田辺市議会 2024-03-08
令和 6年第2回定例会(第3号 3月 8日)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第6号 田辺市
手数料条例の一部改正について、お諮りいたします。
議案第6号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第6号は可決いたしました。
◎日程第8 2定議案第7号
工事請負変更契約の締結について
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第7号
工事請負変更契約の締結について、お諮りいたします。
議案第7号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第7号は可決いたしました。
◎日程第9 2定議案第8号
工事請負変更契約の締結について
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第8号
工事請負変更契約の締結について、お諮りいたします。
議案第8号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第8号は可決いたしました。
◎日程第10 2定議案第9号
工事請負変更契約の締結について
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第9号
工事請負変更契約の締結について、お諮りいたします。
議案第9号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第9号は可決いたしました。
◎日程第11 2定議案第10号
市有財産の無償貸付けについて
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第10号
市有財産の無償貸付けについて、お諮りいたします。
議案第10号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第10号は可決いたしました。
◎日程第12 2定議案第11号 田辺市
大塔青少年旅行村の
指定管理者の指定について
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第11号 田辺市
大塔青少年旅行村の
指定管理者の指定について、お諮りいたします。
議案第11号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第11号は可決いたしました。
◎日程第13 2定議案第12号 令和5年度田辺市
一般会計補正予算(第11号)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第12号 令和5年度田辺市
一般会計補正予算(第11号)について、お諮りいたします。
議案第12号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第12号は可決いたしました。
◎日程第14 2定議案第13号 令和5年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第5号)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第13号 令和5年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第5号)について、お諮りいたします。
議案第13号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第13号は可決いたしました。
◎日程第15 2定議案第14号 令和5年度田辺市
後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第14号 令和5年度田辺市
後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号)について、お諮りいたします。
議案第14号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第14号は可決いたしました。
◎日程第16 2定議案第15号 令和5年度田辺市
介護保険特別会計補正予算(第4号)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第15号 令和5年度田辺市
介護保険特別会計補正予算(第4号)について、お諮りいたします。
議案第15号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第15号は可決いたしました。
◎日程第17 2定議案第16号 令和5年度田辺市
診療所事業特別会計補正予算(第2号)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第16号 令和5年度田辺市
診療所事業特別会計補正予算(第2号)について、お諮りいたします。
議案第16号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第16号は可決いたしました。
◎日程第18 2定議案第17号 令和5年度田辺市
四村川財産区
特別会計補正予算(第1号)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第17号 令和5年度田辺市
四村川財産区
特別会計補正予算(第1号)について、お諮りいたします。
議案第17号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第17号は可決いたしました。
◎日程第19 2定議案第18号 令和5年度田辺市
水道事業会計補正予算(第3号)
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第18号 令和5年度田辺市
水道事業会計補正予算(第3号)について、お諮りいたします。
議案第18号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第18号は可決いたしました。
◎日程第20 2定議案第19号
紀南地方老人福祉施設組合の共同処理する事務の変更及び
組合規約の変更について
○議長(尾花 功君) 続いて、2定議案第19号
紀南地方老人福祉施設組合の共同処理する事務の変更及び
組合規約の変更について、お諮りいたします。
議案第19号は、委員長の報告のとおり可決することに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、2定議案第19号は可決いたしました。
◎日程第21 一般質問
○議長(尾花 功君) 続いて、日程第21 一般質問を行います。
なお、一般質問の通告は2月28日午後2時に締め切り、抽せんにより順位を決定いたしました。結果は通知申し上げているとおりであります。
それでは、質問順に従って発言を許可いたします。
10番、
福榮浩義君の登壇を許可いたします。
(10番
福榮浩義君 登壇)
○10番(
福榮浩義君) おはようございます。
10番、清新会の
福榮浩義です。よろしくお願いします。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
今回は、子供の屋内の遊び場についてお尋ねしていきたいと思います。
50年ほど前、当時小学生だった私は、学校の社会見学でまだ新しいこの田辺市役所を見学に来ました。案内してもらった部屋の中には、小学生の私が見て何をするか分からない大きな機械。そこで仕事をしていたお姉さんがコンピュータだと教えてくれ、名前を聞かれて答えると、機械を操作し、出てきたランダムに穴の空いた細長い紙を私に見せ、あなたの名前はコンピュータに入れるとこんなになるんだよと渡してくれました。その後、この穴の開いた紙は大事な宝物になったのは言うまでもありません。その後、この議場にも案内され、こんなところで仕事をしている人がいるんだと思いながら、上を見上げたときの議場の照明のまぶしさは今でも鮮明に覚えております。このような、何気ない子供の頃の体験や記憶は心に刻まれることがあります。
そこで今回は、感性豊かな子供の育ちの中での遊びについて質問させていただきます。
「人生で必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」
みんなで分け合うこと、ずるをしないこと、人をぶたないこと、使ったものは必ず元のところに戻すこと、散らかしたら自分で後片づけをすること、人の物に手を出さないこと、誰かを傷つけたらごめんなさいと言うことなどなど、これはロバート・フルガムさんの有名な言葉です。
子供にとって遊びや日々の生活全てが学びであります。特に就学前、幼児期の子供にとって、遊びや生活など全てが探求の宝庫であります。幼児期の子供は、生活の中で遊びを通して人や物と関わり、言葉を豊かにし、自然の美しさや不思議さなどに気づき、生活に必要な知識や技能を身につけるなど、生きる力の基礎を学んでいきます。不思議だな、面白いなと何度も試して遊ぶ中、新しい発見があり、物事の法則性に気づいたりします。
子供たちの好奇心や探究心を引き出すことが大切で、思考力の芽生えは小学校の教科等の学習に興味、関心を持って関わる姿につながります。自分の気持ちや思いを伝え、保育者や友達と話をする中で、言葉のやり取りの楽しさを感じ、それらを通じて相手の話を聞いて理解したり共感したりするようになっていきます。ストレスや不安を解消し、遊びを通した友達との関わりや人との出会いで社会適応能力も高まります。
人と関わること、発見すること、体を動かすこと、想像することなど、様々なことが学び続けることにつながっていきます。遊びの中で、好奇心、協調性、自己主張、我慢する心、頑張る力など、幼児期だけでなく、その後の成長していく過程に大きな影響を与える部分が育っていくと考えられます。それこそ生活の中、遊びの中での学びがあるのです。
そこで、当局に一つ目の質問をさせていただきます。
子供にとっての遊びをどのように捉えているのかお尋ねいたします。
(10番
福榮浩義君 降壇)
○議長(尾花 功君) 10番、
福榮浩義君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、古久保宏幸君。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
子供の日常生活には、家庭・保育所・幼稚園・学校・地域などの生活の場があり、それぞれの場で人や物と関わりながら、遊びや学習、休息や団らん、文化的・社会的な体験活動などを行っています。特に、遊びは生活の中の大きな部分を占め、遊び自体の中に子供の発達を増進する重要な要素が含まれています。
とりわけ乳幼児期の子供の生活の中心は遊びであり、あらゆる面での成長や発達に関わる大切なものと考えられます。
遊びは子供が主体的に興味を持ち、面白いと感じて夢中になる心と体を動かして行う行為であり、厚生労働省による保育所保育指針解説には、遊びには子供の育ちを促す様々な要素が含まれており、子供は遊びに没頭し、自ら遊びを発展させていきながら、思考力や企画力、想像力等の諸能力を確実に伸ばしていくとともに、友達と協力することや環境への関わり方なども多面的に体得していく。ただし、遊びの効用はこうしたことに限定されるものではなく、遊びはそれ自体が目的となっている活動であり、遊びにおいては、何よりも今を十分に楽しむことが重要であると示されております。
このことは、保育所での保育のみに限らず、日常生活においても言えることで、遊びとはただ単に好きなことをしているだけではなく、子供にとって学びにつながる大切な行動となり、子供は遊びながらたくさんのことを学び、成長し、心が豊かに育まれ、子供の健全な育成にとってはなくてはならないものと認識しております。
さらには、遊びが充実し発展していけば、知識や計算力などの認知能力だけでなく、創造性や好奇心、自尊心、想像力や思いやり、やり抜く力などの非認知能力の育ちにもつながるものと考えております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君)
福榮浩義君。
(10番
福榮浩義君 登壇)
○10番(
福榮浩義君) 御答弁ありがとうございました。
市としても子供の遊びの大切さを大変理解していただけているようで安心いたしました。
私は、40年以上幼稚園で勤めさせていただいている中で、また、市議会議員となってからは、さらに保護者からこんなお話を聞く機会があります。それは、田辺市には新庄総合公園をはじめ大小様々な公園はあるが、雨の日、夏の暑い日に子供たちが遊べる屋内での遊び場がないということです。私もかねてから雨の日や暑い日、寒い日に子供たちの遊べる場所が必要と考えていました。そのような遊び場があれば、子供たちだけでなく保護者の方々のコミュニケーションの場となり、子育て応援の中心となる施設になるのではないでしょうか。また、そこに子育てや子供の相談機能を持たせた施設を併設するなど様々な子育ての機能を持たせることも考えられます。
そこで、もう少し言わせてもらえば、現在、市民総合センターの整備を検討しておりますが、このような子育て支援の中心となる施設となるよう検討していただけないでしょうか。
そこで、二つ目の質問として、屋内遊び場の必要性と整備に対する考えをお聞かせください。
(10番
福榮浩義君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
子供の屋内の遊び場の必要性につきまして、かねてから市の課題の一つとして認識しております。現在、議員御承知のとおり、市民総合センターの整備に向け、市民参画による検討委員会において御意見をいただいております。その検討委員会での御意見や別途実施しました市民アンケート、高校生ワークショップ等から共通して出てきたことが子育て世代への支援であり、かねてからの課題も鑑みると、市民総合センターの整備に当たっては、子育て世代への支援機能を設けたいと考えております。ただし、一言に子育て世代への支援と申し上げましても、子供の遊び場だけでよいのか、相談機能を充実させることを優先するのかなど、様々な手法がありますので慎重に検討をしております。
なお、この市民総合センターにつきましては、築年数50年以上経過した老朽化の著しい建物であり、耐震改修の場合、高額な改修費用がかかり、何より、施設内に壁が増えることになり、相当使いづらい建物になってしまうということが想定されます。これらのことから、市民総合センターの整備に当たりましては、新たに施設整備することを視野に入れて検討しております。
いずれにいたしましても、子供の遊び場を取り入れることで、保護者間のコミュニケーション、さらには多世代交流を創出する施設を目指して、現在、最終的な方針をお示しできるよう進めておりますので御理解賜りますようお願い申し上げます。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君)
福榮浩義君。
(10番
福榮浩義君 登壇)
○10番(
福榮浩義君) 御答弁ありがとうございました。
市も子供の屋内の遊び場の必要性について十分理解されているようですので、今後、市民総合センターの整備、検討の中で子育て支援を含めて考えていただければありがたいです。楽しみにしております。
昨年11月に
文教厚生委員会で福岡のおもちゃ美術館に視察に行ってまいりました。おもちゃ美術館については、令和元年に松上議員が一般質問で取り上げ、産業建設委員会も視察を行ったりしております。木をふんだんに使った施設で、木製の遊具やおもちゃがたくさんあり、大変すてきな施設です。
「木育」という言葉があります。木を育むと書きます。これは、2004年に北海道庁が提案した教育理念です。幼少期に木や森、人との関わりを経て、豊かな心を育てるという目的で発足されました。木育では、木製の製品に触れるだけでなく、木の命や森林環境に目を向け、木と人とのつながりを意識することが重要視されています。北海道から始まった木育は今や全国に広がっております。例えば、子供が木のおもちゃで遊ぶと木の香りに気づき、木目を見つけ観察する。木をぶつけて音を鳴らす。こういった遊びの中で、嗅覚、視覚、聴覚など五感を刺激し、感性が育ちます。このように、木との触れ合いの中で子供たちの五感が刺激され、豊かな感性を生み出します。
田辺市は広大な面積のうちほとんどが森林で、古くから林業が盛んであり、田辺市こそ子供の頃から木に触れて、木のよさを感じ、木への関心を持ってもらえるように、例えば市民総合センターへのおもちゃ美術館の誘致、または、木をふんだんに使った子供の遊び場を設ける考えはないのでしょうか。
そこで、三つ目の質問です。木材を使ったおもちゃ美術館を誘致する考えについてお聞かせください。
(10番
福榮浩義君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
議員のおっしゃるとおり、子供の頃から木を身近に感じることは、人と木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育む効果が期待できると認識しているところでございます。
NPO法人芸術と遊び創造協会が、家族真ん中の多世代交流、森林文化の継承と木育推進、市民性創造と地域コミュニティの形成の三つをコンセプトにした交流型ミュージアムである東京おもちゃ美術館を開館し、さらに現在では、同NPO法人のトータルコーディネートの下、官民を問わず様々な組織形態により、全国各地で12館のおもちゃ美術館が姉妹館として設立・運営されており、それぞれの地域のストーリー性や自然、歴史、文化を生かしたおもちゃと遊びの体験ができる施設となっております。
このように、全国の姉妹おもちゃ美術館では、世代間交流や木育の普及推進、地域住民の活躍の場の提供だけでなく、地域の魅力発信の場としての活用が図られ、地域住民の利用はもとより、地域外からの来館者も多く、関係人口の創出・拡大の推進にもつながるものと認識しているところでございますが、本市におもちゃ美術館を誘致することにつきましては、今後十分な研究が必要であると考えております。
市といたしましては、先ほどの答弁にもございました新たな市民総合センターにおける子育て世代への支援機能の整備に当たりましては、木のぬくもりを感じ、豊かな心を育む空間となるよう検討してまいりたいと考えておりますので御理解賜りますようお願い申し上げます。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君)
福榮浩義君。
(10番
福榮浩義君 登壇)
○10番(
福榮浩義君) 御答弁ありがとうございました。
初めに話したとおり、今回の質問は、雨の日や夏の暑い日や寒い日に子供たちが屋内で遊べる環境をつくってほしいという質問でした。田辺市だけでなく、子供だけでなく、周辺の子育て世帯の中心となるような施設を検討していただけるとありがたいです。お願いしましたおもちゃ美術館に限定してしまうとなかなかハードルが高くなってしまうような気がしますが、ぜひとも田辺市におもちゃ美術館の誘致を、それが無理なときでも、田辺市ならではの木をふんだんに使った屋内の遊び場ができることを願いつつ、今回の質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。
(10番
福榮浩義君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、10番、
福榮浩義君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(尾花 功君) この場合、10時45分まで休憩いたします。
(午前10時35分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前10時45分)
○議長(尾花 功君) 続いて、16番、安達幸治君の登壇を許可いたします。
(16番 安達幸治君 登壇)
○16番(安達幸治君) おはようございます。
16番、くまのクラブの安達幸治です。
通告に従いまして一般質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
2問のうちまず1問目、槇山トンネル開通に伴う市道長野三栖2号線の整備についてお聞きいたします。
本年1月、田辺市上野西谷間において、待望の槇山トンネル、全長417メートルが完成しました。通行においてはまだまだ必要な工事もあり、多少の時間を要すると思いますが、時が過ぎれば多くの車両が往来することが予想されます。
現在、上野三栖間においては、市道長野三栖2号線が走っており、年月もたっていることから大変傷んでおります。大幅な改良工事が必要だと感じておりますが、槇山トンネル開通に合わせてどのような整備を考えておられるのか、当局の見解をお聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします。
(16番 安達幸治君 降壇)
○議長(尾花 功君) 16番、安達幸治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
建設部長、衣田 克君。
(建設部長 衣田 克君 登壇)
○建設部長(衣田 克君) 議員御質問の槇山トンネル開通に伴う市道長野三栖2号線の整備についてお答えします。
槇山トンネルは、所管する西牟婁振興局建設部に確認しますと、県道平瀬上三栖線の道路拡幅事業に伴い整備され、本体工事は令和6年1月に完成しておりますが、前後に取りつく構造物が未整備であるため、現時点においての供用はできない状況とのことでございます。
県道平瀬上三栖線は、田辺市平瀬から田辺市上三栖を結ぶ一般県道であり、当該路線のうち中辺路町西谷地区につきましては、国道311号と接する箇所から、延長約3.5キロメートルの区間においては2車線道路として整備が完了しております。
しかしながら、田辺市上野地区までの未整備区間においては、道路幅員が狭隘で線形も悪く、乗用車の対向や大型車両の通行が困難な状況であることから、市としましても、以前から県に対して要望を行ってきたこともあり、平成28年度から槇山トンネルを含む延長約1.7キロメートルの区間において2車線道路として拡幅事業が実施されているところであります。
当該区間が整備されることにより、国道311号、県道平瀬上三栖線、市道長野三栖2号線、主要地方道上富田南部線を経由する2車線の幹線道路ネットワークが形成され、国道311号の災害時には救援活動や物資輸送などの代替道路としての機能や集落の生活道路としての機能、新たなアクセス道路として、観光、地域経済の活性化など、まちづくりの観点からも本市にとりまして重要な道路であると考えております。
一方、市道長野三栖2号線につきましては、田辺市上野地区の県道平瀬上三栖線に接する箇所を起点として、田辺市下三栖地区の主要地方道上富田南部線の隧道橋東詰交差点を終点とする延長約8キロメートルの2車線の道路であり、広域農道の一部区間として県において整備され、現在では地域住民の生活道路及び通学路等として利用されており、毎年、定期的な草刈り作業をはじめ、路面の補修など、その都度必要な対応をしているところでございます。
西牟婁振興局建設部によりますと、事業区間1.7キロメートルのうち、トンネル約420メートルについては完成しておりますが、未整備区間においては急峻な地形の上、施工延長も長いため、供用開始までには時間を要すると伺っております。
市といたしましては、県道平瀬上三栖線の供用開始にかかわらず、市道長野三栖2号線は、田辺市上野地区、田辺市三栖地区と市街地を結ぶ重要な路線であると認識しておりますので、今後も引き続き市道の適正な維持管理に努めるとともに、県の道路拡幅事業と連携を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(建設部長 衣田 克君 降壇)
○議長(尾花 功君) 安達幸治君。
(16番 安達幸治君 登壇)
○16番(安達幸治君) 御答弁をいただきました。ありがとうございます。
この質問に当たりまして、西牟婁振興局の建設部のほうにお越しいただきましてありがとうございました。供用開始にかかわらず整備を進めていただくということで安心しております。よろしくお願いしておきます。
あと心配が一つあって、この道ができることは大変うれしいのですけれども、これが今度開通されますと、恐らく大塔村とか、あるいは上富田の通行というのが便利になるに当たって、やはり観光とか、あるいはまた三栖に直接トンネルを抜けて通行する場合が多くなってくると思います。そのときに、今から先に考えておかないといけないのは、我々の大塔村というのがなかなか通らなくなったときに、やっぱり商売人とかいろんな地域の方々に不便があったり、また、観光面でもかなり弱まってくるのではないかというようなことが懸念されるので、大塔行政局の方を中心に、これから10年になるか何年になるか分からないですけれども、この道が整備できるまでに、やはり大塔村のいろいろなこれからのまとめというのですか、やっぱり心配事をちょっと払拭するようなことを前もって考えていただきたいと思いますので、このことだけよろしくお願いしておきます。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
続きまして、2問目、地域おこし協力隊の活動について質問させていただきます。
この施策は、国の地域おこし協力隊制度に基づくものであり、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、都市住民ですね、地域外の人材を隊員として委嘱するもので、一定期間以上地域に居住して、農林漁業の応援、水源保全、監視活動、住民の生活支援などの各種の地域協力活動を行いながら、その地域への定住、定着を図り、地域力の維持強化を図ることを目的とするとあります。
私自身、方向性としては大賛成ですし、隊員の中にはよく頑張っている方もおられます。しかし中には、動きとして少し違うのではないかと感じることもあります。ある複数の地域においては、店員をされている方も見かけられました。これに対しては、多少の不満を持たれた隊員もおられることでしょうし、そもそもこういうことに協力隊員を使うべきではないと考えます。要件の中には、単なる労働力確保以外の活動であること、もっぱら団体の運営や営利を目的とした事業でないこととうたわれています。
彼らはよりすぐりの人材です。もっと大きく、そして広く、全ての能力を現場に注いでいただく必要があります。当局におかれましては、いま一度、協力隊の皆様と御協議をいただき、最大限の能力を引き出していただきたいと考えますが、御見解をお聞かせください。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(尾花 功君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
地域おこし協力隊につきましては、都市部の若者や経験者が地方に移住し、おおむね3年間、地域住民や行政と協力して地域活動を行いながら、地域に定住定着を図る取組として平成21年度に総務省が設立した制度です。全国の隊員数は、令和2年度で5,560人、令和3年度で6,015人、令和4年度では前年度からさらに432人増の6,447人と年々増加しており、総務省では、令和8年度末までに1万人とする目標を掲げ、取り組まれているところです。
このような中、本市では、協力隊が活動する事業や受入れ団体を公募や庁内提案により選定し、その事業に従事する隊員を募集し、採用された隊員は、市の会計年度任用職員として最長3年間受入れ団体等において活動しております。
これまで、本市では過疎地域の活性化を目的として、平成28年度、平成29年度に、田辺2名、龍神2名、大塔1名、中辺路2名、本宮1名の合計8名を8団体に派遣し、地場産品の開発、販売、PRなどの地域おこし支援や農林業への従事、拠点施設の運営支援、空き家の活用など多岐にわたる活動を行っています。
これまでに任期を終えた隊員8名のうち6名が本市に定住し、このうち3名は田辺市地域おこし協力隊起業支援補助金を活用し、農業や地域で採れた農作物の委託販売、梅を使った加工食品の商品化、地元の企業や自治体の印刷物、ウェブ等に使用する写真撮影やイベント関連事業等にチャレンジするなど様々な分野で活躍しています。
また、現在3名の隊員が田辺と龍神において、農業、観光、ジビエの各分野で活動するほか、隊員の知識や経験を生かした子供たちとの交流や地域住民の体づくり教室を行ったり、関係人口イベントに参加するなど、受入れ団体の活動以外でも積極的に地域活動に取り組んでおります。
令和6年度は、さらに5名の隊員を採用し、新たに農業や水産業、中心市街地活性化、移住コーディネートに取り組む予定です。
本市にとりましては、地域おこし協力隊が受入れ団体だけの活動にとどまらず、隊員が持っている都市部の方だからこその感覚や知識、経験を生かし、移住定住、地域課題の解決、関係人口づくり、地域の情報発信などの様々な取組やまちづくりの場で活躍していただけるよう、県や市関係部署、さらには受入れ団体とも連携を密にしながら、これからも取り組んでまいりたいと考えております。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(尾花 功君) 安達幸治君。
(16番 安達幸治君 登壇)
○16番(安達幸治君) 市長自らお答えいただきましてありがとうございます。
実はこの地域おこし協力隊、こういう田辺市が発行している本も広げまして、ちょっと勉強させていただいたのですけれども、その中で、過去の例を見てみますと、やはり途中で退任された方もありますし、ソバをやられる方でソバアレルギーになってやめられた方もおられますし、なかなか目的は全部が全部達成されていないという状況です。というのも、私自身は原因をはっきり伺っておりませんけれども、やはり地域にやってきたけれど、やっぱり自分の目的と大分違うなと、また思っていた地域とも違うなというようなこともあるでしょうし、そこら辺のところがなかなか一つになってないかな、そのように思います。これはこれで失敗というのではなしに、失敗がもしあったとしたら、それは過去のことをまた勉強して新しい方向に導くことが、またそれは失敗が成功の元だと思っていますので、その点はまたやめられた方も含めて勉強していただきたいと思います。
実はこの質問をするに当たって、ちょっとここに先日、匿名の方からおはがきが届きました。内容によりますと、今年度派遣する団体が組合や株式会社、この方は名前まで書いているのですが、ここでは省かせていただきます。それぞれの団体が利益追求のために行う事業に税金で雇用した市職員を派遣することにとても疑問を持ちました。営利企業でも理由づけをすれば派遣できるというのであれば、募集時にきちんとした説明が必要ですと。地域活性化のためにとか言えば民間の梅加工会社でも市職員を派遣してくれるのかというものです。
この質問に対してもしお答えいただけるようでしたら、お答えいただけますでしょうか。お願いします。
○議長(尾花 功君)
企画部長、山﨑和典君。
(
企画部長 山﨑和典君 登壇)
○
企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
先ほど市長の答弁でも申し上げましたけれども、あくまで地域活性化ということを目的にしております。
また、地域おこし協力隊員につきましては、地域に定着していただけるということを目的にしておりまして、公募はしているのですけれども、一般の営利企業が、例えば梅加工場が人が不足しているから来てくれというのは、今回の田辺市が進めようとしている地域おこし協力隊の制度とは趣旨が合わないというふうに考えております。あくまで地域を活性化するという観点で派遣をしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
(
企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 安達幸治君。
(16番 安達幸治君 登壇)
○16番(安達幸治君) 梅加工会社というのは、これは後づけのような質問だと思うのですが、営利企業の、そういう利益を基にしているところにも派遣できるのかというような形の、この前文にありますような形だと思うのですが、それはないとは思うのですが、そこら辺のところでもう少し大きく、大きく、大きく。こちらの解釈としたら、こちらの言い分としたら、もう全て分かるところはあるのですが、受入れ側の方々がやはりそのような意識を持っていなかったら、やっぱり小さな塊になってしまうので、やはり受入れの方々にも、こういう目的で使うのですよ、地域の小さいことで使うのと違いますよということをもう一回言っていただいた中で、やはり地域おこし協力隊、私、大賛成の制度ですので、そこら辺を図っていただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いしておきます。
質問は終わりました。
能登半島の暗いことはありますけれども、田辺市にも大変めでたいことがありまして、
田辺高校、七十数年ぶりですか、甲子園出場。本当に私は田辺商業高校出身なのですけれども、本当に田辺市全体を挙げて、めでたいことでもありますし、やっぱり機運がまだまだちょっと高まっていないと話は聞くのですが、やはり私はもう本当に、今日も大会の相手がかなり強豪校だったということが決まりましたけれども、
田辺高校の野球部の方々、相手にとって不足はないぞと、改めて闘志を燃やしていると思うのですけれども、今後、
田辺高校の大いなる健闘をお祈りしながら質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
(16番 安達幸治君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、16番、安達幸治君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(尾花 功君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時03分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 橘 智史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 橘 智史君) 続いて、3番、久保浩二君の登壇を許可いたします。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 3番、日本共産党、久保浩二です。
通告に従いまして一般質問を行います。
今回は防災計画について(災害関連死を防ぎ、助かった命を守り抜く取組)について質問をしていきます。
まず、今年元日に起きた能登半島地震によりお亡くなりになった皆様に御冥福を申し上げます。そして、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
さて、能登半島地震での被害は、珠洲市や輪島市などでは、建物の多くが倒壊し2か月余りたちますが、復旧はまだ手つかずのところも多くあり、避難者もまだ1万人を超える方が避難所や自主避難の生活を送られています。ライフラインの復旧もなかなか進まず、珠洲市、輪島市など1万7,000世帯で断水が続いています。
私は、今回の能登半島地震は、遠くの災害と受け止めるのではなく、同じ半島での地震で自分事として捉え、今回の能登半島地震を教訓にするため、質問を通して今後の政策に生かしていきたいと考えています。
過去の大災害でも災害関連死は相次いで起きました。2011年3月11日の東日本大震災では3,800人以上が亡くなり、2016年の熊本地震では、地震が直接の原因で亡くなった55人の4倍以上の221人が災害関連死で亡くなっています。今回の能登半島地震では、2月末現在で死者が241名、そのうち災害関連死は15名となっています。
災害関連死を防ぎ、助かった命を守り抜く取組について、まず、災害備蓄の現状についてお伺いします。食料、水、トイレ、段ボールなどの現状についてお聞かせください。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 3番、久保浩二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
危機管理局長、茨 善行君。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
本市では、東日本大震災を受けて、国、県の被害想定に基づき、災害用備蓄品整備計画を強化し、これまで備蓄を進めてまいりました。そのうち備蓄食料の考え方は、県の地震災害対策のための備蓄方針の中で、住民、市町村、県がそれぞれ1日分を備蓄することとされております。その後、国等からのプッシュ型支援、災害協定先などからの流通備蓄などにより食料を確保することとしております。
現状の備蓄食料につきましては、クラッカーとアルファ化米を中心としており、災害用備蓄品整備計画上の備蓄を完了しているところでございます。また、飲料水につきましても500ミリリットルペットボトルを中心に備蓄を進めているほか、造水機の活用、給水車等で対応することとしております。トイレにつきましても備蓄が完了しており、簡易トイレ本体、し尿の消臭や凝固を行うし尿処理セットやプライバシー対策としてのトイレ用パーソナルテントを、またマンホールトイレについては、規模の大きい小・中学校の指定避難所、田辺スポーツパークに整備しているほか、新庁舎でもマンホールトイレを整備することとしております。
なお、段ボールベッドにつきましては、配慮が必要な方のために若干数を保有するにとどまっております。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 県の方針で1日分、その後は流通備蓄、よそからの支援で行うということでした。トイレについてはもう完了しているということなのですが、トイレについては前田議員が詳しく質問をしていきますので、私は今回トイレの問題はやりません。
次に、今後、災害備蓄の充実についてどのように取り組まれるお考えなのかお聞きします。
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、市では、東日本大震災以降、国、県の被害想定に基づいて備蓄品の整備を進めてまいりました。しかし、東日本大震災から10年余りがたつとともに、全国の各種災害の教訓を生かして備蓄品の多様化を進めているところであります。近年、避難所の環境悪化による高齢者等の災害関連死がクローズアップされる中、その対策の一つとしてパーティションや段ボールベッドが注目されております。感染症等を防ぐためにも有効な備品であることは認識しております。
食料のうち、米の備蓄につきましては、現在はアルファ化米を備蓄しており、災害時にはこれを提供することとしております。加えて、米は米穀会社と防災協定を締結していることから流通備蓄で賄うほか、城山台学校給食センターをはじめとした学校給食施設での炊き出しも想定しております。飲料水につきましても、さきに申し上げましたとおり500ミリリットルペットボトルを中心に備蓄を進めていくほか、造水機の活用、給水車等で対応することとしております。
現在、南海トラフ地震に関する被害想定の見直し等が国で進められており、今後、新たな被害想定基準に合わせるとともに、能登半島地震での被災地の状況等も踏まえ、備蓄品の充実を図ってまいりたいと考えております。
なお、災害用備蓄品につきましては、全てを市や県の直接備蓄だけで賄う考え方ではなく、協定等による流通備蓄等を活用するなど効果的な提供方法に取り組んでまいりたいと考えております。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) この後、質疑をしていく中で災害備蓄の拡充について話を進めていきたいというふうに考えています。
次に、避難所環境運営について。
日本で自然災害の避難生活の場所として、床に毛布を敷いて大勢がひしめき合う体育館や集会所などが思い浮かびます。日本で最初に雑魚寝の形式で避難所ができたのが関東大震災だと言われています。その後、100年以上たちますが様子は変わっていません。現在も、エアコンや仕切りがないことが多いです。ですが、この光景は海外では当たり前ではありません。仮に、海外の避難所が日本のような雑魚寝スタイルならば、暴動が起きるだろうと指摘する専門家もいます。
今回の能登半島地震の避難所での様子を見ますと、ほとんどが体育館の床に雑魚寝になっています。このような状況をどのように認識しているのかお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、能登の避難所では、一部には体育館にブルーシートやマット等を敷いて避難生活を強いられている映像も見受けられます。コロナ禍以前と比べますと、全国的にも段ボール等での区画により、プライベート空間の確保や衛生面は向上しているものの、依然として生活環境は良好とは言えず、寝不足や感染症、メンタル系疾患等のリスクの要因となり得ることは認識しております。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 次に、床に雑魚寝の問題点についてお伺いします。
日本の避難所の多くは床に寝る雑魚寝ですが、なぜ雑魚寝が悪いのか。床に近いほど細菌やウイルスに感染しやすくなります。細菌やウイルスの多くは、ほこりや飛沫に付着して床付近を漂い、床に寝ると吸い込みやすくなります。簡易ベッドなどで床から垂直に30センチ以上離れると粒子の濃度は半分になると言われています。
また、床からの冷えが厳しく、首筋や背中から冷えて体全体を冷やし、眠ることが難しくなり、高齢者は特に体調を崩しやすい状況です。
また、雑魚寝は、エコノミークラス症候群の原因になると言われています。深部静脈血栓症、大腿部や骨盤の深部静脈で血液が凝固する病態のことですが、これを引き起こす確率が高まります。
様々な災害の避難所で深部静脈血栓を検診したところ陽性が多く見つかり、陽性率が3割を超える避難所もありました。また、足腰が悪くなるなど、東日本大震災の際、大規模避難所での1か月の避難生活で1,000人のうち30人が寝たきりになったという記録もあります。
このような問題点の認識についてお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、長期にわたる避難所での生活において、床に直接寝ることは、感染症や体の冷えなど、健康面や衛生面に悪影響を及ぼすことは認識しており、段ボールベッドなど、ある程度の床面からの高さを確保できる睡眠環境が望ましいと考えております。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 次に、段ボールベッドの有用性についてお聞きします。
低体温症をはじめエコノミークラス症候群や廃用症候群など、二次健康被害予防や避難生活の質の向上など、段ボールベッドを使用した多くの避難者から温かいやよく眠れるようになったなどの感想があります。
日本赤十字北海道看護大学は、冬季、冬に段ボールベッドを使用して避難所演習を実施した結果、外気温がマイナス22度まで下がる環境の下で暖房を使用せず宿泊したが、厳冬期以外と同じように参加者は眠ることができたとあります。床に雑魚寝では低体温症の発症や凍死者が出る危険性がある環境でも問題なく眠れたという実証実験です。
この簡易ベッド、段ボールベッドの使用率が高いほど深部静脈血栓症陽性率が低くなります。簡易ベッドで立ち上がりやすくなると活動量も増え、トイレにも行きやすくなり、トイレの回数を減らすために水分摂取を控えることがなくなるためと考えられます。それほど、簡易ベッド、段ボールベッドが優れているという結果です。
また、2011年9月の紀伊半島豪雨災害において、那智勝浦町の中学校の体育館に避難していた女性は、体育館の床に雑魚寝しているのは大変寒いというふうに話していたと言われています。
いざというときに段ボールベッドを使用できる環境を準備しておくことが、厳しい避難所での生活を改善させ、ひいては災害関連死、関連疾患の予防にもつながることが期待されます。
全ての避難者に簡易ベッド、段ボールベッドの導入が必要と考えますが、大災害時の避難者数に応じて段ボールベッドの備蓄を大幅に増やすべきではありませんか。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
段ボールベッドをはじめとした段ボール製品の備蓄については、温度及び湿度が影響し、品質保持が難しい点が上げられること、特に、段ボールベッドについては容量が大きいため、大量保管するためにはスペースが確保できないことなどから、現在、本市における直接備蓄は若干数にとどまっております。こうしたことから市では、防災協定締結により、流通備蓄を利用して段ボール製品を確保する対策を進めているところです。
防災協定を締結する予定の段ボール会社の担当者に、段ボールベッドやパーティションの備蓄の有用性について伺ったところ、品質保持ができない上に非常にかさばることから備蓄には向いておらず、流通備蓄で対応することが望ましいとのアドバイスがございました。
また、避難所の床面からの高さを確保でき、段ボールベッドの代用の一つとして考えられるのが農業用コンテナの活用です。防災協定を締結しているJAは、大量の農業用コンテナを保有しており、災害時には提供が可能である旨を伺っておりますことから、こうしたコンテナの上にアルミマットなどを敷くなど、避難所での環境整備について検討しているところでございます。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 以前から段ボールベッド、段ボール製品の品質維持が難しいという答弁が幾つも出るのですが、段ボールベッドをしまうときに、コンテナにしまうというふうなことが出てあるのですが、そのときに、天気、雨のとき以外だったら、普通のときだったらそういう心配はないというふうな実験の答えが出てあるのです。ですから、建物に、倉庫に保管する場合でも、そこのところの湿度管理の難しいところに保管したらそういう問題が出てくると思うのですが、きちんと保管してたら、そういうふうな湿度の問題というふうなことは、さほど問題にならないということが実験で実証されているというのが言われてますので、そして、流通備蓄の話されているのですけれども、実際に、今心配されている南海トラフの巨大地震が起きた場合に、以前もお話を聞かせてもらったように、提携してある、田辺にもありますし、ほかの地域にもあるということなのですが、能登半島の地震を見ますと、道路が寸断されてなかなか届けることが難しいという問題が一つあって、そして、南海トラフの巨大地震の場合に、関西圏エリア全体、東海から四国、九州までそういうふうな状況が考えられるということでしたら、なかなか流通備蓄でその数を整える、そろえるというのはなかなか難しいというふうに考えるほうが当たり前になってくるのと違うかなと思うのです。正常な、当たり前の普通の状態で、平時の状態でしたらすぐに、1日、段ボールベッドだったら1,000、2,000単位で対応できるという話なのですが、大きな災害で、もしそこの地域が完全にやられた場合、ほかのところから持ってくることが難しいとなった場合に、やはり最低限の備蓄をしておかないと体育館や集会所で雑魚寝というふうなことになりますので、その辺はちょっと考え方を変えていかないと、すぐに対応ができないのではないかなというふうに思います。
そして、4町村もちょっとお話を聞かせてもらったのですが、資料にありますように、五個、六個、行政局のほうに段ボールベッドを置いているということなのですが、置いている場所は知ってるけれども開けたこともないということで実際に使ったこともない。それで、もし組み立てした後、また元へ戻すのにちょっと難しいという話があったので、組み立てることもしてないということで、実際に起こった場合に、なかなか5個やそこらでは対応できないのですよ。そして、行政局へ来てくれる人だったらよいのですけど、行政局に来られる人というのは限られてくると思うので、谷々というか周辺のところにはやっぱり最低限30人避難してくるということが考えられるのであれば、最低限それに近い数が要ると思うのです。
そして、旧田辺では、今16個段ボールベッドを置いてあるということなのですけれども、南海トラフの巨大地震、この資料を見ますと、発災1日後、3万1,200人、これは避難所に避難するという数字ですね。それで、避難所外生活が1万5,900人、合わせて4万7,000人ぐらいが避難せなあかんというふうな数字が実際に出てあるので、16個ではとてもではないが足りないということなので、先ほど言われたように、健康面からも感染症予防からも段ボールベッドが有用だということで、コンテナで代用するというふうなことも言われたのですが、やはりその辺のところ、今の旧田辺だったら100倍以上、4町村でもやっぱり5倍から10倍の段ボールベッドを最低限備蓄しておくことが必要だというふうに思うのですが、その考え方についてお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
発災後、そのようにして備蓄がない場合の段ボールベッドにつきましては、先ほども申しましたとおり、品質保持の問題から現在は流通備蓄となっております。その代用として防災協定を締結しているJAからの農業用コンテナで代用できないかというところを今現在検討中であります。段ボールベッドの備蓄と併せまして、そうした代用の方法についても今後検討してまいりたいと考えております。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) コンテナの上。昔、小錦という相撲取りがいて、巡業に行ったときにコンテナを体に合うだけ敷いて、そしてコンパネみたいなものを置いて、それに布団を敷いたという話は聞いたことあります。実際に床から高さを確保するという点では、そういうことも可能なのかなというふうな気がするのですが、なかなか、さっき言いましたように、いざとなったときに農協に置いてあるものがちゃんとすぐに使えるかどうかということも、いろんなことを想定しておかないと。高さを確保するというのは確かにそれでよいと思うのですけれども、やはり行政として段ボールベッドがかなり有用というか、効果があるということを認識できたら、そういうふうな形で、3万個持てということではないので、最低限のすぐに必要な数はやっぱり要るというふうに思うのです。
そして、備蓄、かさばるというふうなお話だったのですが、田辺スポーツパークなどに備蓄倉庫やコンテナで備蓄するということも考えていったらどうかなということなのです。
先ほども言いましたように、段ボールベッドの保存は、天気の日に入れたり出したりすること以外だったらそんなに影響が出ないという報告があります。和歌山県広域受援計画で広域防災拠点、それの第2拠点に田辺スポーツパークが位置づけられています。県外からの後方支援となっていますが、南海トラフ巨大地震の被害想定は、大阪など都市部を含む広域になり、すぐに他地域からの支援が難しい状況になりますので、自前の備蓄を拡充して発災後すぐに対応できるようにする必要があるというふうに思います。田辺スポーツパークなどにそういうふうな備蓄を増やしていくという考え方はどうでしょうか。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
議員御指摘のように、田辺スポーツパークは県の第2の拠点となっております。ここには、様々な物資もプッシュ型で空からも送られます。そして何より緊急消防援助隊、自衛隊、そうした方々の応援の宿泊地にもなります。また、避難所にも一部なりますので、限られたスペースの中で備蓄をするスペースを検討したりであったりとか、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) その辺の、空からのとか消防隊、自衛隊というふうな話もあるのです。先ほど言ったように、コンテナ、大きな荷物を運ぶコンテナに段ボールベッドを置いてというふうな形での実験で湿度の問題も大丈夫だったということなのです。コンテナに必要な数を入れておいたら、もし輸送、動かして届けるというのも、トラックがあったらそれですぐに行けるということなので、そういう意味でも田辺スポーツパークは適した場所ではないかなというふうに思っています。
そして、北海道では、胆振東部地震を経験して1万5,000台を超える段ボールベッドを道内14か所に分散備蓄して、すぐに輸送できる仕組みをつくっているそうです。
和歌山県も、南海トラフの巨大地震に襲われたら、そういうふうな形ですぐに対応できるようなことが必要になってくると思いますので、県とも協議しながら、しっかりそういう備蓄をしていただきたいというふうに思います。
次に、スフィア基準の理念で被災者支援ということでお伺いします。
スフィア基準とは、被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準です。
イタリアでは、発災48時間以内に地元の小さなボランティア団体などが小規模避難所を運営し、それ以降は、被災地外の州や国が大規模避難所を設営・運営します。平時からの簡易ベッド、トイレ、キッチンの設備などの準備を法令で義務づけています。そして支えているのが職能ボランティア、職業としてしているボランティアです。物資の輸送、食事、医療などを職能団体の専門家が担っています。交通費や宿泊費は国が負担し、被災地の自治体職員の人権を守る観点から、避難所の運営を被災した自治体職員が担うことはないということです。この取組の中心が市民保護庁、国の機関です。イタリアには、災害時であっても市民がふだん営んでいる生活を保障するという市民社会保護の考え方があります。
ソフィア基準が掲げる二つの基本理念、被災者は尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利がある。二つ目が、災害による苦痛を減らすために実行可能なあらゆる手段を取らなければならないというふうに言われています。
そして、避難所だから仕方ないという意識を変えるのがスフィア基準です。人間の存続のために必要不可欠な四つの要素、人間が生命を維持するために必要最小限な水の供給量、食料の栄養価、居留地内のトイレの設置基準や数、また避難所1人当たりの最小面積の保護などがあります。
居住空間は、1人当たりのスペースは最低3.5平方メートル確保するということになってあります。そして、3.5平方メートルというのは、およそ畳2畳分になります。しかし、2016年4月の熊本地震の避難所では、1人当たりのスペースが1畳ほどしかない場所もあったというふうに言われています。
このようなスフィア基準の理念についての認識をお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
スフィア基準に示されている二つの基本理念は、基本的人権の観点から当然尊重すべきものであると認識しております。被災時には、本市だけでなく、国、県や支援自治体などとも協力をいただきながら、少しでも被災者が快適に過ごせる避難所づくりに努めていきたいと考えております。
なお、本市では、内閣府の避難所運営ガイドラインや和歌山県の市町村避難所運営マニュアル作成モデルを基に避難所運営マニュアルを作成しておりますが、この避難所運営マニュアルにはスフィア基準に相当する内容もあります。
例えば、避難所の居住スペースについては、1人当たり畳2畳分程度を確保することとしており、スフィア基準の3.5平方メートルに近い数値となっております。
また、トイレの設置数についてですが、和歌山県が平成26年に公表した地震被害想定では、南海トラフの巨大地震発生直後の本市における避難所への最大避難者数が3万1,200人とされておりますが、本市では現在、20人にトイレ1基の割合で設置するとしたスフィア基準、これを超える18人にトイレ1基となる1,707個の簡易トイレを備蓄しております。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) ここに田辺市の田辺市避難所運営マニュアルというのがあるのですが、今言われたみたいに、1人当たりの面積を確保するというのもあるのですが、実際の能登の状況を見たら、なかなかそれができていないというのが現実だというふうに思うのですよ。実際に、田辺でもし大きな災害があって、大規模に避難しないといけないというふうになったら、体育館であったりしても、なかなかそれだけのね、ここに書いてあるからこのとおりしますと言っても、3万人を超える人がもし避難するようなことになったら、多分今の状況では3万人避難できる場所になっていないと思うのですよ。避難所の数、避難所の面積というふうにしたときに、ここに書かれてあるとおりにやるというのはなかなか難しい現実があるというふうに思いますので、その発想、ここに書いてあるとおりにできるようなことを市民の皆様と一緒につくっていくことが必要になるというふうに思います。
次に、避難所や公園にかまどベンチの設置ということで質問をします。
田辺市地域防災計画、応急食料提供で、災害発生後、1食目はクラッカー、2食目以降は米飯の炊き出し、または弁当・食パン等とするとなっています。学校や公共施設が避難場所になっていますが、多くが炊き出しできる状況になっていないというふうに思います。各地の防災公園などに設置されているかまどベンチを各避難所に設置することを検討するべきではないか。また、米や炊飯釜、大きめの鍋など、炊き出しのために備蓄が必要というふうに思うのですが、4町村で聞いたら、本宮は学校に給食があって、以前の学校も多分使えると思う。それで集会も冠婚葬祭で使ったりするので、多分本宮は、炊き出しのところは施設の中でできるというふうに言われていたのですが、旧田辺市内を見ますとなかなかそういうふうな状況になってないというふうに思いますので、各学校、公民館、そういうふうなところでそういう設備がないところでは、かまどベンチみたいな炊き出しができるものが必要ではないかというふうに思うのですが、その辺についての認識をお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
田辺市地域防災計画では、食料供給の基準として、供給する食料は、時間の経過に伴ってその内容の見直しを行っていく必要があるが、また、議員もおっしゃっておられましたように、災害発生後1食目をクラッカー、2食目以降は米飯の炊き出し、または弁当・食パン等とするとしております。
また、炊き出しの場所ですが、炊き出しは、小・中学校の給食室や共同調理場等の公共建築物を利用して実施することを原則とすると記載しており、市内の小・中学校でも炊き出しが可能な施設があります。中でも城山台学校給食センターでは、米を常時一定量確保しており、一度に大量炊飯が可能な上、自家発電設備を備えていますので、停電時においても炊き出しが可能です。
炊き出し用の備蓄資機材では、旧田辺地域の主要な避難所に100膳から120膳が一気に炊ける大型炊飯器を9基整備しており、大鍋などは各学校等にあり、調理実習用のものを活用していきたいと考えております。
また、かまどベンチにつきましては、現在、新庄中学校と田辺スポーツパークに整備しております。災害時にかまどベンチを活用することについては、有用な手段の一つであると考えております。教育委員会や施設関係部署などと連携を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 備蓄の一覧表を見ますと、クラッカー全部で3万2,836食というふうになって、数はそれなりに足りてあるように思うのですが、次に、アルファ米7,050食ということで、さっき言ったように3万人が避難するというふうな状況になったらもう1日でなくなってしまう。今回の能登半島地震で輪島市では、二万数千人の住民の中で数千人しか備蓄がなかったということで、その日のうちに底をついたというふうなことがニュースで言われてました。その後も、断水で道路が寸断されてなかなか実際食料が難しかったというふうな形がありますので、やはり備蓄は大事かなというふうに、そして、米も流通備蓄というふうなことを言われているのですが、実際に城山台学校給食センターで作ったり、給食センターがあったりというふうな形のところではあると思うのですが、今新しく建った学校で、なかなかそれをできるかといえば、そうなっていないというところもかなりあるというふうに思いますので、その辺はやっぱり鍋・釜があって、地域の人がそれを利用してやってくれるというふうな形になったら、避難所の雰囲気もかなり、温かいものを食べれてということになっていくと思いますので、その辺は今後検討していただけたらというふうに思います。
次に、要配慮者への対応について。避難行動要支援者名簿情報と個別避難計画の現状についてお伺いします。
高齢者や要配慮者が増加し、支援する側から支援されるほうになっている現実があると思います。要配慮者情報が共有され、個別避難計画が実態に合っているのかお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
保健福祉部長、古久保宏幸君。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
避難行動要支援者名簿につきましては、平成23年の東日本大震災を契機に、高齢者や障害者等への避難支援等が不十分であったことから、こうした方々に係る名簿を整備し、活用を促進することを目的に、平成25年の災害対策基本法の改正により、その作成が市町村に義務づけられました。
本市におきましては、災害発生時における災害時要援護者への支援を適切かつ円滑に実施するため、平成21年3月から民生委員・児童委員に御協力いただき、田辺市災害時要援護者名簿を作成しており、災害対策基本法改正後においては、その名称を田辺市避難行動要支援者名簿に変更しております。
また、平成21年3月の田辺市災害時要援護者名簿の作成に合わせて、当時から現在の個別避難計画に準じる田辺市災害時要援護者名簿個別計画を作成しており、災害対策基本法改正後においては、その名称を田辺市個別避難計画に変更しております。
作成した避難行動要支援者名簿及び個別避難計画につきましては、田辺市地域防災計画の規定に基づき、自治会や自主防災組織等の避難支援等関係者に提供し、情報の共有を図っております。
避難行動要支援者名簿及び個別避難計画につきましては、1年に1回定期的に更新するほか、本人や家族、民生委員・児童委員等からの連絡により随時更新しております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 1年に1回更新しているということなのですが、その名簿ができていて実際に共有されているのか、自主防の方々、地域の方々にそれができているのかどうか。実際に、そして個別避難するとしても、先ほど言ったように、支援する方が、それだけの人がおられるかどうかというのが、もうほとんど田辺の沿岸部のところは高齢の方が物すごく増えてきて、以前私も江川の会館に来ていただいてお話を聞いたときに、もう10年もっと前になるのですが、そのときは来ていただいた方は支えるほうだったのですよ。もう10年以上たって、その方々は皆支えられるほうになってきていて、その地域の中でそれをしてくれる人が実際に本当にあるのかなという、その実態を本当につかんでいないと、いざというときに、名簿はある、計画もある、でも動けないというふうなことになってきているのではないかなというふうなことを感じていますので、その辺のところをもう少し今後詰めていく必要があるというふうに思います。
次に、福祉避難所への避難についてお伺いします。
能登半島地震では、多くの福祉避難所が被災し、また、介護や福祉従事者などの支援者も被災し、十分機能しませんでした。福祉避難所についての田辺市の認識をお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
福祉避難所につきましては、高齢者や障害者などの一般の避難所での生活では支障を来す要配慮者に対して特別の配慮がなされた避難所であります。
本市におきましては、平成26年12月に市内の一つの社会福祉法人が運営する1施設と福祉避難所の確保に関する協定を締結して以降、現在は八つの社会福祉法人等が運営する17施設と協定を締結しております。
災害時における要配慮者への対応につきましては、災害対策本部の体制下に救護部要配慮者支援班を置き、個々の状況に応じて一般の避難者と同様の対応を取るのか、避難施設内でスペースを確保するのか、また、福祉避難所へ移っていただくのかといった判断をし、福祉避難所と連携を取りながら、要配慮者の受入れを進めていくとともに、緊急入所や病院施設への入院手続など必要な支援を行うこととしております。
福祉避難所として受入れを依頼するには、施設の被災状況のほか入所者の現状もあり、施設の専門的な人員等の確保も必要でありますが、今後も機会を捉えて社会福祉法人等に福祉避難所として位置づけていただけるよう働きかけ、要配慮者の不安を取り除き、安心して避難していただけるよう努めてまいりたいと考えております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 8法人17施設と福祉避難所の協定を結んでいるということなのですが、今言われたように、入所者がいて、利用者がいてという状況だというふうに思うのです。そこにふだん在宅でしている方々を受けるとしたら、なかなかそれだけの余裕がないというふうに思うのです。
次の質問にも重なるのですが、二次避難というふうな形で、以前私が福島に行ったときにお話を聞かせてもらったのは、ホテル・旅館に家族の方、支援する方も一緒に避難して福祉避難所として運営をしたという話を聞きました。二次避難所というところについても同じように、やはり一次避難で大変な状況の避難生活をしているところから、当たり前の生活ができるところに二次避難というふうな考え方でいくと思うのですが、その中で言われるのは、やはりしっかりサポートしてくれる体制であったり、地域のコミュニティの人々が同じ二次避難所に行って生活するということが大切だというふうに、今までの災害のことで教訓とされています。二次避難所の考え方として、そういうふうなことができるところと二次避難所が結ばれているのか。その辺についてはいかがでしょうか。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
災害発生時における避難につきましては、命を守る行動を最優先とすることから、まずは最寄りの一般の避難所へ避難していただくことになります。
当地域におきましても、近い将来、南海トラフ地震の発生が危惧されていることから、生活環境の悪化やストレスが原因で亡くなる災害関連死を防ぐため、ホテルや旅館をいわゆる二次避難所として利用することは有効な手段の一つとして考えております。
しかしながら、本年1月に発生した能登半島地震において、被災した地域では、一般の避難所等へ避難した方々の次の避難先として、生活環境の整った県内外のホテルや旅館を二次避難所として確保し避難を促したようですが、住み慣れた土地から離れたくないことなどを理由に進んでいないケースもあると聞き及んでおります。
本市といたしましては、今後、国や県の動向を注視しながら、二次避難所の確保や避難について研究するとともに、能登半島地震を教訓とし、円滑な避難につなげられるよう検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 今回の能登半島地震で、今言われたみたいに、なかなか二次避難所へ皆様が行かないというふうなニュースがやっていたのですが、もう一旦離れてしまうと、もう戻ることができないというふうな思いで、なかなか自分が生まれ育った、生活してきたところから離れられないというふうなことと、やっぱりコミュニティが、地元にいたら近所に残っている人と一緒にお話しながら生活できるけれども、行った先でどうなるか分からないという不安が大きかったと思うのです。やっぱりそれを改善していくことが一番大事だというふうに思うのです。
福島での事例から、住民の避難先がばらばらになってしまうとコミュニティの再構築が難しくなり、また、ケアや巡回などの業務で自治体職員自身が疲弊してしまう。そうならないように、市町村がイニシアチブを取って進める必要があるというのが教訓になっています。
災害関連死の防止対策は、今後の防災対策や間接的、2次的な影響を防ぐためにとても重要な情報であり、教訓でもあります。そういった人たちをより守り、どのようなリソースをつくっていくべきかなど、関係機関がさらに議論し、関連死を防ぐ取組を絶えず進めていく必要があります。助かった命を必ず守る、そのことを訴えて次の質問に移ります。
次に、令和5年度個人番号カード申請支援業務委託についてお伺いします。
自民党政府は国民の思い、要求に応えようとせず、なりふり構わずマイナンバーカードの普及拡大を強引に進める一環として、令和5年度、この個人番号申請支援業務委託事業をやったのだというふうに思います。マイナンバーカードに強制的に保険証をひもづけ、免許書もひもづけすることを進めています。
昨年12月から暗証番号を必要としないマイナンバーカードも取得可能にするなど、制度を変えてまで、まさに国民全てにマイナンバーカードを取得させ、全ての国民を管理する制度にしようとしています。
そこで、令和5年度個人番号カード申請支援業務委託事業の委託目的についてお伺いします。
商業施設や図書館、紀伊田辺駅、公民館、4町村の拠点場所など巡回式で行っているということですが、この委託事業の目的は一体何だったのでしょうか。お伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 市民部長、松本清子君。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員の御質問にお答えします。
本事業を行うこととなった経緯につきましては、まずは、国から令和元年6月4日付で発出されたマイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針及び令和4年6月7日付デジタル社会の実現に向けた重点計画におきまして、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードの普及促進を図る取組の一つとして、行政手続のための市区町村来庁時を捉えた申請勧奨・申請受付を進めるとともに、企業への出張申請サービスの積極的展開を図るなど、市町村におけるマイナンバーカードの申請・交付機会の拡大を積極的に進めていくことが示されており、これらの方針等に基づいて当該事業を実施する必要があると考えました。
また折しも、この時点での本市におけるカードの申請率につきましては、令和5年1月末で67.6%、交付率は61.2%で、全国平均と比べますと、交付率については若干上回っておりましたが、申請率は1.8ポイント下回っており、加えて、令和2年度から実施しておりましたマイナポイント事業が令和5年2月末の申請をもって終了することから、令和5年度の新規カード申請者数は減少すると想定し、さらなるカードの普及等に向けて取り組む必要がありました。
そうした状況から、より効率的、効果的なカード普及につなげる事業を展開するには、民間事業者の創意工夫やノウハウの活用が必要であると考え、マイナンバーカード出張申請の窓口設置に係る企画及び運営を一括して民間事業者に委託するための予算を令和5年度に計上し、当該事業を実施いたしました。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保議員、所定の時間が迫っておりますので、発言は簡潔に。
久保議員。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 今答弁にあったように、政府のなりふり構わぬ勧奨、カードを上げていく、積極的にカードを広げていくということだったというふうに思います。実際に、令和4年度に2万円のマイナポイントを付与する取組で、令和5年、年明けから市民課窓口が経験したことのないような混雑ぶりだったのです。政府は、コロナ禍で仕事を失った一部企業の救済目的であるかのような個人番号カードの普及事業を考え出したのではないかと私は考えます。
そこで、2,000万円もの予算を使った成果について、費用対効果、委託事業とした効果・評価についてお伺いします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員の御質問にお答えします。
マイナンバーカード出張申請サポート等に係る企画・運営業務の成果につきましては、本業務の受託業者において、マイナンバーカードの申請を促進するため、市と連携しながら、市民生活に身近な施設や市民が多く集まる場所等、大型商業施設や公共施設のほか、企業や病院、学校等、合計54か所に働きかけを行い、うち29か所で実施するとともに、マイナンバーカードのPRや申請場所の確保に努めていただきました。
また、広報活動では、地元の地方紙に広告を7回掲載したほか、チラシの折り込みを5回実施。商業施設や公共施設など19か所に配布チラシを置くなどして周知啓発を実施していただくとともに、市においても、広報誌、ホームページやラジオ広報、SNSで周知するなどの広報活動を展開してきました。
その結果、令和5年7月から令和6年2月末までの間で休日も含め83回、417件の申請を受け付けました。これに市役所での窓口申請やインターネット等での申請も含めますと、令和6年2月末での本市の申請件数は5万6,581件、申請率が81.2%、交付枚数は5万5,298枚、交付率が79.3%となっており、本事業実施前の令和5年6月末時点と比較しますと、申請率では約3.4ポイント、交付率では約4.9ポイント増加しております。
業務開始当初の7月におきましては、マイナポイントの付与がなくなったことや、全国でマイナンバーカードと保険証番号等のひもづけ誤りなどの報道がなされたこともありまして、申請に来られる方が少ない状況でしたが、11月以降、出張申請の申請者数は徐々に増加してきました。
また、出張窓口の会場では、新聞広告を見たと言って来場された方や折り込みチラシを持参される方などもおられ、広報活動に一定の効果があったのではないかと考えております。特に、本業務の申請者の多くは高齢者であり、受託業者が実際に市民の方の声を聞かれたところによりますと、申請をしたかったが市役所まで行くのが難しかった、近くで申請できてありがたいという声が多くあり、有効性のある事業であったと考えております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) トータルの数も言っていただいたのですが、資料をいただきました。417件、実績が83回、関わったスタッフが延べ272人です。予算が約2,000万円でサポート件数が417件、1件当たり4万8,000円。スタッフ1人当たり7万3,500円という、この事業自体はそういう結果だったというふうに思います。私は期待した成果が得られなかったというふうに思っています。令和6年度、この事業は継続されず打ち切りになりました。
2,000万円は国民の税金です。政府の愚策に、現場の職員の皆様の苦悩をお察しします。マイナ保険証の利用率は、現在4%余りの状況です。今年保険証の廃止が決定していますが、国民に必要とされていないマイナンバーカードはやめるべきです。また保険証の廃止も見直すべきです。税金は、生活困窮に陥っている国民の暮らしを支える施策に使うべきだと申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 以上で、3番、久保浩二君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 橘 智史君) この場合、2時10分まで休憩いたします。
再開の際は、議案書2を御持参ください。
(午後 1時59分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時10分)
○議長(尾花 功君) 続いて、4番、加藤喜則君の登壇を許可いたします。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) 皆様、こんにちは。
4番、公明党の加藤喜則です。
通告に従いまして、大項目1点、ローカル課題を生かした自治体DXの推進について質問をさせていただきます。
自治体DXとは、自治体がデジタル技術を活用して行政サービスの改善や効率化を図る取組を指します。その目的として、住民に対する行政サービスの向上、業務効率を高め、経費削減へとつなげ、行政の透明性を高め、住民との信頼を築いていくことにあります。
自治体DXが、なぜ必要とされているのでしょうか。その背景には、ローカル問題にあります。
まず、人口減少・少子高齢化に伴う労働人口の減少と過疎化により、本市においても、特に第1次産業や医療の分野での人手不足が深刻な問題となっていること。さらに、依然としてアナログな業務が多く残っており、行政の業務負担が大きく、極めて非効率な状況であること。また、人、物、金、情報が都市部に集中し、地域格差がますます広がりつつあること。そして、財政難によりインフラの維持をはじめ公共サービスや社会保障などの質が低下するなど、これらの負のスパイラルにより地方社会の維持がますます困難な時代を迎えております。
その一方で、インターネットの普及とともに、現代の私たちは誰でも簡単に使えるデジタル技術、いわゆるスマートフォンなどの携帯端末を使用し、個人または少人数でできることが圧倒的に増えております。例えばテレビ局でなくても動画を制作してユーチューブなどで世界中に発信することができること。プログラミングを勉強していなくても生成AIがプログラムを書いてくれること。財布や現金を持っていなくてもキャッシュレス決済などで買い物が可能なこと。これは以前市長も2月でキャッシュレス決済を使っていただいて、非常に便利だということをお伺いしております。また、自分が知りたい情報に自由にアクセスすることができること。
しかし、このような話をすると、地方の高齢者はスマホを持っていないのではとの反論を受けることがあります。確かに、デジタルネイティブ世代と比較すればITリテラシーが低いことは否めませんが、昨今の高齢者はスマートフォンやタブレットを使いこなせる人が多く、必ずしも高齢者だからDXは難しいということではないと思われます。NTTドコモ・モバイル社会研究所の調査によると、国民全体のスマートフォンの普及率は95%を超えていて、そのうち70代で70%以上の方が所有されており、いずれも年々増加傾向であるとのことです。3割の所有されていない方については、人がインターフェースとなって高齢者にサービスを提供すれば十分カバーができるものだと考えます。
よって、自治体DXは、ローカル課題が深刻化する今こそスピード感を持って進め、地域社会にイノベーションを起こすきっかけづくりをしていかなければならないというのが今回の質問の趣旨となります。
そこで、本市ではDX推進本部が設置されておりますが、その基本方針に基づく自治体DXの進捗についてお伺いいたします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 4番、加藤喜則君の質問に対する当局の答弁を求めます。
企画部長、山﨑和典君。
(
企画部長 山﨑和典君 登壇)
○
企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
令和2年12月に国が示した自治体DX推進計画では、自治体におけるDX推進の意義として、デジタル化の遅れに対して迅速に対処するとともに、新たな日常の原動力として制度や組織の在り方等をデジタル化に合わせて変革していく、いわば社会全体のデジタル・トランスフォーメーションが求められているとされております。
その中でも、住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ基礎自治体の役割は極めて重要であり、自治体DXを推進する意義は大きいという認識の下、まずは自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させるとともに業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められています。
こうした中、本市においては、令和4年2月1日付で、本市におけるDX推進等を所掌する田辺市DX推進本部を設置し、全庁を挙げてDXに取り組んでいます。
令和4年度には全職員向けのDX基礎研修や若手職員の育成を目的としたDX塾の実施、行政手続のオンライン化、システム標準化、デジタルデバイド対策など幅広く取組を進めたほか、市のDX推進に係る計画の策定についても、DX推進本部内の作業部会にて計画の素案策定に取り組み、DX推進本部の承認を得て令和5年4月1日付で田辺市DX基本方針として施行しています。この基本方針では、本市の目指すべき未来像として、1点目、誰もが社会に参画でき、社会にコミット、2点目、必要な手続が明快で、24時間365日時間も場所も問わずに手続を完了。3点目、デジタル人材育成とBPRにより持続可能な行政サービスを提供できる田辺市役所を掲げるとともに、これを達成していくための具体的な重点施策について、令和7年度までの取組目標を定めております。
令和5年度は、田辺市DX基本方針における計画期間の初年度ということで、基本方針に掲げた重点施策の推進を前提に、令和4年度から引き続いて取り組む事項に加え、DX塾において、若手職員が提案した業務改善案を実務レベルでブラッシュアップするBPRの取組や管理職向けのコーチングなども実施しています。
また、専門知識を有する外部人材の登用については、令和4年度に国の地方創生人材支援制度を活用し、全般的にアドバイスをいただくCIO補佐官1名と、実務担当者として従事していただく専門人材1名を民間企業から受け入れました。令和5年度についても、同制度の期間延長をする形で、同じ方に御支援いただいております。
以上のような取組を進める中で、やはり最も重要なのは職員等の育成であると認識をしております。人材育成は、短期的には成果が見えにくく費用対効果も図りづらいという面がありますが、先ほど申し上げたとおり、制度や組織の在り方をデジタル化に合わせて変革していく、また、これを一過性のものではなく、常に改革し、最適化し続ける風土を再構築する。そうしたことを実現するためには、業務を改革できる人材を地道に育成していくことが重要であり、これについては、DX基本方針における令和7年度までの取組期間が経過した後も引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
最終的には、市の行政事務をさらに効率化し、職員でなければできない企画立案業務の拡充や市民の皆様との協働などを強化し、新たな価値の創造を実現することで、行政サービスの向上につなげてまいりたいと考えております。
(
企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) お答えをいただきました。
企画部長が今お答えになったところは、田辺市情報政策課のホームページを開きますと田辺市DX基本方針が掲載されております。詳細な方針の中身はそこで閲覧できるかと思います。
DXをやるに当たってデメリットとして3点あります。1点目は、新しいシステムの導入や人材の育成などにイニシャルコスト、いわゆる初期費用がかかってしまうこと、これは当たり前です。2点目、行政プロセスが変わることで、組織の業務体系や文化を変革する必要があること。これはBPRでしっかりやっていくということで、これは基本方針にも載っております。3点目に、デジタル技術に詳しい人材が必要なことです。これから育成するのと、行政でできることは限られていますから、先ほど答弁にあったとおり、アドバイザーを派遣しての育成ということで、これは非常に期待できると思います。それをクリアしていくことで、まず結論から申しますと、自治体DXの目指さなければならないところとして、ビッグデータの構築であり、それをオープンデータとしていかにしていくかということがローカル課題を生かしたイノベーションへのきっかけになるということをまず定義しておきたいというふうに思います。
次に、本市では、ドローンや端末機器を活用して、先進的なDXの取組が実施されています。
そこでまず、建設部建築課が中心に実施しているデジタルツインの活用事例と今後の展開についてお伺いします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
本市においては、令和4年度よりデジタルツインの構築により、地域の魅力・価値・利益の向上を目指す田辺市デジタルツインプロジェクトを始動させています。
デジタルツインとは、ドローンなどで撮影したデータを基に、専用ソフトを使うことにより、パソコン上でリアルな3次元の仮想空間を再現することで、あらゆる方向から現地の状況を立体的に見ることができるだけではなく、現地で測量などをすることなく、パソコン上で計測などをすることができる先端技術です。
このデジタルツインを活用することで、まちや施設、災害現場及び地域資源などの見える化を通じて、防災・消防、各種建設事業、空き家、ファシリティマネジメント、ユニバーサルデザイン、教育行政、脱炭素事業、地域資源の保全など、様々なジャンル、多種のフェーズに活用することで、人口減、税収減、職員減の、いわゆる三減に対応した業務の効率化や省力化を行い、よりよい行政サービスを提供できるよう鋭意取組を進めているところであります。
現在、既に取り組んでいるものとしまして、まず、防災分野では、デジタルツインを活用した防災訓練を既に3回全庁的に行っており、去る2月に行われた防災訓練では、各行政局などに配備したドローンで撮影したデータを活用して、災害現場のデジタルツインモデルを収集することで、広い市域における災害情報収集・情報共有が迅速に安全に行えることが実証されています。
新庁舎においては、新たに導入するオペレーションシステムに加え、災害対応の重要な施策となり得ると考えており、迅速な災害状況の把握、初動対応に大きく寄与することができます。
また、過日の田辺市事前復興計画の説明会においても、市内の津波浸水区域を3次元で見える化することで、その災害の危険性を市民の皆様に分かりやすくお伝えすることができたと考えております。
防災分野以外では、災害現場、建物、ファシリティマネジメント、ユニバーサルデザイン、空き家などの現状把握に用いることで、庁内のみならず、関係事業者や地元などと情報共有することで、見える化を通じイメージ共有や合意形成を図ることが容易となることから、各種事業でも積極的に活用しております。
教育行政においては、既に学校の授業でのデジタルツインの活用を実証実験的に始めており、具体的には、津波浸水シミュレーションを視覚的に認識していただくことで、水平避難ではなく、安全な垂直避難の検討などにも活用されているところであり、未来を担う児童たちに地域学習や防災学習の教育素材を提供することで、様々なイノベーションを起こすことを期待しております。
今後の展開としましては、防災対策における活用では、災害発生時においては、通常立ち入りることができない災害現場でも、迅速に安全にデジタルツインを構築することで、庁内、場合によっては外部機関とも共有して、通常数日から数か月かかる期間を数時間に短縮することで、初動対応に係る時間や労力を圧倒的に圧縮することが可能となります。
大規模災害発生後に想定される復旧期のフェーズにおいては、道路の啓開や災害ごみの集積管理、仮設住宅用地の把握など、復興期においても、その記録をデジタルツインでアーカイブ化することなど、防災DXを進めてまいりたいと考えております。
また、今後は、レーザードローンによって山岳地の地表面データを3次元で取得することで、安全地域の可能性調査を行うことなどにも活用したいと考えております。
地域資源の保全での活用においては、皆様御存じのとおり、世界遺産熊野古道をはじめ、当市には様々な観光資源、景観資源、文化資源など魅力ある多くの地域資源があります。それらの貴重な資源のデジタルツインを構築することで、資源の保全に資するだけではなく、その魅力の情報発信にも活用が可能であると考えています。
その他、考えられる活用としましては、固定資産税賦課業務、罹災証明書発行に必要な住家被害認定調査業務、移住定住促進業務、耕作放棄地の把握、森林資源の調査・管理など、デジタルツインが活躍できる可能性があります。既に広島県尾道市では、ドローンを使ったデジタルツインにより、農業委員会の業務負荷を4分の1程度に大幅に圧縮する事例も報告されています。また、長野県では、レーザー測量ドローンを活用するスマート林業により、森林施業において約54%の労力削減が行われたという事例もあります。
様々なローカル課題を抱える当市において、デジタルツインは行政の業務を省力化、効率化して、地域の魅力や価値を向上させる可能性があります。
現在までの取組をさらに推し進めていくとともに、今後さらに幅広い分野でこのデジタルツインを活用した取組を進めてまいりたいと思います。
デジタルツインプロジェクトが田辺市行政の省力化、効率化を図り、職員の負担を軽減させることを庁内に浸透させるべく組織的に進めること、また市民の皆様が行政サービスの向上をより実感できるようになることをプロジェクトを進めていく上での課題として捉え、その課題にも取り組んでまいりたいと考えております。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) 市長からお答えをいただきました。田辺市建築課ではユーチューブ動画を公開しております。デジタルツインという言葉で聞いてもなかなか仕組みが想像できないと思うのですが、この動画を見ることで、デジタルツインのことについての解説動画等をアップされております。関連すると約43本、詳細なデジタルツインについては、五、六本だと承知しておりますが、ぜひそれを参考にしていただき、今後の活性化のためにデジタルツインは必要であるかなと思います。
見方を変えますと、このデジタルツインというのは、現場で獲得したデータを短時間でビッグデータとして活用可能であるということが特徴です。今後はそれをオープンデータで活用してもらおうということが、先進的な取組であるということを申しておきます。
国内の事例も先ほど答弁にありましたが、国交省では、2020年4月に3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化のプロジェクトPLATEAUを公開されております。国内の3D都市モデルをデジタルツインとして誰もが利用できるというもので、2022年6月時点で全国56都市のオープンデータ化を完了されております。PLATEAUは、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータを進めることで、まちづくりのDXを実現し、オープンイノベーションを創出していくことを目的とされております。
一方で、世界に目を向けますと、DXでイノベーションを起こしたと言えるのがシンガポール政府であります。人口約570万人の都市国家のシンガポールでは、2014年にスマート国家構想を掲げて、国土全体丸ごとデジタル化する取組、バーチャル・シンガポールを開始されております。仮想空間上に再現した国土に社会インフラを再現し、人流などのリアルタイムデータを重ねることで、開発計画や渋滞緩和などの政策設計を最適化しております。一例を挙げれば、監視カメラから得られた交通情報や駐車場に車が何台停まっているかなどのデータ、さらには地形や建物の向きなどから、ここで太陽光発電を行うとどのくらいの電力が得られるかといったシミュレーションすら可能だと言えます。シンガポール政府は、このデジタルツインを活用して都市計画を行っております。例えば、デジタルツイン上に新しい道路を造ることで、本当に交通状況が改善されるのかを事前にシミュレーションすることが可能です。これがないと実際に何年もかけて造った道路が結果として交通渋滞を悪化させてしまうかもしれないということで、こういった先進的な事例もございます。
デジタルツインの特徴として、少人数で効率的で短時間に現場で得た情報をさらに短時間でデータ集約化ができ、集約化されている分、第三者が見ても、見やすく、分かりやすいオープンデータとしての活用が期待できます。そうしたことからも、全庁的にデジタルツインの今後の取組について期待をしております。
続いて、先ほども紹介が少しございましたが、消防分野での活用事例と今後の展開についてお尋ねします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 消防長、戎嶋 健君。
(消防長 戎嶋 健君 登壇)
○消防長(戎嶋 健君) 議員の御質問にお答えします。
消防本部におけるドローンの活用につきましては、平成26年度に紀伊田辺ライオンズクラブ様から寄贈を受け、全国の消防本部の中でも比較的早い時期からドローン隊を発足し、その後、平成30年度に機体の更新を行い、山林火災現場における火災状況の把握や火災原因調査での空撮などを主な任務として運用してまいりました。
そうした中、令和4年度に建築課が主導するデジタルツインプロジェクトにより、庁内関係課にドローンが整備され、消防本部には赤外線カメラや高倍率カメラ等を搭載した高性能ドローンが配備されました。
これを契機としまして、災害現場でのさらなるドローンの有効活用を目指し、令和5年度にはドローン隊の出動基準を改正し、火災現場や救助現場に積極的かつ迅速にドローンを投入する体制を構築しました。この取組により、ドローンの現場活用は飛躍的に伸び、令和5年中ドローン隊の出動件数は前年比の6倍となる30件となっております。
災害現場での活動事例としましては、火災現場での延焼状況の把握、水難救助現場での要救助者の捜索、行方不明者の捜索、火災原因調査での空撮などがあります。
ドローンを活用する最大のメリットは、上空から災害現場を俯瞰的かつ広範囲に把握できることであります。火災現場での活用を例に挙げますと、現場指揮本部に外部モニターを設置し、高性能カメラの映像を映すことで、災害現場を俯瞰的に確認でき、延焼状況の把握に加え、火災戦術の確立や現場の安全管理など指揮活動にも大きく寄与しています。さらに、機体に搭載されている赤外線カメラを活用することで、残り火などの熱源を確認することができます。
火災原因調査においては、建築課と連携してドローンで撮影した現場写真を専用ソフトに取り込み、デジタルツインモデルを生成することにより、パソコン上で焼損面積の測量が行えるだけでなく、3次元で焼損状況を詳細に確認することも可能であり、このことが火災調査業務の大幅な労力軽減と効率化につながっています。
このほかにも、実現場での実績はありませんが、山岳救助現場において、要救助者の位置情報をドローンに入力し、その情報を基にドローンを要救助者の上空付近まで飛行させ、赤外線カメラで熱源を基に要救助者を発見し、高倍率カメラで要救助者の詳細な状態を確認することができ、こうした情報を地上隊と共有することで、円滑な捜索及び救助活動が行えるものと考えております。
今後の展開といたしましては、災害現場において、ドローンの高性能カメラで捉えた映像をリアルタイムで田辺西牟婁地区消防指令センターや災害対策本部に伝送するスキームの構築が挙げられます。
このことについては、大規模の災害が発生した場合に備えて建築課をはじめ関係各課と十分に連携を図りながら進めていきたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(消防長 戎嶋 健君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) 今紹介があった訓練につきましても、建築課のユーチューブ動画にアップされておりますので、そちらの模様を御覧になっていただくと参考になるかなと思います。
今の答弁にもありましたが、消防業務の単なる省力化や効率化だけではなくて、現場救助活動などそのものの精度が上がっていると感じます。1分1秒を争う消防業務において、その精度を上げることは、市民の生命や財産を守ることにつながり、非常に評価に値します。今後の活動にも期待いたします。
また、災害現場や救助活動のデータは、今後や将来の防災対策を図る上で貴重なデータになります。これをビッグデータとして、今後の救助活動や防災対策に生かしていただき、かつ地域消防団への連携も今後お願いしたいというふうに思います。
次に、空中ドローンだけではなく水中ドローンを導入することで、水中分野での救助活動や防災対策に生かせると考えますが、その見解をお伺いします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 消防長。
(消防長 戎嶋 健君 登壇)
○消防長(戎嶋 健君) 議員の御質問にお答えいたします。
水中ドローンにつきましては、総務省消防庁から令和5年3月27日付で、消防消第116号において、消防本部における水中ドローンの整備推進についての通知が発出されており、その有効性については認識しているところであります。
全国の消防本部においては、令和4年4月時点で73本部が導入しているところであり、この数字は全体の10%にとどまっております。
水中ドローンのメリットとしましては、著しく視界の悪い水域や高度に汚染された水域など、潜水隊員への危険性や負担が大きい現場においてその有効性は期待されます。
消防本部における過去5年間の水難救助件数は22件で、そのうち潜水隊員が実際に潜水活動を行った現場は2件となっており、災害発生件数及び現場環境から水中ドローンが活用されるケースは極めて少ないと考えます。
こうしたことから、水中ドローンの導入については、全国の消防本部における先進的な事例を調査、研究してまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(消防長 戎嶋 健君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) ぜひ今後調査を経て活用検討いただきますようによろしくお願いいたします。
今回は、消防分野での水中ドローンの活用についてでしたが、全庁的に、例えば土木分野における橋脚や港湾施設などの海洋構造物の点検であったり、海底地形のマッピングであったり、水産分野での活用であったり、海洋調査と生態系の調査による環境の保護に使えたり、また、汚染源の特定や海洋環境の健康状態を評価するための水質モニタリングに活用したり、環境問題として注目されている海洋プラスチックの量や分布を調査するためにも水中ドローンが活用できるのではないでしょうか。つまり、水中分野におけるより精度の高いデータを取得する視点が大事だと思います。
自治体DXを進めるに当たり、先ほどから申しているとおり、ビッグデータを構築し、オープンデータ化を目指すのなら、水中ドローンの活用についても今後検討していただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
次に、これまで本市での先進的なDXを取り上げてまいりましたが、一方で、いまだにアナログベースの考えや業務実態があり、行政組織の業務効率にも格差が既に発生していると推察します。自治体DXを進めるに当たり、まずビッグデータを構築しないと始まりません。
しかしながら、新庁舎開庁前にもかかわらず、これまでの紙ベースの膨大なデータをデジタル化にさえできず、どこかに封印となっては、長年の苦労が徒労に終わってしまうと思います。
こうしたことから、今後の持続可能な行政運営の観点からも、行政改革や規制改革も必要ではないかと思われますが、当局の見解をお伺いします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 総務部長、西 貴弘君。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
まず、行政改革につきましては、行政運営の効率化や市民サービスの向上を図るため、田辺市第2次行政改革大綱に基づき、改革の目標を時代に即した行政経営の実現とし、推進項目として4点を掲げてまいりました。1点目は、市民と共に進める地域づくりであり、具体的に申しますと、市民参画と協働の推進、民間活力の導入、市政の透明性の確保、環境に配慮した行政の推進であります。2点目は、質の高い行政サービスづくりであり、具体的に申しますと、事務事業の見直し、市民サービスの向上とICT(情報通信技術)の活用、人材育成等の推進、危機管理能力の向上であります。3点目は、健全で活力ある市役所づくりであり、具体的に申しますと、組織・機構、体制の見直し、定員の適正管理と給与等の適正化、財政の健全化、公有財産の適正管理であります。最後の4点目は、改革の推進と進行管理であり、具体的に申しますと、行政改革実施計画の策定、推進体制と進行管理、取組状況の公表であります。
これに基づき行政改革を着実に進めてきたところでありますが、一方で、国において、令和2年12月に自治体DX推進計画が定められたことを受け、市においても、令和5年4月1日に田辺市DX基本方針を定め、その取組を進めておりますことから、令和7年度までの間については、この基本方針に基づき、行政改革についても進めていくこととなります。
次に、規制改革につきましては、国においてデジタル庁が設置したデジタル
臨時行政調査会によるデジタル原則に照らした規制の一括見直しプランなどに基づいて、書面規制、押印・対面規制に加え、目視規制、定期検査・点検規制、実施監査規制、常駐・専任規制、対面講習規制、書面掲示規制、往訪閲覧縦覧規制といった法令で規制された7項目、いわゆるアナログ規制の横断的な見直しを進めており、また、地方自治体に対しても、地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直しマニュアルを示し、同様の取組を促しています。
市としましても、そうした動向を注視しながら、市民サービスの向上の支障となっている規制の見直しを進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) 総務部長からお答えをいただきました。今後、展開について御検討いただけますようによろしくお願いいたします。
アナログな業務というのは、自治体DX以前にデジタル化に対してすら足かせになる要因になっております。
3点指摘させていただきたいのは、まず1点目は、書類を手書きで作成していないですか。2点目、勤怠管理をタイムカードで行っていないですか。3点目、文書をいまだにFAXでやり取りしていないですかということなのですね。それは結果として紙からデータ化への手間や時間が増大することが指摘されております。さらに、ヒューマンエラーが増える可能性もある。業務が属人化しやすいというリスクを抱えておりますよということです。ビッグデータ構築の前に極めて非効率な業務をしていないか、行政において再考していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
先ほど企画部長からも答弁がございました田辺市DX基本方針の目指すべき未来像の重点施策の中にデジタル人材の育成とBPRにより持続可能な行政サービスを提供できる田辺市役所とありますと先ほど答弁いただきました。
そのBPRとは、同記載のとおり、先入観と前例踏襲をなくし、業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直すことにより職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインし直すことと記載されております。これにのっとりまして、今後、行政運営のほうをお願いしたいなというふうに思います。
次に、今後の行政窓口については、市民のライフイベントに寄り添い、かつ利便性のあるものにする必要があると考えます。特に配慮しなければならないのは、大切な御家族を亡くされた際の死亡届を受理する場合であります。
全国的には、専用窓口(おくやみコーナー)を設置し、対応されている自治体も増えております。一方で、窓口業務の一元化、集約化、いわゆるワンストップにすることで市民の負担を減らし、かつ行政職員の価値的な業務体制を確立できるのが特徴であります。
そうしたことから、今後総合窓口、いわゆる書かないワンストップ窓口等の導入についての考えはないのか、お伺いいたします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 総務部長。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えいたします。
デジタル庁によりますと、書かないワンストップ窓口については、デジタルに不慣れな方などは、地方自治体の窓口に来られた際にもデジタル技術を活用することで、職員の負担を軽減しつつ、住民サービスの向上を目指すための取組と位置づけされております。
市におきましても、田辺市DX推進体制の下、窓口BPR検討会議を設置し、職員のワーキンググループにより、新庁舎における窓口業務の在り方について研究を進めており、こうした取組を通じて、田辺市DX基本方針に規定する書かない窓口、待たない窓口、迷わない窓口について推進をしてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) こちらも総務部長からお答えをいただきました。今シミュレーションをしているということでお聞きをしておりますが、そういったことからもいろいろちょっとハードルはあるかと思いますが、今後、市民の利便性重視で、またサービスを提供できるために鋭意取組をお願いしたいなというふうに思います。
自治体DXの本義は、イノベーションを起こすことにあります。総合窓口の導入は、自治体DXにおけるオペレーション改善に過ぎません。
自治体DXを進めるに当たり、まずビッグデータを構築しないと始まりません。先ほどからしつこいように言っておりますが、残念なことに、これまで現場で培われた多くのデータが十分に活用されないまま、ただ蓄積され続けている現状があります。大きな理由として、データが物理的に統合されていない、もしくは形式がばらばらに管理されているからであるということです。こうして長い年月をかけて獲得してきた分散データを選別、分析、編集、いわゆるキュレーションすることでビッグデータを構築することができるのではないかと思います。
行政や役所のデータの長所とは何でしょうかということです。何といってもこれは信頼性があることではないでしょうか。データを今後集約、形式の標準化を図り、ビッグデータを構築、その次に信頼性のあるオープンデータとして提供し、行政でできるイノベーションは限られていますので、そのデータを基に官民連携であったり官民共創、人材塾のように産官学金の連携を生かし、低コストかつ効率化によるローカル課題克服へ、そしてイノベーション化へつなげていっていただきたいなというふうに思います。いわゆるDXというのは都市基盤整備と同じく今後重要であろうというふうに思いますのでよろしくお願いします。
次に、ローカル課題でもある通信環境の脆弱性やDXが今後進むことでの通信環境の整備、またはデータ管理におけるルールブックの更新や情報セキュリティの対策も考慮しなければなりません。
そこでまず、今後の通信環境の強化と不感地域の解消についてお伺いいたします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○
企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
携帯電話のサービスエリアの現状についてでございますが、市内の居住エリアにおける携帯電話が全く利用できない地域、いわゆる不感地域は、現時点において大塔地域2地区、本宮地域1地区の合わせて3地区となっております。
平成17年度の合併時の本市におきましては、広大で山間部の多い地形的な要因や採算性の課題等により、携帯電話事業者のサービスエリアが限定されている状況であったため不感地区は39地区ございましたが、携帯電話事業者による基地局の自主整備や国庫補助事業を活用した整備、併せて市の光ファイバーを積極的に貸し出すことにより、この18年間で不感地区は3地区にまで減少し、通話可能エリアが広がっている現状となっております。しかしながら、居住エリア以外の山間地、河川、道路などにおいては、現在も携帯電話が利用できない場所がございます。
今後、行政だけでなく民間事業などとの様々な分野においてDXの取組が推進していく中で、スマートフォンなどを活用したサービス利用や産業分野における自動化・遠隔操作などにおいて活用が見込まれることから、不感地区の解消と併せまして通信環境の改善・強化は重要であると認識しております。
市といたしましては、引き続き国・県の施策、技術動向を注視するとともに、不感地区の解消及び通信環境の強化につながる5Gエリアの拡大などについて、携帯電話事業者に要望を行ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) 今後もしっかり取組をお願いしたいというふうに思います。
次に、情報セキュリティ対策についてお伺いいたします。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君)
企画部長。
(
企画部長 山﨑和典君 登壇)
○
企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
サイバーセキュリティ基本法第5条において、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、サイバーセキュリティに関する自主的な施策を策定し、実施する責務を有すると規定されています。
本市においても、この法律の規定にのっとり、国等が示すガイドラインに沿って、情報セキュリティ対策における基本的な考え方と対策の基準を定めた田辺市情報セキュリティポリシーを策定しており、物理的セキュリティ、人的セキュリティ、技術的セキュリティといった分野ごとにセキュリティ対策基準を定めています。
物理的セキュリティの項目では、サーバー室、電源及び通信回線のハードウェアの管理について対策を定めています。
人的セキュリティの項目では、情報セキュリティに関して、職員が遵守すべき事項を定めるとともに、十分な教育及び啓発を行うなどの対策を定めており、これに基づき、情報セキュリティ研修などを実施しています。
技術的セキュリティの項目では、各種データへのアクセス制御、不正プログラム対策及び不正アクセス対策等の管理運用について対策を定めています。具体的には、取り扱う情報の種類ごとにマイナンバー利用系事務、LGWAN接続系、インターネット接続系の三つのネットワークに分離し、それぞれ独立して管理することで安全性を確保しており、既に導入済みのウイルス対策ソフトや不正侵入を防ぐためのファイアウォールなども含めて、様々な対策を講じています。また、シンクライアントシステムの導入により外部メディアを使わず、異なるネットワーク間でファイル共有が可能となる環境を整備するなど、アクセス制限だけでなく運用面における利便性の向上にも取り組んでいるところであります。
自治体DXの推進に伴い、システム標準化等による管クラウド化やAIの普及、オープンデータ化の推進など、新たな環境への対応とともに、日々進化するサイバー攻撃の脅威等から情報やシステム等を守るための切れ目のない対策も求められています。
市といたしましては、今後も引き続き広く情報セキュリティに関する情報を収集、分析し、必要な対策を講じていくことが重要であると認識しております。
(
企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 加藤喜則君。
(4番 加藤喜則君 登壇)
○4番(加藤喜則君) 御答弁ありがとうございました。鋭意取組をお願いしたいと思います。
コロナ禍を思い出していただきたいと思います。地方自治体があのとき主体となって、現場への人的投入で、アナログ対応により感染者の掌握やワクチン接種においても、かなりの人的負担と現場混乱を招きました。また、東京オリンピック2020においても先進国からもデジタル化の遅れを指摘されておりました。
なぜ日本でデジタル化が遅れたのでしょうか。三つあると思います。まず、そのスキルを持った人材が足りていなかった。二つ目に、ビッグデータの未活用がずっと続いていた。3点目が一番大きいかなと思いますが、変化に対応する力が不足していると、それが一番の要因ではないかなと。どういうことかといいますと、調整文化や上下関係の序列遵守や、また、既得権益が影響しており、意思決定スピードが世界最低レベルであるということが指摘されております。これでは、少子高齢化は今に始まった問題ではありません。もう数十年前からの話で、それに、変化に対応していく力が極めて不足しているのではないかということです。
今回の質問の大綱は、ローカル問題を生かした自治体DXの今後についてということで質問させていただきました。弱点を、ピンチをチャンスに捉えていただき、今後のDXの推進に取り組んでいただきたいことをお願いいたしまして、今回の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
(4番 加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、4番、加藤喜則君の一般質問は終了いたしました。
◎日程第22 2定議案第51号 田辺市税条例の一部改正について上程
○議長(尾花 功君) 続いて、日程第22 2定議案第51号 田辺市税条例の一部改正についてを上程いたします。
ただいま上程いたしました議案第51号は、本日市長から提出のあったものであります。
提出者の説明を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) ただいま上程されました議案第51号 田辺市税条例の一部改正について、その概要を御説明申し上げます。
本議案につきましては、地方税法の一部改正に伴い、田辺市税条例を改正するもので、地方自治法第96条第1項第1号の規定により議会の議決をお願いするものです。
内容につきましては、令和6年1月の能登半島地震により家財や生計の手段に甚大な被害が生じていることから、令和6年度分の市民税において、損失の金額を雑損控除の適用対象とするなどの特例を設けるものです。
以上、提案いたしました議案について御説明申し上げましたが、よろしく御審議の上、御賛同賜りますようお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上をもって提出者の説明が終了いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております議案第51号については、既に提出されている他の議案と同様に、後日審議願うことにいたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ延会し、明日3月9日と10日の2日間は休会とし、3月11日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(尾花 功君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
御苦労さまでした。
(午後 3時03分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
令和6年3月8日
議 長 尾 花 功
副議長 橘 智 史
議 員 加 藤 喜 則
議 員 尾 﨑 博 文
議 員 谷 貞 見...