田辺市議会 2023-12-11
令和 5年第5回定例会(第2号12月11日)
1番 松 上 京 子 君
2番 前 田 か よ 君
3番 久 保 浩 二 君
4番 加 藤 喜 則 君
5番 尾 﨑 博 文 君
6番 谷 貞 見 君
7番 柳 瀬 理 孝 君
8番 浅 山 誠 一 君
9番 宮 井 章 君
10番 福 榮 浩 義 君
12番 北 田 健 治 君
13番 橘 智 史 君
14番 尾 花 功 君
15番 市 橋 宗 行 君
16番 安 達 幸 治 君
17番 安 達 克 典 君
20番 佐 井 昭 子 君
――
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〇欠席議員 なし
――
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〇説明のため出席したもの
職 名 氏 名
市長 真 砂 充 敏 君
副市長 林 誠 一 君
副市長 木 村 晃 和 君
教育長 佐 武 正 章 君
企画部長 山 﨑 和 典 君
企画広報課長 竹 本 昌 人 君
自治振興課長 北 尾 幸 生 君
人権推進課長 堀 口 泰 令 君
南部センター館長 小 倉 淳 志 君
総務部長 西 貴 弘 君
危機管理局長 茨 善 行 君
防災まちづくり課長 的 場 大 輔 君
市民部長 松 本 清 子 君
保険課長 中 村 盛 良 君
環境部長 中 村 誠 君
保健福祉部長 古久保 宏 幸 君
福祉課長 宇 津 裕 喜 君
子育て推進課長 平 谷 伸 弘 君
健康増進課長 谷 本 あけみ 君
商工観光部長 丸 山 勝 司 君
観光振興課長 中 野 哲 二 君
農林水産部長 木 村 博 充 君
水産課長 永 井 幸 彦 君
森林局長 榎 本 安 幸 君
建設部長 衣 田 克 君
中辺路行政局長 一 岡 真 成 君
中辺路行政局総務課長
廣 畑 裕 文 君
消防長 戎 嶋 健 君
教育次長 前 川 光 弘 君
水道部長 合 川 弘 君
――
―――――――――――――――――
〇
出席事務局職員
議会事務局長 前 溝 浩 志
議会事務局次長 坂 本 明 人
議会事務局主任 松 本 早也香
議会事務局主査 初 山 季
開 議
○議長(尾花 功君) おはようございます。
定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、令和5年第5回
田辺市議会定例会2日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
――
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◎諸般の報告
○議長(尾花 功君) この場合、事務局長をして諸般の報告をいたさせます。
議会事務局長、前溝浩志君。
(
議会事務局長 前溝浩志君 登壇)
○
議会事務局長(前溝浩志君) 報告申し上げます。
本日付、田総第229号の2をもって、市長から本定例会の追加議案として、5定議案第26号 田辺市手数料条例の一部改正についてなど議案4件、並びに
議案参考資料の送付がありました。
いずれもお手元に配付いたしております。
以上でございます。
(
議会事務局長 前溝浩志君 降壇)
○議長(尾花 功君) それでは、日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(尾花 功君) 日程第1 一般質問を行います。
なお、一般質問の通告は11月30日午後2時に締め切り、抽せんにより順位を決定いたしました。結果は通知申し上げているとおりであります。
それでは、質問順に従って発言を許可いたします。
2番、前田かよ君の登壇を許可いたします。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) おはようございます。
2番、日本共産党、前田かよです。
通告に従いまして一般質問を行います。
本日は、大項目2点、命と暮らしを守る
国民健康保険税の市独自の軽減と減免について、そして、もう一つは、明洋地域における公共交通についてです。
では、大項目1点目から始めます。
高過ぎる国保制度の諸問題とそれに対する市町村の役目について、今回は質問してまいります。
まず、
国保制度開始時からの問題点を述べるところから始めさせていただきます。
国保制度は、1961年に開始された当時、加入者は零細業者、
日雇い労働者、無職者など低所得者が多く占めており、政府の審議会では、保険税に事業者負担がない国保を運営するには、相当額の国庫負担を投入し、国保税を低く抑える必要があると打ち出していました。
ところが、自民党政権は、参考資料1の②でお示しのとおり、1984年の法改正で、国保への
定額国庫負担を総医療費の45%から38.5%に削減したのを皮切りに25%まで削減し続けています。
その一方、
国保制度スタートから半世紀の間に国保加入者の状況は大きく変化しました。同じ資料①を御覧いただきますと、昭和40年代、1960年代、
国保加入世帯主の構成は4割超が農林水産業、2割から3割が自営業、合わせて7割を占めていましたが、令和2年、2020年度では、年金生活者などの無職が43.5%、非正規労働者などの被用者が33.2%で、合わせて8割弱となっています。ちなみに、同年の農林水産業は2.3%、自営業は16.6%です。かつては農業と自営業者の保険であった国保は、今では無職と非正規の保険になったといえます。
このように、加入者の構成が劇的に変わる中で、加入世帯の平均所得は大きく減りました。
国保加入世帯の平均所得は、1990年度は240万円でしたが、2020年度は136万円となっています。この30年の間には、
後期高齢者医療制度の導入により、国保から75歳以上の低年金・低所得者が大量に離脱するという制度の変革もありました。にもかかわらず、加入世帯の平均所得が減り続けているという事実に加入者の貧困化の深刻さが表れています。
1990年度から2020年度の30年の間に、
国保加入世帯の平均所得はこのように100万円以上も減りましたが、同じ時期に、1人当たりの保険税額は6万2,000円から9万6,000円へと1.5倍に跳ね上がりました。滞納が増えるのも当然です。
資料裏面の④を御覧いただきますと、これは国保税とそのほかの被用者保険との比較をしている図ですが、国保税には事業主負担がなく、被保険者の人数に応じてかかる均等割など協会けんぽなどのほかの健康保険にない負荷の仕組みもあるため、もともとほかの医療保険より負担が重くなる傾向がありましたが、この間、国保に対する国の責任後退と、国保加入者の貧困化、高齢化、重症化が一体に進む中で、国保税の高騰が続いています。
我々
日本共産党市議団でも、これまで均等割の廃止というのを求めてまいりました。この均等割を廃止することによっても
協会けんぽ並みの保険税に近づくということでこれまで求めております。
このようなことから、全国知事会、全国市長会、全国町村会など地方団体から、加入者の所得の低い国保がほかの医療保険より保険料が高く、負担が限界になっているのは国保の構造問題であるとし、国保を維持可能とするには、被用者保険との格差を縮小するような抜本的な財政基盤の強化が必要という主張が出されるようになりました。
資料⑤のように、2014年には、国保税を協会けんぽの保険料並みに引き下げるため1兆円の公費負担増を行うよう政府・与党に要望されています。
加入者の所得は低いのに、保険料は
公的医療保険で最も高い。これが国保の構造問題であり、制度の維持可能性と国民皆保険の基盤を脅かす重大な問題であることが国に突きつけられたのです。
地方団体から追及を受けた政府は、国保に構造問題があることを認めざるを得なくなりましたが、その打開・解決を求める要求には応えないまま国保の都道府県化を断行しました。
それまで多くの自治体が、国保税の高騰を抑えるために、国の法定額以上の公費を一般会計から繰り入れる措置が行われました。
しかし、政府はこれに対し、同じ都道府県の中で市町村ごとに保険料が違うのは格差だとし、法定外繰入れをやめ、その分を保険料に転嫁するよう主張するようになりました。これを政府は保険料の平準化と呼び、そのために差し押さえなどの収納対策を強化すること、また、
平均入院日数の短縮など、医療給付費の削減を行うことも主張してきました。
このように、国保の構造的問題を解決しないまま保険料の統一を目指しても、保険料を高いほうに合わせることにしかならず、住民の負担と国民皆保険の危機は深刻化するばかりです。高まる住民負担を軽減させるために、国や県に改善を迫りつつ、市町村においては、独自策によって住民の命と暮らしを守っていただきたい、これが本日の質問の趣旨です。
それでは、小項目1、本市における国保の都道府県化前後の保険税の変化について、三つのモデルでお示しいただきます。一つ目の
モデル世帯は、所得200万円の40歳代夫婦と小学生以降の子供2人の4人世帯、
モデル二つ目は、所得が80万円の70歳代夫婦で5割の軽減を受けている世帯、
モデル三つ目の世帯は、所得がゼロで、70歳代の単身者、そして7割の軽減を受けている世帯の以上三つです。御報告をよろしくお願いいたします。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 2番、前田かよ君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市民部長、松本清子君。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員御質問にお答えいたします。
国民健康保険は、平成30年度から財政運営の責任主体が都道府県となっております。県は給付に必要な費用の全額を市に対して支払い、市は県から示される
標準保険料率を参考に税率を設定し、徴収した保険税から県が市の被保険者数や課税所得などに応じて決定した
国保事業費納付金を納めております。
都道府県単位化前の平成29年度と6年経過後の令和5年度の
年間保険税額を比較いたしますと、議員御質問の夫婦40歳代、中学生1人、高校生1人の4人世帯で、所得200万円のケースにつきましては、平成29年度の
保険税試算額は28万3,200円。令和5年度の試算額は33万6,100円。夫婦70歳代の2人世帯で、所得80万円のケースにつきましては、平成29年度の試算額は7万7,600円。令和5年度の試算額は8万4,200円。70歳代の単身世帯で所得がないケースにつきましては、平成29年度の試算額は1万6,400円。令和5年度の試算額は1万9,600円となっております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) お示しいただきましたように、どの
モデルケースもまず値上がりがされています。都道府県化されてきた平成30年には資産割を廃止させるよう、10年かけて賦課割合が下げられてきています。それと連動するように均等割が増えていっているため、
モデル世帯1の子供2人の4人家族のように、家族の人数が多い世帯では、都道府県化される前の年と比較しますと2割近く増加しまして、額にして5万2,900円の増税です。また、
モデルケース2の収入が年金だけで法定軽減がされている高齢者世帯でも、夫婦2人世帯で1割の額にして6,600円、単身者では2割増の3,200円の増税となっています。
次にお伺いします。このように増加する保険税額に対し、本市ではどのような対策を行ってこられたかお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員御質問にお答えします。
本市の1人当たりの医療費については、被保険者の高齢化や医療の高度化等により年々増加傾向であり、それに伴い、県に納付する
国保事業費納付金が増加する中、必要となる保険税額も増加している状況にあります。
そうしたことから、平成25年度末から、国保の
県単位化直前の平成29年度末までの保険税額につきましては、単年度収支における不足分に対して、前年度からの繰越金の充当や国保基金を取り崩して国保会計を補填しながら保険税率を据え置き、また、国保の県単位化が行われた平成30年度以降は、繰越金での対応とともに、県が示す
標準保険料率を参考にしながら、税率の上昇分を2分の1に抑えるなどの税率設定を行うことで、保険税額の上昇を抑制してまいりました。
なお、国保基金の残高につきましては、平成24年度末で19億636万4,790円。国保基金を取り崩して補填した年度及び金額につきましては、平成25年度末に2億8,000万円、平成26年度末に4億2,000万円、平成27年度末に3億3,000万円、平成28年度末に8,000万円、平成29年度末に3億円で、令和4年度末残高は5億824万3,156円となっております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 高騰する国保税に対しては、基金を活用して高騰の抑制にしっかり活用していただいたりなどの対策は取っていただいております。繰越金のことも言及されていましたが、決算カードをずっと見ていますと、前年度から繰り越された繰越金額に対し次年度に繰り越す金額のほうが少なくなっている時期というのが何年か続いていました。それで言いますと、未就学の均等割の廃止というのは600万円ぐらいでできることですのでそんなに難しくない、本当に難しくないお金でできるのではないかなというふうに見受けました。
次にお伺いします。本市における被保険者の所得状況の変化についてお答えいただけますでしょうか、お願いいたします。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員の御質問にお答えします。
当初賦課時における1人当たりの総所得金額は、平成29年度は68万1,725円、平成30年度は74万6,549円、令和元年度は78万4,430円。令和2年度は82万1,880円、令和3年度は86万9,048円、令和4年度は89万1,669円、令和5年度は84万4,201円となっております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 1人当たりの総所得金額というのは、被保険者全員の所得金額が減っているのに対して、被保険者の人数が減っているので、1人当たりの総所得金額というのは、比較の年度から言いますと大体23%ぐらい上がっているということです。
本市においては、農業従事者の被保険者数の割合が全国平均より高いということもありまして、豊作になった年には所得も上がるという、そういうところが表れているということです。
本市の保険加入者の平均所得は、そのように農業世帯が全国平均より多いというところから上がっているということなのですけれども、国保税が所得に占める割合をもっと長期で見てみますと、先ほども、ここ30年の間に1.5倍、100万円の平均所得が下がったというふうに私申し上げましたが、所得に占める割合で見ていきますと、2000年代は10%以下であったのが2010年以降は10%を超え、そこから御報告があった2017年度は、加入者1人当たりで言いますと13.5%と、所得に対する国保税の割合というのは年々上がってきています。
また、幾つかの民間調査によりますと、2000年に入ってからは2度の消費税増税がありました。5%の頃と比較すると、収入に占める負担割合は倍増し、額で言いますと、先ほどお答えいただきました
モデル世帯1のような年収200万円台の家庭では年間約10万円、そして、
モデル世帯2や3のような年収200万円以下の家庭では年間約6万円の負担増です。そこに物価高騰が追い打ちをかけて、2022年度では9万6,000円。23年度ではさらに4万円増えています。こうした状況から、加入者の家計負担がいかに重くなっているかが伺えます。
国保には、被保険者の構成と脆弱な財政基盤という構造的な問題があるにもかかわらず、政府が公費投入を削減し続けているのが一番の問題ですが、それに抗い、住民の負担軽減に取り組む自治体もあれば、追従する自治体もあり、ここに地方自治の真価が問われます。
国保税の2023年度改定では、全国506の自治体が値上げを決めました。和歌山県では、30の自治体のうち17の自治体が値上げを決め、全国的にも5番目の多さになっています。
また、
社会保障審議会医療保険部会によりますと、2024年度の案として、保険料上限の2万円引上げが提示されています。
また、和歌山県の第1期
国保運営方針では、将来的には令和9年度までの期間で保険税を統一することを目指すとしていますが、来年度からの第2期
国保運営方針では、これがさらに加速して、国は国保料の完全統一の時期を明記することを迫っております。それには、国保料の完全統一の前提となる
医療費水準の平準化が必要なことから、
医療費指数の低い本市においては、大幅な値上げを迫られることが予想されます。本市においては、今後の国保税の見通しと、どのような対策をされていくのかお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員御質問にお答えします。
国民健康保険運営方針とは、
国民健康保険の安定的な財政運営並びに
国民健康保険事業の広域的及び効率的な運営の推進を図るため、県が
国民健康保険法に基づき定める県及び市町村の
国民健康保険事業の運営に関する方針であり、おおむね3年ごとに見直され、第3期の運営方針は来年3月に県が改定し、公表する予定となっております。
本年6月に厚生労働省が作成した
都道府県国民健康保険運営方針策定要領の改定では、同一都道府県内において、市町村ごとの
医療費水準や
医療提供体制に差があることに留意しつつ、将来的に、同じ所得水準、同じ世帯構成であれば、同じ
保険料水準とする完全統一を目指すことが望ましいとされております。
議員御指摘のとおり、県による市町村の
国保事業費納付金の算定に当たっては、現在、市町村単位の
医療費指数という形で
医療費水準を反映しておりますが、国はこの
医療費水準を
都道府県単位で保険料・税に反映させることにより、
医療費水準の変動をより平準化して保険料・税に反映することができ、保険料・税の変動をより抑制し、国保財政の運営を安定化できるとしております。これを国の
国保運営方針策定要領では、
納付金ベースにおける統一と呼称して、
保険料水準の完全統一への段階的な取組として示しております。
本市における1人
当たり医療費は増加傾向にありますが、現時点では県内平均を下回っており、本市のように
医療費指数が低い市町村にとりましては、
保険料水準の統一が進むことで、
国保事業費納付金の増加が予想されることから、県に対して、恒常的に
医療費水準の低い市町村の負担をできる限り軽減するよう配慮を求める考えでございます。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君)
医療費水準の標準化によって、本市の国保料が上がることに配慮を求めるという、非常に勇気のある御見解をお示しいただきましたことは大変本市にとっても評価できることかなと思います。でも、それをもっと、標準化の撤回というところまで行っていただきたいというのが私たちの思いであります。
ここで、医療費の水準を統一することで国保税がどれほど跳ね上がるか、国の指導にいち早く応えた大阪の維新政府の例を挙げてみたいと思います。
大阪府では、2018年度の都道府県化以降、2023年までの5年間で15%から18%も引き上げられています。先ほども
モデル世帯としてお示しいただいた給与所得200万円の夫婦2人、小学生以上の子供2人の4人世帯では、何と6万2,290円の値上げで、保険料は45万4,998円です。子育て世代にとっては非常に大きな負担であります。同様に、
モデル世帯、所得200万円の70歳代の
年金生活夫婦2人世帯では4万5,000円、そして所得200万円の未成年の子供2人の
シングルマザーの世帯では6万160円の値上げとなっています。聞くほどに本当に驚く値上げとなっています。
本市としては、住民に負担増の苦しみを課すのか、負担軽減によって暮らしを守るのかが問われています。県に対し、
医療費水準を平準化することに対し撤回を求めるべきではないでしょうか、御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員御質問にお答えします。
平成30年度の国保の財政運営の県単位化により、医療費の給付に必要な費用は、全額県を通じて交付されることとなり、財政運営の不安定化を招く要因となる高額医療費の発生等のリスクを県全体で分散することが可能となっております。
一方、このまま市町村ごとの
医療費水準を
国保事業費納付金の算定に反映し続けた場合は、高額医療費の発生等による小規模自治体への事業費納付金の増加とそれに伴う保険税率の上昇が懸念されます。
また、
後期高齢者医療制度や協会けんぽ(全国健康保険協議会管掌健康保険)では、県単位で保険料率が統一されており、国としても、本年10月に
保険料水準統一加速化プランを作成し、
保険料水準の統一方法を示しているところです。
先ほどの議員御質問の
医療費水準の平準化に係る国保税額の見通しと対応のところでも申し上げましたが、このプランでは、
保険料水準の統一を進めることにより、
医療費水準の変動をより平準化して保険料に反映でき、保険料・税の変動抑制、国保財政の安定化につながるものとしており、その仕組みについては理解しているところです。
しかしながら、繰り返しとなりますが、そうした中でも、県に対しては恒常的に
医療費水準の低い市町村の状況を踏まえていただき、保険料・税の負担をできる限り軽減するよう配慮を求めており、こうした経緯からも、次期
国保運営方針につきましては、これらの意見を考慮し、策定されるものと考えております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 撤回というのは、本当に県や国にとっては非常に厳しい地方からの意見になりますが、ぜひともそこに向けて頑張っていただきたいと思います。
次に、小項目4、法定外繰入れによる市独自の負担軽減策について伺ってまいります。
国保の都道府県化後、法定外繰入れを行う自治体数とその繰入額は減っていますが、依然として269市町村が繰入れを継続しています。住民福祉の向上という地方自治体の本旨や自治体の条例制定権を定めた憲法からしても、自治体の福祉措置を国や県が禁止することはできません。
国保運営方針策定に当たり、国が示すガイドラインは、地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言にすぎず県に従う義務はありません。
また、和歌山県議会において、日本共産党の奥村規子議員が、市町村が国保税の負担軽減のために一般会計から法定外繰入れをすることについて質問していますが、県は、交付金のペナルティは考えていないと答えています。
本市においても、深刻な貧困対策、少子化対策として、一般会計からの繰入れによる保険税負担軽減を求めますが、御見解をお願いいたします。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員御質問にお答えします。
国民健康保険料・税は、前年中の所得や世帯状況等に応じて課税し、所得のない世帯にも負担を求めることから、保険税額を算定する際には、法令により定められた所得基準を下回る世帯は、被保険者の均等割と平等割額の7割、5割または2割を減額する制度がございます。また、令和4年度からは、未就学児の均等割の軽減が導入されており、これら軽減に要する費用は、公費から繰入れされております。
一方、地方税法第717条に基づく減免制度において、災害、その他特別な理由がある者に対して個別的、限定的に行うこととされており、個々の御事情を聞き取らせていただく中で適切な対応を図っていくことが必要であると考えております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 本市は合併以降、一般会計からの法定外繰入れというのは行ったことはないということなのですけれども、法定軽減というのはありまして、それを対策として行っておられるということです。
そこで、新たに御提案させていただきたいのが、条例減免の仕組みを活用した負担軽減です。
全国では、自治体による子供の均等割の独自減免や多子世帯の保険料減免など、市町村独自の取組が広がっています。その多くが国保法第77条や、先ほど御答弁にありました地方税法第717条の規定を活用したものです。条例減免を行うための市町村の公費投入は、決算補填など目的外の法定外繰入れと扱われ、
国保運営方針でいう削減・解消すべき赤字とは見なされず、保険者努力支援制度の減点の理由にもなりません。
先ほどの御答弁では、地方税法第717条で災害に遭ったとか、急激な収入の激変があったとか、そういう特別な措置を条例で認めて軽減をするという対策を取っているということなのですが、その同じ対策の仕方で均等割を廃止している自治体があります。子供がいるということを特別の措置として適用させているわけです。
本市において、未就学児の均等割半額減免から全額減免へ、さらに就学後の子供の均等割の独自減免、子育て世代、独り親世帯、生活困窮世帯、障害者のいる世帯などの国保税減免を行うことは大変重要だと考えますが、御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員御質問にお答えします。
市独自に保険税の軽減及び減免について、対象者と減免額を拡大できないかとの御質問ですが、国保は全国的な制度ですので、軽減及び減免については、有識者の意見を踏まえて制度の改正がなされております。
子供の均等割軽減について、厚生労働省は、保険料・税については、原則として一定額の応分を御負担いただく必要があるとの考えを示しておりますが、対象範囲の拡大や財源の確保など様々な課題があり、検討していく必要があるとしております。
また、減免制度の仕組みにつきましても、特定の対象者にあらかじめ画一的な基準を設けて減免を行うことは適切ではないとしております。
国民皆保険制度を維持し、継続していくためには、負担と給付のバランスが重要であり、全国市長会、知事会を通じ、安定的な国の財政負担を要望しているところです。
本市におきましては、国保制度における保険税の減免等については、繰り返しとなりますが、個々の御事情を聞き取らせていただく中で、適切な対応を図っていくことが必要であると考えております。
また、保険料・税の減免制度の基準につきましては、
保険料水準の統一を進める上での協議事項となっており、今後、国・県の動向を注視しながら、適正な国保運営に努めてまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) そう簡単にやりますというふうな答えはいただけないのは重々承知しているのですけれども、実施している自治体もありますし、法令違反でもありませんので、ぜひ研究をしていただきたいと思います。
小項目5、最後の質問になってまいりますが、県の
国保運営方針の冒頭には、「市町村が運営する
国民健康保険は、被用者保険に加入する者を除く全ての者を被保険者とする
公的医療保険制度であり、国民皆保険の最後の砦ともいえるものです」と書かれています。しかし、今行われていることは、国保の構造的問題と、加入者の所得水準の低下から、高過ぎる国保税を払えない加入者が増えているのに、未収納となった不足分をまた住民の負担に転嫁させ、医療費給付の削減も進められています。こうしたことは本当に国保の危機的な状況と考えられます。この危機を打開するには、行政や私ども議会としても根本的な意識の持ちようが大切かと考えます。
そこでお伺いします。国保は相互扶助でしょうか、社会保障でしょうか、当局の御認識をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員御質問にお答えします。
国民健康保険法第1条には、この法律は、
国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とするとしており、国保は社会保障制度の一環であると考えております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 国保は社会保障であるという大変安心できる御回答をいただきました。しかし、行政によっては、国保中央会が発行している「国保のことば」という手引書を引用して、国保は相扶共済制度ですと言われることがあります。「国保のことば」には、国保制度は相扶共済の精神にのっとって云々というふうに書かれているのですが、これは旧国保法の文言で、新国保法にはもはや明記されていません。
国保は、新国保法第1条及び第4条に規定されているように、国の責任で運営される社会保障の制度です。責任とは、国保が健全に運営できるよう必要な公費を適切に投入していくことです。自治体においても、住民の負担を軽減し、安心して医療が受けられるように努めていただくことを願って本項目を終わります。
次に、大項目二つ目、明洋地区内における住民の移動手段と公共交通についてです。
地域公共交通についての質問はこれまで度々行ってまいりましたが、本課題は、本市の広大な面積と既存の路線バスが運行している状況から、市全体で一律に対策を行うのはなかなか難しいです。
そこで、昨年の3月議会では、地理条件と既存の交通網との関係から、地域を区切って考えていくことを提案し、そのうちの一つとして、路線バス上芳養線沿線の区域の課題解消を求めてまいりました。本日はさらに地域を明洋地域に絞って質問してまいります。
明洋地域は、私が生まれ育ち、現在も居住している地域ですが、このほど三つの町内会合同で明洋地域内での移動手段に関するアンケート調査が行われました。住民自治の視点に立った大変画期的な取組です。地域の公共交通の充足を願う住民の1人として、調査結果も御紹介しながら質問してまいります。
それでは、小項目1、地区内における公共交通について。
まず、明洋地域における公共交通の現状をお話しください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 企画部長、山﨑和典君。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
かつて、明洋団地を通るバスについては、紀南病院から紀伊田辺駅を経由し、江川本通りを通り、明洋交差点から明洋団地に入り、団地を抜けた後、国道424号線に合流し、南部駅まで向かうルートを往復する明光バスの南部線が運行されていましたが、利用者の減少により平成26年9月末で廃止されました。
現在は、紀伊田辺駅から江川本通りを通り、明洋交差点から国道424号線を通り、芳養駅を経由し、南部駅まで向かうルートを往復する龍神自動車のみなべ線が運行されています。
議員御質問の明洋団地における公共交通機関といたしましては、タクシー、また、先ほど申し上げました龍神自動車が運行するみなべ線が挙げられ、利用できるバス停といたしましては、天神、明洋前、中浜、牛の鼻の四つがあると考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 大きな認識の違いをここで感じるのですけれども、タクシー以外にバスが使えるというふうな御答弁でした。一体明洋団地の住民の何人がバス停を使えているでしょうか。調査結果もありますが、実態をお伝えできたらと思います。
公共交通の住民ニーズや充足を考える場合、その地域が公共交通の空白か、あるいは不便な地域であるかという認識をすることは大きな契機となります。公共交通空白地域には明確な定義はありませんが、駅やバス停が一定の距離の範囲内で存在せず、公共交通が利用しづらい地域とされており、その具体的範囲について、国土交通省の地域公共交通づくりハンドブックでは、鉄道駅から半径500メートルから1キロメートル圏、バス停から半径300メートルから500メートル圏外とされています。その際、タクシーは定義の要件にはありません。さらにそこから、道路の勾配を考慮した公共交通空白の再定義を行う自治体もあり、今後進展する高齢化に伴う移動手段の確保、そして必要性がますます高くなる丘陵地対策を重要視し、道路勾配が急な地域におけるバス停利用圏域を200メートルと再設定されているところもあります。
本市においても、このような再定義は、次期公共交通網形成計画を策定する上で重要な検討事項かと考えますが、いかがでしょうか。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
公共交通空白地域の再定義につきましては、各自治体でいろんな基準を設定しているというところがあるというのは承知をしております。
その一方で、田辺市の場合は大変広大な地域がありますので、先ほど申し上げていただきました300メートルあるいは500メートル単位で交通空白地域を設定するというのは大変難しい問題があると思います。
いずれにいたしましても、次の交通計画におきましては、輸送資源をできるだけ活用して、田辺市に合った公共交通をつくっていくという方向で現在検討しておりますので、またそういった議員の御質問の意図も含めて、どこまでできるか分かりませんけれども、検討のほうは進めていきたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) これまでの御答弁では、地域の実情に合った適切な対策をというふうな回答が多かったと思います。今回は本当に地域の実情を具体的に示している中での質問であります。
次に、移動手段の確保と支援について伺ってまいります。
明洋地域は、御存じのとおり山を切り開いて開発された住宅地です。それゆえバス路線廃止後、高齢化に伴い、地域に公共交通による移動手段の確保を求める声は年々高まっています。
参考資料2は、明洋地域の年齢別人口をバス路線が廃止された2014年と2019年の住民基本台帳のデータで示したものです。青色が2014年ですが、当時の最も多い年齢層は50代から60代でお若かったようです。そのため、バス路線廃止に伴い代替となる住民バスなどのニーズは特段出なかったかもしれませんが、その方たちが2019年には70歳代に入り、約10年後の現在80歳代になり、アンケートでは、ここから参考資料3を御覧いただきたいんですが、これは三つの町内会が合同で行った調査結果を抜粋してまとめたものです。移動手段として、「車」が最も多く、「買い物」で317人、「通院」で243人となっています。ですが、運転手が「自分」と答えた人は40人も減って家族や御近所さんなどに乗せてもらう人が合わせて95人となっています。
そこで、自由記述では、「週末にしか乗せてもらえない。」「病院に連れて行ってもらうにもすぐに行けない。」「家族に頼んでも1日、2日がかかる。」といった移動の不自由さを訴える意見があります。
また、買い物や通院の移動手段で、「とても困る」「たまに困る」人が合わせて70人、回答者の1割程度ですが、将来的には「とても困る」が94人、「たまに困る」が51人、合わせて145人と倍に増えています。
年齢別人口で、現在最も高いのは70歳代なので、将来的というのは、今後5年から10年の間ということが伺えます。しかし、現在既に80歳代の方が100人近くおられます。
アンケートでは、免許を持っておられると回答された30人のうち24人が免許の返納を検討しています。
タクシー利用は、やはり必要性から通院の場合が多く、利用者が多い紀南病院や南和歌山医療センターへは、一度の往復で3,000円から5,000円かかるので、月1回または2か月に1回ほど通院する人が多いというアンケート結果から、月々のタクシー代が3,000円から5,000円、あるいは5,000円から1万円が最も多いです。自力で運転していたときは車の維持経費を払っていたのだから、それがタクシー代に置き換わったと考えれば、さほど負担ではないのではないかという意見も伺いますが、国保の大項目でお分かりのとおり、高齢者は収入が年金だけになり、退職して国保に加入すれば保険料は高く、医療機関にかかる頻度も増えますので、家計は一気に余裕がなくなります。単に車の諸経費がタクシー代に代わったというものではありません。
そこで質問ですが、明洋地域は、地理的条件から医療機関へタクシーを利用する場合の代金は高いです。住民からは、住民バスや乗合バス、タクシーなど、公共交通のニーズだけでなく、タクシー利用補助を求める声もあります。
将来的という楽観的なものではなく、既に現在対策を求められていますが、明洋地域の実情をお聞きいただいてどのような対策が考えられるか、御見解をお聞かせください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
まず、タクシー利用への公的補助につきましては、明洋地区にとどまらず全市域での導入を検討する必要があります。そうした場合、市の財政負担の増加が予想されるとともに、路線バスの利用者が減少している中、バス事業者との合意形成を図ることが困難であると考えております。
また、住民バスの運行につきましては、住民バス、つまり自家用有償旅客運送は、路線バスの廃止やタクシー事業者の撤退等により、交通事業者による輸送サービスの提供が行われていない公共交通空白地域であれば、地域公共交通会議において、地域住民や交通事業者との合意を整えた上で、道路運送法に基づき有償での運送を可能とする制度です。
現在、市では、路線バスやタクシーなどの公共交通機関の利用できない地域を公共交通空白地域と捉え、龍神、中辺路、大塔、本宮地域で自家用有償旅客運送による住民バスを運行しておりますが、明洋地域については、タクシーの利用が可能である地域であることから公共交通空白地域ではなく、住民バスの利用は困難であると考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) 公共交通空白地域とはならない。そして、路線バスの廃止による空白の対象にもならないという旨の御答弁なのですが、当初路線が廃止されたときは意見が特段出なかったんですけれども、その後、欲しいよというニーズがあるということで言いますと、公共交通の空白克服として、住民バスやタクシーなどの乗合事業を行うことは方法論としては可能ではないでしょうか。買い物利用の多い稲成方面やバイパスを経由した紀南病院、あるいは南和歌山医療センター方面への輸送であれば、ほかの地域と比べて公共交通の調整という面ではハードルは低いです。タクシー事業者への委託だと、配車数やドライバーの確保で課題を言われますが、市内には全国展開するタクシー事業者もあり、実績もあります。実証実験で検討はできないか御見解をお示しください。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 企画部長。
(企画部長 山﨑和典君 登壇)
○企画部長(山﨑和典君) 議員の御質問にお答えします。
まず、道路運送事業は大きく分けて、乗合事業と貸切り事業に分かれます。乗合事業については、運行ルートと時刻が固定された路線定期運行、予約に応じて決められたルートを運行する路線不定期運行、路線不定期運行から一定の区域内で運行ルートの制約を大幅に緩和した区域運行があり、乗合タクシーは、路線バスと同じ乗合事業に区分されます。
乗合事業の区域運行について、乗車定員が10人以下の車両を用いたものが、一般的には乗合タクシーと呼ばれています。そうした中、乗合事業を市が実施する場合は、交通空白地域における自家用有償旅客運送として運行することになります。
先ほども御答弁申し上げたとおり、明洋地域においてはタクシーの利用が可能な地域であることから、公共交通空白地域ではなく、自家用有償旅客運送となる乗合タクシーについては、実証実験も含め実施は困難であると考えております。
その一方で、田辺市公共交通網形成計画において、高齢者等の移動を支援するため、1台のタクシーを相乗りして活用するなどの新しい交通システムの可能性について研究を行うこととしておりまして、現在、国においても議論がなされているライドシェア制度についても注視するとともに、様々な課題や制約はありますが、配車アプリを活用したタクシーの相乗りサービスについて、今後も研究してまいりたいと考えております。
(企画部長 山﨑和典君 降壇)
○議長(尾花 功君) 前田かよ君。
(2番 前田かよ君 登壇)
○2番(前田かよ君) タクシーがあるから公共交通空白地域といえないということなのですけれども、先ほども少し国土交通省の交通づくりガイドラインという、そういうところで定義こそは確定したものはないのですが、いずれもタクシーという文言は出てきません。タクシーがあるから公共交通空白地域でないとなると、全ての地域がそんなふうになってきますので、ここはタクシーがあるからということで、何も対策ができないというような御答弁はやめていただきたいと思います。
次期公共交通網形成計画に当たり、市ではアンケートを実施中ですが、このタイミングで明洋地域の自治会からは、詳細な地域実情と住民ニーズが示されていることをしっかりと受け止めていただきたいと思います。また、計画策定に生かしていただきたいです。公共交通の空白の定義についても再定義というものを行っていただきたいと思います。次期計画が、計画だけで終わらぬよう、具体策を打ち出していただけることを期待いたしまして、本日の質問を終わります。ありがとうございました。
(2番 前田かよ君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、2番、前田かよ君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(尾花 功君) この場合、午前11時10分まで休憩いたします。
(午前10時57分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前11時10分)
○議長(尾花 功君) 続いて、6番、谷 貞見君の登壇を許可いたします。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) おはようございます。
6番、くまのクラブの谷です。
通告により質問させていただきます。
今回は、大項目2点について一問一答方式により質問させていただきます。
東日本大震災や紀伊半島豪雨災害をはじめ、地震、台風による風水害など、全国各地で大規模災害が発生しており、近年は洪水や土砂災害を引き起こす大雨や短時間に降る強い雨の回数が増加しており、雨の降り方に関連して土砂災害の発生回数が増加しています。
こうした中、本市においては、市と民生委員・児童委員及び名簿を必要とする地域の自主防災組織等が情報を共有し、災害時の支援に役立てることを目的に、比較的早い段階から田辺市災害時要援護者名簿を作成し、希望する自主防災組織等への交付を開始されておりました。
その後、平成25年の災害対策基本法改正により、自ら避難することが困難であり、特に支援を必要とする方の名簿の策定が義務づけられました。それに合わせて、本市では、名称を田辺市避難行動要支援者名簿に変更されてきたとのことですが、本市においては、法律に定められる前から取り組んでこられたことはすばらしいことだと思います。
また、平成30年5月には、要支援者への支援をより適切かつ円滑に実施するため、要支援者の総合的な避難支援対策を講ずるための指針として、その基本的な考え方や進め方を明らかにした田辺市避難行動要支援者避難支援プランが策定され、今年3月には分かりやすく、かつ見やすく改定されております。
そこで、まずは今回の質問である個別避難計画の前段である田辺市避難行動要支援者名簿について質問させていただきます。
まず、直近における名簿に掲載されている人数は何名ですか。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君) 6番、谷 貞見君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、古久保宏幸君。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の質問にお答えします。
避難行動要支援者名簿につきましては、平成23年の東日本大震災を契機に、高齢者や障害者等への避難支援等が不十分であったことから、こうした方々に係る名簿を整備し、活用を促進することを目的に、平成25年の災害対策基本法の改正により、その作成が市町村に義務づけられました。
本市におきましては、災害発生時における災害時要援護者への支援を適切かつ円滑に実施するため、平成21年3月から民生委員・児童委員に御協力いただき、田辺市災害時要援護者名簿を作成しており、災害対策基本法改正後においては、その名称が田辺市避難行動要支援者名簿に変更され、年1回の更新を行うほか、本人、家族の申出や民生委員・児童委員等からの連絡により随時更新を行っております。
直近の名簿に掲載された人数につきましては、本年11月末時点で4,092名を掲載しております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) ありがとうございました。田辺市避難行動要支援者避難支援プランにおいて、名簿の作成に当たっては、まずは要支援者を把握するための情報収集手段として、本市各部局の持つ情報等のシステムデータの活用や、本市で把握していない情報については、田辺保健所などから情報収集を行っているとあり、それを基に民生委員・児童委員をはじめとする関係団体の協力を得ながら、要支援者本人に直接的に働きかけを行い、必要な情報を収集し、名簿を作成されるとあります。
そこでお伺いします。先ほど名簿に掲載された方の人数は4,092名とのことでしたが、名簿の掲載条件に該当される方は何名あり、掲載されている割合はどうなっておりますでしょうか。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
避難行動要支援者名簿に掲載する対象者の範囲につきましては、田辺市地域防災計画に規定しており、要介護認定を受けている方、障害者手帳をお持ちの方、難病患者等の単身世帯やこれらの方のみの世帯等となりまして、市が保有する情報と田辺保健所から提供された情報を併せて名簿を作成しております。
名簿の掲載条件に該当する方の人数及び掲載されている割合につきましては、名簿の掲載条件に該当する4,092名全員を掲載しておりますので、その割合は100%でございます。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 高齢化社会において、新たに避難することが困難であり、支援を必要とする方々が発生し続ける中で、日々の増減も少なくないと推測されますが、関係部署及び関係機関との連携の下、名簿を更新されているようで安心しました。
本市において作成された避難行動要支援者名簿ですが、要支援者本人、本人の意思表示が困難な場合は、その家族から同意を得た方の名簿のみが自治会や自主防災組織、民生委員・児童委員などへ提供することとなっており、要支援者の中には同意を得られない場合もあると新聞報道等でも目にすることがありますが、本市においての問題点とか課題があればお答えください。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
完成した避難行動要支援者名簿を平常時から自治会、自主防災組織、民生委員・児童委員等のいわゆる避難支援等関係者に提供するためには、災害対策基本法の規定により本人の同意が必要となることから、名簿掲載対象者全員に意向確認を行いましたが、本人の意向やプライバシーの問題等から辞退する方がおられることが要因で、避難支援等関係者への名簿提供数は2,655名にとどまっております。
市といたしましては、様々な機会を捉え、避難行動要支援者制度の周知を行うとともに、同意を得られていない方に対しましては、引き続き定期的に意向確認を行い、同意の取得に努めてまいります。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 避難行動要支援者名簿掲載者数が4,092名で、うち避難支援等関係者へ提供できた名簿掲載者数が2,655人とのことです。割合にすれば約65%ということになります。同意がなければ避難支援等関係者には名簿が提供できず、有事の際での安否確認にも影響を及ぼすことにもなります。しかしながら、同意を得るためには、1軒1軒訪問しての作業になり、手間と時間がかかりますが、1人でも多く被災者を出さないためにも引き続き取組に尽力されますことをお願いします。
次に、新型コロナウイルス感染症が第5類に移行後、各地区で市主催の防災訓練や、自主防災組織等を中心とする避難訓練が行われたと思いますが、そのときに、訓練に参加された要支援者、避難支援等関係者の参加状況はどうでしたでしょうか。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
危機管理局長、茨 善行君。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
今年9月に実施した田辺市防災訓練では、避難行動要支援者名簿を基に、自主防災組織の方々が中心となり、リヤカーや車椅子などを用いた避難行動要支援者の避難支援に取り組む地区もあり、近隣の避難行動要支援者の安否確認や避難の呼びかけをし、共に避難をするなどの訓練も実施されております。
そのほか、11月に市内沿岸部の幼稚園、保育所を対象に実施した津波避難訓練では、要配慮者である乳幼児を職員が乳母車に乗せて避難したり、地域住民の方に誘導されながら避難している姿も見受けられました。
市といたしましては、今後も様々な機会を捉え、より一層市民の皆様方の防災意識の高揚を図り、自主防災組織を中心とした地域での避難体制の構築に努めるとともに、訓練内容を充実し、避難行動要支援者の方を含め、1人でも多くの市民の皆様に参加してもらえるよう取り組んでまいります。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 災害弱者と言われる人たち、すなわち要支援者を災害から守るためには、避難支援等関係者の避難対策というのが大事であります。地域での防災訓練というのは継続的に行われていますか。今年9月に、私の住む地域で行われた参加者を見てみますと、そのほとんどが自力で参加できる方でありまして、ほぼ毎回同じような光景が見られるのが実態ではないでしょうか。
答弁をいただいた中で、避難行動要支援者名簿を基に避難行動支援者の避難支援を行った地区や、幼稚園や保育所でも、要配慮者である乳幼児を住民の協力も得て実施されているようでもあり、さらに、防災意識の高揚を図り、充実した訓練となるよう取り組んでいただきますようお願いします。
次に、本題の個別避難計画について質問に移ります。
お配りしております資料は、内閣府から発行されておりますリーフレットでございます。
個別避難計画は、災害時に自力での避難が難しい人の避難場所や経路、支援する人などをあらかじめ決めておくもので、令和3年5月に施行された改正災害対策基本法で、令和7年度までをめどに作成するよう市区町村の努力義務となりました。
今年7月の読売新聞に掲載された記事によりますと、全国の市区町村の4分の1が作成していないことが内閣府と消防庁の調査で分かったと、また、全対象者について作成済みの自治体は1割に満たず、災害弱者を守る取組は道半ばの状況とのことでしたが、本市における作成の取組状況についてお答え願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
個別避難計画につきましては、近年頻発する豪雨災害において被害を受けた方の多くが高齢者や障害者等であったことを受けて、災害時の避難支援等を実効性のあるものにするため、令和3年の災害対策基本法の改正により、個別避難計画の作成が市区町村の努力義務とされました。個別避難計画の搭載事項につきましては、議員の御質問にもありました避難場所や避難経路、自主防災組織等の避難支援者のほか、緊急時の連絡先、同居家族の状況や配慮事項等になります。
本市におきましては、平成21年3月の田辺市災害時要援護者名簿の作成に合わせて、当時から現在の個別避難計画に準じる田辺市災害時要援護者名簿個別計画を作成しておりましたが、災害対策基本法改正後においては、その名称が田辺市個別避難計画に変更され、避難行動要支援者名簿と同様に個別避難計画の更新を行っております。
また、この法改正により、個別避難計画の作成や避難支援等関係者へ提供するには、避難行動要支援者本人の同意が必要となったことから、個別避難計画の作成の対象となる4,092名に対して意向確認を行い、同意をいただいた2,655名全員の個別避難計画を作成し、避難支援等関係者に提供をしております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 同意を得た2,655名全ての個別避難計画を作成済みとのことで、詳しい数値は把握しておりませんが、恐らく県内の市では上位に位置するものではないでしょうか。
ただ、個別避難計画の対象となる方全員から、意向確認の結果、同意をいただけていない方が約35%あります。作成が進んでいない要因について、また、問題点や課題についてもどのように認識されているかお答え願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
個別避難計画の作成が進んでいない要因につきましては、本人の意向やプライバシーの問題等から作成を辞退する方がおられると考えられます。
しかしながら、発災時等において、避難支援等を円滑かつ迅速に実施するには、平常時から避難行動要支援者名簿や個別避難計画を避難支援者等関係者に提供することにより、避難行動要支援者の把握や名簿等を活用した防災訓練等の実施が必要であると認識しておりますので、先ほども申し上げましたとおり、様々な機会を捉え、避難行動要支援者制度の周知を行うとともに、同意を得られていない方に対しましては、引き続き定期的に意向確認を行い、同意の取得に努めてまいります。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 答弁いただきありがとうございました。個別避難計画の作成が進んでいない要因については、本人の意向やプライバシーの問題等から作成を辞退するという方との答弁をいただきましたが、それらの方々を除いては100%作成済みとはすばらしいことだと思います。同意を得た方々一人一人の避難方法を事前に決めておくことは並大抵のことではなく、より実効性の高い計画をつくり上げるには、さらに大変なことではなかったかと思います。残りの約35%の方々と合わせ、今後、支援を必要とされる方の増加も見込まれる中で、庁内における連携を強化し、介護支援専門員などの福祉専門職、自主防災組織や地域の皆様の協力もいただきながら進めることが大事だと思います。
一つの例を挙げますと、紀美野町では、集落支援員が個別避難計画の策定業務に携わっておられるとNHKのニュース番組で取り上げられていました。名簿に掲載されたことで完結するのではなく、集落支援員による日常業務の中で、訪問した際に、要支援者の状況、状態を最新の内容に更新していくことも挙げられておりました。
災害が発生した場合、市の職員については、避難所の開設をはじめ災害対策本部での対応等に追われることになり、要支援者の避難については、自治会や自主防災組織の助けが不可欠となると思いますが、支援する人たちも、実際にそこに行くことができるのかどうかも分からないといった想定される課題があり、非常に難しいものであると、今回の質問原稿を作成する段階で理解しました。
ただ、1人でも少なく被害者を出さない取組はストップするわけにはいきません。数字を追い求めることも大事ですが、個別のお一人お一人の避難ができない方の状況に応じて実効性のあるものをつくっていただきたい、より実効性のある計画にしていくためには、計画をつくる段階、要支援者とのやり取りをする段階においても、津波なのか、水害なのか、土砂災害なのか、そのときには誰が行けるのか、そういう丁寧な取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
また、市区町村向けに個別避難計画についてデジタル化するシステムの開発が進んでいるとの情報もあるようですので、システムを導入・活用すれば、個々の避難計画の作成作業の効率化が図られるとともに、要支援者を円滑に避難誘導できる利点や自治会などと要支援者の安否を即時共有できるなど、整備の加速も進むと思いますので、導入を視野に入れた検討も行ってはどうかと提案いたします。
質問の項目とは少し外れますが、先日、田辺市身体障害者連盟、聴覚障害者協会から、福祉施設、避難所等への情報アクセシビリティ対応機器の設置について要望が本市に対して行われました。
これは、昨年5月に障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が施行され、基本理念に、障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者と同一の時点において取得することとあり、それに基づいてのものでした。
今回の個別避難計画の作成については、聴覚障害についても避難行動支援者に該当する方もおられます。災害時は、迅速な情報収集が必要であるため、災害避難所において、聴覚障害者が手話や字幕での情報を取得する手段として、情報アクセシビリティ対応機器があることを皆様にも御承知おきいただければと御紹介させていただき、大項目の1点目の質問を終わらせていただきます。
続きまして、大項目2点目の保育所・保育園における子育て支援について質問をさせていただきます。
本市には、保育所と保育園の両方の名称がありますが、今回の質問では、保育所と述べさせていただきますので、あらかじめ御承知おき願います。
政府が今年の3月31日に発表した異次元の少子化対策のたたき台で、保育士の配置基準の改善が明記され、保育士1人が受け持てる子供の人数であり、たたき台はこども家庭庁のウェブサイトにも掲載され、職員配置基準については、1歳児は、子供6人に対して保育士1人からが子供5人に対して保育士1人へ、4歳児と5歳児については、子供30人に対して保育士1人からが子供25人に対して保育士1人へと改善するとありました。4歳児と5歳児については、1948年の基準制定から75年間変わっていませんでした。
ところが、配置基準が改定されるものと思っていたのですが、当時のこども家庭庁担当大臣は、基準を引き上げると全保育施設で基準に見合う保育士を確保する必要が出て、現場に混乱が生じる可能性があるとのことから保育士を手厚く配置した施設に運営費を加算して支給する方式であるとの考えが示されました。
その後、6月13日にこども未来戦略方針が閣議決定し、子供・子育て世代の支援拡充では、保育については、さきに述べましたように、1歳児及び4歳・5歳児の職員配置基準についての改善、保育士等のさらなる処遇改善の検討を方策とされました。
しかしながら、職員の配置基準の改善については、厚生労働大臣が記者会見において、配置基準そのものの引き上げではなく、保育士を配置した施設への運営費を加算して支給するのみであり、現場で従事する保育士職員の期待を裏切った改善内容ではなかったかと思います。
そこで、質問の1点目です。田辺市立の保育所において、職員の配置基準についてお答え願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
保育士の配置基準につきましては、国の児童福祉施設の設備及び運営に関する基準において、その人数が定められており、ゼロ歳児3人につき保育士1人、1・2歳児6人につき保育士1人、3歳児20人につき保育士1人、4歳児以上30人につき保育士1人となっております。
本市の公立保育所におきましては、基本的に国の基準に基づいた保育士の配置としておりますが、このうち、1歳児につきましては5人につき保育士1人の配置としております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) ありがとうございました。1歳児を除いて、あとは国の基準どおりとのことでしたが、安全であるべき保育所において、果たして保育職員の実態はどうでしょうか。私が、市職員在籍中に耳にした内容では、子供のかわいい笑顔や仕草に癒やされ、子供の成長を見守ることができるなど、やりがいを感じているとの声を聞く反面、大変さも感じていることが分かりました。
例えば、子供との関わり方に悩む、これは保育施設の多くが担任制であり、クラス運営をする上で、また集団活動において、子供がなかなか座って話を聞いてくれない場合や、積極的に制作やゲームなどに参加したがらないなどでの対応が挙げられます。
ほかにも、保護者との連携については、送迎時や参観日などの園行事で保護者と関わることが多いものです。子供が体調を崩したり、けがを負ったときの連絡、逐次子供の様子を知りたがる保護者への対応、ときには保護者とのトラブルが生じたときなどにはクレームに発展するケースもあるとのことです。
また、一般的な職場では、お昼や仕事の合間に休憩時間がありますが、保育士は給食の援助や、昼寝時間であっても子供から目を離せないこともあり、休憩時間が思うように取れず、労働時間が長い上に持ち帰り残業が多い。このことについては、今は田辺市立の保育所では持ち帰っての仕事はさせていないとのことでしたが、特にクラスの飾りつけの壁面制作、運動会やお遊戯会などの衣装や小道具の制作に時間を要することが挙げられます。保育日誌の作成、連絡帳への記入や指導案の作成など様々な事務作業が多いこと、職場での人間関係、配慮や支援を要する子供の対応などなど、大変な環境の中で仕事をされている職員も中にはいることを御承知おきいただきたいと思います。
そのような悩みを抱えた環境を改善することは、職員配置を国の基準で行うのではなく、市の考えで質の高い保育を提供する立場から考えていくべきだと思います。
全国の中には、保育施設の質の向上や、保育士、従業員の負担軽減を目的に、自治体や保育施設が独自に基準を設けて、国の基準よりも上乗せして保育事業に力を入れている場合もありますが、本市における考えをお聞かせください。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
本市における独自の基準につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございますが、それに加えまして、各園の園児の様子に応じまして、また保育士の急な休暇に対応するため、全園をフォローする形でのフリー保育士を子育て推進課に配置するとともに、配慮の必要な児童への対応として、対象児の在園に応じて加配保育士を配置しております。
また、子育て推進課に指導主事を配置し、各園の所長や主任に対して、保育所運営においての指導や課題に対する助言を行い、保育現場を総合的に支援しているところです。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 現在の田辺市立の保育所については、フリーの保育士を配置したり、状況に応じて加配しているなど、職員配置に一定の配慮がなされていることが理解できました。
それでは、3点目の質問に移ります。
保育所の現場の現状では、保育施設の蛍光灯の交換からトイレ清掃、施設内外の美化清掃作業などを保育士が行っていると思います。小・中学校においては、校務員を配置している状況や、市庁舎においても清掃員を配置することを鑑みれば、それらの例と合わせ、保育施設においても配置することも当然かと思われますが、常駐でなくても、短時間労務や他の施設との掛け持ちで巡回するなども考えられるところもありますが、当局のお考えをお聞かせ願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
本市の公立認可保育所につきましては、技能員を配置し、給食調理業務のほか、保育施設の清掃及び環境整備を行っています。また、僻地保育所につきましては、給食を自園で調理していないことから、技能員の配置をしておらず、各園の保育士が園内外の整備を担っているところです。
そうした中、各園の保育士で対応ができない場合などは、子育て推進課の担当職員が出向いて対処したり、園庭周辺の草刈り作業を業者に委託するなど対応しているところでございます。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 答弁をお聞きしますと、今のままで対応できているということで、そういった職員は配置していないというような考えと理解しております。そういったことで、対応はしっかりできているものだと理解しましたが、教育委員会と市長部局との間に差があることに不思議を感じました。
次の質問に移らせていただきます。
次に、保育所のICT化についてですが、保育現場の多忙な業務の支援ツールとして導入すれば、登降園やシフト管理、指導案の作成などを一元管理し、保育所の管理者や保育士の日々の業務を効率化できると考えますし、パソコンが使えない状況でも利用できるように、スマホ向けの専用アプリも活用すれば、保護者と保育所とのやり取り、例えば、電話や口頭での連絡で起きやすい伝え漏れも最小限に減らせることになり、欠席や遅刻、早退等の連絡受付や給食の献立表などの配信や行事の中止、災害時の緊急連絡、不審者情報などの最新の情報の一斉通知ができますし、延長保育や預かり保育の予約やイベント参加の受付等の機能が多様にあり、業務の効率化や利便性の向上につながるということは、保育士が子供と向き合う時間をこれまで以上に増やせることになり、保育の質の向上につながると思いますが、当局の見解をお答えください。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
保育の現場におきましては、園児の登降園の管理や保育の記録、保護者への連絡など、職員においては日々様々な業務に従事しているところです。
そのような中、本市の保育所におきましては、業務の効率化の一環として、保護者へのメール配信システムを導入しているところではありますが、送信機能だけであり、また、登降園の管理や指導計画の作成等はシステム化できていない現状であります。
保育所のICTシステムにつきましては、職員の事務作業の軽減、園児の登降園の管理や情報の共有など、保育業務の効率化を図ることができるものであり、保育士が子供たちに接する時間を増やすことで、より質の高い保育を提供することにつながるものでありますので、保育現場の意見も参考にしながらシステム導入の検討を行ってまいりたいと考えております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 前向きな答弁をいただきありがとうございます。私自身、保護者との連絡帳については、手書きのほうが心がこもっていてよいのではないかと思っていたところ、保護者の方からは、子供を寝かしつけるまではゆとりがないため、手書きだと時間が取られるので、使い慣れたスマホで書き込むほうがよいとの意見を聞き、まさに今どきの感覚なんだなと思いました。自治体DXを進められていることでもありますので、行政、保育現場、保護者の実情を勘案して、よりよいシステム導入に向け検討を行っていただきたいと思います。
次に、市内の民間の保育所についてですが、本市が行っている施設監査及び確認指導監査についての実施状況についてお聞かせください。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
民間保育所に対しての監査につきましては、平成23年度に、監査権限が県から市へ移譲されており、現在、年1回各施設へ訪問し、職員配置や設備の状況、保育計画などの各種計画の策定状況、利用定員や給付費の請求などについて、施設監査及び確認監査を実施しているところです。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) ありがとうございました。今回、なぜ民間保育所のことも質問したかといえば、公立であっても民間であっても、本市の大切な子供を預かっていることには違いはありません。本日お配りしました資料については、民間保育所に勤められているある保育士さんから、ネットの記事を見てほしいとの提供がありました。置かれた環境が類似しており、こういった環境を知ってほしいし改善してほしいとの要望を受けたことであります。
なお、この資料につきましては配信元である東洋経済オンライン様から、記事の転載の許諾をいただいておりますので、皆様御一読願えればと思います。
田辺市が県の移譲を受けて指導監査を行っている立場からしますと、たとえ民間保育所においても、保育士の配置基準が適正に行われていたとしても、田辺市立の保育所では、答弁にありましたように、国の配置基準のほかに、1歳児については基準よりも配慮した割合となっているほか、フリー保育士の配置や状況に応じて加配保育士を配置していることに加え、子育て推進課に指導主事を配置し、保育所運営においての指導や課題に対する助言を行い、保育現場を総合的に支援しているとのことで、民間保育所と比較して差異があることを真剣に考えてほしいと思います。
もちろん、民間の保育所においては、民間経営といった公立とは違った立場からの運営方法があっての経営を行っていると思いますし、指導監査での違反事項がない限りは口出しできないかもしれませんが、田辺市立の保育所においては、保育士の加配や支援体制が必要と認識しているからこその対応であり、その田辺市が指導監査を行っているのですから、その際にでも、田辺市立の保育所においての保育士の配置などの支援状況を説明し、同じ市民であり、その子供の保育環境に差異が生じないよう、指導はできなくても協力の依頼ぐらいはしてもよいのではないでしょうか。答弁を求めませんが、ぜひとも御検討いただくよう御要望させていただきます。
次の質問に移ります。
全国の保育施設で、子供への暴行や虐待といった不適切な保育が相次いだことを受けて、こども家庭庁は全国調査を行い、2022年4月から12月の間に、保育所では914件の不適切な保育が確認されたと明らかにしました。914件のうち虐待に当たると確認したのは90件あったとしています。
こうした結果を受け、こども家庭庁は、不適切な保育とは、虐待などが疑われる事案と定めるとともに、防止や対応についてのガイドラインを設けられました。
ガイドラインの中では、静岡県裾野市の事案で、保育施設や自治体の対応が遅れたことを受け、保育所内で虐待などが疑われる事案が発生したときは、自治体に速やかに相談することや相談や通報を受けた自治体は迅速に対応するとともに、組織全体として情報を共有することなどが求められています。
虐待などはあってはならないことで、1件でも望ましくはありませんが、本市にあってはそういった事案は、公立、民間にあってあったかどうかお伺いします。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
議員御質問の全国調査におきまして、市内の公立、民間保育所では虐待等の不適切な保育はございませんでした。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 田辺市では不適切な保育に当たる事案がなくて安心しました。
つい最近においても、徳島県佐那河内村の村立保育所では、20歳から40歳代の女性保育士5人が、多数の園児に対し虐待や不適切保育などを行っていたとニュースなどで報道されました。
大半の保育所では、保育士が子供の成長に真摯に寄り添って適切な保育を行っています。今後、子供や保護者が不安を感じることなく、保育所に通えるようにするとともに、保育士の皆様が安心して保育を担えるよう対策を講じることが必要だと考えますが、当局の見解をお聞かせください。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
保育の実施につきましては、保育所保育指針において、保育所は、子どもの人権に十分配慮するとともに、子ども一人一人の人格を尊重して保育を行わなければならないとあり、保育士は子供に対する体罰や言葉の暴力など、身体的、精神的な苦痛を与えることが決してないよう、子供の人格を尊重するとともに、常に子供が権利の主体であるという認識を持って保育に従事しているところです。
また、保育の現場におきましては、子供たちだけではなく保護者との関わりも大切な仕事です。言葉遣いや伝え方など、保護者とのコミュニケーションにおいては、常に思いやりの気持ちを持って信頼関係が築けるよう心がけているところです。
一方で、保育所職員は、多くの子供たちや保護者、他の職員と関わる中で様々な悩みを抱えることが多い仕事でもあります。
公立保育所におきましては、所長や主任が中心となり、職員に対する様々なケアを行うよう努めているところであり、民間保育所におきましても同様の体制が整えられているところであります。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 不適切な保育が起きる状況として考えられるのが、意識の問題と職場環境の問題があると言われています。このような信じられない驚きの事案、事件の一部には、保育士の労務環境から起きる精神的な疲労やストレスが少なからず影響していると考えられます。幸いにして、本市においては、不適切な保育の事案はありませんでしたが、様々な起因・要素を考慮し、日々の保育業務を行っていただきたいと思います。
次に、保育所の入所に関してですが、まず、入園申込書に添付する就労証明書に関してですが、昨年の12月議会で私が行った一般質問において、民生児童委員のなり手不足のことで触れましたが、その中で、入園申込書に添付する就労証明書で、法人以外の自営業や農業などについては、在住する地域の民生児童委員の証明書を必要としているものをなくしてもよいのではないか。入所を希望する家庭の中には、民生児童委員が誰であるのかも知らない。一方、民生児童委員の方についても入所を希望する家庭の状況を存じ上げていないということもありますので、民生児童委員の負担軽減にもつながることでもあり、そういったことは、行政の縦割りではなく横のつながりで課題解消も検討するべきではないかと思いますが、当局のお考えをお聞かせ願います。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
保育所の利用につきましては、保育の必要性の認定を受けることが必要であり、子ども・子育て支援法施行規則にその事由が規定されています。
本市におきましては、その事由を証明する書類としまして、雇用されている方は就労先が発行する就労証明書、また、自営業に従事されている方は、民生児童委員の確認書を提出いただいているところです。
議員おっしゃるように、昨今の地域における現状を鑑みますと、民生児童委員及び保護者の双方にとって多少なりとも負担となっていることにつきましては、一定認識をしているところであります。
自営業に従事されている方の保育の必要性の確認につきましては、保育所の入所決定に伴う実務を行う上での適切な確認方法について、他の自治体の状況も参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) ありがとうございました。前向きに検討していただければと思います。
次に、保育の認定期間及び入所の条件が幾つかある中で、出産後8週の終日する月末までとあります。既に入所している子供のお母さんが、出産後8週の終日する月末までに就労しなければ、入所している子供の退園を余儀なくされると解釈されます。
以前、民間の保育所で出産後、育児のため就労していないことで、入所している子供を退園させたと聞きました。生まれたばかりの乳児を育てていく中で、上の子供も終日育児しなければならない負担を考えると、本当に子育て支援に向き合っているのかと疑わざるを得ません。その点の改善につきまして、当局のお考えをお聞かせください。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
本市におきましては、保育所等に申込みができる要件のうち、出産に関しましては、妊娠中であるか、または出産後間がない場合として、入所期間を産前2か月から産後8週の翌日が属する月末までとしており、産後8週が経過した後、育児休業を取得される場合であって、上の子が保育所を利用していた場合は、3歳児以上であれば引き続き利用することが可能としております。
これは、次年度に小学校への就学を控えているなど、入所児童の環境の変化に留意する必要があることや、当該児童の発達上環境の変化が好ましくないといったことを踏まえての取扱いでありますが、在園児が引き続き保育所を利用することが必要と認められる場合の取扱いにつきましては、充実されてきた昨今の子育て支援の状況も踏まえながら、今後とも児童や保護者に配慮したものとなるよう、各園の利用状況や保育の必要性などについて総合的に勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 谷 貞見君。
(6番 谷 貞見君 登壇)
○6番(谷 貞見君) 答弁いただきましてありがとうございました。
今回の質問を作成していて、皮肉にも、私の娘が子供の頃に保育士をしていた母親がいつも仕事を持ち帰っている姿を見て、私は絶対に保育園の先生にはなりたくないと言っているのを思い出しました。今回の質問は、市が対応することで保育環境を充実させ、保育現場における様々な課題や不安要素を払拭させることにより、安心して子供を預けられる体制整備を急ぐ必要があるとの思いからのものであり、本市の子ども・子育て支援に結びつけてほしいとの願いを込めてのものでした。
健やかに育つ子供の姿は、未来につながる道、田辺市そのものだと申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。
(6番 谷 貞見君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、6番、谷 貞見の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(尾花 功君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午後 0時01分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 橘 智史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 橘 智史君) 続いて、1番、松上京子君の登壇を許可いたします。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 皆様こんにちは。
1番、大志会、松上京子です。
通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
大項目2点、一問一答で
お尋ねしていきます。
まず最初は、こども家庭センターについてです。
先月、11月は児童虐待防止推進月間でした。この期間には、集中的に広報・啓発活動などの取組を実施しているので、児童虐待防止のシンボルであるオレンジリボンを皆様もあちらこちらで見かけたのではないでしょうか。
虐待や子供の発達に関する悩み、貧困など、その他子育てに困難を抱える世帯は増加しております。この現状を踏まえ、国は、母子保健法に基づく子育て世代包括支援センター、それと児童福祉法に基づく子ども家庭総合支援拠点を統合し、妊娠期から乳幼児、全ての子供へと切れ目のない支援を行うため、こども家庭センターの設置を令和6年4月から市区町村の努力義務としました。
本市でも、これまで健康増進課に設置されている子育て世代包括支援センター「母子健康包括支援センターたなっこ」のことですが、こちらと子育て推進課に設置されている子ども家庭総合支援拠点において様々な対応をされてきたところですが、今回のこども家庭センター設置においてはどのようなことを目的とし、どのような効果を期待し、準備を進めているのかお聞きいたします。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 1番、松上京子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、古久保宏幸君。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
議員の御質問と重複する部分もございますが、まず初めに、こども家庭センター設立の背景について御説明いたしますと、全国において児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきていることや、児童福祉と母子保健の双方の機関で情報が十分に共有されず、必要な支援が届かなかった事例が指摘されるなどの状況の中、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化等を行う必要性が生じてきていることを踏まえ、市町村の役割が一層重要となってきている状況に対応するため、児童福祉法の改正により、児童福祉と母子保健の一体的マネジメントを行う相談・支援機関として、市区町村へのこども家庭センターの設置が令和6年4月から努力義務化されることになりました。
この相談・支援機関は、これまで児童福祉の相談・支援機関である市区町村子ども家庭総合支援拠点と、母子保健の相談・支援機関である子育て世代包括支援センターの設置をそれぞれ進めてきた中で、両機関がともに特定妊婦や要支援児童等を支援対象に含んでいるにもかかわらず、組織が別であるため連携・協働に職員の負荷がかかったり、情報共有がなされにくいなどの課題が生じていたことに対して、両機能を組織として一体的に運営することにより、児童福祉・母子保健両部門の連携・協働を深め、虐待への予防的な対応から個々の家庭に応じた支援の切れ目のない対応など、市町村としての相談支援体制の一層の強化を図ることが期待できると考えられております。
本市におきましても、妊娠、出産から子育て期まで、子供の成長段階や特性に応じた必要な支援が切れ目なく、かつ確実に届くようにするためには、両分野の連携・協力を一段と強化することは重要であり、そのための一体的な支援のマネジメント体制の構築は必須の課題だと認識しており、現在、こども家庭センター設置に向け、庁内関係部署で協議を進めております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) ありがとうございます。
両方の機能を強化しながら、組織として一体的な運営をするため庁内関係部署で協議を進めているとのお答えをいただきました。
私、先日、児童相談所のほうに行って資料を見せていただきながらお話を聞いてきました。それによると、相談受付件数の中で虐待が占める割合、これは平成24年には、虐待は16%ということでしたが、令和4年では38%、そして今年度10月末現在で既に38%ということなので、以前に比べて虐待が非常に増えている、相談内容の4割近くが虐待であるということが分かりました。
また、虐待をする人、虐待者の6割から7割は実の母親です。よく再婚相手のお父さんというようなことが報道などで見られますが、実際は7割程度が実の母、そしてそれに続くのが実の父というふうになっております。決して虐待をしたくてしているわけではなく、様々な環境の中でそういった状況に追い込まれてしまうというのが実情です。そのような母親、また御家庭に対して、できるだけ早い段階でアプローチをし、支える意味で、母子保健と児童福祉の一体的支援は大変重要であると思います。
もちろん、これまでも両方十分連携はしていただいているところですが、連携からさらに一歩進んだ相談・支援の一体的な運営を行っていく上で、今後、組織としてどのような職員体制を取っていくのでしょうか。
2番目の質問、支援を行う組織体制についてお聞きしたいと思います。
国で示されているこども家庭センターにおけるセンター長、そしてまた統括支援員の配置などについてお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の質問にお答えします。
まず、現在の本市の支援体制は、児童福祉分野では、児童福祉法に基づき、令和4年度から子育て推進課内に田辺市子ども家庭総合支援拠点を設置し、子ども家庭支援員や虐待対応専門員が対応に当たっております。
一方、母子保健分野では、母子保健法に基づき、平成29年度から、本市の子育て世代包括支援センターとして、健康増進課内に田辺市母子健康包括支援センターたなっこを設置し、専任の保健師が対応に努めております。
そして、これまでも両機関の間ではお互いの職員が必要に応じ、ケース家庭の情報共有を行い、養育不安や虐待等の様々なケース課題の対応に遺漏がないよう連携して支援に努めておりますが、こども家庭センターは、この両機関の設置の意義や機能は維持したままで、全ての妊産婦、子育て世帯、子供への一体的な相談機能を有する機関とし、新たにセンター長を配置し、センター長をトップとした指揮命令系統の確立や児童福祉機能と母子保健機能をつなぐ調整役として、中心的立場となる統括支援員を配置することが要件となっております。
本市におけるこども家庭センターの設置に当たっては、子育て推進課及び健康増進課の組織や人員体制等は維持した上で、センター長及び統括支援員を中心とした連携体制の構築を検討していく必要があると考えております。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) これまでの子ども家庭支援員さん、そして虐待対応専門員さん、また、専任の保健師さんなど現体制を維持したままで、母子保健、児童福祉の両分野に精通した統括支援員を新たに置くということ。また、組織としてセンター長をトップに体制づくりをしていくというお答えでした。
統括支援員については、異なった両方の専門領域を束ね、助言やマネジメントを行う能力が必要となってきますので、今後、統括支援員の育成や、また、資質向上のための研修などにも力を入れていただければと思います。
それでは、次の質問です。
具体的な業務内容についてですが、新たに設置されるこども家庭センターの業務についてお聞きします。センターの設置後は、サービスの質・量の拡充、また、相談支援機能の一体化が必要とされていますが、では具体的に一体的相談支援はどのような流れで行っていくのでしょうか。相談の際の窓口やサポートプランの作成、関連する団体との連携についてもお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員の御質問にお答えします。
こども家庭センターの運営において、児童福祉と母子保健の一体的な支援を行うに当たっては、両者が適切に連携・協力しながら、妊産婦や子供への支援を実施することが重要であると認識しております。
そのためには、妊娠届出時の面接や新生児訪問、健診等の母子保健施策による全体への働きかけ、いわゆるポピュレーションアプローチを通じて、保健師等が支援が必要な家庭を把握した場合には、統括支援員が中心となり、保健師と児童福祉担当職員が参加する合同ケース会議を開き、情報共有した上で、支援対象者に該当するかの判断や、支援方針の検討・決定することにより、一体的な支援を行えるものと考えております。
こども家庭センター設置後においても、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターの業務については従来どおり実施しなければならないことから、両機関がそれぞれに開設している現行の相談窓口の体制を維持することが必要であります。
このような従来業務に加え、こども家庭センターでは、新たに妊娠届から妊産婦支援、子育てや子供に関する相談を受けて支援につなぐためのサポートプランの作成や、民間団体と連携しながら、多様な環境にある家庭に対する支援体制の充実を図るための地域資源の開拓など、新たな取組も求められております。
サポートプランに関しては、国から詳細なガイドラインが示されておらず、その具体的な運用方法は今のところ不明ですが、記載内容は、支援対象者の基礎情報や課題、本人の希望、支援の種類、内容や利用頻度、期間などが想定されています。
プラン作成は、児童福祉担当職員または保健師のどちらかが中心となりますが、先ほどの合同ケース会議を開催したときなどは、児童福祉担当職員と保健師が連携・協力し、作成するものと考えております。
地域資源の開拓につきましては、地域には行政が提供するサービス以外にも民間団体のサービス事業が様々ございますが、その開拓や活用方法については、今後研究していく必要があると認識しております。
なお、子育て推進課が調整役となり、関係機関と連携し、児童虐待などに対応している田辺市児童問題対策地域協議会につきましては、その機能や運営体制には変更はございません。
また、新庁舎のフロア配置においては、子育て推進課と健康増進課が隣り合わせになることから、児童福祉機能と母子保健機能がさらに連携強化を図り、全ての妊産婦、子育て世帯、子供に対する一体的な支援の提供に向けた、よりよいこども家庭センターの設置に向け検討を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) まずはポピュレーションアプローチということで、いわゆるリスクが高い低いとは関係なく、全員にアプローチしていく、関わりを持っていき、その中で支援が必要な家庭には合同ケース会議を開いて個別に対応していくというお話でした。
新庁舎開庁により、これまで市民総合センターの1階と2階に分かれていた両拠点が隣接するということですので、より連携は図りやすくなることと思います。これまでの業務に加え、新たに作成されることになるサポートプランについては、運用の詳細がまだ示されていないというお話なので、時を置いてまた改めてお聞きしたいと思います。
それから、御答弁の中で、連携する新たな地域資源を今後研究していくということで地域資源の開拓にも触れられていました。これに関してですが、本年5月、白浜に「くまのっ子児童家庭支援センターのこのこ」が開所しました。児童家庭支援センターというのは、児童家庭福祉に関する専門の相談機関で、これまでは県内1か所のみ、和歌山市にある「きずな」というところだけ、そこにしかありませんでしたが、このセンターでは、経験豊富なスタッフや専門の資格を持つスタッフによる相談支援を行い、児童相談所の介入に至る前の、つまり深刻なケースになる前の段階でのケースに対応しています。
開所してまだ日は浅いのですが、紀南で初めての児童家庭支援センターですし、近くにありますので、地域資源の一つとして、今後は必要に応じてぜひ連携を深めていただけるようにお願いいたします。
こども家庭センターに関しては、詳細ガイドラインが示されるまでにもう少し時間がかかるということでしたが、ガイドラインを待たずに先行して既に様々な取組をスタートしている自治体もあります。先進的な取組事例なども参考にしながら、一体的な体制による連携強化はもちろん、田辺市独自の田辺市らしい相談支援も期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
続いて、2点目の質問に移ります。2点目は、社会情動的能力を育てる教育についてです。
ユニセフ報告書レポートカード16によると、2020年、先進国の子供の幸福度ランキングにおいて、日本の子供は参加38か国のうち総合20位という結果でした。身体的健康、子供の死亡率や過体重・肥満の子供の割合などを示したこの身体的健康の分野では1位でありましたが、一方、精神的な幸福度、つまり生活満足度や自殺率などを加味したものになると37位、そして、読解力、数学分野の学力などスキルの分野では27位、結果、総合20位という結果でした。
また、文部科学省の2022年の調査による不登校の子供の人数は、10年連続で過去最高、約29万9,000人、前年比22.1%増となり、いじめの件数も過去最高、約68万2,000件が認知という結果が公表され、そのニュースを新聞やテレビ、その他で見聞きされた方の多くが心を痛めていることと思います。
不登校、虐待やいじめ、貧困、社会環境の変化など、子供を取り巻く状況は厳しく、残念ながら、今の日本では子供自身が幸せを感じられていないという現状があります。本来、幸せな子供時代を保障するのは大人の役目です。生活の満足度や自己肯定感の低い子供が増加しているこのような背景を受け、今、社会情動的能力を育てる教育が注目されるようになってきました。自己や他者への気づき、思いやり、自制心など、社会の中で大切なこの力は、非認知能力とも呼ばれ、生徒指導提要の中でも触れられています。IQや学力などに代表される認知能力と相対する概念とされているこの非認知能力、社会情動的能力について市の認識を伺います。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 教育長、佐武正章君。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えいたします。
まず、OECD(経済協力開発機構)が提唱する社会情動的能力とは、意欲、協調性、粘り強さ、自制心、コミュニケーション能力などといった数値で測定できない能力のことを指し、学力、つまり認知能力と対照的に用いられる言葉です。日本では非認知能力と呼ばれることが多いため、本答弁でも非認知能力を使わせていただきます。
非認知能力は、学習において重要な役割を果たしており、児童生徒の学習成果や将来の成功にも大きく関与するものとした中央教育審議会の答申を受け、文部科学省では、2018年以降施行された幼稚園教育要領や小中学校学習指導要領でも非認知能力の育成の重要性について触れられています。
田辺市教育委員会としましても、何かをやり抜く粘り強さ、自分の感情をコントロールできる力、計画を立てて実行する力などの非認知能力は、生涯にわたって学ぶ土台となり、予測困難な社会においても状況の変化に対応し、生き抜く力になると捉えており、幼稚園、学校においても、学級づくり、仲間づくり、地域の自然や人々と関わる学びの過程で、友達との協働や困難を克服する力、自己管理や自己調整、集中力や意欲の維持などの非認知能力が育成されるよう取組を進めているところであります。
特に、幼児期及び児童期は、非認知能力を高めるのに最適な時期とされていることから、幼稚園、小学校間での非認知能力を育んできた学びの接続を引き続き行うとともに、全ての教職員が非認知能力を育成する重要性や意義について共通理解を図り、子供たちへの教育に今後も努めてまいりたいと考えております。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) お答えいただきました。非認知能力に関して学びの土台として大変重要性を認識し、それを育てていく教育に力を入れていただいているということです。
それでは、続いて2点目の質問となりますが、社会情動的能力と非認知能力、言葉がほぼ同義語なので、どちらを使うか迷っていたのですけれども、この力に関して、幼稚園、小学校、中学校の中で、取組としてはどのようなことを行っているのかをお聞きしたいと思います。
例えば、教職員に対しての教育研修や、また保護者に対する講演会のテーマとして取り上げるようなことは行っているのでしょうか。また、授業やその他活動の中、取組について具体的なものがあれば教えてください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 御質問の教員研修等の現状についてお答えいたします。
田辺市教育委員会では、幼稚園・学校現場において、幼稚園教育要領及び学習指導要領の下、子供たちの何かをやり抜く粘り強さ、自分の感情をコントロールできる力、計画を立てて実行する力などの非認知能力を伸ばすことを含めた教育活動につながるよう、研修に取り組んでいるところです。
直近の状況について、市内公立幼稚園、小・中学校の管理職に調査をしたところ、非認知能力に特化した内容をテーマにした教員研修は約3割の園、学校で実施しているとの回答でした。主な内容は、非認知能力育成のための手立て、総合的な学習の時間で身につけさせたい非認知能力に係るものでした。中にはスクールカウンセラーを講師に招き、相手理解、自己肯定感、自己効力感などについての研修も実施されておりました。
また、全ての小・中学校で、全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙の結果や、楽しい学校生活を送るためのアンケートであるQUアンケートの結果を基に、児童生徒の現状を把握し、児童生徒の学習意欲の向上、自己肯定感を高める取組などについて、教職員で意見交換を行い、児童生徒への適切な対応などの研修を進めております。児童生徒の実態を考え、県教育委員会の専門の相談主事を招いて、指導助言を受けている学校もあります。
一方、保護者向けの取組としては、子供への寄り添い方、子供の育ちに大人ができることなど、家庭で育成できる非認知能力に関連する内容について啓発する機会を設けております。
このように日々の教育活動の中で非認知能力の育成も含めた実践を行ってきているところであります。
今後も、各校での有意義な研修内容を学校間で共有し、幼・小、小・中での合同研修学校・家庭・地域と連携した研修など、工夫を凝らしながら取り組んでいくことが望ましいと考えております。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) 御答弁ありがとうございます。
各教育現場において様々な研究をしていただいているということ。また、直近の状況ですね、非認知能力に特化した内容の教員研修も3割で行われていること、また保護者向けの、そういったテーマを扱う啓発の機会を設けているということについてもお答えをいただきました。
それでは、最後に、このスキルを体系的に学んでいくプログラムについてお聞きします。
幼児期における学びのプログラム導入についてですが、昨年から市内の民間の幼稚園、また、みなべ町にあるこども園で社会情動的能力について、体系的に学ぶソーシャル・エモーショナル・ラーニング、頭文字を取って、ソーシャルのSと、エモーショナルのEとラーニングのLでSELというプログラムがあるんですが、これが実践されました。研究のためのモデル校としてお受けいただいたものですが、先生方、保護者の方にもおおむね好評だったとお聞きしています。私も昨年の11月には、みなべ町にあるこども園に保育の様子を見学に行ってきました。週1回、全10回のプログラムの中で、他者を思うことや自分を抑制すること、否定的な言葉でなく前向きな言葉で言い換えることなどを行っていくのですが、このプログラムは毎回宿題というのがあって、家庭に持ち帰って、親御さんも一緒に何かをやってもらうということで、保護者を巻き込み、保護者も共に育っていくのが大変特徴的であると感じました。
こういった活動に教育関連の事業を行う企業ベネッセが興味を示され、今年10月の末には、市内幼稚園での活動の様子に対して見学の申入れがあったということです。このことからも分かるように、SEL、ソーシャル・エモーショナル・ラーニングに関する注目度は上がっていると言えます。
この社会情動的能力を育てるには、特に幼児期における介入が重要です。幼少期は子供の発達にとって大切な時期にあり、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として10の姿が挙げられております。1、健康な心と体、2、自立心、3、協同性などなどずっと10個あるんですけれども、こういった豊富な体験を重ねて養われた学びの基礎が小学校に行ったとき学びの姿勢につながるとされ、学びに向かう力として幼児期にこれらの力を育てることが生涯の学びにとって重要であると言われています。
そこで、本市において、このようなSELの体系的なプログラムを導入していくことが可能かどうかについて考えをお聞かせください。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 教育長。
(教育長 佐武正章君 登壇)
○教育長(佐武正章君) 議員の御質問にお答えします。
SELプログラムとは、ソーシャル・エモーショナル・ラーニング、つまり、社会性と情動の学びのプログラムのことで、アメリカを中心にイギリスやカナダなどで行われている学びのプログラムのことです。具体的な内容は、友達との協同、自己管理や自己調整など社会の中で適切に行動できるための知識やスキルを学習していくことが盛り込まれております。
田辺市公立幼稚園では、SELプログラムそのものについては取り入れておりませんが、幼稚園教育要領にある、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿のうち、自立心、協同性、道徳性、規範意識の芽生え、社会生活との関わりが、特に非認知能力と深く関わっており、公立幼稚園の各園の年間カリキュラムにバランスよく配置をして、日々の教育活動の中で、非認知能力の育成を意識して教育活動を進めているところであります。
今後も現在の教育活動を継続しながら、SELプログラムについて、内容、実践例、成果や課題などの詳細を調査研究し、田辺市の子供たちに身につけさせたい非認知能力の適切な育成について探っていきたいと考えております。
(教育長 佐武正章君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 松上京子君。
(1番 松上京子君 登壇)
○1番(松上京子君) そうですね。各園とも日々の活動の教育の中で年間カリキュラムの中にバランスよく取り入れてくださっているということですので、SELのプログラムそのものをすぐにやりましょうということにはならないのかもしれません。けれども、体系的な学びのプログラムの導入の可能性については、ぜひ前向きに研究、検討を進めていただければと思います。
SELプログラムを取り入れているアメリカ、カナダなどではその効果が認められ、研究成果やデータがたくさん公表されています。その一部によると、幼児期にプログラムを行ったグループと行わなかったグループでずっと年数を追いかけまして、20代になったときの大学進学率、それから、犯罪者の率、月収が2,000ドル以上の人の割合、また留年した人の割合、非喫煙率、家の所有率などで差が顕著に出ています。プログラムを受けた人たちのほうが健康的で、経済的にも裕福な生活を送れているという、そういう傾向があるという結果でした。
幼児教育に関し、本市では今年度公立幼稚園の在り方についての検討が進められているところです。その方向性について示されるのは年が明け、1月中旬以降というふうにお聞きしていますが、市としてあらゆる側面から公立幼稚園の在り方を考える際に、社会情動的能力にフォーカスした特色あるプログラムについても参考、検討していただけるようにお願いいたします。
今回は大項目2点、子供の育ちに関するテーマで一般質問をさせていただきました。以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
(1番 松上京子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 以上で、1番、松上京子君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 橘 智史君) この場合、午後1時45分まで休憩いたします。
再開の際は、議案書2を御持参ください。
(午後 1時36分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時45分)
○議長(尾花 功君) 続いて、9番、宮井 章君の登壇を許可いたします。
(9番 宮井 章君 登壇)
○9番(宮井 章君) 皆様、こんにちは。
紀新会の宮井でございます。
ただいま議長よりお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
今回の質問は、大項目の三つについて、それぞれ分割質問方式で行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、大項目の1、(仮称)私立うつほの杜学園の誘致についてということで、田辺市中辺路町川合地区にあります旧二川小学校は、旧栗栖川小学校との統合に伴い、2013年の3月に閉校となりまして、地域からチャイムと児童の声が途絶えて、はや10年がたちます。
その後、廃校の利用につきましては、これまで官民一体となり、試行錯誤しながら様々な取組をする中、現在は地元の有志により結成されております、ふたかわ超学校グループが定期的な利用に頑張っているところですが、なかなか恒久的な利用に至っていないのが現状でございます。
その後も継続的にいろいろと模索していたところ、私立の小中一貫校の設立という話があり、検討した結果、地元区民より学校誘致の要望書が提出されまして、去る5月16日に田辺市、そして地元区長、そしてうつほの杜設立準備会で、三者協定が締結されたところでございます。旧二川小学校とその敷地を利用した私立小中一貫校の開校に向けた計画が進められているところでございます。
時に、教育業界は2020年から新学習指導要領が導入されまして、教育の転換期であるとか、教育改革だとかいろいろ言われてきましたけれども、関係者のお話を聞いておりますと、ここに来てさらに教育の形は多様化しているように思います。
学校教育の種類ということで見てみますと、プロ棋士であります藤井聡太氏や、アップルのスティーブ・ジョブス氏をはじめ、アマゾンやグーグル創設者が受けていたことで有名なモンテッソーリ教育をはじめ、ドイツで生まれオランダで広まったイエナプラン教育などが注目されており、これらを取り入れた小・中学校などは生徒が増加していると聞いております。ほかにも、21世紀型教育と呼ばれるような、多様な教育カリキュラムが各地で展開されているところでございます。
そこで、今回開校予定の(仮称)うつほの杜学園の概要や教育カリキュラムの特徴についてどう把握されておりますでしょうか。分かる範囲でお聞かせいただければと思います。
そして、次に、先月11月6日に中辺路町で開催されましたまちづくり報告会の中でも少し触れられておりましたが、近隣にある公立小・中学校の現状の生徒数なのですけれども、中辺路小学校で1年生8人、2年生8人、3年生5人、4年生3人、5年生5人、6年生11人、特別支援学級が4人と計44名です。そして、中辺路中学校では、1年生が9人、2年生が10人、3年生が9人、特別支援学級が2人と計30名でございます。このような生徒数の減少が見られる中で、新たな私学が開校するに当たって、これらの地元公立学校への影響についてはどのように認識されておりますでしょうか。
また、開校予定の私学は、バイリンガルでグローバルな視点を有すると聞いておりますが、県内外を含めた幅広い意味で、他校との連携や交流、その展望についてお聞かせ願いたいと思います。
続きましては、教育移住施策なのですけれども、(仮称)うつほの杜学園が順調に開校した場合、マックスで1学年25名、3学年の募集と聞いておりますので75名、それプラス親御さんと教員等数名が移住してくることになります。このことから、本市として早急に移住施策に取り組む必要があると思いますが、このことについて当局の見解と認識についてお伺いいたします。
併せて、学生寮や専用宿舎などを設置する計画はあるのかについてもお聞かせください。
加えまして、これらに関して参考となる事例などがありましたら御紹介願えればと思います。
そして次に、現在、旧二川小学校施設を利活用しておられる団体への配慮についてということなのですが、先ほど御紹介したとおり、令和元年5月から旧二川小校舎の利活用と地域の活性化に取り組んでいるふたかわ超学校というグループがあります。現在では、イベントの開催が恒例となっておりまして、飲食販売、衣服のリユース事業、健康増進イベントや映画の上映、木工教室や音楽会を開催するなど、施設の保存と活用に尽力されております。
また、旧二川小学校が10年前に廃校になってから、今回の新たな学校の誘致に当たり当校舎が選ばれた理由の一つとして、学校施設の良好な保存管理の状態が挙げられます。これもひとえに地元有志のふたかわ超学校の皆様をはじめ、地域の皆様方による適切な利活用があったからだと思いますし、だからこそ今回の夢あるバトンタッチが生まれたことに感謝しているところです。
なお、この有志団体の活動は現在も継続されており、やっと恒例のイベントとして定着してきたところですが、ここで新しい学校が開校するとなれば、スペースの問題や、セキュリティ上の問題から転出せざるを得なくなると思いますが、これらの団体活動について、同規模とはなかなかいかないと思いますが、代替施設の提案など、活動の継続に向けた配慮といいますか、支援策等がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
続きまして、大項目1の最後になるのですけれども、学校誘致に対する本市の姿勢についてということで、質問の冒頭にもありましたように、今回の私立学校の誘致については、地元区民、(仮称)うつほの杜学園設立準備会、そして田辺市で三者協定が結ばれているところでございます。この新しい学校づくりについては、教育はもちろんのことなのですが、移住定住施策、そして地方創生と未来創造、そしてより深みのある、より絆の強い関係人口の創出と、これらに伴う多くの効果に期待ができると思います。
そして何よりも、この地域はもとより、和歌山県にもたらされる未来の大きなリターンに期待を寄せているところでございます。
そこで確認なのですが、この新しい学校誘致について、今後本市としてどう取り組んでいかれるのか、そして、そのスタンスといいますか、その意気込みといいますか、そのあたりをお聞かせ願えればと思います。
以上で、大項目1の質問を終わりたいと思います。御答弁のほどよろしくお願いいたします。
(9番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 9番、宮井 章君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員御質問の(仮称)うつほの杜学園の誘致についての7点目、(仮称)うつほの杜学園の誘致に対する本市の姿勢については私から、そのあとは担当行政局長からお答えいたします。
全国的な少子高齢化や人口減少の進行に伴い地域活力の低下が課題となる中、旧二川小学校を活用した新しい私立学校の創設は、田辺市にとりましても、持続可能な地域づくりに向けて大きな可能性を秘めた取組であると認識しております。
具体的には、私立学校が創設されることにより、田辺市外はもとより、県外からの人の流れの創出が進み、地域の皆様と移住者の皆様との交流の推進や人材の確保、地域経済の活性化の面で大きな効果が期待されるということです。
また、ますます国際化・高度情報化が進んでいる現代社会において、市民の皆様のニーズに応じた特色ある教育の推進が求められる中、新たな学校の選択肢が拡大されることにより、地域全体の教育の質の向上につながるものと考えております。
そして、この事業は、市民の皆様の財産である廃校舎を活用して行われます。今後、市の遊休施設の有効活用を推進していく上で、この事業が成功例の一つとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。
なお、うつほの杜学園は、私立学校であることから、学校運営は学校法人が自律的に責任を持って行うことになりますが、市といたしましても、ただいま申し上げましたとおり、地方創生の取組としても大いに期待できる事業であることから、企業版ふるさと納税を活用した支援に加え、学校創設が着実に地域の活性化につながるよう、移住希望者の受入れ体制のさらなる強化や、学校とコミュニティの連携促進など、取組の推進に応じた支援を検討してまいりたいと考えておりますので、御理解と御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(尾花 功君)
中辺路行政局長、一岡真成君。
(
中辺路行政局長 一岡真成君 登壇)
○
中辺路行政局長(一岡真成君) 議員御質問の(仮称)うつほの杜学園の誘致についての1点目、(仮称)うつほの杜学園の概要についてお答えいたします。
うつほの杜学園は、平成25年3月に閉校した旧二川小学校の校舎を活用し、一般社団法人うつほの杜学園設立準備会が計画を進めている私立の小中一貫校で、学校教育法第1条に定められた、いわゆる一条校を目指しているものでございます。
開校目標は小学校が令和7年4月、中学校が令和11年4月となっており、定員は小学校150名、中学校75名で、それぞれ1学年25名となっております。
学校の特色としましては、地球規模で物事を考えながら地域社会で行動できる、いわゆるグローカルな視点を持った未来のリーダーを育てることを目標としており、児童生徒が自ら課題を設定し、自ら解決策を探る探究授業や、日本語と英語によるバイリンガル教育が挙げられます。
次に、御質問の2点目、教育カリキュラムの特徴についてでございますが、教育カリキュラムは、設立準備会において現在詳細を検討中とのことですが、国際的な教育プログラムにのっとった内容を基本として、国語、算数、英語、体育、美術などの授業のほか、探究学習の授業や食の授業が予定されているとのことです。
また、社会や理科の授業は設けず、探究学習の授業の中で学び、農業、漁業、熊野古道や地域の自然を生かしたフィールドワークで地域の皆様との交流も行われる予定と伺っております。
そのほかには、総合的な英語力の習得を図るため、英語の授業のほか、体育、美術などの授業を英語で学習するイマージョン授業が取り入れられるとのことで、こうした内容が教育カリキュラムの特徴となっております。
次に、御質問の3点目。地元公立学校への影響については、私立学校創設に伴い、地元公立学校の児童生徒数への影響をどう考えているかとの御質問でございますが、新設される私立学校と既存の公立学校とは、教育方針やカリキュラム、学費等の面で大きな違いがあることから、影響は少ないのではないかと推察しております。
また、同じ地域に学校が二つあるということは、転入された御家族にとりましても選択肢が増えるということになりますので、例えば、上のお子さんは私立学校に入学し、下のお子さんは公立学校に入学するといったケースも考えられ、私立学校の新設が地元公立学校の児童生徒数の減少に必ずしもつながるものではないと考えております。
いずれにいたしましても、私立学校の創設が地域全体の活性化につながるよう、長期的な視点で捉えることが大切であると考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
次に、御質問4点目の他校との連携や交流、その展望についてお答えいたします。
うつほの杜学園と、県内外の学校との連携や交流につきましては、先ほども少し触れましたとおり、同校は探究型のグローカル教育を特色としておりますので、設立準備会におきましても、既に国内外の大学をはじめとする学校や団体と開校後の連携に向けて取組を進めていると聞いております。
市といたしましては、学園のこうしたつながりや取組を地域人材の育成やコミュニティの強化など、地域課題の解決に生かしていけるよう研究を進めてまいりたいと考えております。
次に、御質問5点目の教育移住施策についてでございますが、うつほの杜学園は、小・中学生という義務教育世代を対象とした学校であり、親子が一緒に暮らすことを基本に考えていることから、寮の設置は計画していないとのことでございます。
こうしたことから、学校近隣への移住希望者に対する移住相談や住宅の確保と移住施策の強化は喫緊の課題であると認識しております。
なお、現状では、学校近隣には賃貸住宅等が限られていることから、周辺地域を含めた空き家の掘り起こしを行うなど、移住者の多様なニーズに応えられるよう方策を検討していく必要があると考えております。
次に、移住施策の参考となる先進的な取組としましては、長野県におきまして、廃校舎を活用し、うつほの杜学園と同様の規模の私立小学校が開校した町の事例がございます。この町では、私立小学校の開校1年前から地域おこし協力隊を4名採用し、空き家の掘り起こし、移住希望者と住宅のマッチング、SNSを利用した情報発信等を行うとともに、移住者と地元住民を対象としたイベントや講座を開催するなど、コミュニティ運営の支援を行ってきました。こうした取組により、移住希望者のスムーズな受入れを行うとともに、移住者と地元の人との間で顔の見える関係づくりが進み、定住人口や関係人口の拡大にも大きな役割を果たしてきたということです。
市におきましては、こうした先進事例も参考にしながら、きめ細やかな移住施策に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、6点目の現在校舎を利活用している団体への配慮についてお答えいたします。
旧二川小学校は、閉校後、地元の子育て世代が中心となって発足した地域団体ふたかわ超学校により、地域の交流拠点として映画会や朝市などの会場に活用されてきた経過がございます。
議員が述べられたとおり旧二川小学校は閉校後、約10年が経過しておりますが、これまでふたかわ超学校の皆様が定期的に校舎を利用され、換気や清掃などが行われてきたことも学校施設が良好な状態に保たれてきた要因の一つであると認識しております。
なお、開校準備が進む令和6年度以降は、これまでのような貸付けによる校舎利用はできませんが、今後は、うつほの杜学園と地域コミュニティの連携の中で、ふたかわ超学校の皆様がさらに活躍される場ができるのではないかと考えています。
また、行事の内容によっては、中辺路コミュニティセンターも御活用いただけると思いますので、御理解のほどお願いを申し上げます。
(
中辺路行政局長 一岡真成君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(9番 宮井 章君 登壇)
○9番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
今回の(仮称)うつほの杜学園構想については、多くの新しいキーワードが盛り込まれております。国際教育にバイリンガル教育、そしてイマージョン教育に探究学習、教育移住にグローカルな学びと食の学び、大学や企業そして海外との連携、新しい学びには大きな夢を感じます。もちろん課題もあるでしょう。しかし、あの地域のあの校舎においてこれ以上の優れた利活用の構想はないと思いますし、さらに幅広い活力の底上げにつながる教育移住にも大変期待しているところでございます。
極めて若い世代の移住、そして毎年アップデートされ、高齢化しない移住者、そして豊かな経済力と購買力、そして都心に住む家族とその関係者の経済圏の誘引効果、そして、他県の例ですが、同居移住される親御さんの9割がパート勤務されているという例から、地域で不足している働き手の確保にもつながると思います。
また、これから押し寄せる、抗うことのできないグローバリゼーションの波に飲み込まれることなく、うまく乗りこなせる人材の育成は急務だと思います。世界と地域、グローバルとローカル、そして私立と公立、教える教育と自ら学ぶ教育、それぞれがお互いに作用し合い、未来の最適解に向かって昇華することを心から願っております。
それでは、次の大項目2番目、地域の医療施設について質問したいと思います。
まず、生きていく上で必ず必要な社会インフラといいますと、電気、ガス、水道、通信、そして交通などたくさんありますが、私たちが生まれたその瞬間から享受しているのが医療サービスだと言われております。
そして、私たちの身近な医療施設といえば、各市町の診療所となりますが、ここで診療所の役割ということを少し調べてみますと、診療所は外来中心であり、プライマリーケアの提供が主な役割とされております。その基本理念としましては、近接性、協調性、包括性、継続性、責任性とうたわれておりました。簡単に言えば、ふだんから何でも診てくれて、相談に乗ってくれる身近なお医者さんによる医療の提供だということです。急に体の調子が悪くなったような緊急の場合の対応から、健康診断の結果について相談に乗るといったような身近なかかりつけ医としての幅広い対応が求められています。
このように、身近な医療施設であるまちの診療所は、地域の住民、特にお年寄りにとっては心の支えであり、安心で平穏な暮らしを担保する大きな存在となっています。そして、地域コミュニティを支える大切な場所でもあります。
以上のことからも、地域における身近な診療施設の重要性を改めて認識するところでございます。
そういったことを踏まえてなのですが、さて、私の地元、中辺路町では、公設民営の診療所として、昭和61年の8月に開院され、地域医療に尽力されていた大峰診療所が、令和3年7月、地域の住民の皆様に惜しまれながら閉院されたことはまだ記憶に新しいと思います。診療の最終日には大勢の皆様が感謝の気持ちを伝えに集まり、これまでの35年間という長きにわたる献身的な活躍に対してお礼の言葉を交わしている光景が今でも思い出されます。
それ以降、中辺路町の地域医療は、近露地区にあります近野診療所と栗栖川地区にある松尾医院、ともに本市では数少ない公設民営の診療所として地域医療を献身的に支えながら、特に高齢者には、治療はもとより、先ほども言いましたけれども、心のよりどころとして親しまれ、頼りにされていました。
そんな折、その松尾医院が閉院するとの話が持ち上がり、地域の皆様方からは、身近な医療機関がなくなることに対する不安の声が届いているところです。
私も地元議員として、情報伝達と意見集約に努める中、当局の担当課をはじめ、関係各位にあっては、よりよい方策について努力していただいていると聞き、少し安心しているところでもあります。
そこで、本日の一般質問としまして、これまでの確認をするとともに、今後の要望や展望も交えて聞いてみたいと思います。
まずは、松尾医院からの閉院の意向を受けてから閉院に至るまでの経緯についてお聞かせ願いたいと思います。
それから、将来の運営形態についてなのですが、中辺路町の診療所の運営形態は公設民営となっておりますが、持続可能な医療機関ということで考えてみますと、過疎高齢化で小規模であるがゆえに公設でやるべきだと考えたりもしますが、この辺について、公営と民営、それぞれの特性といいますか、メリット、デメリットに関してどう認識されているでしょうか。当局の見解をお聞かせ願いたいと思います。
また、今後の医師の招聘についてということなのですが、現在、医師確保の手立てについては、各医療機関からの情報提供、そして人的ネットワークの活用、そして主なものは、和歌山県の医師募集情報サイトの青洲医師ネットを通じた募集であると認識しております。
しかしながら、個人的な見解になるのですが、その動向を見ておりますと、あまりアクセスがないというか、非常に活性が低いように感じております。
全国的に慢性的な医師不足であることは承知しておりますが、ほかの有効的な手段についてもいろいろと考えてみる必要があると思います。
例えば、MRT株式会社の医療人材ネットワークの利用が挙げられます。これは、これからの医師確保と医療DXの実現に向けて、今年10月に和歌山県が連携協定を締結している医療ネットワークのことでございます。ほかにも同じく県を通じて、自治医大への医師招聘の依頼をもう少し綿密にしていくことも効果的であると思いますし、あと2024年4月から施行されます医師の働き方改革、これを逆手に取るといいますか、それに乗じてですけれども、田舎まちの公設民営医療のメリットをアピールする絶好の機会ではないかと考えます。
このように、さらに一歩踏み込んだ医師確保に対するアプローチが必要になってくると考えますが、当局の見解をお聞かせ願いたいと思います。
最後に、診療所の立地についてなのですが、利用者の特徴は、近隣の高齢者が多いと見ております。立地条件や利便性から考えますと、現在の松尾医院のある場所よりも、診療所やスーパー、そして行政局と公民館、バス停が周囲にある元大峰医院の場所のほうが公共交通の待ち時間等を有効に活用でき、便利で過ごしやすいのではと考えますが、もちろんこれは利用されてる皆様方の御意見を聞く必要があると思いますが、この点について当局の見解もお聞かせ願いたいと思います。
以上、大項目2の地域の医療施設についての質問といたします。よろしくお願いします。
(9番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長、古久保宏幸君。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 登壇)
○
保健福祉部長(古久保宏幸君) 議員御質問の、地域の医療施設についての1点目、松尾医院の閉院までの経緯についてお答えいたします。
令和5年1月、松尾医師から市に対して、令和5年度末、もしくは令和5年12月末で閉院する意向が示されました。これを受けて、後継となる医師招聘のため各医療機関からの情報提供及び人的ネットワークを活用するとともに、和歌山県医務課へ自治医科大学等からの医師派遣を要望するほか、県が提供する医師募集情報サイト、青洲医師ネットへ求人情報を掲載するなど、医師の確保に努めました。
しかしながら、現在の松尾医院につきましては、最寄りの診療所まで交通機関を利用しても30分以上かかるという僻地診療所に該当しないため、僻地医療拠点病院から医師の派遣を受けることができないこと、また、青洲医師ネットによる医師募集においても、現時点で就業を希望する医師は見つかっていない状況から、当該地域の医療を継続するための検討を進めております。
松尾医師に対しましては慰留に努めてまいりましたが、意思は変わることなく、令和5年12月末をもって閉院することが確定となりました。
次に、議員の御質問2点目の将来の運営形態についてお答えいたします。
中辺路町の診療所につきましては、合併以前から公設民営として行政が設置し、民間に運営をお任せするという形態を取っております。この公設民営のメリットとして、在宅医療やかかりつけ医機能など、地域の医療機能に見合った体制の構築や、診療報酬改定に伴う人員配置を容易に行うことができるなど、現場の責任者である院長の権限による機動的、弾力的な運営を行うことができます。一方、公設公営は、比較的経営に対する心配は少なく、業務に集中できるというメリットがありますが、市の財政的な負担の問題もあり、迅速な対応が困難な状況が出てきます。
今後、人口減少が予想される中、市民の健康を守るために、近隣の医療資源の有効な活用が期待されます。そのため、将来の運営形態につきましては、公設公営・公設民営のメリットを鑑み、人口減少や近隣の医療資源の状況など、地域の実情も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、議員の御質問3点目の今後の医師の招聘につきましてお答えします。
医師の高齢化や地域間の医師偏在が課題となっており、都市部よりも地方の医師不足が深刻化している中、2024年4月から開始される厚生労働省の医師の働き方改革の推進により、他の医療機関等からの医師の派遣はこれまで以上に困難になることが想定されます。
市といたしましては、引き続き県医務課へ医師の派遣について働きかけるとともに、各医療機関からの情報提供及び人的ネットワークを活用し、医師確保に努めてまいります。さらに、青洲医師ネットに加えて、議員の御質問にございましたが、県が令和5年10月に、医師確保及び医療DXの実現に向け、連携協定を締結したMRT株式会社が運営するネットワーク等を活用し、医師募集の情報発信を行うなど、医師の招聘に取り組んでまいります。
次に、議員の御質問4点目の診療所の立地につきましてお答えします。
診療所には、地域住民の身近なかかりつけ医として幅広い対応が求められています。そのためにも利用される地域の人々の利便性が求められます。
中辺路町内の診療所は、地域医療の観点から必要な診療所として考えておりますので、診療所の立地につきましては、地域にお住まいの方々の利便性や防災面を考慮し、総合的に調整してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(
保健福祉部長 古久保宏幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(9番 宮井 章君 登壇)
○9番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
各病院施設におきましても医師確保が困難を極める中、当局の皆様方には、地域医療の確保のために様々な手立てを考えていただきながら対応に当たっていただきまして誠にありがとうございます。今後はさらに、前段の大項目1でも言いましたとおり、私立の小・中学校の誘致計画もあることから、それに伴う移住者の増加という観点からも、今後ますます当地域に対する身近な医療への必要性は高まってくると思われますので、その点はどうかひとつ御留意のほうを願いたいと思います。
また一方で、診療所の利用者の特性について、持病であります高血圧、糖尿病などの常用薬の受け取りが主体であるとすれば、遠隔服用指導による投薬も効果的ではないかと思います。
先日テレビで、海外ですけれども、ある辺境の地では、遠隔診療の普及に取り組んでいるとの報道を見ましたが、日本でも高齢化や地域の過疎化、そして人々のライフスタイルの多様性に対応すべく令和2年から遠隔服薬指導がスタートしております。このことは本市におきましても、和歌山県の約5分の1という広大な市域を抱える中で、過疎高齢化と点在する集落の医療ニーズに対応するという点では取り組む必要があり、大いに頼るべき分野であると感じております。
近い将来、デジタルデバイスがふだんの生活により浸透して、誰もが、万人がフルスペックでデジタル機器を使いこなせる時代には、点在する山村集落における持続可能な地域医療の一翼を担う存在になると期待しております。
いずれにしましても、これからも引き続き市民の生活環境の整備という観点から、医療従事者の定着促進などの施策を講じていただき、また、将来の遠隔診療も含めた持続可能な地域医療を推進するためにも、あらゆる分野への積極的なアプローチと情報共有をしながら、地域医療の確保と保全に努めていただければと切に願います。
次に移ります。
続きまして、大項目の3番目としまして、世界遺産登録20周年に向けた周辺整備についてお伺いいたします。
この世界遺産関連につきましては、6月議会において谷 貞見議員より、世界遺産登録20周年に向けたおもてなし力の向上ということで、9項目にわたる質問があったところでございます。重複する部分もあろうかと思いますが、何とぞ御了承のほどよろしくお願いいたします。
まず、景観整備の必要性ということで、観光と景観は密接に関係しておりまして、よりよい景観があればこそ健全な観光産業が成り立つといえます。
現在の田辺市への外国人観光客数は、世界遺産登録当時に比べますと、一時期はコロナ禍によります低迷期はあったものの、今では大きく増加し、その国籍についても多岐にわたり、私の地元、中辺路町でも、世界遺産登録当初は驚きと戸惑いの中、試行錯誤のおもてなしでありましたが、今では、インバウンドに対応したおもてなし力が充実し、そのことによって、観光客目線、外国人目線、おもてなし目線が身につき、それに伴い、地域の皆様方から観光地にふさわしい景観評価が示されるようにもなってきました。
そこで、今回世界遺産登録20周年を迎えるに当たって、劣化した設備等について気になる箇所が何点かあると思いますが、関係者からの御意見、御要望の聞き取り、その洗い出しといいますか、点検についてはどうされているでしょうか。
例えば、中辺路町入り口にあります風化した牛馬童子像のモニュメント、そして国道沿線にあります大型看板の数々、そして古道館周辺の遊歩道の手すりなど、気になるところが大変皆様から寄せられておりますが、当局の認識をお伺いしたいと思います。
また、このように建造物単体の劣化に加えまして、面的、空間的な景観への御意見もいただいたことがあります。
特に熊野の霊域の入り口とされます滝尻王子周辺の整備についてなのですが、以前に語り部さん数人から指摘を受けたのですが、2011年の台風12号の降雨によります滝尻王子橋対岸にある大規模な斜面崩壊の復旧地についてです。復旧工事が完成した後の現在も破れた大型土のうなど、景観を損ねるような資材が置かれているように思いますが、整理されてはどうかということです。そしてまた、崩壊地周辺の緑化推進に取り組むなど、景観保全について考える必要があるのではないかと思います。
なお、この件に関しましては、国や県土木、そして県の森林整備課の管轄であると思いますので、関係する担当課同士の連携で対処できないものか、当局の見解をお伺いしたいと思います。
次に、熊野古道歩きに目を向けまして、王子スタンプの刷新とデジタル化についてということなのですが、これらの設備や備品については、県が管轄している部分もあると思いますが、熊野古道の王子各所には通行手形として記念スタンプが設置された押印所があります。このスタンプ押印については、熊野古道完歩のあかしとなるなど、熊野古道歩きの楽しみ方の一つとなっています。
また、熊野古道観光客来訪者を記念と記憶でつなぎ止めて、そのリピーターを増やす役割を果たしていると考えられます。
しかし、その管理については、熊野古道観光客の予想以上の増加に伴い、インク切れやスタンプ自体の劣化、そしてスタンプの持ち出しがあるなど、不適切な取扱いも少なからず見受けられ、維持管理に大変苦労されているようです。
特に湯川王子、不寝王子、秀平桜押印所、そして大門王子に十丈王子、大坂本王子と、この場所の押印所では、雨が多いことや鬱蒼とした杉林の中で湿度も大変高く、インクの劣化に加えて施設の腐食も大変激しいと聞いております。
また、押印所によっては、道のりも遠く、緊急の場合や、そのタイミングによっては語り部さんの善意に甘えることもしばしば起こっております。
そこで、スタンプの小型化、今はスタンプが大変大きくて、スタンプの押印帳の枠からはみ出すことが大変多いんです。そしてその分インクの消費も激しいですし、また、端のほうまできれいに押しにくいという欠点がございます。その際にシャチハタ式への変更をすればインク補充の軽減にもつながりますし、そのほかとして、QRコードを利用した電子押印があれば、これからのデジタル世代への対応と、もしスタンプに不備があった場合の代替手段として使えるなど便利だと思います。
ただ、スタンプのデザインについては、県内の熊野古道統一の規格であるということ、また、現在のデザインやスタンプに愛着やこだわりを持った方もおられますので、一気に変更はできないと思いますが、劣化や破損したものから順に刷新するなど、何らかの対策を考えられないものか、当局の見解をお聞かせ願いたいと思います。
続きまして、仲人茶屋から蛇形地蔵間の通行制限箇所の復旧の進捗についてということなのですが、この件に関しましては、以前私も令和元年の6月議会で一度質問したことがありますし、最近では令和5年3月、この議会で谷議員からの問いに対し、令和6年に世界遺産登録20周年を迎えることから、県等の関係機関や山林所有者、そして地元森林組合と連携・協力し、できる限り早期の復旧を目指すとあります。関係者からの問合せも多く、関心も高いことから、最新の進捗状況を再度お聞かせ願いたいと思います。
また、その復旧後の話にはなるのですが、道湯川地域のトイレ設備についてということで、現在は、仲人茶屋や蛇形地蔵間の迂回路に簡易トイレが設置されておりまして、適宜くみ取り作業をしておりますが、設置場所が林道奥地ということもありまして、走行距離も非常に長いです。そして、さらに風水害やのり面からの崩土などから路面の荒廃等も多く見られ、管理に大変苦労していると聞いております。
以前からこの簡易トイレを恒久的な施設に改良してほしいとの意見がありましたが、そして、用地承諾にも出向いたことがありますが、まもなく本道の通行制限が解除されるとの見解から要望は見送っておりました。今後、本道が通行可能になった場合においても、蛇形地蔵付近にはトイレが必要であると感じます。
蛇形地蔵付近には、ずいぶん前になりますが、民間施設のトイレがあったのですが、台風や風雨により朽ち果てていると聞いております。周辺の森林や土地使用の承諾については非常に協力的であると聞いているところから、バイオトイレを設置するなど、安全性と効率性から恒久的に利用できる衛生施設を設置してはどうかと思いますが、当局の考えをお聞かせ願いたいと思います。
最後になりますが、熊野古道周辺の森林整備についてお聞きしたいと思います。
以前、たしか平成13年ぐらいだと記憶しておりますが、熊野古道周辺の森林整備としましては、森林空間の整備事業、そして、景観保全整備事業、緊急間伐整備事業などを適用しまして、枝払い、間伐、植栽、休憩施設の整備など様々な森林整備事業を施工した記憶がございます。今回の世界遺産登録20周年を迎えることを契機として、くまもり基金やきのくに森づくり税、そして森林環境譲与税等を選択使用しながら、周辺森林の整備を基本としながら、景観ポイントの整備、あるいは森林サービス産業といわれる森林セラピーやヘルスツーリズム、そして森の幼稚園など、森林と触れ合う場所、森林空間を提供してはどうかと考えますが、当局の見解をお聞かせ願います。
以上、熊野古道に関連した観光についての質問でございます。よろしくお願いいたします。
(9番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君)
商工観光部長、丸山勝司君。
(
商工観光部長 丸山勝司君 登壇)
○
商工観光部長(丸山勝司君) 議員御質問の世界遺産登録20周年に向けた周辺整備についてお答えいたします。
御質問1点目の景観整備の必要性とその点検につきましては、来年、世界遺産登録20周年を迎えるに当たり、これを契機とした誘客促進を図るため、記念シンポジウムの開催や各種周遊キャンペーンの実施、市内観光コンテンツの情報発信などを計画しております。
そうした中、御質問いただきました景観整備につきましても、その必要性を十分認識しており、これまでも田辺市を訪れる多くの方々に本市の魅力が十分伝わるよう、現場確認を行い、劣化した設備等の洗い出しを行った上で、老朽化により修繕が必要な施設については順次対応しているところでございます。
今年度におきましても、世界遺産登録20周年に向けて、熊野古道沿いの名所として多くの方が訪れるとがの木茶屋のかやぶき屋根の改修や熊野古道案内表示看板等の整備についても行っているところでございますが、今後も引き続き来訪者の安全、並びに良好な景観を保つため、順次環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、2点目の滝尻王子周辺の景観保全につきましてお答えいたします。
滝尻王子周辺の治山事業や護岸事業に伴う景観保全につきましては、滝尻地域が古来、聖域の入り口という特別な場所であることを踏まえ、事業主体である県と景観保全に係る認識の共有を図り、二次製品の対応を含め、景観の改善について要望してまいりたいと考えております。
次に、3点目の王子スタンプの刷新とデジタル化につきましてお答えいたします。
現在、熊野古道中辺路ルートにおいて41か所にスタンプがあり、そのうち20か所については田辺市が、残りの21か所については県が整備したものになります。この41か所のスタンプを全て集めて申し込むと、県から熊野古道中辺路完全踏破証明書が交付されることになり、また、押印されたスタンプ帳が記念になることから、熊野古道を歩く方の楽しみの一つとして国内外を問わず大変好評をいただいているところでございます。
現在それぞれの王子箇所等にスタンプ及びスタンプ台を設置しているところでございますが、議員御指摘のとおり、スタンプ台のインク切れや、スタンプそのものの劣化、紛失等維持管理につきましては苦慮しているところでございます。
本事業につきましては、県と連携して実施している事業でもございますので、こうした状況を踏まえ、スタンプのデジタル化を含めて、県と十分に協議しながら対策を検討してまいりたいと考えております。
次に、4点目の道湯川地内の迂回箇所の復旧につきましてお答えいたします。
熊野古道の通行止め区間につきまして御質問で紹介いただきましたが、令和5年3月議会で、谷議員の一般質問におきまして、早期の復旧を目指したいと答弁いたしましたとおり、現在、事業の推進に鋭意取り組んでいるところでございます。
議員御質問の通行止め区間の復旧作業の進捗状況につきましては、予定どおり進んでおり、現在、山林所有者との調整のほか、通行止め区間の復旧工事の妨げとなっている大量の倒木の伐採、撤去作業に取りかかっているところであり、その後、路肩や路面の崩落箇所や階段等の修繕、木橋の架け替え、崩落土の除去作業を順次行う予定としております。
いずれにいたしましても、完全復旧には相当な時間を要するものと想定しておりますが、来年は世界遺産登録から20周年の節目の年でもあり、復旧への期待や関心が高いことから、関係機関とも連携、協力しながら、できる限り早期の復旧に取り組んでまいります。
次に、5点目の熊野古道道湯川地域のトイレ整備につきましてお答えいたします。
熊野古道沿線のトイレにつきましては、仲人茶屋から蛇形地蔵までの簡易トイレを含め、充足しているものと考えておりますが、この区間における本道の通行制限が解除された場合につきまして、迂回路の簡易トイレに代わるトイレの本道配備が必要であると考えております。その上で、トイレの整備に当たっては、配置場所やトイレの仕様、整備コスト、管理体制などを十分検討してまいりたいと考えております。
次に、6点目の熊野古道周辺の森林整備につきましてお答えいたします。
議員御承知のとおり、長年人の手により守られてきた熊野古道の周辺に広がる森林景観は、普遍的な価値を構成する文化的景観の重要な要素として高く評価されております。
そうした中、熊野古道の森を守り育む未来基金、通称くまもり募金を用いた取組では、熊野古道周辺の森林等の購入や間伐などの森林整備により、熊野古道本体の保護や周辺の森林景観の保全を行っております。
また、森林経営管理制度により、市では、森林の管理に係る意向調査を行い、森林所有者自身での管理が難しい場合、市が森林所有者から委託を受け、間伐等の森林整備を実施しております。現在、市が管理を委託されている森林の中には、熊野古道周辺の森林も含まれており、市といたしましては、本制度を有効活用しながら、熊野古道周辺の森林整備を継続的に実施してまいりたいと考えております。
整備が実施された熊野古道周辺の森林空間は、熊野古道を巡る来訪者の受入れをはじめ、森林環境学習の現場体験フィールドとして活用するなど、観光、教育、健康などの分野でも活用が期待できるものと考えております。
今後も様々な事業により間伐等の森林整備を実施するとともに、併せて熊野古道周辺の森林空間の活用については、観光振興のみならず林業の持続的な発展、良好な景観保全にもつながるものであると考えていることから、森林所有者や関係機関等も含め、庁内において横断的に連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(
商工観光部長 丸山勝司君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(9番 宮井 章君 登壇)
○9番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
世界遺産登録20周年ということで、この節目を迎えるに当たりまして、先日、12月8日から10日には、第14回の世界遺産学習全国サミットがここ田辺市で開催されたところであります。今後ともさらにこの機運を高めながら、観光立市として意識の醸成を加速化し、誰しもが本市の歴史文化について語れることができるよう、各般にわたるブラッシュアップをお願いしたいと思います。
本日は、大項目の3点についていろいろ申し上げましたが、教育、医療、そして観光と、これら全てが地域の持続的発展には欠かせないものであります。しかし、先々に大きな効果をもたらすためには、もう少しの工夫と支援が必要であると思います。
今後ともできる限りの支援策、そして改善策をお願いいたしまして、私の一般質問を終了したいと思います。御清聴ありがとうございました。
(9番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、9番、宮井 章君の一般質問は終了いたしました。
◎日程第2 5定議案第26号 田辺市手数料条例の一部改正についてから
日程第5 5定議案第29号 令和5年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第4号)についてまで一括上程
○議長(尾花 功君) 続いて、日程第2 5定議案第26号 田辺市手数料条例の一部改正についてから、日程第5 5定議案第29号 令和5年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第4号)まで、以上4件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました議案は、本日市長から提出のあったものであります。
提出者の説明を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) ただいま上程されました議案は、条例に関するもの2件、予算に関するもの2件でありまして、その概要について御説明申し上げます。
まず、議案第26号 田辺市手数料条例の一部改正については、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正に伴い、戸籍法の一部改正により追加された事務に係る手数料を定めるとともに、危険物貯蔵所の設置許可等に係る手数料の額を改定するものです。
次に、議案第27号 令和5年度田辺市
一般会計補正予算(第9号)についてでありますが、今回の補正予算の総額は10億5,385万7,000円で、国の補正予算に基づく物価高騰対策に要する経費のほか、所要の予算を計上するものです。
内容につきましては、民生費では、物価高騰の影響を受けている住民税非課税世帯への支援金の給付に要する経費のほか、子ども食堂食材等高騰対策支援金の補正を、農林水産業費では、治山事業に要する経費の補正を、商工費では、キャッシュレス決済ポイント還元事業委託料の補正を、教育費では、学校給食食材等高騰対策に要する経費の補正を、諸支出金では、
国民健康保険事業特別会計繰出金を補正するもので、財源としましては、地方交付税、分担金及び負担金、国庫支出金、県支出金をもって充てており、このほか繰越明許費の補正をしております。
次に、議案第28号 田辺市
国民健康保険税条例の一部改正については、地方税法の一部改正に伴い、出産した被保険者等に係る所得割額及び被保険者均等割額を減額するため、所要の改正を行うもので、議案第29号 令和5年度田辺市
国民健康保険事業特別会計補正予算(第4号)につきましては、
国民健康保険税条例の一部改正に伴い、財源を更正するものです。
以上、提案いたしました議案について御説明申し上げましたが、詳細につきましては、関係部長から説明いたさせますので、よろしく御審議の上、御賛同賜りますようお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(尾花 功君) 続いて、補足説明を求めます。
総務部長、西 貴弘君。
(総務部長 西 貴弘君 登壇)
○総務部長(西 貴弘君) それでは、議案書に基づきまして補足説明をさせていただきます。
1ページをお願いします。
5定議案第26号 田辺市手数料条例の一部改正について、地方自治法第96条第1項第1号の規定により議会の議決をお願いするものです。
本件につきましては、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正に伴い、戸籍法の一部改正により追加された、本籍地以外での戸籍謄本等の交付事務及び電子証明書提供用識別符号の発行事務に係る手数料に関する規定を定めるとともに、危険物貯蔵所の設置許可申請に係る審査手数料の額を引き上げ、高圧ガスの製造の許可に係る審査手数料を低減するものです。
次に、4ページをお願いします。
5定議案第27号 令和5年度田辺市の
一般会計補正予算(第9号)は、次に定めるところによる。
第1条 歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ10億5,385万7,000円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ529億2,117万7,000円とするもので、繰越明許費の補正につきましては7ページを御参照願います。
なお、人件費につきましては、給与費明細書を15ページ及び16ページに、工事請負費につきましては、工事明細表を17ページに、併せて別紙参考資料の工事事業箇所図を御参照願います。
補正予算の内容につきましては、歳出の11ページをお願いします。
社会福祉費、社会福祉総務費につきましては、物価高騰の負担感の大きい低所得世帯の負担軽減を図るため、住民税非課税世帯支援金を給付するもので、当該支援金のほか、会計年度任用職員報酬や通信費等の事務費を計上するものです。
次の児童福祉費につきましては、食材等の価格高騰に伴う子ども食堂運営費の負担軽減を図るため、子ども食堂を運営する団体等に対して支援金を給付するものです。
次に、12ページをお願いします。
林業土木費、治山事業費につきましては、本年11月の降雨により山腹崩壊が発生し、人家に影響を及ぼしていることから、その対策に要する工事請負費を計上するものです。
次の商工費、商工振興費につきましては、事業者及び生活者の支援を図るとともに、デジタル化を推進するため、キャッシュレス決済ポイント還元事業委託料を計上するものです。
13ページにまいりまして、保健体育費、学校給食費につきましては、食材等の価格高騰に伴う給食費の保護者負担の軽減を図るため、令和5年4月からの食材等高騰分を公費で負担するもので、賄材料費については、城山台学校給食センター、大塔中辺路給食センター及び上芳養共同調理場における食材購入費用について、その高騰分を公費で負担するため、予算を増額するものです。
また、学校給食食材等高騰対策補助金については、自校式等により学校給食の運営を担っている団体に対して、食材等の高騰分を補助するものです。
次の特別会計繰出金につきましては、
国民健康保険事業特別会計の補正予算に対応し、必要となる一般会計からの繰出金です。
以上、今回の補正に伴う財源といたしましては、地方交付税、分担金及び負担金、国庫支出金及び県支出金をもって充てています。
次に、18ページをお願いします。
5定議案第28号 田辺市
国民健康保険税条例の一部改正について、地方自治法第96条第1項第1号の規定により議会の議決をお願いするものです。
本件につきましては、令和5年5月19日に公布された全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律に基づく地方税法の一部改正に伴い、
国民健康保険の被保険者が出産した場合において、単胎妊娠の場合は出産前後の4か月間、双子等の多胎妊娠の場合は出産前後の6か月間について、所得割額及び被保険者均等割額を減額するものです。
次に、21ページをお願いします。
5定議案第29号 令和5年度田辺市の
国民健康保険事業特別会計補正予算(第4号)は、次に定めるところによる。
第1条 事業勘定の歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ96億67万5,000円とするもので、補正予算の内容につきましては、
国民健康保険税条例の一部改正に伴い、23ページの歳入のとおり、
国民健康保険税を減額し、一般会計からの産前産後保険税免除繰入金を増額する歳入の財源更正です。
以上をもちまして補足説明を終わらせていただきます。よろしく御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
(総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上をもって提出者の説明が終了いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております議案については、既に提出されている他の議案と同様に、後日審議願うことにいたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ延会し、明日12月12日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(尾花 功君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
お疲れさまでした。
(午後 2時47分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
令和5年12月11日
議 長 尾 花 功
副議長 橘 智 史
議 員 安 達 幸 治
議 員 安 達 克 典
議 員 佐 井 昭 子...