田辺市議会 2024-03-11
令和 6年第2回定例会(第4号 3月11日)
令和 6年第2回定例会(第4号 3月11日) 第2回
田辺市議会定例会会議録
令和6年3月11日(月曜日)
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令和6年3月11日(月)午前10時開会
第 1 一般質問
第 2 2定議案第20号 田辺市水道事業の設置等に関する条例及び
田辺市長等の市
に対する
損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部改正
について
第 3 2定議案第21号 田辺市
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例
の一部改正について
第 4 2定議案第22号 田辺市
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例
の制定について
第 5 2定議案第23号
田辺市議会議員及び田辺市長の選挙における選挙運動の公
費負担に関する条例の一部改正について
第 6 2定議案第24号
田辺市民総合センター条例等の一部改正について
第 7 2定議案第25号 田辺市個人番号の利用及び
特定個人情報の提供に関する条
例の一部改正について
第 8 2定議案第26号 田辺市
ひとり親家庭等医療費の支給に関する条例の一部改
正について
それでは、定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、令和6年第2回
田辺市議会定例会4日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
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◎報告
○議長(副議長 橘 智史君) 14番、尾花 功君から欠席の届出があります。
この場合、報告いたします。
2定議案第20号 田辺市水道事業の設置等に関する条例及び
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部改正についてのうち、
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部改正について、
地方自治法等の一部を改正する法律附則第2条第7項の規定により、監査委員の意見を求めたところ、適切であると認めますとの回答がありましたので、報告いたします。
それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(副議長 橘 智史君) 日程第1 一般質問を行います。
17番、安達克典君の登壇を許可いたします。
(17番 安達克典君 登壇)
○17番(安達克典君) おはようございます。
17番、紀新会、安達克典です。
議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。
今回は、
紀州備長炭の生産状況と
後継者対策についてであります。
(1)
紀州備長炭の生産状況について。
紀州備長炭については、平安朝(800年代)の頃、弘法大師が中国から製炭技術を持ち帰り、和歌山県内に伝えられたとされております。この頃、この地域では田辺炭と呼ばれていたようです。元禄時代、1700年代に入ってから田辺の炭問屋、
備中屋長左衛門が田辺炭の、特に秋津川村で作られる炭に備中屋の「備」と長左衛門の「長」から備長炭と名づけて江戸に向けて販売したのが備長炭の名の由来とされています。
当時、江戸では大変人気があったようで、この製炭技術は門外不出とされ、梅干しななども紀州藩の貴重な財源となっていたようです。その後も他府県でも土佐備長、それから日向備長など備長の名が使用されたものが出てきましたが、これは、本市の製炭者が山を移り、他府県でその製炭技術を伝えたものと伺います。まさに、本市が備長炭の発祥の地というわけであります。
また、備長炭の名づけ親の
備中屋長左衛門のお墓は、田辺市古尾の浄恩寺にあります。
さて、この備長炭ですが、昨年、私も知り合いから和歌山市内で居酒屋を始めるのに
紀州備長炭を使わせていただきたいがどこかで手に入らないかという問い合わせがありました。いろいろと当たってみたわけですが、なかなか安定的に供給できる状況にないことが分かりました。ほかにもそういったことを耳にしたことがありまして、かなり生産量が足りていないのではないかと考えますが、まず、田辺市及び県内での備長炭の生産状況についてお尋ねをいたします。
(17番 安達克典君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 17番、安達克典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
森林局長、榎本安幸君。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
紀州備長炭の生産状況についてですが、市内では35名の方が製炭業に従事しており、令和4年で約180トン生産されていますが、10年前の生産量約200トンと比較しますと20トン、10%減少しています。
また、県内全体では162名の製炭者がおり、年間約920トンの
紀州備長炭が生産されていますが、年々生産者も減少する中で、生産量は、10年前の約1,230トンと比較しますと310トン、25%程度減少している状況となっております。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 安達克典君。
(17番 安達克典君 登壇)
○17番(安達克典君) 御答弁ありがとうございました。
需要と供給について(2)で質問させていただきます。
なかなか生産量が伸び悩んでいるというのが実情のようであります。
さて、一方で需要のほうですが、居酒屋や料理店では、魚や肉などの食材のうまみを逃がさず中まで火を通すということで、大変評価が高く、備長炭にこだわる料理人が多いようです。燃料としての評価は大変高く、需要が多いようです。
また、備長炭については、近年、自然や環境にも優しいなどといろいろな形で言われておりますが、燃料としてのみならず浄水、消臭などの効果も高いということが分かっており、広い分野で利用されているようです。私の利用している居酒屋でも入り口に備長炭のオブジェが飾られておりますが、大変感じのよい雰囲気が醸し出されております。
そこで、備長炭の需要と供給の状況についてですが、国内外を含め、またいろいろな用途も含めどのような状況にあるか、当局の認識をお尋ねいたします。
(17番 安達克典君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、
紀州備長炭については、国内では高級木炭として大変人気が高く、都市部においても高級料理店や居酒屋などでは、火力が強く長持ちすることから業務用として使用されており、購入に係る産地への問合せも多くなっております。
また、燃料としてのみならず、飲料水の浄水用や冷蔵庫、トイレ、靴箱などの消臭用、家屋等の除湿にも利用されるとともに、近年では海外からの問合せも多く、特に浄水用として船便などで輸出されております。
こうした中、
紀州備長炭の需給状況につきましては、製炭者が選別し、箱詰めされたものがJAや問屋などに販売されたり、直売したりといった流れで、製炭後はすぐに流通することが多く、また、取引先もある程度決まっていることから、新たな購入希望があっても十分な対応ができていない状況であると聞いております。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 安達克典君。
(17番 安達克典君 登壇)
○17番(安達克典君) 御答弁ありがとうございました。なかなか需要に対応できていないというのが事情ということで、認識されているということでありました。
(3)として、
後継者育成の状況について御質問いたします。
さて、この
紀州備長炭ですが、和歌山県では製炭技術が1974年に県の無形文化財に指定されております。一方、本市では、製炭者が減少する中、平成9年に
紀州備長炭記念公園を田辺市秋津川に設置し、道の駅として認定を受けるとともに、
紀州備長炭の情報発信と併せて、
後継者対策のため炭窯5基と宿泊棟を設置しています。
さらに、田辺市木炭組合の皆様の御協力の下、Iターン等による受入れを行い、後継者の育成に取り組んでいます。現在までのIターン等の受入れ状況と後継者の在住の状況についてお尋ねをいたします。
(17番 安達克典君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
本市においては、製炭者が減少する中、その
後継者対策として、平成9年度には秋津川の
紀州備長炭記念公園内に5基の炭窯と研修期間中に宿泊するための宿泊棟2部屋を整備しております。
炭窯につきましては、田辺市
木炭生産者組合の製炭者に活用していただくとともに、研修者用として利用いただき、2年間程度で製炭技術が習得できるよう研修生を受け入れてきたところです。
これまでの受入れ状況につきましては、研修生の
うち製炭者となった方は13世帯で、そのうち8世帯が市内へ移住して炭窯を構えており、さらに今年度も4月に県外から夫婦で移住し、研修している方が1世帯あり、現在、公園内の窯については全て稼働しております。
また、秋津川地域以外でも県外から本市に移住され、製炭業を営んでいる世帯があると聞いておりますので、田辺市における
紀州備長炭の生産量の大半は、県外からの移住者に頼っている状況にあります。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 安達克典君。
(17番 安達克典君 登壇)
○17番(安達克典君) 御答弁ありがとうございました。
そこで、(4)の
後継者育成に係る課題と就業についてに入ります。
本市の生産者の大半が移住いただいている皆様に頼っているということが実情のようであります。なかなか地域内での就業が少ないというのが現状のようで、ただ、考えようによりますと、他の地域からそれだけの皆様が来ていただいているということは大変ありがたいことで、市としても、もっと応援が必要ではないかと思います。
私も、こちらに移住いただいた方と少し話をしたのですが、大変関心を持って移住までして炭焼きを始められていたようですが、当初はそこそこの貯蓄を持ってこられていたようですが、いろいろと経費もかかる中、生活も大変であったようで、他のアルバイトをしながらであったりとか、そういったことをしながら炭焼きを行っていたようです。だから、就業しようとしても一定の資金がないとできないということで、若い方には
大変ハードルが高いということでもありました。特に研修期間中などは大変厳しいものと思います。
本市の農林水産業で考えますと、農業では、新規就農に係る給付金や補助制度、また、水産業においても見習い期間中の研修など、それぞれ整備されております。
また、林業においては、担い手の確保と育成ということで、農林大学校の林業研修部の研修に対する独自の給付金制度や国の給付金制度を活用し、紀州林業の魅力・情報を広く発信し、新規就業者を確保しています。就業相談から林業体験、
就労あっせんまでを一貫して支援し、事業体の
経営マネジメント能力や
労働安全管理能力の向上、また、高校生が林業を就職先の一つとして検討できるよう、県内の高校に向け林業講座を新たに設置しています。
紀州備長炭生産には、炭窯の設置補助等はありますが、研修期間中や新規就業時の就業支援は整備されていないのが実情であります。
紀州備長炭の生産は、
世界農業遺産の
梅栽培システムにも大きな役割を果たしており、
後継者対策には田辺市としても、もう一歩踏み込んで検討してみてはどうでしょうか。見解をお伺いいたします。
(17番 安達克典君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
本市においては、製炭業に対する後継者の育成を図るため、田辺市
木炭生産者組合に対して技術指導に係る補助金を交付し、研修希望者を受け入れていただいております。
研修期間は最大2か年で、研修期間中に炭窯を整備する場合は、
山村地域力再生事業費補助金により新規就業に向けた準備を進めていただくとともに、本市への移住に関しましては、空き家の
改修支援制度等を紹介するなど、たなべ営業室とも連携して取り組んでいるところです。
また、平成28年度から令和2年度までの5年間、山の
暮らし応援事業として、世帯主が45歳未満で新規に林産物または特用林産物の生産を行い起業する方や雇用事業者に対して月額5万円、最大2か年支給しておりましたが、議員御指摘のとおり、現在、研修期間中や新規就業時における支援制度は設けていないという実情にあります。
紀州備長炭の文化や製炭技術を継承していくためには、新たな担い手を確保することが重要であると認識していることから、今後、受入れ団体である田辺市
木炭生産者組合とも協議を行い、庁内でも議論を重ねながら、市としてどのような支援が必要なのか検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、田辺市発祥の
紀州備長炭は地域の大変貴重な特産品であることを踏まえ、本市では、今年度から原木である
ウバメガシ搬出に係る作業道の新設や、一定の大きさになった木だけを切る択伐を行う団体に対する助成を行うなど、より持続可能な山づくり、地域づくりを推進しているところです。
ウバメガシは、和歌山県の木でありますが本市の木でもあり、その薪炭林の管理は、梅生産とともに
世界農業遺産に認定されており、その保全と併せて
紀州備長炭の火を継承していくため、さらなる産地振興に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 安達克典君。
(17番 安達克典君 登壇)
○17番(安達克典君) 御答弁ありがとうございました。
紀州備長炭については、世界に誇る当市の特産品でありますので、さらなる振興に向けて取り組んでいただきたいと思います。
いよいよ本年5月連休明けから新庁舎が東山に移ります。現在、紀伊田辺駅には、備長炭でできた炭琴や、夏には風鈴等が飾られ、よい音色が聞こえています。新庁舎には、ホールなど待合室などもきれいに整備されますので、ぜひ
紀州備長炭についても何らかの形で展示していただけたらPRになるものと思います。
そして、朝の開庁と昼休憩、それから閉庁時、電子音のチャイムではなく
紀州備長炭を利用した楽器、炭琴の温かく澄んだ音色で時を告げるというのはどうでしょうか。一度御検討ください。また、
備中屋長左衛門の没後300年となる2030年に
世界備長炭サミットなど、
記念イベントの開催はどうか併せて御検討いただき、田辺市ならではの取組を進めていただきたいと思います。
今定例会をもって、この議場での議会は幕を閉じます。
私は、平成17年5月の市町村合併以来、
田辺市議会議員としてこの議場に立ち一般質問を行ってきました。農林業の振興、道路網の整備、新しい観光戦略、
スポーツ振興、道路行政と冬季の観光振興、地域医療、学校統合問題、
交通安全対策、行政局の活用、農林行政の課題、災害時の対応、障害者福祉、地域資源を生かした観光施策、2015年
和歌山国体開催に向けての市の取組、過疎地域の集落支援、農林水産業への支援制度、そして道路整備と維持管理、地域資源を生かした観光施策、保育所の給食の実施、国の事業仕分けによる市への影響、低迷が続く林業に対する今後の振興対策、対岸道路(市道)の整備、市有林(杉・ヒノキ)の活用、
地域ブランドの推進、子供の医療費制度の充実、防災・減災に関する市の取組、学社融合の取組、地域の特性に即した観光施策、また、森林行政、また、平成30年度の施策と予算の大綱、開催まで1年を切った
ねんりんピック紀の国わかやま2019、
新型コロナワクチン接種事業の
ネット予約実施、農業振興、林業施策、日本一の梅の生産地としてさらなる
地域ブランドの推進、紀伊半島の水害から学んだ
災害防除工事(治山事業、秋津川から水上をつなぐ林道の開設)、以上、各分野にわたり、そのときの実情に即した一般質問を通じ、当局と議論を行い、市長の御英断により実施に至った事業も数多くあります。
今回の質問の内容は、過去の質問にも関連している部分であり、特に平成30年度施策と予算の大綱(2)活力についての質問では、こう御答弁されております。
政策の分野の「活力」の中から、森林環境税についてでありますが、森林環境税につきましては、温室効果ガス排出削減や災害防止等の観点から、森林整備に必要な財源を安定的に確保するため国税として課税されるもので、平成31年度から森林環境譲与税として譲与が先行されることとなっております。この税の使途につきましては、市が行う間伐や路網等の森林整備のほか、担い手の確保や木材利用の普及促進などが予定されており、現在、国におきまして地域の実情に応じた使途について検討が行われております。森林環境税の創設は、広大な森林面積を有する本市にとりまして、森林整備に係る恒久的な財源確保につながることから、大いに期待しているところであり、今後も引き続き、国の動向を注視しながらしっかりと準備を進めてまいります。そして、若者の高い志や熱い思いに触れ、人口減少が進む中において当地域が生き残っていくためには、若者が地域の課題や資源にしっかりと向き合い、それを仕事につなげていくことが重要であると改めて再認識したところであります。今後におきましても、一つ一つは小さくても、地域に根差した仕事や新たなビジネスモデルを数多く生み出せるよう、地域を先導する若い人材の育成に力を注いでまいります。このように御答弁をいただきました。
森林環境譲与税は、旧本宮町の中山町長の提案により、森林交付税構想として動き出しました。そして、今後、全国のモデル地域となるよう取組が必要だと改めて感じます。各森林組合、市内林業関係者とともに連携をし、今回の特用林産となる木炭生産もこの取組の中でしっかりと計画を練り、田辺市のモデルを地域関係者とともにつくり上げていくことを強く要望し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(17番 安達克典君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 以上で、17番、安達克典君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 橘 智史君) この場合、午前10時40分まで休憩いたします。
(午前10時26分)
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再 開
○議長(副議長 橘 智史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前10時40分)
○議長(副議長 橘 智史君) 続いて、2番、前田かよ君の登壇を許可いたします。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 皆様、こんにちは。
2番、日本共産党、前田かよです。
甚大な被害をもたらした東日本大震災、福島の原発事故から今日で13年目になります。そして、能登半島地震の被災者は、今も厳しい避難生活を続けておられます。改めて、犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、御遺族と被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。
それでは、通告に従いまして、本日は大項目3点を伺ってまいります。
一つ目は、学校給食費の無償化について、2点目、紀南地方における児童精神科医の確保について、3点目、災害時における避難所の機能強化についてです。
それでは、1項目めから伺ってまいります。
小・中学校における学校給食の無償化は、新型コロナウイルスと物価高騰の影響から急速に広がりを見せています。県内でも、昨年は12市町村で実施されていましたが、その後、16市町村と広がりを見せています。和歌山県でも、子育て世代の経済的な負担を軽減するため、来年度10月から県下の学校給食無償化を支援する旨が発表されました。ここに至る経緯として、当局には県に無償化実施を要望していただき、その要望がかなったということですから当局の働きかけに感謝いたします。
県の発表に対し、今、市内でも大きな反響と期待が寄せられています。本定例会冒頭で発表された新年度予算大綱では、重点施策の一つに子育て支援が言及されていました。これまで私が何度も申し上げていることですが、本市の調査によれば、子育て世代が一番に望む少子化対策、子育て支援策は教育費の負担軽減です。学校給食費の無償化を望む具体的な意見も寄せられておりました。これに対し当局は、無償化は、子育て世代の保護者の経済的負担軽減につながると認識を示しておられます。県の提案をチャンスと捉え、改めて学校給食費無償化の実施を求めます。御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 2番、前田かよ君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長、佐武正章君。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
給食費の無償化につきましては、これまで答弁してきましたとおり、子育て世代にとり、経済的負担の軽減につながると認識するとともに、責任ある学校給食を実施するためには恒久的な財源確保が不可欠と考えております。
そうした中、教育委員会といたしましては、市長会を通じ、市町村により不均衡や格差を生じさせないよう給食費の無償化、一部補助について要望を行うとともに、他市との情報共有を図りながら国・県の動向を注視し、給食費への支援策の活用による財源確保を模索する中で、令和4年度、令和5年度におきまして、国の地方創生臨時交付金を活用して、保護者負担を増やすことなく給食を提供できるよう取り組んできたところであります。
このたび、学校給食費の無償化に係る予算が盛り込まれた和歌山県議会2月定例会に上程の令和6年度当初予算については、現在、県議会で審議されているところでもあり、また、県担当課に照会を行っているところですが、その詳細については示されていない状況であります。
つきましては、県の令和6年度当初予算が可決され、補助要綱等の詳細な制度内容を確認した上で、庁内関係部局と協議をしてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 給食費高騰分の補填を行っていただきましたことは大変ありがたいことです。そして、今回求めております学校給食費の無償化なのですが、詳細がまだ決まっていないということですが、分かればぜひ実施したいというような力強い御答弁をいただきたかったです。
それでは、財源について言及されておりましたが、これまで当局は、保護者の負担軽減になるとはいえ、恒久的な財源確保は不可欠という見解を示しておられました。県が提案する無償化の補助対象は、私のほうで県に確認しましたところ、現在、市町村で公費負担している経済的困窮世帯の食材費はそのまま優先して公費負担としていただき、実際、保護者負担として納めていただいている分を半額補助するという内容です。そうしますと、本市では、無償化した場合、新たな公費負担として2億4,000万円が必要になりますが、県の補助により、本市の負担は1億2,000万円になります。一般会計新年度予算の僅か0.2%です。これでもまだ財源確保が課題でしょうか、お答えください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
先ほど答弁しましたとおり、現在、県議会で審議中の学校給食費の無償化に係る予算も含めた和歌山県令和6年度当初予算が可決され、制度内容の詳細を確認した上で、庁内関係部局と財源確保も含め協議をしてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 確認された上で協議をしていただけるということです。
先日配布された広報田辺3月号に、未来ポストに寄せられた子育て支援の充実を求める意見が紹介されていました。これに対し、市は、国や県が推進する子育て支援策や少子化対策も活用しながら、より一層子供を産み育てやすい環境の充実に努めますと回答していました。まさに今、県が子育て支援策、少子化対策を推進しているのですから、来年の10月を待たずに前倒しにしてでも、ぜひ市民の願いを実現させていただけることを心から御期待申し上げます。これで第1項目を終わります。
次に、大項目2点目、紀南地方における児童精神科医療体制について伺います。
児童精神科は一般精神科を母体として乳幼児期から青少年期を対象としています。診療対象として多いのは、発達障害、不登校、虐待、非行、鬱などです。最近では、大人の発達障害が取り上げられることがありますが、これを別にすれば、発達障害や不登校といった大人には存在しない疾患群の対応をしています。
また、行政、福祉、教育、警察、地域など社会的資源と連携しながら子供や家庭を支援しています。
そこで、第1項目1点目、児童精神科医の重要性と意義について伺います。
子供の発達障害は、社会的認知が広がるとともに、子供や保護者への支援はますます重要となってきています。そして、早期の療育は、保護者のメンタルを守り、子供の不登校やひきこもりなど二次障害を防ぐことにもつながります。
本市においても、少子化で小・中学校の児童生徒数が減少傾向にある中、特別支援学級の生徒数は増加し続けています。年度をピックアップしてみますと、2007年度の特別支援学級の生徒数は、小・中合わせて953人でしたが、2023年度は3,468人で3.6倍増えています。田辺市では、2007年度の生徒数は77人で、2023年度は238人で、同じく生徒数は3倍増えています。こうした状況から、紀南地方における児童精神科医の重要性について市の御認識をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
保健福祉部長、古久保宏幸君。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
児童精神科医は、子供の発達障害、知的障害などの発達の問題や不登校、非行、虐待などの心理社会面の問題、鬱や不安症など、子供に起こる様々な疾患の相談、診療をしています。また、児童精神科医による診断書等を提出し、申請することにより、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、特別児童扶養手当または精神通院医療等の手続が可能となり、障害福祉関係の各種施策を利用することができます。
市では、乳幼児健診等から発達に課題のある子供やその保護者に対し発達相談を実施し、医療や療育等が必要な子供には児童精神科医等に紹介し、必要に応じて早期療育につなげています。
また、子供の発達障害に早期に気づき、適切な療育につなげていくことで、学童期の二次的不適応状態を防ぐ目的で実施しております5歳児発達相談事業に関して、児童の診察と指導、助言等をいただいております。
議員御指摘のように児童精神科医は、乳幼児期から青少年期を対象とした様々な相談や診療業務を行っており、子供やその保護者等には重要であり、必要不可欠な存在であると認識しております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 必要不可欠との御認識をいただきました。
これまで紀南地方での児童精神科医療体制は、受診患者が増加していく中で、紀南医療福祉センターにおいて2名の医師で診療されていました。受診者が非常に多いため、受診の予約は半年に一度できるくらいです。多忙を極める現場ですが、2人の医師は非常に丁寧な対応をしておられ、子供が不登校になったなど、状況が変わったときにはすぐに相談に応じるなど、患者や家族に寄り添った支援が行われていました。
しかし、諸事情で医師1名が診療を終了することになり、残る1名も間もなく定年を迎えます。このまま紀南地方に児童精神科医が不在となれば、支援を必要とする多くの子供や保護者はたちまち困ってしまいます。
現在、緊急的に有田川の県立こころの医療センターに紹介されていますが、遠方ゆえに受診が困難だという声を多く伺います。また、急な対応も期待できません。もし支援が受けられないままになると、不登校やひきこもりといった二次障害など、様々な弊害が起こることが危惧されます。こうしたことから、医師不足解消を県に対し強く求めていただきたいと思います。御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
和歌山県医師確保計画によりますと、精神科の医師は増加傾向にありますが、地域間の医師偏在が課題となっており、紀南地方では、専門性の高い児童精神科の医師不足と高齢化が著しい現状であります。
県では、医師不足を抜本的に解消するため、和歌山県立医科大学において入学定員を順次増員するとともに、県民医療枠及び地域医療枠を設けており、令和5年度からは、県内で医師不足が深刻な精神科等の診療科を指定した入学枠を創設し、地域医療を担う医師の養成及び確保に努めていると聞いております。
市といたしましても、御質問の1点目でもお答えしましたとおり、児童精神科医の重要性及び必要性を認識しておりますので、県等に対し地域医療の医師確保対策として実効ある施策や財政措置を継続要望しているところであります。
今後につきましても、身近な地域において必要な診療、支援を受けることができるよう、引き続き、児童精神科医も含め医師の確保について要望してまいります。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 御答弁ありがとうございます。医師の確保に苦労されているのは承知しております。児童精神科の医師が大きく不足しているのは、多くの自治体でも同じようです。専門医を増やしていく施策は当然必要ですが、すぐには養成できません。例えば、児童精神科で一人前の専門医師になるには、大学を出てから臨床研修、専門研修など14年くらい期間を要すると言われています。ゆえに専門医の養成をしつつ子供や保護者を支援する手立てを考えていく必要もあります。
しかし、行政の支援体制はどうかといえば、もっと強化する必要があります。本市で行われている発達相談支援事業(はなまる相談)や発達相談(ひまわり相談)でも、相談件数が非常に多く、相談にかかれるのは数か月から半年に1度程度です。
本市も子供の発達障害に関する支援体制を充実させ、より一層取り組まれることを求めまして、本項目の質問を終わります。
では、大項目3点目、災害時における避難所の機能強化についてです。
冒頭、東日本大震災13年目に当たることを申しましたが、本日、しんぶん赤旗の潮流を御紹介したいと思います。「生きててよかったか、悪かったんだか…」「この生活には耐えられない。」東日本大震災のとき、避難所の人たちは絶望と不安の中にいました。水や食料、電気や暖を取るものもない、雑魚寝の床からは寒さがしんしんと、身も心も震える日々だったと振り返ります。生活環境の悪化などによって、およそ3,800人が災害関連死と認定されています。同じような光景は今も。能登半島地震の過酷な避難状況、心身ともに大きな負担を強いられている被災者。教訓は生かされていません。
あの日から13年。原発事故の影響もあり、いまだ3万人近くが故郷を追われています。暮らしやなりわいの再建は厳しく、被災者の孤独死も続いています。宮城民医連の健康調査では、被災者の半数弱が生活は苦しいと言います。医療費を理由に受診を控えることも。重度の鬱状態が疑われる人は全国調査の倍以上でした。復旧であって復興でない。東北の被災地で何度も耳にした声です。造り直された道路や建物、しかし、人々の生活やまちのにぎわいは戻らない。震災への不備や対応の冷たさは、いかに政府が苦難にある国民を突き放してきたかを物語ります。被災地で必死に生活を立て直そうとしている人たち。生きていてよかった、そう思えるように支え続けることこそ政治の役割ではないか。被災者のありようはこの国の姿勢を反映していますという内容でした。
能登半島地震では、古い木造家屋が多く倒壊したことを受け、本市は新年度予算案に、住宅耐震改修の補助金上限を150万円に引き上げることを盛り込んでいます。災害から市民の命と財産を守る有効的な防災・減災策といえると思います。
さて、今回の質問では、そうして一旦助かった命を災害関連死で失うことのないよう、土砂災害、地震、津波災害などで長期間の避難所運営を想定した課題について伺ってまいります。
災害関連死とは、家屋倒壊による圧死や火災による焼死、津波による溺死など直接的な被害で亡くなるのではなく、避難生活で病気が悪化して死期を早めたり、心身に不調を来して自ら命を絶ったりするケースのことをいいます。
内閣府が公開している災害関連死事例集によれば、災害発生後の死者のうち、3か月以内の死亡者が約60%、東日本大震災は約78%、熊本地震では約81%でした。関連死の死因の約7割が避難生活の肉体的・精神的負担、電気、ガス、水道等の途絶による肉体的・精神的負担と言われています。熊本地震では、直接死は50人であったのに対し、その4倍ほどの223人が避難中に亡くなっています。
こうしたことから、避難生活において、小項目の1、災害関連死を防ぐ対策の必要性の認識を、そして具体的にどのような対策が必要と考えておられるかお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長、茨 善行君。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えします。
過去の大規模災害と同様、本年1月1日に発生した能登半島地震におきましても、災害関連死と認められるケースが報じられていることは認識しております。避難した方が避難生活等で命を落としてしまうことのないよう対策を講じることは、市としましては大変重要であると認識しております。
発災後には、電気、ガス、水道などのインフラが途絶え、プライバシーが確保できなくなるなど、生活環境や衛生環境が悪化することにより、避難者が肉体的・精神的負担を受けることで健康状態の悪化につながります。
こうした健康悪化を予防するためには、避難所の生活環境の改善を図ることが必要であり、トイレや簡易ベッド、プライベート空間を確保するための間仕切り等を適切に設置する必要があると考えております。さらに、衛生面の確保や感染症対策として、避難スペースやトイレ等の定期的な清掃、消毒を行い、エコノミークラス症候群の予防として、避難者が定期的に簡単な体操や散歩などの運動を行うことも重要です。また、被災者の心のケアや相談窓口の設置も必要となります。
このように、避難者一人一人の健康状態を把握するためには、避難所運営従事者や保健師、医師等が避難所を巡回し、確認する必要があり、特に高齢者や障害者、妊産婦等の要配慮者や持病のある方などの状況については重点的に確認し、状況によっては福祉避難所や医療施設等へ移送するといったことも必要になると考えております。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) ありがとうございます。かなり詳細に必要と考えておられる対策をお聞かせいただきました。御答弁にもありました避難所における生活環境の改善が必要という、これが今回、質問の中で一番伺いたいことです。
総合防災・減災が専門の関西大学社会安全学部の奥村与志弘教授は、関連死を出さないためには、死因原因に至るプロセスをいかに早い段階で止めるかにかかっています。医療の助けが必要となる手前の段階であらゆる手立てを講じ、被災者の生活環境を改善する必要があると、このようにも述べられております。
そして、この生活環境を整え、改善させ、災害関連死を防ぐ方策として、小項目二つ目、スフィア基準の理念を生かした避難所運営について伺ってまいります。
スフィア基準とは、災害や紛争での人道支援のため国際赤十字などが策定した人道憲章と人道対応に関する国際的な最低基準のことです。1997年に初版が作られ、現在は2018年度版が最新です。ここには、被災者と支援者に対する二つの基本理念が書かれてあります。一つ目は、被災者は尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利がある。二つ目は、災害による苦痛を減らすために、実行可能なあらゆる手段を取らなければならないとあります。
日本には我慢や謙虚が美徳とされる風潮がありますが、ジェンダー平等や性の多様性など、人権意識の豊穣とともに、これまでの価値観の転換が図られるべきこともあります。その中の一つともいえる「避難所だから仕方がない」、この意識を変えるのがスフィア基準です。
内閣府の避難所運営ガイドラインには、質の向上という言葉を使うとぜいたくではないかというような趣旨の指摘を受けることもあります。しかし、ここでいう質の向上とは、人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送ることができているかという質を問うものであり、個人の収入や財産を基に算出される生活水準とは全く異なる考え方であるため、ぜいたくという批判は当たりませんとあります。この理念を基に、避難所では、1人当たりのスペースは最低3.5平方メートル。およそ畳2畳分を確保するということや、トイレについては20人に一つの割合で設置し、かかる時間を考慮して、男女比は1対3で設置するということが基準として書かれてあります。こうした基準を基に、避難所の生活環境をよくすることが災害関連死を防ぐことにもつながると考えます。
スフィア基準の理念を生かした避難所運営について、当局のお考えをお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えします。
本市では、内閣府の避難所運営ガイドラインや和歌山県の市町村避難所運営マニュアル作成モデルを基に避難所運営マニュアルを作成していますが、この避難所運営マニュアルには、先日の久保議員の御質問にもお答えいたしましたとおり、スフィア基準に相当する内容もございます。
例えば、避難所の居住スペースにつきましては、ただいま議員もおっしゃったとおり、1人当たり畳2畳分程度を確保することとしております。また、スフィア基準の3.5平方メートルにこの値は近い数値となっております。
また、トイレの設置数についてですが、和歌山県が平成26年に公表した地震被害想定では、南海トラフの巨大地震発生直後の本市における避難所への最大避難者数が3万1,200人とされていますが、本市では現在、20人にトイレ1基の割合で設置することとしたスフィア基準を超える18人に1基となる1,707個の簡易トイレを備蓄しております。
ほかにも、プライベート空間を確保するための間仕切りやルーム型パーティション等も少しではありますが備蓄しているほか、災害時応援協定の締結先から流通備蓄による物資の調達も見込んでいます。
避難者の健康悪化を予防し、災害関連死を防ぐためには、避難所の生活環境の改善を図る必要があると認識しており、スフィア基準も参考にしながら避難所の環境改善につながるよう取り組んでまいりたいと考えています。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 本市の避難所マニュアルにもスフィア基準を参考にしたことがたくさん書かれているということです。
日本は災害の多い国ですので、スフィア基準の理念が多くの自治体の避難所マニュアルに記されていると考えられます。
では、なぜ避難者の中には車中泊を選択する人がいるのでしょうか。健康問題や支援へのつながりにくさなど、様々な面で車中避難は好ましいものではありません。
しかし、北九州市立大学の稲月 正教授の調査によりますと、熊本地震の際には車中泊や車中避難をした人が3,000人近くいました。理由の多くが、避難所での生活より車中避難のほうがよいと思うためでした。
また、NHKの取材では、避難所の環境について、被災者から、避難者があふれて雑魚寝しかできなかった。地獄のような環境だったなどといった声も聞かれたそうです。
本市の避難所運営マニュアルでも、御答弁にありましたとおり、スフィア基準の理念が生きている事項は散見されました。また、男女共同参画の視点から盛り込まれていた内容も見受けられ、大変よかったと思います。
今回は、本市の避難所運営マニュアルと物資備蓄計画を基に、避難所の生活環境の改善と機能強化の観点から2点不足と思われることについて提案してまいります。
小項目三つ目、指定避難所となる学校体育館における空調設置についてです。
昨年の夏は、平均気温が1898年の統計開始以来最高を記録するなど、学校体育館への空調設置が改めて緊急課題となっています。
本項目の冒頭で、関連死の死因で多いのが電気、ガス、水道等の途絶による肉体的・精神的負担と言いましたが、ストレスの多い避難所で、電気などインフラが使えない状態で生活環境が悪化することは、被災者にとって大きな負担や健康リスクになることは容易に想像できます。スフィア基準の項目にも、避難所については、最適な快適温度、換気と保護を提供すると記されています。
しかしながら、本市に69か所ある指定避難所のうち52%が公立学校ですが、学校体育館に空調が整備されているところは1か所もありません。頻発する豪雨災害や能登半島地震など、学校体育館は災害時の指定避難所として活用されていることからも空調設置が急がれます。
国からの財政支援には、文部科学省の学校施設環境改善交付金や総務省の緊急防災・減災事業債があります。昨年6月の一般質問で浅山議員も言及されていましたが、学校施設環境改善交付金は、学校体育館の空調設置経費の2分の1を補助する国庫補助事業です。通常3分の1のところ、遅れている体育館の空調には2025年度まで補助率を引き上げています。これに国土強靭化債を使うと市の負担は25%で、市の負担率が30%となる緊急防災・減災事業債より5%有利です。交付に際し、断熱要件がありますが、断熱率などの基準は設けられておらず、建具の隙間を防いだり、日射調整フィルム、窓ガラスに貼るフィルムのようなものですが、それらでも構わないとされています。建物において、屋根、窓、床下、換気、外壁からの熱が流入・流出する割合は、夏冬ともに50%以上が窓からだそうなので、遮熱断熱効果は一定得られますし、施工内容によっては安価にすることも可能なようです。併せて、ガラスが割れたり、飛び散ったりするのを防ぐ効果もあるので、防災機能強化を兼ねることも考えられます。
これまでの当局の答弁では、ガスヒートポンプやリース方式など、他の自治体事例を研究するということでしたが、学校施設環境改善交付金も緊急防災・減災事業債も期間は2025年度までですので、速やかに調査結果を検証し、市の実情に応じた方法により、指定避難所となる学校体育館における空調設置を求めます。御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 教育次長、前川光弘君。
(教育次長 前川光弘君 登壇)
○教育次長(前川光弘君) 議員御質問の学校体育館への空調設置の状況についてお答えいたします。
小・中学校体育館は、児童生徒の教育、学校生活の場であるとともに、災害時には避難所としての役割も果たしています。そうしたことから、国におきましても、体育館への空調の導入促進を図っているところであり、令和7年度までは体育館の断熱性の確保を必須条件に国庫補助の算定割合を3分の1から2分の1に引き上げております。
一方で、体育館への空調設置に当たっては、その空間の広さから、大型空調機器が必要になることや、断熱性確保工事により事業費が高額となるほか、設置後にも多額の維持管理経費が必要となります。また、現在、小・中学校の特別教室空調設置事業やバリアフリー化事業、トイレ改修事業など、環境整備事業に計画的に取り組んでいることから、体育館への空調設置については、現時点では事業化に至っておりません。
しかしながら、児童生徒の健康面・安全面から体育館への空調設置の必要性は認識しており、今後も関係部局と連携しながら調査研究を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育次長 前川光弘君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 必要性の認識はおありということで、調査研究を続けるということですが、先ほども申し上げましたとおり、財政支援を受けるなら有効となる交付金や事業債というのは2025年度までです。いつまでも調査研究を続けているということにはいかないと思います。
今回、避難所になった石川県内の学校施設でも空調が整備された普通教室を被災者の生活場所に使用しているところが多かったようです。そのため、授業を行う場所がふさがってしまい、学校活動が再開できないというジレンマも生じているとのことです。
空調設置計画は、来年度に小学校の特別教室への設置計画が終了予定ということですので、次の計画として取り組まれることを期待いたします。
次に、小項目4点目、指定避難所におけるトイレ対策について伺ってまいります。
今回の能登半島地震では、下水管が破損したことにより現在でも水が使えない地域がたくさんあります。避難所の水洗トイレも水が使えない状態が続くと不衛生な状態になってしまいます。トイレが不衛生だと被災者は使用を控えるようになり、水分の補給や食事の量を減らす人も出てきます。そうなると、脱水症状で足に血栓ができやすくなり、エコノミークラス症候群で命を落とす危険性が高まります。全身の筋肉が衰えると飲み込む力も弱まり、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。このように、避難所でのトイレ問題は健康問題に直結することから、より万全な準備が必要です。
災害時のトイレ確保の基本的な考え方は、国土交通省のガイドラインでは、災害後の時間経過と被災状況を考慮し、携帯トイレ、簡易トイレ、マンホールトイレ、仮設トイレなど複数のタイプを組み合わせて確保するとあります。
本市においては、和歌山県の備蓄や応援協定先から災害トイレの提供も見込まれますが、提供までの間、簡易組み立て式トイレやトイレ処理セットを使うことになります。
しかし、本市の指定避難所では、簡易組み立て式トイレの備蓄が全くない場所もあります。拠点学校に備蓄して、発災後に周辺避難所に配るという考え方のようですが、果たしてそれで対応できるでしょうか。
日本トイレ研究所の調査によりますと、熊本地震の際、発災から6時間以内に被災者の7割以上がトイレに行きたくなったと回答しています。このことからも、避難所のトイレがすぐに満杯になることが予想されます。
こうしたことから、避難所開設の初動として、安否確認や避難者登録より前に断水時のトイレの準備をする必要があります。そのためにも、どの避難所でもトイレの確保をより万全にした上で、本市の避難所運営マニュアルにトイレの設置数の男女比を明記するべきではないでしょうか。具体的には、先ほど申しましたスフィア基準であるトイレの設置数、さらに詳細に明記するということで、排泄にかかる時間を考慮して男女比は1対3で設置する。この内容を明記することを提案したいと思いますが、御認識をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えします。
指定避難所におけるトイレ対策についてですが、大規模災害時には、断水や配管の破損により既存の水洗トイレを使用することができなくなると想定し、組み立て式簡易トイレ、トイレ処理セット、プライバシー対策としてのトイレ用パーソナルテントを備蓄しています。建物に被害がなく立ち入りが可能であれば、既設トイレをトイレスペースとしてそのまま使用することができ、個室に簡易トイレ本体を敷設したり、既設の洋式トイレにし尿収納袋を設置し、処理セットで済ませることも可能であると考えております。
また、これらに加えて、既設の浄化槽を活用したマンホールトイレを指定避難所となっている大規模な小・中学校に7セット配備しているほか、田辺スポーツパークに26基整備しております。
そうした中、簡易トイレの備蓄については、全体数としてはスフィア基準を満たした数量を備蓄していますが、避難所となっている施設の備蓄スペースの課題もあるため、全ての避難所に備蓄できていないのが現状です。こうした避難所には、集中備蓄している拠点施設等から配送することとしていますが、今後、避難所の備蓄スペースを改めて確認し、可能であれば少しでも備蓄ができるよう見直していきたいと考えています。
次に、本市の避難所運営マニュアルには、避難所での簡易トイレの設置や衛生管理等について定めていますが、議員御指摘のスフィア基準となっているトイレの所要時間を考慮して、男女比1対3で設置することや障害者用などの多目的トイレの設置については明記していないことから、今後、避難所運営マニュアルの改訂時に盛り込むとともに、避難所開設員を対象とした職員研修会においても周知してまいります。
また、指定避難所へのマンホールトイレの整備についてですが、既設の浄化槽を活用したマンホールトイレセットの増設について検討し、浄化槽の使用可能な施設を調査してまいりたいと考えていますが、新たに災害時に使用するための埋設型マンホールトイレの整備につきましては今後の課題と考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 避難所運営マニュアルの改訂をしていただけるという大変心強い御答弁をいただきました。マンホールトイレについての御答弁はこれから質問しようと思っていたので、ちょっと重複するかもしれないですけれども伺います。
災害関連死を防ぐために生活環境の改善を図るということで、マンホールトイレの設置の拡充を提案していきたいと思います。
お手元の参考資料を御覧ください。
これは国土交通省が公表していますマンホールトイレ整備運用のためのガイドラインの一部です。グラフは、発災から経過日数とトイレ整備の充足度のイメージを示したもので、避難所等において良好なトイレ環境を切れ目なく提供するよう努める必要があるとされています。初動対応として、携帯トイレ、簡易トイレを用いた後、マンホールトイレを迅速に設置し、さらにその後、調達した仮設トイレ等を設置することにより、避難所等におけるトイレの充足度を確保することができます。
本市も備蓄しております段ボール素材の組み立て式の簡易トイレというのは、御答弁にもありましたとおり、備蓄を拡充するにしても保管する場所や管理が難しいこと、また、物資支援による仮設トイレは調達に遅れが生じることもあります。事例として、届くのに4日から1週間かかることが多く、場所によっては1か月以上かかったという調査結果もあります。
しかし、マンホールトイレは、調達の必要がなく、断水時でも井戸やプールの水を利用して、清潔・快適なトイレを確保できます。
また、段差がある仮設トイレだと高齢者や要配慮者が転んでけがをするという事例もありますが、マンホールトイレだと地面との高さが限りなく少ないので、事故を防ぐこともできます。
本市では、現在、御答弁にもありましたとおり、指定避難所となっている学校に合計7基のマンホールトイレが設置されていますが、36校のうちの7校で、しかも1校につき1基ずつです。不十分さがあるように感じます。
ガイドラインでは、避難者数とマンホールトイレの必要数の目安は100人に1基から2基となっています。それで言いますと、現在設置されている学校でも、収容人数が300人から500人という学校が多く、場所によっては1,000人以上を見込んでいる学校もあります。
以上のことから、今後さらにマンホールトイレの設置を拡充することを提案いたします。教育委員会と危機管理局、それぞれの所管からの御答弁をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
先ほども申し上げましたが、指定避難所へのマンホールトイレの整備につきましては、改めて既設の浄化槽を活用したマンホールトイレセットの増設、そして浄化槽の使用可能な施設を調査してまいりたいと考えております。また、新庁舎にもこのようなマンホールトイレが設置されますので加えて御報告申し上げます。
以上でございます。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 教育次長。
(教育次長 前川光弘君 登壇)
○教育次長(前川光弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
学校のトイレ改修につきましては、トイレの老朽化の度合いや避難所指定の有無等を考慮に入れ進めているところでありますが、まずは、設置場所といたしましては、児童生徒が常に使用する校舎、体育館等の整備を優先して進めているところです。屋外トイレ等については、今後整備する際には防災部局とも協議し、その必要性などを研究してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育次長 前川光弘君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) いずれも調査研究していただけるとのことです。新庁舎への設置、来年度5基予定されておりますが、これは浄化槽の新設に防災機能強化を併せて設計されているということで、マンホールトイレの必要性自体、当局としては御認識を持っておられることも伺えます。学校への設置については今後の計画に期待申し上げます。
学校での設置について加えてお伝えしておきたいことがあります。避難所に指定されている学校の運動場にあるトイレは、プライバシーの確保に著しく欠ける様式のものがあります。具体的には、男子トイレですけれども、個別の小便器や間仕切りがなく、立つ場所が横一線で、目の前が壁だけというものがあります。あるいは、一つの建屋に壁や仕切りがない状態で男女が共用するというトイレもあります。以前から委員会質疑で取り上げておりますが、こうした学校の屋外トイレは、平時、災害時のいずれにおいても改修が必要です。
和歌山市では、地域防災計画の下、2009年から段階的に整備を進めており、2022年度の4月時点で44施設で521基が整備済みだそうです。本市においても、地域防災計画に位置づけて取り組まれることを改めて要望いたします。
今回は避難所の機能強化によって災害関連死を防ぐ方策として提案させていただきました。本市の防災対策をより一層推進されることを期待申し上げまして、本日の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 以上で、2番、前田かよ君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 橘 智史君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時32分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 橘 智史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 橘 智史君) 続いて、6番、谷 貞見君の登壇を許可いたします。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) こんにちは。6番、くまのクラブの谷です。
議長の許可をいただきましたので、通告により質問させていただきます。
今回は大項目3点について、分割質問方式により質問させていただきます。
質問に入らせていただく前に、元日に発生しました北陸地方を震源とする能登半島地震においてお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方に心からお見舞いを申し上げます。
それでは、大項目1点目の防災井戸について質問をさせていただきます。
能登半島地震は、発生から2か月が経過しましたが、元日を襲った最大震度7の揺れは241人の命を奪い、今もなお約5,800人が避難所で過ごしており、石川県の能登地方では、道路や水道といったインフラやライフラインが壊滅的な被害を受け、復旧支援にも影響しました。被災地ではなお過酷な状況が続いております。
暮らしに欠かせないライフラインにも大きな影響が出て、特に水道は、2月28日時点でも、石川県内の約1万9,000戸が断水のままとのことです。断水が長引いている理由については、自治体の主要な浄水場が被災したことに加え、配水管が広範囲に損傷したことが挙げられます。
本市からも水道部の職員と給水車を現地に派遣し、支援活動を行っておりますが、ほかにも消防職員による緊急救助活動や税務課職員による被災家屋調査に派遣されており、現地の過酷な状況の中での活動に当たられた職員の皆様には、大変お疲れさまでした。現地に派遣された職員からの貴重な報告を本市の防災計画に反映していただきたいと思います。
さて、本市地域防災計画には、水・食料・生活物資等確保計画の項目の中に、災害時に必要可能な井戸をあらかじめ調査・確保しておくとともに、災害時生活用水協力井戸登録制度への登録を推進すると明記されており、本市においては、万一の災害時に長期間水道が断水状態となった場合、被災者への飲料水ではない生活用水を確保するために、災害時の生活用水確保に御協力いただける井戸として登録いただける井戸を募集しており、本市ホームページによりますと、現在、個人・事業者等所有の井戸22か所が登録されております。
水の確保は飲料水としてだけではなく、生活環境を清潔に保ち、感染症などを未然に防ぐ必要もあり、衣類や食器類などの洗浄やトイレの排水、清掃用などの生活用水も自分たちで確保する意識を持つことも必要かと思います。
近い将来、南海トラフ地震の発生が懸念される中で、推定される地震の大きさからすれば、上下水道設備が破損し、復旧されるまでに相当な時間が必要となると予想されます。
そこで、災害時生活用水協力井戸登録数をもっと増やしていくことが大事かと思いますので、何点か質問というよりは提言ということになるか分かりませんが、よろしくお願いいたします。
現在登録されている協力井戸についてですが、現在実際に使用可能かどうかの確認は行っているのかどうか。また、ふだん飲料用水として使用されている井戸の数をお答え願います。
次に、今後、登録数を増やしていくためには、井戸を整備することに対して補助制度を設けるなどして設置の後押しとなると考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
2月21日付紀伊民報の第2面に掲載された能登半島地震の井戸の活用に関連した記事の中に、被災された自治体の担当者からは、災害時に使える井戸を把握しておくことが大事だと口をそろえた反面、被災した別の自治体担当者から、防災対策として個人の財産である井戸を当てにするべきではないとの声があったことが掲載されており、そういう考えもあることに驚いた次第で、ならば、学校などの公共施設や集会施設等の避難所への設置についても考えていくべきであると思いますが、当局のお考えをお聞かせください。
学校などの公共施設や集会施設等避難所での日常の点検については、施設管理者や町内会、自主防災組織へお願いすることも可能かと思いますし、定期的に飲料水として適合するかどうか水質検査をすることを推奨すれば、生活用水だけではなく飲料水としても活用でき、経費の削減にもつながると思います。
井戸自体については、一般的に、手押しポンプと電動ポンプを思い浮かべるかと思いますが、電動ポンプについては、停電時には水をくみ上げることができず発電機が必要となりますが、今は、タンデム式手押しポンプといって、電動ポンプと手押しポンプを併設できるもので、状況に応じてそれぞれを切り替えて使用が可能で、手押しポンプ自体の性能も向上してきており、高齢者や子供でも簡単に水をくみ上げることができるものがあるということや、高台においてもうまく水脈に当たれば井戸を設置できるとボーリング調査を行う事業所からお聞きしました。
以上、質問についての補足部分が長くなりましたが、4点についてよろしくお願いします。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 6番、谷 貞見君の質問に対する当局の答弁を求めます。
危機管理局長、茨 善行君。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
災害時生活用水協力井戸につきましては、井戸の所有者から災害時の使用について御協力の申出があった場合、申出者立会いの下に、井戸の状態や井戸水の色、濁り、臭いなどの現地調査を行った上で登録となります。また、当該井戸を使用しなくなった場合には登録解除となりますが、現在までに登録いただいている22か所の協力井戸の所有者から登録解除の申出がないことから、登録している協力井戸につきましては、使用可能であると認識しております。
また、登録いただいている協力井戸につきましては、災害時の生活用水として御協力いただく前提でありますことから、登録時に飲料水として使用可能かまでは確認しておりません。
次に、協力井戸の登録を増やすための方策についてですが、能登半島地震の一部の被災地で井戸が供用されたことは認識しております。
市の協力井戸の現状としましては、登録件数は増加していない中、議員御提案の井戸を整備するための補助につきましても制度化はしておりません。こうした補助制度につきましては、全国的な取組について研究してまいりたいと考えます。
次に、学校などの公共施設や集会施設等の避難所への設置につきましては、津波浸水想定区域外に設置する必要があるなど、掘削場所や水脈等の問題、維持管理や、特に安全性の確保といった課題が考えられます。こうしたことも踏まえ、避難所となる既存の公共施設に新たに井戸を設置するという考えは現在のところございません。こうした避難所での生活用水につきましては、例えば、学校であれば高架水槽やプールの水の活用、給水車による供給等により対応することとしておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 答弁ありがとうございました。今回の能登半島地震でさらにいろいろな課題が浮き彫りになりましたが、今回は防災・減災対策の中で、生活用水の確保のために防災井戸に絞っての質問をさせていただきました。
1923年に関東大震災が発生した際は、多くの一般家庭に井戸があったため大規模な水不足は発生しなかったとも聞きます。災害時の生活用水確保に御協力いただける井戸を呼びかけることにより、災害時の水の確保についての意識づけを行うことにもなり、マンションや団地での共同利用、企業や事業所等における地域貢献の一環としての設置にもつながることになるのではないかとの思いや、学校用地に井戸を設置すれば、運動場や花壇、学校菜園などへの散水に活用すれば水道料金の節約にもなりますし、水生生物の飼育にも活用できます。子供たちへの防災教育にも役立つのではないかとの思いからの質問でした。
令和3年10月3日に発生した和歌山市の六十谷水管橋の落橋により、紀の川以北地域への唯一の送水ルートが分断し、約6日間、約6万世帯が断水した重大な事故となりました。地震などの自然災害だけではなく、絶えずいかなる有事にも備えておくことが必要です。様々な課題に対応できるよう、なお一層の取組をお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
続きまして、大項目2点目の食品衛生法改正に伴う影響と対応について質問をさせていただきます。
2021年の食品衛生法改正により、梅干しやたくあん、高菜漬けなどの漬物を製造して販売する場合、営業許可が必要となりました。令和3年5月末以前から漬物を製造している事業者や農家個人については、営業許可の取得期限が今年5月31日までに迫っており、許可を取得しなければ引き続き製造・販売をすることができません。営業許可を受けるためには、加工場と生活場所を明確に区別することや水回りの設備の設置など、衛生基準を満たした施設を整備しなければなりません。
出店数が増加してきている弁慶市、本宮町四村川地区朝市などへの出品や、道の駅や直売所、無人販売所において漬物や梅干しは主力商品となっており、今回の営業許可は、自宅などで漬物を作ってきた農家や個人製造者が設備の整備や改修費用を懸念して製造をやめることが想定されるとともに、直売所の店舗存続にも関わることから危機感が募ります。また、本市においては、梅の生産にも影響を与えかねません。
道の駅ふるさとセンター大塔の運営を委託されている大塔村商工会に問い合わせたところ、産品販売コーナーへたくあんなどの漬物を出品してくれているほとんどが高齢者であり、新たに営業許可を取るために設備を整備することまでは考えられないという方ばかりとのことで、今後については、地元の味を来館者に提供できないことが寂しいとの話でした。
出品されている方にもお話をお伺いすると、自分の漬けた漬物の味には自信があり、おいしいと言ってくれることがうれしくて毎年頑張って漬けてきた。また、ふるさとセンター大塔で販売してくれることで、僅かな金額でも毎月売上金が通帳に振り込まれることに喜びを感じているとの話でした。売ることができなくなれば、おいしいと言って食べてくれる人たちに差し上げようかなと、少し寂しそうに話をしてくれました。
この法改正についての事務事業の管轄は和歌山県であり、保健所であるとは思いますが、和歌山県のホームページを見ますと、制度が変わったことを確かに周知はされており、漬物業者への周知は済んでいたかもしれませんが、個人製造者までには伝えきれていなかったのではないかと推測します。
大塔村商工会の担当者の話では、出品者からは、何かそれらしい通知が来ていたような気もするが、それほど大事なお知らせだとは知らなかったと話される方もいたとのことでした。
漬物は郷土の豊かな食文化の指標であり、文化の継承と農家や製造者の意欲が保てる支援を検討すべきだと考えますが、今回の法改正に伴う影響をどう考えているのか、また対応についての考えを答弁願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
商工観光部長、丸山勝司君。
(
商工観光部長 丸山勝司君 登壇)
○
商工観光部長(丸山勝司君) 議員の御質問にお答えします。
まず、1点目の法改正に伴う影響につきましては、国において、我が国の食を取り巻く環境の変化や国際化等に対応した食品の安全を確保することを目的に、平成30年6月13日に食品衛生法の一部が改正され、この改正に伴い、令和3年6月1日に食品営業許可制度が施行されました。
このことにより、保健所への届出制となっていた漬物制度につきましては、専用の調理場等で製造・販売している営業者のほか、自宅の台所で製造し、直売所等で販売している営業者についても保健所への営業許可の申請、取得が必要となりました。
なお、法施行前から届出している業者には3年間の経過措置が設けられており、令和6年5月31日までに保健所の営業許可が必要となります。
このことから、法施行後において営業許可を取得する場合につきましては、製造を行うための専用調理場の確保のほか、手洗いや洗浄用設備、冷蔵設備の設置等、衛生管理に適合した設置基準を満たすとともに食品衛生責任者の設置が義務づけられました。
したがいまして、これまで一般の家庭の台所で製造していた営業者につきましては、令和6年6月1日以降、基準を満たした施設を整備する必要があります。
このような中、当地域の本制度を所管する田辺保健所におきましては、梅干し製造の届出のある全ての営業者及び商工会議所、各商工会、梅関連団体等に対し、令和3年度に食品衛生法改正に関する説明会を実施するとともに、令和5年10月には、漬物製造の届出のある全ての営業者に対しても、食品衛生法改正に伴う営業許可申請・営業届の提出案内を行うなど周知徹底に取り組まれております。
また、現在の営業者側の状況につきましては、田辺保健所、商工会議所等の関係機関に聞き取りをしたところ、営業許可を取得し、営業を継続される方が多くおられる中、一方で高齢等によりやむを得ず漬物の製造・販売をやめられる方もいらっしゃると伺っております。
こうした状況の中、本制度は田辺保健所が所管しておりますので、市といたしましては、現時点での法改正に伴う影響について把握し切れていませんが、いわゆる生産者による手作りの産品を販売する方々においては、少なからず影響があるものと考えますので、今後田辺保健所からの法施行後の状況に係る情報を提供いただきながら、庁内関係課や商工会議所、各商工会、関連団体等とも連携を図り、現状把握に努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の法改正に伴う対応につきましては、これらの現状を把握した上で、庁内関係課や関係機関等と連携を図りながら、具体的な取組方法等について調査・研究してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(
商工観光部長 丸山勝司君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) ありがとうございました。2日前の土曜日に、道の駅ふるさとセンター大塔に行って、梅干しやたくあんなどの出品状況を確認してきました。少し余談なのですけれども、土曜日でいつもよりも駐車場に停まっている車の台数が物すごく多くて、何だったんだろうなと思ったら、ロケットの打ち上げの帰りに、ふと本宮のほうを回って、こっちに帰ってこられた方が多かったようで、大変にぎわいを見せておりました。そして確認してきたわけなのですけれども、梅干しについては、個人からは常時10人近くの方から白干し梅を中心に出品されていたのが、既に6名の方が出品を取りやめられたとのことでした。たくあんや高菜の漬物、らっきょうの酢漬け、手作りこんにゃくなどを出してくれていた方については、全て出品ができなくなってしまうとのことでした。
商工観光部長から答弁をいただきましたが、市としての対応はなかなか難しいものと理解しております。
先日、西牟婁振興局長や田辺保健所の食品衛生担当者ともお会いし、お話を伺いましたが、今回の法改正は、
消費者が安心して食事ができるよう食品の製造や加工、販売に至るまでの規制がより強固になり、食品が安全で衛生的であることが担保され、食中毒や健康被害のリスクが抑えられるように監視する立場であるため、特例の措置や緩和は難しいとの話でした。既存の共同作業場を利用するという考えもありますが、個人製造者は高齢化しており、共同作業場までの移動や原材料の搬出にも対策が必要となってきます。
古くから地域や家庭に代々伝わる手法は、それぞれ自信を持って提供してきており、生きがいにも通じていることだと思います。これからの陳列棚を飾るワラビやゴンパチの塩漬けやタケノコの水煮などの季節を楽しませてくれる食材も見られなくなるかもしれません。地産地消にもつながるものでもあり、関係機関、関係団体等とも情報を共有しながら調査研究を行っていただくようお願い申し上げ、2点目の質問を終わります。
最後の3点目、大項目3点目、市営墓地の管理についての質問に移らせていただきます。
昨今では、少子化や核家族化など、時代の流れとともに墓や埋葬方法についても、家族意識や宗教観などにより変化が現れてきていると考えるところであります。
私の菩提寺にも広い墓地があるのですが、月に1度は墓参りをしていて感じることは、行くたびに墓石が撤去されて更地が増えてきていることです。住職の話によりますと、子供がいない、子供はいるが遠方に住んでいるなど、自分亡き後はどうなるのかと心配する声も聞かれるし、先祖代々の墓を継承し、維持管理することができないといった話も聞いているとのことでした。
また、長い間お墓参りにも来られていないとも思われる墓も年々増えてきているとのことで、墓地の年間管理料の納付通知が宛て所不明で返送されてくるケースも増えてきているとのことでした。
また、地域の集落で管理する墓地も数多くあり、その墓地についても同様の状態ではないかと思われるとのお話もされました。
本市においては市営墓地が8施設ありますが、現状についてお聞かせ願います。
現状については、各墓地の利用率、直近5年間の新規使用者数と墓地使用権返還数の合計数、墓地使用権承継許可申請数、使用権返還の主な事由はどのような内容であるのかお答え願います。
また、使用者が住所等を変更した場合、墓地使用許可者住所等移動届の提出をしなければならないとありますが、全ての方から届出がなされているかとの認識についてお答えください。
本市墓地条例第8条において、使用権の消滅の該当事由が規定されており、第1項では、埋蔵後20年を経過した場合であって、使用者及びその親族が死亡し、または所在が不明で、かつ祭祀を承継するものがないと認められるときに、また、埋蔵後25年を経過した場合であって、使用者またはその祭祀を承継するものに墓地の使用の意思がないと認められるときが該当になります。第2項では、使用権が消滅したときは、墓標その他の物件を処分できるとあります。市営墓地においても、既に無縁墓になってしまっているものもあるのかもしれず、今後増えてくる可能性も考えられます。
霊園の環境悪化を防ぐだけではなく、死者の尊厳を守るためにも、無縁の状況を解消しなければならないと思います。墓籍簿を基にしても、使用者や縁故者を見つけるのは簡単ではなくなってきているのではないでしょうか。
そこで、本市が行っている無縁墓を増やさないために行っている対策についてお答えください。
墓地使用権を返還された方については、墓じまいをされた後の遺骨の行方については、個人にお任せしているのではないかと思いますが、市において使用権を消滅させ、お墓を処分した場合の遺骨の行方についてお答えください。例がない場合においては、今後の対応方針をお答えください。
今回の市営墓地の管理・運営についての質問は、墓じまい後の遺骨の行方を心配することがないよう、多くの人を一緒に供養する合同墓の設置も考える時期に来ているのではないかとのことで質問に至りました。
また、今後、引き取り手がない無縁遺骨も増加してくると予想されます。家族がいない高齢者等が亡くなった際に、身元が判明しているにもかかわらず、親族らに連絡しても関係が希薄で引き取りに来なかったり、連絡先が分からなくなったりするという事例もあるようです。固定電話の利用が減り住所をたどりにくくなった、親族たちを把握するのが難しくなってきていることが無縁遺骨の増加に拍車をかけていると思われます。
それぞれの市営墓地において空き区画が増加してきているようであれば、空き区画を利用して合同墓の設置を検討してもよいのではないかと思いますし、犬や猫などのペットを埋葬する動物霊園の活用も考えました。
最後に、今までの質問の答弁と併せ、今後の市営墓地の管理・運営の方向性についてお答え願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 環境部長、中村 誠君。
(環境部長 中村 誠君 登壇)
○環境部長(中村 誠君) 議員御質問の市営墓地の管理・運営についてお答えいたします。
市営墓地の現状につきましては、はやざと霊苑、芳養みどり墓地の東墓地、西墓地、天神霊苑、末広霊苑、神子浜墓地、龍神墓地、本宮町大居墓地の8施設があり、そのうち、芳養みどり墓地の東墓地、西墓地、神子浜墓地、大居墓地と天神霊苑の一部の区画について、市が墓地台帳の管理を行い、募集を行っております。その他の墓地及び区画につきましては、地元町内会及び管理委員会で管理を行っております。
市営墓地の利用率につきましては、芳養みどり墓地の東墓地79.6%、西墓地、73.3%、神子浜墓地63.4%、大居墓地73.6%、天神霊苑87.1%、全体で見ますと71.7%となっております。
直近5年間の状況につきましては、新規使用者は、芳養みどり墓地の東墓地13件、西墓地15件、神子浜墓地18件、大居墓地3件、天神霊苑においてはゼロ件であり、合計49件となっております。
墓地使用権承継許可申請数は、芳養みどり墓地の東墓地25件、西墓地47件、神子浜墓地58件、大居墓地1件、天神霊苑1件、合計132件となっております。
墓地使用権返還数は、芳養みどり墓地の東墓地26件、西墓地50件、神子浜墓地35件、大居墓地3件、天神霊苑2件、合計116件となっており、使用権の返還の主な事由につきましては、そのほとんどが墓じまいによるものです。
また、墓地使用許可者住所等異動届の提出につきましては、多くのケースで埋蔵届等の手続で環境課の窓口に来られた際に、確認の上、提出していただいているというのが現状であります。
無縁墓を増やさないための対策につきましては、届出をするために環境課窓口へ来庁された際に、変更が必要な場合には墓地台帳の手入れを行うとともに、市営墓地を新たに使用される方につきましては、墓地使用許可証をお渡しする際に許可証に記載されている必要な届出事案を周知しております。
次に、市において使用権を消滅させ、お墓を処分した場合の遺骨の行方についてでございますが、このような例は過去に1度あり、墓石が倒壊してきている状況であったため、縁故者に向けた看板を一定期間設置しましたが連絡がなく、他の区画の墓地に影響を及ぼす可能性があることから墓地を整理し、遺骨は永代供養を行いました。
今後の市営墓地の管理・運営の方向性につきましては、引き続き、届出の際に使用者の変更状況の確認や市営墓地を新たに使用される方への必要な届出事案のさらなる周知を行うなど、よりよい市営墓地の運営の在り方を検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(環境部長 中村 誠君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 答弁ありがとうございました。
以前は墓地の使用申込みが絶えずあったと聞いておりましたが、現在利用率が全体で71.7%とのことで、約3割が空いていることとなり、新規使用者数に比べ使用権返還者数のほうが大幅に上回っており、今後もこのような状況が続くのではないかと思われます。
私の菩提寺の墓地には無縁墓地や合同墓があります。市営墓地に埋葬されている方のほとんどは菩提寺があり、墓じまいをした後の遺骨の行方については安心しますが、身寄りがなくなってしまった方や家族関係が疎遠になってしまっている方などのお墓の管理が気になります。
おまえの考え方は古いと思われるかもしれませんが、この世に生を受け、大半の方は当地方で生活をされ、お亡くなりになられた方々ですので、大事に取り扱ってほしいとの思いもあり、今回の質問をさせていただきました。
今回は防災を含む質問3件でした。災害が起こった場合、自分がどのような行動ができるのかと考えながら質問原稿を作成しました。
私の友人に、津波で全校児童108人の7割に当たる74人、教職員を合わせると84人が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校に、震災後の4月から赴任した先生がおります。ちょうど今日は3月11日、東日本大震災から13年がたちます。13年たっても今なお復興途上のところがありますが、そういった私の友人がおりまして、赴任後の休日は、毎日行方不明者になった児童たちの捜索活動を行うとともに、近隣校を間借りした仮校舎で傷ついた子供たちへの授業や保護者との折衝は想像を絶する心労であったと話を聞きました。
当時、大川小学校の児童は、学用品をそろえたり、給食費も払うことが困難になった児童がいる中、日本赤十字社や宮城県に寄せられた義援金は、即座に学校へは届けられないので、学校宛てで直接物品やお金を送ってほしい、そうすれば、学校の裁量で子供たちへの支援に使えると要請を受け、全国の友達に連絡をするとともに、私もお金とミカンを送ったのが思い出されました。
昨年の夏に、その友人を通じて、震災1年後に大川小学校へ赴任した校長先生ともお会いする機会がありました。赴任後に、まず危機管理マニュアルの改定に取り組んだとのことで、同校を退職後は石巻市教育委員会の指導主事として大川小学校の事故対応に当たられ、現在は要請があれば全国各地へ赴き、講演等の活動を行っているとのことでした。
昨日、その友人に連絡を取ったところ、昨日は遺族や支援者らとともに、大川小学校の敷地に当時の児童数と同じ108本の竹灯籠を設置したとのことでした。今日、その竹灯籠に明かりがともされるとのことです。
いつ起きてもおかしくない大災害。災害を理解して被害を予測し、対策を取って被害を軽減する減災への取組がとても重要です。いざというときに備えて、地域が一体となり、みんなで自助、共助、公助の輪を広げていくことを願って質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 以上で、6番、谷 貞見君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 橘 智史君) この場合、午後1時50分まで休憩いたします。
再開の際は、議案書を御持参ください。
(午後 1時39分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 橘 智史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時50分)
○議長(副議長 橘 智史君) 続いて、20番、佐井昭子君の登壇を許可いたします。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 皆様、こんにちは。
20番、公明党の佐井昭子です。
通告に従いまして一般質問を行います。
大きく2項目についてお聞きいたします。
まず1項目め、給食費の無償化についてです。この項目では2点お伺いしたいと思います。
まず初めに、現在田辺市で実施されている給食の実施状況について、実施形態それぞれの食数、給食費、幼稚園、保育所等についてもお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 20番、佐井昭子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
教育次長、前川光弘君。
(教育次長 前川光弘君 登壇)
○教育次長(前川光弘君) 議員御質問の給食の実施状況についてお答えいたします。
初めに、学校給食についてですが、全ての田辺市立幼稚園、小学校及び中学校において、自校式または共同調理場方式により実施しております。
令和5年5月1日現在、学校給食調理場の総数は13調理場で、うち共同調理場が3か所、自校式調理場が10か所あり、これらの調理場から小・中学校39校、幼稚園3園、僻地保育所1園の子供たちに4,786食の給食を提供しております。
まず、共同調理場の3か所の状況ですが、城山台学校給食センターは、小学校12校、中学校7校の19校、幼稚園3園、僻地保育所1園の4園に提供し、提供食数は3,608食で、給食費は1食当たり、小学校280円、中学校310円、幼稚園260円、保育所200円となっています。保育所は牛乳提供がないため幼稚園と単価が異なります。なお、幼稚園、保育所ともに年収額の一定の要件に該当する世帯につきましては、副食費が免除される制度があります。
次に、上芳養共同調理場は、小学校2校、中学校2校の計4校に提供し、給食の提供数は289食で、給食費は、小学校280円、中学校330円となります。
大塔中辺路給食センターは、小学校3校、中学校3校の計6校に提供し、給食の提供数は256食、給食費は小学校280円、中学校310円となります。
続きまして、自校式調理場10か所の状況ですが、旧田辺地域には、三栖小学校と長野小学校の2か所に調理場があり、給食の提供数は378食、給食費は、三栖小学校が280円、長野小学校が290円となります。
龍神地域には、小学校4校、中学校1校それぞれに調理場があり、給食の提供数は142食、給食費は、龍神小学校は295円、その他の小学校が290円、中学校が320円となります。
本宮地域には、小学校2校、中学校1校それぞれに調理場があり、給食の提供数は131食、給食費は、小学校が300円、中学校が340円となります。
続きまして、田辺市立保育所13園の給食の状況ですが、認可保育所8園は自園の調理場で、僻地保育所5園のうち龍神地域の3園は共同調理場で調理提供し、城山台学校給食センターから給食を提供している園が1園、外部委託により給食提供している園が1園となっています。
なお、保育所の給食提供数は、先ほどお答えしました城山台学校給食センターから提供の1園を含め442食となっています。
給食費としましては、3歳児未満の主食費及び副食費は保育料に含まれており、3歳以上は園によって違いがありますが、主食費月額700円程度、副食費は、おやつ代を含め、月額4,500円を納入していただいています。
なお、年収など一定の要件に該当する世帯につきましては副食費が免除される制度があります。
以上、田辺市立の小・中学校及び幼稚園、保育所の給食については、13か所の学校給食調理場を含め23か所の調理場におきまして、日々、安全・安心な給食を提供しているところであります。
(教育次長 前川光弘君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 詳しく御説明いただきましてありがとうございました。
次に、県の公立小・中学校の給食費無償化の取組に対する本市の考え方についてお伺いいたします。
午前中の前田議員の質問に対して、県議会で議決され、詳細が確認されれば協議を始めるというふうにお答えをいただきました。既に御検討中だと思いますので、ぜひ実施していただきたいという思いで質問をさせていただきます。
まず、無償化の背景ですが、物価高騰で給食費を値上げせざるを得ない状況に、国からの交付金で給食費の値上げを抑えたり、保護者の経済的負担を軽減するため無償化にする自治体が増えました。
次に、無償化の必要性でありますが、第1に、学校給食は子供の成長や健康維持にとって不可欠なものであります。それを支える環境整備は社会全体で取り組むべき課題であると考えます。
まず、子供の健康や学力の向上という観点から見ると、給食はバランスのよい食事を提供し、子供たちの成長や発達を支える重要な役割を果たしています。さらに、給食を通して食育を学び、社会性を育む機会が与えられます。心身の健康や人間形成に与える影響は計り知れません。
第2に、子供の貧困や格差の解消という観点です。保護者の家計や心理的負担の軽減という点でも給食費無償化は重要な政策です。給食費を無償化することで保護者の経済的な安心感を向上させ、子育ての意欲を高めることもできます。
給食費無償化の実現にはたくさんの課題があることも承知しております。最大の課題は恒久的な財源の確保です。
和歌山県は、給食費無償化を実施する自治体に2分の1の補助をする予算を計上していると伺っています。半分は市が負担することになります。しかし、先ほどの理由、少子化対策、子育て支援としても実施すべき重要な課題と考え、給食費無償化に取り組むべきと考えます。
まず、今回の県の今年の10月からの学校給食費無償化の取組について、本市のお考えをお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 教育長、佐武正章君。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員御質問の県の無償化の取組に対する本市の考え方についてお答えいたします。
先ほど前田議員の質問にも答弁いたしましたが、給食費の無償化については、子育て世代の保護者にとり経済的負担の軽減につながると認識するとともに、責任ある学校給食を実施するためには、恒久的な財源確保が不可欠と考えております。
そうしたことから、教育委員会といたしましては、市長会を通じ、市町村により不均衡や格差を生じさせないよう、給食費の無償化、一部補助について要望を行うとともに、県内他市との情報共有を図りながら、国・県の給食費への支援策活用による財源確保を模索し、給食費の保護者負担の軽減に努めてきたところであります。
そうした中、先月、報道発表のありましたとおり、県におきましては、令和6年10月から子供の健やかな育ちを支える学校給食に係る子育て世帯の経済的負担を軽減するため、県内小・中学校等の給食費無償化に取り組むとして、給食費無償化を実施する市町村に対し、学校給食費の一部を補助する趣旨の予算が県議会2月定例会に上程されました。
本件につきましては、現在、県議会で審議中であり、また、県の担当部局に照会したところ、詳細については制度設計中とのことを確認しております。
教育委員会といたしましては、今後の県議会での審議及び議決後の県の動向を注視するとともに、県からの通達等により、補助要件等の制度内容の詳細を確認した上で、庁内関係部局と子育て支援の視点も含め協議してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。
学校給食の実施は、旧田辺市で保護者の皆様、先輩議員の皆様の熱い思い、粘り強い取組で、合併時に真砂市長の御英断により、幼稚園から中学校まで市内全域で実施されることになりました。それまでは、お弁当は親が作るものという考え方が根強く、実施されるまでに長い年月が費やされました。今では給食は教育の一環という考え方が広く認識され、定着しています。さらに時代は進み、給食費の無償化は子育て支援策の大きな目玉となり、保護者の皆様が強く望まれる課題となっております。
1点目の質問で、保育所、幼稚園、小・中学校の給食の実施状況をお聞かせいただきました。10か所の自校式調理場、3か所の共同調理場、保育園は8園は自園、龍神の3園は共同調理場、城山台学校給食センターから1園、外部委託が1園、調理場の設備は大変高額であり、順次更新の時期を迎えます。また、児童生徒数の減少等の状況から、維持管理・運営について効率的、計画的に取り組む必要があると考えます。
給食調理場の在り方等も含め、将来にわたる財源確保を検討していただき、県の補助制度を活用し、田辺市が取り残されることがないよう、学校給食の無償化をぜひ進めていただきたいと強く要望をいたします。
国でも既に学校給食費無償化についての調査・検討が始まっており、間もなく方向性が示されるとお聞きしています。国の異次元の子育て支援の重要な政策として位置づけられ、給食の無償化が始まることを強く要望し、期待したいと思います。これで1項目めの質問を終わらせていただきます。
次に、2項目めの質問、パートナーシップ宣誓制度についてお伺いいたします。
この項目についての質問は今回で3回目になります。前回までの御答弁は、啓発に努める、国・県の動向を注視ということでありました。
和歌山県では、2月からパートナーシップ宣誓制度が施行されました。和歌山県パートナーシップ宣誓制度は、互いを人生のパートナーと約束する一方または双方が性的少数者のカップルが協力して共同生活を行うことを宣言し、県が宣誓者に対して受領証を交付する制度です。本市としてはどう考え、対応されるのかお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 企画部長、山﨑和典君。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
議員の御質問にもございましたように、和歌山県が本年2月1日に制度化した和歌山県パートナーシップ宣誓制度の概要は、互いを人生のパートナーと約束する一方または双方が性的少数者のカップルが協力して共同生活を行うことを宣言し、県が宣誓者に対して受領証を交付する制度であります。
法律行為である婚姻とは異なり、法的な効力は生じませんが、婚姻が認められていない同性カップルや様々な事情により婚姻の届出をしない、あるいはできない性的少数者の方々の尊厳を守り、法令の範囲内でサービスを提供するものです。
このたびの県のパートナーシップ宣誓制度は、県内のどこの市町村にお住まいの方でも活用できますので、宣誓された方にとって、県全体で理解をしてもらえるという安心感につながるものがあると考えており、市といたしましては、その制度にのっとり市の施策を進めてまいりたいと考えております。
また、令和4年度に実施した第3次田辺市男女共同参画プラン策定に係る市民アンケート調査の設問の中で、LGBTQなどの性的少数者の方の人権に関することで、人権上どのようなことが問題だと思いますかとお聞きしたところ、「理解や認識が不足している」が69.5%と最も高く、次いで、「侮辱や嫌がらせがある」と、「性的指向・性自認について悩みを抱えていることを公表できる社会になっていない」が、それぞれ34.1%となりました。
このアンケートの結果などを踏まえ、市においては、性的少数者の方々の人権についてさらなる理解促進を図るとともに、県のパートナーシップ宣誓制度の周知などを進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。田辺市でも求めておりましたけれども、県にのっとって進めていただくということでありますので、大変うれしく思います。
県がパートナーシップ宣誓制度をスタートさせたことは、同性カップルの皆様にとって大きな希望になることと思います。多様な生き方を認め合う社会の実現へ確かな一歩が踏み出されました。性的少数者の方々の人権についてさらなる理解促進を図り、パートナーシップ宣誓制度の周知にしっかりと努めていただき、同性カップルの皆様が人生のパートナーと安心して幸せに暮らせる地域になることを願っております。
それでは、次の質問に移ります。
パートナーシップ宣誓制度は、同性婚が法的に認められない中で、自治体が独自に結婚に相当する関係とする証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。
和歌山県、県内市町村で同性カップルが利用できる制度、例えば、住民票の縁故者の続柄記載、住民票の申請、罹災証明の申請、国民健康保険事業、要介護の認定、母子手帳の交付等々、それぞれの自治体によって様々な利用できるサービスがございます。本市として利用できる制度、これから拡大していける制度はあるのかお伺いしたいと思います。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
県は、ホームページにおいて、和歌山県パートナーシップ宣誓制度の利用先一覧とその適用内容を公表しています。
その中で、現在、本市で利用できる行政サービスとしては、保育所等の入所申込みや送迎についての利用という項目のみであり、具体的には、パートナーに生計同一の子供がいる場合、家族同様に入所申込みや送迎ができるものでございます。
また、公営住宅の入居につきましては、宣誓書受領証の写しを提出することなどにより、パートナーとの入居申込みが可能となるもので、現在、和歌山県と5市7町で利用できます。
なお、県内自治体の中には、従来から公営住宅の同居人に親族要件を課していないことから、性的少数者のカップルであっても利用が可能であった自治体もあり、県の利用先一覧には、ただし書きとして、パートナーシップ宣誓をしなくても利用できる行政サービスもありますという文言がつけ加えられています。
本市におきましても、制度の趣旨や他自治体の状況に鑑み、令和6年度から公営住宅への申込みを可能とする方向で準備を進めております。
今後も追加で利用できる行政サービスがないか、関係課と協議をしてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 保育所の入所申込み、送迎については利用できる。6年度から公営住宅の申込みが可能になるとお答えをいただきました。追加で利用できるサービスについても、当事者の方々の声をしっかりとお聞きし、希望を持って人生を歩んでいけるよう、温かい心と深い理解を持って取り組んでいただきたいと思います。
以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
この質問をもって、この庁舎議場での一般質問も最後となりました。
今年1月の能登半島地震、そして今日3月11日、東日本大震災から13年目の3月11日です。間もなく開庁を迎える新庁舎は、災害時には防災の拠点、防災基地として活用されることになります。命をつなぎ、人をつなぎ、明日へつなぐと市長が語られましたように、新庁舎が市民の皆様を安心と希望の未来へと導く灯台となりますことを御祈念いたしまして一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 以上で、20番、佐井昭子君の一般質問は終了いたしました。
以上をもちまして、一般質問を終結いたします。
◎日程第 2 2定議案第20号 田辺市水道事業の設置等に関する条例及び
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部改正についてから
日程第33 2定議案第51号 田辺市税条例の一部改正についてまで一括上程
○議長(副議長 橘 智史君) 続いて、日程第2 2定議案第20号 田辺市水道事業の設置等に関する条例及び
田辺市長等の市に対する
損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部改正についてから、日程第33 2定議案第51号 田辺市税条例の一部改正についてまで、以上32件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました32件については、過日、既に当局の説明が終了しておりますので、これより総括質疑を行います。
質疑はありませんか。
(「なし」の声あり)
○議長(副議長 橘 智史君) 質疑なしと認めます。
それでは、ただいま議題となっております32件については、会議規則第37条第1項の規定により、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
各常任委員会の付託事件は、配付いたしております議案付託表のとおりであります。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ散会し、明日3月12日から3月24日までの13日間は休会とし、3月25日午後1時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(副議長 橘 智史君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
散 会
○議長(副議長 橘 智史君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。
(午後 2時15分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
令和6年3月11日
副議長 橘 智 史
議 員 加 藤 喜 則
議 員 尾 﨑 博 文
議 員 谷 貞 見...