 ◯知事(北村正哉君) 去る十月一日の一般質問の初日に、今村議員におかれましては質問終了間際の時点で急に体調を崩され、本日この議場におられないのではありますが、今村議員がどうか一日も早く快癒されますようお祈り申し上げる次第であります。私としましては、今村議員の御質問に対する答弁内容がしかるべく御本人に伝わるとの理解のもとに、以下答弁をさしていただきます。  第一点は、四選出馬を決意した知事の真意を伺いたい、また、長期間にわたる県政担当によるひずみの発生、さらには知事自身の年齢的なことをあわせ考えると、この際引退すべきであると思うがどうか、こういうことでございました。次期知事選挙への出馬につきましては、私の気持ちについて、既に十月一日に丸井議員にお答え──十月一日というよりも、当時の時点の言い方をすれば先刻丸井議員にお答えしたところでありますが、再度申し上げるとすれば、私は知事就任以来今日に至るまで、ひたすら県勢の発展と県民福祉の向上を願い、豊かで住みよい活力のある地域社会の建設を目指して諸施策の積極的な推進に全力を傾注してきたところであります。それらの結果の一つとして本県にも本格的な高速交通時代の到来が見られるなど一定の成果を上げ、県勢は着実に伸展しているものの、新幹線問題など私が手がけてまいりましていまだ解決を見ていない課題があり、また、今後の県政の動向はますます複雑多岐にして重要度を増してくるものと予想されるところであります。私としましては、これら県政の前途を思うとき、万難を排して引き続き知事に就任し、みずからの責任において当面の県政の収拾、推進に当たるべきであ・り、そのために、この際はぜひ次期知事選に立侯補すべきであり、しなければならないと考えているところであり、私の所属政党である自民党の田名部県連会長にも立候補したいこの旨を伝えている次第であります。自民党におきましては目下候補者の調整中ということであり、当然のことながら私は党調整に従うつもりであります。以上がこの問題に対する私の答え方であります。  第二点が、米軍基地及びJR津軽海峡線の公害問題に対する姿勢、その中の、米軍基地におけるNLPの絶対禁止を要請してるにもかかわらずできてないじゃないか、どうするのか、こういうお尋ねでありました。県はこれまでにも外務省、防衛施設庁等を通じて、NLPを米軍三沢基地において絶対に実施しないように米軍当局に要請してきたところであります。また、八月には、県としましては初めて在日米大使館並びに在日米海軍司令部に総務部長を派遣し、本県における実情等を訴えながらNLPの中止要請をしたほか、私自身も、八月と九月にそれぞれ来県した在日米軍司令官であるデービス中将、及び在日米海軍司令官のサケット少将に会い、NLPの中止を強く要請したところであります。今後においても、民生安定の観点から、他県等における対応の状況をも見ながら、また、関係者の助言に耳を傾けるとともに、地元三沢市等との連携を密にしながら、米軍の三沢基地におけるNLPの絶対禁止に向けて粘り強く対応してまいりたいと考えております。  それから、海峡線の騒音については部長から申し上げます。  それから、むつ小川原開発計画の抜本的見直しについて問われました。第二次基本計画は計画どおり進捗しておらず見直しをすべき、こういうことでございました。むつ小川原開発につきましては、何遍も申し上げましたように、工業開発を通じて地域開発を図るという基本的な考え方のもとに、長期的な観点に立って段階的に進めてきているところであります。第二次基本計画で想定をいたしました石油シリーズにつきましては、二度にわたるオイルショック等社会経済情勢の激変からその立地が極めて困難な状況にあることは事実であります。したがいまして、昭和六十年四月に原子燃料サイクル施設の立地に同意、協力するに際しましてこれを「付」の形で織り込み修正した際に、石油シリーズにこだわることなく、工業開発を通じて地域開発を図るというむつ小川原開発の基本的考え方のもとに、広く立地可能な業種を多角的に導入することとしたところであります。また、港湾等の基盤整備につきましては、この地域のポテンシャルを高めるため欠かせないものとして企業の導入に先行して進めているものであり、今後も引き続き整備を進めることが重要であると考えております。したがいまして現在の第二次基本計画を見直す必要はないと考えているのでありまして、今後とも長期的な観点に立って、企業立地の動向を踏まえつつ、国、経団連、電事連、その他産業界の協力を得ながらその促進を図っていきたいと考えております。  それから、多くの解決すべき課題を抱えながら、県論を分断する原因となっている核燃料サイクル施設の立地は中止すべきである、こういう質問でありました。原子燃料サイクル施設の立地に関する県民の意識には大変厳しいものがあると受けとめているところであり、原子燃料サイクル事業に反対あるいは批判的な県民もかなりいるものと認識しているところであります。しかしながらこの原子燃料サイクル事業については、工業開発を通じて地域の振興を図ることを基本理念としているむつ小川原開発の一環としてその立地に協力しているものであり、また、国のエネルギー政策にのっとって取り組まれているものであることから、県政にとりましては極めて重要なかかわりのある事業としてとらえているところであります。県としては、国の安全審査に伴う安全性の確保を大前提としながら原子燃料サイクル事業の立地に協力する立場をとっていきたい、こう考えているところであります。したがいまして県としては、県民の理解と協力を得る立場から、県民の気持ちを十分に酌み取り、これを国、事業者に伝え適切な対応を求めるとともに、県みずからも国、事業者と役割分担をして、県民が判断するために必要な正しい情報の提供、あるいは県民の気持ちを納得させるに十分な説明、対話を地道に行い、県民の信頼と理解を得るべく努めることが大切であると考えているところであります。  それから、むつ小川原関係でもう一つ申し上げます。濃縮工場操業に伴う安全協定及び海外委託契約問題について、安全協定を締結しなければ操業はできないという県の見解に変わりはないのか、こういうことでありました。安全協定は、施設の操業に当たりまして、関係法令の遵守、事業者に行わせるべき事項等を取り決めし、地域住民の健康の保護と環境の保全を図ることを目的に締結しようとするものであります。安全協定は法律に基づいて締結しなければならないというものではないが、安全協定の目的を考えた場合、これを締結しないと施設の操業はできないものと理解しているところであります。  それから、海外委託契約関係につきましては担当の室長からお答えをいたします。  それから、同じように、ウラン濃縮工場で外国から委託を受けたい旨の発言があったが、その発言の真意を確認したいと、これにつきましても室長から答えます。
     それから、返還高レベル廃棄物、返還プルトニウムの貯蔵保管問題、これも室長からお答えさせていただきます。  それから、返還プルトニウムについて貯蔵施設の申請が出されていないがなぜかと、これにつきましても室長からお答えをさせていただきます。  返還高レベル廃棄物、返還プルトニウムの貯蔵保管問題の中で、貯蔵施設の申請が出されていないがなぜかという御質問、それから、再処理工場内につくられるガラス固化体貯蔵施設の容量は二千八百八十本となっているが、これは三年程度で満杯になるが、その後はどうするかと、室長からお答えをいたします。  一時貯蔵の問題でもう一つ室長から答えさせていただきます。  その次が、六ヶ所が高レベル廃棄物の最終処分施設にならないとの確約、念書を国からとることができるのか、最終処分施設ができない限り一時貯蔵も拒否すべきではないのかと、これは私から申し上げます。高レベル放射性廃棄物の最終処分地については、国の処分地選定の方針が地元の理解と協力を得て慎重に行うとされ、また、私としてはたとえ立地要請があったとしても受け入れる考えは全く持っていないことから、六ヶ所村あるいは本県が最終処分地になることはないもの、こういうふうに考えております。しかしながら、県民の間に六ヶ所村が最終処分地になるのではないかという懸念が広く高まってきていることは十分認識しており、県としてはこの懸念を払拭するために知事名で科学技術庁長官に対し、高レベル放射性廃棄物に係る国の基本方針について、特に、当該施策を進めるに当たっては地元の意向を尊重して対応するという点等について県の理解に間違いがないかどうかを文書により照会いたしましたところ、科学技術庁からは十月一日付で、県の理解しているとおりである旨の回答を得たところであります。これは、私がこれまで表明してきたことが国の方針と相違ないことが確認できたものであり、最終処分地については県が受け入れるとしない限り立地することはないことの証左となる、こういうふうに受けとめているところであります。また、最終処分施設ができない限り一時貯蔵も拒否すべきではないかということにつきましては、これまでも議会において「高レベル放射性廃棄物の最終処分については国が責任を持ってこれに当たることになっている。目下関連の研究機関において処分予定地の選定等を初め種々の研究開発を重ねている段階である。したがって国の対応にゆだねることが適当だろうと思う」とお答えしてきたところであり、これによって御理解を願いたいと思います。  それから、秋雨前線の関係の御質問四点につきましては担当の部長の方から答えさせていただきます。  なお、最後に原子力船「むつ」につきまして、原子炉を停止したとのことだが、その理由及び今後の対応についてと、これにつきましては担当の企画部長から答えさせていただきます。以上であります。 78 ◯議長(工藤省三君) 総務部長。 79 ◯総務部長(伊藤 廉君) 今回の一連の災害対策につきまして、県はなぜ対策本部を設置しなかったのか、また、県と市町村、市町村と住民の間の連絡体制に問題はなかったのかについてお答え申し上げます。今回の台風十九号に対しまして結果的に災害対策本部の設置には至らなかったところでございますが、これに対する県の対応を御説明申し上げたいと思います。県地域防災計画に基づく職員の配置基準に従いまして、台風の接近に備え九月十九日から各部局において、まず、気象情報等を収集する準備態勢であります一号配備をとりました。その後九月二十日七時五十分、青森地方気象台による大雨・洪水警報が発令されたことに伴い、関係各部局の職員が登庁し、警戒態勢である二号配備をとり情報の収集伝達体制を整え、水防活動状況及び被害状況の把握、気象情報の収集伝達等を行いながら各部局が連携して応急対策に当たったところでございます。今回の台風十九号による災害につきましては、まず第一点に、台風の勢力は徐々に弱まりながら東海上に抜け、これまでの雨による河川の増水や土砂崩れのおそれはあるものの降雨の峠は越えたと思われたこと、それから、水防活動等による被害状況把握の結果、大規模な河川の決壊や土砂崩れ、家屋の流出等が見込まれなかったこと、最後に、過去の大雨災害に係る例から、主に土木被害、農林被害についてはおおむねそれぞれの部局で応急対策をまず実施すべきであったと判断されたこと、等の理由を総合的に勘案した結果、災害対策基本法に基づく災対本部を設置しなくても十分対応できるものと判断したことによるものでございます。また、結果的には人的被害がなかったこと、災害救助法の適用がなかったこともあるのでございますが、種々の観点から詳細に検討した結果、事後の応急復旧対策についても関係部局において機動的に行うことが適当であると判断し、結果的に災害対策本部の設置に至らなかったところでございます。  次に、災害時における市町村─県間等の情報収集伝達は、被害の防止あるいは軽減を図る上で最も重要な応急対策の一つであり、これまでの災害時においてはおおむね迅速かつ適切な情報収集伝達がなされてきたと考えているところでございます。しかしながら、今回の台風十九号に限って言えば、県と市町村の間の情報伝達に一部適切さを欠く面も見受けられたことから、特に避難勧告等については速やかに県に報告する旨指導等を行い、これからの防災対策に資することとしたところであります。いずれにいたしましても、今回の災害は結果としまして人的災害は発生しなかったわけでございますが、物的被害は非常に大きく、今回の災害を教訓といたしまして、災害対策本部の設置のあり方や情報収集伝達の整備を初めとしました防災対策を改めて検討し今後の防災対策に万全を図ってまいりたいと考えております。 80 ◯議長(工藤省三君) 企画部長。 81 ◯企画部長(佐々木 透君) 原子力船「むつ」について報告を含めてお答えします。去る十月一日、出力九〇%の試験のために制御棒の引き抜きを開始したところ、十二本あります制御棒のうちの一本の位置指示値が中央制御盤と制御棒駆動盤とで約十ミリ差異があることが認められましたことから、念のため制御棒を手動で挿入し回路の点検整備を行うこととした、とのことでございます。この点検整備の状況につきましては、十月二日に日本原研から県に具体的に説明がなされたところであるが、それによりますと、今回の位置指示値の差異の原因は、シンクロ直流コンバーターのIC──集積回路でございますが──に問題があることが判明した、このためシンクロ直流コンバーターを予備品と交換したところ位置指示値が適正になることを確認しました、また、今回問題があったもの以外のシンクロ直流コンバーターにつきましては健全であることを確認した、とのことでありました。県としては、今回の件につきましては、原子炉本体の安全性に直接かかわるものではなく、シンクロ直流コンバーターを交換した結果正常になったとのことであり、また、国においても試験再開を認めていることから了承したものでございます。以上です。 82 ◯議長(工藤省三君) 環境保健部長。 83 ◯環境保健部長(増田和茂君) まず、JR海峡線の公害問題に対してもっと効果的な方法を考えるべきではないかという御質問にお答えいたします。JR津軽海峡線の騒音・振動問題につきましては、沿線住民の苦情を解消させるまでには至っていない状況にございます。このため本年六月に、県鉄道整備促進期成会、沿線市町村がJR東日本盛岡支社等に対しまして、当面の措置といたしまして防音壁の設置、運転ダイヤの見直し及び減速運転などについて要望してきたところでございます。また、県といたしましては国に対して、新線建設、及び、在来線の鉄道騒音の対策指標となります環境基準の早期設定について要望してきたところでございます。さらに、住民の苦情内容、住民団体の意向などをJR東日本青森支店に対して具体的に説明を行ってきたところでございますが、今後は、JR東日本盛岡支社に設置されました津軽海峡線環境対策プロジェクトチームが県の要望に対し早期に対応策を立て実施するよう強く働きかける一方、県といたしましても、より効果的な方法を検討すべく関係市町村との協議体制を整備し、より積極的に対応してまいりたいと考えてございます。  二点目の、安全協定の協定当事者の範囲をどのように考えているかという御質問に関しましては、安全協定は、県と立地村であります六ヶ所村、及び事業者でございます日本原燃産業との間において締結することを基本と考えてございますが、県といたしましては、これまでの経緯や地域の事情を勘案し、隣接市町村を協定当事者に含めるかどうかについても検討をしているところでございます。以上でございます。 84 ◯議長(工藤省三君) 農林部長。 85 ◯農林部長(本儀 隆君) 今村議員の、秋雨前線の大雨と台風十九号の被害対策についてのお尋ねのうち、被害農家の救済対策をどうするのか、また、制度資金の対象とならない農家はどうするのかというお尋ねについてお答えいたします。十月一日現在で取りまとめた農林関係被害総額は約六十三億円となっております。このうち作物関係が約五億円で、残り五十八億円は農地、土地改良施設や林道、こういったものの被害であるわけでございます。私どもとしては、関係の出先機関、市町村等と連携をとりながら、稲の早期刈り取り、病害虫防除等の指導の徹底を図り少しでも被害を軽減すべく努めてきておるところでございます。また、農地や施設の復旧については国庫補助等の手続を経て早期復旧を目指しているところでございます。被災農家の資金面の手当てにつきましては、自作農維持資金の活用を基本とし資金枠の確保に努めてまいりたいと考えております。なお、本資金については、既借り入れ残高が大きいと新たな借り入れの余地がないということになるわけでございますが、現実問題としてそのようなケースはほとんどないであろうと見てございます。以上でございます。 86 ◯議長(工藤省三君) 土木部長。 87 ◯土木部長(池田達哉君) 私からは、秋雨前線の大雨と台風十九号に関連した二点についてお答えいたします。河川管理に問題はなかったのかという御指摘であったわけでございますが、通常河川管理は、河積の拡大を図り流下能力を保持することを主眼に行っておりまして、これを阻害する河川内の堆積土、支障木等については、緊急性の高い箇所から毎年維持工事等により除去、修繕等を実施しております。降雨時の水防活動につきましては、県の水防計画で体制が定められておりまして、これに基づいて諸活動を適切に行ったところであります。  二点目でございますが、河川災害に係る復旧対策はどうするのか、また、公共採択の対象にならないものはどうするのかということでございますが、今回の台風十九号に限って言えば、河川災害は、県、市町村合わせまして四百八十三カ所、五十九億二千万の被害額であったわけでございますが、これらの災害復旧工事につきましては、国の災害査定を早急に受けまして、採択されたものの中から緊急度の高い箇所から実施していくこととしております。特に緊急を要する箇所については、国と事前に協議しまして、査定前に仮応急工事で対処することとしております。なお、これまでの例によりますればほとんど公共採択されているのが通例でありまして、査定に当たりましてはそういう形で努力してまいりたいと考えております。以上でございます。 88 ◯議長(工藤省三君) むつ小川原開発室長。 89 ◯むつ小川原開発室長(内山克己君) 今村議員の核燃料サイクル施設の諸問題についての御質問にお答えを申し上げます。まず、ウラン濃縮工場にかかわる外国委託発言でございます。先般の新聞報道に関し事業者側発言者の真意を確認したところ、次のとおり回答を得ております。九月十三日に事業者が行った記者会見の際、「外国の需要に応ずる用意があるか」と問われ、日本原燃産業株式会社の高岡常務が「国内需要に当たることで手いっぱいであり、輸出は考えられないが、遠い将来外国の需要にも応じられるようになれれば」という感想を述べたものが報道されたものであり、発言者は舌足らずな発言であったとしている。また、県としての考え方はどうかというお尋ねでございますが、ウラン濃縮施設を含めた六ヶ所村に建設される原子燃料サイクル施設は、我が国の原子力エネルギーセキュリティーの確保を図るためのものであり、外国からの委託にこたえるためのものではないと考えております。  次に、返還高レベル廃棄物は、申請されている量が千四百四十本、返還総本数が約三千数百本、その差は一体どうするのかと、返還高レベル固化体は、現在日本の電気事業者がイギリス並びにフランスに委託した再処理量のうち、返還対象量であります数量約四千九百トン・ウランの再処理に伴って発生するものでございまして、その数は約三千数百本程度と見込まれております。今回六ヶ所事業所に設置する廃棄物管理施設は、このうち約半分の量に相当する千四百四十本の受け入れ貯蔵施設でございまして、残りの貯蔵施設については、海外からの返還状況を見て適切な時期に今回の施設に近接して増設する計画である、以上の説明を事業者から受けてございます。  次に、返還プルトニウムについて保管状況を明らかにされたいと、関係者からは次のように説明を受けてございます。返還されるプルトニウム貯蔵施設の建設計画については、返還プルトニウムの取り扱いについて国などが検討中でありまだ決まっておりません。動力炉・核燃料開発事業団が一九九二年秋ごろまでに輸送する予定の返還プルトニウムは加工のため動燃事業団東海事業所に搬入されることになっておりますが、それ以降の搬入場所等についてはまだ決まっておりません。  同じく、返還TRUについてどのようになるのかでございますが、事業者からは、返還されるTRUを含む低レベル廃棄物貯蔵施設の建設計画及び今後の低レベル廃棄物の返還については、海外再処理会社から低レベル廃棄物の返還の時期及び仕様の提示がまだない状況であり決まっていない、このように報告を受けてございます。  それから、高レベル廃棄物一時貯蔵の問題で、ガラス固化体貯蔵施設の容量は二千八百八十本となっているが、満杯になったらどうするのかという御質問でございます。現在日本原燃サービス株式会社が国に提出しております再処理事業に関する申請書によりますと、再処理施設で発生するガラス固化体を一時貯蔵する容量は、ガラス固化体貯蔵建屋に二千八百八十本、ガラス固化建屋に三百十五本で、合計三千百九十五本となっております。事業者の説明によりますと、この容量は、運転開始直後は、処理能力年間八百トンの規模でございますが、これより少ない再処理を行う計画であるため、運転開始後おおむね五年間に発生するガラス固化体の数に若干余裕を見たものとなっております、その後に発生するガラス固化体の貯蔵については事業の変更申請を行い逐次増設する計画である、としてございます。  最後に、三十年から五十年間一時貯蔵するとなるとその総量は相当大きくなるがどうかということでございますが、再処理が行われることに伴って毎年発生する高レベル廃棄物のガラス固化体については三十年から五十年間一時貯蔵をすることになります。その貯蔵庫につきましては、前段でお答え申し上げましたとおり逐次増設をして対応する、このように説明を受けてございます。以上でございます。 90 ◯議長(工藤省三君) 知事。 91 ◯知事(北村正哉君) 先ほど申し上げた私のお答えの中に答弁漏れがございました。それを追加させていただきます。冒頭の選挙にかかわることでありますが、いわゆる多選批判云々につきましては、一般論としてはいろいろな見方、考え方があろうかと思うのでありますが、いずれにしても時と事情によって違ってくるのではないか、こう考えております。  もう一つ、私個人の健康面を気遣ってくださった御発言もあったのでありますが、あえてお答えするとすれば、現在私自身としては健康上の問題はないと考えております。以上であります。 92 ◯議長(工藤省三君) 警察本部長。 93 ◯警察本部長(小林奉文君) 今村議員の警察の適正捜査についての御質問にお答え申し上げます。捜査は人権を尊重しつつ事案の真相を明らかにして事件を解決することを目的とする活動でありますので、捜査は慎重に進めなければならないものと考えております。御指摘の二つの事件につきましても、人権に配意しつつ、各種の証拠を総合的に検討の上、注意をしながら慎重に法に基づき捜査を進めてきたところであります。小泊村の事件につきましては、慎重に内偵捜査を進めた上で、逮捕の際にも慎重に検討の上法的な手続を経て逮捕したところであります。その後も裏づけ捜査等を進めてまいったところでありますが、最終的には起訴されるに至りませんでした。県民の期待にこたえることができなかったことは残念なことだと思っております。また深浦町の事件につきましては、各種の資料から見て傷害により死に至らしめたものと判断されたことから法的手続を経て傷害致死で逮捕したものでありますが、その後の捜査の結果、暴行傷害はあるものの自殺であることが判明いたしました。結果としてこのようなことになりましたことにつきましては、関係者の方々にとって気の毒なことであると考えており、そういった意味で遺憾に思っております。二つの事件が結果としてこのようなことになったことを謙虚に受けとめ、今後とも県民の信頼と期待にこたえることのできる捜査を進めるよう努めてまいりたいと思います。また、最近の社会情勢の変化に伴い捜査活動がますます困難になってきている状況にあります。このような情勢の変化に対応するためにも、一層人権尊重の立場に立って、繊密で適正な捜査が推進されるよう努め、県民の信頼と期待にこたえていかなければならない、こう考えております。そのために捜査実務能力、捜査指揮能力の向上を図ることが不可欠であります。そこで、捜査・指導・教養体制の強化を図り、捜査力の向上に努めるなどして今後の捜査に万全を期すことができるよう努力してまいりたいと思います。捜査活動は県民の厚い信頼と理解があって初めて成り立つものでありますので、さらに一層の努力を傾注してまいる所存でございます。 94 ◯議長(工藤省三君) これをもって一般質問を終わります。  以上をもって本日の議事は終了いたしました。明日は午前十時三十分より本会議を開きます。本日はこれをもって散会いたします。 午後五時五十分散会 Copyright © 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